都市整備委員会速記録第十号

平成十七年十月二十五日(火曜日)
第六委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十四名
委員長高橋かずみ君
副委員長伊藤まさき君
副委員長長橋 桂一君
理事花輪ともふみ君
理事三宅 茂樹君
理事立石 晴康君
大松  成君
高橋 信博君
たぞえ民夫君
植木こうじ君
きたしろ勝彦君
小沢 昌也君
川井しげお君
中村 明彦君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長村松  満君
技監小林 崇男君
技監依田 俊治君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長福島 七郎君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
航空政策担当部長小山  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
都市景観担当部長安井 順一君
再編整備推進担当部長庄司 静夫君
参事北村 俊文君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事山口  明君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
 都市整備局関係
事務事業について(質疑)

○高橋(か)委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 石井経営改革担当部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 事務事業に対する質疑を行います。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 九月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております都市整備委員会資料の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都市再生特別地区の指定区域概要及び相談地区数から、9の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移までの九件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1の都市再生特別地区の指定区域概要及び相談地区数でございます。
 (1)の表は、都市再生特別地区の指定区域ごとに、その概要を記載したものでございます。
 また、(2)としまして、平成十七年四月から九月末までの間の相談地区数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2の主な道路トンネルの事業費でございます。
 東京湾横断道路、中央環状新宿線、中央環状品川線の延長、シールドトンネル外径、事業費を記載してございます。
 なお、事業費につきましては、中央環状新宿線は基本計画指示による概算事業費を、中央環状品川線は都市計画時における概算事業費をそれぞれ記載してございます。
 三ページをごらんください。3の千葉県北西部地震でのエレベーターの閉じ込め事故、故障、損傷事故の状況でございます。
 都県別に、地震の際のエレベーター閉じ込め事故、故障、損傷事故の件数を記載してございます。
 四ページをお開き願います。四ページから五ページにかけまして、4の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
 平成十七年三月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十四年度から十八年度のものを、名称、高さ、延べ面積について年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。5の都営住宅、公社住宅、都民住宅等の建設実績でございます。
 過去十年間の建設実績を、新規、建てかえ別に記載してございます。
 七ページをごらんください。6の都市再生緊急整備地域内の主な開発計画の件数でございます。
 制度ごとに、地区数、区別の状況を記載してございます。
 なお、下段注書きにおきまして、複数の制度をあわせて指定している地区の計上方法等を記載してございます。
 八ページをお開き願います。八ページから九ページにかけまして、7の都及び区市が実施している耐震診断、改修の助成一覧を記載してございます。
 (1)の耐震診断につきましては、助成を行う行政庁別に、対象となる建築物、補助限度額、補助率を記載してございます。
 (2)の耐震改修につきましても、助成を行う行政庁別に、対象となる建築物、融資限度額または補助限度額、利子補給率または補助率を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積でございます。
 過去五年間につきまして、件数、面積を記載してございます。
 最後になりますが、一一ページをごらんください。9の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
 千代田区、中央区、港区の都心三区、これに新宿区、渋谷区を加えました都心五区、二十三区の別に、過去十年間の業務床面積の推移を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○高橋(か)委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○川井委員 先月の九月四日から五日にかけて、中野、杉並両区を中心に、五〇ミリをはるかに超える記録的な集中豪雨がありました。このため、神田川、妙正寺川、善福寺川沿いの広範囲において浸水被害が発生いたしております。
 こうした中、都は、中野、杉並両区に災害救助法を適用し、被災者や被災企業に対し、救助措置を迅速に行っていただいたわけでありますが、この九月四日から五日未明にかけての降雨状況、そして浸水被害状況をお聞かせ願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 去る九月四日の夕方から五日の深夜にかけまして、中野区、杉並区でありました降雨及び浸水被害状況でございますけれども、降雨状況は、中野区鷺宮で、時間最大雨量は一〇三ミリ、総雨量は二一四ミリでございます。また、杉並区下井草で、時間最大雨量は一一二ミリ、総雨量は二六三ミリでございます。さらに、時間五〇ミリを超える降雨が下井草では二時間以上続くなど、九月四日の雨は、その強さと降雨時間の長さに特徴がございました。
 また、浸水被害の棟数でございますけれども、都内全域で約五千棟を超える被害でございます。

○川井委員 非常に強い雨が長時間降ったということで、その浸水被害を大きくしているわけでございますが、現在、都内の治水対策はどのように、また、どういう水準を目指して進めておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 都内の治水対策は、都及び区市町村から構成される協議会において、平成元年度以降、神田川など主要流域を対象にいたしまして総合的な治水対策暫定計画を策定いたし、河川や下水道の整備、あるいは公共施設等に雨水流出抑制施設の設置を行う流域対策を推進してございます。
 この計画では、治水施設の目標整備水準を、河川と下水道については当面、時間五〇ミリ降雨に対応できる水準を目指してございます。

○川井委員 時間五〇ミリの対応ができるように進めているということでありますが、しかし、このような状況の中で、九月四日から五日にかけての集中豪雨もそうであったように、実は、この七年間で十一回、一〇〇ミリを超える雨を降らせております。また、妙正寺川においても、八月十五日、そして九月四日と、一月に二回も一〇〇ミリを超えております。もう既に、一時間当たり一〇〇ミリの降雨量は想定外ではなくて、想定しなければならない雨となっているんだろう、こう思っております。
 今後、これらの状況を踏まえた対応が必要だと考えておりますが、近年の降雨状況や水害状況を踏まえた今後の方針をお聞かせ願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 ご指摘のように、近年の都市化の進展に伴う保水機能の低下に加え、短時間かつ局所的な集中豪雨によるいわゆる都市型水害がふえており、治水対策もこれらの変化に柔軟に対応することが必要と認識してございます。
 このため、近年の降雨や浸水被害の状況などの流域特性を踏まえ、河川や下水道の整備、透水性舗装などの雨水流出抑制施設の設置及び浸水予想区域図の公表など、ハード、ソフト両面から総合的な治水対策のあり方を検討し、安全で安心できる都市づくりを進めてまいりたいと思います。

○川井委員 総合的な治水ということでありますけれども、その治水対策を進める方法について若干お聞きしたいと思っております。
 治水対策においては、河川の整備や下水道の整備が重要であることは十分理解しておりますけれども、この河川や下水道の整備状況は五、六〇%程度である。河川や下水道の整備は多額な費用等がかかるわけでありますけれども、河川の整備において、特に用地買収を伴う場合が多く、非常に困難、あるいは物理的にも不可能な場所、そういうようなことになってきているわけですが、この五〇ミリ対応でさえ--あるいは先ほどいったように、既に一〇〇ミリを超える雨も想定しなければならない雨だと。こういう中で考えていくと、五〇ミリ対策だけでもまだまだ何十年かかるかなと、こういう思いがするんですね。
 そういう状況であるけれども、私は、治水対策というのは待ったなしで対応していくべきなんだろう、こう思っております。東京都が現在進めている河川や下水道の整備、これらの施設--治水対策に対して、東京都が持っている施設あるいは用地、こういうものを有効活用して、全体的な治水安全度を向上させていくというように私は考えております。
 そこで、治水安全度を早急に向上させるため、都が所有している施設などを有効利用し、積極的に治水対策を進めるべきであると考えておりますが、ご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 今、委員ご指摘の治水安全度でございますけれども、五〇ミリ計画の河川の護岸整備率に加えまして、調節池による効果を護岸整備率に換算して加えた、これを治水安全度と称しておりますけれども、この治水安全度を早急に向上することは、河川や下水道による治水対策とともに、民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導及び公共施設の雨水流出抑制対策を進めるなど、総合的に治水対策を推進していくことが重要でございます。このため、都は、都道や都営住宅などを対象に貯留浸透施設を積極的に設置してございます。
 今後とも、都の施設を有効活用し、貯留浸透施設の設置を推進してまいりたいと思います。

○川井委員 東京都が持っている住宅あるいは学校施設、公園等、こういうものをぜひ積極的に、なおかつ、都市整備という局としての東京全体の総合治水対策、こういうものを流域ごとに考えていく必要があるんだろう。特に、先日も本会議で知事が、環七の地下調節池、世界的に見てもまれなる努力であろう、ぜひ時間があったら見てください、こういうことでありました。これを含めて、一段の努力が必要なんだろう、こう思っております。
 そして、一方には、治水対策と同様に、東京から水辺とか川辺とかいう言葉がなくなってしまった、あるいは奪ってしまったといってもいいんだと。三方コンクリートの川というのは川といっていいんだろうか、私からいわせると水路だ、こういう思いがしてならないわけであります。しかし、この場所においても、公共用地を利用しながら、河川流域ごとに何カ所か、水辺公園というか、水辺に親しむあるいは川辺に親しむ、そういう場所をつくってやってあげることも、都民にとって大きな夢、潤い、希望を与えることになるのかな、そんなふうに思っているわけであります。
 そこで、お聞きをするのですが、この河川沿いにある都が所有している施設などを利用して、水辺や緑などの空間を積極的に創出していくべきと考えておりますけれども、この点についての所見をお伺いさせてください。

○成田都市基盤部長 水辺や緑地は人々に潤いや安らぎを与えるとともに、ヒートアイランド現象の緩和など都市環境の改善、美しい都市景観の創出など、重要な役割を担っていると認識してございます。このため、本年六月に発表いたしましたみどりの新戦略ガイドラインの中間のまとめでは、環境軸の形成につきまして、道路、河川、公園を軸といたしました緑豊かな広がりと厚みを持った良好な空間に誘導していくことを提案してございます。
 今後、河川沿いに水辺や緑などの空間を創出していくためには、この環境軸の形成を推進していくことが重要であると考えてございます。

○川井委員 東京でかつての水辺空間あるいは川辺、こういうものを想像するとなると、野川の上流ぐらいなのかなと思うわけですね。特に二十三区内に入ると、それは、私からいわせると、全く水路しかないんだろうというような気がしてならないわけです。しかし、これを野川の上流のような自然を取り戻すということは不可能なんだろうと。そうであるならば、今部長がいわれたように、都の施設、用地を利用して、ある一流域ごとに数カ所の、水辺に親しむ、あるいは緑に親しむ、あるいは川辺遊びができる、そんなところを創設していく、つくり上げていく。これがどれだけ大きく都民の心に潤いをもたらすか、こんな思いがしてならないわけであります。
 そういう思いで、先ほど答弁いただいた九月上旬の豪雨によって中野区にも大きな被害を受けている、この被害を大きくした妙正寺川のはんらんであったと思うわけですけれども、ここに、実は、治水対策として大きな調節池を--ちょうどこの場所に鷺の宮住宅という住宅がある。この鷺の宮住宅を利用して、大きな調節池を考えていくと同時に、今いった、水辺空間というか親水公園というか、そういうものを考えていってほしい。
 あくまで河川だけで考えると、これは建設局。それで、調節池も、実は所管としては建設局になっているわけですけれども、たまたまこの場所が都市整備局の住宅というところにあるわけで、ここを都市整備局が方向づけをして、積極的にその土地を提供することによって、二つの局にまたがった大きな考え方ができるんだろう。そこで十万トン、二十万トン、そういうことを考えていく中で、どれだけ面積的に広大な地域が今後水害から助かる可能性があるか。そういうことを、調節池をつくると同時に、そこを、先ほどいった東京で失われた水辺、川辺、親水公園、思い切ってこういうものを東京に取り戻せるような、ある意味でモデル的な形の中で、二つの局で力を合わせて積極的にやっていってほしいという思いがあるわけですね。
 特に公園なんかで、水を多く飲み込むようなときに、公園にざっと水を入れたりする場所もあるんです。しかし、これは、水が引いた後、まず乾くのを待って掃除をして、それから消毒をする。こういうことを繰り返さなければならない。しかし、消毒のにおいは、二週間、あるいは下手すると一月くらい残ってしまう。こういうことも何とか防ぐような、逆に、その水を地下で完全に受け入れられる、そして、つくられた水辺公園には余り水が入らないような、そういう構造的な設計、そして努力--私は、前にそういう絵をかいて、建設局と都市整備の方にもお見せしているので、一つの参考にもなろうかと思いますので、ぜひそういうものも生かしながら積極的な努力をお願いしたい、こう思っておりますので、その姿勢をぜひお聞かせ願いたいと思っております。

○庄司再編整備推進担当部長 お話の都営鷺の宮団地につきましては、昭和三十年代に建設された団地で、老朽化が進んでいることから、建てかえの対象になっております。また、この団地は、都市計画の一団地の住宅施設が定められておりまして、建てかえに当たりましては都市計画の見直しが必要であります。
 お話のありました都営鷺の宮団地の敷地を活用した調節池や親水公園の整備につきましては、住宅の配置や規模、居住者の移転及びスケジュールなどの建てかえ計画と整合を図りながら、ご提案の趣旨を踏まえ、調節池の事業主体である建設局や地元中野区と連携し、建てかえに向けた都市計画の見直しの中で幅広く検討してまいります。

○川井委員 今、他の局あるいは中野区ともとありましたけれども、実はその後、中野区からも要望書が出て、この要望書は、今回の被害に遭った中で、ぜひ早い時期での河川改修、あるいはこの住宅団地についても利用した調節池等も考えていただきたいというような、四項目ほど出てきたようであります。そういう意味では区としても求めているところでありますので、当然協力体制にあるんだろうと思いますので、ぜひ働きかけていただいて、場合によっては、若干の区の方の条例変更あるいは協力、数値の変更、こういうものも含めて協力を要請して、あるべき求めるものをしっかりとつくっていっていただきたい、こう思いますので、ひとつよろしくお願いします。

○伊藤委員 三点にわたりまして、ご質問させていただきたいと思います。
 まず第一点目は、都営住宅の市区町村への移管について質問をさせていただきます。
 都営住宅は、住宅に困窮する都民の住居面の基盤として重要な役割を担ってまいりました。そして、これからも本当に住宅に困っている都民に供給され、さらに都民の公平性が確保されるとともに、都民共有のセーフティーネットとして一層有効に機能するよう改革が求められております。
 私は、これからの都営住宅というものは、地域に根差した住まいづくり、まちづくりや、住宅と福祉サービスの一体的な供給が求められているんだと思います。具体的には、障害者、高齢者向けの住宅整備、若年ファミリー層の居住の安定、グループホーム定着のための住宅の提供、特別養護老人ホーム退所者への住宅の供給など、地域の実情に応じたきめ細かい住宅サービスを供給することが求められておると考えておりますし、また、その考え方は、この東京都の住宅マスタープランにもはっきりと書かれているわけでございます。この考え方に立てば、都営住宅については、もっと基礎的自治体がより大きな責任を持って事業運営を行うべきと考えるわけであります。
 まず初めに、都と市区町村の公営住宅の戸数比率はどうなっておりますでしょうか。また、都以外の大都市圏における府県営住宅と市町村営住宅の戸数比率の最新の数字を教えていただきたいと思います。

○中沢参事 都営住宅と区市町村営住宅との比率のお尋ねでございますが、平成十六年三月末現在で、都営住宅と区市町村営住宅の比率は、歴史的な経過もございますけれども、おおむね九三対七となっております。
 それから、東京以外の大都市圏ということで、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪で見ますと、おおむね五〇対五〇程度でございます。

○伊藤委員 東京の市区町村営住宅の比率が極端に少ないのは、昭和四十九年まで特別区が事業主体となれなかったのが一つの大きな要因であろうとは思われます。しかし、その後、平成十二年には都区協議会において、小規模な事業は特別区に移管して、区が責任を持って担うべきという決定がなされました。比率を見ますと九三対七と、移管が一向に進んでいないというのも実情でございます。
 そこで、公営住宅事業は、本来、東京都でやるのか、特別区でやるのか、どちらでやるべきものと認識をされておりますか。基本的な考え方をお伺いいたします。

○中沢参事 公営住宅は、本来、都と特別区、どちらでやるべきかとのお尋ねでございますが、公営住宅法上は、都、特別区、いずれも公営住宅の主体となり得るというふうになっております。ただし、先ほど委員からもご指摘ございましたように、四十九年六月の地方自治法改正までは、公営住宅の供給主体は、特別区はできませんでしたので、都が実施をしてまいりました。
 また、先ほどもご指摘ございました、平成十二年三月の都と区の合意では、特別区制度改革実施大綱によりまして、公営住宅の設置管理について、小規模については特別区、大規模については東京都というふうに合意しております。

○伊藤委員 それでは、具体的に移管についてお伺いしたいと思います。
 実施大綱では百戸程度の団地を移管対象としておりますが、これはどのような基準によるものなのでしょうか。
 また、聞くところによりますと、区によりましては、二百戸でも三百戸でも、大規模な団地でも受け入れるという区もあるとお聞きしております。受け入れてくれる区には大規模な団地も移管するなど、柔軟に対応するべきではないでしょうか。お伺いいたします。

○中沢参事 特別区には、百戸程度といわず、二百戸でも三百戸でも移管すべきではないかというご指摘でございますが、先ほどお答えいたしましたように、平成十二年の都区合意によりまして、原則として移管対象は百戸程度というふうにいたしました。しかし、その合意の中で、この原則によらないで、それぞれの協議が調えば百戸以上でも移管できるというふうになっておりまして、現に二百戸以上移管した例もございます。
 今後とも、協議が調えば、百戸以上の団地についても移管してまいりたいというふうに考えております。

○伊藤委員 二百戸程度も実績があるということですけれども、実際の最近の移管実績について見てまいりたいと思いますが、東京都の目標が年二千戸ですね。実際に見てまいりますと、平成十五年度では八団地で三百六十五戸、平成十六年度では七団地で三百六十六戸というぐあいで、目標とはかなりかけ離れているといわざるを得ません。
 いろいろな事情があるとは思いますが、区の側に移管を受けるメリットをより細かく説明して、区にもっと強く働きかけを行えば、移管はもっと進むのではないかと思います。人的配置などにも力を入れて、年間二千戸という目標をしっかりと達成するべく責任を持ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中沢参事 委員ご指摘のとおり、移管実績が落ち込んでいるということは事実でございますが、もっと力を入れて区に働きかけるべきではないかというご指摘でございます。
 移管の実績については、その時々の事情によりまして変化がございますが、今後とも区に働きかけを行い、鋭意移管を推進してまいりたいと考えております。

○伊藤委員 確かに、建てかえ時移管制度をつくるなど、年間二千戸の移管に向けて都が努力をされていることは認めますけれども、移管が進んでいないというのも実情でございます。なぜ移管が進まないと考えているでしょうか。

○中沢参事 なぜ移管が進まないのかというお尋ねでございますが、移管について十分進捗が得られない理由といたしまして考えられる点を幾つか申し上げます。
 区側に移管後の財政負担についての不安が払拭し切れていないこと、それから、公営住宅の管理について、やはり不安があるということ、それから、厳しい行財政状況からいたしますと、事務事業の拡大ですとか、組織、人員の拡大に慎重であることが考えられると思っております。

○伊藤委員 区の側にいろいろな不安があるということですが、だからこそ、都がそういった不安を払拭するべく、より柔軟にしっかりと対応していただくことが必要であると思います。
 財源的な問題があるという話ですけれども、長期的に見れば、家賃が入ってきて、財政的には区には負担がないということもありますし、そもそも公営住宅の管理に不安があるというのは、私は基礎的自治体として恥ずかしいことなんだと思うんです。これぐらいの仕事をしっかりとやることが基礎的自治体、せっかく位置づけが平成十二年からなったわけですから、より強く東京都としても指導していくべきではないかと私は考えております。
 平成十二年に、このように都区で合意したにもかかわらず、区の別々の実績を見てまいりますと、千戸近く受け入れている区もある一方で、実績がいまだにゼロといった区も、具体名は挙げませんけれども、二つ存在しております。区によってばらつきがあるのは明らかでございます。このように移管実績のない区に関しては、都は今後どのように対応をとられていくでしょうか。

○中沢参事 移管実績のない区に対してどのように対応するかというお尋ねでございますが、移管実績のない区につきましても、具体的に既に移管対象の団地を提示しておりまして、早期に協議が調うように努力してまいりたいと思います。
 今後とも、移管実績のない区も含めまして、都区合意に基づきまして都営住宅の移管を推進してまいりたいというふうに考えております。

○伊藤委員 都と区が役割分担をしっかりし、公営住宅事業が都民に対してより安定して提供されるように、さらなる努力をお願いしたいと思います。
 続きまして、都市計画道路の整備についてお聞かせいただきたいと思います。
 都市計画道路につきましては、鋭意整備が進められてきておりますけれども、中には着手をされていないものも多くあると認識しております。都市計画道路の完成率は、計画延長に対して、区部で約五八%、多摩部で約五一%と聞いております。計画のうち未着手となっている路線はどれくらいありますでしょうか。お伺いいたします。

○成田都市基盤部長 都市計画道路はまちづくりの根幹であることから、これまでも整備を鋭意進めてきたところでございますけれども、委員ご指摘のように、平成十五年度末現在で、区部の都市計画道路の計画延長の約五八%、多摩においては約五一%が完成してございます。現在、事業実施中の路線延長は、区部及び多摩においてそれぞれ約一二%でございまして、完成及び事業中の箇所を除いた未着手路線の延長は、区部では約三一%、多摩地域では約三七%となってございます。

○伊藤委員 未着手路線の中には、かなり以前から計画が決まっているものも多いと思います。これは葛飾区内で現在事業中の都市計画道路に限ってでよいので、計画決定から事業着手までの平均的な年数についてお伺いいたします。

○成田都市基盤部長 葛飾区内で現在事業を実施している路線につきましては、都施行で放射第一三号線など三路線六区間、二・六キロございます。また、区施行で補助二六四号線など十三路線二十区間、六・六キロでございまして、それらの路線の計画決定から事業着手までの平均年数は二十七年となってございます。

○伊藤委員 事業着手まで平均二十七年。完成するまでには、さらに十年とか二十年とかかかるところもあるわけでございます。このように道路整備には時間が必要なことは確かに理解しますけれども、三十年前の都市計画決定を今さら予算をつけたからといって、じゃ、家をどいてくださいとか、また、家の建てかえをやりたいんだけれども、なかなか事業着手されていない、建築確認もおりないというように、都市計画道路というのは都民生活に非常に多大な影響を及ぼすことから、早期の整備と長期的な展望を都民に対して示すことが重要であると思います。
 都市計画道路の整備につきまして、長期的な計画はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○成田都市基盤部長 都市計画道路は、長期的視点に立ち、都市の将来像を持ちながら計画されてきたものと考えてございます。しかしながら、都市計画に定めた道路の整備が長期にわたりますと、都市生活の快適性、利便性を享受できないなど、都民生活に及ぼすことは大変大きいものがございます。
 そこで東京都では、全国に先駆けまして、整備目標を明確にした区部の事業化計画を昭和五十六年に第一次、平成三年に第二次、平成十六年に第三次と改定しながら事業化計画を策定してまいりました。この計画期間につきましては、おのおのおおむね十年の計画とし、この計画期間に整備すべき路線を選定するとともに、十年以内に着手できない路線につきましては、時代の要請に応じ、建築制限の緩和などを盛り込んでまいりました。
 今後とも、この事業化計画に沿い、計画的、効率的な都市計画道路のネットワークを整備してまいりたいと思います。

○伊藤委員 都は、都市計画道路の整備方針を定め、整備に取り組んでいるというようですけれども、長期にわたり未整備の路線については、先ほどもいったように、都民生活への影響が長期化するばかりでなく、道路計画の存在そのものが希薄となってしまうこともあります。私の地元でも、道路整備に区が力を入れ始めて、取り組みを始めているわけですが、いざ事業化の段階で、住民に対して情報が周知されていないと、なかなか合意が得られない状況がつくり出されてしまいます。
 せっかく多額の税金が使われている大きな事業ですから、一人でも多くの住民が納得して協力していただけるように努力をするべきではないかと思います。基本的には、区や事業者が対応を行うべきとは思いますけれども、一方で、都市計画を所管している都の立場としても何らかの対応をするべきだと思います。都では、住民への周知などに一層の努力をしていく必要があると考えますが、どのように取り組みをされているのでしょうか、お伺いいたします。

