厚生委員会・文教委員会連合審査会速記録第一号

平成二十六年九月二十九日(月曜日)
 第十五委員会室
 午後一時一分開議
 出席委員 二十八名
厚生委員会
委員長まつば多美子君
副委員長塩村あやか君
副委員長早坂 義弘君
理事遠藤  守君
理事和泉 武彦君
理事山加 朱美君
山内  晃君
栗山よしじ君
田中  健君
和泉なおみ君
今村 るか君
ともとし春久君
野島 善司君
大山とも子君
文教委員会
委員長小竹ひろ子君
副委員長小松 久子君
副委員長きたしろ勝彦君
理事川松真一朗君
理事大松あきら君
理事大場やすのぶ君
やながせ裕文君
里吉 ゆみ君
あさの克彦君
新井ともはる君
上野 和彦君
松田やすまさ君
神野 次郎君
古賀 俊昭君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
理事宗田 友子君
総務部長山岸 徳男君
少子社会対策部長手島 浩二君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長西村 信一君
教育庁教育長比留間英人君
次長松山 英幸君
教育監高野 敬三君
総務部長堤  雅史君
地域教育支援部長前田  哲君
指導部長金子 一彦君
人事部長加藤 裕之君
教育政策担当部長白川  敦君
生活文化局局長小林  清君
総務部長桃原慎一郎君
私学部長武市 玲子君

本日の会議に付した事件
連合審査会実施要領の決定について
議席について
福祉保健局 教育庁 生活文化局関係
議案の審査(質疑)
・第百六十号議案 東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例

○まつば委員長 ただいまから厚生委員会・文教委員会連合審査会を開会いたします。
 初めに、本審査会を運営するため、お手元に連合審査会実施要領案を配布してあります。
 お諮りいたします。
 本件は、お手元配布の案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、連合審査会実施要領は案のとおり決定いたしました。

○まつば委員長 次に、議席についてお諮りいたします。
 議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認めます。よって、議席につきましてはご着席のとおり決定いたしました。

○まつば委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、第百六十号議案、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例の審査を行います。
 初めに、本日出席いただいていている福祉保健局長、教育長及び生活文化局長からそれぞれ挨拶並びに幹部職員の紹介があります。

○梶原福祉保健局長 福祉保健局長の梶原洋でございます。
 まつば委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから当局の事務事業につきましてご指導を賜り、まことにありがとうございます。
 本日は、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例につきまして、ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の砥出欣典でございます。理事の宗田友子でございます。総務部長の山岸徳男でございます。少子社会対策部長の手島浩二でございます。企画担当部長の後藤啓志でございます。事業調整担当部長の西村信一でございます。最後に、連合審査会との連絡に当たらせていただきます総務課長の土村武史でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○比留間教育長 教育長の比留間英人でございます。
 まつば委員長を初め委員の皆様方におかれましては、日ごろから教育行政に特段のご指導を賜りまして、厚く御礼を申し上げます。
 本日出席の教育庁の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の松山英幸でございます。教育監の高野敬三でございます。総務部長の堤雅史でございます。地域教育支援部長の前田哲でございます。指導部長の金子一彦でございます。人事部長の加藤裕之でございます。教育政策担当部長の白川敦でございます。当審査会との連絡等に当たります総務課長の小笠原雄一でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小林生活文化局長 生活文化局長の小林清でございます。
 まつば委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから当局の事務事業につきましてご指導を賜り、まことにありがとうございます。
 それでは、当局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 総務部長の桃原慎一郎でございます。私学部長の武市玲子でございます。当審査会との連絡に当たらせていただきます担当部長で総務課長事務取扱の堀越弥栄子でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○まつば委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○まつば委員長 第百六十号議案、東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例を議題といたします。
 本案につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○桃原生活文化局総務部長 去る九月十二日の文教委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成二十六年文教委員会要求資料の表紙をおめくり願います。
 幼保連携型認定こども園に関する都基準(案)と国基準、幼稚園・保育所基準との比較でございます。
 幼保連携型認定こども園に関する国基準と異なる都の規定につきまして、表の左側から、都基準案について条例、規則で定めるもの、国基準、都における現行の幼稚園及び保育所の基準を一覧にして記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 来年四月に子ども・子育て支援新制度が施行され、幼児教育と保育、地域の子育て支援の量の安定や質の向上を進めていくものと思います。
 本定例会に提案された東京都幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準に関する条例は、この新制度の施行に伴い、新たな幼保連携型認定こども園が学校及び児童福祉施設としての法的位置づけを持つ単一の施設として創設されることから、都が新たに条例で認可基準を定めるものであります。
 しかしながら、来年度より始まるこの新制度について不確定要素も多く、現在、子供を幼稚園、保育園、また、現行の認定こども園に通わせている保護者や園の経営者からも、さまざまな不安の声を聞いております。私自身も四人の未就学児を抱える親として、この問題に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
 この制度改正は、幼児教育、保育にかかわる話であり、私からは、この新たな幼保連携型認定こども園について、柱となる幾つかのテーマを伺いたいと思います。
 まず、本題に入る前に、基本的な事項を確認しておきたいと思います。現行の認定こども園はどのような制度であるのか。そして、創設時の考え方も含めて、改めてお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 幼児教育、保育のニーズは多様化し、従来の制度では対応できない状況が顕在化したことにより、平成十八年から、教育、保育を一体的に提供する機能と地域の子育てを支援する機能をあわせ持つ認定こども園制度が創設されました。
 認定こども園制度には、大別しまして、四つの意義がございます。第一に、保護者の就労の有無にかかわらず施設が利用できること。第二に、少子化の進行により子供や兄弟の数が減少する中で、適切な集団規模や異年齢交流機会が確保されること。第三に、保育に欠ける子供を受け入れることにより、待機児童解消が図られること。第四に、育児不安の大きい保護者が、その家庭への支援を含む地域の子育て支援の充実が図られることでございます。
 認定こども園には、それぞれ認可を受けた幼稚園と保育所から成る幼保連携型、認可を受けた幼稚園が保育所機能を担う幼稚園型、認可を受けた保育所が幼稚園機能を担う保育所型、認可外保育施設で幼稚園機能と保育所機能をあわせ持つ地方裁量型、この四つの類型がございます。
 平成二十六年四月一日現在、都内には、合計で百三カ所設置されております。

○松田委員 今ご答弁にあったとおり、認定こども園は、地域のさまざまな子育ての環境に応じるシステムの一つとして創設された制度でございます。
 平成十八年の制度創設から八年が経過し、今回、どのような改正が行われたのかをお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 制度創設から二年以上が経過いたしまして、認定こども園の普及が進まないことから、国は、平成二十年十月に認定こども園制度の在り方に関する検討会を設置いたしました。
 検討会では、二重行政の解消や財政支援などの直面する課題に早急に取り組むとともに、教育、保育機能を総合的に提供する役割を一層強化していくことが必要であると考え、必要な改正の方向性について平成二十一年三月に取りまとめを行いました。
 子ども・子育て支援新制度では施設型給付が創設され、財政措置の恒久化が図られるとともに、幼保連携型認定こども園は単一の認可施設として位置づけられ、認可や指導監督など、二重行政の解消が図られることとなりました。

○松田委員 今回の改正によって、さまざまな改善が図られるということでしたが、その中で二重行政の解消というお話がございました。国においては、これまで文部科学省と厚生労働省に分かれていた幼保連携型認定こども園、この所管を内閣府で一元化して対応することになったと聞いております。
 一方、都において関係する組織を見ると、本日ご出席の福祉保健局、生活文化局、教育庁と三つに分かれております。単一の認可施設になるわけでございますから、東京都におきましても、各局が連携を図りつつも、窓口を一本化する必要があると思います。
 東京都においては、新たな幼保連携型認定こども園をどこの局で所管することになるのかをお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 新たな幼保連携型認定こども園は、学校教育と保育を一体的に提供する施設でございまして、都道府県を統括する立場にある知事が、設置、認可、指導監督等を一体的に所管することとされております。
 都は、新制度の円滑な実施を図るため、子供や子育てに関する施策を総合的に実施しております福祉保健局におきまして、認可申請の受理や指導監督などを一元的に行うこととしております。
 今後、生活文化局及び教育庁と相互の連携をこれまで以上に密接に行い、円滑な支援制度の実施に努めてまいります。

○松田委員 今回、東京都においては窓口が一本化され、二重行政が解消されるということで、手続も多少は簡略化されることと思います。とはいえ、窓口が福祉保健局に一元化されても、事業そのものについては、生活文化局と教育庁も引き続き責任を持って対応していただくようお願いいたします。三局がそれぞれのノウハウを持って、新制度をしっかりと運営していっていただけることを期待いたします。
 さて、行政の窓口の一本化とともに、新たな制度においては、基準においても、幼稚園と保育所の基準を一本化していくことが必要となります。従来の幼保連携型認定こども園は、それぞれ別々に認可を受けた幼稚園と保育所が認可の傘のもと連携し、事業を進めることとされていましたが、実態としては、必ずしも全ての施設が一体的に運営されてはいなかったと聞いております。
 今回の基準策定に当たっては、教育及び保育の一体化をより進めながら、質の確保を図ることが必要であり、現行の幼稚園及び保育所の基準を踏まえて、両者のいい点を組み合わせて融合させることが求められております。
 二つの基準をまとめるときに、なかなか困難もあるとは思いますが、東京都はどのような考え方に基づき、今回の基準案を策定したのかをお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 本定例会で提案しております条例案の基準は、施設の質を確保し向上させる観点から、現在の幼稚園と認可保育所のより高い水準を引き継ぐという国の基準や、現行の認定こども園、認可保育所、幼稚園の基準等を踏まえながら策定しております。
 具体的には、保育所の面積などの設備基準、職員の配置基準、開園日数などを定めており、そのうち乳児室の面積、調理室、非常災害対策などにつきましては、都独自の基準を設けております。

○松田委員 二つの基準の統合に当たって、よりよい基準を採用するという国の考えを踏まえるとともに、現場の状況も重視して、現行基準にも配慮されたという姿勢は理解いたしました。
 今のご答弁の中で、乳児室面積、そして調理室、非常災害対策について独自の基準を定めたとお話しをいただきましたが、国の基準と異なる基準とした理由を、具体的内容をお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 現在の教育及び保育の質や、安全・安心な環境の確保を図るため、国の基準が現行の幼稚園や保育所、認定こども園の基準より緩やかな内容の場合は、現行水準の内容を適用することといたしました。
 具体的には、国の基準では、乳児室は一・六五平方メートル以上でよいということになっておりますが、都の基準では、乳児室または匍匐室を三・三平方メートル以上としております。
 また、調理室につきましては、国の基準では、食事を提供する児童数が二十名に満たない場合は調理設備を備えればよいとされておりますが、都の基準では、食事を提供する児童数にかかわらず、独立した調理室を必要とするとしております。
 さらには、非常災害対策につきまして、国の基準では特段の定めはございませんが、都の基準では、消火器の消防機器を備えるとともに、非常災害に対する訓練をするよう規定しております。

○松田委員 ありがとうございます。国の基準をそのまま受け入れるだけではなく、現行の基準なども踏まえながら、質の維持に配慮されているものだと思います。
 また、国の基準において特段の定めがない非常災害対策についても、きちんとした備えがとれるよう基準を設けられたことは、首都直下地震の危険性が叫ばれる中、大切なお子さんを預けていらっしゃる保護者の方々にとっても、多少なりとも安心感をもたらすものだと考えます。
 東日本大震災のときに、私の妻は育休中で二番目の子供と一緒に家におりましたが、上の子供は保育園におりまして、連絡がとれずに大変心配いたしました。災害ダイヤルなども浸透してまいりましたが、園としても、保護者との連絡手段の対策について、改めて周知することをお願いしておきます。
 質問を続けます。先ほどの基準の策定に当たり、設置基準について丁寧に対応しているんだと理解いたしました。基準の策定に当たってのこうした細やかな配慮は、現場に近い都道府県ならではと考えます。
 ただ、未来を担う子供たちの教育環境、保育環境を規定する大切な基準の策定については、事前に都民や事業者など、現場の声に耳を傾け、あるいは有識者に見解を求めるなど、より幅広い意見を踏まえることが必要になると思います。
 この基準案策定に当たり、都民や事業者などの現場の声をどのように踏まえたのか、そのプロセスをお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 子ども・子育て支援新制度の施行に伴う改正後の認定こども園法では、都道府県が新たな幼保連携型認定こども園の基準を条例で定めるよう規定しておりますが、その策定プロセスについては特に定めはございません。
 都は、この基準が教育、保育現場の実情を踏まえ、質の確保をされたものであると同時に、新たな整備を図られるような内容とする必要があることから、現場の意見を幅広く反映させたものであるべきと考えました。
 そこで、東京都子供・子育て会議に幼保連携型認定こども園部会を設置し、幼稚園、保育所、認定こども園、それぞれの団体の代表、子育て支援事業を実践している団体の代表、都民公募委員などのほか、学識経験者、行政関係者などから幅広い意見を聴取いたしました。そして、これらの意見を踏まえ、基準案を策定いたしました。

○松田委員 ありがとうございます。都民の意見を基準案に反映させるには、さまざまな手法がございます。しかしながら、意見を募るという方法もありますが、その内容が複雑な場合は、今回の都の対応のように、専門の会議などで意見を酌み上げる方が現実的かつ的確な対応であると思います。
 今回の新制度の施行準備においては、国の基準や通知の発布がおくれているという話も聞こえてきますが、こうした限られた時間の中であっても、都は、今回の基準を教育、保育を提供する側、利用者側、それぞれの声と有識者の意見を丁寧に聞くという大切なプロセスをきちんと経た上で策定したということがわかりました。
 今後、都において、質の高い施設が設置されていくことを期待しておりますが、区市町村が新たな幼保連携型認定こども園の整備を行う場合には、他の教育や保育を行う施設と同様、施設整備を支援していくことが必要不可欠であると考えます。この点について、都はどのように考えているのかをお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 現在の認定こども園は、国の安心こども基金による財政支援に加え、区市町村や事業者の負担を軽減する都独自の補助などを実施しております。
 新たな幼保連携型認定こども園に対する開設準備経費につきましては、国は交付金等を活用して支援を継続する考えであると聞いております。その詳細は明らかになっておりませんが、都といたしましては、国の動向を確認しながら、適切な対応を図ってまいります。

○松田委員 ここまで主に設備面についてお伺いしてまいりましたが、施設の中で行われる教育や保育が、子供を第一に考えたものでなければなりません。幼稚園の保育園化が進むという危惧もあり、そもそも理念を持った幼児教育と家庭のかわりをする保育とを一つのものとする考え方自体が無理のある、牽強付会であるという声も多く聞かれます。
 もともとこの新たな制度は、民主党政権時代に、子供を社会で育てるという間違った理念のもとで策定されようとした心を失った法案に、当時野党であった自民党と公明党とで、教育基本法にも記載されているとおり、保護者が子育ての第一義的責任を有するという当たり前の理念を加えて、多少なりとも命を吹き込んで成立したものであります。
 私も四人の未就学児を保育園で預かっていただいていて、こうしてここで仕事ができておりますが、本来、子供は親が育てるべきであり、人様に預かっていただいて申しわけないという気持ちを子供に対してなくしたときに、親子のきずなはなくなっていくものだと思います。
 そこで改めて、新たな幼保連携型認定こども園で提供される教育及び保育の内容についてお伺いいたします。

○金子教育庁指導部長 新たな幼保連携型認定こども園には、満三歳以上の園児に対する幼稚園の機能と、保育を必要とするゼロ歳から就学前までの園児に対する保育所の二つの機能がございます。
 具体的には、幼稚園教育要領や保育所保育指針に述べられているとおり、身近な社会生活や自然等に対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うなどの教育と、くつろいだ雰囲気の中で園児のさまざまな欲求を適切に満たし、生命の保持及び情緒の安定を図るなどの保育とが同じ施設で提供されます。
 また、家庭との連携に当たりましては、保護者との情報交換の機会を設けたり、保護者と園児との活動の機会を設けたりすることなどを通じまして、保護者の乳幼児期の教育及び保育に関する理解が深まるよう配慮することとなっております。

○松田委員 ここまで新たな幼保連携型認定こども園の基準案について、その策定プロセスも含めてお伺いしてまいりました。
 ここでちょっと角度を変えて質問をしてみたいと思います。新制度の施行は、とりわけ私立幼稚園にとっては大変大きな制度変更となるものでございます。この法案が成立する直前、私は当時、野党の自民党文教筆頭理事であった下村現文科大臣の秘書をしておりましたが、何度も何度も私立幼稚園の先生方と懇談を重ね、先生方は大変な危機感をお持ちでありました。
 そこでまず、新制度に移行した幼稚園型認定こども園の選考方法についてお伺いいたします。認定こども園では、これまで建学の精神に基づく選考が行われてまいりましたが、新制度のもとではどのようになるのかをお伺いいたします。

