都市整備委員会速記録第十四号

平成十七年十二月九日(金曜日)
第五委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十四名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事花輪ともふみ君
理事三宅 茂樹君
理事立石 晴康君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
きたしろ勝彦君
小沢 昌也君
川井しげお君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長村松  満君
技監小林 崇男君
技監依田 俊治君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長福島 七郎君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
航空政策担当部長小山  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
都市景観担当部長安井 順一君
再編整備推進担当部長庄司 静夫君
参事北村 俊文君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事山口  明君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
契約議案の調査
・第二百三十一号議案 地下車路出路築造工事(十七汐留-四)請負契約
付託議案の審査(質疑)
・第二百九号議案 東京都市計画事業晴海四・五丁目土地区画整理事業施行規程
・第二百十号議案 東京都国土利用開発審議会条例の一部を改正する条例
・第二百十一号議案 多摩都市計画多摩土地区画整理事業施行規程等の一部を改正する条例
・第二百十二号議案 東京都日影による中高層建築物の高さの制限に関する条例の一部を改正する条例
・第二百十三号議案 東京都建築安全条例の一部を改正する条例
・第二百四十八号議案 東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
・第二百四十九号議案 東京都営住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅等の指定管理者の指定について
・第二百五十号議案 東京都営住宅、東京都福祉住宅、東京都特定公共賃貸住宅、東京都地域特別賃貸住宅、東京都引揚者住宅等の指定管理者の指定について
報告事項(質疑)
・姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応について

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書三件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○高橋(か)委員長  本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の契約議案の調査、付託議案の審査及び報告事項に対する質疑を行います。
 契約議案について申し上げます。
 契約議案は財政委員会に付託されておりますが、本委員会所管分について議長から調査依頼がありました。
 本件については、調査結果を財政委員長に報告することになっております。
 公文の写しは、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。

平成十七年十二月八日
東京都議会議長 川島 忠一
都市整備委員長 高橋かずみ殿
   契約議案の調査について(依頼)
 左記の議案について調査し、財政委員長にご報告願います。
     記
1 調査議案
第二百三十一号議案 地下車路出路築造工事(十七汐留-四)請負契約
2 提出期限 平成十七年十二月十二日(月)

○高橋(か)委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 石井経営改革担当部長は、病気治療のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、契約議案の調査を行います。
 第二百三十一号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○たぞえ委員 汐留地区区画整理事業につきましては、都市計画局が作成したパンフレットを改めて読んでみました。このパンフレットの中には、世界都市にふさわしい景観と都市機能を持った新しいまちと書かれておりまして、さらに、新しい時代はここから始まる、未来を開く新都市空間、こうしているわけですが、しかし、現実にはビルが建ち並んで、海風が遮断され、東京のヒートアイランド現象の原因にもなっていると指摘をされているほどです。見るたびに、これが我々の未来の都市なのかということに大変驚きます。
 今回の契約議案、街区番号が一、二、三、四、五にそびえる、業務機能と商業機能ビルの地下部分につくられた駐車場をそれぞれ連続的につないでいる地下車路の出入り口を全く別に変える、そういう内容なのでしょうか。

○石井市街地整備部長 今回ご審議の対象としております地下車路は、本来、ここにつくるべき施設でございましたけれども、これまでいろいろな状況がございまして、現在使っている暫定施設にかわるものでございます。そういう施設でございます。

○たぞえ委員 それでは、現在この車路を利用している、自前の地下駐車場を持つビルは幾つあるのか、どのようなビルがこの車路を使っているのか、またその駐車場の自動車台数はどういう推移なのか、お願いします。

○石井市街地整備部長 今回、ご審議の対象としている地下車路に接続いたします地下の駐車場を持つビルは、電通本社ビルや日本テレビタワーなど九棟でございまして、これらの駐車場の延べ台数は約二千四百台でございます。

○たぞえ委員 今いわれた九つのビルはどれも超高層ビルで、しかも自前の駐車場を拠点としてビル事業を行っているものです。現在使用している環状二号線予定地に設置してある車の出入り口、これはいつ設置されたのでしょうか。

○石井市街地整備部長 地下車路の暫定的な出入り口の設置時期というお話でございますけれども、この施設は平成十五年につくられたものでございます。
 なお、お話の内容がわかりにくいかと思いますが、この地下車路について若干のご説明をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 この地下車路とは、来訪者や物品等を配送する業務車両のための自動車専用路でございまして、幅四十メートルの都市計画道路--この都市計画道路は土地区画整理事業で生み出す都市計画道路でございます。幅四十メートルの都市計画道路の地下に設けられまして、各ビルがこの地下車路に共通にアクセスできる、しかも、その地下車路は周回が可能なサービス道路でございます。この施設によりまして、汐留地区周辺の交通渋滞の解消と交通の円滑化が図られる、そのための暫定的な出入り口を平成十五年につくった、こういうことでございます。

○たぞえ委員 十五年四月につくったとすれば、まだ使用開始から二年七カ月です。それを取り壊す。この出口は、それでは伺いますが、都市計画決定、事業決定に沿ってつくられたものなんですか。

○石井市街地整備部長 ただいまお話しの現在使っている出口というのは、あくまでも暫定施設でございまして、都市計画や事業計画で定められた施設ではございません。

○たぞえ委員 都市計画決定されていないところに二年七カ月にわたって車路の出入り口を設置した。しかし、都市計画決定はその相当以前、ですから十五年前に都市計画決定されているわけです。その時点で、この仮出口を設置しなければならない外的ないろいろな要因、例えば、決定をした位置に地下鉄や水道や下水道、電気などがあって、これを移動することができない、仮設にしなければこのビルをつなぐ車路を利用することができないんだという前提での都市計画決定ではなかったわけです。
 今回、昭和通り交差点に新しく設置を予定している出口専用の車路は、都市計画決定の段階で設置をする、こういうふうに提案はされていましたか。

○石井市街地整備部長 現在提案しております昭和通りに設置いたします出口は、当初計画どおりの位置に設置するものでございます。
 なお、これまでの暫定施設をつくってきた、その背景といいましょうか、理由でございますけれども、土地区画整理事業は、公共施設の整備と宅地の造成等を、ご承知のように同時に進めていく面的な整備事業でございます。このため、当然のことながら、宅地の利用開始時期に合わせまして公共施設を利用できるようにすることが施行者の責務でございます。この責務を果たすために、現在使われている施設をつくってきたという経緯がございます。
 その理由は、今回提案している施設の位置、つまり昭和通りに設置する出口、本来の位置でございますけれども、ここでの工事が、隣接地のビル工事と、長期間工事をしますと競合することや、さらには、大口径の水道管がここにございまして、その水道管を移設しなければならない。また、地下鉄十二号線がすぐわきを走っておりまして、その防護を行いながら工事を進めなければならないという制約条件が多々ございますことから、工事調整や設計などを含めまして五年を超える工期を見込まざるを得なかったわけでございます。
 そういったことから、さらに加えまして、先ほどお話ししました、平成十五年にまち開きをしたいという地域の大変強い要望がございまして、これに合わせるべく、五年もかかる工事を待てませんものですから、暫定的に現在の場所、環状二号線の予定地でございますけれども、そこは大変工期も、安く時間もかけずにつくれますので、そこに暫定出口を設置した、そういう経緯でございます。

○たぞえ委員 十五年前に都市計画決定されて、本来つける場所で手続がされているにもかかわらず、地下のさまざまな施設を想定されていたにもかかわらず、仮設の出口をつくり、今回、決定どおりのものをつくる。非常に税金の使い方、時間の使い方もいかがなものかなと思います。
 事前に伺いましたが、この仮設の出口は約三億円を投入した。今回の車路は十七億七千四百万円です。あくまでもビルの事業者の車を流すための出入り口、こういうところにこれだけの日数と税金を費やすということが、都の財政が厳しいといわれている中で、果たして適切なのかどうか。また、環状二号線の動きも非常に見えてきた段階で、この出口を仮設から新設に切りかえるということ、こういう目の前のことでの動きですね、長期的な展望ではなくて。こうした都市計画でいいのかどうか、このことを大変危惧するわけです。
 この点で、今回、この議案につきまして、私は異議を申し上げているわけでありますが、意見として申し上げたいのは、この汐留区画整理事業、環状二号線との一体となった開発であります。そして、莫大な税金の投入によって都心部の新たな開発を引き起こすものであり、とりわけ環状二号線は骨格道路として臨海副都心と各拠点開発を結ぶものであり、我が党としては承認することはできません。
 よって、本契約案件については異議を申し上げ、反対するものです。

○石井市街地整備部長 先ほどの委員のお話の中に、私が説明を落としていた部分がございまして、誤解があるといけませんので、一言ご説明をつけ加えさせていただきたいと思います。
 このまちづくり事業は、土地区画整理事業という手法で行いますので、地権者が土地を提供し合い、これを売却することで事業費の大部分を生み出し、そして整備をしていく、こういう事業でございます。全体事業費が千四百億余りでございますが、その九割以上を保留地財源、つまり今お話ししたような、地権者の方々が土地を提供し、その土地を売却して生み出す事業費で進めている、こういう事業でございますので、その点、お含みおきいただきたいと思います。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 この際、本案に対して意見のある方は発言を願います。

○たぞえ委員 契約案件について意見を申し上げます。
 汐留区画整理事業と環状二号線との一体となった開発であり、莫大な税金投入、そして都心部の新たな開発、とりわけ環状二号線は骨格道路として臨海副都心と各拠点開発を結ぶものであり、承認することはできません。
 よって、本契約案については異議を申し上げ、反対するものです。

○高橋(か)委員長 発言は終わりました。
 お諮りいたします。
 本案につきましては、ただいまの意見を含め、委員長において取りまとめの上、財政委員長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 以上で契約議案の調査を終わります。

○高橋(か)委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第二百九号議案から第二百十三号議案まで、及び第二百四十八号議案から第二百五十号議案までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求した資料につきましては、要求委員と理事者との調整の結果、取り下げられておりますので、直ちに本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大松委員 公明党の大松でございます。
 私の方からは、都営団地の指定管理者制度についてお伺いをいたします。
 来年度から都営団地の管理の一部に指定管理者制度が導入されることになりまして、このほど、その候補者が選定をされたところでございます。今回は、東京二十三区及び多摩地域それぞれ一地域ずつ、民間事業者も応募ができる、このようになったわけでございまして、両地域とも、民間事業者とともに住宅供給公社も応募したわけでございます。そして、選定の結果、両地域とも公社が委託をされる運びになっているわけでございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 そもそもこの指定管理者制度は、公社に限定をされておりました管理業務の委託先を民間事業者にも広げることによりまして競争原理を働かせ、そしてサービスの向上、業務の効率化、コストの削減を目指すものでございます。
 今回選定されました指定管理者の候補者が提案をしておりますサービス内容、これが従来のサービスよりもよくなっているのか。これはよくならなければ制度導入の意味がないわけでありますが、どのようによくなっているのか。また経費、コストの削減はどれぐらい進むのか、具体的にお伺いをしたいと思います。

○小林都営住宅経営部長 公社が提案したサービス向上の内容でございますが、窓口センターの営業時間を、現在平日十七時までのところを一時間延長して十八時にいたします。それから、窓口センターの営業時間外におきましても、平日は二十時まで電話による問い合わせを行うこととしております。また、今まで窓口でしか受け付けなかった減免申請書等の受け付けを郵送により受け付けることなどでございます。
 次に、管理費についてでございますが、受託料の協議のもととなります公社から提示された応募価格におきましては、平成十六年度決算値と比較いたしまして十数%程度低くなっております。都が実際に支払う管理の委託料は、提示された応募価格に基づき、都の予算の範囲内で決定することとなっておりまして、今後、都の予算が成立した後に指定管理者と協議して決定することとなります。

○大松委員 この制度が効果を発揮するためには、競争原理を発揮させるためには、この候補者の選定が厳正に、また公平に行われなければならないわけでございます。今回の選定作業、どのようにこの選定に公平性を持たせるのか、どのような手法がとられたのか、お伺いをいたします。

○小林都営住宅経営部長 指定管理者の選定に当たりましては、学識経験者や弁護士などの外部委員五名、局の職員二名から成る外部委員を中心といたしました選定委員会を設置いたしました。
 また、審査に際しましては、応募者名やロゴマークのない応募書類に基づき、事業者名が特定されることのない環境で審査を行うなど、選定過程の公平性、透明性の確保に配慮をいたしました。

○大松委員 さて、今回の指定管理者では、エレベーターの保守管理が指定管理者に委託をされるわけでございます。特に都営団地、エレベーター、大事な設備でございます。このエレベーターの保守管理のサービス、従来とどのように変わるのかお伺いいたします。特に災害時についてお伺いをいたします。

○宇多田参事 指定管理者は、エレベーターに関して、災害や事故等が発生した場合には、これまでと同様に直ちに適切な措置をとるとともに、災害の状況等について都に報告するとしておりまして、エレベーターの災害時等の緊急対応につきましては従来と同じでございます。

○大松委員 従来と同じでは、これは困るわけでございます。と申しますのは、この七月二十三日に、足立区で震度五強など広域にわたって地震があったわけでございます。幸い大きな被害はなかった、このようにいっていいかどうかあれですが、まちを一見しても大きな被害は見渡せなかったわけでございます。しかしながら、実は都内の都営団地、また民間のビルも含めて、多数のエレベーターが停止をしてしまったわけでございます。また、閉じ込め事件も多数発生をいたしました。
 特に都営団地は、障害を持っておられる方、また高齢の方が多数住んでおられるわけでありまして、エレベーターがとまれば外出もできない、また外出先から家にも帰れない、このような事態が多数発生したわけでございます。余りの被害の発生件数の多さに、エレベーターの管理会社も対応し切れず、深夜まで都営団地のエレベーターが復旧をしなかったわけでございます。私どもも、当時は区会議員、都議会議員、公明党全議員合わせて、北区内の都営団地を中心にエレベーターの調査をしたわけでありますが、そのような困った事態が多数あったわけでございます。
 こうした事態を教訓にして、今後、東京都として、地震時におけるエレベーターの保守管理についての対応をお伺いいたします。

○宇多田参事 エレベーターの震災対策につきましては、現在、国土交通省において社会資本整備審議会建築分科会の建築物等事故・災害対策部会を設置し、対応方針案を検討しているところでございます。
 都におきましても、関係局で構成する都施設等におけるエレベーター震災対策検討会を設置しまして、その中で、エレベーターの安全性確保に関し、地震時管制運転装置が装備されていないエレベーターの計画的改修や、新たに設置するエレベーターの基準など、また、救出、復旧体制の整備に関し、保守会社への連絡手段の多様化、建物管理者等が行う救出方法などにつきまして検討を進めているところでございます。
 都営住宅のエレベーターの震災対策につきましては、都の検討会の結果を踏まえ、都営住宅の特性等を考慮した上で適切に対処してまいります。

○大松委員 指定管理者の委託期間は、来年度から三年ということでございます。これまでの委託のあり方とも変わるわけでございます。営繕の部分も含まれるわけでありますが、指定管理者が担う部分は大変多いわけでございます。
 一応、確認のためにお伺いをいたします。東京都のエレベーター対策、これは決定した段階で速やかにこの指定管理者の業務に反映をしていただきたい。念のために、きちっと即座に反映できるのかどうか、お伺いをいたします。

○宇多田参事 エレベーターの震災対策は、利用者の安全にかかわる大切な課題と認識しており、今後の検討結果を踏まえ、新たな震災対策を行う場合には、必要な事項を指定管理者の業務に反映していきたいと考えております。

○植木委員 私も指定管理の問題なんですが、こうした公の施設に民間が参入できる状況をつくり出してきた。今回は公社が受託したわけですけれども、全体としての流れというのは官から民へということで、民間の参入というのを大きく進めようという動きが全体としてあります。これは後ほど審議になる建築行政についても同様だと思うのですが、今回の指定管理の問題についても、経済財政諮問会議の財界代表の牛尾氏を初め四名の連名で、地域の活性化と雇用創出についてという要求書の中で、行政サービスの民間移譲を阻害する要因を除去し、外部委託を具体化するための手法について、既存法の改正や地域再生法のような新規立法を含めて検討する、こういうことで政府内部に、内閣府や各省庁に検討委員会をつくらせる、設置する、こういう要望を出して、大体そういう動きになって、この指定管理者制度が導入されてきたというふうに思うんですね。
 しかも、いろんなシンクタンクでも、この指定管理者制度導入に当たって、新規の市場拡大のためにという趣旨で、八十社以上の参加のもとにパブリックビジネス研究会の設立が行われて、そういう中でも、公共施設の運営については民間企業の運営と切りかわり、民間企業にとって大きなビジネスチャンスとなる市場がつくられてきたと、こういうふうに手放しで評価をされているわけです。
 ですから、今回、都営住宅のみならず、各局でも論議されていると思いますけれども、指定管理の仕組みがつくられ、一斉にこれが行われようとしているということで、私どもは、もちろん民間全部を否定するつもりは全くありませんけれども、民間にゆだねていいもの、それから行政として最終的にまで責任を負わなきゃならないもの、こういうものは当然あるというふうに思っておるものですから、このたびは公社が受託ができたということでありますので、一つだけちょっとお聞きしたいんです。
 今回、公社が応募したと同時に民間企業も応募してきたと思うんですけれども、公社の事業計画、それから民間が提出している事業計画、これの写しをぜひ私ども縦覧させていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 選定されました事業者の提案した事業内容につきましては、指定管理者制度に関する東京都指針におきましても公表することとしてございますけれども、選定されなかった事業者の事業計画書につきましては、公表することによりその事業者の社会的評価が損なわれるおそれがあることから、非開示としております。

○植木委員 損なわれるおそれがあるというのですけれども、そんないいかげんな応募をしているのかというふうに、現物が見られないものですから何ともいえないんですけれども、やっぱり比較、どういう結論を出してきたのか、会社名は伏せても、やっぱり我々に一定部分は開示して、何がどう違うのか、民間がやった場合とどう違うのかというのは、やはり今後の--今回は公社になりましたけれども、今後、民間が採用されるかもしれないわけですよ。しかし、その中身がわからなくて結論だけ示される。公社だから引き続きやるからいいよとおっしゃると思うんですけれども、やっぱりそこはきちっと判断材料を提示するのが、私は行政としても責任があると思うんです、企業名は別に全部明らかにしろというふうには思いませんけれども。
 そういう意味で、本当に公としてのチェックが今度どう行われていくのか、そういう定期的なチェックや今後の体制についてはどういうふうになっているのか、お示し願いたいというふうに思います。

○小林都営住宅経営部長 業務の定期的なチェックでございますけれども、業務に関する実績報告事項につきましては、募集要項におきまして、議会の議決後に締結する基本協定において定めることとなっております。
 基本協定の締結に際しては、現在、公社に対して毎月、業務報告、業務実績の報告を求めることを踏まえて指定管理者と協議を進めてまいります。

○植木委員 業務報告などでチェックをする、それを私どもも実際に事業をやっていく中で問題点があれば指摘をしていきたいというふうに思いますけれども、今回とりあえず公社ですから、従来と変わりがないというのが大半だと。そういう意味で、私は、個人情報の保護や、それから窓口サービスの一層の充実、とりわけ高齢者や高齢単身者がふえている中で、そういう対応などを十分とってほしい。それから災害対策、そういう点はぜひ一層充実をさせていくように求めたいというふうに思っております。
 今後、推移を見て--募集の時期にまた民間が応募してくると思うんですけれども、そういう中で、私たちとしては、結局資料もないから何ともいえないわけですけれども、今後、具体的な点を行政として常に、官であれ民であれチェックをする、今度の姉歯事件もそうですけれども、本当にそういう点は最後まで貫いていただきたいということを重ねて要求しておきます。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。

