都市整備委員会速記録第十一号

平成十七年十一月十日(木曜日)
第五委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十三名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事花輪ともふみ君
理事三宅 茂樹君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
きたしろ勝彦君
小沢 昌也君
川井しげお君
中村 明彦君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長村松  満君
技監小林 崇男君
技監依田 俊治君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長福島 七郎君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
航空政策担当部長小山  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
都市景観担当部長安井 順一君
再編整備推進担当部長庄司 静夫君
参事北村 俊文君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事山口  明君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
報告事項(説明・質疑)
・第百七十一回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の報告事項の聴取を行います。
 なお、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 石井経営改革担当部長は病気療養のため、また、飯尾企画・技術担当参事は公務出張のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○梶山都市整備局長 本日は、十二月二十一日に開催予定の百七十一回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、東京都決定案件が全部で十件ございまして、その内訳は、区部で七件、市町村部で三件でございます。
 本日は、これらのうち、主な案件といたしまして、都市再生特別地区、環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業、環状第二号線新橋・虎ノ門地区地区計画につきましてご説明いたします。
 それでは、引き続き担当部長から説明いたしますので、よろしくお願いいたします。

○金子参事 資料2の提案事項概要、白い表紙のものですが、これの三ページ、それから資料3の事前説明会資料、茶色の表紙の方ですが、これも同じく三ページからとなります。
 ナンバー1の東京都市計画都市再生特別地区の変更に関する案件についてご説明いたします。
 本案件は、大手町地区を国際的なビジネス拠点として再生することを目的といたしまして、東京都が検討を行ってきました内容と、ことしの十月十四日に、都市再生特別措置法第三十七条の規定に基づきまして有限会社大手町開発から提出されました、国の合同庁舎跡地に関する提案の内容をあわせまして都市再生特別地区を指定するものでございます。
 事業者からの提案につきましては、お手元に、藤色の表紙の都市計画(素案)の提案という資料があろうかと思いますけれども、これが提案書でございますので、参考としてごらんいただければと思います。
 まず、茶色の表紙の三ページに位置図がございます。後ろのスクリーンにも現況写真を示しておりますけれども、赤い線で囲まれた部分が本案件の対象地区、黄色の部分が合同庁舎跡地でございます。
 都内では、平成十四年に七つの都市再生緊急整備地域が指定されておりますけれども、本地区は、このうちの東京駅、有楽町駅周辺地域内に位置しております。都市再生緊急整備地域にはそれぞれ地域整備方針が定められておりますけれども、東京駅、有楽町駅周辺地域の方針では、整備の目標といたしまして、東京都心において、我が国の顔として風格ある町並みを備えた国際的な中枢業務、交流拠点を形成し、あわせて、多様な機能を導入することにより、にぎわいと回遊性のある都市空間を形成するとしております。
 また、本地区は、国の第五次都市再生プロジェクトに位置づけられておりまして、大手町合同庁舎跡地を活用して、段階的かつ連続的に周辺地域の建てかえを進めることにより、大手町地区全体の機能更新を図り、国際的なビジネス拠点としての再生を目指すこととされております。
 以上のような背景から、合同庁舎跡地を含む区域につきまして、都市再生特別地区を定めるものでございます。
 なお、事業者からの提案内容につきましては、局内に設置いたしました審査会などで検討を行いまして、提案内容が地域整備方針に適合し、また、周辺環境への配慮や都市基盤との均衡が図られ、周辺地域のおおむねの同意も得られているということを判断いたしておるところでございます。
 内容でございますけれども、茶表紙の方の四ページをごらんいただきたいと思います。
 都市再生特別地区の区域は、この一点鎖線で囲まれた約十二・四ヘクタールでございます。区域はA、B、Cの三つのゾーンに区分しておりますけれども、このうちAゾーンが事業者から提案を受けた合同庁舎跡地でございます。
 都市計画の内容といたしましては、白い表紙の方の三ページにございますが、Aゾーンにつきましては、容積率の最高限度を一五九〇%、最低限度を四〇〇%、建ぺい率の最高限度を七〇%、建築面積の最低限度を八千平方メートルとしております。
 BゾーンとCゾーンにつきましては、容積率の最高限度を一四七〇%、最低限度を四〇〇%、建ぺい率の最高限度を七〇%、建築面積の最低限度を七百平方メートルとしております。
 このうち容積率の最高限度でございますけれども、Bゾーン及びCゾーンにつきましては、都市計画道路の整備に対する貢献を評価いたしまして設定したものでございます。
 Aゾーンにつきましては、都市計画道路の整備への貢献に加えまして、国際カンファレンスセンター機能の整備、都心農園など緑の創出、歩行者ネットワークの整備など、事業者からの提案内容を都市再生への貢献という観点から評価いたしまして、その設定を妥当なものと判断したものでございます。
 また、壁面の位置の制限、建築物の高さの最高限度を定めておりまして、壁面の位置の制限につきましては、茶表紙の方の五ページに記載のとおりでございます。
 高さにつきましては、次の六ページにございますように、Aゾーンは、最高限度を高層部百八十メートル、百五十五メートル、百二十五メートル、低層部を三十メートルとしております。
 Bゾーン、Cゾーンにつきましては、高さの最高限度はいずれも百五十メートルを基本に、知事が市街地環境及び都市景観上支障がないと認めた場合には、二百メートルまで可能ということにしております。
 茶表紙の七ページの参考図でございますが、これは合同庁舎跡地に計画されている建物のイメージパースでございます。
 高層部は事務所などが入ります。低層部は、国際会議場を中心とする三つのホールと中小の会議室群から構成される国際カンファレンスセンターなどの機能が配置されます。
 また、低層部の屋上には、都心農園と称しまして、水田や畑などまとまった緑を設けるとともに、併設するギャラリー施設とあわせまして、周辺地域の住民ですとか小中学生などに対して地域交流や学習の場を提供する計画となっております。
 このほか、地下には、地域変電所や地域冷暖房施設を設けるほか、歩行者ネットワーク強化のため、千代田線の大手町駅と結ぶ地下通路を整備する計画となっております。
 説明は以上でございます。

