令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和六年十月二十三日(水曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長福島りえこ君
副委員長伊藤こういち君
副委員長林あきひろ君
増山あすか君
こまざき美紀君
清水とし子君
原 のり子君
加藤 雅之君
成清梨沙子君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長古屋 留美君
生活安全担当局長竹迫 宜哉君
次長理事兼務渡邉 知秀君
次長久故 雅幸君
総務部長奈良部瑞枝君
都民生活部長柏原 弘幸君
都民安全推進部長馬神 祥子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長加倉井祐介君
文化振興部長蜂谷 典子君
スポーツ総合推進部長小池 和孝君
国際スポーツ事業部長梅村 実可君
スポーツ施設部長澤崎 道男君
企画担当部長杉山 浩二君
都民活躍支援担当部長山崎 利行君
治安対策担当部長事業推進担当部長兼務勝見 恭子君
若年支援担当部長村上  章君
文化戦略推進担当部長宮永 浩美君
連携推進担当部長スポーツレガシー活用促進担当部長兼務志村 将憲君
スポーツ担当部長齊藤 陽睦君
事業調整担当部長清水俊二郎君
経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務高島 慶太君

本日の会議に付した事件
議席について
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化スポーツ局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)

○福島委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに、本委員会室における本分科会の議席について申し上げます。
 議席は、先ほどの打合会で、ただいまご着席のとおりとすることを申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奈良部総務部長 去る十月九日の当分科会におきまして要求のありました資料につきましてご説明いたします。
 令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
 目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十四件でございます。
 それでは、一ページをご覧ください。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの所得区分別の実績を記載しております。
 二ページをご覧ください。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの学校種別の実績を記載しております。
 三ページをご覧ください。3、私立学校経常費補助における授業料減免制度整備促進補助を受けた学校数及び授業料減免補助を受けた人数の推移(私立小中学校・高等学校)でございます。
 令和元年度から令和五年度までの学校種別の補助校数と補助人数を記載しております。
 四ページをご覧ください。4、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの貸付額と貸付人員を記載しております。
 五ページをご覧ください。5、私立学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(令和五年度)でございます。
 予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額を記載しております。
 六ページをご覧ください。6、私立学校デジタル教育環境整備費補助の実績及びICT機器等の整備状況でございます。
 令和元年度から令和五年度までの補助実績と整備状況を記載しております。
 七ページをご覧ください。7、私立専修学校修学支援実証研究事業における支援実績の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの協力校数、協力者数及び支援金額の実績を記載しております。
 八ページをご覧ください。8、東京ウィメンズプラザの施設利用率、相談件数及び相談員数の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの実績を記載しております。
 九ページをご覧ください。9、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの予算額と決算額を記載しております。
 一〇ページをご覧ください。10、都立スポーツ施設の指定管理料の推移でございます。
 令和二年度から令和六年度までの施設別の指定管理料を記載しております。
 一一ページをご覧ください。11、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内障がい者スポーツ指導員登録者数でございます。
 令和元年度から令和五年度までの委嘱数と登録者数を記載しております。
 一二ページをご覧ください。12、TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業の利用実績(令和五年度)でございます。
 令和五年度の利用実績を記載しております。
 一三ページをご覧ください。13、都立特別支援学校活用促進事業での体育施設の貸出実績でございます。
 令和三年度から令和五年度までの学校別の貸出実績を記載しております。
 一四ページをご覧ください。14、結婚支援事業の内訳と予算及び決算の推移でございます。
 平成二十八年度から令和五年度までの予算額と決算額及びその内訳を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○福島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○増山委員 私から、大きく三つのテーマに分けて質問をさせていただきます。
 まず一件目ですが、文化振興費についてお伺いします。
 東京には、国や民間のものも含めた質の高い多くの芸術文化施設が集積していますが、その多くは二十三区内にあります。都立の美術館、博物館、ホールは全部で十施設ありますが、多摩地域にあるのは、小金井市の江戸東京たてもの園だけであり、僅か一施設しかありません。
 施設整備面で格差がある中でも、多摩地域に住む方々が芸術文化に気軽にアクセスできるよう、市立や民間の施設を活用してソフトの面から取り組んでいくことも必要ではないでしょうか。
 そこで、東京都は多摩地域においてどのような芸術文化事業を実施しているのか、令和五年度における実績についてお伺いします。

○蜂谷文化振興部長 都は、大規模なイベントや子供たちを対象とした体験事業など、様々な芸術文化事業を都内全域で展開しております。
 令和五年度において、多摩地域では、江戸東京たてもの園を活用した東京大茶会や、多摩地域の郷土芸能公演である伝承のたまてばこといった大規模イベントのほか、寄席及び東京都交響楽団のコンサートをそれぞれ六会場ずつで実施いたしました。
 このほか、学校や公共施設での体験参加型の事業も実施しております。

○増山委員 二十三区内と同様に芸術文化事業を展開しているということですが、多摩地域は文化施設が不足しており、また、都心部のイベントにアクセスしづらい状況であることも考慮すると、まだまだ不足しているのではないかと思っております。
 多摩地域における都の芸術文化事業について、これからどのように拡充していくのかお伺いいたします。

○蜂谷文化振興部長 都は、各事業の展開に当たりましては、地域の状況やバランスなどを考慮しながら開催場所を選定しております。
 今年度は、多摩地域には多くのファミリー層が暮らしていることなどを勘案いたしまして、年齢制限なくゼロ歳の子供でも参加できるコンサート、OK!オーケストラを多摩地域で初めて開催することといたしました。これまで開催してきた池袋、東京芸術劇場に加えまして、東大和市、武蔵村山市、町田市と、多摩地域では計三回開催いたします。

○増山委員 芸術文化には、心の潤いや豊かさをもたらすだけではなく、社会、経済にとってもよい効果をもたらす力があります。都民が芸術文化を身近に触れることのできる環境を整備していくことは大切です。特に、大規模かつ質の高い芸術イベントは、予算のある東京都でないと、地元自治体だけでは開催が難しいのが現状です。
 しかし、都が主催する芸術文化のイベントは、いつも都心部で開催され、多摩地域は置いていかれるように感じてまいりました。都民の芸術文化への参加体験に差が生じないよう、今後とも多摩地域における積極的な事業展開を期待して、一件目の質問を終わります。
 続きまして、町会・自治会防災力強化助成についてお伺いします。
 令和五年は関東大震災から百年の節目の年であり、東京都ではシンポジウムや出前講座を開催したほか、町会、自治会向けに防災力強化助成を実施いたしました。私の地元の自治会などでも申請を行い、この機会に必要な防災資機材を購入することができました。
 そこで、令和五年度に実施した関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成の実施目的と申請数、助成を行った町会数、平均助成額の実績についてお伺いいたします。

○柏原都民生活部長 本助成は、地震などの自然災害が発生した際に、地域における共助の中核となる町会、自治会の防災力を高めるために実施したものでございます。
 三千百九十九の町会、自治会から申請を受け付けまして、そのうち三千百七十八の町会、自治会に対して助成を行いました。平均助成額は二十八万七千円となっております。

○増山委員 本助成を通じて、町会、自治会は防災用の資機材などを購入しましたが、具体的にどのような物資の購入が多かったのでしょうか。また、地域の防災力の向上にどのような点でつながっているのかお伺いいたします。

○柏原都民生活部長 今回の助成におきましては、災害時の電源を確保するための太陽光パネルや蓄電池、被災時の復旧活動で用いる投光器のほか、簡易トイレや非常用の飲料水などの申請が多くございました。
 購入する資機材の選定に当たり、町会、自治会が備蓄状況を再点検し、改めて地域の防災について話し合っていただくことにより、防災意識の向上を図っていただきました。
 あわせて、いざというときに多くの住民が蓄電池などを使えるように、防災訓練で資機材を活用した町会もございまして、災害への備えにつながっております。

○増山委員 今ご答弁ございましたとおり、計画的に目的を持って購入した自治会がある一方で、中には、十分の十助成が出るからと購入した自治会もあると聞いております。定期的に防災訓練などで購入されたバッテリーなどが活用されることで、いざ災害が発生した際に、動かないというような事態を防ぐことができます。せっかく支援された資機材です。大いに活用されるよう、今後も町会、自治会の取組などを周知していくようお願いして、二件目の質問を終わります。
 続きまして、三件目としまして、消費生活対策費から消費生活センターについてお伺いします。
 令和五年度の都内消費生活相談は約十三万件を数え、高止まりしており、消費者をだます手口が巧妙化しております。最近では、屋根リフォーム工事、定期購入に伴う高齢者のトラブルが増加し、美容、エステ、サイドビジネスの契約トラブルが若者に多く見られるなど、消費者被害に遭う人はいまだに後を絶ちません。
 被害を未然に防止していくためには、今起きている被害情報を分かりやすく迅速に消費者に伝えていくことが必要です。
 そこで、消費者被害防止に向けた効果的な情報発信について、都の取組をお伺いします。

○片岡消費生活部長 都は、消費者被害の未然防止に向け、ホームページ東京くらしWEBにおいて、消費者からの相談が増加しているトラブル事例、注意点やアドバイスなどを掲載し、注意喚起を行っております。さらに、SNSを活用してタイムリーに情報を発信しております。
 このほか、消費生活情報誌、東京くらしねっとに加え、動画やターゲティング広告など、トラブルの内容や消費者の属性等に応じて様々な媒体を活用し、読みやすく、消費者の興味、関心を引き寄せる情報発信に取り組んでおります。

○増山委員 東京くらしWEBは私も見ましたが、とても内容が充実しておりました。相談の内容もきちんと分析されており、防止のための動画や教材もそろっております。
 しかしながら一方で、このような行政のページは、実際に被害に遭って検索するか、または意識の高い人でないと、このページにはたどり着くことはないということです。そのため、いかに多くの人の目に触れるようにするかが、次なる一歩だと思います。
 今の答弁で、消費者被害防止のための動画、ターゲティング広告も出稿しているということが分かりましたが、その内容と要した費用についてお伺いいたします。

○片岡消費生活部長 令和五年度に、消費者被害の未然防止のために有償で出稿した動画及びターゲティング広告は、主にデジタル広告の適正化や若者の消費者トラブル防止に関するものなど十三本で、その費用は制作費と広告費合わせて約千八百五十万円でございます。そのうち、最も再生回数の多かったものはマッチングアプリに係る消費者被害への対策動画で、約八十七万回でございました。

○増山委員 ホームページや冊子といった従来型の媒体だけではなく、動画やターゲティング広告も駆使しながら普及啓発に取り組んでいることが分かりました。
 大事なのは、こうした情報発信がより多くの人に伝わり、トラブルになりやすい勧誘広告を見たときに、自ら注意喚起できるようにすることです。
 私の地元でも、フェイスブックやインスタ、Xなど、SNSを利用した詐欺まがいのトラブルに巻き込まれる人が増えております。
 今のご答弁で、千八百五十万円ということで広告費をかけられているということですけれども、それよりももっと費用をかけて、勧誘広告よりも目立つようにSNS広告やCMを打つのも必要かと思います。
 東京都は、あらゆる機会を捉え普及啓発を図るなど、さらなる取組を進めていただくことをお願いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○成清委員 まず、ワイズスペンディングについて伺います。
 先日も申し上げましたが、東京大改革の柱の一つであるワイズスペンディングにより、この八年間で約八千百億円の財源確保につなげ、新たな施策の構築などを実現してまいりました。
 昨年行った令和六年度予算編成においては、過去最大となる千五百十五件、千二百六十六億円の財源確保につなげることができたとのことです。
 財務局で公表している資料を基に集計をしましたところ、生活文化スポーツ局の評価件数は約九十件、財源確保額は約五十二億円となっております。事業評価を行っている局や庁が全部で二十九あることを考えますと、財源確保額は恐らく平均くらいの状況ではないかと思います。
 ワイズスペンディングにおいては、予算編成上のものに加えて、執行上のワイズスペンディングも重要です。令和五年度に行った執行上のワイズスペンディングを具体的に伺います。

○奈良部総務部長 令和五年度予算の執行に当たりましては、ワイズスペンディングの観点から、例えば東京都消費生活総合センターにおける都民向け講座の一部につきまして、動画の配信方法を、従前のライブ配信から一定期間のアーカイブ配信に変更したことで、コストを抑えつつ受講人数を大幅に増やすなど、執行段階においても工夫を凝らしまして、より効果的、効率的な施策展開に努めました。

○成清委員 具体例を一つお伺いしました。
 現場での工夫により、こういった事例をどんどん増やしていただきたいと思いますが、ワイズスペンディングについて、局としての今後の方向性について伺います。

○奈良部総務部長 今後とも、ワイズスペンディングの観点から、各施策の成果等を踏まえまして見直しを徹底してまいります。その上で、社会状況や都民ニーズの変化に的確に対応できるよう、好事例を横展開するなど、効率性、実効性の高い施策展開を図ってまいります。

