令和六年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

令和七年十月二十二日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長鈴木  烈君
副委員長山田ひろし君
副委員長清水とし子君
さんのへあや君
ゆもと良太郎君
星  大輔君
松岡あつし君
大竹さよこ君
岩永やす代君
福井ゆうた君

欠席委員 なし

出席説明員
水道局局長山口  真君
技監鈴木  理君
総務部長内田 知子君
経営改革推進担当部長小澤 賢治君
多摩水道改革推進本部本部長長嶺 浩子君
産業労働局局長田中 慎一君
次長理事兼務関口 尚志君
理事奈良部瑞枝君
総務部長阿部 泰之君
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務前田 泰伯君
企画調整担当部長女性活躍推進担当部長兼務齋藤  順君
働く女性応援担当部長吉浦 宏美君
国際金融都市推進総括担当部長村本 一博君
商工部長福田 哲平君
商工施策担当部長大川 徳明君
金融部長原   郁君
金融支援担当部長松田 義史君
産業・エネルギー政策部長米澤 鉄平君
産業政策連携促進担当部長岡野 守治君
新エネルギー推進担当部長服部 勇樹君
観光部長江村 信彦君
観光振興担当部長前田 千歳君
農林水産部長榎園  弘君
安全安心・地産地消推進担当部長田代 純子君
雇用就業部長新田 智哉君
事業推進担当部長富岡麻紀子君
港湾局局長田中  彰君
次長樋口 隆之君
技監村田 拓也君
総務部長戸谷 泰之君
企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長勝見 恭子君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長原田 幸定君
臨海開発部長若林  憲君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務水飼 和典君
臨海副都心まちづくり推進担当部長渡邊 正也君
港湾整備部長佐藤 賢治君
計画調整担当部長廣松 智樹君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務儀間  潔君
離島港湾部長原田 和生君
島しょ・小笠原空港整備担当部長松本 祐一君

本日の会議に付した事件
令和六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
水道局関係
・令和六年度東京都工業用水道事業清算会計決算(質疑)
産業労働局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・令和六年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・令和六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
港湾局関係
・令和六年度東京都一般会計決算(質疑)

○鈴木委員長 ただいまから令和六年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局、産業労働局及び港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都工業用水道事業清算会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 三浦国際金融プロモーション推進担当部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、令和六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、令和六年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び令和六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○阿部総務部長 去る十月十五日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で四十項目ございます。
 一ページをご覧ください。このページから四ページにかけまして、中小企業対策、観光産業の振興、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。東京都における新規就農者数及び新規女性就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。東京都エコ農産物認証者数につきまして、認証区分別の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをご覧ください。市街化区域内農地の貸借面積の推移をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。多摩産材取扱量につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一二ページをご覧ください。都の関連施設における国産材及び多摩産材の過去五年間の活用実績をお示ししてございます。
 一三ページをご覧ください。購入・寄附を通じたクラウドファンディングによるHTT・DX等プロジェクト支援事業の予算額と決算額をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。アユの推定遡上量につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一五ページをご覧ください。アワビ、トコブシ、サザエの漁獲量につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一六ページをご覧ください。令和六年度の産業・エネルギー政策費における種別ごとの決算額と出捐金とその割合及び出捐金の内訳と事業期間と残高をお示ししてございます。
 一七ページをご覧ください。中小企業に対する省エネ、再エネに係る支援事業の過去五年間の予算額、決算額の推移をお示ししてございます。
 一八ページをご覧ください。東京ロケーションボックスの過去五年間の実績、予算額、決算額の推移をお示ししてございます。
 一九ページをご覧ください。東京障害者職業能力開発校の過去五年間の応募状況、寮の定員と入居者数、障害種類別の就職率の推移をそれぞれお示ししてございます。
 二〇ページをご覧ください。魅力ある職場づくり推進奨励金の実績、応募数、支給件数、申請から支給までの期間につきましてお示しをしてございます。
 二一ページをご覧ください。令和六年度のInvest Tokyoの主な支援事業内容をお示ししてございます。
 二二ページをご覧ください。ビジネスコンシェルジュ東京の実績をお示ししてございます。
 二三ページをご覧ください。令和六年度のフィンテック企業等に対するイノベーション支援事業の実績をお示ししてございます。
 二四ページをご覧ください。令和六年度のESG債の発行支援事業の実績をお示ししてございます。
 二五ページをご覧ください。令和六年度のTokyo Sustainable Finance Week事業の実績をお示ししてございます。
 二六ページをご覧ください。令和六年度の外国企業発掘・誘致事業、一時的オフィス提供事業、拠点設立補助事業、金融系外国企業事業基盤支援補助事業及びGX関連外国企業進出支援事業、それぞれの実績をお示ししてございます。
 二七ページをご覧ください。官民連携ファンド出資額及び回収実績一覧をお示ししてございます。
 二八ページをご覧ください。過去五年分の魅力ある商店街づくり事業における決済代行サービス別導入実績及び推移をお示ししてございます。
 二九ページをご覧ください。DX推進支援事業の事業開始以降の交付決定企業数及び助成額をお示ししてございます。
 三〇ページをご覧ください。令和六年度のキャリアチェンジ再就職支援事業における就職率、採用後の想定年収をお示ししてございます。
 三一ページをご覧ください。令和六年度のキャリアチェンジ再就職支援事業における評価事例、苦情事例、事故報告をお示ししてございます。
 三二ページをご覧ください。令和六年度のナイトタイム等における観光促進事業の支援件数、支出額及び成果をお示ししてございます。
 三三ページをご覧ください。観光関連事業者による旅行者受入対応力強化支援事業の事業開始以降の採択件数及び補助金交付額をお示ししてございます。
 三四ページをご覧ください。インバウンド対応力強化支援事業における多言語対応及びキャッシュレス機器の導入に係る実績をお示ししてございます。
 三五ページ及び三六ページをご覧ください。ソーシャルファーム事業における過去五年分の認証・予備認証事業所数、補助金交付額、就労困難者在籍数の推移をそれぞれお示ししてございます。また、令和六年度の就労困難者の労働時間数をお示ししてございます。
 三七ページをご覧ください。東京都ソーシャルファーム認証審査会の過去五年分の開催実績、委員出席率、委員名簿をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松岡委員 松岡あつしでございます。よろしくお願いします。
 それでは一点目、中小企業のデジタル化支援について質問させていただきたいと思います。
 昨年度の中小企業を取り巻く経営環境は、不安定な国際情勢の影響による原材料費高騰の長期化や、コロナ禍から平時への移行に伴い、人手不足感が歴史的な水準に達するなど、厳しい状況が続いています。こうした状況を乗り越えていくためには、デジタル技術等を活用し、生産性を高め、事業の経営基盤の強化を図ることが重要となります。
 都内には様々な事業者が存在しており、規模や業種、事業活動等によりDXの手法や取組が異なるため、中小企業の現状を踏まえて、きめ細かく支援を行うことが大切だと認識しております。
 そこで、都は、中小企業がデジタルを活用して生産性を向上させる取組への支援を行っていますが、令和六年度の取組実績について伺いたいと思います。

○福田商工部長 都は、中小企業の生産性を高め、競争力の向上を図るため、DXやデジタル技術の導入による業務の改善やマーケティングの強化などを支援しております。
 昨年度は、二万二千社に対するダイレクトメールなどによる広報を通じ、ニーズの掘り起こしを行いますとともに、中小企業診断士やITコーディネーターなどの専門家が七百二十九社に訪問し、企業活動のデジタル化に向けたアドバイスなどを行いました。
 また、専門の相談窓口を新たに開設し、デジタル化に関する課題への助言に加えまして、都や国などの支援策の活用を提案することで、二百二十三社に対し、延べ三百を超える支援事業に結びつけるなど、きめ細かいサポートを実施いたしました。

○松岡委員 これらの取組は、都内中小企業のデジタル技術活用を後押しする重要な取組と考えますが、DXとしての効率化や企業の利益改善、またはビッグデータなどを活用した売上げ増など支援をした成果を捉え、効果検証を分析することを要望するとともに、引き続き着実に支援を行っていただくことをお願いしたいと思います。
 続いて二点目ですが、次世代アントレプレナー育成プログラムについてです。
 人口減少社会が到来する中においても、東京が持続的な成長を続けていくためには、経済の新陳代謝やイノベーションの加速につながる創業の活性化が欠かせない。都内の新設法人数は増加し続けている一方で、諸外国と比較した日本の開業率は依然として低い水準にあります。将来的に創業の担い手となる人材を数多く輩出し、開業率向上に結びつけていくことは重要な課題です。特に、長期的に経済を支えるという観点からも、次世代を担う若者への支援は効果的と考えます。
 都は、若年層の起業家の卵の掘り起こしに取り組んでいますが、昨年度の取組実績について伺いたいと思います。

○大川商工施策担当部長 都は、将来の東京の産業の活性化に向けまして、意欲的な若手起業家を発掘する国内最大級のビジネスプランコンテストを平成二十六年度から実施しております。
 昨年度は、高校や大学へコンテストの積極的な周知を図ったことによりまして、過去最多の三千三百十七名の応募がございました。選考に進んだ三十名に対しまして、事業計画の磨き上げ等の具体的な助言を行うとともに、コンテスト後も、アクセラレーションプログラムを提供するなど、起業に向けた継続的なサポートを行いました。
 さらに、今年一月から、起業に関心を持つ若者を対象としたコミュニティを立ち上げまして、ワークショップや先輩起業家との交流イベント等を開催し、七百九名が参加するなど、起業機運を一層高めました。

○松岡委員 起業希望者の裾野拡大に向けて着実に取り組んでいくことを確認しました。今後も、起業に挑戦する若者に対して力強く支援されることを要望したいと思います。
 一方で、起業家精神や課題解決力の種は、より早い段階から育まれることが望ましいと考えます。近年では、小学生の探究学習やSTEAM教育との連動により、地域の課題を自分事として考え、ビジネス的に解決策を構想する取組も広がっています。
 今後は、高校、大学段階の起業教育に加え、小中学校段階から、アントレプレナーシップ教育の推進、地域企業や大学、金融機関などとの連携による世代を超えた起業家支援エコシステムの構築を進めることが重要です。
 私の周りでも、培った経験や能力を生かして副業的に起業を希望する中高年やシニアの声も多く聞きます。あらゆる世代から起業家が生まれるよう、手厚いサポートが提供されることを期待して、次の質問に移ります。
 三点目は、中小企業制度融資についてです。
 中小企業のニーズを踏まえた金融支援について伺いたいと思います。
 中小企業制度融資は、都の金融施策の中核として、創業から経営の安定、成長促進などを幅広くカバーし、基幹的な役割を果たしています。
 我が会派は、物価高騰などで資金の確保に苦慮する事業者を支えるための緊急融資のほか、ライフ・ワーク・バランスの改善に向けた環境整備や、女性活躍を推進する企業への支援を繰り返し要望してまいりました。
 資金繰りに不安を持つ事業者が多い現状も踏まえ、苦しい経営状況を下支えするとともに、新たな経営課題の解決につながる金融面からの支援も必要です。こうした中小企業の様々なニーズに対して、都の制度融資における昨年度の取組状況とその効果について伺いたいと思います。

○原金融部長 令和六年度の緊急融資の実績は五千九百十七件、融資金額は約一千四百十七億円でした。
 本融資では、エネルギーや原材料価格の高騰等の影響を受ける中小企業の資金ニーズに幅広く対応するため、売上げだけでなく利益率が減少する事業者も利用対象に追加したほか、信用保証料を最大五分の四補助しています。
 また、女性活躍に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援するため、融資利率を優遇する女性活躍推進融資を新設したほか、働き方改革を支援する融資において対象要件を拡大し、それぞれ信用保証料を最大三分の二補助しています。これらの融資実績は三千九十二件、約七百九十一億円です。
 その他のメニューも含め、制度融資を多くの中小企業にご利用いただいた結果、資金繰りが好転と回答した企業の割合から悪化と回答した企業の割合を差し引いた資金繰りDIは、前年の同じ四半期と比較しますと、令和六年度を通じて改善しており、様々な資金ニーズに的確に対応してまいりました。

○松岡委員 中小企業の資金繰り、支援を通じて、事業継続と経営課題の解決の両面で切れ目のない支援を図ることを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次は、ナイトタイムにおける観光支援です。
 ナイトタイムにおける観光支援ですけれども、東京が国際観光都市としてさらに発展していくためには、旅行者のナイトタイムにおける観光の満足度の向上を図ることが重要です。
 我が会派は、東京のさらなる経済成長という観点から、ナイトタイムの価値向上、ナイトタイムエコノミーの推進を求めてきました。外国人旅行者数が過去最高となる中で、都内各地でも誘致に取り組んでおり、夜間の観光を充実させることで消費の拡大などにつなげていく視点が大切です。東京都としても、資金面や発信力を生かして、こうした地域の取組をしっかりと支えていく役割があると考えます。
 そこで、東京都は令和六年度、都内各地のナイトタイム観光の推進に向け、どのように取り組んできたのかを伺いたいと思います。

○江村観光部長 都は昨年度、東京の夜間の観光振興を図るため、地域による誘客の取組への支援や情報発信などを進めました。
 地域の取組への支援としましては、観光協会等が実施する桜や紅葉などのライトアップへの助成を十四件行ったほか、プロジェクションマッピングへの助成を五件実施いたしました。
 また、夜間における新たな誘客イベントの開催などへの助成を十一件行い、地域のにぎわい創出を後押しいたしました。
 さらに、イルミネーションや夜景など、都内で夜間の観光を楽しめるスポットを紹介する冊子を作成しまして、国内外の旅行者に向けて、東京のナイトタイム観光に関する情報提供を行いました。

○松岡委員 地域のナイトタイム観光の取組に向けた支援が着実に行われていることは理解をしましたが、夜間のイベントなどは都心部に集中しているものと思われます。多摩地域でもナイトタイム観光の取組がしっかり進められるよう、都が強力にサポートするとともに、都の発信力を生かしたPRもさらに力を入れていただくことを求めさせていただきたいと思います。
 次に、プロジェクションマッピングについてです。
 都庁舎のプロジェクションマッピングは、投影面積が世界最大であり、ギネス世界記録にも認定されています。この迫力ある投影面を生かして、国内だけでなく、海外でも人気の高い映画やゲームのキャラクターを活用した作品を上映することにより、国内外から連日多くの観覧者が訪れています。都民広場に新たなにぎわいが生まれており、東京のナイトタイム観光のスポットとして定着をしています。
 一方で、その費用について、高額ではないかなど様々な声も聞いてきたところです。プロジェクションマッピングが生み出す効果をいかに都民に還元するのか、すなわち費用対効果、経済波及効果も重要である旨、都民ファーストの会東京都議団として指摘をしてまいりました。
 そこで、都庁舎のプロジェクションマッピングについて、令和六年度の取組の成果を伺いたいと思います。

○江村観光部長 昨年二月に開始した都庁舎のプロジェクションマッピングは、令和六年度末までに約五十六万人の方が鑑賞に訪れました。
 令和六年度の経済波及効果は、決算額約九億四千万円に対し、約二十六億四千万円と試算いたしました。
 具体的には、観光産業に係る調査研究で優れた実績のある公益社団法人日本観光振興協会を通じまして、映像の制作や機器の保守などのほか、プロジェクションマッピングの観覧者の宿泊、交通、飲食などの観光消費が生み出す効果を、東京都産業連関表を用いた分析ツールによりまして推計いたしました。
 また、プロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品の販売や飲食イベントの開催など、観光事業者等による新たな取組が見られまして、観覧者を対象に実施しましたアンケート調査によりますと、九割以上が観覧の前後に周辺で食事や買物、観光などを楽しんでいるとの回答でございました。
 さらに、クリエーターを目指す学生が国内外のトップクリエーターの指導を受けて、六点の上映作品を作成するなど、若手人材の育成の場としても活用いたしました。

○松岡委員 都庁舎のプロジェクションマッピングは、東京の新たなナイトタイム観光のスポットとして、連日多くの観覧者を引きつけています。都内の様々な場所でナイトタイム観光の魅力向上に資する取組を着実に進めることにより、東京の観光のさらなる発展につなげていくことに加え、令和六年度のプロジェクションマッピングの経済波及効果は大きく伸びておりますが、今後もこうした結果や計算根拠などを分かりやすく示すことを求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次は、食の魅力を生かした観光振興について伺いたいと思います。
 東京は、ミシュランガイドにおいて、十九年連続で星つきのレストランが最も多い都市になるなど、食の魅力が海外からも高く評価されています。東京に行ったら、おすし、天ぷら、ラーメンなど東京ならではのグルメや世界各国の料理など、バラエティー豊かな食事を実際に味わってみたいと多くの観光客が感じていると思います。こうした食の魅力を東京のブランドとして一層磨き上げ、さらなる誘客や観光消費の拡大に効果的に生かしていくことが大切です。
 そこで、東京都は昨年度、東京の多彩な食の魅力を生かした観光振興にどのように取り組んだのか、その成果と併せて伺いたいと思います。

○江村観光部長 都は昨年度、東京が持つ多彩な食の魅力を国内外の旅行者に伝えるための様々な取組を実施いたしました。
 取組としましては、東京の人気の飲食店を集めた大規模なフェスティバルを三日間にわたり開催し、江戸から続く伝統的な料理をはじめ、日本各地や世界各国の料理などを提供する三十一の飲食店が出店して、約六万四千人が来場いたしました。
 また、都市農地や多摩の里山、島しょ地域を訪問して野菜の収穫や調理などを体験するツアーを実施し、地域特有の食材や食文化を国内外のメディアを通じて紹介いたしました。
 さらに、人気の飲食店のシェフが実演しながら食材や調理法の解説を行うイベントを新たに実施し、国内外のメディアやインフルエンサーなど七十名を集め、延べ三十八件の報道や記事掲載が行われるなど、東京の食の幅広い魅力を発信いたしました。

○松岡委員 ミシュランガイドには、百六十の星つきレストランを含めて、東京だけで実に五百二十六ものレストランが掲載されています。東京はトップクラスの料理人や食が集まる世界一の美食都市であり、観光客に対して唯一無二のセールスポイントとなります。この東京が誇る食の魅力を生かし、今後も観光客を誘致する取組を一層戦略的に進めることを求め、次の質問に移りたいと思います。
 次は、観光客のごみ捨てに関するマナーの啓発についてです。
 これまで、ナイトタイムや食など、東京の観光がさらに国際社会の中で強みを発揮していくための重要な取組について質問させていただきました。
 東京に多くの外国人観光客が訪れることで、地域にとっては経済での大きなメリットが生まれます。一方で、商店街などの観光地では、観光客が捨てるごみの問題が地域にとって負担になっているとの声も聞いており、観光客の増加に伴い生じている社会問題でもあると感じています。
 特に、言語や習慣の異なる外国人観光客への働きかけは重要であり、観光客を積極的に呼び込むだけではなく、守るべきマナーをしっかり守ってもらう、いわば攻めと守りの両面から取組を進めていくことが大切であります。
 そこで、都は昨年度、外国人観光客に対し、ごみ捨てをはじめとするマナーの周知にどのように取り組んできたのかを伺いたいと思います。

○江村観光部長 都は昨年度、外国人旅行者に日本の習慣やマナーの理解を促すため、様々な取組を行いました。
 取組としましては、ごみ捨てなど、観光する際に守るべきマナーを解説する外国人旅行者向けの冊子を作成し、観光案内所や宿泊施設などで配布いたしました。
 また、外国人旅行者が多く訪れる時期を捉えたキャンペーンといたしまして、駅や電車内、空港のサイネージを活用した広告の掲出や、観光ボランティアによるマナーの紹介などを実施いたしました。
 さらに、観光公式サイトにおいて、観光の多様な場面に応じた習慣やマナーを掲載し、周知を図りました。

○松岡委員 観光がもたらす経済的効果は非常に大きく、東京、日本の成長に欠かせない柱であります。しかし、その一方で、地域商店街や住宅地では、外国人観光客によるごみの捨てっ放しやマナー違反が住民の負担や不安につながっているという声も大きく聞いております。
 私は、インバウンドで稼ぐことを推進しながらも、日本の暮らし方や環境への配慮を共有し合える地域社会をつくることこそが、真に持続可能な観光政策だと考えます。観光による恩恵が地域にしっかり還元され、治安や生活環境を守りながら、納税者の理解を得られる形でインバウンド施策を展開していくことが重要です。
 都には、マナー啓発を一過性のキャンペーンに終わらせることなく、地域住民、商店街、観光事業者が一体となって、外国人観光客と共に快適な環境をつくる仕組みをぜひ強化していただきたいと要望します。
 次に、水素取引所の立ち上げに向けた取組について伺います。
 都は、グリーン水素を脱炭素化の切り札と位置づけ、利用活用促進に力を入れておりますが、現状、生産コストが高く、流通量も限られているなどの課題も多くあります。
 先日、水素社会推進法に基づく事業者支援制度で認定された水素供給計画が公表されるなど、低炭素な水素の普及に向けた素地は整い始めてきましたが、都内事業者の積極的な使用につなげるためには、売買が活発に行われ、安定して調達できる仕組みづくりが重要となります。その点、小池都知事が令和五年のCOP28で表明した水素取引所の立ち上げには期待を寄せるところであります。
 そこで、その試金石として実施をしたグリーン水素トライアル取引の取組内容と成果について伺いたいと思います。

○服部新エネルギー推進担当部長 グリーン水素トライアル取引では、これまで当事者間で個別に売買されていた水素について、都が新たに取引ルールを定め、供給者の販売価格と利用者の購入価格をそれぞれ入札で取り決める市場取引を試行し、その価格差を都が支援いたしました。
 購入側の入札は、水素を運搬する容器に応じて、トレーラー輸送コースとカードル輸送コースに分けて実施し、利用者側では、各コースとも二者による価格競争により購入価格が決定されました。
 また、入札終了後には、落札単価及び入札者数を公表することで水素取引の可視化を図りました。
 取引期間である令和七年一月から三月にかけて、合計で、燃料電池自動車約百二十五台分に相当する約〇・七トンのグリーン水素を供給者から利用者へ、都が手配する輸送手段により確実に送り届けました。

○松岡委員 取引ルールを可視化し、水素流通の新たな仕組みを東京都が主導して形づくったことは大きな一歩であります。
 今後は、取引事例の蓄積に加え、一、水素の売買取引を活性化させていくこと、二、価格指標(ベンチマーク)の整備、三、需要側支援との連動、四、国との連携を意識した市場設計が重要となります。
 東京が国内外の水素ビジネスのハブとなり、経済と環境を両立させる、稼ぐ脱炭素都市の実現に向け、今後も積極的な取組を期待したいと思います。
 次に、東京農業の振興について伺います。
 私はかねてより、生産性の向上や付加価値の高い農作物を作ることで、農業を稼げる仕事にすることを政策目標に掲げ、活動しています。こうした目標の実現に向けて必要と考える取組について、三点質問したいと思います。
 まず最初に、スマート農業について伺います。
 他県の大規模化された農地では、大型機械の導入により効率化した農業を実践しています。一方、東京の農業においては、限られた面積の農地を最大限に活用するため、多くの品目を少量ずつ栽培するなど、各作物に適した生産管理を行う農家が多く、その結果、他県に比べ、労働時間が長くなっています。こうした農家の作業負担を軽減する機器の導入や、農場を効率よく管理する仕組みの開発等が求められます。
 都は昨年度から、省力化を図るスマート農業機器の導入や開発などを支援する取組を始めましたが、その状況について伺いたいと思います。

○榎園農林水産部長 都は令和六年度から、デジタル技術を活用し、農作業の負担軽減などにつながる取組を新たに開始しました。
 具体的には、個々の農家の耕作品目等に合わせて負担を軽減できる機器について、専門家による助言等を受けられる仕組みを整えており、無人で動く小型のロボット草刈り機や、出荷規格に応じた選別を自動で行う機器等の導入に対し、二十五件、約三千六百万円の助成を行いました。
 また、民間企業と連携し、スマートグラスやAIにより遠隔で栽培指導を行うシステムのほか、ドローン等を活用して生育状況を確認する仕組みなど、現場のニーズを踏まえたスマート技術の開発に関する十三のテーマに着手してございます。

○松岡委員 このような取組は、生産年齢人口が減少する状況において、必要性がますます高まると思います。
 一方、農業者の中には、どのようなスマート機器を導入すればよいか分からない方もおり、ただいま答弁にありました専門家による助言等も積極的に行うことで、より効果を発揮すると考えます。ぜひこうした取組を進めつつ、スマート技術のいち早い現場実装の実現に向けた取組を充実していただきたいと思います。
 次に、農業のブランド化について伺います。
 私の地元小平市は、日本でのブルーベリー栽培発祥の地と知られ、東京が全国一位の生産量を誇ります。先月、都の試験研究機関である農林総合研究センターを訪れました。暑さに強く、甘くて大きな実がなるブルーベリーの新品種の育成過程等を伺い、東京ならではの農業の可能性を感じたところです。
 東京産農作物の付加価値を高めることは、大消費地東京という強みを生かし、戦略的に品種開発やPR等を行っていくことが不可欠と考えますが、農家自身が取り組むには負担が大きく、行政の支援が必要です。
 そこで、東京都は昨年度、どのような取組を行ったのか伺いたいと思います。

○榎園農林水産部長 都は、東京の気候に適したオリジナル品種の開発や栽培技術の確立等に取り組んでおり、令和六年度は、ブルーベリーや大島特産の花きでございますブバルディア等について、消費者の嗜好の変化を意識した新たな品種開発や栽培試験などを行いました。
 また、東京農業の競争力を高めるため、それぞれの農業者が経営戦略に基づき付加価値を高める販売ができるよう、農園のプロモーションや販路開拓を支援いたしました。
 具体的には、ブランド戦略やイラストデザインなどの専門家派遣を百三十の農業者に対し六百三回行ったほか、販路開拓につきましては、高単価で取引ができる都心部の百貨店やホテルなど五十二件のマッチングを行いました。

○松岡委員 農林総合研究センターで新たに開発したブルーベリーの愛称を今月下旬まで募集していると聞き、早速、私の地元の小中学校に応募を働きかけました。
 さきの第三回定例会では、我が会派の一般質問に対して、知事から東京産農産物のブランド化を推進していくと力強い答弁がありました。ぜひこうした取組を進め、東京農業のブランド価値を高めていただくよう要望し、次の質問に移りたいと思います。
 農業における女性活躍、女性農業経営者の育成について伺いたいと思います。
 都内の農業者のうち、女性が占める割合は約四割と重要な役割を果たしていますが、こうした中で、経営方針の決定に関われる女性は、まだ十分多いとはいえないのが現状です。
 一方で、近年、女性の新規就農者は増加しており、こうした方々は経営に携わっていきたいと考える方が多いとも聞いております。これまでにない柔軟な発想で新たな販路やサービスを生み出すなど、収益性の高い農業を実現するためには、女性農業者がより力を発揮していけるよう後押しすることが必要です。
 こうした状況を踏まえ、都は昨年、女性の農業経営者を育成するための取組を開始したが、取組内容と実績について伺いたいと思います。

○榎園農林水産部長 都は令和六年度、女性農業者の経営への参画を促すため、経営者マインドを高め、ノウハウ等を提供するプログラムを新たに実施いたしました。
 具体的には、多角的な経営を行う女性農業者の取組を紹介するセミナーや、意識啓発につながるグループワークを開催いたしました。その上で、地域ごとに、SNSを活用した効果的な情報発信や、消費者との交流による新たな販売方法など、実践力を高める少人数による講座を複数回実施するなど、延べ十四回の学びの機会を提供し、二百八十三人が受講いたしました。