○石井市街地整備部長 私からは、提案事項ナンバー8及びナンバー9につきましてご説明をさせていただきます。
 提案事項ナンバー8及びナンバー9は、環状第二号線新橋・虎ノ門地区第二種市街地再開発事業とこれに関連する地区計画でございますため、一括してご説明をさせていただきます。
 白表紙の提案事項概要は三七ページから四一ページ、薄茶表紙の事前説明会資料は三九ページから五二ページになります。よろしくお願いいたします。
 それでは、事前説明会資料三九ページの位置図をごらんください。後ろにも画面が出ているかと思います。
 位置、規模でございますが、本地区は港区の北側に位置し、環状第二号線の新橋駅南側の第一京浜国道から虎ノ門の外堀通りまでの区間と、これに隣接する建築敷地から成る街区とで構成されておりまして、ごらんのとおり、ちょうど蛇が卵をのみ込んだような形となっております。面積は約八ヘクタールでございます。
 都市計画決定の経緯でございますが、本地区のほぼ中央に位置しております都市計画道路環状第二号線については、昭和二十一年の都市計画決定以来、大変長い期間にわたりまして地元の反対運動がございました。しかし、平成元年に施行されました立体道路制度の活用によりまして、道路区域内の居住者が現地に建築される再開発ビルに入居できるようになりましたことから、市街地再開発事業と一体的にこの道路を整備することで地元の合意を得ることができるようになりました。これを受けまして、平成十年に市街地再開発事業と地区計画の都市計画決定を行い、平成十二年には、これらの計画の一部区域を拡大しております。
 本地区の詳細でございますが、四〇ページをお開きいただきたいと思います。
 本地区の施行区域は、通常の市街地再開発事業とは異なりまして、区域の大半が環状第二号線の道路区域となっております。幅員は四十メートル、延長は一・三五キロメートルでありまして、約八ヘクタールの施行区域のうち、道路区域だけで約七割、面積でいいますと約五・八ヘクタールを占めております。
 この道路に隣接いたしまして、ごらんのとおり、再開発ビルの建築敷地となる三つの街区がございます。本事業は、環状第二号線に係る地権者などの方々のうち、地区外へ転出を希望されない方、いいかえますと、この地域で生活再建を図りたいというような方々に対しまして、おのおのの街区で整備する再開発ビルへ等価交換によりまして移転していただきながら、環状第二号線の道路用地を確保し、これを整備するというものでございます。
 この三つの街区のうち、Ⅰ街区とⅡ街区は平成十二年度の都市計画変更で追加された区域でございまして、主にこうした権利者を受け入れる再開発ビルを建設する街区としてございます。
 現在の状況でございますが、Ⅰ街区は、権利者入居用の再開発ビルを建設すべく、地元との協議を重ねておりましたところ、協議が調いましたことから、今回、都市計画変更の審議をお願いするものでございます。
 続きましてⅡ街区でございますが、こちらは既に権利者の調整も終わり、現在、再開発ビルを建築中でございます。
 Ⅲ街区は、これらの二つの街区の後に整備する予定としております。
 今回の変更は、このうち、最も東側、海側になりますが、新橋側のⅠ街区について、施設建築物、すなわち再開発ビルの内容を変更するものでございます。
 Ⅰ街区はこれまで、用途としては住宅、店舗、駐車場が計画されておりまして、業務機能は入っておりませんでした。しかし、第一京浜国道を挟んですぐ隣に位置する汐留地区では、本社機能を備えたビルが多く建設されまして、周辺地区も含めて一定の業務系エリアを形成しつつあることから、Ⅰ街区についても業務機能を追加し、これに必要な容積率等を確保するものでございます。
 この変更によりまして、当初、Ⅲ街区への入居を想定しておりましたⅠ街区周辺で業務床を所有している権利者の早期の生活再建が図られまして、これによりまして環状第二号線の早期整備が可能となり、都市再生の目的でございます、より一層の土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新に寄与することができるものでございます。
 具体的な都市計画の内容でございますが、提案事項概要の三七ページ、左下の建築物の整備という項目をごらんいただきたいと思います。
 まず、市街地再開発事業については、Ⅰ街区の主要用途に事務所を加えます。そして、建築面積及び延べ面積をふやし、建築物の高さの限度を四十五メートルから七十メートルにするなどの変更を行います。
 次に、地区計画につきましては、提案事項概要の四〇ページ、左下の建築物の容積率の最高限度の項目をごらんいただきたいと思います。
 Ⅰ街区におけます都心居住の促進に資する住宅整備等の評価や、当初Ⅲ街区に整備を予定していた業務機能の一部をⅠ街区に移転するなどの見直しを行った結果、Ⅰ街区の容積率を三四〇%から五〇〇%に、Ⅲ街区の容積率を九四〇%から九三〇%にするなどの変更を行います。
 今回の変更に伴う地元の方々への事前説明でございますけれども、こちらにつきましては、本地区については、平成十四年に地元協議会が設置されてから、港区も含めましてさまざまな話し合いが行われており、今回の変更案は、地元からの要望にもかなったものとなっております。
 今回の都市計画案に先立ち、都市計画法第十六条に基づく地区計画の原案の説明会を九月六日に行いましたが、原案の修正を求める意見はありませんでした。
 また、この原案の縦覧を九月八日から二十一日までの二週間行いましたが、意見書の提出はありませんでした。
 なお、本地区は、平成十年の当初決定の際に、東京都アセス条例に基づく環境影響評価を行っております。今回の変更は、比較的小規模な施設建築物の変更であるため、アセス条例第六十二条に基づく変更届を環境局に提出いたしまして、環境上、周辺に大きな影響を与えるものではないことを確認しております。
 最後に、本地区の総事業費及び事業期間はいずれも変更ございません。
 以上で概要の説明を終わります。

○高橋(か)委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○きたしろ委員 きょう提出をされました資料の中で、環状二号線の新橋・虎ノ門地区市街地再開発事業の都市計画変更について、関連して何点かの質問をさせていただきたいと思います。
 新橋・虎ノ門地区のような多くの人が住み、今働いている場所ですけれども、環状二号線を整備し、幾つかの再開発ビルを建てるこの事業に対しては、利便性や快適性を追求するばかりではなく、地域の人々の生活や行動に配慮することが重要になると思います。特に、そこに住んでいる人たちが、改めてそこに生活の再建をかけるということもありますので、その辺のところも十分に含んでいただきたいと思います。
 今回付議案件の環状二号線新橋・虎ノ門地区の市街地再開発事業については、新橋に一番近い街区の再開発ビルの形状を変更するということでございますが、当地区周辺は、小規模な飲食店等を中心とするまちが既に長年形成されてきているわけです。
 そこでまず、新橋街区の再開発ビルの建設によって、南北の人の行き来が分断されることのないよう配慮していただきたいという思いがあります。というのは、百メートルにも及ぶ壁ができるわけです。そしてまた、その中には、今までの生活道路が四本あったわけです。そういった意味で、その辺の配慮をぜひお願いをしたいと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○石井市街地整備部長 今回この変更の対象となっております再開発ビルの建築敷地は、ただいまお話がございましたように、それから後ろの方に図面が出ているかと思いますけれども、環状第二号線に面した、東西方向に約百十メートル、南北方向、つまり新橋駅へ向かう方向でございますけれども、こちらに約二十メートルの細長い形状をした土地でございます。
 再開発ビルの計画に当たりましては、お話のような新橋方向と環状二号線を結ぶ歩行者の動線を確保する必要があるとの認識から、建築敷地を南北方向に横断できるルートを設けることとしております。
 具体的に申し上げますと、敷地のほぼ中央に、建物の一階部分を通り抜けできる空間を設けることとしておりますほか、敷地の両端には広場を設けまして、歩行者の動線やたまりの機能を確保してまいります。

○きたしろ委員 地域の生活道路になっている場所ですから、そういった配慮をしていただけるということは、本当にありがたいなというふうに思います。願わくば、あと一本ぐらい欲しいなとは思うんですけれども、それぞれの地権者の関係もあるでしょうから、あるいは建物の景観等もあるでしょうから、やむを得ないのかなというふうに私は思います。
 次に、今回の再開発事業地区、また隣接する汐留地区など、本地区周辺では大規模開発が進んでいるわけです。こうした開発の影響を受ける方々は、おのおのの地区内の地権者だけではなく、周辺にも当然及んでいると思います。
 そういう意味で、この地区らしいまちを創出するためにも、地権者のみならず沿道住民を含めた話し合いの場を設け、地域の意見を取り入れていく場が必要であると考えておりますけれども、例えば、今後、地上部道路を整備する際に、沿道住民の意見を聞く場を設けたらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○石井市街地整備部長 環状第二号線新橋・虎ノ門地区の地上部道路の整備の際、沿道住民の意見を聞く場を設けたらどうかというようなお話でございますが、この地区の地上部道路は、通過交通を通すことが主体の地下の本線部とは異なりまして、地域内道路としての性格が強いため、地域の交流やにぎわいの創出、あるいは道路景観や環境への配慮といったことが必要と認識しているところでございます。
 このため、地上部道路の整備に当たりましては、緑豊かなゆとりある歩道を確保するなど、国際都市東京にふさわしい洗練された道路空間の創出に努めていく考えでありまして、地権者ばかりでなく沿道の方々の意見も聞く場を設けるなど、関係者間で協議しながら整備内容を具体化してまいる所存でございます。

○きたしろ委員 そういった意味で、地権者だけではなく広く沿道の人たちを含め、将来の新しい新橋をつくるためにも、そういう協議会の場で多くの人の意見を取り入れて、そしてまた、皆さんの立場とそれぞれが意見を闘わせながら、いい成案をつくっていただきたいなというふうに思います。
 ところで、今回の再開発事業と隣接するわけですけれども、今、第一京浜を挟んで汐留の再開発が進んでおりますよね、区画整理事業で。こことの関係も、将来、まちづくりという意味で非常に大きなものとなると思うんです。そこで、歩行者の安全確保や、今おっしゃられた緑とか、そういった意味も含めて、隣接する汐留地区の一部の地域との一体性が保たれるような機能の確保をぜひお願いをしておきたいなということ、これは要望しておきます。
 次に、まちづくりというと、私も区議会でやっていたのですけれども、都市計画といいますと、今までは、戦後、高度経済成長等々を含めて、利便性や経済の追求、そういった面だけが重要視されてきたのではないのかなというふうに思っているわけなんです。そういう中で、効率性や利便性あるいは経済というようなことだけではなくて、自然への配慮というものが何か--高度経済成長時代のまちづくりには、それが余りにも多く取り入れられてきたのではないのかなと。そういう中で、今の都市型災害、都市型水害、こういうものが発生してきていると私は思っているんです。
 特に港区なんかでは、今まで、十年以前は古川の洪水なんかはなかったのですけれども、こういうコンクリートジャングルといいますか、アスファルトで覆われてしまった結果、あるいは自然、緑、土というものがなくなってしまった結果、そういう都市型水害、都市型災害が今現実に発生してきているわけなんです。
 だから、そういった意味で、今、利便性ばかりではなく、自然の確保というものが、これからの都市計画というものに関して重要視されなければいけないのではないのかなというふうに私は思っているんです。そしてまた、それと同時に、私たちのライフスタイルも、やっぱり利便性や快適性ばっかりを追いかけてきて、面倒くさいことはやらないようになってしまっている。こういうライフスタイル自身も、我々自身がいま一度、自然との共生ということを考えれば、やはり考え直さなきゃいけない時期になってきているのかなというふうに思っているんです。自然や環境をやはり重要視すべきだ、自然との共生も考えるべきだ、そういう中でバランスのよいまちづくりをしてもらいたいなというわけです。
 そういった意味で、環状二号線における緑や景観への取り組みはここだけにとどめるべきではなくて、東京都は新しいまちづくりのキーワードとして、自然と人の共生をこれまで以上に重視したまちづくりを進めることが必要であると思うのですけれども、見解をお伺いいたします。

