都市整備委員会速記録第六号

平成十八年六月十五日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十四名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事三宅 茂樹君
理事立石 晴康君
理事花輪ともふみ君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
きたしろ勝彦君
小沢 昌也君
川井しげお君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長柿堺  至君
次長村松  満君
技監小林 崇男君
技監依田 俊治君
理事河島  均君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長福島 七郎君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
航空政策担当部長小山  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事北村 俊文君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事山口  明君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
報告事項(説明・質疑)
・東京都住宅政策審議会答申について
 請願陳情の継続審査について
 特定事件の継続調査について

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の報告事項の聴取、並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、柿堺都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○柿堺都市整備局長 さきの六月三日に、港区でエレベーターの事故が起こりました。まだ原因究明等ができていませんので、途中経過でございますけれども、時間をいただいてご報告をさせていただきたいと存じます。
 先般、港区が所有する共同住宅のエレベーターで、高校生が亡くなるという痛ましい事故が起きました。本来安全であるべきエレベーターでこのような事故が起きたことは、まことに遺憾でございます。事故に遭われました市川大輔さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
 都は、事故後直ちに、都営住宅など都の施設において、シンドラー社製を含むすべてのエレベーターに対する調査、点検を行っております。その結果、都営百人町三丁目アパートでは、高層階用エレベーター二基のうち、事故機と駆動装置が同型の一基について、住民の方々にはご不便をおかけしておりますけれども、安全を期して当面の使用を禁止させていただいております。
 また、民間施設等のシンドラー社製のエレベーターにつきましては、区市とも連携し、管理者に対し、緊急点検と結果報告を早急に行うよう要請したところでございます。
 現在、警察などにより事故原因の究明が進められており、今後は、それらの結果を踏まえまして、国や区市、エレベーター業界など関係団体と連携し、都民が安心してエレベーターを利用できるよう、安全確保に万全を期してまいります。
 今後の状況の変化につきましては、適宜、委員の皆様に情報提供をさせていただきたいというふうに存じております。よろしくお願いいたします。

○高橋(か)委員長 発言は終わりました。
 ただいまの発言に対して意見がございましたら、ご発言願います。

○きたしろ委員 今、局長のお話の中に、安全を確保するため、今できる限りのことを点検、調査しているというお話をお伺いしました。それはまさに大切なことだと思いますので、原因究明はしっかりとやっていただければなというふうに思っております。
 というのは、私自身は港区でございますので、まさに大輔さんというのは、私の知っている人のお子さんなんですよ。そういうことでお通夜にも行ったんですけれども、もう言葉にもならないぐらい、両親が大変な状態だったんですよ。だから、そういった意味で、安全というのは本当に大切なものじゃないかなというふうに--もう言葉もかけられないぐらいだったんです。そういう状況だったので、安全ということに関して、皆さん方は本当に自分の問題としてとらえて、これからの原因究明と対応をお願いしたいなというふうに思っております。
 昔は、水と安全はただだというような風潮もあったのは事実ですけれども、今、水も、ガソリン代と同じぐらいのお金でみんな買って飲んでいるような状態。そしてまた、安全ということに関しても、今までは経済効率優先とかいろんなことがあって、むだ遣いしてはいけないんですけれども、姉歯偽装事件もありました。そういった意味で、生命、安全のことに関しては、コスト、税金というものをかけてもいいんじゃないのかなというふうに私は思っているんですよ。そういうことで、命、安全という問題に関しては、安ければよいという、要するに経済効率優先であってはいけないだろう、そういうふうに思っているんです。
 また、現代のように、超高層マンションには、それこそ高スピードのエレベーターが上下していますよね。大きな超高層ビルになりますと、一台当たり二十人から三十人乗って、それこそ十基ぐらいある。まさに二百人、三百人の人たちが常に上下をしているような、公共の交通機関と同じような感覚、視点で、エレベーターの安全というのをやっぱりこれから対応していかなきゃならないんじゃないのかなというふうに私は思っているんですよ。
 ましてやエレベーターというのは、今の時代、都民の生活においては必要不可欠な乗り物になっているわけですよね。そういった意味で、多くの利用者の生命を預かっている公共交通機関のように高い安全性がこれからは求められるだろう、また、しなきゃいけないだろうと。建築基準法だとか、いろんな制度はありますけれども、それよりもより高い安全性を制度として持ってもらいたいなというふうに思っています。
 それで、今は、業務上過失致死になるわけですから、刑事事件として警視庁も捜査をしていると思うんですけれども、私自身は、原因がわかり次第、都は、国や区市、エレベーター業界や関係団体と、今お話がありましたけれども、二度とこのような事故が起きないようにぜひ対応してもらいたいなと。
 例えばの話、制御盤やブレーキなどについての安全性の基準、メーカーの製造責任、あるいはまた公社の管理責任等々もあるでしょう。だから、点検方法の見直しなど、あらゆる側面からの万全な対応を、一刻も早く都民の不安が解消されるよう強く要望しておきたいと思うんです。
 経済効率優先であってはならないというふうに私は思っております。そういった意味で、東京都のエレベーターあるいは建築基準法に関する人たちの中では、すごい公共性のある安全性が求められるエレベーターだというふうな認識で、ぜひ対応をしてもらいたいということを申し上げたいと思います。
 意見を終わります。

○花輪委員 港区のエレベーターの死亡事故につきましては、本当に、亡くなられた方には心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 先日の代表質問でも申し上げましたとおり、都がエレベーターの緊急点検、調査に迅速な対応を行っていることは、率直に評価をしております。その結果を都民に周知徹底すべきという我が会派の提案についても、前向きな答弁をいただきました。
 事故発生以来、各種報道で、毎日のように新たな情報が明らかになっております。その中で、我々も今後幾つか取り組んでいかなければならない課題が見えてきているように思います。
 一つは、日本国内だけでなく、海外でも類似の事故やふぐあいが他社に比べて明らかに多いような印象から、シンドラー社のエレベーターに製品欠陥の疑いがあるのではないかということです。それを検証するためには、このような数々の事故やふぐあいに関する情報をぜひ収集していただいて分析をしていただければというふうに思います。
 二つ目は、公共調達における価格と品質の関係についてです。シンドラー社製のエレベーターの国内シェアは一%程度であるということですが、他のメーカーよりも価格が安いということから、公共施設では比較的高いシェアで納入をされているということです。こうしたことからも、公共調達制度のあり方を、安かろう悪かろうではなく、適正なものを適正な価格で調達するという観点から、いま一度点検をする必要があると考えます。
 三つ目は、エレベーター業界が、メーカーの系列外の管理会社に情報や部品などの供給を渋るといわれる、そんな体質の改善です。今回事故を起こしたエレベーターの管理会社も、シンドラー社の系列ではなく、独立系の管理会社でしたが、このような業界の体質が事故の一因となっている可能性もあります。
 国も、このような業界の閉鎖的な体質を改善する方針を固めていると聞きます。都が委託をする独立系管理会社の場合にも、メーカーが情報や部品などの供給を渋ることがないよう、都としてもしっかりとチェックすることを強く求めておきます。
 四つ目は、エスカレーターについてですが、同様の緊急点検、調査をする必要があるのではないか、そんなふうにも考えております。これは交通局の関係かもしれませんが、都営大江戸線なんかでは、シンドラー社のエスカレーターが多数採用されているということも聞きます。これもぜひ点検、調査の必要があるというふうに私たちは考えています。
 いずれにしても、国の調査や警察の捜査をまたないとなかなか手を打てないという、そんな部分もあるかとは思いますが、この事故を受けて、都として取り組むべき課題については迅速かつ誠意ある対応を改めて要望しておきます。お願いします。

○大松委員 先般、港区の区民住宅で、シンドラー社製のエレベーターに挟まれまして高校生が亡くなるという事故が起こりました。犠牲になられました方に対しまして、心より冥福をお祈り申し上げるものでございます。
 また、新宿の百人町のアパートにおきましても、シンドラー社製の同一の駆動装置のエレベーターがあったということでございまして、現在、使用が停止をされているわけでございます。
 エレベーターは、先ほどもお話がございましたように、交通機関と同様に、多くの方が日常的に使われる乗り物でございます。今回のような大きな事故、また、エレベーターのドアの溝があったり、ドアが自動的に閉まったり、小さな事故の危険性も常にはらんでいるのがエレベーターでございます。こうした中で今回の事件が起きまして、都内では大変不安が広がっているところでございます。
 私どもは、代表質問でもお訴えをさせていただきまして、また、都の方でも既に実態の調査を進めていただいているということでございますけれども、住民の皆様が安心をしていただけますように、原因究明も含めてしっかり実態調査をお願い申し上げるものでございます。
 そして、この再発防止へ向けまして、エレベーター業界に対しましてきちっと指導ができますように、今後の万全の体制をお願い申し上げるものでございます。
 以上でございます。

○植木委員 六月三日に港区立住宅で起きたエレベーター事故で、若いとうとい命が奪われました。亡くなられた方に対して心からのご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の方々に心よりのお悔やみを申し上げます。
 エレベーターは毎日使うもので、だれもが安全に管理されているものと、当然のものと思って、そこでの死亡事故というのは絶対あってはならないものです。また、死亡事故に至らない場合でも見過ごしてはならず、保守管理、再発防止策を徹底しなければならないと考えます。
 今、報告がありましたように、都市整備局でも、都営住宅、公社住宅あるいは民間施設についての調査、点検が始まりました。しかし、都営住宅ではこれまでも、ドアセレクター内の接触不良で、ドアが開かずに閉じ込められた事例があったり、停止時に段差が生じて、つまずきをする人も出るなど、トラブルが百三十六件にも及んでいるということも報告されています。幸い、これまで大事故に至った事例はありませんけれども、港区などの事例が起きないという保証はありません。
 そういう意味で、第一に、この際に、原因の徹底究明と、それから、原因が明らかになった場合でも、その再発防止策を第三者の専門機関による検討などを行って確立することを求めるものであります。
 第二に、経済優先、安ければ安いほどよいという考え方を正すことではないでしょうか。これは港区の事例でも、五年前のエレベーターの契約が四百万円だったのが、近年では百万円台の契約にもなっている事例が起きる。そういうふうに、都営住宅や都立施設でのエレベーター管理について、安全点検項目や部品の交換など、安全管理費用が適切に認められて、そのとおり行われているのか、こういうことが明らかになる保守管理の実態解明を行うべきだというふうに思うんです。
 そういう意味で、価格競争だとかに陥らないように、品質保証、安全性能確保を第一とする、そういうエレベーターの設置と管理に努める、このことが必要だというふうに思っています。
 同時に、港区では、保守管理業務を落札した業者が下請に丸投げしたことも明らかにされていますが、こうした事態が行われていないのかどうか、都立施設についても実態調査を行うべきだと考えています。
 それから、現在捜査中のシンドラー社製のエレベーターについてですが、まだまだいろいろ情報が明らかになっておりませんけれども、それだけに、新たにこれから設置する計画になっているものは、原因が明らかにされ、再発防止策が打ち出されるまでは発注は控えることにすべきではないかというふうに思います。
 第四点目ですが、民間について、東京都が直接対応している建物については調査が依頼されているわけですけれども、この調査について一刻も早く報告をすると同時に、都内のすべてのエレベーターについて、これは東京都だけではできませんので、区市町村や特定行政庁と協力して、調査を徹底して行うようにすること。
 五点目は、国に対して、つまり国土交通省に対して、このエレベーターの適切な管理、設置などの改善を求めることだと思うんですね。それは今回の事件に限らず、昨年の千葉北西部の地震でも、エレベーターの閉じ込めがたくさんありました。
 もちろん、震災時にエレベーターの制御装置が働いて、適切に一番近い階に停止するということが基本で、そのことは非常に大事なことですが、しかし、適切に働かずに閉じ込め状態の事例も起きています。そういう意味で、この際、震災も含めて、エレベーターについてあらゆる角度からの検証をして、安全な改善を求めるように国に対して要望することを強く要望します。
 以上です。

○高橋(か)委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○水流住宅政策担当部長 今月二日に出されました東京都住宅政策審議会答申、東京における新たな住宅政策の展開についてご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元の白い冊子の五三ページをお開きください。A3判の資料で、答申の概要をまとめたものでございます。
 答申は、六つの章から成る本編と、構造計算書偽装問題にかかわる緊急提言により構成されております。
 まず、本編ですが、一章、東京における居住の魅力の向上を目指してでは、住宅政策の必要性や目指すべき居住の将来像について述べております。
 次に、二章では、住宅政策の基本理念と目標を明らかにしております。
 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を構成する基本的な要素であり、単なる私的財にとどまらず社会的性格を有するものであること、住宅は市場を通じて供給されることが基本であるが、住宅の重要性にかんがみ、住宅政策が市場に適切に関与し、市場の環境整備や補完を行うなど、総合的な住宅政策の確立が不可欠であることなどを基本理念として示しております。
 また、目標として、暮らしの魅力や地域の活力を支える基盤として、将来世代に住み継がれる質の高い住宅、住環境が形成されるようにすること。ライフステージやライフスタイルに応じて、住まいを円滑かつ適切に選択できるようにすること。子どもから高齢者まで、多様な人々がともに支え合い、安心して住生活を送ることができるようにすること。以上の三つを示しております。
 続く三章では、東京における居住をめぐる諸問題について指摘しております。
 次に、四章では、住宅政策の展開の方向として、都市整備と一体となった住宅整備による良質な居住ストックの形成、透明で競争性の高い住宅市場の構築によるニーズに適した住宅選択の実現、住宅全体のセーフティーネット機能向上による少子高齢社会における住まいの安心確保の三つの基本的方向を示しております。
 次に、五章では、重点的に講ずべき施策を提言しております。
 一、住宅の耐震化ですが、安価で信頼できる耐震改修工法の普及や、木造住宅密集地域における助成に取り組むべきことなどであります。
 二、木造住宅密集地域の整備促進ですが、都市計画道路と沿道の一体整備により延焼遮断帯を形成すべきことなどであります。
 三、マンションの長寿命化と建てかえの円滑化ですが、容積率超過等により、現行法制度では建てかえが困難なマンションについて、円滑な処分、建てかえ等を可能とするためのさらなる法整備に取り組むべきことなどであります。
 四、良好な街並みや住環境など住宅地の魅力の向上ですが、区市町村と連携し、地域住民などコミュニティが主体となって行う住宅地のマネジメント活動を支援すべきことなどであります。
 五、都営住宅等の建てかえとその用地を活用した都市づくりですが、老朽化した都営住宅や公社住宅の建てかえとその用地を活用した都市づくりを一体的に行う事業について、より多くの地区で戦略的に展開すべきことなどであります。
 六、中小住宅生産者の活力を生かした住まいづくりの推進ですが、戸建て住宅の価格低減の実証実験で得られたノウハウを広く中小住宅生産者に普及し、住宅生産の方法や進め方の改善、高度化に役立てていくべきことなどであります。
 七、住宅市場の構造改革に向けた住情報提供等の仕組みづくりですが、中古住宅流通市場の活性化に向け、仲介業者、金融機関、検査、保証機関等が連携し、中古住宅の品質情報の開示を促進すべきことなどであります。
 八、安心して子どもを産み育てられる住まいの確保ですが、少子化対策の一環として、期限つき入居制度の活用等により、子育て世帯に対する都営住宅の供給を促進すべきことなどであります。
 九、都営住宅のセーフティーネット機能の強化ですが、都営住宅を真に住宅に困窮する都民に的確に供給するため、入居者資格や家賃制度の適切な見直し、入居者の選考方法の改善、使用承継のさらなる厳格化など、管理の適正化に取り組むべきことなどであります。
 十、民間住宅における高齢者等の住まいの安心確保ですが、高齢者や障害者等が不合理な入居選別を受けることなく、可能な限り市場を通じて住まいを確保できるよう、あんしん入居制度等の居住支援の充実や、民間賃貸住宅に対する家賃補助の検討等に取り組むべきことなどであります。
 次に、六章、住宅市街地の整備の方向では、センター・コア再生ゾーンなど、東京の新しい都市づくりビジョンに示す五つのゾーンごとに、目指すべき住宅市街地像及びその実現に向けた施策の展開の方向を示しております。
 終わりに、東京における居住の魅力の向上を目指して、住宅基本条例を見直し、新しい住宅マスタープランのもと、時代に即した住宅政策を総合的に展開していくべき時期に来ていることなどを指摘しております。
 続いて、住宅の安全を確保するための緊急提言でございます。
 昨年発覚した構造計算書偽装問題を契機として、住宅政策の視点から、住宅の構造安全性と取引の安全を確保するために取り組むべき施策を検討し、緊急提言として取りまとめたものでございます。
 住宅の品質性能と生産履歴等の情報開示の促進、消費者に対する相談、助言等の支援の充実、既存マンションの耐震診断、耐震改修の促進等の三点について提言しております。
 以上で東京都住宅政策審議会答申についての説明を終わらせていただきます。

