令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

令和六年十月二十一日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小磯 善彦君
副委員長本橋たくみ君
副委員長曽根はじめ君
かまた悦子君
遠藤ちひろ君
銀川ゆい子君
宮瀬 英治君
伊藤しょうこう君
本橋ひろたか君
とや英津子君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長松川 桂子君
技監村田 拓也君
総務部長戸谷 泰之君
企画担当部長DX推進担当部長兼務石井  均君
調整担当部長千田  敏君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長三浦  知君
臨海開発部長若林  憲君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務水飼 和典君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
港湾整備部長佐藤 賢治君
計画調整担当部長山本 康太君
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務儀間  潔君
離島港湾部長福永 太平君
島しょ・小笠原空港整備担当部長渡邊 正也君
産業労働局局長田中 慎一君
次長理事兼務安部 典子君
総務部長阿部 泰之君
産業企画担当部長DX推進担当部長兼務池野 大介君
企画調整担当部長齋藤  順君
企画調整担当部長前田 泰伯君
企画調整担当部長下羅 智宏君
働く女性応援担当部長吉浦 宏美君
商工部長福田 哲平君
商工施策担当部長松田 義史君
金融部長金融支援担当部長兼務原   郁君
産業・エネルギー政策部長米澤 鉄平君
産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務山本麻里雄君
新エネルギー推進担当部長服部 勇樹君
観光部長江村 信彦君
観光振興担当部長前田 千歳君
農林水産部長榎園  弘君
安全安心・地産地消推進担当部長田代 純子君
雇用就業部長内田 知子君
事業推進担当部長新田 智哉君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・令和五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・令和五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○小磯委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○戸谷総務部長 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。表紙をおめくりいただきますと、目次に七件の資料の件名を記載してございます。
 それでは、一ページをご覧ください。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を、緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、それぞれの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをご覧ください。防潮堤のかさ上げ整備状況でございます。
 全体計画と整備状況を記載してございます。
 三ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 令和元年度から令和五年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分いたしまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをご覧ください。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの五年間の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページをご覧ください。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 令和元年から令和五年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをご覧ください。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 令和元年度から令和五年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、〔1〕、総数及び〔2〕、登録自家用機の離着陸回数を飛行目的別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。クルーズ客船寄港回数の推移でございます。
 令和元年から令和五年までの五年間の晴海ふ頭を除くクルーズ客船の寄港回数につきまして、ふ頭別に実績を記載してございます。
 以上で、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋(た)委員 まず、東京港の機能強化について伺います。
 東京港は、全国の四分の一のコンテナ貨物を扱う我が国を代表するメインポートであり、日本経済を支える極めて重要な物流拠点であります。近年では、輸入貨物を中心にコンテナ取扱量が急増しているため、東京港は施設能力を大きく超える貨物を扱っている状況にあり、その結果として、ふ頭周辺ではトラックのゲート待ちに起因した混雑が頻発しています。また、世界的にコンテナ船の大型化が顕著であると聞いています。
 このため、我が会派はこれまでも新規ふ頭の整備により、東京港の抜本的な機能強化を図るべきことを主張し、特に現在、中央防波堤外側地区において整備が進められている新たなコンテナふ頭Y3については、早期の完成に向け、国と連携して積極的に取組を強く求めてまいりました。
 そこで、改めてY3の整備の意義を確認させていただきたいと思います。

○佐藤港湾整備部長 東京港が今後も重要な物流拠点としての役割を果たし続けるためには、貨物量の増加や船舶の大型化に的確に対応していく必要がございます。中央防波堤外側コンテナふ頭Y3は、年間四十五万TEUの施設能力を有するふ頭であり、東京港における約百万TEU分の不足を大幅に改善することができるものになります。また、水深十六メートルの岸壁を備え、北米航路において、今後就航すると見込まれる一万四千TEU級の大型コンテナ船にも対応できるふ頭になります。
 加えて先般、都は、東京港の主力である大井コンテナふ頭を最先端のふ頭へとリニューアルするための再編整備に関し、令和十年度の着手に向け、具体的な検討を進めることについて、借受け者等と合意したところであり、その種地となるY3の完成は、大井ふ頭の再編整備を進めていくためにも必要不可欠なものとなっております。

○本橋(た)委員 Y3は東京港の抜本的な機能強化を図る上で核となるふ頭であることが改めて確認できました。Y3の完成は東京港の課題解決に寄与することはもとより、大井ふ頭の再編整備の鍵になるものであり、Y3の完成はまさに待ったなしの状況となっています。都は国と連携しながら、着実に整備を推進していくべきであります。
 そこで、Y3の整備に関する昨年度までの進捗状況について伺います。

○佐藤港湾整備部長 Y3の整備につきましては、これまで、しゅんせつ及び地盤改良等を実施してきており、昨年度末時点で、しゅんせつについては約六割、地盤改良については約四割まで整備が進み、しゅんせつは令和八年度、地盤改良は令和七年度に完了する予定でございます。加えて昨年度は、岸壁本体となる基礎ぐいやジャケット鋼材の工場製作にも着手しており、今年度末から、完成したものを順次現地に据え付けてまいります。
 都は引き続き、国と連携して、着実に整備を進めることで、令和九年度の事業完了を目指してまいります。

○本橋(た)委員 Y3の整備が着実に進んでいることが確認できました。令和九年度の完成を目指すとの答弁がありましたが、メインとなる岸壁本体の工事が本格化するのはこれからであり、国費の確保が一層重要となります。我が会派では、これまでもY3をできる限り早期に完成させるよう、国に対して整備推進を強く要請してきました。都においても引き続き、国に対して強く働きかけ、令和九年度の完成に向けて全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 次に、既存ふ頭の機能強化について伺います。
 アジア地域から輸入貨物が急増しており、特にアジア貨物の取扱いが多い青海コンテナふ頭周辺では交通混雑が発生しているとのことであり、我が会派は、これまでも青海コンテナふ頭の機能強化の必要性を指摘してきたところであります。
 都では、このような課題に適切に対処していくため、現在、青海コンテナふ頭の再編整備を進めていますが、まず確認のため、青海コンテナふ頭の再編整備の概要について伺います。

○野平港湾経営部長 青海コンテナふ頭では、アジア航路のコンテナ船が数多く寄港し、東京港の外貿コンテナ貨物の約二割強を取り扱っております。近年、取扱貨物量が施設容量を大きく上回る状況が続いており、こうしたことが要因となりまして、ふ頭周辺では交通混雑が発生していることなどから、ふ頭の機能強化が喫緊の課題となっております。
 このため、都は現在、青海コンテナふ頭の貨物取扱機能を強化するとともに、効率的な運営を実現するため、ふ頭の再編整備を進めているところでございます。
 具体的には、岸壁やコンテナヤードの拡張を行うとともに、ターミナル内で使用している荷役機械につきまして、遠隔操作が可能な最先端の荷役機械を導入してまいります。
 今後も、都は、関係事業者と緊密に連携しながら、再編整備を着実に進めることで、青海コンテナふ頭の機能強化を実現してまいります。

○本橋(た)委員 アジア貨物の拠点となっている青海コンテナふ頭の再編整備は、ターミナルゲート前混雑の緩和など、様々な課題の解決につながるので着実に進めていただきたいと思います。
 次に、再編整備の進捗について確認していきたいと思いますが、現在の再編整備の取組状況について伺います。

○野平港湾経営部長 都は、青海コンテナふ頭の一部借受け者が中央防波堤外側コンテナターミナルY2へ移転した跡地を活用いたしまして、令和二年度から再編整備を進めております。青海四号ターミナルにおきましては、令和四年度までに全ての工事を完了しておりまして、岸壁を五十メートル延伸し、大型のコンテナ船にも対応可能な四百メートルの岸壁延長を確保するなどしております。また、隣接する青海公共ターミナルの再編整備にも令和五年度から着手しております。ターミナルの運営を継続しながら、コンテナヤードのリニューアル工事を実施する必要があるため、ターミナル関係事業者と調整し、工事エリアを分割した上で、四期に分けて段階的に工事を進めているところでございます。

○本橋(た)委員 青海四号については既に工事が完了し、青海公共ターミナルについても既に整備に着手しているとのことであります。ターミナルの運営を継続しながらの工事ということで、工程管理なども難易度の高いものになることが予想されますが、引き続き、順調に整備を進めていただきたいと思います。
 また、先ほどの答弁にもあったとおり、今回の再編整備では、遠隔操作が可能な荷役機械を導入する計画とのことであります。都は昨年度、青海公共ターミナルにおける遠隔操作荷役機械の導入に当たり、港湾DX加速化補助金を採択していますが、遠隔操作荷役機械の導入目的及び昨年度の補助実績について伺います。

○野平港湾経営部長 現在の荷役機械は狭小な運転席で作業員が直接操作をしているため、暑さや寒さなどの気候の影響を受けやすく、また、トイレなどに行くための休息も取りづらい状況となっております。遠隔操作荷役機械の導入により、荷役機械を操作する作業員は管理棟などから遠隔で操作が可能となるため、安全かつ快適な労働環境の確保に加え、ターミナルオペレーションの効率性の向上などの効果を期待しております。
 国では、民間事業者が遠隔操作荷役機械を導入する際に、荷役機械本体の導入費用と、導入に必要なオペレーションシステムやモニターなどの施設整備費用に対し、最大で三分の一を補助しております。
 都においても、こうした荷役機械の導入によるターミナルオペレーションの効率化をさらに加速するため、国が補助している荷役機械の導入に必要な施設整備費用のうち、国の補助金を除いた残りの額に対し、最大で三分の一を補助しておりまして、令和五年度は約二千万円の補助金を交付しております。

○本橋(た)委員 遠隔操作荷役機械はターミナルオペレーションの効率性を高めるだけでなく、港湾労働者の作業の安全を確保する取組でもあります。港湾の現場において労働者の減少が進んでおり、各事業者は労働者の確保に頭を悩ませていると聞いています。今後、港湾における労働者不足はさらに深刻化することも懸念されており、国とも連携を図りつつ、都が率先して最先端の荷役機械の導入を促進することで、労働者の安全かつ快適な環境づくりにしっかりと努めていただきたいと思います。
 さて、これまでの答弁において、青海ふ頭の再編整備が東京港の抱える様々な課題に対し、大変有効な取組であることが確認できました。早期に再編整備が完了することを期待したいと思いますが、今後の青海ふ頭の再編整備のスケジュールについて伺います。

○野平港湾経営部長 現在、第一期工事といたしまして、一部借受け者の移転により確保した旧青海三号ターミナル跡地においてリニューアル工事を進めているところでございます。
 第一期工事が完了する令和七年度には、拡張した第一期エリアに八基の最先端の荷役機械を導入し、遠隔操作の運用を開始する予定でございます。
 その後も、ターミナル関係事業者と連携しながら、第二期から第四期まで順次工事を進めまして、令和十一年度を目途に青海公共コンテナふ頭全体の再編整備を完了させる予定でございます。

○本橋(た)委員 第一期工事が来年度には終了し、工事完了後は部分的に運用開始されることが確認できました。今後本格化する青海コンテナふ頭の再編整備について、関係事業者との調整を積極的かつ丁寧に行っていただきながら、着実に進めていただきたいと思います。
 一方で、東京港の取扱貨物量の過半を占め、東京港の主力ふ頭である大井ふ頭の再編整備については、この三月に関係者間で具体的な検討を進めていくという合意がなされています。早期の実現に向け、都が先頭に立ち、しっかりと推進していただきたいと思います。
 次に、耐震強化岸壁の整備について伺います。
 本年一月に発生した能登半島地震では、港湾施設も大きな被害を受けましたが、能登半島唯一の耐震強化岸壁を有する七尾港は、発災二日後から支援船が着岸し、被災地への支援活動を実施できたと聞いています。耐震強化岸壁の重要性を改めて認識したところであります。
 東京港は、首都四千万人の生活と産業を支えており、大規模地震が発生した場合でも、港湾機能を着実に維持できるよう、耐震強化岸壁の整備を着実に進めていく必要があります。
 そこで、東京港における耐震強化岸壁の整備状況について伺います。

○佐藤港湾整備部長 都は、耐震強化岸壁を緊急物資輸送用と幹線貨物輸送用の二種類に区分し、整備を進めてございます。緊急物資輸送用の岸壁は、被災直後における食料品や衣料品などの緊急物資の搬入等を行うための岸壁であり、これまでに十五バースの整備が完了しております。幹線貨物輸送用の岸壁は、外貿コンテナ貨物の輸送などの物流機能を被災後にも維持するための岸壁であり、四バースの整備が完了しております。

○本橋(た)委員 用途に応じて緊急物資用と幹線貨物用に分けて整備し、これまでに合わせて十九バースが完了していることが確認できました。大規模地震に備えて、緊急物資を海上輸送できるようにしていくことは重要であり、また、日本一のコンテナ貨物を取り扱う東京港の物流機能をストップさせるわけにはいきません。
 そこで、都は耐震強化岸壁の整備を着実に進めていくべきと考えますが、昨年度の具体的な取組について伺います。

○佐藤港湾整備部長 緊急物資輸送用の耐震強化岸壁につきましては、フェリーふ頭及び品川内貿ふ頭の各一バースにおいて、引き続き、岸壁の地盤改良工事等を実施しており、いずれも令和八年度までの整備完了を予定してございます。
 幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁につきましては、中央防波堤外側コンテナふ頭Y3を整備中であり、先ほどもご答弁したとおり、令和九年度の事業完了に向け、しゅんせつや地盤改良等を実施しております。
 今後とも都は、耐震強化岸壁の整備を着実に推進し、災害時にも物流機能を維持できる強靱な港を実現させてまいります。

○本橋(た)委員 緊急物資輸送用で二か所、幹線貨物輸送用で一か所の耐震強化岸壁の工事が実施され、数年後には完了する予定とのことであり、着実に進んでいることが確認できました。日々大量の貨物を取り扱っている供用中のふ頭で耐震強化岸壁の整備を進めていくことは非常に困難であることは承知をしていますが、東京港のさらなる強靱化に向けて、引き続き、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、島しょ地域における小離島の港湾整備について伺います。
 先ほども申し上げましたが、本年一月の能登半島地震により港湾施設は深刻な被害を受け、また、陸路も主要幹線道路が遮断されたため、救援活動及び物資の輸送は困難を極めました。海路と空路に頼らざるを得ない東京の島しょ地域にとって、港湾施設はより重要な位置づけとなります。中でも、利島、御蔵島、青ヶ島の小離島は空路が少人数しか乗り込めないヘリコミューターしかないため、大型船が接岸できる岸壁を有する港が生命線となります。これまで我が党は、小離島の港湾の施設整備に対し、就航率の向上に加え、災害に強い港づくりなどの取組をしっかりと進めていくべきことを主張してまいりました。
 そこで、今回は小離島の港湾整備について確認していきたいと思います。
 まずは利島港でありますが、港の東側に位置する岸壁は年間を通して利用が多く、メインの岸壁として使用されているため、就航率を向上させることは多くの島民や観光客が強く望んでいるものであります。
 そこで、現在、東側の防波堤を延伸し、港の静穏度を高める整備を行っているとのことでありますが、これまでの取組状況について伺います。

○福永離島港湾部長 都は、さらなる就航率の向上を図るため、利島港における東側岸壁の沖側で防波堤の延伸整備を平成二十四年度から進めており、昨年度までに全延長百五メートルのうち五十メートルに当たるケーソン二函の整備とケーソン三函目となる基礎部分の工事を完了させました。
 これらの取組により、利島港の定期貨客船の就航率は八〇%を超えており、一定の成果を上げております。今年度は、引き続き基礎部分の整備を行いますとともに、三函目のケーソンの据付け工事に着手し、防波堤の早期完成を目指してまいります。

○本橋(た)委員 利島港の東側の防波堤の整備が着実に進んで、就航率が上がってきていることが確認できました。
 次に、港の西側に位置する岸壁についてでありますが、この岸壁は冬場に強い西風が吹いた際にも静穏度を保つことができるため、冬季に就航する定期貨客船にとって重要な港湾施設であります。一方、この岸壁は台風により何度も施設被害を受けており、現在は復旧が完了し、定期貨客船が接岸しているものの、今後同様な被害を繰り返さないようにしなければなりません。
 そこで、近年大型化した台風にも耐えられるように、西側の岸壁も整備していく必要があると思いますが、昨年度までの取組状況について伺います。

○福永離島港湾部長 利島港の西側岸壁は過去三回、台風による被害を受けておりまして、平成三十年には複数のケーソンが大きく移動し、さらに護岸上部のコンクリートの壁等が破損するなど甚大な被害を受けました。こうした状況や近年の温暖化に伴う台風の大型化などを踏まえまして、最新の気象データを考慮して、波の大きさを見直し、過去最大級の台風が襲来しても岸壁が被害を受けない構造とすることといたしました。
 昨年度は、大型貨客船が停泊する岸壁部分の基本的な構造の検討を進めますとともに、工事を迅速に進めるため、工事ヤードの拡張などの設計を実施いたしました。
 今後も引き続き、岸壁部分の詳細の構造検討や効率的な施工計画の作成を進めるとともに、工事用ヤードの拡張工事などに着手してまいります。

○本橋(た)委員 利島港の西側岸壁については、最新の気象データを踏まえ、岸壁強度を高めるとともに、工期の短縮に努めることで災害リスクを低減していることがよく理解できました。利島港では東側、西側ともに整備が着実に進んでいることが確認できました。今後も早期の完成を目指していただきたいと思います。
 次に、御蔵島と青ヶ島について質問いたします。
 御蔵島と青ヶ島は就航率が決して十分とはいえない状況であります。特に冬場においては、物資が何日も届かない状況となることもあると聞いており、引き続き、港湾整備を着実に推進し、就航率の向上を図っていくことが求められます。
 そこで、御蔵島港と青ヶ島港の整備の状況について伺います。

○福永離島港湾部長 小離島では、一つの港に二つの突堤を整備し、風向きによって利用する突堤を使い分ける一港二突堤方式で整備を進めております。御蔵島港は新たな二つ目の突堤となる岸壁、青ヶ島港は突堤の延伸となる防波堤の整備をそれぞれ計画的に推進しています。
 御蔵島港は昨年度までに岸壁百五十メートルのうち、一函目となるケーソン三十メートルを据え付け、今年度は二函目のケーソン三十メートルを据え付けたところでございます。また、青ヶ島港は、防波堤を延伸する三十メートルのうち、昨年度は最初の十メートルの下段部分の整備が完了いたしました。今後も着実な整備を進め、定期貨客船のさらなる就航率の向上を図ってまいります。

○本橋(た)委員 御蔵島港及び青ヶ島港においても着実に整備が進んでいることが確認できました。小離島の定期貨客船の就航率向上は、防災の観点はもとより、生活と産業に欠かせないものであります。港湾工事については厳しい気象、海象条件に左右されることから、岸壁を一つ完成させるのも容易ではないと思いますが、長年にわたり努力を重ね、整備を進めてきた結果、定期貨客船の就航率は確実に向上してきていると思います。
 引き続き、島しょ地域の港湾整備を迅速に進め、島民の生活をよりよいものとするために尽力をしていただきたいと思います。
 次に、海上貨物運賃補助について伺います。
 豊かな自然に恵まれている東京の島しょ地域においては、農業や漁業が基幹産業として重要な位置を占めており、島しょ地域のさらなる産業振興には、農水産物の一層の販路開拓と消費拡大が重要であります。島しょ地域の農水産物をより多くの方に届けていくには、海上輸送によるコスト増を低減させ、他の農水産物との価格競争を維持することが必須であります。
 そのため都は、従来から海上貨物運賃補助制度により、農業、漁業の生鮮品の海上輸送費を補助し、輸送コストの負担軽減を図ってきました。令和二年度からは燃油価格高騰等によるコスト増を抑制するため、暫定的に全額を補助しているところであります。
 加えて、都は昨年度から、海上貨物運賃補助のさらなる充実を求める我が党の主張を受け、国制度を活用し、伊豆諸島において、生鮮品に加えて加工品の輸送や、本土から運ぶ梱包資材などの補助の対象とする新たな制度を開始いたしました。
 そこでまず、海上貨物運賃補助のうち、昨年度より新たに導入した制度の概要について伺います。

