令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

令和五年十月二十五日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長松田 康将君
副委員長須山たかし君
副委員長小山くにひこ君
かまた悦子君
吉住はるお君
岩永やす代君
かつまたさとし君
森口つかさ君
田の上いくこ君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
人事委員会事務局局長初宿 和夫君
任用公平部長DX推進担当部長兼務新田見慎一君
審査担当部長蓮沼 正史君
試験部長谷 理恵子君
監査事務局局長小沼 博靖君
監査担当部長小高 都子君
スタートアップ・国際金融都市戦略室室長吉村 恵一君
戦略推進部長DX推進担当部長兼務樋口 隆之君
スタートアップ戦略推進担当部長片山 和也君
スタートアップ戦略推進担当部長浅川健太郎君
国際金融都市担当部長宮武 和弘君
特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長
スタートアップ戦略推進担当部長兼務
福永 真一君
デジタルサービス局局長山田 忠輝君
次長丸山 雅代君
総務部長深井  稔君
調整担当部長勝見 恭子君
企画調整担当部長DX推進担当部長兼務尾関  元君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務戸田 公司君
戦略部長芹沢 孝明君
区市町村DX協働担当部長芝崎 晴彦君
DX推進調整担当部長佐藤 直樹君
デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務巻嶋 國雄君
データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務池田  庸君
つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務小野寺 圭君
デジタル基盤整備部長斎藤 圭司君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
人事委員会事務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
スタートアップ・国際金融都市戦略室関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
デジタルサービス局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)

○松田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、監査事務局、スタートアップ・国際金融都市戦略室及びデジタルサービス局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、交代のあった幹部職員について、事務局長から紹介があります。

○初宿人事委員会事務局長 さきの十月十六日付人事異動に伴い就任いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 審査担当部長の蓮沼正史でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○松田委員長 紹介は終わりました。

○松田委員長 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 十月十一日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の要求資料の表紙をおめくりください。公平審査等の実績の一覧でございます。
 勤務条件に関する措置の要求や不利益処分に関する審査請求、苦情相談について、過去五年分の件数と主な内容を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小山委員 人こそ全ての基、源でありまして、人材を得ることは何事においても極めて重要な事柄であると考えます。
 近年、人材の獲得競争が激しさを増しておりまして、特に技術系職員の確保は、東京都のみならず、全国の自治体も大変苦労していると承知をいたしております。
 その技術系職員に関しまして、小池知事は、平成三十一年、二〇一九年二月十三日の東京都技術会議の席で、冒頭、都が目指している三つのシティを実現するためには、技術的な観点からの施策展開が不可欠と述べられ、そして、技術系職員の皆さんが都政で果たす役割は、今後の鍵を握るといっても過言ではありませんとの認識を表明されております。そして、会議の最後には、海外研修などで世界の状況を見てほしいと強調されるとともに、東京は自分たちが担っているというプライドをしっかり持ち、それぞれの現場で実現していただきたいと職員にエールを送り、締めくくりされました。
 東京都は、その年の四月から職員の海外研修として、国際競争力強化プロジェクトを開始し、毎年、調査目的や調査内容、施策への還元などの実施報告を総務局が取りまとめて公表をされております。
 そこで、この令和四年度の国際競争力強化プロジェクトについては、人事委員会事務局も活用をして調査を行われておりますが、まずはその実施状況についてお伺いをさせていただきます。

○新田見任用公平部長DX推進担当部長兼務 国際都市東京において、民主的、能率的な人事行政を推進するとともに、人事分野での政策的及び事業上の課題の解決を図るため、当局では、令和四年度に国際競争力強化プロジェクトを活用して、三件の調査を実施いたしました。
 職員が海外の現地を直接訪ねて調査を行うリアル調査については、ニューヨーク市における職員採用及び勤務条件の調査をテーマに米国ニューヨーク市で、また、障害者選考における障害者アクセシビリティーの向上をテーマに米国カリフォルニア州アナハイムで、計二件実施いたしました。
 また、バーチャル調査として、人材育成に関する最新トレンドの調査をテーマに米国フロリダ州オーランドで数日間にわたって開催された人材開発の分野での世界最大規模の国際会議にオンラインで参加し、調査等を行っております。

○小山委員 今、令和四年度の人事委員会事務局の調査状況をお伺いさせていただきましたが、総務局が公表いたしております報告書によりますと、ニューヨーク市で行った調査では、人事委員会と総務局が合同で行っておられまして、また、同時期に現地で調査を行う都市整備局とも連携をされ、三局で合同の調査を行ったと伺っております。このニューヨーク市での調査には、初宿局長も参加をされたと伺っております。
 そこで、ニューヨーク市の人事部門へのヒアリングとともに、この技術系職員の事業現場を直接視察をされました局長に、今回の調査の総括をお伺いさせていただきたいと思います。

○初宿人事委員会事務局長 出張前の文献調査を含めて総括いたしますと、姉妹友好都市ニューヨーク市の効率的な行政運営や職員の専門性の向上に地方自治関係団体や大学などの研究機関、職能団体などが大きく貢献しておりました。
 また、都市計画や都市開発では、様々な市民グループがそれぞれの利益をめぐって市に対して様々な要望を行っており、市はコミュニティボードなど市民参加の道を開くことなどによりまして、直接市民ニーズを受け止めておりました。このことが多様な人々から成る市の都市行政を発展させている理由の一つであるように考えております。
 さらに、ニューヨーク市は、治安の悪化やテロ事件、経済変動などを乗り越え、新しい産業の創生や新たなビジネスの展開を図り、社会の質的な変化に対応させるとともに、ハード面におきましては、建物だけではなく、インフラもコンバージョンし、時代の求めに適合させるなどして、都市の発展状況に応じた進化を遂げておりました。
 このようにニューヨーク市の様々な事例を学ぶことは、得るものが多かったと総括しております。

○小山委員 今の局長のご答弁を伺いまして、ニューヨーク市は、私も何度も訪問させていただいておりますが、多様な人材を、まさにニューヨーク市は採用して、受け入れております。特に、私が強く感じたのは、ニューヨーク市で日本人が採用されていて、都市計画や、あるいは公園局とかいった、そういったところで大変活躍をされていると。そういった様々な人材をまさに自治体が雇用して、その都市の成長や発展につなげているということをまざまざと私も現場で拝見をさせていただいたことが何度もございます。
 そこで、先ほど局長からありましたように、得るものが多かったという答弁がありましたが、その成果を人事委員会事務局としてどのように生かされたのかお伺いをさせていただきます。

○初宿人事委員会事務局長 今年の職員の給与に関する報告と勧告の別紙三、人事制度及び勤務環境等に関する報告(意見)におきまして、その成果を反映いたしました。
 具体的には、国際的な潮流でございます人的資本、人材マネジメント、そしてニューヨーク市の人事制度でもございます、いわゆるジョブ型雇用にも言及をした上で、民間企業では、いわゆる中途採用が一般的な採用方法として定着し、転職が珍しくなくなった今、都においても、転職市場から人材を確保していくことが今まで以上に重要であるとの認識を示しました。
 今後も、選ばれる都庁の実現に向け取り組んでまいります。

○小山委員 ただいまのご答弁にありましたとおり、ニューヨーク市での調査を本年の勧告に反映されたということを確認させていただきました。
 私はこの勧告とともに、実施報告書に書かれておりますニューヨーク市における採用PRということにも着目をしております。そこには、夏季に十六歳から二十七歳を対象に、約八十、ほぼ全ての部署で数千人規模のインターンシップを実施されている、そして、約二か月程度の大学生向け長期プログラムのほか、近年は高校生向けのプログラムを実施している、インターンシップがインターン生の能力や適性を踏まえた部署において実施をされているというふうにございます。
 そこで、東京都のインターンシップは総務局で行っている事業でありますが、専門的な人事行政機関の局長として、国内の民間企業がインターンシップをどのように採用活動に生かしているのか、認識をお伺いさせていただきます。

○初宿人事委員会事務局長 お尋ねのインターンシップにつきましては、経済産業省、文部科学省及び厚生労働省の三省が、現在の大学三年生に当たります二〇二五年の春に入社いたします学生向けのインターンシップから、一定の基準を満たした場合にその学生の情報を採用活動開始後に活用可能となる改正を昨年行っております。
 三省の後押しもございまして、民間の調査によりますと、採用に直結する体験型インターンシップは、調査した三割を超える企業が今年の夏に実施済みであり、広がりを見せていると認識しております。

○小山委員 今ご答弁にありました国の制度改正は、経団連と大学関係団体との代表者による、いわゆる産学協、産学の協議会の合意を踏まえたものでありまして、主に企業でのインターンシップを想定したものと考えていますが、東京都においても、ぜひこのような適性や専門スキル等を把握できるインターンシップを採用活動に組み込めないか、検討すべきと私は考えております。
 やはり、今人材が、冒頭申し上げましたように、極めて確保していくのが困難な状況がありますし、また、特に、とりわけ技術系職員の確保ということが、今、各自治体にとっても最重要の課題、命題となっております。
 特に、先ほど来申し上げておりますように、技術系職員の確保が困難な中、このミスマッチを防ぎ、つまり都庁の業務に見合った技術系職員の採用活動の精度向上の可能性を、今回の先ほど来お答えいただいた調査や、あるいは、局長からのご答弁にも感じておりますし、ぜひとも、今後、専門的な人事行政機関である人事委員会でも、この研究を深めていただいて、都庁の職員人材の確保、そして、それに連なる、まさに人事制度というものを構築していただきますことを期待いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。質問をいたします。
 社会全体で人手不足が深刻化していますが、労働人口の減少と人材不足に備えて、都庁も対策が必要です。民間でも、人材獲得競争が激化する中において、都庁が働きたい職場として選ばれる職場となるために、人事委員会の取組についてお聞きします。
 二〇二〇年度から二〇二二年度の直近三か年の東京都の採用試験の受験者数と最終合格者数の推移を伺います。

○谷試験部長 人事委員会では、年間を通じて採用試験選考を実施しております。
 令和二年度に実施いたしました採用試験選考の受験者数は合計で七千三百三十三人、令和三年度は六千四十八人、令和四年度は六千四百八十七人でございます。
 また、最終合格者数は、令和二年度が千三百二十六人、令和三年度は東京二〇二〇大会組織委員会派遣職員の復帰を見込みまして七百七十四人、令和四年度が千七百十二人となっております。

○岩永委員 令和三年度は、ちょっと特別な事情があったというようなご答弁でした。
 次に、職員の採用試験受験者を増やすためにどのような取組を行っているのか伺います。

○谷試験部長 人事委員会は、任命権者と連携し採用PRに取り組んでおります。
 令和四年度は、職員採用ホームページやSNS、パンフレット等による情報発信をはじめ、インターンシップやウェブによる相談会を実施いたしましたほか、新たに対面とオンラインを併用した職員採用セミナーを開催いたしました。
 さらに、大学などの学校主催の説明会や民間企業主催の就活イベントへの参加など、学生等に対し、東京都の仕事の意義や魅力等を伝える様々な取組を実施いたしました。

○岩永委員 では、次に、外国籍の人が受験可能な人事委員会が実施する採用試験にはどのようなものがあるのか伺います。

○谷試験部長 令和四年度に人事委員会が実施いたしました採用試験の中で、出題程度を大学卒業程度としておりますⅠ類B採用試験では、心理、栄養士、福祉及び薬剤、短大卒業程度としているⅡ類では、司書及び栄養士について、外国籍の方の受験を可能としております。
 また、特に専門性の高い職種を民間企業経験者等から採用するキャリア活用採用選考では、児童心理について、外国籍の方の受験を可能としております。

○岩永委員 それでは、障害者の採用試験ではどのような合理的配慮が行われているのか伺います。

○谷試験部長 障害を有する方が受験する際には、障害の種別にかかわらず、試験等において能力が発揮できるよう、個別の相談への対応も含めまして、必要な合理的配慮を行っております。
 ハード面では、エレベーターやスロープなどの設備が整っている試験会場を確保するとともに、座席などについても、状況に応じた配慮を行っております。
 ソフト面では、点字による試験の実施、上肢障害等に対応するためのパソコンでの解答、試験問題や解答用紙の文字の拡大、補助具の持込み、手話通訳者の配置、試験時間の延長等を行っております。

○岩永委員 受験者確保のための取組や外国籍の人や障害者の採用など、多様な取組が行われていることを確認しました。
 東京には多様な人が暮らしていますし、社会も複雑化しています。そのような中で都政において、行政課題に対応し、質の高いサービスを提供し続けるためには、都の職員にも多様性が求められています。そして、多様な人材の能力を最大限発揮することが不可欠ですので、採用試験の在り方も工夫しながら、多様な人材確保に努めていただくことを要望します。
 次に、二〇二二年度に人事委員会に寄せられた職員の苦情相談の件数と、そのうちハラスメントに関する苦情の件数について伺います。

○蓮沼審査担当部長 人事委員会は、地方公務員法の規定に基づき、職員からの勤務条件その他の人事管理に関する職員の苦情に迅速かつ適切に対応するため、専門の相談窓口を設け、電話や面談等の方法により相談を受けております。
 各種ハラスメントに関する相談体制は、当委員会のほかに、各局においてハラスメントに関する相談窓口が開設されております。また、一般財団法人東京都人材支援事業団にも相談室が設置されております。
 令和四年度に当委員会で受けた苦情相談の総件数は二百二十六件で、そのうち相談者からハラスメントに関するものとして相談を受けた件数は五十一件でございます。

