令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

令和五年十月二十三日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長松田 康将君
副委員長須山たかし君
副委員長小山くにひこ君
かまた悦子君
吉住はるお君
岩永やす代君
かつまたさとし君
森口つかさ君
田の上いくこ君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
警視庁警視総監小島 裕史君
総務部長久田  誠君
警務部長青山 彩子君
交通部長大窪 雅彦君
警備部長千代延晃平君
地域部長高口 雅人君
公安部長土屋 暁胤君
刑事部長重松 弘教君
生活安全部長佐野 裕子君
組織犯罪対策部長長坂 雄太君
総務部参事官企画課長事務取扱武田 宗洋君
総務部会計課長山口  博君
収用委員会事務局局長杉崎智恵子君
選挙管理委員会事務局局長副島  建君
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
理事政策法務担当部長訟務担当部長
コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱
貫井 彩霧君
理事川上 秀一君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長
尖閣諸島調整担当部長DX推進担当部長兼務
天野 哲史君
都政情報担当部長内山 裕道君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
若林 和彦君
人事部長石橋 浩一君
労務担当部長田中 角文君
行政部長武田 康弘君
小笠原・国境離島担当部長近藤 豊久君
総合防災部長保家  力君
防災計画担当部長八嶋 吉人君
防災対策担当部長西山公美子君
人権部長住野 英進君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和四年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○松田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、収用委員会事務局、選挙管理委員会事務局及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、警視総監から紹介があります。

○小島警視総監 前回の分科会には所用のため欠席させていただきました当庁の幹部職員を紹介させていただきます。
 交通部長大窪雅彦でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○松田委員長 紹介は終わりました。

○松田委員長 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久田総務部長 去る十月十三日に当分科会から要求のありました信号機・音響式信号機設置数の推移、エスコートゾーン設置数の推移につきましては、お手元の資料のとおりでございます。
 よろしくお願いいたします。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 視覚障害者の皆さんの切実な要求であります音響式信号機について質問します。
 信号機の総数等、今出していただきました。音響式信号機の数、出していただきました。信号機の総数が令和四年度で一万五千九百二十二基に対して、音響式信号機は二千七百八十二基ですから、音響式信号機は、全体の信号機のうち約一七%程度にしか設置されていません。
 音響式信号機を設置する条件はどうなっていますか。

○大窪交通部長 音響式信号機につきましては、いわゆるバリアフリー法に基づき設定された重点整備地区を中心に整備をいたしますほか、視覚に障害のある方からのご要望を踏まえ、重点整備地区以外においても整備を推進しております。

○大山委員 重点整備地区以外でも、要望があれば整備をするということなんですけれども、現実は、東京都内全体で一七%程度しか音響式信号機は設置されていません。
 警視庁のホームページ、見てみました。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、バリアフリー法に基づき、区市町村において基本構想が作成されたときは、都道府県公安委員会はこれに即して交通安全特定事業計画を作成することとなります。東京都公安委員会は以下の区市、地区について同計画を作成し、公表しておりますとなっています。
 そこで、ずっと自治体ごとにあるわけですけれども、重点整備地区名というのが一覧表になっています。それを見てみますと、台東区とか文京区は区全域が重点整備地区になっていますから、台東区や文京区内の移動は保障される、移動を保障されるという計画だということなんですね。
 しかし、例えば新宿区などは、新宿駅周辺と高田馬場駅周辺だけなんです。高田馬場駅周辺の地域には、点字図書館だとか盲人福祉センターなどもありますが、視覚障害者はそこだけに行くわけではありません。
 そもそも信号機はなぜ設置するんでしょうか。

○大窪交通部長 信号機による交通規制は、道路交通法第四条に規定されており、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、または交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるときに、信号機を設置しております。

○大山委員 そうですよね。道路を歩いていて、交通事故に遭ったりしないようにするために信号機はあるということです。
 これ、大学三年生の全盲の方からのお手紙なんです。一部を紹介します。
 一、二年生までは、埼玉県の東松山キャンパスで授業を受けており、家から一人で通っていました。三年生からはキャンパスが板橋に変わり、通い始めてから半年たちましたが、一度も一人で通学できていません。それは、ただ私が全盲だからではなく、音響信号がついていないからなんです。なので、帰るときなどは友達や誰かに手伝ってもらわなければなりません。歩いていて、たまに誰かに助けを求めることはありますが、いつもいつもこのような状況が続くと、依頼することに申し訳なさを感じます。そして、何よりも私自身の行動範囲が狭まってしまうので、自由が利きません。考えてみてください。目が見えている人であれば、自分のタイミングで、信号の色を見て自由に行き来することができます。しかし、全盲の私だと、音がない信号は、いつ青信号になったのか分からず、誰か助けてくれる人がいなければ渡ることはできません。信号の色を確認して渡るという当たり前にできることが私にはできないのです。横断歩道を渡るときに青信号を何回かやり過ごすことがあります。それがどれだけ不自由なことか分かりますか。
 私は、この手紙を読んで改めて、全ての信号機をなるべく早く音響式信号機にする必要性を実感いたしました。手助けする方は当たり前だと思っていましたけれども、お願いするのが申し訳ない気持ちにさせているということも分かりました。音響式信号機がないということは、何よりも自由に安全に移動する権利を阻害しているということだということです。この方は、大学に入学した当初から、大学前の横断歩道に音響式信号機を設置してほしいとお願いしてきたといいます。
 二〇二二年度の音響式信号機の設置予算と設置予定の数、それに対応する実際に設置できた数はどうなっていますか。

○大窪交通部長 令和四年度の音響式信号機の予算は約四億三千三百万円です。
 また、音響式信号機の設置数は、当初百一か所を予定していましたが、半導体不足の影響を受けて機器の調達が滞りましたことから、実際の設置数は六十九か所でありました。

○大山委員 様々なところで、報道などでも世界的な半導体不足が和らぎということもいわれてきましたから、今後は大丈夫になるのでしょうか。
 視覚障害者にとって、信号機は見えませんから、音声がなければ信号機はないのと同じです。音声がある信号機が全体の一七%程度しかないことについて、どう認識していますか。

