都市整備委員会速記録第十五号

平成十六年十二月十日(金曜日)
第六委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十四名
委員長和田 宗春君
副委員長矢島 千秋君
副委員長曽根はじめ君
理事長橋 桂一君
理事川井しげお君
理事吉野 利明君
新井美沙子君
相川  博君
東野 秀平君
樋口ゆうこ君
いなば真一君
立石 晴康君
渡辺 康信君
大西 英男君

 欠席委員 なし

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長中路 有一君
技監小林 崇男君
技監杉浦  浩君
総務部長村松  満君
都市づくり政策部長森下 尚治君
住宅政策推進部長安藤  明君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
連絡調整担当部長加藤 英夫君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
外かく環状道路担当部長道家 孝行君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事小山  隆君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事安井 順一君
参事石井 一夫君
参事庄司 静夫君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 意見書について
 都市整備局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百三十二号議案 東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業施行規程
・第二百三十三号議案 東京都市計画事業亀戸・大島・小松川第二地区第一種市街地再開発事業施行規程等の一部を改正する条例
・第二百三十四号議案 東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例

○和田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、意見書について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、意見書一件を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件につきましては、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたします。

○和田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の付託議案の審査を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百三十二号議案、東京都市計画事業大橋地区第二種市街地再開発事業施行規程から第二百三十四号議案、東京都都市整備局関係手数料条例の一部を改正する条例までを一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○村松総務部長 十一月二十九日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております資料1、都市整備委員会資料(十一月二十九日要求分)の表紙をお開きください。
 東京都施行第二種市街地再開発事業の経緯と事業費でございます。都施行の第二種市街地再開発事業である六地区について、事業の経緯と事業費を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○和田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○渡辺委員 大橋地区の開発問題について、お伺いをしたいと思います。
 まず、大橋地区の開発計画の目標について、最初にお伺いをしたいと思います。

○石井市街地整備部長 大橋地区の開発の目標ということでございますが、大橋ジャンクションは、高速道路ネットワークを形成する上で極めて重要な施設でございます。本ジャンクションは、この地域のまちづくりに大きくかかわることから、その整備に当たりましては、定住性の確保はもとより、周辺環境に配慮した、にぎわいのあるまちを実現していく必要がございます。
 また、地元あるいは地元区もそれを期待しております。このため、ジャンクション整備と一体となったまちづくりを再開発事業により実現することといたしたものでございます。

○渡辺委員 次に、このジャンクションを含めた再開発計画ということで今話があったわけですが、これはなぜ都施行で行わなければならないのかということについてもお答えいただきたいんです。

○石井市街地整備部長 この事業を都施行で行う理由でございますが、これは大きく三点あろうかと、このように思っております。
 まず第一に、何といいましても、中央環状新宿線を平成十八年度に供用する、これに向けまして早期に再開発事業を進める必要があるといった事業の緊急性がございます。次に、この事業は、大変難しい工事でありますジャンクション整備と一体的に、さまざまな工程調整などを経て進めていかなければならないという事業の困難性がございます。第三に、従来から東京都施行の再開発事業の実現を、先ほども申し上げましたけれども、地元及び地元区が強く期待し、求めてきたこと。こうしたことから総合的に判断いたしまして、都施行による再開発事業を実施することとしたものでございます。

○渡辺委員 三点ということで出されましたけれども、一つは、平成十八年開通の中央環状新宿線の開通に合わせなければ、いわゆるジャンクションのループもできない。これができなければ車の出るところもないと、こういうことで都施行でやった方が早いと、こういうことですよね。
 同時に、この未買収用地の地権者に対する補償と、一体的開発の中での権利床の補償、こういう手法の方が早く実現できるだろうと、こういうことで考えたからこそ、都施行ということになったのではないかというふうに思うんですね。
 それにしても、都が行う開発で、なぜこんな高いビルが必要なのかということがやはり問われなければならないというふうに思うんですが、これについてはどうでしょうか。

○石井市街地整備部長 なぜそんなに高いビルが必要なのかというお尋ねかと思います。重要性、緊急性のあるこの再開発事業を大変限られた敷地で実現していくためには、財政面から事業の成立性を担保していくことが最も重要でございまして、確実な事業執行を進めていく上で、補助金以外に、保留床の処分金による収入の確保が不可欠でございます。そのためには一定の保留床が必要であります。
 一方、容積を大きくとれば、財政的には安定いたしますが、日影等の影響が大きくなるということがあるわけでございます。
 こうしたことから、財政面からの事業の成立性と建物の最小限の容積というものを求めた結果、現在の計画となったものでございます。
 また、グレードの高い市場性や魅力ある建物とするとともに、タワー状の建物にし、できるだけ敷地の南側に建物を寄せていった方が日影の影響が少ないといったようなことも考慮いたしまして、高層ビルとしたものでございます。

