令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

令和五年十月二十七日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長細田いさむ君
副委員長土屋 みわ君
副委員長曽根はじめ君
竹平ちはる君
斉藤 りえ君
渋谷のぶゆき君
清水やすこ君
原田あきら君
福島りえこ君
山口  拓君

欠席委員 なし

出席説明員
労働委員会事務局局長根本 浩志君
建設局東京都技監建設局長兼務中島 高志君
次長古屋 留美君
道路監花井 徹夫君
総務部長荒井 芳則君
道路管理部長若林  憲君
道路建設部長久野健一郎君
三環状道路整備推進部長手塚 寛之君
公園緑地部長佐々木 珠君
河川部長斉藤  有君
企画担当部長松島  進君
建設DX推進・危機管理強化担当部長DX推進担当部長兼務儀間  潔君
道路保全担当部長原田 和生君
無電柱化推進担当部長今宮 正純君
道路計画担当部長周郷 友義君
公園計画担当部長根来 千秋君
河川防災担当部長小木曽正隆君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
建設局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)

○細田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び建設局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根本労働委員会事務局長 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は三点でございます。
 一ページをお開きください。1、職員の定数の推移でございます。
 管理職を除く当局の職員定数について、平成三十年度から令和四年度までの状況を記載しております。
 二ページをお開きください。2、職員の平均局在職年数の推移でございます。
 管理職を除く職員の平均局在職年数について、平成三十年度から令和四年度までの状況を記載しております。
 三ページをお開きください。3、東京都労働委員会機能別取扱件数の推移でございます。
 東京都労働委員会における取扱件数について、判定的機能及び調整的機能の区分ごとに平成三十年度から令和四年度までの実績を記載しております。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○細田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 労働委員会のホームページには、労働組合と使用者、会社との紛争解決のお手伝いをしますと記載してありますが、一般都民にとってなじみが少なく、詳しくご存じない方も多いと思います。
 そこで、まず、東京都労働委員会はどういう機関なのか、どのような労働問題を取り扱っているのかについて伺います。

○根本労働委員会事務局長 労働委員会は、労働組合法に基づき国及び都道府県に設置されている合議制の行政機関でございまして、労働組合と使用者との間に発生した紛争、いわゆる集団的労使紛争を専門的に取り扱う行政機関でございます。
 その設置目的は、公平な立場の第三者として集団的労使紛争を解決することにより、労働基本権の保護と労使関係の安定、正常化を図ることにございます。
 学識経験者から選ばれた公益委員、労使それぞれから選ばれた労働者委員、使用者委員の三者で構成されております。
 当事者の立場をよく理解する労使の委員がそれぞれの事情を反映させ、公平な立場の公益委員が取りまとめることで、双方にとって納得性の高い解決を図っているところでございます。

○福島委員 公益の代表者である公益委員、労働者の代表者である労働者委員、そして使用者の代表者である使用者委員の三者が労働組合と使用者との集団的労使紛争の解決に向けて、公平な立場で納得性の高い、この解決を図る重要な機関であることを確認しました。
 厚生労働省が昨年十二月に発表した令和四年労働組合基礎調査の概況によれば、令和四年六月三十日現在における単一労働組合の労働組合数は二万三千四十六組合、労働組合員数は九百九十九万二千人で、前年に比べて労働組合数は三百四十六組合、一・五%の減少、労働組合員数は八万六千人、〇・八%の減少、推定組織率、これは雇用者に占める労働組合員数の割合、これは一六・五%で、前年より〇・四ポイント低下しており、平成から令和にかけて減少傾向が続いています。つまり、組合に加入していない人の方が多く、さらには増加傾向にあるということです。
 そこで、労働組合に関わらない労働者個人やフリーランスなどの労働問題は、どのような解決がなされているのかについて伺います。

○根本労働委員会事務局長 労働者個人の賃金未払いや解雇など、個別労働紛争につきましては、国の東京労働局や都の産業労働局労働相談情報センターなどが相談やあっせん等を行っております。フリーランスの方につきましては、厚生労働省がフリーランス一一〇番の窓口を設置しております。
 さらに、労働者個人の紛争を迅速に審理し、判断する手続として、裁判所が労働審判制度を設けているところでございます。
 なお、労働委員会も含め、こうした労働紛争の解決に関わる機関が一堂に会する連絡協議会が定期的に開催されておりまして、それぞれの支援制度の情報などを交換し、利用者に適切な窓口を案内するなど、相互に連携して対応しているところでございます。

○福島委員 労働組合に加入していない方に向けた取組については、国の東京労働局、そして東京都の産業労働局で対応し、労働委員会も情報交換に参加、連携していることを確認いたしました。
 労働委員会は、労働組合と使用者の集団的労使紛争を専門的に取り扱っているということですけれども、東京都労働委員会が令和四年度に新規に申し立てられた事件件数はどうなっているのか、また、他道府県に比べると割合的にはどうなっているのかについて伺います。

○根本労働委員会事務局長 令和四年度の新規申立て件数は、不当労働行為の審査事件が八十七件、労働争議の調整事件が四十九件でございます。
 全国における割合でございますけれども、令和四年の暦年ベースで、審査事件では約四割、調整事件では約三割を占めております。
 このように、当委員会は量的に多くの事件を取り扱っているところでございますが、質的にも、新たな就業形態に関して労働組合法上の労働者に該当するとの判断を示すなど、全国のリーディングケースとなるような命令を発出しているところでございまして、量並びに質の両面で全国の労働委員会を牽引しているものと考えております。

○福島委員 全国のリーディングケースとなる命令という答弁がございました。
 東京都労働委員会で検索をすると、東京都労働委員会が昨年の十一月に、料理配達サービスであるウーバーイーツの運営会社などに対し、配達員らの労働組合との団体交渉に応じるよう命令した報道がたくさん出てきます。個人がインターネットを介して仕事を単発で受注する、いわゆるギグワーカーも労働組合法上の労働者に当たるという判断で、法的判断としては国内初ということでした。先駆的な判断を示すなど、大きな役割を果たしていることが分かりました。
 労働組合と使用者との集団的労使紛争を扱うということであれば、介護人材や保育人材などのエッセンシャルワーカーの待遇の低さや、医師、教員、運送業者の長時間労働などの昨今クローズアップされている労働問題についても申請があるものと考えます。
 そこで、東京都労働委員会に令和四年度に新規に申し立てられた不当労働行為審査件数の産業別割合について伺います。

○根本労働委員会事務局長 産業別の主な割合でございますが、製造業が一三・八%と最も多く、続いてサービス業が一二・六%、教育、学習支援業及び医療、福祉業がそれぞれ一一・五%となってございます。

○福島委員 産業別に就業者数が異なりますので、これで規格化する必要があると考えます。
 東京都の統計には、令和四年十月から十二月期平均の産業別就業者数がございました。
 令和四年の産業別件数を産業別就業者数で割ると順位は入れ替わります。業種別で一位が教育、学習支援業、二位が建設業、続いて製造業、その他サービス業があり、五番目に運輸、郵便業、そして七番目に医療、福祉が入ってきます。中でも教育、学習支援業が突出していることが分かります。
 このように、さきに述べたクローズアップされている労働問題は審査件数にも表れてきていると考えます。不当労働行為の救済申立てが様々な業種からなされることと思いますが、その中には昨今の労働問題を反映した事件も多く含まれていると考えます。
 労働委員会は、労働組合と使用者との間の労働紛争解決のための中立的な審査機関ではございますが、引き続き産業労働局などとの関係機関と連携して、東京の様々な労働問題の予防や解決に向けて引き続き取り組んでいただきたい。これを要望しまして、私からの質疑を終えます。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○細田委員長 これより建設局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、建設局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○荒井総務部長 去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に十五件の資料の件名が記載してございます。
 一ページをご覧ください。骨格幹線道路(主要路線)の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、骨格幹線道路の整備につきまして、平成三十年度から令和四年度までの予算額と決算額を表したものでございます。
 二ページをご覧ください。道路・街路整備における予算・決算額の推移でございます。
 この表は、道路、街路の整備につきまして、平成三十年度から令和四年度までの予算額と決算額及び決算額を区部、多摩部、島しょ部別に表したものでございます。
 三ページをご覧ください。特定整備路線の予算・決算額の推移(建設局施行)でございます。
 三ページから四ページまでの表は、特定整備路線の整備につきまして、平成三十年度から令和四年度までの予算額と決算額を路線別に表したものでございます。
 五ページをご覧ください。五ページから一三ページまでの表は、骨格幹線・地域幹線道路の計画概要と進捗状況でございます。
 この表は、骨格幹線道路、地域幹線道路につきまして、整備計画の概要と進捗状況及び用地の取得率を路線別に表したものでございます。
 一四ページをご覧ください。代替地購入費の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、代替地購入費につきまして、平成二十五年度から令和四年度までの予算額、決算額、購入件数及び購入面積を表したものでございます。
 一五ページをご覧ください。直轄事業負担金の決算額の推移でございます。
 この表は、直轄事業負担金につきまして、平成三十年度から令和四年度までの道路及び河川の決算額を財源別に表したものでございます。
 一六ページをご覧ください。建設局に係る中小企業への工事発注実績の推移でございます。
 この表は、建設局が発注した工事における中小企業への発注の実績につきまして、平成三十年度から令和四年度までの件数と金額を表したものでございます。
 一七ページをご覧ください。東京都自転車通行空間整備推進計画に基づく自転車通行空間の整備実績及び整備率でございます。
 この表は、自転車通行空間の整備につきまして、優先整備区間の計画延長と、令和三年度と令和四年度の整備延長、累計整備延長及び計画延長に対する整備率を表したものでございます。
 一八ページをご覧ください。建設局発注工事における一者応札の実績でございます。
 この表は、建設局発注工事における一者応札の実績につきまして、令和二年度から令和四年度までの一者応札の件数、総件数に占める割合及び令和四年度の総件数に占める割合、契約金額合計に占める割合を示したものでございます。
 一九ページをご覧ください。建設局発注工事における入札不調件数でございます。
 この表は、建設局発注工事につきまして、令和二年度から令和四年度までの入札不調件数を表したものでございます。
 二〇ページをご覧ください。建設局発注案件における随意契約の件数及び金額と割合でございます。
 この表は、建設局発注案件における随意契約につきまして、令和二年度から令和四年度までの件数、金額及び契約計に占める随意契約の割合を表したものでございます。
 二一ページをご覧ください。都立葬儀所の稼働状況でございます。
 この表は、都立葬儀所における令和二年度から令和四年度までの稼働状況について、青山葬儀所、瑞江葬儀所別に表したものでございます。
 二二ページをご覧ください。都立霊園施設別・霊園別の公募状況でございます。
 この表は、都立霊園における令和四年度の公募状況につきまして、霊園名、施設の種類及び使用料並びに倍率を表したものでございます。
 二三ページをご覧ください。連続立体交差事業の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、連続立体交差事業における平成三十年度から令和四年度までの予算額と決算額及び主な箇所等について表したものでございます。
 二四ページをご覧ください。練馬城址公園の整備に係る予算・決算額の推移でございます。
 この表は、練馬城址公園の整備における平成三十年度から令和四年度までの予算額と決算額を表したものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○細田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 私からは、まず建設業の時間外労働の上限規制への対応についてお伺いいたします。
 建設業の時間外労働の上限規制が令和六年四月から始まりますが、これに対応するためには、長時間労働の是正や休日の確保が不可欠です。
 そこで、建設局発注工事のうち、令和四年度に完了した工事における週休二日の達成状況について伺います。

○松島企画担当部長 建設局においては、工期が一か月未満の工事などを除き、原則、全ての土木工事を対象に週休二日制工事を導入しており、令和四年度に完了した対象工事約三百件のほぼ全ての工事において週休二日を達成しております。

○福島委員 ほぼ全てで達成できていることを確認させていただきました。
 加えて、この建設業における長時間労働の削減には業務効率化も必要です。都が発注する工事では様々な書類の提出が必要であり、受注者からはその削減と簡素化を求める声が継続して届いています。都は新たな都政、シン・トセイに向けた構造改革を進めており、ペーパーレスや判こレスなどデジタル化による業務効率化が確実に進んでいます。
 建設局においても、工事情報共有システムにより工事書類の電子化を進めるなど、受注者の負担軽減に取り組んでいることを評価するものですが、この工事情報共有システムの一層の活用と担当者への周知徹底を図るよう求める声が私のところに届いています。
 そこで、判こレスなどの取組により、令和四年度に工事情報共有システムで電子決裁した件数と、担当職員への周知の状況について伺います。

○儀間建設DX推進・危機管理強化担当部長DX推進担当部長兼務 都では平成十四年度より工事情報共有システムを導入し、受注者と発注者が工事等の工程において作成、提出する様々な書類の共有を進めてまいりました。
 令和三年十月からの判こレスの取組に伴う電子決裁の対象拡大により、令和四年度の電子決裁件数は、前年度の約四千七百件から約八千六百件に増加しております。
 また、システムのさらなる利用拡大を図るため、受注者をはじめ、発注者側におきましても、担当する職員に向けた操作講習会を毎年開催しております。
 引き続き工事情報共有システムの利用拡大に取り組み、受注者、発注者双方の業務効率化と高度化を進めてまいります。

○福島委員 建設局では、今年度から工事情報共有システムをインターネット上でアプリケーションを提供するASP方式に移行し、ウェブ会議システムなど利便性の高い機能を加えたというふうに伺っております。
 この工事情報共有システムが受注者の業務効率化に与える効果は、さらに期待ができると考えます。
 九月に策定された東京デジタル二〇三〇ビジョンでは、プッシュ型、垣根を越える、そして顧客最適化の三つの変革を求めるとしています。工事情報共有システムの開発におきましても、ユーザーの声を聞きながら、システムのさらなる改善に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、道路整備について伺います。
 都は、都市計画に従って道路整備を進めるとともに、社会情勢の変化や道路に関するニーズを踏まえ、適宜その必要性の検証も行ってきていると聞いています。
 昨年十月には、世田谷区三宿を南北に走る三宿通り、都道四二〇号が北に延伸し、三宿二丁目から淡島通りの下代田東交差点までの約四百四十メートルの区間が開通しました。
 今年七月に都のホームページでは、開通から六か月後の利用状況が公表されておりまして、淡島通りから玉川通りまでが直線でつながったことにより、十二時間当たりの約三千台が通行する一方で、整備前のメインルートだった多聞小学校前を通る道路の交通量が約四割減少し、近隣住民の安心・安全につながっていること、さらには、震災時の救急救命活動のしやすさ、安全な避難路の確保、燃え広がらない安全なまちの形成による地域防災性向上、こういった点で多くの皆様が実感していることが報告されています。
 このように必要性を精査した上での道路整備は、都民生活を支える社会基盤として重要であると考えます。
 令和四年三月三十一日現在、東京都における都市計画道路の完成率は、区部で六六・二%、多摩・島しょ部では六二・八%、また事業中の路線は区部で百六十七キロメートル、多摩・島しょ部で百四十五キロメートルとのことであり、まだ道半ばです。
 そこで、道路、街路の整備について、令和四年度当初予算に対する執行率を区部と多摩・島しょ部それぞれについて伺います。

○久野道路建設部長 都は、区部における放射環状方向や多摩地域における南北、東西方向の骨格幹線道路など、道路ネットワークを形成する上で緊急性の高い都市計画道路等の整備を重点的に進めてまいりました。
 令和四年度の道路、街路整備における執行率は、区部で五七・五%、多摩・島しょ部で六八・九%でございます。

○福島委員 区部で一〇%ほど執行率が下がっているものの、都内全域で取組が進んでいることを確認することができました。
 一方で、都民の皆様からは、テレワークの浸透など働き方改革や自転車利用の増加など移動手段の変化、そして人口減少などを考慮して、道路整備の必要性を精査してほしいという声をしばしばいただきます。事業の推進に当たっては、都民の皆様のQOL向上につながるかどうかの検証を丁寧に行うとともに、完成した道路についての成果について説明するなど、都民の理解、協力を得るための取組を重ねて要望いたします。
 次に、バリアフリーについてお伺いいたします。
 東京二〇二〇大会を契機とし、様々な分野でバリアフリーが進んできています。本委員会の対象である昨年度は、東京二〇二〇パラリンピック大会一周年記念として様々な事業が展開され、また二〇二五年には日本で初めてのデフリンピックを東京で開催することが決定しています。公共交通や道路などのハード面、心のバリアフリーなどのソフト面の両面をレガシーとして、一層バリアフリーを加速していく必要があります。
 今日はその中でも高齢者や障害者を含めた全ての人が安全・安心に移動できる環境を整備するための道路のバリアフリーについて確認させていただきます。
 道路のバリアフリーは、歩道の段差の解消や急な勾配を解消することで、視覚障害者誘導用ブロックを設置することなどがあります。
 そこで、まず、都は都道のバリアフリーについてどのように取り組んでいるのか、令和四年度の実績を含めて伺います。

