都市整備委員会速記録第四号

平成十九年三月一日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長吉原  修君
副委員長松下 玲子君
副委員長東野 秀平君
理事林田  武君
理事川井しげお君
理事柿沢 未途君
高倉 良生君
石森たかゆき君
村松みえ子君
吉田康一郎君
植木こうじ君
小沢 昌也君
こいそ 明君
立石 晴康君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長石井 恒利君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画・技術担当部長村尾 公一君
開発プロジェクト推進担当部長戸田 敬里君
住宅政策担当部長瀬良 智機君
区市町村調整担当部長中沢 弘行君
民間住宅施策推進担当部長山室 善博君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事並木 勝市君
参事笠井 謙一君
参事山口  明君
参事座間  充君
参事小澤  弘君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
契約議案の調査
・第百五号議案 都営住宅十八CH-一〇五東(江東区大島九丁目第二・江東区施設)工事請負契約
・第百六号議案 都営住宅十八H-一〇九東(北区西が丘三丁目)工事請負契約
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為都市整備局所管分
・第十二号議案 平成十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成十九年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成十九年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成十九年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十八号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例

○吉原委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、平成十九年度予算及び契約議案について申し上げます。
 平成十九年度の予算は予算特別委員会に、また、契約議案は財政委員会にそれぞれ付託されておりますが、本委員会の所管分について議長から調査依頼がありました。
 公文の写しはお手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十九年二月二十六日
東京都議会議長 川島 忠一
都市整備委員長 吉原  修殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、二月二十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二日(金)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成十九年度東京都一般会計予算中
歳出
繰越明許費
債務負担行為 都市整備委員会所管分
第十二号議案 平成十九年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三号議案 平成十九年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四号議案 平成十九年度東京都都市開発資金会計予算
第十七号議案 平成十九年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八号議案 平成十九年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十一号議案 平成十九年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

平成十九年二月十六日
東京都議会議長 川島 忠一
都市整備委員長 吉原  修殿
契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第百五号議案 都営住宅十八CH-一〇五東(江東区大島九丁目第二・江東区施設)工事請負契約
第百六号議案 都営住宅十八H-一〇九東(北区西が丘三丁目)工事請負契約
2 提出期限 平成十九年三月一日(木)

○吉原委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の契約議案の調査並びに平成十九年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、契約議案の調査を行います。
 第百五号議案及び第百六号議案を一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○吉原委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉原委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、いずれも異議のない旨、財政委員長に報告したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉原委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○吉原委員長 次に、予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十九年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第十八号議案、第二十一号議案及び第六十八号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 二月六日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1のみどり率の項目別内訳から7の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績までの七件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1のみどり率の項目別内訳でございます。
 区部と多摩につきまして、項目別にそれぞれみどり率を記載してございます。また参考といたしまして、平成十五年時点の暫定値を記載してございます。
 二ページをごらんください。2の首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費及び進捗状況(都内区間)でございます。
 路線別に概算事業費と進捗状況を記載してございます。
 三ページをお開き願います。三ページから四ページにかけまして、3の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況でございます。
 平成十八年十二月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十五年度から十九年度のものを、名称、高さ、延べ面積について年度別に記載してございます。
 五ページをお開き願います。4の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区、二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 六ページをごらんください。5の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ床面積でございます。
 制度ごとに地区数、区別の状況、延べ床面積を記載してございます。
 下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 七ページをお開き願います。6の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移でございます。
 表頭の期間内に都市計画決定または許可を受けた地区数と延べ床面積を制度ごとに記載してございます。
 下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 最後になりますが、八ページをごらんください。7の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 都営住宅建設事業における発注実績につきまして、資本金三億円以下または従業員数三百人以下の中小企業への発注内訳を、財務局契約、当局契約の別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石森委員 それでは私から、大きく二つの項目につきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、平成十九年度における都営住宅の事業運営についてお聞かせをいただきたいと思いますが、本年一月に発表された内閣府の調査によりますと、配偶者からの暴力、いわゆるドメスチックバイオレンスを逃れるために自立を目指している人の三人に二人が月収十五万円未満とのことでありました。こうしたDV被害者の方々の自立に向けた支援については、生活資金の確保あるいは就業の促進など、多面的な施策が必要でございまして、特に住宅の確保は欠かせないところであります。
 私は、昨年十一月の当委員会事務事業質疑でこの件に触れましたが、その中で、より多くのDV被害者を救うためにも、都営住宅の有効な活用をぜひ速やかに検討してほしいとの要望に対しまして、DV被害者を対象とした優先入居を検討中との答弁をいただきました。この検討の進みぐあいとその実施の目途について、まずお聞かせをいただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 DV被害者を対象とした優先入居についてでございますが、住宅は生活の基盤であり、自立を目指すDV被害者にとって居住の安定は重要と考えております。
 都はこれまで、例えば同居親族が二十歳未満の子のみを持つ世帯については、DVにより事実上婚姻関係が破綻していることが公的機関の証明により確認できる場合には、ひとり親世帯とみなして抽せん倍率を優遇するなど、既存の制度を可能な限り活用して柔軟に取り組んでまいりました。
 さらに、東京都住宅政策審議会答申を踏まえまして、DV被害者を対象とした優先入居について、関係局と協議し、検討してまいりました。その結果、新たに、DV被害者世帯を対象に抽せん倍率を五倍優遇する制度を来年度早期に実施したいと考えております。

○石森委員 大きく進展したというようなお話でございましたけれども、関連して、一昨年四月施行の犯罪被害者基本法に基づく初めての犯罪被害者白書が昨年十一月に発表されまして、そこには居住の安定の必要性が明記されております。犯罪被害者の居住支援も大変重要で、例えば、犯罪によって一家の働き手を失い、生計維持が困難となった場合や、精神的な後遺症が生じて従前の住宅に住み続けることができなかった場合には、当然支援が必要となります。
 前回の委員会でも質疑があった住宅マスタープラン素案にも、DV被害者とともに犯罪被害者の優先入居の検討について記されておりまして、こちらも緊急課題と考えますが、ご見解をお示しいただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 犯罪被害者の優先入居についてでございますが、犯罪被害者についても、さきの住宅政策審議会の答申を踏まえまして、関係機関と対応を検討してまいりました。
 犯罪により従前の住宅に居住することが困難となったことが明らかな犯罪被害者世帯に対しても、新たに抽せん倍率を五倍優遇する制度を来年度早期に実施したいと考えております。

○石森委員 それぞれ制度が新設され、被害者に対しての支援体制がより充実されることになりますけれども、これらも被害者本人に周知されなければ、せっかくの制度が有効に機能しないことになります。その周知方法についてはどのような取り組みをされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 新たな制度の周知の方法についてでございますが、DV被害者の場合は、東京都女性相談センターや東京ウィメンズプラザなど都の関係機関や区市女性センターなどが、また犯罪被害者の場合につきましては、警察署や被害者支援都民センターなどが相談窓口となります。
 先生がご指摘されましたように、被害者の方々に情報が確実に届くことが大変重要でございますから、窓口で相談に当たる担当者に十分に理解を深めてもらうとともに、チラシやパンフレットの配布などにより情報提供し、その周知について万全を期してまいります。あわせて、都営住宅の募集窓口においてチラシなどを配布するとともに、ホームページにも掲載して、広く周知を図ってまいります。

○石森委員 居住の安定は、都民が生活を維持、向上させていく上で極めて重要な要素であります。私のところにも、住宅に困っている高齢者、障害者、DV被害者、そして犯罪被害者など多くの都民から相談がありまして、都営住宅がいかに頼りにされているか、住宅セーフティーネットとしての都営住宅がいかにその役割を多くしているかを痛感しているところであります。
 住宅困窮事情の多様化が進んでいる中で、都民共有の貴重な財産である都営住宅が真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給されるよう、ストックの有効活用を一層進めていただきますよう要望して、次の質問に移ります。
 続きまして、業務核都市についてお伺いいたします。
 多摩地域においては、業務や産業など多様な施設を立地させることが重要な課題の一つとなっております。人口四百万人を要する多摩地域の活力を生かすためにも、業務核都市の制度を有効に活用して多摩地域の拠点整備を進めていくことが、より一層重要になってくると思われます。
 この制度を活用するために、平成七年に業務核都市基本構想の策定がなされていると思いますが、これまでの都の取り組みについてまずお聞かせをいただきたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 業務核都市は、東京都市圏における業務機能を初めとする諸機能の適正な配置先の受け皿となる都市として、また、自立性の高い地域の中心の都市として育成整備を推進するものでございまして、都におきましては、首都圏基本計画に基づき、八王子、立川、多摩、町田、青梅の五市が位置づけられております。
 都は、多極分散型国土形成促進法に基づき、平成七年八月に八王子・立川業務核都市基本構想を策定しました。平成十四年十一月には多摩を追加し、八王子・立川・多摩業務核都市基本構想として改めて策定しております。続いて平成十六年三月には、町田・相模原業務核都市基本構想を神奈川県と連携して作成したところでございます。
 青梅につきましては、昨年度の基礎調査を踏まえ、基本構想策定に向けた検討を進めているところでございます。

○石森委員 この基本構想を策定したことを契機にして、さらに拠点整備を加速させなければなりませんが、今ご答弁あったように、八王子、立川でスタートいたしました業務核都市構想も、その後、多摩、町田、相模原と拡大していったところでありますけれども、私の地元八王子市内において、これまでどのような成果があったのかお尋ねをいたします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 業務核都市基本構想においては、事務所等の業務施設を特に集積させることが適当と認められる業務施設集積地区として、八王子中心市街地地区、八王子インターチェンジ周辺地区、八王子ニュータウン地区、南大沢地区の四地区を設定しております。
 この業務施設集積地区を整備する上で中核となる施設を中核的施設として定め、八王子中心市街地地区においては、七施設のうち八王子スクエアビルなど四施設が、南大沢地区はフレスコ南大沢など二施設が完成しております。他の二地区につきましては、いまだ構想段階でございます。

○石森委員 一定の成果があったようでありますけれども、今ご答弁あったように、一方ではいまだ構想段階の施設も複数残されている実態にあります。
 八王子インターチェンジ周辺地区もその一つでありまして、この地区には広大な都有地が存在していて、八王子のまちづくりにとって大変重要な地域であります。この地区の業務核都市基本構想における位置づけについてお聞かせをいただきたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 八王子インターチェンジ周辺地区は、中央道八王子インターチェンジの北側に隣接し、中央道、国道一六号、国道四一一号の結節点に位置しており、東京圏でも有数の自動車交通の要衝でございます。
 基本構想では、この地区の整備方針として、すぐれた立地条件を生かし、流通関連機能や消費生活機能の導入を図り、多摩西部地域を対象とする広域的な流通業務拠点の形成を目指すこととしております。

○石森委員 人、物の流れを円滑にするためには、核都市相互のネットワークを強化することが大変重要なことでもあります。
 この地区については、八王子インターに近接した地区でありまして、ネットワーク強化のメリットを十分生かせる立地の優位性を持っている場所でもございます。
 業務核都市基本構想において、核都市相互のネットワークについてはどのような位置づけがなされているのか、あわせて、多摩地域の都市づくりの取り組みについて、来年度予算案においてはどのように反映されているのか、お伺いいたします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 基本構想においては、東京圏の業務核都市を初め、多摩地域の主要都市との連携の強化を図るとともに、広域幹線道路と業務施設集積地区との円滑なアクセスの確保を図るため、例えば八王子におきましては、圏央道の整備とあわせて、八王子南道路や新滝山街道等の整備を図ることとしております。
 また、十九年度予算案につきましては、新たな時代に対応した多摩地域の都市づくり調査費を五百万計上しているところでございます。これは、社会経済状況の変化を踏まえ、多摩地域における都市づくりの今後の基本的な方向性について、拠点となる都市を中心に調査、検討を行うものでございます。

○石森委員 八王子インターチェンジ周辺地区におけるまちづくりの必要性、そして関連するネットワーク強化の重要性、さらには多摩地域の都市づくりに関する来年度調査についてお答えいただいたところでありますけれども、八王子インター地区も含め業務核都市基本構想に位置づけた業務施設集積地区のまちづくりや中核的施設の整備、さらには核都市相互を連携する都市基盤整備について、都がもっと積極的にかかわるべきだというふうに思います。
 最後に局長に、局長は以前、八王子にも住まわれておりますし、三多摩の現状はよく知り尽くされていると思いますけれども、この業務核都市の育成について、今後都としてはどのように取り組んでいくのか、お伺いして質問を終わります。