○大窪交通部長 音響式信号機の整備や運用につきましては、視覚に障害のある方が安全に道路を横断できるよう、継続した取組が必要であると認識をしております。

○大山委員 継続した取組が必要だということです。
 視覚障害者団体の皆さんの予算要望書でも、音響式信号機の要望は多くて、ここにつけてほしい、こっちにつけてほしいという具体的な要望です。しかし、前の年も同じ場所を要求している場所が多いんですね。つまり、一年たってもつかないということなんです。昨年も、十三か所のうち七か所は昨年同様の場所なんですということでした。
 先ほどの大学三年生は、手紙の最後に、今三年生の私が、この信号を渡って自分の力で帰れる日は訪れますか、一日も早く設置され、自分の力で通学したいですと結んでいます。
 信号機は音響式信号機が当たり前という状況になるよう、思い切って音響式信号機の設置の予算を増やしていただくことを要望して、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○松田委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○松田委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○副島選挙管理委員会事務局長 去る十月十三日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に二件の資料の件名が記載をしてございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。資料第1号、投票率の推移一覧(過去十年)でございます。
 平成二十五年から令和四年までに執行されました各選挙の投票率につきましてお示ししております。
 二ページをお開き願います。資料第2号、投票率向上のために行った事業でございます。
 投票率向上に向けまして、令和四年に執行されました参議院議員選挙時における主な啓発事業と、令和四年度中に実施いたしました主な常時啓発の事業につきましてお示ししております。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 選挙管理委員会事務局は、民主主義の基本であります選挙を管理する重要な仕事です。それだけに、有権者は誰もが選挙するという権利を行使することができるよう条件を整備すること、重要な仕事です。
 気になるのは投票率なんです。投票率の推移一覧を出していただきました。十年間で十三回の選挙があって、最低は四二・三九%で、四〇%台は三回です、都議会議員選挙と都知事選挙。あとは五〇%台で、最大でも五九・七%です。
 投票率が低迷している状況をどう考えていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 投票率についてでございますけれども、投票率は、当日の天気、そのときの争点、有権者の政治や選挙への関心の度合いなど、様々な要因が関わりまして変動するものと認識しております。
 そのため、投票率につきましては、一概に説明するのは困難と考えております。

○大山委員 様々な要因があるから、一概に説明できないといいますけれども、四〇%台、五〇%台、そういう投票率なんです。
 これ、総務省が令和四年に出した目で見る投票率という資料なんですね。面白いのは、今答弁された投票率と天候、争点等の状況という表があります。
 例えば、昭和五十四年十月の衆議院選挙は、雨でも六八%でした。平成二十一年八月は雨でも六九%でした。それに、昭和五十一年から平成五年までの衆議院選挙は、高いときは七四・五七%、低いときでも六七・二六%です。今、東京の投票率は四〇%台、五〇%台です。
 二〇二一年三月時点の資料では、世界的に見れば、日本の投票率は、投票率ランキング、世界で百四十七位というびっくりするような低さです。
 日本の投票率は低いという認識、ありますか。どうですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 繰り返しになって恐縮でございますけれども、投票率につきましては、その時々の様々な要因が関わって変動するものと認識しております。
 そのため、投票率につきましては、一概に説明するのは困難というふうに考えております。

○大山委員 説明してくださいといっているんじゃないんです。日本の投票率は、今、東京の投票率四〇%台、五〇%台というのは低いんじゃないんですか、どう認識していますかと聞いているんです。高いとは決していえないと思いますけど。
 憲法前文では、冒頭で、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しと述べ、第四十一条では、国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であるとちゃんと書いてあります。地方議会の議員についても、憲法九十三条で、住民が直接選挙するとされているわけです。投票の権利を保障することが重要なんです。
 選挙や投票行動についての調査などは行っていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、選挙事務の管理執行や選挙啓発の参考といたしますため、都が管理執行いたします選挙後に、年代別の投票状況を調査する年代別投票行動調査と、選挙に対する都民の意識や関心等について調査する選挙に関する世論調査の二つの調査を実施いたしまして、結果を公表しております。

○大山委員 年代別投票行動調査と選挙に関する世論調査の二つを実施しているんだということなんですけど、選挙に関する世論調査、これはどう生かしているんですか。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙に関する世論調査では、具体的な内容といたしましては、選挙に対する都民の意識、投票行動、期日前投票の認知状況、選挙公報や啓発媒体との接触状況、インターネット上での選挙運動への意識などについて調査を実施しております。
 調査の結果につきましては、区市町村選挙管理委員会にも提供いたしておりまして、その後の選挙での効果的な選挙啓発や選挙事務の管理執行に活用しております。

○大山委員 決算年度の令和四年七月十日執行の参議院選挙の選挙に関する世論調査では、選挙への関心度は七割が関心があったと回答し、前回よりも六・六ポイント増加した、投票率の上昇に比例する結果となったと、こう分析しています。つまり、選挙に関心があれば、選挙に行きたい、投票したいということになるんじゃないでしょうか。
 東京都選挙管理委員会では、投票率を向上させるためにどのような取組をされていますか。

○副島選挙管理委員会事務局長 啓発事業でございますけれども、選挙時に有権者に投票を呼びかける選挙時啓発と通年で実施する常時啓発とがございます。
 令和四年七月十日執行の参議院議員選挙では、特設ホームページによる情報提供のほか、若年層の利用が多いSNSでの情報発信や動画配信サイト、ニュースアプリ、都内大型映画館、都営地下鉄等への広告掲出を実施いたしました。
 また、常時啓発といたしましては、局ホームページでの情報発信に加えまして、児童生徒を対象とした明るい選挙ポスターコンクールの開催、中学三年生を対象といたしました選挙学習冊子「Let’s Study 選挙」の配布、児童生徒を対象といたしました選挙出前授業等を実施しております。

○大山委員 選挙への関心というのは、中身への関心だと思うんですね。
 例えば、フィンランドはジェンダー平等も進んでいますし、投票率も高い国です。二〇一九年四月の総選挙の投票率は七二%でした。
 ヘルシンキ大学非常勤教授の岩竹美加子さんは、選挙は政治に参加し影響を与えるために重要な方法の一つとして広く認識されているからと思われると述べています。さらに、日本の学校は、日常生活と政治がいかに直結しているかを教えておらず、子供は、政治は自分とは関係がないことのように思っている、自分が参加して政治を変えていけると教えられていないとも述べています。これは重要なことで、政治は、自分の暮らし、生活と直結していると自覚できれば、投票に行くということは当たり前のことになるのではないでしょうか。
 投票率は、選挙の正当性に関わる大事な問題です。私たち政治家や政党が真剣に向き合う必要がありますが、選挙管理委員会も引き続き投票率を上げることができるよう、よろしくお願いをいたしまして、終わりにします。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 投票は社会参画の第一歩という言葉があります。言葉があるというか、これ、以前私が狛江市の主権者教育を視察しに行ったときに担当の方から伺ったんですけど、やはり一人一人が自分たちでしっかりと社会参画をする、その第一歩として投票、選挙というのはすごく大事なんだよということをその主権者教育の中で伝えていただいているということで、すごくいいなという事例を見たことがありました。
 東京都選管としても、今も質疑でありましたけれども、投票率、やはりこれを向上させていくために、様々な施策を行っていただいているということでございました。
 その中でも、やはり若年層や新しく有権者になる皆さん、また障害のある皆さんなどへのアプローチということは、非常に大事だと考えておりますし、そうしたことを細かく丁寧にやっていくことによって、投票率の底上げというものを図っていくことが大切だと考えております。
 そこで、東京都選挙管理委員会として、今、選挙出前授業などを行っていると伺っておりますけれども、令和四年度に行った選挙出前授業の学校数と、あと児童生徒数をお聞きしたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会では、選挙権を持たない年齢も含め、児童生徒の選挙への知識、関心を深め、将来の投票意欲を向上させるための有効な手段といたしまして、選挙出前授業を実施しております。
 令和四年度の実績でございますが、東京都選挙管理委員会では、高等学校二十一校三千百八十五名、特別支援学校三校二百十二名、専門学校三校百七十二名を対象に、選挙出前授業を実施しました。