○高橋(か)委員長 次に、報告事項、姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造とその対応についてに対する質疑を、前回に引き続き行います。
 説明の際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十一月二十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の特定行政庁及び民間指定確認検査機関別建築確認申請件数から、6の最近の都市計画制度・建築規制の緩和についてまでの六件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1の特定行政庁及び民間指定確認検査機関別建築確認申請件数でございます。
 平成十二年度から十六年度における建築確認申請件数を記載してございます。
 表側の区分で、行政と記載してございますのは特定行政庁分、民間と記載してございますのが民間指定確認検査機関分でございます。
 二ページをお開き願います。2の指定確認検査機関でございます。
 現在、都内で建築確認検査業務を行っている二十六機関を記載してございます。
 三ページをごらんください。3の構造計算書の偽造が判明した物件の検査機関及び下請の構造設計事務所でございます。
 物件ごとに、その所在地、検査機関、下請の構造設計事務所を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4の構造計算書偽造物件一覧でございます。
 特定行政庁、物件名とともに、右の欄には国土交通省が再計算した構造強度を示す数値を記載してございます。
 五ページをごらんください。5の建築確認における構造審査の種別でございます。
 構造審査の種別と対象建築物を記載してございます。
 最後になりますが、六ページをお開き願います。6の最近の都市計画制度・建築規制の緩和についてでございます。
 建築確認検査業務が民間に開放された時期以降の制度改正の主な推移を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋(か)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 けさの新聞報道で知ったわけなんですけれども、当時の多摩東部建築指導事務所が確認した小金井市の賃貸マンションにおいて、姉歯元一級建築士による構造計算書の偽装があったことがわかったということですけれども、その際、そのことについて、その経緯や概要、都の対応についてまずお伺いをいたします。

○野本市街地建築部長 若干長くなりますけれども、今お尋ねの小金井市内のマンションにおける構造計算書の偽装の疑いについてご報告いたします。
 一番目に経緯でございます。
 昨日午前十時過ぎに、賃貸マンション、アーバン武蔵小金井の建築主の世紀東急工業から都多摩建築指導事務所に連絡がありました。三点ございますけれども、まず構造計算を姉歯建築設計事務所が行っていたこと、構造計算書を精査した結果、数値の改ざんが加えられた疑いがあること、構造計算上の強度が不足している箇所があることが判明したとのことでありました。
 昨日十二時、建築主が入居者へ事実関係の告知、退去要請をしております。午後三時には建築主が東京証券取引所へ説明、四時には建築主が国土交通省で発表しております。
 なお、本物件は、都多摩東部建築指導事務所が平成十一年一月に建築確認を行ったものであります。
 建物の概要でございますけれども、建築主、設計、施工とも世紀東急工業株式会社、設計委託先が木村建設株式会社、構造計算を姉歯建築設計事務所に再委託しております。工事下請負が木村建設株式会社、構造、規模等がRC造九階建て五十六戸となっております。
 次に、都の対応でございます。
 都多摩建築指導事務所にて構造計算書を取り寄せて、早急に内容をチェックしております。その結果を見まして、必要により是正の指導をしたいと考えております。
 今後、都におけるチェック体制の実態調査や再発防止に取り組む予定でございます。
 なお、本物件は姉歯関連の追加調査七十二物件から漏れていたものでございまして、区市を含めまして改めて再調査を実施いたします。

○きたしろ委員 今のお話ですけれども、これは震度五強に耐え得る物件なんですか、そうでないんですか。

○野本市街地建築部長 今、多摩建築指導事務所で構造計算書を取り寄せておりまして、強度について再度調査をしているところでございます。結果が出次第、ご報告したいと思っております。

○きたしろ委員 話を聞いたところによると、ここは賃貸で、補修により入居ができ得るような話もちらっと聞いたのですけれども、その辺のところはいかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 まず冒頭に、今の質問についての訂正をさせていただきたいと思います。
 設計委託先ということで木村建設といいましたけれども、設計の下請として木村建設株式会社が行っているということで、委託でなくて下請ということで訂正させていただきます。申しわけございません。設計の元請は世紀東急工業、その下請を木村建設株式会社ということで訂正させていただきます。
 それから、ただいまのマンションの内容でございますけれども、賃貸マンションということでございます。(きたしろ委員「補修で可能かどうかという……」と呼ぶ)申しわけございません。構造計算の内容については都の多摩事務所で計算しているところでございまして、強度がどの程度のものか、あるいは改修が可能かどうかについても、現在のところまだ不明でございます。

○きたしろ委員 都は今検査しているのは確かで、そのとおりなんですよね。でも、世紀東急といえば大きな会社ですよ。みずからがチェックをしていると思うんですよ、この件に関して。その件に関しては報告はないんですか。

○野本市街地建築部長 建築主の世紀東急工業からの報告では、改修で大丈夫だという報告が来ております。

○きたしろ委員 まさに日本の安全という神話が崩壊してしまったのかなと、本当に心寒い思いをしているんですよ。今までは犯罪も安全だった、犯罪には非常に強かった。でも、今はもう本当に犯罪が多くなった。また、こういうまさに侍の世界、建築士という職業倫理を持たなきゃいけない人たちの世界ですら、こういうふうになってしまった。本当に情けない思いをしているわけです。
 今回の事件に関して当局は、この件は人災なのか天災なのか、どちらと思っていますか。

○野本市街地建築部長 天災なのか人災なのかということで、なかなか難しいお尋ねかと思うんですけれども、どちらかといえば人災に近いのではないかなと思っております。

○きたしろ委員 どちらかといえば人災に近いというのは、正直な話、皆さん方の認識というのは本当にそれでいいの。

○矢島住宅政策推進部長 今回の事態について、本会議でも知事から答弁させていただいておりますように、今回の事態の背景には建築確認制度にかかわる構造上の問題があって、国の責任が大きいということで考えております。また当然ながら、瑕疵担保責任を負う分譲事業者はもとより、偽造にかかわった当事者がその責任を果たしていく、そういった事態であるというふうに考えてございます。

○小林技監 人災か天災か、災害か自然災害かということですが、明らかにこれは人災でございまして、今回のもともとの発端というのは、国家資格を持っている一級建築士が構造計算書を偽造したという問題、それから、それを元請の設計事務所が気がつかなかった、それから確認検査の段階でも気がつかなかった、施工段階でも気がつかなかった。そして、結果として耐震上問題のある建築物が出現をしてしまった。それで都民にも大きな不安を与えているということですから、これは自然災害とは異なるというふうに思っています。

○きたしろ委員 まさにそういうような思いで、被害者を含め関係する人たちに対しても皆さん方自身がそういう思いを持ってもらわなければ、これから先いろんなことがあるかもわからないけれども、皆さん方自身がそういう使命感というのか、命あるいは安全を守るんだという使命感を持って頑張ってもらいたいと思っているんです。これは要望しておきます。
 そして次に、国の方が支援策を発表したわけですけれども、今、前回の委員会以降、連日のように目まぐるしく状況が変わっていっているわけですよ。きょういったって、またあした変わっているかもわからない。それでも、被害者の人々の生活の安全ということに対して国が支援策を発表したわけです。
 この支援策のときに、震度五強で倒壊するおそれのあるマンションを対象にしているということになっているんですけれども、震度五強ならば崩壊する、倒壊するおそれがあるということですね。そうしたら、震度五弱ならば大丈夫なのかどうか、その辺も含めてお答えいただきたい。

○野本市街地建築部長 建築基準法による耐震性を満足する数値を一・〇とした場合、当該建物の強度をあらわす数値が〇・五以下、こういったものは一般的に震度五強の地震で倒壊のおそれがあるということとされております。
 震度四であればどうかという細かい区分については、なかなか明確な表示は難しいかと思いますけれども、少なくとも〇・五以下のものは震度五強の地震で倒壊するおそれがある、そういうことでございます。

○きたしろ委員 まさに命にかかわる問題であるし、緊急ということで、居住するマンションの方々の安全確保や適切な支援を行うことは大変必要なことだと私も思っているんです。そしてまた、公的な支援策を発表したけれども、やはり円滑な生活再建に資するためという思いで発表されたと思っているわけです。
 でも、今回の偽造事件というのは、まさに人災なんです。だから、人災の支援策と阪神・淡路大震災のときのまさに天災と、その区別というのかな、支援策についてもその区別はする必要はあると思うんですよ。それぞれの人々が責任あるわけです。特定行政庁として東京都もあるわけです。あるいは、建築士とか業法の人たちも責任があるわけです。
 そういった意味で、阪神・淡路大震災とか自然災害を受けた人たちとの均衡を保つべきだと思うんです、補償という意味では。その均衡に関してはどのようにお考えですか。

○矢島住宅政策推進部長 今回の事態に対しまして、東京都といたしましては、まず国の責任において統一的な支援のあり方を示すようにということで強く求めてきたところでございますが、六日、国は支援策を発表し、居住者の方々の移転と危険マンションの除却を速やかに進めるため、建てかえまでを含んだ支援策をワンパッケージにした支援策を示したところでございます。この策定に当たって、国においては、阪神・淡路大震災での対応も参考に構築をしてきたということを聞いております。
 今後、東京都としては、国に設置されたワーキンググループの検討の中で、国や他県、あるいは区市と十分に協議し、適切に支援に向けて対応してまいりたいというふうに考えております。

○きたしろ委員 今回は、ある意味では、先般も申し上げたのですけれども、特定のグループが大方関与しているというふうに思っているんですよ。そういう中で、今、建築基準法違反とか、あるいは建築士法違反とか、そういうようなことで業法で対応、告発みたいな形になっているんですけれども、それだけでは足りないと私は思っているんですよ。やはり刑事事件というのかな、刑事事件に当たるような視点で真相解明をすべきだというふうに思っているわけです。
 そして、真相がもし解明されれば、それらの財産、特定のグループの財産を差し押さえするとか、あるいは賠償に充てるのがまず第一であろうと思っているわけです。建築確認事務は、判例等から見ても公的な事務になっているんです。すべて民民の問題だからとして処理するわけにはいかないと思うんです。しかし、だからといって、関係者が倒産した場合とか破産したとか、そういうふうな場合、その責任を追及しないで、すべて公的資金投入ということは、納税者は納得しないと思うんですよね。
 例えばの話ですけれども、バブル経済が崩壊して破綻した大銀行がある、そこのトップクラスが多額の退職金を得て優雅に暮らしている。そういうのを見ると、貯金をしていた人たち、庶民感情からはとても許されないと思うんです。そういった意味で、今回も、ある意味では公的資金が投入をされようとしているわけですよ。そうした場合は、関係企業にきちんと責任をとらせることが大切な姿勢だと思っているわけです。
 今回の結果、この事件に関して、バブルのときの銀行の偉いさんと同じようなことであってはならないと私は思っているわけです。被害に遭われたマンション居住者の皆さんには私も同情はしておりますけれども、やはりできることとできないことをきちんと説明しなければならないだろうと。
 そして今回は、退去するに当たっての補償の一線をどこにするのか、これからのことを考えると非常に大切だと思うんです。そうした意味で、都はどのようにその補償については認識されているのか、お伺いいたします。

○矢島住宅政策推進部長 今回の事態において、当該のマンションは、大規模な地震が来ればマンションが倒壊する、そういう危険性のもとに置かれているということで、たっとい人命の安全を確保するため、非常に緊急性が高い、そういう状況にございます。
 一方で、もとより分譲マンションは私有財産でございます。その改修は本来自己責任で行うことが基本であり、今回の場合でいえば、責任を負うべき関係者がその責任をきちっと果たしていくということが重要なんだろうというふうに考えております。
 こういったことを総合的に勘案して、今回、国に設置されたワーキンググループの検討の中で、支援の内容について国や他県、区市と十分に協議し、対応していきたいというふうに考えております。

○きたしろ委員 天災と人災と、そして補償という問題はやはり大切な視点だと思いますので、その辺のところは適切に判断をしていただきたいというふうに思います。
 宮城沖地震以降、改正された建築基準法で新耐震法になりましたね、耐震基準が変わった。しかし、今現状で、その耐震基準を満たさない住宅が多数あると聞いているわけです。都内では二百十一万戸、そのうちマンションは二十二万戸あるといわれています。今回、国が示したスキームでは、国民の不安への対応として、国庫補助制度を活用したマンション等建築物の耐震診断などの促進が盛り込まれているわけですけれども、耐震性に問題があるマンションに対し、都はどのような対策を講じていくのでしょうか、お伺いいたします。

○山室参事 本来、分譲マンションは私有財産であることから、所有者みずからが管理し、耐震診断などを行うことが基本と考えております。しかし、分譲マンションは戸建ての住宅と異なり、多数の区分所有者による共同住宅であり、そのことから合意形成の困難さが伴います。こうしたことから、都はこれまで、改修工事に伴う耐震診断につきましては、マンション改良工事助成制度の対象としてきたところでございます。
 また、先般発行いたしましたマンション管理ガイドラインでは、管理組合による耐震対策の必要性と手順などにつきましても解説し、普及啓発を行っているところでございます。
 国庫補助制度の活用につきましては、今回、国からの要請や市町村の動向を踏まえて研究していきたいと考えております。

○きたしろ委員 補償の話はこれぐらいにしておきますけれども、やはり制度について問題があると思うんですよ。今、住宅性能保証制度がありますけれども、これは、業界全体の保険制度を任意ではなくて強制的にしていくというのも一つの手だてではないのかなと思うんですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

○山室参事 住宅性能保証制度は、住宅供給者の住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく瑕疵担保責任、十年間の義務づけがございますが、この責任の履行を保険等によってバックアップする制度でございます。この制度によりまして、事業者のより円滑かつ確実な瑕疵担保責任の履行に有効な制度であると考えております。
 これに関連いたしまして、国の社会資本整備審議会では、売り主の瑕疵があった場合の賠償費用の責任能力及び消費者保護のあり方などにつきまして検討していくと聞いております。
 こうしたことから、都といたしましては、今後の国の対応を見守っていきたいと考えております。

○きたしろ委員 それはそれとして、見守っていくだけではなくて、やはり瑕疵担保責任というのは、今現実にもう、木村建設ですら倒産だどうのこうのといっているじゃない。やりっ放しだよ。そして、それをまた税金を投入してやるということ自体、その瑕疵担保責任というものは本当に大きな、これから業界全体が考えていかなきゃならないことだと私は思うんですよ。そういった意味で、ぜひその辺のところの業界に対する指導をお願いしておきたいというふうに思います。
 次に、昭和二十五年に制定された建築基準法ですけれども、先般お話があったように、アッパーが二十一日、確認申請から許可をおろすまで。というような状況で、今、木造住宅であったときの建築基準法を、先般もいいましたけれども、制度として現在の状況に合うような形での制度見直しを国に対して要望していく。皆さん方の専門的な知識で建築基準法をいま一度改めて見直して、ここは今と違う、これは将来おかしくなる可能性がある、いろんな意味でのチェック体制もする必要があると思うんですよ。
 だから、建築確認事務を、安全性を担保するために行政によるチェックを強化すべきと考えているんですけれども、どうお考えでしょうか。

○野本市街地建築部長 建築確認検査の民間開放は、官民の役割分担を見直しまして、建築確認や検査等の充実、効率化を図るために、平成十年の建築基準法の改正により創設されたものでございます。
 建築確認制度については、確認検査機関のあり方も含めまして、国に対し、都の現場での実務経験を生かした提案を行いながら、制度の検証と見直しを強く求めてまいります。
 都におきましては、都が指定した確認検査機関に対する定期的な立入検査の実施、あるいは構造計算書の審査マニュアルの作成など、区市と連携をとりながら実効性ある再発防止策を国の制度改革に先んじて実施していく予定です。
 これらの取り組みを推進しまして、信頼される建築行政の確立を図ってまいります。

○きたしろ委員 私たち素人ですから、よくわからないんですけれども、いろいろ聞いてみると、建築の設計、施工が一緒だとか、あるいは設計、管理、施工が一緒だとか、そういう、チェック体制という意味では、非常にこういうのは問題があるのかなと。もちろんコストの面もあるでしょう。しかし、命とか財産とか、一生に一度あるかないかの買い物をする人たちのためにも、やはりその辺のところは、行政側、東京都として、地方自治体のトップリーダーとして、こうした問題を国が責任持って--再発防止のために、都は今後どのように取り組んでいくのか、国に対してどのように申し入れをしていくのか、その基本姿勢をお伺いいたしたいと思います。

○野本市街地建築部長 まず、現行の建築確認制度でございますけれども、国が指定した確認検査機関の審査に自治体が実質的に関与できない仕組みとなっております。それから、国の指定確認検査機関への指導監督が不十分であることなどの問題点があることから、そういった問題点があります。
 そういうことで、国に対し、都の現場での実務経験を生かした提案を行いながら、制度の検証と見直しを強く求めてまいります。

○きたしろ委員 今、地方自治体が関与できないとかどうのこうのといっているけれども、特定行政庁として、けさの新聞に出たのが東京都じゃないの。第三者みたいないい方しているじゃない。それじゃいけないと、一番冒頭にいったでしょう。あなた今いった、特定行政庁が関与できない仕組みになっているどうのこうのと。みずからが特定行政庁じゃないの。そうでしょう。いま一度答弁してください。

○野本市街地建築部長 ご指摘のように、都における取り組みは大変重要でございます。
 その一つとしまして、まず、都が指定した確認検査機関に対する定期的な立入検査を実施いたします。それから、構造計算書の審査マニュアルの作成など、区市と連携をとりながら実効性のある再発防止策を国に先んじて実施してまいります。
 これらの取り組みを着実に実施しまして、信頼される建築行政を構築してまいります。

○きたしろ委員 情けなくなっちゃう、本当に。みずからが当事者なんですよ。当事者として都民に対してどう説明するんですかと。みずからが責任でしょう。責任があるんでしょう、けさの新聞報道には。
 直接関係していなかったかもわからない、もちろん。しかし、特定行政庁の幹部として、当事者としてどういうふうに反省しているんですか。

○小林技監 先ほど申し上げましたように、一級建築士がこういった構造計算書の偽造をして、設計、施工、それから確認検査、そういった各段階で見抜けなかった。その中に、当然特定行政庁としての都も、あるいは区の立場もございます。それから、民間の確認検査機関との関連もございます。どこにどういう原因があってこういう問題が発生したかということを徹底的にやはり検証すべきだというふうに思っています。
 都は都として、先ほども、都の指定した確認検査機関の立入検査だとか、あるいはチェック施設の中での例えば構造計算のチェックの中に問題があるのかなかったのか、そういったことを徹底的に検証した上で、実務者として国の方に制度改正などを強く要請をして、建築行政の信頼回復に努めていきたいというふうに思っております。

○きたしろ委員 やはり建設全体の問題ですから、ある特定のグループだけの問題ではないんですよ。まさに日本の建設業界全体にかかわる問題なんです、これは。そういった意味で、東京都も国も、あるいは特定行政庁も、いろんな意味で、皆さん自身がそういった意味での使命感を持って頑張ってほしいと、おれは一種のエールを送っているんですよ。そういう意味で、自信を持って、使命感、責任感を持って、公務員として頑張っていただきたいということを申し述べて、私の質問は終わらせていただきます。

○小沢委員 それでは質問させていただきます。
 私も、今回の耐震データ偽造問題について質問させていただきます。
 まず、一部重複になるかと思いますけれども、昨日発表されました、都の多摩東部建築事務所が建築確認をおろした小金井市のアーバン武蔵小金井について、構造計算書に数値の改ざんがなされた疑いがある、このようになっております。
 そこで、先ほどこの件につきましては、きたしろ委員の質問に対しまして、十二月八日、昨日の午前十一時に、この事実が多摩の事務所の方に入ったというご答弁がございました。現在、この構造計算書を取り寄せて確認中ということでございますけれども、この結果はいつ出る見込みでしょうか。

