令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

令和六年十月二十五日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長福島りえこ君
副委員長伊藤こういち君
副委員長林あきひろ君
増山あすか君
こまざき美紀君
清水とし子君
原 のり子君
加藤 雅之君
成清梨沙子君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長坂本 雅彦君
次長猪口 太一君
教育監瀧沢 佳宏君
総務部長岩野 恵子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長山本 謙治君
指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務山田 道人君
グローバル人材育成部長信岡 新吾君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長吉村 幸子君
教育政策担当部長秋田 一樹君
デジタル推進担当部長DX推進担当部長兼務落合 真人君
高校改革推進担当部長猪倉 雅生君
教育改革推進担当部長グローバル人材育成調整担当部長兼務根本浩太郎君
特別支援教育推進担当部長中西 正樹君
指導推進担当部長市川  茂君
人事企画担当部長矢野 克典君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)

○福島委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、教育長に坂本雅彦君が就任されました。
 坂本雅彦君をご紹介いたします。

○坂本教育長 令和六年第三回都議会定例会におきまして、教育長の任命にご同意をいただき、十月十五日付で拝命いたしました坂本雅彦でございます。
 福島委員長をはじめ、委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りながら、東京の教育の充実に向け、全力で取り組んでまいる所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○福島委員長 挨拶は終わりました。

○福島委員長 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岩野総務部長 去る十月九日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料第1号、令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をご覧ください。
 今回要求のございました資料は十四件でございます。
 それでは、一ページをご覧ください。1、都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算(令和五年度)でございます。
 就学支援金について、歳出における予算につきましては受給対象者数及び支給額を、決算につきましては受給者数及び支給額を、表に記載の区分別にそれぞれ記載しております。
 二ページをご覧ください。2、都立高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(令和五年度)でございます。
 奨学のための給付金について、歳出における予算につきましては給付対象者数及び給付額を、決算につきましては給付者数及び給付額を、表に記載の給付区分別にそれぞれ記載しております。
 三ページをご覧ください。3、都立学校等給付型奨学金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(令和五年度)でございます。
 (1)は、高校一人一台端末購入費以外の費用に係る給付型奨学金について、歳出における予算につきましては受給対象者数及び予算額を、決算につきましては受給者数及び支給額を、表に記載の区分別にそれぞれ記載しております。
 また、四ページの(2)は、高校一人一台端末購入費に係る給付型奨学金につきまして、同内容を記載しております。
 五ページをご覧ください。4、都立高等学校等の授業料減免の実績(全日制・定時制)(令和元年度から令和五年度まで)でございます。
 授業料を免除または減額した人数について、表に記載の区分別、年度別、課程別にそれぞれ記載しております。
 六ページをご覧ください。5、都内公立中学校夜間学級在籍者のうち、中学校を卒業している生徒の数(令和二年度から令和六年度まで)でございます。
 夜間学級に在籍していて、既に中学校を卒業している生徒の人数及びその人数を含む全体の在籍者数を年度別にそれぞれ記載しております。
 七ページをご覧ください。6、令和六年度都立高等学校(全日制)入試の受検者数及び合格者数でございます。
 都立高等学校全日制の入試における受検者数及び合格者数について、募集の区分別にそれぞれ記載しております。
 八ページをご覧ください。7、区市町村立小・中学校の情緒障害等通級指導学級及び特別支援教室設置校数・拠点校数・児童生徒数・教員数・専門員数(令和二年度から令和六年度まで)でございます。
 (1)は、区市町村立小学校における特別支援教室の設置校数及び拠点校数について、九ページの(2)は、児童数、教員数及び専門員数について、区市町村別、年度別にそれぞれ記載しております。
 また、一〇ページの(3)は、区市町村立中学校における情緒障害等通級指導学級及び特別支援教室の設置校数及び拠点校数について、一一ページの(4)は、生徒数、教員数及び専門員数について、区市町村別、年度別にそれぞれ記載しております。
 なお、令和二年度につきましては、従来型の通級指導を含んでおります。
 一二ページをご覧ください。8、区市町村立小・中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級(固定)設置状況(令和二年度から令和六年度まで)でございます。
 (1)は、区市町村立小学校における自閉症・情緒障害特別支援学級(固定)の設置校数及び学級数について、区市町村別、年度別にそれぞれ記載しております。
 また、一三ページの(2)は、区市町村立中学校につきまして、同内容を記載しております。
 一四ページをご覧ください。9、都立学校「自立支援チーム」の実績とユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数でございます。
 (1)は、都立学校自立支援チームが令和元年度から令和五年度までの各年度において支援を行った学校数、支援対応生徒数及び支援累計回数について、表に記載の区分ごとにそれぞれ記載しております。
 また、一五ページの(2)は、ユースアドバイザー等の新規採用人数について、採用年月別、職種別にそれぞれ記載しております。
 一六ページをご覧ください。10、都内教育支援センターの区市町村別設置数と不登校特例校一覧でございます。
 (1)は、令和五年五月一日現在における都内教育支援センターの区市町村別の設置数について記載しております。(2)は、令和六年四月一日現在における都内不登校特例校の学校名、管理機関及び開校年月について、それぞれ記載しております。
 一七ページをご覧ください。11、改築、大規模改修等の工事中又は工事予定のある都立学校でございます。
 令和六年四月一日現在における高等学校等と特別支援学校の状況について、それぞれ記載しております。
 一八ページをご覧ください。12、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数及び設置率について、校種ごとにそれぞれ記載しております。
 また、一九ページの別紙では、都内公立小中学校の冷房設備設置状況について、設置者別に記載しております。
 二〇ページをご覧ください。13、東京都中学校英語スピーキングテスト事業におけるトラブルや機器不具合などの報告内容及び決算額(令和五年度)でございます。
 (1)は、都教育委員会との協定に基づき、本事業を実施した株式会社ベネッセコーポレーション及びブリティッシュ・カウンシルから、報告のあったトラブルや機器不具合等を記載しております。また、(2)は、令和五年度における決算額及び主な支出項目を記載しております。
 二一ページをご覧ください。14、都内公立小・中学校及び高等学校の不登校児童・生徒数と不登校出現率の推移(平成十五年度から令和四年度まで)でございます。
 各年度における不登校児童生徒数と不登校出現率を校種別に記載しております。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○福島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○増山委員 それでは、まず教員についてお伺いします。
 近年、小学校においては、教員の成り手不足が課題となっております。特に令和五年度の教員採用選考の倍率が一・一倍と過去最低を記録しており、応募者数が少ないと適正な選考ができるのか、教員の質の低下についても懸念されます。
 そこで、教員の成り手不足の解消策について、令和五年度の取組をお伺いします。

○吉村人事部長 都教育委員会では、令和五年度、選考制度を見直し、学生の負担軽減に向けた大学三年生での一部前倒し受験の導入や、社会人特例選考の年齢要件の引下げ、都を中途退職した教員が復帰しやすいカムバック採用の新設などを行いました。
 また、幅広い志望者層の掘り起こしのため、現職教員が直接、東京の教職の魅力を伝える採用セミナー、TOKYO教育Festa!を開催し、九百名を超える学生や社会人等の来場があったほか、民間の転職フェアで個別相談会を行うなど、社会人向けPRを充実いたしました。
 さらに、合格者に対して、不安解消と東京の教員として働く意欲の醸成を図るため、新たに合格者同士の交流会や現職の教員や児童と接する学校体験プログラムのほか、いわゆるペーパーティーチャー等を対象とした任用前講習等を実施いたしました。

○増山委員 都教育委員会がプレス発表した資料によれば、今年度の採用選考では、小学校の教員について二千八百九十五名の応募があり、前年度より約一一%増えたほか、受験倍率については一・二倍にとどまるものの、前年度から〇・一ポイント改善したということです。
 ご答弁いただきました都教育委員会の取組について一定の効果があったものと評価いたします。
 質の確保の観点からも教員志望者を増やす取組は重要でありますから、引き続き選考制度の見直しやPRの強化など力を入れるようお願いいたします。
 続きまして、若手教員をはじめ、現場の教員の中には、職場の人間関係などに悩み、メンタルヘルス不調で休職する方が多く、その結果、教員を辞める方がおります。
 私が市議であった頃、児童生徒の保護者だけでなく、教員からもよく相談を受けてまいりました。働きやすい職場づくりに向け、アウトリーチ型相談事業など、教員のメンタルヘルスに関する支援や教員同士のコミュニケーションの円滑化が重要だと思いますが、令和五年度の取組と成果についてお伺いします。

○吉村人事部長 都教育委員会では令和五年度、民間事業者の力を活用し、臨床心理士が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を四十地区約八千三百名に実施するとともに、小学校においては全ての新規採用教員等を対象に五十二地区約二千人に面談を実施し、両取組を併せ、六十地区で事業を実施いたしました。
 本事業では、職場の改善につなげるため、学校ごとに悩みの傾向等を分析し、区市町村教育委員会や各学校に提供をいたしました。
 面談を受けた教員からは、全員対象なので周りを気にせず相談できた、教員以外の人と話ができて気持ちが楽になったなどの声が寄せられました。
 また、若手教員約五千人へのアンケート結果を基に、世代間の意思疎通を円滑に行うためのコミュニケーションガイドブックを作成し、都内公立学校の全教員に配布をいたしました。校長からは、ガイドブックを基に校内研修を実施するなど、有効に活用しているとの声が寄せられております。

○増山委員 職場環境や教員の指導は本来、管理職である校長、副校長の役割だと思いますが、人間関係でございますから、合う、合わないはどうしてもあると思います。外部の心理士が入ることで、よりスムーズに改善されることを期待します。
 続きまして、働きやすい職場づくりを推進するためには、メンタルヘルス対策に加え、教員が安心して出産や育児に臨む環境を整えることも重要です。
 令和五年第三回定例会で我が党の石島議員から、産休、育休代替教員の前倒し任用数について質問しましたところ、令和五年八月末時点で約六百四十名との答弁がございましたが、令和五年度の実績についてお伺いします。

○吉村人事部長 都教育委員会では、教員が安心して産休の取得や育業への従事ができるよう、昨年四月から国の制度を都独自に拡充し、全公立学校において産休等の開始時期によらず、最大四か月前から代替教員を前倒しで任用できることといたしました。令和五年度の産休、育業代替教員の前倒し任用数は七百六十名でございました。

○増山委員 産休、育業代替の前倒し任用については、学校現場から、産休や育業に入る先生と代替の先生の引継ぎがスムーズに行えるなどの高評価の声を聞いております。生徒が安心してよい指導を受ける前提は、教員の心と体の健康が必須でございます。先ほどのメンタルヘルス対策や、安心して出産、育児に臨むことができる環境を整えることが重要ですので、今後ともしっかり取り組んでいただくことを要望いたします。
 続きまして、教職員による性暴力の未然防止についてお伺いします。
 教職員による児童生徒に対する性暴力が後を絶ちません。国でもこれを問題視し、性犯罪歴を確認することを義務づける日本版DBSを導入する法律が成立し、今後、効果ある運用が期待されるところです。
 本来、児童生徒等を守り、育てる立場にある教職員が性暴力によって児童生徒の尊厳と権利を著しく損害することは言語道断です。令和五年度に実施した未然防止、早期発見に向けた取組と相談実績を伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会では、児童生徒性暴力に関する理解を深め、発生防止の徹底を図るため、令和五年度、新たに、教職員が児童生徒に触らない、SNS等を送らない、二人きりにならない、プラス、児童生徒と教職員との交際関係は成立しないとする三ない運動プラスを推進するとともに、事故発生時の初動対応マニュアルを活用したロールプレー研修等を実施いたしました。
 また、児童生徒が声を上げやすいよう、全児童生徒に配布している児童生徒性暴力に関する相談シートに、新たに体罰や不適切な指導に関する項目を追加し、教職員に関する不安や悩み全般を相談できるようにしたほか、弁護士による第三者相談窓口の啓発ポスターの掲示等を行いました。
 令和五年度は全体で千十一件の相談が寄せられ、うち、性暴力が疑われる相談は二十八件あり、事実確認を行う等、適切に対応しております。

○増山委員 今は児童や生徒もスマホを持つ時代です。教職員と生徒がLINEやSNSなどで簡単につながれてしまいます。そのため発覚も遅れてしまうことがあります。便利なツールであっても、LINE交換をしてはいけないなど、ルールの徹底をするようお願いいたします。
 相談シートは、とてもよい取組だと思います。今後も引き続き厳しい対応をお願いいたします。
 続きまして、都立高校生の国際交流についてお伺いします。
 かつて、都立高校は私立高校と比較して授業料の安さが一つの優位なポイントとなっておりました。しかし、私立高校の授業料無償化が始まったことで、この優位な点が失われてしまい、都立高校が選ばれるためには、今まで以上にソフトとハード両面での魅力向上の努力が必要だと思います。
 最初に、ソフト面についてお伺いします。
 現在、都教育委員会が実施する様々な国際交流事業に参加する機会の提供は、都立高校の魅力向上の一つとなっております。次代を担う生徒たちがグローバル化する社会で活躍していくに当たり、多感な高校時代にこそ多くの生徒に海外の方との交流経験を積み、互いの文化や価値観の違いを認め合う姿勢を学んでほしいと思っております。
 そこで、都立高校生の海外派遣研修について、令和五年度の派遣国、派遣数、交流内容、参加生徒の声にどういうものがあったのか、実績を伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、グローバル人材を育成する取組として、令和五年度、アメリカ、アラブ首長国連邦、インドネシア、エジプト、ニュージーランド、フランス、フィンランド、マレーシアの八か国に二百十六名の都立高校生等を派遣いたしました。
 訪問先で生徒は、世界的な課題に取り組む日系企業の研究者や社員との意見交換や、現地高校等での同世代の生徒と互いの文化を紹介するなどの交流を行いました。
 参加した生徒からは、世界の人々と協働するため、積極的に英語で会話する必要性を改めて学んだ、海外大学への進学やグローバル企業での海外勤務など将来のキャリアを考える契機となったなどの意見が寄せられ、海外ならではの多様な体験につながりました。

○増山委員 異なる文化圏の国に広く派遣しているということ、また派遣された生徒たちがそれぞれ豊かな経験をして帰国したことが分かりました。恐らく生涯忘れることのない経験をして、その後の人生を切り開く大きなきっかけになったこととうれしく思います。すばらしい事業であると評価いたします。
 また、都教育委員会では生徒を派遣するだけでなく、海外の高校生を都内高校で受け入れ、生徒同士が交流する事業である東京体験スクールを実施していますが、この事業について、令和五年度の受入れ国、受入れ生徒数など実績をお伺いいたします。

○信岡グローバル人材育成部長 東京体験スクールは、学校内で生きた国際交流の機会を創出し、都立高校生徒の国際感覚を醸成するために実施しております。令和五年度は、オーストラリア、カナダ、タイ、ニュージーランド、フランスの五か国から四十七名の生徒を都立高校九校において約一週間受け入れ、生徒間交流を行いました。

○増山委員 令和五年度は九校で受け入れたことが分かりました。その際の交流内容や参加生徒の声はどのようなものであったのか、詳細な実績をお伺いします。

○信岡グローバル人材育成部長 受入れ校では、全校生徒による歓迎会、和太鼓の披露や茶道、書道等の日本の伝統文化体験に加え、来日した生徒による自国の文化紹介などを行いました。
 さらに、授業や部活動では、互いに英語でコミュニケーションを図ることなどにより、少数の生徒だけでなく、多くの生徒が積極的に国際交流に参加いたしました。
 交流を体験した生徒からは、英語の重要性を痛感し勉強する意欲が湧いてきた、英語も大事だが伝えようとする気持ちが重要だと分かった、交流を通じ日本のよさ等を認識し日本人であることに誇りを感じたなどの意見が寄せられ、グローバル人材として求められる資質の気づきにつながりました。