○松岡委員 女性農業者が持てる力をさらに発揮できるよう、効果的なプログラムの実施や活動を広げる支援など、取組を一層進めることをお願いしたいと思います。
 以上、東京農業の振興に向け、必要と考える取組について伺ってまいりました。これまで答弁いただいた取組に果敢に挑戦することで、東京の農家が収益を上げ、稼げる農業を実現できるような後押しを強く要望したいと思います。
 なお、地元の小平市の農業者からは、人手不足で困っている、最近は継承に興味を持つご子息が増えている、学校給食への納入を希望しながらも輸送がネックで参加できないという声も聞いております。こうした農業者の声に寄り添った支援を進めていただくことを要望し、次の質問に移りたいと思います。
 次は、職場におけるフェムテックなどの普及開発について伺いたいと思います。
 女性がライフイベントに合わせた働き方を選択し、仕事でそれぞれの力を発揮し続けるため、女性特有の健康課題は切り離すことはできません。近年、こうした健康課題に対応するフェムテック製品やサービスは、種類、数ともに増えておりますが、導入している企業は少ないと考えます。企業が女性の経営課題に対する理解を深め、フェムテック製品やサービスなどの活用事例を知ることで、女性従業員が働きやすい職場づくりにつながることが期待されます。
 都は、企業におけるフェムテックの活用状況を踏まえ、女性の健康課題の普及啓発にどのように取り組んできたのかを伺いたいと思います。

○富岡事業推進担当部長 都は、令和六年度に都内企業を対象にアンケート調査を実施いたしまして、フェムテック製品やサービスを活用し、女性従業員への支援を実施している企業は二・〇%でございました。
 女性特有の健康課題に対する意識を高め、働きやすい職場づくりにつなげるために、特設サイトを設けておりまして、その中で、アンケート結果に加えまして、フェムテックを導入した企業の取組事例の短編動画やインタビュー記事を掲載いたしました。
 具体的には、女性の健康課題を学ぶ研修サービスやオンライン婦人科診療といったフェムテックを活用した人事制度などの事例を紹介しました結果、令和六年度のページビュー数は約五十二万回でございました。

○松岡委員 都内中小企業がフェムテックなどを活用して女性が働きやすい職場づくりが進むよう、様々な先進事例を取り上げるなど、引き続き行っていただきたいと思います。
 次に、育業の促進について伺います。
 平成二十七年度には四・五%にすぎなかった都内の男性育業取得率ですが、令和六年度には五四・八%と飛躍的な伸びを見せ、全国調査の四〇・五%を大幅に上回っております。男性も女性も育業中であることが胸を張っていえる社会にようやくなりつつあることを実感しています。
 一方で、都は政策目標として、男性の育業取得率九〇%の達成を掲げており、道半ばの状況であることも事実です。社会全体で育業を進めるためには、夫婦ご本人たちのみならず、今後、職場の同僚の理解を得る取組など、幅広いアプローチが重要です。
 そこで、東京都は、育業しやすい職場づくりに向けた支援として、昨年度どのような実施をしてきたのか、その実績を伺います。

○富岡事業推進担当部長 都は昨年度、都内中小企業における育業しやすい職場環境整備を奨励する事業におきまして、女性従業員が一年以上の育業をした場合で四百五十三社、男性従業員が十五日以上の育業をした場合で七百六十二社に奨励金の支給を行いました。
 また、職場の同僚への支援を強化するため、育業をする社員の同僚への表彰や手当の支給をする場合には奨励金を加算しており、延べ百九十一件の利用がございました。
 このほか、育業メンター制度や男性社員向け育業マニュアルの整備を行った場合などの加算項目も設けており、延べ二百九十件の利用がございました。

○松岡委員 育業を促進する事業について、多くの事業者の利用があったことが分かりました。
 育業は、未来を担う子供を育てる大切で貴い仕事です。しかし、育業をする人の中には、自身の業務をカバーする同僚の負担を考え、後ろめたさを感じる人がいるとも聞いております。そうした気持ちを抱かせることがないよう、同僚へのフォローは重要であり、引き続きこうした視点に立った支援に取り組むことを要望したいと思います。
 次に、プラチナ・キャリアセンターについて伺います。
 多くの中小企業が人材確保に困難を抱える中、東京の六十五歳以上の月間有効求職者数は、この五年間で約十万人増加するなど、就労を希望するシニアが増加しています。中小企業において、意欲や能力があるシニアが即戦力として活躍できるよう環境整備を図ることは重要です。
 こうした状況の中、企業に在籍するミドルシニア人材を対象に、定年前から副業等を経験し、今後のキャリアを考えるきっかけを提供するとともに、こうした人材の活用を考える中小企業をサポートするため、都が昨年設立したプラチナ・キャリアセンターは非常に重要な役割を持つと考えます。
 そこで、プラチナ・キャリアセンターの昨年度における取組内容や実績を伺いたいと思います。

○新田雇用就業部長 都は昨年六月、プラチナ・キャリアセンターを開設し、昨年度末で四百六十四名の会員数となっております。
 昨年度、人手不足に悩む中小企業向けのセミナーには延べ二百五社が参加し、今後のキャリアを考えるミドルシニア人材向けのセミナーなどには、延べ二百五十三名が参加いたしました。
 加えまして、少人数で副業や兼業について学ぶことができるミニセミナーも開催し、延べ七十七名が参加いたしました。
 また、企業と人材の相互の理解を深めるための交流イベント等には、延べ四百九十九名が参加いたしました。
 これらの取組により、五十歳以上の方が新たな気づきを得て、セカンドキャリアで多様な選択ができるようサポートしております。

○松岡委員 プラチナ・キャリアセンターが定年前からセカンドキャリアについて考える重要な役割を担っていることが分かります。
 令和七年九月末では、会員数が八百六十九人に増えていると聞いていますが、引き続きミドルシニアの気づきにつながるよう、会員拡大に向けた普及啓発を求め、次の質問に移りたいと思います。
 次は、インターナショナルスクールについてです。
 東京都には、現在、各種学校として認可されているインターナショナルスクールが十四校、認可外のスクールが約三十校存在しています。現状、東京都として認可しているのは一部にとどまり、多くは教育機関としての法的位置づけが曖昧なまま運営されています。
 一方、海外、例えば香港、シンガポールでは、高度外国人材を呼び込む際に子女の教育環境整備が極めて重視され、都市競争力の一部として位置づけられています。
 都がこれからも国際金融都市としての競争力を維持発展させていくためには、高度外国人材の安心な子育て環境の整備や、教育熱心な家庭層の定着を促進していくことが重要であると考えます。
 そこでまず、東京都がインターナショナルスクールの東京進出や拡充を支援する意義について改めて伺いたいと思います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 東京が国際金融都市としてのプレゼンスを確立し、発展させていくためには、海外から人材や資金、情報などが集まり、経済が活性化され、イノベーションを創出する好循環を生み出していくことが重要でございます。
 高度外国人材に世界の先進都市の中から東京を選んでいただくためには、その帯同家族も含めて整備された生活環境が用意されていることが必要であり、その要素の一つとして、帯同されるご子息の教育環境の充実が不可欠と認識しております。
 こうしたことから、都は、国際的に通用する教育カリキュラムを備えるインターナショナルスクールの誘致、拡充に取り組んでおります。

○松岡委員 インターナショナルスクールの東京進出や拡充に関する都の認識や支援する意義については分かりました。
 令和六年度において、インターナショナルスクールの東京進出や拡充に向けて、東京都は調査を行ったと聞いておりますけれども、どのような調査を行い、その結果、どのような課題を把握することができたのかを伺いたいと思います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 令和六年度、都は、インターナショナルスクールの実態を把握するため、国内外のインターナショナルスクール約五十校へのヒアリングやアンケートに加え、保護者や地元自治体等の関係者三十名が参加したラウンドテーブルを実施いたしました。
 その結果、インターナショナルスクールの運営者等からは、事業計画の策定支援など、設立に向けたきめ細かなサポートの必要性や土地、建物に関する情報へのアクセスが困難などの意見が寄せられました。
 また、保護者からは、既存校のカリキュラムや設備などの情報不足や地域との交流に対するニーズ、地元自治体からは、自治体内に立地するスクールの情報不足などの声が寄せられており、これらがインターナショナルスクールの誘致、拡充に向けた課題と認識しております。

○松岡委員 インターナショナルスクールは、外国人家庭の教育の場であると同時に、地域の子供や学校との交流の場としての可能性があります。特に、港区などでは地域との連携イベントやボランティア活動が進んでいますが、他地域ではまだ距離感があるのが実情です。
 先ほどお答えがあった課題を踏まえ、都が今年度、インターナショナルスクールの詳細情報を掲載したポータルサイトの設置や、地域の学校との交流イベントの実施などを進めていることは承知しておりますが、インターナショナルスクールと地域社会との共生や交流の促進がこれから進んでいくことを期待したいと思います。
 また、私のまち小平市においても、マルバーン・カレッジ東京など新設校の例を見てみますと、都内でも国際教育の質は確実に高まっています。一方で、卒業した生徒が国内に進学、就職、起業などで活躍する出口戦略の視点が欠けているのが現状であると思います。
 インターナショナルスクール卒業生が将来的に東京でスタートアップを起こす、あるいは国際企業に参画するなど、グローバル人材として都の経済に貢献できる循環を生み出していくことが重要だと考えます。そのためにも、スタートアップ支援との連携や、教育、経済、産業の連動、グローバル教育拠点としての情報発信の強化といった方向性もぜひ政策的に検討いただくことを要望し、私の質問を終えます。ありがとうございました。

○星委員 よろしくお願いします。
 昨年度の中小企業の経営環境を振り返りますと、コロナ後の需要回復の動きがある一方で、コロナ禍での痛手から立ち直っていない業種や、人手不足などへの対応状況によって、企業間の二極化が進んだといわれております。また、平均消費者物価指数も二・七%の増加となるなど、物価高騰が企業経営に追い打ちをかけた一年であったのではないかと考えています。
 都は、こうした状況を踏まえ、経営努力を行いながらも依然として苦境に立っている中小企業に対して、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に対応して、事業の発展を図るための支援を開始しています。
 そこで、令和六年度における実績と具体的な支援の内容について伺います。

○福田商工部長 都は、事業環境の変化に対応するため、中小企業が創意工夫を生かし、既存事業を改善、強化するための経費について、助成率三分の二、八百万円を上限に支援するとともに、専門家を派遣し、助言を行いました。
 令和六年度は、四百三十三社に対して約二十六億五千万円の交付決定を行いました。
 具体的には、製造事業者が高性能な三次元測定機を導入し、図面のない製品の構造分析が可能となることで、修理サービス部門での収益向上につなげる取組や、自動車整備事業者が自動化された検査ラインを導入することで、車検時間の短縮と質の高いサービスを提供する取組などを支援いたしました。
 また、専門家からは、こうした新たな取組がより効果的となるよう、情報発信の強化や営業ノウハウなどの助言を行っております。

○星委員 ありがとうございました。
 次に、中小企業には発注を受けて事業を営む下請の企業が多くあり、物価高騰が長期化する中、事業活動におけるコストの増加分を企業努力だけで取引価格に上乗せすることが困難な事業者もおります。地元の企業などからも、急速な物価上昇の影響で価格転嫁が追いつかず、経営状況はさらに厳しくなっているとの声を聞いています。
 都は、中小企業の価格転嫁に向けた取組を展開していますが、昨年度の取組、実績について伺います。

○福田商工部長 都では、中小企業振興公社に下請センター東京を設置し、企業同士の適正な取引に係る相談対応や、下請法等の普及啓発などを行っております。
 昨年度は、専門家が一千八百八十社に巡回し、下請法等の周知を図ることで、原材料などのコストを反映した適正な条件での取引を後押しいたしました。
 また、円滑な価格転嫁をサポートするため、価格交渉アドバイザーによる支援に加え、原価管理アドバイザーを配置し、原価計算等のノウハウの提供を開始いたしました。具体的には、価格改定に向けた交渉の進め方に関するアドバイスなどを六十七社に行うとともに、製品ごとの生産コストの把握や損益分岐点の計算方法などを八十社に助言し、取引価格への反映につながった事例も出ております。

○星委員 厳しい経営環境の中でも、中小企業が安定的な事業活動を行うため、都がきめ細かくサポートしているというご答弁でありました。引き続き中小企業の経営をしっかりと支えていっていただきたいと思います。
 次に、商店街支援について伺います。
 都内経済の活性化のためには、今、幾つか質問をさせていただきましたけれども、こうした中小企業だけでなく、地域を支える商店街も重要な役割を担っています。私の地元町田市にも多くの商店街があり、にぎわいを見せております。
 急速にデジタル化が進む中で、商店街が集客力を高めるためには、キャッシュレスへの対応や、アプリなどを活用した情報発信は不可欠といえます。また、人手不足に悩む商店街にとって、事務負担軽減などの効果も期待できます。
 都では、商店街のデジタル化への支援を行っていますが、令和六年度における実績と具体的な事例、お伺いをいたします。

○福田商工部長 都は、商店街のデジタル技術の活用を進めるため、キャッシュレスやシステムの構築などの取組に対し、専門家の活用や機器の導入等に要する経費を助成しており、令和六年度からは、本事業により導入したサービスなどを改善し、効果的に活用する取組も助成対象に加え、合計で二十一件を採択いたしました。
 具体的には、多機能型のキャッシュレス決済端末の導入や、デジタルサイネージと連動するウェブサイトの構築のほか、加盟店舗向けのデジタル回覧板の導入や、閲覧状況を把握するためのシステム改良などを支援いたしました。
 これらによりまして、新たな来街者の獲得や、商店街での円滑な情報共有などにつながっております。

○星委員 商店街のデジタル化を進めるためには、単に機器等を導入するだけにとどまらず、きめ細かいアフターフォローが大切となると考えております。
 私の地元町田市でも、アプリを商店街で導入したんですけど、イニシャルコストで支援いただいたんですけど、やっぱりランニングコストも本当に大変で、ぜひ支援をしてもらいたい、そんな声も私はいただいているところでありますので、今申し上げたようなアフターフォローもぜひともお願いを申し上げたいと思いますし、また、取組が、こういった施策が進まない商店街に対しては、参考となるような事例を積極的に発信をしていくことも必要だと考えております。さらなる取組の充実を要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 中小企業制度融資を通じた支援について伺います。
 都の中小企業制度融資は、都内の中小企業の半数を超える約二十二万社に利用されており、企業にとって血液ともいえる資金の調達において極めて重要な制度であると思います。
 都内中小企業を取り巻く経営環境は、ゼロゼロ融資の返済が本格化する中、円安などによる物価高の長期化の影響も相まって、引き続き厳しい状況にあります。中小企業のコスト負担は増加しており、とりわけ小規模企業の資金繰りは厳しいとの声を多く耳にしています。
 都の制度融資では、こうした状況に対しどのような支援を実施してきたのか、令和六年度の制度全体の実績と取組内容について伺います。

○原金融部長 令和六年度の制度融資全体の実績は七万四千二百九十一件、融資金額は約一兆一千百二十五億円でした。
 制度融資には、企業のライフサイクルに応じた多様な融資メニューがあり、令和六年度の主な取組としては、円安等により経営が悪化した事業者や経営の抜本的な改善が必要な中小企業に対して、信用保証料補助による負担軽減を図る融資メニューの利用対象を拡大し、事業者の円滑な資金繰りを支援しました。これらメニューの令和六年度の実績は七千二百七十三件、約千九百八十五億円であり、制度融資全体に対する割合は、件数ベースでは約一割、金額ベースでは約二割を占めています。
 また、小規模事業者向けの運営資金を支援する融資は、前年度比で約二四%増の約八百三十九億円、債務の一本化と返済負担の軽減を図る借換え融資が前年度比で約三四%増の約八百八十九億円となっております。
 こうした取組により、小規模事業者を含めた中小企業の資金繰りを着実に支援しました。

○星委員 資金繰りに苦慮する中小企業を支え、小規模向けの融資も大きく伸びていること、確認をさせていただきました。引き続き足元の状況を踏まえた適切な支援を要望させていただいて、次の質問に移ります。
 金融機関と連携したサステナビリティ経営促進事業について伺います。
 今や、中小企業においても、サプライチェーン全体での脱炭素化や、人的資本経営等の観点から、CO2の排出量削減や人材育成の強化など、サステーナブルな経営を実践することが社会から求められる、そんな時代となっています。
 都においては、金融の力で様々な社会課題の解決に貢献をするサステーナブルファイナンスの先進都市を目指していますが、そのためには、都内企業の九割以上を占める中小企業においても、サステーナビリティーに配慮した経営への転換に必要な資金を確保できる環境整備が重要と考えます。
 そこで、中小企業がサステーナビリティー経営への転換に向けて、効果的にサステーナブルファイナンスを活用できるよう、令和六年度、都はどのような環境整備を行ったのか伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 人材や資金が限られる中小企業等がサステーナビリティーに配慮した経営への転換を効果的に進めていくためには、融資に加え、様々な情報やネットワークを有する金融機関のノウハウを活用することが有効でございます。
 都は令和四年度から、金融機関と連携し、中小企業等がSDGsに関する目標を設定してサステーナビリティー経営に取り組むことを前提に、融資を受ける際に必要となる第三者評価費用など、企業が追加で負担する経費等を支援しており、対象となる融資メニューの拡充も進めてまいりました。
 令和六年度は、都内中小企業等のサステーナビリティー経営への転換促進体制を強化するため、地方銀行や信用金庫などの地域金融機関を中心に、新たに九つの金融機関とサステーナブルファイナンスの活性化に関する連携協定を締結し、連携金融機関を二十八機関にまで拡充いたしました。

○星委員 人手不足などの様々な課題に直面する中小企業がある中、サステーナブルファイナンスの活用に対する支援の仕組みは、社会、経済、環境における課題解決だけでなく、中小企業自身の成長や発展にもつながり得るものだと思います。こうしたことをより多くの中小企業の皆さんに知っていただくことは重要であり、サステーナビリティー経営への転換の必要性を中小企業に普及していくことは、これからの社会にとって不可欠な要素になってくると思います。
 そこで、サステーナビリティー経営の中小企業への普及、定着に向け、金融機関と連携して進めている都の取組とその成果について伺います。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 中小企業等のサステーナビリティー経営への転換に向けましては、金融機関が中小企業等との対話を通じて取組事例等の情報共有や対外発信、経営者への普及啓発に取り組んでいくことが重要でございます。
 都は令和五年度から、中堅、中小企業向けにサステーナビリティー経営への転換に向けたセミナーを開催しており、令和六年度は、事業会社による脱炭素や人的資本経営の取組事例の共有のほか、連携金融機関からの具体的な支援事例の紹介等を通じて、中小企業等のサステーナビリティー経営の実践に向けた後押しを行いました。
 こうした取組により、令和六年度は、連携金融機関から中小企業等十五社に対し、サステーナブルファイナンスによる約四百十億円の融資につなげました。

○星委員 ありがとうございました。引き続きこうした取組を積極的に進めていっていただきたいと思います。
 次に、中小企業の賃上げ支援について伺います。
 日本が力強い経済成長を遂げるためには、企業の稼ぐ力を向上させるだけでなく、物価上昇に負けない持続的な賃上げが不可欠であります。この実現の鍵を握るのが、都内企業数の九九%を占める中小企業の取組であります。
 都の賃金事情調査によりますと、賃金表があると回答した中小企業は約四割にとどまり、賃上げの基盤となる賃金表や賃金規定がそもそもない企業が多いということであります。働き方が多様化する中で、どのような賃金制度を整備すればよいのか、賃上げが企業経営にどのようなメリットがあるのか、具体的な手法の助言や正確な知識の啓発を行うことが重要であると考えます。
 そこで、都は、賃金制度の見直しなど、賃上げに取り組む中小企業に対してどのような支援を行ってきたのか伺います。

○新田雇用就業部長 都は昨年度、中小企業の賃金制度等の見直しを支援するため、社会保険労務士を二十九社に派遣し、計百十三回の助言を行いました。
 また、賃金の情勢や賃上げの手法、新たな働き方に対応した賃金制度等を周知啓発するため、企業の経営者や人事労務担当者などを対象としたセミナーを計二回開催し、延べ百十九人の方が参加いたしました。
 さらに、賃金表や人事評価制度の整備、DXによる生産性の向上など、賃上げに取り組む都内企業五社の好事例をホームページで発信いたしました。

○星委員 今後の事業実施に当たっては、企業による生産性の向上や価格転嫁などにより賃上げの原資を確保する取組と、専門家を活用した具体的な制度整備を両輪とした支援を推進していくことを要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 障害者雇用について伺います。
 重度の障害により外出が難しい方が、テクノロジーの力により活躍ができる可能性が高まっています。こうしたことは、就労の場においても考えることができ、働く意欲のある重度障害の方がその能力を存分に発揮できるよう支援をしていくことが重要であると考えます。
 都は昨年度から、重度障害などにより外出困難な障害者等が、遠隔操作が可能な分身ロボットを活用して、都庁の展望室での案内業務などを行う事業を実施しています。
 昨年度における本事業の取組の成果について伺います。

○富岡事業推進担当部長 都は、最新のテクノロジーを活用し、場所や時間の制約を超え、障害のある方が働き手として活躍できるよう、令和六年度、分身ロボットを活用した新たな働き方の支援を開始いたしました。
 昨年十月から本年三月までの間、七名の障害のある方が、自宅から分身ロボットを操作し、都庁展望室に訪れた観光客に対し案内を行う取組を実施いたしました。
 加えて、本年二月にはシンポジウムを開催し、分身ロボットを活用した民間企業の取組事例や、働く経験をした重度障害のある方が感じたやりがいなどを紹介し、企業や障害者の方などに対し、新たな働き方の普及啓発を行いました。

○星委員 この分身ロボット、OriHimeですけれども、去年の十月のときにテレビでも放送されて、私も様々な皆さんから、すばらしい取組だ、もっと拡充してほしいというご意見もいただいたところでもあります。
 このOriHime、分身ロボットは、人とのつながりを持てずに自信を失った障害者の方が、人とつながる喜びを感じて、働くことに対する自信を持つことができる、すばらしいものだと考えております。こうした新しい働き方が民間企業にも広がるように、普及啓発にも取り組んでいっていただくことを要望させていただきたいと思います。
 次に、農業について伺います。
 東京において、新たに農業を志す人は増えてはおりますけれども、実際に就農に際しては、農地の確保が困難なことから、都内での就農を断念する方も多くいると聞いています。
 一方、東京都の農地の約四〇%は市街化区域外にありますが、十分な耕作を行うことができずに遊休化している農地も見られます。我が会派といたしましてもこれまで、こうした農地を新規就農者など意欲ある農業者が活用できるよう支援することの重要性を、主張を続けてまいりました。
 都は昨年度、市街化区域外の農地の貸借を進める取組を強化しましたが、その取組状況について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、新規就農者や規模拡大を志す農家が農地を確保できるよう、十年以上の期間で農地を賃貸借する土地所有者に対し、貸し出す面積に応じた奨励金を支給する取組を実施してございます。
 昨年度からは、この対象となる地域を農業振興地域などを含めた都内全ての地域に拡大いたしました。これにより、都内全域で、新規就農者分三十三件を含む八十六件、約十六ヘクタールの農地を長期貸借につなげたところでございます。

○星委員 東京農業の活性化を図っていくためには、農地の貸借がより一層進み、多くの農業者を取り込んでいくことが重要であります。東京都にはさらなる施策の推進を期待いたしまして、次の質問に入ります。
 多摩地域には、戦後に植えられた杉やヒノキの人工林が約三万ヘクタールあり、今まさに利用に適した時期を迎えており、木材の体積の総和は約千万立方メートルあると聞いています。都は、花粉を多く飛散する成長した杉などを伐採することで、多摩産材の供給を図りながら、花粉の少ない苗木などに植え替える花粉発生源対策を行っています。
 そこで、昨年度の花粉発生源対策の取組と実績について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、杉花粉発生源対策として、全国に先駆け、杉やヒノキを伐採し、花粉の少ない杉などへ植え替える取組を計画的に進めてございます。
 昨年度は、伐採地における調査業務を効率化するため、無人航空機によるレーザー計測手法を活用した森林調査を新たに開始いたしました。また、斜面でも安定して作業ができ、長さと太さを計測しながら丸太を切りそろえ集積する一連の作業を行える先進的な林業機械を導入いたしまして、生産性の向上を図りました。
 こうした取組により、約二万三千立方メートルの木材を伐採し、森林循環を促進いたしました。

○星委員 森林循環を進めるには、作業の効率性や生産性を高めていくことは重要であります。こうした取組と併せ、基盤整備も進めることにより、一層伐採、搬出促進に取り組むことを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 都は、本年五月に水素モビリティーの導入拡大に向け、トラックなどの燃料電池商用車の需要が相当程度見込まれ、意欲的な活動が見られる自治体として、国の水素社会推進法に基づく重点地域に指定をされました。また、九月にはTOKYO H2プロジェクトを始動し、全国初となる燃料電池タクシーの大量導入を皮切りに、水素モビリティーの普及に向けた取組を加速させています。
 これまでも都は、運輸部門の脱炭素化と水素利用の拡大に向けて、燃料電池モビリティーの実装化を促進してきたと理解していますが、令和六年度はどのような取組を行ってきたのか伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 都は、水素エネルギーの普及を加速させるため、様々なモビリティー分野での利用促進を支援してまいりました。
 令和六年度には、国や関係事業者が集まり、燃料電池商用車の普及拡大に向けた検討を行うワーキンググループを二回開催したほか、小型トラック四十台の導入を支援し、累計導入台数は百十九台となりました。また、燃料電池バスについては、十七台の導入を支援し、累計導入件数は百三十八台となりました。
 さらに、五区市において燃料電池ごみ収集車、民間事業者二社において燃料電池フォークリフトのトライアル利用を実施し、実際の運用を通じた車両性能の検証を行いました。

○星委員 これまでの取組を通じて、都が運輸部門、特に燃料電池商用車の導入促進にしっかりと支援してきたということでありました。今後も、関係事業者との連携を深め、さらに水素エネルギー普及拡大に向けて積極的に取組を加速していっていただきたいと思います。
 私からは最後の質問になります。日本各地と連携した観光振興の取組について最後伺います。
 昨年の訪日外国人旅行者数は、過去最高の三千六百万人でありましたけれども、国はこれを二〇三〇年までに六千万人に引き上げる目標を掲げています。国内消費が低迷する中、外国人旅行者による消費拡大は、日本の経済に大きな恩恵をもたらしており、その消費額は八兆円にも上ります。
 こうした恩恵を東京だけが享受するのではなく、日本各地にその効果を広げていくことが重要であると考えます。ほかの道府県でも、外国人旅行者の誘致を図るために懸命な努力を進めていますが、一つの自治体で取り組めることには限界があり、知名度や発信力の高い都の協力に期待する近隣地域の声も多いものと考えます。
 そこで、都は昨年度、都との連携による旅行者誘致を希望する自治体とどのように取組を進めてきたのか、具体的な事例と併せて伺います。

○江村観光部長 都は昨年度から、他の自治体の希望に応じて、共同で海外の旅行会社向けのプロモーション等を行う事業を開始し、五つの県と連携した取組を実施いたしました。
 このうち、愛知県と連携した取組では、海外の旅行会社が東京と愛知の観光スポットをめぐるモニターツアーを開催し、十二の旅行商品の造成につなげますとともに、海外の観光情報サイトを通じてこれらの旅行商品を紹介いたしました。
 また、山梨県と連携した取組では、東京と山梨を周遊する観光ルートを紹介する外国人旅行者向けのウェブサイトを制作したほか、海外のインフルエンサーを活用して、それぞれの観光スポットを訪れた様子をSNSで発信し、十九万人を超える方が閲覧いたしました。

