令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和七年十月二十二日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長成清梨沙子君
副委員長田村 利光君
副委員長かまた悦子君
山口せいや君
細貝  悠君
竹内  愛君
村松としたか君
山口  花君
もがみよしのり君
高橋まきこ君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長梅村 拓洋君
管理部長女性活躍推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
警察・消防出納部長直井 克彰君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務菊地 顕行君
監査事務局局長安部 典子君
監査担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務水野  剛君
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務稲垣 敦子君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長佐伯  亮君
財産運用部長松井  裕君
建築保全部長金子 陽子君
技術管理担当部長検査技術担当部長兼務三宅 雅崇君
政策企画局局長佐藤  章君
外務長桑原  敦君
次長理事兼務土村 武史君
技監朝山  勉君
戦略広報調整監理事兼務久保田直子君
総務部長早川 八十君
政策部長大出  仁君
特区・規制改革担当部長自治制度改革推進担当部長兼務田中  健君
戦略広報部長鈴木  成君
戦略広報担当部長伊藤 正勝君
戦略広報担当部長企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務波戸 尚子君
計画調整部長小松 義昌君
計画調整担当部長清水 良誠君
計画調整担当部長千田  敏君
計画調整担当部長有江 誠剛君
外務部長天津 利男君
外務担当部長工藤 忠仁君
国際戦略担当部長西田雄一郎君

本日の会議に付した事件
令和六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和六年度東京都用地会計決算(質疑)
・令和六年度東京都公債費会計決算(質疑)
政策企画局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)

○成清委員長 ただいまから令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、監査事務局、財務局及び政策企画局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 去る十月十日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙の次のページ、目次をご覧ください。
 今回要求のございました資料は一件でございます。
 一ページをご覧ください。要求資料第1号、財政調整基金から歳計現金への繰替運用に係る実績(過去十年分)でございます。
 歳計現金に一時的な資金不足が見込まれた期間に、内部資金である財政調整基金から資金を融通するために行った繰替え運用について、年度別に期間、繰替え額、利子相当額を記載してございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○成清委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山口(せ)委員 公金管理について伺います。
 我が会派は、基金の運用により得られる運用益を、教育、福祉、産業振興などの未来への投資に充てることで、より持続可能な東京の実現が可能になると考えており、ワイズスペンディングの一環として、基金運用について外部有識者を入れ、有効な運用方法を検討し、税外収入の柱とすることを求めてまいりました。こうしたことは、令和七年度予算要望においても、我が会派の重点要望事項に盛り込んでおります。
 これらを踏まえ、先日の第三回定例会での我が会派からの質問に対する答弁にもありますように、都は現在、公金運用の積極化に取り組んでいると認識しております。令和六年度は、まさにこうした積極運用にかじを切る過渡期であることから、どのように取り組んできたのかを改めて確認させていただきます。
 まず、令和六年度の公金管理実績について、確認の意味を込め、種類別に実績を伺います。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 会計管理局では、日々の支払いに充てる資金となる歳計現金等のほか、特定の事業目的のために積み立てている基金、準公営企業会計資金の合わせて三つの公金について管理しております。
 令和六年度の実績について、歳計現金等の運用収入は十五億六千四百六十三万円、利回りは〇・〇八八%、基金の運用収入は四十九億四千四百七万円、利回りは〇・一二八%、準公営企業会計資金の運用収入は八億七千三百九十二万円、利回りは〇・一一〇%でございました。これらの公金全体での運用収入は七十三億八千二百六十二万円、利回りは〇・一一五%となっております。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。
 公金全体の年間収入は七十億円を超えたとのことであり、中でも基金での運用収入は約五十億円と、運用実績に大きく影響しており、やはり基金の運用方法が運用収入の拡大に重要だと考えております。そのため、本日は、基金を中心に議論をしていきたいと思います。
 そこで、令和六年度の基金の運用においては、どのような考え方で運用したのか伺います。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 運用に当たっては、毎年度策定する公金管理計画において、具体的な商品や想定ポートフォリオを設定しており、基金につきましては、各基金の設置目的や、積立て、取崩しの予定に適切に対応できるよう、金融商品や運用期間を設定することとしております。
 令和六年度においては、預金と債券の割合を約七対三とした上で、預金については主に都市銀行や信託銀行で、債券については主に中長期の地方債や財投機関債等で運用いたしました。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。様々な基金の目的や取崩し予定を踏まえた上で、商品選択や期間設定を行ったとのことであります。
 一方、令和六年度は、年度後半から、いわゆる金利のある世界が到来して金融経済情勢が変化していきました。
 そこで、金融情勢の変化を踏まえた基金の運用について、外部有識者からどのような意見があったのかを伺います。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 外部有識者からは、公金であるため安全は最も大事であり、安全性、流動性、効率性という優先順位は崩すべきではないものの、三要素の適切なバランスを考えていくことは必要であるとの意見がございました。
 また、金利上昇局面の中、より高い利回りが見込める債券の割合が約三割となっており、今後割合を高めていくことが合理的であるとの意見がございました。
 さらに、流動性を確保するとともに、より高いレートでの収益を得られるよう、短い年限での運用も組み入れるべきであるとの指摘や、時期を分散して購入することの有効性を指摘する声もございました。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。外部有識者の方からは、金利上昇局面の中、より効率的な運用を行うべきといった趣旨の意見があったとのことであり、まさに我が会派が主張してきた内容と同じ見解が示されたと理解いたしました。
 そうした外部有識者の指摘を受けて、都はどのように対応したのか伺います。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 外部有識者の指摘も踏まえ、令和七年度の公金管理計画の中で、債券割合を令和七年度からの二年間で段階的に四〇%まで引き上げることとしたほか、流動性を確保しながら金利上昇の果実を得られるよう、一年から三年物など比較的短期の債券の購入規模を拡大いたしました。
 また、さらなる政策金利の引上げを見据え、債券の購入時期を計画的に分散することといたしました。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。金融環境の変化に対応すべく、外部有識者の意見を聞きながら公金管理計画に反映させ、着実に積極的な運用の取組を進めていることが確認できました。
 令和七年度に入ってからも、国内外の経済、金融環境は変化を続けており、これに伴って、公金を取り巻く環境も同様に変化をしております。
 都民の皆さんから負託された資金である公金について、引き続き専門家の知見を活用しつつ、安全性と流動性、これをしっかりと確保した上で、運用の収入最大化に取り組んでいただくよう改めてお願いし、質問を終わります。

○村松委員 新公会計制度について伺います。
 都は、平成十八年度に新公会計制度を導入し、本格的な財務諸表を作成、公表をしています。制度導入の目的の一つは、都民への説明責任を充実させることだと考えます。
 複式簿記・発生主義に基づく財務諸表は、従来の官庁会計では把握できない減価償却費や引当金などの情報を明らかにするものですが、一般の方には読み解くことが難しいとも考えられます。
 都民への説明責任を果たすためには、財務諸表を分かりやすく情報発信していくことが大切だと考えますが、都は、財務諸表について、都民に向けてどのように情報発信をしてきたのか伺います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 都は毎年度、決算参考書として約二百ページに及ぶ財務諸表を作成しておりますが、都民向けには、要点を図解でまとめた概要版を作成し、局ホームページ等で公表しております。
 この概要版では、主な内訳や前年度との増減に加え、都民一人当たりに換算した場合の資産、負債の状況や、財務諸表から分かる経営指標について、十年間の経年推移をグラフで掲載するなど、都の財政状況がより分かりやすく伝わるよう、内容の改善を努めてまいりました。
 加えて、ユニバーサルデザインの観点から、視覚障害者用音声コードを掲載し、誰にでも優しい情報提供に取り組んできたところでございます。

○村松委員 都がこれまで分かりやすい情報発信に努め、また、ユニバーサルデザインの観点も取り入れているということを評価いたします。
 しかし、紙前提の冊子の改善も大事ですが、今はスマートフォンやタブレット端末などから閲覧することが一般化をしております。ホームページの改善など適切に対応していくべきと考えます。デジタル技術なども活用しながら、より分かりやすく情報発信する必要があると思いますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 都民への情報発信につきましては、情報にアクセスしやすく、かつ、何がポイントなのかを分かりやすく伝えていくことが重要でございます。
 そこで、令和六年度決算の情報発信に当たりましては、局ホームページのリニューアルを行い、決算情報へアクセスしやすいよう、トップページに大きなバナーを設けるとともに、法定の決算書のほかに、都独自の決算参考書、複式簿記・発生主義会計に基づく財務諸表など、都が発信している情報について、図表も用いながら紹介したページを追加いたしました。
 今後とも、都民へのアカウンタビリティー向上のため、視覚的により分かりやすく整理したコンテンツの導入など、情報発信の充実に向け検討を進めてまいります。

○村松委員 都が説明責任を果たすため、都民に対して行う情報発信については理解をいたしました。
 今後もデジタル技術等を活用し、より一層分かりやすい発信に取り組むことを期待しております。
 また、新公会計制度の普及促進のためには、全国自治体への情報発信も必要不可欠であると考えております。
 都は、平成二十三年度から、公会計を先行導入した自治体と新公会計制度普及促進連絡会議を発足し、公会計の普及促進のため、都が事務局となってリードし、自治体間で連携をしながら広域的な活動を行ってきたと認識をしております。
 そこで、新公会計制度普及促進連絡会議での全国自治体への情報発信の取組状況について伺います。

○菊地会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 都は、新公会計制度普及促進連絡会議において、公会計業務の運用等ノウハウについて情報交換するとともに、財務指標を活用した自治体間比較や、経年比較などの分析に共同して取り組み、その結果については報告書としてまとめ、ホームページに掲載しております。
 また、先進的な取組を行っている自治体と連携し、取組内容をまとめた動画を作成しており、令和六年度は、愛知県の財務諸表のマネジメントへの活用に向けた取組と、目黒区の日々仕訳導入に伴う取組について取り上げております。
 これらにつきましては、東京動画へ掲載するとともに、PR資料を全国の道府県及び区市町村へ配布しております。
 引き続き、都は、公会計制度導入の先駆者として、連絡会議等で得られたノウハウを他自治体へ情報発信し、普及及び活用促進に取り組んでまいります。