○渡辺委員 財政面からのことと、それから高さも最小限という話ですけれども、実際に全体としては三・八ヘクタールの区域面積ですよね。その中で敷地面積というのは〇・九ヘクタール。そういうところに、例えば大きなものが二棟あると。一棟は高さ百六十メートルで四十一階でしょう。もう一棟は二十五階建て。この両方を合わせると、延べ床面積は十万平方メートルでしょう。
 先ほどもちょっとお話がありましたけれども、例えば高さの最小限度ということをいいましたけれども、そうすると、もっと敷地があれば、もっと高いということを考えておられたんですかと、こういうふうにやっぱり聞きたくなるわね、実際に。だけれども、そこは別として、いずれにしても、こういう九千平方メートルのところに、今申し上げた高さ百六十メートルという、そういう大きなものを、そしてもう一つは、それに同レベルといっても決して不思議なことじゃないんだけれども、そういう大きなものを二つつくるということ自体、私はいろんな問題をやっぱり引き起こすことになるんじゃないかというふうに思うんですよ。
 もう一度聞きますけれども、なぜこんな高い建物と、それから十万平方メートルというような床面積の大きなビル、こういうものをつくらなきゃならないのかということを、あえてもう一度お聞きしたいんです。

○石井市街地整備部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、容積につきましては、事業の採算性を考慮していくと、そういった容積が必要になってくるということでございます。
 それから、高さにつきましては、できるだけ細くして、そして日影の影響を小さくしていこうと。そのために、建物をもちろん南側に寄せますし、ですから北側には空地があくわけですけれども、そういう状況の中で、細長く高いものをつくって、日がぐるっと早く回っていくような、そういうつくり方をしていこうと、こういうことでできた高さでございます。

○渡辺委員 そういうふうにいうけれども、できるだけ細く高くしたと、こういう話だけれども、敷地がそれしかないんだから、それ以上建てられるはずがないじゃないですか。あのループ状あるでしょう。そのループを削って建てるというんだったら話は別だけれども、この図面で見る限りでは、これは目いっぱい建てている内容じゃないですか。そういうことからいうと、ちょっとそこは違うというふうに思いますよ。いずれにしても、百六十メートルという高さ、これがやはりいろんなところに被害を与えて、そしてまた迷惑を与えて、いろんな問題が出ているということなわけですよね。
 私、聞きますけれども、ここに東急バスのように、この事業区域内には築年数で浅い、いわゆる十年、十一年という、そういうような、まだ本当に浅いビルも含まれていると。そういう建築物をこの開発区域から除外して、そして効率的な手法でもって住みよいまちづくりをつくっていくということはできなかったのかというふうに私は思うんです。こういう先ほどのようなやり方では、都施行の再開発といっても、民間と全く変わらないというふうにしか考えられない。そういうことで、とにかく今申し上げたような、繰り返しますけども、この東急というものを事業区域から外して、そして効率的なまちづくり、これは考えられなかったんですか。

○石井市街地整備部長 区域のとり方の話かと思いますけれども、再開発事業は、道路などに囲まれました、一体となった区域につきまして公共施設や市街地の整備を行い、土地の合理的かつ高度利用を図るものでございます。大橋地区では、ジャンクションに直接かかる地権者と、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、ジャンクションに接することとなる周辺の地権者との両者から強い事業化の要請があったため、一体となった区域というのをとりまして、その区域における事業の採算性と効率性を検証し、現在の区域で再開発事業を実施することとしたものでございます。
 また、お話しの東急バスの本社ビルは区域の南側の方にありますことから、これを事業区域に取り込むことによりまして、先ほどお話ししましたように、再開発ビルを南側に寄せることができ、日影の影響を小さくすることができるというメリットもございます。

○渡辺委員 東急が南側にあるからということで、それを取り込むことによって南側に寄せられるという、それはもう最初からそこに大きなものを建てるという考え方に立つから、そういうことになるわけでしょう。私が聞いているのは、そうじゃないんですよ。東急という、そういうものを除外して、そのほかにいろんなやり方はあったんじゃないですかと、こういうことはどういうふうに考えているんですかということで、その考えてきたことに対してはどうですか。なかったんですか。