○須山委員 ありがとうございます。
 出前授業って、やはりとても重要なことだなというふうに思います。選挙の投票というものを具体的に模擬でやってみたりとか、あと、選挙で投票することによってどういうふうな効果があるのか、どういうことが自分たちの力になっていくのかということとか、非常にそこをしっかりと教えていただくということが、すごく大事だなというふうに改めて感じております。
 自分たちの力で社会をしっかりと変えていける、そういったことの一助になる授業になるかなというふうに思っておりますので、今回ご答弁いただいて、すごく、地道にやっていただいているなということを改めて感じております。
 この選挙出前授業なんですけど、どのような内容で実施をされているのか、令和四年度、お聞かせいただきたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 選挙出前授業におきましては、選挙の仕組みや歴史、投票先を決めるための情報収集の方法などにつきまして、クイズや動画も活用しながら、分かりやすく説明を行っております。
 また、模擬投票といたしまして、架空の選挙を設定し、候補者の政策を聞いて投票先を決め、実際の投票箱や記載台を用いて投票体験を実施しております。
 選挙出前授業の実施に当たりましては、事前に授業で説明してほしい内容など学校側の要望を詳細に聞き取りまして、説明スライドや授業時間を学校ごとに柔軟にアレンジして実施しているところでございます。

○須山委員 ありがとうございます。
 今の答弁で、非常に本当に細かく丁寧にやっていただいていて、あと学校ごとに具体的に柔軟に、教材なんかもアレンジをしていただいているということで、本当に細かくやって、丁寧にやっていただいているなというふうに思っております。
 スライドなんかも、ホームページに載っているものとか、あとは、調整の間にいろいろと見させていただいて、非常にいい、分かりやすい教材をつくっていただいているなということを改めて評価をさせていただきたいと思います。
 その中で、各学校、今ご答弁いただいたのは都立高校が主だと思うんですけれども、東京都内には小中学校もありまして、そこは区市町村の基礎自治体等がやっているというふうにも聞いております。
 そうした中で、区市町村と東京都、やはりこれもしっかりと連携をする必要があるのかなというふうに思うんですけれども、そこの連携、どういうふうに取っているのか、具体的なことも含めてありましたら教えていただきたいと思います。

○副島選挙管理委員会事務局長 令和四年度におきます区市町村選挙管理委員会との連携事例といたしましては、クラス別に授業を実施しました高等学校におきまして、講師役を東京都選挙管理委員会と市の選管で分担をいたしました。その際は、出前授業の経験が少ない市選管の方が、授業実施の前に都選管の出前授業の見学を行っております。
 そのほか、授業の内容によりまして役割を分担し、都選管が選挙制度関係につきまして、区選管が投開票関係につきまして授業を実施した事例もございます。
 また、区市町村選管の求めに応じまして、都選管の選挙出前授業のスライドを提供しておりまして、区市町村選管がそれを活用しております。

○須山委員 ありがとうございます。実際、具体的なところもお聞かせいただきました。
 投票率向上というのは、やはり先ほどの資料も拝見させていただくと、争点とか、メディアがどう取り上げるかとかで、かなり変わってくるのかなというところは、正直思うところではあります。
 でも一方で、やはりこういった地道な取組ということで、一つ一つをやっていくことによって、先ほどもいいましたけれども、主権者教育というか、一人一人の有権者がしっかりと自分たちの力で、一票で、この社会も変えられるんだということもお伝えいただく。それは、逆にいうと、政治の側が頑張らなきゃいけないところもあるし、事務方の皆さんが頑張っていただくことも、とても大事だと思うので、双方、切磋琢磨して、そしてしっかりと日本の投票率を上げていくためにお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしますということで、私の質問を終わらせていただきます。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 東京都選挙管理委員会の皆様におかれましては、公正な選挙の実現に当たり、常にご尽力いただいているものと認識しております。
 決算に当たり、まず伺います。
 経常的選挙管理事務の決算は、一億一千七百二十四万六千円の予算に対し、支出が八千七百六万三千七百三十五円となっており、不用額が三千十八万二千二百六十五円で、執行率は七四・三%でありますが、この内容について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 経常的選挙管理事務につきましては、区市町村選挙管理委員会と合同で行う研修会等の経費のほか、選挙の際に投開票状況を取りまとめるシステムの開発に係る経費を計上しているところでございます。
 不用額三千十八万二千二百六十五円のうち、約九割は、投開票状況を取りまとめるシステムの開発に係ります落札差金となっております。

○田の上委員 システム開発に係る落札差金が多いということであります。
 公職選挙法で明文化されているものとされていないものがあり、違法か違法でないかの判断がとても難しく、実際は抵触する可能性があるかどうかの通告になっている現状があります。
 公職選挙法違反については、警視庁が警告、検挙することが多いと認識をしていますが、選挙管理委員会が警告する事例について伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 公職選挙法におきましては、違法な選挙事務所の設置があると認められるとき、または違法なポスターが掲示されていると認められるときに、選挙管理委員会がその撤去等を命ずる権限を有していると明示されているところでございます。

○田の上委員 違法な選挙事務所の設置、違法なポスターの掲示について権限があるということであります。公職選挙法にも、撤去させることができるというふうに百四十七条であります。捜査が必要なものについては、警視庁になってしまうということだと理解をいたします。
 二〇二二年度中に東京都内で実施された選挙において、例えば選挙告示日を過ぎて掲示されているポスターに対する文書撤去依頼及び文書撤去命令は何件あったのか伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 令和四年に都選管が執行いたしました参議院議員選挙においては、都内全体で、選挙期間中に百二十一件の撤去命令が実施されております。

