都市整備委員会速記録第七号

平成十九年五月二十四日(木曜日)
第五委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長秋田 一郎君
副委員長松下 玲子君
副委員長東野 秀平君
理事林田  武君
理事川井しげお君
理事柿沢 未途君
高倉 良生君
村松みえ子君
石森たかゆき君
吉田康一郎君
植木こうじ君
小沢 昌也君
こいそ 明君
立石 晴康君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長石井 恒利君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画担当部長村尾 公一君
開発プロジェクト推進担当部長戸田 敬里君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
区市町村調整担当部長中沢 弘行君
民間住宅施策推進担当部長山室 善博君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事並木 勝市君
参事庄司 貞夫君
参事山口  明君
参事座間  充君
参事小澤  弘君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
報告事項(説明・質疑)
・第百七十七回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○秋田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了するまで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、柿堺局長より紹介があります。

○柿堺都市整備局長 去る四月一日付で異動がございました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 企画担当部長の村尾公一でございます。航空政策担当参事の庄司貞夫でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます総務課長の岩瀬和春でございます。
 なお、都市景観担当部長の安井順一は、公務出張のため、本日の委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○秋田委員長 紹介は終わりました。

○秋田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○柿堺都市整備局長 来る七月二十七日金曜日に開催予定の第百七十七回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきまして、ご説明申し上げます。
 今回、東京都決定案件は、区部の十一件でございます。また、産業廃棄物処理施設の用途に供する特殊建築物の許可案件が一件ございます。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、大手町一丁目六地区及び日本橋室町東地区における都市再生特別地区並びに北品川五丁目第一地区第一種市街地再開発事業及び関連する案件につきましてご説明いたします。
 それでは、引き続き担当部長からご説明いたしますので、よろしくお願いを申し上げます。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 私から、都市再生特別地区について、二件ご報告いたします。
 まず、都市再生特別地区大手町一丁目六地区の変更に関する案件についてご説明いたします。
 資料は、お手元の薄茶色表紙、事前説明会資料の三ページから八ページ、白表紙、提案事項概要三ページでございます。また、あわせてお手元の藤色表紙、都市計画(素案)の提案をご参照ください。
 今回の変更については、有限会社東京プライムステージ取締役堀川朋善氏より、本年三月、公共施設整備等の都市再生貢献を図るため、都市再生特別地区についての提案があったものでございます。
 本地区は、都内に八地区指定されています都市再生緊急整備地域のうち、東京駅・有楽町駅周辺地域内に位置しております。
 本地域の整備の目標は、東京都心において、我が国の顔として風格ある街並みを備えた国際的な中枢業務、交流拠点を形成し、あわせて商業、文化などの多様な機能を導入することにより、にぎわいと回遊性のある都市空間を形成するというものでございます。
 本計画は、この上位計画に基づき、国際ビジネス拠点の形成や多様な都市機能の導入、交通結節点としてのターミナル機能の充実、地上及び地下における歩行者ネットワークの形成などを図るため、都市再生特別地区内での整備を行うものとしてこれを変更するものでございます。
 薄茶色表紙三ページをごらんください。また、スクリーンには、地区の航空写真をお示ししてございます。
 計画地は、外堀通りと永代通りが交差するところに位置しております、約一・五ヘクタールの区域でございます。この区域の北側に東京メトロ丸ノ内線、半蔵門線大手町駅、西側に千代田線、都営三田線、南側に東西線の大手町駅が近接し、地下鉄五路線が交錯する交通上枢要な位置にあります。
 事業者からの提案内容については、地域整備方針に適合し、また周辺環境への配慮や都市基盤との均衡が図られ、かつ都市機能や都市環境改善などの都市再生貢献が高く、周辺地域のおおむねの同意も得られているものと判断したものでございます。
 薄茶色表紙七ページをごらんください。本計画における公共貢献の概略をお示ししたものでございます。
 本計画の特色として、日本を代表するビジネス街に、いわば大手町の森ともいえる、高木を密植した約三千六百平方メートルの緑地を整備いたします。樹木や草花により鳥類の飛来を促すとともに、カフェなども配し、にぎわいを生み出します。この大手町の森は、クールスポットの創出により、ヒートアイランド現象の緩和にも寄与します。
 さらに、災害時の消防活動拠点のスペースとなるほか、仲通りの大手町、神田方面への延伸の基点となるなど、この地区に有用な歩行者空間の確保などにも大きな役割を果たすものとなります。
 また、東西線大手町駅のラッチ外の整備を行い、乗りかえ通路の拡幅及びバリアフリー化を図るとともに、地下二階に連結通路や広場を設けた地下プラザを整備し、大手町地区の地下ネットワーク機能の向上に貢献します。
 さらに、国際級のホテルを配し、隣接地に整備される国際コンファレンスセンターと連携し、同地区のグローバルビジネスの戦略拠点を形成いたします。先ほど申し上げました大手町の森などの公共貢献を総合的に評価して、容積率の最高限度などを定めるものでございます。
 白表紙三ページ、薄茶色表紙四ページをごらんください。
 都市計画の主な内容でございますが、建築物の容積率の最高限度は一六〇〇%とし、そのうち二〇〇%は、ホテルなどの滞在機能の用途に供する部分といたします。建築物の高さの最高限度は二百メートルで、大手町・丸の内・有楽町まちづくりガイドラインにも合致したものとなっております。
 事業完了後のイメージパースが、薄茶色表紙八ページにございます。左側が建物の外見イメージでございます。建物は、ガラスのカーテンウォールで構成し、西側足元に大手町の森として緑豊かなオープンスペースを整備いたします。右側上部が、そのイメージパースでございます。また、右側下部は、低層部地下プラザの断面イメージパースでございます。
 続きまして、都市再生特別地区日本橋室町東地区の変更についてご説明いたします。
 資料は、お手元の薄茶色表紙、事前説明会資料の九ページから一四ページ、白表紙、提案事項概要四ページでございます。また、あわせてお手元の薄桃色表紙、都市計画(素案)の提案をご参照ください。
 今回の変更については、三井不動産株式会社及び野村不動産株式会社から、本年三月、都市再生特別地区についての提案があったものです。
 本地区も、ただいまご説明いたしました大手町一丁目六地区と同じ、東京駅・有楽町駅周辺地域内にあります。
 この地域の整備目標は、歴史と文化を生かした潤いと風格のある街並みの形成、業務・商業機能などが適切に調和した、魅力ある複合集積地を形成するなどとなっております。
 薄茶色表紙一二ページをごらんください。また、スクリーンには地区の航空写真を示してございます。
 本地区は、JR東京駅から約五百メートル、JR新日本橋駅にも至近に位置し、地区内の地下部分に東京メトロ銀座線三越前駅が近接しております。この地域は、商業施設、事務所などが混在しており、周辺には、しにせといわれる店舗等が多く集積した地域でございます。
 対象となるのは、中央通り及び区道に囲まれた約一・八ヘクタールの区域で、AからEまで五街区に分かれた区域となっております。
 事業者からの提案内容については、地域整備方針に適合し、また周辺環境への配慮や都市基盤との均衡が図られ、かつ都市機能や都市環境改善などの都市再生貢献が高く、周辺地域のおおむねの同意が得られていると判断したものでございます。
 薄茶色表紙一三ページをごらんください。こちらは地域貢献の概略図でございます。
 特色といたしまして、五つの地区を一体化し、まちづくりを行うことによる業務・商業、居住などの機能更新への貢献、歴史的資源を活用した都市景観の形成、区道下空間、建物内の地下広場及び通路と地上との歩行者を結ぶ縦導線など、地上、地下の立体的歩行者ネットワークの整備、改善などでございます。
 具体的には、電線類の地中化や、地上、地下を合わせて約千五百平方メートル強の広場空間整備、地域防災拠点の整備、約四十戸の住宅など、地域に不足した機能を導入します。
 当地区を含む十・七ヘクタールをしゃれ街条例の街並み重点地区として指定した上で、五つの街区を一体的に整備することにより、良質な街並み景観を形成いたします。
 街区の一体化により地下駐車場のネットワーク化を可能とし、出入り口を全体で二カ所とすることで、自動車と歩行者の導線を整理いたします。
 市街地環境への配慮として、区域面積の約一五%を緑化するとともに、周辺区道の車道及び歩道部分を保水性舗装とするなど、ヒートアイランド対策を図っております。
 以上申し上げました地域への貢献を総合的に評価して、容積率の最高限度を定めるものでございます。
 白表紙四ページ、薄茶色表紙一〇ページをごらんください。
 都市計画の主な内容でございますが、建築物の容積率の最高限度は一三〇〇%とし、また建築物の高さの最高限度については、C地区百二十五メートル、A、B、D地区百十メートルという計画になっています。
 薄茶色表紙一四ページをごらんください。こちらが完成予想図のパースでございます。
 高さ三十一メートルの低層部は、列柱等で統一感のあるデザインとするなど、風格ある通りの景観を形成いたします。
 説明は以上でございます。