○高橋(か)委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 都営住宅の使用承継に関してお伺いをいたしたいと思います。
 私は、たびたびこの委員会で使用承継の厳格化ということを主張してきたわけですけれども、三月の定例会の中での都市整備委員会で、この政策審議会の答申を受けて、使用承継について厳格化に関して検討するということで、その結果が今出てきたわけですよね。
 そういう中で、都営住宅というのは約二十六万戸あって、港区には四千九百戸あるわけです。そういう中で、住宅に困窮する都民のセーフティーネットとして大きな役割を果たしているということは私も承知をしているところです。
 しかし、一方では、都営住宅の一部の居住者では、一度入居してしまうと、あたかも自分の家であるかのように、あるいは自分の私有財産であるかのように、親から子へ世代を超えて、当然の権利のように受け継がれている事実もあるわけです。そういう都民共有の財産である都営住宅が多くの都民から広く支持される制度となるためには、都営住宅の入居者と非入居者間の公平性が確保されなければならないと私は常々思っていたわけです。
 昨日、我が党の、都営住宅の使用承継について、広く公平な公営住宅施策を実施するためにも、子どもへの使用承継制度は廃止すべきであるとの質問に対し、高齢者などの居住の継続に配慮しつつ、使用承継を配偶者に限る方向で見直しを進めていくとの答弁をいただいたわけです。
 この二十六万戸のうち、過去五年の間で、毎年平均四千戸が承継されていっているわけです。その中に、年平均約八百戸というのが子どもへの承継になっているわけです。そういった意味では、子どもへの承継ということに関しては、やはり入った人と入っていない人との公平を期するためにも、八百戸に関しては、広くいま一度、若い子育ての世代に対して開放をしてあげる、機会を与えてあげるということは非常に大切なことだと私は思っているんです。そういった意味で、住宅の今回の答申に関しては、非常に私にとっても心強い答申であるというふうに思っているわけです。
 昨日の一般質問でも答弁をいただいたわけですけれども、確認する意味でお伺いをいたします。現行の使用承継制度をどう変えていくのかということです。

○小宮経営改革担当部長 先日の東京都住宅政策審議会の答申では、都営住宅の利用機会の公平性を確保する観点から、使用承継のさらなる厳格化を図るべきとの提言をいただきました。都としては、これを踏まえ、高齢者などの居住の継続に配慮しつつ、使用承継を配偶者に限る方向で見直しを進めてまいります。

○きたしろ委員 配偶者に限るということになりますと、子どもへの承継がないということで理解してよろしいんですよね。そういうことですね。
 では、なぜそのように変えようとするのか、お伺いをいたします。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅は都民共有の財産であり、市場において自力で適正な住宅を確保することが困難な都民への住宅供給を担う中心施策として役割を果たす必要がございます。
 都営住宅の入居は公募によることが原則でございまして、入居を希望している都民が多数ございます。その一方で、長年にわたり同一親族の方が居住し続けることとなり、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なってございます。
 このため、都営住宅の利用機会の公平性を確保するため、公募の原則の例外である使用承継の厳格化を図る必要があることから、配偶者に限って使用承継を認める方向で見直しを行ってまいります。

○きたしろ委員 入りたいと思っている人にとっては、非常にいい案だというふうに私は理解しているんですけれども、この中に、高齢者などに配慮するということですけれども、具体的にどのような人をいうのか、あるいはそれ以外は例外を認めないのか、その辺のところについてお伺いをいたします。

○小宮経営改革担当部長 現在、都営住宅の使用承継の範囲は、原則として配偶者及び一親等親族としておりますが、高齢者、障害者及び病弱者につきましては、例外として特に居住の継続に配慮しております。
 見直しに当たっては、これらの方について、引き続き居住の継続について配慮してまいります。
 使用承継は、都営住宅の入居の公募の原則の例外でありますので、それ以外の者については例外として認めない方向で検討してまいります。

○きたしろ委員 基本的に公営住宅はなぜつくられたのかということから、戦後、それこそ住宅が困窮しているところ、あるいは入ることができない、住むところがないというような人に対して、政策的に公営住宅法ができて、そういう場が提供されたというわけですけれども、今現在、まさに都民の共有財産であるということの認識が欠けてしまっているのではないのかなという思いをすることもあるわけです。
 そういった意味では、都民の共有財産を、それこそ広く都民に機会の均等化をする、あるいは公平を維持するということの上からも、ぜひそういう方向でお願いをしておきたいというふうに思います。
 以上です。

○伊藤委員 この答申におきまして、重点的に講ずべき施策として、木造住宅密集地域の整備促進について提言がなされました。この点について何点か質問をさせていただきます。
 この提言では、都内に広範に分布する木造住宅密集地域の整備は、災害に強い都市構造の実現に向けての緊急の課題であり、より戦略的に取り組むべき課題であるとされております。
 国内では、新潟県の中越地震などがありましたし、また最近では、震度五程度の中型の地震も頻発をしております。外に目を向けますと、インドネシア・ジャワ島でも大きな地震が続いておりまして、大変痛ましい状況が報道される中、都民の皆さんも、何より東京が災害に強い、安全で安心な都市であってほしいとお考えだと思います。
 都は、大規模な市街地火災の延焼を遮断する延焼遮断帯の整備を行う不燃化事業を行ってきておりますけれども、事業区数と面積など、その実績についてお伺いします。
 また、木造住宅密集地域のうち、その延焼遮断帯の内側、都心の中で、いわゆるあんこの部分というふうにいわれておりますけれども、その地域においては、主に木密事業で整備を進めてこられていると思いますが、その地区数、面積、実績についてお聞かせください。

○渡辺参事 木造住宅密集地域の防災性の向上には、いわゆるガワの部分である延焼遮断帯の形成と、いわゆるあんこといっておりますけれども、あんこの部分における主要生活道路の拡幅や木造建物の建てかえによる不燃化と耐震化が重要でございます。
 延焼遮断帯は、鉄道や河川、あるいは都市計画道路とその沿道の不燃化によって形成されております。お尋ねの沿道における不燃建築物の建築に対し助成を行う不燃化事業は、平成十七年度末までに、延長百八十五キロメートルの沿道を対象に事業を実施し、三千五百棟の建物に助成を行ってまいりました。
 あんこの部分を整備する木密事業でございますけれども、平成十七年度末までに、六十八地区、二千八百ヘクタールを対象に実施してきておりまして、十二ヘクタールの道路、公園用地を取得し、七千戸の建てかえ助成を行ってきております。
 なお、この両事業は、いずれも区が事業主体となって進めているもので、都はこれを支援しているものでございます。

○伊藤委員 いわゆるガワの延焼遮断帯の整備と、あんこの部分の地域の整備、双方が必要だということでありますけれども、事業主体が区であるということでございますけれども、事業を進めていくためには、なかなか区だけでは手に負えないという問題もあると思います。しかし、地元区がまず頑張るというのはもちろんなことだとは思いますけれども、都の支援も大切だと思いますが、この点について都の取り組みを教えてください。

○渡辺参事 都は、事業主体である区に対しまして、まず事業費の補助を行うとともに、まちづくりの規制、誘導策などに関する技術的支援を行っております。また、単独では建てかえが困難な敷地などにおいて、建物の共同化を推進するための仕組みづくりや、国に対する補助メニューの拡充要望など、制度改善にも取り組んでございます。
 今後も、区が積極的に施策を展開できるよう支援を行うとともに、さらに、災害時に燃え広がる様子が視覚的に把握できる、延焼シミュレーションといってございますが、この延焼シミュレーションや、ワークショップといった手法を積極的に活用するなど、区とともに合意形成に向けた取り組みを行ってまいります。

○伊藤委員 今後とも、一層区との連携を強めて事業を進めていただきたいと思います。
 最後に、都市計画局、住宅局、建設局の三局が統合して都市整備局となりまして、三年目に入るわけですけれども、この木造住宅密集地域の改善を進めていく上で、局統合の効果や、また今後の取り組みについてお聞かせください。

○石井市街地整備部長 木造住宅密集地域の改善における組織再編の効果と今後の取り組みについてのお尋ねかと思いますけれども、この再編によりまして、一言で申し上げれば、計画から事業実施までをこれまで以上に一貫して行うことが可能となった、このように認識しております。
 もう少し具体的に申し上げますと、まちの将来像を示す地区計画などを区と連携して策定いたしまして、これを地元の方々と共有するとともに、新たな防火規制などの規制、誘導策を導入しながら、みずからも事業の実施部隊としてまちづくりを進めることができる。こうしたことが効率的に行えるようになったといえようかと思います。
 その効果の一例を挙げますと、現在、東池袋や鐘ケ淵地区などで進めております、延焼遮断帯ともなる都市計画道路の整備とその沿道の不燃化に向けたまちづくりとを一体的に行う事業、いわゆる沿道一体整備事業が挙げられようかと思います。
 今後とも、これまで都が培ってきたノウハウを駆使しながら、さまざまなまちづくり手法を組み合わせ、これによって都市基盤整備と一体となった民間開発を誘発するなどして、木造住宅密集地域の整備改善に努めてまいります。

○伊藤委員 今後とも、ぜひとも鋭意事業を進めていただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○長橋委員 それでは私の方からも、今ご報告がございました住政審の答申について、特に子育て支援に関して質問をさせていただきたいと思います。
 もう皆さんよくご存じのとおり、少子化対策、我が党は、代表質問でもこの少子化対策については強く訴えたところであります。もうとまらない状況にあって、東京は一%を割る、最も全国で低い合計特殊出生率。そういう中で、この住宅政策の答申が出た。やはり今後の進むべき道は、子育て支援、少子高齢化対策、これをさらに前進させていくべきである、このように思うわけであります。
 まず、この子育て支援について、住政審の答申にも書いてありますが、居住機能の面では全国で最も厳しい状況に置かれているのが東京である、こういうふうに住政審でも書かれております。
 そこで、東京都の住宅事情と少子化の関係は、都市整備局としてどのように認識をしているのか、まずお伺いをいたします。

○水流住宅政策担当部長 少子化の要因は、極めて複合的なものと考えております。平成十四年に国立社会保障・人口問題研究所が行った調査によりますと、二十代、三十代の若い世帯では、理想の子ども数を持たない理由として、家が狭いからという理由を挙げる者が一割ないし二割程度いるということでありまして、こうした点から見ますと、住宅事情も少子化に一定程度関係していることがうかがえると思います。
 こうした視点から都の住宅事情を見ますと、形成期ファミリー世帯、いわゆる子どもが六歳未満、就学前の子どもがいるファミリー世帯の多くが民間賃貸住宅に居住しているところでございますが、民間賃貸住宅ではファミリー向けの規模のものが少ない状況にあるところでございます。

○長橋委員 今、都市整備局としても、この住宅事情が少子化の原因の一因でもあると、こういうふうに答弁をいただきました。東京に住んでいて、私は東京生まれで育ってきました。もちろん狭い家でございますが、やはり兄弟が多い、また、子育てをしていくに当たって男女の違いもあるわけで、そういった意味では、東京にあっては、特に住宅の狭さというのが少子化の大きな原因であろうかと思うわけでございます。その観点から次に質問をさせていただきます。
 答申で、市場にゆだねるだけでは達成できない分野を補完するというのが答申に書いてあります。市場にゆだねるだけでは、市場に任せていただけではなかなか進まない分野があるということでございますので、具体的にどういう意味なのか。また、その分野を補完するという取り組みについてお伺いをいたします。

○水流住宅政策担当部長 答申では、基本理念の箇所で、市場にゆだねるだけでは達成できない分野の補完として、公共の役割を指摘しておりますが、これにつきましては、低所得であること、また、入居選別を受ける--お年寄りや外国の方あるいは障害者といった方が、民間の大家さんからその入居を断られるという入居選別を受けることなどを理由に、市場において自力では適正な住宅を確保することが困難な者への住宅供給を行うことなどでございます。
 この中心施策が都営住宅でございますが、その課題でございますが、都営住宅等の公的住宅ストックを有効に活用し、真に住宅に困窮する者に的確に供給していく取り組みが求められていると認識しております。

○長橋委員 確かに、低所得者または高齢者、障害者等、自力で住宅を取得する、確保することがなかなか困難な人を行政がカバーしていく、それを都営住宅で取り組んでいる。こういうことでございますけれども、やはり子育て支援も市場にゆだねていただけでは、東京の住宅事情から考えると進まない。これも行政がしっかりと取り組まなきゃいけない。
 先ほど、東京都の住宅事情と少子化の関係ということで、民間賃貸住宅ではファミリー向けの規模のものが少ない、こういうふうにも答弁をしているわけで、そういった意味で、この子育て支援も行政がしっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思うわけであります。
 そこで、都として子育て支援を行っている政策、それから、事業はどのようなものがあるのか、教えていただきたいと思います。

○水流住宅政策担当部長 現在、都が実施している子育て支援施策、事業でございますが、都営住宅において、若年ファミリー世帯や多子世帯向けの期限つき入居制度の導入、ひとり親世帯や多子世帯を対象とした倍率優遇などの優先入居措置を実施し、子育て世帯への住宅の提供に努めているところでございます。
 また、老朽化した都営住宅の建てかえに合わせて、用地を活用いたしまして、子育て世帯のニーズに対応した民間賃貸住宅の供給等を行う、勝どき一丁目プロジェクトに取り組んでいるところでございます。

○長橋委員 今お答えをいただきました。都営住宅で若年ファミリー世帯の入居制度、多子世帯の入居拡大をしながらやっていると。評価をするわけでありますし、また最近では、この都営住宅の建てかえに合わせて、そういったプロジェクトも推進している。ただ、これだけではまだまだ足らないというふうに思うわけであります。
 今お話しした答申の政策の中の三本柱の一つに、少子高齢社会における住まいの安心確保ということがあるわけでありますが、重点的に講ずべき施策を見ると、少子化対策に向けて新たな政策を展開していく--住政審は、新たな住宅政策の展開というのがこの答申であるわけでありますが、これを見ると、まだまだできることがあるにもかかわらず、この住政審の答申だと、今までやってきたことの拡大、拡充という部分を出ていないのではないか、こういうふうに思うわけであります。
 ぜひ思い切った施策をとってもらいたいのですが、この答申を受けて、今後の子育て支援への対応をどのように展開していくのか、お答えをいただきたいと思います。

○水流住宅政策担当部長 答申では、次世代を担う子どもたちを安心して産み育てられる環境の整備に向け、生活の基盤である住宅の果たす役割の重要性が指摘されております。
 都は、答申を踏まえ、子育て世帯向けに都営住宅の募集戸数の拡大を図るなど、公的住宅の積極的な提供を行うとともに、建てかえに合わせた良質な民間賃貸住宅の整備を行うなど、公的住宅のストックの有効活用を促進してまいります。
 また、新築に比べて安価な中古住宅の流通促進や、戸建て住宅の価格低減に向けた実証実験の成果の普及など、子育て世帯が良質で低廉な住宅を確保できるよう、住宅市場の整備に取り組んでまいります。