○岩永委員 相談件数二百二十六件のうち、ハラスメントに関する相談は五十一件とのことです。
 それでは、相談があった場合にどのように対応しているのか伺います。

○蓮沼審査担当部長 苦情相談があった場合には、相談者の要望内容を十分に把握した上で、相談者の意向を踏まえ助言を行うなど、中立、公正な立場から、必要に応じた対応を行っております。
 相談に当たっては、専用の相談室を設け、相談者のプライバシーに十分配慮するほか、相談内容や相談者の要望にできる限り対応するよう努めております。

○岩永委員 中立、公正な立場から対応を行っているとのことです。
 今回の決算質疑では、総務局に対しても同様のテーマで質問をしましたが、ハラスメントについては、解決までに時間がかかる場合もあるため、相談後も含めて、丁寧に対応いただくことを要望し、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○松田委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 住民監査請求について伺います。
 住民監査請求は毎年請求がされていますが、監査が実施されることはめったにありません。ここ五年間の請求件数と監査を実施した数、さらに勧告を出した数を伺います。

○小高監査担当部長 平成三十年度から令和四年度までの五年間における住民監査請求は七十四件でありまして、そのうち監査を実施したものは四件でございます。
 監査を実施した四件のうち、勧告を行ったものは一件でございます。

○岩永委員 この五年間で監査した四件のうち、二〇二二年度が三件で、この三件の全てが若年被害女性等支援事業に関する監査でした。
 二〇二二年度に実施された若年被害女性等支援事業の委託契約に関する請求が、なぜ監査を実施することになったのか伺います。

○小高監査担当部長 監査委員は、請求のあった住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第一項に定める要件を備えているか審査を行い、要件を備えていると判断したものについて監査を実施いたしております。

○岩永委員 この若年被害女性等支援事業に関する住民監査請求の監査結果として行われた勧告の内容について伺います。

○小高監査担当部長 勧告の内容についてでございますが、監査対象局は本件契約に係る本事業の実施に必要な経費の実績額を再調査及び特定し、客観的に検証可能なものとすること、調査の結果、本事業として不適切と認められるものがある場合や委託料の過払いが認められる場合には、過去の事業年度についても精査を行うとともに、返還請求等の適切な措置を講じることでございました。

○岩永委員 住民監査請求は、住民が監査委員に対し、執行機関や職員による違法もしくは不当な公金の支出などについて、監査及び必要な措置を講じるよう求める制度であり、市民が行政をチェックする上で重要な制度です。公共事業に関する請求もよくありますが、監査が実施される例はほとんどありません。
 ところが、若年被害女性等支援事業については、二〇二二年度に十件も請求が出されており、三件が監査が実施され、うち一件は勧告が出されましたということで、大変驚いております。
 その後、再調査されて、過払いはなく、返還請求にはなりませんでした。にもかかわらず、この団体に大きな瑕疵があるかのような言説が出回り、夜のまちで十代の女性たちへの支援という、東京都にとっても重要な活動をしている団体への悪質な妨害が繰り返され、団体はこの事業から撤退しました。
 これによって被害を受けるのは若い女性たちです。トー横に集まる若者たちについて議会でも話題になっていますが、解決の方向は見えません。監査の影響がとんでもないところに出てしまい、大変残念です。
 以上で質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○松田委員長 これよりスタートアップ・国際金融都市戦略室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、スタートアップ・国際金融都市戦略室所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○樋口戦略推進部長DX推進担当部長兼務 去る十月十三日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は一件でございます。
 The Global Financial Centres Index(Z/Yen社)の推移に係るものでございます。
 公表時期及びランクを記載してございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私はまず、スタートアップグローバルイベントについて伺います。
 昨年度は、世界各都市でアフターコロナを見据え、経済の再生やさらなる成長が模索された一年でありました。その鍵として期待されるのが、都市の課題を解決し成長を牽引するスタートアップの存在だと思います。
 都は十一月に、スタートアップ戦略を策定しましたが、そこで強調されているのは、世界を目標にビジネスを起こすボーングローバルの視点です。折しも昨年は、コロナ禍で制限されていた人の往来が再開された年でした。そうした中で、今年の二月に開催されたグローバルイベントは、都の戦略展開の大きな第一歩であったといえます。
 私も会場となった東京国際フォーラムに足を運びましたが、たくさんの関係者が国内外から集まり、大盛況でありました。こうしたイベントで生まれた人と人との結びつきを着実に次なるステップへとつなげていくことが重要だと考えます。
 そこで、このイベントがどのような成果に結びついたのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は本年、スタートアップと投資家や大企業などの多様なプレーヤーとのグローバルな交流を生み出すため、我が国最大規模となるスタートアップのグローバルイベントを初めて開催いたしました。
 会場内の使用言語を英語で統一し、海外の著名人による講演やスタートアップのブース出展、商談会など、国内外のプレーヤーが集まり、オープンイノベーションを生み出す場を提供いたしました。
 出展したスタートアップへのアンケート調査によりますと、回答のあった企業七十七社のうち、約半数は協業等に向けた秘密保持契約の締結に至っておりまして、さらに技術提携、生産販売提携や資本参加などにつながっている例も多くございました。

○吉住委員 イベントでの出会いが様々な形で新たな展開へと結びついていることが確認できました。
 都は来年五月に、第二回目のイベントの規模を拡大して実施する予定と伺っていますが、協業などのチャンスを一層広げていくためには、国内外の統一化、支援機関や大企業など、より多くの関係者を呼び込むことが不可欠だと思います。
 そのためにも、こうしたプレーヤーと顔の見える関係をつくることが、地道ではありますが、非常に重要な取組です。職員の皆さん自らが汗をかいて、内容のさらなる充実を図り、ぜひとも前回以上の成果を上げていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、サステナビリティ経営促進事業について伺います。
 大企業において、サステーナビリティーに関する情報開示が義務化されたことなどをきっかけに、昨今、中小企業においても、取引先の大企業から自社のCO2排出量に関する情報提供が求められたという声を聞いています。
 このように、サプライチェーン全体での取組が必要となる中、サステーナビリティーに配慮した経営を行うことは、中小企業の成長にとっても不可欠となりつつあります。そのため、中小企業が自力でこうした課題に取り組めるよう、都が支援していくことが必要だと考えます。
 そこで、サステーナビリティーに配慮した経営へと転換しようとする中小企業に対し、昨年度、都としてどのように取り組んだのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 都は昨年十月に、サステーナビリティー経営に取り組む企業の好事例やESG関連の補助金、セミナーなどの情報を一元化したポータルサイト、東京サステナブルNaviを立ち上げ、中小企業にとって有益な情報の発信に取り組んでおります。
 また、金融機関とサステーナブルファイナンスの活性化に向けた連携協定を締結して、脱炭素に関する目標を設定し、その達成度合いと融資条件が連動するサステーナビリティーリンクローンを中小企業等が利用する際に必要となる経費の一部を支援してございます。

○吉住委員 先ほどのご答弁の中で、金融機関と連携した取組を進めているということでしたが、連携している金融機関の数や支援実績、今年度の事業展開について伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 昨年度は、十五の金融機関と協定を締結し、五件の中堅中小企業による百三億円の資金調達を支援いたしました。
 今年度からは、サステーナビリティーリンクローンに加えまして、事業活動が環境社会に及ぼす影響を金融機関が評価し、設定した目標の実現を伴走支援するポジティブインパクトファイナンスを支援対象に加えることで、中小企業のサステーナビリティーに配慮した経営を一層促進していくこととしており、連携する金融機関の数は現在十八社となってございます。

○吉住委員 冒頭申し上げましたが、大企業においては、サステーナビリティーに関する情報開示が義務化されており、サプライチェーンを支える中小企業もその影響を大きく受けることになります。
 中小企業がそのような流れに取り残されることなく成長することができるよう支援していくことが重要だと考えます。引き続き、しっかりと取組を進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○森口委員 スタートアップ施策の推進について伺います。
 昨年度は、都においてスタートアップ戦略を本格的に始動させた年でありました。八月には、庁内関係部署から成る組織横断型のTeam Tokyo Innovationを立ち上げ、スタートアップ戦略の策定やCity-Tech.Tokyoの開催など、様々な政策展開をスピード感を持って進めてきたことを評価いたします。
 特に注視したいのは、都がスタートアップや関係者とオープンな対話を重ね、政策の形成を進めていった点です。東京にはベンチャーキャピタル、アクセラレーター、あるいは大学や大手企業など、スタートアップの育成を担う数多くのプレーヤーがおり、都が支援策を進めていくに当たっては、こうした関係者の共感と協力を得ることが不可欠であります。
 そこで、都は昨年度、民間からの声をどのようにして取り上げたのか伺います。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 都は、スタートアップやその支援に関わる多様なプレーヤーと積極的に交流を図り、ニーズの把握や連携、協働の取組を進めてまいりました。
 八月には、民間の支援拠点に出島を設け、職員の常駐体制を構築いたしました。日常的な相談対応やイベントでの交流等を通じ、様々な企業から意見や要望を吸い上げてきたほか、官民協働の取組への参加につなげております。
 また、スタートアップ戦略の策定推進に当たりましては、フェローや様々な分野の専門家に毎回参加していただき、フラットに議論を重ねたほか、アントレプレナーシップ教育や支援拠点の構築などのテーマで、民間の方々と意見交換するワークショップを五回開催いたしました。

○森口委員 ただいま答弁があったとおり、施策展開の在り方について民間の方々と広く意見交換を重ねていくことは極めて重要であります。エコシステムという名が示すとおり、スタートアップの育成は、行政だけでなく、多様な民間の主体が関わっています。
 都が来月プレオープンするスタートアップ支援の一大拠点、Tokyo Innovation Baseの構築においても、このような民間の方々とフラットに対話し、協働していくことが不可欠と考えますが、昨年度の取組成果を踏まえ、都はどのように取り組んできたのか伺います。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 都は、国内外のスタートアップやその支援に関わる様々なプレーヤーが集まり、交流する拠点、Tokyo Innovation Baseの構築に当たりまして、みんなで創るTIBをコンセプトにいたしまして、スタートアップ支援に関わる多くの関係者と協働して取組を進めてまいりました。
 これまで、支援機関、大学や大手企業などから、支援のノウハウ、スキルや人的ネットワークを持つ多様な人材にスターティングメンバーとして運営チームに参画してもらい、イベントの企画などに取り組んでいただいております。
 都の職員自らも有楽町の現場に常駐いたしまして、一緒になってアイデアを出し合うなど、行政と民間の垣根を越えてフラットな議論を進めております。

○森口委員 Tokyo Innovation Baseでは、プレオープン後、様々な民間のパートナー事業者と連携して、スタートアップや学生を対象とした支援プログラムなどを展開していくと伺っています。多彩な協働の取組を通じ、この拠点をあらゆるプレーヤーが集い交流するエコシステムの巨大なプラットフォームへと育てていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、国際金融について伺います。
 国際金融都市構想においては、金融のデジタライゼーションが柱の一つに据えられています。社会全体のデジタル化が進む中、金融のデジタル化により、新たなサービスを生み出すフィンテック企業は、都民の生活の質の向上に寄与する重要なプレーヤーです。
 都は、都民の課題を解決する優れたビジネスアイデアを持つフィンテック企業を表彰する東京金融賞に取り組んでいると承知をしています。表彰されたビジネスアイデアが実際にサービスとして世の中に提供され、フィンテック企業が大きく成長していくことが重要と考えます。
 そこで、これまで東京金融賞で表彰された企業のサービスが社会に実装された実績はどのようになっているのか、また、大きくビジネスが成長した事例があれば、併せて伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 東京金融賞の金融イノベーション部門では、これまでの五年間に十五社を表彰し、このうち既に八社が実際にサービスの社会実装を実現しております。
 具体的な事例といたしましては、人工知能、AIによる風災時の建物被害の査定技術を開発した英国企業は、日本市場でのサービス導入を実現し、今年度、ベンチャーキャピタルから新たな資金調達に成功したとの報道がなされております。

○森口委員 東京金融賞では、社会課題の解決にもつながるサービスアイデアを持つフィンテック企業に光を当て、着実に成果が生まれていることが分かりました。引き続き、フィンテック企業の成長支援にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 国際金融都市東京の実現のためには、フィンテック企業をはじめとした金融プレーヤーの集積を進めていくことも重要です。都は近年、グリーンファイナンスに関連したフィンテック企業や資産運用業者の誘致に力を入れていると承知をしています。
 そこで、グリーンファイナンス外国企業進出支援事業の昨年度の成果について伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 本事業につきまして、昨年度は十八の国と地域から五十四社の応募があり、外部有識者等による審査を経て選定された七社がコンサルティングなどの支援を受け、東京進出を果たしております。
 例えば、ブロックチェーン技術を活用して、再生可能エネルギー取引のプラットフォームを提供するオーストラリアのフィンテック企業や、サステーナブル運用に特化したイギリスの大手投資運用会社などでございます。
 こうした企業が定着できるよう、引き続き支援してまいります。

