令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

令和六年十月十八日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小磯 善彦君
副委員長本橋たくみ君
副委員長曽根はじめ君
かまた悦子君
遠藤ちひろ君
銀川ゆい子君
宮瀬 英治君
伊藤しょうこう君
本橋ひろたか君
とや英津子君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長早川 剛生君
次長松田 健次君
管理部長住野 英進君
事業部長大谷 俊也君
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務東山 正行君
市場政策担当部長石井 浩二君
財政調整担当部長高橋 葉夏君
環境改善担当部長中井  宏君
環境局局長須藤  栄君
次長宮澤 浩司君
総務部長緑川 武博君
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務中島 隆行君
企画担当部長三浦亜希子君
政策調整担当部長長谷川徳慶君
気候変動対策部長荒田 有紀君
再生可能エネルギー実装推進担当部長小林 洋行君
率先行動担当部長中村 圭一君
建築物担当部長関   威君
環境改善部長戸井崎正巳君
環境改善技術担当部長丹野 紀子君
自然環境部長生物多様性担当部長兼務宮武 和弘君
資源循環推進部長宗野 喜志君
資源循環技術担当部長横山 英範君
資源循環計画担当部長木村 真弘君
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務谷崎 馨一君
次長小平 基晴君
技監小野 幹雄君
理事三宮  隆君
理事都市づくり政策部長事務取扱山崎 弘人君
総務部長山崎 太朗君
都市基盤部長特命担当部長兼務長尾 肇太君
市街地整備部長井川 武史君
市街地建築部長飯泉  洋君
多摩まちづくり政策部長澤井 正明君
基地対策部長志村 公久君
企画担当部長藤原  新君
まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務新良 京子君
地域公共交通担当部長村上 清徳君
防災都市づくり担当部長池内 光介君
耐震化推進担当部長谷井  隆君
多摩ニュータウン事業担当部長今井 徳彦君
局務担当部長安間三千雄君

本日の会議に付した事件
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和五年度東京都と場会計決算(質疑)
環境局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和五年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○小磯委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場、環境局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋(た)委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、令和五年度のと場会計決算についてお伺いしてまいります。
 食肉市場は、全国の建値市場としての役割を有しており、全国各地から牛や豚が搬入され、と畜から競り、販売までの一連の業務を行う重要な施設であります。しかしながら、大動物、牛、小動物、豚のと室など、と場施設については完成から三十五年以上が経過するものがあるなど、老朽化への対応が急務であり、我が党ではこれまでも、各会計決算特別委員会の機会に、施設改修等の状況を確認してまいりました。
 まずは、施設設備の改修等の老朽化対策についてお伺いしたいと思います。
 と場の老朽化について、都はどのように認識をしているか、また、令和五年度にその対策として行った工事の内容と執行額について伺います。

○石井市場政策担当部長 芝浦と場では、長年の経過により、施設設備の老朽化が激しい状況にあり、その対応は喫緊の課題であると認識しております。
 こうした中、令和五年度は、大動物Cラインの改修工事や、設備機器の経年劣化が進行している水処理センターについて、原水槽等改修工事に着手いたしました。また、内臓処理室につきましては、長年の使用及び高温多湿の影響により、設備の摩耗、劣化が著しいことから、改修を行うなどの対策を行いました。
 執行額につきましては、大動物Cラインの改修工事で約三億八千万円、水処理センターの改修工事で約三億二千万円となっており、これらの施設整備費は、と場会計全体で約十億円となっております。

○本橋(た)委員 都としても着実に施設設備の老朽化対策を実施していることが確認できました。東京食肉市場協会からの要望書でも、施設の老朽化対策については早急な更新が必要であると求めており、都においては引き続きの対策を行っていただきたいと思います。
 市場業界においては、こうした施設設備の老朽化対策にとどまらず、衛生管理の高度化や、それに伴う販路拡大を行うため、輸出を望む声があります。
 そこで、令和五年度は、輸出の拡大の取組としてどのようなことを行ったのか伺います。

○石井市場政策担当部長 令和五年度は、大動物Cラインにおきまして、輸出の拡大に向け、牛のと畜解体に使用する特殊機械設備等の改修に着手いたしました。
 具体的には、昇降台を前後に可動できるように改修することで、設備と、と体の接触を防止する措置や、輸出要件に適合した枝肉洗浄機を新たに設置するなど、台湾やシンガポールへの輸出に向けた衛生管理の高度化への対応を行ってございます。

○本橋(た)委員 市場協会からの要望に対しましても、都として真摯に取り組んでいることが分かりました。
 芝浦と場が、国内需要に限らず、インバウンドや輸出に対応するなど、国内外の食肉のマーケットに対応する施設として、今後も安定した供給に努めていただくことを要望して、質問を終わります。

○遠藤委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、引き続き芝浦と場についてお伺いいたします。
 芝浦と場は、日々のと畜解体作業を通じて、都民に食肉を安定的に供給する役割を果たしておられます。搬入される生体には、霜降りが入りやすいなどの黒毛和種の特徴と、体の大きいホルスタイン種の特徴を受け継いでいる交雑牛の取扱いが増えてきているとのことであります。このため、と体が大型化して、これによってと畜の解体作業への影響も懸念されるわけです。
 そこで、と体の大型化について何か対策を行っている事例はあるのか、令和五年に行った対策について伺います。

○石井市場政策担当部長 と体ごとの大きさに応じまして、作業員がと畜解体ラインでスムーズに作業ができるよう、昇降台が前後上下に稼働可能となる改修工事などを行いました。
 また、皮を剥ぐ際に、大型化したと体に負荷がかかり、脱骨するおそれがあるため、皮を剥ぐ特殊機械であるダウンプーラーを改修するなど、大型化に対応する対策を行いました。

○遠藤委員 と体の大型化に合わせて設備の改修を進めていることが分かりました。今後とも継続してご対応いただけるよう要望して、次の質問に移ります。
 続きまして、と場における衛生管理について伺います。
 産地の出荷者や消費者の信頼を高めていくためには、と場における高度な衛生管理が大変に重要であると考えております。
 そこで、芝浦と場におきます衛生管理の取組について、ハード面とソフト面、その両面から伺ってまいります。

○石井市場政策担当部長 芝浦と場では、平成三十年度からHACCPに基づく衛生管理の取組を開始し、それぞれの工程について、改めて作業マニュアルに位置づけ、作業員に周知徹底を図るとともに、各工程が作業マニュアルにのっとり適切に行われているか、継続的に監視、記録を行ってございます。
 と畜解体作業におきましては、作業マニュアルに基づき、使用したナイフを一頭ごとに八十三度C以上の熱湯で消毒を行うなど、衛生管理を徹底させる取組を行ってございます。
 令和五年度は、ハード面におきましては、熱湯の温度を維持するため、高温水発生装置の改修を行いました。また、ソフト面では、PDCAサイクルによる検証と改善を繰り返すことで、HACCPに基づく衛生管理がより適切に実施されるよう、現場職員と意見交換を行いながら、作業マニュアルの見直しを行うなど、さらなる衛生管理の向上に向け、日々取り組んでございます。

○遠藤委員 HACCPに対応した品質の衛生管理に対する取組を行っていることが確認できました。出荷者や消費者の期待に応えるためにも、しっかりした対応をお願いいたします。
 続きまして、年末年始ですが、都内の飲食店や家庭でも食肉の消費需要が高まることから、食肉の安定供給が一層求められます。こうした時期に合わせて芝浦と場にも多くの生体が集まると聞いており、と畜作業においても柔軟な対応が求められると考えます。
 そこで、令和五年度の年末年始にどのような対応を行ったかについて伺います。

○石井市場政策担当部長 芝浦と場ではこれまでも、年末年始の牛肉、豚肉それぞれの需要動向などを見極めながら、臨時と畜日を設け、と畜日数を増やすことでその需要に対応してきました。
 令和五年度も、業界からの要望を踏まえ、繁忙期となる令和五年十一月から令和六年一月の期間中に、大動物、牛及び小動物、豚の臨時と畜をそれぞれ二回実施いたしました。

○遠藤委員 今後も、業界の要望などを踏まえながら、出荷者や消費者に寄り添った対応をしていくことで、芝浦と場、食肉市場の信用を高めていただくことを求めまして、質問を終わります。

○かまた委員 それでは、運営者であります東京都の責任を確認する意味で質問をさせていただきます。
 まず、芝浦と場での年間の取扱頭数がどのように変化したのかについてお伺いをいたします。

○石井市場政策担当部長 令和五年度の取扱量につきましては、大動物、牛につきましては、と畜解体頭数は八万七千八百三十五頭、搬入枝肉は四万九千四百七十二頭、合計で十三万七千三百七頭でございまして、小動物、豚につきましては、と畜解体頭数は二十一万一千四百五十二頭、搬入枝肉は二千五十一頭、合計で二十一万三千五百三頭でございました。
 令和四年度は、牛で十三万七千百十三頭、豚は二十万八千六百七十九頭でございまして、昨年度に比べ増加いたしました。

○かまた委員 取扱頭数が昨年度より増加をしているということで、安心をいたしました。
 経済産業省の経済指標によりますと、令和五年五月にコロナが五類に移行するなどの要因によりまして、外食需要が進んだとのことですが、都としましても、ますます取扱量が増えるようにバックアップをしていただきたいと思います。
 また、今年の夏は記録的な猛暑日が続きましたけれども、と場における業務は高温多湿で閉鎖されている空間で行われるため、非常に大変な労働環境であったことと思います。と畜作業に関わる職員の皆様は、こうした環境の中で、安定した食肉供給のために懸命に作業に従事していることから、働く人の健康の維持を念頭に、少しでも、と室内の環境改善を図ることが都の責務であると思います。
 そこで、と室内での作業員の環境確保について、どのような取組を行っているのかお伺いをいたします。

○石井市場政策担当部長 令和五年度におきましては、大動物Cラインで、職員に直接冷気を当てるための吹き出し口の増設や、と室の室温を下げるため空調設備を増設するなどの工事を行いました。
 また、ナイフ消毒などに使用する高温水から発生する熱気を排出するための排気設備を増設するとともに、高温水を床に流さず、排水溝へ直接排水できるよう工夫を施すことで、室内温度が上昇しないようにするなど、作業員の作業環境の確保のための改修を行ってございます。

○かまた委員 今後もぜひしっかりと、と室内の環境の確保をしていただくことを改めて要望させていただきます。
 また、輸出の拡大の取組につきましては、私も重要だというふうに考えておりますけれども、先ほど本橋副委員長からも質問がありました。ぜひしっかりと進めていただきたいことを要望しまして、私の質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小磯委員長 これより環境局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 高崎理事は、所用のため、本日の分科会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 次に、先般の人事異動に伴い、環境局長に須藤栄さんが就任されました。
 須藤局長から挨拶があります。
 須藤栄さんを紹介いたします。

○須藤環境局長 去る十月十五日付で環境局長を拝命いたしました須藤栄でございます。
 小磯委員長をはじめ委員の皆様方のご指導、ご鞭撻をいただきながら、全力で事務事業に取り組んでまいる所存でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○小磯委員長 挨拶は終わりました。

○小磯委員長 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○緑川総務部長 去る十月九日の当分科会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり八項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、大規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移(過去十年分)でございます。
 (1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十四年度から令和三年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
 二ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十四年度から令和四年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。なお、令和四年度は速報値となっております。
 三ページをお開き願います。2、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移(用途別)(過去十年分)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途について、床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
 四ページをお開き願います。3、中小規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移(過去十年分)でございます。
 (1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十四年度から令和三年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十四年度から令和四年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。なお、令和四年度は速報値となっております。
 六ページをお開き願います。4、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、平成三十年度から令和四年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 八ページをお開き願います。(3)、微小粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 九ページをお開き願います。5、産業廃棄物として都内から排出されるアスベストの廃棄量(過去十年分)でございます。
 平成二十四年度から令和三年度までの各年度における廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の排出量を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
 令和元年度から令和五年度までの各年度における要措置区域及び形質変更時要届出区域の指定件数を記載しております。
 一一ページをお開き願います。7、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局の一年間の騒音発生回数及び一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数を記載しております。
 一二ページをお開き願います。8、東京都レッドデータブックに掲載されたエリアごとの絶滅種数及び絶滅危惧種数の推移でございます。
 (1)、区部につきまして、二〇一三年と二〇二三年における絶滅種数及び絶滅危惧種数(Ⅰ類、Ⅱ類)を分類群別に記載しております。
 一三ページをお開き願います。(2)、北多摩につきまして、同様に記載しております。
 一四ページをお開き願います。(3)、南多摩につきまして、同様に記載しております。
 一五ページをお開き願います。(4)、西多摩につきまして、同様に記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋(た)委員 よろしくお願いいたします。
 都は、新築住宅の断熱や省エネ性能の向上、再エネ導入を進める新たな制度を開始するなど、環境性能の高い新築住宅の普及促進に取り組んでいます。
 一方で、都内の居住世帯のある住宅ストックは、戸建てと集合住宅を合わせて約七百万戸と膨大であり、既存住宅の断熱、省エネルギー化を進めることは、CO2削減だけでなく、都民のより健康で快適な暮らしにつながる大事な取組です。
 都は、この既存住宅の省エネ化に向け、平成二十九年度から高断熱窓への改修を支援する事業を行い、年々、事業内容を充実してきたと聞いています。
 そこで、令和五年度における既存住宅の断熱改修の実績について伺います。

○荒田気候変動対策部長 住宅における冷暖房時の熱の出入りの約六割から七割は、窓などの開口部となっておりまして、その断熱効果を高めることが有効でございます。
 このため都は、これまで断熱効果の高い窓、ドアへの改修支援を行い、例えば居室一部屋だけでの窓改修やドア単独での改修も対象とするなど、より取り組みやすくなるよう支援内容も拡充してまいりました。加えて、令和五年度からは、リノベーションなど住宅全体での断熱改修にも対応できるよう、新たに壁や床などの改修も支援対象といたしました。
 その結果、令和五年度における断熱窓等への改修支援の申請数は約三万五千戸に上り、一昨年度と比べて約六割増加いたしました。

○本橋(た)委員 断熱、省エネ性能の高い既存住宅の推進に向けて、着実に実績を伸ばしていることが確認できました。
 しかし、住宅ストックは膨大であり、さらなる拡大に向けては、業界団体とも連携しながら、住宅を改修する様々な機会を捉えて、断熱改修のメリット等について周知を行うことが有効と考えますが、令和五年度の取組とその成果について伺います。

○荒田気候変動対策部長 都は、リフォームや省エネ設備など、住宅関係の四十団体と連携し、省エネ、再エネ住宅の普及促進に向けた情報共有や機運醸成等の取組を行う東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを令和四年六月に立ち上げました。参加団体は、令和五年度に四十九団体まで拡大し、連絡協議会や分科会を合計で八回開催するとともに、おおむね月一回程度、メールマガジンの配信を行い、団体を通じて会員事業者等に対し、都事業の紹介など情報提供を行ってございます。
 また、関係局とも連携し、夏季及び冬季の普及啓発イベントの開催や、住宅の耐震化に向けた相談、広報事業等を通じて、断熱改修の有効性や助成制度を周知してまいりました。
 今後も、都民や事業者に対し、様々な機会を用いて効果的に発信し、断熱性能の高い住宅の普及を推進してまいります。

○本橋(た)委員 こうした取組は、繰り返し継続していくことが大切であり、今後も着実に取組を進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
 次に、再エネ電力の利用拡大に向けた施策について伺います。
 都は、二〇三〇年までに再エネ電力の利用割合を五〇%程度とする目標を掲げ、様々な施策を展開しており、その一環として、令和五年度からは、新たに小売電気事業者による再エネ電源先行拡大事業を開始しています。
 これまで都は、都民や事業者が再エネ設備を設置するための支援、すなわち需要側への支援を中心に施策を展開されていると認識しておりますが、本事業は電力の供給側へ支援を行うものとなっています。
 そこで、まず初めに、改めて本事業の内容及び意義について伺います。

○荒田気候変動対策部長 都が掲げる再エネ電力割合五〇%程度の達成に向けては、都民や事業者への再エネ設備の導入促進に加え、都内に電力を供給する小売電気事業者による再エネ電力の供給拡大を図ることが重要でございます。
 そのため都は、再エネ発電設備を新設する小売電気事業者に対し、都内への再エネ電力の供給を要件に、その導入に係る設備費や工事費等の経費の二分の一、上限二億円を補助する事業を令和五年度より実施しております。
 本事業は、当該事業者が二〇三〇年までに再エネ割合を五〇%へ引き上げる計画の提出を求めるとともに、地域への配慮、貢献も要件としており、都内に供給される再エネ電力の拡大を図ることを目的としてございます。

○本橋(た)委員 新たに再エネ発電設備の開発が進めば、エネルギーの大消費地である東京にとって、再エネ電力が増える意義深い取組であり、地域への配慮、貢献を要件としているなど評価しますが、活用されるか否かが肝であります。
 そこで、次に本事業の令和五年度実績について伺います。

○荒田気候変動対策部長 令和五年度は六億円の予算を計上し、計六件、約六億円分の交付申請を受けてございます。具体的には、太陽光発電四件、風力発電二件となっており、これにより、約五メガワットの新規再エネ電源が開発される見込みでございます。
 申請事業者の中には、今まで都内において再エネ電力の供給実績がない事業者もおりまして、こうした事業者の意欲ある取組の後押しにもつながっております。
 今後も、こうした取組を通じて、再エネ電力の一層の利用拡大を推進してまいります。

○本橋(た)委員 本事業が予算額の目いっぱいまで活用されており、供給面での底上げにつながっていることが確認できました。今後も、都内の再エネ拡大に向けて着実に取組を進めていただくことを要望いたします。
 次に、フロン対策について伺います。
 フロンは、熱を効率よく運ぶ物質であることから、オフィスや商業施設など空調設備、スーパーのショーケースなど冷凍冷蔵設備等の冷媒として広く活用されています。
 しかし、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上の温室効果があることから、気候危機への対策として排出削減が世界的な課題となっています。都内においても、二〇二二年度のフロン排出量は、二〇一四年度比で約六二%増加しており、都内温室効果ガス総排出量の約一割に及んでいます。
 都は、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け、二〇三〇年までに、二〇一四年度比で排出量を六五%削減する目標を掲げ、国に先駆けて様々な取組を実施していますが、さらなる対策は急務です。
 そこで、本日は、フロン排出の状況及び令和五年度決算の観点から、各施策の取組状況について質問を行いたいと思います。
 初めに、フロン排出の状況について伺います。

○戸井崎環境改善部長 都内のフロン排出量は、二〇二二年度速報値で、CO2換算で約六百四十万トンとなっておりまして、業務用機器からは約四百三十万トン、家庭用エアコン等からは約二百十万トンの排出となっております。また、国の推計によりますと、業務用機器からのフロン漏えいの約七割は使用時に発生しておりまして、そのうちの約五割が、スーパー等で使用される別置型のショーケースとなっております。
 都は、令和元年度のフロン排出抑制法改正を契機といたしまして、ノンフロン機器への転換、先端技術の活用や立入検査の強化等による使用時、廃棄時の漏えい対策の強化を進めているほか、フロンの国際的な取組でありますモントリオール議定書による規制により、都内のフロンの排出量は、近年増加率は低下しております。

○本橋(た)委員 近年、フロン排出量の増加率は低下したものの、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けては、都内フロン排出量のさらなる削減が必要であると思います。
 フロン排出量を着実に削減するためには、フロンを使用しない機器への転換を推進することが不可欠です。特に、多くのスーパーやコンビニ等で使用されている冷凍冷蔵ショーケースなどのノンフロン化が進むと大きな削減効果が望めます。しかしながら、ノンフロン機器はフロン機器に比べて価格が高く、事業者にとっては負担が大きいという課題があります。
 都は、令和元年度から、省エネ型ノンフロン機器普及促進事業を展開し、事業者への支援を実施していますが、本事業の概要と昨年度までの支援実績を伺います。

○戸井崎環境改善部長 本事業は、冷凍冷蔵ショーケース等の設置に当たりまして、冷媒にフロンを使用しない省エネ型ノンフロン機器を導入する事業者に対しまして、費用の一部を支援するものでございます。
 令和五年度につきましては、中小企業等を対象に、補助率二分の一、一事業者当たり三千万円を上限に支援を行ったところでございます。令和元年度からの補助実績は、計七百十九台、約四千二百三十八万円でございまして、このうち令和五年度につきましては、計二百十七台、約一千四百六十一万円となっております。

○本橋(た)委員 昨年度、ノンフロン機器を導入する多くの中小企業等を支援し、積極的な活用が進んでいることが分かりました。今年度は、本事業において支援対象に大企業を加えたほか、中小企業等への補助率を二分の一から三分の二まで拡充したと聞いており、補助実績の増加が期待できます。
 一方で、ノンフロン機器は、フロン冷媒を使用する全ての機器で市場化されているわけではありません。フロン冷媒を使用する機器からのフロン漏えいを防ぐためには、フロン漏えいの多くを占める使用時の対策も不可欠です。
 都は、令和四年度から、使用時のフロン漏えい対策として、先進技術を活用したフロン排出削減事業を実施していますが、本事業の概要及び令和五年度の実績について伺います。