○長橋委員 今、中古住宅流通の促進、また、安価な戸建て住宅の本町プロジェクトもありますけれども、これをさらに進めていただきたいと思うわけであります。
 特に感じますのは、住みかえがなかなか進まない。私は何回も引っ越した経験があるのですが、非常に大変でありますけれども、狭いところから広いところに住みたい、そういうふうに思うのですが、価格の面でも、また、それに該当するような住宅がなかなか見つからないという場合があります。また、ライフステージに合わせた住宅についても、やはりどうしても、私がお訪ねするところなんかは、狭いところにお子さんを含めて住んでいらっしゃる方も大勢おりますし、または高齢者になりますと、広い住宅に一人で寂しくというような方もあるわけで、それは決していけないというわけじゃないんですけれども、こういうのをやはり行政が担って、中古住宅の流通とか、そういうことを含めて促進をしていかなきゃいけないと思うんです。
 いわゆる住みかえでございますけれども、具体的に住みかえ策をどのように考えているのか、お伺いをいたします。

○水流住宅政策担当部長 住みかえが円滑に行われるようにするためには、中古住宅の流通を促進することが必要でございます。都は先月、不動産流通関係団体等との意見交換を行う場として、東京都中古住宅流通促進連絡会を設立したところであり、今後、この連絡会を活用し、安心して住宅を売買できる市場環境の整備に取り組んでまいります。
 そのほか、答申では、住みかえに関連しまして、定期借家権等を活用した持ち家ストックの賃貸化、持ち家資産を担保に生活資金や住みかえ資金を提供する、いわゆるリバースモーゲージの普及方策の検討について提言されております。都としては、今後、これらの方策の具体化に向けて検討してまいります。

○長橋委員 今お伺いした話は、既に私も何回か勉強させていただいたこともありますし、存じ上げているわけであります。それを検討しているから、やはり早く促進に移すべきである、こういうふうに思いますので、東京都の都市整備局がそこを担っているわけでございますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 昨年、国が、公営住宅管理の適正な執行について、いわゆる公営住宅のガイドラインを出しました。これは三月、きたしろ先生もこの件について質疑をされまして、この内容についてはお伺いをしているところであります。この中に承継の問題もありますが、世帯人数に応じた住戸規模の便益の家賃への的確な反映、ちょっとわかりにくいんですけれども、要するに、同じ住宅に住んでいても、大人数で住んでいるのと、それから少ない人数、一人、二人で住んでいる人数とでは、同じ部屋に住んでいるんだけれども、一人一人の便益は違うのではないか、これを家賃に反映すべきではないかという答申であります。
 これも公共住宅の住みかえの一つの策であるかと思いますので、これについてはなかなか--子どもはいなくなったけれども、荷物はたくさんあって、住みかえるというのは大変なんですけれども、そういったところはきちっと、同じ都営住宅に住んでいても、同じ部屋でいろんな人がいるんですけれども、そういったことも配慮すべきだと書いてありますので、それについても、大きくいえば住みかえ支援に当たるかと思いますので、ご検討をいただきたいと思います。
 今お話をいたしました国の公営住宅に関するガイドライン、これを私もいただきまして、読ませていただきました。答申にも書いてあるんですけれども、ガイドラインでは、承継に関して、高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者、また答申では、高齢者、障害者など特に居住の安定を図る必要がある者に配慮しながらと書いてあるわけです。いわゆる例外規定のことであります。
 現在、都が承継の例外扱いとしている高齢者、障害者等は具体的にどういうものなのか、先ほどきたしろ先生からもお話がありましたから、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 現在、都営住宅の使用承継の範囲は、原則として配偶者及び一親等親族としておりますが、例外として、高齢者、障害者及び病弱者については三親等まで認めております。
 具体的に申し上げますと、高齢者は、承継しようとする者が六十歳以上で、かつ同居者のいずれもが六十歳以上または十八歳未満である場合。障害者は、承継しようとする者または同居者に障害の一、二級の者、例えばですが、両眼の視力の和が〇・〇一以下の者、両下肢の機能を全廃した者などがある場合でございます。病弱者につきましては、承継しようとする者または同居者に、疾病により、当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる者がある場合であります。
 見直しに際しましては、これらの方について、引き続き居住の継続に配慮してまいりたいと思っています。

○長橋委員 答申では高齢者、障害者などと書いてあるんですが、病弱者もこの項目に入る。三つの項目があると。高齢者の中には、同居家族が六十歳以上または十八歳未満もいい、こういうふうにいっているわけであります。高齢者はきちっと年齢で区切る、障害者も、ある程度の障害の等級によって決めている、病弱者については、生活の維持が困難であると認められる。こういうことで例外的に認めるということでありますので、ここら辺についてはいろいろと議論があるかと思いますし、きちっとそこを判断するということは大事であろうかと思うんですが、まず、この例外の承継は、大体実勢としてどのくらいあるのか、お伺いをいたします。

○小宮経営改革担当部長 平成十七年度に使用承継を許可した件数は約三千九百件でございます。そのうち例外として認めたのは四十五件、一%強となっております。例外で認めた者のうち、高齢者が八割を占め、障害者、病弱者がおのおの一割ずつ程度となってございます。

○長橋委員 きたしろ先生が使用承継の数を三月に質問されて、明らかになった。大体四千人近くが承継をしている、こういうことでございます。これを見直ししていくということでありますが、そのうち四十五件の方は、承継の本来の基準からいうと当てはまらないけれども、都営住宅でなければ生活を維持するのが困難であるというふうに認めたのが四十五件あった、こういうことであると思います。
 やはりこういう例外というのがきちっと認められている。代表質問でも、引き続き例外については継続をしていくべきである、このようにお訴えをし、都も、これについてはそうしますと、こういうことでございました。
 この中で、先ほどちょっと申し上げましたが、高齢者、障害者、病弱者、病弱者については、どういう病気がとか、なかなか判断が難しいかと思うんですけれども、病弱者はどのように判断をしているのでしょうか、お伺いをいたします。

○小宮経営改革担当部長 承継しようとする者または同居者の疾病により、当該都営住宅に継続して居住しなければ生活の維持が困難であると認められる者がある場合に、病弱者として承継を認めてございます。
 病弱者とは、具体的には、東京都が発行するいわゆるマル医療券、正式に申し上げますと、東京都難病患者等に係る医療費等の助成に関する規則による医療券を所持している者で、例えば進行性筋ジストロフィー、人工透析を必要とする腎不全などにかかっている者、また、国が指定した百二十一種類の特定疾患、例えば重症筋無力症、パーキンソン病などにかかっている者などでございます。

○長橋委員 具体的にお答えをいただきました。特に難病患者については筋ジストロフィーとか、本当にもう、障害以上に体が動かない、寝たきりの方もいるわけで、こういう方は当然認めるべきであります。今お答えのとおり、難病については承継を認める、こういうご答弁がありました。
 ところが、ここに「しんぶん赤旗」があります。これを見ますと、新宿守る会が住民懇談会を五月二十六日に開いた。名義承継の制限を云々ということで懇談会を開いた。その中にこういうふうに書いてあるんですね。参加者から、自分の子どもは難病を持っている、名義承継ができなくなったらとても不安と。懇談会でどういう説明をしたかわかりませんけれども、そうしたら参加者が、うちの子どもは難病を持っているんだけれども、どうするんだ、承継できなくなってしまう、こういう不安があると。どうでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 ただいまお答えした難病患者につきましては、現在、三親等まで認めており、見直しに当たっては、それらの者について、引き続き居住の継続に十分配慮してまいります。

○長橋委員 懇談会でどういう説明をしたか、私は行っていませんからわかりませんけれども、そういう説明をしたら、こういう参加者の声が出た。これは間違いなんです。そういうふうに思います。こういううそを書いてはいけない。やはりこういうことが不安をあおる。記事に書いてあおるということは、現実としてあるわけです。これを見て、さまざまなマスコミなんかも、こういう論調で書いているところがあるんです。ぜひ控えてもらいたいと思います。(「事実も確かめないでいうべきじゃない」と呼ぶ者あり)これは新聞に書いてあるんだから。いいですか。
 あと、新聞にはこう書いてあるんですね。子どもに承継できなくなってしまったら、都営住宅は高齢者しかいなくなってしまう、こういうふうにいっております。子どもの承継がなくなったら高齢者ばかりになっちゃう、こういうふうにいっているんですが、その点についてはどうでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅におきましては、団地とその周辺地域の活性化を図るため、期限つき入居制度や多子世帯向けの優遇抽せんの活用等により、若年子育て世帯の入居促進に努めてございます。今後ともこうした取り組みを継続することによって、多様な年齢層の人々が都営住宅に居住することが可能となると考えてございます。

○長橋委員 うちの党も提案して、若年ファミリーの期限つき、また多子世帯、こういうお子さんが入れば、私はさらに活性化をするんじゃなかろうかと。若年ファミリーとか、もっと私は広げるべきだと、そういうふうに思うわけであります。そういうことはわかっているはずなのに、こういうふうに新聞に書かれております。ぜひ改めていただきたいと思うわけであります。
 もう一つ、私も聞いたご不安がありました。名義人の子への承継については今後制限をしていくという話でありますが、その子どもが未成年の場合、まだ働いていない場合には承継は認めないんですか、どうでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 現在も、孫やおい、めいなどの三親等内親族につきましては、未成年の場合でも例外として認めておりません。今後も、子が未成年であることをもって、例外として承継を認めることはない方向で見直しを進めてまいります。
 ただし、世帯の年長者が義務教育を終了した未成年である世帯につきましては、一定の配慮が必要かと考えてございます。

○長橋委員 承継は認めないけれども、一定の配慮は認める、こういうことでございます。もうちょっと具体的に教えてください。ちょっとよくわからない、こんな答弁では。

○小宮経営改革担当部長 承継を認める方向ではないのでありますが、それ以外の形、何らかの猶予という方向で配慮が必要かと考えてございます。

○長橋委員 まだわからないな。何らかの猶予。だから、猶予期間を設けるという話ですけれども、未成年で親が突然亡くなってしまう。いろんな事故があったり、またご病気で亡くなる場合もあるかもしれません。子どもは残されてしまう。出ていけといえない。でも、承継は認めない。
 だけれども、その子どもが例えば中学生、高校生であれば、福祉の分野できちっと手当てをするということもあるでしょうし、また、例えばおじいちゃん、おばあちゃんは外で元気で暮らしている。でも、自分の孫がそういう状態になってしまった。そうしたら、かわいそうだ、その孫を一生懸命育てなきゃいけない。例えば、少しの期間でも一緒におばあちゃんが親のかわりになって育ててあげよう、こういうことができるのかどうか。どのくらい期間を認めるのか、もう少し具体的に教えてください。

○小宮経営改革担当部長 未成年でございますので、福祉部門との協議が必要かと思いますが、福祉部門と協議をいたしまして、退去までの期間につきまして一定の配慮をしてまいりたいと考えています。

○長橋委員 だから、もう何回も聞きませんけれども、要するに、未成年への承継については猶予期間を持って、私からいわせれば、きちっと収入が得られるまで、自立ができるまでは都営住宅としては認める。これでよろしいんですね。

○小宮経営改革担当部長 その世帯の年長者が未成年でありますから、成年に達するまでというのが目安になろうかと思います。といいますと、義務教育が終わるのが十五歳ですから、その場合ですと最長五カ年になるかと存じます。

○長橋委員 やっと最長五年間と。猶予といっても、一月、二月じゃ猶予にならないわけですから、五年間といえば、これは明らかに自立ができるようになるために、そういった期間を設ける。大きなご答弁だと思います。ぜひこういったことを含めて、承継については、非常に私にも皆さん方にもいろんなお声が入っているかと思います。こういったことをきちっと説明することが大事だろうと思います。
 それからもう一点、さっきの障害者では、身体、知的、精神の方は決めているんですけれども、例えば我が党は--発達障害者、高次脳機能障害とか内部障害とか、いわゆる目に見えない、目で見てもわからない障害の方もふえてきている、このようにあります。こういった発達障害者などについては、承継に該当した場合にどのように扱うのか、配慮するのか、ご答弁いただきたいと思います。

○小宮経営改革担当部長 先ほど申し上げましたが、病弱者につきましては配慮していくという方向で検討してまいりますので、当たればそういうことになろうかと思います。

○長橋委員 非常に短いお答えなので、要するに、発達障害とかそういった障害の、いわゆる障害者に規定している身体、知的、精神に当たらなくても、そういう障害をお持ちの方もこの病弱者である。住み続けていくのに必要だと、こういうふうに認められれば、当たるということでいいんですね。もう一回確認なんですが、それでいいんですね。

○小宮経営改革担当部長 先ほど申し上げました病弱者に該当するということであれば、そうなろうかと存じます。

○長橋委員 じゃ、そういう方も病弱者という位置づけで入るというふうに認識をいたしました。
 余りしつこく聞いてもあれなので、もっと歯切れよく答えていただきたいと思っているんですが、最後に、この承継については大変多くの方が不安を持っております。ぜひ今私が質疑したことも含めて、丁寧に周知をしていただきたい、こういうふうに思います。
 さらには、承継の見直しに当たって、やはり子育てという角度もきちっと入れていくべきであります。先生が、毎年七百から八百戸の子への承継が現実にあると。その四千戸のうち八百戸、二割がそういうことで活用できるわけであります。きたしろ先生と同じに、ぜひこの見直しに当たって、子育て支援をきちっと拡充、また新たな政策も含めて展開をしていただきたいと思います。最後にご答弁をお願いします。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅の使用承継につきましては、居住者の生活に密接にかかわることから、見直しに当たっては十分な周知期間をとるとともに、居住者向けの広報紙である「すまいのひろば」などを活用しまして、丁寧な周知に努めてまいります。
 都営住宅における子育て支援につきましては、これまでも若年ファミリー世帯向け期限つき入居や、ひとり親世帯や多子世帯向けの優先入居などを実施してまいりました。使用承継の見直しによって発生する空き家につきましては、その空き家の広さや間取りなどを勘案しながら、重点的に子育て支援に活用する方向で検討してまいります。

○たぞえ委員 二〇〇一年五月に、二十一世紀の豊かでいきいきとした東京居住を実現するための住宅政策の展開について、こういう答申が出されて、今回の答申は五年ぶりの答申です。今回は東京における新たな住宅政策の展開についてと、こういう題であります。都民が快適にこの東京で生活する上で、東京のこれからの住宅政策はどうあるべきか、大変重要な答申内容が盛り込まれておりますので、幾つか聞きたいと思います。
 まず、全国で初めて、都道府県で住宅基本条例がこの東京都で施行されました。この基本条例では、住生活の安定向上を図るために公共住宅の供給を促進する、こういう理念を掲げています。ところが、今回の答申では、住宅や居住関連サービスは市場を通じて供給することが基本、市場にゆだねることができない分野を補完すると。いわば住宅の供給主体はあくまでも民間であり、行政は補完的役割に徹するべきだと、このように答申を出したわけです。そういう答申理念に沿って東京都の基本条例を改定されるのですか。

○矢島住宅政策推進部長 今回の住宅政策審議会の答申は、今ご指摘がございましたように、知事の東京における新たな住宅政策の展開についてという諮問を受けて、一年間にわたって審議をした結果、答申されたものでございます。
 この答申は、人口減少社会の到来など今後の社会経済の状況なども踏まえて、今後の住宅政策の基本理念や目標、それから政策展開の方向等を明らかにするものでございます。
 同時に、今回の答申では、現行の住宅基本条例が制定された平成四年当時とは社会経済情勢が大きく変化をしているということから、住宅基本条例を見直し、時代に即した住宅政策を総合的に展開していくべき時期に来ているという指摘を行っております。
 都といたしましては、今後、この答申を踏まえて、条例の見直しについて検討を行っていく予定でございます。

○たぞえ委員 先ほど説明があった十項目の重点施策についても、基本条例では改正を図る、こういうことでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 答申では、今後の住宅政策の展開について三つの基本的方向が示されておりまして、それぞれに即しまして、例えば既存住宅の耐震化など十の重点施策が示されております。こうした重点施策に加えまして、答申で示された基本理念あるいは目標などを踏まえまして、住宅基本条例の見直しについて検討を行っていくということでございます。