○野本市街地建築部長 今、大急ぎでチェックをしているところでございます。迅速な結果を出したいと考えております。

○小沢委員 おおよそで結構でございます。計算の業務はプロであると思いますので、これがもう二十四時間以上たっているわけです。二十四時間で一つの物件で計算が出ないのであれば、日常の今行っておるチェック事務ができるわけないじゃないですか。再度答弁をお願いします。

○野本市街地建築部長 一両日中に結果を出したいと考えております。

○小沢委員 慎重に慎重を期してのご答弁と理解いたします。
 それでは、この九九年当時の多摩東部建築事務所で建築確認事務を行っていた総勢は何名で、そのうちの構造検査を行っていたのは何名であるか、お伺いいたします。
 同時に、この年の建築確認を行った件数もお願いいたします。

○野本市街地建築部長 このマンションが建築確認されたのは平成十一年一月、当時でございますけれども、多摩東部建築指導事務所で建築確認事務を行っていたのは三十七名でございます。そのうち三名の職員が構造の審査を行っております。
 また、この平成十年度に多摩東部建築指導事務所が受け付けた建築確認申請の件数は約五千件でございます。このうち約二割が構造審査が必要な件数と想定されます。

○小沢委員 非常に多くの件数をこの人数で扱っているというのは、ちょっと驚きました。
 それでは、本当にこれだけ扱えるのか、先日の私どもの質疑、集中質疑の日に、ご答弁として、建築行政に携わる主事の方、そして職員の人数は適正である、このようにご答弁いただいておりますけれども、現時点でも本当に適正であるとお考えかどうか、お答えいただきます。

○野本市街地建築部長 多摩東部建築指導事務所で行っているものは、三階建て等、簡易なものが多いということもございます。そういうこともございまして、都は、建築法規や構造の知識のある職員を適正に配置し、建築確認業務を遂行していると考えております。

○小沢委員 適切であるというお言葉を信じますけれども、このままでいいのかどうか、この件はまた改めてお聞きしたいと思います。
 これはちょっと、今回のきたしろ委員の質問とも同じですけれども、この疑いがあるという事実が判明したときに、都としてはこの事実をどのように受けとめられたのか。先ほど来、ちょっと申しわけないですけれども、幹部の方々のご答弁をお聞きしますと、その表現に非常に疑いといいますか、悲しく感じるような表現がございます。改めて、都のこの事実に対しての受けとめ方をご答弁お願い申し上げます。

○野本市街地建築部長 今回の件については、現在まだ事実を確認中でございますけれども、事実であれば、これは起こってはならない大変重大な事件だと考えております。

○小林技監 これまで姉歯の構造計算書の偽造問題についてはいろいろな社会的な不安を起こしておりますけれども、これまで東京都が扱った物件というのは今まではなかったわけでございます。
 昨日、建築主である世紀東急工業株式会社から、そういった偽造があった懸念がある、構造耐力上も問題があるというような指摘を受けまして、早速その事実関係について今調査をしているわけでございますから、どういったところに問題があるかというのはこれから原因を究明していかなければいけませんし、事実関係も今の段階では確認をできていません。ただ、都が扱った物件の中でそういった懸念があるということについて、私どもは非常に重要だというふうに受けとめておりまして、どういったところに原因があるかということについて十分究明する、調査をする中でも究明をしていきたいというふうに思っております。
 ただ、当初国土交通省から発表がありました二十一物件については、構造計算書の偽造についても、入力と出力との関係を構造計算書をすりかえて、割とだれが見てもわかるような、そういった構造計算書の偽造ですし、正式な入力を、応力などを入れ込んで、水平力を入れ込んで、アウトプットで正確に計算をして、それから応力を落として計算、それを差しかえるというやり方ですから、確認検査の中でも確実にわかる、そういう案件でございます。
 ただ、今回の案件については、事業者の方から聞いている話では、構造計算を全部やり直してみて、初めの通常のチェックではなかなか気がつかなくて、事業者の方も、二日か三日のときには安全だということを、私どもの方にも問題がなかったという通知が来ていますし、そういった面では、ちょっと今までの問題とは異なって、かなり構造計算書の中身に入り込まなければいけない、そういう問題だったというふうに、事実関係として今把握しているのはそういう段階でございます。
 構造計算書のプログラムにつきましては、国土交通大臣の認定を得たプログラムを使っておりまして、その認定プログラムを使ったときには、どういう入力、例えば応力なり水平力なりが入っていて、途中の計算の審査というのはコンピューターの中で行うものですから、そこの部分で審査は省略されて、出力が正しく出ているかどうかというチェックをするということになっています。国土交通省でも、聞くところによりますと、プログラムの改ざんができるようなことがないような形での対応を図るというようなこともありますけれども、事実関係を十分に私どもも調査した上で、まだ今の段階では調査している段階ですから、結果を踏まえて適切に対応していきたいというふうに思っています。

○小沢委員 徹底した検証をお願い申し上げます。
 ちょっと仮定の話になって恐縮なんですけれども、万一このことが事実であるとされた場合、東京都はどのように責任をとられるのか、住民に対する救済は考えておられるのか、この点をお伺いいたします。

○野本市街地建築部長 先ほどから申しましたように、今、建築主から構造計算書を取り寄せ、多摩建築指導事務所にて早急に内容をチェックしているところでございます。その結果を見まして、強度が足りないということになれば、建築物の是正指導をいたします。

○小沢委員 これは仮定の話ばかりで申しわけないんですけれども、建築主から東京都は今回訴えられる可能性があるわけですけれども、万一そのように訴えられた場合は、どのように受け取られるのか、争うおつもりがあるのかどうか、お聞きいたします。

○野本市街地建築部長 訴えられる可能性があるということなんですけれども、仮定のことに現時点で答えるのは適切でないと考えております。

○小沢委員 想定しておりました、想定内の答弁でございます。
 都はこのような偽装が出てきた事実に対して、このような事態を想定した調査というのは行わなかったのか、もし行っていたとすれば、なぜ見逃したのか、もし行っていないとすれば、なぜ行わなかったのかをお聞きしたいと思います。

○野本市街地建築部長 東京都は、この問題が発覚した時点から、直ちに区市と連携しまして、姉歯建築士が関与したとされるマンション等について、全力、総力を挙げて点検を行っております。現在も精査中でございます。
 なお、今回建築主から偽装の疑いがあると連絡のあったマンションの建築主、設計者、施工者は、建築計画概要書においてはすべて世紀東急工業株式会社となっております。下請として木村建設あるいは姉歯建築事務所が関与していたのですけれども、そういった事実が把握できず、点検の対象外となっていたものでございます。

○小沢委員 最後に質問させていただきます。
 前回の集中審議の際に、今回、姉歯がかかわった物件以外にも、どんどんと疑いのあるところを調査すべきであると私どもは主張させていただいておりますけれども、そのような調査に現時点で着手されているのかどうか、これをお聞きしまして私の質問とさせていただきます。

○野本市街地建築部長 調査対象でございますけれども、まずは姉歯元建築士が関与していることがわかっている物件が優先するのかと考えております。そうした姉歯元建築士が関与していることがわかっているものについては、すべて調査をいたしております。
 現在、警察の調査も始まっておりまして、今回のように新たな関与がわかった物件があれば、当然、それらについてもすべて調査を実施いたします。

○小沢委員 最後に、一言だけお願い申し上げます。
 この事件、発覚してから、この建築確認事務そのものに制度上の問題があると思います。国の方針を待たずして、当該、このような問題を扱う都市整備局として、また東京都として、独自の再発防止策を出していただきたいとお願い申し上げます。
 以上で終わらせていただきます。

○大松委員 今回の耐震強度偽造問題、大変根が深く、大きな広がりを見せまして、社会に暗い影を投げかけているわけでございます。私も先日、委員会視察でこの偽造マンションを見させていただきました。賃貸ではございましたが、分譲の方もおられまして、新築のいい香りのするマンション暮らしを始めたやさきに、一気に奈落の底に突き落とされた被害者の心情を考えるときに、本当に被害者の皆様に対して深く思いをいたすわけでございます。
 何よりも、このたび公的な支援のスキームが示されたわけでございます。人命にかかわる問題でありますので、早急にこれを実施して、居住者並びに周辺の住民の方の安全の確保をしていただきたい、これをお願いするわけでございます。
 その上で、先ほど人災か天災かというようなお話がございました。いうまでもなく人災であります。また犯罪であります。この加害者は、一体、自分の行った行為をどのように考えているのか。
 震度五強で倒壊をする。この七月にも足立区で震度五強の揺れが観測をされているわけでございます。現に人が暮らしているマンション、また多数の方が宿泊をされるホテル、これが倒壊をすれば一体どうなるのか。建築の専門家である加害者、専門家でありますから、こうした事態を鮮明に自分の心中に思い浮かべることはできるはずであります。私はそこに大変に許しがたい悪意がある、このようにいわせていただきたいと思います。
 その上で、今回、公的なスキームが導入されるということでありますけれども、本来、この事件の責任は一体だれにあるのか、この追及の手を東京都としても緩めてはならないわけでございます。
 阪神大震災等、災害等の被災者、そうした方との整合性もございます。また、一般的な犯罪の被害者との整合性もございます。ただ、今回のこの事件、いえることは、やはりここに行政の責任が関与しているわけでございます。けさの新聞報道でもございましたけれども、まさに行政責任としては東京都も当事者になってきたわけでございます。
 このように、今回、公的な資金が投入されるに当たっては、本来の原因者への責任追及、ここをあいまいにしては到底都民の納得は得られない、このように考えるわけでございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 まず何よりも、居住者、周辺住民の安全確保を急いでいただきたい、しっかりやっていただきたい、これを改めてお願いするわけでございます。その上で、この姉歯設計事務所を初め本来の原因者に、これから東京都が負担をする費用を厳しく請求をしていかなければならないということでございます。法律的には大変複雑な枠組みになるかとは思いますが、東京都が公的負担をする分をしっかり求償するような形で、たとえ最後の一円、二円までもきちっと請求をしていただきたい。
 既に、先ほどお話がございましたけれども、破産であるとか倒産であるとか、そんな動きもありますけれども、こうしたことは絶対に許さない。一円、二円、最後まで請求をして、その中できっちり回収できるように、資産の仮押さえ等も、そういったようなこともございましょう。こうした民事上の責任の追及、東京都の取り組みをお伺いいたします。

○矢島住宅政策推進部長 今回の事態、売り主である企業が瑕疵ある物件を販売しているということで、当然のことながら瑕疵担保責任を負うべきであるということがまず第一であろうというふうに思います。
 東京都といたしましては、宅建業を指導する立場から、従来から、事件が、問題が明らかになって以来、数次にわたりまして、売り主に対して誠実に瑕疵担保責任を履行するよう強く指導をしてきたところでございます。しかしながら、一方で、居住者の生命の安全を守るという観点から、都としても国とともに公的支援を行うということにいたしたわけです。
 今回、こうした公的支援にかかわる費用について、先般、国土交通大臣が、売り主に対して請求をするということで関係省庁と検討を進めているということで発言を伺っております。
 都といたしましても、国と連携しながら、対応について検討していきたいというふうに考えます。

○大松委員 きちっとこれは最後の最後まで請求をしていただきたいと思います。と申しますのは、こうしたところの姿勢が手ぬるい。やはりその姿勢は、今後の再発防止に対する姿勢、また、この建築事務に取り組むに当たっての姿勢と裏表になるわけでございますので、この原因者に対する責任の追及は、これからの東京都の建築行政の姿勢でもある、このような思いできちっとやっていただきたい、このようにお願いをするわけでございます。
 また、前回の委員会できたしろ委員から指摘がありまして、この刑事責任の追及がございました。国とともに連名で告発をする、このような答弁があったわけでございますけれども、結果として、事務手続上、国が先んじてやってしまったということでございます。しかも捜査も始まっているわけでございますけれども、ここはやはり、被害者と、また納税者の立場に立てば、原因者に対する責任、民事も刑事も徹底してやるんだ、こういう東京都の立場を鮮明にするためにも、今からでも、まさに、けさ報道で東京都も当事者、このようになってきたわけでありますから、都は都として単独ででも刑事告発をすべきである、私はこのように考えているわけでございます。
 そして、もう一つお伺いをいたします。
 この再発防止対策でございまして、前回の委員会では、公明党の長橋委員からも、この再発防止に対して質問をさせていただきました。また、昨日、一昨日の本会議でも梶山局長が、国の制度改正に先駆けて再発防止策を強化する、このような決意が表明をされまして、定期的な立入検査、また検査マニュアルを作成する、このように表明をされているわけでございます。きょうは、これについてもう少し具体的にご答弁をいただきたいと思います。

○野本市街地建築部長 都が取り組みます再発防止策等でございますけれども、まず、国における制度見直しとは別に、都は現場での実務経験を生かした提案を行いたいと考えております。その結果、制度の見直し等が必要であれば、国に強く求めていくことを考えております。
 具体的な内容におきましては、現時点では、先ほどからのダブりになりますけれども、都が指定した確認検査機関等に対する定期的な立ち入りの実施であるとか、あるいは構造計算書の審査マニュアルの作成等でございますけれども、そのほかにも、検討の結果、さまざまなものが出てくれば、その時点で国の方に働きかけ、あるいはみずから実施していきたいと考えております。

○大松委員 姉歯の偽造の手法は一通りではない、このように聞いておりまして、いろんな複数の手法で偽造があったとも聞いておりますので、また今回も、東京都の建築確認の中でもこうした偽造が出てきたわけでございますので、きっちりと効果のある再発防止、これについてしっかり取り組んでいただきたい。お願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○たぞえ委員 耐震偽造問題で政府が被害者支援を決めましたが、解体費、家賃などへの補助は当然で、これについては都民からも歓迎の声が聞こえる一方で、一番問題なのは、数千万円の規模で住宅ローンを抱きかかえたままという居住者の実態をどう解決するか、その道筋が示されていないことです。同時に、建築確認事務が民間に開放されたことで行政の指導や監督が届かず、また欠陥住宅対策としての住民補償の仕組みも、整理、また準備されてきませんでした。
 そこで、初めに伺いますが、国土交通省総合政策局不動産業課長は七日、ヒューザーに対して、売り主としての誠実な対応についてという指導文書を出しましたが、都は承知されていますか。

○矢島住宅政策推進部長 承知してございます。

○たぞえ委員 この文書は、売り主としての瑕疵担保責任を誠実に果たすことを改めてヒューザーに指導する、こういう文書であります。
 このヒューザーは、建物売買業、不動産取引業として都に登録している企業ですか。

○矢島住宅政策推進部長 都の免許業者ということになります。都知事免許業者でございます。

○たぞえ委員 今いわれたような登録企業でありますから、都が適切な指導監督をヒューザーに行うことは当然であり、改めてこれを強く要求しておきたいと思います。
 同時に、銀行などの金融機関がヒューザーに資金を融資して、この資金で建物をつくり、ヒューザーは金融機関を買い主に紹介して利益を上げてきた。この点でも、被害を与えた当事者の最大責任が求められるのは当然でありますが、加えて、この企業に融資をした関連金融機関、また欠陥住宅を提供した不動産会社の責任も明らかにする必要があると思いますが、どうでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 売り主に対する指導ということは、先ほど国のご紹介がございましたけれども、東京都では、問題が発覚して以来、売り主企業をこれまでに三度にわたって呼びましてお話を聞き、当然のことながら、瑕疵担保責任を誠実に履行するようにということで強く指導しているところでございます。

○たぞえ委員 かかわった関連金融機関や不動産業界ですね、これはいかがですか。

○矢島住宅政策推進部長 関連企業、金融界その他についての責任ということでございますが、これらについて、直接私どもとして責任を追及する立場にはございませんけれども、例えば金融業界においては、今回の事態に対して、融資その他について特別な取り扱いを行うということで申し合わせをするということも聞いておりますし、それぞれがその責任において対応しているというふうに承知をしております。

○たぞえ委員 金融機関はヒューザー等に対して資金を提供しているわけであって、しかも、ヒューザーなどが国の公金を使って救済してもらおうと、こういう姿勢でいるわけですよ。みずからつくった事態を国民の税金で手当てをしてもらおうなどということを我々は認めるわけにいかないです。やはり金融機関が、こうした物件をつくり販売をした、その大もとの建築主に対して資金を提供しているわけですから、そこにもメスを入れない限り、本来の解決策は生まれない、私はそのことを強く要求をしておきたいと思います。
 そこで、一昨日の七日、東京都も参加している第五回構造計算書偽造問題対策連絡協議会が国で開かれました。この協議会では、当面の対応として、居住者の受け入れ住宅あっせんや相談窓口の開設などが議論されましたが、東京都はどのような姿勢でこの協議会に臨んだのでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 ご指摘の構造計算書偽造問題対策連絡協議会、十一月十八日に国交省に設置をされておりますが、都もその開始以来、協議に参加をしております。東京都といたしましては、この協議会の場などを通じまして、まず国が統一的な支援のあり方を示すように求めてきたということでございます。
 七日の協議会におきましては、六日に発表されました公的支援の統一的な取扱方針を検討するワーキンググループが設置されるということが決定をいたしました。東京都としては、この場に参加をして今後協議をしていくという考えでございます。

○たぞえ委員 この協議会には、東京都のほかに、中央区、港区、新宿区、渋谷区、墨田区、江東区、足立区が地方公共団体として参加をしています。文字どおり緊急の被害者救済が求められている、そういう自治体がみずからこの協議会に参加をして、今後の対応を協議している。
 そこで、局長も先日の本会議で、転居費用や家賃の助成については統一的な取り扱いを検討されている、都として国や区市と十分協議し、適切に対応していくという答弁をされています。問題は、この統一的に扱うというところです。国が支援策を発表しましたが、居住者の皆さんからも、具体性が見えない、どう家賃補助や相談窓口の実施を図るのかということについての先が見えない、こういう声が出されています。そういうときだからこそ、都がリーダーシップを果たすことが大変大事だと思うんです。
 そこで、具体的にまず第一に伺うのは家賃助成です。
 先日の江東区のグランドステージ住吉の管理組合の理事長が述べられているのは、家賃の免除期間や建てかえまでの時間が明確でない、公的負担が幾らで住民負担が幾らなのか見えてこない、これでは住民の不安は解消できないというふうに語っていました。
 グランドステージ稲城の対策委員会の皆さんは、我が党へ要望に来られましたが、ここでも、ローン返済と新たな居住の家賃支払いの二重負担を負うことになり、家計が成り立たない、したがって、行政からの経済的支援を含め適切な援助を期待せざるを得ないと語られています。いわば家賃に対する助成を求めているわけです。この声に、都としては現時点ではどのような対応をされるのでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 公的支援についてでございますけれども、家賃等が検討が急がれる課題であるということは、都としても認識をしてございます。区市と連携をしながら、ワーキンググループの中で、国等と協議を鋭意進めてまいりたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 国との協議では、国は方針を打ち立てただけであって、具体化はほとんど見えてこない。私は、もっと都が家賃助成実施についてはアクションを起こして、国に提起をするべきであると思うのですが、行動は直ちに起こすべきだと思いますが、いかがですか。