○成清委員 事業評価の取りまとめは、財務局が主体で行っているものですが、各局での取組が一番重要なものと思いますので、引き続きの自律改革の取組をよろしくお願いいたします。
 次に、町会、自治会の防災力の強化について伺います。
 先ほどもやり取りがありましたが、令和五年度は関東大震災から百年の節目ということで、また、年明けの能登半島地震も今年もありましたが、都民の災害への関心は非常に高いものがあります。
 私たちは、災害対策として耐震化、不燃化や無電柱化などハード面の整備の推進に加え、町会など地域コミュニティ強化の重要性を主張してまいりました。
 令和五年度の関東大震災を契機とした町会・自治会防災力強化助成については、先ほどやり取りがありましたが、本事業が様々な地域で防災力強化に役立ったということを私も確認させていただきました。
 とはいえ、百年の節目に一回助成金を出すだけでは、防災力強化はまだまだ道半ばともいえます。この取組を踏まえて、どのように町会、自治会の防災力を一層高めていくのか、見解を伺います。

○柏原都民生活部長 地震や風水害などの自然災害の発生に対しまして、地域の防災力をさらに向上させていくためには、継続した防災活動が重要となります。今年度、地域の底力発展事業助成において、防災活動の助成率を十分の十に引き上げ、町会、自治会による防災訓練などの取組に対する支援の強化を図っております。
 こうした支援により、身近な地域において防災に取り組む活動を推進し、住民が一体となって災害に備える活動を後押ししてまいります。

○成清委員 今年度も十分の十で手厚い助成を行うことで、底力発展事業のおかげで防災事業が実施できたとの町会のお声も届いております。防災意識を高めて防災力強化につながる継続的な取組をよろしくお願いいたします。
 次に、私学助成について伺います。
 まず、私学と公立への公費投入額のイコールフッティングの状況を確認いたします。
 学校運営に関する助成、保護者負担軽減に関する助成など東京都には様々な私学助成があり、私学に通う生徒、保護者に大きく貢献していると考えています。
 そこで、私立高校生一人当たりの公費負担額は、令和五年度で平均幾らになっているのか伺います。

○加倉井私学部長 令和五年度の私立全日制高等学校につきまして、基幹的補助である経常費補助の生徒一人当たりの補助額は四十一万六千三百六十五円でございます。これに加えて、年収九百十万円未満の世帯に対しましては、国の就学支援金と都の特別奨学金を合わせて、都内平均授業料である四十七万五千円まで補助しております。

○成清委員 年収九百十万円以上の世帯の場合は、学校側への運営費の補助約四十二万円、年収九百十万円未満の世帯の場合、学校側への補助約四十二万円に加えて、国と都からの授業料の補助約四十八万円を合わせて約九十万円となります。
 比較のために、都立高校における一人当たりの公費負担額は平均幾らになっているのか伺います。

○加倉井私学部長 文部科学省の地方教育費調査によりますと、令和四年度に都が支出した都立全日制高等学校の生徒一人当たりの教育費は、百十一万七千五百七十九円でございます。

○成清委員 当時は所得制限がありましたので、年収九百十万円未満であれば、公費負担額は私学であれば約九十万円、公立であれば百十二万円と、その差はかなり縮小しているとの印象です。
 令和五年度は、年収約九百十万円未満の世帯や多子世帯へ私立高等学校の実質無償化や半額補助が行われていましたが、手続面など保護者負担軽減にどのように取り組んだのか伺います。

○加倉井私学部長 私立高校授業料の保護者負担軽減につきましては、従来、書類による申請だったものを、令和五年度からオンライン申請とすることで手続を簡素化するとともに、補助金の支給時期を十二月から十月へと前倒ししております。

○成清委員 申請方法や時期など、保護者に寄り添った対応をいただいたことが分かりました。引き続き、保護者の声に耳を傾けながら運用のブラッシュアップをよろしくお願いいたします。
 私立への公費投入額の増加は、授業料すなわち家計負担の軽減に直結します。金銭的な負担が軽減すれば、より多くの方が私立を進学の選択肢として考えることが可能となります。
 しかしながら、学費の面での負担が少なくなったとしても、私立の学校には、学校や教職員を管理する、公立学校にとっての教育委員会のような中立的組織がないため、学校に対して生徒や保護者がトラブルを抱えた場合の対応は難しくなります。
 生徒、保護者の方が相談をしたい場合には、都においても教育相談一般、東京都いじめ相談ホットライン等による電話相談や、相談ほっとLINE@東京等によるSNSを活用した相談等で、公立、私立問わず受け付けています。
 所管として、生活文化スポーツ局私学部私学行政課小中高担当でも相談を受け付けていると認識しておりますが、この当該担当での令和五年度の相談件数やその概要について伺います。

○加倉井私学部長 私ども私学部に寄せられた電話やメール等での相談件数は、令和五年度は約六千百件でございます。
 主な相談内容として、いじめや不登校、進級、進学相談等が挙げられます。

○成清委員 相談の中身は様々で、学校側に問題があるものばかりではないと思いますが、先ほど述べた相談ホットラインとは別で一年間六千百件とのことで、数としてはかなり多いという印象です。
 不登校に関する相談も多いということでした。私たちは、公立、私立問わず、不登校や発達障害児の支援などを進めてまいりました。私立学校、公立学校それぞれにおける不登校の状況と、それに対する都の認識について伺います。

○加倉井私学部長 令和四年度の不登校の発生件数は、私立の小学校が二百一件、中学校が二千四十六件でございます。一方、公立では、小学校が一万六百九十五件、中学校が一万六千二百十七件でございます。公私ともに、コロナ禍以前と比べて増加傾向にあると認識しております。

○成清委員 割合で考えると、私立の方が不登校は少ないということです。
 私立学校、公立学校それぞれにおける発達障害の状況についても伺います。

○加倉井私学部長 私立学校における発達障害の実態につきましては、統一的な調査は行われておりません。
 なお、令和四年度に国が行った全国公立小中学校の抽出調査では、通常学級に在籍する生徒で、知的発達に遅れはないものの、学習面または行動面で著しい困難を示す割合は八・八%を占め、そのうち約三割が、特別な教育的支援が必要であると示されております。

○成清委員 私立については、発達障害の実態、よく分からないということです。
 公立については、全国の抽出調査であり、精緻な結果とはいえないかもしれませんが、特別支援について課題を認識し、対応も進んできている状況であると思っています。
 私立においては独自経営が原則ですが、公費投入額も増加し、様々な子供たちの選択肢となることを考えると、いじめや不登校、障害児の対応など、子供目線での対応もしっかりと行っていただく必要があると思います。
 いじめや不登校、障害児の対応など、私学における人権対応の強化に都としてどのように取り組んできたのか、また、今後の方向性について伺います。

○加倉井私学部長 都は、日頃から法令等にのっとって適切な対応を取るよう学校に促すとともに、生徒や保護者から意見、相談があった場合には、学校に対して適宜情報提供し、必要な助言等を行っております。
 特に、いじめや障害を持つ生徒への対応につきましては、教職員を対象とした研修の開催や、学校に対するヒアリング等を通じて指導を行ってまいりましたが、引き続き全ての私立学校に働きかけてまいります。

○成清委員 都庁の方にも私学に関するご相談はかなり多いのではないかと思いますし、私たち都議会議員の下にも多く届きます。相談、聞きっ放しで終わるのではなく、学校へのヒアリングなど必要な対応も行っていただいているということですが、しっかりと子供に寄り添った学校運営となるように、都としてもご対応よろしくお願いいたします。
 次に、痴漢対策について伺います。
 痴漢は、混雑した電車だからこそ起きるものであり、東京問題といっても過言ではなく、東京都が国を牽引する対応が求められると思います。痴漢は、身近で卑劣な犯罪であり、被害に遭われた方への心身の影響も大きく、泣き寝入りしている被害者も少なくありません。
 東京都は、この痴漢被害の問題解決のため、令和五年三月に庁内横断のプロジェクトチームを立ち上げ、痴漢撲滅プロジェクトを進めています。令和五年度は、実質的に事業初年度にありましたが、様々な取組の中で、被害の実態把握調査を実施したことは大きな一歩であると考えます。
 そこで、まず最初に、都が令和五年度に実施した痴漢被害実態把握調査の調査内容について、痴漢被害はどのような状況だったのか伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都は昨年度、都として初の大規模な痴漢被害実態把握調査を実施いたしました。
 調査結果では、痴漢被害に遭った場所としては電車内が最多であり、電車内で最初に被害に遭った時期は、高校生のときが三割超でございました。
 また、被害に遭ったときの対応といたしましては、我慢した、何もできなかったが四割であり、被害に遭った際の届出等の状況につきましては、六割が誰にも連絡などしていないという結果でございました。

○成清委員 調査では、電車内で最初に被害に遭った時期を高校生とする回答が三割超であり、また、被害に遭った方の六割が、被害など誰にも相談できていないとのことでした。高校生など若い世代の人たちが痴漢被害を一人で抱え込まず、被害に遭ったら訴えたり相談するよう周知していくことが重要です。
 そこで、痴漢撲滅プロジェクトでは、若い世代への周知を図るため、令和五年度にどのように取り組んだのか伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 都は、本年一月六日から二月二十五日まで痴漢撲滅キャンペーンを実施いたしました。キャンペーンに当たりましては、キックオフイベントを開催し、若い世代に関心を持ってもらえるよう、著名人によるトークセッションや、痴漢現場を再現した実演劇を行い、痴漢に直面したときに取るべき行動例や相談機関の紹介など、普及啓発を行いました。
 あわせて、年度初めに痴漢被害が多く発生していることから、三月に高校生や鉄道事業者等の参加を得て京成上野駅で普及啓発イベントを実施いたしました。

○成清委員 令和五年度は初年度でしたが、高校生などの参加も得て、痴漢撲滅を訴えたとのことです。引き続き、若い世代に伝わるよう痴漢撲滅プロジェクトを進めてもらいたいと思います。
 また、私たちはかねてより、痴漢をはじめ性加害は再犯性が高く、依存症と診断された場合は治療が必要であり、専門家の意見を踏まえた対策を求めてきました。
 国では、性犯罪の再犯防止のためのプログラムが実施されています。この性犯罪には痴漢加害も含まれており、都として、こうした事例の情報収集を進め、具体的な取組につなげていくよう求めておきます。
 最後に、デフリンピック、世界陸上について伺います。
 東京二〇二〇大会が様々なレガシーを残した一方で、汚職や談合など、大会の意義を失墜させる事態が起きたことは決して許されません。都が今後主催する国際的なスポーツ大会やイベント等において同様の事態を生じさせることがないよう、ガバナンスの強化にも取り組むことを求めてまいりました。
 また、そのためには大規模イベントの開催や運営を外部に丸投げするのではなく、都庁内部にも外注先と対等に話すことのできる専門性のある人材を育成することが重要です。
 我が会派では、都が国際スポーツ大会に引き続き関与していくに当たり、東京二〇二〇大会を教訓に、二〇二五年に開催される世界陸上やデフリンピックにおいては、スポーツ行政を牽引する人材が経験、成長できる貴重な機会と捉え、生かしていくべきと求めてきました。
 令和五年三月の予算特別委員会にて、知事から、一つの例としてデフリンピックでの経験を通じて都職員の育成を図っていくとの答弁を得たところです。
 そこで、令和五年度のデフリンピックの準備において、都の職員はどのような業務に従事し、どのような経験を積んでいるのか伺います。

○清水事業調整担当部長 令和五年度は、東京都スポーツ文化事業団に七十四名の都職員を派遣し、国際団体との調整や輸送、宿泊の計画検討などの業務に携わっています。
 こうした国際スポーツ大会ならではの業務を通じ、大会の運営や国内外の関係者との調整などを幅広く経験しております。
 引き続き準備を進めていくとともに、職員のスキルアップにつなげてまいります。

○成清委員 国際的な大規模大会の運営や調整は非常に難しいものであると認識しておりますが、二〇二五年の大会で培ったノウハウを今後のスポーツ行政に生かしていけるよう、引き続き人材育成に取り組んでいくことを求めておきます。
 先日、来年に控える世界陸上のスペシャルアンバサダーとして俳優の織田裕二さんが就任したことが発表され、反響と期待の声が届いております。
 同じく、開催を来年に控えるデフリンピックについては、認知度向上が課題となっております。例えば織田裕二さんにデフリンピックのインタビューも行っていただき、世界陸上と一体となった広報をしていただくなど、対策の一層の強化を求めて、質疑を終わります。ありがとうございます。

○伊藤委員 それでは、私からはまず、ボランティアレガシーについて質問をしてまいりたいと思います。
 今年の夏、日本中が沸いたパリ二〇二四オリンピック・パラリンピック競技大会では、四万五千人ものボランティアが大会を支え、日本からも東京二〇二〇大会のボランティア経験者などが参加したというふうに聞いております。
 東京では、東京二〇二〇大会に向けて、平成二十七年度から、様々な外国から観客を迎え入れるために、日常的に活躍ができる外国人おもてなし語学ボランティアの育成講座が実施をされました。この取組によって、人を支えるボランティアに興味を持っていただくなど、東京二〇二〇大会、そして東京マラソンなどのスポーツ大会におけるボランティア活動への関心を高める流れをつくったのではないかというふうに私は考えております。
 そこで、まず、平成二十七年度から取り組んだ外国人おもてなし語学ボランティアの実績とその後の状況について伺いたいと思います。