○村松委員 ありがとうございました。連絡会議での成果をホームページや動画に広く発信することで、公会計制度の普及、活用促進に取り組んでいることが確認できました。自治体間においてノウハウの共有が進むことで、行政運営マネジメントが強化され、政策や事業の改善へとつながっていくことが期待できます。
 先ほど、愛知県の財政諸表のマネジメントへの活用ということもございました。私は町田市の出身ですけれども、町田市においては、課別・事業別行政評価シートというものも行っております。
 マネジメントを行うという意味でですね、やはり、できればこの行政評価シートみたいなものを作成することによって、よりこの新公会計制度が活用できるのではないかと考えておりますので、この点、要望をさせていただきたいと思います。
 また、公金管理についても質問を予定しておりましたけれども、先ほどの答弁と重複するところがございますので、こちらは省略をさせていただいて、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

○竹内委員 日本共産党の竹内愛です。私からは、公金取扱費に関わって質問をしたいと思います。
 二〇二四年度の公金取扱費は、当初予算では前年比二倍を超える計上で、決算比では約一・六倍となりました。当初予算に対する執行率は六三・八%となっています。
 公金取扱費は、指定金融機関に支払う収納手数料と支払手数料があり、その内訳を見ると、支払手数料は前年比で約四倍、決算比では約二倍となっています。この支払手数料が大幅に増額となった要因は、主に単価の引上げです。
 予算の質疑では、この単価引上げの理由として、内国為替制度運営費が導入されたことにより、給与支給等を除く公金支出に関わる銀行間の手数料が、令和六年十月から、無料だったものが一件六十二円に引上げられたこと、また、令和四年三月の総務省通知で、公金収納等事務に要する経費の取扱い等についてが発出され、経費の適正化が求められていること、そして、指定金融機関であるみずほ銀行からの要請を受け、手数料の改定を行ったと答弁されています。
 いうまでもなく、指定金融機関が取り扱う公金は都民の財産であり、支払う手数料も都民が納めた税金です。公金管理が適正に行われていることは大前提として、手数料単価についても、都民への説明責任が問われていることを念頭に、以下、質問をしていきたいと思います。
 総務省は、この公金収納等事務の経費負担について、指定金融機関等に取り扱わせている公金収納等事務に要する経費負担に関する調査結果及び全国銀行協会が行った税・公金収納業務に関するコスト・手数料に係る調査結果報告書を参考にすることを推奨しています。
 この総務省調査に対し、都はどのように答えたのか、都の回答についてお聞きしたいと思います。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 指定金融機関等の指定状況のほか、指定契約に基づく経費の負担状況について、全自治体の八割以上と同様に一部負担をしている旨を回答しております。
 また、指定契約に基づき支出した経費が令和元年度決算ベースで約四億円であること、経費負担に関する見直し状況については見直したことがあることなどについて回答しております。

○竹内委員 都は指定金融機関であるみずほ銀行に対し、公金管理の経費の一部として、手数料の支払いを行い、その額は調査当時の決算ベースで約四億円だったと、また、過去にも経費負担について見直しをしたという回答であったことが分かりました。
 ちなみに二○二四年度の決算ベースでの負担額は約六億八千万円です。この額からも手数料の値上げの影響が分かります。
 総務省の調査結果を見ますと、都と同様に、先ほど答弁でもありましたように、コストの一部を負担している自治体が八一・七%、システム管理費などその他経費を含む全額を負担している自治体が七・七%、全く負担していない自治体が一〇%となっています。
 また、都道府県の支出額平均は、先ほど東京都の負担額六億八千万円と決算ベースで述べましたけれども、この支出額平均は九千百万円で、都が回答した手数料の負担で見ると平均で約一億円の支出となっています。改定前の都の支出額は、先ほど来ありますように約四億円ですから、いかに東京都の支出が大きいかが分かります。
 こうした調査結果を都はどのように受け止めたのか、認識をお伺いします。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 公金収納事務等の経費につきましては、各自治体が直接指定金融機関とそれぞれ契約を行うものでございまして、それぞれの自治体ごとの事情に応じて対応しているものと認識しております。

○竹内委員 自治体によって、また、その金融機関との状況があるのでというお答えだったんですけれども、総務省は、この調査結果を参考にというふうにいっておりますので、その参考にした結果について、きちんとご説明をいただきたいなというふうに思います。
 それで、指定金融機関は、公金を自らの預金として受け入れ、他の資産とともに運用が可能なわけです。つまり、都民の税金を原資として運用を行っているわけですね。
 東京都は、一国並みの予算規模であって、他の自治体と比べても極めて大きい規模です。ですので、その支出額が、先ほど来、手数料の額が他の自治体よりも大きくなるということは想定内なんですが、だからこそ、手数料の額が妥当なのか、説明責任が求められることになると思います。
 指定金融機関であるみずほ銀行から単価引上げの要請があったというふうに答弁されているんですが、この協議をするに当たり、みずほ銀行へは、どのような資料の提出を求めたんでしょうか。具体的な資料名をお伺いいたします。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 振込手数料単価の引上げに当たりましては、みずほ銀行に対し、振込に係るコストに関するデータを求め、収集し、ヒアリングを実施いたしました。

○竹内委員 コストに関するデータを求め、ヒアリングを実施ということなんですが、コストに関するデータというのは、いろいろな指標があると思うんですね。どういう指標を用いてコストを算出し、そしてそれを手数料の単価にしたのかというデータについて、一切これまでも出てきていません。今のご説明でも、それについては言及がありませんでした。
 収納手数料について、今は振込手数料についてずっといってきたんですけれども、もう一つ、収納手数料も、この公金取扱費の中にあります。その内訳の中に収納手数料というのがあるんですけれども、この収納手数料については、東京都は二十円を超えているんですが、銀行協会の調査では、都道府県のうち、ゼロ円が十二自治体、二十円未満が八割を占めていると。中央値は十円ですから、東京都が他の自治体との比較では高い水準だということがいえると思います。
 しかし、コストが分かりませんので、そのコストから見たら、その二十円を超えた東京都の手数料というのが適切なのかどうかも全く分からないわけですね。しかも今回、収納手数料というのは据え置かれていますので、なぜ収納手数料は据置きだったのか、なぜ振込手数料は大幅な単価引上げとなったのか。その算定を検証することができないというのが今の現状なわけです。
 先ほどの答弁で、都として、コストに関するデータを求め確認をしたということですが、先ほど来いっていますように、データというのは明らかにされていません。
 つまりこれは、東京都がチェックしたのだから、それを信じてほしいという以上の資料がないということをいわざるを得ないと思います。二四年三月の財政委員会でも、ある程度確認はできたといっているんですね。ある程度確認はできた。ちゃんと確認しましたじゃないんです。ある程度確認はできたなんですよ。だから単価を引き上げるんだと答弁しているわけで、その根拠が示されていないというのは、非常に問題だというふうに思います。
 総務省は、こうした経費負担について、住民に対する説明責任を果たすことを留意事項に挙げています。都は、この住民に対する説明責任について、何を求めていると考え、どのように対応したのかお伺いします。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 総務省は、公金収納等事務に要する経費負担について、地方公共団体は住民に対する説明責任を果たすとともに、指定金融機関は地方公共団体の求めに応じて必要な情報を提供するよう努めることが望ましいとしております。
 都は、振込手数料の見直しに当たり、予算案として都議会に上程の上、具体的な単価を示しながらご審議をいただきまして、議決いただいております。

○竹内委員 つまり東京都としては、住民に対する説明責任というのは都議会での審議と議決で果たしたと、こういうことをおっしゃっているわけなんですが、先ほど来繰り返し申し上げていますとおり、その単価の根拠は示されていないわけですね。根拠が示されていないのに、何をもってそれが適正かと判断をすればいいのかということなんですよ。
 総務省がいっているのは、コスト構造の見える化、これ総務省の通達の言葉です、コスト構造の見える化に努めることが住民への説明責任だというふうに断言しているわけですね。
 このコスト構造の見える化というのは、コスト算定の根拠、算定されたコスト、そしてその負担割合に対する考え方を明らかにすることなんじゃないかと。そうした情報が一切示されていないこと自体が大きな問題だと指摘をしなければなりません。
 私たちは、指定金融機関について、みずほ銀行一択であることについて、これまでも問題提起をしてきました。二〇〇二年に指定金融機関を決めた際には、これ都議会で異例の付帯決議がつきました。その中では、都民から預かった貴重な公金が損なわれることがないようにすることと、地域を構成する中小企業経営支援など、地域経済社会への積極的な貢献に努めることなどを求めているわけです。この指定金融機関指定時の都議会での付帯決議について、みずほ銀行とどのように協議をし、対応についてどう評価しているのかをお伺いいたします。

○巻嶋管理部長女性活躍推進担当部長兼務 指定金融機関として、日頃からコミュニケーションを図っておりまして、令和六年度実績においては、収納事務では約九百五十万件、支出事務では約七百五十万件を処理し、収納及び支出の事務を確実かつ円滑に処理するとともに、都債の引受けを実施しているほか、制度融資をはじめとする中小企業等への貸出しを行うなど、適切に対応していることを確認しております。

