都市整備委員会速記録第十二号

平成十六年十月十四日(木曜日)
第五委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十二名
委員長和田 宗春君
副委員長矢島 千秋君
副委員長曽根はじめ君
理事長橋 桂一君
理事吉野 利明君
新井美沙子君
相川  博君
東野 秀平君
樋口ゆうこ君
いなば真一君
立石 晴康君
渡辺 康信君

 欠席委員 二名

 出席説明員
都市整備局局長梶山  修君
次長中路 有一君
技監小林 崇男君
技監杉浦  浩君
総務部長村松  満君
都市づくり政策部長森下 尚治君
住宅政策推進部長安藤  明君
都市基盤部長成田 隆一君
市街地整備部長石井 恒利君
市街地建築部長野本 孝三君
都営住宅経営部長小林 計代君
連絡調整担当部長加藤 英夫君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
外かく環状道路担当部長道家 孝行君
多摩ニュータウン事業担当部長酒井 洋一君
参事飯尾  豊君
参事金子 敏夫君
参事中沢 弘行君
参事山室 善博君
参事小山  隆君
参事渡辺  滋君
参事今井  光君
参事安井 順一君
参事石井 一夫君
参事庄司 静夫君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 陳情の取り下げについて
 都市整備局関係
事務事業について(説明)
報告事項(説明・質疑)
・第百六十七回東京都都市計画審議会付議予定案件について

○和田委員長 ただいまから都市整備委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
 請願陳情について申し上げます。
 本委員会に付託されております請願陳情は、お手元配布の請願・陳情継続審査件名表のとおりでございますので、ご了承願います。
 次に、陳情の取り下げについて申し上げます。
 一六第一〇号、仮称「ライオンズステージ大山(二十一階建)」建設計画に関する陳情は、議長から取り下げを許可した旨通知がありましたので、ご了承願います。

○和田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局関係の事務事業の説明聴取及び報告事項の聴取を行いたいと思います。
 なお、事務事業につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いたいと思います。
 また、報告事項につきましては、説明を聴取した後、質疑終了まで行いたいと思いますので、ご了承願います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、都市整備局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○梶山都市整備局長 都市整備局長の梶山修でございます。
 委員長を初め委員の皆様方には、当局の事務事業につきまして、日ごろからご指導、ご鞭撻を賜り、まことにありがとうございます。都市整備局といたしましては、今後とも事務事業の適切かつ円滑な運営を図るとともに、安全で快適な都市づくりを進めるために一層の努力をいたす所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、お手元の理事者名簿に従いまして、当局の幹部職員を紹介いたします。
 まず、次長の中路有一君でございます。技監の小林崇男君でございます。技監の杉浦浩君でございます。総務部長の村松満君でございます。都市づくり政策部長の森下尚治君でございます。住宅政策推進部長の安藤明君でございます。都市基盤部長の成田隆一君でございます。市街地整備部長の石井恒利君でございます。市街地建築部長の野本孝三君でございます。都営住宅経営部長の小林計代君でございます。連絡調整担当部長の加藤英夫君でございます。住宅政策担当部長の水流潤太郎君でございます。外かく環状道路担当部長の道家孝行君でございます。多摩ニュータウン事業担当部長の酒井洋一君でございます。都市づくり調整担当参事の飯尾豊君でございます。開発プロジェクト推進担当参事の金子敏夫君でございます。区市町村調整担当参事の中沢弘行君でございます。民間住宅施策推進担当参事の山室善博君でございます。航空政策担当参事の小山隆君でございます。民間開発担当参事の渡辺滋君でございます。調整担当参事の今井光君でございます。都市景観担当参事の安井順一君でございます。経営改革担当参事の石井一夫君でございます。再編整備推進担当参事の庄司静夫君でございます。営繕担当参事の松村進君でございます。当委員会との連絡に当たらせていただきます、総務課長の浅川英夫君でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○和田委員長 あいさつ並びに幹部職員の紹介は終わりました。

○和田委員長 引き続き、事務事業について理事者の説明を求めます。

○梶山都市整備局長 都市整備局の事務事業につきまして、お手元にお配りしております資料1によりまして、主要課題の概略をご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開きいただきたいと存じます。
 当局は、魅力と活力のある国際都市東京の再生など当面の政策課題に的確に対応するとともに、現場感覚を反映した迅速で実効性ある都市整備の推進を図るため、本年四月に都市計画局、住宅局、建設局の市街地整備部門を再編統合して、新たに発足いたしました。
 当局の所管事務は、おおむね次の五つに区分されます。第一は、都市整備の基本的事項に関すること、第二は、都市計画に関すること、第三は、住宅及び住環境整備に関すること、第四は、市街地整備に関すること、第五は、建築に関することであります。当局は、計画部門と事業実施部門が一体となった組織の特性を十分発揮し、これらの事務事業を総合的に推進してまいります。
 続きまして、当局が所管いたします主要な課題への取り組みについてご説明申し上げます。
 1の、住み、働く場としての都市の再生でございます。
 まず、拠点整備の推進でございます。都心、副都心、品川などの新拠点、立川などの核都市では、地域の状況に合わせた都市開発諸制度の一層の活用、大手町・丸の内・有楽町地区などに見られるような公民協力によるまちづくり、大崎駅周辺地区などの都市再生緊急整備地域における民間活力を活用した市街地再開発、環状二号線地区などにおける都施行の市街地整備事業の推進などによりまして、東京の新しい魅力を創造する拠点の整備を進めてまいります。多摩ニュータウンにつきましては、多摩自立都市圏の形成に向け、複合的な都市機能や、自然と調和した良好な住環境を備えたまちづくりを進めてまいります。
 次に、民間活力を生かしたまちづくりプロジェクトの推進でございます。都有地を活用し、民間活力を有効に生かしたまちづくりプロジェクトを推進し、地域の活力を高め、都市再生を図ってまいります。本年三月に着工いたしました南青山一丁目団地建てかえプロジェクトに続き、港南四丁目第三団地や東村山市本町地区などのプロジェクトを推進してまいります。
 次に、地域が主役のまちづくりの推進でございます。東京のしゃれた街並みづくり推進条例により、身近な都市再生を推進し、東京に個性豊かで魅力的な街並みをふやしてまいります。また、本年七月より施行されました、高齢者、身体障害者等が利用しやすい建築物の整備に関する条例などに基づき、バリアフリーのまちづくりを展開してまいります。
 三ページから五ページにかけて、2の、首都圏メガロポリスを支える都市基盤の整備についてご説明いたします。
 まず、航空政策の推進でございます。首都圏における空港機能の充実は、東京のみならず、日本経済の活性化及び国際競争力の強化のため喫緊の課題となっております。羽田空港の再拡張、国際化については、今年度に国において事業化が図られましたが、今後も一日も早い事業の完成と国際化の推進を国に働きかけてまいります。また、米軍横田飛行場の民間航空利用及び横田空域の返還につきましても、その早期実現に向け、引き続き国に働きかけるなど、取り組んでまいります。
 次に、三環状道路の整備促進でございます。首都圏の三環状道路につきましては、現在建設中の首都高速道路中央環状新宿線や首都圏中央連絡道路などの事業を推進するとともに、未着手区間であります中央環状品川線につきましては、本年十一月の都市計画決定に向け、手続を進めております。東京外かく環状道路につきましては、本年一月より環境の現地調査を実施中であり、今後、幅広く意見を聞き、計画の具体化を図るなど、早期整備に向け取り組んでまいります。
 次に、都市計画道路の整備でございます。区部につきましては、今年度を初年度とした新たな事業化計画を明らかにいたしました。多摩地域につきましても、現在の計画が終了する平成十七年度末までに新たな事業化計画を策定してまいります。
 次に、公共交通網の整備でございます。公共交通網につきましては、常磐新線、日暮里・舎人線などの整備や小田急線などの複々線化計画を推進するとともに、空港へのアクセスを改善するため、京急蒲田駅などにおいて乗りかえ利便性の向上などを図る鉄道駅総合改善事業を実施するなど、都市高速鉄道ネットワークの整備に努めてまいります。
 次に、踏切対策の推進でございます。都内ではJR中央線などの連続立体交差化を推進しておりますが、いまだ約千二百カ所の踏切が残されており、踏切問題の早期解消が課題となっております。このため、本年六月に踏切対策基本方針を策定し、重点的に対策を実施すべき重点踏切や、鉄道立体化の検討対象区間などを定めてまいりました。今後、この方針に基づき、効果的な踏切対策を進めてまいります。
 続いて、3の、大都市の安全を高め、安心を確保する都市づくりでございます。災害に強いまちづくりを促進するため、本年三月に、防災都市づくり推進計画の重点整備地域に関する具体的な整備目標や整備計画などを示しました整備プログラムを策定いたしました。このプログラムに基づき、都市計画道路の整備を契機とした沿道の不燃化、共同化を進めるとともに、木造住宅密集地域の改善について、計画から事業の実施まで一貫して行えるよう取り組んでまいります。
 六ページをお開きください。4の、快適な都市環境の整備でございます。都市の快適な生活を保つため、東京のみどりの新戦略ガイドラインを策定するとともに、都市計画公園緑地の整備方針を定め、都市計画公園の事業化計画を明らかにしてまいります。
 また、歴史的建造物や屋外広告物などを含め、さまざまな景観資源を生かし、地域に適した良好な景観形成に努めてまいります。
 続きまして、5の、住宅施策の推進でございます。
 まず、民間住宅施策の推進でございます。広くて質がよく、低廉な戸建て住宅の供給を促進するため、東村山市本町地区において、先進的で意欲ある民間事業者とともに、戸建て住宅の価格を三割引き下げる実証実験を行ってまいります。本年七月、事業者募集要綱を公表しました。
 また、この十月一日に施行した、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例による費用負担の明確化を初め、安心して貸し借りができる賃貸住宅市場の形成、総合的なマンション対策など、民間住宅施策を推進してまいります。
 次に、都営住宅制度の抜本的改革でございます。都営住宅につきましては、期限つき入居制度を若年ファミリー世帯などを対象に実施し、利用機会の公平性の確保と地域の活性化を図るとともに、高額所得者に対しては、明け渡し請求までの期間を一年間短縮するなど、取り組みを強化いたしました。今後とも、都営住宅が真に住宅に困窮している人に供給され、都民共有のセーフティーネットとして一層有効に機能するよう、このような管理制度の抜本的改革を引き続き推進してまいります。
 最後に、6の、建築行政の展開でございます。建築物の安全性の向上を図るため、確認、検査はもとより、定期報告制度を確実に実施するなど、建築規制の実効性の確保に努めてまいります。
 また、都民が安全で安心して暮らせるよう、建築物の耐震強化を促進するなど、まちづくりと連携した建築行政の推進に取り組んでまいります。
 以上の主要課題に対し、新しい体制のもと、各部門が一体となって取り組んでまいります。
 続きまして、所管事業の詳細につきましては、総務部長からご説明させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○村松総務部長 ただいま局長から都市整備局の主要課題をご説明申し上げましたので、私からは、お手元の資料2、事業概要に基づき、当局の所管事業の概略をご説明申し上げます。こちらの資料でございます。
 まず、恐れ入りますが、一〇ページ、一一ページをお開きいただきたいと存じます。局の組織でございます。本庁には、総務部、都市づくり政策部、住宅政策推進部、都市基盤部、市街地整備部、市街地建築部及び都営住宅経営部の七部がございます。
 また、事業所は、次の一二ページにございますように、多摩建築指導事務所、第一及び第二区画整理事務所、再開発事務所、東部、南部、北部の三つの住宅建設事務所、それに課相当の多摩ニュータウン整備事務所の計八カ所ございます。
 次に、少し飛びまして、一八ページをお開きいただきたいと思います。部課別の職員定数を一覧表にしてございます。左上の合計欄に記載してございますように、当局の職員定数は千三百三十二名でございます。
 続いて、二一ページをお願いいたします。平成十六年度の予算規模でございますが、上段の表にありますように、一般会計が二千二百八十五億円余、特別会計が二千五百五十六億円余、公営企業会計が三百四十三億円余、総合計で五千百八十五億円余でございます。
 次に、少し飛びまして、恐れ入ります、五七ページをお願いいたします。ここからは、各事業別の概要についてご説明申し上げます。
 まず、このページから七一ページまでは、東京の都市構造と拠点整備の推進でございます。東京の新しい都市づくりビジョンで位置づけた、都心、副都心、秋葉原等の新拠点、臨海地域、核都市、多摩ニュータウン等のそれぞれの整備方針並びに事業の現況について記載してございます。
 七二ページをごらんください。民間活力を生かしたまちづくりプロジェクトの推進についてでございます。東村山市本町地区における先行まちづくりプロジェクト、港南四丁目第三団地建てかえプロジェクトなどの都営住宅の再編整備、大崎駅西口都市再生特別地区などの民間都市再生事業などを記載してございます。
 次に、七八ページをお願いいたします。都主体の市街地整備事業の推進でございます。公共施設の整備促進、密集市街地解消などの課題を解決するため、公共性が高く、民間では実施が困難なものについて、都が主体となって市街地整備事業を実施しております。
 七九ページには、汐留、秋葉原地区などの大規模跡地開発土地区画整理事業、次の八〇ページには、田端、篠崎付近、六町地区などの既成市街地再整備土地区画整理事業を、八一ページから八五ページまでは、市街地再開発事業として、都市防災の強化を主な目的とする亀戸・大島・小松川地区や、都市機能更新を主な目的とする北新宿地区などを記載してございます。
 八五ページをごらんいただきますと、道路整備との一体的沿道まちづくりでございます。この事業は、都市計画道路の整備とあわせ、民間の活力を生かしながら沿道の効率的な土地利用を図るための事業であり、現在、鐘ヶ淵地区などについて事業を進めております。
 次に、少し飛びまして、九七ページをお願いいたします。総合的な交通施策の推進でございます。本年六月に踏切対策基本方針を策定し、約三百九十カ所の踏切を、二〇二五年度までに重点的に対策を行うべき踏切として選定いたしました。その上で、鉄道立体化の検討対象区間を二十区間抽出いたしまして立体化の検討を行うとともに、警報時間短縮など、早期に実施可能な踏切対策を進めております。
 次に、一〇〇ページをお願いいたします。道路網の整備でございます。都市計画道路については、区部と多摩、それぞれの事業化計画を策定し、これに基づき、重点的かつ効率的な道路整備を進めております。一〇一ページから一〇二ページにありますように、区部については本年三月に事業化計画を策定し、多摩については平成十七年度中を目途に策定することとしてございます。
 次に、都市高速道路でございます。一〇五ページをお開きください。上段の表にございますように、現在、十八路線が都市計画決定され、このうち供用中のものは十五路線でございます。現在事業中の路線は、中央環状新宿線などの三路線となっております。
 一〇六ページをお願いします。鉄道・新交通システムの整備でございます。まず、地下鉄等の整備につきましては、一〇七ページの表のとおり、現在十三路線が都市計画決定され、計画延長は三百六十一・〇キロメートルに対しまして、完成区間の延長は三百十一・〇キロメートルとなっております。
 次の一〇八ページをお願いいたします。下段の項目3、新たな鉄道・新交通システムの整備としまして、常磐新線、日暮里・舎人線などを記載してございます。
 少し飛びまして、一一三ページをお願いいたします。航空政策の推進でございます。今年度、国において事業化された羽田空港の再拡張及び次の一一四ページには、横田飛行場の民間航空利用と空域の返還などを記載してございます。
 次に、一一六ページでございます。物流対策の推進でございます。経済のグローバル化に対応し、国際競争力の向上のため、物流の構造改革が不可欠となってございます。そのため関係局と連携を図りつつ、総合物流ビジョンの検討を進めております。
 また、更新時期を迎えている区部四カ所の流通業務団地の機能更新に向けた基本方針の策定及び多摩地域における新たな物流拠点の整備手法について検討を行っております。
 次に、少し飛びまして、一二三ページをお願いいたします。木造住宅密集地域の整備でございます。東京に広範囲に存在する木造住宅密集地域の防災性の向上などを図るため、昨年九月に防災都市づくり推進計画を改正しまして、本年三月にはそれに基づく整備プログラムを策定し、重点整備地域を十一カ所指定いたしました。次の一二四ページから一二九ページまで、木造住宅密集地域に関する各種の事業を駆使した、いわゆる木密地域の整備について記載するとともに、建築物の耐震診断、改修、道路・鉄道の耐震対策、避難場所、避難道路の指定などを記載しております。
 次に、また少し飛びまして、一四七ページをお願いいたします。水資源の確保でございます。東京の水需給の安定を図るため、水源の約八割を依存する利根川・荒川水系の水資源基本計画、いわゆる第四次フルプランによる、荒川水系の滝沢ダム、利根川水系の八ッ場ダムなどの建設について記載しております。
 一五一ページをお願いいたします。良好な景観の形成についてでございます。東京都景観条例に基づき、既に景観基本軸として指定した隅田川、国分寺崖線などにおける届け出制度の運用などを通じて、美しく潤いのある景観の形成に努めております。
 また、一五三ページ上段になりますが、都民の自主的な街並み景観づくりについては、昨年十月より施行された、いわゆるしゃれ街条例に基づく街並みデザイナー制度などの活用に努めております。
 次に、一六三ページをお願いいたします。民間住宅施策の推進でございます。中段の都市型民間賃貸住宅制度は、ファミリー世帯の居住ニーズに対応するため、従来の都民住宅制度による供給方式を廃止し、地域を重点化し、質の高い民間賃貸住宅の供給方式として、今年度から設けたものでございます。
 次に、一六六ページをお願いいたします。中段下の、マンション施策の総合的な推進についてでございます。分譲マンション維持・管理ガイドブック等による普及啓発や、建てかえ改修アドバイザーを活用した管理組合等の自主的な取り組みへの支援など、分譲マンションの管理及び建てかえの支援策を総合的に実施してございます。
 少し飛びまして、一七二ページをお願いします。(2)で、宅地建物取引業法に基づく免許の交付、指導などの事業について記載をしてございます。
 次に、一七七ページをお願いします。都営住宅等の供給管理でございます。住宅困窮者の住まいを確保するため、公営住宅法に基づく都営住宅などを供給しております。
 まず、次の一七八ページ下段の、都営住宅建てかえ事業でございます。昭和三十年代以前に建設された都営住宅などを中心に計画的に建てかえを実施し、今年度は三千戸を実施する予定でございます。
 また、都営住宅ストックの四〇%を占める昭和四十年代に建設した住宅を対象として、住宅内部を改善し、バリアフリー化などを図るスーパーリフォーム事業を行っております。
 次に、一八四ページをお願いいたします。都営住宅等の管理でございます。中段の表にあるとおり、現在の管理戸数は合計約二十六万五千戸となっております。
 次に、少し飛びまして、一九七ページをお願いいたします。既設都営住宅団地の区市町村への移管でございます。下段の表は、これまでの移管状況を記してございます。
 次に、二〇一ページをお願いします。建築行政の概要についてでございます。建築基準法及びその他の関係法令により、建築計画の確認、許可、違反建築の取り締まりなどを行い、建築物の質の向上や安全、防災等に資するとともに、都市計画で定められた地域、地区等の土地利用計画に即した秩序ある都市の形成を目指しております。
 少し飛びまして、二一二ページをお願いいたします。条例に基づく建築紛争の予防と調整について記載してございます。右の二一三ページには、建設業法に基づく建設業の許可及び建設業者の指導監督などについて記載してございます。
 続いて、二一七ページをお願いいたします。宅地造成等規制法などに基づく宅地開発に対する規制等を記載してございます。
 次に、二二一ページをお願いします。このページ以降は、国土計画に始まり、都市計画に関する諸制度の内容、市街地整備事業の仕組み、都営住宅の申込資格、管理の実績、当局所管の監理団体の概要など、本編の記述に対応した基本的な資料を掲載してございます。
 以上、大変雑駁でございますが、当局の事務事業についての説明とさせていただきます。
 続いて、お手元の資料3、東京都監理団体等運営状況によりまして、当局所管の団体についてご説明申し上げます。
 表紙の次のページをお開き願います。
 都が二五%以上の出資等を行っている当局所管の団体は、公益法人では、東京都住宅供給公社、東京都新都市建設公社、首都高速道路公団、株式会社では、東京臨海高速鉄道、多摩ニュータウン開発センター、多摩都市モノレール、東京地下鉄、日本自動車ターミナル、東京スタジアム、建設資源広域利用センターがございます。
 これらの団体の詳細につきましては、後ほど資料をごらんいただきたいと存じます。
 各委員の皆様方におかれましては、これらの団体が都の事務事業等を代行、補完し、都民サービスの向上に一定の役割を果たしていることをご理解いただき、これらの団体の健全な発展のため、今後ともご指導、ご支援くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。
 以上で当局の説明を終わらせていただきます。