○福永離島港湾部長 令和五年度から新たに導入した海上貨物運賃補助制度は、伊豆諸島の各町村が経済活性化に資すると判断して選定した生産品に関しまして、その海上輸送費を補助する事業でございます。
 具体的には、焼酎やくさやなどの加工品を含めた全ての生産品から各町村が自主的に指定した五品目を限度といたしまして、島しょから本土に移出する際の海上輸送費に対して補助を行うものでございます。
 加えまして、補助対象に指定した生産品一品目につき一つの梱包資材などを対象に、本土から島しょに移入する海上輸送費に対して補助を行います。補助率は原則八割ですが、昨年度と今年度につきましては、燃油価格高騰等の影響を踏まえまして、全額補助としております。

○本橋(た)委員 海上輸送費の補助対象を加工品にも拡大したことは、島しょ地域の産業振興を力強く支援する施策であり、我が党として高く評価をしたいと思います。一方、制度は活用されてこそであります。
 そこで、新たな海上貨物運賃補助制度に係る令和五年度の活用実績を伺います。

○福永離島港湾部長 新たな海上貨物運賃補助制度は、各町村が五品目を限度に指定する制度であることから、合意形成が図られた町村から順次運用を開始することとしており、令和五年度は利島村で利用を開始しました。利島村の活用実績といたしましては、移出品の補助品目はツバキ油及びモミジガサなどの野菜類等であり、これらに関連する移入品の補助品目は段ボール等の輸送用容器でございます。
 なお、今年度から、大島町、新島村及び神津島村の三町村でも運用を開始いたしました。補助品目といたしましては、三町村とも、くさやなどの魚介類加工品や島酒等を対象とし、これらに関連する移入品としては、輸送用容器等を対象としております。

○本橋(た)委員 令和五年度は利島村が早速新たな補助制度を活用し、さらに今年度は、大島町、新島村、神津島村が活用しているとのことであり、我が党が主張した制度が早速使われ、生産者の海上輸送費の負担軽減に寄与していることが理解できました。
 一方で、本補助制度の運用に当たっては、国への補助金申請において、町村が生産者毎の海上輸送費を取りまとめる必要があるなど、生産者と町村に新たな事務負担が生じていると聞いています。
 そこで都は、町村が活用しやすいよう、制度運用に係る事務負担を軽減すべきと考えますが、都の取組について伺います。

○福永離島港湾部長 町村の事務負担軽減に向けましては、昨年度から先行して運用している利島村などの事例を参考にして、申請書の作成方法や手順など、補助金申請業務の全般的な運用方法について指導助言を行っております。
 加えて、今年度、各町村が補助事業を立ち上げる際には、帳票の集計や作成を支援することで、事務負担のさらなる軽減を図ってまいります。
 今後、利用を検討している町村に対しましては、制度の内容や事務処理方法などを丁寧に説明することで理解を深め、円滑に事業を開始できるよう支援を行い、海上貨物運賃補助制度のさらなる活用を促進してまいります。

○本橋(た)委員 町村の事務負担については、本補助制度を円滑に運用できるよう、引き続きしっかりと支援することで利用拡大に取り組んでいただきたいと思います。
 海上輸送費の負担を軽減させ、島しょ地域の特産品をより多くの方に届けることは、島の産業振興はもとより、世界へ東京の島の魅力を広く発信することにもつながるため、大変重要であります。引き続き、地元の声を丁寧に聞くとともに、島しょの町村と協力連携して取組を進めることを要望して、質問を終わります。

○本橋(ひ)委員 よろしくお願いいたします。
 まずは、東京港における脱炭素化の取組についてお伺いいたします。
 一昨年、小池都知事はエジプトで開催されましたCOP27に出席しまして、東京の果たすべき役割や再生可能エネルギー由来のグリーン水素の活用などに向けて、水素パイプライン構想を表明するなど、精力的な情報発信を行っております。
 都でも昨年、川崎市や大田区とエネルギーの安定供給及びカーボンニュートラルの実現に有効な手段として、三者が連携して水素の利活用を拡大することを目的とした供給体制の構築や需要拡大などに関する協定を締結いたしました。私といたしましても、こうした水素や太陽光など再生可能エネルギーの活用を積極的に図っていくべきと考えております。
 港湾局におきましても、昨年、東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定し、東京港の脱炭素化に向け様々な施策を展開しており、水素を活用した具体的な取組として、令和五年度から荷役機械を燃料電池、いわゆるFCで稼働させるプロジェクトを実施しているとのことであります。
 そこで本日は、東京港における脱炭素化、とりわけ荷役機械のFC化プロジェクトの実施状況について確認していきます。
 まず最初に、改めて荷役機械のFC化プロジェクトの狙いについてお伺いいたします。

○三浦港湾振興担当部長 都は令和五年三月、東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定し、東京港の脱炭素化に向けて様々な事業を推進しております。この計画の策定過程において、軽油を燃料としているタイヤ式門型クレーンと呼ばれる荷役機械、いわゆるRTGにつきましては、ふ頭内で利用される荷役機械の中でCO2排出量が最も多いことが判明いたしました。
 このため、都では、このRTGの脱炭素化を推進するため、令和五年五月、大井コンテナふ頭の借受け者など四者と協定を締結し、RTGを水素燃料で稼働させるプロジェクトを開始したところでございます。
 実施期間は令和五年度から七年度までを予定しており、プロジェクトを通じて得られた成果を港湾関係事業者に展開、共有することで、港湾の荷役機械における脱炭素化や水素エネルギーの早期普及につなげてまいります。

○本橋(ひ)委員 FC化プロジェクトは、CO2排出の多くを占める荷役機械の脱炭素化を進めるため、ふ頭の借受け者などと共に取り組んでいくとのことです。港湾局に聞いたところによりますと、東京港のCO2排出量の九割以上は民間によるものであり、東京港の脱炭素化は、民間事業者が鍵を握っております。FCを活用した今回の官民一丸となった取組に大いに期待しております。
 また、先ほどの答弁では、FC化プロジェクトの実施期間は令和五年度から令和七年度までとのことでした。そこで、荷役機械のFC化プロジェクトの初年度の取組状況についてお伺いいたします。

○三浦港湾振興担当部長 RTGを水素エネルギーで稼働させることは全国初の取組でございまして、必要機器の整備に加え、法規制への対応と、それらに関わる多くの関係機関との調整が必要となります。
 プロジェクト初年度となる令和五年度は、水素供給設備の設計やRTGの改修作業などに着手するとともに、水素供給設備の設置に必要となる高圧ガス保安法など関連法規に基づく各種手続の準備に取りかかり、機器整備や法手続に必要な関係機関との事前調整を実施いたしました。

○本橋(ひ)委員 RTGの動力源に水素を用いることは全国初とのことでありました。先行して取り組む事業であるがゆえに、様々な規制が障害となって、事業実施に時間や手間を要することは、本件に限らず、多くの先行事例でぶつかる壁であります。
 本日の質疑を行うに当たって、港湾局に確認しましたところ、RTGが道路運送車両法上の車両であるかどうかについてすら解釈に時間を要する状況でありました。車両であるかどうかによって、水素充填設備に求められる保安体制の水準に影響があるため、この解釈が定まらないので、事業が思うように進まないこともあったとのことでありました。
 これは一部の事例ですが、このような状況では、今後、他の事業者が水素エネルギーで稼働するRTGを導入する場合においても、法解釈の調整に時間を要することで、RTGの円滑な導入の妨げになる可能性があります。
 そこで都は、今回のプロジェクトにおける経験を踏まえ、今後の水素エネルギーで稼働するRTGの導入に向け、円滑に法解釈の調整が進むよう、積極的に対応すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○三浦港湾振興担当部長 都は、今回のプロジェクトを進めていく中で認識した課題に対しまして、国への提案要求の機会などを通じて、法を所管する経済産業省、国土交通省などへ水素を活用した荷役機械の導入に係るガイドラインや運用マニュアルを提示することなどを要望しております。
 今後とも様々な機会を捉えて、国の制度所管部署などに必要性を訴えることで、RTGをはじめとした水素エネルギーで稼働する荷役機械の普及が進むよう、精力的に取り組んでまいります。

○本橋(ひ)委員 様々な規制の壁を乗り越えて、水素を燃料としたRTGを稼働させ、荷役作業を実施することは、今後の荷役機械における水素の活用に向け、大きな一歩になります。今回の荷役機械のFC化プロジェクトを通じ、荷役機械における水素エネルギーの利活用に関する知見やノウハウをしっかりと蓄積することで、水素エネルギーにより稼働する荷役機械の普及に積極的に取り組み、東京港における二〇三〇年のカーボンハーフ、その先の二〇五〇年のカーボンニュートラルにつなげていってもらいたいと思っております。
 次に、東京港及び島しょの港湾や空港のエリアにおける無電柱化の取組についてお聞きいたします。
 今年も日本の各地で大きな自然災害に見舞われたところです。特に台風十号や能登豪雨による記録的な大雨や土砂災害は、人々の暮らしや地域の産業に甚大な被害を与えており、今や日本では、大きな自然災害がいつどこで起こってもおかしくない状況にあります。
 東京港及び島しょ地域の港や空港は、人々の生活と産業活動を支える重要な拠点であるとともに、大規模地震や台風などの災害時には、住民の避難や緊急物資輸送に不可欠な施設であることから、機能不全に陥らないよう、万全の備えをしておく必要がございます。
 このため、私どもの会派は繰り返し、東京港や島しょ地域の港、空港に関して、無電柱化の推進を強く求めてきました。本日はこれらの取組について確認したいと思います。
 初めに、東京港における無電柱化の取組についてお伺いいたします。
 東京港は、災害発生時に緊急物資を受け入れる拠点となる重要なインフラであること、また、ベイエリアは多くの都民や観光客が訪れるにぎわいの拠点でもあり、都市景観の美観という点でも無電柱化は重要であります。
 そこで、改めて東京港における無電柱化の方針を確認するとともに、令和五年度の取組についてお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 都では、令和三年六月に改定した東京港無電柱化整備計画に基づき、東京港内の全ての臨港道路等を対象に無電柱化を進めることとしてございます。
 具体的には、防災上特に重要な緊急輸送道路約四十四キロメートルについては、二〇三五年度まで、それ以外の臨港道路等約四十二キロメートルにつきましては、二〇四〇年度までに無電柱化を完了させることとしてございます。
 令和五年度には、大井コンテナふ頭背後の大井一号線や中央防波堤地区の中防外一号線など、緊急輸送道路に指定されている臨港道路において、一・九キロメートルの電線共同溝の整備を完了しております。これにより、緊急輸送道路に関しましては、電線共同溝の整備率が約六〇%となってございます。
 また、新たに青海縦貫線等の三・二キロメートルにつきまして工事に着手したところでございます。

○本橋(ひ)委員 東京港の緊急輸送道路については約六〇%の整備が完了したとのことであり、無電柱化の整備が着実に進んでいることが確認できたところであります。引き続き、防災上特に重要となる緊急輸送道路について、着実に進めてもらいたいと思いますが、災害時の円滑な物資輸送などを実現するためには、緊急輸送道路以外のその他の道路も重要であるため、先を見据えて計画的に進めていくことが重要と考えます。
 そこで都は、緊急輸送道路以外の道路の無電柱化をどのように進めていくのか、また、令和五年度の取組についてお伺いいたします。

○佐藤港湾整備部長 無電柱化事業を進めるに当たりましては、電線管理者等と綿密な協議が必要となりますが、特に緊急輸送道路以外のその他の臨港道路等は路線数が多いことに加え、幅員が狭く、既存埋設物の移設場所が限定されることなどから、工事に着手するまでの協議に多くの時間を要してございます。このため、都は関係者との協議に早期に着手することとし、昨年度は、辰巳や若洲等の地区内の路線約十キロメートルについて、電線管理者等との調整を開始いたしました。
 今後とも、速やかな工事着手に向け、他の路線につきましても、円滑な関係者調整を実施し、東京港の無電柱化を着実に進めてまいります。

○本橋(ひ)委員 緊急輸送道路以外の道路についても、関係者との調整に早期に着手しているとのことで、先手先手で計画的に取り組んでいることが分かりました。引き続き、東京港の防災力向上のため、無電柱化の取組を進めてもらいたいです。
 次に、島しょ地域の港湾、漁港、空港における無電柱化についてお聞きいたします。
 島しょ地域の港湾等においては、これまで大型台風の直撃により電柱倒壊や断線による停電などが度々発生し、島民の生活に大きな影響を与えてまいりました。今年三月の経済・港湾委員会でも私どもの会派が指摘しましたが、島の港湾や空港については、機能停止による影響が極めて大きいことから、無電柱化を強く推進していく必要があります。
 そこで、島しょ地域の港湾、空港など港湾施設の無電柱化を迅速に進めていくべきと考えますが、都の取組についてお伺いいたします。

○福永離島港湾部長 都は、令和四年一月に東京都島しょ地域無電柱化整備計画を策定し、定期貨客船が発着する十八の港と五つの空港の無電柱化を二〇三〇年代までに完了させることを目標といたしました。
 このうち、令和元年の台風十五号で大きな被害が発生した大島や新島などの四つの港と二つの空港については、二〇二五年度までに優先的に工事を終わらせることとしております。工事に当たりましては、隣接する都道工事と綿密な調整を行い、地元自治体や関係機関などとも連携し、迅速かつ着実に無電柱化を推進してまいります。
 令和五年度は、新たに大島空港及び新島港での工事に着手いたしました。今年度も引き続き、大島空港及び新島港の工事を進めますとともに、新たに新島若郷漁港の工事に着手したところでございます。
 引き続き、東京都島しょ地域無電柱化整備計画に基づき、事業を着実に推進し、島しょ地域の安全・安心を確保してまいります。

○本橋(ひ)委員 島しょにおいても、着実に無電柱化工事が進んでいることが確認できたところであります。繰り返しになりますけれども、島の港や空港は人や物を運ぶ拠点となっており、大変重要な施設であります。この機能を台風などの自然災害から守ることが、島の生活と産業を守ることにつながりますので、無電柱化を積極的に進めていくことを改めて強く要望させていただきます。
 東京港と島しょ地域、それぞれの無電柱化の取組についてお聞きいたしました。都市部と島しょでは地域の特性は異なりますが、いずれも都民の生活や産業を支える上で不可欠なものでございます。都は、無電柱化を着実に推進し、災害に強い東京を実現していただきたいと思います。
 次に、離島港湾におけるDXの取組についてお聞きします。
 改めて、島しょ地域における港湾施設は、島民の生活と産業を支えるとともに、災害時には救援物資の輸送の要となる極めて重要なインフラであります。今年一月に発生した能登半島地震では、多くの港湾施設が甚大な被害を受けたため、救援物資の輸送に支障を来しました。今もなお、施設の復旧はもとより、被害状況の詳細な把握でさえ道半ばであると聞いております。
 近年では、気候変動の影響による台風の大型化や、近い将来に発生が想定される巨大地震など、自然災害による脅威が増しており、港湾施設の防災力を高めていくことは喫緊の課題であります。このため、都においては、港湾施設の耐震化や高潮対策など、ハード整備を着実に進めているところですが、万が一被災した際には、早期復旧できるよう、平時から備えておくことも重要であります。
 そこで、都は近年、デジタル技術を活用して、災害後の復旧の迅速化を図るため、離島港湾DXの取組を推進していると聞いています。これは業務の効率化に資するものとのことですが、離島港湾DXの概要と進捗状況をお伺いいたします。

○福永離島港湾部長 都では、島しょ地域における災害復旧の迅速化と業務の効率化を図るため、港湾施設等の構造物の諸元や被災状況の情報を集約し共有する離島港湾DXの骨格となる離島港湾情報プラットフォームを昨年九月から運用開始いたしました。
 具体的には、港湾、漁港、海岸施設の図面や施設延長など、地理情報システム上に集約するとともに、ライブカメラによるリアルタイムの映像なども一元的に管理できるものでございます。ライブカメラの映像は、都民が誰でもアクセスできるように公開しております。

○本橋(ひ)委員 離島港湾情報プラットフォームの運用開始により、港湾施設の被災状況をリアルタイムで確認できることは、都の災害復旧力を高めるものであり、迅速な取組を評価いたしたいと思います。また、離島港湾情報プラットフォームは、大量の情報を集約することにより効果的に必要な情報にアクセスできるとのことです。こうした行政内部で持っているデータを可能な限り都民に対して公開し、データを様々な用途で活用してもらうことは、さらなる都民サービスの向上につながると考えます。
 そこで、離島港湾情報プラットフォームにおける都民への情報提供について具体的に確認をさせてください。

○福永離島港湾部長 離島港湾情報プラットフォームでは、定期貨客船が接岸する十七港において、ライブカメラの映像を公開しておりまして、多くの都民が離れた場所からも島の状況を確認できることが安心にもつながっております。これらの総視聴回数は、昨年九月の運用開始から本年九月末までの一年間で累計約六百万回を超えております。
 さらに、ライブカメラ以外の情報提供につきましては、今年度、接岸できる港の延長、水深、係船柱の強度など、寄港を計画している運航会社にとって必要な情報も公開していく予定でございます。

○本橋(ひ)委員 都民や民間企業の目線に立って、着実にオープンデータ化を進めていることが分かりました。引き続きまして、積極的な情報提供をお願いいたします。
 さて、離島港湾DXでは、離島港湾情報プラットフォームによる災害復旧の迅速化だけでなく、もう一つの柱である業務効率化、中でも特に三次元データの活用に取り組んでいると聞いております。建築や土木の分野で用いられる三次元のデジタル情報管理技術は、BIM、CIMといわれているようですが、今後、建設業などにおいて広く活用が期待されるとのことであります。
 そこで、離島港湾DXにおけるBIM、CIMの現在の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。

○福永離島港湾部長 BIM、CIMは平面図、断面図など二次元の情報であった設計図面を立体的に三次元で表現できる新技術でございます。このため、BIM、CIMで設計した情報は、工事における施工管理など、工事関係者の理解促進だけでなく、住民への説明会の場面におきましても、共通認識ツールとして極めて有効でございます。
 昨年度末までに定期船の接岸する岡田港や利島港など七か所の岸壁につきまして、BIM、CIMデータを作成いたしました。今後は、防波堤や船客待合所等につきましても、BIM、CIMデータを作成し、順次離島港湾情報プラットフォームに格納していく予定でございます。

○本橋(ひ)委員 ここまで離島港湾におけるDXの取組を確認してきましたが、島しょの防災能力、防災対応力を高めるとともに、業務効率化を進める取組が着実に進んでいることが分かりました。今後も、デジタル技術、先端技術を積極的に取り入れ、活用することで、着実に港湾施設の強靱化を進め、島しょ地域のさらなる安全・安心の確保に努めていただきたいと思います。
 最後に、来年三月にグランドオープンを迎える海の森公園についてお聞きいたします。
 海の森公園は、東京港のごみの埋立地を美しい森によみがえらせるというコンセプトの下、整備が進められている公園であり、都心の近くにありながらも、広大な敷地と自然環境を有する非常に魅力的な空間であります。気軽に自然に浸り、非日常を感じることができるこの公園が本格的に開園することを心待ちにしている方も多いのではないかと思います。
 本年三月に開催されたプレオープンイベントでは、地元の小学生による吹奏楽の演奏や移動動物園、そしてアウトドアクッキングなど、数多くのプログラムが実施され、大勢の来園者が大いに楽しんだとのことですから、この公園は多種多様なイベントの開催に非常に適した場所ではないかと思います。
 そこでまず、これまでのイベントの開催状況についてお伺いいたします。