○田の上委員 去年は参議院選挙だけだったのかなというふうに思います。百二十一件の撤去命令とのことです。私の印象ではとても少なく感じます。実際はもっとあるのではないかと考えます。必要であれば予算を確保することも大事だと思います。
 区市町村の選挙管理委員会にパトロールを促し、違法ポスターの文書撤去依頼を行って、公平、公正な選挙事務を行うべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 区市町村選管は、選挙執行の際に、剥がし漏れた政治活動用ポスターの有無について、各地域を所管いたします警察署と連携して点検を実施しております。
 違法に掲示されておりますポスター等を発見した場合、ポスターの掲示責任者に対し撤去を指示するなど、是正措置を講じているところでございます。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、引き続き区市町村選管や警視庁と連携いたしまして、公平、公正な選挙執行に努めてまいります。

○田の上委員 ご答弁をいただきました。
 区市町村の選挙管理委員会も、警察署と連携して点検し、警告してくださっているものと思いますが、ポスターというのは、まち中に貼られているので、有権者からも目につくものであります。これは違法なものなのだと思っていたけれどもまだ貼ってある、そういった事例が多過ぎます。誰が見てもおかしいと分かるものがそのままになっているという現状は、正さなくてはいけません。
 過去の質疑で、政治活動用のポスターの掲示につきましては、政治活動の自由が最大限に尊重されるべきであることから、その違法性の判断については、公正かつ慎重になされるべきものという答弁がありましたが、公職選挙法が禁じる文書図画とはどのようなものなのか、違法性の判断は一般的に分かりやすいものであるべきと考えますが、見解を伺います。

○副島選挙管理委員会事務局長 政治活動用ポスターにつきましては、任期満了日の六か月前から選挙期日までの間など、公選法が規定する一定の要件に該当する場合、掲出することが禁止されております。
 選挙期間中に掲示される候補者の選挙運動用ポスターにつきましても、全ての候補者が公平に選挙運動を行うことができるよう、公選法によりまして、いわゆるポスター掲示板以外への掲出が禁止されているところでございます。
 規制の対象となる政治活動用ポスターにつきましては、その内容や掲示可能な期間等を都選管のホームページに掲載し、広く都民に向けて情報発信しております。
 また、各政党、政治団体に対しましても、選挙の都度、公職の候補者等への政治活動用ポスター等の取扱いに関する文書を送付いたしまして、注意喚起を行い、候補者向けの手引などにも明示するなど、周知徹底を図っております。
 引き続き、区市町村選管や警視庁とも連携し、公平、公正な選挙執行に努めてまいります。

○田の上委員 丁寧にご説明をいただきました。
 選挙運動用ポスターも、全ての候補者が公平に選挙活動を行うことができるよう、ポスター掲示板以外への掲出が禁止されているとの目的となるようなご説明もあったと認識をしています。
 国会でも、過去に公職選挙法の解釈に関する質問主意書が提出されていました。例えば政党ポスターとは何か、政党その他の政治活動を行う団体とあるが、政治活動を行う団体とは何か、個人の政治団体、後援会等も含むのかなどの質問がありました。
 公平、公正な選挙を執行するための規制は公職選挙法にあるけれども、規制対象が曖昧であり、何か問題提起があったとき、事例があったときに、法律のみで対処できないという状況であり、公職選挙法の改正が必要だと思います。様々な課題につき、都からも改正要望をするべきであると意見を申し上げます。
 そして、引き続き公平、公正な選挙を執行するためのご努力をお願い申し上げ、私からの質問を終わりにいたします。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○松田委員長 これより総務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、令和四年度東京都特別区財政調整会計決算及び令和四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 十月十三日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりください。資料は全部で四点でございます。
 一ページをご覧ください。令和四年度の都職員の育児休業の取得状況でございます。
 都職員の育児休業の取得状況について、令和四年度の実績を男女別、取得期間別に記載してございます。
 二ページをご覧ください。行政系管理職に占める女性割合の目標及び実績の推移でございます。
 行政系管理職に占める女性割合について、平成三十年から令和四年までの目標及び実績を記載してございます。
 三ページをご覧ください。三十日以上病気休暇者数(うち精神疾患による休暇者数)でございます。
 三十日以上病気休暇者数と、うち精神疾患による休暇者数につきまして、平成三十年から令和四年までの実績を記載してございます。
 四ページをご覧ください。長時間労働面接対象者数でございます。
 長時間労働の面接対象者数について、平成三十年度から令和四年度までの実績を局別に記載してございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 本年、令和五年は、関東大震災から百年の節目の年であり、都は、新たに策定された地域防災計画の下、防災対策の強化に努めています。
 これまで進めてきた耐震化、不燃化など、ハードの取組を一層進めるとともに、防災リーダーの育成や防災ブックのリニューアル、デジタル技術を活用した防災イベントの実施など、自助や共助のさらなる促進に取り組んでいます。
 そこで、令和四年度に進めてきた地域防災計画震災編の修正について、改めてその目的と経緯を伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都は昨年五月、十年ぶりに首都直下地震等による東京の被害想定の見直しを行いました。この中で明らかになった震災リスクから都民の命と暮らしを守るため、東京の防災対策を進めるための羅針盤となる地域防災計画を修正することといたしました。
 修正に当たりましては、東京都防災会議の下に、関係各局や関係機関等で構成される十一の検討部会等を立ち上げ、都市づくりや避難など、ハード、ソフトの幅広い防災施策について、個別具体的に検討を進め、今年一月に修正素案として取りまとめました。
 その後、パブリックコメントを実施し、都民の皆様からのご意見等を反映し、本年五月の東京都防災会議において計画の修正を決定してございます。

○森口委員 都は、本年五月に地域防災計画を改定し、首都直下地震で想定される最大死者約六千百人、建物被害約十九万四千棟とする現在の新たな被害想定を二〇三〇年度までに半減させるといった高い目標を掲げていますが、令和四年度にまとめられた新たな被害想定の報告書において、人的、物的被害軽減に向けた防災対策としてどのような課題が指摘をされ、どのような取組が有効であると示されたのか伺います。

○八嶋防災計画担当部長 都が昨年見直した被害想定では、耐震化や不燃化等の促進により、十年前と比べ三割から四割程度被害が軽減するものの、さらなる防災、減災対策の推進により、被害の縮減が見込まれることを示してございます。
 具体的には、効果の高い防災、減災対策として、住宅の耐震化や家具等の転倒、落下、移動防止対策、火災被害抑制のための出火防止や初期消火対策について、現在の取組状況と今後対策が進んだ場合の被害を比較することで、その効果を明らかにしてございます。

○森口委員 被害想定によると、ただいまの答弁にあった地震の揺れに伴う建物倒壊や家具の転倒、また火災を要因とした人的、物的被害は全体の九割以上を占めるものであり、それぞれの対策が極めて重要であります。都民の命を守る高い減災目標の達成に向けて、関係各局と連携の上、取組を加速化していただくことを要望いたします。
 次に、防災対策として重要な取組の一つである帰宅困難者対策について伺います。
 ここ都庁のある新宿駅は、世界有数の大型ターミナル駅として、一日四百万人近い人々が利用しており、行き場のない帰宅困難者への対策が急務であります。
 都内全体においては、首都直下地震など発災時には約四百五十三万人の帰宅困難者が発生すると想定され、そのうち、行き場のない帰宅困難者は約六十六万人と推定がされております。
 公的な施設だけではなく、民間の一時滞在施設の確保や、安否確認のために必要な非常用電源の早期の整備など、これまで求めてきましたが、令和四年度までの帰宅困難者対策の取組やその実績を伺います。