○増山委員 最初にお伺いした海外派遣は、参加した生徒の人生を変えるようなとてもすばらしい事業でありますが、参加できる生徒数がどうしても限られてしまいます。その一方、海外の生徒を受け入れる東京体験スクールでは、受け入れた学校の多くの生徒が身近に交流することができますので、その意味でこれからもっと拡充していくべきではないかと思います。
 海外の生徒を受け入れ、交流することで、今まで海外に興味を向けてこなかった生徒も何かしら興味を持つきっかけになるかもしれませんし、生徒の声にあるように、当たり前に生活している自分の国、日本の伝統やよさを改めて見詰め直すきっかけにもなります。
 今後、都立高校に通う、より多くの生徒が国際交流の体験ができるよう、取組の充実を求めます。
 最後に、都立学校のハード面について質問します。
 ハードのうち、都立学校における照明のLED化についてでございます。
 東京都では、ゼロエミッションの実現に向けて様々な取組を行っております。そのような中、公立小中学校や私立学校においては、国や都の補助を活用しながら照明のLED化を進めており、自治体によっては一〇〇%完了しているところもあります。
 都立学校においても、二〇三〇年までにカーボンハーフを達成するため、照明のLED化を進めていくべきであると考えますが、令和五年度における都立学校の整備状況についてお伺いします。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会はこれまで、都立学校の改築や大規模改修工事の際に合わせて、照明のLED化を行ってきております。令和五年度には、都立学校三校についてLED化工事を実施し、昨年度末時点におきまして、都立学校三十校でLED化が完了してございます。
 二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向け、既存施設につきましてもLED化を加速させるために取り組んでまいります。

○増山委員 ただいま都立学校二百五十六校のうち三十校について整備が完了し、既存施設についてもLED化を加速させていくとの答弁がございました。今年度からは、改築や大規模改修工事などの際に加えて、リース契約によりLED化を計画的に推進していくと聞いております。
 しかしながら、国や都の補助を活用して公立小中学校や私立学校が明るいLED化を早々に進めている一方で、自分たちが運営している都立学校のLED化が遅れ、実際に教員や生徒から、体育館が暗いといわれているのは残念でなりません。二〇三〇年のカーボンハーフの実現の観点からも、都立学校においてLED化を加速するよう要望し、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

○こまざき委員 都民ファーストの会、こまざき美紀です。よろしくお願いいたします。本日は、大きく三点について伺います。
 一点目、不登校支援について伺います。
 令和四年度、文科省における調査によりますと、登校しない、あるいはしたくてもできない、いわゆる不登校の児童は全国で二十九万人以上にも上り、不登校児童数は過去十年間、増加し続けているとのことです。また、東京都における不登校児童は約二万七千人で、十年連続で増加しています。
 このような中、不登校支援は喫緊の課題です。教育機会の確保、将来的な社会的自立、子供の居場所など、多角的にこの課題を考え、学校での学び以外の選択肢が増えるような取組が必要であると考えます。東京都として、不登校の子供たちが多様な学びを選択できるように様々な補助、支援を行っています。
 フリースクール等利用者等支援事業として月二万円の助成、バーチャルラーニングプラットフォームの実施、不登校対応巡回教員の配置など、区市町村が東京都の制度を用いて次々と具体的な制度を開始し、熱心に取り組まれていることを高く評価しています。
 不登校に関連して、家庭と子供の支援員制度について伺います。
 本事業はあまり知られておりませんけれども、私は非常に重要な制度だと考えています。東京都の学校と家庭の連携推進事業に基づき、いじめ、児童虐待など、生活指導上の課題への対応や不登校への支援について、児童生徒及び保護者の相談だけでなく、支援体制の構築を目的とし、登校時の家庭訪問や保護者への相談、助言など、幅広い支援が行える制度となっています。
 令和五年度にはどれぐらいの自治体において導入され、現場ではどのような支援内容として活用されているのかを伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、学校と家庭の連携推進事業を令和五年度に六十二自治体中三十四自治体、区市町村立の小学校等千二百六十九校中二百七十四校、中学校等六百十一校中百六十一校の計四百三十五校で実施いたしました。
 本事業では、都内公立小中学校におきまして、元教職員や民生児童委員等の地域人材が学校と協働して、いじめ等の問題行動、不登校、児童虐待等の課題を抱えている子供及びその保護者に対し、家庭訪問や校内での別室指導等での相談や学習支援などを行っております。

○こまざき委員 いじめ、不登校、児童虐待など様々な課題を抱えている子供や保護者に対して、家庭訪問や校内での別室指導等で相談や学習支援などを行っているとのことです。
 導入自治体数については半分強の自治体が導入しているものの、導入学校数としては小中学校それぞれ半数にも満たないようです。
 令和五年度の本事業の予算はどのような根拠を持って積算されたのか、併せて予算額、決算額、執行率について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、学校と家庭の連携推進事業につきまして、各区市町村教育委員会に対し、前年度に実施の意向を確認し、それに基づき積算いたしました。
 令和五年度の予算額は一億百七十四万五千円、決算額は約七千五百九十四万円、執行率は七四・六%でございました。

○こまざき委員 ありがとうございます。事前に事業実施の意向を確認した上で積算しているとのご答弁でした。
 なお、一学校当たり年額三十九万九千円で積算していると伺っております。事前に意向調査をしている割には、執行率が七四・六%というのは若干低いと感じられます。必要な方に届くよう、より多くの自治体での活用に向け、実施希望自治体への丁寧なご説明、ご対応をお願いいたします。
 次に、本事業の取組の成果について伺います。

○市川指導推進担当部長 支援員を配置した学校からは、不登校の初期段階に家庭訪問等の対応を行ったことで登校につなげることができた、学習指導の補助をしてもらうことで子供の不安を和らげ、学校生活への慣れや学習意欲の向上に結びつけることができた等の報告を受けており、不登校を解消する上での一定の成果が得られました。

○こまざき委員 ありがとうございます。ご答弁にもありましたが、登校を渋る子供に対して、支援員が自宅まで迎えに行き、登校をサポートする事業としても活用されており、一定の成果が得られたとのことでした。
 児童生徒は、この科目なら授業を受けたい、今日は遅刻するけど学校行けそうという場合に、早退、遅刻には原則、保護者や関係者の付添いが必要です。そのため、仕事を持つ保護者の方々は両立に苦しんでおられます。
 仕事を続けたいけれども、送迎で年休を使い果たし、仕事を諦めざるを得ないのかという保護者からのご相談を今まさに受けているところです。
 登下校のサポートについては、自治体独自で不登校児童生徒の送迎サポート制度を創設している場合もありますが、多くの自治体において制度化されておりません。そのため、働き続けたい多くの保護者にとって本制度は希望の光となっています。
 現場では幾つかの課題も浮き彫りになっています。一つは支援員不足です。活動できる支援員が不足しており、サポートが受けられなかったというお声が複数寄せられています。支援員の拡充について、例えば東京都の人材紹介サイト、TEPROの活用など、都教委から区市町村の教育委員会に対し様々な手法を提案し、共に人材確保に努めていただくことを強く求めます。
 支援員が見つかったとしても、支援員の方が不登校に対する理解に乏しく、送迎支援が継続できなかったとの声もいただきます。人材不足だけでなく、支援員の不登校への理解、専門知識獲得のためのスキルアップも課題です。
 そこで、不登校対応における家庭と子供の支援員スキルアップについて、都教育委員会の取組について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は毎年度、不登校の子供に対する支援の在り方等を示したガイドブックの活用を促すなど、支援員を含めた教職員の組織的な対応力の向上を支援しております。
 また、令和五年度から別室指導を行う支援員に対してオンデマンド研修を実施し、不登校の子供に対する効果的な取組を共有するなど、個々の対応力も高めております。

○こまざき委員 お答えいただき、ありがとうございます。不登校だけでなく、教育現場では様々なニーズのあるお子さんが増加しており、昨今では様々な支援員がサポートに入っています。そうした支援員が専門的知識を身につけ、スキルアップを図るため、例えば令和六年度からインクルーシブ教育支援員を対象にインクルーシブ教育の研修動画を作成する予定と仄聞しています。このような取組は大変すばらしいと思います。
 本制度においても、支援員のスキルアップとして、ガイドブックやオンデマンド研修などを活用されているとのことですが、実際の利用者から伺う現場の状況とは乖離があると感じています。現場で手足を動かしてくださる支援員まで研修制度が届いているのか疑問であり、今後の課題としていただくことを強く求めたいと思います。
 本制度ですが、区市町村における周知にも課題があると考えています。ほとんどの区市町村のホームページにおいて、本制度の記載そのものがありません。実際に調べてみると、本制度についてホームページに記載のある自治体が二十三区内で、たった二自治体、さらには登校支援について触れているのは一自治体でした。必要な都民に行き渡るよう、都としても後押しが必要です。ぜひ東京都における取組の推進をお願いいたします。
 最後に、家庭と子供の支援員は各区市町村が実施する事業とのことでありますけれども、都教育委員会としても、家庭と子供の支援員による支援が子供や家庭により一層寄り添ったものとなるよう努めるべきと考えます。都教育委員会の取組ついて伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、本事業を実施するに当たり、学校が管理職や教職員、支援員等で構成する会議を設置するようルール化しております。この会議におきまして、子供一人一人に対する取組をより具体的に検討したり、子供や家庭の改善状況を確認したりするなど、支援員がよりきめ細かく対応できるようにしております。

○こまざき委員 ありがとうございます。
 令和七年度から都立高校では、チャレンジサポートプランにより、多様な児童生徒に向けた支援を実施予定ですが、昨今、地域の小中学校も同様に、多様な児童生徒が在籍しています。都教育委員会と基礎自治体の生活指導担当間において生活指導担当指導主事連絡会が開催されていると仄聞しています。そうした場を活用しながら、区市町村の教育委員会と密に連携し、現場で起きている課題を把握し、共に解決に努めながら、必要な児童生徒、保護者が利用できる、支援が届く制度となるよう強く求めて、こちらの質問を終わります。
 次に大きく二点目、教育現場の暑さ対策について伺います。
 昨今、日本が見舞われている異常な暑さ対策については、我が会派では令和六年第三回定例会において森村議員が代表質問、小山議員が一般質問においても問題提起してまいりました。
 日本の異常な暑さが私たちの生活に大きな影響を与えており、これは教育現場においても同様で、屋外における体育等の教育活動や外遊びの制限が懸念されます。暑さが子供たちの教育活動等に支障を来すことがないよう支援していかなくてはなりません。
 まず、体育の授業が暑さ等により中止となる基準と、体育の授業における熱中症予防について、学校ではどのような指導が行われているか伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会が策定した熱中症対策ガイドラインで、暑さ指数が三十一以上の際、原則運動を中止するとしております。各学校は、暑さ指数が基準以下であっても、体育の授業を行う場合には、熱中症防止のため、活動前の体調管理を徹底するとともに、適切に水分や塩分を補給するなどについて、児童生徒に指導しております。

○こまざき委員 今年の夏も大変暑く、七月と九月は暑さ指数三十一を超える日が六割以上もありました。我が子も小学生ですが、教育現場では水泳指導の中止が相次ぎ、外で遊ぶことも困難な状況であり、体力の低下も懸念されます。熱中症対策に注意しながら、学校教育における運動の機会を確保する必要があると考えます。
 屋外での体育の授業が難しい場合には体育館での指導が行われると認識していますが、令和五年度の都内の公立小中学校体育館等における冷房の設置率について伺います。

○山本地域教育支援部長 都内公立小中学校の体育館等における冷房の設置率は、令和五年四月一日現在八四・五%でございます。

○こまざき委員 令和五年度の東京都全体の体育館等の冷房設置率をお答えいただきましたが、令和六年九月一日現在の国の調査によれば、八八・三%にまで伸びています。
 一方、まだ整備が完了していない地区があるということも確認できます。体育館はもとより、暑さ対策という観点から特別教室の冷房化も重要だと考えます。
 地域ごとに整備状況は異なっていると思いますが、大きく区部と多摩地域に分けると、体育館等と特別教室の令和五年度の整備状況はどのようになっているのか。あわせて、整備が進んでいない地区について、考えられる理由について伺います。

○山本地域教育支援部長 区市町村は、地域の実態に応じて計画的に小中学校施設の整備を行っておりまして、令和五年四月一日現在の設置率は、区部は体育館等が九三・三%、特別教室が九五・五%、多摩地域の市町村は体育館等が六九・八%、特別教室が八七・四%でございます。
 都教育委員会は、良好な教育環境を早期に確保することを目的としまして、体育館等や特別教室等を対象とし、冷房を設置する区市町村に対し支援を行ってまいりました。
 体育館等の冷房化が完了していない自治体においては、将来の校舎全体の改築時に体育館等の冷房化を併せて計画している場合もございまして、これにより冷房の設置までに一定の時間を要することがございます。

○こまざき委員 ありがとうございます。区部では設置率が九〇%台、多摩地域では比較して低めではありますが、将来の校舎全体の改築時などの計画等により、一定の時間を要しているとのご答弁でした。
 学習指導要領によると、水泳は小学生から中学二年生まで必修ですが、水泳場が確保できない場合には実技を扱わなくてよいとされています。
 都内の私立中高一貫校ではプール自体が存在せず、水泳の現場指導がない学校も散見されますが、体育の授業における水泳指導の意義について伺います。

○市川指導推進担当部長 水泳の授業では、続けて長く泳いだり、速く泳いだりする運動を通して、記録の向上や競争の楽しさを味わうことや、水の危険から身を守る力を身につけることなどを目指しております。

○こまざき委員 真夏の猛暑日の水泳指導の中止に関しては、天候に左右されない水泳指導の実施と、プールの維持管理の負担軽減も鑑み、民間委託などの導入が始まっています。
 猛暑下において水泳授業の機会を確保するため、どのような工夫を講じているのか、都内の学校の事例について伺います。

○市川指導推進担当部長 一部の学校では、プールの開始時期を早めることや近隣のスポーツセンターや民間の屋内プールなどの活用により、水泳授業の機会を確保しております。

○こまざき委員 ありがとうございます。時期を早めて実施するという事例があるとのことです。コストをかけることなく対応できる一つのアイデアとして、よい事例だと思います。
 また、近隣のスポーツセンターや民間の屋内プールなどの活用も事例として挙げられましたが、民間と連携をすることで専門指導員による指導が可能となり、水泳指導の質の向上が期待できます。さらには、屋内プールを使用することにより、年間を通じた確実なカリキュラムの履修も可能となり、プール設備の維持費や修繕費の削減にもつながるなどといったメリットも期待できます。
 水泳指導の外部委託の事例紹介や留意点については、我が会派の尾崎議員の提案を受けて、都教委として各自治体に情報提供を行っていただきました。ぜひ民間委託のほか、水泳指導の時期を早めるといった好事例についても、今後、区市町村教育委員会の連絡会等、機会を捉えて情報共有を図りながら、子供たちの水泳指導の機会を確保していただきたいと思います。
 令和五年度においても、都教委において様々な対策が講じられていることが分かりましたが、子供たちが異常な暑さにより教育の機会が奪われることがないよう、熱中症対策も講じながら、多様な視点からの支援拡充を求めて、次の質問に移ります。
 最後に、大きく三つ目、教員の働き方改革に関連して、部活動の地域連携、地域移行について伺います。
 教員の長時間労働は今や社会問題となっております。文部科学省により二〇二二年に全国で行われた、小中高等学校の教員、教職員約一万人を対象に行われた労働時間の調査結果を基にすると、一か月の時間外勤務が労働基準法による上限四十五時間を超えて勤務をしていた小学校教諭は約六四%、中学校教諭は約七七%に上り、いわゆる過労死ラインである八十時間を超えている状況も小学校教諭で約一四%、中学校で約三六%該当することが推察されます。
 一方で、令和五年の東京都公立小中学校では、小学校教諭で上限四十五時間を超えているのが三八・二%、中学校教諭で約五〇%でした。時間外勤務が八十時間を超えているのは小学校教諭で三・三%、中学校で一〇%となっており、東京都における働き方改革は、全国的に見て一定の成果を発揮していると考えられますが、依然として長時間勤務の実態がうかがえます。
 教職員が本来すべき教材研究等に時間をかけ、子供たちの教育内容の充実を図ることはもちろん、教員一人一人の心身の健康保持のため、環境改善は急務です。都教委においては、働き方改革の拡充としてスクールサポートスタッフの配置支援等が行われ、昨年度は新たに部活動の地域連携に関する支援が始まったことを高く評価しています。
 部活動の指導や運営を負担に感じている、部活動の指導や運営によって授業の準備に支障が生じているという教員が七割を超える調査結果がある中で、教員の部活動指導を軽減し、教育の質の向上を目指すことは重要です。
 そこで、部活動の地域連携、地域移行に関する区市町村への支援について、令和五年度の取組の進捗と成果について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、令和五年三月に策定した学校部活動の地域連携・地域移行に関する推進計画を踏まえ、部活動の地域連携、地域移行が円滑に進められるよう、全ての区市町村から進捗状況や課題等の聞き取りを行い、必要な助言を行いました。
 また、区市町村の取組状況に応じて、部活動の地域連携、地域移行に係る協議会の設置、コーディネーターの配置及び受皿となる地域団体の整備などに係る経費を支援いたしました。
 その結果、全ての地区において協議会等が設置され、地域の実態に応じた検討が進んだほか、教員が担ってきた外部指導者との連絡調整などの業務をコーディネーターが担うことにより、教員の負担軽減を図ることができました。

