令和四年度各会計決算特別委員会速記録第三号

令和五年十一月十三日(月曜日)
第十五委員会室
午後一時開議
出席委員 三十名
委員長早坂 義弘君
副委員長細田いさむ君
副委員長松田 康将君
副委員長入江のぶこ君
理事土屋 みわ君
理事星  大輔君
理事須山たかし君
理事伊藤こういち君
理事曽根はじめ君
理事小山くにひこ君
かまた悦子君
吉住はるお君
岩永やす代君
清水とし子君
玉川ひでとし君
竹平ちはる君
かつまたさとし君
森口つかさ君
龍円あいり君
田の上いくこ君
斉藤 りえ君
アオヤギ有希子君
浜中のりかた君
渋谷のぶゆき君
清水やすこ君
原田あきら君
福島りえこ君
阿部祐美子君
山口  拓君
大山とも子君

欠席委員 一名

出席説明員
知事小池百合子君
副知事黒沼  靖君
副知事中村 倫治君
副知事宮坂  学君
教育長浜 佳葉子君
東京都技監建設局長兼務中島 高志君
政策企画局長古谷ひろみ君
総務局長野間 達也君
財務局長山下  聡君
子供政策連携室長田中 慎一君
スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村 恵一君
デジタルサービス局長山田 忠輝君
主税局長児玉英一郎君
生活文化スポーツ局長横山 英樹君
生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫 宜哉君
都市整備局長谷崎 馨一君
環境局長栗岡 祥一君
産業労働局長坂本 雅彦君
消防総監吉田 義実君
福祉局長佐藤 智秀君
保健医療局長雲田 孝司君
港湾局長松川 桂子君
会計管理局長須藤  栄君
住宅政策本部長山口  真君
中央卸売市場長早川 剛生君
選挙管理委員会事務局長副島  建君
人事委員会事務局長田中  彰君
監査事務局長小沼 博靖君
労働委員会事務局長根本 浩志君
収用委員会事務局長杉崎智恵子君
議会局長小山 明子君

本日の会議に付した事件
議席について
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・令和四年度東京都一般会計決算
・令和四年度東京都特別区財政調整会計決算
・令和四年度東京都地方消費税清算会計決算
・令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・令和四年度東京都国民健康保険事業会計決算
・令和四年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算
・令和四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算
・令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
・令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・令和四年度東京都と場会計決算
・令和四年度東京都都営住宅等事業会計決算
・令和四年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・令和四年度東京都都市開発資金会計決算
・令和四年度東京都用地会計決算
・令和四年度東京都公債費会計決算
・令和四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○早坂委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席についてお諮りいたします。
 本委員会室における議席につきましては、お手元配布の議席(案)のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○早坂委員長 次に、委員外議員の発言の申出について申し上げます。
 上田令子議員から、会議規則第六十三条の規定により、本日の委員会に出席して発言したい旨の申出がありました。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 上田令子議員の発言を許可することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○早坂委員長 起立少数と認めます。よって、上田令子議員の発言は許可しないことに決定いたしました。

○早坂委員長 本日は、小池知事並びに黒沼副知事、中村副知事及び宮坂副知事にご出席いただいております。本日はお忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。
 なお、潮田副知事は、公務のため出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 なお、去る十月十一日から行われました各分科会における局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。

   〔分科会審査報告書は本号末尾に掲載〕

○早坂委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定をいただいております委員会実施要領などに従いまして運営してまいります。
 委員の皆様方には、質疑を行う際、令和四年度決算の審査から逸脱しないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間終了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 松田康将副委員長の発言を許します。

○松田委員 まず初めに、いわゆる偏在是正措置についてお伺いをいたします。
 都税収入に関しては、この後、別途お伺いをさせていただきますが、本委員会の第一分科会の質疑で、吉住委員が確認をしたところ、令和四年度の決算の税収額は、東京都に限らず、国や他の地方自治体も含めて全体的に増収となっております。こうした税収動向からすれば、七月の全国知事会議で一部の知事から意見をされたような、東京だけに税収が集中しているため偏在是正をさらに進めるような議論を行う状況にないのは明白であります。
 本日、今まさに秋の全国知事会議が行われており、潮田副知事が知事の代理で出席をされていると聞いております。現状では、夏のときのように偏在是正に向けた意見は出ていないとのことですが、東京の税収増だけに着目をして、夏のときのような議論が再燃しないか、そして年末の税制改正に影響しないか、波及しないか、不安を禁じ得ません。
 都民の貴重な財源を守る観点から、さらなる偏在是正を求める意見に対しては、東京都の主張をしっかり行っていくことが重要であります。
 そこで、改めて、いわゆる偏在是正措置に対する知事の見解をお伺いいたします。

○小池知事 松田康将副委員長のご質問にお答えいたします。
 いわゆる偏在是正措置についてのお尋ねでございました。
 いわゆる偏在是正措置、これは、地域間の財政力の格差を是正する名目でもって、都市部の財源を奪うものでございます。そして、地方分権の理念に逆行する極めて不合理な措置でございます。
 そもそも、我が国の財政でございますが、国と地方の歳出配分が四対六である一方で、国税と地方税の配分は六対四と逆転をいたします。そして、地方税の割合は低下の一途をたどっているわけでございます。
 真の地方自治は、地方自治体が自らの権限と、そして財源に基づいて主体的に行財政運営を行うということで初めて実現できるものでございます。
 日本全体が持続的成長を遂げるためには、地方同士で限られたパイを奪い合うのではなく、地方が果たすべき役割と権限に見合うように、地方税を充実確保していくことこそが重要でございます。
 今後も、さらなるいわゆる偏在是正を求める意見に対しましては、エビデンスを示し、そしてしっかりと反論を行ってまいります。

○松田委員 知事おっしゃるとおりであります。
 偏在是正に関しては、都は一対四十六の状態ですので、幾らこうした正論を主張しても、最後は数の論理で押し切られてしまうというのがこれまでの歴史であります。この状況においては、これまで以上に国政与党との連携、働きかけが重要であります。
 かつて石原知事のときは、三環状道路の整備ですとか、羽田空港の国際化、オリンピック・パラリンピック招致などを国にのませたこともありました。都議会とも一体となって、ぜひ一緒に国に交渉をしていっていただくことをお願い申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、都税収入について伺いたいと思います。
 新型コロナの感染法上の分類が五類に変更されてから半年以上が経過をして、現在はインバウンドも回復しておりまして、社会経済活動も活発化をしております。
 令和四年度を振り返ってみると、都税収入は六兆円を超え、二年連続の増収となりましたが、コロナ禍という混乱した状況の中における都税収入の状況についてお伺いします。
 令和三年度及び令和四年度の都税収入について、当初予算額及び決算額と、その差額が発生した要因を伺います。

○児玉主税局長 都税収入における令和三年度の当初予算額は五兆四百五十億円であり、決算額は五兆八千四百七十九億円、また、令和四年度の当初予算額は五兆六千三百八億円であり、決算額は六兆一千六百四十四億円となっております。
 都税収入の決算額が当初予算額から増加していることにつきましては、都や国による積極的な財政出動等もあり、企業収益が持ち直し、その後も堅調に推移したことによる法人二税の増収が主な要因と考えております。

○松田委員 法人二税の増収というお話がありましたが、そこをしっかり守っていくことが重要であります。
 財政出動の話もありましたが、各企業が必死に頑張った結果であろうと思っております。しかし、どの企業も一様に収益が回復しているというわけではありません。中小企業と大企業では状況も違っていると思います。
 そこで、令和四年度の法人規模別の欠損法人割合はどうなっているのか伺います。

○児玉主税局長 令和四年度の法人二税の申告状況から欠損法人の割合を見ますと、資本金十億円以上の法人の約三割、資本金一億円以上十億円未満の法人の約四割が欠損法人であるのに対し、資本金一億円未満の法人では、約六割が欠損法人となっております。

○松田委員 法人二税の申告では、中小企業ほど欠損の割合が高いということであります。
 都税収入全体が増収となってはいますが、こうした中小企業は、まだまだコロナ禍からの影響や昨今の円安、物価高騰などによって、厳しい状況が続いていると考えられます。このような東京を支える中小企業に対して、しっかりと目を配り、政策として必要な支援をしていただくことで、景気の好循環につなげていくことが重要であります。
 続いて、コロナ対策について伺っていきたいと思います。
 本年五月に五類感染症に移行し、大きな転換点を迎えました。三年以上の長きにわたり、新型コロナとの闘いに最前線で取り組んでこられた医療従事者をはじめとして、対策に従事をされた関係者の皆様並びに感染拡大防止のために様々なご尽力をいただいた都民、事業者の皆様方に、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。また、都庁職員の皆様方も本当に、コロナ対策、尽力いただきましてありがとうございました。
 今このタイミングで、いつまたパンデミックが起こってくるか分からない。だからこそ、今、この教訓を導き出す必要があります。そのために今、振り返りの質問をしていきたいと思っています。
 東京都では、二〇二〇年一月に都内で最初の感染者が確認されて以降、累次にわたり補正予算を編成するなど、コロナ対策に総額約七兆四千億もの予算を措置してきました。この過程では、財政調整基金を大幅に取り崩すなど、対策を講じるための財源確保には苦慮されたと思います。
 そこで、まず確認として、これまでの都のコロナ対策関連経費について、どのように財源を確保し、対策を講じてきたのかお伺いをいたします。

○山下財務局長 新型コロナウイルスの発生当初は、国による財政支援がない中、都の財源を活用することで、感染拡大防止協力金の支給など、全国に先駆けて対策を講じてまいりました。
 その後も感染の波が続く中、全国共通で行うべき取組につきましては、国に対して財源措置を求める要望を行い、国からの財源をしっかりと確保いたしました。また、東京の実情を踏まえた取組につきましては、都の財源を活用し、累次にわたる補正予算を編成するなど、時機を逸することなく対応してまいりました。
 コロナ対策におきましては、特に財政調整基金が重要な役割を果たしておりまして、一時は残高見込額が二十一億円となるまで活用するなど、これまで培ってきた財政対応力を最大限発揮することで、機動的かつ積極的な対策を講じることができたと考えてございます。

○松田委員 コロナ禍において、財調基金はもちろんですが、我が会派が強く要望してきた地方創生臨時交付金の拡充により、必要な対策が図られたことをまず確認をさせていただきました。
 次に、コロナ対策における飲食店への事業者支援についてお伺いします。
 コロナ禍において、事業活動の制約や厳しい経営状況に置かれた事業者に対し、都はどのような給付事業などによって支援を行ってきたのか、感染拡大防止協力金の令和四年度までの支給実績と併せて伺います。

○坂本産業労働局長 都は、感染拡大の防止に向けた営業時間短縮等の要請の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者に協力金を支給してまいりました。また、中小企業が業界ごとの感染症防止のガイドラインに沿った取組を行う場合への助成なども実施をいたしました。
 同協力金の令和四年度までの支給実績につきましては、約百三十九万八千件の申請を受け付け、約百三十七万三千件の支給決定を行い、支給額は約一兆九千六百二十五億円でございます。このうち、令和四年度の支給額は約一千八百九十九億円となっております。
 これらによりまして、飲食店等への支援を適切に行ったところでございます。

○松田委員 都が、コロナ禍に苦しむ事業者の実情に寄り添いながら、我々も地元の声を届け、様々な改善を行って、給付事業などを行って、事業活動を下支えしてきたことは評価できます。今後も事業者目線に立った施策展開をお願い申し上げます。
 次に、保健、医療提供体制について、このコロナ対策について伺っていきたいと思います。
 令和二年一月に都内で初めてコロナ感染者が確認されて以降、都は、医療現場や関係機関の方々と連携をして、新たな変異株の特性に応じて、機動的かつ柔軟に取組の充実強化を図ってこられました。令和四年度は、最も感染力の強いオミクロン株、私も感染しましたけれども、新規陽性者数が急激に増加をして、高齢者施設や家庭内の感染も広がる中、感染時のリスクが高い高齢者などへの対応に積極的に取り組んできたと記憶をしております。
 そこで、新型コロナ対応におけるこれまでの保健、医療提供体制での取組と、令和四年度の取組及びそれに関する決算額を伺います。

○雲田保健医療局長 都は、新型コロナ対応におきまして、都民の命と健康を守ることを第一に、先手先手で保健、医療提供体制を構築してまいりました。
 具体的には、病床の確保や都による広域的な入院調整の実施、自宅療養者への往診体制の構築などにより、症状に応じた適切な医療を提供してまいりました。
 令和四年度は、感染力の強いオミクロン株の特性を踏まえまして、八か所の高齢者等医療支援型施設の設置や、高齢者施設等の感染制御を支援する即応支援チームの派遣など、高齢者等のハイリスク層を守る取組を強化いたしました。
 こうした新型コロナ対応に要した経費は、令和元年度から四年度までの累計で約一兆八千五百八十六億円であり、うち令和四年度分は約六千二百五十六億円でございます。

○松田委員 都民の命と健康を守るために、変異株の特性にも柔軟に対応しながら、迅速に保健、医療提供体制を強化してきたことを確認させていただきました。
 いつまた次のパンデミックが来るとも限らない中で、これからも医療現場や関係機関としっかりと協議をしながら、着実に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、令和四年十二月に策定をされたTOKYO強靱化プロジェクトについて伺います。
 この中では、五つの危機として、風水害や地震とともに、初めて火山噴火が取り上げられております。
 このプロジェクトにおいて、火山噴火を危機として取り上げた背景を伺います。

○古谷政策企画局長 島しょ地域には二十一の活火山があり、ここ百年で、伊豆大島で三回、三宅島で四回、中規模な噴火が発生しております。
 また、富士山においては、宝永噴火から約三百年経過しており、大規模な噴火が発生した場合、最悪のケースでは、降灰が多摩地域をはじめ区部にも到達し、停電や道路の交通支障、鉄道の運行停止などが想定されております。
 そのため、TOKYO強靱化プロジェクトの実施に当たり、火山噴火を東京を取り巻く危機の一つとして位置づけました。島しょ地域では、噴石、溶岩流等から島民が安全に避難できることを、富士山噴火に伴う降灰に対しては、交通やライフラインを長期間ストップさせないことなどを目指し、対策を進めることといたしました。

○松田委員 火山噴火に伴う災害から住民の生命と財産を守るために、東京都は地域防災計画火山編を策定し、都や区市町村、防災機関などが取るべき方針などを定めるとともに、島民の避難やその後の生活確保、降灰の除去、道路やライフラインの復旧を行うなど、様々な対策を進めてこられました。
 島しょ部においては、都としても過去の火山災害の経験を踏まえ、大規模噴火時に住民などが安全かつ速やかに避難できる体制を迅速に整備すべきと考えますが、昨年度における都の取組を伺います。

○野間総務局長 都は、火山噴火時に、島しょ住民等の安全を確保し、円滑に避難できるよう、令和二年度までに、火山災害の警戒地域に指定された六つの火山について、各町村と連携し、避難場所や経路等を示した火山避難計画を策定してまいりました。
 こうした計画の実行性を高め、避難方法や日頃の備え等について、住民等にご理解いただくための火山防災マップ等の作成支援を行ってまいりました。令和三年度までに四つの火山で、昨年度は八丈島及び青ヶ島で作成し、当該マップは六つの火山全てで完成してございます。
 また、気象庁と連携して火山活動状況の観測を行っており、その情報を各町村に迅速かつ適切に提供するなど、住民等の速やかな避難を促す体制を構築してございます。

○松田委員 島しょ部は、一度噴火をすると島外避難を余儀なくされる可能性があります。島しょ町村のみならず、都をはじめとする関係機関が綿密に連携をして、対策を講じていくことは重要であります。
 都に対しては、船による避難の拠点となる船客待合所の噴石を考慮した仕様への更新や、避難の実行性の向上に向けた訓練の実施など、引き続き島しょ部への災害防災力の向上に向けた取組を進め、島しょ町村をしっかり守っていくことをお願いいたします。
 都においては、これまで島しょの火山対策を中心に取組を進めてまいりましたが、富士山についても、前回の噴火から約三百年が経過をして、いつ起こるとも知れない状況にあります。
 令和二年に公表された国の中央防災会議ワーキンググループの報告書によると、富士山が大噴火した場合、都内においても降灰が大量かつ広域に及ぶことから、道路などの交通網の混乱や停電の発生など、首都機能の麻痺に直結する被害が生じ、社会経済活動に甚大な被害が生じることが懸念をされております。こうしたリスクに備え、道路啓開や降灰の処分など、首都の機能を維持するための防災対策の強化が必要であります。
 中でも、都内に堆積する降灰をどのように処分するかについては、重要な課題の一つであります。国の報告書によると、富士山が噴火した場合、都内に一・二億立方メートルの降灰があることが想定をされており、処分先の選定も含め、都内に堆積した火山灰の処分を早急に具体化する必要がございます。
 そこで、都内に堆積した灰の処理に関わる都の取組と今後の方向性について伺います。

○野間総務局長 都は、交通インフラ対策やライフライン対策など、降灰に対する各種対応について検討するため、本年五月に、関係各局と有識者で構成する富士山噴火降灰対策検討会を立ち上げました。
 富士山の噴火による降灰は広域に及び、その総量も大量となるため、都はこれまで、国に対し、火山灰の取扱いを含めた処分指針の早期策定などを求めてございます。
 現在、国において議論していると聞いており、その状況を踏まえながら、都といたしまして、除灰や収集運搬、仮置場の設置の必要性等について検討してございます。

○松田委員 現在、除灰や収集運搬、仮置場などを検討されているとのことですが、国として取扱いが決まっていないので、処分することも難しいような状況にあります。また、仮置きをするにしても、都有地だけではとても置き切れない状況ですので、他県との連携も含めてご検討をお願いいたします。
 次に、道路の除灰について伺います。
 富士山が噴火すると、一部の調査だと、多摩で二十センチ、区部で十センチぐらい積もるという調査があるそうなんですが、車は五センチから十センチの間で進めなくなるという実験結果もあります。
 我々総務委員会で五月に、今日は何人かメンバーの方もいらっしゃいますが、鹿児島で桜島の総合的な火山対策について視察を行いましたが、その際、対応した方々から最も多く話を聞いたのは、道路に積もった灰を除去する道路啓開、道路を緊急輸送道路として使えるようにする道路啓開の取組でありました。
 具体的には、道路の除灰作業は、道路清掃に用いるロードスイーパーを改良して、金属製のブラシをつけるなどして除灰に用いているということでした。検討を進めるためには、鹿児島の事例を把握することも重要と考えております。
 そこで、令和四年度以降、富士山噴火に伴う道路除灰について、建設局はどのように検討を行っているのか伺います。

○中島東京都技監 富士山噴火に伴う降灰時に早期に道路機能を回復させるためには、降灰対策における豊富な経験を有する他都市の事例などを参考に検討することが有効でございます。
 このため、令和四年度より、桜島の噴火時に道路除灰を実施している鹿児島県及び市に随時ヒアリングを行いますとともに、現在、ロードスイーパーやホイールローダーなど使用する重機の適切な選定方法、降灰状況に応じた作業手順など、具体的な除灰方法を検討しているところでございます。あわせて、応急活動の拠点となる施設等をつなぐ優先除灰道路の検討を進めております。
 引き続き、首都東京の特性も踏まえ、関係機関と連携し、道路啓開体制の構築に向けて取り組んでまいります。

○松田委員 都道の、東京の道路の除灰については、第二回定例会の我が党の質疑で、庁内各局が連携をし、検討を進めているとの答弁がいただけましたので、引き続き連携して進めていただくようお願いをいたします。
 次に、降灰による太陽光パネルについての影響について伺います。
 昨年度は、太陽光パネル義務化の条例も成立をいたしました。
 そこで、都は、太陽光パネルの降灰による発電量や維持管理への影響をどのように認識しているのか、また、都民へどのような情報発信を行っていたのか伺います。

○栗岡環境局長 太陽光パネルの普及拡大に向け、降灰等自然災害の影響につきまして、都民の理解を深めることは重要でございます。
 国の研究機関と気象庁の共同調査によりますと、太陽光パネルへの火山灰の堆積により、発電量は一時的に低下するものの、降雨により洗い流され、発電量は復元することが確認されております。また、パネル自体につきましても、降灰による特段の劣化は見られなかったとされております。
 都は、こうした情報をはじめ、太陽光パネルを長く安心して使用するための様々なポイントを分かりやすく解説したQ&A等を作成し、随時更新してございます。
 引き続き、ホームページやSNS、リーフレットなど多様な媒体を活用し、効果的な普及啓発に取り組んでまいります。

○松田委員 降雨により洗い流されるということですけれども、少量が降り続けている地域と富士山噴火では一度に降る量が違いますので、影響は異なるのではないかなと考えます。
 富士山から離れた東京では、細粒の火山灰が予想されます。細粒の場合、雨に流されず、かえって堆積場所にこびつきやすいという特徴もあります。さらに、水を含むと粘着質になり、かなり重量も出てきますので、都が設置を促進するということですので、その辺りもぜひ考慮していただきたいと思います。
 次に、火山噴火時などでもつながる東京の実現に向けた取組を伺います。
 いつ発生するか分からない災害への備えとして、通信事業者は、災害時に通常より広い範囲をカバーする電波を発射する特定の基地局を整備するなど対策を取っていると聞いております。
 通信事業者としての対策も重要でありますが、都としても、火山噴火時を含め、災害時にも様々な通信手段を活用し、つながる環境を確保することが必要だと考えますが、これまでの取組と今後の方向性について伺います。

○山田デジタルサービス局長 モバイル通信の負荷が増大する災害時に備え、Wi-Fi等の活用による通信手段の多重化が重要でございます。
 このため、都は昨年度から、オープンローミング対応Wi-Fiの整備を開始し、本年八月末までに、都立学校等約二百五十か所に整備をいたしました。今後は、区市町村の避難所や民間施設など、都内全体への整備を促進してまいります。
 さらに、衛星通信の活用に向け、山間部での実証に九月から着手し、今後、島しょ地域等でも実施してまいります。
 加えて、防災拠点や集客施設周辺等を高速大容量5Gの重点エリアに設定し、整備を促進してまいります。
 「つながる東京」展開方針に基づき、年内に今後三年間のアクションプランを策定し、災害時にもつながる東京の実現に向けて、集中的に取り組んでまいります。

○松田委員 次に、要配慮者の災害時の対応について伺います。
 近年の自然災害、非常に激甚化しています。その中で、令和三年には災害対策基本法が改正をされて、避難行動の要支援者ごとの個別避難計画の作成が区市町村の義務となりました。
 私の地元の板橋区では、地域の特性として、荒川の水害を想定して、水害リスクの高い地区に居住する方を優先した個別避難計画作成の取組を行ったと聞いております。
 そこで、区市町村の個別避難計画の作成の取組を支援するため、昨年度、都はどのような取組を行ったのか、また、今後、実効性のある計画作成の取組が進むことが重要と考えますが、今年度の都の取組についても併せて伺います。

○佐藤福祉局長 令和三年の災害対策基本法の改正によりまして、個別避難計画の作成が区市町村の努力義務とされたことを受けまして、都は昨年度から、計画を効果的、効率的に作成する区市町村を包括補助で支援をしておりまして、十六の区市が補助を活用いたしました。
 また、区市町村の担当者を対象にいたしました研修会を実施しておりまして、昨年度は、国のモデル事業に参画した板橋区が計画作成の取組を紹介いたしました。
 今年度は、実効性のある計画作成を支援するため、区市町村の担当者向けの手引を作成する予定でありまして、引き続き、区市町村における個別避難計画作成の取組を支援してまいります。

○松田委員 国の調査によると、都内区市町村の九割を超える自治体で既に個別避難計画の作成に着手をしているということですが、全体の避難行動要支援者数に対する計画策定済件数の割合は、まだまだ低い状況にあります。引き続き、計画策定に関わる区市町村の取組を後押ししていただきたく思います。
 また、災害時の要配慮者、避難行動要支援者に対する支援の一つとして、ヘルプマークが有効だと考えますが、見解を伺います。

○佐藤福祉局長 ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としていることを周囲の方に知らせるマークでありまして、災害時には、自力避難や災害の状況把握が困難な方が支援を求めていることを伝えるためにも有効でございます。
 都は、東京都地域防災計画に、災害時における要配慮者対策としてヘルプマークの活用を位置づけるとともに、例年、都の総合防災訓練におきまして、専用のブースを出展いたしまして、都民の方に対しまして、ヘルプマークを身につけた方が安全に避難するための支援を呼びかけております。
 こうした取組を通じまして、災害時にも都民一人一人が援助を必要としている方へ円滑に手助けができるよう、ヘルプマークの活用を促進してまいります。

