令和五年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

令和六年十月二十三日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長河野ゆうき君
副委員長山田ひろし君
副委員長鈴木  烈君
北口つよし君
もり  愛君
たかく則男君
石島 秀起君
上田 令子君
藤井あきら君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
収用委員会事務局局長有金 浩一君
監査事務局局長小林 忠雄君
監査担当部長DX推進担当部長兼務水野  剛君
総務局局長佐藤 智秀君
次長理事兼務石橋 浩一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長
コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱
貫井 彩霧君
理事豊田 義博君
総務部長保家  力君
企画担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務田村 弘明君
都立大学調整担当部長天野 哲史君
訟務担当部長松下 博之君
グループ経営戦略担当部長渡邉 貴史君
都政情報担当部長篠  祐次君
復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務八嶋 吉人君
人事部長金久保豊和君
労務担当部長堀内  弘君
行政部長田中 角文君
多摩島しょ振興担当部長
事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務
松野 利美君
小笠原・国境離島担当部長調整担当部長兼務近藤 豊久君
都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務八重樫高明君
総合防災部長高田 照之君
防災計画担当部長田代 則史君
防災対策担当部長西山公美子君
国民保護担当部長永田 真一君
危機管理調整担当部長小平 房代君
避難所・物資担当部長後藤 和宏君
統計部長金子 光博君
人権部長若林 和彦君
スタートアップ・国際金融都市戦略室室長吉村 恵一君
理事末村 智子君
戦略推進部長DX推進担当部長兼務樋口 隆之君
国際金融都市総括担当部長村本 一博君
プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務鈴木のり子君
特区・規制改革担当部長
プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務
田中  健君
イノベーション推進部長片山 和也君
スタートアップ戦略推進担当部長井上  直君
スタートアップ戦略推進担当部長浅川健太郎君
スタートアップ戦略推進担当部長小澤 常裕君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
収用委員会事務局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和五年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・令和五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)

○河野委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局、監査事務局、総務局及びスタートアップ・国際金融都市戦略室関係の決算に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○有金収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
 お手元の要求資料をご覧ください。
 表紙、目次をおめくりいただきまして、一ページ、要求資料第1号、令和五年度における土地収用に関する相談・問い合わせの実績についてでございます。
 この表は、令和五年度における相談等の実績を相談者別にお示しをしたものでございます。
 続きまして、二ページをご覧ください。要求資料第2号、過去十年間における東京都が起業者である事件でございます。
 この表は、東京都が起業者である事件について、年度別に過去十年分をお示ししたものでございます。
 続きまして、一二ページをご覧ください。要求資料第3号、過去十年間における生産緑地買取りの申出に係る価額についての裁決申請事件でございます。
 この表は、生産緑地買取りの申出に係る価額についての裁決申請があった事件について、年度別に過去十年分をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 収用委員会事務局への決算特別委員会の質疑を行わせていただきます。
 収用委員会は、土地収用法によって設置されている行政委員会でありまして、法の規定の下、活動をされております。
 都の方ではペーパーレス、判こレスなど取組を進めておりますが、そういった法の下に進めているというところがあって、なかなか難しい面もあると思いますが、職員の生産性を上げて、公正、中立な収用、裁決など行うためには、デジタルの活用というのは欠かせないものだと認識をしております。
 そこで、昨年度及びこれまで収用委員会で取り組んだDXについて伺います。

○有金収用委員会事務局長 当局ではこれまで、「未来の東京」戦略などに基づき、ホームページへのチャットボット導入など、全庁的な取組を進めてまいりました。
 令和五年度からは、デジタルツールを活用した収用委員会運営プロジェクトを立ち上げ、委員会運営の効率化、業務の迅速化の実現に取り組んでおります。
 具体的には、これまで七名の収用委員ごとに紙の資料でファイルをまとめていたことや、スクリーンに資料を投影して説明を行ってまいりましたが、デジタルツールを活用して、新たにタブレット、パソコンを各委員に導入し、委員会の運営方法の改善を行いました。
 これにより、資料が電子化され、年間約六千枚の紙資料削減や、資料のコピーなどによる事務作業時間を年間約五十時間効率化するとともに、会議において長い文章資料の説明が必要な場合においては、資料の読み上げソフトを活用することで会議を短縮するなど、委員会運営の効率化が図られております。
 ユーザーである収用委員のご意見や担当職員のアイデアなども反映しながら、効果的な取組を積み重ねてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。
 着実な、これまで取り組んできたチャットボットなどの取組であったりとか、さらに昨年度は、デジタルツールを活用した収用委員会運営のプロジェクトということで、改めて取り組んだというご答弁をいただきました。その中で、タブレットやパソコンを配ってペーパーレスに努めたことであったりとか、それによって成果、職員の事務作業も減っているというご答弁でありました。
 また、特徴的なところとして、会議において長い文章を読み上げるのに独自のソフトを使ったりとか、様々工夫をしているということが確認をできまして、こちら評価をさせていただきたいと思います。
 ちょっと繰り返しになりますが、ご答弁の中にもあったとおり、紙資料が多かったりとか、また、多分法律の関係で、判こを押さなきゃいけないだったりとか、そういったものもあるかと思いますが、国の動向も注視しながら、ご答弁にあったユーザーである委員だったりとか職員の皆さんの声を聞きながら、改善を引き続きしていっていただきたいと思います。
 続きまして、テレワークに関してお伺いをさせていただきたいと思います。
 都庁内でのテレワークに関しましては、子育てや介護など、様々な職員のライフステージに応じた働き方ができるものと、私も二〇一七年の初当選してすぐの一般質問でも取り上げさせていただきまして、推進をしてきたところであります。
 私も民間企業で働いていた頃、妹の看病をしながら、テレワークを活用して働いた経験がありまして、非常に職員にとっても有用なものだと思って、この間提案をしてきたところであります。
 そこで、収用委員会事務局におけるテレワークの活用状況について伺います。

○有金収用委員会事務局長 当局では、柔軟で多様な働き方の選択肢の一つとして、全ての職員がテレワークを活用しており、月一回以上、時間単位での実施も含めた職員数の割合を示すテレワーク実施率は、毎月一〇〇%となっております。
 チームスによるリモート会議やチャットなどを活用し、コミュニケーションを図りながら、職場の状況や業務内容に合わせ、職員の選択によって出勤とテレワークを柔軟に組み合わせた最適な働き方が可能となるよう、テレワークを活用しております。

○藤井委員 テレワークの実施率、毎月一回以上やっている方が一〇〇%ということで、かなり積極的に取り組んでいただいているんじゃないかと思うところであります。
 総務局の人事部の方でこのテレワークの取りまとめをしておりまして、最近は、実施率ではなくて、職員の満足度の向上という方向にかじを切っているということでありますので、引き続き職員の声を聞きながら、満足度の向上、より使いやすいものになるような仕組み的なところであったりとか、システム的なところも含めてご検討をいただいて、職員の皆さんの声を聞いて、さらなる満足度の向上に努めていただきたいと思います。
 あと、最後に一点加えさせていただきますと、ほかの局にも伝えているところでありまして、東京都は今、スタートアップとの協業、協働というのを進めております。都庁各部署で、自分たちの事務事業のところでスタートアップと協働して、効率化、改善をしていくというようなものになるんですが、こちらもデジタルと同じで、なかなか、何ですかね、委員会のつくり上、法律の制限もあったりして難しいところはあるかと思うんですが、ぜひ検討をいただければと、そういったスタートアップの活用もご検討いただければと思います。
 デジタル活用を進め、生産性を上げることで、公正、中立の収用委員会の判断を通じて、現場の局などが都民との折衝を適切に行われるように、納得感を持って進むことを期待いたしまして、質疑を終わらせていただきます。

○上田委員 収用に至る事案についてですが、毎年おおむね四十件を推移しております。一方、相談、問合せは、令和五年度は四百五十五件ということです。
 平成三十年は八百五十件なので、ちょっと半減しているなと思ったんですが、コロナの影響もなくなっていると思料しますが、なぜ相談件数が半減しているのか、近年の動向や傾向、状況の説明をお願いいたします。

○有金収用委員会事務局長 相談支援センターへの問合せ件数につきましては、直近十年間を見ますと、平成二十六年度から令和元年度までは、各年度おおむね七百件から九百件程度で推移をしております。
 新型コロナウイルス感染症が拡大した令和二年度から減少傾向となり、四年度に三百五十三件と過去十年間で最少となりました。五年度は四百五十五件となり、問合せ件数は回復の傾向となっております。
 問合せ件数の減少の原因につきましては、起業者や権利者に確認を行っていないため、一概に判断することは困難ですが、新型コロナウイルス感染症の拡大により対面接触が控えられ、社会経済活動が広く抑制されていたことなど、様々な要因によるものと考えられます。

○上田委員 資料1でございましたよね。やっぱり社会経済活動って、不動産とか土地に関与するということが、まあ面白いというか、興味深く拝見しました。ただ、対応としては、しっかりと相談体制は整っているやに思われます。
 今回、過去十年における、大変、非常に重厚な資料を出していただきました。二ページからなんですけれども、東京都が起業者である事件資料、これ、きっと委員の皆さんの地元も入っていると思いますが、都市計画道路に係る収用がほとんどを占めておりますが、これも十年前から件数は減少しているのですが、こちらについても動向や傾向についてご説明ください。

○有金収用委員会事務局長 都が起業者であります新規申請件数につきまして、直近十年間の推移を見ますと、平成二十六年度から平成三十年度までは各年度二十件から三十件程度となっております。令和元年度から二十件を下回り、令和三年度には十三件まで減少しております。その後、令和四年度からは緩やかな回復傾向となっております。
 事業別に見ますと、各年度、道路事業がおおむね七割から九割を占めており、その他の事業といたしましては、市街地再開発事業、公園事業、河川事業、連続立体交差事業などがございます。

○上田委員 やはり地域住民から反対というか、やってほしくない都市計画道路もあるようなことも歴史的にありまして、できれば慎重になって、件数が減っているといいなというふうに考える次第でございます。
 この都市計画道路もそうなんですけれども、マンションなどの近隣問題関係が複雑な民間事件も長期化することも多々あると存じます。
 決算年度におきます申請から決裁までの平均処理日数、特に期間を要した事件の理由や対策についてご報告ください。過去、最長はどのぐらいなのか、参考までにご教示ください。

○有金収用委員会事務局長 収用委員会では、申請から裁決までの処理期間について十か月程度を目標に取り組んでおりますが、権利関係が複雑な事件など、様々な理由で長期化する場合もございます。
 令和五年度における申請から裁決までの平均処理日数は四百八十一日で、最長は千四百六十四日を要した事例があり、これは過去十年間において最も時間を要した案件でございます。
 期間を要した理由につきましては、当事者間におきまして別途争訟が係争中であり、収用手続に必要となる当事者からの意見書の提出などに時間を要したものでございます。
 収用委員会におきましては、迅速に事務処理を行えるよう、相談支援センターにおける相談受付、指名委員制度を活用した事件処理の短縮化、内部研修による事務局職員の能力向上等、様々な取組を行っております。

○上田委員 最長四年かかったということで、先ほど委員も質問されていますけれども、DXとかICT化が進めば、また少し短縮化に貢献するのかなというふうに思いました。
 相談を受けて、また収用申請に至るものの割合ですが、起業者である国、都、区市などからの相談は全体の八割であって、申請に向けた具体的な相談のほか、一般的な収用手続に関するものや補償の考え方などの相談とのことです。
 一方、権利者からの相談は約二割程度とのことですが、匿名での相談や対象となる場所を特定しない一般的な相談もあるかと思います。円滑な収用に向け、相談支援センターが決算年度も寄与したのか、事例を挙げて説明をお願いいたします。

○有金収用委員会事務局長 相談支援センターは、起業者だけではなく、土地所有者などの権利者の方々にも、収用制度に対する理解を深め、当該制度を効果的に活用していただきたいとの趣旨から、事務局内に開設をしている相談窓口でございます。
 令和五年度におきましても、国、都、区市などの起業者からは、申請に向けた論点整理や具体的な収用手続に関する相談など、また、権利者からは、土地収用制度の仕組みや手続、補償の考え方など、多岐にわたる相談に対応をしております。
 相談支援センターを通じた起業者、権利者双方に対する丁寧な相談対応により、公正かつ迅速な問題解決に向けた収用制度の活用につながっているものと考えております。

○上田委員 収用される側の身にも立って、補償においても、収用の前後を通じて被収用者の財産価値をひとしくならしめるような補償がなされたのかも確認させてください。

○有金収用委員会事務局長 収用における補償の基本的な考え方は、最高裁判例において、収用の前後を通じて被収用者の有する財産価値をひとしくさせる完全な補償を行うこととされております。
 収用委員会では、こうした考え方に基づきまして、収用対象地の価格算定方法等を規定いたしました土地収用法八十八条二に基づく細目政令に従うとともに、必要に応じて現地調査や鑑定命令を行うことで補償額を算定し、さらに、起業者及び権利者が申し立てた額を踏まえ、損失の補償を裁決しております。
 このように、収用委員会では、公平、中立の立場で常に適正な補償額の算定を行っております。

○上田委員 憲法及び土地収用法に沿った補償額を算定していると思料いたしますが、まあ相手のあることですし、結果として補償が不十分であれば、訴訟に至って問題が長期化する場合もあり、対策を講じていることも確認しております。
 近年及び決算年度においてはどのような事件がありましたか。その有無と対応について改めて確認します。

○有金収用委員会事務局長 収用委員会が裁決をいたしました補償額について不服がある場合には、起業者を相手方として、裁判所への損失の補償に関する当事者訴訟を提起することができます。
 過去十年間で見ると十九件あり、令和五年度においては提起された当事者訴訟はございません。
 収用委員会では、裁決申請のあった収用事件に対しまして、公正、中立な立場から正当な補償額を算定しております。具体的には、裁決に至る過程におきまして、起業者及び権利者双方から意見書の提出や審理の場で十分な意見聴取を行うとともに、必要に応じ第三者による土地及び物件の鑑定を行った上で、補償額につきましては裁決書に理由を明記しております。

○上田委員 五年度はないということでございました。そこに至らないまでにいろいろ対応がされたと想像しております。
 生産緑地において、資料の方を出していただきましたけど、最後のページですけれども、買い取る旨の通知をしたものと、これ区市町村なんですけど、生産緑地の所有者との間で、当該生産緑地の時価の額について協議が成立しない場合に、生産緑地所有者が第三者機関であります収用委員会に判断を求めることができる制度であり、生産緑地における買取り制度を前提とした手続ですが、資料を見ますと極めてまれで、決算年度もゼロ件でした。
 生産緑地の耕作放棄や担い手不足など、事案は発生しそうに思うんですけれども、これは収用委員会に至るまでもない前段で売買が解決しているということでしょうか。状況の説明をお願いいたします。

○有金収用委員会事務局長 生産緑地の所有者が区市町村長に対し買取りの申出を行い、区市町村長が買い取る旨の通知を行った場合、当該生産緑地の価額につきましては、区市町村長と生産緑地の所有者が協議をして定めることとなっております。協議が成立しない場合、収用委員会に対し、区市町村長、生産緑地の所有者いずれからも裁決を申請することができます。
 この協議には収用委員会は関与していないため、買取り申出の発生状況や協議の成立状況については把握をしておりませんが、過去十年間における生産緑地買取りの申出に係る価額についての裁決申請事件は、平成二十七年度の一件のみでございます。

○上田委員 私も今回決算でやらせていただいて、この制度、改めて再認識させていただいて、頭に入れさせていただきたいと思います。
 最後に、公共事業の用地取得において、任意による売買が調わなかった場合に、私有財産と調整を図りながら、公共の利益を実現するのが収用委員会の役割、ミッションでございますが、求められる役割を果たし、公共の利益に貢献できているのか、決算年度に当たりまして伺います。

○有金収用委員会事務局長 収用委員会は、公共の利益と私有財産との調整をするために、土地収用法に基づいて都道府県に置かれている行政委員会でございます。
 本来、公共の利益となる事業のために必要な土地については、任意の売買契約により取得するのが原則でございます。しかしながら、権利者が補償金不満などの理由により買取りに応じない場合もあり、そのような場合に、公共利益実現のため、権利者の意思にかかわらず財産権を取得するために設けられているのが土地収用制度でございます。
 土地の収用に当たりましては、公正、中立な第三者機関として、起業者、権利者双方から十分に意見を聴取するとともに、必要に応じ第三者による鑑定を行うなどの手続を経て、裁決を行っております。このような手続を経ることで、私有財産との調整を図りながら、公共の利益を実現するという職責を果たしております。

○上田委員 収用をされる側としたら、公共の利益と自分の利益が相克するところでございまして、もめているから収用委員会に来るというところで、なかなかスムーズにいかなかったり、調整にご苦労されることが多い事業体だと思っております。
 一応確認させていただきまして、公共の利益、都民の私有財産を守ることの調整に向けてご尽力をいただいていることを確認させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○河野委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小林監査事務局長 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 令和五年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をお進みいただきまして、目次をご覧ください。
 要求のございました資料は、監査事務局職員の有資格者数と任用形態別職員数、地方自治法における議選監査委員の選任について、議選監査委員を選任していない自治体及び住民監査請求実施状況の推移の四件でございます。
 一ページをご覧ください。資料第1号、監査事務局職員の有資格者数と任用形態別職員数でございます。
 令和六年三月三十一日現在におけます各種有資格者数及び任用形態別の職員数をお示ししてございます。
 次に、二ページ、資料第2号、地方自治法における議選監査委員の選任についてでございます。
 平成二十九年法律第五十四号にて改正されました地方自治法の該当部分をお示ししてございます。
 三ページをご覧ください。資料第3号、議選監査委員を選任していない自治体でございます。
 総務省地方自治月報第六十一号に掲載されております令和五年四月一日現在のデータを基に、都道府県、区市及び町村別にまとめてございます。
 四ページをご覧ください。資料第4号、住民監査請求実施状況の推移でございます。
 平成二十六年度から令和五年度までの住民監査請求の受付件数と、その内訳として、監査実施の有無の件数をお示ししてございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 監査事務局への質疑をさせていただきたいと思います。
 委員の皆さん、またかと思うかもしれませんが、デジタル関連の取組についてお伺いをしたいと思います。
 これまでも、監査業務におけるデジタル化については、私が総務委員会に所属していたときだったりとか、決算特別委員会の中でも、取組や成果をお伺いしてきたところであります。
 監査事務局では、シン・トセイにおける各局リーディングプロジェクトとして、デジタル技術活用監査の推進というものを挙げております。
 デジタル技術活用監査について、これまでどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査の効率性や質の向上を図ることを目的として、財務諸表監査において、令和三年度からデジタル技術の活用を開始し、従来は職員が手作業で行っていた数値の突合や異常値の抽出などにつきまして、データ分析ソフトウエアを用いた作業の自動化を行っております。工事監査におきましても、入札情報データを監査対象工事の選定などに活用しております。
 令和四年度からは、各会計歳入歳出決算審査において決算データを用いて審査意見書に記載する表の作成を自動化するとともに、財政援助団体等監査におきまして補助金の執行状況などのデータを分析し、その結果を監査対象の選定に活用しております。

○藤井委員 ありがとうございます。これまで委員会等で質問してきたことが着実に進んでいるというご答弁であったと思います。
 これまで監査委員会とのやり取りの中でも、これまで紙で監査資料を集めていたところを、データで取ってきて、いつでもどこでも職員が見れるようにしたりとか、様々な取組をしているということも確認をさせていただいておりますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
 令和三年度からデジタル技術活用監査に取り組みまして、ご答弁の中で、令和四年度には、各会計歳入歳出決算審査や財援監査まで活用を拡大して、様々な取組を行っているということでありました。
 そこで、令和五年度におけるデジタル技術活用監査につきまして、既存の取組からの発展はあったのか。また、具体的にどのような成果が上がっているのかお伺いをいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 財政援助団体等監査におけるデジタル技術の活用では、局から提出された補助金のデータを使い、その数値が他の団体に比べて突出しているものであったり、対前年度比で著しく増加しているものなど、特異な値を示す団体をデータ分析ソフトウエアを用いて抽出しております。令和四年度から保育所への補助について監査対象の選定に活用しており、過大申請の検出に一定の成果を上げております。
 そこで、令和五年度における発展として、新たに障害者支援施設の補助につきましても、その活用の範囲を広げております。
 その結果、重度障害者の受入れに係る補助項目の実績値が対前年度比で顕著に増えていた施設において、受入れ人数を誤って報告していたため、四十八万余円の補助金が過大に交付されていたことが明らかとなり、返還を求めた事例などがございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 ご答弁の中で、保育所の補助についての監査で活用していたところをさらに広げて、過大申請の検出に一定の効果があったということであります。重度障害者の受入れのところで、実際、金額自体は、四十八万円の補助金が過大に交付されていたということで、これ自体はそんなに大きなというか−−何らかの事務的な間違いであったりとか、そういったこともあるかと思いますので、それ自体は大きな課題じゃなくて、しっかりと対応すればいいことかなと思うんですが、こういった実績を積み重ねることによって、監査の中で、さらに大きな問題だったりとか、悪意あるものというものも、データをしっかり分析することによって見えてくると思いますので、こちらもしっかりと進めていただきたい、さらに活用を進めていただきたいと思います。
 データを解析して効率的に監査する取組というのは、民間ではもう大分前からやっておりまして、それも踏まえましてこれまで提案をしてきたところでありますので、ぜひこういった民間の新たな取組も参考にしながら、監査の効率化、職員の負担の軽減、しっかりと進めていただきたいと思います。
 職員の皆さんが、事務作業でなく、より注力すべき都民の生活の質の向上につながる監査であったり、取組を進めていただくことを期待いたしまして、質疑を終了させていただきます。ありがとうございます。

○もり委員 では、私からは、基本的な確認として、監査委員の中に代表監査委員と主査監査委員がいますが、それぞれに求められていることは何かお伺いをいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 代表監査委員は、地方自治法第百九十九条の三の規定に基づき、識見を有する者のうちから選任される監査委員の一人を代表監査委員としなければならないとされており、監査委員に関する庶務や監査委員の処分等に係る都を被告とする訴訟についての事務を処理することとされております。
 主査監査委員は、東京都監査委員監査基準第六条の規定に基づき、議員のうちから選任される監査委員の中から監査委員の合議により定められ、監査委員の合議の取りまとめや講評、議会報告その他代表監査委員に属しない事務を処理することとされております。

○もり委員 ありがとうございます。
 この東京都の監査、務めるに当たっての専門性というものを伺いたいんですけれども、東京都監査委員の専門性をどのように捉えて選任をされているのかお伺いをいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査委員につきましては、地方自治法第百九十六条第一項におきまして、普通地方公共団体の長が、議会の同意を得て、人格が高潔で、識見を有する者及び議員のうちから選任すると定められております。
 識見監査委員は、企業経営の経験や財務会計制度の専門的知見等を有しており、そうした知識や経験を基に監査を行っております。

○もり委員 では、監査委員からの指摘事項について、また議員の監査も選任をされているんですけれども、監査委員からの指摘事項についてどのように決定をしているのかお伺いをいたします。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査委員は、地方自治法の規定に基づき設置された独任制の執行機関であり、監査委員の指揮命令の下、事務局が実地監査を行い、監査等の結果につきまして、監査委員が合議によりこれを決定しております。

○もり委員 合議により決定をしているということを確認いたしました。
 ミライ会議としては、やはり監査というのは大変専門性を要するものであって、そういうところに充て職のような形で議員が選出をされるのはいかがなものかということで、人事に賛成をしなかった経緯がございますので、今回確認をさせていただきました。
 しっかりと都民に資する監査が行われるように引き続き求めまして、質問を終わります。

○上田委員 私からも議選について聞きたいと思います。
 資料でもご提示いただいておりますが、都道府県では大阪府だけですが、区市三十五、町村は十九と、法改正に伴い、議員選出委員を廃止しております。この百九十六条ですよね、地方自治法の、条例で議員のうちから監査委員を選任しないことができるということになっておりまして、それに伴って廃止をしているところがあるということです。
 都は、これらの自治体よりぬきんでて人口も多くて人材も豊富ですから、毎回いう人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有する者は、幾らでも都民、民間人から登用が可能です。
 また、十六兆円と、外国では一国並みの予算額であり、五千にわたる行政事業やおびただしい数の公共事業、工事案件、外郭団体も複数抱えております。
 議員においても、予算、決算、常任委員会と守備範囲は当然広いわけですので、可能な限り議会活動に専念することが都民益に寄与することと考えます。
 何よりも、一千四百万円もの議員報酬に加え、毎月二十三万円の監査委員の議選報酬が上乗せされることになります。しかも、監査委員は百二十七人の都議の中から公平、公正、公明に選ばれるのではなく、大会派間で、あたかも特権のように持ち回りで選出される慣習が常態化しているのは問題です。
 令和に入りまして六年もたちますので、議員選出を見直す潮目と感じますので、議選を廃止している自治体への評価と、都が議選を継続する理由、何が都民益にかなうのか、当決算年度の所見を伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 平成二十九年の地方自治法改正により、第百九十六条一項ただし書で、各自治体は議選監査委員を選任しないことができることとされました。
 大阪府では、監査委員と議会のチェック機能における役割分担を純化し、監査委員の独立性及び専門性を担保する等の趣旨から、議選監査委員を選任しないこととする条例改正を行ったものと把握しております。
 監査委員の選任につきましては、知事が権限を有するものでございますが、議選監査委員は、議会経験等を通じて都の政策や実務に精通しており、また都民の代表として都民目線でチェックを行うなど、監査委員として執行機関に対する牽制機能を十分に発揮していただいております。

○上田委員 やっぱり大阪の方の見解が正しくて、監査委員の独立性及び専門性を担保することが最優先でありますし、これこそがまさに東京大改革ではないかということで、条例改正を引き続き求めるものでございます。過日の人選にも、監査委員の議選にはしっかり反対をさせていただきました。
 住民監査請求です。
 資料で十年の経緯を出していただきました。平均総数十五・八件、うち実施一・四件、認容〇・二、つまり十年でたった二件、棄却が一・二件、実施せずが十四・四となっております。相当に行政に瑕疵を認めさせるハードルが高いといわざるを得ません。
 令和三年度は監査はゼロ件です。この年、自由を守る会は、無免許で人身事故を引き起こし、相手方を負傷させながらそれを隠蔽し、都民ファーストの会公認候補として都議会議員選挙に当選した木下ふみこ氏に支給される議員報酬や期末手当について、返還や支給差止めを求める住民監査請求をさせていただきましたが、監査すら行われませんでした。
 一方、翌年、若年被害女性等支援事業を委託されたNPOの不適切支出が疑われ、SNSを中心に拡散されて耳目を集めた、いわゆるColabo問題は、住民監査請求が発端となりました。
 この事案は、舛添前知事専用車の使用を違法、不当として、その利用に要した経費の返還を求める住民監査請求以来の、都に再調査を認める、認容となる異例の判断と、このColabo問題の住民監査請求、なったわけでございます。
 マスメディアで注目を集めたり話題になると監査をして、それでも風当たりが強いと認容になるのではないかという疑念も都民に抱かれかねません。監査のハードルが高い、監査しても十年で二件しか認めないとなると、やっても無駄だと都民に思われかねません。
 かようなことから、この二件も含めた適正監査をどう担保しているのか、これまでの監査不実施率、棄却率の高さも含めて所見を伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査委員は、住民監査請求が地方自治法第二百四十二条に定める要件を備えているかについて審査を行い、要件を欠く場合には監査を実施しないこととされております。
 具体的には、請求人が都民であるか、都の財務会計上の行為を具体的に特定しているか、請求の期限が当該行為のあった日または終了した日から一年以内であるか、違法、不当とする事実または理由の指摘があるかなどについて審査を行います。
 過去十年で、住民監査請求による監査を実施した件数は十四件であり、このうち理由があると認められたものは二件でございます。

○上田委員 この二件ともマスメディアで大騒ぎになって、認容となったわけです。
 その私たちが出した都民ファーストの元都議の住民監査請求、そこの中に都民ファーストの議選の委員がいるということが、やっぱりこれ、独立性が保たれない事案だったということ、ぜひそこは認識していただきたいと思います。
 監査しない、棄却となった事案の中にも、一定指摘された問題点については、まあ、むべなるかなというところも結構あると思いますよ。それについては都としても改めなければならないことではないかと考えます。
 監査委員が下した結果いかんにかかわらず、担当部局と問題や課題認識は共有するのか、私個人としては、監査に至らないものでも、反省点に基づいて改善をしていただきたいと願いますことから、確認をいたします。
 また、監査のハードルが高い、監査しても十年で二件しか認容しないとなると、やっても無駄だと都民に思われかねないことから、住民監査請求の都民への普及と積極的な活用に関する所見をお示しの上、住民監査請求をしたいが、やり方が分からないという都民向けのサポート、相談対応の状況を、件数を含めてご説明をしていただきたいと思います。
 監査してもらえなくて、棄却されても、地方公共団体の住民が、当該団体の長等について、違法、不当な公金の支出や財産の処分を求めたい都民が、手続で心折れたり諦めることなく、容易に住民監査請求はしていただきたいと思いますことから、DX化も進んでおります、住民監査請求を行いたいとする都民のサポートの取組についてもお伺いさせてください。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 住民監査請求は、地方公共団体の住民が、当該団体の長等について、違法、不当な公金の支出や財産の処分等があると認めるときに必要な措置を講ずるよう請求するものでございます。
 都民に対する周知につきましては、パンフレット、監査のあらましにおいて手続の流れを図解し、多くの方々に閲覧していただけるよう、事務局のホームページにも掲載しております。また、今年三月には、オンラインにより住民監査請求をできるようにしております。
 都民向けのサポートにつきましては、請求の様式や記入例などを記載した住民監査請求の手引を事務局のホームページに掲載し、住民の方々がいつでも閲覧、使用できるようにしております。
 また、オンラインによる住民監査請求を含め、電話や来所等による個別の相談にも応じており、引き続き適切に対応してまいります。

○上田委員 やりやすくなっているなと思います。
 実際、私も江戸川区議時代に、ずっとるる耕作放棄のことをいっているんですけれども、これ、主税局が固定資産税を取りっぱぐれているんじゃないかと、実は本当に、二〇〇九年かその辺りですか、住民監査請求をしたことがありました。
 これ棄却はされているんですけれども、江戸川区と区民の問題意識を想起させて、これも新聞報道になりまして、事ほどかようにこの制度は、住民監査請求は、住民益を住民自ら手にすることができるものでございますので、大いに活用ができるようにしてもらいたいと思います。
 この住民監査請求、まあしたかどうかは別なんでしょうけれども、最終的には、耕作放棄地については宅地並み課税が課されるに至ったことがございましたので、ちゃんとそこは、例えば主税局とも問題共有をしてくれたのかなと想像をしております。
 監査事務局が令和五年度監査報告の各局の措置状況についてどのように評価しているのか、その手続と経過、その後の対応について、監査報告ですね、時系列でご説明ください。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査の結果、指摘等を行った事項につきましては、早急に是正、改善するなど適切な措置を講ずるよう、年二回、期日を定め、各局に報告を求めております。
 令和五年度におきましては、一回目百四件、二回目百三十六件の措置通知を受けまして、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直し、再発防止の徹底が図られているかなどの改善策を確認しており、指摘事項等のうち約九割が是正、改善されております。
 また、改善中の場合は、その経過や今後の対応につきまして、各局の状況を詳細に把握するなど、的確なフォローを行っております。
 その上で、監査委員が改善済みと判断したものにつきましては、令和五年六月の第二回定例会、十二月の第四回定例会で報告するとともに、公表しております。

○上田委員 九割が是正、改善ということでございました。
 監査委員の制度設計どおりに運用はされているんだというふうに思われますが、そのルーチンが、いかに魂を込めて監査の課題を明らかにし、都民の財産や信用、利益を毀損しないか、また、毀損を発見し、勧告によって是正していくのかは、十六兆円の都財政執行の最終的な監査者である監査委員の存在意義であり、最も重要な責務であります。
 監査とその結果のフィードバックをより一層進め、各局に徹底すること、委員及び職員の専門性の研さんに努めることと、かねてより求めております。
 監査は手段であって目的ではなく、結果をもって何をするのか、指摘金額と予算全体のバランスに対する見解、監査とその結果のフィードバックを、無駄と不正を防止するという基本的な役割を踏まえた上で、職員状況、その専門性の確保ができたかを含め、事務局の意義と役割につき、決算に当たっての振り返りを示した所見をお示しください。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 監査結果が都の事務事業の改善に資するよう、質の高い監査を実施して、各局への事務改善を促すことが重要でございます。
 監査とその結果のフィードバックにつきましては、各局の担当者向けに監査情報連絡会を開催し、定例監査や工事監査における指摘内容の分析や、共通して誤りの起きやすい事例について各局へ周知を行っております。
 また、専門性の確保につきましては、公認会計士を任期付職員として一名任用するとともに、中小企業診断士、一級建築士などの資格を有する職員が在籍しており、こうした有資格者を講師として、財務諸表や新公会計、公営企業会計など専門知識についての研修を実施したほか、総務省が主催する外部研修等にも職員を参加させております。
 一方、転入職員に対しましては、監査手法や指摘文作成、フォローアップなどの研修を実施するとともに、各職員にインストラクターをつけ、日常的に指導を行わせております。
 今後とも、さらなる監査の質の向上に努めてまいります。

○上田委員 最後の質問になりますが、専門性は確保しているということなんですが、従前、工事監査について、築地、豊洲移転騒動で突如浮上した、共産党さんが発見した盛土、謎の地下空間問題について、何で工事監査で発見できなかったのか指摘させていただきました。
 実際にどの程度足を運んだか確認したところ、築地市場、豊洲市場に対し、定例監査、工事監査ともに年に数日程度、職員が市場に出向き監査を行い、工事監査五件の指摘をするも、地下空間、盛土は含まれていませんでした。
 私の指摘を受けて、監査事務局は、工事監査につきましては、これまでも書類審査、現場実査をともに適切に行ってきたと考えておりますけれども、今般の件を踏まえ、実効性を上げる方策を検討したいと答弁いただいております。
 この件の反省を受けた決算年度の工事監査の在り方の評価と所見を伺います。

○水野監査担当部長DX推進担当部長兼務 工事監査は、都が行う工事等を対象に、整備計画、設計、積算、施工等の各段階において、技術面から工事が適正に行われているかを主眼として、合規性はもとより、経済性、効率性、有効性にも留意して実施しております。
 工事監査の実効性をより高めるため、平成二十九年から、議会案件である予定価格九億円以上かつ事業期間が三か年以上の大規模工事を対象に、工事期間中に少なくとも一回、事業計画等に基づき、当該工事の設計や施工が適切に実施されているかについて、計画に立ち返って確認するなど、監査の充実を図っております。
 令和五年の大規模工事等監査につきましては、対象案件二百七十三件のうち百六件を抽出して監査を行った結果、不適切な事例はございませんでした。
 引き続き、工事監査について適切に行ってまいります。