○福島都市づくり政策部長 緑豊かで潤いのある都市空間の創出に向けまして、都といたしましては、これまでも、道路整備での保水性舗装や民間プロジェクトにおける敷地内緑化の促進など、個々の取り組みを実施してきたところでございます。
 しかしながら、まちづくりを進める上で、緑の確保やヒートアイランド対策など、環境との調和に一層配慮した広域的な取り組みが必要でございまして、今般、都市再生を進めるに際しましての基本的な考え方に当たる都市再生緊急整備地域の地域整備方針に関しまして、水と緑のネットワークの形成やヒートアイランド対策など環境への配慮を記載するよう、都といたしまして国に申し入れをしたところでございます。
 また、都は、計画の早い段階から、環境へ配慮していく考えから、品川駅東口など大規模な土地利用転換が見込まれる地域におきまして、水や緑の資源を生かしつつ風の道も確保するなど、環境負荷の小さいまちづくりの検討を開始しているところでございます。
 今後とも、環境との共生を重視したまちづくりを積極的に推進してまいります。

○植木委員 私は、二つの質問を行います。一つは亀戸・大島・小松川地区の問題、もう一つは大手町の問題です。
 今回、約百ヘクタールにも及ぶ広大な再開発事業として進められて、未来に誇れるまちづくりを進める、そういうことで、建物の配置や公共施設の配置、あるいは事業の進め方などについて、東京都や地元区、住民合意のもとに、都市計画決定や事業決定を協力して進めてきたはずだというふうに思うんです。
 ところが、今回の案件はE-7街区でありますが、その西側にありますPE-30街区の都市計画決定や事業計画変更のとき以来、どうも住民との間でそごを来しているんじゃないかと。住民の声を聞く姿勢があるのか、あるいは聞いても聞きおくだけになっているのではないか、こういう不信感が募ってきているように私は思います。特に、計画変更の縦覧の直前になって、それも住民からの要求で説明会をやるという、そういう状況でこのPE-30街区の計画が決定されてきた。
 しかし、このPE-30街区には公的施設をつくる、こういう計画であったはずだと思うのですが、それがどのような経過でなっているのか、現状はどうなっているのか、まず、その点についてお示しください。

○石井市街地整備部長 お話にありましたとおり、PE-30街区と申しますのは、今回都市計画変更を提案しているE-7街区とは異なりますけれども、E-7街区の南西に位置する敷地でございます。
 このPE-30街区は、お話のように区立の公益施設などの整備を予定していた街区でございましたけれども、近隣に小松川区民施設が建設されまして、当街区での公益施設整備の必要性がなくなったため、平成十六年一月、主要用途を公益施設から住宅に変更するとともに、容積率を二三〇%から二〇〇%に引き下げる都市計画変更をしたという経緯がございます。
 その後、土地の売却に向けて公募を開始しようとしましたところ、昨年の七月並びに八月に、この街区のあり方に関する十分な検討と土地売却の公募停止を求める陳情がこの委員会に提出されたため、当面公募を延期し、現在、地元の代表の方々と話し合いをしているところでございます。

○植木委員 公的施設は充足しているということで変更を行ったと。しかし、陳情が出されて、関係都議会議員も、その陳情者の皆さんの声を酌んで十分な話し合いをやるべきだと、こういうことで現在延期になっているということだと思うんですけれども、長い間住民の皆さんとよく話し合ってきて、しかも、もともとそこに住んでおられた方も、計画の趣旨を理解して、移転に協力してきた多くの方々が現にいるわけですよね。そういう人たちに対して、きちっとした対応をする、きちっとした説明をするということが欠けたから、そういうことになったんだろうと思うんですが、そういう意味で、現在延期になっているということですけれども、今後どうしていくつもりなのか。引き続き住民との話し合いを続行して、住民との信頼関係をつくるという点の努力を崩してはならないというふうに思うんですが、いかがですか。

○石井市街地整備部長 今後どうするつもりかというお尋ねかと思いますけれども、現在、江戸川区とも連携いたしまして、地元の代表の方々と話し合いを続けているところでございます。今後は、PE-30街区の早期売却に努めてまいります。

○植木委員 今のお答えだと、話し合いに努めているけれども、売却は急ぐよという趣旨にもとられかねないと思うんですよ。やっぱり去年、地元の都議も入ってきた経過があるわけですから、陳情の趣旨をきちっととらえて、地元の関係者、それから、これには町会連合会やまちづくり協議会、商業会、テクノタウン、近隣住民それぞれがかかわってきているわけですから、そういった点での不信感を絶対にこれ以上募らせてはならないということを、私は強く申し入れたいというふうに思うんです。この問題でもそういうそごがあったと。
 今回提案されているE-7街区についてですけれども、この変更について住民に示したのはいつなのか、基本設計を発注したのはいつなのか、まずお示しいただきたい。

○庄司再編整備推進担当部長 まず、委員のお尋ねでございますが、基本設計につきましては、平成十六年十一月に契約をしてございまして、平成十七年三月まで委託期間としてとってございます。
 住民説明会でございますが、平成十七年八月二日に開催してございます。

○植木委員 去年のうちに発注しているということで、既に専門の業界紙あるいはホームページなどでは、建物の構想まで出ているんですよね。およそ何階で、どういう施設を導入するのかというのが、もう既に一月のホームページにも出ているんですよ。そういう点で、住民には全く直前まで知らされない。これもやっぱり一つの不信感を生む原因になっているんじゃないかというふうに思うんですよね。
 だから、こういうことは通常に行われているんですか。つまり、住民に説明する前に、公のところにいろんな書類が出ていってしまう、こういうことはあっていいことなんですか。

○庄司再編整備推進担当部長 基本設計の委託につきましては、ことしの三月まで行っておりまして、その結果を精査し、内容がおおむね固まった平成十七年八月に説明会を開催したところでございます。
 通例、説明会におきましては、具体的な建物の配置や高さ、日影の影響等、建設計画の基本的な事項がおおむね固まった時点で開催しているものでございまして、この説明会の開催日は適当なものと考えてございます。

○植木委員 開催日が適当かどうかを聞いているんじゃなくて、そういう情報がどんどんちまたに出ていいのか、当たり前でそういうことがやられているのかということなんですよ。もう一回お願いします。

○庄司再編整備推進担当部長 この団地につきまして、基本設計につきましては十六年十一月に委託発注したものでございますが、その際、一部の報道機関が、契約情報に基づき、独自の取材により発表されたものと考えてございます。(植木委員「いいのか、悪いのか」と呼ぶ)これについては問題がないというふうに考えてございます。

○植木委員 独自の取材に基づいたからいいんだと。企業名からおおよその戸数まで出ているんですよね。僕はやっぱり、それはきちっと行政として当然、そういうことが事前にちまたに出ていくというようなことを許しちゃならぬと思うんですよ。住民に何にもそんなことは話をしていないわけですから。こういう点でも不信感が募っていると思うんですよね。
 それで、八月二日に説明会が初めて開催されて、今回、都営住宅の総戸数が建物の形態等も含めて提案されているわけですが、江戸川区内の都営住宅の総戸数や空き戸数がどういう状況になっているのか。また、現在、もう古くなったからこの建物は建てかえるということで具体的な話を進めつつある団地はどのくらいあるんですか。

○庄司再編整備推進担当部長 江戸川区内の都営住宅の状況でございますが、約一万三千戸ございます。その中に、昭和三十年代に建設され、老朽化し建てかえの対象となっている住宅が約千三百戸ございます。これらの建てかえをできるだけ速やかに円滑に進めるためにも、受け皿となる事業用住宅を確保していきたいということで今回進めているわけでございます。

○植木委員 現在建てかえ計画の話し合いを始めているところはどのくらいあるんですかと聞いているの。

○庄司再編整備推進担当部長 現在建てかえの説明を行ってございますのは、東小松川母子アパートの三十六世帯で既に説明を行っているところでございますが、その他の団地につきましては未定でございまして、今後、建てかえ対象団地の中から選定していく考えでございます。

○植木委員 現在説明しているのは三十六戸と。今回E-7街区と、それから、この話の中で出てきませんでしたけどE-30街区、両方合わせると何戸になるんですか。

○庄司再編整備推進担当部長 江戸川区内の建てかえ事業でございますが、この亀・大・小地区のE-30街区につきましては、三百三十五戸で既に着工してございまして、江戸川二丁目アパートとE-7街区の二団地、計九百十六戸で現在実施設計を行っているところでございます。