○たぞえ委員 先ほどの議論を聞いていますと、きょうは住政審の答申の報告です。しかし、先ほど来の答弁は、条例ですとか規則の改正の中身まで既に固まったかのような答弁が繰り返されています。
 今後、基本条例の改定等を行われるという今の答弁ですが、ここまで踏み込んだ答弁があり得るのでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 先ほどお答えをさせていただきましたように、今回の住宅政策審議会の答申を踏まえまして、今後、住宅基本条例の見直しについて検討をしていくということで考えてございます。

○たぞえ委員 重点施策の九番目に出てくる、今議論された承継問題ですね、配慮するとか出ています。しかし、先ほど来の答弁ですと、障害者はどの分野まで、子どもは何歳まで、かなり踏み込んだ内容ですよ。もうそこまで、都市整備局としてはその答申の中身に沿った具体化を終えられたということなのでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 失礼をいたしました。ただいま住宅基本条例の改正についての答弁をさせていただきましたけれども、今回の答申はそれにとどまらず、幅広く今後の住宅政策の基本的な方向について提言をいただいておりますので、それを踏まえて、政策のそれぞれにおいて、その改正を図っていくということは当然行われるべきことというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 今、住宅の困窮がいろいろと指摘されています。昨年十一月の都営住宅世帯者向けの募集は応募者六万一千八百三人、大変な数の方が申し込まれています。募集戸数は千五百五十七戸。同じ年の五月の世帯向け募集は三十七倍で、この十一月が三十九・七倍ですから、大変な都民が住宅に困っていると。この十一月の募集の際、私の世田谷区では応募率が百一倍、隣の中野区は二百四十四倍、品川区は二百七十八倍……(「港区は」と呼ぶ者あり)港区はわかりません。都心部になるほどこの応募率は高いわけです。
 いわば住宅に困っていると。これはなぜだろうかということなんです。総務省の統計調査が発表されていますが、東京都内で、一人世帯で一一・七%、四人世帯で八・四%、五人で一四%、六人で一四・六%が最低居住水準を満たしていないというふうに国が指摘をしています。いわば、人間らしく普通に生活できるレベルに住宅がない。こういう条件に置かれている方々が都営住宅に申し込みを希望される。
 また、給料が減ったり、失業したりして、生活資金が極めて困難な人たちもきっと応募されていると思います。こういう結果として六万一千八百三人という方が申し込みをされている。しかし、倍率は二百倍、三百倍近い実態にあるわけです。
 やはりこれは、何といっても住宅供給数が足らない、不足しているのではないか、こういうことを物語っているというふうに思いますけれども、供給拡大は欠かせないと思いますが、これについては都はどういう見解でしょうか。

○水流住宅政策担当部長 都内の住宅の数は、世帯数を一割以上上回っているところでございます。さらに、中長期的には人口、世帯減少社会の到来が確実と見込まれているところでございます。
 こうしたことから、都営住宅については、今後も引き続き既存ストックの維持、活用に重点を置くとともに、管理の適正化を図りながら、真に住宅に困窮する都民に対して公平、的確に供給してまいります。

○たぞえ委員 東京都が基本条例で掲げている供給を促進する、この基本理念から今度の答申では大きく後退して、既に石原都政になって七年間、新規の住宅の建設はストップしてきました。さらに今度の条例改正で、新規をつくらない、これを明確化していく。このことは、先ほどの応募率などを見ても、これでは対応が不十分になりかねないということを指摘しておきたいと思います。
 具体的な承継問題ですが、昨年の十一月十七日に開かれた住宅政策審議会で中間のまとめ案が議論されました。この時点では、今回の最終答申で書かれている承継の厳格化について、文章化され、明確に打ち出されていたのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 昨年十一月の中間のまとめでは、使用承継についての記述はございません。

○たぞえ委員 その中間のまとめが出された後のことし一月二十四日の政策審議会の企画部会、ここでの審議は行われたのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 中間のまとめ以降の企画部会の審議でございますけれども、企画部会の審議に関しまして、中間のまとめのときに、ちょうどその時を同じくして耐震偽装の問題が発覚いたしました。そこで、企画部会の再開後の運営につきましては、まず、この緊急課題であるところの構造計算書偽装問題と住宅政策上の課題について至急検討するということが第一でございました。それに加えて、地域別の住宅市街地の整備課題等について検討したところでございまして、一月の段階で使用承継についての検討は行っておりません。

○たぞえ委員 次に開かれた二月十六日の企画部会、ここでは承継問題は議論されたのですか。

○水流住宅政策担当部長 引き続き緊急課題の構造計算書偽装問題等を中心に議論いたしまして、二月の企画部会におきまして、使用承継の問題については審議いたしておりません。

○たぞえ委員 その二回とも、審議会の企画部会では議論がされていないんです。最終答申、きょう説明のあった答申の素案を審議した最後の企画部会は四月十八日に行われた、答申素案について議論した、こういうふうにこの冊子に書いてあります。
 その議論の議事録を読みますと、企画部会の委員が、都営住宅の使用承継の厳格化自体はそのとおりだと思うと発言したことが、意見の概要として審議会委員に配布をされています。そのとおりだと思うとはどういう意味ですか。

○水流住宅政策担当部長 使用承継の厳格化について、企画部会にお諮りいたしました。中間のまとめ以後に、国土交通省の国のガイドラインが、公平性の確保の観点から使用承継の厳格化の内容を含むガイドラインが提示されまして、それを受けまして、今回の諮問の内容といたしまして、都営住宅等の公的住宅の公平性の確保というのが大きなテーマになってございましたから、それに深く関連する使用承継の厳格化について、国土交通省から出たその内容について企画部会で審議いただいたところでございます。
 その際の審議でありますが、委員の方から、都営住宅の使用承継の厳格化自体はそのとおりだと思うという発言があったわけですけれども、私どもの認識といたしましては、使用承継の厳格化というのは進めるべき方向であるという、そういう意見であったと認識してございます。

○たぞえ委員 そのとおりだと思うと議事録に書いてありますが、素案の文章の中に承継の厳格化という文章が初めて書き込まれた。それを見た企画部会の委員がそのとおりだと思うと、そういうふうに語ったのじゃないですか。

○水流住宅政策担当部長 使用承継の厳格化について審議をお諮りしたときには、現在の東京都の都営住宅における使用承継の基準につきまして明確にご説明し、その上で国のガイドラインの内容を踏まえた使用承継の厳格化ということを委員にお示ししたところでございます。
 その際に、使用承継の厳格化自体はそのとおりだと思うということは、現在の都の使用承継の基準からさらに厳格化することについて、そのとおりだと思うという発言があったものと認識しておりますが、さらに、審議会の企画部会委員の発言といたしまして、この使用承継というのが、そのまま子どもの世帯に使用承継されるというイメージだろうと思うけれども、高齢化が進んでいる現在においては、例えば高齢の兄弟同士で住んでいるとか、あるいはご高齢の姉妹同士で住んでいるとか、そういうケースもあるのではないだろうか、そういうのはどうなんですかというご質問が出まして、それに対しまして、現在の東京都の使用承継の基準について、事務局の方から、配慮がなされている、そういう基準になっているということを申し上げた次第でございます。そういうやりとりがあった次第でございます。

○たぞえ委員 四月の企画部会で、最終答申の重点施策の九番のところに、厳格化ということが初めて文字としてあらわれた。そこまでは文字としてはなかったんですね。議論が一回、二回ないといったけれども、文字として出てきたのはいつですか。

○水流住宅政策担当部長 資料として、文章として、使用承継について事務局の方から審議会に提示いたしましたのは四月の企画部会が初めてでございます。ただ、都営住宅の公平性の確保という観点からの審議については、当初よりそうした一つの大きなテーマでご審議いただくということでお諮りしてまいっております。
 そうした中で、使用承継について現在の基準、それから、その基準からさらなる厳格化ということについてご説明をし、審議いただいて、企画部会でお認めいただいたというふうに理解しております。

○たぞえ委員 昨年の十二月二十六日に国土交通省住宅局総務課長が、第一三九号、各都道府県公営住宅主管部長あてに、入居承継に係る承認の厳格化についてという文書を出しています。その中の運用指針の中で、入居承継の承認は、入居名義人の同居親族について行うことができるという現行の扱い方をどのように変えると通知しているのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 平成十七年十二月二十六日付の通知で、国はこれまで、承継事由発生時の入居名義人の同居親族に入居承継を認めることができるとしていたのを、真に住宅に困窮する低額所得者に対して的確に公営住宅が供給されるよう、入居名義人の同居者である配偶者及び高齢者、障害者などで特に居住の安定を図る必要がある者と改めました。

○たぞえ委員 入居名義人の同居者である配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者と変更する、そのように今答えられました。そういう文言が国から東京都に来たのが十二月二十六日です。
 東京都の答申はどうか。高齢者、障害者など特に居住の安定を図る必要がある者。うり二つの文章です。答申素案に国の方針をそのまま入れ込んだというふうにしか読み取れないじゃないですか。
 中間のまとめでも議論がない。もちろん、文字になっていないから議論のしようがなかった。企画部会でも、一月、二月、ほかの事情があって議論がなかったとおっしゃったけれども、文字になっていないんです。四月十八日の、きょう提案された答申のこの段階で、国の言葉がそのまま潜り込んできた、そういうことじゃありませんか。文章だって全く同じですよ。
 こういう重大な問題について、審議会の委員からの自発的な提案じゃなくて、都みずからが答申素案に滑り込みセーフで持ってくるなんていうのは、驚く事態だと私は指摘をしておきたいと思います。
 それで、この承継の厳格化という措置ですけれども、条例改正という都議会の議決を経てこのことは行われるのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 使用承継を認める範囲につきましては、東京都営住宅条例により東京都営住宅条例施行規則で定めると委任されているため、都議会での議決は必要となりません。

○たぞえ委員 施行規則二十二条をかえて、「広報東京都」でお知らせをすると。私たち議会には、審議権が、この中身については実はきょうしかないんです。いつから実施するかは知りませんが、もうこの問題についての議論の機会がない。こんな大事な問題が事務的に、しかも、きょうは答申の説明であるのに、障害者はどういう分野だ、子どもは何歳だ、ここまで既に検討されているということでしょう。二十六万六千世帯の都営住宅居住者にとって将来がかかっている問題、そういう大事な問題が、条例改正でもない、都市整備局の規則の改定だけで行われるというのは、私は大変納得いかないというふうに思っています。そこで……(「だから、今議論しているんだ。だから、そのために議論しているんだ」と呼ぶ者あり)きょうは、規則や条例改正の問題じゃないんです。答申の報告についての議論をやっているんですよ。
 都営住宅の募集の際に、都営住宅を使用したいと公募される方の入居資格は、どういう要件が必要なのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅の入居者資格でございますが、原則として同居親族がいること、収入が基準内であること、住宅に困窮していること、そして東京都内に居住をしていること。以上です。

○たぞえ委員 そうすると、初めから収入が多い収入超過者は、申し込みの段階で資格がないということですね。

○小宮経営改革担当部長 申込者の所得については、公営住宅法に基づく所得基準内であることが条件となってございます。

○たぞえ委員 現に入居している、またできる、そういう方は、一部分で入居中に収入がオーバーするという方もいますが、それ以外の方は、要するに所得が初めからガードがかかっていて、基準以下または収入がないという方が申し込みの資格を持っているということですね。

○小宮経営改革担当部長 繰り返しますが、申込者の所得につきましては、公営住宅法に基づく所得基準内であることが条件となってございます。

○たぞえ委員 四人家族の場合の基準ですけれども、四人で三百五十四万円です。一人だと八十八万。その一人の収入を一カ月に直せば七万三千円。一日当たりにすると、一人二千九百二十円以上の所得を持てば、この四人世帯の基準をオーバーするということで入れない、今こういう基準が定められています。ですから、現在の都営住宅に入居されている方は、多くがこういう所得の低い方々です。
 そこで、答申でいっている配慮をする人は高齢者、障害者などということですが、配慮をしない人というのはどういう人を指すのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 現在、都営住宅の使用承継の範囲は、原則として配偶者及び一親等親族としておりますが、高齢者、障害者及び病弱者につきましては、例外として特に居住の継続に配慮しております。したがいまして、特に居住の安定を図る必要がないという者につきましては、これら以外の方と考えております。

○たぞえ委員 先ほどの総務省の調査で見てみますと、都営住宅の世帯別人口数で、一人世帯が現在三一%、二人世帯が三九%、合わせて七割の方が一人か二人の生活をされているそうです。残りの三割が三人、四人、五人という世帯でありますが、数的には七万八千世帯です。名義人と配偶者以外の方と一緒に住んでいるのが、この三割の七万八千世帯ということになるわけです。
 今回、基本は配偶者のみと。例外として高齢者、障害者ということになりますが、原則から外れる場合には、この七万八千世帯が、今回の除かれる方々の世帯数となります。先ほど、二十以前とか、いろいろ話がありましたけれども、どちらにしても、長年一緒に住んでいた二十以上の子どもすら、承継、居住権が認められないと。
 若者たちの中には、職がなく、また収入が低く、親に面倒を見てもらわなければならない、そういう成人の方もいらっしゃるわけで、しかし、そういう方々は、もともと収入が低いと認定されて入ってきた。しかも、毎年一度の収入報告でも、そのことを東京都に報告している。しかし、それでも認められない。こういうことに、今度の制限は加えられていくことになります。
 私の地元に都営住宅もたくさんあって、よく伺いますけれども、都営住宅では、親子世代を通して、団地自治会や、学校や保育園、高齢者クラブなどのつながりで地域のコミュニティを形成する、都民生活の核となってその方々は生活をしています。しかし、今、都営住宅の多くの高齢者の方が、庭の草取りや掃除も大変で、盆踊りも運動会もなかなか自力でできない。そして、自治会の役員のなり手もない。子どもが働き出すとすぐに収入オーバーになって、一緒に住めない。団地では子どもの声が聞こえない。そういう事態が一方であります。
 この都営住宅というのは、高齢者や障害者の施設じゃないんです。生活をする場です。いろんな方が、大人も子どもも障害者も高齢者も、みんな助け合って生活をしてきた。それが東京都がつくってきた都営住宅の歴史でした。今回は、そういう対象を名義人と配偶者、そして障害者という枠組みにすれば、当然そこから外れる都民が生まれてしまう。
 東京都がつくってきた、住宅に困っている方々、所得の低い方々、そういう方々のために都営住宅の供給が行われてきたことが転換をするということだと思います。これは都営住宅の基本的な理念の転換だというふうに考えていいのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅は都民共有の財産であり、市場において自力で適正な住宅を確保することが困難な都民への住宅供給を行う中心施策として役割を果たす必要がございます。
 国の通知にもあるとおり、長年にわたり同一親族が居住し続け、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なっている実態が見られることから、都営住宅の利用機会の公平性を確保するため、公募の原則の例外である使用承継の厳格化を図る必要がございます。このため、配偶者に限って使用承継を認める方向で見直しを行ってまいります。
 ただし、見直しに当たっては、現在例外として三親等まで認めている高齢者、障害者及び病弱者につきましては、引き続き居住の継続について配慮してまいります。

○たぞえ委員 最後ですが、この配慮を受けない人たち、こういう方々が今度の措置で、低所得者層に属していても引き続き住むことができない。承継の厳格化というのは、都民の暮らしにも将来的に大変大きな影響を与えるものだと思います。
 収入超過や高額所得者に対しては必要な措置が現行とられています。そして、入居募集の際にもこれは厳格にやられて、超えている方は申し込みができない、こういう措置がされているわけで、しかし、一たん入った方々が、家庭の基準が非常に低い。しかし、それでもそういう方々が認められないということになるのは、私は公営住宅からの大きな後退だというふうに指摘せざるを得ません。
 住宅に困って困窮者が多いというならば、新規の都営住宅をさらに促進して建設することこそ必要じゃないでしょうか。成城の都営住宅では、高齢者の方々が、建てかえによってこれまでのスペースが半分になってしまうという型別供給が今大きな問題になっています。戸数をそれによってふやすというわけでありますが、私はそうじゃなくて、最低居住水準を保ちながら、住宅を必要とする人たちには必要な数を供給してあげると。先ほど減少期だといいましたけれども、減少期だって、住宅の質が悪いことでは、入る方はいないですよ。
 今度の問題は、事実上きょうの審議が最後らしいですけれども、もっと都民の声もぜひ聞いて臨んでもらいたいということを主張して、終わります。