○戸井崎環境改善部長 本事業は、フロン漏えいの削減に寄与する先進技術を公募いたしまして、都と事業者による協働事業として、漏えいを早期に検知する技術の効果を検証するものでございます。
 令和五年度は、運転データをAIで解析することにより遠隔で漏えいを監視する技術など、三事業者を選定いたしまして、フロン冷媒を使用する事業所等での実装を行ったところでございます。
 その結果、漏えいの早期発見が可能となるほか、冷媒が漏えいにより不足する状態では、運転効率が低下し、消費電力が増加することなどが判明いたしまして、機器を導入することで、機器使用者にとっても大きなメリットがあることが確認できたところでございます。
 本年度につきましては、本事業により蓄積された情報や機器を導入することによるメリット等につきまして、機器使用者や業界団体等に向け、分かりやすく周知を図ってまいります。

○本橋(た)委員 二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けては、フロン排出削減は必要不可欠であります。
 今年度、都ではフロン対策検討会を立ち上げ、有識者等の意見を参考にしながら、今後の取組を検討していると伺っています。こうした機会を活用しながら、フロン排出削減に向けた取組を継続するとともに、事業者等を後押しする施策を積極的に展開することを要望して、次の質問に移ります。
 土壌汚染対策について伺ってまいります。中小事業者の土壌汚染対策です。
 都内には、メッキや金属製品製造など、町工場や個人経営のクリーニング店が多くあり、後継者不足や原材料費の高騰により、やむなく廃業に追い込まれる事態が増えています。
 土壌汚染対策法や環境確保条例では、有害物質を取り扱う工場や事業場を廃止する際には、まず土壌汚染の調査を行い、その後、汚染の状況に応じた対策を実施することとしています。これは中小事業者にとっては相当な負担であると聞いています。こうした状況に対し、我が党の提案を受け、東京都では、土壌汚染対策アドバイザー派遣制度など技術的支援を実施してきました。
 そこで、都が実施している土壌汚染対策アドバイザー派遣制度の概要と、令和五年度の実績について伺います。

○丹野環境改善技術担当部長 都は、中小事業者による土壌汚染対策を円滑に進めるため、平成二十三年度に、中小事業者に対して技術的な観点から適切なアドバイスを行う専門家を無料で派遣する土壌汚染対策アドバイザー派遣制度を開始いたしました。
 本制度は、平成二十四年度に、廃止時だけでなく操業中の事業者も利用可能といたしまして、平成二十六年度には派遣対象者を土地所有者にも拡大いたしました。さらに、平成二十九年度からは、アドバイザーが土壌調査を実施できるよう拡充いたしました。
 令和五年度の派遣実績は、廃止時五十三件、操業時十一件、土壌調査は七件でございました。制度開始からの累計派遣実績は、廃止時四百七十件、操業時八十件、土壌調査は三十二件でございます。

○本橋(た)委員 アドバイザーの派遣実績は累計五百件を超えており、事業者の活用は進んでいることが理解できました。また、操業中の事業者への派遣や土壌調査も実施できるようにするなど、制度を拡充していることは評価できます。
 一方で、工場や事業場を廃止した際に、その跡地の売却等でも土壌汚染が問題になります。土壌汚染がある土地の取引では、高額な費用がかかる汚染土壌の全量掘削が慣例として行われることが多く、中小事業者にとっては経済的に大きな負担となっていると聞いており、技術面だけでなく、これまでよりも踏み込んだ経済面での支援が必要だと考えます。
 都は、中小事業者による円滑な土地利用の転換を促し土地の活用を促進する、工場跡地等における持続可能な土壌汚染対策支援事業を昨年度から開始したとのことですが、この事業の概要と令和五年度の実績について伺います。

○丹野環境改善技術担当部長 本事業では、中小事業者等に対しまして、対策技術や土地取引に詳しい専門家による助言を行うほか、被覆盛土に対する費用の一部を支援しております。また、都が有識者の検討を経て認定いたしました土壌汚染対策技術を実証する中小事業者等に対しまして、その費用の一部を支援しております。
 専門家による助言及び被覆盛土に対する支援は、令和五年八月から実施しておりまして、それぞれ五件と一件でございました。また、土壌汚染対策技術につきましては、令和五年度は九件を認定いたしまして、実証に向けた調整を行いました。その結果、今年度から四件の実証事業を行っております。
 こうした取組により、中小事業者等の円滑な土地利用転換を後押ししていくとともに、持続可能な土壌汚染対策を推進してまいります。

○本橋(た)委員 土壌汚染対策の技術的支援だけでなく、対策に係る費用の一部を支援する事業を始めたことは高く評価いたします。これは、全国の自治体でも類を見ない先進的な取組と考えます。
 土壌汚染対策は、中小事業者にとっては切実な問題であります。都は引き続きこれらの制度の活用を促進していくとともに、支援の拡充を継続していただくことを要望して、質問を終わります。

○本橋(ひ)委員 では、よろしくお願いいたします。
 まずは、建築物環境報告書制度、いわゆる太陽光パネル設置義務化などの制度に関連してお聞きいたします。
 本制度は、令和四年十二月に条例改正が行われ、令和七年四月から開始となります。都は、条例可決から制度施行までの約二年間を準備、周知期間と位置づけており、円滑な制度施行に向けて大変重要な期間となっております。
 本制度の円滑な施行に向けましては、事業者の着実な準備が前提となります。都は、新制度の実効性を高めるため、本制度を様々な媒体を活用して周知するとともに、制度対象と見込まれる大手ハウスメーカー等五十社への直接訪問を実施するなど、事業者の状況を丁寧に把握して取組を進めていると聞いております。
 そこで、昨年度の都の取組と、制度対象となる事業者の準備状況をお伺いいたします。

○関建築物担当部長 都は、令和五年度までにそれぞれ計五回以上、事業者への直接訪問による意見交換等を行い、経営層に向けて制度の詳細や支援策の活用方法等を説明するなど、各社の実態を踏まえた取組を促進いたしました。
 令和五年度末時点において、ほとんどの事業者が制度開始に向けた取組を着実に進めており、環境性能の高い住宅の普及に向けた動きが進展していることを確認いたしました。
 例えば、制度施行を前にして、太陽光パネルの搭載を標準化した住宅の販売を開始したり、初期費用ゼロ事業と連携して建て売り住宅への設置を本格検討するなど、各社実情に応じた取組の推進が行われております。
 今後も、意見交換等を通じて事業者の進捗を丁寧に把握し、制度開始に向けた企業の取組を促進してまいります。

○本橋(ひ)委員 改めて、都は事業者の準備状況を丁寧に把握し、各社の取組も着実に進んでいることが分かったところであります。
 一方、制度の円滑な施行に向けては、対象となる大手ハウスメーカーなどの準備が進むと同時に、都民の皆さんの理解が進むことが大変重要であります。太陽光パネルや断熱、省エネ性能を備えた住宅のメリットについて、都民が理解し、納得して、こうした住宅を選ぶことで、初めてこの制度が機能するといえます。
 そこで、新制度についての都民の理解を得るため、条例成立後から令和五年度までに都が実施した取組の成果についてお伺いいたします。

○関建築物担当部長 建築物環境報告書制度や住宅の環境性能向上についての都民の理解を促進するため、様々な媒体や機会を活用し、広報を実施しております。
 制度に関する都民等の様々な問合せに直接丁寧にお答えするため、令和五年一月にワンストップ相談窓口を設置いたしまして、令和五年度末までに約五千件の相談に対応いたしました。
 また、制度概要動画のウェブ、交通広告、街頭ビジョンでの放映や「広報東京都」での周知、商業施設で住宅の環境性能のメリットについて発信するイベントなど、幅広い層に向けた広報を展開いたしました。
 さらに、住宅購入検討層向けには、ウェブターゲティング広告、住宅情報誌への記事掲載、住宅展示場でのイベントなど、効果的に情報を発信してまいりました。
 こうした取組により、令和五年度に実施したウェブアンケート調査では、三年以内に住宅の新築を検討されている方の制度の認知度は七割以上となっております。

○本橋(ひ)委員 都が様々な取組により新制度の認知度を向上させていることや、また、住宅の環境性能を高めることのメリットについても、しっかりと発信していることが確認できたところです。
 次に、新制度に関連して、太陽光パネルに関わる業界団体と連携した取組についてお聞きいたします。
 太陽光発電協会は、サプライチェーン上の人権問題に取り組んでおり、都は同協会と連携し、民間事業者の太陽光パネル調達過程における人権尊重の取組を後押ししていることは、大変評価できるところであります。
 国連のビジネスと人権に関する指導原則では、国家には人権を保護する義務が、企業には人権尊重の責任が規定されております。都は、こうした国際基準にのっとり、企業の継続的な取組を促すことが重要であります。
 そこで、都は、サプライチェーン上の人権配慮について、令和五年度に業界団体と共にどのように取組を進め、国に対してどのような対応を求めたのかお尋ねいたします。

○関建築物担当部長 都と太陽光発電協会は、令和四年十二月に締結した連携協定に基づき、実務者で構成するワーキンググループ等を活用し、人権尊重の取組等を推進しております。
 具体的には、令和五年四月に、同協会は、国のガイドライン公表後では国内初となる業界独自の取組ガイダンスを策定したほか、九月には、本ガイダンスを推進するためCSR委員会を発足させました。令和六年二月には、同協会は、他の業界に先駆け、大手パネルメーカーを含む会員各社の人権方針等の公表を開始いたしました。
 また、都は国に対し、サプライチェーン上の人権リスクの防止等に向けて、法制化も視野に、企業に対する人権デューデリジェンスの取組を一層浸透させることを要望いたしました。

○本橋(ひ)委員 ここまで、新築建物に対する太陽光パネル義務化等の制度に関連した質問を行い、事業者や都民はもちろん、業界団体と連携した取組もしっかり行われていることが確認できたところであります。
 次に、これらの取組が進む中、断熱、省エネなど環境性能の高い新築住宅の普及状況についてお聞きいたします。
 都は令和元年度から、基準を満たす新築住宅に対して、建築費用の一部を助成する東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しており、年々活用が進んでいると聞いております。令和四年度には基準の多段階化を行い、三つの水準を設け、より断熱、省エネ性能の高い住宅の普及に向けた取組を強化しています。
 そこで、令和五年度における各水準の内訳を含めた実績についてお伺いいたします。

○関建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅の実績についてでございますが、令和五年度は九千六百十九件の助成金の交付申請があり、令和四年度の四千四百四十件から二倍以上に増加いたしました。また、申請のうち約七割が太陽光パネルを搭載する計画となっております。
 令和五年度の内訳を見ますと、戸建て住宅が約八千件、集合住宅が約千六百件となっておりまして、どちらも都内の新築住宅の約二割が東京ゼロエミ住宅となっております。
 また、各水準の内訳を見ますと、水準一が七百七十三件、水準二が二千九百九十四件、水準三が五千八百五十二件となっておりまして、全体の約六割が、環境性能が最も高い水準三の住宅となってございます。
 工事が完了した住宅に対しまして、約八十四億円、事業開始の令和元年度からの合計では約百三十五億円の助成を行っており、多くの都民の方に本事業を活用していただいております。

○本橋(ひ)委員 太陽光義務化等の制度の施行を控える中、東京ゼロエミ住宅事業の活用が進んでいることが確認できたところであります。新制度施行に向けた取組や東京ゼロエミ住宅の普及など、環境性能の高い住宅等の普及に向けた施策が着実に成果を上げていることが分かりました。
 気候変動対策を進める上では、建物が多く集積する東京の特性を踏まえたこれらの取組が重要であることはいうまでもございません。引き続き、都民や事業者の理解と共感を得て、実効性の高い様々な施策展開を図っていただきたいと思います。
 次に、事業者と連携した資源循環の取組についてお聞きいたします。
 まず、食品ロス対策についてであります。
 国内の最新データでは、食品ロス発生量は、近年減少傾向にあるものの、令和四年度に四百七十二万トンと推計されております。この量は、国連世界食糧計画、WFPによる食糧支援量とほぼ同等となります。
 また、都内の食品ロス発生量は、国と同様に減少傾向となっていますが、令和三年度では三十六・八万トンと推計され、そのうち事業系が約六割を占めております。事業系の食品ロスをさらに削減するには、食品の製造、卸、小売などのサプライチェーンの各段階で、食の先進技術、すなわちフードテックを生かした取組が重要と考えます。
 都は昨年度、フードテックを活用した食品ロス削減推進事業を実施いたしました。その取組と実績についてお伺いいたします。

○木村資源循環計画担当部長 都は、事業系の食品ロス削減に向け、ICT、AI等を活用した需要予測や急速冷凍技術等の先進技術を導入する二つの事業者に対し、合わせて約二千万円の支援を行いました。
 具体的には、小売店において、消費期限間近の店内調理品を急速冷凍した上で、子供食堂に寄贈するとともに、期限の切れた食品は飼料等にリサイクルする取組を後押ししました。これにより、一か月間で約六百キログラムの食品ロス削減につなげました。
 また、賞味期限が迫った加工食品や過剰在庫となった野菜等の食材を有効活用するカレーやスープ等の冷凍商品を新たに開発するほか、購買データを分析し、販売促進や在庫管理を行う事業者を支援いたしました。これにより約二千七百食の新たな食品にアップサイクルすることができました。
 こうした先進的な取組を、製造、卸、小売、外食、消費者等で構成する食品ロス削減パートナーシップ会議において共有し、さらなる取組を促進してございます。

○本橋(ひ)委員 フードテックを活用した事業者との連携によって食品ロス対策を実施したことが、今のご説明で分かりました。引き続き事業系の食品ロス削減に向けた取組を進めていただきますよう強く要望させていただきます。
 次に、廃食用油を活用した持続可能な航空燃料、SAFの製造に向けた取組についてお聞きいたします。
 航空機はCO2の排出量が多く、航空分野における二〇五〇年までのカーボンニュートラルの達成に向けて、SAFへの期待は大きいものがあります。中でも、廃食用油を原料とするSAFは、従来のジェット燃料と比べ、CO2排出量が八割削減できるということで、国内のみならず、世界中で争奪戦となっているとのことであります。
 ただ、現状では、家庭から排出される廃食用油はほとんど捨てられており、事業系から排出される廃食用油は回収されているものの、三分の一が国外へ輸出されているため、国内での循環が必要となります。その廃食用油をしっかり回収し、国内で活用する流れに切り替えていくには、様々な機会を通じて、貴重な資源であることを広く都民の皆さんに知ってもらうことが必要です。こうした中、都が昨年度、SAFの原料となる廃食用油の回収を共同で行う事業者を公募する取組を始めたことは、評価できるところであります。
 そこで、事業者との連携による廃食用油の回収に向けた具体的な取組の内容と成果についてお伺いいたします。

○宗野資源循環推進部長 都は昨年度、廃食用油に係る普及啓発と回収を行う事業を公募の上、二つの事業者を採択し、合わせて約七百万円の支出を行っております。
 大手スーパーを主体とする事業では、集客力や利便性を生かして、廃食用油は貴重な資源であることを広く呼びかけるとともに、専用のボトルを配布し回収する取組を都内九店舗で開始しております。現在は都内の全二十四店舗に拡大しておりまして、系列店での回収も進めているところでございます。
 また、石油元売事業者などを主体とする事業では、都内八自治体の環境イベントにおきまして、VRを活用し、廃食用油からSAF製造までの過程を分かりやすく見える化するなどの工夫を図り、家庭からの回収を促進しております。
 加えて、「東京 油で空飛ぶ 大作戦 Tokyo Fry to Fly Project」と銘打ったキャンペーンを羽田空港で行うなど、情報発信の強化を図るとともに、大手飲食チェーンなど九つの企業からの回収を実施いたしました。

○本橋(ひ)委員 廃食用油の回収には、都民の皆さんの共感を呼ぶ普及啓発が欠かせません。こうした取組を継続的に実施していくことが必要です。
 都は今年度から、廃食用油だけでなく、廃棄物からのSAF製造に向けた取組を開始したと聞いています。こうした取組を含め、今後も事業者との連携をさらに深めていただくことを期待しております。
 次に、DXを活用した野生動植物情報の収集についてお聞きいたします。
 東京は、一千四百万都民が暮らす大都市でありながら、奥多摩の山地から丘陵地の里山、市街地の緑地や水辺、島しょ部の原生的な自然など、実に多様で豊かな自然を有する、世界でも類を見ない都市であります。
 一方で、昨年度策定された生物多様性地域戦略では、東京の野生生物や生態系に関する自然環境情報が十分に把握されておらず、科学的知見に基づく現状評価が不足していることが課題として挙げられております。
 都は昨年度から、都民参加型の生き物情報収集を開始しております。幅広い都民の参加、協力をいただくこうした取組は、多様なエリアを持ち、人口も多い東京における情報収集の手段として有効だと考えます。
 そこで、この事業の目的と、事業を実施する上で工夫した点についてお伺いいたします。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 本事業は、都民が身近なところでスマートフォンで撮影した生き物の画像をアプリに投稿していただき、その情報を分析、整理して、デジタル版野生生物目録の作成につなげていく取組でございます。
 アプリでは、撮影した生き物の種類をAI判定機能により知ることができるほか、SNS機能を通じて参加者同士の交流が図れるようにすることで、誰もが手軽に楽しみながら参加できるようにしております。
 また、より多くの方にご参加いただけるよう、季節やエリアごとに様々なテーマを設定した東京いきもの調査団と呼ぶプロジェクトを展開することで、都民の関心を高める工夫を行っております。

○本橋(ひ)委員 身近なツールでもありますスマートフォンを使って、誰もが気軽に参加できる上、一人一人が自然に野生生物の目録作成に貢献でき、また、同時に自然について学ぶことができる、非常によくできた取組だと思います。
 それでは、昨年度の東京いきもの調査団の取組でどのようなことが分かったのか、また、取組を通じた成果についてお伺いいたします。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 昨年八月上旬から十二月上旬にかけて、延べ百二十日間実施した調査では、約一万人にご参加いただき、十二万五千件の投稿を得ました。
 この調査では、例えば都心部でも在来野草のセンニンソウが生育していること、東南アジア原産の特定外来生物であるガビチョウが北多摩から南多摩の丘陵地で多く記録され、在来鳥類との競合が懸念されることなどが明らかになりました。
 また、昨年度の東京いきもの調査団による投稿に標本、文献情報などを加えまして、トンボに関するデータベースを整理し、本年五月に目録として公表してございます。

○本橋(ひ)委員 この取組は、先般の定例会での私どもの会派代表質問で取り上げました自然環境デジタルミュージアム構想を具体化していく上で重要な取組であると考えております。この取組をきっかけといたしまして、都民が生き物に触れ合うことで生物多様性への理解を深め、その保全、回復に向けた実際の行動につながることを大いに期待するところであります。今後とも着実に事業を推進していただくことを要望しておきます。
 以上で私からの質疑を終えます。

○かまた委員 それでは、始めさせていただきます。
 二〇三〇年のカーボンハーフ達成に向けては、都民や事業者の理解を得ることが必要不可欠であり、そのために都が自ら率先して行動し、都民、事業者等の取組を牽引することが重要です。
 都においては、二〇三〇年度までに設置可能な全ての都有施設に太陽光発電設備を設置するため、まずは二〇二四年度、すなわち今年度までに、知事部局等で累計二万キロワットの設置を目標に取組を進めております。
 そこでまず、令和五年度の取組状況についてお伺いをします。

○中村率先行動担当部長 都は、新築、改築時に加え、既存の都有施設への太陽光発電設備の設置を進めていくため、環境局において、局横断的に設置を進める体制を構築し、取組を進めております。
 この体制の下、各局と連携し、前倒しで取組を進めることで、令和五年度は五十七施設で太陽光発電設備の設置工事を行いました。また、九十六施設の設計を完了するとともに、新たに百四十二施設で太陽光発電設備の設置の可否について調査を行いました。
 こうした取組などにより、令和四年度末では知事部局等で累計約一万キロワットであった太陽光発電設備が、令和五年度末までには約三千キロワット増え、約一万三千キロワットとなり、目標達成に向け、着実に取組を加速しております。

○かまた委員 目標達成に向けまして取組を加速化していることが分かりました。引き続き、都自ら率先した姿で都民、事業者の取組を牽引していっていただきたいと思います。
 続きまして、家庭における省エネへの支援策についてお伺いをいたします。
 我が党は、家庭で取り組みやすい、省エネ効果を実感しやすい省エネ家電への買換えを促進する東京ゼロエミポイント事業の拡充をここ数年度々質問し、また要望もしてまいりました。
 一方、都は、令和元年に事業を開始して以降、対象機器の拡大やポイントを引き上げるなど、取組を強化しております。特に、令和四年七月から対象となりましたLED照明器具につきましては、自ら取替えが難しい高齢者の方々などへの配慮として、照明器具の取替えも支援対象としており、高く評価をしております。
 本事業は、都民も喜びながら省エネ行動を進めることができるため、これまでの事業スキームの様々な見直しが着実に都民の行動変容に結びついているものと考えます。
 そこで、東京ゼロエミポイント事業による昨年度の家電等の買換え実績と、それによる削減効果についてお伺いをいたします。