○和田委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方はご発言をお願いいたします。

○渡辺委員 何点かお願いをいたします。
 一つは、中小企業への工事発注実績、これは過去五年間ということでお願いします。
 それから、都市再生緊急整備地域における都市計画提案検討プロジェクトというのがありますが、その数と、その具体的内容についていただきたい。特に、このプロジェクトの場合、そのメーン企業と規模、それから総事業費等をわかるようにしていただきたい。
 三つ目が、過去五年間で、延べ床三万平米以上で高さ二十階以上の建造物、これはオフィス、住宅、あるいは複合施設合わせてですけれども、お願いをしたいと思います。この中で建築確認、いわゆる都の確認と、それから民間の場合がありますけれども、これを分けて、幾つ幾つということでお願いをしたいというふうに思います。
 それから、同じ規模で、今後予定されている建造物、わかったら、これもお願いをいたします。
 それから、区画整理の件ですが、豊洲と有明北の事業費と、それから具体的な内容、できるだけわかりやすくしてもらいたいために、図にしていただければありがたい。
 それから、都営住宅の家賃の免除世帯数、これを教えていただきたい。
 最後ですけれども、都営住宅の建てかえ指定団地、この指定団地名と、それぞれの戸数、それと建てかえ指定年度、これをお願いをしたいというふうに思います。

○和田委員長 ただいま渡辺委員から資料要求がありました。これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認めます。よって、理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出を願います。

○和田委員長 次に、報告事項、第百六十七回東京都都市計画審議会付議予定案件について理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○梶山都市整備局長 本日は、十二月二十二日に開催予定の第百六十七回東京都都市計画審議会に付議を予定しております案件につきましてご説明いたします。
 今回、東京都決定案件は全部で十三件でございます。その内訳は、区部で十件、多摩部で三件でございます。また、都市計画審議会を設置していない大島町及び新島村が、直接、本審議会に付議する町村決定の案件を二件予定しております。さらに、今回の都市計画審議会には付議いたしませんが、計画段階環境影響評価対象案件を一件予定しております。
 本日は、これらのうち主な案件といたしまして、丸の内一丁目(その二)特定街区と、計画段階環境影響評価対象案件、国分寺都市計画道路三・三・八号府中所沢線建設事業についてご説明いたします。
 それでは、引き続き担当部長から説明いたしますので、よろしくお願いします。

○森下都市づくり政策部長 それでは、私の方から、提案事項概要、白表紙の資料でございますけれども、それの四八ページをお開きください。それから、薄茶色の表紙の図面集でございますけれども、そちらの方も同じく四八ページをお開きください。ナンバー8の丸の内一丁目(その二)特定街区の決定に関する案件についてご説明申し上げます。
 本地区は、JR東京駅の丸の内口の駅前広場に面した、新丸の内ビルヂングが立地している街区でございます。行幸通りを挟んで反対側には、平成十四年八月に丸ビルが竣工しておりますけれども、今回は、現在の新丸ビルの建てかえを行おうとする特定街区の案件でございます。
 本地区を含む東京駅、有楽町駅周辺地域におきましては、いうまでもなく我が国を代表する中枢業務機能の集積地でございます。当地区のまちづくりに関しましては、従来より、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会等によりまして、公共と民間の協力、協調によります、都心にふさわしい、魅力ある都市づくりを進めるための検討が行われておりまして、個別の建てかえについての検討のほか、平成十二年八月には、大手町・丸の内・有楽町地区の地区計画を策定したところでございます。
 本計画は、このような経過などを踏まえまして、老朽化したオフィスビルの更新を図ることにより、首都東京の国際ビジネスセンターにふさわしい、多様な機能を備えた風格のある都心市街地の形成を目指すものでございます。
 都市計画の概要でございますけれども、まず容積率につきましては、都市計画として定められた指定容積率は一三〇〇%でございますけれども、この敷地は特例容積率制度の活用によりまして、JR東京駅舎の未利用容積を移転して、特例容積率として一六六五%の指定を受けることとなっております。JRの東京駅舎につきましては、このような容積移転を行うことによりまして、創建当時の三階建てへの駅舎の復元を図る予定となっているところでございます。
 図面の方の五二ページでございますけれども、本計画に関連しました公共施設の整備でございますけれども、本街区に隣接して二つの都市計画施設がございます。一つは、千代田歩行者専用道第五号線、これは東京駅前の地下広場に当たります。もう一つは、行幸通り地下通路が計画されているところでございます。今回の特定街区では、本街区の開発事業者が、あわせてこれらの都市計画施設の整備を行うこととなっておりまして、これを評価いたしまして、先ほどの特例容積率に加えまして九五%の容積率の割り増しを行い、全体では一七六〇%の容積とするものでございます。
 隣の五三ページにイメージパースが出てございますけれども、この計画では、建築物の高さの制限について、丸の内地区全体のスカイラインとの調和に配慮しまして、高層部を二百メートル、中層部を三十二メートルなどとしているところでございます。また、歩行者空間の確保や街並み形成等の観点から、壁面の位置の制限を定めてございます。
 次に、計画上配慮されている点をまとめてご説明申し上げます。
 まず第一に、都市機能の多様化を図るために、サービス・商業施設を初めとする活性化施設を積極的に導入するとともに、周辺街区と連携して、仲通り等の歩行者空間に面して店舗などを配置することによりまして、にぎわいを創出しております。
 第二に、都市基盤の整備としまして、敷地の内外に、また、地上及び地下に歩行者通路を設けることによりまして、丸の内全域の地下ネットワークの形成の一翼を担う計画としております。
 三つ目に、下水道への負荷の軽減であるとか防災への対応等のために、中水道施設、雨水貯留槽、備蓄倉庫及び防火貯水槽等の施設を設置いたします。また、屋上緑化等を積極的に行いまして、都心のヒートアイランド現象の抑制に寄与する建築物としております。
 第四に、景観形成につきましても、首都東京の顔として、東京駅前広場に対するゲート性であるとか、一体性であるとか、正面性を表現するデザインとしております。低層部は、歴史的に形成されてきました三十一メートルのスカイラインを表情線として継承するとともに、高層部は隣接する丸ビル等の周辺建物との調和に配慮した、風格と歴史性のある都市景観を創出するように配慮してございます。
 以上が都市計画の内容でございますけれども、この建築物につきましては東京都環境影響評価条例の対象となっており、現在、事業者によりましてアセス手続が進められているところでございます。
 建築着工は平成十七年三月、平成十九年完成の予定ということでございます。
 以上でございます。