○石井市街地整備部長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、再開発事業の区域のとり方というのは、道路などの一体となった区域について事業を行うものということになってございまして、敷地の途中で切るとか、そういうことはできません。お話しの東急バスのビルは両側とも民地に囲まれているところでございますので、それを一体的に取り込んで、どこまで取り込んだら事業が成立するか、その採算性と効率性を含めて検討したものでございます。

○渡辺委員 何回聞いても同じでしょうけれども、いずれにしても、この再開発というのは、東京都がやる再開発なんですから、民間と同じようなやり方というのはやっぱりなじまないと思うんですよ、私。ですから、しつこいようですけれども、先ほどから、東急という企業を除いて開発した方がいいんではないかと、いろいろ考え方としてはあると思うんですよね。
 そこで、先に進みますけれども、この開発に当たって、この事業に特定建築者制度というものを導入しておりますけれども、これはどういうことでこの制度を導入したんでしょうか。

○石井市街地整備部長 特定建築者制度と申しますのは、民間事業者が都の決定した計画に従いまして、施行者でございます東京都にかわり、再開発ビルの建設と保留床の処分を可能とした制度でございます。
 この制度は、これまでの直接東京都が事業をしてきた再開発事業でかなりの事業費がかかった、期間がかかったというようなことの反省を踏まえまして新たに導入することとしたものでございますが、そのねらいは、事業のスピードアップ、そして総事業費の抑制、保留床処分のリスク軽減。私ども、保留床を売るというのは必ずしも得意でございません。精いっぱいやってまいりましたけれども、必ずしも得意でございませんので、そうしたものを、民間の事業者の力をかりて軽減を図っていこうというようなこと、そういったメリットがこの制度にはございます。このため、大橋地区におきましても、特定建築者制度の導入を前提として検討を進めているところでございます。

○渡辺委員 東京都は、この再開発に当たって、用地の買収から、あるいは立ち退きの補償、いわゆる、あらゆる建物についてのクリアランスを行って、そして地権者の権利床を補償するビル、これは二十五階建ての方の事業費、これと四十一階建ての部分、一部分ということかもしれませんけれども、基本的には、今申し上げた二十五階建ての部分と、それからもう一つの四十一階建ての本当に一部分、それを使うということで、地権者の権利床、こういうものは補償できるというふうにお聞きしているわけですよね。それにもかかわらず、この特定建築者制度というものを導入する意味というのは、私はよくわからないというふうに思うんですよ。
 そこで、もう一つ聞きますが、この特定建築者制度では、どこの建設業者がこれから入札されるかわかりませんけれども、クリアランスしてきれいにして、そして建設業者を迎え入れるということにしかならないと思うんですね。これは言葉は悪いかもしれないけれども、この企業にもうけさせるだけのものでしかないというふうに私は思うんですよ。ですから、今でも決して遅くないんで、この四十一階建てというこの問題については再検討すべきではないかというふうに私は思うんです。そういうことについては、どのようにお考えなんでしょうか。

○石井市街地整備部長 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、特定建築者制度というのは、先ほどお話ししたとおりでございます。
 また、今後進めてまいります権利の確定などについては、事業施行者である東京都の責任のもとに管理処分計画を策定し、権利者に縦覧した上で、再開発審査会の議決を経るなど、公平、公正かつ透明性を持って行ってまいります。
 したがいまして、特定建築者制度の導入によって企業がもうかるとかという話ではなくて、事業全体のコントロールはどこまでも東京都がやってまいりますので、保留床処分の先ほどのリスク軽減、事業のスピードアップ、総事業費の縮減といったメリットを導入する、こういうことを期待して進めてまいるものでございますので、ご指摘のような懸念はないと、このように考えております。

○渡辺委員 先ほどもちょっといいましたけれども、地権者のいわゆる権利床というのは、二十五階建ての方で十分これは間に合うわけでしょう。四十一階の方に若干部分は入るということはあるかもしれない。しかし、四十一階建てということじゃなくても、これ、東京都の施行じゃなくて、第一種市街地再開発事業だってあるわけだ。こういうことでは、お互いに高さを低くして、そして自分たちの権利床をもらいながら、なおかつ保留床だってつくれるということはあり得るですよ。そうすれば、あんな高いビルを建てる必要はないと思う。
 だから私は、最初から、新しい、いわゆる特定建築者を迎え入れるというやり方じゃなくても進められたんではないかと。幾らスピードアップとかなんとかいっていましたけれども、そういうことだけで、やはり地域の住環境というものを阻害するような、そういうことであってはならないと、私はそう思うんですけれども、どうでしょうか。