○上田委員 指摘後、しっかりとやっていると。
 工事監査は建築士もたしか携わっているかと思います。この監査委員の報酬も、二十三万上乗せも、あと事務局運営も全部税金で執行されております。都民は税金を払いながら、都民の税金の使い道と都民の財産である行政財産の管理監督をお願いしていることですから、ただ監査をしました、大丈夫ですってお墨つき機関にならないよう、厳しく監査に当たっていただきますことを強く要望しまして、私の質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○河野委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○佐藤総務局長 過日の分科会で紹介できませんでした当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 防災計画担当部長の田代則史でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○河野委員長 紹介は終わりました。

○河野委員長 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、令和五年度東京都特別区財政調整会計決算及び令和五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○保家総務部長 十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和五年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は二十三点でございます。
 一ページをご覧ください。行政系管理職に占める女性割合の目標及び実績の推移でございます。
 行政系管理職に占める女性割合について、平成三十一年から令和五年までの目標及び実績を記載してございます。
 二ページをご覧ください。三十日以上病気休暇者数(うち精神疾患による休暇者数)でございます。
 三十日以上の病気休暇者数と、うち精神疾患による休暇者数について、令和元年から令和五年までの推移を記載してございます。
 三ページをご覧ください。長時間労働面接対象者数でございます。
 長時間労働の面接対象者数について、令和元年度から令和五年度までの実績を局別に記載してございます。
 四ページをご覧ください。東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第十二条に基づく事案の取扱状況でございます。
 都民等の申出件数及び概要等公表件数につきまして、令和元年度から令和五年度までの実績を記載してございます。
 五ページをご覧ください。政策連携団体等における東京都の出資等の状況でございます。
 五ページから六ページにかけまして、政策連携団体等に対する東京都の出資等の状況について、令和五年度の調査結果を記載してございます。
 七ページをご覧ください。政策連携団体の常勤役員への都退職者の再就職及び現役出向の団体別一覧でございます。
 政策連携団体の都退職者及び都派遣職員の常勤役員数について、令和五年八月一日時点の状況を団体別に記載してございます。
 八ページをご覧ください。事業協力団体の常勤役員への都退職者の再就職及び現役出向の団体別一覧でございます。
 事業協力団体の常勤役員数について、令和五年八月一日時点の状況を団体別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。政策連携団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)でございます。
 政策連携団体の職員数について、都派遣職員、固有職員、都退職者別に、令和五年八月一日時点の状況を団体別に記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。事業協力団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)でございます。
 事業協力団体の職員数について、都派遣職員、固有職員、都退職者別に、令和五年八月一日時点の状況を団体別に記載してございます。
 一一ページをご覧ください。政策連携団体における各所管局等から総務局に事故報告のあったハラスメントの件数でございます。
 令和五年度に各所管局等から総務局に事故報告のあったハラスメントの件数を記載してございます。
 一二ページをご覧ください。職員目安箱制度創設以来の利用状況でございます。
 職員目安箱に関する利用状況について記載してございます。
 一三ページをご覧ください。知事部局等における自殺者数でございます。
 知事部局等における自殺者数について、令和元年から令和五年までの推移を年齢層別に記載してございます。
 一四ページをご覧ください。三十日以上の病気休暇者数でございます。
 三十日以上の病気休暇者数について、平成二十八年から令和五年までの推移を記載してございます。
 一五ページをご覧ください。知事部局における普通退職者数の推移でございます。
 知事部局における普通退職者数と、そのうち部長級以上の退職者数について、平成二十八年度から令和四年度までの推移を記載してございます。
 一六ページをご覧ください。都職員新規採用者の男女比率の推移でございます。
 都職員新規採用者の男女比率について、平成二十八年度から令和五年度までの推移を記載してございます。
 一七ページをご覧ください。都職員の超過勤務状況でございます。
 一人当たりの月平均超過勤務時間について、平成三十年度から令和四年度までの実績を記載してございます。
 一八ページをご覧ください。都職員の年次有給休暇の取得状況でございます。
 一人当たりの年次有給休暇の平均取得日数について、令和元年から令和四年までの実績を記載してございます。
 一九ページをご覧ください。幹部職員の兼務・併任状況でございます。
 幹部職員の兼務、併任状況について、令和五年四月一日時点における兼務、併任の実績を局別に記載してございます。
 二〇ページをご覧ください。職員定数及び組合員数等の推移でございます。
 職員定数、推定組合員数及び推定組織率について、平成三十年度から令和五年度までの推移を記載してございます。
 二一ページをご覧ください。知事部局における非常勤職員等数の推移でございます。
 知事部局における非常勤職員等数について、平成三十年度から令和五年度までの推移を記載してございます。
 二二ページをご覧ください。地方公務員法第五十五条第九項に基づく組合との協定でございます。
 二二ページから二三ページにかけまして、地方公務員法の規定に基づく職員の勤務条件に関する組合との協定の内容について、平成二十六年度から令和五年度までの十年間分を記載してございます。
 二四ページをご覧ください。女性管理職数及び比率の推移でございます。
 女性管理職数及びその比率について、平成二十六年から令和五年までの推移を記載してございます。
 二五ページをご覧ください。令和四年度の都職員の育業取得の状況でございます。
 都職員の育業の取得状況について、令和四年度の実績を男女別に記載してございます。
 簡単ではございますが、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 今年に入り、能登半島地震をはじめ、これまで経験したことのないような大雨が発生するなど、日本各地で多くの被害が発生しています。改めて、日本が自然災害の危険と常に隣り合わせであることを痛感しています。
 こうした中で思い出されるのが、未曽有の災害をもたらした東日本大震災です。発災から十三年以上が経過した中、先般、我が会派で福島県を訪問し、被災地の今の状況を伺うとともに、福島第一原子力発電所の現状を視察してきました。
 現地に直接赴いてみますと、ようやく住民の帰還が始まったところもあり、まさにまちづくりはこれからといった様子を確認することができました。また、除染により取り除かれた土壌等が原発周辺の中間貯蔵施設に堆積している様子や、第一原発の廃炉に向けた取組について説明を受けたことで、改めて被災地の復興道半ばであることを痛感しました。
 東京都はこれまでも、東日本大震災の被災地の復興を支援してきたところですが、改めて昨年の取組について伺います。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は、福島県をはじめとした東日本大震災の被災地の復興を支援するため、発災直後から職員を派遣し、支援を行ってまいりました。
 昨年度は、福島県に十一名の職員を派遣し、農産物の販路拡大や中小企業の復興に係る補助金業務、復興道路の建設等に従事いたしました。
 また、原子力発電所災害に伴う風評の払拭を図るため、都内において様々な機会を捉え、被災地産品の魅力発信等を行っております。
 具体的には、都庁職員食堂において、三陸常磐物といった水産物等のメニューの提供や水産物の魅力発信動画の制作、さらには東北三県ふるさと市を二回実施し、都民をはじめとした消費者に対する被災地産品の魅力発信に努めたところでございます。

○石島委員 都内に目を向けますと、福島からの避難者を中心に、いまだ二千五百人以上の方が避難生活を送られています。
 都内にいらっしゃる避難者の方々に対する支援について、昨年度の主な取組を伺います。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は発災以降、避難者向けの相談窓口を設置しており、健康や福祉、経済状況、家族に関する悩みなど、避難生活全般にわたる相談に対応しております。
 また、福島県や支援団体と連携し、避難者交流会を東京国際フォーラムで開催しており、被災地の今の様子を題材にしたクイズ等を通じ、避難者同士、避難者と避難元自治体の交流を図っております。
 さらに、毎月一回、避難者世帯に対し、支援情報をまとめた定期便を送付しており、昨年度は、避難元自治体の最新情報のほか、令和五年四月に始まった東京電力の追加賠償請求に関する情報を入れるなど、時宜にかなった情報提供に努めているところでございます。

○石島委員 都の復興支援は、福島県をはじめ被災地への職員派遣、被災地産品の風評被害対策や避難者支援など多岐にわたり、今後も継続して行われることが期待されます。
 一方、持続的な支援体制がどのように機能しているのかの効果の測定、また被災地産品の魅力発信など広報活動の強化、また避難者のニーズは時とともに変化するため、それに応じた柔軟な対応など、しっかりと検証していく必要があると思います。継続的な改善と拡大を通じて、今後も支援の質を高めることを要望して、次の質問に移ります。
 次は、能登半島地震への対応について伺います。
 令和六年元旦、能登地方で最大震度七の地震が発生しました。人的被害に加え、家屋の倒壊や液状化による住家被害が多数発生しました。また、土砂災害による道路の寸断や広範囲での通信の途絶、断水など、生活インフラの被害も甚大でありました。さらに、観光名所として知られる輪島市朝市通り一帯では大規模な火災が発生し、多くの家屋などが焼失しました。
 こうした能登半島地震への発災直後から対口支援終了までの間、被災地への支援として都はどのような対応を行ってきたのか伺います。

○高田総合防災部長 都は、発災後、速やかに給水車や応援職員を派遣するとともに、各局を横断的に調整するための支援調整所を設置して庁内の連携体制を構築し、支援を行いました。
 具体的には、対口支援団体となった輪島市を中心に、リエゾンの派遣や避難所運営、住家被害認定、応急給水、水道施設の復旧支援など、対口支援が終了した本年五月三十一日までに、都職員を延べ千六百八十一名派遣いたしました。
 また、被災地の要請に基づきまして、ブルーシート八千七十枚、段ボールベッド百二十八台などの物的支援も行いました。

○石島委員 能登半島地震では深刻な被害が発生しましたが、都は発災直後から様々な人的、物的支援を行ってきたことは分かりました。
 私も、二月の中旬ですか、輪島市と珠洲市で支援活動をさせていただきまして、たまたまそのとき宿泊したのが羽咋市で、都の借り上げていた施設に偶然にも宿泊をさせていただきました。輪島市の輪島市ふれあい健康センター、あるいは水道の復旧作業等の様子も見させていただきましたけれど、本当に若い職員の方が一生懸命災害復興に取り組まれている姿を見て、本当に被災された方も心強かったのではないかというふうに強く感じました。
 また、あわせて、十月、この連休を利用して輪島市に行かせていただきましたが、まさに復興半ばの豪雨による複合災害ということで、地震の災害なのか豪雨の災害なのか、本当に見分けがつかないような状況でありました。実際、輪島市に行きますと、輪島市の朝市の会場のところは解体は進んでいたんですが、周辺はほぼ解体が進んでいない、震災直後の状況そのままであったというふうに、その様子を視察してきたところでございます。
 都は現在も、インフラの復旧や応急仮設住宅の業務など、職員を派遣しています。今後も被災地に寄り添った支援をお願いしたいと思います。
 一方で、都においても首都直下地震など、能登半島地震と同じようなマグニチュード、震度の地震が発生する可能性があり、決して他人事ではありません。今回、能登半島地震における多岐にわたる都職員による被災地への支援活動から、多くの教訓が得られたのではないかと思います。
 そこで、これらの教訓等をどのように都の防災対策に生かしていくのか、見解を伺います。

○高田総合防災部長 能登半島地震では、ライフライン、避難環境、生活再建等に関する課題を改めて認識いたしました。
 こうした課題や東京の地域特性を踏まえて、建物の耐震化や不燃化などのハード対策を着実に進めるとともに、マンション防災や避難所環境の確保、地域特性を踏まえたトイレ対策など、各局等とも連携を図りながら、取組をさらに充実強化してまいります。

○石島委員 過去の大規模災害から得るものは非常に大きいと思います。首都直下地震が起こった場合、東京の被害は極めて甚大になることが想定されるため、東京の地域特性も十分に踏まえながら、大地震が起こったときに都民の命を守れるよう、しっかりと防災対策に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、複合災害への対応について伺います。
 能登半島地震の被災地である石川県で、今年九月に発生した記録的豪雨による被害のように、自然災害が複合的に発生した場合への対応を検討することももちろん大事ですが、令和二年七月の新型コロナウイルス感染拡大の最中における豪雨被害のような、自然災害と感染症の複合災害への備えも大変重要であります。
 そうした複合災害を含むあらゆる災害に対応するため、東京都は令和五年十一月に都政BCPを改定したと聞いています。
 そこで、今回のBCP改定では、特に大規模災害と感染症が複合的に発生した場合について、どのような視点を踏まえて整理したのか、見解を伺います。

○田代防災計画担当部長 今回改定した都政BCPでは、過去の教訓を踏まえ、大規模地震、大規模風水害、火山噴火、感染症などが、同時または時間差をもって発生することも想定し、業務継続に当たっては、先発災害に係る非常時優先業務を確実に進めつつ、後発災害に伴う影響なども念頭に置くこととしております。
 大規模災害と感染症が発生した場合は、災害ボランティアやエッセンシャルワーカーの行動制約下における体制の確保や、避難所における感染拡大等に留意することとしております。

○石島委員 複合災害を含め、適切に対処していくとの答弁がありました。
 発災時への備えという意味では、都政BCPを策定することはもちろん大事ですが、東京都の災害対応力の向上のためには、事業を所管する各局がしっかりと備えることが必要です。
 そこで、都政BCPに基づく内容を着実に実施するために、その内容を踏まえて、各局がマニュアルを適切に見直すことが重要だと考えますが、総合防災部としてどのように各局を支援していくのか伺います。

○田代防災計画担当部長 改定した都政BCPに基づき、各局等において、それぞれのマニュアル等を適切に改定できるよう、令和六年三月に、職員の参集人数の試算や非常時優先業務の実施など、必要な事項をガイドラインにまとめました。
 さらに、各局等によるマニュアル等の改定を促すため、総合防災部が災害事例を通じて改定内容の共有や関連する事業について意見交換を行う検討会を開催し、各局等の実情に応じた支援を行っております。

○石島委員 各局BCPが策定してあっても、その内容を継続的に更新していくことが重要です。所管局が頑張ることはもちろんですが、総合防災部が内容をチェックすることも大切ですので、今後も継続的に支援していただきたいと思います。
 次に、出火防止対策促進事業についてお伺いします。
 都は令和五年度、関東大震災から百年の節目を契機に、震災時に延焼による被害の拡大が懸念される木造住宅密集地域の対象世帯に対し、出火防止に効果的な感震ブレーカーを直接配布して普及啓発を行いました。
 そうした事業実施のさなかに起きた能登半島地震では、輪島市の木造密集市街地において、電気に起因した火災である可能性のある大規模災害が発生しており、都民の関心も高まったように思います。
 そこで、令和五年度の出火防止対策促進事業における感震ブレーカーの配布実績について伺います。

○西山防災対策担当部長 都は令和五年度、木造住宅密集地域の対象世帯に対して、感震ブレーカーが電気火災防止に有効であることや、消火器による初期消火対策などの重要性等について周知するとともに、希望する約十五万八千世帯に感震ブレーカーを配布いたしました。
 こうした取組などにより、広く都民の出火防止対策に係る意識向上を図ってまいりました。

○石島委員 木造住宅密集地域の多くの世帯に対する普及啓発に取り組んできたとの答弁がありました。
 都は、延焼が懸念される木密地域の対象世帯の希望する全ての世帯に感震ブレーカーを配布したとのことですが、具体的にどのような手法で配布したのか伺います。

○西山防災対策担当部長 出火防止対策促進事業の実施に当たりましては、木造住宅密集地域のある区市と、町会、自治会への周知方法などについて事前に個別の調整を行った上で、昨年九月から対象世帯に申込み用はがきつきのチラシを配布いたしました。
 はがき、特設ホームページ、電話により申込みを受け付けるとともに、住民向け説明会を開催した地区では、その場での感震ブレーカーの配布も行いました。
 さらに、対象世帯への戸別訪問を行い、出火防止対策の必要性を説明の上、希望する世帯に感震ブレーカーを直接配布いたしました。

○石島委員 本事業において、まず、区市や町会、自治会との事前調整を丁寧に行い、その上で、はがき、ホームページからの申込みだけではなく、説明会や戸別訪問といった多岐にわたる方法で都民にアプローチするという手法は、大変な労力と時間がかかります。これは、出火防止対策が地震発生時の減災に大きく寄与する非常に重要な取組であることの表れであるというふうに思います。今年度も戸別訪問を行っていますが、出火防止対策が一層進むよう、引き続き丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
 これについて、普及啓発の取組の一環として行っているのが、出火防止対策にとどまらず、都民の防災意識を向上させるための取組は必要です。私たちの生活も大きくさま変わりしており、急速にスマートフォンの普及率は増加し、多彩で便利なアプリも開発されている中で、都が提供している東京都防災アプリは非常に有効な手段であります。
 そこで、防災アプリの活用も含めて、防災全般について昨年度どのような普及啓発活動を行ってきたのか伺います。

○高田総合防災部長 令和五年度、都は、関東大震災から百年の節目を契機といたしました普及啓発のイベントや、都民参加型の防災訓練を実施するほか、防災ブックをリニューアルいたしまして、都内の全世帯に配布いたしました。
 また、災害への備えや災害時に役立つ多くのコンテンツが利用できる防災アプリを誰もが使いやすいようリニューアルするとともに、その内容について、デジタルサイネージやラジオ番組等による広報を実施いたしております。
 こうした取組により、防災アプリの令和五年度末での累計ダウンロード数は約八十九万三千件となりまして、令和四年度末から約十三万八千件増加しております。

○石島委員 様々なアプリが存在する中、累計ダウンロード数が約八十九万三千件というのは、大いに評価してよい数字だと思います。
 今年は、能登半島地震、南海トラフ地震臨時情報の発表、ゲリラ豪雨の多発など、災害を身近に意識せざるを得ない出来事が多く発生しています。
 昨年度は普及啓発に力を入れたとのことですが、災害への危機感が高まっているこの機を捉え、都民の方から寄せられる声や提案にもしっかりと耳を傾けていただき、普及啓発を含め、防災対策の強化に努めていただくことを要望し、質問を終わります。

○藤井委員 それでは、総務局に関する決算質疑を行わせていただきます。
 私たちの会派からは、山田副委員長も質疑をしていただく予定でありますので、私からは、注力をしてまいりました性的マイノリティー等へのパートナーシップ宣誓制度を中心に、五問程度お伺いをさせていただきます。
 都のパートナーシップ宣誓制度につきましては、全国で進んでいた、いわゆる同性パートナーシップ制度を、二〇二二年十一月に全国で初めて条例の中に組み入れて実現したものであります。
 私もその制定に尽力を尽くしてきた一人でありますが、LGBTQ等性的マイノリティーの当事者の方々から、コロナ禍で入院したときにパートナーの看病ができないのではないかというような不安の声などを受けまして、東京都に同性パートナーシップ制度をつくってほしいという要望や、その後、請願を受けて実現したものであります。
 制定されたタイミングでの当事者の皆さんの喜びの表情、これは今でも忘れることができないものであります。制定されて終わりではなく、今後は、当事者の皆さんや行政、民間企業において、この宣誓制度が活用されていくことが重要だと考えております。
 そこでまず、令和四年、五年度末と直近の受理証明書の交付済数について伺います。あわせて、民間サービスにおける受理証明書の活用の充実状況について伺います。

○若林人権部長 受理証明書については、令和四年度末で六百五十四組、令和五年度末で千百三十九組、令和六年九月末で千三百八十二組に交付しております。
 都は、受理証明書の活用を促進するため、民間企業が参加する性的マイノリティーの方々を支援するイベントにおいて、制度の理解や周知を図るなど継続して働きかけてまいりました。
 その結果、不動産購入時のペアローンや保険金の受取人指定など、民間企業の顧客向けサービスにおいて、受理証明書を活用できる企業数が増加しております。

○藤井委員 件数、お答えいただきましたが、条例の施行から着実に件数が伸びている、もちろん数だけが重要なわけではないと思いますが、件数も着実に伸びているということ。また、ちょっとこれは確認をまだしていませんけれども、過去確認したときは、全国でもかなり多い数、一番の数だというふうにも聞いております。
 多くの性的マイノリティー当事者が参加をするレインボープライド、こちらにも出展をしたということで、先ほどご答弁の中にもありましたが、普及啓発にしっかりと努めていただいているということで、これは引き続き行っていただきたいと思います。
 また、不動産や保険などで活用が増加しているということでありますので、ホームページに出ているものとかも見ておりますが、さらなる活用、それ以外のものもたくさんあると思いますので、さらなる活用と、また事例として、そういったものもしっかりと伝えていっていただくことをお願いしたいと思います。
 都では、この受理証明書をオンラインで交付いたしまして、これも我々も要望させていただきましたが、制度利用者がサービスを利用する際は、スマートフォンやタブレットの画面により提示するようにしてまいりました。
 財布等で携帯する際に、印刷するともともと提示していたものがA4サイズになってしまい、とても不便であるという声がありまして、令和四年第二回定例会の総務委員会において、私からカード型の受理証明書の交付についても提案させていただいたところであります。
 そこで、このカード型の受理証明書について、その後の取組状況について伺います。

○若林人権部長 令和五年度に、性的マイノリティーの方々の生活上の困り事の軽減や制度の安定的な運用を図る観点から、システム改修を行った際、新たにカード型サイズの受理証明書を発行できる機能も追加いたしました。
 これにより、令和六年度から、携帯しやすいサイズの受理証明書の印刷が可能となり、制度利用者の利便性が向上しました。

○藤井委員 ご対応いただいたという答弁だと理解をいたしました。
 私はデジタル都議と名乗っておりますし、支払いなど、なるべくスマホで済ませたいタイプでありますが、それでもいざというとき、自然災害であったりとか、また病気など、そんなときには、なかなかスマホでそれができるか分からないところがあります。
 当事者の皆さんの不安の声というのもそのとおりだなと思いますので、カード型のサイズのものが印刷できるようになって、それを自ら持てるようになったということで、ご対応いただきまして誠にありがとうございます。もともとの提案は、もっとしっかりとしたカードのものでもいいんじゃないかとは思っておりますので、引き続きそちらもご検討いただければと思います。
 パートナーシップ宣誓制度もそうでありますが、性的マイノリティーの方々のお困り事を具体的に解決していくということが非常に重要であると考えております。
 性的マイノリティーの方々には、就職時や就職後の職場でのハラスメントを経験している人が多く、それがきっかけで働くことが難しくなり、経済的困難にもつながることがございます。誰もが働きやすい職場環境とするためには、企業内における性的マイノリティーの方々への理解をはじめ、社内制度等についてアップデート、新しくしていくことが重要であります。
 そこで、受理証明書を勤務先の福利厚生等に活用するためには、企業に対する支援も欠かせませんが、取組状況について伺います。

○若林人権部長 都は令和五年度より、性的マイノリティーの方々が働きやすい職場の環境づくりを支援するため、都内事業者に対し、社内福利厚生制度の見直しなど対応すべき課題について、助言や研修等を行う訪問支援事業を新たに開始いたしました。
 事業の実施に当たりましては、各事業者の抱える課題を丁寧に聞き取り、課題に対し知見のある方を講師として派遣するなど、きめ細かい支援を行ってまいりました。

○藤井委員 ご答弁にはありませんでしたが、昨年十一月には性的マイノリティーに関する企業向けのポータルサイトを公開いたしまして、その中で都の支援メニューの紹介があったり、LGBTフレンドリー宣言企業の事例の紹介、そんなこともしているというところであります。その中にご答弁のあった訪問支援事業も紹介しているところでありまして、しっかりと企業の中で、受理証明書の活用も含めて、性的マイノリティーの方々への理解、またお困り事の解決を支援していただければと思います。
 宣誓制度については、まだまだ聞きたいこともたくさんあるんですが、今年度や来年度につながることもありますので、事務事業質疑の中でも質疑をさせていただきたいと思います。
 ここで少し話が変わりまして、専門人材の育成についてお伺いをさせていただきます。
 先日の第三回定例会の一般質問で、私たちの会派の、ここにいます山田副委員長より、都庁の若手職員がやりがいや成長を実感できる環境整備について質問をしました。
 職員が強みを持つ分野でスキルを磨き、その道のスペシャリストとして活躍できるよう、専門性に着目したキャリア形成を後押ししていくという答弁があったと記憶をしております。
 私も、特に注力をしておりますデジタル分野やスタートアップ、この分野では、職員の中でスペシャリストを育てていくということが大変重要であると考えております。
 私も、もともとマイクロソフトという外資系企業で働いてまいりまして、いわゆるジョブ型雇用という形で、営業職だったんですが、まさに専門的な力を伸ばすというか、知見を広げるような働き方をしてきたところであります。もう十五年、二十年近く前の話ですが、最近は日本企業でもそういったジョブ型雇用というものも、専門性をより高めていく必要が社会の大きな、何ですかね、社会が変わってきている中で、専門知識を上げていくということで、ジョブ型雇用というのが増えている傾向にあると思います。そういった形で社会が変わってきているんじゃないかと考えております。
 そこで、都としまして、職員の専門性を高めていくためにどのような取組を行っているのか、令和五年度の実績や今後の方向性も含めてお伺いをいたします。

○金久保人事部長 都政を取り巻く状況が大きく変化する中、都政課題の解決を図る上で、より高い専門性を持つ人材の必要性が増してきております。こうした観点から、都では、高度な専門性を有する職員を管理職に登用するなど、専門人材の育成に取り組んできておりまして、令和五年度は三十名が合格しております。
 少数精鋭の執行体制が求められる中、職員が自らの専門性や能力を最大限発揮できるよう、任用数を拡充するほか、将来の管理職候補となる主任や課長代理への登用も積極的に進めております。

○藤井委員 ありがとうございます。
 複線採用といいましたか、以前から取り組んでいるところのご答弁と、さらに、どちらかというとシニアというか、経験豊かな方がやっていたところを、さらに若手にも広げていくというご答弁であったと理解をしております。
 先ほどのデジタル分野やスタートアップの分野もそうですが、例えば福祉や税務など現場を持つ分野においては、その道のプロとなる専門人材の育成というのが極めて重要だと思います。
 スタートアップ室の質問でもしようと思っているんですけれども、スタートアップの分野においても、やはり、この人に相談すればいろんな課題が解決するというところが、スタートアップ当事者であったりとか、関係者の安心感につながるという声をたくさんいただくところでありまして、そういった、ある意味、顔となるような人の育成というは不可欠だと思っております。
 やっぱりどうしても行政の場合、ローテーションで二、三年で変わってしまうというところで、それまで積み上げてきたことがなくなってしまうというところは、都がカウンターパートするというか、都民であったりとか、事業者の皆さんも困っているところなので、ぜひここは積極的に進めていただきたいと思います。
 ただいまご答弁のありました職員の専門性に着目した任用制度をさらに推進し、職員が持つ自らの強みや経験を最大限都政に生かしてもらえるように、期待と要望をさせていただきます。
 最後に、各局に聞いているところなんですけれども、今、東京都ではスタートアップとの協業というものを進めておりまして、各局でも取組を進めていただいていると聞いております。
 総務局の政策課題解決に向けたスタートアップ活用、協業の具体的な実績についてお伺いをいたします。

○田村企画担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 総務局では昨年度、局で運営する東京リカレントナビのポータルサイトについて、スタートアップの意見投稿プラットフォームを活用し、都民等のアイデアを取りまとめた提案を受けることで、サイトの使い勝手や検索機能などの改善につなげているところでございます。
 また、総務局が所管している東京都立大学において、スタートアップが開発したマッスルスーツを購入し、災害現場における医療従事者の身体的負担軽減の検証等の研究に活用しております。
 なお、ロボットの遠隔操作や運動センサーの検証等を行うスタートアップ七社に対しまして、実証実験のフィールドとして大学キャンパス内のローカル5G環境を提供いたしました。

○藤井委員 ありがとうございます。まずは、東京リカレントナビのポータルサイトでスタートアップの意見投稿プラットフォームを活用されたということであります。
 また、都立大学の事例、これは大変いい事例だなと思っておりまして、スタ・国室にも今確認をしているところではあるんですけれども、これはもともと都がやっていたキングサーモンプロジェクト、こちらで採択されたもので、政策目的随意契約、公共調達に関するスタートアップ企業のプロダクト等の認定をされたもので、横展開をされたものと聞いておりまして、そういったものもしっかりと採用して使っていただけているということで、とてもいい取組だなと思っております。
 まさにこれからだと思うんですが、総務局には総合防災部もありまして、能登半島でも話題となりました、例えば新しい技術であるスターリンクみたいなものもございますし、これもニュースにもなっておりましたが、WOTAさんという、水の効率利用、汚水を浄水にしてという、これもデジタルサービス局ですかね、未来型オフィスの中で手を洗うのに使っていたりとか、これは防災の中でも使うことができるものだと思っておりますので、ドローンの活用とか、以前より大分進んできていると思いますが、そういった先端の技術を持つスタートアップ企業とぜひ、都政課題の解決、一緒に協業していっていただきたいなと思います。
 あと、実はパートナーシップ宣誓制度に関しても、Famieeさんという会社を提案させていただきまして、民間のパートナーシップ宣誓制度を発行している会社との連携というものも、ぜひ進めていただきたいなと思います。
 総務局でのスタートアップとの協業の好事例も積極的につくっていただくことを要望いたしまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○北口委員 それでは、私からは、まず大規模水害対策について質問させていただきます。
 東京の東部低地帯、荒川や江戸川などの大河川が氾濫しますと、広範囲にわたり浸水被害が発生することが想定をされております。
 大規模な水害発生が想定される場合に、広域避難が推奨されておりますけれども、行政区域を越えた避難である広域避難を実行していくためには、全ての関係者が綿密に連携をし、実効性を確保していくことが重要であるというふうに考えます。
 これまで都は、国や区、そして関係機関と、広域避難の具体的な検討を進めているというふうに聞いております。
 そこで、令和五年度の具体的な取組内容について伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、大規模風水害時の広域避難の円滑な実施について検討を行うため、令和四年六月に国と共同で、首都圏における広域的な避難対策の具体化に向けた検討会を設置いたしました。
 この検討会において、令和五年度は、災害時に円滑なオペレーションを実施するために、国、警視庁や消防庁、関係自治体、鉄道各社など、関係機関ごとの役割と情報発信の内容、タイミング等を整理いたしました。
 その結果を踏まえ、大規模風水害の訓練等でも活用できるよう、首都圏大規模水害広域避難タイムラインを本年三月に策定いたしました。

○北口委員 都が大規模風水害時におけます広域避難のタイムラインを策定するなど、具体的にこの取組が進んでいることを確認させていただきました。
 本年の第二回定例会での答弁では、図上訓練を実施し、タイムラインを実際に検証して、区が策定する広域避難計画のモデルを作成するとの答弁があったところでございます。引き続きの取組を何とぞよろしくお願い申し上げます。
 一方で、こうした避難計画を準備しても、災害時に都民の皆さんが避難行動に移していただけなければ意味がございません。大規模風水害から都民の命を守るためには、都民一人一人が平時から自らの水害リスクを把握し、適切な避難行動を取ることが極めて重要であるというふうに考えております。
 そのため、都は、都民が水害リスクを一層自分事として認識できるよう、居住地ごとのリスクや推奨される避難行動等を住民に直接発信する水害リスク診断書の配布事業を実施したことと思います。
 私は、この事業の本格実施に先立ち、令和四年度に、地元葛飾区内の町会で開催されましたモデル事業に参加をしまして、その重要性を当時認識したところでございます。令和五年の第一回定例会本会議では、この取組を江東五区の中でも浸水リスクの高いエリアなどに拡大して実施することが必要であるというふうに申し上げました。
 そこで、令和五年度の水害リスク診断書の配布事業の取組状況についてお伺いをいたします。

○田代防災計画担当部長 都は、大規模風水害時に住民の適切な避難行動を促すため、令和五年度に江東五区において、特にリスクが高いと想定される約四十七万世帯を対象として、居住地ごとの浸水状況等をまとめた水害リスク診断書を配布いたしました。
 配布と同時に実施したアンケートでは、居住自治体外への広域避難を選択した住民が約四割に上るなど、自ら取るべき避難行動への意識の向上が確認できました。

○北口委員 大規模風水害から都民の命を守るためには、広域避難への備えとともに、平時からの住民への意識づけが非常に重要でございます。引き続き、広域避難の実効性の確保のために、行政側の十分な準備と、そして、都民への水害リスクに対する普及啓発を様々な方法で実施していただくことを望みまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、首都直下地震時の出火防止対策について伺います。
 先ほど石島委員からも質問がございましたが、一問だけ質問させていただきます。
 都は、地域防災計画で、二〇三〇年までに首都直下地震による人的、物的被害をおおむね半減するという目標を掲げておりまして、令和五年度は、関東大震災から百年の節目を契機とした取組の一つとして、出火防止対策促進事業を実施しております。
 令和六年の能登半島の話もございましたけれども、木造密集地域で大規模な火災が発生をして、この出火原因が電気系統の可能性があるというふうにいわれているところでございます。
 そこで、令和五年度に実施した出火防止対策促進事業について、改めて事業を実施した意図を確認するとともに、具体的な取組の実績についてお伺いをさせていただきます。

○西山防災対策担当部長 大規模災害時に火災の被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により火災の発生を未然に防ぐことが重要なことから、延焼が懸念される木造住宅密集地域の対象世帯に対し、普及啓発を行うことといたしました。
 具体的には、木造住宅密集地域の対象世帯に対し、感震ブレーカーによる電気火災の防止への有効性、初期消火の重要性を説明するとともに、希望のあった約十五万八千世帯に対し感震ブレーカーを配布いたしました。
 また、広く都民に対して、出火防止対策の重要性などに関するリーフレットを都内全ての世帯に配布することに加えまして、区市町村と連携したイベントなどでも周知をいたしました。

○北口委員 リーフレットを都内全ての世帯に配布するなど、取組を実施しているということでございました。
 今回の普及啓発事業をきっかけに、感震ブレーカーが出火防止に有効であることを知った都民も多かったと思いますし、さらに、感震ブレーカーそのものについて初めて知った都民も多かったのではないかなというふうに思います。
 昨年度に引き続き、今年度も事業を実施しているということでございますので、希望する対象世帯の方に感震ブレーカーがしっかりと行き渡り、そしてまた、効果的な普及啓発となりますよう、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、区市町村災害対応力向上支援事業についてお伺いをいたします。
 能登半島地震の被害でも明らかになったところでありますけれども、建物の耐震化や火災延焼防止、そして避難所等におけるトイレの確保、そして通信途絶への対応など、住民生活に直結する課題に対して、被害の軽減や生活衛生環境の向上のために、都は対策の主体となる区市町村の取組を後押ししていくということが大変重要であるというふうに思っております。
 そこで、都は、区市町村の災害対応力を向上させるためにどのような取組を行ってきたのか伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、令和四年度に公表した被害想定において、火災の延焼や通信の途絶、水洗トイレの機能停止など、身の回りで起こり得る被害の様相を明らかにいたしました。
 こうした課題の解決に向け、区市町村が初期消火対策や通信の確保、トイレ確保対策などの取組を一層進められるよう、令和五年度から、消火器や携帯簡易トイレ、Wi-Fi機器などの購入経費を補助しております。