○成田都市基盤部長 東京都ではこれまでも、さまざまな広報媒体の活用や専門の相談窓口の設置など、情報提供に努めてまいりました。さらに、インターネットの普及により、都市整備局のホームページにアクセスすることにより一定の情報が入手できますよう、情報提供の拡充も図ってまいってございます。
 また、平成十六年三月に公表いたしました区部の第三次の事業化計画の策定過程におきましても、パブリックコメントの実施や各区の広報の活用など、積極的な情報提供を実施してきたところでございます。
 今後も、地元自治体と提携し、都民への情報提供に一層努めてまいりたいと思います。

○伊藤委員 インターネットの活用やパブリックコメントなど、都の取り組みについては理解いたしました。しかし、一方で、都市計画道路整備が長期にわたる場合には、社会情勢の変化などにより計画自体の検証が必要な箇所もあると考えますが、今後の計画のあり方についての都の考え方についてお伺いいたします。

○成田都市基盤部長 都市の骨格を形成する都市基盤は、長い年月と莫大な事業費を投じても着実に実現していくべきものと考えてございます。しかしながら、今日の東京においては、ご指摘のように、社会情勢の変化等に適切に対応するため、計画の検証を実施する必要もあると認識してございます。
 このため、区部の第三次事業化計画の策定に当たりましては、これまでの定性的な側面だけではなく、将来の交通量など定量的な要素を導入いたしまして都市計画道路の必要性を検証し、その結果、谷中地区の補助九二号線など五路線五区間、五キロメートルについて、地域のまちづくりとあわせて改めて検討することといたしました。
 今後も、事業化計画の改定等の機会をとらえまして、適切に検証を行ってまいりたいと思います。

○伊藤委員 それでは、最後に、東村山市本町地区プロジェクトにおける実証実験についてお聞きいたします。
 東京の新築戸建て住宅の現状は、全国平均と比べて、狭くて高価格といわれております。こうした状況を変えるための第一歩として、東京都は、東村山市本町地区の都営住宅の敷地跡地を利用して、低価格で高品質な戸建て住宅の実現を目指す実証実験に取り組んでおります。
 このプロジェクトでは、本年五月末に、特別目的会社、株式会社東京工務店が設置され、事業への取り組みが始まっておりますが、その後の進捗状況について改めてお伺いいたします。
 また、戸建て住宅の建設工事はいつから着手されるのかもあわせてお伺いいたします。

○水流住宅政策担当部長 東村山市本町地区プロジェクトでございますが、ことし一月にプロジェクトに参加する民間事業者を決定しまして、お話にありましたように、五月に、それらの民間事業者が共同出資して、特別目的会社、株式会社東京工務店が設立されたところでございます。
 このプロジェクトですが、都営住宅の跡地を戸建て住宅を中心とした住宅地に変えてまいりますので、道路等の基盤整備をまず行う必要がございます。現在の進捗状況ですが、その道路等の造成工事に着手したところでございます。
 また、実証実験を含めました戸建て住宅の建設工事は、来年、平成十八年八月ごろに着手する予定でございます。

○伊藤委員 このプロジェクトで行っております実証実験では、平均坪単価で二〇%安い、坪五十万円程度と、安くて質のよい住宅を建設することとしておりますが、質の面ではどのような特徴を持った住宅となるのでしょうか。また、価格引き下げは具体的にどのように行おうとしておりますでしょうか。お伺いいたします。

○水流住宅政策担当部長 今回の実証実験では、市場価格より大幅に価格を引き下げる、三割の価格引き下げを目指してございますが、それとともに、質の面でもすぐれた住宅の建設を目指しております。今回、四つのタイプの住宅を建設することとしておりまして、質の面では、それらすべての住宅について耐久性が高く、防犯に配慮した住宅とするほか、自然素材を活用した住宅、太陽エネルギー利用の暖房換気システムを備えた住宅、またオール電化の住宅など、それぞれ特徴的な魅力を持った住宅を建設することにしております。
 また、価格引き下げの方法といたしましては、設計の標準化、資材流通経路の短縮、さらには手戻りのない工程管理など、設計、資材調達、施工にわたって先駆的な工夫を実施してまいります。

○伊藤委員 東京の新築戸建て住宅の七割は在来木造であり、その供給の主な担い手は町場の中小工務店となっております。このプロジェクトで得た、安くて質のよい住宅を生産するノウハウを幅広く中小工務店などに広めることが大切だと考えますが、東京都ではどのように普及させていこうとしているのか、お伺いいたします。

○水流住宅政策担当部長 実証実験で得られた成果といたしまして、一連の住宅生産プロセスにおける価格引き下げのノウハウを合理的な生産システムの指針として策定しまして、中小工務店などの住宅生産方法の改善に役立てていきたいと考えております。この指針を普及する方法といたしまして、都のホームページで公開するとともに、中小工務店などに対する講習会を開催し、広く一般に普及を図ってまいります。

○大松委員 公明党の大松でございます。私は三点質問させていただきます。
 まず、東京ユビキタス計画についてお伺いいたします。
 ユビキタス、これは、いつでも、どこでも、だれでも情報にアクセスできる、こういうことでございます。このユビキタスにICタグを活用いたしまして、いつでも、どこでも、だれでも、その場所に行けば、その場所に関連する情報が入手できる、こうした情報技術の開発が今進んでいるところでございます。この情報技術を使いまして新しいまちづくりをしていこう、これが東京ユビキタス計画である、このように理解をしているところでございます。そして、今、上野公園、上野動物公園を舞台にこの実証実験が行われているわけでございます。
 私も先日、この上野公園、また上野動物公園を視察してまいりました。残念ながら、その日は実験が行われていなかったわけでございますけれども、そのICタグがどういったところに設置されているのか、こういったようなところを見てまいりました。この技術は、ユビキタス研究所というところで開発されているわけでありますけれども、そこの研究所にも行ってまいりまして、そこでのデモンストレーションも拝見してきたところでございます。
 それで、今回、東京が行っております実証実験、テーマは観光振興でございます。ユビキタスコミュニケーターという特殊な端末でございますけれども、この端末をそれぞれの場所に設置されておりますICタグに近づける。そうしましたら、ICタグに書き込まれた場所情報を読み取りまして、いろいろな情報が出てくる。上野公園では、動物園では園内の動物であるとか、史跡であるとか、そういったことの情報が、音声であるとか、文字であるとかで出てくるというわけでございます。日本語だけではなく、多言語で対応できるということでございまして、本当にこれは観光振興に大きな役割を果たす、このように私どもも期待しているところでございます。
 ところで、この情報技術なんですけれども、実は障害を持っておられる方には大変大きな効果を発揮するわけでございます。例えばICタグを点字ブロックの裏側にいっぱい張りつけまして、視覚障害のある方、白杖、つえなんですけれども、そのつえの先にセンサーを取りつけて、点字ブロックの裏のICタグと連携をとり合いながら、そこの情報を得ることができる。そして、目が見えなくても、自分の今いる場所がどこなのか、右に行けば何、左に行けば何、こうした位置情報が音声で得られるようになるわけでございます。さらに、車いすにセンサーをつけることもできまして、障害を持っている人には大変大きなニーズがある、このように考えているところでございます。
 そこでお伺いいたします。今回東京では観光振興ということで行われているわけでございますけれども、こうした障害を持っている人たちのこの技術に対するニーズ、こういったことを含めて、どのようなお考えで実験が行われているのかについてお伺いをいたします。

○飯尾参事 今回実験を行っておりますユビキタスの仕組みでございますけれども、非常に幅広い活用の可能性がございます。実用化に向けた検証を行うためには、さまざまな利用目的、あるいは状況の異なる場所での実証実験を積み重ねるということが重要だというふうに考えております。
 障害者の支援に向けました活用方策の検証につきましては、国土交通省が自律移動支援プロジェクトといたしまして、神戸、青森、愛知万博などで実験を行っておりまして、東京都では、これらの実験と連携いたしまして、主に観光、商業振興の観点から技術面あるいはニーズの検証を行うということで、役割を分担いたしまして実証実験を進めているところでございます。
 実用化に向けた検討の段階におきましては、都と国、両方の成果を踏まえまして、多くの人に利用しやすいシステムにしていく必要がある、こういうふうに考えております。

○大松委員 ありがとうございます。
 この実験なんですけれども、また次も引き続き行われるということでございまして、実験の場所が銀座でというようなことが検討されているというふうにも伺っているところでございます。もし銀座でやるとなれば、やはりテーマは観光、商業振興ということになると思うわけでございます。銀座には、申し上げるまでもなく、有名ブランド店、飲食街、そしてギャラリー、劇場など、本当に提供できる観光情報、商業情報というものがあふれているわけでございまして、またデパートもたくさんございまして、地下街もございます。こういった意味では、今年度行っております上野と違いまして、立体的な空間での実験が行われる、そういったことが期待されるわけでございまして、私といたしましても、ぜひこの次の実験は銀座でやっていただきたい、このようにお願いをするものでございます。
 そこで、実は、この障害を持っておられる方、高齢者の方、こうした方も、また、健常の人も若い人もだれもが参加できる、これがユニバーサル社会、このようにいっているわけでございますけれども、こうした視点で今回の実験も取り組むことが必要である、このように考えるわけでございます。といいますのは、障害を持っておられる方も、高齢者の方も、皆さん消費者でございますので、このようにユニバーサルの対応を広げることによりまして、消費者のすそ野を広げることになる。商業活性、観光の振興にも大きく寄与することになると確信しているものでございます。ぜひユニバーサル情報を提供するようなシステムの実験をお願いできればと思っております。
 例えばトイレの情報でございます。それも車いすでも行けるトイレ、またベビーカーでも入れるような、そういった、だれでも使えるユニバーサルデザインのトイレがどこにあるのか、どう行けばそこに行けるのかという情報でございます。また、エレベーター、エスカレーターがどこにあるのか、もっといえば、エレベーターだけ使って地下から上に行くにはどうすればいいのか、こうした経路の情報も提供することは大変有益でございます。雨にぬれないで目的のデパートまで行くような経路、こういったような情報も重要でございまして、障害を持っている人や高齢者だけではなく、ベビーカーを引く子ども連れの人にも大いに役に立つわけでございます。
 さらに、災害時に、障害を持っている人、そして高齢者は災害弱者になるわけでございますので、災害時の避難経路、特に地下鉄とかデパートでは火災時が大変怖いわけでございますけれども、そうしたときの避難経路をこの端末を通して提供できるようなシステムをぜひやっていただきたいということを提案させていただきたいと思います。
 また、先ほど申し上げましたように、上野と違いまして、銀座でやる場合はシステム的にも意欲的な挑戦をしていただきたい、このように思います。現在、上野でやっている実験では、情報は既に端末に入っているもの、これだけで勝負が大半が行われているわけでございます。銀座では、無線LANを使ってサーバーから情報を端末に取り込んでいく、こうした技術をもっと活用していただければとお願いするものでございます。この点につきましてご所見を伺います。

○飯尾参事 今回実験を行っているシステムでございますけれども、将来は個人の持つ携帯の端末に、無線LANを通じましてインターネットから情報を送るという構想のもとに開発が進められておりまして、上野の実験でも、一部このシステムを実験しているところでございます。
 このようなシステムでありますために、送受信いたします情報によりまして、さまざまな用途に活用できる拡張性を持っているということでございまして、ユニバーサルデザインあるいは防災の機能を持たせるということは、このシステムの実用化の効果を高める上で非常に重要なことだというふうに考えてございます。
 銀座での実験など、今後の取り組みにつきましては、今回の実験の成果を十分検証した上で検討していくということになりますけれども、ご提案につきましては、貴重なご指摘でございまして、検討に生かさせていただきたい、かように考えてございます。

○大松委員 このシステムの技術を実用化するための最大のポイントは、申し上げるまでもなく、民間の積極的な参画をどう促していくのかということでございます。仮にICタグといった基盤を公共側が整備するといたしましても、携帯端末の開発、先ほどお話がございました。無線LANなどの通信システム、そして何より、提供すべき豊かなコンテンツの作成は、民間の参加なくしてあり得ないわけでございます。現在は公共が後押しいたしまして主導しているところでございますけれども、将来的には民間ベースで進められていくべきものでございます。既にIP携帯電話の実用化も目前といわれているところでございまして、こうした情報基盤が整備されれば、このユビキタス計画の可能性は大変大きく広がってくるものでございます。
 こうした観点から、東京都は、通信、交通、この民間の事業者と密接に連携をとりながら、そうした声を聞きながら実用化に向けた実証実験を進めていくべきであると考えますが、ご所見を伺います。

○飯尾参事 ユビキタスの仕組みを実用化いたしますためには、ご指摘のとおり、通信技術、端末機器の開発、あるいは無線LANの普及、あるいはビジネスとしての情報コンテンツ提供など、民間企業の創意工夫あるいは主体的な取り組みに対する期待が大きいところでございます。このため、今回の実験におきましても、IT関係、観光、交通関係などさまざまな分野の民間企業の方に関心を持って参加してもらえるよう、精力的な呼びかけを行っているところでございます。
 今後は、国の自律移動支援プロジェクトに参画しています民間企業の協議体がございますので、その場を通じて情報交換を進めるとともに、実験の成果につきまして積極的に情報発信を行いますなど、民間企業の参画意欲を引き出すように努めてまいります。

○大松委員 ありがとうございます。
 次に、総合的な治水対策についてお伺いいたします。
 先ほどもお話がございました九月の集中豪雨では、東京都全域で五千戸以上の家屋が浸水いたしまして、甚大な被害が出たわけでございます。昨今の気候変化によりまして、記録的な集中豪雨が大きな原因の一つでありますけれども、東京の場合は、これとは別に大都市特有の問題があるわけでございます。それは、多くの土地がアスファルトであるとかコンクリートに覆われておりまして、雨が地面にしみ込みにくくなっている。そのため、その雨の水が下水や河川に流れ込んでしまうという構造的な課題でございます。
 都市整備局は、東京都の総合的な治水対策でリーダーシップを発揮する立場でございます。特に、下水、河川に流れ込む雨水の量を減らす雨水流出抑制が主な任務になる、このように考えているわけでございます。
 そこでお伺いいたします。東京都における総合治水対策、そして、その中でも特に雨水流出抑制対策をどのように進めているのか、お伺いいたします。

○成田都市基盤部長 総合的な治水対策の内容といたしましては、大きくハード対策とソフト対策がございます。ハード対策といたしましては、先ほど委員ご指摘のように、河川の整備、下水道の整備がございまして、また、雨水流出抑制施設の設置もそれに加わります。ソフト対策といたしましては、浸水実績図や浸水予想区域図の公表、洪水情報の提供などを私どもは推進してございます。
 お尋ねの雨水流出抑制対策につきましては、都や区市町村等が公園や道路等に浸透ますや透水性舗装などを設置するとともに、民間の施設におきましても、開発や建築に合わせ、浸透ますや貯留槽などの設置を指導してございます。その結果、都全域におきます対策量の実績は、公共の実施分が二百五十五万トン、民間実施分が約二百十五万トン、合計四百七十万トンとなってございます。

○大松委員 河川の整備、また下水の整備、これは非常に直接的な効果を生むわけでございますけれども、今お話をお伺いいたしました雨水流出抑制は、透水性のない都市の体質を改善させる手法である、このように理解するわけでございまして、薬でいえば漢方薬のような効果があるのではないか、このように期待するものでございます。
 また、雨水を地下に浸透させる、これは治水という観点からだけではなく、地域の水の循環を本来あるべき姿に戻すという、そうした環境的な側面もございますので、ぜひ着実に進めていっていただきたいと思います。
 それで、この九月の集中豪雨、都内各地で被害が出ました。杉並、中野等のお話がございましたけれども、実は北区の堀船地域では、他の地域とはちょっと違った状況がございました。ここは首都高速道路の建設に伴いまして、石神井川の河川のつけかえ工事が行われていたわけでございます。その工事現場の護岸の上に防水のために設置しておりましたH鋼が倒れまして、倒れたところから水があふれ出して、床上浸水が多数出たわけでございます。私も、当日から翌日未明にかけまして現場に行きました。水が腰まで来ておりまして、住民の方は大変恐怖の思いに襲われていたわけでございまして、私も現地を見ていた中で、これは人災の側面が大変に強い、これが私の実感でございます。
 現在、首都高速道路側と住民との間でさまざまな費用の負担についてのお話し合いが進められているわけでございますが、私は、河川管理者として、東京都はこの首都高速道路に対して誠実な対応をするように適切な指導を行うべきである、このようにも要求をさせていただいたわけでございます。
 そこで、本日お伺いしたいのは、この石神井川、何としても再発を防止していかなければならないわけでございますので、石神井川の流域対策をぜひ重点的に行っていただきたいということを強くお願いするわけでございます。その上で、石神井川流域における雨水流出抑制対策、総合治水対策の目標、現状、また、それによってどれぐらいの効果が出るのかということについてお伺いいたします。

○成田都市基盤部長 現在、石神井川におきます治水対策は、都及び区市から構成されます協議会において、平成元年に石神井川の総合的な治水対策暫定計画を策定し、河川や下水道の整備、雨水流出抑制対策を実施してございます。その中で、雨水流出抑制対策につきましては、五〇ミリ対策としての計画値が設定されてございますが、長期的には一〇ミリ分の降雨を分担するため、約百二十七万トンの貯留浸透を目標としてございます。
 石神井川のこれまでの貯留浸透の実績は約三十一万トンとなってございまして、二十五メートルプールに換算いたしますと、約一千個分に相当する量でございます。その効果は、長期目標の一〇ミリに対し、おおむね約二・四ミリ分の降雨をカットすることに相当すると推計してございます。

○大松委員 二・四ミリというお答えがございました。流域全体ということであれば、これはかなりの水量に、また雨量になるもの、このように思います。将来的には一〇ミリ、こういったような答弁もございましたので、しっかりと着実に対策を進めていただきたいと思います。
 その上で、今お示しになられました一〇ミリという目標に向かいまして、どのように対策を取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○成田都市基盤部長 都は広域行政体といたしまして、石神井川流域八区市にまたがる流域全体を見据えまして、総合的な治水対策、雨水流出抑制対策に取り組む必要があると認識してございます。特に河川の下流部におきます治水対策は、流域に降った水がすべて集中する場所でございますので、流域全体を踏まえました取り組みが重要でございます。
 今後とも、河川や下水道の整備を着実に推進するとともに、雨水流出抑制対策につきましても、区市町村及び民間との役割分担の中で、民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導及び公共施設におきます透水性舗装などの雨水流出抑制対策に一層努めてまいりたいと思います。

○大松委員 これも先ほど来お話が出ておりますけれども、現在は五〇ミリを想定した対策が進められている中で、降雨量がふえ、気候の変化が大変激しいわけでございますので、河川、下水の整備は当然のことといたしまして、雨水流出抑制対策、しっかりと力を入れて着実に進めていただきたいと思います。
 それでは、三点目、最後に都営団地の指定管理者制度について質問をいたします。
 東京都は、来年度、都営団地に指定管理者制度を導入いたします。現在、北区と武蔵野、三鷹、西東京市の二地域では、公社、民間、双方の参入を認めまして、指定管理者の選考が行われているところでございます。今回はこの二地域だけがこういう取り組みが行われているわけでございますけれども、この指定管理者制度で住民サービスがよくなるのか、こうしたことを、二十六万世帯ともいわれている都営団地の居住者は強い関心を持って見守っているところでございます。
 この指定管理者制度、官と民を競争させ、住民サービスを向上させるのが最大のねらいでございます。しかしながら、都営住宅の場合は、文化施設といったところとは違いまして、二十四時間三百六十五日、ここに人が生活している暮らしの拠点でございます。住民の理解と協力を得ながら、そして、住民の声に耳を傾けながら慎重に進めていかなければならない事業でございます。
 ところが、こうした取り組みを混乱させるかのように、共産党が住民の不安をあおるビラ宣伝を行っているわけでございます。私どものところにも、このビラの内容は本当ですかと、こうした驚きの声をもって不安を訴える相談が寄せられているわけでございます。こうした住民の不安を取り除くために、本日は共産党のビラの内容を一つ一つ検証させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 まず、共産党のビラでは、指定管理者制度について、公共施設の管理運営を民間に委任する制度、そして民間の会社にやらせる、このように決めつけているわけでございますけれども、これは事実でしょうか。いかにも民間に任せきり、こういった印象を与える表現になっておりますけれども、改めてこの制度の趣旨と目的をお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 公の施設の管理の委託先につきましては、従来、地方公共団体が出資する団体に限定されておりまして、サービスにしても、管理コストにしても競争原理が働かないという指摘がございました。このことを背景に指定管理者制度が導入されたわけでございますが、この制度は、民間事業者に管理を任せきりにしてしまうことではなく、民間事業者にも公の施設の管理への参入の機会を設けることで競争原理を働かせ、住民サービスの質の向上や効率的な管理を図ることを目的とするものでございます。

○大松委員 ありがとうございます。
 ビラの記述は、明らかに大変不正確でございます。目的は住民サービスの向上でございまして、公社も引き続き指定管理者になれるわけでございますので、このビラの記事の内容は、制度の骨格を、実際のあり方とは大きく違った認識を与えるものになっております。
 そもそもこの指定管理者、公社がなれるということは、この条例案の審議のときに共産党議員みずからが確認しております。そうして、そう確認しているにもかかわらず、こうしたビラでこのような宣伝をする。意図的に事実をゆがめる、そういう宣伝をしているということは明らかでございます。これは私にいわせれば、大変に巧みなうそである、このように断じたいわけでございます。
 続きまして、問い二でございますが、管理が民間へという見出しが強調されているわけでございます。これも、何もかも民間にというような誤解を与えかねないわけでございます。ところが、実際は何もかもが指定管理者に委託されるわけではないわけでありまして、委託する業務、委託されない業務がそれぞれあるわけでございますので、この点について改めてご説明をいただいて、その根拠となる考え方もお伺いしたいと思います。

○小林都営住宅経営部長 指定管理者制度を円滑に運営し、都営住宅を適切に管理していくためには、都と指定管理者とが行う業務を明確に区分する必要がございます。
 具体的な業務の区分といたしまして、指定管理者は、日常的な業務を中心に、家賃の徴収などの入居者に直接対応する業務やエレベーターなどの設備の保守点検などでございます。また、公的資産の保全を目的とする営繕業務、統一性、信頼性が強く求められる募集業務は都の業務といたしまして、引き続き公社へ業務委託することとなってございます。