○若林臨海開発部長 来年三月のグランドオープンを予定しております海の森公園は約六ヘクタールに及ぶ広大な草地の広場のほか、深い森や生き物が集まる池など豊富な自然環境を有しており、こうした特徴を生かした様々な屋外イベントの実施に適しております。
 都は、令和四年度から海の森公園の認知度を高める取組として、公園の特徴を生かしたプレオープンイベントを実施してまいりました。
 具体的には、大型の音楽フェスティバルのほか、子供を中心としたキャンプ体験や樹木の生育環境を整える育樹体験、さらには生き物観察会など、この公園のロケーションや自然環境を生かしたイベントを実施し、多くの参加者に楽しんでいただきました。

○本橋(ひ)委員 広大な空間や自然豊かな環境を生かしたイベントを既に数多く実施しているとのことでありました。また、この公園のもう一つの特徴は、東京二〇二〇大会の競技会場として使用されたという点であります。海の森公園は、馬術の競技会場として、隣接する海の森水上競技場は、ボート、カヌーの競技会場として、それぞれ使用されており、スポーツイベントなど、健康増進につながる取組にも適していると考えられます。
 そこで、健康増進につながる取組について、これまでの実施状況をお伺いいたします。

○若林臨海開発部長 海の森公園では、開園に向けた準備を進めるとともに、広大な空間を活用し、体を動かして楽しむ様々なイベントを実施してまいりました。
 具体的には、オリンピアンと子供たちが鬼ごっこをする東京大おにごっこを開催したほか、青空ヨガやフリスビーを使ったドッジボールなど、子供から大人まで海の森公園の自然や広さといった魅力を感じながら楽しんでいただける取組を実施いたしました。グランドオープン後も指定管理者などと連携し、この公園の特徴を生かした健康増進につながるイベントを実施してまいります。

○本橋(ひ)委員 広大かつ自然豊かな場所で体を動かすことは健康増進や心身のリフレッシュにもつながります。今後も海の森公園の特徴を生かしたイベントの充実を強く要望いたしまして、私の質疑を終えます。

○かまた委員 まず初めに、東京港における海岸保全施設の機能強化についてお伺いをいたします。
 都はこれまで、防潮堤や水門等の海岸保全施設の整備を着実に進めており、高潮に対しては十分な安全性が確保されていると認識しておりますが、万が一、大地震により防潮堤が損壊し、そこに大型の台風が襲来するような複合災害が発生すれば、高潮の被害は極めて甚大になるものと予想されます。そのため、我が党は、防潮堤や水門等の耐震対策を積極的に進めるよう繰り返し要望してきたところであります。
 そこでまず、防潮堤や内部護岸の耐震対策について、令和五年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いをいたします。

○佐藤港湾整備部長 都は、想定される最大級の地震にも耐えられるよう、防潮堤や内部護岸の耐震対策に取り組んでおり、護岸の前面に鋼管矢板を設置するとともに、地盤改良を行うなどの工事を進めてございます。昨年度、防潮堤につきましては、江東区の東雲二丁目等において耐震工事を実施いたしました。これにより、全延長約六十キロメートルのうち約五十七キロメートルの耐震対策が完了しております。
 内部護岸につきましては、中央区の朝潮運河や江東区の砂町北運河等において耐震工事を実施いたしました。これにより、全延長約四十八キロメートルのうち約三十六キロメートルの耐震対策が完了しております。

○かまた委員 ぜひ、今後も引き続き耐震対策を進めていってください。
 続きまして、水門と排水機場の耐震対策について確認をさせていただきます。
 東京港には防潮堤以外にも水門や水門を閉鎖した際、降雨等による運河の水位上昇を抑えるための排水機場があります。いずれも重要な施設であり、地震で損壊することがないようにしなければなりません。そこで、水門、排水機場の耐震対策について、令和五年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いをします。

○佐藤港湾整備部長 水門につきましては、全十五か所のうち十四か所の水門の耐震化が完了しており、残る一か所の新砂水門については、隣接する場所に新たな水門の整備を進めているところでございます。令和五年度は、軟弱地盤対策等を含む仮設工事を完了させ、水門本体の土台となる底版のコンクリート工事に着手いたしました。
 また、排水機場は、東京港内に二か所あり、江東地区の辰巳排水機場につきましては、令和三年度に耐震対策が完了しており、芝浦地区の芝浦排水機場につきましては、昨年七月に完了いたしました。

○かまた委員 着実に進めていただいていることが分かりました。最後の水門完成まで引き続きよろしくお願いいたします。
 続きまして、気候変動への対応についても確認をさせていただきます。
 我が党はこれまでも、気候変動に伴う海岸保全施設の機能強化の必要性を指摘してきましたが、これを受けて都は、整備計画を策定し、防潮堤のかさ上げや排水機場の機能強化に取り組むとしています。
 そこでまず、都は、気候変動による海水面の上昇等の影響に対して、どのように対応していくのか、改めて確認をいたします。

○佐藤港湾整備部長 都は、気候変動による影響を踏まえ、令和五年三月に東京港海岸保全施設整備計画を策定し、防潮堤のかさ上げや排水機場の機能強化を進めていくこととしております。
 具体的には、防潮堤のかさ上げにつきましては、今後、徐々に高くなっていくことが見込まれる海面の水位と、現在の防潮堤の高さとを地区ごとに比較検討した上で、高さが不足する地区から順次実施することとし、十年間で約二十四キロメートルの整備を進めてまいります。
 また、排水機場の機能強化につきましては、二〇四〇年代までに、降雨量が一・一倍になるとの予測に基づき、排水機場を増設し、必要な排水能力を確保していく予定でございます。

○かまた委員 気候変動の影響につきましても、今年の夏の異常気象を見ても既に顕在化していると感じます。気候変動への対策は待ったなしであり、海岸保全施設の機能強化を速やかに進めていくことが重要です。
 そこで、防潮堤のかさ上げ及び排水機場の機能強化について、令和五年度の取組についてお伺いをいたします。

○佐藤港湾整備部長 防潮堤のかさ上げにつきましては、京浜運河やガスミオ運河等の約六キロメートルの防潮堤について、測量や設計を実施いたしました。また、排水機場につきましては、既存の排水機場の建物内にポンプを増設するための十分なスペースがないことから、それぞれの地区で新たな用地を確保し、排水機場を増設することとしております。
 芝浦地区におきましては、芝浦排水機場に隣接する用地が活用できることから、排水機場の増設に向けた基本設計を実施するとともに、江東地区におきましては、新たな用地を選定するための基本検討に着手したところでございます。

○かまた委員 整備計画の策定後、直ちにかさ上げや排水機場の増設に着手するなど、迅速な対応ありがとうございます。海岸保全施設は、都民の安全・安心を守る重要な施設であります。引き続き、しっかりと取り組むよう要望いたします。
 続きまして、次の質問に入ります。
 東京港における物流効率化の取組についてお伺いをいたします。
 東京港のコンテナターミナル周辺では、季節や時間帯によって交通混雑が発生しており、その対策が長年の課題となっています。東京港の混雑は様々な要因が重なって発生しているとのことでありますが、大きな要因の一つが、特定の時間帯、特に夕方にトラックが集中することにあると聞いております。こうした状況を解消するため、東京港では、国のCONPASと呼ばれるコンテナ搬出入の時間を予約するシステムを活用し、トラックの集中を平準化する取組を進めております。また本日は、この予約制の実施状況や課題について伺ってまいりたいと思います。
 初めに確認ですが、東京港におけるCONPASを活用した予約制のこれまでの取組状況についてお伺いをいたします。

○野平港湾経営部長 都は効率的なターミナル運営とゲート前混雑の緩和を目的といたしまして、国やターミナル事業者等と連携し、令和四年八月からCONPASを活用した予約制事業を進めてまいりました。予約制の実施に当たりましては、ターミナルやトラック事業者など関係者の習熟を図りながら、円滑に導入を進めていく観点から、実施期間を区切って効果や課題を検証しながら、実施ターミナル数などの規模を段階的に拡大してまいりました。
 本年九月からは、第六期の取組を開始しておりまして、これまで実施してきた大井ふ頭の三ターミナルに加え、新たに青海ふ頭のターミナルで実施することとしております。

○かまた委員 都は予約制を円滑に導入していくため、ターミナル事業者やトラック事業者の理解度向上に加え、予約制の効果や課題を踏まえながら順次実施規模の拡大に取り組んでいるとのことでありますけれども、令和五年度の利用状況、予約制の導入による効果についてお伺いをいたします。

○野平港湾経営部長 令和五年度における予約制の利用台数は二万十九台でございまして、前年度比約三・六倍となっております。また、トラック事業者の参加登録数は最大で二百七十三社となり、前年と比べて約四・八倍となるなど、利用者数も順調に増加しております。予約制を利用したトラックのゲート前における待機時間は、利用しなかったトラックに比べ、最大で約八割短縮するなど、ゲート前混雑の緩和に資する効果を確認しております。

○かまた委員 令和五年度実績では前年度比約四・八倍となったとのことであり、予約制が浸透していることが確認できます。また、トラックドライバーにとっても、待機時間の大幅な短縮という効果が出ているとのことで、予約制は順調に拡大し、大きな効果を創出していると評価できます。
 しかし、一方で、利用者数が増えることで、具体的にどのような課題が出ているのかについてもお伺いをいたします。

○野平港湾経営部長 これまで予約制の取組を進める中で、令和五年度の利用者数は令和四年度に比べ大幅に増加した一方で、予約時間どおりにトラックが来場しない、いわゆる無断キャンセルの割合も二・六%から一〇・五%に増加いたしました。こうした無断キャンセルは、予約制を利用したかった方の機会を失わせるだけでなく、ターミナルの運営に無駄を生じさせるおそれもございます。このため、都は昨年度から国と連携し、無断キャンセルの件数が多い事業者に対しまして、予約制の利用を一定期間制限するペナルティー制度を導入するなど、適切な利用を確保するための取組を進めております。

○かまた委員 予約制の拡大により、これまで以上に無断キャンセルが増加したものの、これに対して都がしっかりと対応していることが確認できました。東京港においては、物流の二〇二四年問題を契機としたトラックドライバー不足に対応するためにも、ターミナルの混雑対策は待ったなしの状況であります。これまでにゲート前の待機時間の削減に大きな効果が確認できている予約制の推進は、二〇二四年問題を解決していく上でも有効な施策であると期待をしております。
 そこで、東京港の混雑緩和のためには、予約制のさらなる普及が必要だと考えますが、都は予約制の普及促進に向け、どのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

○野平港湾経営部長 東京港において、予約制をさらに普及させるためには、トラック事業者等に予約制の内容やメリットを十分に理解してもらうことが重要でございます。このため、都はこれまで、トラック事業者に対し、実施内容を分かりやすく記載したチラシをターミナル等で配布し、予約制への参加を広く呼びかけるとともに、予約制の利用方法を解説した動画を作成し、ホームページ等で配信してまいりました。
 今年度からは、ビジネス誌や物流関係誌など各種媒体において広告等を掲載し、予約制を利用するメリット等を物流事業者に積極的にPRするなど、広報活動を強化しております。都はこうした取組を通じて、予約制のさらなる普及促進を図ってまいります。

○かまた委員 都には今後も様々なメディアを活用しまして、広報活動を強化することで、予約制の普及促進につなげていただきたいと思います。
 物流の現場では、トラックドライバーの高齢化が進んでおり、さらに苛酷な労働条件が敬遠されることで、ドライバーの離職が進み、事業者の中には廃業を余儀なくされるケースも出ていると伺っております。こうした状況下ではトラックの荷待ち時間に直結する東京港のターミナル周辺の混雑は早急に解決をしなければなりません。
 今後も都が先頭に立ち、コンテナターミナル周辺の混雑緩和解消のため、予約制の普及促進を図ることを改めて要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いいたします。
 私からは、まず伊豆大島の波浮港について伺っていきたいと思います。
 この港は、西暦八〇〇年頃、水蒸気爆発によってできた火口湖に雨水がたまり、波浮の池と呼ばれ、長い間、静かなたたずまいだったそうです。一七〇三年の津波によって、海と池を隔てていた岩礁が崩れて、海水が池に入り込み、その後、避難港として繁栄することになったと聞いています。多くの商船が利用することとなり、隆盛を極めているそうで、昭和八年頃には、その当時、地価が、土地の値段が当時の銀座の土地の値段を上回るほどだったと聞きました。
 現在は、三原山と並ぶ景勝地として、多くの観光客が訪れ、伊豆大島を代表する観光地となっています。過疎化が進んで、港周辺の住民は減少していますが、波浮港の漁協もあって、漁船や運搬船からの積卸し作業も行われています。
 しかし、ここに住んでいる人々の環境は大変厳しいものがあります。海水面と地面との高低差がないために、大潮のときなどは外洋の波が押し寄せ、お住まいの住居のすぐ近くが浸水して、家の外に出られないこともあるそうです。かつては台風のときは中通りといって、かなり上まで海水が上がってしまって、大変な目に遭ったと聞いています。そして、今でも港は一部の地面が低いままになっています。
 そこで伺いますが、波浮港周辺の地面と海面の高低差ですが、低いところでどのくらいの高さになっているのか教えてください。

○福永離島港湾部長 物揚げ場の一番低い場所の高さはA.P.プラス一・八一メートルです。なお、波浮港の潮位は満潮位におきまして、A.P.プラス一・六六メートルでございます。

○とや委員 ありがとうございます。
 この物揚げ場、一・八一メートルということであります。満潮時で一・六六メートル、これは十五センチしか高低差がないということになっているわけで、そのため、高潮や台風が来れば、当然、海水が上がってきてしまいます。私も現地を見てきたんですが、ふだんは本当に静かな入り江なんですけど、物揚げ場から人家の距離も近くて、海水が上がってくれば、家の中にその水が入ってしまうと。付近の人たちは長い間、大変困難を抱え、怖い思いもしてきたんだと思いました。港に責任を持つ東京都港湾局として早く対策を講じてほしいです。
 この間、部分的にはかさ上げがされてきたんですが、まだ一部はかさ上げされておりません。かさ上げされていない現在でも、人々の暮らしは守る必要があります。潮が満ちたときや台風などの際、浸水を防ぐ手段としてどのような対策を講じているのか伺います。

○福永離島港湾部長 高潮や台風の接近が事前に予測される場合、地元消防団が波浮港内に設置している水防のための簡易な堰の一種である角落としで閉鎖しております。

○とや委員 以前は土のうを置いて水を防いでいたと、そういったこともあったんですが、流されてしまったと近隣の方々はおっしゃっておりました。また、高潮や台風が来るたびに、この付近の方々ってプロパンガス使っていますからね、プロパンガスを、ボンベを、家の中など高いところに移動させていると聞いています。片づけないと海に流されてしまうということですよ。ちょっと私も信じられなかったんですよ、そんなことを聞いて。
 今、ご答弁で、簡易な堰の一種である角落とし、その場所を見てまいりました。大きいものですから、重たくて高齢者なんかは持てません。とても周辺のお住まいの人たちは運ぶことができないので、地元の消防団の方が協力しているということも理解できました。
 住民はこれで今海水を防いでいるけれど、幾らかは安心だとおっしゃっていたんですね。それでも水が上がってくることもあるそうです。ですから、この付近の人たちはしなくてもいい苦労を長年強いられてきているということになります。そして、水が引いた後も大変です。海から運ばれてきた大量のごみがあります。このごみを片づけなければならないわけですが、水が引いた後、海から運ばれてきた木片、あるいはペットボトルなどのごみが散乱するわけですが、誰が片づけますか。

○福永離島港湾部長 波浮港内にごみが漂着した場合、港湾管理者である都の職員や都からの委託業者が回収を行うこととなっております。

○とや委員 回収を行うこととなっているというふうにお答えになりました。つまり、行うことになっているわけで、実際どうなのか、きちんと確認ができていないということだと思います。
 地元の人たちに話を聞きました。まちの人たち、この周辺の人たちみんなで片づけをしなきゃならないそうです。それも一苦労だというふうに聞いているんですよ。こうした苛酷な環境は長年住んできた人たちを疲弊させています。そして、さらに不安にさせています。だから、どんどん引っ越しちゃうということも聞いています。最近もお引っ越しされた方もいるそうです。高潮や台風は自然災害ですよ。だから防げないです。だけど、被害を最小限に抑えるのは行政の責任でもあるわけです。
 港を管轄する港湾局として、自然災害によって住民に被害が及んでいる状況をどう考えているのか、お答えください。

○福永離島港湾部長 台風などの際には、周辺地域が浸水していることもあり、引き続き、物揚げ場の整備を進めてまいります。

○とや委員 周辺地域が浸水しているということは認識していらっしゃると。これ自体重要な答弁なんですが、その状態がずっと続いてきているということもしっかりと受け止めていただきたいと思います。そして、一刻も早くかさ上げすることが求められているわけです。住民の皆さんからは、生きているうちに、元気なうちに何とかしてほしいという声が上がっています。こんなことまでいわなければならないということを受け止めてほしいんですよね。局長もお願いします。
 そして、波浮港周辺の住民からは、今も申し上げましたが、大変不安の声が届いているわけですが、これまで住民とはどのような話合いをしてきたのかお答えください。

○福永離島港湾部長 地元住民からは、物揚げ場の浸水に備えて、かさ上げ整備を進めてほしいとの声があることは認識しております。波浮港の整備につきましては、これまでも地元住民の方々と協議を行っており、地元住民などの集会にも出席し、要望を伺っております。

○とや委員 協議も行ってきたし、要望も伺ってきているといいますが、住民の皆さんからは、担当者が変わるたびに話が元に戻るんだという声もあります。ここに住んでみてくれと怒りをあらわにしている方もいらっしゃいます。連絡が一向に来ないので大島支庁に電話した人もいます。それでも現地に来てくれないという声もあります。これまで話合いをしてきて、既にかさ上げについての合意はできていると聞いております。
 住民は、岸壁の低くなっている部分について、全員がかさ上げを望んでいるわけですよ。それなのにこれまで具体化してこなかった理由を伺います。また、住民の方が納得のいくかさ上げをしていただくよう求めますが、いかがですか。

○福永離島港湾部長 これまで物揚げ場のかさ上げを順次進めてきております。物揚げ場の一部につきましては、民地と隣接しており、物揚げ場をかさ上げすることにより、民地との高低差が生じております。このため、整備に当たりましては、かさ上げの手法につきまして、民地の所有者の方々の納得を得る必要がございまして、その調整に時間を要しております。引き続き、かさ上げ後におきましても、人や車の出入りが円滑となる案を検討してまいります。