○こまざき委員 ありがとうございます。部活動の地域連携、地域移行が進められるよう、全ての区市町村から進捗状況等の聞き取りを行い、取組状況に応じた支援を行ったとのことで、きめ細やかな対応がなされていることが分かりました。
 部活動の地域連携に関して、地域の有益な人材を部活動指導員として活用していくこととなります。教員不足も深刻な中、部活動指導員や外部指導者の確保に向けた取組について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、公立中学校等が部活動指導員や外部指導者を確保できるよう、令和五年度から関係機関との連携を進めております。具体的には、複数の大学への訪問や、地域のスポーツ団体が開催する研修会等で、部活動の指導が可能な学生や地域人材が東京都教育支援機構、TEPROの人材バンクへ登録するよう働きかけを行っております。

○こまざき委員 様々な機会を捉えて、部活動の指導が可能な人材に対し、TEPROの人材バンクへの登録を促しているとのことでした。
 都教育委員会は、昨年度から、都立中学校の一部の部活動の地域移行を検証する実証事業をTEPROに委託し、実施していると仄聞しています。そこで、実証事業の成果と課題について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、令和五年度に全都立中学校等十校におきまして、各校一部活動を対象に、休日の運営をTEPROに委託し、地域クラブ活動として試行実施いたしました。
 その結果、専門的な指導者の配置により活動が充実するとともに、教員の休日出勤等の負担を減らすことができました。
 また、部活動の地域移行について、生徒や保護者、教員への理解啓発が必要なこと、教職員が関わらない形での施設管理が課題であることが確認できました。

○こまざき委員 休日の部活動において試行的に運営をTEPROに委託し、教員の負担軽減につながったとのことです。すばらしい成果だと思います。
 実証事業の成果と課題について、区市町村等に発信をしていくことが重要であると考えますが、都教育委員会の取組について伺います。

○市川指導推進担当部長 都立中学校等における実証事業の成果や課題につきましては、令和五年度から区市町村等に対して定期的に配布しております部活動改革ニュースレターで紹介するとともに、区市町村の担当者を対象とした連絡会等において説明しております。

○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。スムーズな地域移行がかなうよう、今後も実証事業の成果と課題について、区市町村との密な情報共有、そして検証をお願いいたします。
 さて、今後の地域移行に関しては、地域のスポーツ、文化芸術団体や民間事業者等が受皿になっていくことが予想されます。地域のスポーツ、文化芸術団体や民間事業者等が受皿となることにより、教員の負担軽減だけでなく指導自体の専門性も増し、子供たちの技能向上に寄与するものと思います。
 一方で、部活動が地域に移行していくと、保護者の経済的負担が増えるのではないかと不安を感じている保護者もいます。スポーツ庁と文化庁では、令和六年八月に部活動改革に関する実行会議を設置し、地域クラブ活動へ移行した後の費用負担や経済的に困窮するご家庭の生徒の参加費用負担への支援についても協議が行われていると仄聞しています。
 今後、国の動向を踏まえ、全ての生徒が希望する地域クラブ活動に参加できるよう、支援の方法について検討していく必要があると考えます。
 これらにご留意いただきながら、今後さらに教員の働き方改革が進むよう、部活動の地域連携、地域移行に引き続き取り組んでいただくことを要望して、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、私からはまず初めに、使える英語の教育推進について伺ってまいりたいというふうに思います。
 かつて大学生だった私の子供は、福島県にある英語村のような施設において、数日間英語しか使わない生活の中で、日々缶詰めになって英語を学んで、短期間のうちに英語力が上達して帰ってきました。それは本人も、また親としても、とても楽しみでありました。
 娘は、東京にもそんな施設があったら、たくさんの子供たちが英語を楽しく学べて上達するよと話しておりました。
 その話をヒントに、私は二〇一五年第一回定例会一般質問以来、重ねて東京都版英語村の創設と充実を求めてまいりました。
 それは、子供の目線から見て魅力的な施設であり、教育内容も充実したものとなるよう、また児童生徒が誰でも利用しやすいよう、そして繰り返し学びに行けるよう、また料金設定なども十分に配慮したものとすべきと提案をしてまいりました。
 そして、英語教育を充実させ、使える英語を身につけて世界に羽ばたく人材の育成を目指し、いよいよ平成三十年九月に江東区青海にTOKYO GLOBAL GATEWAYが開設をされました。また、その利用者からの声は大変に好評で、繰り返し利用したいといった声の一方、多摩地域の方々からは、もっと身近な地域に英語村を設置してほしいなどの声も届きました。そして、要望に応え、立川市にもTOKYO GLOBAL GATEWAYが設置をされました。
 そこで、TOKYO GLOBAL GATEWAYの令和五年度の利用状況と成果を伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 体験型英語学習施設であるTOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGは、江東区と立川市にそれぞれ施設がございまして、開業以降、令和五年度末までに二施設合計で延べ約五千六百校、五十一万人の児童生徒が来館しております。利用者数はコロナ禍で一時減少したものの、その後、増加しまして、令和五年度には五月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが五類に移行したことや、立川市のTGGが初めて通年で開館したことから、過去最多となる約千六百校、十五万人の児童生徒が利用いたしました。
 利用した学校からは、TGGでの体験を通じて、内容が分からなくても知っている表現から推測したり、間違いがあっても何とか伝えようとする姿勢で英語のやり取りを楽しもうとする生徒が増えたといった声が聞かれるなど、生徒の英語学習へのモチベーションを高めるきっかけとなっております。

○伊藤委員 英語教育を充実させ、使える英語を身につけ、国際都市東京を支え、世界に羽ばたく人材の育成、これは東京の喫緊の課題であります。
 TGGは、日常から離れ、海外をイメージしてつくられたまち並みで、いつもと違う環境の中でグローバルな世界を存分に体験することができ、全館で英語が飛び交う海外さながらの環境で、英語で様々な体験を通して、英語を使ってコミュニケーションが取れる英語実践の場となっております。
 そこで私はさらに、例えばイングリッシュキャンプのような取組も開催するなど、落ち着いた環境の中で外国語を着実に学べる教育環境の整備を進めるべきと提案をし、都は令和五年度からTGGを利用したサマーキャンプを開始したということでございます。
 そこで、そのサマーキャンプの内容と概要について伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会では、都立高校生を対象に、TGGを活用した一泊二日のサマーキャンプを令和五年度、新たに実施いたしました。
 本事業は、海外に行かなくとも、二日間、英語を集中して学ぶことにより、生徒が英語のコミュニケーションに慣れ、使える英語力を身につけることを目的として実施しております。
 プログラムは、生徒が海外で英語を使うことが必要な場面を疑似体験できるよう、飛行機の機内やホテルなどでの英語のやり取りに加え、SDGsなどについて英語で学び発表を行う内容といたしました。
 また、宿泊施設では、食事の場面などでも英語で話すよう工夫し、生徒が英語漬けの二日間を体験できるものといたしました。

○伊藤委員 ご答弁いただいたこのサマーキャンプでありますけど、概要をちょっと私も見させていただいたらば、このTGGに入るところから、まず飛行機のセッティングの施設があって、そこでCAさんとのやり取りだとか学んだりとか、ホテルのチェックインの仕方だとか、そんなことも英語でやり取りをしたりとか、あるいはまた食事を取る際にも英語でお互いに会話をしたりとかいうこともできるということで、答弁を聞いているだけで、概要を見るだけでも本当にわくわくするような内容であります。
 このサマーキャンプの実績とその成果について伺いたいと思います。

○信岡グローバル人材育成部長 令和五年度は、当初三回で計百二十人の参加者を募集したところ、定員を大幅に超える申込みがございましたため、規模を拡大して、八月に六回実施し、合計二百六十四人の生徒がサマーキャンプに参加いたしました。
 参加後のアンケートでは、九九%の生徒がサマーキャンプに対して満足と回答したほか、九割以上の生徒が間違いを気にせずに英語で話してみようとした、英語の各種検定を受けてみたいと回答いたしました。
 また、様々な文化的背景を持つ外国人スタッフと直接交流することで、外国の多様な文化への理解を深めるとともに、積極的に英語で会話しようとする姿勢が見られるようになるなど、本プログラムを通じて生徒の英語学習への意欲が向上するなどの効果がありました。

○伊藤委員 大変な人気のある魅力的な事業であったということがよく分かりました。ぜひ今後はさらに参加定員も拡充していただいて、発展していっていただきたいというふうに思います。
 また、新たに教育長になられた坂本教育長にもぜひTGG、訪問していただいて、見ていただきたい、このように思います。
 続きまして、フリースクールと連携した不登校の子供の支援について伺ってまいりたいと思います。
 昨年の秋、文部科学省が公表した問題行動、不登校調査によると、令和四年度の全国の小中学校における不登校児童生徒数は二十九万九千四十八人ということで、前年度から五万四千百八人、二二・一%増加をして、過去最高となったということであります。
 また、都内の公立小中学校においても不登校児童生徒数は過去最高であり、十年連続で増加しており、とりわけ中学生は小学生の二倍近い不登校者数となっております。
 学校に行けないことは子供本人が不安と苦しさを感じ、保護者も戸惑いを抱えながら子育てをしているというふうに思います。こうした親子が孤立することがないように、SOSを見逃さず、これまで以上に心に寄り添った取組が重要であります。
 都はこれまで、都議会公明党の要請に応え、冊子、不登校の子供たちへの支援のポイントを作成、発信をしたり、不登校児童生徒を支援するフリースクール等と学校が連携した支援を行えるよう、協議会を開催したりしてきました。
 また、令和四年度からは、フリースクール等に通う不登校児童生徒の支援ニーズを把握するための調査研究を実施し、令和五年度は協力金を月額二万円に増額して、より多くの保護者から協力を得られるように取り組んできました。保護者からは、大変に助かるとの声が届いておりました。
 そこで、この調査研究の目的、令和五年度の調査協力の件数、予算額及び執行額について伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、令和四年度から二年間、フリースクールに通う子供の実態や支援ニーズ等を把握するために、調査研究を行いました。
 令和五年度の調査協力件数は千二百八十二件であり、予算額二億四千万円に対して、執行額は二億一千三百五十八万円でありました。

○伊藤委員 令和五年度末には、都教委において令和五年度のフリースクール調査研究について中間の報告が示され、フリースクールは柔軟性、多様性を重視した取組を行う必要があることなどが明らかにされました。
 さらに、令和六年八月の最終報告では、保護者と教員が連携した未然防止、早期支援の大切さも示されました。
 これらの調査結果を踏まえて、令和六年度に子供政策連携室や生活文化スポーツ局がフリースクールの利用者支援などを開始したことは、フリースクールに通う子供たち、子供の保護者から喜びの声が数多く届けられており、この都教委が行った調査研究がベースになっていることを高く評価をしたいというふうに思います。
 私も、この支援を受けたご家庭を直接、ご家庭を訪問して、お母様からそのお話を聞いてまいりましたけど、本当にありがたい、助かるというお話を伺ってまいりました。今まで本当に不安の中で、どうしようどうしようといって過ごしてきたけれども、本当にお金だけではなくて、こういうふうに支援をしてくれると、目を向けてくださるということが本当にありがたいというお言葉を聞いてまいりました。
 また、都議会公明党は、不登校児童生徒を支援するフリースクール等と学校が連携した支援が非常に大事であるということを指摘したことを踏まえて、都教委は令和二年度から学校とフリースクール等の協議会を開催し、不登校の子供の多様な学びの場での支援の在り方を検討しております。
 この協議会について、令和五年度における参加者数と成果、その成果をどのように生かしているのか伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和五年度に二回実施したフリースクール等協議会において、区市町村教育委員会、学校の不登校担当教員、フリースクールの職員等の参加者数は延べ五百八十三人であります。
 本協議会では、参加した教員から、フリースクールにおける子供の学びの様子を把握し、その努力を評価していこうと考えるようになった、またフリースクールの職員からは、学校、教育支援センター、フリースクール、それぞれが不登校の子供の状況に応じて社会的自立に向けた支援をしていることが分かったなどの声が上がるなど、関係者相互の理解が深まりました。
 これらの声を踏まえ、分科会での協議の充実を図り、各施設間での連携を一層強化することといたしました。

○伊藤委員 令和四年度の不登校者数は、小中高校とも令和三年度と比べ、それぞれ増加しているため、不登校や高校の中退、中途退学対策はとても重要な施策でございます。
 この施策には、令和五年度から開始した、校内の別室に支援員を配置する事業が含まれており、教育委員会や学校からは、とても効果的な取組であるという声も聞いております。
 そこで、令和五年度の小中学校の校内の別室に支援員を配置する事業の成果と執行について伺いたいと思います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、学校内の別室であれば登校できる子供への対応を充実できるよう、校内別室指導支援員を配置する事業を実施いたしました。令和五年度については、計画どおり小中学校二百九校に配置することができ、各学校では子供たちが通いやすく、相談しやすい日にちや時間に集中して支援員を配置するなどの運営を工夫することにより、事業の効率的な執行も見られ、決算額は約二億六千万円でありました。

○伊藤委員 令和五年度から開始した事業でありまして、区市町村教育委員会も各学校の状況を踏まえて、二年間の事業期間後の自地区での運営も考慮して、校内別室指導員の配置の仕方を工夫した結果、執行率が四割程度になったということも分かりました。
 今後、令和六年度以降についても、校内別室を利用する子供への支援をさらに充実させていただくことを期待しております。
 次に、いじめ総合対策推進事業について伺ってまいりたいと思います。
 先ほど述べたとおり、文部科学省は問題行動、不登校等調査を実施しており、その中には、不登校だけではなくて、いじめの調査も行っております。この調査結果では、都内の公立学校のいじめの認知件数が増加していることが示されております。
 都教育委員会は、各学校におけるいじめ対策を一層強化するために、いじめ総合対策推進事業を実施しておりますけれども、その事業の取組と成果について伺いたいと思います。

○市川指導推進担当部長 いじめ総合対策推進事業は、いじめの問題を早期に発見、解消し、深刻化させないことを目指し、主に生活指導やいじめ対応に関して豊富な経験と高い専門性を有する教育管理職経験者等を学校に配置するものでございまして、令和五年度は四校でその効果を検証いたしました。
 実施校においては、対応が必要な児童生徒の効果的な指導の在り方等を教員が理解することで、個々の教員や学校の対応力が向上するなどの成果がございました。
 都教育委員会は、これらの実施校での取組の内容を区市町村教育委員会と都立学校に提供し、共有いたしました。

○伊藤委員 本事業の成果が表れているということはよく分かりました。
 本事業については、令和六年度、当初計画を上回る応募があったというふうに聞いております。これは令和五年度の取組の成果をしっかり広めていただいた結果だというふうに思います。こうした事業がより効果を上げていくためには、経験豊富な人材の発掘も重要だと考えます。今後の都教委の取組を期待しております。
 都は、チルドレンファーストの政策を各局連携してバージョンアップを目指すとしております。都教委は引き続き、不登校の児童生徒がフリースクールなどの多様な学びの場をよりどころとすることができるよう、そして子供や家族が孤立することがないよう、支援を継続、拡充していただきたいと要望しておきたいと思います。
 また、いじめの問題を早期に対応し、深刻化させないようにして、全ての子供が将来への希望を持てるようにしていただくことを要望しておきたいと思います。
 続いて、教育庁における障害者雇用の取組について伺ってまいりたいと思います。
 都議会公明党の提案に応え、都教委においては、全ての障害種別の方々を対象に、一般就労として雇用する教育庁サポートオフィスを開設するなど、これまでの障害者雇用の取組を進めておられます。
 一方で、教育委員会における法定雇用率は、本年四月から〇・二%引き上がりまして、二・七%に引き上がっており、障害者雇用のさらなる推進が求められているところであります。
 そこで、令和五年度の都教委における障害者雇用の取組と雇用の状況について伺いたいと思います。

