委員長 | 福島りえこ君 |
副委員長 | 伊藤こういち君 |
副委員長 | 林あきひろ君 |
増山あすか君 | |
こまざき美紀君 | |
清水とし子君 | |
原 のり子君 | |
加藤 雅之君 | |
成清梨沙子君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉局 | 局長 | 山口 真君 |
次長理事兼務 | 浅野 直樹君 | |
理事 | 小室 明子君 | |
総務部長 | 関口 尚志君 | |
企画部長DX推進担当部長兼務 | 森田 能城君 | |
生活福祉部長 | 新内 康丈君 | |
子供・子育て支援部長 | 西尾 寿一君 | |
高齢者施策推進部長 | 花本 由紀君 | |
障害者施策推進部長 | 加藤 みほ君 | |
政策推進担当部長調整担当部長兼務 | 柳橋 祥人君 | |
事業調整担当部長 | 渋谷 恵美君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 瀬川 裕之君 | |
総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 | 竹中 雪与君 | |
高齢者施策推進担当部長 | 梶野 京子君 | |
障害者医療担当部長 | 菊地 章人君 |
本日の会議に付した事件
令和五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉局関係
・令和五年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和五年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・令和五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○福島委員長 ただいまから令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉局関係の決算に対する質疑を行います。
これより福祉局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和五年度東京都一般会計決算中、福祉局所管分、令和五年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び令和五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○関口総務部長 十月九日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
資料は、目次にありますように、全部で二十一項目でございます。
それでは、一ページをご覧ください。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額、一般会計に占める割合などの推移につきまして、(1)に福祉局及び保健医療局所管分を令和元年度から令和五年度までの五か年にかけて、(2)に旧病院経営本部所管分を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
二ページをご覧ください。2、福祉局・保健医療局の予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち、表側の予算の区分ごとに、福祉局、保健医療局及び旧病院経営本部所管分の予算現額及び決算額の推移を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
三ページをご覧ください。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びその人口に占める発行実績数の割合の推移を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
四ページをご覧ください。4、令和五年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、四つの包括補助事業別に区市町村ごとの令和五年度の補助額の実績を五ページにかけて記載してございます。
六ページをご覧ください。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、(1)、アに区市町村地域生活支援事業の必須事業を七ページにかけまして、八ページの(1)、イに区市町村地域生活支援事業の任意事業を九ページにかけまして、一〇ページの(2)に区市町村地域生活支援促進事業を一一ページにかけまして、事業ごとに令和五年度の区市町村別の実施状況を記載してございます。
一二ページをご覧ください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、令和五年度中に東京都が認可した保育所における屋外遊戯場の設置状況につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみの三つに区分し、それぞれの施設数を区市町別に記載してございます。
一三ページをご覧ください。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数並びに指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
一四ページをご覧ください。8、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数、施設閉鎖の命令数等の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数並びに認可、認証の取消し数及び認可外保育施設に対する施設閉鎖の命令数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
一五ページをご覧ください。9、保育施設巡回指導員数の推移といたしまして、各年度三月三十一日現在の保育施設巡回指導員の人数の推移を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
一六ページをご覧ください。10、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、区分に記載した事業ごとに、(1)の当初予算額及び(2)の決算額を令和三年度から令和五年度にかけて記載してございます。
一七ページをご覧ください。11、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移(当初予算及び決算)といたしまして、当初予算及び決算において、事業ごとに補助対象といたしました事業所数及びレベル認定者数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
一八ページをご覧ください。12、都内の介護職員数の推移といたしまして、都内の介護職員につきまして、厚生労働省が推計した人数を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
一九ページをご覧ください。13、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおけるコロナ専用病床の確保数の推移と利用実績といたしまして、(1)にICU、一般病床の区分別のコロナ専用病床確保数及びその合計につきまして、令和五年四月一日から令和六年三月三十一日まで記載してございます。(2)では、同じくICU、一般病床の区分別のコロナ専用病床の利用実績及びその合計の利用実績につきまして、令和五年度の数値を記載してございます。
二〇ページをご覧ください。14、宿舎借り上げ支援事業(介護、障害、保育、児童養護)の実績の推移といたしまして、(1)から右側二一ページの(4)にかけまして、介護、障害、保育、児童養護に係る宿舎借り上げ支援事業の実績をそれぞれ令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
二二ページをご覧ください。15、保育所等における置き去り等事故の報告件数といたしまして、令和三年度から令和五年度までの報告件数を記載してございます。
二三ページをご覧ください。16、東京都ひきこもりサポートネットの相談件数の推移といたしまして、電話相談、メール相談、ピアオンライン相談及び来所相談における延べ相談件数及び訪問相談における新規受付件数を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
二四ページをご覧ください。17、ひきこもりに係る支援事業の予算・決算額の推移といたしまして、各年度の予算現額、決算額及びそのうちに占めるサポートネット運営費の金額を令和三年度から令和五年度まで記載してございます。
二五ページをご覧ください。18、特別養護老人ホーム経営支援事業におけるあん摩マッサージ指圧師加算の対象者数の推移といたしまして、各年度の対象者数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
二六ページをご覧ください。19、都内から都外の医療型障害児入所施設に入所している人数といたしまして、令和五年四月一日現在の人数を障害児及び十八歳以上の障害者ごとに道府県別、東京都民間社会福祉サービス推進費補助金(医療型障害児施設)の有無別に記載してございます。
二七ページをご覧ください。20、生活保護における葬祭扶助の推移といたしまして、生活保護法により葬祭扶助を行った人員数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
二八ページをご覧ください。21、墓地埋葬法等による遺体の火葬等に係る区市町村からの費用弁償請求件数の推移といたしまして、行旅死亡人及び墓地埋葬法(遺体)について区市町村から費用弁償請求がございました件数を令和元年度から令和五年度まで記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○福島委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林委員 都議会自由民主党の林あきひろでございます。それでは、質疑を始めさせていただきたいと思います。
最初に、〇一八サポートについてお伺いしたいと思います。
この〇一八サポートは話題にもなりましたし、様々な意見もございました。また、手続に対する煩雑さに対する意見とか、いろいろなご意見もある中で始まった、いわゆる知事の鳴り物入りの事業であったわけでございますけれども、この令和五年度に新たに開始した〇一八サポートについて、事業を周知するための取組とか、予算額のうち給付金の額、そしてその執行実績、そして、この春ぐらいまでに九割以上の方が申請されているということだったと思いますけれども、未申請者への対応などについて、まず伺いたいと思います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートをより多くの方に申請いただけるよう、小中学校等での案内チラシの配布や動画広告の配信、個別案内などにより周知を行ってまいりました。
令和五年度は、対象となる子供の約九割に当たる約百八十一万人に給付金を支給しております。予算額のうち給付金の額は千二百億円であり、給付金の支給総額は約千五十九億円となっております。
なお、令和五年度の申請は令和七年三月十五日まで受付を継続しており、ホームページ等で未申請の方への周知を行っております。
○林委員 ありがとうございました。五年度分の申請については今お話があったとおり、来年の三月十五日までの受付を継続されているということで、ホームページ等で未申請の方への周知も行っているというお話でございました。まだ申請されていない方も少なからずいらっしゃるかもしれませんので、その辺は徹底していただければなと思っておるところでございます。
続いて、この事業を進めていく中で、いろいろな、先ほども冒頭申し上げたとおりいろんなご意見とか、いろんな、やりながら気づいた点とかいろいろあったと思うんですけれども、その中で工夫した点とか、取組を進めた結果、明らかになってきた課題みたいなもの、それについての対応などについてお聞かせいただけますでしょうか。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 申請手続の改善に向け、申請を行った方へアンケートを実施したところ、昨年十月から本年三月までの間に約四十一万人の方から回答をいただきました。
アンケートでは、案内に沿って入力していくだけで簡単に申請ができたという意見があった一方で、申請を中断したらログインが切れてしまい、最初から入力し直した、また、生年月日を入力する際に、月ごとのカレンダーを遡ったため非常に時間がかかったなどといった意見もいただいております。
こうした声なども踏まえまして、申請途中からの手続再開のボタンの追加や、生年月日等の入力方法をスクロール形式に変更するなどの改善を行ったところでございます。
○林委員 生年月日等の入力方法については結構話題になりまして、その辺は改善されたということは私もいろいろな方から伺いました。
この令和五年度の事業実施を踏まえて、今年度いろいろな改善点があったのかと思いますけれども、その改善、どのような改善を行ってきたのか、その辺についてお伺いできますでしょうか。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 昨年度ご申請いただきました方については、申請情報を引き継ぐことによりまして、原則としてプッシュ型での支給とし、改めての申請は不要としております。また、今年度出生する方、また都内に転入する方などにつきましては、新規に申請する場合には、従来の申請方法に加えまして、国と連携して保護者と子供両方のマイナンバーカードをかざすことで申請できる新たな方法を導入しております。
○林委員 ありがとうございました。五年度から始まった〇一八サポートについては、教育費とか生活費とかいった、そういった子育てにかかる、非常にかかる中で、経済状況が厳しい中で、雇用の不安定化も進む中で、東京都がこのような制度を整えていただくことは非常にありがたいという、そういった評価する声があったり、また年三回ですかね、振り込まれというか、支給されるんですけれども、生活費の中で埋もれがちですけれども、子供たちのために少しでも使えることはありがたいといった、そういった声もいただいております。
でも、非常にこういったことは評価されるところで、一方で、今年の九月に重複した申請を検知するシステムの設定に誤りがあって、約千二百人を超える方に重複して給付するミスが生じたという報告がされましたし、その後も二重支給がまた発覚したということもありました。誤って給付した額は一人当たり二万から八万というふうに聞いていますけれども、総額は一億二千万を超えるということで、これも保護者からの問合せがあって発覚したということでした。
このことで給付金の返還を呼びかける事態が生じたということは非常に残念なんですけれども、これはよく考えれば、一日も早く給付金をお届けしたいという事務作業のご苦労があったんだという結果だと思いますけれども、今後については十分気をつけて、慎重な中にもスピーディーにその辺を取り組んでいただきたいということを申し上げて、〇一八サポートについての質疑は終わらせていただきたいと思います。
続きまして、保育所等における送迎バス等安全対策支援事業について伺いたいと思います。
令和四年の九月に、ご承知のとおり静岡県において送迎用バスに置き去りにされたお子さんが亡くなるという大変痛ましい事故、事案が発生いたしました。こういった事故が相次いで発生した保育施設での送迎バスの置き去り事故については大変、親御さんはもちろんなんですけれども、私たちも含めて悲しい思いをした方が多いかと思っておりますけれども、国の方はこの件を、このことを受けて、バス送迎時の安全管理とか再発防止に向けた緊急対応策を取りまとめて、令和五年の四月から、バス降車時の所在確認と安全装置の設置が義務化されたことはご承知のとおりだと思います。
子供たちの命と安全を守るためには、ミスをカバーする安全対策というものが、残念ながら必須な状況になっております。こういった痛ましい事故が二度と繰り返されないための対策が重要ではありますけれども、都としての取組について伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は令和四年度より、送迎バスの安全装置の設置や研修の実施など、認可保育所、認証保育所、認可外保育施設等における置き去り事故の防止に向けた区市町村の取組を支援してまいりました。
さらに、保育所等に対し、通知や講習会等により、送迎バスを使用する際の留意事項や安全装置の適正使用などについて周知をしております。
○林委員 ありがとうございます。国では、送迎用バスに対する安全装置の装備を義務づける関係府省令等の改正が令和五年四月一日に施行されているんですけれども、令和六年三月末日までの一年間を経過措置としての期間として設定されているところなんですけれども、可能な限り、令和五年の六月末までに安全装置を装備するように求めておりました。
そのような中で、保育所等における送迎バス等安全対策支援事業を活用した令和五年度の取組実績について伺わせていただきたいと思います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 保育所等における送迎バス等安全対策支援事業を活用し、令和五年度に送迎バスの置き去り事故の防止の取組を実施した自治体は四十一となっております。都は令和五年度の国調査に基づき、送迎バスの安全装置の設置状況について進捗管理を行っており、都内保育所等では全ての対象施設において設置が完了しております。
○林委員 都内の保育所などでは、全ての対象施設において設置が完了しているというご答弁でございました。
こういった都内の保育所等については全ての対象施設において完了ということは確認させていただいたところですけれども、保育園、幼稚園等以外でも、障害のあるお子さんが通う放課後等のデイサービスとか児童発達支援などの障害児通所支援事業所も同様で、乗降車時の所在確認及び安全装置の装備が義務づけられているというふうに伺っておりますけれども、そこで障害児通所支援事業所における取組状況について伺わせていただきたいと思います。
○加藤障害者施策推進部長 都は令和四年度より、国の作成いたしましたバス送迎・安全徹底マニュアルなどを、保育施設に加えまして、全ての障害児通所支援事業所に周知するなど、事業所の安全対策を支援してまいりました。
また、事業所が送迎車両用の安全装置を設置する場合に、国の補助額に加えまして都独自の支援を行いました。
こうした取組によりまして、令和五年度末までに安全装置の設置義務のある車両を有する八百五十九事業所全てにおきまして設置が完了をしております。
○林委員 八百五十九事業所全てで設置が完了しているということで、全国的なデータも、国の方のデータも拝見させていただきましたけれども、ほぼ網羅する形で全国、そういう安全装置は設置が進められているということを拝見させていただいたところですけれども、こういった置き去りの直接的な原因はバス降車時の車内確認不足だと思うんですけれども、しかし、間接的にはやっぱり安全に対する意識が不足していることとか、職員間での情報共有不足、また保護者への確認を怠るといったヒューマンエラーというものが原因で、挙げられるんではないかというふうに思っております。
こども基本法では、全ての子供が将来にわたって幸せな生活を送ることができる社会の実現を目指しているわけでございまして、次の世代、次代を、社会を担う子供たちを社会全体で、私たち大人全体で守っていかなくてはならないということを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
