都市整備委員会速記録第十二号

平成十八年十一月二日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長吉原  修君
副委員長松下 玲子君
副委員長東野 秀平君
理事林田  武君
理事川井しげお君
理事柿沢 未途君
高倉 良生君
石森たかゆき君
村松みえ子君
吉田康一郎君
植木こうじ君
小沢 昌也君
こいそ 明君
立石 晴康君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長石井 恒利君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画・技術担当部長村尾 公一君
開発プロジェクト推進担当部長戸田 敬里君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
区市町村調整担当部長中沢 弘行君
民間住宅施策推進担当部長山室 善博君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事並木 勝市君
参事笠井 謙一君
参事山口  明君
参事座間  充君
参事小澤  弘君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 請願陳情の取り下げについて
 都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○吉原委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、請願陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一七第四〇号、(仮称)JV豊洲四丁目 計画新築工事の変更に関する請願及び一八第四三号、(仮称)JV豊洲四丁目計画新築工事に関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨、通知がありましたので、ご了承願います。

○吉原委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程どおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 河島航空政策担当理事は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十月十二日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都及び区市が実施している耐震診断、改修の助成一覧から、13の南多摩(五市)における都市計画公園(都事業)の今後の整備方針までの十三件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。一ページから四ページにかけまして、1の都及び区市が実施している耐震診断、改修の助成一覧を記載してございます。
 (1)の耐震診断につきましては、助成を行う行政庁別に、対象となる建築物、補助限度額、補助率を記載してございます。
 三ページをお開き願います。(2)の耐震改修につきましても、助成を行う行政庁別に、対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率を記載してございます。
 五ページをお開き願います。五ページから六ページにかけまして、2の都市再生特別地区の指定区域概要を記載してございます。
 都市再生特別地区の指定区域ごとに、その概要を記載してございます。
 七ページをお開き願います。3の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ床面積でございます。
 制度ごとに、地区数、区別の状況、延べ床面積を記載してございます。下段、注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 八ページをごらんください。4の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区、二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 九ページをお開き願います。九ページから一〇ページにかけまして、5の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
 平成十八年三月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十五年度から十九年度のものを、名称、高さ、延べ面積について年度別に記載してございます。
 一一ページをお開き願います。6の主要環状道路の事業費及び進捗状況でございます。
 (1)といたしまして、首都圏中央連絡道路、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の三環状道路につきまして、(2)といたしまして、環状二号線について、それぞれ概算事業費と進捗状況を記載してございます。
 一二ページをごらんください。7の踏切対策基本方針策定後の取り組み状況でございます。
 (1)といたしまして、鉄道立体化の検討対象区間における道路と鉄道の立体化に関する検討状況を、(2)といたしまして、踏切道の拡幅などの早期に実施可能な対策の検討状況を記載してございます。
 一三ページをお開き願います。8の都営住宅、公社住宅、都民住宅等の建設実績でございます。
 過去十年間の建設実績を、新規、建てかえ別に記載してございます。
 一四ページをごらんください。9の都内の最低居住水準未満、誘導居住水準以上の世帯の割合でございます。
 民間住宅、公共住宅の別に、最低居住水準未満の世帯の割合と誘導居住水準以上の世帯の割合を記載してございます。
 一五ページをお開きください。10の既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設都営住宅のエレベーター設置状況を、過去五年間につきまして年度別に記載してございます。
 一六ページをごらんください。11の公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 公社住宅のエレベーター設置状況を、過去五年間につきまして年度別に記載してございます。
 一七ページをお開き願います。12の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積でございます。
 過去五年間につきまして、件数、面積を年度別に記載してございます。
 最後になりますが、一八ページをごらんください。13の南多摩(五市)における都市計画公園(都事業)の今後の整備方針でございます。
 八王子、町田、日野、多摩、稲城の五市における都事業の都市計画公園、緑地につきまして、その計画面積と供用面積、並びに今後の事業化計画を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。
 どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○吉原委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石森委員 それでは、私の方から質問をさせていただきたいと思います。
 前の委員会では、ほとんどラストの出番でございましたけれども、今回はトップということでございまして、若干戸惑いはございますが、大きく三つのテーマについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず、総合物流ビジョンについてでありますけれども、ことしの二月に、首都圏の物流効率化を目指して、都としての総合物流ビジョンが策定されました。これを受けまして、私は第一回定例会において一般質問を行いましたけれども、内容的にはかなり広範囲の対策となっておりますし、あわせて、取り組み目標時期も、短、中、長期とそれぞれ異なりますが、目標期間が設定されているだけに、着実に進めることが求められております。
 策定後十カ月余りが経過をして、現在の進捗状況について、まずお尋ねをしたいと思います。

○石井都市基盤部長 総合物流ビジョン策定後の取り組み状況についてでございますが、既に、大型貨物車走行上のボトルネックとなる橋梁の耐化力向上や、道路高架下を活用した荷さばきスペースの確保など、短期的な対策を行っているところでございます。
 また、庁内関係八局及び警視庁から成ります物流効率化推進部会を本年二月に新たに設置いたしまして、首都高速中央環状線の全線供用を視野に入れた大型貨物車の高速道路への誘導策など、中長期的な取り組みの検討も進めてございます。
 さらに、この部会では、地元自治体や商店街、物流事業者などが連携して行うスムーズな荷さばきや駐車対策といった、地域での物流対策を支援する仕組みづくり、こうしたことにつきましても検討してございます。

○石森委員 都が進めるべき物流対策の方向性として五つの取り組みが示されておりまして、すべてお聞きするわけにいきませんので、多摩地域に最も関連性のある物流拠点整備についてお尋ねをしたいと思います。
 多摩地域の物流拠点整備の重要性については一般質問でも触れましたが、国においては、一点集中型の都市構造を改善するために、その必要性について明確な基本方針を打ち出しておりますし、都においても、これまでに東京構想二〇〇〇、多摩リーディングプロジェクトで整備促進を図るとされております。
 三定での林田議員の質問に対しては、五つの候補地がありますけれども、それぞれの候補地にふさわしい拠点の規模や施設内容について本年度調査を行い、東京都及び関係市町による協議会を設置し、検討するとの答弁がございました。
 その具体的な内容と今後の予定についてお聞かせをいただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 多摩地域の物流拠点の整備につきましては、これまでも、都内外の物流関連企業の進出意向調査や、各地域の面的な整備手法の検討などを行ってまいりました。
 これまでの調査検討に加えまして、物流施設の現状や今後の需要見込みについての調査を行ってまいります。
 都において設置する協議会、これを近々開催いたしまして、市街化調整区域や農業振興地域などにおける開発のあり方につきまして検討を開始していく予定でございます。

○石森委員 もう既に青梅市では、推進会議が存在してさまざまな議論が行われているようでありますし、我が八王子市も、今月の十四日には、民間団体並びに企業が参加する圏央道八王子西インターチェンジ物流拠点推進協議会が設立される予定になっております。
 都としては、これらの地方自治体の動きに対して、どのように今後かかわって支援されていくのか、お示しいただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 地元自治体の動きについての認識といいましょうか、支援方法というようなことのお尋ねかと思いますけれども、間もなく圏央道と中央道がつながる、こういう状況を受けまして、圏央道沿線の各市町におきましては、物流拠点整備に向けたさまざまな動きがある、こういうことはよく承知しております。
 都といたしましては、設置を予定している都と関係市町から成る協議会を活用いたしまして、物流拠点整備の具体化に向けた取り組みを進めている市並びに町に対して、広域的な観点から支援に努めてまいりたい、このように考えております。

○石森委員 私は、もっと東京都がイニシアチブを持って積極的にかかわるべきだと思います。
 特に八王子市は、現況が山林でございまして、開発の関係あるいは周辺道路の整備の問題等、東京都なしでは先に進まないといったような、そんな課題が数多く存在いたします。
 この新たに立ち上がる協議会については、都としては現状不参加というような意向を示されておりますけれども、ぜひ今後は参加を検討していただいて、議論の中心に入って、そういうこともこれから必要だと思いますので、その辺、ぜひ要望しておきたいと思います。
 それからもう一つ、八王子市内には、中央道八王子インターチェンジ周辺が候補地とされておりまして、ここには広大な都有地が現在、存在いたします。業務核都市としても指定されているこの場所については、八王子の今後のまちづくりの上でも大変重要な地域でもありまして、都有地の活用方法によっては、そのまちづくりに大きな影響を及ぼすことが考えられます。
 この都有地の有効活用を検討されているのは都市整備局でもございますから、この地域についての現状の考え方をぜひお示しいただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 西南部物流拠点の選定につきましては、高速道路インターチェンジ周辺であることや、まとまった用地が確保できることなどの条件により、候補地を五カ所選定してございます。これは今までお話があったとおりでございます。
 お話しの土地といいますのは、候補地五カ所のうちの一つであることから、先ほどお話しした協議会の中で、物流拠点としての適否につきまして検討してまいりたい、このように思っております。

○石森委員 この土地については、もう大分前に財務局に引き継がれておりまして、都市整備局の考え方が及ばないというような、そんな状況は承知しているのですけれども、八王子の将来構想や実態については、より都市整備の方が理解されていると思いますので、ぜひいろいろな情報を財務局の方にも伝えていただいて、より市としてのまちづくりがしやすい、そんな環境整備を整えていただきたい、これも要望しておきたいと思います。
 次に、多摩ニュータウン事業についてお聞きをしたいと思います。
 この事業については、ご承知のとおり、高度経済成長期における東京への急激な人口増加による深刻な住宅難に対応するため、昭和四十年に新住宅市街地開発事業区域を都市計画決定して、翌年、昭和四十一年に事業着手してから、もう既に四十年が経過いたしました。
 当初は住宅の大量供給が主たる目的でありましたけれども、時代の要請から徐々に質の向上が図られまして、現在では、道路、公園等の都市基盤は世界有数の高水準で整備され、職住近接の自立性の高い都市が形成されているところであります。
 この間、平成十五年度に都施行の新住宅市街地開発事業、土地区画整理事業、平成十七年度には都市再生機構の開発事業がそれぞれ終了し、現在の事業の中心は宅地販売となっております。
 この宅地販売収入だけでは、残された都債の償還は厳しいといわれておりますが、財政的に適切に対応しつつ、宅地販売を通じたまちづくりを積極的に進めていくことも重要だと思います。
 そこでお尋ねいたしますけれども、多摩ニュータウンの今後の都の販売処分予定地は、八王子市の六十ヘクタールを含め八十ヘクタールとお聞きしておりますけれども、現在の販売状況と今後の見通しについてお聞かせをいただきたいと思います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンに関係してでございますが、東京都はこれまで、働き、住み、学ぶ、憩う、こういったことを基本に多摩ニュータウンのまちづくりを進めてまいりました。また、この間、土地利用計画に基づきまして積極的な宅地販売に努めてきたところでございます。
 この結果、東京都が造成した全宅地は四百九十ヘクタールでございますが、前年度末までに残された宅地は、今、委員ご指摘のように約八十ヘクタールでございます。今年度末には約六十七ヘクタール程度になるという見込みでございます。そのうち八王子市につきましては、約五十二ヘクタール程度と見込んでおります。
 今後、八王子市に残された販売予定地につきましては、小学校の受け入れ容量を勘案しつつ開発するなど、課題を有する箇所もございます。このため、地元市や関係者と十分連携、調整しつつ、多摩ニュータウンのまちづくりに努めてまいります。

○石森委員 販売されることによって特に問題とされるのが、地元住民のマンション建設に伴うトラブルでございますけれども、東京都が宅地販売するに当たり、その辺についてはどのような対応をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 東京都のマンション用地の販売につきましては、従来から地元市と十分協議を行った上で販売を実施しております。
 八王子市の例で具体的に申し上げますと、年度当初に分譲予定地をお示しし、それぞれの宅地の販売に当たりまして、戸当たり面積でありますとか戸数など、公募条件について協議を行っております。
 また、民間の分譲事業者に対しましては、日照や周辺環境などに十分配慮するといったほかに、近隣の住民の方に丁寧な説明を行うよう、強く指導しているところでございます。
 今後とも、地元市と密接に協議を行うとともに、事業者に対する十分な指導に努めまして、事業を円滑に進めてまいりたいと考えております。

○石森委員 極めて慎重に販売されているというようなご答弁でございますけれども、先に居を構えておられる先住住民の権利保護、あるいは良好な環境を維持する上でも、今後ともトラブルが起こらないように万全の体制で取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都営住宅について何点かお尋ねをしたいと思います。
 議員という立場におりますと、都営あるいは市営住宅に入りたい、そんな要望が結構舞い込んでまいりますけれども、とにかく抽せんですよというようなお話をいたしますが、それでもいろいろな方からの要望があるわけでございますけれども、現在、東京都では、老朽化している団地については、かなり急ピッチで建てかえあるいはスーパーリフォームを実施されております。
 八王子市内でも新しい団地が次々に完成しておりまして、周辺整備も同時に行いますから、すばらしい街並みに変化しておりますけれども、老朽化した小規模団地については、原則取り壊しというような方向性、方針になっております。
 この小規模団地について、都営住宅移管は、特別区に対してはある程度進んでいるようでありますけれども、多摩地区の市部では、移管の話というのは余り聞いたことがないのですけれども、その辺の状況はどうなっているのでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 小規模な都営住宅の市への移管についてでございますが、住宅政策の推進に当たりましては、区市町村が住民の身近なところでまちづくりや福祉施策と連携し、地域の実情に応じたきめ細かい施策の展開を図っていくことが重要であると考えております。
 このため、従来、都が中心となって行ってまいりました公営住宅の供給につきましても、区市町村の役割を高めていくことが必要ということで、おおむね百戸程度の小規模な都営住宅を対象として移管を進めているところでございます。
 特別区の移管については、都区協議会の場で合意に基づきまして、昭和六十一年以降移管を進めてまいりまして、これまで約九千戸、移管しております。しかしながら、市につきましては、各市に対して個別に都営住宅移管を働きかけておりますが、なかなか具体的な協議に至っておりません。
 今後は、多摩地域の各市につきましても、理解が得られるよう粘り強く働きかけを続けまして、移管の推進に努めてまいりたいと考えております。

○石森委員 特別区と多摩とは状況が異なっているようでありますけれども、市部においては、百戸以下の小規模な都営住宅の団地数はどれくらい存在して、そのうち老朽化による撤去というのはどの程度進められているのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

○清水参事 市部におきます百戸以下の都営住宅でございますが、現在三百三十一団地ございます。
 これらの小規模な団地のうち、昭和三十年代以前に建設された老朽化した団地は三団地ございます。現在、八王子市と立川市の二団地で撤去事業を進めております。

○石森委員 今お話のあった、八王子市にあります都営八王子アパートなんですけれども、ここは、三千平米の土地の上に建つ、管理戸数四十戸の小規模団地でありますけれども、ことしの四月に、解体撤去する旨、地元町会に知らせがあったようであります。
 余りに突然だったために、地元の皆さんも大変驚かれたというようなところでございますけれども、このような小規模都営住宅を撤去した場合の跡地利用について、都としては、地元との調整など、どのように進めていくのか、ご見解をお示しいただきたいと思います。

○清水参事 小規模な都営住宅の再編整備を進める中で、住宅の撤去により生み出した用地につきましては、都といたしましては、地域の特性や敷地の状況等を踏まえながら、活力のあり方を検討した上で、地元の市と協議、調整を行いながら活用策を検討してまいります。

○石森委員 この場所は京王八王子駅に近いこともありまして、地元住民あるいは八王子市としても、緊急時の避難場所となる公園として整備したいというような、そんな要望もございますので、ぜひその辺は今後ご配慮をお願いしたいと思います。
 若干、時間オーバーしておりますけれども、最後に、都営住宅の入居についてお聞きをしたいと思います。
 公営住宅法が高齢者や身障者の単身入居制度を導入したこともあって、より多くの方が入居を希望されておりまして、あわせて、近年、住宅困窮の事情も多様化している状況にございます。
 そのうちの一つに、現在、深刻な社会問題とされているDV、ドメスチックバイオレンス被害でありますけれども、政府の調査によると、二十人に一人の女性が、夫あるいはパートナーから命に危険を感じるほどの暴力を受けていたというような報告がされております。
 このような被害者の入居に対して、都営住宅はどのような対応を行っているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 DV被害者に対する都営住宅の対応についてでございますが、都におきましてはこれまで、DVによる、事実上婚姻関係が破綻していることが公的機関の証明によりまして確認できる場合につきましては、ひとり親世帯または高齢単身世帯として都営住宅への入居の資格を認めております。さらに、本年二月には、単身者について、年齢にかかわりなく入居者資格を認めることといたしました。
 DV被害者を含むひとり親世帯につきましては、住宅困窮度が高いことを考慮いたしまして、当せん倍率の優遇を行うとともに、住宅困窮度の高い順から入居していただくポイント方式の対象ともなっております。
 そのほかに、母子生活支援施設転出者、それから、宿泊所等からの転出者向けの特別の募集枠によってもDV被害者の入居は可能でございます。

○石森委員 もう既にそれなりの対応はされているというようなご答弁がございましたけれども、DV被害者は、転居の際に居どころを隠したり、住民票の異動をちゅうちょするといったようなことがありますけれども、都内在住を条件とする都営住宅入居審査に際し、どのような配慮をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅では、お話のとおり、当せん者に対する入居資格審査の際に、住民票により住所を確認しております。
 住民票を異動するのが困難で提出できない方につきましては、DVの被害者であることに配慮いたしまして、住民票にかえて、住んでいるところの福祉事務所長の証明書、あるいは、場合によっては光熱水費の請求書を提出してもらい確認するなど、弾力的に対応させていただいております。

○石森委員 先ほど、ひとり親世帯については、当せん倍率優遇やポイント方式募集などの既存の制度を活用して優先入居の取り扱いを受けているというようなお話がございましたけれども、DV被害者自体を対象とした優先入居については、今後どのように対応されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 DV被害者の対応につきましては、本年六月の東京都住宅政策審議会答申では、住宅に困窮する事情が多様化している現状を踏まえ、優先入居の対象とするなどの検討を行うべきとされております。
 現在、提言の趣旨を踏まえまして、既存制度に加えて、DV被害者を対象とした優先入居について検討中でございます。

○石森委員 DV被害者は、その場から逃れるために、突然住まいを失うというようなこともございます。そのような被害者を保護する場合、福祉事務所などが窓口になって、一時保護施設で保護することになりますけれども、精神的、法的、経済的など、さまざまな支援が必要となります。
 福祉施策との関連でいろいろな課題があろうかと思いますけれども、より多くの被害者を救うためにも、都営住宅の有効な活用もぜひ速やかに検討していただくように要望して、質問を終わります。