○とや委員 順次進めて、両端のかさ上げが済んでいるのは知っています。知っていますが、問題は、今日私が指摘した場所です。住民は毎年のように大島支庁の港湾課に要望してきたそうです。今年六月には、地元住民と漁協の人たちだとか、消防団の方々もいらっしゃって、集まって、支庁の担当者との話合いを持っています。その場で、必ず実現させますというふうにお答えになっていたそうですよ。その後、進展が見られないということで不安になっているわけです。
 今日まで現地にも行っていませんよね、本庁からね。必ず行って話を進めてください。そして、必ず住民の方々が安心できる環境を保障してください。民家に水が上がってきたら、直ちに対策を講じるのが普通です。でも、その普通ができていないんですよ。波浮の港の周辺にお住まいの皆さんが本当に元気なうちに必ずかさ上げ、皆さんが納得のいく形で実現していただくよう求めて、次の質問に移ります。
 次が調布飛行場の自家用機の移転についてです。
 二〇一五年七月、調布飛行場を離陸した直後に、自家用機が住宅地に墜落して、住民の方などが亡くなった墜落事故から九年がたっております。今なお多くの住民が墜落事故の惨劇を鮮明に記憶する一方、自家用機の移転は今なお実現をしていません。いただいた資料を見ますと、自家用機の離着陸は、昨年度も三百七十六回、ここ数年は年三百五十回を超えています。ほぼ毎日、自家用機が離着陸しているわけです。
 都は自家用機を大島空港に移転を促す方針を定めて、大島空港の施設整備や自家用機所有者への移転要請をしてきましたが、今なお一機も移転できていません。
 そこで伺いますが、自家用機所有者から、調布飛行場からの移転について、どのような希望や要望が出ているのか伺います。

○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機所有者からは、これまでも有力な移転候補先である大島空港につきまして、格納庫の設置やその使用料、給油施設の設置、大島空港への移動手段確保等の意見が出ております。

○とや委員 都としては、自家用機所有者の意見を受け大島空港の整備等進めてきたということでありますが、しかしですね、やはり移転が進まないのは、ほかの理由があるのではないかとも思います。自家用機所有者が調布飛行場に残りたいとする主な理由について伺いたいと思います。

○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機所有者にはそれぞれ事情がございまして、一概にその理由をお示しすることは難しいものと存じます。

○とや委員 それぞれ事情があると。それはそうですけどね。私はやはり自家用機の所有者にとって、調布飛行場が立地的に便利なんじゃないかなと、誰が見ても思いますよね。
 しかし、それはあくまでも自家用機の所有者の方にとってであり、住宅地のど真ん中にある調布飛行場は、住民にとっては危険と隣り合わせということになるわけです。
 東京都は昨年度、大島空港以外の移転先について、調査費用を初めて計上しています。自家用機の大島空港以外の移転先の調査について、昨年度の事業の進捗や実績について伺います。

○渡邊島しょ・小笠原空港整備担当部長 移転先の調査につきましては、都の職員により、関東近郊に所在する空港等の管理者に対してヒアリングを実施したものであります。
 その結果、一部の飛行場において、常駐機の受入れの可能性があることを確認しております。

○とや委員 一部の飛行場で受入れの可能性があるとの情報は大変重要です。ぜひ着実かつ迅速に進めていただきたいと思います。
 二〇一五年の墜落事故は、裁判において、国の許可を得ないまま無許可で乗客からお金を取って飛行したことが明らかになって、航空法違反の判決を受け、有罪となりました。このときの飛行の登録は、パイロットの技量を維持する慣熟飛行でしたが、実際はお金を取った遊覧飛行だったわけです。一九九七年の都と調布市の覚書では、二十七項目の協定を結んでいますが、そのうちの一つが遊覧飛行の禁止だったわけです。
 住民の方から聞きますと、事故以前から遊覧飛行が繰り返され、今も遊覧飛行しているのではないかと疑念や懸念があるとのことです。一刻も早い自家用機の完全移転を実現するよう強く求めて、質問を終わります。

○銀川委員 都議会立憲民主党の銀川です。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、海の森公園について伺います。
 海の森公園は、二〇二五年三月に開園予定の東京港で整備中の海上公園です。一九七三年から一九八七年にかけて埋め立てられた千二百三十万トンのごみの埋立地の上に整備を行い、東京二十三区内で最も広い公園となる予定です。都民や東京に訪れる方のレクリエーションや憩いの場として、東京の新たな魅力を創出するレジャー施設として、多くの方が訪れる場になることを期待しています。
 現在、開園に向けて整備を進めています。そこで、海の森公園の整備の目的について伺います。

○若林臨海開発部長 海の森公園は、東京港のごみの埋立地を美しい森によみがえらせるプロジェクトとして、資源循環型の森づくりと市民参加による協働の森づくりの二つのコンセプトに基づき整備を進めております。

○銀川委員 ありがとうございます。
 次に、決算説明資料を見ると、海の森公園の公共事業分と単独事業分の当該年度分に関しては、執行率もある程度妥当だと考えます。一方で、繰越分については、四四・一%の執行率しかありませんが、具体的な状況を伺います。

○若林臨海開発部長 執行率が四四・一%となっている理由につきまして、海の森公園におけるビジターセンターの建築工事におきまして、令和五年に工事の請負者が破産手続を開始したため、工事の途中で契約を解除したことによるものでございます。

○銀川委員 ビジターセンターの建築工事を契約解除したとのことでありますが、契約の解除に伴い、工事の費用はどのように処理されたのでしょうか。また、グランドオープンに影響はないのか伺います。

○若林臨海開発部長 工事費につきましては、工事請負契約書及び関係法令に基づき、出来高を算定して精算を行うなど、適正に処理しております。
 また、ビジターセンターは、環境学習やボランティアの拠点となる施設であるとともに、来園者へのサービスを提供する機能もあることから、グランドオープンまでに仮設の施設を整備し、これらの機能を確保いたします。

○銀川委員 請負者が破産手続をしてしまったということで、新たに仮設の整備が必要になるなど、トラブルもあったかもしれませんが、開園を楽しみにしている方も多いと思います。グランドオープンを無事に迎えられるよう進めていただければと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 次に、港湾DX加速化補助金について伺います。
 十月初め、アメリカの東海岸からメキシコ湾にかけて大規模な港湾ストライキがありました。四十七年ぶりの大規模ストということで、ストが長期化した場合、アメリカ最大の消費イベントである年末商戦にも影響し、物価上昇でFOMCの政策判断をも左右しかねないと、大きく注目されました。結果、六年間で賃金を六二%引き上げるという合意でストは終結したわけですが、こうしたニュースに接するにつけ、いかに運輸、物流が私たちの暮らしや生活に必要不可欠なものかを改めて認識をいたしました。
 東京港において、港湾労働者の処遇改善など、人材の確保、育成が求められますが、同時に港湾DXを加速するなど、東京港の国際競争力を高めていく必要があります。
 私の地元にも、コンテナの貨物ではありませんが、多くの運輸、物流事業者がおり、こうしたエッセンシャルワーカーの方々に改めて感謝を申し上げつつ、質問に入ります。
 まず、令和五年度における東京港のDX推進に向けた取組状況について確認をしていきたいと思います。
 港湾振興促進事業の物流の効率化が、令和四年度は五億七千五百万、五年度が十二億一千九百万円とありますが、大きく増やしたのが、コンテナターミナルの予約制推進等の港湾DX加速化補助金です。
 そこで、東京港のDX推進に向けた取組の概要について伺います。

○野平港湾経営部長 東京港においては、デジタル技術を活用いたしまして、トラックの待機時間の短縮やターミナルオペレーションの円滑化など、物流の効率化に取り組んでおります。
 具体的には、令和三年度から、トラックがコンテナターミナルに入場するまでの待機時間などをリアルタイムで公表するとともに、令和四年度からは予約システムを活用したコンテナ搬出入予約制を開始することで、混雑を避けた時間帯での来場を促しているところでございます。
 また、令和四年度に、港湾DX加速化補助金を創設し、DXによりターミナルオペレーションの円滑化に取り組む民間事業者に対し支援を行っているところでございます。

○銀川委員 東京港DX推進に向けて努力をいただいていることを確認いたしました。
 令和五年度の予約制の実施状況及び予約制の導入による効果についても伺いたいと思います。

○野平港湾経営部長 都は、国やターミナル事業者等と連携し、令和四年度から、トラック事業者がコンテナターミナルに来場する日時をあらかじめ選択できる予約制事業を開始いたしました。令和五年度は、予約制を実施するターミナルを一つ増やし、大井ふ頭の三つのターミナルで実施いたしました。
 令和五年度の予約制の利用台数は二万十九台で、前年度比約三・六倍、トラック事業者の参加登録数は最大二百七十三社で、前年度比約四・八倍となるなど、利用者数も順調に増加しております。また、予約制を利用したトラックのゲート前における待機時間は、利用しなかったトラックに比べ、最大で約八割短縮するなど、ゲート前混雑の緩和に資する効果を確認しております。

○銀川委員 承知いたしました。
 次に、港湾DX加速化補助金を二億円から七億円に増額をされましたが、執行率が低いと聞いています。予約情報や遠隔操作荷役機械との情報連携など、便利になっていなければならないと思いますけれども、港湾DX加速化補助金の令和五年度における執行状況について伺います。

○野平港湾経営部長 都は、コンテナターミナルの運営の効率化等を目的に、ターミナル事業者が所有するシステムの改修経費等を対象に、最大で二分の一を補助しておりまして、令和五年度は、システム改修に係る設計費に対し、約二百万円の補助金を交付しております。
 また、労働環境の改善等を目的に、遠隔操作可能な荷役機械の導入に必要となる附属施設の整備費用等を対象に、最大で三分の一を補助しておりまして、令和五年度はモニターや操作盤等の設計費に対し約二千万円の補助金を交付しております。

○銀川委員 国際物流の要である東京港の地位回復には、DXの強化がポイントとなります。また、ふ頭の整備もしっかりと進めるべきだと考えます。
 次の質問に参ります。
 物流分野のDXの加速化、そしてハード面での取組がこれからの東京には必要です。
 世界の港湾ランキングというものがありますが、事業を行うことによって、東京はこれまでランクアップすることができてきたのでしょうか。国内で一番ではなくて、アジアで一番、アジアをリードするくらいにならないといけないのではないかと思います。
 都は、東京港の国際競争力強化に向け、積極的に取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

○野平港湾経営部長 東京港が国際物流拠点としての役割をしっかりと果たしていくためには、ハード、ソフトの両面から様々な取組を展開していくことが重要でございます。このため、都は現在予約制の普及促進などDX推進に向けた取組に加えまして、中央防波堤外側コンテナふ頭Y3の新規整備や青海コンテナふ頭の再編整備などに取り組んでおります。
 今後とも、こうした取組により、東京港の機能強化を図ることで、国際競争力の強化につなげてまいります。

○銀川委員 承知いたしました。
 東京がランクアップするためには、DXやハードの強化が必要です。国内ではトップですが、国際的にランクアップを目指すためにも、予算を増額した事業の効果が現れなければなりません。事前のヒアリングで、今回の予算ではまだシステム改修の設計費にしか充てていないとお聞きしましたが、予約情報や遠隔操作荷役機械との情報連携、交通混雑の見える化など、さらに利便性を高めていかなければならないと考えます。DX整備を加速し、事業をさらに強化いただきたいことを要望し、次の質問に移ります。
 最後の質問になりますけれども、東京港埠頭株式会社について伺います。
 令和五年度における一般会計における港湾局から、東京港埠頭株式会社への支出の総額と主な事業内容について伺います。

○石井企画担当部長DX推進担当部長兼務 令和五年度一般会計決算におきまして、東京港埠頭株式会社に支出した金額は約七十六億円でございます。主な事業といたしましては、都が所有いたします岸壁等の管理運営に係る外貿コンテナふ頭事業、客船ターミナルの管理運営事業及び海上公園の管理運営事業でございます。

○銀川委員 外貿コンテナふ頭事業などの大きな事業になっており、令和五年度は約百八十億円の営業収支のうち七十六億円が都の一般会計からということを確認いたしました。
 次に、東京港埠頭株式会社の令和五年度決算において、経常利益が約二十二億八千三百万円であるなど、相当の利益が出ています。これらの事業については、東京港埠頭株式会社以外の団体が実施することはできないのでしょうでしょうか。東京港埠頭株式会社が担うことの妥当性について、都の見解を伺います。

○石井企画担当部長DX推進担当部長兼務 外貿コンテナふ頭事業につきましては、特定外貿埠頭の管理運営に関する法律に基づきまして、国土交通大臣から特定外貿ふ頭の管理運営を行う者として指定された会社でございます東京港埠頭株式会社が、東京港の外貿ふ頭を一元的に管理運営しているものでございます。
 また、東京港埠頭株式会社が都からの指定管理事業として管理運営をしております海上公園や客船ターミナルに関しましては、外部の有識者と行政機関関係者により構成されます選定委員会での審議、都議会の議決を経まして、同社を指定管理者としていることを決定しているところでございます。
 なお、東京港埠頭株式会社の経常利益は、自らが整備し、管理運営する外貿コンテナふ頭事業から得られる利益が大宗を占めているものと承知してございます。

○銀川委員 東京港埠頭株式会社は、東京都が約五五%の株式を所有しています。常勤役員三名のうち二名が東京都の元職員であり、都の関与は深い団体であることがうかがわれるので、都から会社への支出の妥当性が誰からも疑問を持たれないよう、支出金額の詳細を決算特別委員会資料において明らかにした方がよいと考えますが、都の見解を伺います。

○石井企画担当部長DX推進担当部長兼務 港湾局所管の事業協力団体でございます東京港埠頭株式会社につきましては、会社の概要、事業計画、予算、事業実績及び決算等を記載いたしました経営状況等説明書を、毎年度、経済・港湾委員会へ事務事業説明の際に提出をしてございます。
 また、同社は、法令に基づく開示以外の情報公開にも主体的に取り組んでおりまして、毎年度の都財政支出の受入れ状況等の情報も、会社のホームページに掲載をしているところでございます。

○銀川委員 東京都のお金の動きやその事業形態は、都民にはなかなか見えにくいのが現状です。都民に信頼される東京都を目指して、より分かりやすい情報開示や決算資料をこれからも目指していただきたいと思いますし、各所管で推進をしていただきたいと思います。以上で私の質疑を終わります。

○曽根委員 私からは、東京都が港湾局の予算で毎年計上してきているIR調査の予算がどうなっているかについてお聞きしたいと思います。
 昨年度のIRの調査予算は執行されたんでしょうか。

○千田調整担当部長 昨年度の委託調査に関しましては実施はしておりません。

○曽根委員 この間、たしか二〇二〇年度から、コロナの感染が国際的にも広がったため、IR調査が見送られてきたということはお聞きしたことがあるんですが、昨年度は年度が明けてから間もなく、コロナ感染については、コロナが五類に移行していますが、新たな理由があって、昨年度未執行になったんでしょうか。

○千田調整担当部長 新型コロナウイルス感染症の状況等から実施しておりません。

○曽根委員 コロナウイルスに対する扱いが東京都及び国として大きく異なっており、IR調査が行えないという理由にはなりにくくなったにもかかわらず、やっぱり調査は未執行に終わっていると。もう四年連続ぐらいになるかと思いますが、こうしたことは本当の、東京都がこの調査ができない理由はほかにあると、つまり国際的にも国内的にも、IRについての調査のやる意義が薄れてきているということが本当の理由じゃないかということは指摘させていただきたいと思うんです。
 それで、これまでの調査で明らかになったメリット、デメリットっていうのは、東京都は明らかにしているんでしょうか。

○千田調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声があると認識しております。

○曽根委員 このお答えもまたこの間一貫して変わらないわけです。日本の経済成長や国際競争力を高める、いわば観光拠点として期待されるというこのこと自体がですね、もう大分前の話なんですが、この間調査もやらないで、その内容が変わっているかどうかも確認していないのに、相変わらず同じ内容をお答えになっているということは、この調査の実態もまた中身も全然前進もしていないし、もう、ある意味では、予算が計上されているだけという実態を表しているんじゃないでしょうか。
 カジノで有名なラスベガスでも、またアジア各都市でも、どの調査も明らかにしていますが、施設を建設するタイプのカジノは、軒並み赤字となっているわけですね。カジノ業界というのは、もうオンラインカジノやスポーツ賭博に主力を移しています。観光としてもカジノは時代遅れになってきていると。
 また、現在大阪でIRカジノが事業を進められていますが、その大阪のカジノ計画自身が、IRの客の七割は日本人が占めるというふうに考えています。また、観光庁のですね、昨年、二〇二三年の年次報告書によると、日本の滞在中にしたことの満足度で、これはもう誰しも想像がつくことですが、一番は日本食を食べること、九六%以上。日本の日常生活体験、これやはり九六%以上ですね。日本の歴史・伝統文化体験九六%、日本のポップカルチャーを楽しむ、テーマパークの順で多くて、多くの訪日観光客が日本ならではの食事や文化伝統を楽しんでいることが分かります。インバウンド目的でも、カジノが高い満足度を示す保証は何もありません。
 いうまでもなく、カジノはギャンブルで負けた人が払う多額の金銭で収益を上げるものです。そして、そのことによって、今お答えがあったように、ギャンブル依存症の増加、治安の悪化など様々な問題が懸念されています。まさに人の不幸の上に成り立つ業界であり、カジノの検討はきっぱりと中止すべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○小磯委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、産業労働局長から紹介があります。

○田中産業労働局長 先般の人事異動によりまして当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介させていただきます。
 総務部長の阿部泰之でございます。商工部長の福田哲平でございます。金融部長の原郁でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、令和五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、令和五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び令和五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○阿部総務部長 去る十月十一日の当分科会で要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十九項目でございます。
 一ページをご覧ください。このページから四ページにかけまして、中小企業対策、観光産業の振興、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをご覧ください。商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 八ページをご覧ください。東京都における新規就農者数及び新規女性就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。東京都エコ農産物認証者数の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをご覧ください。市街化区域内農地の貸借面積につきまして、平成三十年以降の推移をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。多摩産材取扱量につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一二ページをご覧ください。都の関連施設における国産材及び多摩産材の過去五年間の活用実績をお示ししてございます。
 一三ページをご覧ください。購入・寄付を通じたクラウドファンディングによるHTT・DX等プロジェクト支援事業の予算額と決算額をお示ししてございます。
 一四ページをご覧ください。アユの推定遡上量につきまして、過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一五ページをご覧ください。アワビ、トコブシ、サザエの漁獲量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一六ページをご覧ください。令和五年度の産業・エネルギー政策費における種別ごとの決算額と出捐金とその割合及び出捐金の内訳と事業期間と残高をお示ししてございます。
 一七ページをご覧ください。中小企業に対する省エネ、再エネに係る支援事業の過去五年間の予算額、決算額の推移をお示ししてございます。
 一八ページをご覧ください。東京ロケーションボックスの過去五年間の実績、予算額、決算額の推移をお示ししてございます。
 一九ページをご覧ください。東京障害者職業能力開発校の過去五年間の応募状況、寮の定員と入居者数、障害種類別の就職率の推移をそれぞれお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 まず、中小企業制度融資について伺います。
 コロナ禍にて中小企業を支えたゼロゼロ融資は、約二十三万件を超える実績と聞いています。昨年度はこの返済が本格化したことに加え、物価高の長期化の影響もあり、中小零細事業者からは、日々の資金繰りに苦労している切実な声がありました。
 都の制度融資では、こうした事業者に対し、当面の運転資金の確保や経営の立て直しのための資金調達など幅広いサポートが必要でしたが、具体的にどのような支援を実施したのか。令和五年度の制度全体の実績と取組内容について伺います。

