令和六年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

令和七年十月二十四日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長河野ゆうき君
副委員長こまざき美紀君
副委員長もり  愛君
いいだ健一君
せりざわ裕次郎君
笹岡ゆうこ君
せいの恵子君
高野たかひろ君
たかく則男君
とや英津子君

欠席委員 なし

出席説明員
スポーツ推進本部本部長渡邉 知秀君
スポーツ総合推進部長小池 和孝君
企画調整担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務石原  慎君
スポーツ担当部長武田 文彦君
パラスポーツ担当部長上山亜紀子君
国際スポーツ事業部長調整担当部長兼務梅村 実可君
大会総合調整担当部長調整担当部長兼務巻口 博範君
大会事業推進担当部長木村 賢一君
事業調整担当部長三浦 大助君
事業調整担当部長清水俊二郎君
スポーツ施設部長澤崎 道男君
経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務志村 将憲君
保健医療局局長山田 忠輝君
次長理事兼務谷田  治君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長加藤 みほ君
企画部長DX推進担当部長兼務吉原 宏幸君
保健政策部長小竹 桃子君
医療政策部長新倉 吉和君
都立病院支援部長鈴木 和典君
健康安全部長中川 一典君
感染症対策部長内藤 典子君
政策推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務犬飼陽一郎君
地域保健担当部長井上 俊治君
医療改革推進担当部長杉下 由行君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務宮澤 一穂君
食品医薬品安全担当部長稲見 成之君
感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務西塚  至君
感染症対策調整担当部長宮田 雅子君

本日の会議に付した事件
令和六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
スポーツ推進本部関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
保健医療局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和六年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・令和六年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算(質疑)

○河野委員長 ただいまから令和六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、スポーツ推進本部及び保健医療局関係の決算に対する質疑を行います。
 これよりスポーツ推進本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、スポーツ推進本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料は、お手元に配布をしております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小池スポーツ総合推進部長 去る十月十日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明いたします。
 お手元に配布の令和六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は六件でございます。
 それでは、一ページをご覧ください。1、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移でございます。
 令和二年度から令和六年度までの予算額と決算額を記載しております。
 二ページをご覧ください。2、都立スポーツ施設の指定管理料の推移でございます。
 令和三年度から令和七年度までの施設別の指定管理料を記載しております。
 三ページをご覧ください。3、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内パラスポーツ指導員登録者数でございます。
 令和二年度から令和六年度までの委嘱数と登録者数を記載しております。
 四ページをご覧ください。4、都立特別支援学校活用促進事業での体育施設の貸出実績でございます。
 令和四年度から令和六年度までの学校別の貸出実績を記載しております。
 五ページをご覧ください。5、東京都主催のスポーツイベント及びその委託先並びに共催イベント及びその主催者でございます。
 令和二年度から令和六年度までのイベント名及び委託先並びに共催イベント名及びその主催者を八ページにかけて記載をしております。
 九ページをご覧ください。6、東京都が支援したスポーツ大会とその支援額でございます。
 平成二十七年度から令和六年度までのスポーツ大会名、支援額と年度ごとの合計額を一〇ページにかけて記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高野委員 都民ファーストの会、高野たかひろです。よろしくお願いします。
 まず、TOKYOジュニアスポーツアンバサダーについて伺います。
 子供たちが何かに夢中になり、努力を重ね、その姿を見た同世代が自分も挑戦してみたいと思うスポーツには、そんな連鎖的な力があります。競技の枠を超えて、誰かの挑戦が次の誰かの勇気につながっていく、その姿こそ、まさに未来への希望そのものだと思っています。これから世界の大舞台で羽ばたいていくジュニアアスリートに光を当て、同世代の子供たちに夢や希望を与えるTOKYOジュニアスポーツアンバサダーの取組は、東京都が進めるべき非常に意義深い事業であると考えます。
 そこで、TOKYOジュニアスポーツアンバサダーの意義と実績について伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、ジュニア選手の世界での活躍を後押しするとともに、若年層におけるスポーツ機運を醸成していくため、国際大会に出場するジュニア選手をアンバサダーに任命し、その活躍する姿を紹介するとともに、選手自身にも活動内容などを広く発信していただいております。
 TOKYOジュニアスポーツアンバサダー事業の立ち上げ初年度となった令和六年度は、ジャンプロープやオリエンテーリング、フライングディスクといった競技をはじめ、合計十一名のアンバサダーを任命したところでございます。

○高野委員 様々な競技種目でアンバサダーの任命が行われていることをお聞きしました。
 令和六年度に計上された本事業の予算は二千三十七万円とのことですが、令和六年度予算の執行率はどの程度だったのか伺います。

○武田スポーツ担当部長 アンバサダーの任命に当たりましては、国際大会への出場実績があること、当該選手が所属する競技団体から推薦を受けることを要件としております。事業開始に際しましては、各競技団体に対して、制度の周知及び推薦の協力依頼を丁寧に行った上で、募集を行ってまいりました。
 しかしながら、当初想定していたほど国際大会に出場実績等のあるジュニアのアスリートが多くなかったことなどもあり、執行率は約四四%となっております。

○高野委員 国際大会に出場ができるか否かについては、選手本人の競技結果によるところもあるかもしれませんが、さらなる予算の執行に当たっては、引き続き丁寧な働きかけを続けてほしいと願います。
 さらに、アンバサダーに任命された後の広報活動について、都のホームページや各SNSを確認したところ、より多くの都民、とりわけ同世代の子供たちに、もっとアンバサダーの存在が認知され、ジュニア選手の活動を身近に感じてもらうことが必要だと感じました。
 そこで、都は現在、任命されたアンバサダーを活用して、どのようにプロモーション活動を行っているのか、その取組内容を伺います。

○武田スポーツ担当部長 TOKYOジュニアスポーツアンバサダーに任命されたジュニア選手は、都のホームページでの紹介や、スポーツイベントでの競技パフォーマンス、アンバサダー自身のSNS等において、競技の様子や出場した国際大会の結果などの情報発信を実施しております。
 さらに、アンバサダーの活躍を知ってもらうため、アンバサダーの活躍を編集した動画を制作し、プロスポーツチームの試合会場や都のデジタルサイネージ等での放映など、多くの都民の目に触れるよう、広報活動の強化を進めております。

○高野委員 TOKYOジュニアスポーツアンバサダーの事業として、世界を舞台に活躍しているジュニア選手の存在を広めることは、いい取組だと思っています。今後に向けても、プロモーション活動にさらに工夫を凝らし、メディア露出につながるような取組を展開してほしいと願います。
 次に、区市町村スポーツ実施促進補助事業について伺います。
 スポーツは、健康増進のみならず、地域コミュニティの活性化や共生社会の推進にも大きな役割を果たします。本事業は、区市町村が取り組むスポーツ振興や障害者の継続的なスポーツ実施を支援するものであり、地域の実情に根差した取組を推進していく上で大変貴重なものと考えます。
 本事業では、令和六年度に三億四千七百万円が計上されており、地域スポーツ推進事業とパラスポーツ推進事業の二区分があると聞いています。
 まず、地域スポーツ推進事業では、区市町村に対しどのような支援を行っているのか、その内容について伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめるよう、区市町村が実施するスポーツ振興事業等の経費に対し、原則として三百万円を上限に三分の一を補助しております。
 これにより、昨年度は、地域住民対抗のスポーツ大会やプロチームによるスポーツ教室など、地域のスポーツ振興に資する取組を支援してまいりました。

○高野委員 本事業が各地域でスポーツを根づかせるために活用されていることが分かりました。
 ところで、今年は東京で二〇二五東京世界陸上及び二〇二五東京デフリンピックという大きな二つの国際大会が開催され、先月、世界陸上が大盛況のうち幕を閉じたことは記憶に新しいところです。この二つの大会を東京全体で盛り上げていくため、本事業では、両大会の機運醸成に向けた区市町村の取組に対し、限度額の引上げ等の措置を行ったと聞いています。
 そこで、地域スポーツ推進事業における世界陸上及びデフリンピックの機運醸成に向けた取組とその実績について伺っていきます。

○武田スポーツ担当部長 都は、世界陸上及びデフリンピックを契機に、地域でのスポーツ活動を一層推進するため、両大会の機運醸成に係る取組を行う場合には、補助率を三分の二に引き上げるとともに、補助限度額を二百万円引き上げ、最大五百万円に増額しております。
 昨年度は、三十六の区市で本制度が活用され、例えば世界陸上については、オリンピアンによる走り方指導や、世界陸上の魅力をPRするイベントなどが開催されました。また、デフリンピックについては、デフスポーツの体験会や、手話を学ぶことができるイベントなどが実施され、両大会の機運醸成に向けた取組を支援してまいりました。

○高野委員 本事業が区市町村の創意工夫ある取組に寄与したことが確認することができました。
 世界陸上及びデフリンピックは、スポーツの機運を醸成するまたとない好機であり、このようなチャンスを捉えて補助率を引き上げるなど、都がスポーツ振興の方針を明確に打ち出し、区市町村の取組を加速させたことは、大きな意義があると考えています。
 今後も、大規模な大会などの開催機会を捉え、機運醸成の取組を強化するとともに、スポーツ振興を図る上で重点的に対処すべき課題に対しては、区市町村と共に取組を進めていただきたいです。
 次に、パラスポーツの振興の取組について伺います。
 パラスポーツへの参画は、障害のある方やそのご家族のQOLを高める大きな力となり、社会全体での共生を進める上でも極めて重要な取組であります。特に、自宅や通い慣れた施設で気軽に運動できるバーチャルスポーツの導入は、身体的、環境的制約を超えて、参加機会を広げる新しい挑戦であり、その意義は大きいと考えます。
 そこで、令和六年度に新規で実施されたバーチャルスポーツを用いた障害者のスポーツ実施促進事業について、改めてその目的を伺います。また、どのような内容で事業を実施したのか、参加した方から寄せられている声と併せて伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 本事業は、福祉施設等に居ながら気軽にスポーツに親しめる方法の一つとして、障害のある方に家庭用ゲーム機器等を使用して体を動かすバーチャルスポーツの普及を図ることを目的として実施をいたしました。
 昨年度は、福祉施設など八か所で体験会を六十四回実施し、参加者からは、車椅子に座ったまま取り組めた、コントローラーが振動するのでタイミングがつかみやすかった、体を動かす爽快感を思い出したといった声がありました。
 こうした声を踏まえまして、障害種別ごとの運動メニュー集を作成し、配布したほか、解説動画、Smileパラスポを配信し、六十六万回再生されるなど、普及を図ったところでございます。

○高野委員 障害のある方の中には、運動することに消極的だったり、体育館などのスポーツができる場所までのアクセスに困難がある方も多くいらっしゃいます。運動メニュー集や解説動画を活用して、引き続きバーチャルスポーツの普及を図り、身近な場所で気軽に体を動かす楽しさを伝えていただきたいと思っています。
 次に、パラアスリートの発掘、育成、強化について伺います。
 障害者がパラスポーツに挑戦できる環境を整えることは、次世代のアスリートを発掘、育成するのみならず、障害のある方々の可能性を広げ、社会全体のスポーツ振興にも資する大変貴重な重要な取組であります。本事業では、競技体験や専門家による助言を通じて、潜在的な競技者が一歩を踏み出すことを支援しており、その意義は大きいと考えています。
 そこで、都のパラスポーツ次世代ホープ発掘事業に関して伺います。
 本事業の昨年度の実施状況と、参加者が競技スポーツを始めやすくするための後押しとしてどのような工夫を行ったのか、伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 都はこれまで、次代を担う選手を発掘するため、様々な競技を体験できる競技体験会を実施してきました。
 昨年度からは、これに加えて、スポーツ用義足、車椅子に慣れてもらうための用具体験会を新たに開始いたしました。この用具体験会では、体の状況に合わせて調整した義足や様々な種目の競技用車椅子を用いながら、ランニングや車椅子バスケットボールなどを体験いただき、二回の開催で延べ十一名の方が参加いたしました。
 実施に当たりましては、義肢装具士やパラアスリート等が、義足を使った走り方や車椅子の操作方法等について一人一人丁寧にサポートを行いました。
 また、その後に開催する競技体験会は、パラリンピック競技を含め、延べ四十九競技を対象に二回実施し、百二十七名の方に参加をいただきました。会場では、パラスポーツの競技団体が参加者の障害特性や本人の希望等を踏まえ、競技適性などについて助言を行いました。

○高野委員 少子高齢化が進む中で、次世代の選手候補を発掘していくことはとても重要だと思っています。今後は、競技団体との連携をさらに強め、国際大会で活躍できる選手の層を広げていただきたいと思います。こうした競技スポーツの裾野拡大に向けた取組に加え、パラアスリートの競技力向上に取り組むことも重要だと考えています。
 次に、都は、東京ゆかりパラアスリート強化事業として選手の競技活動を支援していますが、東京ゆかりパラアスリートは、具体的にどのような条件で選定されるのか、また、昨年度の支援実績について伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 都は、国際大会等で活躍できる選手を継続的に輩出するため、東京に在住、在勤等の選手を東京ゆかりパラアスリートとして認定し、育成、強化に向けた支援を行っています。
 東京ゆかりパラアスリートについては、日本パラリンピック委員会に加盟している競技団体から推薦のあった選手について、学識経験者等をメンバーとする審査会において、過去大会の成績や国際大会への出場見込み等の観点から審査をし、認定を行っています。
 令和六年度は、四十五競技、百四十五名の選手を認定しており、大会参加等に伴う経費のほか、競技用具等の購入、修繕費などの支援を行いました。

○高野委員 東京からパラリンピックやデフリンピックなどの国際大会で活躍するスター選手を輩出することは、当事者に夢や希望をもたらすとともに、都民のパラスポーツへの関心を高めることにもつながります。パラアスリートの発掘、育成、強化に今後も都としてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そして、国際的なスポーツ大会を東京で開催することは、都民に夢や感動を届けるとともに、地域の活力や共生社会の実現につながる極めて重要な取組であります。東京二〇二五世界陸上では、多くの選手が活躍し、その姿を応援することで、都民がスポーツの力を改めて実感できたと考えています。
 都は、こうした世界陸上の開催意義を実現するため、大会を運営する世界陸上財団に対し、準備段階から様々な形で支援を行っていますが、ここでは令和六年度の取組について伺います。
 まず、世界陸上財団への支援として、令和六年度に新規で計上された十八億二千四百七十八万円の予算について、どの程度執行されたのか、また、大会運営支援の具体的な内容について伺います。

○三浦事業調整担当部長 令和六年度の世界陸上に関わる支援は、当初予算額十八億二千四百七十八万円に対し、執行額は十億二百五十二万六千円で、六割程度執行されております。
 当初予算額との主な差は、委託契約の前払い金の支払いを、事業者からの申出により一部翌年度に行うこととしたことによるものでございます。委託業務の具体的な内容は、仮設構築物の設計施工、ネットワークの整備、輸送関連業務など、大会運営の基盤となる業務でございます。

○高野委員 世界陸上の開催に当たっては、円滑な大会運営を支えるとともに、東京が世界に誇るスポーツ都市として、さらなる発展を遂げる契機とすることが重要です。大会を単なる一過性のイベントで終わらせることなく、子供たちや地域社会にその成果を引き継ぐレガシーとして残していく視点が欠かせません。
 こうしたレガシーを具体化するための経費は、令和七年度に予算化されたと理解しています。そのためには、令和六年度からの検討、調整が必要であったと思いますが、レガシー化に向けた都の取組について伺います。

○三浦事業調整担当部長 都は、令和六年一月に、大会を契機としたレガシーの創出に向けて、ビジョン二〇二五アクションブックを策定いたしました。これに基づき、令和六年八月にこどもワークショップを開催し、世界陸上に対する意見を多くいただきました。
 具体的には、多くの子供たちが会場で応援できるとよい、用具を学校に寄附するとよいなど、陸上競技に関する意見に加え、環境対策をアピールするといった環境に関する意見もいただきました。
 これらの意見も踏まえ、世界陸上財団と協力しながら、子供たちの観戦招待や、都内の全小学校にバトンを寄贈するとともに、SAFの普及に必要な廃食用油の回収促進などの取組を実施いたしました。

○高野委員 答弁ありがとうございます。都においては、早い段階から世界陸上のレガシー化に向けた検討、調整を着実に進めてこられたことが確認できました。
 子供たちの観戦機会の創出や環境への配慮といった取組は、まさに次世代への継承という観点から大変意義深いものだと思っています。今後もこうした経験を生かし、スポーツを通じた学びや交流が都民の誇りとなるよう、東京のスポーツ振興と都市のさらなる発展につなげていただきたいと思います。
 以上です。

○もり委員 立憲ミライネット、もり愛です。
 いよいよ来月、十一月十五日より、日本で初となるデフリンピックが開催されます。私も、東京都手話言語条例の策定メンバーとして、聴覚障害者の当事者の皆様からご意見をいただきながら、条例の策定とデフリンピックの誘致に取り組んでまいりました。記念すべき百回大会がここ東京で開催されることは本当にすばらしいことであると、当事者の皆様も大変心待ちにされております。
 デフリンピックは、共生社会の実現に向けた推進力となる大会であると考えます。この点、昨年度、令和七年二月に都が開催したみるカフェは、聞こえる人と聞こえない人の相互理解を深める印象的な取組でした。
 そこで、昨年度二月に実施したみるカフェの開催目的と実施状況についてお伺いをいたします。

○木村大会事業推進担当部長 都は、聞こえる、聞こえないにかかわらず、誰もがつながることができる環境づくり、そして、その体験を通して共生社会の理解を促すことを目的に、本年二月、昭和女子大学と連携し、みるカフェを実施いたしました。
 みるカフェでは、聴覚障害のある学生にもスタッフとして参加していただき、デジタル技術を活用してお客様とのコミュニケーションを図るなど、様々な交流が行われました。

○もり委員 ありがとうございます。昭和女子大学との連携など、本当に学校機関と連携をして開催されたことは、若い方の手話言語などの共生社会への理解を深める上でも大変意義があったと考えます。また、多くのデジタル技術が活用されておりまして、私も初年度のみるカフェに伺わせていただき、ろうの方が機器を活用して、来場者と生き生きとコミュニケーションをする姿が見られ、本当にとてもよい取組だと感じました。ぜひデフリンピックを契機に、引き続きこうしたみるカフェのような開催を大会のレガシーとしても続けていただきたいと、こちら要望をさせていただきます。
 みるカフェでも活用されていた、聞こえない人との円滑なコミュニケーションに資する機器を様々な場所に普及させ、大会のレガシーとすることは、共生社会の実現につながると考えます。
 そこで、こうした機器を社会に普及させるため、都が実施してきた取組についてお伺いをいたします。

○木村大会事業推進担当部長 都は、ユニバーサルコミュニケーション技術を社会に広めていくため、昨年度、三十八の都有施設に音声を文字で表示する透明ディスプレーを設置するとともに、区市町村の施設や駅への技術導入を支援いたしました。