○植木委員 そうすると、江戸川区内の建てかえは全部ここで賄おう、そういう考えなんですか。ほかには全然努力をされていないんですか。いかがですか。

○庄司再編整備推進担当部長 現在、江戸川二丁目アパートでも実施設計中でございまして、それらを含めまして、江戸川区内の建てかえ事業に対する対応、受け皿住宅としての活用を考えていきたいというふうに考えてございます。

○植木委員 両方合わせて千戸以上ですよね、今のお話だと。じゃ、現状で小学校や中学校の受け皿、適正な子どもたちの人数、学級規模が確保できるんですか。それから、それだけの人口がふえたときの買い物をする施設はあるんですか。受け皿はどういうふうになっているんですか。

○庄司再編整備推進担当部長 この建てかえを進めるに当たりましては、江戸川区とも十分調整をしながら進めているところでございまして、それらの施設については、十分対応が可能というふうに考えてございます。

○植木委員 じゃ、小学校、中学校は具体的にはどういう計画になっていますか、買い物施設はどういう計画になっていますか、お示しください。

○庄司再編整備推進担当部長 若干先ほどのご説明を補足させていただきますが、江戸川二丁目につきましては、その団地の中で建てかえを進めていくことでございまして、この中でその受け皿についても確保していくということでございます。
 そういう意味で、江戸川区内の約千三百ぐらいの建てかえ対象団地の戸数があるわけでございますが、それにつきまして、今回のE-30とかE-7とか、そういうものを念頭に置きながら対応をしていくということでございます。

○石井市街地整備部長 ただいまのご質問の中に、住宅戸数の増加による既存の学校施設への影響はどうだと、こういうお尋ねがあったかと思いますので、その点についてお答えしたいと思います。
 今回の変更によりまして、当初計画しておりましたファミリータイプの住宅を一般、都営住宅ということではなく考えていたわけでございますけれども、それらから世帯の小規模化に対応した住戸タイプへの変更をする、こういうことを想定しておりまして、それによって既存の学校施設への負荷は軽減される、このように考えております。
 地元区であります江戸川区との協議におきましても、既存の学校施設において受け入れは十分に可能であり、特に支障はない、このように聞いております。
 なお、商業施設等につきましては、今、遊休施設になっております商業の空間がございますので、これらについて積極的に、地元の皆さんとお話し合いをしながら商業施設の誘致を図っているところでございます。

○植木委員 多分、単身者の住宅を確保する分量がふえるんだからいいんだよという、そういう説明だろうと思うんです、簡単にいえば。しかし、そうじゃないんですよ。先ほどのPE-30街区だって、新たな住宅を発注しよう、売却しようといっているわけでしょう。そういうものを総体として、幾ら協議を進めたって、現実に立っていないのは事実なんですよ。計画がないのは事実なんですよ。これが全部、計画が立ち上がるときまでにできるはずがないですよ、今の現状の状況では。そのことを承知してそのことを答弁しないというのは、それはひきょうですよ。もう一度お答えください。

○石井市街地整備部長 ただいまお答えしたとおりで大変恐縮でございますけれども、基本的には、学校の施設の問題は江戸川区の問題でございまして、江戸川区との協議におきまして、区の方から、これでいいんだと。もちろん、戸数等についての想定は出しているわけでございます。入るべく、どんな世帯が入るかということも想定して協議しているわけでございます。その上で、特段の支障はない、このように聞いておりますので、私どもはその線に沿って事業を進めていく、こういうことでございます。

○植木委員 僕は現実を見ていないと思うんですよね。小学校、中学校を建てかえするというのは莫大なお金がかかるんですよ、皆さんご存じのとおり。だから二の足を踏んでいるわけでしょう。そこへ新たに合計で千戸以上の住宅ができて、受けられるはずがないですよ。今だって、夏の間のプールだって、活用状況を見ると、一週間に一遍、子どもたちが利用できるかどうかというような、そんな状況なんですよ。僕は実態をよく見るべきだと思うんですよ。協議している、協議しているといったって、具体的に何もないんですから。そういう点でも不信感を買ってきているんですよね。
 私、今回E-7街区の提案なんだけれども、みんなが何をもっと話をしてくれといっているのかということをいろいろ考えてみたんだけれども、昨年度以来の皆さんと地元区、住民の間での話し合いが、これまで培ってきたルールから少しずつ外れてきちゃっている。
 それから、今度のE-7街区が建つ、PE-30街区というところにも建物が建つ、それからE-30も今計画中だと。私、PE-30街区の建物の図面も見ましたけど、実に高さは三十メートルぐらいあるんだと思うんですけれども、横が七十メートルですよ。それで、都営住宅の方は百数十メートルでしょう。だから、まさに壁がずうっとこうなるわけですよ。
 ここに、協力して移転してきた方と後から入居された方、いろいろいるけれども、そういうことも含めて、住民の生活環境、学校や公的施設や買い物ができる環境、そういうものを総合的に--毎日の生活ですから、生活の目から心配して、皆さんに十分話し合いを持ってくれと、こういう希望をしているんです。
 都市計画決定をこんなに急いだのは、年内発注を何が何でもやろうという、そういうことなのでしょうか。そこのところはどうなんですか。

○石井市街地整備部長 都市計画決定をなぜ急ぐのかということでございますけれども、この時期に都市計画を変更する理由は、当街区の施設計画の内容が固まりまして、主要用途の変更や建物の規模の縮小による変更が必要となったため、速やかに手続を進めているものでございまして、工事の発注時期云々に直接的に関係するものではございません。

○植木委員 工事の発注は年度内にやっちゃうんですか。

○庄司再編整備推進担当部長 工事の発注につきましては、スーパー堤防の事業者の国等との工程調整の話もございまして、来年度発注する考えでございます。

○植木委員 スーパー堤防を担当している事務所の方々と地元との話し合いの中でも、これだけの規模のものを建てるときにスーパー堤防を整備するということになれば、地元の住民との話し合いがないまま強行するというわけにいかない、急ぐ必要はないといっているんですよね。そういう点でも、今、年度内の発注はないということなんですが、都市計画決定は強行しちゃうということを、あなた方はやろうとしていると思うんですけれども、今いったように、いろんな不信感がこの間出てきている。そこをよく話し合うこと。
 それから、近隣の人たちの日常生活の中で予想される心配、そういうことについても十分な話し合いをやっていく必要があると思うんですよね。町会連合会やまちづくり協議会、近隣住民の人たち、さまざまな人たちがかかわってきたわけですから、そういった点で、建物の配置の問題だとか、公共施設の設置のあり方の問題とか、事業の進め方について、よく丁寧な話し合いをやってほしいということを私は強く求めたいと思うんですが、いかがですか。

○庄司再編整備推進担当部長 今回の都営住宅の建設につきましては、これまでも地元江戸川区と連携し、町会連合会を初め商業者会や工業者会など地域の諸団体への説明や全体説明会など、地元住民に対する説明をきめ細かに行ってきたところでございます。近隣住民から出されました要望に対しても、駐車台数を当初の六十二台から八十台にふやす計画の見直しを行うなど、誠実に対応してきているところでございます。
 E-7街区の都営住宅の現在の建設計画は、日影など周辺環境への配慮を十分にしているところでございまして、また、都民共有の財産である都有地を有効に活用し、江戸川区の保育所と障害者福祉施設を併設するなど、地域のまちづくりにも大きく貢献するものであることから、適切なものであると認識してございます。江戸川区から、この都営住宅の建設は、区にとっても地域にとっても意義の高い事業であり、現計画での建設を推進してもらいたいという強い要請を受けてございます。
 したがいまして、都といたしましては、地元江戸川区などと密接に連携を図りながら、今後とも地元住民に対しても計画案の説明を行い、現計画案により都営住宅の建設を進めていく考えでございます。

○植木委員 話し合いはするという、当然なんですけれども、やっぱり日常生活で眺望の問題から何から、とにかく二百メートル近くの壁ができるわけですから、そういった点も含めてきちっと話し合いをして、今後とも、従来の関係をきちっと保ってやってほしいということを改めて強く申し添えます。
 次に、大手町の再開発計画についてでございます。
 この計画は、九月十五日だったと思うんですけれども、この場で都市計画案件の質疑をして、都市計画審議会は十月二十六日に行われて、当時、七〇〇%を一二〇〇%にするという計画が提案されて、それについても私はいろいろ疑義があると質問をいたしましたけれども、十月二十六日に決定したばかりなのに、もうこの提案を一五九〇%にするというわけでしょう。こういう提案がもう出てきている。十月二十六日からきょうまで、半月ばかりでですよ。本当に驚きですよね。
 ところで、この都市再生の特別地区の申請があったのはいつでしょうか。

○金子参事 都市再生特別地区の提案がございましたのは十月十四日でございまして、十四日に受理をしておるところでございます。

○植木委員 十四日に受理して、地元区に説明していると思うんですよね。
 それから、地元区で景観審議会が開かれている。そこでも説明されたと聞いているんですが、いつ開催されたのでしょうか。

