都市整備委員会速記録第四号

平成十七年三月十八日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十一名
委員長和田 宗春君
副委員長矢島 千秋君
副委員長曽根はじめ君
理事長橋 桂一君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
相川  博君
東野 秀平君
いなば真一君
渡辺 康信君
大西 英男君

 欠席委員 二名

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長中路 有一君
技監小林 崇男君
技監杉浦  浩君
総務部長村松  満君

本日の会議に付した事件
予算の調査(意見開陳)
・第一号議案 平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為 都市整備委員会所管分
・第十二号議案 平成十七年度東京都都営住宅等事業会計予算
・第十三号議案 平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十四号議案 平成十七年度東京都都市開発資金会計予算
・第十七号議案 平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成十七年度東京都市街地再開発事業会計予算
・第十九号議案 平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十二号議案 平成十七年度東京都都市再開発事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第六十八号議案 東京都屋外広告物条例の一部を改正する条例
・第六十九号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例
・第七十号議案 東京都営住宅条例の一部を改正する条例
・第七十一号議案 東京都福祉住宅条例の一部を改正する条例
・第七十二号議案 東京都引揚者住宅条例の一部を改正する条例
・第七十三号議案 東京都特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・第七十四号議案 東京都地域特別賃貸住宅条例の一部を改正する条例
・第七十五号議案 東京都小笠原住宅条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について

○和田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査、付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
 これより予算の調査を行います。
 第一号議案、平成十七年度東京都一般会計予算中、歳出、繰越明許費、債務負担行為、都市整備委員会所管分、第十二号議案から第十四号議案まで、第十七号議案から第十九号議案まで及び第二十二号議案を一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次発言を願います。