○大松委員 ありがとうございます。
 厳正さが求められる募集業務、そして生活に密接にかかわってくる営繕は、これまでどおり公社が行う、こういうことでございまして、この考え方につきましては私どもも理解しているところでございます。また、営繕につきましては、地元の中小零細企業の皆様方に担っていただいている、こういう部分も大変多いわけでございますので、こうした皆様の仕事を守るということにもなりまして、私どもも大いに評価しているところでございますので、引き続きこうした配慮をもって、この制度の運営をお願いするものでございます。
 ところが、共産党のビラには、引き続き公社が行う業務については何にも書かれていないわけでございまして、一方で、委託される事業だけが記述されて大騒ぎをしているわけでございまして、私にいわせれば、これは大変幼稚なやり方で、幼稚なうそである、このようにいわざるを得ないと思うわけでございます。
 続きまして、さらに共産党のビラ、見出しを見てびっくりでございます。不動産屋が都営住宅を管理?!、不安がいっぱい、こういう見出しを立てまして、営利第一主義になる、このように断言しているわけでございます。あたかも、もうけ主義の業者が粗悪なサービスを提供するような書きっぷりでございまして、何と、私も目が点になりましたが、見出しに、都の冷たい仕打ちの数々、こういう表現があるわけであります。
 そもそも不動産業者に対して失礼な表現でありますけれども、共産党がいう営利第一主義になる、不安がいっぱい、これについて事実かどうか、所見をお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅条例におきましては、関係法令及び条例の規定を遵守し、適正な管理を行うことができる事業者を指定管理者として指定するものとしておりまして、また、指定管理者は適切なサービスの提供を行わなければならないとされております。
 したがいまして、営利第一主義で適切なサービスが提供できない事業者を指定管理者に指定することはございません。

○大松委員 明快な答弁、ありがとうございます。
 もうけ主義で、安かろう悪かろう、こういうような事業者は指定されない、こういうことでございます。したがいまして、共産党のビラ、記事も見出しも、大いに事実とは違う、うそである、このようにはっきりと申し上げたいと思います。
 続きまして、ビラを見て、この指定管理者制度が導入されると家賃が上がるんですかと、このように不安を訴えている方も私どものところに相談を寄せていただくわけでございますので、家賃についてお伺いをいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の家賃は、公営住宅法及び都営住宅条例に基づき東京都が決定しており、これは指定管理者制度が導入されても同じでございます。
 家賃は、いわゆる応能応益の考えに基づき、入居者本人の負担能力と住宅の面積や建築年次、立地場所などによって家賃が算定されるため、指定管理者制度の導入により家賃体系が左右されることはございません。

○大松委員 家賃は、指定管理者ではなく、引き続き東京都が決める、変わらないということで明快な答弁をいただきました。
 続きまして、この共産党のビラ、数年ごとに交代の可能性もあり、業務の継続性はというような記述がございまして、指定管理者が交代するたびにサービスの内容がころころ変わって混乱するのではないか、こういったようなことがいいたいんだと思います。それでは、当局の方から継続性についてお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 長期間同じ事業者が指定されますと、競争原理が働かなくなりまして、サービスの質の低下ですとか管理の効率性の低下が起こりかねません。これを防ぐ意味で、数年ごとに競争の機会を設けていくことが必要と考えております。
 このことによりまして指定管理者が交代する場合においては、交代による混乱を避けるため、新しい指定管理者に対し、業務の引き継ぎや研修などを確実に実施するとともに、業務の円滑な執行を指導してまいります。

○大松委員 またさらに、共産党のビラ、不動産会社の管理でプライバシーが守られるのか?、こういうふうなところがございますけれども、これも不動産の業者の皆様には大変失礼な表現でございますけれども、この点について事実かどうか、お伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅条例におきましては、業務に関連して取得した使用者または利用者の個人に関する情報を適切に取り扱わなければならないと定められており、違反した場合には、業務の停止命令や指定管理者の指定の取り消しの対象となります。
 また、個人情報の保護に関する条例におきましては、受託者等の責務として、指定管理者は個人情報の適正な管理のために必要な措置を講じなければならないと定められており、違反した場合には罰則の対象となっております。
 また、指定管理者の募集要項におきましても、個人情報保護に十分な対応がとられていることを選定基準として示しておりまして、個人情報の保護につきましては十分意を用いているところでございます。

○大松委員 プライバシーの保護のことについては、大変厳しい規定があるわけでございます。個人情報保護条例、大変厳しい規定でございます。ところが、個人情報保護条例、厳しい規定がつけられたのは、東京都の都営住宅に指定管理者制度が導入される、この条例と同時に都議会で可決されているわけでありますので、このビラをつくった人、当時都議会議員でございますので、このことは当然知っているわけでございます。この事実を隠して、プライバシーが守られるのか、不安がいっぱいだとか、こういう宣伝をするのは大変悪質な意図がある、このようにいわざるを得ないわけでございます。そこまでして居住者の不安をあおるのは何のためなんですかと、一度その人に私は聞いてみたい、このように思うわけでございます。
 いずれにしましても、共産党のビラ、事実を隠して、事実をゆがめて、そして、住民の方に誤った認識を与えて不安をあおる。こういうのをデマ宣伝である、このように私は断じたいわけでございます。共産党の皆さんにはもっと正直にやっていただきたい、このように私は思うところでございます。
 最後に、指定管理者制度、住民サービスを向上させるのが第一の目的になっているわけでございますけれども、制度ができましても、運用する者の取り組み次第でその効果は大きく変わるわけでございます。都営住宅の指定管理者制度、慎重に、居住者へのサービスをよくしていこう、そして、営繕を担う中小零細の業者も守っていこう、こうした姿勢を堅持していただきたい、このように強くお願いをするものでございます。そして、東京都は、共産党のデマ宣伝に攪乱されないように、住民に対しまして丁寧な説明、きめの細かい説明をぜひ行っていただきたい、このようにお願いをいたします。
 そして最後に、この東京都の取り組む姿勢と決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅は、文化施設など他の公の施設と異なり、高齢者や障害者を含む都民が現に居住する施設でございます。指定管理者には、この点を十分に理解し、制度の趣旨である管理を効率的かつ適正に行える事業者を選定することとしております。指定管理者による管理開始後におきましても、法令を遵守した適正な管理、適切なサービスの提供が行われるよう指定管理者を指導してまいります。

○たぞえ委員 私は、三つ伺います。
 まず第一に、外かく環状道路についてです。
 国土交通省と東京都は、八月二十三日に、住民の反対で凍結中の東京外かく環状道路について、構想段階から、道路構造など具体的な計画の策定に踏み出すという意向を明らかにしました。さらに、九月十六日、大深度方式で都市計画決定の変更手続を進めることを公式に表明したわけです。石原知事は、断固としてつくると、こぶしを上げています。
 しかし、都庁で開かれたPI協議会、昨日、三鷹市一帯でPI協議会の会合の議事録のチラシが全戸に配布されておりまして、私もこれを読みました。また、当日の議事録も都市整備局からいただき、目を通させてもらいました。この中でも、住民から、国や都から納得できる説明が十分されていない、現在の財政状況を考えても計画は問題がある、交通量の発生や排ガス、騒音など疑問はまだ残っている、こういう発言も続出しております。これは一人ではなく、大勢の方から発言がありました。
 住民と協議中に、国と東京都が大深度で建設をするという方針を発表したことへも批判が出されているのが、その後のマスコミ各紙の記事からもうかがえます。日本の将来の道路のあり方を決める重大計画に、住民は話し合いを望んでいる。しかし、見切り発車をした。私は、この事態の中で、きょうは二つの角度から伺いたいと思います。
 第一は、この外環はだれが実施する事業なのかということです。局からいただいた行政区別の編集されているパンフレットの裏を見てみますと、お問い合わせは東京都都市整備局、国土交通省関東地方整備局、こういうふうに二つ書いてあります。これを見る限り、事業者は二つあって、別々にやるようで一体でやるような、こういう表現がされているわけです。
 現在供用中の東京外かく環状道路の関越道から常磐道三十キロ区間の事業者はどこでしょうか。

○山口参事 外環の埼玉区間の事業者についてでございますけれども、当時の日本道路公団が施行しまして、この十月一日より東日本高速道路株式会社が管理しております。

○たぞえ委員 いわば国や自治体でもない。旧日本道路公団、現在の東日本道路株式会社というわけです。
 そこで、今回、都知事が断固としてやる、こういっている外環道路計画の事業主体はどこなのでしょうか。

○山口参事 事業主体についてでございますけれども、外環の関越道から東名高速道路間は現在事業化されていないため、建設主体や整備手法について明らかになっておりません。

○たぞえ委員 外環構想は出ても、だれがつくるか決まっていないということなんですね。国が管理する国道は、高速国道と一般国道に分かれています。高速国道計画一万四千キロメートルのうち九千三百四十二キロメートルについては旧道路公団、東京周辺では東日本、西日本、中日本とかいろいろな会社ができたわけですが、そういうところが実施する。当然、通行料など、利用する方の受益者負担でつくっていくことになります。
 しかし、残りの約四千六百キロメートルの事業主体が決まっていない。しかも、外環はそのどこにも入っていない。計画はあるが、事業者がどこにもない。高速道路計画には入っていない。こういう状況です。
 一方、国の直轄事業で実施する一般国道は、通行は無料ですけれども、その分、国と地方自治体が建設費を負担する、そういう仕組みになっています。外環はそこにも入っていない。
 要するに、どこが行うのかも決まっていないが、計画だけはどんどん走る。車が走る道路ですから、それはわかるんですが、計画がどんどん走っていってしまう。これが実態です。
 仮に事業主体が国直轄の場合の負担割合は、どういう仕組みになっているのでしょうか。

○山口参事 外環は、国土開発幹線自動車道でございます。国がその責任において整備する道路であると考えております。
 事業主体につきましては、現段階で決まっておりませんが、仮に国が直接高速道路を整備する場合の費用負担については、高速自動車国道法によれば、国が四分の三、都府県が四分の一を負担すると決められております。

○たぞえ委員 国が直接税金で建設するとなれば、東京都は四分の一負担する。地下式の事業費の四分の一というのは、およそ東京都はどのぐらいのお金の負担をすることになるのでしょうか。

○山口参事 外環の総事業費につきましては、現段階で詳細な設計が行われていないため、確定したものはございません。
 国土交通省が類似の事例を参考としましてこれまで公表してきました本線の事業費約一兆二千億に、九月の考え方で示しました、東八インターチェンジなど三カ所のインターチェンジの事業費一千五百億円を足し合わせると、約一兆三千五百億円と見込まれます。

○たぞえ委員 一兆三千五百億円もの税金が投入されるわけで、当然、これに東京都も負担しなければならない。本当に想像を絶する額です。
 これまでも高速道路をつくれば巨大な財政投資をしますから、新しく民間になった道路公団は、そういう新しい事業費をどうするのかということも問題を抱え込むことになる。今でも、本州、四国をつなぐ本四架橋、一兆三千億円もの税金をつぎ込まなければならないという、こういう宿題も背負っているわけです。巨額な赤字を背負っている新会社が新たな膨大な財政投資を受け付けるのかどうか、こういう現実問題も残っていますし、何も解決しないもとで、とにかく計画ありきで旗が振られるということは大変危険だということを指摘しておきたいと思います。
 次に、大深度地下を活用した場合の地上部分の問題について聞きたいと思うんです。
 外環本線は、現在の都市計画の位置を基本として、極力大深度地下を活用する。そして、既存の高速道路と接続する。同時に、整備するインターチェンジは三カ所、そういう計画だそうです。国と東京都は、地下構造の場合は、地上部分の活用について、平成十三年四月の計画のたたき台というのを明らかにしています。この中で、外環道路の地上部分について、新たなバスルートや公園や歩行空間を整備するとか、幹線道路をつくるとか、十一キロ区間の地上区間を新たな道路用地として取得する、そういう計画を発表しております。
 現在、この外環地下式の地上部分には三千軒の住宅がありますが、都の計画を進めると、これらの住宅はどうなるのでしょうか。

○山口参事 外環本線の地下化に伴いまして、インターチェンジやジャンクション付近にかかわる部分の建物を現在の都市計画図で数えますと、約千棟程度影響があるというふうに考えております。

○たぞえ委員 影響があるのは千棟ですか。住宅が三分の一に減っちゃったんですかね。この計画が発表された時点では三千戸です。その後、住宅の再編があって数は変わったでしょうが、現実には一千戸の住宅があるというわけです。当然、この住宅があるわけですから、立ち退きが必要となると思います。
 地上計画、たたき台計画は今回全面撤回されているのでしょうか。

○山口参事 外環に関する都市計画として、本線のほかに、東八道路から目白通りの間は、幹線道路として都市計画道路外環ノ二が決定されております。また、東名高速から東八道路の間は、地先の利用を確保するための附属街路が決定されております。
 これまで都は、外環が地下化された場合の地上部の街路の取り扱いについて、地元に検討の方向を示して説明してまいりました。今後も引き続き、地上部の街路について、国や沿線自治体とともに検討を進めていきたいと考えております。

○たぞえ委員 各紙の報道によりますと、大深度方式で地下だから、地上の皆さんには影響がありません、立ち退きもありません、こういうふうにさんざん報道されました。しかも、今度のPI協議会の中身を見ますと、これは現在の環境に大きな影響はないんだ、安心できるんだとおっしゃっていますが、実は、地下と地上とは一体で計画が進んでいる。こうなると、大深度だから、地上の土地の補償を行わなくても使用権が設定できるということになりますと、これは都民に対しては不十分な情報提供じゃないかなというふうに思うんですね。
 私は、例えばインターチェンジの部分で、当然土地の買収が行われると思いますよ。その他の部分も、四十メートルという深さですから、地上に影響はないとはいっても、当然そこに空地、また、さまざまな土地利用をすることになれば、都民の暮らしに、立ち退きですとかいろいろな問題が起こってくる。
 しかも、新聞報道によると、インターチェンジの整備だけでの立ち退き数は五百三十戸です。これが全線、巨大な立ち退きベルト地帯が誕生するわけですね。こういうお金は、一体、今回の事業費に見積もっているのか--ないですね。どうなのでしょうか。

○山口参事 先ほど総事業費についてお答えしましたけれども、その中に事業費として見積もっております。

○たぞえ委員 一兆三千五百億円、込みですか。よくわかりました。
 国道であっても、都道であっても、巨額な建設費になることは、この金額を見ても明らかであります。人口減と車両数の減少が予測される、そういう将来に、巨額の税金投入という道に歩み出すことがいいのかどうか。
 二〇〇二年十月の東京公害裁判では、自動車に過度に依拠する交通政策に裁判所が批判して、三つの環状道路は必要ないという判決が出されました。この判決が出た直後に、杉並区長が、生活道路への通過交通の流入や交通渋滞、地下水脈への影響など、区民への説明責任を果たすべきだと、こうした外環道路の建設に反対を表明しています。このことは、私は大変道理があると思います。
 人が住むまちに、新たな道路構造によって環境が影響を受ける。この問題に対しての十分な説明責任がされていないもとで、しかも事業主体が決まらずに、計画だけは進行している。こういうことでいいんだろうか。私はそのことを考えると、建設建前じゃなくて、計画の廃止を含めた住民参加の検討をするべきだと思います。何かございますか。

○山口参事 先ほどもお答えしましたけれども、外環は国土開発幹線自動車道であり、国がその責任において整備する路線でございます。外環を整備することにより、首都圏の交通渋滞の緩和や環境改善が図られるとともに、年間約三千億円の経済効果があると試算されております。
 また、先ほどもお答えしましたが、国でやる直轄道路あるいは有料道路というようなことは決まっておりませんけれども、高速道路はネットワークとして整備されることによって効果が発揮されるわけでございます。
 都としましては、このことから、外環は早期事業化が必要な路線と考えており、都市計画等の手続に向け、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 決意を伺いました。しかし、その決意が本当に実るかどうかは、これから将来の東京と日本の政治が決めてくれるというふうに思います。
 次に、小田急線の駅舎無人化について伺います。
 小田急電鉄は、ことし五月から、始発から午前七時半までの駅施設の職員無人化を実施しましたが、この時間帯における影響を受ける駅及び乗客数を示してください。

○成田都市基盤部長 小田急電鉄は、駅の無人化を、昨年五月から東北沢駅など四駅で実施してございます。今年五月からは、新たに参宮橋など四駅を追加し、現在八駅で実施しているところでございます。
 これらの駅におけます始発から午前七時半までの乗降客数について、最も少ない東北沢駅では約五百人、最も多い狛江駅では約三千七百人と聞いております。

○たぞえ委員 今部長から答弁がありましたように、早朝時間帯、大変な数の乗降客が利用されています。私の事務所が、この問題についてアンケート調査をしました。百人の方々から、封筒に入った貴重な声が寄せられました。幾つか紹介しますと、ホームに置き捨てられた傘が線路に落ちて、電車が急ブレーキでストップした。それを取り除くのに、駅員がいないため時間がかかり、電車が大幅におくれた。自動改札が詰まったままで、立ち往生した。ホームにいつも駅員がいないので、電車の中で倒れた人がホームに出てきたとき、その場に倒れ込んでしまい、乗客はとても怒って、駅員は何をやっているんだとどなっていた。倒れたその人のもとに駅員が来るまで電車が動かず、困った。こういう生々しい声が寄せられました。
 しかも、アンケートの中身、百人を超える方ですが、七割を超える多くの方が、駅員が不在であるということを知らないということもわかりました。
 さらに、このアンケートの中では、言語道断、公共機関の認識欠落の対応だ、事故があってからでは遅い、不安を感じる、不審者、不審物を見かけたらどうすればいいのか、そういう怒りや不安の声が多数だったのは、この無人化がいかに大きな社会問題かということがうかがえると思います。
 鉄道事業法の第一条を読みますと、鉄道事業者の目的を定めていますが、その目的に、鉄道等の利用者の利益を保護するというふうになっています。さらに、事業改善の命令を定めた二十三条でも、旅客または貨物の安全かつ円滑な輸送を確保するための措置を講ずるべきであるとしています。
 今回の無人化は、乗客が一番集中する始発から朝七時半までという時間帯になっていることから、これは駅施設を利用する利用者の利益を保護するものとはいいがたいというふうに思いますが、都の認識はいかがですか。

○成田都市基盤部長 今ご指摘の駅につきまして、小田急電鉄というふうなことでございますけれども、小田急電鉄におきましては、ホームインターホン、列車非常停止装置等の設備を設置するとともに、必要時に隣接駅から駆けつける体制が整った駅において、また、利用者が少ない時間帯に駅無人化を実施していると聞いております。
 駅員の配置につきましては、個々の駅施設や利用状況等が千差万別であることから、個々の鉄道駅における現場の状況や利用者の安全性、利便性等を十分考慮して、鉄道事業者みずからが判断し、行っているものと認識してございます。

○たぞえ委員 命を守り、安全を確保する、そのための鉄道事業者の責務は重大です。
 都内のほかの鉄道機関の駅無人化の実施はあるのか。あるとすれば、事業者、路線、駅数の実態を説明してください。

○成田都市基盤部長 都内の他の鉄道事業者による駅の無人化の実施状況でございますけれども、小田急電鉄以外では、六事業者、十五路線、三十九駅において実施していると聞いております。

○たぞえ委員 私も、今度の件で幾つかの路線を調べてみました。大変たくさんの駅で無人化になっていることに、改めてびっくりしたわけです。例えば五日市線の秋川駅、一日一万四千九百四十五人、乗降客ですね。八高線北八王子駅、一万二千四百三十八人、相模原線京王よみうりランド、一万二百十七人、目黒線洗足駅、一万五千三百三十七人、大井町線緑が丘駅、九千二十八人、小田急多摩線小田急永山駅、二万二千五百六十七人。さらに小田急線の部分的なところで紹介しますと、豪徳寺、二万四千三百五十四人、祖師ケ谷大蔵駅、三万七千四百三十二名、喜多見駅、三万二千二百三十六名、狛江駅、四万一千六百三十二名。こういう乗降客が、朝七時半、最もピーク時に、通勤で、通学で利用されている時間に駅員がいない。白昼、公然と職員がいない。本当に驚くべきものであります。
 これは、車いすを利用する方が駅に行っても中に入れません。そして、先ほど紹介したように、線路に傘が落ちても、とる人がいない。電車はじっとその前で立ちどまっていなきゃいけない。まさに東京の公共交通の大きな問題が投げかけられたというふうに思います。
 小田急電鉄の旅客サービス部は、十月三日、朝方システム対応時間帯におけるフォローアップ体制についてという指示文書を出しました。管区長あてへの文書であります。文書を見ると、お客様の安全感を高めるとして、従来使用していた無人化時間帯という表現をシステム対応時間帯に改めることにする、こういう内容であります。いかにも無人化というのが評判が悪いので、システム対応時間帯に呼び方を変えますというんです。しかし、本体は無人化なんです。安心感が低いから高めなきゃならない。無人化での利用者からの批判がいかに大きかったか、小田急の苦労が読み取れます。
 そして、中身はこういうのです。現行の基本体制は維持しながら、フォローアップ体制を構築する。いわば再構築するという、こういう文書でありました。中身は何か。案内係員というアルバイトを改札口や券売機周辺に配置する、だから安心は今まで以上に高まる、こう書いております。例えば車いすのお客さんが来られた場合は、お客様におわびする、安心感を提供する、こういう内容なんですね。
 今月十七日から、案内係員というアルバイトを早朝一時間だけ配置が始まりました。しかし、始発から朝六時半まではまだいない。しかも、案内係のアルバイトの方は、改札口に立っているだけで、駅務舎に入るかぎを持っていないし、また、ホームに行く権限も与えられていない。単なる道案内ぐらいのものですよ。
 こういう事態から見ても、安全対策の根底を揺り動かした事態に、一時間だけのアルバイト要員で事態の打開の展望があるのか、どのような見解でしょうか。

○成田都市基盤部長 ただいま委員ご指摘の文書につきましては、私も今手元に持っておりますけれども、今回の案内係の配置につきましては、駅利用者の安心感を高めるという、利用者に配慮した対応である、このように聞いております。
 こうした取り組みにつきましても、個々の鉄道駅における現場の状況や利用者の安全性、利便性等を十分考慮しまして、鉄道事業者みずからが判断し、運営しているものであると認識してございます。

○たぞえ委員 私は、人命優先を確保することは、西日本の脱線事故や、かつて日比谷線の中目黒駅での脱線事故、そして、最近の足立区竹ノ塚踏切事故を考えると、鉄道事業法があって、これは国の仕事だ、都道府県はこれに深く関与できないという法的な問題がありますけれども、しかし、東京都は、都民の公共安全輸送を確保するという視点から見れば大きな責務を持っていると思うんですね。
 先ほど部長から紹介されました無人化の路線数でありますが、東京はその路線数だけの電車じゃないんですよ。無人化をやっていないところだってあるんです。無人化を実施していない事業者との違いですね。例えば地下鉄、東京メトロはやっていない。ここと小田急を比べた場合に、どういう政策的な意図があって地下鉄は実施していないのか、そこら辺、どう考えられているのでしょうか。

○成田都市基盤部長 駅員の配置につきましては、個々の駅施設や利用状況等が千差万別であることから、個々の鉄道駅における現場の状況や利用者の安全性、利便性等、これらの要因を総合的に勘案いたしまして、各鉄道事業者みずからが判断し、実施しているものと考えてございます。
 鉄道事業者への許可、改善命令等の指導監督権限は、先ほど委員ご指摘のように、鉄道事業法に基づき国土交通大臣が行うこととなってございまして、都は指導監督権限を与えられてございません。臨海鉄道や東京メトロ線、あるいは都が出資する団体に関しましては、都は経営の立場から指導監督を行ってございます。しかし、小田急電鉄を初め他の鉄道事業者につきましては、都は指導監督権限を有していないのが現実でございます。

○たぞえ委員 そうですね。確かにそういう壁もあるんですよ。だから、私は決して東京都を非難しているんじゃなくて、都民の安全を確保する上で、出資していない民間の鉄道事業者に対しても都としての関与がなければ、例えば私鉄の大きな駅で突然無人化に入った、利用者は大変困っているといっても、東京都はそれに対する政策がないということは、二十一世紀の東京の交通基盤を整備する専門家としては大きなマイナスなのではないかというふうに思うわけです。
 今後、電車運行の過密化とか機械の高度化、乗客の高齢化、都市の複雑化、そういう点を考えても、私は、住民への周知も不十分--しかも、現在、アンケート結果によりますと、六五%が無人化は反対である、もとへ戻してほしい、こういうふうに答えられている。こういう都民に、私はこたえてあげなきゃいけないというふうに思います。
 法的な拘束がされているもとですが、地方自治体として区市町村の意見や東京都の意見を国に反映できる、そういう協議機関を持つように国に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。