○金子参事 都市再生特別地区についての地元区への説明でございますけれども、従来から大手町のまちづくりにつきましては、都と区は連携を図ってきておりまして、都市再生特別地区の提案に関する事前相談の段階から、事業者に対しては、区にもよく説明するように促してきたところでございます。
 それから、事業者側の提案内容がほぼ確定をいたした段階で、十月三日に開催いたしました検討会の場においては、千代田区も都と一緒に事業者から直接説明を受けております。
 それから、千代田区の景観審議会でございますけれども、これは十月二十四日に開催されまして、建物の高さですとか緑化などについて議論されたというふうに聞いております。

○植木委員 十月二十四日ということは、二十六日に都市計画決定をする二日前ですよね。こんなことありなんですかね。一二〇〇%を決定していないのに、もう次の一五九〇%が千代田区の景観審議会で出されている。座長の方、学者の方ですけれども、驚いていましたよ。まだ一二〇〇%を決定していないのに、何でこんなものが出てくるんだと。
 本当に僕も、こんなひどい手続のあり方というんでしょうか、もちろん同じ内容でいっているんじゃないと思いますけれども、どう考えてみても、一二〇〇%を決定していないうちに一五九〇%を出している--あなた方はそれを知っているわけですよ、全部かかわってきているんですから。おかしいと思いませんか。

○金子参事 十月二十六日の都市計画審議会では、用途地域についてご審議をいただいたわけでございますけれども、用途地域につきましては、土地利用の位置づけですとか都市基盤の整備水準、そういったものを勘案して定めるものでございます。
 一方、都市再生特別地区の提案につきましては、事業者による都市再生の貢献に応じまして判断をしていくというものでございます。
 したがいまして、用途地域と都市再生特別地区は、その考え方が基本的に異なりますので、切り離してご議論いただくのが適切であるというふうに考えたところでございます。
 また、都市計画審議会が開催されました時点で、都市再生特別地区の提案は既に受理しておりましたけれども、その扱いといいますか、すなわち、その提案された計画について都市計画決定の手続を進めるかどうかという判断につきましては、やはり基本となる用途地域に関する都市計画審議会の審議結果を踏まえて決定するというふうにしていたものでございます。

○植木委員 用途地域と違うといったって、実際には、一二〇〇%を決めなければ一五九〇%は決められないわけでしょう。そこはどうなんですか。

○金子参事 先ほど申し上げましたように、十月審では用途地域の変更をご審議いただきまして、それによって一二〇〇%という用途地域による容積率が決定するのを踏まえて、その後の一五九〇%という都市再生特別地区の提案について、今後、都市計画の手続を進めていこうという考えでございます。

○植木委員 踏まえてということは、決定しなければ次の決定はできないわけですよね。もう既に出ているんですよ、千代田区の景観審議会にね。用途地域と違うといったって、現実に出ているんですよ。間違いないんですよ、それは。
 大体、特区問題を扱って検討している検討会というのは、都庁の内部だけの検討会、あるいは民間の、建物を建てようとしている、つまり特区を申請している人たちと都庁の関係者だけで検討しているんですか。第三者も入っているんですか。

○金子参事 まず、景観審議会との関係について答弁させていただきたいと思いますけれども、千代田区の景観審議会では、事業者の計画について、デザイン等の観点を中心に議論をされるものでございまして、容積率などの都市再生特別地区の内容を都市計画の観点から議論する場ではないというふうに聞いております。
 景観審議会にいつの時点で付議するかについては、千代田区の方の判断によるものでございますし、また、それが景観審議会に付議されたからといって、都や区がその内容を認知したということではございません。
 あくまでも、都市再生特別地区の内容につきましては、今回の十二月の都市計画審議会でご審議をいただくべきものであるというふうに考えております。
 それから、検討会につきましては、東京都とその所管の区と事業者、事業者が計画を説明して、都及び区がその質疑を行うという形になっております。

○植木委員 一五九〇%を論議する場じゃないといったって、現実に出ちゃっているんですよね。だから、座長でさえおかしいといっているわけですよ。現に資料を回収しちゃっているんですよ。みんなに配った資料をあわてて回収しているんですよね。本当におかしいことがやられているんですよ。普通だったら、一二〇〇%を決めて、その上で一五九〇%をどうするんだという話に移行するわけですよ。移行できないけれども、事業者の説明だといって、実際にはもうやっちゃっている。
 それで、一二〇〇%を決めたばかりだけれども、今度プラス三九〇、一五九〇にしようとしているわけですけれども、当初の七〇〇%から比べると、実に二・二七倍ですよ。大変に容積率が引き上がるわけです。
 ところで、この三九〇%の容積率アップの根拠、その内訳、それから、その基準はどういう基準に基づいているのか、お示しください。

○金子参事 三九〇%のうち一八〇%は、都市計画道路の整備による都市再生貢献に対応したものでございまして、これは、Bゾーン、Cゾーンと同様の考え方に基づくものでございます。残りの二一〇%につきましては、大手町地区が国際競争力を持つビジネス拠点となるために必要な国際会議施設を整備すること、駅と結ぶ地下通路整備による地域の歩行者ネットワークの強化、また、屋上緑化とそれをさらに地域交流などに活用すること、そういったことなど、事業者による提案内容を総合的に評価したものでございます。
 そもそも都市再生特別地区につきましては、地域固有の立地条件ですとか整備課題を踏まえた都市再生効果の高い事業計画を実現するため、一律の基準によらない個別の審査を行うこととしております。したがいまして、一定の基準によって数値を算定するのではなく、今回は、国際ビジネス拠点に不可欠の国際会議施設として必要十分な規模を基本といたしまして、さまざまな都市再生貢献を勘案して、提案内容を妥当と判断したところでございます。

○植木委員 特定の基準によらないというのは、基準がないということでしょう、正直に答えたらいいじゃないですか。基準がないんですよ、これ。全く基準がない。容積率は三九〇%も上がって、基準がないなんていうのは、通常じゃ考えられないですよ。
 今、都市再生特別措置法によるんだというお話がありましたけれども、特別地区というのを読んでみたら、既存の用途地域に基づく用途、容積率の規制を適用除外した上で、都市計画決定によるいろんな基準は除外した上で、自由度の高い計画を定めることができる、そういう都市計画制度を創設すると。これも驚きですね。基準をなくしちゃう。自由度の高い計画だと。つまり、申請を出している企業の人たちのいいなりなんですよ、この計画自体が。第三者も何も入っていない、行政と事業者だけ。しかも基準もない。こんなことがやられているということは、本当に私、驚きです。
 ところで、これは、大手町合同庁舎の売却を、都市再生機構による国有財産の売却契約が行われていると思うんですよね。この総額と平米当たりの単価は幾らになるのでしょうか。

○金子参事 質問にお答えする前に、今、事業者のいいなりというようなご発言がございましたので、その辺について少しお話をさせていただきたいと思います。
 事業者が容積率等について提案をしてまいりますと、私ども、地元区と東京都で、客観的にその地域の特性ですとか地域整備方針への適合ですとか、環境への配慮といったもの、あるいは都市基盤との均衡とか、そういったものを検討した上で、その内容について判断をしていくということでございますので、いいなりというような言葉は当たらないかと思います。
 今のご質問でございますけれども、都市機構へ売却されたときの価格でございますが、売却価格は千三百億円、これを一平米当たりに換算いたしますと約九百七十万円ということになります。

○植木委員 事業者の出した提案を勘案してというお話でして、勘案するのは当然なんですけれども、じゃ、例えば三九〇%を上乗せするというのは、事業者の出した、もともとの案はどうだったんですか。それを三九〇%に皆さんが改善したのですか。それともそのまま認めたのですか。

○金子参事 三九〇%のうち一八〇%につきましては、東京都の方で、都市計画道路の整備に対する貢献として、B、Cゾーンと同様に考えたものでございます。それ以外につきましては、提案者のもともと提案されたものでございまして、私ども、客観的に見て妥当であるというふうに判断したものでございます。

○植木委員 同じことですよ。妥当であると判断したって、同じことですよ、もともと基準がないんですから。
 さっきの平米当たりの単価、九百七十万円で売却されたというんですけれども、この容積率は七〇〇%の単価なのか、それともこの間お決めした一二〇〇%を基準にした単価なのか、どちらなのでしょうか。

○金子参事 この土地が何%の容積率に相当するのかというようなお尋ねだと思いますけれども、これは、財務省の方が鑑定により設定した価格でございまして、それが容積率の何%に相当するかということは、私どもとしてはわかりかねるものでございます。
 ただ、財務省といたしましても、将来どのぐらいの土地利用があるのかといったことも想定しながら、その時点における適正な時価を算出して鑑定するといったふうに聞いております。