○高橋(か)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時四分開議

○高橋(か)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○立石委員 住政審の五年ぶりの今回の答申が出ましたので、非常に大きな意味で、大東京に暮らしていく都民の大勢の皆さんの住宅政策ということについて大変貴重な答申でありますので、自分なりに深くずっと考えてきたわけでありますけれども、今まで委員さんの貴重なやりとりの中でも大変勉強させていただきました。
 まず初めに、今一番困っていらっしゃる方は、都営住宅にお住まいになっておられる階層の方であろうし、また、都営住宅に入りたいと希望しておられる方だと思うんですね。この二つの相矛盾するというか、両極の方がいらっしゃる中で、局として当局はどういうお考えを持っておられるのか、まずお聞きしたいと思います。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅の二十六万戸のストックは、戦後営々と長い時間をかけて築き上げた都民の共有の財産でございます。住宅事情はその間、そうした継続的な努力、もちろん都民の自助努力というのが一番基礎にございましたが、行政としても努力してまいったわけでして、その間、徐々に住宅事情はよくなりながら今日に至っていると考えてございます。
 そして、この二十六万戸の都民共有の財産である都営住宅を真に住宅に困窮している方に的確に供給していくということが、都営住宅政策の基本中の基本だというふうに考えております。そうした観点で今回も住政審でご議論いただきましたし、その結果、数々のご意見をいただいたところでございます。それらを真摯に受けとめまして、私ども、今後の行政をやっていくというふうに考えてございます。

○立石委員 今ご答弁いただいたわけでありますけれども、たまたま、貧しかった戦前の昭和の初めころ、これほど東京で暮らす都民が困っていただろうか、飛躍するようでありますけれども、そんなことを考えたりしております。それは一体何なんだろうかと。
 確かに、都営住宅に住んでおられる方は、ある意味では幸運な部分もあるなというふうに--ある意味というか、決定的に幸運であるなというふうに思っておりますけれども、しかし、この間のテレビではありませんけれども、ホームレスになられたお方にテレビのインタビュアーがマイクを向けて、向けられたホームレスの方がにっこり笑って、我々を何か特別な状況だと思われたら間違いだ、だれでもいつでもさっとなるんだというような趣旨のことを答えておられました。私は、非常にそのときに実感をしたんですね。
 商人であれば、自営業者であれば、必ず事業拡大のためには、自分が住んでいる家屋敷を担保にしない限り、絶対に無担保、無保証なんていうことはあり得ません。また、昨今の世では、サラリーマンの方でも年功序列でもありませんし、リストラはお構いなし。こんな社会情勢の中にあって住宅ローンを借りていたら、全くブルーテントへ行くことになるわけですね。なるほどなと思いながら聞いていました。
 であればこそ悩むわけですけれども、果たして住まいというのは一体何なんだと。俗に衣食住といいますけれども、この中で一番大切なものは、いうまでもなく命のもとであります食ですね。この住政審の答申を聞いて、当局は住宅を何と心得ておられるか、お聞きしたいと思うんですけれども。

○水流住宅政策担当部長 答申では、住宅について、基本理念のところでこのように指摘してございます。住宅は、人々が、生命、身体及び財産の安全を確保し、子どもをはぐくみ、社会経済の諸活動に参加していく上での基盤となるものである。さらに続けまして、同時に、住宅は、都市やまちを構成する基本的な要素であり、都市の活力や安全、環境、景観、地域社会の維持形成等に影響を与え、単なる私的財にとどまらない社会的性格を有している。
 このように、住宅の重要性につきまして、個人の生活の基盤という観点はもとより、地域、都市を形成する重要な要素という観点から述べております。私どもも、このような住政審答申の指摘を十分認識しているところでございます。

○立石委員 簡単にいえば、人間らしく暮らす一番基本的な、人権というと、いろんな意味がありますけれども、人権なのではないかと私は思っているんですよ。人権そのものだと。そういう大切なものを、この住政審で見事に立派な答申をいただいたと評価はいたしております。ならばこそ、慎重に東京都のこれからの住宅政策を進めていく必要があるのではないか。
 もちろん各委員さんの中にあるように、不公平じゃないかと。それも、私も身近に見た都営住宅にお住まいの方の実態を、住んでおりますから、近所におればわかります。
 つまり、どういうことかというと、収入が上がることを抑えようとしている。また、ある程度収入は上がったけれども、高額収入になったけれども、また年金暮らしに戻れば下がってしまう。そういう実態は、都市整備当局ももう熟知して、私が知るぐらいですから、皆さんは熟知しておられると思いますね。ですから、そういう立場から、今、各委員さんから貴重なご意見、また質疑がありましたけれども、そういう中で見事な回答を得てほしいなと思います。
 確かにおっしゃるように、コミュニティなんですよ。だから、僕なりにいわせれば、高額収入になることをちっとも恐れる必要はないわけで、苦労して貧しかった時代もあったが、それこそ、がばいばあちゃんの島田洋七じゃありませんけれども、見事に高額所得者になられたという、成功者という言葉は好きじゃありませんけれども、そういう方もおられるわけですね。
 そういうお方はそれなりに、都営住宅に住みたいというのであれば住んでいただいて、それだけの義務を果たせばいいじゃないですか。応能家賃とか、あるいは都営住宅をつくるための費用を、都債なりを負担してもらうとか、あるいは自分のお住まいを買っていただいて、そこを都営住宅に援用してもらうとかね。やりとりを聞いていると、非常に役人かたぎというか、官僚的というか、何か非常に寂しい気がするんです。
 豊かになった時代に、やっぱりもっと柔軟、フレキシブルな--都営住宅だから、住宅に困った人は当たり前のことです。しかし、そこにこそ政治の知恵がなければ、行政の知恵がなければ意味がないんじゃないか。ご所見を伺います。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅を住宅に困窮されている方に公平、的確に供給していくという命題と、コミュニティの継続という命題、これをいかに調和を図っていくかという問題でございますが、都営住宅二十六万戸、都民共有の財産を住宅に困窮する都営住宅の外にいらっしゃる方々に対していかに的確に供給していくかという観点に立ちますと、やはり都営住宅の中にお住まいの、一定に所得が上昇して、負担能力が、住宅のご取得能力が高くなった方についてはお譲りいただくということが必要かと考えております。
 その上で、都営住宅地域のコミュニティをどういうふうに持続していくかという観点でございますが、先ほど来申し上げておりますけれども、多様な年齢構成の方々、世帯構成の方々が入る努力、また都営住宅の建てかえ事業に当たって、用地を活用して民間の賃貸住宅あるいは定期借地権つきの分譲住宅といったものを近傍につくりまして、都営住宅だけではなく、多様な住宅が地域に存在するようにすることによって、コミュニティの持続、多様性といったものも図ってまいります。
 そのような都営住宅の政策目的を十分踏まえ、その上で、できる限りのコミュニティ育成、維持といった努力に努めてまいる所存でございます。

○立石委員 まことに、今、水流さんのおっしゃるとおりだと思います。ですから、いわゆる法律があるわけで、もちろん条例があるわけだし、いろいろあるわけでしょうけれども、それを援用して、せっかくこれだけ大勢の当局のご担当の知恵袋があるんですから、ぜひしゃくし定規に切っちゃうというのではなくて、知恵を掘り起こしてほしいと。
 もはや一方的に機会がないじゃないかということも確かだし、さりとて、気の毒な方をこれ以上追い込んだらどういうことになるかといえば、もう枚挙にいとまがないほど例を見ています、自分も。都会議員を長くやらせていただきましたけれども、解決できないのは住宅問題じゃないですか。本当にそういう意味で、せっかく住宅政策審議会のこういう立派な答申が出たんですから、拡大解釈というよりも、実務として、実態としていろんな方法をぜひ考えてほしいと思うんです。
 それから、最近読んだ高校生の住宅に関する読書感の中で、大変多くの応募があって、たしか記憶によると三百三十四件の応募があった。その中の何点かが最優秀賞になった。その一つにこういうのがありました。
 高齢になった年寄りが体が悪くなってしまったので、仕方なしに病院に入れた。八人部屋に入って、その方はおばあちゃんのようでしたけれども、おばあちゃんはいつもの調子でなく、活力を失ってしまった。つまり、家にいるのとは違って、活力を失って静かになり、口数も少なくなって黙ってしまった。高校生ですから、孫が書いているわけですね。いつか自分は家に帰って見てあげたいと思いながらも、住宅の事情で許されなかった、そんなことを書いてありました。
 全くそういうことを考えると、この大東京の住宅事情というのは一体どうなっているんだろうかと。今、いみじくも水流部長が答弁された自助努力という言葉がありますね。もっとわかりやすくいえば、かい性でしょう。努力して頑張って、かい性よく立派な家をつくりなさいと。持ち家政策も、それは大切なことです。しかし、僕はそれだけではないと思うんですよ。
 冒頭話したように、昭和の初期、貧しかった時代に、だれでもが思うじゃありませんか。あの時代の人たちは、寅さんの世界じゃありませんけれども、豊かだった。豊かなのに、どうしてこんなに豊かじゃなくなっちゃったんだという、みんなだれでも一杯飲みながら居酒屋で感じることですよ。それをやっぱり政治や行政が知恵を出してつくらなきゃいけない。
 例えば姉歯事件で、あれは気の毒に二重ローンになりますね。阪神・淡路だって二重ローンですよ。持ち家を持ったために大変なことです。そこでリストラにでも遭ったら、本当に収拾つかないですよ。そんな住宅政策はないだろうと。だから、持ち家でなく、借家政策にももっと知恵を絞ってほしい。
 もっと安い、都営住宅と同じぐらいで借りられる、長屋といったら言葉は悪いかもしれませんが、先ほど答弁がありましたけれども、中古住宅で安い低廉な形でかえられる選択肢も考慮されるべきだと。もちろん耐震であればいいわけだし、何も木造だから悪いわけじゃなくて、スプリンクラーをつければ幾らだってできるわけですよ。
 もう皆さんはそれこそ専門家で熟知しているんですから、ぜひトータルで、総合力で、この答申に基づいて立派な東京の暮らしを、まさに人権として--我々の生活の基本じゃありませんか。知恵をぜひ出してほしいと思いますし、もちろん我々も、政治の場からいろんな情報を入手しながら、こうしたらいい、ああしたらいいということを考えていきたいなと思っております。
 きょうはもっと激しくやるつもりだったんだけれども、皆さんの意見が全部正しいので、私の考え方をちょっと申し上げて質問を終わりたいと思いますが、最後に、局長、この答申を受けられてどんなふうに思っておられるか、決意というか、お考えを聞かせていただいて終わりたいと思うんです。

○柿堺都市整備局長 私は土木屋なものですから、必ずしも住宅政策は詳しいわけではないのですが、個人的に申しますと、結婚以来、六畳一間から始めまして、都営住宅に入り、昔の住宅公団の賃貸住宅に入り、それから分譲に移り、こうやって今は戸建てに住んでいますけれども、結構いろんな住宅に、それこそ先ほど先生からあったようなお話の自助努力も含めて、いろんな経験をしてまいりました。
 いろいろ聞いている中で、確かに東京全体としては、住宅の数はふえているわけですけれども、住環境とか、先生がおっしゃった意味での、地方と比べると貧しい部分もあるわけで、そういうことも踏まえた答申だと思っております。
 また、都営住宅に関しては、やはり何が公平かということが大変重要なことで、今の議論の中では、入れる方と、既に入っている方と、それから申し込みをしてもなかなか入れない人の公平感。あるいは一方では、やはり自助努力をして住宅を持たれて借金を返している、そういう人との公平感みたいなものがあると思うんですけれども、そんなことを今後、今日的な課題がこの住政審答申に盛り込まれているというふうに受けとめておりますので、これを踏まえて着実に今後の住宅政策、先生の高いご見識のご意見も踏まえて進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○小沢委員 今、立石先生のお話も伺いまして、東京が抱えております住宅の諸問題、同感に感じております。また、今回の住政審から答申されました、東京における新たな住宅政策の展開について、総じて非常にすばらしい答申であるかと感じ取っております。
 本日は、その中で重点施策の一つにあります、都営住宅の建てかえとその用地を戦略的に活用した都市づくり、この項目の中から、特に都営住宅の建てかえ事業についてお伺いいたします。
 まず、現在行われております建てかえ住宅についてですが、昭和三十年代以前に建設された約二万七千戸を対象にされておると聞いております。昭和三十年代に建設された住宅は相当老朽化が進んでおると推察されますが、そこで、この建てかえの実施基準と進捗状況、当該住宅の建てかえ完了の見込みについてお伺いいたします。

○清水参事 都営住宅の建てかえにつきましては、昭和三十年代以前に建設されました約二万七千戸を対象に、住宅の老朽化の状況、地域のまちづくりとの連携、居住者や地元区市との調整状況などを勘案しながら、現在、年間三千戸の建てかえを着実に実施しているところでございます。

○小沢委員 年間三千戸のペースでいきますと、二万七千戸は九年間もかかってしまうわけでございますけれども、この九年後に建てかえが完了したとしましても、その後四十年代に建てられた住宅というのは十万七千戸あるわけです。したがいまして、現在、年間三千戸ずつの建てかえを行っておるということではございますけれども、少なくとも滞ることがないように、できれば次の四十年代の建物、これも十万戸ありますので、これを同じ三千戸ペースでいきますと、とんでもない長い時間になってしまいますので、そこの線を少し基準をずらしてでも、円滑に建てかえが進むように事業の推進を望みます。
 次に、住政審の答申では、南青山一丁目団地の建てかえ、そして東村山市本町地区のプロジェクトのように、ここにありますけれども、老朽化した都営住宅等の建てかえを推進し、都営住宅等自体の居住環境の整備改善を図ると同時に、土地の高度利用や団地の集約を通じて用地を創出し、都市機能の更新や地域の活性化等のために戦略的に活用していくことが重要である、このように述べられております。
 そこで、今後の都営住宅の建てかえにあっては、これらを踏まえ、一層効果的な事業展開を図るべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○清水参事 都営住宅の建てかえに当たりましては、老朽化した都営住宅の更新に合わせまして、敷地の高度利用により生み出された土地を有効に活用いたしまして、地域の特性を生かしたまちづくりを進めていくことが重要であることから、今後とも都営住宅の建てかえにおきましては、敷地をできる限り有効に活用いたし、団地の再編を進めまして、地域の活性化や防災性の向上、住環境の整備など、地域のまちづくりの課題に的確に対応していきます。

○小沢委員 有効な土地の利用は非常にごもっともでありますが、現在、古い住宅ほど低密度な土地の利用をされております。効率的とは申しましても、その地域に合った、余裕のある、都営住宅らしい政策をお願いいたします。
 次に、都営住宅の建てかえにおいては、個々の団地、そして個々の地域によって、戸数や面積、建築基準等が異なると思います。実際の建てかえ事業に当たっては、都営住宅の居住者だけでなく、近隣住民の意向も踏まえて、周辺の地域のまちづくりとともに、十分に連携して進めていただきたいと考えておりますが、ご所見をお伺いいたします。

○清水参事 都営住宅の建てかえに当たりましては、近隣の住民に対しまして、計画の概要や日影など、近隣に与える影響などについて説明を行っているところでございます。
 一方、都営住宅の建てかえにおきましては、都民共有の貴重な財産である都有地を有効に活用する観点から、できる限り効率的な土地利用を図る必要があると考えております。
 今後とも、建てかえ事業の円滑な実施のため、近隣の住民に対しましては、できる限り丁寧な説明に努めるとともに、地域のまちづくりにも配慮しながら事業を推進してまいりたいと思います。