○森口委員 グリーンファイナンスをはじめとする金融系外国企業を呼び込むためには、国際金融都市としての東京の魅力や都の支援策など、海外に向けて積極的に発信するプロモーション活動に注力をしていく必要があります。
 こうした中、本年二月に小池知事がロンドンを訪問していますが、現地でどのようなプロモーション活動を行ったのか伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 知事は本年二月にロンドンを訪問し、シティ・オブ・ロンドンと都が共催する金融セミナーにおいて、現地の金融関係者に東京の魅力や都の施策などを紹介し、東京でのビジネス展開を呼びかけました。
 あわせて、シティ・オブ・ロンドンのロード・メイヤーと意見交換を行い、英国金融関係企業の東京進出に向け、実務者クラスによる定期的な意見交換の場を新たに設け、緊密な連携を図ることを確認いたしました。
 さらに、英国政府の投資担当大臣や金融関係の業界団体を訪問し、国際金融における連携について意見交換を行い、三月には英国の資産運用業者六社が東京を訪問するなどの動きにもつながったところでございます。

○森口委員 現地で知事がトップセールスを精力的に行ったことは、国際金融都市東京のプロモーションにとって非常に有益なことであったと考えます。
 東京が国際金融都市としてのプレゼンスを高めることは、東京のサステーナブルな成長や都民の豊かな生活の実現に大きく貢献するものであります。
 そのために、今後ともプロモーションを担うフィンシティー・トーキョーと連携をし、様々な工夫を講じながら、プロモーションを一層強力に展開していただきたいと要望し、質問を終わります。

○かまた委員 それでは、私からは、初めに都が昨年度創設をしましたソーシャルインパクト投資ファンドについてお伺いをいたします。
 都が経済的リターンと社会的インパクトを同時に生み出すことを意図するインパクト投資を促進し、社会課題の解決に官民協働で取り組むことは、「国際金融都市・東京」構想を進める上で重要であります。
 また、東京で暮らす人々のウエルネスを向上させるということをファンド創設の目的に掲げた点についても、高く評価をいたします。ソーシャルインパクト投資ファンドが、この政策目的を達成するためには、政策目的を適切に理解した上で、ファンド運営の経験や知見を有する者を運営事業者に選定することは、施策の効果を高める上で重要なポイントであると考えます。
 そこでまず、ソーシャルインパクト投資ファンドの運営事業者の選定方法、また選定基準について、確認をさせてください。

○宮武国際金融都市担当部長 ファンドの運営事業者の選定に当たっては、インパクト投資や法務の専門家等の外部委員を交えた選定委員会を設け、審査を実施いたしました。
 選定委員会では、ファンドの運営方針と政策目的の合致度、民間から出資を集められる確度、投資案件の発掘方法、過去のインパクト投資の経験等の観点から、書類及びプレゼンテーションによる審査を行い、運営事業者を決定いたしました。

○かまた委員 施策の目的が達成されるように、これまでの実績等を多角的に審査をして事業者を選定したとのことで、都の公表資料によりますと、今回のファンドの運営事業者は、ヘルスケア領域におけるインパクト投資やスタートアップ投資等への実績がある二社がタッグを組んでいますので、今後の成果を大いに期待するところでありますが、大事なことは、選定された事業者が都の出資を呼び水としまして、民間からも出資を集めて有望な企業に投資を行い、インパクト投資の普及につなげていくことであります。
 そこで、ソーシャルインパクト投資ファンドの運営状況と、インパクト投資の活性化に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。

○宮武国際金融都市担当部長 ソーシャルインパクト投資ファンドには、本年三月末に東京都の十億円に加え、民間二社から二十一億円、総額三十一億円の出資が行われております。今年度から運用を開始いたしまして、心臓リハビリ治療用アプリ等の開発を行うスタートアップなどに対して投資を実行しております。
 本ファンドの投資を通じて生み出されたインパクトの状況等につきましては、年一回レポートとして公表することなどにより、インパクト測定のノウハウ等を広く社会に共有し、インパクト投資の活性化につなげてまいります。

○かまた委員 今のご答弁で紹介していただきました心臓リハビリ治療用アプリ等の開発を行うスタートアップなどに投資を実行するとのことで、今後の都民のウエルネス向上に大きな効果を生み出すことを期待するところであります。
 また、都が抱える様々な課題やニーズに対して、財政支出だけで対応を進めていくことには限界がありますので、今後も社会課題を解決するツールの一つとして、官民ファンドの活用、また、インパクト投資の活性化にしっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、外国企業の発掘、誘致についてお伺いをいたします。
 有望な外国企業を発掘し、東京に誘致することは、その外国企業が稼ぎを得るだけではなくて、協業先となる都内企業、ひいては都内経済にとっても恩恵が生じるものであります。
 そのため、都は、都内経済を活性化させるための手だての一つとして、優れた技術を持つ外国企業誘致を特区制度を活用して進めておりますけれども、昨年度はどのような外国企業を発掘、誘致したのか、また、外国企業と都内企業とでどのような協業が生じているのか、事例をお伺いいたします。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 令和四年度は、高精度のロボットアームを提供する企業であるエウレカロボティックス社や、AIや衛星データを活用し災害予兆や温室効果ガス排出を分析する企業であるカイロス社などから、東京進出を正式に決議した投資計画書を取得し、発掘、誘致を行いました。
 例えば、エウレカロボティックス社は、東京進出後、都内の製造業者と製造工程を一部自動化し生産効率を向上させるための共同開発を行っております。
 今後も、都内企業との協業の可能性、都内産業への効果などを考慮しながら、外国企業の発掘、誘致を行い、都内企業や都内経済の活性化につなげてまいります。

○かまた委員 実は私のところに、外国企業を誘致すると、日本の企業の活躍の場が少なくなるのではないかという懸念の声も届いておりまして、今ご答弁いただきましたように、ロボットアームを提供する企業が既に都内の製造業者と共同開発を行っているとの事例、とてもうれしく思います。
 ぜひこのように、外国企業を都に誘致することで、都内の企業との多くの協業が生まれ、都内の企業、都内経済が活性化されることを願います。ぜひ、引き続きよろしくお願いいたします。
 続きまして、キングサーモンプロジェクトについてお伺いをいたします。
 都は令和元年度、スタートアップに都政現場を実証実験の場として提供し、協働して課題解決に取り組むキングサーモンプロジェクトを開始しました。本事業は、スタートアップの成長と都政課題の解決の双方を目的としておりまして、これまで数年間の取組の成果は、広く都民の利益にもつながるものであります。
 そこで、改めて、令和四年度の実績についてお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 令和四年度におきましては、VR等の先端技術を活用したコンテンツを作成し、まちづくりを通した東京の魅力を視覚的に体感してもらう取組など、三件のプロジェクトについて実証実験を行いました。
 また、国内外のメディアを対象とし、過去に採択されたプロジェクトの製品やサービスを体験してもらうイベントを初めて開催いたしました。当日は、海外メディアを含む二十一社、三十四人の方が参加し、実際に記事として取り上げられるなど、国内外に幅広く情報を発信することができました。

○かまた委員 これまでの取組に加えまして、新たなイベントを開催し、海外メディアを含めて二十一社、三十四人もの方が参加したとのことで、本事業への注目度が高いことがうかがえます。
 本事業は、スタートアップの成長と都政課題の解決の双方を目的にしておりますので、これまでの取組により、どのような成果につながっていたのか、確認の意味でまたお伺いをいたします。

○浅川スタートアップ戦略推進担当部長 まず、スタートアップにおきましては、都政現場での実証実験や公共調達などを通じまして、製品、サービスの信頼性の向上が図られ、その多くは、売上げ増加や販路拡大など成長につながっております。
 一方、都におきましても、優れた技術を持つスタートアップとの協働を通じ、都政課題の解決に資する取組を進めたことで、都民サービスの向上につなげております。
 加えまして、スタートアップによる都政課題解決のロールモデルを国内外に発信することで、後続のスタートアップ輩出の機運を醸成しております。

○かまた委員 このキングサーモンプロジェクトは、スタートアップの成長、ひいては東京の経済活性化にもつながる重要な取組であります。先日、第二期のプロジェクトにおけるスタートアップのサービスについて、実証の結果を踏まえ、政策目的随意契約を可能とする認定を実施したと伺っております。
 今後は、他事業でも製品、サービスの水平展開を図りまして、さらなるスタートアップの成長をサポートしていただきますようお願いいたします。
 続きまして、最後の質問に入りたいと思います。
 今年の一月二十七日と二十八日に実施をされましたキャリアフェアについてお伺いをいたします。
 まず、スタートアップのキャリアに関心を持って参加をした方々にとって、どのような利点があったのかを含めて、事業の目的を確認させてください。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 一月に開催いたしましたキャリアフェアでございますが、スタートアップでのキャリアに関心を持つ方に、就職や転職を身近に感じ、安心して挑戦していただくと同時に、スタートアップの人材確保にもつなげてもらうことを目的として開催したものでございます。
 ブースを出展したスタートアップ約百二十社の社員と直接交流し、企業の情報を収集したり、社内の雰囲気に触れることのできる機会を参加者に提供したほか、スタートアップにおける働き方ですとか、キャリア形成を教えることができる第一線の実務家が登壇する十のトークセッションなどを行いました。
 参加した方からは、一日のうちに多くのスタートアップと話ができた、あるいは採用面談が決まったなどの声をいただいております。

○かまた委員 スタートアップ約百二十社の社員と直接交流ができたとのことで、本事業の価値が大きいことが確認できます。
 キャリアフェアは、学生をはじめとする若い方がスタートアップとオープンに交流をする場をつくるものでありますので、スタートアップのことをよく知ってもらう、そういう場になります。そして、そこで働きたいと思う方も増やすことができますし、また、人材確保へとつなげていく狙いもあります。そのためにも、できる限りたくさんの方々にスタートアップに触れていただくことが重要だと考えます。
 そこで、キャリアフェアでは、多くの参加者を集めるためにどのように周知をし、結果として、何人ぐらいが参加をしたのかお伺いをいたします。

○片山スタートアップ戦略推進担当部長 本イベントの周知に当たりましては、若年層やスタートアップへの届きやすさを考慮いたしまして、デジタルメディアに加えて、スタートアップや大学生などと直接のつながりを持つ関係機関と連携した情報発信を行いました。
 スタートアップや転職などのキーワードで検索を行うと表示をされるようなウェブ広告に加えまして、ツイッター、フェイスブックやビジネス特化型のSNSでございますリンクトインを活用いたしました。
 また、都内約三十の大学が参加いたします大学との定例懇談会のネットワークを活用いたしまして、学生への周知を図りましたほか、都が実施いたします国内最大級のビジネスプランコンテスト、TOKYO STARTUP GATEWAY、こちらの参加申込者に対する個別周知なども行ったところでございます。
 キャリアフェア当日の延べ参加者数は、二日間で約一千名でございました。

○かまた委員 二日間で延べ一千人の方が参加したとのことで、周知していただいた成果が出ていることを評価するとともに、企業の裾野拡大に向け、大きな一歩であったことをうれしく思います。
 新たな起業家の育成は、今後の東京、日本の発展の鍵となりますし、様々な業界での人材不足が深刻になっている中、このキャリアフェアに参加したスタートアップにとっても、人材を確保する貴重な機会でもあります。
 今後もこのキャリアフェアが、スタートアップでも直面をしております人材の確保という課題の解決につながる一助となりますよう、また、そして必要な人材とのマッチングの場となりますよう、さらに取組を進めていただきたいと思います。そのことを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、グリーンファイナンス市場の活性化についてお聞かせいただきたいと思います。
 国が示したGX、グリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針によれば、脱炭素社会の実現に向けて、二〇三〇年代半ばまでの十年間に、官民で計約百五十兆円を超える投資が様々な分野で必要になるとの試算がなされております。巨額の資金をどのように手当てをしていくのか、大きな課題であると考えます。
 先週の本分科会での財務局に対する私の質疑の中でも触れさせていただきましたけれども、東京都のESG債の発行について、これも質問させていただきました。グリーンファイナンス市場の活性化のためには、民間企業による取組を進めていくことも非常に重要だと考えております。
 この点、東京都は、民間企業のグリーンボンドの発行支援に取り組んでいると伺っておりますけれども、昨年度の支援件数や資金使途など実績をお聞かせいただきたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 グリーンボンド発行に係る外部レビュー取得費用の負担軽減として、昨年度は二十八件の資金調達を支援いたしました。
 調達された資金の主な使途は、再生可能エネルギー設備の導入、省エネビルディングの建設などとなっております。

○須山委員 ありがとうございます。二十八件ということで、様々な脱炭素に向けた資金調達、そして、さらにはその使途が、様々使われているということで伺いました。
 企業による脱炭素に向けた資金調達を円滑なものにしていくためには、このような行政による支援のほかに、やはり資金の出し手である個人の皆さんとか、機関投資家の皆さんなど、グリーンファイナンスを含めたサステーナブルファイナンスの重要性、これに関して、もっと知っていただくことが重要だなということを考えておりますけれども、サステーナブルファイナンスに対する理解を社会全体に広げていくための取組についてお聞かせいただきたいと思います。