○星委員 国による地方税の偏在是正などの議論がある中でありますけれども、東京都と他の道府県が連携して、旅行者誘致という共通の目標に向かって取り組んでいくことは、ますます重要となってくると考えます。
 今後も、観光面での地方連携をより一層強化充実していくことを求めまして、私の質疑を終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

○岩永委員 それでは、まず多様な働き方について質問いたします。誰もが自分らしく暮らし、働くために、様々な働き方の選択肢が必要であるという視点でお聞きします。
 まず、ソーシャルファーム制度についてです。
 都は、地域で共に働くことを実現するために、二〇一九年にソーシャルファーム制度を創設しました。現在、都内のソーシャルファーム認証数は六十一件となっていますが、さらに広げていくために質問します。
 まず、新たな認証の二〇二四年度の目標目安と実績をお示しください。また、立ち上げに向けた経営者や都民向けの啓発の実施と参加状況について伺います。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファームの新たな認証につきましては、令和六年度の計画規模十事業所に対して、十八事業所を認証を行いました。
 普及啓発につきましては、経営者向けセミナーを四回実施し、延べ百五十四名の方が参加いただいております。また、都民向けのワークショップを四回実施し、延べ九十五名の方が参加いたしました。

○岩永委員 二〇二四年度において計画以上の認証ができたことは、就労に困難を抱える人が自分の得意なことや興味に応じて働く場を見いだす機会が増えることであり、評価をいたします。
 しかし、その一方で、現場からは、非営利事業というソーシャルファームの経営の大変さについての声も寄せられています。既存のソーシャルファーム認証事業所が事業を継続できるような伴走支援や書類の簡素化なども併せてご検討をお願いしたいと思います。
 続いて、今後の広がりに向けた検証としてお聞きをします。
 ソーシャルファーム認証を増やすための課題解決として、二〇二四年度中に行った事業と成果について伺います。

○新田雇用就業部長 認証ソーシャルファーム事業所を拡大する上で、デジタル産業や農業が有望な分野であることから、新たな事業の立ち上げを目指す経営者との交流の場を活用し、様々な知識などの共有を支援することにより、ソーシャルファーム事業の裾野拡大につなげました。

○岩永委員 デジタル産業と農業分野での広がりに期待できるとのことです。
 就労困難であっても、働く意欲のある人が仕事場を見つけるという意味では、ご答弁にあった経営者との交流の場は確かに有意義だと思います。それに加えて、経営者が中間支援組織や地域で活動している団体と交流することも、マッチングの意味で効果的と考えます。また、農福連携をテーマとした交流の場も有効だと思いますので、こういった開催を要望いたします。
 次に、労働者協同組合についてお聞きします。
 国においても、新しい働き方の一つとして、二〇二二年に労働者協同組合がスタートしました。現在、都内での設立数は二十七件とお聞きしています。
 そこで質問です。都では、労働者協同組合についての自治体向け説明会を行いましたが、参加自治体数と延べ人数、そして参加者からの反響をお示しください。あわせて、二〇二四年度事業を通して把握した労働者協同組合を広げていくための課題について伺います。

○新田雇用就業部長 令和六年度に開催いたしました自治体職員向けのセミナーは、十自治体から延べ二十二人の職員が参加いたしました。参加された方からは、事例や実際に取り組まれた方のお話を聞くことで理解が深まったなどの声をいただきました。
 労働者協同組合に関する理解を深めるため、特設サイトに掲載する事例を充実するなど、情報発信の強化を行ってまいりました。

○岩永委員 自治体職員向けのセミナーは、十自治体から延べ二十二人の職員ということです。取組事例を知り、理解を深めることで、雇い雇われる関係ではない、新しい働き方としての労働者協同組合について、市民に周知するモチベーションが上がることを期待いたします。実績数としてはこれからなので、都内全自治体で実施していくことをぜひ目指していただきたいと思います。
 続きまして、女性が働きやすい環境整備について伺います。
 第三回定例会、経済・港湾委員会で、女性の活躍に関する条例(仮称)の基本的な考え方が示されました。二〇二四年度は、女性の活躍を促進するための検討部会で条例制定を視野に入れた議論がなされています。検討部会での議題に直接のらなかった事項でも、局として取り組んでいることは様々にあり、特に女性個々人が感じる働きにくさを解決することが必要だと思います。
 そこで、都としてのハラスメント対応について伺います。
 特に、セクシュアルハラスメントとマタニティーハラスメントをなくすことは、女性の働きやすさにとって重要であり、こうした労働者からの相談に適切に対応することが必要です。
 二〇二四年度の労働相談件数と、解決に向けたプロセスとしてどのような流れで対応しているのかを伺います。

○新田雇用就業部長 労働相談情報センターでは、労働問題全般についての相談を受け付けておりまして、令和六年度、セクシュアルハラスメントにつきましては千四十五件、マタニティーハラスメントについては四百四十九件の労働相談に対応いたしました。
 相談者に対しまして、解決に向けたアドバイスを行うとともに、法律に基づき事業者への助言、指導等が適切な事案につきましては、国の総合労働相談コーナーなどにつないでおります。

○岩永委員 ハラスメントは女性だけが受けるものではなく、お答えいただいた件数も総数だと認識をしています。国の法整備もあり、減少傾向にあるようですが、ジェンダー統計としましては、女性の方が相談件数がまだまだ多く、引き続きの対応を求めます。
 そして次に、相談からあっせんに移行する段階での都としての対応と、二〇二四年度で見えた課題はどのようなものでしょうか。伺います。

○新田雇用就業部長 都は、労働問題をめぐる労使間のトラブルに係る労働相談を受ける中で、労使だけでは自主的な解決は難しい問題につきまして、中立的な立場で労使間の自主的な解決に向けて手助けを行う取組として、あっせんを実施しております。
 セクシュアルハラスメントは、被害者が大きな心の傷を負うケースが多いため、心身の不調などに関わる事案につきましては、必要に応じ、心の健康相談を実施しています。

○岩永委員 都の労働相談情報センターが行うあっせんは、法に基づき労働委員会が行うあっせんとは異なる、解決に向けた手助けということです。
 ご答弁にあったとおり、中立的な立場で労使間の自主的解決を目指すことが目的ですが、特にセクハラは長期化する傾向もありまして、その中でメンタル疾患につながってしまった事例も聞いています。女性の働きやすさの推進のためには、こうした働く個人へのアプローチも大切です。そのことで誰もが働きやすい職場の環境整備になることを指摘しておきます。
 さきに挙げた女性の活躍を促進するための検討部会では、長時間労働プレミアム課題が取り上げられています。労働時間が長いほど将来の賃金単価が上がる現象で、こうした働き方ができるのは男性と記述されています。このことが男性の長時間労働につながっていると考えます。そして、そのことが結果として、家事、育児、介護などを家族の中で一人が担うワンオペレーション、いわゆるワンオペにもつながっているともいわれています。
 そこで、女性の働く環境の整備には、このワンオペの解消も重要で、女性も男性も共にワーク・ライフ・バランスを実現し、誰もが生活時間を確保できるようにすることが必要です。
 長時間労働を解消するために実施した主な対策と成果について伺います。

○新田雇用就業部長 都は、持続可能な働き方を進めていくため、長時間労働などの働き方の見直しに係るセミナーを開催いたしまして、令和六年度は延べ六百二十七社に受講いただきました。
 また、残業が少ない働き方の実現に積極的に取り組み、一定の成果を上げた七十三社を登録企業として幅広く紹介いたしました。

○岩永委員 答弁にあったような事業実績が労働時間の短縮にどうつながったのかというモニタリングが必要であり、今後の実施を要望いたします。
 先ほど来申し上げているように、働きやすさの環境整備は個々人の課題を解決することであり、事業所内で完結するものではなく、例としては介護と仕事の両立の問題があります。仕事と介護の両立を図ることは、男性、女性の性別にかかわらず重要です。そして、ビジネスケアラーが抱える課題を解決し、介護離職をなくすための対策、これはどのように講じられているのでしょうか。伺います。

○富岡事業推進担当部長 都は昨年度、都内中小企業等が介護休業制度の充実などに取り組むことを奨励する事業におきまして、四十三社に奨励金の支給を行いました。
 また、介護と仕事の両立支援など、働きやすい職場環境づくりを推進する事業では、中小企業等八十三社に社会保険労務士を派遣し、助言を行いました。

○岩永委員 中小企業等への奨励金や社会保険労務士派遣などの対策を行ったということです。
 こうした介護離職防止を目的とした事業者支援は、二〇二四年度を含むここ数年来の人材不足対策としても必要ですが、働く人自身の生活を豊かにするためにも必要と考えます。
 先ほどのような事業者を通じての啓発や支援のほかに、働く人にダイレクトに届く支援についてはどのように実施したのでしょうか。伺います。

○富岡事業推進担当部長 令和六年度、介護と仕事の両立に関する普及啓発等を行うため、オンラインシンポジウムを経営者向けと従業員向けの計二回開催いたしまして、延べ二百四十八名の方が参加いたしました。
 また、介護の問題に直面する働く方にとって有益な情報を広く提供するため、専用ポータルサイトを設けておりまして、介護経験者による体験談等を掲載しております。

○岩永委員 経営者だけでなく、働く人自身が両立に向けての負担軽減の必要性を知ることや、経験者の話を知り、参考にすることは有効です。それにも増して、ケアに係る施策が庁内の包括的、横断的取組として実施されることが有効であると指摘をしておきます。
 以上、誰もが働きやすい環境づくりへのポジティブアクションを実施していくことで女性が働きやすい東京の実現に向けて意見を述べさせていただきまして、働き方の質問を終わります。
 次に、林業の振興について伺います。
 夏の猛暑が毎年記録を更新し、豪雨などの気候災害が激甚化する中で、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を緩和し、土砂災害を防止する森林の役割はますます重要になっています。
 しかし、東京の総面積の約四割を占める森林を守る林業の担い手不足と高齢化が課題となっており、技術継承も含めた持続可能な林業が求められています。
 多摩産材を産地から近い都内でできるだけ多く使っていくことが、都内の森林の循環を支え、林業の発展にもつながります。製材工場が五十年前から約十分の一ほどに減少をしておりまして、効率的な供給体制が弱まっている状況があります。
 そこで伺います。多摩産材の供給量の目標は、二〇三五年度に四万二千立方メートルとされていますが、二〇二四年度の供給量の実績と課題について教えてください。

○榎園農林水産部長 都は、伐採作業の機械化によります生産性の向上などの課題に取り組みまして、約二万三千立方メートルの木材を出荷いたしました。

○岩永委員 昨年度は二万三千立方メートルの出荷ということです。この目標にある十年後の二〇三五年には、その倍近い四万二千立方メートルを目指すというような目標を掲げておりますので、今のペースでいくと、なかなか達成していくのは難しいのではと思います。
 特に、切り出した木材を市場に出すためには搬出する経路が必要となります。林業に欠かせない林道や森林作業道の二〇二四年度の整備状況について伺います。

○榎園農林水産部長 昨年度は、二十路線の林道におきまして、通行を円滑にするための路面の舗装や道路幅の拡幅等を行いました。
 また、林道から伐採地までをつなぐ森林作業道の整備を行う経営体を支援し、八か所、約三千三百メートルを開設いたしました。

○岩永委員 伐採地から林道までをつなぐ森林作業道のルートは、伐採をする地域が変わるとまた新たなルートが必要になったりするということもあると思いますので、計画的な整備の推進を要望いたします。
 また、運ばれてきた原木を流通させる原木市場がありますが、今後、多摩産材の供給量を増やすためには、原木市場における原木機や選木機の導入、原木市場面積の拡張など、機能の強化が不可欠です。
 そこで、二〇二四年度の取組を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、多摩産材の供給量増加に向け、日の出町にある多摩木材センターの機能強化を図るため、市場を管理運営する多摩木材センター協同組合と必要な規模や効率化につながる設備等について検討を行いました。
 また、野生動物等への影響など周辺環境の調査を実施いたしました。

○岩永委員 検討をしていただいているということです。
 今後十年間で、供給量を倍近く増やしていくためには、必要な規模の作業環境の整備が必要です。そして、山林という大自然の中にある施設になりますので、周辺の自然環境への配慮も確認しながら進めていただくことを要望いたします。
 次に、地球沸騰化といわれておりますが、今年の夏も猛暑日の記録を更新するほど暑い夏でした。これまでにも増して、暑さの中での山林での作業中の安全管理や健康管理が重要になっています。
 林業における熱中症対策の二〇二四年度の取組と課題を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、現場の安全衛生対策の向上を図る一環としまして、林業経営体及び事業者に対し、暑熱対策の関心を高めるため、SNSを活用したネットワークを通じ、注意喚起を図ってまいりました。

○岩永委員 山に入って作業する際に、安全対策は何よりも大事なことです。SNSでの情報共有はもちろん必要ですが、実際に熱中症になった場合に、救急車が入れないような場所で作業をしていらっしゃるので、例えば気温が暑い夏の作業時には、日中の作業を短くしたり休憩を多めに取るなどの働き方の工夫などの対策も必要になると思います。
 また、連日のように報道されておりますが、近年、全国的に熊の被害が急激に増えて、今年も夏から秋にかけて連日報道がなされております。
 都内でも熊の被害が発生しておりますが、林業従事者の二〇二四年度の被害状況と防止策について伺います。

○榎園農林水産部長 昨年度におきまして、林業従事者の熊による被害報告はございません。
 林業経営体に対しましては、近年の熊の生態や危険性について専門家による研修を行うとともに、現場に行く際には、熊対策用品の携帯、自治体が公表している熊目撃情報の確認について指導いたしました。また、従事者が身につける熊鈴や熊撃退スプレー等の購入を補助いたしました。

○岩永委員 昨年度、林業の熊の被害はないということです。
 また、対策もそれぞれやっていただいているということですが、熊の市街地への出没が増加している状況を受けまして、国では今年の九月から、熊などが人里近くに出没をした際に、市町村長の判断で市街地での発砲が可能となる緊急銃猟制度が導入をされました。
 猟友会と連携した訓練などを行っているとのご報告もありましたが、その一方で、ツキノワグマについては絶滅危惧種に指定をされています。人命の安全はいうまでもなくもちろん第一優先ですが、しかし一方で、生物多様性の確保という観点から、例えば、くまもりの活動を行う団体等と連携して、森林のトラストや人と遭遇しない対策など、環境局とも連携して取り組むことを併せて要望いたします。
 続きまして、農地保全と都市農業振興について伺います。
 都内では、相続が発生するたびに農地が売られ、次々と宅地になっている状況があり、都内の農地は年々減少を続けています。推移を見てみますと、都内の農地、耕地面積は三十年前、一九九五年の九千九百八十ヘクタールから、十年前の二〇一五年には七千百三十ヘクタールと減少の一途をたどっています。
 そこで、二〇二四年度の状況を伺います。

○榎園農林水産部長 二〇二四年の都内耕地面積は六千九十ヘクタールでございます。

○岩永委員 さらに減っておりまして、六千九十ヘクタールということです。先ほど来の推移の一九九五年から昨年度、二〇二四年までの三十年間で、合計してみますと三千八百九十ヘクタール減少しているということになります。その面積をイメージしやすいように例えますと、東京ドーム一つが四・六七ヘクタールということでありますので、個数としては約八百三十二個分の面積という広さになります。
 貴重な都市の農地がかなりのスピードで減っているという状況ですが、都市農地保全のために、所有者から買取り申請があった生産緑地について、市区の買取り及び農的活用を支援する事業について、二〇二四年度の実績を伺います。また、課題をどのように認識しているのか、併せて伺います。

○榎園農林水産部長 都は、区市による生産緑地の買取りを支援しておりまして、昨年度は一件、四千八百五十平方メートルの生産緑地の買取りに対し補助を行いました。
 買取り申請がなされた生産緑地は、宅地への転換も可能でございまして、買取り希望者間の競争が激しいなどの課題があると聞いてございます。

○岩永委員 二〇二四年度は、買取り事業の補助率を三分の二まで引き上げているということですが、買取りの実績としては一件にとどまって、なかなか実績につながりにくいという現状があるということも分かりました。できるだけ農地として残していくために、今後、自治体とも連携をしながら、農地の公有化を進めていくことを要望いたします。
 次に、体験農園等の普及について伺います。
 生産緑地の貸借が可能になったことにより、東京都ではモデル事業としてスタートした、わくわく都民農園小金井を九月に視察しました。近隣の保育園の子供たちがお散歩の途中で立ち寄って、種まきや水を上げたり、また農福連携、シニア農園、地場野菜を使った子供食堂など、コミュニティ農園として地域住民が関わりながら運営されている様子をお聞きいたしました。
 このような形での農地の活用が広がることを期待する一方で、体験農園は農地を借りて行う事業なので、農地の貸主を見つけることや、また、相続が発生した場合に返還しなければならないなど継続性の課題もあると伺いました。
 このわくわく都民農園の取組を広げる生産緑地を活用した体験農園等普及事業の二〇二四年度の取組と実績について伺います。

○榎園農林水産部長 都は昨年度、生産緑地を借りて体験農園等を開設しようとする事業者等に対しまして、アドバイザーを十六回派遣し、二件の助成を行いました。
 また、農地の貸手を掘り起こすため、区市や農地所有者等に対しまして事業周知や働きかけを行いました。

○岩永委員 二〇二四年度は、二件の助成を受けて新たに体験農園の整備が実施をされたということです。アドバイザーの派遣は十六回あったということですので、地域に根差した取組になるように、今後も地元の自治体、市民の取組を連携して進めていただきたいと思います。
 また、わくわく都民農園小金井は、顔の見える関係の中で、農地の貸主さんから駅前の大変利便性が高い農地を借りることができたというよい事例ですが、農地を借りることもなかなか難しい状況の中で、生産緑地の買取り支援も拡充して、農地を公有化し、自治体が農業体験農園や農業公園を整備することも、併せて広げていくことを要望いたします。
 次に、農地での再エネについて伺います。
 農地での再エネを進める観点で、農地の倉庫や作業所の農業用施設に、農業に必要な電力を賄う太陽光発電施設を設置する事業が行われておりますが、二〇二四年度の取組を伺います。

○榎園農林水産部長 都は、事業活動から生じる温室効果ガスを抑制する農業者の取組を後押しするため、昨年度より、農業用施設への太陽光パネルの導入などを支援してございまして、太陽光発電施設等とその再生可能エネルギーを利用する電動耕運機などの導入支援を三件行いました。

○岩永委員 二〇二四年度からスタートした事業をご答弁いただきました。農業に使う電気をできるだけ自給できるような再エネの取組を拡大していくことを引き続き要望しておきます。
 また、農業に関わっては、担い手の確保ということが大変重要です。都内の農業者の約七割が六十歳以上で高齢化も進んでおりまして、そのうちの約六割が後継者がいないというような状況です。農業をやりたいという思いを持った人たちが技術を習得して、農業の担い手として研修をし、就農できる取組に期待が寄せられています。
 そこで、新規就農者支援として、東京農業アカデミー八王子研修農場がありますが、この二〇二四年度の募集人数に対しての応募数を伺います。年代別に教えてください。

○榎園農林水産部長 都は昨年度、東京農業アカデミー八王子研修農場の研修生を五人募集し、応募者は十七名でございました。年代別の内訳では、二十代二名、三十代五名、四十代四名、五十代三名、六十代三名でございました。

○岩永委員 昨年度、五名の募集に対して十七名の応募があったということで、関心の高さに驚いております。
 また、年代についても三十代、四十代が多く、そして二十代の方も二名ということで、若い世代が農業に関心を持っていることも分かり、大変期待を持ったのですが、十七名のうち五名という定員を何とかできないのかという思いもあります。今後に向けて定員の拡充を要望しておきます。
 また、研修を終えた修了生の人数と就労先について、これまでの実績を伺います。また、就農に当たり、農地を確保するための取組についても伺います。

○榎園農林水産部長 八王子研修農場では、令和二年度から令和六年度までの間に計十九名の修了生を輩出し、全ての修了生は都内に農地を確保し、就農いたしました。
 就農地の確保に当たりまして、都は、就農計画の作成支援や、農業会議に設けたコーディネーターによる農地所有者と研修生とのマッチングの支援等を行ったところです。

○岩永委員 この五年間で、十九名の卒業生全ての方が都内で就農しているということです。就農に当たって、研修を終えて確実に農地を確保できるということも大切です。農地の確保はとても大きな課題であると思いますので、全ての修了生ができるだけ長く農業を続けていけるような農地のマッチングをお願いいたします。
 そして、今後、貸借終了に伴って農地を返却せざるを得なくなったようなことが発生した場合には、他の農地を確保できるようなことも、併せてこれから検討いただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○大竹委員 公明党の大竹です。よろしくお願いいたします。
 まずは、持続的な賃上げに関する質問をさせていただきます。
 都議会公明党では、長引く物価高の中、現役世帯の平均年収を今後五年で二百万円アップさせることを目指し、このたびの都議会議員選挙で訴えてまいりました。世帯年収アップのためには持続的な賃上げが不可欠であり、その原資の確保に必要な生産性の向上に資する設備投資への後押しが求められていると考えます。
 都は、設備投資の成果を賃金アップにつなげる補助スキームにおいて、賃金アップにつなげる採択を令和五年度は二十八件行ったと聞いておりますが、令和六年度はどのような成果が出ているのかお伺いいたします。

○大川商工施策担当部長 都は、中小企業が生産性向上に役立つ最新設備等を導入する際の支援につきまして、従業員の収入増加を図る場合、手厚い助成を行い、賃上げの実現を後押ししております。
 令和六年度には、新製品の生産などに必要な設備投資にも対象を広げまして、助成率を三分の二から四分の三に引き上げる支援の充実を図りました。
 令和六年度は、賃上げに取り組む九十四件を採択しまして、約四十二億円の交付決定を行いました。具体的には、医療機器の精密加工を行う事業者が、省力化につながる自動制御の精密加工機を導入し、事業拡大を図る事例や、リサイクル事業者が、古紙や廃プラスチックから固形燃料を製造する過程での原料の飛散防止につながる機器を導入し、生産効率の向上を図る事例など、従業員の賃上げに結びつける取組を支援しております。

○大竹委員 賃上げにつながる取組は、令和五年度の二十八件から令和六年度は九十四件と、大幅に増えていることが確認できました。このことにより、この補助スキームが、我が党が重要と位置づける現役世代の所得を増やすための賃上げを着実に後押ししていることも改めて確認ができました。
 一方、まだ賃上げには取り組めていない中小企業も多く、生産性を向上しつつ賃上げにつなげていく、このスキームは重要であることから、規模の拡大を要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、経営改善が必要な中小企業への金融支援について伺います。
 中小企業制度融資では、今年度から、物価高騰対策として、都議会公明党の求めに応じ、多くの中小企業が利用できるよう、経営安定融資における利用対象の拡大や融資限度額の引上げが実施をされました。
 一方で、中小企業の中には、様々な経営課題に直面しており、経営改善の取組が進まない状況が見受けられるため、資金調達の面だけでなく、経営支援による事業者への適切なサポートも欠かせないと考えます。
 そこで、経営改善が必要な中小企業に対し、令和六年度の中小企業制度融資を通じた経営支援の取組状況を伺います。

○原金融部長 都はこれまで、信用保証協会が専門家を派遣し策定した経営改善計画について、借換えや新たな事業資金を信用保証料の負担がなく融資するメニューを設け、金融と経営の両面から再建を支援してきました。
 また、令和六年六月から、認定経営革新等支援機関の支援を通じ、経営力の強化を図るための融資を創設し、国が信用保証料率をおおむね〇・二%引き下げることに加え、都としても、小規模事業者に対し信用保証料の二分の一の補助を実施しています。これらの融資の実績は約六百十六億円で、前年度比約五・四倍の増となりました。
 こうした取組により、経営改善が必要な中小企業を資金繰りと経営の両面から下支えしました。

○大竹委員 こうした経営支援をセットとしたメニューが相当程度伸びていることが確認できました。多くのニーズがあるため、引き続き適切なサポートを実施することを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 就職氷河期世代に対する就労支援について伺います。
 就職氷河期世代は、就職時期に不景気の影響を受け、企業の正規雇用枠が大幅に縮小されたことで、希望する働き方がかなわず、不本意ながら非正規雇用を選択せざるを得ないという背景の下、安定した職に就く機会や継続的なキャリア形成の道が閉ざされ、そのような中で長期的な雇用不安を抱えながら働き続けてきた方も少なくないと思います。
 こうした状況において、令和六年度では、就職氷河期世代の方々が安心して働き続けられるよう、安定就労の促進を確実に前へ進めるため、マッチングの機会の強化を図ったと伺っています。
 そこで、都における氷河期世代向け合同面接会の昨年度の取組内容と実績をお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、就職氷河期に卒業し、希望する就職ができず不安定な就労の続く方々に対し、速やかな就業の支援に努めてまいりました。
 令和六年度は、就職氷河期世代向けの合同就職面接会を計八回に増やし、延べ九十四社の企業と延べ九百七名の求職者が参加いたしました。面接会の開催に当たり、就職氷河期世代の採用に前向きな企業を集めるとともに、専門の相談員を面接会場に配置し、経済面や生活面など、仕事以外の多岐にわたる求職者からの相談にもきめ細かく対応いたしました。

○大竹委員 就職氷河期世代の方々が社会の中で孤立することなく、安心して働き、生活を築いていけるよう、都としても個々の状況に寄り添った継続的な支援をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、キャリアチェンジに対する支援について伺います。
 少子高齢化の進展により、労働力人口の減少が進む中、様々な職種や業種において人手不足が深刻化しております。特定の分野においては、近年の急激な産業構造の変化も相まって、需要の高まりに対して人材の供給が追いつかず、雇用のミスマッチが顕著になっております。
 こうした状況は社会全体の課題として捉える必要があり、ミスマッチを解消するため、求職者が自身のスキルや経験の乏しい分野へと円滑にキャリアチェンジし、未経験者でも安心して新たな分野に挑戦できる環境を整えることが重要であると考えます。
 このような状況を受け、都においては、キャリアチェンジ再就職支援事業を実施しているところでありますが、昨年度の取組内容と実績をお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は昨年度、転職や再就職を目指す方について、これまでに業務経験のない分野の企業に就職できるよう、きめ細かく支援する取組を開始いたしました。
 具体的には、カウンセリングにおいて、求職者の状況に即した業界や企業と最適なリスキリングのコースを専門家等が提案いたしました。また、業界を理解するセミナーや、必要なスキルを習得する講座により、事前に学習した上で、最長二か月間のトライアル就労を実施いたしました。
 この事業のホームページにおきましては、トライアル就労に全力で臨み、正社員となることができた、未経験の職域で戸惑いもあったが、よい就職先を探せたなどといった利用者からの声を紹介しております。
 これらの取組によりまして、昨年度は二千九人を企業へ派遣し、四百八十人の再就職を実現することで、求職者の円滑なキャリアチェンジを後押しいたしました。