○柏原都民生活部長 都は、東京二〇二〇大会の開催に向け、外国人観光客等を東京全体でおもてなしすることを目的に、平成二十七年度から令和元年度まで講座を開催し、約五万四千人の語学ボランティアを育成いたしました。
 この活動をきっかけに、東京二〇二〇大会のシティキャストやフィールドキャストに応募し、大会期間中に活躍いただいた方もいらっしゃいました。
 現在は、初級者向けの語学教材や外国人とのコミュニケーションを学ぶ動画などをホームページで公開し、ボランティア活動に役立てていただけるよう情報提供をしております。

○伊藤委員 この外国人おもてなし語学ボランティアは、MAY I HELP YOU?と書いてある缶バッジをつけて活動するのが特徴的でありました。この当時、この事業について一生懸命に取り組んでくださった課長が、今この中に部長でいらっしゃって、私はすごくうれしく思っておりますけれども、私も、友人、それから家族にこのボランティアに参加を呼びかけました。
 その中に、缶バッジをつけてまち中に出ると、本当に話しかけられてしまって恥ずかしかったっていう人と、うまく答えられなくて恥ずかしいので外しちゃったっていう人と、また、同じ缶バッジをつけている人と出会うとお互いに声をかけ合って、親近感があったなどの感想を聞きました。
 今の答弁で、五万人を超える方が育成講座に参加され、多くの方から関心が寄せられたことが分かりました。こうしたボランティア活動への意欲の高まりは、東京二〇二〇大会のレガシーの一つであり、これからも大切にしていく必要があるというふうに思います。
 東京二〇二〇大会によって高まったボランティア機運を維持拡大していくために、都は、現在どのような取組を進めているのか伺いたいと思います。

○柏原都民生活部長 東京二〇二〇大会を支えた多くのボランティアの大会後の活動を支援し広げていくため、都は、令和三年十一月に東京ボランティアレガシーネットワークを開設いたしました。このサイトを通じて、ボランティアに携わる人々や団体が募集情報や体験談などを共有し、活動の機運を高め、SusHi Tech Tokyoやパラスポーツの魅力を体感できるイベント、BEYOND STADIUMへの参加など、活躍の場を広げております。
 令和五年度は千三百七人が新規登録し、累計で約一万二千人となるなど、利用者は着実に増加しております。これに加え、ボランティアフェスタなどのイベントも開催するなど、ボランティア文化の継承、発展に向けて取組を進めております。

○伊藤委員 スポーツ大会だけではなく、都の様々なイベント等でも活躍をされている。もしかすると、こうした行政のイベントだけではなくて、民間が開催するようなイベントでも開催をされているんではないかな、このように思います。
 いずれにしても、大会を契機に高まったボランティア機運を一過性のものとはせずに、大会後も着実に維持、継続を図ることはとても重要なことだというふうに考えます。今後も、東京二〇二〇大会のレガシーとして、ボランティアの活躍を大事にしていただきたいというふうに思います。
 次に、デフリンピック大会のボランティアについて質問してまいりたいと思います。
 来年度開催されるデフリンピック大会においても、東京二〇二〇大会のレガシーを生かして、ボランティアの活躍につなげていくべきと考えます。また、デフリンピック大会開催を、共生社会の実現につなげていくため、聴覚障害当事者の方々をはじめ、様々な方々がボランティアなどで活躍いただくことも重要であります。
 デフリンピックのボランティア育成については、都議会公明党はこれまでに様々議会において求めてまいりましたけれども、昨年度の検討状況について伺いたいと思います。

○清水事業調整担当部長 昨年十一月に開催基本計画を策定し、ボランティアにつきましては、東京二〇二〇大会のレガシーも活用し、様々な場面で活動機会を提供すること、障害のあるなしや年齢などにかかわらず、多様な人々が活躍できる機会を設けることとしております。
 この計画を踏まえ、競技会場での案内、誘導など、ボランティアの具体的な活動内容や研修方法などを検討してまいりました。本年十一月に開始するボランティアの募集に当たりましては、ボランティアレガシーネットワークを活用するとともに、当事者の方々の参画にもつながるよう、全日本ろうあ連盟などとも連携し、幅広い周知を行ってまいります。

○伊藤委員 東京二〇二〇大会を通じて広がったボランティア文化をさらに根づかせていくためにも、東京二〇二〇大会のレガシーも活用し、様々な人がボランティアに参加してもらえるよう、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 また、デフリンピック大会では、多くの海外のデフアスリートが参加をするわけであります。円滑な大会運営のためには、海外のデフアスリートとのコミュニケーションに必要な国際手話人材を確保することが重要であります。
 そこで、国際手話人材の育成についてどのような取組を行ってきたのか伺いたいと思います。

○清水事業調整担当部長 都は、国際手話人口の裾野を拡大するため、令和五年度から国際手話普及促進事業を開始いたしました。昨年度は、延べ三百三十一人に対し国際手話講座の受講費用を支援し、人材の育成を図っております。
 引き続き、大会における国際手話人材の確保に向け、着実に取り組んでまいります。

○伊藤委員 国際手話通訳の人材育成に取り組んでいるということは分かりました。
 一方、手話は、国際手話もあれば各国ごとの手話もあり、さらにはデフアスリートの中には、手話を使わない方もいるというふうに考えられます。また、スタッフや応援団など、海外からたくさんの方々が来日するわけであります。手話だけでなく情報コミュニケーションが図れるよう、様々な角度からしっかりと準備をしていただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、青年施策について質問してまいりたいと思います。
 私は以前から、都政の数え切れないほどの様々な施策のうち、青年世代に向けた施策があまりにも少ないということを感じておりました。つまり、十八歳以下の子供たちは、児童福祉法だとか学校教育法等によって受皿がたくさんあるのに対して、学校を卒業して、高校、大学を卒業して社会に出た若者は、その後、家庭を持って子供を持つ年代になるまで、子供を持つことができるこうした年代になるまでの間、行政による支援がほとんどなく、若者たちを受け止める施策が手薄な状況でありました。
 しかし、若者を取り巻く環境がどんどん大きく変化をしている状況の下、若者だからこそ、自分の将来や仕事、人間関係、また結婚などに対して、不安や悩みをたくさん抱えているわけであります。
 こうした若者たちが夢や希望を持って、また、自分自身を見失うことなく、社会発展の原動力となっていくためには、全ての若者の様々な不安や悩みを受け止め、支えていく仕組みと社会が必要だと思いました。
 こうしたことから、私は、平成二十一年三月の予算特別委員会において、総合的な若者相談窓口を一刻も早く設置すべきとの提案を行い、若ナビαの前身である若ナビが創設されました。そして、平成二十九年には機能強化を図り、東京都若者総合相談センター、通称若ナビαとしてグレードアップがなされました。
 都議会公明党は、この若ナビの創設以来、一貫して、議会質問や予算要望などで事業の充実等を訴え、本事業を強力に推進をしてまいりました。
 そこで、まず、改めて若ナビの創設以来どのように本事業の拡充を図ってきたのか伺いたいと思います。

○村上若年支援担当部長 都は、平成二十一年七月に若ナビとして電話相談を開始し、同年十一月からメール相談も開始しました。また、都内のカフェに場所を確保し、面談事業なども工夫して行ってまいりました。
 平成二十九年には、若ナビαとして拠点を設け来所相談を開始し、令和二年にはLINE相談を導入し、令和三年にオンラインによる面接相談も始めました。令和四年からは、電話とLINE相談の時間を延長、令和五年にはチャットボットによる相談も開始するなど、若者が相談しやすい環境整備を進めております。

○伊藤委員 若者のニーズを酌み取り、SNSやデジタル技術の活用など時代や社会の変化に応じて、これまでたゆまず拡充を図ってこられた、毎年のように新しい、LINEだとかオンラインだとか、様々な拡充をしていただいたということで、このことについて高く評価をしたいと思います。
 さて、昨年の決算特別委員会では、都議会公明党の玉川ひでとし議員が、若ナビαの令和四年度の相談実績を質問いたしました。相談件数、令和四年度は九千二百八十九件であった、事業開始以来最も多い相談件数であったという答弁でありました。
 そこで、令和五年度は何件の相談があったのか、相談実績について伺いたいと思います。

○村上若年支援担当部長 令和五年度の相談件数は一万一千八百十六件となり、一年間の相談件数として、初めて一万件を超えました。

○伊藤委員 一年間で相談件数一万件を超えたということで、その当時、若者施策がすごく少ないのはなぜですかって、私は、たしか当時、知事本局の方に質問したときに、さっき申し上げた、学校を出て結婚されて、子供さんを持つまでの間、この間の若い人たちは、ばりばり働いて税金を納めていただく年代だから、ないんだと思いますっていうふうにいわれたことを今でも覚えておりますけれども、一年間に若者から一万件相談があるということは、それだけ今の若者たちは、様々なことを抱えているんだということを改めてこの数字からも分かるわけであります。
 開設から十五年、都は様々な工夫によって相談環境の整備を図ってきていただきましたけれども、その結果、若者の相談窓口として一定程度認められてきたのではないかというふうに私は思います。
 一年間の相談件数が初めて一万件を超えたということでありますけれども、その相談の特徴や内容についてはどうだったのか伺いたいと思います。

○村上若年支援担当部長 昨年度は、二十代女性からの相談が二千七百七十七件と最も多くありました。また、相談件数の増加が最も大きかったのは三十代男性で、前年度から四百二十件増え、千六百二十一件となっております。
 相談内容としては、メンタルの不調など自分自身に関する悩みが最も多く、約四〇%を占めております。また、家族関係の悩みが約一八%、対人関係の悩みが約一三%を占めておりますが、前年度と比較すると、家族関係で約四割、対人関係では約八割、相談件数の増加が見られております。

○伊藤委員 三十代男性の相談件数が増えているということでありましたけれども、その年代となると、なかなかプライベートの悩みを相談する身近な相手もいない現状があるんではないかというふうに思います。また、やっぱり悩みによっては家族にも友達にもいえないっていう、そんな悩みもあるんではないかというふうに思います。
 そういった意味では、若ナビαの果たす役割は、ますます大きなものになっているんではないかというふうに思います。ぜひ今後とも時代時代の若者のニーズを酌み取りながら、相談環境を整えていっていただきたいというふうに思います。
 最近、連日のように報道されている、いわゆるヤミバイトに手を染めた若者が、相次いで逃走あるいはまた逮捕されております。昨日の報道でも、中学生がこうしたことに加担をしてしまったという報道もありました。犯した犯罪は、決して許されることではないことはいうまでもありませんけれども、一見、普通の青年が犯罪に加担する背景には、その若者が抱える課題があるように思います。都が展開する若ナビαは、あるときは、こうした課題を抱えた青年が事件に巻き込まれる前に受け止める、よりどころの一つというふうになっていただきたいな、このように思います。
 また、最後に、二十代、三十代は、結婚に悩む方も多くいらっしゃると思います。私の下にも、結婚についての相談がよくあります。ぜひ若ナビαでも、そうした相談があった場合には、東京都が提供するAIマッチングシステム、TOKYO縁結びやポータルサイト、TOKYOふたりSTORYを積極的に紹介をして、新たな出会いにつなげていただくことを要望して、質問を終わります。

○清水委員 日本共産党都議団の清水とし子です。
 消費生活相談についてお伺いします。
 都の消費生活行政は、消費者の権利を守り、消費者である都民の立場に立ち、商品事故、取引被害を防止するとともに、表示の適正化などにより消費者の適切な商品選択の確保策を講じるなど、消費者の生活を守るための諸施策を推進しておられます。
 同時に、消費者と事業者の間の構造的な情報力、交渉力の格差を埋めるために、消費生活相談員、消費者教育、消費者への情報提供などの支援を行っています。
 最初に、消費生活相談の相談受付実績について、昨年度の実績と、直近五年間の状況についてお伺いいたします。

○片岡消費生活部長 都内の消費生活センターで受け付けた相談件数は、令和元年度に約十三万九千件でございましたけれども、令和三年度にかけて減少し、令和四年度に再び十三万件台となり、令和五年度は十二万九千六百八十一件でございました。

○清水委員 相談件数は、直近では十三万件台で推移しているものの、かなりの数が寄せられるということだと思います。
 二〇二四年の三月、小林製薬の紅麹サプリメントによる健康被害が発生しました。健康のためと飲み続けたサプリメントで、逆に健康を害し、亡くなる方までが出たということは本当に重大だと思います。健康に役立つことを商品に表示できるのは、ビタミンなどを国の規格基準以上に含む栄養機能食品、効果や安全性の科学的根拠を国が食品一点ごとに審査して許可する特定保健用食品、特保ですね、だけでした。
 ところが、新たに加わったこの機能性表示食品は、企業の届出制で、科学的根拠となる文献を提出するだけで、国の審査はありません。安全性、効果の担保は企業任せで、極めて不十分です。機能性表示食品に関する消費生活相談は、昨年度何件あったでしょうか。また、過去五年間の推移についてもお伺いします。

○片岡消費生活部長 都内の消費生活センターで受け付けた機能性表示食品に関連した相談は、令和五年度は五十九件でございました。令和元年度から四年度までは、各年度とも三十件前後となっています。

