都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会速記録第四号

平成十八年七月三十一日(月曜日)
 第四委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 十六名
委員長服部ゆくお君
副委員長川井しげお君
副委員長中嶋 義雄君
副委員長相川  博君
理事高島なおき君
理事ともとし春久君
理事酒井 大史君
谷村 孝彦君
野島 善司君
大西由紀子君
西岡真一郎君
秋田 一郎君
きたしろ勝彦君
増子 博樹君
古館 和憲君
曽根はじめ君

 欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長大原 正行君
総務部長岳野 尚代君
法務部長中村 次良君
参事中村 光博君
病院経営本部本部長大塚 孝一君
経営企画部長及川 繁巳君
監査事務局局長白石弥生子君
参事皆川 重次君

本日の会議に付した事件
都議会議員後藤雄一君の調査活動等の具体的事例を検証し、もって、議員の品位保持と調査活動のあり方等について調査・検討すること
報告事項(質疑)
・後藤雄一君の平成十七年十月二十五日の総務委員会における不適切発言について
・後藤雄一君の平成十六年三月十九日の府中病院への立入調査について
・後藤雄一君の平成十四年十二月十一日の本会議一般質問における検事調書引用について

○服部委員長 ただいまから都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に追加がありましたので、ご紹介いたします。
 議事課の担当書記の秋山安彦君です。
   〔書記あいさつ〕

○服部委員長 よろしくお願いいたします。

○服部委員長 次に、先般の人事異動に伴い、関係局の長及び幹部職員に交代がありましたので、紹介いたします。
 初めに、総務局長に大原正行君が就任いたしましたので、大原局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○大原総務局長 七月十六日付の人事異動で総務局長に就任をいたしました大原正行でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、同じく七月十六日付の人事異動に伴いまして就任をいたしました当局の幹部職員を紹介をさせていただきます。
 総務部長の岳野尚代でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○服部委員長 次に、大塚病院経営本部長から幹部職員の紹介があります。

○大塚病院経営本部長 今回、病院経営本部の幹部職員に異動がございましたので、ご紹介させていただきます。
 七月十六日付の人事異動に伴いまして、経営企画部長に就任いたしました及川繁巳でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○服部委員長 次に、監査事務局長に白石弥生子さんが就任いたしましたので、白石事務局長からあいさつがあります。

○白石監査事務局長 七月十六日付の人事異動に伴いまして、監査事務局長に就任いたしました白石弥生子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○服部委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○服部委員長 ここで、先ほどの理事会で申し合わせましたとおり、書記より議会の調査権についての説明をいたさせます。

○古川書記 地方自治法に定める調査権について、ご説明いたします。
 まず、議会の調査権については、第百条第一項において、「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができる。」と規定しております。
 次に、常任委員会の調査権については、第百九条第三項において、「常任委員会は、その部門に属する当該普通地方公共団体の事務に関する調査を行い、議案、陳情等を審査する。」としております。
 地方自治法に定める調査権は、議会及び議会から付託を受けた委員会が有するものであり、議員もしくは委員個人の自由意思で行使はできないとされております。
 なお、議員の調査研究については、第百条第十三項に、「普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。」としております。
 以上でございます。

○服部委員長 説明は終わりました。
 これより都議会議員後藤雄一君の調査活動等の具体的事例を検証し、もって、議員の品位保持と調査活動のあり方等について調査・検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、三件の報告事項に対する質疑を行います。
 後藤雄一君の平成十七年十月二十五日の総務委員会における不適切発言について、及び後藤雄一君の平成十六年三月十九日の府中病院への立入調査について、並びに後藤雄一君の平成十四年十二月十一日の本会議一般質問における検事調書引用についてを、一括して議題といたします。
 本件については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 要求資料について、順次、理事者の説明を求めます。

○白石監査事務局長 去る五月二十六日の当委員会におきましてご要求のありました資料について、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の委員会資料、監査事務局分でございますが、これの一ページをごらんください。島しょ地域で実施した工事請負契約に対する監査の法的根拠及び手順でございます。
 島しょ地域における工事請負契約の監査は、定例監査及び工事監査により行っており、(1)でそれぞれの法的根拠を、(2)でその実施手順を記載しております。
 次に、二ページをお開き願います。島しょ地域における監査の実施状況でございます。
 平成十三年度から平成十七年までの各年度等における実施状況につきまして、(1)では定例監査及び財政援助団体等監査の実績を、(2)では工事監査の実績を記載しております。
 以上で、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○及川病院経営本部経営企画部長 去る五月二十六日の本委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会要求資料、病院経営本部をごらんいただきたいと存じます。
 恐れ入りますが、表紙の次に目次がございますので、お開きいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、平成十八年五月二十六日の本委員会における報告内容から、10、東京都法務資料四十五巻二号の本件該当部分(都議による都立病院への立入調査に係る謝罪広告等請求事件)までの十点でございます。
 一ページをお開き願います。1、平成十八年五月二十六日の本委員会における報告内容でございます。
 まず(1)、後藤議員の行動及び府中病院職員との具体的なやりとりでございます。このページから六ページの途中まで記述をしてございますが、六ページの(注1)にあるとおり、この記述は、後藤議員の立ち入りについて実際の判決文を引用する形でまとめたものでございます。引き続き七ページにかけましてが、(2)、謝罪要求の内容でございます。
 八ページをお開き願います。(3)、謝罪広告等請求事件の訴訟経過でございます。
 次に、九ページをごらんいただきたいと存じます。2、立ち入り当日の府中病院検査科の勤務体制(配置人員、勤務時間割、当直体制、外出の制約)でございます。
 後藤議員が府中病院に立ち入った平成十六年三月十九日におきます検査科の勤務体制につきまして、勤務時間、休憩・休息時間及び配置人員の状況を勤務時間帯ごとに区分し、記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。3、検査科への入室可能者の範囲及び入室許可にかかわる手続(特に部外者が入室できる場合の根拠とその手続)でございます。
 病院職員等、入室することができる者の範囲及び必要な手続につきまして、記載してございます。
 一一ページをごらんいただきたいと存じます。4、病院内における部外者による写真撮影を許可する場合の考え方、基準及び手続(無許可撮影者に対する一般的な措置等)でございます。
 (1)の基本的考え方から(4)の無許可撮影者に対する一般的な措置等まで、それぞれ記載してございます。
 一二ページをお開き願います。5、府中病院検査科職員に対する患者等または院外者からの苦情発生状況でございます。
 平成十五年度から十七年度までの各年度別に、苦情の件数及びその主な内容について記載したものでございます。
 一三ページをごらんいただきたいと存じます。6、突発的に生じた後藤議員への対応に伴う病院業務への影響でございます。
 各職員による議員への対応状況、及びそれによる本来の業務への影響について記載してございます。
 一四ページをお開き願います。7、緊急検査や患者の容体急変などに伴う府中病院検査科の対応事例及び受付患者数(日勤以外の時間帯)でございます。
 (1)は、日勤以外の時間帯における対応事例でございます。この時間帯に発生する代表的な事案、及びこれらに対応する業務内容を例示する形で記載してございます。
 (2)は、日勤以外の時間帯における受付患者数でございます。平成十八年四月から六月までの各月別に外来、入院及び合計の人数を記載してございます。
 一五ページをごらんいただきたいと存じます。8、府中病院検査科に福利厚生用冷蔵庫が設置された経緯、理由及び当該冷蔵庫に私物を保管する事例の有無でございます。
 各冷蔵庫が設置された経緯とその理由、及び保管する私物の事例について記載してございます。
 一六ページをお開き願います。9、府中病院検査科における福利厚生用冷蔵庫の設置状況並びに病院全体及び検査科の配置図でございます。
 (1)は、府中病院検査科における福利厚生用冷蔵庫の設置状況でございます。設置場所及び台数について記載してございます。
 続きまして、折り込みとなっております一七ページをお開き願います。(2)、府中病院の建物配置図でございます。
 府中病院敷地内の建物の配置状況をお示ししてございます。府中病院には、管理棟である本館のほか、病棟、外来、救命救急センターなどの建物がございます。本館の入り口は矢印でお示ししてあるとおり、外来玄関のほか、面会入り口、職員入り口の計三カ所ございます。見舞い客や納入業者など、外来受診以外の用件で病院を訪れる方には、原則として面会入り口をご利用いただくこととしてございます。
 次に、一八ページも折り込みになってございますので、お開き願います。(3)、府中病院二階部分の配置図(略図)でございます。
 府中病院本館及びこれに接続する各館の二階部分につきまして、建物内部の配置状況の概略をお示ししてございます。
 略図のほぼ中央、本館二階部分に検査科がございます。病院職員は、患者さんの血液、分泌物その他の検体を提出するなどの業務を行う場合、受付がある関係上、通常、南側の中央廊下沿いに設けました出入り口を利用することとしております。なお、納入業者等の方につきましては、北側の廊下に面した出入り口を利用しております。
 一九ページをお開き願います。(4)、府中病院検査科の配置図のうち、ア、検査科全体の配置図でございます。
 本館二階南側、中央廊下に面した自動ドアの内側に受付を設けてございます。受付の奥には、もう一枚の自動ドアを隔てて検査室がございます。検査室には、精密な検査機器が配置されるとともに、検査結果などの患者の個人情報が記載されました多くの帳票類も保管されております。この検査室を通り抜けた先が技師長室及び控室等でございます。なお、控室に隣接いたしまして、患者の検体などを入れた冷蔵庫や冷凍庫を設置してございます。
 二〇ページをお開き願います。(4)のイ、検査科控室内の配置図でございます。
 検査科控室は、検査科職員が簡単なデスクワークを行ったり、休憩したりするために用いられる部屋でございまして、室内には職員用の事務机やテーブルのほか、職員の福利厚生用冷蔵庫などを設置してございます。
 最後に、二一ページをごらんいただきたいと存じます。10、東京都法務資料四十五巻二号の本件該当部分(都議による都立病院への立入調査に係る謝罪広告等請求事件)でございます。
 二二ページから三九ページにかけましては、東京都法務資料四十五巻二号のうち、都議による都立病院への立入調査に係る謝罪広告等請求事件の判決文を掲載している部分の写しでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○岳野総務局総務部長 五月二十六日の当委員会におきまして要求のございました資料について、ご説明をさせていただきます。
 恐縮でございますが、お手元にお配りしてございます都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会要求資料、総務局をごらんくださいませ。
 この三枚目、一ページをごらんいただきたいと存じます。1、検事調書の法的性格と秘密保持性でございます。
 検事調書の法的性格及び検事調書の秘密保持性について、あらましを記載してございます。
 おめくりいただきまして、二ページをごらんいただきたいと思います。検事調書の作成・活用プロセスと公開の要件及び対象者でございます。
 刑事裁判の段階ごとに検事調書がどのように作成、活用されるか、また、各段階での公開の要件とその対象者を示してございます。
 三ページをごらんいただければと思います。3、検事調書記載内容を不当に公の場で明らかにした場合の刑事責任でございます。
 秘密を漏らす罪、他人の名誉を侵す罪で刑事責任を問われることがあり得ることを記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○服部委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○秋田委員 私は、今回の特別委員会の委員になって以来、後藤議員の調査活動と称するものについて調べるにつき、いろいろと本当に考えさせられました。議員とは何なのか、また、議員が本来すべき仕事とは何なのか、また、民主主義とは何なのか、そもそも人が人を裁くことはできるのか、いろいろと考えさせられましたが、今回、実質上の質疑は第一回目でございますし、また、私は大変長い質問をさせていただくつもりですので、私見を除いて質問をさせていただきたいと思います。
 私からは、府中病院の立入調査について、主に四点伺わせていただきたいと思います。
 第一点として、受診以外で病院を訪れる際の手続、第二に、後藤議員が訪れた検査科の業務内容、第三に、後藤議員の検査科の立ち入り状況とその場の活動について、第四に、後藤議員の行った行為の結果、病院業務へどのような影響を与えたか、この四点について伺わせていただきたいと思います。
 まず初めに、受診以外で病院を訪れる際の手続などについて、伺わせていただきます。
 後藤議員は、事前の予告なく、突然、都立府中病院に来院し、検査科執務室に立ち入ったということでございますが、一般的に、病院関係者以外の者が病院の視察などを行う場合、通常、どのような手続が行われるのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 通常の手続といたしましては、事前に病院の方に目的、希望箇所、希望日時などをご連絡いただきまして、病院業務に支障がないよう調整をさせていただき、視察等を受け入れております。

○秋田委員 都議会議員の場合でも、同様の手続が必要なんでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 都議会議員の先生方につきましても、病院業務に支障がないよう、同様の手続をお願いしているところでございます。

○秋田委員 なぜそのような手続が必要なのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 病院は、患者さんの治療を行うところでございます。まさにそのことが最優先されなければいけないと考えております。
 したがいまして、静穏な療養環境の確保、個人情報の保護、感染予防、医療安全の確保など、このような病院の特性を踏まえまして、事前の調整を行わさせていただいておるところでございます。

○秋田委員 患者さんの治療が最優先される、病院であるならば当然のことだと思います。
 次に、先ほどの当委員会の要求資料の説明の中で、府中病院本館には複数の入り口があることがわかりましたが、外来受診以外の訪問者は、入り口で何か手続をとる必要があるのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 受診以外の来訪者の方につきましては、先ほど図にございました面会入り口の方でお名前や訪問先などを記入をしていただいた上で、バッジをつけて院内に入っていただいております。

○秋田委員 都議会議員であれだれであれ、視察であれ何であれ、受診以外の訪問者は、病院に入るには所定の手続が必要であるということです。
 それでは、後藤議員は、当日、この手続をしてから病院に入ったのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員は、病院受付に訪問の事実を告げておらず、所定の手続をとることなく院内に立ち入ったということでございます。

○秋田委員 なるほど。それでは、せめて事前に訪問について連絡をし、許可を得ていたのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 後藤議員から訪問について事前の連絡を受けたという記録はございません。したがいまして、事前の連絡がない以上、許可したという事実もございません。

○秋田委員 すると、後藤議員は、平成十六年三月十九日午前八時五十五分ごろ、何らの許可もなく病院内に立ち入り、検査科受付に赴いたことになりますが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、何らの許可もなく病院内に立ち入り、検査科受付に赴いたということは事実でございます。

○秋田委員 次に、後藤議員が訪れた検査科の業務内容などについて伺います。
 検査科は、具体的にどのような業務を行っているのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 検査科は、患者さんの血液、尿、分泌物などにつきまして各種の検査、例えば血液検査、細菌検査、病理検査等でございますが、これらを行います検体検査と心電図、脳波、呼吸機能、超音波など、患者さんの体から直接データを得る生理検査を担当しております。

○秋田委員 病院の検査科という施設の性格上、みだりに一般人が立ち入ることについては、衛生上、そして防犯上、さまざまな問題があると考えますが、検査科への入室は制限されているのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 検査科内にはウイルス、細菌、その他の病原微生物を含有する可能性のあるさまざまな検体が保管されておりまして、精密な機器やコンピューターを用いて各種検査を実施しております。また、個人情報が記録された帳票類も数多く保管をされております。
 このため、検査科は一般の方の入室を制限をしております。

○秋田委員 今のお話を伺いますと、入室を制限するのは至極当然だと思います。
 それでは、病院職員以外の者が検査科に入室できるのはどのような場合か、またその際、どのような手続をとる必要があるのか、教えてください。

○及川病院経営本部経営企画部長 先ほどの要求資料の一〇ページにございますが、3、検査科への入室可能者の範囲及び入室許可に係る手続をごらんいただきたいと思います。
 納入業者等につきましては、病院職員によります指示のもと、契約上の必要に応じて検査科職員による確認を受けて、また、患者、家族につきましては、主治医等によります指示のもと、診療上の必要に応じ、検査科職員による確認を受けて、さらに、視察等の場合には、事前の連絡の上、院内の秩序保持及び病院業務の円滑な遂行を妨げないことを条件に、病院職員立ち会いのもとで、その指示に従い入室することができるものでございます。

○秋田委員 それでは、当日の検査科の勤務体制はどのようなものであったのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 こちらも、先ほどの資料の九ページをごらんいただきたいのですが、2、立ち入り当日の府中病院検査科の勤務体制、こちらにございますとおり、日勤としまして八時三十分から十七時十五分まで、または九時から十七時四十五分までの間、三十二人の職員が勤務をしておりまして、当直等といたしまして、十七時十五分から翌日の八時三十分までの間、日勤のうち二人が引き続き勤務をしていたという状況でございます。

○秋田委員 そのような業務を行うために、どのような部屋が配置されているのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 要求資料の9、一九ページ(4)の配置図のアをごらんいただきたいのですけれども、検査科でございますが、南側の中央廊下から入りまして、まず仮眠室を備えた休日・夜間緊急検査室がございます。次に、自動ドアを隔てまして、持ち込まれた検体の検査を行う検査スペースがございまして、それを通り抜けますと、左手に技師長室、それからその奥に洗浄室、そして、その右になりますが、検体等を保管する冷蔵室、そしてその下といいますか、その右に細長い部分が控室でございます。

○秋田委員 配置図を見ながらお話を伺ってもなかなか想像もしにくいなと思うところもございますが、後藤議員によって強制的にあけられた冷蔵庫が設置してある検査科の控室とは、どのような性格のスペースなんでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 資料の二〇ページをごらんいただきたいのですけれども、控室の配置図でございます。
 控室は、個人の事務机やテーブル、それから職員の福利厚生用の冷蔵庫などが配置されておりまして、科内での打ち合わせや検査業務以外のデスクワークを行うとともに、職員が休憩、休息するためのスペースでございます。

○秋田委員 保冷のため、あるいは食事や飲み物などの私物を一時職場の冷蔵庫に保管すること自体は、社会通念上に照らしても、民間企業を含め、一般的にるる行われていることかなと思いますが、検査科控室にある冷蔵庫は、いわゆる職員の福利厚生的な意味合いも含め、そのようなものを保管するものとして設置をされているのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 資料の一五ページをごらんいただきたいと思いますが、ここにございますとおり、緊急検査対応等の業務の都合上、食事時間が遅くなる場合もあるため、食事や飲み物を衛生的に保管をする必要がございます。
 また、夜間勤務時には売店等が閉店し、周辺の食事施設もないため、食事や飲み物などを前もって買っておく必要がございます。このような理由から、福利厚生用冷蔵庫を設置しております。