○大竹委員 求職者のキャリアチェンジを支援することは、個人のキャリア形成を支えるだけでなく、社会全体の活力を維持するためにも欠かせない施策であります。今後も、誰もが安心して新たな分野に挑戦できる環境を整備し、雇用のミスマッチを解消することで、社会で必要となる人材確保に行政として取り組んでもらいたいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、女性のデジタル人材の育成について伺います。
 IT業界を目指しながらも、様々な理由で非正規で働く女性が、高度なデジタルスキルを習得し、専門性を高めて、IT業界に正社員として就職していくことは、所得の向上が期待できるだけでなく、業界の中核として活躍する女性デジタル人材を輩出することにもつながるため、大変重要なことと考えます。
 都は、我が党からの提案を受け、女性ITエンジニア育成事業を実施しておりますが、令和六年度より支援規模を拡充するとともに、IT業界が未経験の方でも即戦力として活躍できるよう、サポートの充実を図っていると伺っております。
 そこで、昨年度の女性ITエンジニア育成事業の取組内容と実績についてお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 都は、非正規で働く女性等を対象に、高度なプログラミングなどの技術の習得を目指す職業訓練と専門家による就職支援を一体的に行う取組を実施しております。
 令和六年度は、三百七名の方がeラーニングによる訓練を約六か月間受講したほか、受講生同士や先輩の女性技術者と交流できる集合型イベントも定期的に開催し、受講意欲の向上につなげてまいりました。
 また、キャリアコンサルタントが受講生の希望に応じた条件の会社を紹介するほか、年四回、企業説明会を実施してまいりました。
 本事業を通じまして、IT業界未経験の方が正社員として就職し、スマートフォンのアプリや情報システムの開発に携わるエンジニアとして活躍するなど、多くの女性のチャレンジを後押しいたしました。

○大竹委員 ただいまの答弁をお伺いしまして、デジタル人材を目指す女性が大変多いことや、本事業へのニーズや関心の高さが確認できました。都として引き続きしっかりと取組を進めていただくことを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 宿泊施設のバリアフリー化支援事業についてお伺いいたします。
 いよいよ来月、都議会公明党が招致に向け尽力してきましたデフリンピックが開催をされます。デフアスリートや観客など、国内外から集まる多くの来場者に対し、障害の有無にかかわらず観光を楽しめる東京の魅力を伝える絶好の機会だと考えます。
 東京では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催をきっかけに、ホテルや旅館のバリアフリー化が進められてきました。しかし、真の共生社会を実現するためには、段差解消などのハード整備にとどまらず、意思疎通や相互理解などのソフト面でも障壁を取り除くことが不可欠と考えます。
 そこで、昨年度の宿泊施設のバリアフリー化に向けた支援の実績を、その具体例と併せてお伺いいたします。

○江村観光部長 都は、東京を訪れる高齢者や障害者等が宿泊施設を快適に利用できるよう、客室等のバリアフリー化に係る経費に対する助成のほか、個別の課題解決に向けたアドバイザーの派遣や、事業者向けセミナーの開催などの支援を行ってまいりました。
 昨年度の補助事業では、施設の改修等に対して十二件、約一億五千四百万円、備品の購入に対して二件、約二百万円の交付決定を行い、浴室の出入口幅の拡張やスロープの設置、座ったままシャワーが可能な椅子の導入などを後押しいたしました。
 また、アドバイザーを五十一の宿泊施設に派遣しまして、建物の状況に応じた改修方法のほか、視覚障害者や聴覚障害者に役立つ備品の活用など、延べ二百三十四件の助言を行いました。
 さらに、事業者向けセミナーでは、デフリンピックの出場経験者を講師に迎え、聴覚障害者とコミュニケーションする際のノウハウや、災害時の情報伝達の手法などについて紹介をいたしました。

○大竹委員 オリンピックを契機に、継続してホテルや旅館に対し、ハードとソフトの両面から様々な支援を行っているとのことでありますが、宿泊施設のバリアフリー化がデフリンピックのレガシーの一つとなりますよう、取組をさらに強化すべきと考えます。来月の大会以降も、引き続きこうした支援にしっかり取り組むよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、省エネ対策についてお伺いします。
 今年の夏は、平均気温が平年よりも二・三六度高く、統計開始以来、百二十七年間で最も暑い夏となりました。地球沸騰化が叫ばれる中、温室効果ガスの削減は待ったなしの状況であり、業務、産業部門のCO2排出量の約六割を占める中小企業等の省エネ対策を進めていくことが重要であります。
 とりわけ、最近の異常な高温により、中小企業の現場では、従業員の生産性が低下するだけでなく、熱中症などの健康リスクも高まっており、酷暑対策としても、高効率空調設備や断熱製品など、省エネへのニーズが高まっています。
 都は、都内中小企業が省エネ設備に更新するための支援を実施しておりますが、どのように周知し、省エネにつなげたのか、昨年度の取組状況とその効果についてお伺いいたします。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、中小企業のエネルギー利用の効率化を図るため、専門家による省エネ診断等に基づき、省エネ設備の導入や運用改善を図る取組への支援を行ってまいりました。
 ホームページやSNSなどの各種媒体を活用するとともに、経済団体とも連携し、広く周知を行い、高効率な空調設備や断熱、遮熱製品の導入など、令和六年度は一千二百二十八件、約五十五億円の交付決定を行いました。
 これらによります年間の電力削減量は、一般家庭の平均年間電力消費量に換算して、およそ四千軒分に相当する約二十ギガワットアワーとなっておりまして、CO2排出量では約九千七百トン相当の削減となってございます。

○大竹委員 省エネ設備の導入支援が多くの中小企業に活用されていることを確認いたしました。
 昨今は、異常な暑さに加え、エネルギー価格の高騰が続いており、省エネに対する中小企業のニーズは一層高まっていくと考えます。こうしたニーズにしっかりと応えていけるよう、支援を強化することを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進に向けた取組についてお伺いします。
 アメリカをはじめとした世界各国の環境政策の見直しなどにより、近年、世界的にEVの普及が減速傾向にあるといわれております。また、EVはガソリン車に比較して価格が高いため、車の購入を考える消費者にとって第一の選択肢にはなりにくい状況があると考えます。
 しかし、EVは走行時にCO2等の排出ガスを出さないことから、気候危機に対する解決策の一つであることに変わりはなく、都は引き続きZEVの普及を力強く支援していくことが重要であります。
 そこで、令和六年度に都が実施したEVやPHEVの購入に対する支援について、取組とその実績をお伺いいたします。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都はこれまで、個人や事業者を対象にEV等の購入費用に対する補助を実施してまいりました。
 令和六年度には、事業者向けのEV及びPHEVの補助額につきまして、個人向けと同額に引き上げ、給電機能がある場合には四十五万円といたしました。
 また、ZEV乗用車の販売実績等を踏まえ、条件を満たした自動車メーカーに対する最大十万円の補助額の上乗せに加えまして、ZEV用の充放電設備等を導入する場合に、さらに最大十万円の補助額の上乗せを開始いたしました。
 これによりまして、令和六年度は、EV及びPHEVの合計で一万二千七百二十六台、約六十六億九千万円の交付決定を行い、その普及を後押しいたしました。

○大竹委員 都による支援により、ZEVの導入が着実に進んでいることが確認できました。引き続き、ZEVの導入に対する都民や事業者への様々な支援を強力に進めることを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、金融リテラシー向上に向けた都の取組についてお伺いいたします。
 国においては、安定的な資産形成に資する新NISAの積極的な広報等に取り組まれており、本年六月末時点で、十八歳以上の国民の約四人に一人が口座を保有するまでに至っていると聞いています。NISA口座からの買い付け額は約六十三兆円と聞いており、新NISAが始まる前と比べ二倍近くになっているとのことです。
 一方、昨今では、偽メールや偽サイトによるフィッシングや架空請求などに加え、SNSなどにおける暗号資産へと関連づけた詐欺的な投資勧誘の相談事例が増えているなど、金融トラブルは多種多様化しております。
 経済的に自立した、よりよい安全な暮らしを実現していくためには、こういった最新のトラブル事例や対処方法など、被害の防止に向け正しい知識を身につけておく必要があると考えます。このため、様々な世代の皆様に、資産形成に関することに限らず、金融トラブルから身を守るための知識も含めて、幅広く金融リテラシーを身につけていただくことで、ファイナンシャルウエルビーイングを実現していただきたいと考えます。
 中でも、退職後のシニア世代は、現役世代と比較し、一般的に収入や支出の構造が異なるのみならず、金融トラブルに巻き込まれることも多いため、資産を守るという視点を加えた取組がより求められると考えます。
 そこでまず、令和六年度のシニア世代に対する金融リテラシー向上に向けた都の取組についてお伺いいたします。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 都は令和五年度より、子供からシニアの方までを対象に、金融経済教育の専門家等を講師として派遣しており、令和六年度は、シニア世代向けに十四件派遣し、二百五十人の方に受講いただきました。受講者からは、ベースとなる基礎的な知識が身についたなど、ご好評の声をいただいております。
 また、退職を控えました五、六十代の方を主な対象として、ライフプランと資産形成の見直しに関する金融セミナーを新たに実施し、五百名を超える方々にご参加いただきました。
 さらに、有識者の助言をいただきながら、五、六十代の方がライフスタイルや環境の変化等に的確に対応できるよう、シニア期の収入や支出のほか、金融トラブルの未然防止等につきましても分かりやすく解説した初のデジタルハンドブック型教材、東京MONEYBOOKを作成いたしました。

○大竹委員 都は、シニア世代の方々に対して、金融リテラシーの向上につながる様々な取組を行っていることを改めて確認いたしました。シニア世代の老後の資金について、過度な不安を抱えないで、生活に安心と希望を見いだしてもらえるよう、今後とも力を入れていただきたいと要望いたします。
 このような取組の一方で、金融広報中央委員会が行った直近の金融リテラシー調査によれば、金融教育を受けたと認識している人の割合は七・一%とのことであり、国は、これを二〇%まで高めていく目標を設定していると聞いています。こうした点を踏まえると、早い段階から多くの人に金融教育が受けられる様々な機会を提供していくことが重要と考えられ、小学生などから金融に関する正しい知識が学べるよう、都としても工夫して取り組んでいく必要があると考えます。
 そこで、令和六年度の子供世代に対する金融リテラシー向上に向けた都の取組についてお伺いいたします。

○村本国際金融都市推進総括担当部長 都の講師派遣の取組の中で、令和六年度における学校への派遣件数は、全百七十一件中の百十九件に上り、約二千百名の方に受講いただきました。生徒からは、大人になった自分を想像して考えることができた、また先生からも、授業の実践方法が学べたなど前向きな意見が寄せられました。
 今年三月に金融庁と共催で実施した親子でお金について学ぶイベントでは、クイズや子供に人気の教材を使ったミニ授業のほか、民間金融機関等と連携したゲーム教材の出展や実際の体験など、子供たちが楽しみながら学べる工夫を凝らし、約三千八百人の方にご参加いただきました。

○大竹委員 国ともしっかり連携をしながら、子供世代に対しても金融経済教育の機会の提供に取り組んでいることが確認できました。
 都においては、本年八月に、民間金融機関とも連携しながら、東京MONEYBOOKも活用して、大人から子供までお金について考えるイベントを実施するなど、さらなる取組を進めていると聞いております。
 幅広い都民の方々が、経済的な観点からも多様な幸せを実現し、安心して生活が送れるよう、引き続きの支援を期待しまして、私からの質疑を終わります。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十五分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 日本共産党都議団の清水とし子です。
 それでは質問させていただきます。
 中小企業は日本経済の根幹であり、この中小企業が元気になってこそ、地域が元気になり、東京の経済も活性化します。
 今、物価高騰が中小企業、小規模事業者の経営に重大な困難を与えている中で、中小、小規模事業者に手厚い支援が求められています。
 最初に、物価上昇を上回る賃上げの必要性について、東京都の見解を伺います。

○新田雇用就業部長 働く方が安心して生活できる環境を整えるため、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとする必要がございます。このため、都は、労働者の処遇改善に向けた中小企業による様々な取組に対し支援を行っています。

○清水委員 次に、都内中小企業の賃金の引上げがなかなか進んでいかない、この要因について都の見解を求めます。

○新田雇用就業部長 賃金等の労働条件は、労働者と使用者が対等な立場において、労使間の協議で自律的に定めることが基本でございます。
 持続的な賃金の引上げに向けては、中小企業の生産性を高め、得られた付加価値を労働者に分配する流れをつくることが必要であります。
 都としては、労働者の処遇改善に取り組む中小企業に対し、その様々な取組への支援を行っており、労使の参画による賃上げの実現に向けて助言する相談窓口を設けるなど、多面的な施策を推進しております。

○清水委員 今、労使が対等な立場でというふうなご答弁がありました。でも、中小企業には労働組合はほとんどなくて、経営者が賃金を決めているというのが実態です。
 一方で、賃上げはしたいけれども、物価高騰を価格に転嫁できない中で賃金の引上げを行えば、経営者は自腹を切らなければならないんだ、こういう切実な小規模事業者の声も伺っています。
 そこで伺いますが、都内の中小企業で賃金の引上げがなかなか進んでいかない要因、また、中小企業の困難さ、これを東京都は独自に調査をしたことがございますか。

○新田雇用就業部長 都は、中小企業の働き手や業界の実情に詳しい団体、それから経営者や研究者等の有識者から意見を聞く場などを設けまして、施策に反映しております。

○清水委員 有識者会議等でのヒアリングをしているというご答弁でしたけれども、有識者会議でのヒアリングというのは、特定の成功事例や問題提起を把握する上では否定するものではありません。しかし、多様な業種、業態、企業規模がある中で、全体像を把握するには限界があります。
 都が、中小企業の賃上げが進まない要因を特定して、実効性がある戦略的な支援をさらに行うためにも、現状認識というのは不可欠です。アンケートなどを活用した大規模かつ体系的な実態調査を予算化して、本気の賃上げ支援を進めていくべきだと考えます。
 次に、具体的な都の施策についてお伺いしていきます。
 まず、魅力ある職場づくり推進奨励金のうち、賃上げ支援の事業の内容についてお伺いします。また、賃上げ支援の支給額の設定根拠についてもご説明をお願いします。

○新田雇用就業部長 中小企業が働き方の改善を通じ、従業員の意欲や収入の向上に結びつける取組への支援は重要であることから、都は、多様な勤務制度を導入し、併せて賃金の引上げも行う事業者に専門家の派遣と奨励金の支給を行っております。
 令和六年度は、賃上げを併せて行う場合の支給額は、国や都の調査による春季賃上げ要求妥結状況や、令和五年の賃金改定の状況などの賃金動向を踏まえ、一時間三十円以上の賃上げを行う場合に、一人当たり六万円としているところでございます。

○清水委員 賃上げ支援の昨年度の応募件数と人数、総額、支給決定件数と人数、総額についてお伺いいたします。

○新田雇用就業部長 魅力ある職場づくり推進奨励金では、応募後、専門家の派遣を受けて奨励金対象事業の登録がされるまでは取組内容が決まっておりません。
 令和六年度における他の取組と併せて賃金の引上げを行う場合の奨励金の支払い件数は百九十八件、人数は一千百三十五人、総額は六千八百十万円でございます。

○清水委員 今ご説明がありましたが、魅力ある職場づくり推進奨励金について、決算で資料を請求させていただきました。この資料によりますと、令和六年度の支給件数は八百三十五件とあります。
 今、賃上げについての支援のメニュー、これを取ったところというのは百九十八件というふうにご説明がありましたけれども、この八百三十五件というのは、賃上げ以外のメニューも含めた全ての支給件数、こういう理解でよろしいでしょうか。

○新田雇用就業部長 支給件数八百三十五件につきましては、魅力ある職場づくり推進奨励金の実績全てでございます。

○清水委員 それではお伺いしますが、令和六年度の支給件数八百三十五件ということでしたが、この年度ごとの内訳、令和六年度、五年度、四年度の内訳についてご説明をお願いします。

○新田雇用就業部長 八百三十五件の内訳でございますが、令和四年度は二百十八件、令和五年度分は六百十七件、令和六年度分につきましてはゼロ件でございます。

○清水委員 令和六年度の支給件数八百三十五件のうち、令和四年度が二百十八件、令和五年度が六百十七件、令和六年度はゼロ件ということでした。令和四年度ということは、応募から支給されるまで二年以上かかったということになります。これが二百十八件。
 奨励金というのは、賃金の引上げだけでなくて、多様な勤務形態の導入など様々なメニューがあって、それを二つ以上組み合わせないと受けることができません。それだけに事業者の負担、これも決して軽くはないんです。その事業者が支給を受けるまでにその負担をなるべく軽くする、これは大事だと思うんですけれども、その負担を軽くするためには、当然速やかな支給が求められていますけれども、支給まではあまりにも長過ぎるのではないでしょうか。
 次に、予算枠についてお伺いします。
 令和六年度、魅力ある職場づくり推進奨励金は、一回、百四十社、延べ十回募集がありました。年間予定枠合計千四百社、これに対して応募は四千四百四十九件と、三倍以上に上っています。
 生産性の向上と賃上げが両立する働きがいのある職場づくりなど、労働者の処遇改善に向けた様々な取組の意欲を持つ事業者に漏れなく支援の手が届くようにするためには、予算枠の拡大は不可欠ではないでしょうか。応募件数に見合った拡充の必要性について、都の見解を求めます。

○新田雇用就業部長 本事業は、中小企業のニーズを踏まえて、適切な規模を計上し、必要な支援を実施しているものでございます。

○清水委員 この物価高騰の中で、経営が厳しい状況であったとしても、生産性の向上と賃上げが両立する働きがいある職場づくりなど、労働者の処遇改善に向けた様々な取組をしようという、意欲を持って臨もうという事業者には、漏れなく支援の手が伸びる、届くようにすべきだというふうに思います。改めて予算枠の拡大を強く求めます。
 次に、魅力ある職場づくり推進奨励金について、昨年度応募した事業者のうち、年度内の支給決定数と支払い件数についてお伺いします。

○新田雇用就業部長 本事業であります魅力ある職場づくり推進奨励金は、応募した事業者が当選後、申請要件を満たした企業に対して専門家を二回派遣し、その助言を踏まえ、企業が多様な勤務制度を導入したことや、賃上げを行い二か月間継続していることなどの取組の結果を確認した上で支給する仕組みとしております。
 応募から支払いまでの期間は、賃上げがある場合は約一年七か月、賃上げがない場合は約一年二か月でございます。
 令和六年度に応募のあった事業者のうち、支給額の確定件数は二件、支払い件数はゼロ件でございます。

○清水委員 この魅力ある職場づくり推進奨励金というのは、応募をして当選したらすぐに審査に入れるわけではなくて、申請要件を満たした企業に対して専門家が二回派遣されてきて、その助言を踏まえて、企業が多様な勤務形態制度を導入したことや賃上げを行う、こうしたメニューを選んで、それを効果もしくはその実施をちゃんと何か月かかけて確認をした上で、支給をするかどうかの判定が行われる。こういう仕組みになっているということなんですね。
 だから応募から支払いまでの期間というのは、賃上げに関するものでも約一年七か月、賃上げがない、そういう場合でも約一年二か月、こういう長期間にわたるというふうなことで、それで令和六年度に応募があった事業者のうち、支給額を確定した、そこまでたどり着けたのは二件、支払いを受けられたところはまだないというふうなことだというふうに思います。
 都は、賃上げを確かなものにする必要がある、こうしています。しかし、実態は、支給まで平均約一年七か月かかる、こういう状況です。しかも令和六年度の予算で延べ一千四百件の支援枠を計上しながら、令和六年度の事業者への支払い件数がゼロ。この制度は実態的に見ると、年度内に事業を執行完了しない、こういうことを前提としているということになるのではないでしょうか。その結果、中小企業への支援は二年近くの期間を要する、こういう実態になっています。
 予算を年度内に執行してきちんと効果を出す事業にする、これは当たり前のことだと思うんですね。こうしたお金の使い方、財政規律、こういう点からも、それをしっかりと守るためにも、制度の改善の必要性は誰の目から見ても明らかです。
 また、都の賃上げ支援は、ほかのメニューとセットでなければ受けられない仕組みになっています。賃上げの実施状況の確認は二か月間でできるように短縮されました。しかし、ほかのメニューとセットでないとこの支援を受けられないので、ほかの支援のメニューが期間が長ければ、それに引きずられて支給までの期間が長くなってしまう。そのことは変わらないんですね。せっかく賃上げ支援までの距離を短くしたのに、ほかのメニューの方が短くなっていなければ、そこに引きずられて長くなってしまうんです。
 支給までの期間を短縮するためにも、賃上げのみの単独補助事業とすべきではないでしょうか。ぜひ見解をお伺いします。

○新田雇用就業部長 働く方が安心して生活できる環境を整えるため、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとする必要がございます。
 都は持続的な賃金の引上げを後押しするため、中小企業が働きがいや生産性の向上などにつながる取組に合わせて賃上げを行う場合に、奨励金を支給しております。

○清水委員 日本政策金融公庫総合研究所主席研究員の井上考二氏は、賃上げが中小企業の経営に及ぼす影響、こういう報告書を作成されています。
 この中で、賃上げは正社員を増加させ、その正社員の増加によって売上げが増加し、純益率も上昇する。こういう調査結果を明らかにして、正社員の増加をもたらす賃上げを成長の契機と認識して取り組むべきと述べています。
 ですから、生産性向上は確かに大切だというふうに思います、持続的な賃上げのためには生産性の向上も必要だと、そのことは否定しません。だけど、卵が先か、鶏が先かというときに、生産性の向上、これがないと駄目というものではないというふうに思うんです。この井上さんがいうように、賃金を上げることによって社員が増える、それによって生産性が上がっていく、こういう契機になるんだ、こういう指摘もあるわけなんですね。これはとても大事なことだというふうに思うんです。
 今苦しい状況に置かれている中小企業でも積極的に賃上げを行って、それこそ生産性向上の契機にしてもらうためにも、やっぱり賃上げだけで支援をする、これは大事だと思うんです。
 日本共産党都議団は、第一回の定例会、第三回の定例会に賃上げのみを条件とした迅速な支給を実現する東京都中小企業賃上げ応援助成金条例を提案しました。都としても賃上げのみを条件として、迅速な支給を実現する賃上げ制度をつくることを改めて強く求めます。
 また、都の支援を受けた中小企業のその後の状況がどのように変化したのか、このことについても後追い調査をぜひ実施していただいて、さらなる制度の改善、施策展開に生かしていただくことを求めて、この質問は終わります。
 次に、農業支援についてお伺いします。
 近年の猛暑や雨が降らない期間が長いことで、例えば日野市では梨の実が大きく育たない、または暑さによってふかふかになってしまう、こういうような被害が出ています。
 最初に、昨年度の猛暑による都内農産物の被害の状況についてお伺いします。

○榎園農林水産部長 令和六年度、夏の暑さにより、ハウス栽培のトマトの日焼けや、コマツナに対する病害虫の多発、ブドウのしおれ被害、大根の空洞化などが発生してございました。

○清水委員 次に、猛暑対策に対する都の支援について、都の取組についてお伺いします。

○榎園農林水産部長 都はこれまでも、環境に適した品種の選定を行っておりまして、令和六年度は、コマツナや枝豆などにつきまして普及いたしました。
 また、遮光設備を備えた栽培施設を導入する五戸の農業者に対しまして、経費の助成を行いました。

○清水委員 確かに今ある品種では、なかなかこの猛暑を乗り切れないというのは、農家の方からもお伺いしています。特に梨などは猛暑のときに成長しようとすると、どうしても障害が出てしまうので、それより前に取れるような品種に変えなければいけない、そんな声も聞いています。
 東京都として、やっぱり環境に適した品種、こういうものを開発して、選定を行って、普及をしているというふうなお話でした。また、光を遮るような、ハウスの中で黒いシートみたいなものをかけることによって、日差しをちょっと和らげることによって作物を守る、こういうふうなこともやっているということでした。五戸、そうした助成を出しているということでしたけれども、ぜひこうしたことをなるべく普及をしていただきたいと思います。
 次に、農業井戸の整備に対する都の補助の内容、実績、都内の整備の状況についてお伺いします。

○榎園農林水産部長 都は令和六年度、防災機能も兼ね備えた農業用井戸の整備を行う農業者を支援する十一区市に経費の一部を助成いたしました。これにより十四件の井戸が整備されたところです。

○清水委員 この農業用の井戸というのは、災害時に近隣の住民の人にも利用してもらえるように、そういうふうなこともあって、近年、整備が進んでいます。
 そういう中で、去年、今年、かなり日照りの期間が長く続いたときに、農家の方から、この農業井戸を活用して、ふだんは畑に水をまかないんだけれども、これを使って水やりをして、それで例えば里芋やショウガなどに水をあげる、また、梨にもそうやって水をあげたことで、何とか障害を起こさずに乗り切ることができた、こういうふうなお話を伺いました。こういう利点も、ぜひ広めていただいて、なるべく農家の方に農業用の井戸をぜひつくっていただくようにするということがとても大事かなというふうに思ったんです。
 日野市内のある農家の方は、自分のところで自前の井戸を持っていたんだけれども、今年その井戸が故障してしまって、水をあげることができなかった。そのために梨の実が大きくならずに、売り物になるものがほとんど取れなかったというふうに伺いました。それぐらい井戸の力って大きいものなんだというふうに思います。
 ぜひ農業井戸の重要性、また、それを活用することによって猛暑対策ができる、こういうことを広めていただいて、整備促進を図っていただく。また、補助の拡充をぜひ図っていただきたいと思います。
 次に、暑さに強い品種の普及について、一年で取れるコマツナとか、そういうものについては割と早くに切替えができるというふうに思いますが、果樹などは本格的な収穫までに数年かかります。品種の切替えなどに対して、その減収を補うような手厚い支援をすべきだと思いますが、いかがですか。

○榎園農林水産部長 都は令和六年度、品種の更新を行う果樹農家に対しまして、安定した収入を確保しながら段階的に品種の切替えを行う計画づくりや、短期間で収穫ができるよう、元の木を生かしながら新たな品種に変更できる接ぎ木の技術を指導いたしました。

○清水委員 日野市では、先ほどもちょっと触れましたけれども、猛暑を避けて早い時期に収穫できる品種に切り替えていく、そういう農家も出ています。
 一方で、後継者がいれば品種の切替えもするけれども、後継者がいないので、そこまではという農家の声も伺いました。こういう方の場合には、そこで取れる梨とかが、ずっと悪いという状況になったら、これはもうこの畑はやめてマンションにしてしまおう、こういうところにいってしまうわけで、農地の存続も危うくなります。
 先ほど答弁にありましたけれども、安定した収入を確保しながら品種の切替えをする、これはとても大事なことだというふうに思います。安定した収入を確保しながら品種の切替えをする方法、これを広く普及していただくとともに、やはり財政的な負担がありますので、その支援を拡充していただいて、よりハードルを低くしていただきながら、果樹栽培の継続、発展ができるように求めておきます。
 次に、猛暑や日照りなどでこれまでにない異常気象の下、収入保険は経営の安定にとって大変重要になっています。昨年度の取組と加入実績、都内農家の加入率についてお伺いします。

○榎園農林水産部長 都は、様々なリスクに備え、経営の安定化を図る農業経営者を支援するため、収入保険への新規加入者が負担する初年度の保険料の一部を補助しており、令和六年度は八十件の契約に対して助成いたしました。
 また、令和六年度の収入保険の加入率は一五・二%でございました。

