都市整備委員会速記録第五号

平成十七年五月二十六日(木曜日)
第六委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十二名
委員長和田 宗春君
副委員長矢島 千秋君
副委員長曽根はじめ君
理事長橋 桂一君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
相川  博君
東野 秀平君
いなば真一君
立石 晴康君
渡辺 康信君
大西 英男君

 欠席委員 一名

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長中路 有一君
技監小林 崇男君
技監杉浦  浩君
総務部長村松  満君
都市づくり政策部長森下 尚治君
住宅政策推進部長安藤  明君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
連絡調整担当部長加藤 英夫君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
外かく環状道路担当部長道家 孝行君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
再編整備推進担当部長庄司 静夫君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事小山  隆君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事安井 順一君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 請願陳情の取り下げについて
 都市整備局関係
請願陳情の審査
(1)一七第二号 東京都屋外広告物条例に関する請願
(2)一七第二三号 東京都内の教育施設等に日影を落とす中高層建築物の制限に関する請願
(3)一六第一一二号 (仮称)市谷本村町四十四階超高層マンション建設計画に関する陳情
(4)一七第二二号 東京都屋外広告物条例の改正に関する陳情
報告事項(説明・質疑)
・平成十六年度東京都一般会計予算の繰越しについて
・平成十六年度東京都都営住宅等事業会計予算の繰越しについて
・平成十六年度東京都市街地再開発事業会計予算の繰越しについて
・平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算の繰越しについて
・平成十六年度東京都都市再開発事業会計予算の繰越しについて

○和田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会の担当--速記をちょっととめてください。
   〔速記中止〕

○和田委員長 速記を、じゃ再開お願いします。
 初めに、先般の人事異動に伴い、本委員会の担当書記に交代がありましたので、紹介いたします。
 議事課の片山明子さんです。議案法制課の村上さえ子さんです。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔書記あいさつ〕

○和田委員長 次に、請願陳情の取り下げについて申し上げます。
 お手元配布の一七第一九号、結核回復者に対する都営住宅の特別割当の確保に関する請願、一七第六号、西東京市緑町三丁目都営アパート敷地内への駐車場設置計画の中止に関する請願、一七第三号、西東京市緑町三丁目都営アパート敷地内に新設する駐車場設置の取りやめに関する陳情、及び一七第二六号、西東京市緑町三丁目都営アパート敷地内への駐車場設置計画の中止に関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。

○和田委員長 次に、会期中の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程のとおり申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の請願陳情の審査及び報告事項の聴取を行いたいと思います。
 なお、報告事項につきましては、説明聴取の後、質疑を終了まで行いたいと思います。ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 石井経営改革担当部長は、所用のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、梶山都市整備局長から紹介があります。

○梶山都市整備局長 去る四月一日付で当局幹部職員に異動がございましたので、お手元の名簿に従いまして新任者の紹介をさせていただきます。
 まず、再編整備推進担当部長の庄司静夫君でございます。参事で企画・技術を担当しております飯尾豊君でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○和田委員長 紹介は終わりました。

○和田委員長 これより請願陳情の審査を行います。
 初めに、一七第二号、東京都屋外広告物条例に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○安井参事 整理番号1、一七第二号、東京都屋外広告物条例に関する請願につきましてご説明いたします。
 お手元の説明表を二枚おめくりいただきまして、一ページをお開きください。
 本請願は、千代田区の全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会会長小林則夫さんから提出されております。
 請願の要旨ですが、都において、東京都屋外広告物条例の規制を緩和し、貨物車両における第三者広告物掲載を許可していただきたいというものでございます。
 現在の状況ですが、車体利用広告につきましては、広告物審議会の答申を踏まえまして、平成十二年に路線バス及び路面電車を、平成十三年には電車を、平成十五年にはタクシー、ハイヤーの規制の見直しを行っております。
 今回の請願に係る貨物自動車の車体利用広告でございますけれども、広告物審議会において検討を重ねてきておりますが、現時点では幾つかの課題がございます。
 具体的には、都内における貨物自動車の登録台数は、バスやタクシーと比較し極めて多く、景観面、交通安全面の影響が大きいこと、また、登録台数の多さのみならず、一台の表示面積も大きく、広告物のはんらんにつながること、さらには、貨物自動車には戸別配送等の車も含まれ、広告の禁止区域である住居専用区域を自由に走行することなどが指摘されてございまして、このため、平成十三年二月、車体利用広告規制のあり方答申、及び平成十七年一月、今後の広告物規制のあり方答申におきまして、トラック、自家用車等の車体利用広告については、広告規制の緩和はすべきでないとの提言が出されてございます。
 したがいまして、都としては、現時点での貨物自動車についての規制見直しにつきましては慎重に対応する必要があると考えてございます。
 以上で説明を終わります。