○いなば委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託されました平成十七年度予算関係議案について、意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 都財政は、このところの景気回復を反映して税収の増加が見込まれておりますが、一方で、将来にわたって巨額な財源不足が見込まれるなど、依然として厳しい状況にあります。
 こうした中にありまして、知事は、十七年度予算案を第二次財政再建推進プランの折り返しの予算として、東京の新たな発展を目指しつつ、財政構造改革を一層推進する予算と位置づけ、編成されました。
 予算案の内容を見ますと、我が党がとりわけ力を注いできた都市機能の充実、都民生活の安全確保、福祉・医療の充実、産業力の強化などが盛り込まれました。
 都市機能の拡充としては、幹線道路網や公共交通網の整備、鉄道の連続立体交差化の推進、羽田空港の再拡張事業など、首都東京の国際競争力を強化するとともに、都民の利便性を高める施策が取り上げられており、投資的経費全体として、対前年度比八・九%の大幅な増となっています。
 都民生活の安全確保としては、自然災害への予防策とともに、三宅島民への帰島支援、また、百二番目となる警察署の新設などの治安対策等、我が党がこれまで強く主張してきた事項が盛り込まれております。
 我が党は、こうした各分野における積極的かつ果断な取り組みを高く評価いたします。
 一方、財政構造改革を進め、財政再建に向けた道のりを確かなものとすることも、都政が抱える重要課題であります。
 これまで我々は、利用者本位の福祉を実現するための福祉改革推進事業を初めとして、知事の聖域なき見直しを支持し、できる限りの協力を行ってきました。この結果、十七年度予算は、これまでのような臨時的な財源対策に頼ることなく予算を編成することができました。これは、我々と知事とが両輪となって財政再建に取り組んできた成果であると考えます。
 十七年度の職員定数についても、知事は、昨年度を大きく上回る二千二百二十三人の削減を行っており、十六年度の削減と合わせると、知事部局の定数削減数は、既に第二次財政再建推進プランで掲げた目標を上回っております。我々は、これが財政再建に向けた知事の強い決意のあらわれであると評価していますが、さらなる定数、職員給与の見直しはもとより、これまでの財政構造改革の取り組みをさらに進めることを求めます。
 なお、国の三位一体改革は、我が党が懸念したとおり、本来、国が財政責任を負うべき義務教育国庫負担金などが削減対象とされ、地方分権改革とはほど遠いものになっているばかりか、生活保護などの具体的取り扱いが先送りされ、先行きが不透明なものとなっています。さらに重大なのは、法人事業税分割基準の見直しなど、不当な財源調整の動きがはっきりしたことであります。
 ややもすると、国はこの改革を十八年度までに終わらせたいようですが、このまま幕を引かせることなく、引き続き地方税財政改革に取り組んでいただきたいと思っております。
 改めて申し上げるまでもなく、東京の再生を果たすための先進的な施策を今後も継続して展開していくには、強固で弾力的な財政基盤の確立が不可欠であります。あすの東京と都民の幸せのため、財政再建に向けたたゆまぬ努力が必要であるとあえて強調しておきたいと思います。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、都市整備局関係について申し上げます。
 一、我が国経済は、金融システムがようやく立ち直り、民間企業の体質が強化される中、企業収益も増加するなど、景気回復の兆しが見え始めています。ようやく見え始めた景気回復の兆しを損なうことのないよう、国際競争力の強化に向けた都市再生プロジェクトの推進や都市インフラの整備、区部と比較し、おくれている道路整備を初めとした多摩地域の振興など、都民生活の向上に向けた取り組みを着実に推進されたい。
 二、広域連携を強化し、羽田や成田への空港アクセスの整備及び羽田空港の再拡張、国際化や、三環状道路等の広域幹線道路ネットワークの形成、及び日暮里・舎人線、常磐新線等公共交通網の整備を積極的に推進されたい。
 三、さきの新潟県中越地震などを契機として、震災時の被害拡大を防ぐため、延焼遮断帯や避難場所の整備、建物の不燃化、耐震性の向上を推進するなど、自然災害対策に万全を期されたい。
 四、民間住宅施策については、分譲マンションの建てかえ支援や都市の活力を支える形成期ファミリー世帯の居住支援など、総合的な対策を推進されたい。
 また、都営住宅の建てかえに当たっては、民間活力の活用等、地域の活性化に寄与する視点に立って推進されたい。
 五、地域の特性に応じた良好な市街地の形成を図るため、土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面的整備事業の促進及びその助成策等を積極的に進められたい。
 以上をもちまして、私の意見開陳を終わります。