○秋田委員 一般の社会常識に照らしても冷蔵庫の設置理由、至極当然だと思います。
 検査科の業務内容などについて一通り確認することはできたのかなと思います。特に、入室については、感染防止やあるいは個人情報保護の観点から入室を制約する合理的理由があるということが、よくわかりました。
 そうだとすると、所定の手続に従って入るのが当然のことであると思います。もし、手続に従わずに立ち入ったとすると、私は、これは大変な問題があると思いますし、多くの方もそうお思いになると思っております。
 それでは、後藤議員の検査科への立ち入り状況などについて、時系列に沿って、当時の状況を伺いたいと思います。
 後藤議員は、当初対応した職員に身分と氏名を告げたが、わずかの間しか都議会議員の身分証明書を示さなかったために、職員はきちんと身分確認ができなかったと思いますが、身分確認はできたのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員が身分証明書を示した時間が短く、都議会議員であることの確認ができなかったということでございます。

○秋田委員 後藤議員は、職員に対し休憩室にある冷蔵庫を見たい、そういって、何らの許可を得ることなく控室へ向かおうとしたようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、許可なく控室に向かおうとしたということは事実でございます。

○秋田委員 それ自体が、かなりの私は問題があるのじゃないかと思っております。
 後藤議員が許可を得ることなく控室へ向かおうとしたので、職員が慌てて大声で技師長を呼んだようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、お話のように、慌てて技師長を呼んだということは事実でございます。

○秋田委員 後藤議員は、技師長に対して休憩室の中を見せてもらいたいといって、技師長の返答を待たずに、みずから控室に立ち入ったようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 こちらも当時の記録によれば、後藤議員が、技師長の返答を待たずに控室に立ち入ったということは事実でございます。

○秋田委員 すると、後藤議員は職員の許可なく勝手に控室に立ち入ったことになりますが、これは先ほどご説明いただいた検査科への入室ルールを無視するものであり、当然許されることではないと思いますが、いかがでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 先ほどもご答弁させていただきましたけれども、感染予防及び個人情報保護等の観点から、検査科への入室を制限をしております。
 したがいまして、この入室ルールを無視して検査科内に立ち入ることは、当然問題であるというふうに考えております。

○秋田委員 当然の見解だと思います。
 後藤議員は、控室に入るやいなや、入り口から右手に見えた冷蔵庫に直行し、許可なく、許可なく扉をあけたようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員が許可なく冷蔵庫の扉をあけたということは事実でございます。

○秋田委員 これに対し技師長は、冷蔵庫をあけるなら断ってからにしてください、そう大声で後藤議員の行動を制止しようとしたが、後藤議員はそれに従わなかったようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員がお話のように技師長の制止に従わなかったということでございますが、これは事実でございます。

○秋田委員 検査科の、先ほど来説明したような業務内容からすると、ちょっと常軌を逸しているのじゃないかと、私は個人的に思っております。
 それでは、後藤議員は冷蔵庫の中に缶ビールが一本入っているのを見るやいなや、技師長に対しどなるように詰問したということでございますが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録でございますが、後藤議員が、技師長をどなるようにして詰問したということは事実でございます。

○秋田委員 勝手に室内に入ってきた者が、勝手に冷蔵庫をあけるという状況のもとでは、検査科だけの対応ではなく、管理部門の応援を求める必要があったと思いますが、いかがでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録でございますけれども、検査科からの連絡を受けまして、事務局長など管理部門の職員が検査科に駆けつけ、対応をしているということでございます。

○秋田委員 そこで、後藤議員が駆けつけた事務局長に対し職場での飲酒について詰問したようですが、それは事実ですか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員が駆けつけた事務局長に対しまして、飲酒について詰問したということは事実でございます。

○秋田委員 次に、最初にあけた冷蔵庫から向かって左後ろの方向にある冷蔵庫の扉を、許可なくあけたようでございますが、これも事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 記録によりますと、後藤議員が許可なく二台目の冷蔵庫の扉もあけたということは事実でございます。

○秋田委員 冷蔵庫の中にワインが入っているのを見ると、再び後藤議員は技師長を詰問し、冷蔵庫の中を写真撮影したようですが、これは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 記録によりますと、後藤議員が冷蔵庫の中を写真撮影したということは事実でございます。

○秋田委員 また、後藤議員は冷蔵庫からそのワインを取り出し、テーブルに並べ、その様子を写真撮影しているようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によれば、後藤議員が冷蔵庫から取り出したワインをテーブルに並べ、写真撮影したことは事実でございます。

○秋田委員 許可なく病院の備品である冷蔵庫をあけ、その内容物を取り出す行為は明らかに常識を逸脱した行為だと私は思いますが、いかがでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 そのような行為が行われること自体、想定することは困難でございまして、常識外の異常な行為だというふうに思います。

○秋田委員 また、事前連絡なしに侵入してきた者が、病院の備品である什器類をあけたりした場合、これを制止し、退去を求めるのが普通だと思うのですけれども、施設管理上のルールは一体どうなっているのでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 東京都庁内管理規則は、庁内の秩序を乱し、公務の円滑な遂行を妨げる行為を禁止しており、庁内管理者は必要な警告等の措置を講じ、庁内からの退去を命ずることができるというふうに規定しております。

○秋田委員 次に、調査と称してみずから冷蔵庫の扉をあけたり、勝手に写真を撮影したようですが、院内における写真撮影については、事前の許可あるいは所定の手続が必要だと考えますが、どのような手続がとられているのでしょう。重要なところなので、ゆっくりと、わかりやすく説明してください。

○及川病院経営本部経営企画部長 お手元資料の一一ページをごらんいただきたいと存じますが、そちらにございますとおり、基本的な考え方としまして、病院としての性質上、患者等のプライバシーの保護や静穏な療養環境の確保に特に配慮いたしますとともに、(2)にございますように、撮影を許可する場合の基準といたしまして、目的、内容、方法等が適正であること、個人を撮影する場合等は個人の同意を得ること、原則として職員立ち会いのもとで撮影すること、それから掲載、放映に関する情報提供を行うこと、という基準を満たさなければなりません。
 (3)、撮影を許可する場合の手続でございますが、撮影等の目的、内容、方法等を明示した書面を受領した後、病院事務局と関係部門の調整を行いまして、撮影を許可する場合の基準を確認の上、撮影を許可しているということでございます。
 ただし、事前の許可手続がない場合でありましても、プライバシーの保護や療養環境の確保に支障がないと判断した場合には、立ち会い職員がその場で撮影を許可をしております。

○秋田委員 今の部長のご答弁にもあったとおり、病院としての性質上、患者等のプライバシーの保護、あるいは静穏な療養環境の確保を基本的な考え方として、撮影を許可する場合の手続には一定の条件がある、当然だと思います。
 ということは、今回、後藤議員が写真撮影をおやりになったわけですが、そのときに、何らかの断りはあったのでしょうか。すなわち、今おっしゃったような所定の手続を、後藤議員はちゃんととったのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、写真撮影に関しまして、後藤議員から何らの申し出があった事実は認められません。したがいまして、その手続もしていないということでございます。

○秋田委員 何らの断りもなかった。私は本当にそれは大変なことだと思います。
 後藤議員は、最初の冷蔵庫の右隣にある食器棚の中を見せるよう強い口調で要求し、技師長がやむなく食器戸棚をあけたようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録でございますが、後藤議員が強い口調で要求したため、技師長がその場の雰囲気から従わざるを得ないというふうに察しまして、やむなく食器戸棚をあけたということは事実でございます。

○秋田委員 後藤議員が強い口調で要求したために、技師長がその場の雰囲気から従わざるを得ないとして、やむなくあけた食器棚の中には、酒類が入っていたのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、食器棚の中には、酒類は入っていなかったということでございます。

○秋田委員 食器棚の中に酒類が入ってなかったからでしょうね、後藤議員は二台の冷蔵庫とは反対側の端の方にある冷蔵庫の上にお酒の瓶があるのを見つけると、中をあけるよう強い口調で要求し、技師長がやむなく扉をあけたようですが、これは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によれば、後藤議員が再び強い口調で要求したため、技師長がやはり断ることができないというような空気を察しまして、やむなく冷蔵庫の扉をあけたということは事実でございます。

○秋田委員 後藤議員は、職員に強要して冷蔵庫などの扉をあけさせておりますが、このような行為を強要すること自体に問題があると考えますが、いかがでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 都議会議員という立場を利用して、職員にいたずらに心理的圧力をかけ、こうした行為を強要するということは、大変遺憾なことであるというふうに考えております。

○秋田委員 議員をやっているような面の皮が厚い人ならともかく、そうでない一般の方であれば、いきなりそういうような形でやられれば、仕方がなかった部分もあるのかなと思います。
 三台の冷蔵庫の中に酒類が入っていたようですが、勤務中の飲酒は、当然なかったのですよね。

○及川病院経営本部経営企画部長 当然のこととしまして、勤務時間中の飲酒はございませんでした。

○秋田委員 後藤議員は、その冷蔵庫の右隣にある事務用キャビネットの引き出しをあけるよう要求し、技師長があけたようですが、中に何が入っていたのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、酒のつまみ類が入っていたということでございます。

○秋田委員 後藤議員はつまみ類を取り出して値札を見るなどしたと、随分細かいなと思うのですが、これらを引き出しの中に並べて写真撮影したようですが、これは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員がつまみ類を取り出して値札を見た後、写真撮影を行ったということは事実でございます。

○秋田委員 さらに後藤議員は、事務用キャビネットの右隣に並んでいる個人の事務机の引き出しをあけるよう強く要求し、技師長がプライバシーの問題があると、当然のことをいうと、事務局長の権限であけるよう強く求めたため、技師長がやむなく引き出しをあけたようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録でございますが、後藤議員から強い要求があったために、断ることができないというふうに空気を察しました技師長が、やむなく個人事務机の引き出しをあけたということは事実でございます。

○秋田委員 その引き出しの中には何が入っていたのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、個人のかばんのみでございました。

○秋田委員 後藤議員も、その個人の事務机の引き出しの中を見て、かばんが入っていることを確認しているようですが、それは事実でしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員が引き出しの中を見て、かばんが入っていることを確認したということは事実でございます。

○秋田委員 どうなんですかね。職員に無理やり個人の机の引き出しをあけさせて、その中に何が入っているかを確認するというのは、幾ら都議会議員でも許されることではないと思うのですが、いかがでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 こうした行為につきましては、職員にいたずらに心理的圧力をかけるだけではなく、プライバシーなどの問題もございまして、大変遺憾なことであるというふうに考えております。
   〔発言する者あり〕

○秋田委員 今、各委員から社会人として、あるいはモラルの上でも変だよというご意見が出ておりましたが、全くそのとおりでございますし、議員である以前に、私はプライバシーの観点からも常識外れといわざるを得ないのであろうと思っております。けれども、職員は恐らく後藤議員の言動に威圧的なものを感じて、やむを得ず机の引き出しなどをあけたものだと思います。
 後藤議員の言動のうち、具体的にどのような点について威圧感を感じたのでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録から判断をいたしまして、職員が心理的圧力を受けたということは容易に想定ができますし、その旨、答弁をしてまいりましたけれども、では、実際に威圧感を感じた具体的な感じ方ということになりますと、大変恐縮ではございますが、その当時の当事者ではございませんので、具体的な点につきましてお答えすることは難しかろうというふうに思っております。

○秋田委員 おっしゃるとおりで、当事者以外の者が、後藤議員とのやりとりを具体的にどのように感じたかを答えることができないのは確かだと思います。この点を明確にするためにも、当時、後藤議員に対応した職員から話を聞く必要があるのじゃないかと私は思います。
 次に、午前九時二十分ごろから九時三十分ごろまでの約十分間、後藤議員は、今度は院長室でテーブルの上に酒類を並べ、この実態は何だと、院長の責任を詰問する言動を繰り返したようですが、どのようなやりとりがあったのでしょう。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、院長が、職員は忙しい中よくやってくれており、勤務中の飲酒など考えられない旨、述べましたけれども、後藤議員は、自分には情報が集まってくる、院長がそういう事実を知らないとしたら問題であると、院長を問い詰めるとともに、今後議会でも問題にする、おれのやり方でやるなど、院長の責任を問う言動を繰り返し、九時三十分ごろ、院長室を退室したということでございます。

○秋田委員 今のやりとりが事実だとすると、気の弱い方なんかはやはりかなりの恐怖というか、おどしを感じて震え上がる方がいてもおかしくないのかなと思います。
 日々重責を担い、重要な経営判断や高度の医学的判断を求められることの多い院長に対して、アポなしでいきなり証拠品と称する物を持ち込み、威圧的な態度で対応を求める今回のやり方は、議員の立場を利用し、議員の地位の重みを不当に利用した行為であるといわざるを得ません。
 さて、その日の午後、後藤議員は技師長の実名を出した上で、本件の結果を公表するとして、「行革レポートNo.50」を、都庁記者クラブに所属する報道機関各社に配布するとともに、みずから設置するホームページ上でも公表をしております。
 しかしながら、内容的に見ると、技師長はワインについて職員のヨーロッパ土産と釈明するが、ラベルは日本語であり、うそをついていることは明白と断定しておりますが、聞くところによると、現にヨーロッパ土産のワインもあったとのことであり、都側の主張に一切耳を傾けない、一方的なもののように感じられます。
 都として、この行革レポートをどのように見ているのか、見解を伺います。

○及川病院経営本部経営企画部長 お話の「行革レポートNo.50」は、事実の検証を一切行うことなく、また、職員の実名を記載するなど、内容及び公表方法ともに問題があるというふうに考えております。

○秋田委員 今までのやりとりを総合すると、結局、後藤議員は所定の手続を経ずに病院内に立ち入り、何らの許可を得ることなしに病院内の検査科内に立ち入っただけではなく、勝手に冷蔵庫をあける、中の物を出す、さらには個人の机の引き出しをあけさせ、中を確認する、許可なく写真を撮る、また、一方的な事実を公表する、このような行為は、どこをどうとらえても、私は許されるものではないと思います。目的が手段を正当化するものでは決してないことは明らかだと思います。以上のことから、当日の事実経過及びそこでの問題点が明らかになったと思います。
 都議会議員といえども、通常の施設利用のルールとは別に、許可なく他人の管理する場所に立ち入るなど、特権的なことなどは、私は認められないと思います。
 後藤議員は、今回の件について、内部告発に基づき調査を開始しているようですが、そもそも告発内容の正否をどのように判断すべきなんでしょうか。
 例えばです、私のところに内部告発があったとします。その内部告発の内容の正否を確認するために、私が本庁舎の方に行って職員の机を勝手にあける、あるいは内部告発の対象が同僚議員だからといって、同僚議員の控室に行ってその机をあける、そんなことは、幾ら都議会議員であろうと、あるいは一般人としても許されるはずではないと考えます。
 たとえ内部告発が真実であるとの確証があったとしても、私ども都議会議員は、警察官でもなければ検察官でもございません。みずから検察官あるいは警察官のごとく振る舞うことは、決して許されることではないと思っております。社会的ルールに従って行動し、問題を解決するのが我々の、議員としても、また一般社会人としても、役割であると考えます。
 都議会議員は都民の代表として、いやしくも社会常識に反することのないよう、みずからを律しなければならないと考えます。
 最後に、視点を変えて、本件立ち入りが病院業務にどのような影響を与えたかという点について伺いたいと思います。
 まず、後藤議員が立ち入りを行った午前九時ごろの検査科の業務の状況はどうだったのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 お話の午前九時ごろというこの時間帯は、病院では病棟、外来の双方から検査依頼が集中する時間でございます。
 したがいまして、この時間帯は、一日のうちでも繁忙度が高い時間帯でございます。

○秋田委員 午前九時ごろという大変忙しい時間帯にもかかわらず、後藤議員のアポなし訪問に対して、病院側も院長を含め複数の職員が不測の対応を求められる、当然、病院業務への影響があったと考えますが、どのような影響があったのでしょうか。これも重要な点ですので、ゆっくりとご答弁をお願いします。

○及川病院経営本部経営企画部長 要求資料の一三ページをごらんいただきたいと存じますが、そちらに記載をさせていただいておりますとおり、院長は、午前九時二十分ごろから約十分間対応したため、午前九時三十分開始予定の運営会議が午前十時過ぎの開始となりました。
 次に、検査科技師長は、午前八時五十五分から約三十分間対応したため、検査科における管理業務は、議員への対応終了後の処理ということになりました。
 また、検査科課長補佐につきましても、午前八時五十五分から約三十分間対応したために、この間、病棟、外来からの検査依頼の受け付け及び各部門への振り分けを他の職員が代行せざるを得ませんでした。
 さらに、事務局長等は、午前九時過ぎころから約三十分間対応したため、運営会議の開始準備がおくれ、午前十時過ぎの開始となったものでございます。
 このような結果、検査科だけではなく、円滑な病院業務の遂行に支障が生じたものでございます。

○秋田委員 今のお話の中で、院長は、午前九時半開始予定の運営会議が午前十時過ぎの開始となった、また、検査科技師長に関しては、検査科における管理業務は議員への対応終了後に処理した、検査科課長補佐は、私はここが一番問題だと思うのですが、この間の病棟、外来からの検査依頼の受け付け及び各部門への振り分けは他の職員が代行した、病院、患者へも影響があり得るわけですからね。
 そして、事務局長、庶務課長、庶務係長は午前九時半開始予定の運営会議の事前準備がおくれ、午前十時過ぎの開始となった、結構な影響が私はあったのだと思います。
 そうすると、意図的かどうか別にして、非常に忙しい時間帯である午前九時ごろに、アポイントメントもなくいきなりやってきて冷蔵庫をあける、写真を撮る、職員を詰問したということ、その結果、検査科だけでなく、管理部門を含め、病院業務全体に支障が生じた、そういうことがわかりました。
 今回のような不当な形で検査科に侵入し、業務に支障を生じさせた場合、患者の容体などの急変あるいは救急対応などが重なったときには、限られた人員体制の中で、それこそ不測の事態が生じることは、これは否定できないのではないかと思います。
 今回はそういうことがなかったからよかったかもしれませんが、仮に患者さんの命を左右するような事態に発展した場合、病院側の責任が逃れられないだけではなく、原因をつくった不法侵入者に対しても、厳しい責任追及がなされるべきだったのだろうと思います。
 病院というのは、何といっても人の命にかかわる場所です。その業務に支障を生じさせたということは、一般人としても、また都議会議員としても、決して許されることではないと私は思います。
 社会的な規範や倫理性といった観点からも、今回の後藤議員の行為には多くの問題が内在していると考えます。
 そこで伺います。
 無断立ち入りに始まる一連の後藤議員の行為については、都議会議員ゆえに病院側も一定の配慮をせざるを得なかったと、そう推測をしますが、今回の質疑を通じて改めて当時を振り返ったとき、このような議員の振る舞いについて、どう感じますか。

○大塚病院経営本部長 要求資料の中でもお示ししましたように、平成十六年三月二十九日、当時の病院経営本部長が後藤議員に文書をもって抗議し、謝罪を求めておりますが、現時点におきましても、こうした行為は、都議会による正当な調査活動とは到底いえるものではなく、大変遺憾なことであったと考えております。