○北口委員 都が区市町村の取組を後押しすることによりまして、東京全体の防災力の向上を図っていることは有効でございます。
 中でも、特にトイレの問題につきましては、能登半島地震の際も、水洗トイレが使用できず、避難所等のトイレも不足しまして、衛生環境が悪化した事例が発生したことなどを考えますと、都においても喫緊の課題というふうに考えております。
 都議会公明党においても、従来から災害時のトイレの問題を重視しまして、これまでも様々なトイレの活用やトイレの確保を行う区市町村への支援などについて、答弁を求めてきたところでございます。
 そこで、都が区市町村を支援する事業のうち、トイレ確保対策に関する補助事業の内容と令和五年度の実績についてお伺いをいたします。

○田代防災計画担当部長 避難所等においてトイレ環境を確保していくことが重要であることから、区市町村が携帯トイレ、簡易トイレを購入する場合に、購入経費の二分の一を補助するものでございます。
 令和五年度は、十八区市に対して総額約五千三百万円の補助を行いました。

○北口委員 都が区市町村を支援している事業の取組について確認をさせていただきました。
 現在、災害時のトイレに関する計画を策定しているというふうに聞いております。災害時の避難生活の中で、安全で衛生的なトイレを確保することは、災害関連死を減らすなど命を守ることに直結する重要な課題でございます。
 本計画の策定を通じて、今後もしっかりと区市町村を支援してもらいたいと同時に、都としても、災害時のトイレ確保について、しっかりと準備、検討を進めてもらいたいと要望させていただき、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、東日本大震災の復興支援、そして、特に風化防止についてお伺いをいたします。
 都はこれまでも、被災地の復興に向けて様々な取組を行ってまいりました。震災から十三年が経過しまして、年々重要性を増しているのが風化の防止でございます。
 震災の風化は、被災地の復興に向けた歩みを停滞させかねません。また、私たち東京は、特に原発事故の影響を強く受けた福島のことを忘れてはいけないと思っております。復興を一層着実なものにしていくためにも、被災地から離れたここ東京において、多くの都民に、東日本大震災を思い出し、被災地に目を向け続けてもらうことが重要というふうに考えます。また、全国各地で大災害が頻発している今、東日本大震災を振り返ることは、来るべき災害に向け、自らの備えを高めることにもつながるというふうにも考えております。
 都は毎年三月に、被災県と連携して都民に風化防止を呼びかけるイベントを実施しているというふうに承知をしておりますけれども、昨年度の東日本大震災風化防止イベントの実績を伺います。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は、青森県、岩手県、宮城県、福島県と共同で、三月七日から十一日まで汐留シオサイトにて東日本大震災復興フォーラムを開催し、五日間で六千七百四十一人が来場いたしました。
 会場では、東北四県の復興状況及び震災記憶や教訓の伝承についてパネルで紹介するほか、復興に向け尽力する方々のメッセージ動画などを放映いたしました。
 東京都からは、CO2フリー水素の活用に向けた福島県等との連携事業など、都が実施する様々な被災地支援に関する展示を行いました。
 さらに、地酒や特産品、名産品の販売を通じ、被災地産品の魅力を発信いたしました。

○北口委員 ありがとうございます。ぜひ引き続きこうした取組、継続していただきたいというふうに思います。
 さて、風化させてはいけないのは都民の震災に対する記憶だけではありません。あの未曽有の大震災と、そこからの長く困難な復興に携わった行政機関の経験もまた、忘れられてはいけないものだというふうに考えております。
 都は、この復興支援に従事した職員の経験を毎年発行の活動報告書で広く共有しているというふうに聞いております。あわせて、都が復興を通じて培った被災県との絆という貴重な財産も、しっかりと継承、発展させていくべきでございます。
 津波、地震被災地域である岩手県、宮城県は、ハード面での復興がほぼ終わり、都からの職員派遣も二年前に終了したというふうに聞いております。これらの県と連携して、災害対応経験の継承や震災の風化防止につなげるような取組があってもよいのではないかというふうに考えます。
 そこで、被災県と連携した復興業務の経験の継承について、昨年度の取組をお伺いいたします。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 昨年度、都は、初の試みとして、被災県である宮城県の職員を招き、都職員における震災経験の継承を目的として、東日本大震災からの復旧・復興セミナーを開催いたしました。
 このセミナーは、二部構成として、自らが家族や住宅を失った被災者であり、かつ県庁職員として業務に従事していた方に、被災者目線での震災に対する率直な感想や震災発生時の県庁内の状況などを語っていただきました。また、震災後の復興事業に従事した県の技術系職員の方には、早期復旧、復興の加速化に向けた様々な取組の成果や課題を講演していただきました。
 参加した都職員からは、自分の中で風化しかけていた震災の記憶がよみがえり、防災意識が高まった、震災記憶を継承していく有意義な講演になったなどの感想が出されてございます。

○北口委員 震災はいつどこで起きてもおかしくありません。都の職員が、被災者であり行政マンである方からリアルな話を聞くということは、震災の風化防止につながるとともに、いざというときの職員としての心構えを深く考える貴重な機会であったろうというふうに思います。参加した職員の感想からも、非常に有意義なものであったというふうに伺うことができました。ぜひこうした取組、今後とも機会を捉えて実施していただきたいというふうに思います。
 以上、震災の風化防止と行政の交流について確認をさせていただきました。今後、こうした取組をさらに深化させ、被災県民と東京都民の絆を深め、共に助け合い成長できる関係を構築していくことを期待しております。
 最後に、もう一点だけ、私からパートナーシップ宣誓制度についてお伺いをいたします。
 先ほど来も質疑がございましたが、違う角度で質問させていただきたいというふうに思います。
 二〇二二年十一月から開始された同制度は、性的マイノリティーの方々の生きにくさを少しでも解消するとともに、行政がこうした方々への理解を示し、そして都民の皆様へ理解を啓発するという意味においても、大変意義のある制度だというふうに評価をしております。
 令和四年三月に総務局人権部がまとめた性自認及び性的指向に関する調査によりますと、性的マイノリティーの割合は七・七%であり、約十三人に一人が何らかの性的マイノリティーであるということを示しております。調査の中では、職場や友人などの無理解に加え、家族からの無理解などの訴えもあり、当事者の生きづらさは想像に難くありません。
 こうした背景の中、当事者の生きづらさを少しでも軽減するために始まった当制度の開始から二年が経過をいたしました。都のホームページによりますと、先ほどもありましたけれども、本年九月末の段階で千三百八十二組が受理証明書の交付を受けたということでございます。
 そこで、制度利用者からは、まずどのような声が寄せられているのかお伺いをいたします。

○若林人権部長 令和五年度に実施した制度利用者に対するアンケート調査や電話等で寄せられた声では、都の受理証明書で市の公営住宅に申し込むことができ感謝している、病院等でパートナーの付添時に自己申告だけでは不安なので、受理証明書を持っていることによってすぐに証明できるのが心強いです等の感謝の言葉をいただいております。
 一方で、自分が住んでいる自治体では制度を導入しておらず、都の受理証明書を使うことができなかったとの意見も寄せられました。

○北口委員 東京都のパートナーシップ宣誓制度が、行政サービスで活用できるなどの具体的な困り事の解消や、日常生活を過ごす上での安心にもつながっているなど、性的マイノリティー当事者に寄り添っている制度だというふうに考えております。
 一方で、答弁にもありましたとおり、制度を導入していない自治体に住んでいる方の中には、その自治体の行政サービスに都の受理証明書を利用することができない等の不便を感じているというふうな声もあるということでございました。
 そこで、都内区市町村には、パートナーシップ制度を導入している自治体と導入していない自治体がありますけれども、どのような連携を行ってきたのかお伺いをいたします。

○若林人権部長 都は、令和四年度のパートナーシップ宣誓制度開始時より、独自でパートナーシップ宣誓制度を導入している都内二十二自治体と、受理証明書の相互利用に関する連携協定を提携しております。また、制度が未導入の都内自治体に対しては、都の受理証明書を各自治体の行政サービスで活用できるよう、区市町村との会議等の機会を捉えて働きかけてまいりました。
 令和五年度末現在、例えば区市町営住宅や市営霊園など、各自治体が認める行政サービスが都の受理証明書により二十三自治体で利用できるようになりました。その結果、四十五自治体の行政サービスにおいて都の受理証明書が活用されております。

○北口委員 都の取組によりまして、受理証明書がより身近な都内区市町村での行政サービスで活用され、着実に受理証明書の活用、充実が図られているということを確認いたしました。
 本制度によりまして、性的マイノリティーの方々の日常的な困り事の解消につながり、暮らしやすい環境づくりへの取組が進んでいることは重要でございます。今後とも活用機会の充実に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 日本では、性的マイノリティーの方々への理解については、まだまだ不十分なところもございますけれども、多様な人材が集まるこの東京から、対象のお一人お一人が自分らしく生きられるような制度づくりや体制づくりを今後もお願い申し上げたいと思います。
 さらには、こうした取組を進めながら、多様性に関する寛容さの一層の機運醸成につながることを期待しまして、質問を終わります。

○大山委員 今日は、ヘイトスピーチについて質疑したいと思います。
 都内には多くの国、地域の方々が生活しています。世界で日本以外の百九十五か国、地域のうち、百八十八か国、地域の方がこの東京に暮らしていらっしゃると。それだけに、SDGsで掲げられた目標の一つでもありますインクルーシブ、つまり様々な背景を持つあらゆる人が排除されないことが東京で実践されること、これは重要です。
 障害の有無や、国籍や年齢や性別などに関係なく、違いを認め合い、共生していくことを目指す社会をインクルーシブ社会ということですね。東京都もSDGsを率先して実現しようとしているわけです。
 しかし、この目標と真逆な事態がヘイトスピーチということです。東京都の人権条例十二条に基づいてヘイトスピーチと認定し公表した概要は、人権部のホームページに載っていますから、私、一通り見ました。
 矛先は、朝鮮人、韓国人、シナ人、二〇二三年になるとクルド人が加わるという状況です。何を叫んでいるか、もう口にするのもはばかられるわけですけれども、ゴキブリ、ウジ虫、ごみ、くそ、ゆすり、たかり、犯罪者、存在そのものが犯罪者なんだよ、もっとひどいこともいっています。このようなヘイトスピーチが後を絶ちません。
 人権条例を所管する総務局として、ヘイトスピーチをなくすために具体的に何を行っていますか。

○若林人権部長 都は、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチと認められる表現活動の概要を公表するとともに、表現活動に係る動画等がインターネット上に掲載された場合には、表現の内容の拡散を防止するための措置として、法務省東京法務局に削除要請を行っております。
 また、啓発チラシの作成、配布や、地下鉄駅等でのポスター展示、動画配信などにより、広く都民への意識啓発の取組を行っています。

○大山委員 都民への意識啓発の取組をしているんだということですけれども、資料を出していただきました。四ページです。東京都が不当な差別的言動に該当する、つまりヘイトスピーチと認定した件数は、これを見ますと、減るどころか、昨年は十三件、五年間で最高です。同時に深刻なのは、小池知事が、関東大震災における朝鮮人虐殺被害者に対する追悼文の送付を中止して以来、史実をゆがめ他民族を冒涜する団体が追悼式典と同時刻に隣接した場所で集会を開催しています。
 東京都は、この集会での表現について、二〇一九年九月一日のケースと二〇二三年九月一日のケースを、東京都人権条例に基づいたヘイト行為だと二度も認定しています。その上、今年九月一日には、慰霊碑を破壊すると叫ぶなど、ヘイト行為がエスカレートしています。
 この状況をどう認識していますか。

○若林人権部長 都は、人権尊重条例に基づき、表現活動をヘイトスピーチとして認定しており、ヘイトスピーチは、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から許されないものと認識しております。

○大山委員 二〇一九年と二〇二三年の二回ともヘイトスピーチだと認定した、それは認めるわけですよね。
 それにしても、私は何て聞いたかというと、ヘイト行為がエスカレートしている状況をどう認識しているんですかと、そういうふうに聞いたんです。それには答えていません。ヘイトスピーチは成熟した社会を実現する観点から許されないというんだったら、さらにエスカレートしないようにするためにはどうしたらよいのかというのを考えなきゃいけないことだと思います。
 私、改めて先日、横網町公園に行ってきました。東京都の慰霊堂のすぐそばに朝鮮人犠牲者の追悼碑があります。この追悼碑は、関東大震災五十年を迎えた一九七三年に、当時の都議会全会派の幹事長も参加して実行委員会がつくられて、その実行委員会によって建立されて、東京都に寄贈されたものですね。
 知事が関東大震災における朝鮮人虐殺被害者に対する追悼文の送付を中止した二〇一七年から、式典と同時刻の朝、追悼碑から僅か二十メートルほどの園内で、真実の慰霊祭と称する集会を開いてきたのが、史実をゆがめて他民族を冒涜する団体、そよ風ですね、そのそよ風が、二〇二三年には追悼碑前に場所を移して集会を行う、このように、九月一日を目前にした八月にインターネットのブログで告知しました。
 実際、二〇二三年の九月一日は、園内ではトラブルを警戒する大勢の警察官が警備に当たって騒然となりました。警視庁は、警察官一人の警備業務を妨害したとして、三十代の男性を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕したという報道もあります。
 総務局は、このようなヘイトスピーチをなくすためにどう対応しているんですか。

○若林人権部長 人権尊重条例に基づきヘイトスピーチと認定された場合は、その表現活動の概要を公表することにより、実態を広く都民に伝え、ヘイトスピーチは許されない旨を啓発しております。

○大山委員 ヘイトスピーチ、件数も増えている。それから、こういうふうにエスカレートしているわけですね。
 二〇一九年の九月一日には、関東大震災朝鮮人被害者追悼式典をやっているところで、犯人は不逞朝鮮人、朝鮮人コリアンだったのです、不逞在日朝鮮人たちによって身内を殺され云々、そういう言動がヘイトスピーチであると東京都は認定しました。
 そもそも不逞朝鮮人といういい方、これは大震災の流言飛語としても広がった差別語です。東京都の公表文書で、都は、不逞朝鮮人という言葉を用いながら、本邦外出身者を著しく侮蔑し、地域社会から排除する目的を持っていたものと考えられる。また、当該発言がされた日時、場所、その他の態様等に照らせば、別の集会−−つまり朝鮮人犠牲者追悼式典ですね、この別の集会に対して挑発的意図を持って発せられたものであって、その表現内容も朝鮮人をおとしめ、傷つける差別的表現であると書いています。
 二〇二三年の九月一日のときには、朝鮮帰れ、おまえらはごみなんだよ、くずなんだよなどの言動です。
 関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典に対してヘイトスピーチを行う集会が始まったのは二〇一七年ですから、小池知事が追悼文送付を中止した年からです。知事の追悼文送付中止がヘイトを助長しているのは明らかですけれども、総務局はどう認識していますか。

○若林人権部長 関東大震災で犠牲になられた方々に対する追悼について、三月と九月に都立横網町公園で執り行われている大法要において、震災とその極度の混乱の中で犠牲となられた全ての方々に対して哀悼の意を表しております。
 なお、都はヘイトスピーチの解消に向け、様々な機会を捉えて啓発を行っており、引き続きヘイトスピーチは決して許されないというメッセージを発信してまいります。

○大山委員 全ての方々に、事実を認めない、歴史的事実を認めないということが、本当に東京都の姿勢としては、知事の姿勢としては許されないことです。
 しかも、私は、知事の追悼文中止がヘイトを助長しているのは明らかですけれども、総務局はどう認識しているんですかって聞いたんです。
 東京都人権条例に照らしても、知事がヘイト行為を助長するなどということは決して許されないことです。総務局は、ヘイトスピーチは決して許されない、ヘイトスピーチの解消に向け、様々な機会を捉えて啓発を実施しているっていうわけですから、まずは知事に、ヘイトを助長することになっていますよということもきちんといって、そして知事に対して啓発するべきじゃないんですか。
 以上です。

○河野委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十八分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。

○鈴木委員 私からは、東京都の会計年度任用職員についてお伺いをしたいと思います。
 いただいた資料にもございましたけれども、東京都では、令和五年度の数字で六千九百十三人の会計年度任用職員がいらっしゃいます。全職員の中で、全体の二七%を占める方々が会計年度任用職員でいらっしゃいまして、都の行政運営に欠かせない人材となっているということがいえるかと思います。
 その一方で、東京都の教育委員会は昨年、スクールカウンセラー二百五十名を大量雇い止めにしました。四回の契約更新上限に達して試験を受けたスクールカウンセラーの二割以上を一気に雇い止めにしたことに、私自身も衝撃を受けました。
 私も多くの雇い止めに遭ったスクールカウンセラーの方々のお話を直接伺ったんですけれども、ふだんの学校での勤務評価が全く考慮されずに、僅か二十分ほどの面接だけで、五年の再度任用の期間を終えたからということで不採用にされたということで、全く納得できないと。雇い止めの理由も分からないまま、自分たちの人格が否定されてしまったというように感じられて、悲嘆に暮れていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。都教委のこういう働く人々の権利を無視した行為には憤りを禁じ得ないところでございます。同様の問題が知事部局でも行われているのではないかという点を危惧しております。
 そこで質問させていただきます。まず、令和五年度末で雇い止めにした会計年度任用職員、つまり公募によらない再度任用の上限回数に達した者、もしくは当該上限回数に達していない者のうち、希望したが任用されなかった者は何名いらっしゃったんでしょうか。教えていただきたいと思います。

○堀内労務担当部長 会計年度任用職員の任期につきましては、地方公務員法において、採用の日から会計年度の末日までの期間の範囲内と定められております。
 また、再度の任用について、都においては、公募によらない再度任用を連続四回までとし、この上限回数に達した場合も、公募による選考を経た任用は妨げないものとしてございます。
 なお、選考を含めた任用の手続は各局等で適切に実施しているところであり、個別の状況については取りまとめてございません。

○鈴木委員 答弁を伺って、よく分からないんですけど、個別に取りまとめはしていないんだけど、適切に運用されているという事実は分かるというロジックがよく分からないんですけど、ちょっとそこを詳しく教えていただけますか。
 状況は分からないけど適切に運用されているって、どういう意味ですか。

○堀内労務担当部長 選考を含めた任用の手続は各局等で適切に実施しているところでございまして、個別のこうした状況につきましては取りまとめていないという状況でございます。

○鈴木委員 把握されていないということなんですね。それを伺って、なるほどとちょっと私なりに疑問が解けたところがございまして、私、今まで厚生委員会に所属をしておりまして、今年の三月十八日の厚生委員会、まさに年度が終わる、切り替わる直前、三月十八日に、厚生委員会で福祉局に対して、スクールカウンセラーの大量雇い止めと同様のことが起こっていないんでしょうかと、雇い止めにされる予定の方は何人いらっしゃいますかって質問したんです。
 そうしたら、答えを聞いて驚いたんですけど、答えが返ってきたら、現在選考中ですとおっしゃるんですね。三月十八日ですよ。三月までの任期の方に、四月一日からどうするのかを三月十八日時点で決めていないという答えなんですね。こういうことが起こっているんだということをぜひ部長に把握していただきたいなというふうに思うんです。
 労働基準法上、解雇通知は一か月前までに行う必要があって、同時に解雇理由を説明することが求められています。当然それに準じる対応をすべきだと思うんですけれども、残念ながら知事部局内でもそういうことがなされていない、教育委員会だけの問題ではないということが明らかになっているわけでございますから、ぜひ、各局任せにせずに、総務局で状況を把握していただけないかなと、おかしなことが行われていないかなということをよく見ていただきたいなというふうに思います。
 次の質問なんですけれども、各局いろんな問題が起こっているんだろうと危惧をしておりますけれども、再度任用を希望したけれども任用されなかった者に対して、雇用主としての責任として、配慮すべきこと、やるべきことをちゃんと各局に周知されていらっしゃるのか、ご説明をいただきたいと思います。

○堀内労務担当部長 国のマニュアルにおきまして、会計年度任用職員の任用は行政処分としてなされるものであり、期間の満了によって職員としての身分は消滅するものとされております。
 一方で、結果として複数回にわたって同一の者を同一の職務内容の職に再度任用している場合に、何の予告もなく再度の任用を行わないことは多大な影響を及ぼすことが想定されるため、事前に十分な説明を行うことや、ほかに応募可能な求人を紹介する等の配慮が望ましいということも示されており、各局等に周知してございます。

○鈴木委員 通知していただいていることはいいことだなと思うんですけれども、それが実際うまくなされていないことを危惧しております。しっかり、通知した結果が行われているのかどうか、把握に努めていただきたいというふうに思います。
 続いて、大量離職通知書のことについてお伺いをしたいと思います。
 労働施策総合推進法によって、大量離職通知書という制度がございまして、大量に離職者を出す場合は事前にハローワークに届けなければいけない、少なくとも一か月前までに届けなければいけないというルールが、法律があるわけでございます。
 この法律、しっかり守っていれば、一か月前に庁内の離職者を把握しなければいけないわけですから、先ほど指摘したような問題は起こらないと思っているんですけれども、実際、厚生委員会で、先ほど説明したようなことが起こったわけなんですね。
 改めて伺いたいんですけれども、令和五年度について、ハローワークへの大量離職通知は東京都として適切に行われたのでしょうか。ご説明をいただきたいと思います。

○堀内労務担当部長 大量離職通知は、地域の労働力需給に影響を与えるような大量の雇用変動に対して、ハローワークが迅速かつ的確に対応できるよう提出するものでございまして、知事部局及び事業所単位で適切に対応してございます。

○鈴木委員 何で適切に対応しているっていい切れるかが分からないんですよね、さっきからね。各局に任せていますというお話で、誰を雇い止めにするかは総務局としては把握していないはずなのに、適切に対応していますというのが、ちょっとさっきからひっかかっています。答弁なかなか変えられないと思うんですけど、次、伺うときは、つじつまが合うようにしていただきたいなというふうに思うところでございます。
 スクールカウンセラーの話からこの問題、始めましたけれども、結局、会計年度任用職員の方々をいわゆる五年ルールで、五年たったらゼロから再公募なんです、応募してくださいといって、そこでもう自分たちの都合よく雇い止めにしてしまうという問題に、やはり大きな問題があるんじゃないかというふうに考えている次第でございます。
 最近、この制度について大きな変化がございました。まず、人事院が、国の動きですね、今年の六月二十八日、国の非正規公務員−−国は会計年度任用職員ではなく、期間業務職員と呼ぶらしいですけれども−−について、公募試験をせずに再度の採用ができる回数を、今まで国の場合は二回までとしていた、三年ルールだったわけなんですけれども、この三年ルールの制限を撤廃すると決めたそうでございます。これはご存じだというふうに思います。
 これを受けての動きもあろうかと思いますけれども、今年の九月二十日の毎日新聞の記事によると、都内七割の自治体が、このおかしな五年ルールについて撤廃もしくは対応を検討するというふうに答えているそうでございます。
 こういう動きを受けて、東京都として、いわゆるこの五年ルールですね、公募によらない再度任用の上限回数を連続四回までとしている制度をやめるべきだというふうに判断すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○堀内労務担当部長 公募によらない再度任用につきましては、国のマニュアルにおきまして、会計年度任用の職に繰り返し任用することは、身分及び処遇の固定化などの問題を生じさせるおそれがあることに留意が必要とされており、具体の取扱いについては、各地方公共団体の地域の実情等に応じて、適切に対応することとされております。
 都は、これを踏まえ、公募によらない再度任用を連続四回までとしております。

○鈴木委員 そういっていた国が三年ルールを撤廃するわけですね。都内の多くの自治体も撤廃の方向で動いているというところで、この撤廃の動きを生み出した東京都が、なかなかそこに及び腰というのはどうなのかなと。もう少し、スクールカウンセラーの大量雇い止めの問題を起こした東京都として、前向きに検討いただきたいと思うところでございます。
 私ね、これ誤解を受けたくないんですけれども、五年ルールはやめるべきだっていっているんですけど、会計年度任用職員の方を解雇すべきじゃないっていっているわけじゃないんです。
 私は、一年ごとにきちんと評価をして、この人は適性がないという方は、その評価をされた管理職の方が責任を持って、あなたはこういう理由で次年度採用できませんと説明すべきだと思うんですね。それが人を大切にするということだし、何ていうのかな、事業者としての責任だと思うんです。
 私も今までずっと経営者をやってきまして、あまり大きな声でいいにくいですけど、たくさん辞めてもらいましたけど、やっぱりこの会社に合わない、適性がないと思う方には辞めてもらいましたけど、その方に誠心誠意向かい合って、あなたは私たちのこの会社に合わない、このポストに合わない、辞めることがお互いのためになると思う、ここを直してもらいたい、また次頑張ってほしいということを誠心誠意伝えました。
 そういうことをやるのが評価をする人間、管理職の責任だと思うんですけれども、私から見るに、東京都の方々は、会計年度任用職員の方々に対してそういう基本的な姿勢を持たない。毎年毎年の再任用については、問題があっても、いいにくいからそのまま自動的に雇ってしまって、五年で、五年ルールが適用されるときに、もう理由を説明せずに、ほかにもっといい人がいたんで、あなたはもうここで終わりですとやってしまうわけですね。
 これね、された人は反省のしようもないわけですよ。自分に何が足りなかったのかも分からない、何を頑張ればいいのかも分からないまま首を切られてしまうわけです。こういう不誠実な対応というのは、私は、企業は当然やるべきじゃないですけど、公共の団体がですね、よりやるべきではないと思いますので、ぜひご検討いただきたいというふうに思います。
 続いて、ちょっとテーマを変えまして、正規職員と会計年度任用職員の待遇の格差について質問をしたいと思います。
 東京都は、二〇二三年度賃上げを行ったと思うんですけれども、正規職員及び会計年度任用職員の方々に対して、賃上げをいつ決定し、いつの支給分から増額をされたのか、ご説明をいただきたいと思います。

○堀内労務担当部長 常勤職員の給与については、令和五年人事委員会勧告を踏まえ、その水準を引き上げる条例案が第四回定例会で議決され、令和五年四月一日に遡及して改定してございます。
 会計年度任用職員の報酬額については、規則に基づき、常勤職員の給与改定を踏まえ、各局等において年度末までに決定し、令和六年四月一日に見直しております。
 この取扱いにつきましては、任用前に職務内容等と併せて本人に明示をし任用している点や、多種多様な職があり、その勤務条件が様々であることを踏まえたものでございます。

○鈴木委員 つまり、正規職員は十二月に決めて四月に遡って賃上げをしました、会計年度任用職員は年度末に決めて、翌年度の始まりから支給しましたと。一年間賃上げが遅らせられるわけですね。これも納得のできない制度だなというふうに思います。
 東京新聞の今年の四月四日の記事によると、総務省の調査で、全国千七百八十八自治体のうち、全体の五五%の自治体が遡って、つまり正規職員も会計年度任用職員も同じに遡って四月から賃上げをしたそうです。東京都は残念ながら、それをしなかった四五%に含まれているという状況であるそうでございます。
 総務省は昨年の五月に、非正規の給与について、改定の実施時期を含め、常勤職員に準じて改定することが基本という通知を出しているそうでございまして、東京都の対応は総務省の通知に反しているんじゃないのかなというふうに思います。これはどうなんでしょう。これは反しているんじゃないかなと思うんですね。
 やはり東京都も、会計年度任用職員の報酬も常勤職員と同様、遡及して改定すべきだと思いますけれども、どんなお考えでいらっしゃいますでしょうか。

○堀内労務担当部長 先ほどご答弁申し上げましたように、会計年度任用職員の報酬額については、任用前に職務内容等と併せて本人に明示し任用している点や、多種多様な職があり、その勤務条件が様々であることを踏まえまして、翌年度の四月一日に見直すこととしてございます。
 なお、この取扱いにつきましては、労使交渉を経て定めているものでございます。

○鈴木委員 ご本人が納得しているかどうかって、ちょっと理由にならないと思うんですね。これ、総務省の通知に反しているんじゃないかという趣旨ですから、ちょっとご検討いただきたいなというふうに思うんです。
 私、思うんですけれども、市区町村の方々、本当に財政難で苦しい思いをされていらっしゃって、遡及するかどうかの一年の財政負担、これがどれぐらいの規模かあれですけれども、これがなかなか捻出できないから苦慮されて、どうしても一年間ずらしているんだとか、そういう事情がある自治体も多いんだろうなというふうに思うんです。
 一方で、じゃあ皆さんの東京都はどうかというと、今回の決算でご説明していただいている令和五年度の決算見ても、単年度で八千六十億円内部留保を積み増しているんですよ。八千六十億円内部留保を積み増して、その一方で、自分たちの、東京都のために一生懸命働いていらっしゃる非常勤職員の方々に対しては、総務省の通知に反してでも遡及改定しないんだと。こういうのはやっぱりおかしいんじゃないかなというふうに思います。ぜひご検討いただきたいなというふうに思います。
 続きまして、ちょっとテーマを変えまして、市町村総合交付金についてお伺いしたいと思います。
 市町村総合交付金は、多摩地域の自治体にとって非常に重要な財源でございまして、多摩格差の是正に向けて一層の拡大を我が会派としても求めさせていただいているところでございます。
 令和五年度決算では、三十九市町村に対して五百九十二億円を交付したことを確認しておりますけれども、学校給食の無償化の継続実施や子供医療費助成の所得制限撤廃を全ての自治体で継続して行っていけるように、拡充を求めていきたいというふうに思っています。
 一方で、その算定方法について東京都は明らかにしておらず、ブラックボックスとなってしまっている面があるんじゃないかというふうに感じているところでございます。
 例えば、本年の第二回の定例会で、本会議場の質疑の際に、私が都知事の答弁にやじで苦言を呈していたところ、与党の議員から、私、立川市の選出なんですけど、立川市は市町村総合交付金は要らないんだなという、非常に下品な、恫喝的な言葉を浴びせられました。算定方法を明らかにしないのは、何だかこういう政治的な利用がブラックボックスの中で行われているのかなと感じざるを得ない次第でございます。そういう観点から、何とかこのブラックボックスを何とかしてもらいたいなという思いで、以下質問をさせていただきます。
 今日の質疑で取り上げたいのは、この市町村総合交付金の経営努力割についてです。
 東京都は、市町村総合交付金の評価をする際に、経営努力割という項目をつくって評価をされて、最終的な交付金の金額を決められていらっしゃいます。
 ただ、市町村職員の賃金や人事制度については、法律の範囲内で各自治体の経営戦略や労使交渉に基づいて決定されるべきで、この補助金を背景に東京都が介入することは控えるべきだと感じております。
 まず、この点について、経営努力割とはどのようなものなのかご説明をいただきたいと思います。

○田中行政部長 市町村総合交付金の経営努力割は、市町村の自助努力の促進、自主性、自立性の向上に向けて、人事給与制度の状況や税の徴収率の向上、歳出削減など、市町村が自ら取り組む行財政改革の努力に応じて配分しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。期待していたよりも踏み込んでご答弁をいただいたこと、率直に評価をさせていただきたいなというふうに思うところでございます。
 今ご答弁いただいた中で、人事給与制度の状況というお言葉がございました。具体的に給与や手当、休暇などについてどのように評価されているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○田中行政部長 経営努力割の算定項目の一つでございます人事給与制度の状況については、地方公務員法第二十四条に定める国や他団体との均衡の原則等に基づき、各団体の取組状況を算定しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。その地方公務員法第二十四条に定める国や他団体との均衡の原則というのがネックになっているんじゃないのかなと感じているところでございます。
 私も企業の経営者を長年やってまいりまして、やっぱり会社の戦略に基づいて独自に給与の水準を決めるということは、非常に重要なことだと思うんですね。東京都の立場として、一見、そのポストにそんなに払うと国のどのポストを超えてしまうとか、東京都のこの人より高くなってしまうとか、払い過ぎだ、問題だと見えることもあるのかもしれないんですけれども、各自治体は戦略的にそれを判断した結果かもしれないわけですよね。私は、そういうところに東京都が口を挟むのはどうなのかなというふうに問題意識を感じているところでございます。
 次の質問なんですけれども、そういった総合交付金の算定に当たって、皆さんが市町村に対してヒアリングを毎年実施しているというふうに伺っています。このヒアリングというのが、非常に各市町村に対して大きなプレッシャーになっていて、そのヒアリングを忖度して、いろんなことが行われているという状況を伺っているところでございます。
 実際、そういうヒアリングが本当に行われているのかどうかを含めて、これ、どういったことをやられているのかご説明をいただきたいと思います。

○田中行政部長 市町村総合交付金の算定に当たりましては、各市町村の実情をきめ細かく把握するため、年間を通じて綿密な意見交換を行っております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 なかなか担当者によってやり方が違ったり、いろいろあるんだろうと思うんですけれども、やっていただいている市町村の中ではいろいろと不満もあるようですので、慎重に適切に対応いただきたいと思うところでございます。
 次の質問なんですけれども、現業職員の方の賃金や人事任用制度、新規採用に関して、この経営努力割による基礎自治体への交付金が減ってしまうことを都からの財政上のペナルティーだと受け止めている基礎自治体の職員が多いようでございます。
 職員の労働条件や現業職員の賃金、採用等のいかんによって総合交付金の交付額に影響があるとすると、それはやはり先ほどから指摘している、東京都による不当な圧力、干渉、介入になってしまうんじゃないのかなというふうに考えているところでございますけれども、ちょっと言葉が強いかもしれませんけれども、こういう圧力、干渉、介入、実際あるんでしょうか。ペナルティーはあるんでしょうか。皆さんのお考えを教えていただきたいと思います。

○田中行政部長 経営努力割は、市町村の自助努力の促進、自主性、自立性の向上に向けまして、市町村が自ら取り組む行財政改革の努力に対しまして、インセンティブを付与することを主眼としております。

○鈴木委員 そこが難しいところだと思うんですね。何をもって経営努力というのか。例えば、非正規の職員の方がいらっしゃる、この仕事は非常に重要だから、このポストを正規化してもっと力を入れていこう、これは経営努力だと思うんです。でも別の角度から見れば、非正規でできる仕事を正規にして逆行していると見える懸念もあるなというふうに思うんですね。何をもって経営努力と判断するかって、非常に難しい問題なんだというふうに思うんです。
 そういう意味でちょっと、経営努力を全く見ないということは難しいのかもしれませんけれども、少なくとも人事政策について、何をもって経営努力なのかよく分からない中で、東京都が踏み込んで交付金の算定の基準にするというのは、考え直すべきじゃないかなというふうに申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきたいと思います。