○もり委員 ありがとうございます。駅にも設置をされていて、本当にユニバーサルコミュニケーションの技術により、聴覚障害者の方はもとより多言語にも対応があるなど、また、災害時の避難所においても、この情報バリアフリーの取組が求められると感じますので、ぜひ大会におけるこうしたユニバーサルコミュニケーションの技術があらゆる場所で生かされることが大会のレガシーになると考えます。こちらもぜひ局横断的に、必要とされる場所でこういった技術がより普及、活用されるように願っているものです。
 また、大会の開催まで一か月を切りました。本番まであと僅かとなりましたが、大会は都内各地で競技が行われるため、より多くの自治体と共に大会を盛り上げていくことが重要であると考えます。
 そこで、都は昨年度、区市町村と連携してどのような取組を行ってきたのか、お伺いをいたします。

○木村大会事業推進担当部長 都は昨年度、都内全域で開催機運を高めるため、区市町村が主催する住民に身近なイベントにPRブースを出展いたしました。
 また、大会一年前など節目の機会を捉えて、各自治体の広報紙やSNS等で大会情報を発信するなど、連携を図ってまいりました。
 さらに、区市町村が独自の事業を展開できるよう、デフリンピックの機運醸成に係る取組への支援について、補助率を三分の二に引き上げるとともに、補助限度額を増額いたしました。

○もり委員 ありがとうございます。区市町村が主催するイベント等においても、多くの支援をいただき、また、補助率を三分の二に引き上げて限度額を増額していただくなど、区市町村にとっても、機運醸成に取り組みやすいよう支援をしていただいていること、本当にありがたいと思います。ぜひ本当に、様々なところで、オリンピックはなかなか、大田区での開催がなかったんですけれども、今回は、ふるさとの浜辺でのビーチバレーですとか、またバスケットなども、本当に多くの都民と一緒に盛り上げていく中で、さらに一層の支援をお願いいたします。
 次に、デフリンピックや世界陸上でのボランティアにおける東京二〇二〇大会のレガシーの活用についてお伺いをいたします。
 東京二〇二〇大会でボランティアとして活動してきた方々に、デフリンピックや世界陸上でその経験を活用していただくことで、ボランティア文化の定着につながると考えます。
 そこで、デフリンピックや世界陸上のボランティアにおける東京二〇二〇大会のレガシー活用に向けた取組についてお伺いをいたします。

○清水事業調整担当部長 東京二〇二〇大会を支えた多くのボランティアの大会後の活動を支え、支援し、広げていくため、都は、令和二年十一月に東京ボランティアレガシーネットワークを開設いたしました。
 昨年度実施いたしましたデフリンピックや世界陸上のボランティア募集に当たりましては、ボランティアレガシーネットワークも活用して周知した結果、東京二〇二〇大会のボランティア経験者なども含め、多くの方にご応募いただき、大会での活躍につながっております。

○もり委員 ありがとうございます。大会関連ボランティアの方が約二万五千人に対して、現在も一万八千人の方が引き続き活動していただいているということで、こういったスポーツの大会のレガシーとして、こういったボランティアの取組が活性化をしているというのは、大変すばらしい取組だと考えます。引き続き、ボランティアレガシーネットワークに登録をしていただいている皆様にも活躍をいただく機会があるように、お願いを申し上げます。
 次に、デフリンピックは手話や聴覚障害への理解を深める貴重な機会となります。とりわけ将来を担う子供たちは、デフリンピックへの理解を深めるとともに、お互いの違いを認め合う多様な価値観を育む取組を進めていただきたいと思います。
 そこで、昨年度、教育庁とどのように連携をしてきたのか、お伺いをいたします。

○木村大会事業推進担当部長 昨年度、教育庁と協力し、デフリンピックや手話言語などを楽しく学ぶことができるハンドブックを都内小学校四年生から六年生の児童約三十四万人に配布いたしました。
 また、大会時に実施を予定している子供の競技観戦についても、連携して各学校への周知を行いました。

○もり委員 ありがとうございます。本当に、二〇二〇大会が無観客で開催をされたので、ぜひ今回のこのデフリンピックは、多くの子供たちにも観戦の機会があることを願っています。また、手話言語条例に基づいて、子供観戦や、また特別支援学校との連携など、こういった手話に親しむ機会というのも、この大会のレガシーとして子供たちの心に根づくことを願っています。
 次に、デフリンピックを契機としたパラスポーツを支える人材の育成について伺います。
 デフリンピックは、アスリートはもちろん、支える方々にとっても活躍の舞台であり、一歩進んだ活動につなげるチャンスだと思います。
 都は、支える人材を増やすため、パラスポーツ指導員養成講習会の開催や、東京二〇二〇大会のレガシーでもある障害者スポーツボランティアを募集団体につなげるマッチングサイトの運営などに加え、支える人々の活動の活性化につなげるシンポジウム、パラスポーツフォーラムを毎年開催していると聞いています。
 そこで、令和六年度のパラスポーツフォーラムについて、デフリンピックの開催を見据えてどのように取り組んだのか、お伺いをいたします。

○上山パラスポーツ担当部長 パラスポーツフォーラムは、パラスポーツ指導員やボランティア、スポーツ推進委員などを対象に開催をしております。
 昨年度は、デフリンピックも見据え、デフアスリートや指導者を招き、支える活動の魅力等に関するトークセッションを実施いたしました。また、多様なコミュニケーション方法を学ぶワークショップを取り入れるなど、参加者の活動意欲の向上につなげました。

○もり委員 ありがとうございます。パラスポーツフォーラムの場を活用して、デフリンピックを契機に、デフスポーツを支える輪が広がるように取り組んでいただいているとご答弁いただきました。
 私も、地元の手話サークルに入っているんですけれども、手話を活用している方がデフリンピックにもより一層参加をしたいという意気込みですとか、本当に、デフリンピックを契機とした多様なコミュニケーションが東京都のレガシーとして根づくことを心から願っています。
 いよいよ大会本番を迎えますが、大会後も引き続きパラスポーツを支える方々の取組を支援していただきたいと要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○せりざわ委員 よろしくお願いします。
 私からは、スポーツの推進について幾つかお伺いをさせていただきます。
 今回の都議会選挙においても、スポーツの居場所の確保というのを公約に掲げて、幾つかお訴えをさせていただきました。特に、子供たちのスポーツ、グラウンドもそうですし、体育館であったり、あとはアーバンスポーツといった新しい居場所についての拡充というのも、これまでお訴えをさせていただきました。
 スポーツの場所、やる場所というのは、いうまでもなく、自分自身とぶつかり合うような場所であって、子供はもちろんですが、ご高齢の方も大人も含めて、自分の限界を知って、そこに挑戦をしていくという貴重な場であります。
 しかし、昨今は非常に暑くなってきていて、近年の夏の暑さというのは記録的なものに変わりつつあります。甲子園においては、高校野球も昨年度から午前と夕方の部の二部制の導入というのが報道されて、夏場のスポーツというのが、日中のスポーツ活動を取りやめるようにというような構造的な対策が求められつつあります。このため、記録的な暑さの中でも、適切な対策を講じながら、安全にスポーツができるような環境というのを東京都で進めていくことが喫緊の課題であると考えております。
 区市町村の方で、スポーツ施設の暑さ対策というのをこれまでも行ってきていると思いますが、東京都として昨年度どのような支援を行ったのか、お聞かせください。

○武田スポーツ担当部長 都は、区市町村が地域のニーズに応じてスポーツ施設等を整備する場合、これに係る経費について、一施設当たり五千万円を上限とし、原則として二分の一の補助を行っております。
 昨年度は、スポーツ施設における空調や冷水器の設置、体育館のガラス天井を断熱性の高い屋根へ改修する工事などの支援を行ったところでございます。

○せりざわ委員 ありがとうございます。暑さ対策も含めて、区市町村立のスポーツ施設への支援内容というのが確認できました。引き続き、この記録的な猛暑というのはこれからも続いていくと思いますので、継続的なスポーツ、子供たちや全世代の皆さんが汗をかける場所というのをぜひとも確保していただけるよう、取組を進めていただければと思います。
 また、私、区議会の頃に、市街地を走る市民参加型のシティマラソンというのを品川区で提案をさせていただいて、今年の三月から初めてシティランというのが実施をされています。こちらは、地元のスポーツ団体だけではなくて、企業や商店街といった様々な方が連携して、連動して、自治会とか地元の皆さんで実行委員会をつくって、ランナーが走るだけではなくて、観光であったりシティプロモーションにつながるようなイベントになってきたと思っています。
 いうまでもなく、地域でスポーツイベントが起きるというのは、ランニングだったらランナーの方々が参加するというだけではなくて、そういった参加されない方もスポーツを知るきっかけにもなるし、やるきっかけにもなるし、あとは自分の地域を知るきっかけにもなるというような様々なプラスがあると思っています。
 そのため、地域の事情を考慮しながら、地元企業や商店街、教育機関と力を合わせて、区市町村独自で、それぞれの区市町村で取組をしていくというのを東京都が後押しをする形というのが一つあるのかと思っています。
 区市町村のスポーツ振興の取組について、東京都がどのような取組を行ったのか、お聞かせください。

○武田スポーツ担当部長 都は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめるよう、区市町村が実施するスポーツ振興事業の経費に対し、原則として三百万円を上限に三分の一を補助しております。その上で、地元企業の協力を得てスポーツイベントを開催するなど、地域の多様な主体と連携した取組に対しましては、補助率を二分の一に引き上げております。
 昨年度は、商業施設をウオーキングコースに組み込んで参加者増を図ったイベントや、子供向けに大学の施設や教員と連携したスポーツ教室などへの支援を行ったところでございます。

○せりざわ委員 ありがとうございます。特に、コロナ禍で外に出るのを控えて、スポーツをやめてしまったという方もいろんなところで伺っておりますので、もちろん区市町村が独自でやっていく、そして主体的にやっていくのはもちろんですけれども、東京都として地元企業と連携をして、区市町村へのスポーツ振興というのを引き続き行っていただければと思います。
 続いて、eスポーツと、あとバーチャルスポーツの関係性も含めてお伺いをさせていただきます。
 先日、世界陸上が大盛況に終わりまして、私も視察をさせていただきましたけれども、一流のアスリートがそれぞれ競い合って繰り広げる熱戦というのは、テレビ越しでも様々いい影響があったと思いますし、スポーツを楽しんだ方がたくさんいらっしゃったと思います。
 このようないわゆるリアルのスポーツだけではなくて、今、eスポーツというのが大きな注目を浴びております。昨年の六月のIOCでは、eスポーツ部門というのをオリンピックで検討していくと、創設をしていくということが決定をされております。
 私自身も学生の頃、当時、eスポーツという知名度がほとんどなかった時代ですけれども、eスポーツ大会というのに何度か参加をさせていただいた経緯もありまして、eスポーツというのが、勝利であったり敗退も含めて、もしくは応援することも含めて、まさにスポーツだなと私自身も思っております。
 東京都は、既に障害のある方向けにeパラスポーツ事業というのを実施しておりまして、日常的にeスポーツに取り組んでもらうということを行ってきたかと思います。
 いうまでもありませんが、このeスポーツというのも、リアルのスポーツと比べて、リアルのスポーツももちろん私も好きなんですけれども、体格とか年齢とか性別とか、もちろん障害とかといったいわゆるハンディキャップというのをつけずして、同じルールで同じ条件で戦えるというのが、eスポーツのとても面白い特性だと思っております。
 そこで、東京都として、障害当事者の方だけでなく、障害のある方、ない方も含めて、一緒にこのeスポーツを楽しんでいくということを求めていきたいと思いますが、まず昨年度どのような取組をしたのか、そして、その取組においてどのような反響があったのか、お聞かせください。

○上山パラスポーツ担当部長 都では昨年度、十か所の福祉施設の利用者を対象に、障害のある方向けに開発された機器を貸し出して、eスポーツのイベントを二回開催いたしました。
 このイベントでは、参加者が福祉施設に居ながら、オンラインで商業施設等にいる都民やゲストとeスポーツの対戦を行ったり、画面越しのコミュニケーションを楽しむなど、積極的に交流を図る機会を設けました。
 参加者からは、相手が近くにいるような距離感で楽しめた、日常生活では勝敗を競うような場が少ないので、貴重な体験ができたといった声がございました。

○せりざわ委員 障害のある方、ない方含めて、一緒に対戦して楽しんでいただいたということが分かりました。
 この取組では専用の機器を貸し出していたということでありますが、日常生活の中で、より気軽にeスポーツを楽しんでいただくことも重要だと思います。市販の家庭用ゲーム機を使用した体を動かすバーチャルスポーツ、これはeスポーツの中でも機器やソフトの入手が容易で、障害のある方のeスポーツの実施のハードルをさらに下げてくれるものだと期待をしております。
 昨年度の我が会派からの質疑に対して、バーチャルスポーツについて、普及に向けた運動メニュー集等の作成をするとの答弁がありました。
 そこで、東京都は、この運動メニュー集の作成に当たりどのような視点でまとめたのか、具体的に教えてください。

○上山パラスポーツ担当部長 令和六年度は、バーチャルスポーツを体験した方の声などを基に、障害種別ごとの運動メニュー集を作成いたしました。
 作成に当たりましては、狭いスペースでも気軽に取り組めることや、スポーツが苦手な方でも成功体験を得やすいことなど、バーチャルスポーツの意義や特徴に着目して取りまとめを行いました。
 また、上半身だけで楽しめる運動メニューや、音声や字幕が充実したコンテンツなど、障害種別ごとに取り組みやすいプログラムを紹介し、それを解説する動画も配信をいたしました。

○せりざわ委員 障害種別ごとの運動メニュー集の作成をされたということで、当事者の方に寄り添った内容になったんだろうと思っております。
 バーチャルスポーツは、家庭用ゲーム機と市販ソフトを使用するものなので、障害のある方が身近にスポーツを楽しむことと加えて、ほかのeスポーツと同じように、障害のある方もない方も一緒にプレーをできるというのが特徴であります。今後も様々なアプローチで、障害ある方々へのeスポーツの実施、そして、ない方との交流というのもぜひ進めていただければと要望して、終わります。

○いいだ委員 都議会公明党のいいだでございます。よろしくお願いいたします。
 まず、パラスポーツの普及についてお伺いをします。
 パラスポーツの普及に関しまして、昨年の夏に開催されたパリ・パラリンピックでは、日本代表選手の皆様の目覚ましい活躍により、日本中が大きな盛り上がりを見せました。連日報道される世界最高峰の熱戦や、様々な困難を乗り越えて世界の舞台で輝くアスリートの姿は、私たち都民に対しても、スポーツの持つ力と人間の可能性を改めて示し、大きな感動と勇気を与えてくれました。この大会を通じて、これまでパラスポーツにあまりなじみのなかった多くの都民が、その競技性の高さや奥深い魅力に触れ、関心が飛躍的に高まったことは間違いありません。
 このように、世界的な国際大会が続くことは、パラスポーツへの関心を一過性のブームで終わらせず、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむ共生社会の実現に向けた理解を都民の間に深く根づかせるためのまさに絶好の機会だというふうに考えます。この貴重な盛り上がりをいかにして持続させ、さらなる普及へとつなげていくか、東京都の積極的な役割発揮が、今、強く求められております。
 そこで、こうした背景を踏まえ、都の取組についてお伺いをします。
 都は、パラスポーツの普及に向けた取組を行っておりますけれども、令和六年度はどんな工夫をしながら取り組んだのか、昨年度の実施状況についてお伺いをいたします。

○上山パラスポーツ担当部長 令和六年度はパリ・パラリンピックの開催年であったことから、出場するアスリート等の起用により関心を高める工夫を行いました。例えば、パラアスリートの日常生活等に関するインタビュー動画を制作し、SNS等で配信した結果、約六十二万回の再生がありました。
 また、パリ大会の感動を共有するため、パラアスリートを招いたイベントを実施し、競技デモンストレーションや体験ブース等に延べ一万二千人が来場するなど、都民の関心喚起につながりました。

○いいだ委員 パラスポーツへの関心を高めるためには、今ご答弁にあったように、まず知ってもらうきっかけを広く提供することが何よりも大切です。その点で、パリ・パラリンピックという大きな注目が集まるタイミングを捉え、出場アスリートのインタビュー動画を制作し、SNS等で配信されたことは、非常に効果的な手法であったというふうに評価をいたします。
 約六十二万回という再生回数は、多くの都民の目に触れ、アスリートの競技面だけでなく、その背景や人柄に触れる貴重な機会となったことを示していると思います。パリ・パラリンピックで生まれたこの大きな関心のうねりを途切れることなく、今後いよいよ開催が迫るデフリンピックを最大の契機とし、これまで培った効果的な情報発信と、こうしたリアルな体験、交流の機会の創出をさらに発展をさせ、都民のパラスポーツへの関心を一層高める取組を引き続き強力に進めていただくことを強く要望をいたします。
 次に、地域スポーツクラブへの支援についてお伺いをいたします。
 私自身、小中高と軟式野球に打ち込みまして、高校時代には、幸いにもキャッチャーとして茨城県の最優秀選手に選出していただいた経験がございます。この経験を通じて、単に技術を磨くこと以上に、一つの目標に向かって仲間と切磋琢磨することの貴さ、チーム内での自らの役割と責任、そして地域の方々からいただく応援の温かさなど、スポーツを通じた人とのつながりが人間的な成長にいかに重要であるか、身をもって学んでまいりました。
 そして今、私の子供が地元の野球チームで頑張っておりますけれども、私も空いた時間に子供とキャッチボールを行うことが気分転換の時間となっております。このように、親として再び地域のスポーツ活動に関わる中で、子供たちが仲間と共に元気に汗を流す姿、そして、私自身がキャッチボールという親子の対話を通じて子供と向き合う時間は、本当にかけがえのないものだと改めて実感しているところです。
 もちろん、ウオーキング、ジョギング等、健康のため、自分一人で取り組める運動も大変いいものです。しかし、現代社会において、ともすれば地域コミュニティのつながりが希薄化しがちな中で、誰かとつながり、一緒に汗を流すようなスポーツの機会を確保することは、個人の健康増進という側面以上に、社会的な孤立を防ぎ、子供たちの健全な育成や地域の活力を生み出す上で非常に大事なことだと考えます。
 こうした私たちが身近な地域で仲間と共にスポーツに取り組めるような場として、都内各地で地域スポーツクラブが活動していると承知をしております。これらのクラブは、子供から高齢者まで多様な世代の人々が集い、スポーツを楽しむだけでなく、地域交流の拠点としての重要な役割も担っているというふうに認識をしております。
 そこでまず、地域スポーツクラブとはどのような団体なのかを伺います。

○武田スポーツ担当部長 地域スポーツクラブは、地域住民が主体的に運営する多世代、多種目、多志向を特徴とする団体でございます。地域住民が、年齢や競技レベルを問わず様々なスポーツを楽しむことができ、スポーツ活動を通じた地域コミュニティの活性化や住民同士の交流の場としても期待されております。
 都では、クラブの設立、育成を支援しており、都内におけるクラブ数は、事業開始時の平成十四年度末には十八クラブでしたが、令和六年度末時点では百六十三クラブに増加しております。

