都市整備委員会速記録第三号

平成十八年三月十七日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十三名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事立石 晴康君
理事花輪ともふみ君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
きたしろ勝彦君
小沢 昌也君
川井しげお君
中村 明彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長村松  満君
技監小林 崇男君
技監依田 俊治君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長福島 七郎君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
航空政策担当部長小山  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長石井 一夫君
再編整備推進担当部長庄司 静夫君
参事北村 俊文君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事山口  明君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
予算の調査(質疑)
・第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為都市整備局所管分
・第十二号議案 平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十一号議案 平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(質疑)
・第六十六号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・第六十七号議案 東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
・第六十八号議案 東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、予算の調査について申し上げます。
 平成十八年度の予算は予算特別委員会に付託されておりますが、本委員会の所管分について、議長から調査依頼がありました。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十八年三月十六日
東京都議会議長 川島忠一
都市整備委員長 高橋かずみ殿
予算特別委員会付託議案の調査について(依頼)
 このことについて、三月十六日付けで予算特別委員長から調査依頼があったので、左記により貴委員会所管分について調査のうえ報告願います。
     記
1 調査範囲 別紙1のとおり
2 報告様式 別紙2のとおり
3 提出期限 三月二十三日(木)午後五時

(別紙1)
都市整備委員会
第一号議案 平成十八年度東京都一般会計予算中
歳出都市整備委員
繰越明許費会所管分
債務負担行為
第十二号議案 平成十八年度東京都都営住宅等事業会計予算
第十三号議案 平成十八年度東京都都営住宅等保証金会計予算
第十四号議案 平成十八年度東京都都市開発資金会計予算
第十七号議案 平成十八年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
第十八号議案 平成十八年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
第二十一号議案 平成十八年度東京都都市再開発事業会計予算

(別紙2省略)

○高橋(か)委員長 次に、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書二件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○高橋(か)委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の平成十八年度予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第一号議案、平成十八年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備局所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案、第十八号議案、第二十一号議案及び第六十六号議案から第七十号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 二月二十一日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料二月二十一日要求分の表紙をお開きいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、8の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移までの八件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 都営住宅建設事業における資本金三億円以下または従業員数三百人以下の中小企業への発注実績につきまして、財務局契約、当局契約別に、件数、金額及び括弧書きで全体に占める割合を記載してございます。
 二ページをごらんください。2のみどり率の項目別内訳でございます。
 区部と多摩につきまして、項目別にそれぞれみどり率を記載してございます。
 次に、三ページをお開き願います。3の首都圏中央連絡道路、東京外かく環状道路、首都高速中央環状線の事業費と進捗状況(都内区間)でございます。
 路線別に、概算事業費と進捗状況を記載してございます。
 四ページをごらんください。4の評価項目による評価の結果選定された都施行優先整備路線(三十八区間)の評価結果でございます。
 評価項目ごとに、該当する都施行優先整備路線を記載してございます。
 五ページをお開きください。五ページから六ページにかけまして、5の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
 平成十七年十二月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、名称、高さ、延べ面積を年度別に記載してございます。
 七ページをお開きください。6の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区と二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 八ページをごらんください。7の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数、延べ床面積でございます。
 制度ごとに、地区数、区別の状況、延べ床面積を記載してございます。下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 最後になりますが、九ページをお開きください。8の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の推移でございます。
 表頭の期間内に、都市計画決定または許可を受けた地区数と延べ床面積を制度ごとに記載してございます。下段注書きには、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋(か)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 私は、都営住宅に関係して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 昨年の暮れだったと思うんですけれども、五大紙に、公営住宅法という問題が新聞報道されました。その中に、承継の問題もかかわっていたのかなというふうに思っているわけです。そのことに関して、使用承継ということに関してお伺いをいたしたいなと思っております。
 私どもの港区でも四千九百戸の都営住宅があるわけです。それも、場所がいい白金あるいは高輪あるいは青山、いろいろ港南も芝浦もあるんですけれども、四千九百戸ある。そうした中で、港区では特に若いファミリー世帯がなかなか高倍率で入れないという事情があるわけです。
 そういう中で、ちょっとその辺のところを調べたいなと思ったんですけれども、現行の都営住宅の使用承継制度ではどのような人が承継できるのか、お伺いをいたします。

○石井経営改革担当部長 都営住宅を使用承継できますのは、同居している配偶者または一親等親族としているところでございます。高齢者、障害者などの場合は、例外的に三親等以内の親族も承継できることとしております。
 また、高額所得者を含む収入超過者は承継できません。これは、都民の共有財産でございます都営住宅の利用機会の公平性を確保することを目的に、平成十四年、それまで配偶者または三親等以内親族としていた制度を改正したものでございます。

○きたしろ委員 そういった意味で、三親等から一親等に改正されたということは、ある意味では評価をしたいと思うんですけれども、今、答弁の中にありましたように、都営住宅というのはまさに税金でつくられた都民の共有財産なんですよね。それが自分の財産のごとく、相続税も払わないで、そのまま高級マンションといいますか、億ションというようなところの、そのまま引き継がれていっているということは、やはり問題があるのではないのかなというふうに思っているんです。
 そういった意味で、承継という問題は、やはり納税者が納得いくような機会の公平さがなければいけないと私は思っているんです。
 そういう中で、毎年どれだけの都営住宅が承継されているのか、そのうち子どもが承継しているのはどれぐらいか、パーセンテージも含めて、件数と戸数をお願いいたします。

○石井経営改革担当部長 平成十二年度から十六年度の五年間を見ますと、使用承継の許可件数は、毎年ほぼ四千件で推移しているところでございます。
 子の承継の許可件数も毎年ほぼ一定しておりまして、約二割に当たる約八百件となっているところでございます。すなわち、毎年約八百戸の都営住宅が子に承継されているところでございます。

○きたしろ委員 子に承継されているのは八百戸ですよね。ある意味では、その八百戸のところに子育て世帯のファミリー層、ファミリーを育てている子育ての若い世代の人たちにその八百戸の機会を与えるということは、非常に大切な要件ではないのかなというふうに思っているんですよ。そういった意味で、子どもたちへ承継するということは、私は問題があるのではないのかなと。やっぱり、当たった人と当たらなかった人、同じ近傍に住んでいて、マンションで賃貸でものすごく高い家賃を払って住んでいる人と、それを承継されていくということは、非常に大きな問題だと私は思っているんです。
 そういう意味で、昨年十二月だと思うんですけれども、国土交通省から、入居承継の承認に係る厳格化についてという通知が出ていると思うんですけれども、それはどういう内容なのか、お伺いをいたします。

○石井経営改革担当部長 昨年十二月の国土交通省の通知でございますが、国におきましては、公営住宅の範囲をこれまで、配偶者、それから入居当初から同居している親族、すなわち六親等以内の血族、三親等以内の姻族、それに同居後一年以上の三親等以内の親族としていたところでございます。
 その結果、長年にわたり同一親族が公営住宅に居住し続け、公営住宅の入居者と非入居者間の公平性を著しく損なっている実態が見られるということから、承継の範囲を、配偶者のほか高齢者、障害者等、特に居住の安定を図る必要がある者に限定するという内容でございます。

○きたしろ委員 公営住宅法を所管している国土交通省がこういう通知を出しているということは、そういう公営住宅を持っている各自治体に対して、そのような方向に進んでくださいということだと私は思うんですよ。そのことがいろいろな意味で、特に港区の場合ですけれども、ほかはわかりませんけれども、私の見ている範囲では、都営住宅の駐車場には外車がわんさとあるわけですよ。そういった意味で、私自身は非常に疑問に感じていたわけ。
 そういった意味では、都としては、これからどのように対応していくんだろうかということについて、その通知を受けてどういうふうな対応をしていこうとするのか、お伺いをいたします。

○石井経営改革担当部長 承継についてのこの通知でございますが、国土交通省の説明では、これは法令とは異なって、実施を自治体に義務づけるものではないが、国の社会資本整備審議会等での議論を踏まえて、公営住宅のあるべき姿を示したものであり、通知を踏まえた対応を求めたいとのことでございます。
 都としての対応でございますが、現在、住宅政策審議会で都営住宅のセーフティーネット機能について審議中でございまして、その答申の内容を踏まえ、検討してまいります。

○きたしろ委員 都住の経営部の方でいろいろな改正等々をしているのはよくわかっているし、その努力は評価したいと思うんです。
 例えばの話、収入超過者などは、今までは近傍家賃にするのにどれぐらいの年限がかかったのか。それが今、今度の改正では、五年で近傍家賃と同額にするというような改正もされていることも承知しているんです。そういった意味では非常によくやってくれているなと思うけれども、やはり納税者、都民の立場からすると、あるいは抽せんに応募したけれども当たらなかった人たちからすれば、この不公平感というのは非常にあると思うんです。まして、近所は、さっきもいったけれども、子に承継されていっている。そうしたらもう私有財産じゃないですか。あくまでも都営住宅というのは都民の共有財産なんだから、そういう機会を一律にしていくべきだと私は思っているんです。
 そういった意味で、今、国交省からの通知が現実化するようにぜひ、審議会の答申もあるんでしょうけれども、そういう方向で、ファミリー世帯あるいは子育ての世帯に--八百戸というのは非常に大きな魅力のある戸数ですよ、毎年。そういった意味で、そのような方向でぜひ実現をしていただきたいということを要望して終わります。

○小沢委員 それでは、私からは震災の対策についてお伺いいたします。
 震災対策の基本というものは、震災時の危機管理や被害想定などの調査・研究を行う研究、木造住宅密集地域の改善や建物の耐震化などを行う予防、地震直後に人命救助やライフラインの確保などを行う復旧、そして被災後の生活やまちを再建していく復興の四つに分類されます。研究、予防、復旧、復興の四つでございます。
 近年、大地震の切迫性がいわれる中で、予防を中心に研究から復旧までの問題につきましては、議会においても頻繁に取り上げられております。今定例会本会議における我が会派の代表質問、そして私の一般質問でも、このような視点から質問をさせていただきました。
 しかし、先月の都が公表いたしました首都直下地震の被害想定におきましては、中間発表におきましては、大地震が起きた際、この東京では甚大な被害が想定されるのでございます。被災した場合には一日も早い復興を図るためにも、震災の復興への取り組みが非常に大事であると考えます。阪神・淡路大震災では、住民の合意形成を得るために非常に時間がかかったために、地域によって復旧の計画の内容、そしてスピードに差が出たと伝えられております。
 そこで、震災後の復興対策について何点かお伺いをいたします。
 こうした阪神・淡路大震災での事例を踏まえて、都は復興について基本的にどのようなお考えをなされておるのか、お伺いをいたします。

○石井市街地整備部長 復興に当たっての大事なポイントは三点ばかりあろうかと、このように考えております。
 一点目は、お話にありましたように、できるだけ早く復興することでございます。二点目は、早く復興するとはいっても、復興を急ぐ余り、従前のような災害に弱いまちを再びつくらないように、道路、公園などの整備をしっかりと進めることでございます。三点目は、そうした機会、決して待っているわけではございませんけれども、そうした機会を逃さずに、多くの人々が現在のまちに不足していると感じているような緑の創出や良好な景観づくりなどを同時に進めていく、そうしたことであると考えております。
 これら三点の調和を図りながら復興を進めることが大切でございます。そして、この調和のかぎを握るのは地域の力だと、このように考えております。
 阪神・淡路大震災の例を見ましても、震災前からまちの将来像が示され、まちづくりに対して議論が高まっていた地区は、たとえ強い反対運動があったとしても、震災後のまちの早期復興が可能になったと、このように聞いております。
 このような教訓からも、復興計画を円滑に立ち上げて実施していくためには、行政の力だけでは限界があり、住民が自分たちの住むまちをどうしていくかをみずからも考え、住民同士が協力して復興に取り組む、いわゆる地域力が不可欠でございます。行政が復興に全力を尽くすことは当然でございますが、こうした地域力が発揮されて初めて円滑な復興につながる、このように考えているところでございます。

○小沢委員 ただいまご答弁いただきましたとおりに、復興に当たっては、そこに住む住民同士がみずから協力し合って、まちづくりに取り組む必要性があると理解いたしております。また、これは通常の都市計画ですとか区画整理といった事業に当たっても、住民の意見を日ごろから行政の方で吸い取っていただきたい、このようにも考えております。
 それでは、この復興は具体的にどのようなイメージで進められていくのか、お伺いいたします。

○石井市街地整備部長 地域によって被災の状況は大きく異なります。そうしたことから、地域の復興の進め方は、それらの状況に応じて考えていく必要がございます。
 例えば、被害が小さな地域は、住民個々の力による自力復興が主体となりましょう。また、被害が中程度の地域は、地区計画の活用や共同建てかえによる不燃化の促進など、主に修復型の事業が復興の中心となると想定されます。被害の大きい地域は、区画整理事業などによる全面的な改造が必要となるため、建築制限などさまざまな制限を住民に強いることとなり、他の地域以上にまちづくりに対する住民の理解を得ておく必要がございます。
 このように、地域によって復興の進め方は異なるものの、それぞれの地域がまちの将来像を共有しながら復興計画を立案し、その後のまちづくりに結びつけていく、そうしたことが復興の進め方のイメージと考えております。

○小沢委員 復興に向けては、地域住民の心を一つにまとめるということが非常に重要であると思いますが、一方、口でいうほどこれは易しい問題ではないと思います。非常に難しい問題であると認識しておりますが、都が考えるような住民主体の復興をうまく進めるには、神戸の例を見ましても、発災してからの対応では遅過ぎると考えます。
 平時からの備えが必要であり、それが復興の成否を左右すると思いますが、都はどのような取り組みを行っておるのか、お伺いいたします。

○石井市街地整備部長 都では復興を迅速に進めることができるよう、震災復興マニュアルを策定し、復興の全体像を示すとともに、新たな仕組みや具体的な施策を提示してございます。このマニュアルに基づき、毎年、地域住民や区市町村の担当職員を対象とした復興模擬訓練を行っております。
 地域住民による模擬訓練は、これまで、委員ご当地の墨田区の東向島地区など十一カ所で実施してきており、自分たちの住むまちを歩いて回り、地震が起こった場合の危険要因を検証したり、まちが大きな被害をこうむった後の復興時のまちづくりはどうすべきかについて考えております。
 行政職員の模擬訓練では、現場へ出て被害の状況を把握するための調査の訓練や、被災状況に応じた復興まちづくり計画の策定などを図上で行っております。
 これらとあわせ、毎年実施している震災復興シンポジウムにはたくさんの方が来られまして活発な意見交換がなされるなど、都民の意識の高さがあらわれてきております。
 PR不足などまだまだ不十分な点もございますけれども、こうした取り組みとともに、沿道一体街路事業などによる日ごろからの木密地域での地元住民と都区が連携したまちづくりの取り組みは、阪神・淡路での教訓にも見られるように、必ずや震災復興の早期実現に結びつくものと確信しております。