○和田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一七第二号は継続審査といたします。

○和田委員長 次に、一七第二三号、東京都内の教育施設等に日影を落とす中高層建築物の制限に関する請願を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○野本市街地建築部長 整理番号2、一七第二三号、東京都内の教育施設等に日影を落とす中高層建築物の制限に関する請願につきましてご説明いたします。
 お手元の説明表の二ページをお開きいただきたいと存じます。
 本請願は、渋谷区の渋谷区立小学校PTA連合会会長久保田正尚さん外一万一千四百六十一人から提出されたものでございます。
 請願の要旨でございますが、都において、保育園、幼稚園、小学校、中学校に日影を落とす中高層建築物の建築を制限する条例を制定していただきたいというものです。
 現在の状況でございますが、東京都では、中高層建築物の紛争の予防と調整をするため、建築紛争予防条例に基づき、標識の設置、近隣住民に対する説明会の開催等の指導を行うとともに、発生した建築紛争については、あっせんや調停を行っております。
 こうした建築紛争を未然に防止するためには、各区市町村が地域の実情に応じて、建築物の高さの限度を定める高度地区や地区計画などを活用していくことが有効でございます。
 以上で説明を終わります。

○和田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 それでは、一七第二三号、教育施設に日影を落とす中高層建築物の制限を求める請願について、何点かお聞きしたいと思います。
 まず、この請願の関係者の方から資料を送っていただいたのを見ますと、同じ趣旨のものを渋谷の区議会にも出されており、代表者の方は、今お話があったように渋谷区の小学校PTA連合会の会長さんで、この資料を見ますと、中学校のPTA連合会並びに小中学校のPTA連合会のOB有志という連名で資料がつくられて、子どもたちから太陽と青空を奪うなと、子どもたちと学校の環境を守るための請願というふうな、非常に切実な問題を提起している請願だというふうに受けとめました。
 それで、この請願の趣旨は、私はまことにもっともなものだと思いますが、現在の東京都の紛争予防条例その他の規制の中で、教育施設等というふうになっていますが、教育施設や、ここでは保育園とも資料には書いてありますが、こうした子どもたちの学び育つ施設に日影を落とすことに関する規制というのは、恐らくないんだと思うんです。そういうことに限定しての規定はないと思います。それをあえて求めてきているわけですけれども、これに対する都としての、現在こういうものが必要だという請願者の認識に対する受けとめはどうか。私は、やっぱり今日の時代だからこそ、こういうものが出てきているんだと思うんですが、都としての認識はどうかという点について、基本的な認識をお聞きしておきたいと思います。

○野本市街地建築部長 教育施設周辺での建築紛争を防止し、教育環境や地域の生活環境を守っていくには、建築紛争予防条例による当事者間の調整だけでなく、あらかじめ教育や環境面に配慮した地域のルールを定めまして、まちづくりを進めていくことが重要であると考えております。
 こうしたまちづくりに当たっては、区市町村が主体となりまして、地域住民の理解を得ながら、建物の高さの限度を定める高度地区であるとか、あるいは地区計画などを活用していくことが有効であると考えております。

○曽根委員 手続論として、こういう問題は区市町村でよく考えて、それぞれの地域にふさわしい規定をつくっていくべきなんだよというのはわかりますが、じゃ、東京都としては、ここの請願者が訴えている内容について、子どもたちの保育園や教育施設についてはやはり日影を落とさないように、地域になるのか、東京都全体になるのかはともかく、何らかのこういう規定が今日必要であろうという趣旨についてはいかがですか。