○小沢委員 ありがとうございます。近隣住民や地域のまちづくりに配慮をしていただけるというご答弁をいただきました。しかしながら、従来の近隣住民への説明は、必ずしも十分であるとは受けとめられません。
 と申しますのも、決定した事業の一方的な住民への通告といいますか、これをもって説明会と称する、このようなことが行われているというように私どもの耳に多く入ってきております。今後の事業実施に当たっては、住民の声をできる限り反映した、誠意を持った事前の対応を要望いたしまして、私の質問といたします。

○植木委員 東京における新たな住宅政策の展開についてという住政審の答申について、今回の答申については、構造計算偽造事件の問題、それから木造密集地域の問題とか、いろいろ積極的な面もありますが、全体の審議会答申の流れが大きく変わってきているのではないかという、私はそういう思いを持っています。特に今、国でもそうなんですけれども、官から民への流れの中でいろんなことが動いてきているんですけれども、その一つではないかというふうに思っています。
 それで、若干、東京都の住宅政策の基本的な流れについてお伺いしたいと思うのですが、当初の住宅政策の基本というのはどういう政策が基本になっていたのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 当初は戦後という意味ととらえさせていただきますが、戦後の住宅政策につきましては、住宅が絶対的に量が不足していたこと、また、民間の住宅市場が全く発達しておりませんでしたので、そうした背景から、政策のいわゆる三本柱、年代順に申し上げますと、住宅金融公庫の融資、昭和二十五年、公営住宅、昭和二十六年、日本住宅公団、昭和三十年、この住宅政策の三本柱ができ、住宅、住宅資金を公的な主体が直接供給するという政策をスタートさせたと認識しております。東京都も、そうした三つの住宅政策の柱の中で戦後の住宅政策を開始したという理解でございます。

○植木委員 戦後当初の住宅不足という問題からというふうにお話がありましたけれども、いずれにしても、時代そのものはいろいろ変わってきて、時代背景も変わってはいますけれども、住宅政策の基本というのは、私は、先ほども人権というお話がありましたけれども、非常に基本的な問題としてとらえていく必要があるんじゃないかというふうに思っているんです。
 それで、先ほど三つの柱というお話がありましたけれども、これは憲法第二十五条に基づく、すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する、これに基づいて、いろいろ法律というのはできてきているというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 憲法二十五条のいわゆる生存権でございますけれども、住宅政策は、住宅が生活にとって、基盤として非常に重要だという認識は当然持っておりますけれども、いわゆる生存権の保障という考え方のもとに施策が構築されているわけではない。健康的で文化的な住宅を供給する、そうした努力を積み重ねていくという考え方のもとに、住宅政策あるいは住宅の法制というものが構築されているというふうに理解しております。

○植木委員 非常にわかりにくいんですけれども、生活の基盤を保障するということではなくて、健康的、文化的な最低限度の生活を営むことができるように積み重ねていく、そういう趣旨、その辺がちょっと……。つまり、憲法二十五条には基づいていないということですか。

○水流住宅政策担当部長 ご指摘の点が、憲法二十五条の生存権に基づく保障として住宅政策を講じているのではないかという意味でお伺いしましたが、住宅政策は、生存権の保障として構築されて実施されているものではなく、健康で文化的な生活に向けて住宅がよくなることを住宅行政として努力していくということを基本として法律が制定されており、また、住宅行政はそれに向けて努力を積み重ねてきている。決して生存権の保障という観点でできているものではないと理解しております。

○植木委員 私、保障という言葉を使っただろうか。後で議事録を見ればわかるんですけれども、保障という言葉は使っていないと思うんですよ、私の原稿にないですから。
 要するに、憲法二十五条の条文に基づいて、三つの柱というのは立てられてきたのではないかと聞いたんですけれども、違うんですか。

○水流住宅政策担当部長 住生活の向上、居住水準の向上といったテーマに対して住宅政策が努力していく、そういう観点で現在の住宅政策は推進されているというところでございます。

○植木委員 何をいおうとしているのかちょっとよくわからないんですけれども、基本的には、憲法に基づく実定法として具体的な基本の柱ができてきている、これが通例の解釈だと思うんですよね。だから、今、わざわざ保障という言葉を使うという意味がちょっとわからないんです。私自身は使っていないですしね。
 ともかくとして、憲法二十五条に基づいて、実定法としていろんな法律が出てきて、今回の流れの中でいえば、三つの基本的な柱ができてきている、これは間違いのないことだと思うんですよ。これは、後で専門的ないろんな文書を見ても間違いないですから。
 それが、その後ずっといろいろな変遷があって、限られた時間ですから、ちょっと飛躍もしますけれども、平成十三年の住政審答申で東京の住宅政策ビッグバンというのが出されて、ここで市場の活用とかストックの活用というのが打ち出されてきた。これはどういう特徴を持っているものでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 平成十三年の住宅政策審議会答申、いわゆる住宅政策のビッグバン答申でございますけれども、住宅の量的充足に加え、人口減少社会への移行、少子高齢化の進行、居住ニーズの多様化、高度化など、今後の社会経済等の動向を踏まえ、公的住宅の新規供給を中心とした住宅政策から、市場の活用やストックの活用を重視した住宅政策へと転換する必要性を指摘したものでございます。
 都はこの答申を踏まえ、住宅市場の整備誘導に向けた民間住宅施策の新たな形成と展開を図るとともに、都営住宅について、既存ストックの維持、活用に重点を移しながら、真に住宅に困窮する方への的確な供給に努めているところでございます。

○植木委員 つまり、ここで大きく流れが変わったわけですね。都営住宅などの公営住宅の供給戸数の抑制となった。市場の活用というふうになっている。きょうの論議をいろいろ聞いていても、根本はここにあるんじゃないかなという感じがしているんですけれども、限られた時間ですから、誤解を恐れずに、短時間ですからいわざるを得ないと思うんですけれども、住宅政策ビッグバンは、まさに官から民への流れの中でつくられたプラン。国が公団などの公的機関を廃止して、市場機能の活用という流れになってきた。その流れの中で、東京都の住政審も出されてきたということだと思うんですね。
 では、今回の住政審の位置づけは何なのかということですけれども、これをさらに発展させて、さらに明確に市場を中心とした流れにしていくということが出されたようにも受け取れるんですけれども、いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 今回の答申でございますが、これまで経験したことのない人口減少社会の到来など、今後の社会経済状況に対応しまして、市場の活用やストックの活用を重視した住宅政策の方向をさらに加速化、充実するため、こうした住宅政策を体系化し、確立することが必要との観点から行われたものと理解しているところでございます。
 答申では、住宅政策の基本理念と目標を明らかにするとともに、住宅政策の展開の方向として三点指摘しておりますが、都市整備と一体となった住宅整備による良質な居住ストックの形成、透明で競争性の高い住宅市場の構築によるニーズに適した住宅選択の実現、住宅全体のセーフティーネット機能向上による少子高齢社会における住まいの安心確保、以上、三つの基本的方向を示しているところでございます。

○植木委員 ストックの活用は当然必要なことですから、基本的にあれなんですけれども、やっぱり一番は、供給は市場を基本とするということが今回の住政審の大きな特徴だと思うんですね。
 住宅は充足しているというふうに、何回もきょうのあの中でもあったんですけれども、平たくいえば、充足しているんだから、公共住宅を新規でふやしていくと一般の民間の住宅企業の分野を圧迫する、こういう考えもその中にあるのでしょうか。それとも、そういう考えが基本になっているのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 現在、東京では、世帯の数を住宅の数が一割以上上回っている状況にございます。こうした空き家がたくさんある状況の中で、公的な住宅をどんどんふやしていくのではなくて、住宅全体を有効に活用して都民の居住の安定を図っていく、住生活の向上を図っていく。
 そうした中で、都営住宅のストックについても、特にこれはセーフティーネット施策の中心でありますから、最も住宅に真に困窮している方々に適切に供給していく。そういう全体の構図の中で都営住宅ストックの活用ということが提示されたものと理解しております。

○植木委員 一割、住宅の数がふえていると。これは客観的な数字が出ていますから、そうなんですけれども、一割ふえていると。じゃ、その一割がどういう内容なのかということだと思うんですよね。
 民間のマンション業者などのホームページなどをいろいろ見たり、データを専門に出しているところのデータを見ますと、かなり過剰供給ということで出ているように思うんですけれども、では、とにかく、空きのうち、本当に都民に提供できる部分がどのくらいあって、そのうち、きょうは都営住宅のお話がたくさんありましたから、都営住宅の収入分位二五%以下の人たちが求めて入れる可能性のある住宅というのはどのくらいなのか。その辺の分析はどうなっているでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 平成十五年の住宅・土地統計調査のデータでございますが、空き家が六十六万戸余、都内にございます。そのうち、賃貸用の住宅の空き家でございますが、およそ四十六万戸。四十六万戸が賃貸用の住宅として空き家の状態にあるということでございます。
 この四十六万戸の詳細について、住宅・土地統計調査ではこれ以上追えませんので、したがいまして、まさにこの四十六万戸自体の話ではなく、全体の民間の賃貸住宅のデータの中から、この四十六万戸をある意味推計といいますか、状況を考えていくということになります。
 現在、東京の民間賃貸住宅はおよそ二百万戸ございます。この二百万戸の住宅について家賃の分布を見た場合に、現在、都営住宅の応能応益家賃制度のもとで二五%分位の方の基準額というものがありますけれども、それはおよそ六万円でございます。
 この六万円を下回る、そうした住宅がどのくらい東京にあるのかといったことでありますけれども、民間賃貸住宅のおよそ四分の一が、この基準値である六万円以下ということになっております。これは全体でありますから、したがって、そうではない空き家の民間賃貸住宅がどうなっているかというのは、これは直接ないのですけれども、空き家になっている住宅ですから、全体の住宅よりも、恐らくそれよりは全体に家賃が低い、そうした集団だというふうに推察するところであります。
 非常に直接的なお答えにはなっておりませんけれども、以上でございます。

○植木委員 当然、都営住宅の建設を抑制するという方針を出したんですから、その辺の分析は僕はあると思って聞いたんですけれども、分析はない。実際に住んでおられる方のうちでは四分の一ということなんですけれども、賃貸住宅というのはいろいろあるんですよね。古い木造住宅の安いのから賃貸マンションがありますよね。いろんな種類があります。
 果たして、本当にそれで都営住宅を抑制するという根拠になり得るんだろうか。これは、ぜひ僕は調べてほしいと思うんですよ。そうしないと、今いったような漠とした話じゃ、これは抑制していいなんていうことはいえないですよ。いかがですか。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅のストックは二十六万戸ございます。この二十六万戸は、戦後、営々と築いてきた二十六万戸でありますが、ここから毎年発生してくる空き家供給というものを、今、真に住宅に困窮する都民に提供していく。まさに賃貸住宅政策は、ご案内のように、蓄積したストックからどれだけ回転していって、住宅供給が新たな入居者に提供できるかというところが大きな政策でございます。
 そういう都営住宅の空き家供給で提供されるストック、それだけではなくて、民間の賃貸住宅のストック二百万戸の中から供給されていくストック、さらには中古住宅の流通活性化といったものが大きな課題になっておりますけれども、こうしたもの、全体の住宅をいかに有効に活用していくかという観点に立ちまして、今後の住宅政策を進めていくということが重要だと考えているところでございます。

○植木委員 ちっとも話がかみ合っていないんですけれども、要するに、公的な住宅を位置づけてきたのがなぜ市場中心になったのか、その根拠として充足しているというんだから--充足している。しかも、都営住宅には毎回五万人からの応募がある。年間にすれば、その四、五倍になるわけですけれども、そこのところに少しも刺さっていないわけですよね。
 では、公共住宅の話は置いて、逆に、なぜ市場中心に全部を変えていかなきゃならないのか。今度の住政審の大きな柱のところには、都営住宅のは入ってきていませんよね。いろいろ中に入っていくと、重点のところでストック、改築、それから、いろんな若者がどうのこうのとかという、中へ入っていくとあるんだけれども、大きな柱からはなくなっているんですよね。なぜそこまでして市場を中心にしなきゃいけないのかということをお聞きしたいんです。

○水流住宅政策担当部長 先ほど、当初の住宅政策のお話がございましたけれども、住宅政策は、市場の住宅供給との関係において常に構築していく、運営していくという考え方がございます。当初、市場の住宅供給が甚だ不十分で、絶対的に量が足りなかった、そういう時代に直接供給。それは、住宅金融公庫も資金を直接供給という形で住宅政策を進めてまいりました。
 しかし、全体に市場の住宅供給力が発達し、今では新たに供給されている住宅の九五%以上が民間市場から供給される、そういう状態になってきております。したがいまして、住宅の供給は、これは受益が個人に、そこにお住まいの方に帰属する私的な財という基本的な性格がございますから、市場で供給するのが基本だという考え方でございます。
 しかし、住政審答申で強調しておりますけれども、市場は、やはり公的な関与がないとうまくいかない部分が出てくる。例えばルールがしっかりできていないと、あるいは情報提供がしっかりできていないと、おかしな住宅選択が行われてしまうということから、公的な関与をしなきゃいけない。また、自力では適正な水準の住宅を確保できない方、低額所得者、お年寄り、そうした方々に対しては住宅供給を補完していかなければならない、こういうふうに指摘しているわけです。
 セーフティーネットといいますか、市場を基本とする以上、それが十分でない分野については公共が適切に関与して、それを条件整備し、補完していくということが重要と指摘しているわけでございまして、したがいまして、都営住宅についても、そういう意味で本当に困っている都民の方に的確に二十六万戸のストックを供給していく、そういう答申の位置づけでございます。

○植木委員 いろいろ回りくどいお話があったんですけれども、大きな流れは市場にというのは、もう文章に書いてあるんですから、それはもうごまかしようがないので、はっきりしているんですよ。
 それで、今、政府の方で、いわゆる財政諮問会議だとか国土交通省の会議とか、いろんな会議を通じて、国の住宅政策そのものが大きく変わってきているんですね。この六月の初めに住生活基本法というのができて、これも市場が中心になってきている。
 さかのぼっていえば、日本経団連が一九九八年あたりから連続して住宅政策を出していて、直近では、二〇〇三年に経団連が出したのが三つの政策目標を掲げていて、言葉としては違いますけれども、例えば三つの政策目標、活力とゆとりが生まれる住宅ストックの形成、二番目がライフステージに応じた循環型の住宅市場の構築、三番目が安心、安全、快適、元気あふれる美しいまちづくりとなっていて、その基本的な流れは、具体的な中身は、市場を中心に構築するという流れに経団連の文章はなっていて、国の動きと軌を一にしている。
 強いていえば、この住政審は、僕からいわせるともっと一歩進んでいるというか、悪くなったというか、都市整備と一体となった住宅整備というのは、言葉だけで見ると、まちづくりと一体となってということだから、当然あり得ることなんですけれども、逆に都営住宅の用地をどんどんこの間手放してきている、都有地を手放してきている。そこに建設するということは、抑制しているからしない。それから、今回出ているのは所得基準の引き下げなど、むしろ国から見ても、いろんなセーフティーネットの考え方がごくごく限られた分野にされようとしている、そういうふうに思わざるを得ないわけですね。
 それで、私は、確かに行政や住宅ストックの流れも、それから、戦後すぐの劣悪な住宅から比べれば、今の住宅は非常に立派ですけれども、この質が求められていくという中では、まだまだ質は改善していかなきゃいけないとか、いろいろそういう問題はありますけれども、やはり基本は、住まいというのを、憲法に基づく健康で文化的な最低限度の生活を営む、そういう権利を有するという観点に基づいて、もっともっと力を入れて当然だと。つまり、そこに立ち戻るべきだという考えなんですけれども、そういう意味で、もう一度立ちどまって、今回の住政審の流れを改めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 今回の住政審が答申されましたその背景、時代、経済社会状況の背景認識でございますけれども、人口減少社会の到来が確実になっている、また、住宅のニーズが非常に多様で高度なものになっている、そして、そのストックの数が既に相当上回っているという、そういう状況を考えますと、やはり市場を基本にして、ニーズにかなった住宅が提供されていくようにと。
 また、これまでに蓄積されたストックを十分に活用して、新築だけが住宅のレベルアップの手段ではなくて、選択肢ではなくて、ストックを有効に活用して中古を流通していくといったことをもっともっとどんどんやって、そうして今後の住生活を高めていくという、そういう住政審のご指摘でございますから、これはもう大きな時代の流れと申しますか、考え方として、そのとおりというふうに私どもは受けとめているところでございます。