続いて、介護現場のデジタルトランスフォーメーション、DX推進について伺いたいと思います。
東京都では二〇一九年度、まあ、五月から令和に改元となりましたけれども、四月一日時点では平成三十一年度ですね、「未来の東京」戦略ビジョンというものを発表されておりまして、デジタルの力で都民がクオリティー・オブ・ライフを高めるべく、スマート東京という概念を示して、DX、デジタルトランスフォーメーションを推進してきたわけでございます。
高齢化社会において、今後ますます深刻化すると思われる介護の現状と今後を考えますと、介護に携わる職員の待遇や労働環境の改善、働き方改革の推進など、様々な取組が必要なわけですけれども、デジタル技術を活用して介護業務のプロセスを変革して、業務の効率化とかサービス提供の質向上を目指す取組というのは、介護現場における職員の業務の負荷を軽減するとともに、慢性的な人手不足とか業務の過多、長時間労働による離職率の高さなど、様々な課題を解決するために、この介護現場のDX推進というものは非常に有効な方策だというふうに考えております。
東京都ではデジタル機器とか介護ロボットとか、次世代介護機器の導入に係る経費を補助されておられますけれども、これら機器の導入というのは介護現場において業務の効率化や職員の負担軽減に資する大変重要な取組であるというふうに思っております。
そこで、令和五年度のデジタル機器導入促進支援事業と次世代介護機器導入促進支援事業の実施内容と実績について伺わせていただきます。
○花本高齢者施策推進部長 都は、介護従事者の負担軽減や業務の効率化、ケアの質の向上を図るため、介護施設事業所を対象に、デジタル機器導入促進支援事業により、介護記録の作成に要するタブレット端末やソフトウエアなどの導入経費を補助するとともに、次世代介護機器導入促進支援事業により、パワーアシストスーツなどの移乗介護機器や見守り支援機器などの導入経費を補助しております。
令和五年度の補助実績は、デジタル機器導入促進支援事業が予算規模五百六十か所に対し四百八十四か所、次世代介護機器導入促進支援事業が予算規模二百四十五か所に対し三百十九か所となっており、補助事業全体の予算額は約十九億五千万円、決算額は十六億五千万円となっております。
○林委員 その次世代介護機器導入促進支援事業です。私も現場とか拝見させていただく中で、やっぱり腰痛というのがほとんど皆さん、職業病みたいになっておられまして、このパワーアシストスーツというのが非常にすごいものであったということを私も実感しております。最近新しい機器もいろいろ出てきておりますので、こういった補助事業は非常に重要なのかなというふうに思っておるところです。
デジタル機器とか次世代介護機器の導入を進めて、介護現場を魅力的な職場環境にしていくということは、今後不足が見込まれます介護人材を確保するためにも非常に重要でありまして、全ての事業者が取り組んでいければなというふうに考えていますけれども、しかし、この業界、小規模な事業者が多い分野でございまして、機器導入についてのノウハウを持たない事業所というものが少なくないわけです。また、導入はしてみたものの、うまく活用できなくて苦労しているケースもあるというふうに伺っております。
こういったデジタル機器の操作やシステム運用のマニュアル、新たな機器やシステムを使いこなすには時間がかかりますし、ふだんからパソコンとかタブレットに慣れていない職員の方にとっては、導入に抵抗を感じる場合もあることだと思います。
こうしたノウハウを持たない事業者へは、機器の導入経費の補助だけではなくて、円滑な導入や効果的な活用を促す支援が重要だと考えますけれども、都の取組状況を伺わせてください。
○花本高齢者施策推進部長 都は導入経費補助の実施に当たって、機器等の導入目的や活用方法等について具体的にきめ細かく確認するなど、各事業所の実情に合った機器等の導入を促しております。
また、機器の選定や活用方法について外部の専門家の意見を活用できるよう、令和五年度にはデジタル機器導入促進支援事業の補助対象経費としてコンサルティング経費を新たに追加し、一事業所当たり七十五万円を上限額として、四十八か所を支援しております。
さらに今年度からは機器の選定や業務手順の見直し、職員の教育等のノウハウを持たない事業所に対し、機器選定から導入活用までを一貫して支援を行う伴走型による個別支援を開始するなど、支援の充実を図っております。
○林委員 一事業所当たり七十五万を上限にして、四十八か所支援されているというお答えをいただきました。潜在的な需要は、もっともっと私あると思っていますので、この辺を掘り起こしていただければと思っていますし、そのためにも、その後お答えいただいたような伴走型による個別支援、こういったものをさらに活用して広げていただければなというところでございます。
今後も不足が見込まれます介護人材を有効に活用して、介護施設におけるケアの質というものを高めていくためには、介護業務そのものを効率化することに加えて、介護の職員が専門性の高い介護業務に集中できる環境を整備することも重要だというふうに考えています。
都は令和五年度から介護現場のDX・タスクシェア促進事業というものを開始して、掃除とか配膳ロボットの導入も支援されているということですけれども、昨年度における実績及び導入の効果について伺いたいと思います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 都は介護の周辺業務の負担軽減を図るため、介護現場のDX・タスクシェア促進事業において、特養等の介護施設が掃除、配膳ロボットを導入する際の経費を支援しております。
本事業における掃除・配膳ロボット導入支援事業の令和五年度の予算額は約一億三千万円、決算額は約四千万円でございまして、執行率が約三割となった理由としましては、補助上限額が百二十万円であるところ、小規模な施設において比較的小型で少額の機器を導入するケースが多かったことが挙げられます。
令和五年度の導入実績としましては、掃除ロボットが四十四施設百六十四台、配膳ロボットが九施設九台でございました。
検証の結果、掃除ロボットを導入した施設では、施設の区分により幅はあるものの、介護職員等の清掃時間が平均で週当たり約八時間減少し、利用者支援の時間が増加するなどの効果が見られました。
また、配膳ロボットを導入した施設では、職員配置の見直しと併せまして、配膳、下膳に係る職員の対応時間が平均で週当たり約三時間減少いたしました。
本事業を多くの施設に活用いただけますよう、事業者団体が主催する会議等で、こうした機器の導入効果について積極的に周知をしてまいります。
○林委員 執行率三割になった理由は伺ったとおりだと思いますけれども、効果はやっぱり非常に絶大だなというふうに伺っております。これが結果的に、利用者への提供サービスの質向上とか、また働き方改革にもつながっていくんではないかと思いますので、ぜひとも今後ともその機器の導入効果等の積極的周知をさらに図っていただきたいと思います。
介護現場のDX推進については、機器の導入経費の補助だけではなくて、ソフト面での支援や周辺業務の負担軽減への支援など、働きやすい、先ほど申し上げましたけれども、魅力ある職場環境づくりに総合的に取り組んでいることにつながるということがよく分かったところでございますけれども、DXは、まあいわゆるICTですね、情報通信技術を利活用するだけではなくて、テクノロジーを駆使して新たな付加価値とか効率性を生み出すことだといわれているわけでして、介護分野においても、こういった今までの、どうしてもアナログ的な職場でしたけれども、既存の概念にとらわれず、こういった新しいテクノロジーを活用していくことで、いい意味で文化を変えていくというんですか、生産性向上につながっていくことを進めていっていただければなというふうに思っているところです。
都の推計では、二〇三〇年度には四万七千人余りの介護人材の不足というものが見込まれているというふうに伺っておりますし、人材確保は今後の高齢者社会における喫緊の課題でありますけれども、昨今は他業界での賃金上昇などの影響で人材獲得競争というのは一層激化しております。
今後、都民に必要な介護サービスが確実に提供されますよう、東京都として介護現場のDX推進に向けた積極的な取組を通じて、しっかりと介護人材の確保に努めていただくようお願いしたいと思います。
最後に、いわゆる高校生医療費助成制度、いわゆるマル青について伺いたいと思います。
都は昨年度から、高校三年生世代までを対象とした医療費の支援を開始いたしました。今申し上げた高校生等医療費助成制度、いわゆるマル青なんですけれども、これまで中学生以下を対象としていたお子さんの医療費助成制度を、令和五年度から都下全域で高校生対象年齢に拡大することになったものでして、都が助成するのは入院費用の自己負担分の全額、通院は一回当たり二百円を超える部分で、親の所得が一定以下の場合に利用できるということですけれども、まず高校生医療費助成制度を開始した経緯について伺いたいと思います。
○渋谷事業調整担当部長 高校生の世代は生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの判断で医療機関を受診する機会も増えることから、自身の健康をコントロールし、改善できるよう支援することが重要であります。このため都は、子育てを支援する福祉施策の充実の観点から、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考に、高校生等を対象としました医療費助成を実施する区市町村を支援する取組を昨年度から開始いたしました。
○林委員 このことについては当初、令和五年四月の事業開始は実務的に厳しいという声が区市町村の方からあったというふうに伺っておりますし、どのような声が上がってきたのか。その上で、都は、事業開始に向けて、区市町村とどういうふうに調整を進めてこられたのかについて伺わせていただきたいと思います。
○渋谷事業調整担当部長 都は高校生等医療費助成事業の開始に向け、区市町村長との会議等で、本事業の都としての考え方や補助の内容などを丁寧にご説明し、区市町村からは、実施に当たってのシステム改修や医療証発行業務等の課題も含め、具体的なご意見をいただきました。このため、準備に係る経費として、当初予定していたシステム改修に加え、区市町村からの意見を踏まえ、事務費や人件費も対象としまして、令和四年度及び五年度に十分の十で補助し、区市町村を支援いたしました。
○林委員 ありがとうございます。二十三区では、令和五年度から高校生世代の医療費が、所得制限なく、自己負担なく無償化されているようでございますけれども、一方で、そのほかの市町村ですね、都の制度にのっとって、親の所得制限とか自己負担を設けているところもございます。
対象年齢が引き上げられたことは喜ばしいことだと思いますけれども、正直、同じ東京都の中でも助成内容に差が出ているということ、解決への道筋を考えるべきじゃないかというふうに思っているところですけれども、都の見解を伺うものでございます。
○渋谷事業調整担当部長 本事業は、一定の基準を設けた上で、区市町村との負担割合を二分の一とすることを基本的な枠組みとしており、早期に事業を開始できるよう、令和五年度から七年度までの三年間、都の負担割合を十分の十に引き上げたものでございます。
本事業に関する令和八年度以降の財源や所得制限の取扱いなどについては、現在、都と区市町村との間で設置した協議の場において丁寧に議論しております。
全ての子供の健全な育ちと子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるため、来年十月からの所得制限撤廃を目指し、区市町村との協議を加速してまいる所存でございます。
○林委員 区市町村と丁寧に議論されているということ、これが非常に重要なんですけれども、各区市町村における実施内容を拝見させていただきますと、二十三区については先ほど申し上げたとおり、全ての二十三区、所得制限がない、自己負担もございませんけれども、市町村、まあ、多摩地区、島しょですけれども、所得制限があって、自己負担もある自治体が数多く存在することは、同じ東京都民でありながら、これはいかがなものかというふうに私は思っているところでございますし、同じ都民、納税者として大きな問題であるということを指摘しておきたいと思います。
また、令和八年度以降の財源の取扱い等については、都と区市町村の間で協議の場を設置して検討していくこととされておられますけれども、この制度の充実に向けて、市区町村と唐突感のないように、しっかりと協議に臨むように強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○こまざき委員 都民ファーストの会のこまざき美紀です。よろしくお願いします。
まず、都知事公約にも掲げられているシルバーパスの改善について伺います。
私は、高齢者の方々が幾つになっても自分らしく元気で暮らせるよう、介護予防、フレイル予防について北区政にて取り組んでまいりました。昨年、介護資格を取得し、現場で勤務経験をしたことを都政にも役立てていきたいと思っています。
コロナ禍では、コロナフレイルと呼ばれる、コロナでの外出控えにより、体力や認知機能の低下、孤立促進が問題となりました。
昨今では、気候変動による夏の猛暑日が続き、猛暑フレイルと呼ばれる事態も起きています。
そこで、大切な役割を担っているのがシルバーパスです。家に引き籠もりがちになる高齢者が外出するきっかけを持って、地域社会とつながっていただくためにも、このシルバーパスは大いに役立っていると、多くの喜びの声をいただいているところです。
まず確認の意味を込めて、シルバーパスの意義について伺います。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与しております。
○こまざき委員 ありがとうございます。高齢者の社会参加、福祉の向上ということを確認いたしました。
シルバーパスは、いつから始まった制度なのでしょうか。現在の制度までの変遷について、併せて伺います。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパス事業は、昭和四十八年に開始した都営無料乗車券制度を基に、昭和四十九年に民営バスも加えた東京都敬老乗車証制度として始まりました。昭和五十四年には名称を東京都老人パスに変更し、所得基準を設定するとともに、昭和五十五年には名称を現在の東京都シルバーパスに変更し、所得基準を超える方に対して有料パスの発行を開始しております。
その後、平成十二年に実施主体を一般社団法人東京バス協会とし、利用者負担金を導入するなど、現在の制度に見直しております。
○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。昭和四十八年から開始した都営無料乗車券制度を基に、昭和四十九年から民営バスも加えた制度としてスタートしたとのことで、五十年ほど前に制定された制度であることが分かりました。
次に、シルバーパスの利用者負担額の設定について、非課税の方は千円、住民税課税の方は二十倍以上の二万五百十円と、価格差があまりに大きいのではないかという声が届いております。
シルバーパスの二種類の利用者負担額設定の算出根拠についてお伺いします。
○花本高齢者施策推進部長 利用者負担額は、現行制度の開始時である平成十二年にシルバーパス条例施行規則に定めた額となっております。利用者負担金である二万五百十円は、当時の都内バス運賃平均額二百円に、月の平均利用回数十回、それを年額とするため十二か月及び共通バスカードの割引率を乗じて算出しております。
区市町村民税非課税の方などの利用者負担金である千円は、事務費相当を定めた額となっております。
○こまざき委員 お答えいただき、ありがとうございます。月平均十回程度の乗車を見込んで、それを超えた場合にはバス会社が負担する仕組みであることが分かりました。
比較のため、一般的に高齢になればなるほど負担感が高まると考えられることから、七十代、八十代、九十代以上の年齢区分における各負担額の所持者数と割合について伺います。
○花本高齢者施策推進部長 年齢区分別の発行状況を把握している、直近のものである令和四年度実績では、全体で約百二万人のうち、七十歳代は千円の方が約四十六万人で、発行数全体の四四・八%、二万五百十円の方が約六万人で五・六%、八十歳代は千円の方が約四十一万人で三九・八%、二万五百十円の方が約三万人で三・四%、九十歳代以上は千円の方が約六万人で五・九%、二万五百十円の方が約六千人で〇・六%となっております。
○こまざき委員 ありがとうございます。今いただいたご答弁によると、令和四年度の取得者は百二万人とのことでした。東京都の令和四年の人口のうち、七十歳以上が二百四十六万九千人となっています。シルバーパスを取得している方の割合を算出すると、約四割の高齢者の方がシルバーパスを取得していることになります。
次に、シルバーパス取得者のうち、千円で取得した方の比率を見てみますと、七十代、八十歳代、九十歳以上のどの年代においても約九割に上ります。多くの方が千円で購入されているものの、約十万人の方が二万五百十円にて購入されています。都営交通を利用しないため不要と考えるなど、理由は様々かと思いますが、高額と感じるために購入できない方もいらっしゃいます。実際に、私の下にも利用者負担額設定について都民の方々から、もう少し負担を抑えてほしい、負担をなだらかにしてほしいといったお声が多数届いているところです。
本制度は昭和四十九年から開始し、平成十二年に価格改定を行ってから二十年以上が経過しています。この間、社会情勢も大きく変化しており、見直しの検討が必要ではないかと考えます。
また、都民ファーストの会では、シルバーパスの対象拡大として、多摩モノレールを加えることを要望しているところです。小池都知事も三期目の公約の中で、シルバーパスの改善、そして多摩都市モノレールをシルバーパスの対象にすることを掲げられました。
改めて、シルバーパスの改善に向けて、都の見解をお伺いします。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパス制度は現在の制度となってから四半世紀が経過し、健康寿命の延伸や交通事情の変化など、本事業をめぐる環境は変化しております。このような状況の変化を踏まえ、高齢者施策全体を総合的に議論していく中で、シルバーパスについても利用実態を把握しながら、制度の改善に向け、検討を行ってまいります。
○こまざき委員 ご答弁をありがとうございます。都民ファーストの会では勉強会などを開催して、公共交通の在り方について議論を深めており、次の変更に当たっては、バス事業者に利用状況のデータ提供を義務づけるなどして、実態に合った制度としていくことも必要と考えています。
会派としても今後さらに議論を深めてまいりますが、私個人としては高齢者の外出を促進し、社会とつながる高齢者福祉のツールであることを踏まえ、利用実態や負担能力を踏まえた、なだらかな利用者負担額を設定することなど、より使いやすく、また持続可能な制度となるよう検討していただくことを要望します。
次に、多胎児家庭支援事業について伺います。
私は、これまで北区議会議員としての立場で多くの当事者の皆さんの声を聞き、この課題に取り組んでまいりました。都民ファーストの会としても、双子用ベビーカーを畳まずに都営バスに乗車可能とするなど、多胎児家庭支援に力を入れて取り組んできました。
東京都では、とうきょうママパパ応援事業等における多胎児家庭支援事業として、母子保健事業利用時等の移動経費、家事育児サポーターの派遣、多胎ピアサポート及び多胎妊婦健診検査への加算を実施しています。都として、これまでなかなか光が当たらなかった多胎児家庭当事者の声を政策に数多く反映していることを高く評価しています。