○柿堺都市整備局長 業務核都市についてでございますけれども、広域的な連携拠点ともなり、また、まさに地域の核となる個性的で魅力的な都市づくりを目指すものでございまして、業務施設集積地区における中核施設の整備をすることなどによりまして、その育成整備を進めていくことは大変意味のあることだというふうに考えているところでございます。
 このため、都といたしましては、平成十四年十一月に、既存の構想に多摩地区を加えまして八王子・立川・多摩業務核都市基本構想を策定するとともに、その後も進捗を図るために、フォローアップ会議を活用して進捗状況の把握や情報交換を行うとともに、地元市とともに取り組み、育成整備を進めてきたところでございます。その結果、中核施設につきましては、二十九施設中十八施設の整備が完了するなど、一定の整備がなされているところでございます。
 都といたしましては、引き続き地元市などと連携をいたしまして、この制度の活用を図り、それぞれの業務核都市の特徴を生かした機能分担や連携を進めまして、八王子など業務核都市の都市づくりに積極的に取り組んでまいります。

○吉田委員 私からは、二つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、荷さばき対策についてであります。
 昨年六月の改正道路交通法の施行により、違法駐車の取り締まりが強化されたことに対応し、都では荷さばき車両の駐車施設の確保対策に取り組んでいると理解しておりますが、最近のお取り組み状況について伺います。

○石井都市基盤部長 都内の貨物の配送は、都民生活や経済活動を支える重要な役割を担っております。一方で、路上での荷さばき車両は渋滞や事故の原因ともなっているわけでございます。このため、スムーズ東京21拡大作戦の一環といたしまして、これまでコインパーキングに荷さばき車両を受け入れてもらうような、そうした取り組みを実施してまいりました。
 昨年六月時点での受け入れ駐車場は約五十カ所でございましたけれども、改正道路交通法の施行に合わせまして取り組みを一層進めたことにより、十二月末では二百五十カ所を超えるまでに至っております。
 また、本年二月からは、東京都道路整備保全公社と連携いたしまして、インターネットの都内総合駐車場案内サイト、これをエスパークというふうに呼んでおりますけれども、このエスパークにおきまして荷さばき可能駐車場の情報提供を行っているところでございます。
 以上でございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 昨年の四定での質疑では、昨年十一月末現在の民間の受け入れ駐車場が約二百四十カ所ほどだったと思いますので、対策が着実に進捗していることを理解いたしました。
 また、民間の事業者に協力を求めるだけではなく、公共施設の駐車場など、都の施設の活用にも鋭意取り組んでいらっしゃると認識しておりますが、さらに、例えば未利用地なども含めて、荷さばき需要の高いところに都有地などがあれば、これを活用した取り組みも進めていく、こういう理解でよろしいのかどうか、今後のお取り組みについてお伺いします。

○石井都市基盤部長 今後の取り組みというお尋ねでございますが、荷さばき施設は、業務上必要な施設として、貨物を受け入れる側で確保するというのが基本である、このように考えておりますけれども、地域によっては、実情に応じた荷さばき対策を進めていくことも一方では必要だというふうに認識しております。このため、一案といたしましては、コインパーキングなどの民間の駐車場だけではなく、公共施設に併設されている駐車場などの活用も効果的ではないか、このように今考えております。
 都はこれまでも、先ほどお話しいたしましたが、道路整備保全公社の駐車場への受け入れや高速道路高架下における荷さばき施設の整備を実施してまいりました。
 現在、物流事業者等と連携して、荷さばきの駐車需要が高い地区などがどこにあるのか、どのぐらい必要なのかというようなことの調査を進めております。今後その結果を踏まえまして、民間施設のさらなる活用とともに、庁内連絡会等を活用し、立地条件等を加味しながら都有地などの利用可能性も視野に入れて検討するなど、幅広く荷さばき対策を進めてまいりたいと思っております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 それでは、次に、八ッ場ダムの事業に関連してご質問をいたします。
 まず、利根川水系の渇水による過去の給水制限などの事例についてお聞かせください。

○野本都市づくり政策部長 主な給水制限の事例としまして、昭和六十二年に七十一日間、平成六年に六十四日間、平成八年に四十四日間、いずれも夏の渇水時に最大一五%の給水制限を行っております。また最近では、平成十三年の夏に十八日間、都民の自主節水による五%の給水制限を行っております。
 水源確保という点では、これらに加え、近年の少雨傾向、気候変動、安全率なども考慮する必要があるかと考えております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 次に、八ッ場ダムを除いて、利根川水系で最後に建設された奈良俣ダム完成以後の洪水被害の状況についてお聞かせください。

○野本都市づくり政策部長 平成十年の台風五号によりまして、住宅などが千三百戸、農地など千四百ヘクタールが浸水しております。このように、奈良俣ダムが完成しましても、大規模な洪水被害が発生しております。

○吉田委員 ありがとうございます。
 次に、都が今後八ッ場ダムに支出する金額の予定額をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 都は、八ッ場ダム建設事業と、関連事業として水源地域対策特別措置法に基づく事業などに支出しておりまして、これらの事業について、今年度分も含み、今後四百十四億円を支出する予定でございます。

○吉田委員 ありがとうございます。
 いろいろとお聞かせをいただきました。東京都の最近の水の需要を見ますと、人口増にもかかわらず、一日最大配水量は年々減少または横ばい傾向で推移をしておりまして、平成十七年度は五百八万立方メートルであります。一人当たりの水の使用量は、この十年余り、さまざまな要因から着実に減少してきておりまして、今後増加していくことを想定することは難しいと思います。
 他方、東京の人口全体も、現在の一千二百六十六万人から、八年後の平成二十七年ごろの一千三百万人をピークに、その後は減少に向かうと予測をされております。仮に、一人当たり一日最大給水量を猛暑であった平成十六年の四百二十リットルで計算しても、一日最大配水量は、四百二十リットル掛ける一千三百万人で五百四十六万立方メートルとなります。これが東京の水の需要の上限であり、現在の東京都の水の需要予測は過大だと思われます。
 これに対して東京都が現在確保している水源量は、一日当たり六百二十三万立方メートルであります。しかも、この水源量には、実際には使用している地下水の供給量、一日当たり四十万立方メートルが原則として算入されておらず、他の自治体で認めているように地下水を安定水源に算入すれば、水源量は六百六十万立方メートルを超えます。さらに、滝沢ダムが完成をすれば、一日当たり七万立方メートルの水源を確保でき、水源量は六百六十七万立方メートルを超えるわけであります。
 先ほど、過去、最大一五%の給水制限が三回あったとのご説明がございました。乱暴に今の六百六十七万立方メートル全体を一五%カットしたとしても、五百六十七万立方メートルとなりまして、平成二十七年のピークに想定される東京の最大水需要の五百四十六万立方メートルを上回っております。八ッ場ダムによりまして、東京都は一日当たり四十三万立方メートルの水源量を確保できるとのことでございますが、その必要はないのではないかと思われるわけであります。(「今まで賛成してきたんだよ、民主党は。」と呼ぶ者あり)
 次に、治水面から見ますと、先ほど洪水の被害のお話がございました。細かくは申し上げませんけれども、そもそも利根川の治水計画に関し、現在、国土交通省は八斗島における基本高水流量を毎秒二万二千立方メートルと設定しておりますが、昭和二十五年以降、洪水規模が毎秒一万立方メートルを超える記録はございません。この基本高水流量自体が過大な設定だといわざるを得ません。
 その中で、八ッ場ダムの治水上の役割も、これは余り大きな役割を与えられていないわけでありまして、そして……(発言する者あり)先ほどお伺いをしましたとおり、平成十年に浸水被害一千戸というような被害がございましたが、その平成十年を上回るような最大日降水量を記録したような、例えば平成十五年の台風その他でも甚大な被害というのは出ておらない。こういうことを考えますと、この八ッ場ダムにお金をかけていくというのとはまた別の治水対策、こういうことも考えていく必要があるのではないかと思われます。
 さらに、吾妻川が非常に酸性の強い川であること、ダム予定地周辺の地盤が軟弱であることなど、多くの問題点も指摘をされております。平成十五年十一月、八ッ場ダムの総事業費が二千百十億円から四千六百億円と二倍以上に引き上げられましたけれども、現段階でも期限内の完成が危ぶまれており、総事業費のさらなる増加も懸念されるところであります。
 このようなさまざまな観点から、この八ッ場ダムを建設する必要があるのかどうか、現段階で改めて見直す必要があるのではないか、このように考える次第でございますが、ご見解をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 八ッ場ダムの必要性についてのお尋ねでございますけれども、都はこれまで、都民への安定的な水供給を確保するため、必要な水源の確保に努力をしてきたところでございます。しかしながら、近年における少雨傾向等を考慮しますと、水源の安定性を確保しているとはいえない状況にございます。
 八ッ場ダムは、将来の安定的な水の供給にとっても、また先ほど申しましたように、治水の面から見ても不可欠なダムであると考えております。
 それから、地下水を使ったらどうかというお話がございましたけれども、地下水を使いますと、地盤沈下あるいは水質等の問題があり、安心・安全な水を供給するという点でも支障があると考えております。
 ちなみに、八ッ場ダム建設事業への都の参画につきましては、平成十五年四定におきまして都議会の賛成の議決をいただいているということをご理解いただきたいと思います。

○高倉委員 平成十九年度一般会計予算案などについて質問をしたいと思います。
 初めに、総合治水対策事業についてお伺いをいたします。
 一昨年九月に東京を襲った集中豪雨による大きな浸水被害は、いまだ記憶に新しいところであります。昨年は、幸いにして都内では大きな水害は発生をいたしませんでしたけれども、地球温暖化やヒートアイランド現象などが天候の異変をもたらしている、こんなような指摘もありまして、いつまた一〇〇ミリを超えるような豪雨がこの私たちの住む東京を襲わないとも限らない状況があるわけであります。
 十九年度一般会計予算案には、重点事業として豪雨対策基本方針の策定が盛り込まれております。都内には多くの河川がありますけれども、現在進めている豪雨対策基本方針の策定の中では、どのような考え方で重点的に対策を進める河川流域を定めようとされているのか伺いたいと思います。

○石井都市基盤部長 豪雨対策につきましては、ご承知のとおり、昨年の五月に学識経験者などから成る豪雨対策検討委員会を設置いたしまして、今お話しの基本方針を定めるべく検討を進めているところでございます。
 その検討の中におきまして、浸水被害の発生状況であるとか、豪雨の発生しやすい地域やその頻度であるとか、あるいは地下室などの設置状況や地下街の状況であるとか、河川や下水道などの整備の状況、こういった四つの視点を取り上げまして、重点的に対策を促進する流域を選定する方向で検討してございます。

○高倉委員 豪雨対策を進めていくに当たっては、河川や下水道等の整備とともに、浸水被害を最小限にとどめていくためにさまざまな対策が必要だと思いますけれども、特に住宅づくりの面からも対応が必要ではないか、このように考えております。
 一昨年の第三回定例会で我が党の質問に対しまして、都は地区計画の手法などを活用した流域での水害対策を進めていく、こういった方向の答弁をされております。河川そのものの整備は大変重要でありますけれども、浸水の被害を最小限に食いとめていくためには、あらゆる手法や工夫を駆使して対策を講じていかなければならないと思います。
 豪雨対策基本方針の中では、例えば地下室への浸水対策など家づくりの面からの対策について具体的な方策をまとめていく、こういう考え方があるのかどうかお伺いしたいと思います。

○石井都市基盤部長 現在、豪雨対策検討委員会では、都民が水害に対する地区の特性といいましょうか特徴を理解し、浸水被害を最小限にとどめるための家づくりを促す仕組みをつくる必要がある、このような方向で議論が進んでおります。
 こうした議論を受けまして、豪雨対策基本方針の中では、地下室などへの浸水被害を防止するため、対策が必要な地区やその方法など--ご提案の地区計画なども含めまして検討し、その方法などを示した浸水対策ガイドラインというようなものを作成することなどにより、水害に強い家づくりの促進策を取りまとめる方向で検討してございます。

○高倉委員 既に、私はこの委員会審議でも取り上げましたけれども、一昨年の集中豪雨で大きな被害を受けた私の地元の中野区では、高床の補助事業にあわせまして、妙正寺川の流域において高度地区の変更ということも行っているところであります。河川の五〇ミリ改修とともに、まちづくりの面から浸水対策を進めていくということは、一〇〇ミリを超える豪雨が決してまれなことではないというふうな状況である現在、被害を最小限にとどめていくためにも大変に重要である、このように考えております。
 しかしながら、一方で区市等におきましては、まだそのような対策に積極的に取り組もうとしているというような動きが余り見えないような状況があると思います。
 今後、豪雨対策基本方針で重点的に対策を進めていかなければならない具体的な地域において家づくりやまちづくりの面からの浸水対策を進めるため、区市との連携が必要であると思います。具体的な対策の進め方について明らかにしていただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 家づくりの面からの浸水対策を一層進めていくためには、地区特性を十分に踏まえた対策が必要でありますことから、建築指導などにおきまして、地元に密着した自治体であります区市と連携して取り組むことが重要と考えております。
 このため、浸水対策に関するガイドラインの作成に当たりましては、庁内各局との連携はもとより、区市の意見を十分に聞きながら実効性のあるものを作成してまいります。
 また、世田谷区や杉並区で既に行われております地下室への浸水対策の指導や、中野区における高床建築への助成などの先駆的な取り組み、こうした取り組みを他区市へ幅広く情報提供するなど、区市に対する支援を積極的に進めてまいります。