○矢島住宅政策推進部長 検討が急がれる課題であるというふうに認識しておりますので、国との協議の中で鋭意検討を進めていきたいというふうに思います。

○たぞえ委員 鋭意といっているような時間の余裕はないはずですよね。もうあと数十日で年を越すわけですから、退去命令を受けた方々が年をどう越すかと、そういう事態に立っているときに、都民の命と暮らしを守るべき自治体が、国と鋭意協議をしてまいりますなんて、のんきなことをいっている場合かということを強く申し上げたいと思うんですね。
 公的支援の枠組みが余りにも規模が大きいために、当事者の負担を求めても、実際の負担能力を超えている、こういう事態です。特に政府の見解が私は問題だと思うんです。
 政府の見解ですが、私有財産制の国では個人財産の形成になるような支援はやらない、こういうふうに述べています。この大筋があるために、阪神大震災のときも中越の大震災のときも、政府は住宅再建の個人補償は一切やっていません。最近、自民党の政調会長が、阪神大震災や中越大震災のときも補償していないのだから今回もできない、こういっています。この大もとを見直さない限り、国民が納得できる方向に事態は解決に向かわないと思うんです。自然災害の被害者を含めて、生きていく上で必要な、不可欠な住宅の建設を公的に支援するスキームをつくることが今、大変急務であります。
 この点で、分譲住宅購入者のローン負担の軽減も急がれていますが、公営住宅への転入や民間施設への転入によって住宅費の二重払いを行っている人、いわば返済困難者対策が必要です。このことについては、都として方針を掲げているのでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 住宅ローンの問題でございますけれども、全国銀行協会が、本件にかかわる住宅ローン債務者から返済の一時繰り延べ等の要請があった場合、真摯に対応に努めるということを申し合わせしているというふうに聞いております。今後、各金融機関において適切に対応されるものと考えております。

○たぞえ委員 銀行協会が慎重に対応するように努めているといっていますけれども、これは、でも、被害者が金融機関からローンを借り受けて、さあ大変だ、返済をどうするのかという相談がなければ、それは成り立たない関係です。やはりこの問題でも東京都が率先して、融資を実施している、実行している金融機関に、居住者への金融相談の対応ができるように、都としてこうした金融機関に働きかけるべきだと思いますが、その実行はするべきと思いますが、どうでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、既に申し合わせができたということでございます。今後、各金融機関において適切に対応されていくというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 個人と金融関係の相談関係、取引関係だけが先行して、自治体としてはこれは推移を見守る、こういう姿勢でいいんですか。

○矢島住宅政策推進部長 支援の全体フレームにつきましては、先ほどご答弁させていただきましたけれども、国に設けられたワーキンググループの中で、今後統一的な取り扱いについて検討していくことになっております。
 個別ローンの問題については、当面、先ほどご答弁したような形で対応していくことになるものというふうに考えます。

○たぞえ委員 余り具体的に進まないので、次に行きます。
 今回の建物は、地震、震度五強に対応できないという話です。ということであるならば、保険会社が販売している地震保険ですね、地震に対応できない建物ですから、地震保険を活用するという救済措置もあると思うんです。いわば民としての責任を果たさせるということでありますが、この点での東京都の見解はどうでしょうか。

○水流住宅政策担当部長 地震保険に事後的に加入した場合におきましても、今回の件は地震保険の対象になると聞いておりますので、東京都として区市と連携しながら、その辺の情報を的確に提供してまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 最後に、相談窓口の関係で伺いたいと思います。
 偽造マンションとして退去命令が出ている稲城市のマンション居住者を、多摩建築事務所が特定行政庁として対応をされています。しかし、建築主事がいない稲城は、住民との窓口が断たれている状態です。稲城市役所内に多摩事務所や本庁からの職員を一定期間配置して、特定行政庁と同様の対応窓口支援体制を組むべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○中沢参事 稲城市では、今回の事態に対応するために、マンションの居住者のための相談窓口を設置いたしました。そのほかに、一般の市民のための相談窓口においても、マンションの居住者の方々の相談に応じていくということでございます。
 また、私どもとしても、現場での説明会に、建築指導事務所のほかに都の住宅主管課、それから稲城市の職員も出席をいたしまして、建物や転居先の住宅のあっせん等についてご説明を申し上げております。
 今後とも、これまでと同様の稲城市との連携をとって、居住者の皆様方の相談に適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○たぞえ委員 説明会等だけではなくて、日常的に東京都から職員を一定期間配置をする、そういう支援体制を強く要望しておきたいと思います。
 次に、相談体制で区部の問題です。
 私の地元世田谷で、民間機関の確認事務が〇四年までに四千四十八件ありました。この中には、木村建設五件、ヒューザー二件、森田設計二件、姉歯設計事務所がかかわった設計が一件、そして建築確認を行ったイーホームズが千七百四十五件、日本ERIが二千二百九十三件、偽造事件にかかわった会社の物件全体で四千四十八件、調べたらありました。世田谷区も、民間確認機関が建築確認をしたものだということで構造計算書のチェックを始めています。区民から計算書を持ってくれば見る、こういう対応をしているわけです。
 しかし、そういう方向になっている区もあれば、中央区や墨田、江戸川、荒川などのヒューザーによって被害を受けた地域の体制、また、建築主シノケンの港、新宿、渋谷、また偽造が発覚していない自治体、いろいろな温度差が現実にあるわけです。足並みがそろっていないと私は思いますが、広域自治体である東京都として、こうした各区市の共通の対応について、相談窓口支援体制をつくるべきだと思いますが、これについてはどうでしょうか。

○中沢参事 都はこれまでも、区市と連携しながら、住宅のあっせんの問題はもちろんのこと、建築の問題についても連絡調整を行ってまいりました。
 今回国において設置されましたワーキンググループにおいても、関係自治体間の統一的な対応について検討するということになっておりますので、その場も通じまして、関係区市との連携調整をさせていただきたいと思っております。

○たぞえ委員 相談窓口に関連して、公的住宅の入居の問題です。
 先日の当委員会で、東京都は十二月七日で都営住宅などの申し込みを機械的に打ち切るということを発表しました。私は、この問題の質疑で、実態に合わせて期間の延長を求めましたが、とうとう東京都は、居住者の実態や生活の目線に立とうとしませんでした。
 そこで伺いますけれども、七日に締め切った段階で、都営住宅などへの応募実態はどういう状況ですか。

○中沢参事 七日の締め切り時点でございますが、五十六世帯のお申し込みをいただきました。

○たぞえ委員 退去命令が出ている二百九十世帯中、分譲は百六十四世帯、うち五十六世帯が申し込まれました。したがって、百以上の世帯が七日の締め切り時点で決めかねていた、こういう状況であります。これは東京都として、予想に比べて多いのか少ないのか、どういう認識ですか。

○中沢参事 先ほど五十六世帯のお申し込みをいただいたということでございますが、これは、私どもがあっせんをいたしました五百戸に対してのお申し込みでございます。それ以外に、区市の方で用意いたしました公営住宅等のお申し込み、さらには都市再生機構へのお申し込み、それから自主的に民間の方の住宅をお探しになった方ということも合わせますと、残りは八十世帯ほどになっておるということでございます。

○たぞえ委員 これらの人々に五百戸の公共住宅を提供、あっせんをしようということでありましたが、手続は非常に少ないというのが事実です。これら申し込まれない方々の特徴とは一体何ですか。

○中沢参事 私ども、五百戸の住宅を緊急的に用意させていただきましたが、選定に当たりましては、地元に近い住宅を選定するように努めさせていただきました。また、駐車場の情報を差し上げるとか、それから下見をしていただくとかというきめ細かな対応をしてまいりました。
 各居住者の方々の状況につきましては、区市で適切に対応しておるというふうに承知しておりますが、今回応募されなかった方々についての個々の事情については、どういう事情があったのかということについては、ちょっと私どもとしては承知をしておりません。

○たぞえ委員 新聞で報道されている限りでいえば、入居期間が最大限六カ月しかない、また引っ越さなきゃいけない、また、ペットが飼えない、子どもの通学圏が距離が離れてしまう、家賃の二重払いができない、まさに悲劇のどん底に突き落とされていらっしゃるんですよ。一日から七日までのわずかな一週間で、公共住宅をあっせんしますと、こうボールが飛んできても、それにまじめに対応したいという努力をしても、対応できないだけの状況に被害者の方はいらっしゃるんじゃないでしょうか。
 私、改めて、まだ決めかねている方々のために、都営住宅や公社住宅、都民住宅あっせんをさらに募集をかけるべきだと思いますが、その方向に歩み出すべきだと思いますが、いかがですか。

○中沢参事 当初募集をさせていただく際にも居住者の方にはお知らせしてございますが、一月上旬には、募集状況を見た上で再募集をするというふうに考えておりました。ただ、現在改めて、こういう応募状況も踏まえまして、この募集時期につきましては検討させていただいておるところでございます。

○たぞえ委員 ぜひ速やかに年内に新しい住宅を確保できるように、最大限都として努力をしてもらいたいし、これなくして退去命令を受けた方々は行くところがないわけでありますから、この点での自治体としての責務を強く要求しておきたいと思います。

○高橋(か)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十六分休憩

   午後三時九分開議

○高橋(か)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○立石委員 地元であります中央区も、この姉歯関連の物件が二件ほどありまして、たまたま私も毎日通るところで、きょう京王プレッソイン茅場町というところを通りましたら、鉄板囲いを張りまして、解体をしようとしているのかどうかわかりませんけれども、この間も皆さんで、当該委員会で視察いたしました。高さがかなり高い。約五十メートルぐらいあったかと思いますが……。五十メートル弱ありました。あれが高速六号線に倒れたら、あるいはまた新大橋通りに倒れたら、阪神・淡路をイメージしながら、これは大変なことになると。今さらこんなところでいったら時間のむだになりますが、まことに大変な事件を起こしたものだということで、日本人もそこまで--日本人もといってはまずいですね、そこまで落ちぶれちゃったのかと。
 昔から、はりの成、柱間-柱間、一間四寸、聞いたことあると思いますが、はりの成というのはもう決まっているわけ。それに、二階建てならばプラス幾つ。大工の棟梁ならだれでも知っていることだ、こんなことは。小僧でも知っている。小僧という言葉はないが、見習いでも知っている。
 一九八一年に新耐震ができて鉄筋の量がどのぐらいふえたか、設計士ならばだれでも知っている。もちろん鉄筋工なら、なおさらよく知っている。だれでも二割だと。それが少ないわけですから、こんなことは、勘で見れば、見積書を見れば、図面なんか見なくたって、どんな難しいものを見なくたってわかるわけですよ。なぜそこが、デジタルだか何だか知りませんけれども、そういうものに頼るようになっちゃったんだろうか。よいかげんとか手塩にかけるとか、もともと、非常に大事な日本の文化というか、たくみのわざというか、そういうものがあったわけですね。
 これは何をいおうとしているかということは、そういうことが忘れられてしまっているんじゃないかと。ソフトだとかそういうことに頼り過ぎている。先ほども部長の答弁の中に、大変な事件が起きて、皆さんが徹夜に次ぐ徹夜で勉強されておることはよく理解できますが、勘というものをもっと働かせなきゃいけないのではないか、そんなふうに思います。
 例えば中央区でいいますと、同じ京王プレッソイン大手町というのがあります。日銀のあります本石町です。本石町の常盤小学校の隣です。心配になって、視察の日の朝、聞いてみました。大丈夫かと、失礼ながら。記録に残るから、おかしなことをいうと失礼ですけれども、大丈夫だと。どこで施工したんだ、どこが設計したんだと聞いたらば、だれでも知っているスーパー大手ですよ。
 そういうことを考えると、ここにやはり、現代人に何か大きな欠落しているものがある。精神論をいおうとしているわけではありませんけれども、そんなことを思いつつ、ミュンヘン再保険会社の、例の大都市の災害危険度指数という、これです、インターネットですぐ出てくるこれですね。世界第一の再保険会社でありますミュンヘン再保険会社によれば、大都市の災害危険度指数、東京七一〇、大阪、神戸、京都九二、ロス一〇〇、挙げるまでもありませんけれども、ニューヨークが四二、こういう数字が出ています。この七一〇が、この事件で一体幾つに再保険会社が査定するだろうか。質問通告しておりませんでしたけれども、技監どうでしょうかね。

○小林技監 残念ながら私、その中身といいますか、システムについて十分承知をしておりませんので、明確なご答弁はできませんけれども、ただ、日本の都市の安全性といいますか、地震が頻発する東京なり、日本という都市の特性に合わせた耐震基準、世界に冠たる耐震基準を持っていて安全な建物を建てるというそれは、設計士であり施工会社であり、それから行政であり、そういった信頼関係が多分あってできてきたんだというふうに思っています。
 そういう意味で、先ほどの七一〇というのは、私かなり高いのではないかと思いますけれども、自信を持った建物をつくってきた、我々もそういった行政の中で携わってつくってきたわけですけれども、こういった事件によって、仮にそういった評価なり何なりが下がることがあってはならないというふうに思っていますので、私ども、建築物の安全性に対して、早くそういった不安を払拭できるような、そういった体制をつくっていかなければいけないというふうに思っています。

○立石委員 ぜひそうあってほしいなと思います。私もよくわかりませんけれども、何でこんなに高いんだと。それは地震列島の上に東京があることはよくわかっておりますし、ことしの中央防災会議の発表でも、ご承知のとおり、大変危険で、活動期に入ったということをいっておられますから、わかるんですけれども、七一〇は法外ではないかと。ミュンヘン再保険会社というのはどういう会社か知りませんけれども、しかし、世界一の再保険会社であることはだれでも知っている事実でありますし、そういうことを考えていくと、非常に大きな命題をといいますか、課題をといいますか、現代社会に、この姉歯関連の事件は問題を提起しているような気がしてならないんですね。
 先ほどどなたか委員さんからも出ていましたけれども、阪神・淡路のときに、私有財産だからということで補償はなかったです、もちろんね。しかし、法律が改正されて、お見舞金というのでしょうか、何というのでしょうか、出ました。たしか三百万だったかな、二百万か。ちょっとわかったら教えてくれますか。だれかわかりますか。

○水流住宅政策担当部長 阪神・淡路のときそのものに出されたのではなく、その教訓を踏まえて被災者生活支援法というのができ、三百万を限度にして、震災等が起こったところに支給されるようになったと理解しております。

○立石委員 憤慨しながら質問しているんですけれども、七一〇は、ロスの一〇〇に比べて余りにも高い。地震はもっと発生するところはたくさんあるはずだと。私、知識ありませんけれども。しかし、それにしても、でか過ぎる。
 よくよく読んでみますと、ハザードという言葉が書いてありまして、地震、台風等、その他の発生危険性が約三分の一占めております。
 それから脆弱性。英語が書いてありますけれども、発音よくできませんので、日本語しかわかりませんので、脆弱性と書いてあります。住宅の構造特性、住宅密度、都市の安全対策水準の三指標から構成、こうなっております。つまりこれが三分の一を占めております。
 それから、経済上の影響規模に関連する指標。これは、読み方によれば大変光栄な経済大国を意味しているのではないか。
 つまり都民の大多数の方が、ここに買われた七割近い方がこういう状況になっているのではないか。さすれば、そのときにこういう事件に出会った場合に、ダブルローンを払うような仕組みになってしまっている。大変な世界経済に与える影響ということで、この七一〇という数字が出てきたのではないかと、素人なりに読んでおるわけであります。
 そういう意味において、早速、いろいろな意見がありますけれども、私は、政府がこのことに対応して素早い手を打ったということは--友人も何人かおりました。小名木川のそばの住吉ですか、あそこにお住まいになっている方があって、急に電話があって、聞いたらば、本当によかったといって感想を述べておられました。だから、それはありがたいことだというふうに思っていいと思います。
 しかもまた、この間見ていただいたグランドステージ茅場町ですか。名前が違うんだね、これは。八丁堀と茅場町といろいろ出ているんですね。売りやすいから茅場町になっているのかもしれませんけれども、国土交通省は八丁堀で、パンフレットがここにあるんですが、ヒューザー、グランドステージ茅場町となっているんですね。名前も変わっちゃっている。確認申請を出したときは八丁堀で確認、グランドステージ茅場町と名前も変わっている。
 しかも、ここは、実は新川一の三だったと思います。六月十四日に、三メートル、四メートルのタイルがばさっと同じ町内で落っこったんです。テレビにも新聞にも出ました。覚えておられる方もあるかもしれません。本当に通行人が二人、大重傷を負ったんです。救命救急車で運ばれました。そういうところなものですから、ご近所の方は大変ノイローゼになっていますよ、またかという顔をして。新川というのは、東京駅八重洲口を背にして十分ぐらい歩いてきて、亀島川を渡った左側のところなんですね。非常に都心そのものでありますけれども、その町内でまたかと、こういう声が出ているんです。
 一日も早くみんなに、周りの人に、地域の皆さんに安心してほしい。もちろん、こういう事件に遭遇された家族の皆さんにも、一日も早く不安感を解消してほしいという意味で、地方自治体や国が盛んに手を打ってくれているということには感謝しつつも、具体論は、先ほども申しましたように、国が四五%の自治体が五五ですか、ことしできた地域住宅交付金を使おうということでしょう。これの具体的な打ち合わせ、中身について具体的な話を、おわかりになりましたら、ひとつご答弁していただきたいと思います。

○矢島住宅政策推進部長 ご指摘のとおり、さきに国が発表した支援策につきましては、基本的に地域住宅交付金制度という既存の制度の枠組みを使うということでございます。そういったことで進めていくということで国から提案をいただき、東京都といたしましては、負担割合等に問題があるけれども、都民の生命と安全にかかわるものであるという観点から、この提案を受け入れて協力をするということを知事が決断をしたものでございます。
 今後、国が設けている協議会のもとにワーキンググループが設置されてございますので、この中で具体的な検討を進めていきたいというふうに考えてございます。

○立石委員 矢島さんね、きょうは十二月九日でしょう。十二月の中旬ごろまでに退去していただいて壊そうと、こういう状況ですよね。もうちょっと具体的な話になっていないでしょうかね。もうちょっと具体的な話だと、聞いた皆さんが安心されると思うのでね。

○矢島住宅政策推進部長 ご指摘のように、緊急な課題であることは十分承知をしてございます。ただし、さきに申し合わせをいたしましたように、自治体間で統一をとって支援をしていくという観点から、現在、区市あるいは国と協議を進めている段階でございます。
 早急に結論を得ていく必要があるというふうに考えておりますけれども、具体的な内容について、現段階で申し上げる段階には至っていないということです。できるだけ早く実施をしていく必要があるというふうには認識してございます。

○立石委員 具体的なご答弁は、急ぐということでいただいたわけですけれども、急いでほしいんです、もちろん。
 しかし同時に、国が四五で自治体が五五というのはアンバランスだと思うんですよね。石原さんもいっているように、国の責任で行うべきものだと、当然私もそう思います。
 さはさりながら、都民の苦しみ、区民の苦しみ、市民の苦しみということから考えれば、一刻も早くその不安をとるために、少しでも引っ張り出せる予算はなかろうかと。例えば都市計画的手法を用いてやることもできるわけでしょう。質問します。

○矢島住宅政策推進部長 公的支援にかかわる財源の問題でございますけれども、先ほども申し上げましたけれども、負担の割合四五対五五という地域住宅交付金制度に問題があるという認識は持っているところでございます。さまざまな事業手法を講じる中で、そういった問題についても十分考慮していく必要があるのではないかなというふうに考えてございます。

○立石委員 それは、今部長さんのご答弁は、いってみれば、まだまだほかにも手はあるよというふうに私は理解をしましたけれども、いいわけですね。

○矢島住宅政策推進部長 失礼しました。誤解を生じさせるような発言をいたしましたけれども、基本的に地域住宅交付金制度を使っていくということで、国の基本的な枠組みについて了解をしたということでございます。ただ、実際の事業の中では、それにとどまらずということは当然あり得るものというふうに考えております。

○立石委員 このことはこれ以上いう必要もないので、理解したことにいたしますが、少しでも知恵を出して早急に、いろいろな方法があるはずです。
 中央区一つとっても、まちづくり支援基金というのがあります。これは私が決めることではありませんけれども、こういう基金もありますし、いろいろな形でいろいろな手法があるはずですので、大変不幸なことではありますけれども、これを一つの大きな契機として、先ほど申しましたように、大きな意味で方向転換をする。職業と倫理、これは力説するまでもなく、皆様にいうのは失礼ですけれども、当然のことですね。
 さしがねは聖徳太子がつくったんだよ。聖徳太子がつくったさしがねには、財病離義と書いてある。財病離義とは、財政の財、病、離は離れる、義は大義、たくみの大義。本当にすごいと思いますよね、日本人の文化というか知恵は。さしがねがすべてを、心まで教えているわけですよ。
 そういうものを忘れて、デジタルで、何かフォーマットを入れればアウトプットされて出てくる。それで見てみんなやっちゃって、アウトになった。きのうも新聞見たら、何か株でえらい大失敗したみたいなことが書いてありました。所見をお伺いいたします。