○荒田気候変動対策部長 都は、令和元年より行ってきた東京ゼロエミポイント事業をより多くの都民が利用できるよう、令和四年七月以降、エアコンの対象製品を省エネラベルで二つ星以上に拡大したほか、居室の照明を省エネ効果の高いLED照明器具へ交換した場合も新たに省エネの対象といたしました。また、令和五年度からは、事業開始以降の家電製品の価格上昇も考慮し、東京ゼロエミポイント全対象製品の付与ポイントを約二割引き上げました。
 その結果、昨年度の実績は、エアコンが約十七万三千台、冷蔵庫が約十四万二千台、給湯器が約二万三千台、LED照明器具は約六万四千台、全体で約四十万二千台となり、前年度に比べ約四割増と大幅に増加いたしました。

○かまた委員 ありがとうございました。
 大きな効果が出ていることが確認できました。さらに、この十月からは店舗での直接値引き方式に変更となりまして、さらに便利になります。ますます家庭での省エネ行動が進むことを期待いたしまして、引き続き実施をよろしくお願いいたします。
 続きまして、衣類のリサイクルについてご質問します。
 循環型経済を進めるためには、都民、事業者、行政が一体となって、使用済みの製品を同じ製品に生まれ変わらせる、いわゆる水平リサイクルの取組が重要です。
 特に、衣類につきましては、国の調査によりますと、令和四年に年間約七十三万トンの衣類がリサイクル等に回らず、約六五%が廃棄をされているという実態があることが分かりました。
 我が党もかねてより、衣類の廃棄につきましては、CO2排出の面からも課題であると捉え、繊維の再生利用を強く求めてまいりました。また近年、水平リサイクルの技術開発を進める事業者もあることから、こうした事業者の取組をしっかり都が後押しするべきと考えます。
 そこで、昨年度の衣類のリサイクル拡大に向けた都の取組内容と実績についてお伺いをいたします。

○木村資源循環計画担当部長 都は、衣類をはじめとした資源循環の高度化に向け、リユースビジネスや水平リサイクルの実装化を目指す事業者の取組を支援してまいりました。
 令和五年度は、大手の毛織物メーカーと連携し、高校の卒業生から寄贈された制服を繊維原料に戻し、入学生用のジャケット約七百着に循環利用する取組を後押しいたしました。このことが入学希望の生徒や保護者から好評を得られ、学校とメーカーによる継続的な取組につながりました。
 また、新たな繊維の水平リサイクル技術を研究開発している事業者と連携し、都民の廃棄行動や意識に係る調査分析費用を支援することで、回収実態や行動変容に向けた課題等を把握いたしました。このことを自治体が参加した勉強会で周知し、効果的な回収につなげることができました。
 引き続き、こうした事業者等と連携して、衣類のリサイクル技術の社会実装を推進し、サーキュラーエコノミーへの移行を促進してまいります。

○かまた委員 ご答弁にありました制服のリサイクルは、都民を巻き込む工夫されたよい取組だと思います。都は、さらなる衣類の回収拡大に向けまして、事業者、自治体と連携した取組を着実に推進するとともに、都民に対する衣類のリサイクルに関する普及啓発を進めていただくことを要望させていただきます。
 続きまして、ユニバーサルデザインタクシー、いわゆるUDタクシーの普及拡大について質問をいたします。
 UDタクシーは、環境性能が高い上、車椅子のままでも乗降できるなど、誰もが利用しやすい移動手段として定着しつつあります。また、UDタクシーはハイブリッド車で燃費がよい上、利用者からも好評なことから、UDタクシーを積極的に導入したいと考える事業者も多いと聞いております。
 都は、このUDタクシーに補助を行っており、特に中小事業者に対しては、都単独の場合、百万円の補助を行っておりまして、普及に当たっては、この都の補助金の果たした役割は大きいと考えます。
 そこで、このUDタクシー補助のこれまでの実績と、補助制度の活用に向けてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○戸井崎環境改善部長 UDタクシーは、誰もが移動しやすく、環境性能が高いことから、都は平成二十八年度に補助を開始いたしました。令和五年度におきましては四千三十四件の申請がございまして、補助開始から令和五年度末までに、都内法人タクシーの約六割に相当する約一万八千台に対しまして補助を実施いたしました。
 当該制度をタクシー事業者に分かりやすくお伝えするため、東京都及びクール・ネット東京のホームページで周知を実施するとともに、業界団体、自動車メーカー等と連携をしながら周知を行っております。
 今後も、これらの取組を着実に行い、補助金の一層の活用を促してまいります。

○かまた委員 都は、補助の要件としまして、車椅子の取扱いや乗降時の介助方法等についても習得する研修を実施するようにスキームをつくっているとのことで、本当にすばらしい取組であります。今後もUDタクシー補助金のさらなる活用を進めていただければと思います。
 私からの質問は以上で終わります。
   〔荒田気候変動対策部長「答弁漏れがございましたので」と呼ぶ〕

○荒田気候変動対策部長 大変失礼いたしました。先ほどの東京ゼロエミポイント事業でございますけれども、この買換え行動によるCO2排出の削減量は五万四千トン程度と試算してございます。大変失礼いたしました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 丁寧なご答弁をまずお願いしておきますね。
 生物多様性地域戦略について伺っていきたいと思います。
 この地域戦略、昨年度四月に策定をされています。生物多様性は、地球上の人間を含む多様な生命の長い歴史の中でつくられたかけがえのないもので、生活に欠かせない恵みを与えてくれますとあります。都市化や気候危機によって生物多様性が失われることなく、持続するために、都としてもできる限りの取組をまず求めておきたいと思います。
 地域戦略では、生物多様性の抱える問題も提起されております。人間活動による影響をはじめ、四つの危機があるとしています。
 まず、その中の、人により持ち込まれたものによる影響について、伊豆大島のキョンの問題です。都としても力を入れて、お金も使って取り組んできた問題であります。
 キョンは、聞くところによると、伊豆大島の動物園にいた動物でありましたが、台風があったため逃げ出して、それ以降、強力な繁殖力で増えていったと。島の農産物などに被害を与えるようになったと聞いています。
 そこでお聞きしますが、キョンが繁殖することによる農家などへの被害状況、生物多様性への影響について伺います。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 キョンの増加により、サクユリをはじめとする希少植物や、アシタバ、サツマイモなどの農作物への食害が見られます。

○とや委員 サクユリをはじめとする希少植物、被害を受けていると。サツマイモなどの農産物も被害を、食害が見られるということですが、こうした食害や、生物多様性に影響があるサクユリが食べられてしまうと、じゃあ大島の人たちにどんな影響があるのか、農家の人たちにどんな影響があるのか教えてください。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 栽培している植物が食害を受ければ、衆人に影響があると考えております。

○とや委員 農家の人たち、ほんと大変ですよ、これ。ですから皆さん頑張ってくださっていると思うんですが、キョンのチラシを見ますと、鹿の仲間で、外国から持ち込まれた特定外来物でありますと書いてありました。外来種は、意図的、非意図的にかかわらず、人為、人の手によって発生するものであります。外来種が悪いのではなく人間が持ち込んだことが悪いのであって、私たちは重大な環境問題として認識しなければならないと思います。その上で、持ち込まれた地域で、農業や経済への被害や健康被害も引き起こしたり、生物多様性の保全や人間社会への被害の予防や軽減をするため対策を講じなければなりません。
 私もこの夏、伊豆大島に行きましてキョンを見てきました。本当に数が多いので、そこらじゅうにいるんだなと思ったんですが、そこで、昨年度における捕獲数と推定生息数を伺います。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 昨年度の捕獲数は約六千六百頭、昨年末の推定生息数は約一万八千九百頭であり、令和元年末をピークに減少に転じております。

○とや委員 捕獲を始めたのが平成十九年、二〇〇七年ということで、十七年間ぐらい捕獲し続けて、ようやく五年前にピークを迎えて減り始めているということであります。これは皆さんのご努力だと思います。こうした外来種の駆除は時間がかかるといわれていますが、島の農産物や生物多様性保全のため、引き続き取り組んでいただいて、さらに強化していただくよう求めておきます。
 より確実に捕獲することが重要でありますが、捕獲にはどのような方法を使っているのか伺います。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 キョンの捕獲に当たりましては、支柱の間に設置した張り網や箱型のわな、銃器等で捕獲をしてございます。

○とや委員 伊豆大島の方にお話聞きますと、網の傷ついた場所を見つけて、ほんの小さい穴から入ってしまうそうです。大島は遊休農地が多くて樹林地と化してしまって、そこがキョンのすみかになったり通り道になっていると聞いています。
 住民の方々からは、その場所を使って、樹林地と化してしまった遊休地も使って、追い込んで捕獲してはどうかという声もあります。つまり、行動範囲の抑制による捕獲は、捕獲区域範囲では効果が出ているということなんですが、その外側、遊休農地を通り道としていたり、耕作地や住宅地では減っていないとも聞いております。どのような対策を取っているのか、遊休農地を一時的に活用し、追い込むことで、捕獲する方法などの対策も必要ではないでしょうか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 市街地では銃の使用が制限されるため、わなや張り網を用いた捕獲を行っております。また、昨年度は、休耕地等に誘導柵を設置し、人や犬でキョンを追い立てる捕獲を試験的に実施してございます。

○とや委員 試験的に実施したということです。これは非常に重要な取組だと思います。
 この試験的な実施ですけど、いつまでこれはやるのか、いつ頃まで試験的に実施するのか教えていただけますか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 試験的取組は昨年度実施をいたしまして、現在、効果の検証を行っているところでございます。

○とや委員 ぜひ効果の検証をきっちり行っていただいて、住民の皆さんの要望に応えていただきたいと思います。農作物をキョンに食べられて、つくるのをやめてしまったという方もいらっしゃいます。ぜひ本格実施していただくよう求めておきます。
 伊豆大島はタイワンザルもいます。これについても被害が発生しております。いろいろ事情があるようですが、ニホンザルとよく似た猿なんですが、こちらも外来種なんですよね。東京都は、いろいろ事情があってまだ手をつけていないようですが、ぜひこの外来種についても捕獲に乗り出していただきたいと要望しておきます。
 次に、生物多様性地域戦略における湧水の保全、復活について伺いたいと思います。
 生物多様性地域戦略を開きますと、将来の姿として、三宝寺池を含む都立公園の池の湧水の復活が位置づけられています。
 東京都は、生物多様性を保全する観点から、湧水の重要性についてどのようにお考えになっているのかお聞きします。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 湧水は、豊かな自然環境を育み、都民に潤いと安らぎをもたらす東京の多様な生態系の一部でございます。
 地域戦略では、二〇五〇年の将来像として武蔵野三大湧水池の復活を掲げてございます。

○とや委員 私の地元練馬には、石神井公園という都立公園があるんですが、そこが三宝寺池という、武蔵野三大湧水池といわれる場所であります。
 三宝寺池には、沼沢植物群落という貴重な植物の群生地があって、一九三五年、昭和十年ですね、天然記念物に指定をされております。
 石神井公園三宝寺池沼沢植物群落保存活用計画によれば、指定前、天然記念物への指定前は湧水が豊富にあったと。カキツバタやハンノキが群生していたようでしたが、昭和三十年代に周辺の急激な都市化が進んで、自然が大きく変化し、湧水が激減しています。昭和四十年代には干上がってしまったというふうに記録があります。つまり、かなり以前より湧水が枯渇していて、今は井戸で水をくみ上げているのが現状です。この池の湧水が復活すれば、沼沢植物群落はしっかりと守られ、池の水も浄化され、生物多様性の保全も進んでいくと思います。ぜひ復活に本気で取り組んでいただきたいと思います。
 お聞きしておきたいんですが、湧水復活に向けてどのように取り組んでいらっしゃいますか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、区市町村と連携した雨水浸透施策の推進や、湧水等の保護及び回復に関する普及啓発を進めてございます。

○とや委員 随分簡単な答弁ですよね。
 一九六五年当時ですから、既に五十年以上たってしまっております。一度枯渇した湧水を復活するということは至難の業だと思います。それでも挑戦するということですから、ぜひこれまで以上の頑張りを期待したいと思います。
 東京都は現在、豪雨対策で雨水浸透施策に取り組んでおります。グリーンインフラにも着手しようとしています。雨水が地下にしみ込み、豊かになることを期待します。そして、他局とも連携して復活していただくことを求めておきます。
 湧水復活には、たゆまぬ努力、取組が必要ですし、時間もかかります。その場合、どうやって池に水をたたえさせるかであります。やり方はいろいろあると思うんですが、一九九五年当時、国分寺市と東京都の環境局は、水環境の再生として姿見の池の復活に取り組み、成功しています。このとき、池の水をたたえるため、池周辺の井戸から東京都の指針の規制上限の水をくみ上げても水量が不足したため、JRの協力を得て、地下湧水を池に流し込んだことで、姿見の池の湧水は復活をしました。
 水環境の再生のために、当時、環境局がイニシアチブを取ったと、発揮したということが重要でしたが、現在もこの姿勢に変わりはありませんか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、先ほどお答えいたしました湧水等の保護のほか、水再生センターの高度処理水を活用した清流復活事業や、鉄道からの地下漏えい水の環境用水への利用など、水辺環境の保全、回復に取り組んでおります。

○とや委員 鉄道からの漏えい水の環境用水への利用だということをお答えいただきました。これはJR品川駅の漏えい水の環境用水としての利用だとお聞きしております。まさに今、私、紹介しました一九九五年当時の対応に近い取組であり、非常に重要な答弁だと思います。当時の姿勢に変わりはないということを確認しました。
 湧水復活の対象となっている三宝寺池ですが、今申し上げましたが、井戸から水をくみ上げ、何とか池の水量を維持し、沼沢植物群落保全をしている状態です。
 しかし、去年の暮れにはこの井戸のポンプが故障して、数か月間水は池にたまらない。水位が大幅に下がりました。冬の季節だったのでアオコの発生も少なくて済んだわけですが、さらに今年の台風で、池のほとりのメタセコイアに二度も落雷があって、ポンプがまた故障しました。修理に一か月ぐらいかかって、水をくみ上げることができなかったわけです。冬に壊れたときに新しいポンプに取り替えたんですけれども、このポンプは、現在の水量は確保できるものの、やがて水量がさらに不足するのではないかといわれており、それに対応することが必要との声が上がっております。
 環境確保条例では、非常災害用等公益上必要と知事が認めた場合には、井戸を設置することができるという条項があります。沼沢植物群落などの天然記念物保全のため、環境確保条例第百三十四条第三項第六号の適用除外として、知事が認める揚水施設に該当する施設として扱うべきではないでしょうか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都は、地盤沈下防止という行政目的のため、地下水揚水規制を運用しております。お話の条項は非常災害用等を想定したものであり、個々の事案の状況等に応じて公益上の必要性を判断していくことになります。

○とや委員 確かに、これまでは非常災害用ということを想定したということですが、この条項は非常災害用だけでなく、等ということ、などという部分に、天然記念物である沼沢植物群落が該当するのではないかということでお聞きしました。答弁では、個々の事案の状況に応じて公益上の必要性を判断するということですから、適切な判断をしていただきたいと要望をしておきます。
 最後は、生物多様性保全にどういうふうに取り組んでいくのかということをお聞きします。
 絶滅種の資料もお出しいただきました。これ、拝見しますと、やっぱり区部の絶滅種が非常に数が多くなっていて、多摩、特に西の方に行くと絶滅種は少なくなっていると。これは当たり前ですけど、自然が多ければ絶滅種は守られるんだということだと思います。
 同時に、国が法律をつくっているんですが、国立公園や希少種に特化するのではなく、包括的に生物多様性の保全を推進することを目的として、二〇〇八年に生物多様性基本法が施行されているわけです。希少種やレッドリストに載っていない生物についても保全し、自然と共生することの重要性、この重要性についてどう考えるかお答えいただきたいです。
 例えばマルタンヤンマ、これはトンボですけど、レッドリストには載っていませんが、大量の捕獲によって、特定の場所での個体数が激減しているという事例があります。こうした生物も含め、生物多様性を保全することが必要ではないでしょうか。

○宮武自然環境部長生物多様性担当部長兼務 生物多様性の保全、回復には、種同士のつながりを意識し、生息、生育環境を保全していくことが有効であり、都は現在も、条例に基づく保全地域の指定拡大などにより、地域における多様な生き物の生息、生育環境の保全に取り組んでございます。

○とや委員 ありがとうございます。
 生物多様性の保全、回復には、種同士のつながりを意識することが有効であり、希少種やレッドリストに載ることがなくても、多様な生物の保全に取り組むということで、都の基本姿勢を確認することができました。
 生物多様性地域戦略の冊子の表紙の説明を拝見しました。これです。(資料を示す)この表紙はオオシオカラトンボです。このオオシオカラトンボについて、表紙の裏に説明が載っていました。たまたま見つけたんですけど、短いので読ませていただきます。
 東京では、トンボ類が二〇二一年五月までに百八種が記録されており、鹿児島県の百二十種に次ぐ全国第二位の数字ですと。東京が、狭小な面積にもかかわらず、種の多様性が極めて高い地域であることがわかるシンボル、象徴としてトンボを掲載しました。オオシオカラトンボは、東京都の保護上重要な野生生物種、東京都レッドリストには掲載されていないものの、区部での多産地は少ない種です。都心も含めた東京全体で、多様な生き物が身近に見られるような環境を保全、回復させ、自然と共生する豊かな社会を都民の皆様と目指していく思いを込めています、こういうふうに書いてあったんですね。
 これ、本当にそのとおりだなというふうに私思いました。この精神こそ生物多様性の本質だと思います。私が質問で例に挙げたマルタンヤンマのようなトンボも含めて大事にしていただいて、生物多様性の保全に努めていただきたいと思います。
 ご答弁では、都は条例にも依拠して、地域における多様な生き物の生息、生育環境の保全に努めるという基本姿勢が確認できましたので、大変重要だということを重ねていいたいと思います。そのことを再確認した上で質問を終わります。ありがとうございました。

○宮瀬委員 よろしくお願いいたします。
 久々に環境局の皆さんへの質問でありまして、今までの質疑の方から、六年前になりますけれども、その後どうなったのか、あるいは五年の決算に合わせてお伺いをしていきたいと思います。
 能登の災害におきまして、やはり目立つのは、瓦礫がいまだになかなか処理が進んでいないといった状況が大きな課題だと思っています。
 九月二十七日から東京都の方でも、瓦礫の、可燃性のごみの受入れを始めたといったことでありますが、都の災害廃棄物処理計画は昨年九月に改定されたと聞いております。実際に東京都で首都直下地震が起きたときに、どれぐらいごみが残ってしまうのかというのは、やはり気になるところかなと思います。
 過去、平成二十九年の環境・建設委員会で質疑した際は、東京湾北部地震の被害想定を基にした推計の場合、全体で四千二百八十七万トン災害廃棄物が出て、うちコンクリートが三千六百万トン、可燃のごみが四百九万トンということで、都内の処理能力が百三十四万トンでしたので、計算すると六年、処理に時間がかかってしまうといった計算をさせていただき、これは六年もごみが処理されないというのはやっぱり、廃棄物がですね、問題だといったことで、ぜひ見直していただき、なるべく早くといいますか、できるだけ早く、六年というのを短縮していただきたいと質疑させていただきました。
 そこで、昨年改定された計画における被害想定や処理能力を基に同様の試算をした場合、可燃物の処理が完了するまでどれぐらいの期間となるかお伺いします。

○宗野資源循環推進部長 都は、令和四年度に見直されました首都直下地震等による東京の被害想定などを踏まえまして、昨年九月に東京都災害廃棄物処理計画を改定いたしております。
 同様の試算をした場合、可燃物の処理が完了するまでに三年半ということになります。

○宮瀬委員 約六年から三年半に短縮されたといったことで、皆様のご尽力に敬意を表したいと思います。木密地域の解消が進んで、木材等の廃棄物が減っていくことも要因の一つだと聞いておりますので、さすがに、しかし三年半という月日は長いので、ぜひさらに短くできるよう要望をしておきます。
 また、復興に関しまして、早期の復興に向けては、改めてお伺いするんですけれども、処理期間の短縮を改めて求めたいと思います。どのように取り組んできたのか、そしてどのように取り組んでいくのかお伺いします。

○宗野資源循環推進部長 大規模な災害により膨大な災害廃棄物が発生し、都内の施設だけでは処理ができない場合には、他県の自治体等から支援を受けることになります。こうした場合、国が設置する災害廃棄物対策関東ブロック協議会を通じ支援を求めることとされておりまして、都はこの協議会に参加し、平時から関連自治体との顔の見える関係の構築に努めているところでございます。
 また、大規模災害の発生時には、被災した区市町村のニーズを的確に把握するとともに、こうした枠組みを活用し、都が中心となって他県等の自治体との調整を進め、迅速な復旧、復興につなげてまいります。

○宮瀬委員 平成二十九年の環境・建設委員会での質疑の際に、ご答弁の中で、復旧復興期までに対応すべき業務手順等を記したマニュアルをぜひ制定すべきだという提案に対しまして、整備していくということと、区市町村等と連携をした訓練に取り組んでいくとのご答弁がございましたが、昨年度の取組実績について伺います。