課題の一つである多胎家庭の移動に着目すると、多胎の赤ちゃんを連れて外出するには、大きな二人乗りベビーカーを開くのもままならず、保護者一人での移動のハードルが非常に高い状況です。私自身も多胎育児のサポートに入ることで、外出を諦める、トイレに行くのを我慢するしかないなどという当事者のお声を身をもって理解してきました。そこで、母子保健事業利用時等の移動経費補助は大変重要な施策だと考えています。
まず、この事業の利用実績と成果について伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、三歳未満の多胎児を育てる家庭が母子保健事業等を利用する際のタクシー代を助成する区市町村を支援しております。令和二年度の事業開始時は十五自治体が実施していましたが、令和五年度は三十七自治体が実施しており、実施自治体数は年々増加をしております。
○こまざき委員 ありがとうございます。令和二年度から五年度にかけて導入自治体数は二倍以上となり、令和五年度については東京都全体の約半数の自治体において導入されていることが分かりました。都の職員の皆さんの日頃のご尽力のおかげだと思っております。
令和五年度において、導入自治体数は東京都全体の半数程度となっておりますが、もっと多くの自治体に利用していただきたいと思っております。
取組をいまだ行っていない自治体は、どのような理由によるものと考えていますか。東京都の見解を伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 未実施の自治体からは、対象となる多胎児家庭が少ないことや、タクシー事業者の不足などの理由が挙がっております。
○こまざき委員 未実施の自治体からは、対象となる多胎児家庭が少ないことやタクシー事業者の不足などが挙がっているということで、制度設計が難しいとのことだと思います。ありがとうございます。今後は未導入自治体においても、必要な際にはいつでも活動していただけるよう、周知活動に努めていただきたいと思います。
次に、この移動支援事業の利用条件について伺います。
多胎児家庭においては、移動自体にサポートが必要なことを鑑み、母子保健事業に限定せずとも、通院、手続等、用途を制限しないでほしいというお声が数多く届いています。たとえ、それが保護者のリフレッシュのためであっても、孤立や不安感を軽減するために必要な外出であると考えます。
移動経費補助は、利用用途を母子保健事業利用時等に限定していますが、その理由について伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 移動経費補助につきましては、多胎児やその保護者が乳幼児健診や、予防接種などの母子保健事業や、多胎児家庭の交流会等に参加することによりまして、乳幼児及びその保護者の心身の健康の増進を図るとともに、子育てに関する不安感や孤立感を軽減することを目的に実施をしております。
○こまざき委員 ありがとうございます。まずは、多胎児やその保護者が母子保健事業につながることで不安感や孤立感を軽減することを目的とするため、用途を限定しているとのことでした。
なお、母子保健事業以外の外出のサポートとしては、東京都の家事育児サポーター派遣事業が活用できると認識しています。役割を分けた制度設計ももちろん理解できますが、移動についてサポートを拡充いただきたいという現場の声を数多くいただいています。
特に多いのが通院です。多胎の場合には頻繁に通院が必要な場合が多く、例えば多胎の出産、妊婦健診に着目すると、ハイリスク妊婦であり早産が多く、NICU対応となると最寄りの総合病院では対応できず、遠方の病院に通院しなくてはならない。移動するにも、地下鉄の乗換え等においては階段しかない場合もあり、ベビーカーを持ち上げて上り下りするのが難しく、タクシーに頼らざるを得ない。近距離であっても混雑を避け、空いている時間に行き来できる確証がないために、公共交通機関を避け、タクシーを利用するという声も寄せられています。
用途を限定しない形のタクシー移動支援を独自に行っている自治体もありますが、東京都として母子保健事業と多胎家庭をつなげるという目的に対して、タクシーチケットにより移動支援を行うという手段を切り分けていただき、移動支援そのものにスポットを当てて支援強化していただくことを要望させていただきます。
続きまして、家事育児サポーター派遣事業について伺います。
家事育児サポーターの派遣事業においては、利用用途を問わず、産後ドゥーラ、ベビーシッター、家事支援ヘルパー等を派遣し、利用料を補助しています。本事業の導入自治体数はどのようになっておりますでしょうか。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 とうきょうママパパ応援事業では、家事育児サポーターが多胎児家庭の自宅を訪問し、外出時の補助や、日常の家事育児支援を行う区市町村の取組を支援しております。
令和五年度は三十八自治体が実施をしております。
○こまざき委員 ありがとうございます。令和五年度は三十八自治体が実施しているとのことで、移動経費補助事業と同様の導入数であることが分かりました。
家事育児サポーター派遣事業について最も懸念されるのは、サポーターと利用者とのマッチングがうまくいっているかどうかです。利用したくてもサポーターがなかなか見つからないという事態が起きては本末転倒だと思います。
家事育児サポーター派遣事業の導入自治体数は移動経費補助の導入自治体数とほぼ同じですけれども、家事育児サポーターのニーズや供給体制など、区市町村の取組が進まない理由はどのようなものがあるか伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 未実施の自治体からは、対象となる多胎児家庭が少ないことに加えまして、家事育児サポーターの担い手の不足などの課題が上がっております。
○こまざき委員 ありがとうございます。対象となる多胎児家庭が少ない、あるいは家事育児サポーターの担い手不足があるとのことでした。これについては必要な方が利用できるよう、サポーターの人材育成、人材確保に努めなくてはなりません。
サポーターの人材不足に関しては、家事育児サポーターの人材育成事業によって解消することを望みますが、本事業で実施されている人材育成の研修内容と導入自治体実績について伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 とうきょうママパパ応援事業では、家事育児サポーターが利用者に寄り添った支援を行えるよう、産婦の妊娠、出産による心身の変化や多胎児家庭が抱く不安感や孤立感への理解を深める研修を実施する区市町村を支援しております。
令和五年度は十七の自治体が実施をしております。
○こまざき委員 ご答弁どうもありがとうございます。
続いて、家事育児サポーターの人材育成事業もまだまだ導入自治体が少ないと感じますが、理由についてはどのように分析しておりますでしょうか。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 未実施の自治体からは、研修を担う事業者や保健師等の専門職の不足などの理由が挙がっております。
○こまざき委員 ご答弁ありがとうございました。家事育児サポーターの人材育成事業について、未実施の自治体に取り組んでもらえるよう、自治体の職員が集まる場などを活用して事業周知に努めるべきと思いますが、こちらについてはいかがでしょうか。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は区市町村の母子保健担当者向けに、とうきょうママパパ応援事業の内容につきまして説明会を開催しております。こうした説明会において、他自治体における研修内容や実施手法等の取組事例を紹介するなど、区市町村における人材育成事業の実施を促進してまいります。
○こまざき委員 ご答弁ありがとうございます。区市町村の母子保健担当者向けの説明会などで取組事例の紹介や人材育成事業の実施を促進していただけるとのことでした。今後も機会を捉えて、本事業の実施促進に向け取り組んでいただきたいと思います。
そしてまた、人材育成から家事育児サポーターの活用につながる好循環を生み出して、一人でも多くの多胎児家庭のニーズにお応えいただくことを求めて、私からの質問を終わります。どうもありがとうございました。
○加藤委員 初めに、長寿ふれあい食堂推進事業について質問をいたします。
令和五年度、都民からの提案事業として、地域での高齢者の交流促進のため、TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業を行いましたけれども、まずその実績と今年度の取組状況について伺います。
○花本高齢者施策推進部長 TOKYO長寿ふれあい食堂推進事業は、都民の提案を踏まえ、高齢者の孤立や閉じ籠もりを防止し、介護予防、フレイル予防を推進するため、令和五年度から開始しております。
本事業は、区市町村が行う会食の実施、講座の開催、多世代交流機会の確保などの取組を支援するものであり、昨年度は五自治体十三食堂に対し補助を実施しております。
今年度は本事業を一般事業化し、会食等の運営費を補助するとともに、新たに高齢者自身がスタッフとして活動する場合には、食堂の立ち上げに係る経費を支援しており、第一回目の募集において、五自治体十八食堂に対し補助を実施しております。
○加藤委員 今、昨年度は五自治体十三食堂、今年度、第一回の募集で五自治体十八食堂の申請と。
本事業の活用の拡大に向けて、どういった課題があってどう進めていくのか、どういう予定で進めていくのか伺います。
○花本高齢者施策推進部長 昨年度は、原則単年度である都民提案事業ということもあり、事業の継続性や実施方法、担い手の確保などの課題があるため実施を見送ったと複数の自治体から伺っております。
また、一般事業化した今年度は、事業者や利用者の募集方法、実施に当たっての定員や実施回数の規模の設定などについて問合せを受けております。
今後、年度内の次の募集に向けて、実施した自治体での好事例を横展開しながら、問合せ等に丁寧に対応していくことで、多くの自治体で地域の実情に応じた本事業の活用が進むよう、積極的に働きかけてまいります。
○加藤委員 これは地元でも非常に関心が高いわけでありまして、子供食堂に次ぎまして大人食堂の果たす役割は非常に高いと思っております。高齢者の孤立対策や生きがいづくりといった点で非常に有効な取組だと思います。できるだけ多くの団体が実施できるよう、さらなるサポートをお願いしたいというふうに思います。
次に、施設に入所した児童の家庭復帰支援について質問をいたします。
児童虐待相談を受けた児童相談所が子供の安全を確保するために親子を分離し、子供を施設へ措置した場合などにおいても、むやみにその期間を長期化させることなく、できる限り早期に親子関係を改善させた上で家庭復帰を進めていくべきと考えます。
五年度の養護施設入所数と家庭復帰支援の取組について伺います。
○西尾子供・子育て支援部長 令和六年三月一日時点で児童養護施設に入所している児童は、二千五百三十七人でございます。
児童相談所は、児童が児童養護施設入所後におきましても、施設訪問などの継続的な援助を行いながら、児童と保護者の状況を把握し、援助方針の検討や見直しを行っております。
児童の家庭復帰に向けては、家庭の状況や、児童や保護者の心理状況、親子関係などを確認しつつ、親子面会や短期帰宅、長期帰宅を段階的に重ねるなど、親子の交流に取り組んでおります。
また、児童相談センターでは、医師や心理職などによりますグループカウンセリング等を実施しておりまして、さらに家庭復帰後は、地域の子供家庭支援センターなど関係機関と連携し、定期的に家庭訪問を行うなど、児童と家庭に対する支援を行っているところでございます。
○加藤委員 中には、お子さんが途中で発達障害と診断される場合があります。そうなると通常よりも、親、子供ともに、より一層サポートが必要になると思われますので、より丁寧な対応をお願いしたいと思います。
また、昨日、地元の墨田で、すみだ保健子育て総合センター開館に向けての式典及び内覧会がありまして、福祉局から浅野次長なども出席していただきまして、ありがとうございました。
この施設は、保健所、子育て支援総合センター、さらには教育センターも併設されております。そして、都の児童相談所のサテライト機能も入る予定でありまして、都と区が緊密に連携しやすい環境が整うこととなります。
様々な困難な課題を抱える子供が多くなっておりますので、引き続き、親子が円満に生活できるように取組をお願いいたします。
続きまして、放課後等デイサービスのことについて伺います。
知的障害児などが通う放課後等デイサービスは、学齢期にある障害児の健全な育成を図る上で重要な役割を担うサービスであります。都内には多くの放課後等デイサービスがありますが、提供されるサービスは事業所によっても様々で、ばらつきもあるというふうに聞いております。
そうした中で、都では、令和四年度から都型の放課後等デイサービス事業を開始し、適切な療育の提供や障害特性に応じた支援体制の促進を図っておりますが、昨年度の質疑の中でも、令和四年度は六事業所だったというふうに答弁があったというふうに聞いております。
そこでまず、令和五年度の都型放課後等デイサービス事業の事業所数について伺います。
○加藤障害者施策推進部長 令和五年度は二十三事業所でございまして、前年度と比較して十七事業所の増加となりました。
○加藤委員 事業所数が十七事業所と、四年度に比べて増加したということでございます。都議会公明党としましても、事業所から意見を様々聞きまして、その改善を求めてきた成果でもあるというふうに思っております。
都型放課後等デイサービス事業は、適切な療育や支援の質の向上をさらに図るため、通常の放課後等デイサービスに比べて、一定の実務経験を有するコア職員を追加で配置することなどが特色であります。
一方、こうした経験豊富な職員を配置することは、事業者にとっても人材確保の上で苦慮することが多いため、都は令和四年の事業開始以降も、事業者が取り組みやすい工夫をされていると、そのように伺っております。また昨年度も、事業所数を増やすための努力をされたというふうに思います。
そこで、都型放課後等デイサービス事業の充実に向け、令和五年度はどのような取組を行ったのか伺います。
○加藤障害者施策推進部長 令和五年度は補助要件の一つでございますコア職員の配置につきまして、児童福祉事業以外にも、障害福祉サービスや学校での実務経験も考慮するなど、前年度に引き続き柔軟な運用を図ったところでございます。
また、都のホームページ、東京都障害者サービス情報に掲載しております質疑応答集につきまして、問合せの多い項目を追加し、充実をいたしました。
さらに、参入を希望する事業者との個別相談におきまして、具体的なサービス提供の手法につきまして、これまでの事例を参考に丁寧に説明を差し上げるなど、取組をいたしました。
引き続き、より多くの事業所が取り組めますよう、さらなる工夫を重ね、事業を推進してまいります。
○加藤委員 柔軟な運用や事業参入を促す取組を行ったことで、事業所数が増えたとのことであります。この事業は、サービスの質の向上を図る事業所を支援する取組であります。利用する障害児や、そのご家族のためにも、今後も引き続き事業を推進していただくようお願いをいたします。
次は、障害者のグループホームの質について質問をいたします。
障害者のグループホームは、障害者の地域生活を支えていく上で非常に重要なサービスであります。そのため都では、東京都障害者・障害児施策推進計画においてグループホームの整備を積極的に進めることとしています。
しかし昨年度、全国十二都県でグループホームを運営する会社による不正行為が発覚をし、障害福祉サービスの質の確保の重要性が浮き彫りになりました。
そこで、障害者グループホームの質を確保するための都の取組について伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都は、グループホームを開設しようとする事業者に対しまして、事前相談と併せて、事業説明会への参加を条件としておりまして、運営基準や業務内容等について理解の徹底を図り、質の確保に努めております。
また、グループホームの運営の中心となる管理者を対象に、必要な知識の習得や人材育成、困難事例の対応方法等の研修を実施いたしまして、利用者支援力の向上につなげております。
○加藤委員 また、どんなに障害が重くても、障害者本人が希望する地域で安心して暮らしていくためには、手厚い職員配置が必要であります。
そこで、都が進めているグループホーム体制強化支援事業の令和五年度の実績について伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都は令和元年度から、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度障害者を受け入れるため、国基準以上に手厚く職員を配置する事業所を支援する障害者グループホーム体制強化支援事業を実施しております。
本事業の実績は年々増加しておりまして、令和五年度は二百三十六ユニットで実施し、決算額は約三億二千五百万円でございます。
○加藤委員 東京都障害者・障害児施策推進計画では、グループホームにおける重度障害者の受入れを千人増加する目標を掲げております。引き続き、グループホームの質の確保とともに、重度障害者の受入れなど、障害者が地域で安心して暮らしていけるよう取組を進めていただきたいと思います。
次に、増加している障害者への支援についてであります。
都内には三か所の精神保健福祉センターが設置され、住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進、地域生活支援の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助等を行っております。
令和四年度の精神保健福祉法改正によりまして、精神障害者のみならず、精神保健上の課題を抱えた方は全て相談支援の対象となり、精神保健福祉センターが果たすべき役割はますます高まっております。
精神障害者が地域で安心して生活していくためには、心身の状態に応じた適切な支援が受けられる体制の確保が必要不可欠であります。私のところにも、精神に不安を抱える方やその家族、周囲の方からの様々な相談が寄せられておりまして、その数も増えていることを実感しております。
そこでまず、令和五年度における相談支援の実績について伺います。
○菊地障害者医療担当部長 精神保健福祉センターにおける令和五年度の精神保健福祉相談の実績は、三センター合計で約二万九千件となっております。
主な内訳は、疾患に関する問合せなど精神障害関連の相談が約一万五千件、一般的な心の不安に関することなど心の健康に関するものが約六千三百件、アルコールや薬物等の依存症関連が約四千五百件、思春期、青年期相談が約二千件となっております。
○加藤委員 すごい大きな数だというふうに思いますけれども、この精神保健福祉センターにおいて様々な相談に対応していることが分かりました。
より身近な地域でサービスを提供する区市町村では、日々様々な相談を受けておりますが、対応に苦慮するケースもあると聞いております。精神保健に不安を抱える方々をきめ細かく支援するためには、精神保健福祉センターが区市町村や保健所と連携し、その専門性を発揮して、困難なケースに対応していく必要があります。
そこで、区市町村と連携した困難ケースへの取組について伺います。
○菊地障害者医療担当部長 精神障害を疑われる方が医療につながらなかったり、診断を受けた方でも医療を中断してしまった場合、地域生活に困難を来すケースがございます。こうしたケースに対しては、専門職チームが自宅等を訪問して個別の状況に応じたきめ細かな対応を行うことが有効でございます。
このため、精神保健福祉センターでは区市町村と連携して、医師、看護師、福祉職など多職種によるアウトリーチ支援を実施しており、令和五年度は二十三区市町七十二名を支援いたしました。