○依田技監 被災者の支援につきましては、生活再建という形で、移転、仮住居、それから建物の撤去、そして再築という一連の動きの中で、それらがすべて見通しが立たないとなかなか出ていかれないということが現実にございます。したがいまして、最初の仮移転だけを切り離してやるということではなかなか難しいということで、最後のところまで早く見せてやらなければいけないということもございまして、その際に、各自治体あるいは住まいされている地域によって差があると、これもまずいということで、今ワーキンググループの中で、私も委員の一人として出させていただいて、そういったところを精力的に検討しているわけです。
 その際に、基本的に国は、今、地域住宅交付金制度を活用してやるというふうにいっております。さらに、再建のスキームとして、地方公共団体が基本的にやるスキームがあるということを示しておるわけでございますが、そういう中で工夫ができないかというようなことを、東京都は国の責任でやるべきだというスタンスがございますので、そういう観点から強く申し上げております。
 いずれにしましても、早くやるということが大事でございますので、鋭意努力してやっております。きょうも午前中やってまいりました。

○立石委員 そういうご答弁をいただくと、本当は、いえないけれども、もう寝ないでやっているんだなということをひしひしと感じます。みんな何か目がうるっとしていますけれども、ご苦労さまです。
 とにかく私は、こういうつらい立場に立ったときに、もちろん悪いやつはだれかというのはいうまでもないわけで、とんでもないのがいるわけですから、しかし、行き過ぎたことに対して、行政はもう少しストップをかけるようなことも大事だなというふうに思いますし、しかし、それは、流れとしての官から民へ流れることにストップをかけるという意味ではありません。これは、いろいろ先ほど各委員さんからお話がありましたように、再発防止のための仕組みをつくりながら、しっかりと官から民への流れは--これは膨大な数ですからとても、先ほどきたしろ委員さんも発言しておられた内容で、東京都の問題としてだって、なかなか大変な作業量だと思いますね。これらも考慮しつつ、官から民への流れは間違っていない。
 しかしながら、言葉をかえていえば、お得意さんから仕事をもらうわけですよ。友達の設計士に、役所で確認をおろすと幾ら、いわゆる民間の、ERIですか、イーホームズとか、そういうところへ頼むと幾らぐらいなのと大ざっぱに聞きました。そしたら即座に一・五倍、役所でやると四週間、民間でやると二週間と、即答で返ってきました。ああ、なるほど、それでは高くても、金利だとかそういうことを考えるとやり出すなということはよくわかります。しかし、先ほどの聖徳太子のさしがねじゃありませんけれども、それではたくみの大義が離れてしまうということを同時に知らなければならないな、そういうふうに思います。
 私が今何をいいたいかというと、複眼的に阪神・淡路を見ています。中越地震を見て、そしてこのことを今考えています。先ほどきたしろ委員さんからも、天災か人災かという大きな課題の中に表現されておりましたけれども、実はまだ幸いなことに、この事件が発覚して、どなたもけがをされていないんです。事故を起こしておらないんです、人的被害を。もちろん精神的には大変な被害ですよ。しかし、阪神・淡路は六千六百人でしたか、亡くなっているわけでしょう。いまだにあの方々に対する--あれから十年を経過したわけですね。この国の地方自治としても、この国としても、皆さんにわびなきゃいけない。だって、震災列島なんだから、来ることはわかっているわけですから、それをやっぱり仕組みをもっと考えていかなければならないと思いますが、ちょっと話が飛んでしまいましたけれども、局長、いかがなものでしょうか。
 総論として、考え方として、この問題と、姉歯の事件と阪神・淡路の事件を比較したときに、我々為政者というか政治、行政に携わる者として、大きな反省というか顧みるというか、そうしない限り、七割のダブルローン、ダブル住宅費になったら、日本経済はつぶれるとミュンヘンがいっているわけだから。どなたでも結構です。

○梶山都市整備局長 やはり今回の事件で一番大きいのは、何はともあれ、都民の行政に対するというか建築に対する不信とか不安、そういうものを取り除くことが私は一番最善の策だと思います。
 そういう意味で、都市整備局を挙げてこれについて、きょうも二人の技監にもご答弁していただきましたけれども、そういうことで総力を挙げてやっていますので、どうか先生方も私たち都市整備局のことを遠くから見守っていただきたいなと、こういうふうに思います。
 今回は、そういう意味では人災で、阪神・淡路とはちょっと違います。だから、そういう意味で難しさはありますが、しかし、都民の命を守る、これがやはり何よりも大切だということで、ここに主眼を置いてこれからも進めていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

○立石委員 局の大将の立派な姿勢を聞かせてもらったので、あとはスピードですね。そして、現場にいらっしゃって不安を持っておられる、もちろん当該物件の方々ばかりでなくて、周りの方々ですね。今いる周りの方々、地域の方も、多く都民が、うちのマンション大丈夫なのと僕に来ております。そういう不安をしっかりと払拭できるような信頼回復を一日も早く取り戻してほしいなということを要望して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○伊藤委員 まずは、連日の皆様方の熱心な業務に対して、心から敬意を表するものでございます。
 私の方から何点か質問させていただきたいと思っておりますが、まず、そもそも建築確認というのはどういうものなのか、初歩の初歩に返って教えていただきたいというふうに思いますが、実際、建築確認事務の具体的な業務の内容について教えていただけますか。

○野本市街地建築部長 建築確認事務ですけれども、建築物を建築しようとする場合には、建築主は事前に、その建築計画に関する図面や、今回問題になっております構造設計図書を添えまして、建築主事を置く自治体あるいは民間の指定確認検査機関に対して確認申請を行う、このようになっております。
 建築確認事務は、申請された建築物の意匠、設備、構造と、大きく分けますと三つの分野に関する計画が基準法あるいは関係法令に適合しているか否かということを、添付された図書に基づいて審査しまして、適合していると判断した場合には確認済み証を交付する、そんな流れになっております。

○伊藤委員 それでは、その建築確認事務は、東京都にとってどのような性質、種類の事務なのでしょうか。また、都に与えられた権限と、そしてその権限の及ぶ範囲はどのようなものなのか、具体的にお答えいただけますか。

○野本市街地建築部長 建築確認事務は、今申し上げましたように、申請された建築計画が法令に適合しているか否かを判断するということなんですけれども、また都は特定行政庁という性格を持っていまして、これは、民間の指定確認検査機関が違法な確認を行った場合は、その取り消し権限を有しています。
 ただ問題点は、民間機関からは建築計画概要書という、本当に簡単なペーパーなんですけれども、それによる報告しかなくて、自治体は実際には、民間機関の確認が正当かどうかという、そういうことに関与できない、こういった仕組みになっているということでございます。

○伊藤委員 今ご答弁いただいたことも含めて、さまざまな制度上の欠陥が指摘をされておりますけれども、東京都はこの問題についてどのように認識をされておりますか。

○野本市街地建築部長 ただいま申し上げました、民間確認検査機関が行った建築確認は、自治体が実質的に関与できない仕組みになっているということ、そのほかに、国が指定した民間確認検査機関については国に指導監督権限がありまして、その区域を所管する特定行政庁、東京都ですね、東京都にはそういった機関に対する指導監督権限がない、こういう問題がございます。
 このような制度の中で、民間の確認検査機関による建築確認事務は、区域を所管する特定行政庁である自治体の事務という最高裁判例もありますけれども、そういった矛盾点というか、考えますと、制度の改正が必要と認識しております。

○伊藤委員 石原都知事も常々、国と東京都の違いは何か、東京都は現場を持っているから現場のことがよくわかっているんだ、だから東京都がリーダーシップを発揮しなければいけないということをいっておられると思いますし、また、先ほどのどなたか部長さんからも、そういうご答弁がございました。であるならば、この問題が起こる以前に、実際に建築確認の事務に対して、国に対して要望を出されたことはございますか。

○野本市街地建築部長 正式な文書による意見書というのですか、そういったものは出したことはございませんけれども、日々接点のある中で意見交換はしてございます。

○伊藤委員 どのように日々の意見交換をされているかわかりませんけれども、それでは、東京都の意見が国の制度改正にどれくらい反映をされているとお考えですか。

○野本市街地建築部長 残念ながら、現時点では都の意見は反映されていないと考えています。このため、今、各区市と一緒に、改めてそういった制度の改正等、具体的な内容を詰めて具体的な申し入れをしようということで会議を持っていますので、なるべく早くその結果を取りまとめて国に要請をしていきたい、こんなふうに考えております。

○伊藤委員 ちょっと遅過ぎるんじゃないかなというふうに思うんですね。実際、東京都がいっている意見が国に対して取り入れられていないと認識をしながら、なぜ正式な文書を出すなど取り組みをしてこなかったのか、もう一度答弁していただけますか。

○野本市街地建築部長 やはり国に申し入れをするときには、実務を運営するというか、そういった立場で、より具体的な提案も必要かということで、特に文書にする場合には、そういった各区市の意見の集約も必要かということで、このような対応となっております。

○伊藤委員 ですから、それが遅いといっているんですよ。なぜ遅かったのですか。もう一度答えてください。

○野本市街地建築部長 遅いという指摘もございますので、これまで以上に一層検討を早めて、迅速な申し入れをしていきたいと思います。

○伊藤委員 この委員会の当初、きたしろ委員とのやりとりの中でも、余りにも東京都は当事者意識がなさ過ぎるというご意見が出されましたし、この意見というのは、恐らく都民の総意だというふうに考えております。
 東京都は、要は瑕疵担保責任がある民間企業のせいなんだ、制度を所管する国のせいなんだというふうにいっていますけれども、具体的に、では東京都として、そういう問題があるんだったら文書を出せ、出すべきなんだといえば、やるのが遅過ぎたというふうに、後手後手のように感じるんですけれども、そもそも建築事務に対して最終的な責任、これは最高裁の判決もありますけれども、部長はどのようにお考えになっているんですか。当事者意識が余りにもなさ過ぎると思うんですけれども、その決意と申しましょうか、都民が今受けている不安に対して、所管の部長としてどのようにこれから対処していこうとしているのか、もう一度答えていただけますか。

○野本市街地建築部長 今回の事件を発端に、特に都民あるいは国民の多数の皆さんが不安をお持ちだということは重大と認識しております。建築確認制度のさまざまな課題については、先ほど申しましたように、より迅速に検討し、具体的な行動を起こしてまいります。

○伊藤委員 同じやりとりが続きますので、それは本当に早くその要望を出していただきますようにお願いをしておきます。
 続きまして、指定確認機関についてお聞きをしたいと思いますが、都内を業務とする指定機関につきましては、既にこの委員会の資料要求に従いまして、二十六機関あるというふうに出していただきましたが、そのうち知事指定の指定機関は具体的にはどこなのでしょうか、お答えいただけますか。

○野本市街地建築部長 指定者別の数でございますけれども、知事指定が二、大臣指定が十五、関東地方整備局長指定が九ということで、合計二十六ということでございますけれども、そのうち知事指定の具体名でございます。一つが財団法人東京都防災・建築まちづくりセンター、もう一つが財団法人世田谷区都市整備公社でございます。

○伊藤委員 それでは、国の関係政令や指定確認検査機関指定準則というのがあるそうですけれども、そのさまざまなルールでは、指定確認検査機関の業務の体制、そして方法、役員の構成はどのように定められておりますか。

○野本市街地建築部長 指定確認検査機関の業務の体制、方法につきましては、建築基準法に基づき国土交通省令で定められておりまして、また国から、準則として原則的な運用の考え方が示されております。
 これによりますと、確認検査の業務は他の業務と独立した部署で行うこと、それから、確認検査員は制限業種、例えば建設業とかそういうものが制限業種となっておりますけれども、そうした制限業種との兼業の禁止などが示されています。それから役員構成ですけれども、制限業種に従事する役職員の割合は、原則二分の一以下であることが定められております。
 なお、都が指定した二つの確認検査機関についても、当然ながら、この基準に沿って体制、方法、役員等を定めております。

○伊藤委員 それでは、都内を業務区域とするすべての指定確認検査機関の職員数と、また、そのうち建築確認事務に従事をしている職員数はどれぐらいなのか、お答えいただけますか。

○野本市街地建築部長 都内を業務区域とする指定確認検査機関につきましては、先ほど申しましたように、国が指定した二十四と都が指定した二つ、合計二十六でございますけれども、これらの機関のうち、国が指定した確認検査機関の職員の数などは公表されておらず、都としては把握しておりません。
 また、都の指定機関につきましては、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターが職員数五十四人、うち建築確認事務に従事している職員は十人でございます。また、財団法人世田谷区都市整備公社は職員数六十人、うち建築確認事務に従事している職員は四人でございます。

○伊藤委員 それでは、この二十六機関の職員のうち、国土交通省のOB、また都職員のOB、区市町村のOBの職員は何名ですか。

○野本市街地建築部長 指定確認検査機関における国、都及び区市のOB職員についてでございますけれども、都においては把握しておりません。

○伊藤委員 東京都の指定した二つの機関についても把握しておられないんですか。もう一度お答えください。

○野本市街地建築部長 失礼いたしました。都が指定した二つの機関の建築確認事務に従事する職員数は、財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターについては十人、財団法人世田谷区都市整備公社については四人でございます。

○伊藤委員 それでは、株式会社であったりとか財団であったりとか、指定機関はいろいろな形があるんですけれども、出資金がどれぐらいあってとか、株主がだれなのかということは把握しておられますか。

○野本市街地建築部長 各機関に対する出資状況は把握しておりません。

○伊藤委員 今まで私、質問してまいりましたけれども、この数を出してもらいたいと、十日前にお願いをしております。政調会長からもお願いする、また花輪理事からもお願いするというのに、なぜこういった数字が出てこないんですか。どのように調べたのか、お知らせいただけますか。

○野本市街地建築部長 OBの職員の数などについてでございますけれども、各機関におきましては、職員の経歴など個人に係る情報は公表しないとされております。

○伊藤委員 それはだれが公表しないということを決めたのですか。国土交通省ですか、お答えください。

○野本市街地建築部長 各指定確認検査機関、それぞれの各機関において公表しないこととされております。

○安藤総務部長 若干補足させていただきます。
 民間企業に再就職する職員でございますけれども、これは自分の努力で勤め先を探しておりまして、都としてあっせんのような組織的なかかわりを持っておりません。したがいまして、都として情報を把握していないということでございます。

○伊藤委員 ですから、それを調べていただきたいと。二十六機関なわけですよ。これを多いと見るのか少ないと見るのかわかりませんけれども、皆さん、本当にお忙しくされていて大変だということはよくわかるんですけれども、十日間もあって、この二十六機関に対して調査をされているのかされていないのかということにも先ほどお答えいただけませんでしたけれども、具体的にどういうふうに調べたのですか。もう一度答えてください。

○野本市街地建築部長 各機関に問い合わせの結果、職員の経歴など個人に係る情報は公表しないということで聞いております。

○伊藤委員 これは、きのうのインターネット上のニュースなんですけれども、日本ERIの主要株主には大手住宅メーカー五社が名を連ねるということで、マスコミにはこの情報といいますか、マスコミはこの事実をつかんでいるんですけれども、東京都はなぜつかめなかったのですか。まず、このニュースはご存じですか。

○野本市街地建築部長 指定確認機関につきましては、特に二十六のうち二十四の国指定の確認検査機関につきましては、先ほどから申していますように、国に指導監督の権限があり、私どもにはございません。したがって、そういったものの把握はできておりません。

○伊藤委員 なぜこのようなことをしつこく聞くのかというと、別に天下りがいけないということじゃないんですよ。今、何を都民が不安に思っているのかといいますと、どういう人が建築確認をどういう形でやって、そして、どういう組織が建築確認をおろしているのかということを明らかにしなければいけないというふうに私たちは考えているからなんです。ですから、その点でぜひともご理解いただきたいな、そういうことを前提に答弁をぜひともしていただきたいなというふうに思います。
 それでは、先ほど数字が出てまいりましたけれども、東京都指定の確認検査機関二者で従事をしている職員数、要は、東京都のOBの職員がすべてその業務をやっているという理解でよろしいのでしょうか。

○野本市街地建築部長 OBの職員の数などにつきましては、先ほどから申しておりますように、各機関において職員の経歴など個人に係る情報は公表しないということで、都においては把握されておりません。

○伊藤委員 だって、自分で答えているじゃないですか。建築事務に従事している職員は十人と四人ですと。で、東京都からのOBは十人と四人ですと、自分で答えているのに、何でそういう答弁になっちゃうんですか。もう一度答えていただけますか。

○野本市街地建築部長 先ほど答弁しました、建築確認事務に従事する職員数はということで、まちづくりセンター十人あるいは都市整備公社四人というのは、それに従事する職員数ということで、OBということではございません。

○伊藤委員 それでは、この二つの機関が年間どれぐらいの確認の実績があるのか、教えていただけますか。

○野本市街地建築部長 二者の確認件数でございます。東京都防災・建築まちづくりセンターの十六年の取扱件数は百二十八件です。それから、世田谷区都市整備公社の取扱件数は、十六年七十五件でございます。

○伊藤委員 わかりました。
 それでは、東京都で建築確認事務に従事をしている職員は八十八名ということでありましたけれども、これは全員建築の技術職なのでしょうか。

○野本市街地建築部長 都で建築確認事務に従事している職員は、今ご指摘のように、平成十七年度で八十八名でございます。このうち建築技術職員は六十名、その他、建築設備を審査する機械技術職員や事務職員など二十八名となってございます。

○伊藤委員 それでは、そのうち構造の審査を行っているのは何名でしょうか。また、その人数で年間約七千件の建築確認を行っておりますけれども、業務量と人数のバランスは本当に妥当なものなのでしょうか。

○野本市街地建築部長 都では、年間約七千五百件の建築確認を行っております。このうち構造審査を必要とされるものは約一割強ということで、八百六十四件でございます。これに対し、構造審査に当たる職員は、建築構造を専門とする管理職を含む十名でございます。
 建築構造の審査に当たっては、建築構造を専門とする管理職を初め、構造計算に関する知識のある職員を適正に配置し、対応しております。

○伊藤委員 ぜひとも、国に要望を出すときに人材の育成--先ほど職員の人材育成を計画的に図るというふうにおっしゃっていましたけれども、民間でもこういったノウハウをしっかりと蓄積できる仕組みなり、また東京都の支援なりが必要だと思うんですけれども、東京都はこのような民間の人材の育成に対してどのように考えておられますか。

○野本市街地建築部長 私ども行政に携わる技術職員あるいは指定確認検査機関のレベルアップ、こういったことは大変大事かと思っています。今後とも、よく連携というんですか、育成について協議しながら対応していきたいと思います。

○伊藤委員 それでは、都民の不安が一日も早くなくなるようにさらなる努力をお願いして、私の質疑を終わりといたします。

○安藤総務部長 若干誤解があるといけませんので、ちょっと補足させていただきますが、先ほど、OBの職員の数を把握していないのはなぜかということで私がお答えしたのは、趣旨として、自分の努力で職を見つけているということですが、これをもう少し詳しくいわせていただきますと、いわゆる天下りというのは、組織がその人間をあっせんして行うということで、そういう意味で、組織として当然把握しているということでございますが、これは、さまざまに職員が民間企業に再就職するに際し、都としてあっせんしないで、職員みずからの力で、OBが在職中に培った知識、経験を社会に還元しようとすることで、例えば民間指定確認検査機関に再就職したOBについては、みずからの努力で勤め先を探しているものであるということで、いわゆる一般にいう組織的な天下りとは本質的に異なっている、そういうことから、組織としてその数を把握していないということでございます。