○武市生活文化局私学部長 新制度に移行した認定こども園には、保護者から利用の申し込みを受けたときは正当な理由なく拒んではならないという応諾義務が課されます。
 また、保育サービスを受ける子供に関しては、当分の間、保育所のほか、保護者と直接契約することになっている認定こども園におきましても、区市町村の利用調整を経て、保育の必要度に応じた受け入れを行うことが前提となっております。
 ただ、認定こども園の申し込み状況や地域における待機児童の状況等によっては、区市町村の判断により、一定程度柔軟な対応をすることが可能でございます。

○松田委員 法律の要請するところとはいえ、とりわけ、私立幼稚園を母体とする認定こども園にとっては、これまで各園で行ってきた選考ができなくなり、新制度に入ることの影響が大きいと思われます。
 東京の私立幼稚園は、個性豊かな特色ある幼児教育を積極的に展開し、都における幼児教育の進展に寄与してきましたが、これは各園の建学の精神や教育理念に魅力を感じた保護者による幼稚園の選択と、幼稚園による保護者の期待と信頼に応える努力とが結びついてきたからこそと思っております。
 園庭を芝生にして、はだしで子供たちが走り回ることができる園、また、情操教育を大切にすることによって子供たちの感性を育む園、さらにはお弁当を持ってくることによって、お父さんやお母さんの愛情を感じて感謝する心を育む園、こういった独自の教育理念に基づいた幼児教育を実践し、それに共感して保護者も園を選んできました。
 国は、園による選考ができなくとも、利用の申し込みに当たっては、各園の教育、保育の方針などの情報に基づき、保護者が選択するので、各園の方針に賛同した保護者が利用申し込みをすることになると考えるとしておりますが、それだけで現場の不安が拭い切れるものではありません。
 利用調整等については、先ほど、区市町村の判断により、一定程度柔軟な対応をすることが可能であるとの答弁がありましたが、区市町村と各園の連携によって、現場の実態を踏まえた運用となるよう、今後も都から区市町村への働きかけをぜひともお願いいたします。
 今、お話のあった利用調整や応諾義務のほかに、教員の配置や処遇、一時預かり保育の単価についても不安の声を園長先生方からは聞いております。さらに、保護者が負担する保育料の設定についても変更があると聞いております。保育料の設定は、園と保護者、双方にとって大変重要なものであります。利用する保護者の立場から見ても、一体幾らかかるかわからないものを買うということはなかなかできません。
 私立幼稚園では、これまで独自の教育理念に基づいた特色ある教育を行うため、各園で保育料を設定してまいりましたが、新制度のもとではどのようになるのかをお伺いいたします。

○武市生活文化局私学部長 新制度に移行した園の保育料は、国が所得に応じて定めた上限額の範囲内で区市町村が設定することとなります。
 国の上限額は、実際の保育料等の全国平均値から算出した現行の利用者負担の水準を基本に定められております。この上限額を超えて各園が特色ある教育を行うために必要な費用がある場合には、あらかじめ保護者に説明し、同意を得た上で、各園において保育料に上乗せし、保護者から徴収することが可能となっております。

○松田委員 ありがとうございます。来年度の保育料に関しては、国においても、区市町村にしても、最終的には予算編成過程を経て決定されるので、園児募集の時期には確定しておらず、保育料を園が示して募集していたこれまでと大きく状況が異なります。そうした中、各園もどのぐらいの上乗せ徴収を見込めばいいのか悩んでおります。
 一方、保護者にとって、園に支払う保育料の総額が幾らになるのかが心配でなりません。新制度に移行した私立幼稚園や認定こども園を利用する保護者に新たに大きな負担が生じないよう、都が現在行っている園児保護者負担軽減補助を継続するなど、対応をぜひお願いいたします。
 さて、本年五月末に、国は公定価格の仮単価を提示いたしました。各園は、この仮単価に基づき収入額を試算し、新制度の移行の判断材料の一つとしております。その後、七月には、新制度への移行の考えを問う調査が行われたと聞いております。
 先週の報道では、来年度に移行を予定、検討している幼稚園は全国で約二割ということで、認定こども園の返上を検討している園も相当数あるということでございましたが、私立幼稚園を母体とする都内の認定こども園についてはどのような結果だったのかをお伺いいたします。また、その後の状況がわかるのであれば、あわせて教えてください。

○武市生活文化局私学部長 認定こども園は、新制度への移行が原則とされておりますが、七月の意向調査では、二割以上がなお平成二十七年度の対応を検討しているとの回答でございました。
 また、認定こども園から幼稚園に戻った上で、保育機能部分は預かり保育で対応するなどの検討をしているところも全体の一割程度出ております。
 都が九月に実施した意向調査では、認定を返上して幼稚園に戻るとの回答が三割を超えるという結果になりました。

○松田委員 ありがとうございます。新制度が、本来、幼児期の学校教育や保育、地域の子育ての支援の量の拡充、質の向上、こういったものを進めていくことを目的に、制度設計や財政措置がきちんとなされるのであれば、保護者にとってはもちろんのこと、認定こども園にとっても歓迎すべき制度になるはずでありますが、意向調査の結果を聞くと、必ずしもそうなっていない現状があると思います。
 都は、今回の意向調査の結果をどのように捉えているのかをお伺いいたします。

○武市生活文化局私学部長 認定こども園は、新制度への移行が原則という中にあって、三割を超える園が幼稚園に戻るとの回答をしているという結果は、認定こども園の切実な状況をあらわしております。
 都が、私立幼稚園を母体とする認定こども園の全てについて、国が示した仮単価に基づき試算を行いましたところ、現行の収入よりも減となる園が過半数を占めました。特に、定員規模の大きな園ほど現行収入に対する収入率が低くなる傾向にございまして、これは公定価格の単価が規模が大きくなるほど低減する傾向にあることが要因であると思います。

○松田委員 利用調整などについては、先ほど、区市町村の判断により、一定程度柔軟な対応をすることが可能であるとのことでございましたが、全国一律の仮単価では、東京と地方とでは園児の定員数に大きく開きがあり、内閣府の試算では、百八十名定員を想定してプラス収支であるとするのに対して、東京都では二百名を超える園が数多くあります。私自身も、四百名を超える大規模園の中には、今年度と比べ約一億円のマイナスになるという試算をしている園もあると聞いております。
 幼稚園団体からは、消費税財源が満額となる平成二十九年度まで、財政的な支えが都における現行の支援に及ばず、保護者の負担増と教育環境水準の低下が危惧されるとして、国による制度の移行期における利用者及び事業者の混乱の回避のため、現行と同程度の支援を継続してもらえるよう予算要望が出されており、対策の必要性を痛感しております。
 今定例会における我が党の代表質問に対し、国に強く働きかけるとともに、都としても必要な対策の検討に着手するとの答弁がございましたが、実際にはどのように対応するのかをお伺いいたします。

○武市生活文化局私学部長 先ほどご答弁いたしました認定こども園において移行が進まない原因には、公定価格のほかに、これに加えまして、応諾義務や利用調整などの新たな運用上の取り扱いに対する不安も根強いということが挙げられようかと思います。
 新制度は、財源確保も含めまして、まずは国の責任において制度の円滑移行を図るべきでございます。都はこれまでも、財源の確保や早急な情報提供について国に繰り返し求めるとともに、区市町村や幼稚園に対しまして新制度内容に関する説明会を複数回開催したほか、幼稚園団体と連携して、私立幼稚園の持つ疑問や不明な点などにつきまして、国への照会も含め、きめ細かく対応してまいりました。
 今後も、公定価格の見直しを中心に、国に強く働きかけていくとともに、実施主体である区市町村とも密に連携し、幼稚園団体とも意見交換を重ねながら、新制度への円滑移行を支援してまいります。
 あわせまして、新制度に移行する認定こども園が引き続き質の高い教育、保育を行えるようにするため、都が行っている現行の支援内容や水準などが確保されるよう、必要な対策を早急に検討いたします。

○松田委員 前向きなご答弁ありがとうございます。園児募集を間近に控えた現在、認定こども園は不安を抱えながら準備に追われております。本来、国が処置すべきことではありますが、ぜひ東京の特殊事情を勘案して、現行の支援内容の確保に早急に取り組まれ、その内容を示していただくようお願いいたします。
 いつやるのか、今でしょというお話が去年、はやりましたが、今でも遅いぐらいでございます。東京都が率先して行動していただくことを改めて強くお願いいたします。
 最後に、本日ご出席の二局長、そして教育長に、新制度に対する所見をお伺いしたいと思います。
 まず、新制度施行後も認定こども園において質の高い幼児教育が提供される必要がありますが、私立幼稚園を所管する生活文化局長の所見をお伺いいたします。

○小林生活文化局長 新制度施行後の認定こども園におけます幼児教育の質の確保について、私立幼稚園を所管する立場からお答えいたします。
 委員ご指摘のとおり、新制度への移行は、私立幼稚園にとりましては仕組みそのものが大きく変わることになりまして、これまでにない大変な転換期を迎えているというふうに考えております。
 東京の私立幼稚園は、九割を超える都内の園児の教育を担い、学校教育法に基づく学校とされてから六十余年の長きにわたりまして、時代や地域社会の要請に応えて、質の高い幼児教育を支えてまいりました。
 そして認定こども園も、平成十八年度の制度創設以来、保護者の就労状況にかかわらず子供を受け入れ、幼児教育と保育をあわせて提供し、子育て支援の一翼を担いながら、社会の要請に応えてまいりました。
 こうした認定こども園の役割と評価からいたしますれば、新制度施行後も認定こども園が引き続き安心して、質の高い幼児教育を行えるような環境を整備することが極めて重要であるというふうに認識しております。
 私どもといたしましては、今後も新制度への円滑な移行に向けて、公定価格の見直しを中心に、国に引き続き強く働きかけていくとともに、都といたしましても、幼稚園団体からの要望を十分に踏まえまして、先ほど私学部長から答弁申し上げましたけれども、都が行っている私学助成の水準の確保に向けて早急に検討を進め、認定こども園における質の高い教育を実現してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。今の答弁を伺って、私立幼稚園、認定こども園が担っていた教育の重要性に対する局長のご認識、また、私学助成の確保に向けた思い、改めてわかりました。
 新制度は、ともすれば深刻な待機児童解消に注目が集まりがちではありますが、私立幼稚園がこれまで展開してきた、それぞれの建学の精神や教育理念に基づいた特色ある教育が後退することがあってはなりません。子供の最善の利益が実現される社会を目指すとの考えを基本に、新制度施行後も、私立幼稚園が安心して質の高い幼児教育を行い、引き続き東京の幼児教育の進展に寄与できるよう、これまでと変わらない都の支援を引き続きお願いしておきます。
 次に、東京都全体の教育を所管する立場から、認定こども園における教育についての比留間教育長の所見をお伺いいたします。

○比留間教育長 幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期であり、幼稚園や保育所、認定こども園などが家庭や地域社会と十分に連携して、基本的生活習慣、人への愛情や信頼感、道徳性などを育むことが大切でございます。
 そのため、都教育委員会は、乳幼児期からの子供の教育の重要性に係る保護者向けの啓発資料を作成、配布するほか、小学校教育との円滑な接続に向けて、乳幼児期の年齢に応じた教育、保育の内容や方法を示したカリキュラムなどを開発し、幼稚園教諭や保育士、小学校教諭等を対象とした研修会を開催するなど、幼稚園や保育所、認定こども園への普及啓発に取り組んでまいりました。
 都教育委員会は、引き続き関係局及び区市町村と連携し、就学前教育の充実を図る観点から、認定こども園や幼稚園を含めた幼児教育の質の向上に取り組んでまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ご答弁あったとおり、幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであります。発達段階に応じて、質の高い教育が提供されることが重要であると考えます。教育委員会としても、関係局及び区市町村と連携を図りながら、教育の充実に努めていただきたいと思います。
 最後に、新たな幼保連携型認定こども園の推進に向け、本条例案の提案局である福祉保健局長のご所見をお伺いいたします。

○梶原福祉保健局長 保育所を所管いたしますとともに、新たな幼保連携型認定こども園制度の主管局としての立場からお答えいたします。
 幼保連携型認定こども園は、幼児教育と保育サービスを一体的に提供する機能と地域における子育て支援機能などを有する施設でございまして、待機児童解消にも資するものと考えております。その整備を進めるに当たりましては、実施主体となる区市町村が地域における幼児教育と保育ニーズに基づきまして、子ども・子育て支援事業計画に目標を定め、取り組んでいくことが必要でございます。
 都といたしましては、待機児童解消のために、区市町村が地域の実情に応じて幼保連携型認定こども園も含めた多様な保育サービスを整備できるよう、積極的に支援してまいります。
 また、幼児教育を所管する都教育委員会と、私立幼稚園を所管する生活文化局と、これまで以上に連携を図りながら、子ども・子育て支援新制度における認定こども園制度の推進に向け取り組んでいく考えでございます。
 また、今後とも必要な財源の確保など、国に対しては必要な提案要求を行ってまいります。

○松田委員 ありがとうございます。所管局として、この制度改正が円滑に進むよう、ぜひリーダーシップを発揮して取り組んでいただければと思っております。
 生活文化局長、そして教育長、福祉保健局長、お三方からそれぞれ前向きな力強い決意をいただきました。
 これまで何度も申し上げてまいりましたが、この新しい制度が、第一には子供たちのためのものでなければなりません。そして第二には、この子供たちを愛する親のための制度でなければなりません。
 親は子供のためだったら命も惜しくはありません。そして、子育てにプロはいません。親がいるだけであります。この視点に立って、この制度は進んでいくべきだと考えております。
 新制度が心をなくした制度にならないよう、熱い心を持った東京都と、そして我々都議会と保護者、そして設置者が一体となって、この国の子供たちのために未来をつくっていこうと思います。ぜひともご協力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○遠藤委員 それでは、私からも、今回の提案について質問させていただきます。
 今、それぞれの三局の長から、今回のこの改革がいかに重要で、そして大切であるか。それゆえに皆さん方がここまで詰めてきたと、こういう答弁がありました。
 まず、来年四月スタートという中、この基準にしても、または財政の措置等にしても、特に財政の面でありますけれども、国が明確な方針、考え方を示さない中、ゴールは決まっている。こういう中で、今回、条例案提出にこぎつけられた皆さん方のご努力に対して、まず心から敬意を申し述べたいと思います。
 その上で、今、松田委員から、さまざまな論点から質問がございました。とどのつまりは、この基準をどう設定し、そしてそれをどう遵守していただくか、これが一点。もう一つが、運営等にかかわる財政措置、これをどうするのか。この二つが、事業者にしても、また保護者の皆さんにしても、最大の関心であるんだろうと思います。
 私の方からは、この前者の基準、これについて質問させていただきます。財政措置、この辺の中心のところは、同僚であります文教委員会所属の大松理事の方から、質問を後ほどさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 現行の認定こども園、この制度は十八年にスタートした。しかしながら、なかなかその設置が思うように進まない。こういう中で、平成二十年に国において、先々どうすればいいかということで検討会が設置されて、今日までその検討が続けられてきたと、こういう先ほどの答弁、議論であったと思います。
 今回、大きなこの改正のポイントが、幼稚園、そして保育園それぞれ別々の認可であったこれまでのことを転じて、東京都がしっかり基準を設けて、その施設の基準については、各都道府県、東京都が条例で定めることになったと、こういうことであると思います。
 そこで、私の方からは、この施設の安全性、また質の確保、これを中心に具体的な基準の中身、これについて何点か質問させていただきたいと、このように思います。
 といいますのも、私も事前にいろいろ資料をいただきましたけれども、やはり、先ほど答弁ありました都の子供、子育てのさまざまな会議、部会、さらにはマスコミの皆さん、本当にたくさんのご意見、さまざまな視点から、さまざまな考えから、いろんな意見が百出しておりますので、この責任を第一義的に持っている東京都が、どういう考えを持って、どういう基準でこうした一つ一つの基準の設置を規定したのかということがなかなか伝わりにくいというか、わかりにくいという部分もありますので、これについては、こういう考え方で、こういう基準を東京都は自信を持って設置したんですと、こういうことを広く事業者、都民、また保護者の皆さんにメッセージとして伝えることが私は重要だと思いますので、ぜひ--質問はシンプルにします、答弁は丁寧にわかりやすくしていただきたいと、このように思います。
 初めに、この基準の中身に入る前に、今回の条例案の策定に当たっての大きい考え方を幾つか確認させていただきたいと思います。
 まず、この条例案を眺めてみますと、基準の細かいこと、詳細については、規則に記載、規定を委ねる、こういうことになっております。シンプルな質問ですけれども、条例で定める事項と、その一方で、規則にその規定を委ねる、この二つの方法になっていますけれども、その違いというのはどこにあるんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 都道府県は、幼保連携型認定こども園の設備及び運営につきましては、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づき、条例で基準を定めなければならないとされております。
 本条例案につきましては、施設として設置すべき設備、配置する職員などの基本的な事項は条例に規定し、設備面積や職員数などの具体的水準につきましては、規則に定めることとしております。例えば施設運営上の基本事項として条例で学級を編制することを定めまして、規則で一学級当たりの園児数を定めることとしております。
 また、設備に関する基本事項として、条例で園庭や保育室等必要な設備を定め、規則でその必要な面積を定めることとしております。