○長橋委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十七年度予算関係議案について、意見開陳を行います。
 十七年度予算案では、企業収益の回復により、都税収入が前年度を三千三百二億円上回る四兆二千五百八億円となり、三年ぶりに四兆円台に回復したものの、政策的経費である一般歳出は四兆一千七百五十九億円と、前年度に比べ一・一%減という緊縮型の予算となりました。
 しかし、予算について見ると、まず歳出面では、東京が直面する防災や治安の回復、都市機能の充実、福祉・医療の拡充、東京の産業力強化など、都民福祉の向上のために都民の緊急課題に重点的に財源を配分する一方で、低所得者への都営住宅使用料の減免延長や固定資産税、都市計画税の一層の軽減措置を行うなど、都民要望を敏感に対応したものとなっています。
 また、税収の増加を踏まえて、他会計からの借入金などの隠れ借金を圧縮し、財政調整基金の増額を図るなど都財政の体力回復を進めるとともに、折り返しとなる第二次財政再建プランについては、職員定数を二千二百二十三名削減するなど引き続き内部努力を徹底し、行政のむだを省くとともに、施策の見直し、再構築を進めています。
 これらは我が党の主張と軌を一にするところであり、高く評価できるものです。
 十七年度予算案は、七年ぶりに臨時的な財源対策なしに予算編成を行いましたが、これには都税の収入が大きく貢献しています。しかし、今後、景気の先行きは不透明で、引き続き十七年度のような税収を期待できるものではなく、また、三位一体改革の影響や退職手当の急増や社会資本ストックの更新経費の増加など、都財政を取り巻く環境は厳しいことから、これからも気を緩めることなく、都庁一丸となって財政の構造改革を進めるべきです。
 今後、予算案の執行に当たっては、都民の期待にこたえられるよう、より一層効果的かつ効率的に行うことを要望しておきます。
 以下、都市整備局関係について申し上げます。
 一、都市づくりに関する政策立案や計画機能、事業実施を総合的に推進し、二十一世紀にふさわしい魅力と活力ある首都東京を形成し、真に豊かでゆとりある都民生活を実現するための施策を都市整備局が先頭に立って着実に実施すること。
 一、新潟県中越地震を教訓として、都民を災害から守るため、将来予測される東京における震災への万全の備えに全力を尽くすため、都内の木造住宅密集地域の耐震対策、一時避難場所となる学校や病院の耐震対策を積極的に推進すること。
 住宅の耐震化については、都民への普及啓発を図り、住宅の安全確保のために耐震診断、耐震改修への支援を積極的に進め、災害への備えに万全を期すこと。
 また、延焼遮断帯や避難場所の整備、建物の不燃化や公共空間の確保、建築物の耐震性、耐火性を向上させるため、防災関係事業の重点化を図るとともに、防災都市づくり推進計画に基づく各事業の実施に当たっては、関係区と密接な連携を図り、実効性のある防災都市づくりを推進すること。
 一、東京圏における広域的な公共交通のネットワークを強化するため、常磐新線及び日暮里・舎人線を早期に整備するとともに、公共交通機関におけるバリアフリー化の取り組み強化や、地下鉄駅の利用者の安全を確保するため、地下駅火災対策整備事業を推進すること。
 一、老朽化した都営住宅の建てかえや、既存ストックの活用を図り居住機能を高めるスーパーリフォーム事業を着実に推進するとともに、指定管理者制度の導入に当たっては、居住者が安心して暮らせるよう、公営住宅の供給目的に沿った適正かつ効率的及び公正かつ公平な管理運営に努めること。
 一、高齢者の居住を確保するため、高齢者向け優良賃貸住宅の供給を推進するとともに、既存都営住宅へのエレベーター設置や公共・民間住宅のバリアフリー化、子育てファミリー世帯に対する住宅対策の充実を図ること。
 一、都市再生の推進に当たっては、土地区画整理事業及び市街地再開発事業等を積極的に活用し、住宅供給の推進や良好な都市景観の形成にも配慮し、潤いのある市街地の形成を促進すること。
 以上で意見の開陳を終わります。