○成田都市基盤部長 計画段階環境影響評価案件でございます、国分寺都市計画道路三・三・八号府中所沢線についてご説明申し上げたいと思います。
 この路線は、以後、府中所沢線と称させていただきたいと思います。
 お手元の提案事項概要、白表紙でございますけれども、七一ページと、それから薄茶色の図面の方でございますけれども、九一ページをお開きいただきたいと思います。
 まず、計画段階環境影響評価制度でございますけれども、計画立案の早い段階から環境保全について配慮していくための手続といたしまして、平成十四年七月改正の東京都環境影響評価条例によりまして位置づけられたものでございます。この制度につきましては、複数の計画案を策定いたしまして、それぞれの案について環境影響の予測、評価を行うこととなってございます。
 このたび、複数案といたしまして、A、B、C、三つの案を作成いたしまして、環境影響評価の内容を特例環境配慮書として取りまとめたものでございまして、ご報告いたしたいと思います。
 府中所沢線は、府中市を起点といたしまして、国分寺市、小平市、東村山市を経由いたしまして埼玉県境に至ります、延長十三・六キロメートルの道路でございまして、多摩地域の骨格を形成する南北道路でございます。今回変更いたしますのは、このうち国分寺三・四・三号国分寺国立線、通称多喜窪通りと称しておりますけれども、ここから国分寺三・四・一〇号線東京立川線、通称五日市街道までの約二・五キロの区間につきまして、交通の円滑化、沿道環境の保全、都市防災の強化、これらの観点から、幅員を二十八メートルから三十六メートルに変更し、多摩や広域の発展に資するものでございます。
 この路線を整備することで、南北方向のネットワークが強化され、府中街道など周辺道路の交通分散や交通渋滞の緩和が図られるとともに、住宅地に流入する通過交通の減少など、地域環境の改善が図られるものと考えてございます。
 それでは、複数の計画案についてご説明申し上げたいと思います。事前説明資料の九三ページ及び九四ページをお開きいただきたいと思います。図面の方でございます。
 まず、幅員についてでございますけれども、九四ページにお示ししてございますように、往復四車線の車道と、沿道環境に配慮した片側十メーターの環境施設帯をそれぞれ設置いたしまして、三十六メーターを標準といたしてございます。また、前に戻りまして、九三ページに示しましたとおり、JR中央線、西武鉄道国分寺線との交差や地形を考慮いたしまして、三案を選定いたしてございます。
 まず、A案は、平面構造を主体としておりまして、西武国分寺線との交差をアンダーパスとする案でございます。B案は、A案に一部掘り割り構造を取り入れまして、西武国分寺線との交差をアンダーパスとする案でございます。C案は、平面構造を主体といたしまして、西武国分寺線との交差をオーバーパスとする案でございます。事業主体につきましては東京都建設局を予定してございまして、平成二十七年度の完成を目指してございます。
 続きまして、環境影響評価についてご説明申し上げたいと思います。
 環境影響評価書は、本日、環境影響評価条例を所管する知事に提出させていただきました。お配りしております灰色の、特例環境配慮書の概要、この中に八ページの要約を挿入いたしておりまして、こちらでご説明申し上げたいと思います。
 環境への影響についてでございますけれども、二ページから五ページにございますように、大気汚染以下十項目について予測、評価を行ってございます。要約に示してありますように、三案とも、大気汚染、騒音・振動初め、いずれの項目につきましても、予測結果は環境基準等の指標以下であることから、評価の指標を満足している、環境への影響は少ないと考えられ、都市計画を変更する上で支障はないと判断してございます。
 また、予測・評価項目ごとに設定いたしました環境配慮目標に対する達成の程度についてでございますけれども、六ページ及び七ページに整理させていただいてございます。予測・評価項目ごとの環境影響の程度と環境配慮目標の達成の程度の視点で、環境面から見ました三案の特性を比較整理するとともに、社会経済面からの側面も含めまして、各案の評価をいたしました。内容につきましては、最後の八ページにまとめてございます。
 今後、環境影響評価手続を行いまして、この複数案の中から計画案を一案に絞りまして、都市計画の手続に入ることとしたいと思っております。
 以上でございます。

○和田委員長 報告は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○立石委員 幾つか質問をさせていただきます。
 初めに、大げさにいえば、二十世紀の東京のまちづくりの欠点、矛盾、いわばバブル時代の負の遺産ともいうべき諸矛盾があったわけでありますけれども、これを都市再生本部をつくって、特別措置法をつくり、そして土地の有効活用を図りながら効果的な都市の景観、都市のあるべきパワーをつくって国際競争力をつくっていこう、こういうことできょうまで行われてきているわけでありますけれども、もちろんそれなりの評価をしながらも、大変また光と影といいますか、影の部分もあったのではないか、こういう視点から、幾つかの点を質問していきたいと考えております。
 例えば、容積率は、確かにここできょう案件として出ました新丸ビルの建てかえ、基準容積が一〇〇〇%、そして、いわゆる指定容積というんでしょうか、計画容積というのは一三〇〇%持っております。しかし、国際競争力という意味においては、二十世紀後半のまちづくりの中で、容積率として非常にタイトであったということも否めないと思います。
 一つは、例えばニューヨークでも、トランプさんのトランプタワー、有名なティファニーの空中権を利用して、二一〇〇%だったと記憶しておりますし、また、かつて世界一の高さを誇った、シカゴのジョンハンコックセンターでございますか、シアーズタワーとかジョンハンコックセンターも二〇〇〇%を超えていた。そういう時代に、東京の都市計画は一〇〇〇%弱であった。そういう比較からも、国際競争力を失っていったのではないか。つまり、そこでタイトになった形の中で地価の高騰を誘発していったのではないか。もちろん、これだけが原因ではありませんけれども。
 そういう意味で、容積を見直して都市のパワーをつけていくということは、国際競争力からいっても非常にすばらしいことだというふうに評価しつつも、例えば、昨今、この四、五年の間に、私も北東アジアというか東南アジアというか、いろんなまちを見て歩きましたけれども、韓国のすばらしいソウルのまちの発展のしよう、北京、上海はいうに及ばず、香港にしても、新しい空港、あるいは韓国の仁川、そういった空港がハブ空港化された都市との比較は、石原知事がよくいう空港整備を急げ、こういうことをいっておられることだと思います。
 そういう観点からも、この容積の問題を、ここで新丸ビルにかけまして、一七六〇という数字が出てきておるわけでありますけれども、まず一七六〇になったことについて、初めに質問したいと思います。

○森下都市づくり政策部長 特定街区で定めます今回の一七六〇%の定め方でございますけれども、この地域は指定容積率が、従来は一〇〇〇でございましたけれども、さきの用途地域の一斉見直しで一三〇〇ということになってございます。その一三〇〇でございますけれども、これに東京駅舎の所有者でございますJRと事業者との話し合いによりまして、東京駅の赤れんが駅舎の未利用容積の床面積、約三万六千六百平米ほどでございますけれども、これを特例容積率制度という制度を活用しまして、こちらの街区に移転してございます。その結果、特例容積率として一六六五%の指定を受けることとなっております。
 これに加えまして、先ほどご説明申し上げましたように、本特定街区に関連して、街区外の都市計画施設でございます千代田区の歩行者専用道路五号線、これは駅前広場の地下の通路でございます。それから、行幸通りの地下通路の整備などを、この街区の整備とあわせてその事業者が行うこととしております。こうした都市基盤の機能強化とか向上に寄与します公共施設整備の計画内容というものを評価いたしまして、九五%の容積率の割り増しを行って、結果として全体で一七六〇%と定めるものでございます。

○立石委員 意味はわかるんですけれども、特例容積率制度というのは、いわゆる容積移転のことですか、これは都市再生本部ができる以前からあったものだと思いますけれども、再生本部ができて特措法ができたことによって、大きく変わったんでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 いわゆる都市再生特別措置法ができた後に、都市再生特別地区という制度ができました。これは従来の容積率の割り増しの考え方と異なりまして、緊急整備地域において、その地域の都市再生の貢献度合いに応じて容積を上げていくということでございまして、これは特に決められたルールではなくて、その提案に基づいて妥当なものを評価したということでございます。
 この制度につきましては、当初は、都心のような商業地域で公共施設の整備された地区について、容積率を移転してもよいという地域を特例容積率適用区域ということで定めました。その区域の中で容積率を移転できるという制度でございます。その特例容積率の適用区域というのは、この大・丸・有の地区が東京都内では容積率指定されているということでございます。
 したがいまして、都市再生本部ができる以前からある制度でございまして、特に都市再生特別措置法ができたからということで内容が変わったものではございません。

○立石委員 東京らしい、東京駅の赤れんがというんでしょうか、あれは辰野金吾博士がつくられたものだと思うんですけれども、有名な建築物でして、その上空権をトランスファーして、これを新丸ビルに移していくということは、都市のパワーをつけるという意味では非常に評価できるわけですけれども、大・丸・有という表現の中に、大手町・丸の内・有楽町ですか、かなり広い範囲になるわけですけれども、同じような手法というものは、ほかの地域でもやはり七カ所ばかり東京にはありますよね。そこでも同じように利用されるわけですか。
 それは何を聞きたいかというと、東京らしいまち、例えば、北京に行って天安門広場を見る、あるいは、上海に行って、テレビ塔のあるあの風景を見る。ああ、ここはやっぱり上海だ、北京だ、香港だ、そういうものがありますよね。そういう歴史のあるというか、都市の景観を表現できるまちを残していくべきだと自分は思っているわけですね。そういうときに、極論すれば、東京の古い民家なんかも、古い民家というか、歴史的のみならず、これは残しておくべきような景観というのは結構あるじゃありませんか。そういうまちのトランスファーもできるのか。再生本部ができる以前、特措法ができる以前からあったとするならば、そういうことも拡大してこれから運用していくのか、この辺をちょっとお聞きしたい。

○森下都市づくり政策部長 この特例容積率の適用区域の制度でございますけれども、委員のお話のように、歴史的に残すべき貴重な建造物等の容積を移転して、その維持管理を図っていくというようなことは大変重要なことでございまして、そのような使い方をすべく決められた制度でございます。
 現在は、大・丸・有の地区のみで指定してございますけれども、当時は商業地域のみ使える制度となっておりました。それで大・丸・有地区を第一番に指定したわけでございますけれども、その後の法改正がございまして、この特例容積率適用区域につきましては、用途地域にかかわらず指定することができるということでございます。
 したがいまして、個々の地域ごとの区や市との相談にもなるわけでございますけれども、地域の中でそういう歴史的なものを残すべき地区があって、容積を移転することによってその保存を図っていくべきだという考え方があれば、そういった地域についてもこの区域を指定して活用していくことが可能でございます。

○立石委員 何をいいたいかというと、どこのまちに行っても、かつて、それこそ二十世紀後半の、いわゆる都市計画法、建築基準法、それぞれもろもろの関連法令によるまちを見て、これが仙台だ、これが名古屋だ、これが大阪だというイメージが、京都にしても、みんな同じようなまちになって、何とか火災、何とか損保、何とか銀行。昨今は何とかローンだけどね。そういうようなまちは本当に、これは何だ、こんなまちをつくるのが都市計画なのかというような怒りを、一般の方はどなたでも思われると思うんですね。
 それが、今、部長、お答えのような形の中で、これからは大きく変わっていくだろうということでは、大変評価をしたいと思います。ぜひ進めていただきたい。
 それと同時に、旅行しても、山陰地方を歩くと、あるいは汽車から見ても、いろんなところで、いいまちがいっぱいありますよね。そういうものもやっぱり東京にも再現できていくんだろうというふうに思いますけれども、それはそれとして、いわゆる二〇〇三年問題といって騒がれた。あるいは、二〇〇五年、二〇〇七年問題といって、非常に大規模なビルの開発によって、陰の部分ですよね。
 例えば、私の選挙区は中央区ですが、中央区には問屋街がいっぱいあるわけですね。その問屋街の街並みの中に、小さなオフィスビルなどは用を足さなくなるわけですね。いわゆる空室が出てくるわけです。その空室が非常に問題になって、いつもいっていることですけれども、固定資産税が下がらない、あるいは金利その他が非常に大きな問題で不良債権化してきたということは、もう新聞でよく報道されているとおりですけれども、これらの問題に対して、いわゆる陰の問題、負の問題として、巨大な六本木ヒルズもできましたし、汐留もできた。非常にパワーはついてきたけれども、陰の部分としてのそういう問題点がたくさんあると思うんですね。問屋街の中にも容積率が、要するにオフィスビルとしては機能しなくなったので、マンション開発に変わっていってしまった。マンション機能に変わってしまったがゆえに、どんどん問屋街が崩壊をしていく。問屋街が崩壊するのは構わないと。
 ちょうど私は地方を旅行したときに、農地がどんどんなくなっている。食糧自給率が、今は先進国の中で四〇%でしょう。そういうような時代にどんどん変わっていくのと同じように、中小企業が侵食されている。中小企業なんか要らないんだということでは決してないわけで、中小企業が就職されている方の七〇%近いものを持っているわけですよね。ですから、中小企業があることが、いわば非常に東京の経済を支えている、東京の地域社会、コミュニティを支えているんだ。
 そういう観点から見たときに、大変その陰の部分として、この特別措置法に基づく行け行けどんどんということであっては、これはちょっと困るわけで、そこら辺を東京都の都市整備局としてどういうふうに眺めておられるか、ご質問したいと思います。