○高倉委員 次に、分譲マンションの耐震化促進に向けた取り組みについてお伺いをします。
 東京では分譲マンションのストックが百三十万戸を超えまして、マンションの住まいは一般的な居住形態になっていると思います。そうした中で、都内の旧耐震基準の分譲マンションの割合は二割を占めているというふうにも聞いております。今後、耐震診断を初め、ケースによっては耐震改修の実施が必要であろうと思います。
 都の耐震改修促進計画の素案によりますと、平成二十七年度までに住宅の耐震化率を九〇%にする、このような目標を掲げておりますが、また、重点的に耐震化を図るべき建築物として、分譲マンションについて耐震診断助成等の活用促進をして重点的に耐震化を促進していく、このようなことにしておられます。
 都は昨年から、マンションの耐震化の促進を図るために耐震診断助成制度を創設して実施をしております。しかしながら、その活用実績を見ますと、ことしの一月末現在で、三十件、二千百二十三戸というふうになっているわけであります。制度が始まって一年に満たない実績ということでありますけれども、率直なところ、少ないのではないかなと、こうした印象も否めないわけであります。
 マンションという特殊性もあるかと思いますけれども、実績が少ない理由についてお伺いをしたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震診断についてですが、マンションは、先生ご指摘のとおり、個別住宅と異なりまして多数の区分所有者による共同住宅であることから、耐震診断等の実施に当たりましては合意形成が必要となるなどの課題がございます。
 このため、耐震診断の検討を始めてから実施の合意を得るまでに時間を要するのが実態であり、こうしたことが結果に反映しているものと考えております。

○高倉委員 今のご答弁で、合意の形成が難しい、こういうお話でありましたけれども、それは理解ができるところであります。
 しかしながら、耐震診断の区市別の実績というものを見ますと、かなりのばらつきがあるということであります。実績の少ない区市の底上げについて、都として積極的に働きかけをすべきである、このように思うわけでありますが、その具体的な方策を明らかにしていただきたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 耐震診断助成制度は、現在までに二十区二市で設けられております。
 今後、制度を設けていない残りの区市に対しましては、区市町村との施策連携の場として設けました分譲マンション施策推進行政連絡会や個別対応をするなどして、制度創設への理解を求めてまいります。また、既に制度を設けております区市、あるいは今後制度を設ける区市に対しましては、これまでの実施例を情報提供するなどを行い、また管理組合への普及を一層推進していくよう支援してまいります。
 こうしたことによりまして、管理組合が助成制度を活用し、耐震化に向けて積極的に取り組めるよう努めてまいります。

○高倉委員 耐震診断につきましては、耐震化に向けてまず取り組まなければならないということでありまして、その促進については、引き続き積極的な対応を強く要望しておきたいと思います。
 耐震診断の普及を進める中で、ケースによっては耐震改修の実施が必要になってくることもあります。そのようなことを考えれば、耐震診断だけではなくて、耐震工事への取り組みを促すこともこれから重要になってくると思います。
 都では、平成四年に創設をしたマンション改良工事助成制度によりまして、マンションの耐震工事に対して利子補給を行っております。しかしながら、この制度も、利用実績が今年度一月末現在で一件、四十三戸でありまして、これまでの累計でも、四件、八百七十三戸というふうになっております。
 今後、より一層の耐震化を進める上で、現在の助成制度の見直しあるいは新たな制度の創設、こういったことを視野に入れた検討を行っているのかどうか、そうしたことについてのご所見をお伺いしたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 マンション改良工事助成制度についてでございますが、この制度は、マンションの居住性能の維持、回復及び管理の適正化を図り、居住水準の向上や良好な住環境の形成を目的として設立したものでございます。都はこれまで、耐震工事に対しましては、この制度により、ご案内のとおり支援をしてまいりました。
 今後、マンションの管理向上に向けた取り組みを行っておりますNPO団体や区市等と連携を強化しまして、この制度の活用のメリットを幅広く周知するなどし、マンションの耐震化を支援してまいりたいと考えております。

○高倉委員 耐震化に向けて、現在の助成制度を活用して支援に取り組んでいく、こういうことであります。しかし、私は、耐震化を進めていくために、もう一歩も二歩も、制度あるいはこの取り組みの拡充、こうしたことを図っていくことが必要ではないかと思っております。
 現在実施している助成制度以外の取り組みということも大変重要でありますけれども、具体的に検討をしていることがありましたら、明らかにしていただきたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 現在実施しております取り組みに加えまして、今後は耐震改修工法や具体的な実施事例等を幅広く情報収集いたしまして、区市町村と連携して管理組合などに情報提供をしてまいります。
 また、マンション管理業や建築、設計事務所などの関係団体の協力を得まして、内容に応じ、きめ細かく対応できる相談体制の充実を図るなど、耐震化の促進に向けた取り組みを強化してまいりたいと思います。

○高倉委員 分譲マンションの耐震診断、耐震改修に当たっては、多数の区分所有者の合意形成が必要であります。しかしながら、一たん罹災した場合に、その修復、再建には相当の困難も伴うわけであります。今後とも、この分譲マンションにおいて耐震化が一層進むように、都は区市町村とも十分連携をして積極的な取り組みを行っていくように強く要望いたしたいと思います。
 次に、都営住宅について伺います。
 現在、都は、昭和三十年代に建設をした古い都営住宅の建てかえを進めております。港区にある都営青山北町アパート、これも昭和三十年代に建設された約六百戸の大規模な団地であります。この団地では、具体的な建てかえ計画が示されないまま、昨年度と今年度、他の団地への移転あっせんがされているというふうに聞いております。
 まず、その居住者、移転あっせんの現状がどのようになっているのか伺いたいと思います。

○清水参事 移転の状況ですが、昨年度は、同じ区内の港南四丁目第三アパートを移転先としてあっせんし、移転戸数は四十五戸でございます。
 現在、新宿区の百人町四丁目第四アパートを含む七団地を移転先としてあっせんしております。
 昨年十二月に移転説明会を、本年に一月に見学会を実施いたしました。明日抽せん会を予定しており、四十七世帯の申し込みがございます。

○高倉委員 昨年度は四十五世帯の移転があって、今年度は四十七世帯の移転希望があるということであります。なぜこの移転のあっせんが行われているのか、このことについてご見解を伺いたいと思います。

○清水参事 都営住宅の建てかえ事業を円滑に実施するためには、移転先となるまとまった住宅の確保が不可欠でございます。しかしながら、都心部における住宅の確保については大変難しい状況にございます。
 このため、青山北町アパートでは、昨年度は同じ区内の港南四丁目第三アパート、今年度は新宿区の百人町四丁目第四アパートと、近隣にまとまって移転できる移転先が確保されたことから、移転のあっせんを行ったものでございます。

○高倉委員 今のお話だと、都心部での移転先の確保は大変難しい、こういうことと同時に、移転先が確保できたからあっせんをした、こういうような答弁であったと思います。
 ただ、居住者にとっては、先の見通しがなかなかわからない状況の中で移転のあっせんをするということについて、不安を持つ人はふえてくるのではないか、このように私も思っているところであります。
 今後、都として、この青山北町アパートについてどういうふうにしていくのか、居住者に対してできるだけ早期にそうしたことをよく十分説明をし、示していく、こういうことが私は大変必要であり、重要ではないか、このように思っておりまして、そのことを要望いたしまして質問を終わりたいと思います。

○村松委員 昨年東京都は、「十年後の東京」を発表いたしました。この「十年後の東京」では、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するとして、地球温暖化などの現在の環境問題が都市活動と密接な関係を有するためということで、大都市東京にも戦略性と実効性のある取り組みが求められている、このように書かれております。私は、「十年後の東京」が掲げるこの東京の都市を地球に優しい都市にするためにはどうしたらいいのか、こういう立場で質問いたします。
 初めに、二〇〇五年二月に発効されました京都議定書の持つ意味を都市整備局としてどのように認識しているのか、伺います。

○野本都市づくり政策部長 京都の議定書におきましては、CO2の削減等を今後図っていくというようなことが主なことかと認識しております。

○村松委員 人類の危機ともいわれる地球温暖化の影響を回避するためには、今世紀の半ばまでにCO2排出量を世界規模で削減しなくてはならないとして、二酸化炭素の削減に各地で取り組んでおります。
 地球の温暖化、これは地球の温度が過去百年間で地球全体が〇・六度上昇し、日本全体は一・〇六度、東京は三度と地球全体の五倍も温度が上昇しているわけですから、それだけに東京都が地球温暖化対策に相当の努力をすることが必要だと思いますが、見解を伺います。

○野本都市づくり政策部長 地球温暖化対策についてはこれまでもやってきましたけれども、これからも引き続きやっていきたいと考えております。

○村松委員 これまでもというふうにおっしゃいましたけれども、本当にそうなんだろうかという思いがいたしております。相当の努力をする、そのことを私は強調したいんですね。
 そこで、CO2などの二酸化炭素を抑制するために最も効果があるもの、それは何だと思いますか。

○野本都市づくり政策部長 CO2の発生源というのはいろいろあろうかと思いますけれども、私どもの所管している都市づくりというところでいいますと、燃料を燃やさないということかと思います。省エネ、省資源を図るということがCO2削減につながる、このように考えております。

○村松委員 もちろん、燃料を燃やさない、そこを抑制する、これは大事だと思うんですが、ただ地球規模で見た場合には、やはり森林を大事にする、緑を保全する、これがやはり大事なことだと思うんですね。
 京都議定書の中でもこの問題は触れているんですけれども、京都議定書の中でも、やはり森林はきちんと保全するようにと、そういうことが書かれておりますが、そこで伺うのですが、都市公園の大都市での比較なんですが、一人当たりの面積、最も多い大都市と最も少ない大都市、それぞれどのくらいなのか、お示しください。

○石井都市基盤部長 国土交通省が取りまとめております都市公園等整備現況調査によりますと、政令指定都市において一人当たりの公園面積が表になって並べてありまして、一番大きいところというお尋ねでございますが、一番大きいのは神戸市でございまして、一人当たり十六・五平方メートル、一番少ないのは東京都二十三区部でございますが、一人当たり二・九平方メートルでございます。

○村松委員 一人当たりの公園面積が神戸市の五分の一以下だということなんですね。
 そこで、もう一個お尋ねしますけれども、都市計画公園、緑地の整備状況を平成十一年度と十七年度を示してください。

○石井都市基盤部長 平成十一年度と平成十七年度の都立公園の計画面積と供用面積の比較ということのお尋ねでございますけれども、平成十一年度において、原則といたしまして東京都事業の対象となります十ヘクタール以上の都市計画公園、緑地の計画決定面積は八千七百四十六ヘクタールでございまして、このうち千五百八十四ヘクタールが都立公園として供用してございます。
 十七年度になりますと、同じ条件でその計画決定面積は八千八百四十三ヘクタールと、十一年度に比べて百三十七ヘクタールふえております。十七年度の計画決定面積のうち都立公園として供用している面積は二千百九十一ヘクタールでございまして、十一年度に比べて六百四ヘクタールふえてございます。

○村松委員 多少ふえているというのはいえるかと思うんですが、しかし、先ほど答弁いただいた一人当たりの都市公園の面積からすると、まだまだという思いはいたしております。
 ここに、アサヒタウンズの多摩版で、神代植物公園の管理事務所長の小幡晃さんが、オアシスをどう生かすか知恵絞るということで書かれているんですけれども、開園四十五年、かつては防空緑地で、それ以前は現在の砧、小金井、水元公園などとともに、都心をグリーンベルトで包む東京大緑地計画に組み入れられた、この計画が実現していたなら、今の東京は、ヒートアイランドの問題もなく、緑にあふれる国際観光都市になっていたはずといい、ある時期に無理をしないと魅力的な都市は生まれないのではと、そういっております。そして、現在の開園部分は、神代植物公園なんですが、一九五七年に都市計画決定された面積の半分と書いてあるんです。
 私も改めてこの記事を読んで、都市計画公園の整備率の低さ、これを東京都の位置づけの弱さを実感いたしました。
 そこで、今後の都市計画公園をどのように拡充しようとしているのか伺います。

○石井都市基盤部長 都市計画公園の拡充策ということかと思いますけれども、既に都市計画決定されているものも、これまで徐々ではございますけれども、ふやしてきております。同時に、計画決定をされている公園についてはできる限り用地買収をし、その供用に向けて努力しているところでございます。
 以上でございます。