○岩野総務部長 都教育委員会では、障害者一人一人が自らの特性等に応じて仕事を選択できるよう、一般就労に向けた支援を目的とするチャレンジ雇用をはじめ、継続的な雇用を目的とする教育庁サポートオフィスの開設や、都立学校などの業務に従事するスクール・チャレンジド・プロジェクトといった障害者雇用の取組を進めております。
 障害者活躍推進計画に基づいて、毎年度計画的に障害のある会計年度任用職員の採用を進めるとともに、令和五年度には会計年度任用職員から常勤職員へステップアップするための採用選考の対象を広げ、障害者雇用を推進してきました。
 都教育委員会における障害者雇用の状況につきましては、令和四年六月一日時点で障害者数九百四・五人、雇用率一・八四%であったところ、令和五年六月一日時点では、障害者数九百六十五・五人、雇用率一・九五%に増加いたしました。
 引き続き、法定雇用率の達成に向けて、障害者雇用の推進に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ぜひ教育委員会の目標である二・七%、これを目指して今後も頑張っていただきたいというふうに思います。
 教員免許状を取得している障害者の割合が全国的に極めて少なく、都教育委員会におきましても職員数の九割以上を教員が占めており、障害者雇用率に大きく影響していることは間違いないというふうに思います。
 法定雇用率の達成に向けた状況は大変に厳しい状況でありますけれども、障害者一人一人が能力を有効に発揮できる雇用の場を確保し、障害のある教職員のさらなる活躍を推進するため、これまでの取組をより積極的に進めていただくことをお願いしておきたいと思います。
 最後に、給食の調理室への冷房化について伺ってまいりたいと思います。
 都議会公明党は平成三十年第三回都議会定例会において、食品衛生の観点から、窓を開けることもままならない調理室への空調整備の推進を要請いたしました。これは、ある給食調理員の方からお声を寄せていただいて、窓を開けてしまうと虫が混入してしまうということで衛生管理上非常に難しい、開けられないということも、事情も聞かせていただきました。
 こうした、この要請、我が党の提案を受けて、都教委は平成三十一年度から給食の調理室に空調を整備する区市町村を支援しております。
 令和二年度、国が実施した調査では、令和二年九月一日現在、都内の公立学校における単独調理を行っている学校における調理室の冷房設置率は八三%、共同調理場等の調理室の冷房設置率は七四・五%でありました。
 そこで、改めて、調理室への冷房化について都教委の見解と、都内公立学校における給食調理室及び共同調理場の調理室への冷房の直近の設置状況について伺いたいと思います。

○山本地域教育支援部長 調理室に冷房を設置し、安全で安心な給食を提供することにより、良好な教育環境を早期実現することは重要でございます。このため、都教育委員会は、区市町村が時期を逸することなく暑さ対策を講じられるよう、平成三十一年度から給食の調理室を、特別教室の空調設備に係る都独自の補助制度に加えまして、支援の対象としてまいりました。
 国の令和六年九月一日現在の調査によれば、都内公立学校における単独調理場の調理室の冷房設置率は九五・三%、共同調理場等の調理室の冷房設置率は八一・一%でございます。

○伊藤委員 単独調理の学校も、共同調理場も、それぞれ設置率が伸びていると、また着実に空調整備が進んでいるということは分かりました。我が会派が提案をし、導入された東京都の調理室への空調設置に対する支援が有効であるというふうに考えます。
 今答弁がありましたけれども、やっぱり給食調理室であります。子供たちの給食をつくるに当たって、火も使うでしょうし、様々な熱も発生するわけで、閉め切った給食調理室の中で作業をしていただくというのは大変に苛酷な労働環境ではないかというふうに思います。
 一〇〇%をあくまでも目指して、早急にこれは改善を図るべきだというふうに強く要請しておきたいと思います。ぜひとも、引き続き区市町村と連携を図りながら、都教委としてしっかりと取り組んでいただきたいことを求め、質問を終わります。

○原委員 日本共産党の原のり子です。よろしくお願いいたします。三つのテーマで質問します。順番は、放課後等デイサービスと学校の連携についてをまず最初に伺って、その後、小中学校でのエアコン設置について伺い、最後に図書館、公立図書館について伺います。よろしくお願いします。
 最初に、放課後等デイサービスと学校の連携についてです。
 放課後等デイサービスは、障害を持つ子供たちの学童保育です。学校から、ただいまと帰る第二の家であり、また長期休みも支えています。子供たちにとって、家庭、学校、放課後等デイサービス、それぞれが成長していく上で、どれも欠かすことのできない大切な場といえます。それだけに連携がとても重要だと思います。
 まず、昨年度、都内の特別支援学校、特別支援学級に在籍している人数は何人で、そのうち放課後等デイサービスを利用している人数は何人いると把握をしているか伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 東京都では、毎年統計を取っている令和五年度公立学校統計調査報告書において既に公表しておりますとおり、令和五年度東京都公立特別支援学校に在籍する幼児、児童生徒数は一万三千九百七十八人、東京都公立小中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数は一万三千九百九十八人でございます。
 放課後等デイサービスにつきましては、学校に直接迎えに来る事業者ばかりではないことなどから、都教育委員会では利用している人数を把握することはできません。

○原委員 学校では、少なくとも直接学校に迎えに来る事業者の数と、何人の子供たちが通っているかは把握をされていると思われます。これは連携していく上では基本だと思っていまして、全体の人数のうちどのぐらいの子供が放デイを利用しているのか、各学校が把握をしているのか、都教委が全体を把握してしかるべきと私は思います。
 今年の四月二十五日付で、こども家庭庁、文科省、厚労省の連名で、地域における教育と福祉の一層の連携等の推進についてと題する通知が発出をされています。これは学校や区市町村に既に送られているというふうに思いますけれども、教育と福祉の連携については、既に二〇一八年五月二十四日付で文科省と厚労省連名の教育と福祉の一層の連携等の推進についてと題する通知が各都道府県等に発出をされています。
 先ほどいった四月二十五日の通知も、この二〇一八年の通知に基づいて取組を一層進めるようにという位置づけになっていますので、この二〇一八年の通知というのは非常に大事だと思います。
 昨年度までは、この二〇一八年の通知に基づいて教育と福祉の連携の努力がされてきたと思われますが、この通知については各特別支援学校、区市町村には送られているのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校及び区市町村教育委員会に対しまして通知を行ってございます。

○原委員 この二〇一八年の通知では、教育と福祉の連携について、こういうふうに書かれています。相互理解の促進や保護者も含めた情報共有の必要性が指摘されているところであり、各地方自治体において教育委員会や福祉部局の主導の下、支援が必要な子供や保護者が乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目ない支援が受けられる支援体制の整備が求められていると述べられています。
 この通知も受けて、都教委としては、学校と放課後等デイサービスが連携する大事さについて、どのように捉えていますか。

○中西特別支援教育推進担当部長 教育と福祉の連携につきましては、その内容に応じて進めることが重要であると考えてございます。

○原委員 通知に基づいて学校と放デイが連携する大事さについてどう捉えていますかと聞いたんですけれども、内容に応じて進めることが重要、これはどういう意味なんでしょうか、教えてください。
 あわせて、連携の重要性について認識をされているのかどうか伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 支援が必要な子供や、その保護者の個々のケースに応じ、その内容は異なりますけれども、いずれにいたしましても、教育と福祉の連携については、その内容に応じて進めることが重要であると考えてございます。

○原委員 その内容に応じて進めること、連携は重要だということだと受け止めますが、この通知は発達障害者支援法一部改正を踏まえて、連携の強化が一層重視をされるということで出されているんですよね。具体的にこの通知では、連携の強化のための方策を示しています。かなり具体的な通知になっていたんです。これに沿ってこれまでどういう努力をされてきたかということを、この時点において検証していくことが私は大事だと思っています。
 この通知で指摘をされていることについての都としての取組を確認したいと思うのですが、まず一つ目として、教育委員会と福祉部局、学校と放デイなどとの関係構築の場を設置するということがこの通知の中には書かれていますが、これについてはいかがですか。

○中西特別支援教育推進担当部長 放課後等デイサービスは、各家庭が個々の事業者との契約に基づき利用するものでございますが、都立特別支援学校では事業者に対する学校説明会の開催などにより関係構築の場を設けてございます。

○原委員 恐らく各学校でそれぞれ工夫してやられていることなどもあると思うんですけれども、学校説明会の開催ということですけれども、これどういうことかということを説明していただきたいのと、あとその関係構築をしていくための継続して連携する場はつくられていないのかどうか伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 先ほどご答弁申し上げました説明会とは、事業者に対し学校への理解を深めるために行っている説明の機会でございます。継続してということでございますが、個々学校の必要に応じて対応しているものと認識しております。

○原委員 確かに、恐らくそれぞれの学校で、それぞれ工夫してやられている面もあるというふうに思います。やっぱり関係構築していくためには継続が非常に重要ですので、どのように各学校が継続しながら関係構築の場を続けているのか、そこはぜひ調査をしていただきたい、聞き取りをしていただきたいと思います。
 また、事業者に対する学校説明会というのも、これを一回やれば、それで関係構築になるのかといったら、そうではないと思いますので、その内容なども確認をしていただきたいと思います。
 それでは、通知で具体策として書かれている二つ目として、学校の教職員等への障害のある子供に係る福祉制度の周知、これをやっていくことが大事と位置づけられていますが、それはどのようになされていますか。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、障害のある子供に係る福祉制度につきまして、校長会等において周知を図ってございます。

○原委員 この通知の中には、例としてこういうふうに書かれています。小中学校から放デイへの送迎時において、放デイについての教職員の理解が深まっていないために、対象児童生徒の学校における様子などの情報提供をはじめとする学校の協力が得られにくいことがあると具体的に書かれているんです。
 教職員の放デイへの理解を深める機会をこれまで都教委ではどのように設けてきたのでしょうか。昨年度含めて伺います。

○中西特別支援教育推進担当部長 例えば都立特別支援学校において、地域の福祉部局関係者等を講師とした研修の実施や、福祉制度関連の資料配布などの事例を紹介してございます。

○原委員 そういうことをやっている学校もあるということですよね、恐らく。
 それで先ほどの、その前のご答弁で、校長会等で周知をしているというお話でしたけれども、その校長会で周知をするのも、どのぐらいの頻度でやられているかというのは分かりませんけれども、やっぱり教職員全体が理解を深めるために機会を設けていくということが本当に必要だと思いますので、そこは各学校どのように取り組まれているか、ぜひ都教委でも把握をして、好事例は紹介をしながら広げていただきたい。そのことは求めておきたいと思うんです。
 通知の中の具体策としての三つ目ですけれども、三つ目として学校と放デイにおいてお互いの活動内容や課題、担当者の連絡先の共有、これは実施はされていますか。

○中西特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校では、放課後等デイサービス事業者との間で連絡会を開催するなどの連携を行ってございます。

○原委員 これは連絡会を開催するなどの連携をしているということなんです。ちょっと先ほどの答弁と、また少し違うなと思いながらも、ただ、学校ごとに恐らくこれも違うということだと思います。そこはどこの学校でも連携できるような、そういう連絡会を開催していくということが必要なんじゃないかと思います。
 それで、これについても通知ではこういうふうに書かれています。
 学校と放デイにおいて、お互いの活動内容や課題、担当者の連絡先などが共有されていない等により、両者の円滑なコミュニケーションが図れず連携ができていないと、かなり具体的な指摘がされていますが、これ自身は改善をされたということでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 都教育委員会といたしましては、通知の趣旨に基づいて学校に通知いたしまして、その趣旨は理解されているものと認識してございます。

○原委員 ちょっと直接のお答えじゃない感じはしましたけれども、ここがとても大事なところで、実際にこの間コロナ禍の下で、学校での感染などの状況が分からなくて、放デイで対応がかなり苦労した、不安だった、こういう声もあったんです。学校と本当に小まめに連携が取れて、よく情報を把握することができれば、対策を取りやすいという声もあったんです。
 それで、もうちょっと具体的に聞きますけれども、学校で何かアクシデントのようなこと、子供の変化があった場合、学校から放課後等デイサービスにはどのように伝えているんでしょうか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒に体調不良などが起きた場合、学校は保護者に連絡し、保護者が事業者と連絡を取り合っております。

○原委員 もう一つ、ちょっと伺いますけれども、子供の様子について放課後等デイサービスから学校に緊急に問合せが必要な場合、すぐに可能な仕組みになっていますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 放課後等デイサービスからの問合せがあった際には、学校は保護者に連絡をしております。

○原委員 ちょっと二つの要素を一遍に聞いてしまったんですけれども、例えば学校で何か変化があった場合、子供さんがちょっと今日は熱などがあるわけではないけれども元気がないよと、そういうようなことがあったときに、学校側からは放課後等デイサービスの車に、送迎の車に乗る前に直接そのことを伝えたり、そういうことというのはやられていますか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 児童生徒の体調が優れない様子が見られる際には、学校はその段階で保護者に連絡し、保護者が事業者と連絡を取り合っております。

○原委員 そうしますと、例えば学校から放課後等デイサービスに子供さんが来られて、そのときは元気だったけれども、放課後等デイサービスに来てみたら、ちょっと元気がないと、何かあったのかなと、学校でもしかしたらトラブルがあったのかなと思ったときに、放課後等デイサービスから学校に問合せをする。そのときには学校としてはそれには答える、そういう体制にはなっているんですか。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 放課後等デイサービスは、各家庭が個々の事業者との契約に基づき利用するものでありますので、学校は保護者と連絡を取ることとしております。

○原委員 保護者と連絡を取り合うこと、もちろん大事だと私も思っているんですけれども、ただ、日頃から連携を放課後等デイサービスと学校の間で強めていって、保護者にも直接、学校と放デイでこういう場合は連絡を取り合うことがありますよということで、保護者も承諾をしているという状態にきちんとしておいて、それで子供の変化などにすぐに対応できるようにするということは可能なんじゃないかと思うんです。
 これについては、学校と放課後等デイサービスの連携について、全国で先進的な取組が成果報告書という形で出されていて、それを読みますと学校と放課後等デイサービスの間で連絡シートをつくって日常的に情報共有するとか、また、ある地域では学校が放課後等デイサービスを利用していない子供についても、じゃあどのような放課後を過ごしているのかなということを把握するようにしている、そういう地域もあったり、それから放課後等デイサービスでの子供たちの様子や実践を学校の先生たちと一緒に学ぶ場を設けるなどの事例も紹介されていたんです。
 ですから、先ほどいったような、何かあったら放課後等デイサービスからも学校に連絡して、様子はどうですかということが聞いたりできる、そういう関係をつくっている、そういう事例もあるんです。
 ですので、私は今回、最初にも述べたように、四月に出された通知というのは、文科省、こども家庭庁、厚労省連名で出されていますけれども、教育と福祉の連携のより一層の強化を求めている内容になっていますので、改めて、都としても努力を求めたいと思うんです。
 やっぱり子供は学校だけで育つとか、家庭だけで育つ、放デイだけで育つというわけではなくて、全ての場面で子供が成長していくので、その場面を本当にお互い連携をしながら、子供の成長を支えていくという点で、ぜひ努力をお願いしたいと思います。
 また、連携していくには学校と放課後等デイサービスの事業者がコミュニケーションや相互理解が図れるだけのゆとりが必要だと思うんです。その条件をつくるために都教委の役割は非常に大きいと思っていますので、理解促進に加え、人的配置やスペースの確保なども含めて、役割を発揮していただけるように要望しておきたいと思います。
 次に質問を移ります。小中学校でのエアコン設置について伺います。
 先ほど来、エアコン設置の質問もございましたので、重複をなるべく避けて聞きますけれども、ちょっと確認の意味で私も質問をするところがありますので、よろしくお願いいたします。
 今年の夏も大変な猛暑、酷暑でした。それも一時期だけではなくて十月に入ってからも、もう本当に三十度を超えるような日があったり、大変な状況になっています。学校へのエアコン設置は、ますます進めなければならないと実感をしています。
 昨年度の都内公立小中学校における体育館、また特別教室のエアコン設置の状況については先ほどご答弁がありましたので省略をいたしますが、資料を出していただきまして、今年の九月時点では、体育館等が八八・三%、特別教室が九三・四%ということになっているわけです。今年度末の設置見込みも含めると、体育館等で九二・三%、特別教室が九三・六%ということだと思います。
 それで、体育館等々、特別教室へのエアコン設置について、先ほどもご答弁あったかもしれませんけれども、ちょっと確認の意味でもう一度聞きますが、二十三区と多摩地域それぞれの昨年度時点での設置率を伺います。

○山本地域教育支援部長 令和五年四月一日現在の設置率は、区部は体育館等が九三・三%、特別教室が九五・五%、多摩地域の市町村は体育館等が六九・八%、特別教室が八七・四%でございます。