○宮武国際金融都市担当部長 都は令和二年度より、サステーナブルファイナンスの機運醸成に向けてイベントを集中的に開催する東京・サステナブル・ファイナンス・ウィークを実施しております。
 昨年度は、国内外の金融機関を対象に、グローバルな最新動向を議論するフォーラムや都民の認知度向上を目的としたセミナーを開催いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。イベントでフォーラムであったりとか、セミナーを開催していただいたということでした。
 今年でコロナも五類になって、さらにイベント事で今まではオンラインを併用したりとかということだったと思うんですけれども、やはり、膝と膝を突き合わせるじゃないですけれども、そうした様々な企業の皆さんであったりとか、投資家の皆さんであったりとかが集まってきて、そこで顔を合わせて、そういったイベントに参加をすることによって、横のつながりというのはすごくできてくると思うので、これからさらに期待をしていきたいと考えております。
 本当に東京都として、しっかりとこのグリーンファイナンス、サステーナブルファイナンスというものを東京都が牽引をしていくことによって、中心的な役割を担っていっていただきたいなというふうに強く要望させていただきたいと思います。
 さて、東京都では、先ほども出ておりましたけれども、フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業という事業を行っております。
 フィンテック企業のサービス実装に向けた検証を支援するということですけれども、具体的にどのような金融サービスを支援したのか、実績をお聞かせください。

○宮武国際金融都市担当部長 昨年度は、教員、保護者の負担軽減に向けた学校での生徒からの集金を効率化するアプリの開発など、五件の取組を支援いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 今ご紹介いただいたものなんかも、すごく、私も子供が今まさに小学校なので、こういったものをうまく活用していって、それが広がっていくことによって、さらに企業だけでなくて、様々な皆さんの意識につながっていくといいなというふうに思いますし、ホームページでも、今ご紹介いただいたもの以外のものもちょっと拝見させていただきましたけれども、様々、本当にちょっと見ていてわくわくするような面白いサービスというものが考えられていくなということで、これもまた新しい市場を拡大していくいい機運になるなというふうに思いますので、引き続き今年度もやられていることですし、しっかりと進めていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、最後の質問ですけれども、国際金融都市東京を目指す中で、東京進出を考えていく外国企業に対しては、言語の壁であったりとか、様々——日本ってどうしてもちょっと市場としては、いろいろな価値はあるかもしれないんですけれども、ハードルが高いというふうにもいわれております。そうした中で、言語の壁、また、包括的な様々な相談支援を行うことが非常に重要だなというふうに考えております。
 その中で、ビジネスコンシェルジュ東京や東京開業ワンストップセンターは、東京に進出する外国企業向けに英語による相談対応を行っており、外国企業の誘致に向けて、必要な役割を担う拠点であるというふうに伺っております。
 そこで、ビジネスコンシェルジュ東京と東京開業ワンストップセンターで提供される支援内容と昨年度の実績についてお聞かせいただきたいと思います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 ビジネスコンシェルジュ東京は、東京進出を検討している外国企業などに対しまして、事業プランやビジネスマッチングなどのビジネス面での相談及び生活面での相談を英語で実施しております。また、国と都が共同で運営する東京開業ワンストップセンターは、多言語で相談に応じつつ、会社設立に必要な一連の行政手続を一か所で完結させております。
 昨年度のビジネスコンシェルジュ東京の対応件数は四千九百八十九件、東京開業ワンストップセンターの利用者数は四千八百六十五人となっております。

○須山委員 ありがとうございます。
 先ほども申し上げましたけれども、日本というのはやっぱり言語の壁であったりとか、文化の壁であったりとか、様々、海外から参入してくる上では結構ハードルが高い国だとも伺っております。
 そして、日本というものが、市場の価値がすごく右肩上がりだった頃というのは、もうそれでも、そのハードルを越えて様々な企業であったりとか、海外から来ていたと思うんですけれども、なかなか今、市場が広がっていくだけの時期ではないので、ちょっと今難しい状況にあるのかなというふうにも思っております。
 そうした中で、今ご答弁いただいたように、様々な企業への対応をしていただいてあったりとか、また、先ほどの一問目、二問目でも伺いましたけれども、グリーンファイナンスであったりとか、サステーナブルファイナンスということを東京都がしっかりと率先して、牽引をしていくことによって、東京に新たなそういった価値をつくっていく。様々な分野で、東京がやはり金融都市としてしっかりと成功していくということは非常に重要なことであると考えますし、それを担っているのは皆さんだと強く感じました。
 引き続き、しっかりと進めていただきたいということを要望させていただきまして、私の質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。国際金融都市について質問いたします。
 国際金融都市東京実現の予算は、予算額十七億三千三十九万三千円、執行額十四億六千八百八十二万二千八百九十五円、不用額二億六千百五十一万百五円、執行率八四・九%となっています。
 まず、この東京金融賞について、九千九百万円の支出について伺います。二〇二二年度の東京金融賞の賞金金額は合計一千八百万円ですが、九千九百万円の内訳についてお聞かせください。

○宮武国際金融都市担当部長 ご質問の金額は、応募企業の募集、審査委員会の運営、一次審査通過企業に対するビジネスマッチング等の支援、表彰式の実施、さらには過年度表彰企業に対するフォローアップなど、東京金融賞に係る企画運営業務の委託に係る経費でございます。

○田の上委員 委託されているということで、この委託企業については提案内容と総価で判断されているというふうに聞いておりますが、ご答弁では、東京金融賞の事業は、募集から審査等授賞に関わるものから、過年度の表彰企業のフォローアップなど、一連の業務を委託しているということでございました。
 昨年度、東京金融賞に何社が応募しているのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 東京金融賞には金融イノベーション部門とESG投資部門の二つの部門がございます。
 昨年度は、金融イノベーション部門に二十六の国、地域から百八社、ESG投資部門に十六の国、地域から七十五社の応募がございました。

○田の上委員 二つの部門で、それぞれ百八社、七十五社ということであります。
 東京金融賞は、どのような効果を期待して創設され、現在その効果は出ているのかどうか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 東京金融賞は、都民のニーズに応える画期的な金融サービスの開発やESG投資の普及に秀でた事業者を表彰し、東京の金融をさらに活性化することを目的に創設いたしました。
 これまで金融イノベーション部門で表彰した十五社のうち八社は既にサービスを社会実装するなど、都民の利便性向上につながってございます。

○田の上委員 都民のニーズに応える画期的な金融サービスの開発など、東京の金融を活性化する目的として創設されたということであります。また、過去表彰を受けた八社については、社会実装を既にしているということでご答弁をいただきました。
 ご説明をいただきましたけれども、委託事業ということもあり、見えにくいというところがあります。長期的に効果がもっと現れるものなのかなとは思いますが、これからの動きを注視していきたいと考えます。
 特区推進の予算は、予算額二十四億四千三百五十八万五千円、執行額十九億七千七百三十七万九千三百四円、不用額四億六千六百二十万五千六百九十六円、執行率八〇・九%となっています。
 外国企業発掘、誘致は十社誘致、そして金融系外国企業発掘、誘致数は十一社というふうになっていますが、事務費等が十六億千四百二十七万八千二百三十円もかかっており、この事務費を含めると、誘致にかかった費用は一社当たり九千四百万円ほどかかっている計算になりますが、これは費用対効果としてどのように評価をされているのか伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 外国企業の誘致は、雇用創出などの直接的な経済効果に加えまして、都内企業の事業機会の拡大など、経済の発展や都民の豊かな生活の実現に貢献するものと考えております。
 なお、外国企業発掘・誘致事業の支出済額は一億九千九百十万円、金融系外国企業発掘・誘致事業の支出済額が一億六千四百万余円でございまして、合算して平均すれば、一社当たり約一千七百万円となっております。

○田の上委員 ご答弁をいただきました。事務費等を入れずに支出済額で計算すると一社当たり千七百万円ぐらいになるということで、適正と考えているのかなという、そういうご答弁なのかなというふうに思います。
 発掘、誘致された企業はどのような企業でしょうか。企業名を含め、伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 高精度のロボットアームを提供するエウレカロボティックス社や、AIや衛星データを活用し災害予兆や温室効果ガス排出を分析するカイロス社などから、東京進出を正式に決議した投資計画書を取得し、発掘、誘致を行っております。

○田の上委員 伺いました。事務費等が十六億千四百二十七万八千二百三十円と大変大きな金額ですが、この内訳について伺います。

○福永特区・規制改革担当部長企業誘致担当部長スタートアップ戦略推進担当部長兼務 事務費等につきましては、ビジネスコンシェルジュ東京、東京開業ワンストップセンター、アクセス・ツー・トウキョウなどの経費となってございます。

○田の上委員 事業の名称をおっしゃっていただいたわけなんですけれども、外国企業誘致に関連する事業ということで、ここに特出ししていないものが事務費等に含まれているのかなというふうに認識をしましたが、いいですか。——はい。ちょっと項目別の費用内訳も聞きたかったので、後日でいいので、情報提供をお願いしたいと思います。
 今おっしゃっていたアクセス・ツー・トウキョウというのは、外国企業発掘のためのプロモーションの拠点としての活動というふうに聞いております。
 これも委託事業ということでございますが、四か所の海外拠点での活動なので、その活動内容と効果が外から見えにくくなっています。概してですが、委託事業になるとざっくりとした予算になり、見積りが甘くないかということを懸念するものです。発注側である東京都において、適正かどうかを今後もきちんと把握できるよう留意していただきたいと申し上げます。
 都は、二〇二〇年三月二十七日、国際金融センターランキングにおいて、東京が世界第三位、アジア第一位となりましたと戦略政策情報推進本部のリリースをしていますが、その後、同年九月には四位に、二〇二一年三月は七位、九月は九位、二〇二二年三月九位、九月十六位、二〇二三年三月二十一位、九月二十位というふうになっています。
 その都度プレスリリースをしているのかどうか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 二〇二〇年三月の後は実施しておりません。

○田の上委員 世界第三位になったとき、アジアで第一位になったとき以降はプレスリリースをしていないということです。
 国際金融都市東京を目指すのであれば、その都度プレスリリースをし、かつPDCAを回して政策評価を行うべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 有識者の議論を踏まえて、二〇二一年に策定した構想においては、このランキングにつきまして、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑み、国際的な位置づけの傾向について、大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。

○田の上委員 つまり、これまで都が指標としてきたランキングについては、算定根拠が分からないため、検証材料としては使わないという答弁だと受け止めます。
 それでは、政策評価をどのように行っていくのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 新たな構想では、国内でのグリーンボンド発行金額や都内キャッシュレス比率などをKPIと設定いたしまして、その達成度を検証しつつ、取組を進化させていくこととしております。

○田の上委員 「国際金融都市・東京」構想二・〇で述べているグリーンボンド発行金額やキャッシュレス比率などをKPIとして設定して、検証するということでありました。
 それでは、二〇二〇年三月の三位から、二〇二三年三月には二十一位にまで急落した原因をどのように分析しているのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、ランキングにつきましては、具体的なスコア算定根拠が非公開であること等に鑑み、国際的な位置づけの傾向について、大きな流れを確認するための情報として活用していくこととしております。
 都は、国際金融をめぐる課題を踏まえまして、二〇二一年に構想二・〇を策定するとともに、その後の情勢変化を踏まえながら、毎年度、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けた施策を講じつつ、実践しております。

○田の上委員 ランキングについては、スコア算定根拠が非公開であり、ここからは検証ができない、つまり分析はできない、分析困難というようなお答えかと思います。しかし、しっかりと分析をして、そして、次につなげていくということがなければ、やはり後退していくばかりではないかというふうに思います。
 また、もう一つお答えいただきましたけれども、毎年度、国際金融都市としてのプレゼンス向上に向けた施策を構築、実践するということでございますが、毎年度見直しをしていくのだという意味でよろしいんですよね。お答え——いいですか。はい。

○松田委員長 聞きますか。

○田の上委員 答えていただけますか。

○宮武国際金融都市担当部長 毎年度、国際企業を取り巻く情勢などを踏まえまして、実効性の高い施策を構築してまいります。

○田の上委員 これまでの急落の原因については検証はしませんけれども、今後はきちんと見直しをしていくために、構築していくと、実践していくというようなお答えなのかなというふうに思います。
 東京都は、これからも金融都市を目指していくのか、また実現できると考えているのか伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 個人金融資産の大きさや確固たる法の支配などの東京、日本の強みを踏まえ、都は構想を策定し、世界をリードする国際金融都市に向けた様々な施策を展開してまいります。

○田の上委員 国際金融都市東京及び特区の推進だけでも約三十五億円の予算を使っていますが、その政策効果をどのように評価しているのか、改めて伺います。

○宮武国際金融都市担当部長 社会課題の解決に資するファンドの創設、都民の生活利便性に資するフィンテック企業のサービス開発支援、都内企業との協業の可能性や都内産業に波及効果の高い外国企業の誘致など、東京の持続的成長や都民の豊かな暮らしの実現に寄与する施策を着実に前に進めてきてまいりました。
 引き続き、構想の三本の柱であるグリーン、デジタル、プレーヤーの観点から施策を展開し、スタートアップチームとの相乗効果を発揮しながら、着実に成果を積み上げてまいります。