○宗野資源循環推進部長 都は、平成二十九年度に策定いたしました災害廃棄物処理計画に基づき、令和二年度に、実務的な業務手順、様式等を定めた災害廃棄物処理マニュアルを公表いたしております。昨年度には、最新の知見やノウハウを反映し、改定をしております。
 都は、本マニュアルも活用しながら、区市町村の職員を対象として、継続的に災害廃棄物対策に係る最新の知見等を共有するほか、災害廃棄物処理の図上訓練等を実施することにより、レベルのアップを図っております。
 昨年度は、災害廃棄物対策に関するワークショップや実地訓練、図上演習など、計五回開催し、百名を超える自治体職員の参加を得て、災害対応力の向上を図っております。

○宮瀬委員 ご答弁いただいたのが五年ぐらい前ですかね。そこからこのように進んで、昨年もワークショップ、実地訓練、図上訓練などやっていただいているといったことで、これからも引き続きやっていただくようにお願いいたします。
 次に、食品ロス対策について伺います。
 これも過去質疑を、平成三十年三月の委員会でやったんですけれども、東京都は、ふだん災害に向けて備蓄している物資をマッチングする仕組みを発表されたといったことで、公表があった後の質疑でございました。その実績と令和五年度の実績も含めてお伺いします。

○木村資源循環計画担当部長 都は令和二年度に、都及び区市町村が保有する防災備蓄食品について、フードバンク等の需要をシステム上でマッチングする仕組みを構築いたしました。提供元として都のほか二十四区市、提供先としてフードバンク等の十五団体を登録し、令和五年度には十万食以上、累計で二十万食を超える寄贈につなげました。

○宮瀬委員 破棄されてしまう予定のものが必要なところにマッチングされて届いていくというのは、大変いい取組だと思います。一方で、そのサイトはどこにあるのかなと検索してみても出てこないということで、クローズのサイトだと聞いています。
 ただ、やっぱり全部の区市町村でもありませんし、フードバンクが十五団体ということで、フードバンクの団体はもっとたくさんあると思っています。ですので、ぜひ何か、もう少し活用していただけるような形にした方がいいんではないかなと思っております。
 また、これ、大きな課題ではないかなと思うところは、じゃあ東京都はどれぐらい備蓄をして破棄しているんですかとお伺いを打合せのときにさせていただいたら、分かりませんと。つまり、今答弁がありました二十万食、これ累計ですよね。令和五年が十万食。でも、その分母が分からないと、どれぐらいフードロスに貢献しているのかつかめてこないと。
 今回はあえて聞きませんが、例えば百万食捨てていて、令和五年は十万食渡しているとすれば、九十万はロスしているわけですね。ですので、全体像をちゃんと把握していただいて、そのうちの十万食なのか、割合は次、ぜひ聞きたいと思いますので、調べていただければと思っております。
 また、区市町村も二十四区市ということで、本当に必要な区市町村ももっとあるんではないのかなと思っておりますので、ご活用をしていただくような動き、もし都がもっと捨てているようであればね、いただきたいと思っております。
 次に、また同委員会におきましてご提案させていただいた取組がございます。防災備蓄食品というのは、どうしても乾パンとかアルファ化米とか限られていると。世の中でどんどん捨てられている食材というのは、とてもそれ以外の食品でも多いと。なので、都の防災備蓄食品だけではなく、様々な食品に門戸を開いたマッチングのポータルサイトをつくったらいいんではないでしょうかとご提案させていただきました。
 そういった提案に対しまして、東京都の方が、野党といいますか、少数会派だったんで、めったにいい答弁もらわないんですけれども、そのときは答弁をちゃんといただきまして、読み上げますと、パートナーシップ会議におきましても、防災備蓄食品以外の余剰食品につきまして、寄贈などによる有効活用の仕組みに向けた議論を重ねているところでありますと、今後、こうした議論を踏まえまして、具体策の検討を行ってまいりますと、非常に前向きなご答弁いただきました。
 そういった過去の質疑も含めまして、令和五年含めまして、具体的にどうなったのかお伺いいたします。

○木村資源循環計画担当部長 現在、ご提案のサイトはございませんが、都は、食品ロス削減パートナーシップ会議での議論を踏まえた提言を受けまして、令和三年三月に東京都食品ロス削減推進計画を作成いたしました。
 この計画では、未利用食品の有効活用策として、防災備蓄食品の積極的な活用のほか、区市町村や民間における取組の後押しを掲げております。このため、区市町村によるフードバンクの活用やフードドライブ事業への支援に加えまして、アプリを活用した賞味期限間近の食品のマッチングに取り組む民間事業者との連携事業などを実施してまいりました。

○宮瀬委員 実現すると思ったんですが、検討していただいて、実現しなかったと。
 ただ、代替案として、いろいろ今のようにやっていただいている答弁はちゃんと聞いていましたので、ぜひこういった取組を続けていただきたいなと。
 繰り返しになりますが、防災備蓄食品というのは、当然命をつなぐものがメインとなりますから、品数が少ないと。一方で、それ以外の食品がどんどん捨てられている状況だと思います。
 昨年度は、都はどのような取組を行ってきたのかというのをお伺いするとともに、そういった取組をもっと加速していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○木村資源循環計画担当部長 昨年度は、廃棄の可能性がある食品について、店舗と消費者をマッチングするフードシェアリングの提供や、飲食店での食べきり協力店制度の開始に係る自治体の取組などに対しまして、その費用の一部を補助いたしました。
 また、昨年度から三か年間の事業として、大学と連携し、寄贈する側と寄贈を受ける側の双方が安心・安全な食品寄贈の仕組みづくりに向けた調査研究を実施いたしました。
 さらに、消費者の行動変容を促すため、食品ロス削減に向けた動画や冊子等のコンテンツを作成し、自治体と連携した普及啓発等の取組を実施いたしました。
 今後も、区市町村等と連携しながら、未利用食品のさらなる有効活用を進めてまいります。

○宮瀬委員 今、子供食堂があったりとか、物価高の影響でなかなか食材が手に入らないとか、そういったお声がある中で食料が捨てられていると。また、子供の貧困が六人に一人ですか、都内で。これはやはり何とかしなきゃいけない大きな課題だと思っていますので、それをつなげていくために、今のご答弁だけでなく、啓蒙といったこともありましたが、ぜひ大きな取組を期待したいと思っております。
 最後になりますが、これは未来の話なので質疑はしないんですけれども、二〇二五年の七月に過去最大級の太陽フレアがやってくるということを国の総務省が発表していまして、それによりますと、二週間ほどの通信機器の断絶、停電、もちろん病院の電力も非常用発電機等、これは今までの災害の中で、予見されている災害の一つだと思っています。
 ただ、昨年、本会議で取り上げたんですが、部局がありませんといったことを最初受けて、なかなか答弁つくってくれるところがなかったんですけれども、防災という観点から総務局からいろいろ答弁をいただいたんですが、ぜひ気候という意味で、二〇二五年、太陽の活動が最大化をし、いろいろ影響が出ると。都市伝説でも何でもなく、国の総務省が危険性を訴え、一番影響が出るのが東京都だという話が、保険会社の、英国ロイズからも被害総額が出ています。
 ですので、大きな環境というくくりで皆さんも関心持っていただきまして、ぜひいろいろ対応も加わっていただきたいと、このことを要望いたしまして、質問を終わります。

○曽根委員 では、私からは、最初に、中小規模事業所の気候変動対策の報告書制度への参入の問題について質問させていただきます。
 令和四年度から、環境局から産労局に移った中小企業の省エネ、再エネ導入への支援、こうした制度の広がりとともに、支援とセットになっている報告書への任意の参加も増えていると聞いておりますが、どのぐらい増えているか、そしてそのことについての環境局としての評価を伺いたいと思います。

○荒田気候変動対策部長 任意の提出事業者数は、令和四年度は千七百四十八件でございましたが、令和五年度は二千五十七件と増加してございます。
 なお、中小企業に対しては、関係局と連携し、脱炭素化に向けた多面的な支援を実施するとともに、こうした支援を受けようとする中小企業に対し、報告書の提出を促しております。

○曽根委員 任意の報告書提出ですから、これがどんどん増えているということは非常に重要なことだと思います。
 事業部門で温暖化ガス排出のかなりの部分が遅れているといいますか、課題が残されていて、そのうちの六割が中小企業が排出しているガス問題だということですから、この中小企業を、報告書制度も任意だし、また自力に応じて自己責任でやっていたのでは、この部分がどんどん気候変動対策が遅れていく危険性があるというふうに、私、前から問題提起をさせていただいております。
 現状は増えているんですが、二千件を超えた程度では、数十万に及ぶ中小企業から見てまだ一%になっておりません。
 そこで、このほかにも報告書への参入を広げる工夫がさらに必要ではないかと思いますが、こうしたことについて検討されているでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 報告書の作成につきましては、CO2排出量等を複雑な計算をせずに算出できる作成ツールを提供したほか、報告書の提出につきましては、オンライン提出により印刷や郵送を不要とするなど、事業者が参加しやすい工夫や配慮を行ってまいりました。

○曽根委員 私は、当面、あと五年ないし六年程度に接近している二〇三〇年のカーボンハーフの取組、この先を見据えて、中小企業、一般都民を置き去りにしない対策がどうしてもその後不可欠になると思います。
 中小企業の主体的な参入、報告書を出すということによって、やはり最適に取り組むことが促進されるということがありますので、これが中小企業の過半数に広がることが私は不可欠だと思っておりまして、この参入を促すために、店舗や事業所の省エネ、再エネ診断が、例えば報告書を出すと、その窓口は今まだ少ないと思っていますが、診断が受けやすくなる、そういう何らかの特典を付与すべきでないかと思いますがいかがでしょうか。

○荒田気候変動対策部長 これまでも、ふだんから地元で接点の多い中小企業の関係団体等の協力をいただきながら、報告書の提出を促してまいりました。
 また、様々な業種の中小企業が脱炭素化に向けた対策を効果的に行うため、三十を超える業種別の具体的な省エネ対策についてテキストを作成し、セミナーや対面でのアドバイスを行ってございます。
 引き続き関係団体とも連携しながら、中小企業の制度参加を促してまいります。

○曽根委員 やはり事業所などが出す温暖化ガスの、その中での中小企業は数としては圧倒的に多いですが、大企業がどうしても量的には多くなって、それでも全体の四割ぐらいが、中小企業が出しているというふうにされておりますので、ここを残したままでは、二〇三〇年以降の本当のゼロエミ東京を目指す取組は、どうしても壁に突き当たってしまうと思いますので、引き続き主体的な中小企業の報告書制度への参入を促す対策をお願いしたいと思います。
 次に、神宮外苑の再開発の問題で、昨年九月に都市整備局長と連名で、環境局長が開発事業者に対して樹木保全の要請を出したわけですが、こうした異例の措置を取った要因として、当然ながら都民の世論、地元の区民の皆さんの強い要求を受けて検討を行ったという結果だと思いますが、どういう検討を行ってこの要請を出したのか、その点を伺います。

○長谷川政策調整担当部長 都はこれまでも、事業者に対し、既存樹木の保全などに取り組み、都民の理解と共感を得ながら事業を進めるよう要請してまいりました。
 昨年九月の要請は、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう求めたものでございます。

○曽根委員 その結果、今年の九月になって事業者からの回答なるものが出されて、既に公表され、住民説明会も行われていますが、本質的にといいますか、内容は、結局、超高層ビルも建て、そして大規模なラグビー場と野球場の入替え、大規模な建て替えを行うことによって、建国記念文庫の森をはじめとして大量の樹木を伐採する、その本数は減らしたものの、伐採する樹木の中身については、まだまだ犠牲になる樹木が大きいということから、本質的には何ら変わっていないじゃないかという厳しい批判が起きております。
 そして、事業者の見直し案というのは、こうした住民の意見を無視した計画、昨年さんざん批判された計画の一部変更にとどまっているわけです。ごく一部です、それも。このようなことならば、昨年度の段階で、要請ではなく、一部見直しの要請ではなく、都民世論が厳しく批判しているこの開発全体を一旦凍結すべきだということを強く求めるような内容にすべきだったんじゃないか。
 今日の向こうの回答を見ると、これはひどいんじゃないかというふうに思いますが、この点の見解を伺いたいと思います。

○長谷川政策調整担当部長 先ほどもご答弁いたしましたが、昨年九月の要請は、新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう求めたものでございます。

○曽根委員 決算委員会なので、なかなか今年のことは聞きにくいんですけど、ただ事実として、都知事選挙でも大きな争点になったのは、これはもうご存じのとおりで、ある調査によれば、七割の都民が今の現計画に反対しています。
 しかし、三井不動産ら事業者は、都から求められていた樹木保全の見直し案を提出したものの、樹木伐採本数を若干減らしただけで、高層ビル建設と大規模施設の建て替えのために、貴重な樹木や緑を、また環境が犠牲になる根本問題は何も変わっていないと。専門家からも、この見直し案では一ミリも計画は改善されない、樹林地としての生態系をどう保存するかが重要であると、今回の見直しはこの視点に欠け、樹木の本数に終始しているなど、厳しい批判の声が上がっているわけです。
 事業者による住民説明会を、延長を求める声がさんざんある中で打ち切られてしまいました。事業者は、日本イコモスとの対話についても引き続き拒んでいます。
 差し当たり、十月二十一日の環境影響評価審議会において、この事後報告書と変更届の受理報告が行われるわけですが、これは単に報告するだけで、中身の議論は実際にはあまりできないんじゃないかともいわれていて、これは審議会に対して東京都として、一般的な報告で済ませないで徹底審議を要請すること、また、環境影響評価条例第六十三条、第六十七条に基づいて、知事の責任において、事業者に対し、環境保全に必要な措置やアセス手続の再実施を求めるというぐらいの厳しい態度を取ることを強く求めておきたいと思います。
 次のテーマに行きます。
 私たち共産党都議団として、最近非常に、昨年度から特に広がってきている人工芝の敷設について、実態について調査をしようということになりまして、実は今年の九月七日に、都民広場をはじめ、また都立公園でも、明治公園の改修などで人工芝による広場の整備が増えていることから、この二か所を、都庁周辺、都民広場などと明治公園をサーモグラフィーのサーモメーターで調査をしてまいりました。
 この人工芝の急速な増え方については、環境局としては、何か調査とか、この点についてどういう認識を持っているかというのは、お聞きしておきたいと思います。

○関建築物担当部長 都有施設への人工芝の敷設につきましては、各局において、機能性、維持管理、設置場所等、様々な観点から検討しているものと認識をしております。

○曽根委員 今ご答弁にあった、例えば機能性としての維持管理がしやすいとか、設置場所によっては、本物の芝生では清掃や芝刈りなど困難があるので、直接的な使いやすさという観点から、敷設が増えているというのが実態ではないかと思います。
 ただし、新たに便利な機能を持つ施設などを導入する場合、その日常的な安全性や災害などのときの危険性などは、十分検証が必要なことは当然です。
 では、人工芝の場合、どういう問題があるかというと、人工の樹脂による芝草には、一部に有機フッ素化合物、いわゆるPFASが混入しているとの情報もありまして、敷設した部所によっては、雨などによる流出試験を行っているというふうに聞いています。
 もう一つ大きな問題として、人工芝は、その下の地表の形状によってヒートアイランドの負荷が高くなるんじゃないかという事実を、我が党が先日行った、これは九月七日に行いましたが、都庁周辺と明治公園での測定調査で発見をいたしました。
 それは、その日は、大体正午から二時にかけてかなり温度が上がって、気温が三十五度にちょうど達したわけですけれども、そのときに都民広場や明治公園の人工芝が、その周辺のコンクリートと同じ、人工芝の下がコンクリートなどで固められているものですから、そのことで、猛暑のときには、コンクリートのむき出しの表面よりも、人工芝の表面温度が二十度近くも高くなって、都民広場では最高七十二度が観測されたわけです。これは私たちの観測です。このとき、すぐ横のコンクリート床は五十度以下だったわけです。
 お聞きしたところ、この点も含めて、人工芝の機能や環境への影響について、環境保全の面から検証したことは、まだ都としてもないということでしたので、急いで検証するよう強く求めておきます。
 来年も猛暑が続くと、間違いなく続くと思いますが、広場での低温やけどの被害が出かねない危険を私たちとしても指摘しておきたいと思いますし、このことは今後のことに関わりますので、今日は要望、意見としてとどめますが、ぜひ対策を、もしくはこのことの検証をお願いして、私の質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。

○小磯委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動及び過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、東京都技監から紹介があります。

○谷崎東京都技監 十月十五日付の人事異動により、当局の幹部職員に異動がございましたので、紹介させていただきます。
 都市づくり政策担当理事で都市づくり政策部長事務取扱の山崎弘人でございます。
 また、去る十月九日に開催されました当分科会におきまして欠席いたしました幹部職員をご紹介させていただきます。
 企画担当部長の藤原新でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○小磯委員長 紹介は終わりました。

○小磯委員長 決算の審査を行います。
 令和五年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、令和五年度東京都都市開発資金会計決算及び令和五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山崎総務部長 去る十月九日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 令和五年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
 資料は全部で十二件でございます。
 それではまず、一ページをご覧ください。1、木造住宅等に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 東京都の区市町村に対する助成について、種別、当初予算額、耐震診断及び耐震改修それぞれの執行件数及び執行額を年度別に記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、基地対策に係る支出等(過去五年間)でございます。
 基地対策に係る支出の概要、予算現額及び支出済額について、年度ごとに記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都内米軍基地に関係する事件等の経過(過去五年間)でございます。
 (1)では、航空機の緊急着陸、部品落下等を、四ページをご覧いただきまして、(2)では、米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、CV-22オスプレイ配備に係る国との協議状況等(過去三年間)でございます。
 CV-22オスプレイ配備に係る国との協議状況等について、年月日、相手方、概要及び位置づけを記載してございます。
 六ページをご覧ください。5、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請(過去三年間)でございます。
 東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請について、年月日、件名及び要請先を記載してございます。
 九ページをご覧ください。6、区市町、その他が施行する都市計画道路の優先整備路線整備(第四次事業化計画)の路線別進捗状況(事業認可の有無)、区市町が把握している住民団体の有無、東京都との文書協議、関係住民に対する説明会(過去二年分・年度別回数)でございます。
 事業認可年月、区市町が把握している住民団体の有無、区市町から東京都への文書協議の実績及び関係住民に対する説明会の開催実績について、いずれかに該当する路線ごとに記載してございます。
 一一ページをご覧ください。7、政策連携団体・事業協力団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)(過去五年分)でございます。
 各政策連携団体及び事業協力団体の職員構成について、年度別に記載してございます。
 一二ページをご覧ください。8、都内における主な鉄軌道事業者別ホームドア整備駅数及び整備率でございます。
 令和五年度末における都内の主な鉄軌道事業者ごとの都内の駅数、整備駅数及び整備率を記載してございます。
 一三ページをご覧ください。9、地下鉄への整備補助実績(過去五年間)でございます。
 東京都地下高速鉄道整備事業の補助実績額について、年度別、事業者別に記載してございます。
 一四ページをご覧ください。10、雨水流出抑制事業補助の実績(過去五年間)でございます。
 雨水流出抑制事業について、件数及び補助執行額を年度別に記載してございます。
 一五ページをご覧ください。11、民間バスで休止又は廃止となった路線数の推移(過去五年分)でございます。
 休止または廃止となった路線数を年度別に記載してございます。
 一六ページをご覧ください。12、コミュニティバス及びデマンド交通への補助実績の推移(過去五年分)でございます。
 東京都の区市町村に対する補助について、自治体名、適用した補助金及び補助金額を年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○伊藤委員 まず、住宅の耐震化について伺います。
 今年の一月に能登半島で地震災害がありました。被災地の皆様に改めてお見舞い申し上げます。
 毎年のように全国各地で地震災害が発生しており、南海トラフ、首都直下、多摩直下などの地震災害がいつ発生するか分かりません。住宅の耐震化については、官民双方の努力である程度まで進んでいますが、引き続き取り組むべき課題でもあります。
 こうした中、都は、旧耐震基準の住宅の耐震化に加え、令和五年度からは、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅に対しても助成を拡充するなど、住宅耐震化に取り組んできました。
 そこで、住宅耐震化に係る過去三年間の助成件数と、併せて新耐震基準に対する助成件数を伺います。

○谷井耐震化推進担当部長 耐震診断の助成件数は、令和三年度が六百四十二件、令和四年度が九百四十五件、令和五年度が千五十四件であり、耐震改修等は、令和三年度が五百七十件、令和四年度が九百六十六件、令和五年度が千六十七件と着実に増加してきております。
 令和五年度における平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅への助成件数は、診断千五十四件のうち二十二件、改修等千六十七件のうち二十三件でございます。