○座間参事 北品川五丁目第一地区第一種市街地再開発事業の決定、それに関連いたします北品川五丁目地区地区計画の決定及び都市再生特別地区の変更について説明申し上げます。
 お手元の資料では、資料2の提案事項概要三八ページから四五ページ、資料3、事前説明会資料では四五ページから五八ページ、それと資料6の薄緑色の都市計画(素案)の提案、こちらでございます。スクリーンに大崎副都心北品川五丁目地区周辺の航空写真を示してございます。
 北品川五丁目地区は、大崎駅の北東約二百メートルの目黒川沿いに位置しておりまして、現況は住宅、事務所、工場等が混在し、一部に工場跡地等の低未利用地が散在しております。
 また、地区内の道路は、大半が幅員六メートル未満であり、交通ネットワークの充実強化が求められているところでございます。
 本案件は、北品川五丁目地区におきまして、業務・商業、文化、居住などの複合的機能を備えた中核拠点の形成及び緑豊かな魅力とにぎわいのある良好な都市空間の形成を図ることを目的といたしまして、第一種市街地再開発事業、地区計画及び都市再生特別地区を都市計画として定めるものでございます。
 まず、北品川五丁目第一地区第一種市街地再開発事業について説明いたします。
 資料2、提案事項概要三八ページ、三九ページ、資料3、事前説明会資料四五ページから四九ページでございます。
 施行地区は、資料3の四六ページ、計画図1に一点鎖線で示しております約三・六ヘクタールの区域でございます。
 資料3の四七ページ、計画図2をごらんください。
 施行区域内に整備される公共施設は、幅員十六メートルの地区幹線道路三号と区画道路及びB街区南の公園でございます。また、街区の配置は、地区幹線道路三号を中心に、A街区からE街区の五街区に区分しております。
 建築物の整備につきましては、資料2の白表紙三八ページ、中段以降と、スクリーンをあわせてごらんいただきたいと思います。
 高層建築物といたしまして、A1街区の最高高さ百四十三メートルの事務所棟、A2街区の最高高さ七十五メートルの住宅棟、A1街区の最高高さ百メートルの事務所棟、D街区、最高高さ百四十三メートルの住宅棟を整備いたします。中層建築物といたしましては、B街区では最高高さ十メートルの地域コミュニティ施設、C2街区では最高高さ三十メートルの作業所棟、E街区では最高高さ二十メートルの商業棟を整備いたします。
 各街区の建築物の延べ面積は、提案事項概要三八ページ及び三九ページにそれぞれ記載のとおりでございます。
 三九ページをごらんください。
 建築敷地の整備では、歩道状空地及び広場状空地を確保して緑化することによりまして、屋上緑化と合わせて緑被率約三〇%の緑を創出いたしますとともに、目黒川を軸とした風の道を確保いたします。
 また、大崎駅とA1街区を結ぶ歩行者デッキを整備し、安全で快適な歩行者動線を確保いたします。また、都心居住に資する住宅建設の目標につきましては、約八百戸を予定しております。
 次に資料3、茶表紙の四八ページをお開きいただきたいと思います。計画図3でございます。
 建築物の高さの制限図で、各街区の高さの最高限度並びに壁面の位置の制限範囲を示してございます。
 四九ページの参考図には、地区幹線道路や歩行者デッキのイメージパースをお示ししてございます。
 次に、北品川五丁目地区地区計画について説明いたします。
 資料2の提案事項概要四〇ページから四四ページ、資料3、説明会資料五〇ページから五三ページになります。
 資料3、五〇ページの位置図及び五一ページの計画図1をごらんいただきたいと思います。
 地区計画の区域は、市街地再開発事業の施行区域を含む約五・四ヘクタールでございます。
 資料2の四二ページ、四三ページ及び資料3、五二ページの計画図をごらんください。
 主要な公共施設といたしまして、地区の中央に環状六号線と補助一五号線、通称八ツ山通りでございます、これを結ぶ地区幹線道路を設置いたしますとともに、良好な歩行者ネットワークを形成する歩道状空地を設置いたします。
 また、地区施設といたしまして、区画道路、公園、緑地、歩道状空地、歩行者通路及び広場を設置いたします。
 建築物の用途の制限につきましては白表紙の四三ページの下段に、壁面の位置の制限等につきましては資料2、白表紙四四ページの上段及び資料3、茶表紙五三ページにお示ししてございますので、ごらんいただきたいと思います。
 続きまして、都市再生特別地区について説明いたします。
 本年三月に、愛知産業株式会社外四法人より、都市計画素案の提案がございました。資料6の薄緑色表紙の都市計画(素案)の提案をあわせてごらんいただきたいと思います。
 この提案内容が地域整備方針に適合し、周辺環境への配慮や改善、都市基盤との均衡が図られ、周辺地域のおおむねの同意も得られたと判断いたしましたので、今回、都市再生特別地区を変更するものでございます。
 都市再生特別地区の変更につきましては、資料2、白表紙の四五ページ、資料3、茶表紙の五四ページから五八ページに示しております。
 資料3の五四ページの計画図1をごらんいただきたいと思います。
 都市再生特別地区の区域は、市街地再開発事業の施行区域と重なる約三・六ヘクタールでございます。
 資料3、茶表紙五五ページの計画図2をごらんください。
 A1地区からE地区における建築物の高さの最高限度と壁面の位置の制限範囲を示しております。
 容積率の最高限度につきましては、資料2、白表紙の四五ページ中段をごらんいただきたいと思います。
 都市再生の地域貢献や計画の内容等を評価した容積率をA1地区からE地区に配分し、A1地区では十分の百十、一一〇〇%から、E地区の十分の四十、四〇〇%まで、各地区の容積率の最高限度を定めております。
 資料3、茶表紙の五六ページの別添図1をごらんいただきたいと思います。
 地域貢献といたしまして、区域北側の斜線部、地区幹線道路の整備と区域南側の目黒川を横断します歩行者デッキを整備いたします。
 また、五七ページの別添図2には、整備する合流改善施設といたしまして、導水管の経路と貯留槽の位置を示しております。
 五八ページの参考図をごらんください。
 施設配置のイメージ図で、都市再生の貢献項目を示してございます。地域貢献施設といたしまして、施行区域内の地区幹線道路整備や合流改善施設のほか、C1棟に産業支援交流施設、C2棟にものづくり産業施設となる作業所などを整備することとしております。
 説明は以上でございます。

○秋田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 今、ご提案、ご説明いただきましたことについて、大手町の一丁目六、室町の東地区のことについて、初めにご質問したいと思います。
 大手町一の六は、結構よく車で通るところでありますし、室町東は、自転車でちょろちょろ毎日のように歩くところでありますので、よくわかっているので質問したいと思いますが、ここで、これを壊して再開発特区で、今皆様からご説明あったような理想に燃えてよりよい計画に移行しようということは、それなりにわかるのでありますが、とりあえず、壊される耐用年数、それぞれの、大手町地区の個々のビルの棟数が十棟なのか五棟なのか、あるいは室町東で再開発される建物の棟数、そして、人間でいえば何歳だと、六十五歳だとか七十五歳だとか九十三歳だとか、どのくらい使ったのか、ここら辺をまず教えていただきたい。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 大手町一-六につきましては、現在、二棟の建築物が建っております。その一つがみずほ銀行大手町本部ビルでございまして、人間でいえば一九六六年に生まれたということで四十三歳の状況に至っております。
 また、大手町フィナンシャルセンターは一九二二年に竣工しまして、現在建築後二十年となっております。(立石委員「違うよ、九二年」と呼ぶ)ごめんなさい。もう一度最初から申し上げます。
 みずほ銀行大手町本部ビルは、一九六六年に竣工しまして、現在四十三というところでございます。
 また、フィナンシャルセンターは、一九九二年に竣工しておりまして、解体する予定が二〇一一年でございますので、そのときの年数が建築後二十年ということになっております。
 また、日本橋室町東地区では、現在、地区内に十八棟の建築物が存在しておりまして、主なものを挙げますと、A街区に千葉銀ビルというのがあります。これは一九六八年に竣工しております。解体予定が二〇一〇年でございますので、建築四十二年ということになります。
 また、C街区の古河ビル、これは一九五九年に竣工しております。解体予定が二〇一〇年でございますので、五十一年ということになろうかと思います。

○立石委員 大手町の一丁目六番、二棟の建物を再開発するということですが、また、室町東は十八棟のビルをそれぞれ再開発していくと。今お話があったような、理想に燃えた新しい都市の目標に向かって建て直そうと、こういうわけですよね。現時点で、一九九二年の誕生ということになると、今プラス十五で二〇〇七年ですから、何歳と聞けば、十五歳ということになるよね。十五歳と、旧富士銀行、みずほ銀行の方は四十二、三歳になるんですか、実に人間の年齢でいうと、平均寿命が男女ともに八十を超えるような時代になっているのに、建築の寿命、都市の寿命ってそんなに短いのか。十五歳でたたき壊しちゃうのか。これは待てよという感じがしたんですが、うちの近所でいうと、浜町にありますお芝居の明治座が、一九九二年ごろたしかできたように記憶しています。定かでありませんが、多分そうだと思います。
 そうすると、あの明治座は、下町のランドマークとしても、またお芝居の小屋としても非常に近代的で立派な建物ですけれども、それと比較すると、現在の何とかというビルは、大手町の一丁目六番のその一つのビルは、そんなに使い物にならないほど古くなったのか、壊すべき建物なのか、また壊すとするならばなぜなのか、そこら辺ちょっと教えていただきたい。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 都といたしましては、本計画について、二棟を交互に建てかえた場合と、一棟とした場合の案を比較考量いたしました。公共施設整備や緑化などの都市再生貢献効果、環境負荷などさまざまな角度からこれを検討したものでございます。
 二棟案の場合、現在の市街地が維持されるだけで整備水準の向上が特段に図られるというものではなくて、一棟案ですと、このまちのガイドラインであります大・丸・有ガイドラインに示されました緑のネットワークの基点が形成されるとともに、三千六百平米の大手町の森の整備、防災機能の強化、ビジネスセンターにふさわしい質の高いホテル機能の誘致、地下プラザなどのターミナル機能が改善されるなどの都市再生貢献が可能となる。こういった検討を踏まえまして、エリア全体での緑、歩行者ネットワークや環境、防災対策等、市街地整備の改善などを含めた総合的な観点から、都としても本計画は妥当であると判断したところでございます。