○西山防災対策担当部長 都は、令和四年度までに、事業所内での災害対策の旗振り役である事業所防災リーダー制度による一斉帰宅抑制の推進、補助金を活用した民間一時滞在施設の確保や施設への蓄電池等の配備、デジタル技術を利用した災害時のオペレーションシステムの開発など、様々な取組を推進してまいりました。
 これらの取組の結果、一時滞在施設は、本年七月一日時点で約四十七万人分確保してございます。

○森口委員 令和四年一月時点で四十四万人分と伺っており、着実に確保が進んでいるものと理解をいたします。
 帰宅困難者対策や一斉帰宅抑制等の対策には、民間企業の協力が必要です。ハード面の整備とともに、自助や共助のさらなる促進として、地域や企業の防災リーダーの育成支援も重要です。
 そこで、災害発生前の防災体制の推進や発災時の災害対応、安全確保などに大きな役割を果たす事業所防災リーダーの育成について、令和四年度の実績を伺います。

○西山防災対策担当部長 令和四年度、都は、事業所防災リーダーの登録数を増やすため、指定公共機関など防災に関係のある企業や多くの事業所を有する企業を中心に、職員が訪問して登録を促すとともに、電話による事業者等への働きかけを行ってございます。
 また、防災リーダーに対し、週一回、事業所の防災対策に役立つコンテンツを発信するとともに、本年三月からは、防災リーダーごとにマイページとしてウェブサイト、事業所防災リーダーオフィスページを開設し、地域ごとの防災情報など、事業所防災に有益な情報を提供しております。

○森口委員 防災リーダーの育成とともに、今日においては、デジタル技術を活用した防災対策の推進も大変有効であります。これまで、発災時の適切な避難所への誘導や雑踏リスクの回避などにおいて、5GやGPS、ビッグデータを活用した取組の推進を求めてきました。
 そこで、令和四年度に進めてきた帰宅困難者対策オペレーションシステムの構築について、その取組と実績を伺います。

○西山防災対策担当部長 帰宅困難者対策オペレーションシステムは、都内の混雑状況及び一時滞在施設の開設、運営状況等について情報を集約し、地図上に表示することで、災害時の帰宅困難者対策を円滑に行うためのシステムでございます。
 令和四年度までに、GPS情報等を活用し、駅周辺や道路上の人流の状況を地図上に表示する機能及び都や関係機関が一時滞在施設の開設、運営状況を迅速に把握するための機能について、それぞれ開発を進め、試作版の作成を行いました。
 また、本年二月の帰宅困難者対策訓練で実際に運用し、一時滞在施設での帰宅困難者受入れ状況の把握について、参加者から意見を伺って、発災時の操作性などを検証いたしました。

○森口委員 発災時に帰宅困難者のGPSの位置情報を活用し、人流ビッグデータを把握することで、雑踏リスクの回避や一斉帰宅抑制の必要性など、適切な判断が可能となります。
 さらに、ふだんから人の集まる公共施設や様々な拠点に設置がされている公衆無線LANを開放することで、発災直後の災害情報の取得や一時滞在施設への適切な誘導が可能となるなど、帰宅困難者対策オペレーションシステムの早期の実用開始に向け、取組を進めていただきたいと思います。
 防災対策として、地震とともに、近年激甚化している風水害への備えも重要であります。
 都はこれまで、豪雨対策として、河川や下水道の整備、流域対策に加え、マイタイムラインの普及啓発や高台まちづくりの推進を進め、本年、対策の強化に向け、豪雨対策基本方針の改定に取り組んでおります。
 我が会派としても、水害リスクに対し、防災意識のさらなる啓発や、地下河川や調節池、またグリーンインフラの整備など、気候変動に伴うハード、ソフトの対策を進めるとともに、AIを活用した水位予測やドローンの活用、デジタルツインを活用した水害のシミュレーションによる対策の強化など、防災DXの推進を求めてきました。
 そこで、デジタルツインを活用した水害シミュレーションの開発について、令和四年度の実績を伺います。

○保家総合防災部長 デジタルツインを活用した水害シミュレーションは、水害発生時の被害状況等を仮想空間の中で具体的に再現するものであり、浸水エリアの広がりや浸水の深さなど、時間の経過による変化や被害状況を視覚的に捉えることが可能となります。
 令和四年度は、このシステムの開発に当たり、関係各局はもとより、防災分野や土木工学、デジタル技術など幅広い分野の専門家の意見を聞きながら、その機能や洪水等のシミュレート方法等について整理いたしました。
 今年度は、具体的なシステム開発に着手しており、引き続き、関係各局や専門家と連携しながら、実用的なシミュレーションとなるよう開発を進めてまいります。

○森口委員 デジタルツインを活用した水害シミュレーションは、東京の地形や建物を再現したデジタル空間上で洪水や土砂災害を発生させ、浸水被害が想定される低地帯やオフィスビル、地下施設等において、水の流入変化や、雨水浸透施設、止水板等、浸水対策の検証を行うなど、水害対策の強化や実践的な防災訓練、避難計画などに活用が期待されており、こちらも取組の推進を改めて要望し、次のテーマに移ります。
 パートナーシップ宣誓制度について伺います。
 性的マイノリティーのパートナーの方々は、住宅を借りる際に断られたり、共同でローンを組むことができないといった問題や、病院で家族として病状説明を受けられない、手術の同意ができない、職場においても家族手当や慶弔休暇、介護休暇が受けられない等、様々な困難な状況に置かれております。
 都は、我が会派の求めに応じ、昨年十一月より、パートナーシップ宣誓制度をスタートしましたが、その経緯や制度の特徴を伺います。

○住野人権部長 東京都パートナーシップ宣誓制度につきましては、多様な性に関する都民の理解を推進するとともに、性的マイノリティーの方々が直面する生活上の困り事の軽減など、当事者が暮らしやすい環境づくりにつなげるために導入いたしました。
 導入に当たりましては、近隣県からの通勤、通学者が多いという東京の実態を踏まえ、都民のみならず、在勤、在学の方も対象といたしました。
 また、意図せず性自認や性的指向を知られてしまう、いわゆるアウティングへの対策に万全を期すため、手続をオンラインで完結する仕組みを全国で初めて導入いたしました。