○原田道路保全担当部長 都は、平成二十八年三月に策定した東京都道路バリアフリー推進計画に基づき、東京二〇二〇大会競技会場や観光施設周辺等の都道約九十キロメートルと駅や官公庁、福祉施設、文化施設などを結ぶ都道約九十キロメートル、合計約百八十キロメートルの道路のバリアフリー化を進めております。
 令和四年度は本計画に基づき、大田区内の産業道路など約五キロメートルを整備し、累計約百四十七キロメートルの整備が完了しております。

○福島委員 ご答弁にありました東京都道路バリアフリー推進計画では、令和六年までに約百八十キロメートルの整備完了を目指しているとしています。この令和四年の進捗を外挿してもここには届かないので、ぜひ加速を求めたいと思います。
 ところで、都内の道路の多くを占めるのは区市町村道であり、都道のみバリアフリー化を進めても、障害を持った方々は、この目的地にたどり着けない場合もあります。このため、区市町村道への整備の支援、これは大変に重要だと考えます。
 そこで、東京二〇二〇大会後、区市町村道のバリアフリーをどのように支援してきたのか、令和四年度の実績を含めて伺います。

○原田道路保全担当部長 都は東京二〇二〇大会の開催に向け、平成二十九年度から令和元年度までの間、競技会場等の周辺の区市道におけるバリアフリー化工事を対象として、財政的支援を行いました。また、令和二年度には、バリアフリー法に基づく特定道路を対象とした補助制度を創設し、区市町村に対する支援を行っております。この補助制度を活用して、令和四年度は台東区など五区に対して支援を行い、約七百メートルの整備が完了いたしました。
 引き続き地元自治体と連携して、道路の面的なバリアフリー化を推進してまいります。

○福島委員 大会を契機に区市へのバリアフリー化の補助制度が創設され、今も引き継がれていることを確認いたしました。
 先日、五体不満足の著者である乙武洋匡氏の講演を聞く機会がありました。彼は二〇一七年に二、三か月ほど英国で過ごす機会があったそうですが、当時、地下鉄などのバリアフリーは日本より劣っていたものの、まち中では三ブロックに一人、カフェには一人は車椅子の方を見かけたということです。ハード面のバリアがあっても、誰もが自然に手伝うソフト面のバリアフリーがこれを実現しているのであろうという解釈でした。
 今後は高齢化が進み、ますますバリアフリー化の必要は高まっていきます。建設局の取組はハード面の取組が中心であることは存じておりますが、引き続き段差のないまちづくりを牽引していってほしいと考えます。
 次に、都道における暑さ対策に関する取組について伺います。
 東京二〇二〇大会のもう一つのレガシーとして、都道における暑さ対策があります。平成二十年度からヒートアイランド対策の一環として進めてきた遮熱性舗装は、二〇二〇年大会でも暑さ対策として生かされました。
 国連の事務総長が記者会見で、気候沸騰化と表現した今年の猛暑におきましても、一定の効果を発揮していたものだと考えます。
 猛暑が続く傾向は、残念ながら今後とも変わらないと思われまして、引き続き対策を推進する必要があると考えます。
 そこで、都は都道の舗装についてどのように暑さ対策を進めているのかについて伺います。

○原田道路保全担当部長 都はヒートアイランド対策の一環として、千代田区や港区などセンター・コア・エリアを中心とした重点エリアを対象に、路面補修工事などに合わせて、路面温度の上昇を抑制するための遮熱性舗装や保水性舗装の整備を進めております。

○福島委員 重点エリアを設けて、路面補修などの機会に合わせて取組を進めているというご答弁でしたが、遮熱性舗装などに関する整備目標と現在の進捗について伺います。

○原田道路保全担当部長 都は「未来の東京」戦略 version up 二〇二三において、遮熱性舗装等を二〇三〇年度までに二百四十五キロメートル整備するという目標を定め、整備を進めております。令和四年度は約十キロメートルを整備し、累計の整備実績は約百八十キロメートルとなっております。

○福島委員 この遮熱性舗装の推進におきましては、この目標に対して順調に推移していることを確認しました。今後は、これまで設置してきた舗装の更新の機会も捉えまして、引き続き着実に対策を進めていただきたいと思います。
 次に、無電柱化について伺います。
 令和元年九月に上陸した台風十五号が千葉県内で大規模な停電を起こしたことは大変印象に残っています。
 経済産業省の電力レジリエンスワーキンググループがまとめた台風十五号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめによれば、停電の復旧、これは停電件数がピーク時と比較して九九%解消したときを指すそうですが、これにかかった時間は約二百八十時間と近年の停電被害の中では突出しており、その理由は記録的な暴風に伴う倒木や飛来物によって電柱の破損や倒壊が起こり、それによる断線が多かったことだとされています。加えて、倒壊した電柱が道を塞ぐと、迅速な避難や被害状況の確認、救急活動、復旧活動などの遅延につながります。
 無電柱化は都民の命を守るための大変重要な取組です。都は現在、令和三年に改定した東京都無電柱化計画に基づき、都内全域で無電柱化事業を実施しています。
 そこで、都道における区部と多摩地域の無電柱化の進捗状況について伺います。

○今宮無電柱化推進担当部長 区部では整備対象延長一千二百八十八キロメートルに対しまして、令和四年度末までに八百三十三キロメートルが完成し、地中化率は約六五%でございます。多摩地域では整備対象延長一千四十キロメートルに対しまして二百三十四キロメートルが完成し、地中化率は約二二%でございます。
 引き続き都道の無電柱化に積極的に取り組んでまいります。

○福島委員 まずはセンター・コア・エリア内の都道から取り組んだ経緯もあり、区部に比べると多摩地域で遅れがあることが分かりました。引き続きの推進、特に多摩地域での加速を求めます。
 無電柱化を面的に進めるためには、都内の道路延長約九割を占める区市町村道についても取組を進める必要があります。
 そこで、区市町村道の無電柱化に対する都の支援について伺います。

○今宮無電柱化推進担当部長 区市町村道の無電柱化を促進するため、都は平成二十年度から主要駅周辺などで実施する事業に対して、国と合わせて、工事費等のおおむね四分の三を補助する財政支援を開始いたしました。平成二十七年度に防災に寄与する路線も対象に加え、その後、補助対象などを拡充し、現在、設計費等は二分の一、工事費等は国と都で全額補助してございます。
 また、平成二十九年度には、それまでの支援策に加えまして、設計及び工事費等を全額補助する無電柱化チャレンジ支援事業制度を創設し、整備実績のない自治体に対して財政支援と併せまして技術的支援も実施してございます。
 令和四年度までに世田谷区など累計四十九の区市町村がこれらの補助制度を活用し、事業を推進しております。
 今後とも区市町村と連携を図りながら、都内全域での無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。

○福島委員 防災に寄与する路線など重要度が高い路線や、初めて取り組む自治体については無電柱化に取り組む際の自己負担がかなり軽減されていることが分かりました。最初に実施する際のハードルが高いとも聞いております。全ての自治体が一度は無電柱化事業を経験できるよう、丁寧な取組を求めます。
 次に、山岳道路における道路災害防除事業について伺います。
 今年も九州北部、そして秋田、千葉、茨城など全国各地で土砂災害が相次ぎました。この土砂災害には様々なタイプがあるが、とりわけ山岳道路が土砂崩れに見舞われ集落が孤立することは、何としてでも避ける必要があります。
 山岳道路において対策を考える際に課題となるのが、急斜面や樹木が生い茂るという状況では的確な状況把握は難しいことであると聞いています。
 一方、デジタルサービス局は、デジタルツイン実現プロジェクトの推進、立体的に地形を把握する技術である三次元点群データを取得、防災等に活用する取組が始まっています。
 そこで、山岳道路を土砂災害から守る道路災害防除事業の取組について、三次元点群データの活用状況を含め、令和四年度の取組状況について伺います。

○原田道路保全担当部長 都は令和四年度、奥多摩町の国道一三九号や御蔵島村の一般都道二二三号線など二十五路線で斜面崩落を防止するのり枠や落石を防止する防護柵の整備などの道路災害防除事業を実施いたしました。
 実施に際しては、航空写真を基に現地踏査等を行い、緊急度の高い箇所から対策を講じております。
 さらに、令和四年度からは三次元点群データを用いた高精度な地形図から災害要因を抽出するなど、緊急度を確認する作業の精度向上に取り組んでおります。

○福島委員 令和三年七月に発生した静岡県熱海市の土石流災害では、静岡県がこの点群データを用いて産学連携で算定、発災から数時間で崩壊の原因となった盛土の存在や崩壊土砂量、これを算定しました。
 また、令和四年九月の台風十五号で発生した、同じく静岡県の島田市採石場跡地からの土砂流出においても、やはり点群データを使って崩落量を特定。人力では一週間以上かかるところを二日の作業で済み、復旧作業に入るタイミングが早まったということです。
 都においては、引き続き道路災害防除事業を進めるとともに、最新技術も活用し、事故発生後の対応の加速に努めていただくことを要望いたします。
 次に、自転車通行空間の整備について伺います。
 私は都民ファーストの会の政治の実現に向けた一つの取組として、都議会議員になって以降、半年に一度のペースで社会課題をテーマに都政報告会を開催、専門家と都民を交えて議論する場を設けてまいりました。
 そして、今年の九月には十二回目となる都政報告会を地域公共交通をテーマに開催しました。地域活動の場でバスの本数が減った、路線そのものがなくなった、代わりにタクシーに乗ろうとしてもつかまえられないといった区民の皆様からの声を多くいただくようになったからです。
 ここでの学びは、ヨーロッパなどの都市では、車の削減の数値目標を立てて、公共交通機関や徒歩、自転車、交通分担率の目標を定め、運行本数、運賃などのサービスレベルを規定し、公共交通や徒歩、そして自転車の道路環境整備の財源を手当てする、こういった順番で議論を進めているということです。
 地域公共交通を補完し、都民生活の様々な場面で身近に使うことができる自転車ですが、昨年の都内で発生した交通事故のうち自転車関連事故の占める割合は四割を超えています。自転車の活用を進めるに当たっては、誰もが安全で快適に自転車を利用できる環境の実現に向けて、自転車通行空間を整備していく必要があると考えます。
 そこで都は、自転車通行空間の整備にどのように取り組んでいくのか、令和四年度末までの取組状況も踏まえて伺います。

○原田道路保全担当部長 都は令和三年五月に東京都自転車通行空間整備推進計画を策定し、計画的かつ効率的に自転車通行空間を整備するため、ネットワークの連続性や、自転車交通量や事故の発生状況など、三つの視点に基づき優先整備区間を選定し、整備に取り組んでおります。
 優先整備区間につきましては、令和四年度は新青梅街道や多摩大橋通りなどにおいて約三十二キロメートルを整備し、累計約五十キロメートルが完成しております。
 今後とも関係機関と連携しながら、計画期間である二〇三〇年度までに優先整備区間に選定した約二百五十キロメートルの整備を積極的に進めてまいります。

○福島委員 目標に向けて順調に推移していることを確認させていただきました。答弁にありました、この優先整備区間選定の三つの視点というのは、一つ目が既存の自転車通行空間との連続性、二つ目が国道、区市町村道の自転車ネットワーク計画路線との連続性、三つ目が自転車交通量や事故の発生状況と聞いておりますが、今後の検討においては自転車単独ではなく、他の公共交通、地域公共交通も含めた交通ネットワークの一つとして、車の削減の数値目標からのブレークダウンの観点も取り入れていただくよう要望いたします。
 次に、道路通報システム、マイシティレポート、MCRについてお伺いをいたします。
 道路の損傷や不具合をスマートフォンアプリで簡単に投稿できる道路通報システム、MCRの前身は、現在千葉県知事を務める熊谷俊人知事が千葉市長だった平成二十五年に、オープンデータと市民協働の推進を目的に、マイクロソフトからの提案を受けて実証実験に着手した、ちばレポであるというふうに聞いております。
 私は前職で研究開発業務に従事しておりまして、国連による、SDGs、持続可能な開発目標の発表などもあり、社会課題解決に寄与する技術の調査を進める中で、この取組には当初から着目をしておりました。
 都は、平成三十年度に知事が創設した都内の大学研究者からの事業提案を受ける事業提案制度を通じて導入し、令和四年度より本格導入に至っています。
 都民ファーストを掲げる我が会派は、デジタルを活用することで都民が道路管理に参画できるよい取組であるとして、このMCRについて継続的に議会で取り上げてまいりました。
 昨年の事務事業質疑でも、公園など様々な公共施設の管理に今後使っていくべきと質問しまして、今年六月からは二十三の都立公園と隅田川に運用が拡大されたところです。
 そこで、この道路通報システム、MCRの令和四年度の投稿件数などの状況と導入効果について伺います。

○原田道路保全担当部長 令和四年度は国道や区市町村道等に関するものも含め、一年間で約千五百件を超える投稿件数がありました。令和三年度末までの試行期間では、二年二か月の間に累計で約五百件だったのがその三倍に増加しております。
 道路通報システムはスマートフォンで容易に投稿可能であることから、投稿件数の七割以上が休日、夜間に行われており、通報機会の拡大につながっております。
 利用者からも、操作が簡単で使いやすいシステム、投稿後の対応状況が確認できるなど、よい仕組みであるとの意見をいただいており、迅速できめ細かな道路管理に効果を発揮しております。

○福島委員 ここに来て投稿件数が急激に伸びていること、そして通報機会の拡大になっていることを理解しました。MCRのような都民と東京都が協働できるシステムは、より多くの都民の皆様に利用されることが望ましく、そのためにはまず知っていただく必要があります。
 そこで、令和四年度の広報活動状況について伺います。

○原田道路保全担当部長 都は本格導入に当たり、多くの都民にご利用いただくよう、「広報東京都」への掲載に加え、ポスターやリーフレット、SNSやユーチューブ等様々な媒体を活用し、幅広く広報を実施いたしました。
 その結果、アプリ利用者は令和四年度末で約四千人まで増加いたしました。
 引き続き、発信力の高いデジタルメディアを活用するなど、効果的な広報を展開してまいります。

○福島委員 さきに述べたちばレポ、これは先行しているわけですけれども、登録延べ人数は令和四年度末で八千四百三十人です。私はこれの一応男女比とか年齢構成とか、そういうのも数字でオープンデータで公開されているんですけれども、私はリタイアした方が通報しているのかなと思ったら、意外に、平均年齢は四十六・三歳と現役世代が多いことが分かりました。どうしてなのかなと思って、実は直接千葉市に問い合わせたんですけれども、小中学校に通う児童生徒の保護者に加入を促しているということで、こういった世代の方々が参画しているということでした。
 この状況を見ても、加入者を増やすことはそう簡単ではないようです。MCRの投稿にはスマートフォンを用いるということで、答弁にあったSNSやユーチューブによる広報は効果があると期待したいところですが、引き続き利用者目線に立った働きかけを求めます。
 一方で、このちばレポは当初より、課題の通報だけではなくて、市民が課題解決に取り組むための仕組みも搭載されています。行政に伝えて終わりではなくて、我がまちを自らの手で盛り上げていく取組こそ都民参画であり、都民協働であると考えます。私はこの側面を大切にしたいと思います。
 私の地元の世田谷区にある駒沢オリンピック公園では、近隣住民が花壇を広げて、その手入れを自主的に行う活動が広がっています。小田急線の東北沢駅から世田谷代田駅の区間の地下化によって生まれた線路跡地に整備された遊歩道も、グリーンインフラの機能を持たせるとともに、住民参加による植栽の維持管理が行われています。
 このように、都内では既に都民が参加し、まちの魅力を高める活動が繰り広げられています。MCRにも都民が道路の損傷や不具合を投稿し、都で確認、対応する、こまったレポートに加えて、都民が道路上の落ち葉やごみを清掃したことを投稿できる、かいけつレポートという仕組みもあると聞いています。さきの住民による主体的な取組をMCRのかいけつレポートに掲載していただくことで、行政が全てを担うのではなく、地域住民等と連携したまちづくりの機運醸成につながるのではないでしょうか。
 広報活動においては、かいけつレポートの仕組みについても紹介するとともに、主体的、能動的な活動を行っている団体の皆様に対しては直接面会して、その意義を伝えるなど、この利用を広げていただく取組も重要であると考えます。取組を要望いたします。
 この駒沢オリンピック公園にはストリートスポーツ広場があります。東京二〇二〇大会での選手の活躍もあり、公園口近くのストリートスポーツ広場、以下SS広場と呼ばせていただきますが、小さい子供から大人まで幅広い世代の利用者でいつもにぎわっておりまして、都民のQOL向上につながる施設であるというふうに評価をしております。
 一方で、このSS広場で二年経過した現在も、歩行困難な大きなけがをした区民の方からのご相談も受けております。一緒に現地を視察したところ、SS広場には利用に当たっての基本的なルールに加え、公園に向かう際も滑走を控えること、フェンス外ではいかなる場所でもスケートボード等を絶対に使用しないことなど、恐らく運営をする中で浮かび上がった課題について、紙をパウチした掲示がされていました。
 しかしながら、私が訪れたその日も、子供たちはスポーツ広場の出口からベンチと屋根がある場所までスケートボードで移動しており、BMXは広場の外の南側で練習をしていました。先ほどのルールを掲示した紙には小さく、広場内での事故やけがについては自己責任との記載があります。
 都は、基本的に利用者の責任の中で運営が任されているということですが、令和四年度に駒沢オリンピック公園ストリートスポーツ広場において発生した事故件数について伺います。