○遠藤委員 今、答弁がありました。この昼休みもいろんな人と議論してきたんですけれども、ちょっと一つ、関連して聞きたいんですけれども、条例と規則でそれぞれ今回定めたと、こうありますけれども、都にはさまざまな施設があります。特養等々、都が関連する施設がありますけれども、こういうのもいわゆる条例である規定をして、また関連して、この規則で定めると、こういう形で私はしていると思うんです。そういう意味では、今回のこのつくり方、この仕立ては特別なものではないと思うんですけれども、何か今回、新たな、都が基準づくりをするに当たって、今回だからこそ、特に今回に当たって、特段この条例で定めた、規則にしたんだ、というような特殊性みたいなものっていうのはあるんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 東京都におきましては、社会施設等につきましても、ただいまご説明申し上げましたとおり、基本事項につきましては条例で、その細目につきましては規則で制定するようにしております。

○遠藤委員 変わりはないと、こういうことだと思います。
 次に、国の基準づくりの考え方について質問したいと思います。
 先ほど来ありましたとおり、今回の基準については、国の基準を踏まえたところもあれば、一方、都独自の基準で新たに行うものと、それぞれあるということでありました。
 では、さっき答弁がありましたけれども、三つを都の独自の基準でやると、こう答弁があったと思いますけれども、国の基準は幼児教育と保育の質を確保する上で、一体どんな方針でそもそも策定をされたのか、お答えいただきたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 国の基準は、新たな幼保連携型認定こども園の質を確保し、向上させる観点から、現行の幼保連携型認定こども園に適用されている基準を基礎といたしまして、その上で、第一に、幼稚園と保育所の基準が異なる事項は高い水準を引き継ぐ。
 第二に、幼稚園と保育所でいずれかのみに適用がある事項は、学校かつ児童福祉施設としての性格に鑑み、両者の実務に支障がない形で引き継ぐ。
 第三に、認定こども園特有の事項で、幼稚園、保育所の基準に定めがない事項は、現行の認定こども園の基準を参考としつつ、基準として追加すべき内容を整理することとしております。
 また、既存施設からの円滑な移行のバランスに留意し、現在、適正な運営が確保されている施設に限り、新たな幼保連携型認定こども園に移行する場合の特例制度を認めております。例えば敷地面積や建物面積など、事後的に基準を満たすことが困難な設備に関しては特例を認めており、一方、設備と異なり、物理的な制約がない学級編制、職員等につきましては、特例を設けてございません。

○遠藤委員 国の基本的な考え方はわかりました。
 それでは、個別具体の話に入っていきます。基準の中身であります。
 まず一つ目、保育室等の設置の階、何階に設置したらいいのか、安全なのか、だめなのか、悪いのか、こういうことであります。報道の一部で、保育室が高層階、高い位置に設置されることへの懸念の声といったものが伝えられたわけであります。ここにいる皆さん、全員わかっていると思いますけれども、こういう報道がありました。
 保育室の設置の階、フロアについては、現行、幼稚園、そして保育所それぞれの基準がどんな内容になっていて、そして今回の条例案はどのように規定されたのか。変わっているのか、変わっていないのか、変わるとすればどこが変わっているのか、これを説明していただきたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 保育室の設置階につきましては、現行の幼稚園の基準においては二階までとなっており、一方、保育所の基準では、耐火建築物や避難用設備等の安全性に関する国の要件を満たしていれば、保育室等の二階以上への設置を認めております。
 新制度の国基準では、新設する場合、保育室等の設置階につきましては、乳児室、匍匐室、保育室、遊戯室、便所につきましては一階に設置することを原則とし、園舎が耐火建築物で、保育所で求められている待避設備等を備える場合は二階に設置可能としております。
 また、満三歳未満の子供に係る乳児室、匍匐室、保育室、便所につきましては、園舎が耐火建築物で保育所で求められている待避設備等を備える場合は、三階以上に設置が可能とされており、都の条例案も基本的にこれを適用しております。
 また、保育室等を三階以上に設置する場合には、都独自の避難の安全管理に関する措置を求めることとしております。

○遠藤委員 今の答弁で、保育室、これは一階に設置することが基本であるということでありますけれども、東京の土地または建物の事情を考えると、高層階への保育室の設置を検討する事業者が出てくるということも十分考えられるんだと思います。
 高層階であるがゆえに危険という話ではないですけれども、やはり一般的な心理として、屋外へ避難しなければならない事態を想定した場合、低層階よりは高層階が不安であるというのも一般的な心理としては確かなんだと思います。
 そういった意味で、特にこの認定こども園は、いうまでもなく、乳幼児が多い施設であるわけですので、非常災害対策は万全を期してもらいたいと思いますし、そのための基準、そしてその運用、またそのチェックをしていくべきであると、このように思います。
 ところで、保育室を三階以上に設置する場合、避難の安全管理に関する措置を求めるという答弁だったと思いますけれども、今回、都から示された基準案では、非常時、または災害時の対応について、いかに配慮して、また、どんな規定ぶりをして、子供たちの安全を確保しようとしているのか、説明を求めたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 非常災害対策におきましては、設備等のハード面と災害対応等のソフト面の両基準を備える必要があると考えております。そのため、設置階にかかわらず、建物の耐震性を求めるほか、避難訓練の実施を求めております。
 三階以上に保育室を設置する場合は、先ほど申し上げた避難の安全管理に関する措置のほか、調理室の防火区画や非常警報器具などの設備の設置を求めることとしております。また、非常災害に対する計画策定や毎月の避難、消火訓練の実施を求めることとしております。
 なお、条例や規則に加え、事業者向けの整備指針の策定を予定しておりまして、非常災害対策に関する事項を盛り込む予定でございます。

○遠藤委員 最後にありました条例、規則に加えて、三段目として、事業者向けのガイドラインを策定し、それを守らせるということでありますけれども、この事業者向けのガイドラインの位置づけと内容について、お答えいただきたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 事業者向けの整備指針は、条例等各規定の趣旨を説明し、規定内容のより詳細な説明を行うものでございます。例えば避難訓練の留意事項や消防署への消防計画、設備の事前相談を盛り込む予定としております。
 幼保連携型認定こども園の整備に当たりましては、安全・安心確保に向け、この整備指針を活用した施設整備や運営を事業者に求めていくこととしております。

○遠藤委員 これまで非常災害対策の考え方について質疑をしてまいりました。
 繰り返しになりますけれども、建物の上層階に園がある場合、非常時、災害時のことを考えると不安に感じている方というのはもちろんいらっしゃいます。一方で、建物の防災性、さらに耐震性、または避難訓練の実施等々、しっかりとした基準を設けて、それを着実に守り、守らせていた方が、むしろ安全であると。フロアの上下をもって、単にそれをもって、安心か、安心ではないかというのは判断できかねると、こういう考え方、見方もあるわけであります。
 そういった意味では、これはあくまでも基準の考え方でありますので、一件一件これから認可の申請が行われると思いますけれども、今、条例で定めてある規則に置いてある、さらに三段目でこのガイドラインをつくったと。これが書面上で、またはあるときチェックをした、守られていたから云々と、こういうことが事故や、また事件が、万が一にもそこで子供のとうとい命が害されるようなことがあってはいけないと思いますので、こうした書面づくり等々は大事でありますけれども、それがどう具体に現場で反映されているのか、不断のチェックというか、それを求めたいと思います。
 次も大きい議論になっております園庭、お庭のことであります。これについて聞きたいと思います。
 伸び伸びと園庭で遊ぶことというのは、すごく大事ですね。私は、東京の大田区千鳥で生まれ育ちました。残念ながら、私が卒園した、私のときは幼児園といいましたね。幼稚園でもなくて、幼児園というミッション系の幼児園でありましたけれども、ただ覚えているのは園庭で、私が通っていたところは裸保育がすごく取り柄のところでございまして、もう一年三百六十五日、園に入るとすぐ男の子も女の子も全部脱いで、寒い--いろんな異論があるというところもありましたけれども、当時は本当に脱いで、みんなこう押しくらまんじゅうやったりとか、寒い中、乾布摩擦して体を鍛えた、走り回ったなと、そういう印象が残っております。
 何も私は今、断っておきますけれども、それがいいといっているんではありませんから。そういう時代であったと。誤解しないようにしていただきたいと思います。
 そういう意味では、保育園において敷地内に、今、私の体験を話しましたけれども、土地があるという場合もありますし、ないという場合、そういうのは、例えば近所の公園を活用する、こういったことは、現行の保育所等々の運営でも認められているというわけであります。
 近所にこういうことができる大きな公園があれば、思い切り遊ぶこともできるし、東京の土地の事情を考えれば、公園での活動も含めて柔軟に展開をしていくということは、屋外活動の質を高めるといったことにつながるのであろうと思っております。
 ところで、今回の基準でありますけれども、園庭が必要であるというふうに今回の基準案においてはしているわけですけれども、この辺、理由は何なんでしょうか。どうなんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 園庭に関する国の基準につきましては、保育所は園庭がない場合には代替施設でも可とされておりますが、一方、幼稚園では必置とされております。
 新たな幼保連携型認定こども園は、園庭を同一敷地または隣接地に備えることが国の基準で従うべき基準となっており、地方自治体の裁量が及ばないものとなっております。そのため、今回の条例案では園庭を必置としております。

○遠藤委員 国基準で従うべき基準と規定されているので、都もそれに準じたという答弁だと思います。
 次いで、園庭と並んで大事な、子供たちの体をつくるという意味では、食べ物、食事に関連する施設の調理室であります。これは一方、国の基準はどうなっているのか。これは食事を提供すべき園児数が二十人に満たない場合は、調理設備でいいよとなっております。
 ところが、今回の都の基準案では、調理設備を認めず、独立した調理室が必要というふうにされています。調理設備というのは、コンロだとか、電子レンジとか、こうした設備ですね、こういうもの。これは国基準では二十人に満たなければ、そういったものでいいよといっているけれども、今回、東京都の基準は、そういうのはだめよと。独立した調理室、部屋、ルームが必要であるというようにしているけれども、国の基準とこのように違いを設けた趣旨はどこにあるんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 給食につきましては、これまでの認可保育所の基準を踏まえ、感染症や食中毒が発生しないように衛生管理を徹底するとともに、児童の立ち入りなど、事故防止を図る必要があるため、独立した調理室の設置を求めることといたしました。

○遠藤委員 調理室が今の保育所の基準を引き継いだといったことであります。こういった望ましい基準、これは今回の基準案でも、ぜひ我々も引き継ぐべき基準であろうと思います。
 ちょっと観点が変わりますけれども、この認定こども園では、子育ての支援事業も行っているわけであります。現行の都の認定こども園の基準においては、子育て支援事業を複数種類行うこととなっております。核家族化、また近隣の友好、交流関係の希薄化が進んで、地域で地域の子育て支援体制を拡充、充実を進めていくことが必要と、これであるわけでありますので、今回の新たな基準においても、この子育て支援事業の複数実施というのを都として積極的に求めていくべきであると考えますけれども、都の所見を伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 認定こども園における子育て支援事業につきましては、保護者の子育てをしていく力を高める観点及び地域において子育てを支援する体制等の充実を図る観点に立ちまして、地域のニーズに応じて実施する必要があるというふうに考えております。
 具体的な子育て支援事業の種類、実施内容等につきましては、国の規則を踏まえた内容としつつ、都といたしましては、引き続き子育てに関する相談事業や一時預かり事業等、複数の子育て支援事業の実施を事業者に求めていく予定でございます。

○遠藤委員 以上、細かい点について確認させていただきました。
 国の基準を踏まえつつ、これまでの認定こども園制度の水準を絶対に落とさないと、こうした内容を定めたということは理解ができます。
 都の子供・子育て会議、またその部会等において、やはりこの安全性、特に議論が多かったのは保育室の設置階のことであったと報告を受けておりますけれども、今回の基準設定を通じて、やはり最大の関心は、子供たちが安全に健康でその期間を過ごせる環境を確保すると、ここに尽きるのであろうと思います。
 先ほど、松田委員への答弁で、最後それぞれ三人のトップが、この件に関する決意を総括的に表明されましたけれども、私は最後に、主管局であります福祉保健局の梶原局長に、この基準ですね、これは本当に大事だと思いますけれども、ここをどう最後練り上げて、またそれを運用して、子供たちの安全確保、健全な成長にしていくのか、この思いを語っていただきたいと思います。

○梶原福祉保健局長 お話のように、子供たちの安全・安心を確保し、その健全な育成を確保していくということが極めて重要だというふうに思っています。
 今回の条例案は、こうした幼保連携型認定こども園を利用する子供たち一人一人が、その中で質の高い教育と保育を受けられるよう、幼稚園や保育所などの事業者、子育て中の都民、学識経験者、区市町村、経済界の代表者で構成する東京都子供・子育て会議における十分な議論を踏まえて策定いたしまして、本定例会に提出したところでございます。
 その中では、現在行われている保育や幼児教育の水準が確保されるよう、今、るる質疑が行われましたけれども、保育室等の面積、職員の配置基準、開園日数、非常時、災害時の対策などを規定しておりまして、保育室の面積や職員の資格などにつきましては、都独自の基準を設けております。
 また、新制度の実施主体である区市町村は、利用開始に伴う基準、あるいは教育、保育の提供に伴う基準、秘密保持、非常災害対策など管理運営に関する基準、撤退時の基準といった保育サービスに関する運営基準を条例で定めるとともに、これに基づいて指導監督を行うことになっております。
 つまり、設備、施設、人員等に関しての認可、それから指導監督は都道府県。それから、具体的な運営基準は区市町村で条例を定め、指導監督を行う。区市町村と都道府県が両方の目でしっかり連携をしながら、その質を確保していくという制度になっているわけでございます。
 今後とも都は、保育の実施主体である区市町村との連携を強化し、幼児教育、保育サービスの質と安全・安心が確保されるよう努めてまいります。

○遠藤委員 最後、局長、本当に明快に述べていただきました。都と区市町村一体となって、指導監督に努めていくということであります。ぜひ無事故で新制度に円滑に行くように、この残り期間、努力をしていただき、そして来年四月以降、安心・安全な施設運営をしていただけるように、さらにお互い、議会も、また執行機関の皆さんとも協力して、本制度を有効なものにワークしていくように努めていきたいと思います。
 少し早いですけど、終わります。ありがとうございました。

○大山委員 私からも質問させていただきます。
 まず、新施設のもとでの幼保連携型こども園、これはどういうものなのかということです。幼保連携型認定こども園は、現在も同じ名前の認定こども園があります。しかし、現在の幼保連携型認定こども園は、幼稚園部分については文科省が、保育園部分については厚労省が所管しています。新制度では、幼保連携型認定こども園を全く新しい単一の施設とすることにして、所管も内閣府になります。
 政府は、幼保連携型認定こども園を、子ども・子育て支援新制度の最大の目玉として、その宣伝と既存園からの移行促進に躍起になっています。幼稚園の教育と保育園の保育、それぞれのよいところをあわせ持った幼保一体化施設というのがキャッチフレーズです。こういういい方は、教育が保育園ではなされていないのではないかという誤解や不安を、その根拠は全く示さずに読み手に植えつけるものになっている点で問題だと思います。
 しかし、もっと大きな問題は、新制度の保育観。これは、これまで積み重ねてきた保育観を覆すものだということなんです。子ども・子育て支援新制度の大きな特徴は、教育と保育を極めて機械的に切り離した点にあります。
 どういうことかといいますと、まず伺いますけれども、子ども・子育て支援法で教育及び保育はどう位置づけられていますか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 子ども・子育て支援法第七条第二項において、教育につきましては、満三歳以上の小学校就学前の子供に対して義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、教育基本法第六条第一項に規定する法律に定める学校において行われる教育とされております。
 保育につきましては、同第三項において、児童福祉法第六条の三第七項に規定する保育とされており、その内容は養護及び学校教育を除く教育となっております。

○大山委員 つまり、幼保連携型認定こども園の教育は、学校教育だけという非常に狭いものです。
 福島大学の大宮勇雄教授は、乳幼児の発達は、その生活と遊びを通して進んでいくものです。安心と信頼感のある生活の中で子供は生きる力を身につけ、遊びや仲間との交流を通じて、認識、感情、コミュニケーション、自我が耕され、豊かに発達していきます。乳幼児期の教育は、生活や遊びの中にあるものです。だからこそ、文科省も厚労省も、これまでは法律上の学校、つまり、幼稚園や幼保連携型認定こども園でも、そして保育園でも、ひとしく教育がされていることを認め、その充実に取り組んできました。また、ゼロ歳から二歳児の育ちが、その後の成長の基礎として重要だという研究や指摘もふえており、三歳以前の子供たちの教育を対象から外すというのも、今日の社会状況に照らして、適切な判断だとはいいがたい、このように話しています。
 伺いますけれども、今回の条例に基づいて、職員の資格について、原則は保育教諭で、経過期間の五年間は都独自基準として、三歳から五歳の学級担任は幼稚園教諭としていますが、どのような経緯と理由でそうしたのでしょうか。

○武市生活文化局私学部長 現行の幼保連携型認定こども園における幼稚園部分は、学校教育法に基づく学校であるため、学級担任については、幼稚園教諭免許状を有する者と定めており、現行の水準を確保する観点から、新たな幼保連携型認定こども園の基準につきましても同様に定めることといたしました。