○松下委員 私からは、三点にわたりまして質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、都営住宅について幾つかお伺いいたします。
 いうまでもなく都営住宅は、真に住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で賃貸する住宅であり、都民生活のセーフティーネットとして重要な役割を担ってきております。
 平成十四年に策定されました東京都住宅マスタープランの中では、今後十五年を見据え、都営住宅制度の抜本的改革として、建てかえによる都営住宅団地の再編整備や、今ある都営住宅の千九百ヘクタールの団地敷地、約二十六万戸のストックを有効に活用し、まちづくり施策や福祉施策などと連携した居住施策として、民間住宅施策とともに効果的、効率的に展開していくと書かれております。
 そこで、都営住宅の建てかえにおける基本的な考え方についてお伺いします。

○清水参事 都営住宅の建てかえにつきましては、現在、昭和三十年代以前に建設された約二万五千戸を対象に実施しております。
 建てかえに当たりましては、老朽化した都営住宅を更新するだけではなく、敷地の高度利用により生み出した土地を有効に活用し、地域の活性化や防災性の向上、住環境の整備など、地域のまちづくりの課題に的確にこたえていくことが重要であると考えております。

○松下委員 この事業概要にも、老朽化した都営住宅の建てかえは、都の住宅施策の重要な柱の一つであると書かれています。
 対象団地のほかに、建てかえ実施の基準としては、原則として、計画戸数が百戸以上であるものや老朽化が著しいものなどといった基準も設けられているようです。百戸以上というと大規模な都営住宅であるかと思いますが、この大規模な都営住宅の建てかえでは、今、ご答弁ありましたように、敷地の高度利用により新たな用地が生み出されています。
 都では、敷地の高度利用により生み出された創出用地をまちづくりに活用するため、民間活用事業を行っておりますが、その基本的考え方についてお伺いいたします。

○清水参事 都営住宅用地を活用した民間活用事業についてでございますが、この事業は、都営住宅の建てかえにより創出した用地につきまして、事業性を精査の上、地域特性を踏まえながら、民間事業者の創意や工夫を活用して、良質で多様な住宅の供給や少子高齢化への対応、地域の活性化など、多様な視点から都市再生を進めるものでございます。

○松下委員 事業性を精査の上、地域特性を踏まえながら、民間事業者の創意工夫を活用して多様な視点から都市再生を推進とのこと、この創出用地、都有地を活用したまちづくりの推進は、先行まちづくりプロジェクト等、平成十八年度重点事業として取り組まれているようです。
 そこで、多摩地域で東村山市本町地区プロジェクト、都心地域で勝どき一丁目地区プロジェクトの民間活用事業を行っておりますが、このおのおのの事業の目的と今後の予定についてお伺いします。

○清水参事 東村山市本町地区プロジェクトについてでございますが、このプロジェクトは、定期借地権制度を活用し、広くて質がよく低廉な戸建て住宅を供給することによりまして、住宅市場に刺激を与え、市場の構造改革を促進するとともに、ゆとりのある美しい住宅市街地の形成を目指す、多摩地域の郊外型モデルプロジェクトでございます。
 全体戸数は二百八十戸で、そのうち百戸で住宅価格を三割引き下げるなどの実証実験を行っております。
 現在、第一期分として、実証実験を含む約五十戸の住宅の建設に着手したところでございます。平成十八年度末には販売される予定でございます。
 次に、勝どき一丁目地区プロジェクトでございますが、このプロジェクトは、定期借地権制度を活用して、民間事業者が都心居住の推進に向けて良質な民間賃貸住宅を供給するとともに、子育て世帯が安心して快適に暮らせるように、子育て世帯向け住宅と保育、医療などの子育て支援施設を整備し、あわせて商業などの地域活性化施設の整備を行い、にぎわいのあるまちづくりを行うものでございます。
 現在、事業者が設計等を実施しているところであり、平成十九年度末に工事着手の予定でございます。

○松下委員 市部と区部との違いもあるかとは思いますが、全く異なる目的を持ち、おのおのの事業が実施されているようですが、これらは地域ごとの課題に対応したものになっているのか、確認する意味でお伺いしたいと思います。
 これらの民間活用事業の実施に当たり、地元の区や市とどのような協議を行っているのか、お伺いいたします。

○清水参事 都営住宅を活用した民間活用事業の実施に当たりましては、地域ごとの課題への対応や地域特性を生かしたまちづくりなど、基本的な事項について、地元区市と協議を行っております。
 事業の実施に当たりましては、今後とも、地元区市と十分連携をとりながら進めてまいります。

○松下委員 ぜひ地域の課題に対応した課題解決型のプロジェクトを行っていただきたいと思います。地元区市との連携はもとより、地元住民や広く都民の意見も募集し、積極的に取り入れていただきたいと思います。
 私の地元の武蔵野市でも、現在進行中の大規模都営住宅の建てかえにより、新たにできた建物は高く、創出用地が生み出される可能性が高いことが地元住民には目に見えてわかっておりまして、このあいた空間をどう活用するのだろうか、勝手に売られたりしないだろうか、既に期待や不安が地元では入りまじっている現状です。
 何期かに分けて建設期別の事業を行っておりますので、すべての建てかえが終わるまでには、これからまだ年月が必要かと思いますが、ぜひいたずらに不安感をあおることのないように地元との協議をしっかり早く行って、これから創出用地の活用については、しっかりとした合意形成を図っていただきたいというふうにご要望いたします。
 次に、先ほど石森委員からも小規模都営住宅の市への移管のご質問があり、若干重なる点もあるかと思いますが、切り口も異なりますので、私からも何点かお伺いしたいと思います。
 多摩地域における小規模都営住宅の市への移管に対する基本的な考え方についてお伺いいたします。

○中沢区市町村調整担当部長 市への小規模な都営住宅の移管についてでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、住宅施策の推進に当たりましては、区市町村が住民の身近なところでまちづくりや福祉施策と連携し、地域の実情に応じたきめ細かい施策の展開を図っていくことが重要ということで考えております。
 このため、従来、都が中心となって行ってまいりました公営住宅の供給につきましても、区市町村の役割を高めていくために、おおむね百戸程度の小規模な都営住宅を対象とした移管を進めているところでございます。

○松下委員 市への小規模都営住宅の移管は重要とのお答えですが、東京都住宅マスタープランの中でも、都営住宅制度の抜本的改革として、東京都と区市町村の適切な役割分担があり、移管の着実な推進、区市町村の住宅供給への支援というものがあります。
 また、本年六月に、東京都住宅政策審議会答申、東京における新たな住宅政策の展開についてが発表されており、その中で、重点施策として都営住宅のセーフティーネットの強化が取り上げられ、中でも住宅セーフティーネット機能に果たす区市町村の役割は重要であるので、引き続き区市町村への移管を推進すべきであると書かれています。
 そこで、市移管の現在の状況と今後の取り組みについてお伺いします。

○中沢区市町村調整担当部長 都営住宅の市への移管の現状と今後の取り組みについてでございますが、市への都営住宅の移管につきましては、平成十三年に、各市と個別に協議することで市長会の了承を得られましたが、具体的な協議の段階に至っておらないというのが現状でございます。
 現在、市町村協議会の場を利用して働きかけるほか、各市に対しまして、移管の意義ですとか財政上の負担のないこととか、建てかえ時には高齢者施設等の併設も可能であるといった移管のメリットについても説明をさせていただいております。
 今後も、各種の理解が得られるよう粘り強く働きかけを続け、移管の推進に努めてまいります。

○松下委員 具体的な協議の段階に至っていないということは、現在、移管の実績はない、現在はゼロだということだと思います。市への移管は重要ととらえているのに、実績がないのはいかがなものかと思います。ぜひ引き続き、移管の意義を丁寧に説明され、今後、実績をつくっていただきたいと思います。
 例えば、自治体内の他の公営住宅の建てかえや、都市計画道路の整備に伴うまちづくりに合わせて移管を行うとか、また、大規模都営住宅の建てかえで行っているような地域の課題解決に利用できないかなど、例えば市長会で改めてお話をしていただくなど、さまざまな角度から検討していただき、説明方法についても工夫されることを要望したいと思います。
 次に、駅前広場の整備についてお伺いいたします。
 鉄道駅とその周辺は、都民生活や企業生活を支えるまちの拠点であり、駅前広場は、鉄道への乗りかえ利便性の向上を図るとともに、多くの人々が集うまちの顔としても重要な都市基盤であり、道路本線と同様、早期に整備することが望まれております。
 そこで初めに、駅前広場の持つ意義と目的について都の見解をお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 駅前広場についてのお尋ねでございますが、駅前広場は、駅周辺に集中する複数の交通機関や歩行者を安全で円滑に処理する交通結節機能や、都市活動や人々の交流の拠点としての機能はもとより、駅におり立つ来街者を迎えるといった、その地域を特徴づけるまちの玄関口としての機能など、多様な役割を担う重要な都市基盤でございます。
 こうした機能を確保するため、駅前広場を都市計画として位置づけ、都市の将来像や都市全体の施設計画、交通計画などとの整合性、一体性に配慮しつつ、着実に整備を進めていくことが重要であると認識しております。

○松下委員 駅前広場は重要な都市基盤と認識され、これまでも駅前広場の整備を進めてきているところではありますが、その整備はいまだ十分とはいえない状況にあるかと思います。
 現在、都内における駅前広場の都市計画決定箇所数と、その整備状況についてお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 都内の駅前広場の整備状況についてのお尋ねでございますが、平成十八年三月末現在におきまして、都内で都市計画決定されている駅前広場は二百三十六カ所ございまして、このうち、おおむね六割が整備されております。

○松下委員 駅前広場の着実な整備を進めていくためには、道路本線と同様に、優先的に整備すべき広場を選定するなどして効率的に整備していくことが必要かと考えます。
 駅前広場整備の優先順位については、都はどのように考えているのか、お伺いいたします。

○石井都市基盤部長 駅前広場整備の優先順位につきましては、区部及び多摩地域の都市計画道路の整備方針に示されている基本目標を踏まえまして、駅周辺における自動車交通の円滑化や交通結節機能の強化、あるいは地域の防災性の向上、地域のまちづくりに対する誘導効果などに照らしまして選定を行ってきております。
 この結果、区部では十二駅、十三カ所、多摩地域は十六駅、十七カ所を、道路本線と同様に、平成二十七年度までに優先的に整備すべき駅前広場として第三次事業化計画に位置づけております。

○松下委員 着実に事業化計画を進めていただきたいとは思いますが、これまでも述べてきたように、先ほどは、全体のおおむね六割の整備と。駅前広場の整備が急がれる一方で、実現についてはさまざまな課題があるのかと思いますが、都民の利便性や駅前における歩行者の安全性確保などの観点から、今後も都として駅前広場の整備を積極的に進めるべきと考えます。
 そこで、未整備の駅前広場に対する都の今後の取り組みについてお伺いします。

○石井都市基盤部長 駅前広場は、道路と同様に、都市の活動を支える重要な都市基盤ということは今お話ししたとおりでございまして、副委員長ご指摘のように、早期整備が望まれておるわけでございます。
 このため、区部及び多摩地域における第三次事業化計画に位置づけられた駅前広場につきまして、区市との適切な連携のもとに着実に整備を進めてまいりたい、このように考えております。
 また、その他の駅前広場につきましても、駅前再開発などのまちづくりの機会、こうした機会を的確にとらえながら整備促進を図ってまいりたい、このように考えております。

○松下委員 ぜひ、区市と適切な連携のもと、着実に整備を進めていただきたいと思いますし、また、再開発やまちづくりの機会、アンテナを張りめぐらせて、都施行以外の市施行または区施行の駅前広場に関しても、積極的に都が整備推進に向けて力を発揮していただきたいというふうに思います。
 私も、ふだん駅を利用しておりますが、ぜひ、まず足を運んで見ていただきたいと思います。駅前でバスターミナルのない、バス停が道路に設置されているような駅では、歩行者と乗用車とバスが、もう双方向にというか、非常に雑多に駅前に入り込んでいて、いつけが人が出てもおかしくないのではないかという大変な危険な場所もございます。
 ぜひ都市計画決定をして、あとは市施行となれば市の努力というのはもちろんだと思うのですけれども、皆様も駅前広場に足を運び、整備に向けてなお一層努力をしていただきたいと要望したいと思います。
 最後に、東京メトロ丸の内線における可動式ホームさくの設置についてお伺いします。
 私は、本年三月の予算特別委員会において、鉄道自殺防止や安全対策の観点から、また多くの都民が人身事故による鉄道遅延で不利益をこうむらないためにも、可動式ホームさくの設置を積極的に進めてほしい、都としても、鉄道事業者がホームさくを設置するように積極的に関与してほしいといった視点で質問を行いました。
 実現に向けては、まだまだ解決しなければならない課題がたくさんあることもわかりました。その後、三月の質問後、六月ごろからでしょうか、東京メトロ丸ノ内線の本線のホームに工事が始まり、西新宿から荻窪にかけて、東京メトロはホームドアというふうに呼んでおりますが、ホームドアが設置されております。
 私自身、通常はJR中央線を利用して、地元から都議会まで来ておりますが、中央線の人身事故などで電車がとまってしまったときには、地下鉄を乗り継いで、丸ノ内線に荻窪から乗り、西新宿経由で都議会に来ております。たしか九月には工事も終わり、ホームドアが順調に稼動していたのを、乗っている地下鉄から、とてもうれしい思いで眺めました。
 そこで、東京メトロ丸ノ内線のホームさく設置事業の目的、内容や現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 このホームさく設置事業は、ホームからの転落や列車との接触などによる事故防止を図るため、東京メトロが地下鉄丸ノ内線の全二十八駅に可動式のホームさくを設置するものでございます。
 平成十六年五月に中野坂上駅から方南町駅間の四駅に設置して以来、本年十月末までに、池袋駅や新宿駅など計十二駅に設置済みでございます。残る十六駅につきましても、平成十九年九月までに設置される予定となっております。

○松下委員 丸ノ内線に全駅設置されるということは、延伸や新線整備を伴っていない既存の鉄道路線への全駅設置として初めてのケースではないかと私は思います。
 予算特別委員会で、ホームさくの設置に向けては、三月にどのような課題があるのかお伺いしたところ、ホームさくは事故防止に有効な施設ではあるが、既存駅への設置にはさまざまな課題があるということ、設備面からは、車両扉の位置の異なる列車への対応、ホーム幅の減少、また輸送面からは、停車時間の増大による輸送力の低下や、混雑時におけるさくの開閉に対する安全確保などが課題となっていると、当時の都市整備局長からご答弁をいただいております。
 そうした課題が解決して、東京都の報告団体でもある東京地下鉄株式会社、東京メトロが丸ノ内線に全駅ホームさくを設置予定という事実は非常にうれしく、どういった形で課題を解決したのか、今後も参考にしていただきたいと思いますが、東京メトロ丸ノ内線のホームさく設置事業について、都はどのようにかかわっているのかお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 都は、ホームさくの設置事業につきまして、地下鉄駅の大規模改良工事に対する補助事業、こういう事業があるわけでございますが、この補助事業として、国とともに補助を行っております。
 お話の丸ノ内線のホームさく設置事業に対しましては、東京地下鉄株式会社の申請に基づき、平成十六年五月にホームさくが設置された中野坂上駅から方南町駅までの四駅を初め、これまで設置された全十二駅につきまして補助金を交付してきております。

○松下委員 補助金を交付している立場からも、東京都は、今後この事業の効果をぜひしっかり検証していただきたいと思います。
 さくをつけたことで、転落や接触など、事故は本当に減ったのか、さく設置により列車の遅延は起こっていないか、費用対効果はどうかなど、都が直接の事業主体ではないとしても、こうした先進事例について学び、他の鉄道事業の安全対策にも積極的に生かしていただきたいとご要望して、私の質問を終わります。

○高倉委員 私からは、簡潔に二点についてお伺いをしたいと思います。
 一つは、総合的な治水対策の推進でございます。
 昨年の九月四日の集中豪雨におきましては、杉並区で一時間に一一二ミリという、これまでの想定を超える豪雨が降りまして、中野区や杉並区などを含めて、都内で五千世帯を超える浸水被害が発生したわけであります。私も現場におりまして、あっという間に川の水があふれ出す状況を目の当たりにしまして、都内の集中豪雨の恐ろしさを改めて痛感したわけであります。
 被害が大きかった妙正寺川などでは、激特事業によりまして、大きく水害対策が進むことになっていまして、流域に住む皆さんの期待は大変に大きいわけでありまして、ぜひともこの事業の精力的な推進を私は強く望んでいるところであります。
 時間一〇〇ミリを超える豪雨は、昭和六十二年以降、都内で六回降っているようでありまして、そのうちの五回は平成十一年以降に集中しておりまして、しかも、そのほとんどが区部で発生をしている、こういう状況であります。
 昨年の集中豪雨は、こうした、近年都内で顕著になっている現象を象徴しているものであると思っております。都内における総合的な治水対策を考えるに当たっては、従来の延長線上での対策だけではなくて、短時間で一気に大量の雨を降らす豪雨が頻発をする、こうした状況を踏まえた新たな方策を積極的に進める必要があると思っております。
 都では、現在、都市整備局が中心となりまして、豪雨対策基本方針の策定を進めておりますけれども、その方針の中には、当然、近年の集中豪雨の特性に対する、効果的で新たな対策が盛り込まれるべきと考えております。
 豪雨対策基本方針を策定する理由と現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○石井都市基盤部長 都は、時間五〇ミリの降雨に対応するための河川や下水道の整備などを鋭意進めてきておりまして、昨年九月の豪雨におきましても、多大な浸水被害が発生している一方で、整備が完了した地域につきましては浸水被害が少ないなど、確実にその効果が発揮されている面もございます。
 しかしながら、河川や下水道などの治水施設の整備には時間がかかることから、流域全体の浸水被害を早急に解消することは困難な状況にございます。
 こうした現状を踏まえまして、都は今年度、先ほどお話がありましたように、重点事業といたしまして、より効果的、効率的な治水対策を実現するとともに、公民の役割分担を明確にするため、東京都豪雨対策基本方針を策定することといたしました。
 その後の進捗についてでございますが、本年五月に河川、下水道、気象などの学識経験者などから成る東京都豪雨対策検討委員会を立ち上げまして、現地調査を含めまして、降雨や浸水被害の状況、治水対策の現況、今後の対策の方向性などについて、これまで三回委員会を開催し、議論をいただいているところでございます。
 今後、本委員会からの答申を踏まえ、早期に基本方針を策定していきたい、このように考えております。

○高倉委員 基本方針の策定に向けて早急に作業を進めて、住民が納得できる安全確保の取り組みを進めていただきたいと思います。
 水害対策を進めるに当たって、都市整備局としては、主に流域対策を進めるという責務を担っていると思います。私は、総合的な治水対策を進める中で、河川や下水道から水があふれた場合、その被害を最小限にするような、まちづくりにおける対策も非常に重要ではないかと考えております。
 昨年の集中豪雨では、半地下の車庫や地下室などが大きな被害を受けております。水害のおそれのある流域において、住宅の地下を活用せざるを得ない、こうした状況について、例えば高さ制限の緩和や地下利用の規制といった対応を進めることによって被害を抑えることができると思っております。このことにつきましては、昨年の本会議で、東京都から、地区計画を活用した方策を検討していくという旨のご答弁をいただいております。
 妙正寺川が流れる中野区では、昨年の豪雨の後、床上浸水などの被害が発生しやすい地域を対象としまして高床工事の助成事業を実施して、あわせて、流域の広い範囲にわたって高度地区の変更を行っております。
 昨年の答弁の後、都市整備局では、被害の発生した区を回って状況を調査したというふうに聞いておりますけれども、水害の発生が予想される都市河川を抱える各区において、まちづくりの側面からの水害対策を誘導するよう、積極的な取り組みを都として進める必要があろうかと思っております。
 今後、都市整備局として、こうした水害対策を推進していくことについてのご所見をお伺いしたいと思います。