○佐々木公園緑地部長 都立公園では、公園利用者から管理所に事故発生の通報があった場合や巡回の職員がけがの発生などの事故等を確認した場合、警察や消防の出動を把握した場合に、指定管理者が都に事故報告を提出することになっております。
 駒沢オリンピック公園のストリートスポーツ広場の利用について、令和四年度に事故報告を受けた件数は四件でございます。

○福島委員 ちなみに、さきのご相談者様の事故は、都側は把握してないというふうに聞いております。そして、ご相談者様はSS広場で遊ぶ子供に付き添った保護者の立場でなんですけれども、子供が通う学校に通う生徒の中でも、かなりの子供が骨折を経験しており、けがをした子供の保護者の意識も多くは、けがは付き物だからというものであるということです。このお話の年四回という数字は整合しません。
 ストリートスポーツ広場の利用者における安全な利用に向けたルールやマナー向上についてどのような取組を行ったのか伺います。

○佐々木公園緑地部長 事故防止に向けた取組として、利用者が施設を安全に利用できるよう、ヘルメットなど保護具の着用の推奨や小学生以下の利用における保護者の付添いなどの利用ルールを設定し、入り口付近に周知用の看板を設置するなど、普及啓発を図っております。
 また、指定管理者が愛好家団体が作成したスケートボード等のマナーについての分かりやすいリーフレットの配布を行ったほか、プロスケーターを講師に招いたマナーアップ教室の開催などを通じて、広場を安全に利用するための環境づくりを行いました。

○福島委員 ご相談者様によれば、都の利用に関する看板よりも、スケボーかいわいのオリジナルルールを優先するような親が多いような雰囲気があるということです。
 そのような中でも、このご相談者様は、ご自身は掲示してあったルールに従って、我が子の付添いとして、このSS広場の中で練習に付き合っていたものの、一緒に遊びに来た複数の友人の親はSS広場の中に子供を残して外でおしゃべりをしており、親の付添いがない子供の友達にせがまれて相手をする中でぶつかられ、そして大けがに至っています。ご相談者様のお子さんは親御さんの大けがを気に病み、スケートボードをその日以来、一切やらなくなったということです。
 ご相談者様からは、子供の利用におけるヘルメットやサポーターを装着の徹底、そして子供へのスケボー教室の開催に加えて、保護者に対してもリスクやサポートの仕方などルールを伝える場を設けて教育してほしいとの要望をいただいていますので、参考にしていただきたいと思います。
 現状の運用下で大きな、そして不幸な事故が起きたことを踏まえ、安全な利用には利用者自身によるルールの遵守やマナーアップの取組だけでなく、公園管理者による主体的な安全策も必要だと考えますが、公園管理者として実施した取組について伺います。

○佐々木公園緑地部長 ストリートスポーツ広場では、職員及び警備員の巡回時に積極的な声かけにより、ルールを守らない危険な行為に対して注意等を行っております。また、利用者が多く見込まれる土日祝日については、昼の十二時から閉場時間までの間、専任の警備員を配置し、安全対策の強化を図っております。
 こうした取組により、ストリートスポーツ広場の安全管理に努めております。

○福島委員 平時の巡回、声かけと土日祝日の午後の警備員の配置で、どうして安全管理が可能であると判断したのでしょうか。都民がSS広場を求めているのは事実であり、今後都内に展開するとすれば、この駒沢オリンピック公園のSS広場は第一号であり、モデル事業のようなものです。
 安心・安全な利用のためにどのような運営が必要なのかを明らかにするためにも、少なくとも一年間は常時観察、もしくはそれに相当する取組をしていただき、駒沢オリンピック公園をはじめに、今後展開するSS公園において利用者が不幸になるようなことがないよう、適切な安全管理を行っていただくことを要望いたします。
 インクルーシブな公園について伺います。
 障害の有無にかかわらず誰もが安心して暮らせるインクルーシブな社会の実現に向けて、我が会派は、あらゆる人が遊び、立場や違いを理解し、認め合う経験ができるインクルーシブ公園を提案、世田谷区の砧公園が第一号となり、今や全国に普及をしています。
 令和四年度末までの実施状況について伺います。

○根来公園計画担当部長 都立公園では、公園の新規整備や遊具広場の改修の機会を捉え、障害の有無にかかわらず子供が気軽に楽しめるユニバーサルデザインの遊具を備えた広場の整備を進めておりまして、令和三年度までに砧公園など三公園で整備が完了しております。
 令和四年度は練馬城址公園において新たに遊具広場の整備を行いますとともに、汐入公園や木場公園などの遊具広場について、改修のための設計を行いました。
 これらの設計に当たりましては、周辺の小学校などへアンケート調査を実施し、子供たちの意見を生かしております。

○福島委員 子供たちの意見を生かすということでしたが、どんな遊具が好きか、欲しいか、これを聞いた上で、そのインクルーシブタイプの遊具を導入するようにしているということでした。チルドレンファーストに取り組む東京都らしいよい取組だと思います。
 我が会派は、ハードの整備はもちろんですが、公園を造り上げる過程や、造ってからのコミュニティなど、地域住民が関わるためのソフト対策についても併せて求めてきました。
 令和四年度の取組実績について伺います。

○佐々木公園緑地部長 令和四年度は、砧公園のみんなのひろばにおいて、インクルーシブな活動を行う団体と連携し、ユニバーサルデザインの遊具を初めて利用する人向けの見学会を開催したほか、障害の有無にかかわらず全ての子供が参加できるアートワークショップなどを実施いたしました。
 府中の森公園では、もり公園にじいろ広場において、遊具についての理解を深める子供向けのクイズや、子供たちが協働して描いた虹色の花の横断幕を広場に設置し、フォトスポットとして楽しんでいただくイベントなどを実施しました。

○福島委員 都は令和三年から七年までのこの五年間、基礎自治体ごとに一か所、理想的なインクルーシブを造れるように、助成率二分の一、三千万円を上限に支援を行っています。
 一方で、まとまったエリアの確保が難しい場合には、同じ予算を使って複数の公園の遊具をインクルーシブ遊具に置き換えたい、そんな声も届いています。
 五年間の取組を通じて、インクルーシブな社会の実現につながる公園の在り方をハード、ソフトの両面から検証し、それ以降の取組に生かしていただくことを要望いたします。
 次に、善福寺川の護岸工事について伺います。
 近年、全国各地において頻発化、激甚化する大雨により豪雨災害が発生しており、東京においても本年六月に善福寺川で溢水被害が発生しました。
 都は、平成二十六年六月に改定した東京都豪雨対策基本方針に基づき、区部では時間七十五ミリ、多摩部では時間六十五ミリの降雨に対応できる貯留施設等の整備を進めてきました。善福寺川においても護岸整備を着実に進めることが重要です。
 そこで、善福寺川の護岸整備の考え方と令和四年度の実施状況について伺います。

○斉藤河川部長 都の中小河川におきましては、下流から順次護岸整備を行うことを基本としておりますが、善福寺川におきましては水害に対する安全性を早期に向上させるため、護岸整備に先行して複数の箇所に調節池を設置し、下流側の安全性を高めた上で、その上流に向けて護岸整備を実施しております。
 令和四年度は大成橋上流部と神通橋上下流部の二か所、約二百四十メーターの区間で工事を行い、護岸の本体となる鋼管ぐいを約二十四メートル設置いたしました。
 令和四年度末までに計画延長十・五キロメートルのうち、六・四キロメートルの護岸整備が完了しております。

○福島委員 河川の氾濫を防ぐための大変重要な取組だと思います。
 一方で、下流から工事を進めているということで、八幡橋辺りでは既に工事が完了しているんですけれども、この現地を河川工学の専門家と視察をさせていただいたところ、晴天時には悪臭を放つ状況でした。公共下水道から流入する汚水によるヘドロが川底を広げたことで、かつてより流速が減少し、たまりやすくなってしまったということです。
 この流速の減少は、平時の水量が減った、すなわち、かつては周辺の高台に降った雨水が浸透し、時間をかけて湧き水となり、善福寺池や善福寺川に流れ込んでいた水が減ったことも、その原因の一つです。
 一方で、市街化により短時間に多くの雨が降ると、アスファルトなどで覆われた地表を雨水がそのまま流れ、下水道や貯水池など、そして河川に一気に流れ込み、それが容量を超えると河川氾濫となります。つまり、自然が持つ雨水浸透能力が市街化により低下したことにより、平時の水量が減る一方で、降水時のこの水量が増す。つまり、水量の振れ幅が大きくなり、下水道や貯水池など、そして河川への負荷が高まってきています。雨水を地中に浸透させることは、本来の水循環を再生し、河川の水量の平準化につながります。
 そうした中、道路は都内面積の約一割を占め、その中で都道の占める割合は二割を超えるため、雨水の浸透を考える上で大変重要なインフラであると考えます。
 都においては、これまでも豪雨対策の枠組みなどにおいて浸透ますの設置を進めてきたと聞いていますが、そこで都は、都道における浸透ますについてどのような考えに基づき設置を進め、その結果、全体のうち何か所で設置されているのかについて伺います。

○原田道路保全担当部長 都は、豪雨対策の一環として、豪雨対策基本方針に定められた神田川や柳瀬川などの対策強化流域を中心に浸透ますの設置などを推進してきました。その結果、都道上の約十七万か所の雨水ますのうち、約四千か所が浸透機能を持つ雨水ますとなっております。

○福島委員 今お声にも上がりましたけれども、十七万か所のうち約四千か所というのは、設置率は二・四%となり、まだまだ設置できる余地は大きいと考えます。
 我が会派は、緑や自然の持つ雨水浸透性などの機能をこのまちづくりに生かすグリーンインフラについて、令和元年十一月、平成三十年度公営企業会計決算特別委員会以降、国内外の先進都市の取組を紹介するなどして、継続的に都への取組を求めてまいりました。
 そして、さきの第三回定例会の我が会派の代表質問に対し、知事からは全庁一丸となって取組を前に進めるとともに、区市町村や民間事業者による導入も促進するなど、取組の輪を社会全体に拡大していくとの答弁をいただいております。
 道路に浸透ますの設置をするに当たっては、水質の問題や地下水位が高い場所については設置が難しいことなど、幾つかの課題があることは承知をしております。
 一方で、さきに述べた善福寺川のかいわいなどでは、見た目に美しいグリーンインフラを住民が自宅や地域に導入、その維持管理に関わるなど、住民自らがこの雨水浸透の必要性を理解し、豪雨対策を行政任せにせず、主体的に関わっていただける効果も認められています。
 道路の新設時や何らかの改築を行う際などを中心に、雨水浸透ます、さらにはバイオスウェルなどのグリーンインフラの設置についても検討を進めていただくように要望いたします。
 次に、再生骨材コンクリートの利用について伺います。
 さきの都市整備局に対する決算の質疑においても、私は再生骨材コンクリートの利用促進について取り上げました。関係団体からは、建物の解体時に発生したコンクリート塊の量が増加し、都内の受入れ施設が逼迫しているとの声が届いています。コンクリート塊等の建築副産物のリサイクルが円滑に進むためには、再生骨材コンクリートの利用促進が重要です。
 そこで、建設局発注工事のうち令和四年度に完了した工事における再生骨材コンクリートの利用状況について伺います。

○松島企画担当部長 再生骨材コンクリートは、東京都環境物品等調達方針において、環境負荷の少ない建設資材として位置づけられており、都は調達可能な場合、その利用を推進することとしております。
 令和四年度に完了した建設局発注工事におけるコンクリート打設量は約一万立方メートルであり、そのうち約六割が再生骨材コンクリートとなっております。

○福島委員 都発注工事全体において、なかなかこの利用が進まない中で、この六割という数字は他局に比べても高い数字であるということでした。
 そこで、都発注工事における再生骨材コンクリートの今後の利用促進について、建設局の見解を伺います。

○松島企画担当部長 再生骨材コンクリートの利用促進を図る上で、運搬距離や供給能力などが制約となっておりますが、建設局では、再生骨材コンクリートを強度を要しない基礎コンクリートから、高い耐久性が要求される構造物の躯体等まで幅広い用途で利用しております。
 引き続き関係局と連携して、再生骨材コンクリートの利用を喚起し、さらなる建設副産物のリサイクルを推進してまいります。

○福島委員 幅広い用途について伝えることで需要喚起をするということで、これは進めていただきたいと思います。
 一方、ご答弁の最初にあった運搬距離や供給能力などの制約については、都市整備局に対して、これへの対策として、再生骨材コンクリートを製造するプラントの数を増やして、都内全域で利用可能な体制を整えること、そして、都が発注する再生骨材コンクリートを使う工事の場所や時期、使用量を事前に公表することで、製造側が需要量を把握できるような仕組みをつくって、この参入障壁を下げていただくこと、これを要望いたしました。建設局にもぜひ取組に協力していただきたいと思います。
 最後に、境界確定事務の執行体制について伺います。
 建設局では、都道などの都有地と民間との土地の境界を明らかにするための境界確定事務を行っています。民間の土地の売買契約時においては、隣接地との境界が確定していることが契約成立の条件とされており、隣接地に都有地を含む場合には、民間の土地取引を滞らせないためにも、迅速かつ適正な官民における境界確定の事業執行が求められます。
 まず、建設局全体で官民境界確定の直近三か年の申出件数について伺います。

○荒井総務部長 令和二年度は一千百十四件、令和三年度は一千百五十七件、令和四年度は一千二百三十件となっております。

○福島委員 建設局全体で年間千件を超え、かつ増加傾向にあることが分かりました。これらの申出については、所管する各建設事務所で対応していることと思いますが、昨年度は一部の事務所で業務が滞り、境界確定まで長い時間を要したというふうに聞いております。
 境界の確定は、専門的見地から様々な図面を読み解く必要があるなど、単純な業務ではないことは理解しますが、民間の土地取引日程に直接的な影響を及ぼすため、遅延することがないよう対策を講じることが必要であると考えます。
 そこで、これまでの状況を踏まえ、迅速かつ丁寧に執行するための取組について伺います。

○荒井総務部長 各建設事務所には、業務に精通した専門員を配置し、業務に当たっておりますが、申出件数の一時的な増加等に対しましても着実に申出案件を処理できる体制づくりが必要でございます。
 令和四年度は申出件数等が多い第二、第三、第六、北多摩南部建設事務所に土地境界確認事務専門員を各一名増員配置しております。また、専門知識を有する職員の育成に当たりましては、実践的で分かりやすい資料を用いた初心者向けの研修を充実するなど、技術力を向上させる取組を実施しております。
 引き続き適正な人員の配置や専門知識を有する職員の育成などの必要な対策を講じながら、都民サービスの維持向上に努めてまいります。

○福島委員 ご答弁にもあったように、専門知識を有する職員、これの育成には時間がかかるというふうに聞いております。欠員が生じてからの育成では間に合わないということです。業務遅延の課題については継続して伺っておりますので、行政サービスのQOS、クオリティー・オブ・サービスの維持のためにも、余裕を持った人員配置を検討するべき時期にあると考えますので、検討を求めます。
 私からの質疑はこれで終わりです。ありがとうございました。

○渋谷委員 それでは、まず初めに中小河川の洪水対策及び急傾斜地崩壊対策などについて伺います。
 近年、全国各地において頻発化、激甚化する大雨により豪雨災害が発生しています。
 本年六月の台風では静岡や愛知で線状降水帯が発生し、被害が発生しており、気象条件が整った場合、東京においても、いつ同様の災害が発生してもおかしくありません。都民の安全・安心を守るためには、できるだけ早期に整備することが必要です。
 そこで、まず令和四年度における中小河川整備の進捗状況を伺います。

○斉藤河川部長 都は激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るため、護岸の整備と併せて調節池等の整備を進めております。護岸につきましては、柳瀬川や空堀川など二十八河川で事業を行い、約〇・七キロメートルの護岸を整備いたしました。
 調節池等につきましては、石神井川の城北中央公園調節池や落合川の下谷橋調節池など九か所で工事を実施しました。