○相川委員 私は、都議会民主党を代表して、本委員会に調査を依頼された平成十七年度予算案にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
 平成十七年度予算案は、一般会計で前年度比二・六%増の五兆八千五百四十億円、一般歳出で前年度比一・一%減の四兆一千七百五十九億円となっています。都税収入は、八・四%、三千三百二億円増の四兆二千五百八億円と見込んでいますが、これは十六年度当初比であり、十六年度最終補正後との比較では、一・一%、四百六十四億円の増しか見込んでいません。景気の先行き不透明感から手がたく見込んだといえます。都債は三千六百五十八億円と、十六年度に比べて二四・二%、一千百七十一億円減となっていますが、通常債で見れば、二百八十七億円増の二千六百六十二億円となっています。
 いわゆる三位一体改革により、新たに七百三十五億円が歳入に計上されましたが、新たな負担が八百十二億円に達し、差し引き七十七億円の負担増となっています。さらに、法人事業税の分割基準の見直しで、平成十八年度より約六百億円の減収が見込まれています。自治体の自立につながる真の分権改革の結果による減収、負担増であるならばやむを得ませんが、今回のいわゆる三位一体改革も、単に国の負担を自治体に押しつけるものでしかなく、到底許せるものではありません。
 歳出においては、福祉と保健、都市の整備以外は軒並み前年比減となっており、福祉と保健の増四百四十二億円についても、いわゆる三位一体改革による国民健康保険都負担金等四百六十六億円の負担増によるもので、実質的には前年比二十四億円減といえます。
 こうした中にあっても、財政構造改革を進めつつ、都民生活の安全確保、都市機能の拡充、福祉・医療の充実、東京の産業力の強化などの課題に施策を厳選して重点的に予算を配分しており、とりわけ投資的経費を八・九%、五百十億円増の六千二百三十一億円とした点は、財政状況を勘案するならば、評価できるものになっています。
 都民福祉の向上を図るためには、単に福祉と保健の歳出増を図るだけではなく、そのための原資となる税源の涵養もまた講じていかなければなりません、とりわけ東京では、本年をピークに生産年齢人口が減少に転じ、十年後には総人口そのものが減少に転じるという歴史的転換点を迎えています。今後も、そうした中長期的視点に立った財政構造改革を進め、都民福祉の後退となることのないよう知恵を出し、工夫を凝らされるよう求めておきたいと思います。
 以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、都市整備局にかかわる事項について申し述べます。
 一、首都圏メガロポリス構想など都市の構造を大きな視点でとらえた上で、関係県市との連携、協働を図りながら、風の道、水の道、緑の道の創造、再生に向けた政策誘導型の都市づくりを積極的に展開すること。
 一、街区再編まちづくり制度として街並み再生方針の策定に取り組むとともに、景観形成を図るための街並みデザイナー制度の対象地区を拡大すること。
 一、密集市街地の防災性向上のため、東池袋地区などについて道路整備との一体的沿道まちづくりを行うこと。
 また、住宅の耐震化促進のための取り組みを強化すること。
 一、景観計画策定に当たっては、NPOや一般市民の参画のための工夫を行うこと。
 一、改正屋外広告物条例を適切に周知、運用し、地域の個性や魅力を生かした良好な景観の創出に努めること。
 一、事業化がおくれている都市公園の整備を進めるために、防災公園街区整備事業など民有地との一体的なまちづくり手法の導入や民設民営公園制度の創設、地区計画制度等への切りかえなど、緑を増加させる仕組みを構築すること。
 一、都市公園の整備として、個性豊かな都立公園や防災公園の整備を推進すること。
 また、日比谷公園や皇居前広場などが東京セントラルパークとして一体的に機能するよう関係機関と連携して取り組むこと。