○竹内委員 中小企業経営支援等、地域経済社会への積極的な貢献に努めるということが付帯決議の内容なんですね。今、行っているんだというお話でしたけれども、今、都内の中小企業というのは非常に厳しい状況が続いていると思います。公の責任を担う指定金融機関がその役割を本当に果たしているのかということについて、日頃のコミュニケーションを取っているということだけじゃなくてですね、それをちゃんと都民の皆さんにオープンにしていく、このことが重要だというふうに思っています。
 また、手数料の算定根拠、コストさえ何ら明らかにされていない、都の確認を信じてほしいということでは、私たちが都政のチェック機能を十分に果たすことはできないというふうに思います。改めてコストについて明らかにして、算定根拠を、しっかりと説明責任を果たすよう求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○成清委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○成清委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○成清委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安部監査事務局長 去る十月十日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧ください。
 表紙、目次をめくりまして、資料第1号でございます。住民監査請求実施状況の推移でございます。
 平成二十七年度から令和六年度までの住民監査請求の受付件数と、その内訳として、監査実施の有無の件数を示しております。
 また、監査は地方自治法に規定する要件を満たした場合に実施しております。
 以上で要求のございました資料の説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○成清委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。――発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○成清委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○成清委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、令和六年度東京都用地会計決算及び令和六年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○稲垣経理部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 先日の分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をお開きいただきたいと存じます。
 最初に、一ページお進みいただきまして、目次をご覧ください。
 今回要求のございました資料は、記載のとおり三件でございます。
 一ページをご覧ください。要求資料第1号でございます。
 令和二年度から令和六年度までの知事の専用車両の利用状況をお示ししたものでございます。
 二ページをご覧ください。要求資料第2号でございます。
 一般会計におきます都債発行予定額、都債発行額、元金償還額及び都債現在高の推移をお示ししたものでございます。
 三ページをご覧ください。要求資料第3号でございます。
 一九八九年度以降の歴代都知事による専決処分の件数をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○成清委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山口(せ)委員 財産利活用について伺います。
 小池都知事が就任して以降、最優先で取り組んだ課題として、待機児童解消があります。都は、待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、保育所の整備促進をはじめとする重層的な施策を進めてきたと認識しております。
 この取組の一環として、都は、平成二十八年九月に副知事をトップとした都有地活用推進本部を設置し、都有地を活用した保育所整備を推進してきました。
 本部発足以降、これまで保育所整備に結びついた実績について伺います。

○松井財産運用部長 都は、都有地活用推進本部を通じまして、行政目的等で利用予定のない土地や行政財産等で使用している土地のうち、一部の提供が可能な土地など、平成二十八年十月から令和六年度末までの間に二十五回にわたりまして、延べ三百五件の都有地情報を区市町村に提供してまいりました。
 このうち、保育事業者の公募につながった件数は、平成三十年度の七件をピークに、直近の令和六年度は一件となっており、これまでで通算二十件、二千名程度の保育定員の確保に寄与してまいりました。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。都有地を活用した保育所整備は、我が会派も強く求めてきたものでありますが、全庁を挙げた都有地活用推進本部の取組を通じ、これまでに二十件の保育所が整備され、合計で二千名程度の保育定員が確保されてきたことが確認できました。
 都有地活用推進本部をはじめ、都や区市町村がこの間進めてきた各種取組の成果などから、一時、社会問題化した待機児童は、近年ではほぼ解消された状態となっております。
 こうした状況を反映するように、ただいま答弁のあったとおり、都有地活用推進本部を通じて情報提供を行った都有地で、保育所の整備に結びついた実績は、ピーク時の年間七件から昨年度には一件と減少傾向にあることが見てとれます。
 引き続き、局地的な人口流入等の多い地域における保育ニーズに的確に対応し、待機児童解消を維持していくため、今後も都有地活用推進本部の取組を継続していくことが必要ですが、一方で、我が会派は、保育以外の用途でも都有地を活用して、そして地域課題にしっかりと応えていくべきだと提案してきました。都の対応状況について伺います。

○松井財産運用部長 都有地活用推進本部を通じて情報提供している土地のうち、地元区市町村から保育での利用希望がない土地につきまして、保育以外の公共用途での活用希望があった場合には、都はこれまでも、土地の状況などに応じて個別に対応してまいりました。
 こうした実態や近年の待機児童数の動向等を踏まえまして、未利用都有地を活用した都の施策実現や区市町村支援を一層推進するため、令和五年度に、都有地活用推進本部の要綱を一部改正いたしました。
 具体的には、都有地の活用対象を、それまでの保育所等の整備だけではなく、区市町村が抱える地域固有の行政課題の解決などに資する用途にも拡大いたしました。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。要綱を改正し、都有地活用推進本部を通じて、情報提供する都有地の活用対象を、保育所の整備だけではなくて、区市町村が抱える行政課題の解決などに資する用途にも拡大したとのことでありました。
 以前から、都は、保育以外の用途での活用希望が地元の区市町村からあった際には個別に対応をしてきたとのことだったんですが、制度として明確に位置づけることはとても重要でありまして、こうした取組については評価するものであります。
 そこで、都有地活用推進本部の要綱を改正して二年が経過しておりますが、保育所以外での活用事例は実際に増えたのか、要綱改正前と改正後の実績について伺います。

○松井財産運用部長 保育以外の用途での活用事例は、平成二十八年の本部発足以降、令和六年度末時点までで十八件でございますが、要綱改正前の令和四年度末までが八件であるのに対しまして、改正後の令和五年度以降は二年間で十件となっております。直近の令和六年度には、学校施設用地や観光拠点施設用地など、地元区に対して売却した事例が三件ございます。
 今後とも、区市町村の意向を踏まえながら、保育以外の行政課題にも適切に対応するため、本部の取組を通じまして、都有地の有効活用を図ってまいります。

○山口(せ)委員 ありがとうございます。要綱改正後に保育所以外の活用事例が増えてきている、こういったことが確認できました。
 都有地は都民共有の財産であることから、最大限に活用を図り、都民福祉の向上につなげていくことがとても重要です。
 今後とも、区市町村との連携を一層強化しつつ、地域の実情や行政需要を踏まえて、保育のみならず、教育、観光、防災など、多様な行政課題に的確に対応できるように都有地の有効活用に着実に取り組んでいただくよう改めてお願いし、質問を終わります。

○田村委員 私からは、設計等委託のダンピング対策について伺います。
 工事と同様に、工事関係業務である設計、測量、地質調査など、設計等委託契約におけるダンピング受注の防止措置については、公共工事品確法において、発注者の責務とされており、適切な対応が必要です。
 そのため、都は、設計等委託契約において、令和二年十月から、最低制限価格制度の試行を開始し、順次、試行の対象を拡大させながら、令和五年十月から本格実施に移行しました。
 そこでまず、通年で最低制限価格制度が本格導入された令和六年度の実績と効果をどのように分析しているのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 都においては、設計等委託契約における適切な履行の実現に向けて、過度な低価格での受注を防止し、品質確保に取り組む必要があることから、試行期間を経て、令和五年十月から、原則全ての競争入札案件において最低制限価格制度を導入いたしました。
 令和六年度の知事部局等における設計等委託契約の価格競争案件は九百八十八件であり、その平均落札率は八四・二%となっております。試行開始前の令和元年度と比較し、平均落札率は約二〇%上昇しており、ダンピング受注の防止に効果が出ているものと考えております。

○田村委員 今、答弁にありましたとおり、設計等委託契約についても、最低制限価格制度が本格実施され、落札率も制度導入前と比べ上がっているとのことで、価格競争案件においては、ダンピング対策の効果が働いていることが分かりました。
 一方で、事業者からは、価格競争案件だけでなく、総合評価方式案件についてもダンピング対策が必要との声も聞かれます。
 先日、都は来年一月から、設計等委託契約における総合評価方式の価格点の算定式を見直すと公表しましたが、今回の見直しに至った経緯と内容について伺います。

○須藤契約調整担当部長 設計等委託契約の総合評価方式においては、過度な低価格での受注防止策の強化を図るため、令和六年度において応札状況を分析するとともに、外部有識者への意見聴取を行い、価格点の算定式を見直すことといたしました。
 具体的には、従来は、入札価格の低下に伴って価格点が上昇していく算定式となっておりましたが、当該契約の内容が適切に履行されないおそれのある価格とされる基準価格未満での応札におきましては、価格点が逓減する算定式に見直し、令和八年一月以降に公表する案件から適用することといたしました。

○田村委員 総合評価方式は、価格と技術力を総合的に評価して落札者を決定する仕組みであり、経済性も重要ですが、著しく低い価格での入札は品質の確保や担い手確保の観点からも問題であり、総合評価方式においてもダンピング対策を講じたことは評価します。
 設計等委託契約も含め、工事関係契約を受注する事業者の皆さんの事業環境については、日々目まぐるしく変わっております。昨今では、物価高騰や人手不足に加え、民間工事の旺盛な需要も相まってか、公共工事における不調が増えているという声も聞かれます。
 こうした社会動向なども捉えながら、今後も事業者の声に耳を傾け、適切な契約制度の構築、運用に努めてもらうことを要望して、次の質問に移ります。
 出来形数量の根拠資料の一部省略について伺います。
 建設業における働き方改革を推進していくためには、工事受注者の負担軽減に向けて、工事書類の削減などに積極的に取り組むことが必要です。検査時に必要となる出来形数量の根拠資料の作成については、工事受注者にとって過度な負担となっていたことから、その負担軽減に向けた取組を都に求めてきたところです。
 昨年度、都発注の土木工事において、出来形数量の根拠資料の一部省略が実施されましたが、具体的な取組内容について伺います。

○三宅技術管理担当部長検査技術担当部長兼務 都は、受注者の負担軽減に向け、土木工事について、昨年十一月以降の発注工事等におきまして、出来形数量の根拠資料の一部省略を可能といたしました。
 具体的には、設計図書の寸法に対し、測量結果が都の定める規格値を満たしていると確認できた場合、これまで検査時に提出を求めていた出来形数量内訳書及び数量計算書を不要とし、提出書類の削減を行いました。
 また、この取組について、各局の監督員や検査員の理解が深まるよう、検査時における確認のポイントや必要な資料等を記載した検査の手順書を作成し、関係局で構成される協議会を通じて周知いたしました。

○田村委員 この取組の実効性を高めるためには、監督員と検査員の十分な理解が必要不可欠となりますので、引き続き、周知の徹底に努めていただくとともに、工事受注者の負担軽減に向けたさらなる取組を推進していただくことを要望し、私の質問を終わります。