支援に当たっては、区市町村や保健所との合同ケース会議において支援方針や対応方法を共有し、本人や家族への心理社会的サポート、医療機関への受診勧奨、医療福祉サービスの利用に係る手続等への同行などを実施しております。
○加藤委員 精神保健に関するニーズが多様化する中、精神保健福祉センターは今後も区市町村を技術的に支援するとともに、都の精神保健福祉における活動推進の中核的な機関として十分な役割を果たすことを期待しております。
最後に、身寄りのないご遺体の取扱い等について質問をいたします。
決算説明資料の一一六ページに行旅病人及び死亡人等取扱費都費負担金が四百二十一件で五千六百万円余、執行率八八・七%とあります。
資料、21のこの数を見ると、行旅死亡人、いわゆる行旅中死亡し、引取り手がない死者や、住所等が判明せず引取りがない死者、そして墓地埋葬法による遺体は引取り手のないご遺体で、これから見ると、身寄りのないご遺体の件数が増加しているということが分かると思います。
中には、身元がはっきりしていても引取り手がない、いわゆる無縁遺体というんですかね、これも増加をしております。読売新聞でも報道されておりました。
読売新聞さんが七十四自治体への聞き取り調査を行ったところ、品川区など十六区市が無縁遺体を一か月以上保管したことがあるということや、中には事務処理を忘れて三年以上放置したと、こういう例も出ております。
こうした長期保管が各地で相次いでおりまして、さきの定例会代表質問では、都有施設でも遺体保管に協力すべきというふうにまとめたところであります。
国でも公明党の山本香苗議員が委員会で取り上げまして、厚労省が実態調査を行うことになっております。資料から見ても増加傾向にあると分かりますけれども、都としても実態把握に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
○新内生活福祉部長 行旅病人及行旅死亡人取扱法及び墓地、埋葬等に関する法律による引取り者がいないご遺体の火葬等につきましては、法令により区市町村が対応し、都道府県がその費用を弁償することとされており、都は費用弁償請求等を通じまして区市町村の取組状況を把握しております。
お話の実態調査につきましては、厚生労働省が福祉事務所設置自治体等に対して調査を行い、本年九月末に中間報告書が公表されました。
今後、追加の自治体や事業者、専門家へのヒアリングなどを行いまして、対応策の検討が予定されているところでございまして、その動向を注視してまいります。
○加藤委員 動向をしっかりと注視していただきたいというふうに存じます。
次に、いわゆる孤独死も増加をしておりまして、警視庁が令和五年中に取り扱った死因、身元を明らかにするための死体件数は、三千二百三十五件で年々増加しております。
また、監察医務院が取り扱う一人暮らしの不慮の外因死や不詳の死等は、四年度の数で二千五百四と増加をしております。
やはり予防措置として、一人暮らしの高齢者等が生前の段階で孤立を防ぐ取組が大切だというふうに考えます。監察医務院によると、第一発見者が家族の割合は三割しかなくて、隣人、知人、管理人等がほとんどを占めております。やはり単身が多いということが裏づけられているというふうに思いますけれども、自宅も圧倒的に多いんです。
住民に身近な区市町村の役割が大きいというふうに思います。最近は死後サポートを行う民間事業者の参入も増えてきていると聞いておりますけれども、一方で、民間事業者を本当に信用していいのか分からないといった声も聞いているところであります。公的機関が関与することが必要だと思いますけれども、都のサポートについて伺います。
○新内生活福祉部長 都内の単身高齢者は増加をしておりまして、従来、家族などが担ってきました死後の対応等について、元気なうちに自分の意思を反映しながら準備することが重要でございます。
そのため都は、遺言書の作成や遺品整理などに関しまして、高齢者個々の状況に応じて支援や助言を行う相談窓口の設置を行う区市町村を支援しております。
○加藤委員 包括補助で支援をしているというふうに伺っております。これからもさらに支援をしてもらいたいというふうに思っております。
次に葬祭扶助についてなんですけれども、資料の20から、生活保護における葬祭扶助の件数も増加しております。このうち五年度の九千十三人について各火葬場が何件取り扱っているかを比較したいというふうに思ったんですけれども、都は把握をしていないということでございました。
生活保護を受給している人の葬祭扶助の件数は火葬料減額の対象、いわゆる福祉葬の数に表れていると思いますので、火葬場はそれぞれ分かっているんだと思うんです。
都は一般の火葬数も含めて把握をしていないということでありますけれども、各区市町村は把握しているのかお伺いいたします。
○新内生活福祉部長 生活保護制度では、生活保護受給者が死亡し、葬祭を行う扶養義務者がいない場合などにおきまして、その葬祭を行う者に対し、福祉事務所が葬祭扶助を支給することとされております。
葬祭扶助は、火葬または埋葬、納骨等の費用につきまして金銭の給付によって行うため、福祉事務所はその件数や金額等を把握しております。
○加藤委員 要するに金銭給付のみで、どこの火葬場に運ばれたかは行政では把握をしないというふうに理解をいたしました。
建設局が所管する瑞江葬儀所の火葬料減額の取扱件数を聞いたところ、四年度は火葬件数の全体が七千三百五十三件、うち減額件数は三千八百九十七件で、約五〇%、半分以上がいわゆる減額の福祉葬になっていると。五年度については火葬件数七千四百四件に対し、減額件数は四千七十件で、約五五%と増加をしております。
この数字には多摩地域や都民以外も含まれているということでありますので、広域行政を行う都としては、瑞江の葬儀所は公営火葬場の役割を十分果たしているというふうに思います。
二十三区には、もう一つ公営の臨海斎場というのがありますけれども、こちらで四年度の火葬件数聞いたら九千八百四十一件、そのうち減額件数は千百四十件で、約一一・六%というふうにお聞きいたしました。
ちょっと五年度の数字が分かっていない状況なんですけれども、四年度で見るならば、二十三区内に二か所しかない公営火葬場で、合わせて五千三十七件になります。都内全域の四年度の葬祭扶助数が九千三百十三ですから、約五四%で、半分以上を公営が受け入れているということになります。多摩地域はほぼ公営火葬場ですから、民間の減額取扱数が少ないんではないかと、まあこういうふうに想像しているわけですね。
また、基礎自治体が身寄りのないご遺体を葬祭扶助で火葬を行っても、ご遺骨をどこに埋葬するかという課題もあります。
葬祭事業者の集まりの一つである東京都葬祭業協同組合が身寄りのないご遺骨を納めるために、組合自らがボランティアで納骨堂を設置してご供養している現場も拝見をしてきました。本来は自治体の仕事だというふうに思うんですけれども、尊いことでありますので、ご紹介をしておきます。
以上で質問を終わります。
○清水委員 日本共産党都議団の清水とし子です。
最初に、シルバーパスについて質問をいたします。
シルバーパスは、多くの高齢者の生活の足として欠かせない役割を果たし、社会参加を促し、高齢者の福祉の向上に寄与しています。
一方、物価高騰など暮らしが厳しさを増す中、利用料金の引下げや無料化を求める声が上がっています。
また、多摩地域では、多摩都市モノレールにも使えるようにしてほしいという要望が長年寄せられています。
小池知事がさきの都知事選挙で、シルバーパスの改善、多摩都市モノレールをシルバーパスの対象にすることを公約に掲げたのも、こうした声を受けてのことだと思います。
最初にお伺いしますが、シルバーパスの対象年齢である七十歳以上の高齢者の数について、シルバーパス有料化の経過措置がなくなった二〇〇三年度と二〇二三年度、昨年度の人数について最初にお伺いします。
○花本高齢者施策推進部長 七十歳以上の高齢者は、平成十五年一月一日時点で約百三十七万人、令和五年一月一日時点で約二百四十八万人となっております。
○清水委員 次に、同じ時期の千円パス、二万五百十円パスの発行の枚数についてお伺いします。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスは毎年九月末に一斉更新をしており、年度ごとの発行数の集計につきましては、当年の一斉更新分と翌年の九月末までの新規発行分を合計したものとなっております。
平成十五年度の発行数は、千円パスが約六十三万枚、二万五百十円パスは約十一万枚、令和五年度分は、新規発行分につきましては、令和六年八月までの発行数でございますが、千円パスが約九十二万枚、二万五百十円パスが約十万枚となっております。
○清水委員 シルバーパスの対象年齢の高齢者人口は一・八倍近くに伸びています。千円パスはそこまではいかないんですけれども、一・五倍近くに伸びています。しかし、二万五百十円のパスの方は約一万枚、一割減っています。二〇二三年度の発行数には今年九月分が入っていないんですけれども、最後の月に発行する方は例年そんなに多くはありませんので、傾向の変化はほぼないと思われます。
ここで、二万五百十円のパスを購入された方の事例をご紹介します。
この方は丘陵地にお住まいで、近所のスーパーは閉店してしまいました。ですから、バスに乗って駅まで買物に行かなければなりません。これまで千円のパスを使っていましたが、ほんの少し所得制限を超過してしまったために、千円パスの対象から外れました。年金生活だと、一回に二百円は払えるんだけれども、一度に二万五百十円、これを払うのは大変だ、一週間に一回、一年通して乗っていれば元は取れる、こう分かってはいるんだけれども、やはりちゅうちょしたとおっしゃっています。
そして、シルバーパスがあるから、買物だけではなくて気軽に出かけよう、こう思うんだけれども、毎回バス代を払う、そうなるとなったらやっぱり出かけるのをためらってしまう。こういうふうにいろいろ考えて、最終的には二万五百十円のパスを買われたというふうにお伺いしました。
千円パスの対象外の高齢者についても、東京都が補助をして料金を引き下げることは、シルバーパスをより積極的に利用し、社会参加を促進していただくことにつながると考えますが、いかがでしょうか。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパス制度は高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与していると認識しており、現在多くの方に活用されております。
○清水委員 冒頭ご説明いただいたように、シルバーパスの対象年齢の高齢者人口は一・八倍近くに伸びているにもかかわらず、二万五百十円のパスの方は約一割利用者が減っています。数そのものは年によって増減はあるんですけれども、二万五百十円のパスになった、その最初の年を上回ったことは一度もないんです。これはすなわち、二万五百十円という高過ぎる料金設定によって、千円パスの対象外となる高齢者は出かけにくくなっている、そういうふうにもいえるのではないでしょうか。
二〇〇〇年度の負担増の前には、対象者の約七割がシルバーパスを利用していました。多くの利用者が気軽に外出していたんです。アクティブChojuプロジェクトが目指す、安心して外に出かけられる、そういうまち。どこでも、どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境の整備。このためには、このシルバーパスの負担の改善が重要であり、そのことから、さらなる社会参加の助長、高齢者の福祉の向上につながるのではないでしょうか。千円パスも含めて改善に踏み出すことを求めます。
次に、多摩都市モノレールにシルバーパスが使えるようにすることについて質問いたします。
多摩都市モノレール沿線のバス路線は、モノレールが開通したときに、さらにはモノレールとの競合によって、そして今はバスの運転手不足などにもよって、廃止または廃止同然となっているバス路線があります。路線バスが使えたときには、シルバーパスを使って無料で行けたところが、モノレールを使うというふうになると有料になります。
例えば、多摩動物公園から高幡不動まで路線バスだったらシルバーパスで無料でしたが、事実上の廃止になってしまいました。しかも、多摩都市モノレールは、路線バスと比べて割高です。
路線バスと同じように、多摩都市モノレールにもシルバーパスが使えるようにしてほしい。これは、モノレールができて以来、長年の日野市民の、多くの日野市民の願いでもあります。
そこで伺いますが、多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用について、住民からどのような声が寄せられていますでしょうか。
○花本高齢者施策推進部長 平成三十年度に実施した東京都シルバーパス関連調査では、シルバーパスを利用できる交通機関について様々なご意見をいただいております。
○清水委員 二〇一八年度、東京都のシルバーパスの在り方調査の七十歳以上の方への調査では、シルバーパスのこれからの在り方に対する考え方についての回答は、市町村に住む方たちの中では、鉄道やモノレールなどで利用可能とする、これが三三・七%でトップです。多摩地域のモノレールへの適用を望む声の強さが表れていると思います。
次に、他の自治体で第三セクターへの適用をしているところはどこかお伺いします。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスと同様の高齢者優待乗車制度を導入している政令指定都市のうち、第三セクターが運営する交通機関に適用している自治体は、現在、札幌市、横浜市、名古屋市、神戸市の四市となっております。
○清水委員 第三セクターが運営する交通機関に適用している自治体、札幌市、横浜市、名古屋市、神戸市、四市もあるということです。東京都が多摩都市モノレールに適用することができない、こういう理由はないというふうに思います。多摩都市モノレールへシルバーパスを適用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスにつきましては、現行制度導入以降の健康寿命の延伸や交通事情の変化等を踏まえ、高齢者施策全体を総合的に議論する中で検討することとしております。
○清水委員 小池都知事は、知事選で公約にシルバーパスの改善を掲げ、さらに多摩都市モノレールについてはシルバーパスの対象にすることを具体的に盛り込んでいます。早急に具体化することを強く求めます。
次に、シルバーパスのコミュニティバスへの適用についてお伺いします。
コミュニティバスは、路線バス等がない交通空白地域の公共交通として、市民の暮らしを支えています。その利用者の多くは高齢者です。日野市では、コミュニティバスにシルバーパスが使えるので、利用者からは、市内を細かく回るミニバスは、目的地までの時間はかかるけれども、シルバーパスは無料だからミニバスを利用している、こういう声が寄せられています。
コミュニティバスへのシルバーパスの適用、さらに適用に対する財政的な支援について自治体からはどのような要望が寄せられていますか。
○花本高齢者施策推進部長 昨年度、東京都市長会から都への予算要望において、一般のバス路線と同等の運賃を設定していないコミュニティバスへの適用を要望いただいております。
○清水委員 市長会から出された要望は、東京都シルバーパスの利用対象交通機関について、一般のバス路線と同等の運賃を設定していないコミュニティバスについても全てシルバーパスの通用区間とし、財政支援を講じることというものです。重要だと思います。
一般のバス路線と同等の運賃を設定していないコミュニティバスも全て使えるようにするということであれば、当然同等の運賃のものも全て対象にすべきだと思います。全てのコミュニティバスにシルバーパスを適用して、都が住民や自治体の要望に応えるべきだと考えますが、いかがですか。
○花本高齢者施策推進部長 コミュニティバスのうち、一般の路線バスと同等の運賃を設定しているものについて、区市町村とバス事業者の協議が調った場合はシルバーパスでも乗車できるようになっております。
○清水委員 区市町村とバス事業者の協議が調った場合は使えるという答弁でしたけれども、日野市の地域公共交通会議でどのような話になっているかといいますと、協議というのは費用負担の協議ということだそうです。つまり、シルバーパスの運賃補償を日野市が行えばシルバーパスが使えるようになるということなんです。しかし、独自に運賃を、運賃補償を補填するということになると、区市町村にとっては重い負担になります。
また、バス事業者がそれを負担するということも難しいという、そういうやり取りがあります。
さらに、今の答弁では、低廉な運賃にしているコミュニティバスはシルバーパスが使えません。
コミュニティバスは多くの高齢者が利用しているので、シルバーパスが使えれば、高齢者の社会参加に大きく役立ちます。コミュニティバス全てでシルバーパスが使えるようにし、その負担は区市町村に負わせるのではなく、都が財政支援をすることが必要です。全てのコミュニティバスへの適用と都の財政支援を求めます。
アクティブChojuプロジェクトは、安心して外に出かけられるの中で、どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備とうたっています。高齢者の社会参加を増やすことを目的とするシルバーパス事業を位置づけて、一層充実させていくことが必要だと考えますが、都はどのように取り組んでおられますか。
○花本高齢者施策推進部長 シルバーパスにつきましては、現行制度導入以降の健康寿命の延伸や交通事情の変化等を踏まえ、高齢者施策全体を総合的に議論する中で検討することとしております。
○清水委員 アクティブChojuプロジェクトの、安心して外に出かけられるの中にある、どこへでも不安やストレスなく移動し、生活できる環境を整備する、これを進めるためには、シルバーパス事業というのは大変効果的だと思います。無料パスがあった時代には、七割の高齢者が利用して社会参加を行っていました。知事もシルバーパスの改善を公約に掲げました。アクティブChojuプロジェクトにきちんと位置づけて、早急にシルバーパスの利用料金の無料化、多摩都市モノレールへの適用、コミュニティバスへの適用とその財政支援、これを強く求めまして、この質問は終わります。
次に、重度の障害がある方のショートステイ、グループホームについてです。
最初に、重症心身障害児者のショートステイについてお伺いします。
重症心身障害児者の短期入所施設、ショートステイですね、短期入所施設は、安心して在宅を続けること。さらに、家族の精神的、身体的負担を軽減するために不可欠です。
近年、家族の高齢化が進んでいることからも、その役割は重要と考えますが、都の認識をお伺いします。
○加藤障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害児者やその家族が地域で安心して暮らせるよう、重症心身障害児者が利用できる短期入所の体制整備など、各種施策を進めております。
○清水委員 重症心身障害者のご家族から、短期入所について次のような声をいただきました。
二か月前に受付が始まるときに申し込めば入ることはできるんだが、お葬式や歯医者の受診など、急な利用をしようと思うと難しい。それまで利用していた短期入所施設を、コロナのときには事前にPCR検査が必要だったために利用しなかった。すると、初めての利用者という扱いに戻ってしまって、初めての利用者の場合には年二回のお試し利用をしてからでないと通常の申込みができないんだそうです。
ところが、お試し利用というのは、通常の利用者の空きが出たら入れるんです。だから、空きが出るまで分からない。こちらから期日の指定ができないんだそうです。なので、それが合わないということで、いまだに利用ができていないんだそうです。
このような短期入所が足りていない、そういう状況を踏まえて、受入れ枠を増やすべきと考えますが、都の取組についてお伺いします。