○松田委員 次は、防災教育について伺います。
 都内公立学校において、火山噴火を含めた防災教育、どのように行ってきたのか、これまでの取組を伺います。

○浜教育長 各学校では、児童生徒が自らの命を守り、身近な人を助け、さらに地域に貢献することができる資質や能力を身につけることができるよう、地域の実態に応じて定期的な避難訓練や防災学習を行っています。
 都教育委員会は、防災ノートをおおむね四年ごとに改訂し、都内に在学する全ての児童生徒が、地震や風水害、火山の噴火等が発生したときの身の守り方や、避難所での自分の役割等について理解を深められるようにしてきました。

○松田委員 前回の改訂が令和二年度で、その後、令和四年度にデジタル化をしているということで、次が、改訂は四年ごとということは令和六年になりますので、そのときは、この強靱化プロジェクトの意向も踏まえて、さらなるバージョンアップをお願いしたいと思います。
 ここまでの質疑で、強靱化プロジェクトの中でも特に火山噴火対策について聞いてまいりました。これらのほかにも、火山灰は停電を引き起こすリスクもあり、総務委員会で視察をした鹿児島市では、絶縁体にもなる火山灰対策のために、送電線の上にカバーがつけられているという対策が取られておりました。
 ただ、常時噴火を続けている桜島に比べて、いつ起こるか分からない富士山噴火などの備えに莫大な予算を費やすことは難しいですが、無電柱化が達成されれば、その不安は取り除かれます。
 私も秘書時代、知事が委員長を務めていた自民党の無電柱化小委員会に代理でよく出席をさせていただいており、知事の無電柱化にかける思い、意気込み、非常に熱いものがあると感じています。
 そこで、強靱化プロジェクトの質疑の最後に、知事として、火山噴火に加えて様々な自然災害の危機にどう対応していくのか、知事の無電柱化に対する思いも含めて伺います。

○小池知事 先ほどから松田副委員長におかれましては、火山噴火に加え、風水害、大規模地震など災害の脅威から、いかにして都民の命と暮らしを守るかといったご質問をいただいてまいりました。首都東京の機能、経済活動も維持をしていかなければなりません。
 このため、昨年、強靱化プロジェクトを始動いたしまして、二〇四〇年代の目指すべき東京の姿の実現に向けまして、施策のレベルアップを図っているところでございます。
 島しょにおける噴火時、島の噴火の際、その円滑な避難、降灰から都市機能を守る火山対策、そして豪雨や高潮に備える風水害対策、倒れない、燃えない、助かるまちづくり、地震対策など、ハード、ソフト両面から取組を進めているところでございます。
 そして、これらの災害に効果を発揮するのが無電柱化でございます。都道府県初の無電柱化推進条例を制定するなど、知事に就任して以来、積極的に取り組んできたところでございます。
 引き続き、このプロジェクトをてこにしまして、百年先を見据え、ああ、昔はこんな風景があったんだなといわれるぐらいに進めていきたいと思っておりますし、都民が安心できる、強靱で持続可能な東京を築き上げていきたいと考えております。

○松田委員 昔はこんな風景があったんだなといわれる日が一日でも早く来ることを、ぜひ一緒に取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、私たち都議会自民党は、本年第一回定例会におきまして、旧福祉保健局が行っていた若年被害女性等支援事業などの契約について、同局では、公法上の契約に類する契約という、財務局も認識していない独自の随意契約が当たり前のように行われていたことを明らかにいたしました。そして厳しく指摘をしてまいりました。
 東京都のルールでは、一千万円を超えない契約については、各局長に権限が与えられ、局長名で契約ができるのですが、令和四年度に締結した合計十一件について、一千万円を超えているにもかかわらず、権限がないまま契約をしていたことが判明をいたしました。
 都では、既に契約をしていて、契約の相手方には契約上の問題がないことから、追認する形で契約は有効とされました。
 しかし一方で、明らかに権限がないまま契約をしていたこと、都の契約事務規則や財務局長通知に基づく随意契約を行っていなかったことについて、都庁内部でどのような処分がなされたのかよく分かりません。
 疑念を持たれたことについて、都として、都民へのけじめのつけ方について何をしたのか、そして再発防止に向けてどのように取り組んだのか伺います。

○佐藤福祉局長 令和四年度の契約を点検した結果、地方自治法上の問題があるものはなく、契約の有効性に影響を与えるものはございませんでした。
 一方、組織内部における契約事務手続上の課題があったことから、令和四年度におきまして、契約事務の委任など手続の改善等を行ったところでございます。
 また、局内における適切な事務手続の徹底を図るため、通知を発するとともに、研修を実施いたしまして、契約事務手続の適正化に取り組んでおります。

○松田委員 令和四年度の契約を点検して、地方自治法上の問題があるものはなく、契約の有効性に影響を与えるものはなかったということですが、局側の今の説明では、規則違反はあったけれども、特段問題なく事業執行ができたから、まあオーケーという考えに感じました。
 また、契約の手続の改善などを行ったというお話ですが、財務局が行った契約手続の変更は、局長権限の上限を一千万から二千万に引き上げるというものであります。これが抜本的な改善に向かう対応なのか。職員に規範を守らせるために中身を緩くするというのは、違和感を感じます。これは、法令遵守の先頭に立つべき都庁の役人組織として、都民の皆様に範を示すことにはならないのではないかと考えます。
 本件についても、なかなか局側から情報開示がされない中で、委員会や本会議、一つずつ質疑を積み重ねて、今日このような質疑となってまいりました。
 そこで、情報公開を一丁目一番地といわれて知事になられた小池知事に、東京都の情報公開のこれまでの取組について伺います。

○小池知事 私は、知事に就任して以来、公文書の開示における原則開示の徹底、そしてホームページを通じた情報提供の大幅な拡大、各種審議会の公開など、実施をしてまいりました。
 また、開示の手数料を見直すとともに、ICTを活用しまして、都民が請求手続によらず、公文書等を無料で即座に入手することができる公文書情報公開システムを開始するなど、都民の利便性を高めて、都政の透明化を推し進めているところでございます。

○松田委員 今、いろんな取組をお話しいただいたんですが、まだまだ情報公開は進んでいないなと感じることが多々あります。
 例えば、先日の都市整備委員会でも、他の委員が示した東京都の資料でも、ほとんどが白塗りで不開示というのがありました。知事が特別顧問を務められる都民ファーストの会の二〇一七年の公約の進捗状況の中で、ノリ弁やめます、黒塗りの公文書を改め、徹底的に情報公開しますとなっていますが、その進捗状況における評価、最高評価の五となっていますが、黒塗りが白塗りになることは情報公開とはいえないと思います。
 さらに、黒塗りのときは一行もしくは単語だったので、類推できる部分もあったんですが、文字数とかをですね、現在の白塗りは、ほぼ丸ごと四角で不開示となっているので、さらに後退をしているという指摘もございます。
 知事になられてから、都庁内で、相手方の都合で、こちら側じゃなくて、開示できないということも分かったのかもしれませんが、やってみたらできないということであれば、かつての民主党政権のようになってしまいますので、ぜひ、知事は実行力のある方だと思いますので、情報公開に関しては、より一層前に進めることをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、少子化対策についてお伺いをしてまいります。
 昨年の全国の合計特殊出生率は一・二六、出生数は七十七万人と、いずれも過去最低を更新いたしました。特に出生数は、二〇一六年に百万人を割ってから僅か六年で八十万人を割り込む状況になっております。コロナ禍の影響もあるのかもしれませんが、全体として少子化の進行は間違いのないところであります。
 まず、東京における少子化の現状やその背景について、都の見解を求めます。

○田中子供政策連携室長 昨年の都の合計特殊出生率は全国最低の一・〇四、出生数は九万一千九十七人で七年連続で減少するなど、都においても少子化が進行しております。
 その背景には、核家族化の進展や共働き世帯の増加など、社会環境が変化する中で、子育てに対する負担感の増大や仕事と子育ての両立の困難さ、経済面での不安など、若年層や子育て世帯が様々な課題に直面している状況がございます。
 そうした課題が複合的に絡み合うことにより、未婚化、晩婚化の進展や、夫婦が持つ子供の数の減少につながっていると考えております。

○松田委員 今年度も、〇一八サポートですとか保育所の第二子無償とか、いろんな施策を取っていただいていますが、なかなか、お金がもらえるから子供を持とうと、まあゼロではないと思いますが、直接そういう感情にならないというのは、私はちょっと理解できるなというところがあります。少子化対策には抜本的な発想の転換が必要になってくると思います。今日は決算委員会ですので、また議論は別の機会にしたいと思います。
 さて、少子化の進行と待機児童対策のために新設をされた保育所などによって、この一、二年で東京においても保育所の定員割れが起き、地元の幼稚園や保育園、認証保育所をはじめとした子育て施設の園長先生方からは、深刻な状況を伺っております。
 そこで、保育所と幼稚園それぞれにおける対応について伺います。

○佐藤福祉局長 都は、保育所等が、ゼロ歳児の空き定員を待機児童の多い一歳児の受入れに活用できるよう、定員変更を行う取組を支援するほか、空きスペースを活用し、保護者の外出やレスパイト等のために、在宅子育て家庭の子供を一時的に受け入れる取組を支援しております。また、認証保育所が空きスペースを放課後の居場所対策に活用し、学齢児の受入れもできるようにしております。
 今年度からは、他者との関わりの中で子供の健やかな成長が図られるよう、保育所等が空きスペースを活用して、保護者の就労等の有無にかかわらず、児童を定期的に預かる取組を開始しております。

○横山生活文化スポーツ局長 都はこれまでも、私立幼稚園の教育条件の維持向上や学校経営の健全化を図るため、基幹的補助である経常費補助や教職員の処遇改善に係る補助を行うほか、預かり保育や教育内容の充実に係る支援など、各園が園児、保護者に求められる教育が実施できるよう、補助の拡充を行ってまいりました。
 また、今年度からは、幼稚園の空き教室等を活用し、保護者の就労等の有無にかかわらず、在園児以外の幼児を定期的に預かる場合の支援も実施しております。

○松田委員 保育所、幼稚園ともに様々な対応をしているとのことでありますが、このまま少子化が続けば、状況はさらに深刻化をしていくことになります。
 国においても、若い世代の人口の急激な減少が始まるとされる二〇三〇年までを少子化の傾向を反転させるラストチャンスとして、来年度から予定をしていた誰でも通園制度の前倒しを発表するなど、取組を強化しております。
 急速に進む少子化の影響は、今後、社会のあらゆる側面に表れてくるのではないかと考えます。少子化の背景は複雑で多岐にわたっており、一朝一夕に解決できる問題ではありませんが、手をこまねいているわけにはいきません。
 我が国の経済社会システムの根幹を揺るがす少子化の危機に対し、多くの若い世代が暮らす東京の動向は重要であり、都がその対策に力を入れることが求められております。
 知事も、令和元年十二月二十七日の定例記者会見で、「未来の東京」戦略ビジョンの策定の中で、出生率二・〇七、そこを目指す、その姿を描いていますとおっしゃっています。
 そこで、少子化に歯止めをかけるための決意を知事に伺います。

○小池知事 次の世代に幸せと希望に満ちた持続可能な社会を引き継ぐ、その観点からも、少子化の進行は極めて重要な課題でございます。そして、正面から向き合っていかなければならない課題でございます。
 望む人が子供を産み育てやすい環境を整える。そのため、都はこれまでも、待機児童対策はじめ、出会いから結婚、妊娠、出産、子供の健やかな成長、このようにシームレスで切れ目のない支援を率先して講じてまいりました。
 今年度は、全ての子供の育ちを応援する〇一八サポートや保育料の第二子無償化など対策の強化を図りまして、迅速に取り組んでいるところでございます。
 引き続き、若年層や子育て世帯が抱える課題を踏まえました実効性ある対策を機動的に講じてまいる所存でございます。

○松田委員 知事の決意、ありがとうございました。ぜひ抜本的な議論はまた別の場所で行いまして、共に少子化対策に取り組んでまいりたいと思います。
 さて、都政、今、子供、デジタル、環境と非常に力を入れているところでありますが、時間の許す限り聞いていきたいと思います。
 まず、環境について伺います。
 決算ベースでいうと、令和三年度と四年度の決算比、約六倍となる三千億円という執行になっておりまして、そのうち家庭などの省エネ、再エネ対策が二千五百億円と大半を占めております。
 そこで、令和四年度、既存住宅の省エネ化に向けて、都はどのような施策を取り組んできたのか伺います。

○栗岡環境局長 都は、既存住宅の省エネ化を促進するため、熱の出入りの大きい窓やドアの断熱性を高める取組を後押ししてまいりました。
 この事業を加速するため、国と併用すれば三分の二となる補助率としたほか、昨年度は、窓とドアのいずれか一つの改修でも支援の対象とするなど、対象戸数の拡大を図り、約百五十六億円を出捐いたしたところでございます。加えて、リフォーム事業者団体等と連携したPRや、申請手続の簡素化等によりまして、事業の普及と利便性の向上に努めてまいりました。
 この結果、令和三年度の約二倍に当たる約二万一千戸の改修の取組につながってございます。
 今後も、こうした取組によりまして、脱炭素で健康にも資する高断熱住宅を普及させ、家庭部門の省エネを促進してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。
 次にデジ局、聞きます。ここも一・五倍となる二百六十三億円を超える執行となっております。
 そこで、都と区市町村職員のデジタル力向上を図るための昨年度の取組と、今後どのように広げていくのか伺います。

○山田デジタルサービス局長 都は昨年度、東京デジタルアカデミーを開講し、民間の先進事例に関するセミナーや、管理職向けのマネジメント研修などを実施し、都と区市町村職員約千五百名が参加をいたしました。今年度は、ワークショップ型研修やアイデアソン等も実施しているところでございます。
 今後、職員がリスキリングに活用できるポータルサイトの新設など、オール東京の職員全体の育成を推進してまいります。

○早坂委員長 松田康将副委員長の発言は終わりました。
 入江のぶこ副委員長の発言を許します。

○入江委員 令和四年度東京都各会計決算について、都民ファーストの会東京都議団を代表して、全局質疑を行わせていただきます。
 これまで、小池都知事と私たちが都議会から進めてきた東京大改革では、既存事業の見直しなどを通じて、毎年一千億以上の新規財源を確保した上で、まさに今、申請を受付中である〇一八サポートをはじめとする、東京の未来への投資や過去の都政からの大きな構造改革を前進させてまいりました。
 令和四年度は、長引くコロナ禍やウクライナ危機を発端とする物価高騰などへの対応をするとともに、激甚化する自然災害への対策、脱炭素、デジタル化の潮流など、希望ある未来への投資も積極的に行った年であると認識しております。
 そこで、令和四年度決算について知事の受け止めを伺います。

○小池知事 入江のぶこ副委員長のご質問にお答えいたします。
 令和四年度は、長期化するコロナ禍や物価高騰などの影響がございました。そして、都民の暮らし、都内経済を守り抜く、そのために都の総力を挙げて対策を講じてきたところでございます。加えまして、コロナ禍を乗り越え、サステーナブルリカバリーを実現するべく、イノベーションの創出、そして脱炭素化の取組など、東京の持続的成長につながる施策を積極的に進めてまいりました。
 一方で、歳出精査や税収増などによって生み出されました財源を活用して、将来の財政需要に備えた基金の再編、そして都債の発行抑制を行うなど、財政対応力の強化も図っております。
 このように、令和四年度決算におきましては、積極的な施策展開と財政の健全性の確保を両立することができたものと考えております。
 今後とも、直面する都政の諸課題の解決に向けまして全力で取り組むとともに、持続可能な財政運営に努めることで、一人一人が輝く明るい未来の東京を確かなものとしてまいりたいと考えております。

○入江委員 力強いご答弁、ありがとうございます。
 知事のご認識について伺いましたが、さらに、ワイズスペンディングの徹底について伺います。
 令和四年度の都財政を見ると、借金への依存度といえる公債費負担比率については、都道府県平均一六・六%に対して、都の数値は四・七%と良好な状況です。令和四年度末の基金残高についても、前年度比一千七百四十四億円の増となる二兆三千六百十五億円が確保されているなど、都は財政の健全性をしっかりと維持しながら、様々な施策を展開してきたといえます。
 しかし、少子高齢化の一層の進展や社会インフラの維持更新の必要性などを踏まえると、ワイズスペンディングのさらなる徹底が必要です。
 小池都知事は、二〇一六年の就任以降、自らの知事報酬を半減し、改革の姿勢を見せるとともに、外部有識者の意見を取り入れ、より客観性の高い評価、事業展開のスピードアップの検証、政策評価と事業評価の一体的な実施など、我が会派の提案に基づき、政策評価、事業評価の取組を強化することで、七年間で約六千九百億円の財源確保につなげています。
 決算をしっかりと分析し、成果や課題を翌年度予算に生かしていくために、評価制度をさらに進化させていくことが重要だと考えますが、見解を伺います。

○山下財務局長 限られた財源の中、都政の諸課題に的確に対応していくためには、効率的で実効性の高い施策の構築が求められます。こうした考えの下、事業の成果や決算の分析など、予算編成の過程で多面的な検証を行う取組として、評価制度を実施しております。
 具体的には、事業評価での終期設定による事後検証の徹底や、施策全体の方向性を評価する政策評価との一体的実施など、より成果を重視する観点から工夫を凝らし、その実績を積み重ねてまいりました。
 令和六年度予算編成からは、政策連携団体の取組につきましても、都庁グループ全体のアウトカムを重視したグループ連携事業評価を新たに導入し、評価の充実を図ることとしてございます。
 今後とも、施策の新陳代謝を一層高めていけるよう、評価制度に磨きをかけてまいります。

○入江委員 さて、令和四年度の新型コロナウイルス対策は、感染力の強いオミクロン株への対応に終始いたしました。
 都は、それまでの知見や経験を生かして、自宅療養者への支援、高齢者の療養体制の強化、ワクチン接種の加速など、都民お一人お一人の命と健康を守る体制を充実させると同時に、感染拡大と経済活動の両立を進めた年でありました。
 こうした対策の下、夏の第七波では、過去最高の新規陽性者数が発生する中、世界各国と比較して、死亡者数は低水準に抑えることができました。未曽有の有事を前に、小池都知事のリーダーシップの下、都庁の皆様が全力を挙げて対応に当たってくださったことを改めて感謝申し上げます。
 令和四年度のコロナ対策に関する認識と、コロナ対策の経験を都のこれからの医療政策にどのように生かしていくのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 都は、幾度も幾度も押し寄せる感染の波に対しまして、様々な対策を積み重ねながら保健、医療提供体制の東京モデルを確立、未曽有の危機を乗り越えてまいりました。
 また、千二百日に及びますコロナとの闘いは、感染症医療と通常医療との両立や、また平時からの備えの重要性などを改めて認識する機会となりました。
 こうした取組や成果を生かせるよう、今年度改定予定の感染症予防計画や保健医療計画に新興の感染症への新たな対応を盛り込んでまいります。
 この先も、未知なる感染症から都民の命と健康を守るため、コロナで培いましたこの貴重な知見を生かしまして、感染症に強い都市東京を実現してまいります。

○入江委員 ありがとうございます。東京モデルの取組や成果を生かして、強靱な保健医療体制を構築していくということが確認できました。
 さて、コロナ禍では、公衆衛生医師や看護人材が足りないといった、東京、日本全体の医療の課題も明らかとなりました。
 特に看護人材は、医療関係職種の中でも最も多数を占め、様々な医療現場で大きな役割を果たしていますが、高齢化の進展による医療ニーズの増加を受け、今後、一層需要の増大が見込まれております。しかし、少子化による若年人口の減少ゆえに、看護人材養成数の大幅な拡大は困難な状況です。
 地域の医療を支える看護人材の安定的な確保に向けた取組と今後の方向性について、都の見解を伺います。

○雲田保健医療局長 生産年齢人口が減少する中、医療ニーズの増大や多様化に対応するには、看護人材の養成、定着、再就業を推進するとともに、資質の向上を図ることが重要でございます。
 このため、都は、都立看護専門学校の運営や修学資金貸与等の養成対策、就労環境の整備などによる定着促進、無料職業紹介や定年退職前後のキャリア継続等の再就業支援のほか、専門性の高い認定看護師の育成など資質向上に取り組む病院への支援を行っております。
 今後、認定看護師を活用した勤務環境改善の取組を検討するなど、養成、定着、再就業に向けた施策を充実し、看護人材の安定的な確保に一層取り組んでまいります。

○入江委員 コロナ禍により、介護現場も大変な負担がかかり、介護人材の確保はこれまで以上に大きな課題となっています。
 都が実施してきた介護職員の宿舎借り上げ支援は要件が厳しく、介護の現場で働く職員の待遇改善に十分につながっていない状況でした。私たちはその改善を強く求め、令和四年度予算では大幅な拡充が図られたことを高く評価しています。
 しかし、制度の周知がまだ十分ではなく、区市町村との災害時協定の締結などの要件を満たすことが難しいなどの理由で、必ずしも支援が行き渡っているとはいえない状況であり、取組の強化が必要です。
 大幅な拡充が行われた介護職員の宿舎借り上げ支援が適切に活用されるよう、制度の周知と要件の緩和を行うべきと考えますが、取組の成果と課題について見解を伺います。

○佐藤福祉局長 都は昨年度から、介護職員宿舎借り上げ支援事業の補助対象を、福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加え、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所やそのほかの在宅サービス事業所等にも拡大をしております。
 事業実施に当たりましては、リーフレットや動画により拡充内容を周知したほか、介護事業者向けに説明会を八回開催し、令和四年度の補助実績は、令和三年度の千三百八十八戸から千九百八戸に増加をいたしました。
 また、災害時協力協定の締結実績は、区市町村への働きかけによりまして、昨年度の十一区市から、今年度は十八区市に増加をしております。
 今後、さらに多くの事業所で活用されるよう、介護現場の意見も聞きながら、制度の見直しを検討してまいります。

○入江委員 拡充していただいたことを確認できました。
 次に、東京の経済政策について伺います。
 コロナ禍、そして物価高など、経済活動に与える打撃は極めて大きく、この間、東京の経済は深刻な影響を受けてきました。現在は、インバウンドの活性化など再び経済が大きく動き始めています。
 しかし、令和四年度にコロナ禍で大変苦しい状況に追い込まれた事業者の方々は、債務の返済、物価高、エネルギー高騰、人手不足、そして生産性の向上、物価上昇に対応した賃上げの取組など、新たな課題に直面されています。
 子供たちの教育を充実させ、また、シニアの方々が安心して健康に過ごすことができる福祉を充実させていくためにも、東京の経済を再生させていくことが必要不可欠でございます。
 東京の産業の活力を高め、経済を浮揚させるためには、企業が厳しい経営状況を乗り越えるための支援に加え、将来の発展に向けた後押しも重要です。
 都は、中小の事業者の経営を下支えするとともに、その先の企業の成長と、そこで働く人の待遇の改善という好循環の実現に向けて、どのような支援を行ってきたのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 東京の産業の基礎を支える中小企業でございます。その中小企業が、原材料価格の高止まりや円安などの厳しい状況を乗り越え、将来に向けた事業の発展を働き手の処遇向上にも結びつけられますよう、効果の高い支援を速やかに展開をいたしております。
 中小企業の経営継続のため、電力等のコストを減らす効率のいい設備、また機器の導入などをサポートいたしております。円安を商機と捉えて、輸出による販路の開拓も後押しをしております。また、会社の命綱である資金繰りを支え、実質無利子の借入金の返済負担を減らすための借換えを含めまして、八万件を超える制度融資で対応いたしました。
 将来を見据えまして、競争力を高め、経営の脱炭素化を進める取組へのサポートも新たに開始をしております。DXで生産性を高める設備の導入を後押ししまして、その成果を賃上げにつなげる場合は、助成を充実いたしました。経営の改善に応じまして、快適な職場づくりと賃金引上げに取り組む会社を増やす、そのような支援も展開をいたしております。
 これらによりまして、中小企業の経営の継続と発展を図り、東京の経済の回復と、そして持続的な成長に結びつけているものでございます。

○入江委員 ありがとうございます。都が物価高騰などに苦しむ中小企業の実情に応じた様々な支援を行い、経営基盤の強化や成長につながる事業展開とともに、そこで働く方の待遇改善を力強くサポートしてきたことを評価いたします。
 事業者の方々からは、ゼロゼロ融資の返済開始が本格化している上に、社会保険料や雇用保険料など租税公課の特例措置も終了し、全ての支払いが押し寄せ、キャッシュ・フローが大変厳しいとのお訴えが多く寄せられます。こうした声に丁寧に耳を傾けながら、各種金融支援制度の見直しやさらなる周知徹底を行うことを要望します。そして、東京の経済の回復を確かなものとして、さらなる発展につなげていくための取組をお願いいたします。
 都では、特に厳しい状況に置かれ続けてきた飲食事業者が、コロナ禍による顧客の消費行動の変化などに対応し、本格的な事業再開に向けて新たな取組を進めていけるよう、経営基盤の強化につながる切れ目のないサポートを行ってきました。
 事業者の方々からは、都の支援によって、経営の回復に向けた新たな取組にチャレンジできたなどの様々なお声をいただいております。
 飲食事業者向け経営基盤の強化に向けた支援に関して、令和四年度の実績と支援事例について伺います。