○清水委員 それでは、機能性表示食品の相談の内容はどのようなものでしたでしょうか。

○片岡消費生活部長 主な相談は、便通改善や関節痛改善などのための機能性表示食品に関するものでございます。その内容は、定期購入だが二回目以降が高額なので購入をキャンセルしたい、契約後にキャンセルをしようとしたが電話がつながらない、発疹が出たので解約、返品を希望などでございます。

○清水委員 では、相談が寄せられたときにはどのような対応をされていますか、また、問題事例と判断した場合の対応はどのようになっていますか。

○片岡消費生活部長 相談内容が返品や解約に関する場合は、契約内容を確認し、解約等に関する助言を行い、摂取に伴う体調不良の場合は、医療機関や保健所へ相談するよう助言するなどしています。また、生命、身体への被害が重大であるものなどは、直ちに国に報告することとしております。

○清水委員 機能性表示食品は、規制改革こそ成長戦略の一丁目一番地とする当時の安倍首相の号令で導入されました。企業が安全性、機能性の研究にお金をかけずに市場に参入できるようにしたのが機能性表示食品です。国民は自らの健康を自ら守ると、安全性は自己責任とされました。
 消費者庁の長官は、紅麹サプリメント事件の当時の記者会見で、安全性に疑問を抱かせる深刻な事態、機能性表示食品については以前から意見をいただいている、しっかり検証していくと述べておられます。制度の見直しは不可欠です。
 小林製薬の紅麹サプリメントでは死者も出ています。都民、国民の命や安全を守るためには、事後の対応ではなくて、しっかりと事前に規制していくことが必要です。
 都は、生命、身体への被害が重大であるものなどは直ちに国に報告しているという答弁でした。実態をしっかりと把握するとともに、国に対して制度の見直しを要望していただくことを求めます。
 次に、霊感商法についてお伺いします。
 先祖の供養をしないとその病気は治らないなどと不安をあおられるなどして、高額な寄附をしたり商品を購入したりして、家庭が困窮したり崩壊したりするなどの被害が、統一協会問題を通して明らかになりました。
 これを契機に、不当な寄附勧誘を防止し、被害からの救済や再発を防ぐための新たな法律、法人寄附不当勧誘防止法が制定され、消費者契約法等の改正が行われ、霊感商法等による被害の救済が拡充されました。
 そこで、昨年度の霊感商法等の相談件数の実績とその内容についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 いわゆる霊感商法は、消費生活相談では開運商法として分類されておりまして、例えば占い、祈祷サービスなどがございます。
 令和五年度の開運商法の都内の消費生活相談の件数は七十六件でございまして、その内容は、悪運を払うために祈祷が必要といわれた、金運を上げるために占いを続ける必要があるといわれたなどでございました。

○清水委員 統一協会問題を契機に、二〇二三年一月に消費者契約法、国民生活センター法が改正され、新たに法人寄附不当勧誘防止法が施行されました。
 二三年十月には、統一協会の解散命令請求が出されましたけれども、法改正により、霊感商法などに対する都の対応はどのように変わったでしょうか。説明をお願いします。

○片岡消費生活部長 当時、霊感商法に対する都民の関心が高まっている機を捉え、法改正や新法の内容、霊感商法を含む様々な悪質商法から身を守るための知識、相談窓口の情報等について、新聞折り込みによる啓発リーフレットの配布や、インターネット及びSNS広告などにより広く周知を行いました。
 また、大学生がマルチ商法やカルト等に勧誘される例が報告されていることから、大学等と連携して若者への注意喚起を強化しております。

○清水委員 今年七月、統一協会への高額献金をめぐり、元信者の女性の遺族が協会側に損害賠償を求めた訴訟で、元信者が協会側に返還請求をしないこと、損害賠償を求める訴訟を起こさないことなどを記した念書について、公序良俗に反し無効と断じました。その上で、原告が敗訴した二審判決を破棄して高裁に差し戻し、統一協会による献金勧誘行為の違法性について、審理を尽くすように求めました。高額献金強要の違法性と協会側の責任を問う重要な判断です。
 法改正や新たな法の施行は、マインドコントロール下での献金を禁止することができるのかという点で不十分な点はありますが、霊感等の知見を用いた告知による勧誘に対する取消し権を十年に延長したことや、生活を困難にするような寄附が規制されたり、寄附をした方の家族の救済が定められるなどしています。こうした法律があることの周知が、被害の予防にもつながると思いますので、そのときだけの周知、注意喚起で終わらせずに、繰り返し取り上げていただきたいと思います。都のさらなる対策強化、被害者救済を求めます。
 次に、フィッシング詐欺等についてお伺いします。
 銀行口座の入出金が制限された、こういったメールが届いて、規制を解除するために口座番号や暗証番号などを入力すると、預金が不正に引き出される、こういったフィッシング詐欺が相次いでいます。実在する銀行やクレジット会社、大手通販サイトなどを語ったフィッシングメールなど、詐欺メールにだまされる被害が発生しているんです。
 消費生活センターにはどのくらい相談が寄せられていますか。また、どのような対策が取られていますか。

○片岡消費生活部長 令和五年度において、フィッシングメールや架空請求、不当請求に関する相談は約七千件でございました。
 被害の未然、拡大防止対策として、ホームページ東京くらしWEBで随時注意情報を発信するとともに、ウェブ内に相談事例をまとめたFAQを作成し、トラブル内容やアドバイスを掲載して、注意喚起を図っております。

○清水委員 注意喚起をさらに強化するとともに、詐欺メールを送っている事業者を摘発してほしい、こういう声がありますが、都の取組についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 都では、東京くらしWEB内の悪質事業者通報サイトで都民からの情報提供を広く呼びかけております。架空請求として通報があった事案は、消費生活条例に基づき調査し、架空請求の内容を公表しております。また、警視庁及び消費者庁等にその事案について情報提供を行っております。

○清水委員 通報があった事案は、調査をし内容を公表する、また、警視庁及び消費者庁等に情報提供をしていくということでした。悪質な事業者は、警視庁等関係機関に情報提供をしていただいて、摘発につなげていただくようお願いいたします。
 次に、二三年度の消費生活相談の相談者の年代別の割合についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 令和五年度に都内の消費生活センターに相談した方の年代別割合は、六十歳以上が三四・二%、五十歳代が一八・九%、四十歳代が一四・六%、三十歳代が一一・五%、二十歳代が一〇・三%、二十歳未満が〇・八%となっています。

○清水委員 相談者の年代割合は、確かに二十歳未満の割合は〇・八%と大変少ないんですけれども、六十歳以上は三四・二%、これは六十歳以上が、六十、七十、八十とみんな一まとめになっていることを踏まえると、三十代、四十代、五十代、それ以上の方と年代別に大きな差はないというふうにもいえると思います。
 高齢者や若者の被害を強調する、これはとても大事なことですけれども、それと同時に、どの年代でも被害に遭うことについて、啓発強化が求められているのではないでしょうか、見解を求めます。

○片岡消費生活部長 都は、相談が増加しているトラブル事例やアドバイスなどを東京くらしWEBに掲載し、注意喚起を行っております。こうした注意情報を、東京くらしねっとやSNS、街頭ビジョンなども活用し、様々な年代の方に届くように工夫して情報を発信しております。

○清水委員 高齢で判断力が低下している場合や、若く経験が少ない方が被害に遭いやすいという点に着目した注意喚起は重要です。
 同時に、三十代、四十代、五十代の方が被害に遭いにくいわけではないということは、これらの年代の方も認識しておくことが、より慎重な行動につながると考えます。インターネットを通じた契約が一般化して、手口が巧妙で解約しづらいものも増えています。どの年代にも届くような啓発活動の強化をお願いいたします。
 消費生活相談は、機能性食品や霊感商法、多重債務、日用品から車、建物まで、あらゆる分野にわたっていて、また相談者の年代も、若者から高齢者まで幅広く寄せられています。
 このように、相談の内容が複雑化、多様化している中で、相談員の専門性や相談業務の質の向上の重要性について、都はどのような認識を持っているのか、また、都の取組についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 相談内容の複雑化、高度化に対応するため、東京都消費生活総合センターでは、経験豊富な相談員を主任相談員として配置するとともに、美容や金融、多重債務など十の専門分野グループ別に相談員を配置し、情報収集、分析、問題点の整理を行い、相談業務の質的向上を図っております。

○清水委員 相談内容の複雑化、高度化に対応するために、経験豊富な相談員を主任相談員として配置するとともに、美容や金融、多重債務など、専門分野グループ別に相談員を配置して、情報収集、分析を行って、相談業務の質的向上を図っているということです。特に、経験豊富な相談員を主任相談員として配置している、これはとても重要だというふうに思います。
 次に、新人相談員の育成の取組についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 東京都消費生活総合センターの専門分野グループの一つに指導育成班を設けており、新たに採用された相談員を主任相談員が育成しております。
 また、都のセンターだけでなく、区市町村で採用された新人相談員につきましても、希望があれば都のセンターに受け入れ、指導育成班による育成を行っております。

○清水委員 新たに採用された相談員を育成するために、相談の受け方、都の消費生活相談事業、消費生活相談情報システム、東京都消費者被害救済委員会などについても研修をされています。そして、この新人研修は、経験豊富な主任相談員をはじめとする相談員の方が担っているということです。
 そこで、消費生活相談員の体制についてお伺いしますが、消費生活相談員の正規職員、非正規職員の数についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 東京都消費生活総合センターの相談員は、会計年度任用職員でございまして、四十四人でございます。

○清水委員 東京都消費生活総合センターの相談員は四十四人、全て会計年度任用職員ということです。経験豊富な主任相談員の方も、専門分野の相談を担当している方も、新人の方も、みんな一年契約の会計年度任用職員だということになります。
 消費生活相談員に専門性や経験が求められることを踏まえると、継続性が欠かせません。期限の定めのない正規職員として雇用すること、少なくとも更新年限のない会計年度職員とすべきと考えますが、いかがですか。

○片岡消費生活部長 相談員の採用に当たっては、勤務実績等を考慮して、連続四回まで公募によらない再度任用を可能としており、以降、本人が継続を希望する場合は、公募による客観的な能力実証を経た上で再度採用する方法を取っております。こうした選考方法や、センターにおける人材育成の取組により、相談員の専門性及び相談業務の質を確保しております。

○清水委員 経験豊富な相談員を主任相談員として配置していると、自ら経験や専門性の重要性を認めながら、公募によらない再度の任用は四回という期限をつけて、事実上、五年たったら一般公募と同じ採用試験を受けさせてリセットするというのは、矛盾しています。
 消費生活相談員の仕事には継続性があり、その仕事を続けたいという人がいて、なおかつ経験や専門性が求められる仕事であるならば、会計年度任用職員ではなく、正規職員として配置するのが当然です。消費生活相談員を会計年度任用職員ではなく、正規の職員として配置することを強く求めて、私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、令和五年度の生活文化スポーツ局の決算について質問します。
 初めに、公益法人について伺います。
 多様化する社会において、様々な市民のニーズに応える担い手として、行政だけではなく、むしろ行政とは異なる視点で取り組む主体として、公益法人が期待されています。欧米では、公益法人は事業規模が大きく、雇用創出も行っているようです。それを支えるのは市民の寄附であり、寄附文化の醸成は重要です。
 しかし、この国では、ふるさと納税という問題の多い制度が寄附文化をゆがめています。本来の目的と違い、ふるさとへの思いではなく、返礼品で誘うやり方は批判されています。寄附により税制優遇を受けるのであれば、ふるさと納税ではなく、公益社団法人や認定NPO法人の寄附が望ましいと考えます。
 寄附文化の醸成のための普及啓発、認定NPO法人の活動を活発化させる両面が必要となります。認定NPO法人の数の推移と、これらの法人に関する都民への情報提供の取組について伺います。

○柏原都民生活部長 認定NPO法人の数は、直近五年間では三百法人程度で推移しておりまして、令和五年度末では三百七法人となっております。
 こうした認定NPO法人の活動情報を都のホームページで広く公開するとともに、内閣府と連携いたしまして、税制優遇制度を分かりやすく周知しております。

○中村委員 NPO法人は、制度ができたときには期待もされましたが、認定を取るためのハードルが高く、微増ではありますが、都内でも僅か三百七法人となっています。
 これ、行政との役割の違いというのがあるんですが、例えば災害のときとかでも、行政であれば公平性が問われるので、例えば寄附を集めても、満遍なく配るためにはすぐにはいかないし、広く少なくなってしまいます。一方で民間の場合は、規模が小さくても、たとえ理由がなくても、助けたいと思うところをピンポイントで助けることもできるので、スピード感を持ってやることができるので、私はこれは両方必要なんだと思いますから、そういった点でも、この寄附文化の醸成に悪影響を与えるふるさと納税を廃止するように国に求めるとともに、公益法人の意義や役割を広報し、寄附文化の醸成が図られるように求めます。
 次に、地域力向上について伺います。
 都は、地域力向上について、つながり創生財団を設立しました。以前は、多文化行政に取り組む組織として東京都国際交流委員会があったのですが、あまりにも組織として規模が小さく、より注力するよう求めてきたので、規模を拡大して財団をつくるという際には喜びました。その際、その財団が地域力向上にも取り組むとして両方担うことになったのは、正直驚きました。
 とはいえ、国際交流にとっても地域は大切なので、よい形で両方の取組が融合することに期待したいと思います。
 しかし、決算年度においては財団への助成への執行率が低く、懸念されます。つながり創生財団への助成は六九・三%とそれほど高くはないのですが、原因を伺います。