○加藤障害者施策推進部長 都はこれまで、病院や重症心身障害児者の入所施設など、重症心身障害児者を主な対象とする短期入所の体制整備を図ってまいりました。
令和五年度は病院のほか、医療機能を有する福祉施設などを対象として、人員配置や医療機器の整備への支援を行い、重症心身障害児者に対応できる短期入所の拡充を図ったところでございます。
○清水委員 冒頭述べましたけれども、重症心身障害児者の短期入所施設というのは、安心して在宅生活を続けること、さらには家族の精神的、身体的負担を軽減するために不可欠です。近年、家族の高齢化が進んでいることからも、その役割は重要になっています。
都は様々な支援を行って短期入所施設の整備を進めている、このことは評価をするものです。それでも、急な利用に応えられていない実態があります。引き続き、短期入所施設を増やしていただくことを強く要望します。
次に、重度障害者のグループホームについてです。
グループホームで生活されていた、ある方が転倒して頸椎を損傷して、ほぼ全介助の状態になりました。それまでのグループホームでは入浴が困難になってしまったこと、人手が足りないこと、これを理由に退所せざるを得なくなりました。移転先は都内では見つからず、埼玉に一か所だけ見つかりましたが、家族の自宅からは片道二百五十キロも離れています。グループホームは最寄り駅から離れたところにあって、駅からの公共交通機関はなく、タクシーも駅にはいなくて、呼ばないといない。こういうようなところにありました。八十一歳のお母さんには自力で行くことは不可能なんです。今は娘さんが車で面会に連れていってくれているんですが、高速料金、ガソリン代、それから一日がかりになるので、食事、こうした費用もかかること。それから、面会が終わった後は、一週間近く疲れが取れない。こういうこともあって、これまで毎週会えていたのが三週間に一度にしているというお話でした。
頸椎損傷前は、自宅近くのグループホームから毎週土日に自宅近くで待ち合わせをして、外食をしたり、買物をしたり楽しんでいた。それができなくなってしまった。お母さんは自分そのものも以前は旅行に行ったり、外食が好きで、よくしていたんだそうです。ところが、今は息子さんに隠れて自分だけが楽しい思いをする、そういうことはできない。こんなふうに考えて、息子さんが遠くのホームに入所されてからは、一回も外食も旅行もしていないというふうにおっしゃいました。
遠くのグループホームに入所する障害者への面会というのは、家族に多大な負担をかけ、時には面会に行けないことや、遠くに入所させてしまったことへの罪悪感など、心理的な負担もかけています。高齢の家族でも公共交通などを利用して行ける、家から遠くない場所に入所できるグループホームが整備されている、こういう環境をつくることは大変重要だと思いますが、いかがですか。
○加藤障害者施策推進部長 都は、障害者・障害児地域生活支援三か年プランに基づきまして障害者グループホームを整備する事業者に特別助成を行うなど、設置促進に取り組んでまいりました。
令和三年度から令和五年度までの三か年では、グループホームの定員は三千十四人増加いたしまして、令和五年度末時点で一万四千八百九十人となりました。
○清水委員 グループホームの定員全体は増えています。しかし、それでもまだ十分とはいえません。特に課題になっているのは、重度の方が入れるグループホームが足りていないということです。
重度障害者が入所できるグループホームの利用状況の推移についてお伺いします。
○加藤障害者施策推進部長 グループホームにおける重度障害者の利用状況でございますが、令和三年度末は七百五十六人、令和四年度末は九百十一人、令和五年度末は一千百十六人となっております。
○清水委員 グループホームの定員は三千十四人増加して、昨年度末時点で一万四千八百九十人になりました。重度障害者の利用状況も二年間で一・五倍に伸びて、昨年度末で一千百十六人に上っているということで、伸びていることは評価をしたいというふうに思います。それでも、重度障害者が入所できるグループホームが見つからない、こういう事例はたくさんあって、それはすなわち、希望者に見合う数にはまだ届いていないということだというふうに思います。増やすための取組や支援を一層強めていただくことを要望いたします。
重度障害者を受け入れるグループホームが十分に増えていかない要因は何でしょうか。都はどのような取組を進めていますか。
○加藤障害者施策推進部長 都は、グループホームにおける障害者の高齢化や重度化に対応し、重度障害者の受入れ体制を強化するため、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れ、国基準を上回る手厚い職員を配置する事業者を支援しております。
○清水委員 今ご答弁にあったように、重度の障害者を受け入れるには、身体や行動の特性上、特別な支援が必要とされること。そのためには手厚い職員配置が必要で、それは国基準を上回るものになるということで、人手とお金が必要であるために、なかなか受入れ枠が増えていかない、増やせないということだと思います。
重症心身障害者のご家族からお話を伺いました。家族の高齢や病気によって突然在宅生活が継続できなかった場合に、入れるところが見つからないかもしれないという不安、在宅生活を長く続けることによって徐々に障害の状態が重くなっていって、その結果、受け入れるところがなくなるのでは、こういった不安を感じておられました。
そのために、今のところは在宅生活を続けたい、こう願っているけれども、入れるときに入った方がよいのでは、こうも感じている方もおられました。
自宅で暮らすのか、自宅を出て独立をするのか、その時期をいつにするのか。本来だったら障害者本人が自分の意思で選択する、そういうことではないかと思うんです。それが受入先がない、こういう状況、つまり、選択肢そのものが限られるために、自分の意思とは関わりなく、入れるときに入る、こんなふうに選択を迫られている状況にあります。
障害のある人の暮らしの場の自己決定を尊重するためには、受入れ施設がある、選べる、こういう環境を整備することは不可欠だと考えますが、都の見解を求めます。
○加藤障害者施策推進部長 都は、どんなに障害が重くても、地域で安心して暮らせるよう、グループホームなどの地域生活基盤の整備を促進するほか、相談支援や一人暮らし体験などの機能を備えた拠点を整備する区市町村を支援しております。
○清水委員 施設の増設も進めていただくことを求めます。
重度の障害者を受け入れるには手厚い職員配置が必要ですが、国基準では足りない。抜本的に基準や報酬を引き上げることが必要です。国に報酬引上げを求めるとともに、手厚い人の配置や人件費の高騰、人材確保のための財政的な支援を都としても強化すべきと考えますが、いかがですか。
○加藤障害者施策推進部長 都は、障害福祉サービス事業者が人材の確保、育成、定着を図り事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し国に提案要求しております。
○清水委員 国に提案をしているということは承知をしていますけれども、なかなか国は十分な報酬に引き上げようとしません。そのために東京都も今年度から、居住支援特別手当の支給を始めたことは重要です。それでもなお、職員の確保は厳しい、こういう状況が続いています。どんなに障害が重くても、地域で安心して暮らせる環境が整備されていることは、家族と共に暮らすのか、独立するのか、その時期も含めた障害者の自己決定を尊重できるかどうかの大前提だと思います。
都は様々な取組支援を行っていますけれども、残念ながら、まだ重度障害者やその家族を取り巻く環境は、依然として厳しいといわざるを得ません。都の取組を一層進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○福島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十六分休憩
午後三時十五分開議
○福島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○中村委員 それでは、令和五年度の福祉局の決算について質問します。
初めに、介護人材確保について伺います。
少子高齢化に伴い、各方面で人材不足がいわれる中、特に介護人材不足は深刻です。超高齢社会になり、ますます介護人材への需要が高まる中、人材不足により必要な介護が受けられなくなることが懸念されます。仕事の内容が大変などのイメージもあり、若い方が福祉の仕事を選ばないなど問題は深刻です。他の産業に比べて賃金が低いことも深刻であり、待遇改善に取り組むことが重要です。
都は介護人材不足について様々取り組んでいます。実際の介護人材不足の実態はどうなっているのか伺います。あわせて、第九期高齢者保健福祉計画では、二〇三〇年に四万七千人不足すると書かれていますが、様々な施策で介護人材不足がどの程度改善されたのか伺います。
○花本高齢者施策推進部長 令和三年三月に策定した第八期高齢者保健福祉計画における介護職員の需給推計では、不足の見込みが令和七年度に約三万一千人だったところ、昨年度末に策定した第九期計画においては、令和八年度に約二万八千人となっております。
都は、介護人材の確保、定着、育成に向け、様々な取組を推進しております。
○中村委員 都も様々取組をしているため、令和七年度の三万一千人が令和八年度で二万八千人と改善するとの見込みを出しています。とはいえ、需要の伸びの方が供給の伸びより著しく深刻な状況が続きます。施策の拡充を求めます。
また、介護人材不足により職員の確保ができず、仕事はあるのに居宅サービス事業所が廃止になっているとの話も聞きます。
居宅サービス事業所の廃止件数の推移と廃止理由について伺います。
○花本高齢者施策推進部長 都が指定を行っている居宅サービス事業所の廃止件数は、令和三年度二百九十四件、四年度三百五十三件、五年度三百九十六件となっております。
事業所の廃止理由は、人員の不足、事業所の統廃合、経営不振、利用者の減少などとなっております。
なお、この間の居宅サービス事業所の新規指定件数は、令和三年度五百八十六件、四年度五百七十八件、五年度五百七十三件となっており、事業所数は毎年度増加しております。
○中村委員 新規の事業者も多いようですが、人のつながりが大事な仕事なので、利用者にとって不利益とならないようにしなければなりません。廃止の理由も様々あるようですが、少なくとも人員の不足で廃止になることがないよう人材の確保が必要です。
昨今の物価高騰で他の産業も賃上げになる中で、政府は訪問介護の報酬を引き下げましたが、ますます廃止に拍車がかかるおそれがあるため、撤回すべきだと思います。
次に、高齢者施設の整備について伺います。
介護人材も大切ですが、高齢者施設も重要です。介護の基本は在宅とはいえ、様々な事情から施設が必要であり、特にその需要が高まる中、計画的な整備が必要です。特に特別養護老人ホームは待機者が多く、早急に整備していく必要があります。入所の要件が要介護三以上に変わってから、待機者は数字上は減ったのですが、待機している方は多くいます。
特別養護老人ホームの整備は、予算では五十一か所となっているのに対して、決算では三十三か所となっています。それでも執行率は八二・〇%と高くなっています。昨今の建設費の高騰が考えられます。
計画の整備計画と比べて、目標は達成できるのでしょうか。特別養護老人ホームの整備状況と第九期高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向けた取組について伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームにつきましては、令和十二年度末の整備目標六万四千人分に対し、令和五年度末現在、五万三千六百三十人分を整備しております。
都は、昨年度末に策定しました高齢者保健福祉計画におきまして、建設費高騰への対応として、物価変動分を補助額に反映することとしております。また、整備率が低い地域の補助単価の増額を行っております。
○中村委員 整備は進めているようですが、もともと東京も高い地価なので、それがさらに高騰する。さらには、建築費の高騰により、ここから先、目標達成に向けてはかなり厳しい状況があります。都内では土地の確保も困難ですが、目標達成に向けて、都のより一層の取組を求めます。
さて、老人保健施設についての整備についても伺います。
特養の待機待ちの方が入所しているということもあるんですが、本来の心身の機能回復を図る施設として入所を希望する方も増えています。入所期間が限られていることもあり、その需要は高まっています。
整備を促進すべき介護老人保健施設ですが、決算年度の整備についての予算の執行率は僅か八・四%と低く、改善が必要です。
介護老人保健施設の整備状況と第九期高齢者保健福祉計画の整備目標の達成に向けた取組について伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 介護老人保健施設につきましては、令和十二年度末の整備目標三万人分に対し、令和五年度末現在二万千九百八十四人分を整備しております。
昨年度末に策定した計画では、整備目標を介護老人保健施設と介護医療院を合わせた定員数に変更いたしまして、介護医療院の整備費補助制度を創設するほか、特別養護老人ホームと同様に物価変動分を補助額に反映することとしております。
○中村委員 介護老人保健施設だけの目標から、新たな制度である介護医療院も目標数に含むようになったとのことです。それでも目標数との差が六千弱なので、達成には相当厳しい状況だといえます。さらなる取組の加速を求めます。
さて、都が施設整備計画で掲げる施設としてもう一つ、認知症高齢者グループホームがあります。高齢化が進むと認知症の問題も深刻になり、着実な整備が必要となります。
認知症高齢者グループホームの整備状況と第九期高齢者福祉保健計画の整備目標の達成に向けた取組についても伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 認知症高齢者グループホームにつきましては、令和十二年度末の整備目標二万人分に対し、令和五年度末現在一万二千六百四十三人分を整備しております。
都は、国の基金を活用した補助に加えまして、都独自の整備費補助を行っております。
また、昨年度末に策定した計画において、物価変動分を補助額に反映するとともに、老朽化した施設の改修、改築を支援することとしております。
○中村委員 グループホームも取組はしていただいているようですが、令和十二年度の目標の二万人から、現状では約六割の達成という点では厳しい状況にあります。
今、三つの施設について質問しましたが、高齢化の進展により必要な施設ですが、都内の地価高騰と建設費の高騰でますます整備が困難になります。東京都が保育園の待機児童解消を最重要施策として都有地の活用を図るなど、都庁全体で積極的に取り組んできたように、高齢者施策についても最重要課題として都庁を挙げて取り組むことが必要だと思います。
次に、生活困窮者対策について伺います。
昨年度、生活困窮者対策として突然、おこめクーポン事業を始めました。生活困窮者への支援は必要ですが、本当に当事者のニーズに合っていたのかなど、その方法や内容に疑問の声が多く出されました。
単身高齢者では大量の米を食べ切れないとか、弁当を買ったり配達をしてもらったりしているので自分で料理はしないなど、制度を活用しなかった方も多かったようです。
生活支援費の執行率が三五・三%と低いのは、おこめクーポン事業の執行率が五六・六%と低く、不用額は百二十四億円と大きかったからです。
おこめクーポン事業の執行率が五六・六%と低い、あまり必要とされていなかったのではないでしょうか。原因を伺います。
○新内生活福祉部長 東京おこめクーポン事業は、物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯の生活を支援するとともに、買物に係る負担を軽減することを目的とし、米や野菜、乾麺等の食品を自宅に直接配送するために必要な経費を令和四年十二月補正予算に計上して、速やかに実施いたしました。対象世帯、約百五十八万世帯にクーポンを配布し、約百六万世帯、約六七%からお申込みがあり、多くの方に利用いただきました。
○中村委員 また、サービスを受ける側だけではなく、地域経済への影響の懸念もありました。
スーパーでお米を買う方もいますが、近所のなじみのお米屋さんで買う方もいます。お店からは、お客さんが減ってしまったとの苦情もありました。米を配るなら、ただでさえ厳しい環境にある地域のお米屋さんを利用できるようにすべきではなかったでしょうか。
地域のお米屋さんに無関係に随意契約で事業者を決めたことは問題があります。そのようにした理由を伺います。
○新内生活福祉部長 本事業では短期間で大量の米を確保する必要があることから、通常の流通に与える影響も考慮し、特定の産地に偏らず全国から調達することが適切と考え、全国規模で安定的、定量的かつ柔軟に食品調達が可能であり、調達から配送までの一連のネットワークを有する全国農業協同組合連合会と契約を締結いたしました。
なお、本事業で配送したお米、約二万トンのうち七千トンを都内に所在する米穀の出荷販売事業者で構成する組合を通じて都内米穀小売店から調達いたしました。
○中村委員 小売店からも調達すればよいとのことですが、小売店とお客さんとの日常的なお付き合いもありますので、供給さえできればよいというのでは配慮に欠けていたのではないかと思います。
また、お店で売るためには、商品とされて定められた表示をきちんとする必要がありますが、今回無料で配布をされたため商品ではなく、表示がされていませんでした。
通常、お店で買えば、袋に産地や精米日が書いてあります。今回はその記載がなかったのですが、その理由を伺います。
○新内生活福祉部長 本事業では、多くの世帯に食品を着実に届けるため、米は全国の産地から調達し、複数原料米として順次配送いたしました。配送時点での調達状況によりまして品種や産地等が異なることから、パッケージには記載せず、精米時期とロット番号を記載し、情報を希望される方にはコールセンターで個別に対応いたしました。
○中村委員 小さなロット番号を見て問い合わせる方がそれほど多いとは思えません。無料だから通常の商品より情報提供が少なくてよいものではないと思います。
昨今、サプライズのためか、突然発表される政策が多いのですが、そうした政策には手続に不備があったり、細かな配慮が欠けているなど、十分な準備がされていないものも多くあります。今回の制度も、生活困窮者の救済であれば、利用された方が六七%というのは決して高くなく、知っていて受けなかった方だけではなく、うまく利用できなかった方もいたと思われます。今後、この事業が再び行われるとは考えにくいのですが、とりわけ生活困窮者対策については必要な人に必要な支援が届くよう、実態の把握と丁寧な制度設計をお願いします。
次に、放課後等デイサービスについて伺います。
障害のある児童生徒の放課後の居場所としての放課後等デイサービスは、株式会社の参入もあり、急速に増えています。その分、事業所の質にばらつきがあるともいわれています。都としては利用者のニーズに応えることができる事業所を増やすため、都型放課後等デイサービス事業を始めたと理解しています。
しかし、都型放課後等デイサービスの事業は、七十五か所の予算が決算は僅か二十三か所で、執行率も一八・九%と低かったといえます。要因をどう考えているか伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都型放課後等デイサービス事業は、一定の実務経験を有する保育士や児童指導員などのコア職員の配置や、十九時までのサービス提供などの要件を満たす事業所に補助を行うものでございます。
執行率が一八・九%となった主な要因は、年度の後半から事業を開始した事業所が多かったためでございます。
○中村委員 制度設計をするに際して、利用者のニーズに応えることは重要ですが、事業者の声を丁寧に聞くことも必要です。