○小沢委員 今お答えいただいたような模擬訓練の実施というのは、実際に被害に遭われたときに、住民みずからがどう行動したらいいかということを身につけられ、非常に有意義なことだと思います。今十一カ所で実施されておるというふうにご答弁ありましたけれども、各地域でこれを拡大していっていただきたいと思います。
 そこで、地震による災害が発生しても円滑な復興が可能となるよう、今後も積極的な対策を講じていただきたいと思いますが、最後にこの件についての所見をお伺いいたします。

○石井市街地整備部長 関東大震災や阪神・淡路大震災における復興事業を見るまでもなく、災害が起こったときには、素早く復興に向けて対応することが不可欠でございます。災い転じて福となすの言葉どおり、被災した東京を、将来に禍根を残さないよう、すばらしいまちに復興していくことが行政の使命でございます。
 今後とも、住民の理解を得られる施策、円滑な復興が可能となる施策、それぞれに創意工夫を凝らしながら取り組んでまいります。
 あわせまして、いざというときに備え、関東大震災を契機として、区部面積の四分の一に相当する東京の都市づくりを進めてきた実績のある区画整理や再開発など、いわゆる市街地整備の技術やノウハウの継承にも努めてまいります。

○小沢委員 首都直下型の地震はいつ東京を襲うかわかりません。都は、より一層緊張感を持って復興に対する備えをしっかりしていただきたいと最後に要望いたしまして、この震災対策についての質問を終え、次に移らせていただきます。
 次に、耐震改修促進事業についてお伺いいたします。
 本事業の予算化を決めるに当たり、庁内討議会を経てきたようにお伺いしております。その経緯と、具体的にどのような討論がなされたかをお伺いいたします。

○野本市街地建築部長 震災から都民の生命、財産を守り、建築物の耐震化を促進するため、庁内関係各局による検討会を昨年五月に設置しました。検討会のメンバーは、総務局、財務局、主税局、生活文化局、東京消防庁と都市整備局でございます。
 検討会では、住宅の耐震化の促進に当たって、都民に対する普及、啓発や、都民の費用負担の軽減、都民が安心して耐震化に取り組むための仕組みづくり、こういったことについて検討しております。
 木造住宅の耐震助成事業の創設に当たりましては、自助、共助、公助の観点からの公益性の確保のことであるとか、あるいは地域や期間を限定することによる重点化、あるいは国の補助金や交付金の活用の仕方、そして区の助成制度との連携といった視点から検討を行いました。

○小沢委員 愛知県や静岡県、そして横浜市など他の自治体の例でも、診断と改修に対する助成制度をつくっただけでは、なかなか耐震改修の促進は進んでいないのが現状でございます。本会議の代表質問でも触れましたけれども、耐震診断はまずまずの実績があっても、耐震改修の実績はなかなか伸びていないのが現実でございます。
 私、地元の墨田区でも独自に耐震診断、耐震改修の助成制度を設けておりますが、まだまだ活用が少ない状況でございます。そこで、今回の東京都の制度が有効に活用されるためには、どのような取り組みを行っていくとお考えか、お尋ねいたします。

○野本市街地建築部長 この制度が活用されるためには、区との連携、そして都民への周知が欠かせないと考えております。
 まず、各区に対しましては、制度検討の段階から協力を得て協議を行ってきているところでありまして、今後についても、制度が十分活用されるよう区と連携しながら取り組んでまいります。
 それから、都民に対しては、耐震診断、改修の必要性あるいは助成制度の活用について、パンフレットの配布や窓口での説明のほか、区と合同による説明会の開催などにより普及に努めてまいります。

○小沢委員 十八年度の予算では、耐震改修促進事業メニューの一つとして、耐震診断・耐震設計事務所登録制度が新規事業として四百万円計上されております。そこで、この制度の目的と基本的な考え方についてお伺いいたします。

○野本市街地建築部長 本制度は、信頼できる耐震診断技術者を育成し、公表することにより、都民が安心して自宅の耐震診断を依頼できるようにするものでございます。
 この制度によりまして、建築士の技術レベルの向上あるいは不良技術者の排除が図られ、住宅の耐震化が促進されると考えております。

○小沢委員 それでは最後に、構造計算偽装問題についてお聞きいたします。
 福岡で、いわゆる姉歯以外に偽装の疑いがある物件が三件判明されたと発表されております。まだ確証を得ていない段階ですが、やはりそうだったのかなと思わざるを得ないのが正直な思いです。さらに、横浜で設計ミスを見逃していたという物件も判明しています。
 そこで、あえてお尋ねしますが、非姉歯物件で偽装なしと結果が出ているもの、間違いなく偽装なしと考えてよろしいのか、お伺いをいたします。

○野本市街地建築部長 都は、姉歯元建築士が関与している建築物以外で、ヒューザー、平成設計、木村建設、総合経営研究所が建築に関与している物件として九十五件を把握しております。このうち建築計画を取りやめた一件を除く九十四件につきまして、区市と協力して耐震性能調査を行ってきております。
 現に五十一件の物件が調査済みでありまして、すべて偽装なしという報告を区市から受けております。これらの報告については、再計算等により耐震性の確認を行ったものであり信頼できる、このように考えております。
 残りの四十三件については現在調査中でありますけれども、区市に対して速やかに調査を行うよう要請しております。

○小沢委員 あえてこのような失礼に当たるかもしれない質問をさせていただいたのは、ある建築専門誌に、渦中のイーホームズ、藤田社長の発言なんですけれども、姉歯以外の建築士による偽装情報を得ているが、構造設計者が行政に報告しても取り合ってもらえない、詳しい資料が出そろい次第公表する旨、書かれております。しかも、この記事は、まだいわゆる非姉歯物件での偽装が確認されていない前の段階でのインタビューに答えたものであります。
 この件の真偽のほどは定かではありませんし、どこであろうと、行政当局が偽装の隠ぺい行為を行うとは考えたくありません。しかしながら、事件発覚後四カ月がたっても、非姉歯物件に住まわれている方々はもちろんですが、多くの国民の不信と不安は払拭できていないと思っております。
 そしてまた札幌では、建築士みずからが新たな偽装を認めてもおります。これは、姉歯元建築士や木村建設、ヒューザーなどの関与しない物件です。
 昨年末、本委員会で花輪理事から、今回、耐震強度の再計算の対象にされていない、都が建築確認したその他のマンションについても調査を行うべきではないかとの意見が出されましたが、私も同じ意見です。当面は、姉歯や木村建設などの関係物件の調査が優先されることは当然と思いますが、今後さらに対象を拡大することも検討されることを要望し、そして都におきましては、一刻も早く真相を明らかにして、再発防止に取り組んでいただくことを切望いたしまして、私の質問を終了させていただきます。

○長橋委員 では、私の方からも、今、小沢委員ご質問がありました耐震改修促進について、また偽装について、違う角度から質問をさせていただきたいと思います。
 十八年度からいよいよ耐震改修促進事業、スタートします。予算書にも重点事業ということで、耐震診断五万棟、耐震改修二万二千棟、十八年度から二十七年度までに進めていくということで、局として力を入れてやっていこうということであるかと思います。
 まず初めに、先月二月に都の防災会議が首都直下型地震に対する東京の被害想定を発表いたしました。この被害想定、二百五十メートルメッシュで作成をされております。国は千メートルメッシュでありますので、都は、さらに地域の特性を詳細に分析するためにやったということでございます。
 そうしますと、東京が出した被害想定は、中間報告でございますけれども、地域ごと、区ごとによって、同じ震度でも地域によって震度の違いや被害の違いが出てくることがわかるようになったということでございます。
 まず、この総務局を中心にまとめた東京の被害想定、都市整備局としてはどう受けとめているのか、お伺いいたします。

○渡辺参事 この被害想定の中でも述べられておりますけれども、非常に被害が大きいとされている木造住宅密集地域がやはり一つ大きな問題と考えておりますので、そうした観点からお答えをいたします。
 首都直下地震の切迫性が指摘されて、都の被害想定におきましても甚大な被害が想定されていることもございまして、木造住宅密集地域の改善が喫緊の課題と認識しております。
 木密地域の改善を効果的に進めていくためには、優先的に対策に取り組む整備地域を定め、事業を集中的かつ重層的に実施することが重要と考えております。

○長橋委員 都として木造住宅の耐震化を進める。その対象がこの整備地域であるわけであります。
 予算特別委員会においても区別の被害状況について聞きましたら、これは総務局長答弁でございますけれども、例えば震度六強が区面積の二〇%以上発生する八区を見ると、面積が小さくても建物全壊率が高いのは台東区であるとか、それから、震度分布がほぼ同じ荒川と江戸川を比較すると、焼失面積の割合が小さい江戸川区は、道路や公園率が高いから小さいというようなことで、非常にそれぞれ区の特性がわかるし、区はそれを受けてどういう対策をしたらいいのかということに取り組めるようになるわけでございます。
 この東京都震災対策条例に位置づけられる整備地域は、どのように、何をもとに定められているのか、お伺いをいたします。

○渡辺参事 東京都震災対策条例におきましては、防災都市づくり推進計画を策定することとし、その中で整備地域を指定することとしてございます。
 整備地域は、建物の倒壊や火災などの危険度が高くて、かつ老朽化した木造建築物が密集するなど、震災時に甚大な被害が想定される地域でありまして、この地域において防災都市づくりの施策を重点的に展開することとしております。

○長橋委員 整備地域は、危険度が高く、老朽の木造建築物が密集するといったところを整備地域と定めているということでよろしいと思いますが、そうしますと、今回の耐震の助成制度は、木造住宅密集地域内の整備地域にある昭和五十六年以前に建築された木造住宅が対象であるということでございます。いわゆる、今お話のあった整備地域内の木造住宅ということになるわけであります。
 そこで、都は既に木造住宅密集地域対策、整備地域を含めて取り組んできておりますし、私の地元の東池袋地域は、都として初めて沿道一体整備事業、これはまだスタートしたばかりですけれども大変に期待をされておりますし、ぜひこの沿道一体によって今までの木造密集地域対策が進むよう期待をしておりますし、この手法が何としても地元で成功させて広がっていくことが期待されるわけでございます。
 今ご答弁のありました整備地域、これは今までどのように--東池袋もやがては木造住宅密集地域ではなくなると思います。今までの整備地域というのはどのように見直しが行われてきたのか、また、もし今後見直すとしたらどのように行うのか、ご答弁をお願いします。

○渡辺参事 整備地域は、平成七年度に策定された防災都市づくり推進計画において最初に定められ、その後、平成十五年度に改定され、それで現在の整備地域六千五百ヘクタールになっております。
 今後、防災都市づくり推進計画の改定の際は、整備地域についても、都市基盤整備の進捗状況や、建築物の不燃化の進展などの市街地整備の状況や、地震に関する地域危険度を勘案し、地元自治体の意見も踏まえ、検討してまいります。

○長橋委員 この整備地域は、防災都市づくり推進計画の中で定められているということでありますね。平成七年に定められて、平成十五年に見直しをして六千五百ヘクタールになったということであります。
 今回の東京の被害想定を中間報告、また四月には、総務局はデータを入れて取りまとめるというふうにしておりますし、また、本会議で、首都直下型地震に備えて地域防災計画を見直したらどうかということで、十八年度に、もう来年度ですね、見直しをするというふうになっておりますし、また、都市整備局におきましても耐震改修促進計画を十八年度に策定をするということであります。
 そういう中で、この整備地域がしょっちゅう変わってしまっては、住民にとっては大変な、入った、入らないみたいなことがあると思いますし、区によってもいけないと思うんですけれども、今回こういった二百五十メートルメッシュの被害想定が出たわけですから、これを都市整備局としては生かして--全都を挙げてこれを分析したわけですけれども、なかんずく都市整備局、この木造住宅の耐震改修を大きく前進させていこうということで助成制度をやるわけですから、そのもととなる整備地域についても、やはり見直しせざるを得ないんじゃないかなというふうに思うわけであります。
 ふやしたばかりですから、基本的には網羅されていると思うんですけれども、もう一度、耐震改修促進計画を策定するに当たって、このことを踏まえて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、この助成制度についてお伺いします。
 これは、耐震診断、耐震改修事業を行う区に対して助成をするという制度でございます。ですから、区がやっているか、やっていないかによって随分違うんですけれども、耐震診断、耐震改修をやっている区はどこなのか、どのような状況なのか、教えてください。

○野本市街地建築部長 都が助成の対象としている整備地域は二十七カ所ありまして、二十区にまたがっております。
 まず木造住宅の耐震診断については、現在、二十区のうち十七区で費用補助や診断技術者の派遣等を行ってございます。
 それから、木造住宅の耐震改修につきましては、二十区のうち八区で改修費用に対する補助を行っております。

○長橋委員 今ご答弁がありましたとおり、東京都は区に対して助成するわけなんですが、耐震診断を行っている区は二十区中十七と。まだ三区は耐震診断もやっていない。さらには耐震改修については、二十区のうち八区でしかやっていない。ですから、都がせっかく助成をするよといっても、区に制度がなければ、これは助成ができないわけであります。
 さっき小沢委員がお話ししました墨田区、でも墨田区は進んでいるんですね。耐震診断も区でやっているし、耐震改修もやっているわけです。それでも小沢委員は、まだまだ進めなきゃいけない、こういう話でした。
 墨田区は鐘ヶ淵という大変な木造密集地域があります。私の地元豊島区も東池袋など木造密集地域があるんですが、耐震診断はやっているんだけど、改修はやっていないというふうになるわけです。私がいただいた資料だと。
 そうしますと、こうやって区でばらばら、また非常に心配される地域がある中で、助成をするといっても、まずは各区に、特に心配な二十区の地域に対して、助成制度をきちっと活用できるように進めなきゃいけない。区に働きかけをしなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 助成制度が活用されるためには、ご指摘のように、区との連携が欠かせないと考えております。今度創設する都の制度は、区の助成制度が前提となっておりますので、制度のない区に対しては事業の創設を促していくことを考えております。
 また、都の制度は建てかえも助成対象としておりますけれども、区においては対象としていない区も多いため、区に対して制度の拡充を要望してまいります。

○長橋委員 今、助成制度がない区に対して要望していくということであります。
 当然、区によって、耐震診断、耐震改修、条例で定めていたり、また、ある条例の中の要綱で決めていたりすると思うんですけれども、十八年度からスタートするに当たって、当然、やっている区は、都からもいよいよ出ると。国の補助も出て、都も出すということでございますから、待ち構えて、やろうという区もあろうかと思いますし、十八年度、もう来月からなのに、まだその制度自体ない区がある。これはもう本当にしようがないと今お話ししたわけですけれども、もう少し具体的に、早急に各区にきちっと都からいって、都と一緒になって木造密集地域対策、耐震改修を進めようと、もっと強く進めなきゃいけないと思うんですけれども、もう一度、進め方についてご答弁お願いします。