 一、深刻化する踏切問題に対処するため、踏切対策基本方針に基づき、約三百九十の重点踏切について対策を実施、検討するとともに、現在の連続立体交差事業の事業採択要件の基準緩和を国に対して働きかけること。
 一、総合物流ビジョンを策定するとともに、西南部物流拠点の整備及び区部四拠点の再編整備に取り組むこと。
 一、羽田空港へのアクセス及び跡地開発方針等の調査検討を進めるとともに、横田基地については、引き続き離着陸実態調査を行うこと。
 一、東京外かく環状道路について、地上部街路や周辺まちづくりに関する調査検討を進めるなど、首都圏三環状の整備に向けて取り組むこと。
 一、首都高速道路公団への出資金等については、その必要性を十分精査し、東京都として主体的な判断のもとに行うこと。
 また、中央環状新宿線・品川線の換気塔については、自動車公害対策の進捗状況も踏まえて検討すること。
 一、マイカーからバスへの交通利用の転換を進めるためのバスロケーションシステムの導入や、バスの定時性を確保するための公共車両優先システムの導入を推進すること。
 一、東京臨海高速鉄道株式会社に対する財政支援を行うに当たっては、会社の収支計画を厳密に定め、都民への説明責任を果たすこと。
 一、地下駅における利用者の安全を確保するため、火災対策基準を満たしていない地下駅の整備を進めること。
 一、八ッ場ダムなどダム事業については、将来の水需要予測を踏まえた上で、地下水の利用転換などの検討を加え、事業の撤退、見直し、事業費圧縮を国に対して働きかけること。
 一、低廉な価格でより広い住宅を供給するための施策に積極的に取り組むこと。
 また、東村山市本町地区プロジェクトにおける実証実験においては、供給される住宅のコストと品質について適切な評価を行うこと。
 一、民間住宅への支援として、中古住宅市場の活性化に向けた取り組みをさらに充実させること。
 また、分譲マンション居住支援として、東京都としての分譲マンション建てかえ支援モデルを構築すること。
 一、民間賃貸住宅の敷金精算のルール化などを義務づけた賃貸住宅紛争防止条例について、周知徹底などにより制度の定着化を図るとともに、礼金・更新料ゼロ運動を展開すること。
 一、多摩の木材を活用した住宅供給の仕組みづくりについて積極的に取り組むこと。
 一、都民住宅が立地条件のよい地域において適正な家賃で供給されるよう都民住宅制度を再構築すること。
 一、公営住宅の東京都と区市町村とのアンバランスを解消するために、区市町村に対する公営住宅供給等助成などを行うとともに、百戸未満という基準にこだわらず、都営住宅を積極的に区市町村に移管すること。
 一、都営住宅の入居に当たっては、本当に住宅に困窮する低所得者が入居しやすくなるよう募集のあり方を見直すこと。
 また、認知症高齢者などグループホームとしての利用が進むよう運用の見直しを図ること。
 一、都営住宅の管理運営に当たっては、高齢化に対応し、自治会等の要望を入れ、既設団地へのエレベーターの設置を計画的、積極的に推進すること。
 また、高額所得者対策を進めるとともに、期限つき入居の拡大や募集方法の改善を図ること。
 さらに、自治会が集めている共益費について、透明性、公平性の確保に向けて対策を講じること。
 一、住宅供給公社については、改正地方自治法による指定管理者制度の創設も踏まえ、廃止や民営化も含めて検討すること。
 一、多摩ニュータウン事業として、広告活動や販売委託など宅地販売を推進すること。
 また、市街地再開発事業として、白鬚西地区や亀戸・大島・小松川地区において街路整備などを進めること。
 さらに、臨海部における広域幹線道路などの都市基盤について整備を進めること。
 一、北新宿や環状二号線地区における都市再開発においては、事業収支を適切、明確に示しながら、事業リスクの回避、事業スピードの向上、採算性のすぐれた事業展開を図ること。
 以上で、都議会民主党を代表しての意見開陳を終わります。