○原委員 やはり多摩地域が低いわけです。自治体の財政力に左右されず、全ての学校で設置されるようにするためには、補助の継続、拡充が求められていると思います。
 二〇一八年七月に都立高校の体育館で授業を受けていた生徒二十五人が熱中症になり、救急車などで病院に搬送しなければならない生徒もいて、大きな問題になりました。その後、エアコン補助は徐々に充実をし、設置も進んできていますけれども、エアコンが設置された小学校の体育館で、夏休み前の終業式で熱中症になった子供さんがいました。保護者からも大変心配の声も寄せられました。
 やはりこういう事例を聞きますと、断熱対策が必要ではないかと思いましたが、断熱に対する支援はこれまで実施してきていると思いますけれども、改めて内容を伺います。

○山本地域教育支援部長 体育館のリースによる空調設置に伴い、断熱性を確保するための工事につきましては、早期に良好な教育環境等が確保されるよう区市町村を支援しております。体育館に係る断熱性を向上するための改修につきましては、区市町村が国の補助制度を活用し、整備が進められるよう支援をしております。

○原委員 やはり断熱対策も非常に重要だと思いますので、ぜひ活用して進めてもらえるように周知を改めてしていただきたいというふうに思いますが、先ほどご質問、ほかの委員の方のご質問にもありましたけれども、特別教室の補助の中に給食調理室も対象になっているわけですけれども、現在、都内公立学校での給食調理室へのエアコン設置状況についても改めて伺います。

○山本地域教育支援部長 国の調査によれば、令和六年九月一日現在、都内公立学校における単独調理場の冷房の設置数は九五・三%、共同調理場等の冷房の設置率は八一・一%でございます。

○原委員 都としては、二〇一九年度から給食調理室も特別教室の補助を行えるようにということになっているわけですけれども、改めて伺いますけれども、給食調理室へのエアコン設置の必要性について、都教委としてはどのような見解ですか。

○山本地域教育支援部長 調理室に冷房を設置して、安全で安心な給食を提供することにより、良好な教育環境を早期に実現することは重要でございます。

○原委員 私は先日、文科省の担当者の方に、学校へのエアコン設置について聞き取りをさせてもらい、要請もしてきたんですけれども、そのときに、調理室にエアコンがないという場合の問題点を意見交換させてもらったんですが、やはり温度管理が重要だというふうにおっしゃっていました。
 先ほど部長の答弁にもありましたように、安全で安心な給食の提供という観点から、エアコン設置を進めることは非常に重要だと思います。この調理室へのエアコン設置状況の国の表を見ますと、多くがかなり今設置されてきているように見えるんですけれども、実はスポットクーラーを置いているという場合でもエアコンは設置をされているとカウントされているんです。
 いろいろ自治体の調査などをしていきますと、スポットクーラーの場合、ピンポイントなんですよね。調理をしている、その方に冷風は当たっても部屋全体の温度を下げられないということが調理現場では指摘をされているんです。
 安全で安心な給食の提供のためには、やはりエアコン設置、きちんとしたエアコン設置や断熱の対応がどうしても必要だというふうに思いました。補助の継続と拡充を強く求めておきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移ります。最後に、公立図書館について伺います。
 公立図書館は、乳幼児から大人まで全ての人にとって本と出会い、知識や情報などを無料で得られるとても大切な知的インフラです。市民一人一人が豊かな人生を送っていくために欠かすことのできない文化、教育の公共財産です。
 まず都内の公立図書館について、昨年度と五年前の図書館数、蔵書数、貸出数、司書数について伺います。

○山本地域教育支援部長 都の調査では、令和五年度の図書館数は三百九十二館、蔵書数は五千百十三万九千四百七十九点、貸出数は一億三百八十二万三千八十点、司書数は千七百八十八人でございます。
 また、平成三十年度の図書館数は三百九十一館、蔵書数は四千九百九十六万二百五十八点、貸出数は一億一千百五十万六千七百十四点、司書数は千九百二十人でございます。

○原委員 五年間の状況をお話しいただいたんですけれども、この五年間の間に新設された図書館もありますけれども、その理由などは把握をされているでしょうか。

○山本地域教育支援部長 区市町村立図書館につきましては、各自治体の判断において設置するものでございます。

○原委員 それぞれの判断だということは、それはそのとおりかなと思いますが、都立図書館のホームページに掲載されている大変詳しい資料、データがあって、それを見ますと、今の時点で出ている資料で一番古いのが二〇一六年度だと思うんですけれども、このときと比べると、図書館は現時点で六館増えていると、東京ではそういう状況になっていると思います。
 では、一方で廃止をしている図書館は、この五年間で見た場合、幾つありますか。

○山本地域教育支援部長 平成三十年度から令和五年までの間、四館が閉館いたしました。

○原委員 閉館、廃止もあるけれども、トータルでは、東京都全体としては増えているということなんだと思います。これは、詳しい分析というのは、それぞれ一つ一つ見ていかないと分からないところだと思いますけれども、そういうことだと分かりました。
 今、清瀬市では六つある地域図書館が二つになるという方針で進められているんです。ですので、減らしていく方向なので、東京都全体はどうなのかなというのもあって今聞いたんですけれども、この六つある地域図書館を二つにするということについては、身近にあってこその図書館であって、なくさないでほしいという市民の声も大きく上がっている状況になっています。
 その廃止する図書館の中には、子供図書館があるんです。子供に特化して、子供が主役の図書館なんです。この図書館までなくしてしまうのかと声が上がっています。
 これは元町こども図書館という図書館なんですけれども、これ今は公共施設の中にあって、この図書館のすぐ隣には子育て広場の部屋があって、赤ちゃんや小さいお子さんを連れたお母さんがたくさん来ているんです。来たい時間に来るということでたくさん来ていて、その帰りにこの図書館にも寄って、赤ちゃんの本などを選んだりしている、そういう環境にあります。
 また、とてもいいなと思ったのは、図書館のカウンターから子供が利用する子供用のおトイレが、その入り口がよく見えるんです。ですので、とっても安心な設計になっていて、本当にいい子供図書館だなと私もずっと思ってきました。
 この図書館をなくして、これを商業施設の中の図書館に移そうと、規模を縮小して組み込もうという計画なんですけれども、この商業施設の、おトイレでいえば、先ほどカウンターから子供が利用するトイレは見えるっていいましたけれども、この商業施設の図書館の場合はおトイレはもうずっと奥なんですよね。これでは心配だという声なども、本当にお母さんたち、お父さんたちからも出されているんです。
 子供の目線に立った、子供が安全に利用できる、子供が主人公になれる、こういう図書館というのは本当に貴重だし、大事にしていかなければいけないと私は思っているんです。
 それで、伺いたいんですけれども、都内の公立図書館で主に子供が利用しやすいように工夫している図書館は、どのようなものがありますか。

○山本地域教育支援部長 国が毎年実施している子供の読書活動優秀実践図書館の表彰によりますれば、大田区立図書館、立川市中央図書館及び瑞穂町図書館が受賞をしております。

○原委員 それぞれ特徴もあって、子供たちの目線も大事にしながら、また安全にも配慮されているということは、とても重要だと思います。
 図書館において、子供の図書について力を入れることの大事さを都としてはどのように位置づけて、また、これまで都立図書館では子供の図書の充実について、子供自身の意見をどのように聞いて進めてきたのか伺います。

○山本地域教育支援部長 読書は子供が主体的に学んで必要な情報を判断し、多様な人々と協働しながら問題を発見し、解決していくために必要な資質、能力を育むなどの役割を果たしております。
 また、都立図書館に関して、子供を含めた利用者からアンケート調査を実施し、意見を把握してまいりました。

○原委員 さらに今後は、東京都はこども基本条例もつくった中で、より子供たちの意見を聞いていただけるように要望しておきたいと思います。
 私は、この図書館を維持していくためには、老朽化などへの対応が本当に必要になってくると思っていまして、図書館施設の新設や改修、修繕などに対する都の支援が必要ではないかと思うんです。昨年度、そうした支援、また実績があるのかどうか伺います。

○山本地域教育支援部長 公立図書館の設置管理等は、法令に基づき各自治体や各教育委員会が行うものとされております。

○原委員 実際、支援はないということなんですよね。それで、改めて、区市町村の公立図書館の重要性について都としてどういう見解をお持ちか、また連携や支援はどのようなことを行ってきているのか伺います。

○山本地域教育支援部長 国の告示にもございますとおり、区市町村立図書館は、資料や情報の提供等の利用者及び住民に対する直接的なサービスの実施や地域の情報拠点等として、住民の要望や社会の要請に応えていると考えております。
 また、都道府県立図書館は、区市町村立図書館に対する円滑な運営のための援助に努めることなどが規定されておりまして、都では資料の貸出しや職員の研修を行っております。

○原委員 区市町村立図書館があってこそ、都立図書館の役割も大きく発揮できると思うんですよね。連携は、そういう意味でとても重要だと思っています。
 今、清瀬の例も出しましたけれども、区市町村立図書館を維持する、必要な地域に増やす、こういうことができるように工夫して、都としても支援を検討していくということが必要ではないかと私は考えます。そのことを強く要望しまして、質問を終わります。

○福島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後三時休憩

   午後三時十五分開議

○福島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中村委員 それでは、令和五年度の教育庁の決算について質問します。
 初めに、不登校対策について伺います。
 東京都の不登校の児童生徒は十年連続増加し、約二万七千人とのことです。対応が急がれます。
 東京都教育委員会は不登校対策を行っており、ちょうど昨日、困難を抱える生徒のためにチャレンジサポートプランを策定し、発表されました。様々な子供たちに多様な学びを提供するためにも、引き続き取組が必要です。
 不登校、中途退学対策は重要な課題ですが、昨年、執行率四一・六%と低くなっていました。その理由を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、不登校、中途退学対策として、校内の別室に支援員を配置する事業などを行いました。令和五年度については、計画どおり小中学校二百九校に配置する中で、支援員の配置を工夫することにより、事業の効率的な執行などが図られたものであります。

○中村委員 効率的な執行により、支援員を配置した学校数としては計画どおりとのことでした。配置の日数や時間は様々あるようですから、配置した後どのような相談があり、支援員の勤務日数や人数が適切か検討していただきたいと思います。子供たちの側から、いつでも駆け込めるような体制を取っておくことが大切なので、必要であれば、さらなる配置も検討を願います。
 さて、不登校の原因にはいろいろあり、友達や先生との人間関係、学習のつまずきなどもありますが、いじめも大きな原因になっています。不登校の原因の一つのいじめについても、いじめ総合対策推進事業の執行率が二三・〇%と低くなっています。その理由を伺います。

○市川指導推進担当部長 本事業では、いじめの問題を早期に発見、解消するため、高い専門性等を有する人材を都内公立学校四校に配置し、その効果を検証いたしました。
 実施校におきましては、教員の対応力の向上などの効果が生じました。

○中村委員 いじめの解決のため専門性を有する人材を配置するのはよいのですが、配置したのは僅か四校とのことでした。都内に数多く学校がある中でこれでは、ほんの一部への対応にしかすぎません。いじめについても、かつてのような直接的な暴力だけではなく、SNSによる見えないところでのいじめなど複雑化していますので、子供のSOSを敏感に感じ取り、寄り添っていける対応が必要です。もちろん、専門性のある人材だけではなく、担任の先生の対応能力向上がまず必要なので、研修などを含めて対応の強化をお願いします。
 さて、不登校の原因は様々で、その状況が続くと学齢期を超えてひきこもりの一つの要因にもつながり、長期化してしまうおそれもあります。なかなか見えにくい部分もある中、その原因を調査し、対策することが必要です。
 不登校の実態が分かりにくい中、決算年度もフリースクール等に通う不登校児童・生徒支援調査研究事業に予算が三億円つきましたが、研究の結果について伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、令和四年度から二年間、フリースクールに通う子供の実態や支援ニーズ等を把握するために、調査研究を行いました。
 中間の報告では、フリースクールは、柔軟で多様な活動を行う必要があることなどが明らかになりました。

○中村委員 調査としては大きな予算もかかりましたが、フリースクールに通う子供の実態を調べられたとのことです。既に今年度には、子供政策連携室がフリースクールに通う子供への支援などの施策を行っていますが、調査結果を生かし、他局とも連携しての対応を求めます。
 さて、小中学校で不登校の経験があったり、高校を中退した子供が学び直しする学校としては、都はチャレンジスクールを設置しています。先日、会派として都立世田谷泉高校を視察させていただきました。学校の受入れ体制や生徒の学ぶ様子を拝見いたしました。本来であれば、不登校にならないようにすることが大事だということが前提ですが、不登校になった子供のためのチャレンジスクールへのニーズが増えているため、入れない子供もいると聞きます。チャレンジスクールの倍率が高いということですが、入試の倍率を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 チャレンジスクール等の令和六年度入学者選抜における一学年相当の応募倍率は、一・三八倍でございます。

○中村委員 かなり高い倍率になっているので、希望しても入れない子がたくさんいるということになります。もちろん、ここに入れなくても、どこにも行けないわけではなく、夜間定時制など二次募集などの受皿もあるようです。とはいえ、せっかく学び直したいと決意した子供たちがそこでもつまずいてしまえば、その意欲がそがれかねません。できるだけ希望に沿うような体制の整備が必要です。
 そこで、チャレンジスクールの定員を増やす必要がありますが、見解を伺います。

○猪倉高校改革推進担当部長 都立高校におけるチャレンジサポートプランでは、チャレンジスクールについて多摩地域に一校新設するとともに、二校で規模拡大を図ることとしております。

○中村委員 昨日発表になったチャレンジサポートプランでは、定員枠の拡大が発表されました。さきの定例会で可決をした都立立川緑高校の新設や規模拡大によって定員増が図られますが、増え続けるニーズに対応することが重要です。引き続きチャレンジスクールの定員の拡充を求めます。
 とはいえ、夜間定時制に行きたいという子供もいるので、そのニーズにも対応する必要があります。プランの中で突然、夜間定時制を六校も募集停止にしたのは拙速だと思います。子供には様々な居場所があるので、効率だけでは図れないものがあります。既にプランは発表されましたが、改めて慎重な対応を求めます。
 さて、不登校など様々な困難を抱え、つまずいても、いつでもやり直せる、学び直しができるようにすることが重要です。不登校の生徒について、高校中退後も学びの支援をする必要があると考えますが、取組を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は教育相談センターにおいて、不登校等により高校を中途退学した生徒に対し、進路に関する面接を計画的に行い、都立高校への就学に向けた支援を行っております。
 また、各学校においても、中途退学した生徒の希望により個別の支援を行っております。

○中村委員 学び直したいと思ったときに、いつでも学び直せることが大切です。本来は生涯教育として一生涯いつでも学び直せることが大切ですが、せめて十八歳までの子供たちには手厚い支援が必要です。
 高校は義務教育ではないのですが、高校を中退して支援が途切れないよう、つながっていることが必要です。子供が来れば受け入れる体制はあるようですが、高校からもアプローチできる体制があることが望ましいと思います。
 さて、都立の高校だけではなく、市区町村立の小中学校段階でのつまずきへの対応についても、都が支援する必要があります。早い段階でやり直せれば立ち直りも早くなります。市区町村に設置をされている学びの多様化学校の実績を伺います。さらに設置を拡大する必要があると考えますが、見解を伺います。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都内の区市町村が設置する学びの多様化学校は、令和五年四月一日時点で、本校型、分教室型、合わせて五校でございます。
 区市町村が設置する学びの多様化学校は、各地区が設置の判断をするものでございます。

○中村委員 市区町村に五校設置されているとのことです。不登校の子供も通いやすいように支援教室の設置が多くされているようですが、いじめなどが原因で不登校になった場合には同じ学校には行けないという子供もいると思います。様々な状況に対する受皿が必要です。市区町村立学校なので、原則としてその自治体の子供に限られてしまうことから、今後も設置を希望する市区町村があれば積極的に支援することを求めます。
 不登校の子供への対応として様々質問しましたが、原因は多様ですし、求められる居場所の種類も様々です。一度つまずいてもいつでもやり直せる社会になるべく、特に人生の早い段階でつまずいた子供たちが早く立ち直れるよう、不登校対策のより一層の取組を求めます。
 次に、教員の人材不足について質問します。
 少子高齢化により、介護、保育など、人材不足がいわれますが、教育現場における人材不足も深刻です。教員試験への倍率の低下は質の低下も懸念されますが、それ以上に現実に必要な定数を満たさない状況になり、子供たちへの教育に影響が出ないよう、人材確保が急務です。
 そこで、教員不足がいわれますが、都内公立小中学校における決算年度当初と三学期当初の教員の不足状況を伺います。