○田の上委員 ご答弁をいただきました。
 三十五億円という少なくない予算であります。費用対効果をしっかりと検証していただきながら進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でスタートアップ・国際金融都市戦略室関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時十六分休憩

   午後二時三十三分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、デジタルサービス局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 区市町村DXの推進について伺います。
 本年九月に、都内全ての区市町村が参加して、GovTech東京が事業を開始しました。都だけではなく、区市町村を含めた東京全体のDXを推進していく新たな枠組みができたことで、さらに区市町村のデジタル化が進むことを期待しています。これまでの実績も踏まえつつ、改めて課題を整理し、さらなる取組につなげていくことが重要です。
 これまでも我が党は、区市町村のニーズを踏まえた支援の重要性について指摘をしてきました。デジタルに関する専門知識を有する人材の不足や、デジタルツールを使った手続のデジタル化が十分に進んでいないことなどが課題だと考えており、区市町村の意見を丁寧に聞きながら進めていくことが重要だと思います。
 これまで、区市町村の意見や要望をどのように把握してきたのか、また、どういう意見があったのか伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 デジタル人材の確保、育成や、行政手続デジタル化の推進に当たりましては、デジタルに関する責任者が一堂に会する都・区市町村CIOフォーラムで意見交換を行うとともに、実務者レベルのワーキンググループを設置いたしまして、令和四年度は計十九回開催するなど、ニーズの把握に努めてまいりました。
 区市町村からは、都の研修会等を通じて職員に一定の知識が定着してきたとの声がある一方で、即戦力となる人材のさらなる育成や、デジタル人材の確保が難しいため、都のサポートの充実が必要などの意見がございました。
 また、BPRを通じた行政手続のデジタル化に当たりましては、効果的なデジタルツールの選択や費用対効果の可視化などの課題解決が要望として上がってございます。

○吉住委員 CIO、トップ層と実務者の双方で緊密にコミュニケーションを図っており、区市町村における取組の進捗に伴い、さらなる課題も見えてきたことが分かりました。
 先日、私は八丈町と御蔵島村を訪問し、DXの取組状況に関する意見交換を行ってまいりました。島しょ地域の町村は行政組織が小さいため、都庁のDX部門と緊密なコミュニケーションを図ることが難しい面もあると考えます。東京全体のDXを推進していくためには、そうした実情を踏まえることが重要です。
 これまで、島しょ地域のDXにはどのように関わってきたのか、島しょの町村特有の課題などはあるのか伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 島しょ町村が直面する課題の解決につなげていくため、昨年度から今年度にかけて、都とGovTech東京のデジタル人材が全九町村を個別に訪問いたしまして、各自治体が直面する課題の具体的な把握に努めてございます。
 ヒアリングを通じて、職員の確保が深刻な中で、職員が一人で幅広い業務を抱え、デジタル化への対応が負担となっていることが分かってございます。また、国の自治体DX推進計画に基づき進めております行政手続のオンライン化や、主要業務の標準化、共通化などにつきましては、島しょ地域の実情を踏まえて進めていく必要があることなどが明らかになってございます。

○吉住委員 島しょ地域が、より困難な状況に直面していることが確認できました。
 島しょ町村を含む都内区市町村がより充実した住民サービスを提供するためには、デジタルの力を活用しながら、様々な行政課題の解決に取り組んでいくことが必要です。
 GovTech東京が行う共同事業には、区部、多摩・島しょ部全ての自治体から大きな期待が寄せられています。GovTech東京が実施する区市町村支援の具体的な取組について伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 まず、デジタル化を通じた区市町村の課題解決に向けまして、GovTech東京のデジタル人材が共通課題に効果的な支援を行う新たな伴走サポートを開始いたしました。現在、学童クラブの利用申請や公共施設の予約管理等を短期間でデジタル化する取組を進めてございます。
 さらに、デジタルツールの共同化に向けまして、スケールメリットの効果が高く、区市町村の導入ニーズが高いRPAやAI議事録などの共同調達に着手しており、今後はシステムの共同開発にもGovTech東京の技術力を生かして取り組んでまいります。
 特に、島しょ町村には、GovTech東京のデジタル人材が定期的に訪問し、業務効率化に資するツールの活用など、個別のニーズに即した支援を行ってまいります。
 引き続き、GovTech東京と共に、区市町村の意見やニーズをしっかりと把握しながら、東京全体のDXが進むように取り組んでまいります。

○吉住委員 これまでの取組の成果を踏まえるとともに、引き続き区市町村の声を聞きながら、GovTech東京と共に区市町村DXを推進してもらいたいと思います。
 次に、サイバーセキュリティ対策について伺います。
 サイバー攻撃は年々巧妙化、複雑化しており、昨年十月には大阪急性期・総合医療センターにおいて、電子カルテシステムがランサムウエアに感染し、診療の正常化に三か月もの時間を要する事件も発生しました。
 我が党はこれまでも、DXの推進とセキュリティ対策は両輪であり、サイバー攻撃に対する備えを求めてまいりました。
 令和四年度は、サイバーセキュリティ対策として約十二億円を執行しており、自治体情報セキュリティクラウドの運営に取り組んだとのことです。
 まず、自治体情報セキュリティクラウドがどういった役割を担っているのか伺います。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 自治体情報セキュリティクラウドは、都及び区市町村の庁内システムやネットワーク等をインターネットの脅威から防御することを目的とするシステムでございます。
 都と六十二区市町村のインターネットを介した通信全体を二十四時間三百六十五日監視し、ウェブサイトや職員のメール等の通信の記録を分析することで、外部からの攻撃やその予兆を早期に発見し、不正な通信先を速やかに遮断するなどの対策を実施しております。
 令和五年一月にはシステムを更新し、大量のコンピューターから一斉にデータを送信してウェブサイト等の機能を停止させる、いわゆるDDoS攻撃への対策を強化するなど、機能の向上を図りました。
 こうした機能強化により、攻撃を適切に検知し通信を遮断する等の対策を行うことで、被害を未然に防止しているところでございます。

○吉住委員 自治体情報セキュリティクラウドは、都と区市町村が共同して運営する包括的なセキュリティ対策であることが分かりました。
 令和五年一月から新サービスに移行したとのことです。日々、サイバー攻撃は高度化しており、自治体のセキュリティを向上させるには、セキュリティクラウドの機能強化などの技術的な対策とともに、区市町村に対する職員の育成も含めた運営支援が不可欠と考えます。
 区市町村のセキュリティ対策の充実に向け、都としてどのような支援を行っているのか伺います。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都は、セキュリティクラウドの運営を通じて、都と区市町村の一体的なセキュリティ対策を強化するため、攻撃の予兆などがあった際の注意喚起や、インシデント対応に関する助言のほか、実際のサイバー攻撃事例に基づく対策の提案などの支援を行ってございます。また、区市町村の職員を対象に、セキュリティ対策に関する講習会を毎年度実施してございます。
 令和四年度は、ランサムウエア等、最新のサイバー攻撃の特徴や対策等をテーマとして、専門家による講習や区市町村の取組に関する意見交換を行いました。

○吉住委員 日々、サイバー攻撃は巧妙化しており、セキュリティ対策は不可欠です。一方、セキュリティ分野は専門性が高く、各自治体が個別に行うよりも、都が中心となって広域で一体的に進めることで、経済性、効率性も確保しながら進めることが重要です。東京全体のセキュリティ水準の向上につながるよう、引き続きしっかりと取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次は、デジタルデバイド対策について伺います。
 DXによってもたらされる利便性向上などの恩恵を、あらゆる人が享受できる環境を整備していくことが大切です。中でも、デジタル機器に不慣れな高齢者の方が取り残されることがないよう、またスマホなどを通じて生活の質が向上するよう、都がしっかりと支援を行っていくことが重要です。
 こうした観点から、我が党では、デジタルデバイド対策の中でも高齢者向けスマホ体験会、相談会の充実について要望してまいりました。
 昨年度、高齢者向けスマホ体験会、相談会をどのように実施してきたのか、また、参加者からはどのような声があったのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は昨年度、区市町村等と連携して、地域のセンターや図書館等の施設において、高齢者向けスマートフォン体験会及び相談会を二千四百回以上開催し、約一万六千人の方に参加いただきました。
 体験会では、基本操作をはじめ、QRコードを使ったサイトへのアクセスや、SNSを活用したコミュニケーション等、実用的なプログラムを実施し、相談会では、利用に伴う困り事等に幅広く対応しております。
 参加者へのアンケートでは、十段階で平均が八を超えるなど満足度が高く、アプリのインストールの仕方が分かったので使ってみたい、もう一度参加したいといった前向きなご意見をいただきました。

○吉住委員 参加した高齢者の方から高い満足度が得られているということについて、評価したいと思います。
 スマートフォン体験会は、地域のセンターや図書館のほか、高齢者の方にとってより身近な町会、自治会においても実施されています。また、自治体と連携し、町会に対してオンライン会議ツールの活用支援を行ったと聞いています。
 こうした高齢者に身近な町会、自治会での取組を今後も進めていくべきと考えますが、都が町会、自治会において昨年度実施したデジタルデバイド対策の取組状況と今後の展開について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 令和四年度は、町会、自治会でのスマートフォン体験会を約四百五十回開催し、約三千五百名の方に参加いただきました。
 加えて、自治体と連携し、町会に対して非対面でも会議ができるよう、オンライン会議ツールの活用支援を行ったほか、SNSで活動の情報発信ができるよう、勉強会を実施いたしました。その成果やノウハウについては、他の自治体でも活用できるようガイドラインとして取りまとめ、公開しております。
 引き続き、町会、自治会における体験会等を通じて、高齢者のデジタルデバイド対策に取り組んでまいります。

○吉住委員 体験会や自治体と連携した事業を通じて、町会、自治会においても、デジタルデバイド対策を進めてきたことが理解できました。こうした体験機会を増やしていくことは重要であり、ぜひとも積極的に進めていっていただきたいと思います。
 地元の高齢者の方々にお聞きすると、使い方を忘れてしまうことがあるので気軽に相談に行ける場所が欲しい、仲間と一緒に継続して楽しく学びたいといったお話を伺います。
 デジタルに不慣れな高齢者の方がスマホを使いこなせるようになるためには、高齢者が困ったときにいつでも相談ができる環境や、自ら進んでスマホを使ってみたくなるような機会を創出し、定着を図っていくことが不可欠と考えますが、都は今年度、どのような取組を行っていくのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 高齢者に身近な施設で、気軽にデジタルについて相談、交流できる環境を創出するため、都は今年度、新たな支援事業を開始いたしました。
 具体的には、高齢者センター等、都内四十三か所を会場に、高齢者が気軽に立ち寄って相談できるような場を提供いたします。また、スマートフォンを通じた仲間づくりができる交流の場を設置し、ゲームや健康づくりアプリを活用したプログラムで楽しみながら学べるようにするなど、高齢者がスマートフォンに親しむ機会を提供いたします。
 今後も、高齢者のニーズを踏まえながら、高齢者が自ら進んでスマートフォンを活用したいと思っていただけるような機会を数多く提供できるよう、デジタルデバイド対策に取り組んでまいります。

○吉住委員 今後も、デジタルに不慣れな高齢者の方のニーズを踏まえ、高齢者が自発的にスマートフォンに触れる機会を創出できるよう、工夫を凝らしながらデジタルデバイド対策の取組を積極的に進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、オープンデータについて伺います。
 我が会派では、オープンデータの推進について、度々本会議や委員会で取り上げ、その重要性を訴えてきました。オープンデータ化の真の目的は、単にデータの公表ということではなく、民間事業者などが広く活用することでサービスを生み出していくことだとも申し上げてまいりました。
 都は令和三年度から、デジタル技術を持つ都民がデジタルサービスの開発を競い合うオープンデータハッカソンを開催しています。これは、都民共通の財産である行政データを都民の方々へのサービスへとつなげる重要な取組だと考えています。
 ハッカソンを通じて、都民に利便性の高いサービスが次々と生まれることを期待するものですが、昨年度の取組について伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 オープンデータハッカソンは、シビックテックや民間事業者などがオープンデータを活用し、行政課題を解決するデジタルサービスの開発を行うイベントでございます。
 より多くの方にご参加いただくため、令和四年度は、新たに募集イベントを開催するとともに、デザインや技術などの分野ごとに審査委員特別賞を設けるなどの工夫を行い、前年の二倍以上となる四百二十三名の方から参加のご応募をいただきました。
 サービスの試作品開発を経て、防災や福祉など、様々な分野にわたる六十三件のサービス提案があり、その中から最終審査に十チームが進出いたしました。最優秀賞を受賞した住むまち選びをAIが支援するサービスをはじめ、七件のサービスが実装されたところでございます。

○吉住委員 令和三年度と比べて、昨年度は応募者が大幅に増えたということで、非常にうれしく思います。
 オープンデータを活用して新しいサービスを生み出していく、こうしたムーブメントを都は積極的に広げていかなければならないと考えます。そのためには、プログラミング技術はないがアイデアを持っている方々なども取り込み、参加者の裾野を広げるなど、このオープンデータハッカソンの取組を改善、発展させていくことが重要だと考えます。
 そこで、これまでの取組を踏まえ、今年度はどのような工夫や改善を行ったのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 参加者の意見等を踏まえながら、ハッカソンの実施内容について、改善や工夫を継続していくことが重要でございます。
 今年度は、実装に取り組むのはハードルが高いが、データを使った課題解決を提案したいという声にお応えいたしまして、オープンデータの活用等に関するアイデアを募るアイデア提案部門を新たに設けました。
 また、都民生活に役立つサービスを数多く創出するため、最終審査への進出数を昨年度の十チームから十八チームに増やすとともに、都が行う実装に向けた支援についてもさらに拡充したところでございます。