○細貝委員 令和六年度は、建設業や運送業といった人手不足が慢性化している分野への時間外労働の上限規制が適用され、二〇二四年問題といわれていました。長時間労働に依存してきた従来のビジネスモデルから転換を図られ、物流の停滞や工期の遅延といった全国的なリスクを引き起こし、特に運送業界では、輸送能力の低下がサプライチェーン全体に及ぶことが懸念されていました。
 また、人件費の高騰や、円安と国際情勢の不安定化による原材料費やエネルギー価格の高騰が重なり、令和六年度は各地で事業費用の見直しを迫られた一年となりました。これら背景を踏まえ質問します。
 初めに、入札不調の状況についてです。
 昨今の物価高騰に伴い、都発注工事における不調も増えていると推察していますが、令和六年度の都の工事における不調率は前年度と比較してどのような状況だったのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和六年度に、知事部局等において発注した工事の不調率は一六・五%となっており、前年度と比較し二・六ポイント上昇しております。

○細貝委員 令和六年度の不調率は、前年度と比較し上昇しているということだが、どういった工事の分野で不調率が高いのか、また、不調の要因についてどのように考えているのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 工事の業種別に見ると、令和六年度において、主に建築工事において不調率が大きくなっております。不調の要因は案件ごとに様々であり、例えば資材価格の高騰や技術者及び技能者の人手不足なども影響しているものと認識しております。

○細貝委員 物価高騰だけではなく、人手不足など様々な要因から不調率が上昇しているということでしたが、不調を防ぐために都としてどのような取組を行ったのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 都は、工事の施工時期の平準化や、最新の実勢を踏まえた予定価格、適正な工期の設定など、事業者が入札に参加しやすい環境の整備に努めております。

○細貝委員 次に、基金について伺います。
 様々な要因から入札不調の割合が増えている中で、喫緊の都政課題の財源として、令和六年度決算において基金をどのように活用したのでしょうか。また、基金の取崩しに当たり、将来に向けても、十分な残高を確保する観点で、どのような基準や優先順位に基づき決定したのか伺います。

○佐伯主計部長 都は、景気変動の影響を受けやすい歳入構造にありまして、持続可能な財政運営を行うため、年度間の財源調整機能を持つ基金が重要な役割を果たしております。
 そのうち、特定目的基金は、都政の重要課題に対しまして、施策を安定的かつ機動的に展開するため、それぞれの目的に応じて設置をしておりまして、令和六年度普通会計決算におきましては、特定目的基金を三千六百五十三億円取り崩し、社会資本等の整備に活用しております。
 こうした特定目的基金の取崩しにつきましては、毎年度の歳入歳出全体の見通しや、基金の目的に応じた将来の財政需要等を勘案しながら、適切に判断をしております。

○細貝委員 次に、偏在是正措置について伺います。
 知事は、さきの定例会の所信表明で、東京の力をとにかく地方に切り分ければよいかのような短絡的な発想にほかなりませんと述べられました。また、都としても、是正すべき税収偏在や財政力格差は存在しないという主張を繰り返しています。
 そこでお聞きします。偏在是正措置におけるこれまでの影響額と、これに対する都の考え方について伺います。

○佐伯主計部長 いわゆる偏在是正措置でございますが、地方分権の理念に逆行する不合理な措置でございまして、これまでの都財政への影響額は、導入されていない場合と比べ、令和六年度決算ベースで、年間で約一・五兆円の減収、平成二十年度から令和七年度までの累計で約十・九兆円の減収となっております。
 昨今、行政サービスの地域間の相違を理由に、税収の偏在を是正すべきとの主張がなされておりますが、地方交付税等を加えました人口一人当たりの一般財源総額で比較いたしますと、都は全国平均と同水準でございます。是正すべき偏在はないと考えております。
 本来、各自治体が地域の実情を踏まえ、それぞれの優先度に応じて必要な行政サービスを展開するということが地方自治の基本であると考えております。各自治体が個性や強みを発揮するためには、限られた財源を地方間で奪い合うのではなく、地方が果たすべき役割と権限に見合う地方税の充実、確保こそが重要であると考えております。

○細貝委員 社会情勢が日々激しく変わっていく中で、都民生活の安心を維持するためには、都政の果たす役割はかつてなく重要になっています。だからこそ、都民が汗水流して納めた貴重な税金を、様々な課題に対し、最大の効果と効率性を持って活用していかなくてはなりません。事業の優先順位を厳格に見定め、適切に事業を進めていくことを強く要望し、私の質問を終わります。

○かまた委員 それでは、初めに、都議会公明党が推進をして、都が全国に先駆けて導入をしました新公会計制度の財務諸表を活用した都財政の状況について分析をさせていただきます。
 新公会計制度の導入により作成をされます財務諸表は、資産や負債、さらには正味財産の状況を的確に把握できるものであり、単なる現金収支にとどまらず、引当金や減価償却費といった非現金費用も反映することで、資産や負債といった東京都全体のストック情報の把握が可能となるなど、都財政の持続可能性や健全性を多角的に検証する上で極めて有用なツールであります。
 とりわけ都民の価値観やニーズが多様化し、また社会の変化のスピードが一層加速する今日にあっては、財務諸表に基づく透明性の高い分析と、客観的な説明を積み重ねていくことが、都政への信頼を確保する上で重要でありますし、政策判断の説得力を高めることにも資するものであります。
 都が新公会計制度に基づく財務諸表を活用して決算の報告を行ったのは、平成十八年度決算からでありまして、ご承知のとおり、平成十一年度から十七年度にかけての都の財政は財政再建期に当たり、十八年度はその克服を経て、強固で弾力的な財政基盤の構築へと歩みを進めた時期でありました。
 このような経緯を踏まえますと、制度導入当初と現在の決算を比較することによりまして、都財政がどのような変化を遂げてきたのかを検証することが可能となりまして、とりわけ負債の推移を明らかにすることは、財政再建団体に陥る危機にあった都の財政がどう歩んできたのかを端的に表すものであると思われます。
 また、負債という点でいいますと、令和六年度には都債の繰上償還が行われていると承知をしておりますけれども、このことが財務諸表にどのようにあらわれているのかについても確認をしたいと思います。
 まず、貸借対照表の負債の部に着目をしまして、令和六年度決算の負債の部が対前年度と比較してどうなっているのか、また平成十八年度決算以降の推移についてお伺いをいたします。

○佐伯主計部長 令和六年度普通会計決算を新公会計制度の視点から分析をいたしますと、貸借対照表の負債の部は、歳出精査によります事業費の減少などに伴い、都債の発行額が前年度よりも減少したことや、過去に発行いたしました金利の高い都債のうち、利払い費の縮減が可能な都債の繰上償還を行ったことなどによりまして、二千二十八億円の減となっております。
 また、財政再建を達成いたしました平成十八年度決算以降を見ましても、将来世代の負担を考慮し、都債の発行抑制を行うなど、都債残高を着実に減少させてきたことなどにより、都債は減少しておりまして、平成十八年度と比較いたしますと、負債全体で二兆九千三百二十六億円の減となっております。

○かまた委員 財務諸表の分析によりまして、都債残高を着実に削減することで負債を減らしてきたことを確認することができました。これは将来にわたり持続可能で強固な財産基盤を築いていくための礎となるものでありますので、その意義は非常に大きいと考えます。
 財政の健全性を考えるに当たっては、負債の状況と並んで、もう一つの重要な要素であります基金、その中でも、とりわけ活用可能な基金であります財政調整基金や特定目的基金の動向を見ていくことが重要であります。
 これらの基金は、将来に備えた財源の確保や、突発的な財政需要に対応するための備えとして重要な役割を担っておりますので、景気変動の影響の大きい都の財政にとっては不可欠な存在であります。
 そこで、財政調整基金及び特定目的基金について、平成十八年度決算以降の推移と現在の基金残高に対する評価についてお伺いをいたします。

○佐伯主計部長 財政調整基金と特定目的基金を合わせました普通会計ベースの基金残高の推移を振り返りますと、平成十八年度時点では七千百六十三億円であった残高は、財政再建達成後に着実に積立てを行った結果、二十年度には約一・八兆円まで増加をいたしました。
 その後、リーマンショックの影響に伴う税収減などによりまして、平成二十三年度には約一・四兆円まで減少したものの、以降の増収局面におきまして、将来の財政需要に対応するため計画的に基金を積み立て、二十九年度には約二・八兆円となりました。
 平成三十年度以降は、東京二〇二〇大会や新型コロナウイルス対策のほか、未来への投資などに積極的に活用いたしまして、令和七年度末時点では一兆八千六百十七億円を見込んでおります。これはリーマンショック前とほぼ同水準でございまして、持続可能な財政運営の観点から、一定の残高を確保しているものと認識をしております。

○かまた委員 リーマンショックとかコロナ禍といった厳しい社会情勢の下でも、基金を適切に活用する一方、将来を見据え、基金残高を着実に確保してきたということです。
 こうした実績は、健全な財政運営の歩みを裏づけるものであると思いますが、より客観的に都財政の実像を捉えるために、財政運営の弾力性を示す経常収支比率の指標を用いて確認をさせていただきたいと思います。
 この経常収支比率の指標は、財政の健全性を図る上で重要な基準でありますけれども、都財政の持続可能性を検証する上でも大きな意味を持ちます。
 そこで、財政再建の取組前後の経常収支比率はどうだったのか、その後の令和六年度決算に至るまでの変化、いわゆるトレンドと、現状の水準についての評価を併せて見解をお伺いいたします。

○佐伯主計部長 都財政は、平成十一年度決算におきまして、経常収支比率が一〇四・一%となるなど、財政危機に直面をいたしましたが、その後、財政再建の努力を積み重ねたことなどにより、財政再建達成後となる十八年度には八四・五%と大幅に改善をいたしました。
 その後、都債残高を着実に減少させ、一般財源を充当する公債費の支出が減少したことなどによりまして、令和六年度では八〇・三%となっております。近年の都道府県全体の平均が九〇%を超えていることと比べましても、都財政は弾力性が高い状況にあると考えております。