○もり委員 総務局事業について、防災対策、島しょ振興、障害者就労について伺わせていただきます。
 令和五年度東京都の防災対策について、帰宅困難者対策として、令和五年度は十六億円が計上されています。三・一一の際には首都圏で五百十五万人にも及ぶ帰宅困難者が発生し、都では令和五年三月に帰宅困難者対策ハンドブックをまとめました。
 帰宅困難者対策において、都内に集積する企業との連携による一時滞在施設の確保については、早期に六十六万人を目指し、一時滞在施設の確保に向け、市街地再開発に伴い新たに建築される民間施設などを中心に取組を進めているとしています。
 また、一斉帰宅抑制に関する認知度について、コロナ禍で減少傾向で、令和四年度の認知度は企業四二%ですが、地域防災計画、被害軽減と都市再生に向けた目標では、二〇三〇年度の目標七〇%を掲げています。
 施策の目標の達成に向けた令和五年度の進捗状況について伺います。

○小平危機管理調整担当部長 一時滞在施設につきましては、民間施設に対して、帰宅困難者向け備蓄品購入経費の六分の五の補助や再開発の機会を捉えた周知などを行っており、令和六年一月一日時点で約四十七万一千人分を確保しております。
 また、令和五年度の東京商工会議所の調査によりますと、一斉帰宅抑制に関する企業の認知度は三四・七%であり、都は、帰宅困難者対策ハンドブックを活用し、毎年、経済団体等と連携してセミナーを開催するなど、事業者の意識を高める取組を推進しているところでございます。

○もり委員 ただいまご答弁をいただきまして、令和四年度の四二%から、コロナ禍を経て三四・七%になってしまった現状などもありますので、やはり企業の取組とともに、そこで働く一人一人の理解度というものも大変重要だと思いますので、ぜひ一層の周知と具体的な取組の推進について、引き続きお願いを申し上げます。
 また、企業に対して、七十二時間は帰らず待機として三日間の備蓄を呼びかけていますが、都庁職員の一時滞在対策と、都庁舎における帰宅困難者の受入れ体制についてお伺いをいたします。

○小平危機管理調整担当部長 都では、東京都災害対策本部の業務に従事する職員の非常用食料やアルミブランケット等を都庁舎などに備蓄しております。
 また、都庁舎は、帰宅困難者を受け入れる都立一時滞在施設として、アルファ化米、保存水、アルミブランケット、エアマット、携帯トイレなど、約五千人分の備蓄品を確保するとともに、災害時都庁舎利用業務マニュアルにその運営方法を規定してございます。

○もり委員 三・一一の際には、私は区議会議員だったんですけれども、駅のシャッターが一斉に閉められて、本当にまちじゅうに帰宅困難者の方があふれ返ってしまった状況が今も思い出されますので、ぜひそういった対策については、基礎自治体とも連携しながら、本当に現場の対策が進むような一層の支援をお願い申し上げます。
 次に、復興支援対策事務として、東日本大震災の支援、都内避難者の支援に一億二千二百四十九万九千円が計上されておりますが、執行率が六七・八%となっております。その理由についてお伺いをいたします。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 昨年度、約三千九百万円の不用額の主な内訳は、被災地水産物魅力発信動画制作委託約一千九十五万円、東北三県ふるさと市運営委託約八百七十万円などの契約差金となっております。

○もり委員 ありがとうございます。契約差金などということで、支援が縮小したものではないということを確認させていただきました。
 三・一一から、長い年月が復興にはかかりますので、本当に共に歩んでいくことが求められますので、引き続きの支援についてお願いを申し上げます。
 また、令和五年度における復興に向けた支援の取組についてお伺いをいたします。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は昨年度、福島県に十一名の職員を派遣し、農産物の販路拡大や復興道路の建設等に従事いたしました。
 また、東北三県ふるさと市などの実施を通じて被災地産品の魅力発信を行ったほか、イベントなどを通じて震災の風化防止に取り組んでございます。
 さらに、都内避難者向け支援として、相談窓口の運営や定期的な情報提供などを行いました。

○もり委員 いまだに都内にも、二千五百人以上の方が避難をされているということも確認をさせていただいております。
 三・一一の際には、大田区では区の事業として、六千万円の予算をかけて現地に派遣するボランティアバスなどを出しまして、延べ一万二千人以上の方が現地の復興支援に訪れました。いざというときの地域防災力の要として、そういった、今現地にいまだに行っていただいている都の職員さん十一名ですとか、現地での経験というのは、本当に東京都でいざというときにも大変、現場の教訓が生かされると思いますので、引き続きお願いを申し上げます。
 区市町村対策費用のうち、島しょ山村及び過疎対策、小笠原振興事務、硫黄島墓参事業等の三十一億八百十六万八千円が計上され、支出済額は十六億四千三百二十九万八千百七十七円、執行率は五二・九%と低くなっておりますが、理由をお伺いいたします。

○田中行政部長 令和五年度の区市町村振興費につきましては、主に東京宝島サステナブル・アイランド創造事業及び島しょ山村地域における移住体験住宅整備補助事業の実施に当たりまして、関係町村におきまして、資材高騰の影響や工法検討のため設計に時間を要することとなりまして、令和五年度中の工事実施を見送ったことなどで不用額が生じたためでございます。

○もり委員 令和五年度の新規事業として、多摩・島しょ地域の暮らしや文化を体験して移住、定住を促す事業として一億五千万円が計上されております。
 まず、多摩・島しょ暮らし体験ツアーの概要と参加人数についてお伺いをいたします。

○松野多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 多摩・島しょ地域への移住、定住を促進するため、移住後の生活をイメージできる暮らし体験ツアーを実施しました。各ツアーにおいては、市町村と連携し、生活関連施設の見学や地元の方との交流などを実施いたしました。
 なお、令和五年度は、延べ五百九十九名の方が体験ツアーに参加されました。

○もり委員 都内においても、本当にすばらしい自然ですとか、またコロナ禍でテレワークなども進んでおりますので、そういった魅力を知っていただくことは、移住、定住にもつながるよい取組であると思います。
 島しょ山村地域における移住体験住宅整備補助費、令和五年度の新規事業として四億五千万円が計上されました。事業実績と初年度に見えた課題についてお伺いをいたします。

○松野多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長多摩島しょ移住定住促進担当部長兼務 令和五年度は、島しょ山村地域の五町村に対しまして、移住体験の滞在拠点として整備する住宅の設計等に関わる費用に補助を実施しており、今年度は工事に着工しております。

○もり委員 引き続き、島しょ山村地域の魅力が都民の方に伝わって、移住促進がなされるよう、引き続きの取組をお願い申し上げます。
 次に、小笠原の救急搬送についてお伺いをいたします。
 私の選挙区である大田区は、東京湾に面し羽田空港があります。改正される前の衆議院選挙の区割りでは、東京三区は大田区、品川区の一部、そして島しょ地域から構成をされていました。私自身も東京湾の干潟の保全活動など環境活動に携わってまいりました。都議会議員になって、島しょ地域に人的なゆかりがある議員たちとの交流ですとか、東京の海、川、運河、島しょの振興に努めてきたところです。
 小笠原の救急搬送についてお伺いをいたします。
 島しょ地域を訪れるたびに人のつながりが増え、様々なお話を伺わせていただきましたが、小笠原で病気やけがをした場合、内地とは比べものにならないほどリスクがあるとお聞きをしてまいりました。
 品川区では、けがをした場合、救急車が必要ならばすぐに来て、病院で治療を受けることができますが、小笠原では、救急搬送になったとしても、搬送に伴うリスクと多大な搬送時間を要し、病状あるいはけがが悪化して、取り返しのつかない事態になった事例もお伺いをいたしました。
 島しょ地域の救急搬送は、総務局、保健医療局及び東京消防庁が、島しょにおける救急患者等の搬送業務の役割分担に関する協定に基づき行っていますが、この中で、小笠原諸島から救急患者を本土へ搬送する必要性が生じた場合は、総務局が海上自衛隊など他の機関へ搬送を行い、対応しているということを承知しております。
 そこで、昨年度の小笠原支庁管内の救急患者搬送の実績についてお伺いをいたします。

○高田総合防災部長 父島または母島から硫黄島までの患者搬送は海上自衛隊が担っており、実績は二十三件でございます。硫黄島から本土までは海上自衛隊が十七件、海上保安庁が六件でございます。

○もり委員 ありがとうございます。ただいまご答弁をいただいたように、小笠原諸島については、海上自衛隊や海上保安庁が搬送の任務を担っていただいています。
 患者の搬送ルートの確認ですが、例えば父島に患者がいる場合、約二百七十キロメートル離れた硫黄島からヘリで迎えに行き、患者を乗せて、約二百七十キロメートル離れた硫黄島に戻る、そこで患者を飛行機に乗せ換えて、約千二百キロメートル離れた本土に搬送し、その後、救急車で病院に向かうということで、患者にとっては約千五百キロメートルの移動となります。
 小笠原から本州までは、週に一便の定期船である「おがさわら丸」しかありません。救急搬送される人以外は、病状が重い方でも竹芝まで自力で行くしかないのが実情です。荒れる黒潮を越えて二十四時間の船舶移動は、病んだ心には大変こたえることが予想されます。
 島しょは人が住むことで維持をされています。そこで住む方々が東京都民なのですから、救急搬送の体制を保障することは島しょ振興の基本だと考えます。
 そこで、小笠原の救急搬送は現状でよしとするのか、改善するべきと考えるのか、見解についてお伺いをいたします。

○近藤小笠原・国境離島担当部長調整担当部長兼務 小笠原村の救急医療体制については、引き続き自衛隊等の協力を受けながら維持することとしております。

○もり委員 小笠原の救急搬送については、ミライ会議は何度も質問してまいりました。東京消防庁のAW189というヘリコプターの航続距離は千二百キロあるので、八丈島を拠点にすれば、父島まで九百三十キロの航行に耐えられるのではないかと提案もしてまいりました。
 現行機では航続距離の問題があるというご答弁でしたが、しかし、八丈島には二次医療圏としての町立病院があるので、そこでの対応も可能ではないかと思います。重篤な患者を千五百キロ超えて広尾病院に搬送する現在の手段以外の方法をつくっていただきたいと願うものです。
 八丈島を拠点に小笠原の救急搬送拠点を整備できないか、お伺いをいたします。

○近藤小笠原・国境離島担当部長調整担当部長兼務 東京消防庁が保有する機体の最大航続距離は約千二百キロメートルでございまして、天候の急変の可能性等を考慮しますと、安全に対応することは困難であると考えております。

○もり委員 現状でも航続距離が足りるヘリコプターはございます。航続距離があるロシア製のヘリを採用した西側諸国などもあり、難しいから無理とせずに、人命に関わることなので、ぜひ柔軟な対応を期待するものです。
 また、ミライ会議では質問の都度、消防庁など、本件について議会で質問があったと共有をしていただきたいと伝えてきたと思います。東京都は小笠原の航空路開設を目指しておりますが、真っ先にダイレクトに結ぶ救急搬送の方法を確立していただきたいと要望をさせていただき、最後に、障害者雇用についてお伺いをいたします。
 令和五年における東京都の障害者雇用の実績について、令和五年障害者雇用状況の集計結果によりますと、東京都の機関に在籍をしている障害者の方の数は千百四十一・五人、実雇用率三・二九%と、全ての機関で法定雇用率を満たしているとのことですが、一方で、障害者団体の方からは、知的障害者の採用試験の門戸は開かれたものの試験内容が難しい等、より一層障害種別に寄り添う対応が求められると考えます。
 令和五年における身体障害者、知的障害者、精神障害者それぞれの雇用数についてお伺いをいたします。

○金久保人事部長 令和五年六月の知事部局の障害者雇用率算定における人数は、身体障害者が五百八十六・五人、知的障害者が二十四・五人、精神障害者が百十五人となっております。

○もり委員 ありがとうございます。今、知事部局の障害者雇用率算定について、実数について確認をさせていただきました。
 先日の人事委員会で出された資料の中では、採用試験についての数が出ていたんですけれども、令和五年については、やっぱり知的障害者の方、試験を受けているんですけれども、採用に至った数は過去十年を見ても、昨年はゼロで、過去十年遡っても一名という現状がありました。都庁における障害者雇用を一層進めていくためには、ぜひそういったより合理的配慮を進めていただきたいと願います。
 障害がある職員さんが働きやすい環境とする必要があると考えます。そこで、令和五年度における障害がある職員に対する合理的配慮の取組の事例についてお伺いをいたします。

○金久保人事部長 各職場の取組をまとめた合理的配慮の提供に関する事例集を令和五年度においても改定の上、各局へ周知しております。
 具体的な取組といたしまして、定期的に職員の意向を把握するとともに、必要に応じて読み上げソフトの導入や手話通訳による支援など、職員の障害特性を踏まえた職場環境の整備に努めております。

○もり委員 都庁においても、障害がある職員さんに対して個別の、一人一人に応じた合理的配慮に取り組んでいただいているという旨の答弁をいただきました。
 民間企業等では、重い障害や難病等、寝たきりで外出が困難な方も、遠隔操作ロボット、OriHime等を活用した外出困難者が分身ロボットで働くカフェなど、就労の場が拡充しており、かねてより私も、さらなる遠隔操作ロボット等の活用による就労の場と機会の拡充を求めてまいりました。
 今後は、より一層、これは産労の事業になるんですけれども、今年度新規事業で、都庁の展望台で、障害のある方がロボットで遠隔で観光客向けの案内を行うという事業も始まるということです。今後は、より一層、障害を持つ方が働く場が広がり、活躍できる社会を目指す必要があると考えます。
 神奈川県や埼玉県など、自治体窓口においても取組が始まっておりますので、ぜひ都としても、誰もが自分らしく働くことのできる環境整備の一層の推進を要望し、質問を終わります。ありがとうございます。

○上田委員 総務局の審査ということで、総務というだけあって多岐にわたりますので、多岐にわたりまして端的に質問させていただきます。
 訴訟関係からです。
 都市計画、収用、損失補償、税務、住民訴訟、情報公開とありますけれども、合計で五十六件です。
 五年度に解決あるいは終結を見た事案の概要、行政訴訟となる事案のこれまでの傾向、当然とする場合もありましょうし、反省あるいは改善すべき点も自覚されたと思料するので、その後、どう受け止め、日常業務に反映したのか伺います。

○松下訟務担当部長 令和五年度の行政訴訟の終了事件は、都市計画関連の事件が全体の約三割を占めるなど最も多く、こうした傾向はこれまでも同様でございます。
 判決結果等につきましては、事業所管局と共有し、適切に対応しております。

○上田委員 民事訴訟です。
 いわゆるColabo問題として、今日に続く耳目を集めてきた若年被害女性等支援事業に関する公文書不開示決定取消し等請求訴訟に係る控訴は、三月二十六日に、これ国賠で都は負けてしまいましたよね。
 一方、墨田工業高校でのプール授業において、不適切指導により重大事故によって首の骨を折り、生涯にわたる重篤な障害を負わせた事案については、三月二十七日、都へ三億八千万円の賠償命令が出ましたが、こちらは都は控訴せず、支払いを完了しております。
 いずれも、福祉局、教育庁が対象局となっておりますが、総務局はどのように関わり、対応及び判断をされているのか、この件及び一般論としての所見を伺います。

○松下訟務担当部長 総務局は、法務部門として事業所管局と連携し、事案ごとに適切に対応を行っております。

○上田委員 行政不服申立てです。
 まず、都民が行政へ問題解決を求めるために行使する行政不服審査法の理念と、都民が行政不服申立てをすることの意義と、申立てを受ける側としての都の所見を伺います。

○松下訟務担当部長 行政不服審査法に基づき、行政庁の違法または不当な処分等に関し、都民が簡易、迅速かつ公正な手続の下で、広く行政庁に対する不服申立てをすることを可能とすることにより、都民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することといたしております。

○上田委員 都のホームページで答申内容を拝見させていただきました。障害等級や福祉に係る手当、生活保護、一時保護についての申立てなど、切実な内容が大多数となっております。
 かつて私も、保育園に落ちた一人の母親として、江戸川区第一号で不服申立ての審査請求をしたことが思い出されます。江戸川区議になって、一人会派が予算、決算に入れないことに疑義を感じ、東京都へ審査請求をし、棄却はされましたが、江戸川区議会はこのアクションを受けて、一人会派が参加できる運営に、都議会と違って改革することができました。
 また、都議会においては、決算、予算委員会に除外されるたびに総務省へ審査請求を提出し続けておりますが、今のところ変わりません。
 二人会派になって、こうして出席させていただいても、引き続き、一人会派の不利益取扱いについては、私どもが出席できない議運やあり検に申入れを続けております。
 事ほどかように、世の中には、公が関わっていながらも理不尽で不公平な扱いが、ともすれば横行するものです。
 そこでまず、令和五年度の東京都行政不服審査会の答申の内訳を伺います。

○松下訟務担当部長 令和五年度における東京都行政不服審査会の答申は四百三十八件であり、そのうち、審査請求人の主張の全部または一部が認められた事案は六件でございます。

○上田委員 四百三十八分の六件と、申立人の願いはほとんど棄却され、まるで審査会は都の判断にお墨つきを与える追認機関になっていまいか危惧するものです。
 ついては、制度が都民のために機能しているのか、また、活用いただくための周知は徹底しているのか伺います。

○松下訟務担当部長 制度運用に当たっては、外部有識者から成る行政不服審査会の審議を経るなど、客観性、公正性を確保した上で適切に行っております。
 また、行政不服審査法に基づき、行政処分を行うに際して不服申立てができることを確実に伝えるとともに、ホームページでも周知しております。

○上田委員 行政不服審査会ですが、公平、公明、公正に諮問審査ができているのか確認いたします。
 また、法律上棄却せざるを得ない場合において、都としては、複数都民の悩みを申立てを通して知るに至るわけですので、仮に棄却となったとしても、改善の余地があることもあり、そうした点につき、関係部局との共有をしているのか伺います。

○松下訟務担当部長 審査請求に対する判断については、ホームページにおいて東京都行政不服審査会の答申を公表するとともに、関係局とも情報共有を図っております。

○上田委員 包括外部監査です。
 決算年度におきます担当部局反映状況についてご報告ください。また、この知見をどう全庁的に活用していくか、所見も伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 令和五年度に包括外部監査を実施した中央卸売市場では、令和六年二月の監査結果を受け、現在、改善の取組を行っているところであります。
 また、包括外部監査データベースや監査結果の事例集を作成するなど、監査結果を各局でも活用できるよう、情報の共有を図っております。

○上田委員 私、包括外部監査においては非常にですね、一般質問とか質問のネタの宝庫というか、やっぱり監査能力が高いかなと思って、非常に評価しているところでございます。しっかり活用されていることを確認させていただきました。
 行革の取組についてです。
 子供室、スタ・国、デジ局において、部局が大きくなると、皆さん、課長職とか部長職とか兼任したりして、逆に業務が増えるのではないかと。例えば住宅政策本部、石原さんの時代には一体化して、都市整備局に一括して都営団地の方のことをやっていたのが、また外すということで、非常に小池都政になって、新しい部局が編成が進んでおり、混乱が生じているというような思いから、起案から設置となる経緯について時系列でお示しください。

○金久保人事部長 令和三年四月に、デジタルによる変革を強力に先導する新たな視点と発想に基づく実行力を持った推進体制の構築のためデジタルサービス局を、令和四年四月に、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、政策を総合的に推進する体制の構築のため子供政策連携室を、令和五年四月に、国際金融都市構想、外国企業誘致、規制改革の機能を併せ持ち、スタートアップを盛り上げる取組を波状的に展開するためスタートアップ・国際金融都市戦略室をそれぞれ設置したものでございます。
 組織及び定数計画の策定方針の発出、組織改正案の公表を経て、局に関しては東京都組織条例を、室に関しては東京都組織規程を改正し、組織を設置しております。

○上田委員 次は、外郭団体についてです。
 大変、出捐とか、そうした渾身の資料を提出していただいているところでございましたけれども、全国自治体の第三セクター、地方三公社、地方独立行政法人を対象とした三セクに関する調査を基に資料をつくっていただいたところでございますけれども、これまで、前知事時代に策定された都庁組織・人事改革ポリシー及び都庁グループから、小池都政で取り組む東京都政策連携団体活用戦略、東京都政策連携団体経営改革プラン二〇二三として、団体の健全経営に取り組まれてきたと思います。資料を見ますと、大きく東京都、すなわち都民の税金に依存しているといわざるを得ません。
 プランでは、自律的な経営改革を促進するとともに、経営目標の達成状況等の情報公開を徹底していくということを目指すものでありますが、自律経営改革と情報公開がどう徹底できているのか、令和五年度の経営目標の達成、各団体事業の経営評価及び役員業務評価と所見を伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 令和五年度におきましても、各団体自らが経営目標を設定し、その達成状況等を管理、公表することを通じて、団体の自律的経営の促進を図っております。
 なお、役員業績評価につきましては、各団体への評価結果通知に向けて準備を進めているところであります。

○上田委員 準備を進めているとのことでありました。
 ぜひ委員の皆様、この出資状況を見て、一〇〇%もあれば一%のところもあったりして、興味深いと思いますので、こちら、私の方も都民にお示ししていきたいと思います。
 また、基本的なことですが、都政事業であれば、議会が人事や契約議案など、選択や金額の意思決定の妥当性を評価するのですが、ひとたび外郭団体になってしまうと、都民の代表である我々都議会の監視が及びません。この点に関し、どう透明性、公平性、経済性を担保しているのか伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 一定の要件を満たす政策連携団体等の経営状況に関する書類は、法令等に基づき議会への提出が義務づけられているほか、都は各政策連携団体に対し、指導、監督を通じて経営情報の透明化などを図っております。

○上田委員 人事ではなかなか目が届かないということを指摘させてもらいます。
 政策連携団体は、例えば婚活支援など、福祉保健財団、生活文化スポーツ局、区市町村で、女性就労支援などは、しごと財団、産労のTOKYOはたらくネット、ハローワーク、区市町村でそれぞれ実施しており、二重、三重行政であることをかねてから指摘をしております。せめて団体と都政事業においては重複しない、屋上屋を重ねない努力は必要と考えますが、その点について、団体事業について、お金も出すわけですから口も出すべきと考えます。
 重複等の無駄が発生しないか精査、確認をしていますか。確認の上、重複しないよう調査、調整しておりますか。所見を伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 都はこれまでも、都の施策や社会情勢の変化に応じ、政策連携団体の果たす役割や機能等の見直しを図っておりまして、都が事業を団体に委託するに当たりましては、都が直接行うよりも都民サービスが向上することや、公共性、経済性等が図られることなどを基準で定めております。

○上田委員 公共性、経済性の名の下に、二重、三重行政にならないよう強く要望しておきます。
 肥大化した行政の外郭団体、殿様商売による経営的破綻が長らく指摘され、民間にできることを民間へという潮流が生まれてきているというのに、最も民間に任せるべきと思料するDX推進に係る外郭団体、GovTech東京を令和五年七月に新設いたしました。
 今後、長年取り組んできた東京都政策連携団体に係る改革に照らし合わせ、GovTech新設は妥当であったのか、今後、同法人の健全性をどう担保するのか、総務局の所見を伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 一般財団法人GovTech東京は、区市町村を含めた東京全体のDXを推進するために設立され、都政との関連性が高いことから、政策連携団体として指定しております。

○上田委員 その団体なんですけど、人事です。
 プロパー職員を積極的に幹部職に登用すべきと考えます。歴史文化財団の評議員を本年度担いましたが、人事についての改革も進んでいるようです。総務局が主管する団体全体の取組について伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 政策連携団体の人事制度につきましては、各団体がその役割、事業内容及び事業規模等を踏まえ、適切に運用されていると認識しております。

○上田委員 団体におけるハラスメント対策ですが、資料、10、ゼロ件。本当かという感じなんですけれども、これについて伺います。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 各政策連携団体におきましては、ハラスメントに係る委員会の設置や相談体制の整備等、コンプライアンスを一層強化するための取組を推進しております。

○上田委員 個人的にハラスメントを受けた経験から、東京水道についてはようく監視をお願い申し上げます。
 独法についてでございます。
 都立病院機構、赤字百八十三億円と報道されておりますが、コロナ患者減で戻っていないということを弁明しておりましたが、私は従前から、コロナ禍においての拙速な独法化には異を唱えておりました。なぜならば、目の前のコロナ対策で、幹部、職員は経営努力に割ける時間も人的支援もないと考えたからです。
 これまで、一般会計繰入金のうち行政的医療については、当該医療に要した給与費、材料費等の関係費から入院、外来収入等の関係収入を差し引いて算定しており、各病院が提供する行政的医療が異なることから、毎年度の収支状況により金額が変動するということで、例えば駒沢においては、がん医療の高度化による診療費の増、こういったるる説明を長年確認してきました。
 令和五年度決算において、各病院の運営費負担金の推移における状況についてご説明の上、収支が改善あるいはしなかった点や課題、今後に向けての対策を伺います。
 五年度計画では、経常収支比率九六・八%目標でしたが、収支計画の指標となる自己収支比率の目標を具体的に達成できていたのかできていないのか、今後の対策につき、数値も含めご答弁ください。

○渡邉グループ経営戦略担当部長 都は、外部委員で構成される評価委員会を設置し、委員会の意見を踏まえ、都立病院機構の業務実績の評価を行っておりまして、その改善状況を確認しております。

○上田委員 よろしくお願いをいたします。
 東京都ホームページから開示請求を行う場合、当該ページまで検索でたどり着くまで難儀するんですね。
 文字数の制限があるのが非常に困る等、使いづらく改善の余地はないか。また、令和五年度の開示請求のトータル請求件数は少ないように思うんですけれども、妥当なのか所見を伺います。

○篠都政情報担当部長 開示請求につきまして、都は、開示や一部開示等の決定件数で集計しており、令和五年度の件数は七千六百件でございました。
 これに加えて、公文書情報を電子データで簡便に無料で入手できる公文書情報提供サービスにより、四千五件の情報提供等を行っております。
 また、開示請求や情報提供依頼が多い公文書情報を公開したデータベースの利用は百八十五万件でございました。
 なお、都はこれまでも、ポータルサイトの作成や開示請求に関する問合せに対して、個別に丁寧に対応するなど改善を進めてございます。

○上田委員 使い勝手のいいシステムにしていただきたいと思います。
 小池都政に係る黒塗り、白塗り問題、一部開示、不開示、不存在は妥当なのか、改めてその基準を伺います。知事のいう情報公開は、一丁目一番地とした公約と合致しているのかも確認します。

○篠都政情報担当部長 都は、東京都情報公開条例に基づき、特定の個人を識別することができるものなど不開示情報が記録されている場合を除き、公文書を開示してございます。
 また、開示手数料の見直しや、開示請求等が多い公文書情報を無料で即時に入手できるデータベースの公開など、様々な手法により情報公開の取組を進めております。

○上田委員 批判のないようお願いいたします。
 都立大です。
 都立大のハラスメント防止委員会では、これまでハラスメントに関する苦情の申立てを受け付けておりますが、各年度の申立ての有無や申立て件数、認定件数については、申立人及び被申立人の関係者の名誉及びプライバシーなどの人権的保護の観点から、当該法人では非公開とのことです。
 苦情の申立てがあった場合、当該法人が設置する学校ごとに置かれる分会において、調査チームを用いるなど事前の調査及び解決策の検討を実施。調査チームは申立人及び被申立人等への事情聴取や関係部署への調査を行い、事実関係を明らかにした上で、調査結果や改善策等をまとめた調査報告書を作成し、分会長に提出。分会では、提出された調査報告書の内容が適切か審査した上で、必要に応じて懲戒処分を含む措置等の要望を付記した審査報告書を事務局長、学長または校長に提出。その後、申立人に対して文書により結果を通知するとのことですが、全て私からすれば身内のチェックで終わってしまい、どう緊張感を持って臨めるのか疑問が残ります。
 では、令和五年はどのように防止対策を講じたか、発生した後の申立人の人権を最優先にした解決策が講じられるようにしていたか伺います。

○天野都立大学調整担当部長 東京都公立大学法人では、ハラスメントを防止するためのリーフレットの配布や研修を実施いたしました。
 申立ての対応に当たりましては、申立人等の関係者の人格権を侵害することのないよう、秘密保持などに十分配慮するとともに、必要に応じて弁護士などの専門家が調査に加わってございます。

○上田委員 システムはできているんですけど、苦情申立てを看過、放置していないか。公益通報に至った場合、当該法人が設置する通報窓口に通報があった場合、学長等は通報窓口責任者に予備調査を指示し、通報対象者、対象事実に該当する可能性等を検証させた上で、受理するか否かを決定するとしておりますが、学長にとって、決める人にとって、不都合な内容であったりした場合、恣意的な決定ができないような体制が取れているか。元兵庫県知事ではないですが、学長自身が苦情の対象だった場合、どう安心して申立てできる環境なのか伺います。

○天野都立大学調整担当部長 東京都公立大学法人では、公益通報制度に係る調査手続につきまして、自らが関係する通報の処理、調査等に関与することを禁止してございます。また、通報したことを理由として不利益な取扱いを被ることがないよう、適切に対応してございます。

○上田委員 これも、申立てしたのに全然、看過されたというお話があって質問させていただいたので、制度どおりにお願いいたします。
 コンプライアンスです。
 公益通報者保護法では、公益通報したことを理由とする労働者に対する不利益な取扱いを禁止しています。この制度では、通報者の氏名、住所、連絡先等、個人が特定される情報の秘密は保持されること、通報者や相談者は通報等を行ったことを理由に不利益な取扱いをされることがないことが定められております。
 例の兵庫県の公益通報では、第三者機関を設置せず犯人捜しをし、調査も行っていないのに、うそ八百と知事が発言し、通報者が自死を遂げる悲惨な事態となりました。知事や行政の恣意的な判断で、公益通報に、サウナを庁舎に持ち込んだことをリークしたのは誰だと犯人捜しをした市長もいました。
 本来、公権力というものは、無辜なる職員を守るために行使するものであり、知事や組織を守るためのものではありません。
 これらの法制度遵守において、都はどのように、通報者保護と遅滞ない調査の徹底をされているのか、犯人捜しの抑止をどう行っているのか伺います。

○貫井理事 都においては、公益通報制度に基づき通報された内容が真実であるかについて、適切に調査を行っております。また、制度の趣旨を踏まえ、調査に当たっては秘密を保持するなど、適切に対応しております。

○上田委員 通報数ですけど、知事部局及び公営企業で三万三千二十六人、全任命権者総計が十六万六千六百六十五人という分母の割には極端に少なく感じます。
 知事部局は制度を知っている職員も多いと思いますが、現業の職員では制度の理解が広まっていないと思料しますが、どのように制度を知らしめているのか、全職員に向けてのコンプライアンス研修など、対応と取組のご報告と、受理件数に係る所見を伺います。

○貫井理事 東京都の公益通報制度については、職員向け掲示板等で制度の意義や内容を分かりやすく伝え、通報先を明示するなど、職員への周知を図っております。
 運用に当たっては、制度に知見のある外部の弁護士を活用して対応しており、問題はないと考えております。

○上田委員 特に福祉現場では虐待が横行しておりますので、全職員に通知をできるようお願いいたします。
 職員目安箱です。
 要綱では、意見等は匿名により送付することができるとしていますが、全て匿名なのか、実名の割合はいかがでしたでしょうか。また、匿名であったとしても、内容によって特定できることもあると思料しますが、公益通報では、通報者や相談者は通報等を行ったことを理由に不利益な取扱いをすることはないと定められていますが、要綱では触れていません。どのように意見者を守れるのか。犯人捜しをしたことが露見した場合は、懲戒など何かのペナルティーが課されるのか。ペナルティーがない場合はどのように意見者の保護ができるのか伺います。

○貫井理事 職員目安箱に意見等を送付した職員については、意見等を送付したことを理由として不利益な取扱いを受けることがないことを職員目安箱設置要綱に定め、適切に対応しております。

○上田委員 また、要綱では、意見等は知事以外の者が閲覧してはならないとありますが、兵庫ではないんですが、小池知事への疑義や意見がある場合は、その後の報復人事等を恐れて利用できるわけがないと思います。弁護士に郵送できるとありますが、これも使い勝手が悪いかなと思います。
 都知事に疑義のある場合は利用できるわけがないのではないか、ほかに代替制度があるのか、二点伺います。

○貫井理事 職員が抱いている問題意識や提案などの率直または自由な意見等を知事に直接伝える手段として、職員目安箱を設置してございます。

○上田委員 都知事への指摘をしても不利益取扱いは受けないという理解でよろしいでしょうか。

○貫井理事 職員目安箱については、要綱の定めに従って適切に対応しております。

○上田委員 都職員の皆様、安心して目安箱を使っていただきたいと思います。
 二〇一九年、水道局外郭団体TSSが特別監察を受け、巡回点検では虚偽報告、委託事業者と飲食を伴う会合等をしていることが明らかになりました。また、同じ頃ニュースになった児童養護施設の虐待事案の内部告発も、この制度が活用されていることを把握しております。
 まず、不正や虐待などといった事件性、犯罪性のある情報が寄せられた場合、しかるべき対応がなされるまでの流れについて確認をいたします。児童養護施設現場など、都事業ではない場合においての都職員による意見や、公益通報についての通報者保護や対応に係る都の見解も伺います。

○貫井理事 寄せられた通報や情報については、内容に応じて必要な対応を行っております。
 公益通報等により情報を寄せた者は、そのことを理由に不利益な取扱いを受けることはございません。情報提供者の保護は、当該情報に接した全ての者に求められるべきことであると考えております。

○上田委員 これも根拠がなく聞いているのではない、根拠があって聞いているということをお伝えさせていただきます。
 服務監察です。
 三十九件非公開なのはなぜなのでしょうか。予防監察を事前通知すると発見できないと思うんですけれども、どう対応しているのか、結果は生かされているのか伺います。

○貫井理事 公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるため、個別の事故監察事案に関しては公表しておりません。なお、処分を行った場合は原則として公表しております。
 また、予防監察は、各部、所における事務の運用について、事故につながる可能性がないか監察を行っており、その結果を踏まえ、さらなる事故の防止に努めております。

○上田委員 抜き打ちというわけでもないんですけれども、結構そういう形でやってもらったらいいのかなと思わないでもございません。
 職員団体事務所です。
 都庁内の会議室が慢性的に不足し、取り合いとなっている、食堂のコアな営業時間帯以外の時間帯について、打合せスペースとして一部開放してほしいという切実な声が職員目安箱に寄せられており、私も、スペースがないという都職員の声をこもごも仄聞しております。シン・トセイでは未来型オフィスをうたっているのに、どうしたことでしょうか。
 回答欄に対応が記載されておりましたが、その後、解消されたのか伺います。