○秋田委員 最後に、議会と執行機関との関係についてどう考えるべきか、見解を伺います。

○大塚病院経営本部長 議会と執行機関とは、一定の緊張感を保ちながらも、相互に協力することによりまして、都政を支える車の両輪としての役割を果たしていくべきであることは、当然のことと考えております。
 そのためには、相互の揺るぎない信頼関係が何よりも重要であり、私ども執行機関、とりわけ病院のような現場では、この信頼関係を前提として行動するよう、日ごろ指導しているつもりでございます。
 したがいまして、こうした信頼関係を壊されるような行為につきましては想定しておらず、本来あってはならないことと考えております。

○秋田委員 以上の質問を通じて、後藤議員の当日の行動、その問題点及び病院業務への影響を明らかにすることができたと思います。
 大分予想よりも早く終わったので、私もちょっと私見を述べさせていただきたいと思うのですが、民主主義というのは、私が少なくとも勉強した中では、手続だと思っております。
 手続を行うということは、時間も手間もかかります。しかしながら、手続を経ずに行われるさまざまな行為は、私は民主主義をわかっていない、あるいは民主主義を逸脱した、最終的には独裁にもつながりかねない大変な危険な行為だと思っております。
 恐らく後藤議員も自分には正義がある、自分は正しいのだ、そうお思いになって各種の行為をされているのだと思いますが、戦争というもの自体も、それぞれの皆さんがいろいろな考え方で自分たちの国が正しい、あるいは自分たちの宗教が正しい、そう信じて戦争も行われております。
 もちろん、かつて日本の戦前、特高と称する方たちが行ってきた監視活動も、もちろん自分たちには正義があると信じて、私はやっていたのだろうと思います。
 しかしながら、間違った正義ほど私は怖いものはないと思っております。後藤議員におかれましては、その点もよくお考えいただきたいと私は思っております。
 しかしながら、いずれにせよ、当委員会として後藤議員の行動を検証するためには、まだよくわからない点も多うございます。本日の質疑を踏まえた上で、現場である府中病院を視察する必要があると考えます。現場を見ることによって問題点が明確になると私は考えます。
 本委員会として府中病院の視察を行うように求めて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○服部委員長 ただいまの秋田委員のご発言は、後ほど協議をさせていただきます。

○谷村委員 ただいま秋田委員の方から、後藤議員の平成十六年三月十九日の府中病院への立入調査問題について、つぶさに質疑が行われました。伺っておりまして、私も改めて愕然とした思いであります。
 私は、質問に先立ちまして一言申し上げさせていただきたいと思います。
 本委員会については、例えば、ただいま質疑が行われました府中病院への立入調査問題については、冒頭、古川書記からご説明がありましたけれども、議会と議員の調査権のあの説明で、実はすべて尽きている話であると思うわけであります。
 地方自治法に定める、また判例や行政実例で明確になっております調査権というものは、議会及び委員会が有するものであって、議員もしくは委員個人の自由意思で行使はできないとされている、このことを後藤議員がきちんと認識しているのかどうか、それだけの問題であります。
 私ども公明党や、例えば自由民主党さんのように、会派に所属する者であれば、仮に勘違いをする議員がいたとしたら、先輩議員がそれとなく教えたり、諭したりしてくだされば済む話であります。議会として、あるいは議員として、それほど初歩的な話であると、私はこのように思っております。
 もし後藤議員が一人会派ということで、こうした大前提を認識せずに、あるいは認識が足りずに、仮に勘違いして、議員個人として調査権を行使してしまったとしても、まず、知事が議長への申し入れを行い、病院経営本部長から後藤議員に対して抗議をした段階で、普通なら気がついて、認識を改めて、反省し、謝罪をすれば、この件については済む話であります。
 しかし、今日に至って謝罪はないようですけれども、執行機関として知事が議長に抗議を申し入れる、あるいは病院経営本部長が議員に文書で抗議をするというのは、伺ったところによりますと初めてのことであり、前代未聞というふうに伺いました。
 しかし、そこで気づけばいい後藤議員が、あろうことか、こうした都の対応をめぐって、謝罪広告や損害賠償を請求する訴訟を提起するという始末であります。これは、常軌を逸しているとしかいいようがないわけであります。その裁判の結果は、当然、請求棄却になっており、後藤議員が控訴しなかったことから、判決は確定しております。後藤議員の全面敗訴であります。
 普通であれば、ここでも後藤議員がみずからの誤りに気がつき、反省し、謝罪すれば済む、それだけの話であります。そして、後藤議員の調査活動等について、具体的事例を検証し、議員の品位保持と調査活動のあり方等に関して調査検討する本委員会が立ち上げられましたけれども、そのことをもって後藤議員が気がつけば、そこで済む話ではないかと私は思うわけであります。
 本委員会では、本日より具体的質疑も始まりました。この質疑や調査検討の過程で、一たびは、私は後藤議員の見解をただす必要が大前提としてあるのだろうということを、今後の課題として、最初に提起をしておきたいと思います。
 そして、もう一点、別な角度からの、この問題の本質論へのアプローチとして申し上げたいことがあります。
 それは、十九世紀のイギリスの歴史家アクトン卿の言葉でありますが、すべての権力は腐敗する、絶対的な権力は絶対に腐敗するとあります。
 ことしは、ロッキード事件で元首相が逮捕されて三十年という節目でもありますけれども、このアクトン卿の言葉を否定する人は今日まであらわれておりませんし、仮にあらわれたとしても、だれにも相手にされないであろうほど、この言葉は権力の本質をついております。
 あえて申し上げるならば、表現として、権力そのものが腐敗するというよりは、権力を行使する側の人間の心が腐敗をするといってもよいのかもしれません。権力を掌握する者、権力を行使する立場にある者の心が、権力に内在する魔性というものに侵され、腐敗をしていくのではないか、このように思うわけであります。
 こうした歴史的真理を乗り越えるために、古くは十七世紀末にはイギリスの思想家ロックによって三権分立の原理が唱えられ、十八世紀中ごろにはモンテスキューが「法の精神」をあらわし、三権分立を明確に体系化して、政治理論として確立したわけであります。
 権力というものは、その特性から集中しやすく、集中すれば乱用の危険が生ずるから、政治の仕組みを初めから三権に分立させることによって、権力の抑制と均衡を図ろうとするものであります。この立法、行政、司法の三権においても、さらに権力の抑制が図られており、国では立法は衆参両院に、行政では内閣と主務大臣、司法においては警察と検察と裁判所というふうに、それぞれさらにその権能を分け、役割を定めているわけであります。
 地方自治においても、当然、執行機関と議決機関に分かれ、権力の抑制と均衡が図られております。現在行われておりますあの長野の県知事選挙も、知事と議会の牽制機能が行使された結果、この時期に選挙が行われていることは周知の事実であります。
 議決機関としての議会と、執行機関としての首長を、ともに直接、民意に基礎を置く住民の代表機関として対立させ、それぞれの権限を分かち、相互の間の均衡と調和を図るという仕組みがとられているわけであります。
 そして、それぞれの機関の権限行使の際には、互いにルールにのっとることはもとより、相互の自主性を尊重する観点から、おのずと信義を守り、常に厳しい自己抑制が求められることは大前提であります。
 しかし、こうした大前提を無視するかのような行動が確認された場合、それが議会の一員によって行われたならば、議会としてその自浄作用、自浄機能というものを発揮しなければならない。そうでなければ、その議会の品位そのものが問われることになるわけであります。
 後藤議員の目に余る調査活動を仮に黙認するとすれば、議会として、あるいは議員個人として、後藤議員の行為を容認することにつながり、ひいては後藤議員の行為に加担することになりかねないわけであります。
 本委員会の設置に反対された会派の皆さんにも、そして、立法、行政、司法に続く第四権といわれるマスコミの皆様にもこの点を強く訴えさせていただきたいと思うわけであります。
 それでは、私は、後藤議員の平成十六年三月十九日の府中病院への立入調査問題並びに平成十四年十二月十一日の本会議一般質問における検事調書引用問題について、質疑をさせていただきます。
 この両件とも、私は、後藤議員が都議会議員としての権限を逸脱し、議員の品位を汚しただけにとどまらず、実はその行為は法律にも抵触する疑いがあるのではないか。それだけ看過できない問題である、そういう関心を持って質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、府中病院への立入調査問題について、病院経営本部にお伺いします。
 私は、本件が議会と執行機関との信頼関係に大きな影響を与えたことから、議会の調査権と後藤議員の立入調査について、何が問題だったのかを一つ一つ整理する必要があると思っております。
 そこで、まず最初に、今回の後藤議員の立ち入りについて、対応した職員には、都議会による調査活動という認識がそもそもあったのかどうか、初めにお伺いいたします。

○及川病院経営本部経営企画部長 当時の記録によりますと、後藤議員は何ら予告なく、突然に訪問したものでございまして、また当初、検査科職員は都議会議員であることの確認もできませんでした。したがいまして、当初対応した検査科職員には、都議会による調査活動との認識はなかったものと思われます。

○谷村委員 前回の委員会で行われました奥田経営企画部長の報告によりますと、後藤議員は、午前八時五十五分ごろ、臨床検査室控室の入り口付近に到着し、その場に居合わせた職員にみずから名乗って身分証明書を示したが、対応した職員には、それが都議会議員の身分証明書であることは確認できなかったとあります。
 また、後藤議員は、茶色のジャンパー及び黒いズボンを着用し、肩かけのかばんを携えており、その職員の抱く男性都議会議員のイメージとは異なったことから、後藤議員が本当に都議会議員であるのかどうか半信半疑だったとあります。
 また、同報告では、事前に予告することなく、また、病院の受付に訪問を告げることなく、直接検査科受付に赴いたとあるわけであります。
 この報告をつぶさに確認いたしますと、まさに都議会議員と名乗る不審な来訪者に、病院のセキュリティーや患者のプライバシーを守らなければならない立場の職員が必死で対応する模様が目に浮かんでくるわけであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、一般的な議員個人の視察については、都としてどのような考え方のもとに対応しておられるのか、お伺いをいたします。

○及川病院経営本部経営企画部長 都民の代表でございます都議会議員の方に施設や事業をご視察いただくことは大変重要なことであるというふうに考えております。
 ただし、病院としましての特性から一定の制約があるということをご理解いただくなど、議員との信頼関係をもとに対応をさせていただいているところでございます。

○谷村委員 今お答えいただきました。議員との信頼関係をもとに、視察を受け入れていただいているわけであります。議員だから、身分証明書を出せば何が何でも立ち入ることができる、こんなところに実は後藤議員の大きな勘違いがあるのではないかと思うわけであります。
 仮に警察官であったとしても、犯罪捜査のために必要である場合には、相手の了解なしに立ち入るには裁判所の令状が必要になるなど、事前のきちんとした手続を踏まえて行うことになっているわけであります。ピストルを携行する警察官個人でも、そういう権限は与えられていないわけであります。
 都議会議員の視察なり政務調査というのは、受け入れ側の理解と協力という信頼関係があってこそ成り立つわけであります。
 そこで、今回、後藤議員が府中病院に立ち入った時間ですけれども、朝の八時五十五分ころとなっております。これは、職員のいわゆる常識的な正規の勤務時間外ではないかと思うのですが、実際に後藤議員が立ち入った当日、後藤議員に対応した職員のうち、正規の勤務時間として勤務していた職員は何人だったのでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 当日、後藤議員の立ち入り当初に対応した検査科職員のうち、正規の勤務時間に入っておりましたのは、検査科技師長一人のみでございました。

○谷村委員 そのほかの職員は正規の勤務時間外で対応したという、技師長以外はそういう時間帯であったということであるかと思いますけれども、この一点だけを見ても、後藤議員の立ち入りは大変に非常識な行動と指摘せざるを得ません。
 一般的に信頼関係に基づいて議員が行う視察というものは、常識的には正規の勤務時間内に行われるべきものであると思います。私どもが一般の企業や団体に訪問をさせていただく際にも、これは当たり前のことでございまして、後藤議員の立ち入りは時間的にも非常識なものであり、見識を疑われるものであると思います。
 次に、後藤議員が立ち入った検査科というのは、患者の検体などが置かれており、感染防止やプライバシー保護の観点から、みだりに病院関係者以外の者が立ち入る場所ではないと思いますが、結果として、後藤議員が検査科に立ち入ったことについて、病院経営本部としてどういう認識をされているのか、お伺いをいたします。

○及川病院経営本部経営企画部長 委員ご指摘のように、検査科には、ウイルス、細菌、その他の病原微生物を含有する可能性のあるさまざまな検体、また患者の個人情報が記載された各種の帳票がございます。このため、今回の立ち入りは院内感染防止上の問題、また患者のプライバシー保護上の問題があったというふうに認識をしております。
 また、結果といたしまして、資料の一三ページの資料6にもありますように、病院運営全般に関する重要な事項につきまして審議・決定を行う運営会議や技師長の管理業務がおくれるなど、病院業務への影響があったというふうに考えております。

○谷村委員 院内感染防止や患者のプライバシー保護というのは、今や都立病院に限らず、全国どこの病院でも一番気を使って取り組んでいることであり、私は二度と後藤議員のような立ち入りがあってはならないと思うわけであります。
 そこで、ただいまの答弁で、後藤議員の検査科への立ち入りによって病院業務に影響があったとありました。それは資料6に書かれておるわけですけれども、また先ほどの秋田委員の質疑で改めてこの要求資料を確認いたしましたけれども、二ページから再三にわたってその様子が書かれております。二ページから、「怒鳴るように詰問した」「技師長に詰問し」、三ページに移りますと、「詰問口調で」云々、「強い口調で要求した」「その場の雰囲気から同議員の要求に従わざるを得ないと察し」云々、「厳しい口調で尋ねた」「詰問した」、四ページに移りますと、「厳しく言った」「詰問した」「詰め寄った」「厳しく言い」云々、五ページは「強く要求した」「強く求めた」「問い詰めた」「問い詰めた」、そして六ページにいきますと、「厳しい口調で詰問を続けた」云々とあります。
 ご専門ではないと思いますが、威力業務妨害罪というのがあります。その構成要件及び法定刑というものがどういうものなのか、もしおわかりであればお答えをいただきたいと思います。

○及川病院経営本部経営企画部長 威力業務妨害罪の構成要件及び法定刑は、刑法二百三十三条及び二百三十四条において、次のように規定をされております。
 まず、二百三十三条におきまして、「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」と規定されております。
 これに続きまして、二百三十四条では、「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による」とされております。
 この内容につきまして、刑法の一般的な概説書でございます大塚仁著「刑法概説」では、次のように説明をしております。
 まず、威力を用いるとは、人の意思を制圧するに足りる勢力を使用することであって、暴行、脅迫はもちろん、地位、権勢を利用する場合も含まれるものとされております。次に、業務とは、人が社会生活を維持する上に反復、継続して従事する仕事であるとされております。さらに、妨害したにつきましては、業務を妨害するおそれのある状態を要するが、現実に妨害の結果の生じたことは必要でないと解するのが妥当とされております。

○谷村委員 今、威力業務妨害罪の構成要件についてお答えをいただきました。今回の件に即して、今のご説明をわかりやすく申し上げますと、威力を用いて人の業務を妨害した者は三年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処するということで、この威力には地位や権勢を利用する場合も含まれると。先ほどの秋田委員の際の質疑にも、都議会議員ゆえに対応せざるを得なかったものではないかというやりとりがありましたけれども、この都議会議員という地位を利用する場合も含まれるわけであります。
 では、この後藤議員の立ち入りにより妨害された業務というのは、資料6に記載をされているとおり、運営会議や技師長の管理業務が著しくおくれたことであります。
 特にこの運営会議というのは、下段に記載してありますけれども、病院運営全般に関する事項について、審議・決定を行う機関として位置づけられており、都立病院においては大変に重要な会議であります。それが、後藤議員の立ち入りによって、開始時間が三十分もおくれることになったわけであります。明らかな業務妨害であります。
 二〇〇四年のある都立高校の卒業式で、式の進行を妨害したとして、威力業務妨害罪に問われた元教諭が、本年五月三十日に東京地裁で罰金刑をいい渡されました。その元教諭が式典をおくらせた時間というのはたったの二分であります。被告は控訴しているようでありますが、第一審では有罪がいい渡されております。二分の遅延で威力業務妨害罪として立件をされております。
 後藤議員の府中病院への立ち入り問題は、都議会議員という地位を利用して、強引な、半ば強制的な調査が行われており、その結果として、病院業務が妨害されているわけであります。威力業務妨害罪に抵触するおそれが大変に高いと指摘せざるを得ません。また、本件はまだ時効も成立しておりません。
 この問題につきましては、本委員会として、やはり現場を見て、さらに検証する必要があるのではないか。また、当時の様子について状況を知る職員、対応した職員等から、さらに詳しく事情を聴取する必要もあると考えます。委員長に提案をさせていただきます。
 次に、先ほどの答弁にもありましたけれども、病院は、患者情報という特に慎重に取り扱うべきプライバシーが含まれた情報が多く保管されている場所であります。また、最近では、病院の病室から生後間もない赤ちゃんが侵入者によって連れ出されるという事件も発生しており、一層のセキュリティーが求められている場所でもあります。
 そこで、都民が安心して都立病院を受診できるようにする観点からも、検査科のような場所に不意に訪れ、許可なく立ち入る場合には、それがたとえ都議会議員であったとしても、今後は技師長、事務長、病院長などの権限も明確にして、きちんと対応すべきではないか、このように思いますが、見解を伺います。

○及川病院経営本部経営企画部長 今後、院内の秩序保持及び病院事業の円滑な遂行を妨げるというようなことがあれば、お話のように、毅然とした対応をとることを一層徹底いたしまして、安心して利用できる環境を確保してまいります。

○谷村委員 これまでに想定もされないようなことが後藤議員によって行われたわけであります。前回の委員会で行われた奥田経営企画部長の報告によりますと、ある朝突然に都議会議員が立ち入り、現場の責任者である技師長が来訪の目的を詳しく聞くために技師長室への入室を勧めても、休憩室を見せてもらいたいといって、技師長の返答を待たずに、即座にみずから控室に進んでいき、冷蔵庫に直行して扉をあけた。
 技師長は、この人は都議会議員ではないかもしれない。患者から採取した検体などをばらまかれては大変だと考え、冷蔵庫をあけるなら断ってからにしてくださいなどと、大きな声で後藤議員の行動を制止しようとした。しかし、後藤議員はこれに従わなかった。別の冷蔵庫の扉もさらにあけていくわけであります。
 今後は、技師長あるいは事務局長の権限や役割も明確にして、マニュアル化するなどして、状況判断によっては、行革一一〇番に対して本当の一一〇番通報も辞さないくらいの決意を持って対処すべきであります。
 そしてまた、後藤議員は病院内で、無断で何度か写真撮影をしておりますが、このことについても問題があると思います。病院で写真撮影を行うことは、本来特別な場合に限られていると思います。まして患者から採取した検体が保管されているような場所に近接しての写真撮影では、なおさらのことであります。今後、病院内で院長や事務局長、場所によっては技師長などの許可なく写真撮影をしようとする者がいた場合は、毅然と制止するなどの対応をすべきではないかと考えますが、見解をお伺いします。