放課後等デイサービスの制度ができる以前から、厳しい環境の下で取り組んできた事業者も多くありますので、そうした事業者の声も丁寧に聞いていただくことを求めます。
さて、利用される児童生徒の障害の程度は幅広いのですが、重症の児童生徒を受け入れる施設が足りていないとの声も聞きます。医療的ケアなど重たい障害があり、放課後等デイサービスを利用できない児童がいる一方で、事業者側では重たい障害のある児童を受け入れると経営が厳しくなるとも聞いています。
こうした状況の中で、都はどのような対応をしたのか伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都は、主たる利用者を重症心身障害児とする放課後等デイサービスにつきまして、利用者の障害特性に配慮し、サービス提供の実態に即した報酬水準に改善するよう、昨年十月、国に緊急提案を行いました。
令和六年度の報酬改定では、主たる利用者を重症心身障害児とする事業所の基本報酬につきまして、定員による区分設定や報酬単価が見直されるなど、一定の改善がなされたところでございます。
○中村委員 重い障害のある子供が利用できるよう、さらに取組をお願いします。
保育園のように待機児童という数は把握されていないようですが、実態を調査し、入所を希望する人が全て入れるだけのサービスが提供できるようにすることが重要です。
さて、十八歳までは放課後等デイサービスが利用できますが、その後については居場所がなく、日中は作業所に通えても、夕方通えるところがなく、保護者が仕事を続けるのも大変との声もあります。放課後等デイサービスを卒業すると、青年の障害者の居場所がありません。都議会でも、国が取り組むよう意見書を可決しました。
都は包括補助で市区町村を支援していますが、実績はどうでしょうか。また、実施する市区町村を増やすべきと考えますが、都の取組を伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都は、様々な障害を有する方が就労後や休日に地域の人々と交流できる余暇活動の場を確保する区市町村の取組を包括補助により支援しておりまして、令和五年度は十五区市に補助をいたしました。
また、こうした地域の実践を事例集にまとめ、区市町村に紹介いたしますとともに、事業説明会等の場において包括補助の活用を働きかけております。
○中村委員 十五の区市で設置をされ、今後も増えていくようです。とはいえ、全ての自治体に設置されることが必要であり、より一層の取組を求めます。
この事業は十八歳で線が引かれてしまいますが、生涯を通じてサービスがつながっていることが望まれます。成人してからの居場所、さらには、いわゆる親亡き後を心配する方も多く、高齢化に向けての施設の整備など、生涯を見通してサービスの隙間ができないよう求めます。
次に、学童クラブについて伺います。
長らく都政の最大の課題の一つとして保育園の待機児童問題がありましたが、都も重点的に取り組み、解消に向かいつつあります。
しかし、保育園から小学校に入り、今度は学童クラブに入れない待機児童の問題があります。
東京都の学童クラブの待機児童数は、令和五年五月一日時点で三千五百二十四人となっています。令和五年度の待機児童解消についての取組はどうだったのでしょうか。目標と実績を伺います。
○西尾子供・子育て支援部長 都は、学童クラブの待機児童の解消に向けまして、区市町村が待機児童解消計画を策定した場合に、整備費の区市町村負担分等を補助するほか、地域の実情に応じた放課後の居場所の確保に係る経費を幅広く支援しております。
学童クラブの目標につきましては、東京都子供・子育て支援総合計画におきまして、令和二年度から令和六年度までの計画期間に、登録児童数を二万五千人増やすこととしておりまして、令和五年までの実績は二万二千三百四人の増となっております。
○中村委員 登録児童数の増加を目指して増えていることも分かりました。しかし、保育園同様、入れない児童を待機として把握し、その解消に取り組むことが重要です。本来であれば六年生まで入れるのですが、とてもそこまで入れる状況にはなっていないのが現状です。
学童クラブは人材不足も課題です。学童クラブの支援員になるための認定研修の受講資格は幾つかありますが、その一つが保育士の資格です。しかし、保育所の処遇が手厚いため、人材が保育所に流れています。
学童クラブの待遇の改善も必要と考えますが、見解を伺います。
○西尾子供・子育て支援部長 都は、キャリアアップ処遇改善事業によりまして、放課後児童支援員の勤続年数や研修の受講実績に応じた賃金改善に必要な費用の一部を区市町村に補助しております。
○中村委員 保育園も、学童保育も、どちらも重要な施設です。学童保育の人材不足が深刻になる中で、待遇改善が求められます。学童クラブの待機児童解消のために、人材不足で増やせないということがないよう、人材の確保に努めるよう求めます。
次に、児童相談所について伺います。
深刻な問題である児童虐待に対応する児童相談所の体制強化は重要です。ずっと求めてきて、改善はされているようですが、増え続ける虐待件数に追いついてはいません。
都の児童相談所の児童福祉司の配置が国の基準を満たしていないと聞きますが、昨年度と今年度の状況を伺います。また、この状況を踏まえて、都として人材を確保するための対策を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○西尾子供・子育て支援部長 令和五年度の児童福祉司の定数は、国の配置基準五百六十九人に対し四百五十八人、令和六年度の定数は国の配置基準五百七十人に対し、四百九十九人でございます。
都は、児童相談センターに人材確保のための専任チームを設置し、大学等への訪問やインターンシップなどの採用活動を展開するほか、若手職員が働きやすい環境を整備するため、職員住宅の借り上げを行っております。
また、福祉分野の経験者の採用試験を実践的な能力を重視した内容としたほか、新規採用の対象年齢を拡大するなど、児童相談所の人材確保に向けて取り組んでおります。
○中村委員 専門性のある人材の確保は困難で、時間がかかると思います。ただ、長年人材不足はいわれてきましたし、今後も虐待の深刻化の状況が続くと考えると、計画的な人材の育成が求められます。現場の職員が多くの案件を抱えて疲弊しているとの声も聞きますので、早期の改善を求めます。
さて、増え続ける虐待件数に対して、子供を預かる一時保護所が足りていません。先日、八王子の児童相談所の一時保護所を視察させていただきましたが、多くの子供がいる状況を目の当たりにして、早期の改善の必要性を強く感じました。幸い、八王子は建て替えるとのことなので、受入れ枠の拡大を求めます。
この一時保護所の受入れ枠が不足をしており、民間事業者も活用して定員を拡充すると聞いています。現在の一時保護所の定員や、さらなる確保に向けた取組について伺います。
○竹中総合連携担当部長児童相談センター次長兼務 現在、都一時保護所の定員は二百五十名であり、児童養護施設や里親などへの一時保護委託も推進しております。
また、令和四年度より民間事業者に委託し、都立施設や民間の物件等を活用した取組を開始しており、四年度は一か所十名、五年度は新たに二か所二十一名を増設し、計三か所三十一名の受皿を確保しております。さらに、今年度からは乳児院における一時保護委託の受入れ促進に向けた取組を開始しております。
○中村委員 虐待や様々な事情で家庭にいられない子供が、都の施設に来たら狭いところに押し込められたということがないようにしなければなりません。早期の改善を求めます。
一時保護所がいっぱいなのは、家庭に戻るのは本来ですが、家庭に戻せない場合の行き先が足りないとの声も聞きます。虐待通告が増加し、一時保護所の定員が超過している状況においては、代替養育が必要な児童を児童養護施設等が確実に受け入れていく必要があります。
特に手厚い支援が必要な児童を受け入れるなど、都立児童養護施設の役割は重要であると考えますが、昨年度の入所状況と入所の受入れのための体制強化の取組について伺います。
○西尾子供・子育て支援部長 都立児童養護施設は、虐待による重篤な症状を持つ児童や情緒、行動上の問題を抱える中高生を積極的に受け入れるなど、公的な役割を担っております。
近年、ケアニーズが高く、個別対応が必要な児童が増えていることなどから、令和五年度の入所実績は六施設合計で定員四百三十四人に対しまして、毎月初日の在籍者数の平均は二百八十八人となっております。
児童の受入れをさらに進めるため、児童指導員の増配置や専門性向上のための心理教育プログラム研修の実施などによりまして、支援の体制を強化しております。
○中村委員 定員を満たしていても、いっぱいまでいられないという事情も理解しますし、現場は大変だと思います。そうであれば、定員そのものを増やすしかありません。様々な事情で家庭に戻れない子供たちが安心して過ごせる場所を確保するよう、さらなる取組を求めます。
次に、〇一八サポートについて伺います。
ゼロ歳から十八歳までの子供に月五千円、年一万二千円を配布する〇一八サポートが行われます。
当初は、東京都と地方との塾代の差が根拠とされていました。この施策は突然発表されたため、もう少し丁寧な制度設計を進めればよかったと思います。住民票の情報は市区町村が持っているため、都が直接給付をするという事業には慣れておらず、ミスも発生しました。
令和五年度に支給した給付金について過支給があったとのことですが、状況を伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 令和五年度に受け付けた支給申請につきましては、給付金の支給後に申請情報と住民基本台帳上の情報を突合し、令和六年度に精算することとしておりました。精算が必要となる対象児童数につきましては、現在調査中であります。
○中村委員 令和五年度のことがいまだに調査中というのが、少し時間がかかり過ぎると思います。やはり都としても、こうした制度を運用することには課題があるんだろうと思います。国の制度である児童手当も、実際に住民に届けるのは市区町村です。今回、児童手当の所得制限が撤廃されれば、なおさら制度として共通する部分も多く、都が独自に事務費をかけて行うよりも、市区町村が児童手当を配布する際に同時に行うことも考えられます。
〇一八サポートの事務費の決算額について伺います。あわせて、市区町村が児童手当と一体的に実施した方が効率的だと考えますが、児童手当と併せて実施できないのか、見解を伺います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 〇一八サポートの令和五年度決算額のうち事務費につきましては、約五十億円となってございます。
〇一八サポートは、子供の保護者等が受給する児童手当と異なり、子供一人一人の成長をひとしく支えていく観点から、子供本人を支給対象として実施しております。
本事業は、ゼロ歳から十八歳までの全ての子供を対象に、都が実施主体として、区市町村の意見も聞きながら実施をしております。
○中村委員 制度が違うので配り方も違うということですが、膨大な事務費を考えても、制度の整合性を取って同時に行う方が事務費も安くなり、ミスも減り、申請する側も一度で済みます。都として華々しく政策を打ち出し、それを住民に都が行ったことを示したいのでしょうが、そのために手続を煩雑にする必要はありません。
様々な都の施策がありますが、都民のためになるような制度設計を、関係者の方からも丁寧に話を聞き、よりよい制度として進めることを改めて求めて、質問を終わります。
○伊藤委員 それでは、私からはまず、アピアランスケアに関連して、義眼への支援について質問をしてまいりたいと思います。
都議会公明党は昨年の第二回定例会代表質問において、先天性や、がん、あるいは病気、事故等で片目の視力を喪失して義眼を装着している方が少なからずいること、また、そのうちの多くの方が障害者認定や医療患者の制度のはざまにあって、義眼を購入する場合には障害者への補装具費の支給や治療用具としての保険適用が認められていない現状を指摘したところであります。
私の下にも直接、片目を失明された当事者の方から、もう片方の目の視力がある程度高いために障害認定されなかったということや、別の方からは、医師から、眼球や眼窩、眼球を取り巻く機能が入っている骨の部屋だそうですけれども、この眼窩を摘出する必要がなく、保険適用にならないといわれたことなどの声を伺っております。
こうした方々は経済的に、また精神的にも負担が大きいため、都議会公明党は、都がアピアランスケアの一環として支援することを提案し、それに応え都は、義眼を使用する方の実態把握に努めていくという答弁がありました。
そこで、都はどのような実態把握の調査を行ったのか伺いたいと思います。
○加藤障害者施策推進部長 本年二月、都内の義眼販売店を通じまして、義眼を使用している方の実態把握のための調査を行いました。
調査内容は、失明の原因、義眼の装着に係る費用負担の状況、義眼を装着していることの効果など、十五項目でございました。
調査票は、義眼を装着している方、またはこれから新たに作製される方百三十五人に配布をいたしまして、約四割の方から回答がございました。
○伊藤委員 義眼を装着されている方に対して、様々な状況の調査を実施したということを確認することができました。今まで義眼についてあまり着目されておらず落胆していた方からは、今回、東京都が実態の把握に取り組んでいただいたということを高く評価されておりました。
それでは、次に、この調査によってどのようなことが明らかになったのか伺いたいと思います。
○加藤障害者施策推進部長 調査の結果では、片方の目が機能しなくなった年齢は六歳未満が約七割でございました。また、失明の原因は、約七割の方が網膜芽細胞腫などの疾病によるものでございました。
義眼購入に当たっては、約四割が医療保険の適用や補装具費支給制度の対象にならない方でございました。
自己負担額でございますが、十万円以上と回答された方が約五割でございました。
義眼を装着した効果といたしましては、外出など行動に対する意欲が向上した、顔貌の変化が抑えられ、前向きな気持ちになれたなどの回答がございました。
○伊藤委員 このたびの都の調査でありますけれども、大変に貴重な調査結果が表れていると私は思います。
まず一つ目に、今答弁にありましたけれども、調査の結果では片方の目が機能しなくなった年齢は六歳未満が約七割であったということでありましたけれども、先ほどの病名、網膜芽細胞腫、この病気でありますけれども、網膜に発生する悪性の腫瘍のことだということで、小児がんの一種であるわけであります。非常に乳幼児に多く、出生時の一万七千人のうち一人がこのがんを発症する、発症しているということで、九五%が五歳までにその診断が下されているということでありました。つまり、片目が機能しなくなって、子供の頃から義眼を装着する子供たちもたくさんいるということであるわけであります。
私の前職であった児童センター指導員時代に、義眼を装着している低学年の児童がおりました。友達と駆け回ったり、激しく遊んだりしているうちに義眼が外れて落ちてしまうといったことも実際にありました。その保護者からは、子供は成長が早いので、度々義眼をつくり直さなければならないから大変なんですというお話を伺ったことも思い出しました。
また、失明の原因は約七割の方が疾病によるものであり、義眼購入に当たり、約四割が医療保険の適用や補装具費の支給の制度の対象にならない方であったという答弁もありました。
さらに、自己負担額は十万円以上と回答された方が約五割であったということでありますけれども、厚生労働省の推奨では、義眼は二年ごとに更新が望ましいというふうにいわれておりまして、多くの方が経済的に苦労されているんだなということも、この調査で分かったわけであります。
また、義眼を装着した効果としては、外出など行動に対する意欲が向上した、顔かたちの変化が抑えられ、前向きな気持ちになれたとの回答は、少しでも精神的な苦痛を緩和できることを実感されているんだなということを感じました。
どうか、このたびの義眼に関する実態調査の結果を、エピテーゼなど他のアピアランスケアも含めて拡充策につなげていっていただきたいと要望しておきたいと思います。
次に、小児慢性特定疾病児童への支援について伺ってまいりたいと思います。
私は令和三年第一回定例会一般質問において、ご自分の子供さんを小児がんで亡くされ、NPO法人東京こどもホスピスプロジェクトを立ち上げた佐藤良絵代表理事のことを紹介いたしました。未来に向かって、まだまだたくさんの時間があるはずの子供に余命が宣告をされ、子供を亡くされた親の悲しみは、もう筆舌に尽くせないというふうに察します。しかし、佐藤さんはそのことをばねに、この悲しみの全てを力に変えて、がんと闘う子供たちとその家族を支えていこうと立ち上がって、東京こどもホスピスの設立に向けて奔走されておられます。
一般的に、成人のホスピスといえば、余命宣告を受けた患者が終末期医療を受けながら病院で静かに過ごし、みとられながら最期を迎える施設であります。
しかし、増加傾向にある小児がんや難病等を患う子供の場合は、治療方法がなくなってしまうと、ほとんどの時間を自宅で静かに過ごすことしか選択肢がありません。
一方、海外や大阪、あるいはまた横浜において先行する子供ホスピスは、決してみとる場所ではなく、子供たちやその家族が孤立することなく、また医療、教育などと連携しながら、安心して学んだり、遊んだり、楽しく過ごすことができる大事な居場所となっております。
NPO法人東京こどもホスピスプロジェクトの皆様は、こうした子供らしい時間を過ごす機会を提供できる施設が東京にできることや、活動への支援を切望されておられます。しかし、東京こどもホスピスの実現に向けては、医療施設なのか、福祉施設なのか、法的な位置づけがなく、現実に至っておりません。
そこで、NPO法人東京こどもホスピスプロジェクトの皆様は、まずは小児がんや難病等を患う子供やその家族に対して居場所の提供や相談支援を行っており、令和五年度からは都の委託事業として、小児慢性特定疾病児童に対して学習支援を開始いたしました。
そこでまず、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業の学習支援について、令和五年度の取組内容と実績を伺いたいと思います。
○瀬川子供・子育て施策推進担当部長 都は令和五年度から、長期入院等に伴い学習に遅れが生じている慢性疾病を抱える小中学生を対象に、学習支援を行う取組を開始いたしました。具体的には、学習支援員が自宅への訪問、またはオンラインにより、疾病や学習の進捗状況に応じて支援を行っております。また、児童が対面での学習に抵抗がある場合には、自分の分身ロボットを自宅で遠隔操作しながら、学習支援を受けられる対応を行っております。
令和五年度の学習支援の実績といたしましては、十二名に対し、実施件数は延べ百九十七件となってございます。
○伊藤委員 都の委託事業として、まずはこの団体が小児慢性特定疾病児童に対して学習支援を開始されたということに敬意を表したいと思います。
NPO法人東京こどもホスピスプロジェクトは、小児慢性特定疾病児童に対して学習支援を始めたわけでありますけれども、この小児慢性特定疾病に限らず、在宅で療養する子供やその家族に対して自主事業で居場所の提供や相談支援事業も行っており、将来的には子供ホスピスとして各事業を行っていきたいという意向を持っておられます。
私は、昨年の第四回定例会一般質問においても、法令等に基づく施設として位置づけがない子供ホスピスを、都において一日も早く実現できるよう求めたところ、都は、国の動向を注視しつつ、子供ホスピスを運営する意向のある事業者と支援内容や対象、運営上の課題等について意見交換をしながら検討していくという答弁がありました。
そこで、子供ホスピスへの支援に向けて、都としての検討状況を伺いたいと思います。
○森田企画部長DX推進担当部長兼務 完治が難しい小児がんや、難病等を抱えながら在宅で療養する子供やその家族に居場所を提供する施設、いわゆる子供ホスピスに関しまして、国は令和五年度に支援の実態とニーズ把握のための調査を実施してございます。