○立石委員 こだわるわけじゃありませんけれども、たかだかでき上がって十五年のものを、壊すときには、あとまだ少し使うんでしょうから、二十年になるのかもしれませんけれども、先進七カ国でもそんなにぼかぼか壊してしまう、しかも超一等地といわれているまちの中で、本当にそうなんだろうかという疑問が私に今あります。
 これを最初に聞きまして、実際に、自分の考えが一方的であってはまずいと思いまして、きのう、改めてまたあそこへ行ってみました。小一時間、隣の大手町ビル、区道のところの大手町ビルとあそこの間に座って、ずっと眺めて考えていました。風も結構いい風が来ました、きのうは。おっしゃるように大手町の森がそこに出現して皇居の風を受けるということであれば、それはそれでわかるんですが、一体果たしてこの国は、この東京は--むしろその隣の、あれは日本ビルディングといいましたかね、区道を境にして当該計画地の隣、サンケイビル、読売ビルの間だね、あそこは、自分の記憶でも、恐らく、僕が二十歳ぐらいですから、四十年以上多分たっていると思います。
 人様の財産、もう建てかえろなんていう権利も何もないわけですけれども、あそこに座って考えていると、やっぱり不自然だなと。むしろ百尺、三十一メートルの向こうの方が、一九八一年の新耐震から比較してもはるかに壊すべき存在だろうと。これは一体何なんだというのが、私の、あそこに立って、座って考え込んだ実感でした。多分、賢明な都市計画のご担当の皆様も、そういう考えがあったと思いますよ。
 それを考えたときに、結果においてこの計画を了とされたわけですから、それはそれで、それ以上のより大なり、より効果のある、より将来に向けての計画であったということは、それなりにわかるような気はします。しかし、やっぱり物には限度があるじゃないかと。十五歳の少年をたたき壊して、もっとよくなるんだよというものであっても、恐らく十五年前につくった人が十五年後に壊すつもりでつくっているはずがない。物はやっぱり百年やそこいらはもつものだと思ってつくっているはずだと思いますが、内部で何も意見が出なかったというのはおかしな話で、そこら辺、部長どうですか。局の中でかんかんがくがくの議論があった、されど、これの方がいいんだということがあったら、ぜひ教えていただきたい。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 委員おっしゃられますように、建築後それほどたっていない建築物を壊していいものかという観点は当然あったわけでございます。先ほども申しましたけれども、それでは、一棟とせずに一棟ごとに片っ方を壊して、仮に四十三年たったという建物を壊して十五年のものは残しておく、四十三年のところに新しいものをつくるという考え方ももちろんあったでしょうし、今回の計画のようなこともあるということについては、例えばですけれども、最近問題になっております地球の温室効果ガスの発生、特にCO2の観点から考えたときはどうなんだと。つくってから壊すまでの期間、十五年間ですとか、ひょっとしてこの新しい建物ができてから百年もしくは六十五年、一般的にいわれる六十五年でしょうけれども、そういうスパンで、二棟、一棟交互といったようなことで考えたところ、CO2に関していえば、ライフサイクル、CO2ですけれども、これでいきますと、とんとんになったというようなこともあります。
 となれば、そういう環境面からの観点から考えた場合、先ほど申し上げました、この地区のガイドラインが求めているいろんな地域で求める課題、これを解決するために一棟にしたということであれば、その考え方は了とするというふうなこともあるというような議論は、かなり深くやったところでございます。

○立石委員 今、部長お話しのように、二棟、それぞれ一棟ずつ建てるよりも、CO2その他の考え方からしても、大・丸・有の計画ガイドラインに、より国際的な--国際競争力といいますか、余り競争力という言葉は使いたくないんですが、比較考量をした上では、いろいろな意見があったけれども、こっちの方がいいということで結論が出たということでございます。
 もののついでに聞いたらおかしいですが、例えば一九八一年以前のいわゆる旧耐震であった日本ビルディングなんかは、象徴的によく百尺という言葉でいわれている建物ですけれども、あれは多分あの時代では日本一だったと思うんですが、これもやっぱり今、大・丸・有の中に入って計画が提案されているんですか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 現在のところ、建てかえ計画があるというふうには聞いておりませんけれども、仮にそういう時代とともに新しい機能を求めた場合、それがなかなか導入し切れないといったような場合であれば、あの地域は国際ビジネスセンターとして質の高いオフィスが求められている地域ですので、いずれそういうことが考えられるかもしれないと思います。

○立石委員 それはそれとして、当該計画の中で、十五年にこだわるわけじゃありませんけれども、私は、これは答弁求めても気の毒な気がします。しかし、大規模な再開発をいわゆる特区でやろうというような場合に、やっぱり反対給付としての、当然のことながら、解体税的な考え方を持っていかないと、これからは東京の特殊性からいっても、やっぱり地球に大変な負荷をかけるわけでしょう。しかも、要するに経済的なむだだけじゃなくて、大きな意味で、その時代に--十五年前というのはたった十五年前ですからね、たった十五年前の技術屋の労力とかそんなものは一体何だったんだと。そうでしょう。徹夜してつくった人たちがたくさんいるわけだよね。
 そういうようなことを考えた場合に、果たして若い人たちに、子どもさん方に、ものづくりの大切さなんてなかなかいえないと思いますよ。そういうことを考えたときに、都市計画という立場から、教育的な見地からもしっかりといろんなことを考えて、物をつくる大切さ、されど、ここに大手町の森をつくって、より地球の温暖化を防ぎたいんだとか、よりこうだというようなことを出さないといけないと思いますし、解体税的な考え方だって局の中で起こってこないと、東京全体としても起こってこないといけないだろうと。
 それと同時に、隣の大手町ビルが、比較考量した場合に、それこそ四十年以上たっているあの建物は、これからまた壊してしまうのではなくて、ちょうど人間に、言葉は悪いけど、ペニシリン注射を打てば元気になるような、わかりませんけれども、そんなようなことをもっと東京都の都市整備局が研究をして、単なる壊して、解体してつくり直すのではなくて、補強、いい意味の延命の耐震のものをつくる。そのことによって、容積的な、トランスファーというか、移転容積の有効活用を図って、歴史を大切にするとか、物をつくった人たちのことも、目に見えない--もちろん金だけじゃないでしょう、そういうようなものを考えるべきであるというふうに私は思いますので、これは意見として申し上げておきたいと思います。
 片一方の室町の東の方は十八棟の建物で、ほとんどが五十年近いよね、これ見てみると。私も、大変小さな--小さなというと語弊がありますけれども、古いビルがそれぞれに整理をされていくということと、そこに鎮守の森がありましてね、福徳神社、その鎮守の森を大切にしていこうという考えはいい考えだなと思っております。ですから、このことについてはそれほど抵抗はなかったんですが、公平な目から見て、率直な自分の実感を申し上げて……。
 次に、この二つの開発において防災的な見地、三菱地所ですか、この間の一丁ロンドンのときに、帰宅困難者だとか備蓄倉庫ということについて質問しました。あれは小さ過ぎるよというのが私の率直な考えでした。そういう考えを申し上げたけれども、その後にこの二つの計画案が出てきて、当局としてどんなような指導をして、どんなような効果があったのか、そこら辺をちょっと質問したいと思うんですが。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 都市再生特別地区内に建つ建築物につきましては、基本的には事業者の提案が原則でございますけれども、当然その中では、私どもは防災の観点の重要性についてはるる申し上げているところでございます。
 したがいまして、今回の大手町一丁目につきましては、災害時の拠点等の設置場所として現地事務所を設営できるようなスペースですとか、最近、阪神・淡路のときにもかなり問題になりましたけれども、トリアージ、こういったためのスペースを地下に百五十平米ほど設けたりするというふうに結果的にはなっております。
 また、備蓄倉庫といたしましても、この大手町一の六につきましては、千代田区用の備蓄倉庫百平方メートルを用意するとともに、館内用の備蓄倉庫も同様な百平方メートルを確保しているというようなことから、在館者の方々以外の五百人分の非常用食料と防寒具等も準備したところでございます。
 また、室町東地区におきましても、災害時拠点等の設置として災害本部の設営スペース、こういったものを地下に確保したところでございます。
 また、備蓄倉庫といたしましても、A地区ですとかD地区の地下ですとかE地区の地下二階、こういったところに合計五百平方メートルを確保しまして、そこでは、在館者以外の約二万人の方のための二万食分の非常用食と飲料用水を準備するといったようなこともしたところでございますし、あわせまして災害インフォメーションの設置ですとか仮設便所の設置スペース、こういったものも地下に設置するといったような形で、防災につきましては、私どもも提案者側もかなり真剣に努力して設置したというふうに考えておるところでございます。

○立石委員 お話を聞きますと、大手町の例と室町東の例とかなり差がありますね。それは、それぞれの区の考え方もあるんでしょうし、片や五百人分の備蓄ということでありますし、片や二万食ということでございますから、かなり差があるなと。しかし、それはそれとして、今、東京の震災が、それこそ十年以内に七割の直下型大地震が来るといわれておりますし、もろもろの現象から見ても、一般人の平衡感覚とか予想--予想はおかしいですけど、いろいろな流れを見てくると、余り歓迎はもちろんしませんけど、来そうだと。
 そういうような状況の中で、東京都の防災会議は、この地区に何人ぐらいの死傷者並びに死者を想定しているか。死者を想定していないとすればそれは単なる机上の空論だと。死者を想定して、その死者を、ご遺体をね、どういうふうになさろうとしているのか。何年か前の、十二年ぐらい前になりますかね、阪神・淡路のときも、私、訪ねまして、兵庫県知事の貝原さんが記者会見している場面に入りました、たまたま行きましたらね。そのときに、やっぱりご遺体をどう搬送されるか、被災された方々のいらっしゃる一時避難所の上にご遺体を並べられたということを見ますと、非常に考えたくないことですけれども、考えなきゃならないことだと。そういうようなことで、防災の、ある意味では拠点ということで大きな役割を担うこの大きなプロジェクトに対して、どんな考えをこの事業者は提案されておるのか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 東京都の防災会議におきましては、帰宅困難者の数ですとか死者の数については予測しておるところでございます。千代田区の帰宅困難者が約五十七万一千人、死者の想定は五十一名ということになっております。中央区の帰宅困難者は三十八万一千人、死者の想定が六十六名というふうになっております。
 したがいまして、そういうことも踏まえまして、先ほどのいずれの計画におきましても、帰宅困難者等を想定した一定のスペースを確保しているといったようなこともしております。
 また、死者の数もそれなりの数ということもありまして、事業者側といたしましては、先ほど委員のご指摘のようなケース、あってはならないことなんですけれども、あったような場合もあるかもしれないというようなこともありまして、ボディーバッグといったものを備蓄するというふうに聞いております。ただ、現在、具体的にその数量をどのようにするかということまでは至っておりませんけれども、いずれ、それは詳細設計等々を進めるうちに、その数字も決まっていくというふうに聞いておるところでございます。