○金子市街地建築部長 浸水が予想される地域では、防水板の設置など、みずからが対策を講じることが基本でございますけれども、これに加えまして、まちづくりの面から建築物の地下利用のあり方を検討することも重要であると考えております。
 都は、区市町村と連携いたしまして、浸水対策を定めたガイドラインなどにより、建築物の震災対策の具体的な方法について、都民や事業者に対して周知を図ってまいりました。
 さらに、まちづくりの面からの建築物の地下利用のあり方につきまして、東京都豪雨対策検討委員会の主要な検討項目の一つとして位置づけまして議論をしているところでございます。
 今後、委員会の意見などを聞きながら、区市町村との連携による都市計画的な手法の活用などについて検討を進めてまいります。

○高倉委員 次に、十八年度の重点事業ともなっています建築物の安全向上の中で、エレベーターの安全性向上についてお伺いしたいと思います。
 ことし六月、港区の公共住宅のエレベーターで利用者が死亡する事故が発生をいたしました。都では、事故があったものと同じメーカーのエレベーターが設置をされている都営住宅などの調査を実施して、ふぐあいはなかったというふうにされているわけでありますけれども、また、昨年の千葉県北西部地震によるエレベーター閉じ込め事故なども相次いでおりまして、対策が不可欠でございます。
 エレベーターの安全確保について、このほど、国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会が中間報告を出しております。この中には、エレベーター設置時の安全確保のための施策としまして、運転制御プログラムから独立をした、扉があいたままの走行を防止する装置、あるいは制動装置の二重化といったものを義務化する、このようなことも記されております。
 この中間報告の内容、あるいはそのポイントはどういうものであるかということについて、都市整備局のご認識をお伺いしたいと思います。

○金子市街地建築部長 本年六月に発生いたしましたエレベーターの事故の後でございますけれども、国土交通省は、社会資本整備審議会の部会で対策を検討いたしまして、先ほどお話しのありましたように、九月に中間報告を発表しております。
 その内容の主なものは、第一に、制動装置の二重化等の義務化など、設置時の安全対策の向上、それから第二に、定期検査の実施方法の見直しや定期報告の内容の充実など、設置後の安全確保のための施策の充実、第三に、全国規模で収集、類型化を行うなど、ふぐあい情報の共有等のための仕組みの構築の三点でございます。

○高倉委員 国は、このエレベーターの安全確保については法改正を行っていくようにもお聞きをしております。
 先ほどの中間報告でも言及をされているエレベーターの制動装置の二重化、これの法制化につきましては、海外では一九九〇年のカナダを皮切りに、ヨーロッパ、韓国、香港などで推進をされているというふうにお聞きをしております。そして、海外でも、品質精度の高い日本製のエレベーターにも二重安全ブレーキ装置が設置をされている、このようにもお聞きをしております。
 今回事故のあった港区では、その公営住宅のエレベーターの交換を進めるに当たりまして、最新のものを取りつけた後に法整備が行われて、その最新のものがいきなり古くなってしまうというようなことにならないように今、検討を進めていると、このようにもお聞きをしました。
 日本国内のメーカーでは、まだ二重化の対応がなされていないというふうにもお聞きをしております。
 さきの国土交通省の対策部会の中間報告は、いずれも、その対策に時間を要する内容となっておりますけれども、早急に対応が必要なエレベーターの安全性の向上について、都市整備局の所見をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。

○金子市街地建築部長 エレベーターは、都市生活を営む上で欠くことのできない施設でございまして、その安全対策を講じることは極めて重要であると考えております。
 中間報告の内容のうち、安全装置の改善ですとか定期報告の制度改正などにつきましては、最終報告を経て、法改正により具体化されるものでございます。
 一方、ふぐあい情報等の共有化につきましては早急に取り組める課題でございまして、都といたしましては、日常生じるふぐあいや小さな事故情報、いわゆるヒヤリハット情報、これを保守点検に活用することは、未然に事故を防止するために大変重要であるというふうに認識しております。
 このため、国と連携いたしまして、現在、試験運用中の情報収集システムの充実を図ることによりまして、情報共有の仕組みが早期に構築されるよう取り組んでまいります。
 また、区市や関係団体などと連携いたしまして、エレベーターの所有者や管理者に対して、ヒヤリハット情報の活用の重要性について周知を図るとともに、エレベーターの安全対策に必要な情報を積極的に提供してまいります。

○村松委員 私からは、二つのテーマで質問をいたします。
 初めに、東京の緑地行政について伺います。
 この緑地の問題は、都市整備局にも関係があったり、環境局にも関係あったり、建設局にも関係あるということで、これは全庁的な立場をとる必要があるなというふうに思います。
 というのは、ことし、東京都の環境局で環境白書というのを三月に出しました。この環境白書の中には、本当に深刻な問題として、地球の温暖化とヒートアイランド現象ということがありまして、気象庁が二〇〇六年の二月に、日本の年平均気温は過去百年で約一・〇六度上昇し、特に一九九〇年代初め以降は高温となる年が頻発して、このような長期的な気温上昇には地球温暖化の影響が考えられると分析していると。
 日本の年平均の気温が一・〇六度、じゃあ地球全体はどうかというと、〇・六度なんですね。東京都はどうかというと、東京は過去百年間に約三度気温が上昇し、地球全体の平均〇・六度をはるかに上回るスピードで温暖化が進んでいる、このように書かれております。
 続いて、じゃあほかの市はどうかなと、ニューヨークとかロンドン、そういうところも調べた資料があるのですけれども、こういう状況の中で、地球温暖化によって異常気象が各地で多発しているわけですが、ヨーロッパで、二〇〇三年の夏に記録的な熱波に襲われて、熱波による死者がフランスで約一万四千八百人なんですね。ポルトガルで約二千百人、イタリアで約三千百人、イギリスで約二千人と、ヨーロッパ各地でこういう大きな被害が出ております。
 ちなみに、フランスの八月の平均最高気温というのは二十四度だったというんですね。ところが、この年の八月は四十度を超えて記録したというわけですから、こういう異常気象、まさに異常気象だろうなというふうに思うわけです。
 それだけに、こうした地球規模の変化の中で、東京の気温が三度の上昇、地球全体の五倍に当たる上昇が東京はあるのだ、そういう中で、やはり私は、まちづくりへの警鐘だというふうに受けとめなければいけないのじゃないかなというふうに思います。この気温の上昇を抑える取り組みは、今、都政の待ったなしの課題じゃないだろうかと思うわけです。
 そういう中で、この報告、東京都の環境白書を受けて、オール都庁でいろいろな対応を考えたと思うのですが、都市整備局としてはこの問題をどのようにとらえたのか、最初に伺いたいと思います。

○石井都市基盤部長 局がいろいろまたがっているというお話がございましたけれども、東京都に関して、緑の保全にかかわる局の関係というのを先に少しご説明させていただきたいと思います。
 環境局は、緑の保全に関しましては、自然公園行政や多摩地区の丘陵、崖線などの民有地の緑の保全策や活用策を担当しております。建設局は、原則として都市計画に基づく都市公園、緑地の整備を担当してございます。都市整備局は、都市計画公園、緑地等の配置、規模、性格に配慮した計画の全体方針の策定や事業の進行管理を行うほか、都市計画公園にかかわる許認可並びに区域の調整を担当してございます。
 ざくっと申し上げますと、環境局は緑を守る側にいて、都市整備局もその一部を担ってはおりますが、一部で都市計画公園等の整備のための基本づくりをしていく、こういうような関係かと思います。
 そういう中で、先ほどありました環境局の計画に対しまして、私どもはみどりの新戦略ガイドラインというのを策定いたしまして、風の道を形成するための道路や河川等を骨格とする緑の軸の充実などについていろいろと検討してきている、こういう状況でございます。

○村松委員 局をまたいで緑地のいろいろな事業がされているというお話でしたが、私は、やはり東京のまちづくり全体を考えたときに、今の地球の温暖化、特に東京の、世界の足を引っ張るような三度も上昇しているということを、もっと都市整備局としては深刻に受けとめて、もっともっと前に乗り出す、そういう方策が必要じゃないかなというふうに思うわけです。
 ことし一月に、気象庁が気候講演会というのを開いたのですが、この中で、ヒートアイランドを緩和する対策として提案したいのは、緑、水、風などの自然の力を有効に活用することです、緑地を保全したり、水辺空間をつくったり、屋上を緑化したりすることにより高温化を抑制することが重要だと、このように語っております。
 この中で非常に興味深いのが、東京都の都心の大手町と郊外の八王子の気温の違いということです。昼間の温度、気温というのは、さほど変わらないんですね。例えば二〇〇五年の十二月二十六日から二十七日にかけての気温の変化を見たところ、昼間の気温は両方ともほぼ同じ温度ですが、翌朝の気温は、これは十二月ですから、大手町が三度に対して、八王子がマイナス五度ということで、八度の開きがあるんですね。つまり、この問題は、豊かな緑と自然が温度を下げる働きをしていると。
 これは夏のことでもあるのですが、二年前の七月に昼間の気温をはかってみたら、大手町が三十九度で、八王子が三十八度だった。ところが、翌朝の明け方にはかってみたら、都心は三十度を下回らない、ところが八王子は二十四度台ということで、やはり自然が大事なんだなということがいえると思うのです。
 そういう中で、東京の環境づくりの中で、緑、河川、水の果たす役割、これについて都市整備局としてはどういう認識をお持ちか、お伺いいたします。

○石井都市基盤部長 先ほどちょっと三局の関係についてお話し申し上げましたけれども、基本的には環境局がご答弁するような内容かというふうに思います。
 先ほど温度差の話がございましたけれども、一般的に私が学生時代から習っているようなことでも、例えば盆地性の気候である八王子であるとか甲府であるとか京都であるというのは、昼と夜の温度差もありますし、季節の温度差も非常に高い、こういうことがいえようかと思います。そして、海岸に近い地域での気温差は、まあ一般的にでございますけれども、温度差が少ない、こういうことかと思います。
 一概に緑だけの話ということではないのではないか、私は科学者でございませんので、何とも申し上げられませんけれども、一般的にはそういうことがいえるのではないか、このように思います。
 確かに、地表を覆っている部分について、都心と郊外では状況が違うというようなことはあろうかと思いまして、その気温だけをもって自然の状況というふうにはならないかと、このように思っております。

○村松委員 ということは、あれですか、緑地そのものを否定するということですか。私がいっているのは、本当に今、緑を大事にしなきゃならないんじゃないかと。
 確かに、いろいろな意味で、温度差というのは、風の道もあれば、それから盆地もあるかもしれません。そういう中で、本当に緑地を大事にするというところでの認識を私は問いたいんですけれども。
 もう一度お答えください。

○石井都市基盤部長 私どもも、決して緑を否定しているとか、そういうものではございません。これは明らかに、はっきりと申し上げておきます。私どもがつくっている緑の東京計画でも、その点について整理をしておりますし、都市環境の改善の機能の役割を担うといったことを私ども認識した上で、都市計画公園・緑地の整備方針というのを策定してきてございます。
 都市計画公園、緑地の必要性というものにつきましても、その中の一つの大きな機能として、生態系の保全など環境保全に寄与するもの、このように、その機能と役割を整理してございます。

○村松委員 素直に最初からそういう答弁をくれれば問題なかったのですよ。先ほど、またいでいるというのですが、一般都民は、東京都政の中で、この緑はどこの緑だ、環境局だ、やれ都市整備だなんということはわからないですよ。
 それで、都民がどれほど緑地行政に期待しているのか、そのことをやはりきちっとつかむ必要があるというふうに私思うのです。
 その辺では、もう既に皆さんの方はご承知だと思うのですが、生活文化局が河川・森林に関する世論調査、一番新しいので二年前ですか、二年前の九月に出しているのですが、この中で、森林整備についての東京都への要望というふうに書かれてありまして、東京の森林に期待する役割として、大気を浄化する役割を持っている、これが五三・三%で一番多いんですね。
 その次に、荒廃私有林の整備者、こういうふうな問いに対して、東京の森林には、山崩れや洪水を防止し、水資源を蓄えるなどの公益的な役割があります、しかし、その多くは私有林で、特に多摩地域の森林では約七五%を占めていると。私有林が七五%を占めているというわけですね。
 都では、これらの森林の整備のため、税金を投入し、東京の森林の保全、再生を図っています、林業の不振や所有者の意欲減退などにより手入れが行き届かず、荒廃しつつある私有林について、だれが責任をもって整備すべきだと思いますか、この問いに対しては、国または東京都と答えている人が六〇・四%、地元の市町村と答えている人が一〇・七%。これは自治体にお願いしたいというのが七〇・四%もいるということなんですね。
 私はこの調査結果を見て、緑の果たす役割、この問題について、本当に都民の皆さんが、自分の身近なところでどんどん失われている、そういう緑地を見て胸を痛めているというふうに思うのです。
 もう一度、生活文化局のこの調査をご紹介したいのですが、参加したい森林整備活動、この中で、近年、森林を守り育てていくため、いろいろな活動が都民により行われていますが、あなたはどのようなことをしたいと思いますか、この中から幾つでもお答えくださいと。これに、緑の募金に協力する、こういうふうに答えている人が断トツで六二・九%もあるのです。
 この結果が示すように、私はやはり、緑地という問題は重要な役割を果たすし、東京都としても、地球の温暖化防止をするためにも、これは大事だなというふうに思います。
 それから、今お答えした、東京都の進めている、東京都がことし三月に発表いたしました都市計画公園・緑地の整備方針がありますよね。これを策定するに当たりまして、都内の緑地が今どのくらい削減されているのかをつかんだ上でこれを策定したのかどうなのか、そのことをお聞きしたいと思います。

○石井都市基盤部長 都市計画公園・緑地の整備方針をこの三月に策定いたしましたことは、委員おっしゃるとおりでございます。
 その際に、そうしたご指摘のような、お話のような状況もすべていろいろ把握しながら、実現可能性なども含めながら、その方針を策定してきております。

○村松委員 答弁の中に、東京の緑地がどのくらい削減されたかという、そういう答弁がありませんでした。私は、都市計画公園・緑地の整備方針を策定するに当たって、今、私たちの身近な区市町村でどういう問題を抱えているのか、そういうことをやはりしっかりと踏まえた上で策定してほしかったなというのが私の思いです。
 私の地元の日野市は、昨年二月に市民の意識調査というのをやりまして、報告があります。
 その中でも、この調査は、日野いいプラン二〇一〇の計画期間の中間年を迎えるに当たり、市民の日野市に対する意識、日野いいプラン二〇一〇に基づき、市の施策に対する評価及び要望を把握することにより、今後の市政の方向性を見直すための基礎資料とすることを目的とする、こういう目的のもとに日野市で調査を行いました。
 これによりますと、日野市を住みやすい、どちらかいえば住みやすいと答えている人が約九割います。さらに、住み続けたいという理由の中で、恵まれた自然環境と住みなれているが上位を占めて、この報告書の中では、日野の固有の環境が住み続けたい意識の根底を形づくっていると紹介している。緑と清流ということだと思うのです。
 この緑と清流のまちといわれている日野市でも、バブルの崩壊後、政府によって進められた開発や建築などの都市計画による規制緩和によって、十階規模のマンション建設も次々進められております。その結果、平成九年から平成十四年までの五年間で、緑地、公園、河川、森林の面積が三十五・七八ヘクタールも減っております。
 その調査以降も、もうご承知かと思うのですが、三沢地域の斜面地に一万二千八百平方メートルの開発が計画されたり、あるいは、現在、樹林が切り倒されて無残な姿になっているところもあります。さらに、都立の自然公園に指定されております百草園の裏の方には、斜面地にも、一万六千平米の場所に墓地建設の問題が今、問題になっております。
 日野市も、住民の皆さんと一緒に、墓地建設は遠慮してほしいと事業者にお願いをしておりますが、斜面地の開発では、近隣の自治会、八つの自治会が署名運動をして市を動かし、ようやく斜面地規制条例をつくることができたんです。
 市民は、日野の目の前の緑が次々に消えていく姿に、何とかならないのか、こういったいら立ちの声も上がってきております。こういう問題が、日野市だけでなく、稲城市の南山開発、ああいうところでもあります。
 都市計画決定された土地を購入する場合に、国から三分の一の補助制度があるんですね。都市計画決定された土地を市が買おうとする場合、国が三分の一出す、だけど東京都は負担がないんじゃないか。私はやはり、緑地が失われていくことを防ぐためには、東京都の負担もきちっと制度として位置づけるべきだ、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

○石井都市基盤部長 市が用地を取得するに際して補助金を導入するかどうかというようなことでございますけれども、用地取得を初めといたしました公園整備の事業化計画は、そもそも東京都だけでなく、区市町共同で策定したものでございまして、区は何をやるか、都は何をやるか、そういう役割分担が既に決まっているわけでございます。
 こういった方針に基づいて、公園ごとに明示されました事業主体、つまり日野市であれば日野市が着実にその整備を、自主的に財源確保しつつ進める、こういうことになっているわけでございます。事業に際して国庫補助金を必要とするかどうかの方針は、事業主体ごとにその必要性を判断するものでございます。
 なお、都市計画公園事業について、国土交通省の補助金の制度、先ほど三分の一というようなお話がありましたけれども、そうした制度や都の補助金の制度もございます。これらの制度を踏まえ、それぞれの市はそれを大いに活用しながら、予算の範囲内で鋭意努力している、こういうふうなことでございまして、建設局が窓口になってございますが、その建設局もいろいろ拡大に努めている、このように聞いております。

○村松委員 私が要望しているのは、東京都の制度として三分の一の裏負担をする制度をつくってほしい、こういうことを要望しているのです。
 これまで、多摩丘陵の里山保全連絡会というのがありまして、多摩丘陵に残された里山等の緑地の保全を主題にして、関係者がさまざまな視点から話し合いを行う場を設け、合意の形成及び保全のための計画づくりを目的とすると、その目的をしっかりとうたいながら取り組んできた経過があるんです。
 そこには、東京都の環境局と、当時は都市計画局と建設局と産業労働局、局をまたいで取り組んで、日野市、八王子市、それからNPOとか市民団体がやっているのですね。やはりこういうことがすごく大事だなというふうに思うのです。
 聞いてみたら、八王子の方でも、明治の森、高尾地域連絡会というのがあって、ここでも、自然を守る団体とか、あるいは東京都、薬王院、それから商店街、京王電鉄、そういう人たちが、観光問題、緑地の問題、自然問題、そういうのを含めて取り組んできているのです。
 私は、こういうことをもっともっと強化する必要があると思いますが、見解はいかがでしょうか。