その結果、子供ホスピスの支援対象となる子供の実数把握や、子供や家族のさらなるニーズ分析などが検討課題として挙げられてございます。それらの課題も踏まえ、国は今年度、子供ホスピスに関する調査をさらに行う予定でございまして、その中で支援対象となる子供の数の把握方法の検討や子供や家族へのアンケートを実施することとしてございます。
都といたしましては、引き続き、都内で施設を運営する意向のある事業者と意見交換を行いまして、国の動向も注視しながら、必要な対応を検討してまいります。
○伊藤委員 国は令和六年度も実態調査を行いつつ、令和七年度概算要求において、関係機関の協議会や、こうした子供の実態把握等の経費を補助する事業を新規で要求しているというふうに聞いております。
私は、都としても引き続き、国の動向も注視しながら、東京子供ホスピスの実現に向けて、これまで以上に支援を切に求めておきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
次も、これまで継続して取り上げてまいりましたケアリーバーへの支援について伺ってまいりたいと思います。
今年の二十四時間テレビでは、芸人のやす子さんがマラソンランナーとして活躍する一方、苦労と苦しい生活の中で、児童養護施設で育った経験、多くの方にお世話になった感謝が伝えられていたこと、この放送を見て、私は本当に感動いたしました。
私は、これまで厚生委員会や決算特別委員会などで、高校卒業などを機に社会へ巣立っていくケアリーバーへの支援について都の取組の拡充を求めてまいりました。それは、社会への第一歩を踏み出して、自立へ向けてスタートを切った後に、孤独や困窮に陥るケースが少なくないからであります。
こうした背景を踏まえて、国は公明党の要請を受けて支援を受けられる年齢の制限を撤廃し、自立が可能であるかどうかで判断をして、大人向けの支援に引き継ぐまで継続的にサポートを受けられるよう、児童福祉法を改正いたしました。
そして、都は令和四年度から、ケアリーバーへの居住費の支援を開始しまして、令和五年度からは、その支援の期間を最長四年間に延長いたしました。
そこで、改めてこの事業内容と実績について伺いたいと思います。
○西尾子供・子育て支援部長 都は令和四年度から、児童養護施設や養育家庭を十八歳で措置解除となったケアリーバーのために、アパートなどを借り上げる経費の補助を開始いたしました。さらに、支援を受けているケアリーバーや児童養護施設等の意見も踏まえまして、令和五年度からは支援の期間を一年間から最長四年間に延長して実施しております。
令和五年度の居住支援を活用したケアリーバーは七十三人、決算額は三千六百一万七千円となっております。
○伊藤委員 昨年の決算特別委員会でも申し上げましたけれども、都が令和二年度に実施して令和四年一月に公表した児童養護施設等退所者の実態調査結果には、ケアリーバーたちの本音の心がかいま見え、今後の支援策の大事な要素がこの中にたくさん含まれていたというふうに私は思います。
そこには生活費や学費、将来のこと、そして仕事や人間関係などや、そして何よりケアリーバーが不安や悩み、孤独に包まれたときに支えになってくれるよりどころとして、児童養護施設でお世話になった方ということを挙げておられました。
さらに、自由記載欄には、施設の方への心からの感謝の言葉がたくさんつづられていたのが本当に印象的でありました。
これを踏まえ、私は、ケアリーバーへの支援は経済的な支援だけではなくて、精神的なよりどころも必要であると、都の取組を求めたところであります。
そこで、ケアリーバーに対する相談体制を充実させることも重要だと考えますけれども、昨年度の特徴的な取組と実績を伺いたいと思います。
○西尾子供・子育て支援部長 都はケアリーバーが気軽に集まって交流し、専任のスタッフに悩みなどを相談できる、ふらっとホーム事業を実施しております。令和五年度からは心理士や保健師などの専門職を新たに配置いたしまして、精神面に不安を抱える方の相談にも応じております。また、ケアリーバーがより気軽に相談支援を受けられるよう、ホームを一か所増やしまして都内三か所で実施しております。
令和五年度の相談実績は延べ一万一千四百五件、サロン参加者は延べ千六十七人となっております。
○伊藤委員 ケアリーバーに対する制度や支援は整備をされてきていると、充実してきているということでありまして、児童養護施設や里親の下で育った子供たちにとっては、十八歳での自立は、そうはいっても厳しい状況なのではないかというふうに推察をいたします。
先ほど述べた、令和二年度に都が児童養護施設等退所者の実態調査を実施しましたけれども、今後もケアリーバーの声を聞きながら支援策を検討していくべきというふうに考えますけれども、都の見解を伺いたいと思います。
○西尾子供・子育て支援部長 令和六年四月に施行された改正児童福祉法におきまして、ケアリーバーの実態を把握し、自立のために必要な援助を行うことが都道府県の業務として規定されました。
都は現在、ケアリーバーも委員として参加する会議において、新たな社会的養育推進計画の策定を進めておりまして、法改正の趣旨も踏まえながら、実態把握や関係機関との連携強化など、ケアリーバーの自立支援について検討しているところでございます。
○伊藤委員 ケアリーバーによっては個人差はあると思いますけれども、私は退所後の十年くらいは支援を続けられるよう、支援策を拡充していくことを求めておきたいと思います。
また、ケアリーバーにとって児童養護施設は、いわゆる実家みたいなところであるというふうにも思います。同じような環境で育った若者同士が互いに励まし合ったり、情報交換をしたりすることができる、ふらっとホームのさらなる拡充や、なるべく施設のそばにグループホームなどの整備もしてほしいということも要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○原委員 日本共産党の原のり子です。よろしくお願いいたします。
私は、三つのテーマで伺います。
まず最初に、特別養護老人ホーム経営支援事業による、視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師についてです。
東京都は介護保険制度が実施される以前から、特別養護老人ホームにおいて視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師を雇用した場合、都加算をしてきました。介護保険制度が開始されて以降は、その時点までに働いていた常勤の方については、その方が退職されるまでの間、経営支援事業で補助を継続するが、新しく雇用された方は対象とせず、やがて廃止をしていくこととしています。退職された後、施設で新たに視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の雇用をしなければ、視覚障害者の皆さんにとっては、勉強して資格を取って、その技術を生かせる貴重な場の一つが失われていくことになります。
まず最初に伺いたいんですけれども、介護保険制度が開始される前の時点、一九九九年度には百三十六人の方々が雇用されていたとのことですけれども、昨年度時点での人数は何人か。また、昨年度の予算、決算は幾らでしょうか。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホーム経営支援事業におけるあんまマッサージ指圧師加算の対象者は、令和五年度は十四人でございました。
また、本事業におけるあんまマッサージ指圧師加算の令和五年度の予算額は三千八百七十一万二千円、決算額は三千二百七十一万二千円でございます。
○原委員 この二十年ほどで、百三十六人いらした視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の方が十四人にまで大きく減ってしまっているということです。
この補助は、介護保険開始前に働いている人が継続して働いている場合には出されているものですけれども、その方が辞めて、先ほどもいいましたけれども、次の方が入っても補助が出ないという仕組みです。
伺いたいんですけれども、補助は出なくても、退職された視覚障害者の後を、同じように視覚障害者を採用した施設はどのぐらいありますか。
○梶野高齢者施策推進担当部長 お話の平成十二年四月一日以降に新たに雇用したあんまマッサージ指圧師については、お話の加算の対象とならないことから、採用状況の報告は求めておりません。
○原委員 報告を求めていないということで、把握はしていないということですよね。ただ、本来は障害者雇用を推進していくという立場からしても、把握してしかるべきだと私は思います。
特別養護老人ホームにお話を伺うと、視覚障害の方を続けて、その方、退職したけれども、続けてまた視覚障害の方を雇用したいと思ったけれども、東京都からの支援を受けられなくなったので断念したという声もありました。
そこで伺いたいのですが、介護保険制度の中で、視覚障害を有するあんまマッサージ指圧師を機能訓練指導員として配置する場合の加算はあるのでしょうか。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームでは、機能訓練指導員を配置することとされておりまして、その配置に係る経費は介護報酬で措置をされております。また、視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師を含め、常勤専従の機能訓練指導員を配置し、看護職員や介護職員等と共同して個別機能訓練計画を作成し、計画的に機能訓練を実施している場合には介護報酬が加算される仕組みとなっております。
○原委員 今ご答弁にあったんですけれども、確認したいんですけれども、今のご答弁でおっしゃっていたのは、障害者雇用に係る加算ではないですよね。確認したいので、お願いいたします。
○梶野高齢者施策推進担当部長 介護報酬におきましては、障害者雇用に係る加算は設けられておりません。
○原委員 そうなんですよね。それで、そういう、介護保険の方ではそういうふうになっているということです。
それで、では、あんまマッサージ指圧師加算の金額はどのようにして決まっているのか伺いたいと思います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームでは機能訓練指導員の配置に係る経費を介護報酬で賄うことが原則でございますが、都は介護保険制度導入前から雇用されていた視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の機能訓練指導員としての継続雇用を図る観点から、この加算によりまして経過措置として支援を行っております。
現行の加算額につきましては、介護保険制度導入前の補助事業で定められていた加算額から、特別養護老人ホームにおけるサービスに対する介護報酬として設定された機能訓練指導員の配置に係る人件費相当額を差し引いた額により設定をしております。
○原委員 そういう設定になっていますので、先ほどご答弁していただいた決算額から考えると、一人当たり二百三十三万円ほどの補助になっているのではないかなと思います。
先ほど介護報酬の説明がありましたが、介護報酬では都加算で出ていた金額は出ないということなんですよね。ですから、その差額を出しているわけです。現場にとっては、この加算があるかどうか、この差額分出してもらえるかどうかで、非常に大きいと思います。それがあれば、視覚障害の方の雇用を引き続き考えたいという施設も現にあるのですから、本当にもったいないと私は思っています。
福祉局では、特別養護老人ホームで視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師が仕事をすることについて、意義があると考えているのか、働いてもらえるように推奨しているのか伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームにおいては、あんまマッサージ指圧師のほか、理学療法士、作業療法士などの資格を有する機能訓練指導員を配置することとされておりまして、各施設では入所者の方の心身の状況やニーズなどを踏まえ、機能訓練指導員を配置しております。
○原委員 私が聞いているのはそうではなくて、特別養護老人ホームで視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師が仕事をすることの意義についてどう考えているか。意義があることだと考えているのかということを伺いたいのですが、お答えください。
○梶野高齢者施策推進担当部長 先ほど来ご答弁しましたように、機能訓練指導員の資格要件には理学療法士、作業療法士、あんまマッサージ指圧師等がございまして、視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の方についても、今申し上げた他の有資格者の方と同様、機能訓練指導員としての日々の業務を通じて、入所者に対して適切なサービスを提供しておられるものと考えております。
○原委員 視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の皆さんも機能訓練指導員として役割を果たしているでしょうというお話ですが、本当に視覚障害者の方々が資格や技術を生かせるということは、とても大事なんです。
機能訓練指導員というのは、今お話にも少しありましたけれども、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、柔道整復師、そしてあんまマッサージ指圧師、あるいは一定の実務経験を有するはり師、きゅう師の資格を持つ人たちがなれるということになっているんですけれども、それでは昨年度の都内の特別養護老人ホームの機能訓練指導員は何人いらっしゃるのか。そのうち、視覚障害者は何人いらっしゃるのか伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 東京都特別養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例施行規則によりまして、特別養護老人ホームにおいては、一以上の機能訓練指導員の配置が必要とされておりますが、制度上、配置状況について都への報告は義務づけられておりませんので、人数については把握をしておりません。
○原委員 都内の特別養護老人ホームには、一以上ということで配置をされているというご答弁がありました。それだけの人数、機能訓練指導員の方はいらっしゃるということですけれども、他職種と兼務の場合もあるかもしれませんので、そこの数字は実際にどうなのか分かりませんが、必ず配置をされているということですよね。その中に視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の方たちもいるわけで、必ずしもこの経営支援補助で雇用されている人ばかりではないかもしれないんです。ですので、私はどのぐらいの人数がいらっしゃるかということを把握することは大事なんじゃないかと思うんです。そのことは、ぜひ把握していただきたいということで要望しておきたいと思うんです。
それで、視覚障害のある方を雇用した場合、日々の記録をしていってもらうことができるかどうか、それが一つのポイントになっていると話してくれた特別養護老人ホームの施設長もいます。
先日、機能訓練指導員として働いている視覚障害のある方の仕事を見学させていただいたんですけれども、その方は四十人の入所者を担当されていて、その記録を音声に変換するソフトを活用して、ご自分でパソコンに打ち込んでいました。
機能訓練指導員として視覚障害のある方が仕事をする場合、このようにパソコンを使って記録などを行う際に、音声に変換するソフトを用意するなどへの支援はあるのかどうか伺います。
○梶野高齢者施策推進担当部長 特別養護老人ホームの経営事業者を含めまして、事業者が障害者を雇用する場合には国による支援制度がございまして、特別養護老人ホームが機能訓練指導員として視覚障害のある方を雇用する場合にも、そうした制度を活用することが可能となっております。
○原委員 今、国の制度で活用が可能だというものも紹介をされましたが、都の経営支援事業補助の中にも使えるメニューがあると思うんです。これは金額的には小さいかもしれませんけれども、そういうものが一応あるのではないかと思います。
ただ、これらが、こういう制度が実際の使い勝手はどうなのか、実際に利用されているのかどうか、これを私は今後把握していただきたいと、この場では求めておきたいと思います。
それで、機能訓練指導員に対する研修についても伺いたいのですが、研修はとても大事だと思いますけれども、どのように実施をしているのでしょうか。
○梶野高齢者施策推進担当部長 あんまマッサージ指圧師を含め、機能訓練指導員を対象とした研修については、東京都社会福祉協議会など複数の民間団体により実施されていると承知しております。
○原委員 お話を伺った視覚障害のある機能訓練指導員の方も、こうした、今ご紹介あった研修に年数回参加しているといっていました。とても大事な機会となっていると話していました。
このお話を伺ったこの方は弱視なんですけれども、でも人の顔はもうほとんど全く分からなくて、声で一人一人を認識をしているというお話でした。その方が、特別養護老人ホームの広いフロアに高齢者が集まって、お一人で体操を指導していたんです。もちろん、介護職の皆さんはいらっしゃるんですけれども、実際には本当に見えないわけだけれども、とても的確な言葉がけをされて、本当にすばらしい指導をされていて、私も感激したんですけれども、高齢者の方々もお互いに、もっと手は上だよとか教え合ったりして、とってもいい雰囲気で体操もされていたんです。
それで、こんな力があるんだなということを改めて実感したんですが、そして、体操だけじゃなくて、一人一人に対する訓練とかマッサージなども、この方行われているんですけれども、四十人も担当されていて、お一人お一人訪ねて、そういうことも、訓練もやっているんです。
その話も聞きましたら、最初は話もしてくれなかった高齢者の方が話をしてくれたときの喜びとか、あるいは対応が難しい方、認知症の方などもいらっしゃいますから、そういう方については介護職の方と相談したり、あと一緒に働いている機能訓練指導員の方、もう一人いらして、その方と検討したりしながらやれるので、とてもよいという話をしてくれました。
視覚障害のあるあんまマッサージ指圧師の方が働ける場を本当に減らさないでほしいなと改めて実感をしてきました。
それで、こういう場を減らさず増やしていくために、経営支援事業の継続と拡充、また資格を生かせる職場の確保を東京都として進めること、これを強く求めて次の質問に移ります。
次に、都外の医療型障害児入所施設のサービス推進費について伺います。
特に医療を必要とする障害のある子供たちのための入所施設が医療型障害児入所施設です。
まず、昨年度は都内、都外、それぞれの医療型障害児入所施設に何施設、何人在籍しているのか伺います。
○加藤障害者施策推進部長 都内の医療型障害児入所施設の入所児者のうち、都内の自治体が実施機関である人数は令和五年四月一日時点で九施設、一千百七十人でございます。都外の医療型障害児入所施設の入所児者のうち、都内の自治体が実施機関であり都が把握しております人数は、令和五年四月一日時点で二十一施設、百二十三人でございます。
○原委員 都外施設については、二十一施設に百二十三人の方が入所しているということです。
それでは、この都外施設に対するサービス推進費の昨年度の予算、決算はどのようになっていますか。
○加藤障害者施策推進部長 令和五年度における障害者支援施設や障害児施設等を対象とする民間社会福祉施設サービス推進費の予算額でございますが、都内、都外合わせて二百十四億八千四百二十六万一千円でございます。