○柏原都民生活部長 退職金規程の見直しによる再積算、それから契約差金の発生等が主な理由でございます。

○中村委員 執行率が低い理由をお答えいただきましたが、都が期待した事業はできていなかったのかと懸念をしたんですが、そうではないようです。
 とはいえ、財団ができてまだ間もないとはいえ、多文化共生や地域力向上といった事業において、その存在感を表すほどの印象はまだないので、今後の活躍に期待したいと思います。
 さて、地域という点では、中心となる町会、自治会などの地域組織が、高齢化により弱まってきました。さらに、都市部においては新たな住民の流入もあり、人間関係が希薄化し、より問題は深刻化をしています。地域のつながりを強めようとしていたにもかかわらず、さらにコロナ禍が人のつながりを断ち切り、その再生が求められます。
 都は、以前から地域振興に取り組んでいます。この地域の底力発展事業助成は七百二件とありますが、見込みと比べてどうだったのか伺います。

○柏原都民生活部長 令和五年度の申請件数は、令和四年度から百二十二件増加しておりまして、コロナ禍を経て、地域活動が再開しつつある傾向が見られました。

○中村委員 一昨年度より増加したとのことで、コロナ禍から少しずつ回復しているようです。
 内容を伺うと、これまで行ってきたお祭りへの助成を活用するとか、比較的新たな人を呼び込みやすい防災に活用するところが多いようです。それぞれ工夫しているようですが、こうした制度をうまく活用できない町会もあるようです。
 そこで、昨年度は、関東大震災百年を機に、町会への支援が行われました。関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成の実績はどうだったのでしょうか。助成率が十分の十で、三十万円まで全額助成するにもかかわらず、そもそも活動できない自治会は手を挙げられなかったとも聞きますが、見解を伺います。

○柏原都民生活部長 三千百七十八の町会、自治会に対して助成を行いました。本助成は、町会、自治会において必要とする防災資機材の購入を支援したものでございます。

○中村委員 全額助成ということもあり、多くの自治会が手を挙げることができたようです。
 とはいえ、単年度の事業ですから、購入しただけで終わらないよう、今後訓練などに使われ、地域のつながりの強化につながるよう促していただきたいと思います。
 ところが問題は、募集の際の記載に、助成条件として、町会、自治会からのメッセージ等を記載した町会の防災対策や加入促進に係るチラシの掲示板への掲示を必ず実施してくださいとあったことです。チラシのデザインは三つのパターンから選ぶのですが、どれも小池知事の顔写真が入っています。知事は行政のトップなのでメッセージ性はありますが、一方では、選挙で選ばれる政治家でもありますので、こうしたことには慎重でなければならないと思います。
 都自らが行う広報やチラシに知事を掲載することはありますし、それは否定しません。ただ、今回は助成を受ける条件として、自分の顔写真を載せたチラシを、町会の人の労力を使って貼り出させるのですから、制度として問題があります。
 三十万円の補助の条件として、知事のチラシを貼るとのことでしたが、補助の条件として掲示を求めるのは妥当ではないと考えますが、見解を伺います。

○柏原都民生活部長 本事業では、防災資機材の購入の支援に加えまして、町会から加入を呼びかけるメッセージとともに、災害への備えの重要性を伝えるために、知事のメッセージを掲載したチラシを掲示いただいたものでございます。

○中村委員 助成を受ける際に、チラシを貼らないという選択肢がないこと、選ぶ中に、知事の顔が入っていないという選択肢がないことが問題です。助成を受けたいので従わざるを得ない状況をつくるのは、制度として問題です。この制度は今回限りだと思いますが、都の他の助成制度においてもこのようなことがないよう、強く求めます。
 さて、都が町会、自治会を支援することは必要ですが、より身近な市区町村の方がその実情が分かり、より実態に合った支援ができると考えます。もちろん財政的には圧倒的に都が大きいので、市区町村が、町会、自治会を支援する事業を行えるよう都が支援する方がよいのではないでしょうか。
 実際に、既に独自で町会、自治会支援を行う市区町村もあるので、両方の支援を同時に使えないので、年度ごとに使い分けをしたり縦割りになっていることは否めません。町会支援は市区町村の役割でもあり、多くの自治体が取り組んでいます。都は、市区町村の取組を補助する取組がよいと考えますが、見解を伺います。

○柏原都民生活部長 都は、つながり創生財団と、まちの腕きき掲示板や町会・自治会応援キャラバンを実施しておりまして、こうした事業を通じて区市町村の取組を支援しております。

○中村委員 都も市区町村も、地域に対して注力することは必要ですので、整理することで縮小はしてほしくはありません。ただ、町会、自治会も苦労していますので、行政の立場からも、都も市区町村も支援すればよいということではなくて、町会、自治会の立場から、活動が活性化しやすい制度ができる体制を構築していただきたいと思います。
 都が全ての町会、自治会の活動を現地で見て、それぞれの課題を熟知することは現実的に不可能ですから、地元のことを近くで見てよく知る市区町村が活動しやすいような制度になることを求めます。
 次に、ボランティアの育成について伺います。
 冒頭で寄附文化の醸成について述べましたが、財政的な支援だけではなく、直接的に社会に参加するボランティアの育成について質問します。
 都は、オリンピックの際に、そこに参加したボランティアの方々の今後の展開に期待していました。少子高齢化の中、多様な地域のニーズに応えるためにもボランティアは重要ですし、一方では、ボランティアの受け手だけではなく、行う人自身の活躍の場や居場所をつくることにもなり重要です。
 よく二枚目の名刺といわれますが、働く職場だけの名刺だけではなく、もう一つの活動の場をつくることで、複数の視点から、本業そのものにも新たな視点を加えることになり、また、複数の居場所があることは、本人の精神的な安定にもつながるという側面もあります。
 東京二〇二〇大会後に、都が開設した東京ボランティアレガシーネットワークの概要と、令和五年度末の登録者数について伺います。

○柏原都民生活部長 東京ボランティアレガシーネットワークは、東京二〇二〇大会のボランティアの大会後の活動を支援し、ボランティアの機運を醸成するためのポータルサイトでございます。
 令和五年度末で約一万二千人の登録者を有しております。

○中村委員 多くの方が登録していることは、よいことだと思います。
 また、オリンピックという国際イベントは少し特殊なところがあり、社会に貢献するという献身的な姿勢もあるとは思いますが、ボランティアとして参加していることに意義を見いだすという側面もあります。
 つまり都がいうように、オリンピックにボランティアで参加したから、他の地域のボランティアにも容易に参加するということにはならないのではないかと思います。きっかけとしてはよいのですが、より一層の取組が必要です。
 東京二〇二〇大会を経験したボランティアは、スポーツ大会以外にも、様々なボランティアの分野で活動を広げていただきたいと考えますが、都の見解を伺います。

○柏原都民生活部長 東京ボランティアレガシーネットワークは、様々な分野の活動の募集情報や体験談などを提供し、活動意欲を高める取組を行っております。また、ボランティアを応援するセミナーを年三回実施し、様々なボランティア活動の紹介を行っております。

○中村委員 様々取り組んでいただいていることは分かりました。
 登録者数や取組は分かるのですが、実績は分からないようです。どのくらいの方が参加し、課題なども分かれば、次の施策に生かせるとも思います。恐らく今後、世界陸上やデフリンピックなどには同種のものとして参加いただけると思いますが、本当に人を求めている地域にボランティアの力が生かされるよう、地域福祉との連携も強めていただきたいと思います。
 このことは、元気な高齢者、アクティブシニアの活躍の場や居場所をつくることにもつながります。成熟した社会にとっては重要な課題ですので、より一層の取組を求めます。
 次に、平和施策について伺います。
 生活文化スポーツ局の事業に文化振興がありますが、その中に平和への取組があり、大変重要だとは思っています。
 とはいえ、三月十日の東京大空襲のあった平和の日に関連する事業のみの担当ということではあります。
 かねてから主張し続けていますが、都の平和に関する事業は、福祉局や政策企画局など細かく分かれているので、首都東京として、平和を掲げる部門を設置することが重要です。これは引き続き求めたいと思いますが、とはいえ、ここ数年、平和祈念館設立が凍結されて以来、同時に凍結されてきた東京大空襲の被害者の貴重な映像の公開について進められていることは評価します。
 平和を守ることは簡単ではなく、不断の努力が必要です。戦争の悲惨さを伝えることが平和を守ることにつながります。東京大空襲の空襲被害者の映像が初めて公開をされましたが、改めて実績を伺います。

○蜂谷文化振興部長 都が保有する三百三十名の方の証言映像のうち、公開や活用についての同意をいただいた百二十二名の方の映像をデジタル化し、昨年度の東京空襲資料展において公開をいたしました。

○中村委員 私も映像を拝見しましたが、やはり当事者が語る話は真に迫るものがあります。今、ロシアのウクライナ侵攻やガザ地区での紛争など世界各地で不安な動きがある中で、やはり戦争はあってはならず、経験者の体験は、それを止めるための大きな力になります。
 それだけに、せっかく記録してあるものは、より多くの方に見てもらえるよう、さらなる取組をすることが重要ですが、現状では、臨時の場所で、しかも限られた時間に公開が限られています。他の場所でも、また常設で公開すべきだと思います。早期に公開する必要がありますが、取組を伺います。

○蜂谷文化振興部長 証言映像につきましては、企画検討委員会の意見も聞きながら、活用方法の検討を進めてまいります。

○中村委員 これまでには年に一回の開催だった検討委員会も数を増やすようなので、できるだけ早くの取組をお願いします。特に子供たちに見ていただき、平和について学ぶ機会をつくっていただくよう求めます。
 戦後七十九年が経過をし、直接体験する方も亡くなられることが多くなるため、記録したものの公開も必要ですが、高齢化した体験者からさらに聞き取り、記録していくことも重要です。そのためにも、凍結されている平和祈念館の建設を進めることが必要です。
 知事は、議会の合意が必要という付帯決議を理由に話を進めないのですが、知事から議会の合意が得られる提案をし、議会が認めればよいと考えます。改めて、平和祈念館の建設を進めるよう求めます。
 次に、防犯カメラの設置について伺います。
 以前は、防犯カメラはプライバシーの侵害になるといわれたこともありましたが、昨今は、犯罪防止のためにその設置を求める声が強くなっています。もちろん、プライバシー保護の取扱いは重要なので、データの管理をしっかり行うことは重要ですが、設置に向けての支援はさらに必要になります。
 都では、防犯カメラの設置について、市区町村を通じて補助を行っていますが、町会、自治会等の設置に対する補助と商店街の設置に対する補助があります。
 そこで、まず、令和五年度の町会、自治会と商店街、それぞれの実績を伺います。より設置を求める声がありますが、制度の拡充についても伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 令和五年度、町会、自治会等による設置への補助実績は千六百四十六台、三億五千万円でございます。商店街による設置への補助実績は三百二十台、三千七百万円でございます。令和六年度からは、町会、自治会、商店街ともに、防犯カメラの設置、更新費への補助率を引き上げております。

○中村委員 多くの町会、自治会、商店街への設置が進められているようですが、まだまだニーズはあるようなので支援の拡充を求めます。
 一方、設置だけではなく、その後の電気代などの維持管理費が大変だったり、何か事件があれば警察からデータの提供を求められ、その対応に時間がかかったりと、設置をしても、その後の負担が重いとの声も聞かれます。
 防犯カメラの設置の費用もかかりますが、設置後の維持管理費も継続的に経費がかかります。維持管理費用に対する補助の実績を伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 令和五年度、防犯カメラの保守点検、修繕費への補助は千九百六十七台、千百四十万円、電気料金、電柱等の使用料への補助は九千四百三十一台、千二百六十万円でございます。

○中村委員 設置後の補助も行っていただいているとのことです。設置後の負担が重くないと分かれば設置も進みます。引き続きよろしくお願いします。
 さて、昨今では社会情勢の変化で、駅前は栄えていても、地域にある商店街の店舗が減り、厳しい状況にあるところが増えてきました。商店街が加盟店の減少により、残ったお店の負担がまた重くなってしまいます。
 商店街がなくなると、防犯カメラも撤去されてしまうのではないでしょうか。自治体で引き受けられないでしょうか、見解を伺います。

○勝見治安対策担当部長事業推進担当部長兼務 商店街が防犯カメラを維持できなくなり、町会、自治会等が引き継ぐ場合、その移設費につきまして、令和六年度から維持管理費等の補助対象としてございます。市区町村が引き継ぐことにつきましては、各市区町村の判断と考えております。