○石井都市基盤部長 るる、いろいろお話を伺いましたけれども、いずれにいたしましても、緑の保全は、東京都、都民、それから区市町村が連携して実現していくことが大変重要でございまして、ご指摘の里山保全連絡会にも都市整備局はこれまでも参加してきております。
 成果を都市計画に反映させるべきというようなご指摘でございますが、既に都市計画公園・緑地の整備方針におきまして、丘陵地など東京を特徴づける地形や景観を残している樹林地等の区域につきましては、機会をとらえまして、都市計画として定めていく検討を行うこととしております。

○村松委員 この問題の最後、要望だけしておきますが、ぜひ局をまたいで積極的に緑地保全のために力を尽くしてほしい。先ほど紹介しました多摩の森林、七五%が私有林だ、そういうこともありますので、私は強く要望して、次のテーマであります住宅問題について質問を行います。
 先日、私は、村山団地の建てかえ事業を見てまいりました。一期目の建設事業と二期目の建設事業、三期目と、部屋の広さがどんどん違って狭くなっている、こういう実態を見てまいりました。
 そこに住む人にとっては、最初入ったところと、後から、えっ、こんなにというところでは、寂しい思いをしているなということを本当に強く感じたのですが、東京都は、最低居住水準を満たしている、そういうふうに狭くなっても満たしているというかもしれませんが、国の方で第八期住宅建設五カ年計画の中で、二十一世紀の豊かな居住を実現するために、国民一人一人が多様な選択肢の中からそれぞれの人生設計にかなった住まい方を選択し、実現できるよう、国民の住生活の質の向上を目指した住宅政策を積極的に推進するという、こういう立場になぜ立たないのかなというのが私の思いでした。
 それに対して私の率直な思いなんですが、なぜ東京都は誘導居住水準までに引き上げようとしないのでしょうか。

○清水参事 近年、都民の世帯人口の減少や高齢化など、単身世帯の増加によりまして世帯の小規模化が見込まれる中で、建てかえ事業におきまして、より的確な世帯構成に応じた居室構成、面積規模の都営住宅の供給を図ることを目的といたしまして、平成十五年に現行の型別供給実施基準の改正を行いました。
 住戸面積につきましては、都営住宅は都民共有のセーフティーネットであることから、入居対象世帯の区分ごとに、それぞれの世帯人員に応じました最低居住水準を確保するとともに、バリアフリーが必要な面積などを考慮して設定しております。適切なものと考えてございます。

○村松委員 今、建てかえている都営住宅というのは、今後七十年間使うだろう、使いたい、そういう思いで建てていると思うんですよね。
 今建っているところが、私の住んでいる多摩平の都営住宅、二棟あるのですが、一DKと二DKだけなんですよね。
 それで、先ほど最低居住水準を上回っているというふうなおっしゃい方をしていましたけれども、いただいた資料、一四ページにありますが、最低居住水準未満の世帯の割合というふうになっているのですが、これを読みかえれば、最低居住水準に達している世帯の割合、これを見れば九一・三%が民間住宅なんですね。公営住宅は八九・七%なんですよ。誘導居住水準以上の世帯の割合は、三八・九%が民間住宅で、公共住宅は三五・四%。両方とも民間住宅の方が上回っていて、公共住宅は下回っている。
 ここに第八期の住宅建設五カ年計画がありますが、ここの中でもきちんと、健康で文化的な住生活の基礎として必要不可欠な水準である最低居住水準については、特に大都市地域の借家居住世帯について重点を置き、その水準未満の世帯の解消に努める。この最低居住水準未満のものは解消するのは当たり前だと。だけど、目標としている、すべての都市圏で平成二十二年度を目途に半数の世帯がその水準を確保できるようにする、それが誘導居住水準のことでいっているんですね。私は、こういう立場に、本来なら公営住宅は立つべきだというふうに思うんです。
 もう一回お聞きしますが、これから建てかえる都営住宅については、誘導居住水準、ここまで引き上げるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○清水参事 都営住宅につきましては、都民共有のセーフティーネットであることから、建てかえで供給する住戸の面積につきましては、それぞれの世帯人員に応じた最低居住水準を確保するとともに、バリアフリーに必要な面積などを考慮いたしまして設定しております。したがって、適切なものと考えてございます。
 よりまして、型別の住戸面積をこれ以上広くするという考えはございません。

○村松委員 私は、型別供給そのものの問題点というのは、先ほど紹介しましたけれども、多摩平にある、百六十二戸だと思うのですが、一DK、二DKだけなんですよ。これでは地域が活性化するわけないんじゃないでしょうか。
 高齢者と単身者だけに特化する、そういう固まった住宅建設をしている。やはり地域の活性化というのは、多世帯もきちんと入れる。そういう中で、家庭の中におじいちゃん、おばあちゃんがいて、かわいい孫たちがいてというような形で、地域の中でも、やはり子どもから高齢者までがしっかりと安心して住み続けられる、そういう住宅をしっかり確保することが私、大事だなというふうに思うのです。
 それはやはり、狭ければいいというもんじゃないんですよ。政府がなぜこの誘導居住水準を引き上げるようにしているのか。それはやはり、住環境をもっとよくする、そういうことでやっていると思うんですね。
 私、時間がないから次に進みます。
 次に承継問題ですが、この承継問題では、利用者にこの「すまいのひろば」が送られてきました。これを決めるときの住宅政策審議会のお話を伺いましたら、住宅政策審議会は、昨年の十一月十七日に中間まとめを出して、その後、一月二十四日と二月十六日に企画部会が開かれ、中間報告を出したときも、企画部会が開かれたときも、承継問題は全く出されていなかった。ところが、四月の企画部会に突如提出されて、答申にまとめられた、こういう経過があるんですね。
 とても十分な審議が行われたとは思っていないのですが、その辺はどうなんでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 使用承継のあり方は、昨年六月に住宅政策審議会に対して行った諮問の内容の一つであります、都営住宅等の公平性の確保に深く関連するものであります。
 その厳格化につきましては、昨年十二月に国の運用指針が示されたことを受け、ことし四月に開かれた審議会の企画部会においてご審議をいただいたところでございます。また、その後の五月と六月に開かれた審議会におきましても、この問題について議論されております。
 十分な議論が行われた上で最終的な答申をいただいたものと理解しているところでございます。

○村松委員 とても十分な審議とは、私はいえないと思うんです。
 この住宅政策審議会の中には、利用者はだれも入っていないんですよね。利用者が入っていない中でこういうことが決められて、「すまいのひろば」で突然いわれる。私のところにも不安の電話の声が来ているんですね。
 そういうのですが、都民の意見、パブリックコメント、それはやったのですか。

○水流住宅政策担当部長 パブリックコメントにつきましては、中間のまとめが出た段階でパブリックコメントを実施しております。

○村松委員 昨年の十一月十七日のときの中間のまとめのパブリックコメントでは、この承継問題は出ていないんですよ。だから、これに対して、都民は物がいいようがないじゃないですか。
 それはあれなんですが、今の都民の皆さんの暮らしの実態から物を見ていけば、生きる基盤が、やはり生活の場、住居なんですよ。そういうことを全く無視して、私にいわせれば、追い出しにばかり夢中になっているというふうにいわざるを得ないと思うのです。ぜひこれは撤回してほしい、このことを要望して、次の都営住宅の建設問題に移ります。
 小泉政権の五年間は規制緩和の連続で、多くの国民の暮らしを脅かしてきました。労働法制の改悪が派遣労働を生産現場に拡大したことによって、請負労働者、パート労働者などの非正規労働者を増加させ、低賃金労働者が増大しました。その結果、貧富の格差が拡大してきております。また、税制の改悪で、高齢者の生活も年々悪くなり、将来への不安が広がっております。
 ことしの予算特別委員会で福祉保健局から提出された資料によりますと、東京都内の生活保護受給者は、四年前よりも四万七千二百五十世帯も増加しております。こうした今の格差社会の中で、生活基盤を支える住宅の役割というのは大変重要に思います。
 そこで、九六年度の募集戸数と応募者数、それから二〇〇五年度の募集戸数と応募者数はどうだったのか、それから昨年十一月の募集状況はどうだったのか、二つちょっとお願いします。

○小林都営住宅経営部長 西暦一九九六年というのは平成八年度のことだと思うのですが、平成八年度の募集戸数は一万四千百戸、応募者数は十五万七百人でございます。二〇〇五年は、昨年、十七年のことだと思うのですが、募集戸数が六千四百に対して、応募者数が二十一万八千三百人でございます。
 それから昨年十一月の応募状況でございますが、募集戸数が約千六百戸、応募者数約六万二千名で、平均倍率は三九・七倍でございましたが、これは中身を見てみますと、区部の利便性がよくて築年数の新しい団地では高倍率のところがある一方、板橋区では応募のない団地があり、また、市部では応募割れの団地もございました。

○村松委員 九年間で募集戸数が七千七百戸になってしまった、それに対する応募が六万七千六百、このようになってきているのですね。
 昨年の数字も出されました。毎回毎回、六万から、それを超える応募があるのですが、これは多いと思いますか、少ないと思いますか。

○小林都営住宅経営部長 応募者数が多いか少ないかということでございますけれども、公募する住宅は、約二十六万戸の都営住宅のストックから毎年発生する空き家を充てておりまして、ここ数年、発生する空き家の数は、若干の増減はあるものの、おおむね八千戸前後で横ばいでございます。
 また、毎年の応募者数の延べ人数、これは例えば、最近二十万の人が応募しているといいますが、二十一万人が応募しているのじゃなくて、年に四回大きな募集をしますので、それの累計でございます。ですから、一人で何回か応募している人がいるわけでございますが、その数はおおむね二十万人前後で推移しておりまして、こうしたことから見れば、都営住宅の入居の状況というのは、経年的に大きな変化はないのではないかというふうに考えてございます。

○村松委員 私が聞いているのは、六万二千世帯--一世帯一人しか申し込めないわけですよね。ですから、六万二千世帯というのは、これはどういう数字かというのをやはり見る必要があると思うのですね。
 ことし三月三十一日に、住民基本台帳人口要覧、総務省の自治行政局が出しました。世帯数が六万台は、例えば武蔵野市、人口十三万三千人なんですね。それから東村山市、ここは六万三千三百三十世帯で十四万五千人を超えているのです。また、武蔵村山市もそうですよね。小金井市もそうなんですが、私は、この数字を見て、一つの自治体分の人たちが都営住宅に入りたい、そういうことを希望しているというふうにとるべきだと思うのです。
 今の都営住宅への要望というのは、非常に切実なんですね。さっき生活保護世帯がふえたというお話もしましたけれども、私たちの身の回りでも、今の状況の中で、商店街の人が、どんどん商店がつぶれているのは皆さん知ってますよね。そういう人たちが、自分の家も銀行に取られて、もう本当に都営住宅の入居を待つばかり、本当に欲しいんだ、そういうのが私たちの相談の中に本当にふえているのです。そういうふうに、一人一人の要求が、要望が都営住宅の建設を求めているんですよ。
 私はやはり、都営住宅の新たな建設というのは、今、東京都として本当にやらなければならない、そういう課題だというふうに思うのですが、この七年間の建設ゼロ、これはやめて、もう予算をつけて新たに建設すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の新規建設についてでございますが、中長期的に見ますと、東京におきましても、人口、世帯数ともに減少していくことが見込まれております。一方、都営住宅は、一度建設されますと、耐用年数のこともございまして、七十年間の長期にわたって管理運用していくものでございます。
 したがいまして、今後の都営住宅のあり方につきましては、供給管理戸数を抑制し、現在あるストックの有効活用に重点を置いた政策が必要と考えておりまして、新規建設を行う予定はございません。
 なお、今、募集の数の話と応募者の数がございましたが、募集戸数を確保するためには、都民共有の財産である都営住宅のストックを有効に活用し、高額所得者への対応の強化や、使用承継の厳格化を初めとした入居者管理の適正化を進めるとともに、期限つき入居制度の拡充などによりまして、都営住宅を真に住宅に困窮する方々のためのセーフティーネットとして的確に機能させることが大切と考えております。

○村松委員 結局、新たに建てないで、それで中の人を追い出して、入りたい人を入れていく、そういう小さい規模でぐるぐる回していこうとするから、そういう問題になるんですよ。
 それで、やろうと思えば、やる場所はあるんじゃないですか、土地だって。これまで都営住宅として使っていた土地で、今、財務局へ出している土地もあります。それから、今、建てかえをしている、多摩の方では四団地あるんですよ。多摩の四団地あるんですが、東村山市の本町の団地と東大和の向原団地、東京街道団地、村山団地、この四団地あるんですが、この団地の従前戸数と建てかえ建設戸数、これをちょっと示していただけますか。

○清水参事 四団地の当初計画戸数と、それから従前戸数を説明させていただきます。
 東村山本町団地でございますが、当初計画戸数二千九百五十戸でございます。東大和向原は千七百九十二戸です。東京街道は千八百二十八戸、村山団地は三千百二十九戸でございます。
 従前戸数でございますが、千九百三十四戸、東大和向原は千百九十四戸、東京街道は千九百五十三戸、村山は二千百六十五戸でございます。

○村松委員 そうしますと、従前戸数と建てかえ戸数、ここの差というのは幾つですか。

○清水参事 失礼いたしました。建てかえ建設戸数でございますが、東村山本町団地は千九百六十戸でございます。それから東大和向原団地は千五十四戸でございます。東京街道団地は千三百八十九戸でございます。村山団地につきましては千六百六戸でございます。

○村松委員 最初の答弁の方が、もしかしたら素直だったのかなというふうに思うのですが、戸数としては。
 今ご答弁された従前戸数と建てかえ建設戸数なんですが、従前戸数、合わせて七千二百四十五に対して、建てかえ戸数は六千九と、マイナス千二百三十六戸、こういうふうに減らして--私は東京街道団地へ行って見てきました。本当にまだ広いところがあるんですね。それから、村山団地の建てかえの状況も見てまいりました。ああいうところに皆さんが都営住宅の申し込み、六万二千世帯がいる、一つの自治体の人口の人たちが必要としている、そういう思いをしっかりと受けとめて、こういう建てかえの、これまで低層住宅だったのが高層住宅によって生まれた土地、そこにしっかりと都営住宅を建設すべきだ、そのことがやはり都民の今の暮らしを守る、そういう大きな力になるということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○吉原委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十分開議

○吉原委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○こいそ委員 それではまず、三点お伺いさせていただきたいと思います。
 まず初めに、公園関係でお願いをしたいと思いますが、都全体の都市計画公園及び緑地が一万六百ヘクタール、今後整備すべき区域は二千六百ヘクタールということでありますけれども、とりわけ多摩地域、その中でも、南多摩五市の都事業である都市計画公園の状況をまず伺いたいと思います。

○石井都市基盤部長 都市整備委員会資料にございますように、南多摩五市を八王子市、町田市、多摩市、稲城市、日野市といたしますと、この範囲にある都事業の都市計画公園、緑地は、小宮公園、平山城址公園、小山田緑地、大戸緑地、七生公園、桜ヶ丘公園の六カ所でございます。
 これら六カ所の計画面積の合計は約五百一ヘクタールでございまして、このうち、三四%に当たる約百七十一ヘクタールを供用してございます。

○こいそ委員 かねてから南多摩五市につきましては資料もいただいておりまして、この関係を中心にお聞きしたいと思います。その中で、都市計画公園のさまざまな地域の中で、全体面積については把握をさせていただいておりますけれども、なかなかそれぞれの要因関係があって、住宅が張りついていたり、業務系、商業系なのか、特に集積されている地区の中で、これはいろいろと、私も過去の議事録をそれぞれ読ませていただきましたけれども、各委員の中からも、どうしてもやはり整備できない、どうしても着工が可能性として不可能ではないかといいますか、いろいろな見方があろうかと思います。
 その中で、今までどのように、都市計画公園についてのそれら質疑等々を踏まえた中の見直しについての考え方を整理されてきたか、そのあたりお願いします。

○石井都市基盤部長 今お話がありましたように、東京都全域の都市計画公園、緑地、約一万六百ヘクタールのうち、今後整備すべき区域が約二千六百ヘクタールもある現状から、本年三月、都、区市町合同によりまして、事業計画を明確にした都市計画公園・緑地の整備方針を公表してきてございます。
 この中で、十年以内に着手する重点公園、緑地の選定や優先整備区域を示したところでございますが、桜ヶ丘公園のような場所に関しましても、いろいろな課題があるというようなことも承知しているところでございます。

○こいそ委員 この資料は何年かにわたって、いわゆる議事録でありますけれども、直近でも昨年の議事録でありますが、それぞれ質疑がなされている中で、一番直近の中でも、局としても見直しの基本的な考え方についても明らかにしていく予定であると。平成十七年度の早い時期に整備方針の中間をまとめて公表した上で云々かんぬんと、こうあるわけですね。
 その前からも、いろいろと私どもの会派の議員の中からも指摘をされているという中、こういうふうな見直しを、やはりどうしても行わなければいけないという中で、石原知事があり方についての諮問をされました。これはちょっと時間が経過しておりますけれども、その中でも、手がつけられなかったところ等については見直しをしていくんだ、していくべきではないか、こういうしっかりとした指摘もあるわけなんですね。
 これらを踏まえて、局としてはどうなんでしょうか。

○石井都市基盤部長 東京の公園、緑地の現状は、防災や環境保全等に重要な役割を果たすにもかかわらず、都民一人当たりの公園面積が五・五平方メートル、パリ、ロンドンなどの海外諸都市と比べましても、ちょっと低い水準にございます。
 このため、公園の計画的な配置や規模、内容などを踏まえた上で、拡大に向けた一層の努力が必要と考えてございます。
 しかし、今、委員ご指摘のように、都市計画公園、緑地には、社会経済情勢の変化や別途の都市計画との整合など、さまざまな問題が山積しておりまして、地域に応じた計画のあり方が問われているのも確かでございます。
 そうしたことから、この三月に公表した整備方針では、優先整備区域を定めながら、優先整備区域以外にお住まいの方々の負担を軽減する方策などについても、いろいろと提言してきたところでございます。

○こいそ委員 先ほど、南多摩五市の都市計画の現状についてご答弁いただきました。その中の一つである都立桜ヶ丘公園、これにつきまして、今後の事業化計画が一定的に示されているわけでありますけれども、やはりこの都立桜ヶ丘公園の諸課題がある。私もいろいろな機会で、前の委員会でも、都市計画局の段階からも取り上げさせていただいておりますけれども、そのご認識をちょっと伺いたいんですが。現状認識。