○堀内労務担当部長 未来型オフィスの整備と会議室の増減に直接の関係性はございませんが、職員食堂につきましては、一部の時間帯で、中央部分の客席において、周囲の食堂利用者へ配慮しながら、職員が簡易な打合せを行うことを可能としてございます。

○上田委員 職員団体との協定の状況や所見について伺いたいんですが、資料の方にも出させていただいておりますけれども、これは財務局だったんですけれども、どれだけ無償で提供しているかということで、職員団体事務所として都庁舎を無償貸与している点について、協定書には明示されておりませんが、何を根拠にしているのか。貸与に当たって職員団体とはどのような交渉が行われ、協定が結ばれているのか。交渉に当たっての都側の基本的な考え方を含めて、具体的にご説明をお願いします。

○堀内労務担当部長 職員団体への事務室の供与については、交渉及び労使協定に基づくものではなく、行政財産の使用許可により行っております。
 職員団体は、地方公務員法に基づき、勤務条件の維持向上を図る目的で結成された団体であり、適法な交渉を通じた適切な労使関係の維持は、都政の円滑な運営にも資することから、使用許可を行っております。
 なお、労働組合法上、事務室の供与は認められております。

○上田委員 一応財務局にも確認をしました。人事にも確認をいたしましたけれど、私は、江戸川区議のときには、江戸川区の役所の事務所の方は有償というふうにしてまいりましたので、引き続き求めてまいりたいと思っております。
 職場環境についてです。
 自殺とかいろいろ資料の方を出させてもらいました。小池都知事の就任以降の東京都職員の自殺者について、小池知事の前と後との状況も踏まえた傾向と分析、所見を伺います。

○堀内労務担当部長 知事部局等の常勤職員における自殺者数については、令和五年は三人となっており、年によって人数が変動しておりますが、知事就任以前の状況を踏まえても、特段の変化は見られません。

○上田委員 三十から三十九歳が、この五年間で八人と一番多いので、ここら辺も分析して、ご対応をお願いいたします。
 同じく、小池知事就任前後の状況も踏まえた病気休暇及び病気休職の状況についての分析、所見を伺います。

○堀内労務担当部長 知事部局等における病気休暇及び病気休職を三十日以上取得した常勤職員数については、令和五年は八百四人でございます。
 国内の地方公務員における病休者の状況は長期的に増加傾向にあり、都においても、知事就任以前も含めて同様の傾向でございます。

○上田委員 増加傾向を確認いたしました。
 定年を待たない退職者についてもお願いをいたします。

○金久保人事部長 知事部局の常勤職員における普通退職者数につきましては、年度により増減はあるものの、おおむね六百人台を中心に推移しております。
 近年、終身雇用意識の変化等により、雇用の流動性が増していることや、東京二〇二〇大会の開催準備等に伴い、各職場で多くの四条任期付職員を採用してきていることなどから、様々な状況の変化があるというふうに考えておりまして、各年度の退職者数を一概に比較することはできないものと考えております。

○上田委員 同じく、今度は部長職以上の定年を待たない退職者数についてお願いします。

○金久保人事部長 知事部局の部長級以上の普通退職者数は、小池知事就任以前も含め、毎年度数名程度発生しております。
 普通退職者の内訳は大多数が医師であり、その退職理由は個々の事情や大学医局の人事による転職などでございます。

○上田委員 コロナの真っ最中、内藤福祉保健局長が人事異動になっちゃって、同時にドクターの部長が急に退職しちゃったことも記憶に新しいところでございます。
 これらの今までお話を伺った傾向と過去の平均の傾向につき、分析と所見を伺います。

○金久保人事部長 先ほど申しましたように、近年の終身雇用意識の変化とか雇用の流動性が増している、また管理職につきましては、普通退職については医者がほとんどだということもありますけれども、各年度で様々な状況の変化というのがございまして、各年度の退職者数を一概に比較することはできないと考えております。

○上田委員 一応かねてより、職員一人一人の健康維持、職場の活力や生産性の向上を図るため、総合的な対策は実施していることは確認をさせていただいております。るるこの件は確認をさせていただいております。知事公約の八つのゼロに加え、職員自殺ゼロに向けて、今後の取組に期待したいと思います。
 厚生制度におきます元気回復事業ですが、硬直しがちな職員同士の人間関係や組織風土を円滑化する効果が期待できます。昭和の時代と令和はかなり変わってきたと思いますが、今こうしたアナログなつながりを再評価したいものです。
 職員の活用状況と、それを受けての局の所見を伺います。

○堀内労務担当部長 都においては、東京都職員文化会や東京都庁体育会等により様々な活動が行われており、職員の元気回復や職務能率の向上等を図ってございます。

○上田委員 こうやってリアルに文化活動をしたり運動したりするってすごくいいと思いますので、広く参加をしていただければと思います。
 働き方改革の進捗です。
 「ライフ・ワーク・バランス」推進プランでは、二十時完全退庁、残業削減マラソン等の取組による超過勤務削減ということで、平成二十八年十月から取組を開始し、本庁職場において、毎日遅くとも二十時には退庁するという基本ルールをしているほか、早く帰ることをマラソンで競い、働き方を変え、努力や結果を互いに褒め合う職場風土を醸成するはずなのですが、プロジェクションマッピングが映し出される都庁舎は、さながら不夜城のごとく電気がついております。
 当年度の達成度についてご説明の上、なかなか残業削減に至らない実態についての問題意識を伺います。また、サービス残業などをしていないか、昼休みも仕事をしていないか、実態把握をしていると思いますので、現状をありのままにご報告ください。

○堀内労務担当部長 最新の数字である令和四年度の教育庁を除く知事部局等及び公営企業局における職員一人当たりの超過勤務時間は、一か月平均十六・八時間となっております。
 この間、都は、新型コロナウイルス感染症に対応するため、全庁を挙げて公共としての役割を果たしてきたところでございます。
 超勤縮減に向けた都の取組としては、二十時完全消灯日の設定、それぞれの職場における退庁時刻の記録徹底、システムによる超過勤務の管理などを行ってございます。

○上田委員 資料、3でも、やっぱり総務局とか福祉保健局が残業が多いというところが読み取れております。
 子育てや介護、看護、自らの病気治療などで、テレワークの導入は一定効果があったと存じますが、テレワークの推進が自己目的化するのも本末転倒だと思料いたします。
 コロナ禍を経て知見は得たと思います。理想ではなく、今を生きる都職員が現実的な働きやすい勤務体制の在り方について確認をいたします。

○堀内労務担当部長 都は、時差勤務やフレックスタイム制の導入、テレワークの活用など、時間や場所にとらわれない柔軟で多様な働き方を進めており、職場の状況や職員の選択によって、出勤とテレワークを組み合わせることで、最適なワークスタイルの実現を目指してございます。

○上田委員 出勤した方が効率的だということもあると思いますので、テレワークの強制はしていないということが確認できました。
 男性の育休取得でございます。
 こちら、資料の方が、男性が五五・四で、女性が一〇四・一%ということになっております。
 都における男性職員の育休取得率の目標であります令和七年度九〇%達成に向けて、どのように取り組んでいるのか伺います。

○堀内労務担当部長 男性職員の育業取得率は年々増加しており、令和四年度には五五・四%となっております。
 都においては、パパ職員向けガイドブックの配布や育業取得者の体験談の紹介、プレパパ応援講座の実施等、目標達成に向けた取組を行ってございます。

○上田委員 これも夫婦それぞれ、いろいろだと思うので、強制にはならない形でぜひ取り組んでいただきたいと思います。旦那がいる方が手間が増えて大変だというようなことも、私もワーキングマザーの団体をやっていたので漏れ聞きますので、夫婦に合わせた形でお願いできればと思います。
 女性管理職、過去には順調に伸びてきたものの、こちらの総務局の資料を見ますと、令和五年度は微減し、伸び悩んでいるのではないかなと思われます。
 小池知事は今般、女性活躍推進条例ですか、上げていますが、お膝元の女性幹部職の状況はどうなのでしょうか。原因分析を伺いたいと思います。

○金久保人事部長 令和五年の女性管理職比率の低下につきましては、令和四年七月の都立病院の地方独立行政法人化による影響と認識しております。
 都の行政系管理職の女性割合は、国や民間、他の道府県の平均を大きく上回っております。また、都立病院の影響を除いた場合の女性管理職比率につきましても、着実に増加しております。

○上田委員 ただ、データを見て質問しているんですけど、昇進試験を受けるモチベーションが持てない、ルーチン業務にやりがいを感じていないのではないのかなと懸念しております。朝令暮改、トップダウン、独善的な、いわゆる女王蜂症候群のリーダーの下で、女性は伸び伸びと働けないというのが通例になっております。都の組織風土は、忖度、物いえば唇寒し、都民のためよりも、知事や上司のため働く方が評価されるという状況になっていませんか。
 女性が真に生き生きと活躍できる環境整備を行うべきと考えますが、所見を伺います。

○金久保人事部長 ただいまのご質問の中で、独善的な女王蜂症候群のリーダーの下では、女性が生き生き、伸び伸びと働けない環境ではないかというようなお話がございましたけれども、これらにつきましては私どもの考え方と異なっております。私たちは、執行機関である知事の下、地方自治法に定める補助機関の一員として、都民福祉の向上のために日々職務に取り組んでおります。
 その上で、男女問わず職員誰もが生き生きと活躍できる環境整備に関するご質問につきましてお答えさせていただきます。
 意欲や能力のある職員が、やりがいを持ってキャリアアップできるよう、主任や課長代理への積極的な登用や、職員の専門性に着目した管理職制度の見直しなどの取組を進めております。
 また、育児、介護等と仕事との両立支援や働き方改革、キャリア形成支援など、誰もが活躍できる取組を推進しております。

○上田委員 私、断定的にいっていなくて、通例ですというふうにいっておりまして、私の感想でありますし、断言はしておりません。
 懲戒、行政監察、服務事故について、決算年度の対応状況と所見、再発防止策を伺います。

○金久保人事部長 職員は、都民の負託に応えるため、公務員としての高い使命感と倫理感を持って職務に精励する責任を負っており、都は、非行が発生した場合には、事実関係や責任の有無を調査する事故監察を行った上で、厳正な処分を行い、原則として公表しております。
 また、都ではこれまでも、予防監察、事故防止に向けた研修など、非行を防止する職場づくりに取り組んでおります。

○上田委員 服務の情報が刷新するたびに、いろんなパターンがあるなと、いつも肝を冷やしているところでございますので、予防監察で再発防止、お願いいたします。
 都区制度です。
 大阪ではいまだ都構想にこだわり、二度も成立しなかったにもかかわらず、まだ住民投票を行うことが取り沙汰されています。
 東京に自治制度としての区が誕生したのは、明治十一年に制定された郡区町村編制法により、東京府に十五区と六郡が置かれたのが始まりです。
 逐条地方自治法の第二百八十一条の二に、現行制度は、都の広域的地方公共団体としての役割の純化が図られたものであり、特別区の基礎的な地方公共団体としての地位をできる限り充実強化したものである、しかし、かかるシステムが真に効果的かつ民主的な大都市行政をもたらすかどうかは、その実際の運用にかかっている、とりわけ重要なことは、一方では特別区の自主性、自立性を強めながら、他方では大都市行政の一体性、統一性を実現することである、この課題は、二律背反の要素を含むものであって、その成就のためには、賢明な行政運営が要請されるところであるとの指摘がなされているところであります。
 まず、決算審査の前提として確認しますが、誕生から百五十年近くたち、時代に合わせて、都度、見直し、変遷を続けてきた同制度において、令和の現在のメリット、デメリット、及び一方では特別区の自主性、自立性を強めながら、他方では大都市行政の一体性、統一性を実現することの実現ができているのか、所見を伺います。

○八重樫都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 都区制度は、人口や都市機能が極めて高度に集積する東京においてのみ適用されている大都市制度でございます。
 特別区全体が一つの大都市として機能している中、都は特別区を包含する広域自治体として、消防、上下水道、港湾、地下鉄など、大都市事務の一部を担っております。
 一方、特別区は、これまで都から福祉事務所や保健所、清掃など、事務の移管を受けまして、住民に身近な事務を担っております。
 歴史的な沿革を有するこうした都区制度の下で、大都市の一体性確保と住民自治の両立が図られております。

○上田委員 なかなか課題がありまして、江戸川区議のときも、アーチェリー人口、ほとんど少ないのに、一桁、二桁ぐらいしかいない、アーチェリー場をつくる、足立区にもあるからって、いや足立区に行ってもらいましょうということで、そうしたところで疑問を持って、都区制度はずっと研究を重ねております。
 その特別区がありがたく頂戴します財政調整交付金でございます。
 本年三月に提案された都区財調条例については、都と特別区とは交付金配分割合で議論が長年紛糾しており、都がやらないでいい二重行政−−先ほどから指摘していますけれども−−や都民に寄与しない無駄遣いもありますことから、交付配分については、現状五五・一%から、特別区が求める割合五五・六から五五・八%を認めることを強く感じ、反対をしております。
 これまで都区財調、都区財政調整協議会を設けて、毎年度、都区間で協議を行ってきておりますが、本決算における経緯と決定額について伺います。

○田中行政部長 都区財政調整は、地方自治法等に基づき、都区間並びに特別区相互間の財源配分の均衡化を図り、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保することを目的とした制度でございます。
 特別区は、直接地方交付税の対象とされておらず、財調制度により財源保障されることとなっております。地方自治法施行令では、特別区の財源に年度を越えて引き続き著しい過不足が生じる場合に、配分割合を変更することが定められておりまして、都としては、現状、配分割合の変更には当たらないと考えております。
 なお、現在の特別区の配分割合は五五・一%でございまして、令和五年度財調交付金の総額は約一兆二千九十五億円となっております。
 令和五年度財調協議では、医療的ケア児支援経費の新規算定や出張所管理運営経費の算定見直しなどについて、都区で合意したところでございます。

○上田委員 区児相、頑張っているので、なかなかこちらの方の予算が大変ということで、引き続き、五五・六から五五・八、検討をお願いしたいと思っています。
 市町村総合交付金です。
 今では当たり前のように内訳が都ホームページに掲載されていますけど、八年前に、三年がかりで求めた内訳がようやく決算資料として公表したこと、感慨深く思っています。
 といっても、交付金をやるからいうことを聞けというような市町村を恫喝するような道具として使われてはならないと考えます。ほかの委員からも指摘ありましたよね。都区財調は条例ですので、一定の線引きがあると思料いたしますけど、総合交付金は要綱なことからも、いびつな関係性にならないか危惧しております。
 知事は、区市町に出馬要請をさせたとして市民団体から刑事告発もされておりますことから、健全なフェアな関係性が保たれているのか確認します。
 本来、都は、自身の財産や赤字を把握した自治体財政統計ができる組織であると同時に、区市町村の財政状況を把握し、各自治体が規律と緊張感を持って取り組む支援をするものです。財調や総合交付金という財源移転施策に当たっては、都と区市町村、区市町村同士の両面から、冷静に考察することが肝要です。
 これらの交付金は余っても返す必要がないといわれていますが、あればあるだけ使ってしまい、節約意識、行革の動機を失い、財政規律を失っては、モラルハザードにならないかという点も危惧もされることでございます。
 そのため、各区市町村の財政改革マインドの醸成は重要であり、各自治体の財政の健全性確保に向け、取組をどう把握し、推進しているのか、令和五年度の取組について伺います。

○田中行政部長 地方公共団体の財政の健全化につきましては、地方財政健全化法に基づき、各市町村の決算状況等を踏まえた健全化判断比率を取りまとめ、国に報告するとともにその概要を公表しております。
 なお、市町村総合交付金の運用に当たりましては、各市町村の実績をきめ細かく把握するため、年間を通じて綿密な意見交換を行い、算定に反映させております。

○上田委員 市町村とは、総合交付金をめぐっては、フェアな、対等な立場での対応をお願いするところでございます。
 尖閣です。
 尖閣諸島寄附金を国による島々の活用に関する取組の資金とするため設置した尖閣諸島活用基金について、地元自治体とも連携し、寄附者の志が生かされるよう、国への提案等を行っているとのことですが、これまでの歴史的経緯と現状、方向性を伺います。

○田村企画担当部長尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務 都は、尖閣諸島の購入等を目的に募った寄附金につきまして、同諸島の国有化を踏まえ、寄附された都民等の意思を受け、平成二十五年に国による同諸島活用の資金とするための基金を設置して厳格に管理しており、国に対して戦略的な活用を要望しております。

○上田委員 しっかりと都民を守る、国民を守るために使われるよう、今後も注視してまいります。
 復興支援です。
 被災地支援福島県事務所には、本年四月一日時点で二名の職員が在籍していることでありますが、その人員と事務所を活用した令和五年度の具体的な取組、実績、評価につきご報告ください。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 原子力災害等に関わる困難な課題を多く抱えている福島県は、復興には中長期的な対応を要することなどから、都は現地事務所を設置しており、現地の情報収集や支援ニーズの把握、県庁への派遣職員の業務面や生活面でのサポートを行いました。

○上田委員 まだ支援の需要があるということでございました。
 同じく被災者の受入れ状況をご説明ください。目黒区などでは、区民住宅にお住まいいただいていた避難者と、残念なことに住宅退去訴訟が発生し、避難された方が敗訴されるという事案が発生してしまっております。区市町村とはどう連携を図っていたのでしょうか。
 また、都による被災者への住宅提供に関しては、住宅政策本部が所管していることは承知しておりますが、円滑な被災者支援に向けての局の役割と使命を確認いたします。

○八嶋復興支援対策部長被災地支援福島県事務所長兼務 令和六年二月現在、都内避難者は二千六百四十六人でございます。
 総務局は、都内区市町村と避難者支援に関する連絡会を実施するほか、庁内各局や被災自治体等との連携、支援事業の企画立案、都内避難者支援対策の総合調整等を行っております。

○上田委員 国勢調査でございます。
 国勢調査員、指導員は公務員と解釈されますことから、犯罪、虐待行為に遭遇した際に通報義務が課されております。このところ高齢化をしているのではないかと懸念をしておりまして、果たせているのか、平均年齢を明示の上、国勢調査の調査員、指導員確保と高齢化対策の現状について伺います。

○金子統計部長 令和二年国勢調査の調査員及び指導員の平均年齢についてのデータはございませんが、年齢階級で見ると、最も人数が多いのは調査員が七十歳以上、指導員が三十歳から三十九歳となっております。
 調査員及び指導員の確保につきましては、広報や関係団体への協力依頼等を行い、統計調査員等としての職務を果たせる方を区市町村が推薦し、国が任用しております。

○上田委員 町会の高齢者が地域回って、委員の皆さんもご存じだと思うんですけど、いろんな人が最近住んでおりますので、ちょっとこのままでいいのかなという課題認識を共有させていただければと思います。
 私が決算委員会に出席できてから、もう六年もの歳月が流れました。この間、多くの死者を出した西日本豪雨、私の地元江戸川区でも深刻な浸水被害の一歩手前まで行った台風十九号、新型コロナウイルスの蔓延、各地の激甚化する風水害と土砂災害、そして本年一月の能登半島地震と、様々な災害に日本全土が見舞われました。
 令和四年度は、十年ぶりに首都直下型地震被害想定の見直しを実施しています。防災計画を主管する総務局としては、自然災害、首都直下型地震、南海トラフ巨大地震、BCPと、誠に多岐にわたる危機管理を担っておりますが、これらの計画は別々につくるものの、それぞれが相関していると思料いたします。
 どのように連関して策定し、各関連事業に落としているのか、包括的な所見を伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、災害対策基本法に基づく地域防災計画について、毎年検討を加え、必要があると認めるときに修正をしております。
 それを踏まえ、都政BCPや首都直下地震等対処要領などを改定するとともに、防災プランなどの事業計画を策定しております。

○上田委員 DX化も進み、かなり突き合わせも楽になっているのではないかというふうに思っております。
 東日本大震災の際は、私は区議で、息子たちを迎えに行って、急いでママチャリをこいで江戸川区の危機管理室に飛び込み、その際、石原慎太郎知事が対策本部で指示をしている映像を茫然と区の職員が見守っていたことが思い出されます。
 有事の際は情報が錯綜するものですが、区市町村と政府のハブ機能を持つのが東京都の防災対策本部であると思います。防災無線のようなアナログなものも不可欠ですし、都はDX推進に注力していることからも、対策本部も進化を遂げていると思料いたします。
 そこで、都の災害対策本部は、どのようなDXを活用して、関係機関、各機関と情報共有を図りながら運営しているのか伺います。また、東京防災アプリのリニューアルも決算年度中実施されておりますので、年度末トータルDL数など、活動状況を伺います。

○高田総合防災部長 都は、国や区市町村、関係機関等とリアルタイムで被災情報の共有や人的、物的要請を速やかに行えるよう、東京都災害情報システムを構築し、運用してございます。
 防災アプリにつきましては、本年三月に、幅広い世代や外国の方にも使いやすくし、広く活用をしていただくため、リニューアルを行い、防災アプリの令和五年度末での累計ダウンロード数は約八十九万三千件となりまして、一昨年度末から約十三万八千件増加しております。

○上田委員 伸びてはいるんですけど、約九十万ということで、一千四百万もいるので、私ももちろんダウンロードしておりますけれども、これについても周知とご利用の、また呼びかけの方、お願いいたします。
 避難所です。
 福祉避難所を求める障害者とご家族の声が年々増えております。都立校や都施設を区市町村と協定を結んで開放しているのは了解しておりますが、なかなか周知が進んでいないようでございます。探しにくいというのもあると思います。
 いざというときにすぐに活用できるような都としての取組を伺います。

○後藤避難所・物資担当部長 区市町村があらかじめ避難場所、避難所及び福祉避難所を指定し、住民に周知していくよう、都は地域防災計画において定めております。

○上田委員 なかなかネット検索で都も区もヒットしないので、そこら辺を連携を図ってやっていただきたいと思います。
 区市町村庁舎の非常電源装置の状況を確認させてください。

○田代防災計画担当部長 令和五年度末において、六十九市町村で災害対策本部が設置される庁舎に非常用電源を設置しております。未設置の自治体は、可搬型の非常用発電機等により対応すると確認をしております。

○上田委員 防災ブックの費用対効果です。
 これ、知事選前にもかなり話題になりましたけれども、小池知事の写真入りで配られた同事業の目的に立ち返り、都民、区民、市町村、その他地方自治体、政府等による反応、評価があればご紹介ください。また、同事業の成果と課題についてご所見をお示しください。

○高田総合防災部長 都は、関東大震災から百年を契機に、自助、共助のさらなる促進を図るため、防災ブックを昨年九月にリニューアルいたしました。
 防災ブックには、自分や家族の命を守る重要な情報が盛り込まれていることから、都民の皆様に確実に情報を届けるため、全世帯に配布したものでございます。
 本ブックは、様々な活用を図られていると認識しております。

○上田委員 防災対策におきましては、大きな計画から、こうしたアプリに向けて、多岐にわたって総務局は様々なメニューを用意しているということは評価したいと思います。
 公文書です。
 保存年限別起案実績、保存年限別廃棄数、公文書館の業務実績、都民や事業者の利用状況が資料に示されておりました。
 公文書の適正な管理、保存は情報公開の基本中の基本でありまして、公文書管理と廃棄の基本的な考え方につきご説明ください。

○保家総務部長 都は、公文書管理条例に基づき、各局等において重要度等を考慮して公文書の保存期間を設定し、適正に管理するとともに、その期間が満了したときは、公文書館に移管または廃棄することとしております。

○上田委員 決算年度における課題などありましたら、ご所見をお示しください。

○保家総務部長 公文書管理条例に基づき、適正な公文書管理を推進することが重要であり、令和五年度においても、文書管理に関する研修や事務講習会等を実施するなど、庁内の周知徹底を図ったところでございます。

○上田委員 最後に、この公文書館の運用とキャパシティーについて見通しをお示しください。

○保家総務部長 公文書館は、都の公文書や庁内刊行物の収集、保存、利用を図るとともに、史料編さんに関する事業を行っており、現行施設は三十年以上先を見据えた公文書等の収容能力を確保してございます。

○上田委員 三十年以上はもつということで、一安心しました。
 人権指針なんですが、パートナーシップ宣誓制度、るる質問がありました。五年度末までに千百三十九組に受理証明書を交付していると。交付することによりまして、都営団地に入れるというようなことで、動きが出てくることは確認させていただきました。質問かぶるので、これは飛ばさせていただきます。
 転居費用の助成なんですけど、性犯罪被害者におけます転居費用助成について、被害場所にかかわらず支援するよう対象が拡大されたとのことです。これまでの実績と課題を集積したことから拡大に至ったと思料いたします。
 決算年度の転居費用助成の実績、対象拡大の必要性を伺います。

○若林人権部長 令和五年度の転居費用助成金実績は、三十七件、約三百五十八万円です。
 令和六年十月一日から、性犯罪被害者は精神的なダメージから回復するため転居を要する場合があり、被害場所にかかわらず助成対象といたしました。

○上田委員 ありがとうございます。
 多岐にわたります事業について、五十七問確認をさせていただきまして、ご答弁と資料の方をありがとうございました。都民の安全・安心を守ることもさることながら、るる質問させていただきましたけれども、皆さんがやりがいを持って働き、定年を待たずに退職をせず、組織風土が風通しがよく、モチベーションを持って働くその中心の旗振り役となりますのが総務局だと思っております。
 うるさいことばかりいっておりますけれども、実は十六万人の、こんなにもいる職員が生き生きと働くことこそが、都民の利益に寄与する、還元するものと思いまして、確認をさせていただきましたので、私の質疑を通しまして、ぜひそれを通常の事業の方に反映させていただきたいと希望を申しまして、私の質問を終わらせていただきます。

○山田委員 私からは、まず、都立大の強化について伺いたいと思います。
 日本国内の大学の国際競争力の低下が続いていると指摘されておりますけれども、知の集積として、新たに豊かさの創出の拠点でもある大学の国際競争力を高めるということは、東京の都市の競争力の強化にもつながるものと思います。
 都立大学では、大学院で秋入学を一部実施しているということですが、国際競争力を向上させる方策の一つとして、学部での秋入学や留学生、帰国子女の受入れを積極的に取り組む必要があると考えます。
 令和五年度における秋入学含め、留学生、帰国子女の受入れの取組状況と成果について伺います。

○天野都立大学調整担当部長 東京都立大学におきまして、令和五年度は、魅力ある教育を留学生に提供するため、日本文化などニーズが高い科目を拡充したほか、戦略的に海外協定校の開拓に努めました。本年五月時点で、前年比三十名増となる五百七十五名の留学生を受け入れてございます。
 また、理学部生命科学科におきまして、秋入学の導入に向け、英語による授業の拡大や履修相談等のサポートの充実などを進めるとともに、海外学生向け広報を行いました。こうした取組により、今月、最初の学生二名が入学いたしました。

○山田委員 ありがとうございます。都立大の国際化に向けた取組、それが着実に進んできているということは理解できました。
 秋入学を含めて、大学の国際化というのが日本の大学の大きな課題の一つであると指摘され続けていますけれども、まだ十分な進展があるとはいえないと思っています。こういった国際化の分野で都立大が日本の大学をリードできるように、取組のさらなる強化を求めたいと思います。
 さて、東京都全体としてスタートアップの支援、起業の支援が大きな政策課題となっていますけれども、知や研究の拠点である大学発のスタートアップや学生の起業、これを積極的に促していくことが重要でありまして、都立大学でも取組が進んでいると理解しております。
 スタートアップ支援やアントレプレナーシップ教育に関する都立大における取組状況と成果について伺います。

○天野都立大学調整担当部長 都立大学は、昨年十月に、実験室や高機能な研究機器を備えたインキュベーション施設を日野キャンパスに開設し、起業を目指す教員や創業初期の企業などを対象とした支援を開始いたしました。この施設では、大学が有する研究シーズとスタートアップ企業などを結びつける交流イベントを開催するとともに、専門家による支援相談を六十件行いました。
 また、アントレプレナーシップ教育につきましては、先輩起業家や都が実施するビジネスプランコンテストの入賞者とじかに接し、起業に対するイメージを具体化するなどを特色とした特別講座を開講いたしまして、学部生、大学院生二十八名が参加いたしました。

○山田委員 ありがとうございます。
 スタートアップ支援に関する新たな取組が進んできているということでした。ぜひ将来的に、都立大発の有望なスタートアップ、これが世界へ羽ばたいていく、そういったようになるように、ぜひ都としても引き続きの取組の強化をお願いしたいと思います。
 次に、防災対策について伺っていきたいと思います。
 まず、防災ブックと防災アプリのリニューアルについて伺います。
 令和五年度は、東京に甚大な被害をもたらした関東大震災から百年の節目の年でありまして、都民の方々に常日頃からの備えの大切さを伝えていく貴重な機会であったと考えております。
 都は、防災ブック、そして防災アプリのリニューアルを実施したということですけれども、そのリニューアルによる都民の防災意識向上に向けた取組の内容について伺います。

○高田総合防災部長 都は、関東大震災から百年を契機に、自助、共助のさらなる促進を図るため、社会の多様性や居住形態の変化などを踏まえ、昨年九月、防災ブックをリニューアルいたしまして、都内全世帯約七百五十万戸に配布いたしました。
 防災ブックの活用を促すため、関東大震災百年イベント、総合防災訓練などにおいてその内容を紹介するほか、SNS広告やデジタルサイネージ、トレインチャンネルなどを通じ、幅広くPRを行いました。
 また、防災アプリにつきましては、本年三月に、幅広い世代や外国の方にも使いやすくし、広く活用していただくため、キッズ、シニアモードの導入や、多言語対応にやさしい日本語を追加するなど、リニューアルを行ったところでございます。

○山田委員 ありがとうございます。
 災害時には、停電の発生だったりも当然想定されるところでありまして、そういった状況の中でも、防災ブック、しっかりと手元にあるということが重要だと思います。全世帯へ配布して、都民の皆様の手元に届けたことには大変意義があるというふうに考えております。
 また、防災アプリについても、幅広い年代の方であったり、外国人など配慮が必要な方への適切な情報提供の機能が追加されたということですけれども、ぜひ今後も引き続き、アプリがよりよい、使いやすいものとなるように、さらに創意工夫、続けていただきたいと思います。
 次に、マンション防災の普及啓発について伺います。
 私たちは、都民の約七割が集合住宅に居住しているということから、やっぱりマンション防災の強化というのを強く求めてまいりまして、私自身も、令和五年の予算特別委員会において、マンション防災に関する普及啓発の強化が必要であるといって指摘、質問しまして、そういったものを進めていく旨の答弁をいただきました。
 そこで、マンション防災の普及啓発の強化に関する取組状況について伺います。

○西山防災対策担当部長 都は、防災ブックのリニューアルに当たり、新たにマンション防災の項目を設け、日常備蓄など日頃からの備えや、発災時にエレベーター、ライフラインが止まったときの対応などを分かりやすくまとめ、掲載いたしました。
 あわせて、地震発生時に一人一人が自分事として取るべき行動、在宅避難で気をつけたいポイント、地域の町会、自治会との連携なども災害時に力を発揮することなどを記載したリーフレットも作成し、防災ブックとともに都内全世帯に配布いたしました。
 また、マンション防災に関するセミナーの内容を充実させ、管理組合等による様々な取組事例を広く周知するとともに、マンション防災PR動画を作成し、ホームページやSNSなどで発信し、都民のさらなる意識醸成に向けた普及啓発を実施いたしました。

○山田委員 今回の防災ブックのリニューアルにおいて、これまで私たちが訴えてまいりましたマンション防災の推進であったり、またコミュニティとの視点、そういったものを踏まえて様々な取組があったということで、大変我々としても評価させていただきたいと思っております。
 今後も、マンションで暮らす多くの都民が災害時にも安全に過ごせるよう、地域とのつながりであったり、そういったものをつくり出しながら、地域の防災力を向上する取組、これを一層強化していただきたいと思います。
 次の出火防止対策の質問は、調整させていただきましたけれども、ほかの方からもありましたので、こちらは割愛させていただきます。
 次に、ミサイル攻撃への対応について伺います。
 長く続くロシアによるウクライナ侵攻、首都キーウに弾道ミサイル攻撃が行われているということもありまして、有事において首都がミサイル攻撃の対象となるというのが、もう現実のものになってきているというところがあります。また、北朝鮮による弾道ミサイルの発射というのが日常的なものになってしまっている、こういった危機的な状況もございます。
 都として、高まる弾道ミサイルの脅威から都民の生命と財産を守るために、ミサイル攻撃の対応について取組を進めてきましたけれども、その取組状況について伺います。

○永田国民保護担当部長 都はこれまで、緊急一時避難施設の指定を推進してきており、昨年度末現在、四千四百七十四か所を指定し、東京の全人口を収容できる規模の施設を確保しています。
 昨年度は、Jアラートが聞こえた際の避難行動を分かりやすく記載したリーフレットや動画を作成し、学校への配布やSNSなどにより都民の皆様に周知してきました。
 また、弾道ミサイルを想定し、緊急一時避難施設を活用した実働訓練を初めて行い、訓練参加者からは、万が一のときにどのような行動を取らなければならないかを理解することができたなどのコメントがあり、都民の皆様への普及啓発につながりました。

○山田委員 ありがとうございます。
 本当に重大な脅威というべき弾道ミサイルの飛来に備えて、引き続き緊急一時避難施設の確保を進めるとともに、継続的な訓練の実施や周知活動の強化など、都民一人一人のミサイルへの危機意識、これを醸成していく取組を今後も進めていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、犯罪被害者支援について伺います。
 私たちの提案を受けて、犯罪被害者等支援条例が制定されるなど、東京都において犯罪被害者支援の取組が進展してきています。
 都は、犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口における支援に加え、見舞金や引っ越し費用、弁護士への法律相談費用などの経済的支援など、これを行っておりまして、こういった取組ですね、都政にしっかりと定着しているというふうに受け止めています。また、つい先日、性犯罪被害者に対する転居費用助成の対象の拡大であったり、都の支援内容の充実が図られておりまして、弁護士の方など関係者からも評価されているというふうに思っております。
 令和五年度における犯罪被害者支援における総合相談窓口の支援件数や経済的支援の実績について伺います。

○若林人権部長 都は、公益社団法人被害者支援都民センターと協働で総合相談窓口を設置し、犯罪被害者やその家族に対し、電話、面接相談、警察、裁判所への付添支援のほか、カウンセリング等の精神的ケアを行っており、令和五年度における支援は七千三十二件、そのうち付添支援は、前年度比一・四倍の八百七十一件となりました。
 令和五年度の経済的支援については、見舞金給付は五十件、転居費用助成金は三十七件、無料法律相談は二百六十二件、被害者参加制度における弁護士費用助成は四件となり、いずれも令和四年度よりも増加しております。