○成田都市基盤部長 これまでも東京都におきましては、都民の安全確保を図るため、適時、国や鉄道事業者等に対する要請は行ってきてございます。
 今後とも、都としては、これまで同様、適切に鉄道事業者に適時要請、あるいは指導できるものがあれば指導してまいりたいと考えております。

○たぞえ委員 ぜひ無人化問題だけでなく、さまざまな鉄道にかかわる都民生活へのいろいろな影響についての問題については、積極的に都として国に働きかけていただきたいと思います。
 最後に、二子玉川再開発について伺います。
 二〇〇〇年に都市計画決定した世田谷区二子玉川東地区再開発計画、この計画に周辺住民から、この開発が環境や住民生活に悪影響を与えている、さらに、膨大な税金が使われることから投資的大規模開発だとして、今大きな社会問題になっています。最近、住民の市民団体六団体が一堂に、にこたまの環境を守る会を発足させました。この会は、再開発組合を相手に、事業の差しとめを求めて東京地裁に提訴しています。
 私は、暮らしに直結する再開発は、公益性や地権者の総意、周辺住民の理解が非常に不可欠だと考えますけれども、都の見解をまず伺いたいと思います。

○渡辺参事 市街地再開発事業は、道路等の公共施設の整備と土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的としております。
 したがって、再開発事業は大変公共性の高い事業であり、困難ではありますが、積極的に進めていかなければなりません。同時に、事業を進めるに当たっては、できる限り地権者の合意形成に努めることが重要であると考えております。
 また、当事業は、大規模な工事を伴う事業であることも含め、周辺住民の理解を得ながら事業を進めていくことが大切であると認識しております。

○たぞえ委員 都市開発法を読むと、再開発は公共の福祉に寄与するということが目的にされています。私も、環境に深くかかわるこうした開発行為は、環境の保全に貢献しなきゃいけない、都民の暮らしにも貢献しなきゃいけない、そういうことが開発の理念だというふうに思うんです。
 この二子玉川の再開発計画が持ち上がってから、既に二十二年たちました。当時は全国で超高層ビル計画が花盛りでした。何でも高く豪華ならば、まちに輝くシンボルが生まれる、こういって計画がどんどん立ちました。しかし、バブルがはじけたもとでも、先ほどの資料説明の中で、平成十四年から十八年まで、東京では百メートルを超える超高層ビルが百十一カ所つくられる、こういう計画に、高層化だけの町並みでいいんだろうか、眺望や景観、地下自然水、交通安全など重んじられているんだろうかと、こういう多様な価値観の変化の中で、生活圏域のあり方とか、生活の場としての都市のあり方に対応する、そういうさまざまな意見が生まれてきたのも今日の特徴だと思います。
 この二子玉川は、既に環境アセスの評価から五年がたちました。再開発組合は、アセスのやり直し期限である本年六月でちょうど時間切れと、こういう直前に着工届を出して、何と予定地内の草切りをする、木を切る。これで着工した。こういうことで事業を進めています。
 この開発事業地の二子玉川、八五%自前の土地で取得しているのが東急グループなんです。自前の土地を持って、ホテルや商業施設を建設するために、なぜ自前の開発をしないのか。なぜ再開発の手法を選択したのか。その意図は何だったのでしょうか。

○渡辺参事 まず今のお答えに入る前に、駆け込みのお話がございましたけれども、この事業は日本最大の民間開発事業でありまして、一定の時間をかけて、しっかり事業計画を検討して事業化に至ったものでございまして、その後、アセス条例に基づき着手届を出したということで、手続的にもきちんと順を踏んでやってきていると考えております。
 さて、なぜ再開発かということでございますけれども、本再開発事業は、土地利用が細分化され、道路には歩道もなく、恵まれた立地条件を生かせない駅前の地区とこれに隣接する低未利用地を総合的に計画することによって、交通広場を初めとする公共施設を整備し、二子玉川駅周辺にふさわしい複合拠点の整備を計画的に行うものであります。
 駅近傍では土地が複雑に入り組んでおり、一体的かつ総合的な公共施設の整備や細分化された土地の集約は困難な状況にございます。こうした現状においては、個々の地権者による開発が行われた場合、再開発事業と同等な良好な市街地の形成を図ることは望めないと考えております。
 こうしたことから、個々の地権者も含めて、地元が力を合わせて再開発を行っていこうとするものでございまして、世田谷区とも協議し、都市計画手続も経まして、この市街地再開発事業手法という手法を決定したものでございます。

○たぞえ委員 いろいろ参事からメニューが紹介されまして、わあ、すごいなと思った方もいらっしゃると思いますが、先ほどいわれましたように、東京で最大規模の開発だと。そこに誕生するのは、百五十一メートルなどの超高層ビル。このビルを支える地下の基盤への新たな環境負荷、そして、交通量をさばくための新しい駒沢通りの拡幅計画、これによる新たな交通渋滞とか環境権へのさまざまな影響、こういうことが、今参事がいわれた大変バラ色の計画に比べて、さまざまな環境への影響が危惧されているからこそ、この開発に対して三分の一の地権者が反対であると、こういう表明をされているわけです。
 こうした方々、地区内はもちろん地区外の方々との合意形成は、私は極めて重要だと思います。再開発組合と行政は、住民の一〇〇%合意がとれないもとでも、当初の計画で開発ができる、こういう展望を現在でもお持ちなんですか。

○渡辺参事 地権者の同意率についてでございますけれども、これを再開発組合員の人数の割合で見ますと、組合設立認可時点で七九%、ほぼ八割になってございます。また、面積割合で見ると約九六%ということで、ちょっと今、三分の一という数字が、私としてはそうではなく、ほぼ八割の人数の同意というふうに私どもは同意文書を確認しております。したがって、地区全体の合意形成は着実に進んでいるということでございます。
 現在、再開発組合は、権利返還計画の策定中でございまして、関係権利者と協議しながら合意形成を図っております。計画がさらに具体的になるにつれまして、理解がより深まり、さらなる事業の進捗が図られるものと考えております。
 市街地再開発事業は、個人、企業などみんなが力を合わせて、民間の創意工夫によりまして都市基盤の整備、都市機能の更新、防災性の向上等が図られるものでありまして、東京の都市再生を推進する上で極めて重要な事業と考えております。
 本事業におきましても、重要な交通結節点であるとともに、水と緑豊かな自然環境に恵まれた二子玉川地区の特性を生かし、住宅、商業・業務の機能を兼ね備えた複合拠点を整備するものでございまして、都としては、当地区の再開発事業の実現に向けまして、地元区とも連携し、円滑な事業推進を図るべく積極的に取り組んでまいります。

○たぞえ委員 都側の決意が述べられましたけれども、決意は、それは行政はされるんでしょうが、当初、この二子玉川は、Ⅰ街区、Ⅱ街区、Ⅲ街区と三つに分けて、Ⅰ街区は商業施設、Ⅱ街区はホテル、Ⅲ街区は住宅等と、こういうふうに分けて、一体として開発をする都市計画決定をしました。
 その真ん中のⅡ街区を後発計画だと、このように計画で位置づけていますけれども、なぜ当初計画どおり、三つが同時に進まないのか。なぜ真ん中のⅡ街区、ホテルが後発計画として位置づけられたのか。これについては、どう都が受けとめ、今後、この街区についてはどのように進めていくのか、伺いたいと思います。

○渡辺参事 計画におきましては、Ⅰ街区、Ⅱ街区、Ⅲ街区と分けまして、さらに第Ⅱ街区をa、bと分けてございますけれども、環境影響評価などの中でも、Ⅰ街区とⅡ-b街区及びⅢ街区を第一期工事、その後に第二期工事としてⅡ-a街区を行うことになっております。すなわち、当初から工期を分けることを前提に計画してございます。
 再開発事業におきましては、他の事例でも、大規模な場合など事業認可を分けて取得しているケースがありまして、本事業だけのケースではございません。
 今後は、平成二十二年度の全体の完成を目指し、二期の事業認可について協議してまいります。

○たぞえ委員 私は、この開発が及ぼす環境や地方財政への影響を考えたときに、既に計画から二十二年、都市計画決定から五年、予定日程が大幅に後退するという中で、改めて必要性の論証をしなければならないのではないか、こういう時期に今来ていると思います。このことに東京都として、事業者である準備組合が頑張っているからというだけではなくて、東京全体の開発のバランスや必要性をもう一度議論し直すべきではないかなというのが--先ほど参事が私にいわれた、環境アセスから五年、駆け込みではないとおっしゃいましたが、しかし、現に時間切れの直前で届けを出すというのは、だれが見たって駆け込みなんですよ。凍結してから、すぐ事業届を出せば、それで普通の仕事なんです。それが全然進まなくて、危ないところで滑り込みセーフなんていうような事業は、まさに将来がないなと私は思います。そのことを主張して、この質問を終わりたいと思います。

○渡辺参事 ただいま、もう一度この事業の計画そのものを議論ということでございますが、これは世田谷区のマスタープランでも、明確にここが生活の拠点として位置づけられており、そしてまた、都市計画の手続の中でさまざまな方々の意見をいただきながら、そして都計審の場でも議論していただいて、決定して事業を進めるというものでございますので、この事業は、先ほどから私が述べてまいりましたように、高い公共性を持つものであり、進めていくということでございます。
 また、先ほどの駆け込みにつきましては、答弁したとおりでございます。

○高橋(か)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十分開議

○高橋(か)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言願います。

○立石委員 きのうは、くしくも、例の山古志村の大震災、現在もなお大変な思いをされている方がたくさんおられるということを報道で聞かされるたびに、震災の恐ろしさは、七月二十三日でございましたか、あの大変な、東京にもひしひしと、震災はない方がいいに決まっていますが、震災のその後と震災について考えながら、まちのあり方というものを幾つか質問していきたいなと考えております。
 一番最初に、都市再生の特区という制度が設けられました。今、私の前の委員さんからも質問がありましたが、ある部分でもっともだなと思いながら、されど地震の際にはどういうことになっちゃうんだ、こう思いながら聞いておりました。
 そういう意味で、平成十四年に都市再生緊急整備地域が指定され、首都東京の再生に拍車がかけられると期待されてきたわけでありますけれども、たしか十年の時限立法だったと思いますが、現在、私の目から見ますと、必ずしも満足ではない。期待を裏切る状況になっているものも幾つかあります。
 しかし、趣旨としては、東京の再生のためには大きく役立っている、そう思いつつも、なお矛盾を感じる点が幾つかありまして、特にその質の問題なんですが、地主が一人ということに非常に、何だこれは、一体何をやっているんだと。まだまだ使えるビルをたたき壊して、容積を拡大しているだけじゃないのかと思うようなものもありましたし、いろんな、そういう意味で考えさせられる部分もあるし、さりとてほうっておいたらば、山古志村やこの間の地震ではありませんけれども、大変な被害で、恐らく震災後、大変な苦労をされるのではないか。そう思うと、一日も早くまとめて、再生特区で有効活用されていくべきだ、そんな思いを持ちながら質問したいと思います。
 現在、再生特区として指定された地域というのは、きょうまで都内でどのくらいあるか、まず一番最初にこれを聞きたいと思います。

○金子参事 今日まで、都市再生特別地区の指定につきましては三地区ございます。大崎駅西口E東地区、大崎駅西口A地区及び丸の内一-一地区でございます。

○立石委員 そういうことですけれども、ここで丸の内の事業者が森トラスト、あるいは事業者が明電舎、これはさっき私が申し上げたように、地権者一の事例であります。いい悪いという問題ではなしに、資料要求いたしました資料にありますように、真ん中の大崎駅西口A地区、八十八件の地権者の方が、関係者がおられる。こういう状況で指定されて、私も都の人と一緒に現場を見てまいりました。これは大変なことで、このままほうっておいたら、まさに地震のときに大変なことになるなと思いながら、こういう事例はいい事例だなと、こう思って帰ってきたわけであります。
 それはそれとして質問いたしますが、相談地区数として、平成十七年四月から九月末日まで十四地区がされたというふうに(2)で表示されておりますけれども、この十四地区のうち、都市整備局にご相談がある事案の中で、中央区で、地権者一はともかくとして、数の多い地区があったら、一つだけ具体的に教えていただいてもいいでしょうか。

○金子参事 大変申しわけございませんけれども、資料にありますように、ただいま十四件について相談を受けているところでございますけれども、現時点ではいずれも内々の相談という段階でございまして、相談者自身が公表を望んでいるかどうか明らかでございませんので、したがいまして、大変恐縮ではございますけれども、この場で相談内容について触れるということは差し控えさせていただきたいと思います。大変申しわけございません。

○立石委員 まさに相談中ですから、プライバシーの問題で騒ぎになってもいけませんし、それ以上聞きませんけれども、力を入れてほしいのは、防災、震災上あるいは減災という意味から、この特区を利用してほしいなという希望を申し上げておきたいと思っております。
 質問いたしますが、大崎西口に戻りますが、これらの大変多くの地権者がおられた事例を、事案といいますか、まとめるまでに大変な歳月がかかっていると思いますし、具体的にどんなような形でまとめられたのか、その経過を質問いたしたいと思います。

○渡辺参事 当地区は、細分化された土地を共同化して、合理的かつ健全な高度利用を図るために再開発事業を行うものでございます。本年三月の都市計画決定後、五月には大崎駅西口中地区市街地再開発組合として設立されております。
 都市計画決定までの経緯と合意形成に向けた取り組みでございますが、平成三年に再開発準備協議会が発足、平成六年に再開発準備組合の設立、平成十四年に市街地再開発事業の都市計画決定というふうになってございます。その後、施設計画の見直しによりまして、十七年、ことしの三月に都市計画変更が行われました。
 平成三年から平成十七年三月の都市計画決定までに、地元協議会及び準備組合の総会、理事会は合計約百八十回、勉強会、見学会、説明会、個別面談などは約七十回開催されてございます。

○立石委員 今ご答弁がありましたように、小規模敷地を共同化していくということの、都庁も、当局も大変だなというふうに思いながら、目的のためにいいまちをつくっていこう、燃えない、震災に強い、減災されて、震災があっても耐えられるようなことをやっていこうということで、それは大変ありがたいことでありますけれども、どのような形で、現況、支援といいますか、公的な合意形成にかかる経費とか、手法としてどういうような支援が行われているか具体的に……。支援の具体化。

○渡辺参事 この再開発事業、ここに至るまでには、先ほど答弁いたしましたように、総会や理事会だけでも百八十回とか、大変な地元での努力がなされてまいりました。私どもは、それに対して技術的な、例えば高さとか、建築基準法上の制約とか、都市計画法上の考え方、そうしたことの技術的支援を行いながら、この事業がなされました暁には、国費とか、そういった補助金、そうしたものの導入について我々が汗を流すというような形で支援していくところでございます。

○立石委員 具体的に聞きますけれども、この案件については、結果、どのくらい公的な応援があったのか、わかりますか。すぐ出るようでしたら教えてください。

○渡辺参事 技術的支援につきましてはさまざまな形で行っておりますので、数的に申し上げられない部分でございますけれども、例えばこの事業が進んでいくときには、補助金という形であれば、これからのことでございますけれども、私ども、資金の中では、補助金として国と区ということで、おおよそ七十億弱の補助金を見込んでございます。

○立石委員 七十億が大勢の人の命を救ったり、まちを再生させていくという意味において、多いのか少ないのかわかりませんけれども、長い年月と合意形成をしていく上では大変な力になっていることだと思います。しかし、いろいろな形で、数多い関係者、地権者の皆さんが元気を出して防災まちづくりに励めるような意味での時限立法、十年の間に達成してほしいな、そんな思いを、これは要望としてしておきたいと思います。
 次に、環状二号線について質問いたします。
 環状二号線は、佐久間町から皇居の外周を通って、いわゆるマッカーサー道路を経て、港区を通って中央区に入ってくる。私のところは中央区でございますので、中央区について、中央区から豊洲に至る延伸の部分について質問したいと思います。
 何回もいっておりますけれども、地下式か地上式かということで、先ほどのお話のように大深度ということではありませんけれども、大深度という手法をとることによって、外環道のように大変環境もよくなるという考え方もできる。大気汚染、騒音、振動、景観、これらの点からも、高速で走る自動車が有効にかつ渋滞を起こさずに、年間三千億と先ほど答弁がありましたけれども、三千億の経済効果もあるやに発言されておりますけれども、そういう意味では大きな意味を持っております。
 二十一世紀の道路づくりのあり方について、地上化か地下化かという単純な比較はできませんけれども、しかし、自動車も、見本市会場で今開かれておりますけれども、大変な人気で、中でも、発想を変えて、前向きから自分の運転席を変えれば、バックではなくて後方に同じように走れる。こういうのを見ると、本当に発想を転換するということはすごいことだなと。燃費もいかに節減していくか、排出するガスもいかに減少していくかということは時代の趨勢で、二十一世紀では、どんどんこれらのことは克服、課題解決されていくだろうと私は思っております。
 そういうときに、地下鉄の例ですが、モグラじゃあるまいし、人が暗い地下のトンネルを走って、動力のついた自動車が地上をのうのうと、さんさんと輝く太陽のもとで走るというのは、どうも僕は矛盾を感じている。しかも、騒音、振動、どんなに手配したところで、やっぱり限界がある。さすれば、中央環状新宿線の地下化の工法は、大変な排気ガス、大気汚染にしても、あるいは騒音にしても克服している。されど大変なお金がかかっていることは、この資料でもわかります。
 事業費ということでありますけれども、具体的に--事業費というよりも工事費ですね。選択肢の一つとして、家を建てることに例えれば、木造で建てれば幾らかかる、鉄骨コンクリートにすれば幾らかかる、ちょうどそういうような工事費の比較をするように、もちろんいろいろな中身の内装によっては違いますけれども、単純にシールドで、工事費としてどのぐらいかかるのか。新宿線一キロ当たりどのくらいか、ちょっと比較したいと思うので、ご答弁をいただきたいと思います。

○成田都市基盤部長 トンネルの事業費のお尋ねでございますけれども、中央環状新宿線に関しましては、一キロメートル当たり約七百億円の事業費を予定してございます。

○立石委員 事業費じゃなくて工事費。

○成田都市基盤部長 工事費でございます。(立石委員「工事費が七百億……」と呼ぶ)用地費を入れまして一千億円でございますので、工事費は七百億円でございます。

○立石委員 有名な話ですけれども、ボストンのローガン空港と、チャールズ川のある、市心を結ぶ高速道路が、まちを二分してしまった。あの歴史のまちボストンが、高速道路のおかげで二分されてしまった。そして、これを地下化していこうという、壮大な費用をかけて、何年か前に計画されて今実現されているわけですけれども、ローガン空港から約七キロ。工事中と完成後に私も行って見てきましたけれども、見事にあっという間に都心に入って、分断されたまちが、地上には、自動車の高速道路ですが、帯状のグリーンベルトになっている。しかも、排気塔は見事に、例えていえば、丸ビルの真ん中に排気塔をつくってしまったような工夫をされている。大変なお金がかかったんでしょうけれども、いいまちができ上がったなというふうに感心して帰ってまいりました。
 何よりも大気汚染や渋滞が解消されたということと、大変な技術の進歩をもたらしたなというふうに感心しているわけですけれども、そういう意味で、地下化とか地上化とかという単純な比較ではなしに、高いとか安いとかという単純な比較ではなしに、二十一世紀百年を考えたときに、やはりどっちを選ぶべきかという、高度なというと語弊がありますけれども、今いうような話の中から選択肢はいろいろあると思うんですね。十分検討していただいて--もちろん、無理なことは申し上げる必要もありませんけれども、幾らお金がかかってもいいなんていうことはあり得ないわけですから。経費、費用も大事なことですけれども、騒音だとか振動だとか、渋滞解消、大気汚染、これはもう最大の命題ですね。命のもとですからね。これを知事も非常に真剣に考えておられますから。
 隅田川があって、約二・一キロの距離ですから、ぜひこの点の構想を--この間も質問しましたけれども、百年の計を考えて、水辺の空間、築地市場という大規模な跡地をどう生かしていくか。あるいは運河ルネッサンスで沸いております朝潮運河、晴海運河、これを縦断していくわけですね。地下化していれば問題なかったものが、そこに目ざわりなものができ上がるわけですね。
 我々、いつも中央区ではいわれるんですけれども、昭和三十九年のオリンピックのために、名橋日本橋の橋の上に高架道路をつくってしまった。あれは、景観においては大変なデメリットである。だれが考えても、小さな子どもでも不自然であるということがわかります。もちろん、高速道路のありがたさとか、あの時代に先輩方が決断したということは評価していますけれども、そういうようなことでも、今地元では地域の人たちが--あの耐用年数、鉄とコンクリートですから、四十年か五十年すれば当然耐用年数が来るわけですね。同じところに同じもので補強しようなんていったら、後の人に、あほやと、こういわれるわけですから、そういう意味でも、いろいろな考え方が取り入れられています。
 昭和三十九年ですから、今、昭和でいえば八十年。マイナスすると四十一年。四十一年たったんだから、あと九年もすると五十年。いよいよ国交省も東京都も、ひそかに研究されておられるようですけれども、この過ちを再びするなという考えで、地元でも環状二号線の築地-豊洲間を非常に注目しております。そういう意味で、当局として、ご担当の皆さんがどういうふうに考えておられるか。この間の一般質問でもやりとりしましたけれども、さらに、大事なこの委員会で質問をさせていただきたいなと思います。
 特に、七月三日の選挙の前と後では、大きく住民の意思が違ってきているわけですね--住民の意思ではなしに、住民の意識ですね、まちの皆さんの意識。選挙で戦ったわけですから。共産党の候補者の方、民主党の候補者の方、それから不肖立石、選挙のことをいうわけではありませんけど、みんな同じように、この問題について、地下化が二十一世紀の道路としてあるべき姿だと。だから、みんなというか、候補者三人が、そういう思いでこのことを考えてきたわけです。
 よって、その人たちにそれぞれ票数の多い少ないはありましたけれども、結果としては自分が当選させていただきましたけれども、全く違う意味で、意識を変えて、三人の候補者がそれぞれ人生をかけて主張してきているんだということを考えると、非常に大事な住民の意思だと思うんですね。住民、都民の皆さんの意思ですね。そういうことを考慮して立派な道路をつくっていただいて、それが二十一世紀のまさにモデルであると。都心にありますから。
 それから、ただ道路をかけるというだけではなしに、これは七万坪の歴史ある築地市場の移転跡地のあり方も最高の都市計画だと思うんですね。細分化された土地を一つにまとめることは大変な仕事で、経費も非常にかかっているわけですね。七万坪もある都心の貴重な都民の財産を、わざわざ道路で細分化する--細分化といっては語弊があるかもしれませんけれども、分断するようなことがあってはいけないと思うんですね。
 そういう意味でも、また隅田川、東京の水の風景ですね。晴海運河、朝潮運河、これも同じように、大変な水辺の景観です。先ほど我が党の川井委員さんの質問にもありましたが、単なる水路にするなと。岸辺、川の美しさ、そういう流体の、心をいやす、人間として都市の生活をしている者にとって大変な憩いの場である、そういう点を考慮して、まさに都市整備局としての見解を求めて、質問を終わります。