○渋谷委員 今後も気候変動の関係で集中豪雨はますます激しくなるおそれがあり、河川整備の早期完成が期待されています。私の地元を流れる柳瀬川、空堀川では令和元年の台風十九号により浸水被害が発生しており、地元でも河川整備の推進を求める声が多数あります。柳瀬川の整備については、今年の第二回定例会で関越道から上流に向けた護岸整備に順次取り組んでいると伺いました。
 そこで、空堀川の令和四年度における整備状況について伺います。

○斉藤河川部長 空堀川では令和四年度、東大和市内の中砂の川橋付近など二区間で護岸整備を実施し、これにより延長十四キロメートルのうち十二・八キロメートルの護岸整備は完了しております。
 また、計画の高さまで河床を掘り下げる整備を下流から進めておりまして、令和四年度は清瀬市の薬師橋付近で実施をしました。

○渋谷委員 今後も事業が進捗するよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 河川の洪水対策も重要でありますが、土砂災害対策も極めて重要です。令和元年の台風十九号に伴う大雨では、多摩地域を中心に多くの土砂災害が発生しました。私の地元である清瀬市、東久留米市においても崖崩れが懸念される箇所があり、現在、多摩地域では土砂災害警戒区域等が約一万二千か所指定されています。豪雨による崖崩れ等から都民の命を守るために、急傾斜地の崩壊対策を進めていくべきと考えます。
 そこで、令和四年度の多摩地域における急傾斜地崩壊対策の取組について伺います。

○小木曽河川防災担当部長 土砂災害警戒区域内の自然斜面につきましては、所有者による対策が困難な場合に、区市町村からの要望を受けまして、急傾斜地法に基づき、崖崩れ対策を実施しております。
 令和四年度は、多摩地域において、青梅市の河辺町一丁目地区等の十一か所で崖崩れを防止するのり面工などの工事を実施いたしました。

○渋谷委員 令和四年度にも確実に事業を進められていることが分かりましたが、災害はいつ起きるか分かりません。危険な急傾斜地については区市町村としっかりと連携して、今後も対策を積極的に進めることを求めます。
 橋梁の長寿命化について伺います。
 東京の強靱化を進めていく上で、道路は、都民生活や都市活動を支えるとともに災害時には救助救援活動や緊急物資輸送など生命と財産を守る極めて重要な都市インフラであり、とりわけ橋梁は河川や鉄道で分断された地域をつなぐ重要な構造物です。
 都が管理する橋梁の多くは高度経済成長期に建設されているため、建設後五十年以上経過したものが約四割と、高齢化が進んでいることから、都は予防保全型管理に取り組んでおり、重要な橋梁などにおいて長寿命化事業を進めていると考えますが、都の橋梁長寿命化事業の内容と取組目標について伺います。

○原田道路保全担当部長 都では約千二百橋の道路橋を管理しており、これらの多くは一斉に更新時期を迎えるため、都は更新時期の平準化と総事業費の縮減を目的として、予防保全型管理を進めております。
 このうち、架け替え時に多額の費用と周辺への多大な影響が予測される橋梁など約二百橋につきましては、将来の劣化状況を予測した上で新たな工法や材料を活用するなど適切な対策を実施することで、対策後百年以上の耐久性や安全性などを確保する長寿命化事業を進めております。
 取組目標としましては、昨年度策定したTOKYO強靱化プロジェクトにおいて、二〇二四年度までに百五十橋に着手することとしております。

○渋谷委員 次に、本事業の令和四年度の取組実績についてを伺います。

○原田道路保全担当部長 令和四年度は、多摩川に架かる青梅市の下奥多摩橋と御岳橋の二橋において、アーチ部材の補強などの対策を行う長寿命化事業に着手いたしました。また、浅川と京王線に架かる日野市の高幡橋でコンクリートの耐久性を向上させる対策を行うなど、五橋で対策を完了いたしました。
 これまでに百三十一橋において事業に着手し、五十七橋で対策を完了いたしました。

○渋谷委員 橋梁の長寿命化事業が着実に進められていることが分かりました。橋梁は大地震時の緊急輸送網を確保するために、都市インフラの中でも特に重要な構造物です。東京の強靱化を進めるために、引き続き橋梁の長寿命化事業を着実に推進するよう求めます。
 私からも無電柱化について質問をいたします。
 関東大震災から百年目の今年、都議会自民党は、首都直下地震への対策や激甚化する風水害被害に対応するため、減災、そして迅速な復興につながる対策を総合的に展開することを求めています。
 無電柱化は日常の安全確保はもとより、地震や台風などの災害時においても避難や救助活動を円滑にするなど、都民の安全・安心を守る上で大変重要な事業です。
 都は都市の防災力を高め、安心して暮らせる都市を実現するため、第一次緊急輸送道路など無電柱化を積極的に推進しています。
 そこで、令和四年度末までの都道における無電柱化の整備実績についてを伺います。

○今宮無電柱化推進担当部長 これまで都は、数期にわたる計画に基づき、防災性の向上に資する緊急輸送道路などの無電柱化を推進してきました。現在は令和三年二月に策定いたしました無電柱化加速化戦略及び同年六月に改定した第八期の整備計画に基づき事業を推進しております。
 令和四年度末までに、計画幅員で完成した歩道幅二・五メートル以上の都道全体における整備済み延長は千六十七キロメートル、地中化率は約四六%でございます。
 また、第一次緊急輸送道路の地中化率は約四一%でございます。

○渋谷委員 都道全体と緊急輸送道路における無電柱化の進捗が確認できました。都は加速化戦略を策定し、精力的に事業を進めていますが、都内は地下に埋設されているライフラインが多く、効率的に工事を進めるには様々な課題があります。
 そこで、どのような工夫をして無電柱化を進めているのか伺います。

○今宮無電柱化推進担当部長 無電柱化の実施に当たっては、限られた道路空間に新たに電線共同溝を設置するため、ガス管や水道管等の移設工事を行いながら整備を進めることが必要でございます。そのため、設計段階から関係事業者と十分に協議を行うとともに、電線管理者が所有している管路やマンホールなどの既存施設を電線共同溝の一部として活用するなど、可能な限り移設工事が少なくなるような工夫を行っております。
 引き続き効率的な事業執行に努め、安全・安心な東京の実現に向け、無電柱化に取り組んでまいります。

○渋谷委員 無電柱化を着実に推進し、都民の安全・安心を確保できる強靱で持続可能な都市を実現していっていただきたいと考えます。
 次に、都立公園の整備について伺います。
 気候変動に合わせて対策を講じていくことも必要ですが、温暖化防止の観点からは温暖化への影響が最も大きいとされる二酸化炭素の大気中の濃度を増加させないことも重要です。このため、二酸化炭素の吸収源としての役割を果たす緑の保全や創出を考えていかなければなりません。
 しかしながら、樹林地や農地は開発などの影響を受け、東京の緑は減少を続けていく一方です。こうした状況において、公園は都市の緑として大きな役割を担っており、緑の保全や創出につながる都市公園の整備は極めて重要です。
 そこで、令和四年度における都立公園の整備事業の進捗状況について伺います。

○根来公園計画担当部長 公園は、自然環境の保全や都市環境の改善に寄与する都市施設でございまして、緑あふれる東京の実現に向けて緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備を推進することは重要でございます。
 令和四年度は、善福寺公園などにおいて〇・四ヘクタールの事業認可を新たに取得いたしました。また、練馬城址公園や大戸緑地などで十六・八ヘクタールの用地を取得するとともに、青山公園や六仙公園などで六ヘクタールの整備を行っており、令和四年度末で八十三公園二千五十六ヘクタールを開園しております。
 今後とも緑豊かな公園づくりを推進し、都立公園の整備に着実に取り組んでまいります。

○渋谷委員 都立公園の整備が着実に進んでいることが分かりました。しかし、気候変動を考えますと、緑の保全は今後ますます重要となっていきます。
 東京の丘陵地を含めて事業認可の推進や用地取得など、公園整備の一層のスピードアップを行うことで、二酸化炭素の吸収を進めていただきたい。それによって、東京の環境を改善していただきたいと考えます。
 以上で私の質問を終わります。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、東部低地帯における耐震、耐水対策についてお伺いをいたします。
 都は、東日本大震災を受け、今後発生が予想される大地震や津波などに対して、東京をより安全で安心な都市とするため、耐震、耐水対策を進めており、令和三年十二月には対策範囲を拡大した東部低地帯の河川施設整備計画の第二期計画を策定し、令和四年度から第二期計画に着手いたしました。
 東部低地帯に暮らす三百万人の都民の命と暮らしを守るために、着実にこの対策を進めていくことが重要であります。
 そこで、東部低地帯における第二期計画の耐震、耐水対策の進捗についてお伺いをいたします。

○斉藤河川部長 東部低地帯におきましては、東部低地帯の河川施設整備計画に基づき、平成二十四年度から耐震、耐水対策を実施してきておりまして、さらなる安全性向上のため、対象範囲を拡大した二期計画を令和三年度に策定し、堤防約五十七キロメートル及び水門等の九施設を対象に、切れ目のない整備を推進しております。
 計画の初年度である令和四年度は、中川など九河川の堤防約三キロメートルと、上平井水門など九施設で耐震、耐水対策を実施いたしました。

○竹平委員 東部低地帯における耐震、耐水対策の進捗について確認をさせていただきました。
 私の地元江戸川区は、地盤の高さが満潮位より低いゼロメートル地帯が陸域の七割を占めておりまして、地震や津波等の災害に対する危険性が危惧されております。
 そこで、江戸川区内の河川における耐震、耐水対策の進捗についてお伺いをいたします。

○斉藤河川部長 江戸川区内では、令和三年度までに中川、旧江戸川、新中川の三河川におきまして、堤防約七・一キロメートル及び新川排水機場の耐震、耐水対策が完了しております。
 令和四年度は二期計画の対象となる堤防約十一キロメートル、水門等四施設のうち、新中川など三河川の堤防約〇・八キロメートル及び今井水門など四施設の整備を実施いたしました。

○竹平委員 江戸川区内の耐震、耐水対策の進捗も確認をさせていただきました。
 都内全体と江戸川区内の整備状況をお伺いし、排水機場や水門の整備は進んでいることが分かりました。一方、堤防については、第二期計画の初年度となる令和四年度は全体として約五十七キロメートルのうち三キロメートルを実施しており、そのうち地元江戸川区では堤防十一キロのうち〇・八キロということでございました。都全体の五十七キロメートルを十年間で単純に割りますと、一年間では五・七キロ、また江戸川区の十一キロメートルは一・一キロメートルとなります。計算上では若干遅れているのかなというふうに思うところでもございます。
 事業を推進するに当たりましては、事業実施地域の住民や、また河川利用者などの理解、協力を得ていくことが必要であります。そして、昨今の資材の高騰などによる工事の不調ですとか、また河川には不法係留船が存在しているということで、事業の進捗に影響があるということも聞いております。日常、河川を管理している地元区や国や橋梁などの管理者とも連携し、着実に事業を進めていただくよう要望いたします。
 さて、万が一、洪水や地震により堤防が被災すれば、浸水被害は広範囲に及ぶことが想定され、水害発生時に安全に避難できるルートの確保も必要であります。
 私は令和四年第一回定例会において、中川の堤防上を高台の葛西南部地域まで移動できるような避難の取組について質問をし、都からは分断されている中川の堤防上部の通路の連続化に向けて取り組むとの答弁がありました。
 そこで、中川堤防上部の通路の連続化の進捗についてお伺いをいたします。

○斉藤河川部長 都は、堤防上部の通路を使って安全な地域へ避難できるよう、横断する橋梁等により分断されている通路の連続化に向けて取り組んでおります。
 令和四年度は、葛西橋と清砂大橋におきまして、橋梁と堤防上部をつなぐ通路の詳細設計に着手いたしました。あわせて、江戸川区や橋梁管理者等との調整を行っております。

○竹平委員 堤防上部の通路の取組について進んでいることが分かりました。この取組を推進し、一刻も早いこの通路の連続化が果たされることを要望いたします。
 次に、篠崎公園の整備についてお伺いをいたします。
 篠崎公園では、地元の住民はもとより、区民、都民にとっても大切な施設であります。朝のラジオ体操やウオーキング、また野球やサッカー、バスケット、テニスなどスポーツを楽しむ方、児童遊具、健康遊具などもあり、全世代のたくさんの方が利用しており、憩いの場として皆様に親しまれております。
 先日は四年ぶりに江戸川区民まつりが開催されまして、ボランティアや各団体などの多くの方の協力で、例年以上の来場者でにぎわいました。大変なにぎわいでありました。
 一方で、篠崎公園は防災機能を持った公園として、都民の命を守る大切な公園でもあります。都議会公明党はかねてより、地元の防災拠点である篠崎公園を大規模水害に備えて高台化すべきと何度も主張いたしまして、都は二〇一二年に高台化を含めた整備計画を策定いたしました。
 私は令和四年第一回定例会で、篠崎公園の周辺では国の高規格堤防や区の区画整理事業等の事業が進められており、都は国や区との連携の上、篠崎公園の高台化の実現に着実に取り組むべきと求めてきました。
 そこで、篠崎公園における高台化に向けた整備の都の実施状況についてお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 東部低地帯において水害時に避難できる高台を整備することは重要であり、都は篠崎公園において高台化や江戸川堤防への避難路の確保に取り組んでおります。
 令和四年度は、江戸川沿いの区域において仮設道路や駐車場の整備、既存の公園施設の撤去などの準備工事に着手いたしまして、仮設道路については令和五年三月に供用を開始しました。
 引き続き、今後予定されている国による盛土工事に先立つ公園施設の撤去などの準備工事を進めてまいります。

○竹平委員 防災機能を強化するために早期に高台化することが望まれますが、事業期間が長期に及ぶことから、地域の方々に対して十分な情報提供が必要だと考えます。
 そこで、地域住民に対するこれまでの取組についてお伺いをいたします。

○根来公園計画担当部長 委員お話しのとおり、篠崎公園の高台化事業は長期にわたることから、地域の方々の理解と協力が必要でございます。このため、都は昨年度、篠崎公園地区の高台まちづくり事業全体に関する説明会を国や区と共同で開催いたしました。また、都が段階的に実施する工事について、その都度説明会を開催するなど、地域の方々に工事の内容や工事に伴う公園利用への影響などを丁寧に説明いたしました。
 引き続き国や区と連携して、地域の方々に適切に情報を提供しながら、事業を着実に推進してまいります。

○竹平委員 篠崎公園の高台化を進めていくには、何よりも地域住民の理解と協力が不可欠であります。地域の方々への説明会の開催とともに、個別で相談も受け付けられるように、引き続き丁寧に事業を進めていただくよう要望いたします。
 また、今年、国の盛土工事の開始に向け、以前の道路が閉鎖され、新たに公園内に仮設道路ができましたが、その仮設道路につながる既存の道路の交通量が多くなり、交通事故などを懸念する声もいただいております。地域住民の声を聞き、地元江戸川区や警察署とも連携して安全対策を進めていただくよう要望いたします。
 篠崎公園の高台化による防災機能の強化とともに、都立公園が発災時に安全・安心な場として機能していくためには、訓練をはじめとする地域と連携した日頃からの備えが重要であります。
 そこで、篠崎公園における地域と連携した防災訓練などの取組についてお伺いいたします。

○根来公園計画担当部長 篠崎公園では、令和四年五月に区や地元自治会、警察、消防などと連携した防災訓練を実施し、二百名を超える方々にご参加いただきました。
 具体的には、初期消火の訓練や災害用トイレやかまどベンチの運用訓練、親子を対象とした防災船の避難乗船など、災害発生時に備えた実践的な訓練を実施いたしました。
 また、地元小学校と連携した避難訓練や普及啓発、区と連携した応急給水訓練への参加、消防署主催の防災フェアへの出展などの取組を実施しております。
 引き続き地域と連携した防災訓練等を通じまして、防災意識の向上と災害対応力の強化に努めてまいります。

○竹平委員 昨年は、コロナ禍ではありましたけれども地元自治会や近隣の小学校が参加して防災訓練が進められていることを確認させていただきました。引き続き地域の方に参加していただき、防災訓練を進めていただきたいと思います。
 また一方、災害時、篠崎公園には地元の方だけではなく、離れたところからも避難してくると思います。都が主導して避難場所の運営訓練や、いろいろなシチュエーションを踏まえた防災訓練など、関係機関と連携して進めていただくよう要望いたします。
 次に、無電柱化について伺わせていただきます。
 安心・安全で持続可能な都市の実現に向けては、風水害への備えだけではなく、地震への備えも必要であります。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模地震時に倒壊した電柱等が道路の通行を阻害し、緊急車両の通行や生活物資の輸送に支障を来しました。東京の無電柱化は防災上極めて重要な事業であり、整備に当たっては必要性の高い区間から重点的に整備を進めていくべきと考えます。
 そこで、都はどのように無電柱化に取り組んでいるのかをお伺いいたします。