○坂本産業労働局長 都は、飲食事業者が顧客ニーズに応じ新たな事業展開をできるよう、経営の専門家がアドバイスを行い、それに基づく対応に必要な経費に助成を実施いたしました。
 昨年度は、専門家を二千四十社に派遣し、機器の導入やマーケティングの実施のほか、PRなどに必要な経費について、一千六百五社に対し交付決定を行いました。
 こうした支援によりまして、料理を持ち帰る来店者を確保するため、調理をより速やかに行う機器を導入し、成果を上げた事例や、新たな顧客を増やすためマーケティングを行い、PR動画を作成し、効果的な集客を展開した取組等が出ております。
 これによりまして、中小の飲食事業者の経営を着実に支援をいたしました。

○入江委員 コロナ禍の飲食店に向けた支援が着実に成果につながっていることが確認できました。
 原材料やエネルギーの価格は依然として高騰しており、飲食事業者の皆様にとっては、今が経営の回復に向けた大事なポイントであると思います。今後も引き続き事業者の経営改善を後押ししていただくことを要望します。
 次は、食を通じた観光振興です。
 世界の諸都市と比較して、東京の大きな魅力の一つとして評価されているのが食です。東京、日本の食の魅力は世界的に高く評価されています。
 先日、東京味わいフェスタが三日間開催され、東京産野菜の生産者や、シェフや料理人の皆様に力を発揮していただき、昨年の二倍以上の来場者となり、大盛況でした。知事がおっしゃる、東京の魅力は食の魅力ということが十分に広がり、多くの都民やインバウンドの皆さんのおいしいという喜びにつながりました。
 さて、都は、飲食事業者の方々や私たちからの提案を受け、食のフェスティバル、Tokyo Tokyo Delicious Museumを開催しています。その第一回をコロナ禍でもしっかりと感染対策をしながら実施したことは、飲食事業者や関連事業者の方々にとって大きな励みとなりました。今後も工夫を凝らしながら、このフェスティバルを通じて東京の食の魅力を発信してほしいと思います。
 また、日本は、東京以外にも大変魅力的な地域が多く、東京を訪れた方々が魅力ある他の地域にも足を運ぶことを東京としても後押しすることは大切だと考えます。食はその重要な切り口にもなるため、このフェスティバルを活用して日本全国の観光振興を図ることは効果的です。
 そこで、Tokyo Tokyo Delicious Museumに関し、その取組と成果について見解を伺います。

○坂本産業労働局長 東京の観光振興のため、優れた食の魅力を幅広く発信し、旅行者の誘致に結びつける取組は重要でございます。
 このため、都は、東京で評判の料理を提供するレストラン等が一堂に会する大規模なフェスティバルを開催いたしました。会場では、世界に誇る和食や東京で味わう世界の食などをテーマに、三十五の飲食店が多彩な料理を提供し、観光資源としての魅力を効果的に伝えました。また、十六の県が参加し、地元の特産品や食材の販売を行い、東京から観光で各地をめぐる機運づくりにつなげたところでございます。
 さらに、インバウンドの誘客に向け、江戸切り子のグラスの展示や和菓子の販売を行い、日本の文化に親しむ機会を設ける工夫等を加え、食を通じた観光振興を効果的に進めました。

○入江委員 私の下には、出店でご協力いただいたレストランシェフの方々を含め、大きな感謝のお声をいただいておりますが、開催日数が短いので残念であるというご意見もいただいておりますので、お伝えいたします。
 また、令和五年度からは、私どもが要望してきたシェフの方と素材の産地の方とが連携したガストロノミーツーリズムの取組も始まります。この事業も、都内のみならず日本全国と連携した取組として、大きく育てていくよう要望いたします。
 観光振興の大きな課題が、大変な混雑への対策と移動手段の確保です。
 都内でも、タクシーのドライバーの高齢化や、コロナ禍を契機とした引退などによる人材不足により、深刻なタクシー運転手の不足が生じております。こうした課題の解決に向けては、国による二種免許取得補助への東京都としての上乗せ、副業人材の確保支援、働きやすい職場づくりが進む業界の魅力発信など、多角的に支援していく必要があります。
 都は、東京の観光を支えるタクシー事業者の人材確保を支援すべきと考えますが、これまでの取組と成果について見解を伺います。

○坂本産業労働局長 都は昨年度、東京を訪れる旅行者が増える中、その移動を支えるタクシー事業者の運転手確保の支援を行いました。
 具体的には、タクシーの事業者がドライバーを効果的に確保できるよう、業界団体を通じ、運転に必要な資格取得の支援に必要な経費について助成を行ったところでございます。これによりまして、団体に加盟する六十四の会社において、百六名の運転手の確保を実現いたしました。
 また、タクシー事業者を含めた観光分野の合同就職面接会を開催し、ドライバーの確保を後押しいたしました。この実施に当たりましては、SNS等による宣伝に加えまして、ハローワークと協力したPRを幅広く行い、九百三十八人の求職者の来訪につなげ、タクシー業界の採用を効果的に支援をいたしました。

○入江委員 都がタクシー事業者の運転手確保のための支援に取り組んでいることが分かりました。
 来年四月には、自動車の運転業務の時間外労働についての上限規制が適用される、いわゆる二〇二四年問題が迫ってきています。人材確保に悩む事業者を後押しする都の取組をさらに強化していくことを要望します。
 このような業界の取組の後押しは極めて重要ですが、それだけでは課題の迅速な解決にはつながらない可能性もあります。ユーザー目線に立ち、特に需要と供給の不一致が多いエリアの実態調査などを通じて、ライドシェアなど、安全性と利便性に配慮した新たな交通手段の在り方についても検討することを求めます。
 続いて、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組について伺います。
 今年六月から八月の世界の平均気温は、観測史上最も高くなり、国連のグテーレス事務総長からは、地球沸騰化の時代が到来したとの発言もありました。気候危機への対策は、まさに一刻の猶予もない状況です。
 さらに、ロシア、ウクライナ情勢の長期化、イスラエルとハマスの抗争勃発など、エネルギー危機は依然として継続したままですが、電力の逼迫は、東京の国際競争力の観点から見て重要な問題です。また、災害などによる停電時のレジリエンス強化のためにも、電力の地産地消を推し進めることが重要です。
 こうした状況を踏まえ、昨年度、都は、脱炭素とエネルギー安全保障の確保を一体的に実現していくため、減らす、つくる、ためる、HTTをキーワードに、行動変容を促すキャンペーンを開始しました。
 特に、家庭でのHTTを促す施策を積極的に拡充しました。その中でも、家庭でのエネルギーの地産地消やレジリエンス強化につながる蓄電池の導入推進は大変重要です。
 そこで、どのようにHTTへの都民の理解を高め、住宅への蓄電池導入支援を行ったのか伺います。

○栗岡環境局長 都は昨年度、家庭のHTTに資する断熱性向上や再エネ設備導入等を総合的に支援する取組を新たに開始いたしました。
 加えて、顕在化した電力需給逼迫時に備えるため、数次の補正予算等により、デマンドレスポンスなど家庭部門への支援策を大幅に拡充いたしました。具体的には、蓄電池を単独で設置する場合でも支援の対象としたほか、補助率を二分の一から四分の三へ引き上げたところでございます。
 また、多くの都民や事業者のHTTへの理解と行動を促すため、多様な主体が参画する協議会や、メディア、SNS等を通じ、取組を周知してまいりました。
 その結果、前年度の約三倍となる一万を超えるご家庭が蓄電池の設置に取り組むなど、実際の行動に結びついてきてございます。
 今後も、カーボンハーフの実現に向け、HTTに資する施策を強力に推進してまいります。

○入江委員 ゼロエミッション東京を実現するためには、電力を減らす、つくる、ためる、HTT施策が都民にしっかりと浸透し、実装されることが重要です。引き続き、住宅で発電した再エネ電力の自家消費を高める施策を充実させるなど、脱炭素でレジリエントな住宅の普及拡大を進めることを要望します。
 東京の魅力創出と成長戦略について伺います。
 まず、芸術文化、エンタメ支援です。
 コロナ禍では、これまで、行政の支援がなくても商業的に成功し、多くの観客を集めていた団体なども影響を受け、事業存続の危機を迎えました。都民にとって身近な芸術である音楽やダンスなどのエンターテインメント分野も厳しい状況に陥りました。
 そうした中で、小池都知事は、文化のともしびを絶やさないという強い決意で、アートにエールを!東京プロジェクトにより、アーティスト支援を全国に先駆けて実施し、個人型で約二万人、ステージ型で六百団体という前例のない規模の支援を行ってくださいました。
 アートにエールをがきっかけとなり、私もおつなぎしましたが、都とエンタメ分野を含む芸術文化団体が意見交換を開始するなど、ネットワークが生まれました。現場の意見を踏まえて、令和四年度からは、フリーランスの方々をはじめ、多くのアーティストや担い手が参画する様々なジャンルのフェスティバルやアートプロジェクトなどを支援する芸術文化魅力創出助成を新設したことを高く評価いたします。
 そこで、令和四年度から開始した芸術文化魅力創出助成ではどのような支援をしてきたのか、採択実績について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 都は、アートにエールを!東京プロジェクトなどの経験を生かしまして、令和三年度に大規模文化事業助成を実施し、アーティスト等への支援を拡充いたしました。
 令和四年度には、芸術文化魅力創出助成を開始いたしました。多くの団体や参加者がつくり上げる様々なジャンルのフェスティバル等を対象にしておりまして、二百六件の申請のうち、まち中で楽しめるアートイベントやライブフェスティバルなど六十八件を支援いたしました。
 この助成制度では、ライブハウスやミニシアターなど、ライブエンターテインメント領域にも対象の幅を広げ、東京の多彩な芸術文化の魅力発信を支援しております。

○入江委員 芸術文化魅力創出助成では、東京の魅力の源泉であるアートやエンタメを幅広く支援してきていただいたことが分かりました。諸団体からは感謝の声が届いております。様々なアートやエンタメが集積している東京の魅力創出のために、引き続き取組を続けていただくことを要望いたします。
 さらに、今年度は、我が会派の要望により、ライブハウスを含む様々な舞台公演を支援する東京ライブ・ステージ応援助成を立ち上げ、また、アーティストや芸術文化の担い手の持続的な活動をサポートする東京芸術文化相談サポートセンター、アートノトをオープンするなど、精力的に取組を進めていただいております。今後も、こうした活動を通じて、東京の日常にアートやエンターテインメントがあふれるような魅力的なまちづくりを要望いたします。
 次に、金融のデジタライゼーションについて伺います。
 近年の世界的なデジタル化の流れは、金融サービスの在り方にも大きな影響を及ぼしています。例えばキャッシュレス決済の推進など、金融のデジタル化を通じて世の中を便利にする。その担い手はフィンテック企業です。
 そこで、フィンテック企業のイノベーション創出に向けて、昨年度、都はどのような取組を行ったのか伺います。

○吉村スタートアップ・国際金融都市戦略室長 まず、東京金融賞では、十五社のフィンテック企業の革新的なアイデアやビジネスプランを選定し、ビジネスモデルのブラッシュアップなどの支援を実施いたしました。
 また、フィンテック企業と金融機関等とのオープンイノベーションを促進するため、例えば、学校での各種集金を効率化し、教員、保護者の負担軽減を図るアプリなど、五件のプロトタイプの開発支援を行いました。
 さらに、フィンテック支援ファンドを通じて四社に投資を実行し、事業拡大に向けた経営面のサポートを併せて行うなど、イノベーション創出に向けて、切れ目のない支援を行ったところでございます。

○入江委員 さて、都が二月に初開催し、フィンテック企業も多数参加しましたグローバルイベント、City-Tech.Tokyoは、投資家や都民が新たな技術を体感できる貴重な機会でありました。
 また、七月には、Web3の有望企業、起業家、投資家、関係者などを集めた、アジア最大級と銘打った民間企業が主催するカンファレンス、WebXが開催され、こちらも大変なにぎわいでありました。Web3の基盤となるブロックチェーン、分散型台帳技術が一層活用されれば、これまでの巨大企業による情報の独占管理から転換が進み、新たなサービスの創出につながる可能性があります。
 そして、私は、国の法制面の整備、金融DXに向けた都のフィンテック支援など、イノベーション創出の環境整備が進んでいけば、Web3分野で日本が世界のハブになる可能性は十分にあるのではないかと考えております。
 そこで、昨今のWeb3の潮流を踏まえ、金融のデジタライゼーションにどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。

○小池知事 Web3の時代が今まさに到来しつつあります。ブロックチェーン技術を駆使して、プラットフォームを経由せずに、ユーザー同士が直接つながる新しい社会への期待が高まっているところでございます。金融の世界におきましても、時間や場所を選ばずに瞬時に送金や決済ができるなど、ビジネスの効率や都民生活の飛躍的な向上につながることができます。それだけにセキュリティが求められるところでございます。
 こうした革新的技術を社会に広げるため、都は金融のデジタライゼーションを構想の柱に掲げまして、多様な資産への小口投資が可能なセキュリティトークンの発行を支援するなど、フィンテックの振興を強力に後押しをしてまいります。
 そして、来年の五月にSusHi Tech Tokyo二〇二四を開きますけれども、スタートアップと共に、Web3がもたらす社会について議論をして、未来を展望してまいります。日本がイノベーションを先導できますように、税制、各種規制の見直しにつきましても、国とも連携して取り組んでまいります。

○入江委員 ありがとうございます。
 Web3業界には、グローバルに活躍するZ世代の起業家の皆さんやスタートアップが多いことも特徴でございます。こうした皆さんの期待に応え、東京がWeb3のフラッグシップとなることを要望いたします。
 続いて、子供や女性に向けた施策について伺います。
 私たちは、いじめの被害児童とその家庭に寄り添った支援が十分に行き届いているとはいえない状況を踏まえ、一人一人の児童とその家族の立場に寄り添った形でのいじめ対策の強化を求めてまいりました。
 都は、令和四年度予算において、専門家を活用してサポート体制を強化する区市町村の事業を支援していることを評価しております。
 東京都教育委員会は、いじめ対策において、専門家を活用したいじめ問題サポート事業などにより、弁護士などをどのように活用しているのか、また、どのような成果が上がっているのかを伺います。

○浜教育長 都教育委員会は、弁護士、医師、心理士等の専門家が公立学校や保護者等に助言を行う学校問題解決サポートセンターや、都立学校を対象とした東京都教育支援機構、TEPROの学校法律相談デスクにおいて、学校だけでは解決困難な相談等に応じています。
 また、令和四年度から、専門家を活用したいじめ問題サポート事業を実施し、モデル地区において、いじめの早期解決に向け、弁護士等が保護者をサポートする体制を強化してまいりました。
 これらの取組の結果、法に基づいた助言を踏まえ適切に対応したことにより、重大な事態に至ることなく、いじめの解決を図ることができたなどの報告を受けています。

○入江委員 都は、英語教育の強化も大きな教育の柱と捉え、取組を進めておりまして、令和四年度予算においても、多摩地域におけるTGG、TOKYO GLOBAL GATEWAYの開設や、DXに対応した英語教育の推進などが進められてきました。
 また、都は先日、アメリカ・ニューヨークにあるコロンビア大学との間で、人材育成などに関する覚書を締結しましたが、これは画期的です。東京の未来を担う子供たちが、コロンビア大学のように、世界トップレベルの大学の環境に触れる機会を創出していくことは極めて重要であり、今後、都内の高校生などをコロンビア大学に派遣する機会の創出を強く求めます。
 区部、多摩の双方で開設されたTGGの利用実績と、都内学校にTGGの利用を広く促すためにどのような取組を行い、児童生徒の英語の学びの強化に関してどのような成果があったのか、見解を伺います。

○浜教育長 江東区と立川市にあるTOKYO GLOBAL GATEWAY、TGGの利用者は、コロナ禍で一時減少したものの、その後増加し、令和四年度末までに約四千校、約三十七万人の児童生徒が来館いたしました。
 利用の拡大に向け、学校での事前事後学習の内容や生徒の変容など、実際の事例を紹介した冊子を作成し、公立、私立の未利用の学校や教育委員会等に配布をしております。
 また、教員が、TGGでプログラムを実際に体験する機会の設定や、学校訪問を通じてTGGの特徴やよさを直接伝えることで、利用を促しております。
 利用した生徒からは、教室で学んだ英語が実際の会話に役立つと実感できた、分かる言葉を使ってコミュニケーションが取れて自信になったなどの声がありました。

○入江委員 TGGは大変充実した内容となっていますが、学校での利用にはどうしても生徒、保護者の金銭的な自己負担が必要になるので、利用を迷う学校もあるとのことです。このような声も踏まえながら、区市町村と連携し、より多くの児童生徒がTGGでの学びの機会を得ることができるよう検討を求めます。
 さて、コロナ禍では、子供たちが学校生活に大きな影響を受けました。修学旅行や学校行事の中止、給食での黙食など、様々な制約がある学校生活となりました。こうした子供たちに、コロナ禍で不足していた体験機会を提供し、子供たちが笑顔で前向きな気持ちで学校生活を送れるようにしたいと、我が会派が強く要望し、取り組んでいただいたのが、子供を笑顔にするプロジェクトです。
 令和四年度は、初めての取組にもかかわらず、公立や私立の多くの学校がこのプロジェクトの趣旨に賛同し、参加しました。多くの子供たちが体験活動に参加でき、日常と違う発見ができたことは大変有意義です。多額の予算を投じたプロジェクトでもあるので、その成果をしっかりと振り返ることも大切です。
 そこで、子供を笑顔にするプロジェクトの成果をどのように捉えているのか、都教育委員会の見解を伺います。

○浜教育長 子供を笑顔にするプロジェクトは、公立と私立の千七百四十二校が参加し、事後の調査で、学校だけではできない特別な体験ができたと回答した学校が九割以上ありました。また、子供たちが笑顔になった、新しい気づきや発見があったなどの反応も寄せられました。
 事業の評価を委嘱した専門家からは、学校が実態に応じて多様なプログラムから選択できる、子供の視野や関心を広げ、協働意識を育むなど高い評価をいただきました。
 こうしたことから、本プロジェクトにより、コロナ禍においても子供たちが前向きな気持ちになったことに加え、豊かな心の育成にも意義があったと考えております。

○入江委員 子供を笑顔にするプロジェクトでは、芸術鑑賞やスポーツ観賞はもとより、サイエンスやデジタルテクノロジーに触れる体験など、様々なプログラムから選択して実施できたことが、多くの子供たちの参加につながったと思います。
 教科書での学びのみではなく、多様で新しく感動的な体験が子供の五感を豊かにし、人間力を高めます。引き続き、学校における体験活動の充実に取り組んでいただくことを要望します。
 働く女性の応援について伺います。
 小池都知事が初の女性都知事に就任されてから、働く女性、働きたい女性の応援を年々強化していただきました。
 二〇一六年と二〇二二年を比較すると、都内における女性就業率は、五二・五%から五九・一%と六・六ポイントアップしています。こうした動きをさらに加速させるためには、女性が自らお金を稼ぎ、成長するための支援や、様々な事情を抱えながらもキャリア形成を図れるようなサポートなど、女性活躍の牽引や経済的な自立を促す取組が大変重要です。
 まず、女性起業家の成長支援について伺います。
 気候危機、エネルギー危機など、様々な社会課題を克服し、東京の持続可能な進化、サステーナブルリカバリーにつなげていくには、女性を含めた様々な人々の多様な感性や発想力を起業という形でビジネスに生かしていくことが効果的です。
 そうした中、女性起業家の割合は年々上昇傾向にありますが、依然として男性起業家より少ないため、こうした方々をさらなる飛躍に結びつけ、グローバルに活躍する起業家を増やしていくことが大切だと考えます。
 都では、女性起業家の成長を支援する事業を実施していますが、その内容と実績について知事に伺います。

○小池知事 我が国でいまだ十分に生かし切れていない女性の力があると、このことを何度も私は申し上げてまいりました。その女性の力を、起業家としての経営で世界を舞台に発揮できるよう後押しすることは重要でございます。
 都におきましては、起業した女性が事業の大きな発展を実現できますよう、経営の知識を提供し、海外展開のきっかけにつながるプログラムを提供いたしております。これまでに二百を超える経営者が支援を受けまして、その中から海外の投資家から資金を調達して、時価総額を百億円に伸ばした例も既に出ております。
 昨年度の支援では、米国の西海岸でピッチイベントに参加をして、資金確保のノウハウを取得するほか、海外市場での販路の拡大を進める取組なども出ております。
 これらに加えまして、外国の現地企業にアプリを通じて経営支援をする会社が投資家から出資を受けるなど、女性起業家の海外展開を着実にサポートしております。

○入江委員 しっかりと応援していただいてありがとうございます。私も、この事業で開催されたキックオフイベントや成果報告会に参加していますが、毎回、女性起業家の皆さんが持つ使命感やパワーに感銘を覚えております。今後とも、こうした熱量を持つ女性起業家の皆さんがさらに大きく成長できるようなサポートを充実することを要望いたします。
 次に、ひとり親の方への支援について伺います。
 コロナ禍では、非正規雇用で働く女性の多くが、解雇や雇い止めにより離職を余儀なくされ、中でもシングルマザーの方は、極めて厳しい状況に追い込まれました。状況を改善するためにスキルアップを望んでいても、非正規雇用では勤務先での研修の機会もなく、自ら研修を受講しようと思っても時間がつくれない、費用が工面できないという事情があり、新たなキャリアに踏み出すことが困難なケースが多いです。
 都は令和四年度、私どもの要望も受け、こうしたひとり親の方々に対し、オンラインによる職業訓練や就職活動を支援するひとり親向けオンライン訓練・就活支援事業を実施しましたが、支援の取組状況と実績について伺います。

○坂本産業労働局長 都は昨年度、ひとり親の女性等が早期の就職を実践できるよう、採用に有利なデジタルスキルや資格を取得できる環境を整え、就職活動もサポートする一体的な取組を行いました。
 具体的には、受講を希望する方にパソコンや通信機器を無料で貸し出し、デジタルスキル等を学ぶ六種類のeラーニング訓練を実施いたしました。また、訓練を受けた方に対し就職活動を支援するアドバイザーが、本人の状況や希望に応じた就業条件の企業をきめ細かく紹介し、採用に結びつけたところです。
 これらによりまして、三百名を超える方が訓練を受講し、求職者の五割以上の就業を実現いたしました。

○入江委員 ひとり親の方やシングルマザーと一言でいっても、それぞれが抱える事情は様々でございます。お一人お一人の実情に応じたきめ細やかな支援をお願いいたします。
 引き続き、女性のキャリア継続とライフプランの両立、そして、長いスパンでの女性の能力の評価を社会全体で実現していくために有効な施策の展開を要望いたします。
 続きまして、デフリンピックを契機とした共生社会の実現について伺います。
 昨年九月、国際ろう者スポーツ委員会の総会において、二〇二五年デフリンピックの開催地が東京に決定しました。二〇二五年の大会は、デフリンピックの百周年を記念すべき大会であり、この大会の開催は、ろう者や、ろう者の文化への理解を深め、人々の交流を促し、共生社会の実現に大きく寄与するものです。
 そこで、都では昨年度、開催地が東京に決まってから、大会の開催に向けてどのような取組を行ってきたのか伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 デフリンピックの開催は、デフスポーツへの理解の裾野を広げ、障害のあるなしにかかわらず、共にスポーツを楽しみ、互いの違いを認め、尊重し合う共生社会の実現に大きく寄与するものでございます。
 そのため、都では、招致主体である全日本ろうあ連盟と連携し、大会の準備運営体制を構築してまいりました。
 また、大会を通じて都が目指すべき姿をビジョン二〇二五として取りまとめたほか、ビジョンに掲げるユニバーサルコミュニケーションの促進に向け、東京武道館で行われたろう者等が出場する空手道大会や、City-Tech.Tokyoの東京都ブースにおいて、技術の実証やPRに取り組んでまいりました。

○入江委員 私たちは、引き続き都議会の立場から、東京の国際力強化、そして一人一人が輝く東京の実現を進めてまいりますので、東京大改革を都庁全体で推進していただくことを求め、質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○早坂委員長 入江のぶこ副委員長の発言は終わりました。
 細田いさむ副委員長の発言を許します。

○細田委員 都議会公明党を代表いたしまして、決算の質疑を行います。
 初めに、市町村総合交付金について質問します。
 市町村の自主的、自立的な行財政運営を促進する市町村総合交付金は、財政力の弱い市町村にとって、自らの財政基盤の強化を図り、様々な政策を実施していく上で欠かせない極めて重要な財源であります。
 令和四年度の総合交付金について、都はいかなる拡充を行ったのでしょうか。取組状況について、都の見解を求めます。