○原金融部長金融支援担当部長兼務 令和五年度の制度融資全体の実績は約七万九千件、融資金額は約一兆二千百億円となっております。主な内容としましては、まず、円安などの要因により売上げが減少する事業者への融資の限度額を拡大したほか、感染症等の影響で事業の再生が必要な中小企業に対して、複数の金融機関が連携し、経営改善計画に基づく融資を行うメニューを創設しました。
 これらに対応する融資メニューの実績は約一万八千件、約四千七百億円となっております。また、こうしたメニュー以外の実績は約六万一千件、約七千四百億円となっております。
 例えば、小規模事業者向けの運営資金を支援する融資では、前年度比で約四〇%増の約七百億円、融資の借換えメニューが前年度比で約五〇%増の約七百億円となるなど、多くの中小企業にご利用をいただきました。

○伊藤委員 中小企業の経営改善につながる支援や、事業資金の借換えなど、制度融資の重要な役割を確認しました。引き続き金融機関と連携した資金繰り支援を求めます。
 次に、中小企業への支援策について伺います。
 中小企業の経営環境は、原材料費高騰や急速な為替変動の影響等により厳しい状況が続いています。こうした状況を乗り越えるためには、生産性を高め、経営基盤の強化を図るデジタル技術の活用が重要です。
 しかし、中小企業においては、積極的に最先端の技術を取り入れる企業もありますが、デジタル化への関心がない企業も多く、取組が進まない現状があります。こうした中、都は昨年度、中小企業がデジタル化に関心を持てる取組を開始するとともに、生産性を向上させる取組への支援を行っています。
 そこで、中小企業のデジタル化支援における令和五年度の実績について伺います。

○福田商工部長 都は、デジタル技術への関心が低い中小企業に対しまして、広告などを活用し、デジタル化の必要性の周知や、ITの専門家であるナビゲーターによる巡回を行うとともに、社内の事務手続のデジタル化に要する経費の一部を助成いたしました。
 具体的には、約二万七千七百社に対するダイレクトメール等による広報を通じ、中小企業を掘り起こし、ナビゲーターが六百八社に訪問することで、デジタルツールの導入の提案などを行いました。また、この提案に基づき、財務会計等のソフトウエアを導入した事業者など三百七十五社に対して、約二億一千百万円の交付決定を行いました。

○伊藤委員 これらの取組は都内の中小零細事業者にデジタル技術活用を促す重要な取組ですので、着実な支援を求めておきます。
 次に、従業員の賃金引上げへの取組について伺います。
 昨年度は、コロナ禍からの回復が見られた一方で、実質賃金はマイナスの状態が続くなど、企業経営への影響も生じていました。大手企業では賃上げの機運が高まったものの、中小企業の多くは人材確保のための防衛的な賃上げを行わざるを得ない状況にありました。中小企業が賃上げを行うためには、生産性を向上させて、その原資を生み出す必要があり、そのため都は、設備投資が賃上げにつながるよう支援の充実を図りました。
 そこで、令和五年度における支援内容と実績について伺います。

○福田商工部長 都は、中小企業が最新の機械設備を導入し、生産性の向上を図る取組を後押しする設備投資への支援を実施しており、一億円を上限に支援をしております。
 令和五年度には、設備投資により競争力を高め、その成果を賃上げにつなげる場合には、助成率を最大で二分の一から四分の三に引き上げる支援の充実を図りました。
 具体的には、レーザー加工を得意とする事業者が高性能な装置を導入し、作業時間を短縮する事例や、金属加工の事業者が複雑な加工を可能とする機器の導入により、製品の品ぞろえを増やし、販路拡大を図る事例など、従業員の賃上げに結びつける取組を、二十八件採択しました。

○伊藤委員 中小企業の賃上げは喫緊の課題であり、その実現のために設備投資は不可欠ですので、今後も支援の充実を要望します。
 次に、東京たま未来メッセについて伺います。
 都は、多摩地域の産業集積の強みを生かし、広域的な産業交流の中核機能を担うことにより産業振興を図る施設として、東京たま未来メッセを令和四年十月に開館しました。
 さて、この施設のある私の地元八王子には、ものづくり企業が数多く立地していますが、近年では出荷額が減少しています。地域経済の活性化のためには、ものづくり企業の成長への後押しが必要です。そのため、この施設の周知を図りながら、商談機会の提供や、多様な企業との連携による新たな製品やサービスの創出を促進するなど、たま未来メッセの拠点としての役割に期待しています。
 そこで、昨年度のたま未来メッセの実績とその活用事例を伺います。

○福田商工部長 都は、東京たま未来メッセを多摩地域の産業振興を図るための交流拠点として運営しており、様々なイベントの開催場所として活用されてまいりました。
 昨年度は、地元の自治体や経済団体、大学等と連携した交流会などにおきまして、同メッセの利用事例の紹介や、施設のPR等を行ったことで、百七十九回のイベントが開催されました。
 具体的には、都内や近隣県の中小企業同士や大企業との商談会のほか、技術連携や共同開発のきっかけづくりを目指すマッチング会など、地域産業の促進につながる取組が行われました。
 これらによりまして、地元企業との交流による取引拡大や、大手医療機器メーカーからの新たな開発案件の受注などにつながっております。

○伊藤委員 東京たま未来メッセには地元八王子を含め多摩地域の多くの企業が期待をしています。今後さらなる利用の促進により、地域経済の活性化に寄与することを期待しています。
 今年六月、水素等の供給、利用を早期に促進するための水素社会推進法が成立しました。
 これに基づき、国は、二〇三〇年までの運輸部門の方向性として、走行距離が長く、水素の特性が生かせるバスやトラックの導入に積極的な自治体を重点地域と定め、支援の充実を図ることで、早期の水素モビリティー社会の実現を目指すとしています。
 これまでも都は、運輸部門の脱炭素化と水素利用の拡大に向けて、燃料電池バスやトラックなどの実装化を促進してきましたが、令和五年度の取組内容について伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 都は、水素エネルギーの普及に向け、様々なモビリティーで、その利用を図るための支援を行ってまいりました。
 令和五年度は、国や関係事業者が一堂に会し、燃料電池商用車の普及拡大等に向けた検討を行うワーキンググループを設置したほか、小型トラックの導入支援を開始し、七十九台の導入につなげました。
 また、燃料電池バスの導入を支援し、令和五年度は十九台が導入され、累計導入件数は百二十一台となりました。さらに、大学や関係市と連携の下、ディーゼルトラックを改造した燃料電池ごみ収集車の試験的運用を実施し、検証を踏まえ、希望自治体にメーカーが新たに製造した車両を無償で貸し出す取組を開始いたしました。

○伊藤委員 都が運輸部門、特に燃料電池商用車に対して支援、導入拡大をしてきたことを確認しました。今後とも、国の動きも踏まえ、さらなる水素エネルギーの普及拡大への取組の加速を求めます。
 次に、ガソリンスタンドの脱炭素化に向けた取組について伺います。
 都内では自動車保有台数やガソリン需要の減少など、長期的にも業界を取り巻く環境は厳しい状況です。さらに、昨今のエネルギー価格の高騰は、ガソリンスタンドの経営にも深刻な影響を及ぼしています。ガソリンスタンドは、災害時には燃料供給の最後の拠点となるなど、地域の生活を支える不可欠なインフラです。今後も地域のエネルギー供給拠点としての役割を果たすためには、脱炭素化への取組を着実に進め、エネルギーコスト高に強い経営への転換が重要です。
 都はガソリンスタンドのコスト削減につながる省エネ設備の導入を支援していますが、令和五年度の実績について伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 都は、ガソリンスタンドを環境配慮型のエネルギーステーションに転換していくため、省エネや経営の専門家を現地に派遣し、その助言に基づき、省エネ設備を導入する取組を後押ししております。
 令和五年度におきましては、専門家を三十か所に派遣するとともに、省エネ設備の導入に対しては、前年度に専門家派遣を実施したスタンドも含め四十五件、約一・二億円の交付決定を行い、照明設備のLED化や省エネ型洗車機の導入、空調設備の高効率化などの取組を支援しております。
 これらによりまして、ガソリンスタンドの脱炭素化に向けた取組を促進してまいりました。

○伊藤委員 ガソリンスタンドの省エネ対策の支援について確認しました。
 今年度から、新たにスタンド事業者の経営改善や事業の多角化を促す支援を始めましたが、今後も、地域生活を支えるエネルギー供給拠点の役割を果たせるよう支援を求めます。
 次に、都市農業について伺います。
 東京の農地は都民の貴重な財産ですが、年々減少しています。特に都内の農地の半数以上が市街化区域内に存在しており、この地域の農地を守ることが重要です。このため、我が会派は、これまで農地の所有者と耕作地を広げたい農業者等との貸借促進の必要性を繰り返し主張してきました。こうした主張を受け、都は令和五年度、市街地にある農地の貸借を進める取組を強化しましたが、その取組状況について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、令和五年度、生産緑地の貸借を増やすため、土地所有者と借手とをつなぐ支援を強化いたしました。
 具体的には、生産緑地のマッチングを広域で行う窓口を設置し相談等に対応することで、初年度は七件、約一ヘクタールの契約が成立いたしました。
 また、生産緑地を新たに十年以上の期間で賃貸する場合、貸主に対し、奨励金を支給する制度も開始してございます。これにより、令和五年度は三件で約〇・六ヘクタールの生産緑地の貸借が行われました。

○伊藤委員 東京の生産緑地は既に三千ヘクタールを切っていると聞いています。貴重な農地の減少に歯止めとなるよう思い切った取組を進めることを求めます。
 次に、多摩産材について伺います。
 東京の森林循環の促進のためには、森林や木材について、建築関係者や都民に知ってもらい、多摩産材の利用につなげることが重要です。都は、展示商談会の開催や、助成金制度等を通じ、利用拡大を図っていますが、一般都民や工務店等に対し、多摩産材製品の情報発信も必要です。
 昨年、多摩産材の魅力や製品等を幅広く紹介する施設をオープンしましたが、令和五年度の取組内容と実績について伺います。

○榎園農林水産部長 都は、昨年九月、多摩産材の情報を発信するTOKYO MOKUNAVIを新宿に設置し、初年度の来場者数は約四千六百人でございました。
 ここでは、林業現場の映像などを上映するほか、イベントを実施しており、親子向けの木工教室や「とうきょうの木」に関するトークショーも開催いたしました。また、工務店等が活用できる建材や家具などの製品を展示するほか、相談窓口も設け、取扱業者の紹介など、約七百件に対応いたしました。

○伊藤委員 引き続き都民や建築関連事業者に対し、多摩産材の普及や販路拡大に向けた効果的な取組を一層進めることを求めます。
 次に、シニア世代の就業支援について伺います。
 中小企業を中心に人材確保が課題となる中で、豊かな経験を持つシニアの方がセカンドキャリアで新しい職場に円滑に適応し、即戦力として活躍できるようにすることは重要です。
 東京労働局発表の六十五歳以上の月間有効求職者数も年々増加が続いています。令和四年度は約二十八万人、この五年間で十万人増と就労を希望するシニアが増えています。
 今後の生産年齢人口の減少を見据え、意欲あるシニアの方が即戦力として働くような支援の充実が重要です。こうした観点から、都の昨年度におけるシニアの就業支援の取組内容と実績について伺います。

○内田雇用就業部長 都は、意欲あるシニアの方が新たな仕事にチャレンジできるよう支援するとともに、受け入れる企業の理解の促進を図りました。
 令和五年度は早期の再就職を目指すシニアに向け、中小企業で活躍するためのノウハウを五日間で集中的に学べる新たな講座を年六回開催し、百十八名が修了いたしました。
 企業に向けましては、高齢者雇用のメリット等を紹介するセミナーを開催し、延べ百九十八名が参加いたしました。また、専門家が百五十三社に訪問し、企業の実情に応じた助言を行いました。このほか職場への定着を実現している中小企業等九社の実践事例をまとめ、シニア人材の活躍に向けた普及啓発を図りました。

○伊藤委員 中小企業の持続的な成長を促し、活力ある東京を将来にわたり実現するためにも、シニアの活躍へのさらなる後押しを求めます。
 次に、日本各地域と連携した観光振興について伺います。
 この夏には、パリでオリ・パラが開催されましたが、三年前の東京二〇二〇大会は、コロナ禍とはいえ、東京を世界にアピールする絶好の機会となりました。こうした世界中が注目するイベントを契機に観光客を誘致する取組は効果的ですが、継続した取組と併せて、日本全体にその効果を普及させることが大切です。
 そこで、東京二〇二〇大会のレガシーも活用しながら、都は昨年度、各地域と連携した観光振興をどのように進めてきたのか、その成果と合わせて伺います。

○江村観光部長 都は昨年度、東京二〇二〇大会が開催された埼玉県、千葉県、神奈川県及び山梨県と連携し、大会のレガシーをテーマとした海外向けの観光PRを開始いたしました。
 具体的には、一都四県の競技会場や観光スポットを訪れるとともに、地域ならではの食や着物などの文化を体験できる五つの観光ルートを作成いたしました。
 また、メディアやインフルエンサーなど十二名が観光ルートを巡るモニターツアーを開催し、取材記事やSNSを通じた情報発信につなげました。さらに、各地の観光スポットの紹介動画を作成し、空港や電車内などで放映するほか、ウェブで配信して、百万回以上の閲覧がございました。これらによりまして、各地と連携した観光振興を進めてまいりました。

○伊藤委員 東京二〇二〇大会のレガシーを活用し、近隣自治体との連携が強化されたことは意義深いと思います。
 日本の将来の成長のためには、東京と日本各地が手を携えて発展する視点が重要です。観光分野はこうした連携した取組が大きな相乗効果をもたらすため、今後も着実に取組を進めることを求め、質問を終わります。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○遠藤委員 それでは、中小企業制度融資について、中小企業への金融支援について伺ってまいります。
 国際的な情勢不安や円安などによる物価高騰は、多くの中小企業の事業活動に多大な影響を及ぼしております。
 都は昨年度、ゼロゼロ融資の返済や原油価格の上昇などで日々の資金の確保に苦慮する事業者に緊急融資による支援を行うなど、中小企業の経営を下支えしてきました。
 一方で、昨年五月の新型コロナ五類移行を契機として、創業への積極的なチャレンジや女性活躍の推進など、東京が持続的な成長につなげていくための取組を積極的に後押しすることも求められております。
 都の融資制度では、こうした様々な課題に直面する中小企業に対しまして、昨年度はどのような取組を行ってきたのか伺います。

○原金融部長金融支援担当部長兼務 令和五年度の緊急融資の実績は約一万七千件、融資金額は約四千六百億円となっております。
 具体的には、原油やエネルギー価格の高騰などの影響により売上げが減少する中小企業に対し、信用保証料を最大五分の四補助するほか、融資限度額を一億円から二億八千万円へ拡充するなど、資金繰りを支援してまいりました。
 また、コロナ後を見据え、創業希望者を資金面から後押しできるよう、創業融資の融資利率を引き下げたほか、働き方改革支援融資の対象要件を拡大し、女性活躍の推進等に取り組む場合には、信用保証料の三分の二を補助するなどの負担軽減を図りました。
 これらに対応するメニューの融資実績は約四千五百件、約六百億円となっております。
 こうした取組により、中小企業の様々な資金ニーズに的確に対応してまいりました。

○遠藤委員 ほかの委員の方もそうですけれども、地域を歩いていますと、このやっぱりゼロゼロ融資の借換えの問題とか、非常に大きな声を聞きます。多くの方が今回は緊急融資メニューを利用されたということが分かってよかったです。
 また、こうした資金ニーズに対する保証の承諾率が九割を超えているとも聞いております。資金繰りに苦しむ事業者さんの承諾率は九割超えていますので、非常にここをしっかり支えていただいているということが確認できました。
 一方で、都が実施したアンケート調査によりますと、コロナ関連の融資を利用された事業者、借換えなどを行いながら、いまだ返済中の方が九割ということでございます。資金面からの継続的なサポートが必要です。
 さらに、前向きな事業展開に取り組む中小企業の成長や活力の向上につながる金融支援も大変重要な取組です。引き続き、制度融資の充実を希望して、次の質問に移ります。
 続いて、人材交流支援事業についてです。
 都は昨年度から、大企業と中小企業やスタートアップの間で人材交流を促す取組を行っています。中小企業、スタートアップの成長には、大企業の持つリソースを活用することが大変に重要であり、その人材を生かそうとするこの取組に期待をしております。
 都内経済を支える中小企業や、新しいビジネスを生み出すスタートアップの成長には、優れたスキルや経験を持つ人材が必要ですが、その確保が課題となっているというふうになることが多いとも聞いております。
 一方、大企業では、将来有望な社員をスタートアップ、また中小企業等へ出向させて、厳しい環境の中で会社経営全体を俯瞰する力ですとか、また新規の事業を立ち上げ、推進していくという力、こういったものを育成していきたいというニーズが増えているという話があります。
 こういった大企業のニーズを生かし、中小企業やスタートアップの成長につなげていくことは大変に意義のある取組だと思います。
 そこで、令和五年度に本事業ではどのような取組を行ったのか伺ってまいります。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都では、大企業の社員が中小企業やスタートアップへ一年間出向し、新規事業の企画立案や新商品等の営業などに従事する事業を昨年度から開始しており、昨年十一月以降、大企業六社の八名が八社のスタートアップ等へ出向することとなりました。
 具体的には、航空会社で売上げの管理を行っていた社員が医療関係のスタートアップへ出向し、新サービスの立ち上げを担うなどの例がございます。
 出向期間中は、専門家による面談や研修等を定期的に行い、出向者が異なる環境においても十分に能力が発揮できるようフォローアップも実施してございます。
 こうした取組を通じ、大企業人材の一層の成長を促すとともに、中小企業やスタートアップの事業の発展につなげてございます。

○遠藤委員 昨年十一月の出向開始から間もなく一年がたち、出向者が所属先の大企業に戻る時期になってくると思います。本事業の成果を広く発信することで、大企業と中小企業やスタートアップ、この間の人材交流を一層促進し、都内産業の活性化につなげていただきたいと思います。
 続きまして、海外企業誘致事業。
 都が昨年度から進めております都内の金融機関と連携して海外の企業を東京に誘致する取組について伺います。
 世界の優れた企業が東京に集積し、事業活動を行っていくことは、東京のプレゼンスが向上するとともに、雇用の創出や都内企業の取引の機会の拡大にもつながっていくことから、東京の産業の活性化も期待できるわけです。
 一方、東京に進出するに当たりましては、まず法人設立をはじめとする様々な届出、また営業拠点の開設に係る手続が必要になるなど、日本の制度に不慣れな海外企業には負担が大きく、また進出後の取引先の開拓や人材の確保に不安を感じることも多く、着実に誘致につなげていくためには、都が金融機関と共に積極的な支援を行っていくことは大変に重要であります。
 都は昨年度、金融機関と連携して、どのような支援を行い、海外企業の誘致につなげたのか、取組状況を伺います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は、都内産業の活性化に向け、昨年度、外国との取引に関わる知見等を有する金融機関三社と連携しまして、海外企業を誘致する事業を開始し、東京に進出し、都内中小企業等との取引に関心を持つ十八社を選定して取組を進めました。
 具体的には、支援の開始から三年以内に都内に進出することを要件とし、それまでの間、法人登記やオフィスの借り上げなどに要する経費の三分の二を、一億円を上限に助成をしてございます。
 また、金融機関と連携し、東京に拠点を置く際のサポートや、新たな取引先の確保に関わる情報提供等も行ってございます。
 こうした取組により、乳製品に替わる植物性の材料を用いたアイスクリームを製造する企業と、生成AIを活用しテキストや画像を作成するアプリの提供を行う企業の二社が、昨年度中に都内に日本法人を設立いたしました。