○いいだ委員 地域スポーツクラブがどのような団体なのかについて確認をさせていただきました。こうした地域スポーツクラブのさらなる充実によって、誰もが身近な場所でスポーツができる環境が確保されることを望みます。
 次に、そのクラブの充実を考えたとき、活動の場が整うと同時に、そこで活動する人、とりわけ指導者の存在が極めて重要になってくると考えます。
 私が、これまでのスポーツ経験を通して様々なことを学ばせていただいた中で、特にその重要性を痛感したのが、青少年をはじめとした選手たちを導く指導者の皆さんの存在です。
 私自身、幸いにもすばらしい指導者の皆さんに出会い、恵まれ、その方々を通じて、単なる技術面や戦術面だけでなく、礼儀や規律、仲間を思いやる心、そして困難に立ち向かう精神力といった人間的な側面でも大きく成長させていただいたと、今でも深く感謝をしております。
 地域スポーツクラブが、先ほどご答弁にあったとおり、多世代、多志向であり、年齢や競技レベルを問わず多様な人々を受け入れる場であるからこそ、参加者一人一人の目的やレベルに合わせて適切に導き、スポーツ本来の楽しさとその価値を正しく伝えてくれる指導者の役割は、計り知れないほど大きいというふうに考えます。クラブの活動がより充実し、多くの都民にとって安全で魅力的な場であり続けるためには、こうした指導者の資質向上が不可欠であると思います。
 そこで、都は、地域スポーツクラブの指導者の充実に向けて、令和六年度にどのような支援を行ったのか伺います。

○武田スポーツ担当部長 地域スポーツクラブでは、競技経験のある地域住民等が指導的役割を担い、個人の体力や技術レベルに応じた多様な活動が行われております。
 都は、地域スポーツクラブの充実した活動を支援するため、各分野の指導者や専門家の派遣等を実施いたしました。
 具体的には、元プロサッカー選手による実践的な実技研修会や、専門家による救急対応の講習会など、地域スポーツクラブのニーズや課題に応じた支援を行ったところでございます。

○いいだ委員 都が地域スポーツクラブの充実した活動を支援するため、各分野の指導者や専門家の派遣、さらには元プロサッカー選手による実技研修会など、現場の具体的なニーズや課題に応じた支援を実施していることがよく分かりました。
 地域スポーツクラブの指導者が充実することで、子供から高齢者まで、より多くの都民がそれぞれの目的やレベルに合わせて安全に、そして安心してスポーツに親しむことができる環境が整うと思います。それによって、地域住民の最も身近なスポーツの場である地域スポーツクラブの活動が質、量ともに一層活発化していくものと確信をしております。
 ボランティアの皆様一人一人が大会運営の主役であるという誇りを持ち、参加して本当によかったと、そう感じられる、まさにみんなでつくり上げる、そうした地域になりますように、引き続き万全の準備を進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○せいの委員 日本共産党のせいの恵子です。資料の提出、ありがとうございました。
 今日は、するスポーツを中心に伺います。
 東京都では、都民のスポーツ活動に関する調査を毎年実施しています。二〇二四年度は十一月中旬から十二月初旬にかけて実施し、三月末に結果が公表されました。
 生活文化スポーツ局が都民のスポーツ活動に関する実態調査を行っている理由と、今回の調査結果の特徴や都の見解を教えてください。

○石原企画調整担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 本調査は、都民のスポーツ活動の実態を把握し、今後のスポーツ振興の方向性や施策の検討に活用することを目的としております。
 令和六年度の主な調査結果としましては、都民のスポーツ実施率が六三・三%となっており、東京都スポーツ推進総合計画の目標値に迫っております。

○せいの委員 スポーツ実施率は週一回以上スポーツをしている十八歳以上の都民の割合ですが、駅でエスカレーターに乗らずに階段を上ったことなども含まれることから、本来の文化的で豊かな生活を享受することの一環としての権利としてのスポーツ実施率とは乖離しているのではないかということを我が党は指摘をしてきました。とはいえ、毎年調査を行い、都民のスポーツ活動の実態を把握し、今後の施策に生かすという取組は大変重要だと思います。
 この調査では、スポーツ、運動の実施頻度が週一日に満たなかった理由として、仕事や家事、育児が忙しくて時間がないからと答えた方が五二・三%、機会がなかったからが二二・八%、面倒だからが一九・一%、年を取ったからが一七・三%、身近に場所や施設がない一六・八%、お金がかかるから一六・二%というふうになっています。
 これらの調査の結果を受けまして、都の認識を伺います。

○石原企画調整担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 都民のスポーツ実施率は着実に上昇してきておりますが、スポーツに関する課題は対象により様々でありますので、実態調査結果も踏まえて、特性やライフステージに応じた取組をしていくことをスポーツ推進総合計画で示してございます。

○せいの委員 スポーツ実施率、着実に上昇とのご答弁でしたが、二〇二一年からは年々減少傾向です。
 私たちのところには、物価高騰で生活が大変になり自由になる時間とお金がない、物価高騰がボディーブローのように利き、スポーツから足が遠のく人が増えているというような声が届いています。こうした状況が影響しているんではないでしょうか。また、自分の身近なところでスポーツができない、学校の体育館を借りていたが、学校が統廃合されてしまったという声も切実です。こうした実態を踏まえた上でスポーツ振興に取り組むことが必要ではないでしょうか。
 令和六年度に東京都が行った、するスポーツを後押しする取組と効果を教えてください。

○石原企画調整担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務 するスポーツを後押しするため、令和六年度も、ドッジボールなどの様々な種目に参加できる都民スポレクふれあい大会をはじめ、多くのスポーツイベント等を開催しており、するスポーツの機会拡大やスポーツムーブメントの創出につながっていると認識しております。

○せいの委員 スポーツイベントももちろん重要だと思います。でも、都民の声を踏まえれば、するスポーツをみんな身近なところで安価に取り組めるというようなことをしていくことが求められているのだと思います。アマチュアスポーツ団体などからは、スポーツをする権利を保障するためにも、今の条例料金の設定を下げてほしいという声も聞いています。
 スポーツをすることへのハードルを下げて、一般市民が利用しやすいように、条例で定められている料金の上限を下げ、都立スポーツ施設の利用料を引き下げるべきではないでしょうか。お答えください。

○澤崎スポーツ施設部長 都立スポーツ施設では、都民へのスポーツ振興に寄与する役割を踏まえまして、その料金について、アマチュア団体の利用を想定した料金区分を他の区分より低い水準としております。

○せいの委員 確かに、都立スポーツ施設条例の利用料金は、入場料の徴収またはこれに類する取扱いをする場合、しない場合で異なります。入場料の徴収などをしない場合、つまりアマチュア団体などを想定した区分は低い金額になっています。
 しかし、例えば東京体育館のメインアリーナを一日借りるとき、入場料の徴収等をする場合の条例上の利用料金は四百八十九万八千六百五十円、入場料の徴収等をしない場合は百十万四百六十円です。確かに入場料の徴収等をしない場合は安くはなっていますが、アマチュアスポーツ団体がスポーツを楽しむために、利用料金を百十万円も支払えるかというところなんです。
 さすがにとても払える金額ではないというふうに分かっていらっしゃるようで、実際には、東京体育館の指定管理者の東京都スポーツ文化事業団は、アマチュア団体が一日借りた場合の料金を、最大でも条例料金の半額の五十五万二百円にしています。ですが、それでも二年前の大幅な値上げによりこの金額になったときに、スポーツ団体から抗議の声が上がりました。私は当然だと思います。
 やはりアマチュア団体が利用する場合の条例上の利用料金は大幅に引き下げて、都民がスポーツを楽しむ環境、これこそ保障していくことが必要ではないでしょうか。いかがでしょうか。

○澤崎スポーツ施設部長 お答えいたします。都立スポーツ施設では、アマチュア団体の利用を想定した料金を、今ございましたように他の区分より低い水準としております。

○せいの委員 繰り返しのご答弁ということになりますが、やはりここは、都民がするスポーツ、しっかりと支えていただくためにも、ぜひ引下げを要望しておきたいと思います。
 次に、身近なところでスポーツをする場所を確保することについても伺いたいと思います。
 先ほども申し上げましたが、自分の身近なところでスポーツができない、学校の体育館を借りていたが学校が統廃合されてしまった、このような声が届いています。
 スポーツをする権利の保障、このためにも、都民が行うスポーツや参加するスポーツを行いやすい場所の確保に取り組むべきではないでしょうか。見解を求めます。

○武田スポーツ担当部長 都は、地域の住民が身近な場でスポーツに取り組めるよう、区市町村が行うスポーツ施設の整備に対して支援を行っております。

○せいの委員 区市町村が行うスポーツ施設の整備の支援というのは、スポーツ空間バージョンアップ補助金のことということでいいのかなと思うんですが、このスポーツ空間バージョンアップ補助金の二〇二四年度の予算額と決算額を伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、区市町村の施設整備を支援するスポーツ空間バージョンアップ補助事業を実施しており、令和六年度の予算額は四億百万円、決算額は二億六千三百六十七万四千円でございます。

○せいの委員 今お答えいただいた予算額と決算額、これ計算しますと執行率は大体六六%になります。身近な場所にスポーツ施設をつくってほしいという都民のニーズがあって、せっかく予算を確保しているのであれば、執行率が低いのは残念です。
 この事業の補助要綱いただきましたが、見てみると補助限度額が五千万円ですね。スポーツ施設の整備に対する支援としては、これではちょっと金額が少ないのではないかなというふうに思います。
 要綱を読むと、次の各号に掲げる経費については、補助の対象にしないというところがあります。そして内容は、施設整備に伴う用地取得費、設計委託費、工事監理費などで、施設の維持管理上、通常必要となる整備費などとなっています。つまり、通常の施設整備のための経費はこの補助の対象外というふうに、この要綱を読む限りは受け取れます。
 補助の対象になるのは、学校を市民開放する場合の改修、暑さ対策、省エネ対策、バリアフリー化など部分的な工事が中心で、中にはスポーツ施設の統合、再編というメニューもあります。統合してしまったら、スポーツする場が増えるどころか減ってしまうのではないかと思うんです。しかも補助額は五千万円、これでは、区市町村にとって使い勝手はよくないし、都民ニーズに十分に応えることはできないのではないかというふうに私は思います。
 区市町村への補助、施設整備そのものを対象として、補助限度額も大幅に増加することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○武田スポーツ担当部長 都は、地域の住民が身近な場でスポーツに取り組めるよう、区市町村が行うスポーツ施設の整備に対して支援を行っております。

○せいの委員 同じお答えということなんですけど、そもそも昨年度末に策定された東京都スポーツ推進総合計画には、現在の都立、区市町村立、都立公園等の運動施設の数、これは記載がありますが、それをどれだけ増やしていくというような目標はありません。ぜひ目標を持って取り組むことを要望しておきます。
 次に、都立スポーツ施設についても伺います。
 広域的で大きな大会を開催できる都立スポーツ施設は人気が高く、予約を取るのが難しいとの声が届いております。有明アリーナのメインアリーナは、都民スポーツ団体が予約をするのはほぼ不可能。都民利用が目的のはずのサブアリーナも、メインアリーナで行うイベントに付随する物販での利用などが優先されて、なかなか利用ができないという声を聞いております。状況を伺います。

○志村経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 令和六年度の有明アリーナにおけるメインアリーナのスポーツ利用は七十二日で約二四%、サブアリーナのスポーツ利用は二百二十日で約六四%となっております。

○せいの委員 メインアリーナについては、二〇二三年に我が党のアオヤギ有希子都議が質問したときに比べて、スポーツ利用が増えてはいるんです。しかし低い水準で、しかも、ホームページなども確認しましたが、国際大会やプロスポーツなどで占められている、これが現状ではないでしょうか。
 サブアリーナは六四%ということで、都民のスポーツ利用を想定したアリーナであるにもかかわらず、三分の一はそれ以外が占めているということです。しかも、スポーツ利用も、プロスポーツの試合がかなりの数を占めていることがホームページでも確認ができます。
 事前に伺いましたら、メインアリーナの予約は一年前から、サブアリーナの予約は半年前から可能だと。そして、メインアリーナの利用に付随する物販などでサブアリーナを使いたい場合は、メインアリーナの申請の際に相談に応じるということで、サブアリーナも一年前から確保できるということでした。これではサブアリーナも土日など使いやすい日程は先に押さえられてしまうし、やはり興行やスポーツ大会、これ土日に集中するでしょうから、すごく使いづらい状況になっているということが明らかなのではないかと思います。
 ご答弁のとおり、サブアリーナは、地域のスポーツ大会などの利用を想定というふうになっていますが、実際に都民がスポーツをしやすい施設となるように求めたいと思います。
 ごめんなさい。ご答弁の前に、すみません、もう一回。先に押さえられてしまうということではないかというところで、興行利用に偏らず、都民がスポーツを行うための利用の確保を求めますが、見解をお願いいたします。

○志村経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アリーナのメインアリーナは、大規模なスポーツ大会や各種イベント、コンサートなどでの利用、サブアリーナは、地域のスポーツ大会や障害者スポーツの場などとしての利用を想定しております。
 サブアリーナにつきましては、障害者のスポーツ利用の料金を半額に設定するとともに、半面貸しの利用料金も設定しております。

○せいの委員 すみません、失礼しました。
 今ご答弁いただきまして、今のご答弁だと、やはり興行とかスポーツ、これが土日に集中するということで、どうしてもサブアリーナも含めて日程が先に押さえられてしまうというところでは、とても使いづらいだろうというところだと思います。
 それで、ご答弁のとおり、サブアリーナは地域のスポーツ大会などの利用を想定ということで、実際に都民がスポーツしやすい施設となるように、ここは対策を求めていきたいと思います。
 有明アリーナについて引き続きお聞きしますが、有明アリーナは、コンセッション方式によって株式会社電通が代表企業となって運営しております。
 決算説明書を確認しますと、有明アリーナの運営権対価は、予算が四億九百万円、それに対して決算が五億千四百万円、二五%の増となっています。この理由について伺います。

○志村経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 有明アリーナは、実施契約に基づき民間事業者が運営しており、その運営権者は、毎年、公共施設等運営権対価を都に納付することとなっております。その金額は三億八千五百万円でございます。これに加えまして、税引き前当期純利益の五〇%の金額を業績連動支払いとして都に納付することとなっております。その金額は一億二千九百万円となっております。合計で五億一千四百万円となっております。
 決算額の増加理由として、コロナ禍による活動制限が緩和され、予算策定時の想定を超えてメインアリーナが稼働し、都への業績連動支払いが増加したことによるものでございます。

○せいの委員 ありがとうございます。有明アリーナの運営権対価は九十四億円で、契約期間は二十五年ですから、大体その二十五分の一が毎年都に歳入されて、さらに、利益が上がればその半分を都に支払うということになると思います。半分都に払うということですから、全体としては、運営権対価の五割増しの大きな利益が上がったということです。
 施設利用料も公表されていますので、拝見しました。メインアリーナ、サブアリーナとも、入場料なしのスポーツ利用、つまりアマチュアの利用の金額は、興行利用に比べてかなり安く設定されています。
 例えば、メインアリーナを土日祝日にコンサートやショーで借りると七百十五万円に対し、入場料を徴収しないスポーツ利用は六十六万円です。サブアリーナは、土日祝に物販で借りると二百二十万円、一方、入場料なしのスポーツ利用は九万九千円です。このようにアマチュアスポーツ利用を安く設定しているということはとても重要です。
 ですが、運営会社にとっては、アマチュアスポーツに貸すよりもコンサートや物販に貸した方がもうかるという図式でも、これはあると思うんです。実際に、申し込んでも一回も使うことができていないという声も聞いています。
 また、公共施設であることや、非常に利益が上がっていることを考えれば、少なくとも都民利用を想定したサブアリーナは、都民利用を優先する予約方式にすることや、メインアリーナもアマチュアスポーツ利用の枠をしっかり確保することなどを都からぜひ運営会社に指導していただくことを強く求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○笹岡委員 立憲ミネ無の笹岡ゆうこです。質問させていただきます。
 都民がスポーツを楽しむために、身近にある市区町村のスポーツ施設が果たす役割は大きいと考えています。
 私は以前から、障害児支援は大事であると考えており、障害のあるお子様を育てる親御さんから、公共のスポーツ施設が居場所にもなっている、もっと進めてほしいという声を伺っています。障害児を含め、日頃からスポーツができる環境を整えることが大事だと改めて感じました。
 障害のある方々は、遠くまで出かけるのが難しい場合も多く、身近にパラスポーツを楽しむことができる施設があることは、誰もがスポーツを通じて生き生きと暮らしていくために大変重要です。
 そこで伺います。さきの委員でスポーツ環境の整備に対する支援の質問がありましたが、私からは、東京都は、身近な市区町村におけるパラスポーツ環境の整備に向けてどのような支援を行ったのか、伺いたいと思います。

○武田スポーツ担当部長 都は、区市町村が地域のニーズに応じてスポーツ施設等を整備する場合、これに係る経費について、一施設当たり五千万円を上限とし、原則として二分の一の補助を行っております。
 昨年度は、体育館の床を車椅子対応とするための施設改修など、区市町村の行う工事等に対し支援を行ったところでございます。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。都が市区町村のパラスポーツ環境の整備に向けた支援を行っていることが分かりました。障害のある方々にも気軽にスポーツを楽しめるよう、これからも市区町村の取組を後押ししてほしいと考えます。
 特に、高度経済成長期に市区町村が持つスポーツ施設の建設が進んだために、私の武蔵野市もそうですが、スポーツ施設は建設から三十年から五十年ほどがたち、軒並み更新時期が来ています。構造上の老朽化だけではなく、これからはバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化、ZEB化、パラスポーツをはじめとしたスポーツの種目の多様化など、新しい対応が求められています。
 一方で、建築資材費高騰や人件費の増加などにより、建物の更新、改修費用は莫大となっているからこそ、市区町村はその費用を捻出することに大変苦労をしています。市区町村の財政力により、地域差が出ることが懸念されます。ぜひこれからも一層の支援をお願いしたいと思います。
 こうしたハード整備に加えて、市区町村が地域の実情に応じ、障害のある方々のスポーツの機会を創出していくことも大事です。
 そこで伺います。都は、市区町村が行う障害者向けのスポーツ事業に対し、どのような支援を行ったのか伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 都は、障害のある方が身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりを進めるため、区市町村の取組に対し、原則として二百五十万円を上限に二分の一の補助を行っております。
 令和六年度は、水泳の初心者が継続して指導を受けられる教室や、卓球やバドミントン、ボッチャなど、様々な競技の体験ができるスポーツ教室などの事業に対し支援を行ったところでございます。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。東京都がパラスポーツ振興の観点から市区町村に対し様々な支援を行っていることが確認できました。
 私自身も、障害のあるお子様の親御さんから、市の体育館での水泳教室というのは大変貴重な場だという声を聞いています。こうした市区町村の取組を支えるこの補助制度が果たす役割は大変重要だと認識しています。障害のある方々のスポーツの機会、地域の居場所、つながりとしても大変大きな役割を果たしています。引き続きの支援を求めておきます。
 身近な地域という観点から見れば、高齢者のスポーツ振興の取組を促進する上でも、市区町村の取組は重要となります。
 さきの委員では高齢者向けではない質問がありましたが、私の方からは、東京都が市区町村が行う高齢者向けのスポーツ事業に対しどのような支援を行ったのか、伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、地域スポーツ推進事業において、区市町村が実施するスポーツ振興事業の経費に対し、原則として三百万円を上限に三分の一の補助を行っております。
 昨年度は、シニア向けの体操教室やゲートボール大会など、区市町村の事業を幅広く支援したところでございます。