○及川病院経営本部経営企画部長 患者さんやその家族が例えば病室で家族写真を撮るといった場合など、患者さんのプライバシーや病院業務への支障がないという場合は別にいたしまして、今後、許可なく写真撮影した場合には、撮影の中止を求め、または病院からの退去を求めていくということを徹底していきたいと考えております。

○谷村委員 いずれにしましても、入院、通院患者及びそのご家族の皆様のプライバシーの保護、セキュリティーの強化をさらに徹底していただきたいと思います。
 次に、後藤議員が公表したレポート及びホームページについて伺います。
 後藤議員は事実の検証を行うことなく、調査結果としてレポートを作成して、都庁記者クラブに配布し、みずからのホームページに掲載をしました。このことによって都民の不安をあおり、著しく都立病院への都民の信頼を傷つけたと考えますが、見解を伺います。

○及川病院経営本部経営企画部長 お手元資料の三八ページ及び三九ページにもございますとおり、都といたしまして文書をもって抗議するとともに、謝罪を求めたところでございます。
 後藤議員の行為は都議会による正当な調査活動と到底いえるものではなく、また、いたずらに都政に対する都民の不安を招くものでございまして、まことに遺憾であるというふうに考えております。

○谷村委員 私は都のこうした対応は正当であり、文書による抗議は当然だと思います。後藤議員が事実の検証を行うことなくレポートを作成、配布し、ホームページに掲載したことにも大きな問題があると思うわけであります。
 そこで、お伺いをいたしますが、名誉毀損罪の構成要件及び法定刑はどうなっているのか、把握しておられますでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 名誉毀損罪の構成要件及び法定刑は、刑法二百三十条一項におきまして、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役または五十万円以下の罰金に処すると規定されております。
 この内容につきまして、刑法の一般的な概説書であります大塚仁著「刑法概説」では、次のように説明をしております。
 まず、公然ととは、不特定または多数人の認識し得る状態と見る説が通説であるとされております。次に、事実を摘示するとは、具体的に人の社会的評価を低下させるに足りる事実を告げることであるとされております。さらに、人の名誉を毀損するとは、事実を摘示して、人の社会的評価の害される危険を生じさせることであって、現実に人の社会的評価が害されたことを要しないとされております。

○谷村委員 ありがとうございます。
 そこで、例えば技師長が冷蔵庫のワインの存在について後藤議員から突然に詰問をされ、その事情を正確に把握しておらず、おぼろげな記憶をもとに、職員のヨーロッパのお土産ではないでしょうかと答えたことについても、後藤議員のレポートでは、ワイン四本について技師長がうそをついていることは明白であると、実名を挙げてうそつき呼ばわりしております。
 また、技師長が日常的に飲酒を行っていたと一方的に決めつけ、府中病院に対する都民の信頼も著しく損なっております。
 私は、後藤議員が事実の検証を行うことなくレポート配布及びホームページ掲載したことは、やはり名誉毀損罪に当たる可能性が大変に高いと考えます。重ねて指摘をしておきたいと思います。
 次に、こうした調査に対して、都が後藤議員に抗議を行ったことに対して、あろうことか後藤議員は、その抗議に対して、東京地裁に提訴をしております。資料10にも記されているとおり、判決はその訴えを全面的に退けております。
 そこで、お伺いしますが、判決確定後、後藤議員がこの判決に対してどういうコメントをしているのか、都は掌握されておりますでしょうか。

○及川病院経営本部経営企画部長 平成十七年七月二十六日火曜日の後藤議員みずからのホームページによりますと、「先日判決が出た名誉毀損の裁判で、府中病院事務局長・検査科技師長の証言から裁判所が認めた事実認定に多く誤りがある。控訴して事務局長等の証言を覆し、事実認定の誤りをただすべきところだが、隠されている都立病院の不正にメスを入れることを優先することにする」と記載されております。

○谷村委員 全くもって反省の色一つ見受けられないわけであります。裁判で争った事実認定に多くの誤りがあると仮に主張するなら、これはみずから起こした裁判でありますから、控訴して争うのが普通ではないでしょうか。よく理解できないわけであります。控訴して争わないということは、どんないいわけをしても、裁判所の事実認定を受け入れたということであります。
 後藤議員は隠されている都立病院の不正にメスを入れることを優先すると強弁しているようでありますけれども、隠されている都立病院の不正とは何なのか、何を指しているのか、後藤議員にお尋ねをしたいものであります。他者の非を責めるならば、その前にまずみずからの非をただすべきであるということを強く申し上げておきたいと思います。
 次に、後藤議員の平成十四年十二月十一日に行われました本会議一般質問における検事調書引用問題についてお伺いをいたします。
 冒頭に申し上げましたけれども、本件につきましても、後藤議員の都議会議員としての品位や節度を大きく逸脱しただけにとどまらず、法律に抵触する可能性が高いと思われます。
 そこでまず、後藤議員が都議会本会議で引用した検事調書の秘密性について伺います。
 要求しました資料の2、検事調書の作成・活用プロセスと公開の要件及び対象者というところを見ますと、検事調書を見ることができるのは裁判の公訴提起の後に限られており、その対象者も主に検察官、弁護人であり、それ以外の者に対してはごくわずかの場合に限られているわけであります。それ以外の者には正当な理由のある犯罪の被害者が入っておりますが、そこでまず、検察官と弁護人以外で検事調書を閲覧、謄写できるとされる犯罪の被害者が当該検事調書を閲覧、謄写できる場合とはどういうものかについて、お伺いをいたします。

○中村総務局法務部長 犯罪の被害者につきましては、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律において、当該被害者の損害賠償請求、その他の正当な理由があり、相当性の認められる場合に、検事調書を含んだ当該訴訟記録の閲覧及び謄写が認められております。
 ただいま申し上げました法律の制定時の法務省の解説によりますと、その他の正当な理由としましては、犯罪被害者が訴訟を提起するか否かの判断材料、保険金を請求するための資料、刑事裁判において心情に関する意見を陳述するための資料とする場合などが挙げられており、限定的に解釈されております。

○谷村委員 資料の2によりますと、一般人は謄写はできないものの閲覧することはできるようですが、これはどういう場合でしょうか。

○中村総務局法務部長 一般人が訴訟記録である検事調書を閲覧することができるのは訴訟終了後に限られており、その場合でも謄写は認められておりません。しかも、閲覧が認められるためには正当な理由がなければならず、判例によりますと、正当な理由とは、例えば民事上の権利の行使、義務の履行、行政訴訟の提起、弁護士の懲戒処分、破産管財人の職務等から閲覧することが必要な場合とされており、限定的に解釈されております。

○谷村委員 秘密保持性の高い検事調書については、謄写はできないとしても、一般人でも閲覧できるとされているのはなぜなんでしょうか。

○中村総務局法務部長 検事調書には、個人の名誉、プライバシーにかかわる事項が記載される場合が多いため、不用意にこれを公開すれば、関係者の名誉や生活の平穏、犯人の更生などに悪影響を及ぼす可能性が高く、一般に公開に適さない情報と考えられております。
 しかし、その一方で、権利の行使や義務の履行のために検事調書の内容を知ることが必要となる場合もないわけではありません。こうした被告人側と閲覧を必要とする側の双方の利益の調整という観点から、一般人にありましては、検事調書などの訴訟記録を閲覧できる場合について、その時期を訴訟終結後に限定し、しかも、正当な理由を必要とし、その方法としては閲覧に限定し、謄写までは認めておりません。

○谷村委員 ありがとうございました。検事調書の秘密保持の原則が破られるのは極めて限定的であり、申請者の権利保護などやむにやまれぬ場合に限られているわけであります。逆にいえば、このような事情がなければ、検事調書をみだりに公にすることは許されないものであるということができるわけであります。
 次に、検事調書を不当に明らかにした場合の刑事責任、これについてお伺いをいたします。
 一般人については、検事調書の謄写が認められていないにもかかわらず、一般人がその写しを記者会見において配布するというのはゆゆしき事態であります。資料2を見ますと、弁護人には一定の場合、閲覧だけでなく、謄写も認められております。資料の3、検事調書記載内容を不当に公の場で明らかにした場合の刑事責任というところには、弁護士が正当な理由がないのに、業務上知り得た秘密を漏らしたときは、秘密漏示罪で罰せられるとありますが、ここにいう正当な理由というのは何でしょうか。

○中村総務局法務部長 正当な理由とは、第一に、秘密の主体であります本人の承諾がある場合、第二に、法令の定めにより届け出が命ぜられている場合、第三に、訴訟上証言しなければならない場合、第四に、他のより大きな利益を守るため必要な場合とされており、限定的に解釈されております。

○谷村委員 今回、後藤議員が引用した検事調書について、その入手の方法、ルートについても、正当な理由があったとは到底思えないわけであります。弁護人の秘密漏示の刑罰というのはどのくらいのものがあるんでしょうか。

○中村総務局法務部長 六カ月以下の懲役または十万円以下の罰金と規定されております。

○谷村委員 次いで、裁判のもう一方の当事者であります検察官についてでありますが、検察官もやはり法律上秘密を守る義務があり、これに違反しますと罰せられるということであります。
 それでは、検察官の守秘義務違反の刑罰はどのくらいになっていますでしょうか。

○中村総務局法務部長 一年以下の懲役または三万円以下の罰金と規定されております。

○谷村委員 弁護人や検察官が守るべき秘密を漏らした場合には、随分重い刑罰が科せられることになっております。それだけ検事調書というものは秘密保持性が高いわけであります。
 本件の場合、一般人では謄写できないはずの検事調書の写しなるものが一般人の手に渡っており、検事調書を複写して一般人の手に渡ることとした弁護士あるいは検察官の刑事責任を問うことができないものなのでしょうか。

○中村総務局法務部長 具体的な事実に関しての犯罪の成否につきましては、刑事裁判所が判断すべきものであり、云々すべき立場にはありませんが、弁護士ないし検察官が特定個人の秘密事項が記載されている検事調書を複写し、それを第三者に渡したものとして一般的に申し上げますと、弁護士については、先ほど申し上げたような四つの正当な理由のいずれかが認められなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたとして、刑法百三十四条の秘密漏示罪によって、また、検察官につきましては、国家公務員法百条一項の職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない義務に違反したとして、同法百九条十二号によって、それぞれ刑事責任を問われる可能性があります。

○谷村委員 弁護士サイドなのか、検察官サイドなのか不明でありますけれども、この検事調書が一般人の手に渡ることになったということは刑事責任が問われる、そういう内容であるわけであります。
 本件の場合、その一般人の手に渡った検事調書が、結果として、後藤議員により都議会本会議において、その内容の一部が公の場で明らかにされてしまいました。検察庁とも連携を図り、この犯罪性の高い行為についてきちんと解決をすべきであることも提案をいたしておきたいと思います。
 また、後藤議員は、検事調書を本会議一般質問で引用するに当たり、次のように述べております。「判決の中で証拠採用されている検察調書のコピーとされるものを三枚、目黒区議が区役所で行った記者会見を通じて入手しました」と、入手方法を明らかにした上で、そのコピーなるものが本物かどうかについては、その根拠を次のように述べております。「きのう」、十二月十日になります。「きのうですが、さいたま地検の検事より、行革一一〇番が所持している検察調書をさいたま地検に提出してほしいという要請がありましたので、本物と確信しました」と述べております。
 このさいたま地検からの要請がどういうものであったのか。その後段で、後藤議員は次のようにも述べております。「きのう」、同じ十二月十日です。「きのう、さいたま地検の検事から、行革一一〇番に圧力とも思われる電話までありましたが、警視庁の管轄区域で起きた事件です。警視庁は、速やかに捜査を行うべきだと思いますが、見解をお尋ねします」と、常識的には理解しがたいのですが、というのは、警視庁に捜査を依頼するなら、本会議の場で警視総監に訴えるのではなく、被害届を所轄の警察に出すべきだろうと思うのですが、それはそれで置いておきまして、さいたま地検から検事調書を提出してほしいという要請は、この圧力と思われる電話の際に一緒に行われたものなのか、それとも別な電話だったのか、それとも検事と直接会って要請が行われたものなのか。もし、電話によるものであるとすれば、本当の検事であるとどうして信じたのかなど、後藤議員の本会議での発言はよくわからないのですが、本会議で取り上げたコピー三枚の文書なるものがどうして本物の検事調書であると確信するに至ったのか、これは直接本人にいずれ確認をする必要があるのかなということも指摘しておきたいと思います。
 それでは、視点を変えまして、検事調書の中身を明らかにして、他人の名誉を毀損した場合の刑事責任についてお伺いをしたいと思います。
 資料3の(2)には、「公然と事実を摘示し他人の名誉を毀損したときは、名誉毀損罪となる」とありますが、「公然と事実を摘示し他人の名誉を毀損」するとは、具体的にはどういうことを指すのでしょうか、お伺いをいたします。

○中村総務局法務部長 刑法の解説書によりますと、公然と事実を摘示し他人の名誉を毀損するとは、公然と、すなわち不特定または多数人が認識できる状態で具体的な事実を示し、名誉を毀損、すなわち人に対する社会的評価を害する行為を行うことをいうとされております。

○谷村委員 そして、資料3の(2)には、ただし書きとして、「その行為が公共の利害に係り、かつその目的が専ら公益を図ることにあった場合は、摘示した事実が真実であるときは罰しない」ともあります。
 そこで、「その行為が公共の利害に係り、かつその目的が専ら公益を図ることにあった場合」とは、具体的にはどのような場合を指すのでしょうか、お願いします。

○中村総務局法務部長 刑法二百三十条の二には、名誉毀損について、公共の利害に関する場合の特例の定めがあり、その行為の公共性、目的の公益性、摘示した事実の真実性が認められる場合には罰しないとされております。
 ご質問の公共の利害に関する事実とは、例えば犯罪に類するような行為や、公表することで社会一般の利益に役立つ事実のことであり、また、目的が専ら公益を図ることとは、目的が嫌がらせではなく、主たる動機が公益を図ることにある場合をいうものと解されております。

○谷村委員 それでは、その資料3の(2)のただし書きの後段でありますけれども、「摘示した事実が真実であるとき」とは、摘示した事実が真実であることが証明された場合ということになるのでしょうか、お願いします。

○中村総務局法務部長 判例の解釈によりますと、摘示した事実について真実の証明があるか、または真実と誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当な理由のあることの証明があれば、違法性または故意が阻却されることとされております。

○谷村委員 では、改めてもう一度確認をいたします。名誉毀損の刑罰はどのくらいのものになっておりますでしょうか。

○中村総務局法務部長 「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」と規定されております。

○谷村委員 本件一般質問の場合、議会という多数の議員がいる中で、また傍聴人やマスコミの方々も報道しております。そうした中で、個人名を挙げて特定した上で、後藤議員は、刑事告発をしないことで渋々法人解散を承諾するとか、刑事告発の文書は残さないように指示しているとか述べておりますので、「公然と事実を摘示し他人の名誉を毀損」した、こういうところに当たることは明らかではないかと思います。
 そこで、お聞きしますが、先ほどご答弁いただいた中で、名誉毀損罪として罰しないこととされている公共の利害に関する場合の特例には、これは当たるのでしょうか。

○中村総務局法務部長 刑事裁判官でありませんので、一般的なことしか申し上げることができませんが、後藤議員において発言の目的が公益の追求であることが証明できない場合や、摘示した事実が真実であることの証明ができず、かつ真実と誤信したことについて相当な理由のあることの証明ができない場合には、違法性または故意は阻却されないことになります。

○谷村委員 違法性または故意の阻却の点については、後藤議員において、第一に発言の目的が公益の追求であることが証明できない場合、第二には、一般質問で触れた事実が真実であるとの証明ができず、かつ第三者から受け取った書類に記載されていることを真実と受けとめたことについて相当な理由のあることの証明ができない場合は、これは名誉毀損罪が成立、こういうふうに解釈をさせていただいてもいいのかと思う先ほどの答弁でございました。
 この第三者から受け取った書類に記載されていることを真実と受けとめたことが相当な理由、目黒区議会議員が記者会見で配ったから、これは本物の検事調書であるというのは、この相当な理由に値しないというふうに伺っております。きちんとした本会議一般質問で後藤議員が取り上げた、あの検事調書といわれるものが本物である、あるいは本物でなかったとしても、本物と誤信をしたという相当の理由を後藤議員みずからがきちんと証明できなければ、これは名誉毀損罪が成立する、そういう可能性が大変高いことになるわけであります。
 弁護人や検察官の秘密を漏らす行為があったかどうかなどの事実関係が明らかになっていないことが大前提であります。もしあの後藤議員が取り上げた検事調書なるものが虚偽のものであれば、それはそれでまた別問題であり、仮に本物であればあったで、後藤議員の行った発言というのは、秘密漏示あるいは公務員の守秘義務違反のような重い刑に処される犯罪の介在を前提としたおそれの高い質問であります。
 そして、これもまた重い刑に処される、名誉毀損に当たるおそれのある質問を後藤議員は行っており、こうした後藤議員の行為を議会として是認できるか否かについては、明確にする必要があると思います。
 後藤議員の調査活動について質問をさせていただきましたが、地方自治体の議会と執行機関相互のあるべき関係からして、種々多くの問題点が残るところであります。冒頭にも述べましたように、議会と執行機関との間では、品位を保持しつつ、相互の自主性を尊重し、権力分立の理念を現実のものとして生かすことにより、東京都という自治体のより一層の発展につなげていかなければなりません。品位と節度を著しく欠き、法律に抵触するおそれの多い行動をとった一人の議員に対して、都議会として自浄機能を発揮できるのかどうか、議会及びその一員の責任を改めて痛感しながら、私の質問を終わらせていただきます。

○服部委員長 先ほどの谷村委員の現場視察あるいは参考人等の発言は、後ほど協議させていただきます。
 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩をいたします。
 午後三時二十二分休憩