○野本市街地建築部長 この制度について、事前に各区といろいろ調整、協議しているところでは、各区ともこの制度の創設について大変歓迎する方向だということは認識しております。
 こういうことも踏まえまして、二十三区の建築課長会あるいは部長会、そして、都と区市町村との間で耐震改修促進行政連絡協議会というのを設けているんですけれども、こういった場で働きかけてまいります。

○長橋委員 ちょっとしつこいんですが、各区市の助成一覧、私も見させてもらっているんですが、例えば大田区なんかは、耐震診断も改修も大田区の名前さえ入っていないということなんですけれども、具体的に四月から、今までやっていなかったけれどもやろうという区はあるのでしょうか。ちょっと教えてくれませんか。

○野本市街地建築部長 今ご指摘の大田区でございますけれども、大田区も新年度からこういった取り組みをするという方向であるということは聞いております。

○長橋委員 ぜひ、そういう各区--また、制度の中身も地域によってばらばらなんですね。私の地元豊島区から見ると、裕福な区といっちゃ申しわけないですけれども、千代田とか中央とか、非常に手厚くなっておりますし、また、その補助の額も随分ばらつきがありますので、やはり地域によってその助成が違うのではなかなか進まないと思いますので、そういったことも、区の部長会ですか、課長会ですか、ぜひさらに進めていただきたいと思います。
 次に、一昨日、私の自宅にも都市整備局からファクスを送っていただきました。木造住宅の安価で信頼できる耐震改修工法・装置事例の展示会の開催、これを三月十六日の四時に発表いたしましたということでございます。
 これはずっと募集をしてきて、その成果を都が発表すると。認定して発表するということだと思うんですけれども、その展示の内容についてちょっと教えていただきたいと思います。

○野本市街地建築部長 安価で信頼できる耐震工法を公募したところ、百九作品の応募がありました。そのうち、評価委員会の審査によりまして三十一作品を選定しました。今回の展示は、選定した三十一作品について、三月二十四日から三十日にかけて、議会棟一階の都政ギャラリーで行うものでございます。
 展示会場では、選定作品の耐震改修工法の特色、費用、工期、こういった面について説明したパネルの展示であるとか、工法の模型、実物などを展示いたします。それから、建築士による耐震相談コーナーも設ける予定でございます。

○長橋委員 いよいよ三月二十四日から三十日までやるということでございます。実物も展示をするということで、私が以前、本会議で、耐震フォーラムをぜひやったらどうかということでご提案しましたら、大変ご苦労いただいて、同じくこの都政ギャラリーでやっていただいたことがありました。同じ場所で、今度は安価な工法の展示をするということでございます。
 ただし、一週間しかやらないということだと、大変に注目はされている事例が--具体的にかなり民間の創意工夫、また安くできるということで、訪れる方も多いのではないかと思います。ただし、その一週間だけでは、余りにももったいないんじゃないかなと思うわけでございます。
 私、以前、兵庫へ行ってまいりまして、兵庫の防災センターですね、防災館ですか、見てまいりました。すごい立派な建物でありまして、そこで兵庫、阪神・淡路大震災の模様の映画も見てまいりましたし、当時の状況が本当にわかるような、そういったものも展示されておりましたし、もちろんこの耐震工法についても、そういったことが展示をされている。
 また先日、静岡から資料を送っていただきました。静岡には、静岡県地震防災センターというのが常設展示館であるんですね。私もここはぜひ行ってみたいと思うんですけれども、まだ行っていないので資料を送っていただいたんですけれども、これは一年じゅう毎日、休館日はありますけれども、無料で入れる、やっているということであります。
 そういう中で、この静岡の防災センターには、もちろん耐震コーナーがあります。それ以外にも、例えば地震体験コーナーとか、消火体験コーナーとか、家具の固定対策コーナーとか、それから自主防災組織コーナーとか、トータルで、消防に関しても、また耐震に関しても展示がある。
 静岡は非常に耐震診断、改修が進んでいる県、東海沖地震があるということで非常に取り組まれているわけですけれども、東京についても、このせっかくの展示をやはりもっと広く都民にPRをして周知をして、喚起を促す。また、助成制度をするに当たって、どういったことができるのかということを教えていくには、常設展示場をぜひつくっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 作品の展示につきましては、今回、都政ギャラリーで展示するほか、九月の防災の日、あるいは十月の住宅月間、こういった催しの場などを活用して今後も行っていく予定でございます。

○長橋委員 常設はすぐにはできない、こういうことであろうかと思います。これ以外にも九月の防災の日や十月の住宅月間、常設してやるということは、今後ぜひ検討しなきゃいけないんじゃないかなと思うわけです。ただ、その場所がすぐに、そうはいっても場所がないということであります。
 例えば、きのう、おととい届けていただいたんですが、消防庁の防災館、こういうパンフレットをいただきました。この防災館は、私の地元池袋にもあるんですけれども、東京には立川、池袋、本所、ここに防災館がありますというパンフレットであります。ここには当然、見てわかるとおり、地震の体験コーナーとか、さまざま消火コーナーとかあるわけであります。
 消防庁もこの震災対策については力を入れておりますし、いざ地震が起きたときに、火災も当然心配ですから、一生懸命取り組んでいただいているわけですけれども、例えばこの都市整備局になければ、消防庁にお願いして、こういった防災館にこれを展示したらどうか。まずは、私の地元池袋にありますので、私の地元の町会の方々と何回か見に行きます。ここに、防災訓練ということで称して、地域で町会長を先頭に見学に行って、実際に体験をしてくる。こういうことはたびたび行われているわけであります。
 池袋なんかは私もイメージがわかりますので、こういったところでこの工法の展示をやったらどうかなと思うんですけれども、ぜひやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 ご指摘の防災館を活用した展示につきましては、施設を所管する東京消防庁と今後協議してまいります。

○長橋委員 消防庁と協議をするということでございますので、池袋でもしこの展示を開催するんだったら、ぜひ地元の方を連れてお邪魔したいと思いますので、そうなりましたら教えていただきたいと思います。
 また、展示とあわせて、耐震補強の方法について、冊子またはパンフレットにまとめて、見てもわかるようなパンフレットみたいなものをつくるのは必要じゃないかなと思うわけであります。
 静岡の資料を見ると、民間の会社、団体の部と個人の部のアイデアの方が載っているんですけれども、非常に寡少ですけれども、十万や十五万でできますとか、また、こういうふうにすれば幾らでできるというような金額まで入っているのがあります。
 東京都でも、こういった展示をした成果を冊子、パンフレットにまとめるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 さまざまな耐震補強の方法を都民に普及することは、住宅の耐震化を促進するために大切なことと考えてございます。
 今回選定した事例につきましては、平成十八年度に、特色や工期、それから費用、こういったことを都民にわかりやすく記載したパンフレットを作成しまして、都や区市町村の窓口で配布していく予定でございます。

○長橋委員 十八年度に冊子にするということでございますので、できましたら、早速、我が会派にも百部ぐらい持ってきていただきたいなと思うわけでございます。皆さんに配っていきたいと思います。
 都政ギャラリー、私は毎日あそこを通って都庁に来るわけですけれども、どうやって行けばいいのかとか、そういったご案内というのはどうやってやるんですか、道のりなんかを含めて。そこをちょっと教えてください。

○野本市街地建築部長 二十四日から展示しますけれども、それについて、やはりお知らせすることがまた大事なことかと思っています。今、私どもの窓口あるいは区の窓口、それから都庁のいろいろな場所に、大きなA1サイズのポスターを自前でつくりまして、そういうものを設置してございます。
 それから幸いなことに、各マスコミ等も何かと注目していただきまして、テレビ等でも放映していただけるということで、さまざまな場面を利用して、開かれるということをまずお知らせしていきたい、そんなふうに考えてございます。

○長橋委員 ぜひ多くの都民が訪れるようPRをお願いして、私も必ず見に行きたいと思っております。
 最後に、耐震偽装で、私がこの問題が発覚してすぐに行ったところが、グランドステージ稲城にも行ってまいりました。建物を見、また住民の方々に集まっていただいて、東京都も職員も出席をして、皆さんから要望を聞いてまいりました。
 耐震強度が〇・五未満とされた分譲マンションが現在七カ所あるというふうに聞いております。そのうちに、このグランドステージ稲城のマンションが入っているわけであります。
 先月説明ありましたけれども、第一次の再建計画案が居住者に説明をされたわけですが、都内のこの七カ所のマンションの中で、稲城のマンションが一番遅かったというふうに聞いております。私は直接お会いしたものですから、非常に住民の方の生の声がまだ耳に残っているわけであります。ぜひ精力的に検討を行っていただきたいと思うのでありますが、これまでの検討の経過と再建に向けた取り組み、どのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。

○山室参事 再建に向けた都の対応でございますが、管理組合の建てかえを担当する方々に対しましては、二月二十一日、国から示されましたスキームや都市再生機構の試算結果を説明しております。
 その後、管理組合、稲城市と連絡会を設置しまして、三月八日には第一回の連絡会を開催しております。
 今後、この連絡会におきまして十分な検討を行い、一日も早い合意形成が図られるよう支援してまいります。

○長橋委員 今度の三月二十日に、グランドステージ稲城管理組合が都に要望書を出したいと。日程が三月二十日と聞いているんですけれども、知事あてなんですけれども、梶山局長、ぜひこの日、受けていただければというふうに思っております。
 この中にも書いてあるんですが、やはり再建に当たって、既にもう何千万というローンを抱えているわけであります。そして、さらにこの建てかえに当たって、またローンを組まなきゃいけない。このことについては既に何回も議論があったわけでありますが、できる限り新たな負担を抑えたい、こう思っているのはもう当然でございます。
 この要望書にも書いてあるんですが、例えば総合設計制度の適用、そしてまた地区計画の変更、こういったことが要望に書いてあるわけであります。なかなか手続には時間がかかるかと思いますけれども、こうした制度の適用を含め、住民の負担軽減に向けた方法についてぜひ幅広く検討して、こたえていただきたい。やはり直接の住民の方々にきちっと、一緒になって取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山室参事 居住者負担の軽減に向けた取り組みですが、居住者の負担軽減を図るためには、ご指摘のような方策も含め、さまざまな方策につきまして、そのメリット、デメリットなどを明らかにし、居住者に情報提供していくことが大切と考えております。
 都といたしましては、こうした視点に立ちまして、居住者との意見交換を通して再建への合意形成を支援してまいります。

○長橋委員 よろしくお願いします。
 以上です。

○たぞえ委員 私は、公営住宅と鉄道対策について伺います。
 最初に公営住宅です。
 一九五〇年に制定された公営住宅法は、当初、幅広い国民を対象とした住宅供給を目指していました。それが憲法に基づく国の責任だと考えられていたのです。そして、システムキッチンなど近代的な住生活を定着させるなど、日本の居住水準の向上に大きな役割が果たされてきました。
 しかし今、耐震偽装事件や自然災害を初め、住まいに対する国民の不安と不満は深刻です。そうした中、都民の住宅はどう確保されているのか、大事な問題だと思います。
 東京都の住宅マスタープランは、住民の住宅の広さについて、〇五年次東京の借家世帯の七三・二%は五十平米未満という実態を指摘しています。しかも、都が調査で公表していますように、最低居住水準を満たさない世帯の割合は、今の全国平均の二倍を超えて、民間賃貸住宅に居住する、とりわけ高齢者で単身者の世帯で、最低居住水準に満たない世帯の割合が二五・四%に上がっているとも指摘をしています。だからこそ、住宅に困窮する都民に対して手厚い支援が必要ではないかと思います。
 私ども日本共産党は、毎年、予算要望でも予算組み替えでも、新規の都営住宅の建設を提唱してきました。都民の所得減少や離職など、暮らしをめぐる環境が大きく変化しているもとで、生活実態に対応する住宅供給は欠かせません。
 今年度十七年度、世帯向け募集は五月と十一月に実施されましたが、募集戸数と申し込み者数、平均倍率はどうなっているのか、示していただきたいと思います。

○小林都営住宅経営部長 平成十七年五月の世帯向け募集の戸数は千六百八十七戸、申込数は六万二千五百十九名、倍率三十七倍でございます。十一月につきましては、戸数千三百七十四戸、申込者数五万九千五百七十六名、倍率四十三倍でございます。

○たぞえ委員 驚くような数字です。いかに入居の期待が大きいか、また、高い倍率に苦しむ、何度申し込んでも入れない、そういう都民の実態が数字でうかがえます。
 それらに立って、来年度予算では都営の新規計画は盛り込んだのでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の新規建設につきましては、平成十二年度から行っておりませんで、平成十八年度につきましても計画はございません。

○たぞえ委員 都はなぜ新規住宅建設から撤退をしたのですか。

○水流住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、当時の厳しい財政状況の中、ストック重視という考え方に基づき、限られた財源を建てかえなどに重点配分することにしまして、新規建設を取りやめたところでございます。
 中長期的には、人口、世帯数の減少が確実と見込まれていることなどを踏まえ、現在あるストックの維持、活用に重点を移し、供給戸数や管理戸数を抑制していく方針でございます。

○たぞえ委員 石原都政になって六年間、一戸も新築がない。しかも、財政は好転しているにもかかわらず、公営住宅の絶対量不足を解消する、本来の自治体としての責務を果たしていないというふうにいわざるを得ません。低い給料に苦しむ、とりわけ若い世代が増加している中で、若者向けの借り上げ住宅などを整備する、そういうことが今求められているのではないでしょうか。
 十八年度予算における都営住宅一戸当たりの建築費と、それは一棟四十戸とした場合でありますが、一棟当たり建築費用はどのぐらいかかるんですか。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の建設費でございますが、十八年度予算において戸当たり平均で約一千百万円となっております。一棟当たりの建設費は、団地ごとに地盤や敷地の状況が異なることから当然幅がございますが、単純計算すれば、四十戸の場合、約四億四千万円程度となります。

○たぞえ委員 先ほど答弁があった、十一月の募集に対する応募は六万人です。仮にこの方々に住宅を供給する、例えば三千戸、ですから棟数では約七十五棟建てるとすれば、およそ百十億円なんです。
 十八年度、国が行うべき羽田空港拡張事業、東京都は予算で二百三十一億円無利子貸し付けを行おうとしておりますが、こうした投資の一部を使うだけでも、かなりの効果を上げることができると思います。今こそ都営住宅の新規建設の再開に踏み切るべきだと思いますが、いかがですか。

○水流住宅政策担当部長 東京の住宅数は、世帯数を一割以上上回っております。加えて、中長期的には、人口、世帯数が確実に減少していくと見込まれております。一方、都営住宅は、一度建設を行うと、耐用年数が七十年となってございますので、長期間にわたって管理していかなければなりません。
 そうしたことから、先ほど申し上げましたように、都営住宅については、建てかえや改修など、現在あるストックの維持、活用に重点を移し、供給戸数や管理戸数を抑制していく方針でございます。したがって、新規建設を再開する予定はございません。