○清水委員 最初に昨年度の異常気象による被害についてお伺いしましたが、その答弁で、ハウス栽培のトマトの日焼け、コマツナに対する病害虫の多発、ブドウのしおれの被害、大根の空洞化などが発生したというふうな答弁がありました。本当に猛暑の被害は多岐にわたっています。
 例えば果樹とか、お米とか、一年に一回しか取れない、そういう作物に対して保険を掛ける、これは一定定着していると思いますが、それではなかなか手当てができない露地栽培、特に東京のように少量多品目、こういうものをつくっている農家を支えていくためには、農作物の種類を問わず、また、減収分の補償をするという収入保険というのは大変重要だというふうに思います。
 収入保険の加入率は一五・二%、これは農地面積で一五・二%ということでした。一割強の畑について収入保険に加入されているということですが、まだ決して多い方ではないというふうに思います。さらなる普及と、特に普及をするためには、初年度、保険料の負担軽減はありますが、それ以降は自分の負担になりますので、その点についても負担軽減の拡充を求めておきたいと思います。
 次に、今年は熊による被害が全国各地で起きていますが、昨年度の都内の獣害被害の状況についてお伺いします。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 都の令和六年度の獣害被害の状況については、現在調査中でございます。なお、令和五年度の被害金額は五千六百七十六万円でございました。

○清水委員 令和六年度についてはまだ現在は調査中ということですが、分かっている令和五年度の被害総額が五千六百七十六万円ということで、これは決して小さい数字ではないというふうに思います。
 畑のトウモロコシ二百本が全て食べられてしまった、こんな話も去年伺いました。また、アライグマとか、ハクビシンとか、小さな害獣に対しての対策は、東京都はかなり拡充をしていただいています。それなりに農家の方でわなを仕掛けたりしている、そういう話も伺っています。
 そこで伺いますが、イノシシなどの大型の害獣の駆除について、都は区市町村に対して、野生動物の侵入を防ぐ電気柵の整備や捕獲、追い払いなどに要する経費、この助成を行っているんですけれども、これは獣害対策基本計画、これをつくっているということが要件になっています。都内でこの計画を作成している自治体は幾つありますか。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 第五次東京都農林業獣害対策基本計画を受けて、区市町村獣害対策基本計画を策定している自治体は、令和六年度末時点で十自治体となってございます。

○清水委員 計画を策定している自治体は十自治体ということでした。それ以外の自治体には補助が出ないということだというふうに思うんです。計画を作成していない区市でもイノシシなどの被害が発生して、学校給食用のトウモロコシやサツマイモが被害に遭っています。日野市でも、計画を持っていないんですけれども、昨年、今年とイノシシが出て、作物が荒らされて、また住宅の隣にある畑にも出没している。それを住民の方が写真に撮ってSNSにアップしている、こういうこともありました。
 計画を作成していない自治体で発生した大型の害獣に対する都の認識、対応についてお伺いします。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 獣害対策を効果的に進めるためには、地域の特性に応じて、総合的、継続的に取り組むことが重要でございまして、都はこれまでも、獣害被害が発生している区市町村に対して、速やかに計画を策定するよう指導してございます。

○清水委員 確かに獣害をどういうふうにコントロールをしていくか、それは大事だというふうに思いますし、そのための計画が必要だということも十分理解をしています。
 ただし、例えば日野市にはイノシシというのは生息していないんですよね。生息していない害獣に対してどういうふうに計画を立てていくのかというのは、そう簡単ではないというふうに思います。
 さらに、計画がなければ、自治体や農協や農家の負担で電気柵の設置や様々な対策をしていかなければならないというふうになります。こういう場合は、やっぱり東京都が広域的な観点から、自治体をまたがる害獣の被害について対策を講じることが必要だというふうに思います。対策を求めて、次の質問に移ります。
 都内の生産緑地の貸借の状況についてお伺いします。そのうち、長期の貸借の状況についてはどうでしょうか、併せてお伺いします。

○榎園農林水産部長 東京都農業会議によれば、令和六年、都内では百五件、約二十一ヘクタールの生産緑地の貸借が行われました。貸借期間については把握してないと聞いてございます。

○清水委員 決算の資料で、市街化区域内の農地の貸借の面積の推移について請求をさせていただきました。これを見ると、令和二年度では約十二万五千平米、令和三年度では約十三万平米、令和四年度では約十六万平米、令和五年度では約十六万一千平米で、令和六年は二十万平米を超えて二十一万平米に近づいているというふうな状況で、着実に伸びているという状況が分かります。
 新規就農者や規模拡大をしたい若手の農業者にとって、生産緑地の貸借というのは、農地を確保する上で、とても大事な施策です。ところが、この貸借の期間、日野市でいうと大体五年ぐらいなんです。五年というと、土づくりをして効果が出た頃に、相続が発生したら返さなければいけないというふうになってしまいます。
 さらにハウスを建てた場合に、ハウスは大体耐用年数が七年ぐらいなんだそうです。そうすると、七年より短い土地に建てる場合には、様々な融資制度というか、助成制度、こういうものが受けられないとも伺いました。そういう点では、長期に貸借ができる土地、とても大事だというふうに思います。
 ましてや果樹なんかを植えて農業をやっていこうという人にとっては、本当に長期でないと、生産緑地、短期ではなかなか難しいということになってしまいます。生産緑地の貸借、特に長期の貸借は安定した経営のために重要です。都の認識と昨年度の取組についてお伺いします。

○榎園農林水産部長 都は、新規就農者等が安定的に農業を行えるよう、十年以上の期間で農地を賃貸借する土地所有者に対し、奨励金を支給する取組を実施してございます。令和六年度は三件、約〇・五ヘクタールの生産緑地の長期貸借につなげました。

○清水委員 生産緑地そのものの貸借は、令和六年度は約二十一ヘクタールと着実に伸びてきているんだけれども、十年以上の長期にわたって貸出しをしてくれる長期貸借については三件で、約〇・五ヘクタールということで、なかなか進んでいない、まだ端緒的ということだというふうに思います。
 また、市街化区域外を含めた都内全体での長期貸借は十六ヘクタールということですので、いかにその生産緑地の中での長期貸借が少ないかということだというふうに思います。これをどれだけ進めていくのかというのはとても大事だというふうに思います。
 そういう中で、日野市の調査で、農地の約半分が、軒先販売なども行っていない、自家消費の農地になっているということが分かりました。例えば日野市は、学校給食の地場野菜の供給、これを一生懸命取り組んできて、三十年以上取り組んできていて、供給率は約三〇%になっています。都内でもトップクラスです。
 これを伸ばそうと思ったら、今ある農家の持っている畑では、これ以上なかなか伸びていかないんです。そうすると、新しい農地を確保しなければいけない。そうなると、やっぱり貸していただく、何ていうんでしょうかね、これがとても大事になるし、その相手先といいますか、その対象として、自家消費になってしまっている農地をなるべく有効に使わせていただく、こういうことがとても大事だというふうに思います。
 こういう農地を規模拡大を図りたい農家や新規就農者に貸してもらえれば、学校給食用の地場野菜の供給率をさらに上げることもできますし、新規の就農者が長期の貸借でそれを借りることができれば、安定した経営ができるようになっていきます。
 今、日野市では、市と農協と農業委員会、これが連携して、そうした農家を訪問して働きかけて、生産緑地の貸借を進めていこうというふうな取組を進めています。都としてもこうした取組の支援を一層進めていただくことを求めて、私の質問を終わります。

○福井委員 国民民主党東京都議団の福井ゆうたでございます。
 本日は、柔軟で多様な働き方の推進についてお伺いをしたいと思います。
 東京都の生産年齢人口は二〇二五年をピークに減少に転じることが予想され、人手不足社会が現実のものとなりつつあります。今後の東京都における社会経済活動が持続可能な成長を続けていくためには、家庭と仕事を両立できる環境整備やテクノロジーを活用した新しい働き方での生産性向上が必要不可欠です。
 我が会派は、現役世代の手取りを増やすと訴えておりますが、こうした働き続けられる環境整備というのは、現役世代への大きな後押しとなると考えております。
 東京都においても、二〇三五年に向けた政策の方向性として、安心して働き続けることができる環境整備を加速させることを掲げております。令和六年度予算においても、テレワーク等普及推進事業に約三十九億円を計上するなど、こうした環境整備を推進していると認識をしております。
 そこで質問をさせていただきます。令和六年度におけるテレワーク定着推進に資する事業の実績をお伺いします。

○新田雇用就業部長 都は昨年度、テレワークの定着促進に向け、都内中堅、中小企業等を対象に、テレワーク機器の導入等の経費を助成する事業を実施し、三百六十四社に助成金を支給しております。
 また、経験豊富なICT等の専門家が企業の実情や課題に合わせて助言を行う事業では、テレワークが未導入の四百十二社と導入済みの五百十八社に対して、それぞれコンサルティングを実施しました。
 さらに、テレワークを活用して多様な働き方を目指す企業の取組を支援するため、専用ホームページでの情報発信を行うとともに、都内の区市と連携し、テレワークの取組意欲を喚起する普及啓発イベントを計六回開催いたしました。

○福井委員 ありがとうございます。令和六年度において、助成金やコンサルティングといった形で、テレワーク定着推進の取組がしっかりと執行されたというふうに理解をいたしました。
 一方で、政策目標の達成に向けて、しっかりと効果検証を行っていく必要があるというふうに考えております。
 東京都では、柔軟で多様な働き方の推進に向けた政策目標として、都内企業のテレワーク導入率八〇%以上、これを掲げております。コロナ禍においては、BCPの対策として導入が進み、導入企業は急速に増加をしたものの、出社回帰の流れもあり、直近ではマイナスのトレンドであり、目標達成に向けてさらなる取組強化が必要だと認識をしております。
 そこで質問をさせていただきます。この政策目標達成に向けて、令和六年度の実績と都としての現状認識をお伺いします。

○新田雇用就業部長 令和六年度、都が実施いたしました実態調査によりますと、都内企業のテレワーク導入率は五八・〇%であり、前年度調査と比べ二・一ポイント減少しております。
 従業員九十九人以下の企業の導入率が上昇した一方で、従業員百人以上の企業の導入率が低下したことが減少の一因となっております。
 業種別では、情報通信業が九一・五%、金融業、保険業が八一・五%と高い率でありますが、宿泊業、飲食サービス業が三三・八%、運輸業、郵便業が二六・五%と低い状況であり、業種ごとの導入率に差があることが課題でございます。

○福井委員 ありがとうございます。今のデータをお伺いしても、やはり大手の企業が出社回帰をしていたり、また、比較的テレワークと親和性が高いと思われる業種において、テレワークの導入が一巡したんじゃないかということが推測できるかなというふうに思います。
 こうした社会状況の変化の中で、テレワークの定着を図っていくために、私は二つの視点が大切ではないかというふうに考えております。
 一つ目は、在宅勤務か出社、この二者択一ではなく、社会全体で両者のいいとこ取りができるような労働環境をつくっていくことだと思います。東京都も柔軟な働き方とオフィス勤務のベストバランスで、東京ならではの働き方を有識者等で検討していくとして、仕事の内容や目的に合わせて時間や場所を選んで働くABWの推進等の取組を行っていると認識をしております。
 そうした中で、自宅でも、職場でもないサードプレースとして、サテライトオフィスを整備、利用促進していくことは、勤務のベストバランスに資する取組であると考えます。
 そこで質問させていただきます。サテライトオフィスの利用促進について、令和六年度の取組実績をお伺いします。

○新田雇用就業部長 都は、テレワークを活用した職住近接の働き方を推進するため、企業、団体等が市町村部に新たに設置するサテライトオフィスの整備運営費を補助する事業におきまして、令和六年度は新たに九社を支援いたしました。
 また、昨年度、都内中堅、中小企業等を対象にサテライトオフィス勤務を可能とする規定を新たに整備するとともに、実際に従業員がサテライトオフィスで勤務することを奨励する事業を実施いたしまして、二十社に奨励金の支給を行いました。
 サテライトオフィスへの理解を深め、その利用を促進するため、東京都サテライトオフィス交流フェアと題したイベントを計二回開催し、第一回は百六十名、第二回は百七十三名の方にご来場いただきました。

○福井委員 ありがとうございます。ぜひこの勤務のベストバランスというところの取組に向けて、サテライトオフィスの整備というのは引き続き推進をお願いをしたいというふうに思います。
 そして、この視点の二つ目ですけれども、先ほど申し上げましたように、BCP、いわゆる事業継続計画、この対策として、これまではテレワークが推進をされてきました。しかし、今後は企業のエンゲージメント向上や女性活躍の推進、こうした視点を通じて、人材確保や生産性向上につなげていくための取組としてテレワークを推進していく。事業者がこういった形でマインドセットを変えていけるような支援をしていくことが重要であると考えます。
 東京都でも、令和六年度、エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業の中で、多様な勤務形態やフレックスタイム制の導入等の取組に対して、奨励金を支給していると認識をしております。
 そこで質問させていただきます。エンゲージメント向上に向けた職場環境づくり推進事業の実績をお伺いします。

○新田雇用就業部長 都は、従業員のエンゲージメントの向上や、結婚から子育てまでのライフステージの支援、賃上げなど働きがいを高め、労働生産性を向上させる取組を行う中小企業への後押しを行っております。
 令和六年度は、社内の課題把握と制度整備に向けた具体的な助言を行うため、人事労務管理等に知見を有する専門家を二千六十七回派遣いたしました。また、専門家の派遣を受け、フレックスタイム制や選択的週休三日制、リモートキャリア等、多様で柔軟な働き方が可能な制度の導入などを行った企業に対し、奨励金を八百三十五件支給いたしました。

○福井委員 ありがとうございます。エンゲージメント向上の視点で、テレワークの支援が進んでいるというふうに認識をしました。
 また、これは質問はいたしませんが、女性活躍推進の観点からもぜひテレワーク推進にアプローチをしていくことも非常に大切だというふうに考えております。
 今後は、二〇二五年十月一日施行の育児・介護休業法における柔軟な働き方を実現するための措置の義務化や、また、現在検討中の女性の活躍に関する条例(仮称)、こうしたものとも連動しながら、女性活躍推進の観点からテレワーク普及にアプローチできる取組も検討いただくようにお願いをしたいと思います。
 繰り返しになりますが、国民民主党東京都議団は、現役世代から豊かにしていく、こう掲げておりますが、テレワーク定着推進を含めた柔軟で多様な働き方の推進は、現役世代への大きな後押しになると考えており、最優先で取り組んでいくべき課題だと認識をしております。
 今後は、エンゲージメント向上や女性活躍推進といった視点も含めながら、テレワーク支援策の再構築と拡充を図り、テレワークを有効に活用した東京ならではの働き方を強く推し進めていただくように要望いたしまして、私の質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○さんのへ委員 令和六年度の産業労働局関係事業のうち、執行率が著しく低いものが見られます。その中には、都民経済を支える中核事業も含まれています。そこで、単なる不用額としてとどめるのではなく、事業の実効性と制度設計の課題を検証したいと思います。
 まず、中小企業経営安定を図るための事業支出のうち、地域工業及び地域商業の活性化について確認します。いずれも予算執行率は五八・九%と七一・八%にとどまりました。地域工業の活性化について、物価高にあえぐ中小企業が多く見受けられる中で、執行率五八・九%は需要と供給が見合っていないのではと感じます。
 まず、決算年度における同事業の目的と期待した効果、数値を含む獲得目標をお示しの上、この背景、課題についての都の認識を伺います。

○福田商工部長 都は、地域産業の成長に向け、区市町村が行う中小企業の競争力強化やデジタル化を支援する取組などに必要な経費を助成いたしました。
 令和六年度は、前年度に実施した区市町村の意向調査等を基に予算を計上しております。
 不用額は、申請額が補助限度額に満たなかったことや、当初の見込みより申請件数が下回ったことなどで生じたものでございます。

○さんのへ委員 補助限度額未満の申請や当初の見込みより下回ったということが原因ということですが、裏を返せば、制度設計自体が現場の実態やニーズとかみ合っていなかったということにならないでしょうか。特に物価高や人件費の上昇など、経営環境が厳しい中小企業にとっては、自己負担の重さや申請手続の煩雑さがハードルとなり、結果として制度を十分に活用できなかった可能性もあります。
 区市町村における取組の検証も必要ですが、都としては、なぜ現場で使われなかったのか、制度利用の障壁を検証した上で次年度に向けた改善策を講じていただきたく、現場の声をしっかりと反映していただくように要望します。
 また、地域工業の活性化について様々な支援メニューを提供していますが、物価高、金利上昇に対応した制度改正は行われたのでしょうか。また、こうした支援制度は、地域からの需要があったのかどうか、確認します。

○福田商工部長 都は、区市町村が地域産業の活性化に向けて社会構造の変革などへの対応を進める取組を後押しいたしました。
 具体的には、令和六年度は、区市町村が行う小規模事業者等に対する資材や燃料費高騰などへの支援に対して助成を行ったところでございます。

○さんのへ委員 区市町村を通じて資材や燃料費高騰への支援を後押しされたとのことですが、現場では依然として制度の存在自体を知らなかった、申請時期が短く間に合わなかったといった声も少なくありません。
 また、物価や金利の上昇といった経営環境の変化は非常に速く、従来型の助成メニューでは対応し切れない実情もあります。
 制度の柔軟性を確保し、地域からの需要を的確に吸い上げるためには、区市町村任せではなく、都としても、リアルタイムに経済動向を把握し、補助要件や支援内容を随時見直す仕組みが必要だと考えます。
 そこで、地域商業の活性化においても、予算執行率が七一・八%にとどまったことから、同様に背景、課題について、都の見解を伺います。

○福田商工部長 都は、魅力ある商店街づくりに向けて、商店街が取り組むイベント事業等に要する費用を助成いたしました。
 令和六年度決算では、予算額に対して八割を超える申請をいただきましたが、天候の影響等によるイベント事業の中止や契約差金などによる不用額が生じたものでございます。

○さんのへ委員 天候による中止などやむを得ない事情もあったとのことですが、商店街の活動が一時的なイベント開催に偏ってしまうことを懸念しております。加えて、物価高や人手不足により、イベントそのものを実施する体力がない商店街も増えています。
 地域商業の持続的な再生を鑑みると、現場の実態を踏まえ、単発のイベント助成だけでなく、空き店舗の利活用や若手後継者の育成、キャッシュレス対応など長期的な地域商業の基盤づくりに資する支援へと転換していくことが重要と考えます。
 次に、地域商業、中小企業の金融円滑化を図る制度として、地域金融機関による事業承継促進事業について確認します。
 零細企業、中小企業においての後継者難、後継者不足が深刻化する中で、執行率が三三・五%にとどまっています。当初想定した目的や想定効果はクリアできたのでしょうか。検証結果とともに、この背景、原因を都はどのように分析しているでしょうか。支援対象の周知、伴走支援の体制は十分か、確認をします。

○松田金融支援担当部長 本事業では、四十五の信用金庫、信用組合などが取引先企業を訪問し、事業承継の必要性について啓発を行っております。また、経営者の求めに応じて専門家を派遣し、承継計画の作成や計画の実行を支援するとともに、計画実行に必要な資金の融資相談にも応じております。
 昨年度は、地域金融機関からは、中小企業が物価高騰などへの当面の対応を優先したため、事業承継の相談、準備を希望する事業者が減少したと聞いておりますが、金融機関が七百七十三社の企業を訪問し、延べ八百十八件の専門家派遣を実施したところでございます。

○さんのへ委員 ありがとうございます。
 令和六年度において七百七十三社への訪問や、八百十八件の専門家派遣は一定の成果と評価できますが、依然として執行率が三三・五%にとどまっていることを踏まえると、制度そのものが必要な企業に届いていない可能性もあります。
 事業承継は、経営者の高齢化や人材確保の問題など時間を要する課題であり、今すぐ相談するという動機づけが生まれにくい現実があります。だからこそ、金融機関に啓発を委ねるのではなく、都としても、商工団体や士業の方、地域ネットワークと連携して、早期からの伴走支援やマッチング支援を仕組み化するということが求められます。執行率の低さを一過的な経済要因だけで片づけず、ぜひ制度周知、支援体制の在り方を抜本的に検証していただきたいと申し上げます。
 次に、都市農業経営力強化事業等についても、多くの不用額が発生していることが分かりました。また、農産物等調査分析では、令和七年度に繰り越す議決がされています。農業経営の安定の執行率が四八・二%と低迷していますが、課題について、都の認識を伺います。

○榎園農林水産部長 農業経営の安定に係る事業の執行率につきましては、雇用就農を推進する事業におきまして、事業を活用する意向を示した事業者が土地取得に時間を要したため、年度内に申請に至らなかったことなどが影響いたしました。
 また、町村が実施する施設整備等への支援事業におきましては、工事規模を縮小する申請があったことなどによるものでございます。

○さんのへ委員 ただいまご答弁いただきました土地取得の遅れや工事規模の縮小など個別事情による影響もあったかと思います。
 しかし、執行率四八・二%という数字は、単なる手続上の遅延にとどまらず、都市農業の現場が抱える構造的な課題を示しているのではないでしょうか。都市部においては、農業用地取得や許認可のハードルも大変高いと伺っております。
 こうした中で、都が進める経営力強化策や施設整備支援が実際に現場で使える制度になっているかどうかを丁寧に検証する必要があります。事業の進捗を執行率の結果のみならず、制度利用のプロセスから見直し、土地調整支援や行政手続の簡素化など、現場に寄り添った改善を強く求めます。
 次に、魅力ある商店街づくり事業における決済代行サービス別導入実績及び推移について、資料で要求させていただきました。
 若年層観光客の取り込みには効果的な支援ではある一方で、小売業者にとっては端末代金や月額の利用料、決済手数料およそ三%前後が大きな負担となっているという声も聞いています。一度導入したキャッシュレス決済代行サービスを途中解約する場合、多くの場合は解約金や残りの契約期間分の月額料金が発生します。小売業者として、どの程度の割合で全体として導入されているのか、今後の滞在需要はあるのかどうか、ご説明ください。導入したくてもできない業者やそもそも導入には消極的であるなどの実態も把握されていると思いますので、ご説明ください。

○福田商工部長 都は、商店街のキャッシュレス化を推進するため、決済用端末機器の導入に対する助成を行いました。
 商店街からは、個々の店舗で機器を導入する場合に比べてコストの削減につながった、導入手続が円滑に進められたなどの声がございました。

○さんのへ委員 既に商店街単位での導入によってコスト削減や手続の円滑化といった効果が見られたということでした。
 一方で、キャッシュレス化の波に乗り遅れた小規模店舗や高齢経営者の店舗では、制度を知らない、使い方に不安がある、初期費用が重いなど、そういった声も根強くあります。星委員からもアフターフォローの要望がありましたけれども、私からもキャッシュレスに伴うこのランニングコスト、手数料についても配慮が必要と考えます。
 キャッシュレス化は単なる利便性の向上にとどまらず、観光需要や若年層の購買行動を取り込む鍵となります。したがって、今後は単発の端末導入助成に加え、デジタルリテラシー支援や商店街単位での共同契約、共同運営の仕組みづくりなど、地域全体のデジタル化を底上げする取組が必要です。
 次に、キャリアチェンジ再就職支援事業について伺います。
 令和六年度の就職率は二三・九%とのことでした。就職率を上げる取組について具体的な方針、決算年度に期待した効果や数値目標を含め、伺います。

○新田雇用就業部長 転職や再就職を目指す方について、これまでに業務経験のない分野の企業に就職できるよう、求職者の状況に即した専門家等による提案や業界を理解するセミナーなどを実施した上で、トライアル就労を行って就職につなげることを取り組んでまいりました。

○さんのへ委員 今ご答弁いただきましたとおり、一定程度の工夫というのは見られるんですけれども、就職率二三・九%という数字は依然として低く、制度設計そのものの見直しも必要ではないでしょうか。トライアル就労後の伴走支援こそが安定就労に結びつく鍵だと考えます。
 次に、キャリアチェンジ再就職支援事業において、資料要求をさせていただきましたが、こちらを見ていただくと分かるように、採用後の想定年収、三百万円未満が二百二十七名、三百万円以上から四百万円未満が二百三十七名、四百万円以上が十六名となっています。
 今の東京都の平均年収、諸説ありますけれども、大体五百万円から六百万円とされています。キャリアチェンジ再就職支援事業を利用して再就職がかなった場合においても、この平均年収を下回っている方が大半を占めています。そもそも都が想定したターゲット層、期待した再就職の数値目標、トライアル就労後の想定年収が平均年収以下であることに対する都の見解と、今後どのような改善を見込めるのかを伺います。

○新田雇用就業部長 トライアル就労後に採用された場合の想定年収につきましては、職種や業種、業務内容、必要なスキル、短時間勤務や週当たりの勤務日数などの勤務時間など、様々な要素を勘案した上で決定されているものと認識しております。

○さんのへ委員 今ご答弁いただきましたとおり、この年収というのは職種や勤務時間等によって一概には比較はできないんですけれども、平均年収を下回る水準が大半を占めているこの現状では、持続的なキャリア形成の道筋を描きにくくなってしまうということを指摘します。量だけではなく、質の高い再就職をどう実現するのか、政策効果の定義を改めて明確にするべきではないでしょうか。
 キャリアチェンジ再就職支援事業において、就職先の多くはIT業界であると伺っております。想定される収入についても改善されるよう、継続的にモニタリングしていただくことを要望します。
 次に、ソーシャルファーム事業についてです。
 認証審査会等の運営について、執行率が五九・七%にとどまった背景について伺います。

○新田雇用就業部長 認証審査会等の運営に関する事業では、認証審査会の開催のほか、新たに認証を受けた事業所への認証授与式の開催等を実施しております。
 この認証授与式の運営委託について、契約差金が生じたことなどが要因でございます。

○さんのへ委員 契約差金による不用額というご説明を今いただきましたが、単なる会計上の問題として片づけてはならないと思います。本来ソーシャルファーム制度における信頼性、これを担保する認証評価のプロセスが形骸化していないか、丁寧な検証が必要です。
 次に、ソーシャルファーム事業等に関する普及啓発事業の支出額が五三・六%にとどまった背景について伺います。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファーム等に関する普及啓発事業におきましては、都内企業、都民などを対象として、新たにソーシャルファームの裾野を広げていく取組を行っており、この事業の運営委託において契約差金が生じたことが要因でございます。

○さんのへ委員 普及啓発においても契約差金が要因とのことですが、事業の目的が認知拡大というところにある以上は、執行率の低迷は成果の低迷そのものを意味します。制度の存在を知らない企業が多い現状を踏まえ、広報戦略の再構築が求められます。多額のお金をかけずとも、ソーシャルファームの社会的意義がきちんと伝わるような取組をお願いします。
 また、ソーシャルファーム事業を運営する予算額は、令和六年度だけで十億五千三百六十二万円という規模です。令和七年度では、新規でインクルーシブ経営支援事業一・二億円も追加されています。この事業では認証ソーシャルファームの自立経営への専門サポートチームを新たに設け、経営や雇用に関する課題の解決に向けて伴走型支援を実施するということですが、ソーシャルファームの経営や雇用に関する課題は、どのようなものを認識あるいは想定しているのでしょうか伺います。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファーム事業所を創設する段階におきましては、新たな施設の整備や改修、設備の導入に係る資金の確保、運営を行う段階におきましては、収益の安定化や就労に困難を抱える様々な方のサポート体制の構築などが重要であると考えております。