○成田都市基盤部長 都市基盤部長に与えられた答弁としては大変重い答弁でございまして、これは先般の三定で立石理事の石原知事への質問でもお答えしていますし、その前に昨年の二定でも、梶山局長が立石理事のご質問にお答えしておりますけれども、それを踏まえながら、今のご質問にお答えしたいと思います。
 環状二号線の整備につきましては、隅田川の水面から見た景観の創出あるいは環状三号線との交差方法など、ご指摘のとおり、ウオーターフロントという観点からも、それから、今お話がありましたボストンのセントラルアーテリーの話、あるいは日本橋川の首都高の高架からの地下への問題と、こういうふうなさまざまな課題がございますけれども、いずれにしても、この環状二号線、いろいろな課題がございますし、それに対しさまざまな工夫を加えながら今後検討いたしまして、ウオーターフロントにふさわしい、後世に誇れる道路として早急に整備していきたいと考えております。

○小沢委員 質問させていただきます。民主党の小沢昌也です。
 今日、都市のあるべき姿を語る際には、環境という言葉が必須のキーワードとなっております。一口に環境といってもさまざまな切り口がございますが、今回は、地球温暖化対策、省エネルギーといった観点から、環境に配慮した都市整備のあり方について質問をさせていただきます。
 冒頭ではありますが、つい先日、新聞に青山元副知事さんの寄稿がありました。これを最初に紹介させていただきます。地球温暖化対策というと、クールビズ、屋上緑化、排出権取引などが話題となる。中略。大都市の場合、最も効果的な地球温暖化対策の一つは道路渋滞の解消だ。東京の道路は都市計画の半分くらいしかできていない。中略。また、大都市では、ビルや家庭の給湯を、その場で化石燃料を燃焼させて供給しているが、これを減らすべきだ。そして最後に、地球温暖化対策でも、縮み志向ではなく、実用化されている新技術を積極的に活用して、世界のモデル都市となるくらいの気概を持って取り組んだらどうかと締めくくっております。私も全く同感でございます。
 大都市においては、交通渋滞の解消、また、ビルや家庭での給湯における化石燃料の燃焼を減少させることが地球温暖化対策に大変効果的であるということでございます。つまり、地球温暖化対策は都市整備局の果たすべき役割が非常に大きいといえます。
 そこでまず、都市整備局として、地球温暖化に向けて、現在具体的にどのような取り組みをされておるか、お伺いいたします。

○福島都市づくり政策部長 東京が活力と魅力にあふれ、質の高い都民生活が享受できるよう、現在、都を挙げて都市再生を推進しておりまして、その際には、地球温暖化対策や省エネルギー化など、都市環境の向上もあわせて進めているところでございます。
 具体的には、都市づくりの面からは、三環状道路の整備や都心居住の推進など、エネルギー効率の高い都市構造への転換を図ることによりまして、エネルギー負荷の低減に取り組んでいるところでございます。
 また、土地利用の面からでは、緑地の保全を図るとともに、民間の都市開発に対しましても、都市開発諸制度による指導、誘導や、いわゆる省エネ法に基づきまして、一定規模以上の建築物に対し省エネルギー計画書の提出を求めるなど、建築物の省エネ化や緑の確保を図っているところでございます。
 今後とも、地元自治体、都民、事業者と一体となりまして、持続可能な都市づくりに取り組んでまいります。

○小沢委員 次に、都では建築物環境計画書制度を導入して、オフィスビルなどの大規模な事業所系の建築物について、CO2排出量削減や省エネルギー化を義務づけております。これらを推進することは当然のことと思いますが、もっと小規模な建物や一般の住宅に対しても省エネルギー対策を施し、そのすそ野を広げていくことが必要であると考えております。
 経済産業省の平成十六年度版エネルギー白書によりますと、二〇〇二年の日本のCO2排出量は、一九九〇年比で、産業部門では一・七%減少を示しております。しかしながら、家庭部門では二二・八%の増加となっております。このように、これまで地球温暖化対策としてのCO2排出量の削減は主に産業部門において進められてきましたが、家庭部門や業務部門において、削減が進むどころか、逆に増加傾向にあるのが現実でございます。
 こうした観点からも、家庭におけるCO2削減を促進すべきであり、そのためには、都民一人一人が生活様式や住まい方を見直すことが必要なだけではなく、住宅における取り組みも重要と考えます。つきましては、都の住宅政策における地球環境に配慮した取り組みについてお伺いいたします。

○水流住宅政策担当部長 地球環境を保全するとともに、持続可能な都市社会の構築に寄与するため、環境に配慮した住まいづくりを推進することが重要でございます。都といたしましては、住宅性能表示制度の活用、また、良質な共同住宅等に対して助成を行います都市居住再生促進事業の活用を通じて、省エネルギー性が高く、環境に配慮した住宅の普及に努めているところでございます。
 また、東村山市本町地区プロジェクトにおきまして、実証実験におきまして、太陽熱エネルギー利用による暖房換気システムを備えた住宅、オール電化でエネルギー消費効率の高い設備を備えた住宅など、地球環境への配慮を重視した提案も評価しまして民間事業者の選定を行ったところでございます。
 今後とも、国や関係団体とも連携しながら、地球環境に配慮した取り組みの一層の推進を図ってまいります。

○小沢委員 住宅政策について環境配慮を推進していくに当たっては、東京都が誘導的な取り組みを進めていくことも、その方策の一つとして考えられると思います。
 二〇〇三年度の家庭用エネルギー統計年報によると、家庭部門のエネルギー消費内訳は、冷暖房用が二一%、給湯用が三六%、照明、家電製品等が四一%となっております。このうち冷暖房については、住宅の高気密、高断熱化によって空調の負荷が低減方向にありますけれども、また、照明、家電製品については、トップランナー方式の導入などにより省エネルギー化が進んでおります。
 しかし、給湯については、ややおくれているのが現状でございます。給湯部門においても、最近、テレビコマーシャルでもよく目にしますが、エコキュートとかいう、このように呼ばれているようですけれども、エネルギー消費効率の高い大気熱回収型や潜熱回収型など新しい技術が開発されまして、市場に出回り始めております。経済産業省では、二〇一〇年までに、こうした省エネルギー型の給湯器について五百二十万台の普及を目指し、補助金も出しているとのことでございます。
 そこで、都内に二十六万戸ある都営住宅においても、太陽光発電、屋上緑化、壁面緑化とともに、この省エネルギー型の給湯器などの新しい技術を活用してはどうかと思います。これらについて検討されているかお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○飯尾参事 都営住宅におきましても、昨年度から、建てかえに当たりまして太陽光発電設備を標準設置するなど、環境に配慮した取り組みを行ってきているところでございます。
 ご提案いただきました省エネルギー型の給湯器につきまして、CO2あるいはエネルギー消費の削減効果があるということがわかっています一方で、コスト面あるいは設置スペースなどの課題がございまして、現在は設計に採用するには至っていない状況でございます。
 今後とも、このような新技術につきましては、技術開発やコストなどの動向を注視いたしまして、採用を検討していきたいと考えてございます。

○長橋委員 それでは、私の方からは、まちづくりに関連して何点か質問をさせていただきます。
 まずは、私の地元の豊島区でもそうでありますし、また皆さんの地域でも、商店街の活性化、どの地域でも課題であろうかと思います。いわゆる商店街を含めた中心市街地の活性化に関して、もう一度にぎわいを取り戻す、その方策についてお伺いしてまいりたいと思います。
 私も、昨年視察に行った折に、地方でも同じように、商店街、まさにシャッター通り商店街、こういったものも見てまいりました。ある地域の商店街、そこは観光地でございましたが、昔は相当にぎわった商店街であったのが、私は驚きましたが、すべてのお店のシャッターがおりていました。あいていたのは郵便局だけ。こういう商店街も見てまいりました。
 そういう中で、政府は、コンパクトシティー、こういうことで、歩いてでも暮らしやすい、小さなまちづくりを推進していこうということで提案しているところでございます。どんどんと地方では郊外へ拡張していって、それに伴って都市基盤整備の負担が重くなってきている。もう一度見直しして、コンパクトシティー、こういうことで提言しているわけでございますが、東京では、逆にといいますか、そういったさまざまな機能が集約しているにもかかわらず、商店街が、もちろん後継者がいない、また、さまざまな方策を東京都も講じているわけであります。産業労働局等も、元気を出せ商店街事業とか、さまざまな事業を行っているわけでありますが、大型の商店街ではそういうことができる場合もありますが、それでも生活商店街、また身近な商店街ではどんどんと衰退している。そういうことでございます。
 二〇〇三年の全国商店街振興組合連合会が行った商店街の実態調査を見ますと、お答えしたのが商店街の方でございますけれども、二・三%しか繁盛していない、こういう答弁があったわけでありまして、これはもう、単なる商店街、個店の取り組み、努力だけではなし得ない、まちづくり全体として取り組んでいかなければならない、そういう課題であろうかと思います。
 私の地元、豊島区では、中心市街地活性化基本計画を作成いたしまして、主に市街地の回遊性--商業地と商業地、それぞれ離れ離れになっている。それをもっと回遊性を高めて、そして、その地域にある商店街の魅力をまち全体で引き出していこう、こういうことでこの計画がつくられております。
 商店街を含めたまちのにぎわいを取り戻す、これも都市整備局として取り組んでいかなければならない事業であるかと思いますけれども、まずは、まちのにぎわいの活性化について都市整備局の見解を伺います。

○福島都市づくり政策部長 現在、中心市街地の衰退は全国的な課題でございまして、都内におきましても、先ほどお話がございましたが、後継者の不足や集客の核となる店舗が見当たらない、あるいは駐車場、駐輪場の不足などさまざまな理由によりまして、残念ながら活力の低下した商店街が見受けられるところでございます。
 商店街を含む中心市街地は、買い物や歩きながらまちを楽しむことができることで人が集まりまして、地域の身近な生活中心地としての機能を持ってございます。地域経済の活性化や、コミュニティの形成などの重要な生活拠点であると同時に、治安や防災など、安全・安心の都市づくりの観点からも重要な役割を果たしていると認識してございます。
 こうしたことからも、商店街を含めましたまちの活性化が特に重要と認識しているところでございます。

○長橋委員 同じ認識であるわけでございます。
 確かに、豊島区がつくった中心市街地活性化計画の中には、もちろん都の事業も期待して入っているわけでありまして、街路の拡幅事業やバリアフリー化の事業、または細かい話ですけど、トイレの設置だとか地域区民広場、こういった事業も総合的に進めながら活性化を図っていこう、こういうわけでございます。
 そういう中で、私も昨年の本会議でも、特に道路の活用について質問をさせていただきました、お答えしたのは産業労働局でございましたけれども。道路の活用は、いわゆる通行のためだけの道路じゃなくて、さまざまにいろいろな意味で、もっともっと活用の仕方があるのではないか、こういうことでございます。
 もちろん、道路というのはさまざまな側面があります。防災の面でも重要な役割を果たすわけでありますけれども、皆さんもご存じですが、私の地元の巣鴨にある地蔵通り商店街は、お伺いすると、日本で一番来街客が多い商店街だそうでございまして、そこでは毎月四の日が縁日。東京じゅう、もしくは近県からも訪問客があって、大変にぎわっております。もちろん、その地蔵通り商店街、ふだんは車が通るんですが、通行どめをして、逆にその間は道路に休む場所、巣鴨地蔵通りですから高齢者の方が多いものですから、休む場所も設置をしている。
 また、池袋におきましては、昨年十一月に、国土交通省の実験でオープンカフェを実施いたしました。池袋は、有名な一つに、違法駐輪がたくさんある。東京でナンバーワンだということで、池袋の駅前は違法駐輪がたくさんございます。そういう中で、池袋の駅前の通り、グリーン大通りというんですが、非常に歩道が広い。そこに、歩道が広いがゆえに、自転車が大勢とまっている。そこを撤去して、そのかわりにテーブルといす、またはいろいろなオブジェクトを置いたりして、また、地域の大学の方にも来ていただいて店先で演奏するなどして、わずか三日間ですが、大変な好評でございました。
 そういうことで、こういった道路の活用、歩いてみたい道路、それが回遊性を高め、また、出不精になっている高齢者の方も、商業地に人が集まってくるということも考えられるわけでございます。
 道路の使い方について、今後、まちのにぎわいを創出する大きな効果があるわけでございますが、道路の活用についてお伺いいたします。

○福島都市づくり政策部長 道路につきましては、ただいまお話もございましたが、人や車などの円滑な移動や防災空間の確保、それから都市景観の創出など、都市の骨格としてさまざまな重要な役割を果たしてございまして、特に中心市街地におきましては、こうした機能に加えまして、住民や来訪者など、歩行者にとって歩いて楽しい道などとしても大変有益でございます。
 お話のございました巣鴨の地蔵通りの縁日では、大変特色ある演出などによりまして、歩行者空間となった道路に、高齢者から幼児の方々まで大変多くの人でにぎわってございます。また、池袋の例がございましたが、銀座や丸の内などでもオープンカフェとして道路が使用されてございまして、若者や家族連れの憩いの場としてさまざまな活用が行われてございます。
 今後とも、地域の特色を生かした道路の持つ多面的な機能を最大限に発揮させることによりまして、まちのにぎわいの創出を図ってまいります。

○長橋委員 今もお答えをいただいたとおり、道路も、多面的な使い方によって大きく貢献するということでございます。道路の使用については、道路管理者または警察等、非常に厳しい条件があるわけでございます。そういったことを、すべての道路というわけにはいきませんけれども、特区とか、にぎわいを取り戻すためにモデル地域を実施していただければと、こんなことを思っております。
 もう一度豊島区の話に戻るわけでございますが、先ほどお話しした中心市街地活性化計画を作成しまして、豊島区は、その中で新たに、株式会社豊島にぎわい創出機構というのを設立いたしました。いわゆるタウンマネジメント機構、第三セクターとしてつくったわけでございます。そういう中で、株式会社豊島にぎわい創出機構は、行政、地元の商店街、特にここでは大塚、巣鴨の回遊性を高める意味でこの会社が設立されて、動き出したところでございます。
 また、今度は池袋では、NPOがゼファー池袋まちづくりというのを設立いたしまして、行政だけに任せているのではなくて、地元の人たちが立ち上がって--池袋西口というと皆さんは、地元の区長もいっているんですが、イメージとしては怖いというイメージがある。こんなこともあって、それを何とか払拭したい。立教大学があり、また東京芸術劇場がある。そういう中で、これには地元の商店街の人たちが立ち上がって、このNPOをつくりました。
 この計画の中の一つには、池袋「街じゅう美術館」計画とかという催し物、そういった特色を出していこう、こういう取り組みがあるわけでございます。
 そこで、こういった中心市街地の活性化に向けた取り組みに対して、都はどのように取り組んでいくのか。特に市街地の整備、改善が大きな課題であるかと思いますが、その取り組みについてお伺いいたします。

○福島都市づくり政策部長 中心市街地の活性化には、都と区市町村の役割分担がございまして、地域に最も身近な区市町村は、商店街の活性化策を含めました基本計画を定めます。これに対しまして、都は必要に応じまして助言を行うこととなっておりますが、基本計画を着実に実現していくためには、都、地元自治体、商店街など住民が連携して取り組む必要がございます。
 お話の豊島区を例にとりますと、区が策定いたしました大塚駅や巣鴨駅を中心とする中心市街地活性化基本計画の実現に向けまして、都は、巣鴨駅における都営三田線のエスカレーター設置を事業化するとともに、大塚駅におきましても、補助制度を適用することで、現在、区とJRが南北自由通路の整備や駅構内のバリアフリー化を促進しているところでございます。
 このほかにも、地域主導の個性あふれるまちづくりを支援するまちづくり交付金制度につきましても、区市町村からの申請に基づき審査、助言を行うなど、ハード、ソフトの両面から中心市街地の活性化のための取り組みを行っているところでございます。

○長橋委員 今、ご答弁がありました大塚駅の南北自由通路については、都も中に入って調整していただきまして、いよいよ--大塚駅はJR山手線の駅でありますが、いまだ南北が分断されて、また、エスカレーター、エレベーターもない。そういうことで、地域の方が大変長いこと切望してまいりました。私も地域の方と一緒になって取り組んでまいりまして、いよいよ事業化が決定して、着工に入った。都としても努力をしていただいた。深く感謝をするわけでございます。
 そういう中で、今お話があったまちづくり交付金、私もまちづくり交付金のパンフレットを見せていただきました。非常に使い勝手が高く、まさにその目的は、ここに書いてあるとおり、活力と魅力にあふれた快適なまちづくりを応援するということで、にぎわいのあるまちづくり、災害に強い、また、だれもが生き生きと暮らせる、いろいろなメニューがあって、これをどんどんと活用していく、こういうことが大事だろうと思いますけれども、さっきお話しした豊島の基本計画にもこのまちづくり交付金を活用してやろうということになっておりますが、これがどのように中心市街地の活性化に役立っているのか、具体的にお答え願います。

○福島都市づくり政策部長 まちづくり交付金制度は、全国の都市の再生を効率的に推進することによりまして、地域住民の生活の質の向上と地域経済等の活性化を図ることを目的といたしまして、平成十六年度に創設された制度でございます。これまでの制度と大きく異なっておりますのは、これまでの補助制度は道路事業など個別の事業に限定されておりましたが、この制度は、地域の中で生じるもろもろの課題につきまして総合的に補助できる仕組みとなってございまして、区市町村の提案による独自のまちづくり事業なども対象とされているところでございます。
 まちづくり交付金制度を活用した中心市街地の活性化の例といたしましては、商店街のモール化による歩行者ネットワークの形成やコミュニティバス事業、ホールなどの地域交流センターの整備などが行われておりまして、にぎわいの創出など、地域の創意工夫を生かした事業によりまして中心市街地の活性化にも役立っているものと考えているものでございます。

○長橋委員 まちづくり交付金の活用が、今お話のあったとおり、非常に大きく中心市街地の活性化に役立つ。これは国の制度でありますけれども、都では、この制度は、同じようなものはあるのでしょうか。いかがですか。

○福島都市づくり政策部長 この制度につきましては、国の補助金を都が審査いたしまして地域の方に交付するということで、都は金を出してございませんが、その仕組みの組み立てを全部地元と相談をさせていただきまして、自由な、そのまちに合った使い方を支援していく、このような内容でございます。

○長橋委員 今、こういう質問をさせていただきましたが、都が審査をして、また、ある面では誘導していくということもあるかと思います。あくまで地元区市町村の提案の中からこういったものが使われていくということであるかと思いますけれども、都としてはアドバイスをする。簡単にいえば、口は出すけれども、金はなかなか出せません、こういうことでございますが、これは何回もいっていて申しわけないんですけれども、例えば、我が党が一生懸命いってきた密集市街地対策、震災対策等で、特に密集市街地対策では、大型の再開発事業、事業として大規模になるものですから、なかなか期間もかかる。そういうことで、しゃれ街条例に基づく街区再編まちづくり制度、こういったものを創設して、この池袋も認定されたんですけど、そういうことや、この後お話をお伺いしますが、いわゆる道路事業とまちづくりは別々だったのが、街路事業、道路事業とまちづくりを一体としてやる沿道一体まちづくり事業、こういったことは都独自の中で進めてきているわけであります。
 この商店街の活性化、まちのにぎわいを首都東京から取り戻していくということは大事な観点でございます。ぜひとも商店街の活性化、まちのにぎわいを取り戻すことに対してさらに取り組んでいくべきである。今いったことを含めてお答えを願いたいと思います。

○福島都市づくり政策部長 商店街を核とする中心市街地は地域の顔でございまして、またコミュニティの拠点でもございます。いわばまちのシンボルともいうべき役割を果たす区域でございまして、例えば駅前の市街地では、商店街などを核といたしまして、水、緑、防災、文化など多様な生活機能を集積して、幅広いサービスを提供することができると考えてございます。
 今後とも、商店街のにぎわいを取り戻すなど、まちの活性化に向けまして、都がこれまで取り組みを通じて蓄積してきた身近なまちづくりのノウハウを生かしつつ、産業労働局など関係局とも十分連携を図りながら、地元区市町村等の活動を支援してまいります。

○長橋委員 今、産業労働局とも連携をとりながらと、こういうことでございます。まちづくり交付金、国の制度でありますけれども、東京都としても、独自でまちづくりに関して新たな事業といいますか、優遇策といいますか、誘導策といいますか、そういったことをぜひ、優秀な皆さん方がおりますので、あわせて考えていただきたい。これは、イコール防災まちづくりにもつながるわけでございますので、ぜひお願いしたいと思います。
 今、私がお話しをした中で、沿道一体整備事業について、昨年もこの委員会で質問させていただきましたが、一年がたちました。東京都としては、ぜひとも東池袋のまちづくりを成功させようということで大変なご努力をいただいておりますので、その経過とさらに推進を込めて質問をさせていただきたいと思います。
 防災都市づくり推進計画というのがございます。この中に、整備地域、さらには重点整備地域として十一地区が指定されております。この重点整備地域、ご案内のとおり、特に急がなきゃいけない、早期に防災性の向上を図る、そして、さまざまな波及効果が期待できる地域として選定したということでございます。そういう中で、特に知事のことし一月の第一回定例会の施政方針でも、東京の中でも有名な豊島区の東池袋地区、また墨田の鐘ケ淵地区、これに取り組んでいくと。防災性の向上を図り、地域の重要な避難路と延焼遮断帯を形成するものとして期待し、取り組んでいく、こういうことでございます。
 そこで、この取り組み、私も昨年、地元の説明会からスタートして、地元の方々とさまざま協議をしてまいりました。東池袋、そして鐘ケ淵の二地区について、この一年間でどれほど事業が進んだのか。たしか去年の八月三十日に説明会をやって、スタートいたしました。現在の取り組み状況についてお伺いいたします。

○石井市街地整備部長 東池袋、鐘ケ淵の二地区のこの一年間の取り組み状況ということでございますが、この二地区ともに、この一年間で地元住民の積極的なまちづくりへの参画と地元区との連携によりまして、おかげさまをもちまして事業化が目前となっております。特に沿道まちづくりでは、地区全体の話し合いの機会や個別の街区の話し合いの場が設けられ、それぞれまちづくりのルールや建物の共同化など、具体的な話し合いが行われております。
 ご承知のとおり、この事業で整備してまいります東池袋の補助八一号線や鐘ケ淵の補助一二〇号線は、避難路や延焼遮断帯の機能を持つ道路でございまして、八一号線につきましては年内に、一二〇号線につきましては十七年度内に事業認可を取得する予定でございまして、認可取得後は用地説明会を開催し、本格的な事業展開を図ってまいる所存でございます。

○長橋委員 実質的には去年の九月から、さまざま地元のまちづくり協議会も発足して、その方々も積極的に取り組んでいこう、そしてまた、都と区も一体となって取り組んできた。その結果、東池袋地区については年内に事業認可がおりる。大変すばらしい成果であるかと思います。鐘ケ淵についても十七年度中。大いに評価をさせていただきますし、その間の東京都の職員、豊島区も含めて、努力を高く評価いたします。
 そこで、地元協議会の会長、私もお会いしました。東京都の職員も、私以上に何回もお会いしていると聞いておりますけれども、この地元のまちづくり協議会の会長は、百年を見据えてやるんだ、そういう意気込みでこのまちづくりを進めております。
 まちづくり協議会が去年からスタートしましたけれども、具体的な活動状況についてお伺いいたします。