○石井市街地整備部長 第一種の市街地再開発事業というのは、買収方式を伴わない、単純な、床と建物の等価交換方式の事業でございます。それであっても、第二種の市街地再開発事業、これから東京都が進めていく事業は第二種市街地再開発事業でございますが、これとは基本的な考え方は変わっておりません。したがって、事業の採算性をとるという意味では全く同じでございまして、そこでの差というのはないと思います。で、東京都がこの事業を進めることで公平性、公明性をより担保していくということと、先ほどから申し上げましたように、大変大きな公共施設の整備を伴う事業でございますので、これは都施行でやるのが、第二種でやるのが望ましい、そういうことで判断しているものでございます。

○渡辺委員 これはやってみなきゃわからないという問題もありますけれども、基本的には第一種市街地再開発事業ということと都施行と同じだという話がありましたけれども、これは、私は同じということにはならないと思いますよ。それは具体的に計算していないから、どうなるかというのはここではいえませんけれども、私は、そういう違った手法でやったら、この四十一階建てというのは、これはもう少しやっぱり低くして、地元の人たちの要望にこたえられたんじゃないかという感じはしないわけじゃありません。その点は申し上げたいと思います。
 もう一つは、都施行ということで、中央環状新宿線の開通という、これに合わせるということだから都施行でやったという答弁がありましたけれども、本当に私はそこが最大の問題だと思うんですよね。もう単純に、簡単にこの事業を完成させることができるということで都施行にしたということだと思うんで、その辺は、やはりもっと地域の人たちのために、そしてまた周りの人たちのことを考えてまちづくりを進めるというんだったらば、もう少しほかの考え方があったのではないかと、こういうふうに思います。
 次に聞きますけれども、十月二十八日の当委員会で、我が党の曽根議員の質問の中で部長がお答えしましたけれども、ジャンクションのみでなく、周辺のまちづくりとして一体的に取り組んでいきたいというふうな答弁があったんですよね。それで、あえてもう一回お聞きしますけれども、この開発というのは、単なる開発区域内の問題だけでなくして、再開発地区周辺のまちづくりもやっていくんだと、一体的に取り組んでいくんだと、こういうことは今でも変わっておりませんか。

○石井市街地整備部長 大橋地区につきましては、私どもがこれから事業を進めようとしております再開発区域を含めた半径三百メートルぐらいを対象といたしまして、現在、地元の目黒区が大橋一丁目周辺地区整備構想というのを定めております。したがいまして、今後、この構想に基づきまして、再開発事業を契機としたまちづくりが、地元目黒区が主体となって進められていくと、このように考えておりまして、私どももそれに協力していくということになろうかと思います。

○渡辺委員 なぜそういうことを聞いたかといえば、この周辺のいわゆるまちづくりというか、人たちの影響を考えていかなければならないというのはいうまでもないわけですけれども、特に今回のこの問題については、このすぐそばにあるところの保育園、それから都営住宅等々の方々の強い要望となっているところの日影問題ですね。
 この日影問題について、一つは、これまでいろいろ地元の方とお話をされてきたと思うんですけれども、東京都の立場というのは、日影補償というのはないということ、これは一貫してそういう方向で来ておるわけで、それは理解しています。しかし、保育園の園庭に係るところのいわゆる日影問題、これが大きな問題になっていますよね。それで、この園庭に係る日影の問題については、東京都と直接話してどうだこうだということはないかもしれない。しかし、実際問題として、先ほどもいいましたけれども、特定建築者、今度はその人にゆだねられるわけでしょう、このビルを建てる問題については。したがって、どこがなるかわかりませんけれども、改めて決まったら、その建築業者と日影問題について、地元住民あるいは保育園と、こういうところでの話し合いをさせるということについてはどのようにお考えになりますか。