○曽根委員 日本共産党都議団を代表して、三議案について意見を述べます。
 平成十七年度の東京都予算は、福祉費の実質削減を初め、教育、環境、中小企業など都民施策の減額の一方で、石原都政の都市再生を一層推し進めるものであり、その中心は、三環状整備のためには都が出す必要のない費用まで負担し、道路事業の枠組みも破って促進を図るという首都高速道路品川線の街路事業化など大型道路整備や、都心中心に超高層ビルを乱立させる開発の推進を、容積率移転の対象拡大や都有地活用のプロジェクト促進、再開発の規制緩和などで一般の市街地にまで押し広げていこうとするものです。
 その一方で、多摩、二十三区ともに都民が強く求めている生活道路や歩道の整備、交差点や踏切の改善、公共施設の耐震化や個人住宅の耐震化への助成、公園や都営住宅など、生活密着型の公共投資は相次ぐ削減が行われています。
 この影響で、東京のまちは、都心を初めビル建設バブルともいうべき状態になりつつあり、環境面でも、ヒートアイランド、風の道の遮断問題、地球温暖化への負荷や大気汚染の深刻化、超高層や地下街の防災問題など、東京特有の都市問題が浮き彫りになっています。
 都営住宅は、引き続き新規建設はゼロ、建てかえもおくれがちであり、さらに指定管理者制度の導入などで公共住宅施策からますます撤退していくことは、都民の願いと逆行するものとして許されません。
 都市再生路線をこれ以上継続、拡大すれば、東京は、一極集中のさらなる加速で、大企業、多国籍企業優先のゆがんだ都市構造と、住宅や暮らしの面でも一般の庶民が住み続けられない都市となり、自然環境破壊や災害の危険などで、都民生活に取り返しのつかない大きな被害をもたらしかねません。
 日本共産党都議団は、予算全体の都市再生重点から、暮らし、福祉、中小企業、教育重点への転換とあわせ、大型開発にシフトした公共投資の生活密着型への転換を求める立場から、以下、主な点について要望します。
 一、都市再生偏重を改め、都市の成長をコントロールし、環境共生型のまちづくりを目指す立場から、人口、産業、環境、財政など多面的なアセスメントを実施すること。
 一、丸の内の地下歩道建設への都負担や大手町連鎖型開発、大橋ジャンクションの第二種再開発など、大企業優遇の開発を凍結し、再検討すること。
 一、街区再編まちづくり制度やしゃれた街並み条例などは、現居住者や商店が追い出されないよう、住民参加とその要望を尊重し、一方的な適用はやめること。
 一、三環状道路計画は、凍結の上、都民参加で再検討すること。
 一、羽田空港の再拡張は、財政、環境、安全確保の視点から、都民及び地元区の参加で慎重な検討を進めること。
 一、東京臨海高速鉄道株式会社への支援を見直すこと。
 一、自動車交通の総量抑制を目指し、実効ある交通需要マネジメント、TDMを総合的に進めること。
 一、交通不便地域、地域内での都民の足を確保するためにも、ミニバス整備やLRT導入促進を具体的に取り組むこと。鉄道駅のバリアフリー化、踏切の立体化を抜本的に促進させること。
 一、災害に強いまちづくりを進め、地下鉄や地下街の防災対策を総合的に研究、促進すること。
 一、公有地や工場跡地、未利用地など都心に残された緑を保全し、回復させる公園づくりなどを促進すること。
 一、過大な水需要計画を下方修正するとともに、水資源開発計画を再検討すること。八ッ場ダムなど現行計画に基づくダム建設など、過大な投資を中止し、見直すこと。また、水循環マスタープランの具体化を促進すること。
 一、都市型水害の増大を踏まえ、国、区市町村、民間とも連携し、総合治水対策を本格的に推進すること。
 一、都営住宅の新規建設を再開し、建てかえや住宅改善、エレベーター設置を抜本的に拡充すること。
 一、都の公共サービス放棄につながる、指定管理者制度による民間企業参入の公募制導入は中止して再検討すること。
 一、都営住宅家賃の免除制度を復活させ、原爆被爆者の減免を実施すること。また、申請手続を簡素化し、手続が困難な高齢者、障害者等には自動的な減免を適用すること。
 一、都営住宅家賃への老年者控除や公的年金控除の廃止など、国の税制改定の適用は当面見合わせること。
 一、東京の実態に合った明け渡し収入基準の引き上げを国に働きかけ、都独自に基準上乗せを復活すること。
 一、青年や新婚向けの都営住宅の入居制度の改善と拡充を図ること。
 一、民活手法による都営住宅用地の開発や先行まちづくりプロジェクトなど、都営住宅用地を都市再生に提供するのはやめること。
 一、都営住宅建てかえ、大規模団地再生計画、住宅改善、スーパーリフォームなどは、住民の意向を尊重し、建てかえ後も住み続けられるよう、従前戸数はもとより、戸数増や地元公共施設の建設を図るとともに、コスト縮減の名で居室面積を縮小しないこと。計画修繕やエレベーター設置予算を増額すること。
 一、低・中所得者、高齢者、若年ファミリーなどの住宅供給計画を立て、都民が負担可能な家賃で入れる応能型の公共住宅を具体化すること。若年者などへの家賃補助制度を創設すること。
 一、公社住宅については、近傍同種家賃を見直し、三年ごとの家賃改定ルールを中止し、低所得者などへの減免制度を拡充すること。また、建てかえ住宅への定期借家制度の適用や従前居住者制度の改悪を行わないこと。
 一、高過ぎる都民住宅の家賃を引き下げ、空き室を借り上げて、若年者、失業者向けに低家賃で提供するなど、有効活用を図ること。
 一、都内マンションの実態調査を行い、建物の構造、維持管理水準や積立金、耐震、安全、省エネなどで優良なマンションを都民に公表すること。
 一、マンションの無料耐震診断や耐震補強工事への独自助成、大規模改修や建てかえなどについて公的助成と長期低利の融資制度を都独自に設けること。
 一、マンション問題の総合窓口の体制と、区市町村への支援を強化すること。
 一、木造個人住宅の倒壊、延焼を防ぐために、耐震耐火補強工事への助成を実施すること。木造密集地域の整備を促進し、木造リフォーム支援制度を創設すること。
 以上です。