○石井市街地整備部長 お答えいたします。
 東池袋地区では、平成十六年十一月に、地元の住民の代表や町会、商店会から推薦された委員二十八名で構成する東池袋地区補助八一号線沿道まちづくり協議会が発足しております。以後、この一年間で十一回の協議会が開催されまして、より暮らしやすく、防災性の高いまちを目指して見学会を実施するなど、積極的な活動と議論が行われてきたところでございます。
 活動の一環として、協議会ニュースもこれまで三回発行してきております。このうち最新の協議会ニュースでは、将来の地区計画を想定したまちづくりのルール案について提案し、あわせてアンケートをこのニュースに折り込み、これによる意見集約も行ってきているところでございます。
 短期間で住民が主体となってこのような成果を上げたことには、ただいまお話がありましたように、本当に頭が下がる思いでございまして、私どもとしても大変ありがたく、高く評価しているところでございます。

○長橋委員 今お話のあった、住民がみずからまちづくりのルールを提案した、こういうことでございます。沿道まちづくり協議会ニュース第三号に載っているわけでございますが、高さの制限とか用途の制限等々、さまざまな制限を含めてみずからルールをつくって、そして、それを今度は区の方に提言していく。区としては、それを受けて地区計画にしていくということであるかと思います。
 そこで、沿道まちづくり、十一回の協議会を開催して精力的にやった。お話を聞きますと、いよいよ今度は具体的な話として、街区懇談会、東池袋だと六百メートルあるわけですけれども、それぞれ地域がありますので、街区を決めて、整ったところから懇談会を開催する。既に第一回が開催されたということでございますが、街区懇談会の今後の流れと取り組みについてお伺いいたします。

○石井市街地整備部長 街区懇談会は、道路で囲まれました小規模な沿道の区域で、まちづくりについての話し合いを身近に内々で相談していこうというような場でございます。この懇談会では、建物の共同化や道路整備によって新たに発生します小さな残地というのがございますが、この残地を有効に活用していくため、都と区が連携いたしまして、さらには、この場にまちづくりの専門家も交えまして、住民相互の話し合いを積極的に進めていくものであります。
 本年六月には街区懇談会への参加についての案内を配布いたしまして、七月には、東池袋のケースでございますけれども、最初の懇談会を開催し、街区の現状と課題であるとか、あるいは土地や建物の利用意向についての話し合いを行っております。さらには、この十月になりまして、その具体的な方法など、街区の整備手法についての話し合いを行ってきたところでございます。
 今後は、共同化への具体的な検討を深めていくとともに、他の街区におきましてもこうした話し合いを広げていきたい、このように考えております。

○長橋委員 ありがとうございます。
 特に残地をまちづくりで活用していく、こういうお話もございました。こういった部分でぜひ東京都が積極的に--重点事業でもあるわけでありますし、来年度も重点事業になるかと思います。ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。年内に事業化を決定する。鐘ケ淵も今年度中に決定する。まちづくりの手法は大変に丁寧にやってきたわけですが、その上にもスピードを持ってやってきたわけでございます。事業化が決定すれば、さらに力を入れて、地元区、そして、何よりもまちづくり協議会の地域の方々と一体となって、今はいいませんけれども、予算も考慮しながら、具体的に進めていただきたい。事業化後の推進についてご答弁をいただきたいと思います。

○石井市街地整備部長 今後の具体的な方策といいましょうか、そういったお尋ねかと思いますが、これまでご説明させていただきましたように、沿道のまちづくりを行うには、沿道住民の主体的な取り組みというのは何よりの推進力でございまして、これにこたえるまちづくりを区と連携して積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 とはいいましても、ご承知のように、木造住宅密集地域には、小規模な老朽住宅が多いばかりか、道路に接していないなど、建てかえが困難な住宅が多く、これまでのように道路敷地のみを対象とした整備では、小規模で不整形な、ただいまお話のありましたような残地が発生し、合理的な土地利用に支障を来したり、あるいは権利者の生活再建が困難になるなど、残地の取り扱いに課題が残ってしまいます。
 これに対しまして、今回の沿道一体整備は、街区ごとに懇談会を開催し、地権者の意向把握と話し合いを行い、土地の交換や残地を取り込んだ建物の共同化など、これまで私どもが培ってまいりましたさまざまなまちづくり手法を駆使いたしまして、残地を種地として、むしろ事業推進の原動力となるよう積極的に活用することで沿道宅地の有効活用を図っていく手法でございます。いいかえれば、ちょっと手前みそになりますけれども、これまでマイナス材料でありました残地というものの存在をプラス材料に転換していこうとする、そういう取り組みでございます。
 加えまして、まちづくりのルールである、地元からも声が出ております地区計画を基本に、用途容積の見直しや建物の共同化を促進する新たな制度である街区再編まちづくり制度などを積極的に活用するなど、事業と規制誘導策とが一体となった総合的な取り組みを行い、木造住宅密集地域の早期改善に努めていく所存でございます。

○長橋委員 大変すばらしい決意と、また、ご丁寧なご答弁をありがとうございます。
 モデル事業として、東京都も、街路とまちづくりが一体となってやっていく事業でございます。大成功させていただくとともに、これがひいては、さっき冒頭申し上げた重点整備地域十一地区にもそれぞれ地域性はあるわけでございますが、この手法を取り込んでいくことで大きな展開をしていかなければならないと思います。今までのように道路とまちづくりが別々になった事業ではなくて、それぞれの地域に合わせた、そうした展開というものが大事であろうかと思います。この手法をぜひとも成功させていただいて、そして、この手法を、重点整備地域の十一地区、東京全体に広げていくべきであると思いますけれども、最後にご見解を伺って、質問を終わります。

○石井市街地整備部長 繰り返しになって恐縮でございますが、沿道一体整備は、車の両輪のように、行政による街路事業と地元住民による沿道まちづくりが相互に連携することによりまして、防災性の向上や土地の有効利用が早期に図られる極めて有効な手法でございます。
 とはいえ、具体的な事業展開におきましては、東池袋地区における沿道まちづくり協議会のように、住民の積極的なまちづくりへの参画が不可欠でありまして、同時に、参画に向けた都と地元区との共同による地域への積極的な働きかけが欠かせません。
 したがいまして、今後は、道路整備の優先度というもののみではなく、これとあわせて、地域のまちづくりへの機運や地元区の協力体制なども考慮しながら、この二地区での取り組みを、今お話にありましたようにモデルといたしまして、他の重点整備地域にも波及させてまいりたい、このように考えております。(長橋委員「しっかり応援しますから、よろしくお願いします」と呼ぶ)ありがとうございます。

○植木委員 中野区にあります警察大学校等の跡地の問題についてご質問いたします。
 中野区と杉並区の境にあります十三・七ヘクタールの広さを持つ土地、東京ドームが三ないし四個入るといわれていますけれども、都心に残された非常に貴重な公共用地として、この移転した跡地をどうするか。既に移転しているわけですけど、どうするかが今大きな問題になっています。現在、ここは、大半が樹木と空き地になって、建物はほとんど撤去されているんですが、北西部に警察病院の建設が進行しつつあります。
 政府の発表によりますと、首都直下地震が予測され、特に都心直下のときに、区部西部、中野、杉並周辺の被害が一番大きい、こういうこともいわれ、災害への対応も急がれていると思うんです。そういうときに、この大規模な公共用地をどう活用するかは、まさに都民の安全確保という点からいっても避けられない重要課題だと私は思っています。
 さまざまな住民団体から、十万人の避難場所と防災拠点としての機能を果たす防災公園を、緑の広場を求めて、中野区や東京都、政府に働きかけが行われています。
 それから、二〇〇一年度には、東京都と中野区と杉並区の三者で、防災の備えを第一の柱にした四ヘクタールの防災公園を核とした計画に合意して、政府に働きかけてきました。ところが、今回、その計画が大幅に変えられまして、超高層ビルなどを核としたまちづくりを中心にして、防災公園はわずか一・五ヘクタールに縮小という計画案に変更されてきました。
 さらに、このたび財務省が中心になって、東京都と中野区、杉並区、財務省と合わせて四者で、警察大学校等跡地の有効活用を促進するための四者協議会というものがつくられて、新たな検討に入り、既に作業部会も開かれているという状況になってきています。
 この四者協議会の一員であります東京都は、どういう立場でこの協議会に臨むおつもりか、臨んでいるのか、お示しいただきたいと思います。

○福島都市づくり政策部長 東京都が四者協議会に出席している立場でございますけれども、基本的には、この跡地が二区にまたがるということで、両区の調整を図ること。それから、避難場所の機能を引き続き確保していくこと。また、跡地の利用計画の具体化に向けた地区計画など、都市計画との調整を図っていくこと。こういった観点から四者協議に臨んでいるところでございます。

○植木委員 この四者協議は、これまでは中野区と東京都などが杉並区も含めて検討してきたのが、これと違って、財務省が主体になる。こういうことになったわけですが、これはどういうことだととらえておられるでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 国は、国有財産管理者として、国有地を最も効率的に運用し、また、土地の処分等についても責任を有する立場でございますから、その結果だというふうに認識してございます。

○植木委員 この四者協議の中で、協議会が開催され、作業部会が行われているわけですけれども、財務省が三つの意見をつけたと思いますが、その内容をお示しください。

○福島都市づくり政策部長 作業部会におきます財務省の考え方でございますけれども、全体のゾーニングの基本的な考え方として、公用、公共用の取得希望が優先される、こういういい方。ちょっとわかりづらいんですけれども、土地処分の優先度として、随意契約の要件といたしまして、会計法に定めますところによって、基本的には、公用、公共用の事業用の用に供する場合が挙げられるということがありまして、まず、公用、公共が優先して取得の順位がありますよと。
 二点目は、基幹的な公共施設であります都市計画道路とか防災公園の整備の一切を民間開発にゆだねるということにつきましては、行政責任の明確化が必要であると。これは、中野区がかねてより、公共施設の整備を原則として民間会社にしていただくというようなことを発言していることを受けての発言だろうと思っております。
 それから、整備主体や整備方法について、中野区で早急に具体的な検討をしていただきたい、このような発言があったというふうに聞いております。

○植木委員 今の二番目のご説明が少し立ち入ってありましたけれども、都市計画道路及び防災公園の整備一切を民間にゆだねると。これは、現在、都市計画道路決定がされているのはF字道路という一部分なんですけれども、このほかにも道路が検討されている。
 基盤整備、防災公園、全部これを進出する民間事業者に負担させようという、そういうことですね。念を押して悪いんですけど、お聞きします。

○福島都市づくり政策部長 中野区は、この跡地利用計画の中で、今お話のありました道路その他公共施設整備につきましては、原則として開発者負担で整備したい、このようなことを強く発言しておられることから出た発言だというふうに認識してございます。

○植木委員 そうすると、国の主張というのは、民間開発業者にゆだねることは行政責任の明確化が必要だという、この意味合いなんですけれども、民間開発業者に全部負担させるようなことでは、民間開発業者が進出することは難しいよと。逆にいえば、そういうことを再検討しなさいよ、こういうことを意味するということも考えられると思うんですが、いかがですか。

○福島都市づくり政策部長 早急な処分を国は期待してございますから、そういった、だれが負担するのかということの枠組みは早く組み立てられなければいけないという当然の認識があると思います。
 それで、今申し上げました、開発者にすべての公共施設を負担させるということにつきましては、国の立場から申し上げますと、そうした土地を民間の購入者に義務づけるということは考えていない、あるいは想定していない、このような認識から出ている発言ではないかと、これはそういうふうに想像できるというものでございます。

○植木委員 そうしますと、現在決まっている都市計画道路、これだけでも約六十億円前後といわれております。それから、これから都市計画道路をどういうふうに線を引いていくか。案には若干出ていますけれども、じゃ、それらをだれが負担するのか。それに加えて防災公園。これを全部、開発者負担でする。
 ところが、じゃ、警察病院の方は、既に工事が、着工の方向で進めている。警察病院の方は、これも開発者の一人のはずですから、道路負担をするのかという点では、今のところ道路負担するという話は何もないんですね。中野区議会の議論でも、そういうことにはどうもなっていないというふうに思われるわけです。
 そうしますと、今お話があったように、国がわざわざ主体となって四者協議を開催していこうというその理由が、今までの計画の範囲から見て、少し違う方向に行きかねないかな、こんな危惧を私は抱かざるを得ないんです。
 もちろん、今の中野区案については、住民から見てもとても不十分で、先ほどいいましたように、防災公園などは、東京都も入って決めた四ヘクタールから一・五ヘクタールに縮小されてしまっているという問題点はありますけれども、国が主導的に進めていくことは、さらに公共負担をどんどんやって、民間事業者が進出しやすいような計画に変えていくということも、先ほどの話でも予想されると。
 最初の協議会で、座長が、都市再生や経済活性化の観点から、この警察大学校跡地の利用促進をわざわざうたっている。そういう意味でも、住民や中野区などが中心になってきた計画と違った方向に進みやしないかというのが、私は大変だというふうに思っているんです。
 これまで東京都が、現在のまちづくりの指針になっている東京の新しい都市づくりビジョンの中で述べてきたこととも大分違ってきている。このビジョンの中では、水と緑の創生リングと、この環七周辺をずっと位置づけてきた。また、同じビジョンの中で、具体的に環状七号線の周辺など、救援、復興活動拠点となる大規模公園の迅速な整備と、その整備の推進を明確な方針として出してきた。そして、その負担の問題についても、国有地を公園用地として活用できるように、用地の無償貸与を求めていくと明確に出されているわけです。こういうこととも違ってくるような思いを私はしております。
 こういう状況の中ですから、東京都も四者協議の一員として参加しているわけですから、ぜひこういう点で臨んでほしいという五つの点を受けとめていただきたいという思いで私は質問いたします。
 第一点目は、十三・七ヘクタールもの公共用地は、この二十三区の区部では二度と得られない貴重な土地です。今後十年、二十年という長い目で見て、広域行政の立場からどういう活用をするのかということを東京都としても真剣に見定めなければならない、そういう重要な段階だという立場に立つべきだと思いますが、どのように認識されているでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 ただいまのご質問は、二度と得がたい貴重な土地であるので、公園といいますか、大規模な公園として整備していく……(植木委員「そういうふうにはいってないんです。広域行政の立場からどう活用するか」と呼ぶ)この中野警大跡地につきましては、十三年の時点で、道路とか公園、また清掃工場や住宅、福祉、文化施設など多様な機能を導入し、複合的なまちづくりを行うことで潤いや住民生活の質の向上を目指していたわけでございます。
 今回の見直し案におきましても、警察病院の設置のほか、清掃工場の建設撤回といった状況を踏まえながらも、従来のまちづくりの目標としていました多様な機能の導入による複合的なまちづくりにつきましては、新たに大学等を誘致するなど、開発の方向性は基本的に変わってございません。そうした意味で、東京都は、当初からの計画にもかかわりを持ちまして、見直した計画におきましても、都の立場としてこの考え方を是として臨んできたものでございます。

○植木委員 十三年の段階と今日の段階と、両方述べてお話しになったんですが、要は、二十三区でこれだけの土地というのはなかなか得られないんです。どう活用するかということを私は今の質問ではいっていないんですけど、いろいろお答えはあったんですけれども、これは民間の土地ではないんですよね。十三・七ヘクタール、国有地なんです。東京都としても、無償貸与で臨むべきだと。どう活用するかというのは、今、ちょっと違うご意見、中野区案などを尊重するという立場だと多分思うんですけど、いずれにしても、残された非常に貴重な土地であるということは間違いないんです。ぜひその点を十分ご認識の上で臨んでいただきたいというのが第一点目です。
 第二点目ですけれども、都心直下地震が予測されて、最初に申し上げましたように、区部西部、非常に危険度が高い。しかし、中野区は--杉並は比較的、十分かどうかは別としても、中野区よりも公園は整備率が高いんです。中野は整備率が非常に低い。避難場所もそういう意味では少ない。こういう中で、しかも、ここの十万人の避難者の人たちの範囲というのは、野方、中野、大和町、杉並の隣の高円寺の一部など、非常に住宅が密集している土地なんです。
 そういう意味で、十万人の避難場所の面積の確保について、いささかも削ることなく確保するために、東京都は責任を持つという立場で臨んでいくべきではないかと思うんですが、この点についてはどうでしょうか。避難場所の問題だけです。

○石井市街地整備部長 お答えいたします。
 十万人の避難場所の確保について、その覚悟はというようなお話かと思いますけれども、警察大学校等移転跡地における避難場所につきましては、計画案で定められている一・五ヘクタールの防災公園を含めまして、周辺の民間開発地などから成る約十ヘクタールの避難有効面積を確保することによりまして、現在の中野区役所一帯避難場所の指定内容と同等程度、すなわち十万人の避難人口に対する避難機能は確保されると考えております。(植木委員「今後は」と呼ぶ)今後も確保できる、このように考えております。

○植木委員 今後も十万人の避難面積を確保する、こういう立場だという今お話でした。
 第三点目ですけれども、一部、今お話の中にもあったんですが、避難場所の中核になる防災機能を備えた防災公園の確保の問題でも、住民の命と安全にかかわる公園だからこそ、どこが主体になるかというのは、まだ今論議の最中でありますから、それは別としても、従来の論議の中で一度は決めた四ヘクタール以上の防災公園を確保するという立場で臨むべきだというふうに私は思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 本年五月の見直しにおきましても、避難広場の機能を引き続き確保することを主眼といたしまして、一・五ヘクタールの公園を整備するほか、民間企業など土地の購入者の開発や整備など具体的な土地利用に際しまして、オープンスペースを確保していただくなどいたしまして、三ないし四ヘクタール程度のまとまった緑地空間を確保することとしてございまして、特段問題は生じない、このように考えてございます。

○植木委員 今、緑地空間というお言葉を使ったんですが、これは防災公園とは性格は違いますね。どうですか。

○福島都市づくり政策部長 基本的には同じものだと考えてございます。

○植木委員 性格というのは、平たい考えじゃなくて、きちっと東京都の位置づけとしてどうなのかということを聞いているんです。緑地空間というのが、防災公園とイコールといえるのかです。

○福島都市づくり政策部長 従前の計画案で確保しておりました四ヘクタールに見合う空間として確保するというものでございます。

○植木委員 つまり、見合う空間ということで、防災公園ではないんです。真正面から答えなかったけど。
 ことしの第一回定例会の中でも、都市整備局の答弁では、民有地における避難場所の指定は、土地所有者の自由な土地活用を拘束するものでない、こういう答弁があったわけですね。それはそうですよ。民間の人たちが公共空間として提供するものが、将来的に担保されるかというのは、整備局のおっしゃるとおり、拘束するわけにはいかない場面というのは当然出てくると思うんですね。だから、防災公園ではないし、将来的に担保されるものでもないというふうにいわざるを得ないと思うんですね。
 それで、しかも公開空地というのは、この辺と同じかどうかは、もちろん今後の問題ですからわかりませんけれども、この辺の公開空地を見ますと、ほとんどコンクリートで占められていて、緑というのも、コンクリートの中にちょっとしたわずかの畳一畳あるかないかのスペースの穴があって、木が植わっている。それも緑の一つでしょうけども、そういうもので防災公園とはいえないと思うんですよね。
 だから、今のお話では、同じ意味だというふうにとっているということですけれども、やっぱり防災公園を四ヘクタール確保する、こういう決意で臨んでいただきたいというのが私の三点目の要望です。
 四つ目は、この地域は超高層ビル群にするという、何本建つかというのはまだ正確には出されていないんですけれども、区のいろいろな図面の中には何棟かがずっと並んでいる図面が出ていたりしていますので、あれですけれども、超高層ビルが全部悪いというふうにいっているわけじゃないんですが、ここの場所は、周辺が非常に住宅密集地で、地震などの原因によって火災が起きたときに逃げ込んでいく。
 ところが、今、超高層のビル、新宿あたりと違って、住民がそういう密集している地域で火災が起きたときに、一・五ヘクタールぐらいがビルの真ん中にあって、本当に安全が保たれるかというのが一番の住民の心配なんです。ビル風もある、それから、専門家のお話ですと、周りに住宅密集地があると火炎旋風にさらされる危険もある。そういう点では、一・五ヘクタールは少な過ぎるというのが、私どもが聞いた、防災公園を手がけてきた専門家の意見であります。
 それから、今超高層ビルで問題になっているのが、もう一つが長周期振動の問題です。これはまだ研究が途中だというので、どこまでかというのは、私も、科学的な見地というのは専門家の見解にゆだねる必要があると思うんですけれども、私は驚いたんですけれども、新潟中越地震によって、長周期の振動の揺れが東京の六本木ヒルズに影響が出てきたと。はるか離れた六本木ヒルズのエレベーターが、建物は大丈夫だったんですけれども、エレベーターにつながっているロープは、振幅がちょうどかみ合ったのか、長周期で振れて六本ロープが切れたというのを聞いて、私は大変驚いたんです。
 さらに、先日、NHKの放送でも、専門家の方々が、東海や東南海など東海地方の三つの地震によって、長周期の振動の影響というのは東京まで来るんだ、こういう研究の内容も発表されていました。
 そういう点から、さまざまな角度から見て、こういう住宅密集地の真ん中に超高層ビルが建って、その真ん中に一・五ヘクタールの防災公園で大丈夫なのかというのは、やっぱり住民の切実な声なんです。そういう点も一層の、研究も踏まえてですけれども、しっかりとした見解を持って臨んでいただきたいというふうに思っております。
 五つ目は、ヒートアイランド現象による問題で、今、緑地の確保というのが非常に叫ばれています。都市水害だとか、真夏日や熱帯夜の日数が大問題になっているときだからこそ、緑豊かな防災公園は、ヒートアイランドに対する一つの大きな効果があらわれる、そういうものだと思うんですね。特に中野周辺、一〇〇ミリ以上の局地的な雨が降ることも問題になっておりますし、そういう点も含めてこの土地をどう活用するかということを研究して、臨んでいただきたいというふうに思っています。
 以上、お話ししましたように、五つの点を、この四者会議に参加するに当たって、東京都としての立場でぜひ臨んでいただきたい。五つ全部が私の希望ですけれども、東京都として、そういった私の五つの点についてはどのようにお聞きしていただけたでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 ただいまいただきましたご意見につきましては、個々にはそれぞれ私ども確信を持っていることもございますし、また、ご意見のあった内容につきましては、東京都が基本的には広域行政を進める立場から判断いたしまして、四者協議の場に臨んでまいりたいと考えてございます。
 なお、このままで心配が高じるといけませんので、改めて申し上げますが、四ヘクタールに及ばんとする空間といいますのは既に事例がございまして、私どもといたしましては、地区計画などを使いまして、確実にその空間が確保できていくという自信がございます。
 また、こういう超高層など、そういうビルの建っている中での避難地というものにつきましても、現にそういう指定をしてきている経過から考えましても、また、避難場所自体が、今揺れているときに避難するということではございませんので、その避難場所が持つ機能を改めてご理解いただきますと、これは、一たん全部揺れがおさまって、地震大火の際にまとまって逃げていく場所を指しているわけでございますので、そうした重なりということだけで危険であると、このような認識につきましては、できればご理解をいただきたいと思っております。
 それから、ヒートアイランドにつきましては、私どもが率先して進めている施策でございますので、当然、今後ここで行われる開発につきましても求めていくことでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、都市づくり政策を進める観点を踏まえまして、四者協に臨んでまいりたいと考えております。

○石井市街地整備部長 先ほど超高層ビルが建設された場合のビル風の吹き上がり現象についてのご指摘がありましたので、私どもの見解を述べさせていただきたいと思いますが、よろしいでございましょうか。
 都はこれまでも、避難場所の指定の検討に当たりまして、現実に高層ビルを含んだ避難場所というのも指定してございますので、そうした際の検討に当たりまして、東京消防庁や防災を専門とする大学教授など学識経験者等による専門的検討を行い、避難場所の安全性について検討し、指定を行ってきております。
 そうした検討の中で、専門的検討を行っている学識経験者からは、ご指摘のような、いわゆるビル風を起因とした火災旋風というものは、現段階で確立された学説とはなっていない、このように聞いております。