○伊藤委員 耐震化に係る助成件数は年々着実に増加しているとのことでしたが、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 また、第二回定例会の我が会派の代表質問でも述べたとおり、能登半島地震での被害を踏まえ、障害者の発災直後の安全・安心を確保するため、障害者世帯の耐震化を促していく必要があると考えており、検討を進めることを要望します。
 続いて、鉄道駅のホームドアの整備について質問します。
 コロナ禍が過ぎ、通勤者等の鉄道利用が回復するにつれ、人身事故やそれによる遅延も増加しています。一たび遅延が生じれば、その影響は広範囲に及び、利用者にも大きな影響が出ます。
 駅ホームでの安全性を高めるためには、ホームドアの設置が最も有効ですが、都心のターミナル駅と多摩をつなぐ重要な路線であるJR中央線や、並行する京王線、西武線、小田急線においては、いずれも区部の地下鉄駅に比べ、ホームドアの設置が大きく遅れています。
 そこで、令和五年度までの直近五年間の各年度において、多摩地域のJR及び私鉄駅において、ホームドアが新たに整備された駅数と、そのうち鉄道駅総合バリアフリー推進事業補助金が活用された状況について伺います。

○村上地域公共交通担当部長 多摩地域のJR及び私鉄駅において、ホームドアが新たに整備された駅につきましては、令和元年度は四駅、二年度は二駅、四年度は三駅、五年度は七駅であり、合計十六駅でございます。このうち、JR横浜線八王子駅など十駅におきまして、鉄道駅総合バリアフリー推進事業補助金を活用しております。

○伊藤委員 私の地元八王子市では、答弁のとおり、今年の春に初めて八王子駅にホームドアが設置されたところですが、多摩に暮らす人々の安全・安心の確保に向け、ホームドアの整備の加速は急務です。
 都は、八月にホームドアの整備の加速に向けた協議会を設置し、官民が一体となって知恵を出し合って対策を検討するとしています。JR中央線の西八王子駅のように、ホームが狭く、近くに盲学校がある駅など、乗降客数の多寡にかかわらず整備を求める声が私どもにも届いておりますので、引き続き多摩地域のホームドアの一層の整備加速に取り組むことを求めます。
 次に、運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業について伺います。
 長引く燃料費高騰により、苦しい状況にある運輸事業者を支援するため、令和五年度に燃料費支援を実施したことは、大変有意義な取組であったと認識しています。
 燃料価格の高騰については、コロナの終息が見え始めた一昨年二月に、ロシアによるウクライナ侵攻が開始されてから顕著となり、以来これまで、都民や事業者からの切実な声を受け止め、都議会自民党としても複数回にわたり都知事に対して、燃料価格等の高騰により厳しい状況にある都民や運輸業、製造業、医療、福祉事業者に対する支援を要望してきました。
 そこで、令和五年度の実績として、多くの事業者に制度を活用してもらうために、どのような周知に取り組み、何台の車両に対して支援を実施したのか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 令和五年度は、補正予算を二回編成し、支援を実施いたしました。制度を広く活用してもらうため、ホームページやSNS、ラジオを活用し、広く周知を行うとともに、トラックターミナル等ではポスター掲示、チラシ配布などを行いました。
 このような取組もございまして、支援対象のうち、営業用貨物に対して延べ十万三千台、営業用軽貨物に対して延べ七千三百台、路線定期運行バスに対して延べ約八千八百台の車両に支援を実施いたしました。

○伊藤委員 昨年度、多くの事業者に支援を実施したとのことですが、燃料費の高止まりにより、運輸事業者を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあり、継続した支援が重要です。
 我が会派は、今年度も物価高騰対策等について緊急要望を行いましたが、これを受け、さきの第三回定例会において補正予算が計上され、今年度も燃料費支援が実施されることとなりました。新たに支援対象として追加されたタクシーも含め、より多くの事業者に支援が行き届くよう、引き続きしっかりと取り組むことを求めます。
 次に、豪雨対策について伺います。
 都は、百年先も安心を目指し、TOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げ、様々なリスクに備えていくとしています。
 そこで、TOKYO強靱化プロジェクトの中にある自然災害の中でも、最も発生頻度が高いといわれる風水害から都民を守る観点で質問をいたします。
 都内での集中豪雨の発生頻度は、年々増加傾向にあり、抜本的な対策は大変重要です。今年の夏も都内各地でいわゆるゲリラ豪雨が多発し、浸水や冠水などの被害が多数報告されています。
 これまでも都は、総合的な治水対策に取り組んできましたが、気候変動の影響を踏まえますと、さらなる対策が急務であり、そうした中、都は令和五年度に豪雨対策基本方針を改定いたしました。
 そこで、令和五年度に改定した豪雨対策基本方針の中でも、施設整備に関する改定の内容について改めて伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 豪雨対策基本方針の改定は、学識経験者等による東京都豪雨対策検討委員会において、気候変動を踏まえて想定される課題を整理し、目標降雨の考え方などの検討を行いました。
 施設整備に関する改定の内容は、都内全域で豪雨対策の目標降雨を十ミリ引き上げ、河川整備、下水道整備、流域対策を中心に、浸水被害防止に向けた取組を進めていくことといたしました。

○伊藤委員 令和五年度の基本方針改定の中で、豪雨対策の目標降雨の引上げに対し、河川や下水道等の施設整備を強化していくことを確認しました。計画は実行してこそ初めて効果が生まれますので、引き続き関係各局と連携して、総合的な治水対策を推進することを求めます。
 次に、多摩ニュータウンの新たな再生方針(素案)について伺います。
 都は、再生方針の策定に向けて、有識者を含む委員会を立ち上げ、社会状況の変化等を踏まえた多摩ニュータウンの在り方について検討を進めたと聞いています。
 改めて申し上げるまでもありませんが、多摩ニュータウンは、稲城市、多摩市、八王子市、町田市にまたがる多摩丘陵に計画、開発された日本最大規模のニュータウンです。開発が始まったのは今から半世紀以上前であり、計画の当初は、高度経済成長期の東京の深刻な住宅不足を背景に、団地住宅の大量供給を目指し、国や都が事業主体となり、地元市や地元住民は、それらを受け入れてきた経緯があります。現在では、住宅のみならず、教育、文化、業務、商業の機能を備えた活力あるまちづくりを目指しています。
 一方で、ニュータウンといいながらも、開発が先行したエリアでは、住民の高齢化や住宅や施設の老朽化が進んでいます。
 ニュータウンの再生は都にとっても重要な課題であり、再生への取組は、地元市とも連携して行うべきと考えますので、昨年度の取組について伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 再生方針の策定に向けまして、学識経験者、地元市などを含む委員会を令和五年十月に立ち上げ、まちづくりの方向性や再生の取組などについて検討いたしました。
 地元市などの意見を踏まえまして、令和六年一月に素案を取りまとめており、引き続き、多摩ニュータウンの再生に向けて地元市と連携し、取組を進めております。

○伊藤委員 繰り返しになりますが、ニュータウン事業は、地元市が求めて行ってきたわけではなく、国や都が主体となって進めて、住宅政策などを地元市が受け入れてきた経過があります。よって、ニュータウンの再生には、国への支援を求めるとともに、都が主体となり、地元市、地元住民や事業者と連携して進めることを強く求めておきます。
 最後に、多摩のまちづくり戦略(素案)について伺います。
 多摩地域においては、大規模工場の移転が進んでおり、製造品出荷額も減少傾向にあります。働く場の喪失は多摩地域の活力の低下にもつながるため、まちづくりにおいても産業の立地に向けた取組を進めることが重要と考えます。
 そこで、多摩のまちづくり戦略では、企業立地の促進をどのように考えているのか伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 多摩のまちづくり戦略(素案)におきましては、持続的な成長を生み、活力にあふれる拠点を形成するため、既存企業の育成や新たな企業を誘致できる環境づくりを進めることとしております。
 各拠点を育成するプロジェクトにおいても、企業立地を促進しており、例えば、八王子西インターチェンジ周辺において、製造業、物流系産業の企業立地促進地域を指定し、企業誘致をすることを位置づけております。

○伊藤委員 圏央道や各地の都市計画道路など、少しずつですが、着実に多摩地域の道路交通網の整備が進むなど、企業立地の条件が整う一方で、市街化の促進で企業用地が不足するなどの課題もあります。
 自然豊かな多摩地域の中でも、円滑に企業立地を促進できるよう、産業振興とまちづくりが連携して取り組むことが必要と考えますので、局を横断した取組を求め、質問を終わります。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十七分休憩

   午後三時四十四分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○本橋(ひ)委員 よろしくお願いいたします。
 まずは、多摩交通ネットワーク調査についてお聞きいたします。
 多摩地域を支える交通ネットワークに関する基礎調査委託が令和五年度予算に計上されました。
 私たちは、令和四年第四回定例会で、多摩地域から空港へのアクセス改善の必要性を指摘するとともに、武蔵野南線や南武線を活用した鉄道ルートの整備に向けた検討を提案いたしました。
 多摩地域の振興や国際競争力の向上、また、東京の人口の三割が住む多摩地域の都民の利便性向上のため、武蔵野南線や南武線を活用した多摩地域から空港へのアクセス改善などの調査結果についてお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 本委託におきまして、武蔵野南線、南武線の活用による羽田空港アクセスに係る利用者への効果について、乗換え利便性の改善が見込まれる一方で、費用対効果については効果が費用を下回ることや、貨物列車とのダイヤ調整などの技術的課題が想定されることを確認しております。

○本橋(ひ)委員 ありがとうございます。
 次に、JR中央線複々線化についてであります。
 JR中央線の複々線化が叫ばれて久しくなります。この路線は、国の答申においては、多摩地域と都心部とのアクセスの利便性が向上するとの効果が示されたものの、都や国、事業予定者であるJR東日本などが参画した事業化検討委員会においては、採算性の確保などの課題が示されたところです。
 しかし、この路線は、エリアに関わる住民の日々の生活や通勤通学において、非常に大きな影響力をもたらすこともまた事実であります。そのような認識の下、都は国に対し、国の支援も含めた新しい整備の仕組みや財源の確保など、整備促進策を要請してまいりました。
 また、令和五年度の委託において、本路線を含む多摩地域の交通基盤についての基礎的な調査と今後の在り方を検討しております。
 そこで、JR中央線複々線化について、令和五年度委託における検討成果についてお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 本委託におきましては、中央線複々線化について、速達性の向上や中央線快速の混雑緩和など、多摩地域のアクセス利便性を向上させる効果がある一方、多額の費用や採算性の確保などの課題があることを確認いたしました。

○本橋(ひ)委員 続きまして、私からも、多摩のまちづくり戦略(素案)について、質問が重ならない範囲で一点お聞きいたします。
 都は、成長と成熟が両立した多摩の実現を目指し、広域的なまちづくりを進めるため、令和六年一月に多摩のまちづくり戦略(素案)を取りまとめました。
 そこで、多摩のまちづくり戦略に位置づけられた取組についてお伺いいたします。

○澤井多摩まちづくり政策部長 多摩のまちづくり戦略(素案)におきましては、多摩地域の五十八か所で、ハードの取組に加え、ソフト面からも地元自治体のまちづくりを支援し、拠点整備を推進することとしております。
 また、多摩都市モノレール箱根ケ崎方面延伸部で、沿線地域が一体となるまちづくりを地元市町と共に進めるとともに、多摩ニュータウンの再生を先行プロジェクトにより先導するなど、多摩のまちづくりに取り組むこととしております。

○本橋(ひ)委員 次に、流域対策に関してお聞きいたします。
 今日、気候変動の影響により激甚化、頻発化する豪雨から、都民の命と暮らしを守るための対策とその強化が必要であることはいうまでもございません。
 令和元年東日本台風など、多くの台風が通過する日本列島の各地で、毎年のように水害が発生しております。特に、地表がアスファルトなどで固められている都市部では、雨水が短時間で低地に流れ込み、浸水被害を度々引き起こしてしまっております。
 都は、東京都豪雨対策基本方針を策定しております。河川や下水道整備、流域対策などの取組について定め、総合的な治水対策を推進しており、過去の台風においても、一定程度の効果は発揮しているかと存じます。
 河川や下水道などの整備はもちろんですが、その場で雨水を浸透させて流入速度を抑える貯留浸透施設の整備、いわゆる流域対策の強化は特に重要となっております。
 そこで、現在の東京都豪雨対策基本方針に示された流域対策の目標値である時間十ミリについて、令和二年度末までの進捗率は約六割とのことですが、その後の推移と進捗状況をお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 流域対策は、これまでも対策強化流域を中心に、地元自治体と連携し、雨水浸透ますや貯留施設等の設置を進めております。
 直近で把握している令和四年度末までの進捗率は、目標対策量に対して約七割でございます。

○本橋(ひ)委員 流域対策を地元自治体と連携して取り組んだことにより、目標対策量の七割に至ったということでありました。
 私どもの会派は、これまでも、河川や下水道の負荷を減らす流域対策を重要な施策と位置づけてまいりました。今後も引き続き、地元自治体のニーズを把握した上で進めていただきたいと思います。
 次に、グリーンインフラについてお聞きをいたします。
 TOKYO強靱化プロジェクトでは、現行水準の一・一倍となる時間八十五ミリの対策を進める必要があるとされております。流域対策につきましても、時間十ミリからさらに強化していく必要があると考えております。
 私どもの会派の要望により、TOKYO強靱化プロジェクトには、風水害対策としてグリーンインフラが追加されました。グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようという考え方をいいます。
 例えば、都立公園に雨庭を設けるなど、都の率先した取組が期待されておりますが、現状では、都有施設にどれだけ雨水浸透機能を追加できる余地があるかは不確かとのことであります。
 そこで、東京都豪雨対策基本方針の改定に当たっては、国内外を問わず、先進自治体の取組に学び、流域対策としてのグリーンインフラを加えて施設を強化すべきであります。
 都は、どのようなプロセスで仕組みづくりを進めてきたのかをお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 東京都豪雨対策基本方針の改定に当たりましては、流域対策を連携して取り組んでいる区市町村の中から、特にグリーンインフラの導入に取り組んでいる事例についてヒアリングを行いました。
 また、ニューヨークなどの海外の都市の先進事例も学びながら、雨水を地中にしみ込ませるレインガーデンなどの導入を促す仕組みづくりの検討に着手をいたしました。

○本橋(ひ)委員 私どもの会派が要望いたしましたグリーンインフラにつきまして、区市町村や海外の事例について学び、仕組みづくりの検討に着手したとのことでありました。グリーンインフラは社会からも注目されておりますので、幅広い検討をお願いしたいと存じます。
 また、グリーンインフラの普及推進が難しかった理由に、雨水浸透機能の評価方法の未確立の点が挙げられていましたが、昨今、この分野の研究も進んでいるとのことであります。
 そこで、都はこの点に関しどのような調査を進めているのかお伺いいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題の解決に活用しようとする考え方であり、役割や機能を評価し、示すことが必要でございます。
 このため、令和五年度から、国や他都市の事例を収集するとともに、評価手法等について調査に着手をいたしました。

○本橋(ひ)委員 グリーンインフラは多様な効果を持つといわれており、長期的な視点で検証を進めていただき、都民に分かりやすく伝えて、理解促進を図っていただきますようお願いいたします。
 次に、都心の緑の創出についてお聞きいたします。
 都市づくりでは、都心の緑を保全、創出し、安らぎや潤いのある快適な都市環境を形成することが重要です。先進諸国でも、都市づくりにおいて、緑や公園へのアクセスを数値目標として設定するなど、緑の重要性が明確に位置づけられております。
 例えばシンガポールでは、屋上緑化、壁面緑化に加え、中空間や屋内の緑化をも実現した緑化建築、グリーンビルディングが普及し、立体的緑化を実現していたりいたします。
 再開発で緑の総量を減らさず増やしていく取組、使われなくなったインフラ等を緑化し活用する取組、緑化建築等の立体的な緑の創出を支援、推進するなどなど、あらゆる機会を利用し、都市空間の中に戦略的に緑を創出し、東京の新しいまちづくりを推進していくことが重要であります。
 例えば、私の地元の豊島区の現庁舎でございますが、平成二十七年四月に竣工いたしました。隈研吾さんの設計、デザインの下、庁舎の外壁部分はもちろん、内壁や大ホールなどなど、表面は緑や木材で彩られておりまして、さらに庁舎の屋上部分は、かつての武蔵野の原風景をほうふつさせる、としまの森といったようなものが造成されたりもしているわけであります。
 そこで、民間のまちづくりの機会を捉えて、都心の緑を創出し、安らぎと潤いのある快適な都市環境を形成する必要があるかと考えますが、昨年度の都の取組をお伺いいたします。

○山崎理事 都はこれまで、都市開発諸制度等を活用し、都市づくりの様々な機会を捉え、都心における緑の創出を促進してまいりました。
 昨年度は、都市開発におけるさらなる緑の充実に向け、持続可能な都市東京を先導するベイエリアでの立体的な緑の誘導や、周辺の公園や道路などの緑と一体となった厚みのある緑のネットワークの形成を図るため、都市開発諸制度を改定いたしました。

○本橋(ひ)委員 ただいまいただいたご答弁で、ベイエリアについて言及がございました。
 都は、令和五年度に都市開発諸制度を改定し、ベイエリアにおいて立体的な緑を誘導するとしていますが、その内容についてもお伺いいたします。

○新良まちづくり調整担当部長多摩まちづくり担当部長兼務 改定した都市開発諸制度では、ベイエリアにおいて緑化率を四割から五割に引き上げ、建物低層部のテラスなどに建物利用者等が身近に体感できる緑を増やすことなどにより、立体的な緑の創出を促進することといたしました。

○本橋(ひ)委員 最後に私からも、多摩地域のホームドア整備の加速について、質問が重ならない範囲でお聞きいたしたいと思います。
 多摩地域のホームドアの整備を加速させることは、もう極めて重要であります。
 ホームドアの整備の補助対象を決める際の基準として、かつて都は、駅の利用者数を用いてきました。このため、相対的に利用者数の少ない多摩地域では、ホーム上の構造や駅周辺の環境から、早期に整備すべき駅において取組が遅れた嫌いがございます。
 平成三十年に、私どもの会派は、JR及び私鉄駅を対象とする鉄道駅総合バリアフリー推進事業の補助基準の見直しを提案させていただきました。都は令和二年に、利用者十万人未満の駅にも補助の対象を拡大したところでございます。
 そこで、令和二年度から令和五年度において、十万人未満の駅に対する都の補助金支出額の推移をお伺いいたします。

○村上地域公共交通担当部長 一日当たり利用者が十万人未満の駅に対する補助実績は、令和二年度は一億六千四百万円、令和三年度は一億五千八百万円、令和四年度は二億八千二百万円、令和五年度は三億一千六百万円でございます。

○本橋(ひ)委員 令和五年三月十八日より、鉄道各社は、ホームドアなどの整備に充てられる運賃上乗せ制度を利用し、多くの路線で十円値上げを実施しております。このタイミングは、整備を一気に加速させるチャンスということができます。都も、令和五年度以降、運賃の上乗せに加え、都の補助を継続したことで、実績は伸びているところです。
 今年八月に立ち上げたホームドア整備加速に向けた官民連携の協議会の場も活用し、特に遅れている中央線や京王線などの多摩地域のホームドア整備が二〇二〇年代中に進むよう、鉄道事業者と具体的に協議し、整備を加速していただきたい、そう申し上げて、私の質疑を終わります。

○かまた委員 都議会公明党は、二〇二一年の都議選で、全世代の安全・安心な暮らしを支え、東京都の未来を開くチャレンジエイトを公約に掲げさせていただきましたが、本委員会では、安全・安心な暮らしを支えるという観点を中心に質問させていただきます。そして、駅のホームドアにつきましては、チャレンジエイトにも入っていますので、質問をさせていただきます。
 利用者十万人以下で、視覚障害者の利用者が多い駅へホームドアを優先的に整備することは不可欠であるため、我が党は何度もホームドアの設置を訴えてまいりました。小池知事は、七月に斉藤国土交通大臣に整備の加速を要望し、八月には整備の加速に向けた官民協議会を設置しました。こうした都の取組により、今後、一層整備が加速していくものと期待をしているところであります。
 そこで、JR及び私鉄駅のホームドア整備等を対象とした鉄道駅総合バリアフリー推進事業において、令和三年度から令和五年度までのホームドア整備の推移についてお伺いをいたします。

○村上地域公共交通担当部長 都内には、JR及び私鉄駅が四百八十一駅ございます。
 令和三年度末時点のホームドア整備数は百六十六駅、整備率は三四・五%です。令和五年度末時点では、整備駅数は百八十七駅、整備率は三八・九%となっており、二十一駅、四・四ポイント増加しております。