 午後三時三十七分開議

○服部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○古館委員 都議会議員後藤雄一君の調査活動に関する調査特別委員会での質疑が行われておりますけれども、改めてこの特別委員会について、日本共産党都議団の見解を述べておきます。
 第一回定例会で、私は日本共産党都議団を代表して、同特別委員会の設置に反対の立場から討論を行いました。そこでの問題の中心点が、この特別委員会の目的を、後藤雄一君の調査活動等の具体的事例を検証し、もって議員の品位保持と調査活動のあり方等について調査検討するとしていることにあることを指摘いたしました。
 いうまでもありませんが、我が国の地方議会は住民から直接選挙で選ばれた議員で構成され、地域住民の意思を代表する機能、自治立法権に基づく立法機能、執行機関に対するチェック機能を持っており、議員がこれらの権能、機能を十全に発揮するためには、調査活動や議会での発言に旺盛に取り組んでいく責務があります。
 同時に、それらの活動が最大限に保障される必要があることは、議会制民主主義の発揚の観点から見てもいうまでもないことです。
 もとより議員の調査活動や議会での発言等は、法を守ることはもちろん、社会的常識にかなう節度を持ったものであるべきことは当然です。しかし、仮に議員が調査活動をする中で、行き過ぎがあったり、委員会等で不適切な発言がなされた場合などは、所属する委員会や議会運営委員会でその行き過ぎをただせばよいことです。
 総務委員会でのぐる発言についていうならば、総務委員会の理事会では、不適切な発言ということで一致し、私はその場で、削除は当然、委員会での発言なので、委員会での陳謝でよいのではないかとの意見を述べました。後藤氏本人も、ぐるという発言は適切ではなかったので、削除してもらいたい。今後このようなことがないようにする、大要このような発言があったのですから、委員会の中で解決できるのは明瞭です。
 都立府中病院での立入調査問題については、既に司法の場で決着を見ているものです。先ほども取り上げられましたけれども、この判決の中で事実経過も詳細に明らかにされております。この立入調査が威力業務妨害も含めて違法行為に当たるかどうかについても、当事者である都立病院、府中病院もしくは都が被害を訴えるかどうかを含めて、司法の場にゆだねるべき問題であります。
 平成十四年十二月十一日の本会議一般質問における検事調書の引用につきましても、違法性の有無を含めて解明すべき問題があったとしても、司直にゆだねられるべきものであります。
 したがって、本特別委員会の目的としている後藤雄一君の調査活動の具体的事例を検証するということ自体、議員の調査活動を最大限に保障すべき都議会のあり方から逸脱することにならざるを得ません。
 さらに私は、特別委員会の理事会で、調査事項とされている、(5)議員の調査活動のあり方について、(6)議員の品位保持についてなど、議員一般にまで調査活動などの規制に道を開いていくべきではないことを強く主張いたしまして、議員一般への拡大は絶対にすべきではありませんし、この立場は議会制民主主義の観点からも当然のことであり、改めて強く求めておきます。
 以上です。

○きたしろ委員 私は、ここにいる皆さんもご承知のとおり、都議会議員としては一年生、都議会というステージにおいては、まさに新参者です。今回、この調査特別委員会のメンバーとして参加させていただいておりますが、調査項目にある個々の事件については、その発生した状況をリアルタイムで見たり聞いたりしているわけではありません。
 また、後藤議員についても、個人的な面識もなく、その人となりについてつまびらかに承知しているわけでもなく、何らかの悪意を持って追及、糾弾するつもりでこの場に臨んでいるわけでもありません。
 しかしながら、今回の調査特別委員会が設置された理由を聞かされ、また、過日の委員会において、個々の事実経過の説明を受け、彼の議員活動、つまり議員としての調査や質問のありようについて、大いに疑問を抱いたところで、目的は手段を正当化するのか、これはギリシャ哲学以来の実は深遠で息の長い議論でもあり、どの時代にも繰り返し、こうしたテーマをめぐって、現実の社会の中でさまざまなあつれきを生じてきたのも歴史の偽らざる事実です。今回の件を目の当たりにして、私はこのことを想起せざるを得ないのです。
 これまで、区議会議員として長年にわたり議員活動をしてまいりました。先般の選挙において、初めて都議会議員という大変重いポジションをいただき、改めて議員としての職責の重みを日々実感しているところです。
 都議会議員という重い職責を担う存在である以上、みずからの言動については、これでいいのかと常に自省し、かかわった方々との主義主張の違いは別としても、だれからも信頼される存在になるべく心がけているところです。そのためにも、議員としての言動には常に誠実であれ、また謙虚であれと、肝に銘じているところです。
 この調査特別委員会の底流には、議員としての調査活動のあり方が問われていると思います。議員として、議会として、さまざまな案件について調査活動を行うことは必要不可欠なことであり、ゆえに地方自治法においても、議会の調査権として明文化されていることです。だからといって、個々の議員がそれぞれの思うがままに勝手な対応をとることまでも保障されたものでないことは自明の理であることはいうをまちません。
 一議員の調査活動について調査検討を行う特別委員会の設置は、議会にとって苦渋の選択であったと思います。また、都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会という議員個人の名のついた、特異な名称の委員会において質問に立つのは、同じ都議会議員として大変複雑な思いであります。
 この特別委員会での議員の調査活動のあり方や品位保持について調査、検証することは、本委員会の委員としての職責であり、議員に与えられた権限の行使であります。議会みずからが議員の調査活動のあり方を問い直すことにより、議会と執行機関の相互牽制機能のあるべき姿を再確認するとともに、車の両輪に例えられる議会と執行機関との信頼関係がはぐくまれていくものと考えます。
 幸か不幸か、先ほど申し上げたように、私は都議会一年生であり、今回問題になっている事例についても、後で見聞きしたものです。第三者などと責任回避するつもりはありませんが、より客観的な立場から、今回取り上げられている府中病院の件や検事調書の件について、質疑を通じて、みずから感じたことや意見を述べたいと考えております。
 私は、平成十六年三月十九日に、後藤議員が府中病院に立ち入ったことについて、その立ち入った最初の状況に大きな問題があると思います。
 そこでまず、後藤議員が府中病院の検査科に立ち入った件に関して、東京都及び病院経営本部が報道発表した文書に対して名誉毀損で告訴した平成十六年(ワ)第一一四三四号、謝罪広告等請求事件の資料のうち、少し長くなりますが、原告後藤議員の主張及び裁判所の事実認定について読み上げてから、質問をしたいと思います。
 原告の主張。
 (1)、原告は、昭和五十四年から、世田谷区桜上水においてパン屋を営んでいるが、その傍ら、昭和六十年五月、世田谷行革一一〇番という名称の市民団体を設立し、現在は行革一一〇番と名称を変え、税金のむだ遣いを阻止すること等の行政改革を目的とした活動を行っている。そして、原告は、平成十三年六月、東京都議会議員選挙に当選し、以後都議会において行革一一〇番という会派名で行政改革を推進するための活動を行っている。
 原告は、行革一一〇番としての目的を達するべく、情報公開請求や各種訴訟を行うほか、行政の不正がうかがわれるときには、みずからの足で調査活動を行うなどしている。そして、その調査の結果を行革一一〇番レポートとしてまとめ、マスコミに配布し、みずから設営及び管理を行っているホームページに掲載している。また、調査の結果等を有権者に対しても知らせるべく、「都議レポート」という印刷物を作成し、主にポスティングの方法により、世田谷区を中心とした地域の有権者に対して配布したりもしている。
 (2)、都立府中病院検査科における原告の調査。
 原告は、平成十六年三月十日ごろ、被告が設置、管理、運営する都立府中病院において検査科技師長ら職員が公然と職場で飲酒を繰り返しているとか、検査科休憩室には酒専用の冷蔵庫が準備されている等と記載されている匿名告発文書を受け取った。そこで、同月十九日、都立府中病院に赴き、都立府中病院検査科職員による職場における飲酒の事実等について調査活動を行った。
 2、被告に属する公務員の違法行為。
 被告の石原慎太郎知事及び碇山幸夫病院経営本部長は、下記(2)及び(3)記載のとおり、事実に反し、事実を故意にねじ曲げ、原告の行動をあたかも犯罪者のごとく扱い、原告に対し謝罪を求め、原告を誹謗、中傷する内容の文書を報道発表した。
 (2)、病院経営本部長の違法行為。
 碇山病院経営本部長は、平成十六年三月二十九日午後二時三十分ごろ、都庁舎内の原告の議員控室において、原告に対し、都立府中病院への立ち入りに関する抗議と題する別紙2記載の文書(作成名義が病院経営本部長である)の内容のとおりの抗議を行った。
 ウ、上記二通の文書には、原告が行った本件調査に関し、次のとおりの記載がある。
 〔1〕一方的に検査科執務室及び控室に入室した。
 〔2〕控室にあった冷蔵庫を許可なくあけるとともに、冷蔵庫及びその収容物を写真撮影した。控室内の共用引き出しを開放させ、中にあったつまみ類を、みずから並べ直して写真撮影し、また、個人事務机の引き出しを開放させた。
 〔3〕事実の検証を行うことなく、院長等に対し、一方的にその管理責任を問う言動を続けた。
 〔4〕さらに、貴議員は、上記行為により把握したと称する事柄について、事実の検証を一切行うことなく、一連の経緯を同病院職員の実名を記載した上、レポートと称してまとめ、同日、平成十六年三月十九日午後三時ごろ、都庁記者クラブに一方的に配布しました。また、一連の経緯を、貴議員がみずから設置するホームページに記載し、一方的に公表しました。
 〔5〕貴議員によるこうした行為は、都議会による正当な調査活動と到底いえるものではなく、まことに遺憾であります。したがって、ここに厳重に抗議するとともに、謝罪を求めるものですというような内容でございます。
 それに対して、本件調査及びその調査結果の公表に関して当裁判所が認定した事実。
 ア、原告は、平成十六年三月十日ごろ、匿名の告発文書を受け取った。その告発文書には、都立府中病院の検査科に酒類専用の冷蔵庫があり、公然と職場で飲酒を繰り返し、技師長が部下に飲酒を勧めているとの記載があり、酒類の入った冷蔵庫等の写真が添付されていた。原告は、都議会議員として、二十四時間体制の都立病院で飲酒が行われることは、勤務時間外であっても問題であると考え、こうした事実の有無の調査を行うべきであると判断した。そして、その調査は、原告が通常行う調査と同様に、都の職員による事実の隠ぺいを防止するため、いわゆるアポなし直撃調査として、事前予告なしに行うことが相当であると考えた。原告は、同月十九日、本件調査を行うために、事前に予告することなく、また、都立府中病院の受付に訪問を告げることなく、午前八時五十五分ごろ、直接同病院の検査科受付に赴いた。
 イ、都立府中病院の検査科は、患者由来の血液、分泌物その他の検体についての各種検査や、患者の心電図、脳波等の生理検査を担当する。都立府中病院本館二階には、検査科の臨床検査室があり、その中に本件で問題となった控室も所在する。臨床検査室内には、ウイルス、細菌その他の病原微生物を含有する可能性のあるさまざまな検体が数千本の単位で保管され、精密な機器やコンピューターを用いた各種検査が実施され、また、患者の個人情報が記載された多くの帳票類も保管されている。臨床検査室内には、検査関連業務を行う検査業務区域と、技師長室及び控室等から成る管理業務区域が存在しているが、各区域を仕切る壁等は設けられていない。なお、控室は、検査科職員が簡単なデスクワークを行ったり、休憩したりするために用いられる部屋である。臨床検査室は、院内感染防止と個人情報保護のため、病院関係者以外は立入禁止の区域となっている。
 ウ、外来入り口から都立府中病院の建物に入り、同日午前八時五十五分ごろ、臨床検査室控室の入り口付近に到着し、その場にいた課長補佐に対し、私は都議会議員の後藤というものだと告げ、革のケースに入った都議会議員の身分証明書を示した。ただし、示した時間は何秒となかったため、課長補佐には、それが都議会議員の身分証明書であることは確認できなかった。原告は、茶色のジャンパー及び黒いズボンを着用し、肩かけのかばんを抱えており、課長補佐の抱く男性都議会議員の服装のイメージとは異なったことから、原告が本当に都議会議員であるかどうか半信半疑であった。なお、この時間に臨床検査室にいたのは、課長補佐、検査科技師長及び原告のみであった。
 原告が冷蔵庫を見たいといったので、課長補佐は、どちらの冷蔵庫ですかと尋ねると、原告は、休憩室にある冷蔵庫だといった。臨床検査室には、業務用(検体・薬品用)の冷蔵庫や職員の福利厚生用の冷蔵庫が多数あり、休憩室というのが控室を指すのか当直室を指すのかもわからず、原告が見たいのがどの冷蔵庫であるかもわからなかったので、とりあえず、この奥の部屋にもありますがと控室の方向を指しながら答えた。
 すると、原告は、そのまま控室へと向かおうとしたので、課長補佐は、原告が都議会議員であるとは確認できておらず、外部者に控室に保管されている検体に接触されては困ると考えて、慌てて、ちょっと待ってください、技師長に話してみますからと原告を呼びとめるとともに、大声で、技師長、技師長、都議会議員という方が、休憩室の冷蔵庫を見せてほしいということですがと叫び、控室の入り口と通路を挟んだ斜め向かいにある技師長室に向かって歩いていった。原告は課長補佐の後を追った。
 エ、技師長室から出てきた技師長は、技師長室の入り口付近で原告と出会った。原告は、技師長に対し、身分証明書を示したが、技師長には身分証明書がよく確認できなかった。技師長は、原告に対して名刺を求め、原告から名刺を受け取った。技師長は、来訪の目的を詳しく聞こうと、原告に対して技師長室への入室を勧めたが、原告は、休憩室の中を見せてもらいたいといって、技師長の返答を待たずに、即座にみずから控室に進んでいった。
 オ、控室内部の配置図は別紙6記載のとおりだ。原告は、控室入り口から右手に見えた冷蔵庫に直行し、直ちにその扉を開いた。原告の後を追った技師長は、原告の主な調査目的が酒類の発見にあることを知らなかったため、原告が突然冷蔵庫の扉をあけたのをみて、とっさに、この人は都議会議員ではないかもしれない、そうであれば、検査科内の冷蔵庫を次々と開けられ、それが高じて患者から採取した検体などをばらまかれては大変だと考え、冷蔵庫を開けるなら断ってからにしてください等と大きな声で申し向け、原告の行動を制止しようとした。しかし、原告はこれに従わず、冷蔵庫の中に缶ビールが一本入っているのを見るや否や、技師長に対し、これは何だ、なぜこんなものが入っているんだとどなるように詰問した。技師長は、ちょっと私にはわかりませんと返答し、病院の庶務課は先生がおいでになることを知っているのですかと尋ねると、原告は、知らないよ、呼んでもらっても構わないよと答えた。技師長は課長補佐の方向を振り返り、大至急、庶務課長を呼んできてくださいと指示した。
 続いて原告は、技師長に断りなく、冷蔵庫に向かって左後ろの方向にある冷蔵庫〔2〕の扉を開けた。この冷蔵庫〔2〕には、下から二段目にワインのボトルが四本入っており、原告はこれを見て、こんな物まである、税金で買った冷蔵庫にこんな物を入れていいのか、これはどうしたのかと技師長に詰問し、冷蔵庫にワインが入っている様子を写真撮影した。
 カ、このころ、課長補佐からの情報を聞きつけた府中病院の事務局長が、庶務課長及び庶務係長を連れて控室に駆けつけた。事務局長は、前任の下水道局総務課長職にあったときにも、職務上、都議会議員である原告と接触があったが、なぜ原告が突然都立府中病院に来訪したのかわからず、先生、何をしてるんですかと原告に声をかけた。すると原告は、再び冷蔵庫〔2〕を開き、中に入っているワインを指さしながら、事務局長に対し、こんなものが入っていた、職場で酒を飲んでいいのか、禁止していないのかと詰問口調で述べ、引き続いて缶ビールが入っている状態の冷蔵庫〔1〕も開けてみせた。このとき、技師長が事務局長に対し、先生がいきなり冷蔵庫を開けたので、一言断ってからあけてくださいと先生にいいましたと報告した。事務局長は、原告が当時、都営バスの飲酒運転の問題を取り上げていたことを思い出し、都立府中病院においても業務中の飲酒があると疑っていると察し、原告に対し、勤務中の飲酒は当然禁止されており、勤務時間外の飲酒も原則として禁止である旨、説明した。また、原告が扉を開けた冷蔵庫は、検査業務用ではなく、職員の福利厚生用である旨も説明した。
 原告は、冷蔵庫〔2〕の左隣にあるショーウインドー型の冷蔵庫の中に酒類がないことを確認し、事務局長らに対し、冷蔵庫〔1〕の右隣にある食器戸棚の中を見せることを強い口調で要求した。技師長は、事務局長と原告とのやりとりから、原告が都議会議員であることを理解し、その場の雰囲気から原告の要求に従わざるを得ないと察し、みずから食器戸棚を開けた。この食器戸棚には酒類は入っていなかった。
 キ、ここで原告は、技師長に対し、いつ酒を飲んでいるのかを厳しい口調で尋ねた。技師長が、年度末に退職者の送別会などを行っている旨、答えると、原告は、そういうときはいいんだよ、だけどそれだけじゃないだろう、しょっちゅうやっているんだろう、どれぐらいの頻度で飲んでいるのか正直に答えなさい。もちろん、おれの調査能力をもってすれば、調べるのなんか簡単だけどねなどと詰問した。技師長が、業務終了後、仲間うちで飲むこともありますと答えると、原告は、週にどのくらい飲んでいるのかとさらに詰問するので、技師長が週に一回ぐらいのときもあれば、二、三回のときもありますと答えると、原告は事務局長に対し、ほら、こんなにやっているんだよと厳しくいった。事務局長は、だけど先生、勤務時間が終わった後なんですよと答えた。
 次に原告は、再び冷蔵庫〔2〕の扉を開き、技師長に対し、ところでこのワインは何なんだよと詰問した。技師長は、ワインの由来を正確に把握しておらず、おぼろげな記憶をもとに、職員のヨーロッパのお土産ではないでしょうか、たしかそう聞いているのですがと答えた。すると原告は、ワインを冷蔵庫〔2〕の中から取り出し、四本ともラベルが日本語で記載されているのを確認して、技師長に対し、外国の物じゃないと詰め寄った。技師長は、職員の土産だと思うのですが、よくわからないのですと答えた。原告は、ワイン四本をテーブルの上に並べると、これらを写真撮影した。技師長は、このワインはすぐに破棄しますといったが、事務局長は、捨てることはないですよ、持ち主に返せばいいですよといい、ワインを冷蔵庫〔2〕の中に戻そうとしたが、原告は戻してはだめだといったので、事務局長は、用意された段ボールの中に酒類、ワイン四本、缶ビール一本を入れた。
 ク、事務局長は、原告と事務局長室で話そうと考え、事務局長室に行きましょうと原告に声をかけ、段ボールを持って控室出入り口へ向かった。原告は冷蔵庫〔1〕及び冷蔵庫〔2〕とは反対側の端の方にある冷蔵庫〔3〕に向かっていった。事務局長や技師長が慌てて原告の後を追うと、原告は冷蔵庫〔3〕の上にウイスキーやしょうちゅうの瓶が置いてあるのを見て、こんなに堂々と置いてある、やっぱりしょっちゅうやっているんだなどと厳しくいい、これらを写真撮影した。そして原告は、中をあけてくれと再び強い口調で要求した。技師長は、断ることができない空気を察し、冷蔵庫〔3〕の扉を開けた。冷蔵庫〔3〕の中にはブランデーやワインのボトルが入っていた。
 続いて原告は、冷蔵庫〔3〕の右隣にある事務用キャビネットの引き出しを開けるよう要求し、技師長がこれを開けた。引き出しの中には、食品、酒のつまみ類が入っていた。原告は、つまみ類を取り出して値札を見るなどした後、これらを引き出しの中に並べて写真撮影した。
 さらに原告は、事務用キャビネットの右隣に並んでいる個人事務机にも酒類その他が入っているのではないかと疑い、この引き出しも開けてくれと強く要求した。技師長は、これは個人用の机で、プライバシーの問題もあるのでといい、これを断ろうとすると、原告は事務局長に対して、じゃあ、局長の権限で開けてくれよと強く求めた。技師長は、事務局長がちゅうちょするのを見て、断ることはできないという空気を察し、引き出しを開けた。引き出しの中にはかばんが入っているのみであり、酒類等は入っておらず、原告も引き出しの中を見て、そのことを確認した。
 事務局長は、冷蔵庫〔3〕の酒類も、冷蔵庫〔1〕及び冷蔵庫〔2〕に入っていた酒類と同じ段ボールにまとめ、原告とともに事務局長室に移動しようとした。しかし原告は、事務局長室の前まで来ると、院長に会いたい旨、申し出た。事務局長は、原告を院長室に案内した。
 ケ、院長室に移動すると、原告はテーブルの上に段ボールの中の酒類を並べて、院長に対し、検査科技師長の飲酒の情報があったので見に来たが、この実態は何だ、院長はこのような状況を知っているのかと問い詰めた。院長は原告に対し、職員は忙しい中、電子カルテの導入や救急医療体制に取り組み、よくやってくれており、少なくとも職員が勤務中に飲酒するなど考えられない、この病院の職員が非常に頑張っていることをぜひご理解願いたい旨述べたが、原告は、私にはいろいろな情報が集まってくる、院長より知っているかもしれない、院長がそういう事実を知らないとしたら問題ではないかなどとも問い詰めた。これに対して院長が、疑いを持たれるとしたら、院長の管理不行き届きであり、今後、管理体制を強化したいと思う旨述べたが、原告はこの件について、今後、議会でも問題にする、おれのやり方でやると述べるなどした。こうして合計十分ほどの間、原告は院長に対して責任を問う言動を繰り返し、午前九時三十分ごろ、院長室を退室した。
 コ、府中病院における本件調査は、所要時間が全体でも三十分前後という短時間の出来事であり、その間、原告は行政機関に対する不信感から、相手に回答の内容を考える時間的余裕を与えず、相手のいい分に耳を傾ける姿勢を示すことなく、厳しい口調で詰問を続けたものである。
 サ、原告は同日午後、都議会議員控室において、「行革一一〇番レポートNo.50」を作成し、都庁記者クラブに所属する報道機関各社に配布した。このレポートは「都立府中病院・検査科、酒が十二本」「休憩室の冷蔵庫三カ所から」「技師長・週二~三回の飲酒を認める!」という見出しを掲げ、技師長の実名を出して、原告が本件調査の結果を公表するものであった。その主要な内容は、技師長が週に二、三回、府中病院検査科内の休憩室で仕事終了後、職員と一緒に飲んでいたと認めたこと。府中病院は救急医療部門が併設され、検査科は当直による作業が行われ、二十四時間勤務であり、日常的な飲酒が発覚するということは、医療事故が都立病院で起こって当たり前だと原告が実感したこと。ワイン四本について技師長は、職員のヨーロッパからの土産と釈明するが、ワインの瓶に張られている裏のラベルは日本語であり、うそをついていることは明白であることであった。
 また、原告はその後帰宅し、みずから管理するホームページ上に「都立府中病院内、飲酒の実態!」「検査科技師長、週二~三回、認める!」と見出しをつけて、本件調査の結果を公表した。
 (5)、本件各文書の記載事実、または前提事実の真実性について検討する。
 一方的に検査科執務室及び控室に入室し、施設の管理者である都立府中病院長の許可なく同病院検査科執務室及び控室に立ち入るとともに、についてですが、本件各文書におけるこれらの記述は、原告が都立府中病院の施設管理責任者である病院長、またはこれにかわる権限を有すると認められる者の明示、または黙示の承諾を得ないで、同病院の検査科執務室及び控室に立ち入ったという事実を表現したものであると認められ、前記認定事実によれば、技師長も課長補佐も原告に検査科への入室の明示、または黙示の承諾を与えたということはできない。また、そもそも社会通念上、病院の現業部門、医療部門の一中間管理職にすぎない技師長らに、都政の調査に訪れた都議会議員の病院内立ち入りについて、院長にかわる許可権限があるとみることも困難である。
 なお、地方自治法百条一項所定の調査権は議会が有するものであって、個々の議員が有するものではない。議員が発議した上で、多数決原則で可決されて初めて議会が行使できるものである。また同法百条一項所定の調査権の行使や同条十二項所定の個々の議員の調査研究(政務調査)の実施に当たっては、いわゆる直接強制(強制的立ち入りの実施や身柄の勾引など)を行うことができないことはいうまでもない。
 以上によれば、これらの記述については、記載事実または前提事実につき真実であることの証明があったものというべきである。(発言する者あり)はい、待ってください、大事なことなんだから。(「読めばわかるんだから」と呼ぶ者あり)みんなわかってない人もいるかもわかんないじゃないのよ。あなたにいわれることはないよ。時間はちゃんともらっているんだから。
 本件各文書におけるこれらの記述は、原告が本件調査の結果を記載した行革一一〇番レポートを、調査の当日の午後に都庁記者クラブに配布するとともに、ホームページに記載して公表したが、これらの内容が自己と異なるいい分、考え方に耳を傾けたものになっておらず、また行革一一〇番レポートには技師長の名前が記載されているという事実を表現したものであると認められる。
 ということで、都議会議員といえども病院の立ち入りについては、先ほど谷村委員もおっしゃっていましたけれども、威力業務妨害だとか、そういう刑法に触れるようなおそれがあるというふうに私も感じる。私の場合は、この立ち入りについて、建造物侵入に当たるんではないのかなという疑いがある、おそれがある。
 こういうふうに、秋田一郎議員の質疑の内容と、私が読み上げた資料の事実認定と、病院経営本部の答弁を聞けば、事前の連絡もなく、突然に、しかも職員の承諾もなく立ち入ったことはよくわかったと思うんです。こうした行為は、先ほどもいいましたけれども、建造物侵入に当たるのではないのか。調査と称して、都議会議員といえども、このような刑法に触れるおそれがあると思われる行為をしていいものかどうか。この問題に対して、我が党はより具体的な事実を詳細に調査することで、後藤議員の調査活動を検証したいと考えているわけです。
 そのためには、当時、現場にいた、しかるべき職員から直接事情を聞く必要があるのかなというふうに思っているんです。今のしかるべき職員というのは、その当時いなかったわけですから、やはりそういう刑法に触れるようなおそれがある問題ですから、ぜひともそのしかるべき職員にここに来てもらって、委員長にお願いをしたいんですけれども、参考人として、その方をお呼びしていただきたいというふうに思うんです。
 それは、あとは提案をさせていただき、次に、検事調書についてお伺いをいたします。
 検事調書については、先ほどの谷村委員の質問とも重なる部分もありますけれども、大切なことなので、ダブるときは確認という意味でお許しをいただきたいと思います。
 平成十四年十二月十一日の都議会一般質問において、後藤議員は次のように発言してから質問を始められました。これは平成十四年十二月十一日の速記録です。「行革一一〇番は、判決の中で証拠採用されている検察調書のコピーとされるものを三枚、目黒区議が区役所で行った記者会見を通じて入手しました。また、きのうですが、さいたま地検の検事より、行革一一〇番が所持している検察調書をさいたま地検に提出してほしいという要請がありましたので、本物と確信しました」という発言でございました。
 この中で、特に本物と確信したとしておりますけれども、検事調書というものは一般人にはなじみの薄い、めったに目にする機会のないものであり、これを手に入れ、またこれをもとに質問をするのは、都議会議員として果たして適切なことなのか、疑いを禁じ得ないところであります。
 そこで、検事調書の性格、入手できる人の範囲や第三者への配布の是非などを確認しながら、議会の品位との関係で適切であったか否かについて明らかにしていきたいと思います。
 まず最初に、一般的には検事調書というものに書かれていることは真実であると考えられているようですけれども、本当にそういえるのでしょうか。