○吉住委員 この日曜、二十二日に開催されたイベントに多くの方が参加し、大変盛り上がったと聞いています。
 今後も、東京でオープンデータの利活用が積極的に行われ、都民に利便性の高いサービスが提供されるよう、ハッカソンの取組を継続的に発展させていただくことを期待して、質問を終わります。

○森口委員 私からも、デジタルデバイド対策について伺います。
 高齢者含め、誰もがデジタルの恩恵を受けられる社会を実現するためには、デジタルデバイド対策が重要であり、我が会派はこれまで、都内の大学生等若い世代を活用しながら取組を進めるべきと求めてきました。昨年の第二回定例会の代表質問では、スマホサポーター制度の開始に向け、こうした方々による活動を先行的に実施するよう求めてきたところであります。
 そこで、昨年度の先行実施の取組状況について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、令和五年一月のTOKYOスマホサポーター制度の開始に先立ち、サポーターの育成プログラムの内容の充実等を図るため、昨年夏の高齢者向けの相談会で講師経験のある方に先行的に活動いただきました。
 約五十回の相談会を開催し、その際にはデジタルネーティブ世代である大学生にもスタッフとして活動いただき、延べ百四十四名に参加いただきました。

○森口委員 先行実施においては、若者の力も活用して進めてきたことが分かりました。
 参加した方々からは、スマホサポーター制度について、様々なご意見をいただいたと聞いています。都は、こうした意見を具体的にどのように生かし、サポーターを育成してきたのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 昨年夏の先行実施の際に相談員を務めた方からは、スワイプ等の基本的な用語が伝わりにくい、高齢者の方に寄り添って丁寧にサポートするためのコミュニケーション力も必要などの意見をいただきました。
 これを踏まえ、サポーター登録の前に行うオンライン講習の内容に、タップやスワイプといった分かりにくい用語のいい換えの事例や、高齢者が理解しづらいポイントの解説の仕方などを盛り込みました。
 令和五年九月末時点で、講習を受講した約六百七十名の方がスマホサポーターとして登録しており、高齢者に寄り添いながら活動を行っています。

○森口委員 今後も、参加者やサポーターからの声を反映しながら、制度の運用に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、スマートシティの取組について伺います。
 これまで、都市整備委員会等で、地元西新宿の再整備について取り上げ、先端技術を活用したまちづくりの重要性を訴えてきました。将来にわたり、私たちの暮らしを大きく発展させるものがAIやIoTなど、最先端デジタルテクノロジーの活用であります。
 デジタルサービス局では、スマート東京先行実施エリアとして、西新宿において、先端技術を活用したスマートサービスの都市実装を進めております。西新宿は今後、車から人中心のまちづくりへと大きく転換をしていく中、ここに住み、働き、訪れる全ての人たちの生活がスマートサービスによって、より豊かになることを期待するものです。
 昨年度、西新宿では、スマートサービスの都市実装に向けて、企業や大学等の多様な主体が集まるコンソーシアムが設立されています。
 そこで、コンソーシアムの令和四年度の具体的な取組と成果について伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、先行実施エリアである西新宿におきまして、産官学が連携してスマートサービスの実装を進めるため、昨年九月にコンソーシアムを設立し、サービス実装に向けた取組を開始いたしました。五十七の企業と五つの大学が参加し、XRや自動配送など五つの分科会を立ち上げ、技術開発やビジネスモデルなどの検討を進めております。
 昨年度は、XR分科会事業者がクリエーターのコンテンツ開発や都民がXR作品を体験できる常設施設を開業し、昨年度中に五百名を超える方にコンテンツを体験していただきました。また、自動配送分科会では飲食店と連携し、フードデリバリーについて、自動配送ロボットによる十日間の運行実証を行いました。

○森口委員 西新宿の再整備に合わせ、デジタルを活用した様々なサービスの実装に取り組んでいることが分かりました。
 スマートシティの実現には、様々な分野でデジタルを活用するサービスが継続的に広がっていくことが重要であり、西新宿の取組をさらに拡充していく必要があると考えます。
 そこで、コンソーシアムの今後の取組について伺います。

○小野寺つながる東京整備担当部長スマートシティ推進担当部長兼務 昨年度立ち上げました五つの分科会では、技術面や事業採算性などの課題を踏まえ、令和六年度のスマートサービスの社会実装に向けて取組を進めてまいります。
 さらに、ユニバーサルコミュニケーションなど、新たに三つの分科会を設置し、参画する企業や大学の拡充を図りながら、サービス実装を目指してまいります。
 コンソーシアム活動のさらなる充実により様々なサービスが生み出されるよう、都としても関係機関との調整や事業者との連携促進などに取り組んでまいります。

○森口委員 引き続き、地元住民や企業などとしっかりと連携をし、西新宿でのスマートシティの取組を進めていただきたいと要望いたします。
 また、都内では、民間事業者が再開発などを契機に、独自にスマートシティの取組を行っている地域もあります。スマートシティの取組を進める上では、地域に存在する様々なデータを統合し、活用するためのデータ基盤となる都市OSを構築することが重要であり、都はスマート東京先行実施エリアの都心部において、民間事業者が都市OSを構築してスマートシティ化を図る取組を支援してきました。
 この事業は昨年度が最終年度となっておりますが、取組の成果を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、スマート東京の実現に向けて都市OSを構築し、地域のデータを連携させることで、都市のスマート化を目指すプロジェクトを三件選定し、三年間継続して支援してまいりました。
 まず、大手町、丸の内、有楽町を合わせた大・丸・有地区では、施設、イベント情報に加え、交通の運行状況やシェアサイクル等の空き状況などをデジタルマップに表示し、リアルタイムで閲覧できるサービスを開始しました。
 また、竹芝地区では、人流データを把握して、混雑状況をデジタルサイネージに表示するサービスを提供しています。
 豊洲地区では、来街者の年代などの属性情報を分析し、イベント情報やクーポンなどをSNS等でプッシュ通知しています。
 都市OSの構築を契機に、様々なサービスの創出につながったものと考えております。

○森口委員 スマート東京先行実施エリアの一つである都心部では、都市OSが構築され、新たなサービス提供につながるという成果が得られたことが分かりました。
 都市のスマート化を進めていく上で、都市OSを構築し、活用することは有意義であり、このような先行実施エリアでの取組を他地域へ横展開させていくことが重要です。
 横展開に向け、都はどう取り組んでいるのか伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、先行実施エリアのこれまでの取組を紹介するホームページに加え、情報を共有、発信するイベントを開催しております。昨年度は二回開催し、企業や自治体の関係者など、千人を超える方々にご参加いただきました。
 大・丸・有などの先行実施エリアでプロジェクトに取り組んできた担当者から、都市OSの構築やデータの取扱いなどの実例や知見について講演いただくとともに、関係者のマッチング、交流の場となるネットワーキングを実施いたしました。
 今後とも、まちのスマート化に取り組む関係者の連携を深め、横展開を図ることで、スマート東京の取組がさらに活性化するよう進めてまいります。

○森口委員 引き続き、広く情報共有を図り、より一層まちのスマート化が進むよう、取組を推進していくことを期待いたします。
 次に、デジタルツインについて伺います。
 デジタルツインは、現実空間の建築物や地形等を仮想空間に3D化し、双子のように東京を再現するものであります。
 都は、二〇三〇年を目指してデジタルツイン実現プロジェクトを進めており、防災分野などでの活用が期待をされます。また、都市情報の可視化、分析が可能となることで、都庁各局の政策立案の高度化にも大きく貢献できるものと考えます。その第一歩として、昨年度、庁内連携基盤を構築されたと伺っています。
 まず、令和四年度のデジタルツインの整備内容を伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 令和四年度は、防災やまちづくりなどに関係する局が保有するデータを連携させるための庁内連携基盤を整備いたしました。
 これによりまして、避難施設やハザードマップなどの各局で保有する地理空間データを横断的に検索、共有することが可能になるとともに、様々なデータを用途に合わせて重ねて、可視化、分析することで、事業の効率化や高度化につなげることができるようになりました。
 また、デジタルツインの基礎となるデータとして、地形や建物などを点の集まりとして三次元空間上に表現するための点群データにつきましては、航空レーザー測量により、多摩・島しょ地域での取得を行ったところでございます。

○森口委員 デジタルツインについては、基盤整備と並行して、様々な活用事例を生み出していくことが重要です。
 昨年度はどのような活用事例があったのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 令和四年度は、防災分野での活用を目指し、関係局と連携して、災害予兆検知の高度化に関する実証を行いました。
 具体的には、各局が保有する既存の地理空間データに加えまして、衛星データを新たに活用し、技術検証や課題整理を行い、今年度の関係局における不適正盛土の監視や、台風による離島港湾施設の被害状況の把握の取組につなげることができました。

○森口委員 昨年度構築された庁内連携基盤を基に、デジタルサービス局が庁内関係局と連携をしながら、防災分野をはじめとした様々な領域で活用が進むよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 今後、デジタルツインの活用をさらに進めていくためには、特に、先ほどの基盤整備の答弁にあった点群データを最大限活用していくことが重要です。静岡県では、令和三年に発生した熱海市の土砂災害時に、官民が連携して点群データを活用し、早期の全容把握や二次災害の予防を行ったことで高い注目が集まりました。
 都では、取得した点群データをどのように活用しているのか伺います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 現在、都市整備局と連携を図りながら、都内全域で取得を進めております点群データにつきましては、先行して利用可能なデータとして、整備済みの多摩・島しょ地域分を各局に提供し、活用が始まっております。
 具体的には、水害シミュレーションの構築や山岳道路の斜面点検、土石流に対する安全対策などに活用する取組が進められております。また、今回、現状の地形データを取得したことで、今後災害があった場合にはデータ比較が可能となり、迅速な被害状況の把握や復旧工事の測量等への活用が見込まれております。
 さらに、多摩・島しょ地域の点群データにつきましては、今年九月にオープンデータとして公開いたしました。公開されている航空レーザー測量による点群データとしては、現在日本で最も高い精度となっており、民間企業や学術研究機関等での活用も促進してまいります。

○森口委員 デジタルツインでは、これまで平面情報では把握しにくかった情報も、三次元で様々な分析やシミュレーションが可能になることで、防災対策や災害対応で大きな力を発揮いたします。
 今回、東京都の点群データがオープンデータ化されたということは、SNS等でも話題になっています。引き続き、庁内関係局や区市町村、民間企業などと連携をしながら、デジタルツインの取組を進めていってもらいたいと要望し、質問を終わります。

○かつまた委員 都は令和四年四月に、区市町村DX支援課を設置し、区市町村のDX推進を強力に支援するための執行体制強化を図っております。
 区市町村にとっては大変ありがたいことであり、都のデジタルサービス局の知見を生かし、区市町村のDX化を後押ししていただきたいと思います。
 さらに、都と都内区市町村の最高情報責任者であるCIO等が相互に密接な連携と協力を深め、DX施策推進に寄与することを目的として、東京都・区市町村CIOフォーラムを設置し、令和三年度二回、令和四年度二回を開催しています。
 本フォーラムに加え、希望する区市町村のCIOと個別にデジタルに関する課題等について意見交換を行う座談会を開催しています。
 個別の座談会では、どのような意見交換がCIO間で行われたのか伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 令和四年度末までに、三十自治体との間で、自治体DXを進めていく上での課題等について話し合うCIO座談会を実施してまいりました。
 この座談会では、デジタル人材の確保、育成や、自治体システムの標準化、共通化などの課題、GovTech東京による区市町村サポートの充実に関する要望など、幅広いテーマで率直な意見交換を行ってまいりました。
 区市町村CIOと顔の見える関係を築くことで、現場職員のデジタルスキルの向上やデジタル化への継続的な支援の重要性など、各自治体の課題やニーズをより具体的に把握することができたところでございます。

○かつまた委員 都と区市町村のCIOがフラットなコミュニケーション形成を図り、デジタル化に向けた具体的なニーズをしっかり把握していることが分かりました。
 これを踏まえ、令和四年度はどのような支援を区市町村に行っているのか伺います。

○芝崎区市町村DX協働担当部長 令和四年度は、区市町村の課題解決に向け、CIO座談会などで把握したニーズを踏まえまして、人材の育成や伴走型の支援を充実いたしました。
 まず、区市町村の事業担当者を対象に、DXの基礎や情報セキュリティ対策等をテーマとするオンラインセミナーを開催したほか、職員の意識変革を促すマインドセット研修等を実施し、延べ二千四百人余りが参加いたしました。
 また、区市町村の個別課題に対応するアウトリーチ相談を三十九件実施し、市のDXに関する基本方針や、人事、財務など、主要基幹システムの統合に向けた仕様書などの策定に当たっての支援を行いました。
 さらに、昨年度開始した伴走型サポートでは、三自治体のプロジェクトチームに都のデジタル人材が参画して継続的に支援を行いまして、主要業務の標準化、共通化や、オープンデータ化の取組、セキュリティポリシーの策定などをきめ細かくサポートいたしました。