○吉村人事部長 令和五年度の都内公立小学校における欠員の状況は、学級数が確定する四月七日時点で八十名程度、三学期当初の時点で百六十名程度であり、順次、臨時的任用教員を確保し、補充しておりました。

○中村委員 随時補充はしているとのことでしたが、残念ながら、多くの欠員はあったようです。都が定める教員の定数を確保し、子供たちに教育を提供することは、教育委員会の最も基本的な務めです。本来であれば正規職員で定数を満たすべきですが、この状況に対応するため、臨時的任用で対応したようです。
 年度当初に教員が定員を満たしていなかったわけですが、この臨時的任用教員の確保に向け、どのように対応したのか都教育委員会の取組を伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会では、臨時的任用教員を確保するため、教員採用セミナー、TOKYO教育Festa!や民間の転職フェアで個別相談会を実施いたしました。また、転職サイトでの募集案内、教員養成大学や教員採用選考会場での募集チラシの配布など、様々なPRを行いました。

○中村委員 臨時的任用教員を確保するのも大変だと思いますが、これは教育委員会の仕事なので、必要な人員が不足して学校現場で苦労しないようにすることが重要です。不足分を補うため、他の先生の負担が重くならないようにすることは当然ですが、不足を埋めるための確保の労力を学校にかけさせないようにすべきです。
 とりわけ長くいわれているのが産休や育休の代替教員の確保です。産休、育休の代替教員の確保が大変で、副校長の多忙の原因の一つとなっています。昨年度は新規事業として十億円計上されましたが、実績を伺います。

○吉村人事部長 令和五年度の産休、育業代替教員の前倒し任用数は七百六十名でございました。

○中村委員 年度途中での確保が難しくなる代替教員確保のため、臨時的任用教員を前倒しで任用する制度とのことです。実績として確保できたのはよかったと思いますが、それでも確保しやすくなったというだけで、実際の確保の作業は学校、とりわけ副校長の役割になっています。副校長の多忙化が問題になる中で、この産休、育休代替要員の確保が原因の一つとして挙げられ、毎年、副校長会から負担軽減を求める要望も出されています。
 産休、育休の代替教員の確保は本来、教員の人事権を持つ都教委が行うべきだと考えますが、見解を伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会は、学校が代替教員を探す負担を軽減するため、昨年度から採用情報マッチング支援システムの運用を開始し、学校が希望する条件に合う候補者を検索できるようにいたしました。また、東京都教育支援機構、TEPROが学校から依頼を受け、希望に沿った候補者を探し、紹介する支援を令和五年度から開始いたしました。

○中村委員 支援システムを導入したことは負担軽減にはなりますが、そもそも学校が行うという前提に立っていることが私の認識とは全く違っています。人事権は都の教育委員会が持っているのですから、自らの職責を果たすべきです。それを果たすことができずに、負担を学校の現場に負わせるべきではありません。負担軽減を図るのではなく、誰がその任務を行うべきかという原則に立ち返って見直すことを求めます。
 さて、都が定める定数を満たす教員の確保について質問してきましたが、自治体の選択として独自に教職員を採用することがあります。とはいえ、二十三区と市町村との差、いわゆる三多摩格差があり、財政力の格差が独自の採用についても格差を生じさせています。
 二十三区と市町村において学校で働いている教職員数には格差があるようで、校長会からも格差の是正を求めるものが出てきます。外部人材等の活用による教員の負担軽減は重要であり、都全体で取組を進めていく必要があります。
 そこで、令和五年度の都の取組を伺います。

○矢野人事企画担当部長 令和五年度は、教材準備等を行うスクールサポートスタッフを希望する全ての小中学校に配置するとともに、小学校低学年で副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントを八十四校に配置するなどいたしました。

○中村委員 都として独自に採用して配置をしていることは分かりますが、あくまで全市区町村を対象としたもので、既に二十三区と市町村で差があることを前提にした配置ではありません。
 学校の教員は二十三区と市町村を異動しますので、その違いを痛切に感じるようです。二十三区では独自で採用する教職員がいるためだと思われます。しかし、都教育委員会は、独自採用の教職員に関するデータがないとして対応しません。都の採用した職員が働く現場の実態を把握するのは都の仕事です。調査をした上、著しい格差があれば是正すべきです。
 これまでも、本来は市区町村の仕事ではあっても、普通教室のエアコンの設置や学校給食の無償化など著しい格差があったため、都が補助をするということも度々ありました。定数以上の教職員の配置についても同様に調査をし、実態を把握し、是正すべき格差があれば、都が補助すべきだと考えます。
 まずは、都が採用している職員が働いている現場がどのようになっているかを調べることは人事権者の仕事ですから、調査から始めていただくよう求めます。
 さて、人材不足対策として、教員の採用だけではなく、辞めたり休んだりすることを防ぐ確保のための施策も重要です。
 教職員アウトリーチ型フォローアッププログラムが事業として計上されました。専門家を派遣し、メンタルヘルスのサポートをする内容のようです。
 この教職員アウトリーチ型フォローアッププログラムの執行率が四〇・七%と低かったわけですが、予算では二地区から六十二地区に大幅に増やすとしていましたが、実績と執行率が低い理由を伺います。

○吉村人事部長 都教育委員会では、令和五年度、臨床心理士が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を四十地区で実施するとともに、小学校において全ての新規採用教員等を対象に、五十二地区で面談を実施し、両取組を合わせ六十地区で事業を実施いたしました。
 執行率につきましては、事業を担う民間事業者との間で予定を下回る水準で契約できたものでございます。

○中村委員 執行率の低さは契約差金で、予定どおり配置はしたようです。しかし、多くの教職員がメンタルヘルスで休んだり辞めたりしているのも事実です。原因は様々ありますが、教職員の心の健康が保たれることは、子供たちへのよりよい教育をするための前提にもなります。配置数だけではなく、内容についても把握し、必要があればさらに事業を拡充することを求めます。
 さて、人材不足として障害者雇用の問題があります。かねてから問題視してきましたが、都教育委員会は国が定めた障害者の法定雇用率を守っていません。守って当然なので、民間と違い罰金はないのですが、民間の模範でなければならないので、早期に達成すべきです。規模や教育という特殊事情があるとはいえ、民間でもそれは同じことです。
 障害者の法定雇用率を満たすことは当然の義務ですが、以前から満たしていません。昨年度の障害者雇用率と雇用率向上に向けた取組について伺います。

○岩野総務部長 都教育委員会では、障害者一人一人が自らの特性等に応じて仕事を選択できるよう、一般就労に向けた支援を目的とするチャレンジ雇用や継続的な雇用を目的とする教育庁サポートオフィスの開設など、障害者雇用に取り組んでおります。
 昨年度は、障害のある会計年度任用職員の採用を進めるとともに、会計年度任用職員から常勤職員へステップアップするための採用選考の対象を広げてまいりました。
 令和五年六月一日時点の都教育委員会の障害者雇用率は一・九五%であり、令和四年度と比較して増加いたしました。

○中村委員 残念ながら、昨年度も満たしていないようです。これまで平成二十九年度のみが達成をして、他の年度は未達成とも聞きます。決算年度の法定雇用率は二・五%で、今は二・七%になっています。様々取組をしていただいているようですが、困難であろうとも達成することを強く求めます。
 次に、部活動について伺います。
 部活動については教員の負担が重く、先ほど質問した人材不足にも関係がないわけではありません。そのため、教員の多忙化の解消のため、国が部活動の地域化を進めています。とはいえ、商業化したり、そもそも子供がやりたい種目ができるのかという問題もあります。
 都教育委員会における部活動の移行についての取組を伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、令和五年三月に策定した推進計画を踏まえまして、各地区が協議会の設置及びコーディネーターの配置等の取組を進めるための支援を行いました。

○中村委員 まずは、各地区への支援から始まったとのことです。教員の多忙化の原因の一つである部活動指導について、決算年度は新規事業として、休日に地域の団体と連携して取り組めるよう五億円を計上しました。しかし、執行率は一九・五%と極めて低い結果となりました。
 市区町村における部活動の地域連携、地域移行の実績と課題を伺います。

○市川指導推進担当部長 部活動の地域連携、地域移行に関する都教育委員会の取組によりまして、全ての地区において地域連携、地域移行に向けた協議会等が令和五年度末までに設置されました。各地区では、公立中学校等が外部指導者などを確保することが必要となっております。

○中村委員 部活動の地域移行は、まだまだこれからだと思います。実際、受皿を地域が担っていただければありがたいのですが、地域も高齢化が進み、簡単ではありません。教員の多忙化の解消も重要ですが、そのために子供たちが希望する種目や時間が確保できなくなるのも問題です。昨今では責任が問われるため、指導者の過剰な監督が求められる風潮にあることも、負担の重さにつながっています。
 また、昨今では変わってきてはいますが、逆に毎日毎日部活動を行うことを見直されてもよいのかもしれません。いずれにしても、中学生、高校生にとって部活動は勉強と同等に学生生活の重要な位置を占めているので、大人の都合だけで決めるのではなく、子供の視点も大切にしながら検討していただきたいと思います。
 次に、スクールカウンセラーについて伺います。
 子供たちの様々な悩みに応えるために、都が全校にスクールカウンセラーを配置していることは評価します。スクールカウンセラーの配置の実績や、学校や生徒、児童からどのような声があるのか伺います。

○市川指導推進担当部長 令和五年度は都内全ての公立小学校等千二百七十校、中学校等六百二十一校、高等学校等二百四十六課程にスクールカウンセラーを配置いたしました。学校からは、不登校の子供がスクールカウンセラーと面談を重ね、コミュニケーション力を高めたことで登校できるようになったなどの報告を受けております。

○中村委員 子供から信頼をされ、悩みを解決できた事例もあるようなので、よかったと思います。そのためには、子供とスクールカウンセラーとの信頼関係はやはり必要で、急にできるものでもありません。じっくりと悩みを聞くからこそ、担任の先生には話せなくても、カウンセラーには話せるということもあります。そのため、突然相談していた人がいなくなってしまったというのは問題だと思います。
 決算年度末に大量のスクールカウンセラーの雇い止めがありました。子供にとっても衝撃が大きかったともいえます。経緯を伺います。

○市川指導推進担当部長 東京都公立学校スクールカウンセラーは都教育委員会が任用する会計年度任用職員でございまして、東京都公立学校会計年度任用職員の任用等に関する規則等に基づき選考を行っております。
 具体的には四回までは公募によらない再度任用とし、校長の勤務評価等により選考しております。
 また、五回目は公募による任用とし、新規申込者と同様に面接を実施し、選考しております。

○中村委員 二百五十人もの方が雇い止めになったと報じられています。都はそもそも、あまりこうした状況を公表していません。採用に関することは公表しないといいますが、採用試験の内容ではなく、雇用の実績を聞いているわけですから、情報として公開すべきだと思います。また、カウンセラーが自ら立場が不安定で不安になれば、子供たちの相談をじっくり聞くことができなくなってしまいます。不安定な状況は改善すべきです。
 仕事は生活の中心でもあり、簡単に雇い止めをしてはなりません。対応について伺います。

○市川指導推進担当部長 東京都公立学校スクールカウンセラーは、都教育委員会が任用する会計年度任用職員でございまして、規則等に基づき選考を行っております。

○中村委員 規則どおりという答弁でしたが、問題があれば規則を変える必要があります。働く人は物ではありませんから、安心して働ける状況をつくってこそ、子供の相談について対応できます。改善を強く求めます。
 次に、学校のエアコン設置について伺います。
 昨今、地球温暖化の影響か、猛暑が続いています。これは異常だと捉えるよりも、これが常態化していると考えざるを得ません。生徒が学ぶ環境をつくるために、既に普通教室ではエアコンは一〇〇%設置をされていますが、特別教室や体育館にも設置をする必要があります。とりわけ体育館は災害の際の避難場所になることもあり、猛暑の中避難したら熱中症になったというわけにはいきません。
 猛暑の中で、生徒も教員も大変な状況のため、都立高校において早期のエアコンの設置を求めますが、実績を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校では、全ての普通教室や体育館において既に空調設備の整備が完了しておりまして、特別教室や武道場等の空調設備については現在、順次整備を進めております。
 令和六年九月一日現在の整備率は、特別教室は九〇・三%、体育館や武道場等は六二・二%でございます。

○中村委員 順次整備をしているとのことでしたが、引き続きの取組をお願いします。
 さて、この猛暑の中暑いのは、夏休みの八月だけというよりも、既に七月、八月、九月は猛暑と考えてもよいと思います。学校の工事は授業の妨げにならないよう夏休みに行うことがありますが、まずは生徒を優先すべきは当然ですが、教職員にとっても健康に悪影響がある暑さなので考慮する必要があります。
 エアコンの設置工事は長期の夏休みになることが多いようですが、夏休み以降にもかかる事例もありました。かつてと違い、今は九月も猛暑なので、最初から夏に終わらない契約は見直すべきですが、見解を伺います。

○村西都立学校教育部長 都立高校における空調設備の整備に当たりましては、各学校と事前に十分調整を行うなど、様々な状況を踏まえて適切に工期等を決定しているところでございます。

○中村委員 状況の変化に応じて、学校や、また教職員の意見も反映されるよう取組を求めます。
 以上、様々質問しましたが、多様なニーズや急速な社会状況の変化に対応し、何より子供たちのための教育を提供できるよう求めて、質問を終わります。

○加藤委員 それでは、初めに進学指導推進校の学力向上支援について質問をいたします。
 この進学指導推進校の学力向上支援というのは、いわゆる校内予備校というふうなことでございます。私の地元であります都立墨田川高校、都教委の進学指導推進校として指定を受けております。この進学指導推進校に対する令和五年度の新規事業として、予備校等の民間事業者を活用した学力向上支援の事業が開始をされております。本事業は民間事業者のノウハウを活用し、大学受験のための学習指導等の支援を教員と連携して行うことにより、生徒の学力伸長を図り、進学実績を向上させることを目的として実施されております。
 そこで、本事業に係る昨年度の実施内容など、実績について伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、昨年度から、一層複雑化する傾向にある大学入試に対して的確に対応できるよう、進路指導を中心とした教育活動を組織的、計画的に展開することを特色としている進学指導推進校十五校で、予備校等と連携した受験対策講座等を実施しております。
 この受験対策講座の実施に当たりましては、各学校における授業内容や生徒が希望する進路などを踏まえ、事前に予備校等と調整を図り、放課後や土日、長期休業期間を活用し、各学校の実情に応じたきめ細かい効果的な支援を実施いたしました。
 具体的には、各校の在籍生徒の進路希望や学力などに応じて、英語や数学などの実施科目の単元別の講座のほか、共通テスト対策や大学別の対策に加え、総合型選抜などの選抜方法で出題される小論文の対策講座など、多様な講座を実施し、受講者数は延べ四千百六十四名でございました。

○加藤委員 今、答弁がありましたように、本事業の特徴の一つは、教員が行っている授業内容や生徒の学習状況に応じて、各学校の実情に即した授業展開ができるということであると思います。それに加えて予備校等のノウハウを活用するということで、共通テスト対策や生徒が志望する大学別の受講対策ができるなど、きめ細かい支援が可能だということであります。
 こうした特徴を持つ事業でありますが、本事業を受講した生徒からの評価について具体的に伺います。

○村西都立学校教育部長 講座実施後に行いました本事業の受講生に対するアンケートでは、英語の長文読解が苦手だったが、解き方の方針が見えて頑張ろうと思えた、数学の講座では、今まで知らなかった解き方をたくさん学べてうれしかったなど、講師の授業の分かりやすさを評価する声が寄せられております。
 また、自分で復習するのが面倒な範囲の総復習ができてよかった、受験に危機感を持つという意味で授業レベルは適切だったなど、受講生徒が講座内容を評価し、満足している様子をうかがうことができる声も寄せられております。