○今宮無電柱化推進担当部長 令和三年に策定いたしました東京都無電柱化計画において、二〇四〇年代に向けた無電柱化の基本的な方針や目標を定めるとともに、無電柱化の着実な推進に向けまして、五か年で整備する箇所や延長を整備計画としてお示しをさせていただきました。特に第一次緊急輸送道路や環状七号線の内側エリア等の都道につきましては優先的に整備することとしており、二〇三五年度の完了を目指し、無電柱化に取り組んでおります。

○竹平委員 都の無電柱化の取組について理解をさせていただきました。
 私の地元である江戸川区では、都道の様々な箇所で無電柱化の事業が進捗しております。特に環状七号線については震災時に重要な機能を発揮することから、無電柱化を進めていくことが重要であります。
 そこで、令和四年度末までの環状七号線における無電柱化の整備実績についてお伺いをいたします。

○今宮無電柱化推進担当部長 環状七号線は、震災時に都心への一般車両の進入を規制する流入禁止区域の境界となっていることから、第一次緊急輸送道路の中でも特に重要な路線でございます。環状七号線の無電柱化については、江戸川区の一之江地区などで整備を進め、整備対象延長百八キロメートルに対しまして、令和四年度末までに六十四キロメートルの整備が完了し、地中化率は約六〇%でございます。
 引き続き都市防災機能の強化に向け、無電柱化を推進してまいります。

○竹平委員 着実に整備が進められていることも分かりました。私も、環状七号線をよく利用しております。無電柱化の工事をされている方を見かけます。工事に携わる方、交通の誘導に当たる方は、暑い日もあれば、冷たい雨が降る日も懸命に整備に当たってくださっており、感謝しております。交通量の多い都道で工事を進めることは非常に困難であるかと思いますが、切迫化する震災に備えるため、着実に事業を進めていただきたいと要望いたします。
 次に、特定整備路線の整備についてお伺いいたします。
 首都直下地震の発生が危惧される中、災害時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の防災性向上は喫緊の課題であります。
 都は、木密地域を燃えない、燃え広がらないまちにするために、不燃化特区の取組と特定整備路線の整備を推進しております。特定整備路線は令和七年度までの全線整備に向けて事業が進められており、私の地元である江戸川区でも補助第一四二号線、補助第一四三号線、そして補助第一四四号線の三区間で整備が進められています。
 このうち、補助第一四二号線と補助第一四三号線が交差する南小岩一帯は木密地域として危険性が高く、特定整備路線の整備により周辺地域の防災性の向上に大きな効果が期待されております。
 そこで、特定整備路線補助第一四二号線、一四三号線の現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○周郷道路計画担当部長 特定整備路線である補助第一四二号線及び補助第一四三号線は、市街地の延焼を遮断し、避難路や緊急車両の通行路となるなど、地域の防災性の向上に資する重要な路線でございます。
 両路線の用地取得率は、令和五年九月末時点で補助第一四二号線が七五%、補助第一四三号線が八二%でございます。
 また、両路線が交差する東小岩四丁目交差点の改良工事に向けまして、令和四年度から排水管設置工事を実施し、本年七月に完了いたしました。
 引き続き地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進してまいります。

○竹平委員 補助第一四二号線、一四三号線は私の地元でもありまして、ほぼ毎日のように通っており、着実に進んでいることを実感していましたが、改めて状況を確認させていただきました。
 本事業は平成二十六年度に着手してから十年でございます。令和七年度末まであと二年半となります。とはいえ、拡幅道路に接している方々にとっては、住まいを移動することはそうそう容易ではありません。事業に協力していただく方々には、ご要望を聞きながら丁寧にご説明をし、進めていただくよう要望したいと思います。
 そして、いつ起きるか分からない震災に備え、地域の防災性向上に大きな効果を発揮する特定整備路線を着実に整備していただくよう強く要望いたします。
 なお、ただいま答弁のありました東小岩四丁目の交差点付近につきましては、小学校の通学路として児童が利用している中、自転車の通行も多い状況にあります。交差点改良によって歩行者と自転車の移動の流れが変わることによる影響も考えていく必要があります。
 交差点の整備に当たっては地域の利用実態を考慮し、きめ細やかな安全対策も行っていただくよう、併せて要望いたします。
 次に、東京都と千葉県を結ぶ都県橋について伺います。
 補助第一四三号線には、旧江戸川を渡る橋梁も計画されております。災害時の広域避難、救助救援活動のためにも、地域の安全・安心を支える都県境の橋梁整備が不可欠であります。
 旧江戸川橋梁については、東京都と千葉県の間で橋梁整備事業に関する基本協定がようやく結ばれました。災害時のネットワーク機能拡充に加え、東京メトロ東西線行徳駅へのアクセス性が向上し、通勤、通学で利用できる鉄道が増えるなど、本事業への区民の期待も高まっております。このため、旧江戸川橋梁の整備を着実に進めていく必要があります。
 そこで、旧江戸川橋梁整備の概要についてお伺いをいたします。

○久野道路建設部長 仮称旧江戸川橋梁整備事業は、江戸川区東篠崎と市川市湊を結ぶ橋梁と取付け道路の整備を都と千葉県が共同で行うものでございます。
 事業延長は約七百八十メートルでございまして、このうち渡河部の橋梁約百八十メートルにつきましては、千葉県と令和三年に締結した基本協定に基づき、都が施行することとしております。
 本事業により都県境を越えた道路ネットワークが形成され、都市間の連携が強化されます。また、交通の円滑化が図られるとともに、災害時の避難、輸送ルートが確保され、広域的な防災性が向上いたします。

○竹平委員 整備事業の概要についてご説明をいただき、内容が分かりました。
 それでは、令和四年度の取組状況についてお伺いをいたします。

○久野道路建設部長 令和五年一月に十三年度末までを施行期間とする事業認可を取得し、同年三月には地元説明会を開催いたしました。また、橋梁や擁壁の設計に必要となる地質調査に着手いたしました。
 今後とも千葉県と連携し、橋梁整備に着実に取り組んでまいります。

○竹平委員 この旧江戸川橋梁は、地元の皆さんが待ちに待った悲願の橋であります。江戸川区側の道路は地元住民のご協力により既に整備されており、まだかまだかと待ち望んでいました。いよいよ橋が架かるということで大変期待をしております。令和十三年度までの事業認可ということですので、八年後になるわけです。少し先ではありますが、完成した橋が目に浮かんでまいります。
 千葉県とも連携して、旧江戸川橋梁の整備に向けて着実に取り組んでいただきますよう要望いたします。
 さらに、東京都と千葉県の間には、江戸川を渡る都県境の、都県の防災拠点をつなぐ補助第二八六号線の橋梁も計画されております。都側の防災拠点である篠崎公園では、高台化など公園の防災機能を強化する取組が進められております。
 そこで、防災拠点へのアクセス性を強化する補助第二八六号線の橋梁の重要性について、どのように認識をしているのかお伺いいたします。

○久野道路建設部長 補助第二八六号線は、江戸川区中央一丁目から上篠崎一丁目に至る延長約三・八キロメートルの都市計画道路でございます。本路線は、江戸川区における東西方向の地域幹線道路であり、交通の円滑化や広域的な防災性の向上に資する重要な路線でございます。このうち、江戸川を渡る新設の橋梁は都県の防災拠点を結ぶとともに、災害時には避難路や緊急物資の輸送路ともなる重要な橋梁でございます。

○竹平委員 補助第二八六号線の橋梁の重要性について都が認識していることが分かりました。
 そこで、令和四年度までの本橋梁の取組状況についてお伺いをいたします。

○久野道路建設部長 本橋梁の整備計画につきましては、高規格堤防の計画や沿道のまちづくりとの整合を図る必要があるため、国など関係機関との調整を進めてまいりました。
 また、橋梁の取付け部は江戸川区の施行区間であるため、その事業手法や進め方について地元区と調整してきました。
 引き続き、本橋梁の計画の具体化に向けまして千葉県や地元区等と連携し、検討を進めてまいります。

○竹平委員 第二八六号線の橋梁については早期整備を望む地元江戸川区の強い要望もあることから、千葉県の協力が得られるよう、江戸川区と共に働きかけるなど、橋梁整備の実現に向けて取り組んでいただくよう要望して、質問を終わります。どうもありがとうございました。

○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時四分開議

○細田委員長 休憩前に引き続きまして分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原田委員 相次ぐ水害に対し、都はハード面での対応に追われています。
 私の地元杉並では、二〇〇五年九月に時間雨量百十二ミリともいわれる大豪雨に見舞われ、当時、杉並区議会議員になりたての私は、駆けつけた現場で、おなかまでつかるほどの水をかき分けて、床上浸水した家庭を回りました。しかし、当然のことながら、そんな状況であってですね、なすすべもなく、当時小学生の女の子が停電の暗闇の中、汚水を家の外に入れ物で必死にかき出している、そういう状況で、私が見回ったところ、泣きながら私に向かい、私たちの生活どうなっちゃうんですかと、一体あなたは何をしてくれるんですかと叫ばれまして、茫然とたたずんだことを思い出します、今でも。
 以来、区議会議員時代を通じて水害対策については質疑を重ね、本当に役立つ制度の創設って何なのかと、そういうところに力を入れてきたつもりです。
 知事からグリーンビズが提唱されたとき、私が第一に思ったのは、ならば水害地域を中心に、透水性舗装を抜本的に施工することなど、そうした雨水浸透策というものが必要になるなというふうに思いました。河岸段丘の上の方まで市町村道を舗装することができれば、貯水槽と違って雨水をのみ込む量は小さいんですけれども、下水に流れ込むタイムラグをつくり出すことができます。
 元は水害対策というよりもヒートアイランド現象対策として研究されてきました。練馬区のように集中的な対策を施すことで、調節池十数個分の保水力を持つこともできますので、思い切って水害地域の河岸段丘の途中や、その上に位置する都道などは建設局の力で透水性舗装にするなど、先陣を切っていただきたいなと。それこそ透水性舗装の研究は、国会図書館で調べますと、建設局の皆さん、頑張っていらしたというのが、もう二十年以上前かな、技監なんかはきっと覚えていらっしゃると思うんですけれども、そういう時代もあったわけですから、今後の課題としていただきたいと思います。
 さて、本日はハードな水害対策が逆に引き起こしてしまう周辺環境への影響、負荷についてお聞きします。
 都市型水害の基本中の基本は河川改修です。河川改修は下流からの整備を鉄則とし、幾ら上流に水害地域があっても、そこだけ拡幅するようなことはあまりしません。そういうことをしてしまえば、その拡幅した下流にボトルネックが生じ、よりひどい水害を発生させてしまうからです。
 都は令和四年度、善福寺川において神通橋付近や大成橋付近の二か所で護岸整備を実施していると聞いています。このうち、神通橋付近の工事は下流の整備が終わっていない、川の途中からの珍しい拡幅事業となります。その工事の特質上、この地域では実は大変な住環境負荷がのしかかってきました。
 そこでまずは、現在、神通橋付近で実施している護岸工事の施工範囲と、令和四年度の実施状況及び完了時期について伺います。

○斉藤河川部長 本工事は令和三年度に着工し、神通橋下流約四十メートル付近から神通橋とその上流にあります西田端橋との中間付近まで約百七十五メートルを施工区間としております。令和四年度は、ブロック積み護岸を施工いたしました。
 完了時期は令和六年九月を予定しております。

○原田委員 現在は河川拡幅工事なわけですけれども、その前は成田西調節池の建設工事が何年も続いていました。そのため、この工事現場はもう何年もの間、地域一帯が金属の囲いで囲われ、家の二階から窓の外を見ても、善福寺川のせせらぎは見えず、仮設の橋や甲板が設置され、その上に資機材が置かれ、重機が走る。殺伐とした風景と騒音に悩まされてきました。
 それこそ、杉並区の善福寺川沿いに、ついの住みかと思って老後を本当に穏やかに過ごしたいと思っていた人たちは寝耳に水といいますか、驚きまして、地域ではノイローゼになる方、体の悪くなった家族が家を出てしまった方がいるなど、私もここまで影響するのかと驚いたのが正直なところです。必要な河川改修といえども、調節池の工事と河川改修が重なると、こういうことになるんだなと思いました。
 先ほどいいましたが、この調節池はほかとは異質な機能を期待される調節池でして、上流の水害地域を前倒しで解消するため、河川の途中から拡幅する、いわばおきて破りの工事であります。そのために、下流のボトルネックが生じないように造られた三万五千立方メートルの水をのみ込む地下調節池がこの前まで行われていた工事の正体なわけです。
 当然調節池は、工事が終わったら川の工事が始まるわけです、この調節池の場合は。この理解が進んでいませんでした。調節池のときの住民説明会がもめなかったとしても、後からむしろ大きくもめるということをよく表している事例であって、今後は丁寧な説明とともに、労力もお金もかけた事前の対応を取ることが、かえって事業を進めることにつながるんだということを指摘しておきたいと思います。
 調節池の工事が終わり、やっと静かになると思ったら、そこから河川の拡幅工事が始まったために、近隣住民はみんな驚いちゃったわけなんです。また何年も続くのかと。ここら辺の説明が、この地域ではうまくされていなかったんです。
 私なんかは、実は説明会聞いていて分かったんですよ。ちゃんと説明をしていたんですけれども、ちょっとこの調節池の特殊さというのが、どうも地域住民にはやっぱりその資料では分からなかったみたいで、これは本当に今後の教訓にしたいなというふうに私自身も思いました。
 しかし、先ほどの答弁で、工事はいよいよ来年の九月には終わることが示されました。先ほどの工事範囲は当初考えられていた工事区間の半分となります。これでやっと目の前の囲いや殺伐とした風景がなくなるというわけです。ただ一方で、橋の途中で工事を止めてしまって、残り半分の工事はどうなるのか気になります。
 そこでお聞きしますが、神通橋から西田端橋までの区間における護岸整備については、当初、神通橋を工事拠点として、今苦しんでいる人たちがたくさんいるところ、そこを拠点として、当該全区間の工事を行う予定でした。残る今回の工事区間、しかし半分になったと。残る神通橋と西田端橋の中間付近より上流側区間での工事拠点はどこになるのか伺います。

○斉藤河川部長 神通橋から西田端橋までの区間のうち、残りの上流側区間の工事は、西田端橋上流左岸に工事拠点を設けて実施することとしております。このことにつきましては、令和三年三月及び令和五年三月の地元説明会で地元の方々に説明をさせていただいております。

○原田委員 そうした配慮ができないものかと以前から地域から要望が上がっており、私もそれを都議会に届けてきたところですけれども、方針は示されてきたんですが、正式にこうやって都議会で答弁がありました。これは重要であります。ただし、今度は次の工事の出発基地が十年近く続くなんていうことにならないように、工夫に工夫を重ねていただきたいなと思います。
 まずは、次の出発基地周辺への丁寧な説明、そしてお金をかけるべきところはお金をかけて、不調を避けて、環境負荷の低減に努めていただきたいと思います。
 さて、もう一つの工事箇所である大成橋付近は、和田堀公園内です。和田堀公園は太古からの崖、川沿いの崖をそのまま残したところに特徴のある都立公園です。崖の上には古墳が発見されており、崖の中腹には昭和時代の防空ごうが掘られた跡がありまして、私もよくそこに忍んだりしていました。草木や樹木が生い茂り、かつてはその中にカワセミが巣を作っていたといわれています。
 こうした崖線が崩され、大量の樹木が伐採されるのではないかと、かつて公園利用者や近隣住民、神社の植木職人さんなどが署名活動をされて、私もその活動を手伝わせていただきました。
 河川拡幅で伐採されそうになっていた大量の樹木が伐採されないこととなりました。工事を工夫したら、別に切らなくてもよかったということが分かって、かなりの数、百本近くなんじゃないですかね、切られなくなって、何だ、そんなことだったのかと驚きましたけど。
 さらに現在は、崖や樹木を保護するためにどのようなことを工夫して、護岸整備を実施しているのか伺います。