○かつまた委員 次に、システム障害やセキュリティへの備えについてお伺いをいたします。
 先日、私の地元大田区の情報システムが一部ダウンしたと伺いました。DXに取り組む以上、システム障害は付き物であり、それは都においても同様というふうに考えます。
 システム管理者は、システム障害を前提にシステムを設計、構築、運用し、障害が発生した際は自律的に回復に努めることが重要でございます。しかし、重大な障害が発生した場合には、デジタルのプロフェッショナルであるデジタルサービス局が関与することも必要だというふうに考えます。
 そこで、重大なシステム障害に備え、デジタルサービス局が行っている取組についてお伺いをいたします。

○斎藤デジタル基盤整備部長 デジタルサービス局では令和四年度に、災害等の発生時にも必要な業務が継続できるよう、システムや保有データ等の保全に係る都庁統一基準の策定を進め、今年度各局に通知いたしました。
 現在、各局では、この基準に基づき、システムに係る業務継続計画を策定中であり、各局がこれを適切に運用することで、システム障害等への備えを充実させてまいります。
 また、不正アクセス等、サイバー攻撃によりシステム障害が発生した場合には、サイバーセキュリティポリシーに基づきまして、デジタルサービス局に設置された都庁全体のセキュリティ対策を統括する東京都CSIRTが、各局に対し、事態に即応した指導、指示を行い、速やかな復旧を支援しているところでございます。

○かつまた委員 デジタルサービス局が、平時から各局の重大な障害発生に備え、対策を行っていることを理解いたしました。
 システム障害発生時にも都民生活への影響を最小限にするためには、日頃からデジタルサービス局と各局が密接に連携することが重要であるというふうに考えます。こうした連携体制をさらに推進することを要望し、次の質問に移ります。
 次に、サイバーセキュリティ対策についてお伺いをいたします。
 デジタルサービス局は、全庁的なサイバーセキュリティ体制を統括しています。セキュリティポリシー等を継続的に見直すとともに、各局への支援を行っています。システムを所管する組織や利用する職員が遵守すべき基準であるサイバーセキュリティポリシーを策定し、これを周知、浸透させるとしております。まさに重要な取組であるとともに、ある意味、当然の取組だというふうに考えます。
 その上で、内部からの不正アクセスをチェックする機能が必要であるというふうに考えます。内部からの不正アクセスの防止策について、お伺いをいたします。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都は、サイバーセキュリティポリシーに基づき、重要な情報を取り扱うシステムについては、多要素認証による厳格なアクセス制御や、都民の個人情報等、特に重要な情報資産は暗号化して保管するなど、不正アクセス対策を実施してございます。
 また、ネットワーク等の監視を行い、不正アクセスの予兆や痕跡の検知を行うとともに、事後に検証できるよう、アクセス記録や各種ログ等を保管してございます。
 職員に対しては、自身のパスワードの複雑化、ID、パスワードの厳格な管理などの対策を徹底するため、毎年全職員を対象としたセキュリティ研修を行っております。
 令和四年度からは、定期的に職員が遵守すべきルールを分かりやすくまとめたメールマガジンの配信を開始いたしました。

○かつまた委員 都が内部による不正アクセス等に対して、技術的な対策や職員教育を実施していることを理解いたしました。
 内部による不正アクセスが一たび起こると、重要な情報資産の漏えいに加え、信用の失墜等、重大な影響を及ぼすことになります。引き続き、都は都民の重要な情報資産の安全の確保に全力で取り組むことを要望し、次の質問に移ります。
 近年、様々な先端技術が開発されており、社会課題の解決につながると期待をされております。特に、自動運転やドローン、空飛ぶ車などの新技術は、働き手不足の解消や都民の利便性向上の面で、早期の社会実装が望まれております。この先端技術に対し、都も積極的に取組を進めており、その部分について確認をさせていただきます。
 まず、自動運転について、全国各地で自動運転の実装に向けた取組が進んでおります。
 都においても、スマート東京先行実施エリアである西新宿における自動運転の早期事業化を目指しておりますが、昨年度の取組状況と今後の展開についてお伺いをいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、自動運転による移動サービスの実現を目指し、令和三年度から二か年で、西新宿エリアでの民間による自動運転バスの実証に対する支援を実施してまいりました。
 令和四年度は、技術的課題の解決に向け、信号機や道路に設置したセンサーとの通信などによる円滑な右左折や加減速などの運行制御を行ったほか、事業採算性を検証するため、路線バスと同じバス停を使用し、一般の乗客に有料で乗っていただくなど、より実装に近い形で実施いたしました。
 この取組を踏まえ、令和五年度からはバス事業者が実装に向けた取組を継続しており、都としても協力してまいります。

○かつまた委員 自動運転の実装に向けた取組が進んでいることを理解いたしました。
 次に、ドローンについてお伺いをいたします。
 物流分野においては、ドライバー不足、輸送の小口化、多頻度化による輸送効率の低下などの課題があります。また、山間部においては災害時に道路が寸断されるなど、陸上輸送が困難となることが懸念をされております。こうした課題への解決策の一つとして、ドローンの利活用の期待が高まっております。
 デジタルサービス局では、ドローンを活用した物流サービスの社会実装を目指した取組を行っているとのことでありますが、事業内容と今後の展開についてお伺いをいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、都内におけるドローン物流ビジネスの早期の実装を目指す民間企業に対し、令和四年度から三か年で支援を行っております。具体的には、医療用検体等の配送と山間部での荷物配送の二件のプロジェクトを実施しています。
 令和四年度は、医療用検体についてはあきる野市、山間部の配送については青梅市において、ドローンを目視で監視しながら飛行させるレベルツーでの実証を行いました。具体的には、温度、振動など、厳しい輸送管理が求められる医療用検体について、品質が確保された状態で輸送できることを確認いたしました。
 今年度は、人がいる地域の上を目視外で飛行するレベルフォーでの実証を行い、オペレーションや技術面等の検証を進めるなど、今後の事業化に向けた取組を推進してまいります。

○かつまた委員 ドローン物流の社会実装の取組が進んでいることを理解いたしました。
 次に、空飛ぶ車について伺います。
 空飛ぶ車は、電動で垂直に離着陸できる航空機が一つのモデルとされており、渋滞が発生する都市部やインフラ未整備の交通不便地域での移動の迅速化及び快適化、災害時の人命救助や物資輸送の迅速化などの社会課題の解決が期待をされていると伺っております。
 デジタルサービス局では、空飛ぶ車を活用したサービスの社会実装を目指した取組を行っていると聞いておりますが、その取組と今後の展開についてお伺いをいたします。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、空飛ぶ車を活用したサービスの実装を目指す民間企業の取組を公募し、支援を行うプロジェクトを令和四年度から三か年で実施しております。
 令和四年度は、利用ニーズ調査や航路、ビジネスモデルの検討に加え、ビル屋上の緊急離着陸場の活用を想定した技術的検討などを実施いたしました。
 今後、運航管理体制の構築や利用意向を確認するため、機体の代替としてヘリコプターによる実証を行うなど、空飛ぶ車の機体の完成を見据えながら、社会実装に向けた取組を推進してまいります。

○かつまた委員 空飛ぶ車の実装に向けた取組が進んでいることを理解いたしました。
 社会課題の解決に資するこれらのサービスの早期実装に向け、引き続き取り組んでいただきたいことを最後に要望して、質問を終わります。

○須山委員 私からも何件か質問させていただきたいと思います。
 まず、デジタルサービス局のホームページを見ますと、ヘッダーにデジタルの力で都民のQOLを向上と書いてあります。やっぱりDXが、これだけ進めていく時代になってきました。
 その中で、都民のクオリティー・オブ・ライフをどうやって上げていくかということを日々、デジタルサービス局の皆さんがご尽力いただいていることを改めて感謝申し上げさせていただきまして、まず質問に移らせていただきたいと思います。
 DXを進めるには幅広い、やはり東京都の職員の皆さんのデジタルスキルというものを向上させていくことが必要だなと考えております。
 東京都は昨年度五月に東京デジタルアカデミーというものを開講して、全職種の職員が受講対象となるリテラシー向上研修を実施したとのことですけれども、どのような内容で、受講した職員からどのような声があったか、お聞かせいただきたいと思います。

○勝見調整担当部長 令和四年度に行いました全職種の職員を対象としたリテラシー向上研修は、業務に必要となるデジタルに関する基礎的な知識の習得を目的に実施しております。職員がそれぞれのレベルやスキルに応じて受講できるよう、DXの入門からデータ分析、AIの活用など、幅広い講座を用意し、オンラインで効果的に学習できるようにいたしました。
 職員からのアンケートでは、最新のDXに関する知識が身についたやデジタルとマネジメントを同時に学ぶことができたなどの声が寄せられており、職員のデジタル力とデジタル活用に関する意識の向上につながったと認識しております。

○須山委員 ありがとうございます。
 様々なメニューがあって、それをチョイス、各職員の皆さんが選べるということで、非常にその方に合った研修が行われるんだなということも分かりましたし、その中で、様々、好評だったという声を伺っていますので、よかったと思います。
 引き続き、これ、やっぱり職員の皆さんのデジタル力、デジタルの力というのを底上げしていかなきゃ、都民に対しても、なかなかサービスの向上にもつながらないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 東京都は令和三年度から、デジタルの専門職として、ICT職の採用を開始しました。まだこれ人数は少ないかもしれませんけれども、その職員の方が今後も専門性を発揮して活躍していくためには、やはり、絶えず育成というか、研修をしていくことも必要だなというふうに思っております。
 昨年度のICT職の職員数と実施をした研修の内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○勝見調整担当部長 ICT職の新設から二年目となる令和四年度は、約百名のICT職の職員を対象に、職層ごとに身につけるべきデジタルスキルを整理した研修を実施いたしました。
 具体的には、主事級職員を対象とした研修では情報セキュリティやクラウドなどの基礎、主任級職員に対してはアジャイル開発やシステムアーキテクト等、監督職向けにプロジェクトマネジメントに関する研修を行いました。
 このほか、重点的にスキル向上を図るべき分野といたしまして、データやデザインにつきましては、全職層を対象に研修を実施しまして、高度な専門性を身につけられるよう育成を図りました。

○須山委員 ありがとうございます。
 プロジェクトマネジメントだけかと思っていたら、そうじゃなくて、様々、例えばデザインであったりとかということも研修としてあったということで、非常に多岐にわたった研修をされているなというふうに思いました。
 やはりICT職の方が、今度は現場で、自分の職場で、さらに各職員の皆さんのデジタルの力のまた向上につながると思いますので、こちらもぜひ研修、また、デジタルICT職の皆さんのデジタル力というものをしっかりと向上させていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、行政の手続のデジタル化についてお聞かせいただきたいと思います。
 計画に基づいてデジタル化を進めていることは分かっておりますけれども、都民からやっぱり申請の手続が分かりにくいとか、煩雑だとかいう声も伺っております。行政手続は、都民や事業者にとって最も一般的な都庁との接点であることから、デジタル化を進めて、利用者の負担を減らすことが重要であると考えます。
 そこで、行政手続のデジタル化について、令和四年度の進捗状況をお聞かせいただきたいと思います。

○芹沢戦略部長 令和三年七月に策定した東京デジタルファースト推進計画では、約二万八千の全ての行政手続のデジタル化を進めることとしており、令和五年度までの三年間で七〇%を目標としております。令和四年度末時点では五一%の手続でデジタル化を完了しており、各局との連携により、順調に進捗しております。

○須山委員 ありがとうございます。
 今、令和四年度で、取組を二年目で五一%ということで、今年度で七〇%が目標なので、そこに向けてしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。全庁の取組を牽引する中で、デジタルサービス局の役割はやはりすごく大きいなというふうに思っております。
 そこで、昨年度デジタルサービス局が各局の行政手続のデジタル化にどのように関わってきたのかをお聞かせいただきたいと思います。

○芹沢戦略部長 デジタルサービス局では、毎年度当初に全局を対象に行政手続デジタル化の進め方についての説明会を行い、四半期ごとに各局の取組状況を確認しながら、適切にフォローアップを行うほか、個別の相談に応じております。
 また、オンライン申請の促進に向け、都民との接点となる共同電子申請サービスや事業者の補助金手続に利用するJグランツなどの利用環境を整備するとともに、申請フォームの作成支援や各局職員向けの研修会などを行ってまいりました。

○須山委員 ありがとうございます。
 やはりデジタルサービス局の皆さんが各局のデジタル化を引っ張っていって、そして支援をしていただいているんだなということが分かりました。さらに、東京都から都民や事業者に送付される通知文書などをデジタル化することで、紙の使用量に関しても削減につながると考えます。
 これまでは紙の文書に公印を押印して送付をしてきたと思うんですけれども、コロナ禍で大分押印というものも、印鑑のこともいろいろと議論がありまして、大分少なくなってきたのかなと思うんですけれども、公印のデジタル化にどのように取り組んできたのかを伺わせていただきたいと思います。