○野間総務局長 令和四年度の市町村総合交付金につきましては、予算額を三億円増額するとともに、政策連携枠の対象項目を拡充いたしました。
 具体的には、これまでの待機児童対策、消防団活動の充実、行政のデジタル化に加えまして、働き方改革による地域振興の項目を追加したところでございます。また、電気自動車の導入をゼロエミッションの推進に改め、支援対象を拡大いたしました。
 これにより、民間サテライトオフィスの設置や移住定住に向けたPR、庁舎への太陽光発電設備の導入や公共施設のZEB化等の取組に活用されてございます。

○細田委員 市町村総合交付金によります都からの市町村への財政支援について、令和四年度は、政策連携枠の支援の対象を拡大し、市町村の多様な取組を後押ししていることを確認いたしました。
 さて、市町村総合交付金について、都議会公明党は、毎年、重点的に予算要望を重ねる中で、市町村の財政基盤強化のために交付金総額の増額を強く求めてまいりました。
 これに応えて、小池知事は、就任以降、予算額を継続的に増額してきてくれましたが、これまでの市町村総合交付金による財政支援の充実につきまして、知事に見解を求めます。

○小池知事 細田いさむ副委員長にお答えいたします。
 お尋ねの市町村総合交付金についてでございますが、地域の発展に向けて、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源の補完制度といたしまして重要な役割を果たしているところでございます。
 これまで、市町村が行う道路や公共施設の整備などの政策課題に活用いただいてきたわけです。さらに、デジタル化や脱炭素化など、都と市町村が連携して取り組むべき政策課題に重点的に対応するために、政策連携枠を導入いたしております。
 知事に就任しましてから、予算の増額、そして制度の拡充に努めておりまして、令和四年度には、予算額を過去最高額となる五百八十八億円まで増額をいたしております。市町村の自立的、主体的な取組を後押ししているものでございます。
 今後とも、市町村の皆様のご意見を伺いながら、新たな課題に積極的に取り組んでいただけるよう支援してまいります。

○細田委員 市町村が都と連携して、それぞれの地域の実情に合わせた施策を構築し、継続的に運営していくためには、さらなる財源確保が不可欠であります。その財政基盤強化のために、今後とも市町村総合交付金の充実を図っていくことを要望いたします。
 次いで、従業員の賃金引上げに向けた取組について質問します。
 長引く物価高を乗り越え、経済の好循環を生み出すためには、物価上昇率を上回る賃金の引上げは欠かせません。今年の春闘において、賃上げ率が例年に比べて高い水準となりましたが、原材料や光熱水費の高騰、人材不足などの影響が大きい中小企業では、大企業に比べて動きが鈍いのが実情であります。物価高を賃金アップが追い越していく必要があります。
 都は、令和四年第三回都議会定例会の補正予算により、昨年十月から、中小企業の従業員が働きがいの持てる環境を整備するとともに、賃上げにつながる取組について専門家の派遣などのサポートを行っています。その内容と事業実績について答弁を求めます。

○坂本産業労働局長 都は昨年度、中小企業が従業員の働く意欲を高めるため、勤務の仕組み等の見直しによる職場環境の改善のほか、賃金の引上げなどに取り組む場合への支援を開始いたしました。
 具体的には、現場に専門家を派遣し、その助言を基に、フレックスタイムの制度の導入など、働き方のルールを改善するとともに、賃金の引上げを行う場合、最大百万円の奨励金を支給する仕組みといたしました。
 昨年度は、三百を超える中小企業に専門家が延べ四百二十二回にわたり出向き、様々な助言を行い、奨励金の支給決定につなげております。
 また、これに合わせ、働き方の見直しで優れた成果を上げた会社の事例をウェブを通じ発信し、支援の効果を高める工夫を行いました。

○細田委員 ただいま、昨年度、三百を超える中小企業に四百二十回を超える専門家を派遣したとの答弁がありました。
 この事業は、昨年度専門家の支援を受けた企業が、令和五年度以降にフレックスタイム制度の導入や賃上げなどに取り組み、そうした実績を踏まえて都が奨励金を支給するという仕組みです。事業全体の令和四年度の決算額は、令和五年度以降の奨励金の支給も含めました、しごと財団への出捐金六億九千四百万円余とのことです。
 しかし、令和四年度の専門家派遣の実績は二千五百万円余にとどまっており、このことは、専門家派遣を受けた中小企業が、今年度、一社最大百万円までの奨励金を受けられるためのステップでもあります。経済対策の中でも持続的な賃上げは大変重要な取組です。これまで専門家の支援を受けた企業の多くが着実に賃上げに取り組み、三百に向けた賃上げの花を都が咲かせていくことを期待して、次の質問に移ります。
 不妊治療の対応について質問します。
 公明党は、二〇〇〇年に不妊治療の保険適用を求める約五十五万人のお声を政府に届け、二〇〇四年に助成制度が創設されました。その後、令和四年四月からいよいよ保険適用が開始され、利用者の経済的負担は大幅に軽減されました。
 一方、保険適用外となった治療の一部については、先進医療として保険診療との併用が特例で認められたものの、全額自己負担であり、経済的負担が大きいことから、令和四年第二回定例会代表質問で、我が党は先進医療への助成の検討を求め、その結果、補正予算が組まれ、助成が開始されましたことを評価するものであります。
 そこで、事業の取組状況と実績について答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、令和四年度九月補正予算により、保険適用となった不妊治療と併用して行われた先進医療につきまして、全額自己負担となるところ、一回の治療につき十五万円を上限に、医療費の七割を昨年四月に遡り助成することといたしました。
 不妊治療を希望する方に確実に情報が届くよう、補正予算成立後、速やかに制度の概要をホームページに掲載するとともに、申請手続に関するリーフレットを医療機関や区市町村に配布をいたしました。
 助成の対象となる先進医療は、昨年四月の七種類から、本年四月には十三種類まで拡大しており、助成の承認件数は、本年一月に受付を開始した昨年度は千三百十九件、今年度は十月末までで八千百五件となっております。

○細田委員 多くの都民が先進医療の助成制度を利用されたことが明らかになりました。
 次いで、東京都出産応援事業について質問します。
 東京都出産応援事業は、コロナ禍において子供を産み育てる家庭を応援、後押しするため、新生児一人当たり十万円分の育児用品や子育て支援サービスなどを提供する事業であります。都議会公明党が令和三年一月一日に前倒しで実施することを求め、スタートしたものであります。
 本年十月一日が専用サイトへの登録期限でありましたが、対象者の登録状況と、これまでに行ってきた未登録者への働きかけの状況について答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 東京都出産応援事業では、育児用品等を提供する専用サイトへアクセスするためのIDカードを、区市町村を通じて対象家庭に配布をしております。
 令和三年一月一日から本年三月三十一日までに出生した子供を持つ家庭は、本年十月一日が登録期限であり、同日時点で約二十一万三千人にIDカードを配布し、約二十一万二千人が登録をしております。
 未登録の家庭に対しましては、区市町村の協力を得て、早期の登録を促す通知をこれまで複数回送付するとともに、電話やメール等により個別の働きかけを行っております。
 十月二日以降は、未登録の方には、コールセンターにお問合せいただき、個別に登録方法を案内しております。

○細田委員 約二十一万三千人分を配布し、約二十一万二千人分の皆様が登録されたとのことです。ほとんどのご家庭が申し込まれたものであり、子供を産み育てるご家庭の応援になったものと考えます。国の出産・子育て応援交付金を活用して施策の充実が図られましたが、今後も、妊娠、出産、子育て支援の充実を要望いたします。
 次いで、ひきこもり支援について質問します。
 ひきこもりは、八〇五〇問題に象徴されるように、当事者や親の高齢化が課題となっており、その対応に真剣に取り組んでいかねばなりません。
 その対策の一つとして、都議会公明党は令和四年の予算特別委員会において、ひきこもりの当事者やそのご家族が相談できる窓口の明確化と困難なケースの支援体制を整備すべきと質問したのに対し、都は区市町村への支援体制を強化するとの答弁がありました。
 そこで、その後、具体的にどのような取組を進めてきたのか、答弁を求めます。

○佐藤福祉局長 都は、令和三年度に、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議を設置し、身近な地域での相談体制の整備を働きかけ、昨年度には、都内全ての区市町村でひきこもりの相談窓口が設置をされました。
 昨年七月には、都の支援拠点である東京都ひきこもりサポートネット内に医療、法律、福祉等の多職種専門チームを設置いたしまして、ひきこもりの課題に加えて、貧困や精神疾患、介護等の課題を複合的に抱える困難ケースへの対応について、区市町村に専門的な助言を行っております。
 こうした取組によりまして、地域における相談体制のさらなる充実を図ってまいります。

○細田委員 次いで、教員の働き方改革について質問いたします。
 二〇一六年、残業時間が文科省の基準を超える教員が全体の八割以上に及ぶことが指摘されて以来、教員の働き方改革が進められていますが、その間にも多くの教員が心身ともに疲弊し、離職しています。
 現在、教員の多くは、本来の業務である教科指導や生活指導のほかに、様々な事務、行事の運営、部活動、保護者や地域の対応など、多様で過剰な業務を担っています。こうした事態の改善が必要です。教員を大切にすることが教育を大切にすることになります。今、教員が担っているあらゆる業務を見直していくべきであります。
 そこで、まず、教員の働き方改革について、令和四年度の取組と、それによって成果が得られているのか、都教育委員会の見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会は、平成三十年に学校における働き方改革推進プランを策定し、学校閉庁日の設定等による意識改革をはじめ、多様な取組を推進してまいりました。
 令和四年度には、副校長を補佐する支援員の配置を拡充したほか、小学校で副担任相当の業務を担う支援員を新たに配置するなど、外部人材の一層の活用を進めました。また、都立学校で定期考査採点分析システムの運用を開始するなど、デジタル化による業務の効率化を推進いたしました。
 これらにより、時間外勤務の上限を超える教員の割合は減少しているものの、依然として長時間勤務の教員が多い状況にございます。教員が誇りとやりがいを持って職務に従事できるよう、不断の取組を進めてまいります。

○細田委員 少しずつではありますが、働き方改革が着実に進められていると評価したいと思います。さらに力強く推進していただきますよう要望しておきます。
 また、答弁がありました副校長をサポートする学校マネジメント強化事業は、都教育委員会が始めた事業ではありますが、大変よい取組だということで、来年度から国においても実施される見込みになっております。そうなれば都の財政負担は軽減されますので、どうぞその分を働き方改革の方に当てていただいて、さらに施策を推進するように求めておきます。
 さて、教育力の向上に向けて、管理職の業務負担の軽減とともに、授業や生活指導を担っている教員への支援が必要です。
 先ほど答弁がありました小学校で副担任相当の業務を担う支援員を配置する事業は、授業や生活指導における教員の負担を軽減して教育力の向上に有用であり、さらに進めるべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会は、授業や生活指導における教員の負担軽減及び教育の質の向上を図るため、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校低学年で、副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントを配置する事業を令和四年度に開始いたしました。
 一地区二十校に五十七人のアシスタントを配置し、実施した学校からは、学習内容の定着が進んだ、子供の安心感につながったなどの評価を得ているほか、教員のストレスチェックの結果が大幅に改善するなど成果が上がっており、引き続きこうした取組を進めてまいります。

○細田委員 教育の質の向上につながったとのご答弁でありまして、さらに事業を拡充していっていただきたいと思います。
 加えまして、特に新任の教員への取組が必要であります。医学の世界では、医師が初任の段階で、ベテランが見守る中、経験を積んでいくインターン制度などがあります。都教育委員会におきましても、教員を大切にして、そして育てて、教育の質向上にさらに取り組んでいただくよう強く求めて、次の質問に移ります。
 文部科学省は、令和四年度から令和八年度を対象期間とする第六次学校図書館図書整備等五か年計画を策定しました。その中では、新聞の複数紙配備を進めるため、各校の配備の目安を、公立小は二紙、公立中は三紙、公立高校は五紙とされています。
 このことは、公職選挙法の改正により、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたことと、令和四年度から民法に規定する成年年齢が十八歳へ引き下げられたことに伴い、児童生徒が主権者として必要な資質、能力を養う上で重要な取組になります。
 そこで、令和四年度の都立高校における新聞配備状況について質問いたします。

○浜教育長 都教育委員会は、生徒が社会の問題を多面的、多角的に考察し、判断する力を育成することを目的として、主権者教育の充実事業において、全ての都立高校の図書館等に、原則として全国紙等六紙を配備しております。

○細田委員 都の予算で全ての都立高校に目安となっている五紙を配備していることは、主権者教育の充実という教育環境を整備する都教委として必要な取組だと思っております。
 一方で、市区町村立学校では遅れており、新聞配備を予算化しているのは八区三市七町村にとどまっています。この現状は改善すべきゆゆしき事態と捉えて、都議会公明党は今年三月の予算委員会で、都内小中学校での新聞配備の充実を図るべきと提案し、教育長から、区市町村教育委員会と連携をしていくとのご答弁がありました。
 区市町村立学校への新聞配備に向け、令和四年度はいかに周知、連携を進めてきたのか、具体的な見解を求めます。

○浜教育長 都教育委員会では、令和四年度児童生徒の読書状況調査において、国の学校図書館図書整備等五か年計画を踏まえ、都内小中学校における学校図書館等への新聞の配備状況と併せ、活用状況を調査いたしました。調査では、総合的な学習の時間等における調べ学習の授業や、新聞記事と関連図書を並べて展示するなど、各校での活用事例が集められました。
 新聞の活用の促進に向けては、事例を周知するとともに、地方財政措置も活用し新聞を配備するよう、指導室課長会等で働きかけるなど、区市町村教育委員会と連携しております。

○細田委員 指導室課長会などで周知、連携をしているとのことですが、新聞配備を確実に進めるためには教育長会でも周知をするべきであります。主権者教育の充実に向けて、全東京の児童生徒が平等な環境下で学べるよう、より一層の取組を求めておきます。
 次いで、救急医療の取組について質問します。
 まず、ドクターヘリについてです。
 公明党が提案し、都で実現ができたドクターヘリ事業は、令和四年度末で一年を迎えました。この間、都民の声に応え、体制の整備、ランデブーポイントの拡充、災害時への対応などに取り組みつつ、多くの生命を救ってきたと認識をしています。
 そこで、ドクターヘリの令和四年度の実績と状況、課題について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 ドクターヘリは、医師が速やかに傷病者がいる現場に赴くことができるなど、救急医療の効率的な提供に寄与するものであり、昨年度の出動実績は六百八十三件でございました。
 震災等により幹線道路が寸断された場合でも、ドクターヘリは患者の搬送が可能でありますことから、都は現在、災害時における活用に向け、離着陸場所や傷病者の受入れ調整など、具体的な運用方法について検討しております。
 また、複数の重篤患者が発生した場合等に、近隣県と連携して、より効果的に対応できますよう、神奈川県、山梨県と協議の場を設置し、広域的な連携体制の構築に向け、取組を進めております。

○細田委員 某町村会長からは、ご夫人が脳血管障害で突然に倒れて、道路は大渋滞で救急車が来ることができない状況だったのですが、ドクターヘリが来てくれました、命が助かりました、都のドクターヘリのおかげですという喜びの声も都議会公明党に届きました。今後の活躍も期待をしております。
 次に、東京DMATについてです。
 訓練を受けた優れた隊員が一千人もいる東京DMATは、災害現場だけでなく、日常においても、二十六の指定医療機関から東京消防庁の連携隊と共に出場されて、救急救命に取り組まれ、都民の大きな安全と安心につながっております。
 東京DMATの令和四年度の状況と実績につきまして答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 東京DMATは、医師一名、看護師等二名の計三名を基準として編成され、大規模災害が発生した際に、東京消防庁と共に被災現場に出場し、傷病者の救命処置等の現場活動を行う災害医療派遣チームでございます。現在、二十六の東京DMAT指定病院に約千名の隊員が登録されております。
 また、平時におきましても、自動車の多重衝突事故や建築現場での落下事故、化学薬品の暴露などによる被災現場に出場し、負傷者に対する医療活動を行っており、昨年度の出場実績は三百八件でございました。

○細田委員 医師が大規模な事故現場に出場して、いち早く治療を行う東京DMATの活用は、非常に有意義であり、日々現場で活動している隊員の方々に敬意を表します。
 一方、東京DMAT以外にも、都内九つの医療機関では、ドクターカーが脳血管障害や心疾患障害など内因性の疾患を中心に救命活動しています。
 国は、令和六年度から開始する第八次医療計画に向けて、ドクターカーなどに関して、都道府県に対し救急医療の体制構築に係る指針を示しており、ドクターカーについて、厚生労働省が実施する調査に基づき作成されたマニュアルを参考にしながら、救急医療提供体制の一部として、より効果的に活用することを通知している状況であります。
 巨大な人口を有する東京において、一刻を争う救急患者に迅速に対応するためには、東京消防庁の救急隊を中核として、ドクターヘリ、東京DMATの運用といった重層的な体制が不可欠です。
 加えて、今述べましたドクターカーについても、適切な役割分担の下、さらなる活用を図ることで、救急体制の一層の強化が図れるものと考えます。都として、限られた救急医療資源をしっかりと守りながらも、高い救急救命効果を発揮するドクターカーについての支援を踏み込んで実施するよう要望いたします。
 次いで、都立病院の独法化後の取組について質問します。
 東京都立病院機構は、コロナ禍の昨年の七月一日に設立され、令和四年度は独法化して初めての年度でありました。
 今回の決算分科会や厚生委員会での都議会公明党の質疑で、都立病院の医療従事者が身を粉にして行政的医療であるコロナ対策を実施し、全力で都民の命、健康を守ってくれたことが明らかになりました。心から敬意を表するものであります。ありがとうございます。
 一方で、コロナ禍で疲弊した現場では、あたかも独法化が原因で大量の離職者が生じ、一部病床の受入れを休止しているとの主張も聞こえてきました。
 そこで、まず、令和四年度の都立病院の退職の状況やその理由及び認識を伺うとともに、独法化のメリットを生かした人材確保についてはいかなる状況でしょうか。答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 令和四年度の都の常勤職員に相当する職員の退職者数は、独法化前後で人事制度が異なるため単純な比較はできませんが、令和三年度と比べ二百十五名増加いたしました。
 これは、独法設立時に転籍同意が必要な旧公社病院におきまして、看護要員の退職者が大幅に増加した特殊要因などがあったためであり、退職理由は様々ですが、大多数を失業給付の優遇措置がある転籍不同意による会社都合が占めており、独法化を理由としたものではないと認識しております。
 独法化後は、職員が能力を最大限に発揮し、組織が活性化する人事給与制度を構築しており、院長の権限の下、採用を強化するなど、行政的医療をはじめとする質の高い医療の提供に向け、人材の確保、定着に取り組んでおります。

○細田委員 退職理由は様々ですが、大多数は独法化を理由としたものではないと都が認識していることが明確になりました。コロナ対応など、医療従事者をたたえた独法化ならではの給与面の評価もお願いいたします。
 小児総合医療センターは、都における小児医療の拠点として、重症の小児精神疾患の患者を中心として受入れを行っています。
 一方、児童・思春期精神科病棟は一部休止していると聞いています。患者の受入れに影響が及ばないのか心配していますが、都の見解を求めます。

○雲田保健医療局長 小児総合医療センターの児童・思春期精神科では、子供の健やかな成長などの観点から、可能な限り地域生活を経験できるよう、患者や保護者の意向も確認しながら、入院期間を必要最小限としております。
 退院後は、外来での診療のほか、緊急時や症状の悪化が見込まれる際の再入院に対応するなど、これまでと同様、地域の医療機関では対応困難な重症患者を確実に受け入れております。
 さらに、地域医療機関との役割分担の下、連携体制を構築し、緊急度が高いとかかりつけ医が判断した患者は速やかに初診で受け入れるほか、希死念慮者など極めて緊急を要する患者は即日入院対応とするなど、行政的医療である小児精神科医療を着実に提供しております。

○細田委員 小児医療において、入院期間を必要最小限度にすることを目指し、かつ地域医療との連携を深める中で、病床受入れの休止に至ったことが分かりました。
 今後は、新たな人事制度の構築により、そのメリットを最大限に生かして、人材の評価、育成、そして確保を推進していくべきだと要望して、次の質問に移ります。
 感染症蔓延時の火葬協力について質問します。
 新型コロナ感染症も五類に移行しましたが、これまでには、都内で感染による死亡者が急増し、火葬が滞り、都は、民間事業者である共有安置施設を設置した時期もありました。
 そこで、まず、四年度までの火葬事業者への協力要請の実績と、共有安置施設の設置経緯、費用、受入れ実績について答弁を求めます。

○雲田保健医療局長 都は、新型コロナの感染状況を踏まえ、令和二年四月に公営火葬場に対して受入れ数の増加を要請し、その後の感染拡大を踏まえ、令和三年一月、令和四年二月及び八月に、民営も含めた火葬事業者に同様の要請を行いました。
 事業者は、一般のご遺体の受入れ時間帯との分離や、コロナ感染によるご遺体の受入れ施設の集約など、現場の実情に応じた感染対策を行いながら受入れ体制の強化を図ったところでございます。
 また、医療機関におきまして、ご遺体の安置可能数を超えることが危惧されましたことから、この安置を代替する共有安置所を、令和二年五月から二か月間、民間施設を借り上げて設置いたしました。
 この運営費等は、移送経費等を含め約四千万円であり、十四体のご遺体を安置いたしました。

○細田委員 共有安置所は、二か月で四千万円、十四体ですので、相対的に高い費用となりました。
 今の答弁で、当初、都は、公営火葬場に対しては受入れ数を増やすように依頼しましたが、民営に対しては要請していなかったことが分かりました。二十三区内の火葬場は、公営よりも圧倒的に民営の方が多いので、民間事業者に対しても協力要請を行っていれば、共有安置所をわざわざ設置する必要もなかったのではないかと考えます。
 また、民営火葬場がコロナに感染したご遺体の受入れを制限しているとの話もありましたが、これは、一般の火葬と動線を分けることができなかったことが原因によるものでした。
 公共の福祉である火葬事業に混乱が起こらないよう、今後、都としても注視をお願いいたします。
 次に、コロナ感染による死亡数は、全数把握を行った本年五月四日まで、都内で八千百二十六人、全国で七万五千人に上ります。今後、いつ致死率の高い感染症が蔓延するか分かりません。TOKYO強靱化プロジェクトには、感染症と地震といった複合災害にも備えていくとしていますので、現在の民間火葬場との災害協定に感染症の対応も加えるべきであります。
 また、災害協定では、火葬の協力要請に対し、遺体の受入れに対する報告を都に行うことにもなっていますが、今回の新型インフルエンザ等対策行動計画による火葬要請に対しては、受入れの報告規定がありません。
 そこで、今後、今回の対策の事後検証などを行い、いざというときでも適切な火葬体制を整えていくべきと考えますが、知事に見解を求めます。

○小池知事 都は、新型コロナへの対応におきまして、保健、医療提供体制の東京モデルを確立して、新型コロナによる死亡者数をOECD諸国の中でも低い水準とすることができました。
 また、感染拡大時に適切に火葬が実施できますように、新型インフルエンザ等対策行動計画に基づいて、火葬場事業者に対し受入れ体制の強化を要請しまして、これを踏まえて、公営火葬場に加え、民営の事業者も受入れ強化を図っております。
 今回の新型コロナ対応の経験を生かしまして、次の感染症危機におきましても、来ないことを願いますけれども、国や事業者等と連携し、火葬体制を確保してまいります。

○細田委員 この行動計画には、最新の科学的知見や対策の検証などを通じて、適時適切に変更を行うこととしておりますので、今後のパンデミックに備えた火葬体制がしっかりと構築されるよう求めて、次の質問に移ります。
 東京港でのブルーカーボンの取組について質問します。
 都は、二〇五〇年までにCO2排出を実質ゼロにするゼロエミッション東京を掲げていますが、これを実現するためには、CO2排出量の削減だけでなく、CO2を吸収するという観点にも着目する必要があります。
 近年、海に生育するワカメやアマモなどの水生生物が取り込むCO2、いわゆるブルーカーボンが注目されており、地球温暖化防止への貢献が期待されています。
 昨年の予算特別委員会で、東京港においても、海草などによる藻場創出の取組を進めるべきことを指摘し、都は都議会公明党の提案を受けて取組を開始しました。
 東京港において都が実施しているブルーカーボンの取組について、令和四年度の実施状況と、これを踏まえた今後の対応について答弁を求めます。