○かまた委員 着実に整備は進んでおりますが、先ほども申し上げましたように、視覚障害者をはじめとする駅利用者の安全確保につきましては、ホームドアの整備は必要不可欠であります。
 十月二日に京王電鉄のプレスリリースで、視覚障害特別支援学校の一つであります東京都立久我山青光学園の最寄り駅で、本年十二月にホームドアが供用される予定であると公表されました。
 引き続き、視覚障害特別支援学校の最寄り駅でありますJR中央線の西八王子駅など、生徒の安全確保とその保護者の不安解消に向け、ホームドアの早期整備が進むよう、都市整備局としてもしっかり取り組んでいただきたいことを要望しまして、次の質問に移ります。
 続きまして、水害対策についてお伺いをいたします。
 今年も豪雨による被害が都内全域で生じましたが、水害から都民の命と暮らしを守る対策は非常に重要であります。
 都は、地下調節池の建設を進めておりますが、今後さらに必要となるのが地下街の対策です。特に、地下街は水害に弱いことからソフト対策も必要です。
 そこで、令和五年度における豪雨時において、浸水しやすい地下街等での取組についてお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都はこれまでも、十二の大規模地下街等で、管理者と連携して浸水対策計画を策定し、避難や情報伝達の訓練を実施してまいりました。
 令和五年度は、各大規模地下街等のまちづくりの進捗を踏まえた浸水対策計画の更新を行うとともに、地下街利用者の水害に対する意識向上のため、渋谷地区において、管理者と連携し、親子で参加する避難訓練を初めて実施いたしました。

○かまた委員 想定を超えた豪雨に対しては、迅速な避難が求められますので、我が党が求めてきましたように、都が主体となり、地下街管理者などと十分に連携をして、浸水対策計画や避難訓練が実施されていることが確認できました。
 さらに、今後は都民に対しまして、豪雨対策についての広報活動を強化することも重要であると考えます。
 そこで、令和五年度に豪雨対策において実施した広報活動の具体的な取組についてお伺いをいたします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都では、雨水流出抑制の取組の機運を醸成するため、雨水しみこみプロジェクトを立ち上げまして、あわせて、一目で雨に関する施策であることが分かるロゴマークを作成し、周知を行いました。
 また、都民の認知度を高めるため、あなたもできる豪雨対策と題した動画を作成し、ウェブサイトに公開し、約六百五十万回のアクセスがございました。

○かまた委員 雨水流出を抑える取組について、分かりやすいロゴマークの作成や、都民がすぐに実施できる取組の動画配信など、様々なツールを用いて広報活動してくださっていることが分かりました。今後も、都民が実施できる内水氾濫防止対策は非常に重要ですので、このような広報活動を継続して取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、木密地域の不燃化促進についてお伺いをいたします。
 元旦に発生しました能登半島地震の際も、地震後の火災を起こさない事前の対策の重要性を考えさせられましたけれども、木密地域の不燃化は、都と区が連携をして強力に推進していく必要があります。
 そこで、木密地域における不燃化の進捗状況と、目標達成に向けた取組についてお伺いをいたします。

○池内防災都市づくり担当部長 都は、木造住宅密集地域の不燃化に向けまして、防災都市づくり推進計画に基づき様々な施策を展開しておりまして、整備地域全体の不燃領域率は、平成二十三年度末では五八・四%、令和四年度末では六五・九%でございまして、この間、七・五ポイント上昇してございます。
 目標とする不燃領域率七〇%の達成に向けましては、令和五年度より、不燃化特区制度の支援メニューに建築工事への助成を追加したほか、不燃化特区の区域外の整備地域におきましても、老朽建築物の除却や建築設計への助成を実施するなど、区への支援を強化拡充しております。

○かまた委員 令和五年度より助成対象を拡大してくださっているとのことですので、引き続きぜひよろしくお願いいたします。
 続きまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いをいたします。
 地震が発生した際、緊急輸送道路が建物等の倒壊で通れないという惨事は、事前に防ぐ必要がありますので、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は重要な取組であります。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物耐震化の目標達成に向けたこれまでの取組と進捗状況についてお伺いをいたします。

○谷井耐震化推進担当部長 これまで都は、区市町村等と連携し、建物所有者への個別訪問や改修費用等の助成などを行っており、令和五年度には、建物の管理会社など意欲ある民間事業者が主導して耐震化が進められるよう、アドバイザー制度を拡充しております。
 こうした取組の結果、令和七年度末に総合到達率九九%以上とする目標に対し、令和五年十二月末時点では九三・〇%であり、本指標を導入した令和元年十二月末から一・九ポイント上昇しております。

○かまた委員 ご答弁で、昨年度までの取組等について確認できましたけれども、この目標は、数値を目指すというよりは、いざというときに緊急輸送道路の役目を必ず果たしていくことが重要ですので、一〇〇%を目指すべきだと考えます。
 さきの第一回定例会の都議会公明党の代表質問に対しまして、知事からは、耐震性が確保されていない沿道建築物に対して一気呵成に進めていくとの答弁があり、期待をしているところであります。
 そこで、都は今年度、建物所有者への働きかけを大幅に強化しまして、特定緊急輸送道路沿道建築物全棟への個別訪問を行っていると伺っております。この個別訪問は大変なご努力だと思いますので、高く評価をしておりますが、ぜひ今後も所有者への働きかけを進めていただき、耐震化を加速させていただくことを要望しまして、最後の質問に移りたいと思います。
 最後は、燃料価格高騰の運輸事業者の経営が圧迫されている中での支援事業ですけれども、先ほど同じテーマで質問がありましたので、これにつきましては要望だけさせていただきたいと思います。
 本支援は、運輸事業者にとって経営上の支えとなったなどの意見をいただいているということで、苦しい状況にある運輸事業者にとりまして重要な取組であることから、我が党も、事業実施に当たりましては、タクシーも支援対象となるよう繰り返し求めてまいりました。また、先ほどもありましたけれども、第三回定例会では、新たにタクシーも追加をしていただきました。
 そこで、引き続き、申請につきましては、分からない方にも丁寧に支援をするなど、きめ細かな配慮をしていただきたいことを要望しまして、私からの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いいたします。
 まず、私からも鉄道駅のバリアフリー化について伺っていきたいと思います。大事なことなので、多少重なりますけど、質問をいたします。
 住民にとって、公共交通は移動の手段であり、移動は大事な権利であります。だからこそ、高齢者や障害者、子供を持つ親にとって、鉄道駅のエレベーターやエスカレーター、ホームドアの存在は大変大きく、命にも関わる問題として、バリアフリー化と安全性の確保を進めていただきたいと思います。
 一九九四年のハートビル法、二〇〇〇年のバリアフリー法が成立し、これらの法整備によって、公共交通機関の駅や電車などの乗り物をバリアフリー化する、駅構内のエレベーターやエスカレーター、スロープなどの設置や、運賃表、ホームへの案内板などの点字の表示などが一定程度改善されるようになりました。さらに、二〇〇六年の新法成立で、新たに特定道路のバリアフリーなどが追記されています。しかし、現状は十分に、鉄道駅などは特にバリアフリー化されているとはいえません。さらなる公共交通、鉄道のバリアフリー化が求められております。
 東京都は、二〇二一年三月、「未来の東京」戦略で、ホームドアの設置に向けた政策目標を、地下鉄で二〇一九年度末の八二%を二〇二五年に一〇〇%にする、JR、私鉄駅は、二〇一九年度約三〇%を二〇三〇年度に約六割と目標を定めておりますが、この間の目標達成への取組について伺います。

○村上地域公共交通担当部長 都は、令和元年に取りまとめた優先整備の考え方も踏まえ、鉄道事業者に整備計画の策定を求めるとともに、令和二年度からは補助対象駅を拡大し、令和四年度には、技術的な課題について様々に工夫し、対応している事例を取りまとめました。

○とや委員 優先整備の考え方に基づいて、鉄道整備会社には計画策定を求めたということであります。
 これによって、各社も計画を策定し、バリアフリー化を進めているわけですが、また補助対象を、これまでの十万人以上の駅から十万人以下の駅にも対象を拡大したことで、事業者もバリアフリー化への道が広がったと、その条件はできたといえると思います。
 そこでお聞きします。まずホームドアについてです。
 鉄道駅におけるホームドアの整備駅数と整備率を事業者別に伺います。
 また、昨年度、ホームドア設置に対する補助の実績と金額を伺います。

○村上地域公共交通担当部長 令和五年度末時点のホームドア整備状況についてでありますが、JR及び私鉄の整備駅数は百八十七駅、整備率は三八・九%、地下鉄の整備駅数は二百二十二駅、整備率は九七・四%でございます。
 JR及び私鉄駅に対し、令和五年度は十二駅で合計五億一千五百万円の補助を実施しました。

○とや委員 東京都が補助を行っているJR、私鉄の駅が三八%ということであります。
 国の基準で駅数をカウントすると、先ほども出ていますが、JR、私鉄合計で四百八十一駅、六割にするには、あと約二百八十一駅の設置が必要です。二〇二三年度末の設置は百八十七駅でありますから、残りは百二駅になります。昨年は十二駅設置したということですが、年間十二駅ですと、二〇三〇年までに、七年間で八十四駅ですから六割には届きません。また、一〇〇%にも程遠い状況となっております。さらに加速させる必要があります。
 それにしても、地下鉄の整備率に比較して、JR、私鉄の進捗が大変低くなっているんですが、その理由についてお答えいただけますか。

○村上地域公共交通担当部長 令和五年度末時点のホームドア整備状況は、JR及び私鉄の整備駅数は百八十七駅、整備率は三八・九%、地下鉄の整備駅数は二百二十二駅、整備率は九七%でございます。

○とや委員 私が聞いたのは、なぜJRと私鉄が地下鉄の整備率よりも低いのかということを聞いたんです。聞いたのに、前の質問と同じことをお答えになっているんです。どうしてでしょうね。事業者の責任だから、何の分析もしないし、何も聞かない、事業者に聞き取りもしないという姿勢でいいのかと。私はこれは厳しく、おかしいと指摘させていただかなければなりません。
 なぜ設置率にこれだけの差が出てしまうのか。都営地下鉄は東京都が運営しており、またもう一つ、地下鉄は東京メトロによって運行されているわけですが、交通局が運営する都営地下鉄は一〇〇%であります。公共が責任を持てば一〇〇%に計画的にしていく。新しくできる駅はちゃんとホームドアを設置するという計画がきちんと定められているからだと思います。
 民間事業者について、東京都は事業者の判断だということをよくいいますが、事業者任せにしておかず、一日も早くホームドアを設置してもらえるよう、支援も含めて検討していただいて、働きかけていただくことを要望しておきます。
 特に、ホームドアは命に関わる問題です。報道によれば、ホームからの転落事故は、毎年六十件から八十件起きているといわれております。死亡事故、人身傷害事故は後を絶ちません。
 三十代で網膜色素変性症を発生した方は、光が少し分かるくらいの視力だったそうですが、電車がホームに到着した音が聞こえ、一歩踏み出したところで線路に転落してしまったと。この方は手足の打撲程度で済んだそうですが、ホームは常に死の恐怖と隣り合わせだとおっしゃっております。
 東京視覚障害者協会の方が、結構前なんですがアンケートを取りますと、百名のうち、全盲と弱視、二人に一人が転落したことがある。全盲は六十八人中四十四人が落ちていると。大体一人二、三回くらい落ちているということが分かったそうです。
 視覚障害者にとって、電車が来たときにドアを探すわけですが、乗るということ自体がとても大変だそうです。ホームドアがあれば、その点字、ホームドアについている点字を触れば、何号車なのかまで分かるというふうにもおっしゃっていて、ホームドアはホームの基本です。落ちるところであってはいけないと。酔客が多いといっていますが、たとえ酔っていても、落ちるようなことがあってはいけないというふうにおっしゃっておりました。
 そこで伺いますが、二〇一九年度からの地下鉄及びJR、私鉄、それぞれのホームからの転落事故件数と、そのうちの視覚障害者の件数を伺います。

○村上地域公共交通担当部長 関東運輸局が公表している関東運輸局管内における鉄軌道事故等の発生状況等では、都内駅において、ホームからの転落を原因とする人身傷害事故は、令和元年度、二〇一九年度は十六件、令和二年度は十三件、令和三年度は八件、令和四年度は十九件となっております。
 なお、関東運輸局の公表資料においては、視覚障害者に関する件数は示されておりません。

○とや委員 鉄道利用者にとって移動の自由を保障するためにも、ホームドアの設置は最優先であります。転落事故のほとんどはホームドアがついていない駅です。この数字をゼロにして命を守ってほしいと思います。
 私の地元、私鉄の西武鉄道についても伺います。
 二〇二〇年のこの時期にも、ホームドア問題を取り上げたんですけれども、西武鉄道は西武新宿線と池袋線があります。新宿線はホームドアがほとんどついていません。こちらは全駅早期に設置することを要望しておきます。
 今日は池袋線の大泉学園駅について伺います。
 大泉学園駅は、約八万人の乗降客が利用しており、練馬駅に次いで乗降客が多い駅です。しかし、ホームドアはいまだに設置をされておりません。
 課題について改めて伺います。

○村上地域公共交通担当部長 鉄道駅のホームドアの設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であります。
 大泉学園駅につきましては、一部ホームの幅員が狭く、ホームドアの設置によってさらに幅員が狭くなるなどの課題があると聞いています。

○とや委員 二〇年に質問したときと変わらないご答弁でありますが、幾つかの課題があるのは確かなんですね。狭くて、そして大泉学園の駅のホームは、ホーム自体が湾曲していて、ホームドアの設置が難しいといわれてきた駅であります。
 ホームが狭い場合でもホームドアが設置されている駅があると思いますが、そのような駅は課題を具体的にどう解決しているのか。また、湾曲したホームでもホームドアの設置は可能なのか、その場合どのような工夫や技術が必要なのか、お答えいただけますか。

○村上地域公共交通担当部長 ホームの状況などは駅ごとに異なるため、鉄道事業者各社が狭隘部の改良やホームの補強など、状況に応じた対応策を検討しています。
 都は、事業者がホームドア整備を行う際の課題解決の一助になるよう、各社の取組事例等を事業者と共有しています。

○とや委員 二十八年前に大泉学園駅でホームから転落した方がいます。この方は頸椎損傷で、首から下が不随になりました。今も寝たきりです。もしホームドアがあれば別の人生があったと、このような事故を二度と起こしてほしくないとおっしゃっております。
 地元では早期の設置を求める運動も起きており、区議会では陳情が採択されました。私たちもこの間、西武鉄道本社へ要請行動も行ってきたわけですが、西武鉄道もようやく、大泉学園駅については検討すべきとして今年格上げをしたわけですが、しかしまだ検討という段階であり、設置までのスケジュールも分かりません。
 石神井公園や練馬高野台の駅の整備は、今年中に整備するというふうに西武は発表しているんですが、検討が始まったのは二〇一九年です。つまり、発表されてから整備に着手するまで五年もかかっているんです。一刻も早く設置することが必要です。
 この駅は、先ほどの特別支援学校のことが出ていますが、特別支援学校の子供たちも使う駅なんです。
 国のホームドアのさらなる整備促進に向けた提言では、軽量型ホームドア等の整備を促す政策的誘因の検討を行っていくことが必要であると専門家から意見が出ておりました。
 都においても、ホームドアの整備促進につながる技術的な対応策について検討をしてきたのか伺います。

○村上地域公共交通担当部長 都は、技術的な課題に対応するため、令和三年度に鉄道事業者との検討会を設置し、令和四年度に、軽量型ホームドアの導入等、事業者が様々に工夫し、対応している事例を課題解決の技術的方策として取りまとめました。

○とや委員 技術的方策として軽量のホームドアを設置できるということが分かりました。
 飯田橋駅なんですが、これ私、以前の決算で質問して、無事、ホームの改修が済んでいるわけですが、ホームを約二百メートル移設し、列車とホームの隙間を狭小化する工事と、これに合わせて西口の駅舎の改良等の工事を行ったということです。その際、総武線ホームが軽量ホームドアで整備をされたと聞きました。
 大泉学園駅も、ホームが大きく湾曲していて狭いので、工事が困難だと思いますが、今の鉄道建設技術の進歩を考えれば可能だと思います。ぜひ早期に整備できるよう支援をお願いいたします。
 この間お聞きしてきた方の中で、三歳のお子さんを育てているお母さんが、大泉学園駅の駅が狭くてベビーカーが本当に動きづらいと。子供がやっぱり歩き出していますからね、傾斜もあって、ベビーカーそのものもずるずるいってしまうのではないかという声が寄せられて、本当に危ないと思ったときがあるとおっしゃっております。
 ホームドアは、視覚障害者はもちろん、あらゆる人にメリットがあります。しかし、ホームドアができるまでにはかなりの期間がかかるということです。
 ホームドアがすぐ設置できない場合、どのように乗客の安全を確保するのか、対策について伺います。

○村上地域公共交通担当部長 鉄道駅の安全対策は、鉄道事業者が自ら取り組むことが基本でございます。
 都は、AIを活用した注意喚起を促すシステムなどにつきまして、各社の取組事例を共有することなどにより、事業者の積極的な取組を促しております。

○とや委員 鉄道駅の安全対策は事業者が自ら取り組むことが基本だというふうにおっしゃっています。それはそうだと思いますよ。思いますが、毎日毎日、駅というのは人が乗降する、動いているわけで、その中で、やっぱり先ほど紹介したような人たちというのは、駅を利用しなければ移動できないということになるわけですよ。
 ですから、こういった、今、AIの紹介ありましたけど、どれだけ導入されているのかということも、ちょっと私、確認していないので分からないんですけれども、よく周知していただいて、安全性の確保をしていただきたいなと思います。
 ホームドアについては、小池知事も非常に力を入れていらっしゃるわけです。優先的に公約していらっしゃるわけですから、ぜひ都内の鉄道駅は一〇〇%設置できるように求めておきます。
 次に、東京メトロについて伺います。
 東京メトロについては、エレベーター問題について伺いたいんですが、メトロにおいて、ワンルートの確保が図られている駅数、またツールート以上設置されている駅の数を伺います。

○村上地域公共交通担当部長 東京メトロによりますと、メトロ駅でのワンルートは、令和六年三月末時点で、都内線区単位で百六十六駅全てにおいて確保済みでございます。複数ルートにつきましては、令和六年三月末時点で六十二駅で整備済みでございます。

○とや委員 ワンルートについては一〇〇%ということですが、ワンルートあっても駅によっては利用できない乗客がいます。その一つが東京メトロ小竹向原駅です。
 この駅は、病院や重度の子供たちの特別支援学校もあって、三番出口にエレベーターが設置されています。しかし、この付近は地形的に高低差があって、特に小竹町側が非常に高くなっていて、三番出入口を利用するには、坂道を上り下りしなければならないんです。高台にある出入口は一、二番出口なんですが、この出入口を利用すると、途中までしかエスカレーターがないため、下りホームまで百段近くの階段を下ることになります、エスカレーターは上りしかないから。
 障害者、高齢者、けがをした人、ベビーカーを押す方など、本当に困難な駅です。私はこの駅よく行くので、いつも見かけます。ツールート目を設置してほしいと、二十年越しの運動があります。
 小竹向原駅のツールート目の検討状況と課題について伺います。

○村上地域公共交通担当部長 東京メトロからは、現在、関係者との協議を行っており、駅の構造上、エレベーターの新設については慎重に検討を進めていると聞いています。

○とや委員 二十年間ずっと慎重に検討しているんですよ。これっておかしいと思いませんか。
 この駅は、放射三六号線が通っています。ですから、構造上難しいという話は聞いているんですが、それから二十年間です。それは何とか技術的にもクリアしたはずなんですよ。なぜならそういう説明を受けたことがあるからです。
 西武有楽町線の乗り入れ駅でもあるため、西武鉄道の詰所をエレベーターのエリアとして使用するための協議をしてきているとも伺っています。また、費用負担をどうするかの折り合いがつかない中、コロナで乗降客が減ったこともあって、話が前に進んでいません。これは早く打開してもらわないと、もう皆さん本当に困っていらっしゃる。その声が次々届いています。
 ここは複数の事業者が乗り入れている駅なんですが、こうした駅の場合、バリアフリーについての費用の負担はどのようになるのか、事例があるのかお聞きします。

○村上地域公共交通担当部長 令和五年度におきましては、墨田区を対象として、京成電鉄と東京都交通局の共同使用駅である押上駅のホームドア整備に補助をしています。
 費用負担の分担割合は、事業者間の調整事項であり、承知しておりません。

○とや委員 分担割合が分からなかったとしても、話合いによって、この駅についてはバリアフリー化が図られたということだと思います。こうした事例があるのであれば、事業者にも伝えていただいて参考にしてほしいと思います。ぜひそうした支援も含めてお願いします。
 西武鉄道も東京メトロも、バリアフリー料金を取り入れています。そういう事業者については、料金取っているわけだから、早期にホームドア設置やツールート目のエレベーターの設置を促すべきだと考えますがいかがですか。

○村上地域公共交通担当部長 都は、駅周辺における盲学校を含む特別支援学校の立地状況の考慮といった優先整備の視点などを示した鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を踏まえ、鉄道事業者に整備計画の策定を求めるとともに、補助対象駅の拡大など支援策を拡充しています。

○とや委員 拡充しているということですけれども、今後はどうするんですか。お答えください。

○村上地域公共交通担当部長 駅のホームドア整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都としましては、優先整備の考え方を踏まえ、整備計画の策定を求めるとともに、支援策を拡充しております。

○とや委員 事業者には一層の推進を働きかけないんですか。どちらでしょうか。お答えください。

○村上地域公共交通担当部長 駅のホームドア設置を促進するためには、繰り返しになりますが、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠でございます。
 都としましては、整備計画の策定を求めるとともに、この支援策の拡充に取り組んでいるところでございます。
   〔とや委員「何いっているか分かりません」と呼ぶ〕