○芹沢戦略部長 都民や事業者への通知で用いる公印に代わる電子署名の活用につきましては、関係規定の整備や電子署名に使用する機器の配備等を行い、令和四年に公印の代替手段として電子署名を導入いたしました。

○須山委員 令和四年度に公印の電子署名を導入したということでした。
 申請や届出など行政手続の入り口部分のデジタル化に加えて、都民や事業者が東京都から受け取る通知文書などについても、公印をはじめとした電子化を進めているということがよく分かりました。
 次の段階として、入り口から出口までの時間短縮、これも必要だというふうに考えます。申請から通知までの手続の流れ全体を見ると、処理時間の短縮など、業務改善を図る余地もあるのかなと考えますけれども、それに関してどのように取り組んできたのか教えていただきたいと思います。

○芹沢戦略部長 行政手続のデジタル化に当たりましては、利用者目線での効果的なデジタル化を進めるため、一連の業務フローを見直し、最適化を図る、いわゆるBPRを実施しております。
 令和四年度は、各局担当者向けの説明会で、BPRの具体的な事例の共有を行いました。さらに、優先度が高い百八十三の手続について、専門家の知見も活用し、業務フローの改善点の指摘やデジタルツールの提案を行うとともに、改善に向け伴走型できめ細かく支援いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 今も一連の質疑の中で、都民の皆さん、こうやってスマホで、もう今はそういった申請であったりとかすることも多くなってきていると思います。
 その中で、皆さんもご経験あるかもしれないですけど、うちも母親は、たかし、これどうやるのとかいって、よく聞いてきます。小さいこの画面の中で、どういうふうに申請をしていくか、手続をしていくか、進めていくのかということは、やはり先ほどの質疑の中でも出ましたけれども、手続自体が簡素化していくことも大事ですし、また、そのユーザーインターフェースも分かりやすいものというものが大事だし、求められてくると思いますので、ここら辺、もう何度も私からいうまでもないかもしれませんけれども、改めてそういったことをしっかりと都民のユーザビリティーというものを考えた上での改革を進めていっていただきたいなということを要望させていただきます。
 それでは、続きまして、デジタルの力で東京都のポテンシャルを引き出すスマート東京、この取組の一つに、官民のデータ連携の基盤を整備する東京データプラットフォーム事業というものがありますけれども、官民のデータ連携を促進していくためには、先行事例となるユースケースの創出が重要となると考えます。
 昨年度、東京データプラットフォームのケーススタディー事業を実施しておりますけれども、その取組内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○池田データ利活用担当部長スマートシティ・データ連携担当部長兼務 東京データプラットフォームは、官民の様々なデータをつなぎ、新しいサービス創出につなげるためのデータ連携基盤でございまして、今年度後半の稼働に向けまして、令和四年度にケーススタディー事業を実施いたしました。
 具体的には、丸の内周辺エリアにおいて、災害時を想定し、避難場所等のデータとリアルタイムの支援情報を連携させ、観光情報サイトにおいて多言語で提供する取組など、三つのプロジェクトを実施いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 これもホームページでも拝見させていただきましたし、様々本当に面白いなということを、いろいろな発想が出てくるんだなということもよく分かりましたので、そうした支援も含めて、引き続き進めていっていただきたいと思います。
 オープンデータハッカソンに関しても聞こうと思ったんですけれども、吉住委員もお聞きになったので、これに関しては割愛させていただきますけれども、やはり様々な方々が、様々な事業者だったり、個人であったりとかという人たちの発想をぶつけ合って、そして、新しい価値をつくっていくということで、非常に私も期待しておりますので、引き続き、これもよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、東京都スマートサービス実装促進プロジェクトに関してお聞かせいただきたいと思います。
 東京都は、令和四年度からスマートサービス実装促進プロジェクトというものを実施されておりますけれども、いいサービスが実装されて、多くの人が利用することが期待されております。
 技術進歩も速いので、サービスを提供するスタートアップを選定することは非常に難しいかなと思うんですけれども、実装促進プロジェクトにおいて、スマートサービスを実装するスタートアップを選定する際の考え方というものをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 東京都スマートサービス実装促進プロジェクトは、都民が利便性を実感できるスマートサービスの創出を目指すスタートアップを支援し、三年間で六十件の実装につなげる事業でございます。
 選定に当たっては、知見があり、目利きの役割を果たす専門の事業者と共に、地域課題の解決につながること、ユーザーに定着するサービスを早期に提供できること、最新技術を活用したサービスであることなどを基本に、支援先となるスタートアップを選んでおります。

○須山委員 ありがとうございます。こうやって様々事業選定をしていただきました。
 そこで、今度は東京都スマートサービス実装促進プロジェクトにおいて、昨年度はどのようなサービスが実装されたのかお聞かせいただきたいと思います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 昨年度、四件のサービスが実装されました。
 具体的には、まちのにぎわいの創出、回遊性の向上などにつながる拡張現実、いわゆるARの技術によるデジタルスタンプラリーやデジタルエリアマップなどのサービスが豊洲エリアで実装されております。

○須山委員 ありがとうございます。
 ARを使った事業が行われたということで、回遊性であったりとか、また、インバウンドであったりとか、様々、そのまちの活性化につながる面白い事業だなというふうに思います。
 本当にデジタルって様々な可能性を秘めていて、それが今度は実社会と融合することによって、本当に様々な価値や新しい価値をつくっていくと思いますので、それを東京都として、デジタルサービス局として、しっかりとまた支援をしていただいて、そして、東京都のデジタル化というものを盛り上げていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 デジタルサービス局は、決算説明書を見ると、庁内各局におけるDX推進のための業務プロセス改革事務やシステム評価事業など、また、デジタル基盤の整備やセキュリティ対策が目立ちます。デジタルサービス局独自の政策で、外向きの予算が少ない印象であります。
 ご説明いただいたんですが、行政手続のデジタル化やデジタル共生社会の実現など、都民の生活の利便性に資するための施策も実施してきたとのことであります。
 令和四年度の都民の生活の利便性に資する政策の展開について改めて伺うとともに、今後の政策について伺います。

○芹沢戦略部長 都民サービスは多様な分野にわたることから、デジタルサービス局では、各局のデジタル化の技術的支援を充実させるとともに、令和四年度は、都民に身近な行政手続のデジタル化を推進してまいりました。
 取組に当たりましては、都民の利便性向上の観点から一連の業務フローを見直し、最適化するBPRを徹底し、具体的には、都立学校の施設開放の使用申込みや大型車両の通行許可申請に係る手続におきまして、紙で行っていた業務をオンライン化し、来庁せずに行えるように改善いたしました。
 今年度中に、推進計画に定める行政手続の七〇%のデジタル化を完了させるとともに、件数が多く、優先度が高い手続のBPRを着実に進め、都民生活の利便性を向上させてまいります。

○田の上委員 身近な行政手続のデジタル化を例としてご答弁をいただきました。都民の利便性向上の観点から一連の業務フローを見直し、最適化するBPRを徹底しているということで、今後も身近なデジタルサービスの向上を進めていただきたいと思っております。また、各局それぞれで進み具合も違うのかと思いますが、一〇〇%デジタル化を目指しているということでありました。
 デジタル共生社会の実現として、デジタルデバイド対策としての事業を展開してきたものと認識をしていますが、共生社会を目指すのであれば、情報弱者であるのは高齢者ばかりではありません。特に災害時に必要とされるのは、障害がある方や外国人なども挙げられます。
 令和四年度に取り組んできたデジタル共生社会の実現に向けた障害のある方を対象とした施策について伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は、デジタル共生社会の実現に向け、昨年度は二つの自治体で視覚障害者団体と連携し、視覚障害のある方を対象とするスマートフォン教室を実施いたしました。
 そこで得られた成果やノウハウをガイドラインとして取りまとめ、公開するとともに、成果発表会を行うことなどにより、他の自治体に取組が広がっております。

○田の上委員 視覚障害のある方を対象とするスマートフォン教室などを実施し、その他の自治体に普及できるようにしているというご答弁でありました。
 視覚障害のある方がどのように情報に接することができるのか、聴覚障害のある方、または盲ろうの方などがデジタルの力をいかに活用して情報を獲得していくのか、今後は民間のソフトやアプリのみならず、デジタルサービス局が積極的に関わっていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

○巻嶋デジタルサービス推進部長スマートシティ推進担当部長兼務 都は今年度、これまでの地域での取組に加え、視覚障害者と聴覚障害者を対象にした新たなスマートフォン体験会を都内全体で展開しております。
 障害者団体の意見等を踏まえ、経験豊富な講師とスタッフが障害に応じた配慮を行いながら、生活を便利にするアプリ等を使いこなすことができるよう、きめ細かなサポートを行ってまいります。

○田の上委員 ご答弁いただきました。現状は生活を便利にするアプリ等を活用することがメインであるということだと受け止めます。そのアプリをまず使えるようにするというサポートをしているとのことです。
 今後は、障害がある方がさらに使いやすいデバイスなどの開発等、新しい取組にも積極的に挑戦していただきたいと意見を申し上げて、質問を終わります。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。行政のデジタル化についてお聞きします。
 行政手続のデジタル化について、二〇二二年度の進捗や事例など取組の状況を伺います。

○芹沢戦略部長 東京デジタルファースト推進計画では、今後全ての行政手続のデジタル化を進めることとしておりまして、令和五年度までの三年間で七〇%を目標としております。昨年度末時点では五一%が完了しております。
 昨年度は、都立霊園の使用許可や下水道の技術資格者講習の申込みをオンライン化するなど、各局との連携により、着実に進捗しております。

○岩永委員 行政手続に限らず、デジタル技術やデータの活用など、各局の施策もデジタル化が進んでいます。
 その際、デジタルサービス局が支援をしているとお聞きしますが、これまでの各局への支援内容、支援実績について伺います。

○佐藤DX推進調整担当部長 デジタルサービス局では、各局が実施するデジタルサービスの構築につきまして、企画立案、要件定義、設計、開発、改善など一連のプロセスの各段階において、計画の策定支援や仕様書のチェック、ユーザーテストの実施支援などを行っております。
 令和四年度は、東京都公式LINEのリニューアルや都立学校におけるオンライン学習環境の構築など、三百四十六件のサポートを実施いたしました。

○岩永委員 昨年度は三百四十六件の様々な支援が行われたということです。
 デジタル化を進めるに当たっては、職員がデジタルの技術を理解し、使いこなせるようにしていくことが重要ですが、慣れない分野で理解不足や抵抗感もある場合もあると思います。また、一般的には若い世代はデジタルへの適応力が高いけれど、情報リテラシーやセキュリティ意識が希薄な面があるなどの課題もいわれているところです。
 そこで、昨年度、職員がデジタル技術に関する理解を深めるとともに、具体的な活用が進むよう、都はどのような研修プログラムを実施したのか伺います。

○勝見調整担当部長 都は昨年度、東京デジタルアカデミーを開講いたしまして、職員のデジタルに関するリテラシー向上とリスキリングを進めるため、様々なプログラムによる研修を実施しております。
 具体的には、リテラシー向上のため、全職種の職員を対象に、DXの入門、デザイン思考の基礎などの知識を学べる様々な講座から成りますオンライン研修等を行いました。
 また、リスキリング人材育成のため、簡易なアプリ開発などが可能なノーコード、ローコードツールを活用したグループワーク型の研修などを実施いたしました。

○岩永委員 デジタル化が進むにつれ、便利になる一方で、特に高齢者や障害のある人など、社会から取り残されてしまうのではないかと心配する人も多くいらっしゃいます。新しい機器の操作に慣れないことや、セキュリティは大丈夫かなど不安の声もお聞きします。市民への説明や対応についても丁寧に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、セキュリティ対策について伺います。
 オンラインで申請する手続が増え、また、職員の仕事の仕方も在宅勤務やオンライン会議など、デジタルの力がなくては成り立たなくなっています。都庁のデジタル化はどんどん進んでいますが、一方で、デジタル化には情報漏えいなどのリスクも伴うことから、職員に対してセキュリティ意識を高めていくことも不可欠です。
 そこで、職員に対するセキュリティ教育の取組について伺います。

○戸田情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務 都は、全庁のセキュリティレベルの向上のため、体系的なサイバーセキュリティ研修を実施しております。
 具体的には、全職員を対象とした基礎研修に加え、局のセキュリティ担当者向けにはインシデント対応演習等十二のカリキュラムにより、応用レベルまでの研修を年間を通じて計画的に行っております。
 令和四年度は、新たにICT職を対象に高度なセキュリティ専門研修を実施するなど、研修メニューの充実を図りました。

○岩永委員 職員のレベルや役割に合わせたセキュリティ教育を実施しているということでした。
 システム上の事故や不具合、サイバー攻撃、また個人情報をめぐる犯罪などが頻繁に報道されています。今後ますます巧妙化するサイバー攻撃に対して、都民の個人情報など重要な情報資産を守るためには、職員一人一人のセキュリティ意識の向上が不可欠です。
 また、デジタル化の推進は、情報の利活用ばかり目が行きがちですが、個人情報保護の観点から、オンラインでアクセスしたり、集められる情報の範囲などをチェックする仕組みが重要だと思います。
 総務局の個人情報保護を担当する部署とも連携をし、しっかりと保護に取り組むことを要望し、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十六分散会

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