○立石委員 備蓄する内容のいかんですね、毛布だとか食料だとか水だとか、基本的に大事なものは幾らもあるわけですけれども、それぞれの事業者、提案者、また東京都の考えをやりとりしながら考えておられると思いますが、今お話しのように、簡単にいえばひつぎですよね。このひつぎというものは非常に大事な人間としての尊厳ですから、被災をされた死体が何日かしないうちに大変腐乱していくだろうし、同時に、大変な、何といいますか、膨れ上がってしまうような状況になるらしいですね。それは当然人間としての尊厳、それぞれ考えなきゃいかぬ。そういうようなときに、非常にボディーバッグは大事なものだと思っております。両計画ともこれを備えるということでありますので、いいなと--いいなというか、そこまで真剣に考えておられるということは理解できます。
 やはり震災復興、復興というか復旧ですね、特に銀座の商店主の方々と話したときに、一番先に彼らがそれをいった。例えばお店の前にそういう震災の際にご遺体が横たわっていた場合に大変なことになる。まず大事なものはこのボディーバッグだというふうに話されたのを非常に印象深く感じましたので、議会でも私は発言させていただきました。これは非常に考えたくないことですけれども、責任のおっつけ合いをしないで、東京都や地方自治体が中心になって指導していくべき性格のものだと私は思っております。
 次に、この両計画の中で大手町の森と福徳神社、鎮守の森ということですが、よくいわれることでありますけれども、日本古来の植生というのがあって、高木のタブノキだとか根の深い深根性の樹木を植えるということで、植生学者として有名な宮脇昭先生はしょっちゅういっておられることですけれども、彼は、やはりその土地土地に合った地の樹木というものはあるんだ、そして、それは非常に大きな役割を果たしていると。皇居の森にしてもこれからつくられる大手町の森にしても、土かぶりをどのくらいにしてどういうような樹木を植えようとされているか。それは福徳神社にしても同じだと思いますが、どんな考えを事業者は提案しているか、ちょっとお聞かせいただきたい。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 大手町一丁目六の場合でいきますと、それは室町の場合も同じなんですけれども、当該地は既に市街化されておりますものですから、今、もともと植わっているといったものはなかなかないんでしょうけれども、潜在的な意味での自然植生分類ということの観点からいきますと、専門書によりますと、ヤブコウジ-スダジイ群集といったのに属しているんだというふうに聞いております。
 したがいまして、この潜在的な植生分類を生かすということで、例えば大手町一丁目六は常緑樹ではスダジイ、シラカシ、また四季の移ろいが楽しめるコナラ、ケヤキなどの落葉樹も想定しております。
 また、そこでの土かぶりですけれども、おおむね最大二メートルといっております。したがいまして、タブノキといったような根が深くまで行くといった樹種はなかなかなじまないのかなという気はしておりますけれども、先ほどのスダジイだとかシラカシ、こういったものは樹高が十二メートルから二十メートル程度まで伸びますので、かなり密植したといいましょうか、大きな木が植わっているというふうなことが目の中に入ってくるということはわかると思っています。
 また、福徳神社につきましては、いわゆる神社の森とだれもが想定できるような樹種だというふうに聞いておりますものですから、これもぜひ大き目なものを植えていきたいなというふうなことを期待しているところでございます。

○立石委員 土かぶりが二メートルということで、それこそ土は深い方がいいわけですけれども、それは人工地盤といいますか、そういうことでおのずから限界があると思いますが、せっかく森をつくるならば、地下の利用ももちろん大事ですけれども、なるたけこれからは、これは要望ですけれども、もう少し土かぶりの多い根を張れるものを考えていただきたい、これは一つ要望しておきたいと思います。
 いろいろご質問いたしましたけれども、思うところを語ってきました。ぜひ特区という考え方が、何でもそこのけそこのけ特区が通るではなくて、旧来できなかったことをしていくことによって、いいまちをそれこそ五十年、百年、二百年残していくんだということが一番大事なのであって、こだわるようですけれども、旧富士銀行、みずほ銀行跡のまだ新しい二棟を壊して、経済的な意味からいって、世界のマッチファンドというか潮流がそういう流れなんでしょうね、私わかりませんけれども。そういう意味で、より経済的に大なりということであって、いやしくも特区などということを私は使うべきではないだろう。さはさりながら、環境と周りのことを考えると、これはこれでいいのかなと思っております。
 と同時に、隣に、先ほどからいっているような日本ビルディングみたいなものがあった場合に、東京都は、これから延命というか耐震性の研究も大いにしてほしいなというふうに要望しておきます。
 それから、柿堺局長がこのたび、この五月の三十一日でご退任されるということでありますけれども、ぼろくそに都市計画のことを長いこといってきましたけれども、改めて見てみると、東京も本当に美しいいいまちに少しずつなっているなということは、実感としていえます。
 昔からいわれるように、二宮尊徳の話が突然出るんですが、荒れ地を耕して美田に変えよう、小田原藩政再生の元祖といわれている人でよく聞く話ですけれども、そういう意味でも、東京がいい意味で都市計画によって立派なまちにさらに進んでいくべきだと思います。
 私が初めて都議会議員になったころは、青木さんという局長でした。その当時は、都庁新宿移転で私は大反対してきましたけれども。いつも反対ですが、築地市場移転も大反対でいつも反対ばっかりしてきましたけれども、それはそれなりに新しい東京をつくってきた。そういうような思いで、二宮尊徳先生の、美田に変えていく東京でもあったなというふうに思っております。そういう意味で、たかだか十五歳なんていうことじゃなくて、五十年、百年、二百年、こういうことを考慮して大きく東京を変えていくべきだと思います。
 柿堺局長が退任されるに当たって、熱い思いを最後に聞かせていただいて質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○柿堺都市整備局長 東京は、知事もよく申しておりますけれども、政治、経済を初めさまざまな機能がこれだけ集中している大都市は世界でもまれな存在でございます。このメリットがあればこそ、東京は活力ある都市として機能し、都民は豊かさを享受することができるわけでございます。
 一方、東京における日々の都市活動を支えているのが、道路や鉄道、空港、港湾などの交通インフラであることも忘れてはならないと考えております。これまで私は、主として道路整備の部門に携わりまして、環状八号線の井荻トンネルですとか、多摩川にかかる府中四谷橋などの整備にかかわってまいりました。これらの施設が現在多くの都民に利用されている姿を見るにつけ、インフラをしっかりと整備し、次世代に残すことがいかに重要であるか、思いを新たにするところでございます。
 しかし、「十年後の東京」にも示されているとおり、交通渋滞はいまだ東京の最大の弱点でございますし、加えて、成長過程で失われた水や緑の回復、都市活動に伴う環境負荷の軽減など、より成熟した都市の形成に向けては、まだまだ大きな課題が残されております。機能の充足だけではなく、質の充実が求められる時代に入ったといえるのではないかと思っておりまして、昨年四月に都市整備局長として赴任して以来、私はこうした課題の解決に向けまして、交通インフラの計画整備のみならず土地利用の計画や都市開発の誘導、市街地や住宅の整備、建築行政など、幅広いスパンで東京の都市づくりを一歩でも前進させるよう取り組んでまいりました。
 幸い、都市整備委員会を初め都議会の先生方のご協力もいただきまして、外環の都市計画変更、晴海通りの全線開通、景観計画や耐震改修促進計画、新たな住宅マスタープランの策定、東村山本町プロジェクトのまち開きなど、局として多くの成果を残すことができたと考えております。
 また、今後のまちづくりでございますが、オリンピックの招致もにらみますと、東京の都市づくりにとって、次の十年がまさに正念場だというふうに考えているところでございます。私は今月いっぱいで都政から離れることになりますが、都民がより安全に、より快適に暮らすことのできる成熟した都市東京の実現に向けて、皆様方の一層のご支援、ご鞭撻をお願い申し上げたいと思います。
 最後になりましたが、秋田委員長初め委員の皆様のますますのご活躍を祈念いたしまして、答弁とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

○吉田委員 私からは、まず都市再生特別地区の三案件について質問をさせていただきます。
 東京都では、昨年十二月に「十年後の東京」を公表し、水と緑の回廊で囲まれた美しいまち東京の復活ということを、十年後に向けた八つの目標のうちの一つに位置づけて、本格的な取り組みを開始しようとしております。私としても、これは大変時宜を得た取り組みとして評価をし、その成果に大いに期待をしているところでございます。知事がよくいわれるような、現場を抱える東京都の強みというものを生かして、野心的な目標、高く掲げた目標の実現に向けて、実効性のある方策を打ち出してほしいと思っております。
 そこで、この特別地区の三案件における公共貢献として、緑の整備について何点かお伺いをいたしてまいりたいと思います。
 この各案件について、私なりに道路率とか緑地率とか居住人口とか、その他いろいろの指標について、個々の案件というより指標として把握したいなと思って調べてまいりました。各案件とも、都市の価値を高めていくということで、改善というか向上がなされているというふうに認識をしておりますが、この緑地率について、特に現況及び本計画によって開発後どういう状況になるのか、改めてまずお伺いいたしたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 緑被率につきまして、現況と本計画について地区ごとに順次お伝えしたいと思います。
 大手町一丁目六地区は、従前が約九%、これが約二七%になります。日本橋室町東地区につきましては、従前〇・六%、これが一五%になります。北品川五丁目第一地区は、従前二%です、これが二九%というふうになります。