○石井都市基盤部長 桜ヶ丘公園の現状の認識と今後の取り組み方というお話かと思いますけれども、桜ヶ丘公園の一部には、かなり昔から、計画決定後でございますけれども、住宅地がかなり進展をしてまいりまして、計画決定の区域ではございますけれども、道路沿いに住宅地が随分とある、そういう状況になっている、そのように認識しております。そうした川崎街道沿いの住宅地は、今回の事業化計画では十年以内に着手する区域には入ってございません。
 なお、既に取得している都有地を含めた優先整備区域六ヘクタールのうち、この公園の中でございますけれども、四・三ヘクタールについては、平成二十三年度までに開園する予定になってございます。それ以外の区域については、現在のところ、事業化を十年以内に着手するという状況にはございません。

○こいそ委員 私の認識でいきますと、昭和三十六年に都市計画決定がされた。それ以前も、私の記憶では、住宅が全くなかったわけじゃない、点在していました。しかし、四十年以上経過した中で、いわゆる都立桜ヶ丘公園を重点的に整備するということは、これは全くもって極めて重要な役割を担っていただいているということで感謝をするわけでありますけれども、しかし、都道の拡幅整備、そしてさらに商業、業務系までが四十数年の間にどんどん張りついてきていて、一団とすると、戸建てとしても三百戸以上、都道の際、そしてなおかつ、これは率直にいってコミュニティはしっかり形成されているし、こういうところが都市計画の網の中に三十六年に入ってしまった。
 この未着手の区域について、私どもとしては、地元市、地元市長、当然にして地元の町内自治会、それからあらゆる地元関連と、これは何年といわず、私は平成九年に東京都議会に当選させていただいて以来、この問題をずっと訴え続けてまいりましたけれども、この未整備地区に対する都の見解をもう一回聞かせてください。

○石井都市基盤部長 未整備地区の考え方というようなことかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、この部分については十年以内に着手する予定にはなっておりません。そのこと自体が将来の重要な課題である、このように認識しております。
 しかし、基本的には、一般的なお話でございますけれども、都市計画公園、緑地は良好な都市環境を確保するために必要な施設として決定されているため、都市計画についての基本的な整理が行われないと、なかなか変更とか見直しとかいうことは難しい。あわせてやっていかなければならない問題だ、このように考えております。

○こいそ委員 そのような内容のご答弁もかなり前にいただいたかなと思うんですが、その後、いろいろ各委員の方、我々同僚議員からも出ておりますけれども、かなり前向きなといいますか、いや、それは当該の公園じゃないんだよ、一般的な話だと。一般的な話としたって、かなり具体的なご答弁をされているんですよね、議事録を読ませていただく中では。
 それにしては、今のご答弁で、十年以内はやりませんよと。だから、いいじゃないかとはいわないけれども、じゃ、その間どうするんだと。事態はどんどん集積といいますか、住宅が、一定的な中で形態もいろいろ変わってくるかもしれないけれども、さらには相続というか、いろんな要因関係がまた生じてくる。不安感はそれぞれありますよ、当然。
 そうすると、十年間大丈夫だからというのは、少しの回避だと思うんだよね、私は。やっぱりそろそろ、このあたり、もう十年近くやっている話なんだから、ともかく現実的に、今申し上げたとおり、もう少し住民というか、現実の状況等も見据えていただいて、しかるべき計画の見直しを行うべきではないかと思うんですが、そのあたりいかがでしょうか。

○石井都市基盤部長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、都市計画公園、緑地には、社会経済情勢の変化や別途の都市計画との整合、不突合など、さまざまな問題が山積してございます。地域に応じた計画のあり方が問われているということも確かでございます。この桜ヶ丘のお話の地区も同様という認識をしてございます。
 したがいまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、この整備方針の中で、優先整備区域以外においてお住まいの方々の負担を軽減するために、これまで二階建てを原則としていた建築制限を、原則三階建てまでに規制緩和をするということとしまして、既に実施したところでございます。
 そうしたことも皆さんによく周知をしながら、そうした状況を踏まえて、地元市や事業者である建設局と、公園を含むこの地域全体のまちづくりのあり方について検討してまいりたい、このように考えております。

○こいそ委員 現状についてはご認識いただいていると思うところでありますけれども、今後、地元市とも協議していただきながら、また地元の関係のそれぞれの住民、相当ふえてきておりますので、現状というものを、もう一段ぜひご検討していただきたいと思う次第でございます。
 それでは続きまして、本年四月に多摩地域における都市計画道路整備方針が出されました。その中で、とりわけ私は、多摩ニュータウン地域の道路整備についてお伺いしたいと思います。
 ニュータウン整備を契機にして開始された都市計画道路、計画的にそれぞれ完成がされてきているわけでございますけれども、とりわけ多摩尾根幹線、朝夕の渋滞が、まさにご案内だと思いますけれども、側道部分の供用は相当の渋滞が出てきている。沿道の整備が進み、市街化もかなり速度を上げて整備がなされ、休日には、また大規模店舗も物すごい集客、そして、駐車場のスペースを持っているところが幾つもできてきた。こういうところは大変な渋滞で、深刻な状況というのが出てきているんですね。
 これに対して、まず、このような状況についてどのように把握をされているか。

○石井都市基盤部長 お話の南多摩尾根幹線は、ご指摘のとおり、側道部分はでき上がっているわけですけれども、本線部分がまだかなりの空地を残してそのままになっている、更地になっているという状況でございまして、側道部分を通る自動車交通は、交差点部分におきまして、お話のように、大規模店舗に向かう、土曜日、日曜日の午前中であるとか、あるいは通勤時間帯によりましては渋滞が発生しているということは承知してございます。

○こいそ委員 であるならば、このような渋滞状況に対して、どのような対策を具体的に今まで局として考えてこられたか、お願いします。

○石井都市基盤部長 渋滞の要因の一つは、今申し上げましたように、交差点部の容量不足というふうに考えられますことから、これは所管が建設局、つまり道路管理者、あるいは交通管理者、警察ということになろうかと思いますけれども、そうしたところに事態の把握をしてもらいながら、対処してもらうよう要請したりというようなことをしてきてございます。

○こいそ委員 この多摩尾根幹線は、多摩ニュータウンのまさに屋台骨に位置するといっても過言ではないのではないかと思うんですね。隣接する近隣それぞれありますが、とりわけ稲城市に目を向けても、鶴川街道と連続する。また、本年四月に全面供用開始した多摩川原橋、これを渡りますと、調布側のいわゆる二〇号に接続するし、調布のインターにも極めてアクセスがよくなってきている。現在整備が進められている調布保谷線、多摩の南北が非常に弱いという中、いわば都内の南北を縦軸にした場合の、連結する道路の一翼をまさに担っているといっても過言ではないと思うんですね。
 もうちょっと続けさせていただくと、さらには圏央道、いわゆる都県境であるところの神奈川県、こういうようなところを考えた中でも、我々としてはいうまでもない思いを持っているところでありますけれども、そこで、多摩地域における多摩尾根幹線の役割について、今もお答えいただきましたけれども、局としてどのような認識をされているか。
 また続きまして、ここで今後の多摩地域のさらなる発展とまちづくりの方向性を考える中で、多摩地域の都市が自立するのはもとより、今申し上げたような他県の、そして相模原市を初めとする都市との連携、交流があってこそ、まさにお互いの都市のさらなる発展が約束をされていくのではないか。そこで、首都圏全体を視野に置いた場合の尾根幹線の役割についてどのようなお考えなのか、お聞きしたいと思います。

○石井都市基盤部長 南多摩尾根幹線は、多摩ニュータウンを中心とした地域住民の利便性を確保するとともに、都心方面とを結ぶ交通の動脈である、このように考えておりまして、南多摩地域を支える幹線道路の一つである、このように認識しております。
 また、お話しのように、神奈川方面をも含めた広域的な幹線道路としての機能を担い、都県境を越えた都市間連携の強化に不可欠な路線でございます。そのような認識でございます。

○こいそ委員 ただいま首都圏全体における尾根幹線の重要性についてお聞きしたところでございますが、この尾根幹線の具体的整備促進に当たって、神奈川県との広域的なネットワークの構築が不可欠ではないか、極めて近いですからね。そういう中で、神奈川県との計画調整や連携が避けて通れないものと考えるところでありますけれども、このご見解についてお願いします。

○石井都市基盤部長 都におきましては、本年四月に、ご承知のとおりかと思いますが、多摩地域における都市計画道路の整備方針としたものを策定いたしまして、その中で、道路ネットワークの体系的な構築を進めていくために、優先整備路線を選定した第三次事業計画に基づき、各施行者が事業化に鋭意取り組み、整備を推進することとしてございます。
 また、今お話しのような都県境部分について、接続する都市計画道路がない路線、神奈川県には、町田街道のところで尾根幹線道路は突き当たりまして、そこから先の神奈川県にはその計画がございませんので、そうしたことについて調整をし、さらに道路網の拡充を図るための検討をこの中で積極的に進めていく、このようにしてございます。

○こいそ委員 神奈川県との広域ネットワークの構築、そしてまた、計画調整及び連携との同時並行の形で必要となってくる。尾根幹線の整備について、都の内部において、正式な計画上の位置づけがやはり必要ではないかと思うんですね。その中で、この多摩尾根幹線は、多摩地域における都市計画道路の第三次事業化計画の中に位置づけがされていないということなんですね。これだけ重要な幹線道路だと、今、部長と私やりとりさせていただきましたけれども、こういう中で、三次計画には、まさに今いったとおり、ない。
 しかし、これまで私が質問させていただきまして、ご答弁をいただきましたように、尾根幹線の整備は、重ねていわせていただければ、重要な課題だ。重ねていいますけれども、都内部において正式な計画上の位置づけ、すなわち第三次事業化計画に乗せてしかるべき幹線道路ではないかと考えるところであります。
 本年四月に事業化計画の改定が終わったばかりという事情もわからないわけじゃありませんけれども、しかし、計画というのは、一回固めたら、がちがちに固めて、どんなことがあったってだめなんだという性格ではないと思うんですね。また、そうあってはいけないと考えるところでありまして、諸般の事情が変わったり、重要性が判明したときには、果敢に、まさに勇気を持って変更していくことも行政の大切な役割ではないかと思うんですね。
 そこでお伺いいたしますけれども、尾根幹線の整備について、さらに第三次事業化計画に位置づけていく考えはあるのかどうなのか、また、その時期はいつごろと考えてよろしいのか、ご答弁いただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 ただいま申し上げました整備方針におきまして、その方針の中での認識でございますけれども、多摩地域の都市計画道路については、過去十年間の整備によって、完成率は約一〇ポイント上昇し、十七年三月現在、約五一%となったところでございますが、いまだに整備としては不十分な状況にある。
 このため、優先整備路線の選定に当たりましては、整備効果を早期に発現させることや、当面の交通需要に対応可能かどうかという観点から、幹線道路も含めまして路線の絞り込みを行ったものでございます。
 そういう中で、委員ご指摘のように、位置づけられていないという状況でございますが、南多摩尾根幹線につきましては、既に用地が確保されているなど、他の計画路線とは性格づけが異なります。優先整備路線といいましても、用地が確保されているようなところは大変少のうございます。それに対して尾根幹線は、しっかり大変な幅をもって用地が確保されているというようなことから、これを特に取り上げまして、整備方針の中で具体的に記述をし、今後の交通対策の必要性を検討の上、交通の円滑化策等、必要な対策を図る、こういう特記をしてございます。
 このため、神奈川県側の国道一六号や圏央道への接続など、広域的な幹線道路ネットワークとしてのあり方を踏まえまして、中央分離帯、今お話ししましたような、大変幅広く用地が確保されている中央分離帯の整備形態等について検討していくというようにしているところでございます。
 具体的にいつごろまでにどうするかというところはご容赦いただきたい、このように思っております。

○こいそ委員 ぜひお答えをいただきたいというふうに思いますが、でも、内容的には、特記ということも、それは私どもの方も承知しておりますし、また今後、さらにこの状況を見据えていただいて、これから交通量調査もかけていくというお話もございますので、ぜひしっかりとした形で今後対応を求めさせていただきたいと思います。
 これまで、尾根幹線についてさまざまな役割、意味合いについてお伺いしてきたところでございますけれども、この質問の最後でございますが、東京都全域、多摩地域、区部を見ると、多くの幹線道路があります。先ほどお答えをいただいておりますけれども、広域ネットワーク形成や広域行政の必要性、他県との計画調整や連携の重要性については、これらの都内の多くの重要幹線道路の整備促進に当たっても積極的に取り組むべき重要な課題であると考えているところでございますけれども、局長のご認識を伺いたいと思います。

○柿堺都市整備局長 今、尾根幹線のお話を伺ったわけでございますけれども、尾根幹線を初めといたしまして、東京都では、多摩地域の振興を図るために広域幹線道路の整備を重点的に進めているところでございまして、骨格幹線道路ネットワークの早期形成に積極的に取り組んでおります。
 部長からも答弁がございましたけれども、そのために、ことしの四月に多摩地域における都市計画道路の整備方針というものを策定して、それで進めていこうということでございます。
 南多摩尾根幹線についても、その区間、区間、長い歴史の中で整備を進めてきたわけですが、ようやく多摩川原橋からニュータウン全線が近々つながるという状況まで、皆さんのご理解のおかげで来ているわけでございます。
 全線つながりますと、多分、今の尾根幹線の車の通り方もまた変わってくるのかなというような感じがしておりまして、そういうことも含めて今後十分に調査をしながら、先ほど部長からも答弁をさせていただきましたけれども、何せ中央分離帯には広大な用地がございますので、そういうところも十分に活用しながら、地域の方々が渋滞等でご不便がないような形の整備をできるだけ合理的に進めていきたいなというふうに考えておるところでございますので、ご理解を賜りたいと思います。

○こいそ委員 局長のご認識を伺いまして、かなり受けとめさせていただいたところでございます。
 なお、これからの道路整備についてでありますが、道路整備に求められるものは、これはいうまでもありませんけれども、人や自動車交通の安全性や利便性の向上はもちろんのこととして、これに加えて、道路整備に対する社会的、経済的要請も多岐にわたっている。具体的には、道路空間を確保することによる防災上の向上、そして快適な都市空間の創造、さらには走行速度の上昇による排気ガスの低減といった環境改善の貢献もあるんですね。光ファイバーの収容空間の提供など、情報化社会実現への役割も当然あろうかと思うんですね。そんなことから、今後とも着実に道路整備が行われていきますように要望して、終わります。
 次にもう一点、済みません、続けます。
 それでは三点目、三十有余年経過した多摩ニュータウン関係については決算委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、とりわけその中心となっております多摩センター駅周辺、ここは、多機能、いわゆる業務集積、すなわち核都市、そして業務核都市と、国及び東京都の重点的な整備をする地区になっている。
 その中で、東京都、局でもいいんですけれども、都市づくりの観点からどのような方向に誘導していくのかというところをお願いします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 多摩ニュータウンは、多摩の心しん育成・整備計画におきまして、その将来像について、すぐれた都市環境を生かし、人々が集う複合拠点として位置づけられております。また、首都圏におきまして広域的な中心性を持ち、連携、交流のかなめとなる核都市の一つであり、都市活動を支える重要な拠点となっております。
 とりわけ多摩センター地区は、多摩ニュータウンの中核としてのセンター機能を強化していく地区でございます。具体的には、多摩センター駅南側におきまして、高水準の基盤や既存の機能集積をもとに未利用街区の活用を促進してまいります。北側におきましては、歩行者デッキ等によりまして南側地区との連絡性を高め、諸機能の導入を促進してまいります。
 今後とも、民間の創意、活力を生かしながら、都市開発諸制度や地区計画の活用、産業施策との連携など、さまざまな工夫を重ねまして、多摩センター地区としての整備がより充実するよう、まちづくりを継続して進めてまいりたいと考えております。

○こいそ委員 今ご答弁いただきまして、とりわけ、未利用街区の活用促進ということでありますけれども、現状はどうなっているのか。例えば、冒頭の話ではありませんけれども、多機能の、さまざまな機能を持ったまちづくりを標榜したとしても、多摩センター駅のまさに至近、かなり重要なといいましょうか、駅周辺のポイント、ポイントに、マンションがばんばん建っているんですね。
 とりわけ、北側の方のすみ分けとしては東京都、南側の方は現在の都市機構、ここが土地所有しているわけでありますけれども、都市計画上の視点、観点に立ってみても、これだけ駅至近に--それは確かに、利便性という観点からみれば、それはそうでしょう。しかし、その周辺状況から見たら、多機能というか、ほとんど多摩ニュータウンというのは住居部分なんですね、これ。沢を埋めて、山すそを切って、田畑を全部ぶっつぶして、ここで一大開発が進んできたという中で、こここそは多機能だという期待感があるわけですね。多摩の心しんから核都市にした、国だって業務核都市にした。さまざまな計画は出ているんだけれども、現状はどんどん、多機能どころか、住宅部分が駅舎まで押し寄せてきているような状況なんですよ、見ていて。
 ですから、こういう状況認識をどのように持たれているのか。都は、広域的な観点に立って、どのようにその地域に対する都市計画という、東京の都市計画、東京西南部の都市計画という、責任ある立場としてどうなのか、ちょっとお聞かせいただきたい。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 多摩センター地区の業務機能の誘導を取り巻く環境につきましては、企業の投資意欲の減退など、厳しい状況も見受けられました。このため、初期入居者等の住みかえ需要やライフスタイルの変化への対応を考慮いたしまして、業務や商業、文化機能の誘導に加え、一部の街区におきましては、商業・業務機能との複合化を図りながら居住機能を導入してまいったところでございます。このことは、居住機能との複合化を図りつつも、新住宅市街地開発法に基づく土地利用計画や地区計画等に沿った機能誘導を図ってきたというところでございます。
 都は、業務機能のさらなる誘導を図るため、平成十六年に設置しました多摩ニュータウンにおける業務機能等の誘導に関する庁内検討会におきまして、業務機能等の誘導方策について多角的に検討しております。
 また、多摩センター地区周辺の未処分事業用地の利用につきましては、都市機構や市と緊密に情報交換を行うため、本年八月、多摩ニュータウン土地利用情報連絡会を設立したところでございます。
 今後とも、これらの検討会ですとか連絡会を十分活用いたしまして、市や都市機構などと協力しながら、地区計画の活用や産業施策との連携など、機能誘導に向け、さらなる工夫を講じてまいる所存でございます。