○植木委員 今、超高層ビルの問題についての見解が示されましたけれども、先ほどもいいましたように、この周りは本当に密集地なんですよ。行ってみるとわかるんですけれども、消防車も入れないような道がいっぱいあるんですね。そういうところの火災の危険性がいわれているわけです。そういうことも含めて、さらに研究していただきたいというふうに私は思うんですね。
 いずれにしましても、五つの点、私の考えを述べたわけです。先ほどもお答えがあったわけですけれども、いずれにしても、ぜひ踏まえていただきたいというのが依然として私の考えであります。
 そのためにも、私は、都市整備局として、防災を担当する総務局だとか、先ほどもヒートアイランドを一生懸命やるといっていましたから環境局だとか、公園を担当している建設局とか、そういう所管とも十分意見交換や調整を図って臨んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○福島都市づくり政策部長 まちづくりを進める上におきまして、都市整備局が中心となって進めますが、関係局が一丸となって当たることは当然のことだと認識してございます。

○植木委員 ぜひ調整を十分進めていただきたいと思っています。
 最初に申し上げましたように、住民の皆さんの中では、阪神、新潟、千葉北西部とか、いろいろな地震を経験する中で、防災公園をという声が依然として強いことも確かです。そういう意味で、中野区内には、緑ネットだとか、緑と青空の会とか、多くの団体が東京都にも要請に来ていると思うんですね。それから、杉並区民の人たちも、丸ごと緑の防災の広場をと。こういう団体の方々が、今財務省が中心になってやっていますから、国にも働きかけをするなど、いろいろな方々が声を上げているんです。そういう声にもぜひこたえていただきたいということを重ねてお願いして、この質問は終わりにします。
 次に、西武新宿線のあかずの踏切問題ですが、西武新宿線のあかずの踏切について、ピーク時に遮断している時間や渋滞がひどい。都は、現状に対してどのように今、認識しているでしょうか。

○成田都市基盤部長 中野区内には二十カ所の踏切がございまして、そのほとんどがピーク時間一時間当たりの遮断時間が四十分以上となっている踏切でございます。
 この遮断時の渋滞長でございますけれども、平成十六年に実施した調査によりますと、鷺ノ宮駅付近の中杉通りでは、最大渋滞長が二百三十メートルとなってございます。

○植木委員 十六年度に踏切対策基本指針を策定したわけですが、この西武新宿線の区間についてはどのように位置づけておられるでしょうか。

○成田都市基盤部長 昨年策定いたしました踏切対策基本方針では、西武新宿線中井駅から野方駅間、及び野方駅から井荻駅間の二つの区間を鉄道立体化の可能性を検討していくべき区間として位置づけてございます。

○植木委員 二区間にするということです。そうすると、実際に全体ができ上がる時期というのは、時間もお金も二倍近くかかる。これは素人考えですけれども、そんなふうに見えるんですが、見通しはどうでしょうか。

○成田都市基盤部長 今ご指摘のように、二区間を同時に施行すればというふうなことでございますけれども、確かに時間的には、二区間を一体として施行すると短くなる可能性は高いと思いますけれども、それに要する事業費はほとんど変わらないということから、事業費の確保が課題となってございます。

○植木委員 踏切対策というのは、確かにお金もかかる問題ですから、非常に難しい問題ではありますけれども、住民の皆さんは大変な思いをしているわけですので、この基本指針を策定した後、具体的に東京都はどういう手だてをとろうとしているのか、何を進めているのか、お示し願いたいと思います。

○成田都市基盤部長 踏切対策方針を策定した後、長期的な鉄道立体化の対策といたしまして、地元区が設置する検討会に参画いたしまして、道路と鉄道のあり方やまちづくりに関しまして検討しております。

○植木委員 私も、先日、一つのまちづくり学習会のメンバーとも会っていろいろお話をしてきまして、非常に一生懸命なんですよ。それは私もよくわかるんですが、ただ、時間が物すごくかかるということも、あわせて心配しているんですね。
 それで、まちづくりと連動して順調にいけばよいのですけれども、連続立体交差事業というのは、まちづくりとセットでなければならないという、法律はどういう根拠があるのでしょうか。義務づけられているのでしょうか。

○成田都市基盤部長 連続立体交差事業に関しますまちづくりに関しては、法律上の義務づけはなされてございません。しかし、都市計画事業として実施する連続立体交差事業は、事業効果を高め、地域のまちづくりにとって大変重要であるということから、まちづくりをセットとして行うことが重要であると認識しております。

○植木委員 まちづくりと連動して効果があるようにというお話ですね。もちろんそれが、時間的なことも含めて何も障害がなければ当然いいんでしょうけれども、実際には、どこでやっているのもそうはなっていない。
 国にもお聞きしたんですけれども、国としてもそういうことではありませんと。つまり、セットでなくてもいいです、こういうふうにいっているんですね、国の担当者に直接お聞きすると。
 ちなみに、こういう連続立体事業、高架になるか地下になるかというのは、まだ論議の過程ですから、あれですけれども、いろいろ想像してもしようがないですから、他の事例で、住民あるいは区がいよいよ検討を始めようよというところから、そういうまちづくりの会が開かれたりして、それから区市の方針となって都市計画決定、事業認可、事業完成と、大体どのくらいかかっているのか。地下と高架で、それぞれ参考にお示し願いたいと思います。
   〔発言する者あり〕

○高橋(か)委員長 簡潔に。

○成田都市基盤部長 鉄道の立体化については、都市計画決定、事業認可、事業着手、完了という流れがございますけれども、高架化の事例といたしましては、JR中央線でございますけれども、平成六年に都市計画決定し、その事業期間は約十六年間を要する見込みで事業認可をとってございます。
 また、地下化の例といたしましては、東急目黒線の目黒駅-洗足駅間でございますけれども、これに関しましては、平成六年に都市計画決定いたしまして、その事業期間は約十二年を要する見込みとなってございます。
 ただし、まちづくりに関しましては、例えば中央線では武蔵小金井駅周辺を例にとりますと、昭和六十二年に基本構想調査をいたしまして、平成十七年、事業認可を得ております。また、目黒線に関しましても、武蔵小山駅において、平成六年に沿線のまちづくりの基本構想を策定しておりまして、平成七年に事業認可を取得しているというふうなことでございます。

○植木委員 いずれにしても、事業決定からは、工事が一定の時間、十六年程度かかる。その前にまちづくりに十分時間をかけるということは大事なことなんだけれども、実際には本当に大変なご苦労をされて、そこまで来ていると思うんですね。ただ、例えば地下化するということであれば、上で工事をしなくてもいいわけですから、工事の主体が地下になる。そういう点では、まちづくりを別途論議することも可能だとか、そういういろいろな検討の必要があると思うんですね。そういう意味で、東京都が主体となって、中野区、西武、関係団体とも十分論議をしていただいて、積極的に東京都が、一刻も早くそれを発揮するように、ぜひ中心的になって促進していただきたいというふうに思うんです。
 かつて西武は、地下化ということで進めていたときがあったんだけれども、私も、当時は都市計画局でしたけれども、局長と中野区と私ども地元の都議会議員と一緒に話し合ったこともございますけれども、それは立ち消えて、そして東京都が三案を出してきて、それも暗礁に乗り上げて現在に至っていると思うんですけれども、いずれにしても、期成同盟ができて、こういうふうになってきているわけですから、東京都が主体となって一層の促進に力を入れていただきたいというふうに要望して、終わりにいたします。

○高橋(か)委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後五時二十八分休憩

   午後五時三十九分開議

○高橋(か)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○きたしろ委員 最後の二人目でございます。あと二人ですので、理事者の皆さんも、皆さんも、おつき合い方、よろしくお願いをいたします。お疲れさまです。
 ひねておりますけれども、新人でございますので、ひとつお許しをいただきたいと思います。
 私は、多摩ニュータウンについて余り知らなかったんですけれども、先日の委員会で一方的に発言があって、答弁は要らないよというような話があったわけです。そういう中で、一番大切なことは、行政というのは税金を使っているんだから、それを処分するにしても、買うにしても、やはり都民が納得するような公平公正な形でなきゃならないというふうに思ったわけです。ああいう一方的な発言になってしまいますと、そういうことがあってはならない、まさか東京都の行政はやらないだろうというような思いで、多摩ニュータウンについてちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 私は港区から選出なんですけれども、宿題は三つ持っているんです。一つは環境という問題。緑あふれるという、一つの問題。それと古川の水害対策、それと芝公園。これが大きな宿題なんですけれども、きょうはそのことには触れません。いうだけにして、多摩ニュータウンについてお伺いをいたしたいと思います。
 一つは、昭和三十年代後半に、ご存じのとおり、日本の高度経済成長が軌道に乗る中で、東京、大阪などの大都市に人口が集中し、住宅難やスプロール化など都市問題が深刻化していたのは、多分大方の人はご存じだと思います。
 こうした事態を背景に、日本の各地で計画的な住宅市街地、いわゆるニュータウンが大都市の郊外地域に開発されてきたわけです。私が生まれ育った大阪の千里ニュータウンは、そうした全国のニュータウンの中でも先駆的なものであり、豊かな緑と広々とした空間の中に中層の団地や一戸建てのブロックが点在する、これまでの日本にはない、本当にすばらしい、環境に優しい新しいまちだなというふうに感じたわけです。
 同じように多摩ニュータウンも、千里ニュータウンと並んで全国を代表するニュータウンとして、新住宅市街地開発法に基づき、昭和四十一年に事業決定され、以後、きょうに至るまでまちづくりが進められてきたと思います。
 そこで、多摩ニュータウンの都有地を企業に販売することに関し、過日の本委員会で、地元の多摩市が進出企業の税を免除した上で奨励金を出し、さらに都は、企業が進出しやすいように、売却価格を一般の価格より引き下げているという趣旨の発言があったわけです。トータルでいくと、何億の額の差になっているというような話だった。
 当然ながら、行政運営というのは税金がベースです。そういう意味では公平公正でなければならない。それこそ行財政改革をしていく今、東京都の中で、そういったむだがあってはならないというふうに私は思っているわけです。ましてや、公有財産の処分に当たって、特定の者を優遇するようなことがあってはならないというふうに当然に思っているわけです。
 そこで改めて、基本的な事柄ですけれども、多摩ニュータウンの宅地はどのような経過で価格決定をされているのか、お伺いをいたします。

○酒井多摩ニュータウン事業担当部長 最初に、多摩市企業誘致条例につきまして申し上げますと、この条例は、進出企業に対し、固定資産税及び都市計画税の相当額を、五年間、奨励金として交付するという内容のものでございます。したがいまして、進出した企業の固定資産税と都市計画税を免除した上で、さらに奨励金を出すということはございません。
 次に、価格の決定手続についてでございますが、多摩ニュータウンの販売宅地は、まず、複数の不動産鑑定士に鑑定評価を委託し、価格を設定いたします。さらに、その価格をもって議会に付議する販売宅地につきましては、学識経験者や不動産鑑定士等で構成される東京都財産価格審議会に付議し、それ以外の販売宅地につきましては財務局に協議し、最終的に価格が決定されます。
 また、販売価格は、公示価格、基準地価格、周辺の取引事例価格を基準とし、のり面等の土地の形状や接道状況などを考慮して決められております。したがいまして、先般の委員会で、多摩ニュータウンの販売宅地につきまして、土地の形状等を考慮することなく、近接する固定資産税評価のための標準宅地の鑑定価格に比べ格安になっているという趣旨の発言がありましたが、これは当たらないと考えております。
 多摩ニュータウンの販売宅地の価格は、これまで申しましたような手続で決定されており、企業が進出しやすいように価格上の優遇措置を講じているようなことは一切ございません。

○きたしろ委員 これが当然なんですね。まさにそれでなければ、行政というのは、納税者に対して納得してもらえないというふうに私は思うんですよ。そういった答弁を今聞かせていただいて、安心したわけです。
 そういった意味で、これからも都民が納得するような適正な価格で売買をしていく、そういう適正な手続を踏んでやるということで、これからもぜひお願いをしておきたいなというふうに思っております。
 それで、これ、ちょっと聞きにくい話なんだけれども、多摩ニュータウン事業については、二十三年度の事業終了時に一千億円の欠損金が生じるという話を聞いているんですけれども、実態はどうなのか、お知らせをいただきたいと思います。

○酒井多摩ニュータウン事業担当部長 一千億円の欠損金についてでございますが、一千億円という金額は、今後の宅地販売の状況により変わりますので、現時点では正確には把握できませんが、おおむねご指摘の欠損金が生じると考えられます。
 新住宅市街地開発事業などを引き継いだ多摩ニュータウン事業は、必要な事業費を都債により調達し、宅地造成を行い、造成された宅地を売り払った収入で都債を償還するという仕組みになっております。また、宅地造成に合わせて、道路や公園などの公共施設を整備する必要があることから、通常であれば税金で整備すべき公共施設につきましても、ほとんど都民の税金を投入することなく、基本的には事業者の負担により整備が行われてきました。
 このような仕組みであるため、近年の地価の下落と宅地需要の減少の影響を受け、宅地販売収入が大幅に減少し、また、多くの負担金が支出されたため、欠損金が生じているところでございます。

○きたしろ委員 ただ、そこで、東京都という一つの行政と一事業者という、例えばこれを民間企業に置きかえたときに、一事業者として、欠損金は本来ならゼロであるべきなんです。それでないと事業が成り立たないんだから。だからといって、都債といったって、それも税金なんですよ。税金は一切投入しないということではなくて、そういう意識を改革というのか、意識改革も当然に事業者としては持ってもらいたいなというふうに私は思うんですよ。
 欠損金を出しているということなんですけれども、それと同時に、事業者の負担で公共施設を整備してきているということを今初めて答弁で聞いたわけです。そうした事実があることや、バブルの発生や崩壊、あるいは予想しがたい経済社会環境の変化があったことなどからすれば、欠損金が生じるのもやむを得ないのかなと思いますけれども、さっきもいいましたけど、ただ、一事業者としては、そうした欠損金を少しでもなくしてほしいと思うんですけれども、今のところ、できるだけ欠損金を圧縮するように努力してほしいとお願いをしておきたいと思います。
 また、これだけの都としての大きなニュータウン事業が、東京の都市づくりにおいて重要な役割を担ってきた。これについては都民の理解を得られるように、そういう得る努力が必要だと思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○酒井多摩ニュータウン事業担当部長 現在の多摩ニュータウンは、四十年間にわたる計画的なまちづくりの成果であり、都民共有の財産であると考えております。
 多摩ニュータウン事業では、先ほどの答弁でも触れましたが、ほとんど都民の税金を投入することなく、基本的には事業者の負担によりさまざまな公共施設を整備してきました。この中には、多摩ニュータウンに居住する人たちのみならず、広く都民の方々にも利用いただける公益的な施設、すなわち都道や都立公園などが含まれております。
 また、多摩ニュータウン事業は、そこに住む人々に豊かな生活基盤を提供したというだけではなく、過密と乱開発という、高度成長期の東京の都市問題の解決に寄与し、東京という都市全体の均衡ある発展と都民生活の向上に大きく貢献しております。
 今後、多摩ニュータウン事業の財務諸表を作成しますとともに、多年にわたるまちづくりの成果をまとめまして、多摩ニュータウンの事業の意義を広く都民の方々にご理解いただくよう取り組んでまいります。

○きたしろ委員 そういった意味で、今答弁の中でありましたように、都民共有の財産ということもありました。また、東京の都市、まちづくりの一翼をも担ってきたということもあるので、今後もそのような形の中で事業を展開していただきたいなということ、このことに関しては、この件で質問は終わります。
 次に、港区の都営住宅に関してなんですけれども、それも、最後には全体の都営住宅のあり方ということにも話を進めたいと思うんです。
 今、港区では、六本木、赤坂など港南地区でも、民間主体のまちづくりが、再開発がすごく進んでいるわけです。また、南青山でも、都営住宅用地を活用して都市再生を推進するプロジェクト、PFIでやっているんだったかな、進行中です。それぞれの地域特性に合わせて、都心部の高いポテンシャルを生かした土地利用転換が進んでいるわけです。
 このように、港区のまちは、近年大きく変貌しているわけですが、このような認識のもと、都心にある港区のまちづくりがさらに推進され、首都東京にふさわしいまちとなっていくことも切に願っているわけです。
 港区には都営住宅が全体で約四千九百戸、青山北町団地も五百八十六戸あります。建てかえ時期を迎えているものもあるわけです。このような立場から見て、青山北町団地の敷地は、青山地区において大変大きな潜在的なポテンシャルを持っているんです。ただ、二四六に接道しているという意味では、ちょっと接道の幅がないんですよね。
 そういった意味で、港区のまちづくりという意味では、地元区や周辺のまちづくりの人たち、あるいは地域の人たちと連携しながら進めるべきだと考えているわけですけれども、青山北町団地における取り組みは今どのようになっているのか、お伺いいたします。

○庄司再編整備推進担当部長 青山北団地につきましての取り組みでございますが、ここにおきましては、青山北団地の居住者の皆さんに、来年完成する予定の港南四丁目第三団地への見学会につきまして、十月二十三日から四回ほど予定しております。
 十月二十三日の第一回の見学会におきましては、四十三組八十八人の居住者の方が見学いたしました。今後の見学希望者は六十一組、百十八人となっておりまして、全体で百四組、二百六名が見学を予定しております。

○きたしろ委員 そういった意味で、建てかえ用の住宅の確保が非常に難しいと聞いているわけです。今回のように、建てかえ計画に先立って、北町団地の人たちから、港南団地を紹介されて見に行くよなんて、そういうふうな形にもなっているわけですけれども、事業用の住宅が確保された段階で入居のあっせんを行うというのはどんな理由なのか、ちょっとお伺いいたします。

○庄司再編整備推進担当部長 都営住宅の建てかえ事業を円滑に実施するためには、移転先となるまとまった住宅の確保が不可欠でございます。ご指摘のとおり、都心部における住宅の確保につきましては大変難しい状況にあります。
 建てかえ計画に先立ちまして入居あっせんを行うことは、都心部の団地や大規模団地等におきまして効果的な方法であると考えてございます。したがいまして、今後、このような方法によりまして、都心部の団地の再編整備を進め、地域特性に合わせ、都心にふさわしい土地利用の実現を図ってまいりたいと考えております。

○きたしろ委員 今、二四六に余り接していない。昔でいう公団住宅があって、町場の住まいが、共同ビルがあって、その裏にあるんですね。あそこは割とでかいんですよ。合わせると四ヘクタールぐらいになっちゃうんですよ。そういう意味では、青山通りというのは、私のもとのおやじである大塚雄司が、オリンピックのときに全部統合してやったわけなんですけれども、そのころの秘書であったわけですから、その辺のところも、ちょっとよいしょしておかなきゃいけないと思いますので……。
 それはそれとして、公営住宅法ができたときと現在とでは、社会経済状況やライフスタイルが大きく変化しているわけです。都営住宅や公団、公社等の公的住宅の果たすべき役割も、そろそろ大きく変わってきているんじゃないのかなと私は思っているんです。こういう公的住宅を取り巻く状況の変化を的確にとらえて、民間を含めた新たな住宅施策の展開が図られることが必要である。
 都心部に不足している緑を含め、都市空間を確保しながら、まちづくりを推進していくことが必要だなと私は考えているんです。このため、都有地、とりわけ都営住宅敷地を、地元区のまちづくりと連携しながら活用していくことが求められているのかなというふうに私は思うんです。
 さらにまた、今、都営に一度入ると、所有権のような権利形態になってしまっているんです。入った人と入れなかった人との不公平感というのはすごくあるんですよね。そういった意味で、今後、公営住宅の本来的な、基本的なあり方、あるいはまた管理運営も含め、例えばの話、若い世代が安い家賃で入れるような、そういうような仕組みを考えるようにしなければいけないのではないのかなと思っているわけです。
 だから、そういった意味で、都市整備局で、公営住宅、都営住宅のあり方--もちろん公営住宅法というのがあって、借家権だとか、いろいろな権利が発生するのはわかっているんです。ただ、今、定期権つき借地だとか、いろいろな手だてがあるわけです。そういった意味で、入った人と入らない人の不公平感をなくすためにも、また、若い人たちが、子育ての世代の人たちがそういう都営住宅に入って、自分たちの子どもを育てるというような環境をつくってもらいたいというふうに私は思っているわけです。
 そういう意味で、都市整備局の住宅対策に対する今後の検討、再検討を期待して、ブービーの質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。質問でない。要望です。

○花輪委員 まず最初に、亀・大・小、亀戸・大島・小松川地区の再開発事業についてお尋ねしたいと思います。
 この計画は、大体百ヘクタールぐらいの大きな大きな計画で、昭和五十年ぐらいに都市計画決定をされて、五十五年から事業が始まったとお伺いしています。そういう意味でいうと、もう三十年ぐらいにわたり、当然、地権者の方々のご協力、または工事をしてきた方々、また皆さんの先輩とか、現在も、皆さんも大変ご尽力をいただいている。そういう中で、二十万人ぐらい避難できるような大きな公園とか、不燃化された高層マンションなんかを見ると、ご努力とかご苦労に本当に頭の下がる思いがするわけです。
 きょうは、そんな中でも、この百ヘクタールのうちの四ヘクタールぐらいある、工場とか事業所を中心としたエリアについて、まずお尋ねをしたいというふうに思います。
 この再開発そのものも、住宅と工場、事業所が混在したところを整理しようという、そしてまた、震災とか防災に強いまちづくりをしよう、水害にも強いまちづくりをしよう、そんな思いでこの事業が始まったと思います。そういう中で、工場は工場のエリア、また、住むところは住むところということで、まちづくりの中でも、例えば工場エリアと住宅エリアにはグリーンベルトを設けるとか、大きな緑地帯を設けてその間の緩衝帯にするような、そんな計画で進めてきているというふうに思います。
 そんな中で、E-36-3街区で、ここも工場を主とするような住宅ということで工場の方々が皆さん集まってきたエリアだというふうに思いますが、ここにマンションが建つという、そんな計画がありまして、工場で集まってきた住民の方々が困惑している、そのようなお話があると聞いていますが、まず、このE-36-3-3街区というのでしょうか、ここについて、皆さんがどのように公募されて、このマンション計画が進み始めたのか、そのあたりをご答弁いただければと思います。

○石井市街地整備部長 お答えいたします。
 今、E-36-3-3街区、こういうお話がございました。Eというのは亀・大・小地区の江戸川区の部分のEでございまして、江東区に当たる部分はKといっております。余談でございますが。
 E-36-3-3街区は、今お話がありましたように、当初は工場権利者の街区として想定しておったわけでございます。
 もう少しE-36-3-3街区についてご説明申し上げますと、この街区は、約十二メートルの幅の広い歩道を持ちます総幅員五十メートルの京葉道路、この道路は再開発事業で広げたのでありますが、この道路の南側に面した約八百五十平方メートルの敷地でございます。
 また、この敷地は、先ほどちょっとお話がありましたけれども、事業開始当初、工場権利者の移転入居先として、工場や事業所が入る建物の建築を予定しておりましたが、再開発の地区外に転出を希望する権利者もおりましたため、こうした転出を希望した権利者の土地等をこれまで買収してまいりました。その結果、現在に至りましては、この敷地に権利者用の工場を建てる必要がなくなっております。このため、この敷地の売却につきまして、いろいろと悩んだわけでございますが、現段階で、工場として売ろうとしてもなかなか売れないというのが実態でございます。
 そこで、地元の工業者団体と協議をいたしまして、その理解を得た上で、この敷地に建築する区分所有ビルの一区画以上に工場もしくは事業所の用途を入れるという条件のもと、施行者である都にかわって建物を建築販売する特定建築者を公募したという経緯がございます。
 その結果、二社が応募いたしまして、一階部分が事業所で、二階以上が住宅三十二戸から成る建築計画を提案した民間事業者が落札しております。その後、ことし七月でございますけれども、都と民間事業者の間で敷地譲渡の仮契約が締結されたというような流れになってございます。
 以上でございます。