○村松委員 非常に及び腰な答弁だったかなとも思うんですが、私は、現在のままでも東京の経済活動は環境に大きな負荷を与えているというふうに思うんです。それだけに東京の緑が果たす役割というのは大事なのに、それなのに東京の緑がどんどん減り続けている、そのことに大変胸を痛めております。
 東京都は石原都政になってから、緑の倍増計画を緑の東京計画に変えて、緑被率をみどり率に変えて、その中身も、純粋な緑地から河川や街路樹などを入れて膨らませていると。さらに緑地公有化資金も、石原知事になる前は五十億円台の緑地の公有化を進めていたものが、毎年削られて、十六年度はついに十億円まで引き下げられる。今年度、ようやく十七億円に上がったと思ったら、来年度の予算では十五億円台にまで引き下げてきております。
 そのために、平成十年度の二十三区のみどり率二八・六%が平成十五年度は二四%に、多摩地域も、平成十年度が七九・九%、約八〇%だったものが十五年度は七二%と、二十三区も多摩地域も下がる一方なんですね。このまま手をこまねいていたら、どんどん緑地が破壊されてしまいます。
 緑地の減少には、相続税の問題が発生している問題、あるいは、やむを得なく相続税問題で緑地を手放さざるを得ない、そういう問題があろうかと思うんですが、私は、東京都がもっと、環境問題を考えたときに積極的に緑地を保全する、そういう立場に立つことが大事だと思うわけです。
 そこで、今、稲城の南山の開発問題、私も昨年の十二月に、南山の開発問題で文書質問をいたしましたが、きょうは別の角度から質問したいと思っております。
 まず、開発を予定している南山の敷地面積と住宅戸数、それから予想人口について伺います。

○座間参事 南山東部土地区画整理事業の施行面積でございますけれども、八六・七七ヘクタールでございます。計画されている世帯でございますけれども、二千五百五十世帯、計画人口は七千六百人となっております。

○村松委員 この南山、八十六ヘクタールの山を崩して、そこに二千五百五十世帯、七千六百人、こういう人口のまちにしようとしている。
 ところで、多摩ニュータウン事業の中で、現在、UR、都市再生機構とか、あるいは東京都の住宅供給公社の空き家状況、それから、住宅地として造成している都市再生機構、この面積はそれぞれどのくらいでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 私の方からは、多摩ニュータウン内の賃貸住宅の空き家状況についてお答えさせていただきます。
 公社住宅についてでございますが、十九年一月末現在で空き家の戸数は三百五戸、全体が三千三百四十戸でございますので、空き家率は九・一%となっております。
 再生機構の空き家状況については、私ども、申しわけございませんが承知しておりません。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 都市機構の未利用住宅用地というお尋ねでございますが、約五十一ヘクタールの見込みでございます。

○村松委員 地元のニュータウンの空き家というのはかなりあるというのが、向陽台とか……(「かなりって、どのくらいあるの」と呼ぶ者あり)相当あるというふうに聞いています。だから、それを調べてほしいといったんですが、調べてくれないということで、それから、五十一ヘクタールのURの都市再生機構の土地があると。それから東京都の住宅用地もあるはずなんですね。地元の人たちというのは、空き家やあるいは未利用の住宅地が残されているのに、なぜあそこの貴重な南山の開発を許可したのかと、こういう声がかなり出ているんですね。
 そういう住民の皆さんの声を、開発を許可した東京都としてはどういうふうに受けとめるのか、その辺の認識を伺います。

○座間参事 南山東部土地区画整理事業の認可でございますけれども、平成十五年に稲城市が策定しました都市計画マスタープランがございますけれども、これによりますと、南山東部地区におきましては、都市防災上危険ながけ地の解消、既存樹林地あるいは寺社林を生かしたまちづくりを目指すこととされております。
 南山東部土地区画整理事業につきましては、この都市計画マスタープランにのっとり、公園、緑地等を適切に配置するなど、周辺環境と調和したまちづくりを実現するものであります。
 また特に、当地域内では過去にも土砂崩壊事故が発生しておりますけれども、がけ地崩壊の危険度が高く、その解消が長年の課題となっております。このがけ地を解消するだけでも、緑は若干減りますが、がけ地が地区内に広く存在し、個人レベルでの解消が困難であること、また地区内の地権者が協力し、これらのがけ地を解消するとともに、緑豊かで良好な市街地形成をするために土地区画整理事業を認可したものでございます。

○村松委員 稲城市の市民アンケートをとれば、緑を残してほしいというのが圧倒的に多いんですね。一番多いんですよね。それで(発言する者あり)多少、地権者の皆さんの意見もあろうかと思います。ただ、さっき理由におっしゃっていた危険箇所、そこの整備方法についてはいろんな方法があると思うんですよ。それを口実にして緑を破壊するということは、これは理由にはならないと。
 まして今、地球温暖化問題で、緑地がCO2を抑制する効果があるというのが、こういう大きな役割を果たしているだけに、この南山の開発を進めるということは、これは絶対やっちゃいけないというふうに思うんですよね。
 東京都がこうした貴重な緑地、新宿から三十分で行けば、物すごく立派な緑地があるんですよ。こういう緑地を率先して買収することこそ、私は必要だというふうに思うんです。そういう点ではどうでしょうか。

○石井都市基盤部長 南山を買収したらどうか、こういう話でございますけれども、そういうことばかりではなく、現実に、必要な都市計画を定めたところについては、建設局の職員が額に汗して買収に入って公園整備を進めておりますが、こうした民有地につきましては、区画整理などの面開発に際して、できるだけ緑の確保が図れるような取り組みをしてきていると。
 都市整備局としましては、そういった計画を定めて緑の保全に努めてくると同時に、民間による組合の区画整理などの事業による緑の確保についても積極的に取り組んできているところでございます。

○村松委員 最初、私は、今の京都議定書問題を通して、東京が過去百年間で三度も温度が上昇していると。それを本当に京都議定書を守って地球の温暖化を防止するためには、東京都が相当努力しなきゃならない、そこを強調したはずなんです。それにはやはり、CO2が発生するその発生元を絶つと同時に、CO2を抑制するその最大の緑地をきちっと確保する、そのことが大事だということを私はいっているんです。
 「十年後の東京」の中には、CO2の発生を抑制し、温暖化を防止するのに最も効果的な緑地の保全の観点、都市計画公園の整備拡充をする、そういう観点が欠落していることを指摘しておきます。また、東京の将来を考えたとき、残された貴重な緑を可能な限り保全するために東京都が努力するよう強く求めます。
 さて、CO2の抑制に力を入れるのと同時に、CO2を発生させない、発生源にも取り組むことが必要だと思います。そこで、現在、二酸化炭素排出量が最も多い部門はどの部門なのでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 CO2の発生の多い部門ですけれども、産業、家庭、業務、運輸等とありまして、業務部門が三五%で最も多くなっております。

○村松委員 産業部門は、一九九〇年度の比較からすると、かなり減ってきていますよね。それに比べて業務部門は、さっき答弁ありましたように相当ふえている。それはそのとおりだと思うんです。
 そこで、二十三区の業務部門の床面積の推移を平成十一年と十七年の数値をお示しください。

○野本都市づくり政策部長 お手元の資料にもございますけれども、平成十一年、二十三区で七千九百二十五ヘクタール、それから平成十七年で八千七百三ヘクタールでございます。

○村松委員 先ほどの緑地の方は、プラス幾つになりましたと、そういう答弁がありましたが、この業務部門の床面積のプラスは答弁ありませんでしたけれども、七百七十八ヘクタールも六年間でふえているんですよね。
 そこで、CO2の排出量が最も多い業務部門の床面積が、先ほど答弁いただいたんですが、毎年ふえているということで、この間、二十三区を中心にして、市街地再開発事業とか、あるいは特定、特区とか総合設計などでビルの容積率を上げて超高層ビルをどんどん建設されてきているわけですが、高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況ですが、平成十一年前の数と、それから直近の数はどのくらいでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 都内における平成十二年三月末までに確認済みの高さ百メートルを超える建築物は百六十九棟でございます。それから、平成十八年十二月末までに確認済みの高さ百メートルを超える建築物のうち、平成十二年度から平成十九年度までに竣工または竣工予定の建築物は百六十五棟でございます。

○村松委員 東京都内に百メートル級の業務ビル、超高層ビルがどんどんふえてきているわけですが、この超高層ビル問題、「十年後の東京」の中にこの超高層ビル問題が書かれていないのはどうしてなんでしょうか。
   〔委員長退席、東野副委員長着席〕

○野本都市づくり政策部長 広い意味では多分入っているんじゃないかなというふうに思います。

○村松委員 なぜこの問題を私が問題にするのかということなんですが、それでは聞きますけれども、百メートル級のビルが排出をする二酸化炭素、それを屋上緑化や敷地の緑化で解消することができるんですか。

○野本都市づくり政策部長 CO2の問題でございますけれども、私ども大規模開発等の都市開発諸制度の中では、最高水準の省エネ型の設備を使うとか、あるいはエネルギー消費の削減を図っております。そうしたことで最近の事例で申しますと、以前に比べて、単位面積当たり四〇%減の計画をすることができたということがございます。
 それから、CO2対策としては、三環状道路の整備、これは何回かいろいろなところで説明されているかと思うんですけれども、三環状道路が九〇%整備されますと、二百万トンから三百万トンのCO2が削減されまして、いってみれば、先ほどお話のあった植林ということでいいますと、二百万トンから三百万トンの削減というのは、東京都全域を植林するのと同じCO2を吸収するということなので、三環状をぜひ早く整備することが必要かと考えております。

○村松委員 私が聞いているのは、一つの百メートルビルを建てて、そこから出るCO2が、屋上緑化、それから敷地内のそれで解消できるのかと、そのことを聞いているんです。それについてきちっと明快に答弁してください。

○野本都市づくり政策部長 CO2対策は、一敷地の中の緑だけじゃなくて、広域な対応で対応しているということでお答えしたつもりでございます。

○村松委員 この問題については、小規模緑地の炭素固定能力を慶應大学の湘南藤沢キャンパスの人が調査した資料に基づいて、「十年後の東京」で千ヘクタールの緑地をふやす、そういうふうにいっておりますが、もし千ヘクタールの緑地をふやしたとしても、年間吸収する排出量というのは五千五百万トンだというわけですね。五千五百トンに対して、十ヘクタールの床面積のオフィスビルの排出するCO2は年間一万トンになる。要するに、千ヘクタールの緑地を確保しても、超高層ビル一棟から排出されるCO2半年分しか吸収されない、こういう結果になるんですよ。
 東京都がいろいろなことでいろいろな省エネ問題をおっしゃっておりましたけれども、このまま超高層ビルの建設を認め続けるならば、到底、京都議定書の目標を達成することはおろか、悪化するばかりだ、このように私は思います。
 京都議定書で決められたCO2削減目標を達成するために、ここで立ちどまって、さまざまな研究や開発を行って地球温暖化防止できると確認されるまで、超高層ビルの建設をストップさせる方向に踏み出すことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 東京のオフィスは世界的に見て、IT化、執務環境の快適性、耐震性などにおいてまだまだ見劣りをしております。今必要なのは東京の国際的な競争力を向上することでありまして、それには民間の優良プロジェクトを推進する良質なオフィスビルの供給が不可欠でございます。
 また、その一方で、先ほどから説明しておりますように、地球環境にも配慮して、緑地の確保、空地の確保、それからエネルギー消費の確保、これなどもあわせて推進してまいります。

○村松委員 先ほど空地の確保とおっしゃっていましたけれども、これは住む人にとって空地の確保になるんですか。私は、二十三区内の中で本当に百メートル級ビルがどんどん建ってくる、そういうふうになった場合、昔から住んでいた人が住めなくなっちゃうんじゃないか、その日照権というのは確保されるんですか。

○野本都市づくり政策部長 大規模開発は先ほど申しましたように、都市開発諸制度を使って計画されることが多いわけですけれども、その場合には、歩道状空地といって道路に接した歩道を確保したりとか、みんなが入れる公開空地、こういったものをつくります。そうしたものをつくれば、当然周囲の方が散歩するなり、くつろぐなり、そういったことができるということでございます。

○村松委員 そういうことでだましてほしくないんですよ。いいですか、その百メートル級のビルが一本、二本、三本、四本と、同じうちの前、東から、南から、西の方にずっとできた場合、結果的に、そこにずっと住んでいた人は日当たりが保証されなくなるんじゃないか、そのことをいっているんです。そのことを認めるんですか。私はまちづくりの問題もかかっていると思うんです。その辺はどうなんですか。

○野本都市づくり政策部長 都心部で日照を確保するのが必要かどうかということ、重要かどうかということは別としまして、地域によりまして、例えば郊外なんかで裏に住宅が控えているようなところでは、地区計画とか高度地区とか、そういうものを設けることによって日照を確保することができます。ですから、地元の区、市あるいは住民の方々が一緒になってよく検討されれば、いろいろな手法があるということでございます。