○吉田委員 また、これの参考のために二十三区の区部平均、それから諸外国の緑地率、大都市、主要都市の数字についてお伺いをいたします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 二十三区平均の値につきましては、緑地率は、平成十八年の建設局のデータによりますと約六%ということになっております。
 また、諸外国の例でございますけれども、主要な都市でありますニューヨーク、パリ、ロンドンにおける緑被率を公表されている幾つかの資料から推計いたしますと、ニューヨークは約二七%、パリは約二四%、ロンドンは約一一%となっているというふうに思います。

○吉田委員 ありがとうございます。
 二十三区の平均が六%というのが、今回、大手町で二七%、日本橋で一五%、北品川では二九%と、ニューヨーク、パリに匹敵するような緑地率になっていくという大変な計画でございまして、これは本当にすばらしいなと思っております。
 今、大手町一丁目六について立石委員から、若い十五年しかたっていないものを壊していく計画はもったいないなと、私もそのとおりに思います。私は、この地区のすぐ横を十一年間通って通勤をしておりまして、東西線の大手町駅から経団連に十一年、この横を通って往復して、このかいわいでご飯を食べていたものですから、この辺、私も愛着があるんですが、ここに大きな大手町の森というのができるのかというと、本当にここに勤める方も、付近の方も、大変にうれしいことだろうなと。まだ耐用年数がたくさん残っているビルを壊して、大変にもったいないことだけれども、それを補って余りあるいいまちづくりもできるのかなと、そういう期待も持っております。
 この大手町と比べまして、室町は一五%というような数値でございますけれども、この地区ごとに緑地率等が変わっていくということでありますので、それぞれどのような計画によって市街地の整備、改善に寄与する都市再生貢献を行うのか、これをお伺いいたしたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 大手町一の六地区は都市計画道路が完成し、大規模な敷地で街区が構成されております。地下鉄の駅密度といった公共交通機関も高い水準で整備された地域でございます。
 こうした地域特性を踏まえまして、良好な環境と潤い空間の創出のための約三千六百平方メートルになんなんとする大手町の森、既存の公共交通をより質の高いものとするターミナル機能の整備、こういったものを図ることとしております。
 また、日本橋室町東地区におきましては、都市計画道路は整備されているものの、大手町と比較し、敷地規模が小規模なものでございます。中央通りの街並み景観形成、にぎわいの創出、回遊性の確保などが求められている地域というふうに思っているところでございます。
 そこを、五つの街区を一体的に整備する、そうすることによりまして、連続した街並み景観の形成がされ、駐車場の集約や地下、地上の歩行者ネットワークの整備による歩行環境の改善、緑地の集約化などにより、まちのにぎわいを創出する計画ができるということになっております。
 また、北品川五丁目第1地区におきましては、工場が集積した地域からものづくり産業の伝統を維持しつつ、副都心にふさわしい業務・商業、住宅など計画的な複合市街地として整備する地域としておるところでございます。土地利用転換に当たっては、地区内の主要な幹線道路等を整備した上で、地区の課題に対応した計画とするということにしております。
 以上でございます。

○吉田委員 それぞれの計画で現状の都市基盤の状況、土地利用の状況など地域の特性を踏まえて、特色あるまちづくりを進めるために官民一体となって取り組みをされて、質の高い計画となるように、そういう工夫をしているということを大いに評価をしたいと思います。
 先ほど諸外国の主要都市の数字も出てまいりまして、申し上げたとおり、日本橋室町東地区というところは一五%にとどまっているということは、もちろんそれを補って余りあるいろいろの貢献というのはしていることはよく理解できますけれども、ここのところはほかの案件に比べて緑地率がなかなか向上できなかった。この違いが生じる理由について、できれば二割とか頑張っていただければなというような気もしたものですから、改めて理由をお尋ねいたしたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 大手町地区は街区の規模が大きく、大・丸・有ガイドラインにおいて、その特性を生かして公開空地ネットワーク型のまちづくりを目指しているところでございます。
 そこで、大手町一の六地区では、この方針を受けまして、緑のネットワークの基点となる三千六百平方メートルになろうとする大手町の森を初めとした空地の確保を図ったところでございます。
 しかしながら、日本橋室町東地区は、この今申し上げました大手町一の六地区と比べまして、街区全体の単位が小さいものですのでなかなか空地が見出せない、そういう特性があります。
 そこで、それぞれ一つずつというよりも街区としては五つを一つとしてとらえると、そういうことによって、E地区、先ほどお話に出ました福徳神社といったようなところに大きな空間を確保するというようなことを計画したところでございますし、それのみならず、なかなか二〇%というのは困難だったとは思いますけれども、できるだけとるというようなことで、敷地の周辺ですとか屋上などにも可能な限り緑を配置したというところでございます。

○吉田委員 各地区の地域の特性の違いがある中で緑化の努力をされているということについて理解をいたしました。冒頭に申し上げた「十年後の東京」の中で、東京を緑あふれる都市へ変えるということで、この目標を達成させるために一層の努力をしていただきたいと思っております。
 そこで、今後一般的に都市再生の特別地区等においても緑地率を上げていく、こういうことが必要だと、もちろんここだけで確保していくわけではないですが、ここでも頑張っていただくということが重要であると思いますが、所見をお伺いします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 市街地像を実現していくために、緑の創出は最も重要な施策の一つというふうに私どもは考えております。そのための緑の創出に向けて都民の皆様方ですとか、さまざまな規模、業種の企業の皆様方のご協力も必要としているところでございます。
 今後、都市再生特別地区などの都市開発に当たっては、事業者に対しまして、地区内の緑化の推進になお一層のご協力をいただくよう要請してまいりたいと考えておるところでございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 次に、提案事項概要8番の港区港南四丁目の東京都市計画道路、補助線街路第一二三号線について、何点かお伺いいたします。
 この事前説明会資料等見ますと、この補助第一二三号線というのは既に完成されて供用されている道路を直線的な形状の道路に変更するという内容になっております。東京において、既に完成している道路を直線的に変更してつくり変えるという事例はなかなか少ないように思いますけれども、今回の計画の変更はどのような理由からなされるのか、また、この直線道路に変更するということを都としてどう評価されているのか、伺います。

○石井都市基盤部長 お答えいたします。今回の都市計画変更に関する地域につきましては、港区まちづくりマスタープランにおきまして、新しい商業・業務機能や文化交流機能及び都市型住宅の誘導を推進することとしておりまして、居住人口の増加に対応したまちづくりを行うとしております。
 本件は、ただいまスクリーンに示しております国有地、これを港区が取得いたしましたが、この土地は図面で見るとおわかりのように、現在の学校敷地と都市計画道路補助第一二三号線で分断されております。このため街区を整形化することによりまして、人口増加に対応した学校施設等の整備、拡充を図ることを目的に都市計画変更を行うものでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、港区が施行いたします土地区画整理事業によりまして、既存の学校敷地と補助第一二三号線の敷地及び取得した国有地の三つの土地を対象に交換分合、いわゆる換地を行いまして、敷地の集約化を図るとともに道路の再配置を行います。これにより道路で分断されていた街区が整形化され、土地の有効活用が図られることになるものでございます。
 このように、今回の都市計画変更は、土地の交換分合と直線的な道路への再配置により地域の課題に対応したまちづくりに大きく貢献するものと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 今回の変更区間は既に供用されている道路でありますので、沿線には住宅や事務所などが立地して土地利用が図られているところでございます。この変更するに当たっては、沿道の住民の方の理解と協力が不可欠であろうかと思います。
 この変更によりまして、補助一二三号線に面しなくなる沿線の方々、この方々が今まさに利用している道路、これが遠くに行ってしまうわけですから、道路を利用する上で、また将来自分の敷地の建てかえ等を行うときに支障を生じないかどうかについてお伺いしたいと思います。
 また、あわせて、この沿道の方々がこの変更案についてどのように受けとめていらっしゃるのか、反対があったのかとか歓迎されているのか、賛同が得られているのか、その辺についてお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 お手元の薄茶色の表紙の事前説明会資料の四四ページをごらんいただければというふうに思います。
 今回の都市計画道路の変更と時期を合わせまして、港区が当該地域に地区計画を決定することとなっております。四四ページの今ごらんいただきました図は、港区が決定する港南四丁目地区地区計画の計画図でございます。今回の都市計画変更によりまして、補助第一二三号線から外れる道路の一部、今ご指摘のところでございますが、図の中の中央部、斜線で表示している範囲について、この地区計画で区画道路に位置づけまして、道路法上の道路がそのまま残ることとしております。
 このため、実態上の道路としての利用や将来の建てかえの観点からは特段の支障は生じません。
 また、沿道住民の意向についてのお尋ねでございますけれども、港区が本年三月二十日と二十一日の二日間、地元説明会を開催し周辺地域の住民の方々に説明を行いましたが、今回の都市計画道路の変更及び地区計画に関して反対の意見は出されておりません。
 以上でございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 曲がっていた形状、湾曲していた形状の道路を、土地利用の変更に伴って直線的にして、そして街区を整形化させる、こういうことが地元の方々にも迷惑をかけずに行われる、本当にすばらしいことだなと。何でこういうのがたくさん案件で出てきていないのかなと不思議に思うわけですが、本当にこういう案件が進んでいって、美しい街区形成というのが進んでいくといいなと、歓迎をさせていただきます。
 こういう観点で、次に大崎駅西口地区地区計画についてお伺いをさせていただきます。今回十一件ぐらい上がってきました変更の案件、いろいろ図面等見させていただいて、あるいは自分なりにも見に行ったりしまして、道路の形状あるいは街区の形状、こういうものが非常によく整ったものになっていくなという案件が非常に多い中で、大崎の案件は、ちょっと変わった案件だなというか、道路の形状もぐにゃぐにゃしたままというか、そういうものが今回諮られるということでございます。
 いろいろのご苦労の中で、いろいろと積み上げてこられたんだともちろん思いますけれども、なるべく街区の整形化、あるいは道路は美しく直線とか、そういうふうにしていくべきなんだろうと思いますし、そういう努力をされていると思いますが、この辺、どうしてこういう現状になっているのか、お伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 大崎駅西口地区でございますけれども、土地利用転換に合わせた土地の高度利用を図るとともに、交通広場、歩行者ネットワークの形成などによりまして、魅力とにぎわいのある良好な都市空間の形成を図ることとしております。
 ご指摘の地区幹線四号なんですけれども、開発区域内の交通処理のみならず、周辺市街地の未整備道路を補完しまして、地区の利便性と防災性の向上等を図る道路であります。
 道路の線形でございますけれども、地域の意向あるいは既存道路の配置、それから市街地再開発事業の区域等を踏まえまして、土地の有効活用と安全で円滑な交通処理を図る計画となっており、適切なものと考えております。