○植木委員 適正なというのは、わかるようでなかなかわからないんですけれども、じゃ、もともとの経団連がここへ移動してくるわけですから、経団連の現在の地所のところ、ここは平米当たり単価は幾らになりますか。

○金子参事 経団連の場所につきましては、国土交通省が発表しております地価公示によりますと、平米当たり九百六十五万円となっております。

○植木委員 今回九百七十万円で、経団連のところは九百六十五万円、ほぼ同じですね。これは、実は石原知事が国に対して--経団連は売却に当たって、要望を三つの点で出している。ここの経団連の土地と同じ考え方で売却をしてくれよという趣旨の、ちょっと正確な文書、今見つからなかったので、それは後で正確にしますけれども、いずれにしても、そういう文書を提出して、ほぼそのとおりになった、こういうふうに考えられるのではないかと思うのですけれども、それは文書を正確にした上であれですけれども……。
 そうしますと、今回の提案は、七〇〇%の時点なのか一二〇〇%なのかは、先ほどのお話だと、審査会で審査した内容で、その内容はわからないというんですけれども、今回一五九〇%になって、つまり三九〇%アップした。そうすると、平米当たりの単価は幾らになるのでしょうか。

○金子参事 一五九〇%になった場合の土地の価格ということでございますけれども、価格につきましては、私どもは鑑定する立場ではないのでわかりかねるわけですけれども、この合同庁舎の跡地につきましては、都市再生特別地区において、都市計画道路の整備への貢献のほかに、国際カンファレンスセンターとか関連施設、あるいは地下鉄大手町駅へ接続する地下通路を整備すること、そういった都市再生貢献を評価して容積率を設定しているということでございまして、土地利用上の制約のついた土地ということがいえると思います。
 こうした制約がある土地につきまして、容積率の差で単純に価格を比較するということはできないのかなというふうには思っております。

○植木委員 単純な、正確な数字はわからないんですけれども、少なくとも、今、合同庁舎がなくなったところの土地の単価ですから、そこに建物が建って、しかも一二〇〇%になって、一五九〇%にさらになるということになれば、もちろん道路の整備もやるわけですから、その土地の立地の価値というものが当然上がると思うんですよね。そうすれば公示価格も上がると考えるのは普通だと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
 正確な数字はもちろん、おっしゃるとおり、いろんな規制も含めてわかりませんけれども、しかし、その価値が確実に上がることは間違いないと思うので、公示価格は上がると思うのですけれども、いかがですか。

○金子参事 先ほども申し上げましたとおり、この土地については、通常の容積率の差をもって単純に比較もできないし、また、その容積率だけで価格が決まるものでもないと思いますので、幾らになるかということについてはお答えしかねるな、こういうふうに思っております。

○植木委員 私、国土交通省の公示価格の、この千代田区の大手町、内幸町、丸の内近辺の資料をちょっととってみたんですけれども、容積率一三〇〇%で--大手町は何%かわからないけれども、少なくとも一二〇〇%以下だと思うんですよね。あるいは七〇〇%かもしれない。申し入れたとおり、もとの土地の価格でやってくれよということになれば七〇〇%だし、一二〇〇%だとしても九百六十五万円ということは事実だと。
 周辺で一三〇〇%でどのくらいになっているのかと、ずっと見てみたのですけれども、もちろん場所や、どういうものが立地したか、周辺道路の関係とか駅からの距離とか、いろんなので違いますから、単純に考えるわけにはいかないんですけれども、少なくとも、近隣で一三〇〇%でどういうふうになっているかというと、例えば丸の内一丁目は千六百七十万円、丸の内二丁目は二千二百万円、丸の内三丁目は千五百三十万円、大手町はこれからですから金額は出ていないんですけれども、大体一千万以上二千万前後まで、こうなっています。
 だから、単純にはいかないというのはおっしゃるとおりだとは思うんですけれども、普通に考えたら、やっぱり価値は上がるというふうに考えざるを得ないと思うんですけれども、もう一度お願いしたいと思います。

○金子参事 繰り返しで申しわけございませんけれども、先ほど申し上げたように、ある程度制約がある土地でございますし、単純に容積率の差だけで判断もできませんし、また、どのように公示地価なりを算定しているのかについても我々存じておりませんので、ちょっとお答えしかねるかなというふうに思います。

○植木委員 いずれにしても、七〇〇から二・二七倍ふえる。周辺道路もこれから整備される。当然、これは後になってわかると思うんですけれども、私のいっている方向になってくることはほぼ間違いないと私は確信いたしております。
 時間もありませんので、あと二問だけ、したいと思うのですけれども、今回、建てかえによって、床面積はどのくらいふえることになるのでしょうか。

○金子参事 今回の建てかえにつきましては、地権者である日経新聞、経団連、JAグループが移転するものでございますが、これら三社の従前のビルの合計と比較した場合、床面積は約九万五千平方メートル増加する見込みでございます。

○植木委員 九万五千という大変な容積率がふえる。
 時間がなくなったので、最後に一問だけなんですけれども、今いったように七〇〇、一二〇〇、一五九〇と、九万五千平米もふえる。このことは、僕は、建物の中身やいろんな経過の問題もあるんだけれども、もう一つ、やっぱり環境問題ですよ。環境局にお聞きしますと、京都議定書に基づいて二酸化炭素の排出量を抑制する、しかし、一番排出量が大きくなっている問題の一つが、この事業所ビルがふえることにある、それからもう一つは自動車の交通量がふえる、こういうことになっているわけですね。
 きょう配られた資料によりますと、自動車は四千五百台ふえる、周辺開発全体では一万五千四百台ふえるということが出ている。このビルだけでも九万五千平米、そのほか、東京全体、二十三区全体や丸の内だけでも相当量がふえるんです。
 ちなみに、去年一年間だけで、東京ドームの五十七倍の、五十七個分の床面積がふえているんですよ。それで、それが特区というものによってルールが外された形でやられているということが問題なんですよ。だから規制がないということなんですね。
 京都議定書、マイナス六%にしようとしているんだけれども、現実にはプラス二三%になっているんですよ。そういう意味で、このCO2の発生抑制の計画を持っているのか、これを最後にお聞きしたいと思います。

○福島都市づくり政策部長 このプロジェクトの具体的な排出量につきましては、今後、建築計画を具体化する際に、より明確にしてまいりますけれども、今、全般的なお尋ねの中で、東京のオフィスといいますのは、世界的に見ましても、IT化や執務環境の快適性などにおいてまだまだ見劣りをしてございますのと、特に新耐震基準以前、つまり耐震の規定が変わったその以前のビルが、まだ延べ床面積の比で五〇%を占めるなど、地震に対する安全性も相当問題がございます。
 今必要なのは、東京の国際的な競争力を向上することでございまして、それには優良な民間プロジェクトの推進によりまして、良質なオフィスビルの供給が不可欠でございます。特にオフィスビルの建設におきまして、CO2の抑制につきましては、地域冷暖房の活用とか省エネ型の施設整備によるエネルギー消費量の削減を図っておりまして、例えば、最近できました丸ビルなどによりますと、今申し上げたような装置の導入によりまして、三〇%のエネルギー削減が可能となっている、こういう事例もございます。
 今後とも、オフィス機能の改善に資するプロジェクトを推進してまいる考えでございます。

○たぞえ委員 初めに、杉並区高井戸東一丁目地区計画について伺いたいと思います。
 この開発予定地は、京王井の頭線の浜田山駅をおりて南に数分歩くと、広大な運動場があり、地元の住民から三井グラウンドというふうに呼ばれています。二万五千坪のこの敷地は、野球場やテニスコート、陸上トラック、プール、レストハウス、さまざまなものが整って、何も遮るものがない貴重な空間と空地、また、遊水池などの生物生息地として、住民からも大変貴重な空間として守られてきました。これらの貴重な空間、緑を保存することは、私は都政の大変重要な課題だというふうに思います。
 ところが、所有者である三井不動産は、この土地にあるさまざまな施設を廃止して、高さ二十メートルのマンションと戸建て住宅、合わせて七百戸の大規模住宅を建設する計画です。
 計画が発表されましてからは、周辺住民から、既存のままグラウンドで残してほしい、こういう声が上がったわけであります。しかし、杉並区は、三井不動産の計画に即して、用途地域や容積率、建ぺい率を変更する地区案を提案して、都市計画決定を行おうとしています。
 この計画の地権者たる三井銀行のドンといわれていました小山五郎氏、このようにおっしゃっています。長年、三井グループに関与してきた一人として、開発はまことに残念なことと受けとめている。そもそも企業経営は、事業を興して利益を追求していくことを当然の責務としているが、さりとて貴重な居住環境を破壊してまで行うことは、企業の社会的責任から見てもいかがなものか。こうして閉鎖や廃止について語っておられました。その南側に住む元三井銀行草場敏郎会長の未亡人は、週刊誌のインタビューで、主人が生きていたら絶対に認めなかったと怒っていらっしゃる、このように記事が書いてありました。
 私は、この計画が住環境にさまざまな影響を与え、しかも、杉並区の一定の地域の案件ではありますが、東京の空間と緑をどうするかという点で、都の用途地域変更の責任は大きく問われる課題だと思います。
 そこで、初めに、地区計画の目標について聞きたいと思います。
 きょう提案されているこの冊子の中の提案事項概要に、周辺市街地と調和した良好な住環境の維持保全を図ると記載がされていますが、ここでいう周辺市街地とはどのような地域を指しているのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 本日ご配布を申し上げております、この茶表紙をご参照いただきたいと存じます。
 一〇ページをおあけいただきますと、この周辺の概括図が出てございますが、ただいまご質問にございました、これは杉並区が策定をいたします地区計画でございますけれども、京王井の頭線浜田山駅から続きます中層住宅地や周囲の低層住宅地を指すものと考えてございます。