○花輪委員 今ご答弁の中で、工場として売れないというふうに判断して、ほかの住宅系を含めて公募したというお話でしたが、工場だけで公募をなさったことはあるのでしょうか。

○石井市街地整備部長 ただいまお話ししましたように、工場だけで販売するということを想定はしておりませんけれども、この公募の条件では、全部が工場である、あるいは全部が事業所であることを拒むものではありません。つまり、一戸以上つくってくださいという意味でございます。仮に全部が工場であっても、事業所であっても構わない、こういう公募の形態になってございます。

○花輪委員 住民の方々からすれば、工場を集めていた地域、そこに住宅が、それもたくさんの住宅、工場とは関係ない住宅が入ってくると、例えば工場が操業しているのに、音が出たり、においが出たりします。そういうことに対して、新しく住んできた方々が、うるさいとか、臭いとか、そういうようなクレームをいって、工場の操業がしづらくなるんじゃないか、そんなふうに皆さんは心配しているわけですね。
 先ほど住民の方に、特に工場の方々にも理解をいただいて公募をなさったという、そんなお話ですが、そこで理解をしていれば、本当はこんな、私のところに、またいろいろな方のところにお願いに行って、何とかしてくれということに多分ならないと思うんです。多分、当時の理解の仕方というのは、一戸以上というふうな、皆さんは約束をしたというかもしれませんが、多くの住民の工場の方々は、きっと工場がメインで、その上に住宅が幾つか入る程度だろうというふうに思っていた。ところが、実際あけてみたらば、本当にお約束程度の工場のスペースだけあって、あとはほとんどマンション三十二戸という、そういう状況になって、これじゃ、もしかして自分の工場の操業に文句をいわれたりするんじゃないかと、恐らく心配になっているんじゃないか、そんなふうに私は想像をするわけです。
 ちょっとお尋ねしたいのは、もともとこの亀戸・大島・小松川地区のパンフレットを見ますと、計画概要のところに、住・商・工の混在を整理してというようなことがうたわれているわけですね。先ほど私もいいましたけど、恐らくこの再開発の大きな柱で、この住・商・工を分離しよう、整理しようというのが多分大きな柱だったと思うんですね。ですから、まず、そのあたりは皆さんどのように認識をされて、これから住民の方々にどのように説明をしていくおつもりなのか、ご答弁をいただければと思います。

○石井市街地整備部長 先ほどご答弁したように、事業当初は、ともかくそういうことで住・工の混在を解消しようと。これは今でも変わっていないわけです。現実にそういう形が進んでまいりました。かつては、大変木造住宅の密集した、しかも住・工の混在した、住宅の隣は、それこそいろいろな工場の機械の音がするとか、においがするとか、そういう場所でございました。それが再開発事業によって分離をしてきた。そういう現実はあるわけでございます。
 しかし、先ほどお話し申し上げましたように、最初入ってくれるはずだった権利者の方が、どんどん転出されていった。その転出に、私ども都債を起こしまして、起債しましてそこを買って、今の敷地が生まれてきている、こういうことでございますので、この敷地について早く処分しなきゃいけない。こういう中で苦渋の選択をしながら、地域の皆さんと相談をしてきた。こういうことでございまして、基本的な考え方がそう大きく変わっているというふうには思っておりません。

○花輪委員 苦渋の選択だというようなお話でございました。とはいっても、住んでいる方々は、さっきいった、においだ、音だという話もありますし、このあたりちょっと見てみますと、余り道路は広くないんですよね。あの道路は八メートルぐらいあるんですか、工場内の道路というのかな。その地域内の道路は八メートルぐらい。やっぱり工場の方々ですから、荷物の上げおろしがあったりということで、車が路上にとめてあったりということは、工場しかいないところですから、お互いに暗黙の了解の中でそういう姿があったりするわけです。
 ただ、今回のこの計画を見ますと、先ほど大きな道路があって、その横にこの土地があるというご説明でしたが、駐車場は、大きな道路からは入れずに、そこにはバスベイとか、幅の広い歩道があるということで、結局、裏の路地を通って駐車場にアクセスしなければいけないということで、逆に工場の方々からすれば、今まであうんの呼吸で、車を置いておいてお互いに作業ができたんだけど、そこに三十三戸の新しい方々が来ると、一一〇番をしたり何だりで、仕事がしづらくなるんじゃないかな、そんな不安も--確かに車をとめる方が悪いといえば悪いんだけど、とはいってもという部分があると思うわけです。ですから、そのあたり、しっかりと理解をしてもらっていかなければいけないと思うんです。
 ですから、今後の対応についてどうされるか、ご答弁をいただければと思います。

○石井市街地整備部長 お答えいたします。
 当地区の再開発事業は、ご承知のように、事業収支上、多くの欠損金を抱えております。そうしたことで、今お話ししましたように、再開発事業により取得した敷地を、これは先ほどの話も同じでございますが、早期に売却していかなければならないわけでございます。
 地域の方々が、いろいろなご希望やご不安をお持ちのことは十分承知しておりますけれども、このような状況を踏まえて、E-36-3-3街区の今後の対応についてのお尋ねでございますので、お答えいたしますが、工場から発生する騒音等の問題につきましては、マンション販売時に重要事項説明書に明記させるだけではなく、販売業者あるいはマンション管理組合、地元の工業者団体の三者による協定を締結するように、都から敷地を譲り受けました特定建築者に対し要請してまいりたい、このように考えております。
 さらに、建築計画におきましても、先ほど来お話のありました騒音対策となる緑地を敷地内に設置するよう働きかけるとともに、二重サッシの採用を特定建築者に検討させてまいります。
 これらの内容を、これまで同様に地元の工業者団体に十分説明をいたしまして、引き続き建築計画の理解を得るよう努めてまいりたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。

○花輪委員 確かに、欠損金がたまっているから、八百五十平米でも、早いところ売っちゃいたいというその気持ちもわからないことはありません。しかしながら、三十年かけてやってきた大きなプロジェクトで、そこの工場の地域の方々も、この事業に協力してきてくれた方々ばかりだと思います。このプロジェクトが今おしまいのところに来ているわけですから、最後のところは焦らずに、丁寧に丁寧に丁寧に、そこはご理解をいただく、そんな努力をしていただいて進めていただければというふうに思います。ここはよろしくお願いいたします。
 次に、つくばエクスプレスについてお尋ねしたいと思います。
 これは東京都の報告団体なわけですが、八月二十四日に開業しました。聞くところによると、一九七〇年代は常磐線がとても込んでいて、余りにも込み過ぎていて電車の窓が割れるとか、そんな状況があったという中で、新しい路線の、新線の建設が望まれて、このプロジェクトが始まったというふうにお話を聞いております。
 そういう努力の中でこの開通ができたということは、多くの方々も喜んでいるんじゃないかと思いますが、ただ、その喜びの裏で、今、第三セクターの鉄道というものの経営がいろいろと取りざたされております。どうしても赤字になってしまう。それも、開業して何年かたってから、赤字が出てきてどうするんだという話が出てくることが多かったりするわけですが、まず、このつくばエクスプレスの会社に東京都としてどのくらい出資しているのか、また貸付金があるのか、そのあたりをご答弁ください。

○成田都市基盤部長 つくばエクスプレスを運営します首都圏新都市鉄道株式会社に対する出資と貸し付けでございますけれども、平成八年度に見直ししました事業費が約一兆三百億円でございますので、これをもとといたしまして、事業費のうち沿線自治体が出資または貸し付けているスキームは、出資金が一四%でございます。貸付金は、国が四〇%、自治体が四〇%、残り六%は借入金でございます。
 このスキームの中で、東京都が十七年三月末現在で出資している金額は約三百二十七億円でございます。また、貸付金につきましては約一千二百六十五億円でございます。

○花輪委員 そうすると、出資金三百二十七億円というのは、この会社にとると、株式会社ですから、東京都は何%ぐらいの株主になるのでしょうか。

○成田都市基盤部長 今、自治体が持つ一四%のうちの一八%が東京都分でございます。

○花輪委員 東京都は、今のところ千二百六十五億円貸し付けて、三百二十七億円の出資をしているということですが、このプロジェクトにはあと大体どのくらいお金を出されるご予定ですか。

○成田都市基盤部長 一兆三百億円の事業費に対して支出しておりますので、現在、事業がほぼ完了に近くなっておりますので、事業費がこれ以上ふえることはないというふうなことでございますので、これから出資金を投入することはございません。

○花輪委員 そうすると、先ほどご説明いただいたお金が税金から出されているわけです。これだけ多額の資金の提供をこの会社にされているわけですが、まず、この前、開業したわけですが、もともとこの計画が起こされたときに、この電車に乗ると思われていた予定の乗車人員と、この前開業したときに予定しているその人員の数についてご答弁ください。

○成田都市基盤部長 鉄道免許を取得しましたのが平成四年でございますので、このときの需要予測につきましては、沿線開発人口の増加を約二十五万人と見ておりまして、一日当たりの乗車人員は、開業時四十七万四千人と予測しています。
 また、その後、平成八年に一兆三百億円の事業費の見直しをしてございますので、このときの開業時の乗車人員は三十二万七千人というふうに予測してございます。
 それから、先ほど理事指摘のように、今回開業した時点では、開業後五年の平成二十二年の乗車人員を二十七万人と予測してございます。

○花輪委員 五年後は二十七万でしょうけど、八月二十四日に開業したんでしょうけれども、そのときの開業の予定の人数は何人ぐらいでしたか。

○成田都市基盤部長 先ほど申し上げましたように、沿線の開発需要を見込みながら予測してございますので、開業時は五年後の約五〇%ということで十三万五千人を見込んでございます。五年後は、先ほど申し上げましたように二十七万ということでございます。

○花輪委員 要は、一日当たり、最初の開業のころには十三万五千人乗って、五年たったら倍になるという、こういう計画なわけですね。倍になるというのは、何か根拠があるんですか。

○成田都市基盤部長 五年後の需要予測が倍と見ておりますのは、これまでの他の鉄道の開業直後の輸送実績--あるいは常磐新線につきましては、沿線開発のおくれが他地域に比べて非常に大きいというふうなことで、人口定着のおくれに加えまして、新線の知名度が非常に不足してございます。そういうことから、当初予定しました需要と乖離いたしておりますので、この回復にある程度の時間が必要というふうなことから、他事業の開業直後の輸送実績等を勘案しますと、約五年後、予定需要人員に達する、こういうふうに見込んでございます。

○花輪委員 そのあたりの数字が正しいか正しくないか、ここで今議論してもしようがないので、五年で倍になるのかなという気はしているところです。
 要は、このプロジェクトというのは、電車を敷くのと一緒に、そこの沿線の開発を--どのくらいの面積でしたか、三千三百ヘクタール。さっきの亀・大・小の三十三倍ですね。それだけの開発をして、そこに二十六万人を住まわせようという計画が進んでいかないと、この計画どおりにならないわけですが、今、このご時世の中で面開発をして、人口減少社会の中で、果たしてこのプロジェクト自体が、二十六万人、人を住まわせることができるかどうか、まことに私ははてなマークがつくなと、そんなふうに思っているところです。
 じゃ、計画はそうであったと。とりあえず当初五年までの計画がそうだということですね。
 じゃ、その次に、八月二十四日にオープンしました。開業後の乗車人員、最初は十三万五千人乗るというような予想だったようですが、開業後どのようになられているか、ちょっと教えていただけますか。

○成田都市基盤部長 八月に開業し、これまでの一月の平均といたしますと、約十二万人が乗車してございます。

○花輪委員 平均で十二万人乗られたということですね。この数字、私、ちょっと調べましたら、八月だけ見ますと、一日平均、大体十四万九千人乗られているんですね。八月というのは開業したばかりで、要は、乗ってみよう、どんな電車だろう、そういうふうに興味を持たれて乗られる方がいらっしゃいました。ところが、九月になったら、十一万四千人まで落ちてきています。そういうふうに乗ってみようという、そういう方々が若干減ってきたんじゃないかとは思うわけですが、こういう中で、やはり今後の経営について検証していかないといけないと思うんです。
 先ほどご答弁ありましたように、出資金が三百二十七億円、貸付金が一千二百六十五億円という、これだけ莫大なお金が入っているわけですから、この会社が健全に運営されていく、そういう計画であるかどうか、そのあたりを検証したいと思うんですが、先ほど五年後には、平成二十二年ですね、一日当たり二十七万人の乗車人員になるとおっしゃっていましたが、じゃ、十年後はどのぐらいになるのでしょうか。

○成田都市基盤部長 この路線につきましては、十年後ではなく、十九年後に単年度黒字に転換する、こういうふうに長期目標に掲げてございます。
 と申しますのは、現在の運賃認可時の収支計画では、運賃認可申請の対象となる開業後三年間の収支が、収入合計は五百八十六億円でございますけれども、支出合計は一千三十一億円となりまして、差引経常収支は四百四十五億円のマイナスでございます。
 一方、平成四年の鉄道事業免許の時点での収支計画では、これも開業後三年間の収入合計は一千二百七十億円と予測してございまして、支出合計は千六百七十八億円と、差引経常収支は四百七億円のマイナスとなってございます。
 しかしながら、この後、事業費に関しましても、今後十九年の精算を待たなければなりませんけれども、一兆三百億円が、約二割近い事業費の減額を現在予定しておりますし、また、開業時の運転に関しましても、従業員の数を、当初予定していました一千人を約五百人体制にする。それから、車両につきましても約三百両を百八十両にするなど、運転経費の削減など、こういう経費節減に努めておりまして、いわば経営といたしましては、拡大均衡ではなく、縮小均衡というふうな形で経営バランスをとる形態で十九年後の単年度黒字を目指してございます。

○花輪委員 今、まず三年後の収支をお示しいただいて、三年間で四百四十五億円の赤字が出るよというような、今の時点でそういう予定だというようなお話をいただき、そして、単年度黒字が出るのは十九年後ですよというようなご答弁だったと思います。
 それで、私が知りたいのは--十九年に単年度黒字が出るのでしょうが、ただ、この収支は本当に健全な収支なのかな、どうなのかなというのを、私なんかは非常に懐疑的に思ったりするんですね。なぜかというと、例えば臨海高速鉄道、あのときも、私、長期収支を見せていただいたときに、人員はどんどんふえていくし、運賃も三年で一〇%ずつインフレしていく。どんどん運賃がふえる。しかし、人件費は全然インフレしないで、今のまま推移するみたいな、そんな長期収支計画がつくられていて、結局は破綻して、三百億円近いお金を入れて、何とか経営の健全化策をとった。そのときには収支をすべて見直して、長期収支も地に足のついたものに見直して、そういう計画を立て直してやっていただいて、今はどうやら健全にやられているというような話なんですが、つくばエクスプレス、この会社の収支ですね。例えば、今後どのように、乗降客、乗るお客さんがふえていくのか。また、運賃についてはどのように値上げをしていくのか。また、値上げをしないのか、値下げをするのか。また、その他の費用についてはどのように見ているのか。そして、最終的に、例えば累積の赤字がどのくらいまでたまって、それがいつの時点なのか。そういうことについて明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○成田都市基盤部長 先ほどのご回答の中で、経常収支、四百億円台のマイナスというふうなことでご答弁申し上げましたけれども、この中には減価償却費が約六百億円含まれておりますので、これは現金支出が出ていかないというふうなことで、そういう意味では、キャッシュフローがプラスということで、資金収支は問題はないというふうに私どもは判断してございます。
 それから、今後の経営形態についてでございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、運営体制も当初計画の半分程度にしておりますし、そういうことから、値上げにつきましては、今後の旅客需要を見ながら、これは会社の方ともいろいろ相談しなきゃならないと思いますけれども、少なくとも値下げする状況ではなく、ある一定時点で、収支バランスを勘案しながら、あるいはまた他の輸送機関との競争形態を見ながら、この料金体系については考えていかなきゃならないものと考えてございます。

○花輪委員 今後、状況を見ながら料金を上げていかなきゃいけないというお話でございましたけれども、私が知りたいのは、これは会社じゃないですか。鉄道を敷いて、要は--今は三年間の収支しか、私たちは教えてもらっていないんですよ。それも三年間まとめた収支ね。一年目が幾らで、二年目が幾ら、三年目が幾らと、そういうことは一切ネグっちゃって、三年間の収支。五年後に二十七万人乗るよという話。じゃ、十年後に何人か、十五年後に何人乗るのか、そういうことは一切明らかになっていない。運賃が幾らになるのかも明らかになっていない。
 普通、会社を起こすのであれば、将来のことはわからないんだけれども、一応、想定して、こういう計画でいきますよという、そのプランがあってしかるべきなんですね。それは臨海高速鉄道のときにもありましたし、また、多摩モノレールのときにも長期収支というのがあって、それを明らかにしてくれて、それで経営健全化策が必要か必要じゃないかという、そういうことで経営健全化策をしてお金を入れたり、増資をしたりしているわけですよね。
 このつくばエクスプレスについて、今、減価償却を見ているから、キャッシュフローでは回るから大丈夫なんだとかおっしゃっていますけれども、さっきいった臨海高速鉄道のときもそうだったけれども、大丈夫だ大丈夫だといわれながら、結局、大丈夫じゃなかったりするわけです。だから、今の状況で長期収支をぜひ明らかにしていただきたい。
 何しろ一千二百何十億円の税金を貸し付けていて、出資だって三百何十億円ですか、出資しているわけじゃないですか。だから、この会社が破綻しちゃったら困るわけですね。またお金をつぎ込んでくれなんていわれても、困るわけですよ。ですから、その辺の収支を明らかにしていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○成田都市基盤部長 この会社の将来の形態に関しまして、先ほど申し上げましたように、十九年後に単独黒字というふうなことで、それから、将来の収支計画に関しましては、会社からは公式なものは出されてございませんけれども、東京都としてはこういう形でと推計しているものは持ってございます。
 ただ、長期収支の提出につきまして会社に求めることは、ある意味では経営の判断事項でございまして、長期収支を提示することによって会社経営に不利益を生じる可能性があるとの疑義を会社が持った場合は、株主からの提示要求に応じるかは経営者の判断、こういうことでございまして、首都圏新都市鉄道株式会社においては、現在、私どもに提示してございません。

○花輪委員 十九年後に単黒になるといっても、その後、累積債務がいつ解消されるのかとか、そういうこともあるわけじゃないですか。だから、私はそこを明らかにちゃんとするべきだと思うんですよ。収支計画というものを。
 何で私がこんなことをいっているかというと、ここに、ある念書だな、これ。合意書というのでしょうか。東京都知事と埼玉県知事と千葉県知事と茨城県知事が、平成三年十月に、当時の運輸省の鉄道局長に出している念書があります。これはどういうものかというと、「常磐新線の建設費等に係る負担について」。
 東京都、埼玉県、千葉県、茨城県は、常磐新線の建設費などの負担に関し、次のとおり合意する。一、一都三県は、常磐新線の建設に当たって、当該事業の収支採算上必要とされる出資を首都圏新都市鉄道株式会社に対して行うものとする。二、一都三県は、会社の免許申請時の計画を上回って建設費が増嵩した場合には、その増加建設費について責任を持って対処する。三、一都三県は、開業後の会社の経営に伴い生ずる赤字及び資金不足について責任を持って対処するものとする。
 要は、この会社で赤字が出たらば、それは今後も未来永劫、東京都と埼玉県と千葉県と茨城県はおつき合いをするという念書ですよ。こういう念書があるから、しっかりと収支計画を明らかにしていただいて、会社に提出を求めて、その会社が持っている収支計画が本当に健全なものかどうか検証して、そして都民にも明らかにするべきだというふうに私は思うから、このことをお尋ねしているんです。ですから、ぜひ会社に収支計画の提出を求めて、私たちに明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○成田都市基盤部長 今理事ご指摘のように、当然、会社の経営がそういう形態になり得るようになれば、私ども、追加支援とか、そういうふうなことは議会の承認を得ながらやらなきゃなりませんので、当然、そのような事態にならないように、経営に関しての関与もしていかなきゃならないと思いますし、できるだけ公表できるような、資料の提出を求めてまいりたいと思います。

○花輪委員 要は、大丈夫だから任せておけじゃないですか。大丈夫だから任せておけで、幾つも失敗しているから私は心配しているわけですよ。要は、多摩モノレールだって、臨海だって、収支計画を明らかにしていたじゃないですか。何でこのつくばエクスプレスだけ明らかにできないんですか。何ででしょうか。

○成田都市基盤部長 決してつくばエクスプレスだけを公表しないというのではなくて、臨海鉄道あるいは多摩モノレールと同等の将来の経営形態の見込みについては、今後、会社と相談しながら、できるだけ資料を提出していただき、公表できるよう努力してまいりたいと思います。

○花輪委員 臨海のときは、さっきもいったけれども、毎年一年ごとの、どれだけ経費がかかって、どういう運賃で何人乗るか、それもずっと長期にわたってつくられていて、それも見せていただきました。
 この会社も、東京都も大株主ですし、茨城県も大株主。要は、地方自治体、東京都とかそういう県も含めて、あとは例えば八潮市とか、荒川区とか、柏市とか、台東区とか、つくば市とか、そういうところも出資をされてできている会社ですよ。ほとんどが税金の出資でできている会社なんですね。ですから、私は、東京都ばかりではなくして、ほかの自治体も含めて、ぜひこのあたり明らかにして、安心だというならば安心させていただければと思いますし--電車だから赤字になったってしようがないんだと。赤字になったってしようがないのはわかるけれども、じゃ、幾ら赤字になるということは、やっぱり都民にもちゃんと知らせておかなきゃいけないと思うんですよ。今までそういうことを明らかにしないで、もうかるような収支を組んでおいて、結局、あけてみたらば赤字だったじゃないか、じゃ、さらなる税金投入をしなきゃいけない、この繰り返しできているわけですね。ですから、私はしつこく聞いているわけです。
 きょう、一度もご答弁されていない局長ですけれども、実は、この会社の役員の一覧表を見ていたらば、梶山修さんという人が載っているんですが、多分局長のことじゃないかというふうに思われるのですが、ぜひ収支計画を明らかにしていただきたい。私はそんなふうに思いますが、いかがでしょうか。

○成田都市基盤部長 今、理事のご質問は、株式会社の取締役に対する局長へのご質問と思いましたので、私は行政の理事者側としてご答弁申し上げます。
 今後とも会社には、先ほど申し上げましたように、できるだけディスクロージャーできるように相談しながら、整理していきたいと思います。

○花輪委員 局長、いいんですか。(発言する者あり)いや、局長は役員じゃなくて、都市整備局長としてご答弁をください。

○梶山都市整備局長 長期収支の提示については、ただいま都市基盤部長がずっとお答えしたとおり、商法上、株主の権利として認められておりませんので、この場でそういうことについて明言することはできないということで、ご理解のほどお願い申し上げます。

○花輪委員 きょうは、時間もちょうど来ますので、このくらいにしておきますけれども、先ほど部長の方からもおっしゃっていましたけれども、ぜひ会社側と協議して、できるだけ明らかにしていく、情報開示していく、そういうところに力を注いでいただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○高橋(か)委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○高橋(か)委員長 異議なしと認めます。よって、事務事業に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時三十八分散会

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