○こいそ委員 ぜひそういう方向でお願いしたいと思うわけでありますけれども、先ほど私申し上げた、とりわけ多摩の心しんから業務核都市へ指定したのは何でなんだと。それで、本年八月につくっていただいたけれども、多摩ニュータウン土地利用情報連絡会、これを設立していただきました。我々、期待も持たせていただいています。
 しかし、重要なところがどんどん、マンションだけじゃないけれども、公共公益的な、何としても優先的に確保していかなきゃいけないところまで、もう更地じゃないでしょう。更地というか、未利用地じゃない。どんどんこのままいったら、東京都も、技術も予算も、あらゆる人的なものを投入し続けてきたまちの駅周辺としたら、私はこれでいいのかと思うんですよ。
 近ごろ、特にまた強く思うところでありまして、この現状たるや、私は、もうちょっと東京都も南側の方の--とりわけ多摩センター駅の南は、いわゆる都市機構が土地を所有している。こういう中で、あそこは駅ビルもないんだよね。かなり動線を、直線ではあるけれども、相当の距離で、そごうが進出したけれども、あれは無理だと。やっぱり無理だった。今、伊勢丹かな、三越だったかな、デパートが来ていますよ。しかし、多少は周辺環境がにぎやかになったといっても、重要なところが重要にして--都市計画上、果たしてこれでしっかりした計画に基づいて進められているのかというと--一定的に南側の方もペデを確保したり道路整備したり、それはわかりますよ。しかし、肝心かなめの人という視点がどこか抜けているんじゃないか。
 それは、マンションというのは人が来るから、それは人として抜けていないといえばそれまでかもしれないけれども、本当の意味の、そこに憩う、集う、先ほどあったけれども、そういうところの基本コンセプトが果たして生かされているのかどうなのかという検証が、都市計画という観点を局の方でどう考えているのかなと。これははっきりいって、地元から相当強い話を我々もしょっちゅう聞いていますよ。それはそれとして、ぜひまた検証していただきたいなと思います。
 それと、土地販売について、先ほど石森議員からお話があったけれども、とりわけ私、駅周辺の状況に絞らせていただくと、宅地販売が、全体四百九十ヘクタールあって、残された用地は八十で、まさに今、現行六十七ヘクタールというような話がありましたね。
 その中で、申しわけない、今の続きをやらせていただくと、その周辺の土地、いわゆる宅地販売状況が、今のような観点に立って宅地販売というのが行われているのかどうなのか。これは東京都だけじゃないんだけれども。このあたり、都はどうなんでしょうか。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 宅地販売を担当している者から、基本的な考え方と今後の進め方につきましてご説明させていただきます。
 東京都はこれまで、働き、住み、学び、憩うということを基本に多摩ニュータウンのまちづくりを進めまして、土地利用計画に基づいて、事業用定期借地を導入するといった工夫も含めまして宅地販売に努めてきたところでございます。
 現在残っている宅地につきましては、委員ご指摘のとおりでございますが、今後、残された宅地の販売を進めていくに当たりまして、特に多摩センターの駅周辺など開発ポテンシャルが高い場所につきましては、地元市や関係者と連携、調整しつつ、当該地の土地利用計画にふさわしい業務機能の誘導などの販売努力を重ねまして、核都市としての多摩ニュータウンの発展に寄与してまいりたいと考えております。

○こいそ委員 働き、住み、学び、憩うまちづくりを進められるお話を聞くわけでございますけれども、その中で、少なくとも現行、地価が--それはわからない。都心部を中心に地価の若干の上昇がある。とりわけこの駅周辺のポテンシャルが高いところについて、私は余り売り急ぐことはどうかと思うんですね。
 それからもう一点は、この数年来の状況を見ても、まちづくりに貢献するんだと、今、お話があるけれども、基本コンセプトは果たしてどうなのか、これ。宅地販売、宅地を売るんだと。私ははっきりいって、個人的には本当に好きじゃないんだけれども、隠れ借金がどうのこうのとか、そういうような話がどんどん出てきて、ともかく土地を売らなきゃいけない、売らなきゃいけない。
 それはご努力はわかりますよ。わかるけれども、もう少し原点に立っていただいて、多摩ニュータウン事業部だって、土地売りの宅地販売一〇〇%の事務事業を受けているわけじゃないでしょう、事務を。まちづくりという、まさに今いった、働いて、住んで、学んで、憩うというか、多機能的といいますか、こういう中において、いかにしてまちを、今まで投資してきた--これは一地域だけじゃないですよ。広域的な観点で私はいっているんだけれども、このままいったら、中途半端などこでもあるような、人も来ないような、なってしまうんじゃないかという懸念を持つんですよ。
 そういうところだから、今だったらまだ何とかなるかもしれないんだ、これ。はっきりいって。それを宅地販売だ、宅地販売だと。まさに駅至近のところだって、南側の方なんか、URでもそういう状況ですよ。せめて東京都が、まちづくりという一番原点をもう一回呼び起こしてくれませんかね、はっきりいって。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 若干繰り返しになるかもしれませんけれども、先ほどの答弁の中で、今後残された宅地ということを申し上げましたけれども、この多摩市、多摩センターの駅の周辺というと、もう六ヘクタールぐらいでございます。その土地はすべて業務用地として利用計画が定められておりまして、そこに具体的にどのような機能を誘導するかということにつきましては、地元市や関係者と十分、今、調整をしているところでございます。
 もちろん私ども、販売を通じてまちづくりを進めていくということでございますが、定められた土地利用計画にふさわしいような機能を誘導できるように努力をしてまいるつもりでございますので、どうかご理解いただきたいと思います。

○こいそ委員 いよいよ六ヘクタールに駅至近はなってきたと。実際、今、残っている六十七ヘクタール、駅至近は六ヘクタールといったって、それは都有地でしょう。それから、南の方のいわゆるUR都市機構の用地がある。ここだって、東京都の発言力がどこで出ているのか、はっきりいって。さっきの土地の利用の、スタートしたけれども。東京都の、まさにまちづくりの最たるものが今試されているときじゃないですか。そこのところに、あそこは都市機構だよと、東京都は口も出せない、手も出せない。変わったと、地元市との、後から話を聞く。
 それでどんどん、この間の話で申しわけないけれども、貴重な福祉、医療ゾーンだって、あれは広域的ですよ。一市や複数市だけの話じゃない。南多摩、広域的な中において、ぜひそこは確保しようというところだって、どんどこなくなってくる。
 やはり東京都というのは、少なくたって、例えば今、当該の地域においては、私は南北もしっかりと責任を果たし続けていくべきじゃないか、こういうことを思うんですね。いよいよ六ヘクタールになったから、あともう一期で宅地は売れますよ、どうぞ、よかった、よかったじゃないと思う。六ヘクタール残っているのであるならば、ここをどうするかということが極めて重要になってきたと思うんですね。
 まちづくりに必要な宅地販売をしていく、それはよく伝わりますよ、はっきりいって。伝わるけれども、私はもうちょっと観点が違うんじゃないかと思う。都市計画、そしてまちづくりという、今の時代が求めているようなまちづくりをここを発火点としてできないかどうか。重要なものをそこに据えつけることができないかどうか、こう思うんですね。
 最後に、いいですよ、あと何問か残っているけれども、ここで時間が来ちゃったので、この話をぜひ局長か技監かでお聞きして、終わらせていただきます。

○福島技監 業務核都市と申しましても、進んでいないというご指摘でございます。また、今後の多摩ニュータウンにおける都のかかわり方というような高い観点からのご質問でもあったかと思います。
 どうしても市場経済のもとでは、オフィスとか商業あるいは産業などに代表されます業務機能といいますのは、景気の拡大局面でないと進出がしづらいわけでございますが、この間、少し戻ってみますと、バブルの後に景気の後退局面が大変長く続きまして、そういうことを受けますと、どうしても業務が進出する動機づけというものが薄れたことは否めません。
 そういうことを考えあわせましても、それをそのまま見過ごすわけにはまいりませんし、また、ここに来まして、景気も拡大局面に向かわれているということがきっちり報道されているところも受けまして、業務の進出というような情報もいただいているところでありますから、そうした意味で、当然、業務機能の誘導を、より私どもがしっかりやっていく必要があろうかと思います。
 そんなことで考えあわせますと、今後の多摩ニュータウンの都市づくりは、既に初期に入居をされた諏訪、永山団地などでは建てかえの必要性に迫られております。それを考えますと、時代の要請であります少子高齢化とかライフスタイルの多様化など、いわゆる地域の特性に応じたきめ細かい施策を展開する、これはやはり地元市がきっちり対応していただく必要がありますが、私どもといたしましては、再三ご指摘をいただいておりますように、広域的な観点から政策誘導が重要と考えてございまして、核都市として、充足が全体といたしましてはまだ三分の二程度でありますから、業務機能の誘導とか育成を都として責任を持って果たしていく必要がある、こういうふうに認識をしてございます。
 そのためには、再三申し上げております、宅地の販売というのは適切に行うということを前提にいたしますし、未利用地の利活用というものを通じて業務機能の適正な誘導を図っていく必要がありますし、それから、お申し越しをいただいて我々もつくらせていただきました、地元市を初めとして都市機構も入れた連絡会、こういったものを通じまして都として主体的に役割を果たしまして、多摩ニュータウンの都市づくりに今後とも邁進してまいりたい、このように考えておりますので、ご理解をいただきたいと思います。

○吉田委員 私からは、まず、防災まちづくりの観点から、木造住宅密集地域の整備促進についてお伺いをいたしたいと思います。
 私は昨年十二月、第四回定例会の本会議におきまして、木造住宅密集地域に対する防災対策への東京都の取り組みについて質問をいたしました。その後の都のお取り組み状況について、改めて何点か質問をいたしたいと思います。
 ことし五月に発表されました首都直下地震による東京の被害想定によりますと、東京湾北部を震源とした地震の際の火災による死者は、最悪の場合、約三千五百人にも上るということで想定されております。そして、私の住む中野区は、日本全国の自治体で最も人口密度が高く、木造住宅も密集しており、その被害想定では、区内の面積の約三割が焼失するとされており、この木密地域の早期の改善が切に望まれます。
 そこでまず、中野区内におけますこれまでの木造住宅密集地域の整備事業の実績についてお伺いいたします。

○座間参事 中野区内におけます木造住宅密集地域の整備事業実態についてでございます。
 都は、防災都市づくり推進計画におきまして、震災時に甚大な被害が想定される地域を整備地域として、二十七地区、約六千五百ヘクタールを指定しておりまして、防災都市づくりの施策を推進しております。
 このうち中野区内におきましては、南台地区や大和町、野方地域など約三百九十四ヘクタールを整備地域に指定しておりまして、現在、区において、南台一、二丁目地区、南台四丁目地区、平和の森公園周辺地区の三地区、約九十七ヘクタールを対象にして木造住宅密集地域整備事業、いわゆる木密事業を実施しております。
 また、規制、誘導策といたしまして、地区計画や、整備地域ほぼ全域への新たな防火規制の区域指定など、重層的に事業を展開しております。
 平成十七年度末までの木密事業による実績といたしまして、避難路や緊急車両の進入路となる生活道路などの用地取得約五千九百平方メートル、老朽木造住宅の不燃化建てかえ約四百戸、それと、従前居住者用のコミュニティ住宅二十六戸の建設などを行っております。

○吉田委員 ありがとうございます。この木密事業は、権利者の発意に基づいて行われる事業でありますことから、地元住民の防災意識の高揚と事業に対する協力がもちろん不可欠でありまして、整備を円滑に進めるためには、東京都と区、地元住民の連携が重要だと認識をしております。
 都はこれまでも、区に対する財政的支援や技術的支援を行ってきているとしておられますが、事業を推進するためには、地元住民の防災意識の高揚をさらに図っていくことが重要だと考えます。改めて、そのお取り組み状況について伺います。

○座間参事 地元住民の防災意識の高揚についてでございます。
 委員ご指摘のとおり、木密事業は、建築物の建てかえに合わせ、道路の拡幅や不燃化、共同化を進めていく事業であることから、防災都市づくりに対する住民の理解と協力が不可欠であり、そのためには住民の防災意識の高揚を図ることが重要でございます。
 このため都は、地域危険度や避難場所、避難道路などの防災情報を、インターネットや広報媒体などを活用して広く住民に周知するとともに、地元区が効果的に施策を展開できる環境づくりのため、不燃化、共同化を進める各種事業や地区計画などの規制、誘導策に関する技術的な支援を行っております。
 平成十九年度には、新たに地域危険度の公表を予定しておりますが、今後ともあらゆる機会をとらえて、防災に関する的確な情報を積極的に提供し、区と連携しながら地元住民の防災意識の高揚を図ってまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。冒頭に事業の進捗状況についてお伺いをいたしましたけれども、率直にいって、いつ起こるとも知れない大地震に備えて、整備のさらなるスピードアップを図っていく必要があるのではないかと考えます。
 昨年の四定で申し上げた質問に対しまして、東京都は、建物の共同化を推進するための仕組みの構築や国に対する補助メニューの拡充要望など、制度の改善にも積極的に取り組んでいるとのご答弁がありました。
 木密地域の整備事業を推進する上で、事業の重要な柱の一つといえます共同化による不燃化を促進していくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○座間参事 建築物の共同化による不燃化の促進についてでございますが、木密地域におきましては、土地や建築物にかかわる権利関係がふくそうしていること、また、道路に接していない狭小な敷地が存在することなど、円滑な建てかえが進まない多くの課題を抱えております。
 これらの課題を克服し、木密地域における建築物の共同化を推進するためには、従来の木密事業を推進するとともに、新たな事業手法として、街区単位で老朽建築物を除却し、防災性を備えた建築物の共同化と道路、公園などの公共施設の一体的整備が可能な防災街区整備事業などを活用してまいります。
 また現在、木密事業で建築物を共同化する場合の補助要件の緩和などを国へ要望しているところでございまして、今後とも、共同化の促進に向けた制度改善に努め、区が積極的に事業展開できるよう取り組んでまいります。

○吉田委員 ありがとうございます。都の積極的なお取り組みによって、私どもの中野でも、災害に強いまちづくりがより一層スピードアップして進んでいくことを期待いたしまして、次に質問を移らせていただきます。
 次に、現在、東京都が総合的な治水対策の一環として進めている雨水流出抑制対策について伺いたいと思います。
 先ほど質疑もございましたので、若干、認識については省略をいたしますけれども、昨年九月四日の集中豪雨では、神田川流域を中心に、都内で六千戸に近い浸水被害が発生して、私も、その現場で大変に驚くと同時に、被害を受けた方に本当に心を痛めたわけでございます。
 当然、その原因としては、一時間当たり一〇〇ミリを超える記録的な集中豪雨が非常に長く続いた、そのことが直接的な原因だと思いますが、いろいろご指摘がありますとおり、神田川など都市の河川の周辺の状況として、土地がコンクリートなどに覆われて、雨が地面にしみ込まなくなった結果、雨が一気に河川や下水道に集中してしまう、これが大きな原因となっているというふうに私も認識しております。
 こうした状況を改善するために、東京都ではこれまで、都市整備局が中心となって、総合的な治水対策の一環として雨水流出抑制対策を進めていると聞いております。
 そこでまず、東京都はどのような形でこの雨水流出抑制対策を進めているのか、お伺いします。

○石井都市基盤部長 雨水流出抑制対策の進め方についてのお尋ねでございますが、都は平成元年度より、神田川、目黒川、石神井川など区部の主要八流域におきまして、総合的な治水対策暫定計画というものを順次策定いたしまして、その中で、浸透ますや防災調整池の設置などにより、一時間当たり一〇ミリ相当の雨水の流出を抑制することを長期的な目標として設定いたしまして雨水流出抑制対策に取り組んできてございます。

○吉田委員 ありがとうございます。神田川など八流域において、雨水流出抑制について目標値を設定して対策を推進しているということでございますが、総合的な治水対策暫定計画を策定済みの八流域、特に妙正寺川、江古田川などを含めた神田川流域における雨水流出抑制対策の実績についてお伺いをいたします。

○石井都市基盤部長 総合的な治水対策暫定計画を策定済みの神田川、石神井川など八流域における対策実績の合計でございますが、これは平成十七年三月末現在、浸透施設と貯留施設を合わせて百五十八万立方メートルとなっておりまして、これを二十五メートルプールをますといたしまして換算いたしますと、約五千三百杯分に相当する量となっております。
 そのうち、妙正寺川、江古田川などを含む、お話の神田川流域における実績は、浸透施設と貯留施設とを合わせまして約五十九万立方メートルでございまして、二十五メートルプールに換算すると、約二千杯分に相当する量でございます。
 その効果は、一時間当たり一〇ミリ相当の雨水をカットするという目標に対しまして、二十三区内八流域全体の平均で見ますと、二・六ミリ分に相当いたします。八流域のうち神田川流域だけについて見ますと、三・一ミリ相当分の雨水流出抑制効果があると推計してございます。

○吉田委員 ありがとうございます。もう少し詳しく神田川流域における雨水流出抑制対策についてお伺いしたいんですが、貯留施設と浸透施設と、それぞれの対策の実績についてお教えいただけますでしょうか。

○石井都市基盤部長 雨水流出抑制対策は、繰り返しになって恐縮でございますが、貯留施設と浸透施設、二つあるわけでございますが、それぞれの対策実績ということで、ただいまお答えしました、神田川流域における雨水流出抑制対策の実績量である合計五十九万立方メートルの内訳は、浸透ますや浸透管、透水性舗装などの浸透施設による対策量が約三十四万立方メートル、ビルの下などに設置いたします雨水貯留槽など貯留施設による対策量が約二十五万立方メートルとなってございます。

○吉田委員 ありがとうございます。半分以上が浸透施設による対策量ということでございまして、私は、この抑制対策の中でも、浸透施設を設置することによって健全な水循環を回復して水害を軽減することが、とりわけ重要な対策と考えておりますものですから、これは私は非常に喜ばしいというふうに受けとめております。
 そして以前、中野区におきましても、平成十三年度まで、個人住宅への浸透ますの設置に関して助成を実施しており、東京都も区の助成制度に対して補助金を出しておりました。この都の補助金について、同じく平成十三年度に廃止されたところではございますが、最近の浸水被害の状況を考えると、これは復活をご検討いただくべき時期に来たのではないかなと私は思っております。
 これまでの都市整備委員会でのご議論もあったようでございますけれども、今後、東京都の浸透ます設置に関する補助金の復活などによって、雨水流出抑制対策をより一層推進すべきだと私は考えますが、ご見解を伺います。

○石井都市基盤部長 お話にありますように、近年、都内では、一部地域において、一部の非常に限定した地域でございますが、局所的かつ短時間に降る集中豪雨が増加しておりまして、雨水流出抑制対策の重要性は、今後より一層増してくる、このように認識してございます。
 このため、本年五月に学識経験者などから成る豪雨対策検討委員会を立ち上げまして、豪雨対策のあり方について、雨水の流出抑制対策も含めまして検討を進めております。
 今後、本委員会からの答申を踏まえまして、都として豪雨対策に関する基本方針を策定していく所存でございます。