○大山委員 子ども・子育て支援法での教育が学校教育だけという非常に狭いものにしたから、幼稚園教諭なんだということになってしまうわけですね。保育園は、養護と教育を一体的に行っているわけですし、保育指針と教育要領も呼応し合って改定してきました。つまり、子ども・子育て支援法で位置づけられた教育、保育という言葉が、今まで保育界で用いられてきたものと大きく異なっているということなんです。
 また、幼保連携型認定こども園における教育と保育の内容に関する国の指針であります幼保連携型認定こども園教育・保育要領では、教育については狙いと内容が明示されているのに、保育については狙いと内容が書かれていません。実際の保育において、狙いや内容を持たない実践、いわば、ただ預かればいい保育などはあり得ませんし、あってはなりません。
 また、現在の保育所保育指針では、子供たちの発達の過程や状態に応じて、保育が展開される必要があることから、第二章を子供の発達に充てています。しかし、幼保連携型認定こども園の教育・保育要領では、子供の発達についての記述そのものがありません。乳幼児期は目をみはるような成長の時期であり、それだけにゼロ歳から就学前までの保育、教育に際しては、発達の過程についての十分な理解が不可欠です。同じ保育といいながら、保育園の保育と幼保連携型認定こども園の保育は大きく違っていて、認定こども園での保育は極めて軽く扱われているということです。
 さきの大宮教授は、狙いや内容だけでなく、子供の発達を踏まえるという視点も明確でないという保育論には誰もが深刻な懸念を覚えると思いますと語っています。もちろん、だからといって、個々の園できちんとした取り組みを行っていないということではありませんし、現場の職員は、よりよい保育のために努力をされていると思います。しかし、制度設計自体に問題があるということを指摘せざるを得ません。
 幼保連携型認定こども園について、もう一つ指摘しておかなければならないことは、政府がいっているように、待機児対策になるのかということです。
 政府は、認定こども園は、待機児対策に期待されるとしています。しかし、幼稚園から移行する場合は、三歳未満児の定員は設けなくてよいとしています。待機児の多くが三歳未満児であることを考えれば、これでは待機児解消対策が正面に据えられているとはいえないのではないでしょうか。どうでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 認定こども園制度は、幼児教育、保育のニーズが多様化し、従来の制度だけでは対応できない状況が顕在化したことにより、教育、保育を一体的に提供する機能と地域の子育てを支援する機能をあわせ持つものとして創設されました。
 認定こども園制度には、大別して四つの意義がございまして、第一に、保護者の就労の有無にかかわらず施設が利用できること。第二に、少子化の進行により、子供や兄弟の数が減少する中で、適切な集団規模や異年齢交流の機会を確保すること。第三に、保育に欠ける子を受け入れることにより、待機児童解消が図られること。第四に、育児不安の大きい保護者が、その家庭への支援を含む地域の子育て支援の充実を図れることがございます。
 このように、待機児童対策は幼保連携型認定こども園を含め、認定こども園の四つの意義の一つにすぎません。幼保連携型認定こども園は、保育を必要とする三歳以上の定員を設定することで目的は達成されるものであり、三歳未満児の定員の設定は必須としておりません。

○大山委員 政府は、待機児対策として宣伝といいますか、いっていたわけですよね。しかし、幼稚園からの移行を期待していたわけですけれども、結局、待機児対策としては不十分であるといわざるを得ません。
 今の答弁にもありましたけれども、もう一つは、就労の有無にかかわりなくということなんですが、認定こども園は、保護者が働かなくなったなど、就労状況が変わった場合も通いなれた園を継続して利用できますと政府はアピールしていますけれども、確かに幼稚園と保育園の機能を持っていれば、そのような対応はできますけれども、それは三歳以上に限ったことです。ただし、幼保連携型認定こども園は、保育園から移行する際、一号認定、つまり、現在の幼稚園の子供に当たる定員枠を設けないことも可能ですから、その場合には、保護者の就労状況に左右されない園というのは、実現されないということなんですね。
 具体的な基準の話に移りたいと思います。認可基準ですけれども、国が示した認定こども園の新設基準の具体的な方針は、第一に、幼稚園と保育園の基準の内容が異なる事項は高い水準を引き継ぐとなっています。これは重要なことです。しかし、ところどころ例外が設けられています。
 また、国基準は、基本的なところの基準が低過ぎます。余りにも低い国の水準を向上させることこそ求められていると思っています。東京の保育園、幼稚園の実質的な水準を確保することが重要です。
 保育の質を確保するための基本となる条件整備を、規則ではなくて、きちんと条例に書き込むことが重要です。OECDは二〇〇六年に保育の質を、方向性の質、構造の質、過程の質、操作性の質、成果としての質、この五つに分けて捉える観点を提出しました。
 この中で東京都が保育の質を向上させるためにできることは何かと思うと、OECDが構造的要因とした教員の教育、資格、研修、職員の賃金、子供、職員の比率、クラス規模、保護者や地域の参加関与、行政からの支援と公的補助、保育教育プログラムの実施、運営管理、園の評価、モニタリング、これらの条件整備です。とりわけ、今回の条例は、幼保連携型認定こども園の学級の編制、職員、設備及び運営の基準、これが題名です。ですから、子供、職員の比率、そしてクラス規模、これは基本中の基本といえるわけです。
 学級の編制の基準、職員の配置の基準、園舎及び園庭など、保育の質を左右する条件整備をほとんど規則に委任していますが、なぜ条例本文に書かないんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 都道府県は、幼保連携型認定こども園の設備及び運営につきまして、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づき、条例で基準を定めなければならないとされております。
 本条例案につきましては、施設として設置すべき設備、配置する職員などの基本的事項は条例に規定し、設備面積や職員数などの具体的数字につきましては規則に定めることとしております。例えば施設運営上の基本事項として、条例で学級を編制することを定め、規則で一学級当たりの園児数を定めることとしております。
 また、施設に関する基本事項につきまして、条例で園庭や保育室等、必要な設備を定め、規則でその必要な面積、細目を定めることとしております。

○大山委員 基本的なことを条例で定めたといいますけれども、質を確保するための条件整備の基準をきちんと定める、それが重要なわけですよね。基本的な考え方だっていうんだったら、それが保障されるためのクラスの人数だとか、職員配置だとか、面積、これは最も基本的なことじゃないんでしょうか。
 政省令と一緒ならいいということで、東京の保育、教育の質を向上させていけるのでしょうかと私は問いたいと思います。保育の質を保障するためには、政省令、これはつまり、低過ぎる国基準のままでよいということ、それが問われています。条例に書き込むということは、その条例を実現させるために、財政的に責任を持つということです。ですから、東京都の責任を明確にすることなんですね。
 私たちは、低過ぎる国基準を実質的に向上させている東京の保育の水準を最低限下げないということが重要だと思っています。同時に、せっかく新しい条例をつくるのですから、最新の知見でよりよくしていく、これが東京都の役割です。
 まず、一クラスの人数です。三歳、四歳、五歳児は学級を編制するということですけれども、何人にするかというのは規則に委任しているわけですね。政省令どおりということになりますと、三歳児でも一クラス三十五人、四歳児も五歳児も三十五人です。小学校でも三十人学級が求められているときに、三十五人以下という基準はどうなっているのかと。三歳以上の学級編制が三十五人以下とするというこの基準は、何を根拠にしているんでしょうか。

○武市生活文化局私学部長 現行の幼稚園の設置認可基準を踏まえまして、新たな幼保連携型認定こども園の学級編制の基準として、国が府省令で定めた基準を根拠に設定しております。

○大山委員 府省令で定めてあるから唯々諾々として従うのでは、子供たちの豊かな育ちは保障できません。
 三歳児で一クラス三十五名、これはどういうことかということなんです。伺いますけれども、保育所保育指針には、第二章が子供の発達の章になっています。おおむね三歳の子供たちはどのような記述になっていますか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 保育所保育指針には、基本的な運動機能が伸び、それに伴い、食事、排せつ、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる。話し言葉の基礎ができて、盛んに質問するなど知的興味や関心が高まる。自我がよりはっきりしてくるとともに、友達とのかかわりが多くなるが、実際には、同じ場所で同じような遊びをそれぞれが楽しんでいる平行遊びであることが多い。大人の行動や日常生活において体験したことをごっこ遊びに取り入れたり、象徴機能や観察力を発揮して、遊びの内容に発展性が見られるようになる。予想や意図、期待を持って行動できるようになると記載されております。

○大山委員 おおむね三歳ぐらいだと、今、答弁されたような子供たちの姿が大体思い浮かんでくるということですね。走るだとか、歩くだとか、飛ぶだとか、押す、引っ張る、投げる、転がる、ぶら下がる、またぐ、蹴る、一通りできるようになります。しかし、力のかげんだとか、自分の動きをコントロールすること、こういうことはまだまだ、さまざまな遊びや生活の中で、さらに身につけていくわけです。
 同時に、自我がよりはっきりしてきますから、何でも自分でできると思っているわけですね。自分でとか大人の手助けを拒むことが多くなるわけです。だからこそ、待ってあげられる余裕がなければなりません。
 それから、なぜとか、どうして、こういっぱい聞かれた方がいると思いますけれども、そういう質問を盛んにするようになるのも特徴です。質問ややりとりを通して、言葉による表現がますます豊かになってきます。友達とも並行して遊びながらも、お互いにまねっこしたり、遊具を仲立ちにして子供同士でかかわったりしていきます。ですから、時にはけんかにもなるわけですね。そんな中でルールを守ることも知って、友達との共感も深まっていきます。ごっこ遊びなんかしていたら、お父さん、お母さんになり切っていますよね。イメージを広げながら、そのような遊びを繰り返しながら、さまざまな人や物への理解、予想や意図を持って行動するなど、社会性も育んでいくわけです。
 同時に、同じ三歳児でも、四月生まれと三月生まれでは大きな差もあります。だからこそ、一人一人への働きかけ、大人が待ってあげることができる余裕、子供とのやりとり、大切にしなきゃいけない重要なことです。
 このような発達の特徴を持つ三歳児のクラスの人数が三十五人というわけですけれども、集団の規模と質の研究はさまざまありますけれども、学級規模が小さい方がよい影響を与えるということは、もう周知の事実といってもいいのではないでしょうか。東京都は、この事実をどう認識していますか。

○武市生活文化局私学部長 一学級の幼児数につきましては、ある程度の規模が必要でありますし、平成七年に文部科学省が幼稚園における一学級の幼児数を三十五人以下に引き下げたのは、幼児一人一人の発達の特性に応じ行き届いた教育を推進するためと認識しております。

○大山委員 三十五人に、平成七年に引き下げた。その理由は、幼児一人一人の発達の特性に応じた行き届いた教育を推進するためというわけですね。そういうわけですから、学級規模がより小さい方がよりよいということの認識ではあるわけです。しかし、三歳児も含め、三十五人というのは余りにも幼児の発達に合わないのではないでしょうか。
 二○一○年度の「保育科学研究」第一巻には、保育の質の評価に関する研究という論文が載っています。これによると、クラスの適正人数について、三歳児クラスについては、一九五六年、この頃からもう研究は始まっているんですね。厚生省児童局の調査によると、保育士一人当たり二十人程度とありますけれども、その後の調査では、総じて十人から二十人程度を適正人数とするものが多かったとなっています。
 このように集団の規模についての研究はかなり前から行われていて、都が規則で定めようとしている三歳児三十五人が一学級の規模というのは、思い切った縮小が求められています。
 実際どういうことになるでしょうか。私、新宿ですけれども、新宿区は、現在の幼保連携型認定こども園が三カ所あります。三カ所のうちの一カ所のこども園は、三歳児二十人が進級時、そのほかに十人が初めての子供が入ってきます。職員は頑張っていますけれども、この三十人の三歳児が一緒では、保育はとても大変なわけです。落ちつくまで、年度の初めは、しばらく別々の部屋で数カ月は保育しているわけですね。ですから、この園は、一時保育の保育室が割と広かったので、こういう対応ができるわけですけれども、三歳児三十人というのは、子供たちにとって大変なストレスです。
 幼稚園の先生に私、伺いましたよ。三十五人なんですね、ここは。三十五人だと部屋の割に子供の人数が多く、机を並べかえて班活動をしようとすると、お互いがぶつかりやすくトラブルになってしまう。それを仲裁していると、今度は別のところで別のトラブルがと、大変なわけですね。
 三歳児のクラスは、おむつが十分に外れていない子もいて、お漏らしなどもある。その子を介助していると、今度は別の子が転んで頭をぶつけたなど、いろんなことが起こるんですと。三十五人だと、子供が待たなければならない時間がふえるというんですね。とても一人一人を丁寧に見るには三十人や三十五人では大き過ぎるということなんです。
 安全にも影響があります。日常だけでなくて、毎月実施する避難訓練ですけれども、避難したとしても、三歳児は整列できるわけではありませんから、数えている間にあっちに移動したり、こっちに移動したりするわけですね。だから、ささっと人数も数えられないというわけです。こんな状況で、いざというときに子供の命が守れるんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 子供はいつも元気に動き回っているわけですけれども、生活の場面、いろいろなところで子供の状況を把握するのは、保育士として当然の責務であるというふうに考えております。
 お話にございました災害時についてでございますけれども、落ちついて身を守る行動がとれるようにするには、訓練を重ねていくことが重要であると思います。そのために、都は独自に毎月の避難、消火訓練の実施を義務づけることとしておりまして、避難訓練を行う際には、保育士等に加え、近隣の地域住民等の連携のもとに行うこととしております。

○大山委員 もちろん子供たちを把握するというのはやるわけですよ。もちろん責任ですよ。しかし、その子供の年齢の発達に応じた集団の規模としては余りにも巨大じゃないですかといっているわけですよね。
 三歳児は、先ほど発達の特徴をいってもらいましたけれども、そういう子たちが三十人。今度の条例の規模ではさらに大きい三十五人。うまいぐあいに訓練を重ねて、よし、もういつ来てもいいよというときに災害が来てくれるんだったらいいですよ。しかし、四月だって、都の基準だったら三歳児が三十五人です。私が今さっき紹介した認定こども園には、三歳児クラス三十人に保育士が一人、幼稚園教諭が一人、非常勤二人の職員配置ですから、十五人一クラス、職員二人の方がずっと子供たちにとってもいいのにと、そこの園の保育士は話していました。
 四、五歳児クラスの適正規模は、他の年齢のクラス規模に比べて、早くから調査が開始されていました。一九五五年、五六年に、厚生省児童局は保育所の設置と運営について最低基準に関する研究調査報告書を発表して、既に、児童の生活環境の面からも、保育者の疲労度の面からも、三十人が限界であることを指摘しています。それが一九五五年、五六年ですよ。もう六十年近く前です。それ以降も、多くの研究者が四、五歳児クラスの適正規模に関する調査を行っていて、総じて二十人から二十五人程度が適正人数であると示唆しているものも多いわけです。
 実際の学級規模はどうかということです。全社協が二〇〇九年に実施した調査によりますと、実際の一クラス当たりの子供の人数は、三歳児は十六人から二十人が最も多い。また、五歳児クラスの規模は二十一人から二十五人が最も多い。四歳児クラスは平均が二十二人であるということなんですね。現実とも、実際の東京の子供たちの今の集団規模、学級の規模とも乖離しているということを指摘しなければなりません。
 現状の保育水準を維持できるようにすることが重要なんじゃないでしょうか。どうですか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 新たな幼保連携型こども園の配置基準でございますが、四歳以上の園児三十人につきまして職員を一名以上、三歳の園児二十人につきまして職員を一名以上、一歳以上三歳未満の園児六人につきまして職員を一名以上、ゼロ歳の園児三人につきまして職員を一名以上配置することとしております。

○大山委員 今、伺ったのは、一クラス当たりの人数が、三歳児は十六から二十、それから、五歳児は二十一から二十五、四歳児は平均二十二、この水準を維持できるようにすることが重要だ、そういうふうに指摘したわけです。二〇一〇年度のさっき紹介した「保育科学研究」第一巻によりますと、観察調査の多くでは、子供の人数がふえればふえるほど幼児の逸脱行動がふえること、保育者の疲労も増加することが説明されていました。
 少な過ぎては、友人関係が築きにくいという考え方については、他国に比べクラス規模が大きい日本では、保育者にとって当たり前になってしまっている人数であっても、本来の子供の育ちを考えたときに、何をもって少な過ぎると捉えるかについては、子供の健やかな育ちを考慮して、さらに検討すべきであると考えられる、このように書いています。
 ちょっと、ほかの国はどうなっているかと調べると、例えばワシントン州、三歳児は十八人、四歳児は二十一人、五歳児二十四人です。スウェーデンのストックホルム市は、三歳児十二人、上限は十四人、四歳児、五歳児は十六人で、上限は十八人です。
 それから、注目するべきことは、これは日本での話ですね、経験年数が多い保育士ほど適正人数を少ない方がよいと考えていたことがわかっています。幼稚園教育内容充実対策委員会は、幼児一人一人に内在する可能性を引き出そうという努力のあることがうかがわれ、指導の観点の質の高さを求めていると説明しています。
 子供一人一人の健やかな成長のためには、少人数のクラス規模の必要性は明らかではないでしょうか。
 空気環境だとか音環境などの調査によっても、人数の多さが、浮遊の粉じんの量だとか二酸化炭素の濃度の高さ、騒音につながることが指摘されています。
 実際、幼稚園では、学級の人数を少なくする努力をしています。
 私立幼稚園連盟便りに、新制度に関連してインタビュー記事が載っています。現在の私学助成では、学級数に見合う人件費割りの経常費補助を受けられる。例えば、九十人を三学級にするか、四学級にするかは、各園の考え方で決め、四学級なら四人分の人件費があります。また、三学級につき一人の教員が補助対象とされています。
 しかし、支援新制度では、四、五歳児九十人に対して教員は三人、固定されて、そのほかの加配は、定員規模割りの限定的なものになっている。だから、このインタビューしている人は、学級を少人数化しようという意欲を阻害するのではないか、こう心配しているわけです。
 私もそう思いますけれども、都として、現在より職員配置が下がってしまうことなどについてはどうしようとしているんでしょうか。学級規模を小さくしようと思っても、そうできないような状況になってしまう、そういう状況をどう改善しよう、国にも求めていくのか、東京都としてどうしようとしているのかということです。