○森下都市づくり政策部長 大変難しい問題でございますけれども、都心部におきましては、確かに中央区などでもそういうようないわゆる陰の部分の問題が出ているということはあると思います。それに対する対応として、東京の活力というものをさらに伸ばしていく、中枢的な地域であるというような場合においては、やはり今回ご提案したような大規模な開発計画等によって、またよみがえりを図っていく、こういうことも一つの方法だろうと思います。ただ、そういうことだけではなかなか済まないという問題があるということが、委員からのご指摘だろうと思います。
 それで、当然、都心の市街地がいろいろな必要な機能への更新が進んでいくわけでございますけれども、現在はオフィス機能、業務機能にかわって住宅機能がふえてきている。それはそれで一つの大きな転換ということで、新しい都市の姿としてあり得ることだろうと思っております。
 その機能を、単純にそういう住機能だけではなくて、従来からの街並みであるとか、産業との共存であるとか、そういったことを考慮したような立地のさせ方、マンションでいえば、例えば低層部においては従来からの店舗であるとか業務施設とか産業をそのまま残していく、このような配慮をしながらまちづくりを進めていくべきではないか、そんなふうに考えております。
 そのほか、既存の建物のコンバージョンであるとか、幾つかの機能の修正をしていくというような方法もあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、地元の区等とまちづくりのあり方を考えながら、東京都としてもそういった方向性について支援、サポートしていきたいと考えております。

○立石委員 今、部長からご答弁いただいたように、必ず光と影、この影の部分にも温かい配慮というか、もちろん都市再生ということは重要なことですね。国際競争力を--もちろん国際競争力を失えば、それは我々が望むところではありませんけれども、それと同時に、時代の変化についていくということも、私は大事だと思っております。しかし、であるけれども、中小企業の声を維持していくという方向も、両にらみで常にやっていくべきだ。
 もちろん今度の場合でも、新丸ビルの行幸通りも、事業者の方がつくるということでは、公共貢献といいますか、公共のためになるわけですから、これはいいことですけれども、我々も雨の日なんかにも、あの地下で、いろんなことで、あそこの新しい今度できた丸ビルなんかを見ても便利ですよね。そういう意味では、これはちょっとあれが違うかもしれないけれども、今度の新丸ビルでは、これを容積に移転したということで、結局一七六〇%になる。
 今、ご報告を受けながら自分は感じたんですが、まさかこれは、さじかげん、手かげんで判断されてやるわけではもちろんないでしょうし、厳しい法、条例に基づき、局の中での運用の基準に基づいて進んでいくことだろうと思いますね。もちろん当たり前のことですけれども。
 そこら辺もちょっと、この際、この新丸ビルの建てかえについて非常にいいという面もあるし、例えば辰野金吾博士の歴史的建造物が復元されるということはすばらしいことだと。これは東京駅らしい、明治以来のイメージが復活するわけですしね。この間も、同じ辰野先生の建築された日銀本館の旧館のライトアップがあったんですけれども、非常にああいう歴史的名建築を残していくことのすばらしさというのはあるわけですね。そういう点を考えながらも、この大・丸・有だけでなくて、いろんなところでやっぱり東京のまちの歴史的な建造物を残していくという評価をすべきである。
 そんなことで、ちょっと運用の基準というのか、さじかげんということはあり得ないだろうと思うから、そこら辺、わかりましたら、この新丸ビルに関して、今お話ありましたけれども、さらにつけ加えることがあったら教えてください。

○森下都市づくり政策部長 今回の特定街区につきましては二つの面がございますけれども、一つは、特例容積率の適用ということで、容積率を移転しているということですね。これにつきましても、どれだけ移転してもいいということではなくて、私どもの基準としては、指定容積率の半分まで、あるいは最大でも五〇〇%までということで、この地区でいいますと、最大五〇〇%までということで移転を考えているということでございます。
 先ほど、ベースの容積率が一三〇〇%といいまして、今回は一七六〇でございますので、四六〇%部分を移転したということでございます。これは、著しく容積を移転しますと、やっぱりその街路の周辺等においての交通混雑等を引き起こしますので、一定の限度に抑えているということでございます。--大変失礼しました。一六六五が特例容積でございますので、三六五でございます。それが特例容積率の移転のルールでございまして、これはあくまでも受け取る側と移転する側で話し合いのもとで、ボリュームは決めているということでございます。
 それから、容積率の割り増しの考え方なんですけれども、これに加えて今回の場合には、地区外の公共施設に貢献するということで九五%の割り増しをやっております。一般の容積率の割り増しの考え方ですけれども、敷地内の公共空地を整備するとか、あるいは住宅を供給するとか、あるいはコミュニティ施設とか福祉施設を整備するとか、あるいは歴史的建造物を保存するとか、それぞれその都市にとっての課題に対応して地域にも貢献する、そういう公共的な貢献内容に応じて容積率を割り増しております。それぞれの内容によりまして、一定のルールで、一定の考え方を持って割り増しの数値を定めているところでございます。今回につきましても、その公共貢献の度合い等を勘案してこの数値を出しているということで、要するに基準を持って対応しているということでございます。

○立石委員 それでは、ことしの夏、特に話題になりましたヒートアイランド、あるいは風の道といいますか、年々暑くなっていくということで、最多のことしの現象が起きていますし、年々、確かにこの四年間でも、東京の温度というのは、肌で感じる実感としても、大変暑い夏になっている。
 ここら辺で、汐留において、改めてヒートアイランドだとか風の道など、都市整備の皆さんから、どういうふうに考えておられるのか、最後にお聞きして、終わりたいと思います。

○森下都市づくり政策部長 今回の案件で汐留地区の開発もあるわけでございますけれども、ヒートアイランド現象、大変大きな問題でございます。ヒートアイランド現象の原因でございますけれども、アスファルト舗装等の地表部の人工的な被覆、それから大量の人工排熱、ビルが非常に集中して、空調などの排熱の存在がある。そういうことを原因として、都心部での温度が上がってくるという現象でございます。
 そういったものを抑制していくためには、緑化の推進であるとか人工排熱の抑制など、個々の建築物での対策が有効であるということがございます。ただ、そういうことプラス風、特に冷たい海風等を都市の内部に取り入れるということも、また有効な対策であると考えております。そういった点から、あの汐留地区のビル群などがいろいろと議論されているところでございます。
 東京の夏、もちろんヒートアイランド現象ですから、夏の時期が問題になるわけでございますけれども、東京の夏の卓越風、夏によく吹く風という意味ですけれども、卓越風につきましては、基本的には南風でございます。海からの風ということでございます。その海からの南風をどのように取り入れるかということが、ヒートアイランド現象にとっては大切な対応じゃないかと思っております。
 今回、例えば汐留についていいますと、建物群の配置を、主に南から来る風に直面してくるような東西方向の見付け面、それを比較的小さくするというようなことが、そういうような配置になっております。また、区画整理事業によりましていろいろ道路を整備しておりますけれども、そういった道路と、それに沿って設けました壁面線の制限を行いまして、空間の確保をしてございます。そういったものが海からの南風の、風の通り道を確保する上では役立っているのではないかと考えております。
 ただ、高層建築物が群として立地するような、汐留だけじゃなくて品川とか、そういった開発が最近は多く出ておりますけれども、そういった都市開発がヒートアイランド現象にどのような影響を与えているかというメカニズムにつきましては、まだまだちょっと研究が足りない部分がございまして、解明されていない点も多くございます。今後、そういった研究とか、そういったものを見きわめながら、適切な都市開発の推進に努めていきたいと考えております。

○渡辺委員 私も、新丸ビルの問題について、何点かご質問させていただきます。
 まず、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会というのがありますけれども、ここに東京都が入っておるわけですね。これは何のために入っているのか、どういう役割を果たしているのかということを、まずお聞きしたいんです。

○森下都市づくり政策部長 大手町・丸の内・有楽町地区のまちづくり懇談会でございますけれども、これは構成メンバーが東京都と区と、それから大・丸・有地区再開発計画推進協議会、これは大手町・丸の内・有楽町の地権者の方々のまちづくりを考える組織でございます。地元の地権者という意味でございます。会社を中心とした組織でございます。それと、あとJRでございますけれども、そういったメンバーによりまして、大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり懇談会がつくられております。
 その目的でございますけれども、公共と民間の協力、協調によって、都心にふさわしい魅力あるまちづくりを進めるということでございます。都としてなぜ参加しているかといいますと、都心部の大変重要な地区のまちづくりでございますので、都としても参加しているということでございます。
 具体的な活動内容としては、そういう公共と民間の協力、協調によるまちづくりということで、一つの成果としましては、大・丸・有地区のまちづくりガイドラインというものを定めてございまして、個々の計画の誘導を図っているということでございますけれども、そのガイドラインの策定などに私どもも参加しているということでございます。

○渡辺委員 このまちづくり懇談会で、今ちょっとお話ありましたけれども、ガイドラインというものも検討されているということなんですけれども、具体的にはどの辺まで踏み込んで議論をされているんですか。

○森下都市づくり政策部長 まちづくりガイドラインというのはこれでございますけれども、この中で、都市づくりのあり方についての基本的な目標であるとか、それから、ネットワークとしてどのような施設整備をしていくかとか、アーバンデザインという観点から、個々の建物はどのようなデザインをしていくべきかとか、そういうようなルールを定めてございまして、個々の建物につきまして、このまちづくりガイドラインに沿って個別の建てかえについても検討を加えていくというようなことをやっているところでございます。

○渡辺委員 あんまりよくわからないけれども、いずれにしても、この地区は重要な都市づくりだというふうにいっていますけれども、国際ビジネスセンターとしての役割を果たさせようということに、やはり目的はあると思うんですよ。それを一層促進させるために、東京都はその懇談会に私は入っているんだというふうに思います。
 そこで、もう一つの組織がありますね。先ほども出されましたけれども、大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会ですか、これとの関係というのはどういうふうになっているんですか。

○森下都市づくり政策部長 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、大・丸・有地区再開発計画推進協議会といいますのは、この地区の中の地権者、特に法人が多いわけですけれども、七十一社ほどで構成します、地元としてのまちづくりを考える協議会でございます。さまざまな活動をしてございます。これは地元の組織でございまして、この組織プラス、都と区とJRを含めたのが、まちづくりの懇談会の方でございます。その懇談会の方では、先ほどいいましたように、官民の協力、協調によるまちづくりを進めるということで、まちづくりガイドラインの策定などの活動を主にしているということでございます。

○渡辺委員 これは都市整備局からもらった本ですけれども、ここには全部で、大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進区域というんですか、このエリアがね。ここのエリアの中に、この発表されたのが、これはまだ新しいと思うんですけれども、全体として十七の超高層というか、そういうビルが計画されている。こういうものは最終的にはどちらで決めているんですか。こういう計画をつくっていこう、これで行こうというのは、懇談会というところで決めるんですか。

○森下都市づくり政策部長 今、十七件ほどの計画があるということですけれども、その個々の計画につきましては、当然、土地建物の所有者でございます民間の地権者が考え方を決めた上でプロジェクトを立ち上げていくということでございまして、都や区は、そういったプロジェクトを適切に誘導するために地区計画を定めたり、あるいは、このまちづくりのガイドラインに沿ったチェックをさせていただくということであって、計画そのものの立案は地元の方々、地元の地権者ということでございます。

○渡辺委員 推進協議会と懇談会という組織、それぞれ懇談会の方に推進協議会が入っていますから、そういう意味では、最終的には懇談会ということになるんだろうというふうに思いますが、いろいろ聞きますと、いろんな議論がされているようですよね。私、こういう話も聞いているんです。
 一つは、この容積率が一〇〇〇%から一三〇〇%に上がりましたよね。さらに今度は、容積率を移転できるような容積率適用地区というんですか、そういうものもできたらいいなというようなことを、協議会の方でも議論がされる。それから、懇談会の方も議論をする。お互いにそういう議論が噴き出て、法律改正というところまで行くわけですけれども、そういう先駆的なまちづくりを誘導する、そういう先駆的な何か誘導策というんですか、そういうものをどんどん議論して進めて法制化していく。そういうことの役割というんですか、そういうものも持っておるんじゃないですか。また、そういうことをやっているんじゃないですか。どうでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 大・丸・有地区のまちづくりのために、いろいろな観点からまちづくりの方法等も議論しているということはあるかと思います。ただ、特例容積率適用制度につきましては、国の施策として、日本全体をどのように改革していくかという観点からつくられた法律であると理解しておりまして、その際、一つの検討素材としてこの地区も取り上げられたとは聞いておりますけれども、特に大・丸・有地区が直接働きかけたということではないと思っております。

○渡辺委員 もう一つ聞いておきますけれども、先ほどお見せした、協議会でつくった十七の計画ですが、既に九件が竣工しておりますし、工事中が五件、そして計画中が三件というふうになっておるわけですが、今後、この計画そのものが終わったら、これは近々終わると思うんですけれども、そしたら、改めてまたここの地区の計画というものをつくっていくんだろうと思います。また、具体的に次はということで、幾つか候補が上がっているやに聞いてもいるんですけれども、そういうことで、今後、これが終わったら、どういうふうなことになるんでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 私どもも、今、十七件ほどの計画があるということは地元からの情報を得ておりますけれども、今後、もちろんそのほかにも当然更新される街区がございますので、幾つかはあるかと思いますけれども、特にそれがあらかじめ想定されて計画されているというものでは、まだございません。個々の地権者の方々が、それぞれの者の事情に応じて計画していくということでございます。

○渡辺委員 この地区では、私は、もっともっと超高層ビルというのが林立して、しかも過密化する、そういうふうに思っています。この新丸ビル計画というのは、この地区再開発計画区域の中で、八重洲側を除きまして見ると、丸の内側だけになりますが、そうすると、この新丸ビル開発というんですか、現時点では、これが高さも延べ床面積でも一番大きいというふうに思うんですね。現在の容積率、これは幾つかということでお聞きしようと思いましたけれども、先ほど一三〇〇%というお話がありました。一三〇〇%というのは、私なんかからしてみると、驚くべき数字だというふうに思っているんです。なぜかというと、ここの都庁が、建てるときに一〇〇〇%にするということで、その一〇〇〇%にしたときに、周りはみんな驚いたんですよ。一〇〇〇%ということ自体。
 それで、今度は新丸ビルということになりますと、それでは足りない。一三〇〇でも足りないということで、この容積を今度は割り増しするということまでやるということでしょう。先ほどのお話じゃないけれども、全体で合計一七六〇ということですから、四六〇%割り増しということになるわけですよ。四六〇の割り増しということ自体だって、これは非常に大きな数字ですね。そういう割り増しですけれども、どんな理由で割り増しをするのか、これはもう一度聞かしていただきたいと思うんです。