○村松委員 私の質問に明快に答えていただけなかったと。もともと住んでいる人の日照権はきちっと確保できない、そういうことですよね。結局、都心の人は、お金のある人は確かに高いものをつくって上の方へ住めばいいかもしれないけれども、お金のない人は本当にそこを追い出されなきゃならない。もし追い出されないとしても、日当たりは全くなくても我慢させられてしまう。そういうまちづくりだというふうに思うんです。
 こんなことは絶対許せないというふうに思うんですが、「十年後の東京」の中で風の道の問題がいわれておりました。海からの風をつなごうとしているようですけれども、東京都は平成十七年のときの都市整備委員会の中で、渡辺議員の海からの風を超高層ビルが遮断していることやあるいはヒートアイランドの原因になっているのではないかといった質問に対して、当時の都市づくり政策部長は、風の道について、海風を遮っているという実態があるかもしれないということで、私どもも風の道の確保については当然検討すべきだろうということで今取り組んでいるところですと、そういう答弁をされて、ヒートアイランドについても、風の道の確保を含みます調査検討を行っているところですと答弁しておりますが、きょうまでどんな調査がされたのでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 東京都におきましては、例えば品川駅周辺あるいは大崎駅周辺などにおきまして風の道に関する調査を実施しています。また国などの機関におきましても、熱環境に関する研究調査に関して日本橋などで観測を行うなど、現在検討が進められているところでございます。

○村松委員 私この前、東京駅周辺、それから山手線周辺、その前には築地から豊洲の方で海の方をずっと見てきたんですね。あの辺は、やはり超高層ビルで風の道が遮られているんじゃないか、本当にこれで風の道がつくれるんだろうか、そういう思いで見てきたんですが、私は風の道というんだったら、環境白書の中でも紹介されておりますが、韓国の清渓川(チョンゲチョン)などを参考にして、思い切って道路建設を見直して、河川改修で海風を都心に運ぶ作用、こういうところに力を入れたらいいんじゃないだろうか、そういうふうに思うんですが、どうでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 都市づくりにおける風の道の確保でございます。品川駅、大崎駅周辺で風の道に関する調査、検討をしていると先ほど申しましたけれども、そこでは、海からの風の利用、それから運河あるいは河川の上空の風、そんなものの風を活用しながら風の道の確保をしているところでございます。
 今後とも、そういった現在置かれている自然の条件、そういったことをよく念頭に置きながら検討を進めてまいります。

○村松委員 最後の質問になるんですが、私はこの「十年後の東京」のいっている、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、こういうふうにいうんだったら、やはり今、地球温暖化の中で三度も東京は高い、その原因は何なのかということをしっかりと見て、それでそれをどう対応しようとしているのか、そこにきちっと手をつけていかなければいけないし、都市整備局の仕事としては、私はそこがやはり大事だというふうに思うんですね。
 さっき緑の問題をいいました。それから超高層ビルの排出、出すCO2、これが一つのビルだけで、一千ヘクタールのそれこそ緑の抑制する力というのは一年間に半分しかないという、そういうことを見て、本当にこれを見直す必要があるんじゃないか。(「やっぱり三環状をやらなきゃしようがない」と呼ぶ者あり)三環状といったって、この問題では、「十年後の東京」は、外環問題なんかは一〇〇%供用になっていないじゃないですか。
 そういう意味からも、やはり「十年後の東京」、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現すると。逆算してどうするのかという、そういう意味でもっと責任を持つべきだというふうに思うんです。その辺の決意はどうなんでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 東京の都市づくりにおいては、都市再生を進めることが大変重要であるということは何度か申しているかと思います。その一方で、環境とか緑の取り組みも、もう既に取り組みを始めていると認識しております。
 本年一月には、副知事をトップとして全庁横断的な戦略組織である環境都市づくり戦略合同会議と、そのもとに緑の都市づくり推進本部等々を設置しております。こういった横断組織のもとで、全庁一丸となってこういったものを取り組んでいるところでございます。

○村松委員 知事をトップに緑の問題、環境問題に取り組んでいるというお話だったんですが(「副知事」と呼ぶ者あり)校庭緑化とか、あるいは屋上緑化とか、それから壁面緑化、そういう小手先のこと、確かに一定の温度は下げるかもしれないけれども、小手先じゃなくて抜本的に本当に緑を確保する、そういう対策をとっていただきたいし、それから、今の状況の中で、もう一度立ちどまって見直す、その勇気が必要だというふうに思うんですよ。
 東京都が本気で世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するというのなら、都市整備局の都市づくりを本気で見直しをする必要があると思います。都市計画公園の整備率をもっと高めることや都民一人当たりの公園面積を高めること、また、失いつつある多摩地域の貴重な緑地を計画的に公有化して子孫に残すことなどを考えることも重要です。私はその意味からも、稲城の南山の開発問題を都民の立場に立って考え直す必要があると思います。そして、東京における都市づくりも、諸外国の都市で始まっている持続可能な都市から学びながら進めるよう強く要望して、質問を終わります。

○東野副委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後二時五十分開議

○吉原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○松下委員 私は、まず初めに、平成十九年度予算の中の第一項、都市整備管理費、第三目、水資源対策費事業費にかかわる八ッ場ダムに関して幾つかお伺いをしたいと思います。
 八ッ場ダム建設事業の現在の進捗状況をお伺いいたします。

○野本都市づくり政策部長 八ッ場ダム建設事業は、現在、ダム本体工事の着手に向けて、水没地権者が移転する代替地の造成工事、あるいは水没する国道、県道及びJR吾妻線のつけかえ工事を進めているところでございます。平成十九年度からは本体関連工事に着手する予定と聞いています。
 進捗状況を事業予算で見ますと、本年度末で五五%の執行となります。

○松下委員 今のご答弁の中に、水没地権者が移転する代替地の造成工事を行っているとありましたが、水没地権者のうち、この代替地への移転希望者についてお伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 水没地域の三百四十一世帯のうち、代替地への移転を希望する世帯は百二十七世帯でございます。

○松下委員 代替地を希望されるのは百二十七世帯、これは現地で再建を希望されている方が百二十七世帯であるということかと思いますが、水没地域三百四十一世帯のうち百二十七世帯というのは半数以上が希望していないという現状であり、現地の再建に何か困難なことがあるのではないか、なぜ半数以下しか希望していないのかという疑問がございます。
 私、実際に現地で生活再建を支援している方からお話を伺いましたところ、この代替地に関して交渉がこれまで行われて、地権者と代替地への移転に関して交渉が行われてきた中で、まず代替地の土地が非常に高いということ、そして代替地がいつまでたってもできない、できないから外に行かざるを得ない、要は、代替地を購入しての現地再建が困難であるという現状があるようです。
 またこの地帯というのは、活火山である浅間山から二十キロメートルほどしかないところで、これまでずっとこの八ッ場の地帯というのは地すべりに対する不安がある場所と伺いました。この代替地の地すべりに対する安全性というのは大丈夫なのか、お伺いをいたします。

○野本都市づくり政策部長 国土交通省は地形や地質の調査を十分行っておりまして、代替地は安全な場所に造成されていると聞いております。
 万一、代替地の近くに地すべり発生のおそれが明らかになった場合には、押さえ盛り土であるとか、くいなどの対策を実施しまして、安全性に万全を期すこととしております。

○松下委員 国土交通省からは安全性は大丈夫だ、万が一のときにも地すべり対策を行うというご答弁でしたが、自然の脅威というものは、私たちも都会に住んでいても身をもって知っているところであります。やはり思っていたのと違う、切り崩したときに万が一危険性があったという場合には、そこで人が生活をするという、生命、財産を守る場所が生活再建の代替地であるということを念頭に取り組んでいただくよう、東京都としてもしっかりと国土交通省に対して働きかけをしていただきたいと思います。
 ダムが実際、これは二〇一〇年にダムが完成をするという年数もこれまで出てきているようですが、ことしは二〇〇七年、三年後にダムが本体工事が完成するとは、現地の方は到底思っていないという現状もあると私は伺いました。
 これは、先ほど私、地すべり地帯に関しては代替地のことをお伺いいたしましたが、ダムが完成した後、ダム湖周辺の地すべり地帯、ここ全体が地すべり地帯、幾つも点在しているというふうに聞いておりますが、人々が暮らす温泉地やこれまで住んでいた住居の場所が水没をした後、ダムが完成した後の周辺の地すべり対策について、本当に安全なのか伺いたいと思います。

○野本都市づくり政策部長 国土交通省は、ダム湖の周辺斜面において、地すべりにより道路や鉄道などに影響を与えるおそれがある場合には、適切な対策を実施することとしております。

○松下委員 適切な対策を実施する、それも今後ということ、万が一地すべりが起こった場合ということだと思いますが、なぜ私がこのような質問を今してきたかと申しますと、私自身、二年前の都議会議員選挙のときには、むだなダムは見直すべきだと選挙の中で訴えをしてきました。これは、八ッ場ダムに関して実際に、本当に必要な公共工事なのかということを当選直後の七月後半に現地へ視察に行ってまいりました。当時私は、本当に必要な公共工事なのかどうかという点や、環境へ配慮しなければならないのではないかという視点からダムの見直しを考えたいと思っておりましたが、実際に現地を訪れた結果、非常に風情のある温泉街や風光明媚な景色、豊かな自然、そして、そこの地域で長い間生活をしている住民の方々の生活といったものに触れるにつれて、これはそこの地域の住民の生活の再建という視点を重要視して考えなければならない問題である大きな課題であると感じた次第です。
 先ほど来、民主党はこれまで賛成をしてきたのではないかというようなお声もございましたが、私自身思いますのは、人口の予測、水需要の予測、これは当初の計画は半世紀以上前です。何が変わるかわかりません。予想もしないことが五十年たって起こる可能性もあります。その都度その都度、適切にチェックをして、公共工事事業、そこに住む地域の住民の人々の生活や生命というものがどうなっているかということを、これは本当に真剣に議論をしていかなければならないのではないかという視点で質問を私はさせていただきました。
 長きにわたり生活に制限がかかり、代替地がまだできない状況の中で、本当は地元で生活をしたい、これまでの地域のつながりを大切にしたいと思いながらも、泣く泣く他の地域へ移転をされた方も多数いるという現状、私たちはダムの負担金、これは下流の住民として、東京都はこのダムの地域から下流に当たります。この事業を実際に--今現地では、ダムに対しての反対運動というのがほとんどなくなってきたというふうにも聞いております。それはなぜならば、やはりこのダム事業というのが国策であり、そして、下流の地域の東京都や他の県の人たちに対して、この事業が行われることが、その人たち、ダム地域に生活する人々が生活を捨ててまでもなし遂げなければならない国策の事業であるという大義名分があったからこそ、地権者の人たち、ダム周辺に住む人たちは、泣く泣く苦しい決断をしながらも、その土地を手放しているという現状がございます。この大義名分が崩れた場合には、しっかりとこの事業を見直す勇気も私は必要ではないかと考えております。
 これは最後に要望としてお話しして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、みどり率についてお伺いをしたいと思います。
 二十一世紀の東京を持続して発展できる都市とするために、緑をふやし、育てたいという視点から、みどり率について何点かお伺いをいたします。
 緑の機能というものは多々あるかと思いますが、レクリエーションや防災、環境、景観など、緑の拡充はさまざまな重要な役割を果たしていて、今日の都市づくりの大きな課題であり、緑の現状を適切にとらえていくことが不可欠であると思います。
 都では平成十二年に緑の東京計画を策定しており、このときから緑に関する政策指標として、従来の緑被率に変えてみどり率を用いているようですが、そこで改めて、みどり率の考え方、従来の緑被率との違いをお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 みどり率の考え方、従来の緑被率との違いということについてのお尋ねでございますが、緑の拡充を図る上では、緑が有するさまざまな機能を踏まえまして、水と緑を総合的に把握する指標を持つことがお話のように不可欠でございます。
 従来の緑被率の定義におきましては、公園の広場や河川などの水辺空間が、都市環境の改善や防災、生物の生存基盤など緑と同等の機能を発揮しているにもかかわらず、これらの面積が含まれておりませんで、指標に反映されないという課題がございました。
 そこで都においては、平成十二年から、今お話がありましたような、従来の緑被率に、新たに河川等の水面の占める割合と公園内のグラウンドなど植物の緑で覆われていない面積の割合を加えたみどり率を用い、政策展開を図ることとしたものでございます。

○松下委員 このみどり率、今ご説明いただきましたが、東京全体の緑の施策を展開していく上で、今、東京では基礎的な指標であるということだと思いますが、来年度、平成十九年度の予算には、新規の事業として分析しやすい緑データの作成を行う予定になっています。この新規事業の具体的な内容についてお伺いしたいと思います。

○石井都市基盤部長 本事業は、みどり率を構成しております樹林地、農地、公園などの要素を詳細に把握するものでございます。そのために、既存のデジタル航空写真とそのデータをもとに、公園の開園区域や土地利用現況調査による樹林地、農地などの区域を重ね合わせまして整理、統合することで、民間、公共、いずれの緑につきましても定量的に把握していこう、こういうものでございます。

○松下委員 では、今ご説明があったような作業が行われたならば、今後、どのような効果が期待されて、どのようにこのデータを活用されていくのか、お伺いしたいと思います。