○松川港湾局長 ブルーカーボンの取組を推進するために、都は昨年度、東京港において藻場を創出する取組を開始いたしました。具体的には、東京港内における水質や水流等に関する調査を実施した上で、ワカメやアマモの生育に適すると判断した二か所において移植を行いました。
 いずれも順調に生育したことを確認できましたが、アマモについては、カモやクロダイによると見られる食害もありましたため、今年度は、食害対策も行いつつ、移植場所をさらに二か所追加し、引き続き生育状況に関する検証を行ってまいります。
 今後、この検証結果を踏まえ、有識者からのご意見等もいただきながら、藻場の整備方法などについて方針を取りまとめてまいります。

○細田委員 東京港においても生育できることが確認され、一定の成果はあったものと考えます。
 これは、本年四月に環境局が改定した東京都生物多様性地域戦略に掲げられました自然を活用した解決策、いわゆるNbS、ネーチャーベースドソリューションズの取組にも通ずるものであります。
 今後は、海藻等の成長を促進する方策も検討するなど、さらに工夫を行いながら、効果的に藻場の創出が図られるよう取り組んでいただくことを重ねて要望いたします。
 次いで、デジタルデバイド対策について質問します。
 都議会公明党は、デジタル化を推進していくに当たって、その両輪の一つともいうべきデジタルデバイド対策を繰り返し取り上げてまいりました。対策を進める上では、身近な地域での支え合いが大切であり、その意味で、昨年度より開始されたTOKYOスマホサポーターの育成は重要な取組であると考えます。
 昨年の予算特別委員会で、都議会公明党は、スマホサポーター制度の構築に当たって、若者の力、そしてスマホを使い慣れた高齢者の力の二つを活用していくべきと主張しました。
 こうした提案を踏まえ、昨年度のTOKYOスマホサポーターの取組について見解を求めます。

○山田デジタルサービス局長 TOKYOスマホサポーターは、今年一月に募集を開始し、現時点で十代から九十代までの幅広い年代の方約七百名が登録し、体験会や相談会で活動をしております。デジタルネーティブ世代である若者や日常的にスマホを使いこなす高齢者等が、デジタルに不慣れな方に寄り添い、困り事の解決に一緒になって取り組んでおります。
 サポーターの研修におきましては、高齢者からのニーズを踏まえて、不審メールへの対応等セキュリティ対策や、生活に役立つアプリの活用などを盛り込んでおります。
 今後とも、多くの方々にサポーターになっていただき、活躍の場を広げることで、地域における支え合いや交流を促進し、デジタルデバイドの解消につなげてまいります。

○細田委員 次いで、駅における視覚障害者の安全対策について質問します。
 都議会公明党は、一昨年の一般質問で、駅構内における視覚障害者の移動支援について取り上げ、昨年の予算特別委員会では、先進技術を活用した案内誘導の取組についてただしました。
 都は、スマホアプリを活用した案内誘導など、様々な先行的な方策の調査、分析を行った上で、対象駅を選定し、その駅の実情を踏まえた対策を試行的に実施していくとの答弁でありました。
 そこで、令和四年度の取組状況について質問します。

○谷崎都市整備局長 高齢者、障害のある方々をはじめ、多くの方が利用する駅の安全性や利便性を高めていくことは重要でございます。
 令和四年度には、都民提案を受け、東京メトロ、都営地下鉄と連携の下、交通結節点である青山一丁目駅及び上野御徒町駅において、スマホアプリやAIカメラを活用した乗換え時の案内誘導を行う社会実験を実施いたしました。
 実験に参加した視覚障害者からは、音声案内により一人で移動できる範囲が広がった、他の駅施設にも取組を広げる必要があるなど、取組の有効性などの意見をいただきました。
 その後、実験の実施状況やこれらの意見を取りまとめた動画を作成し、各鉄道事業者や都民に向けて広く情報の共有化を図っております。

○細田委員 次いで、国立競技場を発着点とする東京二〇二〇大会のマラソンコースを活用した東京レガシーハーフマラソンについてです。
 この大会には、パラアスリートが自らの可能性に挑み、力と技を競い合った東京の二〇二〇パラリンピックの感動を一過性で終わらせるのではなく、大会レガシーの具体化を進める意義があると考えます。今後も、障害のある方が参加しやすい環境をつくるなど、障害者に配慮した大会運営にしていくべきです。
 昨年の大会における取組の実績について答弁を求めます。

○横山生活文化スポーツ局長 大会の開催に当たりましては、障害のある方に安心してご参加をいただくために、ボランティアに対し、情報や言語、心のバリアフリーを学び、実践できるよう研修を実施いたしました。
 当日は、受付から更衣室等への円滑な移動動線を確保し、スタート直前まで選手に帯同するほか、競技中においても必要なサポートができるよう、コース上の各所にスタッフを配置するなどの取組を実施いたしました。
 また、表彰につきましては、車椅子及び視覚障害の上位者二十二名が受賞され、さらに、そのうち二名が世界記録や日本記録を達成し、受賞されました。あわせて、記録が上位の参加者につきまして、ホームページで公表するなどの情報発信も行っております。

○早坂委員長 細田いさむ副委員長の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十五分休憩

   午後三時三十五分開議

○早坂委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 原田あきら委員の発言を許します。

○原田委員 初めに、防災対策について質問します。
 防災対策は、都民と共に東京都が公的役割を発揮し、様々な機関と連携して対策を行うことが必要です。私も実は地元の消防団員でして、地震や水害などへの備えを行うことの重要性、実感しています。
 昨年度、町会・自治会による防災対策普及啓発事業助成を実施していますが、実績、金額、必須となっている啓発チラシの配布枚数はどうなっていますか。

○横山生活文化スポーツ局長 本事業は、共助の要となる町会、自治会を通じて、地域における防災意識の醸成と防災力の向上を図るとともに、地域コミュニティの活性化につなげていくことを目的としております。
 本助成におきましては、千七百七十三件の町会、自治会に対し三億三千二百九十万円の交付を行いました。家庭における備蓄などを啓発するチラシは約八十八万枚が配布されました。

○原田委員 この事業は、一自治会二十万円を上限に、十分の十で助成する事業で、簡易トイレ、スマホ充電グッズ、レトルト食品などの物品などの購入に充てることができます。千七百七十三件の町会、自治会が活用したということで、地域からはとても喜ばれています。同時に、この制度、私たちのところには苦情や困惑の声も寄せられています。
 こちらをご覧ください。(画像表示)チラシの表面には、災害に対する備え、日常備蓄のイメージなどについて書いてありますが、この後です。裏面をご覧ください。まず何が目に飛び込んでくるでしょうか。
 このチラシを配布することは、助成を受ける必須事項となっており、配らないということができません。先ほどの答弁で、八十八万枚のチラシを町会、自治会が配布したことが分かりました。配布が必須となっているチラシに掲載されているのが、小池知事の写真、直筆の名前とメッセージです。このチラシは三種類ありますが、裏面は全て共通版で、つまり全てに小池知事が掲載されています。
 知事に伺います。
 チラシ配布が拒否できないという立てつけに都民から疑問の声が上がっています。これは税金を原資にして、町会や自治会を使った小池知事の宣伝といわれて仕方ないんじゃありませんか。
 知事の写真、名前、メッセージの入ったチラシを町会、自治会に配布するっていうのは知事の指示ですか。
   〔発言する者あり〕

○早坂委員長 ご静粛に願います。

○横山生活文化スポーツ局長 このチラシにつきましては、知事から都民に対して、災害への備えを呼びかけるメッセージを発することを通じて、防災意識の醸成と地域防災力の向上を図ると、こういった目的で行ったものでございます。

○原田委員 さらに驚いたことがあります。こちらをご覧ください。(画像表示)これは今年度の関東大震災百年町会・自治会防災力強化助成金を受けるために必須となっているチラシです。昨年度は控え目に裏面に掲載されていた小池知事の写真、名前、メッセージが、何とですね、今年度は表面に登場し、大きさもメッセージの長さも増えています。しかも、よっぽど昨年度のチラシ配布が不評だったのか、今年度はチラシ配布が必須でなくなった代わりに、掲示板に貼ることを必須にしています。
 知事、これは来年の知事選対策といわれても仕方ないんじゃありませんか。知事の写真、名前、メッセージ入りのチラシを掲示板に貼り出さないと助成金を受け取れないというやり方、変えるべきじゃありませんか、どうですか、知事。

○横山生活文化スポーツ局長 昨年度のものにつきましては、繰り返しになりますけれども、知事から都民に対して、災害への備えを呼びかけるメッセージを掲載しておりまして、昨年度のものを、先ほど映していただいたもの、少し小さく映っておりましたけれども、知事のメッセージの頭には、東京都からのお知らせというふうに書いてございます。行政として必要なメッセージを知事の発信力という形で配布をさせていただいたものでございます。
 今年度につきましては、今お話がありましたようにこれを掲載するということを条件にしておりますけれども、今年度の事業につきましては——昨年度の事業は各家庭に配布をするというものでしたが、今年度は町会、自治会が町会、自治会として、備蓄、装備などを備えるというものでありまして、その共助の取組の一環としてのお知らせを地域の方々に明確にお伝えするという意味でポスターとさせていただいているものでございます。

○原田委員 チラシは一度配ればそれっきりですけれども、掲示板へ貼り出すというのは二十四時間三百六十五日、誰かの目に触れるものであり、宣伝効果としては実はチラシよりも高いんじゃないかっていう話もあるわけですね。
 加えて、ホームページでは、町会、自治会での回覧を推奨し、各戸配布もメニューにあり、真面目にチラシの配布も回覧板も行っている町会もあるわけです。
 防災は大事です。町会、自治会への支援ももちろん大事です。しかし、小池知事の写真、名前、メッセージ入りのチラシの配布や掲示を強制するという制度は必要ないんじゃありませんか。税金と町会、自治会を使って知事の宣伝をするようなことは、今からでもやめるよう厳しく求めておきます。
 次に、二〇二二年度、大きな社会問題に発展した神宮外苑再開発問題についてお聞きします。
 当該年度末、坂本龍一さんが最期の力を振り絞るようにして出した小池知事への手紙は、社会に衝撃を与えました。浅田次郎さんや秋吉久美子さん、加藤登紀子さんら文化人、芸能人、建築家など七十八名の声明、国際的小説家の村上春樹さん、サザンオールスターズによる外苑再開発を憂う新曲「Relay−杜の詩」のリリースと続きました。
 国会に続き都議会でも、六会派四十人から成る外苑議連が発足しました。国際イコモスによるヘリテージアラートが発出された後、伐採が延期されるなどの事態が動いています。神宮外苑再開発での大量伐採に胸を痛めている人たちは、今、この要因ともなっている、なぜ都市計画公園に超高層ビルが建つのかという問題に目を向け始めています。
 三井不動産など事業者は、そうした世論の広がりを恐れたんでしょう。今年四月、突如として再開発の意義について、神宮の護持といい出したわけです。驚くべきことに小池知事までもが五月の記者会見で、明治神宮からは内苑、外苑の護持といったようなことなど、コンセプトも明確に出していただいていると、神宮の護持を再開発の明確なコンセプトといってしまったわけです。
 そこで、知事にお聞きします。
 二〇二二年度、知事は外苑再開発を施行認可していますが、施行認可理由をお示しください。

○谷崎都市整備局長 都市再開発法では、申請が法に規定する認可の基準を満たす場合には認可しなければならないと定められており、法にのっとり、適切に認可したものでございます。

○原田委員 大体認可した知事に聞いているのに、何で局長が答弁に立つのかと。知事、局長の答弁、聞いていましたか。法にのっとり適切に認可したと答弁したんです。
 明治神宮の懐事情を救うのが再開発のコンセプトと捉えて施行認可したのだとすれば、認可要件である公共性に反しますし、政教分離の原則にも抵触します。認可した理由が明治神宮の護持なんて、とてもいえないわけですよ。
 外苑再開発というのは、東京都や国の独立行政法人JSCの特別の配慮がない限り、計画できない開発です。その特別配慮が大企業や一宗教法人の利益のためであってはならないわけです。
 外苑再開発での特別配慮とは、一つに、まずJSCが秩父宮ラグビー場の敷地を、この計画に差し出すこと。二つ目に、公園まちづくり制度で都市計画公園を削除し、何でも建てられるようにしてあげること。三つ目に、再開発等促進区で、公園内の容積を三井や伊藤忠のビルに移転させてあげて、幾らでも高いビルを建てられるようにしてあげたこと。いずれも都市計画公園内で行われる前代未聞の特別な配慮です。
 知事がここに来て明治神宮の護持を強調するのは、こうした特別な配慮から都民の目をそらしたい、その一心の苦し紛れの言葉ではないでしょうか。都市再開発は、あくまでもその地域の望ましい発展のために、ひいては東京の未来のために特別の配慮を施すものです。
 ですから、その根拠となる地区計画の策定に利潤を追求するディベロッパーを組み込んで、そのいいなりに行政が地区計画をつくることは許されません。最低限、地権者は影響が大きいことから、行政は意見を聴取することになっています。
 そこで、お聞きしますが、ファクトシートという冊子の八ページには、事業主体のトップに三井不動産が書かれていますが、三井不動産は、神宮外苑地区に土地を有していますか。

○谷崎都市整備局長 ファクトシートの八ページには、事業主体として、再開発事業者の施行者である三井不動産株式会社、宗教法人明治神宮、独立行政法人日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事株式会社の四者を示してございます。三井不動産は再開発事業の区域内の全地権者の同意を得て、施行者の一人になったと聞いております。

○原田委員 市街地再開発事業の話は聞いていないわけですよ。
 聞き方を変えます。三井不動産は、神宮外苑地区の地権者なんですか。

○谷崎都市整備局長 三井不動産は、神宮外苑地区に土地を有していないが、神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書に参加しており、再開発事業区域の全地権者の同意を得て、施行者の一人になったと聞いております。

○原田委員 要は地権者であると答弁できなかったわけです。それでは、なぜ地権者ではない三井不動産があたかも地権者であるかのように、神宮外苑地区再整備の検討に参加してきたのかが問われます。
 さて、高まる都民の不信に対応するため、都市整備局は昨年度、外苑再開発の正当性を主張するため、ファクトシートという冊子を作成しています。ファクトシートの五ページにまちづくりの経緯が示されていますが、これ細かい経緯がいっぱいあるんですけど、一番上の段は二〇一五年からとなっています。
 しかし、私たちが入手した開示資料では、少なくとも二〇一三年から三井不動産は顔を出すわけですよ。このときから三井不動産と東京都はやり取りをしていたんじゃありませんか。

○谷崎都市整備局長 平成二十五年六月の神宮外苑地区地区計画の決定を踏まえ、関係地権者等との個別の調整を行っております。三井不動産と調整を行った記録は見当たりません。
 なお、お話のファクトシートの五ページは、神宮外苑地区のまちづくりに係る関係権利者との基本覚書を締結した平成二十七年四月以降の経緯を示したものでございます。

○原田委員 地区計画の決定を踏まえ、関係地権者等との個別の調整を二〇一三年からもう始めていたと。三井不動産と調整を行った記録は、ところが、ないじゃないんですね、見当たらないという答弁でした。二〇一五年よりも前に三井不動産と東京都がやり取りをしていたことは、どうしても認めたくない事情があるようです。
 次の資料をご覧ください。(画像表示)私たちの開示請求に都が提出した公文書です。タイトルは、神宮外苑地区の再整備について、都市整備局による知事への説明資料です。
 二〇一三年一月に地権者等による神宮外苑地区全体の再整備の検討が始まっていると。そこには地権者として三井不動産の名前があります。この資料は、都市整備局が知事に神宮外苑地区の再整備を説明した公文書ですよ。どういう理屈で三井不動産は地区計画の策定に入り込んだんでしょうか。
 少し過去を振り返ります。三井不動産が初めて公文書に現れた二〇一三年の前の年、二〇一二年には——資料をご覧ください。(画像表示)当時の佐藤副知事と安井技監が森喜朗氏のもとを訪れ、今の再開発の原形となるイメージ図を見せていた資料を、日本共産党都議団が発見し、大きな話題となってきました。
 実はこのときは、まだ明治神宮に再開発計画を話していなかったことが、開示文書から、この文書からは明らかになります。森喜朗氏は神宮に話をすることについて、こういってるんですね。神様が相手だから大変だな、こうちゃかしました。そして、このとき、オリンピック招致に失敗したら計画が頓挫するのではと森喜朗氏が心配したときです。安井技監が、都市計画変更の調整は全体の再整備を前提に進めると答えたんです。
 ここ大事です。当時は国立競技場の建て替えが焦点になっていた時期、二〇一二年で、国立競技場の範囲だけを都市計画決定すればよかったのに、何で安井氏はこのとき神宮外苑全体の再整備を口にしたのか。
 お聞きします。ファクトシートの八ページで地区計画の範囲が示されていますが、二〇一三年当初、再開発等促進区を定める地区計画をどうして神宮外苑地区全体に指定したのですか。

○谷崎都市整備局長 先ほど画面に映していただいた三井不動産という名前でございますが、当時地権者による検討はスタートしていたということは承知してございます。それはあくまで地権者間での打合せということを認識しているところでございます。
 今のご質問につきましては、神宮外苑地区には、国立霞ヶ丘競技場や神宮球場、秩父宮ラグビー場などの大規模スポーツ施設を中心として、様々な施設が集積しております。
 こうした地区の特色を生かして、既存施設の更新及び周辺基盤の整備を推進し、国内外からの集客力が高く、にぎわいあふれるスポーツ、文化、交流のまちを形成することなどを目標として、神宮外苑地区全体を地区計画の区域といたしました。

○原田委員 このパネル、ご覧ください。(画像表示)実はこのとき、この森喜朗氏と佐藤副知事が会った二〇一二年、そしてその次の年の二〇一三年、指定された再開発等促進区の区域と今年認可された第一種市街地再開発事業の区域には大きな違いがあることが分かりました。
 二〇一三年に指定した再開発促進区の方には、伊藤忠商事の隣の高層ビル、オラクルビルが入っています。しかし、市街地再開発事業にはオラクルビルは入っていません。なぜ促進区、二〇一三年の促進区の区域にオラクルビルの土地を入れる必要があったのかと。これまで私たちの質疑で、都は、このオラクルビルに三井不動産が権利を持っていると答弁しています。
 それでは、三井不動産がオラクルビルに持っている権利とはどのような権利ですか。

○谷崎都市整備局長 三井不動産がオラクルビルに持っている権利でございますが、ビルの床の権利ということで承知してございます。

○原田委員 改めて確認しますが、再開発等促進区のような容積率を高めたり、移転させたりするような地区計画は、あくまでも公共性が必要で、一企業や個人への特別な配慮として使われてはなりません。
 その上で、都市計画法第十六条二項では、地区計画の案は、区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成すると。地権者とか、政令に定めた利害関係者には話を聞かないといけないよねと定められているわけです。
 さて、三井不動産がオラクルビルに所有している、有している権利は信託受益権です。しかし、信託受益権は、先ほどの都市計画法第十六条二項に定めた政令で定める利害関係者には含まれていません。
 もし地区計画を策定する前に、都が地区計画区域の地権者ではない三井不動産に計画案を説明していたり、意見を求めていたとしたら、随分な拡大解釈となります。一信託の受益権者でしかない三井不動産を、知事レクの資料で地権者として扱い、さらにわざわざ地区計画の網を広げて、その中に入れてあげると。そして、計画策定の意見を求めていたかもしれない。ここに本当の特別な配慮があったんじゃないですか。
 こうしたことを隠すために、ファクトシートは、神宮外苑再開発の経緯について、二〇一五年以降のことしか記載されていないのではないですか。疑問は深まりました。
 さて、この三井不動産は国際イコモスのヘリテージアラートに対し反論を行いました。反論というより、ただのいい逃れでした。しかも、事もあろうに、知事も一緒になって、このヘリテージアラートに対して、こういいました。かなり一方的な情報しか入っていないと。不見識極まりない態度であります。
 そこでお聞きしますが、二〇二二年度、日本イコモスから事業者及び東京都に対してどれだけの提言や意見、質問が行われたのか、また、それに対して返答したのか伺います。

○谷崎都市整備局長 令和四年度に、日本イコモスから文部科学省、環境省、国土交通省、港区、新宿区、事業者、東京都などに神宮外苑の保全等に関する提言や意見が出されており、都を含めて寄せられた意見等は十件でございました。
 なお、都市計画や環境アセスメントにおいては、法令等に基づく手続の中で、都民からの意見書を受け付け、見解を示すなど、適切に対応しております。

○原田委員 何と三井不動産と都の両者に対する日本イコモスの意見等は十回に及んだとのことでした。しかし、日本イコモスによれば、三井不動産も都も一度も返信をしていません。どこが適切に対応ですか。議論のテーブルに着こうと必死に訴えたイコモスを無視していたのに、かなり一方的な情報しか入っていないなどと、よくも知事、いえたものじゃありませんか。
 ほかにも見過ごせない、いい逃れがありましたよ。イコモスが世界の主要都市で公園の土地を再開発に回すことは聞いたことがないと批判したのに対して、事業者は、事務所棟、複合棟A、複合棟Bの建設を予定しているが、全て都市計画公園区域の外ですと反論したわけです。
 三井不動産の百八十五メートル超高層ビルが建つ場所は、公園まちづくり制度で区域を削除されるまで、都市計画公園区域だったのではないんですか。都の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 まず、イコモスへの反論でございますが、先ほど申しましたように都市計画や環境アセスメントにおいて、法令等に基づく手続の中で、都民からの意見書を受け付け、見解を示すなど、適切に本事業は対応しているところでございます。
 ただいまのご質問にお答えいたしますと、公園まちづくり制度は、都心部にある長い間供用されていない区域を含む都市計画公園において、公園機能の早期発現と良好なまちづくりの両立を実現するものでございます。
 事業者は、お話の建物を含め、神宮外苑地区において公園まちづくり制度を活用し、質の高い公園的空間を創出するとともに、青山通り沿道等において、土地の高度利用によるにぎわいの創出を図ることとしております。

○原田委員 質問に答えていません。三井不動産の超高層ビルが都市計画公園の区域を削除して建てられることが、この計画の最大の特徴でしょう。それをごまかそうとする三井不動産を、イコモスの指摘からかばおうと東京都が答弁するのはおかしいでしょう。
 この都市計画公園区域の削除を可能にした公園まちづくり制度、神宮外苑の地区計画が作成された年、二〇一三年につくられた制度ですよ。この制度では、都市計画公園区域を削除する条件として、削除する面積の六〇%を緑地等にすることが定められています。外苑再開発でいえば、三・四ヘクタールの公園区域が削除されるので、二ヘクタールの緑地等を新たに確保せねばなりません。
 そこでお聞きしますが、公園まちづくり制度によって新たに確保する緑地とは何を対象としているか。

○谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度における緑地等は、東京都公園まちづくり制度実施要綱に規定するとおり、都市計画の変更により、都市計画公園、緑地を削除する部分に設ける地区施設または主要な公共施設のうち、緑地、広場その他の公共空地をいい、人工地盤上のものを含み、屋内の部分を除くものでございます。

○原田委員 人工地盤とかエレベーターとか歩道状空地も入っちゃうんですよね。お答えにはありませんでしたが、都市計画公園を削除する面積の六〇%を削除したビルの周りの区域内で確保できない場合、都市計画公園の中に、つまり外苑の中に新たにつくった緑地等を足すことができます。
 そこで、外苑再開発の区域でどこが緑地等にカウントされているのか調べてきました。ご覧ください。(画像表示)歩道状空地やエレベーターまで緑地にカウントされていると。
 下の方ですね、その中に何と、この丸で囲った部分です、建国記念文庫の森が含まれているじゃありませんか。建国記念文庫の森は、貴重な植生を含む三分の二の樹木が伐採、移植され、ラグビー場が際まで建ち、まさに完膚なきまでに破壊される森ですよ。
 ところが、そのおよそ三分の一しか残らなかったこの森を、事業者は、何とですよ、新たに確保した緑地等として申請し、公園まちづくり検討会がそれを容認してしまっているんですね。建国記念文庫の森は破壊されるのみじゃありません。超高層ビルを建てる際の条件である新たに確保された緑地に利用されたわけです。
 このように欺瞞に満ちた公園まちづくり制度を東京都がどのように準備したのか、しかもタイミングよく神宮外苑の地区計画が策定される同じ年に創設されたのはなぜなのか、都民には知る権利があります。
 ところがですね、公園まちづくり制度、条例ではなく要綱であるため、つまり行政内部の運用指針レベルのものなので、この制度がどうつくられたのか、政策形成過程は保存年限がたった一年、廃棄されたそうです。私たちの開示請求に対して不存在という回答でした。
 外苑再開発は、公園まちづくり制度を初めて適用した事業で、十年たっても唯一の事例が外苑再開発にもかかわらず、その事業の継続中に政策形成過程の資料を廃棄したと。深刻な問題です。
 ファクトシート五ページを見ると、公園まちづくり計画提案書の提出は、公園まちづくり制度の要綱に定められています。重要な制度が、なぜ条例でなく要綱なんですか。

○谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度の実施要綱につきましては、都市計画による法定手続の前段として、民間による公園まちづくり計画が優良なものであるかどうかを判断するための行政の運用基準であることから、要綱として定めたものでございます。
 公園まちづくり計画を踏まえて、都市計画公園の変更及び地区計画の決定を行うに当たっては、都市計画法に基づき、適切に手続を進めております。都市計画審議会等に諮り、決定をいただいております。

○原田委員 どこが優良なんですか、不良じゃないですか。答弁でいわれた民間とは、つまり都民でなく三井不動産のことでしょう。公園まちづくり制度を要綱にしたこと。それはつまり都市計画公園を削除するという重大な決定を、広く都民にも議会にも公開せず、行政内部の手続で短期間に都市計画変更まで進めるためじゃありませんか。公園まちづくり制度は即刻廃止を求めるものであります。
 このように徹頭徹尾、東京都が三井不動産に特別な配慮を行ってまで建設したいのは一体どんなまちなんでしょうか。
 三井不動産の超高層ビルにはホテルが入りますが、実は外苑は文教地区に指定されています。文教地区とは、教育施設が多く集まっている地区のことで、文教地区建築条例において、演芸場や観覧場、マーケット、そしてホテル建設も原則禁止されているわけです。
 それで、先ほどのファクトシート一〇ページのまちづくりのビジョンと方針を見ると、複合型のまちづくりと称して、ホテルが記載されています。文教地区建築条例上、ホテルは原則として建てられないこととなっているんですが、この地区でホテルが文教上必要として認められる理由をお聞きしたんですが、最後までお答えは出てきませんでした。
 三井不動産の超高層ビル、ホテルが文教上必要と認められる理由、私、事前に知っておきたいんですけれども、ここにですね、事業者の提出した企画提案書を示しました。(画像表示)ここで超高層ビルのホテルについて、何と書いてあるか。にぎわい交流機能の項で、こう書いてある。宿泊機能、サービスアパートメントの導入を図るとある。
 サービスアパートメントについては、こう書いてあります。地区周辺の大使館や医療施設等の利用者など中長期利用を見込むことが可能な施設とし、キッチンつきの施設として、大規模スポーツ施設のイベント時の国内外からの中長期のスポーツ選手の滞在もできる施設と書いてあります。もはや庶民のスポーツとはかけ離れ、海外からのビジネスパーソンや国内外の高額所得者による医療ツーリズムも視野に入っていることが分かります。こんな計画が文教上必要なものと認められるはずがありません。
 知事、「未来の東京」戦略 version up 二〇二二における神宮外苑地区の位置づけ、お答えください。

○谷崎都市整備局長 まず、ファクトシートの一〇ページには、事業者におけるまちづくりのビジョンと方針などを示しております。
 お尋ねのホテルでございますが、例えば日本青年館については、より一層のスポーツ振興推進等の活動が行われ、新たなスポーツ文化の拠点の役割を果たすとされていることから、宿泊機能を含め文教上必要と認めて許可がされております。
 東京都文教地区建築条例では、文教上必要または文教上の目的を害するおそれがないと認められ、許可を受けた場合は、ホテルの建築が可能となります。

○原田委員 答弁では、国際競争力を確保する拠点開発として、何と品川駅北周辺地区と神宮外苑を並べました。品川駅北周辺地区、高輪ゲートウェイ周辺の開発のことで、高輪築堤が発掘され、ヘリテージアラートが出ています。これと神宮外苑を並べることなど、到底許されない。

○早坂委員長 終わってください。

○原田委員 そのことを指摘して、質疑を終わります。(拍手)

○早坂委員長 原田委員の発言は終わりました。
 阿部祐美子委員の発言を許します。

○阿部委員 令和四年度各会計決算の全局質疑において、都議会立憲民主党を代表して質疑を行います。
 既に局別の質疑は各分科会で重ねてきました。ここでは、まず全体像を概観したいと思います。
 四年度の予算では、世界をリードする東京へ進化するとありましたが、四年度の事業、施策全体を通じ、世界を視野に、東京の都市力をどれだけ向上させてきたのか、知事の見解を伺います。

○小池知事 阿部祐美子委員の質問にお答えをいたします。
 時代が加速度的に変化をし、国際競争が激化の一途をたどっております。その中におきまして、サステーナブルリカバリーを実現し、世界から選ばれる都市へと成長を遂げていかなければなりません。
 そのため、成長のエンジンとなるスタートアップへの支援、DX、GXの加速化など、世界をリードする東京の実現に向けて、あらゆる面から施策を講じまして、都市力を高めてきております。
 さらには、長引くコロナ禍への対応に加えまして、電力需給の逼迫や、また円安、物価高騰など、次々と降りかかるような課題が山積をいたしておりますが、それらに対してスピード感を持って積極果敢に取り組んでいるところでございます。

○阿部委員 経済や産業分野を中心にお答えをいただきました。ご答弁にもあったように、都市力、都市の力量と一口でいっても、そこには様々な要素があり、時代とともに内容やその軽重は変化するものと思います。
 近年の傾向として、世界から選ばれる都市となるためには、環境や人権問題に関するクオリティーを上げていくことも必要であると考えております。
 先ほども様々質疑がありましたが、神宮外苑地区の開発は、残念ながら都市環境や歴史への敬意を欠き、東京の魅力向上に逆行するものです。日本イコモスは、令和四年度にも神宮外苑地区の再開発に関して、繰り返し要請等を行ってきましたが、都はそれに対して回答をしないままでした。
 都はなぜこれまでイコモスへの回答を行わなかったのか、その理由について、知事の見解をお伺いいたします。

○谷崎都市整備局長 令和四年度に、日本イコモスから文部科学省、環境省、国土交通省、港区、新宿区、事業者、東京都などに神宮外苑の保全等に関する提言や意見等が出されております。
 なお、都市計画や環境アセスメントにおいては、法令等に基づく手続の中で、都民からの意見書を受け付け、見解を示すなど、適切に対応しております。

○阿部委員 私は、知事になぜ、理由を伺ったんですね。特に日本イコモスを無視する態度を続けたことが、世界遺産選定の答申を行うイコモス本体に届き、本年度のヘリテージアラートにつながってしまったこと。つまり、これは都の不作為あるいは作為が、結果的に東京都、ひいては日本全体の環境文化施策の国際的な信用低下を招いてしまっている。そのことについて、改めて知事の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 東京都は、神宮のまちづくりにつきましては、都市計画や環境アセスメントについて、法令等に基づき、適切に対応してございます。また、まちづくりを進めるに当たっては、都民の理解と共感を得ることが重要であり、事業者に対して丁寧な説明や情報発信を行うよう要請しているところでございます。

○阿部委員 その都庁の理屈というのは、なかなか国際的には通用いたしません。残念ながら、知事からのお答えはありませんでしたが、世界をリードする都市を目指す東京都のトップとしては、いささかアンテナが低かったのかなというふうに感じます。ぜひ今からでもこの問題を直視し、名誉挽回を図っていただきたいと思います。
 さて、環境問題に次いで、国際社会の中で急速に今潮目が変わっているのが人権問題への対応です。
 国連で人権に関する政府と産業界の義務と責務を概観した指導原則が出たのは二〇一一年、自主的な取組では不十分として、義務として、人権デューデリジェンスを法制化する国が増える中、昨年にはようやく日本でも経産省が人権尊重のためのガイドラインを出しました。
 この流れを踏まえ、人権についての都の基本的な考えと、組織としての東京都並びに都職員が一層人権意識を涵養するために、昨年度どのような取組を行ったのか伺います。

○野間総務局長 東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例では、東京に集う多様な人々の人権が誰一人取り残されることなく尊重され、東京が持続可能なよりよい未来のために人権尊重の理念が実現した都市であり続けることは、都民全ての願いであると規定されてございます。
 都では毎年度、各局職員を対象としたeラーニングなど、人権に係る各種研修を実施し、全庁の人権担当課長により構成される会議等を通じて最新事例を共有するなど、人権意識の向上を図ってございます。

○阿部委員 今日は四年度決算ですので、ここまでとしておきますけれども、東京都は都民や企業に対して、人権尊重を求める立場です。今、世界の潮目は変わってきています。まず、都自らが人権侵害の主体になっていないか、都としての施策、制度の中に人権侵害が隠れていないかという視点も含め、人権に関する感度を一層上げて、そしてルール化を進める必要があると指摘をしておきます。
 さて、各論に入る前に、決算に関する諸資料の在り方について伺います。
 決算は行政監視の最も重要な資料ですが、決算説明書には事業別に執行状況が記載をされていません。予算は、分かりやすい資料を作って、積極的にPRしている。しかし、一年間の都政運営の成績表である決算資料は、はるかに情報量が少なく、より分かりやすい資料を作る必要があると考えますが、見解を伺います。

○須藤会計管理局長 会計年度における歳入歳出予算に対する執行結果を計数的に表した決算を分かりやすくお示しすることは重要でございます。こうした観点から、都では、収支の執行結果等を精緻に積み上げた法定書類である歳入歳出決算書などを作成するとともに、これ以外にも、決算内容をより分かりやすく伝えるため、東京都決算参考書、決算説明書及び複式簿記・発生主義会計に基づく財務諸表を作成しているところでございます。

○阿部委員 そうした資料を作成されているということは承知をしておりますけれども、第一分科会では須山議員、そして第二分科会でも私、内容が現行では不十分であるということは、分科会の審議の中でも指摘してまいりました。
 税金をどのように使うかという計画は喧伝しても、実際に何に使ったかという報告は納税者に十分できていないのではないか。執行率が低い事業が大きくまとまった、まとめられた説明の中に隠れてしまっている、そのような状況も散見をされております。
 ぜひもう一度振り返って、そして議決された予算内容から、各局でどれだけの流用が行われているかも分かるような、そうした資料が必要だと考えております。予算資料を作っている財務局とノウハウを共有したり、あるいはデジタルサービス局と連携しながら、お金の動きと、それを可視化する資料の解像度を上げる必要があると考えております。ぜひ決算を大切にしていただきたいと思います。
 少子化対策について伺います。
 次の世代を生み育てる力は、その社会の持つサステーナビリティーの根本です。世界人口が急増を続ける中、日本は急激な少子化が進行しております。東京は、他の道府県から若い世代が流入しているにもかかわらず、合計特殊出生率は全国で最低です。子供を産み育てやすい環境づくりを加速する責任が東京都にはあります。
 子育ては二十年間の長期プロジェクトです。一時的な手当や支援は、対象者にとっては有益ですが、出産への意思決定を後押しする力は限定的です。少子化対策の観点では、〇一八サポートなど恒常的な仕組みにしていく必要があることは、我が会派が繰り返し指摘をしてまいりました。
 子供を産み育てやすい環境の中で極めて重要なのが雇用対策です。非正規雇用者は、正規雇用者に比べ配偶者率は低く、また、非正規雇用の女性は、正規雇用に比べ子供を持つ意欲を持つ人の割合が顕著に低い状態にあります。十分な収入が将来的にも安定して見込めること、妊娠、出産による収入減少リスクが少ないことが、結婚や出産、育児に踏み切るための後押しとなります。
 しかし、国の調査では、ちょうど結婚や出産を意識する二十五から三十四歳の若年層だけを見ても、働く人たちに占める非正規雇用の割合は二割を超えています。こうした若者の安定就労に向けて、都はどのように取り組んだのか、昨年度の取組内容と正社員就職の実績について伺います。

○坂本産業労働局長 都は、しごとセンターにおいて、若者の正規雇用を後押しするため、職場実習から採用後の定着までをサポートするプログラム等を実施いたしました。
 これらによりまして、令和四年度は三千六百六十三人の若者の就職を実現し、その約八割は正社員としての採用となりました。

○阿部委員 三千六百六十三人の若者の就労実現、八割は正社員とのことですから、三千人弱ということでしょうか。会派としても、しごとセンターの視察も行い、その取組は評価したいと思います。
 しかし、都内に限っても、非正規雇用全体のボリューム感から見ると、そのインパクトはあまりに小さい状況です。一方で、東京都では、知事部局並びに政策連携団体の非常勤職員、臨時職員だけで一万人をはるかに超えています。委託契約によって公的サービスを担っている非正規雇用者の数は、さらに膨大です。
 都は、一方で、正規雇用の後押しのために税金を使い、一方では、自ら多くの非正規雇用を生み出してしまっています。この構図は見直す必要があるのではないでしょうか。
 また、東京都は企業スタートアップやクリエーターの後押しをしていますが、こうした環境では産休、育休、時短などの確保が難しい面もあります。インボイス制度導入で、さらに生活が苦しくなっているフリーランスの方々も少なくありません。多様化する働き方それぞれへの目配りが大切だと考えております。
 住宅問題も深刻です。特に都市部において、子供のいる家庭が経済的に困窮に陥った際、居住可能な賃貸住宅を探すのは至難の業です。私も、区議会議員時代に幾度も一緒に転居先を探し歩きましたが、家賃の低廉なアパートでは軒並み子供不可、都営住宅も外れ続け、子供がいることがこんなにも課題を深刻化させるのかとやるせない思いになりました。
 低所得者への住宅政策の現状を伺いたいと思います。
 令和四年度の都営住宅の十一月定期募集では、十八歳未満の子供が三人以上いる多子世帯、二人いる準多子世帯の枠組みで何世帯が申し込み、何世帯が当せんできたのでしょうか。
 また、東京ささエール住宅の家賃低廉化補助の令和四年度実績のうち、子育て世帯の補助戸数を伺います。

○山口住宅政策本部長 都営住宅につきましては、令和四年度の十一月期定期募集における多子世帯の申込者数は百九世帯で、当せん者数は三十九世帯でございます。また、準多子世帯は、それぞれ三百十六世帯、五十八世帯でございます。
 東京ささエール住宅の専用住宅における家賃低廉化補助の実施に当たりましては、区市が地域の実情などに基づき、対象とする世帯を定めており、区市からの聞き取りによりますと、令和四年度の子育て世帯に対する実績は、五区市において計五十五戸でございます。

○阿部委員 いろいろ頑張っているのは分かるんですけれども、実際に都営住宅の多子世帯、七倍優遇されていても、三分の一強しか入れない。準多子世帯は二割弱なんです。ささエール住宅は、自治体数も実績も僅かです。子供を持つことが不利になってしまう、こうした東京の現状を変えるために、住宅施策の強化も必要です。
 安心して子供を産み育てるには、子育て環境への信頼感も大切です。保育園の待機児童問題はかなり改善をいたしましたが、その一方で、深刻さを増しているのが学童クラブです。
 そこで、令和四年度における学童クラブ待機児童対策と、指導員の処遇改善の取組状況を伺うとともに、待機児童の状況に対する都の認識を伺います。

○佐藤福祉局長 都は、放課後児童支援員の経験年数等に応じた処遇改善を図るために必要な費用の一部を支援しております。
 また、昨年度から、学童クラブの待機児童解消計画を策定した区市町村に対しまして、整備費の補助や、地域の実情に応じた放課後の居場所を確保する取組への支援を実施しております。
 令和四年五月一日時点の待機児童数は三千四百六十五人でありまして、引き続き学童クラブの待機児童解消に向け取組を進めてまいります。

○阿部委員 これも努力は分かるのですが、三千四百六十五人、これは二〇一九年段階の保育園待機児童数に匹敵する数です。学童に入れないために、低学年から塾や習い事で代替するなどの状況もあり、隠れ待機児童はさらに膨大と考えます。また、定員を定めない全児童対策によって、過密化している現場もあります。
 しかし、保育園問題と違って、行政の増設マインドは決して高くなく、指導員の処遇も低く、指導員不足が顕著です。現在受託している事業者の中にも、事業を縮小せざるを得ないとの声があり、今後急激に深刻化すると予想されます。そして、学童クラブ、この不足は、少子化、あるいは女性の就労、子供の育ち、塾代負担などによる教育負担の高騰など、様々な問題を生んでしまいます。
 公立の小中学校の現状も、子育て上の大きな心配事です。既に分科会でも様々な議論を行ってまいりましたが、例えば教員不足、学校の現場に教員の不足が様々なきしみを生んでいる中、都教委は外部人材を入れる試みの一つとして、四年度、エデュケーションアシスタント事業をスタートいたしました。
 先ほども少しご答弁ありましたけれども、この事業の費用と評価を伺いたいと思います。

○浜教育長 都教育委員会は、子供との関わりに特にきめ細かな対応が求められる小学校低学年で、副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントを配置する事業を令和四年度に開始いたしました。
 二十校に五十七人を配置し、決算額は九千五百万余円でございます。実施した学校からは、担任以外の大人が関わることで、子供の安心感につながったなどの評価を得ております。

○阿部委員 この事業は、低学年に一学年一人ずつ、基本的に一校三人配置して、一億円弱ということでした。現場からの評価も高い事業であります。五年度には実施したいという意向を示した自治体も二十ほどあったと聞きました。数多くの希望があった。
 にもかかわらず、この事業、五年度の展開では、三学年で一人、一学年で一人から三学年で一人に縮小してしまった。予算の都合だそうで、現場や自治体から落胆の声も聞かれました。四年度決算によると、教育費全体の不用額は三百十億円に上ります。人に使うことへの優先順位を上げていくべきではないかと思います。
 以上、駆け足で子供を産み育てやすい環境づくりについて、幾つかの視点から確認をしてまいりました。いずれもメニューはありますが、問題の改善を図るには、ボリュームが圧倒的に不足をしています。
 こうした点を踏まえ、少子化対策に向けた知事の姿勢と決意を伺います。

○小池知事 急激に進行する少子化の状況でございますが、我が国の存立基盤を揺るがす重大な危機でございます。そして、もはや一刻の猶予もないという認識でございます。
 その認識の下で、都は出会いから結婚、そして妊娠、出産、子供の健やかな成長に至るまで、ずうっと切れ目のない支援を、スピード感を持って講じているところでございます。

○阿部委員 我が国の存立基盤を揺るがす重大な危機というのは、まさにそのとおりだと思います。その危機感に見合った規模になっているのか。学童に入れなければ、その損失は月五千円をはるかに超えます。行政として何をどれだけ行うことが効果的な施策展開になるのか、より深い検討をお願いしたいと思います。
 次に、都民の健康に関する施策について伺います。
 まず、先ほどの少子化の議論とも重なりますが、女性の健康施策です。厚労省の調査では、検診受診率はどの世代でも女性が有意に低く、特に三十代女性は極端に低くなっています。まさに出産、子育て世代でもあり、この層にフォーカスした施策も必要です。
 少子化対策を進める上で、女性の健康の保持増進に向けた取組が重要であると考えますが、都の取組について伺います。

○雲田保健医療局長 女性は、思春期から高齢期までのライフステージごとに、体の変化や疾病など様々な健康上の問題に直面するため、生涯を通じて健康づくりを支援することは重要でございます。
 このため、都は、女性のヘルスリテラシー向上に向け、ポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部におきまして、望ましい生活習慣や検診受診の重要性について普及啓発するとともに、女性の健康づくりに役立つコラムを昨年度から定期的に発信しております。
 また、東京商工会議所と連携し、企業経営層に対して、女性の健康課題を踏まえた職場環境の整備を働きかけており、今後とも女性の健康づくりを推進してまいります。

○阿部委員 今のご答弁にあったポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部、これなかなか充実した内容になっていると思います。一方、産業労働局の方では、働く女性のウェルネス向上委員会というサイトをつくっていて、これもなかなかよい出来なんですね。何で別々につくるのかなと思っております。ぜひ様々な形で局を超えた連携もしながら、女性の健康づくり、進めていただきたいと思います。
 ちょっと駆け足になりますが、精神医療についても伺います。
 精神疾患のある患者数は全国で四百万人を超え、三十人に一人という数の上からは大変ポピュラーな病です。にもかかわらず、いまだにスティグマが強く存在し、医療、福祉の側面で他の疾病とは異なる様々な課題を抱えています。
 昨年度、八王子市の滝山病院事件が起きました。東京都においても精神病院に対する立入検査は定期検査が医療部門、臨時の検査は福祉部門に分かれていることなど、我が会派で指摘をしてきました。指導体制の強化に加え、国の精神科特例の見直しの働きかけ、市区町村や民間と連携しての地域移行の仕組みづくりなどを関連させながら進めていく必要があると考えております。
 精神障害者の地域での生活を支援するには、都庁内の連携だけではなく、地域の関係機関との連携体制の構築が必要です。都はどのように進めてきたのか、また、地域移行した人数の実績についてもお伺いをいたします。

○佐藤福祉局長 地域で精神障害者の方を支援するためには、医療と福祉サービスの一体的な提供が必要なことから、精神科救急医療体制の整備や退院後支援における保健所との情報共有など、福祉保健局が福祉局と保健医療局に再編されましたけど、引き続き福祉部門と保健医療部門とが連携して取り組んでおります。
 都は、精神障害者が地域で安心して暮らせますよう、精神科病院と地域援助事業者等との連携体制を構築するとともに、地域の関係者間の調整を広域的に行うコーディネーターの配置などを通じまして、精神障害者の円滑な地域移行を促進しております。
 なお、国の調査では、昨年六月一か月間の都内精神科病院から在宅や施設等への退院者は二千三百十人でございます。

○阿部委員 地域移行、いろいろな形で進めていただいているということですが、滝山病院の入院患者の地域移行は進んでおりません。さらなる連携体制の強化を求めます。
 最後に、東京の島しょ振興についてお伺いをいたします。
 東京の島々には、それぞれ個性豊かな魅力がある一方、島しょ部、特に伊豆諸島では人口減少、高齢化が進行し、地域活力の低下が大きな問題となっております。こうした人口減少や少子高齢化、そして自然災害等の様々な課題を抱える島しょ地域に対する東京都の取組についてお伺いをいたします。

○野間総務局長 都は、東京都離島振興計画等に基づき、島しょ町村などと連携を図りながら、産業、就業、防災、交通、情報通信、生活、環境など、様々な分野で取組を推進してございます。

○阿部委員 おっしゃったような、都が様々な分野で取組を進めているということは、私も認識しているところです。ただ、例えば実際に振興予算がどこまで島に届いているのか。例えば活性化策の一つとして、島のブランド化を進める東京宝島事業、これを実施しておりますが、契約先は都外の事業者で、島との関わりが見えにくいとの声も聞いております。
 東京宝島事業の令和四年度の決算額及び島外事業者と委託契約を締結した金額を伺います。あわせて、島内の事業者に対してどのような支援を行ったのかもお伺いをいたします。

○野間総務局長 都は、島の特産品等を活用した観光資源の開発や、産業の担い手の確保、育成、農産物等のブランド化の推進、デジタル技術を活用した遠隔医療や教育の質の向上など、多様な取組により、島しょ地域の振興を着実に進めてございます。
 東京宝島事業の令和四年度決算額については約三億七千七百万円でございまして、各島のブランド化を推進し、魅力と活力にあふれた東京の島々を実現するため実施しているものでございます。島内の事業者を支援するため、アドバイザーの派遣や、事業者間の情報交換等に資する会議の開催等を行うとともに、PR活動等の経費を支援してございます。
 なお、都が島外事業者と契約を締結した金額は約三億五千万円でございます。

○阿部委員 三億七千七百万円のうち三億五千万円、金額の約九割は島外のといいますかね、大手広告代理店との契約になっているわけです。島内事業者はアドバイスを受けたり、情報交換したりすることができる、これも大切な価値だとは思いますが、直接の利益は代理店側に入っていくと。ぜひ現地に寄り添ったスキームを工夫し、多様な産業を育てていただきたいと思います。
 さて、島の暮らしを持続可能なものにするためには、住み続けられる生活環境が大切です。特に子供の育ちに関わる部分は重要です。
 島しょ地域においても、例えば障害のある児童生徒が必要な特別支援教育を受けられるようにすることが大切だと思いますが、都教育委員会の取組と四年度の状況についてお伺いをいたします。

○浜教育長 島しょ地域において、障害のある児童生徒は、小中学校段階では島内の学校に設置される特別支援学級等に通学しており、高等学校段階では内地の寄宿舎に入舎して特別支援学校に進学するなど、教育機会を確保しております。
 昨年度の島しょ地域全体の特別支援学級の状況は、小学校で七学級二十二名、中学校で七学級十五名でございます。
 なお、都教育委員会では、令和三年度から都立八丈高等学校内に青鳥特別支援学校八丈分教室を設置し、三年間のモデル事業として効果を検証しており、昨年度の在籍生徒は五名でございます。

○阿部委員 日本は、国土面積が世界六十一位ながら、海洋面積は六位、離島があるために、その住民の暮らしがあることが、日本全体に大きな恩恵と可能性をもたらせています。人口減少に歯止めをかけ、地域活力の維持向上を図るには、重層的な支援での取組が必要だと認識しております。
 最後に、島しょ振興に関する知事の思いを伺って、私の質問を終わります。