○遠藤委員 昨年度に早速二社が都内に法人を設立したと。また、令和六年も進んでいるやに聞いておりますので、こういった誘致の取組が進んでいること、確認できました。残りの企業も速やかに進出できるよう、引き続きサポートしていただきたいと思います。
 また、誘致しておしまいではありませんので、そういった誘致した企業と都内企業との間に新たな取引が生まれるようマッチング支援の充実も図り、双方の企業が発展することで東京の経済の成長につなげていただきたいと思います。
 続きまして、水素パイプライン構想のその後の進捗について伺います。
 令和四年、小池都知事は、エジプトで開催されたCOP27に出席され、再生可能エネルギーにより製造するグリーン水素を海外から大量に受け入れることを見据えた水素パイプライン構想を表明されました。
 都は、パイプラインを含めた水素供給ネットワークの構築に向けまして、水素の活用に意欲的な企業等を集めた東京グリーン水素ラウンドテーブルを開催していますが、令和五年度のパイプラインを含めた水素供給ネットワークの構築に向けた自治体や民間企業等との連携の実績について伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 脱炭素社会の実現に役立つ水素の利活用を図るため、その供給ネットワークの構築に関し、関係する自治体や民間企業と連携を進めてまいりました。
 川崎臨海部での将来の水素受入れを想定し、令和五年度は空港臨海エリアにおけるパイプラインを含めた水素供給ネットワーク構築に向けて、川崎市や大田区と三者で協定を締結しました。
 また、先進的な取組を行う企業や団体と意見交換等を実施する東京グリーン水素ラウンドテーブルを二回開催し、延べ十四社とパイプラインを活用した供給体制の事例や課題、利用拡大の方向性等について意見交換を行い、水素の普及拡大に向けた施策の検討に活用いたしました。

○遠藤委員 水素パイプライン構想の実現に向けては、関係自治体や民間企業等と連携することが重要であります。引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次いで、お隣、山梨県との連携したグリーン水素の製造、利活用についてです。
 再生可能エネルギーの活用や脱炭素社会の実現が叫ばれて久しい状況ですが、二〇三〇年のカーボンハーフに向けては、太陽光発電をはじめとした再エネ技術やZEBなど、既存の技術を徹底的に活用すべきであります。その中で重要になるのが水素であると思います。特に東京はエネルギーの大消費地でありまして、グリーン水素の活用の余地は大きいものと考えます。
 都は、グリーン水素の活用促進に関する基本合意書を山梨県と締結し、普及拡大に取り組んでおられますが、令和五年度の山梨県との基本合意に基づく取組の実績や成果について伺います。

○服部新エネルギー推進担当部長 都は、グリーン水素の利活用を進めるため、都内における利用促進や、製造から利用における技術開発、広報、普及啓発に関して、山梨県と合意書を締結し、連携して取り組んでおります。
 令和五年度は東京ビッグサイトに燃料電池を設置し、年間〇・六トンの山梨県産グリーン水素の提供を受けて、一万一千キロワットアワーの発電を行うとともに、来館者に向けてデジタルサイネージとパネルを設置し、グリーン水素の製造から利用までの過程を分かりやすくPRいたしました。
 また、都内でグリーン水素を生産する取組を進めるに当たり、山梨県の持つ最先端の技術を生かし、土地が狭小等の東京の地域特性を想定したコンパクトなグリーン水素のプラントの共同開発を行い、都有地での整備に向けた設計を実施いたしました。

○遠藤委員 山梨県との連携を効果的に活用することが分かりました。引き続きゼロエミッション東京の実現を図っていただくよう要望しまして、次の質問に移ります。
 次は、中小企業におけるカーボンクレジット取引の創出についての取組について伺います。
 来月、アゼルバイジャンで開催されますCOP29ですが、カーボンクレジット制度についても議論されると聞いております。
 国内外には、CO2の排出量などを金融市場により取引する仕組みがあり、ゼロエミッションの加速に向けまして、排出削減の努力と金融システムを組み合わせる工夫は重要です。
 一方で、都内の中小企業がカーボンクレジットを創出することや、カーボンクレジットを購入して、これを活用することについては、クレジットの専門的な知識が必要で、追加的な費用も発生することから、都による積極的な支援が欠かせません。
 そこで、都は昨年度、中小企業によるカーボンクレジットの創出や活用に向けてどのような支援を行ったのか伺います。

○山本産業政策連携促進担当部長企画調整担当部長兼務 都は昨年度、中小企業等が自らCO2の排出量を減らし、カーボンクレジットを創出する取組と、自社での排出削減に加え市場からクレジットを購入し活用することで、より意欲的な削減を目指す取組への支援を開始いたしました。
 支援の対象として、製造業の五社を採択し、三年間の取組計画の策定をサポートしてございます。
 このうち、J−クレジットの創出を目指す企業一社に対して、クレジットの登録に関する仕組みなどをアドバイスするほか、CO2削減につながる太陽光発電設備の導入への支援を実施してございます。
 また、CO2を自ら一定割合減らした上で、クレジットも購入して、より多くの削減を目指す企業二社に対しては、クレジットとの合算による削減目標の達成に向け、省エネ効果の高い空調設備や生産設備の更新を支援してございます。
 これらにより、中小企業でのカーボンクレジットを利活用したCO2削減の取組を後押ししてございます。

○遠藤委員 従来、これまでの取組を着実に進めて、東京が環境先進都市として世界に存在感を発揮していただきたいと思います。
 続きまして、テレワークについて伺いたいと思います。
 コロナ禍で急速に普及したテレワークですが、昨年五月のいわゆるコロナ五類への移行に伴いまして、一部で出社回帰の動きが見られています。
 昨年度の都におけるテレワーク導入状況は六〇・一%となりまして、令和四年度の六二・九%と比べて減少しました。海外におきましても、最近はアメリカの大手IT企業等で週五日出勤に戻す動き、こういったものも出ております。
 しかし、本来テレワークは、感染拡大の防止のみならず、育児や介護との両立を図る上で必要不可欠な手段となっており、今後もテレワークの導入を進めるだけではなく、テレワークを必要とする人が確実に利用できるように定着を図っていかなければいけないのではないでしょうか。
 そこで、東京都は、テレワーク定着支援に向けて昨年度どのような取組を実施してきたのか伺います。

○内田雇用就業部長 都は昨年度、各企業が抱えるテレワーク定着の課題を解決するため、テレワークの課題診断、専門家の助言を三百三十七社に行い、最大百万円のツール導入支援につなげました。
 また、企業同士での情報共有や意見交換を通じて、テレワークを活用した働き方を継続していけるよう、テレワーク推進リーダーが参加するオンライン座談会も新たに三回実施いたしました。
 さらに、テレワークを進める上での課題解決に取り組んだ企業十社の実践事例をまとめたデジタルブックも新たに発行し、定着に向けた普及啓発を図りました。

○遠藤委員 都が様々な角度からテレワークの定着に向けた支援を行っていることが分かりました。
 なお、本年七月中に一回以上テレワークを行った本庁勤務の都の職員は四六・一%とのことでありました。これが多いのか少ないのかですけれども、まずは我々都議会議員も都職員の皆さんとの意見交換とか答弁調整、こういったものをオンラインで行うなど、隗より始めよという精神で臨みたいと思います。
 都の職員もより積極的にテレワークを行い、民間企業の模範となるよう求め、最後の質問に移ります。
 最後はプロジェクションマッピングですね。
 世界の激しい都市間競争の中、ロンドン、パリ、ニューヨークなど海外諸都市では、夜の時間に華やかな催しを展開し、外国人旅行者の誘致や観光消費の増加を図り、大きな経済効果を生み出しています。
 我が会派では、東京のさらなる経済成長という観点から、ナイトタイムの価値向上、ナイトタイムエコノミーの推進を求めてまいりました。
 これを踏まえて都は、ナイトタイム観光の充実に向けて様々な施策を進めておりますが、その中でも意欲的なチャレンジが本年二月に始まった都庁舎のプロジェクションマッピングであります。
 既に都の観光資源として定着しつつある本事業につきまして、令和五年度の取組の成果について伺います。

○江村観光部長 都は、東京の夜間の観光振興を図るため、代表的なランドマークである都庁舎を投影場所とするプロジェクションマッピングを今年の二月二十五日より開始いたしました。
 オープニングイベントには約八千人の方から参加の申込みがあり、令和五年度は約六万四千人の方が鑑賞に訪れました。
 都庁舎への投影面積は約一万四千平方メートルであり、その大きさは建築物への常設のプロジェクションマッピングとしてギネス世界記録に認定されました。これにより話題性を高め、テレビや新聞など海外を含め、千を超えるメディアで取り上げられました。
 都庁舎でのプロジェクションマッピングの投影開始に合わせて、観光事業者がプロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品を販売する取組も出るなど、経済面での効果も見られたところでございます。

○遠藤委員 こういった取組を踏まえまして、従来、西新宿は東口と比べて、休日や夜間に訪れる人がまばらでありました。こういったところが徐々に変化しつつある、国内外から人を呼び込む観光資源を生み出したということは大きな意義があり、現に多くの外国人旅行者が観覧に訪れております。
 引き続き、海外に認知度の高い映画やアニメを活用した作品を増やすなど、継続して誘客を図る工夫を講じてもらいたいと思います。
 今年度は、週末に都民広場でキッチンカーが出店して、多くの観光客が飲食とともにプロジェクションマッピングを楽しんでおられました。このように本取組が持つ高い集客力と話題性を生かして、経済的な効果を高めていくことが重要であり、例えば今後、都庁舎に企業広告を投影するなど、民間のニーズに対応した取組も検討していただくことを要望しまして、質問を終わります。

○かまた委員 それでは、初めに中小企業への資金繰り支援についてお伺いをいたします。
 都議会公明党は、会社の思い切った事業展開やスムーズな事業承継等が進むよう、中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者の個人保証に頼ることがないよう、融資慣行の改善などを求めてきました。
 都では、経営者保証ガイドラインに基づく取組などに加えまして、さきの第一回定例会の我が党の質問に対し、利用者が信用保証料を上乗せすることで経営者保証を取らない仕組みを国の制度改正に合わせて開始する旨を明らかにしました。
 そこで、都の制度融資において、経営者保証を必要としない融資がどの程度進んできたのか、令和五年度の取組状況についてお伺いをいたします。

○原金融部長金融支援担当部長兼務 都ではこれまで、経営者保証に関するガイドラインの周知を図るとともに、創業や事業承継の際にその保証を不要とする融資メニューを設け、信用保証料の一部を補助するなど、負担の軽減を図ってまいりました。
 令和五年度は金融機関と連携し、こうした取組の利用促進を図るとともに、本年三月からは、中小企業の財務状況などが一定の条件を満たす場合には、保証料率を上乗せすることにより、経営者の保証を取らないことを選択できる仕組みを開始しました。
 これらにより、令和五年度に会社の代表者を保証人としない融資の実績は約四千四百件であり、前年度と比較して約一・八倍に増加するなど、保証人となるリスクを減らし、資金調達をしやすい環境整備を着実に進めました。

○かまた委員 ぜひ引き続き制度の積極的なPRを行っていただきますよう要望しまして、次の質問に移ります。
 原油価格の高騰によるエネルギー価格の大幅な値上げは長期間に及んでおり、中小企業の経営に大きな影響を与えています。
 そのような中、都の原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業は、中小企業のさらなる省エネルギー化を後押しする効果的な施策であります。
 そこで、令和五年度における実績と支援の具体的な事例や利用者からどのような声が上がったのかについてお伺いをいたします。

○福田商工部長 都は、原油価格の高騰などの長期化により、厳しい経営環境にある中小企業に対し、経営の専門家を派遣し、エネルギーコストの削減に向けたアドバイスを行うとともに、それに基づく対応に必要な経費を支援いたしました。
 昨年度は八十五社に専門家を派遣し、六十三社に対して約四億円の交付決定を行いました。
 具体的な事例としては、クリーニング事業者が省エネ性能の高いボイラーを導入し、灯油の使用量を減らす取組や、小売事業者が高効率の冷蔵ショーケースに更新することで、電力の使用に係るコストを削減する取組などがございました。
 また、本事業を利用いただいた事業者からは、省エネ機器の導入により電気料金の削減を実感できたので、今後、他の設備も省エネ機器に更新したいといった声や、高効率の設備を導入したことで、作業時間の短縮にもつながったといった声がありました。

○かまた委員 ぜひ今後とも時期を逸することなく、中小企業のニーズに沿った支援に取組を要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、ゼロエミッションの実現に向けた中小企業の取組への支援について質問をいたします。
 近年、中小企業においても、電気自動車のバッテリーを再利用した蓄電設備の構築や、窓ガラスを活用した太陽光発電システムの開発等、環境問題の解決に向けて技術開発に取り組む動きが見られます。
 今後、都内の中小企業が発展するためには、こうした分野に進出することが有効な方法の一つですが、優れた技術を有しているものの、資金力や人材、ノウハウ等が十分でないという課題もあります。
 そこで、都は昨年度、中小企業が資金力等を有する大企業等と連携して、ゼロエミッションの実現に向けた大規模プロジェクトを行う取組を支援する新たな事業を開始していますが、この事業の内容と採択実績についてお伺いをいたします。

○福田商工部長 都では、新しい発想や優れた技術力を持つ中小企業が大企業等と連携して、オープンイノベーションにより、ゼロエミッションの実現に資する革新的な技術や製品の開発に取り組む場合に、その事業化を支援しております。
 昨年度は、中小企業が資金や人材、販路などを持つ大企業からのサポートを受けて実施する熱エネルギーを効率的に取り出し、発電や水素製造を行うシステムの開発や、ゼロエミッショントラックの普及に向け、GPSを活用した走行データをビッグデータとして分析、活用するシステムの開発の合計二件の大規模プロジェクトを採択いたしました。

○かまた委員 ぜひ今後も、ゼロエミッション実現をしようとする中小企業を力強く支援していただけることを期待しております。よろしくお願いいたします。
 続きまして、女性の就業支援についてお伺いをいたします。
 我が党は、令和五年予算特別委員会において、家庭の事情などを抱える女性が自宅等でも就職の準備に取り組めるよう都に求め、都は昨年度、オンラインを活用した就業支援、女性しごと応援ナビを開始しました。
 女性が活躍する社会を実現するためにも、就業への一歩が踏み出せない女性を支援する女性しごと応援ナビに大いに期待するところでありますが、昨年度の取組内容と実績をお伺いいたします。

○新田事業推進担当部長 都は昨年度、育児や介護などにより仕事を離れた女性が、限られた時間を活用し、効果的に就職活動を行えるよう後押しする女性しごと応援ナビを開始いたしました。
 具体的には、令和五年五月に特設サイトを開設し、再就職を目指す女性に対して専門家がオンラインで就業相談を行い、その件数は千三百三十件でありました。
 また、この特設サイトでは、職場で活躍する女性社員や企業のモデル事例を紹介いたしております。
 さらに、令和六年一月には、女性の就業を後押しするセミナーなどで構成する三日間のオンラインイベントを開催し、延べ八千四百八十三人が参加いたしました。

○かまた委員 今後は、多くの方に女性しごと応援ナビのさらなる周知や、仕事や働き方の幅広い選択肢を提示できるようにするなど、支援の拡充等に努めていただきたいと思います。
 最後に、社員の満足度向上による若手人材確保、定着についてお伺いをいたします。
 中小企業の人材不足は大きな課題であり、とりわけ将来を担う若手人材の獲得は極めて困難になっております。
 一方、若者世代にとって家賃負担は大きく、職場を選ぶ際には、住宅補助等の福利厚生も重視する傾向があるとも伺っております。
 そのため、若手社員向けの住まいの確保など、社員の満足度、いわゆるESの向上を図りながら、中小企業の人材確保を進めることの必要性を我が党は訴えてまいりました。
 都は昨年度、ES向上による若手人材確保・定着事業を開始しました。そこで、その取組状況と実績についてお伺いをいたします。

○新田事業推進担当部長 都では、若手の社員が少なく、その採用を効果的に進める必要のある中小企業に対し専門家を派遣し、福利厚生の充実に向けた計画の作成を支援するとともに、会社が住宅を借り上げる場合等の経費に助成する事業を実施しました。
 具体的には、会社が若手社員のための住宅の借上げ、従業員への栄養バランスのよい食事の提供や、健康の維持や向上に結びつく器具の設置など、満足度向上のための取組に対する計画の作成を専門家が支援いたしました。
 令和五年度は二十七社に専門家を派遣して計画作成を支援し、二十一社が具体的な取組を開始いたしました。

○かまた委員 企業が若い人の働きがいや満足度を高める取組への支援は重要でありますので、専門家による計画作成支援を円滑に進めるとともに、都の課題の一つでもあります他地域より高額となる家賃問題、緩和対策もぜひ検討していただきたいと思います。そのことを要望しまして、私の質問を終わります。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いいたします。
 私からは、肢体不自由児特別支援学校の保護者からも毎年要望が出ている障害者職業能力開発校について伺っていきます。
 この問題はいろんな方が取り上げて、私どもの方では、あぜ上都議も取り上げてきた課題ですが、改めて伺っていきたいと思います。
 まず、訓練校に介助の必要な人が入れるかどうかという問題です。
 障害者職業能力開発校に肢体不自由の障害者は何人入学しているか。重度障害者と軽度障害を持っている方と、それぞれ五年間の実績を伺います。

○内田雇用就業部長 令和元年度から五年度までの五年間におきまして肢体不自由者の入校実績は、障害等級の重い一級及び二級の方は三十四名でございました。また、障害等級が三級から六級の方は三十九名でございました。

○とや委員 重度の方が三十四名、三級、六級が三十九名というふうにお答えいただきました。
 では、その中で介助が必要な方の、肢体不自由な方の入学はありましたか。

○内田雇用就業部長 繰り返しになりますけれども、障害等級の重い一級及び二級の方が三十四名、また、障害等級が三級から六級の方が三十九名でございました。
 介助につきましては、その必要性に応じまして、相談をしながら対応を決めているということでございます。

○とや委員 相談をしながら対応を決めていると今いいましたよね。
 障害者の権利に関する条約では、障害者が差別なく、ほかの者と平等に職業訓練の機会を与えられることが保障されています。また、障害者が職業訓練を受けるために、合理的配慮が提供されることも確保されています。国も訓練校では、合理的配慮をした上で重度の人でも受入れを推進するといっていますよね。
 ですから、ちょっと確認ですけれども、障害の軽重にかかわらず職業訓練を受けることは権利ですよね、確認させてください。

○内田雇用就業部長 障害者の方の介助の支援につきましては、施設の状況、訓練の内容などを考慮する必要がございまして、事前に相談をしていただくこととしてございます。

○とや委員 事前に相談があればいいということですよね。今、否定しませんでしたよね。だったら、ホームページの入校要件の校内生活において日常的に介護、介助や身の回りの世話を必要としない方という項目は削除すべきではないですか、お答えください。

○内田雇用就業部長 身体障害者の職業訓練中の介助の支援につきましては、施設の状況や訓練の内容などを考慮する必要がございます。その場合には、応募の際に事前に相談をしていただくこととしてございます。

○とや委員 保護者の皆さんからお話も聞きました。認められて入校した例を肢体不自由特別支援学校の卒業生から聞いたことがない。事例があるのであれば、肢体不自由特別支援学校からの卒業の進路として入校を勧められると思いますけれど、学校の教員さえもそういった事例は把握していない、勧められることはないと、それが現状です。なぜなら、ホームページに書いてあるから。
 公表されている応募資格を見ても、事実上の門前払いをされていると捉えられて、入校を試みる生徒はいないという声があります。実際そうだと思います。実際、介助が必要な生徒さんは入れないです。
 だけど、今、相談をしてくれといいましたよね。ですから、相談によっては入れるというのであれば、最初から門前払いをするような、あのホームページの条項は外してください。これは強く要望しておきます。
 それから、入校を仮にできたとしても、障害の程度によってはかなりハードルが高いとの声が寄せられております。これもお聞きになっていると思います。この開発校において、肢体不自由者が履修しやすいカリキュラムは考えていますか。