○吉田委員 ただいま、適切だというご説明がありました。不適切な計画を東京都さんがつくられるはずはないので、もちろんきちんと機能し適切な計画なんだろうと思いますけれども、さらにもうちょっと野心的なというか、美しい十年後の東京の街並みということに向けて、まことに地元の合意形成というものが難しいんだと思います。あるいはそれぞれの土地に関する権利とかこういうものの調整、難しいかと思いますけれども、引き続き、街区の整形化というか、あるいはその道路を見通しのいい通りやすい通りにしていただく、こういうご努力をさらにお願いをしたいなと思う次第であります。
 同じ観点から、ここの大崎駅西口については大変地権者も多くということでございますけれども、新宿六丁目地区、ここについてもちょっとお伺いをしたいと思います。ここは都市再生機構さんでしょうか、そのプロジェクトの土地を全部買って地権者一人になって、そして新しく計画をやっていくというところでございます。
 この周辺の地図を見ますと、このエリアの計画地の周りはほぼすべて、碁盤の目みたいに街区道路ができているわけであります。その中で、ぽっと、ここのエリアだけ丸い道路があって区画割ができている。この街区、ちょっと素人的に考えれば、周辺の延長上に短冊というのか碁盤の目というのか、そういう直線的な街区を形成すればいいんじゃないんだろうかなと素人的には思うわけですが、これはどういうことでこういう計画になったのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 新宿六丁目地区ですけれども、大規模工場跡地において、道路等の都市基盤整備と合わせまして、住宅、商業、医療、福祉等の機能の導入により、良好な複合市街地の形成を図ることとしております。
 ご指摘の地区幹線道路あるいは主要区画道路でございますけれども、開発に伴う交通を適切かつ安全に処理するとともに、近隣地域の利便性の向上等を図ることを目的とした道路でございます。
 道路の線形については、敷地の有効利用、それから周辺市街地との連携、既存道路との接続、こうしたことを考慮した計画となっており、適切なものと考えています。

○吉田委員 ありがとうございます。
 こちらも適切だというご説明であります。適切なんだと思います。ただ、やっぱり広域的なネットワークみたいなものもぜひもうちょっと考えていただきたいなというか、都計道だけで交通網というのを、そこで考えていけばいいんだということだけでなく、いろいろと、都市というのはどんどん動いていく生き物でございますので、その動きを先取りしてつぶしがきくような街区形成とか、あるいは道路の敷き方というのを、区画道路についてもある程度配慮していただく必要というのがあるんじゃないのかなと。
 例えば、さっきの大崎なんかも、東京都として副都心に位置づけているというところでございます。今後どういうふうに予想以上の都市機能の集積が進んで、いろいろなニーズが高まっていくかというような、これまでは生活道路と思っていたところが、意外に人々は通過交通も含めてがんがん使うようになっていくとか、そういうこともあろうかと思います。
 また、道は真っすぐじゃなくても、曲がっていても味があるんだという考えもあろうかと思いますけれども、東京の道というのは曲がっているところが多過ぎて、味が多過ぎて何の味がするのかわからないような、もうちょっと薄味というか、すっきりした街区形成ということも、なかなか難しいと思いますけれども、ぜひお考えをいただきたいなと。
 その対極的にあるのは、モロッコとかイスラム圏で、旧市街メディナといわれるところは車なんかもちろん通れない。人が二人すれ違うぐらいの袋小路と、真っすぐな道なんか一切ない。そういう町が美しい、世界遺産にもなる。フェズとかマラケシュとかそういう町もありますけれども、東京で都が再開発をするというところはそういう街区形成じゃないだろうという気もしますので、ぜひ、これはご答弁を求めることはできませんけれども、整形化された街区の形成という観点をより関心を強く持っていただきたいなというお願いを申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

○植木委員 私も都市再生問題についてお聞きしたいと思うんですが、都市再生は、全体の都市としてのあり方、各論といろいろな角度があると思うんですけれども、都市再生特別措置法が成立してからちょうど五年程度たちます。都市再生緊急整備地域が指定されてから五年になるわけですけれども、この特別措置法というのは、国際競争力を強めるとか経済再生の実現、投資効果が大きく土地の流動化などに資する、こういうことが掲げられて出発しました。
 そして、民間開発計画を積極的に受けとめ、柔軟に対応するための都市計画、建築の規制改革として、民間の提案ということで計画の自由度を大幅に緩めて促進されてきました。もっとも民間といっても、ここに、都市再生特別地区などに出されているのはまさに民間大資本の開発であるわけですけれども、そうした形で出発してきました。
 この五年間で、東京の都市づくり、大きく変貌しつつあると思うんです。そこで幾つか具体的にお聞きしますが、都市再生緊急整備地域は、都内全体で何カ所で、対象の総面積は何ヘクタールになったでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 本日ご報告をしております三地区があります二地域、東京駅・有楽町駅周辺地域及び大崎駅周辺地域など八地域二千五百十ヘクタールでございます。

○植木委員 二千五百十ヘクタール、大変大きな面積ですね。ここでいろんな開発計画、そのほかにもありますけれども、ここで主な都市再生の計画がどんどん進んでいくわけですけれども、主な開発計画、この整備地域内の件数及び延べ床面積、それから今回三つ提案されていますけれども、都市再生特別地区、提案型の、これが現在まで何地区で、床面積がどのくらいになっているんでしょうか。教えていただきたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 現在、平成十六年一月に決定告示いたしました大崎駅西口E東地区、平成十八年三月に決定告示いたしました西新宿一丁目七地区など七地区が指定されております。この七地区の合計の区域面積は約二十二・五ヘクタールでございまして、その中での建築物の延べ床面積の合計は約百十一・八ヘクタールでございます。
 また、今ご報告しております三件を足し込みますと、三件で合計六・九ヘクタール、延べ床面積で六十四・七ヘクタールでございます。したがいまして、先ほど申し上げました数字と今述べました数字を加えますと、地区面積は約二十九・四ヘクタール、延べ面積は百七十六・五ヘクタールになります。

○植木委員 現在五年程度でこれだけ開発が進んできているわけですけれども、全部聞いていると時間がなくなりますので、都市再生特別地区の提案型、今回のを含めると十地区ということなんですけれども、今後新たに追加で具体化を図っているところが何件くらいあるのか。
 それから、今後こうした都市再生特別地区は、全体として八区で二千五百十ヘクタールのいわゆる緊急整備地域の中で指定できるわけですから、まだまだ出てくる可能性は十分あるわけですけれども、今後どのくらい都市計画決定をするというふうに考えておられるんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 都市再生特別地区の中での建築計画につきましては、都市計画の提案をもって表に出るということになっております。したがいまして、現在のところどのくらいあるか、明確に聞かれますとそういうお答えなんですけれども、そこのところはそれ、相談は確かに片手から両手の間ぐらいにあろうかと思っています。

○植木委員 片手から両手、両手というと十件程度。これまでで十件、今提案されてくる可能性があるのが十件となりますと、しかもこれは時限立法で十年間になっているわけですよね。そうしますと、これまでは、五年間でいろいろ準備期間があったでしょうから十件程度ですけれども、既に今後でも十件程度話が出ているとなると、今後五年間でどこまで出るかわからないわけですよね。
 先ほど今後どうするつもりかという点について答弁なかったんですけれども、本当にすごいペースで、この特別地区だけ見てもきている。今回も三件。最近の都市計画審議会というのは、私、前にも都市計画審議会四年ほどやっていたんですけれども、当時と比べても審議会の日程がテンポ速いですよね。ことしに入ってもう二回。七月前後にもまた予定されているともお聞きしますし、非常に速いペースで都市再生特別地区が、何というんでしょうか、リーダー役として、都市計画審議会どんどん開かれているという感じがしているんですね。
 そうしますと、今後、この措置法は時限立法なんですけれども、どんな見通しになっていくんでしょう。まだまだこれはどんどん進めていくんでしょうか、それとも、どういうふうに動きがあるんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 特別措置法は十年をもって、その時点で状況を見て判断するというふうになっておりますので、私どもからどうなるということは申し上げることはできないと思っています。

○植木委員 申し上げることはできないとなるとわからなくなってきますから、ちょっと具体的にお聞きしますけれども、いろんな規制緩和がこの間行われてきて、超高層ビルがどんどん建ちやすくなってきている。小さいのも含めれば相当な量ですけれども、それを調べるのはとてもできませんから、これまでいろんな議会でも出されていたので、わかりやすく、百メートル以上の大規模ビルの棟数が、この特別措置法ができる十三年の時点からの毎年の延べ床面積がどのくらいになっているのか、お示し願いたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 平成十四年に竣工しました高さ百メートルを超える建築物は二十三棟でございます。延べ面積で約二百七十・一ヘクタール。平成十五年度から平成十九年度に竣工あるいは竣工予定の高さ百メートルを超える建築物は百十九棟、延べ面積で約九百七十一・六ヘクタールとなっております。

○植木委員 ちょっとわかんなかったんですが、十三年度からの推移ということで、もう一度済みませんがお願いします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 十三年度におきましては八棟でございます。八十五・八ヘクタールでございます。