○山田委員 ありがとうございます。都の支援が本当に定着してきていて、着実に成果を上げてきているということがよく分かりました。
 他方で、事業に協力していただいている弁護士の方からは、現状の一時間三十分までの無料というふうなやり方では、法律相談の時間が足りないようなケースもあるということも聞いておりまして、相談時間が延びた場合の補助を検討してほしいといった声であったり、転居費用の助成についても、上限二十万円とありますけれども、もう少し引き上げてほしい、そういった声などもいただいているところがございます。
 こういった意見なども踏まえまして、これまでの相談の実績だったり、そういったものを踏まえていただきまして、積極的な検討を改めてお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○たかく委員 それでは、私の方から、最初に富士山噴火降灰対策ということで何点か質問させていただきます。
 最初に、富士山噴火降灰対策について、富士山では、前回の宝永噴火から既に約三百年が経過しております。令和二年に国が公表した報告書によりますと、富士山の大規模噴火が発生した場合、最悪のケースでは約一・二億立米の降灰が発生し、私の地元世田谷区においても、多いところで十センチ以上の降灰が生じることが想定されております。
 一昨年に策定されましたTOKYO強靱化プロジェクトでは、火山噴火が五つの危機の一つに位置づけられ、富士山の降灰対策についてもプロジェクトとして盛り込まれておりますが、災害リスクに備え、平常時から都内で降灰が発生した場合の対策を強化していくことが極めて重要であると考えます。
 こうした中、東京都は昨年度、大規模噴火降灰対応指針を策定しておりますが、本日は改めて富士山噴火降灰対策に関わる都の取組について伺いたいと思います。
 最初に、大規模噴火降灰対応指針を策定した際の考えについて伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、火山の大規模噴火時、人口や交通網等が集中する東京の特性を踏まえ、都市活動を維持する対策を講じるとともに、平常時からの備えを強化するため、今後の対策の方向性を指針として取りまとめました。
 指針では、ハード、ソフト両面から取り組むべき降灰対策の明確化や、自助、共助の取組の推進などの三つのポイントと、交通インフラ対策や火山灰処理等に関する七つの到達目標を設定しております。

○たかく委員 都市活動を維持するための対策の構築等の観点から、指針を策定したとのことでありますが、都市活動を早期に回復させるために、交通インフラ、特に都民生活を支える道路を速やかに除灰していく必要があると考えます。ホイルローダーやロードスイパーなど道路除灰に必要な資機材については民間事業者が保有しており、災害時に資機材を調達できるよう、こうした事業者と綿密に連携すべきであると考えます。
 そこで、道路除灰資機材の確保のため、民間事業者とどのように連携をしていくのかを伺います。

○田代防災計画担当部長 指針では、道路除灰に必要な資機材等の確保の方向性として、降灰の初期段階から迅速に道路除灰を開始できるよう、民間団体との協定締結などにより、除灰に不可欠な資機材の確保に向けた体制を整備することとしております。

○たかく委員 震災対策においては、道路上の障害物の除去など応急対策業務に関わる協定を締結するなど、民間事業者との連携体制が構築されておりますが、降灰対策においても、指針を踏まえ、同様の連携体制の整備を着実に進めていくことを要望する次第です。
 一方で、都市機能の早期回復のためには、大量に発生することが想定されている火山灰の処分についても、区市町村と密に連携しながら、仮置場や処分先を平時から確保していくことが重要と考えます。
 そこで、火山灰の仮置場や処分先の選定に向けた都の取組についてお伺いいたします。

○田代防災計画担当部長 都は、指針において、仮置場の候補地選定の方向性として、平坦でダンプトラックの往来が可能であることなどの条件に合う場所を候補地とすること、また、火山灰の処分については、国や他道府県等との広域連携を通じた処分先の確保を行うこととしております。
 また、火山灰の処分先の選定等を具体的に進めるため、除去、処分方法などについて、迅速に明確な指針を示すよう、国に要望しております。

○たかく委員 今の答弁では、国や他道府県等の広域連携を通じて処分先確保を行うということでございます。
 先ほど申しましたように、富士山が噴火してから約三百年経過ということで、富士山が噴火することに現実味を感じない人も多いかもしれませんが、近い将来、噴火する可能性も十分あり得るわけです。国の検討が迅速に進むよう、都としても働きかけを強めていっていただきたいと思います。
 次に、水害対策について伺います。
 近年、全国的に自然災害が頻発化、激甚化しております。今年八月には都内でも台風十号が発生し、その影響で都内各地で浸水被害が確認されました。今後、東京都においても、いつ大きな風水害が起きてもおかしくないという状況であります。
 令和元年の台風十九号のときには、私の地元である世田谷区でも、多摩川流域で溢水や、また浸水被害が発生して、五百軒以上の家が浸水したという状況で、私もそのとき消防団の一員として大変な思いをした記憶がございます。こうした状況下で、都民の生命を守るために、自助、共助、公助、それぞれの取組を適切に進めていくことが何より必要だと思います。
 まず、公助の取組として、国、東京都、そして区市町村間でいち早く情報を共有しながら、住民に対して避難指示等の情報発信をすることが必要であります。そのためには、あらかじめ情報連絡に関する体制を構築しておくことが必要と考えます。
 水害発生時に、東京都は国や区市町村とどのように情報共有し、都民に発信していくのかを伺います。

○高田総合防災部長 都はこれまで、災害情報システムを活用して、気象庁が発表する最新の気象情報を区市町村に迅速に伝達しており、区市町村は、防災行政無線やLアラートなどにより住民へ周知を行っております。
 さらに、東京都防災アプリなどでも、気象情報や区市町村が発する避難情報などを発信しております。

○たかく委員 東京都は、国や区市町村と共に連携して住民へ情報発信しているということでございます。
 続いて、自助、共助の取組についてですが、水害は、地震などほかの災害と異なり、行政からの情報や天気予報などにより、ある程度予測することができます。そこで、いざというとき慌てることがないように、避難に備えた行動を住民一人一人があらかじめ決め、備えを講じておくことが重要と考えます。
 その際の一助となるのが、令和元年に都が発表した水害時の行動を検討するためのツールである東京マイ・タイムラインであり、これを様々な世代を対象として広く普及していくことが非常に重要であると考えます。
 以前、私は、令和三年、決算特別委員会などで、東京マイ・タイムラインの取組状況について質問をさせていただきましたが、学校や地域などに対して継続的に普及啓発に取り組んでいくこともとても重要であります。
 そこで、令和五年度における東京マイ・タイムラインの普及啓発の取組状況を伺います。

○田代防災計画担当部長 都は、令和元年五月に東京マイ・タイムラインを公表して以降、都内の全ての小学校、中学校及び高等学校の児童生徒などに配布しており、令和五年度は約五十七万部を配布いたしました。
 また、児童生徒向けにマイタイムラインの作成の必要性、要点などを丁寧に説明するセミナーや、夏休み期間中に親子等で参加できる講座、さらに町会、自治会などを対象としたセミナーなど、約七十回開催いたしました。

○たかく委員 都が東京マイ・タイムラインについて、冊子の配布やセミナーの開催により、都民の皆さんに積極的に普及していることは分かりました。
 一方で、まだ東京マイ・タイムラインを活用できていない方もいらっしゃることと思います。さらに多くの方に活用いただくためには、発信方法にも新たな工夫が必要であると思います。また、日本語を母国語としない方への対応も必要かと考えます。
 そこで、令和五年度に実施したマイタイムラインのさらなる普及拡大に向けた取組について伺います。

○田代防災計画担当部長 都は令和四年度から、東京マイ・タイムラインのアプリ版を運用しており、令和五年度は、その認知度向上に向け、アプリ版のPR動画を作成し、新宿駅構内など都内のデジタルサイネージや電車内広告で放映するとともに、SNS広告等を活用して積極的な周知を行いました。
 また、都内在住の外国人や高齢の方なども避難行動計画を作成できるよう、東京マイ・タイムラインの英語版とやさしい日本語版を作成いたしました。

○たかく委員 これらの取組を継続して進めていくことで、都民のさらなる防災意識の向上に努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次は、都の職員の採用について伺います。
 まず、都庁における職員の採用ですが、我が党が令和五年第四回定例会の代表質問で、技術系人材の確保への早急な取組について要望しました。
 事務職の採用状況についても確認させていただきたいと思います。主に新卒者を対象とした採用試験における事務職の倍率について、過去五年間の推移を伺います。

○金久保人事部長 採用試験の倍率につきましては、採用予定者数の増減などにより変化いたしますが、人事委員会事務局の公表資料によりますと、大学卒業及び大学院修了程度を対象とするⅠ類採用試験における倍率は、令和元年度六・三倍、令和二年度五・一倍、令和三年度一四・一倍、令和四年度三・四倍、令和五年度は二・五倍となっております。

○たかく委員 ありがとうございます。今の答弁では、令和三年度を除いて傾向としては、倍率が低下しているということが分かりました。
 また、今年七月に発表された資料では、当該倍率は一・六倍となっており、このままでは、今後、新卒者の採用がますます厳しくなっていくのではないかと予想されております。こういった状況は、新卒の売手市場が鮮明になっている中、東京都に限らず、民間企業でも同様であることは考えられますが、企業の人手不足感が高まる中、近年では転職市場が拡大していると聞いております。
 東京都においても、主に転職者を対象とするキャリア活用採用選考を実施していると思いますが、このキャリア活用採用選考における事務職の倍率について、過去五年間の推移をお伺いいたします。

○金久保人事部長 人事委員会事務局の公表資料によりますと、キャリア活用採用選考における事務職の倍率は、令和元年度八・二倍、令和二年度七・九倍、令和三年度五・六倍、令和四年度七・四倍、令和五年度六・一倍となっております。

○たかく委員 転職者等を対象としたキャリア活用採用選考については、主に新卒者を対象とした採用試験に比べ、倍率が高く推移していることが分かりました。
 今年度から我が党の要望を踏まえ、新たに、公務員試験のための特別な準備を必要としない、誰もがチャレンジしやすい経験者採用選考を土木職などの技術職において実施をしております。こうした取組について評価しておりますが、社会のニーズの変化は速くなっており、行政の仕事に求められる能力もますます多様化してきているものと思います。
 また、人々のライフスタイルの変化に伴い、例えば、パートタイムでも働きたい方や子育てが一段落してフルタイムで働きたい方など、希望する働き方も様々であります。一人一人が希望する働き方で活躍できる社会を実現していかなければならないと考えます。
 様々なバックグラウンドを持つ人材が、都庁においてさらに活躍できるよう、今後も引き続き、時代の変化に応じた採用施策の充実に努めていただくことを要望させていただきます。
 それでは、最後に、知的障害者の雇用について伺います。
 総務局では、知的障害者の雇用を進めるため、平成三十年度からオフィスサポートセンターを運営しておりまして、大事な取組であると考えております。
 私も先日、都庁内にあるセンターを視察してまいりました。知的障害を有する職員が自分の特性を生かして、資料の封入であるとか名刺作成といった業務に生き生きと従事している姿を見ることができました。
 そうした作業をしている職員の中には、都立の特別支援学校の卒業生もいましたが、在学中に職場実習としてオフィスサポートセンターでの業務を経験した上で、就職先としてセンターを志望し、採用された職員も多いとのことであります。実習生の受入れは、特別支援学校の生徒が都の職員として働くことにもつながり、大変有意義なものと考えます。
 そこで、オフィスサポートセンターにおける令和五年度の実習生の受入れ状況についてお伺いいたします。

○堀内労務担当部長 オフィスサポートセンターでは、平成三十年度に開設して以降、特別支援学校からの実習生を毎年度受け入れております。
 令和五年度は、都立の特別支援学校五校から延べ三十四名の実習生を受け入れておりまして、受入れの期間はおおむね一週間から三週間でございました。
 また、より多くの生徒から実習先として選んでもらえるよう、特別支援学校への訪問や、進路担当者説明会への参加を通じて、オフィスサポートセンターの取組を紹介してございます。

○たかく委員 オフィスサポートセンターにおいては、実習生の受入れを積極的に実施をしているということが確認できました。
 実習生の受入れなどにより知的障害者の雇用が進んだ結果、令和五年度はオフィスサポートセンターに二十三名の職員が在籍し、そのうち十二名は常勤職員とのことであります。常勤職員は、軽作業にとどまらず、より高度な事務等の補助業務にも従事しているとのことで、オフィスサポートセンターが行う業務も広がりを見せております。
 そこで、オフィスサポートセンターにおける令和五年度の業務拡大の取組、実績についてお伺いいたします。

○堀内労務担当部長 オフィスサポートセンターでは、データ入力や紙資料の電子化など、都庁内の職員が日々行っている業務の中から、各種庶務業務や軽作業を切り出し、知的障害者の特性に合った職務の創出に努めてございます。
 令和五年度におきましては、都庁各局から依頼された約千七百件の業務に取り組み、これまで職員が行っていた業務の一部をオフィスサポートセンターの職員が担うことで、業務の効率化やペーパーレス化にも寄与しております。
 また、執務室内で行う業務に加え、試行的にオフィスサポートセンターの職員が各部署に出向く取組を開始したところでございます。

○たかく委員 オフィスサポートセンターが今後も拡大して職員が増えた場合、執務室の確保など課題になると感じておりますが、執務室で業務を行うだけではなく、他部署でも業務が行われていることを確認できました。こうした職場の開拓をぜひ継続し、引き続きオフィスサポートセンターを拡大していっていただきたいと思います。
 また、カフェ、コーヒーですね、カフェコースが開設されている都立特別支援学校との連携をさらに深めていく上でも、例えば、知的障害者が働くことができるこういったカフェを都庁舎内でモデル的に設置するなど、職域の拡大も検討していただきたいと要望して、私からの質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時五十三分休憩

   午後六時二十四分開議

○河野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る十月十一日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の令和五年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の目次をご覧ください。今回要求のございました資料は十四件でございます。
 まず、一ページをご覧ください。1、Tokyo Innovation Base(TIB)について、経緯、入場者数、令和五年度の決算額を記載してございます。
 次に、二ページをご覧ください。2、令和五年度のInvest Tokyoの主な支援事業内容について記載してございます。
 次に、三ページをご覧ください。3、ビジネスコンシェルジュ東京の実績について、開設した平成二十四年度から令和五年度までの相談件数、令和五年度の決算額を記載してございます。
 次に、四ページをご覧ください。4、Access to Tokyoの実績について、開設した平成二十九年度から令和五年度までの相談件数、令和五年度の委託先及び決算額を記載してございます。
 5、令和五年度のフィンテック企業等に対するイノベーション支援事業の実績について、支援メニュー別に記載してございます。
 6、令和五年度のESG債の発行支援事業の実績について記載してございます。
 7、令和五年度のTokyo Sustainable Finance Week事業の実績について、東京都が実施したイベント別に記載してございます。
 8、令和五年度の外国企業発掘・誘致事業の実績について記載してございます。
 次に、五ページをご覧ください。9、令和五年度の一時的オフィス提供事業の実績について、利用企業数、決算額を記載してございます。
 10、令和五年度の拠点設立補助事業の実績について、支援企業数、決算額を記載してございます。
 11、令和五年度の金融系外国企業事業基盤支援補助事業の実績について、支援企業数、決算額を記載してございます。
 12、令和五年度のGX関連外国企業進出支援事業の実績について、拠点設立企業数、決算額を記載してございます。
 次に、六ページをご覧ください。13、官民連携ファンド出資額及び回収実績一覧について、ファンド別に都出資額及び回収実績をそれぞれ記載してございます。
 14、サステナブルエネルギーファンド第一号投資案件への投資決定過程について記載してございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○河野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 我が国が人口減少や国際競争力の低下などの課題に直面する中、東京はイノベーションの創出と資金の呼び込み、この二つを車の両輪として、日本の成長を牽引していく役割が求められています。
 こうした中で、昨年度、都は、スタートアップや金融施策の専管組織、スタートアップ・国際金融都市戦略室を新たに設置しました。国もスタートアップ税制の改正や資産運用立国などの取組を推進する中、現場を預かる都は、新しい体制の下で、具体の施策を強力に、かつスピード感を持って進めてきたと思います。本日はその主要な取組の成果についてお尋ねします。
 まず、スタートアップについてです。
 都は、二つの大きな取組を中心に振興策を進めていますが、その柱の一つとなるのが、大規模な国際イベント、SusHi Tech Tokyoです。商機につながるスタートアップと投資家などとの出会いを促すのが重要なことはいうまでもありませんが、世界でもパリ、リスボン、シンガポール、ヘルシンキ等々、様々な都市でこうしたイベントが競って開催されていると聞いています。
 スタートアップの国際的なイベントを開催する意義について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 世界で活躍するスタートアップを生み出すためには、国内外から多くのプレーヤーが集い、交流する場を提供するとともに、東京のグローバルなエコシステムを世界に強力にアピールすることにより、イノベーションの創出や資金の呼び込みにつなげていくことが重要でございます。
 そのため、年一回、世界中からスタートアップ、投資家、大企業、都市など、多様なプレーヤーが一斉に東京に集う国際的なスタートアップイベント、SusHi Tech Tokyoを開催することとしております。

○石島委員 多様な人材が交流し、イノベーションを起こす場であると同時に、ここ東京が、スタートアップが大きく成長していくために最高の都市であるということを世界に知らしめていく狙いがあると理解しました。
 とするならば、このイベントの成否は、まずは世界からどれだけ多くの方々に参加してもらえるのかにかかってきます。はるばる海外から東京に来ていただくわけでありますから、通り一遍の広報でなく、スタートアップ振興に全力で取り組む都の姿勢や、東京が世界に開かれたポテンシャルに満ちたまちであるということをしっかりと伝え、東京に関心を持ってもらうことが必要です。
 そこで、今年五月のイベントに向け、どう取り組んできたのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 国内外の都市やスタートアップ支援機関、展示会などに職員自らが足を運び、エコシステムのキープレーヤーと直接お会いして、東京の魅力やポテンシャル、スタートアップエコシステムを積極的にPRすることで、顔の見える関係や幅広いネットワークを構築し、イベントの参画につなげてまいりました。
 また、国内外で二百を超える団体にアンバサダーとしてPRを担っていただいたほか、六十八団体に一緒に盛り上げるパートナーイベントを計画いただくなど、様々なプレーヤーと連携し、みんなでつくるという機運を醸成してまいりました。
 こうした取組を通じ、この五月には、八十二の国、地域、三百二十一都市から四万人を超える参加者、三千件以上の商談など、多くの出会いや交流が生まれました。

○石島委員 五月のイベントには私も参加させていただきましたが、海外の方々も多く来場し、会場の至るところで活発な交流が行われているのが印象的でした。答弁にあったような一つ一つの活動が当日のにぎわいと活気につながったのではないか、次回、来年二〇二五年も、さらなるバージョンアップされることを期待するものであります。
 スタートアップ政策のもう一つの柱が、一大拠点、TIBであります。私も昨年十一月のプレオープンイベントに出席させていただきました。国内外から多くの関係者が集まり、スタートアップを皆で盛り上げていこうという一体感を感じました。この勢いを止めずに様々な取組を推し進めてもらいたいと思います。
 まず、TIBの稼働に向け、昨年度、都はどのように取り組んできたのか伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、スタートアップに関係する多様なプレーヤーが集い、交流する結節点として、みんなでつくるをコンセプトに活動しております。このため、スタートアップ支援に取り組む様々なキーパーソンたちと意見交換を重ね、TIBの目指すべき姿や活動内容に関する様々なアイデアを取り入れ、構築を進めました。
 施設整備に当たりましては、昨年十一月のプレオープン後、週一回程度のイベント開催から運営を始め、二月に交流スペースやスタートアップの製品展示を加え、常時開館いたしました。さらに、本格オープンに向け新たに機能を拡充するなど、実践を重ねながら、スピード感を持って段階的に整備を行いました。

○石島委員 スタートアップ支援に関わる方々と共に議論しながら構築を進めてきたことは分かりました。また、行政施設の場合、整備が全て完了した時点でオープンするのが通常ですが、TIBはできたところから稼働させたということであります。まさにスタートアップのスピードに合わせて、アジャイルを実践してきたものと理解します。
 さて、ただいまの答弁で、TIBは週一回程度のイベント開催からスタートしたとのことですが、イベントでTIBに様々な人を呼び込んでいくことは、この拠点が人と人をつなげる結節点として発展していく上で重要であります。
 そこで、TIBは昨年度、スタートアップや支援者が交流する場としてどのように活用されたのか伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBでは、都と協働してイノベーションの促進やスタートアップの成長に取り組む企業、団体等をパートナーとして位置づけ、それらが持つ様々なネットワークを生かしたイベントや支援プログラムを展開し、多様なプレーヤーがつながる機会を創出してまいりました。
 令和五年度は、全国各地から集まった起業家が社会課題の解決をテーマに交流するカンファレンスや、グローバルサウスの未来をリードするスタートアップや投資家、企業等によるセッションやネットワーキングなど、約百回のイベントを開催し、組織や地域の垣根を越えた数多くの交流が生まれました。

○石島委員 昨年度から、TIBの理念である結節点を体現する数多くのイベントが開催されたことが分かりました。
 また、社会問題の解決などの分野は事業化が難しく、民間が手をつけづらい領域でもあります。こうした分野を含め、多くの関係者がつながる場を行政自らが提供することは、大変意義あることだと思います。
 さて、スタートアップ支援は今や日本全体で重要なテーマです。この観点から、地方のスタートアップと首都圏の投資家が出会うなど、地域を越えたつながりをつくっていくことも必要です。
 TIBの取組は全国との共存共栄にも極めて有効なものと考えますが、昨年度の取組について伺います。

○井上スタートアップ戦略推進担当部長 令和五年度は、スタートアップ支援に取り組む各都市がエコシステムの発展について議論し、交流するイベントを国と共に開催し、相互の連携を深めました。
 また、全国の結節点としてのTIBの役割をPRしながら、各地の自治体と積極的なコミュニケーションを図ってきたことによりまして、福井県や北海道等の自治体が、地元のスタートアップと首都圏の投資家、事業会社とのマッチングイベントを開催いたしました。現在までに十を超える自治体が同様の取組を実施しております。
 今後は、さらに全国との連携を深めてまいります。

○石島委員 スタートアップが大きな成長を遂げるには、様々な支援者と出会い、効果的なサポートを受けることが重要です。TIBが地域を越えて様々な支援者とスタートアップをつなげる役割を果たしていることは理解しました。
 都が主体となって、こうしたプラットフォームを構築することで、民間のプレーヤーも全国の自治体も参画可能となったことは、大きな意義があると思います。今後、大きく成長するスタートアップがTIBから生まれてくることを期待して、次の質問に移ります。
 これまでスタートアップ支援の取組について伺ってきましたが、ユニコーンを数多く生み出し、イノベーションの創出につなげていくためには、金融の力が欠かせません。そのためには投資環境を整備し、国内外から資金を呼び込むことが重要であり、都自らの取組とともに、国が取り組むべき規制改革や法改正なども進めていく必要があります。
 こうした中、昨年度、国は資産運用立国の実現を大きな柱として掲げました。我が会派は、施策の実行力がある都が国と強力にタッグを組んで、その実現を推進すべきと指摘しましたが、都は、資産運用立国の実現に向け、昨年度どのような取組を行ったのか伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は昨年十一月、投資を呼び込む規制緩和や英語環境整備等、資産運用立国に必要な三十五の提言を国に行い、その後、本年二月には、サステーナブルな社会を実現するアジアのイノベーション・金融ハブを掲げ、金融・資産運用特区に関する提案を実施し、関係省庁や有識者等と議論を重ねてまいりました。
 これまで、金融商品取引法の改正により資産運用業の参入規制の緩和が実現したほか、東京開業ワンストップセンターにおける法人設立時の保険等の英語での届出手続が可能となりました。
 引き続き、外国人投資家の在留資格の創設をはじめとした規制緩和等の実現に向け、国と緊密に連携してまいります。

○石島委員 国内外からの投資環境が整いつつあることを改めて理解しました。引き続き国と精力的な議論を行うなど、しっかりと連携して進めていただきたいと思います。
 金融・資産運用特区の指定に向けた都の提案では、柱の一つとしてサステーナブルファイナンスの先進都市が挙げられています。サステーナブルな社会を実現するために、民間の資金やノウハウの活用は欠かせません。
 その一環として、都は昨年度、官民連携の創エネ・蓄エネ推進ファンドを組成しましたが、改めて、官民連携ファンドを活用する意義と昨年度の実績について伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都が出資を行う官民連携ファンドは、都の資金を呼び水として、民間の資金やノウハウを引き出し、官民が連携して政策目的の達成を図るものでございます。
 昨年度創設した創エネ・蓄エネ推進ファンドは、系統用蓄電池設備等への投資の加速による再生可能エネルギーの導入拡大を通じ、脱炭素化とエネルギー安定確保の両立の実現を目的とするものであり、都が二十億円を出資しております。
 現時点でのファンド規模は、都と民間企業からの出資により合計八十億円超となっており、順次、本ファンドから新規系統用蓄電池プロジェクトへの投資を行ってまいります。

○石島委員 GXの推進と新たな社会課題の解決に向けて、まだ民間の投資環境が十分整っていない分野において、官と民が連携しながら資金を循環させるため、都がその呼び水としての役割を果たすことは非常に意義があると思います。
 これまでの質疑で、投資とイノベーションの好循環を生み出すために、都が国や自治体、企業、投資家など、官民を問わず多彩なプレーヤーとしっかりと連携し、取り組んできたことが分かりました。
 スタートアップ・国際金融都市戦略室が発足した昨年度以降、様々な施策をスピーディーに進めてきたものと評価します。これからも関係者と協力しながら、精力的に取組を進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○藤井委員 それでは、スタートアップ・国際金融都市戦略室への決算質疑を行わせていただきます。
 これまでも、様々、スタートアップに関連して質疑を行わせていただいておりますが、いわゆる失われた三十年の間に、日本の国際競争力及び日本企業の収益力というのは大幅に低下をしておりまして、一方で、アメリカでは、GAFAをはじめとした新興企業であったり、イーロン・マスク氏で話題のEVのテスラ、航空宇宙サービスのスペースXなど、そういった会社が新しい産業を生み出して経済成長を牽引してきたところであります。
 スタートアップは、世界の経済の成長のドライバーとなっておりまして、イノベーションの創出、将来の雇用、所得、財政を支える新たな担い手となって、スタートアップが成長する環境を整備していくことは非常に重要となっております。失われた三十年の間に、まさに日本ができなかったことでありまして、そのためには、金融環境の整備というものも重要であります。
 停滞する日本経済の成長の鍵を握るのはこのスタートアップでありまして、国内のスタートアップの多くが集積する東京の担う役割というのは、非常に重要なものだと認識をしております。
 先ほどのEVのテスラやスペースXは、アメリカ政府や地方政府が支援を様々な形でしておりますし、NASAが宇宙事業を民間に移管するために、補助金をはじめ様々支援をして成長してきたところであります。そうした観点からも、今日は質疑をさせていただければと思います。
 二〇二二年十一月に新たなスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSを都は設定しまして、私たちの提案もあり、昨年四月にスタートアップ・国際金融都市戦略室ができて一年が過ぎたところであります。
 昨年度は、定員八十二名の人員で活動してまいりまして、その後、拡充をしてきていると聞いておりますが、スタ・国室では、スタートアップ拠点のTIBの立ち上げ等、新規事業がめじろ押しでありまして、職員はハードワークをしてきたんじゃないかと推察をしているところであります。
 効率的な組織運営に取り組んできたと思いますが、昨年度の業務の進め方について伺います。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 昨年度新設の当室でございますが、職員誰もが自由に意見を出し合えるオープン・アンド・フラットな職場づくりの下、オンライン会議の積極的な活用など、デジタルツール等による場所や時間を有効に活用した質の高い働き方で、効率的な業務遂行に努めてまいりました。
 また、庁内横断組織、Team Tokyo Innovationを編成し、各局に配置した兼務職員が当室と共にスタートアップ施策を推進するなど、効果的に職務を進めてまいりました。

○藤井委員 先ほども出ていますTokyo Innovation Baseや、またCICの出島等、我々も視察、拝見させていただいていますが、職員の皆さんが生き生きと働いている姿を見ております。これまでの都の働き方にとらわれずに、やりがいを持って、誤解を恐れずにいうなら楽しそうに働いているんだと認識をしておりまして、皆様の取組、本当に期待をしているところであります。
 スタートアップの皆さんは、自分たちの事業に集中するために効率的な働き方をしておりまして、無駄なことは基本的には一切しないという方針だと思いますので、そういった方々とまさに対峙する皆さんは、そういった働き方もぜひ参考にしながら、よりこのスタートアップの働き方を都庁に持ってきていただきたいと期待をしているところであります。
 続きまして、スタートアップにしましても、国際金融に関しましても、専門家が本当に必要になってくると考えております。事業など相手方となる、カウンターパートとなる金融事業者やスタートアップも、専門家がいると安心してその施策の応援もできるんじゃないかと思いますし、つまり都の事業をより効率的に実施することができると考えております。
 スタートアップの皆さんからも、行政に、東京都に期待することとして、この人に相談したら大体の問題は解決するという、顔となる人をやっぱりつくってほしいということは強くいわれているところでもあります。
 専門家の育成をどのように進めているのか伺います。民間人材の採用はどの程度進めているかも併せて伺います。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 金融やスタートアップの専門家でありますフェローから適宜意見をいただくとともに、自らも民間のスタートアップ交流拠点に設置した出島やTIBなど、あらゆる現場を活用し、日常的な意見交換等を通じた専門性の向上に努めてまいりました。また、スタートアップ企業への職員の派遣を通じ、直接スタートアップの業務に携わることで、実践的知識やネットワークの獲得に努めてまいりました。
 採用につきましては、専門人材を確保するため、特定及び一般任期付職員の制度を活用し、民間企業経験者等を採用してございます。

○藤井委員 スタートアップ企業に職員を派遣したり、また採用を様々な形でするなど、専門人材の育成に努めているというご答弁でありました。
 スタートアップへの職員の派遣は、まだ始めたばかりだと思いますので、今後、職員が都庁に戻ってきて、そこでいろんなことをフィードバックすることによって、その効果が発揮されていくものだと期待をしております。
 事前の調整の中でも、スタートアップへの職員派遣は非常に人気が高く、選抜される方も非常に能力が高くて、スタートアップからの評判も非常に高いということで、本当に都庁もスタートアップもウイン・ウインとなれるような取組だと思っておりますので、これはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 私たち、これまでも提案してきた内容ですので、今年度の事業や将来の事業にも関わってきますので、ここはまた改めて事務事業など確認をさせていただきたいと思います。
 続いて、私もスタートアップ企業で働いてきた経験もございまして、周りにもスタートアップ起業家やベンチャーキャピタルなどで投資をしている方々など、知人も多くいるところでありますが、都に期待することは何かと聞きますと、様々意見が出ます。
 その中で、一つは、役所にあまり手を出してほしくない、余計なことはしなくても大丈夫だ、自分たちでやるんだという声もあります。
 一方で、やっぱり規制、法律だったりとかルール、これは役所でしかできないことなので、国も含めてぜひ取り組んでほしいという声、これをいわれることが多いんですが、何よりも、これ、もう何度もいっているんですけれども、東京都に対しては契約をして使ってほしいという声、様々いただくところであります。
 一方で、東京都を含めて行政は、効率的、公平な対応が必要で、入札になってしまってなかなか契約ができないという声をいただいておりまして、役所との仕事がしづらいという声もいただいてきたところであります。
 そういった声を受けまして、二〇一九年の十二月の一般質問では、私の方から、政策目的随意契約を通じたスタートアップの公共調達について提案をさせていただきまして、当時はキングサーモンプロジェクトでスタートアップとの協業の道を開いてきたんではないかと考えております。
 東京都は、公共調達、スタートアップとの協働を増やしていくとしておりまして、スタートアップの製品、サービスについては、都政現場での公共調達や実証実験により信頼性向上が図られ、様々な分野での活動につながることが重要ですが、都とスタートアップとの協働についての進捗状況、また、普及拡大につながっている好事例について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は昨年度、当室と各局との緊密な連携の下、全庁的にスタートアップとの協働を進め、各局一件以上、計百五十三件の協働実績を上げることができました。
 協働の取組の中には、過去、都の現場で試験導入した製品が他の都政現場や民間の事業所での活用につながった事例も出始めております。
 例えば、作業の際に腰の負担を軽減するアシストスーツについて、都の福祉施設で導入効果の実証が行われた後、学校や卸売市場の一部に導入が進められ、また、都のエコシステムプレーヤーのネットワークを生かしてグローバル企業とのマッチングを行い、自動車部品工場への導入も実現しております。

○藤井委員 ありがとうございました。
 今例に出ましたアシストスーツですが、先ほどの総務局への質疑の中でも事例として出てきておりまして、また、私の地元の町田の野津田高校の福祉科の方でも採用されているということで聞いておりまして、こういったいい事例が出てきているということで、さらなる拡大、期待をするところであります。
 当初、二〇二七年に百件だった目標を、昨年は百五十三件で既に超えてしまっているということで、上方修正をして三百件まで増やしているということであります。着実に進めていただきたいところでありますが、この決算特別委員会の中で各局にいろいろ質問をしていく中で、なかなかまだ協業についての意識が浸透していないのかなと、ちょっと疑問に思ってしまうようなところもありましたので、そこはしっかりと協業を進めていきたいなと思います。
 想像しますに、現場を抱えている各事業局からすると、なかなかスタートアップの協働というところに関しては、想像できないというか、考えられないというところ、これ、デジタル化の取組でもあったんですけれども、あると思いますので、そこは丁寧に巻き込んでいっていただければと思います。
 また、今の目標の対象には、行政委員会であったりとか、警察、消防は入っていないということでありますが、今回の決算の中で、消防庁に関してはかなりいい取組されて、皆さんも既にご存じだと思うんですが、されておりますので、そういったところもしっかり、事例も含めて共有をいただければと思います。さらに、区市町村もしっかりと巻き込んでいただければと思います。
 次に、国内外のスタートアップの交流拠点でありますTokyo Innovation Base、TIBの設立について伺います。
 昨年は、このTIBのプレオープンの年でありました。TIBのプレオープンの成果と実績、海外プレーヤーを呼び込んでいくために、昨年度どのように取り組んだのかお伺いいたします。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 昨年十一月のプレオープンイベントでは、世界各地で活躍するベンチャーキャピタルや支援機関、全国の自治体、大学など約八百名のスタートアップ関係者が参加し、TIBが結節点となってグローバルなエコシステムを形成していくことを共有いたしました。
 その後、海外アクセラレーターによる支援プログラムをTIBで実施するとともに、世界の有力な支援機関を招聘して連携に向けた意見交換を行うなど、海外プレーヤーの呼び込みに取り組んだところでございます。
 こうした取組を通じ、昨年度末時点で、国内外から一万人を超える方々がTIBを訪問いたしました。