○かまた委員 ただいまの答弁がありましたように、近年の都道府県全体の平均が九〇%を超える中、都は一〇四・一%から八〇・三%までに、財政再建を着実に進めてきたことが分かります。
 しかしながら、今、都政は、物価高騰、また自然災害の激甚化、少子化の進行など、かつてないほど多様で複雑な課題に直面をしております。こうした難局を乗り越えるため、持続可能な財政運営の下で、的確な財政出動を行うことはいうまでもなく重要でありますけれども、それにとどまらず、金融の力を積極的に活用しまして、社会課題の解決へとつなげていく姿勢もまた、ますます重要となってまいります。
 この点につきましては、東京都において、平成二十九年度に全国に先駆けまして東京グリーンボンドを発行したことを皮切りに、サステーナブルファイナンスの取組を着実に積み重ね、年々強化をしてきております。
 そこで、令和六年度における東京グリーン・ブルーボンドなどのSDGs債の発行の取組状況についてお伺いをいたします。

○佐伯主計部長 令和六年度のSDGs債につきましては、国内市場におきまして、東京グリーンボンドの充当対象事業に、海洋環境の保全等を新たに対象に加えまして、東京グリーン・ブルーボンドといたしまして発行をいたしました。
 具体的な充当対象は、都有施設におけます太陽光発電設備の導入、外堀の水辺再生事業や、東京港における藻場の造成など、環境施策の推進に資する事業といたしまして、機関投資家向けと個人投資家向けで合計二百億円を発行いたしております。
 また、道路のバリアフリー化や特別支援学校の整備など、社会課題の解決に資する事業を充当対象といたしましたソーシャルボンドにつきましては、機関投資家向けに四百五十億円発行いたしております。
 さらに、海外市場におきまして、環境対策と社会課題の解決の双方を目的といたしましたサステナビリティボンドを、国内自治体として初めて四百八十七億円相当を発行いたしまして、環境施策等に関心の高い欧州を中心とした投資家からご購入をいただいております。
 今後もSDGs債の発行を通じまして、市場の資金が環境施策や社会課題の解決に活用される流れを加速させ、都の施策を強力に推進してまいります。

○かまた委員 今後とも、投資家の共感を得ながら資金を呼び込み、都政の重要課題の解決へと結実させていくためにも、SDGs債を活用した取組を一層進化させていただきたいと思います。
 これまで、多角的な視点から都の財政の状況を確認させていただきましたけれども、国外に目を向けますと、米中貿易摩擦の再燃への懸念がくすぶり、また国内においても、長引く物価高騰の影響や政局の不透明さが重なるなど、都を取り巻く環境は一層の不確実性を増しております。
 しかしながら、こうした状況下にあっても、限られた財源の中で、都民生活や事業者の経営を下支えする施策はもとより、社会課題の多様化や自然災害の激甚化など、都が取り組むべき課題は多岐にわたっております。
 平成十八年度に新公会計制度が導入をされてから今年で二十年目となります。新公会計制度は、財政状況を客観的に把握ができ、透明性が高まるだけではなく、資産や負債などの経年比較を通じて、将来を見据えた的確な検証が可能となりますので、不確実性の高い今日のような局面においてこそ、新公会計制度の導入の成果を最大限に生かしまして、持続可能な財政運営につなげていっていただきたいと思います。
 そこで、新公会計制度導入以降に積み重ねてきた成果を踏まえまして、不確実性が高まる中にあっても、山積する諸課題に安定的かつ着実に対応していくため、あらゆる創意工夫を凝らし、持続可能な財政運営を推進していくことが重要と考えますけれども、見解をお伺いいたします。

○佐伯主計部長 都はこれまで、全国に先駆けて、複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度を導入し、官庁会計では把握できないストック情報や減価償却費などのフルコスト情報を事業評価において活用することで、事業の見直しを推し進め、効率性、実効性の高い施策の構築につなげてまいりました。
 一方で、都は、景気変動の影響を受けやすい歳入構造にある中、社会保障関係経費など今後避けることのできない財政需要を抱えているほか、子供、子育て家庭への支援や、都市の強靱化など、直面する重要課題にも取り組んでいく必要がございます。
 こうした財政環境の中にありましても、都政の諸課題に将来にわたって的確に対応していくために、新公会計制度を一層活用した事業評価の取組の徹底はもとよりでございますが、基金や都債を戦略的に活用しながら、強靱で持続可能な財政基盤の堅持に努めてまいります。

○かまた委員 ありがとうございます。これまでの皆様の地道な努力の積み重ねに対して高く評価をいたします。ぜひ今後とも、様々な財政上の工夫と取組を重ねていただきまして、都政課題に着実に対応していただきたいと思います。
 続きまして、次の質問に入らせていただきます。
 次は、工事における総合評価方式についてお伺いをいたします。
 地方公共団体が行う契約につきましては、価格競争が原則でありますけれども、公共工事において、品質の確保や、よりよい事業者の育成という観点も重要でありますので、企業の技術力などの価格以外の要素等を総合的に評価して落札者を決定する総合評価方式を積極的に活用することも大切だと考えております。
 また、価格以外の要素を評価することで、技術力の競争を促し、よりよい事業者の育成も期待できるのではないでしょうか。
 そこでまず、都の工事における総合評価方式の仕組みと、令和六年度に知事部局でどのぐらい総合評価方式を活用したのかについて実績をお伺いいたします。

○須藤契約調整担当部長 総合評価方式は、地方自治法における入札の原則である価格競争入札の例外として、技術的課題を有し、確実な履行や品質の確保が必要な案件に適用する方式で、都の工事における過去の実績等から技術点を算出し、価格点と併せて総合的に評価する仕組みでございます。
 このため、一定の規模を有するとともに、競争性のある業種における適用が効果的と考えており、都の工事におきましては、予定価格が一千万円以上かつ建築、一般土木などの主要業種を基本的な対象とし、施工能力審査型、技術実績評価型、技術力評価型、技術提案型の四類型を案件の規模や技術的課題に応じて活用しております。
 令和六年度において知事部局等が発注した対象案件千四百六十件のうち、総合評価方式で発注したものは三百五十件、割合としては二四%となっております。

○かまた委員 今のご答弁にありましたとおり、工事における総合評価方式は四つの類型があり、六年度におきまして、総合評価方式で発注した案件は三百五十件であったとのことです。
 そこで、この四つの類型について、それぞれの類型を具体的にどのように使い分けているのか、また令和六年度における類型ごとの実績について併せてお伺いをいたします。

○須藤契約調整担当部長 工事における総合評価方式の類型は、中小規模の工事を対象に工事成績等により企業の技術力を評価する施工能力審査型、技術的課題の少ない比較的大規模の工事を対象として工事成績や企業の信頼性等を評価する技術実績評価型、施工計画を重視する技術力評価型、主に大型の施設整備など技術的工夫の余地が大きい工事を対象に創意工夫を生かした技術提案を評価する技術提案型の四類型となっております。
 これらの中から、工事の規模、内容や技術的工夫の余地など、個別の工事の特性に応じて各類型を適切に選定することとしております。
 先ほど答弁いたしました、令和六年度において知事部局等が総合評価方式で発注した三百五十件のうち、施工能力審査型は二百九十九件、技術実績評価型は五十一件、技術力評価型及び技術提案型はゼロ件となっております。

○かまた委員 今、ご答弁にもありましたとおり、六年度においては技術提案型など、実績のない類型があったものの、工事の内容や課題に応じて、複数の類型から適切に選定をし、運用されているということが分かりました。
 冒頭でも申し上げましたとおり、公共工事は、履行品質の確保や技術者の育成など、様々な観点が求められます。こうしたことから、総合評価方式を引き続き適切に活用していただくことを求めまして、次の質問に入ります。
 続きまして、働き方改革の推進についてお伺いをいたします。
 建設業は、ほかの産業と比較をして、労働時間が長く、休日数が少ないことが課題となっております。労働者の健康確保やワーク・ライフ・バランスの改善、また将来の担い手を確保するためにも、休日数を増やし、より働きやすい職場環境づくりを行っていくことが必要であります。
 そこで、都が進めてきた週休二日工事に関する取組状況についてお伺いをいたします。

○三宅技術管理担当部長検査技術担当部長兼務 建設業の働き方改革を推進するため、都は、平成二十七年度から、週休二日モデル工事を実施してまいりましたが、令和六年度からは、原則として全ての工事を土日に現場閉所する週休二日工事として発注してございます。
 また、施設を使いながら行う改修工事などでは、土日の作業が想定されるため、受注者が平日に休めるよう、平日の現場閉所への振替を可能としております。
 さらに、工事現場が一斉に閉所できない場合は、技術者や作業員が交代で休日を確保できるようにしております。
 こうした取組状況につきましては、監督員が工事現場において、工程表等によりまして、予定と実績を確認するなど、週休二日の実現に向け取り組んでおります。

○かまた委員 今、ご答弁がありました取組に加えまして、より働きやすい職場環境をつくっていくためには、この近年の記録的な猛暑への対応も必要不可欠であります。
 工事現場における熱中症対策について、都がどのように対応しているのかについてお伺いをいたします。

○三宅技術管理担当部長検査技術担当部長兼務 都では毎年、受注者に対し、連休明けの熱中症リスクの高まる五月と八月を目途に、計画的な予防対策等の徹底を求めるとともに、工期に影響する場合、延伸の協議が可能である旨を周知しております。
 工事の発注に当たりましては、送風機等の熱中症対策費用を工事費へ計上するとともに、令和六年度からは、建築工事等の営繕工事においても、猛暑による作業不能日を考慮した工期を設定しております。
 また、作業を一時的に中止したことにより、作業不能日の累計が当初見込んだ日数を超える場合は、協議の上、工期や経費の変更を可能としております。

○かまた委員 都が様々な取組を行っていることは分かりましたけれども、それでも一部の現場の方から、猛暑であっても休みが取りづらいという声をいただいております。既に都も対策を進めてくださっていますけれども、猛暑の中で働く人の命を守るためには、全ての現場で休みが取れるようにすることが重要であります。
 そこで、熱中症対策の実効性を高めるため、都はどのように取り組んでいるのかについてお伺いをいたします。

○三宅技術管理担当部長検査技術担当部長兼務 熱中症対策につきましては、現場の環境や工事の進捗、作業の内容等により状況がそれぞれ異なることから、その状況を踏まえることが重要でございます。
 このため、WBGT値が三十一以上などの場合は、監督員から受注者に対し、現場の状況を踏まえ、作業の一時的な中止を含めた検討など、適切な対策の実施を促す文書を用いて助言しております。
 さらに、追加の対策費用が必要となる場合や、作業を一時的に中止したことによる工期延伸が必要となる場合は、協議の対象となることを丁寧に説明するとともに、受注者からの協議に対しても丁寧に応じ、熱中症対策が効果的に実施できるよう努めております。