○吉田委員 ありがとうございます。早急に基本方針を策定していただいて、ぜひその中に浸透ますの設置等についてもご検討いただければと思います。
 そして、このほかにも、例えば、公園や緑地の整備の推進によって浸透量を多くすることや、河川とその近くの公園、緑地を一体整備することによって調節池の機能を持たせることをご検討いただきたい。
 この中で私は、都市整備局が平成十八年一月に策定をされました、みどりの新戦略ガイドライン、これは本当にすばらしいなと思っておりまして、ここの施策の中の一つで、豊かなネットワークに寄与する環境軸の形成という項目でございます。道路、河川、公園などの骨格となる主たる都市施設の整備等を契機にして、沿道や沿川などの周辺のまちづくりを一体としてとらえて、緑豊かで広がりと厚みを持った良好な都市環境を形成していく、こういうものを形成するんだという施策、すばらしいと思います。これにぜひ治水とか親水、こういう意味の観点も盛り込んでいただいて、豪雨対策検討委員会におきましても、みどりの新戦略ガイドラインとも非常に強い連携を図っていただきながら施策を打ち出していただきたいなと念願する次第であります。
 中野は、皆さんご存じのとおり、二十三区内で、都立公園と海上公園がない二つの区の一つでございまして、これは中野区と豊島区でございます。そして、豊島区には雑司ヶ谷の墓園がございまして、これも緑地に類するものとみなすと、何と都立の緑地に関する施設がない唯一の区でございまして、私は寂しい限りだなと思っているのでございます。
 先ほどの質疑でもございました、都市計画的な手法とかそういうものも含めて、あるいは河川法に基づいた対策となると、建設局さんの所管となるのかもしれませんけれども、妙正寺川と一緒の善福寺川の上流には、善福寺公園とか和田堀公園というすばらしい公園があるのでございますが、ここまでは夢物語になってしまうかもしれませんけれども、例えば妙正寺川沿川、百年後にはすばらしい親水公園ができるような、例えば、先ほどの木密事業のときのスキームでつくっていただいておりますような共同化とか高度化、こういう手法も利用するような、いうならば防災親水街区整備事業のようなことも将来ご検討いただきたいなと、これは念願というか、そういうことも希望いたしまして、親水、治水対策が進むことを強く期待し、要望いたしまして、質問を終わります。

○植木委員 まず住宅問題ですが、ことし、公社住宅が家賃改定を行うということになっていますので、家賃について考えてみたいと思っています。
 まず現在の住宅事情ですが、最近、近くの不動産屋と話をしておりましたら、こんなことをいっていました。植木さん、格差社会といわれるが、さまざまな分野に影響している、実は住宅分野も格差社会になっているというんですね。ともかく、六本木ヒルズに入れる人もいる、新築高級マンションも短期間で完売する。しかも、それらは、大半が大手住宅建設会社やその系列の不動産会社あるいは管理会社が一手に引き受ける。その一方で、五万円から八万円程度の低家賃の賃貸住宅を求める人が多くなってきている。それは、私たち、まちの身近な不動産屋が扱っています、住宅の二極分化は不動産屋の二極分化となっている、こういうんですね。私はその話を聞いて、まさに都民の暮らしの実態というものが住宅にも反映している、そういう感じを受けました。
 実際にこの七、八年間を見ますと、国民が実際に使える可処分所得、これが年々減ってきている。それから、若者の中には、派遣労働など非正規雇用が若年労働者の半数を超えている。しかも、年収百五十万円から二百万円台の方がふえてきているというデータも出されています。それから、以前でしたら中堅サラリーマンだった人が、中途退職やリストラ、下請に派遣などで、賃金が頭打ちか、あるいは下がる。それから、年金生活に入っても、年金額も下がり、老齢者控除の廃止や医療費負担の増加等々、生活を切り詰めざるを得ない。こういう状況の格差が広がっている。
 そういう意味で、不動産会社の話でありますけれども、そういう住宅事情の二極分化についてどう見るか。所得格差がこういうことに反映している、これをどう見るかということなんですが、都としては、こういうことについて、どのようにとらえておられるでしょうか。また、とらえている部署があるのかわかりませんけれども、お答えいただけたらと思っています。

○水流住宅政策担当部長 住宅に関する都内の住宅事情でございますけれども、私ども基本的に、住宅・土地統計調査をベースにして事情を見ているところでございますけれども、例えば最低居住水準未満の状態がどういうふうに経年的に変化してきているかというふうに見てみますと、五年ごとの調査ですけれども、着実に減少してきてございます。
 それから、これはいろんなところでお聞きするお話なんですけれども、データではございませんけれども、アパート経営をやっていらっしゃる方々の中で、非常に空き家がふえてきていると。データ上もふえてきているんですけれども、現場の感覚としても非常にふえてきていて、したがって、かつての貸し手市場から、今は非常に借り手市場の方になっている、そういう傾向が見られるというふうに聞いております。
 したがいまして、今、るるご指摘がございましたけれども、住宅事情について、一概に非常に問題化しているというふうな認識は私ども持ってございません。

○植木委員 実際の不動産会社の直感のお話ですから、いわゆるデータではありませんけれども、それでもやはり、まちの不動産屋を見ていきますと、五万円台から八万円台、十万円台、こういうところへの応募者が非常にふえてきているというのを、じかに幾つかのところで聞いていますけれども、いずれにいたしましても、住宅は、やはり生活の反映という面を、もちろん建設という面もあるでしょうけれども、反映が私はあるというふうに思うんですね。
 それは所得階層によって大分違いますから、高額の収入の方々が求めているのと、そうでないのと、やっぱり違ってくると思うんですね。私はそういう点を実感しているものですから、こういうときというのは、私、公共住宅の役割というのは非常に大きいと思うんですよ。もちろん市場と公共とあるわけですけれども、結局そういう生活実態の方々は、いざとなれば、やっぱり都営住宅や公社住宅に申し込む。倍率が依然として高い水準が続いていく、こういうことだと思うんですね。
 それで先日、これは公社住宅の入居者とお会いして、家賃の問題なんかについていろいろお話を聞かせていただきました。かつては中堅所得者として入居したつもりが、年金を受け取る年代になってきて、これからが大変だということを痛感しているという話をしてくれました。
 もちろん、収入基準が下がって都営住宅の入居基準に合う人は、都営住宅が一応受け皿としてはある。しかし、現在、戸数はどんどん減っていますから、はっきり受け皿に全部なるかどうかというのはまた別問題ですけれども、一応受け皿はある。ところが、都営住宅よりもちょっと上の収入の方々は、年々可処分所得が減る中で、実は大変になってきているという思いを切々と私に訴えてくれました。
 そういうことを考えてみますと、ことし公社住宅の家賃がどういうふうになるか、まだ発表されていないのでわかりませんけれども、たとえわずかでも値上がるということは、そういう所得の階層の人たちにとっては非常に大変だということは実態としてあると思うんですね。
 その方はこういうふうにいっていました。たとえ額が少なくても、生活そのものが大変、今、萎縮しているというときだからこそ、実際に大変な思いになるんだと。金額は人によって違いますけれども、わずかだったり、多かったり、あるいは据え置きだったり、いろいろあるんでしょうけれども、そのわずかの値上げの部分でもそういうふうに思う、そういう話をしていました。
 私は、公社は市場家賃制度を導入しておるわけですけれども、そもそもの公共住宅の家賃のあり方の問題として、収入に応じた家賃とする応能を基本とした制度であるべきではないかというのを常に思ってきているんです。そうすれば、こうした方々への変動にも対応できるし、逆に所得がふえれば、当然その所得に応じて家賃をお払いいただくということで、そうしたことも含めて、家賃制度を応能を基本とした制度に改めるという考えですけれども、いかがでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 公社の家賃についてでございますが、公社の賃貸住宅家賃につきましては、平成十四年三月に地方住宅供給公社法の施行規則が改正されまして、近傍同種の住宅の家賃と均衡を図るように定めるということにされております。具体的に公社では、募集家賃、空き家に新たに入居される方の家賃ということでございますが、この募集家賃を引き上げる場合には、募集家賃の激変とか空き家の増加等を総合的に勘案いたしまして引き上げ額を調整するというふうになっております。
 また、現にお住まいの方の家賃を継続家賃と申し上げますが、これを引き上げる場合でも、募集家賃と現行の家賃との差額の二分の一を現行家賃に加えるということでまず調整をさせていただき、さらに、その引き上げ額につきましても上限額を設ける等の激変緩和措置を設けるということになっております。
 さらに加えまして、今いろいろと収入が少なくなられた方々のお話もございましたが、低所得の高齢者などの世帯に関しても、さらに特別の減額措置を講じているところでございます。
 このように具体的な家賃の設定に当たりましては、まず募集家賃で激変緩和をします。さらに、現在お住まいの方の家賃についても、値上げの上限額を設けるなどの激変緩和措置、さらには低所得の高齢者に対する特別の配慮をしておるということでございます。

○植木委員 制度の説明を聞いているわけではないんです。私は制度そのものはよく知っています。ただ、考え方の問題として、本来あるべき家賃の制度についていっているんですよね。
 実際には、市場家賃を導入したということは、もちろん減免制度とかいろんな配慮はあります。しかし、以前のように、建てかえるからとか、改修費用が必要だからとかという、いわゆるコスト論ではなくなってきていると思うんですね。
 あくまでも市場家賃ということでは利潤、まあ利潤についてはいろいろ、民間よりは抑えていることは事実でありますけれども、やはり私、公的住宅の意味合いというのは違うと思うんですね。もちろん、湯水のように税金を投入していいということではありませんけれども、しかし、必要ならば東京都の補助も行うということは当然あり得るわけです。
 そこで、現状について、公社の一般賃貸住宅事業損益の推移について、一般管理費を除いて導入時点の十四年度から十七年度、どのように変化がありますでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 公社の利益についてのご質問でございますが、一般管理費を控除する前の差引利益と申し上げておりますが、これは平成十四年度が九億六千三百万円でございました。平成十七年度は四十七億六千四百万円となってございます。

○植木委員 実に大きな利益がこの間上がってきている。単純にいえば五倍程度上がってきている。
 もちろん、この間に家賃改定も行っている、それから繰り上げ償還、あるいは借りかえなどで利子負担の軽減とか、そういう努力をされている。それは私も承知しておりますけれども、しかし、一般賃貸住宅のネックになっているのは、都民住宅の赤字部分なんですよね、実は大きいのは。これは今、制度論で別のところでやっていますから踏み込みませんけれども、こういう一般賃貸住宅の中でも、都民住宅などのそういうところを改善すれば、もっと利益は上がるはずなんですよ。それ以外にも、積立基金やいろんな名目で経費が計上されている。
 そういう意味で、差し迫った家賃の値上げの理由はないし、切実性は以前と随分変わってきているというふうに思うんですよ。もちろん、将来に向けていろいろ健全化していく努力は当然なんですけれども、しかし、かつてのような切実性というのは、今時点では、私はそれほど上げる必要はないというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 今、委員からは、黒字だから値上げの必要はないのではないかというようなご指摘がございましたが、先ほども申し上げましたように、公社の賃貸住宅の家賃は、十四年三月の法の施行規則の改正によりまして、近傍同種の家賃との均衡を図るようにというふうに定められてございます。
 この趣旨から申し上げますと、公社の家賃というのは、公社の利益が上がったり下がったりということで引き上げたり引き下げるべきものではないというふうに考えております。

○植木委員 私は健全になることはいいといっているんですよ。問題は、差し迫ってそういう、まあ下がる場合もあるんだけれども、値上げする理由はないんじゃないかといったんですよね。
 じゃ、お聞きしますけれども、一般賃貸住宅で現在住んでいる方は、今の方式でいくと三年ごとの改定になるわけです。ところが、新規募集の方は、年度ごとに近傍同種家賃になっていくんですけれども、今年度の新規募集家賃については、引き上げ、引き下げ、据え置きの割合、それから多摩と区部ではそれぞれどうなっていますでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 ことし、十八年度の公社賃貸住宅の、新たに入居される方の募集家賃の設定状況でございますけれども、区部では引き上げが六二・二%、据え置きが三一・一%、引き下げが六・七%でございます。多摩は引き上げが五二・七%、据え置きが九・三%、引き下げが三八・〇%。合計いたしますと、引き上げが五七・二%、据え置きが一九・七%、引き下げが二三・一%になってございます。

○植木委員 そうしますと、多摩の方は恐らく地価の動向というのが反映しているんだろうと思うんですけれども、いずれにしても、区部も多摩も、引き上げの方が六割あるいは五割を超えている、こういうことですね。だから、近傍同種の家賃がどんどん下がっていったら、逆にマイナスがふえていっちゃう、そういうことにも、逆にいえばなるんですね。だから、この制度そのものが、ある意味では柔軟なようであるけれども、先ほどの利潤の点でいえば、逆の面もあるんですよ。
 私は、基本的に公共住宅の家賃というのは、一定の考えを持ってきちっとやっていく、それで先ほどの提案を行ったんです。
 いずれにしても、現在、高級マンションなどは、特に都心の中心部分では上がったりしていますけれども、一般の市場の賃貸住宅は、引き下がるか、あるいは横ばいということはあるんですけれども、私は、今後じわじわと上がっていく傾向ももう一つの面であると思うんです。先ほどもお話が出ていたけれども、空き家の問題とかいろんな事情が重なりますから、いきなりはなかなか上がらないんですけれども、地価の動向を見ると、徐々に上がっていく可能性もある。
 もちろん住宅供給が、新築がどんどん建っていますから、偏在はあると思うんです。例えば国土交通省の資料で、都内の土地評価額の対前年度比の変動率を見ますと、十五年度では、プラスになったのが渋谷一区だけなんです。ところが、十八年度では、プラスになった地区が二十四地区にもふえているんですね。二十三区の中では、実に二十一区がプラスになっているんですよ。ぐっと地価の方は上がってきています。ですから、住宅の偏在はあるけれども、どこかの部分では上がっていく部分というのが、これからふえていく可能性というのは私は否定できないというふうに思うんですね。
 そういうことも含めて、本来の家賃制度のあり方、それから、現状では五割、六割を超える引き上げがある、それから、私の訴えている応能を基本とした制度、そういうものを勘案すれば、上がる部分については、私は今年度は据え置いてもいいんじゃないか、そういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○中沢区市町村調整担当部長 先ほど来ご答弁申し上げておりますように、公社の賃貸住宅家賃につきましては、法の施行規則によりまして、近傍同種家賃との均衡を図るように定めるというふうになっております。
 先ほど地価の動向の問題がございましたけれども、地価の動向が直ちに家賃に反映するわけではないと思っておりますが、近傍同種家賃が変動すれば、公社の家賃にもそれは反映されることになるというふうに考えております。

○植木委員 もちろん、私も地価がいきなり上がるなんという乱暴なことは考えておりませんし、いってもいないんですけれども、いずれにしても、そういう本来的な家賃のあり方というものをぜひ検討していただきたいというふうに思うんです。
 それから、さっき、公共の役割は非常に今、大きいといいましたけれども、実際にはなかなか倍率も下がらない。むしろ都営住宅の戸数は減ってきているし、入居水準や資格もいろいろ出てきている中で、応募されている方は、所得や年代やファミリー、いろいろによって違いますけれども、やはり困難な面があると思うんですね。
 例えば若年ファミリーへの定期使用住宅、これは五月の応募倍率は二十一・六倍ですね。一般の賃貸住宅の若年ファミリー用は、ことしの新しいのかな、直近のが、わずか十三戸募集なんですよね。だから、本当に全体としては少ないんです。
 そういうところに視点も当てた、いわゆる公社や公営住宅に入れない、そういう一定の所得の方々の若年ファミリーへの家賃助成、それから、他の年代についても一定の所得の家賃助成、こういう制度も私はそろそろ検討する時期に来ているんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 ご指摘の家賃助成あるいは家賃補助と申しますか、六月の住宅政策審議会答申の中でも取り上げられております。そこでの指摘は、施策対象、給付基準、収入資産の捕捉、財政負担、執行体制など整理すべき課題も多いと。
 また、典型的な所得再分配政策であります。諸外国でもそうですけれども、国が基本的には、家賃補助制度というものは負担、運営をする、そういう政策でございます。また、生活保護制度との関係もございます。
 こうしたことから、国における検討がまず必要と考えておりまして、都として実施する考えはございません。

○植木委員 どこが基本的にやるべきかという問題はありますし、整理すべき課題もあるというお話ですけれども、やはり今日的な、そういう世代、特に若年ファミリーなんかは、少子化対策としてもあわせてぜひ検討することを強く求めて、次の質問に入ります。
 次の質問は都市のあり方についてなんですが、一九九九年に、危機突破・戦略プランの中で都市再生を戦略的課題と位置づけて以来、さまざまなビジョンが出されてきましたが、どのような位置づけがされてきたでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 国際的な都市間競争の時代にありまして、今必要なことは、首都東京の潜在力を引き出し、その活力や魅力を高めていくことと考えております。こうした認識に立ちますと、絶対的に不足している道路や空港などの交通インフラを整備するとともに、優良な民間プロジェクトなどを促進し、都市の機能更新を図る都市再生の取り組みは不可欠と考えております。
 このため、平成十三年に策定した、都市づくりの基本的な方針を示す東京の新しい都市づくりビジョンでは、三環状道路の整備促進、政策誘導型都市づくりの積極的な展開を掲げております。現在、その実現に努めているところでございます。
 また、都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の指定や、あるいは都市再生特別地区などによりまして、首都機能を高め、国際競争力や都市の魅力の向上につながる民間プロジェクトの誘導促進を図っております。
 いずれにしましても、今後とも、このような取り組みを通じ、首都東京の都市再生を積極的に推進してまいります。

○植木委員 かつては東京一極集中の是正ということがいわれていたんですが、この東京一極集中の是正ということと、今度、今るるお話があった都市再生、どのような違いがあるのでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 一極集中による弊害があるんじゃないかということなんですけれども(発言する者あり)関係でございますけれども、一極集中を考えますと、弊害があれば、それらを是正しながら都市再生を進めていくということになろうかと思います。

○植木委員 答弁が全然かみ合っていないんですね。というのは、少なくとも鈴木知事の時代には、もちろん副都心とか臨海とか、部分的に大規模開発はやっていましたけれども、東京一極集中が前面に出た都市のあり方論について、基本的には進めてきたはずなんですよね。
 今回は、一九九九年から都市再生論に全部変わってきたわけです。その中身は、先ほど説明がありましたから繰り返しませんけれども、一九九九年、ちょうど石原知事が新たに知事となってから、東京をよみがえらせるということで、危機突破・戦略プラン、その中で都市再生というのが位置づけられて、その後、東京構想二〇〇〇とか東京メガロポリス構想とか、それから、先ほど説明があった都市づくりビジョンとか、こういう中で都市再生というのがどんどん位置づけられて進んできた。だから、東京一極集中の是正という考え方は、その中から実際はなくなってきているんですよ、あの方針をずっと見ましたけれども。
 それで、都市再生が一挙に進められ、業務床の過剰供給、ヒートアイランド対策とかいろんな問題も出てきたり、さらに過度の集中が進む中で、また今後も、一層過度な都市再生を進めていくということになる。したがって、そのための基盤整備、三環状道路だとか、そういうものをどんどん進めていく必要性が、皆さんの考え方でいえば出てきて、しゃにむに進める。オリンピックをてこに三環状を進めるということさえいわれている。
 もともと、一九九九年の直前に日本経団連から都市再生の提言というのが出されて、その後、そうした財界の要望に基づいて都市再生計画、政府と東京が一体となって進めてきたのは、緊急整備地域をつくってきた経過を見れば明らかだと思うんですが、実際にそれがどうなっているかということを幾つか具体的にお聞きしたいと思っておりますが、都内で指定された都市再生緊急整備地域と都市再生特別地区の現状はどのようになっているでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 都市再生緊急整備地域でございますけれども、平成十四年七月には、東京駅、有楽町駅周辺地域など七地域、約二千三百七十ヘクタールが指定されております。その後、平成十七年十二月に、渋谷駅周辺地域約百四十ヘクタールが追加指定されまして、現在、八地域、約二千五百十ヘクタールとなっております。