○藤井委員 ありがとうございます。
 昨年のプレオープンで一万人で、サイト等を確認すると、今年度本格オープンしてから六万人ですかね、常設されるようになってから六万人が訪問していると聞いているところで、まずは第一歩目を越えたのかなというふうに認識をしております。
 今後、こちらは議論をさせていただきたいところではあるんですが、この立ち上げの前から、懸念というか、提案をしていたところでもあるんですけれども、TIBは、スタメンと呼ばれるようなパートナー企業の皆さんが運営に関わってきておりまして、そのこと自体は非常に重要なことで、都庁だけではなくて、ほかの方々も巻き込んで進めているということではあるんですが、一方で、やはり都庁の事業全般にそうなんですけど、スタートアップ自身がなかなか参加をできていないんじゃないかなと思っておりまして、このスタメンの中にもスタートアップ企業が少しずつ入ってきているとも聞いているんですけれども、ここのところを、当事者であるスタートアップだったりとか、あとスタートアップエコシステムのまさに中心を占めるベンチャーキャピタル、こういった方々にしっかりと入ってもらうことが、TIBを日本のスタートアップエコシステムの真ん中に持っていくことになると思いますので、こういった方々、しっかりと巻き込んでいただきたいと思います。
 また、交流拠点ですので、今、六万人の方々が、一万人を超えて六万人の方々が来ているということで、今、登録をしてもらって利用しているというのは聞いているんですけれども、より交流を生み出していくということが重要だと思っております。コミュニティの運営というのが非常に重要だと考えておりまして、ここに関しましても引き続きの議論をさせていただきたいと考えております。
 続きまして、SusHi Tech Tokyo、今年五月に開催いたしましたアジア最大級のグローバルスタートアップイベントとなったSusHi Tech Tokyoについて伺います。
 こちらは、おととし、令和四年度に実施をしたCity-Tech.Tokyoを踏まえて行われたものでありまして、また、先ほどのTIBというのは、これは日常的なもので、その集大成というか、毎年一回の総決算イベントであるというふうに認識をしております。
 SusHi Tech Tokyoは、昨年度は準備期間でありましたが、City-Tech.Tokyoを踏まえてどのような対応を行ってきたのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 グローバルスタートアップカンファレンスとして二回目となるSusHi Tech Tokyo 二〇二四では、さらに多くの国内外のプレーヤーの参画を促し、東京のエコシステムを世界に向けて強力に発信することを目的に、精力的に準備を進めてまいりました。
 会場の規模を拡大するとともに、世界のエコシステムのキープレーヤーを呼び込むため、新たに海外の国や都市のパビリオンを設置することといたしました。
 また、オープンイノベーションや商談を一層促進するため、大企業による出展を増やすとともに、投資家とスタートアップとのマッチングを効果的に行うVCパビリオンを新たに設置することといたしました。

○藤井委員 ありがとうございます。
 City-Techは有楽町の国際フォーラムで実施をしておりまして、今回、拡大をさせたということで、ビッグサイトの方に変わって、規模もかなり大きくしたというふうに認識をしております。充実させた点についても、VCパビリオンをつくるなど進めてきたということを確認させていただきました。
 スタートアップの関係者からも感想を聞いてみました。あくまで一部の声ではあるんですが、ぜひ参考まで聞いていただきたいと思います。
 一つは、まず大前提として、このSusHi Tech Tokyoについて、周りのスタートアップや関係者の皆さんが、大体多くの方々が話題にしていた、それは批判的なところも含めて話題にしていたということで、それはすごくいいことだったんじゃないかということをいわれております。また、国内外の実際のビジネスにつながっただったりとか、いろいろな出展者とのつながりが持てたなど、前向きな声というのがありました。これが大前提です。
 その中で幾つか、少し声が出てきたのが、これは私も感じたところなんですけれども、狭かったこともあって、有楽町、City-Tech.Tokyoのときの方が熱気があったんじゃないか、イベントの熱気を感じることができたという声であったり、また、海外の人というのが、SusHi Tech Tokyoではあまり何か見かけなかったような気がするという声もありました。これは複数あったので、実際そういうところ、感じられるようなところがあったんじゃないかと思います。
 また、二日間人を出すのは大変だったとか、あと、場所が有楽町から変わったことで遠くなったという感想であったりとか、バスで帰ったら大変だったという声だったりとか、アクセスに関わるような部分もありましたので、こういったところはちょっと、ぜひ検討を、今後の改善として検討いただきたいなと思うところと、あと、同時開催でやっている他のイベントに、スタートアップがあまり関わっていなかったんじゃないかというご指摘をいただいておりまして、都庁の中では縦割りというか、それぞれ役割分担をしてやっているというところがあるところではあるんですけれども、外から見た場合、やっぱり一つに見えますので、そこは何かうまく連携をしていっていただければというふうに思っているところであります。
 また、来年度の実施では、私も行ってちょっと思ったのは、熱気の話で、やっぱりイベントの合間合間で人がいなくなってしまうタイミングなどもあるのかなと思っていますので、割り振りなども適時適切に、人が集まるイベントの割り振りみたいなのもうまくやっていただくのがいいんじゃないかなと思いました。
 SusHi Tech Tokyoにブランドを統一すべきだということを、City-Techからブランドを統一すべきだということを、昨年の予算特別委員会で提案をさせていただきましたが、今年度は実際にSusHi Tech Tokyoとして開催されましたが、その背景などをお伺いいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都では、持続可能な都市を高い技術力で実現するという理念の下、Sustainable High City-Tech.Tokyo、これを縮めましてSusHi Tech Tokyoを世界に向けて発信しており、東京の持つ強み、ポテンシャルをこのワンブランドで展開することで、東京の価値を国際社会に浸透させていくこととしたものでございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 先ほどのスタートアップからの声で、イベントの名前がやっぱり分からないという声もありましたので、そこはしっかりと定着をさせていただきたいというところと、SusHi Tech Tokyoの名称とイベントがしっかりと定着をして、世界中で、五月には東京に行こう、SusHi Techに行こうと、スタートアップ関係者の方々の頭に浮かぶようなイベントまで育てていただきたいと思っております。
 そのためにも、イベントのゴールを、東京都がやるからこそのゴール設定というのを明確にしていく必要があるんじゃないかなと思っておりまして、民間、ほかのイベントもありますが、それとは違うところをしっかりと磨き上げていただきたいと思います。来年のイベントに向けて、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、今度は金融に関係して確認をさせていただきます。
 昨年九月の一般質問で、都のデジタル証券、セキュリティトークンの発行事業について取り上げ、室長から、今後、事例で得られた発行ノウハウや課題をシンポジウムなどを通じて広く共有していくとのご答弁をいただきました。
 セキュリティトークンの発行支援事業の昨年度の実績と、その取組のもたらす効果について伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 ブロックチェーン技術を活用して電子的に発行するデジタル証券は、従来の有価証券と比べて小口化のコストが小さく、個人投資の拡大につながることが期待され、都ではその市場拡大を図る事業を実施しております。
 昨年度は、多様な事例を創出するため、ソーシャルボンドをデジタル債として発行する企業や、投資用マンションのローン債権等をデジタル証券化する金融機関など五社に対しまして、発行に必要な経費の一部を支援いたしました。
 また、デジタル証券の有用性や課題等を共有するシンポジウムを開催し、約百三十名にご参加いただき、実際のトークン発行のノウハウの共有や今後の普及に向けた議論を行うなど、デジタル証券の発行機運の醸成を図りました。

○藤井委員 百三十名のご参加をいただいたシンポジウムを開催されたということで、大盛況で応募もすぐ埋まってしまったということも聞いておりまして、しっかりと社会の関心がかなり高まってきていると思いますので、好事例をつくって、さらに共有をしていただきたいなと思います。
 今年度の予算特別委員会では、私たちの会派の入江都議からも同様の質問がありまして、室長からSDGs債やスタートアップへの小口投資など先進的な取組を重点的に後押ししていくとの答弁がありましたので、新たな発行事例をつくっていただいて、それをまた共有していただくことを期待しております。
 次に、外国企業誘致について伺います。
 昨年度の海外からの誘致事業の実績と成果、どのようなすばらしい会社が日本に来ているのか、これまでの経験を踏まえた工夫など、お伺いをいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都は、誘致事業の検証を通じ、誘致企業のさらなる質の強化と着実な東京への進出に向けた取組の強化を図っております。
 昨年度は、金融系企業の発掘、誘致事業のKPIとして、新たに東京に実際に進出した各企業の企業価値の合計値等を設けました。
 また、ビジネスコンシェルジュ東京における伴走型の支援を強化し、確実な進出と定着を図りました。例えば、世界の医療データを取り込んだAI学習予測分析が特徴のインシュアテック企業や、水素貯蔵システムを製造するGX関連企業など、合計二十八社が都の支援により進出いたしました。

○藤井委員 KPIを見直していただきまして、新たに企業の規模であったりとか、東京へのインパクトというものを指標にしていただいて、そういった企業を、何でもかんでも集めるわけじゃなくて、そういった企業を呼んでくるようにしたということであります。
 今の取組は、FinCity.Tokyoさんとやっている金融系の取組でありまして、KPIを見直して、東京への確実な進出に向けて改善したということを確認させていただきました。非金融系についても、同様のKPI設定をするなど取組をしていただきたいと思います。
 また、金融系に関しましても、現在、対象がフィンテック企業と資産運用会社というものに限定されていると聞いております。機関投資家であったりとか、機関投資家、アセットオーナーや、最近世界では、グロースキャピタルといわれているスタートアップの拡大期を支えている−−がありますし、また、ファンドアドミニストレーションと呼ばれるファンドを支援するような会社というものも世界中にはありまして、こういった日本の金融システムの高度化に資するプレーヤーは対象にしていただきたいと思いますので、これは要望させていただきます。
 加えて、これ、ずっとそうなんですけれども、KPIの中心が誘致の件数になってしまっているので、そろそろ量から質への転換というものを果たしてもいいんじゃないかなと思います。優良な外国企業を東京に呼び込んで、雇用の創出だったりとか、都民の生活の向上に努めるためにも、ぜひここの検討をいただきたいと思います。
 次に、都の新興資産運用事業者の育成プログラム、EMPについて伺います。
 これも、これまでも何度も質問をしているところなんですが、新興資産運用事業者の育成というのは、金融市場のプレーヤーの多様性を確保して、市場をさらに成長させるために非常に重要なものだというふうに認識をしております。国でも昨年より日本版EMPを開始いたしまして、金融機関の事例の共有などを始めていたところであります。
 都では、小池知事就任後の国際金融都市東京の実現に向けて、二〇一六年か二〇一七年ぐらいから議論が始まりまして、二〇一八年には百億円のEMPファンドを立ち上げるなど、国に先駆けて取り組んできたところであります。
 資産運用事業者の育成、EMPにつきまして、昨年度、都としてどのような取組を実施し、どのような効果があったのか伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は、新興資産運用業者、いわゆるEMの育成に向け、開業に向けたセミナーや投資家とのマッチングなど、創業から拡大まで一気通貫で支援しております。
 これに加え、昨年度は、EMの運用資金獲得に向けた様々なプロモーション支援を実施いたしました。FinCity.Tokyoと連携し、新たに都内のEMの認知度向上に向け、各EMの情報を一覧化したカタログを作成するとともに、特色ある運用方針を持つEM十五社を選定し、イベント等で紹介いたしました。
 こうした取組を受け、本年六月には、国内の大手機関投資家から選定されたEMへの運用委託が表明されるなど、運用資金獲得に着実につながっております。

○藤井委員 都の作成したカタログを使って、民間で新興資産運用事業者に委託される事例も出てきているということでありまして、これは非常に重要だなと思っております。着実にEM育成のために取組を進めていただきたいと思います。
 また、これは以前からも提案しておりますが、都が積極的に進めるからには、やはり都のファンドや資産運用、EMに一部でも任せるということが重要じゃないかと考えております。一部ファンドでは、こういったEM、新興事業者がエントリーできるような形に変えていただいたところでありますが、例えば都の共済組合等でのEMへの運用委託なども、ぜひ引き続き働きかけをお願いしたいと思います。
 最後の質問になります。
 新たなスタートアップ戦略をつくってから、政策企画局でですかね、二〇二三年四月にスタートアップ・国際金融都市戦略室ができて、冒頭も申し上げましたが、一年になるところでありまして、このスタートアップ・国際金融都市戦略室の立ち上げの前から関わっている局長に、昨年度を振り返り、都のスタートアップ施策、国際金融都市東京への決意をお伺いさせていただきます。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 一昨年の八月に庁内横断のTeam Tokyo Innovationを立ち上げまして、当時、全員兼務でございましたけれども、民間支援機関に出島を構えまして、国、そして経済団体、アクセラレーターなど、様々な関係者から意見を伺いまして、フラットな議論を重ねて新しい戦略をつくるなど、みんなでつくる、何度も出てきましたが、このみんなでつくるをキーワードに進めてまいりました。
 昨年四月にスタートアップ・国際金融都市戦略室、専管組織として発足いたしまして、昨年度はまさに、SusHi Tech Tokyoに向けたグローバルな連携の強化、それから海外展示会の出展、PR、民間プレーヤーを巻き込んだTokyo Innovation Baseの整備、運営、そして、金融・資産運用特区の提案に向けた国との連携など、様々な取組を進めてきましたが、官と民が共に考えて実践する、こういう基盤、プラットフォームをつくることができたというふうに考えております。
 今後は、これをベースにいたしまして、スタートアップを大きく育てていく、成果に結びつけていくことが重要でございまして、引き続き、我々職員の総合力と民間の力を合わせて、大きな活動として盛り上げてまいりたいというふうに考えております。

○藤井委員 室長から、スタートアップや国際金融都市東京にかける力強い決意、ご答弁をいただきました。
 特に、スタートアップのところに関しては、みんなでつくるということをキーワードに、それは多分、この室の皆さんもそうですし、都庁のほかの局の方々であったりとか、さらには外の外部のスタートアップだったり、ベンチャーキャピタルだったり、スタートアップエコシステムに関わる様々な方々をまさに巻き込んでつくってきた一年だったというようなことだというふうに理解をいたしました。
 それをさらに進めていただくところで、本当に期待をしているところでありますし、冒頭申し上げましたとおり、失われた三十年を克服するためには、スタートアップが新しい産業をつくっていくということが非常に重要でありまして、東京でその最前線にいるのは、まさに皆さんだと思っております。
 さらに、やっぱりスタートアップの育成、成長というのは、東京大改革の要でもあると考えて、私たち都民ファーストの会東京都議団、取り組んできたところであります。新規産業の育成なんかも今後も議論をしていきたいところでありますし、都民や、特に若者が希望を持てる日本経済を東京から実現するためにも、さらに力強く進めていただくことを期待、希望いたしまして、私の質疑を終えさせていただきます。ありがとうございました。

○北口委員 それでは、私からは、今度はスタートアップと大学の連携について質問をさせていただきます。
 都は、令和四年の十一月にスタートアップ戦略、Global Innovation with STARTUPSを公表しまして、この戦略では、五年間で東京発ユニコーン数十倍、東京の企業数十倍、それから東京都の官民協働実践数十倍という三つの十倍が目標として掲げられておりました。
 社会の課題を解決して成長を牽引していくための新たな発想や革新的テクノロジーを生み出すスタートアップを育てていく、その方針には大きく共感するところであります。そこで、スタートアップ戦略の三つの目標の達成に向けた取組について、まず伺います。
 まず、東京から多くのユニコーンを生み出していくためには、社会の課題解決につながるようなアイデアや技術力が求められております。その意味で、東京に数多く集積する大学の存在は非常に重要でありまして、様々な研究シーズを事業化につなげ、大学からスタートアップ創出、育成をしていくことが求められるというふうに思います。
 とはいえ、こうした取組は学生や研究者が単独で進めることは難しく、学内のサポートに加えまして、民間の支援者や行政と連携していく必要があるのではないかというふうに考えているところです。
 そこで、昨年度、こうした大学発スタートアップの支援にどのように取り組まれたのかお伺いをいたします。

○井上スタートアップ戦略推進担当部長 令和五年度は、大学における研究シーズの事業化等をサポートする大学発スタートアップ創出支援事業を開始し、十大学を採択いたしました。
 これにより、各大学におきまして、研究開発型スタートアップの起業を目指す学生へのノウハウ、資本等の一貫した支援や、ディープテック領域での事業化に向けて、学部をまたいだチームを組成し、製品開発を進めるなどの取組が始動したところでございます。
 引き続き、大学が行う取組への支援を通じまして、グローバルに活躍するスタートアップの輩出につなげてまいります。

○北口委員 都内には約百五十もの大学があります。また、エンジニアを育てている高専もあります。こうしたリソースを活用して、世界で活躍するスタートアップの育成に力を入れていっていただきたいというふうに思います。
 次に、二つ目の軸であります起業の裾野拡大についてお伺いをいたします。
 起業にチャレンジする若者を増やしていくには、若いうちから社会課題について意識をし、解決策を自分の力で考えること、また、失敗を恐れずに挑戦するマインドを身につけることなどが重要であります。
 この起業の裾野を広げるため、未来を担う学生や若者に対し、こうしたことを主体的に学べる場を提供し、起業に向けた第一歩を後押ししていくことが必要であるというふうに考えております。
 そこで、起業の裾野拡大に向け、昨年度、学生や若者向けに実施した取組についてお伺いをします。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都は、起業家人材の裾野拡大に取り組むため、昨年度、学生や若者たちが集まって楽しみながら起業アイデアを生み出すプロジェクト、TOKYO IDEATION JAMを実施いたしました。
 有識者等とのディスカッションを通じて、世の中の仕組みや課題を知り、多くのアイデアを生み出すプログラムや、仲間たちと切磋琢磨しながらアイデアをブラッシュアップする一泊二日の合宿形式によるプログラムなど、計四回にわたるイベントを実施し、約五百名の学生等が参加しました。

○北口委員 学生の挑戦意欲をかき立てるようなイベントが開催されていることを確認いたしました。対象が学生であるために、まだ成果が出るまでには時間がかかるというふうにも思いますけれども、取組を着実に進めるとともに、さらに充実をさせていっていただきたいというふうに思います。
 この戦略の三つ目の目標であります官民協働十倍につきましては、昨年度の実績が百五十三件と先ほどもありましたけれども、既に目標の百件を達成し、目標件数を引き上げたというふうに聞いております。都がスタートアップと協働し、都政課題の解決につなげていくことで、製品やサービスの信頼性向上を図ることは大変重要でございます。
 行政とスタートアップでは、組織の大きさも仕事の進め方も全く違います。同じテーブルに着くのにはハードルが高いというふうに思います。
 こうした中で、両者が連携し、成果を上げていくことは、なかなか簡単なことではないと思いますけれども、昨年度、官民協働の推進に向けてどのように取り組まれたのかお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は昨年度から、各局にスタートアップ担当を配置し、当室と連携しながら、全庁的に官民協働の取組を進めてまいりました。
 当室職員と各局担当が日常的に意見交換を重ねたほか、各局が参加する機運醸成イベントを二回開催し、行政職員とスタートアップとの交流や取組事例の共有を図ってまいりました。
 昨年度から開始いたしましたスタートアップと各局が対話を重ねながら現場の課題解決を図る取組では、当室職員がサポート役を務め、現場職員とスタートアップが課題に対してフラットに議論する中でマッチングを行い、十の協働プロジェクトを実現いたしました。

○北口委員 昨年度は組織立ち上げ初年度でありましたけれども、職員がスタートアップと各局との橋渡し役となり、協働が進められたということが分かりました。
 都議会公明党はかねてから、行政がスタートアップとの協働を進めることで、スタートアップの成長のみならず、都民サービスの向上につなげていくべきというふうに申し上げてまいりました。その成果を明らかにすることは重要でございます。
 そこで、都民サービスの向上に向けた官民協働の具体的な成果についてお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 昨年度は、例えば道路整備の現場の一つを対象に、立体交差等の3Dによる完成イメージモデルの製作を行いました。完成後の現場を立体的に捉えることが可能となり、従来の図面だけでは分かりにくい車や歩行者目線での安全性などを検証することができました。
 また、病院現場では、医療従事者がウエアラブル端末等を使用して、チャットやグループ会話などでリアルタイムに情報共有できる仕組みを構築し、移動時間の削減や緊急時の迅速な対応につなげることができました。
 今後も、各局とのコミュニケーションを密にしながら、官民協働の取組を積極的に進め、スタートアップの成長と都民サービスの向上につなげてまいります。

○北口委員 協働の具体的な成果が上がっているということを確認させていただきました。
 このスタートアップは単に利益や会社の成長を追い求めるだけの存在ではなく、社会課題の解決にも向き合っている官民協働の姿は、まさにスタートアップが社会や都民生活の向上にいかに役立っているかということを分かりやすく示すモデルケースだというふうに考えております。こうした官民協働の具体的な成果を積極的に都民の皆様に発信していただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、国際金融都市についてお伺いをいたします。
 一般的に、国際金融都市とは、グローバルな金融取引や投資活動の拠点となっている都市といわれております。例えばニューヨークなどは、企業の集積や証券取引所を擁する金融取引の中心地であり、産業への投資を魅力に投資家が集まっております。ロンドンは、金利や為替、保険等、情報集積の中心地として国際的な地位を確立しております。こうした中、東京は、国際金融都市として何を特色として位置づけていくかが重要だろうというふうに思います。
 都は、サステーナブルな社会を実現するアジアのイノベーション・金融ハブを目指しているとのことでございますけれども、昨年度の具体的な取組を伺う前に、まずは国際金融都市の実現に向けた取組の基本的な考え方を確認したいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 持続可能な社会を実現していくためには、社会課題を解決に導くイノベーションの創出が不可欠であり、金融の力を活用し、挑戦と成長を支える資金供給の流れを生み出すことが重要でございます。
 都は、サステーナブルファイナンスの活性化などを通じ、資産運用業者や金融機能の集積を高めることで、国内外から投資を呼び込み、さらなるイノベーションの創出につながるよう、様々な施策を展開してまいりました。
 こうした好循環をさらに広げていくことにより、日本やアジア全体の成長を牽引する国際金融都市東京の実現を図っております。

○北口委員 国際金融都市の実現に向けた取組の基本的な考え方、今ご答弁をいただきました。ありがとうございます。引き続き、東京の産業を支える民間企業がサステーナビリティーに配慮した事業活動を着実に展開をしてもらいたいというふうに思います。
 さて、一方、中堅、中小企業は、そうした取組を進めたいというふうに考えても、経営環境も厳しく、人材やノウハウも限られており、なかなか対応が難しいということも事実でございます。
 そこで、サステーナビリティーに配慮した経営へと転換しようとする中小企業に対して、これまで都としてどのように支援に取り組んできたのか、実績と併せてお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は令和四年度から、金融機関と連携し、脱炭素等に関する目標を設定し、その達成度合いと融資条件が連動するサステーナビリティーリンクローンを中小企業等が利用する際に、第三者評価に係る経費等を支援してまいりました。
 昨年度は、中小企業等のサステーナビリティー経営の取組がより幅広く進むよう、環境配慮活動やダイバーシティなどの目標を設定し、金融機関が伴走支援を行うポジティブインパクトファイナンスを新たに対象に加えました。
 計十九の金融機関との連携体制の下、中堅、中小企業八社、合計約百四十四億円に上るサステーナブルファイナンスによる資金調達に結びつけたところでございます。

○北口委員 今答弁にありました十九の金融機関につきましては、都市銀行だけではなく、地方銀行や信用金庫なども参加しているというふうに聞いております。多様な金融機関との連携により、金融の力を生かしながら、様々な対応を進めているということを理解させていただきました。
 こうした取組をさらに進めていくためには、金融機関や中小企業等に対する啓発を進める必要もございます。貸手と借手双方にアプローチすることで、都の事業が高い効果を発揮できると考えております。
 そこで、中小企業等のサステーナブルな経営促進に関する啓発をどのように進めたのかお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 昨年度、連携金融機関の協力の下、中堅、中小企業向けにサステナビリティ経営促進セミナーを開催し、中小企業の経営者からサステーナビリティー経営の先進事例を紹介いただいたほか、金融機関からは中小企業等に求められる取組や支援メニューの説明、さらには、参加者同士の交流を目的としたネットワーキングを実施いたしました。
 このセミナーには、都内中堅、中小企業や金融機関などから百名を超える方々にご参加いただくなど、都の取組の裾野拡大を図ることができたと考えております。

○北口委員 ぜひ積極的な取組、さらに進めていただきたいというふうに思います。
 冒頭申し上げましたとおり、社会の課題を解決し、成長を牽引していくためには、新たな発想や革新的なテクノロジーを生み出すスタートアップを育てていくことが不可欠でありまして、そのためには国内外から投資を呼び込むことが必要でございます。
 これまで、スタートアップ・国際金融都市戦略室の昨年度の事業について質問してきましたけれども、スタートアップ支援やサステーナブルファイナンスの活性化について、きめ細かい支援を行ってきたことが分かりました。
 引き続き幅広い取組を行って、投資とイノベーションの好循環を巻き起こしていくことを期待して、質問を終わります。

○鈴木委員 私からも、まず最初に、スタートアップ支援、Tokyo Innovation Baseについてご質問させていただきたいと思います。
 私は、ちょっとさきの委員の皆さんと違って、スタートアップ企業を東京都なり公共の団体が人為的に生み出したり育成できるのかという点で、根本的に消極的な考えを持っている者でございます。
 既に成長している企業を何らかの条件を提示して来ていただくとか、もしくは既に定着しているDXとかGXのトレンドに合わせて企業を支援する産業政策を行っていく、こういう政策はそれなりに妥当性があるし、成功する可能性も見込めると思うんですね。
 一方で、スタートアップを公共団体が生み出すというのは、できればいいんですけど、かつての新銀行構想のように、何ていうか、できないこと、不可能なことをやろうとされているんじゃないのかなと。何かこう、ちょっと社会主義的な発想なんじゃないのかなと危惧を感じているものでございます。とはいえ、もう始められている事業でございますし、スタートアップ企業が増加すること自体は私もいいことだというふうに思っています。
 ただ、こういう非常に見込みの薄いというか、難しい事業に挑戦される、税金を投資してテストをするということであれば、こうやれば成功するんだというそれなりの仮説が必要だと思うんですね。例えばスタートアップ企業の誕生や成長を阻害している要因がこうあるんだと。じゃあこれをなくしたらスタートアップが生まれるんじゃないかとか、何らかそういう説得力のある仮説があるんだったら、まあいいなと思うんですけど、スタートアップの皆さんに聞いて、これやってほしい、あれやってほしいといいました、そろえました、それでよくなるわけないと思うんですよ。
 スタートアップの経営者の皆さんに聞いたら、おいしいご飯食べたいってみんながいっていたから立派な食堂をつくりましたっていっても、スタートアップ企業は育たないじゃないですか。ロジックとしては何か、ずっと質疑を聞いていると、そういうロジックにしか聞こえないというところがございます。
 試しに、じゃ国はどうしているのかなと思って調べてみたんですけれども、国の場合はある程度そういう仮説がはっきりしていまして、例えば、今、ウェブ上にアップされているんですけど、スタートアップに係る課題と政策の方向性、二〇二二年四月経済産業省の資料によると、彼らの仮説の一つは、日本は多様な出口戦略がないんだと。スタートアップエコシステムの確立にはM&Aによるエグジットを増加させることが鍵。一方、日本では、IPO偏重でM&Aの数が少ないと。
 これ私も実際、起業家として経験してきたんですけど、起業してからIPOまで、何度もやっぱり資金不足に苦しむわけですけど、海外だったら、ここでM&Aして取りあえず現金化するとかいろんな手法があるけど、日本はそれがないんだと、IPO至上主義なんだと。
 だから、経産省としては、買手である大企業のマインドを変革します、オープンイノベーションを促すとともに、M&Aを促進する措置や買収資金の調達環境を整備する必要があって、そういう政策を打っていくと。
 まあ、これが成功するのか分からないですけど、一応現状分析があり、仮説があって、試してみる価値があるのかなということを感じているんですけれども、じゃそこで質問なんですけど、TIBというのは一体どういう仮説を持って、具体的にどんなことをやろうとしているのか、そこをまず説明していただきたいと思います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 都は、東京からイノベーションを巻き起こすことを目指し、国内外のスタートアップや様々なエコシステムプレーヤーが集い、交流する結節点として、TIBを整備いたしました。

○鈴木委員 経産省の仮説と比べるとですね、経産省はこういう仮説がいっぱいあるわけですよ、それに対していろいろチャレンジしていこうと、どれかが当たるはずだと。これだとまだ何か可能性は感じるんですけど、今のご答弁を聞くと、結局、仮説というのは、何かこう、エコシステムのプレーヤーがそれぞれのエコシステムを飛び越えて交流する結節点をつくれば、スタートアップ企業が成長していくんだというような、まあ、何かロジックなのかなというふうに理解をしたんですけれども、それって本当に意味があるのかなと。
 エコシステムというのはですね、それぞれのプレーヤーがお互いを必要とするから自然発生的に生まれてくるものであって、そうやって成長していくものだと思うんですね。それが社会に求められていくから大きくなっていくと。それを何かこう、エコシステムが自然にあるものを、何か行政が無理やりつなぎ合わせてリンクさせると、それがまた成長につながるとかという、何だかロジックとして成立しているのかなと。ちょっと少なくとも私には理解できないなというふうに感じました。
 具体的に伺いたいんですけど、TIBが結節点として昨年どんなことに取り組まれたんでしょうか。具体的な説明をお願いします。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、結節点としての機能を発揮するため、みんなでつくるをコンセプトに活動してまいりました。
 例えば、都と連携してスタートアップの支援等に取り組む企業、団体等をパートナーとして位置づけ、イベント等の開催を通じてネットワーク形成を図りました。昨年十一月のプレオープン後、週一回程度のイベント開催から始め、令和五年度には約百回のイベントを開催し、一万人を超える方々が来場するなど、多くの交流に結びついたところでございます。

○鈴木委員 昨年始めたばっかりだからということもあるんだと思うんですけれども、お話を伺うと、イベントして人が集まってわあわあやったと。それでスタートアップが育つというロジックがちょっとよく分からないなというのが正直なところでございます。
 一昨日、別の部分で、空飛ぶクルマ事業の質疑でも同様の指摘をさせていただいたんですけれども、こういう冒険的な事業をやる場合は、やっぱり求める成果、アウトプットに応じてKPIを定めて、進捗をしっかり管理して、KPIの達成状況、この場合でいくと、じゃあこの事業で本当にスタートアップが何社生まれたのかとか、育ったのかということをしっかり検証して、駄目だったら、もう早めに判断して撤退を決断するということが重要なんだろうというふうに思います。
 昨年だけで二十六億円もの税金をこのTIBに投入しているわけですから、何だかお祭り騒ぎで、税金を散財して終わりましたという事業にならないことを望みたいと思います。
 続いて、「国際金融都市・東京」構想について伺いたいというふうに思います。
 この事業は、私は、スタートアップの事業とは違って、非常に意義のある、ぜひ進めるべき事業だという立場から、ちょっと時に批判的な部分も入るかもしれませんけれども、質問させていただきたいというふうに思います。
 アジアにおける東京の経済的な地位や潤沢な資産、加えて、ライバルである香港や上海の没落、シンガポールがずっと持っている地政学的なリスク考えると、やっぱり私は、東京が国際金融都市としてもっと発展できるというのは、非常に妥当性のあるプランじゃないかなというふうに考えています。
 個人的な経験からいっても、私も長く海外にいて、東京に戻ってきて、何て資産運用のしづらい国なんだろうと。日本の金融機関の競争力、商品力のなさ、驚いているところでございます。ここはぜひチャレンジできる分野なんじゃないのかな、妥当性があるんじゃないかなと感じています。
 一方で、都議になりまして、こういった資料もいただいたり、いろんな議事録読んで、今ちょっと感じている印象としては、かつての舛添都知事時代の東京国際金融センター構想の方が何か戦略的で、実現性があったんじゃないのかなと。
 何かこう、今日の質疑もそうですし、これを読んでいても思うんですけど、グリーンとか、スタートアップとか、サステーナブルリカバリーとか、何かこう空疎のはやりの横文字がわあっと並ぶんですけど、本当に、東京を国際金融都市にする具体的な戦略とか、何で勝つのかというのが何となく伝わってこないなということを危惧しているところでございます。
 そう思ったので、ちょっと具体的に議論したいなと思って、じゃあこの事業がどんなKPIを定めているんだろうと思って、いただいた本を拝見しました。
 この事業、四つのKPIを定めていまして、私がこの四つの中でも最も重要だと考えるのは、〔3〕、金融関連プレーヤーの集積、多くの国内外の金融機関が東京にアジアの拠点を置いて、日本国内及び海外の資産を運用するという、これはゴールだと思うんですね。これ実現できたらすばらしいので、これに合わせてKPIを設定するのは重要だと思います。
 この項目で具体的にKPIとして設定されているのが、都内の資産運用業者数、これ藤井委員が指摘されていましたけれども、これがKPIとして上がっています。
 ここで質問したいんですが、この都内の資産運用業者数に関するKPIの進捗状況と、そのKPIを達成するために、昨年度東京都がどのようなことを行ったのか、教えていただきたいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 「国際金融都市・東京」構想二・〇における都内資産運用業者数に係るKPIは、二〇二五年までに六百社という中間目標に対して、昨年度末時点で四百一社となっております。
 都では、資産運用業の創業から成長まで切れ目ない支援を提供しており、昨年度は、創業に必要な情報やノウハウ等を提供するセミナーを四回開催し、約百七十人が参加いたしました。
 また、実際の創業経費の支援を七社に対して行ったほか、海外機関投資家とのマッチングの機会を八社に提供するなど、多様な取組を展開いたしました。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 何となくこう、六百社の目標に四百というと、達成できているのかなという気がするんですけど、これは改めて確認すると、二〇二〇年、スタートの時点でもう既に三百七十四社あるんですよ。二〇二五年に六百社だから、この五年間で二百二十六増やすという計画を立てられているわけですね。これ、だから五年で割り返すと一年間四十五社ペースで、一年間で四十五社ずつ増えていかなきゃいけないんですけど、今の答弁を伺っていると、結局、二年間で増えているのが二十七社ですかね。だから達成率二〇%と。全然、だからKPIに程遠い成果になってしまっていると。深刻な状況なんだなということを改めて確認させていただいた次第でございます。
 とはいえ、毎年決まった数字で伸びていくものじゃないと思いますし、これから何かを契機にぐんと伸びる可能性もあると思いますので、それに期待をしていますし、ぜひそうしていただきたいと思うんですけど、この厳しい数字はぜひ見詰めて、対策を考えていただいた方がいいんじゃないかなと。
 それと、これは藤井委員も指摘されていて、さすがだなと思ったんですけれども、私も同様の指摘で、都内資産運用業者数をKPIにするのはどうなのかなというふうに思います。藤井委員の指摘もごもっともだと思うし、私だったら、取扱いの金融資産の量とか、どれだけ国内外から資産を集めたかとか、そういったところでKPIを定めた方が、多分、そこから雇用がどれだけ派生するかとか、都民への金融サービスがどれだけ発展するかってひもづいてくると思いますので、このKPI自体も練り直す必要があるんじゃないかなというふうに感じました。
 ちょっと厳しい指摘をしてきたんですけど、私は非常にこれ、まだ可能性を感じている、一番皆さんの努力で評価をしているのは、国から金融・資産運用特区の地位を勝ち取ってくださったことだなと、これは非常に大きいし、期待できるというふうに思っているところでございます。
 そこで質問なんですけれども、金融・資産運用特区について、都が海外からの投資を呼び込む観点から国に対してどんな提案を行ったのか、その狙いや内容について伺いたいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 都では、海外からの投資資金の受け手となる資産運用業者の裾野の拡大を進めるために、創業時に求められる人的要件や内部管理に係る業務等の規制緩和を提案いたしました。
 また、海外の投資家による日本への投資を促進するため、本国と日本での二重課税の回避につながる法令改正の要望も行いました。