○石井都市基盤部長 効果とその活用方策ということのお尋ねでございますが、こうした作業の継続的な実施によりまして、今後、緑の種別ごとの増減を把握することが可能となります。
 例えば、時間の経過による緑の種別、先ほど申し上げました農地であるとか樹林地であるとかそういうことでございますが、緑の種別の変化や、行政区域など地域別の変化などを的確に把握することができ、地域の特性、実情に即した緑施策に反映させることが期待できる、このように考えております。

○松下委員 お話をお伺いしていると、非常に重要なデータになるのではないかと思いますが、その割には、みどり率という言葉自身、知名度が低いのではないかと思います。区市町村では、従来からの緑被率を用いているところが大半であるということもお伺いしています。
 都、区市それぞれが緑の施策を展開する上では、こうした指標は同じものにすべきではないか、みどり率に統一すべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

○石井都市基盤部長 先ほど来お話ししておりますみどり率というのは、みどりというのは平仮名で書きまして、漢字で書く緑被率の方がイメージは伝わるのかもしれませんけれども、お話のように統一していくことが大変大切だと、このように思っています。
 みどり率は、先ほどからお話しいたしておりますが、水と緑を総合的に把握することのできる的確な指標でございまして、緑施策に関する基礎指標として今後とも有効なものと考えられますことから、みどり率を広く周知し、データを区市町村と相互に共有化することが重要と考えております。
 このため、都と区市町村が共同いたしまして、データの共有化に向けた取り組みなどを検討してまいります。

○松下委員 最後に、これは質問ではないのですが、私自身、区市町村がどうして緑被率を引き続き使用しているのか、私なりに調べてみましたところ、過去との比較という意味でずっと用いている、みどり率を取り入れると、過去との比較が困難になるのかなという感想も持ちました。過去との比較が困難であるという課題を解決するためにも、東京都が今後検討するというご答弁も今いただきましたが、東京都がしっかりと音頭を取って、区市町村と協議の場を設けるなど、指標の統一に向けて、緑の施策の東京都全体としての充実に向けて引き続き積極的に取り組んでいただきたい、これは要望にして質問を終わりたいと思います。

○植木委員 私は、最初に羽田空港再拡張事業の財源問題について質問をしたいというふうに思っています。
 ちょっと最初に、経年的に質問します。そうしないとちょっとわかりにくくなるので。
 首都圏の三知事と三市長が共同で国に対して要請を行ったとお聞きしておりますが、その内容と要請した時期はいつか、それから、なぜ東京都は一緒に要請しなかったのか、何かそこにはためらいがあったのか、そのことについてまずお示しいただきたいと思います。

○笠井参事 平成十四年十二月四日、埼玉県、千葉県、神奈川県の各知事並びに横浜市、川崎市、千葉市の各市長の連名で、国土交通大臣に対しまして、羽田空港再拡張事業の地方負担導入に強く反対する意見書が提出されたものでございます。
 その要旨でございますけれども、まず一点目は、羽田空港は国が設置、管理する第一種空港であり、再拡張事業も、まさに国家政策として国の負担と責任において整備されることが当然であるということ、二番目に、国直轄事業に対する地方の費用負担は、地方分権改革の観点からもその動きに逆行するものであるということ、そして三番目に、空港整備により、空港の存在しない周辺自治体にもたらされる利益の内容は明らかではなく、むしろ騒音等の環境問題などが懸念されるという内容でございます。
 また、都は本来、意見書に連名すべきでございましたが、事務的な手違いにより参加できなかったものでございます。
 なお、同年十二月五日付で、三知事と三市長に、意見書の申し入れに対して全面的に賛同する旨の文書を送付するとともに、国土交通省にも同文書を送付いたしまして、地方負担導入に強く反対する旨、表明してございます。

○植木委員 三知事と三市長が国に、国が負担すべきだという意見書を出した。東京都は一日おくれで出したと。ちょっとよくわからないんですよね。事務的なというんですけれども、普通こういうものは、非常に公式的なものですから、事前に関係のところに配布があったり打診があったり、それから文書自体もかなり前から準備されているものだと思うんですよね。それが手違いだというんですけれども、公式な、いや、それしかいえないのかわかりませんけれども、その点の真意はもうちょっと詳しく教えていただきたいんです。

○笠井参事 これはあくまでも事務的な手違いによって、本来は十二月四日に出すものがおくれてしまったというふうに承知しております。

○植木委員 どういう手違いかわかりませんけれども、都としては非常に、一番主体となるべき都がそういうことだったのは非常にみっともない話ですよね。
 それから、第一回の羽田空港再拡張事業に関する協議会というのが、〇三年、平成十五年の一月に開催されて、二月の第一回定例会の知事の施政方針演説でこういうことをいっているんですね--第一回羽田空港再拡張事業に関する協議会での発言ですけれども、地方負担の反対と早期着工について改めて申し入れました、会議を通じ、地方負担の白紙撤回が確認された、こういうふうに述べているんですが、この意味がちょっと、この知事発言だけだとよくわからないんですね。
 白紙撤回だから国の責任で全部行うということを確認したのか、それとも、ただ主張を確認したのか、知事の思いなのか、都市整備局でそういう文書を知事に出したのかよくわかりませんけれども、その辺の、地方負担の白紙撤回を確認されたと、これについて説明いただきたい。

○笠井参事 お尋ねの白紙撤回の意味でございますけれども、平成十五年の第一回定例会の施政方針に示されたとおりでございまして、羽田空港再拡張は国が負うべき課題であるとの認識を示したものでございます。

○植木委員 今の説明もわからないんですが、示したものであるということは、要するに、白紙撤回を確認したという意味合いがちょっとあいまいですよね。
 しかし、そういう流れの中で、いずれ無利子貸付を受け入れるということにだんだん東京都が変わっていくわけですけれども、東京都が受け入れる直前において、この事業負担のあり方について本来どうあるべきかについて、知事はどのような見解を、直前の見解をお示しいただきたい。

○笠井参事 知事は羽田空港再拡張につきまして、平成十五年六月二十四日、第二回定例会の施政方針の中で、国がみずからの負担と責任において、一日も早い実現に向け具体的な行動を起こすよう、首都圏の自治体とともに引き続き強力に働きかけてまいりますと表明してございます。

○植木委員 六月二十四日、国の責任でやれと再度強調しているわけですね。
 国が財政スキームを提案を発表したと。その事業負担の総事業費とその負担の内容、それから、それについて都市整備局ではどうとらえたのか、またさらに三点目は、知事は公式にどう発言したのか、それぞれお答え願いたいと思います。

○笠井参事 国が平成十五年八月にこの事業スキームを発表してございますけれども、その内容といたしましては、滑走路整備事業については、国と地方自治体が協力して行うこととして地方自治体に協力を要請する。少なくとも事業費の二割相当額の千三百億円程度を要請することとして、その方法は無利子貸付等によることを基本とするということ。それから、ターミナル、エプロン等整備事業につきましては、従来の直轄事業方式を変更して、PFI手法で民間活力を活用して実施するというものでございます。
 これに対しまして、平成十五年第三回定例会の施政方針におきまして、知事は、新しい内容が含まれた提案でありまして、検討に値するものと思いますが、事業費負担や飛行ルートなど、依然未解決の課題も残されております、今後は、国は関係自治体などとともに十分に合議を重ね、早期着工、早期完成に全力で取り組むべきでありますと述べてございます。当時の都市計画局も同様の考えでございます。

○植木委員 発表されると、検討に値するというふうに答弁が変わりました。その後--今のは九月十八日でしたね。八月にスキームが出されて、九月十八日には検討に値すると。
 それで、九月二十五日、同じ第三回定例会では、またこういうふうに変わっているんですね。国家的プロジェクトとして実施される事業について、その必要性に応じて都が応分の負担をするのは当たり前のことである。あれだけ反対していたのが、国がやるべきだといっていたのが、いつの間にやら当たり前のことであると、こういう認識を同じ定例会の中でいっているんですね。
 どうしてこのように都の立場が変わってきたのでしょうか。

○笠井参事 第三回定例会の施政方針、施策の知事の方針と、それから九月二十五日、これは代表質問に対するご答弁だと思いますけれども、やはりその間に方針が変わってきたということだろうと思っております。

○植木委員 方針が変わったから答弁が変わったのはわかるんですけれども、なぜ変わったのかと聞いたんだけれども、それについては答えがなかったんですね。
 とにかく、同じ十四年に申し入れて、十五年に白紙撤回が確認された、この意味合いがちょっとまだよくわからないんですけれども、六月二十四日、国みずからといって、八月に提案されたら、九月にもう検討に値するから当たり前というふうに百八十度変わってきているんですね。
 ところで、知事交際費問題の東京地裁の判決がありまして、同じ十五年、〇三年五月二十九日、新喜楽という料亭での接待は、羽田空港再拡張事業をめぐっての重要な会合だったと東京都の主張にありました。裁判に関する文書を読んでみますと、施策の内容についての東京都側の弁明で、羽田空港の国際化及び再拡張を求める地元地方公共団体にとって、費用負担をめぐり、非常に困難なかじ取りが求められる状況が生じつつあった、こう述べていますね。省略をしながら進めますけれども、交際の内容についてのところでは、相手側は航空関係者五名である。なお、都のために知恵とアドバイスを出した相手方との信頼関係の維持及び今後の都の航空政策の推進に支障を生ぜしめないため、出席者の氏名、役職を明らかにすることはできない、こうも述べています。
 さらに、石原知事が濱渦副知事及び棚橋参与の同席のもと、羽田空港の国際化、再拡張に関する航空関係者で相当の地位にある者五名と平成十五年五月下旬ごろに会合を行う必要があったとも述べていますね。それから、この会合の準備を指示された課長さんは、この問題は国及び関係自治体の利害が絡む難しい問題であることから、都政にとって極めて重要な会合であること、こう述べています。
 つまり、一連の流れの中で、第一回の羽田空港再拡張事業に関する協議会で白紙撤回したと述べていて、しかし、その後何がどうあったのかというのは明確なご答弁でもありませんし、記録も我々見当たりませんけれども、やはり地元地方公共団体にとって、費用負担等をめぐり、非常に困難なかじ取りが求められる、そういう状況が生じつつあるという中で、この新喜楽という料亭での会合が開かれたということだけはわかるわけですね。で、相手側は航空関係者、知恵とアドバイスを出した。このアドバイスが何なのか、これもちょっとわからない。しかし、その直後に財政フレームが提案されて、東京都が一千億円の貸し付けをやらなきゃならないようになってきた。こういう経過と見ざるを得ない経過だと思うんですね。
 その時点で都市整備局としては、この財政フレームについてどのような見解を持っていたのか。先ほどは金額だけでしたけれども、この貸付金というのは、どういうふうに具体的に動いていくのかも含めて明らかにしていただきたい。

○笠井参事 国土交通省の八月のスキームのお話でございますけれども、それまでの負担から貸付金という形に変わってきたりしてございまして、当時都市計画局でございますけれども、都市計画局といたしましても、やはり大分変わってきたのだなというふうに多分承知しておったんだろうと思っております。

○植木委員 都市計画局は、この問題の直接の担当部局ではないのでしょうか。もうちょっと主体的な考えを示していただけないでしょうか。

○笠井参事 まず一つは、首都圏の逼迫する航空事情から見まして、やはり都の協力によって早期事業が可能となるという点ですとか、それから先ほど申し上げましたように、協力の方法が負担金から貸付金に変わったことですとか、それから再拡張、国際化によって大きな経済波及効果が認められる、こういったような事柄から、都市計画局としても進展したというふうに考えておりました。

○植木委員 東京都のところにある空港ですから、東京都の主体というのは非常に重要だということは当然なんですけれども、貸付金、これ、先ほど内容はいいませんでしたけれども、十五年据え置きで十五年返済ということになっているわけですね、国との関係。国と、それから空港株式会社との関係も含まれるんでしょうけれども。そうしますと、無利子貸付だからいいのかということも含めて、ちゃんと検討したのかどうかということですよね。
 実際には、十五年据え置きで十五年返済となる場合、元利を含めた合計といいましょうか、東京都は都債を発行してやるんだろうと思うんですけれども、その点についてお示しいただきたいんです。

○笠井参事 都債の発行と利子負担ですが、都債の発行等ということでございますけれども、そういったことにつきましては、申しわけございませんが、財務局の所管でございまして、当局では把握してございません。