○長橋委員 それでは私の方からも、居住者の皆さん方の安全の確保、そして居住の安定について、東京都の取り組み、意気込みをお伺いしてまいりたいと思います。
 もうご案内のとおり、十二月六日に国土交通省が「構造計算書偽造問題への当面の対応」を発表されました。これについては、発表される前から、北側国土交通大臣は、取りまとめている、早い時期に発表する、このようにも発言をしておりました。そういう中で、この取りまとめ、私も発表になった日に、うちの国会の方の政審から取り寄せてみました。
 私の感想では、非常に思い切った方策が示されたと。この内容については、もうよくご存じですから申し上げませんけれども、いわゆる解体から、そして再建築、再入居、こういったスキームを示す中で、家賃の減免、転居費用等を含めて、税の減免についても盛り込まれているわけであります。
 そういう中で、先週ですか、本会議初日の前の日に、ここで集中審議をいたしました。緊急でありまして、審議をしました。そこで、私の方からも局長に、この再発防止に向けた取り組みの決意をお伺いしました。私はこの局長の答弁、今でも胸に残っているわけでありますが、建築物の安全確保を所管する局長としてざんきの念にたえない、このように発言がございました。そして、本質はモラルの欠如にあり、国とも連携して、制度の検証、モラルの向上に向けた仕組みの再構築に取り組んでいくと、先ほども局長からご答弁がありました。力強いご答弁があったわけでございます。私は、国とも連携して--もちろん国が、北側大臣も公の事務として責任があると明確にいったわけですから、国の責任を追及していく、これは大事だろうと思いますけれども、梶山局長のこのご答弁、国と積極的に連携してと、こういう思いで私はお伺いをいたしました。
 そして、翌日、本会議が開かれました。石原知事の所信表明をお伺いいたしましたが、この所信表明には、一言もこの構造計算書偽装問題については触れられておりませんでした。局長の前の日の答弁をお伺いして--恐らくこの時点では、石原知事の所信表明はでき上がっていたんだと思います。ですが、これだけ社会に大きな不安を与えた問題です。知事から一言あってしかるべきではなかったのではないかな、このような印象を持ちました。
 もう既に所信表明は終わりました。そして、六日に国交省が当面の対応について発表し、翌日、代表質問、きのうの一般質問でも、知事から再々この対応について答弁がございました。
 その答弁はどういう答弁だったかというと、国の監督責任が極めて重大である、国と対決するつもりだったが、まさに人間の命がかかっている問題だから、不本意ながら国の提唱を受けるという発言があったり、また、緊急措置として甘んじて受諾をした、こういう発言がございました。
 私は、この石原知事の発言、知事の独特の物いいであったかと思いますし、一生懸命やるという思いは伝わってまいりましたし、本会議の答弁で、梶山局長もこの問題についてはもちろん答弁がありまして、前向きの答弁をいただいた。
 しかしながら、この甘んじて受けるという発言、それは、最初は私も現場に見に行きましたし、それを受けて知事にも要望して、五百戸の都民住宅の提供、またその後、都も固定資産税、都市計画税の減免、その後どうするかという話について、知事は、二日の記者会見では何か思わせぶりな発言、伝家の宝刀もあるんだという発言をしたりしたのですけれども、どうもこの対応について、やはり都市整備局が知事に迫って、もっともっと、この問題は大変重要な問題だと、絶対、二度と起こしてはならない問題でありますから、知事に対して--知事は決して一生懸命やっていないということじゃないんです。都市整備局の皆さんは、十一月二十一日、この発覚以来、一日も休まないで、寝ないで働いているのも存じ上げています。ですから、国が発表した当面の対応についてどう取り組んでいくのか、これが僕は大事であろうかと思います。
 そういったことで、この国の対応、発表になったものについてどう評価していますか、まずご答弁いただきます。

○矢島住宅政策推進部長 委員ご指摘のとおり、今回のこの問題の背景についての認識をもとに、東京都といたしましては、建築確認制度に係る構造上の問題が背景となっているという認識に基づいて、まず国が支援の統一的な見解を示すべきだということで求めてきたところでございまして、その結果発表された六日の支援方策でございますけれども、負担割合その他に問題がございますけれども、都民の生命と安全にかかわるものであるため、これを受け入れ、協力をするということで知事も決断したものでございますので、今後、国から提示された枠組み、ワーキングの中で検討していくということで、積極的に対応していくということになろうかと思います。

○長橋委員 ともかく都民の生命を最優先して受け入れた、これは積極的に受けとめてまいりたいと思います。
 そこで、こういった六日の発表、先ほども申し上げましたけれども、北側大臣を初めマスコミも、国の緊急策が発表される、このようになっていたわけでありますが、この対応策について、事前に都は聞いていたのか。そして、発表になって、これはファクスですけれども、この内容について、意見や要望を国に対して都はいったのかどうか、まずお伺いします。

○矢島住宅政策推進部長 国の提案について事前に知っていたかということでございますけれども、事務的には、事前に特段の話は聞いておりません。
 また、発表の後につきましては、翌日の協議会の連絡その他、当然のことながら、そういった場への参加を通じて、国との話を具体的に進めつつあるというところでございます。

○長橋委員 聞いているやには、知事にはあったと思います。それはもう直前であろうかと思いますが。
 それを受けて、細かい内容はともかくとして、また、この内容をどう具体化していくか、どう対応していくかということは、都として大事な角度になってくるわけです、受け入れたわけでありますから。
 さまざまな居住者に対する家賃減免、また、再建して住むまでのスキームについて考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、このスキームについて、もう一度確認しますが、何もまだ国にいっていないのでしょうか。こういうことはちょっとこういう条件をつけたいとか、こういう意見があるとかいうことは、さっきいった連絡協議会の場でいうのでしょうか。その前にまだ一回もいっていないんですか、もう一回確認します。

○矢島住宅政策推進部長 冒頭ご説明をさせていただきましたけれども、東京都といたしましては、本件について基本的に了解をして、国とともにこの協議を進めていこうという立場でございますけれども、なお、この対応、スキームについては、負担割合等の問題があるという認識で、そういったことについては国とお話をさせていただいているという状況でございます。

○長橋委員 このスキームを見ますと、どう見ても地方公共団体の負担が非常に重いということは申し上げたという認識でいいと思いますし、そういったことであるけれども、どうやって住民の方々にどこまで負担を強いるのか、また逆に、行政としてどこまで軽減策を迫るのか、それは今答えろといっても、もちろん答えられないわけでありますけれども、このスキームについて、この対応について、都として受け入れたわけであります。
 しかしながら、これも、私見てもよくわからぬところもありますし、では、これは具体的にどうやるんだろうなということになってくると、今後の協議が必要だと思いますし、これは東京都だけの話ではなくて、千葉、神奈川、また見ると、姉歯がかかわった件数は全国で二十二件もある。また、改ざんの有無なんですけれども、それが十五件もある、こういうことであるわけです。圧倒的に多いのは東京都であります。二百八件のうち、姉歯がかかわったのは八十件、約四〇%が東京都にあるわけであります。
 また、このいろいろなスキーム、東京都は国のおひざ元ですから、この案に対して東京都が、国から待っているのではなくて、このスキームに対して具体的に、千葉や神奈川もリードしながら、そしてなおかつ大事なのは--実際に今、マンションやホテルがあった該当の自治体、区市は大変なご苦労をしているわけですから、住民の方々、今は若干対応がばらばらであったり、知事もいっています、神奈川はちょっとフライングだと、こんな話もいったりしました。区市によってもばらばらだったし、また業者によっても、その対応策はばらばらであるわけであります。
 そういったことを一つ一つ解決していくためには、このもとに、東京都が国の当面の対応策について支援策をまとめるべきだと、ほかの県もリードして。もちろん協議会でやるんでしょうけれども、東京都の案をつくるべきだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。

○矢島住宅政策推進部長 委員ご指摘のとおり、七日に、協議会のもとにワーキンググループが設置をされたということでございます。このワーキンググループの中で、家賃助成や建てかえ支援について、各自治体間での統一的な取扱方針を検討するということでございます。
 都といたしましては、区市と十分連携をしながら、この協議の場に臨んでいきたいというふうに思っております。

○長橋委員 余り力強いご答弁……。局長が国とも連携してと、私は、さっき、その前に積極的にという思いが入っていると。もちろんであろうかと思います。ぜひこの対応策について--今十二月九日、年内はもうわずかで終わってしまうわけです。まさに不安だらけの居住者の皆さん方、どうやって年を越せるだろうかと、この思いであろうかと思います。
 私も今週の月曜日、グランドステージ稲城の住民の方々にお会いしてきました。我が会派のプロジェクトチームがあるものですから、お邪魔をさせていただきまして、大変ご無理をいって、その居住の方の一室の部屋に入らせてもらいまして、居住者の方、昼間であったにもかかわらず、奥さんだけではなくて、ご主人の方も仕事を休んで、都議会議員が来る、東京都の職員も来る、仕事を休んで集まっていただいて、お話を聞きました。じかにお話を聞きました。私も聞きましたけれども、東京都の職員の方も同じ話を聞きました。同じ認識であろうかと思います。そういった意味で、その中でさまざまなご意見が、またご要望がありました。
 国がスキームを発表して、その前にも五百戸の都民住宅等の提供、こういったことをいってきましたけれども、恐らくそれ以来、皆さんが仕事をする中にあって、都民からさまざまな声があったのではなかろうかと思います。私は直接住民の方に聞きましたけれども、恐らく東京都の方にも電話等で、もっとしっかりやれ、こういう意見もあっただろうし、また、逆にご意見もあったかもしれません。しかしながら、この被災者の方を思うと、進めなきゃいけない、こう思うわけでありますけれども、さっき、阪神・淡路大震災のときはこうだったという話もあるわけですけれども、また負担の公平性という問題もあると思うんですけれども、まずは率直にどういうご意見があったのか、賛否含めてあったと思います。お聞かせ願います。

○矢島住宅政策推進部長 行政による分譲マンション居住者の実態に即した支援策の実施を求める意見があるわけですけれども、同時に、都民住宅等五百戸の提供を評価していただく意見、あるいは逆に、通常のマンションを購入するという、そういう中で発生をした問題に対して公的資金を導入することに疑問を呈する意見、あるいは、もっと売り主の責任を徹底的に追及するべきであるという意見、そういった意見、さまざまに寄せられているところでございます。

○長橋委員 公的資金の導入についても、いかがなものかというご意見もそれはあった。もっともっと売り主に請求すべきだと。ただ、実際に住んでいる方は--私もグランドステージ稲城に行きましたら、ヒューザーです。間違いなくヒューザーが責任を持って安全な建物を建てて、そこまで全部負担してくれるという保証はないし、間違いなくヒューザーにはできない、こういう認識になっているわけであります。
 そこで、国が発表したこのスキーム、地方公共団体が肩がわりして、その売り主等、建築主に対して交渉して、さらに再入居できるまでの道筋をつけた。そこの管理組合長が、今まではすべてが不安だった、どうすればいいのか。しかし、国のスキームを聞いて、若干ですけれども、不安は残っているけれども、何を心配すればいいのかが少し明確になってきた、こういうお話を聞きました。
 そして、そういう中で私が聞いたのは、都民住宅等の提供五百戸、しかしながら、稲城の方は、もう一度同じ場所に戻りたい、こういうふうにいっておりました。そうすると、一時入居、わずか三カ月、または半年の期間では、その後どうすればいいのか、本格入居をしたい、こういうふうにいっておりました。建物を壊して再建するまでに二年、三年かかる。その間、安心して住めるところに住みたい。一時入居だとそれはできない。しかしながら、本入居だとなかなか条件があるということでございます。
 本入居については、都営住宅は一時入居でありますけれども、都民住宅については本入居も認めているわけであります。ここら辺の本入居について、柔軟に対応すべきじゃないかなと。住んでいる方は、もちろん高齢者の方もいますが、働き盛りの三十代、四十代の方が多いわけであります、お子さんも小さい方が多くて。ですから、まだローンを払い始めたばかりで、奥さんと共働きをせざるを得ない、こういう中で、家賃の二重負担のことも不安をいっておりましたけれども、収入もそこまでやらないと、今のマンションでさえ維持できないという状況で、なってしまったわけです。都民住宅の入居について柔軟に考えるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○中沢参事 マンションの居住者の方々の切実なご要望というのは承知しております。今後できるだけ柔軟な対応が図れるよう、国や関係機関と協議してまいりたいと考えております。

○長橋委員 今ご答弁がありました、柔軟に考えると。もちろん都民住宅等も資格があるわけでありますから、柔軟に考えていただきたいことをお願いします。
 先ほど、申込時期についてお話がありました。申し込みの時期に申し込んだ方は五十六件あった、こういうことでございます。しかし、国や地元の区市が提供した住宅もあるので、残りは八十件ぐらいですと、こういうことであります。申し込みの五十六件の内訳、一時入居と本入居の申し込み、どうなっていますか。ちょっと教えてくれますか。

○中沢参事 先ほど、五十六件のお申し込みをいただいたということでございますが、一時入居というご希望が四十件、本入居というご希望が十六件でございます。

○長橋委員 一時入居は四十件。恐らく一時入居の方、事情はそれぞれで一時入居で申し込んだろうと思うんですけれども、とりあえずは一時入居に入って、それから本入居するというご希望の方も多いのではなかろうかと思いますし、また、地元区市の住宅に入って、そこでいいという場合もあるでしょうし、また、ぜひ都民住宅に本入居できればなと、こういう人もいるかと思います。
 また、残りが八十件、まだ事情があって申し込みをされていない方もあるでしょうし、民間に行く方もあるわけですけれども、募集が終わって居住者の皆さんにお渡ししたのは、第二回目は一月上旬を予定、こう書いてあるわけであります。先ほど要望だったので、ぜひ年内に、今いった一時入居から本入居、また他区といいますか、地元区市のほかの住宅に住んでいて都民住宅に入居できるかどうかということも含めて明らかにしてもらいたいと思いますし、また募集も含めて考えてもらいたい、いかがでしょうか。

○中沢参事 先ほどもお答えさせていただきましたが、委員ご指摘のように、前回お知らせしたときには、次回の募集時期については一月上旬というふうにお知らせしてございますが、現在、改めてその募集時期については検討中でございます。

○長橋委員 一時入居から本入居は大丈夫なの。

○中沢参事 申しわけございません。一時入居から本入居ということについても考えさせていただきたいと思っております。

○長橋委員 ここにも書いてあるんですね。一時使用から本入居に切りかえは、都営住宅を除き可能ですと、こう書いてありますね。
 区市の住宅に入って都民住宅に移ることは可能なのでしょうか。そこをちょっと……。

○中沢参事 区市との関係について、まだその辺、想定しておりませんでしたので、今後の協議の中で検討させていただきたいと思います。

○長橋委員 ぜひ住民の方々の声を--一人一人事情も違うわけであります。経済状況も違いますし、お子さんの状況も違いますし、都は、子どもの通学等についても、教育庁が手を打っていただいて区市と連携してやる、障害者の方、高齢者の方に対しても、福祉保健局が努力をして不安のないようにしていく、都庁を挙げてこの問題に取り組んでいただいているわけであります。住民の不安を取り除くために、都市整備局の皆さんが頼りであるわけであります。大変でしょうけれども、我々都議会も一緒になって取り組んでまいりますので、さらに時間がかかる問題もあるかと思いますが、ぜひご努力をお願いします。
 あわせて、この対応について、まずは当面、被災者の住宅、居住者の方の安全対策とあわせて、新聞では八十億、そのうち五十億はこの費用がかかる、そして、さらにはマンション等の耐震診断にも三十億の予算をつけた、こういっているわけであります。
 恐らくきょうも、先ほど冒頭から、東京都の小金井のマンションについても明らかになったということで、不安は、姉歯のマンションだけではなくて、マンションに住んでいる方、都民の方全体が不安になってきているんだろうと思いますし、ましてや昭和五十六年以前のマンションも多数あるわけで、当然そういったマンションについても都は認識をして、耐震についても進めていかなければならない、このように思っているのではなかろうかと思います。
 きょうの新聞だったかな、出ていたのは、東京都じゃなくて、ここ五年間で強度不足は二千七百件の物件が見つかった、そして改修は、取り壊しがされていないものは千四百五十件にも上る、こういう記事が載っていました。
 そういう意味で、この問題にあわせて、我が党は、耐震改修、診断から改修に至る、戸建て住宅の改修--第三回定例会で知事も梶山局長も、一歩乗り出して取り組んでいくと。十八年度予算の概要説明を聞いても、新たにこの耐震改修への助成制度が盛り込まれたわけであります。そういうさなかでの今回の問題、事件であります。
 マンション等の耐震診断、きのうは我が党の会派で、つり天井の大型空間を擁する建物についても調査して改修しなさいという話がありました。それ以外のマンション等の建築物の改修について、都はどう取り組んできたのか、そしてどう取り組むのか、この事件を契機に。お伺いをいたします。

○山室参事 マンションは区分所有者が多数いること、また、その建物の規模が概して大きくなることから、周辺に与える影響も非常に大きいものでございます。そうしたことから、耐震診断を進めていくことは非常に重要な課題であるというふうに認識しております。
 こうしたことから、これまで都は、改修工事に伴う耐震診断につきましては、マンション改良工事助成制度を対象とし支援をしているところでございます。
 また、先般発行いたしましたマンション管理ガイドラインの中で、管理組合による耐震対策の必要性と手順などについても解説し、普及啓発に取り組んでいるところでございます。
 今後も、引き続きこれらの制度の活用などにより支援をしてまいりたいと考えております。

○長橋委員 もう最後にいたします。知事は、オリンピックを目指してまさに東京を都市再生していこうと。そういう中で、その課題についても本会議でさまざま議論がありました。
 しかしながら、さっき立石理事からあったとおり、ドイツの会社が東京をそう評価しているということになると、やはり大きなマイナス要因であろうかと思います。やはり都市整備局が、この東京の安全、建物の安全、責任を担っているわけであります。建物の改修事業、私も、その補強をしていく、これは基本的に自己責任であるかと思います。だけども、自己責任に任せていたから進まなかったわけであります。そこにどう行政が周知をし、また啓蒙をし、そしてできることをしていく、これが大事であろうかと思います。
 ぜひ、現在の国の助成制度もありますけれども、さらに進めていく方策について最後にお伺いをして、質問を終わります。

○山室参事 ご指摘のマンションの耐震改修工事の促進でございますが、現在、国庫補助制度であります住宅・建築物耐震改修助成事業の活用につきまして、今般の国の要請や、それから区市町村の動向などを踏まえて研究をしていきたいと考えております。