○森下都市づくり政策部長 先ほどもちょっとお答えしておりますけれども、一三〇〇%が指定の都市計画の容積率でございまして、一七六〇ということで、結果的に四六〇ふえておりますけれども、そのうちいわゆる割り増しと申しますのは、周辺の都市計画施設を整備するという九五%の部分だけでございまして、残りにつきまして、三六五%は容積率を東京駅の赤れんが駅舎の敷地から容積を移転したものでございまして、これは通常割り増しとは申しません。容積率を移転したものということでございます。

○渡辺委員 東京駅からのいわゆる三六五%、これが移転された、これは割り増しじゃない、こういう話ですね。だけど、一三〇〇%の上に乗せられるということは事実ですよね。これは割り増しでなくて何というんですか。移転は移転だけど、売買すればいいのか、売買したらどれだけ高くなってもいいのかということにはならないでしょう。
 都市計画というのは、最終的には、やっぱり都市整備局がそれをどこまで認めるかという問題で決められると思うんですよ。だけど、今みたいな考え方で、いわゆる東京駅から容積率が移転された、売買された、このことについては割り増しとは認めない、これはちょっと、いささか無理があるんじゃないでしょうか。割り増しじゃないというんだったら、そんなことは認めなきゃいいじゃないですか。もう一回聞かせてください。

○森下都市づくり政策部長 JRの赤れんがの駅舎でございますけれども、これは通常の民有地と同じでございまして、建物を建てることができるわけでございます。例えば、JR名古屋駅前には非常に高い超高層ビルが建ってございますけれども、あれも一〇〇〇%ぐらいの容積を使った建物でございます。そういったものがあの敷地には建つことができるわけでございます。そうしたことをもしJRがした場合には、残念ながら、先ほどいいましたような赤れんがの建物というのは失われてしまう。そこで、あの赤れんがの建物を創建当時の姿に戻して、これだけでもかなりのお金がかかると思いますけれども、その上で、容積が使えるものを使わない、維持していくということでございますので、通常は大きな負担になります。したがって、そういう建物はなかなか保存されないわけですけれども、今回の移転の制度ができることによりまして、その建物を創建当時のものに保全して、復元しながら、かつそれをずっと維持していくことができる、そういった、いってみれば容積率を移転することによってそういった財源が生まれてくるわけでございます。
 そういう意味では、今回の制度は大変すぐれた制度でございまして、そういう容積率の移転でございますから、あくまでも私どもは割り増しとはいわないで、移転というべきであると思っております。

○渡辺委員 これは法律で定められているから、仕方ないんだといえばそれまでの話だけれども、東京駅そのものを創建当時に復元するということでやれば、それはやって、私たちも結構な話だし、そういうものはきちっと復元すべきだ、残すべきだというふうについては賛成ですよ。しかし、かといって、その上の容積率、空中権ですけれども、これは移せばいいという話じゃないと思うんですよ。そういうことが許されるということであれば、東京の都市計画というものは、実際に私はめちゃめちゃになると思うんです。それは限られたものとしてやられていますけれども、その中には公共施設だ、福祉施設だってあるでしょう。そういうものも含めて全部、いわゆる空中権というものが移転してよろしいということになったら、都市計画そのものがやっぱりおかしくなるんじゃないでしょうか。
 そういう意味で、こういう制度そのものについては認められないという立場で申し上げているわけです。局としては、そういうものが法律として定められちゃっているから、しかも、東京駅の復元というか、そういう点ではお金がかかる。その上空を売って、金はそれに充てる。話はわかりますけれども、まちづくりという観点からいったら、そういうことはやるべきじゃないなというふうに思います。
 もう一つ聞きますが、あと九五%ありますね。これは先ほど来いわれておるんですが、いわゆる行幸通りの今まで駐車場であったものを通路にする、それからもう一つは新しく通路をつくる、こういう関係でそれは出されているんですか。

○森下都市づくり政策部長 先ほども案件の説明の際にご説明申し上げましたけれども、この図面集の方の五二ページに斜線で書いてある二カ所の地下の部分の整備、これを行うということで、これはこの計画地の地区の外でございまして、そういう公共施設の整備に貢献するという観点から容積率を割り増すものでございます。

○渡辺委員 一つは、行幸通りの駐車場、一階部分は通路にするということとありますね。これが一つと、それからもう一つ新しく、ちょっと小さいけれども、通路をつくるということですけれども、これによって九五%の割り増しということになるわけですね。私、思うんですけれども、今まで駐車場として一般に利用を認めていた、そういうところですよね。そこが今度は駐車場から通路に変わるだけの話だ。ですから、これは対象にならない。もう一つは、やはり新しく通路をつくるということですけれども、この通路をつくるということについての、いわゆる持ち分といいましょうか、事業者と東京都と財源問題で、あるいはどこからどこまでという区割り問題で、まだ決着がついていないという話がありますけれども、これは行く行くはどうなるんでしょうか、ちょっとお聞かせいただきたい。

○森下都市づくり政策部長 まず、行幸通りの地下の部分でございますけれども、現在丸の内駐車場ということで駐車場でございます。丸の内駐車場はこの計画地の事業者と同一の経営主体になっておりますけれども、実際には駐車場がつぶれるということで、その分収入が減るわけでございます。それに加えまして、行幸通りの上部を整備していくために、いろいろ木を植えるような空間も整備していくということがございまして、相当事業費がかかるということでございます。そういった事業費は、本来といいますか、都市計画事業でございますから、行政側で整備すべきものでございますけれども、それを今回隣接します事業者が同じ都市計画事業者となって負担してもらうということから評価しているものでございまして、それは適正な評価の仕方だと思っております。
 それから、これはすべて公共施設でございますので、丸の内の地下については、当然公共側が管理するものとなります。
 それから、行幸通りの地下の通路は、管理主体は公共側になると思います。都か区か、いろいろのことがあるかもしれませんけれども、それについては今後考えることになりますけれども、公共側が管理するものということでございます。

○渡辺委員 この建物の、いわゆる割り増し分というのは、普通ならば、公開空地というのが本来のあり方だと思うんですよね。それが地下ということで変えられたという問題が一つあるんですが、それから、地上の部分の公開空地というのは、これは全くないんですよね。こういうものについては、若干、通路とか道路とかいうのは広げるということはあるのかもしれませんが、そのほかの公開空地というのはないんですか。

○森下都市づくり政策部長 当然、この特定街区ですから、公開空地は道路の周辺部等に有効な空地をとってございます。それは通常の特定街区の例と同じように、周辺部に、丸ビルの方も同じでございますけれども、周りに公開空地をとってございます。
 それから、管理の問題でございますけれども、行幸通りの地下の部分につきましては、民間の管理ということでございます。訂正させていただきます。

○渡辺委員 割り増しについては最後にしますけれども、いずれにしましても、容積率の移転、これは先ほどいいましたように、割り増しじゃない。普通ならば、これぐらいの建物だったら、割り増しというのは、移転がなければ、これくらいの割り増し出てくるんですよね。それが移転があるから、割り増しが、本来あるべきものが大体ないというふうに私は理解する。ですから、先ほどいったように、この移転というのは割り増しじゃないんだということをいいますけれども、そうではない、割り増しだということで、これは私は強調しておきたいというふうに思います。
 それから、東京駅、先ほどちょっとお話がありましたけれども、三万六千六百平方メートルということをいわれましたけれども、いわゆる東京駅の空中権というんですか、ありましたよね。これは私聞く範囲でいうんですが、ちょっとお聞かせいただきたい。東京駅の割り増し部分というのは半分だというふうによくいわれているんですけれども、その半分というのが三万六千六百平方メートルと、こういうことですか。

○野本市街地建築部長 東京駅の赤れんが駅舎の敷地ですけれども、敷地そのものは二万一千平米ということで、これに九倍したものが容積、こういうことになるわけでございます。

○渡辺委員 それはわかっているんですけれども、その九〇〇%あるでしょう、東京駅の場合はその九〇〇の半分を売買してもいいというふうにいわれているんですね。その半分というと、九倍ですから、十八万ぐらいありますか。そのうちの今回何平米移したかわかりませんが、それから前にも移したとありますね。そうすると、あと東京駅に残っている移転できる容積、これは延べ床面積にしたらどれぐらいあるんでしょうか。具体で申しわけない。

○野本市街地建築部長 東京駅からの容積移転でございますけれども、これまで二回容積移転していまして、一回目が東京ビル、二回目に八重洲開発、今回新丸ビルの建てかえに出すということで、今後の移転可能容積率、現在計算したところでは、約二万八千平米移転可能であるということになっています。

○渡辺委員 次に進みますが、この一三〇〇%の地区に容積率が移転できる。これは三菱がJRから買い取るということなんですけれども、三菱がもう少し欲しい、そういうことになった場合、何%までこれは認められるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 特例容積の可能性としては、先ほど森下部長の方から説明しましたように、五〇〇%の移転まで可能だということなんですけれども、今回都市計画の決定としまして、三六五%と決めてしまいますので、都市計画を変更すれば別ですけれども、その範囲では三六五%の範囲内ということになります。

○渡辺委員 それはわかりました。
 次に、二〇〇二年の四月十六日の当時の都市計画局の都市・環境委員会、ここで我が党議員が次のように質問して、答弁が次のように返ってきています。質問はちょっと外します。答弁ですけれども、都市計画で定められました容積率を超えて特例容積率を指定する場合、まず前提として高度利用を図る上で合理的な利用形態となっている建築物が事前に計画されていること、その建築物によって想定される交通量が適切に処理できる道路に接していることが必要です。その上で周辺に与える影響などを考慮して、都市計画で定めました容積率の一・五倍を限度として指定することと考えております。こういう考え方でいきますと、新丸ビルは、先ほどの話ですけれども、そのほかでこれからもいろいろ出てくるというふうに思うんですけれども、一三〇〇%ということですから、一・五倍ということになると、一九五〇%になるわけですよね。これは前から二〇〇〇%ということは話題になっているんですよね。そういう点では、どうなんでしょう。ディベロッパーがやっぱりもっと欲しいんだということになると、その一・五倍までは認められるということで、二〇〇〇%に近い、そういうところまで認めるということにもなるんでしょうか。

○野本市街地建築部長 特例容積の容積移転の基準でございますけれども、一・五倍のほかに五〇〇%以下、そのどちらかの低い方となっておりますので、最高でも容積移転できるのは五〇〇%、そういうことになります。

○渡辺委員 わかりました。そうすると、低い方ということですね。
 次に、私は思うんですけれども、こういう新丸ビル計画構想というのは、東京駅に向かって行幸通り両サイドに大きな門ともいえるような超高層を建てる。これは東京駅を歴史的文化財として権威あるものに見せるという点では、その内容はわかるんです。そのために思い切った割り増しも必要だ、容積率が一三〇〇%、割り増しもそのためにふやした、こういうことだというふうに思うんです。私はそういう意味で、この新丸ビル問題についていえば、容積率と割り増し先にありきだというふうにいわざるを得ないというふうに思います。
 ところで、こういう超高層を次々と建てていくということになりますと、一極集中というのはすさまじいものにならざるを得ないというふうに思います。鈴木知事がバブルそのものを引き起こして、当時から一極集中そのものが大きな問題になった。そして、多極分散型副都心構想というものが打ち出されて、それが破綻するというような状況にあるわけですけれども、私は、この副都心構想というものが今破綻しているからこそ、また都心に集中しているというふうに思うんです。それをまた許しているというふうに思うんです。
 私、ちょっとお聞きしますが、今一極集中をどんどん進めている。都心五区、さらには都心三区の中にこの超高層というのは集中的に今つくられている。そういう点から考えると、多極分散型、いわゆる副都心構想というのは行き詰まっている、反省しなきゃならないというふうに思っているんですけれども、そういう反省するということがあったんですか、お聞かせいただきたい。

○森下都市づくり政策部長 副都心計画でございますけれども、私どもは東京の一極集中を是正するために副都心の構想をつくっているわけでございますけれども、その後環状メガロポリス構造等、都市構造の考え方については若干の考え方を変えてきております。都心集中だけをするというわけではなくて、当然副都心についても従来どおり育成をして、適正な業務の配分を図っていくということは従来から続けております。現に大崎の副都心等につきましては、逐次整備を進めているところでございますし、私どもはさまざまな都市開発の制度を運用してございますけれども、副都心については、その育成をするという視点については全く変わっていないところでございます。

○渡辺委員 そういうふうにいうでしょう、それは。だけど、現実的に見れば、都心五区、都心三区に集中的に超高層が林立される、こういう状況というのは、これは否定できないことですから。一極集中を本当に分散するといったら、そんなことは許されるはずはないんですよ。私、思うんですけれども、この都心への一極集中、こういうものが行われると、これから就業人口だってふえる。リストラによって減っているんだからふえないよ、あるいは面積が--ふえているんだからふえないよ、そういうような理屈もあるかと思うんですけれども、しかし、私は、就業人口というのはふえるんじゃないかというふうにも思いますし、そのために朝夕の通勤地獄、こういうものも一向に改善されてこないということ。
 同時に、そういう超高層的なオフィスビルあるいは商業ビル、こういうものをつくれば、そこに流入してくる人口、これもまたふえるでしょう。あるいはまた上下水道の対応、こういう問題だって、現時点ではその吸収能力はあるということをいっていますけれども、行く行くはこれだって大きな問題になってくるだろうというふうにいわざるを得ないし、あるいはまた自動車の総量、交通量、こういうものも増大するということも、これは避けられないというふうに思います。
 こういうことで、最後に質問しますが、前に汐留の開発のときに、あの汐留開発が終わった時点で、自動車交通量というのはどれくらいふえるかということで、我が党は質問しました。資料もいただきました。そのときに約四万台というふうにされておりました。今度はやはり汐留のあの、いわゆるビル群と今度のエリアの中の超高層ということになると、これらも含めれば、こちらのエリアの超高層群の方がボリュームはもっともっと大きくなる。そういうことからいって、自動車交通量もやっぱりふえると思うんです。そうすれば、地球温暖化だとかヒートアイランドとか、いろんな言葉でいうけれども、そういうものがやっぱり改善されるということじゃなくて、遠のいていくということをいわざるを得ないと思うんです。
 そこで、最後にお聞きしますけれども、このエリアでの交通量の増加といいましょうか、そういう点でどれくらい見込んでおられるんでしょうか。