○植木委員 把握していないでいいかどうかということはやはり、確かに縦割りで、財務は財務が握っていることは事実ですから、それ自体を否定するものではありませんけれども、無利子貸付だから単純にいいというふうにならないんですよね。金額は結局わからないわけですよ。
 東京都としては、たしか初年度十五億ぐらいだったんでしょうか、それから次の年度が九十一億七千五百万、それから十八年度が二百三十一億二千四百万というふうにどんどん膨れ上がってきていますから、それを年度ごとに貸し付けて、その年度から十五年たった後、国との関係ではお金は返ってくるということなんだろうけれども、その間都債を発行しているわけですから、都債の方では当然金利を出しているわけですよ。直近のは資料がなかったので、昨年度当初の都債の表面金利が一・七三%だったんですね。昨年から金利変動で少しずつ上がっていることはもう間違いありませんし、ことしもまた上がる傾向にあるということも出されていますから、これは恐らく、今後徐々にずっとパーセンテージが上がっていくわけです。だけど、おおよその見当はどのくらい、貸し付けでも実際はどうなんだということを、やはり担当局も考える必要があると思うんですね。
 私は金利計算する専門家じゃないので、詳しく計算できませんし、まだ年度も全額ではありませんから、今後のことも含めますと単純に計算するしかないので、単純に考えてみますと、一千億の貸し付けで五百億は上回るというのは、もう単純な計算だと出てくるんですよね、五百億上回ると。これ、もし民間で一千億借りたら、恐らく三十年間といったら倍以上の金額になるはずですよ。つまり、一千億無利子貸付でも、さらに一千億、金利はどこかで負担しなきゃいけないということに民間でいえばなっちゃう。東京都、公共だから、それでも一・七三という低いところから出発するわけだけれども、それでも五百億ぐらいになる。
 僕はちょっと、東京都は問題になっていないけれども、ほかの自治体はどうかなと思って神奈川県の議事録もちょっと見てみたら、神奈川県でもやはり金利負担五十億という話がちゃんと出ているんですね。あそこは金額は東京都より低いんですけれども。だから、そういう点でも、私は無利子貸付だからいいということにはならないと思うんですね。
 つまり、一つは、なぜこういうふうに、本来国が払うべきだといってきたのが突然変わっていって、変わった途端に当たり前だという、この心境はよくわからない。それから、都市整備局は、そこで何をどういう役割を果たしてきたのかもわからない。それから、五月二十九日にアドバイスがあったというのもわからない。これは、いずれどこかで必ず明らかになるだろうと思うんですけれども、非常に不透明な経過の中で無利子貸付が生じて金利負担が生じる。私は本当にこれは重大問題だと思うんですよ。
 だから、最初にいったように、国に対しては、やはり国の負担でやれというこの線を本来貫くべきだったというふうに思うんですよ。五百億といったら大変な金額でしょう。先ほどちょっとお聞きしましたら、都営住宅でいえば一戸平均一千百万円前後だというから、五百億だと四千戸ぐらい建つんじゃないかなと。大変な金額ですよ。いずれにしても、こういうことがやられているということを、いずれこの中身については必ずどこかで明らかになることを信じて、この質問は終わりにします。
 二番目は水害対策で、今回、豪雨対策検討委員会が開催されてきたということで、私も過去の水害、いろいろ思い出してみました。私が初めて都議会に出たのが平成元年、一九八九年ですけれども、その年の八月一日、十日、大水害がやはりありまして、全都的に見ますと、五千四百戸、床上床下浸水があった。当時、私、その直後の第四回定例会でこの問題の質疑をしたんですが、当時は鈴木知事の時代でした。河川の激甚指定がやはりあり、それから和田弥生幹線の下水道、これは下水道局ですけれども、幹線があり、それから雨水抑制についても、私も質問をいたしました。
 下水道和田弥生幹線がそこで初めて答弁があって、翌々の平成三年ごろから工事に着工したんですね。私、この間見てきたんですけれども、あとポンプ場ができ上がって支線とつなげば、これで一〇〇%、これまでも暫定的には使ってきたんですけれども、一〇〇%完成する状況にもうなっていますから、来年度のどの時点かは、正確にはまだ工事の進捗状況でしょうけれども、一〇〇%供給できるということで、非常に感慨深い思いで地下の深く入ってきました。
 当時は、町会なんかも挙げて都庁に要請に来たり、本当に住民の皆さん、たくさんの運動をやられて、去年の水害のときもそうですよね。
 私は、この水害問題というのをずっと長く取り組んでいまして、都議になる前から、後藤マンさんという都議がいたんですけれども、そのもとで、一九八二年の水害のころから一緒にずっと取り組んできたのを今思い出しています。いろいろ松本善明さんだとか後藤マンさんと、国や東京都にも申し入れたり、当時はそれこそ都市計画局でしたけれども、それから神田川の地下河川も、当時はまだ立て坑がないときでした、用地問題があって。あそこにタクシーの会社があって、そのタクシーの会社と従業員と東京都の間に入って話し合いに臨んだこともあるんですけれども、いずれにしても、そういう形で神田川の地下河川も今日に至っている。昨年、また激甚指定が妙正寺川の方でありましたけれども。
 いずれにしても、豪雨対策というのが、だんだん都市水害としての検討というのがいろいろな角度から必要になってきている。きょうは全面的にやっていると時間がありませんので、特にその中で、一つは対策検討委員会と、それからその中身で一つ、二つ取り上げたいというふうに思います。
 検討委員会が設置されて、先ほどもちょっとご答弁がありましたけれども、昨年の暮れに中間報告が出されるというお話だったんですが、一つは検討の内容とその検討状況についてお示しいただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 お話がありましたように、都は、昨年五月に学識経験者などから成ります豪雨対策検討委員会を設置し、豪雨対策を効率的に進めるための方策につきまして、今、議論を進めているところでございます。
 今、議論している内容ということでございますけれども、雨が大変この地域を限定して、なおかつ集中的に降るというようなところから、その対策を実施する地域を特定する必要があるというようなことで、そういったことの議論が進んでおります。また、浸水被害の状況などを定量的にとらえていく必要があるだろうというようなことで、そうした検討もしてございます。あわせまして、豪雨対策の内容が、河川整備であるとか下水道整備であるとか、流域対策など多岐にわたっていく点がございますので、そこら辺についても議論しているところでございます。

○植木委員 そうしますと、中間報告がいずれ、まだ出ていないわけですけれども、今年度中に出るのでしょうかね。一つ、中間報告というのがいつ出るのか。
 最終的にどういう形でまとめていくのかのそのプロセス。それから、国の方でいろいろ特別指定なんかをやっているところでは、ちゃんと公聴会をやるとか、住民の声も聞きなさいよと、関係者のところで聞きなさいよといっていますけれども、東京都としてはどういうふうに住民の声などはお聞きするつもりなのか、その辺のプロセスをちょっと明らかにしていただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 今お話ししましたように、議論が少しおくれているというか、検討に時間を要しているというようなことがありまして、これらの結論を早く得るように私ども努力しているところでございます。
 今後のプロセスということでございますけれども、これにつきましては、専門的見地からの十分な検討、今やっているものの検討に加えまして、広く関係者の意見を聞きながら進めていくことが必要だというふうに考えております。
 このため、今後、豪雨対策検討委員会からの中間答申をまず受けまして、都としての豪雨対策基本方針の中間まとめ案を作成した段階で、パブリックコメントをホームページなどを通じて実施し、都民の意見を聞いていく予定としてございます。同時に、区市町村の意見につきましても、五十三区市町村とともに組織している東京都総合治水対策協議会というような組織がございますので、これらを通じて聴取し、取りまとめていく、こういう段取りでおります。

○植木委員 パブコメ、それから区市町村の意見をお聞きする、大事なことだと思います。私は何も急いでやれといっているのではなくて、十分学識経験者の検討をよくすることが基本で大事ですから、もちろん早く出ればいいにこしたことはないんですけれども、十分検討することの大事さというのはわかりますので、そのプロセスをきちっと踏んでいただきたいというふうに思っています。
 それから、都市洪水の防止の目的で雨水流出抑制事業補助を行うということになっていますが、これは昨年も、第三回定例会だったと思いますが、お聞きしましたけれども、あの当時はまだそういうのが出ていなかった。私は、一定の河川の両サイド、一定の地域だけでもやるべきじゃないかと。あるいはかつてのを復活すべきじゃないかというふうに提案をしてきたんですけれども、そういう意味でこの事業をやるということは非常に歓迎しますが、豪雨河川流域を対象にするということだったんですけれども、これまでの都の助成事業と今回の提案と、何が、どういうふうな特徴があるのでしょうか。

○石井都市基盤部長 かつての助成事業との相違という点でございますけれども、主な相違点として二点あろうかとは思います。
 一点目は、最近、集中豪雨が特定地域に降って、被害が生じる地域が比較的限定されるというそういう傾向を踏まえまして、助成の対象地域を特定の河川流域に絞り込む必要があること、二点目としましては、取り組みのおくれている小規模施設における浸透施設の設置を重点的に促進するため、補助対象を小規模な個人住宅に絞っていくこととすること、そのようなことが挙げられるというふうに考えております。

○植木委員 大変積極的な方向性が出てきていると思うんですけれども、今回の補助スキームはどういうふうになっているか。以前はたしか都独自補助じゃなかったかなと思い出しているんですけれども、今回の補助スキーム、それから、この制度は期間を限定するのか、それともかなり長期間を予測しているのか、その点も含めてお示し願いたいと思います。

○石井都市基盤部長 十九年度の雨水流出抑制事業費補助は、これまで同様に、区市の実施する雨水浸透施設設置助成事業に対して、都がその費用の一部を補助することを想定しております。
 補助対象としましては、今、少しお話ししましたけれども、神田川流域などの水害の頻発している流域内であること、小規模な個人住宅であること、区市の定める要綱の助成要件を満たしていることとすることなどを予定しておりまして、特に財源の内訳といたしましては、国と区市の三者でそれぞれ負担することを想定してございます。
 なお、お尋ねのありました期間等につきましては、実績とその効果を見ながら検証してまいりたい、このように思っております。

○植木委員 期間を見ながらぜひ積極的に、効果が一定程度あらわれるまではやっていただきたいというふうに思っています。
 流域といってもなかなか漠としているんですけれども、例えば中野あたりは、神田川流域が支流の妙正寺川とか江古田川とかなっていますけれども、どの程度になるのか。あるいは、区市がどの程度の自治体までこの流域対象になるのか。合計の面積はどのくらいになるのか。大まかに教えていただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 まだ検討委員会で検討しているところでございますから、最終的なものということではございませんけれども、今考えておりますのは、神田川流域など四流域が対象となるということを想定しておりまして、四流域の合計面積は二百三十五平方キロメートルとなります。
 中野区のお話でございますが、中野区は、ほぼでございますけれども、全域が神田川流域に含まれている。
 想定される四流域というのは、関係区市は二十二区市にまたがっております。

○植木委員 大変広範囲になる、中野あたりは全域ということですから、ぜひ促進をしていただきたいんです。
 これは去年聞いたときは、例えば中野区では、新規に建設するとき、その計画を出してもらって、その報告が出た段階で出していたというふうに聞いているんですけれども、これは新規建設だけに限られるのか、それとも既存住宅で--なかなかこれはお金もかかることですから、簡単ではないんだろうと思うんですけれども、そういった一定の条件が整ったところでは、そういう既存の住宅でも提供できるのか、その点についてはどうでしょうか。

○石井都市基盤部長 これまで同様、区市の要綱に特別な定めのない限り、既存住宅、新築住宅ともに補助対象とすることを想定してございます。
 なお、現実には、既存住宅は、そのためだけに改造するということはなかなか少ないのかなというのが実態でございます。既存住宅の助成要件につきましても、新築と同様にしたい、このように考えております。

○植木委員 建物を、耐震じゃないですけれども、補強をするとか、そういうときに一緒にやるとかという、そういういろいろな発想が出てくればいいなという思いで今お聞きしたんですけれども、対象にはしていただくということなので、大変結構なことだと思います。
 それから、これは今、小規模な住宅などにということでしたけれども、公共施設あるいは公共住宅、それから民間の大規模施設等については、設置状況はどのくらいそれぞれ進んでいるのか。
 それから、ちょっと正確には私もわからないんですけれども、大分昔に質問したときに、いろいろ聞いているときに、設置率という問題がたしか出たことを今思い出しているんですけれども、公共施設でいえば、東京都の公共施設のうち、どのくらいこういう貯留浸透施設を設置しているかというパーセンテージ、昔聞いたことがあるので、突然ですけれども、そんなことももしわかれば、公共施設、公共住宅、民間あわせてお願いしたいと思います。

○石井都市基盤部長 公共施設、公共住宅での貯留浸透施設の設置状況と、それから民間の大規模施設の設置状況はどうか、あわせて公共の場合の設置率はどうか、こういうお尋ねでございます。
 都内におけます公共住宅や道路など公共施設における貯留浸透施設の設置量でございますが、量は、平成十八年三月末現在、貯留量換算で二十五メートルプール八千七百個分に相当いたします二百六十万立方メートル、このような数値になってございます。また、民間の雨水貯留浸透施設の設置につきましては、区市町村が定めます雨水流出抑制対策指導要綱や宅地開発指導要綱などによりまして、建築行為や開発行為に合わせた貯留浸透施設の設置を指導してきているところでございまして、その結果、平成十八年三月末現在の設置量で申し上げますと、貯留量換算で二十五メートルプール八千個分に相当する約二百四十万立方メートル、両者、公共施設、民間あわせますと五百万立方メートルに相当いたします。
 なお、お尋ねの設置率でございますけれども、ちょっと手元に資料がございませんので、ご容赦いただきたいと思います。