○石井市街地整備部長 特定建築者は、先ほどから何回もお話しして大変恐縮ですけれども、民間事業者が都の決定した計画に従って、施行者である都にかわりまして再開発ビルの建設を行うことと、保留床の処分を行うことをその主な仕事としているわけでございます。このため、再開発事業の進捗に大きくかかわる内容や、区域内権利者の権利にかかわる事項などにつきまして、権利者や周辺住民と調整を要する場合には、施行者である都が責任を持って行うべきと、このように考えております。
 しかしながら、ちょっと私の理解が足りないのかもしれませんけれども、委員がお話しになった、特定建築者に対して地元と合意できるような、そういう何か方法を都から具体的に提案するというようなことは、いかがかなというふうに考えております。

○渡辺委員 いかがかなじゃないんですよ。確かに、それは責任を持って全部施行させるということだから、東京都が責任を持つということはわかりますよ。しかし、実際問題として、その四十一階建てという建物はだれが建てるのか。Aという特定建築者、そのAという業者が建てるわけでしょう。それで、そこで一定の利益を上げるわけでしょう、実際問題として。そうしたら、そのために日影が落とされる、保育園の園庭が暗くなる、日影になる。こういう問題なんだから、東京都はあくまでも管理施行はするということなんだけれども、具体的な日影の問題といったら、要するに建築業者とその住民と、そして保育園と話をさせるということぐらいやったっていいじゃないですか。もちろんそういう申し入れが東京都に来るんじゃなくて、業者の方に、どこかわからぬけれども、Aということに決まったら、そのAという企業と話し合いをさせる。そういうことで、例えば住民や保育園の方から話が持ち込まれた場合に、それを拒否するということじゃなくて、それに対しては積極的に対応していくと。そして、住民の要望にこたえていくというようなことはやるべきだと。そういうことで東京都としてはやはり話し合いをセッティングさせるという、そういうことは必要なんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺はどうですか。それもできないというんですか。

○石井市街地整備部長 私が少し理解が足りなかったのかもしれませんけれども、通常、工事などを行うときには、当然建築業者が地域に入って、これからの仕事についていろいろご説明するというような機会が当然にしてあろうかと思いますので、そういった形での場のセッティングというようなことは考えていけるかと、このように思っております。

○渡辺委員 そういうことで、業者が決まったら、地元の方からそういう申し入れがあったということになったら、積極的に東京都としてはそのセッティングのために骨を折っていただきたいと、こういうふうに思います。これは今の答弁で確認をさせていただきますけれども、よろしくお願いしたいと思うんです。
 それから、もう一つ問題は、これは何といったらいいのか、図面を持っている人じゃないとわからないんですけれども、地元から出されている問題というのは、今、保育園と、それから図書館があります。その保育園と図書館の間に細い階段がありますけれども、この階段を整備してほしいということが一つあります。
 もう一つは、その図書館は区立ですけれども、この建物が老朽化しているという話もお伺いしていますが、建てかえるに当たって、できれば二階建てにしていただいて、そして保育園の園庭と通じるような形にさせてもらいたいなと、こういうような要望が強く出されておるわけなんですね。
 したがいまして、これは東京都の施設ではありませんし、また、東京都のこの開発とは直接絡んではいないということもありますけれども、先ほどいいましたように、日影の問題ではかかわりが出てきて、しかも日影の関係で今申し上げたような老朽化しているこの図書館、ここのところの建てかえということに当たっては、二階建てということにして園庭と結びつくようなそういうものにしてほしいと、こういうことですから、ぜひそれは区の方にひとつ働きかけをしていただきたいと、こういうことでお願いをさせていただきたい、こういうふうに思うんですね。これは答弁は要りません。
 最後にもう一つ、いわゆる都営住宅の中にある集会施設ですね。これがやはり狭いということもあって、何とかもう少し広げることができないのかという問題が一つございます。これはどうなのかということが一つ。
 もう一つ、それがどうしても難しいということであれば、いわゆる四十一階建てのビルの中に、これは地権者の権利床として、あるいはまた保留床としてあるわけですから、その部分については地元のそういう皆さんの、地元の人たちは町会事務所という話をされておりましたけれども、そういう集会施設というんでしょうか、町会の事務所というんでしょうか、そういうものを何らかの形で提供してほしいと、できないかと、こういうことですけれども、これらについて新たに決まるところの建築業者、こういうところとの話し合いはできるんでしょうか。

○石井市街地整備部長 委員からの大変具体的なご提案でございますけれども、都といたしましては、こういった件については現段階でとても対応できる話ではございません。

○渡辺委員 これも先ほどの日影問題じゃありませんけれども、建築業者が決まった段階で話し合いを持ち込まれた場合、そういうことで、これも一つは、東京都としては労をとるということは考えられないのか。
 もう一つは、地権者の方々の協議会がありますね。こういう地権者の方々に対しても、そういう地元町会あるいは自治会からそういうものが要請された場合に、同じように労をとってもらうということはできないのかと。こういうことについてはどうですか。