○森下都市づくり政策部長 今後のプロジェクトの数がまだ確定しているわけではございませんので、今直ちに数字をいうわけにいきませんけれども、こういう都市計画をするに当たりまして、将来ある程度容積が伸びた場合においても、交通処理は大丈夫か、そういったことについては、当然、大・丸・有の地区を検討してございまして、基本的には全体として道路交通は大丈夫である、それから下水処理についても大丈夫である、そういったことについての検証はしているところでございます。

○渡辺委員 今の答弁ですけれども、大丈夫だという話ですけれども、いわゆるあそこの道路というのは広いですから、そういう点では一定の容量がふえても大丈夫だ、こういう話でしょうし、またつくる方からしてみれば、もう自動車がふえちゃってどうしようもないよという話にはならないし、そういう点でいろいろというでしょう。しかし、現実の問題としてはやっぱりこれはふえるんですよ。いずれにしたって。超高層をどんどんつくっていけば、これはだれが考えたって、自動車がふえないなんていう話は絶対にあり得ないことですよ。
 私、再度質問をしませんけれども、そういうことで、やはりこういう超高層をつくるということについては、もろもろの関連するものがありますから、そう高いものばかりつくるということで、両手を挙げてオーケーというようなことにはしてもらっては困るというふうに思います。そういう点で、ぜひきちんとした計画ある都市計画、こういうものを進めていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。

○新井委員 国分寺都市計画道路三・三・八号線について、若干質問させていただきます。
 この三・三・八号線については、地元市も私どもも道路建設自体は必要な事業であるということの認識なんですけれども、国分寺市の真ん中を通る道路であるということで、地域が分断されること、あるいは緑とかの環境が破壊されるのではないかというような懸念、そういった意味で市民の方の関心が非常に高い道路ということになっています。
 そこで、今回都の改正された環境アセス条例の初の事例であるわけですけれども、この三・三・八号線で特例環境配慮書を採用されたのはなぜでしょうかということをまずお伺いします。

○成田都市基盤部長 今回特例環境配慮書をなぜ採用したかというご質問でございますけれども、本案件につきましては、東京都環境影響評価条例第二十九条の規定に基づきまして、特例環境配慮書を作成してございます。条例改正前の制度では、計画策定後は一つの計画案について予測、評価を実施することにしてございましたけれども、それと同時に、都市計画の手続と並行して環境影響評価手続を進めていく、こういうふうな流れでございます。
 今回特例環境配慮書としたのは、既に現在事業中の府中区間におきまして、本区間の道路構造などと同様な計画内容で整備を進め、なおかつ環境影響評価を行ってございますので、それに基づき都市計画を変更したものでございます。このことから、本区間におきましても、環境による影響を定量的に予測、評価することが可能なため、この制度を適用し、特例環境配慮書を提出したというようなことでございます。
 なお、この制度では計画を策定する前の早い段階で複数の計画案を作成いたしますので、計画策定前に住民意見を十分踏まえた上で都市計画の手続を進めることが可能かと、こういうふうに思っています。

○新井委員 なぜ特例環境配慮書というものが採用されたかということについてご説明いただいたわけなんですけれども、これは採用していく際に地元市との協議といいますか、地元市との話し合いというのは行われたんでしょうか。

○成田都市基盤部長 地元市とはいろいろ準備段階から意見交換あるいは調整をさせていただきまして、市の理解を得ながら進めさせていただいております。

○新井委員 確認ですけれども、この特例環境配慮書を採用するということについても、市の理解、了解を得て、今回九月にそれをお話ししたということなんでしょうか。

○成田都市基盤部長 特例環境配慮書を作成するのはだれかというのは、これは知事が決定いたしますので、市に関しましては、いろいろ情報交換しながら、最終的には都の方で意思決定してからお伝えしたというふうなことでございます。

○新井委員 一年前から環境現況調査を始められまして、その件についてはある程度情報を地元市の方に伝えながら、さっき部長がおっしゃったように、かなり緻密に調整をして、情報も公開していらしたというふうには聞いておりますけれども、今お話がありましたように、特例環境配慮書を採用するんだということについては、この九月に突然、そうしますという話があったということで、地元の方では、この件についてちょっと困惑をしているというふうなことがあったようです。
 それで、私は、今お話を伺いましたが、これはいいんじゃないかというふうに結果思うわけですけれども、結果がオーライであるということではなくて、やはりそのプロセスというものを大事にして、地元市との協議をちゃんとしていけば、今回地元の委員会で大騒動になるようなことはなかったのではないかというふうに思います。都市計画の手続の中で、私はいつも、いろいろなところで参加の仕組みというものがないから、なかなか難しいし、変更、廃止のルールもないので、そういう部分では何とか東京都で独自に工夫してもらいたいということを常々申し上げるわけです。そういった意味で、最低限、地元市との協議あるいは地元市の了解のもとで進めるということについては、特に留意をしてやっていただきたい、配慮していただきたいということをこの際ちょっと申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、これで進んでいきますと、計画の最終段階で一案に絞っていくときに、都の審議会が事業段階のアセスについては省略しようということを認めた場合に、事業段階のアセスはなくなりますよね。そうすると、環境現況調査の項目あるいは方法に、その後市民の意見の反映ができなくなってしまうとか、あるいは一案に絞られた後、市民意見の反映は一体どんなふうに行われるのかとか、そういったことについて地元の議会などではかなり不安を持っているようです。今後、地元市とか住民とのこういった部分での合意ということについてどんなふうにお考えなのか、教えてください。

○成田都市基盤部長 今後、地元との合意の仕方ということでございますけれども、もともと特例環境配慮書につきましては、従来一案で都市計画案を決めつけて地元に説明に入っているのではなかろうか、こういう批判も多々ございましたけれども、今回はそれを三案に絞り、その中で環境の予測、影響評価をしながら、地元の皆様方の意見を反映させながら、一案に絞り込んでいこうというふうなことでございますので、そのプロセスは十分合意形成に機能しているというふうに考えています。

○新井委員 おっしゃるとおり、一つの案を決めて、それを決定していくということではなくて、三案、A、B、C案が出されておりますけれども、この三つの案を考えながら最後に絞っていくということについては、その絞っていく過程で参加というか、意見の反映がされるということは、これは確かに一歩前進ということで非常に歓迎することなんですけれども、一案に絞られた中で、あるいは環境の現況調査というのは項目が決められてスタートしておりますけれども、一案に絞った後で、新たにこういう点についてもぜひ調査をしてもらいたいとか、こんな手法で調査をしてもらいたいとか、いろんなことが、現場の方たちも含めて、市民に広く周知していった場合に出てくるかと思うんです。そういったことについては、ぜひ柔軟にそういうものを取り上げてやっていっていただかないと困るということが、今地元の不安の声なわけで、計画段階で三案でやっているから、これで十分だということではなくて、今後一案に絞られた後につきましても、柔軟な取り組みで調整をしながらやっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
 それから、国分寺市ではまちづくり条例というものがことしできまして、市民の参加というものを原則にしたまちづくり条例ということで、全国的にも注目を集めていて、いろいろと視察等が行われているということを聞いておりますけれども、今後この三・三・八号線もこの条例に基づいて事業が実施されていくというふうになるというふうに市の方では認識をしているようです。
 そういう意味で、住民の意見の反映ということをどうしていこうかというふうにいろいろ議論がされているわけなんですけれども、今回、事業段階のアセスがなくなる可能性が非常に大きいということがわかりましたので、都の方の市民説明会が減っていくだろうということの補強策として、急遽、計画段階アセスへの市民意見の反映の場をより設けていこうということで、国分寺市の方では努力をして、そしてその結果を意見書に反映して、知事に提出していこうというふうな流れを、十月の建設委員会の方で確認をしたというふうに聞いております。それだけ市の方では参加というものを重要なものとして認識してやっていくということですので、知事に意見書が出されていくわけですけれども、それは当然都としては尊重していくのではないかというふうに思うわけですけれども、この点につきましては、局長のお考えを伺いと思いますが、いかがでしょうか。

○梶山都市整備局長 三・三・八号線は多摩にとっては非常に重要な道路だ、こういうふうなことから、そういった環境影響の新しい政策で今後展開していこう、こういうことでございますが、今のお話の件でございますけれども、地元市長を初め、地元の方々の意見を聞きながら、着実に整備を進めてまいりたい、こう思っております。

○和田委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○和田委員長 速記を始めてください。

○吉野委員 新しい構成になりまして初めての委員会ですけれども、我が党、今回六人の委員の中で、多摩は私一人でありますので、これから多摩の問題についてはいろいろとご支援をいただきたいというふうに初めにお願いをしておきます。
 先ほど来、一三〇〇%とか一六〇〇%とかいう数値が議論されておりましたけれども、多摩は八〇%を一〇〇%に上げてほしいというささやかな願い事の実現に向けて今努力をしているところでございますので、そうしたことも念頭に置いていただきながら、多摩の振興についてぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 今、新井委員から国分寺三・三・八号線、いわゆる府中所沢線についての質問がありましたけれども、私もこれに関連をいたしまして、少しお聞きをしたいと思います。
 この府中所沢線は、今私の地元で整備が進んでおります調布保谷線ですとか、あるいは東八道路といった道路と並びまして、多摩地域における主要な幹線道路であるというふうに認識をしております。したがいまして、一刻も早く整備を進めていく必要があるだろうというふうにも思っているところでございます。
 そこで、まず全体の概要という形で、本路線の整備目的及びその効果についてお尋ねをしたいと思います。

○成田都市基盤部長 府中所沢線の目的とその効果についてのお尋ねでございますけれども、府中所沢線は吉野理事、十分ご承知のように、近隣県などとの広域的な道路網の形成あるいは都市間の連携強化を図るため、多摩地域におきます南北の幹線道路の一つでございまして、機能的な都市活動と安全で快適な都市生活の実現を目指すことといたしてございます。
 その整備効果といたしましては、交通渋滞の緩和、歩行者の安全性の確保はもとより、居住環境の改善、防災性の向上、こういうことに大きく寄与するものと考えておりますので、早期に積極的に取り組んでまいりたいと思います。道路の方は、多摩地域まだ五〇%でございますので、できるだけ一〇〇%に近づけたいと思います。

○吉野委員 それでは、この府中所沢線、全体では十三キロを超える長さの中で、今回国分寺三・三・八号線は二・五キロということですけれども、全体の事業の進捗状況について伺いたいと思います。

○成田都市基盤部長 府中所沢線は、府中市から埼玉県境まで至る約十三・六キロでございますけれども、このうち整備済みの区間は約四キロございます。また、事業中の延長は約二キロでございまして、特に東八道路から多喜窪通りまでの府中区間につきましては、平成九年度から事業に着手してございます。当該国分寺区間を含めまして、残りの八キロがまだ今後整備をしなければならない区間でございます。

○吉野委員 国分寺三・三・八号線は、全区間未着手ということですけれども、道路整備に当たっては交通の円滑化はいうまでもなく、沿道の環境にも配慮した道路整備が重要であるというふうに思います。本路線につきましては、いずれの案も計画幅員が二十八メートルから三十六メートルに拡幅されるということで、先ほど成田部長からも道路構造について説明がございました。これは調布保谷線のように、高品位な道路として整備を進めようとしているんだというふうに理解をしているところですけれども、そうなんでしょうか。

○成田都市基盤部長 ただいま吉野理事ご指摘のように、調布保谷線の方は、同じ三十六メーターで用地買収、整備等もかなり進み始めてきておりますけれども、この路線につきましても、かなり高規格な、いわゆる環境面をひっくるめて高規格な道路というふうなことで整備を進めてまいりたいと思っております。

○吉野委員 今回三案で特例環境配慮書を提出したわけですけれとも、三案が環境に与える影響と今後の手続について、先ほどいろいろ議論ありましたけれども、お伺いをしたいと思います。

○成田都市基盤部長 三案とも環境に関しましては、大気汚染、騒音、振動を初め、いずれもこれらの項目は、予測結果は環境基準等の指標以下となってございますので、評価の指標を満足してございますので、環境への影響は少ないというふうに考えています。
 今後、いわゆる計画策定前の予測、評価である特例環境配慮書の公示、縦覧、説明会、それから都民の意見を聴く会などを行いまして、さまざまな地元の意見を聞きながら、計画案を一つに絞り、絞った後に都市計画審議会に付議し、都市計画変更の手続に入り、一案に絞ってまいりたい、かように考えています。

○吉野委員 先ほど来議論ありますように、道路整備を進めるに当たりましては、地元市の意向も重要であるというふうに私も認識をしております。
 そこで、先ほども質問ありましたけれども、地元市の市長の意向を把握をしているのかどうかということを伺いたいと思うんです。実は、かつて調布保谷線の議論のときに、三鷹市の市長が反対だという質問がありまして、そのとき私は関連で、違うということを都に確認をしたことを今思い出しております。あのとき三鷹の市長は、道路の整備だけで環境を維持しようとするのは無理なんだと、車のエンジンだとか、燃料だとか、全体的なことで環境をよくしていく道づくりとしてあるべきだという意見をいっていたんですが、それが三鷹の市長反対しているじゃないかという形で質問が出たものですから、やはりきちっと地元市の市長の意向というものを把握しておいてほしいというふうに思って質問しているところです。