○植木委員 公共施設ですから、道路も含めて広範囲にいろいろ努力をされているというお話ですが、これ大分古いので、確かめなきゃいけないので何ともいえないんですけれども、神田川流域の雨水抑制装置設置率は五%、そのうち国の施設は〇・一%、東京都は三%と出ているんですね。
 これ、後で、いずれにしてもどこかで確かめますけれども、いずれにしても、民間はそれをパーセンテージで設計するというのはなかなか難しいですけれども、公共施設あるいは東京都の住宅とか一定のところは、もちろん建てかえ計画とかいろいろな計画との関係がありますけれども、一定の割合で促進方を図る必要があるんじゃないかというふうに思いますので、その点を一点お聞きしたい。
 それから、地下室や半地下の駐車場などの水没が、一昨年にもうなりますか、水害がありましたけれども、こういった点で、国は大規模なところには地下空間のガイドラインというのをつくっていますけれども、東京都として、いわゆる都市部としての、あるいはそういう各戸住宅についてのきめ細かな浸水対策としてやる必要があると思うんですが、その点についてどのような取り組みをしてきて、今後どういう計画でいるのか、あわせてお答え願いたいと思います。

○石井都市基盤部長 先ほども答弁申し上げましたけれども、民間の大規模施設であるとか公共施設、公共住宅での設置は指導要綱等に基づいて積極的に進めてきているところでございまして、今後もその方針は変えないでいきたい、このように思っております。
 また、地下室や半地下の駐車場への浸水対策ということでございますけれども、これにつきましては、都民が水害の危険性をまずよく認識するというか、水害の状況をよく知っていただくというのが必要だろうと思っています。このため、都はこれまで、浸水予想区域図の作成や降雨や河川水位情報の提供など、水害の危険性の周知に努めてまいりました。
 今後は、現在策定を進めている豪雨対策基本方針の中で、地下室などへの浸水被害を防止するため、対策の必要な地区やその方法などを示した浸水対策ガイドラインを作成することなどについて検討してまいりたいと思っております。

○植木委員 きょうは、まだ検討委員会から報告が出されていませんので、ごくごく一部分でしたけれども質問させていただきました。非常に大事な、また全都にまたがる大きな問題ですので、今後とも努力をしていただきたいということで終わりにします。

○小沢委員 本日は、耐震改修促進事業について幾つかお聞きしたいと思います。決して難しい質問ではないんですけれども、非常に重要なことだと思いますので、一部重複質問もあるかと思いますけれども、ご答弁いただきたいと思います。
 現在、約百三十三万戸の既存住宅の約二三・七%が必要な耐震性を満たしていないとされております。都はこのたび、素案を作成しております東京都耐震改修促進計画において、平成二十七年度中に住宅の耐震化率を九〇%とすることを目標に掲げておりますが、この実現に向けての取り組みについて伺っていきたいと思います。
 まず、資料等でいただいておりますが、確認のためにお聞きします。
 今年度から、耐震改修促進事業として、整備地域を対象とした木造住宅の耐震化のための助成制度を設けております。十八年度の都の助成実績及び区市町村の助成実績についてお伺いいたします。

○金子市街地建築部長 まず、区市の戸建て住宅の耐震診断と耐震改修の助成の実績でございますけれども、一月三十一日現在の耐震診断の実績は二千六百九十五件でございまして、耐震改修の実績は三百三十八件でございます。
 次に、都の整備地域を対象にした助成制度の実績でございますけれども、一月三十一日現在の耐震診断は四百七十七件で、耐震改修は三十四件でございます。

○小沢委員 そこで、この十九年度予算では、耐震診断が千五百棟、耐震改修が五百棟の予算を見込んでおります。十八年度の実績、私の目から見ますと、非常に少ないなと感じる次第でありますけれども、この実績から見た十九年度の実績の見込みと推進策についてお伺いいたします。

○金子市街地建築部長 都の耐震化助成は区と連携して実施する制度でございますけれども、平成十八年度につきましては、助成制度開始の初年度ということもございました。また、年度途中から制度を開始した区もございました。
 平成十九年度につきましては、耐震診断についてはすべての区で制度が整いますし、耐震改修につきましても、ほとんどの区で助成制度が設けられる、こういったことから、区との十分な連携のもとに制度の周知と普及啓発に一層努めることによりまして、今年度以上に実績は上がるというふうに見込んでおります。

○小沢委員 この補助の対象となる整備地域の木造住宅は、約十万戸と推計されております。このうち、都がこの促進計画を用いて助成をする棟数が予算書にもありますけれども、十年間で二万二千棟を目標としております。
 十八年の実績が出まして、十九年度、まだ計画の数値の段階ですけれども、この計画数値が達成されたと仮定しましても、その後二十年以降、毎年二千六百数十棟ずつ耐震改修が必要になることになります。
 十八年度は初年度ということで、件数が余り伸びないというご説明をいただきました。理解できないわけではございません。これから実績を向上させていくためには、特に都民の多くの皆さんに耐震化の重要性を知ってもらう、そして、この制度があること自体を周知徹底していくことが重要だと思いますけれども、いかにして都民にこの制度をPRしていくか、これがこの結果を出していくものだと思っております。
 住宅の耐震化自体は所有者が行うべきであると、私もそのようには認識はしておりますけれども、都が掲げるこの目標を達成していくためには、やはり所有者だけでなく、区市町村や関係団体等に相当強い働きをしていかないと、私の感覚では、とても目標を達せることは難しいんじゃないか、このように思っております。
 この点について、どのように取り組んでいくかをお聞かせいただきたいと思います。

○金子市街地建築部長 住宅の耐震化を促進するためには、今おっしゃったとおり、所有者みずからが主体的に取り組んでいくということが不可欠であるというふうに考えております。耐震改修促進計画の策定を契機といたしまして、耐震化の助成制度の活用や普及啓発、そして情報提供、こういったことをより一層行いまして、住宅の所有者に対して耐震化に向けた取り組みを促してまいります。
 また、区市町村に対しまして、都の計画を踏まえた耐震改修促進計画を速やかに策定するよう要請するとともに、地域のまちづくりですとか関係団体の活動とも連携して目標を達成していきたいというふうに考えております。

○小沢委員 今ご答弁で、地域の普及啓発ですとか情報提供に力を入れていただけるということですけれども、一昨年にスタートして、昨年末にもやられたかと思うんですけれども、東京都の安価で信頼できる耐震改修工法ということで、パネルですとか実物を展示して、非常にわかりやすくて好評であったと思います。都庁の議会棟でやられたときは、スペース、結構人が来ておりまして非常に盛況には見えるんですけれども、限られた期間で、実際直接見られた方は、都民の方の中でもまだまだわずかだと思います。
 非常にすばらしい工法もありますので、こういったものを、区市町村ではいろいろなイベントがあると思いますけれども、区市のそういった防災展ですとか、いろいろなフォーラムで、もっともっと積極的に活用していったらどうかと思うんですけれども、所見をお聞かせください。

○金子市街地建築部長 耐震改修の実施に際して都民が適切に判断できるように、すぐれた耐震改修工法についてわかりやすく情報提供していくことが非常に大切であると考えております。
 幾つかの区においては、防災フェアですとか耐震セミナーの開催など、積極的な普及啓発を実施しておるところでございまして、こうしたことから、安価で信頼できる耐震改修工法のパネルや実物を活用した展示会の開催など、今後とも都民に幅広く普及が図られるよう、区市町村とも連携してPRに積極的に努めてまいります。

○小沢委員 より一層、市区町村とも連携してPRを実施していただきたい、このように思いますけれども、ここでちょっと私、地元の墨田区は非常に防災に対する意識が高い地域でございます。ちょっと一、二、紹介させていただきたいんですけれども、墨田というのは、都市整備局の前、都市計画局のときに出されています建物の倒壊危険度ランクでも、都内でも非常に危険度が高いという、こういった地域でございます。そういうこともありまして、建築、建設関係の団体ですとか町会、自治会、それから各種団体で墨田区耐震補強推進協議会というのがございます。都内でも余りないかとは思うんですけれども、こういった協議会、そして事務局では墨田まちづくり公社というところがやっておるんですけれども、一部報道もされましたけれども、ことしの二月に、地元の商店街の空き店舗を利用しまして、先ほどお話ししましたような形で、簡易的な工法ですとか、こういった地元の工務店の方のご協力も得まして、耐震工法の常設展示のモデルハウスをつくっております。
 これですと、どなたでも、現時点では平日の昼間しかあいていないんですけれども、現物が展示されて、工期がどのくらい、予算がどのくらいと、これをいつでも見ることができる。この展示場、空き店舗を利用したということもあるんですけれども、これをつくるのに、何種類かの工法をやっても百万円前後ぐらいでできているんですね。ですから、予算的にも、こういった余りお金をかけない工法もできますので、そういったことも、きょう、ちょっとご紹介をさせていただきたいと思っています。
 そのほかにも、ちょっとおもしろいのが、これは今週の三月三日に行われるんですけれども、落語家の方をお招きして、この方に防災落語というのをやっていただいて、多くの方に興味を持っていただく、耐震改修の重要性をわかっていただく、こういうような活動もしております。
 基本的には墨田の取り組みは、まずできるところからやりましょうと、お金をかけなくてもできるところから。そして、家具の転倒防止などは、数百円からせいぜい数千円でできます。身近にできるところからやって、耐震診断をして、そして、耐震診断まではしても家は強くなりませんので、何らかの補強をしなきゃいけないわけですから、個々の家を少しでも強くする、そしてそれを点から面に広げて、最終的な目標は、まちとして地震に強いまちをつくっていこうという大きな目標はあるんですけれども、まずお金のかからないところからやっていこうということで地元墨田区では取り組んでおりますので、ぜひ何らかの形で、東京都ほかの区市町村にもお伝えいただければと思います。
 せんだっての二月十七日に、地元の耐震補強フォーラムというのがございまして、私も不勉強でそのときに知ったんですけれども、お隣千葉県の県立市川工業高等学校の建築科の先生と生徒が来て、いろいろとお話しいただいたんですけれども、ちょうど始めて四年目ということです。建築科の授業で耐震診断を取り入れられまして、この四年間で約四十棟ほどの検査を地元でやられているということで、その報告を受けたんですけれども、まず家の図面をコンピューターに落として、そして現地に行って実際に調査します。それをまた持ち帰って判定をすると。
 ただ、その生徒たちを見ますと、非常に目が輝いていますし、そういうことをすることによって、実際にやることで責任感もありますし、この授業と社会貢献ということが相まって、非常にすばらしい取り組みではないかと、私個人的には非常に、その話を聞いたとき、ちょっと感動すら覚えました。教育という観点からも価値があると思いますので、こういったことも都全体の中でご紹介して、取り入れられるものは取り入れていったらいいなと思っております。
 ちなみに、墨田区の両国近くにある、ある私立の高等学校ですけれども、Y学園としておきますけれども、この学校でも、そういった情報を受けて、ことしの四月からこの耐震診断を授業で取り組んでいくというお話もいただいております。都立の高校で云々となりますので、これはやはりこの都市整備局だけの問題ではありませんので、難しいところもありますけれども、そういうことも、この場をおかりしてちょっと紹介をさせていただきました。
 最後に一問お聞きしたいと思いますけれども、こういった耐震診断は、先ほど申しましたけれども、耐震改修をするための一つの工程にすぎないわけで、耐震診断をやりましょう、診断をやりましょうといっても、診断だけでは全く変わらないのでありまして、実際--これからこの計画の進捗ぐあいを見ていきたいと思いますけれども、一言でいえば、まず大事なのは人の命を守るということだと思うんです。この計画はこの計画で進めていただきたい。しかし、プラスアルファで、東京都が紹介する安くて簡易的な補強方法、こういったものも含めて、まず人の命を救う工法というのを並行して都としても推進していただきたい。
 というのも、ことしは平成七年の兵庫県南部地震、いわゆる阪神・淡路大震災からちょうど一回り、十二年たったということで、一月にはいろいろな形でお話がありましたけれども、この地震自体が、起きた時間帯にもよるんですけれども、地震で一瞬のうちに--倒れた住宅ですとか家具の転倒によって亡くなった方が約八割程度と聞いております。しかも、そのうちの約九割近く、数字は正確ではありませんが、約九割と私認識しておりますけれども、一瞬なんですね。一時間以内に亡くなられている方がほとんどなんです。
 そういうこともかんがみて、私はあえて、一瞬でつぶれない家、命だけは守れる、避難路だけは確保できるということを東京都としても、実際は区市町村、それから家の所有者がやることですけれども、単純なことといえば単純なことなんですけれども、繰り返し述べさせていただきました。ぜひこういった都としてできるだけの情報の提供等を今後も行っていただきたい、このことを申し上げまして質問とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○吉原委員長 よろしいですか。--ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉原委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十三分散会

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