○さんのへ委員 経営基盤の弱さや収益の不安定化が課題として挙げられましたが、それこそが都が伴走支援に踏み込むべき領域だと考えます。補助金を出すだけでなく、民間ノウハウを取り入れた経営モデルの確立も進めるべきです。
 東京都には約一千四百万人の都民のうち、少なくとも百万人から二百万人規模の就労困難層が存在すると推計されます。障害、ひとり親、生活困窮、ひきこもり、元受刑者など背景は多様ですが、共通しているのは働きたいが働けないという点です。
 都は、こうした層の社会的包摂と自立を目指して、平成三十年に条例を制定し、全国に先駆けてこのソーシャルファーム制度を創設しました。しかし、令和六年度決算を見ると、ソーシャルファーム事業はおよそ十億円の予算が計上されているにもかかわらず、実際にこの仕組みの中で働く就労困難者は僅か三百四十四人にとどまっています。
 仮に、この事業の全体予算十億円を在籍者数で単純に割り戻すと、一人当たり約二百九十万円の公費が投入されている計算になります。この水準は、職業訓練や就労支援の他の事業と比較しても極めて高い水準であり、費用対効果の検証が不可欠です。十億円という予算規模に対して、支援対象が三百四十四人という現状は、制度の目的である包摂的な就労促進から大きく乖離しています。
 そこで伺います。都はこの結果をどのように評価しているでしょうか。既存の障害を持っていたり、働きづらさを抱える方々への就労支援は、都も区市町村も多種の事業を用意しているにもかかわらず、わざわざ多額の費用をかけて新たに同事業を開始したわけです。それにもかかわらず、執行率が半分程度ということは需要がないと判断されているのか、また事業の見直しは当然検討されていると思料しますので、その点についても所見を求めます。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファーム支援事業の予算は、予備認証期間における整備、改修経費に合わせ、認証後五年間の運営経費に係る補助金等を一括して計上する仕組みで、毎年一定規模の予算を措置しているところでございます。
 認証事業所の数は着実に伸びており、就労に困難を抱える様々な方が社会の担い手として働き、活躍する場として、ソーシャルファームの認知が広がっていくことにより、多くの就労困難者の雇用に結びついていくものと考えております。

○さんのへ委員 先ほど答弁でもいただいておりますけれども、認知拡大で今後に結びついていくという説明では、既に開始から六年が経過した制度としての検証責任を果たしたことにはなりません。費用対効果の検証と制度の再設計を強く求めます。
 ソーシャルファーム事業の成果をはかるためのKPI、例えば、支援対象者数、定着率、創設企業数などはどのように設定し、検証しているでしょうか。

○新田雇用就業部長 ソーシャルファームとして新たに認証した事業所数を計画規模として設定し、令和六年度におきましては、計画規模十事業所に対して、十八事業所の認証を行っており、計画規模以上の実績となっております。

○さんのへ委員 このKPIを認証事業所数に限るのは、成果指標として極めて不十分です。本来問うべきは、就労困難者の雇用定着への貢献度であり、事業所数という数字を満たしたことだけを成果とする姿勢は改めるべきです。
 仮に費用対効果が低いとするならば、今後どのような改善、再設計を行う方針でしょうか。特にソーシャルファーム認証事業が制度上の目的を達成していないのであれば、補助金の交付要件を見直すべきではないでしょうか。都の方針を伺います。

○新田雇用就業部長 令和六年度末までに認証を行った事業所数は六十一であり、ソーシャルファーム認証制度開始から令和六年度までの計画数の合計を超える実績となっていることから、就労に困難を抱える方々の雇用を促進したものと考えております。

○さんのへ委員 繰り返しとなりますけれども、量的拡大が質的効果を伴っていなければ意味がありません。就労者数、定着率、企業の自立度といった実質的なKPIを基に、補助金要件の再構築を検討すべきです。
 ソーシャルファーム認証審査会の開催実績と委員出席率を資料で確認しましたが、委員定数が六名に対して、出席率が過去二年は平均八三・三%となっています。委員の主な欠席理由について、都は把握しているでしょうか。現在は一切情報公開がされていませんが、その点についても、決算年度においての振り返り、それに基づく予算編成となるため、情報公開一丁目一番地である小池都政において、選考過程や決定機関である審査会が非公開であったことに果たして効果があったのかどうかも伺います。

○新田雇用就業部長 認証審査会につきましては、日程調整を行い、最も多くの委員が参加できる日程で開催したものでございます。
 認証審査会につきましては要綱等で定めており、それについては公開されているところでございます。

○さんのへ委員 令和六年度のこの決算の結果を見ても、東京都の就労支援政策は数値上の実績と現場での実感に大きな隔たりがあることは明らかです。キャリアチェンジ支援では再就職率が伸び悩み、年収も低水準、ソーシャルファームでは理念こそ立派でも、対象者三百四十四人に十億円という費用構造は決して持続可能とはいえません。
 必要なのは、制度をむやみにつくることではなく、既存のものを生かしていくことではないでしょうか。数字の達成を成果とせず、一人一人が社会の担い手として再び働き、自立し、尊厳を取り戻す、その実感が生まれる制度運用こそが、都政、産業労働局としての責務です。費用対効果の検証と透明性の確保、そして現場に寄り添った伴走支援の充実を強く求め、質疑を終わります。

○鈴木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○鈴木委員長 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和六年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○戸谷総務部長 去る十月十日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の令和六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと思います。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に十三件の資料の件名を記載してございます。
 一ページでございますけれども、東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、それぞれの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをお開きください。防潮堤のかさ上げ整備状況でございます。
 全体計画と整備状況を記載してございます。
 続いて、三ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 令和二年度から令和六年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他の三区分に区分いたしまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開きいただけますでしょうか。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 令和二年度から令和六年度までの五年間の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページでございます。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 令和二年から令和六年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをお開きいただきたいと思います。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 令和二年度から令和六年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、〔1〕の総数及び〔2〕の登録自家用機の離着陸回数を、それぞれ飛行目的別に記載してございます。
 七ページをご覧いただけますでしょうか。クルーズ客船のふ頭別寄港回数の推移(過去五年)でございます。
 令和二年から令和六年までの五年間のクルーズ客船の寄港回数につきまして、ふ頭別に実績を記載してございます。
 八ページをお開きいただけますでしょうか。東京港に寄港した軍用艦の数及び艦名(過去三年)でございます。
 令和四年から令和六年までの三年間の東京港に寄港した軍用艦につきまして、隻数及び艦名を記載してございます。
 九ページをご覧いただけますでしょうか。東京港における主なヒアリ対策及びヒアリ発見数でございます。
 主なヒアリ対策と平成二十九年七月から令和七年三月までのヒアリ発見数を記載してございます。
 一〇ページをご覧いただけますでしょうか。令和六年度海の森公園開園以降の利用実績とイベント開催実績でございます。
 令和六年度の利用実績とイベント開催実績を記載してございます。
 一一ページをご覧ください。令和六年度海の森公園に係る指定管理者と指定管理料でございます。
 令和六年度の海の森公園の指定管理者及び指定管理料を記載してございます。
 一二ページをお開きいただけますでしょうか。海上公園管理事業に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成二十七年度から令和六年度までの十年間の予算現額及び支出済額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 一三ページにつきましては、東京港内(水域)清掃におけるごみの収集量推移(過去十年)でございます。
 平成二十七年度から令和六年度までの十年間の東京港内の水域清掃におけるごみの収集量につきまして、立方メートル単位で記載してございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○鈴木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、私からは、まず東京港におけるDXや脱炭素化などについて伺っていきたいと思います。
 欧米、アジアの主要な海外港では、港湾間の国際的な競争が激化しておりまして、コンテナターミナルのDXや脱炭素化の動きが加速されております。特に最先端技術を活用した自動化や再生可能エネルギーを活用したゼロエミッション化を実現したターミナルというのが今世界的な大きな潮流となっております。
 そういった中、都は現在、中央防波堤外側地区において、新たなコンテナターミナル、Y3ターミナルを整備していまして、DXや脱炭素化を大幅に進める、それの絶好の機会の一つだと考えております。
 そういった観点から、Y3ターミナルのDXや脱炭素化について積極的に進める、そういった取組について伺っていきたいと思います。
 まず、Y3ターミナルの整備においては、コンテナヤードや荷役機械の整備を担う東京港埠頭株式会社の役割が極めて重要だと考えておりますけれども、都は昨年度、同社に対し出資を行っております。東京港埠頭株式会社に対する出資の目的について伺います。

○野平港湾経営部長 日本経済と国民生活を支える東京港が、将来にわたってその役割を果たしていくためには、社会経済状況の変化に的確に対応し、中長期的な視点から戦略的に取組を進めることが不可欠でございます。
 具体的には、将来の担い手不足に備え、DXによりターミナル運営の効率化を進めるとともに、世界的な潮流でございますゼロエミッション化の要請に対応するため、脱炭素化の取組を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は、本年三月、東京港埠頭株式会社に出資し、同社の経営基盤を強化することによりまして、Y3ターミナルのDXや脱炭素化を推進することといたしました。

○山田委員 ありがとうございます。今、将来の担い手不足であったり、ゼロエミッション化への対応といった社会的な課題に対して、東京港埠頭株式会社への出資と、そういった手法を用いて、都が主導して進めていこうという趣旨と理解いたしました。
 そういった中で、本年三月に都が実施した出資によって、どのような取組が具体的に進んでいったのかというところを確認していきたいと思います。
 Y3ターミナルのDX、脱炭素化の推進に向け、東京港埠頭株式会社がどのような取組を行っているのか伺います。

○野平港湾経営部長 東京港埠頭株式会社は、都の出資金を活用いたしまして、Y3ターミナルにおけるDXや脱炭素化の取組を着実に進めております。
 具体的には、Y3ターミナルにおける荷役作業を安全かつ効率的に行うため、管理棟などから遠隔操作が可能な最先端のタイヤ式門型クレーン十七基を本年八月に発注いたしました。このクレーンは、電力が動力源でございまして、グリーン電力を活用することで、コンテナターミナルの主要なCO2排出源でございます荷役機械の排出量を大幅に削減することが可能となります。
 また、今後、太陽光発電設備やEV用充電設備の整備に着手するなど、Y3ターミナルの脱炭素化を着実に進めていく予定でございます。

○山田委員 ありがとうございます。Y3において、DXや脱炭素化の取組が着実に進んできているということが確認できました。
 Y3においては、グリーン電力を使って荷役機械の脱炭素化に取り組んでいくということでしたけれども、東京港においては水素を活用した取組も積極的に進めてきているというふうに伺っております。
 我が会派としても、昨年の決算特別委員会の分科会において、東京港における水素を活用した具体的な取組として、荷役機械を燃料電池、いわゆるFCで稼働させるプロジェクトについて質問させていただきました。
 この荷役機械のFC化プロジェクトのその後の取組について確認していきたいと思います。
 まず最初に、荷役機械のFC化プロジェクトの概要について、昨年度の取組と併せて伺います。

○原田港湾振興担当部長 東京港における荷役機械のFC化プロジェクトは、軽油を燃料としているタイヤ式門型クレーンと呼ばれる荷役機械、いわゆるRTGを水素燃料で稼働させる実証事業でございます。
 令和五年五月、大井コンテナふ頭の借受け者やターミナルを運営する港湾運送事業者、荷役機械の製造メーカーなど四社と協定を締結し、荷役機械のディーゼル発電機を水素燃料電池へ換装する作業や、荷役機械に水素を供給する設備をふ頭内に設置するなどの準備を行いました。
 その上で、令和六年十月から本年三月までの約半年間にわたり、日本初となる水素を燃料としたRTGによる荷役作業を実施し、その運用や技術面等から検証を行っているところでございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 今回の取組は、軽油を燃料としているRTGを水素で稼働させ、実際の荷役作業に用いる日本初のプロジェクトだということでして、前例がない中、様々難しいところもあったと思うんですけれども、しっかりと進められてきたのではないかと考えております。
 そこで、現在検証を進めているということですけれども、昨年度実施したFC化プロジェクトの中で今明らかになっている点について伺います。

○原田港湾振興担当部長 今回のプロジェクトにおきましては、水素を燃料としたRTGがディーゼル発電機で稼働するRTGと変わらない操作性、荷役能力であることを確認できました。また、水素の充填に要する時間につきまして、軽油の給油時間と比較して長くなることや、水素供給設備の設置によるコンテナの蔵置スペースの減少に伴い、荷役作業の工夫が必要なことが確認できました。
 現在、具体的なCO2の削減効果などにつきまして、検証を行っているところでございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 水素を燃料としたRTGが、従来型のRTGと同等の荷役作業が可能であるということが確認できたということは、今後の脱炭素化の取組の強化に向けて大きな一歩であるというふうに考えています。
 今お話、ご答弁ありましたとおり、課題も明らかとなりましたけれども、それ自体も一つ有意義な成果だというふうに受け止めております。
 また、こういった取組を関係者間で共有していくということもまた重要だと考えております。東京港が、カーボンニュートラルポート、これを実現していくためには、東京港で使用するエネルギー、これを化石燃料から、再生可能エネルギーであったり、あとは水素エネルギーにしっかりと転換していくという動きが必要不可欠であります。
 都は、水素を活用した荷役機械の普及拡大に向けて、今回の取組の成果をしっかりと踏まえていただきながら、いろんなところにアピールしていただきまして、前へ進めていただくことを求めまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、東京港の物流の効率化に向けた取組について伺いたいと思います。
 近年の我が国の物流ですけれども、トラックの輸送力不足によって物流が滞ることが危惧される、いわゆる物流の二〇二四年問題というのが発生しており、その持続可能性が問われております。
 国際海上コンテナ輸送においても、貨物を港から荷主に届ける際にはトラック輸送に依存しておりますので、こうした問題の影響を受けかねない状況であるというふうに認識しております。
 全国のコンテナ取扱量の約四分の一、そして東日本の約六割を占めている東京港にとって、その機能維持は都民生活と産業活動に直結する非常に大きな喫緊の課題であるというふうに受け止めております。
 そうした中、都はこれまでコンテナターミナル周辺の混雑を解消するため、新規ふ頭の整備であったり、既存ふ頭の再編といったハード対策に加えまして、港湾物流の効率化を目的としたソフト対策にも積極的に取り組んできました。
 そういった中で、今回は、即効性のあるソフト面の対策に焦点を当てまして、昨年度の取組状況などを伺っていきたいと思います。
 まず初めに、コンテナターミナル周辺の交通混雑の原因を、都はどのように認識しているのか伺います。

○野平港湾経営部長 東京港のコンテナターミナルにおける混雑の要因の一つは、トラックの来場時間が特定の時間帯に集中することであると認識しております。
 具体的には、荷主からの要請によりターミナルから引き取ったコンテナを朝一番に納品するという慣習化された配送サイクルが多く見られるため、納品前日の夕方にトラックがターミナルへ集中する傾向がございます。このため、都は、トラックの来場時間を平準化するため、これまでコンテナターミナルのゲートオープン時間を一時間前倒しする早朝ゲートオープンや、コンテナ搬出入の予約制など、様々な取組を行っております。

○山田委員 ありがとうございます。コンテナターミナル周辺のトラックの混雑というのは、荷主の配送サイクルであったり、納品時間の指定だったりだと、そういったサプライチェーン全体に内在する課題であるということが今のご答弁で確認できました。
 この状況を根本的に改善するためには、荷主の企業であったり、トラック事業者など、物流に関わる関係者がやっぱり一致協力して取り組んでいくことが必要でありまして、その実現には、幅広い物流関係者との間で正確な情報をまず共有していくことが重要と考えます。
 都は、こうした課題に対応するため、混雑状況の見える化に取り組んでいるというふうに聞いております。
 そこで、混雑状況の見える化に関する令和六年度の取組状況について伺います。

○野平港湾経営部長 都は、令和三年七月からGPS端末を搭載したトラックの位置情報を活用し、ターミナルに入場するまでの平均待機時間やターミナルの滞在時間を、リアルタイムで公表しております。
 令和六年度におきましては、従来のリアルタイムの待機時間に加え、過去のトラックの待機時間のデータを集計、分析いたしまして、ターミナルごとに時間帯別や月別、曜日別などの混雑傾向を分かりやすく発信する取組を開始いたしました。

○山田委員 ありがとうございます。ご答弁、今いただいたように、混雑情報の発信の取組というのが進展してきているということが確認できまして、まあ重要な取組だと思います。
 ただ、長年の慣行であったり、取引上の制約であったり、そういったものを乗り越えて物流サイクルを再構築していくというのは、やはり簡単ではない大きなハードルが高い課題、取組だというふうに思っております。
 そういった中で、荷主の企業と、あとは物流事業者、こういったところが連携していって、新しい物流サイクルというのを試行していく、そしてその具体的な効果であったり、成功体験を共有していくということは一つ有効な取組だというふうに考えております。
 都は、こうした観点から、令和六年度にオフピーク搬出入のモデル事業を実施したというふうに聞いておりますけれども、その具体的な取組内容について伺います。

○原田港湾振興担当部長 都は、昨年度公募で選定された荷主企業と物流企業、計十社で構成されるグループと連携し、オフピーク搬出入モデル事業を実施いたしました。
 本事業では、コンテナターミナルが比較的すいている午前中の時間帯に、ターミナルと東京港内のコンテナ中継輸送拠点、いわゆるデポとの間を集中的に輸送して、コンテナ貨物をデポにストックしておき、道路がすいている夜間にデポと荷主の拠点との間で輸送を行いました。その結果、同時期の午後の搬出入では待ち時間が平均四十三分であったのに対し、モデル事業における午前の搬出入では平均七分に短縮されました。また、一人のドライバーが一日に輸送できるコンテナの本数も、従来は二本であったところ、モデル事業では三本に増加したケースがあるなど、輸送効率の向上に一定の効果があることが確認できました。

○山田委員 ありがとうございます。
 令和六年度のオフピーク搬出入モデル事業については、十日間という短期間で実施されたものというふうに伺っております。
 ただ、今ご答弁いただきましたように、午前中だったり夜間だったりといった混雑の少ない時間帯を活用することで、トラックの待機時間の短縮であったり、輸送効率の向上、これが具体的な数値で示されたというのは、非常に意義深いものだというふうに今受け止めております。
 今回の、今の取組は十社で実施したというふうに聞いておりますけれども、より多くの荷主企業であったり、物流事業者の方々が、今のオフピーク搬出入に取り組んでいけるようにしていくことが重要であるというふうに考えております。
 そこで、オフピーク搬出入の拡大に向けた課題について伺います。

○原田港湾振興担当部長 モデル事業を通じまして、コンテナをデポに仮置きしている間は、コンテナ輸送荷台、いわゆるシャシーをほかの輸送に利用できないことや、中小のトラック事業者にとって、コンテナターミナルとデポとの輸送を担うドライバーの確保が困難であることが明らかになりました。
 このため、トラック事業者が共同で利用できるシャシーの確保やコンテナターミナルとデポとの輸送力の確保について検討が必要と認識しております。
 引き続き、都は、荷主企業をはじめとする関係者と連携しながら、オフピーク搬出入の普及を推進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 都が、本当に物流の二〇二四年問題という非常に難しい喫緊の課題に対して、デジタル技術であったり、デジタル技術を活用した混雑状況の見える化であったり、あとは荷主と連携したオフピーク搬出入といった様々な新しいアプローチ、これを様々取り組んでいって着実に今成果を上げてきているということは、私としても大変高く評価したいと思っております。
 他方で、今後はこれまでのこういった取組で得られた貴重な知見を生かして、官民連携というのを一層深めていくことで、東京港の物流システム、これをより強靱で効率的なものへと強化させていくことが求められます。
 今、こういった喫緊の課題であるターミナル周辺の混雑解消に向けて、都が強力なリーダーシップを発揮して、今確認させていただいたソフト対策に加えまして、中長期で取り組んでいくハード対策、これも併せて両輪で進めていくということを強く求めまして、別のテーマに移らせていただきたいと思います。
 では、最後のテーマになりますけれども、無電柱化の取組について伺いたいと思います。
 東京港及び島しょ港湾における無電柱化の取組について確認させていただきます。
 今年は日本全体で記録的な猛暑を記録するなど、気候変動の影響と見られる気象状況が頻発しております。今回、島しょ地域を直撃した台風二十二号と二十三号は、猛暑によって日本近海の海水面の温度が高い状況が続いたと、そういったことなどから急速に発達し、八丈島と青ヶ島に記録的な大雨と猛烈な風をもたらしました。
 特に八丈島においては、土砂崩れや強風による倒木などによって電柱の倒壊が発生し、道路の閉塞や停電が生じたことで、今もなお、島民の皆様の生活に大きな支障が生じております。
 今回の被災によって、島民の皆様の生活と産業を支えていく港湾施設や空港というものは、被災時の緊急物資を受け入れる施設としても極めて重要であることを改めて認識するとともに、無電柱化、これを一層推進していくことも必要というふうに再認識いたしました。
 そこで、島しょ地域の港湾や空港における無電柱化について、令和六年度の取組を伺います。

○原田離島港湾部長 都は、令和四年一月に東京都島しょ地域無電柱化整備計画を策定し、定期貨客船が発着する十八の港と五つの空港の無電柱化を進めることとしております。このうち、各島の主要な十二港と全ての空港については、二〇三〇年度までに完了させることを目標としております。
 計画策定後三年目となる令和六年度は、新島港で無電柱化が完了し、また、新たに新島の若郷漁港の無電柱化工事に着手いたしました。さらに、大島空港において、令和五年度に引き続き無電柱化工事を実施いたしました。これにより、二港で無電柱化が完了いたしました。また、五つの港と三つの空港で設計工事を進めております。
 今後とも、災害に強い島しょ地域の実現に向けて、地元自治体や関係機関等とも連携し、港や空港の無電柱化を着実に推進してまいります。

○山田委員 ありがとうございます。無電柱化工事、着実に進められているということを今確認できましたけれども、引き続き台風などの激甚化している自然災害から島の生活や産業を守るための無電柱化、改めて積極的に推進していただきますよう要望いたします。
 最後に、東京港における無電柱化の取組についても伺いたいと思います。
 首都圏の経済活動の基盤である東京港においても、無電柱化の取組を進めて大規模な地震や台風に対する備えを万全としていくことが重要だと考えます。
 そこで、東京港における無電柱化について、令和六年度の取組を伺います。

○佐藤港湾整備部長 東京港では、東京港無電柱化整備計画に基づきまして、二〇四〇年度までに全ての臨港道路等の無電柱化を完了させることとしてございます。そのうち特に防災上重要な緊急輸送道路約四十四キロメートルにつきましては、二〇三五年度までの完成を目指しております。
 令和六年度は、無電柱化に向けました電線共同溝の整備といたしまして、青海縦貫線、城南島など三・六キロメートルを完了させるとともに、また、新たに辰巳二一号線や大井縦貫線など二・九キロメートルの工事に着手いたしました。これにより、緊急輸送道路におきましては、合計三十・三キロメートルが完了したことになり、その整備率は六〇%から六九%へと向上いたしました。

○山田委員 ありがとうございます。今ご答弁いただいたとおり、東京港においても無電柱化の取組、これは着実に進んできているということが確認できました。
 都として、引き続き災害時の重要インフラである港湾施設や空港の無電柱化、これをしっかりと進めていただいて、災害に強い東京、これを実現していただくということを改めて強く要望させていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十分休憩
   午後五時三十五分開議

○鈴木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○ゆもと委員 東京港における物流機能の強化と強靱な港づくりの取組についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず、首都圏四千万人の生活と産業を支えているのが東京港であります。この東京港の機能の強化について伺ってまいります。
 東京港は、国内の外貿コンテナ貨物の約四分の一を取り扱っており、我が国の経済成長を牽引し、国民生活を支える社会インフラとしての重要な役割を担っております。コンテナ取扱貨物量は増加傾向にあり、東京港においては施設能力を上回るコンテナ貨物を取り扱う状況が続いているとともに、世界的にはコンテナ船の大型化も進んでいると伺っております。
 これらに的確に対応するには東京港の抜本的な施設能力の強化が必須であり、我が会派はこれまでも国と連携して整備を進めている中央防波堤外側のコンテナふ頭Y3の早期完成を繰り返し求めてまいりました。
 そこで、改めて、私の地元でもある大田区令和島にあるY3の整備の意義について確認をさせてください。

○佐藤港湾整備部長 東京港が日本経済を支える重要な物流拠点としての役割を果たし続けていくためには、貨物量の増加や船舶の大型化に的確に対応していく必要がございます。
 Y3の整備によりまして、東京港の年間コンテナ取扱量の一割程度に相当する約四十五万TEUの施設能力の向上が見込まれます。また、水深十六メートルの岸壁を備え、今後、就航が見込まれます一万四千TEU級の大型コンテナ船にも対応が可能となります。
 加えて、令和十年度からの大井ふ頭の再編整備を確実に進めていくためにも、その仮移転先となるY3の完成は必要不可欠でございます。

○ゆもと委員 東京港の抜本的な機能強化を図る上で新たなふ頭を整備することは大変重要であります。これは東京の国際競争力の強化にも関わる重要な話であるというふうに思います。
 さらに、主力ふ頭である今後は大井ふ頭の再編整備を進めるためにも、都は国等と緊密に連携をして、このY3の整備を着実に進めていかないと、この大井ふ頭の再編、ここにもスケジュール的な影響等々が出てくることが懸念をされます。
 そこで、令和六年度におけるY3の整備の取組状況、これについてお伺いをいたします。

○佐藤港湾整備部長 Y3の整備につきましては、令和六年度末時点におきまして、地盤改良は約九割、しゅんせつは約七割まで着手済みでございます。
 また、岸壁本体となるジャケットは、全二十五基中、新たに十基の製作据付け工事が契約となり、合計十四基が発注済みとなりました。さらに、昨年九月には、ガントリークレーン三基の製作工事が契約されたところでございます。引き続き、国と連携してY3の整備を着実に進めてまいります。

○ゆもと委員 各種工事が順調に進んで進捗していること、それが今のご答弁の中で確認ができました。東京都においても、引き続き国との強力な連携の下、完成に向け全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、東京港の整備について、防災の観点から確認をさせていただきます。
 昨年一月に発生をした能登半島地震では、道路網が広範囲に被災をいたしました。陸路による支援が難航する中、能登半島で唯一の耐震強化岸壁を有する七尾港には、早期に船舶が着岸をし、その後の支援活動において重要な役割を果たしたと伺っております。
 東京港は、首都圏の経済活動の基盤となる重要な港であります。将来予想されている大規模な地震が発生した後にも確実に港湾機能を維持していくこと、これが防災上の観点からも、都民の命を守る上でも求められてくると思います。
 そこで、東京港における耐震強化岸壁の整備状況、ここについてお伺いをいたします。

○佐藤港湾整備部長 都は、首都直下地震などの大規模地震が発生した場合におきましても港湾機能を確実に維持できるよう、岸壁の耐震化に取り組んでおります。
 具体的には、緊急物資の輸送に対応する耐震強化岸壁と、幹線貨物の輸送に対する耐震強化岸壁の二種類に区分いたしまして整備を進めてございます。これまでに緊急物資輸送用の岸壁は十五バース、また、幹線貨物輸送用の岸壁は四バースの整備がそれぞれ完了してございます。

○ゆもと委員 東京港の耐震強化岸壁は合わせて十九バースが確保されているとのことでありますが、大規模地震の発生リスクが高まっている現状を踏まえると、今後も着実かつ計画的に整備を進めていくことが必要であるというふうに思います。
 そこで、令和六年度における耐震強化岸壁の取組状況、これについてお伺いをいたします。

○佐藤港湾整備部長 耐震強化岸壁に関する令和六年度の取組でございますが、緊急物資輸送用岸壁につきましては、フェリーふ頭及び品川内貿ふ頭の各一バースにおきまして、岸壁背後の地盤改良工事等を実施いたしました。
 また、幹線貨物輸送用岸壁につきましては、現在整備を進めているY3におきまして、護岸及び背後地の地盤改良や護岸前面の基礎部分の工事等を行っております。