○小磯委員長 立って質問してください。

○とや委員 事業者には今後は働きかけないんでしょうか。働きかけるのか働きかけないのか、どちらかでお答えください。

○村上地域公共交通担当部長 都としましては、鉄道事業者に整備計画の策定を求めるとともに、補助対象駅の拡大の、支援の拡大に努めておるところでございます。

○とや委員 何でそのぐらいのこと、いえないんでしょうね。先ほどから、命がかかっていると、体が困難な人たちが困っているといっているじゃないですか。一体何やっているんでしょうね。実際、皆さんは、鉄道事業者の方々と一緒に協議もしているし、働きかけもしていらっしゃるでしょう。だったらちゃんと答えてくださいよ。駄目ですよ、そういうのは。
 とにかく、都としても情報をしっかりと取っていただいて、事業者に働きかけをしてください。同じ答弁しないでくださいね。
 次に、流域対策について伺います。
 気候危機は、世界の喫緊の課題として認識されつつあります。危機的状況は刻一刻と厳しさを増していますが、観測された影響では、極端な高温、熱波、大雨、集中豪雨など、気候システムの多くの変化が地球温暖化の進行に関係しているといわれております。こうしたとき、気候危機を打開するため、温室効果ガスの削減など根本的な対策を取ることが求められています。
 本日は、近年多発している豪雨災害について、都民の暮らしを守り、自治体も住民も民間事業者も協力できる流域対策について伺っていきます。
 東京都は、二三年十二月に豪雨対策基本方針を改定しましたが、気候変動により激甚化、頻発化する豪雨に対して、降雨量の増加を一・一倍、十ミリ引き上げ、これに対応するため、目標降雨を時間八十五ミリとしました。
 河川整備、下水道整備、流域対策で浸水被害を防止し、都民を守る取組を行うとするものですが、その中の流域対策は、河川や下水道への負荷を減らすため、雨水の流出を抑えるということを目的として、公共や民間施設における雨水貯留浸透施設設置への支援を充実し、時間十ミリ分を超える対策を行うものであります。
 各自治体の取組は、昨年度どうだったでしょうか。流域ごとに設定した全体目標である令和十九年度目標値に達しているか。また、中間目標である令和十二年、これは自治体独自の目標ですが、この目標に達している自治体はあるでしょうか。お答えください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 流域対策は、目標年次に向けて流域ごとに取組を進めているところでございます。
 令和四年度末までに、境川流域の町田市では令和十九年度の全体目標値を達成しておりまして、自治体で設定した令和十二年度の努力目標値に対しましては、三鷹市や練馬区など複数の自治体が達成しているところでございます。

○とや委員 全体目標については町田市が達成していますが、町田については境川流域ということで、結構小さいんですよね。自治体で設定した令和十二年、つまりあと六年ですが、達成している自治体は一桁ということであります。
 度々襲う豪雨で、床下、床上浸水、マンホールが飛んでしまうほどの雨量が地下鉄駅へ流れ込むなど、被害が生じています。被害を最小限に抑えることが必要です。
 流域対策は、時間十ミリを超える雨量を抑制する対策ですが、雨水が土にしみ込むという点でも自然に負荷を与えず、確実に進めれば大きな効果をもたらす可能性があると思います。
 そこで、どうやって流域対策を進めていくかです。
 まず、流域対策を進めるに当たり、公共施設の対策と民間施設の対策の達成率をそれぞれ伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 流域対策における公共施設及び民間施設の対策の集計は、行っておりません。

○とや委員 幾つかの自治体に、私、聞き取りをしました。自治体で持っている目標を達成するため、公共施設は頑張って促進してきたけれど、民間施設はもっと重視していきたいといっている自治体もありました。
 しかし、こうした自治体も、全体の達成率は認識しているんですが、分けて集計をしていないため、どこに力点を置けばいいのかということが、焦点がはっきりしないという印象を受けています。
 公共と民間とを分けて、実績や達成率を可視化することが必要ではありませんか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 流域対策につきましては、地下水位の状況など、地域特性に応じて対策の手法が異なるため、公共と民間に分けて実績や達成率を算出することはしておりません。

○とや委員 現状はそうかもしれません。けれども、やっぱりせっかくつくった豪雨対策基本方針、それに合わせたアクションプラン、きちんと目標を達成していくためにも、自治体に働きかけていただいて、公共施設の取組と民間施設の取組を分けて可視化することが重要だと思います。
 各自治体の取組を可視化することをこの間決めてきたわけですよね。それで、私も各自治体の流域ごとの目標がどうなっているのか分かったわけです。これすごく大事だと思うんですよ。これが民間と公共と分けられれば、自治体自身だって、自らの目標について、どこに焦点を当ててやっていけばいいのかということが分かると思いますし、到達状況が、私たちの目にも、誰の目にも理解できるようになると思います。ぜひ機会を捉えて、公共と民間とを分けて、実績や達成率を可視化できるよう呼びかけていただくことを求めておきます。
 次に、雨水流出抑制に関わる補助事業について伺います。
 雨水流出抑制事業で重要な透水性舗装や雨水ますの設置などには、東京都の補助制度があります。補助制度は公共施設でも活用できますか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 総合治水対策協議会のホームページで公表している補助条件の範囲内で、公共施設にも活用することができます。

○とや委員 では、公共施設には区道も含まれるのかどうか教えてください。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 区道も含まれております。

○とや委員 この質問をつくるに当たりまして、私、幾つかの自治体に聞き取りをしたと先ほども申し上げたんですが、その中で、区道の透水性舗装については、東京都の補助を利用しないで単費でやる、全額区の予算で行っているという自治体もあるんですよね。
 ぜひ自治体に補助制度の周知をすべきだと考えますがいかがでしょうか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都はこれまでも、流域の関係自治体で構成する総合治水対策協議会等で周知を行ってまいりました。

○とや委員 実際に使っていない自治体があるわけですので、ぜひ機会を捉えて、さらなる周知をしていただきたいということを求めておきます。
 透水性舗装は、通常の道路と比較して耐用年数が短いです。ある自治体の報告書では、実際の透水性舗装道路は、使い方によって耐用年数が違っていて、例えば大型車があまり通らない区道では二十一・五年、バスなど大型車が頻繁に通る道路では十五・八年、車そのものがあまり通らない道路では二十八・五年だそうです。これだけ短いと維持補修も必要で、そのスパンが短くなるので、自治体にとっては結構負担になるのかなということを感じました。
 舗装されていない、透水性舗装がされていない道路と比べると、やっぱりコストが高くなってしまうということがあると思うんですが、それでも雨水流出抑制のために、さらに透水性舗装の整備率を上げようと、順次、各自治体、区や市の皆さん、整備をしております。予算を大幅に増やして都内自治体への支援を強めること、そして維持管理についても支援を求めておきます。
 グリーンインフラについても伺っていきます。
 暑熱環境の改善や、景観をよくしたり、健康になったり、雨水流出抑制になるなど、複合的な効果を発揮していることから、世界中でグリーンインフラへの投資が進んでいます。
 グリーンインフラは、豪雨対策基本方針の水害に強い家づくり、まちづくりに位置づけられていますが、この間、どのような研究調査をしてきたのか、各自治体にはどのように周知しているのか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 豪雨対策基本方針の改定に当たりまして、令和五年度は、グリーンインフラの導入に取り組んでいる事例について調査などを行いました。
 調査の内容につきましては、関係自治体に対して、総合治水対策協議会等で周知をさせていただいているところでございます。

○とや委員 先ほどの議論を聞いていまして、ニューヨーク市のお話、されていましたよね。これについてご説明いただけますか。
 また、着手した評価方法についてもご説明いただきたいんですがお願いします。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 ニューヨーク市におきましては、レインガーデン等の取組がされているということで、街路の脇に雨庭をつくっていくとか、そういう取組がされているということで承知をしているところでございます。

○とや委員 着手した評価方法についてもご説明いただきたいと思います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 失礼いたしました。機能については、雨水を地中にしみ込ませるレインガーデンなどの導入を促す仕組みづくりの検討に着手をしているというところでございます。

○とや委員 評価方法についてご説明いただきたかったんですよね。答えられませんか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 失礼いたしました。浸透機能について、あるというところで、整備はされているところでございます。

○とや委員 評価方法というのはいろいろあろうかと思うんですけれども、グリーンインフラというのはいろんな効能がありますので、評価方法については、ぜひ海外の事例も参考にしながら検討していただきたいと申し上げておきます。
 基本方針の改定版を拝見しました。自然環境が有する機能を社会課題の解決に活用するグリーンインフラの考え方と整合する雨水流出抑制を促進とありました。
 都市開発を例に挙げていますが、そもそも都市における水害は、無計画な乱開発やまちづくりが大きな要因になっています。それを見直そうとグリーンインフラという考え方があるわけで、道路や開発とセットという考え方は、もうやめた方がいいと指摘をしておきます。
 東京都も有識者として意見を伺った熊本大学の島谷先生によれば、ニューヨークは、道路は車のものという認識をリセットする、道路は車のものではなく人間や生き物のものであり、もう一度道路の在り方を再構築する考え方に立って、グリーンインフラをやっていると述べていらっしゃいました。
 ハリケーンが発生し豪雨によって川のようになって、車の屋根まで来るという悲劇的な被害を出したニューヨークの道路は、幅を狭くして樹木を植え込んだことで洪水を防ぎ、気候変動に適応しているそうです。グリーンインフラの本来の機能、多発する集中豪雨やゲリラ豪雨に対して、自然が持っている防災機能を守り、活用することが重要です。
 先ほどのニューヨークの例、私、申し上げましたが、樹木はその鍵の一つを握っています。森林や樹木は、洪水を防ぐ、土砂の流れを減らす、二酸化炭素を蓄積する、酸素をつくる力を持っています。
 そこでお聞きしますが、樹木が持つ雨水の遮断機能について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 豪雨対策基本方針では、グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会課題の解決に活用する考え方であり、レインガーデンなどは、豪雨対策にも資するものと考えております。

○とや委員 レインガーデンは豪雨対策にも資すると私も思います。都市の洪水を一挙に地下に入れない取組の一つで、レインガーデンがあって効果もあると思います。
 同時に今、樹木が豪雨対策にも気候変動にも資することが注目されており、先ほどの島谷先生によれば、世界で認められているものとして紹介をされています。
 二〇二二年のデータでは、雨量が二十から三十ミリでも、台風十四号が来たときでも、二百九十ミリ降ったときでも、樹冠の雨水の遮断は一〇%から二〇%というデータもあります。
 土地利用別の浸透能力でも、アスファルトではゼロミリ、グラウンドは七ミリ、芝生で二十二ミリ、前庭、植栽のある場所で百二ミリ、常緑林で百四十四ミリ、農地は二百十五ミリ、落葉樹林は二百ミリ以上を記録しております。
 東京でも、道路に植えられている沿道の街路樹は、植えますを大きくして樹冠を広げれば、地面の温度も下げるし、豪雨の際に下水が地上に出るのを防ぐ効果もあるのではないでしょうか。
 グリーンインフラにおいて、樹木を位置づければ、気候変動にも豪雨対策にも多大な効果を発揮します。先ほどのご答弁でも否定はされていなかったと思いますので、ぜひ豪雨対策に樹木を位置づけ、研究を深めてくださるよう求めて、質問を終わります。

○宮瀬委員 宮瀬です。よろしくお願いします。重複する質問は割愛していきますので、ちょっとご注意いただければと思います。
 我が会派も、ホームドアの整備についてですが、三か年の整備状況が出ていましたので、ここは聞きませんので、先ほどの数字、ちゃんと入っています。
 私の地元板橋でも、JRでいいますと板橋駅にホームドアが設置されていませんので、朝ですとか混雑時は大変危ない思いをすると。
 ただ、十万人以上、十万人以下という考えもあるんですが、我が会派としては、特に乗降者数が一日当たり多い駅の新宿、渋谷、池袋ですね、こういった駅は、延べ、新宿が二百七十六万人、渋谷が二百六十二万人、池袋が二百十六万人、一日当たり利用していて、合計七百五十四万人の方が使われていると。この三駅に関しては、やはり優先的に、それなりに予算を割いてやっていかなきゃいけないんじゃないのかなと思っています。
 新宿の埼京線、多分皆さんでも乗られている方いると思うんですけれども、ホームドアがなくて、本当に落ちそうになっちゃうぐらい。外国人の方も分からないでしょうし、大きな荷物持って、この危ない状況をやっぱりずっと放置しちゃいけないんじゃないのかなと思うわけであります。こういった状況を改善していくには、やっぱり特別な、桁が一個違いますから、特別な対応ですとか、特別な対処が優先的に必要だと思っています。
 スピードを上げて取り組むべきだとも考えておりますが、令和五年度末時点におけるその三駅のホームドアの整備状況も併せて伺います。

○村上地域公共交通担当部長 鉄道駅のホームドア設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であります。
 令和五年度末時点におきまして、JR東日本の池袋駅では、山手線ホームの一部にホームドアが設置されています。新宿駅、渋谷駅ではホームドアは設置されていませんが、池袋駅及び新宿駅では、事業者が鉄道駅バリアフリー料金制度を活用し、整備に向けた設計や工事を進めています。
 都は、優先整備の考え方も踏まえ、鉄道事業者に整備計画の拡充を求めるとともに、支援策を拡充しています。

○宮瀬委員 新宿、渋谷駅では、ホームドアは設置されていないといったことでありますから、ここはほかの駅と、この三駅は大きく違いますので、特別な対応をぜひしていただきたいなと思っております。
 ちょっと地元の話で恐縮なんですけれども、東武東上線のホームドアの設置について伺います。
 このホームドアに関しましては、地元の悲願でありまして、公明党の橘都議もよくやられていましたし、かまた都議も取り上げていますし、私も長年訴え続けて、やっと動きも、最初、池袋駅でやっとついてといったことなんですが、下赤塚駅で転落事故が起きたりとか、非常に課題も多い中で、やはり急いでいただきたいなと思っております。
 東武東上線のホームドアの整備状況も併せて伺います。

○村上地域公共交通担当部長 鉄道駅のホームドアの設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であります。
 板橋区内には、東武東上線の七つの駅があり、令和五年度末時点でホームドアが設置されている駅はございません。
 東武鉄道が令和五年六月に公表した整備計画に基づき、東武練馬、下赤塚、成増の三駅は、令和四年度から整備に着手しています。また、大山から上板橋の四駅は、令和八年度以降整備に着手する計画でございます。
 都は、優先整備の考え方も踏まえ、鉄道事業者に整備計画の拡充を求めるとともに、支援策を拡充しております。

○宮瀬委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、平成三十年の常任委員会でちょっと質問したテーマなんですけれども、東京都は地下街の浸水対策を行っているということであります。
 先般、八月二十一日の集中豪雨では、東京メトロの市ケ谷駅、都営の国立競技場駅、麻布十番駅に水が入りまして、大きく報道もされております。
 そういった中で、東京都の方は、十二地区を大規模地下街として捉えて、その対策を行ってきたと思います。具体的には渋谷、新宿西、新宿東、池袋、新橋、八重洲、大手町、丸の内、有楽町、銀座、上野、御徒町、浅草だと思いますが、どのような取組を今行っているのか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、都内十二地区の大規模地下街等で、関係者が連携し、浸水対策に取り組むための協議会及び地区ごとの部会を設置しておりまして、地区ごとに緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画を策定しております。
 令和五年は、都と地下街管理者が連携し、地区ごとに浸水対策計画を更新いたしました。

○宮瀬委員 その前段の対策云々というところをさきの委員会で受けて、私もいろいろ現場を見に行って、実際は、駅とくっついている民間の出入口があって、それは実に対策が困難ではないのかなと。その質疑で何か所ぐらいあるんですかといったことも、正確にはたしか把握されてなかったと思います。
 その後、大規模地下街の出入口、約六百か所に対してどう対応するんですかと。民間の出入口、水はどこでも入りますから、駅の入り口だけ抑えても、民間の居酒屋さんとか、店舗とか、ビルから入ってきたら、同じことですよといったことで提案を、しっかり都はやってほしいといったことを指摘させていただきましたが、あれから何年かたって、六百の内訳含めて、その後の状況について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 令和二年度までに、地下施設同士が接続する出入口も含めて約六百の出入口のうち、共用している出入口の止水対策を確認しているところでございます。
 約六百のうち、約三百が止水板の設置、約百五十が土のうの設置、残りは避難出口として、地下街利用者が避難した後に止水板または土のうにて対応することとしております。

○宮瀬委員 六百か所、ほぼですね。多分、ほぼ全てご対応されたといったことで、皆さんの努力に敬意を表したいと思います。
 一方、やっぱり店舗によっては、水が入ってきそうなところに止水板ですとか土のうを置いたりすると思うんですけれども、その浸水が夜間だったり、はたまた早朝、お店が開く前だったり、はたまたお店自体が休みだったりとか、いろんな細かな状況あると思いますので、ぜひ今後もきめ細やかな対応をしていただければと思っております。
 とりわけ、その十二地区ある中で、この委員の皆さん、城北地域がちょっと多いので、池袋についてちょっと特化して聞きたいんですけれども、池袋地域を特別視してほしいというわけではないんですが、どういう状況かなと、しっかり対応していただきたいと思うんですけれども、令和五年度の出入口の止水対応の内訳を含む取組状況と見解について併せて伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 池袋地区には、東口地下街と西口地下街がございまして、令和五年度は、駅工事の状況なども踏まえ、浸水対策計画を更新いたしました。
 また、出入口の止水対策は、止水板十八か所、土のう九か所、避難出口三十二か所、工事中二か所で対応をしております。
 引き続き、都と管理者が連携し、浸水対策計画に基づき、情報伝達訓練や避難経路の確認を図上訓練にて実施いたします。

○宮瀬委員 どうぞよろしくお願いいたします。先ほど乗降者数の話もしましたが、都内第三位、二百十万人ぐらいの方が使っている駅ですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、満員電車対策について伺います。
 私、予算特別委員会等で、小池都知事に、満員電車ゼロってどういうことですかと、大分議論したことがあるんですけれども、今日はそういったお話ではなくて、どうやって、コロナを受けて、今後どうしていくのか、今の現状はどうなっているのかというのをまず確認させていただければと思います。
 都全体の直近五年の混雑率について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 国土交通省が公表した調査結果によりますと、直近五年の主要区間における平均混雑率は、令和元年度が一六三%、令和二年度が一〇七%、令和三年度は一〇八%、令和四年度が一二三%、令和五年度が一三六%でございます。

○宮瀬委員 併せて、都営三田線の直近五年の混雑率について伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 同様に、国土交通省が公表した調査結果によりますと、直近五年の都営三田線の混雑率につきましては、令和元年度が一六一%、令和二年度が一二九%、令和三年度が一三一%、令和四年度が一三五%、令和五年度が一四〇%でございます。

○宮瀬委員 両方共通していますのが、令和元年度が一六三で、令和二年度、コロナになって一〇七、そこから徐々に上がって、一三六まで全体では来ているといったことです。もちろん、都営交通の皆さんと質疑していると、運賃料収入が減って大変だといった課題もあるわけでありますが、行き過ぎた混雑というのは、やっぱり通勤大変ですから、緩和していかなきゃいけないと思っています。
 改めて、都は今までどのような取組をしてきたか伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 鉄道の混雑緩和は、官民が連携して解決していくべき重要な課題でございます。
 ハード面では、鉄道各社と連携し、車両の長編成化や鉄道ネットワークの充実など、輸送力の増強に取り組んでまいりました。ソフト面では、オフピーク通勤を促進する時差ビズなどを実施してまいりました。

○宮瀬委員 分かりやすいのは、ハードの面はあると思います。都営三田線も八両編成化に一部なりましたし、まだ一部六両編成ですので、残りの車両も、残りの列車というんですかね、それもぜひ全て八両にしていただきたいなと、交通局にもお願いはしておりますけれども、ただ、今までの取組、るるハード面、ソフト面というお話がありましたが、その効果をちょっと数字でお伺いさせてください。数値。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 鉄道の混雑につきましては、人口の動態、テレワークや時差出勤といった働き方改革の進展など、様々な要因が複合的に作用するものでございます。
 引き続き、ハード、ソフト両面から総合的に鉄道の混雑緩和に取り組んでまいります。

○宮瀬委員 ここは、私、民間出身なので少しこだわりたいんですが、やっぱりPDCAサイクルを回していくことが大事ですよねと。いろんな要因あると思います。
 その中で、コロナで大分混雑率が落ちて、今、ぐっと上がってきていると。その間、東京都はハードの面とソフトの面、ソフトの面はまさに東京都だけで行ってきた時差ビズですとかオフピーク通勤とか、そういった取組は、ほかの鉄道会社、あまり関係ないといいますか、都の取組だと思うんですね。
 それがどれぐらい混雑緩和に寄与されたのか、そのことを把握することというのは、今後、鉄道の満員電車の混雑率に向けての対策を打っていく中で、これは効果があったからもっと予算つけようとか、これは効果があまりなかったからちょっとやめておこうとか、いろんな総括がやっぱりなされるべきだと思います。それがないと、このまままた混雑率がどんどんどんどん、一五〇を超えて、事業者の責任ですとか、そういう形になりかねないんじゃないのかなと危惧しております。
 ですから、改めて、都がやったことが、時差ビズ、時差出勤、あとはオフピーク通勤とか、どれぐらい混雑率にいい影響があったのか、ロジカルに語れるんでしょうか。ちょっともう一回伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 先ほども申し上げたとおり、鉄道の混雑については様々な要因が複合的に作用しているものでございます。個別の切り分けというのはなかなか困難だというものでございます。
 そういった中で、ハード、ソフト両面をしっかり組み合わせて、ムーブメントも含めて、総合的に鉄道の混雑緩和に取り組んでまいりたいというところでございます。