○笹岡委員 ありがとうございます。都がスポーツ振興の観点から、市区町村に対し様々な支援を行っていることが確認できました。
 最近は、働く私たちのような世代も、心身を健康にするために民間のスポーツ施設に通う方々も増えてきておりますが、高齢者の方々にとっては、地域のスポーツ事業こそがとても身近で参加しやすいと伺っています。スポーツを通じた心身の健康への取組だけではなく、地域での顔の見える横のつながりを構築することは、高齢者の方々の孤立を防止し、地域力の向上に寄与する上でとても大切だと考えます。
 地域のスポーツ振興のためには、市区町村が果たす役割が重要であり、都として引き続きの支援を求めて、私からの質問を終わります。

○たかく委員 それでは、私の方から、最初にパラスポーツの振興の取組について伺います。
 東京都が今年三月に改定した東京都スポーツ推進総合計画では、誰もがスポーツを楽しむ東京を実現し、一人一人のウエルビーイングを高め、社会を変革するを基本理念とし、様々な達成指標を設定しています。その一つに、障害のある都民のスポーツ実施率を二〇三〇年度に五〇%に引き上げるという目標であります。目標達成に向けては、障害のある方が身近な地域で気軽にスポーツを楽しめる機会を提供することが重要と考えます。
 そこで、障害のある方のスポーツの場の確保に向けて、都はどのような事業に取り組んできたのか、令和六年度の主な取組について実績を伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 都は、特別支援学校の体育施設を活用して、身近な地域でのパラスポーツの場の充実を図っており、令和六年度は、障害の有無にかかわらず誰もが参加できるパラスポーツやスポーツ・レクリエーションの体験教室等を百二十四回開催いたしました。
 また、行き慣れた場所で安心してスポーツを楽しめる環境を提供するため、障害者の日中の居場所である福祉施設等を対象に、障害種別などに応じた運動プログラムを定期的に実施し、運動習慣の定着を図る事業を十八施設で計百三十二回実施いたしました。

○たかく委員 東京都は身近な地域でのスポーツの場づくりに取り組んできたことが分かりました。
 スポーツ施設だけではなく、特別支援学校や福祉施設などの身近な施設を活用することは、遠くまでの外出が難しい方やスポーツへの関心が薄い方にもアプローチできる有効な取組であると考えます。
 特別支援学校のスポーツ体験教室については、私は以前の質疑において、障害者が参加しやすい内容とするために、種類やルール、用具等について工夫をしていることを確認したところです。
 私は、教室参加のハードルを下げ、より多くの方にスポーツに親しんでもらうためには、時流に乗ったプログラムにするということも重要だと考えております。
 いよいよ来月には東京二〇二五デフリンピックが開催されます。大会開催はスポーツを始めるきっかけになるとも考えます。
 そこで、令和六年度に開催した体験教室において、デフリンピックに関連した内容を何か実施したのかについて伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 令和六年度は、デフリンピックの機運醸成に向け、デフサッカー日本代表前監督によるトークショーや、音が聞こえない状態でサッカーを行い、音の有無が競技に与える影響を体感できる競技体験会を開催いたしました。
 また、ろう学校では、デフスポーツに取り組むきっかけとなるよう、デフアスリートから直接指導を受けられる機会として、全四回の継続的なデフ卓球教室も開催いたしました。

○たかく委員 昨年度からデフリンピックに関連した体験教室が開かれたということです。
 今年度も、この体験教室の場を活用して、トークショーや、また競技体験会が開催され、デフリンピック本番時にはパブリックビューイングも実施されると聞いております。ぜひ参加者に喜ばれるイベントを実施していただければと思います。
 次に、運動習慣定着支援事業について伺います。
 この事業は、都が福祉施設に指導者を派遣し、運動の習慣化や地域のスポーツ活動への参加につなげることを目指した事業だと認識しております。
 一つの施設につき、その支援期間は一年間から二年だそうですが、重要なのは、都の支援が終了した後も施設が主体的に運動に取り組んだり、また、ほかの福祉施設にも波及していくことが重要と考えます。
 そこで、令和六年度の運動習慣定着支援事業で対象とした施設のうち、支援を終了した施設についてどのような成果があったのか伺います。

○上山パラスポーツ担当部長 令和六年度に都の支援が終了した施設に対し、先月、アンケート調査を行ったところ、全ての施設において、指導者の派遣によって運動指導のノウハウを身につけた施設職員などが中心となり、運動プログラムを継続していることが確認できました。
 また、各施設や自治体にヒアリングしたところ、施設内だけではなく、近隣のスポーツ施設に移動して運動を実施した例や、自治体のスポーツイベントに参加するようになった事例もありました。
 さらに、域内の福祉施設を対象に同様の事業を開始している自治体もあるほか、ボランティアとして参加した近隣の大学生が運動プログラムを継続してサポートするなど、障害者のスポーツの場の充実、定着につながっていることが確認できました。

○たかく委員 今の答弁ですと、運動習慣定着支援事業の効果が、施設内での運動習慣の定着にとどまらず、自治体内で面的な広がりを見せ、成果が表れているとのことでありました。
 障害のある方のスポーツの場の充実を図ることで、障害のある方のQOLの向上のみならず、地域の様々な関係者の連携のネットワークが構築され、障害のあるなしにかかわらず、誰もが活躍できる共生社会の実現に寄与することが可能と考えます。ぜひ今後もパラスポーツ振興に向けた施策、特にこうした身近な地域のスポーツの場づくりに取り組んでいただきたいことを要望いたします。
 次に、スケートボードなどのアーバンスポーツの場の確保について伺います。
 二〇二〇東京オリンピック大会では、新たに採用されたスケートボード競技において日本は五つのメダルを獲得、また、二〇二四年パリ・オリンピックでもメダル獲得数が四つ、男子女子ともに大活躍で、日本中に大きな感動を与えました。このように、日本代表がスケートボードなどで目覚ましい活躍を見せ、若者を中心にアーバンスポーツの人気が高まっております。
 アーバンスポーツは、単に順位を競い合うだけではなく、参加者同士が互いのスキルをたたえ合ったり、仲間や観客と一体となって楽しむ文化があるなど、コミュニケーションの形成や地域の活性化にも大きな期待が寄せられております。一方で、アーバンスポーツの盛り上がりに比して、活動できる場が不足しているのが現状でもあります。
 アーバンスポーツが多くの人々から親しまれ、スポーツとして普及するためには、愛好者が安心してアーバンスポーツができる場所が必要と考えますが、都の取組について伺います。

○志村経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 東京二〇二〇大会のレガシーを生かし、アーバンスポーツを体験し、楽しめる場として、昨年十月、有明にlivedoor URBAN SPORTS PARKが開業しました。開業イベントでは、3x3バスケットボールやパルクールなどの競技大会に加え、スケートボードやボルダリングの体験会も開催され、多くの方にアーバンスポーツに触れていただきました。
 開業後は、アスリートの練習利用のほか、初心者を対象とした体験会や教室事業を展開し、昨年度は約半年で三万七千人の方にご利用いただきました。また、教室事業の際には、マナー講習を実施することで、利用者の意識啓発も同時に行っており、多くの方から親しまれるよう、アーバンスポーツの普及に取り組んでおります。

○たかく委員 有明に開業したアーバンスポーツパークが、トップアスリートだけではなく、初心者向けにも事業を展開し、多くの人が利用していることは分かりました。また、マナーの意識啓発に引き続き取り組むことで、アーバンスポーツが多くの方に愛されるように、普及啓発に努めていただきたいと思います。
 次に、スポーツと健康増進について伺います。
 我が国では、世界でも類を見ないスピードで少子高齢化が進行しております。これは東京都においても例外ではありません。このため、社会保障関係費は年々増加傾向にあり、これをいかに食い止めるかが喫緊の課題となっております。そのためには、一人一人が日頃から健康づくりに向けた取組をしていくことが大変重要と考えます。
 高齢者を対象としたある調査では、ウオーキングより、よりハードな運動、早歩きなど週三回以上継続している人は、運動習慣のない人に比べて五〇%も認知症になりにくいとのデータが出ておりました。また、健常高齢者を対象とした研究では、運動習慣がない人は、運動習慣がある人に比べて認知症になるリスクが一・八二倍であることなども報告されておりました。さらなる高齢化を見据えた場合に、シニアになってから運動するのではなく、働き盛りの世代のうちから運動習慣を定着させることで、将来の介護や認知症のリスクを低減させていくことが重要と考えます。
 そこで、東京都は、都民の健康づくりに向けて、スポーツを通じた健康増進事業を行っていると聞いておりますが、昨年度の事業内容について伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、運動能力測定を契機に、都民の健康への関心を高め、継続的なスポーツ実施につなげていくことを目的に、令和六年度からスポーツを通じた健康増進事業を開始しております。
 具体的には、握力、反復横跳びなど六種目の測定を実施した上で、全身の筋力の状態や敏捷性などの測定結果に基づき、健康に対する意識の向上、運動習慣の定着につながるアドバイスを行っております。
 昨年度は、幅広い年代の方々を対象に、六本木ヒルズアリーナでキックオフイベントを行ったほか、自治体等のイベントと連携し、千人以上の参加者に体力測定を実施したところでございます。

○たかく委員 ありがとうございます。健康測定を通じた健康増進の取組を実施しているということで、引き続き若年層や働き盛り世代を含めた健康づくりの取組を進めていただきたいと思います。
 一方、都による取組を一過性に終わらせることなく、健康に対する意識の高まりを継続的な運動習慣に結びつけていくことが必要と考えます。そのため都は、区市町村と連携し、身近な地域における運動機会の創出に取り組むことが重要です。
 そこで、区市町村が行うスポーツ振興の取組に対し、東京都はどのような支援を行ってきたのか、また、参加者からどのような意見があったのかも伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツを楽しめるよう、区市町村が実施するスポーツ振興事業等の経費に対し、原則として三百万円を上限に三分の一を補助しております。
 昨年度は、区市町村が独自に実施した住民向け体力測定やウオーキング大会など、地域のスポーツイベント等の開催を支援したところでございます。
 例えば、地域のスポーツセンターで開催された体力測定では、参加された方から、ふだんの生活の中での体力づくりを考える機会となったや、改めて継続的な運動習慣が大切であることを感じたなどの声があったと聞いております。

○たかく委員 私の地元の世田谷区では、スケートボードが盛んに取り組まれております。地元愛好家の方々が中心に、都立駒沢オリンピック公園や都立公園内にスケートボードパークが整備されております。私も度々現地を見学しておりますが、週末など大変な混雑になることも少なくありません。このようなニーズに応え、スポーツの機運を一層高めていくためには、身近な地域でのスポーツの場の確保が一層重要と考えます。
 そこで、区市町村のスポーツ施設の整備に対して、都はどのような支援を行ってきたのか伺います。

○武田スポーツ担当部長 都は、区市町村が地域のニーズに応じてスポーツ施設等を整備する場合、これに係る経費について、一施設当たり五千万円を上限とし、原則として二分の一の補助を行っております。
 昨年度は、アーバンスポーツの実施場所の創出としましては、使用しなくなった市民プールをスケートボードやマウンテンバイク等ができる場に改修する工事に支援を行ったところでございます。

○たかく委員 ありがとうございます。誰もが身近な場所でスポーツに取り組める環境を確保していくためには、こうした地域の取組が一層重要であります。しっかりと整備を進めていただくことを求めて、私からの質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 以上でスポーツ推進本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時三十一分休憩

   午後二時四十八分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、保健医療局長から幹部職員の紹介があります。

○山田保健医療局長 それでは、先般の人事異動に伴い役職に変更のありました幹部職員を紹介させていただきます。
 感染症対策調整担当部長で健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務となりました西塚至でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○河野委員長 紹介は終わりました。

○河野委員長 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、保健医療局所管分、令和六年度東京都国民健康保険事業会計決算及び令和六年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加藤総務部長 去る十月十日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で十八項目となっております。
 それでは、一ページをご覧ください。1、保健医療費等の予算及び決算の推移でございます。
 保健医療費等の予算及び決算につきまして、(1)に、令和六年度の保健医療費の予算現額及び決算額等を、(2)に、令和二年度から令和五年度までの福祉保健費の予算現額及び決算額等の推移を、(3)に、令和二年度及び令和三年度の地域病院費の予算現額及び決算額等をそれぞれ記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、保健医療局等の予算・決算額の推移(一般会計)でございます。
 保健医療局等の一般会計の予算、決算額につきまして、(1)に、令和六年度の保健医療局の予算現額及び決算額を、(2)に、令和二年度から令和五年度までの福祉局、保健医療局(旧福祉保健局等)の予算現額及び決算額の推移をそれぞれ表側の予算区分ごとに記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、令和六年度における保健医療政策区市町村包括補助事業の補助額でございます。
 区市町村ごとに令和六年度の補助額の実績を記載してございます。
 四ページをご覧ください。4、東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金の推移並びに歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額、一人当たりに換算した額及び財政安定化基金の取崩しの総額の推移でございます。
 (1)に、令和五年度及び令和六年度における東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金を、(2)に、令和五年度における歳計剰余金のうち、過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額を、(3)に、令和四年度から令和六年度までの財政安定化基金の取崩しの総額と、そのうち特例事業の決算額の推移をそれぞれ記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における経営指標の推移でございます。
 七ページにかけまして、入院、外来別に、令和二年度から令和六年度までの各病院における診療収益などの経営指標の推移を記載してございます。
 八ページをご覧ください。6、一般会計繰入金、保健医療公社への運営費補助金、運営費負担金及び運営費交付金の推移(施設整備関連経費を含む)でございます。
 (1)に、令和二年度から令和六年度までの一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金と、そのうち施設整備関連経費の決算額の推移を、(2)に、令和四年度から令和六年度までの運営費交付金と、そのうち施設整備関連経費の決算額の推移をそれぞれ記載してございます。
 九ページをご覧ください。7、一般会計繰入金、保健医療公社への運営費補助金、運営費負担金及び運営費交付金の推移(病院別・施設整備関連経費以外)でございます。
 一〇ページにかけまして、施設整備関連経費以外の経費について、(1)に、令和二年度から令和六年度までの一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金の決算額の推移を、(2)に、令和四年度から令和六年度までの運営費交付金の決算額の推移をそれぞれ記載してございます。
 一一ページをご覧ください。8、都立・公社病院及び都立病院機構における医師、看護要員、医療技術員等の定数及び現員の内訳の推移でございます。
 一四ページにかけまして、医師、看護要員などの区分別に、令和二年度から令和六年度までの人数の推移を記載してございます。
 一五ページをご覧ください。9、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師(診療科別)及び看護要員(病院別)の定数及び現員の内訳の推移でございます。
 (1)、医師につきまして、一五ページから二六ページにかけて、令和四年度から令和六年度までの各病院における診療科別の人数の推移を、(2)、看護要員につきまして、二七ページから三二ページにかけまして、令和二年度から令和六年度までの各病院における人数の推移をそれぞれ記載してございます。
 三三ページをご覧ください。10、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における看護要員の中途退職者数の推移でございます。
 看護要員につきまして、令和二年度から令和六年度までの中途退職者数の推移を記載してございます。
 三四ページをご覧ください。11、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における分娩件数の推移及び周産期医療受入件数の推移でございます。
 (1)に、令和四年度から令和六年度までの各病院における分娩件数の推移を、(2)に、同期間の各病院における周産期医療受入れ件数の推移をそれぞれ記載してございます。
 三五ページをご覧ください。12、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における薬剤師の定数及び現員の推移(病院別)でございます。
 令和二年度から令和六年度までの各病院における薬剤師の人数の推移を記載してございます。
 三六ページをご覧ください。13、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における個室使用料の収益の推移でございます。
 令和二年度から令和六年度までの各病院における個室使用料の収益の推移を記載してございます。
 三七ページをご覧ください。14、都立病院機構の病院における新型コロナウイルス感染症の新規患者の受入数の推移(月別)でございます。
 令和六年度の各病院における新型コロナウイルス感染症の新規患者の受入れ数の推移を記載してございます。
 三八ページをご覧ください。15、都立病院機構における時間外労働が月八十時間を超えた医師・看護要員の人数及び時間外労働の最大時間数(月別)でございます。
 令和六年度の時間外労働が月八十時間を超えた医師、看護要員の人数及び月八十時間を超えた場合の時間外労働の最大時間数について記載してございます。
 三九ページをご覧ください。16、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における精神疾患患者の身体合併症治療の受入実績数の推移でございます。
 令和四年度から令和六年度までの各病院における精神疾患患者の身体合併症治療の受入れ実績数の推移を記載してございます。
 四〇ページをご覧ください。17、広尾病院患者家族宿泊施設の利用状況の推移でございます。
 令和元年度から令和六年度までの広尾病院患者家族宿泊施設の室数、延べ利用日数、利用率、利用できなかった割合の推移を記載してございます。
 四一ページをご覧ください。18、都内の死亡者数と新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者数でございます。
 (1)に、令和六年の都内の死亡者数を、(2)に、同年の新型コロナウイルス感染症に関連した死亡者数をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当分科会で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こまざき委員 都民ファーストの会のこまざき美紀です。よろしくお願いします。
 我が国の児童生徒の自殺者数は、令和六年に五百二十九人と過去最多となり、令和五年の五百十三人からさらに増加している現実に、強い懸念と危機感を抱いています。
 子供たちの命は何物にも代え難く、誰一人として失われてはなりません。子供が自ら命を絶つという事態は、家族、友人、地域社会など、全てにとってかけがえのない存在を失うこととなり、社会全体で協力して防がなければなりません。
 東京都の令和六年の自殺者数は千九百七十一人と前年より減少したものの、依然として深刻な状況が続いています。自殺の原因、動機には、健康の問題、学校、家庭問題など複合的な要因が背景にあり、子供たちの置かれた状況を的確に把握し、適切な支援につなげることが求められています。
 都では、多様な相談窓口の整備、区市町村のゲートキーパー養成研修への支援、東京都こころといのちのサポートネットにおける自殺リスクの高い子供への対応力強化など、包括的な取組を推進してきました。令和六年度の決算を踏まえ、これらの事業の実効性について質問します。
 まず、令和六年度における区市町村のゲートキーパー養成事業に対する都からの補助の状況、交付決定額と実際の交付額、乖離がある場合にはその要因について伺います。