○武市生活文化局私学部長 新制度は、財源確保も含め、まずは、国の責任において制度の円滑移行を図るべきであると考えております。
 そのため、都は今後も、公定価格の見直しを国に強く求めてまいります。

○大山委員 ぜひ、現場の人たちも、学級規模を小さくしたいと思っても、職員配置、規模を小さくしにくくなっているというのは本当に矛盾だと思いますので、学級の規模を小さくすることができるように、役立つように、現状をせめて維持できるようにしてほしいし、国にも要求してほしいし、東京都独自でもきちんと今の現状を維持できるようにしてほしいと思います。
 学級編制の規模は、質を確保する重要な要素であることはもう明らかです。国の府省令がそうだったからといって、そのままにするのではなくて、よりよい条件整備、実態に合った現在の保育水準を低下させない基準を条例で定めることこそ、東京都の役割だということを指摘しておきます。
 職員配置も、保育の質を支える重要な要素です。そのためには、現在の実質的な保育水準を下げないということはとりわけ重要です。これも規則に委ねています。
 保育の質の向上のため改善し続けてきた東京都の認可基準を二〇〇〇年になくしてしまいましたけれども、実質的には、現在も、旧都基準が東京の保育の常識になっています。
 一歳児の職員配置は、国基準は六対一ですけれども、都内では五対一です。充実保育士などの配置も、時差出勤するための増配置もあります。調理師も同様です。ゼロ歳児がいれば、保健師または看護師を配置し、調理師も一人プラスです。
 それはなぜできるかといえば、(資料を示す)これは都区財政調整ですね。これ、部分ですけれども、この都区財調で合意された内容、これは東京都と二十三区で合意したことです。つまり、一歳児を五対一にすることや調理師の加配など、旧都基準を基準に各自治体が保育を実施する。これが東京都と、それから二十三区で合意された標準なんだということですよね。
 ですから、これが今の標準、東京の標準だということではないんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 都区財政調整制度において算定されております、例えば一歳児五対一の配置基準などは、基準財政需要額の算定基礎にすぎません。
 その結果、交付される特別区財政調整交付金の使途は、各特別区の自主的な判断に任されており、どのような職員配置にするかは、それぞれの区が地域の実情に応じて柔軟に対応するものであると考えます。
 例えば新設の私立保育所につきまして、国基準と同様の基準としている区も複数ございます。

○大山委員 都区財政調整というのは、二十三区では標準的に実施している施策で、都と区で合意したものであり、財調の算定に入れるということは、これが二十三区での常識であり、標準だということです。こういうふうに総務局は説明しますよ。
 市町村には、同様のものが子育て推進交付金の算定の基礎に入っていますから、実施が保障されています。
 二〇〇六年の第一回定例会で出してもらった委員会の資料を改めて見てみましたけれども、子育て推進交付金の概要ということで、交付金化の対象事業として、第一番目に、認可保育園運営費補助があります。
 ゼロ歳児保育対策、それから一般保育対策、十一時間開所。ですから、一般保育対策といったら、一歳児の保育士配置を五対一にするだとか、休憩の配置など、これらは、旧都基準を保障しているというものなんですね。それが算定の基礎になっているわけです。
 子育て推進交付金と都区財調があるから、東京の保育水準が維持されているわけです。
 実際の水準を維持できるようにすることこそ、求められているんじゃないんでしょうか。どうですか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 保育の実施主体である各区市町村が、それぞれの地域の実情に応じ、自主的な判断により決めることであるというふうに考えております。

○大山委員 東京の保育の今の水準を下げさせない、これが重要じゃないんでしょうか。
 そんなことを今いいましたけれども、実施主体の区市町村が決めるんだといいましたけれども、他の自治体は、現在の水準を維持するために、ちゃんと条例化していますよ。
 新潟市は、満二歳未満児三対一、つまり、ゼロ歳児、一歳児は三対一ということですね。京都市は、一歳児五対一、三歳児十五対一、それから四歳児二十対一、五歳児二十五対一にしています。北九州市も、一歳児五対一、神戸市は、国基準に加えて保育教諭等を一人以上配置するとしているわけです。それぞれ国基準を超えている現在の配置を維持しようとしているわけです。
 ことし三月二十八日の国の子ども・子育て会議での資料には、職員配置について、現在の二十対一を十五対一に改善することについて、七千億円の範囲で実施すべき事項としています。
 現在の低過ぎる基準を七十年近くかかってやっと改善しようとしているわけですけれども、せめて三歳児は十五対一にするべきじゃないんですか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 国は、職員配置の改善につきまして、保育士確保の観点も含め、柔軟な対応が可能となる仕組みとすべく、三歳児の職員配置基準を二十対一とした上で、公定価格の積算の中で、十五対一とした場合に加算を設けることとしております。
 都におきましても、配置基準は二十対一としておりますが、十五対一とした場合は、公定価格の加算の対象となります。

○大山委員 目前に、加算で十五対一にするんですよということを国でさえも出しているわけですから、ちゃんと基本を十五対一にするべきですよ。
 スウェーデンでは、学校庁より出された就学前学校の質、これは二〇〇四年ですけれども、政府は、グループサイズ--これはクラス規模ですね--とか、子供とスタッフの割合、これは配置基準ですね、保育の質を左右することを調査結果が明らかにしており、特にスタッフの配置率が低くサイズが大きいグループは、子供の言語発達、子供と大人の相互作用、子供の自我の発達や人間関係に好ましくない影響を与える可能性があること。グループサイズが大きい方がよりストレスが高く、騒がしく衝突が多い、こう報告しているわけです。
 学級の規模と職員配置は、質を維持するための重要な要素であるからこそ、さまざまな調査研究が長年続けられてきたわけです。しかし、東京都が制定しようとしている条例案では、国際的にも、それから日本国内でも非常におくれた東京都となってしまうんじゃないんでしょうか。せめて現状を維持するぐらいの条例にすればよいのではないでしょうか。
 面積についても、都内の自治体は、現在も、ゼロ歳児室は、一人当たり五平米のところが多いわけです。今、見てみますと、ゼロ歳児を一人当たり五平米にしているところは、四十四区市の中で三十七区市、八四%が現在もゼロ歳児保育室は一人当たり五平米、こうしているんですね。
 保育室などの設置階について、都の子供・子育て会議では、部会でも議論百出で、四階、五階に保育室を設置することは、災害時の対応や園庭との関係などの心配などがるる出て、結局、幼保連携型認定こども園部会では結論が出ず、部会長さんは結論まで出なくて申しわけない、こういって、事務局で検討してくださいということでしたね。
 それを報告した子供・子育て会議でも、報告したら、また意見がたくさん出て、会長さんがまとめ、まとめた後も、その後もまた意見が出て、とうとう時間がないから結論を出さなければならないということになり、まさに見切り発車したという状況なんじゃないんでしょうか。どうですか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 子供・子育て会議につきましては、その会議の中で、最後に会長がその案について、これでよろしいですねというふうに各委員にお諮りをいたしまして、それで決定されたというふうに考えております。

○大山委員 子供・子育て会議でも、委員からも、一時間という設定で本当にいいのか、今後いろいろなことを決めていく上で、こういうやり方は僕はだめだと思います、きちんと議論し尽くしてやらなければいけない、これが本当に条例となっていくわけですから、このような、もう結論ありきというか、時間ありきで決めるというのはよろしくない、こう発言して、会長さんがこの案で決めるということでよろしいでしょうかと確認しても、反応がなかったんでしょうかね、やや静かな了承のされ方でありましてといわざるを得なかった状況でしたね。
 とにかく第三回定例会に条例を提案しなければならないからということで、議論途中に終わりにしたということは指摘せざるを得ません。
 最後に、財政の問題ですけれども、現在、幼稚園は私学助成、保育園は運営費で賄っていますけれども、新制度も現在と同じ水準を維持、あるいは充実するだけの財源措置が必要だと思いますけれども、どうなっているでしょうか。福保も生活文化局も、両方よろしくお願いします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 保育所においては、国の定める基準による保育所運営費負担金が公定価格へ移行するに当たり、現行水準以上の額が確保される見込みでございます。

○武市生活文化局私学部長 新制度移行後の私立幼稚園の収入について、現在の私学助成の経常費と比較しますと、定員規模が大きな園ほど、現行収入に対する収入率が低くなる傾向がございます。
 これは国が示した公定価格の単価が、定員規模が増大することに伴って大きく低減する構造であることに起因をしておりますと考えています。
 新制度は、財源確保も含め、まずは、国の責任において制度の円滑移行を図るべきでございまして、今後も、公定価格の見直しを中心に国に強く働きかけていくとともに、都としても検討してまいります。

○大山委員 福保は、今まで以上、現行水準以上の額が確保される見込みであるといいましたけれども、今、質疑したように低い国基準の水準での公定価格ですから、もっとそれを向上させていくという役割があるわけです。
 保育園も幼稚園も、現状維持できるような財政措置は最低限のことですから、国にも要望するし、東京都自身も、必要な財政支援をすることを求めておきます。
 ところで、新制度の財源について、消費税増税分から七千億円を充てると説明しています。
 当初はさらに四千億円を別途調達するといわれていましたけれども、現在は、この四千億円のめどは立っていないようですけれども、現在はどうなっていて、東京都はどうしようとしているんでしょうか。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 新制度の財源につきましては、国が確保するべきものだというふうに考えております。
 都は国に対し、必要な財源を確保するよう、繰り返し提案要求をしております。

○大山委員 繰り返し提案要求しているんだということですけれども、別途調達するといっている四千億円のめどは全く立たないということでは、絵に描いた餅になってしまいます。
 私たちは新制度には反対ですけれども、四千億円でやるといっていることの多くは賛成できる大事なものです、さっきの三歳児十五対一だとかということも含めてですけれども。新制度と切り離しても実施する必要があることだと思っています。
 財源のめども立たない、現状維持できるかもわからない、何より、実施主体となる区市町村は保育料も決めなければならないし、地域型の保育施策全ての基準をつくらなければならないわけです。保育の必要量の認定もしなければならないし、保護者には新制度のことはほとんど知らされていない。しかし、十月からは、来年度に向けた募集が始まる、こんなことで新制度をスタートさせてよいのかということが問われていると思っています。そのことを述べて質問を終わります。

○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

   午後三時二十六分開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き連合審査会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○あさの委員 民主党のあさのでございます。私からも質疑の方をさせていただきますが、既に質疑で多少かぶっているところについては、省略等もしながら効率的に進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 社会情勢のことで、さんざん今までもいわれておりますけれども、いうまでもなく、子供というのは、東京都にとっても、そしてこの国にとっても、まさに未来の象徴でありますし、持続的に、そして発展していくためにも、教育というのは非常に重要なところであります。
 しかし、その教育の一方で、例えば町会組織など組織率の低下に見られますような地域コミュニティの希薄化というのもありますし、それから一方では、家庭の教育力の低下ということもいわれて、もう既に久しい時代に入っているのではないでしょうか。
 そういった中で、やはりこの平成二十七年度から始まる子ども・子育て支援新制度の導入というのは、我々民主党が目指してきました、妊娠、それから子供の誕生から子育てまでを社会全体で支えていくという大きな一歩になると思います。
 この社会全体というのは、もちろん当然のことながら、社会の構成単位、最小単位は家庭でございますので、これは法律等にも、第一義的に家庭というのがあります。ありますが、逆に、この第一義で家庭なんだということを強く押し出していくことによって、昨今問題になっております児童虐待など、子育てに従事している保護者の方、お父さん、お母さんが追い込まれていかないようにしていかなければならない。地域コミュニティの希薄化と先ほどいいました、家庭の教育力の低下ともいいましたが、そういった社会全体のさまざまな変革の中で、少なくとも子供自身が育つために幸せな環境をどう整えていくのか、これが我々民主党が掲げますチルドレンファーストという考え方でございます。その一点で私たちは考えていきたいと思います。
 本日は、親の就業による転園等がなくて、引き続き子供たちが保育サービスを受けられて、また、健やかに育っていけるという幼保連携型認定こども園の新たな基準に関して質疑を行っていきます。
 この夏、私たち民主党が視察を行いました幼保連携型認定こども園のある園長先生は、園というのは、家庭の延長の場として、大きな家としたいんだと。温かくゆっくり生活させてあげたいと述べて、子供の育ちを重視した保育、幼児教育を行っておりました。
 私たちも、先ほど申し上げましたチルドレンファーストというものを掲げておりますから、子供の立場に立った保育、幼児教育の制度づくりが重要だと考えております。
 まず第一番に、そういって、新しい幼保連携型認定こども園という制度がスタートするわけですが、現行、幼稚園と保育所の両方の認定を受けたところでやっているところからも、一部、返上してもとに戻るというところがある一方で、学校法人立幼稚園などのほとんどが、こども園へは移行せずに、ちょっと様子を見守りたいというような状況等もあります。
 先ほどから申し上げているように、このこども園の制度を、私たちは理想へ向かっての大きな一歩だと思ってはおりますけれども、ただ理想だけを追い求めて、現状やっていただいている方々の経営が成り立たなくなってしまったり、あるいは子供たちがかえって劣悪な環境に至ってしまっては本末転倒となってしまいます。
 その中で、現行の認定こども園の中には、新制度へ移行しないで返上する意向の園もあるといいますが、その主な理由とか背景とか課題は何なのか、そして、この状況において、都としてはどのように対応するのかということについて、先ほど、もう既に答弁が出ておりましたので、この部分の返答は結構でございます。ただ、その中で、保育に欠ける子供も含めて、全ての子供たちが質の高い幼児教育を受けられるようにする環境づくり、これは大事だと思います。
 先ほどの答弁の中でも、国の一義的な責任は確かにそのとおりだと思いますが、これは行政上の理屈でありまして、当該の子供にとっては、国がやるか都がやるとかというのは関係ないんですね。国の責任云々ではなくて、やはり東京都としてもぜひ積極的な関与をしていっていただきたいと思います。
 一年、二年というタイミングを見ているだけの間に、貴重な幼児教育期間である、そこに過ごしている子供たちは、一年、二年育っていってしまうんですね。その時間の経過というのがありますから、予算編成のタイミングなどいろいろ難しいところがあるのも理解しておりますけれども、ぜひ東京都としても、できることを最大限に発揮をしていっていただきたい。そして、その場合には、現状、幼稚園教育、あるいは幼児教育を行っている幼稚園の方々が困らないように、また、不安にならないような考え方をぜひとも、とっていっていただきたいと思います。
 そして、続きまして、給食の件についてお伺いしたいと思います。
 給食の件につきましては、この条例案の中、十九条の第一項、第五項及び第二十五条等で定められているとおり、幼児の給食につきましては、この幼保連携型認定こども園では、調理室を原則はつくりなさいということが先ほどの答弁の中のお話でも出ておりました。調理室をつくることはもちろん大前提ではありますけれども、三歳児以上については、外から持ってきてもいいと。そして三歳児以上じゃない子供たちも、他の学校法人あるいは社会福祉施設と施設を共用する、兼ねる場合は、それは園でやっているとみなしてあげますよということが条例には書かれております。
 もちろん、基本は自園調理なんでしょうけれども、ほかから受け入れることも可能となる部分があります。もちろんこれは現実的な対応をしていかなければならないと思いますが、一方でさまざまな規則を定める中で、衛生管理の観点から、例えば距離だとかそういった条件というのを、やはりきちっと定めていかなければならないと思いますが、それについての都の見解を伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 食事の提供における安全衛生の確保は大変重要でございます。そのため、外部搬入による給食の提供を行う場合は、外部搬入事業者に、衛生面、栄養面など必要な注意を果たし得るような体制が確保されていることを契約書に明記することを求めるなどの基準を設ける予定でございます。

