都市整備委員会速記録第九号

平成十八年九月二十九日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事立石 晴康君
理事花輪ともふみ君
きたしろ勝彦君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
川井しげお君
小沢 昌也君
中村 明彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君

本日の会議に付した事件
付託議案の審査(決定)
・第百七十七号議案 東京都景観条例
・第百七十八号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
・第百七十九号議案 東京のしゃれた街並みづくり推進条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより付託議案の審査を行います。
 第百七十七号議案から第百七十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○植木委員 東京都景観条例の全部改正に反対する立場から意見を表明します。
 今回の条例改正は、国の景観法の制定に伴い行われるもので、新たに景観計画の策定などが盛り込まれることになります。また、都独自の規定として、大規模建築物等の建築などにかかわる事前協議制が提案されており、この点については、我が党はかねてから超高層ビルなどの大規模な建築物の適正な規制を提案してきたものであり、歓迎するものであります。
 同時に、改正案は、今後の東京における景観行政の根本にかかわる問題が盛り込まれています。
 第一に、現行条例の前文が全文削除されたことです。
 景観条例の前文は、東京が多様な景観をはぐくんできたことを紹介するとともに、震災や戦災により、それまで築いてきた都市としての貴重な蓄積の多くを失ったとし、さらに、戦後の急速な発展によって都市の活力や利便性などの向上がもたらされたが、一方で、自然や歴史を感じさせる街並みの減少を招くなど、景観面の配慮が必ずしも十分でなかったという反省の上に立って、生活に快適さと潤いをもたらす景観づくりを行い、次代の人々に美しいまち東京を引き継ぐために条例を制定することを高らかにうたっているものであります。
 この前文を削除することについて、都は、第三条の基本理念に取り組んだこと、第四条に規定されている景観法の基本理念で取り組まれているとしています。しかし、法の基本理念は、確かに前文と重複するところはありますが、経済活動等との調和という経済優先の理念でつくられているもので、とりわけ東京のように経済活動が活発で都市開発、都市改造が行われている都市では、規制の実効性を失わしめるものとなりかねないものであります。
 また、改正条例の基本理念は、良好な景観は国内外の人々の来訪を促し、交流を活発化させ、新たな産業、文化の活動を創出することにかんがみということで、活力ある都市の発展につながるよう、その整備、保全が図られなければならないとか、都市づくりを通じて新たに美しく魅力あふれる景観を創出し、都市としての価値を高めていくなど、新たな都市づくりを前提とした景観づくりがうたわれています。
 法の基準、理念とあわせて、以降、基本理念というものというふうになってはいるものの、条例の基本理念はそれ自体大きな意味を持つもので、開発優先、景観後追いといわざるを得ない内容になっていることは明らかであります。
 また、これまでのまちづくりの規定が都市づくりに改定されていることも重要です。
 これら質疑してまいりましたが、さらに、景観条例の景観づくり基本指針が削除されていることです。この点では、法改正に基づいて景観計画が規定されることになりますが、基本方針で定めることとした景観づくりに関する目標、景観づくりに関する基本的方向などでの定めがなくなることになります。
 また、第三に、事業者の規定についても、これまでは景観づくりについて積極的に寄与する責務を有することが定められていたのに対し、改正では一般的な努力規定にされ、事業活動を行うに当たって、景観づくりの妨げになる行為は行わないように努めることを定めた条項が削除されるなど、事業者の責務の規定が後退させられていることや、東京都景観白書の条項が削除されるなど、明らかに後退となるものであります。
 さらに、全部改定の条例では、大規模建築物の事前協議を初めとした幾つかの詳細の規定が、指針にゆだねることとされています。審議に当たって、一応、念のため確認はいたしましたが、指針の内容は明らかにされていず、どの範囲まで規定するのか、規制型とするのか誘導型とするのかも不明です。そもそも重要な規定を議会のチェックを受けないまま指針にゆだねることは、要綱行政というべきものであって、条例主義とはなじまないものであります。
 以上、改正案は、一定の改善はありますが、全体として、石原知事が進める千客万来の都市、世界都市東京をつくるための都市改造を景観面から推進するものになりかねないものであり、反対するものであります。
 以上です。

○高橋(か)委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 初めに、第百七十七号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○高橋(か)委員長 起立多数と認めます。よって、第百七十七号議案は原案のとおり決定いたしました。
 次に、第百七十八号議案及び第百七十九号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認めます。よって、第百七十八号議案及び第百七十九号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○高橋(か)委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○高橋(か)委員長 この際、柿堺都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○柿堺都市整備局長 一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 このたび定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。高橋委員長を初め委員の皆様には、熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 景観条例は、今後の都市づくりに大きな影響を与えるもので、快適で安全な都市の整備を進めるためにも、この改正条例の運用に最大限の努力をいたす所存でございます。
 また、昨年の八月以来、私どもの事務事業につきまして、特に構造計算書偽装問題では一方ならぬご指導を賜りましたことにつきましても、厚く御礼を申し上げます。
 この間ちょうだいいたしました多くの貴重なご意見、ご提言につきましては、今後の施策に十分に反映させてまいります。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、大変簡単でございますが、御礼のごあいさつとさせていただきます。まことにありがとうございました。

○高橋(か)委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 長橋、伊藤両副委員長を初め理事、各委員の皆様方、また前梶山局長、そして柿堺都市整備局長を初めとする理事者の皆様方のおかげで、つつがなく委員長の職をここまで務めさせていただきました。
 振り返りますと、今お話がございましたけれども、昨年の十一月に発覚した構造計算書偽造問題に関する緊急視察、そして集中審議、また、ことし六月に起きたシンドラーエレベータ株式会社製エレベーターの事故への対応など、都民の安全・安心を揺るがす大きな課題に取り組んできたと思います。本日採決した景観条例の全部改正、東京の都市づくりや住宅施策を左右する各種審議会の案件、例えば外環アセスなど、都政の重要課題を議論してまいりました。貴重な、充実したこの一年というか、十四カ月を過ごしたような気がいたします。
 今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。一年間ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時十三分散会

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