○野本市街地建築部長 ただいまと一部重複しますけれども、教育施設周辺での建築紛争を防止する、あるいは教育環境や地域の生活環境を守っていくことは大事だと思っております。そのためにも、私ども、現行の紛争予防条例を十分に活用して、今後とも紛争の予防あるいは環境面に配慮したまちづくりを進めていきたいと考えております。

○曽根委員 わかりました。基本認識として、教育施設などの周辺での環境を守っていくのは大切という認識であると、そのことは大事な問題だと思うんです。
 しかし、同時に私は、率直にいって、じゃ、具体的にこういう渋谷区の、この場合は千駄谷小学校、幼稚園で起きているような問題についてどうなんだということになると、具体にはなかなか突っ込んだお答えはできないと。
 また、これは昨年、私も質疑をしましたが、東京都自身が開発で、大橋のジャンクションの開発のように、東京都が第二種、みずから事業主となって進めている再開発事業による再開発ビルの日影が、地元の民間ですか、私立保育園に落ちるという問題については、今話し合いがまだ進んでいるとはいえ、東京都が余り誠意ある態度を示していないということも、あえて指摘しなければなりません。やはり私は、これまでは教育施設、保育園ということについて、余り意識しないでどんどんつくってきたり、開発を進めてきたということについての厳しい反省のもとに、私は具体的なこういう、ここには佐賀市の例が載っていますが、教育施設等についての制限を独自に設けるというようなことが大いにあっていいんだというふうに思うんです。
 そこで、東京都がいうように、渋谷区でぜひやるべきじゃないかということであるならば、この区議会の請願はどうなったかということになるわけですが、区議会での請願のその後の扱い、そして、その後の請願のあれを受けて渋谷区の区としての動き、これについてはどう把握されているでしょうか。

○野本市街地建築部長 渋谷区議会では、平成十七年第一回定例会におきまして、渋谷区内の教育施設等に日影を落とす中高層建築物の制限に関する請願を採択しております。その後、現在、渋谷区は、請願の趣旨を実現できるか否かを含めまして検討中であると聞いております。

○曽根委員 ここの請願、渋谷区議会に出された請願事項の中には、独自の規制を盛り込んだ規制型のまちづくり条例を制定もしくは検討して、既に世田谷区、練馬区、国立市、府中市、国分寺市、狛江市等では、安全に暮らせるまちをつくろうとしていると。佐賀市の例もここにも載っていますが、こういう方向で区に検討を求め、これが採択されているということで、何でもこの秋ぐらいをめどに具体的な検討に入っているということも聞いていますが、私は、次に行う陳情の審査も含めて、区段階で地域の環境を守るためにさまざまな形でこうした規制をかけて、超高層などの建物について制限をしていくという方向は、今どんどん出てきていると思います。
 渋谷区で、もしこれが何らかの形で実現した場合、都としては当然ながら、渋谷区のこの条例などの取り組みを尊重して、この問題についても、建築紛争条例ですか、これに係って、都も何らかの指導的な権限を発揮できる余地があると思うので、区が前向きな条例をつくった場合には大いに協力して、住民の皆さん、PTAの方々の請願の趣旨が生かされるように努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 条例の内容にもよるかと思いますけれども、都といたしましては、よりよい地域づくり、あるいは法律との整合性、こういった観点から適切に対応してまいります。

○曽根委員 よりよい環境づくりのために適切に対処するということですので、私は、よりよい環境づくりという点では、これからとにかく少子化時代ですから、子どもたちの教育環境は何よりも大事にされなければならないという当然の前提に立てば、学校教育施設だとか保育園については、区が条例をつくることももちろん大事ですが、東京都として、東京全体にわたる大きな意味でのこうした日影規制の趣旨を考えていくべきだ、これは私どもの要望として申し上げておきたいと思いますし、渋谷区がその方向で動いた場合には、全面的に協力してもらいたいということを重ねてお願いしまして、この件に関しては、基本的には趣旨を生かして採択をすべきだというふうに思っております。
 以上です。