○たぞえ委員 都民の暮らしの実態から、私は政治があると思います。ストックしてある建物を改善すれば済むということならば、それならば応募者が数十倍ということはないのではないでしょうか。再度、新規建設を要望しておきたいと思います。
 次に、都営住宅等事業会計予算の中の環境整備です。
 都営住宅居住者の高齢化が進んでいます。高齢者がふえた理由の一つは、合算で二十万円以下という入所世帯の所得制限にあります。子どもが成長し社会人になると、世帯収入が制限を超えるために、子どもは独立して両親だけが残る。やがて両親は年老いて、配偶者を失い、ひとり暮らしが始まり、所得制限のため、新規の入居者も年金で生活する高齢者が大変多いというのが特徴です。
 こうして高齢者一極集中型構造のために、移動もできず、たったひとり、ひっそりと最期を迎え、何日もだれにも気づかれない、そんな都会の負の象徴ともいえる孤独死が年間一千名を超えているわけです。中高層住宅での階段歩行が困難になって、家に閉じこもらなきゃいかぬ、それは決して特定団地の事例ではないと思います。
 都が国の補助金を受けて、こうした住宅の改善のために、平成十二年から五年間、四百八十六基のエレベーターを設置してきましたが、都としてこれをどう評価されているのか、伺います。

○宇多田参事 既設都営住宅のエレベーター設置につきましては、平成三年度に設置を始めてから今年度末までに約千棟にエレベーターを設置していることとなり、着実にバリアフリー化が進んでいるものと考えております。

○たぞえ委員 法規や日照などいろいろな難しい壁もありますけれども、現在、エレベーターを設置する対象となっている建物は、廊下型で、四、五階建てで二十四戸以上、階段室型、五階建て三十戸以上。合わせて未設置が千三百九棟になっています。大変解消が急がれると思います。
 東京都には、住宅自治会ですとか、また、その号棟の全員の合議で設置が要望されて、条件が満たされれば推進をするということになっていますが、現在、都への申請のストック、どれだけ受け付けているのでしょうか。

○宇多田参事 自治会からの設置要望のある棟数でございますが、現在、廊下型住宅棟で約二百棟、階段室型住宅棟で約三十棟でございます。

○たぞえ委員 それだけの要望が寄せられて、なかなかつかない。待つ方もそれだけ年をとって、さらに一層生活が困難になっていくことは明らかです。
 予算的にも見てみますと、十四年度は東京都二十八億八千万円、十五年度二十一億、十六年度二十一億五千万、十七年度二十一億五千万、大体、金額も横ばい。実績も大体、年間六十で横ばいであります。
 そういう中で、申請が出ても設置ができないと、数年経過したものが多数あると思いますが、これに対してはどう対応されているのでしょうか。

○宇多田参事 要望から長い期間を経過していますのは、法規制に合わない場合や、敷地の制約等から設置場所がない場合、居住者の合意が調わない場合等でございまして、今後とも設置する上での課題の解決に努めてまいります。

○たぞえ委員 梶山局長は、先日の予算特別委員会で、国際競争力の強化に打ち勝つ、その観点で都市の再生を進めていると答弁されていました。現在、東京では、新しくつくられる民間マンションは確かにバリアフリー対応で、エレベーターのない建物などというものは新聞広告でも見たことがありません。本当に都市の再生とおっしゃるならば、既存のこうした公的住宅をさらに生まれ変わらせる、再生して、強固な長期に持てる、そして、だれもがその住宅で安心して暮らせる、そういう方向にこそ力を入れるべきだと思いますけれども、この点での設置改善に力を尽くすべきだと思いますが、いかがなのでしょうか。

○宇多田参事 住宅は都市を構成する大切な要素であり、高齢社会に対応して、エレベーター設置などバリアフリー化を進めることが必要でございます。
 そのため、都営住宅では、建てかえやスーパーリフォーム、エレベーター設置工事によりまして、現在、約十五万戸、都営住宅全体の約六割にエレベーターを設置しておりまして、平成十五年に総務省実施の住宅・土地統計調査から見た、都内の非木造民営借家のエレベーター設置割合約四割に比べて、大幅に高い比率となっております。
 既設都営住宅のエレベーター設置につきましては、法的な検討、設置スペースの有無、費用対効果の検証、居住者の合意状況、財政事情などを総合的に勘案しながら、今後とも着実に実施してまいります。

○たぞえ委員 これは、ぜひ予算も数もふやして設置促進を図っていただきたいと思います。
 次に、都営住宅条例改正案について伺います。
 案では、単身入居資格が現行の五十歳以上から六十歳以上に十歳引き上げられます。最近の単身募集での申込者割合はどういう状況なのでしょうか。

○石井経営改革担当部長 平成十六年度の単身募集の応募者は二万五千八百十一人で、そのうち五十歳代は六千六百三十人、全体の二五・六%でございます。

○たぞえ委員 五十歳から六十歳の方々が、全体の四人に一人の割合で住宅に応募されてきているという話であります。
 この条例改正によって、この年齢層の人々は、申し込める間口が毎年毎年狭まっていくということになると思いますが、そういう流れになるのでしょうか。

○石井経営改革担当部長 済みませんが、その前のご質問に対する答弁で、単身者募集の応募者の総数を二万五千八百十一人と申し上げましたが、二万五千八百八十一人の間違いでございますので、訂正させていただきます。
 今のご質問でございますが、今回は公営住宅法施行令の改正に伴う条例改正でございますが、公営住宅法施行令の改正は、公営住宅の公平かつ的確な利用を図るために実施されたものでございます。単身入居が可能な高齢者の年齢は、少子高齢化の進展等を踏まえて、公営住宅をより的確に供給するため、対象を五十歳以上から六十歳以上に変更されたものでございます。
 なお、経過措置といたしまして、政令改正施行日の平成十八年四月一日以前に五十歳以上になっている方は、引き続き単身入居の資格がございます。

○たぞえ委員 要するに、この四月一日からは、これまで五十歳ならば申し込めた人々が、毎年、現在五十の方が五十一になって、上がっていくたびに、申込期間が十年間で十分の一ずつ小さくなっていく。現在、三月に四十九歳の方は六十まで申し込みする資格がない、こういうことになるわけです。
 今回、条例案では、障害者等の受け入れを拡大するということになりますが、一方で、こうした、特に中高年のリストラに遭って家を失うような方々の資格がなくなっていくという点では、非常に入居枠を狭めるということになりかねないということを申し上げたいと思います。
 次に、公営住宅の管理についてです。
 先ほど議論もありましたが、昨年の十二月二十六日付で、国土交通省住宅局長名で、入居者資格審査、入居者選考に当たって、保有資産について把握する文書が都道府県知事あてに送付されました。
 この文書は、入居の申込時に、貯金、有価証券、不動産などの換金性を有する資産について自己申告させ、東京都など事業主体の保有資産の確認に協力する旨の同意書を提出させる。さらに、同意書に基づいて、入居者が持つ金融機関への照会などの確認を行う、こういう内容になっていますが、都はこの文書を承知されているのでしょうか。

○石井経営改革担当部長 ご質問の通知は、国土交通省が、真に住宅に困窮する低額所得者に的確に公営住宅を供給できるよう、管理の一層の適正化を図ることを目的として通知したものでございます。内容については承知してございます。

○たぞえ委員 この文書に基づいた検討は行っているのでしょうか。

○石井経営改革担当部長 検討ということでございますが、都といたしましては、現在、住宅政策審議会で都営住宅のセーフティーネット機能について審議中でございまして、今後、その答申を踏まえて検討してまいります。

○たぞえ委員 私はこの文書を読みまして、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与するという公営住宅法の精神を踏みにじる本末転倒の文書だというふうに思います。しかも、入居資格はあくまでも所得であって、その方がどういう資産を持っているか、このことまで金融機関までに調査を加えるようなプライバシー侵害、全く許すことはできません。
 次に、公社住宅です。
 公社住宅自治会協議会は、昨年、一万人を超える居住者からアンケートを回収しました。この中で、六三%の方が生活が苦しくなったと答えています。居住者の所得調査でも、九六年には年間四百五十万、これが〇二年には三百六十万になったと、調査で答えが寄せられました。まさに大変な事態だと思います。
 このアンケートの中で、ある年金受給者の方が、医療費など次々上がって、これ以上家賃まで上げられては困る、公共的住宅なんだから、せめて現行の家賃の水準をキープしてほしい、このように意見を寄せられています。
 公社は今、順次、建てかえを行っていますけれども、建てかえ後の家賃は、従前家賃と比べて確実に高くなるというふうに思っています。これでは居住者は困るんじゃないでしょうか。

○中沢参事 公社住宅の建てかえに当たっての家賃設定についてのお尋ねでございますが、公社住宅の家賃につきましては、築年数、広さも加味いたしまして、近傍同種の賃貸住宅の家賃を算定し、これに基づいて設定を行っております。
 なお、建てかえ後の住宅に戻られる世帯に関しましては、激変緩和の観点から軽減措置を行っております。

○たぞえ委員 一言でいえば高くなるんですね。いろいろメニューが並んでいるようですけれども、全部高くなるんです。
 私の地元の世田谷区の太子堂公社住宅、歩いて十分程度に三軒茶屋というまちがありまして、近いがために高い家賃だと。駅に近いと家賃が高いというのは、民間は対象になるでしょうけれども、しかし、じゃ、駅に近いから、年金の方は年金額上がりますというものではないんです。
 この公社住宅に住んでいる方、六十歳以上が六八%で、七十歳以上が約三九%を占めています。今度の建てかえで、戻ってくる方が大体六割です。私もその居住者の戻らないという方に聞きましたら、とても家賃の負担が大きいので、本移転を都営住宅にしたと、こんなふうに答えている方もいらっしゃいました。
 こうした所得の低い方々への家賃負担が起こらないように、従前家賃に近づける負担軽減措置を、対策を講ずるべきだと思いますが、どういう対策をとっているのでしょうか。

○中沢参事 低額所得者に対する建てかえ後の家賃軽減についてのお尋ねでございますが、公社においては、一般の激変緩和措置とは別に、六十五歳以上の高齢者、身体障害者、ひとり親世帯、生活保護世帯等を対象にいたしまして家賃減額制度を設けております。

○たぞえ委員 設けているといいますが、現在、約三万一千円の家賃、本来家賃が今度は十万一千円ですよ。緩和措置をとっても五万五千七百円。ですから、二万五千円、毎月家賃が負担はふえてしまうんです。(「何十年入っていたんだよ」と呼ぶ者あり)築三十年ですよ。こういう家賃負担がふえる人々に対する、私はきちんとした対応をしなければならないと思います。
 現地の説明会に私も行きましたが、この家賃激変緩和措置、一年目は三万一千円が五万五千七百円ですが、十年目は九万五千二百円、そして二十一年目以降は十万一千三百円、七倍近くも家賃が上がっていく、そういう見込みが提示されている。これは見た方にとっても、やっぱり実態としては大変ショックだと思うんですね。できるだけ現行家賃に近いレベルに設定してほしいというのが、大方、高齢者の声だと私は思います。ぜひそういう点でも、急激な家賃の負担増というのは極力避けるように対策を講じていただきたいと思います。
 最後に、踏切について伺います。
 東京の鉄道網は、海外の主要都市に比べても非常に高度に発達している一方、この都市の急激な車社会のもとで踏切問題が一層深刻化して、二十世紀の負の遺産とまでいわれています。
 私、先日、区内の京王線の千歳烏山駅、二時間立ちました。朝七時から九時まで、二時間というのは調査も大変だったんですが、上り新宿方面五十三本、下り調布方面五十六本、踏切を通過する車両は百九本、二分に一本の電車がこの踏切を通過していきました。
 この時間帯に踏切を渡る方にとっても、この時間は魔の時間といわれています。駅を南北に通行する方は、大体皆さん、自転車を背負って駅の地下道を通って反対側に出る。こんなことができるのは若者たちだけであります。延々と待たされ、車に至ってはエンジンを切って、ついにはそこでコーヒーを買ってきて飲んでいる、そんな姿もありました。
 まさに踏切は、こうした地元の問題だけではなくて、東京じゅうの深刻な、移動の自由を束縛する問題になっていると思います。
 東京都は一昨年、こうした踏切の問題に対する基本方針を策定して、鉄道立体化の検討対象区間を二十区間位置づけました。これまでメニューの中心は立体化でありますが、多くの費用と時間をかけているために、なかなか他の踏切の解決に手が届かない、これが今の実態です。
 踏切解消の代表的な連続立体交差事業のこれまでの成果と現在の取り組みについて、まず伺いたいと思います。

○成田都市基盤部長 連続立体交差事業は、多数の踏切を同時に除却することによりまして、交通渋滞の解消や、鉄道により分断されております地域の一体化を図るなどから、重要な事業と認識してございます。
 これまで東京都におきましては、京王線の東府中駅から分倍河原駅間を初めといたしまして、十七路線三十区間で事業が完了し、約二百八十カ所の踏切を除却してきております。
 現在、京王線の調布駅付近や、JR中央線の三鷹駅から立川駅間を初めとしまして、七路線九区間で事業中でございます。
 なお、東京都は、平成十六年に踏切対策基本方針を策定いたしまして、立体化の可能性を含めまして、踏切の除却や改良に向けて調査、検討を行ってございます。

○たぞえ委員 現在、千二百カ所の踏切が都内に残っているわけですが、やはり短期的に解消するという方向に重みを置かなくてはいけないと思います。私の世田谷も、小田急線の連続立体交差事業がほぼ完成をしましたが、この案が説明されたのは、実に十五年前でした。それ以来着々と建設が行われ、今踏切もなくなりましたけれども、それだけの時間を待つわけにはいかない千二百カ所だと思います。
 こういう状況の中で、私は非常に特効薬だと考えているのは、踏切の幅の拡大です。特に、一斉に踏切があいたときに、自動車等の車両がいち早く渡りたいという衝動的な状況がどこでもあります。人は一番隅っこの狭い歩道を渡らなきゃいけない。あらかじめグリーンベルトなど人の通行を確保する、こういう拡幅や、また、電車が通過する際の信号、踏切の音ですね--これも私の世田谷では、かつてロマンスカーが通過するときには、踏切の音が鳴り始めてから、最も長く三分鳴っていたわけです。やっとロマンスカーが通過する。各駅に至っては約四十秒ぐらい前になると鳴る。特急、急行電車に限っては、ずっと向こうにいるのにもうトントン鳴り始めてしまう。だから閉まりっ放し。
 そういう通過前と後の開閉時間の短縮、高度化、これも検討しなきゃいけませんし、また、鉄道を地下や高架というだけではなくて、人や自転車のための地下道、自由道路、そして歩道橋、そういうさまざまな対応策を設けてこそ人の移動の確保が図っていけると思いますが、これまでの高架式の対策に限らずに、そういう短期的な取り組みをするべきだと思いますが、どのような方向で検討されていくのでしょうか。