○植木委員 この事件が起こって以来、都市整備局の皆さんは本当に大変ご苦労を重ねていると思うんですけれども、これを機会にうみを出し切って、より一層改善をして、都民の信頼をかち取るというのが非常に大事だと思うんです。
 私は最初に、そうはいっても、前回資料要求をいたしましたが、私が求めた立入調査にかかわる資料等はほとんど、重要な部分は出てこなかったというふうに、非常に残念な思いがいたしております。やっぱり都民の不安を払拭する上で、明らかにできるものというのは現時点でもまだまだあるのではないかというふうに私は思っております。
 それで、今回、民間、姉歯設計事務所に端を発して、いろんな事態が発展して、まだ動いている。私は、官も民もそれぞれきちんと検証しなきゃいけないというふうに思っています。
 それで、まず全体として、建築行政の大きな流れについて私は明らかにする必要があるんじゃないかと。特に日本は世界一の地震大国ですから、建築確認は建築基準法でもうたっていますように、国民の安全を第一に掲げております。その安全を民間にゆだねるという指定確認検査機関というものができたわけです。私は、建築物の耐震性を確保するというこの根幹は、国や地方自治体の一番重要な課題の一つだというふうに思って、行政の責任に負うところは非常に大きいということを前提として思っています。
 ところが、資料でも明らかなように、この数年間あるいはもう少しさかのぼりますけれども、規制緩和の流れ、官から民への流れが非常に大きく動き出してきている。ちなみに、経済団体連合会が建築基準法の改正直前に、豊かな国民生活と経済活性化のための構造改革の提言を出して、その中で、求められる構造改革の第二番目に、住宅取得促進、土地の流動化策についてというのを掲げて、容積率の緩和などとあわせて、建築確認の民間委託を打ち出して政府に要求しています。九八年に建築基準法が改正された直後には、早速、同じ経団連が、最近の規制緩和により建築確認審査、検査における民間機構の利用が認められることになったのは評価できると、手放しで財界の求めに応じた政府の動きを評価されているわけです。
 さらに経団連は、それだけにとどまらずに、建築申請や関連手続の緩和、処理の短縮、個別の行政指導の廃止、容積率の緩和など、さらなる規制緩和を政府に求めております。こうした財界の要求の流れが、まさに建築行政や都市計画行政が大きく変えられているというふうに私は実感をいたしております。
 これは、国際競争力に打ち勝つためということで都市再生を一気に進めていくという、こうした財界の要求の流れにこたえて、建築基準法の改正、容積率を大幅に緩和させる。東京都も、環境アセスの期間短縮や対象条件の緩和をさせる。こうしたいわば規制緩和や官から民への流れという中で起きたものであって、今回の事態は、寝耳に水というよりも、起こるべくして起きた事件といっても過言ではないと私は思っています。
 もちろん、姉歯などの一部の悪質な業者、これが許されるものではありません。建築基準法の改正が行われてわずか五年で、これもきょうの資料に出ていますけれども、特定行政庁が扱っている件数よりも、民間などの指定確認検査機関の方が六割を超えるという現状になってきています。そうした中で、姉歯設計事務所が耐震データを偽造し、また、それが検査機関の審査を簡単に通ってしまうということから、その後発覚するまでこれが繰り返し行われた。
 また一方で、行政の側は、官の側から民間に役割を移したということで、行政の体制を縮減、削減をしてきた。
 いわば官から民への流れ、こうした偽造の一連の動きを考えたときに、やはりシステムの問題としてしっかり確立をしていかないと、これは一部の悪質業者を取り締まるというだけでは解決できない面もたくさんあると私は思っております。
 関係者の方々は、一刻も早くうみを出して信頼を回復してほしいと、まじめに取り組んでおられる建設業者の方々はこういっておられますし、それから被害者の方々は、一刻も早く安心できる生活を保障し、新たな負担などはとんでもないと。本来、国家賠償的な国の責任で全面的な解決をと求めているわけです。これを自己責任で片づけるというのは、私はやはり当たっていないというふうに思っています。
 日本共産党の国会議員団は、この建築基準法の改正に当たっては、安かろう悪かろうの手抜き検査がふえるおそれがあるといって、これに反対をいたしました。また都議会でも、建築確認審査機関を民間に大半をゆだねるということに対して、当時、行政の体制を強化せず民間任せにすることは、公正を確保する上で問題がある、こう指摘してきました。
 そこでまず、基本的な立場の問題として、この事件を契機に、本当に建築基準法を初めとした問題点を解明する上で、建築基準法のいう国民の生命と安全を守るというこの精神、この役割を十分果たす上で、行政に求められる責任は非常に大きいと思いますけれども、建築行政に携わっている担当局として、どう受けとめて、どう解決しようとしているのか、その姿勢をまずお伺いをしたいと思っております。

○野本市街地建築部長 建築基準法を所管する部署の責任者として、その運用で都民の生命、健康、こういったものを健全に保つことは大変重要なことかと思っています。
 これまでの今回の事件の中で、さまざまな基準法あるいは指定確認機関、あるいは私ども都の審査のあり方、いろいろと問題を投げかけられております。私ども早急に検討いたしまして、真摯な取り組みをしたいと考えております。

○植木委員 そこで、具体的な流れの中で一つ一つお伺いしたいんですが、一つは指定確認検査機関、前回の質疑のときには、イーホームズがスピードを売りにしているということを私は指摘したんですけれども、指定確認検査機関のあり方の問題として、建築主や施工業者、こういう方々と、確認申請をチェックするという立場の機関、ここは、私はいい意味で緊張関係が保たれなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 指定確認検査機関のあり方でございますけれども、その責任からいたしまして、当然、例えば建設業、そういったところとの一定の分離といいますか、なければいけないということでございます。
 法とか、指定の際の基準にも明確に定められております。

○植木委員 私は、イーホームズがスピードを売りにしているということで、年間目標も非常に大きい、月間目標は千二百件というので、当時大変驚いたんですけれども、ここに日本ERIの「目からウロコの確認申請」という分厚いのがあるんですけれども(実物を示す)、これをざっと目を通してみたんですけれども、やっぱり精神がちょっと違うかなという思いがしました。
 この解説書の一番大事な前書きの結論部分で、こういうことをいっているんですね。建築確認は、建築の設計をし確認申請図書を作成しようとする人と、確認機関との共同作業である。一緒だ、一体だよと。そのためにも共通の土俵が必要だということを最後に結論づけているんですね。その結果、不正を発見できない、あるいは不正が指摘されても、それをミスの程度だと思った、不正だと思わなかったと。これは国会答弁ですけれども、そういうふうにいっている。これも国会質疑ですけれども、参考人は、競争が激しくなっている、厳しい指摘をすると申請者がよそに行ってしまう、こういう発言をしているんですね。
 結局、目からウロコの日本ERIの精神が、やっぱり相手をお客、それに対して厳しいことはいえない、共同作業なんだから厳しくいえないで、そしてお客として残ってほしい、こういう関係になってきていると思うんです。
 そういう意味で、指定機関のあり方の問題ですけれども、先ほど建築基準法のところで基本的な精神についてお伺いしましたけれども、当然この保証する確認検査機関として、スピードが第一じゃなくて、国民の命と健康や安全、財産を守るということが第一だと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 建築基準法の建築確認に携わる特定行政庁あるいは指定機関というものは、当然ながら、国民の生命、健康、財産、こういったものを守る上で適切に行わなければならないと考えております。

○植木委員 そういう意味で、指定確認検査機関についても私は大いに、あり方の問題、それから仕組みの問題、それから、民間ですから、今いったような競争だとかお客という考え方が当然そこには介在する。そこに行政としてのやっぱり責任が介在しないと、それを担保できない、こういうことになるんだと思うんですよね。
 ところが、東京都の都庁改革アクションプランでは、この建築確認申請については期間を短くしろ、こういうことが第一に掲げてあるんですよ。私は、これもおかしいと。これは、僕は抜本的に是正する必要があると思う。建築基準法の精神にのっとってやることが第一だと。その上で、もちろん可能な短縮というのはあるかもしれない。しかし、今は丁寧にやってほしいというのが国民の大半の意向ですよ。いかがですか。

○野本市街地建築部長 建築確認の審査に当たって、法の内容に基づき適切に審査をすることは当然のことでございます。
 ただ、適切に審査をする一方で、冗長なというのでしょうか、ただむだに長くかかるということがあれば、当然これは都民へのサービスの一環として短縮することも必要でございます。
 まず第一は、当然に法に基づいて適切な審査をすること、それで、あとは冗長に期間を長くしないことと考えております。

○植木委員 今、むだなという発言があったんですけれども、むだなことをやっているんですか。ちょっとお答えください。

○野本市街地建築部長 決してむだなことをやっている気はございません。当然ながら、法に基づいてしっかりとした審査をするということでございますけれども、そうしたことを実行した上で、工夫により、より短縮できるのであれば短縮するというのが都民へのサービスかと考えております。

○植木委員 都民の皆さんは、もちろん、きょうの多摩事務所の問題が新しく出た点はありますけれども、やはり行政が一番頼りになるところだという思いを持っているんですよ。だから、あえて私はいったわけなんです。だから、やはり建築基準法の精神が第一だということを肝に銘じていただきたいというふうに思うんですよね。
 小金井の問題はちょっと後にします。
 この間、聞き取り調査と立入調査をやられたと思うんですけれども、構造計算の偽造が明らかになった初台二丁目マンションについて、建築計画概要書に書かれている建築主、代理者、設計者、工事監理者、施工者はどうなっていますか。

○野本市街地建築部長 初台二丁目マンションは、指定確認検査機関イーホームズの確認でございます。建築計画概要書によりますと、建築主は株式会社シノハラ建設システム、代理者、設計者及び工事監理者は株式会社シノハラ建設システム東京支店一級建築士事務所、また、工事施工者は株式会社シノハラ建設システムとなってございます。

○植木委員 今、シノケンといわれている会社ですよね。じゃ、この建築計画概要書の記載と、実際の建築に携わっている業者あるいは設計をされた方、これはどうでしょうか。

○野本市街地建築部長 建築計画概要書に記載された設計者については、先ほどご説明したとおりでございます。
 なお、当該物件の特定行政庁である渋谷区に問い合わせをしましたところ、工事監理につきましては、建築計画概要書に記載のとおりでございますけれども、設計、工事施工については、実際には木村建設株式会社が行ったと聞いております。

○植木委員 木村と、今問題の姉歯ですよね、だから問題になっているんですけれども。
 これは、いわゆる建築業法でいう丸投げの禁止に当たるのではないでしょうか。それから、建築基準法からいっても、これは虚偽の報告と見ていいんじゃないでしょうか。いかがですか。

○野本市街地建築部長 概要書に記載された内容と実態が違うということについては、現在、調査を行っているところでございます。

○植木委員 つまり、いわゆる下請関係を結んでいるやり方なのか、丸投げかで、これは百八十度違っちゃうわけですよね。
 今調査をしているというのは、つまり立入調査でその点を確認したのか、新たに調査をしているのか、そこはどうですか。

○野本市街地建築部長 現在ではまだ立入調査という段階でなく、渋谷区によく事情を聞いているというところでございます。

○植木委員 今までの立入調査では明らかにならなかった、あるいは、そこのところは調査しなかったということですね。そういうことですか。

○野本市街地建築部長 渋谷区に問い合わせして、その実態の情報を得たということでございます。

○植木委員 つまり、元請調査の段階ではそこまで調査に至らなかった。渋谷区を通じてやっていると。これはやっぱりきちっと調査をすべきですよね。今やっているということなんですけれども。
 それと同時に、東京都が事情聴取あるいは立入調査をやった物件に、全体として共通しているんですけれども、建て主が直接姉歯に仕事を依頼している。つまり、元請設計事務所を通っていないという表現が東京都の報告で国に上がっているわけです。そうしますと、元請は工事を監督する責任があるんですけれども、そこのところをどう感じていたのか、あるいはその点を突っ込んで調査されたのか、お示し願いたいと思います。

○野本市街地建築部長 元請事務所については、当然ながら、その果たすべき役割があると考えております。ただいま実態について調査をしているところでございます。

○植木委員 ぜひ調査をして明らかにしてほしいんですけれども、つまり、まだ立入調査ではわかっていなかったわけですから、これは新たな調査なんですよね。新たな調査を東京都はしなきゃいけないんですよ。
 それと、こういう構図というんですか、元請責任が何ら関与しないで--関与しないでというのは、僕は東京都の資料しか見ていないですからわかりませんけれども、資料だけ見ると関与していないんですよ。建築主が直接姉歯にしている。こういうのが常態化しているということなんですか。それともこれは特定のことなんですか。その点はいかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 ただいまのご指摘で、建築主から直接姉歯事務所に注文というのですか、発注契約をしたというご指摘でございますけれども、私どもはそういった内容については残念ながら把握できておりません。

○植木委員 それはおかしいですよ。国交省が発表した東京都の聞き取り資料の中に明確に出ているんですよ。私が国からもらったのが違うんですかね。(発言する者あり)いや、これはホームぺージでも出ていますから大丈夫です。ホームぺージにも出ているんですよ、これは。
 つまり、元請に立ち入り、事情聴取したら、建築主から姉歯に頼んだというのが、木村建設以外は全部書いてあるんです。木村建設は自分がやったからあれなんですけれども。知らないというのは、私は--国のホームぺージに出ていますから、後でごらんになっていただきたいと思うんですけれども、東京都の発表と書いてあります。いかがですか。

○野本市街地建築部長 建築主から直接姉歯事務所に発注したということはつかんでおらないということでございます。

○植木委員 これは国土交通省のホームぺージの、別紙3というのですけれども、東京都による各建築士事務所の聴取内容等と書いてあります。エスエスエー建築都市設計事務所、建築主の指示で姉歯に構造計算を委託。それから、シノケンは偽造に関与していない、事実上設計、施工すべて木村建設が行ったというふうに書いてあります。それから下河辺、建築主が姉歯を指定した。スペースワン、木村建設が姉歯に下請させている。森田設計事務所、構造計算は建築主が直接姉歯と契約。これはホームぺージから拾ったものですから、別に隠されたものでもないし、国土交通省の資料の中にはもう入っているはずです。
 いずれにしても、そういうのが常態化していいかどうかということなんですが、先ほどの丸投げとの関係で、やっぱり厳密に行われるべきだというふうに思うんです。
 それで私、過去に建築主事をやられた方にお聞きしたら、昔は、昔というのはこの五年程度の間なんですけれども、直接の建て主とか設計者の後に、そういうふうに下請がはっきりしているものについては書いた、こういうふうにいっているんですけれども、そういう点は違うのでしょうか。その点もあわせてお願いしたいと思います。

○野本市街地建築部長 先ほどの件でございます。建て主から元請事務所を飛ばして姉歯事務所と契約したというようなご指摘だったかと思うのですけれども、立ち入りの中では、ある面で、姉歯事務所を使うようにというような指示というのですか、そうしたものがあったところはあると、そういうものは聞いております。

○植木委員 いずれにしても、建築基準法や建築業法、あるいは売買に関することは不動産業法、こういうものにのっとってきちっとやるように、適切な指導というのはやっぱり必要なんですよね。
 そういう点では、設計関係だけじゃなくて、不動産関係も皆さんの所管ですから、調べようと思えば徹底して調べられるわけですから、今の東京都の権能をもって、やはり十分問題点を明らかにして都民に知らせる責任は私はあると思うんですね。ぜひそれはやっていただきたいと思いますけれども、重ねてお願いします。

○野本市街地建築部長 元請設計事務所につきましては、当初の六社のほか、二社も加えまして八社に立ち入りもやっております。こうした内容をきちんと精査の上で、法に触れることがあれば、当然ながら厳正な処分をしていく、そのように考えております。

○植木委員 ぜひそういった建築基準法、設計士の認可、それから不動産登録、そういった点を活用してやっていただきたいというふうに思うんです。
 特定行政庁の関係に入りますけれども、きょう、先ほど来質問の中で、東京都多摩事務所が確認検査を行った小金井市の賃貸マンション、アーバン武蔵小金井で耐震強度の偽造が見つかったと、世紀東急工業が発表したと。しかも五三%と強度がない。こういうことが先ほど来明らかになってきたと思うんですけれども、きょう石原知事が記者会見でいったことと皆さんが答弁していることと、どうも違うように思うのですが、ちょっと確認をしたいと思うんです。
 こういうふうにいっているんですね。建築確認審査の中にブラックボックスがあった、これは国のセンターがやるので都は関与していない、都の責任というが、これも国の責任、こういうふうに記者会見で知事がいわれたのですけれども、これはどういうことでしょうか。

○小林技監 知事がどういう形でご答弁されたかということですけれども、これは想像するあれで、直接知事のお考えをお聞きしてはおりませんので、想像の域を超えないんですけれども、先ほど確認申請の流れの中で、構造計算の流れの説明をさせていただきました。
 大臣認定プログラムというプログラムを使って構造計算をした場合に、一定の前提条件という、入力の条件を初めに入れます、応力ですとか、それから水平力ですとか。そういうものを入れて、規定の計算は順調に計算しますから、計算する部分についての審査というのは、一番初めの入力の部分と最後の出力が適切に行われていれば、そこの計算過程についての審査というのは省略ができるということになっています。
 その前提というのは、大臣認定プログラムというのが改ざんされないという前提なんでしょうけれども、そこの部分は国土交通省が認定をしたプログラムを使っている。そこの部分についての計算過程については審査を省略することができるという前提がございますので、知事が申し上げたというのは、ブラックボックスというのはコンピューターの中という意味だというふうに私は思います。

○植木委員 ソフトなんですね。聞いたのが間違っているのかな。センターと聞いたから、ぼくは国の機関でやらせたのかなと。その辺がちょっと……。もしそうすれば国の……(「システムが間違っている」と呼ぶ者あり)だから、僕は事実がわからないから聞いているんです、これは単純に。

○水流住宅政策担当部長 あらかじめ、その構造計算のソフトによると正しくその構造計算が行われるということを財団法人の日本建築センターという専門機関で評価して、そして最終的には国土交通大臣が認定したというソフトでございます。

○植木委員 じゃ、センターが構造計算をしたということではなくて、そのつくったソフトを使ったということだね。それならわかりました。
 ただ、確認検査機関の責任というのは、先ほど来指摘されているように、多摩事務所、これであることはやっぱり間違いないですよね。先ほど来そういう答弁をされていますけど、念のため。

○野本市街地建築部長 内容については、一番当初の答弁でご説明しましたように、その偽造があったかどうかも含めて、強度などについても今検討しているところでございますけれども、それはそれとしまして、構造計算のシステムのお話を若干しますと、今回のものは、先ほど技監の方から説明がありましたように、いわゆる入力の部分がありまして、それから計算過程、これはセンターで評定して国土交通省が認めたもの、プログラムというのですけれども、そのプログラムを通して結果を出す。それで、通常であれば、当然ながら入力するところと出力の、入力条件設定のところとアウトプットしたその結果だけを調査すればいい。プログラムのところは、いってみれば知事がいわれたブラックボックス、ここのところについては、私どもは審査をしなくていいという部分でございます。
 今回はまだはっきりはしないのですけれども、どうもその中に、プログラムの中に、虫食い状に手を加えた可能性があるということがわかっております。

○植木委員 マスコミの報道によると、ガラス張りのところを壁とみなして入力したとかという報道が、これは報道ですから、私が事実をつかんだわけじゃないんですけれども、いずれにしても、そういう偽造がやられていることは間違いないということだと思うんですね。
 それで、私、多摩事務所の方々、一生懸命やっておられると思うんですけれども、本当に都民の信頼を回復する上で、体制と技術力--それから、聞くところによると、ソフトは東京都にはないというふうに、これは僕も確かめたわけじゃないので、国のソフトがないというような意味合いのことをどこかで小耳に挟んだのですが、いずれにしても、この前の私の質問でもそうでしたし、きょうの答弁の中でも、東京都は、体制の問題ですね、あるいは我が党の代表質問の中でもそうですけれども、建築法規や構造に関する知識のある職員を適正に配置し、確認などの業務を行っていると。そういう答弁で、十分だという意味合いの答弁をされているんですけれども、多摩事務所はたしか、かつては東西の二事務所と、支所を入れると四事務所あったと思うんですけれども、それが現在はどうなっているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 以前は、ご指摘のように、東西の事務所でやっておりましたけれども、市などに特定行政庁の事務を移管することによって、事務量あるいは担当区域の減少にあわせて一事務所に統合したものでございます。

○植木委員 つまり、指定確認検査機関ができて、多摩事務所を支所も入れて三つにした。一本化して合計で三つにした、こういうことだと思うんですけれども、現実に民間がやるようになってから、行政庁の確認検査の数というのは統計では減っていることは間違いないんですけれども、実際の現場の窓口の人たちに聞くと、建設会社も事前の相談は大体行政に来る。それで、行政には、いわゆる建築基準法のほかにも、いろいろ制度がある場合もありますから、東京都や区市町村でも違いますけれども、そういうものの調整にたくさん来て、それで実際の指定確認は民間に行くとか、あるいは民間の指定確認検査機関でどうもおかしいということで行政の方に相談に来るという、そういういわゆる数字に出ない努力というのでしょうか、事務が大量にあると聞いているんですけれども、それはないんですか、あるんですか、いかがですか。