○中村総務局法務部長 検事調書に記載されている内容が真実か否かにつきましては、検事調書は検察官が被疑者やその他の関係者を取り調べ、その供述の内容を書面として作成したものであり、刑事裁判の際に証拠として用いられるものであるとはいえ、記載されている内容が確実に真実ということはできず、内容の真実性につきましては、他の証拠と合わせて判断する必要があります。

○きたしろ委員 それでは、検事調書というのはだれが持っているんでしょうか。あるいはまたどこに保管されているのでしょうか。

○中村総務局法務部長 公訴が提起されて、刑事裁判が行われる際に証拠として提出された検事調書につきましては、刑事裁判の判決確定までは裁判を行っている裁判所が持っております。判決確定後は、第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管しております。

○きたしろ委員 それでは、検事調書の閲覧、謄写することができる者、特に写しを持ち得る者は限られていることを確認したいわけなんですけれども、検事調書の写しを入手できる人というのはどういう方でしょう。

○中村総務局法務部長 刑事訴訟法四十条、二百七十条によりますと、公訴提起後、判決の確定までの間、検察官と弁護人は検事調書の謄写をすることができるとされておりますので、その期間、検察官と弁護人は入手できる立場にあります。
 また、犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律三条一項によりますと、正当な理由があり、相当と認められる犯罪被害者は、第一回の公判期日後、判決の確定までの間、検事調書の謄写をすることができるとされておりますので、その期間、犯罪被害者は入手できる立場にあります。

○きたしろ委員 写しをした者が、ある程度認められるとして、その入手した者が、さらにこれを複写して第三者に渡すことは許されるのかどうか、その辺を確認させてください。

○中村総務局法務部長 国家公務員法百条一項によりますと、検察官は一般職の国家公務員として守秘義務の対象となる職務上知り得た秘密を漏らすことは許されないと規定しております。検事調書は、一般に個人の秘密が記載されていることが多いので、検察官がそのような検事調書の写しを第三者に渡すことは、秘密を漏らすことになりますので、許されないことになっております。
 また、刑法百三十四条によりますと、弁護士も正当な理由がなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らすことは許されません。したがって、弁護士が第三者に複写したものを正当な理由なく渡すことは秘密を漏らすことになりますので、許されないことになっております。

○きたしろ委員 弁護士が秘密保持義務を免れる正当な理由とか、あるいは検察官及び弁護士が秘密を漏らした場合、どのような刑罰が科せられるのかということは谷村委員がもう既にお聞きですので、これは省かせていただきます。
 次に、検察官が秘密を漏らした場合、刑罰のほかにどのような制裁があるのか。また弁護士が秘密を漏らした場合も、刑罰のほかにどのような制裁があるのか、二つお伺いをいたします。

○中村総務局法務部長 検察官につきましては、国家公務員法上、職務上知り得た秘密を保持する義務を課せられております。そして、検察官が国家公務員法に違反して秘密を漏らした場合には、懲戒処分として免職、停職、減給、または戒告の処分を受ける可能性があります。
 弁護士につきましては、弁護士法上、職務上知り得た秘密を保持する義務を課せられております。そして弁護士が弁護士法に違反して秘密を漏らした場合には、弁護士会から戒告、業務停止、退会命令、または除名の処分を受ける可能性があります。

○きたしろ委員 そういった意味では、人権等々、当然かかわってくるんでしょう。あるいは検察官にしても、弁護士にしても、それぞれの職責の重さというものがあるんでしょう。本当に重いペナルティーというものがあると思うんです。
 それでは次に、その検事調書の写しなるものをコピーして配布したという、これは十二月十一日の後藤議員の一般質問の中にも入っている、「検察調書のコピーとされるものを三枚、目黒区議が区役所で行った記者会見を通じて入手しました」ということになっているわけです。この目黒区議が検事調書の写しなるものをコピーしたこと自体は犯罪に当たるんでしょうか。

○中村総務局法務部長 検事調書の写しなるものを複写したこと自体、罰する規定はありません。

○きたしろ委員 非常に重い検事調書ですけれども、コピーだけでは犯罪にはならないということですね。コピー自体は罰せられないとしても、目黒区議が配布した検事調書の写しなるものには、特定の個人に係る、刑事告発をしないことでの条件付で渋々法人解散を承諾する、刑事告発の文書は残さないように指示している、などの行為が記載されているということでありますけれども、そのコピーを配布することは名誉毀損罪に当たらないんだろうかということを聞きたいんです。
 そこでまず名誉毀損の構成要件を教えてください。

○中村総務局法務部長 刑法二百三十条一項の名誉毀損罪は、公然と具体的な事実を摘示し、名誉、すなわち社会的評価を害するおそれのある状況を発生させることであります。しかし、刑法二百三十条の二第一項には公共の利害に関する場合の免責の特例があり、同条項に係る判例の解釈によりますと、摘示した事実が公共の利害にかかわり、専ら公益を図る目的がある場合には、真実の証明があるか、または真実と誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当な理由のあることの証明があれば、違法性、または故意が阻却されることとされております。

○きたしろ委員 やはり公益だとか公共のためにとか、そういうことがあればそういうものは阻却されるということですよね。
 そこで、検事調書の写しなるものには、特定の個人の社会的評価を害するおそれのある事実が記載されているということだったんですけれども、そのコピーを配布したことが、その個人の名誉を毀損していることは明らかだと思うんです。当人だけが持っているならまた別ですよ。それをまた、そういう内容を書いてあることを第三者に渡している、配布するということは、私、これ、名誉毀損に当たるんじゃないのかなというふうに思うんです。そこで、ただいま答弁いただいたわけですけども、違法性、あるいは故意の阻却の点はどうなんでしょう。

○中村総務局法務部長 刑事裁判官でありませんので、一般的なことしか申し上げることができませんが、目黒区議において、配布の目的が公益の追求であることが証明できない場合や、摘示した事実が真実であることの証明ができず、かつ真実と誤信したことについて相当な理由のあることの証明ができない場合には、違法性または故意は阻却されないことになります。

○きたしろ委員 そこで、平成十四年の一般質問の当時、関連する事件は終結していたのでしょうか。

○中村総務局法務部長 当時の新聞によりますと、社会福祉法人の理事長等を被告人とした事件につきましては、平成十四年十月に一審で有罪の判決がありましたが、これを不服として被告人が控訴しましたので、平成十四年の一般質問当時は確定しておりませんでした。

○きたしろ委員 終結していない検事調書が第三者に渡ってしまったという事実があるわけですよね。その当時、元福祉局長を被告人とする事件の検事調書を入手することは可能だったんでしょうか。

○中村総務局法務部長 確定した事件の検事調書につきましては、制度上、閲覧しかできず、検事調書を入手することはできないことになっております。

○きたしろ委員 今の答弁のように、検事調書を入手できないということになっているにもかかわらず、一般質問の資料にするということ自体が、非常に議員としての調査、あるいは議員としての発言について、やっぱり一般的には不適切じゃないのかなというふうに私は思えるんです。そしてまた今までの、谷村委員のお話もありました、そういう中での質疑で、本件検事調書なるものが後藤議員の手に入るまでには、弁護士の秘密漏示や目黒区議の名誉毀損など、何らかの犯罪行為があったとの疑いを持たざるを得ないわけです。そして私は、このような何らかの違法な行為があって入手できた資料をもとに質問を行うということは、やはり議会の品位を損なうものであり、許されないと思うんです。議員の調査活動、議員の質問は、やはり社会的ルールにのっとって正々堂々と行うことが、冒頭に述べたように、議会の品位を保ち、議会と行政の信頼関係を発展させ、ひいては健全な自治体運営を行っていく上で必要不可欠であると私は思うんです。
 その後、これから先、どのような展開になるかもわかりませんけれども、当事者の人を、お声をかけて、またこの場に来ていただくということも必要なのかなということを申し述べて、私の質問は終わります。

○服部委員長 ただいまのきたしろ委員の参考人招致の発言は後ほど協議をさせていただきます。

○ともとし委員 私は冒頭、先ほどいただきました病院経営本部の資料に基づいて、若干確認だけさせていただきたいんですが、最後の三八ページ、三九ページに別紙1から4、数字的に5、6と打っているわけですが、この1から4のことに関しての経緯をまず聞いておきたいと思います。

○及川病院経営本部経営企画部長 資料の三八ページの別紙1の謝罪広告でございますが、これは後藤議員が都知事と病院経営本部長に対して、このような謝罪広告をすべきであるということで出されたものでございます。
 別紙2につきましては、当時の病院経営本部長が後藤議員に対して抗議をした、その文書でございます。
 それから別紙3でございますが、これは当時の病院経営本部長が抗議をしたということで、これは報道機関等に出した文書でございます。
 それから三九ページの別紙4につきましては、東京都知事が議会に対して申し入れた申し入れ、東京都議会議長に対して申し入れを行ったということで報道機関に出した文書でございます。