○植木委員 都市再生特別措置法の前からずっと建築基準法等いろいろ改定があって、十三年度、つまり法がきちっと制定される前は八十五ヘクタール前後というのが、今年度になりますと大体三倍近い面積に伸びてきている。年々相当の勢いでもって建設ラッシュが進んでいくということなんですが、先ほど特別地区でもお聞きしたんですけれども、こういう傾向が今後ずっと続くというふうに今の都の姿勢で見ると思えるんですが、一体どこまで建設するのが望ましい、そういう先の見通しというんでしょうか、都市のあり方、どのように見ているんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 私どもの観点でいきますと、プロジェクト対応でやっております。それが例えば都市再生特別地区に建つ建物であれば、そこでの地域整備方針、それはもともとの大きな都市計画マスタープランとか、そういったものに整合しているということでございます。
 今後ともそういう上位の計画に適合しているというものが出てくるのであれば、それはそれとして他との都市計画との整合も図りつつ、よしとするということになろうかと思っています。

○植木委員 整合性がとれればどんどんよしとしていくということになると、今のテンポ、すごいですよね。今後も三倍のテンポで上がるのかとなると、本当にどういう都市になっていくのかというのが心配なんですが。全体ではわからない、プロジェクトごとだというんで、ちょっと戻りますけれども、都市再生特別地区については、局内でちゃんと審査会を設けているということを前にお聞きしました。この審査会というのは局内の検討会ですから、皆さん方がやっているわけですね。
 そうしますと、皆さん方の責任で、これはオーケーにするのか、都市計画審議会に提案するのかというのをきちっと一番わかりやすい形でコントロールできる部署だと思うんですけれども。この局内の審査で、特別地区の容積率の貢献度なんかも、今回出ているのは日本橋室町東地区は七六〇がいきなり一三〇〇%にもなったりしているんですけれども、いろんな貢献度ということでパーセンテージ決めたり、環境に対する配慮とか交通に対する配慮、それから都市としてのこれ以上負荷を与えないためにどうするかということまで、いわば決められる部署ですよね。その審査会ではどういう審議を行っておられるのか、議事録など公開できるんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 審査会におきましては、確かに私どもの局長が会長になっておりまして、私ども関係する理事級それから関係部長で検討するということになっております。
 そこで、どういうことをするかといいますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、地域整備方針ですとか都市計画区域マスタープランとの整合ですとか、今委員おっしゃっていただきましたけれども、環境への配慮ですとか都市基盤との調和、都市再生への貢献、容積率の限度等、そういうことを踏まえて、容積率の限度というのはどうあるべきかといったようなことを審査しまして、それが適正であるかどうかということを審査するところでございます。
 したがいまして、私どもは、そこにおきましては当然やりとりにつきましては記録しております。けれども、正直なところ、それは心覚え程度のメモになっているのが現状ではあります。

○植木委員 やっぱり法に基づいてやっている政策ですから、私は、整合性があるからというのでどんどん決めていいというものではないと思うんですよ。
 先ほどのお話にも出ていたけれども、建築年度十五年のがいろんな理由でもって建てかえられるなんていうのは--最もこの審査会の権限というのはあるはずですよ。きちっと議事録をとって公開すべきじゃないですか。そうしないと、これはもう締まりのない、提案はどんどん受け入れて、今後もどんどん提案どおり、こういう提案をできるのは大体大手ですから、そういうことになっていきかねないと思うんですけれども。きちっと議事録など公開するように、仕組みを、法に基づいてやっているわけですから、やるべきじゃないでしょうか。ぜひやってほしいと思います。いかがですか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 私ども、私が今申し上げました審査会等々につきましては、特別措置法の三十八条、都市計画決定すべきものについてはその旨審議会に諮る、またそうでないものについては都市計画審議会に諮るというふうなことをやっておりますものですから、今いった三十八条というのが諮るべき場合、四十条というのが付議すべきでないといったものを判断する、そういったための審査会として設置しているものでございます。
 したがいまして、行政内部の会議だということでございますので、公開する議事録といったものは特にございません。

○植木委員 大問題だと思いますよ。都市計画審議会にかけるならそういう材料もちゃんと提供すると。どういう論議があって--これまでも容積率の貢献度って内訳聞いても一度も答えてないんですよ。こういう理由でこれは幾つでこれは幾つでなんて出てこないんですから、各論で聞いても出てこないんですから。やっぱり議事録なりにきちっと出されないと、何で貢献度が数百%上乗せされたのかというのは、一部分わかるのもありますよ、道路とか、そういう極めてわかりやすいのはあるけれども、あとの貢献度というのはパーセンテージさっぱりわからないですから。これはやっぱり法に基づいて、三十八条、四十条ときちっとあるわけですから、これはぜひ公開するように、またそういう仕組みをつくるように求めておきます。
 時間もありませんので次にいきます。いずれにしても、都市再生特別措置法の制定に合わせて、都市計画法や建築基準法、都市再開発法などの大幅な改定が行われて、こうした超高層ビルが建てやすくなった。しかも、その目的が景気対策が中心になっているものですから、貢献度と称して容積率も目いっぱいアップされる。アップされれば当然財産価値も非常に上がります。これは前に質問で取り上げたことがありますので、きょうは述べませんけれども、ホームページなんかで見ますとその地域は必ずそこでの土地の価格がぐうんと上がっているんですよ。そういう財産がプラスになることは、容積率をアップされたりレベルの高い建物を建てるわけですから、当然あるわけです。
 しかも、総体としてどこまでいくかわからない。十年の時限立法その時点でというんですけれども、これも今の時点では国の動きもわからないというお話です。これでは本当に都市計画としての考え方が際限ない、きちっとコントロールできないというふうにいわざるを得ないんですよ。それに加えて、総体もありますけれども、前提が超高層になっていますから、そこの国際都市のシンボル性だとか、大手企業などが特に権威や優位性というんでしょうか、それをステータスと考えたりするという考え方が基本になっていって、どんどん高さが上がっていく。
 昨年の暮れに「十年後の東京」というのが出されて、中身をいろいろ読んでみると、最初と最後でいろいろつじつまが合わないんですよ。最初の方にはこんなことが書いてあるんですよ。長い歴史と伝統の上に築かれた東京ということで、江戸・東京のまちの豊かさそのものをうんと強調していて、途中から都市再生の話にずっといく。江戸の東京のまちの延長線でももちろん全然ないし、じゃ、日本の東京としてどういうまちをつくるかというのもコントロールがさっぱりきいてないというふうに私は実感をしています。
 この間、東京ミッドタウンも視察させてもらいまして私も大変勉強になりました。確かに、周辺にはもとの公園があったからそれを種地にして緑をふやしたとかということはありますけれども、全体としてやっぱり超高層というビルに引きずられて、デザイン先にありき。そこに都民の暮らしとかそういうものが見えてこない、そういうまち、どこでも同じようなまち、短い時間ですから極端にいいますけれども、そんな感じを受けました。
 超高層ビルそのものとしても、例えば職住接近などということもよくいわれていますけれども、職住接近というのも必ずしも一般の庶民のそれではないんですね。一平米一万円もするような超高級な賃貸住宅を供給する。そこには一般庶民はとても入れない。そういう能力を持った人しか入れない。あるいは企業の借り上げなのかよくわかりませんけれども、あるいはそういう国際的なところで活躍している人の場なのかもしれませんけれども、いわゆる一般庶民の住宅ではない。
 それから、そこに入る企業も一平米二万円程度の賃貸料が払える能力を持った企業だとか事務所。あるいは中小企業でも広告塔だとか、あるいは先ほどいったステータス、権威というものを誇示して渡り合おうとしている、そういう能力を持った、いわば勝ち組的な企業であり、都内の中小零細企業が入れるわけでもないし、商店街の活性化に資するわけでもない。
 それから、観光スポットとしても宣伝されていましたけれども、確かに一時的にはメリットあるかもしれません。しかし、これほど超高層ビルの目玉の観光スポットがふえて、お台場が最初のころ大分にぎわいました。それが六本木ヒルズにいって、汐留にいって、ミッドタウンにいって、今度新丸の内にいって、これがまだ特区で十本程度できてくるとなると、これもだんだん新しさを求めて流れていく。そういう一時的な変化があちこちで続いていくということになりかねない。
 こう考えてきますと、一体この超高層ビルをだれが望んでいるのか。超高層ビルは国際都市にこれ以上必要なのか。超高層にとって本当の意味の持続可能な社会づくりのあり方、こういうものと矛盾しないのか。こういうさまざまな疑問を私持つわけです。
 スウェーデンやロンドンの例など、前回でしたか、取り上げましたけれども、持続可能な社会づくりというのをきちっと据えているんですよね。それに対して、先ほど来の話を聞いていくとどうもそうも思えない。ホームページなんかで見ますと、いろんな建設業界や、今回出ている大手町のみずほのなんか、早くからホームページに出ているんですね。
 結局、大資本による開発や不動産投機、こういうもので、確かにどんどん流動化していることは間違いありません。ホームページでもバブルの再来とかいっていますよね。そういう意味で、本当に都市再生の考え方がどういう社会をつくるのか、どういう都市をつくるのかという発想よりも、もともとの景気浮揚策や経済活性化を優先した考え方から出発しているところに、いろんな制約や問題点が出てくるんじゃないかと私は思うんです。
 そういう意味で、こうした経済優先や開発優先の動きを持続可能な社会づくりとしてのまちづくりに抑制する、こういう考え方に私は転換すべきだというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 私どもも、今いわれましたような先進都市と同様にサスティナブルシティーの実現を目指しているところでございます。しかしながら、OECDの対日都市レビューを受けた国土交通省報告にもありますけれども、欧米の問題が環境面等のサスティナビリティーが中心であるのに対しまして、日本は新規インフラ整備と既存インフラの再整備が同時に必要であるとしているわけでございます。
 都といたしましては、この際民間の活力を活用しまして、この公共施設の整備と合わせた都市再生を進めていく、こうしたことで課題を解決しつつ、持続可能な都市への転換を目指していくというところでございます。
 都市再生に当たっても、緑地ですとかオープンスペースの創出など積極的に図るとともに、建築物においてもCO2の排出抑制といったものに対しては、最大限の対策を行っておりまして、良好な都市環境の実現を目指しておりまして、この点につきましては、サスティナブルシティーの実現ということにつきましては、同じだと思っております。