○かまた委員 様々なお取組、ありがとうございます。都が進めてくださっております週休二日の確保や、熱中症対策の推進に向けた取組につきましては、工事現場の労働者が働きやすい環境の実現に必ずつながるものだと思います。
 こうした取組を継続しまして、受注者に寄り添った対応を今後も進めていただきますよう要望しまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○山口(花)委員 国民民主党東京都議団の山口花です。
 私からは、都民投票、都民提案の制度について伺います。
 現在、東京都では、都民が自主的に採択事業を決定できる都民提案、投票の制度を取り入れており、運用開始から今で八年が経過したところでございます。
 まず、これまで都民投票に参加した都民の人数と、そして令和六年度の採択実績について伺います。

○佐伯主計部長 都民による事業提案制度は、従来の発想にとらわれない新たな視点から、都政の喫緊の課題を解決することを目的といたしまして、予算編成過程に都民の皆様の声を直接反映させる取組でございます。
 都民の皆様からご提案をいただいた後、インターネット投票などを経て、事業案を選定しており、平成二十九年度の制度開始以降、延べ十一万六千三百十一票の投票をいただいております。
 令和六年度は八百五十四件の提案のうち、都立図書館に読み上げ機能つきの電子書籍などの導入を図りますアクセシブルな電子資料の充実など、合計七件を選定いたしまして、令和七年度予算において事業化をしております。

○山口(花)委員 本制度は、都民が行政の一方的なサービスの受け手になるだけではなく、政策を共につくる当事者として関わることを可能にする制度だと、非常に意義のある仕組みだと評価しております。
 一方で、東京の人口に対する本制度の参加人口が少ない現状のままでは、採択事業の公平性、正当性について信頼が揺らぐという懸念もございます。
 制度の理念を生かすためには、より多くの都民が自分事として多くこの事業に参加していただけるような環境整備が不可欠だと考えております。都民提案、投票の利用者を増やすための取組とその成果について伺います。

○佐伯主計部長 都はこれまでも、事業提案制度により多くの都民の皆様にご参加いただけますよう、制度の導入以来、募集や投票期間の拡大や、対象年齢の引下げなど、様々な改善を重ねてまいりました。
 令和六年度は新たに、前年度に提案が採択された方々に提案の背景などをインタビューした記事を、SNSのnoteを活用して広く発信したほか、ワイドコラボ協定を活用いたしまして大型ビジョンでのPR動画放映を行うなど、都民の皆様に制度を知っていただく機会を増やしております。
 こうした取組によりまして、令和六年度の提案数は、制度導入時となる平成二十九年度と比較をしますと、三倍以上となる八百五十四件、投票数は約八倍となる三万二千八百八十九件へと大きく増加をしております。

○山口(花)委員 ありがとうございます。
 これらの都民提案、都民投票の制度が開かれた制度である反面、特定の組織や集団票による偏りが生じるリスクも内包しております。採択事業への予算の上限は二億円と高額でありまして、この予算は都民の貴重な税金が充てられる以上、その運営に一層の透明性と公正さが求められると考えます。
 反グローバリズム的な論調が強まる社会情勢の中でこそ、安全保障の観点からも行政への信頼を支えるのは開かれた制度運営だと考えます。都民が引き続き安心して投票できるプラットフォームの整備を求めまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、令和五年度から採用されているグループ連携事業評価について伺います。
 令和六年度の予算編成過程において、政策評価、事業評価に加えまして、新たにこのグループ連携事業評価が導入されております。この三つの評価を一体に実施する仕組みにおいて、グループ連携事業評価が創設された目的と令和六年度予算における取組状況及び令和五年度の実施結果を踏まえた見直し内容について伺います。

○佐伯主計部長 都民サービスの最前線を担います政策連携団体の取組について、都庁グループ全体で事業効果や効率性を高めていくため、令和五年度から、都と団体の取組を一体的に評価いたしますグループ連携事業評価を実施しております。
 令和六年度は、令和五年度の実施結果を踏まえ、成果をより重視する視点から、利用者満足度といった都民目線に立った目標への見直しや、実績に応じた事業目標の引上げなど、取組を強化しております。
 具体的には、三十三ある全ての政策連携団体を対象に、政策実現に向け、都と団体が協働して目指すべき目標を設定するとともに、それらに連動した事業目標を団体自らが設定をいたしました。
 その上で、都がこれらの目標に応じた事業の見直しなどの方向性について評価を行い、百六件の評価結果を令和七年度予算に反映をいたしました。

○山口(花)委員 ありがとうございます。財政運営においては、都民の納得と行政の説明責任の双方が求められます。単なる制度の整備にとどまらず、都民の税金がどう使われ、どう生かされたかを見える化することこそ、信頼を生む持続可能な最大の財政改革でございます。
 新しい評価体制が形だけの仕組みではなく、政策の優先順位づけや事業見直しにまで踏み込めるものとなるよう、透明性、実効性の両面で、今後のさらなる改善を強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

○成清委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○成清委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。

○成清委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十月十五日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和六年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧ください。資料は一点でございます。
 一ページをご覧ください。都庁マネジメント本部の開催状況(令和六年度)でございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○成清委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 都民ファーストの会、高橋まきこです。よろしくお願いいたします。
 私からは、本日、都市外交と広報について質問をさせていただきます。
 国際社会が不安定さを増しており、また、日本国内も国政の不安定が指摘されている今、大都市東京が果たすべき役割が一層大きくなっています。東京は世界から注目される国際都市として、人々の安全・安心を守り、誰もが輝く社会の実現に貢献していく責任があると認識しております。
 平和で持続可能な社会を築くためには、国の枠にとどまらず、都市同士が直接つながり、信頼と共感の輪を広げていくことが欠かせません。文化や教育、環境、災害対策など、様々な分野における交流は、市民同士の相互理解を深めるとともに、東京をより豊かにしていく力となります。
 小池知事がさきの所信表明にて、大都市東京のポテンシャルや強みを最大限に生かし、海外諸都市が持つ英知を大きな力に変えることも大切とおっしゃいました。多都市間連携、こうした都市間の絆づくりこそ、世界の分断を乗り越え、未来を切り開く原動力となると確信しております。
 そこでまず、海外の都市との、いわゆる二都市間外交につきまして、令和六年の取組を伺います。

○工藤外務担当部長 都はこれまで、世界の都市と首長間の会談や実務的な意見交換に加え、学生や企業間の交流など様々なチャネルを通じて、教育、スタートアップ、観光、都市づくりなど幅広い分野で連携を深めてまいりました。
 令和六年度における実務者間交流の一例を挙げますと、姉妹友好都市であるニューヨーク市との間で、都市インフラに係る両都市間の協力を目的とした合意書を結び、これに基づき、水道局と下水道局がニューヨーク市を訪問しまして、水管理の観点で技術的な知見の共有や意見交換、施設の視察を実施いたしました。
 また、様々な国際会議や都市から多くの招待が知事など都に寄せられております。その中から、東京の取組、魅力の発信や、国際的な知見やネットワークの獲得などの観点を踏まえまして、効果的に知事の海外出張を行っており、都民生活の質の向上や、都内企業の成長などにつなげております。
 昨年度は、知事は米国のカリフォルニア州をはじめ三回の海外出張を行いまして、現地の要人と会談、意見交換を重ねるとともに、都内企業の技術や都の施策について、現地で直接トッププロモーションを行いました。
 こうした取組を積み重ねまして、都市間の友好関係を深めるとともに、共通の課題解決に向けた知見や経験を共有することにより、都が誇る安全・安心を支える技術にさらに磨きをかけるなど、様々な施策の推進につなげ、東京全体の発展、プレゼンスの向上などの成果を上げています。

○高橋委員 ありがとうございます。二都市間で様々に、そして着実に交流が進み、実際に成果が出ていることを評価いたします。
 そこで、次に、多都市間の連携について伺います。
 近年気候変動の影響によりまして、世界中で自然災害が激しさを増していますが、国際情勢が不安定な中、その対応としまして、国が本来の役割を十分に果たせていない状況も見られます。災害から人々を守るためにも、同じ課題を抱える多くの都市がつながり、知見を共有しながら、より広い枠組みで協力していくことが、これからの時代には欠かせません。
 都は、こうした都市共通の課題解決をリードし、持続可能な社会を実現するために、既に令和四年に国際ネットワークであるG-NETSを立ち上げ、これまでも様々な取組を展開してきたと伺っております。
 そこで、G-NETSにつきまして、令和六年度の取組や成果について伺います。

○西田国際戦略担当部長 令和六年度は、二年に一度となります首長級会議を開催し、世界四十五都市のリーダーが、強靱な都市づくりや女性活躍の推進、文化、スポーツ振興など、八テーマで共通課題の解決に向けた議論を深めるとともに、共同声明を取りまとめ、世界に発信しました。
 また、実務担当者のワーキンググループでは、都と海外都市が相互に現場視察を行う技術的な交流を五回実施しており、例えば、東京消防庁がこの枠組みを活用して、ソウルやシンガポールのデジタル技術の導入状況等を視察し、技術力の向上や業務の効率化に役立てております。
 さらに、海外都市が先端技術を持つ都内スタートアップと連携するプロジェクトを立ち上げ、昨年度は、ヘルシンキ市における建築物のCO2削減やナイロビ市の洪水対策について、社会実装につながる効果的な実証を行いました。