○成田都市基盤部長 鉄道の立体化には、今委員ご指摘のように多くの時間と事業費を要することから、早期に安全性を確保するため、短期的な対策も重要でございます。そのため、歩道の拡幅あるいは踏切システムの高度化、歩道橋の設置、駅自由通路の設置など、地域の実情に応じました対策を実施していくことが必要だと考えてございます。
 このため、都は、平成十六年六月に踏切対策基本方針を策定いたした後、短期対策の推進に向けまして、区市町村や鉄道事業者などから成る踏切対策推進会議を設置いたしてございまして、対策の具体化に向けた取り組みを行ってございます。
 今後とも、関係者間の連携を強化いたしまして、中長期対策の推進とともに、踏切の短期対策の推進についても取り組んでいきたいと思っております。
 なお、短期対策の事例といたしましては、昨年発生いたしました竹ノ塚の踏切事故では、地元区の協力や鉄道事業者の努力によりまして、踏切道の拡幅や歩道橋の設置などの対策をちょうど一年で完了させてございます。

○たぞえ委員 そうした竹ノ塚へのお力添えに、本当に住民サイドからも歓迎の声が寄せられています。ぜひ既存の踏切についても、大規模な改修工事にとどまらずに、踏切を渡る場合の歩道部分を、仮に一メートルだったら一・五メートル拡幅するだけでも、渡る時間が大変ゆったり、早く渡れる。このことは、これまでの都が取り組んでいる事例でも明らかです。ぜひそうしたさまざまな工夫を、地元区、鉄道会社、東京都が総力を挙げて取り組んでいただきたい、このことを申し上げて、終わります。

○伊藤委員 まず、今回提出をされております都営住宅条例の改正案についてお伺いをいたします。
 都内には約二十六万戸の都営住宅が存在し、住宅に困窮する都民のセーフティーネットとして大きな役割を果たしており、この制度を適切に運営していくことが大変重要であることはいうまでもございません。
 このたびの条例改正は、昨年十二月の公営住宅法施行令の一部改正を受けてのものと聞いております。そのため、全国一律に新しい制度が適用されることとなり、制度上、都の裁量の余地はないものと思われますけれども、制度を運用するのは東京都でございます。そこで、特に単身入居資格の拡大について、運用面を含め質問をいたしたいと思います。
 まず、精神障害者や知的障害者の単身入居を認めるということですけれども、このような方が自立をし、都営住宅で共同生活を営むことは大変好ましいことであります。しかし、周りの方のサポートを受けずして単身での都営住宅入居には、いささか不安もあるのではないかと思います。その点についてどう考えておりますか、お示しください。

○石井経営改革担当部長 精神障害者、知的障害者を含めまして、都営住宅への単身での入居は、自活可能な者に限っているところでございます。
 当該障害者が自活可能かどうかの判断でございますが、これにつきましては、市町村等の福祉主管部局に対して、常時の相談対応や、あるいは緊急時における医療機関への連絡等、居住支援体制の状況を確認した上で行ってまいります。

○伊藤委員 次に、DV被害者にも単身入居を認めるということですけれども、DV被害者によっては、居所を隠したり、住民票の異動をちゅうちょされる方もいらっしゃると思います。都内在住が都営住宅の入居条件になっており、何らかの配慮が必要だと思いますけれども、どう考えておりますでしょうか。

○石井経営改革担当部長 都営住宅には既に、同居親族のいるDV被害者、すなわち配偶者からの暴力被害者が入居しておりますが、住民票を異動することが困難な方につきましては、都営住宅の当選者に対する入居資格審査の際に、住民票の写しにかえまして、住んでいらっしゃるところの福祉事務所長の証明書、また、場合によりましては光熱水費の請求書を提出いただいているところでございます。単身で入居するDV被害者にも同様に対応してまいります。

○伊藤委員 DV被害者は、一時的かつ緊急的に住宅を提供する必要性から、今回対象になったと思われますけれども、同様の必要性から、犯罪被害者は対象とならないのでしょうか。

○石井経営改革担当部長 犯罪被害者は、政令上、単身入居の対象外となっておりまして、今回の改正条例でも対象外としているところでございます。ただし、国土交通省の通知で、犯罪被害者につきまして、同居親族がある場合は公営住宅に優先的に入居させたり、また単身の場合には、国の承認を得て、緊急一時的に公営住宅を使用させる目的外使用許可で対応することが事業主体の裁量で可能となりました。
 犯罪被害者の都営住宅入居についての基準を作成するため、警視庁と協議を始めたところでございます。

○伊藤委員 今回の条例改正で、都営住宅の入居資格が広がります。これは、都民の住宅面でのセーフティーネットである都営住宅の役割がこれまで以上に大きくなることを意味すると思います。都営住宅は都民の財産であり、その有効かつ効率的な活用が望まれております。制度改正もさることながら、これまで以上に適正な管理に努められますよう要望をいたします。
 続きまして、地域住宅交付金制度についてお伺いをいたします。
 昨年八月、いわゆる三位一体改革の中で創設をされた地域住宅交付金制度、都としてどう評価をされておりますでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 地域住宅交付金制度でございますけれども、この制度は、三位一体改革の中で、公営住宅など従来あった複数の国庫補助メニューを束ねる形で、地方の自主性と創意工夫を生かせる制度として創設されたものでございます。
 評価ということでございますけれども、これまで国費の補助対象外であった事業につきましても、これは提案事業と呼んでおりますけれども、提案事業としてこの交付金を充当することができるようになるなど、自治体にとって利点がございます。
 その一方で、従来国庫補助事業であった事業の中で、これは例えば公営住宅の補助率は五〇%だったわけですけれども、地域住宅交付金は、国費の割合が四五%とされてございます。したがいまして、一部の事業について補助率が低くなったというデメリットがございます。
 また、先ほどの提案事業でございますけれども、全体の事業費の約二割を超えますと、もうそれ以上、その提案事業に対する交付金の額はふえないという、そういう制度になっておりまして、したがいまして、地方の創意工夫が十分に発揮できるように提案事業の枠の拡大が図られるべきと考えているところでございます。

○伊藤委員 本制度では、地域住宅計画を策定した自治体のみに交付金が交付される仕組みとなっておりますけれども、東京都の計画はどうなっておりますでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 昨年の八月に制度が創設されましたけれども、国費である交付金を確保するためには、地域住宅計画の策定が義務づけられているところでございますので、都といたしまして直ちに策定したところでございますが、その場合に、この制度、都が単独で計画をつくることもできますし、また、区市町村と共同で策定することもできるようになってございます。
 都としては、区市町村の積極的な住宅政策への取り組みを促すという観点から、多くの区市町村と共同でつくったところでございまして、十七年度から二十一年度までの五カ年を計画期間として計画を策定したところでございます。

○伊藤委員 ご答弁にもありましたように、平成十七年度から五カ年の地域住宅計画を策定したということですけれども、先ほどもいろいろと議論がございました構造計算書の偽装問題の発覚など、社会状況は刻々と変化をしております。こうした情勢の変化に適切に対応することができるのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 当初計画を策定してから、十七年度より交付金を活用して事業を展開しているところでございますが、それ以降も区市町村と連携しながら、ご指摘の構造計算書偽装問題への対応など、緊急な事業遂行の必要性に応じて随時計画変更を行いまして、情勢の変化に適切に対応してきているところでございます。また、今定例会の審議を経て十八年度予算が確定した後には、適宜計画変更を行う予定でございます。

○伊藤委員 この制度では、自治体がみずから計画を立て事業を実施し、事後評価を行い公表していくなど、今より、より責任ある対応が求められると考えますけれども、東京都としてはどう対応されていくのでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 都ではこれまでも、住宅マスタープラン等におきまして住宅政策指標を定めるなど、計画的な事業遂行を図ってきたところでございます。今回策定しました地域住宅計画においても、現行の住宅マスタープラン等をもとに政策目標を設定いたしまして、計画期間終了後に事後評価を実施していく考えでございます。

○伊藤委員 この制度を最大限活用して、既存ストックの有効活用、福祉分野との連携、耐震化の促進など、住宅政策の総合的な充実を図るべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 都といたしましては、関連する他の政策分野との連携も図りながら、総合的な住宅施策の展開を図ることが重要だと考えてございます。本制度を活用しまして、既存ストックである都営住宅の建てかえや、福祉施設などの併設、整備などを推進してまいります。それとともに、木造住宅の耐震化の促進、高齢者の居住の安定などに向け、区市町村とともに、区市町村に本制度の積極的活用を働きかけるなど、この制度の有効活用を図りながら国費を確保し、住宅政策の充実を図ってまいります。

○伊藤委員 続きまして、八ッ場ダムについてお聞きをしたいと思います。
 私が住む葛飾区は、東に江戸川、西に荒川、そしてその間を中川が流れております。いわば川に囲まれて、そして川で分断をされているまちでございます。今から六十年も前の昭和二十二年、カスリン台風では、利根川が埼玉県で決壊をして、葛飾区を含め首都圏で多くの被害者が出たと聞いております。そのような洪水被害を出さないように計画をされたのが、利根川上流につくられた八ッ場ダムだと説明を受けてございます。
 この八ッ場ダムは、洪水対策という治水面だけでなく、水道用水など利水面の役割があり、国の事業でありながら東京都も大きな負担をしております。八ッ場ダムは、その建設に当たり、多くの議論を招き、現在に至っているダムであります。必要性や役割について、既に都議会でも明らかにされてきた経緯がありますけれども、改めて、水資源の確保の視点から幾つか伺いたいと思います。
 八ッ場ダムが計画をされた昭和二十七年ごろから今日に至る間、東京都の水資源の確保の歩みと問題点などについて、幾つかご質問したいと思います。
 まず、東京都の水資源の現況についてお伺いをいたします。

○福島都市づくり政策部長 東京都の水源につきましては、ほとんどが河川水でございまして、七五%が利根川水系、三%が荒川水系と、利根川、荒川水系で約八割を占めてございます。一九%が多摩川水系、その他といたしまして、相模川が三%となってございます。

○伊藤委員 利根川、荒川水系に約八割も頼っているという説明ですけれども、大分いびつだなという感想を持ちますが、いつからそのような状況となったのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 昭和三十年代までは、水源の多くを多摩川水系に求めていたところでございますが、その後の急激な水需要の増加に対応するため、利根川水系の水資源開発に合わせまして、昭和四十年以降、利根川水系からの給水を受けるようになったと、こういう次第でございます。

○伊藤委員 昨年の夏は、四国の早明浦ダムなど、西日本を中心に大変雨の少ない影響を受けて、水の手当てに困る地域が多かったと記憶をしております。利根川水系における取水制限の状況はいかがだったでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 利根川水系におきましては、平成七年度から平成十六年度までの過去十年間におきまして、夏に二回、それから冬に二回、合わせまして計四回の取水制限を受けてございます。このうち最も厳しかったのは平成八年の夏の渇水でございまして、取水制限が四十余日間続きまして、最大三〇%の取水制限を受けたということになっております。

○伊藤委員 例えば八ッ場ダムでは、計画から工事に入るまで五十年以上も要しているなど、新たなダム建設、水源開発は極めて困難であると思われます。
 一方で、水資源の確保が不十分な中、渇水時には取水制限を受ける状況が続いておりますけれども、この利根川水系の取水制限時の水量確保策についてお伺いをいたします。

○福島都市づくり政策部長 利根川水系からの取水制限を受けました場合、多摩川水系の水を用いて補っているところでございまして、具体的には、多摩川水系の東村山浄水場と利根川水系の朝霞浄水場を結ぶ連絡管を活用するなどして給水量の確保に努めているところでございます。

○伊藤委員 水資源のほとんどを河川からの水に頼っている東京では、渇水時の水不足が心配ですけれども、水資源の確保についてどう考えておりますでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 近年、地球規模で、大雨による洪水被害と、また干ばつ、水不足が頻発するようになってきております。また、日本の過去百年の年平均降雨記録を見ましても、年間降水量が一四五〇ミリ程度から一三五〇ミリ程度と、一〇〇ミリ程度近く減少しておりまして、将来の水不足、渇水に対する備えが重要と認識をしてございます。
 都では、一万平米以上の建物の建築に際しまして、雑用水の利用や雨水浸透施設の設置をお願いいたしますなど、貴重な水資源の有効利用に努めてございます。
 今後とも、東京におきまして、将来にわたる安定給水の維持や渇水時の対応ができる水資源の確保に努めてまいります。

○伊藤委員 都民の日々の生活と大都市東京の都市活動を支えてきた水について、水資源の確保の視点から問題点を何点か指摘をさせていただきました。
 これまで、国も自治体も、新たなダム建設などによる水資源開発を進めてきましたけれども、これからの少子高齢化社会では、既に確保している水資源を有効に運用することこそが重要ではないかと考えます。東京都もぜひそのような認識で水資源行政に取り組んでいただきますよう要望をいたします。
 続きまして、踏切対策についてお聞かせをいただきたいと思います。
 まず、先ほどご答弁にもございましたけれども、平成十六年に策定をされた踏切対策基本方針の策定のねらいについてお伺いいたします。

○成田都市基盤部長 都内にはいまだ約千二百カ所の踏切が残されておりまして、このうち、ピーク時間帯一時間当たりの遮断時間が四十分以上の、いわゆるあかずの踏切が二百八十一カ所ございます。これらは、道路渋滞などさまざまな問題を発生させてございます。
 こうしたことから都といたしましては、重点的かつ計画的に多様な踏切対策を進めていくために、平成十六年に踏切対策基本方針を策定いたしました。本方針では、鉄道立体化の検討対象区間として二十区間、鉄道立体化以外の対策を検討すべき区間として八十三区間を選定いたし、東京の新しい都市づくりビジョンの目標時期を踏まえながら、二〇二五年までに重点的に対策を検討、実施することといたしてございます。

○伊藤委員 ご答弁にもありました、踏切対策基本方針に示されている鉄道立体化の検討対象区間の二十区間について、今後の進め方を具体的にお伺いいたします。

○成田都市基盤部長 お尋ねの鉄道立体化の検討対象区間は、幹線道路において、遮断時間の長さや自動車交通量の多い踏切の数などを指標といたしまして選定してございます。これらの区間におきましては、鉄道との立体化を図っていくためには、地域におきますまちづくりと連動することから、地元区市が主体となり、道路と鉄道のあり方やまちづくりの方向性を検討していくことが必要でございます。
 都としては、こうした地元区市の検討に対して技術的支援を行っていくとともに、鉄道立体化による対策と道路の立体化による対策について比較検討した上で、事業効果、財政状況などを総合的に判断いたし、事業化に向けて取り組んでまいります。