○たぞえ委員 この地区計画の提案地域の変更前と変更後の用途はどう変わるのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 ただいまご説明しました茶表紙の一〇ページ左側の下をごらんいただきたいと思いますけれども、下に凡例の表示がございまして、ここに用途地域の変更のそれぞれの--〔1〕、比較的点線といいますか、ポチであらわしております、地図上では上の方でございますが、これは第一種低層住居専用地域から第一種中高層住居専用地域、以下〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕とございまして、恐縮ですが、全部読み上げることにつきましては、この表をご参照いただきたいと存じます。

○たぞえ委員 周辺の市街地も、今度の開発予定地も、現在は第一種低層住居専用地域なわけです。この地図でごらんのように、浜田山駅からグラウンドまで、全体が低層地域です。したがって、どこでも三階で抑えている。ところが、この地域だけ、グラウンドの中の用途を一種中高に変えてほしいという声は、周辺からは全く起こらないんです。規制や高さを制限するというふうに提案事項説明に書いてありますけれども、現実に低層から中高になるわけですから、これは紛れもなく緩和そのものなんです。
 今回の地区計画は、これに合わせて土地区画整理事業の施行が記載されています。土地区画整理事業は、良好な市街地をつくるために、道路や公園などの公共施設を整備することとあわせて、宅地の形を整える事業ということに目的が置かれています。その宅地とは、公共施設で使用する土地以外の土地となっているわけですから、つまり、公共所有地以外はすべて私有地ということになるわけです。
 そこで、私、次に伺いたいのは、減歩率の問題です。この地図でいう南側、地図では下になるわけでありますが、この地域は、公共減歩は、公園一、二、三号と区画道路の一から六号、二一五号都市計画道路、この三つが公共減歩の地域となります。面積的には、公園面積が一・六五ヘクタール、区画道路は〇・三三六ヘクタール、都市計画道路は〇・三二ヘクタール、合計二・三〇六ヘクタールで、減歩率は四六・一%になります。
 この減歩率を幾らにするかは、行政の裁量の範囲ですけれども、区が認めているのは二〇%ですから、実に二六%減歩率が高い。
 逆に、今度北側、地図でいえば上の部分ですが、この三・七ヘクタールは、区画整理事業とは別の整理事業になっています。通路一と二、通路三と四の北側部分と歩行者空地は民有地で、公有地ではありません。北側は、都市計画道路二一五号を整備するだけで公園はないわけです。
 そうしますと、道路面積は〇・三二八ヘクタールですから、減歩率は八・六%ということで、杉並区がいっている二〇%に及ばない。こういういびつな事業が今回提案されていますが、これを認めるのでしょうか。

○渡辺参事 まず、先ほどのご質問の中に、上側が違うということですが、これは一体的な区画整理事業で行うということでございます。
 それで、減歩率等につきましても、これは規模要件に従いまして、区の認可権ということになってございますので、杉並区の方が事業認可を行うわけでございますけれども、そうした個々の計画の中でこうした計画を議論しながら、区の方も協議しながらこういう計画をしてきているわけでございますので、都として問題はないと考えております。

○たぞえ委員 今、一体的といわれましたけれども、これを読みますと、「杉並南部土地区画整理事業を施行すべき区域の指定がなされた地区である」ということをいっていますよ、その下の南部分は。上は違うんだと。なぜ一体的なんですか。全体の土地区画整理はあるでしょうが、明らかに低層住宅地は南部区画整理事業の地域で、上は違うんですよ。どうして一体といえるのでしょうか。

○渡辺参事 私が申し上げましたのは、事業として区画整理事業という手法を使うということで、北と南でそれぞれ区画整理事業という手法をとるという趣旨でお答えいたしました。

○たぞえ委員 先ほどいいましたように、南側と北側、この絵でいえば上と下は、それぞれ区画整理事業は違う性格を持っている。しかも減歩率が違うもとで、北側だけ、図でいえば上の部分ですが、建ぺい率は六〇%、容積率は一五〇%、高さは二十メートルだと。下は低層だから、この基準よりもっと低い。整合性が同じ区画整理事業というならば、やはり統一したものにするべきなんです。
 次に、道路の問題ですが、この地区内をまっすぐ走っている二一五号ですが、東京都の方針である二十七年度までの優先道路に含まれているのか、また事業化の見通しは立った道路なのでしょうか。

○成田都市基盤部長 今お尋ねの路線につきましては、平成十六年三月に東京都及び特別区が共同で策定、公表いたしました第三次事業化計画におきまして、今回区画整理を予定している区間については、優先整備路線には位置づけられておりません。したがいまして、整備時期につきましても未定でございます。

○たぞえ委員 含まれていない。そうすると、この道路は地区内で発生する交通の受け皿として機能させる計画道路なのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 本地区内にございます都市計画二一五号線は、北側で一般道に接続をいたしまして、南側では一部道路としての暫定整備をいたしませんで、区画道路一号、二号を通じまして、周囲の道路に振り分ける計画としてございます。そういう意味で、当面、地区内や周辺の住民の方々の利用というふうに考えてございます。

○たぞえ委員 地区外との一体的な構造機能はないと。しかも、一体として整備幹線道路への通り抜けもできない。いわば、その宅地内の居住者のために都市計画道路という名前の通路が発生するということなわけです。
 この事業者は、この道路を杉並区に提供することを区と了解をしているそうです。この道路は既に都市計画決定をしておりますが、都施行か区施行か、事業主体はどちらかに決定されているのでしょうか。

○成田都市基盤部長 都市計画道路の施行区分につきましては、平成十二年三月の都区協議会におきまして基本的な考え方が合意されております。
 その考え方は、都市の骨格を形成する放射線、環状線、補助線のうち、原則として幅員が十六メートル以上であり、放射線、環状線を補完する複数区にまたがる広域的な路線、これを都施行としてございます。それ以外を区施行としてございます。
 なお、個別具体の対象路線の決定に当たりましては、都と関係区間で十分協議を行うこととなってございまして、現在進めております補助二一五号線につきましては、世田谷区において区施行による事業が進められております。
 また、第三次事業化計画におきましても、五日市街道から北側約八百七十メートルの区間を杉並区が施行する優先整備路線に位置づけてございます。

○たぞえ委員 都市計画道路といっても、施行者がいろいろある。都だろうが、区だろうが、メニューはいろいろあるんだと。しかし現実に、この地域を開発した場合に、南北一体化という枠は外せないのが今の状況ですよ。宅地内だけの通路としての意味しかない、そういうものを開発者が区に提供する。無償提供する。それまで暫定的に道路として使わせてくれと。
 そういうふうに都市計画道路というのは、事業者の思い一つで、施行者も行政ではなくて開発業者になったり、また東京都や区市町村になったり、そんなに粗末なものなんですか、扱い方が。

○渡辺参事 これは先ほども申しましたように、認可権者は杉並区でございますけれども、認可権者でもある杉並区が、事業区域内の都市計画道路の用地の帰属を受ける予定でもある杉並区が、当分の間、暫定でここを整備して管理すると判断したと聞いてございまして、問題はないと考えてございます。

○たぞえ委員 次に、広域避難場所の関係で伺います。
 各地の地震に続いて、災害時に一時避難をするだけでなく、一定期間の貸し出しテントや仮設のトイレの設置が可能な空地を確保することは極めて重要です。杉並の区民からも、災害時には三井グラウンドで落ち合おうというのが家族での約束事で、まさにそういう命綱としてのグラウンドとして役割を果たしてきました。
 この開発によって、避難計画人口は千八百三十人ふえるとしています。現在、広域避難所として機能していますが、これだけの開発人口が急増することによって、避難面積はふえるのでしょうか。

○石井市街地整備部長 人口が開発によってふえるわけでございますけれども、避難場所として指定する面積は、隣接する区立公園であるとか樹林地などを含めまして、変わりません。しかしながら、開発に伴って集合住宅などの建築が想定されることから、避難有効面積というのがございますけれども、避難有効面積は減少いたします。
 しかし、開発による人口の増加を含めまして、避難の機能確保に必要な面積でございます一人当たり一平方メートル以上の避難有効面積を確保することで、開発の事業者及び地元杉並区並びに東京都の三者で確認しているところでございまして、避難有効面積は減るけれども、機能は確保できている、このように考えております。