○斉藤河川部長 和田堀公園内では、川沿いにある緑豊かな崖地を可能な限り保全するため、護岸の設置位置などを工夫し、周辺環境に配慮した整備を実施してきております。

○原田委員 二メートルの鋼管くいの打設位置を崖から、まあ、鋼管くいの打設位置を崖から二メートルずらして、いわば川をずらして、この太古からの崖を守る工事が計画され、順調に進んでいるということを確認しました。建設局河川部のこうした英断を私は高く評価するものであります。
 ただし、河川拡幅が崖線を過ぎるところに、実は一軒のお宅が建っています。河川区域とはいえ、かつて正式に購入した土地であり、しかも地域では、そのお宅の風情が何ともいえず善福寺川にぴったりでして、私も大好きな風景の一つになっている、そんなお宅があります。かつて職人さんの家だったんですかね、お父様が。その木材とか、だあっと川沿いに並んでいて、すごくおしゃれにいい雰囲気を醸している、そんなお宅なんです。
 せっかく二メートルずらしたんなら、このお宅からもそのまま二メートルずらしてほしかったところなんですけれども、計画はその家に近づくに従って、河川を元のラインに戻してしまうということとなっておりまして、玄関と川の間が人が一人通れるぐらいの幅しかありません。このお宅は川沿いの風情を保ってくれている古くからの住民でありまして、河川拡幅工事が住民生活に支障を来さないよう要望しておきたいと思います。
 また、杉並区の計画ですので本日は質問にしませんけれども、この河川拡幅とともに、大成橋という橋の架け替え工事が行われます。杉並区の生活主要道路計画というものに基づきまして、左右両面が二メートルずつ拡幅されると聞いておりますが、それにより、このお宅の敷地と道路がぶつかるようになると。車や自転車が家屋と接触することを避けるよう手だてを取られることを求めておきます。
 また、橋を拡幅したとしても、道路を拡幅することなく、あくまでも歩道のみの拡幅にとどめるよう求めておきます。
 大体この生活主要道路というのは住民に何の説明もなく、前の区長が勝手に造りまして、二メートルずつ横に広げようとするものですから、二メートルずつ両側の家が、全部家が削られていくという、どうやっても実現性不可能、実現性のない計画なんですけれども、こんな絶対できないだろうという計画なんですけれども、東京都と杉並区のお金を使って、この橋だけ拡幅されるという無駄遣いが行われますので、まあ、本当に無駄だなと思っておりますが、ここまで進んできてしまったということで、ぜひこの住民の方々への配慮を行っていただきたいと思います。
 次に、都立善福寺川緑地公園、和田堀公園の利用改善についてお聞きします。
 両公園は善福寺川沿道に連なる全長三キロから四キロほどの豊かな森林と広場で構成された都立公園です。随所に広場やピクニックに最適なスポットがあります。
 近年、手軽に立てて、または気軽にしまうことのできるポップアップテントやサンシェードが人気で、便利です。私、一般質問でもこの問題をやらせていただきましたけど、夏の猛暑のときには強い日差しを避けるための安全対策にもなり、ピクニックをするにはもう欠かせなくなってきました。人気で便利なだけでなく、安全面でも必要なものなんです。
 そこでお聞きしますが、都立公園には従来禁止されてきたシェードやポップアップテントの使用が認められている公園がありますが、和田堀公園ではポップアップテントなどの利用がいまだに禁止されていますが、その理由を伺います。

○佐々木公園緑地部長 都立公園では、熱中症の予防や子供の休憩等の用途として有用であることから、令和四年度から一部の公園の広場においてポップアップテントなどの簡易テントの使用を認めております。使用が可能な広場は、多数の簡易テントの使用があっても、ほかの利用者の支障とならず、かつ見通しのよい芝生広場などの大きな広場としており、和田堀公園における使用は認めておりません。

○原田委員 今の答弁の、見通しのよい芝生広場がある公園という基準が曖昧だと思うんです。もう半分近くの都立公園で認められていると思いますけれども、例えば見通しのよい広場が広大に広がっている代々木公園では、このポップアップテント、サンシェード、認められていません。安全対策として、ほかの公園では認められているのに、ちょっと分かりにくい基準で、善福寺川緑地公園や和田堀公園はその安全対策を取ることができないというのは重大な問題だと思うんです。
 地域の人たちにこういうことを話すと、そんなポップアップテントで子供たちがボール遊びも何にもできなくなるぐらいだったら、ほかのところへ移ると。幾らでも、もう三、四キロありますから幾らでもピクニックスポットはあるんですよ。だから、そんなぎゅうぎゅうに利用者も固まらないですよね。そこら辺は本当に利用者のことを信頼していただいて、ちょっとテストイベントぐらいでもやってもらいたいものだなと思っています。皆さんにはぜひとも現地に来ていただいて、利用者の声を聞いてほしいと思います。
 公園の魅力を高める上で最近人気を集めているのがプレーパークです。和田堀公園のプレーパークは地元のお父さん、お母さんが始めまして、運営してくれているんですけれども、プロのプレーリーダーの力を遺憾なく発揮してもらうために、そうした地域の人たちが努力をしてくれています。
 七、八メートルの高さのターザンロープやロープブランコ、人力トロッコ、工作コーナー、火起こし、焼きマシュマロ。もううちの子も大変お世話になりました。
 そこでお聞きしますけれども、和田堀公園のプレーパークは、公園の価値を高める非常に人気の高いイベントでありますけれども、どのような取組が行われていると都は認識しているか伺います。

○佐々木公園緑地部長 都立公園におけるプレーパークは、子育て支援や社会教育活動の一環として地元の区市が主催あるいは共催、後援などを行い、ボランティア団体などの活動団体が安全に配慮しながら運営をしておりまして、都はこうした活動の場を提供しております。
 和田堀公園のプレーパークでは泥遊びや昔遊びなどが行われておりまして、多くの子供たちが参加をしていると報告を受けております。

○原田委員 事前に皆さんとお話をしても、非常に高い評価をされているということが分かり、うれしい気持ちがしました。
 実は優れたプレーパークであれば優れたプレーパークであるほど資材が増えていくんです。私もこの間通りがかりに、このプレーパークの片づけをちょっと手伝ったんですけれども、七、八メートルのロープが、一本が物すごい太いロープを使っておりまして、一本のロープや木を保護するためのタオルで、ブランコ一つでもう段ボール一箱分ぐらいになってしまうんです。それが幾つもあるわけです、公園中に。トロッコ、コンロ、工作工具、そのための木材、車いっぱいになっちゃうんです。
 世田谷区のご存じ羽根木プレーパークなどでは、それこそ小屋を幾つか建てて、その上も遊び場になっているわけですけれども、広い敷地の片隅にこうした資材を置く物置を置いたとして、私はプレーパークの恩恵からすると、文句をいう利用者はいないと思っています。ぜひこの点も現場をご覧になっていただいて、これ毎回やるごとに車で、朝早起きして資材を取りに行って、準備して、また終わったらってやるんですよね。これじゃ長く続かないと思うんです。ぜひこの移動だけでも負担を減らしてあげてもらいたいなというふうに思っています。
 本日は決算審議ということで、令和四年度の事業に関わっての質疑にとどめましたが、今後、善福寺川緑地、和田堀公園の緑地、樹木の保全というところでは、河川拡幅が大量の伐採につながる危険性もあります。ぜひとも、その地域の十年ぐらい前から住民や公園利用者との合意形成を図って、幾ら水害対策といえども、善福寺川公園や和田堀公園の豊かな緑地や景観が失われることのないように求めるとともに、その質疑は予算審議に回させていただきまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

○山口委員 それでは私からは、まず土砂災害対策事業及び河川事業の取組について伺わせていただきたいと思います。
 近年では日本各地において、気候変動により、従来には見られなかった線状降水帯による連続した降雨などが頻発をしている状況にあります。昨年八月の豪雨においては、新潟県などにおいて大規模な土砂災害も発生をしております。私の地元世田谷区においても、土砂災害警戒区域等が百か所以上あるわけでありまして、こうした降雨による土砂災害から都民の命を守るために、土砂災害対策を徹底して進めていくべきと考えますが、そこで、令和四年度における土砂災害対策に係る取組について、まずは伺いたいと思います。

○小木曽河川防災担当部長 都は、令和元年度までに住民の避難行動につながる土砂災害警戒区域等の指定を約一万五千か所で完了しており、令和四年度は二巡目以降の調査に基づき、指定区域の更新を実施いたしました。
 また、大島町の大金沢等におきまして土石流を止める砂防堰堤や崖崩れを防止するのり面工を整備するなど、都内の六十八か所で事業を実施いたしました。

○山口委員 また、この豪雨により溢水被害も多く発生をしているわけでありますが、私の地元を流れる仙川では平成十七年の豪雨の際には野川との合流地点で溢水による被害が発生をいたしております。こうした溢水被害をなくしていくためには護岸整備を着実に進めていただくことが重要であると考えますが、そこで仙川の整備の考え方について伺いたいと思います。

○斉藤河川部長 仙川につきましては、野川流域河川整備計画におきまして、年超過確率二十分の一規模の降雨に対応するため、河道や調節池の整備を行うこととしております。

○山口委員 それでは改めて伺いますが、令和四年度の仙川における工事の実施状況についても伺いたいと思います。

○斉藤河川部長 令和四年度は、野川との合流点に位置する鎌田橋におきまして、護岸整備に先行し、橋梁架け替えのための下部工事を進めました。
 引き続き橋梁下部工事や護岸工事等を実施いたします。

○山口委員 一刻も早い完成と工事の進捗を望むところでもありますが、しかし、こういう時代でございます。着実に進めていただきますように強く要望しておきたいと思います。
 次に、公共工事請負事業者に対する物価高騰対策について伺わせていただきたいと思います。
 様々な物の値段が、価格が高騰している中で建設資材も例外ではありません。ここ数年継続をして価格が高騰しているところであります。このような状況において、工期が長い工事では、契約金額と施工時の金額が大きく乖離をする場合があるのではないかと懸念をしているところでもあります。
 このような状況において、工事契約後に建設資材等の価格が高騰した場合に受注者の負担とならないように適切に対応していくべきと考えますが、そこでまず受注者に負担を負わせないようにするために、どのような制度があるんでしょうか伺いたいと思います。

○松島企画担当部長 主要な建設資材等の価格に著しい変動が生じた場合などにおいては、受注者からの契約金額変更の請求に基づき工事金額の変更を行う、いわゆるスライド条項の制度がございます。

○山口委員 工事請負契約書の二十四条によって、契約後の物価変動に対応して工事金額の変更を伴うスライド条項が設けられているという説明でありました。
 そこで伺いたいんですが、この契約書第二十四条のスライド条項のこの内容について伺いたいと思います。

○松島企画担当部長 工事請負標準契約書の第二十四条に定めるスライド条項は、契約後の受発注者間の物価等の変動リスクに対することを目的として、契約締結後、賃金または物価の変動により契約金額が不適当になった場合、契約金額の変更を請求できる制度であります。
 スライド条項には、全体スライドや特定の資材価格の変動に対する単品スライド、急激な価格水準の変動に対するインフレスライドの三種類がございます。

○山口委員 契約金額の変更を請求できるスライド条項には三つ、全体スライド、単品スライド、インフレスライドの三つの種類があるということでありました。
 特にこの令和四年度は、ウクライナ情勢等による原価価格の高騰などにより資材価格の高騰が続いてきたという厳しい現状を事業者の皆様から伺っているところでもありますが、建設局で令和四年度に適用した、このスライドの件数について伺いたいと思います。

○松島企画担当部長 建設局では、令和四年度に受注者から六十五件のスライド条項による契約金額の変更の請求を受け、協議を適切に進めております。

○山口委員 六十五件という請求でありましたが、やっぱり多いんだなという印象があるわけでありますが、今この六十五件の請求を受けて手続を進められているということで、物価高騰に対する取組について確認がいわばできたわけでありますが、まずはこの公共事業、公共工事からこそ、このような取組を適切に行っていくことって極めて重要だと思いますし、これは民間工事にもしっかりと波及をしていくことだと考えています。
 引き続きスライド条項の適用など、物価高騰に対する取組を着実に行っていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 続いて、建設局の業務の中でも大変重要な位置を占める道路に関わる事業について幾つか伺わせていただきたいと思います。
 土地家屋調査士は極めて専門的な仕事でありますが、ゆえに一般の方にはなかなか知られていないお仕事でもあります。しかし、土地等の状況を正確に登記記録に反映することによって、不動産取引の安全の確保、国民の財産を明確にするといった極めて公共性の高い仕事であります。
 都の道路整備に関わる部分では、建設事務所での境界確定ということになるわけであります。この業務がここ数年、携わる職員の欠員等によって著しく遅延をする場合があるとのお話を伺っているところでありますが、実際のところはどのようになっているんでしょうか。実情をぜひ伺わせていただきたいと思います。

○荒井総務部長 境界確認、確定事務におきましては、申出から境界の確認、確定までかかる期間を数か月程度とご案内しておりますが、令和三年度から四年度にかけて一部の事務所で事務処理に時間を要したことがございました。
 この原因といたしましては、ベテラン職員の退職に伴い欠員が発生し、補充した職員の習熟に期間を要したためでございます。
 このことから、専門知識を有する職員の育成に当たりましては、実践的で分かりやすい資料を用いた初心者向けの研修を実施するほか、定例担当者会議で事例を共有するなど、技術力を維持向上させる取組を行っております。

○山口委員 専門家の皆様にお話を伺っていますと、一口に境界確定といっても、なかなかこれは奥も深いもので、公図と違っているとか、隣接地の境が実は思っていたのと違っていたとか、先祖代々住んでいた敷地と思っている土地もあるかもしれませんが、その一部に白地、赤道だとか青線だとか含まれていたとか、ややこしいケースがあるというのはよく聞く話であります。
 そういったケースでは、どうしても時間がかかるということはあるというふうには聞いているわけでありますが、どこの業界も専門職が不足をしている時代でありますから、様々なご苦労もあって、いろいろと手を尽くしてもなかなか定着をして育てていくのは、これはもう大変だというのは重々理解をするところではありますが、専門職の確保、育成について、より一層の強化をぜひこの際お願いをしておきたいというふうに思います。
 人材の育成に力を入れていただく一方で、民間事業者も活用して、事務を補完してもらう、まあ、アウトソーシングであるとか事務処理の効率化、デジタル化と、両面からこの境界確定業務がスムーズに進むようにしていただきたいと考えるところでありますが、都の認識と令和四年度における取組について伺いたいと思います。

○荒井総務部長 境界確認、確定事務は限られた人員で行っているため、職員の負担軽減を図りながら効率的に行うことが必要でございます。職員の急な退職により人手が不足した事務所では、境界確認、確定事務を一部委託しております。
 また、図面を電子化することで今後の検索作業の省力化が可能となるため、令和四年度は境界確認、確定を行った約千件を新たに電子化しております。

○山口委員 これまでの質疑のやり取りから、令和四年度に起こった一時的な事案であるのかなというふうに理解をするところもありますし、また、長期的に見ると、専門職の確保という大きな課題の中に起こってしまった事案なのかなというふうに思うところもありますが、いずれにしても、やはり必要とされている方々に必要なサービスをしっかり提供していくという観点から考えていくと、しっかりと充実、確保していただきますように重ねてお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、道路事業に関わって、用地の売買が済んだ後のことについて伺わせていただきたいと思うんですが、私もお話を伺ってちょっと意外だったんですが、都が土地を取得をした後、残地の所有者が利活用しようとする場合、事業用地、道路用地と残存する民地との境界について土地境界図が備え付けられていないということを聞き及んでいるわけですが、このことについてぜひ説明を求めたいと思います。

○荒井総務部長 道路事業等において用地取得をする際は、用地測量時に境界を確定した地積測量図を作成の上、不動産登記を行うことで事業用地として確定しております。
 土地境界図は、民間の土地売買の契約時に確定測量図を求める商慣行に応じ、申出を受けて作成しているものでございます。
 このように都有地と隣接地との境界確認、確定が必要な場合には申出を受けることになりますが、東京法務局にこのことを照会しましたところ、平成十七年三月の不動産登記法改正以降に道路事業等に伴い作成された地積測量図であれば、改めての境界確認、確定は不要である旨の回答をいただいております。
 当局のホームページにもその旨お知らせを掲載し、周知に努めているところでございます。

○山口委員 今ご答弁をいただきましたが、東京法務局はそのように判断をしているというところなんでありますが、実際問題として民間の土地売買契約時においては、都有地を含む隣接地の境界が確定していることが契約成立の条件とされているんです。境界確定図またはそれに代わる証明がないと、残地の開発行為の申請であるとか、売買等による土地の取引に支障を来すという現実が実際あるわけなんです。
 境界証明を受けるためには、改めて土地所有者が自費で境界確定、確認だとか確定の申出をしなければならないわけでありますが、測量して、実況実測平面図を作成しなければならないわけで、費用と時間がこれは当然かかってしまうんです。
 世田谷区などでは、より簡単な方法で土地境界の証明を行っているわけでありますが、東京都への売却過程で境界が明らかになっているのに、なぜわざわざ測量しなければならないのかという土地所有者の思いも、これは当然理解ができるところだと思って質問させていただいているんですが、そこで、開発行為の申請や土地取引に支障を来すことがないようにして、都としてこれは、都としてですよ、対応が必要だと考えますが、都の見解を伺いたいと思います。

○荒井総務部長 引き続き一定の要件を満たす地積測量図であれば、再度の確定測量が不要であることの周知に努めますとともに、民間の土地の売買時の契約時に確定測量図を求める商慣行や手続等を踏まえた対応について検討してまいります。