○中村委員 行政がやみくもにカメラを設置して、監視社会になることは慎重であるべきです。だからこそ、町会、自治会や商店街が自らのまちを自ら守るために設置をしており、自治体の設置は、子供を守るために通学路に設置するなどの限定的なものになっています。
 とはいえ、商店街がなくなると街路灯もなくなり、まちが暗くなります。治安の悪化が懸念されるために、せっかくこれまであった防犯カメラを残すことはあってもよいと思います。町会、自治会も高齢化して大変なので、引き受けられていない場合もありますので、自治体が引き受けることも選択肢の一つとして検討願います。
 次に、交通安全対策について伺います。
 令和五年七月に改正道路交通法が施行され、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車については、新しい区分として規定されました。警察庁の発表によると、この規定の施行後一年間に、全国で二百十九件の事故が発生しており、その七割超が東京都で発生とのことです。
 令和五年度の電動キックボード等の交通安全対策について、課題認識と実績を伺います。

○馬神都民安全推進部長 電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車の利用には運転免許が不要であり、免許取得時のような交通安全教育を受けないことから、新しいルールを周知するため、安全利用を促進する取組を進めてまいりました。
 令和五年度は、啓発リーフレット、動画の作成、ターゲティング広告及び安全啓発イベント等を実施いたしました。

○中村委員 自転車の安全を強化している中で、政府が電動キックボードの規制緩和をしたことは驚きを持って受け止められています。
 技術の進歩により、新たな交通機関が生まれることは悪いことではないのですが、単に規制緩和ではなく、きちんと安全な運行が図られるようにすべきだったと思います。
 とはいえ、既に走り回っていて危ないとの声も多くなってきましたので、交通安全対策の強化を求めます。
 さて、電動キックボードも問題ですが、やはり台数が多いので、事故の件数で圧倒的に多いのは自転車です。自転車の安全対策にも取り組んでいただいていますが、乗る方の安全を守るために、ヘルメットの着用が必要です。特に、高齢者の方が自転車で転倒すると致命傷になりかねないため、その着用が求められます。
 令和五年四月一日に改正道路交通法が施行され、都は六月より、市区町村が行うヘルメットの購入助成を開始しました。その経緯と実績を伺います。

○馬神都民安全推進部長 改正道路交通法の施行により、昨年四月一日から、自転車に乗る際のヘルメット着用が全ての年齢で努力義務化となりましたが、都民の着用率が低かったため、区市町村補助事業にヘルメット購入補助を追加し、市区町村の取組を支援することといたしました。
 令和五年度の補助実績は約一億一千八百万円でございます。

○中村委員 着用は努力義務ですが、あまり普及しているとはいえないため、都でも支援を始めたということです。
 知事が、四月に当初予算にない事業を急に発表したときは驚きましたが、急だったので、当初予算ではなく予算の流用で行われたようです。ただ、予想を上回るニーズがあったようです。今後も助成だけではなく、普及啓発にも取り組んでいただき、安全の確保をお願いします。
 次に、私立学校について伺います。
 私学助成については、保護者からの求めも強く、年々拡充しています。立憲民主党としても、学校教育の無償化を求めてきたので、私立高校の実質無償化の実現は評価します。
 とはいえ、せっかく予算を計上したのですから、それが各家庭や学校に支援として届くことが必要です。
 私立中学校等特別奨学金補助は、中学生に十万円を配るものとして注目されましたが、執行率四五・七%と低く、不用額も二十一億円と大きくなりました。これだけ注目された事業でなぜそのようになったのか、原因と見解を伺います。

○加倉井私学部長 私立中学校等特別奨学金補助は、令和五年度の新規事業でありまして、年収目安九百十万円未満の世帯に対し十万円を支給する事業でございます。同様の所得制限を設けております高校の特別奨学金補助の受給率により受給者数を見込んでおりましたが、実績が見込みを下回ったものでございます。
 なお、令和六年度は所得制限を撤廃し、規模を拡充しております。

○中村委員 せっかくの制度なので、執行率が低かったことは驚きましたが、既に今年度は、私立中学校に対する十万円の給付を所得制限なしに拡充していますので、これらは各家庭にしっかり届くようお願いいたします。
 さて、私学助成は金額も大きく執行率も高いのですが、この十万円と、もう一つ低かったのが安全対策促進事業費補助です。子供たちの安全のための校舎の耐震化など重要な項目もあると思います。私立学校安全対策促進事業費補助の執行率が六六・三%とあまり高くなかったのですが、学校の安全は重要な事業です。原因を伺います。

○加倉井私学部長 私立学校安全対策促進事業費補助は、校舎等の耐震補強工事経費などの一部を補助するものでございます。
 不用額が生じた主な理由としましては、予算積算時に学校に行いました調査よりも、申請された建物の棟数が少なかったことなどによるものでございます。

○中村委員 耐震化については額が大きいので、時期がずれると執行率が低くなってしまうようです。とはいえ、子供の安全は重要なので、引き続き学校のニーズを酌み取り、早期に取り組んでいただくようお願いいたします。
 私学助成については、教育への注力という点で重要です。今回は決算ということで、執行率の低かった二つの事業について質問しましたが、引き続き拡充に向けて取り組んでいくよう求めます。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 オリンピックに際しては、従来の施設を使ったものもありましたが、新たに都立の施設整備も行われました。当初からその収支が注目をされていました。
 東京二〇二〇大会に向けて都が新たに整備した五施設の収支について、都が負担する指定管理料が大会前の見込みと比べてどうなっているのか伺います。

○高島経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 東京二〇二〇大会を機に都が整備した施設のうち、指定管理制度で運営する五施設の令和五年度の指定管理料は、決算額で総額約九億二千万円であり、大会前の見通しから約一億六千五百万円低減しております。

○中村委員 当初の見通しからは改善されたとのことでした。
 公立のスポーツ施設については、誰もが利用できることが重要であり、どこまで採算を追求するかは様々な考え方があります。多くの方に利用され、スポーツ振興を図りつつも適切な運用を図る必要があります。
 収支を改善するため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

○高島経営企画担当部長戦略的活用担当部長兼務 各施設におきましては、アマチュアスポーツへの配慮など公共施設としての役割を果たしながら、各種大会や体験会の実施に加え、ロケ地としての撮影利用や音楽イベントの実施など、施設の多様な活用により収益の確保を図っております。
 今後も効率的な施設運営に努めながら、スポーツでのさらなる活用に加え、各施設の特性を生かした幅広い活用を進めてまいります。

○中村委員 スポーツ以外にも、様々な利用をしているようです。常なる改善をお願いします。
 さて、来年はデフリンピックも行われ、都としても支援していくことが重要です。その際に、国際手話人材の確保が重要です。デフリンピックに向けて、国際手話人材の普及促進事業が計上されていますが、実績を伺います。

○清水事業調整担当部長 令和五年度から、国際手話人口の裾野を拡大するため本事業を開始しており、延べ三百三十一人に対し、国際手話講座の受講費用を支援いたしました。

○中村委員 都議会からの提案で手話言語条例も制定をし、その普及に取り組んでいますが、そういった機運を国際大会にもつなげていただきたいと思います。
 デフリンピック、世界陸上と大きな大会がありますが、大会そのものの成功も重要ですが、それを機に多くの方がスポーツに親しみ、障害の有無にかかわらず参加できるよう取り組み、健康で充実した生活ができるよう求めて、質問を終わります。

○加藤委員 初めに、芸術家への活動支援について質問をいたします。
 都議会公明党は、アーティストをはじめ、芸術文化を担い、志す方々の活動を支援するため、積極的なサポート体制を構築することを求めてまいりました。
 これを受け、昨年十月に東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトがオープンしました。このアートノトが、アーティストや文化団体等の活動に対し、効果的な支援をしていくことに期待をしております。
 そこで、昨年度の東京芸術文化相談サポートセンターの取組実績について伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 昨年十月にオープンした東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトでは、相談窓口、活動に役立つ情報提供、知識やスキルを身につけるスクールの三つの機能により、アーティスト等の持続的な活動を主にオンラインでサポートしております。
 昨年度は、三百五十一件の相談対応を実施し、例えば申請可能な各種助成金やハラスメント防止ガイドラインの作成など、幅広い分野の相談に対して相談員が丁寧に対応するほか、必要に応じて弁護士や税理士等へつないでおります。
 また、インボイス制度や確定申告を学ぶ会計税務講座などを、第一線で活躍する専門家を講師に迎えて実施し、アーカイブ視聴を含めて合計で一万三千人を超える方にご利用いただきました。

○加藤委員 講座の受講については、アーカイブでも視聴できたことから、多くの利用があったと思います。弁護士や税理士等の専門家へも相談できる体制があるということは、アーティスト等にとっても心強いものだと感じています。
 もうすぐオープンから一年が経過をいたします。アーティスト等からも多くの声が寄せられていることと思います。
 そこで、アーティスト等の寄せられる声を踏まえて、アートノトの今後の取組の方向性について伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 アーティストや文化団体等からは、取組を評価する声をいただくとともに、タイムリーな情報提供や文化団体の運営に関する助言など、さらなる期待が寄せられております。
 そこで、今年度四月よりLINE公式アカウントを開設し、プッシュ型の情報提供を開始するなど、活動に役立つ情報を社会の動きに合わせてタイムリーにお届けしております。
 また、芸術文化分野において課題となっているハラスメントについて、団体内における相談対応を学ぶ実践的な講座を行うなど、団体の支援も新たに実施しております。
 今後も、アーティスト等がより一層身近に感じて気軽に利用いただける存在となるよう、様々な取組を進めてまいります。

○加藤委員 引き続き、アートノトの今後の活動に期待をしております。
 続きまして、アーティスト等の創作環境整備事業についてお聞きをいたします。
 この事業も、昨年度から新たにアーティスト支援として開始したものと思いますけれども、この開設状況や利用実績など、これまでの取組について伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 アトリエ等を確保することが難しい若手アーティストに創作場所を提供し、継続的な活動を支援するSTART Box事業を令和五年度から開始いたしました。
 昨年四月に都営住宅等の空き店舗を活用したSTART Box ササハタハツを六室、十一月にSTART Boxお台場を一室オープンし、現在利用中のアーティストを含め、これまで四十一名が利用しております。
 また、アーティスト同士や地域住民と交流をする機会や作品発表の場を提供するなど、アーティストの活動を多面的に支援しております。

○加藤委員 私は、昨年の第三回都議会定例会一般質問におきまして、中央区にある東京舞台芸術活動支援センター、通称水天宮ピットが舞台芸術の活動を行っている技術家たちにとりまして、稽古場として欠かせない施設であることを申し上げました。
 都内では、劇場だけでなく、こうした練習会場も不足しており、関係者の会場探しも大変に苦労をされております。今回のSTART Boxの取組は、物を制作する、絵を描く領域への支援となっていますが、ダンスや演劇の練習の場も大変不足をしています。都営住宅の空き店舗や都有の空き施設を利用して、そうした稽古場等の提供もぜひ進めていただきたいと求めておきます。
 次に、スポーツ振興について伺います。
 スポーツは人々に楽しさや熱狂、感動をもたらし、多くの人々を引きつける力があります。スポーツをするだけでなく、見るや支えるといった多様な楽しみ方ができることも、スポーツの魅力の一つです。
 都は、令和六年度にスポーツ実施率を七〇%とすることを目標に掲げていますけれども、調査によれば、令和五年度の実施率は六六・三%、目標達成のためには様々な角度から取組を進めなければなりません。
 そこで、まず、するスポーツについて伺います。
 スポーツ実施率を年代別に比較すると、二十歳代から五十歳代は、スポーツ実施率は六〇%を僅かに超える程度にとどまっており、平均を下回っております。
 スポーツをしない理由として、仕事や家事、育児が忙しいことを挙げる方が多いようであり、働き盛り世代のスポーツを促進するため、都議会公明党は、運動や自分の体力等を知る機会を提供する都の事業を積極的に展開するよう働きかけてきました。
 そこで、令和五年度の実績と参加者の声について伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 令和五年度は、仕事帰りや買物の途中で立ち寄りやすいよう、新宿駅及び二子玉川駅の周辺を会場に、各二日間イベントを実施し、延べ約三千六百人の方にご参加をいただきました。
 具体的には、スポーツ推進企業のご協力の下、各種スポーツ体験や、歩行時の姿勢測定による健康チェックなどを行いました。二十代から五十代の参加者の割合は七割を超え、参加者からは、自分自身の体力を知るきっかけとなった、運動を始めたくなったなどのご意見をいただきました。

○加藤委員 自身の体力や健康状態の現状を知る機会を提供することで、スポーツのきっかけづくりや、継続的な運動習慣の意識の醸成につなげることができると考えます。こうした取組が今後身近な地域で広がっていくよう、区市町村の取組を後押ししていただくことを求めておきます。
 次に、見るスポーツについて伺います。
 スポーツを観戦すると、わくわく、どきどきといった高揚感、適度な興奮が心身の健康に効果があるといわれています。また、応援したいアスリートや身近にスポーツに取り組んでいる家族、友人がいることで、主観的な幸福度、運動の頻度も高まるという研究結果があるようです。
 このように、スポーツを見ることは、子供の運動会からプロリーグの試合など競技レベルを問わず、スポーツに関心を持つ、始める大切な契機となるものでございます。
 そこで、令和五年度、都が実施したスポーツを見る機会を提供する取組の実績を伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 都では、令和五年度、主催者のご協力の下、子供や親子を中心に、百十一件、合計約五万三千人の都民にスポーツを観戦する機会を提供いたしました。
 具体的には、バスケットボール、サッカー、卓球などの国内プロチームなどの試合や、スケートボードやパラバドミントンなどの国際大会に招待しました。