○あさの委員 ただいま、契約書の中にそういったものを求めていくんだということがございました。当然、食事というのは、子供に限らず、人が口から取り入れるものというのは、それによって体がつくられるわけですから、重要であることは間違いありませんし、ましてやそれが、成長期というよりも、一番最初の幼児期から小学校に入学前の、就学前の子供たちにとっては、食事というのは本当に非常に大事なものだと思います。
 ただそれは、栄養面や安全面ということだけではなくて、食事の雰囲気等も実は配慮しなければなりません。これは、条例や規則で定めるものではありませんが、少なくとも各幼稚園あるいは保育園、そしてこども園と、幼児教育に携わっていらっしゃる方々は、かなりその部分を考えていらっしゃると私は見受けております。
 これが、こども園に移行した後も基準を満たすことだけに終始するのではなくて、食事の時間というものを非常に大事にする。そういった教育がされるように、ぜひとも東京都としても配慮をしていただきたい。さまざまな素材からつくられて、栄養に配慮された温かい給食を、子供たちがその空腹を満たすと同時に、心身ともに安心がもたらされるような、そういうものになるように、たとえそれが外部搬入であったとしても、そこが配慮されるようになってほしいと思います。
 先ほど申し上げた、視察に行ったこども園の園長さんも、給食に対して、きょうはなあにと子供たちが聞くような待ち遠しいものにしたいといって取り組んでいらっしゃいました。そういった理念が実現できるような、配慮のある基準というか、規則にしていただきたいと求めておきたいと思います。
 それで、園庭だとか乳児室、あるいは保育室の設置基準等についても既に質疑がございましたので、この部分についても割愛させていただきますが、一つだけ要望をしておきます。それは、さまざまな要望と、そして社会的な状況がございます。待機児童の解消をしなければならないという喫緊の課題があると同時に、幼稚園あるいはこども園の側から求められているのは、やはり子供たち、もちろん保護者もそうですが、子供たちに対する教育の質の確保というのが求められております。この相反する二つのものを、園からすれば、基準ができるだけ緩和されている方がつくりやすい、そして、待機児童解消にも非常に貢献できるという部分はありますけれども、一方で、保護者の側からすれば、それをきちっと担保してもらうことで安心して預けられるといった側面もございます。
 大事なことは、そのバランスをとること。そしてそれはまさに、こういった条例や規則という文字づらではなく、それを運用する現場において発揮すべきことだと思います。各職員の皆様方には、現場で発揮するときに真摯に相談に乗っていただきながら、さまざまな幼稚園が抱えられているところを、区市町村も含めて現場の職員さんたちが酌み取りながら、一方で質を担保する、そういった運用がされていくように求めておきたいと思います。
 また、先ほどの高層階の話についても、認定こども園協会からも意見が出ておりますけれども、幼児の場合、特に、例えば二歳児の場合は、自立歩行、自分でふだん歩くことはできます。しかし、平面では大人の二倍、二階から三階など縦の移動については、普通で歩いても大人の五倍かかります。そういった中で、緊急避難といったときに、単独の園舎であれば、まだそれでもある程度、理解して動ける場合も考えられますが、それがさらに複合的な施設の中に入っている場合は、二倍から五倍に、さらに大人のパニックといった状況が加わって、かなり難しい状況になるということも十分考慮して、安全に配慮していただきたいと求めておきたいと思います。
 続きまして、さらに幼保連携型こども園ですけれども、この条例の十六条には、差別的な取り扱いをしちゃいけないというような文言がございます。十六条の中で、国籍や信条、社会的身分または入園に要する費用負担によって差別的な取り扱いをしてはなりませんという条例案になっておりますが、一方、国では障害者差別解消法等も成立しておりますし、今の時代、これから先、やはり、どんな子供も一様にさまざまな教育を受けられるという機会を提供することも大事なことだと思います。
 そこで、この幼保連携型認定こども園についても、積極的な障害児の受け入れを行うべきと考えておりますけれども、東京都の見解を伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 都はこれまで、保育所における障害児の受け入れを進めるため、必要な施設改修費や区市町村が行う職員研修への補助、都独自の子育て推進交付金などにより支援を行ってまいりました。
 保育施設が行う障害児保育は平成十五年に一般財源化されており、新たな幼保連携型認定こども園も同様の整理がなされておりますが、保育所と同様に支援の対象としてまいります。
 なお、国におきましても、障害児保育が一般財源化されていることを前提としつつ、障害児への支援を推進するため、障害児保育を行う施設が地域の子育て支援、療育支援を実施する場合に、この地域支援を補助する職員を配置できるよう、公定価格の中に、新たに療育支援加算という加算項目を設けることとしております。

○あさの委員 障害児を受け入れるということは、園にとってはもちろん、職員の配置などで、ある意味、負担増というか持ち出しが多くなってしまうという部分があります。
 しかし一方で、私の地元にあります、ある幼稚園の園長先生とお話をさせていただきましたが、むしろ教育のチャンスは広がるんだという意見をいっておりました。例えば、そこの幼稚園は運動会で全員リレーをやっているんですが、その全員リレーの際に、クラスの中に障害児、あるいは、もちろん足の遅い子もいるんですが、障害を持ったお子さんがいらっしゃったときに、ほかの子たちはやはり勝ちたいから、その子と一緒に走るのが嫌だという気持ちが出てくるそうです。でも、その幼稚園の先生いわく、そここそがまさに教育のチャンスなんだと。大事なことは、幼稚園の運動会で、そのクラスが勝った、負けたという結果を体験させることだけではなく、いろんな子がいて、いろんな子供たちがみんな参加しているときに、勝つかもしれない、負けるかもしれない、でも、それを誰かのせいにするのではなくて、みんなで、じゃ、どうしたらいいのかということを考えていく、そこに成長があると思うんだといっておりました。
 先ほど、質の高い幼児教育という話をずっとしておりますけれども、大事なことはそこだと思うんですね。いかに面積が広かろうが、環境が整備されようが、大事なことは、教育、育っていくときというのは、やはり人間同士のかかわり合いの中で育っていくんだと思います。そこのかかわり合いが否定されないように、少なくとも経営や、あるいは大人の都合などでそれが否定されないように配慮するのが、まさに私たち政治や、そして行政の皆さん方の仕事だと私は思っております。ぜひそういった部分を配慮していただくことをお願いしていきたいと思います。
 さて、続きまして、安全・安心についてです。
 先ほどの話の中でも、訓練についての話が出ておりました。もちろん安全に対する備えは重要でありますし、必要な設備を備えるということはもちろん大事ですが、やはり人です。子供たち、職員、もっといえば、本来は地域の方々まで含めて、平時からどうやって非常事態のときに対応するのかということになれておく必要がある。そういった意味でも訓練が重要であると思います。
 この訓練が十分行われることが望まれると思いますが、これに対して、都としてどのような基準を策定するのか伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 災害時に落ちついて身を守る行動がとれるようにするためには、平時からの訓練を重ねていくことが重要であると考えております。
 そのために、都は独自に、毎月の避難、消火訓練の実施を義務づける考えでございます。

○あさの委員 なれていくという意味では、やはり毎月やっていただくのは非常にありがたいと思います。
 ただ一方で、そこだけにとどまらず、こういったものを考えていかなければなりません。私の娘が通っている幼稚園は、もともとはだしで教育をするというか、グラウンドは芝生でも何でもないんですけれども、グラウンドを全園児がはだしで駆け回るというのが特徴的なところでありました。
 しかし、東日本大震災を受けて、いざというときにガラス片が出てきてしまう可能性を示唆して、はだしということをできるだけ減らしながら、でも、靴ではなくてビーチサンダルで対応するというようなことをやっておりましたけれども、私立幼稚園、今回のこども園にかかわらず、この幼児教育の現場では、特に私立幼稚園の方々というのは教育理念を持ってさまざま取り組んでおります。
 そして、これから先、ふやしていかなければならないこの認定こども園の中でも、やはり私立の方々にさまざまな協力を得ていくことが必要となってくると思います。その教育理念の中で必要なことはもちろんやっていただくんですが、あくまで子供の安全というものは十分配慮しなければいけない。
 そして、今でもそれは十分やっていただいておりますが、その部分について、しゃくし定規的な基準だけにならないように、訓練はもちろん大事ですけれども、ふだんの生活の中で、いかにそういった意識を植えつけていくのかということについても、ぜひ東京都としてもできることがないのかどうかということも考えていかなければならない、私はそのように思っております。
 さて、保育教諭というのが今回新しくできることになりました。簡単にいうと、保育士であり幼稚園教諭であるという方だと思いますけれども、この幼稚園教諭と保育士というのは別々の資格なんですよね。
 聞いたところによりますと、最近の学校というか、その資格を取る短大だったり専門学校だったりいろいろあると思いますけれども、そういった資格を取るところで卒業する保育士志望、あるいは幼稚園の先生になりたいと思う卒業生の大多数というかほとんどが、両方取っているよというのが一般的だと聞いております。
 この幼稚園教諭の免許と保育士資格の両方を、今現在はあわせて取得することが一般的にはなっておりますけれども、中にはもちろん、どちらかしか持たない人もいるわけで、そういう中に、例えば保育士資格しか持たない人が幼稚園教諭免許を取得するということは、こども園が保育教諭という人間を確保しなきゃいけないこともそうですけれども、全体として、保育や幼児教育にかかわる人たちが両方、みんなが持つようになるというのは、全体の質の向上に非常にプラスであると私は思います。
 そこでまず、保育士さんが幼稚園教諭免許を取得するに当たって支援策がありましたら伺いたいと思います。

○加藤教育庁人事部長 国は現在、認定こども園法の一部改正に伴い、一定期間、幼稚園教諭免許状の取得に必要な単位の特例を設けています。
 具体的には、例えば幼稚園教諭二種免許状の取得に必要な単位について、通常では三十九単位であるところを、この特例により、保育士として良好な成績で三年以上かつ実労働時間四千三百二十時間以上勤務した者には八単位まで軽減し、免許状の取得を促進しております。

○あさの委員 保育現場において、保育と幼児教育の両方の知識を持ち、経験も豊富な多くの保育者が必要になってきておりますし、これからもまだまだ必要となってくると思います。この促進の取り組みが進んで、子供たちの育ちを支える先生がふえることが非常に大事だと思います。
 今のお話で、国が特例を設けて、免許を取得しやすくしているということはよく理解できました。
 それでは、現在の保育士が幼稚園教諭免許を取得する際、都としての支援策があれば伺いたいと思います。

○武市生活文化局私学部長 今年度、国の安心こども基金の要領が改正され、幼保連携型認定こども園や幼保連携型認定こども園への移行を予定している施設で働く職員に対し、保育士が幼稚園教諭免許状を取得する際にかかる養成施設受講料及び代替職員の雇い上げ費に対して補助を行う事業が基金の対象となりました。
 これを受けまして、都は事業実施に向けて、既に準備を進めております。

○あさの委員 都としても、その準備をしていただいているということで、この条例の中にも、職員の資質向上の研修の機会を設けなきゃいけないということを、十五条の第二項ですね、もちろんその第一項には、職員は必要な技能の習得、維持及び向上に努めなければならないと。これが、ただただ絵そらごとにならないように、文言だけで終わらないように、具体的なそういった支援策を、ぜひともこれからも継続していっていただきたい。
 五年間の経過措置の後は、保育教諭という形になっていきますので、確定していってしまいますので、その間に、ぜひともさまざまな人が、片方しか持ってない人は両方取れるようにという形になっていくように推進していっていただきたいと思います。
 この条例の中、第二十条の第二項ですね、幼保連携型認定こども園の中で、職員であった者、つまり、退職した人に対しても守秘義務を遵守させるために必要な措置を講じるように求めています。
 ただ、これ、やめてしまった人が秘密を守っていくということに対して、必要な措置というのは、具体的にどのようなことをしていく予定なのか伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 守秘義務については、保育所の基準を定める児童福祉施設の設備及び運営の基準に関する条例においても同様の規定をしておりまして、具体的には、退職後も含めて守秘義務を規定する内容を雇用契約書の中に記載したり、守秘義務に関する誓約書の提出を求めるなどの方法がとられております。

○あさの委員 今の時代、情報のやりとり、情報そのものに価値が出てしまいまして、ビジネスになってしまうという世の中にもなっております。その中で情報を守らせるということも非常に大事ですが、何よりもこの規定がどこかの責任逃れみたくならないように、実効性のある取り組みにしていかなければなりません。自分たちはやっているから、やった個人が悪いんだといういい方は、どこまでいっても最終的にその個人が守ってもらうしかないんですけれども、そこには、その人に対する教育も含めて取り組んでいっていただきたいと思います。
 そして、今回の認定こども園の基準を定めるこの条例案ですけれども、もともとは国の法律改正及びその施行に伴う形で改正案が出てまいりました。大切なことは、この条例案、今までも、小学校に上がる、小一プロブレムといった言葉もありますけれども、小学校に円滑につないでいかなければいけないということはされてきていたんだと思うんです。具体的には、保育所の保育指針だとか幼稚園の教育要領及び小学校の学習指導要領にもそれぞれ、小学校や、そして幼稚園、保育園といったものと連携をして、円滑な引き継ぎというか、切れ目のない教育が続くようにしていかなければならないという記載がございます。
 今回のこの幼保連携型認定こども園は、いわゆる就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の改正案の中で、法文として明確に、小学校につなぐことを配慮しなきゃいけませんよということが出てきております。それが第十条第二項の中に、今いった幼稚園教育要領などの整合性を確保すると同時に、小学校における教育との円滑な接続に配慮しなければならないと明文規定されました。それだけ国も本気で、幼児教育の段階から小学校に上がるところまでをうまくつなげていくという形をつくっていかなきゃいけないよという思いが強いんだと思いますけれども、このことに関して、東京都としてどのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○金子教育庁指導部長 都教育委員会は、平成二十二年三月に、就学前教育から小学校教育への接続期に焦点を当てまして、幼稚園や保育所等と小学校との連携の方策を明らかにいたしました就学前教育プログラムを開発いたしました。
 このプログラムでは、幼児が小学校生活への不安を解消し、就学への期待を高める取り組みや、保育所、幼稚園等と小学校が意見交換や合同研修、保育参観や授業参観などを通しまして相互理解を図る取り組みなどを示しております。
 現在、幼稚園教諭や保育士、小学校教諭等を対象とした研修会を開催するなどいたしまして、幼稚園や保育所、小学校等への普及啓発に努めているところでございます。

○あさの委員 小一プロブレムにかかわらずなんですけれども、そういった横の連携が実はすごく大事なんですね。一番最初に申し上げたとおり、地域のコミュニティの連携も希薄化されている、家庭の教育力が下がっているといった話が出ておりますが、それ以外にも多種多様な問題というのをいっぱい抱えております。
 例えば、保護者の方々が、実際の現場がどうなっているかを理解してもらうための一日保育士体験というのをやっている区もありますし、園もございます。そういったところでは、近隣の小学校に上がってから先生に対する理解度が上がっているといったようなお話も聞いております。さまざまな全国的にうまくいっている事案というのをすべからく吸収して、東京都としても、小学校への連携というのもつなげていっていただきたい。
 そして、先ほど、職員のお話もさせていただきましたが、今現在ある私立の幼稚園の方々も人材の確保に苦労していらっしゃいます。そして、それはさまざま要因があるんですけれども、一つには、やはり新しい人を募集するのがちょうどこのぐらいの時期なんですね。この後、募集が始まります。しかし学生さんたちは、既に就職活動の終盤期になっている。
 じゃ、早く始めればいいじゃないかというと、そんなことはできない。なぜなら、やめていく人の確認をちゃんとしなきゃいけないから。幼稚園や、恐らく認定こども園も同じことになると思いますが、どこの園も余剰人員の確保はできないんですね。余剰人員の確保はできないから、誰が抜けるのかがわかってから次の人の補充になる。だから、募集は必ず、どうしても夏休み以降、十月ごろになってしまうんだという話も聞いております。
 この制度だけではなく、さまざまな支援策、もちろん経常費補助等の支援策も大事なんですけれども、そういう募集にかかわる構造的な問題というのも、これから私たちは基準をつくるだけではなくて、円滑にうまく運営が進んでいくようにしっかりと検証を続けていかなければならないと思っております。その面でも、ぜひ東京都と、この議会が一致協力をして、子供のために何が一番いい形なのかということを模索していく最初のファーストステップになっていくことを祈念いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○やながせ委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。基準についての条例案ですので、基準について質問をさせていただきます。
 この条例案が提出されるまでのプロセス、これも見てみました。子供・子育て会議の議事録も読みましたけれども、非常に白熱した議論がなされていたなというふうに思いました。
 ただ、都が最終的に示した基準というのは、国の示した最低基準をそのまま横引きしたものではなくて、必要なところにはしっかり対処するという姿勢が見られて、きめ細やかな対応がなされているなというふうに感じているところでございます。
 その基準の中でも気になった二つの点について、私からは質問させていただきたいと思います。
 まず、園長の資格についてであります。
 こども園の責任者、これは園長でありますけれども、この園長の資格について定めがございまして、改正認定こども園法施行規則で定められておりまして、原則として、教員免許状及び保育士資格を有し、かつ五年以上の教育職または児童福祉事業の経験がある者とされています。ただ、原則があれば例外もありまして、先ほど述べた、今の内容と同等の資質を有する者についても認めるということとなっております。
 じゃ、この同等の資質というのは何だろうということで、これは国の対応方針がありまして、人格が高潔である、教育、保育に関する熱意、高い識見を持つ、職員に対して必要な指導及び助言等をする能力を有する者ということで、この物差しはよくわからないなというものとなっているわけですけれども、この園長の資格について、都は、この同等の資質をどう担保していくのか、この点についてまずお伺いをしたいと思います。