令和五年度の決算額でございますが、二百十三億二千六百万八千円となっておりまして、そのうち都外の医療型障害児入所施設に交付した額は八千五百四十一万三千円でございます。
○原委員 それでは、都外施設のうちサービス推進費を出している施設と出していない施設がありますけれども、昨年度時点では幾つですか。
○加藤障害者施策推進部長 都内の自治体が実施機関でございます入所児者がいる都外の医療型障害児入所施設のうち、都が把握しております施設は二十一施設でございます。そのうち、サービス推進費の補助を行った施設は六施設でございます。
○原委員 二十一施設のうち六施設しか補助していないということです。
それで、改めて伺いたいんですけれども、サービス推進費を出していない施設のその理由を伺います。
○加藤障害者施策推進部長 平成八年度の東京都障害者施策推進協議会提言におきまして、都内での施設の設置を促進すべきという提言を受けたことを踏まえ、都外の入所施設について、平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針といたしました。
サービス推進費補助につきましては、平成十二年一月の制度創設以降、新たな施設は対象としておりません。
○原委員 障害者施策推進協議会の提言を踏まえて、都外に入所施設は新たにつくらない、サービス推進費も新たな施設には出さないということだと思いますが、お配りしました資料を見ていただきたいと思います。
これは、平成九年八月に当時の福祉局が障害者施策推進協議会の提言集としてまとめたもので、今これネットで見ても出てこなくて、こういう本でしか見られないんですけれども、これを図書館から借りて見ました。これを、今の部長の答弁でも根拠にされているんですよね。
この提言集の中で、提言は二つあるんですけれども、その提言の一つ目のものだというふうに思いますけれども、この目次を見ていただくと、目次の第三章のところが、ちょうど入所施設の在り方と計画的整備の方策というところになるかと思います。
それを、最後のページを見ていただきたいんですけれども、その部分をコピーしたものが皆さんのお手元に配ったものです。
ここを恐らく、ここの一番最後のところです。今後は、住み慣れた地域で生活し続けたいとする本人や家族の希望、選択を最大限尊重するという観点から、入所施設の計画的整備に当たり、第一義的には都内での設置を促進していかなければならないということを恐らく一つの根拠にされているのではないかなと思いますが、ただ、どこにサービス推進費を出さないという根拠が示されているのかというのが分からないんです。そこを教えてください。
○加藤障害者施策推進部長 先ほど答弁いたしましたとおり、平成八年度の提言におきまして、都内での施設の設置を促進すべきという提言を受けたことを踏まえ、都外の入所施設については平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針としたところでございます。
サービス推進費は平成十二年一月に創設されたものでございまして、新たな施設は対象としておりません。
○原委員 ということは、この資料ではサービス推進費を出さないという根拠は、この資料では、ないということでいいんでしょうか。ちょっと確認させてください。
○加藤障害者施策推進部長 先ほども答弁いたしましたとおり、平成八年度、また委員ご指摘の九年度に提言されたものでございます。
サービス推進費につきましては、平成十二年一月の制度創設でございます。平成八年においても、平成九年においても、新たな都外施設の入所施設については整備を行わない方針と平成十年度にいたしましたので、その後に創設されましたサービス推進費補助については、制度創設以降、新たな施設は対象としていないというところでございます。
○原委員 そうしますと、私この問題、厚生委員会でも一度議論させてもらっているんです。そのときの答弁とは微妙にちょっと違っているんです。つまり、サービス推進費を出さないという、都外施設に対して出さないという問題は、この提言とは関わりはないよということをお話ししたということでいいんでしょうか。
○加藤障害者施策推進部長 この提言に基づいて、平成十年以降、都外施設は整備していないというところでございます。
その後、平成十二年にサービス推進費が創設されましたので、そちらについても支給を対象としていないということでございます。
○原委員 今聞くと、やはり関連はあるのかなというふうにも取れるんですけれども、そのサービス推進費を都外の施設に出さないという判断が、一体どこで何を根拠に決まっているのかというのが非常に分からないんです。今までの答弁では、一つの根拠として、都外施設をつくるということではなく、第一義的には都内なんだということをこの提言でいっている。そこを一つの根拠にしているというふうに、私はこの間議論をしてきて思っているんですけれども、もし、サービス推進費を都外施設に出さないということと、今回のこの提言は関わりはないということであれば、それはそれではっきりいっていただきたいと思います。それは後でお願いします。
私は、新たな都外の施設整備は行わない方針というふうにいっているんですけれども、ここの提言、先ほど読み上げたところには、第一義的には都内での設置を促進していかなければならないとなっているんです。ところが、今東京都は、都内でも増やさないし、都内で足りない分を都外施設が補ってくれているのに、そこにはサービス推進費も出さないというふうになってしまっているんです。これは本当に矛盾していますし、説明がつかないと思うんです。
改めて確認したいんですけれど、昨年度の時点で都内施設の待機者は何人いますか。
○加藤障害者施策推進部長 重症心身障害児者入所待機者数は、令和五年度末時点で四百四十五人でございます。
○原委員 すみません、前段にもう一つ聞いていて、ごめんなさい、サービス推進費を出さないということと、この提言は、そこは関係ないということであれば、そこははっきりいってくださいっていったんですけれども、そこの答弁はありますか。
○加藤障害者施策推進部長 先ほど来ご答弁しておりますとおり、平成八年度の提言を受けまして、平成十年度以降は都外施設の整備をしておりません。
平成十二年度にサービス推進費、創設されましたけれども、そちらについて、新たな施設については対象としておりません。
○原委員 ちょっと答えていただけていないんですけれども、引き続きその点については私も議論をしていきたいというふうに思います。
それで、先ほどの待機者については四百四十五人と、昨年度末時点でもそれだけ多くの方がいらっしゃると。それだけ多くの待機者をどうしようと考えているのかということが、今本当に重要だと思うんです。
東京都は医療型障害者入所施設を、障害児者ですね、入所施設を必要とする方々も地域移行の対象であり、そのため待機者がいても都内に施設を増やさないという方針、そういう考えなのでしょうか。
○加藤障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害児者やその家族が安心して暮らせる社会の実現を目指し、施策を進めております。このため、重症心身障害児者等の日中活動の場でございます通所施設の整備を促進いたしますとともに、一時的に家庭での療育が困難になった場合に短期入所できる病床を確保するなど、在宅支援サービスの充実に取り組んでいるところでございます。
○原委員 ということは、入所施設が必要な方でも在宅でということをいいたいんでしょうか。
昨年八月の第十期東京都障害者施策推進協議会第二回専門部会において、東京都重症心身障害児(者)を守る会から意見、要望が出されています。この中で、国は障害児入所施設について新設を認めないというような指導はしていないとの指摘があります。
都はどのような見解を持っていますか。
○加藤障害者施策推進部長 都は、東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害児者やその家族が安心して暮らせる社会の実現を目指し、施策を進めております。
○原委員 ちょっと確認しますけれども、先ほど東京都重症心身障害児(者)を守る会の意見、要望を紹介しましたが、この会が指摘をしているのは、正式に国が回答しているものそのものなんです。この国の回答については認めないということにはならないですよね。都の見解を聞いていますので、お答えいただけますか。
○加藤障害者施策推進部長 都としては、障害者それぞれの方が必要とするサービスを利用しながら安心して暮らせる社会の実現を目指し、施策を進めております。
○原委員 必要とするサービスという中に、この入所施設が必要な方のそういう要望、必要に応えていくということをおっしゃっているのかなというふうに思いたいですけれども、なぜそれをはっきりと答弁をされないのかというのが私はとても疑問です。
さらに、先ほど紹介した守る会の要望の中には、やむなく都外施設に入所している都民である重症児者には、都内施設利用者と同等の財政支援を提供する観点から、民間施設サービス推進費補助の復活をお願いいたしますと述べられているんです。復活といいますか、この補助をやってくださいということで、この要望が書かれています。これについての都の見解を伺います。
○加藤障害者施策推進部長 繰り返しになりますが、平成八年度の提言におきまして、都内での施設の設置を促進すべきという提言を受けたことを踏まえまして、都外の入所施設について平成十年度以降、新たな施設整備を行わない方針といたしました。
サービス推進費補助につきましては、平成十二年一月の制度創設以降、新たな施設は対象としておりません。
○原委員 先ほども話しましたけれども、障害者施策推進協議会の提言は、サービス推進費を出さない根拠にはなりません。これ提言を出した方々にも失礼ではないかと私はずっと思っているんですけれども、サービス推進費補助を差別なく出してほしいとの要望は、繰り返し出されているわけです。昨年度だけではなく、その前もずっとそうです。
こうした声をどのように検討してきたのですか。
○加藤障害者施策推進部長 都はこれまでも、東京都障害者施策推進協議会に当事者である障害者団体に参画をいただくなど、様々な機会を捉えて意見を丁寧に聞きながら障害者施策を推進しております。
都は東京都障害者・障害児施策推進計画に基づきまして、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害児やその家族が希望する地域で安心して生活できるよう、引き続き取り組んでおります。
○原委員 計画に基づきということも繰り返し答弁をされています。今年度から新しい計画になっていますので、私はその計画に基づきということについても、今後改めて議論をしたいというふうに思います。
サービス推進費が出ていないために、施設がどれだけ負担しているか、ご存じだと思うんですけれども、まあ、一人当たり一か月六万七千三百円なんですよね、サービス推進費は。年間にしたら、一人当たり八十万七千六百円になります。
ある施設では、十人の子供たちを受けてくださっています、東京の子供たちを。年間、それだけで八百万円超えるわけです。それを持ち出して、東京の子供たちを育ててくださっているわけです。
都内施設が足りなくて都外の施設で受け入れてもらっているのなら、どうして、せめてサービス推進費を出して、東京の子供たちをお願いしようとならないのか、本当に疑問です。
資料として示しました提言に改めて戻ってみますと、住み慣れた地域で生活し続けたいとする本人や家族の希望、選択を最大限尊重するという観点から、入所施設の計画的整備に当たり、第一義的には、都内での設置を促進していかなければならないと書かれていて、先にその前の二行を見ていただきたいんです。そこには、都外施設には、恵まれた自然環境を生かした生活が可能であるという利点もあるが、退所後の進路などの問題解決に努める必要があるとあります。
施設整備は都内で進めつつ、現に都外にいる方々の福祉の向上には責任を持って対応するというのがあるべき姿です。住み慣れた地域で暮らし続けられるようにするということはもちろん大事ですけれども、やむなく都外に行った子供たちにとって、そこが大切な地域です。そこで生活しやすくしていく責任が東京都にはあります。一日も早く、東京の子供たちを受け入れてくれている都外施設をサービス推進費の対象にすることを強く求めて、次の質問に移ります。
最後に、生活訓練事業所のオンライン出席について伺います。
障害のある方たちの生活訓練事業所は、基本二年の通所施設です。コロナ禍において障害者通所施設などでは、感染拡大防止と利用者への支援継続のため、電話やメール、テレビ会議など、様々な努力が行われてきました。事業所への出席が直接できなくても報酬算定ができる仕組みが取られてきました。
昨年の五月七日時点では、どのぐらいの事業者がこの仕組みを活用していたのか教えてください。
○加藤障害者施策推進部長 令和二年五月二十七日付の国事務連絡では、新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いとして、職員が訪問や電話等によるできる限りの支援の提供を行ったと市町村が認める場合には、通常提供しているサービスと同等のサービスを提供しているものとして、報酬の対象として差し支えないとしておりました。
この取扱いにつきましては、この事務連絡に基づき、区市町村が認めた場合、各事業所が報酬請求できるものでございます。
○原委員 つまり、どのぐらいの事業所がこの仕組みを活用していたのかという、その数字的なものは東京都は把握をしていないということなんだと今聞きました。
それでは、昨年五月八日以降も、一定の要件の下、継続されると国は通知していましたけれども、どのぐらいの事業所が活用しているのか教えてください。
○加藤障害者施策推進部長 国は令和五年四月二十八日付の事務連絡におきまして、令和五年五月八日以降の新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う取扱いを示しました。
この事務連絡では、感染拡大地域である場合または事業所等において感染者が多数発生している場合等でありまして、代替サービスの提供や居宅への訪問等を実施し、区市町村が認める場合には、臨時的取扱いを行った場合でも通常どおりの報酬算定が可能とされました。
この取扱いにつきましては、この事務連絡に基づき区市町村が認めた場合、各事業所が報酬請求できるものでございます。
○原委員 この対応についても、区市町村が認めた場合ということなので、東京都としては、その数などは特に把握をしていないということだと思います。
では、コロナ禍の下で、各事業所が利用者を支えて活動を継続させたことについてどのように評価していますか。
○加藤障害者施策推進部長 国の事務連絡等に基づきまして、必要なサービスが適切に提供されたものと認識しております。
○原委員 数などは特に把握をしていないけれども、サービスは適切に提供されたものと認識しているということなのですが、私は区市町村が主体の事業といいますか、区市町村が認めた場合、実施をされるというものであっても、やはり東京都としても全体の状況はぜひ把握をしていただきたいと思うんです。
それで、今は生活訓練事業所はもう対象になっていないんですけれども、その理由について伺います。
○加藤障害者施策推進部長 令和六年三月十九日付国事務連絡によりまして、新型コロナウイルス感染症に係る障害福祉サービス等事業所の人員基準等の臨時的な取扱いにつきましては、令和六年四月一日付で全ての障害福祉サービス事業所について廃止をされました。
○原委員 確かに臨時的な取扱いは廃止をされましたけれども、就労系の事業所では、臨時的な取扱いだったものが常時の取扱いとなって継続をされています。厚労省の通知、就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項についてという通知では、在宅でのサービス利用を希望し、支援効果が認められると市町村が判断をすれば、報酬を算定できるということになっています。ですので、臨時的なものとして始めたものであっても、必ず終了するということではありません。特に、コロナの感染拡大がなくても意義があると分かったものは継続することが重要だと私は思います。
精神障害の方を中心に受けている生活訓練事業所では、ひきこもりの方の相談や利用も増えています。オンラインによるプログラムを充実させたところ、コロナ禍でも活動が活発化し、出席が増えました。
こうした成果を考えれば、生活訓練事業所も対象にすべきと考えますが、都としての見解を伺います。都としての検討はしていないのか、併せて伺います。
○加藤障害者施策推進部長 生活訓練事業は、入所施設や病院からの退所者等で、生活能力の維持向上が必要な方を対象として、地域生活への移行を図るため、自立して日常生活を営むために必要な訓練等を、原則として二年間、通所により実施するものでございます。
国事務連絡により、臨時的な取扱いは令和六年四月一日以降、本事業を含め全ての障害福祉サービスで廃止をされております。
○原委員 制度の説明をしてくださいといったわけではないんですけれども、今説明の中で地域生活への移行を図るためというお話もありましたが、それも一つのもちろん大事な中身ではありますけれども、それだけではなくて、生活訓練事業所を必要としている方はたくさんいらっしゃるんです。事業所からは、オンライン出席の取扱いについて継続してほしいと要望も寄せられていたと思います。
東京都としては、国に要請などは行ったのでしょうか。
○加藤障害者施策推進部長 国は、新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけの変更に伴い、臨時的取扱いを終了したものでございまして、都として国に要請はしておりません。
○原委員 要請はしていないということです。質問に対して全ての答弁が、まずはコロナ対応の臨時的な取扱いだったということと、それから区市町村が主体だから、いろんな数とか、そういう状況については把握をしていないということと、それから、そういう状況ですからコロナの下での事業所の努力についても特に評価がありませんでした。その結果、国にも要請するというふうにはなっていないということで、私としては極めて残念だと受け止めています。
引き籠もっていた方がオンラインならということで、ズームに顔は出さずに参加して、安心できる場だと感じて顔を出せたり発言をしたりするようになる。今度は直接行ってみようかなとなったり、そういう例なんかもあるんです。また、人と対面で関わらないことで、安定して仕事ができるという方もいらっしゃいます。社会にどう関わるか、どんなふうに仕事をするか、生活していくかは一人一人違いますし、正解はありません。
私がお話を聞いた事業所では、そうした意義を実感して、今は報酬がつかなくなりましたけれども、オンライン出席について報酬がつかなくなりましたけれども、それでもオンラインでの支援を継続しているんです。つながりにくい人とつながることこそ大切だということで努力をされています。いかに大事な活動をしているかということをぜひ知っていただきたいと思います。
本来、生活訓練事業所こそ、オンラインも含めた様々な選択ができることが必要だと思います。ぜひ現場の声を聞いていただき、東京都からも就労系だけでなく、生活訓練事業所のオンライン出席を認める大事さを国に要請していただきたいと思います。コロナの検証も本当に今大事な時期ですので、今でも事業所では、まだまだコロナ、本当に終息とはいえないということで、もう一生懸命対策を取って頑張っていらっしゃいますけれども、とりわけコロナ禍が本当にひどかったときに、そこでも苦労して、利用者のために事業を継続してきた。その努力を東京都もぜひ区市町村、また事業所から話も聞いて把握をしていただきたい、そのことを強く求めて、質問を終わります。
○福島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時五十分散会
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