○伊藤委員 この二十区間の中で、私の地元にございます京成本線の高砂駅から江戸川駅付近の区間について、東京都の取り組みはどうなっているでしょうか。

○成田都市基盤部長 京成高砂駅から江戸川駅付近の区間につきましては、遮断時間が四十分以上であることから、いわゆるあかずの踏切が存在いたしまして、その対策が必要であることは十分認識してございます。
 しかし、京成高砂駅では、京成本線、北総線、京成金町線の三線が結節してございまして、駅直近に電車の車庫があることなどから、立体化には幾多かの課題がございます。このため、都は、地元区が設置した勉強会に参画いたしまして、本区間における道路と鉄道の立体化について検討を進めてございます。

○伊藤委員 高砂駅の踏切は、一時間、四十分どころか、ピーク時は五十分以上になる踏切でございます。そして、平成二十二年度には、新たな鉄道アクセスルートである成田新高速鉄道が開業する予定であります。踏切の短期対策も同時に実施をしていただく必要があると考えますけれども、東京都の所見を伺います。

○成田都市基盤部長 高砂駅付近におきます鉄道の立体化、これを抜本的な対策を行うには、先ほども申し上げましたように解決すべき課題がありまして、その実現には多くの時間を要するわけでございますけれども、このため、現在都は、地元区及び鉄道事業者と、エレベーターの設置や踏切道の拡幅、これらの短期的な対策の検討を行ってございます。
 都といたしましては、今後、中長期対策とともに、短期対策につきましても、関係機関と連携し、早期に実施可能な対策を取りまとめ、踏切の安全性向上に努めてまいりたいと思います。

○伊藤委員 地元でも大変要望の強い事業でございますので、一日も早い実現に向けて努力をしていただきますよう要望を申し上げます。
 続きまして、ICタグについてお聞かせいただきたいと思います。
 平成十七年度に上野公園で実証実験を実施しておりますけれども、実施した具体的な内容はどういうものだったのか、お示しをください。

○飯尾参事 今回の取り組みでございますけれども、いつでも、どこでも、だれでもが必要なときに情報を得られるといういわゆるユビキタス社会の実現に向けまして、最先端のIT技術を実際のまちの中で活用する試みでございまして、ICタグや無線、それから赤外線と携帯の端末を通じまして情報をやりとりするというものでございます。
 新しい仕組みを構築いたしまして実用化をしていくためには、社会的な実証実験を重ねることが重要でございまして、昨年十月から十一月の一カ月半にわたりまして、上野公園、動物園で実施をいたしまして、約二千人の方に参加をしていただいてございます。
 実験は、観光、商業振興の観点から実施をいたしまして、具体的には、約三百カ所にICタグなどを設置いたしまして、外国人を含めました来訪者に美術館などの施設案内、動物紹介、周辺商店街の情報などを提供するとともに、GPSだとか無線を使いました経路の誘導案内を行いまして、参加者からのアンケート調査を実施したところでございます。

○伊藤委員 本事業は、実証実験と名のつく事業である以上、その成果について当然検証がなされていると思いますけれども、どのような結果が得られているでしょうか。

○飯尾参事 今回の実験は、観光情報案内などに対します利用者のニーズ把握、それから、この技術を実際のまちの中で活用する場合の技術的な検証を行うものでございます。
 アンケートでは、システムの印象につきまして、便利、やや便利との回答が合わせて五八%、誘導案内につきましては、正確であったという回答が七二%で、概して良好な成果が得られたというふうに考えております。
 一方で、ICタグのところまで情報をとりに行くのが面倒だとか、携帯端末をもっと小型、軽量化してほしいといった具体的な意見、要望も数多く寄せられてございます。
 また、技術的な検証では、誘導案内の精度、情報の書きかえ方法などを現地で確認したところでございます。

○伊藤委員 今回の検証の結果を受けて、来年度はどのような試みを行うのでしょうか。

○飯尾参事 今回の実験でございますけれども、ユビキタス社会の実現に向けた第一歩というふうに考えてございまして、今後の取り組みに向けて、成果と課題が明らかになったというふうに思っております。
 これらの結果を踏まえまして、来年度は、民間の参入も視野に入れまして、実用化に向けたより実践的な実験を行うことが必要と考えております。このため、商業施設が集積し、交通ネットワークの複雑な都市空間で取り組めればというふうに考えておりまして、実験の内容や実施の課題について今検討を行っているところでございます。

○伊藤委員 成果と課題を整理していただいているということでありますけれども、都がやるべきところと民間がやるべきところの精査も必要になってくるのではないかと思います。今年度予算でも約二億円の予算が、このICタグ実験にはつけられております。少なからず、多くの税金がかけられているわけでありますから、ぜひとも民間にもっと参画をしていただいて、便利なユビキタス社会の実現に向けて努力をしていただきたいと要望を申し上げまして、質問を終わります。

○高橋(か)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十二分休憩

   午後三時二十八分開議

○高橋(か)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いいたします。

○大松委員 私の方からは、まちづくりと商店街対策について伺います。
 景気はようやく回復軌道に乗りつつありまして、これを本物にするために、最大の課題は地域経済の活性化でございます。その旗頭が商店街であるわけであります。産業労働政策としての商業、また商店街対策、これはこれで必要でございますが、まちづくりにおきましても、こうした視点が欠かせないことは申し上げるまでもございません。
 こうした中で、都営団地に併存する商店街、また、団地の敷地内に借地をして営業している商店街は、他の商店街とは違う課題を抱えているわけでございます。それは、主に昭和三十年代に建設をされ、建てかえ計画の対象になっている商店街でございまして、この建てかえに伴いまして経営環境が大きく変化をする、この対応が迫られているわけでございます。
 そこで伺います。現在、都営住宅には、併存店舗住宅、何団地、何棟、また何店舗あるのか、また、そのうち建てかえ対象はどのぐらいあるのか、お伺いをいたします。

○庄司再編整備推進担当部長 都営住宅建設時に店舗つき住宅を建設し分譲したもの、いわゆる併存店舗つき住宅は、都内全体で約百二十団地、約百六十棟、約千三百店舗区画ございます。そのうち昭和三十年代に建設されたものは、約二十団地、約四十棟、約三百六十区画ございます。

○大松委員 この商店街、商店の立地、また店舗の形状というものは、経営上大変重要な要素でございまして、さらに、経営者の皆様が持っておられる権利、借地権、また区分所有権など、大変多様な権利関係があるわけでございます。これらが団地の建てかえに伴いましてどうなっていくのか、そして、新しい環境の中で、ただでさえ厳しい経済状況のもとでどう商売を展開していくのか、さらに、経営者が高齢化をして後継者がいない店舗、今後の生活設計をどう考えていくのか、課題はさまざまあるわけでございます。
 その一方で、団地の商店街は、居住者の暮らしを支えるとともに、他の商店街と同様、地域の経済にも多大な貢献をしていただいております。さらに、高齢化が進むに伴いまして、歩いて暮らせるまちづくり、こうしたことが求められている中で、この商店街の果たす役割、団地の中の商店街におきましても、その果たす機能に対する期待があるわけでございます。
 そこで、都市整備局としての、この団地の商店街への取り組みの現状をお伺いいたします。

○庄司再編整備推進担当部長 都は現在、併存店舗つきの都営住宅の建てかえに当たりまして、店舗所有者等との合意の上で買い取り補償を行っているところでございます。また、新たな取り組みといたしまして、港区の港南四丁目第三団地では、民間事業者による併存店舗所有者の店舗を含めた再開発事業を進めているところでございます。

○大松委員 都営団地の建てかえの中にありまして、まちづくりという大きな視点も加えまして、さらに民間の力も活用いたしました意欲的な取り組みについては評価をするものでございます。また同時に、都営団地と申しましても、この地域というのはさまざまでございます。都営団地のある地域の特性、また個々の店舗の実情に合わせて、それぞれの選択肢の幅が広がるようなきめの細かい今後の政策の展開を要望するものでございます。
 さて、この都営団地、都内有数の規模を誇る、そして、現在大規模に建てかえが進められている団地が北区の桐ケ丘団地でございます。前期計画に引き続きまして、平成二十年度からは後期計画が始められる予定と伺っておりますが、まさにこの中の桐ケ丘中央商店街も、この建てかえの動向を注視しながら、今、北区の担当者とともに、今後の経営や店舗のあり方について勉強会を開始しておられるところでございます。私も個々にお話をお伺いいたしましたが、店舗によって、経営の実情も、また今後の生活設計に関する考え方もそれぞれでございます。
 そうした中で今一番求められているのが、今後の建てかえ計画などに関するきめの細かい情報でございます。現場で対応している区の担当者が適切な対応ができるよう、北区と都が密接に連携をとっていただくとともに、商店街の皆様が安心して今後のことを考えられるように、東京都としての丁寧な取り組みを要望するものでございます。所見をお伺いいたします。

○庄司再編整備推進担当部長 桐ケ丘団地の併存店舗のあり方等につきましては、今後、地元区や店舗所有者等の意向を聞きながら、桐ケ丘団地建てかえの後期計画を策定する中で検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○大松委員 桐ケ丘団地、大変大きな団地でございまして、地元への影響は大変大きく、商店街とともに、何より居住者にとって重大事でございます。この建てかえの計画、居住者の転居のあり方などについて、その青写真を早期に出していただきまして、居住者の皆様、そして商店街の皆様、地域の皆様を安心させていただきたい。そして、その上で、予定どおり後期計画が進められるよう、後期計画を一日も早く示すべきであります。所見を伺います。

○庄司再編整備推進担当部長 後期計画の策定につきましては、都市計画の手続や環境アセスメントなどの課題を整理しながら、できるだけ早期に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

○大松委員 最後に、区画整理事業の効果を上げるために、十八年度注目の新・元気を出せ商店街の新規事業にも名乗りを上げて、商店街対策と一体的にまちづくりを進めようとしているのが北区の田端駅通り商店街でございます。この田端駅通り商店街、区画整理事業が進んでおります。この区画整理事業におきましても、地域の皆様の声をよく聞いていただきまして、商店街対策、区画整理事業、この両事業が相乗効果が生まれていくように商店街対策と連携を密接にして、東京都としての特段の取り組みを強く要望させていただくものでございます。
 以上、要望を申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

○植木委員 私の方からも質問させていただきますが、最近、成熟社会という言葉がいろんなところで使われるようになって、私もちょっと幾つか、都の関係の本も見てみたんですけれども、環境とか、それから豊かな生活とか住宅とか、いろんなところで使われているんです。東京都の都市整備局ですから、全部というふうにはいかないでしょうけれども、一体、成熟社会というのをどんなふうに考えておられるのか、お示しいただきたいというふうに思います。

○福島都市づくり政策部長 成熟した都市としての東京でございますが、政治経済の中枢機能に加えまして、豊かな文化や芸術、歴史的な建造物など、多種多様な機能が集積、充実しております。また、高密度に整備をされた正確無比な公共交通網や、サービス業を中心といたしました産業集積によりまして、都民要望を満たす、利便性の高い都市生活も実現しつつあるところでございます。
 さらに、本当のと申しますか、真の成熟都市を達成するためには、三環状道路などの都市基盤施設の整備がどうしても必要でございまして、東京が持続的に発展していくためにも、また真の成熟都市を達成するためにも、引き続き都市再生を進めていくことが不可欠であると認識しております。

○植木委員 政治中枢、文化、芸術、それから交通網、利便性、真の成熟社会というのは三環状だ、それから都市再生を進めていくことだと、こういうお話でしたけれども、私は成熟都市というのは、全部を見ているわけじゃないので、私の知る限りでは、本来、都市機能にしても、それから居住環境にしても文化にしても、都市の質というものの高さというのを伴うものじゃないかなというふうに思っているんですね。
 ですから、例えば、都市整備ですから都市づくりに限っていえば、都市づくりにしてもそうしたことをきちっと念頭に置いて、一定のコントロールというのでしょうか、例えば利便性が増大しても環境が悪化されてはいいはずがないということとか、住居にしても質の高いものを求めて、二十一世紀らしい都市のあり方というのは、僕はいろんな角度からの追求があると思うんですね。そこで働く人たち、それから業務、商業ももちろんですけれども、生き生きとできるような、そういう整備ももちろん大事です。それから、緑とか水辺とか防災とか、それから高齢者や障害者、若者、いろんな分野で、この成熟都市というのは貫かれなければいけないものだというふうに私は思っているんですが、今、二十一世紀の社会のあり方について、いろんな国々で検討や試みが始まっているというふうに思うんですね。
 地球温暖化やヒートアイランド対策についても、当然、積極的に取り組んで効果を上げている都市もできつつある。それから、サンフランシスコやシアトルなどでも都市の成長管理政策を取り入れているとか、それからメリーランド州、これはアメリカ関係ですけれども、都市の成長を緩やかなものにコントロールするというのを導入するとか、それからロンドンプランでは、コンパクトシティーと名づけて、都市の成長を、都市の容量を予測して、例えば高層ビルをつくる場合でも地域を限定したり、あるいは都市の容量というものを予測して、周辺部分の無秩序な開発から守るとか、それから立地の手続やデザイン、眺望など、いろんな前提をクリアするということを新たに今ずっとつくりつつあるわけですね。
 それから、こういうこともいっていますね。コンパクトシティー及び集中的な開発は、必ずしも高層建築物を意味するものではない、こういったいろんなことがいわれています。
 それから、最近では、韓国のように、幹線道路を撤去して清流を復活させたというのも大きな話題になりましたけれども、やはり二十一世紀の都市や都市生活、成熟した社会をつくっていくにはどうしたらいいかという角度からの、私は都市整備局からの接近が当然あってしかるべきだというふうに思っているんですが、ごく一部しか事例を挙げられませんでしたけれども、まだまだたくさんありますけれども、都市の成長について、一定のコントロールや抑制型社会、こういったものを目指した国々があったり都市があったりする、こういうものについてどのように見ておられるでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 諸外国でのさまざまな制度による都市づくりを進めているということについては、私どもも承知をしているところでございまして、それぞれの内容につきましては、都市の置かれているといいますか、社会システムとか歴史的な背景などに立脚してつくられているものでございまして、都市の文化とか発展の過程が異なっております東京にそのまま適用できるものではないというふうに私どもは考えてございます。
 都といたしましては、日本の首都として果たすべき役割、それから快適な都民生活の実現、こうしたものに向けた取り組みを進めていこう、このように考えてございます。