○石井市街地整備部長 先ほど来お話ししてきてございますように、工事の内容などについて工事説明会等を行うということは、これは当然これまでもやっていることでございますから、そういう場は設けますけれども、今のような、何というふうに私申し上げていいのかよくわからないんですが、そうした条件のもとに何か事業をやらせるとか、やらせないとか、そんなようなことは、この段階ではとても私の方からは申し上げることはできません。

○渡辺委員 これから、いわゆる事業説明ということになって話し合いが行われるだろうというふうに思うんですよ。それで、一般的にはそういう話というのはできるわけでしょう、今度のこの問題じゃなくて。ほかの一般的なそういう建築会社との話し合いというのは、どちらかというと、そういう集会所的な、あるいは町会事務所的なものというのは、これは要求されて話し合いをするというのは、これはどこへ行ってもあることですよね。今回については、東京都がそういうことで施行にすべて責任を持っているということだから、なかなか難しいという立場なんだと思いますけれども、これからの事業説明会という中で、そういう要求は当然出てくるだろうと思います。
 そういうときに、やはり東京都が、やれということはいえないかもしれないけれども、事業を積極的に推進するという立場からいえば、それはある程度、このまちの中の本当に、先ほど答弁がありましたけれども、まちのいわゆる再建、そしてまた近隣住民との関係も含めた一体的な開発、そういうことで住みよいまちづくりと、こういうふうにいっているわけですから、その立場に立って、ある程度業者に対しても積極的に指導する、指導するといったらちょっと行き過ぎかもしれないけれども、そういうサジェスチョン的なものが必要なんじゃないかというふうに私は思います。
 そういう点では、これからの問題ですけれども、できませんという答弁だけじゃなくて、やはりそれだけの建物を建てるということで東京都が決定して、それを進めようとしているわけですから、そういう点では東京都は絶対に責任ないなんていうことはいわせませんよ。そういう点で、ぜひひとつ積極的に対応してもらうということで強く要望して、私の時間がもう来ましたので、終わりたいと思います。

○新井委員 それでは私も、大橋地区市街地再開発事業の施行規程について質問させていただきます。
 まず、環二のときの施行規程の質疑の際にも申し上げたんですけれども、日本の都市再開発法によりますと、施行規程は地方公共団体の議会で条例として定めていくけれども、事業計画そのものは施行者が定めて、国土交通大臣の認可を受ければいいということになっております。議会が関与できるのは、この施行規程だけということで、こういう資金計画も含めた事業計画の審議なしで施行規程のみを議決するということについては、私としては疑義を感じざるを得ないということを、まずもって申し上げておきたいと思います。
 それでは、まず地元区及び周辺住民への事業の説明状況と、その事業の進捗状況はどんなふうになっているでしょうか。

○石井市街地整備部長 地元及び周辺住民への事業の説明状況と、その事業の進捗状況ということでございます。
 東京都は、現地に事務所を既に開設しておりまして、その事務所におきまして、地元権利者と毎週のように話し合いを行いまして、事業計画案を作成してきております。また、周辺の住民の皆さんに対しましても、必要に応じまして説明会の開催をしたり、個別対応などをきめ細かく行ってきました。
 この十一月には、事業計画案の地元説明会を二回行いました。そうしましたところ、延べ百名の参加をいただきまして、特段の修正意見もありませんでしたことから、この案に対する基本的な理解が得られたというふうに考えておりまして、そういったことを前提に事業は今後進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
 事業の進捗状況でございますけれども、十一月三十日に事業計画図書の縦覧を終えまして、現在、意見書を受け付けているところでございます。今後、年度内の事業計画決定に向けまして手続を進めてまいります。

○新井委員 地権者だけではなくて、周辺住民の方に対しても説明会を行ってきているということですけれども、これまでこの計画に対して、都の方にいろいろな要望書、区長、区議会、さまざま出ていると思うんですけれども、それらの要望がどのようなもので、それに対して都がどんなふうな対応をしていくのかということについて伺いたいと思います。