○和田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一七第二三号は継続審査といたします。

○和田委員長 次に、一六第一一二号、(仮称)市谷本村町四十四階超高層マンション建設計画に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○野本市街地建築部長 整理番号3、一六第一一二号、(仮称)市谷本村町四十四階超高層マンション建設計画に関する陳情につきましてご説明いたします。
 お手元の説明表の三ページをお開きいただきたいと存じます。
 本陳情は、新宿区の市谷本村町四十四階超高層マンション対策会会長京谷英人さん外四百七人から提出されたものでございます。
 陳情の要旨でございますが、(仮称)市谷本村町四十四階超高層マンション建設計画について、次のことを実現していただきたい。
 一、建物の規模、内容、高さ等を周辺環境にマッチした計画に変更すること、二、周辺地域との十分な距離を保ち、日照、風環境、電波障害等の問題が生じないよう誠意を持って対処するとともに、見おろしによるプライバシー対策を実施すること、三、その他、近隣住民の生活に十分配慮した建築をすること、四、今後も住民の納得のいく説明会及び協議を実施するとともに、合意のないままの着工はしないことというものでございます。
 現在の状況でございます。計画地は、幅員三十メートルの外苑東通りと幅員六・四メートルから七・四メートルの区道に接しており、約六千平方メートルの敷地に集合住宅を建築する計画となっております。
 建築主は、平成十六年九月二十八日から、建築計画に関する説明会を九回、個別説明を二十七回実施しており、建築物の高さについては、当初の約百五十三メートルから約百三十メートルに変更しております。
 平成十七年三月十日に総合設計の許可申請が提出され、計画では、道路に沿って歩道状空地等の公開空地を確保するとともに、区道の拡幅整備を行うこととなっております。
 現在、建築主と陳情者間で話し合いが進められており、都も、建築紛争予防条例に基づくあっせんの場での話し合いを働きかけています。
 以上で説明を終わります。

○和田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

○曽根委員 それでは、これは陳情ですけれども、一六第一一二号、市谷本村町の四十四階超高層マンションと件名はなっていますが、話し合いの中で、今は三十八階の計画になっているそうですが、これに関する陳情について何点かお聞きします。
 まず、私これを一読して、超高層住宅、マンションの問題の、いわゆるほかにもいろいろ出ている周辺住民の方々との環境問題なのかなというふうに思って、地元の私どもの会派の議員の人や、区の関係者の方にお聞きしてみたんですが、そう単純な問題ではないということがわかりました。
 つまり、先ほどの渋谷の例じゃないんですけれども、渋谷とはまたちょっと違うようですが、既に新宿区は、絶対高さ制限という、要するに、いろんな条件があっても高さそのものを制限するというのを、新宿駅周辺、一部地域を除き、新宿区全域にかけるというかなり抜本的な条例を今準備していて、本来であれば、ここで計画を変更したものの百三十メートルという高さのマンションは、原則建たないということが想定される中で、今準備中のその条例と並行してこの計画が出てきているということで、事情は、はた目に見ると、これは駆け込みじゃないのかというふうに思えるような節もあるわけです。
 したがって、陳情を出された方々の趣旨の中には、区がこういう思い切った政策を打ち出している中で、こういう超高層のマンション計画を--しかも、これは大手ですよね。野村、三菱、三井ですか、国有地だったところを買い取って建てるというのはどうなのかという思いがあるんだろうと思うんですね。ここには説明書きの中にはありませんが。
 そういう点で、それを踏まえて東京都としては、一般的なマンション建設に伴う環境問題というだけではなく、区が努力していよいよ具体化をされようとしている中での、現状三十八階ですか、マンション計画についてのこうした陳情について、どういうふうにこの陳情者の趣旨を受けとめておられるのか。
 また、あわせて、この事業者の方からも総合設計制度の申請があって、既にそれを認めて、かなり容積制限を緩和していると思うんですよ。その制限緩和は、どれぐらい都として与えているのか、その二つについて最初にお聞きをしておきたい。