○ゆもと委員 緊急物資輸送用及び幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁について、それぞれ着実に取組が進められているということが今のご答弁の中で確認ができました。
 耐震強化岸壁の整備には、利用者との調整など多くの困難が伴い、時間も要すると思いますが、先ほどの能登地震の話にもありますように、東京港における防災対策の強化は、都市機能を維持する上で重要な課題であります。
 さらなる強靱化に向けて、引き続きしっかりと計画的に整備を進めてもらうこと、このことを要望させていただきます。
 次のテーマに移ります。島しょ地域の港湾整備についてお伺いをいたします。
 今回の台風二十二号、二十三号では、大きな被害に見舞われた八丈島、青ヶ島において、港湾施設に被害はあったものの、被災直後から、海上自衛隊や海上保安庁の船舶、定期貨客船による支援物資の運搬に支障なく利用できたと聞いております。
 東京の島しょ地域は、冬場には西風等の季節風が非常に強く、波浪条件が非常に厳しいとのことでありますが、こうした中でも、都はこれまで、長期にわたり培ってきた技術を駆使して着実に港湾施設の整備を進めることによって、港内の波浪を小さく抑える努力を積み重ねてきた結果がそこに表れているというふうに思います。
 今回の被災後の復旧活動でも明らかなように、島しょの港湾施設は、島民の方々の生活と産業、そして被災時の物資輸送の拠点となる極めて重要なインフラであります。
 今回は、島しょの港湾の整備の進捗について確認をさせていただきたいと思います。
 そこでまず、伊豆諸島の港湾施設整備の基本的な考え方、ここについてお伺いをいたします。

○原田離島港湾部長 伊豆諸島は、我が国の中でも厳しい気象、海象条件の下にあり、島民の生活と産業を守っていくために、船舶の就航率向上を目指し、港湾施設の整備を進めております。
 整備に当たっては、風向きや波の大きさ、地形など、各島の特性に応じて港湾施設を整備する必要があります。特に港が位置する方角などにより、波浪の影響が異なることから、気象、海象状況によって使用する港や岸壁を使い分けることができるように整備を進めてまいりました。
 大島、八丈島、三宅島などの比較的大きな島では、一つの島の異なる場所に二つの港を整備し、風向きや波の大きさに応じて港を選ぶ一島二港方式により、岸壁の整備を進めております。
 利島、御蔵島など小離島では、その地形の特性などから複数の港を整備することが困難なため、一つの港に二つの岸壁から成る突堤を整備し、風向きによって使用する突堤を選ぶ一港二突堤方式で整備を進めております。

○ゆもと委員 今、答弁の中にもありましたが、厳しい気象条件の中で海象状況は避けられない、そういう条件の中で、島の特性などに応じて、二種類の方式を使い分けて整備を進めていること、これは非常に合理的な対応だと思います。
 そういう対応を繰り返していく中で、伊豆諸島における船舶の就航率、これはどのような状況にあるのか、この点についてお伺いをいたします。

○原田離島港湾部長 就航率について、一島二港方式を採用している比較的大きな島では、貨客船の過去五年間の平均は、大島、三宅島などでは九五%を超えており、新島、八丈島などでは約九〇%となっております。
 一港二突堤方式を採用している小離島では、二つ目の突堤が既に完成している利島は八〇%を超えており、現在整備中の御蔵島と青ヶ島は六〇%弱となっております。

○ゆもと委員 大島や新島などの就航率は九割を超えている、その一方で、御蔵島など小離島では六割程度ということが今の答弁の中で確認をできました。
 島民の生活、産業を守っていくには、就航率を少しでも上げられるように整備を継続的に行っていく必要があるというふうに考えます。
 また、冒頭でも申し上げましたとおり、島しょ部は特に冬場に気象条件が悪化して、工事を進めることが難しいというふうに伺っております。
 そこで、就航率を高めるための港湾施設の整備内容と、厳しい気象条件の下でどのような工夫を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。

○原田離島港湾部長 各島の港湾施設では、船舶の就航率の向上を図るため、船舶が着岸する岸壁に加え、港内の静穏度を高める防波堤の整備を行っております。
 また、整備を効果的に進めるため、気象、海象条件が悪い現地での工程を短縮することができるケーソン工法を主に採用しております。具体的には、東京港内で製作した鉄筋コンクリート製の箱型構造物であるケーソンを曳航し、現地に据え付けるという方法を取っております。

○ゆもと委員 気象や海象条件が悪い現地での工程を短縮するために、工夫しながら、岸壁や防波堤等の整備を進めているということでありました。
 それでは、大島など比較的大きな島における整備について、令和六年度の取組、これについてお伺いをいたします。

○原田離島港湾部長 大島の元町港では、整備延長三百七十メートルの防波堤のうち、ケーソン一函目、三十一メートルを東京港内で製作し、本年九月に据付けを行いました。
 新島港では、整備延長二百三十メートルの防波堤のうち、ケーソン一函目、二十二メートルの基礎工事を行い、本年六月に据付けを行いました。
 また、新島の羽伏漁港では、整備延長百五十メートルの岸壁のうち、三十メートルの工事を行い、百二十メートルまで完成いたしました。
 三宅島の三池港では、整備延長三百メートルの防波堤のうち、最終十函目のケーソン二十一メートルの基礎工事を行いました。
 八丈島の神湊港では、整備延長百メートルの防波堤のうち、最終五函目のケーソン二十一メートルを東京港内で製作いたしました。

○ゆもと委員 大島、新島などの港において、防波堤等の整備が着実に進んでいること、これが今、確認ができました。
 先ほどの質問でも、大きい島と比較的小さい島、特に港が二つ設置ができる島とできない島で対応の仕方が違うという答弁がございました。その就航率も六割程度にとどまっている小離島における整備、これについて令和六年度の取組状況、これについてお伺いをいたします。

○原田離島港湾部長 利島港では、東側岸壁の沖側で防波堤百五メートルの整備を進めており、ケーソン四函目のうち、三函目の基礎部分の工事を行い、本年七月に据付けを行いました。
 御蔵島では、二突堤目となる延長百五十メートルの岸壁の整備を進めており、ケーソン六函のうち、二函目の据付けを行いました。
 青ヶ島港では、ほかの港よりも海象条件が厳しく、工事のできる日が限られるため、短期間で分割して施工することのできる鋼枠工法を採用し、防波堤三十メートルの整備を進めており、最初の十メートルの整備が完了いたしました。
 今後とも岸壁や防波堤などの整備を着実に進め、船舶のさらなる就航率の向上を図ってまいります。

○ゆもと委員 小離島においても防波堤等の整備が着実に進んでいることが確認ができました。
 気象状況厳しいとか、いろいろあると思うんですが、整備が進めば進むほど、より安全な環境が整っていくということになろうかと思います。着実に、毎年少しずつではあるけれども、進捗を出していくことが大事なので、鋭意引き続きご努力を続けていただきますことを改めてお願いを申し上げます。
 近年は気候変動の影響などにもより、気象、海象条件が厳しい状況が増えていると伺っております。こうした環境ではありますが、今後も就航率の向上に向けて迅速に整備を進めていただくことを改めて要望し、次の質問に移らせていただきます。
 東京港におけるヒアリ対策についてお伺いをいたします。
 ヒアリは攻撃性が強く、刺されると、体質によってはアナフィラキシー症状を起こす可能性があるなど危険な生物であります。昨年、私の地元大田区令和島の中央防波堤外側コンテナふ頭でも発見をされております。
 国内で発見された事例は、海外から輸入されたコンテナの内部や、その付近で確認をされているケースが多いと聞いております。
 国内のヒアリが侵入し、定着をすることを防ぐには、海外から多くのコンテナが輸入される東京港での取組が極めて重要でありますが、令和六年度の東京港におけるヒアリ対策についてお伺いをいたします。

○野平港湾経営部長 ヒアリを国内で定着させないためには早期発見と早期駆除が重要であると認識しております。
 このため、都は環境省と連携し、定期的にモニタリング調査を実施するとともに、港湾関係事業者がコンテナふ頭の現場でヒアリを発見した際に直ちに関係者へ共有される体制を構築しております。
 令和六年度におきましては、東京港内でヒアリが五月から十月にかけて九件発見されておりますが、環境省が直ちに駆除を行うとともに、侵入経路の調査を実施いたしました。
 あわせて、都は、地元区、国、港湾関係事業団体等から構成される東京港におけるヒアリ等対策連絡会を通じまして、関係者に対して迅速に情報提供を行うとともに、SNS等を活用して、広く都民に対し速やかに注意喚起を実施いたしました。
 こうした取組によりまして、環境省はヒアリの定着が阻止できているとの見解を示しております。

○ゆもと委員 きちんと措置ができているというご答弁でありました。
 引き続き、安心・安全の確保のためにも、資料要求された資料の中にも、百体ぐらい発見されたものから数体、ここまで細かく発見した個体数の確認をして、駆除しているということだと思いますが、引き続きの安心・安全の取組を重ねていっていただきたいと思います。
 国や港湾関係事業者と連携し、早期発見と早期駆除、都民への情報提供、これを引き続き、これをしっかりと行っているということが答弁の中でも確認ができました。
 引き続き、国や港湾関係事業者と連携した取組による確実なヒアリ侵入阻止をお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○大竹委員 よろしくお願いいたします。
 まず、島しょ地域における防災力向上についてお伺いいたします。
 今月、伊豆諸島を襲った台風二十二号、二十三号により、八丈島で多数の被害が発生したことを受け、十六日には、都議会公明党は特に被害が甚大な八丈島を視察、調査をいたしました。町長や関係機関から被害の概要について聴取するなど行わせていただきました。
 港湾施設につきましては、神湊港で防波堤がずれるなどの被害が確認されていると聞いておりますが、港を利用した緊急物資の運搬には支障がなかったとのことであります。ご尽力いただきました関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。
 こうしたことから、島しょ地域においては、大量の緊急物資を輸送できる大型船舶が確実に着岸できる港湾を確保することが大変重要であると考えます。災害発生時においても供用可能な港湾の整備について確認をさせていただきます。
 初めに、伊豆・小笠原諸島において、災害発生時の船舶による緊急輸送機能の確保について、基本的な考え方をお伺いいたします。

○原田離島港湾部長 都では、災害発生時においても大型船舶などが着岸可能な緊急輸送用岸壁の整備を進めております。
 この緊急輸送用岸壁は、想定される最大級の地震や津波に耐え得る強度を有するとともに、緊急物資等の受入れや仕分、保管等に必要なオープンスペースを確保することを条件としており、各島に原則一岸壁確保することとしております。
 八丈島につきましては、神湊港に加え、青ヶ島に就航する船舶が着岸する八重根漁港も対象としており、合計十一島、十二岸壁を緊急輸送用岸壁に選定しております。

○大竹委員 伊豆・小笠原諸島において、各島に原則一岸壁確保する方針を定め、整備に取り組んでいることが確認できました。
 では、緊急輸送用岸壁の整備について、令和六年度の取組状況をお伺いいたします。

○原田離島港湾部長 緊急輸送用岸壁として選定した十二岸壁のうち、八岸壁は必要とする強度及びオープンスペースを既に確保しております。
 令和六年度は、残る四岸壁のうち、式根島の野伏漁港、三宅島の阿古漁港、八丈島の八重根漁港の三岸壁で施設改良等を実施いたしました。
 具体的には、野伏漁港で既設岸壁背後にあり、波の浸入を防ぐための構造物である胸壁のコンクリート補強を実施し、対策が完了いたしました。
 阿古漁港では、輸送用の大型車両が岸壁上で転回できるスペースを確保するため、鋼枠構造による拡幅工事を実施し、計画延長百五十メートルのうち百十五メートルが完了いたしました。
 八重根漁港では、想定される最大級の津波にも耐え得る強度を確保するため、関連する護岸工事を残し、岸壁の補強工事が完了いたしました。

○大竹委員 昨年度は、野伏漁港の施設改良が完了したとのことであり、緊急輸送用岸壁は現在九岸壁を確保できているとのことであります。
 四方を海に囲まれた島しょ地域における港湾、漁港は、平時の住民生活や産業活動の拠点であるばかりでなく、今回の台風のように災害発生時には、重要な役割を果たします。
 引き続き緊急輸送用岸壁の整備を着実に進め、島しょ地域の防災力向上にしっかりと取り組んでいただけるよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、東京港における海岸保全施設の機能強化について伺います。
 我が党は、都民の生命と財産を守るため、防潮堤や内部護岸と呼ばれる運河沿いの護岸、水門などの耐震対策を積極的に進めるよう繰り返し要望してきたところであります。
 近年では、自然災害が都民の暮らしに大きな影響を及ぼすことが増えており、この夏も台風の影響により、全国各地で浸水被害が発生したほか、九月には、都内でも記録的な豪雨に伴い品川区の立会川が氾濫するなど、浸水被害の脅威が顕在化いたしました。
 また、六月には、カムチャツカ半島沖の地震において、都内区部にも津波注意報が発令され、都民の暮らしに影響を及ぼしました。
 都はこれまで、防潮堤や水門などの海岸保全施設を計画的に整備しており、津波や台風に伴う高潮への備えが進められてきたと聞いております。
 しかし、万が一、大規模な地震によって防潮堤が損壊をし、復旧前に強力な台風が襲来するような状況となれば、高潮による被害は極めて甚大になることが懸念されます。
 そこでまず、防潮堤や内部護岸の耐震対策について、令和六年度の取組と全体の進捗状況をお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 都は、想定される最大級の地震にも耐えられますよう、防潮堤等の海岸保全施設の耐震対策に取り組んでおりまして、地盤改良や護岸の前面に鋼管矢板を設置するなどの工事を進めてございます。
 令和六年度、防潮堤につきましては、江東区東雲二丁目や港区海岸三丁目等におきまして耐震工事を実施いたしました。これによりまして、全延長六十一キロメートルのうち、約五十八キロメートルの耐震対策が完了してございます。
 内部護岸につきましては、中央区の朝潮運河や江東区の東雲北運河におきまして、耐震工事を実施いたしました。これによりまして、全延長約四十八キロメートルのうち、約三十六キロメートルの耐震対策が完了してございます。

○大竹委員 東京の沿岸部を第一線で守る防潮堤や内部護岸の耐震化は非常に重要であり、今後も引き続き取組を進めていただくことを要望いたします。
 東京港には、防潮堤や内部護岸以外にも、水門や水門閉鎖時の運河の水位上昇を抑える排水機場など浸水被害を防ぐ重要な施設があり、これらの耐震対策を進めていくことも重要であります。
 昨年の本分科会においても、我が党のかまた議員から取組状況について質疑を行い、排水機場については耐震対策が完了したことを確認しています。残る一か所の水門工事については、地盤条件も悪く難工事であると聞いているところでもあります。
 そこで、改めて水門の耐震対策について、令和六年度の取組と全体の進捗状況をお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 水門につきましては、全十五か所のうち十四か所の水門の耐震化が完了しておりまして、残る一か所の新砂水門につきましては、隣接する場所に新たな水門の整備を進めているところでございます。
 これまでに軟弱地盤対策を含む仮設工事を完了させておりまして、令和六年度は水門本体の土台となります底盤のコンクリート工事を実施してございます。この工事が完了した後、門扉の製作や据付け工事などを実施いたしまして、新たな水門を完成させる計画でございます。

○大竹委員 新砂水門の本体工事については、引き続きしっかりと進めていただくことを要望いたします。
 続いて、気候変動への対応について確認をいたします。
 我が党は、これまでも気候変動に伴う海面上昇や台風の強大化などを見据えて、海岸保全施設の機能を強化するべきであると主張してきました。
 そのような中、都は、全国に先駆けて、気候変動を考慮した整備計画を策定し、約二十四キロメートルの防潮堤のかさ上げや、二か所の排水機場の機能強化に取り組むとしており、評価をするところです。
 そこで、防潮堤のかさ上げ及び排水機場の機能強化について、令和六年度の取組と全体の進捗状況をお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 防潮堤のかさ上げにつきましては、整備対象の約二十四キロメートルのうち、これまでに約九キロメートルの事業に着手してございます。
 令和六年度は、勝島南運河等におきまして、測量や設計を実施するとともに、ガスミオ運河の一部におきまして、最初の工事に着手いたしました。
 排水機場の機能強化につきましては、芝浦地区におきまして、既存の排水機場に隣接する用地に施設を増設するための設計を進めまして、江東地区におきましては、排水機場を整備するための計画調査を実施いたしました。

○大竹委員 気候変動への対応は喫緊の課題であります。今後も都民の生命や財産、首都東京の中枢機能を守るために、引き続きしっかりと機能強化の取組を進めていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、東京港における藻場創出の取組についてお伺いします。
 アマモやワカメなどの海藻が形成する藻場は、CO2の吸収や多様な生物の生息の場、環境学習の場としての機能を有するものとして、その創出の取組が注目されております。
 一方、東京港においては往来する船舶が多く、また夏場には水温が高くなることから、海藻類の生育環境は厳しく、藻場創出に適した箇所は限定的であると聞いております。
 このような中、都が実施した実証実験では、藻場の生育に適した箇所を選定し、環境を整え、人の手による移植を進めれば、冬場にはアマモやワカメが順調に生育することを、これまでの質疑を通じて確認をしているところであります。
 東京港で藻場の創出が可能であることを踏まえ、我が党は積極的に藻場の創出に取り組むべきであると主張してきました。昨年の事務事業質疑では、藻場の創出に当たっては、環境について考える場を提供する観点から、都民や民間企業等が幅広く参加できる方法で実施するべきであると提案をし、都からは、今後策定する方針への反映を検討するとの答弁がありました。
 そこで、都民や民間企業が幅広く活動に参加できる方法について、その後の対応状況をお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 都では、東京港藻場創出の活動方針を昨年十二月に策定いたしました。この方針では、NPOや民間企業の参画を得て、藻場創出活動を実施するとともに、イベント形式で都民に環境学習の機会を提供し、参加者の環境対策への意識向上につなげることを盛り込んでございます。

○大竹委員 都民や企業向けの学習機会などの創出について確認をいたしました。
 活動方針が策定をされ、都民や民間企業が参加するイベントとして、藻場創出活動が位置づけられたことは重要であると考えます。
 この活動をここ首都東京において進めていくことの発信力は大きく、より多くの都民にこの取組を知ってもらい、関わっていただきたいと考えますが、都民や民間企業が参加するイベントの実施に向け、令和六年度はどのように取り組んだのかお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 都では、活動方針に基づくイベントを実施するに当たりまして、参加者の利便性を考慮して、お台場海浜公園を選定し、アマモの生育に適した水深を確保するための浅場造成工事に着手しております。
 また、次世代を担う子供たちの環境意識の向上につなげるため、近隣の学校等に対しまして藻場創出活動の趣旨や取組内容を説明し、イベントへの参画方法等についての調整を開始しています。
 さらに、藻場創出を通じた社会貢献に関心を持つ民間企業に対しまして、東京港の取組をPRする活動なども実施してございます。

○大竹委員 先ほど述べましたとおり、東京港は藻場にとって厳しい環境ではありますが、ここ東京で活動を実施することの影響力は大変に大きいと考えます。ぜひ多くの参加者を得ながら、この活動を進めていただきたいと要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○清水委員 日本共産党都議団の清水とし子です。
 それでは、調布飛行場の問題についてお伺いします。
 二〇一五年の七月、調布飛行場を離陸した直後に自家用機が住宅地に墜落して、住民の方などが亡くなった墜落事故から十年がたちました。今でも多くの住民の皆さんは、墜落事故の惨劇を鮮明に記憶しておられます。毎日、命の危険を感じながら暮らしておられます。しかし、自家用機の移転はいまだに実現していません。
 まず最初に、調布飛行場の自家用機について移転をさせなければならない、こういう認識を東京都は持っているのか、その点についてお伺いします。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布市など地元三市との協定に基づきまして、調布飛行場の自家用機の分散移転を進めることは重要であると認識してございます。

○清水委員 地元の三市の協定に基づいて、調布飛行場の自家用機の分散移転、これを進めることは重要だ、こういう認識は確認できました。とても重要なことだというふうに思います。
 分散移転のその先として、今、大島空港への移転、これが整備が進められてきたわけですけれども、この自家用機の大島空港への移転について、必要な対応は全て完了したのかどうか、その点についてお伺いします。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 大島空港では、これまでに格納庫及び給油施設の整備が完了してございます。また、令和六年度には、自家用航空機などの整備事業者を公募、決定いたしまして、今年度よりその事業が開始されたところでございます。

○清水委員 分散移転のために大島の空港を整備する、そういうことを進めてきたけれども、移転に必要な対応は全て完了した、こういうことです。
 では、大島空港に移転が完了した、または移転する意向がある自家用機、これは何機ありますか。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 令和六年度におきまして、十七機に情報提供と交渉を行ってございますが、移転もしくは明確な移転の意思、意向を示した自家用機はございませんでした。

○清水委員 自家用機を所有されている方たちは、十年前の事故以降、周辺住民の皆さんが切実にこの移転を求めている、このことは十分承知をされていることだというふうに思いますし、移転のために必要な手だてを取って、東京都も取ってきていること、それが完了したこと、このことも十分承知の上だというふうに思います。
 しかし、それでもなお、昨年度、十七機に情報提供も行う、交渉も行う、しかし移転もしくは明確な移転の意向を示した自家用機はない、本当に深刻な状況ではないでしょうか。
 このままずっとこれを続けていくのかどうか、住民の皆さんにとったら本当に切実な思いで待っているわけです。十年も待っているんですよね。これをこのまま続けるのかどうか、東京都の在り方、本当に問われていると思います。
 大島空港への移転が進まないその理由について、東京都の見解を求めます。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機所有者は、それぞれの事情がございます。一概にその理由をお示しすることは難しいことでございますけれども、令和六年度に交渉した自家用機所有者の中には、大島空港への移動手段の確保等の意見がございました。

○清水委員 様々な理由があるんだと。その一つとして、大島空港への移動手段の確保、こういうお話が、声があったということなんですけれども、これは大島に整備をする前に分かっていることでもありますよね。これが主な理由だとしたら、何で大島に整備をするために時間をかけ、お金をかけてきたのか、それも問われることになるのではないでしょうか。
 調布飛行場の自家用機の移転について、昨年度の決算特別委員会の第三分科会で、日本共産党都議団のとや都議の質問に対して、都は、一部の飛行場において常駐機の受入れの可能性があることを確認しておりますと答弁しています。
 この件について、その後の進捗状況についてお伺いします。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 令和六年度におきましては、十か所の空港等の管理者にヒアリングを実施いたしました。そのうち、受入れ可能な空港一か所につきまして、自家用機所有者に情報提供したところでございます。

○清水委員 大島が駄目ということで、ほかの空港で受入先はないのかというふうに検討を進めて、それで十か所の空港などの管理者にヒアリングを実施していただいたと。受入れ可能な空港が一つあったということです。
 この情報を、自家用機の所有者に情報提供をしたということですけれども、調布飛行場の自家用機移転、これについて、それでもなおかつ明確な移転の意思を、意向を示した方はいないということの先ほどの答弁でしたよね。
 それじゃ、どうするのかというのが、本当に手詰まりの状態ではないかというふうに思います。かといって、住民の方々からしたら、毎日、自分たちの住宅の上を飛行機が飛んでいくわけですよね。そのたびに恐ろしい思いをしているんです。これをいつまでも続けろというふうにいえるのかどうか、住民の立場で、本当にできることはないのかどうか、ぜひ東京都に本気で取り組んでいただきたい。本気で取り組んで、こうなのかもしれないけれども、それでもやっぱり何とかしてほしいという住民の皆さんの願いに応えていただきたいんです。
 そのために必要なことは、これから何かといったときに、やっぱり島が駄目だったら、近県の空港で受入れ可能なところもあるということであれば、そこに移っていただくことを本気で進めていくということが必要だというふうに思います。
 そのために、ぜひ提案したいと思うのは、この調布の飛行場はもともと国の飛行場でしたよね。これを移転するというふうな話で、動いている最中に、東京都に移管をされて、宿題ごと東京都に持たされたわけです。
 だったら、国にもきちんと広域的な観点で力を発揮していただくために、国にも同じ交渉のテーブルに着いてもらう、このこと必要ではないかと思うんです。調布飛行場の自家用機の移転、国と連携して、近県の飛行場への移転の可能性、追求していくべき、こう考えますが、いかがでしょうか。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場の自家用機の分散移転を進めることは重要でございます。令和六年度の国への提案要求の機会を通じまして、関東圏における自家用小型機専用の飛行場の整備に向けた調査検討を国に要求してございます。

○清水委員 自家用機の大島空港への移転については、必要な対応は全て完了した、情報提供、交渉を行っても、明確な移転の意向を示した自家用機はない、こういう大変厳しい状況になっています。
 分散移転を実現するというのは、これまでの延長線で取り組んでいっても、なかなか難しい、率直にいってそういう状況にあるというふうに思います。近県の飛行場との協議、これは何とか最後の希望の光だというふうに思うんですね。一応空いているところはあるらしいということですので、そこに移っていただくというのは、大島がどうしても駄目な場合の残された道だというふうに思うんです。
 そういうときに、なかなか東京都と直接交渉して、また自家用機を所有している人と交渉してもうまくいかない。そのときに、じゃあどうするかといったときに、やっぱり国の出番だというふうに思いますが、このことについて提案要求の機会を通じて、国にいっているということなんですよね。つまりあれこれの要求を並べた紙の中に一つ入っている。これでは、なかなか国は東京都の願いに応えようとしないと思うんです。
 やっぱりこれ単独で交渉に行く。何としてでもやっぱり国に交渉のテーブルに着いてもらう、これが本当に必要なことではないか、事態を動かすときにどうしても必要ではないかというふうに思います。
 周辺住民の命がかかった問題です。解決に向けて、さらなる努力を重ねてお願いをいたしまして、この質問は終わります。
 次に、東京港クルーズ船のふ頭への軍用艦の寄港問題についてお伺いします。
 初めに、基本的なことをお伺いします。昨年度、東京都に軍用艦が寄港した数、ふ頭、停泊目的、軍用艦の種類についてお伺いします。

○原田港湾振興担当部長 昨年度、東京港に入港した軍用艦は、トルコから一隻、ドイツから二隻、イタリアから一隻の計四隻であり、いずれも東京国際クルーズふ頭に入港いたしました。なお、停泊目的は国際親善であると認識しております。

○清水委員 今ご答弁いただいたように、昨年度だけでも四隻の軍用艦が東京国際クルーズふ頭に寄港しています。さらに、軍用艦の寄港目的は、いずれも国際親善であるとの認識が示されました。
 軍用艦を東京港に寄港させることは国際親善になるとして許可した、こうおっしゃいましたけれども、軍用艦を寄港させることで、都民や都の港湾行政にどのような貢献、利益があると理解をされているのですか、都民に分かるように具体的にお示しいただければと思います。

○原田港湾振興担当部長 昨年度、東京国際クルーズふ頭に軍用艦が寄港した際には、都民向けの船内見学会や当該国を紹介するイベント、政府や企業の要人等を招いたレセプションなどが行われております。寄港目的は国際親善であると認識しております。

○清水委員 寄港目的は国際親善だというふうなことでした。
 東京都港湾管理条例は、東京港を経済活動や都民生活を支えるための公共インフラとして適切に管理運営することにあります。この条例の目的は、都民生活の安定と向上に資する経済的な利活用や災害時等の市民生活の安全確保です。
 都は軍用艦の寄港を国際親善と答弁されましたけれども、この行為は都の港湾行政の根幹にある都民生活の向上という目的とは根本的に相入れないものです。
 それで、お伺いしますけれども、都民の財産である港湾施設を、本来の目的外である軍事、戦略的な活動に利用させることは、港湾管理の原則から逸脱していると考えますが、いかがですか。