○小竹保健政策部長 都は、東京都地域自殺対策強化交付金により、区市町村が行う研修等のゲートキーパー養成事業を補助率三分の二で支援しております。
 昨年度は、都内六十二の自治体のうち五十の自治体から事業に係る交付申請があり、その交付決定額は八百九十一万四千円、実際の交付額は六百二十三万円でございました。
 交付決定額に対する割合は六九・九%で、差額が生じた主な理由は、研修講師や研修用動画作成を自治体職員が担ったことなどによるものでございます。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。交付決定額に対する実際の交付額が約七〇%という状況について理解しました。自治体職員が講師を務めるなど、工夫による効率化は評価できますが、引き続き、より多くの自治体での積極的な活用を期待します。
 都の支援を受けたゲートキーパー養成事業を含め、令和六年度に各区市町村が実施したゲートキーパー養成研修の受講者数の合計、前年度比の増減要因、オンライン、対面研修の実施状況について伺います。

○小竹保健政策部長 昨年度は、東京都地域自殺対策強化交付金を活用した五十自治体を含め、計五十四の自治体でゲートキーパー養成研修が行われており、受講者数は前年度より四千六百二十一名増の二万六千九百七十七名でございました。
 増加の主な理由は、動画を活用したオンライン研修の実施や研修対象の拡大などによるものでございます。
 研修の開催形式は、オンラインのみが一自治体、対面のみが三十自治体、オンラインと対面の併用が二十三自治体でございました。

○こまざき委員 受講者数が前年度比で約四千六百名も増加したことは、動画活用などオンライン研修の効果が現れていると評価します。今後も、より多くの区市町村職員や関係者が受講できる環境整備を進めていただきたいと思います。
 ゲートキーパー研修が実施困難な自治体への支援策について伺います。

○小竹保健政策部長 都は、ゲートキーパーの役割に関する動画やリーフレット等の研修資材を作成してホームページに掲載しているほか、国が作成した研修動画を周知し、それらの活用を促すなど、多くの自治体でゲートキーパー研修が行われるよう支援しております。

○こまざき委員 研修資材の提供や動画の周知といった支援は理解しました。しかし、実施困難な自治体がゼロになるよう、より踏み込んだ支援策の検討を要望します。
 都は、児童生徒の自殺者数が増加傾向にあることを踏まえ、令和六年度に多職種の専門家による子供サポートチームを設置したと仄聞しておりますが、対応の状況を伺います。

○小竹保健政策部長 都は昨年度、こころといのちのサポートネットに、自殺リスクの高い子供を学校等と連携して支援する子供サポートチームを設置し、都内の教育関係機関に周知いたしました。また、今年度は、子供サポートチームが対応している支援内容や事例などをまとめたリーフレットを配布し、事業の一層の活用を促しております。
 昨年度は、学校や子供家庭支援センターなどから、二十歳未満の若者について四十一件の新規相談を受けております。

○こまざき委員 子供サポートチームによる四十一件の新規相談対応は、重要な第一歩と評価します。今後、この取組がさらに教育現場に浸透し、より多くの子供たちの命を守ることにつながることを期待します。
 子供サポートチームによる個々の事例の支援はとても重要ですが、子供の自殺を防ぐには、学校現場の教員や子供に身近な支援機関の職員などが、自殺リスクのある子供に対応できる知識や技術を身につけることも大切だと考えます。都としてどのように取り組んでいるのかを伺います。

○小竹保健政策部長 都は昨年度、区市町村や教育関係機関等の職員を対象として、思春期のメンタルヘルス不調への理解や対処の重要性等に関する研修を実施いたしました。また、教員等を対象として、自傷行為を繰り返す子供やその保護者への声かけ等について、ロールプレーを取り入れた研修も実施しております。
 引き続き、子供の自殺を防ぐため、生きづらさを抱える子供への周囲の大人の理解や対応力向上に取り組んでまいります。

○こまざき委員 ロールプレーを含む実践的な研修の実施は、現場の対応力向上に効果的であり、高く評価します。子供たちに最も近い大人たちの対応力強化を今後も継続的に推進していただきたいと思います。
 児童生徒の自殺者数が過去最多となる深刻な状況を踏まえ、一人でも多くの尊い命を救うため、より効果的で包括的な自殺対策の推進を強く要望し、次の質問に移ります。
 ワクチン関係の質問をさせていただきます。
 令和六年度に、新規事業として十億円の予算で開始された小児インフルエンザワクチン任意予防接種費用補助事業は、子育て支援の観点から、十三歳未満の児童に対する二回接種が必要なインフルエンザワクチンの費用負担軽減を図る画期的な施策として高く評価します。区市町村が実施する補助事業に対して都が一部支援することで、子育て世帯の経済的負担を軽減し、小児の感染症予防を推進する重要な取組です。
 まず、令和六年度の実績について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 令和六年度は、都内四十二自治体が補助事業を活用しております。ワクチンの接種実績は約七十九万回でございまして、執行額は約七億九千万円でございます。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。都内六十二区市町村中、四十二自治体が活用し、約七十九万回の接種実績、執行額も約七億九千万円と、事業が着実に展開されていることを確認いたしました。
 令和六年秋から流通開始した経鼻ワクチンは、接種回数は一回で、注射に比べ、特に小さなお子さんの身体的負担も軽いと期待されていますが、都の対応状況について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 都は、小児インフルエンザワクチン任意接種補助事業において、注射ワクチンに加え、今年度より経鼻ワクチンについても補助の対象に追加しております。

○こまざき委員 ありがとうございます。経鼻ワクチンは一回の接種で済み、注射による痛みや恐怖を伴わないため、特に小さなお子さんの身体的、精神的負担の軽減につながる大変有効な選択肢です。地元北区においても本補助事業が活用されており、経鼻ワクチンが対象となったことについても喜びの声が届いています。流通開始と同時に迅速に補助対象としていただくことで、より多くの子供たちがワクチン接種を受けやすくなり、子育て世帯の支援がさらに充実したものと高く評価しております。今後も取組を進めていただきたいと思います。
 次に、令和六年度に開始されたHPVワクチン男性接種補助事業は、定期接種化までの措置として、区市町村の経費の二分の一を支援する先駆的な取組です。約四億円の予算により、都内の小学六年生から高校一年生相当までの男子約二十七万人を対象としています。
 HPVは男性の肛門がん等の原因となるウイルスであり、男性の接種は、本人の健康保護に加え、パートナーへの感染防止を通じて、女性の子宮頸がん予防にもつながる重要な意義を持ちます。都が全国の自治体に先駆けて本事業を実施したことは画期的な判断であり、高く評価します。
 まず、HPVワクチン男性接種補助事業の実績について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 HPVワクチン男性接種補助事業について、令和六年度は都内三十三自治体が補助事業を活用しております。ワクチンの接種実績は約一万六千回でございまして、交付決定額は約三億二千万円となっております。

○こまざき委員 初年度から三十三自治体が活用し、約一万六千回の接種実績があったことを確認しました。対象者が約二十七万人に達する接種率にはまだ向上の余地がありますが、新規事業としての滑り出しとして、一定の成果があったと受け止めます。
 では、この事業に対する現場の評価はどうだったのでしょうか。接種における医療機関や区市町村からの評価や意見の把握状況について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 東京都医師会から、令和七年度予算について、引き続きHPVワクチン男性接種補助事業を継続するよう要望いただいております。また、令和六年度は都内三十三自治体が補助事業を活用しており、令和七年度においては四十二自治体に拡大しているところでございます。

○こまざき委員 東京都医師会から事業継続の要望があり、令和七年度には実施自治体が四十二に拡大したということで、現場の評価が高く、事業が着実に広がっていることを示しており、大変心強く思います。
 こうした広がりを確実なものとするためには、対象者への周知が鍵となります。接種対象者が十分に理解し、安心して接種を検討していただける環境を整えていくことが改めて重要となると考えています。
 接種者への周知、情報発信の取組について伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 HPVワクチンの男性への接種については、希望する方がワクチンの効果と副反応のリスクを踏まえた上で安心して接種を受けることが重要です。
 このため、都は、ホームページやHPVワクチンの特設ポータルサイトにおいて、ワクチンの有効性や安全性などに加え、接種に関する相談窓口の情報や、区市町村の事業実施状況を取りまとめて掲載するなど、対象者やご家族の方に対し、広く周知しております。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。ホームページ等での情報提供に取り組んでいることは理解しました。
 ワクチンの有効性と安全性について、対象者である思春期の男子とその保護者が正しく理解し、安心して接種を判断できる環境づくりを今後も一層充実させていただくよう要望しまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○笹岡委員 立憲ミネ無の笹岡ゆうこです。質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず、保健所の取組について伺います。
 都内の特別区は保健所を設置していますが、多摩地域のほとんどの市は自前の保健所を持たず、都が保健所を設置しています。多摩府中保健所は、北多摩南部医療圏に位置する六市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、小金井市、狛江市という広いエリアを所管区域としていて、区域人口は百万人を超えています。
 先日、多摩府中保健所に伺いました。コロナ禍において、都保健所と市町村の間で情報共有、指揮、連携不足等の課題が浮き彫りになりました。それらの総括から、令和六年度に新設された市町村連携課の取組状況と評価について伺います。

○井上地域保健担当部長 多摩地域の都保健所では、令和六年四月に市町村連携課を新設し、市町村ごとの専任の担当職員等を五保健所で計四十二名配置するなど、組織、人員体制を拡充いたしました。
 市町村連携課では、日常的に市町村等との意見交換を行い、地域の状況やニーズをきめ細かく把握するなど、顔の見える関係を強化し、地域保健サービスの推進や災害対策の強化に取り組む市町村を支援しております。また、市町村からの要望等を踏まえまして、都保健所と市町村の保健師の人事交流を実施しております。
 これらの取組を通じて、市町村との連携強化を図っているところでございます。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。市町村連携課の取組について確認できました。
 保健所の増設の必要性は、特に多摩地域において、その所管区域人口の多さを考えると、根強く声がございますので、これはしっかりとお伝えしておきたいと思います。
 しかし、始まった市町村連携課の顔の見える関係強化には期待をしています。専門性を生かした広域の拠点として、一層の体制強化と密な市町村連携をお願いしたいと思います。
 続きまして、都保健所が行う精神障害者や精神保健に関する課題を抱える方への支援について、取組状況を伺います。

○井上地域保健担当部長 地域における精神保健福祉相談に関しては、市町村が一般的な相談、保健所が専門的な相談に対応しているところでございます。
 都保健所では、複雑困難事例について、市町村の要請に応じて、家庭訪問への同行や事例検討会における助言等を行っております。あわせまして、市町村職員が精神保健に関する専門的知識を得られるよう、講演会等も開催しております。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。都の保健所においては、専門的かつ複雑な事例について対応してくださっていることが分かりました。
 私も、多摩府中保健所でその職員の方々の姿を拝見し、大変大切な役割を担ってくださっていると感じました。市町村の規模や資源によって支援にばらつきが生じることのないように、包括的な支援をお願いします。精神障害の有無にかかわらず、誰もが安心して暮らすことのできる圏域での連携と共同を求めてまいります。
 続きまして、梅毒及び性感染症について伺います。
 二〇二四年、梅毒の大流行は五十年に一度ともいわれる規模でした。
 先日、多摩府中保健所に伺ったときも、プライバシーに配慮された診察室を拝見することができました。梅毒の匿名無料検査や相談をしていると伺いましたが、現況と課題、都の取組を伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 都全体の令和六年の梅毒報告数は三千七百六十件と、四年連続で過去最多を更新しております。若年層の感染が多く、早期発見、早期治療のための検査の受検促進や普及啓発が課題となっております。
 梅毒の感染拡大を受け、令和六年度は、都の保健所及び検査・相談室のウェブ予約を一元化し、都民の利便性を向上させました。また、検査・相談室の開室時間を延長するとともに、女性専用の検査日を設け、検査体制を強化いたしました。
 さらに、大学、専門学校、地域イベント等で普及啓発資材を配布するほか、味の素スタジアムやSNSで動画を配信するなど、若年層に向けて梅毒について普及啓発を実施いたしました。

○笹岡委員 様々な取組を実施されていることが分かりました。
 私も実は知らなくて、匿名で無料で検査ができるということは、非常に必要な方々にとっては大切な取組であると思っております。特に、男性は二十代から五十代と幅広い年代で、女性は特に二十代が多いといわれています。妊娠中に感染すると胎児が先天梅毒に感染してしまうこともあります。性的接触で感染しますが、痛みが少なかったり、自然に症状が消えることもあり、本人が気づかずに感染を広げる可能性があるといわれています。この梅毒再流行を前提とした一層の体制づくりをお願いしたいと思います。
 性感染症全体について、啓発活動などの取組はどうなっているのか伺っておきます。

○西塚感染症対策調整担当部長健康安全研究センター健康情報解析調整担当部長兼務 性感染症は、性的接触により誰もが感染する可能性がありますが、早期発見及び早期治療により治癒可能であります。
 そのため、一人一人が正しい知識を知って予防し、不安があれば早期に検査、受診することが重要です。都は、予防啓発の取組として、ウェブサイト、東京都性感染症ナビで正しい知識や無料検査などの情報を提供するとともに、「性感染症ってどんな病気?」という冊子を作成し、保健所、都立高校等で配布しております。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。性感染症の啓発は届きにくさが課題だと思います。都立高校などでも配布されていること、よい取組だと思います。多分野、多機関での一層の連携を求めます。
 続きまして、地域医療構想推進事業について伺いたいと思います。
 厚労省の予測では、二〇二〇年と比べて、二〇四〇年には八十五歳以上の高齢者の救急搬送が七五%増加し、退院患者の受皿となる在宅医療の需要も六二%増えるという見込みで、回復期を含めた体制づくりが求められています。
 そこで伺います。回復期機能を担う病床の整備を進める地域医療構想推進事業の昨年度の実績と、回復期病床の確保にどのように取り組むのかについて伺います。

○宮澤医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、急性期を経過した患者等を受け入れる回復期病床を確保するため、回復期リハビリテーション病棟などを整備する医療機関に施設整備費等の補助を行っておりまして、令和六年度は七施設に対し支援いたしました。
 本事業の活用など医療機関の整備により、都内の回復期リハビリテーション病床数は、令和七年五月現在、約九千三百床となっております。
 今後とも、都民が在宅復帰に向けて必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、医療機関の取組を支援してまいります。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。武蔵野市の吉祥寺エリアは、令和六年に吉祥寺南病院の診療休止によって、現在、二次救急医療機関及び災害拠点連携病院が空白となる危機的な状況になっており、市民の不安はピークに達しています。
 令和六年の東京都北多摩南部地域保健医療推進プランによると、北多摩南部医療圏で必要とされる回復期病床数二千六百三十七床に対し、現在は八百八十八床と、千七百四十九床不足している状況です。回復期病床の確保や地域医療への一層の支援を強くお願いしたいと思います。
 次に、在宅療養への移行支援について伺います。
 入院患者が在宅療養へ円滑に移行できるようにするためには、退院時における病院と地域の医療、介護関係者との情報共有や連携が重要だと考えます。
 在宅療養への円滑な移行に向けた都の取組について伺います。

○杉下医療改革推進担当部長 都は、病院が切れ目のない支援を行えるよう、病院と地域の医療、介護関係者を対象とした入退院支援に関わる実践的な研修を実施しており、令和六年度は六百五十七名が受講しました。
 また、入退院支援に取り組む看護師や社会福祉士等を配置する中小病院への支援を実施しており、昨年度は四十六病院に補助を行いました。
 こうした取組により、在宅療養への円滑な移行の促進を図っています。

○笹岡委員 ありがとうございます。私自身、現在進行中の介護の経験において、在宅へのスムーズな橋渡しは病院によってかなり、全然違うなというふうに感じました。患者家族が何かする前に、医療連携センターと在支、ケアマネさんが密に連絡をし、在宅環境整備について協議を進めているところもあれば、患者家族が自ら入退院支援センターに行って相談をして、様々動き出すといったこともありました。在宅での体制整備は、医療、介護、そして地域の連携が必須です。ぜひ病院によって差が出ないように、この令和六年度六百五十七名の受講ということで着実に広がっているとは思いますが、必要な支援をお願いしたいと思います。
 次に、がん診療連携拠点病院について伺います。
 令和六年三月に東京都がん対策推進計画(第三次改定)が策定されました。死因の第一位であるがんはとても身近な病気です。都内のどこに住んでいても、適切な診断や治療にアクセスができる体制の推進などがうたわれています。今後、高齢化の進展が予想され、これまで以上に患者が増えると見込まれることから、一層のがん対策が求められています。
 がん診療連携拠点病院は、高度ながん医療の提供、緩和ケア、セカンドオピニオン、がん相談窓口、院内がん登録、地域連携など、様々な取組で指定されている病院です。がん診療連携拠点病院が、がん患者を治療していく上で都との連携は必要不可欠かと思います。
 都とがん診療連携拠点病院との連携の現状について伺います。

○杉下医療改革推進担当部長 都は、国の整備指針に基づき、がん診療連携拠点病院の整備を進め、拠点病院が行う人材育成、相談支援、施設設備の整備等に対する支援を実施しています。
 がん医療については、都内の拠点病院等により構成される東京都がん診療連携協議会が中心となり、医療水準の向上や医療連携の強化に取り組んでいます。協議会には都も参加しており、拠点病院における課題や必要な取組の方向性等を共有しています。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。様々な情報共有等々がされていることが分かりました。
 成人のがん、小児がん、AYA世代のがん、がんゲノム医療、リハビリ、緩和ケアなど、様々な課題に専門的な視点から取り組まれていることと思います。
 私も最近、がん診療連携拠点病院に同行のことで、長らく同行する経験が、今しているんですけれども、例えば薬が変更になったときに、専門医療機関連携薬局、薬局さんから体調の確認が入ったこともあり、拠点病院等を起点とした多様な連携も進んできていると感じています。がんと共に尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会の実現への一層の取組をお願いしたいと思います。
 次に、働く世代のがん対策について伺います。
 生涯のうちに二人に一人ががんになり、そのうち約四分の一が二十代から六十四歳の働く世代ともいわれています。今後は、雇用年齢の長期化により、ますます働くがん患者の方が増えていくと予想されています。二〇二三年、国立がん研究センターの患者体験調査によりますと、がん治療のために休職、休業した方は五三・四%、退職、廃業した方が一九・四%と出ていました。
 働く世代でがんに罹患する方が多く、治療と仕事の両立を支援する取組が必要だと考えますが、都の取組について伺います。