○高橋委員 ありがとうございます。G-NETSを通じた多都市間連携が進展し、東京が世界のリーダー都市として確かな存在感を示していることは大変意義深いものと考えます。
 防災や文化、スポーツ振興などに対し、東京が先導的に取り組む姿勢は、世界の明るい未来に貢献するものであり、同時に、日本全体の成長や信頼にもつながります。
 来年は二年に一度の首長級会議――首長級会議とおっしゃいましたが、年に当たるということで、都がこれまで積み重ねてきた海外都市との連携や、昨年度の取組も踏まえ、さらに多くの都市との交流を深めていただきたいと願います。
 また、先月、小池知事はOECDチャンピオン・メイヤーズの副議長に就任したと発表がございました。今後、都として、こうした機会も有効に活用することで、国際的な議論をリードし、連携を強化を一層進めていただきたいと要望いたします。技術や人材、アイデアを通じて世界とつながる都市外交の取組が都民により一層還元できるよう、また、国際社会での東京のプレゼンスが一層高まるよう、今後さらに発展していくことを期待しています。
 二〇二七年には国際経済オリンピックの日本開催が決定しているとお聞きしています。こうした若者と世界がつながる機会も増えていくように、積極的な都市外交の推進を要望いたします。
 続きまして、広報につきましての質問に移らせていただきます。
 私たちの情報伝達はデジタルが中心の時代へと転換しております。これまでは、行政情報を得る主な手段として紙の広報紙や刊行物が中心でございましたが、近年はスマートフォンなどを通じて、誰もが瞬時に情報を得られる時代となっております。
 しかし一方で、情報が多過ぎて何が重要か分からない、知りたい情報にたどり着けないといった情報過多による困難な声も多く聞いております。都政の情報が都民や関心がある方々に正しく伝わることで、そのつながりを持って、信頼関係を大切にしていく必要がございます。
 決算説明書を拝見しますと、都は、ホームページをはじめ、様々な媒体を用いて広報を行っていることが分かりました。これからは一層デジタル媒体も積極的に活用しながら、必要とする情報を確実に届けることが、広報に求められる役割だと考えております。この観点から質問をさせていただきます。
 都政情報の基本は、都の公式ホームページでありまして、あらゆる情報がいつでも見られる重要な基盤となっています。都政情報の窓口であるホームページを、誰にとっても使いやすく、そして見やすく整えていくことが重要と考えております。
 そこで伺います。昨年度、東京都のホームページをより使いやすく見やすいものとしていくために、どのような取組を行ったのか伺います。

○波戸戦略広報担当部長企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 都の公式ホームページは、これまで局ごとに仕様が異なり、デザインや構成が統一されておりませんでした。そこで、利用者の利便性を向上させるために、令和六年度に各局のホームページを共通のシステムに統合いたしました。統合に当たりましては、デジタル分野に精通した民間の専門人材を活用し、スマートフォンでの閲覧も念頭に、ページ構成やメニュー表示の整理、統一を図りました。
 ユーザーテストを実施したところ、従前は目的の情報にたどり着いた方が六一%だったのに対し、統合後は九七%が必要な情報を得ることができました。また、デザインが統一されたことで、都公式ホームページとしての一貫性が生まれ、視覚的にも分かりやすくなりました。

○高橋委員 ありがとうございます。システム統合により、利用者にとってホームページが使いやすくなり、必要な情報にたどり着きやすくなっているということが分かりました。
 大変重要な点だと思いますので、今後も、都民をはじめとするユーザー目線を大切にした改善に期待をいたします。
 さきに述べましたが、多くの情報があふれる現代社会におきましては、都政を必要としている方々に対して、情報を見落とさないように届けることも求められています。情報は、プッシュ型として届けることが極めて重要となっています。そのため、即時性、拡散性が優れているSNSなどを積極的に活用していくことが重要と考えます。
 そこで、こうしたSNSの特性を踏まえ、都政を必要とする方々に対して情報を確実に届けるため、どのような工夫により発信効果を高めてきたのか、お取組について伺います。

○波戸戦略広報担当部長企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 都では、都民が必要とする情報をタイムリーに届けるため、XとLINEの公式アカウントを防災、子供、若者、教育など十七のカテゴリーに整理をし、関心に応じた発信を行っております。Xでは、拡散性を生かして災害情報や都政の動きを広く迅速に伝え、LINEでは、日頃から生活に身近な支援策やイベント情報を中心に届けるなど、媒体の特性を生かしております。
 投稿に当たりましては、イラストやグラフを活用して視覚に訴える情報伝達を工夫するとともに、時間帯で閲覧数が大きく変わる傾向を踏まえ、より多くの方に届く時間を選んでおります。
 こうした投稿内容の画像の工夫、時間帯の選定などのノウハウを共有するため、昨年度、各局の広報担当者向けにSNSの投稿ガイドを作成し、全庁の発信力の向上を図りました。その結果、昨年度におけるXの総閲覧数は、令和五年度の二倍以上となり、一億回を超えました。

○高橋委員 都政情報をより多くの都民をはじめとする方々に確実に届けるための工夫について理解をいたしました。
 若者世代や高齢世代など、情報にたどり着けないという声は依然として少なくないとお聞きしております。情報過多である状況の一方で、情報を得ることに困難を感じている方々ともしっかりとつながる工夫を要望いたします。引き続き、発信効果の検証と改善を重ねるとともに、取組により得た知見を全庁的に共有し、効果的な発信に努めていただくことを期待いたします。
 そして、子育て支援、介護、就労支援など、求める情報は人それぞれでございます。同じ内容を一律に流すのではなく、一人一人の関心事やライフスタイル、そしてライフステージに即した情報を届けることも求められております。
 こうした観点から、都は、一人一人異なるニーズに対して、どのような情報発信に取り組んだのかを伺います。

○伊藤戦略広報担当部長 都では、年代や性別、興味関心等に応じて情報発信できるウェブ広告の利点を生かしまして、ターゲットを明確にした広報を展開しております。
 昨年度は、ウェブ広告を拡充するとともに、年代別の主張傾向やクリック率などを分析し、Xやグーグルなど発信媒体を選定した上で、情報を届けるターゲットをきめ細かく絞り込み、発信いたしました。
 例えば、熱中症予防対策動画につきましては、ターゲットである高齢者層に対して効果的な媒体を通じて集中的に配信し、約四百五十万回視聴されました。また、広告の配信後には、アクセス解析を行い、視聴数などを検証することで最適化を図り、より効果的な情報発信を行っております。

○高橋委員 それぞれにありがとうございました。ターゲティングが可能なウェブ広告を活用し、個別の状況に応じた情報を届ける取組が進んでいることを評価いたします。今後もデータ分析などをしっかりと行うことで、効果的な情報発信を進めていただきたいと思っております。
 以上、質問を終えます。ありがとうございます。

○田村委員 私からは、東京グリーンビズの推進について伺います。
 東京グリーンビズは、自然と調和した持続可能な都市を目指し、東京の緑を守る、育てる、生かす取組が進められています。中でも、森林など今ある緑を守っていくことが非常に重要であると考えます。
 東京には、私の地元西多摩地域を中心に東京の面積の約四割を占める約八万ヘクタールの森林が広がっており、木材を供給するほか、豊かな水源を育み、いわゆるグリーンインフラとして、土砂の流出を抑えて災害から都民を守るなど、重要な役割を担っています。
 民間企業の中でも、サステーナビリティーや環境への意識の高まりを背景に、企業価値向上や事業活動における環境負荷低減のために、自ら森林を保有、管理する企業も増えてきています。このような企業と森林の保全をはじめとした東京グリーンビズの取組を協働して進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、令和六年度において、どのような企業と協働を進めてきたのか伺います。

○千田計画調整担当部長 東京の緑を守る、育てる、生かす取組を進めるためには、行政だけではなく、都民や企業と共に官民一体となって取り組んでいくことが重要でございます。
 そのため、令和六年三月から、都と協働して取組を進める企業などをコラボレーションパートナーとして募集し、森林の保全や多摩産材の活用などに取り組む企業など四十一団体が昨年度末までに登録いたしました。
 都は、コラボレーションパートナーと共に、公園でスポーツを楽しみながら緑の役割を学べるプログラムの実施や、行幸通りの地下通路での新たな緑の創出、約八十施設でのPR動画放映による緑を育てる機運の醸成など、東京グリーンビズの取組を一緒に推進してまいりました。
 また、昨年秋に、官民の緑の取組に関するイベント、東京グリーンビズDAYを開催し、鹿の食害や林業の人材育成など、森林に関するパネルディスカッションを行い、保全や維持管理に関する課題や知見を共有いたしました。

○田村委員 コラボレーションパートナーには私の地元の企業も登録しており、今後一層、都と企業との連携を強化することはもとより、パートナー同士の連携を深めるなど、より取組が拡充されることを期待しております。
 また、東京グリーンビズの推進に当たっては、企業との連携に加えて、都民の参画を促す機運を高めることが欠かせません。そのためには、都民の方に、東京の豊かな緑の存在を知ってもらい、緑への関心を高め、緑に触れる機会をつくっていくことが重要だと考えます。令和六年度において、都民に対してどのような取組を進めたのか伺います。

○千田計画調整担当部長 都は、都民の皆様に、東京の緑を身近に感じ、親しみを持ってもらうことを目的に、令和六年七月に、公園や庭園、並木、民間施設などの緑あふれるスポットや、イベント情報を掲載した東京グリーンビズマップを公開いたしました。
 具体的には、都内の全六十二市区町村や民間施設九十か所と連携し、約八百三十のスポット情報に加え、約五十のお勧めコースを掲載し、利用者が近くの緑やイベントを簡単に見つけられるようにするとともに、閲覧数ランキングを表示して、人気のスポットが一目で分かるように工夫いたしました。
 利用した方からは、実は東京には緑あふれるスポットが多くあることを認識できた、子供とのお出かけの際に役に立つなどの声をいただき、緑に触れ合う機会の創出につながりました。

○田村委員 ここまでの答弁で、都が東京グリーンビズの取組を企業や都民と一体となって進めていることが分かりました。
 東京の森林を、グリーンビズという軸で多くの関係者を巻き込み、将来に引き継いでいくことは非常に大切であり、こうした取組を都が積極的に推進していることを評価します。
 東京の森林は都民全体の貴重な財産であり、東京が世界に誇る都市と自然の共存の象徴です。今後もますます東京グリーンビズの取組を進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○細貝委員 都市間連携について伺います。
 都は、様々な分野で各自治体と連携を図っていますが、東京都と地方の連携が東京を消費者としたPRで終始してはなりません。都市間の連携という以上、実体のある連携として、人材の相互交流、新たな産業ビジネスの共同創出、または協働での社会課題解決といった具体的な成果を伴う取組とすることが重要だと考えます。
 令和六年度は、どのような考えで、どのような取組を行ったのでしょうか、伺います。