○植木委員 もちろん私も、単純に諸外国の都市づくりをそのまままねろといっているんじゃないんです。問題は、二十一世紀の本来成熟した都市というのはどういうあり方なのかということを、常に都市づくりの念頭に置いていくということが必要なんじゃないかということを私はいっているんですよね。だから、そこを履き違えないでいただきたいというふうに思いますし、今も、都市の歴史にはさまざまな、それぞれの都市や国によって経過があると。それはそうですよ。でも、本当にそういう日本の都市づくり、特に東京というのは、世界の中でも有数な巨大都市でありますだけに、そのことを念頭に置くということは非常に必要だと思うんです。
 これは何も他国だけじゃありませんよ。日本の国内でもいろんなことが今いわれています。例えば東京でも、少子化社会が到来するという中で、社会資本整備のあり方が問われている。それから、都財政の運営のあり方なんかについても、今、東京都の文章の中にも出始めてきていますよね。このままいったら、財源不足や、福祉関係とあわせて社会資本の維持更新費の増加の問題なんかも挙げられている。当然、そういう状況に即して、成熟社会のあり方も、追求の仕方も研究していかなきゃいけない。
 それから、東大なんかも、都市計画の教授を中心に、東京二〇五〇、東京の持続再生のシナリオという、人口動態だとか経済や都市の変遷などを研究しているチームがあって、そこでいろんなものが記者会見などで相次いで発表されていますけれども、やはり長期的な視野で二〇五〇年を見通して、成長から成熟への転換点を迎える東京、二十世紀の郊外化から二十一世紀の都市のあり方とか、そういう表題で出しているとか、都市圏の郊外膨張の時代は終わり、人口減少、高齢化、単身化が進行し、都市居住と就業地の再編、再生の時代に入ると、こういう分析をして、都市構造のあり方に対して問題提起を行ったりしていますよね。これは何も東大だけではないと思うんですね。
 そういった日本の都市のあり方について、東京都は都市再生を追求しているんだというふうに、それが一番の真の成熟社会だと、こういっていましたけれども、都市の成長というのは、何も容量を--容量という言葉はロンドンプランの中に出てくるんですけれども、キャパシティーという意味だろうと私は思うんですけれども、容量にはいろんな意味があるのかもしれません。私が読んだのではキャパシティーのところで使われていたので。
 都市の成長とか容量をふやすということだけを追求していたのでは、やっぱり成熟社会というふうには必ずしもいえないわけですから、私は、当然質の面でのコントロール、あるいは東京の都政のまちのあり方、こういうことを追求する時代に来ていると思いますけれども、いかがでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 東京都といたしましては、五十年先をにらんだ都市づくりビジョンを平成十三年につくってございまして、それは、今申し上げましたように五十年先の都市を目指すということではありますが、中長期的には、十年から十五年のスパンの中で都市計画区域マスタープランというものをつくりまして、具体的な施策を展開してございます。一言でいいますと、政策誘導型の都市づくりを目指していこう、こういうことで、現在、各施策におきましても、そういう体系化を図って進めているところでございます。

○植木委員 都市づくりビジョンで、また中長期的にもマスタープランをつくって、政策誘導型の都市づくりを追求すると。それは都のお立場はそうだと思いますよ、今までのやり方を見ても。
 じゃ、そういうことで、一般的な考え方の問題だけやっていても具体的な中身が出てきませんので、具体的な中身でちょっとお聞きしますけれども、今、都市の再生ということで、都市再生緊急整備地域の指定だとか、いろんな指定が行われている。もちろん道路もつくっている。そういう中で、都市の容量というものを考えずにやった場合、どんなことになるのかということを一体予測しているのかなというのが、ちょっと私にはわからないんですよね。
 具体的にちょっとお聞きしますけれども、とにかく、私が去年の都議選でここへ返り咲いてきて、わずかな期間ですけれども、都市再生緊急整備地域という問題がいろいろ出てきたりしている。それから大手町の開発の問題も出てきたりしている。本当にわずかな期間でどんどんどんどん進んでいく、唖然としているというのが私の実感なんです。特に、特定容積率の適用だとか天空権なんていう言葉も出てきたりして、それから、公共に貢献するといっては、容積率アップが数百%も出てくる。私は本当に異常な感じがしているんですね。先ほどの大手町の例でも、商業地域としては上限が一〇〇〇%のはずなんだけれども、現在七〇〇%のが一二〇〇%になり一五九〇%に、この間、わずかの間になっていったんですよね。
 そこで、きょう配布していただいた資料にもいろいろ出ておるんですけれども、その中でわかりやすいものだけ取り上げざるを得ないんですけれども、センター・コア内の主な開発計画によって、どのくらいの業務ビルの床面積の総量になるのか。また、自動車発生交通量の増大の総量がどのくらいになるのか、また、その推移はどうか。それから、この十年間で、都心五区及び二十三区の業務床の面積の推移は、トータル的に見てどのような評価というのでしょうか、推移の数字になるのでしょうか、お示しいただきたいというふうに思います。

○福島都市づくり政策部長 本年一月末現在におきまして、センター・コア・エリア内で動いている主な開発計画について申し上げますと、市街地再開発事業や総合設計、また都市再生特別地区などを合計いたしますと八十二地区ございますが、これらの計画による建物の延べ床面積を合計いたしますと、約千ヘクタールとなってございます。同様に、これらの計画によります、発生する推定自動車交通量の合計でございますが、約二十三万台となります。
 こうした計画の多くにつきましては、老朽化した建築物の建てかえなどの更新による需要でございまして、もともとの建築物の床や交通量があるために、これらの数字がそのまま増加をするものでないということをお断りしておきます。
 また、千代田、中央、港、新宿、渋谷の都心五区について、平成七年と十六年との比較で見ますと、およそ九百七十ヘクタールの増加がございます。
 オフィスの機能更新が進みますことで、快適で防災上も安全な国際水準のビジネス環境が現実に実現をしてございますし、緑やオープンスペースの創出、また省エネルギー化によるエネルギーの削減など、都市環境の改善にも寄与しているというふうに考えております。
 都といたしましては、今後とも、こうした優良な民間プロジェクトの推進によりまして、東京の国際的な競争力向上に引き続き努めてまいります。

○植木委員 もちろん、更新も当然あるわけですから、これがそのままプラスというふうに私も見ていないんですが、資料がないんですけれども、とにかく一千ヘクタール、八十二地区で開発計画が進められる。それから、車も二十三万台、交通発生量、集中発生量ですか、出される、こういうことですよね。現に、十年間で都心五区だけでも九百七十ヘクタールプラスだと、純然と。こう見ていても大変な量ですよね。
 ちなみに、もう一つ、きょういただいた資料の中で一つだけ事例を挙げますと、百メートル以上の大規模ビルの建設状況が出ていますよね。この中にはマンションも入っているので、単純に業務床というふうにするわけにはいきませんけれども、これを年度ごとに足していきますと、十五年度が百七十五ヘクタール、十六年度が百二十三ヘクタール、十七年度が百八十三ヘクタール。これはこれまでのですけれども、さらにここの資料には、十八年度が二百十八ヘクタール、十九年度には二百三十四ヘクタール。つまり、今、建築確認がおりているものが、既に十八年度、ことしの四月からの年度で--これは年間ですから、年度じゃないですね、多分--二百十八ヘクタール。十九年度は二百三十四ヘクタールももう既に決定されていると。どんどんどんどん、すごい勢いなんですよね。
 さらに、都市再生緊急整備地域、これは渋谷も加わってきますから、これがどういうふうになっていくのか。八つの都市再生緊急整備地区、これもどんどん膨れ上がっていくと思うんですけれども、じゃ、五十年先というお話がありましたけれども、こういう業務床というのは--業務床だけじゃないんですけれども、一番わかりやすいのでこれがありますけれども、業務床は、一体、上限というのはどこまで伸びていくというふうに、二〇五〇年見通しているのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 二〇五〇年の業務床の伸びを推定、推計はしてございませんで、先ほど申し上げましたように、いわゆる東京が引き続き首都として、また、世界に打ち勝つ東京としていくための機能を準備していくわけでございますので、その時点にまたどういう機能が東京にあり得るべきかということは、時代とともに変わっていくものだと考えております。

○植木委員 二〇五〇年にどういう機能が時代の要請にあるのかということで、現在は予測できないということなんですよね。つまり、二〇五〇年の計画を持っていらっしゃるというけれども、その計画というのは、もちろん五十年というのは長いですから、今二〇〇六年だから四十数年になるわけですけれども、長いですから単純にはいかないとは思いますけれども、じゃ、それでいいのかということは、やっぱりそこで検証する必要があると思うんですね。
 検証にはいろんなやり方があると思うんですけれども、やはり最初にいったように、環境だとか住みやすさとか、いろんなものの指標があると思うんです。一番わかりやすいものでいえばやっぱり環境問題なんですけれども、東京都の環境白書では、特に東京の二酸化炭素排出量の増加の最大の要因になっている事業所ビルと自動車交通の排出量抑制対策の強化が必要だということをいっています。
 そこで伺いますが、業務部門からの温室効果ガス総排出量は、基準年度の一九九〇年から見て、その増減はどのくらいなのか、前年度対比でどのくらい増加しているのか、それから、他の部門との比較はどうなのかということをお示しいただきたいというふうに思います。

○福島都市づくり政策部長 それぞれの部門ごとの内訳でございますけれども、基準年度比でまいりますと、産業部門マイナス三五・二%、それから業務部門五七・三%、それから家庭部門三五・八%、これはいずれも増加でございます。産業部門のみ減少でございます。運輸部門で一八・一%の増加、このようになっております。

○植木委員 産業部門は、単純にはいえるかどうかわかりませんけれども、工業関係、かなり今海外へ移転したりしている、そういう可能性があるんですけれども、やっぱり業務部門が一番伸びているんですよね。五七・三%、実に断トツですよ。家庭部門も、これも大事なんですよね。家庭での努力はしなきゃいけない。ただ、家庭の問題は生文局か環境局でやるしかないんですが、やはり業務部門の伸び率というのが非常に大きい。しかも、私、環境局から資料を取り寄せたら、二〇〇一年から二〇〇三年度に、何と二倍の伸び率になっているんですね。わずか二年間で、二〇〇一年、二〇〇二年、二〇〇三年度まで、二倍のテンポで伸びているんですよ。実にすごい伸びだなと思ってびっくりしているんです。これは当然、地球温暖化対策として、京都議定書でも目標を決められて削減している。東京都でも削減するという方向を出しているわけです。
 これは環境局の問題なので、自分で資料をつくってきたんですけれども(資料を示す)東京における二酸化炭素の排出量、単純に調べられるところを点で示したのですけれども、今現在は、基準年度から見ると一二三%。業務が五七%の伸びですから、伸び率としてはこの倍なんですよね。これが今後削減されていけば一番いいわけです。目標は九四%にする、つまりマイナス六%にするわけです。ところが、今のスピードでいくと、抑制もない可能性もある。わかりません、これは。皆さんと都民の努力で、何としてもこれは下げていかなきゃいけないというふうに思うんですよね。
 だから、本当にそういう点では、二三%伸びていますから、単純にいえば、マイナス六%にするには合計で二九%下げなきゃいけないという大変な量なんです。
 だから、家庭部門ももちろん、ほかの部門も頑張らなきゃいけないんですけれども、断トツの業務関係で削減するということの認識を持っていく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 ただいまご指摘の二三%増加につきまして、私の説明不足のために誤解を与えることになりまして申しわけございませんが、申し上げました二〇〇一年度との比較で申し上げますと、この年は原子力発電所が停止をするという、どちらかといいますと、統計上異例な事態の中での比較の状態でございますので、火力発電所に頼った、この時点での統計の数字が明確に反映をされている結果として二三%増でありますので、これを原子力発電所が平時と同様の稼働をしていたという場合に、全体として見ますと三・六%の増加にとどまる。
 こういう増加ではございますが、私ども、それぞれの部門の目標は都としては持ってはおりませんけれども、先ほど来の三環状道路の話もいたしましたが、運輸部門においても、道路など都市基盤の整備を進めるほか、環境に配慮したいろんな都市づくりというものを進めているところでございまして、そういう京都議定書を意識した都市づくりを進めているところでございます。

○植木委員 原子力発電所の問題は私も承知しています。これは前に、去年のまだ新しい数値が出ない段階では、その前の数字を使って環境局でこの問題も取り上げたんですけれども、その時点から見ても大きな流れは変わらないんですよ、残念ながら。前年度で一二一%だったんです。それが一二三になっているんですよ。
 そういう意味で、やっぱり業務部門、京都議定書を目標達成に向けて意識しているというお話でしたから、それはどうしても努力をしていただかなきゃならないと思っていますけれども、それにしても、先ほど来のお話では、業務系ビルは一体どこまで膨らんでいくのかわからないというのが現実ですよね。今年度二百十八ヘクタール、来年度二百三十四ヘクタールと、二十世紀から比べたら、どんどんどんどん業務ビルだけでも莫大な容積がふえていっているのが現状なんです。
 そういう意味で、環境負荷を本当に下方修正するということでの立場に立って、先ほどはヨーロッパの例を聞きましたけれども、日本の都市のあり方として、改めて都市政策部門でそういった研究を、少なくとも研究をやるべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。

○福島都市づくり政策部長 ただいま、研究をしていくべきだというお話でございます。言葉の研究という意味に直接お答えはしにくいのでございますが、私ども都市づくりの仕事をする中では、そうした諸外国の事例を含めまして、また国とも、あるいは地方自治体の中でも、都市づくりの研究、その方法、手法論、技術論なども含めまして、意見交換あるいは資料の研究、調査などをいたしておりますので、引き続きそうした姿勢で臨んでまいります。

○植木委員 私、事前にちょっと、どこでこれは、東京都の都市整備局の中で研究されていますかと聞いたら、そういう研究をしているところはないといわれたんですよ。僕は抑制型のコントロールを求めているわけですけれども、それをさっきから聞いていると、こういう面で努力しているという話、私から見ると努力になっていないと思うんですけれども、そういう意味で、真正面からそういう二十一世紀の都市のあり方について--先行きの、容量も何も見通しもないまま突き進む、都市再生一本やりのあり方、これはやっぱり改めると。もっともっと日本の二十一世紀の都市のあり方というものを追求する方向に、ぜひ私は進めていくべきだということを再度強調しておきます。
 もうちょっと具体的なお話をいたしますけれども、こういう検証がないものですから、まちづくりも、場当たり的といっていいのかわからないんですけれども、わずかな期間に変わっていく事例があるんですね。例えば、中野に警察大学校の移転した跡地があります。これは、国の省庁移転の中で、一極集中を是正する立場で活用するということで警察大学校が移転をしました。十三・七ヘクタール。ですから、当初はその考え方に基づいて、四ヘクタールの防災公園を中心にしたまちづくり計画が二〇〇一年度に中野区から発表されて、それに東京都も賛同して、杉並と一緒に三者で合意をしていた。ところが、都市再生という路線がどんどんどんどん全体に進む中で、この計画が変わっちゃったんですよね。
 東京都の計画にも実は書いてあるわけです。防災面から緊急を要するとして、環状七号線の周辺など、救援・復興活動拠点となる大規模公園の迅速な整備を推進するという表現で書いてあるんですけれども、それも実際には事実上ほごになって、国や東京都の都市再生促進と歩調を合わせて、防災公園は一・五ヘクタールに縮小されて、大規模開発を進める方向になってきた。ここには、中野区に、前の都市計画局でしょうか、それと現在の都市整備局から幹部職員が派遣されて進められてきたわけです。その上で昨年十月に、国も入って、都と中野、杉並の四者協議会がつくられて、最終的にはこの三月六日に国有財産関東地方審議会で処分案が確定をしました。
 二点お聞きしたいんですけれども、一つは、先ほどいった国と地元区、東京都でこの四者協議会に入る際に、中野、杉並、東京都の賛意で合意した転換計画のゾーニングに対して、国有財産関東地方審議会の答申で出された処分案というのは、私は非常に大きな変更だと思うんですけれども、どのような変更点があるでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 今回、国有地の処分に当たりまして答申されました内容は、昨年、都と中野、杉並の両区の三者で取りまとめました土地利用転換計画案が基本的に尊重されていると私どもは考えてございまして、ただし、警察大学校跡地に隣接をして、JR中央線との間にあります警察庁宿舎の用地や、警察大学校と区役所庁舎との間にあります区立囲町公園などが新たに処分対象地として含まれることとなった、このような内容の違いがございます。