○加藤委員 都民に対しまして、様々なスポーツ観戦の機会を提供したことが分かりました。
 スポーツをするだけではなく、見ることも重要だと思います。特に子供は、感受性も強く、優れた選手の試合を見ることによって、将来の一流選手への芽生えにつながっていくと思います。引き続き、見るスポーツの機会を都民に積極的に提供していくことを求めておきます。
 次に、東京二〇二〇大会のレガシーを継承する取組について質問をいたします。
 二〇二〇大会では、残念ながら競技を会場で直接見る機会がありませんでした。
 都議会公明党は、大会の感動や興奮を直接感じることができる貴重なアーカイブ資産を活用し、大会の成果や感動を、確かなレガシーとして後世に長く伝えていくことが重要であり、そのような展示を行うべきであると求めてきました。
 これまでの答弁で、有楽町のSusHi Tech Squareで展示を行うことや、デジタルアーカイブを構築することを聞いて、会派としても視察に行ってまいりましたが、改めて令和五年度の取組について伺います。

○志村連携推進担当部長スポーツレガシー活用促進担当部長兼務 令和四年五月に策定したアーカイブ資産等活用方針に基づき、都庁舎や有楽町のSusHi Tech Squareでの展示、スポーツイベントへの貸出し、デジタルアーカイブの運用等を実施しております。
 SusHi Tech Squareでの展示につきましては、令和五年八月から開始いたしました。開閉会式や競技など、大会を体感できる資産を展示するとともに、デジタル技術を用いて誰でも楽しめる体験コーナーを設置したほか、オリンピアン等が出演するトークショーや競技体験イベントを四回実施するなどの取組によりまして、約三万六千名が来場いたしました。
 さらに、より多くの方にアーカイブ資産をご覧いただけるよう、ウェブ上で約千点の資産を閲覧できるデジタルアーカイブを全面公開し、昨年度は一万一千五百件を超えるアクセスがございました。

○加藤委員 東京二〇二〇大会のレガシーを末永く後世に伝えていくためには、身近にアーカイブ資産を感じられることが重要であります。SusHi Tech Squareの展示を行った後は、改修後の江戸東京博物館で常設展示を行うと聞いております。
 改修前の江戸東京博物館は、江戸時代にタイムスリップしたような体験を味わうことができました。SusHi Tech Squareの展示では、VRなどのデジタル技術を駆使したものとなっておりました。江戸東京博物館のレガシー展では、また一味違った工夫を期待しております。今後も、大会の感動を未来に引き継ぐべく、引き続きしっかりと取り組んでいただくよう要望をしておきます。
 最後に、一〇一〇クーポン事業について質問をいたします。
 令和四年度に、スポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進事業、いわゆる東京一〇一〇クーポン事業が実施されました。都内の銭湯に無料で入浴できるモバイルクーポンを、都が主催するスポーツ文化イベントや、都立スポーツ、文化施設、都立公園等で約半年間配布し、十二万回もの利用があったとのことです。
 そして、令和五年度には、帰ってきた東京一〇一〇クーポンと銘打って、割引入浴券の配布を行いました。令和五年度の東京一〇一〇クーポン事業の内容と実績について伺います。

○片岡消費生活部長 都は、東京都浴場組合との連携により、令和四年度に東京一〇一〇クーポンで使用したシステムやノウハウを生かして、都内銭湯に百円で入浴できる割引モバイルクーポン、帰ってきた東京一〇一〇クーポンの配布を行いました。
 都のスポーツ文化施設、都営地下鉄等におきまして約一か月間配布し、二万八百二十二回の利用がございました。

○加藤委員 令和五年度も好評のうちに、目標の二万回利用を達成されたということでございます。
 ただ、この事業は、単にたくさんの人に銭湯を利用してもらうだけでなく、若者やファミリー層など、より一層の新規利用者開拓とリピーター定着を目指すことが目的だったと思いますが、その目的は達成されたのか伺います。

○片岡消費生活部長 事業後に浴場主に行ったアンケートでは、どのような新規来店者が増えたかという問いに対して、十歳代から四十歳代までと思われる若い人という回答が一番多く、次いで二人以上のグループ、そして子連れのファミリー層との結果でございました。
 また、クーポン利用者に行ったアンケートでは、銭湯に一年以上行っていなかった人の八割が今後は月に数回または年に数回行く、年に数回だった人の半数が今後は月に数回行くとなっており、利用頻度の向上が期待できる結果でございました。
 本事業を通じて、これまで銭湯をあまり利用していなかった方々にも、東京の銭湯を強くアピールできたものと認識しております。

○加藤委員 比較的若い年齢層やファミリー層等の利用者開拓につながったことが分かりました。
 今年度は、銭湯の日である十月十日から、観光客向けの銭湯の魅力発信・利用促進プロジェクトが開始され、国内外の観光客向けに割引入浴クーポンが配布されているとのことです。インバウンド需要も回復し、特に海外旅行客は、日本文化の体験を求めているとのことで、多くの来場者があると期待をしております。
 また、都の銭湯組合は、今はやりのトレーディングカード、トレカを利用して、店舗内外の写真とか、あと特徴ですね、店舗の写真、お風呂場の写真、そうしたものを記載してあるコレクションカードを一枚百円で販売をして、そうしますとその店舗でしか買えないということがありまして、その希少性が喜ばれて、コレクター感覚で銭湯に行くといった新たな需要を掘り起こそうと取り組んでおります。
 例えば、このトレカを複数枚収納することもできるアルバムケースなどをノベルティーグッズとして都が支援していけば、さらなる需要創出につながるのではないかと、そのように思います。
 今後も日本の伝統文化である銭湯の利用促進の取組を引き続きしっかり進めていただくようお願いをしまして、質問を終わります。

○原委員 日本共産党の原のり子です。三つのテーマで伺います。
 まず最初に、結婚支援事業についてです。
 小池知事は就任以来、結婚支援事業に力を入れています。私たち共産党都議団は、代表質問や予特、総務、文教委員会などで質問をしてきていますが、私自身も何回か取り上げてきています。
 それはなぜかというと、一つは、結婚するかどうかということは一人一人の選択であるのに、自治体が結婚の機運を醸成するという一つの価値観を推進していくことは、いかがかということ。二つ目に、東京都の結婚支援は、少子化対策とつなげて切れ目のない支援とし、子供を産んでもらうための入り口としていると思うからです。この二つが大きな問題点であり、これは自治体がやるべき仕事なのかと疑問を感じています。
 まず伺います。昨年度の結婚支援事業について、主な内容と予算、決算について伺います。

○山崎都民活躍支援担当部長 結婚支援事業におきましては、機運醸成イベントやマッチング事業を実施しておりまして、令和五年度の予算額約一億八千二百万円、決算額は約一億七千四百万円でございます。

○原委員 二〇一六年度からの推移も資料で出していただきました。これを見ますと、最初は、予算、決算が二千三百七十三万九千円、結婚醸成イベントでした。昨年度は、今ご答弁にあったとおり、予算が約一億八千二百万円、決算は一億七千四百万円にまで増えています。大きく増えています。
 そして、昨年度からマッチング事業がスタートしたということで、結婚支援事業は、ここでこれまでの延長線上ではなくなっている。加速化していますし、質的にも一歩踏み込んだということが分かります。
 三月一日の知事会見で、結婚機運醸成の取組を強化すると発言があって、二〇二三年度のマッチング事業についても説明がありました。昨年度の事業の結果と評価を伺います。

○山崎都民活躍支援担当部長 昨年度は、七月に有楽町において機運醸成イベントを実施しておりまして、二千人を超える方に参加いただいております。
 マッチング事業のうち、交流イベントは昨年度五回実施し、約二百五十人の方に参加いただきましたが、その半数近くの方が婚活イベントに初めて参加したという方でした。
 また、AIマッチングシステムにつきましては先行利用を開始いたしておりまして、今年度の本格稼働につながったものでございます。

○原委員 この結婚の機運醸成という中に、交流イベントやマッチング、AIマッチングを含めて、知事はこのとき説明をされています。それで、この取組を踏まえて今年度はさらに取組を強化し、AIマッチングシステムの本格開始となったわけです。
 改めて伺いますけれども、東京都の結婚支援事業は、異性婚を前提にしているのでしょうか。

○山崎都民活躍支援担当部長 都の結婚支援事業におきましては、特段の制限は行ってございません。

○原委員 特段の制限は行っていないといいますけれども、しかし、東京都がつくった結婚支援ポータルサイト掲載実施要領、ここには、結婚支援行事等とは、結婚を希望する独身男女を対象と定義をされています。基本的に異性婚を前提にしていることは明らかだと思いますけれども、違いますか。

○山崎都民活躍支援担当部長 結婚を希望しながらも、一歩踏み出せないでいる都民の後押しをするため、結婚を希望する独身男女を対象とした非営利の取組をポータルサイトには掲載してございます。

○原委員 よくかみ合っていないかなというふうに思いますが、では、東京都が提供しているマッチングアプリは異性を対象としているんですよね。それは間違いないと思うんですけれども、それはなぜですか。

○山崎都民活躍支援担当部長 マッチングアプリについてですが、都の調査では、結婚に関心のある人のうち、約七割がどうやって婚活したらよいか分からない、気軽に参加できる機会がない、また、民間のサービスの利用に抵抗があるなどの理由で活動していません。そうした人たちの出会いを支援することで、結婚機運の醸成を図る取組でございます。

○原委員 なぜこのことを聞くかというと、多様性に逆行しているというふうに思うからです。自治体の姿勢として大事なのは、一人一人の人生を応援していく、多様性を大事にするということだと思います。
 しかし、異性愛、異性婚だけを前提にして、セクシュアルマイノリティーの方は想定されていないんですよね。
 それだけではないです。TOKYOふたりSTORYに掲載されている婚活パーティーで、障害者が排除される問題が起きましたけれども、もともと障害者の参加は前提にしていない事業なのでしょうか。昨年度までに、ほかにも問合せや苦情はなかったですか。

○山崎都民活躍支援担当部長 都の主催事業ではございませんので、承知はしてございません。
 また、このような苦情などは受けておりません。

○原委員 主催事業ではないから承知はしていないけれど、苦情はないっていうご答弁なんですけれども、これは報道もされて、都としての障害者への合理的配慮としてもどうなのかと問われました。これまでも同様のことが起きていないのか。こういう問題が分かったわけですから、都として遡って調査する必要があるのではないかと私は思います。
 伺いたいんですけれども、先ほどいった結婚支援ポータルサイト掲載実施要領ですね、きちんと東京都の方で確認をして、ポータルサイトに載せられる、そういうことをチェックしている、その基になっている実施要領ですけれども、その中では、障害者を排除するようなことをしないように、あらかじめ規定などはしていないのですか。

○山崎都民活躍支援担当部長 東京都で定めております東京都結婚支援ポータルサイト掲載実施要領におきまして、掲載基準及び審査という項目の中の一つに、法令または公序良俗に反する内容であるものにつきましては、掲載に該当しないという定めになっております。

○原委員 この実施要領でいくと、第5というところの、ずっと行って(8)の、今おっしゃったのは、クというところが当たるんだということだったと思います。
 例えば実際に掲載をするときには、そういういろんな意味でチェックをして、大丈夫だということで掲載をしたとしても、後で課題が分かったときには、やはり東京都として、そのことについてはきちんと指摘をする、また、そういう問題が起きないようにしていく、あるいは、掲載した事業者についても今後の掲載については見合わせなければならないなどの判断も必要になってくると思うんです。
 それで、私がこのことをなぜいっているかというと、都民は、都がホームページに載せていれば、これは安心して利用できると大概思うと思うんです。何か起きても、それは主催者の責任であって、都は関係ないんだというふうには多くの人は思わないと思います。都として、ホームページに載せて紹介しているのですから、責任はあるのではないかと思います。
 では、結婚支援事業についての問合せや苦情はどこで受ける仕組みになっていますか。

○山崎都民活躍支援担当部長 都の結婚支援事業につきまして、機運醸成イベントなど各事業ごとに問合せ窓口を設けてございます。

○原委員 各事業ごとにっていうことですけれども、これは東京都の窓口ではないんですよね。それぞれ事業を担っているところの窓口ということだと思います。
 私がいっているのは、都が責任を持って、まずは一旦、声を受け止める窓口をつくるべきではないかと、最低それはやるべきではないかということなんです。自分が参加をしたイベントで何か問題があったときに、そのイベントの事業者にいって、そこで解決してくださいっていうだけではなくて、どこにいったらいいのか、この問題は東京都に聞かないといけないんじゃないか、そういうふうに思ったときに、基本的にこのポータルサイトについて、ここに載っているものについて、ここで東京都として皆さんの質問や疑問は受けますよというものをきちんと確立をさせておくべきではないかと私は思うんです。そこは意見として述べておきたいと思うんです。
 そもそも、一つの価値観で自治体が事業を行うということ自体が、見直しが必要になっているのではないかと私は思います。
 知事は、昨年度の取組を踏まえて今後さらに強化していくというふうにいっていますけれども、これまで東京都として、なぜ結婚支援事業を行わなければならないと考えて進めてきたのか、その理由を伺います。