○成田都市基盤部長 ただいま吉野理事からご指摘のありましたように、調布保谷線の推進過程におきましては、さまざまな誤解を生んできた場面もございましたけれども、今回は今ご質問のように、これまで地元市長さんとの意見交換を初めとしまして、市長会等の要望活動の中でも地元市長さんと意見交換をさせていただいています。
 その中で、国分寺市長さんにつきましては、本路線の早期整備の必要性を認識している、こういうふうに伺っております。また、府中市長さんに関しましては、現在事業中の府中区間と同様に整備の促進をと、こういうふうに要望をいただいています。また、この後整備を進めていかなきゃならない小平市長さんにつきましても、本路線の道路整備の必要性を認識しており、環境に配慮した整備をとのご意向をいただいております。

○吉野委員 府中所沢線は、調布保谷線ですとか、東八道路とともに、多摩地域における重要な幹線道路の一つであり、多摩の自立や活性化に大きく資する路線であるというふうに認識をしております。工事を行う建設局がマイナスシーリングという状況にありますけれども、こういう重要幹線道路の整備は、別立ての予算を組むぐらいの形で整備の促進をしていってほしいというふうに私は思っております。
 また、道路事業として初めて計画段階の環境影響評価を行うということですけれども、今後とも地元の意見を十分に取り入れながら、環境に配慮した道路の早期整備を図っていただきたいというふうに思っております。
 先ほど事業概要の説明の中で、多摩地域の道路、十七年度に新たな計画づくりに入るということですけれども、最後に、梶山局長に多摩地域における道路整備についての決意をお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

○梶山都市整備局長 決意ということですが、多摩地域は圏央道の完成だとか、横田基地の軍民共有化の実現などにより、相当都市構造がそういう意味では変わるんじゃないか、こんな地域だと思っています。
 一方で、観光を含めたさまざまな産業の振興によって、多摩を自立性の高い活力ある圏域にしていきたい、こういった要請もあることも十分承知しております。こういうことから、ただいま吉野委員からご意見いただいたとおり、今後地元の意見も踏まえまして、これらを支えていく骨格道路を整備して、東京だけではなく、首都圏の活力の一翼を担う多摩を実現していきたい、このように頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。

○曽根委員 私から、最初に汐留地区の地区計画の変更について何点かお聞きします。既に何人か質問が出ておりますので、ダブる点は省略したいと思います。
 汐留開発が始まって、私の記憶ではもう十年になろうとしていると思うんですが、既に電通の本社ビル、日テレビルを初めとして、約十棟の超高層ビルが立ち並んでいる。私が思うところでは、現在のところ、日本で最も高密度のオフィス街になっているんじゃないかというふうに思うんです。
 今回の案件は、汐留の南西の外れといいますか、芝離宮のすぐそばの、保留になったんでしょうか、この地区に新たなオフィスビル二十四階建てを計画するというものです。一昨年来、ビルの密集した北側の地区になるんでしょうか、隣接した商店街の方々から、風が入らなくなって、夏の気温が一気に上昇したという苦情が相次いでおります。昨年はたまたま冷夏だったんですが、ことしはさらにこの問題が再燃をして、実際に七月二十日にこの近隣の地域で三十九・五度の最高気温を記録したという状況になったわけです。
 したがって、多くの専門家が指摘しているように、ビルが、全体では二十ヘクタール以上の広さがあるとはいっても、超高層が十棟も林立するということによる、一つの超高層ビルだけでも、住宅にすれば万単位の住宅に匹敵する冷暖房の排熱だとか、電気その他の利用のエネルギーを使う、またCO2などの温暖化ガスや自動車交通に伴う熱も発生するということで、大変な環境負荷を与えることになるのが、十棟既に建っているということから見て、この影響ははかり知れないものがあると思いますし、さらに、ことし特に専門家が指摘しているように、湾岸の高層ビル群が、ここだけではありませんが、品川や臨海部、その他の地域と合わせて、一種の壁のような役割を果たして、東京湾からの風の通り道をふさいでいる、その冷却効果を阻害したことがことしの異常気象の中でも、特に都心部の猛暑の大きな要因だというふうに指摘されています。
 そこで、本計画の建物についての影響はどうかということについて、都市整備局でお答えできるところで答えていただきたいんですが、規模についてなんですけれども、この汐留地区、再開発促進区域に入っている汐留地区計画の区域面積全体でどれくらの面積があって、この中で計画されている建物の総床面積はどれぐらいの規模なのか、また既に竣工している建物の総床面積はどれくらいまででき上がっているのか、そして、今計画のビルの床面積はどういう規模なのか、ちょっと数字を並べてお答えいただきたい。

○森下都市づくり政策部長 まずヒートアイランドといいますか、風の問題でございますけれども、この地区におきましては、Ⅰの二街区につきましては、延べ面積が十一万八千七百平米ぐらいのものでございますけれども、このビルができます。この地区は、先ほどもご答弁申し上げましたように、東京の夏の卓越風というのは南でございまして、南の方から海風が入ってくるということでございます。それに対しまして、この地区の建物は南北に長い形で、南風に対する見付け面積が小さいものですから、そういう意味では風の通り道を比較的遮らないような形状となっております。
 また、建物の周りの空地もいろいろ確保しているということで、そういった点でも、風の道を遮らないような形になっていると思っております。
 そのほか、空地の緑化などにも努めるところでございまして、いわゆる風の道、ヒートアイランド対策については一応対応はできているものではないかと思っております。
 それで、汐留地区全体の開発でございますけれども、汐留地区の地区計画の面積が全体で二十五・一ヘクタールでございまして、二〇〇三年八月段階での各事業者によります計画内容を寄せ集めますと、トータルで延べ床面積が約百五十六万平米となります。先ほども申し上げましたように、Ⅰの二街区では約十一万八千七百平米でございます。

○曽根委員 二十五・一ヘクタールの区域面積の中に、総床面積で百五十六万平方メートル、つまり百五十六ヘクタールですか、そういう床面積の建物が計画をされている。既に竣工した建物の面積はお答えなかったんですが、この間ちょっとお聞きしたところ、百十万ぐらいができ上がっているということでしたね。
 それに加えて、今回十一万八千七百平方メートルの建物ができるということで、でき上がっているビルが十棟で百十一万とすれば、同じぐらいの平均的な大きさのビルがもう一個ふえて一割増しになるというような量的な、非常に大ざっぱですけれども、あれになるのかなというふうに思います。今お答えの中に、夏の季節風といわれる卓越風というのはは、南が多いことは事実ですが、しかし、風はいつも南側から吹いてくるわけではなくて、ここの場合は浜離宮などを通して、風の道という点でいうと、東もしくは南東からの風がちゃんと入ってくるのかどうかということが非常に大きな意味を持っているふうに私は思うんですよ。つまり、海側というのは東側なんです。
 しかも、南風の点でいうと、このすぐ南に品川の開発があって、既に品川の開発ビルなどで、南からの風はそこでかなり遮断されているんですよ。したがって、ここの汐留の開発ビルが、確かにおっしゃるように、ちょっとパンフレットから拡大してきたんですが、南北に長い形で配置されているために、南北の壁になっているんですが、そのときに、ここに浜離宮があって、東からの風もしくは南東からの風がかなり遮断されるということで、実際の苦情も、西側もしくは北西側の商店街のお店から苦情が非常に多いというのが、私たちが聞いている実態なんですね。
 したがって、夏の風は必ずしも南からだけではないという点からいうと、建物を建てる以上、どうしても壁の役割は避けられないと思うんです。実際に建物の建築面積は詳しくはまだわからないそうなんですが、大体見たところ、区域面積の中で三割程度の建坪でどの建物も建てているとすると、平均して二十階建てから三十階建ての高さの、建物の間はすき間があいているとはいうものの、大きくみれば壁のような形になっている。特に汐留はこの区域の中に集中的にビルが建っている、今ヒートアイランドだけじゃなくて、風の問題を一番起こしやすい地域になっているというふうにいわざるを得ないと思うので、そこの一番南の外れに、何となく書いてみたんですけれども、もう一つビルができて、この区域全体で約一・二キロにわたって壁になってしまう。間に「ゆりかもめ」のところだとか、若干のすき間はありますけれども、かなりの壁効果になるだろうというふうに思われますので、この環境対策は先ほどお答えがあったので、あえて聞きませんけれども、万全を期す必要があるし、私は、ここにこれ以上の超高層ビル建設は、やはり見直すべきじゃないかということを基本的な立場としては申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、発生する交通量をどうするのかという問題についても、すぐそばに通っているのが、ここの場合は区道が通っていますが、先日、朝現地に行って見たところ、既に朝から渋滞が始まっております。浜松町駅のすぐ前の道路です。この道路にさらに、都市整備局の予想だけでも、日中大体三千台以上の車がこの地区から出入りすることになるだろうということですので、この区道このままで大丈夫かなというのが率直な私の実感です。この点についても、もし進めるのであれば、対策がどうしても必要だろうというふうに思いますし、あの区道では、その交通量、ほかの地域からももちろん入ってきますので、飲み切れないんじゃないかということは、問題点として指摘しておきたいと思うんです。
 この問題の最後に、この汐留の区域には百戸程度だと思いますけれども、都営住宅がかつて建っていたわけです。当初は都営住宅を建てかえて区域内に残すという計画が途中でなくなって、結局この区域内には、ここは最後の開発区域だそうですけれども、公団の賃貸は若干あるものの、東京都がかかわった、例えば都営住宅や公社住宅はもちろん、都民住宅も一戸も計画されないということになるわけで、住んでいた都営住宅の居住者の方は、大体が勝どきの住宅に移ったというふうに聞いております。私は、ここ、最後の開発区域だというので、せめて東京都がかかわる中堅所得層、またはファミリー世帯が入居できる程度の家賃の公共住宅を計画できないのかというふうに思うんですが、今回審議になる区域の公共住宅の可能性があるのかどうかということと、それから、この汐留全体で見て、今後公共住宅を東京都が計画で新たに加えられる余地があるのかどうかについてお聞きしたいと思います。

○森下都市づくり政策部長 汐留地区、今地区計画を立てたところでございますが、ここにつきましての住宅建設の考え方について、私の方からご説明させていただきたいと思います。汐留地区は世界の都市東京にふさわしい業務とか商業とか文化とか、それに居住等も加えた多様な機能の集積した拠点計画を目指しているところでございます。
 そういった考え方から、この地区計画の中ではD南街区とH街区で都心居住を推進する居住ゾーンとしまして、分譲住宅とか賃貸住宅を設けております。定住性が高くて多様な住宅ニーズに応じた住宅供給を図っているところでございます。
 きょうお願いしましたIの二街区におきましても、現在共同住宅の建設が進められております。そういった住宅を民間、それから都市再生機構の賃貸も含めまして、分譲、賃貸、それぞれ合計いたしますと、約二千戸近い都心居住の住宅を供給するということでございます。そういった考え方で汐留地区全体については住宅計画を立てているところでございまして、特に都としての住宅計画はございません。

○曽根委員 確かに住宅計画はあるんですよ。公団の賃貸もあるようなんですが、まず公団の家賃制度からいうと、あの地区だと家賃は二十万は下回らないですよね。だから、東京都がかかわって都営住宅もしくは都民住宅でも、出発家賃でいうと、十万前後というような、中堅所得層で何とか払えるような、支払い可能な家賃の制度の住宅というのが、多様なメニューという点でいえば、住宅の中に必要だろうというふうに思いますので、可能性があるかどうかについてはお答えなかったんですが、まだ余地があるのであれば、汐留地区にも、これだけの大きな開発をやるんですから、一般庶民が暮らせる住宅を計画するということがあってしかるべきだということを申し上げておきます。
 次に、府中所沢線について、何点かお聞きします。この道路の問題は、以前、もう大分前ですけれども、私、調布保谷線とともに、東京都が主導的に、それまでの道路計画を幅員を拡張して、高規格道路というんですか、そういうものとして位置づけたという直後ぐらいに質問したことがあります。
 その後の経過について最初にお聞きしておきたいんですが、東京都がこの道路計画を、今事業をやっている府中のあたりですか、二十八メーターを三十六メーターに拡大した時期はいつで、どういう理由で拡大したのか。またこの道路の延長、ほかの県との交通ネットワークということが先ほど答弁もありましたが、埼玉県もしくは南の神奈川県、こういうところとの関係で、東京都が高規格に、三十六メーター幅に拡大位置づけたことが、他県をも含めてネットワークになってきているのかどうか、その点についてお聞きします。

○成田都市基盤部長 調布保谷線以来、こういう環境に配慮した高規格の道路をどういうふうに編成したかということでございますけれども、まず最初に府中所沢線でございますけれども、昭和三十七年の四月に幅員二十八メーターで都市計画決定をしてございます。副委員長ご存じのように、さらにその後、平成八年三月に多摩地域におきます都市計画道路の第二次事業化計画を策定いたしまして、この中で沿道環境に配慮する方向を打ち出してございます。その後平成九年四月に、現在整備中でございます当該府中区間の事業化に際しまして、多摩地域の南北方向の、先ほど来申し上げておりますように、交通、環境、防災等に配慮し、幅員十メーターの環境施設帯を設けながら、幅員三十六メーターに都市計画変更してきたというふうな経緯がございます。
 また、広域というふうなことで、埼玉、神奈川との関係がいかがかというふうなことでございますけれども、埼玉県に関しましては、現在、埼玉県側は所沢三・三・一号、飯能所沢線というのがございますけれども、ここは四車線で二十五メーターで現在事業中でございますし、また所沢三・四・八号線、榎戸豊岡線というのが二車線で供用中でございます。埼玉県側につきましては、事業が都県境に近づいていることから、現在埼玉県と協議中でございます。神奈川県側についてはまだそこまでいっておりませんので、埼玉県側ほどの調整は進んでおりません。