○植木委員 言葉は同じ言葉を使っているんですけど、都市計画基本法などがやっぱり経済優先になっているから、実際の動きが違ってくるんですよね。歯どめがないんですよ。確かに対処的なことはいろいろやられるし、やってもらわなきゃ当然困るわけですよ。めちゃめちゃな開発というわけにいきませんから、当然対策をやってもらうわけですけれども、その歯どめがない。考え方がはっきりしてないというふうに私は思っています。
 これ以上いっても同じ答弁でしょうから。ただ、一つだけ。私、イギリスのロンドンの長い超高層ビル論争というものを見たことがあるんですけれども、この中でロンドン計画諮問委員会というのが出したLPAC勧告というのを私、思い出しています。これには、イギリスにも高層ビルはありますけれども、特定の地域に集約したり、常に超高層ビルはイギリスにとって必要かという論争の上で決めていくということがきちっとルール化されている。
 LPAC勧告というのは、国際都市として超高層は有益でないという報告を出した文書なんですが、そこの中でこういうことが書かれておりました。
 超高層ビルは、都市や地域をマーケティングする道具として新たな広告塔になるかもしれない。しかし、東南アジアではそれが誇張され過ぎている。それらの国では、まき散らすように建てられたバブルぎみの超高層ビルが、一九〇〇年代の経済・通貨危機の際には、政治的なあるいは企業経営面での失策を象徴していた。そのことを考えると、超高層ビルの数の多さはむしろ、その都市の、あるいは国の政治的、経済的未熟さのあかしとなっている。超高層ビルは富と権威と影響力の誇示である。こういうことも述べていることを思い出しました。これはイギリスのことをいったんですから、このことについて私は踏み込みませんけれども、いずれにしても、サスティナビリティーシティーの言葉の中の本当に持続可能な社会づくり、そこに住民がいる、零細企業も大手企業もいる、環境も大事だということをきちっともっと前面に出していただきたいというふうに思うんです。
 時間もありませんので、「十年後の東京」の中で、二〇〇〇年から出発してのカーボンマイナスを打ち出しました。このカーボンマイナスの中で、いろんな分野ありますけれども、都市整備局で今回大手町などの開発が出ていますから、開発による事業所ビルそのものの排出量、それから周辺からの自動車交通量、さまざまな都市機能の集中などの問題、こうした問題があるわけですけれども、特にCO2の排出量、都市再生基本方針が出てから今日まで、先ほどいうような三倍のテンポでビルが建設されていますけれども、どれだけ排出量が増加したのか。それからまた、そのうち都市再生特別地区の指定、これは皆さんが直接やっているものですからわかると思うんですけれども、CO2の排出量はどれだけ増加したのかお示し願いたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 これまで都市計画決定しました都市再生特別地区におきましては、環境に対する貢献といたしまして、地域冷暖房ですとか、コージェネレーションシステムの導入、緑化や保水性舗装等、そういったかなりレベルの高い環境対策を講じておりまして、CO2の対策には取り組んできております。しかしながら、その具体的な排出量を数値として当時は算出しておらないところでございます。
 今回は、大手町一丁目六と日本橋室町東地区におきましては、既存の建物から排出されますCO2と計画建物から排出されますCO2の量は、具体的な数値として、とりあえず想定といえどもとっておるところでございます。この二地区の建物から出ます既存の排出量は一万九千六百トン弱でございます。それから、計画によりますと二万二千四百トン弱でございます。これは年間のCO2の排出量でございまして、既存と計画を比較いたしますと年間で二千七百トン程度の増加に至っているところでございます。

○植木委員 大手町と日本橋室町東地区の二地区だけで合計で二万二千四百トンで、プラス二千七百トン、大変な量ですよね。北品川地区はもっと小さなところも入ってますから、総体としてわからないということだろうと思うんですけれども、それでも一万トン前後予想されているというふうに聞いていますから、この三つの案件だけでも相当なトン数なんですよね、年間排出量。
 「十年後の東京」の中で、カーボンマイナスが打ち出されて削減に努力するということですから、当然一つは、この基本軸は二〇〇〇年度にしてますから、現在二〇〇七年度ですから、二〇〇〇年度から二〇〇七年度までの増加分、それから今計画されている今回のや、特別地区だけでも十カ所といわれていますけれども、これからビル建設が進んでいくものを含めて、やっぱりカーボンマイナスにできるのかどうかということが問われていると思うんですね。
 環境局の排出量では、一九九〇年から二〇〇四年までの約十四年間で二八%の増加率だと、これは都市再生ができる前ですよ。都市再生ができた後のテンポは、先ほどいったように三倍近いテンポで上がってくるとなると、恐らく現在ではそれよりはるかに大きくなってきている。そうなると、本当にカーボンマイナスがこれで実現できるのかどうかということになると思うんですけれども、どのように考えているのでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 「十年後の東京」におきまして、CO2排出量の二五%削減におきましては、都市開発などの業務部門のほか、運輸、産業、家庭部門で総合的に削減することを目標としているところでございます。
 都市開発における対策は、今回のプロジェクトのように、建築物の仕様を世界最高水準の省エネ技術を駆使したものとするなど、現段階で対応できる最高のもので行っているところでございます。
 「十年後の東京」におきましても、都市インフラの更新機会等を契機として世界最高水準の省エネルギー型設備を導入するなど戦略的な取り組みをしていくと書いてあります。まさにこのプロジェクトの取り組みがこの方針を先導的に行っているというふうに思っているところでございます。
 今後、こうしたプロジェクトにおける省エネ対応が都市開発プロジェクトの潮流となり、さらに今後のイノベーション、技術革新におきましても期待できるというふうに考えているところでございます。
 五月四日にタイのバンコクで開催されました気候変動に関する政府間パネル、IPCC、これの報告書におきましても、こうした新規及び既存ビルの省エネ対策はその後のコストの削減あるいは経済便益を生み、大幅にCO2を削減できる可能性があり、二〇三〇年までに予測されるCO2の排出量を約三〇%削減可能と試算しているところでございます。
 私どももこういうことも理解した上で、副知事をトップとする全庁的な組織でありますカーボンマイナス都市づくり推進本部を設置して、都政のあらゆる分野での取り組みを進めるとともに、都民や民間事業者等と幅広く連携して、東京全体でCO2排出削減に向けた取り組みをやっていく所存でございます。

○植木委員 当然やってもらわなかったら困りますよ。三倍のテンポでふえているんですから。都市再生特別地区で、今回大手町が最高レベルのというお話ありましたけれども、それでも現在、先ほどの話のようにプラスなんですよね。だから、抑制するということを努力するのは、一貫して私たちは主張してきたことですから、当然抑制してもらいたいし、私たちがいい続けてきたことのあらわれだと思って、それ自体は私たちは歓迎しますけれども。問題は、これまでやってきたことも含めてカーボンマイナスにしようというわけですから、少なくとも私がこの都市整備委員会に入ってきて、都市再生特別地区、十カ所目になりますけれども、マイナスと打ち出したのは今回が初めてでしょう。つまり、今まではマイナスということにはなってなかったはずですよ。私が繰り返しいっても、努力はするという話はいろいろありましたけれども、実際にマイナスというところまでいってなかったわけですから。そういう意味で、本当にカーボンマイナスをやるからには、やはりこれまでの、少なくとも皆さんの出発点である二〇〇〇年からの事業所ビルの排出量、それからそれに伴う交通や集中問題に係る排出量、それから今後の建設計画、これに対して一定の考え方を持たないとならないと思うんですよ。
 先ほどまちづくりの方で聞いたら、まだきょう自体も、十年、五年後でないとわからないという話ですからきちんと持ってないんですよ。そういう意味で、本気でやるとしたら当然総量をどうするかということに最後はぶつかるんですよ、ぶつからざるを得ないわけですよ。
 そういう意味で、ぜひ、大手町で努力してきたということが本当にどこまでできるのかということをちゃんとやっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

○野本都市づくり政策部長 カーボンマイナスの今の前段の質問のところをお答えします。カーボンマイナスは特定の地区でのとらえ方じゃなくて、総合的な施策として取り組むべきだと私ども考えております。「十年後の東京」では、確かに二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%の削減を目標に掲げまして、そのためにオール都庁の取り組みとして環境都市づくり戦略合同会議では、カーボンマイナス都市づくり実現に向けて全庁横断的に取り組んでおります。
 都市再生の推進は、交通渋滞を初めとするさまざまな都市問題を解決、都市機能の更新、あるいは快適な都市環境の実現を図る上で極めて重要と考えております。
 例えば、三環状道路、今整備を進めておりますけれども、三環状道路が整備されますと、現在の慢性的な渋滞、十八キロが二十五キロ程度に速くなるというような話もありまして、そうすると、年間で二百万トンから三百万トンのCO2が削減される。これは大変な量の削減となります。
 そのほかに民間開発が進む拠点では、まずは緑やオープンスペースの確保、ビルの省エネ化に代表される技術進歩によりまして都市活動に伴う環境負荷は低減されております。
 産業部門など排出削減につながる他の分野と総合的に対策を進めていくことで、東京全域の二酸化炭素削減を図ってまいります。

○植木委員 総合的には当然ですよ。私、環境局の問題は環境局で質問すると思っていわなかったんですけれども、ただ、都市整備の関係だけでいっても業務部門が一番、二八%で断トツなんです。運輸部門は逆に一三%なんです。産業部門はマイナス四一%なんです。都市再生が努力しなくていいということには絶対ならないんですよ。しかも、これだけの三倍のテンポでふえているわけですからそこを逃げちゃだめですよ。そこを逃げているからいつまでたっても解決つかない。
 やはり都市再生という、これだけの大規模で、二千五百十ヘクタールのところに、面積だけ見ても今出されたようなことがあるわけですから、ぜひそこは真剣に取り組んでいただきたい。そうしなければ総体としてできないといわざるを得ないんです。そのことを重ねて強調して終わりにします。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時十分散会

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