○石井市街地整備部長 平成十五年三月に目黒区議会より、目黒区大橋地区の環境改善を求める意見書というものが知事あてに提出されております。
 その内容をかいつまんでご紹介いたしますと、ジャンクション建設と大橋地区のまちづくりを契機として、環境をこれ以上悪化させない、むしろ改善するため、緑化の推進などの具体的な環境対策の実施を求めているものでございます。
 これに対する都の対応ということでございますけれども、再開発事業で設置する広場や歩道、そして再開発ビルの屋上の緑化を積極的に進めまして、環境に配慮したまちづくりを行っていく所存でございます。
 また、このジャンクションが周辺と調和のとれた施設となりますよう、目黒川沿いの緑化や、ジャンクションの上部がふたがかかりますので、その上部を活用した、人が歩いたり憩える緑化空間づくり、あるいは、ジャンクションのループ内に生じます空間の活用策などにつきまして、地元意見を聞きながら、首都高速道路公団や目黒区と十分連携し、検討を進めていくつもりでおります。

○新井委員 ぜひ地元から出てまいりました屋上緑化、壁面緑化、それからオープンスペース、大気汚染ということにつきましては、十分に都の方も配慮していただきたいというふうに思います。
 それから、この再開発のすぐ近くなんですけれども、中目黒駅周辺に今、区決定の組合施行の再開発があって、それから財務省の公務員住宅の新築計画があったり、たくさんのマンションが建ったりとかしているわけなんですけれども、それぞれ一つ一つは個別には問題がないだろうというふうにとらえられた場合でも、全体としてどうなのか、まちづくりとして考えた場合にどうなるかという視点があると思うんですけれども、今回この計画も含めた周辺の計画とあわせて、社会資本整備などに関しての連動といいますか、連携というものはとられているんでしょうか。

○石井市街地整備部長 目黒区は、今年の三月に都市計画マスタープランというものを策定してございます。その都市計画マスタープランにおきましては、大橋地区を含めた区内の四地区、大橋以外には中目黒駅の周辺であるとか、目黒駅の周辺であるとか、自由が丘駅周辺でございますけれども、そうした四地区を広域生活拠点として位置づけておりまして、この四地区の整備構想を具体化する作業を現在進めております。
 一方、目黒区はかなり以前から、この大橋地区のジャンクション整備に当たりましては、ジャンクションと一体となったまちづくりを行う必要があるというふうに認識しておって、再開発事業によるまちづくりを都や関係機関にずっと求めてきたわけでございます。
 そういうことでございますので、大橋地区再開発事業は、こうした状況を踏まえますと、繰り返しになりますが、本年三月に策定された区の都市計画マスタープランには既に織り込まれているというふうに私は認識しているところでございまして、お話しの中目黒駅周辺の再開発など全体を見た事業との関連づけがとられていると、目黒区全体のまちづくりとの整合が図られているというふうに考えているところでございます。

○新井委員 今のご答弁ですと、個別具体に連携をしているというわけではないけれども、マスタープランの中でそれぞれの再開発事業、大きい事業はとらえられているので、問題はないであろうということですね。やはりこういう大きい計画が幾つか同時並行ということになりますと、例えば駅とか、それから福祉施設とか病院とか保育園とか、そういう社会資本整備というところでそごが出てきてしまうのではないかというふうな心配があって聞いたわけなんですけれども、それについては一応マスタープランということの中で、区も合意してやっているまちづくりだということで確認をさせていただきたいというふうに思います。
 それでは、事業計画の中の資金計画についてお伺いいたしますけれども、今回のこの再開発事業の総事業費と、それからその内訳、そして財源内訳についてお伺いしたいと思います。

○石井市街地整備部長 大橋地区再開発事業の事業費でございますけれども、この事業費は、お手元に先ほどお配りした資料には百八十億円と書いてございますけれども、これは事務費などが含まれておりませんで、事務費を含みますと百九十億円というふうになります。
 そしてその内訳でございますが、権利者に引き渡す床部分の施設建築物の工事費用、権利床となる建築物の工事費用でございますが、これが七十億円、区域内の用地取得や補償に要する費用が約百億円、その他権利変換に要する費用や事務費などで約二十億円でございます。
 一方、その財源内訳でございますけれども、国庫補助金が約十二億円、都の負担金が約四十四億円、それから保留床処分金が約百三十四億円を予定してございます。