○植木委員 二千五百十ヘクタール、どのくらいの規模か、ちょっと想像もつかない広さですけれども、じゃ、もう一つお聞きしますが、首都高速道路中央環状線内のいわゆるセンター・コア・エリアとして開発を重点的に進める、いわゆるセンター・コア内ということで進めてきたと思うんですけれども、そこの業務・商業ビルなどの整備状況はどうなっておるでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 おおむねセンター・コア・エリアに相当する都心十一区のデータで見ますと、事務所、店舗等の床面積は、平成十一年で七千三百七十万平方メートル、平成十七年で約八千八十万平方メートルとなっておりまして、平成十一年から十七年までの六年間に約一〇%増加しております。

○植木委員 一九九九年の石原都政になってから、一〇%、センター・コア内での床面積がふえている。その中での大手町、丸の内、有楽町、いわゆる大・丸・有の再整備、この前、大手町問題はここで取り上げたので、中身は踏み込みませんけれども、整備状況はどうなっているのでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 大・丸・有地区では、一九九九年から現在までに着工された建築物が十八棟、延べ床面積にしまして約二百十八ヘクタールでございます。

○植木委員 全体で見れば、ごくごく一部の地域で二百十八ヘクタール開発がされている。あの当時、経団連や日本経済新聞などがいた古いビルが、新しいビルに、合同庁舎の後に入る。そうすると、二倍以上の容積率がかかるとか、そういうことがいっぱい、あの当時、私も指摘をしましたけれども、とにかくあらゆる手法で容積率がどんどんふえていく。
 じゃ、もうちょっと広めて、二十三区内では、百メートルを超える大規模ビルは、一九九九年と比べると何棟になるのか、それから面積はどうか、比較をお願いしたいと思います。

○金子市街地建築部長 二十三区内の高さ百メートルを超えるビルでございますけれども、一九九九年といいますと平成十一年でございますが、資料が手元にございませんので、恐縮でございますけれども、平成十二年と平成十九年でお答えさせていただきます。
 平成十二年度と平成十九年度における二十三区内の高さ百メートル以上の建築物の棟数と延べ面積につきましては、建築確認関係の資料によって集計いたしますと、竣工ベースでございますが、平成十二年度竣工が十四棟、延べ面積の合計が八十三万八千平方メートル、平成十九年度竣工予定が二十九棟、延べ面積の合計が二百三十六万三千平方メートルでございます。

○植木委員 竣工ベースというのは出ているんですけれども、竣工ベースじゃなくて、二十三区内でどうかということを聞いたんですけれども、いずれにしても、この間、短期間にどんどんふえていることも間違いない。
 私はここで何をいいたいかというと、これだけ行け行けどんどんで都市再生を行っていく、業務床がふえ続けていく。新たな都市の集中問題というのが私は発生するんじゃないかなという思いがあるんです。鈴木都政時代の東京一極集中は、その当時の事情がいろいろあると思うんですけれども、これだけ大規模な都市再生がどんどん進められていくと、どうなるかということなんですよね。
 いろいろな不動産関係の市場調査、例えば二十三区の大規模オフィスビルの市場動向調査などを見ますと、三万平米以上の超大規模な物件が都心に集中している。二〇〇六年以降二〇一〇年に向けて、その占める割合が、年々八十万平米、今後も供給がふえていく、こういうふうに書いてありますけれども、具体的な数字はともかくとして、そういう規模で進んでいるということは私は間違いないと思うんですね。
 そういう意味で、新たな今日的な一極集中の是正というものがこの中に僕はあると思いますけれども、いかがでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 都市再生本部の資料によりますと、都市再生緊急整備地域の指定から平成十六年十月までの間に、全国で約三兆円の投資がございます。これによる経済効果は六兆円と試算しております。この六兆円の経済効果のうち、東京、千葉、埼玉、横浜などの関東だけで約三兆円になるという試算がございます。これに、平成十六年十月以降三年以内に着手予定の事業による経済効果を加えますと、関東で約七兆円と推計されます。都において非常に大きな経済効果があると考えております。
 このように、経済の再生による国際競争力を維持するとともに、質の高い都市機能の更新をあわせ、良好な都市景観あるいは良好な都市環境を創出していく、こういった世界に誇れる東京の都市づくりを進めていくためには、今後とも、民間活力を活用した質の高い都市再生を推進していく必要があると考えてございます。

○植木委員 私は大変残念に思うんですよね。都市のあり方を聞いているのに、経済効果の話が出てくるんですよ。もちろん経済効果というのは、それはそれで一つの角度として重要な要素ですけれども、私は都市のあり方を聞いているんですよね。東京一極集中がまた新たに出てくるんじゃないかと。
 時間が余りありませんので、幾つかまとめてお話しして聞きますけれども、今、経済効果の話がありましたけれども、一つは社会的な費用の問題。都政でいえば、当然都財政、年々かかる投資的な経費、それから起債などで、どれだけこれからふえていくかわかりませんけれども、もちろん民間が出す部分はあるでしょう、基盤整備を初め行政が出す部分もある、区市町村が負担する部分もある。そういう社会的費用というのは、必ず大きくなっていくんです、今のペースでいったら。これが一つ。都財政にも当然影響する。
 それから、後年度の、つまり後の都民の負担も考えていかなきゃいけない、これが一つ。
 それからもう一つは、一番犠牲になっている一つとして環境問題があります。ビルがどんどんできることによって発生するCO2、それから自動車交通、こういうものが出てきて、京都議定書では二〇一〇年度までにマイナス六%にする、こういっていたのが、マイナスどころかプラスになってしまって、三〇%近く削減の計画をこれからやっていかなきゃいけない、こういう問題が出てくる。この間も大・丸・有のときにお聞きしましたら、古河、三菱ビルで、従前ビルに比べてCO2の排出量が三六%増加するという答弁をされていた。こういう環境問題。
 それから大量の産業廃棄物、自動車交通の集中問題、こういったいわゆる負の問題というのがあると思うんですよね。
 つまり、これだけ集中的に都市再生を進めていったら、新たな都市の集中問題が出てくる、そういう角度から私はいっているんですけれども、いかがですか。

○野本都市づくり政策部長 社会的費用が増大するんじゃないかとか、あるいは環境が悪化するんじゃないかというご指摘でございますけれども、私ども、都市再生の一環としまして、先ほどから幾つか話題に上っています三環状の整備ということを進めています。あるいは羽田空港の整備、各民間による拠点開発、こういったことを進めることによりまして、例えば道路を整備すれば渋滞がなくなりましてCO2も減る、それから車の通りもよくなるということがございます。拠点開発を進めることによりまして、緑もふえますし、公開空地もふえるということで、都市再生を進めることはまさに東京に必要かと考えております。

○植木委員 これは、必ずそういうときが来ると私は思っています。特に、都市のあり方のときに経済波及効果なんというのを挙げるというのは、私は愚の骨頂だと思っています。
 それで、世界的な流れというのは、サスティナビリティーという考え方がヨーロッパなどでもたくさん出されていて、ロンドンプランでも、超高層ビルというのは、一定の地域や非常に抑制されたものにしていくということで進めている。
 それから、環境と開発に関する世界委員会の報告書では、サスティナブルシティーという考え方を打ち出しておられて、その報告書の中では、持続的な発展とは、将来世代がみずからの必要性を満たす能力を損なうことなく、現代世代の必要性を満たす、こういう将来も見据えた考え方。あるいは欧州サスティナブルシティー委員会というところでは、幾つもの項目を挙げていますけれども、都市の管理の原則とか、都市のエコシステム論だとか、いろんなことを掲げてやっているんですよ、現に。
 東京も、もうここまでどんどん進めてきちゃっていることも事実ですけれども、そういう都市のあり方論というのを、ここで立ちどまって考えていく必要があるんじゃないかというのが私の考え方であり、世界的には、そういう方向というのが今どんどん模索され始めています。そういう点についてはどのようにお考えでしょうか。考えがなければないで、あれですけれども。

○野本都市づくり政策部長 サスティナブルシティー、いわゆる持続発展可能な社会の実現ということかと思いますけれども、私ども、先ほどの三環状とか空港あるいは拠点開発ということを通しまして、地震に危険な市街地をなくすとか、あるいは慢性的な交通渋滞をなくすとか、交通渋滞等をなくしていく、こういったことを目指していますので、まさに都市再生を進めることがサスティナブルシティーの実現につながる、そう考えております。

○植木委員 私は最初に、いろんな量の問題、実際に建っている問題、それから、今、計画されているものを含めてその中には入っていますけれども、そして、今後もそういうビルの建設ラッシュというのがしばらくずっと続く。今の計画はそうですよ。行け行けどんどんのそういう都市再生ということではなくて、首都東京の都市整備を扱う局として、私はぜひその辺を研究していただきたいということを重ねて強調したいと思います。
 時間もありませんので、最後の質問で、これも二問ばかりにまとめて質問したいというふうに思っています。
 サスティナブルシティーという考え方で臨んでほしい一つが、中野の警察大学校の跡地問題。これは、中野駅の北側にあります十三・七ヘクタール、都内に残された貴重なオープンスペースです。これは再開発促進地区という地区計画手続で検討が進められておりまして、この規模からいいますと、東京都が地区計画の決定権者でありますだけに、東京都の責任というのは極めて大きいと思うんです。
 今、中野区で地区計画案の検討が行われている段階だからこそ、東京都が慎重な判断で、場合によっては、東京都として見直させることも私は必要だというふうに考えています。
 そこで、まず伺いますが、昨年、私が事務事業質疑で、二〇〇一年に東京都と中野区と杉並の三者で合意した警察大学校等移転跡地土地利用転換計画について--中野区が二〇〇五年にその計画を見直して、中野駅周辺まちづくり計画に変えたわけです。
 去年、事務事業質疑のときに、当時都市づくり政策部長だった、今、技監の福島さんがお答えしていたんですけれども、こういうふうに答えています。警察病院の設置のほか、清掃工場の建設撤回といった状況を踏まえながらも、従来のまちづくりの目標としていた多様な機能の導入による複合的なまちづくりについては、新たに大学等を誘致するなど、開発の方向性は基本的に変わっていない、したがって、都の立場としてこの考え方を是として臨んでいきたいと認識を述べましたが、この認識については今も変わっておらないでしょうか。

○野本都市づくり政策部長 平成十七年度に、東京都、中野区、杉並区が策定した警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案の見直しの中で、警察病院あるいは大学の設置のほか、多様な機能を導入するという開発の方向性が示されております。この考え方に対する認識は、昨年度以降、現時点においても変わっておりません。

○植木委員 変わっていない立場で臨むということですが、そうしますと、二〇〇一年の三者の合意による計画では、こういっているんですね。総合的な防災拠点として位置づけていく、核となる中央防災公園を整備する、これが掲げられているわけです。この具体的な点は、四ヘクタールの防災公園を核としての計画で合意しているわけです。
 もう時間もありませんから、細かいことは省略しますけれども、国の区部直下地震の被害想定でも、中野の焼失面積というのは非常に大きいということも出されていたり、住宅密集地の問題もあります。そういう点で、十万人の避難場所の確保というのは区民の一番の願いの一つであります。
 同時に、中野区の中心に位置して、区役所も所在する、それから、避難住民の方々のみならず、区内全域を見据えたそういう防災施設を備えた、しかも東京都との連携も行える、そういう中心的な役割を担う四ヘクタールの防災公園を確保するということは、東京都としても非常に私は重要だというふうに思うんです。
 そういう意味で、基本的に変わっていないというなら、この四ヘクタールの防災公園面積は確保すべきだというふうに思いますが、いかがですか。
 それと同時に、十万人の避難場所の確保についても、これは絶対に責任を持っていただきたいと思いますが、いかがですか。

○野本都市づくり政策部長 前段の公園の確保のところについて私の方でお答えしまして、十万人の件については所管の方からお答えします。
 まず、防災公園ですけれども、今回変更された土地利用方針図の中で、防災公園が一・五ヘクタールのほかに、それらを含めまして、緑地空間として三から四ヘクタール維持するということになっております。こういうことで変更はされましたけれども、計画上支障はないと考えております。

○宮村市街地整備部長 十万人の避難場所についてのご質問でございます。
 東京都は、震災時に拡大する火災から都民を安全に保護するため、東京都震災対策条例に基づきまして避難場所を指定しております。また、避難場所につきましては、二十三区とともに情報交換の場を設け、技術提供や意見交換を定期的に行っております。
 ご質問の中野区役所一帯の避難場所につきましては、警察大学校等の敷地を含め、区役所周辺約二十一・七ヘクタールを対象にいたしまして、平成十四年に、当時の建物配置をもとに、約十万人の避難者が安全に避難できるように指定をしております。
 今後とも、区と技術的な調整などを重ねまして、中野区役所一帯の避難場所に約十万人の避難人口に対する避難機能が確保されるよう取り組んでまいります。

○植木委員 時間もなくなりましたので、まとめていいますが、今の一・五ヘクタールプラス緑地空間というのは、緑地空間というのは防災公園ではないことは百も承知でいっているんですよね。しかも、民間にこの部分は提供させるという、これからの問題なんですよ。全くまだはっきりしていない問題です。十万人の方は、今、確保するということで調整するというお話でしたけれども、いずれにしても、防災面、それからヒートアイランド対策、こういった面からも、ぜひ四ヘクタールの防災公園、それから十万人の規模、これを確保していただきたいということが一つ。
 それから、基本的に変わらないといったんですけれども、一つは大型商業施設が誘導される計画になっています。これが、細かく用意はしていたんだけれども、ちょっと粗っぽくいっちゃうので誤解を招くといけませんけれども、いろんな商業調査を見ても、今、大規模商業施設は、必ずしも周りには効果をもたらさないというのが最近の特徴だという東京都の調査結果、これは商店街実態調査の中で出ております。
 それからもう一つは、そうした商業施設などをやることによって、これまでと違っている点は、自動車関係が、四千二百七台新たに発生集中量が出る。そのほかにもマンションで千七百三十三台とか、そのほかの商業施設で千三百十七台とか、大学で千十九台とかいろいろ計算が出ていますけれども、いずれにしても、環境面から、従来の交通量から全く違った状況になって、交通問題もこれからの新たな問題になってくる。
 そういったことも含めて、私はぜひ、基本的な点は変わらないというふうにおっしゃったので、基本的な二〇〇一年の合意の中身をもう一度よく吟味していただいて、やっていただきたい。そして、環境に配慮した、将来のサスティナブルシティーといえるような、そういう方向で進んでいただきたいということを重ねてお願いして、終わりにします。

○立石委員 いいかげんではなくてよいかげん、塩かげんをあんばいといわれるわけですけれども、今、皆様の真剣な質疑を聞きながら感じたんですが、結局バランスだなと。我が党のこいそ議員さんが、多摩センター前に非常に貴重な空間があるにもかかわらず生かされていない旨のお話があったり、いろんなことを感じますと、究極、あんばい、よいかげんというものが、まちづくり、都市づくりに非常に大切だなというふうに私、今、思っております。
 幾つか質問を考えておりましたけれども、まとめて一つだけ質問いたしますと、十月三十日に、ほぼ十年ほどかかって、苦労に苦労を重ねて、都市機構が晴海の三丁目に、起工式がありました。港湾局の地所に再開発をされる住居系の建物です。公社住宅も入っておりますし、分譲住宅も入っております。私にいわせると、非常に理想的な、普通の都民が手に届く都心の住宅だ、そういうふうに思っております。
 港湾局が地主なので、港湾局長、津島さんがお見えになっておりましたけれども、非常に理想的な形でいいものができるなと感心したんです。
 そういう中で、手の届くという、アフォーダブルな住宅というのは非常に大事だと思うんです。晴海運河を挟んで、目の前には勝どき六丁目、六六計画、七千五百戸、一億を超える、立派なというか、高級というかが、あっという間というのは語弊がありますけれども、完売されている。どういう人が買っているかわかりませんけれども、すごいなと、こう思いますが、とても普通といったら失礼ですけれども、手の届くような状況ではない。つまり、まだそれこそ鉄骨も組み上がったかどうかという状況で売れてしまっている。しかし、朝潮運河を越えてできた、起工された晴海三丁目の再開発住宅は、手の届くということです。
 つまり私は、バランスと手の届くということをもっと真剣に考えなきゃ、都民の幸せはできないというふうに思っております。今、こいそ議員さんからも話があったような、多摩地域における業務床の不足、都心における手の届く住宅の不足が、やっぱりアンバランスだと思うんですね。これじゃ、よいかげんじゃなくて、いいかげんだと思うんです。
 このことについて、住宅政策として東京都の当局はどういうふうに考えておるか、このことを一点だけご質問して終わりたいと思いますが、よろしくお願いします。

○水流住宅政策担当部長 まず、バランスという点で、都心居住の促進の必要性について認識を述べさせていただきたいと思います。
 都心居住を促進するということは、職住近接による自由時間の増大を通じまして、家族の団らん、さまざまな余暇活動を充実させ、豊かさを実感できる生活の実現に寄与するものであると考えております。また、都市全体にとりましても、通勤混雑の緩和、既存の各種施設の利用効率向上が図られて、環境に対する負荷の軽減などにも寄与するものであります。
 このように、東京の活力、魅力を高めるためには、都心地域における居住機能の確保が大変大切だと認識しております。
 都はこれまでも、都心居住促進のための住宅プロジェクトの誘導などに努めてきたところでございます。一九九〇年代の後半には都心地域の人口も増加に転じまして、最も都心区が伸びております。その内訳としても、子どもを持つファミリー世帯、また二十代、三十代の若い方々もふえてきているところでございます。
 さらに、こうした都心居住を促進するに当たりまして、お話の手の届く値段の、家賃の、そうしたものも含めた多様な住宅を供給していくことが重ねて大切だというふうに考えております。手ごろな家賃の賃貸住宅に関する具体的な取り組みとしまして、勝どき一丁目の都営住宅跡地で、子育て世帯に手ごろな広さと家賃の民間賃貸住宅の供給促進に取り組んでいるところでありまして、今後とも、都有地を活用したこのような取り組みを進めてまいります。
 また、都民ニーズの多様化に対応しまして住宅の選択肢を拡大していくことが重要でありますので、良質な持ち家ストックの賃貸化ですとか、新築より安い中古住宅の流通促進などに取り組んでまいります。
 以上でございます。

○吉原委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○吉原委員長 異議なしと認めます。よって、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十分散会