○森口委員 全国で初めて手続をオンラインで完結する仕組みを構築されたとのことでありますが、実際、令和四年度はどのくらいの方がオンラインで申請されたのか、また、アウティング以外でオンラインによる利点についても併せて伺います。

○住野人権部長 令和四年度末までに受理証明書を交付いたしました六百五十四組のうち、六百三十六組がオンライン申請でございました。
 また、時間や場所を選ばずに手続を行えるなど、制度利用者の利便性の向上に寄与してございます。

○森口委員 都においては、アウティング対策や利便性の観点から、原則オンライン申請としていますが、一方で、お二人にとって大切な記念日や節目として、対面での申請を希望している当事者の声も伺っています。行政機関で二人の関係が対面で認められるといった点も、当事者にとって大きな意味があると思われます。制度開始から一年がたち、利用者や当事者のアンケートを取るなど、よりよい制度に努めていただきたいと思います。
 都は、制度のない都内の自治体や首都圏で、都の証明書を活用して行政サービスが受けられるよう働きかけを進めるとともに、都内事業者にも制度の取組が広がるよう働きかけを行っております。
 都内区市町村には、パートナーシップ制度を導入する団体と導入していない団体がありますが、令和四年度、どのような連携を図ったのか伺います。あわせて、都の証明書を活用して、どのような行政サービスが受けられるようになっているか、実績を伺います。

○住野人権部長 都は、既に制度を導入しております都内二十一の自治体と受理証明書の相互活用に関する連携協定を締結いたしまして、制度利用者がどちらか一方の証明書を提示することで、双方の行政サービスを提供できるよう取り組んでございます。
 また、未導入の都内自治体とは丁寧に協議を重ね、公営住宅の入居申込みが可能になるなど、都の受理証明書を活用した行政サービスの提供を行ってございます。

○森口委員 引き続き、制度の相互利用について各自治体と連携を進め、受けられる行政サービスに違いが生まれないよう努めていただきたいと思います。
 行政サービスとともに、民間事業者においても制度の理解が必要であると考えますが、令和四年度に民間事業者とはどのような連携を図ったのか伺います。あわせて、制度導入後、どのような実績が上がっているのか伺います。

○住野人権部長 制度導入時に、医療、住宅関係の業界団体や経済団体を訪問しまして、制度の理解や周知を図るとともに、受理証明書の活用について協力を依頼いたしました。
 具体的には、受理証明書の提示で住宅ローンの申込みに活用できるなど、民間事業者の顧客向けサービスの充実を図るとともに、東京都ホームページに受理証明書活用先一覧を掲載することで、当事者の利便性向上に努めてございます。
 また、従業員向け社内福利厚生における適用対象に、制度で証明しましたパートナーを含める働きかけを行うなど、当事者の働きやすい環境づくりにつなげてまいりました。

○森口委員 性的マイノリティーのパートナーの方々が様々生活する上で、家族と同等の扱いをしてほしいといった思いに応えられるよう、多様性を認め、尊重し合える社会の実現に向け、都が全国に先駆けて取組を進めていただきたいと要望いたします。
 次に、犯罪被害者等支援について伺います。
 現在、第四期支援計画の下、きめ細やかな支援を行っていただいておりますが、改めて、大きなターニングポイントであった当時の条例制定を振り返らせていただくと、平成三十一年第一回定例会に犯罪被害者等支援の条例制定に関する陳情が上がってきました。
 当時、私は総務委員会に所属をしており、本陳情に関して、局からの説明や過去の都議会の経緯を調べたところ、平成二十四年に同様趣旨で、民主党会派から議員提案条例が提出をされ、総務委員会にて可否同数、委員長判断で否決がされており、また、同様趣旨の都民からの条例制定を求める陳情も否決されてきた経緯がありました。
 当時、他の自治体の先行した事例を調査するとともに、我が会派、都民ファーストの会の菅原議員が長年にわたり取り組んでこられた犯罪被害者支援の話を伺い、そのつながりから、犯罪被害者の家族として活動を続けていらっしゃる方々をつないでいただき、彼らの話を何度も伺う中で、支援の拡充やその継続性に向け、都において条例化が必要であると強く決意をし、会派内の意向を取りまとめ、総務委員会における陳情審査を採択の方向で進め、最大会派として局や他会派と調整の中、趣旨採択としてまとまり、平成三十一年二月二十六日の我が会派の代表質問に対し、初めて都が犯罪被害者等を支援する条例に着手するとの小池知事の答弁を得ることができました。
 その翌年の第四期東京都犯罪被害者等支援計画の策定や経済的支援の創設など、現在の支援の拡充につながってきていると認識をいたしております。
 現在、他の自治体と比較をし、都の支援については高い評価の声もいただいておりますが、本決算質疑を通じて、令和二年四月の条例制定後の犯罪被害者等に対する支援が充実したものとなっているか、改めて確認を行いたいと思います。
 まずは、犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口で行った支援の合計件数及び経済的支援の実績を伺います。

○住野人権部長 都は平成二十年度から、公益社団法人被害者支援都民センターと協働で犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口を設置し、犯罪被害者やその家族に対し、専門の相談員による電話、面接相談、警察、裁判所等への付添いの支援のほか、精神科医や臨床心理士等によるカウンセリング等の精神的ケアを行ってございます。
 これらにつきましては、令和四年度は七千三百七十件の支援を行っておりまして、令和三年度よりも約千件増加し、窓口開設以来最多となってございます。
 令和四年度の経済的支援の実績は、見舞金給付は四十三件、転居費用助成金は三十三件、無料法律相談は二百一件となりまして、いずれも令和三年度よりも増加してございます。
 また、刑事裁判において被害者参加制度を利用する場合の弁護士費用のうち、着手金を助成する制度でございます被害者参加制度における弁護士費用助成は、令和三年七月から実施しているものでありまして、令和三年度は実績はゼロでございましたが、令和四年度は二件の申請がありました。

○森口委員 条例制定前は五千件台であった相談実績が、経済的支援なども始まり、昨年度は七千三百七十件に増加していることが分かりました。
 令和元年九月十二日の総務委員会における私の質疑において、支援の一翼を担う区市町村における支援の内容や支援体制が異なる状況があり、都と区市の連携における専門人材の必要性を求めたことに対し、都は、令和二年四月の条例制定を機に、専門人材の育成のための研修を実施するなど、それぞれの区市町村と緊密に連携し、ニーズに応じたきめ細かいサポートを行っていくとの答弁を得ておりました。
 その後、令和三年四月に、都の人権部に専門職である被害者等支援専門員が配置されておりますが、被害者等支援専門員の具体的な支援内容と実績を伺います。