○野本市街地建築部長 建築確認を所管する部署で、建築確認あるいは許可に関する以外にさまざまな相談業務があるのは事実でございます。しかしながら、職員の数は、そうしたものもあわせて適正な人数を配置していると考えております。

○植木委員 適正なと、またいった。つまり今ので十分だということですよね。私は、少なくとも今、姉歯の調査、それから、それにかかわって自分のところのマンションは大丈夫だろうかという相談も含めて、たくさん窓口にはいっているのが現実だと思うんです。
 そういうものも含めて、今、都民から求められているのに対応する上で、僕はずっと体制を強化してほしいというのが基本的な考えですけれども、この一定期間は思い切って、都民の信頼を回復するために、そういう不安を持っているところは、みんな一定の相談に乗る、そういう体制を緊急につくる必要があると思うんですけれども、いかがですか。

○野本市街地建築部長 ご指摘のように、確かに姉歯絡みの事件がございまして、ただいま相当な事務量となってございますけれども、幸い、局を挙げて全局的な協力体制をいただいておりますので、特に支障ないと考えております。

○植木委員 今、全局というお話もあった。きょうの答弁を見てもいろいろな方が登場してくるように、全局で臨んでこれに取り組んでいることは私もよく承知しています。
 ただ、現場のところにまで行っているかどうかなんです、問題は。そうしないと、そういう都民のにこたえられなきゃまずいわけですから、そういう意味で、現場にも手厚く応援が行っているんですか。

○野本市街地建築部長 相談業務等もございますので、現場のところにもしっかりした応援をしているつもりでございます。

○植木委員 しっかりした応援体制を組んでいるということですから、ぜひ応援体制を組んで、全庁的に一刻も早く信頼を回復するような努力を私はしていただきたいというふうに思うんです。
 民間の責任、公の責任、どちらも明確にあるわけですね。それで、私、特定行政庁の方は、直接ここで聞けばわかるんですけれども、やはり先ほど前段で幾つか、シノケンだとか木村、姉歯の関係とか、いろいろ聞いて思ったんですけれども、この都市整備委員会としても、これは委員長にお願いになるんですけれども、元請設計事務所あるいは木村、姉歯、それからイーホームズ、ERIなど関連しているところについて、参考人としてお呼びして質疑をしていただきたいという、これは理事会に要望でございますが、いかがでしょうか。

○高橋(か)委員長 理事会にお諮りします。

○植木委員 ぜひお願いしたいと思います。
 それから、自治体との関係で、国に抜本的な改善を求めている最中であるわけですけれども、じゃ、特定行政庁も、今の法律、本当に不十分で、建築計画概要書を見ても、先ほども指摘したように、丸投げなのか、ちゃんとした契約でやっているのかもよくわからないし、ましてや構造設計などについては全くわからないという弱点はあるし、最大の弱点であるということは私もよく承知しているんですけれども、現時点でもいろいろやることは特定行政庁でもある。法律が改正されるまで延々と待っているわけにいかない問題も、当然、この間出てくると思うので、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、建築基準法で特定行政庁の役割や責任というのでしょうか、特に偽造とのかかわり合いでどういう立場があるのか、念のため確認したいと思います。

○野本市街地建築部長 特定行政庁の役割でございます。大別していいますと、一つは建築確認をすること。それから、一つは許可をすること。特例許可といいますか、そういった高さとか、そういったことの特例許可をすること。それからもう一つは、違反建築等の取り締まり。大きく分けますと、こんなことになろうかと思います。

○植木委員 違反建築との関係というのは、簡単にいわれたんですけれども、建築基準関係規定に適合しないと認めるときは、これは基準法の六条の二の四項ですけれども、同項の規定による指定を受けた者にその旨を通知しなければならない。つまりこれは、聴取とかというよりも、通知というのは非常に厳しい内容ですよね。そういう条項だとか、施工の停止を命じ、また使用の禁止、使用制限、こういったものを、違反を是正するために必要な措置をとる、こういうのが一応書いてあるんですね。
 ただ、確かに建築計画概要書だけを見ると、なかなかそこまでできるのかという不安というか、実際にはなかなか難しいと思うんですけれども、ただ、全都あるいは全国では、そういう現在の不十分な中でも取り消した事例というのは、東京都の特定行政庁でも、それから区市でもあると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

○野本市街地建築部長 特定行政庁による指定確認検査機関の確認を取り消した事例でございますけれども、都において取り消したものが一件、特別区において取り消したものが二件あると承知しております。

○植木委員 やはりあるんですよね。品川のが最近の新聞報道で出されていましたけれども、葬祭場の、これは避難路の確保というのが、本来、二方向確保しなきゃいけないのが一方向しか確保されていないということなんですね。これ、消防庁とどういうふうになっていたのか、ちょっと私もわからないんですけれども、そういうことなどで、ある。
 これはいろいろなケースがある。実際に計画概要書で見られるのは、せいぜい道路づけしかないから、道路づけで発見できて是正するもの、それから、住民から指摘されて、この葬祭場の場合は、住民から審査会に出されて確認、確定したというふうな事例とか、いろいろな事例で、法改正が行われるのを待たなくても、行政としての責任を果たすことは、全く不十分ではあるんだけれども、やはりあると思うんですよね。
 そこは、法改正までにも大いに努力できるところだし、私、この七月まで建築主事をやられていた人にも、きのうちょっとお話をお聞きしたら、やっぱり審査会にかかる例がふえてきているとか、それから、住民からのそういう訴えがあったときとか、おかしいということがあったときには、もう検査機関を呼んでやればいいんだと。もっともっと権能を、わずかではあるけれども、それを大いに働かせてやるということは行政としての責任だというふうにおっしゃっていましたけれども、ぜひそういう点で努力していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 指定確認検査機関の確認の内容におかしいというところがあれば、当然のことながら指導していく。必要があれば、その取り消しも含んでやっていく。これまでもやっていましたし、これからもやっていくと考えております。

○植木委員 そういう意味では、知事は全く自治体が一切関与できないといういい方をしていたから、それは担当としては、たとえ不十分であってもやれるということですから、ぜひやってほしいと思うんです。
 実際に、建築主事と指定確認機関の確認検査員とは、当然権能が違っているはずなんですよね、役割が。全く同じじゃないはずなんですよね。念のためお聞きしますけれども、建築主事の権限と確認検査員の権限の違い、どうなっているのでしょうか。

○野本市街地建築部長 特定行政庁の権限といたしましては、先ほど申しましたように、建築確認のほか、違反の取り締まりであるとか、あるいは許可といったことができる。それで、指定確認検査機関につきましては、建築確認の権限はありますけれども、ほかの違反取り締まりとか許可等の権限はないということでございます。

○植木委員 地方公共団体が持っている条例やまちづくりの関係、そういうのももちろんできるし、それから、もちろん不法があった場合、不備があった場合、それから地域の実情を踏まえた運用など、法に基づく確認検査、許可、認定、指定、処分、措置、そういう権限があると思うんですね。
 そういう意味で、重ねてですけれども、努力して本当に信頼を回復して、一刻も早く都民の意向にこたえられるように努力していただきたいということを要望して、私の質問を終わります。

○花輪委員 お疲れさまでございます。きょう、もう四時間ほどやっているんでしょうか、この件については。私の方からは、今聞いてきたことの中で、聞き足りなかったところだけに絞らせていただいて質問させていただきたいと思います。
 私たちはこの間、まず第一には、住民の救済をまずやらなければいけない、その次には、再発防止のための手立てを打たなければいけない、その再発防止をするためにも、どこにどんな原因があったのかの究明、また、どこにどういう責任があるのか、そういう責任の所在を明らかにしていく、そういうことが必要だと、この前もお話をさせていただきました。
 そんな中で、きのうの午後でしょうか、小金井の世紀東急工業さんの物件で、下請で木村建設を使い、そしてそれが姉歯絡みになっていた、強度不足になったと、そんな報道がなされたわけです。
 よく考えてみますと、これはもしかしたらば、世紀東急工業という大きな会社だったから出てきたのかなと、そんな気がするんですね。先ほども話にありましたように、表紙では世紀東急が元請になっている。その下請のことまではわからない。それを、もしこれが小さな会社とか、また社会的な責任感の薄い企業が、あ、うちもやられていた、そういうふうに思ったとしても、これを表にすると、明らかにすると大変なことになるな、そんなことを考えれば、もしかしたら隠せたような、また隠し通せたかもしれない、そんなような事例なのではないかな、そんなふうに私は非常に危惧するわけですが、そのあたりはいかがお考えですか。

○野本市街地建築部長 大手の会社だったから明るみに出たのであって、小さいところであれば出ないんじゃないかということでございますけれども、これは仕事に対するモラルというか、そういった仕事に対する取り組みの姿勢であると私は考えております。
 小さいからといって、そういうモラルが低いとは考えておりません。ぜひそういうふうに、大手も中小であってもモラル高く仕事をしていただきたいと考えております。

○花輪委員 私も、大きい小さいというか、言葉が足らなかったならば、要は、社会的責任感の薄いというふうにお話しをさせていただいたつもりですが、そういう企業でなかったから出てきたのかなと。
 ということは、やはり私たちは思うんです。この前の、姉歯以外の物件についても早急に調査した方がいいのではないか、そんなことを申し上げました。優先順位をつけてやっていかなければいけないと、そんなふうに部長、ご答弁をしていただいていたわけですが、やっぱりこういう事件が出てくると、改めて、今、都庁に残っている、いわゆる五年間であればそういう書類も保存がされるのでしょうか、そういうものに対してしっかりと調査をかけていく、もう一回見直していく。そういうことが今の建物に対する、建設に対する信用不安を取り除く、そんな一つのキーワードになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 姉歯設計事務所が構造の設計をした以外のものもやるべきだということなんですけれども、私ども、姉歯事務所のものが一番、正直いいまして危ないというか、そういう確率が高いんじゃないかと思っています。
 当初二十一物件、それから、その二十一物件を含めまして七十二となりましたけれども、そういったものについては精力的に検討したところでございます。
 そして、その七十二物件の中で、とりあえず安全とされたものについても、実はコンピューターを使って再計算を今、指示しています。一つの再計算をするのに、通常ですと二週間かかります。お金にしまして、大体百万円前後かかります。そういったことも考えた上で、やはり一番危ないと思われる、そういったところを重点的にやっていきたいと考えております。

○花輪委員 部長、この前、私が前回の質疑のときに、今の都庁の体制で一年間に七千何百件という確認事務を、建築主事さんは十一人、またそれとともに、そこで従事をしている方が八十八人とおっしゃいましたか、そういう中でやられていて、もし姉歯のような悪意を持った設計者がいるような物件が来たらば、だまされることはないでしょうかと聞きましたらば、優秀なスタッフがいるからという、そんなご答弁をいただきました。
 でも、結局、実は優秀であろうが優秀でなかろうがにかかわらず、こういうことになってしまったんだというふうに私は思います。
 そういう中で、先ほど、多摩の建築事務所が当時、一年間に五千件やっていて、二割が構造計算が必要と。だから約千件でしょうね。それを三名でやっているというお話がありました。これは、本当に大変な量をたった三人でやっているのかというふうに、改めて不安に思ったんですね。
 この前の八十八人いらっしゃるというようなこともありましたが、じゃ、この八十八人のうち、要は、この建築確認をできるというか、建築確認業務に当たれるプロの方というのですか、資格があるという方、建築基準適合判定資格者というのは何人ぐらいいらっしゃるんですか。

○野本市街地建築部長 都における建築主事等の資格を持っている者でございますけれども、少なくとも現時点では、建築主事に任命されている十一名は持っておるわけですけれども、その他の者の人数については明確に把握してございません。

○花輪委員 要は、私が心配しているのは、その八十八人のうち、建築の専門家でないような人たちがたくさんいる八十八人なのか、それとも中身はプロなのかということをお尋ねしたいんですよ。
 この建築基準適合判定資格者というのは、ここにいただいた資料によりますと、一級建築士の人で、建築行政または指定確認機関において建築確認業務に二年以上の実務経験がある方、そういう方が試験を受けて合格し、そして登録すると、知事から任命をいただければ、例えば建築主事さんになれるとか、または指定確認機関が選任すればその指定確認機関の確認検査員になれるとかいう、いわゆる主事の任命を受けなかったとしても、その業務でいえば有資格者、本当にプロなんだという、そういうお墨つきをもらった人なんですが、この人数を把握していないというのは、何か事情があるんですか。

○野本市街地建築部長 職務を行う上で、当然、能力あるいはその実務経験といいますか、こういったものがある者を適切に使い、適切な仕事を履行していくのが務めだと思っています。その上で、まず責任ある立場という者が、先ほどからいっています建築主事として任命された十一人ということでございます。
 そのほかの者につきましては、主事の資格を持っていても持っていなくても、いずれにしても、これは建築確認の仕事に携わるわけですから、ふだんの研修等を通しましてレベルアップを十分に図る努力をしているということでございます。

○花輪委員 私は、今こういう事態になって、建物に対する信用不安みたいなものが起きているから、こういうものを取り除くためには、東京都がやっているこの建築確認というのは、皆さん安心してください、そういうことをいうためにも、資格があって、しっかりと経験があって、勉強してこられた方が確認事務に当たっているんだという、そういうことをぜひ--この八十八人というのが、そういう意味でいうと、いつでも建築主事になり得るような、そういう資格を持っている人なんだということを、それは世間にも都民にも明らかにしていただいた方がいいのではないかということで、こういうことをお尋ねしているんですが、その辺はいかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 職員の能力向上については、先ほど答弁しましたように、日ごろから努めているわけですけれども、建築主事の資格取得に向けても、日ごろからよく頑張るようにということで指導をして、実際の講習等もしております。

○花輪委員 何でそれを、数字を調べたくないし、明らかにしたくないのか、全然私には理解できないんですけれども、これも前にいってあったんだけれども、要は、数字はわかりませんと、八十八人に聞けばいい話なんだけれども、出てこないわけですよ。
 何かそれが、いいたくない事情でもあるのかどうか、何でこんなことを表にできないんだというふうに腹立たしく思うんですけれども、何で表にできないのですか。する意味がないのかな。

○野本市街地建築部長 建築主事の資格につきましては、ただいま任命されている者のほかに持っていることは確かでございますけれども、本人が登録というのですか、そういった届けをしない者もございます。そういった者もございまして、正確に把握できていないということでございます。

○花輪委員 部長の方からは、一生懸命、皆さん資格を取るようにというふうに促しながら、だれが資格を持っているのかわからないという、調べる気もないという、まことに不思議なご答弁でしたが、今、後ろから紙が回ったようですけれども、そこに何人かというのは出ましたか。

○野本市街地建築部長 本人からの申し出に基づいた有資格者の数は、六十九名でございます。

○花輪委員 八十八人中、六十九名もいるんですよ。だから、これはある意味、自信を持ってもいいと思います。ですから、その辺は最初からいってくれればいいんですよ。
 実はきょう、先ほど伊藤副委員長の方から、指定検査機関に、例えば都のOBの人が、または国の国土交通省の人がどのぐらい行っているかとか、そういう機関が二十六あるようだけれども、そこの出資がどういうところが出資しているのかとか、また役員はどうかとか、そんなことをお尋ねしましたけれども、お答えはなかったわけです。
 私たちは、今の建築確認の制度について、今こういう姉歯のようなやつにやられてしまったことを、ある意味反省して、振り返って、二度とこういうことが起きない建築確認の仕組みをつくらなければいけないというふうに思っています。そのために、じゃ、今の確認事務というのが、どういう人々によって、どういう仕組みでやられているのかということを、やはり皆さんにもつまびらかにしていただきたいんですね。
 民間の確認機関になりますから、検査機関になりますから、何もわかりませんと。何か話によると、ほとんど今、人手が、民間の方はそういう確認をできるような資格の方がなかなかいないから、役所のOBの方々を招いてやっていると。それはそれでいいでしょう。だけれども、それが本当にそういうことになっているのか。実は、そうじゃなくて、そこの民間機関で育った人がやっているのか。また、その民間の機関の役員、いわゆる出資者が、いわゆるディベロッパーとかゼネコンさんと関係があるようなところから出資をされている団体ばかりなのか。それだと、先ほどから出ている、ディベロッパーとか建設会社と、またはその検査機関との緊張感がないのではないか。
 もし、そういうのが事実であれば、そういうことにはしっかりメスを入れていかなければいけない、そういうふうに思いますから、今のこの指定検査機関、そういうところがどのような状態になっているのか、それを知りたいから、そしてそれをつまびらかにすることによって、この確認制度をみんなでもう一度改めていきましょうよ、どこに問題があるのか確認していきましょうよと、そのために、伊藤副委員長はきょうお尋ねをしたわけです。しかし、残念ながら、ご答弁はほとんどありませんでした。
 私は、これ、もし国に聞かなきゃわからないことであれば、国にぜひ聞いていただいて、国と一緒に、今のこの民間の指定確認検査機関が一体どういうような状態になっているのか、そのことをしっかりと明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 今のお答えをする前に、先ほどの建築基準適合判定資格者の人数でございますけれども、六十九名は六十九名で正しいのですけれども、私どもの部と多摩事務所を合わせたものじゃなくて、局全体で六十九名ということですので訂正させていただきます。申しわけございません。
 それから、指定確認検査機関のことについてでございますけれども、指定確認検査機関につきましては、さまざまな見直しも国において行われるということでありまして、その見直しの中で、私ども都からも適切な見直し等を申し入れていきたいと考えております。

○花輪委員 適切な見直しを求めていくその大前提として、今この確認事務、確認制度がどうなっているかということを私たちはお尋ねして、それで、それを明らかにしてほしいということです。
 今の、局に六十九名という話でした。この前伺ったところだと、局ですと、管理職の方々なんかは、結構この資格を持っていらっしゃる方もいらっしゃると思うんですが、要は、今の確認事務に当たっている方々に、何人ぐらいこの資格者がいるかは、今のところは把握されていないということでよろしいのでしょうか。

○野本市街地建築部長 申しわけございませんが、今、配置別の有資格者人数はつかんでおりません。局全体で六十九名ということでございます。

○花輪委員 この確認制度そのものの信用を取り戻すためにも、ぜひそのあたりも明らかにしていただきたいし、改めて聞きますけれども、国と協力していただいて指定確認検査機関の今の現状、どういう人たちがどういう仕組みで、また、機関そのものがどういう出資者で、どんな人たちが役員でその会社を運営したり、機関を運営したり、または出資でなければ出捐の場合もあるかもしれませんね、財団法人なんかであれば。そういうことを明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 指定確認検査機関の実態、あるいはその仕事ぶり等でございますけれども、現在、国において全指定機関の立ち入りをやりつつあるというふうに聞いております。そうした中で厳しいチェックがされると考えております。

○花輪委員 きょうはこのくらいにしておきますけれども、本当にこの前もいいましたけれども、今は建物に対する信用不安をいかに取り除いていくか。住民の救済、そういうものに対しては、前回のこの委員会での議論よりも、数段、格段、前に前進したというふうに私たちは大変評価をさせていただいております。しかしながら、まだその再発防止に対しては、情報にしてもなかなか明らかにしていただけない、そんな面も今回ありました。そのことに対しては苦言を申し上げておきます。
 いずれにしても、この信用不安を取るために私たちも一生懸命努力いたしますので、局の方々も寝れないところ本当に大変だと思います、敬意を表しまして、私の質問を終わらせていただきます。お疲れさまでございました。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時四十二分散会

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