○野本市街地建築部長 まず、都の基本的姿勢でございますけれども、事業者に対しましては、周辺への配慮を十分行うとともに、関係住民に対し計画の理解を得るように指導しております。そんなこともありまして、先ほども申しましたように、建築物の高さにつきましては、当初の約百五十三メートルから百三十メートルに変更したものでございます。
 周辺への配慮事項と緩和の内容でございますけれども、総合設計の申請に当たりましては、北側の区道の拡幅整備、あるいは、歩行者の利便性を確保するため、道路と同レベルの歩道状空地を設置すること、また、北側の交差点のところにつきましては、見通しを確保するために広場状空地を設ける計画としております。その結果、総合設計許可要綱に基づき、容積率制限の緩和をしたものでございます。
 容積の緩和につきましては、約といういい方で申しますと、もともとの基準容積が三五〇%になっておりまして、それにプラス三〇〇%で約六五〇%という内容になっております。

○曽根委員 今お聞きしますと、総合設計制度による、その制度を使うかわりに地元にどういう環境的な配慮をするかという点では、区道の拡幅とか空地の確保とか交差点の広場、つまり、地面のところでどういったオープンスペースを公共的に提供できるかということが中心のようですね。その一方で、高さの中心的な要素は容積率ですから、容積率については約二倍近く緩和される。
 総合設計制度の活用の仕方としては、私、率直にいって、高さを高くするかわりに下はオープンスペースを広げてくださいよという、今までの総合設計を使った建物建築の基本的な流れはこういう流れだったと思うんです。
 ところが、今度の新宿区の高度地区変更原案というのは、ちょっと地図を急いで取り寄せたんですけれども、新宿駅周辺以外は全域、大体二十メートルか三十メートルか四十メートルぐらいのかなり抑えた高さ制限を、基本的には既存の建物を含めてかけるというかなり思い切ったもので、もちろん既存の建物は、既存不適格というわけにはいきませんので、これについては配慮はあるようですが、全域について高さを、ここでいいますと絶対高さ制限、つまり、地上でどういうオープンスペース、いろいろなことをやっても、高さとしてはここまでですよという考え方ですね。恐らく町並みの高さを抑えていこうということだと思うんですが、基本的な都市に対する考え方としては、総合設計の今までの流れとは、私はやはりバッティングしてくる問題じゃないかなというふうに思うんですよ。
 そういう意味では、単純に総合設計制度を都としては認めて、容積率二倍近くにふやさせてやるということで、都の制度としては矛盾がないというふうにいうかもしれないけれども、地元の方々や区の今流れていこうとしている、目指そうとしている方向からいうと、私は大きくいえばバッティングしてくるというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 そこで、区の方のこの高さ制限の動きはかなり具体的なところまでいっているようで、既存の建物や、それからこういった大型のマンションについても、いろんな条件の今整備を詰めているところだというふうに聞いています。区のこうした動きについての東京都自身の評価、そして、その評価は当然ながら、先ほどのお話もあったように、区が地域に合わせて考えていくべきだという意味では区の判断が尊重されるのは当然なんですが、それを踏まえれば、やはりこのマンション計画については、都の対応はこのままでいいのかということが問われると思うので、その点についてお聞きしたい。

○野本市街地建築部長 新宿区で進めている高度地区と本件計画について、都はどのように考えているかということですけれども、新宿区では、昨年十二月に高度地区改正案を公表しまして、今後、この地区においても絶対高さの制限を行うこととしております。
 ただし、今、副委員長からもご指摘がありましたように、既存建築物の建てかえや、周辺に配慮した大規模敷地における計画については、制限の緩和も検討していると聞いております。
 本件の計画の高さにつきましては、区とも協議しておりまして、今後、適切に対応し、手続を進めてまいります。