○杉下医療改革推進担当部長 都は、がん診療連携拠点病院等に設置されたがん相談支援センターにおいて、治療と仕事の両立に関する相談に対応できる体制を整備しています。
 また、中小企業の経営者等を対象に、専門家による講演や、実際に治療と仕事を両立している患者の経験談などについて紹介するセミナーを開催しています。
 加えて、令和六年度は、診断直後の早期退職防止のため、がんになっても働き続けられることや相談窓口があることを都民に伝える動画を作成し、SNSを通じて配信しています。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。徐々に徐々に様々な体制が整備されていることが分かりました。がん相談支援センターでピアサポートなどにもつながるので、多職種の連携も含めた一層の取組をお願いしたいと思います。
 がん診療連携拠点病院の待合室にも、ウイッグなどアピアランスケアの情報が展示されているところを見ました。
 アピアランスケアへの支援を実施している自治体数は、アピアランスケア支援事業の実施前と比較してどれだけ増えたのか、実績について伺います。

○杉下医療改革推進担当部長 都は令和五年度から、がん患者へのウイッグや人工乳房等の購入費用の助成に取り組む区市町村を包括補助により支援しています。これにより、アピアランスケア支援に取り組む自治体の数は、包括補助実施前の令和四年度の十三自治体から、令和五年度は二十七自治体となり、令和六年度は四十二自治体まで拡大しています。

○笹岡委員 ありがとうございます。令和四年度から十三自治体、二十七自治体、四十二自治体と、アピアランスケア支援に取り組む自治体がどんどん広がってきたことが分かりました。がん患者の不安や苦痛を和らげ、がんと共にどう生活していくかという視点の支援が、男女、年代問わず一層行き渡ることをお願いいたします。
 ピンクリボンについて伺いたいと思います。
 がんは、早期発見、早期治療により多くの方が助かります。早期発見、早期治療のためにはがん検診が重要です。十月は乳がん月間、ピンクトーバーで、世界中にピンクリボンにちなんだイベントなどが行われています。
 東京都の令和六年度におけるピンクリボンに関する取組について伺います。

○小竹保健政策部長 都では、乳がん検診の意義を正しく伝えるため、十月の乳がん月間にピンクリボンの普及啓発キャンペーンであるピンクリボンin東京を実施しております。
 令和六年度は、ホテルや百貨店など十二の企業、団体において、乳がんや乳がん検診に関するリーフレット配布などを行うほか、民間施設や都庁舎、隅田川の橋梁、東京体育館などの都の関連施設の計十七施設をピンク色にライトアップいたしました。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。ピンクトーバーについて、私は海外のブラジルで大規模な取組を見てまいりました。百貨店からバス停まで、学校においては、男女ともにこの日はピンクの服を着てくるなどの大規模な取組がありました。
 乳がん検診については、マンモグラフィーが痛いことなどから苦手な方もいらっしゃいますが、検診が大切です。特に若年層にも届くように、そしてがん教育としても、学校や教育機関との連携を期待します。また、こういった事業は、なかなか結果が数字として可視化されない事業ですが、とても大切な取組です。今後も多くの企業、団体、施設での取組が進んでいくことをお願いしたいと思います。
 最後に、動物愛護について伺いたいと思います。
 東京都動物愛護相談センターでは、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けて様々な事業を行っています。
 都内で令和六年度に引取り収容した動物の数、致死処分の実績を伺います。

○中川健康安全部長 令和六年度に都内で引取り収容した動物の数は五百二十八頭であり、そのうち致死処分となった数は百五十一頭でございました。
 致死処分数の内訳は、苦痛からの解放など動物福祉等の観点から行ったものが六十頭、引取り収容後に死亡したものが九十一頭であり、それ以外の理由による致死処分、いわゆる殺処分はゼロでございました。

○笹岡委員 ありがとうございます。収容した動物の数が五百二十八頭、そのうち致死処分が百五十一頭だったということが分かりました。
 致死処分のさらなる減少、殺処分ゼロの継続には、飼い主のいない猫対策や犬猫などの譲渡に関係するボランティアの方々との協力が欠かせません。
 ボランティアの活動を支援するための都の取組について伺います。

○中川健康安全部長 都は、ボランティア等と連携して飼い主のいない猫対策に取り組む区市町村を包括補助により支援しております。また、動物愛護相談センターで保護した動物は、ボランティアと連携しながら譲渡を行っており、負傷動物や離乳前の子猫をボランティアに譲渡する際には、必要な物資の提供を行っております。
 都民がボランティアから動物を譲り受ける方法や、ボランティアが実施する譲渡会の情報につきましては、都の動物情報サイトで総合的に発信しております。

○笹岡委員 ご答弁ありがとうございます。様々な支援をしていることが分かりました。
 特に、日頃からのボランティアの皆さんの頑張りには頭が下がります。引取りのキャパシティーや、ボランティアの労力や人数にも限りがある中で、目の前の動物のために頑張っている姿を拝見しています。
 まずその受皿を増やしていくこと、そして今後、譲渡により動物を譲り受ける都民が一層多くなるように裾野を広げていくこと、ボランティアの方々がそこまで手が回らないといっている広報や場の確保について東京都も一層支援をしていくこと、そして、不適切な動物取扱業者を指導監督、強化することなど、総合的な動物愛護の取組をお願いして、私からの質問を終わりといたします。

○せりざわ委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、まず病院の支援について幾つかお伺いをいたします。
 東京都における地域医療体制を支えているのは、もちろん公的な病院だけではなく、長年にわたり地域に根差して、地域住民やそのご家族に対して身近な医療体制を提供してきた民間の医療機関、特に民間病院の存在というのは非常に大きなものだと思います。特に、災害時や感染症の拡大といった有事の際には、ワクチンの接種の迅速な対応もしくは広域的な展開というのを支えてきたのも、この民間医療機関の受皿の力もしくは機動力があったということも理解をしています。
 しかしながら、この一方で、民間病院を取り巻く経営環境というのは極めて厳しい状況でありまして、最近の調査では、診療報酬の改定後の影響であったり、物価や人件費の高騰を受けて、医業利益ベースで約七割の病院が赤字経営に陥っているとの報告もあります。また、人材確保の難しさや老朽化対応など、コストの上昇も含めて運営モデルの維持が非常に難しくなってきております。
 民間病院の果たす意義を重く受け止めながら、東京都として、民間病院への経営支援策としてどのような取組を行っているのか、お聞かせください。

○宮澤医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都内では、全国と比較いたしまして民間病院の割合が高い中、急激な物価高騰などが病院運営を圧迫しております。
 このため、都は昨年十月から、物価高騰に直面する医療機関の負担軽減に向けた緊急対策といたしまして、光熱費等に対する支援を実施しております。
 さらに、今年度から、民間病院を対象に緊急的かつ臨時的な支援を実施するとともに、地域医療の確保に向けた取組といたしまして、高齢者用の病床確保や、小児科、産科等を担う病院への支援を開始しております。

○せりざわ委員 様々な支援をしてきたことが確認をされました。引き続き民間病院との連携、特に現場の状況を捉えた上で、適切な支援が各病院に届くように願っております。
 地域の医療を持続的に守っていくには、経営面の支援に加えて、医療現場を支える人と仕組みへの投資が欠かせません。
 現在、多くの医療機関では、医師をはじめとする職員の確保が難しく、現場の長時間労働や過重負担というのが深刻化しております。その中で、限られた人員で安全かつ質の高い医療を提供し続けるには、業務の効率化と医療のDXというのが不可欠だと思います。
 近年、東京都でも、電子カルテやオンライン診療などのDXの取組を進めており、医療人材の負担軽減もしくは地域連携の円滑化に効果が見られております。しかしながら、この取組を全ての医療機関に浸透させ、都内のどの地域でも安定した医療提供体制を確保していくためには、引き続き支援と環境整備が重要だと考えております。
 東京都として、地域医療の安定的な確保のために、これらの取組をさらに進めるべきだと考えますが、ご見解をお聞かせください。

○宮澤医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 現下の病院運営への対応に加えまして、今後、生産年齢人口の減少が見込まれる中においても、将来にわたって医療体制を確保することは重要でございます。
 このため、都は、今年度実施しております地域医療に関する調査において、物価高騰などによる経営状況の変化に加え、人材確保や医療DXの取組状況など幅広く分析しております。この調査結果を国への提案要求や今後の施策展開につなげることで、持続可能な地域医療体制を確保してまいります。

○せりざわ委員 様々分析をして、国の連携も含めてやられるということで、分かりました。特に、医療業界というのは国策に求めるものも非常に大きいので、ぜひあらゆる機会を捉えて国への要望もいただきたいと思います。
 続けて、医師の働き方改革についても伺います。
 我が国の医療を支えてきたのは、ひとえに医師の長時間労働によるところが大きく、診療、手術、救急対応、夜間の当直など、苛酷な勤務が暗黙の前提となってきた側面があると思います。
 しかし、昨年の四月から医師の働き方改革として時間外労働の上限規制が導入され、新たな枠組みが適用されています。医師が健康を保ち、集中して診療に当たることは、個人の問題にとどまらず、安全で質の高い医療提供体制の維持という意味でも必要不可欠であります。
 もっとも、全国調査では依然として約六割の医師が勤務時間が減っていないと回答しており、現場の負担軽減はまだ道半ばであります。今後は、医師の勤務時間管理の徹底やタスクシフトの推進、電子カルテやDXなど、業務効率化を一層進めていく必要があります。
 そこで、東京都は、医師の働き方改革を推進するため、医療機関の勤務環境のさらなる改善に向けて、昨年どのような取組を行ってきたのか、お聞かせください。

○新倉医療政策部長 都はこれまで、東京都医療勤務環境改善支援センターを設置し、医療労務管理アドバイザーや医業経営アドバイザーが、就業規則の見直しやハラスメント対策、仕事と子育ての両立支援、タスクシフトによる多職種連携などについて相談対応や助言を行う体制を整備してまいりました。
 加えて、救急医療等を担う医療機関が医師の負担軽減のために行う取組を支援しており、令和六年度からは、新たに医師の教育研修を担う大学病院等を対象に加えております。
 令和六年度は、医師の労働時間短縮のための体制整備として、勤怠管理システム等の導入に要する経費や、タスクシフトを推進するための認定看護師や救急救命士、医師事務作業補助者等の配置に係る人件費など、合計二十九医療機関に対して補助を行っております。

○せりざわ委員 様々な取組に加えて、令和六年度も新たな取組をされているということが分かりました。医師の時間外労働の上限を設ける働き方改革というのは、医師の健康を守り、医療の安全を高めるために重要な一歩でありますので、ぜひ引き続き様々な支援をしていただければと思います。
 一方で、大学病院などから地域医療機関への医師派遣が減少して、地域医療の継続に影響が出ることも懸念がされております。東京都内でも地域医療を支える多くの中小病院は、大学病院等の派遣に依存している部分も少なくなく、都の調査では、区、多摩市部併せて、多くの病院がこの派遣減による診療縮小のリスクを感じているとの報告もあります。一方で、実際に派遣医が減った地域では、当直の負担増により、残った医師の離職意向が高まるという悪循環も懸念をされております。
 そこで伺います。時間外労働の上限が大学病院等からの医師派遣の減少を招き、地域医療の継続が危うくなることがあってはなりません。東京都としてこの課題にどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。

○新倉医療政策部長 都は、大学病院等から医師の派遣を受ける地域の医療機関において、派遣停止等により診療体制に支障が生じないよう、派遣元の大学病院等に対する補助を令和六年度に開始しております。補助対象は休日、夜間の医師派遣としており、令和六年度は、派遣元九病院が行いました二十三か所の医療機関に対する、延べ三十九人、六百五十一日の医師派遣を支援しております。
 こうした取組によりまして、医師の働き方改革と地域における医療体制の確保との両立を推進してまいります。

○せりざわ委員 ありがとうございます。ぜひ働き方改革と併せて、医師の人材確保も含めて、医療体制の強化というのは引き続き行っていただければと思います。
 続けて、病院等の自然災害対策、そして水害対策についてもお伺いをします。
 災害対策というと、地震への備えというのがまず想起をされますが、近年は、線状降水帯の発生による都市型集中豪雨など、水害への警戒も欠かすことができません。
 特に、先月起きました記録的な大雨では、品川区で一時間百二十ミリを超え、立会川の氾濫もあり、多くの施設や民家で浸水被害というのが確認をされております。東京でも、豪雨の件数というのがこの十年で約一・五倍に上ったという記録もあり、水害はもはや局地的ではなく、常態化するリスクとして捉えていく必要があると考えております。
 こうした水害時にも、地域の医療体制というのを止めない、こういった仕組みの構築というのは極めて重要であります。実際に二〇一九年の台風十九号では、多摩川や荒川の氾濫により、都内でも病院の停電、断水、道路の冠水など、緊急搬送困難な事例というのも発生したと伺っております。
 水害時にも病院が医療を継続できるよう、水害を想定した様々な予防支援が必要だと考えますが、東京都としてこれまでの取組をお聞かせください。

○新倉医療政策部長 都は、水害により浸水が発生した場合にも医療の提供を継続できるよう、令和元年度から、災害拠点病院及び災害拠点連携病院を対象に、防水板の設置や自家発電設備の高所への移設等を支援しており、昨年度からは、その支援の対象を浸水想定区域に所在する全ての病院に拡大しております。事業を開始しました令和元年度から昨年度までに二十六病院への支援を実施しております。
 また、昨年度から、浸水想定区域に所在する全ての病院を対象に、コンサルタント等を活用した病院ごとの浸水リスクに応じた対策計画の策定、これを支援しておりまして、昨年度は四病院への支援を実施したところでございます。

○せりざわ委員 様々な対策をされて、また支援をされているということが分かりました。
 また、災害支援というところで、実際の災害というのは水害だけに限りませんので、震災も含めて自然災害が発生した際に、東京都が病院と円滑な連携を持って支援できる取組というのが必要だと考えますが、ご見解をお聞かせください。

○新倉医療政策部長 災害発生時に病院を迅速かつ的確に支援するためには、各病院で想定される災害時のリスクをあらかじめ把握しておくことが重要でございます。
 このため、都は昨年度、都内全ての病院への調査等により、自家発電設備の設置状況や通常時の電気や水の使用量、また垂直避難の可否などを確認し、病院ごとに想定されるリスクの把握を行ったところでございます。
 昨年九月には、首都直下地震により停電などの被害が発生したという想定の下、調査等で把握した病院ごとのリスクを踏まえ、病院支援の訓練を行いました。
 今後とも、より実践的な訓練を重ねながら、災害時における医療提供体制の確保に向け、必要な取組を進めてまいります。

○せりざわ委員 ありがとうございます。様々、今、災害もどんどん複合化してきて、また甚大化というか、難しい災害というのがどんどん増えてきておりますので、各区市町村であったり診療所、保健所等も連携をして、ぜひ災害時にも途切れない医療体制というのをつくっていただくことを要望して、終わります。

○いいだ委員 よろしくお願いいたします。
 高齢になっても元気に過ごすには、歯や口の健康を維持することが大切であり、そのためには若い頃から定期的に歯科健診を受診することが重要と考えます。
 歯周病が糖尿病や心疾患、さらには認知症など、全身の様々な疾患と関連していることは広く知られるようになってまいりました。都民の健康寿命を延ばし、生涯を通じたQOLを向上、維持させる上で、オーラルフレイル、口の機能のささいな衰え、これを予防し、口腔の健康を保つ取組は、ますます重要性を増していると思います。
 こうした背景から、都が区市町村の取組を後押しするため、包括補助において、令和六年度から新たに歯科健康診査受診促進事業を開始したことは、大変意義深いものと評価をしております。この事業は、各自治体における歯科健診の受診勧奨や、若年層への啓発活動の強力な推進力となることを期待するものです。
 そこで、都が区市町村への包括補助において、令和六年度から開始した歯科健康診査受診促進事業において、昨年度の実績と今年度の取組状況を伺います。

○宮澤医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 生涯にわたる歯と口の健康が全身の健康と深く関わっていることから、歯科疾患の予防や口腔機能の維持、向上の取組を一層進めていくことが重要でございます。
 このため、都は昨年度から、区市町村が実施する歯科健診や区市町村の創意工夫による受診率向上に向けた取組等に係る経費を包括補助で支援しております。昨年度は三十九自治体に支援しており、今年度は四十四自治体から事業計画書が提出されております。
 今後、都民の歯と口の健康づくりを一層推進するため、本事業の活用を働きかけてまいります。

○いいだ委員 本事業は昨年度から開始をされ、支援する自治体が昨年度の三十九から今年度は四十四に増加していること、そして、都としても今後も事業活用を働きかけていくとのご答弁をいただきました。
 今年度、四十四自治体から事業計画書が提出されたということでしたけれども、ご承知のとおり都内には六十二の区市町村がございます。つまり、まだ約三割の自治体が本事業を活用していない、あるいは活用できていない状況にあるというふうに拝察をいたします。
 本事業の対象は、後期高齢者医療制度の歯科健診対象外である十八歳から七十四歳といった、まさに若年層、働き盛り世代を含む幅広い層であるというふうに認識をしております。この世代は、仕事や子育てに追われ、自覚症状がなければ、つい歯科受診を後回しにしがちな層でもあります。将来の八〇二〇を達成し、健康寿命を延ばすためには、若いうちからの定期健診をいかに習慣化できるかが鍵となると思います。
 本事業を活用していない残りの自治体に対しても、都がより一層積極的に働きかけを強めていただく必要があると考えます。単に事業メニューを周知するにとどまらず、各自治体が抱える課題や活用に至らない背景を丁寧に分析をしていただき、きめ細かな支援を行っていただくことが不可欠であると思います。
 その上で、例えばSNSやアプリを活用した効果的な受診勧奨、あるいは事業者と連携した職域での啓発活動など、既に成果を上げている自治体の好事例を都が積極的に収集、分析をしていただいて、それを未実施の自治体にも横展開するなど、全区市町村での事業活用を強力に推進していただくことを強く要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
 都民一人一人の健康は、首都東京の活力の源泉であると思います。超高齢社会を迎え、生活習慣病の予防、健康寿命の延伸が都政の喫緊の課題となる中、重症化を防ぐ予防医療の推進、これは極めて重要であると思います。
 その中で、都は、都民の自発的な健康づくりをデジタルの力でサポートするため、とうきょう健康ステーションを運営されております。私は、このとうきょう健康ステーションが、現状の生活習慣チェックのような入り口の充実はもちろんのこと、さらに都民の皆様の認知を上げていただき、サイトの回遊率を上げる工夫を重ね、より多くの予防医療に寄与するコンテンツを体系的に用意することで、都民の健康増進のハブとなることをさらに強く期待するものであります。
 こうした観点から、まず、とうきょう健康ステーションの現状と取組について伺いたいと思います。
 都は、都民の健康づくりを支援するための情報サイトとして、このとうきょう健康ステーションを運営しておりますけれども、サイトの目的と取組内容、それからアクセス数についてお伺いをします。

○小竹保健政策部長 健康づくりを進めるためには、都民一人一人が健康に関する情報を適切に収集し、正しく理解して実践できるようにすることが必要であり、都では、平成二十五年度に、ポータルサイト、とうきょう健康ステーションを開設いたしました。
 本サイトでは、生活習慣改善や生活習慣病予防に必要な情報を網羅的に掲載するとともに、日常生活の中で気軽に取り組める健康づくりなどの情報を分かりやすく提供しており、令和六年度のアクセス数は約百三十万件となっております。