○武市生活文化局私学部長 国は、同等の資質を有することを設置者が判断する際の考え方を提示する予定としております。
 東京都におきましては、その内容を踏まえまして、同等の資質を有する者の考え方について検討してまいります。

○やながせ委員 国がこの判断基準を示すということで、それに従ってやっていくんだよということでありますけれども、私は、この園長の質を確保するというのは、園の質を確保していく上で非常に重要な要素だろうというふうに考えております。
 今のこども園の園長の皆さんは、非常に熱意あふれる、さまざまな経験をお持ちの方だと思うんですけれども、これからのこども園ができていくに当たって、この園長の質を担保するということは非常に重要なことであると。ですから、この有資格者であっても、これは一人の先生として役割を果たすのとマネジメントをする園長というのは役割が大きく異なりますから、ですから、これは国も示しておりますけれども、園長のしっかりとした研修等々を行うというようなさまざま手だてによって、この質を確保していただきたいということ、これを要望しておきたいと思います。
 二つ目、子供たちの安全確保についてであります。
 子供・子育て会議の中でも、長時間議論がされていました。保育室等を設置できる階数についての問題であります。きょうもさまざまな議論がなされていましたけれども、都としては、安全対策として、保育室は一階に置くことが原則となっているということなんですが、耐火性能を上げたり、待避上、必要な設備を設置するなど、必要な要件を満たせば、二階、三階に設置をすることも可能としているわけであります。
 そこで、そもそもこれらの基準ですけれども、どのような災害を想定して策定をされたのか、この点について見解を伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 災害にはいろいろな種類がございますが、今回、指針策定におきましては、主に地震及び火災を想定して策定をしております。

○やながせ委員 簡潔な答弁、ありがとうございます。これは地震及び火災を想定しているということなんですけれども、都は、首都直下型地震を想定して、全都一丸となってさまざまな施策を展開しているというわけですから、当然これを念頭に置いているというふうに思います。
 保育室を二階、三階に設置するに当たっては、火災については、建築基準法で一般的に求められているよりも高い基準での条件となっておる。耐火建築もしくは準耐火ということが示されているわけでありますけれども、では、建物の耐震強度、耐震性についてはどのような取り決めを考えているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 建物の耐震性につきまして、国の基準では特に規定されていないことから、都は独自に規定する予定でございます。
 具体的には、新耐震基準が適用される昭和五十六年六月以降に建築された建物であること、または、新耐震基準が適用される以前の建物につきましては、一定の耐震性を有することを求めていく予定でございます。

○やながせ委員 ありがとうございます。都として独自に規定するんだというお話でございました。その内容としては、この新耐震に合致していればいいんだよというお話だったと思います。
 それで、私は、この新耐震って本当に大丈夫なのかということが、きょうはいいたいわけであります。これ、一九八一年に建築基準法の改正で新耐震基準が示されたわけです。ただ、この基準はあくまで最低ラインを定めたものだということを皆さんもよくご理解されていると思うんです。
 この耐震基準が求めているのは、あくまでこれは大規模の地震動で倒壊、崩壊しないということでありまして、これは震度六強から七程度の地震が来ても建物が崩れ落ちないということなんですね。ですから、設計の目標は、あくまでも倒壊しないということで、大破、中破等々を防ぐものではないんですね。辛うじて崩れ落ちなかったけれども、中は、めちゃくちゃになっている、こういった結果が生じても、これは基準を満たしているということになるわけであります。
 また、大規模な地震は複数回にわたって地震が来るということは、これは当然です。中規模の地震があって、その後に大規模の震度七が来て、また震度五が来るとか、震度七が来た後に五が来て、三程度のものが繰り返されるというふうに、何度も何度も繰り返し発生するというのが地震であります。
 新耐震で求めているのは、この最初の一回の大規模なインパクトを受けても倒壊しなければいいというのが、この新耐震の基準であります。つまり、連続して起こる余震への強度を担保するものではありません。
 日本木造住宅耐震補強事業者協同組合がまとめておりますけれども、耐震診断をした結果として、二〇〇〇年五月までに着工された建物のうち、新耐震基準をクリアして建てられた建物の中で、八五%が震度六強クラスの大地震で倒壊する可能性がある、高いと認定されたというデータもあります。つまり、これは、建てた当時は強度があったけれども、経年劣化で強度が保たれなくなってしまったという建物がたくさんあるということなんですね。
 このように、新耐震基準で大丈夫なのかというのは他県でも考えておりまして、東海地震の可能性が高いとされている静岡県では、建築基準法、新耐震基準はあくまで最低ラインという認識のもと、規制を強化し、この基準の一・二倍、地域係数ですね、一・二倍の耐震強度がなければ建物を建てられないといった取り組みをしているわけであります。
 今回の条例で、保育室を二階、三階に置くことの議論において、火事への対応、避難路の有無などで判断されているわけですけれども、そもそもこの建物自体が地震に対して強い強度を持っているのかどうかということは問われていないわけであります。子供たちの安全確保ということを考えると、都として、新耐震基準をクリアしていればよいというのではなくて、独自に上乗せを求めるべきではないかというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 都は、防災対策について、建物の耐震基準だけではなく、耐火基準などの延焼防止のための措置や安全に避難するための避難設備の設置、さらに、発災時に落ちついて行動できるよう、毎月の避難、消火訓練を求めていくことにより、これらの総合的な取り組みによりまして、安全性の確保を図ることとしております。

○やながせ委員 さまざまなことをやっていくんだということだと思うんですけど、私は、先ほども議論がありましたけれども、一階に置くのか三階に置くのかというのは、もちろん一階の方が避難できていいんじゃないかということでありますけれども、強度が低い建物に関しては、一階は倒壊して押し潰されてしまう可能性があるといった観点もあるんですね。ですから、大事なのは、まず建物の強度がしっかりしているのかどうかということ、これを判断の基準に加えるべきではないか。このことを一つ一つ丁寧に判断をいただきたいというふうに思うんですね。
 建物の強度というのは、一つとして同じものはありません。全部異なっています。新耐震をクリアしているからいいんだよと、一定の基準ではあるんですけれども、それで我々が想定している首都直下型地震、これは一回ではありません。余震が繰り返されてくるということも想定されているわけでございまして、このことをしっかりと念頭に置いて、運用等々をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 この幼保連携型認定こども園は、都の大きな課題である待機児解消に資するものであるというふうに考えています。幼稚園を母体とする認定こども園が新制度に移行すると、現行収入よりも減収となるという話もあります。認定こども園は、新制度への移行が原則とされながら、国において十分な財政支援が行われる見通しが立たないため、園によっては、幼稚園や保育所に戻ることも検討せざるを得ない。先ほども話が出ていました。
 認定こども園制度の改善は新制度のポイントの一つであるため、新制度の施行後も、認定こども園が引き続き保護者の期待に応え、質の高い幼児教育、保育を提供することができるように、都には、これ、しっかりと支援をしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○塩村委員 今回の条例案ですが、子供の安全を考え、保育の質にこだわった基準であるということがうかがえます。例えば、ゼロ-二歳児の保育室の面積は、認証保育所では一人当たり二・五平米でいいのに対し、認可保育園と同じく、一人当たり三・三平米を要求しています。また、大前提として、園舎と園庭を備えることが求められており、同一の敷地内、または隣接をする位置に設けるものとし、調理室に関しても、原則として調理室を備えなければならないとあり、保育の質にこだわった条例案という印象です。
 質問に入りますが、質問、答弁ともに全く同じ質問は割愛しつつ、答弁が少し異なるものについては、申しわけございませんが、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 さて、新たな幼保連携型認定こども園は、これまでの幼保連携型や、既存の三類型である保育所型、幼稚園型、地方裁量型とどう異なるのでしょうか。保護者などの利用者にとってのメリット、事業者にとってのメリットの観点からお伺いをしたく思います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 新たな幼保連携型認定こども園は、従来の認定こども園と比べてのメリットは保護者にとりましては、新たな幼保連携型認定こども園は幼稚園教諭と保育士の資格を併有する保育教諭が教育、保育を行うこととなっており、教育と保育を一体的に提供する機能が強化されることです。
 一方、事業者にとりましては、他の三類型が、幼稚園または保育所の認可などに加え、さらに、認定こども園としての認定を受ける必要がありますが、新たな幼保連携型認定こども園は、単一の施設として、認可手続や指導監督が一本化され、事務の簡素化が図られることとなります。

○塩村委員 ありがとうございます。多くの幼稚園が移行を見送るというような報道もあったり、デメリットばかりが多く伝わってくるんですが、メリットもあるわけです。利用者と事業者双方にメリットのある施策の展開と促進を今後もお願いしたく思います。
 次に、教育、保育に従事する職員の資格ですが、幼稚園教諭の免許と保育士登録の両方を求めています。全国的には、両方の資格を持っている方が六割から七割と聞いています。逆をいうと、つまり三、四割の職員の方は、片方の資格しか持っていないことになります。
 国は、法施行後五年間は特例として、幼稚園教諭免許または保育士登録、どちらか一方でいいとしていますが、今回の条例案には記されておらず、確認をしたところ、規則に落とし込んでいるとのことで、国の対応とは異なるものでした。その理由についてお伺いをいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 国の特例は、法施行後五年間は、ゼロ歳児保育や長時間保育を提供する職員の中に保育士が一人もいない施設や、あるいはまた逆に、幼稚園教諭が一人もおらず、教諭ではない職員が学校教育を提供する施設を認めるというものです。
 都は、東京都子供・子育て会議における議論や、現行の幼保連携型認定こども園の基準を踏まえ策定した条例案では、幼児教育、保育の質を確保するために、ゼロ歳児から二歳児の低年齢児と三歳児以上の児童に保育を提供する時間帯については保育士の配置を、幼児教育を提供する者には幼稚園教諭免許を有する職員の配置を求める基準案といたしました。

○塩村委員 従事をしている職員の質は、教育、保育の質に直結をしていますので、そういった意味では、都の対応を評価させていただきたいと思います。
 ちょっと質問がかぶる部分があるんですが、あえてさせていただきます。しかし、一方で、片方の資格しか持っていない者に対する資格取得支援制度は必要であると考えるんですが、都の支援策をお伺いいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 幼稚園教諭免許しか持っていない方に対する保育士資格の取得支援として、都は、国の安心こども基金を活用し、認可保育所や認証保育所、幼保連携型認定こども園への移行を予定している施設で働く職員に対し、保育士養成施設の受講に要した経費を対象とする保育士資格の取得支援を行うほか、国が補助の対象としていない通信教育等で独学した場合の受講料や保育士試験の受験料についても、都独自に支援しています。
 また、国におきましては、幼保連携型認定こども園の普及に向けて、保育士資格と幼稚園教諭免許の両資格保有者をふやすため、幼稚園教諭免許または保育士資格を有し、三年間かつ四千三百二十時間の実務経験がある場合には、新制度施行後五年間の時限による特例措置を設けており、養成校において資格取得のために通常必要とされる単位数が大幅に軽減されております。

○塩村委員 ありがとうございます。通信教育等の支援もしていただけることで、力強いと思っております。片方の資格しか持っていない職員の支援を、今後、都としてしっかり行っていただけるとのことです。軽減措置は、三年かつ四千三百二十時間の実務経験がある場合とのことで、保育の質を落とすことなく、保育士不足が叫ばれている今、質を担保しながら、その確保を行っていくとのことで安心をいたしました。しっかりと移行のサポートをお願いいたします。
 次なんですが、二問用意していましたが、この部分は既に何回も質問が出ておりますので、一つ割愛させていただきまして、高層階に保育室が設けられるという件です。こちらの質問をさせていただきたいと思います。
 火災発生時に懸念されることを具体的にお伺いいたします。三歳以上は、三階以上に園庭が隣接されていれば、保育室の設置ができます。例えば二十階という高層階に保育室があったとして、三歳児であれば、おおむね二十人の子供につき一人の職員の配置でいいことになっています。四、五歳児は三十人の子供につき一人の職員の配置でいいんですね。一人の職員で二、三十人の子供をどうやって確実、安全に避難をさせるのでしょうか。本当に安全なのかちょっと心配です。火災時のパニックの中、大変な困難になるのではないでしょうか。具体的にどのように避難をさせるのでしょうか、お伺いをいたします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 階数にかかわらず、災害時の安全を確保するためには、パニックにならないことが重要であり、そのためには、平時から災害発生時の準備をしっかりとしていくことが肝心でございます。
 そのために、先ほども申しましたとおり、都は、新たな基準の中で、地元消防署と相談して、非常災害対策の計画を策定するとともに、近隣の地域住民、同じビルの中の入居者と連携するなど、実用性の高い計画に基づく毎月の避難、消火訓練の実施を求めることとしております。

○塩村委員 ありがとうございます。地元の警察署、消防署と具体的に避難計画を策定するということでした。それがないと申請が整わず、認可に至らないことだと理解をしているんですが、それでよろしいでしょうか。
 つまり、高層階で火災が発生をしたときに、明らかに消防署等が対応できないといった場合には、結果として、園の設置の申請に至らないということ。また、後から避難計画に無理や問題が判明した場合は、都が指導監督をするということでよろしいんですよね。それであれば安心です。そこをしっかりと確認をしておきたく、質問をさせていただきました。
 最後にもう一問、質問と思っていたんですが、皆さんの質問とかぶってしまいますので、要望にさせていただきます。
 移行が期待をされる私立幼稚園が認定こども園への移行を見合わせており、また、現在認定されているこども園も認定を返上し、保育園や幼稚園に戻ろうとする動きが表面化していると報道されています。
 皆さんが述べられているとおりですが、幼稚園は、新制度に移らなくても私学助成を受けられるため、収入面でのメリットに乏しく、反面、新制度になれば、子供を預かる時間が長くなるといったような懸念があるとのことです。
 この認定こども園は、待機児童解消に向けて期待されていました。しかし、私立幼稚園のうち、一五年度に移行すると答えたのはたったの二二%です。大半は見送りとのことですが、これでは、当面、待機児童の解消は保育園の増設頼みになってしまいます。
 都には、公定価格の見直しを国に働きかけていただくことを要望いたします。また、都としても、独自補助などの検討を要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小松委員 よろしくお願いします。
 子ども・子育て支援新制度が来年四月にスタートするわけですけれども、税制が不安定な中、財源がどうなるのか不明なところで見切り発車することになります。この混乱を招いている国に対して、都は、子供の育ちと子育ての支援、これを最優先にしっかりやれといっていただきたいと思います。
 そのような中で、このたび新設される、今回、条例提案されている東京都幼保連携型認定こども園、この設備や運営基準については、きょうはさまざま質疑が行われましたので、重ならないところで、障害児の特別支援教育ということについてお伺いしたいと思います。
 これまで東京都は、私立幼稚園に対して、障害児を受け入れるための支援を行ってこられています。その内容が、今回、新制度に移行して認定こども園になった場合の対応、これがどう変わるのか。新制度になっても、障害児に対して手厚い保育、教育が受けられるように都は支援すべきと考えるものですが、お伺いいたします。

○武市生活文化局私学部長 都は、障害児が就園する都内の私立幼稚園の特別支援教育の振興を図るため、障害児を受け入れた幼稚園に対しまして、国庫補助の対象となる私立特別支援学校等経常費補助及び都単独の事業であります私立幼稚園特別支援教育事業費補助を実施してまいりました。
 国は、施設型給付へ移行する幼稚園、幼稚園型認定こども園、幼保連携型認定こども園について、引き続き国庫補助の対象とする方針を示しており、都においても助成の対象になると想定をしております。

○小松委員 ぜひ、障害児の教育、保育に積極的な取り組みをお願いします。
 要望を二点ほど申し上げたいと思います。
 一つは、園庭についてです。
 都の認証保育所では、現行でも代替地でもよいというふうにしてきておりまして、保育室を増設するために園庭を潰さざるを得なくなって、その分、屋上で園庭として運用しているという現状が既にあるということから、政府会議では、屋上園庭も認める考えが示されているところではあります。しかし、子供が心身ともに健康に育つためには、外で伸び伸び遊べる広々とした空間をぜひとも確保していただきたいというふうに考えます。
 待機児解消のために、保育の量の確保が最優先とされて、質が二の次になることは、新制度の本来の趣旨ではないはずです。それが一点。
 そしてもう一点は、利用者支援についてです。
 仕事のために子供の預け先を探していた母親が、ことし三月、マッチングサイトで見つけたベビーシッターに預けて、子供が亡くなってしまうという痛ましい事件がありました。この若い母親は、児童福祉手当も受けていなければ、さまざまな子育て支援事業、例えば一時預かりだとかのことも全く知らなかった。
 しかし、この母親だけが特殊なのではありません。虐待によって死亡する子供の約半数はゼロ歳児であり、その加害者の過半数が実の母であるということを考えますと、それぞれ各自治体がどんなに子育て支援に力を入れても、それが当事者に届いていない現状があるということです。情報を必要な人に届かせる努力がもっと必要です。
 新制度によって、保育の質、そして量も充実するはずでありますから、とにかく、わかりにくく複雑な制度である、この子ども・子育て支援新制度について、役所で助けてもらおう、役所に行くということを考えもしない保護者にどう情報を届けるのか、この機会に、私立幼稚園も行政に情報をしっかり提供するよう、そして、それを行政は利用者にしっかり届ける。この利用者支援の取り組みが進むように区市町村の背中を押すという都の取り組みを求めて、質問を終えたいと思います。