○住野人権部長 令和三年四月に人権部に配置いたしました被害者等支援専門員は、被害者やそのご家族から生活再建における困り事のご相談があった場合、直接その内容を聞き取り、区市町村等の関係機関と連携して被害者等の支援を行ってございます。
 令和四年度に、被害者等支援専門員が被害者やそのご家族の支援に関わった事案は二百二十件となっており、令和三年度と比較して約二倍となってございます。
 今後とも、事案に沿った専門性の高い支援を行ってまいります。

○森口委員 区市町村は、日常生活に関連する多様な施策を実施しており、被害者支援を効果的に進める上で重要な役割を担っており、区市との連携を担う支援専門員の役割は大変重要であります。
 犯罪被害者や遺族の方々は、犯罪による直接的な被害に加え、精神的、経済的な負担、二次被害に苦しんでいることも多く、今後とも、区市町村、警察、関係機関と相互の連携強化を図りながら、犯罪被害者等に寄り添った支援の継続とその強化を要望し、私からの質問を終わります。

○吉住委員 最初に、首都直下地震などによる東京の被害想定について伺います。
 都は昨年五月、十年ぶりに首都直下地震等による東京の被害想定の見直しを行い、今年の五月に地域防災計画を修正しました。
 先ほどもお話出ていましたが、関東大震災から百年が経過し、いつ起こるとも知れない震災に備え、新たな被害想定で明らかになった課題を踏まえ、災害時に迅速かつ的確に対処していくための取組の強化が重要です。
 本日は、改めて被害想定の見直しの経緯、概要とともに、それを踏まえた都の取組について確認したいと思います。
 まず、東京都の被害想定の見直しの経緯について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 前回の被害想定から十年が経過し、この間、住宅の耐震化や不燃化など地震に強いまちづくりが進展する等、東京の社会基盤も大きく変化しております。また、高齢化の進展や単身世帯の増加など、社会環境が大きく変化をしてございます。
 加えて、熊本地震や大阪府北部地震、北海道胆振東部地震など、全国各地で大規模な地震災害が頻発しており、地震動や被害データ、最新の知見等が蓄積をされてございます。
 こうした状況を踏まえ、都の防災対策をより一層強化するため、被害想定の見直しを行ったものでございます。

○吉住委員 この被害想定は、都が防災対策を進めていく上での極めて重要な基礎データとなります。あわせて、都民にとっても、改めて大規模地震が発生した場合の自分自身のリスクがどうなるのかを知っていただき、日頃の備えにつなげることが重要だと思います。
 そこで、今回の被害想定で明らかになった内容と、昨年度それを都民にどのように周知していただいたのかについて伺います。

○八嶋防災計画担当部長 今回の被害想定では、都内における人的、物的被害とともに、新たに迅速な救出救助活動や消火活動の妨げとなる道路の閉塞リスクなど、発災時の状況を明らかにしております。
 また、定量的な被害だけではなく、身の回りで起こり得る災害シナリオと被害の様相といたしまして、電気、通信などのライフラインや、道路、鉄道などの都市インフラの被害の状況や都民等への影響について、発災直後からのタイムラインに沿って定性的に明らかにしております。
 都は令和四年度、その内容を基に、地域ごとの建物の倒壊や焼失などの被災リスクを視覚的に確認できる東京被害想定デジタルマップや、家族構成、地域特性、建物構造などにより、オリジナルの被害想定を作成できる東京マイ・被害想定を公開するなど、被害想定に関する都民への普及啓発を行っております。

○吉住委員 ただいまのご答弁にございましたデジタルマップは、かなりズームアップして見ることができますので、お住まいの地域がどれくらいの震度になるのか、建物の倒壊や火災の焼失リスクがどの程度なのか、よく理解できると思います。
 東京マイ・被害想定も、お住まいが戸建てなのか、集合住宅なのか、家族に要配慮者がいるのかなどを入力すると、身の回りで起こり得る被害の様相と取るべき防災行動が分かりやすく表示され、印刷して家の中に貼って、日頃から確認することもできます。せっかくこうしたツールを開発されているのですから、ぜひとも多くの都民に広めていただくことが重要だと思いますので、改めて周知の強化について要望いたします。
 都としても、この被害想定を踏まえ、今後の防災対策をしっかりと進めていくことが必要ですが、今年の一月には東京都地域防災計画の修正素案を決定し、その後、パブリックコメントなどを経て、五月に震災編を修正決定されました。
 そこで、地域防災計画の修正を踏まえた取組内容について伺います。

○八嶋防災計画担当部長 今回の修正では、二〇三〇年度までに首都直下地震等による人的、物的被害をおおむね半減させる減災目標を設定し、震災対策を計画的に進めることとしてございます。
 具体的には、新耐震基準の耐震性が不十分な木造住宅の半減や、全ての避難所における通信環境の確保、災害時トイレ空白エリアの解消などを目指し、ハード、ソフトの両面から取組を進め、東京の災害対応力を高めていくこととしております。

○吉住委員 今回の地域防災計画には、自助、共助、公助それぞれの取組が記載されています。区市町村や関係機関も含め、東京の総力を挙げて、いつ起こるとも知れない大規模地震に万全を期していただくことを切に要望して、次の質問に移ります。
 次に、帰宅困難者対策について伺います。
 先ほどは被害想定の見直しについて伺いましたが、現在の東京は、関東大震災が起きた当時とは、人口や市街地の範囲など、都市の状況も大きく変化しています。都内には多くの企業、事業所が集積しており、災害時には、これらの企業、事業所が地域と共に連携して防災対策に当たることが、地域防災力の向上、安全・安心の東京を実現するためにも不可欠だと考えます。
 その中において、帰宅困難者対策の一時滞在施設は、企業が共助の取組として、行き場のない帰宅困難者を受け入れることで地域の混乱を防ぐ効果もあります。都は、民間の一時滞在施設の支援のために備蓄品を補助しています。
 そこで、昨年度の一時滞在施設への備蓄品の補助の実績と都全体の受入れ人数を伺います。

○西山防災対策担当部長 令和四年度の民間一時滞在施設への備蓄品の補助実績は、四十五件、約八千三百万円でございます。
 また、一時滞在施設の確保状況は、行き場のない帰宅困難者約六十六万人に対し、本年七月一日時点で約四十七万人分となってございます。

○吉住委員 企業は、必ずしも備蓄品への補助があるから一時滞在施設になるということではないとは思いますが、都と企業がしっかりと連携しながら帰宅困難者対策を進めていく上でも、この補助制度をしっかりと多くの企業に利用していただけるよう、取組を前に進めていただきたいと思います。
 一方で、一時滞在施設は、需要者数を現在満たしているわけではありません、先ほどご説明のあったとおり。今後とも、一時滞在施設の確保に一層努めていただきたいと思います。
 次に、私は、昨年の第三回定例会の一般質問で、事業所防災リーダー制度を活用し、地域の防災の取組に積極的に加わるよう仕組みづくりが必要だと質問をいたしました。ご答弁には、今後、事業所防災リーダーに地域の防災訓練の情報を提供するとの答弁がありました。
 そこで、今後とも、事業所防災リーダー制度を活用し、企業と地域が連携した防災対策を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○西山防災対策担当部長 令和四年度、都は事業所防災リーダーに対し、地域の訓練やイベントなど、地元の防災活動に関する情報を積極的に発信するとともに、町会、自治会の代表者が集まる会議の場を通じて、事業所防災リーダーの制度や意義、効果等についての説明を行いました。
 これらの取組を検証し、今後の対策に生かしてまいります。