○いいだ委員 ただいま、サイトの目的と概要、そして年間百三十万件のアクセスがあるということをお伺いいたしました。都民の健康意識の受皿として情報が網羅的に提供されている点、これを評価したいというふうに思います。
 その上で、いかに多くの情報が掲載をされてアクセス数が多かったとしても、それらが都民の皆様の具体的な行動変容、すなわち生活習慣の改善に結びつかなければ、予防医療の推進という所期の目的は達成できません。大切なのは、サイトを訪れた方が情報をただ知る、見るだけで終わらせず、これは自分のことだというふうに捉えて、日々の生活の中で実践に移せる生きた情報に確実に出会っていただくことだというふうに考えます。
 そこで、このサイトでは、どのような情報がよく見られているのかをお伺いしたいと思います。また、サイトの利用者を実践に生かせる情報につなげる工夫等についても、併せてお伺いをいたします。

○小竹保健政策部長 令和六年度の実績では、糖尿病予防、身体活動・運動、慢性閉塞性肺疾患、飲酒に関するページがアクセス数の上位となっており、生活習慣病や生活習慣改善の情報収集に利用されていると考えられます。
 また、本サイトでは、食生活や身体活動などに関する質問への回答結果に応じて、利用者に有用な項目を案内するコンテンツである、あなたの生活習慣チェックを設け、これにより生活習慣改善に関するウェブページに誘導し、情報提供を図っております。

○いいだ委員 ただいまのご答弁で、糖尿病予防や運動といった、まさに生活習慣病の予防に直結するページがよく見られており、また、チェックコンテンツからそうした実践的なページへ誘導する工夫をされているということを伺いました。
 都民が知るで終わらず、そこから実践する、継続する段階に進んでいただくことこそが、このサイトの価値の核心であると思います。今後も、都民の行動変容を力強く後押しをしていただけるような質の高い情報の提供を行っていただくことを要望させていただきます。
 一方で、サイトについては、利用者が探している情報や属性に応じた情報を入手しやすいことが重要であるというふうに考えますが、都の取組についてお伺いをさせていただきます。

○小竹保健政策部長 とうきょう健康ステーションでは、サイト開設以来、更新を重ね、情報量が増えたことなどにより、利用者が必要とする情報にたどり着くまでに時間を要するといった課題がございます。
 そのため、今年度行うサイト改修におきましては、検索機能の強化や、利用者の年代等を基に、お勧め情報を表示する機能の導入などにより、都民が健康づくりの情報をより得やすくしてまいります。

○いいだ委員 ありがとうございます。現状と課題、そして今後の方向性について、理解いたしました。その上で、幾つか要望だけ申し上げさせていただければと思います。
 まず、今後、サイトを改修するのであれば、それを絶好の機会と捉えていただいて、使いやすくなった新しい健康ステーションとして、改めて積極的な周知、広報戦略に取り組んでいくべきだというふうに考えます。
 また、生活習慣チェックにおいては、予防医療に寄与する、より多くの、そして多様で魅力的なコンテンツのさらなる充実に一層力を入れていただきたいというふうに思います。
 このとうきょう健康ステーションが名実ともに都民の健康づくりの羅針盤となるよう、今回のサイト改修を機とした機能強化と認知度向上、そしてコンテンツの抜本的な充実を強く要望させていただいて、私の質疑を終わります。

○せいの委員 日本共産党のせいの恵子です。資料の提供、ありがとうございました。
 まず、都立病院の行政的医療についてお聞きをいたします。
 令和六年三月に改定されました第八次東京都保健医療計画、令和六年度から令和十一年度では、緊急時に必要な医療につなぐ体制づくり、救急医療において、精神疾患の急激な悪化等により救急医療が必要になったときや、災害時に適時適切に対応できる医療体制の充実が位置づけられています。その中には、精神科救急医療体制の整備、精神身体合併症救急医療体制の整備が入っています。その中心的な役割を担っているのが都立病院です。
 第八次東京都保健医療計画に基づきます精神科救急医療体制、精神身体合併症救急医療体制の整備についての都立病院での取組について伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院は、一般医療機関では対応が難しい精神科救急医療や精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しております。

○せいの委員 東京都の精神身体合併症救急医療体制では、二次保健医療圏を組み合わせて五つのブロックに分け、精神障害者が身体疾患に罹患した際に、地域で迅速かつ適正な医療が受けられるように、一般救急医療機関からの相談や受入れを行っています。また、夜間及び休日に身体疾患を併発した精神障害者に対し、精神症状により一般診療科での受診を困難とする場合に、あらかじめ確保してある合併症医療機関、都立等六病院などにて受入れを行っています。
 そこで伺います。都立病院における精神身体合併症患者の受入れ数をお答えください。

○鈴木都立病院支援部長 令和六年度の都立病院における精神科身体合併症患者の受入れ数は六百七十一人でございまして、前年度に比べて三・四%増加しております。

○せいの委員 今お答えいただきまして、都立病院での受入れ総数は六百七十一人ということでした。
 今回いただいた資料を確認しますと、一番多く受け入れているのは松沢病院の五百十七人、一番少ないのは荏原病院の二人でした。受入れの多い松沢病院のホームページを確認したところ、精神疾患を有する患者の身体合併症の診療には、最も重要な責務の一つとして取り組んでいます、また、他の精神科病院から身体合併症を有する精神疾患患者を受け入れるとともに、精神症状のために一般病院で診療が難しい患者にも対応していると記されています。
 その中で、これからは透析を必要とする患者への対応について伺っていきたいと思っております。
 厚生労働省の患者調査では、慢性腎不全等を合併する精神疾患を有する入院患者の推計、二〇一一年、平成二十三年は約四千六百名であったが、二〇二〇年、令和二年には六千六百名まで増加しています。国立精神・神経医療研究センターの研究部門から昨年度公表された精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書、この報告書では、このデータを引いた上で、同外来患者数については公的なデータはないものの、精神疾患を有する外来患者数が増加傾向にあることから、同様であることが予測されると。精神疾患を有する患者の高齢化が進む中、今後慢性腎不全を合併する精神疾患患者はさらに増えるものと予測され、慢性腎不全を有する精神疾患患者を地域で支える体制の整備、精神科病院における慢性腎不全の治療の在り方についての検討の必要性が高まってきているというふうにしています。その中で、都立病院がどのような役割を果たすべきか、改めて考える必要があると思います。
 まず、これまでの取組について確認をいたします。透析が必要な精神身体合併症患者の受入れ相談数と受入れ数及び断った場合の理由をお答えください。

○鈴木都立病院支援部長 令和六年度、都立病院に対し、透析が必要な精神科身体合併症の方の受入れについて相談があった件数は三十五件であり、うち二十八件を受け入れました。
 受入れに至らなかった理由としては、同時期に透析を必要とする入院患者が重なった例や、松沢病院におきまして身体的治療を優先すべき状態と判断した例などがございました。

○せいの委員 相談があった件数は三十五件で、受入れは二十八件と。精神身体合併症の、さらに、この一部については二桁になったということだと思います。
 続いてお聞きします。精神科を有する都立病院が保有する透析ユニットの台数と精神疾患患者への透析実績についてお答えください。

○鈴木都立病院支援部長 精神科を有する都立病院の透析室には、広尾病院五台、豊島病院六台、墨東病院十六台、多摩総合医療センター十二台、松沢病院二台の透析装置を配置しております。
 また、令和六年度の精神科の入院患者に対する透析実施件数は四百十一件でございました。

○せいの委員 実績を今お答えいただきましたが、都立病院は基本、急性期精神医療の提供をしていると。答弁された令和六年度四百十一件の実施件数というのも、その下での数字ということになります。急性期の方への対応で役割を果たしていることは、今確認できました。
 しかし、受入先の確保が難しいのは急性期の患者だけではありません。二〇二三年に滝山病院の事件が明るみに出て大きな問題になりました。それを受けて出された陳情審査のときにも、我が会派の藤田りょうこ議員が指摘をしたことですが、維持透析が必要な精神疾患患者の受入先の確保が困難な中で、透析を実施している滝山病院が行き先となっていました。松沢病院も透析を必要とする患者を継続的に入院させることは困難なため、滝山病院に患者を転院させてきました。
 先ほど紹介した精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書でも、精神疾患を有する患者に維持透析を提供できる医療機関が極めて限られていることが指摘されています。滝山病院で起きたような事件をなくしていくためにも、急性期に限らず、精神疾患の透析に対応できる医療体制の整備を進めなければならないと考えます。
 救急の医療じゃなくても、精神身体合併症、例えば透析、受入先が少ないことなどが課題になっていると考えますが、都の認識を伺います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、これまでも透析を含む精神科身体合併症医療に適切に対応しております。

○せいの委員 ちなみに、今、都立病院で、どこの病院でこの透析に対応しているかということはお答えいただけますか。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、松沢、広尾、豊島、墨東、多摩総合医療センターの五病院で、精神疾患の入院患者に対する透析に対応しております。

○せいの委員 今お答えいただきまして、都立病院では適切に対応しているというお答えだったんですが、私がお聞きしたのは都の認識というところで、聞いたことのお答えはいただいていないかなと今思いました。
 民間の医療機関では行うことが難しい医療の提供が都立病院の役割なんですね。なのだから、どのような医療が提供しにくいかということを、都立病院やその支援をする保健医療局では、常に考えていただかなければならないと思います。そのことを抜きにして都立病院として何をすべきかということを考えることはできません。
 しかも、都立病院では受け入れているんだというふうにおっしゃるわけですが、実際には急性期の患者さんに限っているということなんですね。松沢病院の齋藤元院長は、都立病院で慢性期の透析を必要とする精神疾患患者を受け入れることを考えるべきだというふうにもおっしゃっていました。目の前に行き先がなくて困っている患者さんがいるときに、都立病院がどのような役割を果たすかということが問われています。
 精神疾患を有する患者に対する腎代替療法等に関する調査研究報告書では、精神疾患を有する患者に維持透析を提供できる医療機関が極めて限られているということが指摘されているということを先ほども申しました。維持透析を必要とする精神疾患患者の入院を、都立病院は担うべき行政的医療に位置づけるべきではないかというふうに考えますが、ご見解をお聞かせください。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、これまでも精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しておりまして、透析が必要な患者にも、先ほど申し上げました松沢病院など五病院において対応しているところでございます。

○せいの委員 同じお答えということなんですけど、急性期以外も含めて対応するというふうにはなっていないわけです。慢性期で外来、通院と維持透析を行いながら地域で生活している方が、精神症状が増悪時に透析ができる入院先がなかなか見つからないというのが今の現状なんです。急性期に限らずに入院できる体制を行政的医療の役割として整備することが必要だと考えます。
 先ほどから紹介しております国立精神・神経医療研究センターでの調査研究報告書では、調査やヒアリングで、精神疾患患者の透析に関して、公的病院の責任において体制を整備することが望まれているとして、透析受入れ可能な精神病床の確保について検討していくことが求められると提言をされています。
 まさにこれを受けて、都立病院の取組はどうしていくのか、この辺りをお聞かせいただければと思います。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院では、保健医療計画等に基づきまして、一般医療機関では対応が難しい精神科救急医療や精神科身体合併症医療など急性期の精神科医療を提供しております。

○せいの委員 結局、やはり今お答えいただいても、急性期の対応にということなんですよね。
 滝山病院の問題が起きて、精神身体合併症患者の入院の課題というのがクローズアップされました。合併症があるというだけで入院できる病院が限られてしまう。さらに、透析ができるところはもっと限られてしまうと。そういう中で、患者をはじめ家族や支援者の皆さんは、治療にたどり着く前に心身ともに疲弊しているということが実際に起きています。
 私の下にも、統合失調症で透析の治療が必要な方が、入院治療が必要になったときに初めて結びついたのが、これが滝山病院だったと、初めての入院だった。そのときに不適切な看護を受けたことがトラウマになって、それ以後、当事者が入院をなかなか受け入れられなくなってしまい、その挙げ句に、さらに受入先自体も選択することができないということで、本当にご家族が入院先を探すのに困られているということで、相談もありました。
 また、維持透析が必要な方が、精神疾患の急性増悪でグループホームを飛び出してしまって行方不明になってしまった。そのときに、八十代のお母さんはじめ関係者で一生懸命捜して、何とか見つかったんですけど、今度は入院治療を受けてくれる病院がなかなか見つからない。その間に、八十代のお母さんは毎日、お子さんのところに付きっきりで、もう目が離せない状態で一緒にずっといて、もう限界だということで相談が寄せられることもありました。
 精神障害者の家族の会である東京つくし会からも、精神科患者の高齢化が進むにつれて、急性期、慢性期、身体合併症の患者の増加が予測されるため、身体合併症に対する医療、維持透析等の確保が喫緊の課題になっていると。令和六年度から始まった身体合併症に係る医療提供体制の確保事業に実効性が見られない場合には、都の責任と負担において、精神科の身体合併症に対応する都立の精神科医療機関を増設してくださいと、切実な要望も出されています。行政医療としての都立病院の役割を果たすべく改善を求めまして、次の質問に移ります。
 次に、東京都摂食障害支援拠点病院、松沢病院についてお聞きをいたします。
 摂食障害とは、食事の量や食べ方など食事に関連した行動の異常が続き、体重や体形の捉え方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気です。十代から二十代の女性の割合が高いのですが、年齢、性別、社会的、文化的背景を問わず誰でもかかり得ます。
 摂食障害は、患者に対する治療や支援方法の確立や、生命の危険を伴う身体合併症の治療、栄養管理等を行うなど、適切な治療と支援により、患者が地域で支障なく安心して暮らすことができる、この体制の整備を推進することが求められております。
 そして、厚生労働省によって、平成二十六年度より摂食障害治療支援センター設置運営事業が実施されまして、東京都でも、令和六年七月一日に都立松沢病院が摂食障害拠点病院に指定され、事業が開始をされました。
 まず、このことを受けまして、相談支援体制について、時間や専用電話回線数、コーディネーターの職種と人数など、お聞かせください。

○鈴木都立病院支援部長 松沢病院は、令和六年七月、東京都摂食障害支援拠点病院の指定を受け、都内に在住または在勤する方を対象とした摂食障害相談窓口を開設いたしました。相談窓口では、専用電話を一回線設置し、週三回、午前九時三十分から十一時三十分まで、午後一時から三時三十分まで、摂食障害の方やそのご家族等からの相談を行っております。
 相談には、摂食障害支援コーディネーターとして、看護師一名、精神保健福祉士一名、公認心理師二名が当番制で対応しております。

○せいの委員 摂食障害コーディネーターということで、看護師が一名、精神保健福祉士が一名、公認心理師二名が、当事者、家族からの相談に対応されているということが分かりました。
 続いてお聞きしますが、令和六年度の支援実績、相談件数や居住地、年齢、性別、摂食障害等に関する治療歴の有無などについて伺います。

○鈴木都立病院支援部長 拠点病院の指定を受けました令和六年七月から令和七年三月までの相談件数は二百七十四件で、都内居住者からの相談が約八割、対象者の年齢は十代及び二十代が約六割、性別は女性が九割弱を占めております。対象者の半数以上が摂食障害に関する受診歴がございます。

○せいの委員 続いて、令和六年度に、今お答えありました二百七十四件の相談があったということですが、どのような相談だったのかというところの相談内容を教えていただければと思います。

○鈴木都立病院支援部長 相談内容は、受診に関する相談が最も多く、次いで疾患に関する相談となっておりまして、受診希望の方には、居住地や症状に応じて適切と思われる医療機関を案内しております。

○せいの委員 今、続けて実績についてお答えをいただきまして、特徴として、十代及び二十代が約六割で女性が九割弱と。思春期から青年期の若者が多くて、対象者の半数以上が摂食障害に関する受診歴があるということが分かりました。
 摂食障害というのは、食行動を中心にいろいろな問題が現れて、心の病でありながら体の問題を抱えることが多いというところで、治療が大変難しいともいわれています。対象者の半数以上が摂食障害に関する受診歴があってなお、この相談窓口に受診や疾患に関しての相談をする方が多いということからも、様々な葛藤を抱えながらのご相談なんだろうということが、私は推測をしています。
 また、十代も多いということでは、精神科でも小児や思春期の治療が受けられる医療機関、また低栄養や低体重などで身体機能に重篤な問題がある場合は、急性期の治療が受けられる病院との連携がかなり必要になってくるのかなと考えます。
 摂食障害者の治療における、まず都立病院間の連携の体制というのがどうなっているかというところをお聞かせください。

○鈴木都立病院支援部長 拠点病院である松沢病院で専門的な相談や治療を行っているほか、広尾病院、墨東病院、小児総合医療センターなどと連携を図り、都立病院の有する医療機能を生かしながら対応しております。

○せいの委員 ぜひ、松沢病院が拠点病院となったことを生かして、都立病院間の連携強化に取り組んでいただきたいと思います。特に、小児総合医療センターの役割は今後一層重要になると思いますので、連携の強化や知見の共有に努めていただけるようにお願いいたします。
 そして、都立病院以外も含めてというところでは、支援拠点病院として行った他の医療機関への支援や普及啓発活動にはどのようなものがあったのでしょうか。お知らせください。

○鈴木都立病院支援部長 地域の医療機関職員などを対象とした症例検討会や講演会を昨年度九回開催し、医療従事者や関係機関等を支援いたしました。
 また、摂食障害の病態や症状、拠点病院の業務内容などについて普及啓発するため、専用ホームページを作成し、患者や関係者に対し情報発信を行うとともに、リーフレットを作成し、関係機関や病院等に配布いたしました。

○せいの委員 様々取り組んでいただいているようです。
 先ほども私、述べましたが、摂食障害は誰でもかかり得る病気で、治らない病気ではありません。しかし一方で、治療には時間がかかってぶり返すことも少なくありません。
 私も都立病院の精神科で看護師をやっておりまして、そのときは数名を受け持たせていただきました。そのときも、やはり心と体のバランスが取れて安定した状態に回復するまでというのは、当事者の治療に対する意欲はもちろんなんですが、やはりその周りにいる家族や医療スタッフなどの支援も、本当に欠かせないものだというふうに実感してきました。また、適切な治療や支援に早期につながれることが必要なんですが、医療機関が非常に少ないということも課題ではないかと感じています。
 松沢病院が東京都摂食障害支援拠点病院になって一年半になりました。これまでの経過を通して、支援拠点病院としての取組の中で見えてきた課題についてどのようにお考えなのか、お聞かせください。

○鈴木都立病院支援部長 摂食障害の治療に当たりましては、対象者の年齢や症状に合わせた対応を行うため、専門的な知見を有する病院間の連携が必要でございます。このため、摂食障害の様々な症状に対応可能な医療機関の情報を収集し、相談内容に適した案内を行っております。