○曽根委員 このマンション計画は、区の方の説明を伺うと、どうも敷地が大規模である、だから、単純にここは--四十メートルですか、市谷本村町は高さ制限がかかることになっているけど、しかし、単純にそういうふうにはならないので、多少突破するというんですか、超えることはあり得るという中に、敷地の広さの規模でそういうふうな扱いになっていくのではないかというふうなお話がありました。
 確かに、そういうある程度現実的な対応といいますか、そういう部分も出てくるのかなと思います。ただ、高さ制限が四十メートルのところに、この計画でいえば百三十メートル、下げたといっても百三十メートルで三倍以上というのが、周りの環境に配慮した計画といえるのかと。これは最終的には、その地域に住んでおられる方々、住民の方々との合意ということが、やはり最終的には決め手になるんだと思うんです。
 そういう点では、今回、陳情は、高さを若干下げたといっても、これについて納得しているという形ではないというふうに私は関係者の方からお聞きしているので、やはりこれはきちんとした話し合いを行い、同時に、近隣住民の方々がこうした陳情を出して、まだ納得していないという意思が表明されている以上は、マンションの事業者に対する、計画の強行突破はやはり慎むように、都としては私は指導すべきだと思うんですよ。また、区の方も、恐らくそういった趣旨のことはいっていると思うんです。
 そこで、今後、具体的には建築紛争の調整室などがかかわりを持ちたいということで働きかけていると。だったらばそういう場で、私は率直にいって、陳情者の、住民の方々の意向に沿えるように、都としては、この紛争調整室というのは公平な立場なんでしょうけれども、区の努力などにこたえて、そういう住民の皆さんの意向を最大限尊重できる場として、もしかかわるのであればやるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○野本市街地建築部長 本計画につきましては、関係住民に対し十分周知するよう働きかけております。その結果、先ほども説明しましたけれども、事業者は説明会を九回、個別説明会を二十七回実施してきたところでございます。
 また、建築紛争につきましては、建築主と近隣関係住民の紛争解決を図るため、建築紛争予防条例に基づくあっせん及び調停の制度がございます。本件につきましては、都は、さらに関係者に対し、あっせんの場での話し合いをかけているところです。
 なお、つけ加えますと、総合設計審査の中でも、日照、風害、交通渋滞等々のものについては一定のチェックをしていくということを申し添えております。

○曽根委員 最後に要望ですが、これは住民の皆さんが紛争調整室を利用するかどうかは、最終的には住民の皆さんの運動の中で決めていくことだと思いますので、私がとやかくいうことはありませんけれども、ただ、恐らく新宿区だけではなく、今後も絶対高さ制限という考え方は--超高層の建物が都心中心にかなりつくられてきて、オフィス街ならともかく、住宅街までどんどんどんどん進出してきている問題が一つと、それから、第一回定例議会で決定をされた特例容積率のように、一般の市街地であっても、上空の容積率をほかに売り渡して、本来なら建たないような高さの建築物までばあんと建てられる制度が今後一般市街地にもあらわれるというような状況になってくるだけに、こうした高さの絶対制限を設けるという行政の選択というものは尊重されなければならないというふうに申し上げたいと思うんです。
 その点でも、もし都が今後指導的な権限を発揮する場面では、この趣旨に沿ってぜひやっていただきたいことを重ねてお願いして、質問を終わります。

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、継続審査とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一六第一一二号は継続審査といたします。

○和田委員長 次に、一七第二二号、東京都屋外広告物条例の改正に関する陳情を議題といたします。
 理事者の説明を求めます。

○安井参事 整理番号4、一七第二二号、東京都屋外広告物条例の改正に関する陳情につきまして説明いたします。
 お手元の説明表の五ページをお開きください。
 本陳情は、西多摩郡瑞穂町角田多代さんから提出されております。
 陳情の要旨でございますけれども、違法捨て看板等の防止の実効性を図るため、東京都屋外広告物条例の一部を改正し、八王子市捨て看板防止条例に準じて、広告主等への費用請求等を制度化していただきたいというものでございます。
 現在の状況ですが、違法な捨て看板等の除去につきましては、屋外広告物法に規定されておりまして、現在、都や区市におきましてこれらの除去が実施されております。
 また、捨て看板等の除去費用につきましては、これまで所有者等に負担を求める法令上の規定がなく、行政側が負担せざるを得ませんでした。しかし、昨年、屋外広告物法が改正され、十二月より施行されており、既に現在では所有者や占有者などに除去費用を負担させることが可能となってございます。
 このため、屋外広告物条例の改正は必要ございません。
 以上で説明を終わります。