○田中特区・規制改革担当部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、都市部と地方部のそれぞれの地域が強みを生かし、新たな産業や雇用の創出などを進め、東京と地方が共に栄え、成長する共存共栄が重要であるとの認識の下、全国各地との連携を進めております。
 都はこれまでも、道府県のニーズを踏まえ、中小企業の販路拡大促進、インフラ等の技術研修協力、グリーン水素の都内利用などを実施してまいりました。
 令和六年度は、全国のスタートアップと東京の投資家や企業等とのマッチングや、伝統工芸品の販売による能登半島地震への被災地支援などを実施いたしました。
 また、相互PR事業では、香川県や滋賀県など六県と合意書を締結し、各地方の魅力のPRやイベントの周知などを実施いたしました。
 これらの取組を通じて、人や情報、企業活動などが集積する東京の強みを生かすとともに、様々な行政課題に対し、地方との連携を深めることで、国全体の活性化につなげております。

○細貝委員 次に、海外都市との連携について伺います。
 東京都が世界に開かれた活力ある持続可能な国際都市であり続けるためには、戦略的かつ積極的な海外連携が不可欠です。経済成長、都市の質の向上、文化交流の促進、そして様々な課題解決を通じて、国際社会との協調を深めていく必要があります。
 東京都は、世界の主要都市との海外連携を推進していますが、知事が海外出張を行った際、具体的にどのような課題意識や考えを持って臨んだのでしょうか、伺います。

○天津外務部長 都はこれまで、世界の諸都市と首長間の会談や実務的な意見交換に加え、学生や企業間の交流など、様々なチャネルを通じて、教育、スタートアップ、観光、都市づくりなど、幅広い分野で連携を進めております。
 また、様々な国際会議や都市から、多くの招待が知事など都に寄せられております。その中から、東京の取組、魅力の発信や国際的な知見やネットワークの獲得、共通課題の解決に向けた連携強化などの観点を踏まえ、効果的に知事の海外出張を行っており、都民生活の質の向上や、都内企業の成長などにつなげております。

○細貝委員 令和六年度の知事の海外出張において、どのような具体的な成果や知見を得て、それを今後の都政に向けてどのように反映させたのか伺います。

○天津外務部長 昨年度は、五月の米国カリフォルニア州をはじめとした三回の知事の海外出張を通じて、現地の要人との会談や、多様な施設の視察、都内企業の技術や都の施策に関する発信を行いました。
 具体的には、訪問した各地において、都市間のさらなる交流、連携のほか、気候変動対策や少子高齢化などの共通課題について意見交換を行いました。
 また、スタートアップ関連施設やグリーンインフラの視察などを通じ、都の施策推進に資する知見を得たところでございます。
 さらに、企業幹部や金融関係者、各国政府関係者等を前に、ビジネス拠点としての東京の潜在力に加え、女性活躍や再生可能エネルギーなど、都の施策を広くPRしたほか、現地に進出する都内中小企業の技術についてのトッププロモーションなども行いました。
 こうした取組を契機として、様々な施策の推進につなげ、東京全体の発展、プレゼンスの向上などの成果を上げております。

○細貝委員 知事が海外出張に行くのは、海外都市と連携を図る上で一定の効果があると思いますし、必ずしも否定されるものではありません。ただし、公金を使う以上、単なる物見遊山になってはなりません。様々な連携の締結や、新たなビジネスの創出、人材交流など、実態のある成果が必要です。そういった観点を持った海外出張を求めて、質問を終わります。

○天津外務部長 先ほども答弁させていただいたところでございますが、様々な国際会議や都市から多くの招待が知事など都に寄せられており、その中から、東京の取組、魅力の発信や、国際的な知見やネットワークの獲得、共通課題の解決に向けた連携強化などの観点を踏まえ、効果的に知事の海外出張を行っております。
 訪問した各地において、都市間のさらなる交流連携のほか、気候変動対策や少子高齢化などの共通課題について意見交換を行い、また、スタートアップ関連施設やグリーンインフラの視察などを通じまして、都の施策推進に資する知見を得たところでございます。
 さらに、企業幹部や金融関係者、各国政府関係者等を前に、ビジネス拠点としての東京の潜在力に加え、女性活躍や再生可能エネルギーなど、都の施策を幅広くPRしたほか、現地に進出する都内中小企業の技術について、トッププロモーションなども行いました。
 こうした取組を契機として、様々な施策の推進につなげ、東京全体の発展、プレゼンスの向上などの成果を上げております。

○村松委員 空飛ぶクルマの事業に関して伺います。
 空飛ぶクルマは、一般的にヘリコプターのように垂直離着陸が可能で、電力を動力とするため、音も静か、かつCO2を排出しない環境に優しいモビリティーだといわれております。新たな空の交通手段として大きな可能性を秘めていることから、都民の生活の質の向上のためにも、早期実装が期待されています。
 大阪万博では空飛ぶクルマが広く公開され、その様子を見た方々から驚きの声などが発信され、注目を集めていました。都では、この万博に先んじて、昨年五月のSusHi Tech Tokyoにおいて都内初飛行を実施し、その後、官民協議会を立ち上げて事業を実施しています。
 そこで、都として、令和六年度に、空飛ぶクルマの事業に官民で連携して取り組むこととした意義について伺います。

○有江計画調整担当部長 空飛ぶクルマは、人や物の移動革命をもたらし、都民生活の質を高めるとともに、都市の魅力やプレゼンスの向上に貢献する技術であります。これを社会実装することにより、渋滞の回避や交通不便地域における移動手段の確保など、様々な社会課題の解決につながるものであります。
 このため、都は、昨年度末に策定した都政運営の基本方針である二〇五〇東京戦略に、重要な施策として空飛ぶクルマの社会実装を位置づけ、機体の開発や、運航を担う民間事業者と連携して取組を進めることといたしました。

○村松委員 ありがとうございました。空飛ぶクルマを社会実装することによって、渋滞の回避や交通不便地域における移動手段の確保など、様々な社会課題の解決策につなげていく、こういう意義があるということをお話しいただきました。
 二〇五〇東京戦略の重要施策に位置づけ、将来の事業を担う民間事業者と連携して取り組んでおりますが、令和六年度は、官民協議会でどのような議論を行い、成果があったのかを伺います。

○有江計画調整担当部長 都は、令和六年六月に、国や機体メーカー、運航事業者、通信や管制システムの関係者などが一堂に会する協議会を設置いたしました。この協議会の下、実務者によるワーキングを計四回開催し、観光遊覧や都市間移動などの活用事例の具体化、離着陸場の確保、新たな交通管理体制の構築など、運用上の課題解決に向けた議論を行い、社会実装に向けてロードマップを精緻化し、二〇三〇年の市街地での展開を目指す実装プロジェクトを令和七年三月に公表いたしました。

○村松委員 ありがとうございました。空飛ぶクルマの事業を進めていくためには、官民が連携していくことは欠かせません。社会実装に向けては、様々な分野の民間事業者の声を丁寧に聞きながら、しっかりと行政が関与し、地域課題に即して社会実装を進めていくことが重要だと考えます。
 まずは、河川や臨海部での飛行、離着陸を想定していると思いますが、将来的には、社会課題が多く、魅力のある多摩地域や伊豆諸島なども視野に入れていただき、二〇三〇年の市街地への展開に向け、社会実装を実現し、都民の豊かな生活につなげていただきたいことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○山口(花)委員 国民民主党東京都議団の山口花でございます。
 私からは一点、先ほどとちょっと共通するところがあり、また各論にもなりますが、空飛ぶクルマの事業について伺います。
 空飛ぶクルマについては、先日閉幕した大阪万博においても、目玉展示の一つとして飛行の様子が報道され話題となっておりました。当初、万博では商用運航を目指しておりましたが、運航に必要な国の技術的な承認が機体の開発の遅れなどにより取得できず、機体の展示やデモフライトに変更されて、実質的な目標達成には至りませんでした。
 最先端技術の開発においては先を見通すことは難しく、状況の変化を踏まえながら、その進退も含めて事業を適切に進めていく必要があると考えます。
 東京都においても、令和六年度に、空飛ぶクルマのロードマップの精緻化を図っておりますが、このロードマップの目標と取組内容について伺います。

○有江計画調整担当部長 都は、令和六年六月に、国や民間事業者で構成する空の移動革命実現に向けた東京都官民協議会を設置し、その議論を踏まえ、ロードマップを精緻化いたしました。
 具体的には、二〇三〇年の市街地への展開を目標とした実装プロジェクトを立ち上げ、実機による飛行、離着陸場及び管制などの運航環境の検証、都民の利便性、安全性への理解促進を一体的に行うとともに、事業の進捗への評価も含めて実施していくことといたしました。このロードマップに基づき、機体の開発状況など、空飛ぶクルマを取り巻く環境の変化を踏まえながら、事業の進行管理を適切に行い、プロジェクトを進めていきます。

○山口(花)委員 ありがとうございます。ロードマップに基づいて進行管理を行い、事業に取り組んでいることを評価いたします。
 これから実際にプロジェクトが進んでいく中で、先日万博での運航と同様に、当初予想できなかった様々な課題に直面し、計画どおりに進まないことも予想されるかと思います。その中で、空飛ぶクルマにこれは限らずですが、最先端技術の開発は、その過程では多くの人に――先ほどの答弁でもありました社会課題の解決につながるツールであるなど、その必要性が理解されることが難しいことが多くあると思います。
 官民協議会を活用しまして、プロジェクトの進捗や技術開発の状況等を踏まえながら適切に評価を行い、必要に応じてロードマップを見直すことと、その開発が都民生活の向上に資するんだという東京都側の目的の広報もしっかりと行いながら、プロジェクトを着実に進めていくことを要望し、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○成清委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○成清委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二分散会