○植木委員 私も、別にストックの活用を否定しているわけでも何でもないんですけれども、要するに大きな流れの問題なんですよね。やはり経済界は、公共住宅がどんどんふえていけば、それによって民が圧迫されるという言葉がよく引き出されますけれども、この民というのは明らかに住宅産業であることは間違いないですよね。
 もちろん、住宅産業がいい、それを求めて購入できる所得階層の人はそれでいいわけですよ、当然。高額の所得者、あるいは中堅で、ぎりぎりだけれども、ローンを組んで中古住宅を求めるとか、家族で共稼ぎで何とか求めるとかいうことが可能な世帯の方々は、そういうものを利用することは当然のことなんですよ。
 問題は、やはり国民的、全都民的に見て、健康で文化的な生活を維持するということを基本に考えたならば、やはりもっと公的住宅の新たな供給も含めて考えるというのが基本にあって、その上で総合的な対策を立てていく、こういうことに僕は切りかえるべきだというふうに思うんですよね。
 明らかにそういう官から民の流れの中で市場というのが重視されて、今回は都営住宅というのは大幅に後退しているということは文章上明らかですから、これ以上いいませんけれども、いずれにしても、では現状だけ見てみても、都営住宅に申し込んでいる方は毎回五万人前後おられると。年間にすればその四倍から六倍、そのときによって違いますけれども、おられる。では、こういう人たちに対して、この住政審では、だれが住宅を供給する、あるいは自力で努力するにしても、どういう住宅を求めるというふうになっているのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅への応募の状況でございますけれども、毎年、年間二十万ぐらいの応募がございます。複数回募集しておりますから、かなり重複もあろうと思いますし、また、一部の特定の団地に物すごい倍率で集中するということもございますから、そうしたこともよく見ていかなければいけないと思っておりますが、それだけの応募があるわけです。
 先ほど来申し上げておりますけれども、そうした応募者の中から、本当に住宅に困窮されている方に的確に供給していく。二十六万戸から生じる空き家を的確に供給していくということでございます。
 それに加えまして、先ほど来、市場の活用といったことを申し上げておりますけれども、市場において住宅供給、特に近年、分譲マンションを中心とした住宅供給が盛んになってきておりますけれども、こうした住宅供給がなされますと、当然新たな分譲マンションを取得すれば、そこで今まで住んでいた住宅を中古流通に回すとか、住んでいた賃貸住宅が次の方に回るとかといった、そういういわゆるフィルタレーション、フィルタリングというのが起こってくるわけでございまして、全体のそうした住宅の取得行動の中で、全体的に住宅の水準が上がっていく、生活がよくなっていく、そういう機能が非常に大きいわけです。
 それを今、市場の活用、ストックの活用ということで政策的にも促進していく。それで、なお補完しなければいけないところは、都営住宅のストックを公平、的確に活用していく、そういう観点でございます。

○植木委員 さっきも余り分析がないなという話をしたんですけれども、なぜ今、都営住宅にそういう応募をするか。もちろん安いということはありますよね。それから、いろんな条件があると思うんですよ。だけれども、今、所得がどんどん下がっていますよね。これは、年配の方も、団塊の世代になってくると年金生活に入って下がってくる。若い世代の人も今、二人に一人が非正規雇用という状況の中で、所得が非常に下がってきている。そういう中で、やはり都営住宅に対する要求が私は強いんじゃないかと思うんですよね。
 つまり、そこのところへの供給というのは、市場任せだけで決してできるものじゃないと思うんですよね。都民皆さんの要求の基本的な底辺にあるもの、その辺はどういうふうに見ているのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅を、応募をされてきている方々の中で本当に困っている方々に的確に供給していくということが、都民全体の共有財産である都営住宅に対する、都民に対する行政として必要な対応だというふうに思っております。
 先ほど来、公平の議論がございますけれども、住宅ローンを負担して住宅を取得されている方、民間賃貸住宅の家賃を負担して賃貸住宅にお住まいの方、そうした全体の中で、都営住宅の応募者に対して、どういった方に本当に公平に供給していくのかということが求められているということでございまして、したがいまして、都営住宅の応募者は、中には最低居住水準を既に満たしている方もたくさんいらっしゃるわけですね。そうした応募者の実態をよく見て、その中で適切に供給していくということかと考えております。

○植木委員 実態を見るのは当然ですよね。だって、審査のときに、抽せんの後、審査して、満たしていればはじかれるわけですから。問題は、結局パイをかえないでいろんなことをやろうとするから、若者の世帯を入れれば、高齢者の世帯は外れてもらわなきゃいけない。それから、たくさん本当に困っている人を入れようと思えば、所得制限を引き下げたりしてやらざるを得ない。
 同じパイの中で考えれば、当然そういうお互いにつっつき合って、こういう分野はちょっと出ていってもらって、もっと大変な人がいるんだからこうという、そういう話にならざるを得ないわけですよね、同じパイの中でやっていれば。これは当たり前のことですよ。パイをふやさないという方針ですから、そういうふうになる。
 きょう出されている住政審の中で、所得制限を引き下げるというのは、どのくらい引き下げるかというのが出ていないのでわかりませんけれども、これを引き下げたら、いろいろまたパニックになってくると思うんです。きょう出されている、若者とか、いろんな承継問題も含めて、あるいは収入超過者も含めて、僕は細かい分析の資料がないものですから、単純計算でいきますと、例えば五万ぐらいの応募が、せいぜい四万ぐらいにしかならないんですよ。
 僕らは、今回出ているものについては絶対認められないものも入っているから、それはあれですけれども、いずれにしても、パイを同じにすれば、若者世帯をたくさん入れようと思えば、どこかの世帯が出ていかなきゃいけない。本当に困っている人を入れようと思えば、所得制限を下げて、この階層の人はちょっと出ていってもらって、民間で自分で努力しなさいと。もちろん、努力できる方も中にはいるでしょう、全部が努力できないとは私もいいませんけれども。そうならざるを得ないんですよ。つまり、パイをふやすという考え方が全くないというところが、今の論議の中では根底にやっぱりあるんですよ。
 それで、私、具体的な話なんですけれども、もう時間もありませんので結論的な内容に入りたいと思うんです。今回、住生活基本法という--先ほどいったように中身は大きな問題があるんですけれども、今回の住生活基本法の中でも、住生活の安定確保は国及び地方公共団体の責務であるということは明確に出されていて、それから、改定された公営住宅法第六条では、公営住宅の計画的な整備は、住生活基本法第十七条第一項に規定する都道府県計画に基づいて行われなければならないというふうになっていて、住生活基本法の五には、計画期間における当該都道府県の区域内の公営住宅の供給目標量を定めるとなっているわけです。
 それから、東京都住宅基本条例第九条では、都は、都民生活の安定向上を図るため、公共住宅の供給を促進するよう努めるものとする、こういうふうになっているわけですね。
 ですから、私は、同じパイの中で争ったり、それから、わざわざ所得を引き下げたり、団塊の世代がふえてきたら所得制限を変えるとか、若者世帯が入るから出ていきなさいよなんていうことではなくて、やはり財源の問題もありますから、いきなり大規模にとはいえないかもしれないんですけれども、計画的に新規住宅の建設、それからストックの改良も含めてやるのは、私は東京都の基本的な役割だというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 住生活基本法等の公営住宅の供給という課題でございますけれども、供給という意味でございますが、これはご案内のように、新規の建設もあれば、ストックから空き家発生で提供していくということも含んだ、大きな概念として供給ということをうたっております。
 そして、住生活基本法では、国も、それから都道府県も計画を定めて、特に都道府県にあっては公営住宅の供給量の目標を定めるというふうになっておりますけれども、その供給というのは、今申しましたストック活用も当然に含んだ幅広い考え方でございます。
 そして、公共団体に求められておりますのは、そうした地域の事情に応じて住宅需給、その他事情に応じて公営住宅の供給を的確にやっていくということでございまして、先ほど来申し上げておりますが、東京都においては、現在のストックの状況を考えますと、また将来の人口減少社会を考えますと、現在のストックを適切に維持し活用し、空き家の供給という形で、本当に住宅に困っていらっしゃる方に提供するという方針で考えているところでございます。

○植木委員 もちろんストックを活用するのは当然なんですよ。それは基本なんですよ。だけれども、新たな供給がなかったら、結局同じパイで争うことになるんですよ。だから、それを少しでも緩和していくということ。
 それから、所得が非常に二極分化で、確かに高額マンションを確保できる階層の人もたくさんいますよ。しかし、そういうのができなくて、本当に劣悪な住宅で過ごさざるを得ない人もいる。その人たちが公共住宅に申し込んでくる。それを、結局パイをふやさないというのが大前提にあるから、それぞれの階層、あるいは所得、承継とか、いろんなことで縛りをかけてやらざるを得ない。悪循環で、根本的な解決にはならないと私は思うんですよね。
 それで、もちろん長い歴史の中で、そのときそのときの政策のあり方というのはあると思うんだけれども、しかし、余り短期的な状況にとらわれることなく、住宅政策の基本というのはどんと据えていく。入居を希望する人と入居者あるいは一般の居住者と殊さら対立させるような、そんな貧しいことにはしないということが必要だと思うんですよ。
 欧米諸国では、例えばイギリスでは現在、公営住宅が二二%ですよ。フランスでも一八%。日本は全体では六・七%でしょう。東京もそんなに変わらないんじゃないかな。今、手元に数字がないんですけれども。
 いずれにしても、住宅は衣食住の一つの柱であり、東京都として、首都東京の都民の住宅を支えるものとして、やはり住宅政策の基本に公共住宅の増設を含めて位置づけること、そして総合的な住宅政策をつくっていく、そのことを重ねて要求して、私の質問を終わりにします。

○花輪委員 お疲れさまでございます。私も、住政審の答申で、都営住宅のことについてお尋ねをしたいと思います。
 今、都営住宅に入れない人が五万人いるとか、六万人いるとかという話がありました。水流部長の熱心で丁寧で辛抱強い、そんなご答弁を聞かせていただいたわけですが、都営住宅に入れない人はたくさんいるんだけれども、でも二十六万戸もある。その数が多い少ないという議論はあるのかもしれませんが、五百二十万世帯、東京には世帯があるということで、二十六万戸、二十件に一件は都営住宅なんですよね。私は、二十世帯に一世帯は都営住宅ということを考えると、それほど少ないんじゃないのかなと。
 入れないという人がたくさんいる。では、その裏にはもしかして、基準からいえば入らなくてもいい人、要はもう出ていってもらってもいい人、そういう方々が実は多くいらっしゃる。そういう方々にはまず基準どおりにやってもらって、その上で足りているのか足りていないのかという議論はしてもいいけれども、基準外の方がたくさん住んでいて、本当に困っている人たちが入れないというのは、これは不公平とか不公正とかというふうに、やはり都営住宅そのものを見られてしまう原因になるんじゃないのかな、そんなふうに思います。
 先ほど、きたしろ先生も、長橋先生も、この使用承継の問題をやっていらっしゃいました。また、そのほかにいえば、収入超過で入っている人もまだまだたくさんいらっしゃる。または、お父さんが亡くなって生命保険が五千万も入ったけれども、都営住宅に入っている人がいる。その裏では、本当に困っていて入れない人がいる。相続で資産を引き継いだけれども、まだ都営住宅に住んでいる人がいる。だけども、その裏では本当に困っているお年寄りがいたり、安いお給料で子どもを二人も三人も育てている、そういうファミリー世帯もいたりする。だから、この辺をしっかりとまず解消していくことが大事なのかな、私はそんなふうに思います。
 そういう意味で、今回の答申の中で資産のことが盛り込まれました。資産の保有状況にかんがみて、都営住宅も活用していかなきゃいけないというところに一歩踏み込んでいただけるんじゃないかというふうに、これは私は大きな期待をしているところなんですが、ただ、この資産をどうやって把握していくか。これはなかなか難しい問題で、まだまだ課題があるのではないかと思うのですが、そのあたりをどのように認識されているか、ご答弁をお願いします。

○小宮経営改革担当部長 都営住宅は、真に住宅に困窮する低額所得者に賃貸される公共住宅であるため、住宅困窮事情を可能な限り把握することが必要でございます。このため、入居申込書に資産の保有状況を申告させ、入居後、申告が虚偽であることが判明した場合には入居許可を取り消すというような方法も考えられ、検討を進めているところでございます。

○花輪委員 そんな形で、最初に資産の状況を報告させるということは大事ですね。
 後で虚偽が見つかったらということですが、なかなかこの虚偽を見つけるのも大変な作業があるんじゃないかと思います。そのあたりを、今後の課題だと思うんですが、今の段階ではどのように考えていらっしゃいますか。

○小宮経営改革担当部長 基準、それから調べ方、対象とする資産の範囲について、東京における住宅取得に係る金額、その場合の資産の保有額などの統計データを参考にしながら、都民の理解が得られるような基準等の検討を進めております。

○花輪委員 その基準をつくっていただかなきゃいけないわけですが、いただいた後ですよね。その後、今の状況だと、特に権限もないから、銀行に資産があるかないか皆さんが確認する手段もないだろうし、登記所に行って土地を持っているのか、絵を持っているのかと調べることもできないと思うんですが、その辺の法的な整備というものを、やっぱりこれから国にちゃんと求めていくべきだと私は思うんですよ、もし資産の保有のことを本気でやる気になるのであれば。そのあたりのご決意はいかがですか。

○小宮経営改革担当部長 答申を踏まえまして、これから検討を進めていくところでございますので、これから検討してまいります。

○花輪委員 そういう意味でいうと、生活保護なんかは法律で決まっていますので、私もきょうも地元区の生活保護担当に電話をしまして、どのような形で把握をするんですかと聞きましたら、まずは通帳を見せてもらうと。ただ、基本的には自己申告だと。でも、そこにケースワーカーさんなり、だれかなりが行って、少し疑義があれば金融機関に連絡をして、法的な権限でその資産の状況を把握するということもありました。
 ぜひ国に積極的に働きかけていただいて、やはり何千万も資産を持っているような人を、また相続で家を持っちゃったような人を、それを黙ってやり過ごす、その裏で本当に入るべき人が待っているというのはおかしな話だと思いますので、ぜひ積極的にやっていただければというふうに思います。
 続きまして、収入超過のことをちょっとお伺いしたいと思います。入居時には収入が少ないけれども、入居した後、収入がどんどんふえてくる。だけれども、基準を上回っても高額所得者にならなければ、努力義務だけで、ある意味居座ることができるというのが今のこの制度だと思うんですね。
 私は、本当の意味でのセーフティーネットとしての都営住宅であれば、困っているときに、困っている期間すぐに入れる、これが本来のセーフティーネットだと思うんですね。だから、困っているときには入ってもらう。しかし、収入がふえてきたら出ていってもらう。でも、それからいろんな事情があって、高齢者になって、また収入がなくなった、差がなくなったらば、それはまた都営住宅に戻ってきてもらう。先ほど水流部長がおっしゃっていたように、ストックを回転させていくということですよね。それをやっぱり柔軟にもっともっと積極的にやっていかなければ私はいけないと思います。
 この収入超過だって、話によると、四人家族であれば、七百万の後半まで給料があったって、収入があったって出ないでいい、努力義務だという、そんな話も聞くわけです。最近は少し仕組みも変わってきて、五年間ぐらいかけて、収入超過の人は近傍同種の家賃に引き上げていくという、そんな話も聞きましたが、これも、近傍同種の家賃の計算の仕方が、国土交通省が決めたような基準で、どうも近傍同種家賃よりも二、三割ぐらい低いんじゃないかという、そんなような指摘もあるわけです。
 ですから、このあたりも、収入超過の問題については積極的に取り組んでいただきたいと思うのですが、現在、この二十六万戸の都営住宅の中で、収入超過の世帯数というのはどのくらいあるのでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 平成十八年三月末現在ですが、一万七千六百七十八世帯でございます。