○山口委員 制度と実態が伴わないというところは、こういうところにやっぱり出てしまいまして、これって、時は金なりじゃないですけれども、もうこの手続等に時間がかかってしまうと、結局、残地の利用だとか売却も遅れてしまって、公共事業に協力をしていただいた方々に、結果、新たな負担をかけてしまうことになりかねないわけでありますから。昨今どの業界も専門職は人手不足の時代になっておりますから、しっかりと人員を確保していただいて、これまでの知恵を伝えていただいて、アウトソーシングやデジタル化等にも積極的に取り組んでいただいて、迅速かつ的確な遂行を強く要望させていただきたいと思います。
 次に、MCRについて伺います。
 私たちはスマートフォンの普及とインターネットアクセス環境を活用した行政課題の解決方法について様々な提案をこれまで行ってまいりました。その一つが、提案当時には、もう結構有名だったとは思いますが、私たちが二〇一八年三月十三日の予算特別委員会において、いち早く導入を提案いたしましたのが、スマホで道路損傷等をレポートする、いわゆるちばレポと呼ばれるものです。
 東京都ではMCR、マイシティマップアプリを用いて、建設局においてデジタルサービス局と連携し、令和元年、二〇一九年度から都民協働による道路管理で実施をされておりますが、令和四年度の実施状況、投稿件数、応募対応件数並びに都としての評価をぜひ伺いたいと思います。

○原田道路保全担当部長 MCRにつきまして、令和四年度は千五百件を超える投稿をいただきました。これらの投稿には、国道や区市町村道等に関するものも含まれており、都の対応件数は約千件となっております。
 都は、投稿いただいた情報を迅速できめ細かな道路管理に生かしております。

○山口委員 活用が進んでおり、大変すばらしいことだと、これはもう本当に率直に思うところであります。
 私は、以前からアメリカで始まったガバメント二・〇のような取組をぜひ東京都でもと提案をさせていただいてまいりました。特にちばレポに着目をして例に出したのは、日頃、行政との接点が少ない方でも、自分の身近な課題を自分の都合のよい時間に情報提供してくださる点が優れていると感じたからであります。インターネットを通じてご協力をいただける点で多面的に優れた効果を発揮しており、特に都に積極的な対応を求めたところであります。
 都のマイシティレポートに投稿いただく時間帯などでどのような傾向が、これ読み取れるものなんでしょうか。令和四年度までの実績についての分析をぜひ伺いたいと思います。

○原田道路保全担当部長 投稿時間帯別の状況につきましては、休日、夜間の投稿件数が全体の七割以上を占めるなど、通報機会の拡大につながっております。

○山口委員 休日や夜間の投稿が七割以上、大変多いということで、平日の日中に役所に出向いたり電話をしたりとか、また私たちの事務所にお越しをいただく方というのは難しくても、こうしたツールを活用して都の道路管理にご協力をいただいているのは、本当にこれありがたいことだと思いますし、まあ、時代だなとまさに思うところであります。
 通常、都民が役所に要望しても返事は来ないわけでありますが、このレポートは対応状況についても個別に掲載をされ、自分の要望が届いて、対応してくれているということがはっきり分かる点もすばらしいと思うところであります。せっかくのアプリでありますから、多くの方に親しまれて活用していただくことで都民との協働経験も積み重なっていき、都の財産になっていくと思うわけであります。
 また、一方で、集まる情報の新たな活用というのも重要かつ可能になってくると思います。その一つとして、本来的には総務局が主管とは思いますが、災害時の活用というものが考えられます。
 災害発生時には、建設局の所管をしている都道や橋などの被害状況の把握に、ドローンをはじめとした様々な技術を活用することというふうに示されているところであります。その中で、こうしたアプリを通じた情報も生かされていくものと思いますが、令和四年度の取組について伺いたいと思います。

○原田道路保全担当部長 都では令和四年度からMCRを活用して総合防災訓練や点検出動訓練等を実施しております。災害時にはMCRを都民からの情報提供はもとより、職員間の情報共有ツールとしても活用することで、迅速、確実な被害状況の収集、本庁事務所間における効率的な情報共有を行ってまいります。

○山口委員 災害時には他のツールとも連動をうまくさせて、被害状況を迅速に把握できるようにしていただきたいと大変期待をしているところでもあります。
 投稿にもいろいろとありまして、何でもすぐにというわけにはいかなかったり、業務の効率性、仕事の順番など、いろいろと事情もあるということをご理解いただく工夫も必要かとは思いますが、この取組をぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思います。
 二〇〇〇年前後にはIT革命がうたわれ、電子政府、デジタルガバメント改革など様々ありましたが、結果として現在の我が国は諸外国政府と比べて、明らかにICT化が遅れています。
 私も、都も上からのデジタル化ではなく、境界確定、道路等の保全の現場からも、ボトムアップで貪欲に日常業務へのICT、最新技術の導入や、そこで得たデータの活用、民間とのコラボなど、次なる展開に向けて取組を進めていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、遮熱性舗装などの効果について伺わせていただきたいと思います。
 東京都が東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、遮熱性舗装を積極的に進めてきたのは記憶に新しいところでもあります。そのほかに、舗装における暑さ対策としては、保水性舗装もあり、それぞれの舗装はその特徴を踏まえ、使い分けているのだろうと思いますが、都は舗装における暑さ対策として遮熱性舗装と保水性舗装の整備を進めていますが、これらの舗装はそれぞれどのような効果を持つのか伺いたいと思います。

○原田道路保全担当部長 遮熱性舗装は、赤外線を反射する塗料を路面に塗布し、路面温度の上昇と舗装への蓄熱を防ぐことで、路面の温度上昇を最大八度程度抑制できる舗装でございます。
 一方、保水性舗装は、舗装に保水材を注入し、保水された水分が蒸発する際の気化熱により、路面の温度上昇を最大十度程度抑制できる舗装でございます。

○山口委員 それぞれの舗装の効果は分かりました。保水性舗装の方が温度上昇を抑制する効果は少し高いんだろうという説明でありましたが、実態として、遮熱性舗装の方が利用頻度は高いのではないかと思うわけですが、そこで、それはどのように使い分けられているんでしょうか伺いたいと思います。

○原田道路保全担当部長 遮熱性舗装につきましては、路面の温度上昇を抑制する機能に加えて、低騒音舗装としての機能も持たせることができることから、騒音対策が必要な区間においては遮熱性舗装を用いることとしております。

○山口委員 なるほど、つまりは、この遮熱性舗装は低騒音を兼ねられるということは、交通量が非常に多いこの東京都においてこそ必要な舗装なのだということだというふうに思います。今後とも、その場所の適性に見合った舗装を的確に使用して、安全、円滑、快適な交通確保など、舗装本来の目的に加えて道路の暑さ対策など、環境に配慮した道路整備をぜひとも進めていただくように要望しておきたいと思います。
 次に、無電柱化についても伺わせていただきたいと思います。
 本来ここで一問、無電柱化の進捗状況について伺いたいと思っておりましたが、先ほどの答弁の中で、令和四年度末までには一千六十七キロメートルが完成をして、地中化率は約四六%に達成しているというお話でありました。
 そこで、都道の整備状況というのは分かったわけでありますが、道路上の電柱の存在は、歩行者はもちろん、ベビーカーや車椅子の移動の支障になることから、安全で快適な歩行空間を確保する上で、この無電柱化が必要であると私は思うわけでありますが、そのためには狭隘な道路を多く抱える区市町村道における無電柱化を推進することが極めて私は重要だと訴えているところでもあります。
 そこで、狭隘な区市町村道で実施する無電柱化事業への支援の取組について伺わせていただきたいと思います。

○今宮無電柱化推進担当部長 都は、道幅の狭い道路において地上機器設置箇所の検討などを行う区市町村の事業に対しまして、平成二十九年度に事業費を全額補助する無電柱化チャレンジ支援事業制度を創設し、財政支援と併せて、区市町村が設置する技術検討会に都の職員が参加するなどの技術支援も実施しております。
 令和四年度は三十四区市町村でこの補助制度を活用いたしまして、無電柱化推進計画の策定や調査設計及び工事を実施しているところでございます。

○山口委員 今後とも都道の無電柱化を進めるとともに、区市町村への支援も行いながら、無電柱化事業の推進に取り組んでいってもらいたいというふうに思うところであります。
 ただ、トランス等の地上機器はどうしても残ってしまうという課題があるわけであります。また、補助率十分の十で進めているところですが、これまでの取組をしっかりと検証していただいて、無電柱化だけでなく様々な手法も活用していただいて、都内に多くある狭隘道路の安全性を高める取組を進めていただきたいと強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○曽根委員 私からは、初めに、あきる野市内を流れます秋川の台風による水害の被害を復旧する都の河川改修事業について、地元住民の強い要望に基づいて何点か質問させていただきます。
 二〇一九年の台風十五号に続き、さらに台風十九号が襲って、これまでの経験のない太平洋から東京湾に直接上陸してきた大型で強い台風として、私のおります北区を含め都内各地に、これまでの想定をはるかに超える風速と雨量を記録し、多摩川をはじめ、一部堤防は決壊、また荒川も岩淵水門付近で危険水位まで数十センチまで水位が上昇して、近年で初めて水門を閉め切って、隅田川の堤防溢水を防いだという状況でした。
 多摩地域でも大きな被害が各所で起きましたが、その修復が遅れている河川の一つが秋川だという地元の声であります。
 あきる野市内の秋川流域では、一部堤防の決壊でグラウンドが土砂で埋まったり、また上流からの土砂の流入で川の流れが大きく変化し、アユの生息場所が失われたり、また一部沿岸の民有地の土砂崩れも起きたのが、いまだに未修復になったりしています。また、河川の外でも堤防の裏側が斜面になっている住宅街では、内水氾濫で多くの住宅が水につかったりしました。
 これら台風十九号などによる被害箇所について、都としてはこれまでどういう復旧事業が行われてきたでしょうか。

○小木曽河川防災担当部長 秋川では小和田橋下流や引田橋上流などにおいて、護岸や根固めなどの復旧工事を実施いたしました。あわせて、多摩河川強化事業を実施しております。

○曽根委員 いずれも河川の護岸が一部壊れるなどの被害があった場所では、当然護岸を含めた復旧工事が行われたのは当然ですが、住民の皆さんは、復旧が必要なのは護岸が壊れたところだけではないということで、私も現地を訪ねて、住民の方々の案内で調査をしてまいりました。
 例えば、内水氾濫が起きた中村地区の留原という場所では、川幅が非常に広く、その大部分が土砂と草木に覆われていました。セイタカアワダチソウや灌木が生い茂って、近所の人は猛暑の中で今年も草刈りで大変だったと聞きました。
 この中村地区では堆積土砂の上に草木が繁茂し、水流が狭まり、十分流れていないことから、住民は次の水害の被害を心配しています。川の外では内水氾濫も起きたため、市がポンプ所を造って対応しているそうですが、小さな設備で、大規模な土砂が流れてきたときは間に合いそうもないという話をされていました。
 都としては、こういう場所についてどのような対策を行う方針なのかお聞きします。

○小木曽河川防災担当部長 秋川におきましては毎年点検等を行っており、治水面の機能などを確保する必要がある場合には、しゅんせつ等の対策を実施することとしております。

○曽根委員 東京都の想定した雨量に対応する川の流水量を確保すると。それよりさらに川の流量が確保できない場合には、しゅんせつ等の対策を取る。こうした治水の課題をクリアすることが中心になっているというのが東京都の河川改修の現状だということです。
 しかし、私は秋川の現地を八月八日に訪ねましたが、ちょうどその二日後の十日に、都の河川改修大会という行政レベルの大会がありまして、調布だったんですけれども、私も参加しましたが、多摩のBブロックという、この秋川などを含む西多摩、南多摩の方面だと思いますが、このブロックからの、各自治体からの要望を町田市議会の議長さんが報告したわけです。この意見表明の報告の中に、秋川の河川改修を急ぐべきとの要請が含まれていました。そこには、先ほど紹介したような河原が土砂で埋まってしまったことや、やはり土砂の流入で川の中の岩陰が砂で埋まってアユのすみかがなくなったため、アユ釣りのポイントとして利用できなくなったことなど、治水だけではなく、河川敷も含めた、アユ釣りやキャンプ、川遊びなど利水の課題が、また、川と周辺の自然環境保全の課題が、それぞれ河川管理者である都に対して要望されているのを聞きまして、私も大いに共感したところです。
 そこで、他県の例はどうかと思って、私、埼玉県の河川改修計画についてホームページなどで調べてみましたが、やはり治水対策が中心ではありますが、原則として河川法には治水とともに河川を利用する、例えば交通や観光などの利水の課題、そして河川周辺も含む環境保全の課題の三つの側面があるということが掲げられて、埼玉県でもそういうことを掲げていました。もっと財政にゆとりのある東京都の河川管理が治水一辺倒。それも、根拠としている計画流量が確保されれば、川に土砂がたまったり草木が繁茂しても構わないのかという、住民や地元市町村、関係者の声に東京都も誠実に耳を傾けるべきだということは申し上げておきたいと思います。
 少なくとも、多摩の山間部にも想定を超える雨量がしばしば降っております。台風十九号のときには複数箇所で護岸も壊れている実態ですから、治水の計画自体も大きく見直す必要があるということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、ここで起きている問題として、秋川の舘谷という地区で、新しく建てた民家のそばの秋川沿いで崖崩れが台風十九号の際に発生しました。ここは民有地だからということで自前で直すのが原則とされ、いまだに崩れたままになっておりました。
 以前のほかの河川の例では、近くの河川ですが、河川の護岸が崩れたことにより私有地に被害が発生し、全額公費で復旧した例があると聞いておりますが、今回も私はこういう措置を取るべきじゃないかと思いましたが、いかがでしょうか。

○斉藤河川部長 舘谷地区の崖崩れは河川区域外で発生したものであり、土地の所有者が復旧すべきものでございます。
 なお、質問の中で、河川の護岸が崩れたとの過去の事例についてご発言がありましたが、都が公表しております昭和五十八年の水害統計の公共土木施設被害調書には、市が管理する普通河川である三内川の当該箇所における護岸崩壊の記録はなく、関係するような書類は都では確認はできませんでした。

○曽根委員 地元の方々が都庁まで来られて、当時三内川ですか、あそこは護岸があったわけですよね。護岸があったところが洪水で壊れたと。そのことで、その上部にある民有地の土砂が護岸の崩壊に誘発されて壊れたということを地元の私たちの仲間の市議会議員さんが一生懸命調べて、あちこち聞いて回ったりして、そのことがほぼ明らかになったので東京都と交渉し、都が責任持って、護岸とともに上の民有地も補修したという経過があったということを聞いております。
 確かにその例でいうと、公共の堤防が壊れたことで、その上の民有地の土砂崩れが誘発されたと。これによって公費による復旧が実現をしたわけです。
 しかし、今回の例、ちょっと写真小さくて申し訳ないんですけど(パネルを示す)この例を見ますと、崖崩れの、ここ一部だけ崖崩れしていて、すぐ下に川が流れています。つまり、ここには護岸がないわけですよね。
 それで、公の造った護岸や堤防がない場合、川に面した崖が岩であれば、いってみれば直接民間土地に川が接しているということで自己責任ということになってしまうと。少なくとも修復費用の半分は自己負担、地権者の自己負担になるという何か原則があるそうで、実際は上に一軒しか家がありません。新しく建てた家のようなんですけど、そこの住宅所有者では負担し切れないということで、このまま、四年間になりますが、もう放置されたままになっているという状況だということでした。
 しかし、これを見ると、この崖崩れを放置したままでは、次に想定を超える水害が上流から押し寄せてきたときに、この場所から自然崖が両側に広がっているわけですが、その崩壊がここを起点に起きてしまう危険が私、素人ですけど、見てとれます。したがって、民有地であっても、今後の被害の拡大を防ぐために、公共の立場で擁壁を整備するなどの制度や仕組みがこういった場合、必要じゃないかと、私強く感じました。
 もっと被害が大きくなれば、何らか別の公共の事業ができるのかもしれませんが、被害を大きくしてからでは、私、やっぱり遅いと思いますので、こういうものについての今後の災害を防止するための手だてを検討していただきたいことは強く要望しておきたいと思います。
 次に、ちょっと道路の事業に移りますが、特定整備路線について私も繰り返し取り上げてきましたが、特定整備路線事業の中で、地元住民にとっても、道路設計の技術面でも、また自然破壊や地盤沈下の危険性という点でも非常に困難と思われる都道補助八六号線について、昨年度起きた事態を基にして何点か質問をいたします。
 北区赤羽西地区の補助八六号線について、昨年度都はどういう取組が行われたのかお聞きします。