○加藤委員 生徒の評価も大変良好でありまして、今後もこうした期待に応えられるよう着実に取り組み、生徒一人一人の進路実現を後押ししていくことを要望しておきます。
 また、大学受験は時間との勝負でもあります。限られた時間の中でどうレベルを高めていくか。したがいまして、できるだけ早期にプログラムが受講できるよう、工夫をお願いしておきます。
 続きまして、スクールカウンセラーについて伺います。
 私は昨年の第一回定例会の文教委員会で、スクールカウンセラーの常勤化について質問をいたしました。これに対しまして都は、令和五年度に小中学校四校、都立学校四校においてスクールカウンセラーの勤務日数を増やす検証事業を行って、利用率や相談者の満足度等を調査していると答弁がありました。
 そこで、令和五年度に実施したスクールカウンセラーを活用した支援体制検証事業における調査結果について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、いじめ等の問題行動の早期発見、未然防止や相談体制の強化を図ることを目的としまして、各学校に週一日配置しているスクールカウンセラーについて、一部の学校で配置日数を増やし、その効果を検証いたしました。実施校では、相談体制が充実することにより対応が円滑に進み、相談件数が増加いたしました。また、緊急度の高い事案にも、より速やかに対応できるなどの成果が見られました。

○加藤委員 同様に、スクールソーシャルワーカーの活用についても質問いたしまして、スクールソーシャルワーカー活用事業については、令和五年度は実施する自治体を増やすという答弁をいただきました。
 一方で、令和五年度の本事業の執行率は、決算書を見ますと五八・七%となっておりますけれども、その理由について伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対しまして、社会福祉等の専門的な知識や技術を活用し、多様な支援方法を用いて、児童生徒が抱える課題解決への対応を図るスクールソーシャルワーカーの配置を支援する事業を実施しております。
 令和五年度につきましては、希望した五十二地区全てに配置することができ、実施地区では学校や地区の実情に合わせてスクールソーシャルワーカーの配置を工夫するなど、区市町村による効率的な執行が行われました。
 また、スクールソーシャルワーカーが福祉などの関係機関と保護者等をつなぐことで、保護者等が支援を受けられるようになり、いじめ、不登校、児童虐待などへの対応力が向上いたしました。

○加藤委員 スクールカウンセラーでは相談件数の増加や緊急度の高い事案にも速やかに対応でき、そしてスクールソーシャルワーカーでは関係機関や関係者との連携で対応力が向上し、どちらも成果が見られたわけでございます。保護者のみならず、教員からも両者の役割に期待する声を多く聞いておりまして、この配置の拡大、充実に向けて今後もしっかりと取り組んでいくことを求めておきます。
 次に、日本語学級について質問をいたします。
 文科省が行った外国人の子供の就学状況等調査の令和五年度調査結果では、小中学校相当の住民基本台帳上の人数は全国で十五万人を超え、東京都では三万人を超えています。東京が全国で一番多く、全体の五分の一を占めており、少子化にあっても、東京の人口が外国人によって増加していることが分かります。
 一方、都が公表している五年度の日本語指導が必要な公立小中学校と義務教育学校に通う児童生徒の人数は、外国籍で四千六百十四人。都によりますと、先ほどの三万人という数字は、あくまで住民基本台帳上であるため、中にはインターナショナルスクールへの通学や出国者などが含まれており、公立小中学校に通う外国籍の児童生徒は住民台帳上より少なくなっているのが実情のようです。
 したがいまして、公教育の役割として、日本語指導が必要な外国籍の四千六百十四人と日本国籍の七百九十三名、合わせて五千四百七人に対して、しっかりと日本語指導を行っていくことが必要です。
 そこで、小中学校において、日本語指導を重点的に行う日本語学級の役割が大きいと思いますが、日本語学級の設置状況について、まず伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 令和五年五月一日時点で都内公立小中学校の日本語学級の学級数と児童生徒数は、小学校五十学級七百三十六人、中学校二十八学級三百九十四人、義務教育学校二学級二十八人でございます。

○加藤委員 小学校が七百三十六人、中学校が三百九十四人、義務教育学校二十八人ですから、合計で千百五十八人。単純計算ですけれども、日本語指導が必要な児童生徒の約二割しか日本語学級に対応できていないという計算になります。ただ、これはあくまで割合だけの問題でありまして、日本語学級だけしか日本語指導を行っているわけではありませんので、各自治体においていろいろと工夫を行っていると思いますが、地域的なばらつきもあると伺っております。
 例えば、個別の自治体名は挙げませんが、必要人数が百五十名を超えていても設置していないところがあります。そうしたところは区とNPOが連携して、日本語の初期指導を行っているところもあります。
 また、多摩エリアは、二十三区に比べると比較的児童生徒数が少ないんですけれども、三つの自治体しか設置されておりません。
 都として、区市町村と連携して、都内どの地域に住んでいても、必要な日本語指導が受けられる体制整備を促していただきたいと思います。
 そこで、日本語学級に対する都の支援について伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、日本語学級を設置している小中学校等に教員を配置するとともに、指導主事が学校を訪問し、指導助言するなど、支援を行っております。

○加藤委員 令和三年三月以降、時間講師採用候補者選考の申込書に、日本語指導の可否に書ける記入欄を設けて情報を集めており、区市町村教育委員会に候補者の情報提供を行っていると、そのように聞いておりますけれども、令和五年度は日本語指導に関し、都教育委員会として区市町村に対しどのような支援を行ったのか伺います。

○信岡グローバル人材育成部長 都教育委員会は、日本語学級を設置している学校や日本語指導が必要な児童生徒が一定程度在籍する学校に教員を配置しております。また、国の補助対象事業である区市町村の日本語指導に係る支援員派遣や日本語教室の運営、学校への就学促進等に対し、補助を行っております。
 さらに、日本語指導推進ガイドラインの周知や二十四言語に対応した児童生徒用教材「たのしいがっこう」等をデジタルブックとして配信するとともに、日本語指導における課題や、工夫した取組を共有するための日本語指導理解促進セミナー等を実施いたしました。

○加藤委員 日本語指導推進ガイドラインの周知や日本語指導理解促進セミナー等を通じて、日本語指導のできる教員を増やしていってほしいと要望いたします。また、学校内で解決できないことも多いと思いますので、ふだんから日本語指導をサポートしているNPO団体とも連携して取組を進めていただきたいと要望いたします。
 そして、東京から社会に貢献するグローバルな人材が多く育っていくことを願って、次の質問に移ります。
 最後となりますけれども、笑顔と学びの体験活動プロジェクトについて質問をいたします。
 都教委は、令和四年度に新型コロナウイルスの影響もあり、子供を笑顔にするプロジェクトを実施しました。私も同僚議員と共に、地元墨田区の小学校で開催されましたプロジェクトを視察しました。声優さんの実体験を交えたお話に子供たちは目を輝かせ、どこからそんな声が出るのかと驚きの歓声を上げたりしておりました。
 また、年度の締めくくりには、WBC、ワールド・ベースボール・クラシックの観戦プログラムもあり、子供の笑顔が満開になるとともに、将来の夢と希望を与える取組でありました。
 そして、令和五年度からは、子供の確かな学びにつながるよう、笑顔と学びの体験活動プロジェクトという新たな事業名で、学校に様々な体験活動を提供しており、多くの学校から、非常に好評であると伺っております。
 そこで、令和五年度における笑顔と学びの体験活動プロジェクトの実績と、実施した学校からどのような声が寄せられているのかについて伺います。

○市川指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年度、笑顔と学びの体験活動プロジェクトにおきまして、様々な芸術文化の理解を深める体験、科学、先端技術等に触れる体験など、二百二十七の多様なプログラムを用意し、学校が希望する体験内容を選べるようにいたしました。その結果、都内公立学校の約九割に当たる千九百四十七校が本プロジェクトに参加いたしました。
 参加した学校からは、狂言の鑑賞を通して、日本の伝統芸能に対する子供たちの関心が高まり、自ら進んで調べる姿も見られた、科学の楽しさを味わうことで、理科の実験に意欲的に参加する子供が増えたなどの声も寄せられました。

○加藤委員 今年度も様々な工夫を凝らして実施していると伺っております。見たり、聞いたり、行ったりと、実際に体験するということが子供の成長に欠かせないことであります。教科書の中だけでは学べない取組を今後も続けてもらいたいと思います。
 来年は世界陸上とデフリンピックがありますので、学校観戦ができますよう要望して、質問を終わります。

○清水委員 日本共産党の清水とし子です。私からは二問質問させていただきます。
 一点目は、学校図書館についてです。都立学校図書館ガイドラインは、学校図書館について調べ学習や新聞を活用した学習、教科などの様々な授業で活用されることにより、学校における言語活動や探究活動の場となり、主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に資する役割が一層期待されていると述べられています。
 これまでの読書センター機能にとどまらない、学習センター、情報センターという新たな機能にふさわしい内容が求められています。
 最初に、学校図書館の蔵書について伺います。その蔵書数や構成についての考え方についてお尋ねします。

○村西都立学校教育部長 都立高校等における蔵書構成につきましては、都立学校図書館ガイドラインにおいて、文学、自然科学や社会科学等、その他の分類の本を偏りなくそろえることや、生徒の興味、関心を高める幅広い資料等を選定することとしております。
 都立高校等におきましては、各学校において図書館に求められる機能を発揮できるよう、必要な図書館資料を整備しております。

○清水委員 次に、都内の公立特別支援学校は、まだ学校図書館図書標準が達成できていない学校が残されていますが、昨年度はどのような取組をされたのでしょうか。

○中西特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校の図書館では、各学校の判断により、必要な蔵書を整備してございます。
 都立特別支援学校では、各学校の実情に応じまして図書を購入してございます。

○清水委員 昨年の決算委員会で、特別支援学校について学校図書館図書標準の達成状況を伺いました。その際、二〇一九年度末時点の状況ということでご紹介いただいた数字が、小学部では一二・五%、中学部では二・二%というあまりにも低い数字でした。当然これを引き上げるために、昨年度取組が進められているものと思いまして伺いましたが、予算の増額など特別な対策は取られていないというふうな答弁だと思います。
 また、久我山青光特別支援学校では、知的障害教育部門の子供たちが増えたために、職員室に教員が入り切らなくなりました。そこで、視覚障害教育部門の図書室を潰して知的障害教育部門の職員室にしてしまった、こういう声も保護者から寄せられています。
 特別支援学校の学校図書館の整備、蔵書の充実、強く求めておきます。
 学校図書館の蔵書は数や構成だけでなく、適切な時期に更新が行われて、常に最適の情報が提供できることが重要です。昨年度の学校図書館の選書、廃棄の実績、学校へのアドバイスなど都教育委員会の取組についてお伺いします。

○村西都立学校教育部長 各都立学校等におきましてはガイドラインに基づき選書等を行っており、令和五年度は新しい情報等に対応できるよう約十四万冊を購入するとともに、情報が古くなり利用価値が失われた図書や破損に係る修復が不可能な図書など約十万冊を除籍しております。
 また、都教育委員会におきましては、都立学校図書館スーパーバイザーを配置しており、学校を訪問するなどして、学校図書館の活用や運営に関する指導助言、支援等を行う中で、選書等につきましても必要に応じて助言等を行っております。

○清水委員 ある都立高校の学校図書館を見せていただきました。(パネルを示す)本棚のちょうど生徒の目線に当たるところに、この図書館は本当はよくできていて、大体子供の目線に当たるところはこういう背表紙ではなくて、表紙がちゃんと見えるように並んでいるんです。子供の興味、関心をちゃんと引き出せるような、そういう書架になっています。さらに、書架の端っこには様々なコメントをつけたミニコーナーもあって、大変よくできている、そういう図書館なんです。
 ところが、その一角にこんなふうに百科事典がたくさん並んでいるんです。ちょっと一種異様な、ここだけ雰囲気が違うんです。
 この百科事典、いつぐらいに発刊されたものか見てみました。世界歴史事典一九九二年、世界の歴史一九九一年、原色ワイド図鑑一九九四年、いずれも三十年以上前に発行された本がずらっと並んでいるんです。
 情報は時間の経過とともに古くなります。資料価値が失われ、時には間違った情報を伝える、こういうことにもなります。特に今探究の学習が重要になってきています。自然科学や社会科学などは最新の図書を、また資料をそろえる、これが重要です。
 公益社団法人全国学校図書館協議会の学校図書館図書廃棄規準には、一般規準として、受入れ後十年経過した図書は廃棄の対象とされています。図鑑などは刊行後三年を経過しているもので、最近の研究成果にそぐわなくなったものというふうに述べられています。三十年を経過したこの百科事典というのはやっぱりちゃんと廃棄をして、新しい情報に更新すべきと考えますが、見解をお伺いします。

○村西都立学校教育部長 各都立学校におきましては、ガイドラインに基づき選書や除籍等を行っております。委員がおっしゃったことは当然でございまして、情報が古くなり利用価値が失われた図書や、破損に係る修復が不可能な図書などは除籍すべきものであるということでございます。ただ、その学校はどこの学校であるかということが私、存じ上げませんので、各学校によってはその利用価値が失われたかどうかということを、きちんと各学校で判断しているということというものであると認識しております。

○清水委員 冒頭にお話ししたように、この学校図書館というのは大変によくできている学校図書館なんです。物すごくよく管理をされているんです。ですから、学校司書の方はどういう情報が必要で、どうやったら子供に最適な情報を提供できるのか、よく考えて並べておられます。当然、この百科事典の発行年数が古いということは十分承知をされています。では、なぜそこに置いていたのか。学校図書館の司書の方に伺いました。すると、この学校では年間予算が学校図書館は数十万円。児童生徒の要望に応え切れない場合もあるんだと。百科事典など、こういうものはシリーズでそろえる必要があるので大変高額になると。特別な予算枠がないと、なかなか購入することができない。かといって全部廃棄してなくしてしまうというのもできない。それでずっと置いている。こういう事情なんです。
 学校図書館の予算の増額と高額な図書の購入に対する特別枠、これをつくる必要があると思いますが、いかがですか。

○村西都立学校教育部長 繰り返し申し上げますが、都立高校等では各学校の判断により必要な蔵書を整備しております。都教育委員会は、各学校が必要な図書を購入できるよう、適切に対応しております。

○清水委員 確かに都立高校は、各学校の判断で必要な蔵書を購入しています。整備をしています。しかし、その予算が限られれば、当然優先順位をつけていかざるを得ません。優先順位をつけて、まずは子供たちの必要なもの、進路の指導に必要なもの、そういうものをやっていくから、こういうものが買えなくなるわけです。
 お認めになったように、どの学校に置いてあったって、三十年前の百科事典というのはやっぱり駄目だと思うんです。こういうものを置かないといけないような学校予算の額そのものというのをちゃんと見直さなければいけないし、学校司書の方はちゃんとやりたいと思っているし、多分、恐らく学校だってきちんとしたものをそろえたいというふうに思っていると思うんです。だけれども、配分されている予算がそれに満たない。それは各学校の責任だというのはあんまりじゃないかというふうに思うんです。各学校に配分されている予算の中では対応できない、こういう現場の声をぜひ真摯に受け止めていただきたいというふうに思います。
 別な学校で学校司書をされている方からは、学校図書の年間予算は八十万円ぐらい。そのうち三十万円は進路指導室の本に充てられてしまう学校もあると聞いている。各学校の学校図書廃棄規準に基づいたら次々廃棄すべき図書が出てくる。しかし、新たな図書に更新する予算がない。だから、更新しなければならないことを承知で、古い図書を置き続けている。こういう学校と、学校司書の方の本当に苦しい胸のうちというのをぜひ分かっていただきたいというふうに思います。
 ぜひ教育委員会の皆さんは、一度都立学校に足を運んでいただきたい。そして、そこにある蔵書をちゃんと自分の目で見ていただきたい。どれぐらいの廃棄すべき本があるのか、更新すべき本があるのか、それを買おうと思ったら本当に予算はどれぐらい必要なのか、自分の足で見ていただきたい。ぜひこのことを強く要望しておきたいと思います。そして、学校図書の蔵書が適切に更新できるように、図書費そのものの増額、さらには百科事典など高額な書籍の購入には別枠の予算をつけることを強く求めます。
 次に、学校司書の役割、司書教諭との違いについて説明を求めます。

○村西都立学校教育部長 ガイドラインに記載しておりますとおり、司書教諭の主な役割は、学校図書館の専門的職務をつかさどり、学校図書館の運営に関する総括、学校経営方針、計画等に基づいた学校図書館を活用した教育活動の企画、実施等に従事するとともに、学校図書館を活用した授業の実践や、他の教員への助言等を行うことでございます。
 これに対し、学校司書の主な役割は、学校図書館を運営していくために必要な専門的、技術的職務に従事するとともに、学校図書館を活用した授業や、その他の教育活動を司書教諭や教員と共に進めることでございます。