○小池知事 東京の島しょ地域は、豊かな自然環境と個性ある特産品や文化などを有する宝島でございます。また、日本の排他的経済水域確保の観点からも重要な役割を担っております。
 機会あるごとに私は島を訪れておりまして、その多様な魅力を実感しているところでございます。島しょ地域の持続的な発展のため、DX推進、移住定住の促進など、様々な施策に取り組んでおります。

○早坂委員長 阿部祐美子委員の発言は終わりました。
 田の上いくこ委員の発言を許します。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 令和四年度決算審議に当たりましては、支出された公費の効果検証という視点、そしてまた複数年度にわたる都市計画のような事業におきましては、過去の経緯も確認しながら質問させていただきます。
 まず、教育関係です。
 教育委員会の決算について、使うべきではない事業に税金を使い、一方で、不用額を充当してでも行うべき事業があるということを指摘いたします。
 東京都及び自治体では、昨年度、物価高騰等に対応した学校給食費の保護者負担軽減を国の臨時交付金を活用しながら実施しました。
 令和五年度においても、都は都立学校について継続して負担軽減を図っていくこととしていますが、給食費の負担の在り方については、都で全額無償化を検討するべきであり、改めて見解を求めます。

○浜教育長 食材費等の学校給食費は、法において保護者等が負担することとされており、その取扱いについては国の責任と負担によるべきものと考えております。
 こうした考え方に立って、物価が高騰する中、都立学校においては、国の地方創生臨時交付金を活用し、給食費の負担軽減を図る支援を昨年度行い、今年度も引き続き実施しています。

○田の上委員 食材費等の学校給食費については、法において保護者等が負担するべきもの、またその取扱いについては国の責任と負担によるべきものという従来のご答弁でございました。
 これは小池百合子都知事も同じ認識でしょうか、知事。

○浜教育長 繰り返しのご答弁になりますが、食材費等の学校給食費は、法において保護者等が負担することとされており、その取扱いについては国の責任と負担によるべきものと考えております。

○田の上委員 教育長の認識は理解をいたしました。知事にはご答弁いただけなかったのですが、同じ認識であるものと理解しておりますが、よろしいんでしょうか。よろしいですか。違いますか。何も答えないですね。はい、そうですか、分かりました。
 私の住んでおります江戸川区は、給食費の無償化をもう始めておりまして、無償化をもう既に実施している区の中では、特別支援学校、都立学校の中の生徒児童が無償になっていないという状況が発生しております。
 その中で、今後は区の方の負担で保護者負担を軽減していこうというような動きがあります。既に実施している区もあります。でも、これが実施されたとしても、特別支援学校の中で給食費が無償の子とそうでない子がいるという状況になってしまいます。これは大変おかしい状況であり、都がちゃんと検討しなければいけない事項であるということを申し上げます。
 次に、ESAT-Jでございます。
 昨年度、受験対象者の公立中学校卒業生七万八千四百九十三人のうち、都立高校の英語科目を受検したのは三万四千五百七十八人で、卒業生の四四%でした。ESAT-Jは都立高校の入試に使われているだけというのが実態であり、少なくとも五六%の中学三年生には必要がなく、使われた税金は無駄だったのではないかと考えています。
 ESAT-Jについても、PDCAリサイクルを徹底しなければなりません。
 そこで伺います。第三回定例会の一般質問で、浜佳葉子教育長は、ESAT-Jの結果を、各都立高校では生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うことに活用しているとの答弁でしたが、教育現場でESAT-Jの結果をどのように使って生徒の話すことの力を把握しているのか、具体的に幾つかの事例を示してお答えください。

○浜教育長 各都立高校においては、入学者全員にESAT-Jのスコアレポートを提出させています。各校では、スコアレポートに記載されている国際的な基準であるCEFRに対応したESAT-Jグレードや、英語を使ってできることに関するメッセージ、次の到達目標などを示したアドバイスに基づき、生徒の話すことの力を把握しています。

○田の上委員 スコアレポートは、各都立高校で提出させているということであります。そこで、先生だったり、学校なりで、どのようにか役立てているんであろうというようなお話でありました。
 具体例を示していただけなかったのは残念ですが、次の質問をさせていただきますが、浜教育長は、公立、私立の高校等に進学する全ての生徒が返却された成績を今後の学習に役立てることができますと答弁されました。
 改めて、私立や国立の高校で、ESAT-Jの結果がどう活用されているのか伺います。具体例をお答えください。

○浜教育長 テストの終了後には、受験した生徒一人一人にスコアレポートを返却しており、生徒はスコアや到達度、個々の解答状況に応じた学習アドバイスなどを把握することができます。
 私立や国立に進学する生徒についても、テストの結果を把握した上で、進学後にも、引き続き、個々の解答状況に応じた学習アドバイスを踏まえた上で、自分の力に合った学習に取り組んでいくことができます。

○田の上委員 つまり、スコアレポートは、それぞれに返却されているから活用することはできるんだけれども、何に活用されているかは分からないという答弁でよろしいでしょうか、確認いたします。

○浜教育長 先ほどもお答えいたしましたように、私立や国立に進学する生徒についても、テストの結果を把握した上で、個々の解答状況に応じた学習アドバイスを踏まえた上で、自分の力に合った学習に取り組んでいくことができます。
 東京都としても、Tokyo English Channelなど自習に使える教材を提供しておりますし、様々な学習機会を用意しております。

○田の上委員 個々がどのように役立てているかは分からないというようなことだと思います。
 浜教育長はESAT-Jの音声データを聞いていると文教委員会で答弁されました。私も、生徒が取得した二〇二二年度に実施されたESAT-Jの開示請求された音声データを聞かせていただきましたが、ノイズが入っていたためか編集されており、音声データでは何をいっているのか分からないものがあり、採点はかなり難しいのではないかと思いました。
 そこで、教育委員の皆様でESAT-Jの音声データを聞く機会をつくっていただけないか、浜教育長に伺います。

○浜教育長 採点に使用した音声データの録音状態は、確実に採点できるものであることを確認済みでございます。
 なお、採点に使用した音声データと、生徒に開示した、提供した音声データは、別のものでございます。

○田の上委員 私の質問は、教育委員の皆さんで聞いていただけないかというものでありましたが、お答えがありませんでした。そして、確実に採点ができるものであるということでした。また、どの程度確認をしたのかということは、後日の委員会で確認をさせていただきたいと思っております。
 次の質問に移ります。
 神宮外苑再開発、そしてまた、都市の再開発の在り方についてです。
 私たちミライ会議は、人口減少、少子高齢化の次の百年を見据えた東京の都市の在り方は、東京の一極集中を加速する、世界のどの都市にもある高層ビルとにぎわい施設、商業ビルで東京を埋め尽くすことではなく、江戸開府四百年の伝統と、明治期に入って国民の献金、献木、勤労奉仕によってつくられた江戸東京の庭園都市文化をユネスコの世界文化遺産として、文化と潤いのある国際都市とすることにあると考えています。
 令和四年度に、日本イコモス国内委員会から、神宮外苑の保全・継承についての提言が発出され、イチョウ並木の永続的保全のための名勝指定の提言を行うなど、神宮外苑を文化資産として捉え、守っていくべきとの声が高まっています。
 東京の都市計画公園、緑地を大手ディベロッパーの開発用地として提供する公園まちづくり制度は廃止し、都市計画を見直して、江戸東京の庭園都市文化をユネスコの世界文化遺産とすべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度は、都心部にある長い間供用されていない区域を含む都市計画公園において、公園機能の早期発現と良好なまちづくりの両立を実現するものであり、ご指摘は当たりません。
 事業者は、神宮外苑地区において、この公園まちづくり制度を活用し、質の高い公園的空間を創出するとともに、青山通り沿道等において、土地の高度利用等によるにぎわいの創出を図ることとしております。

○田の上委員 知事のご答弁がいただけませんでした。
 知事は、神宮外苑について、文化的、そして歴史的価値についてどのようにお考えでしょうか。再度質問をいたします。

○谷崎都市整備局長 公園まちづくり制度は、都心部にある長い間供用されていない区域を含む都市計画公園において、公園機能の早期発現と良好なまちづくりの両立を実現するものであります。

○田の上委員 ご答弁では、供用されていない区域というふうにおっしゃっていました。すなわち、未供用区域でございますが、都市計画公園としての都市計画決定はされたけれども、民有地のままで一般に開放されていないエリアのことを未供用区域といっているのか伺います。確認です。

○谷崎都市整備局長 未供用区域についてでございますが、都市計画的な公園ではなくて、そこの場所に地権者等、管理者がおる、一般的には未供用というような場所でございます。

○田の上委員 それはちょっと何が供用なのか未供用なのか分からなかったです。ちょっとまた後で確認をさせていただきたいというふうに思います。
 昨年の十二月末に環境影響評価審議会が急遽開かれまして、イチョウの調査の課題を残しながら二月には事業認可となったわけですが、環境影響評価審議会は、令和三年度から現在もずっとオンライン会議となっております。対面の審議により活発な議論を促すべきと考えます。
 また、必要に応じて、事業者以外の参考人を招き、意見を聞くようにできると思いますが、見解を伺います。

○栗岡環境局長 現在、環境影響評価審議会は、対面及びオンラインを併用して、専門的、技術的観点から、精力的に議論していただいております。
 なお、環境影響評価は、条例に基づきまして、事業者が自ら作成したアセス図書を審議会で説明し、その内容について、審議会委員から専門的立場で審査いただく一連の手続でございます。

○田の上委員 通常の審議会の一連の流れということでございましたが、環境・建設委員会で、もり委員も質疑で述べておりますが、アセス条例七十四条の二は、事業者その他関係者の出席を求め、説明を聞き、または事業者その他関係者からの資料提出を求めることができると規定されています。その他関係者という、限定する規定はないことから、必要時には、参考人から意見を聞くことができるというふうに考えております。
 令和四年三月の外苑地区地区計画の変更では、A地区とB地区の土地利用の方針が示され、都市計画決定、そしてまた、令和五年二月には……

○早坂委員長 時間となりましたので、終わってください。
 田の上いくこ委員の発言は終わりました。
 岩永やす代委員の発言を許します。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 まず最初に、知事の都政運営について伺います。
 緑保全についてです。
 ビッグモーターによる街路樹の被害が問題になり、改めて街路樹が注目されました。東京は、街路樹をはじめ、都心にある公園などにも大木が枝を広げ、心地よい木陰を提供しています。先人が植えた樹木が大きくなって、その恩恵を、今生きている私たちが享受しているのです。
 ところが、公園のリニューアルや無電柱化、神宮外苑の再開発などを理由に、樹木の伐採が止まりません。二〇二二年度も、樹木を守ってほしいという多くの市民から、都議会にも請願陳情が寄せられています。公園や街路樹などの管理は都がやっていますが、樹木は東京に暮らす都民の大切な財産です。
 「未来の東京」戦略でも、緑保全の方針があります。樹木の伐採や保全を含めて、緑施策については、専門家の見識を集め、市民の合意を高める必要があると考えます。多くの樹木が伐採される神宮外苑の再開発について、知事は、民間事業者がやっていることと述べていますが、外苑の公共性を考えると、所有者である宗教法人明治神宮も、都心の貴重な樹林地であり都民に愛されている樹木や景観を守る立場であります。
 そこで、都民の要望に応え、知事は、明治神宮と交渉する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

○谷崎都市整備局長 神宮外苑地区のまちづくりを進めるに当たっては、広く都民の理解と共感を得ることが重要であり、都はこれまでも、事業者に対しまして既存樹木の保全などに取り組むよう要請してきております。

○岩永委員 百年育まれた樹木や、都心の貴重な緑に満ちた景観は、都民全体の財産です。今、外苑を守ってほしいという声は、都内だけではなく、全国、そして世界中で日に日に大きく広がっています。この問題を解決するには、もはや知事の決断しか糸口はありません。今回は局長がお答えされましたが、知事自らの言葉でお答えいただきたく、局長ではなく知事の答弁を求めましたが、知事にお答えいただけなかったことは、本当に残念でなりません。
 次に、都市農業支援について伺います。
 まず、新規就農者についてです。
 農業の担い手不足は全国的な問題ですが、東京でも、多くの農家が後継者がいないなどの悩みを抱えています。東京の農地、農業を守るために、新たに就農する人を支援することが重要です。
 近年、農家出身でない人が就農するケースが東京でも見られ、就農意欲のある若い力が生かされることを期待するものです。生産緑地の貸借が可能になった制度も後押ししており、農地の減少が食い止められることへの期待も大きいです。
 そこで、二〇二二年度の新規就農者の取組と実績について伺います。

○坂本産業労働局長 都は昨年度、新たに農業を始める方が基礎から実践的な作業までを学ぶ研修を実施するほか、農地と担い手のマッチングなどを行いました。
 こうした取組等によりまして、七十七名の方が新たに就農いたしました。

○岩永委員 続きまして、地場産農産物と学校給食について伺います。
 生活者ネットワークはこれまでも、学校給食に地元の農産物を使うよう求めてきました。地場産農産物を多く取り入れている自治体では、学校栄養士と農業者とがコミュニケーションを取りながら、地場野菜の導入目標を掲げて取り組んでいます。進まないところの原因を聞くと、学校側の受入れ体制と、収穫したものを納入する、流通部分が課題となっています。地場産農産物の活用を広げるために、先進自治体の情報を提供するとともに、流通支援が必要です。
 そこで、都内の公立学校に向けた取組について伺います。

○浜教育長 都教育委員会では、学校栄養職員に対する研修等を通じ、学校給食における地場産物の活用を促しております。

○岩永委員 都内農産物を学校給食に取り入れる取組について伺います。

○坂本産業労働局長 都は、区市町村等が地元で取れた野菜について、地産地消を進める取組を支援しており、学校給食への供給に係る経費の一部にも補助を行いました。

○岩永委員 戦争や気候危機など、世界でも食料の確保が大きな課題となっています。国内自給率の向上やフードマイレージの視点からも、都市の農地を守り、新鮮な地場野菜を地域で食べ支える地産地消を進めていく時代になっています。
 昨年度は、大都市東京において新規就農者が七十七人増えたとのことで、とても驚くとともに、心強く思います。都市農業をつなぐためにも、就農した農業者が継続できるような取組もお願いします。
 また、学校栄養職員への研修や、供給に関わる経費の補助などが行われましたが、都市農業と学校給食との連携を、都が積極的に後押ししていくことを要望いたします。
 次に、子供のインターネットトラブルについて伺います。
 スマートフォンを所持する年齢が低年齢化しており、小学校から自分のスマートフォンを持ったり、学校の授業でパソコンやタブレット端末を日常的に使うなど、子供たちがインターネットを利用する機会が増えています。
 インターネットを通して必要な情報を素早く取る、また、SNSなどを介して多くの人とつながるなど、学びや暮らしを豊かにするメリットがある一方で、使い方を間違えると、例えば自分の撮った画像が一瞬のうちに世界中に拡散されてしまったり、犯罪に使われるなど、現実に未成年が事件に巻き込まれる深刻な被害が多数起こっており、注意喚起する以外の打つ手がありません。
 そこで、子供のインターネットトラブルの現状をお聞きします。
 まず、課金トラブルについてです。
 小学生を含む未成年の子供がオンラインゲームで遊び、高額な課金請求に至るケースが増えています。子供のオンラインゲームでの課金トラブルに関する二〇二二年度の消費者相談の件数と内容、トラブル防止に向けた取組について伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 令和四年度に都内消費生活センターに寄せられた、子供が当事者であるオンラインゲームの相談は、小学生で百八十八件、中学生で百八十一件、高校生で五十二件でありまして、その多くが、子供が親のスマートフォンやクレジットカードなどを利用し、高額請求を受けたというものでございます。
 東京都消費生活総合センターでは、学校の授業でも活用できるウェブ版の消費者教育教材をホームページ、東京くらしWEBで公開しているほか、小学生とその保護者を対象とした講座を夏休み期間に開催するなど、トラブル防止に向けた啓発を行っております。

○岩永委員 次に、インターネット依存についてです。
 全国で九十三万人の中高生にインターネット依存の兆候があり、そのうちの七割から八割がゲーム依存と報告されておりまして、子供のスマートフォンやインターネット依存も課題となっています。
 スマートフォン等の過度な利用によって生じるインターネット依存などのトラブルについて、都は、どのような対策を講じているのか伺います。

○竹迫生活文化スポーツ局生活安全担当局長 都では、青少年のインターネットに関するトラブルや困り事の相談窓口として、こたエールを設置しております。
 令和四年度の相談受理件数は、全体で千六百六十件でありまして、このうち、ネット依存に関するものは百十七件でございます。ネット依存への対応といたしましては、フィルタリングなどのいわゆるペアレンタルコントロールによる機能制限などの助言を行っております。

○岩永委員 子供が当事者であるオンラインゲームの相談が、先ほどのご答弁で、小学生百八十八件でしょうかね、中学生百八十一件、高校生五十二件ということで、小学生の年代が一番多くなっています。また、ネット依存の相談件数百十七件ということでした。
 世田谷区などでは、小中学校の子供たちが授業で使っているタブレット端末から、インターネットトラブルの相談窓口にアクセスできるような対応をしている、そんな自治体もございます。デジタル社会やバーチャル社会の中で、子供の頃からインターネットリテラシーを身につけることや相談体制についても、都教育委員会とも連携して取組を進めていただくことを要望します。
 最後に、都立霊園の樹木葬、樹林葬について伺います。
 海洋散骨や森林での樹木葬など、多様な埋葬が求められている一方、墓の荒廃や墓じまいなど、墓をめぐる問題が頻発しています。今後、多死時代といわれる時代を迎え、埋葬する場所が不足する事態も予測されるところです。
 都立霊園は、緑豊かでゆったりとした墓地になっており、最近のニーズに応じて、合葬式や樹木型、樹林型の墓地が始まりました。一昨年からは、多磨霊園でも樹林型の募集が始まっています。
 そこで、二〇二二年度、都立霊園における樹林墓地や樹木墓地の整備に向けた取組状況について伺います。

○中島東京都技監 都は、亡くなった後に自然に返りたいという都民の思いに応える新たな墓所として、これまで小平霊園において樹木墓地と樹林墓地を一基ずつ、また、多磨霊園において二基の樹林墓地を整備してまいりました。これらの墓地において、令和四年度までに、合計約一万八千体分の使用許可を行っております。
 また、令和四年度は、多磨霊園と雑司ヶ谷霊園において、樹林墓地の実施設計を行ったところでございまして、今後とも都民ニーズに応えられるよう努めてまいります。

○岩永委員 都立霊園では墓を公募していますが、なかなか当せんしないという声を聞きます。一般墓地だけではなく、合葬式の埋葬施設ができ、それに加えて樹木墓地、樹林墓地を整備することで、限られた広さに多く埋葬することができる上、遺族にとっても、金額が低く、残された墓をどうするかという将来の心配がなくなるなど、樹木葬の人気が高まっています。
 今後も、さらに樹木、樹林墓地を増やし、本人も、そして残される家族も、安心して死ねるようにしていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○早坂委員長 岩永やす代委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定しておりました質疑は全て終了いたします。
 お諮りいたします。
 令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月二十日の十二時四十五分から理事会を、また、十三時から委員会を第十二委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十二分散会


令和4年度各会計決算特別委員会 第1分科会審査報告書

第1分科会で行われた令和4年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和5年10月31日
令和4年度各会計決算特別委員会
第1分科会委員長 松田 康将

令和4年度各会計決算特別委員長
早坂 義弘 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
・本分科会は、令和5年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
 令和4年度東京都一般会計決算中、政策企画局、子供政策連携室、スタートアップ・国際金融都市戦略室、総務局、財務局、デジタルサービス局、主税局、会計管理局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
  令和4年度東京都特別区財政調整会計決算
  令和4年度東京都地方消費税清算会計決算
  令和4年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
  令和4年度東京都用地会計決算
  令和4年度東京都公債費会計決算

・本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月11日(説明聴取・資料要求) 会計管理局、東京消防庁、財務局、子供政策連携室、デジタルサービス局、人事委員会事務局、収用委員会事務局、議会局
 10月13日(説明聴取・資料要求) 警視庁、総務局、主税局、スタートアップ・国際金融都市戦略室、政策企画局、選挙管理委員会事務局、監査事務局
 10月20日(質疑) 会計管理局、議会局、子供政策連携室、財務局
 10月23日(質疑) 警視庁、収用委員会事務局、選挙管理委員会事務局、総務局
 10月25日(質疑) 人事委員会事務局、監査事務局、スタートアップ・国際金融都市戦略室、デジタルサービス局
 10月27日(質疑) 東京消防庁、主税局、政策企画局

2 本分科会における質疑の概要
(1)政策企画局所管分
 〔1〕 SusHi Tech Tokyoの推進とデジタルコンテンツを活用した東京の魅力発信について
 〔2〕 一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の有効活用について
 〔3〕 東京ベイeSGプロジェクトの実績と効果について
 〔4〕 地方との連携に向けた取組と今後の展開について
 〔5〕 「未来の東京」戦略における国際競争を勝ち抜くための課題とビジョンを実現するために実施した取組について
 〔6〕 戦略的な広報における専門人材の実績と知事を含めた情報発信について
 〔7〕 広報東京都の発行実績と閲読を促進するための取組について
 〔8〕 都庁総合ホームページの運営経費と障害者に対する配慮について
 〔9〕 インターネット都政モニターアンケートの実績と活用について
 〔10〕 都民の声総合窓口に寄せられた意見の件数と対応状況について
 〔11〕 東京2020大会について
  ア 組織委員会と解散後に移行した清算法人への職員の派遣と研修について
  イ 清算法人の業務内容について

(2)子供政策連携室所管分
 〔1〕 子供政策連携室の役割と取組の成果について
 〔2〕 東京都こどもホームページについて
  ア 魅力的なホームページにするための創意工夫について
  イ 子供の意見の反映状況と今後の取組について
  ウ 子供への周知方法とアクセス状況について
  エ リニューアルを行った際の視点について
 〔3〕 こどもスマイルムーブメントの取組実績と今後の展望について
 〔4〕 育業の普及啓発の成果と更なる推進について
 〔5〕 子供の意見を施策に反映させるための取組について
 〔6〕 子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業の概要と成果について
 〔7〕 子供の成長を応援するための取組について
 〔8〕 「子供」の表記について
 〔9〕 東京都こども基本条例ハンドブックの作成における子供の参加について
 〔10〕 こども未来会議における議論の内容と施策や方針への反映について

(3)スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分
 〔1〕 スタートアップ支援に関する民間の意見の把握について
 〔2〕 Tоkyo Innovation Baseの構築について
 〔3〕 令和5年2月のグローバルイベントの成果について
 〔4〕 キングサーモンプロジェクトの実績と成果について
 〔5〕 Startup Career Fair 2023 の目的と周知について
 〔6〕 金融機関との連携による中小企業のサステナビリティ経営の促進について
 〔7〕 サステナブルファイナンスの理解促進について
 〔8〕 東京金融賞の運営費と効果及び表彰企業によるサービスの社会実装について
 〔9〕 グリーンファイナンス外国企業進出支援事業の成果について
 〔10〕 民間企業のグリーンボンド発行に対する支援の実績について
 〔11〕 ソーシャルインパクト投資ファンドの概要と今後の取組について
 〔12〕 フィンテック企業の金融サービス実装に向けた支援について
 〔13〕 国際金融都市の実現に向けた知事のプロモーション活動について
 〔14〕 外国企業誘致の取組と実績及び費用対効果について
 〔15〕 国際金融センターランキングに関する分析と特区の推進の政策効果について

(4)総務局所管分
 〔1〕 防災対策について
  ア 首都直下地震等による東京の被害想定の見直しを踏まえた地域防災計画の修正について
  イ 帰宅困難者対策の取組と実績について
  ウ デジタルツインを活用した水害シミュレーションについて
  エ 災害時のトイレの復旧とマンションの防災対策について
  オ 防災対策における区市町村や民間事業者との連携について
  カ 都民が主体的に防災対策を行うための方策について
  キ 災害時の情報発信について
 〔2〕 人権施策について
  ア パートナーシップ宣誓制度の概要と実績及び区市町村や民間事業者との連携について
  イ 犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口の対応実績と関係機関との連携について
  ウ 被害者等支援専門員の実績について
  エ 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業の概要と相談窓口の周知について
  オ 東京都人権プラザの企画展における映像作品の上映について
 〔3〕 東日本大震災の復興支援について
  ア 被災地の状況と被災地産品の風評被害払拭に向けた取組について
  イ 都内避難者の状況と支援について
 〔4〕 職場における障害者雇用に関する理解促進の取組について
 〔5〕 育児休業の取得促進の取組について
 〔6〕 長時間労働の解消に向けた検証と状況分析について
 〔7〕 コンプライアンスの確保に向けた取組について
 〔8〕 職員のハラスメントに対する相談体制と実態把握の取組について
 〔9〕 小笠原諸島の振興について
  ア 介護サービス基盤整備の現状と課題について
  イ 小笠原定期航路補助等と小笠原航空路調査の実績について
  ウ 島民の緊急医療のための航空路開設に向けた調査検討について
 〔10〕 情報公開制度について
  ア 情報公開制度の実績と事務処理における統一性確保の取組について
  イ 積極的な情報開示のための取組について
  ウ 個人情報の保護に関する法律の改正に伴う対応と新条例施行後の個人情報の取扱いについて