○ともとし委員 私、この別紙で示されている、こういう申し入れ等を読ませていただいて、先ほど共産党の見解等を述べられたわけですが、私も区議会、都議会と二十数年やらせていただいておりますけれど、行政の長が議長あてに、個人の議員に対して厳重に対処してもらいたいというような申し入れをしてくるなんていうのは、異例中の異例です。通常考えられない一つの出来事かなというふうに思っております。しかも、単に首長だけではなくて、担当所管のそうした担当者も含めて、こうした申し入れ等を行ってきている。その申し入れ先が、ある意味では議長あてになっているわけです。議長がこういう文書をいただいた上には、これは議会を挙げて、いろいろ調査研究しなければならない、そういう内容であるわけです。それを、こうした問題については司直の手のところで判断してもらえばいいじゃないかという、この辺の共産党の見解というのは、どう考えてみてもいただけない発言ではないかなと。少なくとも議会挙げて、一議員のことではあるかもしれませんけれど、ひいてはやっぱり都議会議員すべての問題として取り上げて、これらの問題について、やはり議会として考えていく必要がある。そういう意味から、この委員会をわざわざ設置していただいたんではないでしょうか。その意味では、我々はこの委員会の中で、現に一人の議員のためではなくて、すべての議員のために、それらについてはしっかりやっていかなければならない、そんなふうに感じているわけでございます。
 そうしたことを前提にしながら、若干質問させていただきます。
 監査についてでございますが、この監査というのは、最近、とみにいろいろ社会的にも問題になって、マスコミ等にも多く報道がされているところじゃないかなというように思っております。この監査というのは、本当に公正不偏の立場でやっていかなければならない、そうしたものではないかなと思います。
 しかしながら、最近、民間の方ではカネボウの問題、アメリカに至ってはエンロンの問題、そういうような監査法人の粉飾決算というのが、そこに監査法人そのもの自体が加担したということから、世界的な問題になったり、あるいは国内における経済問題にもなっているわけでして、この監査の位置づけというのは物すごく大事かなというふうに私も思っております。
 特に地方自治体においては監査が行財政運営の、ある種の唯一のチェック機関、そういう役割にあるのかなと。まさに適切に果たしていかなければならない大事なところではないかなと思います。この監査が指摘するそうした内容をしっかりしていかなければ、ある意味では財政再建団体に陥ってしまうような、そんなことにもなってしまうのかなというように思います。その意味から、この監査委員の指揮命令というものは非常に大事なものとして認識すると同時に、公正かつ効果的に職務を遂行していただかなければならない、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、東京都の監査といたしまして、その役割、あるいはそうしたことを適切に果たしているかどうかということを検証するために、何点か質問をしてまいりたいと思います。
 まず監査の実施件数、平成十七年における都全体の監査実績についてお伺いしたいと思います。

○皆川監査事務局参事 都全体の監査実績についてでございますが、監査委員は定例監査、工事監査、行政監査、財政援助団体等監査に加えまして、決算審査や住民からの請求に基づく監査等を実施しております。対象となる部署及び団体は三千七百余りありますが、平成十七年には七百十四カ所で監査を実施し、二百十四件の問題点の指摘、意見要望を行いました。指摘等に伴う不経済支出等の合計額は約十五億円であります。
 このうち定例監査では、本庁のすべての部と事業所の半数、計四百九十九カ所を対象に監査を実施し、五十四件の指摘と八件の意見・要望を付し、また工事監査では工事関係等の契約一万四千七百三件のうち千六百四十件を対象に監査を実施いたしまして、三十七件の指摘と五件の意見・要望を付したところでございます。

○ともとし委員 まさに東京都の予算の規模というのは十二兆円を超えるような、いってみれば一国の予算にも匹敵するような、そういう事務事業があるわけですが、しかも多岐にわたっています。そうした多くの監査対象に対して、それこそ多様な方法で監査が実施されているというふうに思いますが、監査の意義というのは先ほども申し上げましたけど、都の行財政運営が適正かつ効率的に行われているかを検証し、評価をし、問題点があればその是正等を求めていく、非常に大事な位置づけになるかというふうに思っております。
 そこで、十七年度の監査の結果として、先ほど指摘を二百件以上行ってきたということですが、どのような指摘を行ったのか、具体的な事例を若干引いて、お伺いしたいと思います。

○皆川監査事務局参事 具体的な事例ですが、監査委員は、法令等にのっとって適正に行われているかという合規性の観点はもとより、経済性、効率性、有効性の観点からも監査しております。指摘事例の一例を申し上げますと、合規性の観点では、ダンプカーの積載量は道路交通法等に定められておりますが、都が発注した建設工事から発生する土砂等の搬出量を見たところ、過積載が認められたので、局に対し、工事請負業者を適切に指導監督するよう求めたものや、経済性、効率性の観点では、都立高校のパソコン教室におけるOAフロア等が、リース期間終了後も低価格で利用できるのに新品に取りかえ、一校当たり六百万円程度が不経済支出となったもの。有効性の観点では、事務所敷地内に来客用の駐車スペースが十分確保されているのに、好立地にある売却予定地千二百二十五平方メートルを来客用駐車場として使用しており、土地が有効に活用されていないものなどの指摘を行ったところでございます。

○ともとし委員 今、聞いただけでも貴重な指摘があったというふうに認識をさせていただきます。これは単に監査委員、その人たちだけで、とてもじゃないけど、できる内容であるというふうには思ってはおりません。当然、それを補佐すべき監査事務局の職員が、本当にある意味でのプロの意識を持って、そうした業務に従事している、その一つの証拠がこうした貴重な指摘になってくるのかなというようにも思っております。
 ある意味では、こうした指摘をすれば、その監査対象になりました局からすれば不名誉なことでもありますので、風当たりも非常に強くなるものかなというふうに思いますが、毅然として、そうした指摘を行っていくことが、まさに都の行政を円滑に進めていくことであり、また、その前提になるものが、まさに公正であり、不偏な態度であるかというふうに思っております。
 引き続き、こうした態度の中で監査はやっていってもらいたいものだなと、このように思うんですが、最近では、そういう中にあってもIT化だとか、あるいはまた我が党からもいろいろとやり方等については注文をしましたところの複式簿記ですとか、発生主義会計、そういったものが導入されて、新しい手法になってきているわけですが、監査も従来のやり方だけではなくて、新たな取り組みや工夫が必要かなというふうに思います。膨大かつ高度化する都の行財政運営に対しまして、適切な監査、そうしたものを実施していくためには、事務局はどのような取り組みや工夫をされているのか、その辺もお伺いしておきたいと思います。

○皆川監査事務局参事 取り組みや工夫についてでございますが、各監査において、膨大な監査対象を限られた人数、時間で効果的、効率的に監査を行うため、全局を対象とした重点監査事項を設定するとともに、局、事業ごとに着眼点を明確にし、監査を行うなど、監査実施方法の充実を図っております。
 また、平成十六年度から外部の専門家へ監査の基礎となる調査を委託し、民間の監査手法を取得するなど、専門性の向上に努めております。
 今後は、今年度から導入された複式簿記、発生主義会計により作成される財務諸表の監査を着実に実施するために、公認会計士を任期付職員として採用するなど、さらなる専門性の向上に向けて取り組んでまいります。

○ともとし委員 役割を適切に果たしていく、時代の変化に対応した取り組みが求められている、その意味で監査の質の向上、それを目指して積極的にさらに行っていただきたいものだなというふうに思います。
 これまでのさまざまなやりとり等があったわけですが、監査委員、そしてまた事務局が複雑な、あるいはまた高度化するところの、この都の行財政運営に対して、ある意味では全体として適切に監査を実施しているというふうに私は評価をしているところでございます。しかしながら、本委員会で問題となっております後藤議員の発言は、前回の委員会で局から説明があったように、式根島における工事に関して、監査をやっているのか、やっているんだったら、担当者までぐるになっているのかという発言の内容でございました。この発言の内容、たった一件でも、監査において不正なことが行われていれば、まさにチェック機関としての役割はみずからが放棄したという、そういう内容になってくるんではないかなというふうに思います。
 率直に伺います。後藤議員のこの発言の内容、監査委員、担当者までがぐるであるというこの発言、そのような事実があったのかどうか、伺っておきたいと思います。

○皆川監査事務局参事 監査委員及び監査委員を補佐する事務職員は、公正不偏の立場から厳正に監査を実施しております。後藤議員のぐる発言の趣旨が、式根島の工事の件で、監査事務局の職員が不正に手をかしたということであれば、そのようなことは断じてございません。

○ともとし委員 そのことをはっきり聞かせていただきまして安心するわけでございますが、しかしながら、逆にいわせていただくならば、後藤議員のこのぐる発言というのは、まさに無責任きわまりなく、監査委員、あるいはまた監査事務局にとっても見過ごせない、そういう問題であるかというふうに思いますが、この点についての見解はいかがですか。

○皆川監査事務局参事 先ほど申し上げたような趣旨であるとすれば、公正かつ効率的な行財政運営の確保のために、限られた人員で効率的、効果的に、また公正不偏の立場に立った監査を行うべく努力している職員の職務を理解していただいてないのではないかと思います。
 また、真摯に職務に励む職員の名誉を傷つけるような発言は、事務局としてまことに遺憾であり、事務局だけでなく、監査委員の信頼と名誉に関する問題と考えております。

○ともとし委員 まさに監査事務局としては、その気持ち、今のご発言の気持ちそのまんまじゃないかなというふうに思います。本当にたった一つのこの発言によって、その委員会に来ているところの皆さん方、あるいはまたその委員会を傍聴している方がいたとするならば、そうしたことを含めて、あるいはまた、そうした情報を得たマスコミ等を含めながら、もしかしたらという、そういうような危惧を得る、そういうような内容になってくる。
 先ほど谷村議員が威力妨害について風説の流布という話をしておりました。この委員会の中の発言で、東京都の監査は、それこそ問題を起こしているそうしたところとぐるとなって、とんでもないそういう状況を起こしている、これがひとり歩きして、まさに風説の流布になっていったとき、都民は、まさに東京都におけるところの行政に不信を抱くと思いますし、同時に都議会についても同様な感じが出てくるんではないかというふうに思います。そのこと一つを見ても、本当に一人の議員の行動、発言、それが大変な重きを持っているものだと、私は後藤さんに対して、ある意味では反面教師として、これは自分としても注意しなければならないなと、そんなふうにも思いました。それをすべての都議会議員が同様に思い、みずからの調査権、そうしたようなことも含めながら、まさに都民のための調査であって、一党一派の、ましてや個人たる議員の調査じゃないんだと、そのことを前提にしなければならないんではないかということを強く感じさせていただきました。
 私は、東京都の監査事務局並びに監査委員の皆さんがやられている監査については全面的に信じておりますので、そのことをいわせていただいて、質問を終わります。

○曽根委員 日本共産党都議団としてのこの問題に対する基本的立場は、先ほど古館議員の方から明らかにさせていただきました。その上で、その前後の質問の中で、一つは、府中病院に対する後藤議員の調査活動については、知事から異例中の異例ともいえる都議会議長あての抗議の文書が来ていると。したがって、都議会全体に投げかけられた問題であるから、後藤議員の調査活動、または都議会一般についても調査のあり方を議論していく必要があるというような意見があったかと思います。しかしこれは、何らかの制約を、議員の個人の調査活動に制約を設けていくということにつながりかねない危険があります。
 私たち日本共産党都議団も、ご存じのとおり、後藤議員の調査のやり方、議会での発言、総務委員会での議論も含めて、それが議員として適切、妥当なものであり、みんなが納得できるものであるかといえば、そんなことはないと、何だとあれは、というような感想を当然持っている点では皆さんと共通しているかと思います。しかし、そういった個人の議員の発言や言動によって議会全体の品位が汚されているという状況を克服しようとするときに、大切なことは、先ほど来いわれておりますように、目的は手段を正当化することはできないという点では、私たちがこうした状況について、どうやってまともな議員活動を全員がやれるようにするのかと。それを目指すときの、その手段、方法もまた、非民主的なやり方であってはならないということは、これは論をまたないわけであります。当然、手続として、議会のあり方を踏まえて行われなければならないと思います。
 そこで、先ほど議員の調査権についての議論がありまして、これも明らかなことですが、後藤議員の府中病院への調査活動というのは、知事の文書でありますように、都議会の調査権の逸脱というような指摘がありましたが、都議会の調査権に属するものでは一切あり得ないと。つまり議員個人には議会の調査権というのは存在しない。したがって議員個人が調査活動を行うということは、あくまで議員個人としての責任において、一般市民以上の特権を持っているわけではないということを踏まえて行わなければならないんで、当然常識的な態度が要求されるということです。したがって、これは都議会の議会活動、調査活動一般に敷衍することはできない問題だというのは明らかなんです。
 しかも後藤議員の活動は、この場合、議会外で行われた言動であって、議会外の議員の言動については、議会の、例えば懲罰の対象にはなり得ません。したがって、あくまでこれは一般市民としての、いわば法的に問題があれば司直の手で捜査追及され、司法の場で判断されるという問題として扱わざるを得ないというのが法的な扱いの原則だと思います。
 そこで、これを具体的にちょっとお聞きしておきたいんですが、例えば先ほど威力業務妨害という問題が提起されました。確かに私たちもそういう法的な問題が生ずる危険性がなしとはしないという個人的な感想を持っておりますが、では、法的に問題があるかどうかという問題について、だれが何の権限において最終的な判断をし、結論を出すのか。この点については、先ほどもご答弁がありましたが、改めて確認のためにお聞きしたいと思います。

○中村総務局参事 それぞれ、先ほど来、いろいろな罪名について、ご質問等、それから構成要件等についてご説明をいたしました。
 刑事事件になるかということになりますと、担当している部署によります被害届等、あるいは公務員としての告発義務、そういったようなものから出発しまして、順次刑事手続が進んでいくということで、最終的には刑事裁判所の裁判官が判断するということになろうかと思います。これは先ほどからご説明しているとおりでございます。したがいまして、今のご質問については、そういうことでご答弁とさせていただきます。

○曽根委員 結論ですけれども、私自身も昨年百条委員会を経験しまして、議員に対する、いわば制裁を同僚の議員として科すという厳しい選択が迫られるという場面に遭遇したわけです。そのときも、百条委員会という極めて権限の強力な委員会にあってすら、宣誓の上での証言、証言の中での偽証の立証ということを前提としなければ、議員個人を、いわば告発するという重大な決断を下すことはなかなかできないということを私も経験しました。ましてや、本人を呼び出しても、出る責任も本人にはないという、そういった制約の中でのこの委員会の中で、議員個人の法的な問題までも糾明していく最終的な権限を持たないというふうに判断せざるを得ない。
 私はその点で、今、出された問題については、あくまで司法の判断にゆだねるべき問題であって、先ほど来、古館議員が申し上げておりますように、後藤議員の調査活動については、これは当委員会をわざわざつくり上げてやる、調査をしていく必然性はないということと、ましてやこれを議員一般に広げて、今後都議会全体の調査活動について何らかの制約を設けようなどということは、これはまさに都議会としての命取りになりかねないということをあえて申し上げて、質問を終わります。