○新井委員 この再開発事業でちょっとお伺いしまして、事前に資料でいただいたんですけれども、非常に金額が少なくてびっくりしまして、どういうことかなと思ったんですけれども、これは都民のだれが見ても、大橋ジャンクションをつくることで周辺の再開発をしていこうということで、切っても切り離せない事業であるわけですよね。
 ところが、ジャンクションのループの部分は首都公団の事業で、しかも東京都が所管しているのは建設局ということで、こちらの局ではないということでご答弁がいただけないようなんですけれども、首都高速の方の道路の事業費を伺ってみたんですが、財源内訳がなかなかはっきりしないわけなんですけれども、支出としましては、高速道路建設事業費、社会資本整備事業費、環境事業費等含めて、これは内訳でいいますと、国の出資金、それから東京都及び首都圏の出資金、横浜、川崎などの市の出資金とかたくさんあって、その中から出てきているわけなんですけれども、そういうものも含めてループのところのジャンクションの総事業費そのものは八百三十億かかるということなんですね。ですから、この八百三十億の事業費と、それから約百九十億の今ご説明のあった再開発の事業費と合わせて、一千二十億円の事業であるということなんですよね。
 これは都民の目から見ると、ジャンクションのところとその周辺の整備というのは一体となって行われるわけですので、そのために東京都もやるわけなので、この費用を聞いて事業が全然別個に行われているんだということが初めて私はわかったわけなんですね。こういうふうに非常に大きい事業であるにもかかわらず、資金計画などにつきましても、非常に透明度が低いといいますか、私自体は、ここのジャンクションと再開発については必要な事業というふうにとらえておりますけれども、こういったものについては周辺の住民の方にもきっちりと、一体として総事業費を含めてお示しをして、そして討議をしていくというふうな、そういう姿勢がやはり都に必要であったのではないかというふうに思いますので、そのことをまず指摘させていただきたいと思います。
 首都高速の事業費については、これは事業をやる場所が違いますので、詳しいことがわからないので、これ以上余りお聞きできないわけなんですけれども、一応指摘だけということにとどめておきます。
 それから、ただいま伺いました東京都の再開発の事業費についてですけれども、結果、国庫の補助金も都の負担金も非常に少ないということなわけで、保留床の処分金が百三十四億二千万円ということなんですけれども、この保留床の処分金について見通しはどうなっているのか伺って、質問を終わりたいと思います。

○石井市街地整備部長 保留床処分金は、今お話しがありましたように、収入の七〇%を占める大変重要な財源でございます。したがいまして、保留床処分金の算定は、周辺の新築マンションの床価格の動向などを参考に、慎重に行ってきております。
 その上、この大橋地区について見ますと、大橋地区というのは、ご承知のとおり、田園都市線で渋谷駅から一駅目でございまして、交通利便性に大変すぐれた立地です。そうしたことに加えまして、近年の都心回帰傾向による住宅需要の増大等を踏まえますと、今後はその評価が高まるというふうに予想されますことから、先ほど来お話ししています特定建築者などの民間のノウハウを活用いたしまして、確実な保留床処分に努め、事業収支の確保を図ってまいりたい。
 さらに、会計を今回公営企業会計にしてございますので、ここらで透明性を確保しながら、しっかりやっていきたいというふうに考えているところでございます。

○新井委員 済みません、ちょっと私、風邪を引いて熱が出ているもので、一個飛ばしてしまいまして、質問の追加なんですけれども、先ほど来ご質問の中で住民の要望等出ておりますけれども、今、目黒区でまちづくり懇談会というものが発足したと思うんですけれども、これに対する都の姿勢ですね。いろいろなところの町会とか、住区、あるいは商店街というところで、代表の方が出てこられて、まちづくり懇談会が行われているわけなんですけれども、これの都のかかわり方とか、あるいはこのまちづくり懇談会に対する都の姿勢というのはどんなふうになっていくんでしょうか。

○石井市街地整備部長 先ほど、目黒区は都市計画マスタープランをつくって、それで四地区の整備構想をもう既に策定したと、で、これを具体化する作業を現在進めているところですというお話をさしあげたかと思います。
 その具体化に向けて、今お話がありました大橋一丁目周辺地区街づくり懇談会というものができてございます。この懇談会は、今申し上げました具体的な作業を進める一環といたしまして、地域住民との意見交換を行うために、区が設置したものでございます。
 大橋地区再開発事業は、この整備構想と大変深くかかわりがございますことから、都は区の要請を受けまして、この懇談会にメンバーとして参加をいたしまして、今後、区の構想の実現に向け、協力してまいる所存でございます。

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二分散会

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