○和田委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
 なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出いたしますので、ご了承願います。
 以上で予算の調査を終わります。

○和田委員長 次に、付託議案の審査を行います。
 第六十八号議案から第七十五号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、いずれも質疑を終了しております。
 この際、本案に対し発言の申し出がありますので、これを許します。

○曽根委員 本委員会に付託されております第六十八号議案から第七十五号議案までについて、日本共産党都議団の意見を述べます。
 第六十八号議案は、屋外広告物条例の一部改正ですが、屋外広告業に登録制を導入して、中小零細業も含め、約四千件に新たな負担を課すことになります。また、商店街などの屋外看板やのぼり、置き看板など、商店街のにぎわいなどのために設置されているものまで必要以上の規制がかけられ、過料を取られる危険性もなしとしません。よって、本条例案には反対します。
 第六十九号議案、都市整備局関係手数料条例の一部改正は、景観地区内の建築制限を緩和する問題とともに、何よりも特例容積率制度による容積率の移転が商業地域以外の一般地域で広く認められるため、民間ディベロッパーによる乱開発の引き金になりかねません。良好な景観や住環境を保全すべき地域がめちゃめちゃにされる危険があり、反対いたします。
 第七十号議案から第七十五号議案までは、都営住宅などに指定管理者制度を導入するための条例改正です。長期にわたって計画的、安定的な維持管理が不可欠な都営住宅に、短期間の契約更新を通例とする公募制の指定管理者制度の導入は不適切であり、民間営利企業が指定された場合、現在の公社委託費の約三割弱が指定管理者の裁量となり、地域の中小零細業者がその分野から締め出される危険もあります。また、居住者にとっても、公共の住宅サービスが改善される保障はなく、むしろ経費削減と企業利益が優先されれば、都営住宅事業の一層の予算削減とサービスの実質低下、さらには都が住宅部門の公共サービスからますます撤退することになりかねません。
 よって、少なくとも制度上可能な公社への指定管理を行いながら、より慎重な検討が必要です。今回の性急な民間への開放の提案には反対いたします。
 以上です。

○和田委員長 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 第六十八号議案から第七十五号議案までを一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○和田委員長 起立多数と認めます。よって、第六十八号議案から第七十五号議案までは、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○和田委員長 次に、請願陳情及び特定事件についてお諮りいたします。
 本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○和田委員長 この際、梶山都市整備局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○梶山都市整備局長 一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 このたびの定例会に提案いたしました議案につきまして、ただいまご決定をいただきました。
 和田委員長を初め委員の皆様方には熱心なご審議を賜り、まことにありがとうございました。
 ご審議の過程でいただきましたご意見、ご指摘などにつきましては、今後の事務事業の執行に十分反映させ、万全を期していきたいと思っております。
 今後とも、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、大変簡単でございますが、お礼のあいさつとさせていただきます。
 まことにありがとうございました。

○和田委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時三十八分散会

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