○植木委員 僕は事実認識が違うと思うんですが、もう一点伺いたいと思います。
 四者協議会では、関東財務局と関係者の間で論議になった論点、これは主に開発負担のあり方についてではないかと思うんですが、どのようになっていますでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 昨年八月に、財務省、東京都、中野区及び杉並区によります四者協議会が設置されたところでございますが、この四者協議会では、跡地全体の土地利用や公共公益施設の整備、また地区計画などに関することを議題として議論をした、こういうことでございます。

○植木委員 公式の場ですから、きちっと答えてほしいんですよね。開発者負担のあり方については一切論議されなかったんですか。もう一回答弁をお願いします。

○福島都市づくり政策部長 私が今申し上げましたのは、四者協の中で大くくりの項目として検討した内容を申し上げましたが、その中の議論の中で、開発者負担のあり方というものは当然検討といいますか、議論として出た経緯はございまして、そういう事実はございます。

○植木委員 ございますといったんですか。

○高橋(か)委員長 ちょっと語尾をはっきりしてください。

○植木委員 語尾がはっきりわからない。

○福島都市づくり政策部長 検討の議論の過程で出ております。

○植木委員 これは重大なことなんですよ。このたびの四者協議会で、関東財務局の方はこういっているんですよ。都市再生や経済活性化の観点から利用を促進する必要がある、こういって、中野区が開発者に道路や公園について負担させるという考えについて、こういっているんですよ。事業者に過度の負担を求めるものであり、そのような条件で跡地を売却するのは困難であると。つまり開発者負担はやめなさいよといっているんですよ。私は開発者負担に賛成しているわけじゃないんだけれども、中野区がそういっているんです。
 問題は何かというと、大規模開発を誘導するために、大手企業が進出しやすいように、開発者の負担はやめなさいよというのを国が中野区にいわば押しつけてきたんですよ。で、中野区は、住民には、開発者負担があるから住民負担がないんだからやるんだと、こういう説明をしていた。ところが、それがなくなっちゃった。もちろん国や都の補助もある部分もあるでしょう。しかし、中野区の基本的な考え方がそこにあって進めていたんです。だから、そういう点では全く違っているんですよ。
 だから、結局、都市再生や経済活性化ということが理由になって、こうした国有地--十ヘクタール以上ある土地というのは、もうほとんどないですよ。この計画が、もともとの計画から変わっていっちゃっているんですよ。つまり都市再生というのが、いろんな文書を見ても、やっぱり経済活性化のために始まったんですよ、もともとは。だから、二〇五〇年に向けてと、先ほど説明がありましたけれども、やっぱりそうじゃないということなんですよ。
 それで、国のそうしたかじ取りによって財政フレームが変わってくれば、当然区民の負担がどうなるか、東京都や国の負担がどうなるか。一番大きいのは地元区と都、国なんですけれども。そういう意味で、これまでの住民説明とはずっと違ってきた。都も入って合意をしてきたわけですから、当然、説明責任を果たさなきゃいけないということが一つあります。それから、今後これを処分していくとなりますと、地区計画をつくることになる。当然、地元区がまず案をつくるでしょう。しかし、最終決定権者は、同意も含めて東京都にあるわけです。
 そういう意味で、この調整に当たって、私は、都としての基本的な考え方というのを持って臨む必要があると思うんです。そういう意味で、説明責任を果たすべきだということと今後の見通しについて、あわせてご説明を願いたいというふうに思います。

○福島都市づくり政策部長 ご答弁申し上げますけれども、先ほどの協議会での議論を改めて申し上げておきますが、四者で集まった協議会では、国有地の処分に当たりまして、基盤整備については開発者負担の議論はいたしましたと申し上げましたが、四者の協議会として結論を出す、あるいは出す性格のものではないということで議論をしてございます。といいますのは、もともと処分するそのことの決定自体は国有財産関東地方審議会にございますことから、私どもとしてはそのようなことはしていない、そう結論を出したと、そういう性格のものではないということをご認識いただきたいと存じます。
 それから、ただいまご質問ございました、都として説明責任があるのではないか、この後の進め方ということでございます。
 今回、処分対象地が追加となったことが変更というふうに--今、私どもは大きな変更はないという答弁を申し上げましたけれども、処分対象地が追加になったという事象の変更はございましたが、これはもともと地元町会から、警察庁の宿舎用地に区画道路を新設していただきたいと、こういう陳情が中野区議会に提出されまして、区議会が採択をされた。このことを受けまして、地元中野区と町会の方々が国に要望したことに基づきまして変更はございます。そのような経緯をたどった変更でございますので、中野区におきまして適切に対応していくことが望ましい、このように考えております。
 今後、中野区が具体的な地区計画の案を作成いたしまして、その後、都市計画の手続を進めていくことになろうかと思いますが、この都市計画の決定後に、また国有地の処分も行われる予定が組まれております。
 都といたしましては、節目節目に応じまして、広域的な観点から必要な調整を行ってまいりたいと考えております。

○植木委員 僕は、都は、平たい言葉でいって悪いんだけれども、ずるい、逃げているというふうに思うんですよ。だって、これまで中野区、三者で決められた内容について、国との話し合いはずっと昨年の八月までやってきたんですよ。それで決着がつかなかった問題は、この開発者負担をどうするかという問題なんですよ。その決着をつけるために、わざわざ四者協議会というテーブルをつくって、その見通しができたから財産処分に入ったんですよ。これは明らかですよ。中野区長がそういっているんですから。東京都はちゃんと参加しているんですから。この開発者負担の問題の決着がつかなかったら、財産処分にいかないんですよ。そのことはもう明白なんです。
 私は、去年もこの部分、一部分質問しましたけれども、都が積極的に広域的な立場から、国有財産の処理に当たっての考え方や防災の面からこうあるべきだという話はしたはずですよ。あの段階では、まだ国と中野区との話が決着しなくて、四者協議ができたばかりのときでした。だから、それ以上僕もいえなかったんですけれども、今度は四者協議の前提条件が、国のいいなりになって、初めてこういう財産処分に至ったわけですから、そこは現実をきちっと見ていただきたいと思いますが、もう一回お願いします。

○福島都市づくり政策部長 開発者負担の話が出ておりますので、改めて申し上げますが、私どもは、公共施設の整備というものは、基本的には地方公共団体が整備するものであるという原則的な見解を持っておりまして、そのようなことは協議会の中でも申し上げました。ただし、開発の規模とか内容によりまして開発者が負担することもあるわけでありますので、その開発者負担の仕方とか、枠組みというか組み込み方みたいなものは大いに議論をする必要がある、こういうことの考え方は今もって変えてございませんので、今後ともそのような方法で適切な支援といいますか、技術的な支援をしてまいる、このように考えております。

○植木委員 事実認識が平行線なんですけれども、それは関東財務局に聞けばわかることですから、私はそちらで一応確かめますけれども、明らかにそこが処分の前提になっているということを改めていっておきたい。ただ、そうはいっていても、具体的にこれから地区計画の作成に入るわけですけれども、地区計画の手法はいろいろあるわけですけれども、決定に責任を持つという点では私は同じだと思うんです。
 それで、いずれにしても、これだけの公共用地というのは二度と得られませんから、処分のフレームは決まりましたけれども、地元区では、一・五ヘクタールの防災公園、これにさらにプラスしてほしいという要望がたくさんある。百三十の請願陳情も出ていて、少なくとも四ヘクタールという声もたくさん出ています。それから、中野区と東京都が合意した中にも、一・五ヘクタールの防災公園のほかに緑地空間をつくって、三ないし四ヘクタールは確保する、こういうふうにいっておったわけですよね。これは当然、皆さんにも責任の一端はあると思うんですけれども、これをどう担保するつもりなのか、都としての考え方をお示し願いたいと思います。

○福島都市づくり政策部長 東京都及び中野、杉並の両区、いわゆる三者で策定をいたしました土地利用転換計画案では、一・五ヘクタールの防災公園を配置いたしまして、この公園と合わせて、三ないし四ヘクタールのまとまった緑地空間を地区計画の中で一体的に確保するというふうにしてございまして、今もってこの考え方に変更はございませんので、今後、地区計画の案を策定していく際に、こうした内容のものを盛り込むように私どもとしては考えてまいりたいと思っております。

○植木委員 では、緑地空間の確保については、引き続き努力すると。財産処分の区割りだけしか我々には示されていませんので、これから地区計画をどうするかということがまた大きな問題になってきますので、ぜひそういう方向で--私は防災公園、本来であれば開発部門を削ってでも防災空間というのは、これだけ直下地震が大きな、地震の問題が大きくなっているし、それから、国の直下地震の、都心直下の場合には中野、杉並が一番被害が多いということも出ているわけですから、そういう意味で、改めて確保に全力を尽くすよう求めておきたいというふうに思っております。
 最後に、地下鉄火災事故について伺います。
 二〇〇三年二月に、韓国の大邱市の地下街で地下鉄火災がありまして、乗客二百三十人のうち、そのほかの死亡者もありましたけれども、合わせて死亡者が百九十二人、負傷者は百四十八人。ガソリンがまかれたということですけれども、いずれにしても、地下鉄火災の恐ろしさというのを目の当たりに見たわけです。
 当時、私も、地下鉄やJRに対してバリアフリー化の問題などで求めた経緯がありますけれども、あの後、早速、地下鉄火災について、国、国土交通省、それから中野でいえば東京メトロにも行って、この対策の進行状況について、あるいは国が基準を設けるはずだから、一刻も早く準備をするようにという申し入れをしてきましたけれども、国の方で地下鉄駅火災対策施設補助制度というのができたと思うんですけれども、これについてはどのような内容になっているでしょうか。

○成田都市基盤部長 今委員ご指摘のように、平成十五年二月の韓国の大邱市の地下鉄火災事故を受けまして、昭和五十年に設定されております国の地下鉄道の火災対策基準を改正いたしまして、平成十六年から五年間で整備を義務づけてございます。これに伴いまして、地下鉄道の火災対策基準を満たしていない施設に対して、国と都が補助制度を創設いたしてございます。これは短期間で緊急に整備するために、五年間の時限で補助するものでございます。
 補助の対象は、地上への避難通路が一つしかない地下鉄や、排煙施設が基準を満たさない地下鉄に対して、避難通路、排煙施設を整備するものでございます。

○植木委員 せっかく五年の限度でということでできたので、これを大いに活用していく必要があると思うんですけれども、この補助の対象になる、つまり二方向がない、排煙設備がないというところがどのくらいあるのか、それから、実際に対策を整備したのがどのくらいになってきているのか、つまり整備状況ですね。あわせてであれですけれども、まとめてご報告をお願いします。

○成田都市基盤部長 東京都内の地下駅は二百九十二駅ございまして、このうち、火災対策基準を満たしていない本補助制度の対象となる駅は八十五ございます。それから、地下鉄駅全体の約三割弱でございます。
 そのうち、平成十八年三月現在、避難通路の設置事業に着手しました駅の数は五十一駅でございまして、補助対象の六割となっており、完成したのは、このうち五駅でございます。

○植木委員 八十五が補助対象で五十一というのですけれども、残りが三十四、まだあるんですけれども、これは見通し的にはどんなふうに承知しているでしょうか。わかる範囲でお願いしたいと思うんですが。

○成田都市基盤部長 現在私どもがとらえているのは、各鉄道事業者の状況をとらえておりまして、進んでおりますのは、この制度が第三セクターを経由した補助金というふうなことでございますので、民鉄会社の中で第三セクターを有しない鉄道会社につきましては、自力で今整備をしているところでございます。

○植木委員 いずれにしても、地下鉄火災、特に中野あたりの中野新橋だとか方南町とか富士見町というのは、本当に一カ所しかないんですよね。昔つくった土地ですから、駅も本当に狭いんですよね。だから、いざというときは大変だなという思いがしたり、そのほかいろいろ、乗客からはトイレだとかエスカレーター、エレベーターとか、トイレも男女一緒だったりしていたり、いろんな問題が、古い駅だけに山積しているんですね。
 それらを全部いっていると時間がありませんので、一つは、中野区内で、特にこういう古い地下鉄などでの火災対策、整備状況についてお示し願いたい。
 それから、時間の関係もありますので、バリアフリーについてもあわせて、ちょっとまとめてご説明願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 私、先ほど地下鉄駅と申し上げたようでございますが、地下駅でございますので、訂正させていただきます。
 中野区内の状況でございますけれども、東京地下鉄株式会社に確認している範囲では、中野区内には、大江戸線三駅、丸ノ内線四駅、東西線一駅の三路線合計八駅がございまして、そのうち大江戸線の三駅につきましては、新しい路線でありまして、開業時点で既に整備は完了してございます。そのため、今後の整備の対象となりますのは、丸ノ内線の四駅と東西線の一駅の合計五駅でございまして、これらの駅につきましては、平成二十年度までに完成させる予定と事業者からは報告を受けてございます。
 また、バリアフリーでございますけれども、丸ノ内線の中野坂上につきましてはエスカレーターが整備済みでありますが、残りの四駅につきましては、エレベーター、エスカレーターともに設置されてございません。
 このうち、丸ノ内線の新中野駅及び中野富士見町駅につきましては、エレベーターの設置等、整備に着手してございまして、中野新橋駅は現在、東京地下鉄株式会社が設置を検討しているところでございます。また、東西線の落合駅につきましても、エレベーターの設置等、整備に着手してございますので、都といたしましても、今後とも交通施設の火災対策やバリアフリー化を促進してまいりたいと考えています。

○植木委員 一定の見通しが中野区内も出てきたんですけれども、そうはいっても、用地の確保の問題がまだ実際には完全ではない、交渉中ということで私も聞いてきてはいるんですけれども、いずれにしても、地下鉄あるいは地下駅の火災対策というのは、都民の安全にとって非常に重要な課題でございますので、ぜひ残り区間も含めて指導を民鉄などにも行って、国のこの仕組みを大いに活用して促進していただきたいということを重ねて訴えまして、質問を終わりにします。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十四分散会

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