○せいの委員 ぜひ引き続きお願いしたいと思います。
 先ほどの相談窓口には、他の精神疾患にて精神科、心療内科受診中であるが、摂食障害は対応できないといわれている、対応できる医療機関を紹介してほしい、また、改善しないので、摂食障害の専門的な治療を受けられる医療機関を紹介してほしいというような声も寄せられているようです。本当につらいことだなと感じます。
 また、摂食障害は誤解も受けやすい病気でもあります。痩せたいと思ってやってんだからとか、食欲をコントロールできないのは意思が弱いとか、とにかく自己責任というところにされがちです。でも、決して自分でなりたくて摂食障害になったわけでも、摂食障害であり続けているわけでもありません。だからこそ一人一人のつらさに寄り添いながら支援をすることが求められます。また、家族にとっても、根気強く当事者に寄り添って支えるということは、並大抵のことではありません。ということからも、家族を含めてケアするという視点も、私は必要だというふうに感じています。
 また、誰もが摂食障害について正しい知識を持つこと、そして、東京都において摂食障害の治療を適切に行える医療機関を増やしていく、そして形にしていくために取り組むのが、拠点病院としての松沢病院の役割ではないでしょうか。
 今後の松沢病院のさらなる取組を求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○たかく委員 私の方から質疑を順次させていただきます。
 最初に、下水サーベイランスの活用について伺います。
 近年、人、物の移動がグローバル化していることなどに伴い、世界の各地で発生する新たな感染症が国境を越えて広がっております。このような中で、下水中のウイルスを検査、監視する下水サーベイランスという手法は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状の感染者を含めた感染状況を反映する客観的な指標として活用が期待をされております。
 都議会公明党では、これまでの定例会や、また委員会で、下水サーベイランスへの迅速な対応を求めてきました。また、国会議員においても国の方で対応を求めてきたところであります。
 二〇二〇年、新型コロナウイルス感染症が世界中に感染拡大しました。新型コロナウイルス感染症は五類移行した後も、毎年、夏と冬には感染者数の増加傾向が見られており、引き続き注意をしていく必要があると思います。
 一方で、患者数が定点把握になったことから、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染動向の把握を補完できる手法として、この下水サーベイランスの活用が期待されております。
 これまでも、都議会公明党より下水サーベイランスの活用を求めてきたところでありますが、まず令和六年度の東京都の取組について伺います。

○宮田感染症対策調整担当部長 下水サーベイランスは、地域の感染状況を把握する手法の一つであり、都は令和二年度から、健康安全研究センターにおいて、下水を活用した新型コロナウイルスの調査を試験的に進めてまいりました。
 昨年度、国は、新型コロナの定点報告による感染動向の把握を補完するため、下水サーベイランスを予防接種法に基づく感染症流行予測調査に位置づけたことから、都はこれに基づく調査を都内一か所の水再生センターを対象に開始し、国に報告しております。

○たかく委員 東京都は、もともと人口が多いことに加えて、通勤、通学や観光などで都内を訪れる方も多いです。都内の感染状況をより詳細に分析し、情報を発信することで、下水サーベイランスを感染防止に役立てることが期待されております。
 東京都として、この下水サーベイランスを積極的に進めていくべきと考えますが、現在の取組状況について伺います。

○宮田感染症対策調整担当部長 今年度、都は、感染状況をより詳細に把握するため、感染症流行予測調査で国に報告している一か所を含めた都内全二十か所の水再生センターを対象に、国の実施要領を踏まえた調査を実施しております。
 また、健康安全研究センターでは、令和五年度、令和六年度の下水サンプルを保存しており、全二十か所の水再生センターを対象に、遡って国の実施要領を踏まえた分析を進めております。
 今後、東京iCDCの専門家から助言をいただきながら、都民や関係機関等に対する情報提供の方法を検討してまいります。

○たかく委員 今の答弁ですと、全二十か所、令和五年度までに遡って調査をしているということ、また、東京iCDCの専門家の知見も活用するということで、都独自の取組を進めていることも、今、教えていただきました。
 新型コロナウイルス感染症だけではなく、新たなパンデミックへの備えとしても、この下水サーベイランスは期待されております。データ公表に向けて、引き続き着実に取組を進めていただきたいと思います。
 次に、がん診療連携拠点病院等でのがん相談の充実、就労支援に対する社会保険労務士等の活用について伺います。
 国立がんセンターの統計によりますと、一生のうちにがんと診断される確率は、男性で六五・五%、女性では五一・二%、日本人の二人に一人ががんになるという数字は、もはや誰にとっても、がんを他人事と切り離すことができない時代の到来を示すものとなっております。また、社会的にも、がん患者の治療と仕事の両立の必要性への認識は高まっており、社会保険労務士等を活用した就労支援の取組は重要ではないかと思います。
 私の地元の世田谷区でも、定期的にがん患者等就労相談会を実施しております。がん患者の方が仕事を続ける上で抱える不安や様々な問題について、看護師、社会保険労務士等がお話を伺って、一緒に考え、問題解決のお手伝いをしております。
 そこで、がん診療連携拠点病院等における就労支援の取組の現状について伺います。

○杉下医療改革推進担当部長 がん診療連携拠点病院等では、がん相談支援センターにおいて、治療をはじめ、就労や療養生活など、患者や家族の様々な相談に対応しています。
 都は、拠点病院が設置するがん相談支援センターの運営費を補助するとともに、社会保険労務士やキャリアコンサルタント等の就労に関する有資格者を配置する場合についても、必要な経費を補助しています。
 令和六年度は、三十八の拠点病院のうち二十一病院で、社会保険労務士による個別相談会や就労支援セミナーを開催しており、短時間勤務などの就業上の配慮や社会保障制度等の活用を提案することで、就労に関する課題解決に取り組んでいます。

○たかく委員 今、いろいろ取組をされているということが分かりました。
 今後も、社会保険労務士等の活用を積極的に進めるべきと考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○杉下医療改革推進担当部長 都はこれまで、がん患者が不安なく治療と就労の両立ができるよう、拠点病院での社会保険労務士やキャリアコンサルタント等を活用した就労支援の取組を推進してきました。
 今年度は、新たに拠点病院等の代表者が出席する東京都がん診療連携協議会で、就労支援に対する社会保険労務士等の活用について働きかけを行っています。
 また、今月末には、協議会の相談情報部会担当者連絡会において、東京都社会保険労務士会から医療従事者と連携した就労支援についてご紹介いただく予定としています。
 引き続き、がん患者が治療を受けながら働き続けられるよう、必要な支援に取り組んでまいります。

○たかく委員 今の答弁では、前向きに取り組んでいるのが確認できました。これからも、がん患者が治療を受けながら働き続けることができるような社会をつくっていくために、さらなる支援をお願いして、次の質問に移ります。
 次は、骨粗鬆症の検診について何点か伺います。
 人生百年時代、百年歩ける足と骨づくりは一日にして成らずと。特に女性は、ホルモンの影響や妊娠などで大きく骨密度の低下を引き起こしやすい状況であります。
 骨の強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気を骨粗鬆症といいます。骨粗鬆症により骨がもろくなりますと、つまずいて手や肘をついたり、くしゃみをしたなどの僅かな衝撃で骨折してしまうことがあります。がんや脳卒中、心筋梗塞のような直接的に生命を脅かす病気ではありませんが、骨粗鬆症による骨折から介護が必要になってしまう人も少なくありません。
 骨粗鬆症財団の調査によりますと、骨粗鬆症検査の受診率が低い地域ほど、大腿骨の骨折を起こしやすく、介護が必要になる傾向が高く出ておりました。骨粗鬆症による骨折や要介護を減らすためには、骨粗鬆症検査に力を入れることが重要であると考えます。
 先日、私、地元のお医者さんと意見交換をした際に、骨粗鬆症の検診率が世田谷区では極めて低い水準で、受診率アップの取組を求められました。国が発表した、令和六年度から開始された第五次国民健康づくり計画、健康日本21(第三次)では、新たに骨粗鬆症検診受診率の目標を一五%と掲げられました。ところが、全国平均では五・七%、東京都平均で約七%と目標を大きく下回るのが受診率でございます。
 そこで、東京都の骨粗鬆症に対する認識と検診の取組についてお伺いいたします。

○小竹保健政策部長 骨粗鬆症は、骨折を引き起こし、寝たきりなどにつながるリスクを生じさせることから、予防が重要な疾患でございます。
 早期に骨量の減少を発見し、予防につなげるため、都は、健康増進法に基づく健康増進事業として区市町村が実施する骨粗鬆症検診を補助率三分の二で支援しております。

○たかく委員 東京都としては、予防が重要な疾患であるという認識、そしてまた、これは区市町村が実施する骨粗鬆症検診で補助率を三分の二で支援をしているということです。
 その検診の実施自治体数と検診者数、受診率について、令和六年度の実績を伺います。

○小竹保健政策部長 都内区市町村における令和六年度の骨粗鬆症検診は、三十七の自治体で実施されており、これらの自治体における受診者数は四万一千百六十五人、受診率は一〇・五%となっております。

○たかく委員 今、三十七の自治体で実施をしている、そしてまた四万人を超える方が受診されていることですが、未実施自治体が四割もあります。また、受診率についても上げる必要があります。
 例えば、対象年齢に受診券を郵送するプッシュ型で受診勧奨を行っている港区、板橋区、目黒区などでは、受診率は二〇%超えで、国、東京都の平均を大きく超えているとの情報もいただいております。
 自治体による検診実施や、こうした受診促進の取組を広めるべきであり、骨粗鬆症検診の実施自治体の増加と受診率向上に向けた取組について伺います。

○小竹保健政策部長 都は、骨粗鬆症の発症予防及び重症化予防を進める上で重要となる食生活、身体活動、飲酒、喫煙といった生活習慣改善の普及啓発に取り組んでおります。その取組を引き続き進めるとともに、骨粗鬆症検診を受診する機会を設け、受診できるようにするため、区市町村保健衛生主管課長会におきまして、骨粗鬆症検診の重要性を周知し、実施を働きかけるほか、受診率の高い自治体の好事例を紹介するなど、検診実施区市町村の増加や受診率向上に向けて取り組んでまいります。

○たかく委員 まだ検診を実施していない自治体が四割もあるということで、検診実施区市町村の増加、そしてまた受診率向上に向けて、しっかり取り組んでいただきたいことを要望いたします。
 次に、都立病院の経営について何点か伺います。
 地方独立行政法人東京都立病院機構は、東京都の医療政策として求められる行政的医療の安定的かつ継続的な提供をはじめ、高度専門的医療の提供及び地域医療の充実への貢献を推進することにより、都民の健康を守り、その増進に寄与することを都立病院の役割としていると出ておりました。
 都内で十四病院とがん検診センターを運営する東京都立病院機構の二〇二四年度決算が今年七月、明らかになりました。医業利益は、二〇二三年度よりも四十四億円改善しましたが、六百八十億円の赤字、また負担、交付金を繰り入れても当期利益は二百三十九億円の赤字で、二〇二三年度よりも五十六億円悪化しました。医業利益と当期利益のいずれも、全十四病院が赤字とのことでありました。
 都立病院の経営状況は、令和五年度は約百八十三億円、令和六年度は約二百三十九億円の純損失と二年連続の赤字となり、厳しい状況と聞いておりますが、患者の受入れはできているのか、また、令和六年度に都立病院で受け入れた入院患者、外来患者の数についてお伺いいたします。

○鈴木都立病院支援部長 都立病院全体の入院患者数は、令和六年度、延べ百六十五万七千八百三十人で、前年度の百五十九万一千三百七十五人と比較しますと約六万六千人増加となりました。
 また、外来患者数は、令和六年度延べ二百四十万七千五百六十九人で、前年度の二百四十万百二十七人と比較しますと約七千人の増加となりました。

○たかく委員 今の答弁ですと、入院患者数、それから外来患者数とも、前年度より増加しているとのことでした。
 令和六年度決算のうち、医業収支の状況はどのようになったか、改めて伺います。

○鈴木都立病院支援部長 令和六年度は、紹介患者の確保等に取り組み、医業収益は一千七百七十八億七千万円、前年度比で七十八億九千六百万円の増加となりました。
 一方、物価高騰の影響などにより、医業費用は二千四百五十九億二千六百万円、前年度比で三十五億三千万円の増加となりました。
 医業収支比率は七二%であり、前年度比で二ポイント改善いたしました。

○たかく委員 医業収支比率は改善しているというものの、厳しい経営状況であることを踏まえ、この課題克服に向けてどのような取組を行ったのか、適切な支出の徹底に向けた具体的な取組について伺います。

○鈴木都立病院支援部長 令和六年度より、DX関連業務におきまして、システムのバックアップ環境構築や、電子カルテ端末の設定作業などをベンダー委託から内製化に切り替え、六億九千万円の費用削減を実現いたしました。
 診療材料につきましては、国立大学病院など四団体と連携し、約百十病院のスケールメリットによる交渉により、十五品目で前年度比一億三千万円の費用削減を図ったところでございます。
 また、機構では、競争入札により交渉の相手方を選定し、契約締結前にその相手方とさらに減額交渉を行う交渉権入札方式を採用しております。令和六年度は九十八件で実施し、入札価格と比較して合計で一千九百万円の削減効果がございました。

○たかく委員 今のお話では、いろいろな支出の徹底に向けた取組を行ってきたということでございます。
 独法化したことにより、病院事業の特性に合った人材の確保が可能となったとのことでありますけれども、具体的にどのような人材を確保することができたのか伺います。

○鈴木都立病院支援部長 独法化前、職員の職種の設定や採用につきましては条例などで統一的に定められておりました。独法化により、医療ニーズや病院の特性にきめ細かに対応した職の設定や採用が可能となりました。
 例えば、がんゲノム医療の遺伝子解析などを行うバイオインフォマティシャンや造血細胞移植に関する支援や調整等を行う造血細胞移植コーディネーターを駒込病院で採用いたしました。このほか、令和六年度は救急救命士を新たに豊島病院等で採用いたしました。
 こうした取組により、医療の質の向上を図りながら、医療課題や患者ニーズに対応してまいります。

○たかく委員 今、都立病院について四点伺いました。
 次に、民間地域病院についても伺いたいと思います。
 診療報酬が全国一律の中で、人件費や物価高騰により、資器材の高い東京の民間病院においては、令和六年度においては約七割の病院が財政赤字を抱えているといわれております。こういったことについては、国が診療報酬を地域の物価状況に合わせてやはり加算すべきであると思っております。
 先ほど他会派の人が、東京都の地域医療を担う民間病院の経営の安定化に向けた取組についてご質問されていらっしゃいましたので、私は、そのことについてはちょっと割愛させていただいて、次の質問に移りたいんですが、これまでも東京都が診療報酬の見直しなどを国に要求したとともに、物価高騰対策を行ってきたと聞いております。
 一方で、都立病院が赤字が続いており、国へのさらなる提案や支援の拡充が必要と考えておりますが、今年度の東京都の取組についてお伺いいたします。

○宮澤医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は今年度、民間病院を対象に、緊急的かつ臨時的に入院患者一人当たり一日五百八十円の支援金を交付しております。
 また、都内病院等の協力の下、地域医療に関する調査を実施しており、コロナ禍以降の患者数の減少や、物価高騰などによる経営状況の変化、他の地域との費用の差などを把握、分析しております。この結果を国へのさらなる提案要求や医療施策の検討に活用いたしまして、持続可能な医療提供体制の確保につなげてまいります。

○たかく委員 今、病院経営が大変厳しい状況でございますので、しっかりと支援をお願い申し上げて、最後の質問に移ります。
 最後に、薬物乱用防止の取組について伺います。
 薬物乱用問題は、全世界的な広がりを見せ、人間の命はもとより、社会や国の安定を脅かすなど、人類が抱える最も深刻な社会問題の一つとなっております。
 日本における近年の薬物情勢は、大麻の検挙数が急激に増加しており、令和六年の大麻事犯検挙者数は依然として六千人を超え、覚醒剤事犯検挙者数と並んで非常に高い水準を維持しております。
 令和七年七月に厚労省が公表した第六次薬物乱用防止五か年戦略のフォローアップによりますと、令和六年の大麻事犯検挙人員は、過去最多であった前年より減少したものの依然として深刻な状況であり、特に三十歳未満の若年層の乱用増加に歯止めがかかっていないといわれております。
 そこで、三十歳未満の若年層における大麻乱用防止対策について、令和六年度の取組状況をお伺いいたします。

○稲見食品医薬品安全担当部長 都は、薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、大麻を含む総合的な薬物乱用対策を行っております。
 令和六年度は、薬物乱用経験者、弁護士、精神保健福祉士が、大麻について若い世代の不安や疑問にそれぞれ答える啓発動画を作成しており、対策をさらに進めております。

○たかく委員 私は、若年層の薬物乱用を防止するためには、まずは学校における取組が極めて重要であると考えております。
 東京都は、小学校、中学校、高等学校が薬物乱用防止教室を実施する際にどのようなサポートを行っているのか、令和六年度の取組状況を伺います。

○稲見食品医薬品安全担当部長 都は、小学校、中学校、高等学校が開催する薬物乱用防止教室について、学校からの依頼等により、薬物専門講師である薬剤師等を派遣しており、令和六年度の実績は四百七十五件でした。
 また、薬物乱用防止教室で使用するためのDVD等の貸出し等も行っており、令和六年度の実績は三百九十八件でした。

○たかく委員 文部科学省が行った令和五年度における薬物乱用防止教室開催状況調査があります。令和六年度はデータがないんですが、令和五年度にはこういった調査をしておりまして、この令和五年度の調査結果によりますと、令和五年度に薬物乱用防止教室を開催した学校について、小学校、中学校、高校いずれについても、公立学校に比べて私立学校の開催率が著しく低いというのが出ておりました。
 都内における令和五年度の公立全学校種の薬物乱用防止教室開催率は、公立の小学校では九八・七%、中学校段階では九八・一%、高等学校段階においては九四・五%と、全体で九八・二%とほぼ一〇〇%に近い開催状況となっていました。
 それに対して、都内の私立全学校種においては、小学校段階では二八・二%、中学校段階においては二三・五%、高等学校段階においては二八・三%と、全体で二六・四%とかなり低い開催率となっております。この二六・四%という数字は、私立全学校種の開催率としては全国ワーストツーということでも出てございました。
 こういった背景において、私立の小中学校、高校の薬物の有害性について、正しい認識を持つような機会が非常に低いという憂慮すべき状況にあり、改善が必要とも考えております。こうした状況をどのように認識しているのか、見解を伺います。

○稲見食品医薬品安全担当部長 大麻等の乱用を防止するためには、薬物乱用防止教室などを通じて、若いうちから危険性を理解し、意識を高めることが重要でございます。
 今後、薬物乱用防止教室への講師派遣に関する情報について、都のホームページに加え、リーフレットなどの普及啓発資材を配布する機会なども活用し、私立を含む小学校、中学校、高等学校に対して、さらなる周知を図ってまいります。

○たかく委員 私立はなかなか、私学の独立性とかということで入りづらいところがありますけれども、私立を含む小学校、中学校、高校に対して、さらなる周知徹底していただきたいことをお願い申し上げ、私の質疑とさせていただきます。
 以上です。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時五十七分散会