○たぞえ委員 明らかに減るわけですね。避難有効面積は七万八千六百平方メートルから四万二千五百平方メートル、大きなマイナスです。したがって、一人当たりの避難有効面積は、現在の二・一五平方メートルから一・一平方メートルになる、そのように答弁されました。
 この開発による中層と低層の建物面積は既に確定をして、部長はそのように答弁されているのですか。

○石井市街地整備部長 現在、建築計画は検討中でございますけれども、具体的な面積の確定までは至っていない、そういうふうに聞いております。

○たぞえ委員 有効面積が不確定なのに、都市計画審議会で避難有効面積の数値が出てくるというのはおかしいんじゃないですか。

○石井市街地整備部長 開発事業者は、一人当たり一平方メートル以上の避難有効面積の確保を条件に建築計画を策定するということを確約しております。これにつきましては、今お話を申し上げましたとおり、開発事業者、地元杉並区、都の三者で確認しているほか、開発事業者みずからが地元説明会等で表明してございます。

○たぞえ委員 避難有効面積が確実に減るわけで、しかし一・〇は確保できるからオーケーだと。しかし、これまでの二・一五から一・一、半分以下に減るわけですから、そういう事実が、杉並の区民の皆さんにとっては、避難面積が現実に不安であるという声があることは事実なわけですよ。
 東京都は逆に、避難面積を拡大するために、十九年度にも、この避難地域の見直しを作業として取り組む予定であると聞いています。しかし、こうして、ふやすのではなくて減る方向での地区計画に対して、これは地元の推移があるからということで、これに目をつぶるということに今回はされるのですか。

○石井市街地整備部長 今、委員お話しのように、十九年度から避難場所の見直しを図ることとしておるわけでございます。
 その前に、都内の避難場所についてのご説明を少しさせていただきたいと思いますが、都内の避難場所は、公有地の指定だけでは不足しておりまして、また地域的にも非常に偏在しているものでございますから、グラウンドなどの大規模民有地についても、土地所有者の協力を得ながら、その確保に努めているところでございます。
 このため、都としましては、当該グラウンドにつきましても、開発によって避難場所の機能が損なわれることのないよう、開発事業者に対しまして強く要請、指導し、その確保に努めてまいりました。これについては自負を持っております。
 その結果、避難有効面積は減少するものの、地震時の大火から都民の生命を守る場所として必要な一人一平方メートルを確保できることとなったため、引き続き、土地所有者などの理解と協力を得まして、避難場所として指定してまいります。

○たぞえ委員 最後に、手続について伺いたいと思うんです。
 この開発地は三井不動産が所有をしています。したがって、開発者は一人です。杉並区のまちづくり条例では住民参画が掲げられています。しかし、この計画は、地権者は三井不動産だけのために、住民に計画は提示をしますが、しかし、その中身について住民との協議、議論、そういうシステムがありません。こうしたもとで、スケジュールだけがこれまで進行してきました。
 先ほどから、この地区計画と用途変更に幾つかの大きな問題があることを私お話ししましたが、この事実をまず何よりも解決しなければならない、これが大前提だと思います。ところが、今回、東京都が議会に報告して、あしたから縦覧に入る。さらに十二月の都市計画審議会で決定しようとしていますが、杉並区都市計画審議会ではいつ決定したのでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 杉並区の都市計画審議会は、十一月三十日開催というふうに聞いております。

○たぞえ委員 段取りはどうなっているんですか。

○福島都市づくり政策部長 恐縮でございます。ちょっと段取りの意味をとりかねるのでございますが、どういうご質問……。

○たぞえ委員 今十一月三十日とおっしゃいましたが、既にきょう報告されて、あしたから縦覧だと。しかし、区計審はまだ決まっていないと。どうやって区計審を通していくのですか、あしたの朝までに。

○福島都市づくり政策部長 きょう、用途地域の変更をご説明しまして、あしたから縦覧をいたしまして、十一月三十日に杉並区の方の審議会を開く、こういう段取りになってございます。

○たぞえ委員 それ、ちょっと私の質問に全然答えていないです。要するに、今月十一月三十日に審議会を開催して、そこでさらに調査検討するというふうに前回の区計審で決めているわけです。その前にここで提案するというのは、だれが考えてもおかしいんじゃないですか。地元区が決めていないのに、ここで、あしたから縦覧だと。地元区は十一月三十日、こちらの都市計画審議会は十二月二十一日。区が決めていないのにこちらで決めるというのはどう……。ちょっと説明してください。

○福島都市づくり政策部長 あらかじめこの委員会でご説明をしておりませんので、今回、用途地域の変更に至るというところを東京都が提案をしているという、この内容について手短にご説明をさせていただきますけれども、今回用途地域を変更いたしますのは、先ほど、図面がございましたけれども、まず第一に、大原則といたしまして、元来、土地をどう利用するかにつきましては、基本的には所有者の自由な意思によるわけでございますが、この場所におきましては避難場所に指定されてございます。それから、まとまった樹林地がございます。こういうふうに、開発、環境、避難場所としてのそれぞれの機能をどうにかして両立をさせようということで、私どもを初め区が所有者に対しまして強く働きかけを行ってきたものでございまして、その結果といたしまして、避難に有効なオープンスペースを確保できる、こういうことで中層住宅地として整備をする方向が出されてきたものでございます。
 あえて、まだいいますと、区画整理事業によりまして道路などの公共施設整備が確実に行われますし、そして、今ご質問のありました、用途地域とは別でありますけれども、区が策定をします地区計画によりまして、目指す土地利用の方向を明確にしていく。こういうことで、関連はしてございますけれども、地区計画につきましては杉並区が独自に判断をして決定していくものでございまして、私どもの、今ご審議をいただき、あしたから縦覧に入りますのは、東京都が決めます用途地域を今後縦覧いたしまして、ご意見などをいただいて審議会の方に付議をしていく、こういう段取りになっているものでございます。よろしくご理解をいただきたいと思います。

○たぞえ委員 地区計画は杉並区で決定するものですよ。まだ決定していないんですよ。あした縦覧するのは用途だけですか。地区計画は提示されるんですか、しないんですか。

○福島都市づくり政策部長 失礼いたしました。杉並区におきましても、あしたから地区計画の縦覧がなされる、このようになってございます。

○たぞえ委員 しかし、区の都市計画審議会がまだ審議中なんですよ。飛び越えてやるんですか。それがこちらの都計審なんですか。

○福島都市づくり政策部長 手続といたしまして、十七条縦覧をした上で審議をしていただく、このようになっておりますので、問題はない、このように考えております。

○たぞえ委員 今回の議案は、杉並区の一定の地域の問題です。これは杉並区自身が決めることが大前提ですよ。だから、地元の人の納得も合意もつくって、区計審でオーケーが出た、東京都も用途を変更するというなら、手続的には何も問題ない。しかし、区の意向が明らかになっていない。住民は、まだたくさん独自の地区案を出して議論している最中。
 前回開かれた区計審の議事録を読むと、会長自身が、さらにもっと議論を深めようといったばかりなんですよ。それを今度十一月三十日に行うんです。一方で、地区案と用途案はどんどんどんどん広がっていっちゃう、もう決まったかのように。そして、この冊子に、百七十一回ですか、議案ですと、こうやって出てきちゃうんです。
 こういう区の意向が明らかになるまで、私はあしたからの縦覧はとめるべきだと思いますが、もう一度答えてください。

○福島都市づくり政策部長 誤解のないようにしていただきたいのですが、都市計画決定は、あくまで議員の先生方もお入りいただいている都市計画審議会でご審議をいただいた上で決定いただく。今私どもがやっておりますのは、その前の説明をいたしております。こういうことでご理解をいただきたいと思います。

○たぞえ委員 東京都は、区の都計審が決定するだろうというのを前提に提案していると思いますが、そうなると、行政の東京都が杉並区に決定するんだろうという押しをして、この都議会にも提案していると私は理解をしています。
 東京都のマスタープランで、もっと地元の決定を尊重するということが書かれていますけれども、その点と比べてみても、拙速した進行ではないかなということを私は強く思うんです。
 巨大な空間と緑という、この地域特定の問題になりますが、三井不動産という大企業の土地が、これまで住民と一体となって保持されてきた。しかしこれからは、この企業の考え方で、これまでの空間も緑もなくなってしまいかねない。これに住民が大変危惧をしているわけです。区計審でもそういう議論がされてきましたし、住民の皆さんもさらに議論を深めてもらいたい、こう願っているときだからこそ、今回、区計審でも都計審でも、この提案というのは拙速したやり方だと私は強く考えている次第です。
 以上です。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認めます。よって、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時五十五分散会

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