○曽根委員 三十六メーター道路構想が出たのが、今平成八年三月という話がありましたが、たしか平成七年の東京都の長期計画か何かにのったんですね。それで我々もどうするんだろうと思ったら、翌年そういう環境に配慮したというふうな形容詞が必ずつくんですが、三十六メーターの規格の道路にするという話が出て、それからもう十年近くになるわけです。しかし、今お話のあったとおり、埼玉でも二十五メーター、神奈川はまだそこまでいっていないということで、他県との車のネットワークという点で見れば、東京だけ三十六メーターに仮に広げたとしても、南北のネットワークという点では、他県との調整はまだ八年たっても進んでいないというのが実態だと思うんです。この点で、今後そこがボトルネックになってしまうというような問題も含めて問題が残っているということを指摘したいと思います。
 もう一つは、今回の計画は、先ほど特例環境配慮書を適用するということで、府中でやっているから、その延長で環境評価は事業段階ではもう省略していこうという方向が打ち出されたことは重大だと思うんです。もともと府中の事業計画の段階のアセスメントにもたくさんの意見がついて、地元の住民の方々が決して納得できるような環境評価書が出ていないんですよね。今回の計画でも、実際東京都の説明などは行われていませんが、市の説明会が八月に開かれて、そこでもかなりの意見が出ていますし、その後市長さんや、また都知事あての質問状という形でも、私がお聞きしているのは、花輪さんという方を代表とする三十六メーター道路を考える会という団体ですが、そこから質問状も出ています。見させていただいたんですが、この道路が高規格で本当に必要なのか、なぜ二十八メーターを十メーター近く広げなきゃならないのかということについての根本的な疑問が提出されているわけです。
 ここで指摘されていることで、いわゆる府中街道ですか、ここが非常に渋滞だということが大きな動機の一つになっているんだが、府中街道の渋滞は、府中街道の改善で解決できるんじゃないかということが提案されているわけです。私、この点が気になったので、お聞きしたいんですが、府中街道の一日の自動車交通どれぐらいなのか。それがこの道路計画をつくった平成七年か八年当時、そして現在どの程度交通渋滞がふえているのか、変化しているのか、その点についての数字がありましたら、お願いします。

○成田都市基盤部長 交通量についてのお伺いでございますけれども、環境影響評価書にも記載してありますけれども、計画につきましては、平成二十七年で約二万から三万台となってございます。現況の府中街道での交通量でございますけれども、国分寺区間に近接する五日市街道側の北側で十二時間交通量でございますけれども、平成六年度が一万三千五百台、それから平成九年度が一万三千三百台、平成十一年度が一万三千五百台となってございます。

○曽根委員 府中街道、確かに、あの道路の規模からいうと、渋滞が起きるだろうなということはいえますね、一万三千五百台。ただ、平成六年当時からほとんど交通量は変わっていない。まあまあ満杯状態だということでしょうね。それにしても十二時間測定しかないということなのですが、夜の時間はかなり減りますので、日量二万台いかないだろうと思うんです。ところが、この府中所沢線については、最終的には日量大体三万八千台、四万台近くを計画しているわけで、府中街道の、いわば渋滞分を飲み込むだけじゃなくて、ほかからもネットワークで自動車がかなり入ってくるということをもともと想定している。つまり、かなり通過交通量がふえるということを想定しているわけで、この点は、地元の住民の側からいえば、やはりそれだけ環境への影響は避けられませんから、非常に心配が多いということは当然だと思います。
 つくるのであれば、当然環境対策は万全にとらなければなりませんが、しかし、自動車がふえる以上はさまざまな問題が起きるのは避けられません。例えば、横断歩道一つ、どういう対策をとるのか、学校の通学区域にもまたがっているところがありますから、そういう対策なども含めて、かなり私は難しいだろうと思います。
 こうしたものも含めた住民の団体または個人からの意見、先ほど紹介した質問状、こういったものに対する対応は、このアセス手続をどんどん進める前にきちんと、少なくとも基本的な納得を得られるように最大限努力をしなければならないと思うんですが、その点での説明会または質問、要望に対する回答、その他の対応についてお聞きします。

○成田都市基盤部長 地元からは、曽根副委員長ご指摘のように話し合いをしてほしいという申し入れもございます。ただ、もう一方では、知事及び都議会議長あてに整備促進の陳情も出てございます。都といたしましては、計画案の説明あるいは環境影響評価書案の説明会、それから地元の意見を聞く会、こういうことを通じながら、地元意見を吸い上げ、計画案の絞り込みをしてまいりたいと思っています。当然、計画策定に関しましては、地元関係市とも連携を図りながら、住民の理解と協力を得られるように努力してまいります。

○曽根委員 今事業中の府中は立ち退きの軒数が六十軒ぐらいですか、今度は二・五キロで百の単位になるでしょうね。二百軒ぐらいになるんじゃないでしょうか。その立ち退き問題、これもいろいろ質問したかったんですが、時間の関係でやめますけれども、私も、調布保谷線の立ち退きで非常に苦労した方の相談を受けたことがあるんですよ。マンションの一階で中古車販売の仕事をしていて、マンションが丸ごと移転になるものですから、管理組合の総会で議決がなかなかできないと、その一階を借りているために、いつ商売がえできるのか、いつ移転できるのかということ、それから代替地どうするのか、それで不況でだんだん車が売れなくなってきているときに、結局商売が赤字だと移転が非常に難しくなるわけですね。そういった非常に苦渋の選択を強いられていた例がありました。
 この道路に関しても、いろんなことが起きると思うんですよね。ですから、もちろん行政の合意は当然ですけれども、沿道の住民の方々、商売をやっている方、こういう方々に、今回も代替地の計画はないそうですけれども、少なくとも希望すれば一定の代替地を提供するとか、沿道の場所を確保できるような、何らかの新しい制度をつくるとか対策をとらないと、私、はっきりいって今は、国分寺の、行政の側はともかくとしても、住民の側は有力な意見として賛成、反対、両方が強いですよ。もちろん早く買収に入ってくれという意見もあるでしょう。しかし、環境を心配したり、子どもの通学を心配している方もたくさんいるわけで、この合意を基本的にちゃんと取りつけることなしに、この三つの案どれも道路を、上か下かはともかくとしてもつくる案ですね。ゴーサインを出す案です。それで、その後は環境評価ももう省略できるという流れになっている。こういうやり方をもし本当に進める、道路をつくっていくというふうに考えるんだったら、徹底した住民との対話、要望を聞いて、極力それを受け入れるということをやらずに突き進むことだけはやめてもらいたい。これは今までの道路にかかわっていろんなことがありましたので、あえて申し上げるんですが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。私は、局長の決意は余り聞くつもりはないので、これで終わりにします。

○矢島委員 都市整備の中で、最低敷地面積の問題がいろんな形で出てきております。補助一七三号線、これにつきましても、六十五平米を最低敷地とするという形で出てきておりますが、この最低敷地面積の根拠と、都内の指定状況についてお伺いいたします。

○森下都市づくり政策部長 委員ご指摘の最低敷地面積なんですけれども、二つの方法がございまして、一つは、今回の豊島区の案件のように、地区計画で最低の敷地規模を定めるものでございます。この考え方でございますけれども、豊島区の地区計画の考え方は、一定の居住水準の住宅を想定しまして、それが実現できるような最低の敷地面積を設定するという考え方でございます。その居住水準でございますけれども、国が定めています住宅建設五カ年計画の中での、例えば、三人世帯でいいますと九十八平米の住宅、四人世帯でいいますと百二十三平米の住宅ということでございますけれども、これが建てられる敷地を最低規模としたいという考え方でございます。
 それで、この豊島区の場合には六十五平米と定めてございますけれども、六十五平米の敷地ですと、建ぺい率が六割でございますから、掛ける〇・六〇、三十九平米の建築面積になります。それを三階建てを建てられるということで、特に区部ですから、三階建てを想定しています。三階建てとなりますと、合計で百十七平米ということで、先ほどの居住水準が大体確保できるということでございます。そんな考え方から六十五平米を設定しているものでございます。豊島区においては、こんな考え方で他の地区計画でも定めているところでございます。
 それから、都内でどのような設定状況かということでございますけれども、東京都は地区計画ではなくて、用途地域の中で敷地の最低限度というものを決めております。本年六月に用途地域の一斉見直しを終えましたけれども、その中で、区部では約一万一千ヘクタール、これは市街化区域面積の一九%になります。その部分におきまして、大体六十から百平米ぐらいのものを最低敷地として決めてございます。それから、多摩の場合には七千ヘクタール決めておりまして、これは市街化区域面積の一四%ぐらいになりますけれども、多摩の場合には、もう少し大きくて百ないし百二十平米ぐらいのものでございます。その考え方も、先ほど説明したようなものと類似の考え方でございます。ただ、多摩の場合には三階建てじゃなくて二階建てを想定しておりますので、やや敷地が広くなる、こういうことでございます。

○矢島委員 結果的に第八期の住宅建設五カ年計画の誘導基準が、一つの東京においても最低敷地面積のガイドラインになっている。各区ともそれに従ってやっている、こういう理解でよろしいかと思います。時間の関係がありますので、確認だけをさせていただきますので、この件は以上で結構です。
 それから、丸の内、新丸ビルの開発ですが、私もサラリーマンのときに、あの中に入ります有楽町地区のところにしばらく通っておりまして、仲通りを含めてあのスカイライン、当時は東京海上のビルだけが突出して一つ建っていましたが、それ以外は全部整っておりまして、非常にいい景観をつくっておりました。逆にいえば、それに対する思いがあの地域の国際競争力のために常に変わっていかなきゃいけない都市に対応していく、機能的には少しおくれてしまった面があるから、おくればせながら協議会をつくり、ガイドラインをつくって、あの地域の施設を更新をしていこうと。ですから、ガイドラインがあることが、逆にいえばあのまちのあり方を保障していく方向になってくるかというふうに思います。
 それで、ちょっとお伺いをいたしますが、メガロポリス構想は日本全国の機軸の中の一つですから、いわば重要拠点、東京駅の業務地域は、まさに日本を代表する重要拠点ということになろうかと思います。新丸ビルが今の三六〇%の容積移転を含めて、実際上はどこまで容積が可能なのか。今の条件の中で、これをお伺いいたします。

○森下都市づくり政策部長 現在、指定容積率が一三〇〇でございますので、それに移転容積の最高値がその一三〇〇の二分の一または五〇〇%以下ということでございますので、その容積率としますと一八〇〇まで移転できるということになります。さらに、例えば今明治生命ビルは、従来からのビルを歴史的建造物ということでそのまま残しまして、隣接した敷地の部分に超高層ビルを建てているということをやっておりますけれども、大体今でき上がりつつあります。そこの場合には歴史的建造物ということで、さらに容積の割り増しの程度が大きくて、一五〇〇%となっております。それと同じようなことを考えますと、一五〇〇%プラス容積移転の五〇〇%ということで、二〇〇〇ぐらいは理論的には可能かなというふうに思っております。
 ただ、今ご指摘のように、丸の内のまちづくりガイドラインがございまして、高さについては一定のルールを設けようということで考えておりまして、皇居側については百メーター程度のもの、それから百五十メートルとなって、それから東京駅や有楽町の駅前などが大体二百メートル程度の高さにするというのがガイドライン上の基準でございます。その高さの基準から考えますと、やはり今回の新丸ビルのように一八〇〇%弱ぐらいのものがボリューム的には、ちょうど高さとしてはつり合うのかなということで、余り高い容積率は高さ上難しいということはございます。

○矢島委員 一七六〇%ということは結果的に、いわば満額回答に近い水準の内容で、一方で考えてみますと、二百メートルという高さ制限があって、低層部が三十メートル少しですから、その形状を維持すると、今のところがどうしても、企業側にとっても、いわば抑えの部分が残っておるから、この辺が仕方ないところかなと思わないこともありません。
 それで、このまちづくりの懇談会の中で都の役割をお聞きをするんですけれども、地元区と大地主である三菱地所、そしてJR、関係者がこぞっていろんな企画を立てて、ガイドラインをつくってやっておられる。その先で問題なのは、都が地元区と、それから施行者、所有権者含めて、そちらの意向に対してどういうスタンスでいるかということが一番のポイントになろうかと思います。今回の場合にはどういうスタンスでいたのか、お伺いいたします。

○森下都市づくり政策部長 今回の計画もそうなんですけれども、東京の国際的なビジネス機能の中枢の部分だということで、都としてもそういう意味では東京の活力を維持、向上させていくために、ぜひとも再生を図っていかなきゃいけない地区であるということで、ここの地区のまちづくり、都市再生については都としても積極的な支援を進めていきたいという立場でございます。
 したがいまして、今回の計画につきましても、もちろん事業者の方からいろいろな要望があって、提案されたわけでございますけれども、先ほどの容積率の設定等についても、一定のバランスの中で、地域への貢献度合いに応じて、あるいは都市再生の必要性に応じて必要な範囲での容積の割り増しをするという節度を持った対応をしておりますけれども、基本的にはプランを推進していこうということで支援しているという姿勢でございます。

○矢島委員 私は、必要なのは、広域自治体にかかわる東京都としては、都市政策に対する戦略性の観点が一番の役割だろうと思います。調整をし、それを追認していくのではなくて。ですから、その観点からのこの地域のあり方、それから今後のいろんな計画が出てくるでしょうけれども、それに対する取り組みの基準、考え方の基本的な部分というのはしっかり自分の中に持っていかなければ、東京都の役割を果たせない、このように思っています。これは聞きませんから、意見だけにして終わりです。

○和田委員長 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時五十五分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る