○和田委員長 説明は終わりました。
 本件について発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件は、不採択とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認めます。よって、陳情一七第二二号は不採択と決定いたしました。
 以上で請願陳情の審査を終わります。

○和田委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○村松総務部長 お手元の資料2、平成十六年度繰越説明書によりましてご説明させていただきます。
 今回のご報告は、平成十六年度予算の繰越明許費及び建設改良費繰越について、地方自治法施行令第百四十六条第二項及び地方公営企業法第二十六条第三項の規定によりまして議会にご報告するものでございます。
 資料の一ページをお開き願います。初めに、1、平成十六年度繰越明許費総括表でございます。
 一般会計及び特別会計の各会計別に、予算現額、繰越明許費予算議決額、翌年度繰越額及びその財源内訳を記載してございます。
 合計欄をごらんください。繰越明許費予算議決額は四百五十六億九百万円でございましたが、このうち翌年度への繰越額は二百十六億二千五百万円余となっております。財源といたしましては、財源内訳の欄に記載のとおり、都債その他の特定財源及び繰越金を充当してございます。
 続きまして、2、平成十六年度建設改良費繰越総括表でございます。
 公営企業会計である都市再開発事業会計につきまして、予算計上額、支払義務発生額、翌年度繰越額、財源繰越資金、不用額を記載しております。予算計上額二百八十三億五千五百万円余に対して支払義務発生額が二百二億三千四百万円余、翌年度繰越額が二十二億五千八百万円余、不用額が五十八億六千二百万円余となっております。
 二ページ以降は事業別の内訳となっております。
 まず、一般会計でございます。
 三ページをお願いいたします。番号1は、事業名、地下高速鉄道建設助成でございます。
 表頭右端の説明欄に記載しておりますとおり、繰り越しの理由といたしましては、地下鉄工事に伴う調整等に日時を要したことによるものでございます。
 番号2は、首都高速道路公団出資金等でございます。繰越理由は、中央環状新宿線の工事に伴う調整等に日時を要したことによるものでございます。
 四ページをお願いいたします。番号3は、臨海都市基盤関連街路整備でございます。繰越理由は、警視庁協議により、工程調整に日時を要したことによるものでございます。
 五ページをお願いします。番号4は、都市改造でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う調整及び移転補償に伴う折衝に日時を要したこと、また、生活再建資金借受者が建物再建等に日時を要したことによるものでございます。
 六ページをお願いいたします。番号5は、住宅建設事業でございます。繰越理由は、都営住宅等事業会計における住宅建設事業の繰り越しに伴い、その財源として繰り越すものでございます。
 番号6は、区市町村住宅供給助成でございます。繰越理由は、三宅村営住宅の災害復旧工事において、台風の影響で工事着手が遅延したことによるものでございます。
 次に、都営住宅等事業会計でございます。
 八ページをお願いいたします。番号1は、住宅建設事業でございます。繰越理由は、住宅建設工事に伴う地元住民との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 続きまして、市街地再開発事業会計でございます。
 一〇ページをお願いいたします。番号1は、市街地再開発でございます。繰越理由は、街路整備工事に伴う関係機関との調整等に日時を要したことによるものでございます。
 続きまして、臨海都市基盤整備事業会計でございます。
 一二ページをお願いします。番号1は、臨海都市基盤整備でございます。繰越理由は、湾岸改築工事に伴う地中障害物の撤去に日時を要したことなどによるものでございます。
 最後に、都市再開発事業会計でございます。
 一四ページをお願いします。都市再開発事業会計予算建設改良費繰越説明書でございます。繰り越しの理由といたしましては、用地買収に伴う関係人との折衝等に日時を要したことによるものでございます。
 以上をもちまして、平成十六年度予算の繰り越しについてご報告を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○和田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十六分散会

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