(5)財務局所管分
 〔1〕 スライド条項の概要と請求実績及び物価高騰対策について
 〔2〕 設計等委託における最低制限価格制度の本格実施について
 〔3〕 入札(見積)経過調書等の公表について
 〔4〕 複数年度にわたる契約について
 〔5〕 工事及び設計等委託と業務委託における総合評価方式の適用について
 〔6〕 障害者就労促進モデル入札と障害者施設からの物品等の優先調達の実績について
 〔7〕 偏在是正措置の影響額及び都の見解と対応について
 〔8〕 新公会計制度による令和4年度決算について
 〔9〕 事業評価の取組の成果と予算編成への活用について
 〔10〕 工事現場における発注者としての新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について
 〔11〕 ESG債の目的と発行実績及び東京グリーンボンドと東京ソーシャルボンドの応募状況について
 〔12〕 予備費の見積りと充当率について
 〔13〕 都民の城の執行率について
 〔14〕 都有地の活用と暫定利用について
 〔15〕 省エネ・再エネ東京仕様の改正と都有施設のZEB化の取組について

(6)デジタルサービス局所管分
 〔1〕 区市町村のDX推進に対する支援状況について
 〔2〕 サイバーセキュリティ対策について
  ア 自治体情報セキュリティクラウドの運営について
  イ システム障害への取組と内部からの不正アクセスの防止策について
  ウ 職員に対する教育について
 〔3〕 デジタル人材の育成と各局のデジタル化への支援について
 〔4〕 行政手続のデジタル化の進捗状況と各局への支援及び都民生活の利便性向上に資する取組について
 〔5〕 デジタルデバイド対策について
  ア 高齢者向けスマートフォン体験会や相談会の実績と今後の取組について
  イ TOKYOスマホサポーター制度の取組状況について
  ウ 障害者向けの施策について
 〔6〕 オープンデータハッカソンの取組について
 〔7〕 西新宿におけるコンソーシアムの成果と今後の取組について
 〔8〕 都市OSの構築の取組状況と今後の横展開について
 〔9〕 デジタルツインの整備と活用について
 〔10〕 自動運転・ドローン物流サービス・空飛ぶクルマの社会実装について
 〔11〕 東京都スマートサービス実装促進プロジェクトの取組について
 〔12〕 東京データプラットフォームケーススタディ事業の取組について

(7)主税局所管分
 〔1〕 都税収入の推移と増収要因及び国や他自治体の税収額について
 〔2〕 徴収率の上昇要因と更なる向上について
 〔3〕 自動車に係る都税収入額と自動車関係諸税の見直しに対する見解について
 〔4〕 固定資産税・都市計画税の軽減制度と空き家に対する取扱いについて
 〔5〕 コロナ禍における個人事業税の納税相談対応と滞納整理について
 〔6〕 キャッシュレス納税の実績と推進について
 〔7〕 税務基幹システム再構築の進捗状況と課題解決について
 〔8〕 ふるさと納税制度による都と区市町村における影響額及び制度の見直しに対する見解について

(8)会計管理局所管分
 〔1〕 新公会計制度の意義と活用促進に向けた情報発信について
 〔2〕 公金管理について
  ア 財産運用収入の収入率の状況と収入率向上の取組について
  イ 東京都公金管理アドバイザリー会議について
  ウ 指定金融機関等に係る経費負担に関する都民への説明責任について
 〔3〕 決算調製の留意点について
 〔4〕 決算資料の作成と決算データの公開について

(9)選挙管理委員会事務局所管分
 〔1〕 投票率の現状と向上への取組について
 〔2〕 「選挙に関する世論調査」の活用について
 〔3〕 選挙出前授業の概要と区市町村との連携について
 〔4〕 経常的選挙管理事務の内容について
 〔5〕 公職選挙法違反の事例と公平公正な選挙事務に対する都の見解について

(10)人事委員会事務局所管分
 〔1〕 国際競争力強化プロジェクトの実施状況と成果の活用について
 〔2〕 職員採用試験について
  ア 受験者数と最終合格者数の推移及び受験者数増加に向けた取組について
  イ 外国籍を有する人の受験と障害者に対する合理的配慮について
 〔3〕 職員の苦情相談の件数と対応について

(11)監査事務局所管分
 〔1〕 住民監査請求の実績と東京都若年被害女性等支援事業委託に関する住民監査請求について

(12)収用委員会事務局所管分
 質疑なし

(13)議会局所管分
 〔1〕 職員研修について
  ア 職員の役割及び専門性と経験の蓄積について
  イ 研修の概要と課題について
  ウ 区市町村の議会事務局職員との交流について
 〔2〕 議事事務と都議会広報の不用額について
 〔3〕 議事録の速やかな公開について

(14)東京消防庁所管分
 〔1〕 消防団員の確保と処遇改善について
 〔2〕 災害時に必要な車両等の整備について
 〔3〕 令和3年12月に大阪市北区で発生したビル火災を受けて行った防火安全対策について
 〔4〕 東京消防庁救急相談センターの救急相談件数と認知度向上の取組について
 〔5〕 救急活動時間の状況と救急資格者の増員について

(15)警視庁所管分
 〔1〕 音響式信号機の設置状況について


令和4年度各会計決算特別委員会 第2分科会審査報告書

第2分科会で行われた令和4年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和5年10月31日
令和4年度各会計決算特別委員会
第2分科会委員長 入江 のぶこ

令和4年度各会計決算特別委員長
早坂 義弘 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
・本分科会は、令和5年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
 令和4年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局、福祉局、保健医療局、教育庁所管分
 令和4年度東京都国民健康保険事業会計決算
 令和4年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算
 令和4年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
 令和4年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算

・本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月11日(説明聴取・資料要求) 福祉局、保健医療局、教育庁、生活文化スポーツ局
 10月20日(質疑) 福祉局
 10月23日(質疑) 教育庁
 10月25日(質疑) 保健医療局
 10月27日(質疑) 生活文化スポーツ局

2 本分科会における質疑の概要
(1)生活文化スポーツ局所管分
 〔1〕 私立学校に対する助成制度の実績と今後の取組について
 〔2〕 私立学校等に係る学費負担軽減制度の実績と今後の取組について
 〔3〕 文化振興について
  ア 地域の芸術文化活動に対する支援実績について
  イ アートにエールを!東京プロジェクトの実績について
  ウ コロナ禍における都立文化施設の運営と今後の対応について
  エ ハイパー江戸博の実績と広報について
 〔4〕 スポーツ振興について
  ア 区市町村の事業に対する支援について
  イ 子供のスポーツ推進について
  ウ 大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場における課題の改善とホッケー人口拡大に向けた取組について
 〔5〕 パラスポーツ振興について
  ア 都民全体と障害者のスポーツ実施率について
  イ 東京都パラスポーツ次世代選手発掘プログラムの取組について
  ウ 競技団体と選手への支援について
  エ 都立スポーツ施設の利用状況と障害者スポーツセンターの管理運営について
  オ 都立スポーツ施設におけるユニバーサルなトレーニングマシンの導入実績について
 〔6〕 地域の底力発展事業助成と町会・自治会による防災対策普及啓発事業助成の実績について
 〔7〕 在住外国人の支援について
  ア 区市町村の取組に対する支援について
  イ 地域日本語教育の体制づくりと「やさしい日本語」の普及啓発について
 〔8〕 ウクライナ避難民への支援について
 〔9〕 子供の事故防止に関する取組について
 〔10〕 東京都若者総合相談センター(若ナビα)における相談対応について
 〔11〕 スポーツイベント等と連携した公衆浴場利用促進事業補助の実績について
 〔12〕 配偶者暴力対策の実績と区市町村の取組の促進について
 〔13〕 旧統一教会問題に関する相談対応と他機関との連携について
 〔14〕 東京空襲資料の活用と資料展の実績及び担当人員体制について

(2)福祉局所管分
 〔1〕 とうきょう子育て応援パートナー事業における人材育成と区市町村への支援について
 〔2〕 特定妊婦への養育支援訪問事業と居場所づくりの取組について
 〔3〕 妊娠時から出産・育児の悩みに寄り添う伴走型相談支援について
 〔4〕 産後ケアの意義及び産後ケア事業の実績と支援の充実について
 〔5〕 ベビーシッター利用支援事業の実績について
 〔6〕 東京都保育士実態調査の結果とICTを活用した業務改善について
 〔7〕 保育所等利用待機児童数及び認可保育所の定員数と空き状況について
 〔8〕 保育所の人件費比率の公表と認可保育所の事故報告件数について
 〔9〕 児童相談所について
  ア 児童虐待の実態と虐待の疑いがある事案への対応について
  イ 区へ移管された児童相談所の現状と今後の見通しについて
  ウ 児童福祉司をはじめとした人材の育成について
  エ 一時保護所の現状と課題について
 〔10〕 連携型専門ケア機能モデル事業の実績と本格実施に向けた検討について
 〔11〕 社会的養護処遇改善加算対応研修事業に係る契約について
 〔12〕 子供食堂への支援について
 〔13〕 東京都ヤングケアラー支援マニュアルの周知と活用について
 〔14〕 婦人保護施設への直接入所について
 〔15〕 自立支援強化事業の実績とケアリーバーへの支援について
 〔16〕 障害児支援について
  ア 東京都医療的ケア児支援センターの相談実績と関係機関との連携について
  イ 医療的ケア児等への支援の充実と人材育成について
  ウ 障害児の放課後等支援事業と在宅レスパイト・就労等支援事業の取組について
 〔17〕 障害児保育について
  ア 保育所と認定こども園における障害児と医療的ケア児の受入実績について
  イ 保育サービス推進事業と医療的ケア児保育支援事業の補助実績について
 〔18〕 学童クラブについて
  ア 医療的ケア児等の受入支援について
  イ 待機児童の状況と運営における課題について
 〔19〕 都型放課後等デイサービス事業の実績と今後の取組について
 〔20〕 障害者手帳の交付実績と区市町村の相談支援の充実について
 21 東京都手話言語条例を踏まえた手話の普及啓発と環境整備について
 22 グループホームの整備と運営状況について
 23 デジタル機器導入促進支援事業と次世代介護機器導入促進支援事業の実績及び機器活用の支援について
 24 外国人介護従事者の受入促進について
 25 介護サービス事業所・障害福祉サービス事業所の休廃業への対応について
 26 認知症の早期診断・早期対応の取組について
 27 認知症高齢者グループホームの整備実績について
 28 認知症による行方不明者への対応について
 29 公共トイレへの介助用大型ベッド設置促進事業の取組について
 30 東京おこめクーポン事業について
  ア 事業の概要と実績及び検証と評価について
  イ フリマサイト等における食品の転売への対応について
 31 コロナ禍における生活福祉資金貸付制度の実績について
 32 TOKYOチャレンジネットの実績について
 33 受験生チャレンジ支援貸付事業の実績について
 34 シルバーパスについて
  ア 一斉更新の実施について
  イ コミュニティバスへの適用について

(3)保健医療局所管分
 〔1〕 新型コロナウイルス感染症対策について
  ア 大規模接種会場設置の意義と実績について
  イ 外来診療体制の確保について
  ウ 高齢者・障害者施設の療養体制の確保について
  エ 後遺症対策について
  オ コロナ禍における東京iCDCの成果と医療提供体制の確保について
  カ 新たな感染症に対する備えについて
 〔2〕 自殺対策について
  ア 検索連動型広告の効果的な運用に関する調査研究の結果と活用について
  イ ゲートキーパーに関する普及啓発と人材確保について
 〔3〕 がん対策の強化について
  ア 東京都がん対策推進計画の改定に向けた取組について
  イ 都立病院における遺伝性乳がん卵巣がん症候群の検査と予防的手術について
  ウ がんに関する正しい知識の普及啓発について
 〔4〕 区市町村在宅療養推進事業による在宅医療体制の支援について
 〔5〕 NICU病床とレスパイト病床の整備について
 〔6〕 看護師の育成と確保について
 〔7〕 島しょ部における医療機関の人材確保について
 〔8〕 都立病院について
  ア 独立行政法人化後の都の支援と運営状況について
  イ 行政的医療の提供と人材確保について
  ウ 地域医療機関への技術支援について
  エ 都民への疾病予防等の普及啓発について
  オ 新型コロナウイルス感染症患者の受入れについて
  カ 小児総合医療センターの医療提供体制の強化について
  キ 生活困窮者に対する医療提供について
 〔9〕 都保健所について
  ア 新型コロナウイルス感染拡大期における相談・支援体制と職員の労働実態について
  イ 都保健所の在り方に関する検討について
 〔10〕 動物愛護について
  ア 東京都動物愛護相談センターの整備に関する検討について
  イ 動物虐待防止と殺処分ゼロの継続について
 〔11〕 性感染症の検査状況と予防啓発について

(4)教育庁所管分
 〔1〕 教員の人材確保について
 〔2〕 学校における働き方改革の推進について
 〔3〕 産休・育業代替教員等確保支援事業の執行率について
 〔4〕 教職員向けメンタルヘルス対策出張相談モデル事業の実績と検証について
 〔5〕 TOKYOスマート・スクール・プロジェクトの実績について
 〔6〕 島しょ地域における教育DX推進事業の進捗状況について
 〔7〕 社会の力活用事業の実績について
 〔8〕 TOKYO GLOBAL GATEWAYの実績について
 〔9〕 子供を笑顔にするプロジェクトの取組と成果について
 〔10〕 不登校対策について
  ア 不登校の状況に対する認識について
  イ フリースクール等と連携した取組の成果について
  ウ 不登校の児童・生徒に対する支援の取組と実績について
 〔11〕 特別支援学校における医療的ケアの実施体制について
 〔12〕 都立学校のバリアフリー化について
 〔13〕 体育活動中の熱中症防止対策について
 〔14〕 教員によるヤングケアラーの支援の成果について
 〔15〕 学校図書館の運営と専門職員の配置について
 〔16〕 外国につながる生徒への指導ハンドブックの改善と活用について
 〔17〕 中学校英語スピーキングテストに関する考え方とこれまでの経緯について


令和4年度各会計決算特別委員会 第3分科会審査報告書

第3分科会で行われた令和4年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
令和5年10月31日
令和4年度各会計決算特別委員会
第3分科会委員長 細田 いさむ

令和4年度各会計決算特別委員長
早坂 義弘 殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
・本分科会は、令和5年9月27日に設置され、次の案件を審査した。
 令和4年度東京都一般会計決算中、都市整備局、住宅政策本部、環境局、産業労働局、建設局、港湾局、労働委員会事務局所管分
 令和4年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
 令和4年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算
 令和4年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
 令和4年度東京都と場会計決算
 令和4年度東京都都営住宅等事業会計決算
 令和4年度東京都都営住宅等保証金会計決算
 令和4年度東京都都市開発資金会計決算
 令和4年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

・本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
 10月11日(説明聴取・資料要求) 建設局、港湾局、産業労働局、労働委員会事務局
 10月13日(説明聴取・資料要求) 都市整備局、住宅政策本部、環境局、中央卸売市場
 10月20日(質疑) 中央卸売市場、産業労働局
 10月23日(質疑) 港湾局、環境局
 10月25日(質疑) 住宅政策本部、都市整備局
 10月27日(質疑) 労働委員会事務局、建設局

2 本分科会における質疑の概要
(1)都市整備局所管分
 〔1〕 建築物の耐震化の進捗状況と今後の取組について
 〔2〕 東京都豪雨対策基本方針の改定に向けた取組について
 〔3〕 雨水流出抑制事業への補助の仕組みと実績について
 〔4〕 高台まちづくりの推進について
 〔5〕 木密地域の不燃化に向けた取組と実績について
 〔6〕 木密地域及び宅地開発における無電柱化の実績と情報発信について
 〔7〕 再生骨材コンクリートの利用拡大について
 〔8〕 東京ベイeSGまちづくり戦略の進捗状況について
 〔9〕 東京都運輸事業者向け燃料費高騰緊急対策事業の取組と実績について
 〔10〕 鉄道駅総合バリアフリー推進事業の取組状況について
 〔11〕 地域公共交通の充実について
 〔12〕 地下鉄8号線の延伸について
 〔13〕 東京BRT整備事業の執行率について
 〔14〕 多摩都市モノレールとりんかい線におけるバリアフリー化の取組について
 〔15〕 緑の創出と保全について
  ア 生産緑地公園補助制度の実績について
  イ 緑あふれる公園緑地等整備事業補助制度の補助実績と区市における活用促進について
  ウ 「緑農住」まちづくりの推進について
  エ 農の風景育成地区制度の取組について
 〔16〕 神宮外苑地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定と事業認可について

(2)住宅政策本部所管分
 〔1〕 サービス付き高齢者向け住宅の特徴と供給促進について
 〔2〕 都営住宅について
  ア 単身高齢者等の入居募集の拡大について
  イ 太陽光発電設備の設置実績と災害時における活用について
  ウ 断熱性向上と共用部のLED化について
  エ 浴室設備の更新状況について
  オ 大学と連携したコミュニティ支援の実績と課題について
  カ 東京みんなでサロンの取組の実績と周知について
  キ 桐ヶ丘団地の建替え事業について
 〔3〕 都営住宅等におけるウクライナ避難民への支援について
 〔4〕 都営住宅と公社住宅における多摩産材の利用促進について
 〔5〕 公社住宅と既存マンションにおける太陽光発電設備の設置状況と今後の取組について
 〔6〕 マンションの耐震化の促進と普及啓発について

(3)環境局所管分
 〔1〕 決算額が大幅に伸びた背景と要因について
 〔2〕 給油時の揮発性有機化合物(VOC)対策の実績について
 〔3〕 住宅及び既存都有施設への太陽光発電設備の設置状況と効果について
 〔4〕 個人向けのEV等購入支援の実績について
 〔5〕 集合住宅へのEV充電設備の設置支援と普及促進について
 〔6〕 東京ゼロエミ住宅導入促進事業の実績と効果について
 〔7〕 東京ゼロエミポイント事業の実績について
 〔8〕 家庭の節電マネジメント(デマンドレスポンス)事業の実績について
 〔9〕 既存住宅の断熱化に対する支援の効果と広報について
 〔10〕 プラスチック対策について
  ア プラ製容器包装等・再資源化支援事業の成果について
  イ プラスチック資源循環に向けた革新的技術・ビジネス推進プロジェクトの実績について
 〔11〕 食品ロス対策について
  ア 未利用食品マッチングシステムによる防災備蓄食品の活用実績について
  イ 事業系食品ロスの削減に向けた取組と先進技術の活用について
 〔12〕 多摩地域の自然環境に関する取組について
 〔13〕 GLP昭島プロジェクトの環境影響評価について
 〔14〕 神宮外苑地区第一種市街地再開発事業における樹木の保全について

(4)産業労働局所管分
 〔1〕 中小企業支援について
  ア 中小企業制度融資の実績について
  イ 中小企業デジタルツール導入促進支援事業の実績について
  ウ 生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業の実績について
  エ 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業の実績について
  オ 行政課題解決型スタートアップ支援事業の実績について
  カ 原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業の実績について
  キ ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業の実績について
  ク 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの技術支援について
  ケ 商店街の後継者育成への支援について
 〔2〕 産業・エネルギー対策について
  ア 中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業の実績について
  イ 地産地消型再エネ増強プロジェクトの実績について
  ウ 中小企業に対する省エネ対策の支援の周知について
  エ バイオ燃料導入促進事業の実績について
  オ ZEVの普及促進について
  カ 水素エネルギーの普及拡大に向けた取組について
  キ 水素関連事業の執行状況と現状について
 〔3〕 観光振興について
  ア 観光関連業者への支援と東京観光産業ワンストップ支援センターの活用について
  イ インバウンド需要の回復に向けたPRと地域の観光振興について
  ウ 次世代型MICEの実績について
  エ 宿泊施設のバリアフリー化支援事業の実績について
 〔4〕 雇用就業対策について
  ア 障害者の職場定着支援の内容と実績について
  イ TOKYO障害者マッチング応援フェスタの概要と成果について
  ウ 女性しごと応援キャラバンの概要と実績について
  エ 女性向けデジタル・ビジネススキル習得訓練事業の実績について
  オ シングルマザーの就職支援について
  カ 男性育休取得促進に向けた普及啓発事業の取組について
  キ 離職者の再就職支援(東京版ニューディール)について
  ク 中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業の実績について
 〔5〕 東京産農産物の流通促進に向けた取組について
 〔6〕 東京の農業振興について
 〔7〕 多摩産材の出荷実績と利用拡大に向けた取組について
 〔8〕 島しょ地域の水産業を守る取組と栽培漁業の推進について

(5)中央卸売市場所管分
 〔1〕 施設整備の実施内容と執行率について
 〔2〕 水処理センター中央監視設備改修工事について
 〔3〕 と室内の暑さ対策について
 〔4〕 一般社団法人東京食肉市場協会の要望を踏まえた取組について
 〔5〕 牛・豚の取扱頭数と安定した集荷に向けた支援について
 〔6〕 HACCPに基づく品質衛生管理について
 〔7〕 食肉需要が増加する年末年始などの時期における取組について

(6)建設局所管分
 〔1〕 建設現場における週休2日制の達成状況と工事情報共有システムの活用について
 〔2〕 円滑な土地境界確定事務の執行について
 〔3〕 公共工事請負事業者に対する物価高騰対策について
 〔4〕 再生骨材コンクリートの利用促進について
 〔5〕 道路通報システム(MCR)の導入実績と災害発生時の活用について
 〔6〕 都道の整備について
  ア 区部及び多摩・島しょ部の執行率について
  イ 都道の無電柱化の実績と区市町村道の無電柱化に対する支援について
  ウ 都道のバリアフリー化と市区町村道のバリアフリー化に対する支援について
  エ 遮熱性舗装・保水性舗装の整備状況と効果について
  オ 雨水浸透ますの設置状況について
 〔7〕 山岳道路における道路災害防除事業の取組状況について
 〔8〕 自転車通行空間の整備について
 〔9〕 橋りょうの長寿命化の実績について
 〔10〕 江戸川区における橋りょうの整備の取組状況について
 〔11〕 特定整備路線の整備について
 〔12〕 東京外かく環状道路の陥没事故に係る地盤補修について
 〔13〕 都立公園について
  ア インクルーシブ公園の整備状況とバリアフリー化について
  イ 緑地の拡大に向けた整備の進捗状況について
  ウ 駒沢オリンピック公園のストリートスポーツ広場における安全の確保について
  エ 篠崎公園の防災機能強化について
  オ 和田堀公園における簡易テントの利用とプレーパークの取組について
 〔14〕 都立動物園・水族園のバリアフリー化について
 〔15〕 河川の整備について
  ア 中小河川における洪水対策の進捗状況について
  イ 東部低地帯における耐震・耐水対策の進捗状況について
  ウ 土砂災害対策事業の取組について
  エ 空堀川の整備状況と多摩地域の急傾斜地崩壊対策について
  オ 善福寺川の護岸整備の実施状況について
  カ 仙川の整備状況について
  キ 秋川の河川改修工事について

(7)港湾局所管分
 〔1〕 東京港の整備と物流機能強化について
  ア コンテナ搬出入予約制の概要と実績について
  イ 中央防波堤外側コンテナふ頭Y3バースと周辺道路の整備状況について
  ウ 耐震強化岸壁の整備について
  エ 海岸保全施設の耐震対策の取組と災害発生時の防災情報の発信について
 〔2〕 東京港第9次改訂港湾計画に向けた長期構想について
 〔3〕 島しょ地域について
  ア 離島港湾DXの取組と港湾施設の維持管理における先端技術の活用について
  イ 自然災害発生時の避難施設の整備状況について
  ウ 定期船・航空機の就航率と利用客数及び事業者への支援について
 〔4〕 カジノを含むIR誘致に関する調査の実施状況について
 〔5〕 舟運の活性化に向けた公共船着場の利便性向上について

(8)労働委員会事務局所管分
 〔1〕 東京都労働委員会の位置付けと役割について
 〔2〕 労働組合に関わらない労働者個人やフリーランスなどの労働問題への対応について
 〔3〕 新規申立事件の件数と全国に占める割合について
 〔4〕 新規申立ての不当労働行為審査事件の産業別割合について

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