○内田雇用就業部長 都は、令和五年度、障害者の方々の受講ニーズに柔軟に対応するため、民間の教育訓練機関や企業等の現場を活用した委託訓練を実施しております。
 委託訓練では、都内在住、かつ訓練施設への通所が困難な障害をお持ちの方を対象に在宅で受講可能なeラーニング訓練を実施し、移動が困難な肢体不自由の障害の方が在宅で受講できるよう取り組んでございます。

○とや委員 今、私がいったのは、開発校において、肢体不自由の方々が履修しやすいカリキュラムは考えられているんですかと聞きました。なので、そのeラーニングとか在宅というのはまた別な話ですよね。
 保護者からの話を聞いているはずなんですけれども、高度な技術習得が目的のカリキュラムしかなくて、複雑な指示が苦手だったり、何もできないわけでない子もいるのに、結局、現実的には、その子に合ったプログラムが提供されていないんですよ。
 動画編集もできたり、ゲームを作成することができる子もいる。しかし、体力上、なかなか同じ体勢で長時間座っていることができないとか、そういった多様な方々がいるわけで、そういった人たちに対して、きちんとその人たちに合ったカリキュラムを組んでほしいというふうにいっているんですよ。
 保護者の皆さん、結局、都は障害者に隔てなく就労を進めるべきと常日頃いっていらっしゃると。だけど、そういうふうにいうのであれば、ICTの支援機器を用いた軽作業のコースとか、コミュニケーションスキルやビジネスマナーを学べるコースとか、切れ目のない学びを、どんなに障害が重たくても、介助が必要でも、学びを続けられるような、学校で学んだことを続けられるようなコースをつくってほしいと、そういうふうにおっしゃっています。今短時間就労も普及しているんだから、ぜひお願いしたいと思いますね。
 この問題は二〇二〇年の予算特別委員会でも質疑がされていて、他会派の方に対して小池知事がこういっているんですよ。障害者校におきましては、企業の人材ニーズや障害者の多様な訓練ニーズに的確に対応いたしまして、新たな訓練科目の設置やカリキュラムの改善を行うなど、訓練の内容を不断に見直してまいります、このようにおっしゃっているんです。
 その後、四年以上たっているんですよ。でも、今もまだ同じような声が肢体不自由校のお母さんたちから出ているんです。
 ぜひ、皆さんの声を聞いた上でカリキュラムを設定してください。強く要望をしておきます。
 お母さんたちからは、企業に対する東京都の評価もどうなんだろうかという声があります。例えば、障害者雇用エクセレントカンパニー賞、ありますよね。一般労働者と同じ条件で働く障害者を数多く雇用している企業ばかり評価しているのではないかと、そういった声もあります。バリアフリーに環境を整えたり、介助者を雇ったり、短時間勤務や在宅勤務などを雇用している企業もあるではないかと。企業にとって雇用しやすい障害者でなく、障害者の権利を守り、尊重することを優先してほしいと。そういう企業も評価すれば、カリキュラムも変わってくると思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
 障害者基本法では、障害者は差別なく教育を受ける権利や、望む地域や教育機関で障害のない者と一緒に学ぶ権利、本人の必要に応じた教育の形態を選択する権利が保障されています。先ほどいった条約でも、同じようなことがいえるわけですよね。
 障害者が職業訓練を受けるために合理的配慮が提供されることも確保されているのが条約の精神なんです。だけど、今の東京都の訓練校は、そうはなっていません。だから、お母さんたちからこういう声が上がっているわけです。
 障害が重くても、入学して、技術を身につけられるようにすることが、障害者の権利の尊重になるのではないでしょうか。当事者の希望や実態に沿ったカリキュラムの設置を求めます。いかがでしょうか。

○内田雇用就業部長 重度障害者を含めた障害のある方の雇用環境整備は重要でございます。このため、都は障害のある方の就労の促進と定着を支援する多様な施策を講じてまいりました。
 また、都は令和五年度、東京障害者職業能力開発校におきまして、訓練受講者の様々な障害特性及び障害者の多様な訓練ニーズに加えまして、訓練修了後の就業の受皿となる業界等のニーズを踏まえて、訓練科目の設定を行うとともに、訓練内容の充実や必要な設備機器の導入などを進めてまいりました。

○とや委員 企業のニーズとまた今おっしゃったんだけれども、企業のニーズじゃなくて、企業というのはいろいろあって、企業のニーズって何ですかと聞いたら、マナーだとか、ちゃんと自立できていることとかいろいろおっしゃっていたけれども、そうじゃなくて、障害って多様なわけで、そういう人たちが職業訓練を受ける学校なわけだから、その目的に合った、障害者の皆さんのニーズに合ったカリキュラムについてきちんと検討して設置していただきたいということを重ねて申し上げておきます。
 寮についても伺います。
 職業能力開発校の敷地内には寮がありますが、障害を持っている方にとって、電車通学ができなかったり、天候によっては外に出られないなど様々な特徴があって、寮があれば通えるという人も少なくありません。ところが、寮は毎年の入寮者を、資料でいただきましたが、二十四人の定員なのに三、四人しか入っていません。これはずっとそうです。
 保護者の皆さんにお聞きすると、これもずっと指摘していますけど、食事が出ない、近くに自力で行けるスーパーもない、簡易なキッチンしかない、そして支援者もいない、だから最初から入所申込みができないということであります。
 本当おかしいと思いますよ。障害のある皆さんが入る寮なのに、まるで健常者が自立してやってくださいねといっているようなものじゃないですか。建て替えて間もない−−改修か、きれいになって間もないと思うんですよ。
 入寮しても、障害者が重い肢体不自由の方々であったとしても、困難なく快適に暮らして学べるようにするために、東京都としてどう対応しますか。

○内田雇用就業部長 障害者職業能力開発校では、技能の習得を担当する職業訓練指導員に加えまして、精神保健福祉士などの生活指導相談員を配置し、きめ細やかな支援を実施いたしました。
 生活指導相談員は、訓練に関する様々な相談に対応するとともに、生活面における助言も併せて行いました。
 また、寮におきましては、舎監が生活指導相談員と連携し、寮生活のサポートなどを実施いたしました。

○とや委員 学校において、精神保健福祉士や生活指導員を配置するのは重要だと思います。しかし、それでは無理だから入れないわけでね、そして今、寮は舎監がサポートしているとおっしゃいましたが、お聞きしたらシルバー人材の方々だというふうに聞きました。障害者の方の介助はできません。これでいいんでしょうかね。
 もう、せっかくつくったある寮を有効に使ってほしいと思うんですよ。ぜひ、もう考え直すときに来ているんじゃないかなというふうに思います。
 学校においても、寮についても、少しの介助があれば入れるにもかかわらず、入校できない、寮にも入れないということは、障害者の権利から見ても問題ではないでしょうか。

○内田雇用就業部長 身体障害者の方の職業訓練中の介助の支援につきましては、施設の状況や訓練の内容などを考慮する必要がございます。その場合は、応募の際に事前に相談をいただくこととしてございます。
 入寮につきましては、障害の状況や能力開発校に通う時間など、校に通うことが困難な方に対しまして、面接を行った上で総合的に判断してございます。

○とや委員 先ほどから事前に相談、事前に相談とおっしゃってくださっているので、事前に相談ができるということで確認をしました。だけど、ホームページに、介助が必要な人は駄目ですと書いてあるんですよ。そこを見たら、もう申し込めないと思うじゃないですか。
 相談が必要ですと、相談してください。今、私にご答弁いただいたようなことをホームページに書き直してください。最初から入れませんというのは、削除してください。今答弁したんだから、そのとおりにしてください。局長、お願いしますね。お願いしますね。−−事実上の拒否なんですよ。本当に差別じゃないかって思います。あたかも受け入れるような仕組みになっているようなご答弁をされたんだけど、一度も受け入れていないわけですよ。当事者の立場に立って、書き直してください。そして、実際に相談を受けて、入校できるようにしてください。訓練校のカリキュラムについても、寮の在り方についても、障害者の権利を尊重する立場で改善が求められていると思います。
 それから、重度の障害を持つ方でも入学、入寮できるよう、職員の増員、介助員の配置など、早急に改善することを求めておきます。
 それから、障害を持つ生徒の就労支援についても伺っていきたいと思います。
 TOKYO障害者マッチング応援フェスタについて、特別支援学校にはどのように周知案内をしていますか。

○新田事業推進担当部長 都は、令和五年度TOKYO障害者マッチング応援フェスタについて、四十三の都立特別支援学校高等部設置校に対し案内チラシを送付しております。また、会場では、職業教育で習得した技能の実演を三校が行い、実演に参加する生徒及びその保護者向けにも案内チラシを送付しております。

○とや委員 四十三校に配布しているということなんですが、十分に行き渡っていないようです。特に特別支援学校の肢体不自由校の生徒にはなかなか届いていないという声もあります。学校にも丁寧に説明して十分行き渡るようにすることを求めておきます。
 また、知的障害の皆さんは、去年、三校披露した、発表したと聞きました。永福だとか、それから水元、青峰から発表したとお聞きしたんですが、こういった発表の機会って知的障害の学校には結構あると。だけど、肢体不自由の子供たちが通う学校、こういったフェスタとかでの発表の機会がほとんどないというふうにおっしゃっております。
 それから、面接についても現地の実施のみだと。もう少し肢体不自由者向けに内容を充実してほしいという声が上がっています。
 そこでお聞きしますが、このフェスタにおいて肢体不自由者のアピールの場をどのようなプログラムを組んでいるのか。肢体不自由者も参加できるように対応してほしいんですが、いかがですか。

○新田事業推進担当部長 都は、令和五年度、このフェスタに肢体不自由な方三名をパネリストとしてお招きいたしまして、障害者の雇用や職場にもたらすメリットについて情報発信を行っていただきました。
 また、バリアフリーの会場で開催するとともに、オンラインでの配信も行っております。

○とや委員 ぜひ周知を広くしてほしいのと、今、肢体不自由の方の三名の方がパネリストで発表されたとおっしゃいましたが、それ自体はいいことだと思いますよ。思いますが、やっぱり生徒さんの声をきちんと聞いてほしいんですよね。子供たちをやっぱり公平に扱ってほしい。これ最優先でお願いしたいと思います。
 実際、この企画は内部検討です。障害をお持ちの方も入ったといっていましたが、やっぱり子供たちや保護者の声も聞いて、プログラムについては検討してください。イベントの在り方も、やはり来年度に向けて検討していただくことを求めておきます。訓練校についてはこれで終わらせていただきます。
 島しょの農業振興について伺っていきたいと思います。
 まず、遊休農地への支援について伺います。島しょ地域は、高齢化が進んだり、高齢者もなくて農業を辞めてしまう人が増えています。
 例えば、大島では、この委員会でも先日やりましたが、キョンやタイワンザルの食害もあって作物を荒らされ、つくるのを辞めてしまう人もいるそうです。そうやって遊休農地が増えているんですが、遊休農地への支援について、島しょにおける現状と併せて伺いたいと思います。実績も教えてください。

○榎園農林水産部長 都は、農地の保全に向け、遊休農地の再生支援と長期貸借の促進のための奨励制度に取り組んでございます。令和五年度、島しょ地域における遊休農地の面積は約四百五十ヘクタールであり、遊休農地の再生に関しましては、町村を通じ、農地の借手が雑木の伐採等を行う際に経費の一部を助成しておりまして、島しょ地域での実績は三・七ヘクタールとなってございます。

○とや委員 その支援ですけれども、周知はどのように行っているのか、また、さらに利用拡大していただくためにどのような工夫が必要と考えているのか教えてください。

○榎園農林水産部長 事業の内容が幅広く周知されることが重要であり、都は、島しょ地域の各町村に対する説明会の開催や、ホームページへの掲載により事業の周知を行いました。

○とや委員 説明会もやってくださっているんだけど、これは町に対してやっているわけですね。町への支援を通じての補助ということだからそうなるんですけれども、そうであるなら丁寧に説明をして、まちの人たちがちゃんと理解できるように周知をしていただきたいと思うんです。
 だから、どうもこの制度についてきちんと伝わっていないと。いろんな制度があるので、なかなか整理がついていないかもしれないんですけれども、せっかく産業労働局として行っている支援ですから、まちの人が使えるように、それを検討できるように丁寧な説明をしていただきたいと、町にも要請しておいていただきたいと思います。
 市町村会からも、農地再生のための開墾には、重機による伐採とか抜根とか伐採木の島外の処理だとか、本当に本土に比べて多額の費用がかかるという声が上がっていて、それで支援をさらに充実してほしいと、毎年のように要望書が届いていると思います。
 今回、大島の方々からも物価高騰で本当に大変だから、段ボールなどの梱包資材についてもさらなる支援をお願いしたいという声も届いていますので、それも併せて要望しておきます。
 ここからは有機農業について、地場産野菜について伺いたいと思います。有機農業は、環境負荷の軽減が本当に可能で、物質循環機能や都市環境の改善に貢献できるといわれています。東京都は、環境保全型農業の一つとして推進していると聞きました。
 有機農業って、東京はまだまだなんですけど、日本でも、結構日本の全国を見ると進んでいて、子供たちの健康に本当にいい。そういう声も聞いていて、例えば保育園で有機給食をやったら、子供たちの休みが十分の一に減ったとか、あるいは体温が上がったとか、本当にいいことがたくさんあります。ただ、やっぱりつくる側からするからすれば、課題もあると思います。
 そこで、伺います。有機農業を進めるに当たっての課題、それは何か。有機農業を進めるに当たり、どのような取組をしているのか。需要調査もされていると思いますが、その結果と併せて伺います。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 有機農業を進める上で品質や収量の維持による生産性の確保などが課題であり、都は、令和五年度には必要な栽培技術の普及を図るとともに、有機質肥料を使用する際の購入経費の一部に対し助成をいたしました。
 また、令和五年度に実施した都民等へのアンケートでは、四二%が東京エコ一〇〇を購入したいと回答しております。

○とや委員 アンケートでは、四二%の人が東京エコ一〇〇を購入したいとお答えになったということです。この数字を見ますと、やっぱり関心もあるし、購入して食卓に使いたい、お料理に使いたいと思っている人が結構いるんだなと思いました。
 エコ農産物認証制度は、東京都が都内の通常の栽培における化学合成農薬と化学肥料の使用実態を調査して定めた慣行使用基準から、化学合成農薬と化学肥料を削減して作られる農産物、ちょっとよく分からないんですけど、化学合成農薬と化学肥料の削減割合が二五%のものをエコ二五といって、五〇%以上がエコ五〇で、不使用がエコ一〇〇ということだと聞きました。この三区分で認証していると聞いています。
 東京都は認証制度の推進のために、認証農産物の安全性を確認してPRをしてくださっていると。そして、農産物の栽培状況を確認して、残留農薬の分析もしているんですよね。ホームページでも情報提供すると。これは、私、すごく都民にとってもいい取組だと思っています。
 生産者からすると、認証生産者として認証農産物の認証マークをつけて販売することができます。この認証マークをつけて販売したことによって、この農産物のPRを東京都がする。販路拡大のために食品の事業者や消費者へ認証マークと制度の周知を図っているというふうに聞いています。
 いろいろ見てきたんですけど、この認証制度についてね、この認証マークをつけることで、差別化は図れると。これはメリットとしてあると思います。ただ、私、今申し上げたように、二五、五〇、一〇〇となっていても、何の話だかよく分からないということで、ここは消費者に簡易に説明できるよう工夫が必要だと思いました。そして、知名度ももっと上げてほしいと思います。私もこのことを知ってから、スーパーに行くと探すようにしているんですけど、なかなかないです。もっと広げてほしいなと思います。
 エコ農産物の認証制度の農産物の販売PR集が二千部発行されていると聞いて、私も拝見させていただきました。非常に立派な冊子でした。でも、二千部というのはちょっと少な過ぎます。一千四百万都民ですから、ちょっと二千部じゃ、小さい自治体の規模じゃないかなと思いますので、発行部数を増やして、配布先も広げていただくことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 都は、令和五年度、PR集を二千部発行しておりますけれども、こちらをとうきょう特産食材使用店などへの送付やイベント等での配布を行うとともに、ホームページに認証取得者の情報を掲載いたしました。

○とや委員 とにかく部数を増やして、あんないいやつじゃなくてもいいから、もうちょっとPRに努めていただきたいと思っています。いろいろ支援はあるんですけれども、農家に対しては所得補償がやっぱりできていないんですよね。とにかく売れるように頑張れという立場なんですよ。やっぱり農業というのは一次産業ですから、都としてもうちょっと大事にしてほしいなと思っています。
 どう大事にするかということで、私たちはこの間も求めてきているんですが、学校給食への供給が所得補償と販路拡大の有効な手段だと考えています。活用状況については分からないということなので、東京都としてどのような支援をしているのかお答えいただけますか。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 都は、令和五年度に学校給食への東京産農産物等の納入量を拡大する流通事業者への支援を行いました。

○とや委員 今、聞きませんでしたけどね、学校給食にどのくらいの有機農産物が使われているかと。これは教育庁さんが一定程度把握しているんですけれども、やっぱりそれを両局で共有していただいて、産業労働局としても、農家の皆さんを守る、支援する立場から、きちんとつかんでいただきたい、把握していただきたいということを求めておきたいと思います。
 今年度は事業の拡充もされたようなんですけれども、やっぱりまだ足りないと思っています。農林水産省の有機農業推進総合対策緊急事業というのがありまして、これは三百万円の補助金を活用して、杉並区の文化学園大学の杉並中学、高等学校で、オーガニック給食の日を高校生が企画しました。で、給食があるこの学校の中学生約三百九十人に、有機米や有機野菜を使った給食を提供したということです。
 都としても、有機のよさを知ってもらうためにも補助などを行って、公立小中学校や高校でも有機農産物に触れる、食べられる機会をつくることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 都は、区市町村や団体等が行う地産地消の取組を後押ししており、この中で、令和五年度は団体が十一校の小学校に対し、東京の農業や農産物を生産者が紹介する出前授業や、農産物の学校給食への提供を行う取組を支援いたしました。

○とや委員 まだまだこれからなのかなと思うんですよね、十一校ということでは。東京都内、たくさんの学校があるので、もっともっと子供たちにも、保護者にも、学校の先生たちにも、有機給食のよさというのを知ってほしいなと思っています。
 韓国やフランスでもオーガニック給食が進んでいます。有機農産物を使っています。
 農から給食までの一連の流れの構築、農業生産からフードチェーンの在り方を官民で改善する検討が必要だと考えます。産業労働局と、今申し上げた教育庁など関係部署と検討を開始してほしいと思います。そして、そのために、農家の意見もよく聞いて検討することを求めますが、いかがでしょうか。

○田代安全安心・地産地消推進担当部長 都は、令和五年度に東京産農産物を新たに学校給食へ納入する流通事業者等への支援を行いました。また、教育庁等と連携し、学校給食関係団体や生産者団体等を構成員とする食育推進協議会において議論を行いました。