○鈴木委員 二重課税の回避につながる法令改正の要望を行ったというのは、すばらしいと思うんです。私も実は海外で運用していますけれども、やっぱり現地で課税されるんだったら、手続煩雑過ぎてやりませんよね。やっぱり投資家が何を求めているのか、しっかり見て、こういう具体的な提案を実現させていっていただければ、まだまだ成功の余地があるんじゃないかなと期待をしているところでございますので、よろしくお願いします。
 続きまして、今度、外国企業の誘致事業について伺いたいと思います。
 これ、すみません、ちょっとまた戻って、私、スタートアップ育成と同じようにネガティブな印象を持っておりまして、その立場からちょっとご質問を何問かさせていただきたいと思います。
 この外国企業発掘・誘致事業なんですけれども、まず、この事業内容と令和五年度の成果を簡単に教えていただきたいと思います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 外国企業発掘・誘致事業は、AIやロボティクスなどの第四次産業革命関連や金融分野の外国企業を効果的に発掘し、市場調査分析や成長戦略策定支援などのコンサルティングを通じて、東京へ進出する企業を誘致するものでございます。
 昨年度は、本事業を通じて十九社が東京への進出を決定いたしました。

○鈴木委員 ご説明を伺ってちょっと感じるのは、昨年度は本事業を通じて十九社が東京への進出を決定したとおっしゃるんですけど、ちょっとうがった見方かもしれませんけど、東京都が何もしなくても、この十九社は東京に進出したんじゃないのかなというのを感じているところでございます。
 ご説明いただいた市場調査分析とか成長戦略策定支援とかというのは、民間のコンサルティングでいっぱい提供しているサービスですし、あえて民間のサービス分野に東京都が乗り出していくから、東京都が、何か東京に誘致できるというのは、ちょっと、そこもまたロジックがよく分からないなということを思います。
 ちょっと率直に伺いたいんですけど、私は、この事業、やってもやらなくても、別に東京に進出することの困り事を解決するサービスなんて、今幾らでも民間であるわけですよ。だから結果同じだと正直思うんですけど、担当部門の皆さんが、都がこの事業を実施することに意義があるんだと、この事業を実施するから、十九社の全部とはいわないけれども、一定数は、本来来なかったのが東京に来たんだというふうに考えている根拠みたいなものがあったら、教えていただきたいと思います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都の外国企業誘致は、東京進出を検討している外国企業に働きかけ、着実な東京進出に向け支援を行うものであり、進出した企業からは、東京を選択した理由に本事業のサポートを挙げる声も寄せられております。
 例えば、開業コストの算出支援やオフィスの現地案内、ビジネスマッチングなどを進出の検討段階から行うなど、ニーズに応じた支援により、効果的な誘致につながっているものと考えてございます。

○鈴木委員 やっぱり伺っていても、そういうサービスって民間であるなと思うんです。私も、取引先のベンチャーキャピタルだとか、会計事務所だとか、コンサルだとか、大学だとか、従業員が教えてくれることもあるし、なぜこれ、東京都がやるから成功するんだというのがよく分からないんですね。例えば固定資産税を下げてあげるとか、何か都にできないことで引っ張ってきたんだというと分かるんですけど、何かこれ、ただの民業圧迫に聞こえてしようがありません。
 そこで、率直に伺いたいんですけど、外国企業の誘致を民間企業じゃなくて都が実施する理由を教えていただけますでしょうか。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都が目指す国際金融都市を実現し、都市間競争を勝ち抜いていくためには、国内外からテクノロジーや投資の呼び込みに欠かせない第四次産業革命関連企業や資産運用業者等を重点的に誘致することが重要でございます。
 都は、こうした企業に対して、コンサルティングや財政支援、都内企業との協業支援など、企業の事業展開に合わせた多様できめ細かな支援を実施することで、効果的なアプローチを図っております。

○鈴木委員 ご説明ありがとうございます。また詳しく今後も議論させていただきたいなと思っているんですけれども、最終的にいろんな議論をさせていただきまして、私も、東京都が産業政策を行うことを否定するつもりはないんです。
 ただ、やっぱりできること、できないことがあって、そこをしっかり見極めることが大切じゃないかなと。できないことにチャレンジすることも時に必要かもしれないんですけれども、できなさそうなことを、わあわあいろんなきれいな言葉で飾り立てて、何とかフェアだとかお祭りやって、何か気づいたら終わっていたというのは、絶対に避けていただきたいなということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

○もり委員 私からも、国際金融都市構想並びに海外企業の誘致について伺わせていただきます。
 まず、国際金融都市構想について伺います。
 都は国際金融都市構想を掲げていますが、国際金融は一義的には国の役割が大きいと考えます。
 都は、国際金融都市の実現に当たって、国と都の役割をどのように認識してきたのかお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は、東京が国際金融都市としての地位を高めることで、投資とイノベーションの好循環を生み出し、持続的な経済成長と豊かな都民生活の実現に貢献することを目指しており、様々な施策を進めております。
 国の資産運用立国の取組は、都が目指すこうした国際金融都市の構想と軌を一にするものであり、その推進に向け、昨年十一月、内外から投資を呼び込むための規制緩和や英語環境の整備等を国に提言し、資産運用業の参入規制緩和に係る金融商品取引法の改正につながりました。
 このように、引き続き国と緊密に連携しながら取組を進めてまいります。

○もり委員 ありがとうございます。
 質問をした意図は、とりわけ国際金融となると、やはり国が主体なので、そこを東京都が大々的に取り組むに当たっては、東京都が取り組む意義、その分野など、綿密な検討があったのだと思ったので、確認をさせていただきました。
 国際金融都市とは、具体的にどのような数値目標を達成することなのかお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 「国際金融都市・東京」構想二・〇の推進に当たっては、KPIを活用した目標管理を行っており、国内のグリーンボンド発行金額や都内の資産運用業者数、フィンテック企業数などを設定しております。

○もり委員 事前になかったんですけれども、今、どのような数値目標かと、指標についてはお答えいただいたんですけれども、具体的な数値というものはお答えいただけますでしょうか。(村本国際金融都市総括担当部長「もう一度よろしいでしょうか」と呼ぶ)今、国内のグリーンボンド発行金額や都内の資産運用業者数、フィンテック企業数などを設定しているとのご答弁をいただいたんですけれども、そのそれぞれの具体的な数字については、こちらで……。

○村本国際金融都市総括担当部長 今ご質問いただきました国内のグリーンボンド発行金額でございますが、KPIに設定しているのは、国内で公募されたグリーンボンド発行金額というものを設定しておりまして、中間目標の二〇二五年で一・六兆円、二〇三〇年、最終目標でございますが、三兆円という形の目標を設定しております。
 それから、都内の資産運用業者数でございますが、こちらは、先ほどご答弁にもありましたけれども、二〇二五年に中間目標六百社、二〇三〇年には九百社という形になってございます。
 最後に、フィンテック企業数でございますが、こちら、二〇二五年の中間目標が二百社、最終の二〇三〇年が四百社という形になってございます。

○もり委員 国際金融都市構想には豊かな都民生活の実現がうたわれておりますが、さきの質問で聞いた、国際金融都市たる目標値を達成すると豊かな都民生活が実現をするとお考えなのかお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 成長分野へのリスクマネーの供給を通じたイノベーションの創出と、それに伴う果実の還元という好循環を生み出していくことで、経済成長と都民の豊かな暮らしの実現につなげてまいります。

○もり委員 やはり大きな税金を投入している事業ですので、都民に分かりやすいような見える化をしていただきたいと思っております。
 国際金融都市東京を実現するために費やした令和五年度の費用並びに都の国際金融都市ランキングがどのようになっているのかお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 国際金融都市東京の実現に関する令和五年度の決算額は二十五億一千九百二十五万余円でございます。
 国際金融都市のランキングについてでございますが、昨年十一月に森記念財団都市戦略研究所が新たに公表した世界の都市総合力ランキング金融部門では、東京は三位でございます。
 また、英国のZ/Yenグループと中国深セン総合開発研究院が共同で調査を行い発表している、本年九月のGlobal Financial Centres Indexでは二十位でございます。

○もり委員 国際金融都市ランキングの推移は、小池知事が就任した時点で三位、二〇二〇年九月が四位、その後の七位と二〇二三年九月が十六位、今年の三月が二十一位と九月が二十位という推移となっています。
 国際金融都市ランキングは様々なところで引用されることが多く、ランキングは低下傾向で、常にランキングの下位ということが東京のイメージで定着するとすれば、それこそ投資の妨げになると危惧をしております。
 ご答弁にあったZ/Yenグループのレポートでは、東京はアジアの中でも後れを取っているとあるものの、順調に推移している項目もありました。振り返っての検証と対策を講じていただきたいと思います。
 そこで、国際金融都市構想における費用対効果について、都の評価、また反省などお伺いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 都は、国際金融都市構想に基づき様々な施策を展開しており、資産運用立国に向けた取組など、その後の情勢変化を踏まえながら、毎年度国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けた施策を講じつつ、実践しております。

○もり委員 様々な施策を展開しているとのご答弁をいただきました。
 効果検証が大変重要であると考えております。国際金融に限らず、本当に東京は日本のエンジンとしての気概を持っていただき、効果検証実践の成果の見える化を都民の皆様にも行っていただきたいと要望いたします。
 次は、特区の推進についてお伺いします。
 海外四か国の海外機関との連携窓口が設置され、外国企業誘致、都内企業との連携等、令和五年度における実績を伺います。また、執行率が五六%と低い理由についてもお伺いをいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 外国企業発掘・誘致事業では、昨年度、第四次産業革命関連や金融分野の外国企業十九社が東京進出を決定し、都内企業との協業準備を進めております。予算執行については、各企業への補助金交付が見込みを下回ったことなどによるものでございます。

○もり委員 海外企業を誘致する目的、そして誘致にどのような効果があるのか、また誘致した外国企業と都内企業とでどのような協業が生じているのか、事例についてお伺いをいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都の外国企業誘致は、第四次産業革命関連企業や資産運用業者等を誘致するものでございまして、雇用創出や都内企業の事業機会の拡大など、経済の発展や都民の豊かな生活の実現に貢献するものと考えてございます。
 昨年度は、例えばデジタルレシートの発行サービスを提供する海外のフィンテック企業とPOSシステム等を提供する日本企業との間で協業に向けた取組が進められています。

○もり委員 令和五年度に進出した外国企業にどのようなものがあるのかお伺いいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 令和五年度は、例えば世界の医療データを取り込んだAI学習予測分析が特徴のインシュアテック企業や、水素貯蔵システムを製造するGX関連企業などが進出いたしました。

○もり委員 アジアヘッドクオーター特区の外国企業の誘致、マッチングについて、何をもって成功とするのか、事業目標と実績についてお伺いをいたします。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 アジアヘッドクオーター特区における外国企業の発掘、誘致企業数は、令和三年度から五年度までの特区第三期計画において、目標六十社に対し六十四社となっており、外国企業と都内企業との引き合わせ件数は、目標七百五十件に対し九百九十四件となっております。

○もり委員 目標企業数に対する外国企業数と都内企業との引き合わせ件数については、それぞれ目標を上回っているとのご答弁をいただきました。
 何をもって成功とするかについては、あまりよく分からなかったんですけれども、局が立ち上がって間もないことは十分承知をしております。
 私の地元の大田区についても、アジアヘッドクオーター特区に選定をされていまして、これについては区議会時代から羽田空港近隣の発展というものには取り組んできたんですけれども、空港跡地の羽田イノベーションシティが開設をされ、今、デンソーですとか、大企業は設置をされているんですけど、本当にそこの区内の中小企業と協業がされているかというと、なかなか大企業さんが下請まで全部持っているので、地元の中小企業さんが本当にその果実を実感できているかというのは、あまり仕事が来ていないというような話も地元では聞かれています。
 ですので、やはり都内企業がその果実を実感できるような協業となるように、さらなる取組を行っていただきたいということを求めまして、質問を終わります。

○上田委員 スタートアップ戦略について、まず伺っていきたいと思います。
 VIVA TECHNOLOGYやSlushみたいに、本当に国内外で多彩なイベントが開催されておりまして、都がオリジナルで行うよりも、むしろそこに乗っかって、せいぜい協賛だとか、場所を貸すとか、そんな方にする方がいいのではないかなというふうに思っております。
 鈴木委員、もり委員と指摘をしているように、私も同じような、特に鈴木委員と全く同じで、何で東京がやらなきゃいけないのかということ、私の立脚点として聞かせていただきます。
 都が実施する強みがあるのであれば、また理由が、東京都が開催しなければならない必要性について伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 世界で活躍するスタートアップを育てるためには、スタートアップや、それを支えるプレーヤーのグローバルな交流を図るとともに、東京のエコシステムを世界に強力にアピールすることが必要であることから、都は官民の多様なプレーヤーと協働しながら、年に一度、SusHi Tech Tokyoを開催することとしております。

○上田委員 開催することとすると。TIBなど都のスタートアップ政策で、SusHi Tech Tokyoも含めて、支援、育成したベンチャーは、本来東京に根づいて経済を活性化して、産業を振興し、雇用も確保して、そして税収を向上すべきと考えています。学ぶだけ学んで、海外展開しちゃうんじゃないの、海外に行っちゃうんじゃないのと私は危惧しているんですよね。
 そうした取組の中でどのように東京に還元をするのかも含めた所見を伺いたいと思います。

○片山イノベーション推進部長 都は、気候危機などの社会課題の解決を目指して、世界を見据え事業展開を行うスタートアップの成長を支援しております。こうした企業によるイノベーションは、社会の変革を通じて豊かな都民生活や経済成長をもたらすものと認識しております。

○上田委員 だから、やっているんでしょうけれども、ちょっとそのイメージが正直湧かないんです。
 一方で、ちょっと百歩譲っても、東京で得たスキルや知見を全国の地方都市に生かすことは、確かに日本全体の経済効果に寄与すると思います。
 TIBの結節点としての機能として、地方へのエコシステムのハブ機能を、これは期待するところでございます。具体的な実績や可能性などの説明と所見を求めます。

○井上スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは、全国をつなぐ結節点として、これまで各地の自治体と連携に向けた意見交換を行ってきております。こうした中、福井県や北海道等の自治体が地元のスタートアップが参加するマッチングイベントを開催するなど、既に十を超える自治体がTIBでイベントを実施しております。

○上田委員 イベントはやっておりますということですよね。そのイベントなんですけれども、私、この間、満を持しまして、TIBの視察に行かせていただきました。
 その際に、私もちょこっと起業したこともありますし、目黒区議の自由を守る会の白川愛に同行してもらいました。彼女は、産業労働局の女性ベンチャー成長促進事業のAPTの一期生でありますから、その目線で鋭く一緒に見てもらっていたわけでございます。
 ちょっと六年度から始まったので、SHOPの方なんかもですね、そのAPTの一期生の女性が店舗に商品を出しているなどと、そういったことで活用はされているのは確認したところでございます。
 ステージルームでのイベントは活発に活用されているんですけど、実績や、その後展開した事例などご説明願います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBでは、令和五年度、社会課題解決をテーマとするカンファレンスやネットワーキングなど、多様なプレーヤーによる約百回のイベントを開催し、例えばピッチイベントでは、採択スタートアップの製品展示などを行いました。

○上田委員 展示とイベントを行っていると。
 TIBの共有スペースでリラックスした利用者が談笑している姿も見受けられました。日頃の利用状況や様子、どのような効果や実績があったのか、事例を挙げてご説明ください。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 令和五年度には、TIBに一万人を超える方々が来場し、スタートアップや大学、企業などの支援者がフラットに集い、組織や地域の垣根を越えて交流する場として活用されました。

○上田委員 活用されたというか、されているんですよね。空いている時間も、会社帰りだったり、大学の帰りだったりして、フリースペースでリラックスしてということですよね。
 みんなふらっと訪れるからなのでしょうけれども、開業ワンストップセンターとビジネスコンシェルジュの出口の窓口がありました。それぞれの活用状況や実績、TIBにあるから、ワンストップセンターとビジネスコンシェルジュですね、メリットについて確認させてください。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 令和五年度の東京開業ワンストップセンター全体の利用者数は六千三百五人、ビジネスコンシェルジュ東京全体の相談件数は四千二百九十五件でございます。
 なお、TIBのサテライト窓口については、その立地を生かし、TIBを訪れる起業家の開業や外国のスタートアップの東京進出に関する相談に対応するものでございます。

○上田委員 そもそもワンストップセンターの存在意義もどうなのかなというのはちょっと注目しているところなんですけれども、開業ワンストップセンターとビジネスコンシェルジュでは、外国企業の日本進出の援助業務は、各国の大使館も行っているんですよね、商務部が。
 あえて都がその援助、サポート業務を行う意味と意義について確認させてください。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 都と国が共同運営する東京開業ワンストップセンターは、多言語で相談に応じつつ、会社設立に必要な一連の行政手続を一か所で完結させております。
 また、ビジネスコンシェルジュ東京は、都が東京進出を検討している外国企業等に対して、都が提供する支援策や、都内の医療、教育等の生活環境の紹介、相談などを英語で実施しております。
 これらの窓口は、自国企業とのつながりを持つ大使館とも連携しつつ、東京に関心を持つ企業の都への進出を支援しております。

○上田委員 このビジネスコンシェルジュの実績を三ページでお示しいただいているんですが、コロナ以降、五千とか、四千二百九十五。大体相談って、延べ件数なんですよね。これがちょっと多いか少ないのかなというふうに思っておりますし、四ページに至っては、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、シンガポールですか、Access to Tokyoの実績は二百から五百ということで、委託はアクセンチュアにお願いをしているということであります。
 開業ワンストップセンターなんですけれども、産業労働局や中小企業振興公社の開業支援もありますよね。これも二重行政ではないんでしょうかね。違いは何なのか、すみ分けや連携状況についても伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 東京開業ワンストップセンターは、都と国が共同で運営し、東京で開業、起業を希望する方が、定款認証や法人登記等の手続を一か所で行うことができる窓口であり、他の創業支援策とは支援の内容が異なっております。
 また、他の創業支援施設と共同で起業家向け開業支援セミナーを開催するなど、連携して支援を実施しております。

○上田委員 やっぱりこれスタ・国だけ、産労だけならまだ納得ですよ。似て非なるものをみんなで幾つものお役所がやっているっていうことの存在が、やっぱりちょっとご説明では理解できないというところで、引き続き注視させていただきます。
 また、アクセラレーター支援もミッションとしていますよね。デロイトに委託している産労の青山スタートアップアクセラレーションセンターがありますが、これも二重行政じゃないのか、TIBとの違いは何なのか、すみ分けや連携状況について伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 TIBは国内外のスタートアップや支援者を結びつけていく拠点でございまして、そのために必要な様々なプログラムを展開しております。

○上田委員 ちょっと産労が、またこれ似たようなNEXs Tokyoというのもやっておりまして、これについてもまた引き続き注視させていただきたいと思います。
 アントレプレナーシップ育成プログラム推進事業の実績と成果はいかがだったでしょうか。機会創出やワークショップが決算年度どのような展開につながったか伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 令和六年度からの事業実施に向け、昨年度、中高生に対し学校現場で講演等を行う起業家等の候補者との連絡調整やホームページの作成等を行いました。

○上田委員 学校現場で起業家の候補者との連絡調整、ホームページの作成を行ったと。
 次は、キングサーモンプロジェクトの都営住宅、都立病院、都立学校とスタートアップ三社との先行導入プロジェクトの成果、実績、協働促進、サポーター選定についても伺います。

○小澤スタートアップ戦略推進担当部長 昨年度、都立病院において、医療従事者の負担軽減に資する出退勤管理システムの実証等を行い、医療サービスの質の向上等を図りました。また、本プロジェクトの実施支援等を担う協働促進サポーターを、学識経験者を含めた外部有識者等による審査を経て、選定いたしました。

○上田委員 これはちょっと具体的に見えておりますね。
 公共調達支援を受けた入札参加資格登録の実績の方はどうでしたでしょうか、お取組をしているようです。所見と評価、実績を伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は、昨年十一月から入札参加資格登録に関する相談支援を開始し、昨年度中に六件の相談を受け付け、一件は入札参加資格登録に至ったところでございます。

○上田委員 十一月から三月で六件というのがどういうことなのか、ちょっと決算年度で考えたいと思います。
 大学発スタートアップ創出支援事業について、各大学の現状、評価や課題もお願いいたします。

○井上スタートアップ戦略推進担当部長 昨年度、大学発スタートアップ創出支援事業を開始し、十大学を採択いたしました。各大学におきましては、ディープテック領域など、研究シーズの事業化促進や起業を目指す学生への支援等の取組が始まっており、こうした取組を着実に進めていくために支援を継続して実施しているところでございます。

○上田委員 結構これはですね、割と資金力のある大学もありまして、既に学生で起業しているというような実態もある中で、恐らくそういった資金調達ができていない大学を中心に採択したと思うんですけれども、これについても引き続き必要か不必要か、確認させていただきたいと思います。
 フィンテック企業は決算年度、オープンイノベーションを加速できたのでしょうか、実績を伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 昨年度はフィンテック企業と金融機関等の交流の促進に資するピッチイベント等の開催を支援いたしました。
 さらに、AI技術を活用した金融事務の効率化など、金融機関等との事業化に向けた実証的な取組を行うフィンテック企業五社に対して支援を行い、オープンイノベーションの創出を後押ししてまいりました。

○上田委員 今までのスタートアップ支援の取組は、最終的には都内スタートアップ起業、創業や税収増、雇用創出に向けての具体的目標について、当然都に寄与すべきことだから想定していると思いますので、所見を伺います。

○片山イノベーション推進部長 都は、東京発のユニコーン数、東京の起業数及び東京都とスタートアップとの協働実践数をそれぞれ五年で十倍とするなど、具体的な目標を掲げております。

○上田委員 ユニコーンも十倍というのも具体的なのか、なかなかユニコーンって出てこないかなと思うんですけれども、聞きおきました。
 官民連携ファンドです。
 一般論として、官民連携ファンドにおける公益について、いかなる指標によるのか、私は確認し、会計管理局長は、官民連携ファンドでは都民の税金を−−当時ですね、会計管理局でしたから−−都民の税金を原資とする出資金の確実な回収という目的も同時に実現することを目指し、そのため、都はファンド運営による質問権、検査権を活用しながら運営状況を監視しているとのことでした。
 一方、何らかの影響により、都の資金回収が鈍化した場合、都としてはその投資プロジェクトは公益性がなくなったという判断になるのか確認しておりました。
 当初、都は、例えば官民連携福祉貢献インフラファンドでは、一つでも多くの福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消への貢献という政策目的と併せ、都民の税金を原資とする出資金等の確実な回収という目的も同時に実現することを目指し、政策目的の実現も、出資金等の確実な回収という目的の実現も、都民にとって重大な課題であると認識して、ファンドの運営状況を適切に監視していくということでありました。
 しかしながら、本年十月三日、投資ファンド元代表が、太陽光パネル投資を手がけるIDII社から数千万円の不正が疑われる支出があり、東京地検が監査に入っていることが報道されました。
 このIDIIですが、平成二十四年度に電力供給の安定化を目的とした官民連携インフラファンド事業にて、都は十五億円出資しており、毀損せぬよう厳しく指摘しておりまして、この八月三十日に無事に清算したばかりでした。
 ちなみに都の投資実績は、同社ともう一社で総出資額三十億円に対し、回収額は三十五・七三億円であり、回収率は一一九・一%となっており、ちょっと一瞬安心したんですけれども、IDIIは回収額は約十二・一七億円、回収率は八一・一%と、一社だけ見ると毀損しているのではないかと思料いたします。
 通常、投資プロジェクトを考える際、投下資本と投資リターンのみを考えます。投資資本以上の投資リターンがあれば、その投資プロジェクトは成功したと判断し、プロジェクトは継続、投下資本以下なら清算すべきという意思決定にならざるを得ないところがありますが、現在稼働中の官民連携ファンドについて、改めて回収に関して、どの程度の期間をめどに回収できるのか、シミュレーションやリターンを想定など、どうしているのでしょうか、累計資金回収額は幾らなのか、改めてご説明をお願いいたします。
 清算済みの官民連携ファンドにおいて、出資先別の評価の上で、決算年度も運用していたと思いますので、併せて所見を伺います。

○村本国際金融都市総括担当部長 官民連携ファンドは、当該ファンドの組合契約において存続期間を定め、ファンド運営事業者は、その期間の中で政策目的に沿った投資実行や、合理的な予測可能性に基づいた資金回収に取り組んでおります。
 想定回収額につきましては、ファンド運営事業者の投資戦略に関わるものであり、契約上の秘密保持条項との関係から、お答えすることは困難でございます。
 官民連携ファンドの令和五年度末時点での累計資金回収額は約七十八億円であり、このうち、今般、清算結了した官民連携インフラファンドにつきましては、投資額三十億円に対して、回収額は約三十五億七千三百万円でございました。

○上田委員 具体的な見込みにつきましては、守秘義務の関係もあり、答えることは困難なのは理解はしますが、決算年度に当たりどう評価したのか確認したいんですね。
 福祉ファンドは四年ですよね、清算。インフラファンドは十二年で清算していますが、この期間となった理由と、稼働中ファンドの清算時期のめどの都としての想定をお答えください。
 また、これまで清算した福祉ファンドは三年間で二十億出資し、リターンは二十五億一千四百万円、インフラファンドは十二年間で三十億出資し、三十五億七千三百万でありましたが、その評価もお願いをいたします。

○村本国際金融都市総括担当部長 官民連携ファンドの存続期間は、ファンドごとにその特性等を踏まえ、組合契約において定めております。また、福祉貢献インフラファンドの一部で運用中のものの存続期間は令和八年二月までの予定とされております。
 官民連携インフラファンドは、太陽光発電をはじめ、全国十九か所の発電事業等に投資を行い、合計発電出力は約六十二万キロワットに上り、電力供給の安定化に一定の役割を果たしたと考えております。
 また、福祉貢献インフラファンドは、子育て支援施設や高齢者向け施設の整備に結びついており、ファンドの政策目的を果たしているものと認識しております。

○上田委員 今話しているのは資料の六ページでありまして、例えば官民連携福祉貢献インフラファンド出資三十七億で回収が二十六億というようなことでございまして、資料を見るにつけても、企業への守秘義務と都民の血税の防止のための監視は、二律背反する部分があり、都側の担当者が替わっても同じレベルで監視し、安定的な運用に努めていただきたいと申し上げてきました。
 民間であれば、さっきいったリターンが見込めなくなって、損失や毀損する前に清算の判断を冷徹に下せるものなんですけれども、この官民連携インフラファンドは公益というファクターが入ってくるので、判断が揺れると懸念しているからなんですね。
 実際に会社内で不正が疑われて、地検が入ったIDIIに出資をして、リターンはマイナスでした。かつて投資プロジェクトを継続すべきか、清算すべきかの意思決定の際に、公益があるから継続をするという意思決定が動いたときに、官民連携ファンドにおける予算制約の甘さが露呈し、プロジェクトとして成功が難しいものに都民の税金が使われ続けることではないのかと、重ねて懸念をしていると、しつこく質疑したことが現実のものとなってきました。
 活用されている事業者の現状と評価、展望、見通し、取組をご報告ください。

○村本国際金融都市総括担当部長 ファンド運営事業者につきましては、法律や会計、投資分野等の専門家を含めた選定委員会での厳正な審査等を経て決定しております。
 都は、これらの専門家の意見を聴取しながら、ファンド運営事業者が意思決定を行う機会での意見表明や、監査法人等を通じた調査を行うなど、質問権や検査権を活用しながら、官民連携ファンドの運営を適切に監視しております。

○上田委員 これも本当に都がやるべきことなのかと考えて、ずっと確認をしておりますが、またさらにサステーナブルエネルギーファンド、これ北海道に風車を建てて、風力発電への投資なんですけれども、これまで一般質問、文書質問で、防衛上、あるいは絶滅危惧種が生息する環境面で、るる大丈夫かと指摘をしてまいりましたが、決定まで、都は現地の現認などはなさっていると思いますが、確認をさせていただきます。

○村本国際金融都市総括担当部長 令和五年六月に本ファンドの第一号投資案件候補先の有限責任組合員向けの現地視察会が開催され、都も参加いたしました。

○上田委員 何しろ北海道なので、全然イメージが湧かないので、開設までにかかった経費は、土地代とか建築費とか幾らなのか、まず、敷地面積はどの程度か、どのくらいの規模の風車で何基あるのか、一基幾らなのか、設備維持費は年間、月間幾らか、保守計画はどうなっているのか、想定年間発電風力量はどの程度を見込んでいたのか、電力は何世帯相当か、売電金額は幾らか、FITなのか、その辺詳しく伺いたいと思います。

○村本国際金融都市総括担当部長 発電所の敷地面積は三百四十六・六ヘクタール、風力発電機は八基あり、高さが百四十三・五メートルで、ローターの直径が百十七メートルでございます。
 また、想定年間発電電力量は約七・九万メガワットアワーで、一般家庭約二・五万世帯分に相当いたします。売電価格は、FIT価格で二十一円毎キロワットアワーとなっております。開発経費や一基当たりの金額、保守契約を含めた設備維持費は公表されておりません。

○上田委員 公表されていないけど、十億投資と。東京都民でない二・五万世帯に電気量は相当するということで、ちょっとこれが本当に都民に必要なのかなということは引き続き注視させていただきます。
 ESG債です。
 世界のESG投資信託に実は逆風がもう吹いておりまして、破綻したシリコンバレーバンクの親会社など、ESG対応は見せかけと捉えるような企業への投資が目立ち、足元では過去最大の資金流出となっています。
 都においての取組は順調なのか、ちょっと不安なので、資金調達の目的の動向などを確認させていただきます。

○村本国際金融都市総括担当部長 民間企業によるESG債発行により調達された資金が、その目的に資する事業に活用されるよう、都は評価会社による国際原則等を基にした外部レビュー取得費用の一部を補助することで、グリーンボンド等の趣旨に沿った企業の円滑な資金調達を支援してまいりました。

○上田委員 円滑に資金調達をした企業がしっかりと税金を払って東京都に寄与していただけるのか、これも確認をさせていただきたいと思っています。
 アジアヘッドクオーター特区の指定後の取組です。
 都において、業務統括拠点、研究開発拠点を設置する可能性があると回答した企業と持続的、継続的にコミュニケーションを行い、その中で具体的な投資計画策定可能性が認められる企業に対し、日本市場の分析などきめ細かい支援を行い、特区進出の意思決定の取得に向けた取組を進めてきたことと存じます。
 外国企業の誘致目標と実績、ほかの委員も指摘していましたけれども、国内企業とのマッチングの強化に係る現状認識と課題について、ご所見をお示しください。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 アジアヘッドクオーター特区における外国企業の発掘、誘致企業数は、令和三年度から五年度までの特区第三期計画において、目標六十社に対し実績はシンガポールなどの企業六十四社となっており、外国企業と都内企業とのマッチングをそれぞれのニーズを捉えつつ、的確に実施してまいりました。

○上田委員 六十社で、一応ミッションコンプリートで六十四社ということを確認させていただきました。
 創業人材のこうした−−いろいろとこれからスタートアップをしたいとか入ってくる創業人材の受入れですけれども、出入国管理及び難民認定法の特例を行っております。
 都内における外国人の創業活動を促進するため、出入国管理及び難民認定法上の在留資格、経営・管理取得に関する基準を緩和するとのことで、令和五年までの申請実績累計は四百五十一件でありました。
 年々増加傾向にありますが、川口市のクルド人騒動もあり、入国後の外国人犯罪も増えてきておりますことから、少し緊張感を持っての対応を求めるものです。過去に緩和した入国者で犯罪やトラブルなど発生していないかも含め、所見を伺います。

○田中特区・規制改革担当部長プロモーション推進担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 本特例は、在留資格、経営・管理を緩和して、六か月間の創業準備活動のための在留を認めるものでございます。
 都は、本特例による創業活動に係る事業計画の適正性、確実性を専門家の意見も踏まえ確認した上で、六か月の特例期間中は、在留者の創業活動計画の進捗状況等を専門家による面談などを通じて定期的に確認しております。

○上田委員 厳しく管理をしていっていただきたいと思います。こうした人たちが起業して、また本国から同じ国の人材を呼び寄せて、その人までは管理できないということで、うちの江戸川区も、都内でも随一外国人が多いところで、非常にそこは危機感を持っているところでございます。
 今までいろいろ質問させていただきましたけれども、本当にこれ東京の強みとか、東京がやるべきことなのかとか、TIBにおきましては、私は、あの場所が一等地で、無料で登録するだけで、人が集まって、いろいろ交流するということは、ありだと思います。
 都立公園もそうですけれども、一等地に都有地があって、都が持っているところを自由に使っていただくということに関して、まさにスタートアップとか、そうしたベンチャー企業のみんなが集う公園的なものとしては、社会インフラとしてはありかと思うんですけれども、数々のイベントとか、ほとんどイベントを行った、イベントを行った、イベントを行ったということで、これでTIBは十億ということでございますから、やっぱりもう一回、都の強み、都がやるべきことかどうか、みんな、鈴木委員もおっしゃっていましたけど、力のある人は東京に自分で来る、自分で調べる、そんな人じゃないとユニコーンになれませんからね。海外へもどんどんもう行ってしまっているんですよね。
 そういったことに都が必死になって税金をかけ続けるのがどうかということを常に再検証をしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○河野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○河野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わりました。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後八時三十一分散会