○野島委員 既に質疑重複をしております。極力避けてと思いながら、大体世の中の争いは、全体像で議論すれば見解の相違ということで違ってくることはあると思います。一部だけ取り上げますと、いった、いわないの争いになっちゃうと思うんです。大変重要な委員会でありますので、全体像の中で私はきょうは発言をさせていただいて、もしご意見、ご批判があれば、全体像を見た上で私に対する批判は甘受をしたいと、こう思っておりますので、委員長、重複は避けたいと思いますが、そんな思いで質問しますので、あらかじめご了承いただきたいと思います。
 世の中で一つの事柄、事象を論評する場合に、今申し上げましたように、全体にかかわるさまざまな制度や機能ってありますよね。行政だって一つの制度であり、行政の各セクションは機能をもっているわけです。それを明らかにした上で論評をしないと、私は正鵠を変えてしまう、こういうことになってしまうと思うんです。
 私、体質的に人様の発言を一言一言とやかくいうのっていうのは、根っから体質持っていないんです。しかし事が事だけに、今申し上げましたように、全体像を明らかにして何点かお伺いしたいと思います。
 私の質疑は昨年の十月二十五日の総務委員会における後藤議員の不適切発言、すなわち先日の当委員会における監査事務局長の方から、監査やっているのかよ、監査やっているんだったら、担当者までぐるになっているのかとの説明がございました。これは未定稿ということなんで、ここの部分だけで質疑するしかないんです。したがって、その部分を中心に何点かお伺いしたいと思います。
 ぐるというのは、あんまりいい意味には使われてないですね。いいことをぐるになってやろうなんてあんまり聞いたことがない。大体悪巧みをする仲間だとか共謀者と、こういうことのようでございますので、ある種、そういうふうに決めつけますと、犯罪者のようなイメージを思い起こさせるんですね。いわんや、一言の事実の摘示もなく、おまえはあいつとぐるでないかといわれたら、それは何いってんだという気持ちになると思うんです。具体的にいわれれば、なるほど、それは私の反省するところだと。なるほど、それは悪かったとか、こういうことになるかと思うんですが、いわば一方的に断罪をしたり、あるいは公の場の発言で、何々職員はという言葉がなければ個人名は特定できませんけれども、ほかの情報と合成すれば個人名は特定できるわけです。この監査は、監査事務局のだれがどうしたのというのは、できるわけです。そういうふうにいたしますと、私は極めて当該人の名誉を傷つけるものになるというふうに思っておりますし、先ほどともとし理事の方から監査制度のお話もございました。監査制度の信用失墜にもつながりかねない、こんなふうに思っております。
 そこで、まず私なりに監査制度とか、そういうのをちょっと、足りない頭なりにいろいろやってみたんです。いささか無味乾燥なコンメンタール的になっちゃって申しわけないんですけど、まず私の概観を申し述べまして、その上で質疑をさせていただきたい、こんなふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 まず、行財政運営を行うに当たって、執行機関、これへの牽制機能としては、当然のことながら自治法が予想しておりますこの議会制度というのがあります。いわゆるチェックアンドバランスみたいな言葉を使いますけれども、私ども議員は常日ごろ、執行機関の執行状況を調査、あるいは確認し、議会の場を通じて適正かつ効率的な行財政運営の確保に努めていく、こういうことが大切だろうと、まず第一点、思ってございます。
 次に、行政というのはある種、性善説なんです、明治の太政官制度以来。悪い言葉でいうと、市民をこちらに寄せつける、しかしものは、情報とかなんとかは与えなくていいよという、こういうものが明治の太政官からずっと来ているんです。戦後民主主義でいろいろな制度的な改正がなされて、私はかなり、そういう部分では開かれた行政となってきたというふうに思っております。
 そういう中の一環として、行政内部の牽制機能として監査委員制度がある。先ほどともとし理事の方からお話があったとおりだと思うんです。いわば自治体の必置の機関でありまして、行政委員会という第三者的な立場から、行財政運営が公正かつ効率的に行われているか、これらをチェックし、行政の適法性、法にのっとってやっているのか、その行政行為は妥当なのか、こんなことを検証することが役割だろうと、こういうふうに理解をしております。
 このような監視機能は、何も行政の行政委員会である監査制度にとどまっていないわけですよね。とどまっておれば、監査が一番強いんです。この紋どころが目に入らぬかといって、監査の印籠か何か出しちゃえば。しかし、それは相互牽制機能ですからあり得ない話でありまして、その上で住民にも監視機能が与えられているというように思っております。地方自治法では住民の直接請求権の一つとして住民監査請求制度が設けられておりますし、仮にそれを請求して、その結果に不服があるとするならば、もちろん監査前置主義というのはありますけれども、住民訴訟に移行することもできるわけでありますし、また刑事告発、あるいは民事訴訟、こういった訴訟を通じて行財政の運営上の違法な行為、あるいは不当な行為を監視、是正していく、こういうことは私たちがいろんな事例の中で多く見聞しているところであります。
 実際、先ほど未定稿とお話をしましたけど、さきの報告によりますと、総務委員会で発言されたといわれる式根島の件、これについては住民監査請求もなされている。住民訴訟がその後提起されている。司法の場で争われているわけでありますし、刑事告発もされている、こういうことだろうと思うんです。
 私は、これらは監査が機能しなかったからこうなったとか、そういうことじゃないと思うんです。いわば、私たちが行財政運営に係る、今いったそれぞれのチェック機能、あるいは監視機能、あるいは行政法規以外のさまざまな法規が有機的に動きながら、それぞれの問題を処理していくという、こういう認識の中で、法が当然に予測していることなんです。私はそんなふうに思っているんです。したがって、法の予測されることをなされていることは、どうぞ、そのことはそのこととして認識しました、こういうことになると思うんです。それと、だからイコールぐるになっていたんじゃないかという発言というのは、これは全く別ものですよ。だって法令の中で予測していて、このジャンルじゃ決着つかないから、このジャンルで決着つけよう、これは告発権はあるけど、私人に刑事訴訟の公訴権はないんだから、全部法律の予想している範囲内でやっているというふうに思いますので、そのことはそのこととして受けとめていきたいと思ってございます。
 申し述べたように、行財政運営をチェックする役割は、それぞれ法令等によって手続、権威、権限、権能、こういう範囲内の中でそれぞれ役割をしょっていかなければ、先ほど谷村委員の話にありましたように、どこかが一つだけ強くなれといったら、それは今の世の中、銭持っている、何をやっているんだ、これが一番強いわけですよ。それはあり得ないんです。むしろ極めて民主的であろうというふうに思っています。
 そこで、監査委員制度は地方自治法に基づく制度でありますので、その権限、あるいは地方自治法に定められた範囲が当然あるわけでありますから、監査委員には権限行使において、それらをやっていくということで、例えば書類がどうのこうので、じゃあ、捜査すると。そこのセクション全部差し押さえの権限なんてないんでしょう、監査委員。そうだよね。そういうもんなんですよ。いわば強制力を伴ってそういう捜査をしているとかいう権能はないわけです。それはそれで、だめだというんじゃないです。それはちゃんとほかの機関が持っているんだから、そういうふうに私は認識しています。
 こんなふうに考えますと、私も議員にも冒頭申し上げましたように、いろいろ調査や確認をしながら、発言を通じて、あるいは行動を通じてやっていく必要があるんだろうというふうに思っております。当然のことながら、それらの権利は、あるいは権能、これは法令や議会規則の範囲内でです。先ほど市民団体だとか、あるいは市民としてというのがありました。私はそんなこと一言も否定しない。そのことと、議会で議員が議員の調査権というものに基づいて発言するということは、これは全く領域が別だと思っています。そんなふうに思っておりますんで、私もこれから言葉遣いに十分気をつけなきゃいけない、こんなことを強く認識しているものでございます。
 それから、議員が、あるいは議員じゃなくてもいいです。こういう公の場で、あるいはたくさんの人がいる場で発言するというのは、重みと責任、こういったのが当然伴うというふうに思うんです。政策のけんかは、その人の人格をとやかくいったり、人格者じゃないというふうに申し上げたり、あるいは役割を果たしてないとか、あるいはそういう政策をやるのはほかの執行部局とぐるになっているだろうとか、こういう発言というのはそんなに聞いたことないです。個人の行為、行政機関の職員としての行為に対して何かを申し上げる、あるいは監査なら監査という機関に対して何かを申し上げる場合には、私は軽々な発言はすべきでないと思うんです。仮に人的な評価をするんであれば、やっぱりそれを発言する、しかるべく事実関係を摘示してやらないと、先ほどいったように、つながりがない話というのはだめなんです。つながりがあっていわれれば、私も常にいろいろ反省することがたくさん多いですけど、おまえはだめだといわれるんじゃなくて、これこれしかじかこうだからだめだと。その上でこうした方がいいよという指導があれば、信頼関係というのは、むちゃくちゃその人と高まるんです。公の場における発言なんていうのは、私は特にそこを注意していかなきゃいけないんだろうというふうに思ってございます。
 いささか駄弁を弄しましたけれども、以上のような前提や、私自身の問題意識に立ちまして、平成十七年十月二十五日の総務委員会におけるぐる発言が適切かどうか、こんなことでお伺いしていきます。
 先日、いろんな資料もいただきました。私なりにいろいろ調べてもみました。そしてまた、先ほどはともとし理事の質疑に対しまして、具体的に事例を述べながら、監査委員監査とはどんなものか、こんなことをご答弁いただいたわけでありますが、改めてその理念や目的、こういったことについて見解をお伺いしたいと思います。

○皆川監査事務局参事 監査とは、第三者的立場から行財政運営が公正かつ効率的に行われているかチェックすることであり、地方自治法に基づく監査委員制度の理念は、常に公正不偏な態度を保持して、住民の立場に立って、公正で合理的かつ効率的な行政を確保することにあります。
 また、監査の目的は単に不正、または非違を摘発することにあるのではなく、行政の適法性、妥当性等を検証することでございます。

○野島委員 ありがとうございました。そういうことだろうと思うんです。
 そこで、先ほど資料でよく見たんですけれども、確認の意味なんですが、どんな手順をしながら、具体的にこうやっていって、それでこういうふうな改善点だとか、いろんなことを指摘していく、どんな手順で進めていくのか、お願いしたいと思います。

○皆川監査事務局参事 監査の手順でございますが、まず監査を効果的、効率的に実施するために、各種監査の実施計画を策定いたします。この計画によりまして、知事等に監査の実施を通知するとともに、監査に必要な資料の提出を依頼いたします。知事等から提出された資料をもとに、着眼点等を決定したり、工事監査については、実地監査する工事案件を抽出するなど、事前準備を行います。次に書類調査、ヒアリング、現場調査などを行い、収支状況、契約の履行状況等を確認いたしまして、その結果、疑義がある事項については関係局にさらに確認してまいります。
 このようなことを通じまして、最終的には監査委員の合議で監査の結果を決定し、監査の結果を議会及び知事等へ提出するとともに公表しております。

○野島委員 一連の流れはわかりました。今回の問題発言の背景には、式根島の工事案件があったというふうに、未定稿ですが、先般の監査事務局長発言も含めて理解をしております。
 工事が適正に行われているのか、成果品、いわば契約して、こういうものが欲しい、あるいはこういうものをつくってほしいと、こうなるわけです。こういった件が確定の中で、当然のことながら、監査事務局が担当者が何千人かいて、全部おれたちがその成果品を得るまでのプロセス、例えば鉄筋が何ミリだとか、あるいはコンクリートはどのくらいの固さがなきゃいけないとか、あるいはテレビはちゃんと映んなきゃいけないとか、そういうものをするわけじゃないでしょう。いわば執行局というのがあると思うんです。そういったふうな執行局、いわば事業局が行う行為というのかな、僕も少し行政にいたんでかいま聞いているんですけど、監督員を置くとか、あるいは現地に出向いて相手方の納めてくれるであろう成果品の途中品を途中で検査しなきゃいけないという、こういうこともあったというふうに記憶しているんです。
 そういう手続と、今伺った監査委員の監査、とりわけ今回の場合、工事案件でありますから、技術面から、どんな形で行われているのか、こんなことをお伺いしておきたいと思います。

○皆川監査事務局参事 まず事業局が行います工事の監督・検査についてでございますが、監督とは、契約の履行の途中の段階で、契約内容に適合させるため必要な指導等を行いながら、その過程を確認するものでありまして、検査とは、履行を完了した段階で、その履行が契約内容に適合しているかどうかを最終的に確認するものでございます。
 監督と検査は、ともに契約の適正な履行を確保するという同一の目的で事業局が行うものでありますが、その時点及び方法において、今ご説明いたしましたように異なっております。これに対し、監査とは、第三者的機関である監査委員が、工事完了後、設計や積算が適切か、契約が適正に履行されているか、さらには事業の経済性、効率性、有効性が確保されているかを主眼として行うものでございます。

○野島委員 今の答弁を伺いまして、いわば監督は工事履行中に、検査は工事が完了した段階で、途中の製品検査もあるのかもしれませんがね。監査は検査終了後に行う、こういうことでよろしいわけですね。
 そうしますと、事業局が監督している、あるいは検査を行う、ここには監査が関与する余地というのはないわけです、制度論的にね。また冒頭に、監査の目的そのものは、不正や非違を摘発することにあるのではないとの答弁をいただきました。監査委員に捜査権がないというのは先ほど申し上げましたけれども、これを合わせ考えますと、監督や検査などの契約に関する必要な書類が整備されている。こうしますと、仮に不正が工事中にあったと。しかし、このことは監査委員としては制度の中ではいかんともしがたいわけです。そうですよね、制度の中ではね。そういう意味では、私はさっき申し上げました、そのことをもって、結果、こういう不正があったから、それをチェックできなかった監査制度がぐるになっているとか、そういうことには僕は制度としてなり得ないと思います。
 何をいいたいかといいますと、私は今までいろいろ質疑をしてきました。いわば監査委員制度は一連の法令に従って全知全能である、不正を摘発すると。なおかつそれで加罰権も有しているぞと。裁判所機能も全部持っているんだよということではない、いわば自治法に認められた範囲の中で監査をやっていかなければならないということだと思うんです。
 制約というのは、いろんな行為をしていく上で、ぐる発言じゃないけど、イメージとして何かを消極的にとらえるとか、あるいは本来こうあるべきだけれども、これこれだからできないというふうな、いわば制約がある制約があるといいますよね。だけど私は、それは制度に内在する約束事だと思うんです。だから、制約というふうに私は理解をしているんです。
 そんなことを考えますと、仮にですよ、すべての案件にわたって一寸のミスもない、あるいは一つの相手方の不正も許さない、あるいはミスも許さないということをつくり上げますのには、監査委員の事務局を役所の中で一番多くして、それで毎日監査すればいいんです。それで、この監査の人がぐるになって悪いこともするかもしれない。監査を監査する監査の担当を置けばいいんです。それは、コストアンドパフォーマンスと行政性善説と、それができないからとんでもないという理屈にならない。だってさっきいったように、それぞれが制度として機能するようになっているんだから。そういう意味では、私はいろんな意味で監査事務局のある種の、とんでもないということを追及する人から見れば、制約であり、監査は機能を果たしてないということになると思うんだけど、法制度論や機会均衡論でいったら、それはそれでいいんです。いいから、監査の人は適当に仕事をしてくださいということをいっているんじゃないんですよ。監査の人は監査の人で与えられた部分をしっかりとやる。それも抜け落ちたり、その目をごまかそうということになって、市民が監視するんであれば、住民訴訟にも行き着くわけだし、司法にも、刑事、民事からのアプローチができるわけだから、僕はそういうものだというふうに理解をしています。そういうもんじゃないという見解があればまた後日お聞かせしていただければと思うんですがね。
 次に、問題発言のきっかけとなった島しょ部、この監査についてちょっとお伺いしておきます。先ほどともとし委員の質疑に対して、莫大な部分をやっていて、僕は大変だと思いますよ。そういう意味では、たまたまこれが、私が聞く限りにおいては島しょにおける式根島ですか、そこの問題がバックにあるようでございますので、地理的に区部というのがありますよね。それから私は三多摩に住んでいるんです。そうすると、島がありますよね。そういったふうなさまざまなところがあるわけです。そうすると、監査事務局とて、それなりの人員と予算でやっていかないといけない。工事はたくさんある。さっきいったルールに従って、期間中のさまざまなチェックは監督があり、事業執行局の権能もあると、こういうことだろうと思うんです。そんなので、私は多摩なんですが、どんなあんばいでその辺が違っているのか、違っていないのか。監査の持つ理念や手続についてはわかりましたんで、その辺、多摩の方、私は新座との境なんで、そんな方にはめったに行きませんということなのか、そんなところがあったらお聞かせをいただきたい。

○皆川監査事務局参事 工事監査のやり方についてですが、島しょにおける工事監査も、区部や多摩地区における工事監査も、基本的には同様でございます。いずれも、先ほどご答弁いたしました監査実施の手順に従いまして適切に実施しているところでございます。
 工事監査の具体的方法ですが、工事請負契約等について、契約書、設計書、検査調書等の関係書類を精査するとともに、書類調査における疑問点について説明を聴取いたします。さらに必要がある場合には、現場に赴き、工事の履行状況を確認するなど、技術面から実施しております。なお、島しょにおいては、地理的条件などから、四支庁を順次、原則として四年に一回、実施しております。

○野島委員 わかりました。監査の実態についてはそういうことでご努力いただいているというふうに理解をいたします。
 限られた職員で効率的にやっていくと。東京都のこれだけの部分でいろんな工事案件、あるいは物品購入、こういったのは相当な額があると思うんですけど、それをしっかりと監査をしていくと。それぞれのセクションの持つ権能に従ってと、こういうことだろうと理解をしております。
 最後に、問題とされています、このぐる発言について伺いたいと思うんです。
 平成十七年十月二十五日の総務委員会において、この不適切であろうとされるぐる発言がなされた、こういうことでございます。前後の部分が全部あればいいんですけど、未定稿という扱いのようでございまして、前回の委員会においても、ここの委員会においても監査事務局長から説明があったわけでありますけれども、記憶の範囲内で結構でございますので、もう一度、前回の説明と重複してもよろしいですから、その辺のことを答えていただきたいと思います。

○皆川監査事務局参事 速記録が確定しておりませんので、不確実な部分もあると思いますが、後藤委員から、島しょ地域の工事監査に関するご質問があり、島の方の監査がちょっといいかげんではないかと思われる節がある、厳密な監査をやるべきだという趣旨のご質問がありました。これに対し、島しょの監査も都内の監査と同じ視点で行っていることなどを答弁いたしました。すると、後藤議員は式根島の工事の例を挙げて、監査やってるのかよ、監査やってるんだったら、担当者までぐるになっていいのかという趣旨の発言があったと記憶しております。

○野島委員 皆川参事は当日、その委員会には出席をされていたんでしょうな。

○皆川監査事務局参事 当日、私も発言者として発言いたしました。

○野島委員 それで、当局側というのかな、監査事務局の方で答弁したのも事務局長じゃなくて皆川参事が答弁したんですか。

○皆川監査事務局参事 先ほどの、島しょ地域の監査も都内の監査も同じ視点で行っているということを発言したのは私でございます。

○野島委員 わかりました。やっぱり当事者の発言というのは重いですからね。監査事務局長がこの間事務局長になったばっかりで、その当時の人からいろんな話を聞いたって、つじつまが合わないとはいわない、やっぱり信憑性というか、そういうものというのは、私は当事者が一番重たいというふうに思っているんです。それだけに責任も伴う、こういうことだと思うんです。私も世の中、自分のこと以外は全部他人ごとですから、自分のことだけは責任を持ちたい、役割を果たしていきたい、こういうふうに考えています。余計なことを申し上げました。
 それで、冒頭、私が申し述べたように、政策の問題じゃなくて、人や機関を評価する、こういうことになると思うんです。私は、そういう意味ではやっぱり軽々しい発言は慎まなきゃいけないと思っているんです。
 具体的な事実関係を示して、これこれしかじかだから、したがってこういうことはだめだと。それはあなたの職員としての資質が疑われる、あるいは人間としてやるべきでない行為をしていると、こういうことであれば、なるほどというのも出てくるかもしれない。事実関係が不明であれば、しっかりとそれらの質疑等を行った上で評価するべきだろうというふうに私は思っているんです。多分、皆さんもそう思っているんじゃないかと思うんですよ。
 そういうことからしますと、さっきの総務委員会の質疑状況も、当時の記憶を思い出しながら、答えられる範囲内で答えていただいたというふうに思っておりますけれども、担当者もぐるになってという発言は、あたかも監査の担当者が不正に手をかしているという意味に受け取ることができるわけであります。そのことは、本当にぐるになってやっていることだから、不正に手をかしている事実を摘示して、そういうことがあれば、なるほどというふうになるでしょうね。
 そこで前提として、私のいろいろ知る限りでは、そのような前提を正確に摘示し、あるいは質疑を積み重ねてなさったのか、いわば具体的な指摘があったのかどうか、こういうことをお伺いしたいと思います。

○皆川監査事務局参事 平成十七年十月の総務委員会で、先ほど私が答弁をしたものということでご発言いたしましたけれども、どのような事実を前提としてぐるといったのか、具体的な指摘はなかったと記憶しております。

○野島委員 ありがとうございました。委員会に出席されておった参事の方から話を伺いました。
 私は、繰り返しになりますけれども、一方的に決めつけていく、こういうことがあってはならないと思います。いろんなやりとりの中から、いわれてみれば、それはなるほどと思うに至るところもあると思うんです。僕ら、人間として生活している。しかしそれは、ちゃんといってくれないとね。後味の悪さと、あらぬ揣摩憶測と、あらぬ信用失墜と、ぎすぎすした人間関係になってしまう。あるいは執行側と審議側のある種の信頼関係--見解の違いはいいんです。どんなことがあったって、それは構わないです。しかし冒頭いった、人が人を評価していく、あるいは機関を評価していくというときには、私はそれはあってはならないと思う。
 きょうは、参事からその当時の具体的な話をお伺いすることができました。後日、ぜひ、もう一方の当事者である後藤議員からもその辺の事情がお聞きできれば大変ありがたいということを最後に委員長に申し上げて、私の方の質疑を終わります。ありがとうございました。

○川井委員 先ほどより複数の委員から、府中病院の視察及び参考人招致についても要望が出ておりますし、また委員長も後ほど協議をと締めくくっていただいておりますので、この際、理事会を開催して、すぐに協議をしてもらいたいと思いますが、よろしくお取り計らいいただきたいと思います。

○服部委員長 それでは、府中病院への視察及び参考人招致につきましては、ここで委員会を中断して、理事会で協議したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 それでは、そのようにさせていただきます。
 この際、議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後五時四十三分休憩

   午後六時六分開議

○服部委員長 それでは、休憩前に引き続き委員会を開きます。
 初めに、視察の実施についてを議題といたします。
 お諮りいたします。
 現場検証のため、府中病院の視察を九月八日に実施することについてご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 次に、参考人招致についてを議題といたします。
 お諮りいたします。
 参考人として、府中病院の当時の事務局長を招致することについてご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
 この際、お諮りいたします。
 本件につきましては、まだ発言があるかと思いますが、本日はこの程度にとどめ、後日の委員会において質疑を続行いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時七分散会

ページ先頭に戻る