○周郷道路計画担当部長 補助第八六号線の赤羽西地区は、赤羽駅西口付近から赤羽自然観察公園を経まして、都道本郷赤羽線に至る延長約一・二キロメートルの都市計画道路でございます。令和四年度は用地取得を進めるとともに、一部の区間においては事業用地を活用した暫定的な歩行者の通行空間を整備いたしました。また、周辺の地下水調査及び擁壁やトンネルの構造検討などを行っております。

○曽根委員 今地下水調査の話が答弁の中にありましたが、昨年、地下水調査を始めたちょうど同じ時期に、その調査を行っている、通称弁天通りという区道の十数メートル地下で下水道局が口径二メートルの下水道管をシールドマシンで掘っているときに、マシンの潤滑剤である泥水がそのまま地上に噴出してくるという事故が発生しました。
 十数メートル地下から地上まで潤滑剤が大量に噴出してきたということは、この道路の地下がいかに軟弱であり、かつ、空間も空いていたんじゃないかと。かつて小川が流れていた証明となる橋桁らしき木材などが出てきたり、こういう状態、まあ、地下が非常に普通の状態ではないということが分かってきました。
 地上で大型道路を造り、地下十数メートルで下水管を造っている東京都がこれらの地下の状態をリアルに把握しているのかと、住民の皆さんが大きな不信感を抱いたのは当然だと思います。
 これらを受けて、今年の夏には、異例の八六号線の説明会がオープン形式で行われましたが、そこでは設計図は出てこなくて、まだイメージパースしかできていないということで説明が行われました。そうすると、特定整備路線八六号線の事業は、一体今どういう段階だといえるのかということをまずお聞きしておきたいと思います。

○周郷道路計画担当部長 本年八月に開催しましたオープンハウスでは、道路の完成のイメージを分かりやすく伝えるため、トンネル部や擁壁部等のイメージパースを提示するとともに、今後の事業の流れをお示ししました。現在、本格的な工事の実施に向けまして、これまでの調査や設計を基に関係機関と協議しております。

○曽根委員 事業開始のときに住民説明会を行って以来、大体途中で説明会はあまりないんですけれども、まだ設計図もできていない段階で説明会を行ったというのは、都としては異例の対応だと思います。この点はある意味で評価したいんですけれども、今後、設計図が完成した段階で、まさか住民説明を抜きにいきなり工事にかかるようなことは絶対許されないと思いますので、この点は改めて指摘をしておきたいと思います。
 なぜかというと、これも小さくて申し訳ありませんが(パネルを示す)この道路、八六号線道路というのは東側にトンネルを掘り、西側は高台の赤羽自然観察公園とスポーツの森公園の間に、今草地になっているところに、ここが高台になっているので、百メートル以上手前から道路を盛り上げて盛土でせり上げなければなりません。当然、両側の住宅や店舗との間に段差ができますので、擁壁ができて、真っすぐに横断ができなくなると。しかも、盛土と擁壁が軟弱地盤と地下水に重くのしかかるという影響も避けられないわけで、住民にとっては大変、自然環境の破壊や、それから生活の不便が心配される道路なわけで、説明会抜きに絶対工事に入らないようにということをまず申し上げておきたいと思うんです。
 都は昨年度も、この擁壁部、ここに至る擁壁部の場所や、またトンネルにおいても地下水位に影響が及ぶというふうに考え、地下水調査を行ったということ、先ほどお答えありました。地下水流の調査結果は既に出ていると思いますが、道路設計にどう反映されるのか伺います。

○周郷道路計画担当部長 地下水調査は令和二年度から令和三年度にかけて、また令和四年度から本年九月にかけて実施いたしました。擁壁やトンネルの設計に当たっては、この調査の結果を踏まえ、地下水への影響に配慮した施工方法等について検討してまいります。

○曽根委員 まず、その九月に終了し、都に報告されたという地下水調査の結果は、早急に住民に報告、説明するよう、私からも強く求めておきたいと思います。
 その調査結果をまつまでもなく、元は小川も流れていた低地の湿地帯だったところに、このまちに重量が数千トンに及ぶ盛土と擁壁を築くのは、私は現在の道路技術でも非常に困難だし、それを乗り越えて建設するだけの不可欠な道路計画だとはどうしてもこの道路は思えないというのが、私もそうなんですが、地元の住民の率直な声です。つまり、この道路はもともとそんなに必要なものじゃないということであります。
 で、私が申し上げたいのは、この道路を何が何でも通すのかどうかというのが、大きな決断をせざるを得ない時期が近づいております。というのも、住民が原告となって行った裁判も、この道路ができたらもたらす地域の未来の姿ではなく、道路計画の法的な矛盾だけしか審理しようとしない。そのまま最高裁までいっておりますので、間もなく終わると思います。
 そうすると、あとはこの道路を本当に工事に着手するのかという決断がやっぱり事実上必要になります。どこから始めるにしても大変な道路で、公園が両側に広がっているとこの真ん中を道路整備を始めるのか、これも大きな問題になりますし、トンネル掘りから始めるのか、これも赤羽駅のすぐそばで大きな工事になります。ましてや、この中間にある道路拡幅部分を、擁壁を造り盛土をするとなれば、周辺住民との関係が、もう交通遮断しないとできませんので、そういうことから見ると本当に、その段階に入れば引き返しができなくなるんですよね、私も技術者の端くれだったものですから。これは、決断が必要になると思うんです。
 ですから、私は率直にいって見直すのは今だよと、引き返す見識を東京都に求めたいということと、少なくとも住民への根拠ある説明責任を十分果たすように東京都に強く求めておきたいと思います。
 最後に、外環道について簡潔に質問いたします。
 昨年度は三年前の陥没事故を受けまして、次の段階に進むために地盤補修工事の範囲や手法について説明も行われました。オープン形式で不十分でしたけれども。
 昨年から今年にかけての陥没地域の地盤補修について、どういう取組を行ったのかお聞きします。

○手塚三環状道路整備推進部長 事業者は昨年九月以降、地盤補修工事の具体的な計画につきまして、繰り返しオープンハウス及び意見交換会を行った上で、昨年十二月からプラントヤードの整備や管路の設置、家屋の解体等を進めてまいりました。さらに、本年六月に地盤補修工事に関するオープンハウス及び現場見学会を複数回開催するとともに、意見交換会を実施した上で、八月より工事に着手したと承知しております。

○曽根委員 この住民が住んでいた直下で陥没事故、もしくは空洞が起こった、この住宅やアパートなどを次々取り壊して、で、反対する人は残すんですね。強制撤去できませんので。反対の人は家ごと残したまま、周りで次々とボーリングを打ち込み、セメントを地面に打ち込んでいくと。地盤補修工事というのは、あまりにもこの狭い地域で住民無視と人権侵害に近いやり方、私は本当に現場見て、ひど過ぎると思いましたが、この問題は次の機会に追及をしたいと思います。
 本日質問したいのは、恐らく三桁の億単位でかかるであろう、この補修工事の費用を外環事業の事業費のコストの中に入れるのかどうかという点であります。
 大深度地下の工事は地上に影響しないという甘い見通しの下に起こしてしまったこの被害の修復、これは事業費の総額、つまりBバイCといわれているCの部分、コストの部分の、この分母に加えないということは、この事業の経済効果の最もマイナス要因である、この金額としても無視することにほかなりませんから、当然これを入れなきゃならない問題だと思いますが、これらの地盤補修などの費用について費用便益効果を示すBバイCに加えない動きがあるというのは事実でしょうか。

○手塚三環状道路整備推進部長 陥没、空洞事故に伴う地盤補修等の費用につきましては、今後、事業者が精査を行っていくと聞いており、事業費に変更がある場合は、適切に事業評価を行っていくと承知しております。

○曽根委員 この事業費に含まれない、これは事故の補修だから、想定した事業費には含まれないんだというような言い訳で、これを分母に入れないとすると、経済効果を正確に反映できないということになっていきます。明確な答えはありませんが、本当に適切な事業評価ということを事業者並びに国が行うというのならば、この補修費用を分母のCに加えるだけではとどまらないはずです。
 経済便益効果に、つまり分子のBの方にも——便益効果ですね、重大なマイナス影響を及ぼしていることは、もうこの陥没事故の影響は明らかですから。しかも、同じ大深度法に基づくリニア新幹線の大深度工事もスタートしたと思ったら何度もストップを繰り返しており、大深度のシールドマシン工事の困難さが日に日に実態として証明されつつあります。
 最も深刻な被害をもたらしたこの調布の外環道陥没事故の後始末がいかに多大なマイナスの影響を道路便益という点でももたらしているのか、これはもう本当に明瞭だと思います。しかも、今回、BバイC見直し、あと二年でやることになると思いますが、まだ見直しがされていない青梅街道インターチェンジの地中拡幅部の設計変更に伴う事業費の増大問題がありまして、中央ジャンクションは既に見直して、五千億円規模で事業費が膨らみましたので、青梅のインターチェンジの場合も地中拡幅部工事を見直せば、大体二千億円以上は事業費は膨れることになると思います。
 BバイCが一・〇を割り込むのは間違いない、現在一・〇一ですので、割り込むのは間違いないと考えますが、どうでしょうか。

○手塚三環状道路整備推進部長 事業者からは、青梅街道インターチェンジの地中拡幅部の詳細な構造につきましては現在検討中であり、陥没、空洞事故に伴う地盤補修等の費用についても今後精査を行っていくと聞いております。あわせて、今後とも、さらなるコスト縮減に努めることとしておりまして、現段階では事業費を見通せる状況にはないと聞いております。
 また、事業評価におきましては、費用便益比は重要な要素の一つでありますが、これに限らず、災害時の緊急輸送の確保等の貨幣換算が困難な多様な効果も含めまして総合的に評価されます。事業費に変更がある場合は、事業者が適切に事業評価を行っていくと承知しております。

○曽根委員 ちょっと今の話の中で、コスト縮減で費用を圧縮するという話もありましたが、その程度の圧縮で到底追いつかないほどの事業費の増大が見込まれるわけです。
 また、陥没事故の修復などで完成時期が遅れていくということも、先日、国交省の方に確認をしましたが、三年前ですか、事故が起きる直前に出されたBバイCが一・〇一まで減ってしまった最大の要因は、完成時期の想定を二〇二一年、オリンピックの前、行われた年ですけど、そこから二〇三〇年まで九年ずらしたわけですね。このことがベネフィット、つまりBを大きく減らすことになり、一・九二だったBバイCが一・〇一まで下がった最大の要因だということを国側も認めています。
 今回、事故が起きてから既に三年が経過し、これから地盤補修で丸二年以上はかかるわけですから、これによる事業の遅れが今後一・〇一のBバイCをどこまで下げるのか分からないという状況です。つまり、事業費を完成後五十年かかって便益効果で取り戻すということができれば一・〇なわけですから、その費用便益の数値が百年かかっても取り戻せないほどの不経済な道路になってしまう。このことは今の流れでいえば、私、確実だと思います。
 外環道は直ちに中止し、根本的な見直しを行うよう都として働きかけることを強く求めて、質問を終わります。

○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
 初めに、バリアフリー化とインクルーシブな公園について伺います。
 二〇二一年三月に策定された「未来の東京」戦略では、都市の機能をさらに高める戦略として、公園のバリアフリー化や施設更新により、誰もが利用しやすい公園づくりを行い、二〇三〇年度までに十公園で整備を完了させるとしています。
 この戦略を実現すべく、建設局としても積極的に整備を進めているとは思いますが、具体的にどの地域の公園を想定し、既に計画が進んでいるところはあるのでしょうか、まずお伺いします。

○根来公園計画担当部長 都立公園では、高齢者、障害者、子供、外国人など誰もが快適に利用できる公園づくりに向け、公園内の段差の解消やトイレのバリアフリー化、サインの多言語化、老朽化施設の改修などを推進しております。
 これまで夢の島公園、武蔵野の森公園など四公園において、ユニバーサルデザインの考え方に基づき、改修等を実施してまいりました。
 令和四年度は猿江恩賜公園などの三公園において、誰もが利用しやすい公園整備に向けて設計を行っております。

○斉藤委員 今ご答弁で、園路の段差解消や多言語サインの整備などとございましたが、公園のバリアフリー化といいますと、どうしても車椅子対応が主で、なかなか聴覚に障害のある方への配慮というのは、後回しにされがちだと感じています。
 そこで、バリアフリー化で想定している、誰もがの範囲、対象はどのような障害などの有無なのか、確認をさせてください。

○根来公園計画担当部長 誰もがとは、高齢者、障害者、子供、外国人などを含めた全ての人がということでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。東京都が作成している、だれもが遊べる児童遊具広場整備ガイドラインでは、対象が子供ということもあって、誰もがの定義については、車椅子使用者、視聴覚障害者、発達障害者、外国にルーツを持つ人などを含む全ての子供と書かれています。
 一口に障害者といいましても、障害には様々な特性、特徴があり、それぞれの方にバリアとなるものは異なります。こうしたことにも十分に配慮いただきまして、バリアフリー化を進めていただければと思います。
 また、関連してですが、都では現在、障害の有無にかかわらず、誰もが遊べる遊具広場のあるインクルーシブな公園の整備を進めていますが、このような公園は、他地域や他国でモデルとなる事例があるのでしょうかお伺いします。

○根来公園計画担当部長 都は、障害者の保護者、ユニバーサルデザインの有識者などにヒアリングを行いまして、これらの意見を踏まえて、誰もが遊べる遊具広場を砧公園や府中の森公園に整備いたしますとともに、令和三年度に整備ガイドラインを独自に作成しております。
 なお、このガイドラインでは、国内外の多様な事例などを紹介しております。

○斉藤委員 完璧なものはないとは思いますが、ぜひ様々な事例などを検討して、よりよい環境整備を進めていただければと思います。
 また、区市町村での公園整備におきましても、都の取組がモデルとして参照されることを大いに期待したいと思います。
 一方で、建設局の令和四年度予算では、だれもが遊べる児童遊具広場整備補助として五千万円が計上されていました。そこで、このだれもが遊べる児童遊具広場整備補助については、これまで市区町村からどのような要請があり、既に行われている事例はどの程度あるのかお伺いします。

○根来公園計画担当部長 都は区市町村による取組を支援するため、令和三年度に遊具等の新規整備や改修に要する費用の補助制度を開始いたしました。令和四年度は、二つの市に補助を行いました。

○斉藤委員 ありがとうございます。引き続き、都立公園のみならず、全ての公園でのバリアフリー化、誰もが安心して利用のできる環境の整備に取り組んでいただきたいと思います。
 続いて、都立動物園についてお伺いします。
 昨今、物価上昇のスピードが速く、民間企業においても、その対応に迫られています。
 都立動物園では、指定管理者制度を活用して、効果的、効率的な管理運営を図っていますが、都は、令和四年度における急激な物価上昇に対してどのような対応をしたのかお伺いします。

○佐々木公園緑地部長 令和四年度は、急激な原材料の価格高騰などを踏まえまして、都立公園等の各指定管理者に対し、物価変動への対応措置を行いました。動物園についても、飼育施設に係る光熱水費の増嵩などに対応するため、指定管理者に対し指定管理料を追加で措置いたしました。

○斉藤委員 都立動物園は、憩いや安らぎの場を提供するだけでなく、多様な野生動物の行動や生態などを伝えるなど、重要な役割を持っています。
 こうした動物園の機能を様々な障害のある方々もしっかりと享受できるような工夫が必要だと考えますが、都立動物園の取組についてお伺いします。

○佐々木公園緑地部長 都は例年、都立の四つの動物園、水族園において、障害のある子供たちとその家族を休園日や閉園後の施設に招待するイベント、ドリームナイト・アット・ザ・ズー & アクアリウムを開催しております。
 新型コロナによる行動制限が解除された令和四年度は、三年ぶりに各園現地での開催となり、四園合わせて約四千五百名の参加がありました。
 また、葛西臨海水族園において、障害や病気などのために来園が難しい方々に向けて、移動水族館事業により生き物と触れ合う機会を提供し、約三千名に楽しんでいただきました。

○斉藤委員 ありがとうございます。京都市にあります京都市動物園では、地元ライオンズクラブからの寄贈もあって、聴覚に障害のある方に対して、動物の鳴き声を体感してもらえるような機器を無料で貸し出しているそうです。その機器は、ゾウがパオーンと鳴きますと、ほぼ同時に光を発しながら力強くぐるぐると振動するそうで、二羽のタンチョウがクルルッ、クルルッと同時に鳴きますと、小刻みに光って震えたりするそうです。聴覚に障害のある人も、耳の聞こえる人と同様の感動を分かち合えたり、動物たちをより深く理解し、触れ合うことができるすばらしい取組だと思います。
 都立動物園でも様々な取組をされていることは分かりましたが、引き続き、障害者をはじめ多様な人が楽しめる動物園の実現に向けて取り組んでいただきたいと要望し、私の質問を終わります。

○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後四時三十六分散会

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