○とや委員 議論をするのであれば、やっぱり先進自治体や先進国の事例も参考にして、もう一歩踏み出してほしいなと思っています。
 私は昨年調査に行きました。一つは、韓国の完州郡といって、南の方なんですけれども、六次産業化の取組をしています。六次産業というのは、一次、二次、三次で足して六次というんですけど、生産から、流通から、加工からということで、その取組をしているんですよ。
 韓国の農村も日本と同じように衰退が深刻なんですが、それでも工夫を凝らして全国から注目される取組をしていました。小規模農家の所得向上を目指して地産地消の取組をしたり、学校給食への活用、多様な農産物と加工品を供給できるようにしています。
 私、農家にも行きました。以前は違う職業を営んできた方が所得補償がある、これが魅力で完州郡のローカルフードの取組に参加したとお聞きしました。残留農薬もチェックして、安全で、流通過程がはっきりした食材を子供たちに届けると。農家も学校もうれしい取組でありました。これについて、ローカルフードについては日本で学んだんだといっていたんですよね。ところが、日本で学んだはいいけど、追い越されてしまったということです。
 ソウルにも行きました。給食はとっくに無償化していて、オーガニック給食の取組が進んでいます。給食を調理しやすいように、環境流通センターというところがあって、有機農業や有機認証を取った生産者団体と契約を結んで、出荷調整や、どこの学校でどんな食材が必要なのか、ちゃんとデータが来て、検品作業と農薬チェックをして、調理しやすいようにして運ぶ、コントロールタワーの役割をしておりました。
 公社が運営しているわけですけれども、この人たちに話を聞いたところ、この目的は子供たちの健康と農家の安定した経営だっておっしゃっているんです。それが公共調達に結びついたということです。
 一定の金額で買い入れて農家の経営を安定させる。学校にも適切な価格で農産物を提供する。その調整役をやっていると。だけど、日本にはそういう仕組みないです。東京にもないです。だけど、東京は、私、財政的なことをいえば、頑張ればできるんじゃないかなと思うので、ぜひ検討していただきたい。
 こうした取組にも学び、有機農業を育てる農家の皆さんを後援していただきたいと申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○銀川委員 都議会立憲民主党の銀川と申します。よろしくお願いいたします。
 では、まず初めに、東京都の一般会計決算の説明書から質問させていただきます。
 能力向上訓練の授業料が約五千万円で、能力開発訓練授業料が約六千二百万円の減額となっています。職業能力開発センターにおける訓練の受講実績による減少とのことなんですけれども、企画や集客がうまくいかなかったのか。それとも、需要がマッチしていなかったということなのか、その要因を伺います。

○内田雇用就業部長 職業能力開発センターでは、在職者向けの能力向上訓練と求職者向けの能力開発訓練のうち、一年以上の普通課程の訓練を有料で実施しております。
 能力向上訓練の令和五年度の実績は、オンライン訓練の実施等により、前年度より受講者は増加したものの、歳入予算を下回る結果となりました。
 普通課程の訓練におきましては、都内の完全失業率の低下など、現下の雇用情勢の影響や、職業訓練を経ずに就職する方が増加していることなどにより、当初の見込みより訓練生が減少したものでございます。

○銀川委員 オンライン訓練の実施等により予算を下回ったとのことで理解をいたしました。時代に合わせて受講者のニーズを読み取りながら予算編成を行っていただければと思います。
 次に、観光産業振興費について、こちらは予算を組んでいないのにもかかわらず、収入があったのはなぜでしょうか。

○江村観光部長 お話の観光産業振興費の収入に該当する事業は、令和四年十月から開始した地域観光支援事業でございまして、本事業は、国が措置した全国旅行支援に係る補助金を活用して実施したものでございます。
 令和五年度当初予算の編成時点では、国から事業の終期など、予算の積算に必要な情報が示されていなかったため、計上しなかったものでございます。

○銀川委員 国が措置した全国旅行支援の収入があり、都内の観光業の後押しにつながったということを理解いたしました。引き続き、国の支援も活用しながら継続的に観光の喚起策を行っていただければと思います。
 では、次に、就業促進費について伺います。
 高年齢者、障害者等の就業促進等に要する就業促進費について、二億五千万円の補正の予算を組んでいますけれども、不用額が二十四億円になっている理由はなぜでしょうか。

○内田雇用就業部長 労働費のうち、就業促進費では、若年者、中高年者、女性、障害者など都民の雇用就業の促進や中小企業の人材確保等の施策を展開してございます。
 補正予算は、二〇二四年問題への対応に向け、業界団体が行う人材確保の取組を支援する業界別人材確保強化緊急支援事業に係る所要の経費を計上いたしました。
 不用額は、しごとセンター等で実施する事業の実績や契約差金により生じたものでございます。

○銀川委員 承知をいたしました。
 次に、事業の実績などについて伺っていこうと思います。
 まず、女性活躍のためのフェムテック開発支援・普及促進事業について伺います。
 こちらは、女性の健康課題を解決するための製品やサービスの開発等に必要な経費を助成して、女性活躍社会の実現を加速していくという事業なんですけれども、令和五年度の予算は一億二千万円でした。その効果はどうだったか伺いたいと思います。

○福田商工部長 都は、女性特有の健康課題を解決するため、フェムテック製品やサービスの開発等を支援する事業を昨年度から開始し、技術開発などに要する経費の一部について、最長一年九か月にわたり支援しております。
 令和五年度は、月経不順を改善するための医療機器の開発など六件のテーマを採択し、約一億円の交付決定を行いました。

○銀川委員 現在も開発を行っている最中とのことでありますけれども、効果があれば、来年度以降も進めていくべきと思いますし、効果が出なかったのであれば、マッチするようやり方を変えていくべきだと思います。引き続き、調査研究をしながら、東京都が日本のロールモデルとなるように、時代に即した新たな女性支援の充実に取り組んでいただければと思います。
 次に、女性ベンチャー成長促進事業について伺います。
 こちらの事業の効果はどうだったのでしょうか。検証はできているのでしょうか、昨年度決算の状況と併せて伺います。

○福田商工部長 都では、大都市などが抱える社会的な問題の解決や世界の市場への積極的な進出に向け、事業の拡大に意欲を持つ女性の起業家をサポートし、ロールモデルとして発信する取組を平成二十九年度から実施しております。
 昨年度は、四十名の参加者に対し、海外展開に向けたアクセラレーションプログラムの実施や、投資家等とのネットワークの構築の後押しなどを行い、決算額は約一億六千八百万円でございました。
 事業開始から昨年度までに、総額約百九十八億円の資金調達に結びつけるなど、女性起業家の成長を着実にサポートいたしました。

○銀川委員 この事業を修了した女性起業家の活躍についても知りたいと思うんですけれども、公にしているものはあるのか伺います。

○福田商工部長 事業開始から昨年度までに二百四十名の女性起業家が支援を受けており、その中には女性のスキルアップ支援サービスを展開し、時価総額を百億円に延ばしたスタートアップも出ております。こうした事例につきまして、成果報告会やSNS、ウェブサイトなどを通じて広く発信し、女性起業家が事業の拡大に取り組む機運の醸成につなげました。

○銀川委員 近年、女性の起業家であったり、起業家を目指す女性が増えています。女性起業家がエンパワーメントされるような支援を東京都としても引き続き後押しをいただければと思います。
 次に、TOKYO地域資源等を活用したイノベーション創出事業について伺いたいと思います。
 こちらは新事業ということなんですけれども、地域発の小さなイノベーションを創出し、地域経済を活性化するという目的で設立されたものということなんですけれども、事業の利用状況、効果のほどはどうだったのか伺います。

○福田商工部長 都は、東京ならではの多様な地域資源等を活用した新製品や新サービスの開発などを支援する事業を昨年度から開始し、技術開発などに要する経費の一部について、最長二年にわたり支援しております。
 令和五年度は、ソメイヨシノの花を活用した化粧品原料の開発など、十三件のテーマを採択し、約一億三千万円の交付決定を行いました。

○銀川委員 承知いたしました。現在、開発を行っている事業者の状況も踏まえながら、来年度も取り組んでいただければと思います。
 次に、XR、メタバース等を活用した産業の振興について伺います。
 まず、コロナ禍で注目をされたメタバースですけれども、コロナが明けてどのような成果があったのでしょうか。

○福田商工部長 都は、デジタル空間に関連したビジネスマッチングを後押しするため、本年一月に、XRやメタバースに係る事業者とコンテンツをつくるクリエーターなどが一堂に会する展示会を開催いたしました。
 本展示会には約百六十の事業者が参加し、三日間でビジネス客を中心に約一万人の来場があり、出展事業者の交流や商談等のきっかけづくりなどを後押しいたしました。

○銀川委員 一万人の来場があったということなんですけれども、国外からはどれだけの人が訪れたのか、データとして示していただければと思います。

○福田商工部長 来場者アンケートの結果によりますと、およそ二%が外国人の来場者でございました。

○銀川委員 こちらの事業も成功したのであれば、今後も積極的に行っていくべきだと思うんですけれども、都の検証をお聞かせください。

○福田商工部長 出展者アンケートの結果によりますと、展示会にブースを出展した事業者のおよそ八割が商談につながるなど出展に成果があったと回答しており、関連産業の振興につながっております。

○銀川委員 承知いたしました。
 では、最後に中小企業支援について伺います。
 東京都の中小企業支援として、経営を支援し、また、技術支援を推進することで経営を安定させる、また、賃上げの原資ともなる取組が重要となっています。まずは、都において、中小企業が持続的な成長を図るために人材を資本と捉える人的資本を軸とした経営と組織マネジメントを進め、競争力の向上を後押しする新たな事業が行われています。
 そこで伺います。中小企業人的資本経営支援事業にどう取り組み、企業が支援を受けたのか伺います。

○福田商工部長 都は、人的資本経営の実現に向けて取り組む中小企業に対して、普及啓発や人材育成などを支援いたしました。
 令和五年度は、人的資本経営に関する必要性を周知するセミナーを開催し、延べ百三十九名の参加がございました。また、延べ四十社が参加したワークショップにおいて、事例の共有などを行い、各社の取組を後押ししました。
 さらに、社内で取組の中核を担う人材を育成するための講座を実施し、延べ百三十七社、二百二十三名を支援いたしました。

○銀川委員 人材を資本と考え、取り組む育成については、中小企業の持続的な発展と、従業員の継続した雇用、そして、従業員自らステップアップにもつながるため、重要だと考えます。
 次の質問に参ります。東京都においては、安全・安心分野への新規参入や、新事業を展開するため、製品や技術の開発改良に要する経費を支援し、製品を普及させるとした新たな事業も行われています。安全・安心な東京の実現に向けた製品開発支援事業はどう展開されたのか伺います。

○福田商工部長 都は、安全・安心をテーマとした中小企業の製品や技術開発、改良などの取組を支援する事業を昨年度から開始しております。
 令和五年度は、製品開発のヒントや先行事例、業界の動向などを広く発信するセミナーを開催するほか、専門家の派遣を通じた支援に加え、防災や減災分野の製品開発を取り組む三十九社を経費助成の対象として採択し、約四億七千万円の交付決定を行いました。

○銀川委員 都内の防災や減災事業の推進にもつながる製品開発が行われることなど今後の取組を期待いたします。さらに、優れた技術力を生かして、新たな成長産業分野に参入、事業転換を行う中小企業に方向性をアドバイスして、技術開発や設備投資経費を助成する新たな事業が始まっています。成長産業分野への事業転換に向けた製品開発支援事業はどう進んでいるのか伺います。

○福田商工部長 都は、中小企業が成長分野に参入できるよう、技術の磨き上げや製品開発の後押しなどを行う事業を昨年度から開始しております。
 令和五年度は、中小企業八社に対し、中小企業診断士等で構成するアドバイザリー会議において、事業の具体化に必要な助言などを行いました。また、製品開発等に係る経費の支援について、四社を採択し、約五千万円の交付決定を行いました。

○銀川委員 優れた技術力などをどう生かせるのか、中小企業と中小企業診断士、東京都などで連携して、新たな事業に結びつけるなど、地道な取組が発展するよう進んでいただければと思います。
 次の質問に移ります。令和五年度の新規事業で、経営支援、技術支援に関連する事業の決算結果、取組を聞いてまいりました。また、企業において、適正な価格による取引が進むことも必要です。この年の企業物価指数は前年比四・一%の上昇でした。
 東京都では、下請企業対策も行われており、取引対策や下請企業等への支援に取り組んでいます。また、予算も増加しています。まずは取引情報の提供について伺います。

○福田商工部長 都は、下請中小企業の振興とその経営の安定を図ることを目的に、企業巡回などを実施しております。
 具体的には、中小企業振興公社において、新規の取引先を確保したい発注企業と受注企業を巡回し、取引情報を提供しております。
 昨年度は、延べ約五千四百社に巡回し、百八十八件の取引情報を提供いたしました。

○銀川委員 中小企業への巡回、また、現場の話を都にもたらしていただくことも重要と考えます。
 併せて、相談事業の状況についても教えていただければと思います。

○福田商工部長 都は、下請センター東京に紛争解決専門員を配置し、企業間の取引上の問題に対する相談を受け付けております。
 昨年度は、取引契約に関する相談など、延べ二百六十二件の相談に対応いたしました。

○銀川委員 各相談において、専門的なアドバイスや具体的な解決に向けてつながる取組を行っていただくことを今後も期待いたします。
 こちらが最後の質問になるんですけれども、適正取引を促した事例があれば伺いたいと思います。

○福田商工部長 原材料価格や労務費の増加に伴う値上げ交渉に苦慮している下請企業に対し、下請法に定める発注企業の禁止行為や具体的な交渉に関する助言を行ったことで、価格転嫁に至った事例などがございます。

○銀川委員 発注企業の禁止行為もあったということで、その結果、具体的な交渉によって価格転嫁に至ったということで、引き続き下請企業の適正取引を支援していただくようにお願いいたします。
 物価が上昇する中、適正な価格の転嫁を進める上で東京都の取組は重要と考えています。中小企業庁や公正取引委員会、東京都が法に基づいて都内中小企業の振興を支えていくべきだと思います。これらの取組を進めることで、都内中小企業の経営を後押しし、従業員の雇用を安定させていく必要があると思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

○曽根委員 私が最後の質問になりますので、よろしくお願いします。
 私からは、昨年の決算委員会でもちょっとお聞きしたんですが、一昨年度ですかね、環境局から移ってきた中小企業に対する省エネ、再エネ設備導入の助成金と、それから、中小企業の制度融資による支援のことについて、その後の変化をお聞きしたいと思います。
 中小企業の省エネ、再エネ設備導入への助成金について、実績が昨年は百数十件だったと思うんですが、求められている規模でいえば、数十万に及ぶ中小企業のその大半がこの制度が大規模に適用されないと、ゼロエミッションの取組から取り残されていく危険があるということで、この求められている規模に対しては、まだ距離が相当あるなというふうに感じました。
 その後、昨年度の実績として、助成金の実績が伸びているのかどうか、この点を伺いたいと思います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 令和五年度から開始した中小企業等の省エネ対策を支援する、ゼロエミッション化に向けた省エネ設備導入・運用改善支援事業では、五百二十件、約十八億六千万円の交付決定を行っており、前年度実施いたしました中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業と比較して増加しております。
 また、再エネ設備等の導入を支援する地産地消型再エネ増強プロジェクトでは、令和五年度には三百三十六件、約五十四億二千万円の交付決定を行っており、前年度と比較して増加しております。

○曽根委員 それから、先ほどお話しした制度融資が、これらの助成金を受けた事業者は、それでも自己負担分が残りますが、その自己負担分について制度融資のHTT、ゼロエミッション支援の融資対象になると思うんですけど、この融資メニューの実績は伸びているのか、昨年度、どうでしょうか。

○原金融部長金融支援担当部長兼務 脱炭素化の取組を後押しする融資メニューの実績は十一件であり、前年度と比較して増加しております。

○曽根委員 昨年度は二件だったんですよね。それで、やっぱり、最初にかかる自己負担、これを制度融資まで使って何とかしようという中小企業はまだまだこの制度になじんでいないというか、知らない方が圧倒的じゃないかと。資金力に若干の余裕があるような中小企業がイニシャルコストがかかっても、この設備導入で補助率が三分の二ということで取り組み始めているというのが実績として伸びていると思います。
 これについては、昨年も申し上げましたが、例えば助成金の補助率を四分の三とか、こういうふうに思い切って引き上げるなどの支援の強化が必要だと思うんですけれども、この点、検討、実施されているのかどうか伺います。

○米澤産業・エネルギー政策部長 令和五年度におきましては、CO2削減効果が特に大きいと認められる省エネ設備や再エネの有効活用につながる蓄電池については、補助率を四分の三とするなど支援を強化いたしました。

○曽根委員 四分の三の補助率が出てきたということは重要だと思います。
 それから、融資についても、私としてはゼロゼロ融資をコロナのときに導入するなど思い切った支援がありましたので、こうした無利子などの要件緩和が必要だと思うんですが、この点はどうでしょうか。

○原金融部長金融支援担当部長兼務 令和五年度は、脱炭素化の取組を後押しする融資メニューにおいて、信用保証料を補助するなど負担の軽減を図っております。

○曽根委員 これも一歩前進はしていると思うんですけれども、やっぱり利息分の低減、もしくはゼロ融資、ゼロ利子の融資というところまで前進させていただきたいということはまず申し上げておきます。
 それで、本当におやじさん、もしくはおかみさんが倒れると、それで店は終わりという店がもう圧倒的に多いんですね。したがって、そういうお店にとって、どこまで商売を続けられるか。後継者の見通しが立っているところが少ないということで、もうできるだけイニシャルコストを下げなければ設備導入はしにくいということが一つと、この先の営業を何年続けられるか、後継者の見通しがないという店が大変多いので、短期間に取り戻せるという助成金や、それから設備導入すれば、電気料金下がりますから、下がった料金で節約して取り戻せるのに何年かかるかというところが本当に気にしているわけです。
 例えば、このゼロエミッションの運用改善支援事業では、五百二十件で十八億六千万といいますから、大体三百万から四百万ぐらいの平均で個別の設備導入がされているんですけれども、例えば小さいお店で百五十万円の空調設備を更新したとすると、三分の二補助だと五十万円のイニシャルコストですよね。月一万円ぐらいの電気料金下がれば五年ぐらいで取り戻せるかなという計算が成り立つんですけど、これが例えば、半分ぐらいコストを下げられると、CO2が排出を下げられるという高規格の設備を導入したとするなら、四分の三にできる可能性があるということで、私、ちょっと計算したんですけど、二百万円ぐらいのちょっと高い設備で半分ぐらい下げられるとすれば、自己負担は同じ、三分の二のときと同じ五十万円で、しかも、高効率の、高規格の設備が入れられると。
 これだったら、そちらを選ぶ方がいいに決まっているんですけど、なかなか百五十万が二百万になれば、半分までCO2が減らせるというのはなかなかいかないので、結局、新しくできた四分の三補助というのは、やっぱり設備だけじゃなくて事業所の建物のシステム全体を見直さなきゃならないということで、もっとお金がかなりかかると、最初のイニシャルコストが高くなってこれが負担できないということで二の足を踏むということがやっぱり多くの中小企業では出てしまうと思うんです。
 そこで、やっぱり一律四分の三補助というものが、私は、例えば百五十万円だったら四分の三補助すれば、大体四十万円ぐらいまで下げられるわけですよね。そういう自己負担をできるだけ減らすということと、取り戻せる、電気料金を下げて、商売やりながらでも、何とかこれをCO2削減にも貢献しながら自分の運用の日常の経費を下げていく。このためにも大きく貢献できるような制度として充実を図ってもらいたいと。
 それには、やっぱり全体の助成率を四分の三、また、それよりもさらに充実させていくということと、融資制度においてできるだけゼロ金利に近い融資制度を導入することで、今、何倍かに確かに増えてきているんですが、これをもう一桁上げないと、中小企業全体が参加できる制度としてはまだ届いていませんので、この点の充実をぜひとも図っていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時六分散会