○原田港湾振興担当部長 国を通じた東京国際クルーズふ頭への軍用艦の係留要請につきましては、あくまでも入港予定日に空きがあり、前後に予定されているクルーズ客船の入出港の妨げのない場合において、軍用艦を保有する国等から係留施設の使用許可申請を受け、東京港管理事務所において使用許可をしているところでございます。国際親善の目的で停泊しているものと認識しております。

○清水委員 お聞きしたかったのは、軍用艦、この寄港を国際親善としていますけれども、軍用艦を東京港に寄港させるということそのものが港湾管理行政と相入れないのではないか、都民の生活の向上という目的とは相入れないのではないか、こういう質問なんですけれども、再度答弁をいただいてもいいですか。

○原田港湾振興担当部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、昨年度、クルーズふ頭に入港した軍用艦におきましては、都民向けの船内見学会等のイベントが開催されております。我々としては、寄港目的は国際親善であると認識しております。

○清水委員 代表質問でも指摘をいたしましたけれども、直近では、今年の八月にイギリス海軍の最新鋭空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が東京国際クルーズふ頭に寄港しました。
 この艦は、英国最大の軍艦の一つであって、最新鋭ステルス戦闘機F35Bを運用可能とする能力を持っています。その任務は、世界各地で軍事作戦を行うことにあります。
 このような最新鋭の軍事能力を持つ空母が東京国際クルーズふ頭という民間船舶の施設に停泊することを許可すること自体が極めて重大な問題です。そもそも軍用艦を寄港させることは国際親善なのか、それは誰の判断なのかもよく分かりません。
 例えば英国空母「プリンス・オブ・ウェールズ」の東京国際クルーズふ頭への寄港は、当時の中谷防衛大臣は、寄港した当日のセレモニーで、このたびの寄港は日英、日ノルウェーの安全保障、防衛協力をさらに発展のためと公言しています。つまり軍事安全保障上の目的を主眼としている、このことは明白です。
 都が認識する国際親善は形式的にすぎず、その実態が防衛協力の強化という戦略的、軍事的活動であることを国自身が公に認めているということです。国際親善の名の下で、事実上の防衛力強化のための軍用艦の寄港を容認することは、都民の公共の港を軍事的な利用に開放することであり、断じて許されないと厳しく指摘をしておきます。
 次に、具体的にどのように……(原田港湾振興担当部長発言を求む)すみません、ちょっとお待ちください。次に、具体的にどのような手続で許可されていくのかについて質問をしていきたいと思います。
 東京港に軍用艦が寄港する場合の係留施設使用許可申請の手続の流れについてお伺いしたいと思います。

○原田港湾振興担当部長 まず、先ほどのご意見に関しましてでございますけれども、東京国際クルーズふ頭では、これまでもクルーズ客船の支障のない範囲で、様々な船舶の受入れを行っております。軍用艦の寄港につきましても、法令に基づいて適切に対応しているところでございます。
 ただいまのご質問に関してでございますが、国を通じた東京国際クルーズふ頭への軍用艦の係留要請につきましては、入港予定日に空きがあり、前後に予定されているクルーズ客船の入出港の妨げのない場合におきまして、軍用艦の保有する国等から係留施設使用許可申請を受けまして、東京港管理事務所において使用許可を行っているところでございます。

○清水委員 国際親善というふうな形式的な目的を掲げれば軍用艦でもいいと。しかもですね、最初の答弁では、軍用艦が国際親善に来たときには、様々なイベントをやったりとか、見学会をやったり、このようなことだからいいんだというふうなこともおっしゃいましたけれども、実際はそうではないと。
 例えば八月に来た「プリンス・オブ・ウェールズ」、これでは当時の中谷元防衛大臣が、実際には日英、日ノルウェーの安全保障、防衛協力、これをさらに発展させるためなんだと国自らがそういうふうにいってるわけですよね。だから、それを抜きにして国際親善だっていうのはやっぱり成り立たないというふうに思うんです。
 今、係留施設の使用許可申請の手続の流れについてご説明をいただきました。入港する予定日に、クルーズふ頭が空いていて、しかもその前後に予定されているクルーズ船の客船の入出港の妨げにならない、そういう場合に申請があれば、軍用艦でもオーケーですよというふうな形になっているということでした。
 要するに軍用艦の寄港というのは、そういうふうな形で、空いていればいいですよという形だと。都民の財産である港湾施設を利用させるかどうかの判断が、単に場所が空いているかどうか、こういう点、まるでコインパーキングのようですね、そういう機械的な対応をしている、こういうことは本当に驚きだというふうに思います。
 東京港の管理条例は、船舶の入港により、都民の生命、身体または財産その他都民生活の安全が害されるおそれが強く、これを防止するためにほかに適当な手段がないと認められる場合は、港湾を利用させないことができる、こう定めています。
 最新鋭の空母など軍用艦の寄港は、その目的が軍事的、戦略的な活動の一環であって、国際関係の緊張を高める高度な政治的安全保障上の要素を必ず含んでいます。単にクルーズ船の邪魔にならないから、空きがあるから、こういう理由だけで許可をするということは、港湾管理者としての都民の平和と安全に関する責任を形骸化させているといわざるを得ません。
 次に、東京国際クルーズふ頭における一般船舶の係留施設の使用料、軍用艦の係留施設の使用料についてお伺いします。

○原田港湾振興担当部長 東京国際クルーズふ頭に停泊する外国籍のクルーズ客船につきましては、寄港促進を目的としまして、東京都港湾管理条例等に基づき、係留施設使用料を減免しております。また、国際親善など公益上の必要があると認められる場合は、軍用艦も含め寄港する全ての船舶に対して、同条例等に基づき、係留施設使用料を減免いたしております。

○清水委員 軍用艦の係留施設使用料は、国際親善などを目的として減免できるというふうにされている。減免ということは、つまり減額、免除、それがあるということですね。知りたいのは、その制度ではなくて、それぞれの実績がどうなのかということなんです。
 そこで伺いますが、令和六年度、東京国際クルーズふ頭に寄港した全ての軍用艦に対して係留施設使用料は免除されたのですか、具体的に実績をお伺いします。

○原田港湾振興担当部長 国際親善など公益上の必要があると認められる場合は、軍用艦も含め寄港する全ての船舶に対して、条例等に基づき、係留施設の使用料を減免しているところでございます。

○清水委員 減額、免除、それぞれ実績はどうなのかというふうにお聞きしたんですけれども、お答えになりません。
 それでは、聞き方を変えてお伺いします。令和六年度において、外国籍のクルーズ客船と軍用艦、それぞれについて、係留施設使用料を一部でも減額している実績はありますか。それぞれの具体的な実績、端的にご説明をお願いします。

○原田港湾振興担当部長 令和六年度の実績でございますけれども、東京国際クルーズふ頭に寄港した一部の外国籍クルーズ客船に対しては、係留施設使用料の一部を減額してございます。

○清水委員 外国籍のクルーズ客船で一部減額した実績がある、こういうことでした。しかし、軍用艦については一部減免、減額をした実績があるとはおっしゃいませんでした。つまり令和六年度に寄港した軍用艦の係留施設使用料は全て免除されているということではないでしょうか。
 実績を質問しているにもかかわらず、都合が悪くなると答弁を避ける、こういう姿勢は極めて問題だと思います。事実を事実として認めない限り、議会での議論というのは成り立たないと思います。このような都の体質を改めて厳しく指摘をしておきたいと思います。
 都は、コンテナ船などには使用料を徴収していますが、巨額の税金をつぎ込んでつくった東京国際クルーズふ頭を利用する外国籍のクルーズ船、クルーズ客船などには、原則免除、こういう優遇措置が課されています。それでも長期停泊、一日以上の長期停泊の場合は、二日目以降から使用料を徴収した実績があります。
 一方、例えば英国空母の「プリンス・オブ・ウェールズ」、六日間もの間、クルーズふ頭を長期占有していました。にもかかわらず、全額免除となっています。
 東京都の港湾管理の根本、根幹は、都民生活の安定と向上であり、都民の税金でつくられた港湾施設を本来の目的外である軍事、戦略的な活動に利用させることは、港湾管理の原則から見ても重大な逸脱です。
 都の港であるクルーズ船ふ頭を事実上の防衛力強化のための軍事利用に道を開くような行為は決して許されない、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

○福井委員 私からは、東京港におけるクルーズ客船の誘致に関してのお取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
 一度に数千人規模の観光客を運ぶことができるクルーズ客船の誘致は、乗船客などの消費活動による大きな経済効果が期待されます。過去の経済・港湾委員会における質疑においても、約三千人が乗船するクルーズ客船の場合、一回の寄港で約二億円の経済効果があると、そうした答弁もございました。
 また、経済効果だけではなく、東京のブランド力向上などにもつながることから、東京の観光振興を推進していく観点からも重要であると考えております。
 近年の東京港への入港回数は、令和四年には十二回であったものが、令和五年には四十九回、令和六年には七十二回と着実に増加をしている、このように認識をしております。
 特に近年、東京港に初入港するクルーズ客船があるというニュースをよく目にします。今月の十四日には、総トン数十四万トンを超える超大型客船の「ディスカバリー・プリンセス」が初入港したところでもございます。
 そこで、お伺いをさせていただきます。令和六年を含め、直近三年間において、東京港に初入港したクルーズ客船はどのくらいあったか、実績をお伺いします。

○原田港湾振興担当部長 東京港におけるクルーズ客船の初入港実績でございますが、コロナ禍を経て、我が国において、国際クルーズの受入れが再開した令和四年は実績がございませんでしたが、令和五年は九回、令和六年は十六回でございます。

○福井委員 ありがとうございます。ただいまの答弁から、入港実績が進展している、その内訳として、新規の入港のクルーズ客船もしっかりと増やすことができていると認識をしました。近年は船舶が大型化をしていく、そうしたトレンドの中にありますので、新規の入港を増やしていくことは非常に重要だというふうに考えてございます。
 一方で、東京はアクセスのよさや観光資源の充実など、クルーズ船の寄港地としては非常に高いポテンシャルを持っていると考えられますが、博多であったりだとか、長崎といった港と比べて、寄港数がまだまだ少ない現状がございます。クルーズ船入港数の伸び代があるように感じてございます。
 令和七年度から東京港における複数バース体制が確立されるなど環境が整う中で、クルーズ船社に対して積極的に働きかけを行って、東京港を使ってもらうようにPRしていくことは非常に重要であると考えます。
 そこで、ご質問させていただきます。都は、客船を誘致するために、令和六年度に具体的にどのような取組を行ってきたかお伺いします。

○原田港湾振興担当部長 都はこれまで、新規利用のクルーズ船社を誘致するため、多くのクルーズ業界の関係者が集う見本市等に出展を行うとともに、利用実績のあるクルーズ船社に対しては、繰り返し利用してもらえるよう、使い勝手や改善点について意見交換等を行っております。
 令和六年度は、四月にはアメリカで開催されたシートレード・クルーズ・グローバルという見本市に、また、九月にはスペインで開催されたシートレード・クルーズ・メッドに出展し、世界中のクルーズ船社に対し、東京港の強みである交通利便性、東京が持つ多様な観光資源などについて、幅広くPR活動を行いました。
 また、国内に拠点を持つクルーズ船社を中心に十四社に対して個別訪問等を実施し、意見交換を行い、今後のサービス向上に向けたニーズの把握に努めているところでございます。

○福井委員 ありがとうございます。このシートレードは、世界中のクルーズ関係者が注目をしている世界最大級のクルーズ見本市と伺っております。こうした場で東京港をしっかりとPRしていくことが重要であると考えますし、またクルーズ船社に対して、ニードにきめ細かく対応していくことでリピーターを増やしていくことも非常に重要であると考えます。
 引き続きこうした取組をしっかりと取り組んでいただく中で、今後の入港数にどのような効果を与えたか、十分に検証をお願いしたいというふうに思います。
 一方で、客船の入港回数が過去二十年間で最多という状況でございます。入港希望日がバッティングして、別の港に流れてしまうケースも多く発生していると聞いてございます。経済効果がクルーズ船誘致の目的の一つであることを考えると、この予約の重複というのは機会損失といっても過言ではないのかなというふうに思っております。
 今後この入港数を増やしていくためには、誘致活動ももちろん大事なんですが、併せて予約の重複率を改善して今あるニーズを確実に入港につなげていくことも併せて重要だと考えております。
 そこで、お伺いをいたします。入港日の重複によって、令和六年、客船を受け入れることができなかったケースはどの程度発生していますでしょうか。また、こうしたケースにはどのように対応してきたかお伺いをさせていただきます。

○原田港湾振興担当部長 東京国際クルーズふ頭では、入港を希望するクルーズ客船の増加に伴い、繁忙期において、同一の日に複数のクルーズ客船が入港を希望する事例が増加しており、その結果、令和六年においては約五十件、受入れができませんでした。
 こうした状況を踏まえ、都はターミナル等の再整備を進めていた晴海客船ふ頭につきまして、できるだけ早期に開業することができるよう、令和六年度に客船の受入れに必要な部分を先行して整備するなどの工夫を行い、再開時期を令和七年六月に前倒しすることといたしました。
 また、これまで先着順だった入港予約の制度について、昨年度、見直しを行いました。具体的には入港希望が重複した場合には、にぎわい創出効果などの観点から審査の上、予約順位を決定するとともに、第二順位以下の船会社に対して、必要に応じて入港希望日を調整するなど、きめ細やかに対応することで、できるだけ多くの入港希望に応えられる仕組みといたしました。

○福井委員 ありがとうございます。この重複の改善に向けて取組が行われたというところは認識できましたが、七十二の実績に対して約五十件の重複ということですので、やはりまだまだ四割程度、予約の重複が発生しているという現状なのかなというふうに認識をしております。入港の予約ができなければ、やはり大きな機会損失になってしまうと思いますので、引き続きの取組をお願いしたいと思います。
 令和七年度からは、晴海ふ頭受入れ再開であったり、また客船の入港予約システムの導入など、予約重複の改善に資する取組が行われるものと認識をしておりますので、引き続き入港予約の実績を注視していきたいというふうに考えております。
 空港や駅など、交通結節機能が集結をしていて、魅力的な観光地も豊富な東京において、クルーズの需要は、インバウンドを中心にこれからもますます高まるものと考えております。東京港における寄港ニーズへの着実な対応は、都の経済活性化においても重要です。引き続き必要な取組を進めてもらうことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○さんのへ委員 資料要求をさせていただきました東京港内(水域)清掃におけるごみの収集量推移過去十年についてです。令和六年度については千七百七十九立方メートルで、前年度比六百六立方メートル増となっています。直近十年で最も少なかった令和五年度の千百十七立方メートルから比較すると約一・五倍増でした。
 港湾内における浮遊ごみの増加は、港湾利用者の安全、湾内の生態系にも影響を与える問題です。港湾局でも、環境保全のための未来へつなぐグリーンポートを長年掲げており、五十年、百年先を見据えて、ベイエリアを舞台に自然と経済的発展が融合する持続可能な都市を創造する東京ベイeSGプロジェクトも都は主導しているところですから、水域におけるごみ問題は、局間連携をして当然取り組んでこられたものと思います。
 この増加傾向について、都としてどのような認識をお持ちか、局間連携についても伺います。

○野平港湾経営部長 令和六年度の東京港内の水域におけるごみ収集量は、同年八月下旬に発生した台風十号などに伴う大雨により、河川から流木などが大量に流入したことなどが要因となりまして、前年度と比較して増加したものと認識しております。
 なお、東京港内のごみの収集量は、過去十年間の実績を鑑みますと、必ずしも増加傾向にあるものではないと認識しております。
 局間連携でございますが、各所管において適切に対応しているものと認識しております。

○さんのへ委員 ありがとうございます。台風等の一時的な要因による増加とのことですが、港湾内の浮遊ごみは、発生源対策を講じない限りは再発してしまうものと思われます。局間連携を行いながら、河川の上流との連携ですとか、プラスチックごみの削減など、恒常的な流入防止策に踏み込んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。
 ヒアリについてです。既に質疑が行われましたが、今回東京港における主なヒアリ対策及びヒアリ発見数の資料を要求させていただいた当人として、改めて質疑します。
 ヒアリは強い毒を持つ要緊急対処特定外来生物であり、二〇一七年に日本で初めて確認されました。東京港では、令和六年度も私の地元江東区にある青海ふ頭内において複数回にわたりヒアリが確認されていることが分かります。
 これまで連絡をいただくたびに、ヒアリの対策、発生予防について様々協議をさせていただきましたが、ヒアリはコンテナの内外、特に底の外側にくっついて運ばれてきてしまうということで、出港元の国において、コンテナへ殺虫剤などを散布しない限りは、なかなか予防することが難しいというところも伺っております。
 港湾局では定期的な調査や対策を行っていただいていますが、今後はごみですとか、外来種、水質、気象リスクなども統合した、総合的なモニタリング体制の確立が必要と考えますが、局としてどのような強化方針をお持ちかどうか伺います。

○野平港湾経営部長 都は、ヒアリの定着防止のため、平成二十九年度から環境省と連携して定期的にモニタリング調査等を実施しており、令和四年度からは調査の回数を増加させるなど、対策を強化しております。
 なお、お話の事項につきましては、それぞれの所管において適切に対応しているものと認識しております。

○さんのへ委員 所管ごとに対応しているとのことなんですけれども、実際にはヒアリや外来種、漂流物などのリスク、こちらは分野が横断的です。今年は、東京港でヒアリが初確認された二〇一七年以降で最多となるヒアリの働きアリ一万匹以上と卵やさなぎなど八千個以上が見つかったと発表されました。
 今後、ますますさらにヒアリ定着のリスクが高まってくると思料しますので、環境局や地元区ともデータを共有し、総合的なモニタリング体制の構築や、国とも連携し、出港地における予防的な対応を求めていただくことを強く要望します。
 次に、令和六年度に開園した海の森公園について伺います。
 都は、臨海部の新たな緑の拠点として、整備を進めてきました。海の森公園の整備によって、ヒートアイランド現象がある都心部へ海から吹き抜ける風の道の起点としての役割があると伺っています。
 海の森公園の環境への役割について、当初の計画での風の道がどのようであったのかのご説明と、その当時の効果、そして現在その風の道はどう変容したのか、効果は低減していないか危惧しております。その歴史や経緯も踏まえて説明の上、決算年度時点でどのような効果があったのか、今後期待されているか、都としての見解を改めて具体的に伺います。

○若林臨海開発部長 海の森公園は、平成十七年の海の森構想に基づき、自然環境の再生の取組などの考え方によりまして整備を進めてまいりました。公園の整備を進めてきたことによりまして、広域的な水と緑のネットワークの形成に寄与しております。

○さんのへ委員 風の道構想は、臨海部の都市環境を整える象徴的なプロジェクトであったというふうに感じております。期待されていたヒートアイランド対策や都市気候への寄与についても、定量的な効果検証を行う時期に来ているのではないかと考えます。
 同時に、海の森公園は、もともと廃棄物処理場跡地を活用した区域であり、東京港再生の象徴ともされてきました。しかし、環境改善の波及効果がまだ十分に現れていない段階において、海の森公園は開園して以来、音楽イベントなどの活用にも重点が置かれ、当初の環境的役割が後退しているような印象を受けています。
 つい先日、地元江東区やお隣江戸川区から、海の森公園で開催されていた音楽イベントでの音漏れ、騒音の被害がありました。詳細については、まだ港湾局からの回答をいただいておりませんが、質疑に戻りますが、港湾局として、この事業が環境再生、生態系保全にどのように寄与していると評価をしているのか、オリ・パラ競技場として大規模な計画変更となった点も勘案して伺います。

○若林臨海開発部長 海の森公園は、自然環境の再生を目指して森づくりを進めてきておりまして、現在では樹木が成長し、様々な生き物が生息する自然環境が育まれ、環境教育の場としても活用されています。
 また、公園区域を拡張し編入した海の森水上競技場は、多目的の水面利用や都民のレクリエーション、憩いの場としての活用が図られております。

○さんのへ委員 海の森での自然再生が一定程度進んだことは評価しますが、港湾内全体の水質、生態系にまだまだ十分な波及効果が見えておりません。
 海の森が点の再生にとどまらず、面としての湾岸生態系ネットワークに広がってこそ、真の再生事業と呼べるのではないでしょうか。局内での完結だけでなく、横断的な環境戦略として、ぜひ再整理していただきたいと思います。
 資料によると、令和六年三月に海の森公園を開園して以降、およそ一か月にわたり、利用者数が九千六百三十三人、イベント開催は二件とのことでした。
 グランドオープンの開園イベントに私も参加させていただきましたが、たまたまこの日、朝から冷たい雨と強い風が吹いていて、海の森公園内の屋根がある場所が非常に少なくて、同時に開催されていたランニングイベントの参加者の方も含めて、入り口付近の木製リングのようなゲートがあるんですけれども、その下に身を寄せ合って雨風をしのいでいるような状態が見受けられました。
 この現場は港湾局関係者の方もご覧になっていたかと思いますが、雨風をしのぎ、日陰となるような場所について、自然環境の再生拠点、都民が港湾地区の自然に親しみながらも、安全に過ごすことができる憩いの場とするお考えはないのか伺います。

○若林臨海開発部長 海の森公園におきましては、広域的な水と緑のネットワーク及び海辺の回廊の拠点として、自然環境を再生し、都民が豊かな自然を享受できるよう取り組んでおります。
 また、この公園の自然環境や広大な広場などのロケーションを生かしまして、大規模イベントのほか、子供を中心とした育樹体験やキャンプ体験、生き物観察会などのイベントを実施しております。

○さんのへ委員 ぜひ自然環境と利便性の確保というのを対立させずに、自然と共存しながら快適に過ごせる設計への再考を求めます。
 海の森の利用促進のために、イベント開催時以外のアクセス利便性向上、公共交通の整備についてどのように図られたのか確認させていただきます。

○若林臨海開発部長 令和七年三月の海の森公園のグランドオープンに合わせまして、来園する方の利便性向上のため、東京テレポート駅からの都営バスを海の森公園まで延伸するとともに、新木場駅から無料のシャトルバスの運行を開始しております。

○さんのへ委員 令和六年度には、海の森公園パートナーズに対して千三百六十二万円の指定管理料が支出されています。しかし、指定期間は、実質令和七年三月十五日から三十一日までの僅か十六日間であり、実質的な管理運営というよりも、制度導入の準備費に近いような支出であると推察します。
 極めて短期間に高額のこうした管理料が発生していることの根拠及び今後一年間で見込まれる年間管理費の水準について伺います。

○若林臨海開発部長 令和六年度に支出しました海の森公園の指定管理料は、来園者の皆様に公園を安全かつ快適に利用していただけるよう行いました樹木や施設等の適切な管理、園内の巡回、利用者の方への案内や情報発信等の必要な経費でございます。

○さんのへ委員 ありがとうございます。来年以降の管理料の見通しも含めて、費用構造を明確に公表していただくことを要望します。
 最後に、海上公園全体の管理事業について伺います。
 資料によれば、令和六年度の海上公園管理事業の予算現額は十五億六百万円、支出済額は十四億九千七百万円、平成二十七年度からの九年間で事業費は約一・五倍に増加しており、事業拡大に見合う成果の検証が求められています。
 執行率が高いこと自体は一見健全に見えるんですが、実際には不用額を減らすための繰越し的支出や、事業規模の拡大による固定経費の増大が背景にある可能性もあります。
 港湾局として、海上公園全体の管理について、どのように費用対効果を評価し、各公園事業の成果を把握しているのか伺います。

○若林臨海開発部長 指定管理者が行う公園の管理運営につきましては、毎年度、学識経験者や財務の専門家から構成される指定管理者評価委員会におきまして、指定管理者より提出された事業報告書やアンケート結果等に基づいて、指定管理の実績を評価しており、都はその結果を公表しております。
 なお、指定管理料につきましては、年度ごとに予算の範囲内で必要な経費を支出しておりまして、令和六年度も同様でございます。

○さんのへ委員 管理コストが増大する中で、実際に設備を利用されない方が管理コストがかからないという矛盾が発生している場所があります。その一例が青海南ふ頭公園地下駐車場です。
 この駐車場は、平成九年四月に開業したものの、地下駐車場は平成十一年五月に休止されることとなりました。運営期間は僅か二年で、その間に駐車場利用台数は八千四百二十一台とのこと。この二年間で計算すると、一か月で三百五十台、一日に換算すると僅か十一台という利用実績です。
 地下駐車場には、管理用車両二台分を含めて、二百十八台分の駐車スペースがあるとのことですが、機械式ではなく、人が常駐して管理をする方式のため、当初の利用見込みを大きく下回る実績にもかかわらず、人件費や管理費などの維持コストがかさんでいる状態です。
 利用休止後は、東京二〇二〇大会のための大会関係者、輸送用車両置場、また、車関係のイベントにおいて利用実績があるとのことですが、いずれも二週間から数か月程度の期間における利用実績だったようです。こうした休止している施設であっても、老朽化を防ぐために日々管理され、税金が投じられています。
 過去に文書質問を通じて、本駐車場における竣工以来の維持費総額及び直近三年間の維持費を確認させていただきましたが、ほかの施設と包括管理をしているので、個別費用は不明という回答でした。
 休止中の施設を含めて、都民に説明責任を果たす必要がありますが、施設、公園ごとの管理費を公開することに対する都の見解を伺います。

○若林臨海開発部長 海上公園につきましては、スケールメリット等の観点から、基本的に複数の公園をグループ化して指定管理者を指定しておりまして、青海南ふ頭公園も同様でございます。指定管理料の実績額につきましては、その指定管理者ごとに公表しております。

○さんのへ委員 グループ化で個別費用が分からないというのは、都民に対する説明として不十分です。繰り返しとなりますが、休止施設であっても、維持費は税金で賄われています。他施設と包括管理しているから分からないではなく、最低限の積算根拠と支出実態は公園ごとに開示するように求めます。
 同時に、利用者数や満足度に基づく評価指標の整備が必要と考えます。各海上公園の利用者数、イベント数、収益事業の有無を定量的に公表し、民間や地域との連携で効率的な管理運営を図るべきと考えますが、見解を伺います。

○若林臨海開発部長 指定管理者が行う公園の管理運営につきましては、毎年度、学識経験者や財務の専門家から構成される指定管理者評価委員会におきまして、指定管理者より提出された事業報告書やアンケート結果等に基づき、来園者の満足度や財務状況も含めて、指定管理者の実績を評価しており、都はその結果を公表しております。

○さんのへ委員 指定管理者評価委員会での審査結果を公表しているとのことですが、一般都民には内容が分かりにくいのが現状です。こちらの改善も強く求めます。
 様々質疑させていただきましたが、東京港は単なる物流拠点ではなく、都市の生命線でもあり、環境と安全、そして都民の暮らしを支える基盤であると考えます。
 しかし、この審査を通じて見えてきたのは、施設の維持管理費に偏った支出構造と、利用実態や環境効果の検証が十分にされていないという現実です。
 浮遊ごみや外来種、ヒートアイランド現象など環境保全の課題は、単独の港湾局で完結するものではありませんが、海から安心・安全な都市づくりを横断的に推進する仕組みを再構築するべきであり、都民が体感できる成果、そして未来に誇れる港湾環境の再生を要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○鈴木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後七時六分散会