○山崎都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながら一歩を踏み出せない方を後押しするため、個人の価値観に十分配慮しながら結婚支援事業に取り組んでおります。

○原委員 先ほど私もいったように、出していただいた資料を見ても明らかなように、昨年度からマッチング事業を始めたということで、ここで東京都の結婚支援事業というのは段階が変わったということがいえると思うんです。
 知事は、はっきりと所信表明などでもおっしゃっていますけれども、結婚支援を少子化対策と結びつけて発言をされています。人口は国力だと述べて少子化対策を強調して、そのくくりで、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援を国に先駆けて推し進めてきたというふうに述べられています。
 昨年度からマッチング事業を位置づけたということで、質的にもここで一歩踏み込んだと、今指摘をしましたけれども、明らかに子供を産んでもらうということが前提になっているということがいえるのではないかと私は非常に思っていて、危惧しているんです。
 同時に、セクシュアルマイノリティーの方の存在や多様な生き方の選択への支援が、後景に追いやられてしまっているんじゃないかと大変心配をしています。これを自治体が推進していくというのが本当にいいのかということを、私は改めて検討していただきたいと思うんです。
 今の社会で、もう本当に多くの人たちが結婚や妊娠、出産のことでは傷ついているわけですよね。そろそろ結婚したらどうかとか、そういうふうにいわれて傷ついている。自分の生き方だといっても、そういう社会の風潮の中で、みんな苦しめられている。
 そういうときに、私は、結婚したいと思っている人を後押ししているんだっておっしゃるけれども、そのこと自体が、今の東京都の少子化対策まで含めた支援だという枠組みにした中で、結婚を選ばない、選べない、子供を持たない、持てない、こういう方たちに対する圧力になっているんじゃないかと思うんです。それを本当によくよく根本から見直していくということが必要ではないかと、ここでは問題提起をしたいと思います。
 国連人口基金の世界人口白書では、出生率を上げるということを目標にすることで失敗をしてきた国の事例などにも触れているんですよね。包摂的な社会をつくる、一人一人の人権が大事にされることこそ、人口問題の基本だということも指摘をしているんです。
 ですので、知事が発言をされたように、人口は国力だと述べて、結婚から子供を産んでもらうということまでの一連のパターンですね、これを東京都が推進をしていくということは、やっぱり見直すべきだというふうに思います。そのことを強く述べて、根本から見直していただきたいと要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、自治体が所有するプールについて伺います。
 都民が地域でスポーツを実施していく上で、都民の身近な場所にスポーツ施設があることは重要です。学校を除き、自治体が設置するプールはどのぐらいあるのか、二〇一九年度と昨年度の数を伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 都が都内の公立スポーツ施設の状況を取りまとめた東京都における公立スポーツ施設によると、都内の区市町村が設置するプールは、令和元年十月時点で二百九十六であり、令和五年十月時点で二百八十三でありました。

○原委員 プールでいくと十三面減少しているということになります。
 この間、プールを減らした自治体は幾つあり、プール自体がゼロになった自治体はあるのか伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 令和元年十月時点と令和五年十月時点で比較すると、区市町村のうち、三つの自治体でプールが減っております。このうち、プールの数がゼロになったのは一自治体であります。

○原委員 この五年間の間でゼロになったのは一自治体ということで、これは清瀬市なんですけれども、清瀬市では自治体所有のプールもなくなりましたが、同時に、学校プールも廃止を前提に、水泳指導の民間委託も進めているということなんです。
 それで、水泳の授業も、夏休み前に受けられる学校だけではなくて、冬に受ける学校も出てきています。夏休みに、お金の心配なく友達と近くのプールに行こうということができなくなってしまったという中で、古くなってしまった、結局廃止になってしまったわけですけれども、プールは残してほしい、そういう声も地域ではたくさんありました。もし様々な財政支援などがあれば維持できたのかどうかという声もあって、本当に残念な声が広がっています。
 それで、今年行われた、こども都庁モニター第一回アンケートでは、スポーツについて聞いているんですよね。スポーツを好きと感じる子供を増やす取組を進める上での意見を聞かせてくださいと、子供たちに聞いていますが、その中で、スポーツが好きかどうかでは、好き、どちらかというと好きが合わせて九〇・四%で、嫌い、どちらかというと嫌いが合わせて九・六%だったんですが、注目されるのは、どのような機会や環境があると、今よりもスポーツが好きになると思うかという質問があって、それに対して子供たちは、気軽にスポーツができる場所がある、これが六八・七%でトップなんです。しかも、できるようになりたいスポーツで最も多いのは水泳だったんです。
 こういう子供たちの声が生かされて、地域にあるプールなども維持する、また、足りないところには増やしていけるようにすることがとても重要だと思いました。
 それで、伺いたいんですけれども、東京都としては、自治体がプールなどスポーツ施設を地域に増やしていくために、昨年度はどのような取組をしましたか。

○齊藤スポーツ担当部長 都は、誰もが身近な場所で気軽にスポーツができる場の確保に向け、スポーツ空間バージョンアップ補助事業を設けております。令和五年度は、区市町村がスポーツ施設や公共施設の改修などによる新たなスポーツ活動の場の創出に係る工事を行う際に、財政支援を行いました。

○原委員 今、答弁していただいた都の補助事業、バージョンアップ補助事業を活用して、昨年度にプールの新設、改修、補修などの実績はありますか。また、直近五年間でプールの新設や大規模な改修を行った実績はありますか、伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 令和五年度は、照明のLED化など五か所のプール関連設備の改修を含む工事に対して補助を行いました。直近五年間の大規模なプール工事への補助実績としては、令和元年度にプール可動床の設置工事などに対する補助を行いました。

○原委員 プールの新設や、今、可動床の話がありましたけれども、それ以外の大規模な改修の実績はないということだと思います。
 それで、確認したいんですけれども、そもそも老朽化したプールを改築する、あるいは屋外プールだったものを屋内プールに変える、新設するというようなことに、この補助は使えるのでしょうか。

○齊藤スポーツ担当部長 本事業は、スポーツ施設の統合、再編、改修などにより、新たなスポーツ活動の場を創出する工事などを補助対象としております。

○原委員 新設や、大規模な改築も除外はされないと受け止めたいのですが、今ちょっとご答弁にもありましたけれども、要件として、スポーツ施設の統合、再編、改修や公共施設の改修等による新たなスポーツ活動の場の創出に係る工事というふうになっていまして、老朽化したプールをつくり直して今後もプールを維持したいということが当てはまるのかどうか。一件一件個別に検討されるということではあると思いますけれども、大変ちょっと心配だなと思っています。
 昨年度の予算は、プールだけではなくて、このバージョンアップの補助事業全体で四億百万円だったわけですよね。四億百万円で、決算は二億六千九百万円なんです。執行率は高くないんです。コロナの影響もあるかもしれないので、今後どのようになっていくか見守っていかなければいけないとは思っていますが、施設を改修したりする場合に、このバージョンアップ補助のほかに補助制度がないので、使い勝手や、また上限が五千万円などの金額の拡充などは検討していただきたいと思います。
 そうでないと、身近なプールをはじめスポーツ施設が徐々になくなっていくことを止めることができないのではないかと私は考えています。自治体のプールやスポーツ施設を維持し続けるというのは、このままではなかなか難しいのかなと思います。
 同時に、ハード面も大事ですけれども、ソフトの面も大事で、都民が地域でスポーツを実施していく上で、都が自治体の様々なスポーツの取組を支援していく、スポーツの機会を確保するために、二〇二三年度に東京都としては自治体にどういう支援を行いましたか、伺います。

○齊藤スポーツ担当部長 都は、区市町村スポーツ実施促進補助事業を活用し、シニアスポーツフェスティバルやジュニア水泳教室など、区市町村が実施するスポーツ振興につながる事業を幅広く支援しました。

○原委員 ソフト面に対する補助も大事です。ただ、昨年度の予算は、当初予算で三億四千七百万円で、決算では一億七千八百万円だったということです。執行率は、やっぱり低いんですよね。これもコロナの影響などが考えられるので、今後の状況を見ていく必要はあると思っています。
 プールをはじめスポーツ施設を維持していく、また、地域でのスポーツ参加を広げていくために、区市町村にハード、ソフト両方の補助を改めて周知もしながら、また、使い勝手についてもぜひ意見を聞いていただいて、改善、拡充することを求めておきたいと思います。
 あわせて、作成中のスポーツ推進計画で、都民がスポーツを豊かに楽しめる施設や環境を整備することを重視するように要望して、次の質問に移ります。
 最後に、外国人学校運営費補助について伺います。
 東京都は、都が認可した各種学校の外国人学校に対し、外国人学校運営費補助を出しています。昨年度、外国人学校運営費補助は何校に対して出され、予算、決算はどのようになっているか伺います。

○加倉井私学部長 令和五年度に外国人学校運営費補助を交付しました学校は十六校であり、予算は九千九十一万五千円、決算は約七千九百七十一万一千円でございます。

○原委員 この外国人学校運営費補助ですけれども、そもそもなぜ外国人学校に対して支援をするのか、その考え方を伺います。

○加倉井私学部長 本補助事業の目的は、私立外国人学校の教育条件の維持向上及び在学する日本国籍を有しない幼児、児童生徒に係る修学上の経済的負担軽減を図ることでございます。

○原委員 この補助を通じて、教育条件の維持向上を図ることを位置づけていることは大切です。子供たちそのものを支援することにつながっているということです。
 では、この補助を出す基準、要件がどうなっているのか伺います。

○加倉井私学部長 補助金交付要綱で定める要件は、私立各種学校のうち、専ら外国人を対象とし、我が国の幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する課程を有する外国人学校で、知事が指定するものでございます。

○原委員 知事が指定する各種学校で、そこに通う子供のうち、外国籍の子供たちを対象にしていると。一人当たり年額一万五千円で、その人数分で補助されているわけですけれども、率直にいって非常に少ない金額ではありますけれども、学校運営においては、なくてはならないものとなっていると思います。
 ただでさえ学校運営が大変な中、この間はコロナ、また物価高騰がさらに運営を厳しくしていると思います。この間、コロナ禍の中で対策が取られてきた補助については、どういう内容のものを何校に対し行ったのか伺います。

○加倉井私学部長 都は、令和二年度に、感染拡大を防止するため、私立学校が新型コロナウイルス対策として緊急に購入したマスクや消毒用アルコール等保健衛生用品の経費に対し、一校当たり五十万円を上限に補助を行いました。補助金を交付した学校は七百九十七校で、そのうち外国人学校は二十四校でございます。

○原委員 現在、運営費補助を出しているのは十六校ですけれども、コロナ対策については、外国人学校二十四校を対象にしたということです。
 このコロナ対策事業費助成事業は、感染拡大防止とともに、安定的に教育研究活動を継続することを目的とするとされていました。この考え方からいけば、子供たちを支えていくための支援は公平にやらなければならないし、教育条件の維持向上を位置づけている運営費補助も、本来は二十四校に対して出されるべきではないかと思います。
 現在、運営費補助の対象になっていない外国人学校は、校舎の改修や補修などを実施したい場合、都としては支援はあるのか伺います。

○加倉井私学部長 特定建築物の設置者には、耐震化の努力義務が課されておりまして、都は、生徒の安全確保の観点から、外国人学校も含め、私立学校の校舎等の耐震化に係る経費、非構造部材の耐震対策工事に対する経費等の補助を行っております。

○原委員 今、運営費の補助から除外をされている朝鮮学校についても、コロナ対策や耐震については対象になっているわけです。命に関わる問題ですから、当然のことだと思います。
 そうであれば、子供が生きていく上で重要な教育を受ける権利を保障する運営費補助も、当然対象にすべきだと改めて指摘をしたいと思います。ここから排除し続けていることは、こども基本条例に照らしても、あってはならないことだと思いますし、一日も早く改善しなければならないと思います。
 外国人の子供の教育についての国際的原則は、第一に、外国人の子供には教育を受ける権利があり、その保障は、子供が暮らしている国の政府の責任だとされています。運営費補助の問題でいえば、東京都の責任だといえると思います。
 第二に、外国人の子供の教育には固有の中身があり、アイデンティティーや言語などが十分尊重される、このことが大事だといわれています。
 さらに、朝鮮学校の場合でいえば、朝鮮学校の教育は日本の学校に準じて行われています。政治的な問題と子供の権利をごちゃ混ぜに論ずるようなことは間違っていると私は思います。子供には何の罪もありません。それなのに、国際的に認められた子供の権利を制限しようということになれば、民主主義のルールを逸脱しているといわざるを得ないのではないかと思います。
 子供からの声や、また都民からも、運営費補助復活を求める一万八千名を超えるような署名や、知事宛ての一千名を超えるはがきなども、局の皆さんも知事も十分ご存じだと思います。運営費補助は復活をすることを強く求めて、質問を終わります。

○福島委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○福島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十四分散会