○花輪委員 私がたしか五年前に都議会議員になったころ、また、ちょうどそのころに同じように答申が出ていまして、マスタープランづくりなんかで議論をさせていただいたときに同じことを聞いたときには、たしか三万の後半だったというふうに思います。それから比べると、皆さんもこの間ご努力をされて、この収入超過者の世帯数が減ってきたということは、それは本当に大変評価ができるというふうに思います。
 ただ、まだなかなか、先ほどお話をさせていただいたように、収入はあるんだけれども、出ていってもらえないというような、皆さんが、あなたには退去する努力義務があるんですよというお手紙を送っても、なかなか出ていってくれない方々がまだ二万世帯近くあるというのも、これは現実なんですよね。だけれども、入りたいけれども入れない人、六万世帯が待っているわけですね。だけれども、基準よりもオーバーしている人が入っているわけです。
 ですから、こういう方々に、速やかにまずは明け渡していただく。本当に困っている人に入ってもらう。その人たちがまた困ったときにはまた入ってもらえるようにするためにも、期限つき入居を、今は若年のファミリー世帯ですか、そういうような方々を中心にやられているようですが、この期限つき入居をもっともっと拡大していく。ある意味、五年なら五年間入ってください、五年後には一回調査しましょうよと。もうその時点で収入が多かったら出ていってもらう。でも、五年後に調査をして、収入がまだまだ都営住宅階層の収入であれば、そのまま残っていただく。そういうような仕組みにしていくべきじゃないかなと。
 だから、この期限つき入居制度をもっともっと拡大していく。できれば多くの都営住宅を期限つき入居というか、ほとんどの都営住宅を期限つき入居にしていただくべきじゃないか、そんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○小宮経営改革担当部長 公営住宅における期限つき入居につきましては、地域における公営住宅及び住宅困窮者等の実情を勘案しつつ、その活用を図るべきとの国の方針に従いまして、現在、都では、子育てにおける住宅の果たす役割の重要性や、都における子育て世代の住宅事情を考慮いたしまして、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居を実施しておるところでございます。
 また、マンション建てかえに伴い、一時的に住宅に困窮する世帯に向けて、期限つき入居も行っております。
 すべての都営住宅を期限つきにすることにつきましては、都営住宅に入居する多くの高齢者、障害者など、特に居住の安定を必要とする世帯への対応も十分考慮しながら、今後とも子育て世代などの期限つき入居を拡充してまいります。

○花輪委員 何年か前に、最初は三十戸から始めた期限つき入居、それも国交省の顔色をうかがいながら、都営住宅、東京都の予算だけでつくった、補助金をもらわなかった、そういう住宅だけで始めて、その後、補助金が入ったやつもちょっとやってみようかなといいながら、だましだましやってきた。そのうち国交省も、しようがないかなということで基準を少し緩めてきたわけですね。
 当然、高齢者にも配慮しなきゃいけない、障害者にも配慮をしなきゃいけない。先ほどいっていたように、病気がある人、体の弱い人、そういう人にも配慮をしなければいけないでしょうが、だけれども、やはり収入がある一定以上ふえてきたらば、そのときには速やかに出ていただく。それで、何年かたって基準をオーバーしていなかったら、住んでいてもらえばいいんですよ。障害者だったら、高齢者だったら住んでいてもらってもいいんですよ。でも、元気で収入がある人には出ていってもらう。そして、資産がある人にも出ていってもらう。そして、本当に困っている人に入ってもらう。
 そうじゃないと、今みたいに収入超過でもいいじゃないかとか、資産があったっていいじゃないかと。使用承継で一回住んじゃったらば我が家のものだみたいに、そんなことをいっていたらば、一体、幾つ都営住宅があればみんなが幸せになれるのか。そのためには、一体幾ら納税者がお金を払えばいいのか、そうなってしまうわけです。今ある資産をちゃんと回転させて、困った人が困っているときに速やかに入れる、そういう都営住宅をつくるために、ぜひこの期限つき入居の拡大をお願いしたいというふうに思います。
 次は、孤独死のことを少しやらせていただきたいと思います。今回の住政審の答申でも、少子高齢化社会における住生活の中での不安ということで、都営住宅に入っている人の高齢化のことも指摘をされていました。
 東京新聞でずっと連載をシリーズでやっていた、公団とか都営住宅の孤独死の問題、この記事を読んでいますと、本当に身につまされるような思いもしたりします。自分の親も七十を超えて独居老人で、団地ではないですが、ひとり暮らしをしておりますので、自分もこういうのを見ると大変心配になってきたりするわけです。(発言する者あり)私もワンルームに住んでいますので。
 それで、今回の代表質問の中でも多くの方々が質問をしていらっしゃいましたこの孤独死の問題というのは、確かに団地では、何か一年間に、都営住宅、公団住宅で四百人という数字が出ているようですが、この数字も大変センセーショナルな数字です。ただこれは、実は団地だけに限った問題じゃないのかなと。今のこの日本の核家族化とか、そういう中での孤独死、団地だけじゃないところでもそういう方がいる。そんなことも私たちはしっかりと配慮を、また社会問題としてとらえていかなければいけないというふうに思っております。
 まず最初にお尋ねをしたいのは、今数字があるのは都営住宅に限ってだと思うんですが、都営住宅の居住者のうち、いわゆる独居老人、六十五歳を超えていて単身の方、こういう方々というのは何世帯ぐらいあるのでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 平成十八年三月末現在、約五万二千世帯、全世帯の約二割でございます。

○花輪委員 やはり全体の二割、五万二千世帯のいわゆる独居老人の世帯がいるということでございます。そういう方々へいろんな、ある意味サービスというか配慮というか、そういうことで、巡回サービス、巡回管理人さんというのがいらっしゃるようですが、こういう方々のお仕事というのは具体的にどういう役割なのでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 巡回管理人は、居住者の高齢化に伴い、みずからさまざまな手続を行っています窓口に出向くことのできない高齢者、障害者世帯に対する支援策として平成十四年から導入したものでございます。
 主な業務内容は、都営住宅使用料の収入報告書など各種の申請や、修繕申し込みに関する相談、取り次ぎなどでございまして、年間約八万五千件の相談、取り次ぎを行っているところでございます。

○花輪委員 こういう巡回の管理人さんがいらっしゃるわけで、独居老人とか、なかなか外に出ることが難しい障害をお持ちの方とかの届け出なんかをされたり、または、その届け出の申請とかだけでなく、時には、何か聞いた話ですと、天袋の荷物がとれないから、ちょっと助けてよとか、または寂しいからというようなことで、ある意味これはサービスなのかもしれませんが、巡回管理人さんがそういう方々のお宅を回ったり、気を使ったりということをされているという話も聞いております。
 孤独死で、そして何日間もたってから発見されるということを防ぐためにも、こういう巡回管理人さんの方々に、ある意味啓発というのか、そういう見守りというような気持ちも込めて、または団地の自治会の会長さんとか、どこに独居老人がいるとか、そういう方々が今どういう状況だとか、そういうことが情報が入るような形で上手なおつき合いもしていただければ、一つの見守りとしては大変重要な役割を担ってくれるんじゃないかな、私はそんなふうに思うのですが、そのあたりはいかがですか。

○小林都営住宅経営部長 お話のように、巡回管理人さんは、長く団地を回っていますと、そこの居住者の方といわゆる気心が知れてくると、そういう話の中でいろいろな、単なる書類の受け付けだけじゃなくて、身の上話、相談等をするような仲になる、そういう話を聞いております。
 そういう意味で、巡回管理人も、定例的な巡回のほかに、修繕などの申し込みがあれば、個別に訪問して相談に応じているというようなこともございますので、単なる書類の取り次ぎだけじゃなくて、人と人とのつき合いができるような職務を遂行するように私どもも指導してまいりたいと思っています。

○花輪委員 特にお年寄りに対する福祉の分野というのは、どちらかというと、都の仕事というよりは、地元自治体の役割というのがある意味本来であり、大きいのかなというふうに思います。
 この前のうちの民主党の代表質問のときにそのあたりをお伺いしましたら、そういう孤独死とか独居老人の問題というのは、地元自治体で実態調査なんかを進めていくことが望ましいという、そういうご答弁をいただきました。私は、確かに自治体の役割、自治体が調査をするのがいいことじゃないか、正しいんじゃないかという、そのおっしゃることもよくわかるんですが、ただ、二十六万戸を持つ、その大きなコミュニティを預かる大大家の責務として、またその中の二割が独居老人だという現実を踏まえたときに、やはり東京都としても、管理者として、もっともっと独居老人問題、孤独死問題、そういうところに踏み込んでいくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 いわゆる孤独死は、地域社会ですとか家族のあり方、福祉的な側面などに深くかかわっているため、調査などにつきましては地元自治体が進めていくことが望ましいと考えておりますが、その際には都営住宅の管理者として協力してまいります。

○花輪委員 今、都営住宅の管理者としても、地元自治体と協力をし合いながらというご答弁をいただきました。ぜひ協力をして、実態調査を含め対策を行っていただければなというふうに思います。
 ちょっとお尋ねしたいんですが、例えばお年寄りが一人で倒れていることを発見したとか、また、ぐあいが悪くなったのをご近所の人が見つけて、公社に連絡が入った。そういうようなときに、いわゆる緊急連絡先とか保証人さん、そういうような方に連絡をしなければいけないと思うのですが、この緊急連絡先または保証人さんを最初の入居のときには出してもらうけれども、後は何か、どうもそれっきりだみたいなお話をちょっと聞いたのですが、そのあたりはいかがですか。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅に入る際でございますが、入居予定者は、入居手続をする際に連帯保証人を一名選任して届け出ることとなっております。この連帯保証人が死亡したり、変更したりした場合には、新たな連帯保証人を選任し届け出をする、こういう定めになってございます。

○花輪委員 例えば私なんかが住んでいるアパートは、二年に一遍更新がありまして、更新のときに契約をし直して、また連帯保証人さんにも保証人の判こをついていただいて大家さんにお渡しをするという、そんなことをしているわけですが、今のお話を聞くと、都としては、入居をするときには保証人の申請をしてもらう、この人が保証してくれるよということを出してもらう。
 だけれども、その人が、いわゆる入居している人が何十年も入居している場合があるわけですが、自己申告がなければ保証人のチェックというのをしないということなんですか。何年もしていれば、そのときは保証した人も他界をされる場合もあるかもしれないし、または、そのときは仲がよくて、お互い信頼関係があって保証し合う場合もあるかもしれませんが、それが十年、十五年たってから、急に倒れていましたよと保証人さんのところに電話がかかってきても、もうその方がいなかったり、または家賃の滞納があって、済みません、保証人さん、滞納があるんですけれども何とかしてくださいと電話をしたときに、もう保証人がいないとか、または保証人がいても、そんな十年も前についた、二十年も前についた判こ、そんなのでは意味がないというか、そんなのは払いたくないよと、そういうふうにいわれてしまうこともあるかもしれないのですが、やはりこのあたりは、例えば二年に一遍とか、三年に一遍やるべきじゃないかというふうに思いますよ。普通の民間賃貸住宅だってそれをやっているわけですから。
 一回きり、最初に入ったときにそのあたりの確認をして、あと何十年も自己申告任せというか--私だって、保証人にだれかになってくださいとお願いするのは結構嫌ですよね。保証人になってくれと頼むのは嫌ですから、保証人が亡くなってしまったからといって、新しい保証人をみずからお願いして東京都に持ってくる人というのは、なかなかそう自主的にやってくれる方というのは出てこないんじゃないかと思います。
 ですから、ぜひそのあたりは、二年に一遍、また五年に一遍なのか、三年に一遍なのかわかりませんが、保証人の問題、また緊急連絡先の問題、一回最初にとるだけじゃなくて、やはりしっかりと本当の意味での保証人または緊急連絡先になるように仕組みを変えていただくこと、これは要望をしておきますので、お願いをいたします。
 次に、この都営住宅の問題で、今の独居老人または孤独死の問題のことをいうと、やっぱりコミュニティバランスというようないい方で、今もずっと議論がありました。都営住宅が高齢者の住宅になってしまったり、または、なかなか若い方々が入れないんじゃないかとかいう、きょうはいろんな議論がありましたし、建てかえの話もありました。そのときに、地域の意見を聞いてというような話もありました。
 私はやはり、前々からいわせていただいているんですけれども、都営住宅というものを二十六万戸も東京都が持っている。ほかの道府県に行くと、大体、公営住宅というのは市が持っていたりする場合がどうも多いわけですよね。前から市区町村に住宅の移管をしてくださいというふうに私はお願いをさせていただいているわけです。
 例えば世田谷なんかを見てみると、世田谷は五十八キロ平方メートルぐらい大きいわけで、中には環七が走っていて、環八も走っています。環状七号線よりいわゆる内側は、今、子どもの数が減って、お年寄りの数がふえる、いわゆる高齢化がどんどん進んでいます。だけれども、環状八号線より外側は大きなマンションがたくさんできてきて、逆にいえば子どもの学校の教室が足りないという、そういうような事態にもなっているわけです。これは世田谷区だけ見てみても、その地域によって、いわゆるコミュニティのバランスというのが随分違うわけです。
 これがもし、住宅が都営住宅じゃなくて世田谷区の区営住宅であれば、募集のときに、では、環七のエリアでは子どもの数が少ない、高齢化が進んでいるからファミリー世帯を中心に募集をかけようかな、または、環八の外に行けば子どもの数が多くなってきているから、お年寄りの世帯を厚くしようかなと、そういう募集のさまざまな配慮もできると思います。
 また、都営住宅の建てかえなんかのとき、移管をすれば建てかえ時間が多いわけですから、そういうときに福祉施設の併設、一階にはヘルパーさんなんかが入るような、そういう事業所が入れるような形にするとか、またはお年寄りの施設、または子どもたちの施設を入れる、そういう複合施設をやっていく。それも地域のニーズに応じた複合施設をつくっていく。そういうことも私は可能になっていくのではないかと思うんですね。
 ですから、東京都が二十六万戸を全部見て、募集の方法をきめ細かくやる、または、建てかえのときに地域の意見を吸い上げていく。それを全部私たちが求めてしまったら、これはなかなか、新宿にいて皆さんがやるのはご苦労があり過ぎると思います。だからこそ、本当の意味で地域のニーズに合った、またコミュニティバランスが維持できるような住宅にしていくためにも、この都営住宅の市区町村への移管というのは積極的に進めていただかなければいけないと思いますが、そのあたりの認識はいかがでしょうか。

○中沢参事 都営住宅の区市町村への移管のお尋ねでございますが、公営住宅の供給に当たりましては、地域のコミュニティの実情に応じた各種福祉施策との連携が重要であるというふうに考えております。このような観点から、小規模な都営住宅につきましては、区市町村に移管を進めることが必要と考えております。

○花輪委員 いつもと同じ答弁をちょうだいしたようでございますが、今の短い答弁の中にも、私と同じ気持ちをきっと含んでいただいているんじゃないかと思いますので、ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますが、今現状として、どのような目標設定をされて、また、その目標の達成度合いはいかがでしょうか。

○中沢参事 移管の目標と実績についてでございますが、年間二千戸を目標としておりますが、実績は、ここ数年、年間三百戸程度となっております。

○花輪委員 これは皆さんも本当に一生懸命ご努力をされて、区側、市側と交渉をされていることもよく存じ上げております。都営住宅となると、どこか都営住宅が来ると面倒くさいんじゃないかというような、何か間違ったような感覚が市区町村の中にあるとすれば、それはしっかりと取り除いてもらわなきゃいけないし、地域において、都営住宅よりも区営住宅の方が本当に福祉のためによい住宅政策ができるんだということを区の方々にわかってもらわなければいけないと思います。
 ぜひ私たちも、そういう意味では、一生懸命地元に行って協力をさせていただきたいと思いますので、皆さんにもご努力を一層いただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。

○高橋(か)委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

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