○宮瀬委員 そうなると、ちょっと厳しいことをいわせていただくと、混雑率がぐっと今まで上がっていって、コロナで、すとんと落ちてというのは、もう本当に成り行きだったんじゃないのかなと。都はいろいろやっていたと思いますよ。でもその効果がよく分からないと。いろんな要因あるでしょうと。いろんな要因を挙げていただければいいんですけれども、その中で東京都でやっていることはどれぐらい影響があったのか、寄与したのかというのは、やはりちゃんと総括していただきたいなと。
 今後また、満員電車といいますか、混雑率ぐんぐん上がってきそうな数字のトレンドになっていますので、ぜひそれは一回総括していただきたいなと。もちろん、路線ごとにいろいろ要因あると思います。複線化とか、八両編成化とか、それぞれの路線ごとにぜひちょっと考えていただきたいなと思っています。
 この混雑率のところで最後の質問なんですけれども、改めて、知事のいう満員電車ゼロという単語が結構ひとり歩きしたんですが、その中で、混雑を緩和していくのは間違いないと。東京都として混雑率を何%にしていくことがいわゆる目標なんでしょうか。伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 国の交通政策審議会の答申では、混雑緩和について、ピーク時における主要三十一区間の平均混雑率を一五〇%にするとともに、ピーク時における個別路線の混雑率を一八〇%以下にすることを目指すとしており、この数値も混雑緩和の一つの目安と考えているところでございます。

○宮瀬委員 さきの、たしかこれ予算委員会だったと思うんですけれども、国の数字は一五〇ですよということはおっしゃるんですけれども、都は一五〇を目指すとはおっしゃらないんですよね。
 目安というのは目標値のことなんですか、都の。改めて伺います。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都としての数値目標は示しておりませんけれども、国の答申で示されている数字は、一つの目安としていきたいというふうに考えているところでございます。

○宮瀬委員 これ、ずっとエンドレスになっちゃうんで、もうここで今日は−−いずれにせよ、一五〇というのは、目指すという表現でいいのか分かりませんけれども、ぜひ、今後、一五〇を超える路線出てくると思いますので、引き続き満員電車対策、私、見ていきますので、今までやった取組の検証はぜひやっていただきたいなと思います。
 最後に、板橋の高島平地域のまちづくりについて質問させていただきます。
 私、実家といいますか、ふるさとが高島平という高層団地ですね、URが建てた。当時東洋一のマンモス団地といったことで、今でいうと豊洲みたいなにぎわいがあって、若い人が住んでと。ただ、もう築四十年、五十年という月日がたつ中で相当老朽化をしていると。住民もまちと一緒に年を重ねて、団地のつくりが二世帯どうしても住めないつくりになっていますので、子供は出ていっちゃって両親が団地に住んでいると。一時期、二丁目という地域だけで二万人もの方がいた、本当ににぎやかな、私の子供の頃はにぎやかな地域でありました。
 そういった中で、まちをリニューアルしていこうといったまちづくりの話が、地元からも、板橋区からも出ていまして、なかなかその計画も進んでこないと。私の母校でありました高島七小という地域、廃校になってしまったんですけれども、それを壊してどうやっていくのかという議論も、十年、十五年ぐらいやっているような、野ざらしになっているその一等地が一向に動かないと。そういった中で、昨年度までどのような動きがあって、都はどのような関与をしてきたのか伺います。

○山崎理事 高島平地域では、地元の板橋区などが主体となって、老朽化した大規模団地の再生に合わせたまちづくりの検討が進められており、平成二十七年度にグランドデザイン、令和三年度に都市再生実施計画、令和五年度に高島平駅周辺を対象とした交流核形成まちづくりプランが策定されております。
 都は、区と連携して、地域の将来像の実現に向けた土地利用規制の在り方等の検討を定期的に行うなど、区が進めるまちづくりを支援してまいりました。

○宮瀬委員 今、昨年度までの動きを聞いたわけでありますが、そういった動きがまちづくりにどう生かされ、都はそれにどのように関与するのか伺います。

○山崎理事 区は、昨年度策定いたしましたまちづくりプランに基づき、令和七年六月頃の地区計画の決定を目指しまして、地区計画の素案を作成し、本年六月に説明会を行うなど、都市計画手続を進めております。
 都は、区が地区計画の素案作成を進めるに当たり、区と協議を行い、大規模団地の建て替え計画の進捗に合わせた段階的な地区整備計画の作成等について助言するなど、都市計画に関わる技術的な支援を行っております。

○宮瀬委員 地元では、URがあって、板橋区があって、近くに都営交通三田線があって、都立公園があってと、権利関係やプレーヤーが非常に多くて、それもあってなかなか進んでこなかった部分もあるのかなと。東京都の方が区のご担当と連絡取っていろいろやっていただいているというのは聞いております。
 いずれにせよ、高齢者の方が、団地が一回壊れて移転を余儀なくされて、商店街もなくなってしまうと。ある地域はもう更地になりますので、そうなると、地元の住んでいる住民の皆さんは、そういうのはいいと、ついの住みかとしてここにずっといれば、私はいいんだという方もいるぐらい、不安で動きたくないよといった方もいらっしゃいます。
 そういった地元でも、この部分は反対だとか賛成だとか、いろんな声があります。ここはまちづくりを担う都市整備局の皆さんでありますから、区に任せるだけではなくて、都としても地元の声をしっかりと聞いてほしいという声もあります。私もそう思いますが、見解を伺います。

○山崎理事 都はこれまでも、区を通じて地元の意見を把握しながら、区との協議などを行ってまいりました。引き続き地元の声を踏まえ、地区計画の策定に合わせた用途地域の見直しについて検討を行うなど、区と連携して適切に対応してまいります。

○宮瀬委員 地元というのは何を指すのかというのはあるんですけれども、その再開発の一部の計画について、代表する地元の自治会長さんが、この部分は反対だといった声も具体的に上がり始めて、区議会でも陳情が上がったりもしております。やはり地元の声というのはいろいろ広いんですが、一つ、町会長の声というのは、大きな地元の声の一つだと思いますので、そういった声を尊重していただいたり、全員が百点満点の回答は無理だと思うんですけれども、ぜひ歩み寄っていただければと思っております。
 今後、都において、用途地域の都市計画の変更、これは東京都が関係する大きな、高島平地域の再開発の都の関与の部分だと思います。ぜひ積極的にまちづくりに参加していただくことを強く要望しまして、質問を終わります。

○遠藤委員 それでは、多摩ニュータウンの新たな再生方針(素案)について伺います。
 先ほど伊藤委員からも言及がございましたが、多摩ニュータウン、国と東京都の方針で大きくはつくってきた団地でありますので、こういったことを踏まえて質問をしてまいります。
 本方針を拝見いたしますと、東京都が南大沢スマートシティ、そして多摩市にあります諏訪・永山まちづくり、さらには多摩センター駅周辺再構築、この三つの先行プロジェクトを実施してまちづくりを先導するとあります。多摩ニュータウンの再生には、東京都が先行プロジェクトを推進することは欠かせないと考えております。
 まずは、八王子にあります南大沢スマートシティの昨年度の取組状況について伺います。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 昨年度は、南大沢スマートシティの認知度を向上させるため、自動配送ロボットの体験や電動キックボードの試乗などができるイベントを開催いたしました。加えて、地元住民をはじめ、多様な主体が集う会議を開催し、新たなモビリティーやまちのにぎわいに資する地域に根差したスマートサービスについて、検討を深めたところでございます。

○遠藤委員 次に、多摩市にございます諏訪・永山のまちづくり、この件について昨年度の取組状況を伺います。

○安間局務担当部長 都は、多摩市と共同で、令和四年九月に諏訪・永山再生プロジェクト検討会議を設置し、昨年度は七月と三月の二回開催しました。
 検討会では、永山駅周辺の再構築や南多摩尾根幹線沿道の都営住宅建て替えに伴います創出用地の活用などについて検討を進めました。

○遠藤委員 続きまして、多摩センター駅周辺について伺います。
 多摩センターという名前からして、多摩ニュータウンの中心という意味だと思いますけれども、この多摩センター駅の周辺には、まさにニュータウンを中心として、商業、娯楽、サービスなどの都市機能が集約されておりますが、近年、魅力の低下が懸念されているわけでありますけれども、そこで地域の現状と都の取組について伺います。

○澤井多摩まちづくり政策部長 多摩センター駅周辺は、駅開業から約半世紀が経過し、周辺施設の高経年化や、令和五年には京王プラザホテル多摩の閉館、多摩美術大学美術館の移転が相次いでおります。
 そのため都は、本年一月に公表した新たな再生方針(素案)において、多摩センター駅周辺の再構築を先行プロジェクトに位置づけまして、まちづくりの検討を進めることとしております。

○遠藤委員 今、三点ですね、多摩ニュータウンの新たな再生方針(素案)について伺ってまいりました。
 いろいろ課題はあるんですが、私の地元でもありますけれども、実はこの地域、大きな魅力、可能性がある。一つはリニア新幹線の開通。二〇二七年から、現在、二〇三四年以降というふうな表現に後退をしておりますけれども、このリニア新幹線が開通しますと、品川と橋本、この区間は約五分から八分でつながるという話です。橋本から多摩センター、十分しかかかりませんので、うまく乗り継げば、品川まで二十分で行けるということですよね。
 さらに、横浜市営地下鉄が今度新百合ヶ丘に接続すると、これはもう確定した情報でして、二〇三〇年、つまり六年後の予定です。こうしますと、いわゆるみなとみらい地区へも四十分ぐらいでつながるわけですね。まさに非常に大きなポテンシャルが上昇していく、こういうことが見込まれております。
 こういった状況の下で、多摩ニュータウンの新たな再生方針、三つの先行プロジェクトが推進されていくことで、このポテンシャルが最大限発揮できるように、着実にその取組を進めることを大いに期待して、質問を終わります。

○曽根委員 私で最後の質問者となりますので、よろしくお願いします。
 最初に、先ほど環境局にもお聞きしたんですが、神宮外苑の再開発問題について、昨年九月に環境局長と連名で、都市整備局長名で開発事業者に対して樹木保全の要請を出したということですが、都市整備局としてどのような検討を行って、こういう異例の措置といいますか、要請を出したのか、その点について伺います。

○山崎理事 都はこれまでも、事業者に対し、既存樹木の保全などに取り組み、都民の理解と共感を得ながら事業を進めるよう要請してまいりました。
 昨年九月の要請は、新ラグビー場敷地の樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示された検討を行った結果として既存樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すよう求めたものでございます。

○曽根委員 今のお答えには、この事業者に対して、この計画が都民の理解を得られるようにという趣旨から、それも含めて要請をしたと。特に、樹木の伐採計画の見直し、この点について、この神宮外苑の今後の在り方に大きく関わる問題として要請したということだと思います。
 ところが、事業者の見直し案が、先ほども環境局でやったんですけど、住民の意見がほとんど取り入れられることなく、計画の基本は変わっていないというものにとどまりました。この点からいえば、見直し要請どころか、やっぱり都民世論が、理解するどころか厳しく批判しているというこの開発を、昨年度出した要請ですが、一旦凍結するというような、ちょっと厳しい要請、提起をすべきだったんじゃないか、このことについて都市整備局として見解を伺います。

○山崎理事 神宮外苑のまちづくりは、明治神宮などの民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。
 都は、都市計画や再開発事業の認可などについて、法令等に基づき適切に対応しております。

○曽根委員 都市整備局の扱っている都市再開発事業の認可、これについては法令等に基づき適切に対応というお答えになったとおりならば、例えば、イチョウ並木から数メートルの距離で計画されていた神宮球場が十八メートルセットバックすると、この変更については、当然、この球場の設計も大幅に変わる可能性がありますので、都市計画審議会などで再度審議をすべきことは当然であります。
 第三回定例会での我が党の代表質問に、都は繰り返し、事業者が今後、環境影響評価書の事後調査報告や変更届と併せて、地区計画の企画提案書の変更、事業計画変更の認可手続など、必要な行政手続を進めると答弁しています。都民や専門家の理解を得られていない見直し案について、今こそ東京都の責任で厳しく対処することが求められます。
 都は、このような見直し案に基づく申請を、今後認可手続がありますので、ここで認可をすべきではないと強く求めておきたいと思います。
 この点で、改めて都市整備局の姿勢が問われているということ、都民の理解が得られるようなものでないことは明らかであって、これをやすやすと認可するようなことは、東京都に対する都民、地元区民の信頼を大きく損ねるということを申し上げておきたいと思います。
 次に、公共交通問題について質問させていただきます。
 私も二定で個人質問させていただいたものですが、昨年度の私の地元北区を含めた都内のコミュニティバスの利用実績を見ても、公共交通が地元で定着していくために、今日においては、自治体の支援は欠かすことができないというのが私の実感であり、これが実態だと思います。
 都は、昨年度までどのような考えに基づいて、この公共交通、コミュニティバスなどに支援を行ってきたのかを伺います。

○村上地域公共交通担当部長 都は、令和三年度に策定した東京における地域公共交通の基本方針に基づき、地域の交通課題の解決に向け、区市町村の主体的な取組を効果的に後押しするため、地域公共交通の取組に対する支援を行っております。

○曽根委員 今、区市町村が主体的に取り組むと。しかし、これを効果的に後押しするために、これに支援を行っているというお答えでした。
 その点でいいますと、最近の状況は非常に、定期運行のバス路線自体も廃止や減便がもう全国的に広がっている。この現状については、例えば、今年の東洋経済の一月号でしたか、大特集がありまして、もうこのままでは、自治体の支援なしには定期バス路線自体が守れないと。ましてやコミュニティバスは、もともと自治体が支援することを前提に始めているものですから、これはもう本当に立ち行かなくなるという厳しい指摘、警告が報道されています。
 私は地元北区なんですが、ここ最近ではほとんど唯一といっていいと思いますが、四月からコミュニティバスの新しい路線を運行開始しました。これは当然ながら東京都の支援があり、北区も、バス事業者だけでは当然赤字になりますから、これを援助しながらということを覚悟してスタートしたわけです。
 しかし、その直前には、三月の段階で、足立区で行っていたコミュニティバスの運行が六路線ぐらい廃止になったんですね。こちらは、バスの事業は事業者任せ、区も支援しないし、東京都の援助ももらっていないと。こういうのでコミュニティバス事業者が自らの責任でやると、これがもう破綻してしまっていると。もう見事な対比になっているんですね。私、これ見て、本当に自治体は本気になって守らないと、地域の本当に大事な交通機関、なくなっていくなということを実感しています。
 実は、私たち共産党都議団として、十年前と、それから二年前に、二回にわたってコミュニティバスの調査を、都内の自治体に問い合わせてやったんですが、この十年間でバス路線、増えているんですよ、コミュニティバスは。しかし、増えているんですけど乗客が減ってきているんです。特に多摩では二割ぐらい、年間千四百八十五万人−−トータルですね、多摩トータルで−−の乗客が千二百四十八万人ぐらいですから、まあ大体二割近く十年間で減ってきている。路線は増えているんだが乗客は減っているということは、要するに料金値上げせざるを得ない自治体の判断があるときに乗客が減っていくという、悪循環に陥りそうになっているところに、この間、バス運転手の勤務時間の改善を国から指示があったり、それから物価高騰で燃料費が上がったりして、大変もう厳しい状況に陥っているわけです。
 それで、区市町村への、今、東京都の運行の支援が三年間の期間限定になっていますが、都は財政支援を行っているこの期間の延長が、私は欠かせないということを思いますが、これまでの三年間のみの財政支援というのは、どういう考え方で行ってきたんでしょうか。

○村上地域公共交通担当部長 コミュニティバスは、区市町村による主体的、自立的な運営を前提としており、区市町村自らが交通需要や事業の持続性、財政負担の将来的な見通し等について十分に検討することが必要でございます。
 都は、事業運営の安定化を図るために、運行開始後三年間の運行経費の一部を区市町村に補助しております。

○曽根委員 東京都の三年間の路線の運行の支援というのは、やっぱり三年間ぐらいは安定化するのにかかるであろうと、その間は運行経費の一部を補助しましょうと。しかし、三年ぐらいの間に、どの地域でも、路線としてコミュニティバスも安定していくだろうという見通しの下に行われているもので、これはもう長いこと、福祉保健局時代に行っていたときからこの考え方でやっていると思います。
 ところが、実際には、物すごくこの間の情勢の変化がありまして、運行は厳しくなっていると。したがって、地元の区市町村のみならず、特に区境、市境を越えているバス路線も厳しい中で、公共交通、バス路線全体を守るために、東京都の財政も含めた各バス事業に対する支援が欠かせないと。三年間の延長は市長会からも要望がたくさん出ていますので、この点についてのやはり改めて再検討をお願いしておきたいと思います。
 それから、先ほどから申し上げておりますように、都内でも定期バス路線の廃止や減便が相次いでおります。
 定期路線バスの運行事業者に対し、都は現在どのような支援を行ってきたんでしょうか。

○長尾都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、令和五年度に、路線定期運行バス事業者に対し、運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業を実施いたしました。

○曽根委員 やはりこれも燃料費高騰の緊急の対策事業なんですね、最近、タクシーにも適用しましたが。この燃料費高騰問題はもちろんあるんですが、同時に今、定期運行バスの事業者がみんな困惑しているのは、やはりバスの運転手不足、そして人件費を含めて、もう本当に、運転手の長時間労働勤務の改善ということで、大変な人手不足になっているということが大きな要因になっていますので、葛飾区で取り組み始めたように、人件費補助についても、ぜひこの際検討すべきということは申し上げておきます。
 時間の関係で次に行きますが、三つ目に、米軍基地及び米軍関連施設についてちょっと質問しておきます。
 多摩サービス補助施設の返還について、昨年度までの状況はどうなっているでしょうか。

○志村基地対策部長 多摩サービス補助施設につきましては、直ちに返還がなされるよう、都は提案要求を通じて国に要請を行いました。

○曽根委員 記録を見てみたんですけれども、多摩サービス補助施設は、地元の稲城市に六、七年前に一部共用で、稲城市と共用していた部分については返還が実現したんですが、もうごく僅かです。大部分、物すごい大きな森と、自然にあふれたこのサービス補助施設はほとんど全部、米軍関係者のゴルフ場だとかその他で使われているわけです。
 直ちに返還がなされるように国に要請というふうにお話しになっていますが、地元は一貫して、稲城市のこの貴重な緑と、そしてここには戦争中陸軍の施設があったらしくて、戦争の戦跡が残っているんですね。これは全く米軍の中に、管理に置かれていますから、中に立ち入れないということで、稲城の里山と史蹟を守る会というところからニュースを年に四回ぐらい出して、今、百七十二号まで出ているんですけど、もうずっと一貫して、戦跡をちゃんと残すために地元への返還−−全く使っていませんからね、あの周りの自然のところは。米軍に対して強く求めてほしいという要請が出ていますので、このことを申し上げておきます。
 それから、都として、横田基地をはじめ米軍基地の返還、撤去に向けた令和五年度の取組について伺います。

○志村基地対策部長 都は、都民の生活環境を改善し、地域のまちづくりを推進するという観点から、基地返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう国に要請を行いました。

○曽根委員 今日、資料でいただいた四ページにあるように、私は資料要求の際に、たしか米軍関係者による性犯罪も含めた犯罪事件の資料というふうにお願いしたと思うんですけれども、四ページの資料を見ても、この中に性犯罪がどれなのかというようなことは、はっきり分かるような資料には残念ながらなっておりません。
 ご存じのように、最近、沖縄で性犯罪が繰り返されていながら、沖縄県に通知がなかったということで、かなり大きな問題になりました。私たちも、それではと思って警視庁に問い合わせてみたんですが、少なくともこの資料の期間の中で、複数回の性犯罪はあるということは分かってきました。
 したがって、今後のこの資料、米軍構成員による事件・事故というこの資料については、少なくとも性犯罪と、あってはならない、こうした、まあ先ほどおっしゃったように、生活環境を改善するためにも、米軍の性犯罪などは絶対に許されないわけですから、これが東京都に正式に資料として載るようにさせるということを、ぜひこの点は特に特段求めておきたいと思います。
 全体として、この間の十数年見渡しても、ごく限られた施設にしか開放が行われておりませんので、本当に横田基地を含めて米軍施設の整理、縮小、返還ということは、これまでもいわれていて、東京都の基本方針ですので、これを早期に実現するよう求めて、質問を終わります。

○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時五十分散会