○清水委員 今、学校図書館、都立学校図書館ガイドラインを引いて学校司書のことを説明されたんですが、その引用の中にはなかったんですけれども、学校図書館のガイドラインは、学校司書は学校教職員の一員として、職員会議や校内研修に参加するなど、学校の教育活動全体の状況も把握した上で職務に当たることも有効であるというふうに述べられています。学校司書を補助的な仕事をする人ではなく、学校教職員の一員、こういうふうにしていることは、とても重要だというふうに思います。
 都立高校及び特別支援学校について、昨年度の学校司書の配置の状況、正規、非正規の内訳についてお伺いします。

○村西都立学校教育部長 都立高校等におきましては、令和五年五月時点で正規の学校司書は四十校に四十六人配置しております。また、会計年度任用職員の図書館専門員は百四十四校に二百八十七人配置しております。
 特別支援学校におきましては学校司書及び図書館専門員を配置しておりませんが、全ての学校で国基準以上の数の司書教諭を任命しており、司書教諭は全教職員の協力体制の下で学校図書館の活用に取り組んでおります。

○清水委員 二二年度に比べて正規の職員は三人減って、会計年度任用職員が七名増えて、正規職員の学校司書を会計年度任用職員の図書館専門員へと置き換えが進んでいる状況が分かりました。
 また、特別支援学校においては、学校司書や学校図書館専門員を配置していない。全ての学校で司書教諭がそれを担っていると。本当はここにも格差があるというふうに思うんです。障害のあるなしにかかわらず、きちんと学校司書を配置していただきたいと思います。
 学校司書について正規職員と会計年度任用職員の仕事の内容、処遇の違いについてお伺いします。

○村西都立学校教育部長 正規の学校司書は、司書教諭と連携して学校図書館運営の基本方針の策定等の業務を行うほか、学校図書館の開館、閉館に係る準備や、図書の貸出し、返却等の日常的な運営等が主な業務でございます。
 一方、会計年度任用職員である図書館専門員は、日常的な運営等が主な業務となってございます。
 待遇につきましては、こうした業務内容や勤務条件との相違に応じたものとしており、支給される各種手当等が異なっております。

○清水委員 正規の職員と会計年度任用職員の違いは、司書教諭と連携して学校図書館運営の基本方針の策定等の業務を行うかどうか、この点だと思います。
 会計年度任用職員の学校司書の方から、授業でどのように使ってもらうかという相談を司書教諭と話をしているというふうにも伺いました。学校図書館運営の基本方針の策定そのものは、その文書を書くのは確かに司書教諭かもしれませんけれども、正規、非正規にかかわらず学校図書館をどう活用していくのか、授業でどうやって生かしていけるのか、蔵書はどうするのか、こうしたことは司書教諭とちゃんと相談をし、連携を図っておられます。また、現場で実際に学校図書館の運営をしておられる、動いている、その内容に違いは全くありません。
 小池知事は、同一労働同一賃金だというふうに公約に掲げておられます。学校司書も正規、非正規で仕事の内容が同じなら同一労働同一賃金とすべきと考えますが、見解を求めます。

○村西都立学校教育部長 正規の学校司書と図書館専門員は、業務内容やその範囲、果たすべき役割、責任の程度が異なっておりまして、それに応じた待遇となってございます。

○清水委員 違う処遇にするために形だけ変えているんだけれども、実際のところは同じだ。これはやっぱり現場を見ていただきたいというふうに思います。
 もう一つ、会計年度任用職員にするということがどういうことかということを学校と図書館の司書の方から伺いました。学校司書の仕事は、経験が大事だ、経験によって質が変わってくる。会計年度任用職員の学校司書は、今まで司書として働いてきた経験があるので、リタイアして、その経験を生かせるところで働きたい、こういう年配の女性が多いそうです。若い人はいないというんです。何でかといえば、不安定な職場で食べていけない。一生の仕事として学校司書をやろうという若い人が来ないというんです。
 都立学校図書館ガイドラインが述べているような学校司書、学校教職員の一員として職員会議や校内研修に参加するなど、学校の教育活動全体の状況も把握した上で職務に当たる仕事をする学校司書。それにふさわしい処遇で募れば、学校図書館司書の専門的なカリキュラムを学んで、資格も持って、一緒の仕事としてやっていこう、こういう人材が集まるのではないでしょうか。
 学校司書の役割、専門性を踏まえれば、会計年度任用職員ではなくて正規職員とすべきと考えますが、いかがですか。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は、司書の資格を持つ者を会計年度任用職員の図書館専門員として採用、配置するとともに、学校司書を対象とする講習会等を実施することによりまして、専門性等をさらに向上させる取組も行っております。
 いずれにいたしましても、都教育委員会としてはこうした取組により、学校司書の経験も含めた専門性等も確保できると考えておりまして、引き続き効果的、効率的な学校図書館の運営に向けて適切に人員配置を行ってまいります。

○清水委員 話がかみ合っていないんですけれども、確かに司書として働いてきた方なので経験はあるんです。経験はあるんですけれども、リタイアした方になるわけだから、そこから先、そんなに長くは働かないんですよね。そうではなくて、本当にこれを一生の仕事としてやっていく。せっかく学校図書館司書のカリキュラムもできて、専門性を持って、資格もつくって、そういう制度ができて、若い人たちが巣立ってくるわけですよね。そういう人たちに働いてもらうような、そういう人たちが働こうと思うような処遇になっていないということを問題にしているんです。ぜひ考えていただきたいと思います。
 都立学校図書館ガイドラインは、学校図書館は校長、司書教諭、学校司書で担われている、学校司書は欠かせない役割だというふうにちゃんと位置づけています。さらに、学校司書は、先ほどいったように、学校教職員の一員として職員会議や校内研修に参加するなど、学校の教育活動全体の状況も把握した上で職務に当たる仕事をすることも有効だとされるというふうにいっています。
 学校教育の中で学校図書館の新たな役割が求められるようになって、学校司書そのものも法的にちゃんと位置づけられて、司書教諭とは別に配置すべきものとされてきたからなんです。ところが、都教育委員会は、効率的運営、こういう名の下に非正規雇用に置き換えて仕事の内容そのものも補助的な役割におとしめようとしていく。本当にやっていること全く逆だというふうに思うんです。学校図書館とそれを支えるにふさわしい学校司書を配置すること。一番の恩恵を被るのは子供と教職員、最大の利益をもたらします。目先のコストばっかりを見て、この点を見誤ってはならないというふうに思うんです。
 学校司書の役割、専門性を踏まえれば、会計年度任用職員ではなくて正規職員とすることを改めて強く求めて、この質問は終わります。
 次に、不登校支援についてお伺いします。
 二〇二二年度の都内公立小中学校、高校の不登校の状況、近年の推移についてお伺いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 令和四年度の都内公立学校における不登校者数は、小学校一万六百九十五人、中学校一万六千二百十七人、高等学校全日制は千四百十二人、高等学校定時制は二千五百十九人であり、令和三年度と比べて、それぞれ増加しております。

○清水委員 次に、不登校の状況についての都教育委員会の見解と昨年度の取組についてお伺いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都内公立学校における不登校の子供の数は増加しており、その要因や背景は複雑化、多様化していると捉えております。
 都教育委員会は、不登校の子供一人一人の状況に応じた支援を実現できるよう、小中学校に対しスクールカウンセラーの全校配置、支援員の配置、スクールソーシャルワーカーの配置補助、中学校への教員の加配を行うほか、対応の具体例等を示した冊子の活用を促しております。
 また、高等学校に対してスクールカウンセラーを全校に配置するとともに、支援員の配置、スクールソーシャルワーカーの派遣なども行ってまいりました。

○清水委員 今ご紹介のあった不登校対応の教員の加配の実績についてお伺いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都教育委員会は、中学校を対象に不登校対応加配教員を配置しており、昨年度の申請校数は百九十七校、加配校数は百八校となっています。

○清水委員 不登校対応の教員の加配の実績をお伺いしました。申請があった学校は百九十七校、実際に加配ができたのは百八校ということで、約半分しか応えられていないという状況が分かりました。
 区市町村では不登校支援の取組として、学校内に登校支援教室を設置して、教室には行けない子供の学びと育ちを支えています。そうした教室の多くは、教員が空き時間を使って支援をしたり、家庭と子供の支援員などを配置して支援しています。区市町村の取組を支援するためにも、加配教員はちゃんと希望に応えるように、ぜひ採用を増やしていただくように強く求めます。
 次に、学びの多様化学校、いわゆる不登校特例校の設置の状況、都の設置支援の内容と実績についてお伺いします。

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 都内の区市町村が設置する学びの多様化学校は、令和五年四月一日時点で、本校型、分教室型、合わせて五校でございます。
 都教育委員会は、学びの多様化学校の設置を促進するため、教員の配置や新設時の環境整備に必要な経費の補助等、区市町村への支援を行っており、令和五年度の決算額は四百四十八万七千円でございます。

○清水委員 通常よりも少ない教育課程、授業時間数、手厚い教職員の体制によって子供一人一人に応じた教育を展開している学びの多様化学校は、不登校の児童生徒の学びの場として切実に求められています。
 都教育委員会は、教員の配置や新設時の環境整備に必要な補助、区市町村への支援を行っているということでしたけれども、まだまだその支援は十分とはいえません。
 例えば、八王子にある高尾山学園。八王子市が臨床心理士、教員の免許を持つ非常勤講師、指導員、指導補助員を配置しています。校外活動などの旅費や付添いなどの費用、バス代なども含めて、年間約六千万円を負担しているんです。先ほど四百数十万円の支援をしているとおっしゃいましたが、東京全体で都教委は四百万ちょっと、八王子はここ一つで六千万円超の負担をしていますと。それも東京都でいただいた分に足りないものを六千万円出しているんです。どれぐらい学びの多様化学校が費用や人が必要なのかというのをぜひよく見ていただきたいというふうに思うんです。
 学びの多様化学校へのさらなる人員配置、それから財政面でのさらなる支援を強く求めておきます。で……(山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務発言を求む)

○山田指導部長グローバル人材育成調整担当部長兼務 先ほど私は支援員の配置、スクールソーシャルワーカーと呼んでしまいましたので、正しくはユースソーシャルワーカーの派遣などを行ってきた。訂正させていただきます。

○清水委員 不登校児童の生徒、児童生徒の数は、二〇一三年頃から増え始めています。この時期に教育界で何があったのか。全国学力テストが始まったんです。二〇一七年には学習指導要領が改訂されました。これによって、小学校の一週間当たりの標準時間数は、土曜日まで授業をやっていた週六日制のときと同じ分量に戻ったんです。五日間で六日分の勉強をする、こういうふうになったんです。ですから、小学校の四年生から六年生は、ほとんど毎日六時間授業になりました。この学校の競争教育と管理教育の強化が不登校の要因の一つです。
 管理教育の一つが校則です。日野市内の学校には、手を挙げるときは黙って真っすぐ挙げる、指名されたら返事をして立ち椅子をしまい発言する、こういうルール。それから、挨拶をするときは、前に立っている人を見て、おはようございますといってから礼をします。こういった事細かく指定をする、指示をする、そういうルールが、校則があります。さらには、黙って掃除をする。一般の社会ではあまり見られない、こういうルールもあります。
 そこで伺いますが、校則が定める範囲、東京都教育委員会はどのようにお考えですか。

○市川指導推進担当部長 校則は、校長が教育目標を達成するため、必要かつ合理的な範囲内で遵守すべき学習上、生活指導上の規律として定めているものでございます。

○清水委員 日野市内の中学生とその保護者の方から、学校に他クラス進入禁止、こういう校則があるというふうに伺いました。自分のクラスではない隣のクラス、またほかのクラス、そこに行ってはいけない、入っちゃいけない、こういうルールなんです。それは休み時間も、ほかの時間もそうだというんです。そのお子さんは、そういうのが物すごく窮屈で、しかもクラス進入禁止を管理する係までいるというんです。子供が子供を管理する。こういうシステムが出来上がっているというんです。
 そのお子さんは、そこがちょっときつい。もう刑務所とか軍隊じゃないのにというふうにおっしゃっているんです。本当にそのとおりだと思うんです。
 先ほど校則というのは、必要かつ合理的な範囲内で遵守すべき学習生活上の規律だ、こういうふうにおっしゃいました。
 この学校では、ほかのクラスに入っちゃいけないのはトラブル防止のためだというふうにいっているんですが、トラブル防止のためにほかのクラスの教室に入ってはいけない、こういう、このルールが社会通念上合理的だ、こう認められる理由について東京都教育委員会の説明を求めます。

○市川指導推進担当部長 校則は各学校が教育基本法等に沿って教育目標を実現していく過程において、児童生徒の発達段階や学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえて、最終的には校長により制定されるものでございます。

○清水委員 生徒が刑務所や軍隊のようにすごく窮屈に感じる。しかも、子供のクラスに進入する子供がいないかどうか管理するシステムまでつくる。これが本当に必要かつ合理的な範囲というふうにいえるんでしょうか。様々な学校の事情によるんだというけれども、これはどう見ても合理的な、しかも必要かつ合理的な範囲ではないんじゃないかと。しかも、これは全ての子供が守るんです。一人の子供に、何々ちゃん来ないでというのと違うんです。全ての子供に、ほかのクラスとの行き来を恒常的に禁止する。必要、合理的な範囲を超えているんじゃないかというふうに思いますが、もう一度、東京都教育委員会の見解を伺います。

○市川指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、校則は各学校が教育基本法等に沿って、教育目標を実現していく過程において、児童生徒の発達段階や学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえまして、最終的には校長により制定されるものでございます。

○清水委員 繰り返されたわけですけれども、この校則のどこが学校教育基本法に沿っているのか。これを守ったら教育目標をどうして実現していくことになるのか。また、児童生徒の発達段階や、学校、地域の状況、時代の変化を踏まえたものなのか。やっぱり子供には納得ができないというふうに思うんです。大人だって納得できないじゃないかというふうに思われますし、ご答弁されたご本人もそうではないかなというふうに思います。
 生徒がほかのクラスの生徒と交流するということは、そっちの方が児童生徒が健全な学校生活を送って、よりよく成長するためには必要なことじゃないかというふうに思うんです。こういうことを抑制すべきではないというふうに思いますが、いかがですか。

○市川指導推進担当部長 文部科学省の生徒指導提要では、校則は児童生徒が健全な学校生活を送り、よりよく成長、発達していくために設けられているものとされております。

○清水委員 ですから、校則というのは児童生徒が健全な学校生活を送って、よりよく成長していくためのものですよね。生徒というのは、学校生活の中で同じクラスの子供とだけ遊ぶわけではないわけです。同じクラスの子もいれば、ほかのクラスの子供もいるし、ご近所の子供もいれば同じ部活動の子もいる。様々なきっかけで知り合いになった子もいれば、いろんな友達をつくって、そういう友達と交流しながら成長していくものではないでしょうか。
 様々な交友関係が築けるようにするためには、ほかのクラスとの行き来だってやっぱり必要だというふうに思うんです。学校生活の中でそれを全ての子供に禁止をする。やっぱりおかしいと思うし、それを子供に監視させる、管理させる、もっとおかしいというふうに思うんです。
 そういう意味では、やっぱり大事にしなければいけないのは、子供の、さっきいわれたように成長なんですよね。成長発達、健全な成長発達。様々な交友関係が築けるようにすることは本当に大事なことだというふうに思いますが、このことについては東京都教育委員会はどうお考えですか。

○市川指導推進担当部長 校則は、児童生徒の発達段階や、学校、地域の状況、時代の変化等を踏まえて、その状況をよく知っている校長が制定するものでございます。

○清水委員 事細かなルールをつくり、子供を管理する、また子供に管理をさせる。細かなルールをつくるほど、それを守れない子供が生まれます。そういう子供たちが排除されていきます。こうした管理教育が生徒にちょっときついと感じさせ、学校に行けなくさせているのではないでしょうか。
 冒頭、都内都立学校における不登校の子供の数は増加しており、その要因や背景は複雑化、多様化していると捉えている、こういう答弁がありました。不登校の要因や背景の中に、今の学校の競争教育、管理教育は入っていますか。不登校の子供たちの受皿をつくることも大切です。そして、それと同じように、いえ、それ以上に不登校の子供たちを生み出している学校そのもの、ここを変えていくことが今必要だというふうに思います。そのことを強く求めて、私の質問を終わります。

○福島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○福島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後四時三十八分散会