○大松委員 私からは、認定こども園における幼児教育、保育の質の確保について、何点か質問いたします。
 認定こども園に担っていただく使命は、保育園の待機児童の解消だけではなく、人格形成上、大変重要になります、幼児期における教育であります。子供の受け入れ拡大など量的な問題だけではなく、教育内容の質こそが、より求められることになります。
 その教育の質を考えるとき、最も重要な要素は、やはり教職員の資質、能力でありまして、その能力を客観的に担保するのが資格でございます。この資格を持った教職員をどう配置していくのかが大変重要であります。
 こうした観点から、都は教職員の資格について、国とは異なる独自の基準を設けています。この点につきましては、先ほど答弁もありましたので、意見だけ述べさせていただきますが、国は五年間の猶予期間を設けていますけれども、その間も子供は在園をしていますから、猶予期間においても、都の基準案のとおり、資格のある人材を配置することは、私も重要と考えます。
 次に、子ども・子育て支援新制度の施行に当たり、私立幼稚園関係者の皆様方からさまざまな不安の声が上がっています。特に、国が示した公定価格の仮単価は、実際の運営実態に即していないとの訴えが多く聞かれます。新制度における単価の構造が現在の運営実態とかけ離れていれば、その差額は減収につながります。質の高い幼児教育を提供するためには、教職員の体制が整っていることが必要ですが、減収によって教職員を減らし、教育の質を落とすようなことがあってはなりません。
 そこでまず、現状の私学助成において、認定こども園の幼稚園部分の教職員配置は、規模別に見るとどうなっているのか伺います。

○武市生活文化局私学部長 現状の経常費補助における教職員配置につきましては、クラス数に応じて教員を一人配置した上で、さらに三クラスに一人の教員配置を加えることとしております。
 これを規模別に見ますと、例えば定員百五十人規模で七クラスの場合は十四人まで、定員三百人規模で十三クラスの場合は二十四人まで補助の対象としております。

○大松委員 それでは次に、新制度における、認定こども園の幼児教育を受ける子供に係る公定価格では、現状の私学助成と比べて、教職員配置はどうなるのでしょうか、伺います。

○武市生活文化局私学部長 公定価格における教職員配置につきましては、クラス数にかかわらず、定員百五十人規模の園の場合は九人まで、定員三百人規模の園の場合は十五人までとなっておりまして、現状の経常費補助における教職員配置の補助対象人数の方が多くなっております。
 委員ご指摘のとおり、教職員の配置は、幼児教育の質の確保の観点から重要な要素であると認識しております。都はこれまでも、国に対し、公定価格の見直しを求めてきたところでございますが、運営実態に即した公定価格の設定がなされるよう、改めて強く要望してまいります。

○大松委員 現状では園児百五十人規模で教職員は十四人、新制度になると九人に、三百人規模では二十四人から十五人に減るわけでありまして、教職員の配置は、公定価格の方が現状の私学助成より少なくなります。新制度に移行すれば、教職員の配置水準を落とさざるを得なくなるということであります。このようにならないように、都は、各園の運営実態に即した公定価格の単価設定をぜひとも国に強く求めていただきたいと求めておきます。
 次に、新制度の実施主体となる区市町村に対する支援について伺います。
 新制度の施行に向けて、施設型給付対象施設の確認基準や、保育料、利用調整のあり方など、区市町村が決めなければならないことが数多くあります。また、その際は、各園と意見交換や調整を行い、現場の実態を踏まえ、一つ一つ決めていかなければなりません。
 さらに、保育料や基準を決めた後も、平成二十七年四月一日の施行に向けて、各園の準備におけるサポートや、保護者への説明や対応など、各区市町村が担う役割は大変大きいものがあります。
 一方、国からの情報提供がおくれ、実施主体である区市町村では準備が大変だと聞いておりますので、都は積極的に支援をするべきです。所見を求めます。

○武市生活文化局私学部長 都はこれまで、区市町村や幼稚園に対しまして、新制度の内容に関する説明会の開催や随時の情報提供を実施するとともに、幼稚園団体から寄せられた現場の課題について、区市とともに対応策を検討するなど、実施主体となる区市町村を支援してまいりました。
 今後、新制度の施行に向けて、区市町村に対し、新制度における運用上の取り扱いなど詳細な情報を速やかに提供するとともに、支給認定や事業者からの申請に基づく確認事務などの過程で発生する各自治体共通の課題を互いに共有し、対応策を検討する場を設定するなど、これまで以上に連携を密にしながら、積極的に支援してまいります。

○大松委員 新制度の施行に向けて、各区市町村が各園や保護者への対応に努めながら円滑に準備を進められるよう、都は広域的な立場から区市町村をしっかりサポートするべきです。
 新制度の施行を半年後に控えた現在においても、制度の詳細が明確でない部分が多く、現場を担う各園が抱える負担や不安は相当大きいと感じています。こうした状況が保護者や子供たちに影響し、混乱を招くことがないよう、よろしくお願いいたします。
 最後に、新制度への円滑な移行を実現するための都の対応について伺います。
 公定価格の単価では、園児が多い認定こども園ほど、規模が大きいほど減収額が大きくなる傾向があります。私も、都内の認定こども園から、教育の質以前の問題として、経営が成り立たない、保育料の上乗せ徴収を考えざるを得ないが、保護者の理解は得られないだろうと。幼稚園と保育園に分離し、認定こども園を返上せざるを得なくなるとの深刻な相談を受けています。こうした園が、このまま新制度へ移行できないようでは、東京の子育て支援は大丈夫なのかと心配になります。
 認定こども園の新制度への円滑な移行を実現するために、都は国に対応を求めるとともに、都として支援を行っていくべきです。局長の決意を伺い、質問を終わります。

○小林生活文化局長 先ほど来、委員から、幼児教育の質を確保していくための教職員配置の重要性にあってのご指摘がございましたけれども、教育は人が人を育てるものでありまして、各園において教職員配置の見直しにつながるようなおそれのある公定価格の設定はなされてはならないというふうに考えております。
 また、実際に認定こども園を利用する保護者の方々は、新制度施行後も、認定こども園が質の高い幼児教育と保育を提供し、地域の子育て支援も行う施設として安定的に運営されることを期待しているというふうに認識をしております。
 繰り返し申し上げておりますように、新制度は財源確保も含め、まずは国の責任において制度の円滑移行を図るべきであります。国は、新制度移行後の認定こども園で減収があるとすれば、年末の予算編成過程におきまして、その理由を把握して検討するとしておりますので、都は、今後も公定価格の見直しを中心に、国に強く働きかけてまいります。
 また、あわせまして、都としても、来年度の新入園児の園児募集の期間が迫っているという現場の状況がございます。こうしたことも踏まえまして、幼稚園団体等からの要望を十分に踏まえつつ、都が行っている私学助成の水準の確保に向けて早急に検討を進めてまいります。

○里吉委員 それでは、私からは、幼保連携型認定こども園での食事、食育について質問してまいります。
 食育基本法では、子供の食事について、子供たちが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくためには、何よりも食が重要である。今、改めて、食育を、生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきものと位置づけるとともに、さまざまな経験を通じて食に関する知識と食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てる食育を推進することが求められている。子供たちに対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育んでいく基礎となるものである、このように述べております。本当に子供が小さいうちから、その成長、発達に応じて、食べることの楽しさや大切さを学ぶことが大切だと思います。
 そこで、まず伺いますが、幼保連携型認定こども園では、この食事をどのように位置づけているのか伺います。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 幼保連携型認定こども園における食育は、幼保連携型認定こども園教育・保育要領によれば、健康な生活の基本としての食を営む力の育成に向け、その基礎を培うものとして位置づけられております。

○里吉委員 食を営む力の育成に向け、その基礎を培うものとして位置づけられているというご答弁でした。
 そうした中で、先ほどから話題にもなっていますけれども、この条例の十九条の五項では、条件さえ満たせば、園の外で調理したものを搬入できるというふうに書かれています。条例案では、満三歳以上の園児に対する食事は、条件さえ満たせば搬入を認めているのはどうしてなのかお答えください。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 現行の保育所でも、園の管理者が、衛生面、栄養面など、業務上必要な注意を課せられるような体制及び調理業務を委託する者との契約内容が確保されている場合などには外部搬入を認めており、これと同様としたものでございます。

○里吉委員 保育園でも認められているというご答弁でしたけれども、現在認められているとしても、都として新しい条例をつくるときに、これは問題だというふうに考えなかったのかということなんです。
 例えば園庭、今、国は認可保育園の基準をどんどん変えて、規制緩和で、園庭はなくてもいいと、すぐ近くに公園があれば代替できるとしてしまいました。当初、園庭がなくても公園で対応できると思った方もいると思いますが、実際には、夏のプール遊びをする場所がないとか、近くの公園に近隣の三つの保育園から遊びに来ていて、日によって遊べないなど、子供の体の発達に影響があるのではないかと、今、大問題になっています。
 この給食の外部搬入についても、初めは構造改革特区で認められて、平成二十二年六月に通知で全国に認められたものです。しかも、給食の搬入についていえば、ゼロ歳から二歳は認められていませんから、調理室は、ゼロ歳から二歳がいる保育園はどこにもあります。三歳以上のみ搬入することは通常考えにくいわけですし、実際、どこの保育園でも自園調理が行われています。
 しかし、幼保連携型認定こども園の場合は、三歳から五歳児だけという場合もありますから、調理室もない、調理員もいない、こういう園が出てくる可能性が大きいと思われます。給食を搬入した場合、調理室もなくて、調理員もいない中で、どうやって子供たちへの食育を行っていくつもりなのか、成り立つのか大変疑問であります。お答えください。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 食育とは、園児が意欲を持って食にかかわる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う園児に成長していくことを期待するものでございます。
 国の保育所における食事の提供ガイドラインにおいても、外部搬入などさまざまな食事提供の方法が存在する中、自園の保育理念や保育目標、保育方針に基づいた食環境の充実や食育の目標の子供像を示した保育が行われているかが重要とされております。
 食材や調理する方への感謝の気持ちを育てることと外部搬入の話は別のことだと考えております。

○里吉委員 外部搬入でも、食材や調理する方への感謝の気持ちを育てることは可能とおっしゃいましたけれども、これは、どこで誰が調理しているかわからないものを食べるわけですから、かなり難しいんじゃないでしょうか。
 保育所における食事の提供ガイドラインで示されていた例、(資料を示す)これに外部搬入でうまくいっている例が書かれていましたけれども、これはゼロ歳から二歳児のための調理室と調理員がいるところの例でした。ですから、食べ物をつくる人が保育園にいるわけです。それでも、この保育園では、栽培した野菜の調理ができなくなって、自宅での調理に変えたり、保育所での料理も、調理室があるために年数回行える。これは調理室と調理員がいるからこそできると述べられているんですね。
 自園調理であれば、調理前の野菜を子供たちに見せることもできますし、調理員さんも子供たちに日常的にかかわれますから、全然違います。三歳から五歳児は、食事の基本がつくられるときです。だからこそ、給食がどのようにしてつくられるか調理する人から話を聞いたり、時には一緒に野菜を切ったりしながら、食事の楽しさを知ることが大切です。
 調理した人自身が、子供がおいしく食べているか、どれだけの量を食べているのかなど、子供たちの機能面や心理面からも観察し、食事量が適切であったのか、子供たちの身長、体重の測定結果により確認する、こんなこともやられています。
 また、家での食事はもちろん親の責任ですが、この親への食育も大切なんです。親への支援として、保護者会や保育参観などとあわせて、子供の食事について、栄養士さんが具体的な話をいろいろとしています。子供の食事の内容、味つけのやり方など、子供が楽しく食事するための工夫、給食の試食などさまざまな工夫がされています。また、近年ふえているアレルギーへの対応だけでなく、日々の子供の健康を見ながら食事の提供もできるんです。
 都の条例にもあるように、基本的には自園調理が書かれています。資料で示していただきましたように、国基準では、自園調理の場合、原則調理室設置となっていますが、都は、園舎には調理室を備えなければならないとしているではありませんか。だったら、もう一歩進めて、きちんと、自園調理を原則とするではなくて、外部搬入を認めない、ここまで進めるべきだと思います。
 国の政省令に沿って守るだけではなくて、都によって独自にこういった設置をすることが求められていると思います。
 今、認定こども園の中で給食がどうなっているかいろいろ見てみましたら、自園調理をことしからスタートする園があるなど、確実に広がっています。これから新しい条例をつくるわけですから、ぜひ都として、子供たちの食事は、どこの幼保連携型認定こども園でも自園調理で行われるようにすべきだということを指摘しておきます。
 次に、子育て支援事業について伺います。
 子育て支援事業の内容は、既にご答弁いただいていますので、割愛します。
 それでは、この事業を行う目的は何なのかお答えください。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 子育て支援事業は、認定こども園、保育所、幼稚園などを利用する家庭だけではなく、全ての子育て家庭を支援するため、教育及び保育に関する専門性を活用して、子育て世帯への支援を行うものでございます。

○里吉委員 全ての家庭の支援をする仕組みというのはわかるんですが、何のために全ての子育て家庭を支援する、この支援事業をやらなきゃいけないのか、何を目的として行うのか、そのことをお答えいただきたいんです。お願いします。

○手島福祉保健局少子社会対策部長 全ての子育て家庭を対象にいたしますのは、保護者が子育ての第一義的責任を有するということでございまして、都におきましても、次世代育成支援東京都行動計画におきまして、子育ての第一義的な責任は親や保護者にあり、同時に、次代を担う人材育成という観点では、さまざまな環境のもとで育つ子供たちをひとしく育んでいくことが社会全体の責務であるというふうに考えておりまして、保育所に入っているお子様も在宅で支援しているお子様にも、ひとしく押しなべて同じような支援をしていくことが重要であるというふうに考えております。

○里吉委員 よくわからなかったんですけども、先ほどほかの方の答弁で、認定こども園の目的というか特徴を四つ述べられていて、その四つ目に、育児不安の大きな保護者を支援するということを述べられていましたよね。それは、認定こども園に通っている親だけじゃなくて、地域の、子供を育てている親の育児不安にも応えると、そういうことで、先ほどおっしゃっていた一時預かりや相談事業をやるんじゃないかと思います。
 ところが、この第十一条の条文には、幼保連携型認定こども園における保護者に対する子育ての支援は、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本認識のもとに云々と書かれてあり、保護者が子育てに大きな責任を有するというのは当然のことですが、ここでそのことをあえて条文に入れることについての危惧の声が、東京都子供・子育て会議の中で幾つも出されています。
 例えば、これは読売新聞の記者の方ですが、家庭の力が弱くなる中で、社会で子供たちがどう健やかに育つ環境を保障していくのかという視点で必要ではないかという意見、それから、私立幼稚園連合会の会長さんからは、家庭が第一義的役割を果たすという位置づけと同時に、基本的には、もっと収れんしていけば、子供の最善の利益が最大の観点だろうという意見、こうした意見も踏まえて、本当に必要とする方に子育て支援が行き渡るような条例を作成するべきだということを申し上げまして、私の質問を終わります。
   〔発言する者あり〕

○梶原福祉保健局長 まず、全ての子育て家庭を支援するということで、保護者が子育てについての第一義責任を有するという基本認識、これは自明のことでありまして、民法にも親権が定められていて、次世代育成支援対策推進法の中でも同様に規定されております。
 つまり、私も今、二歳の子供を育てておりますが、まず、保護者が子供を育てるというのは、これは基本であります。その上で、その上で、我々の東京都行動計画の中で、全て社会全体の責務として、次代を担う子供たち、次代を担う社会を、子供たちを育てていくというのは我々の責務ということです。
 先ほどの食育もそうですけれども、食育というのは、食への感謝、自然への感謝、お百姓さんへの感謝、農民への感謝、さまざまなことを家の中でも教え、保育園でも教え、学校でも教え、さまざまなところで教えていく、そういうものであると思います。
 外部搬入でそれが何もかもなくなるということではなくて、全てのもので食育をやっていくということが基本だというふうに思っております。
   〔里吉委員発言を求む〕

○まつば委員長 時間となりましたので(発言する者多し)時間となりましたので終了いたします。
 先ほど時間、さらに時間が先ほど過ぎておりましたけれども、おおむねということで今お認めをさせていただきました。
   〔発言する者多し〕

○まつば委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○まつば委員長 速記を始めてください。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして厚生委員会・文教委員会連合審査会を閉会いたします。
   午後四時五十四分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る