○吉住委員 よろしくお願いします。
 次に、東日本大震災の復興支援について伺います。
 この十二年間、被災地は、復興再生に向けて確実に前進してきたとは感じています。しかし、原発事故の完全収束まで長い道のりが残ることは、先日のALPS処理水の放出でも改めて明確化されたと思います。
 都は、発災直後から様々な形で被災地を支援してきましたが、支援は被災地の現状に即した形で行うことが重要だと考えます。
 そこでまず、被災地の現状や課題について伺います。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 震災から十二年が経過し、岩手県、宮城県では、道路などのインフラや住まいの整備がほぼ完了し、新たなコミュニティの形成などを進めております。福島県は着実に復興が進んでおりますが、帰還困難区域が一部残り、環境再生、住民の帰還環境の整備などに取り組んでおります。
 各県とも、農林水産業を含む地域産業の回復が途上であり、被災地産品の魅力発信や消費拡大などが共通の課題となっております。

○吉住委員 被災地産品の魅力発信への言及がございましたが、今の被災地の一つの思いは、被災地の現状、地域の魅力をもっと広く知ってもらいたいというものだと思います。
 特に、各地域の誇る名産品、農林水産品のPRや消費拡大には、各県もこれまで力を尽くしてきたと思います。これらの被災地産品を都民が継続的に購入し、それを通じて被災地に関心を寄せるのも、大消費地である東京の力を生かした被災地支援だと考えます。
 都はこれまで、被災地産品の風評払拭、魅力PRに取り組んできたと承知していますが、昨年度の被災地産品の風評払拭などの取組実績について伺います。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は平成二十四年度以降、福島県及び鉄道事業者と連携し、地下鉄の駅構内等で福島産直市を定期的に開催してまいりました。
 令和四年度には、被災地への支援継続をより広く呼びかけるため、この事業を拡充し、岩手県、宮城県を加えた三県の産品の販売等を行う東北三県ふるさと市といたしました。東京メトロ銀座駅コンコースを会場として、七月と十一月の二回開催し、延べ約七千八百人が来場しました。

○吉住委員 こういった被災地の物販、情報発信のイベントは、発災直後は盛んに行われていましたが、現在では減少しているようにも感じます。しかし、継続してこそ、都民の間に被災地産品の魅力が浸透し、それが被災地への関心につながり、被災地の力となります。
 都民への被災地産品などの魅力発信について、今年度の取組について伺います。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 今年度も、東北三県ふるさと市第一回目を九月に開催し、第二回目を十二月に予定しております。農協、漁協など、各県の生産者団体の出店を増やし、ワインなどの新しい産品も紹介するなど、多様な被災地産品の魅力発信に努めております。
 また、来年三月に、岩手県、宮城県、福島県及び青森県と共に開催する東日本大震災風化防止イベントでも、被災地の今と姿を伝えるパネル展示や動画とともに、各県産品の販売コーナーを設けることとしております。
 引き続き、被災地と密に連携し、集客等の工夫も凝らしながら、多くの都民に被災地やその産品の魅力を伝え、復興を支援してまいります。

○吉住委員 よろしくお願いします。
 今年、被災地では、福島第一原発のALPS処理水放出開始により、再び風評被害を受けるとの懸念が拡大いたしました。また、福島では、原発事故後に、除染で取り除いた土である除去土壌が中間貯蔵施設に保管されており、この県外最終処分も復興に向けての大きな課題となっています。
 一方、処理水の放出後、各地で被災地の水産物を積極的に購入、活用しようとする動きもあります。風評に惑わされず、個々人にできることで被災地を支援しようという機運が高まったと認識しています。都も、今週から都内での水産物消費喚起キャンペーンを始めると承知しています。
 被災地の復興再生のためには、官民を挙げた息の長い支援が必要です。都民の復興支援の機運を絶やさないためにも、都には、被災地の産品や被災地の魅力を都民に伝える取組を継続して行っていただきたいと思います。都には、今後とも全国の先頭に立って復興支援に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 先ほどもご質問、出ていたと思いますが、都は、平成二十年に開設した東京都総合相談窓口において、犯罪被害者に対する支援を実施してきました。令和四年度の実績は七千三百七十件となっており、支援件数の犯罪種別内訳は、最も多いのが性的被害で約四割、次いで殺人が約二割となっています。
 令和二年に東京都犯罪被害者等支援条例を制定され、被害者などへの経済的支援が開始されました。犯罪被害に遭った方が一日でも早く尊厳を取り戻し、安心して日常生活を送るためには、被害直後からの支援が重要であり、被害に遭った方が公平かつ確実に支援を受けられることが必要だと考えます。
 そこで、都が犯罪被害者のために設置している東京都総合相談窓口での具体的な支援の流れについて伺います。

○住野人権部長 東京都総合相談窓口は、東京都公安委員会が都内で唯一、犯罪被害者等早期援助団体として指定しております公益社団法人被害者支援都民センターと都が協働で運営を行ってございます。
 被害に遭った方が東京都総合相談窓口に相談するきっかけとなりますのは、警察から被害者支援都民センターを紹介される場合と、警察から都民センターへ連絡がある場合がございます。
 支援の流れとしましては、被害状況等を聞き取った後、被害者等の要望や状況に応じて面接相談、警察、裁判所等への付添いのほか、精神科医や公認心理士等によりますカウンセリング等の精神的ケアを実施してございます。

○吉住委員 次に、それらの支援を円滑に行うためには、都や区市町村などの関係機関との連携が重要と考えますが、犯罪被害者などの支援を円滑に行うために、都や区市町村などの関係機関はどのように連携しているのか伺います。

○住野人権部長 都は、警察、区市町村等の関係機関で構成いたしてございます東京都犯罪被害者等総合支援会議を設置しており、同会議において、被害直後から中長期にわたって、犯罪被害者等のニーズを踏まえた途切れることのない支援を提供するため、個別の犯罪被害者等のケースに合わせた各種支援や長期的なプランの検討を行ってございます。
 また、都と区市町村で構成いたします東京都区市町村犯罪被害者等支援連絡会を設置し、被害者支援の取組状況や支援策に関する情報共有を行うなど、連携強化を図ってございます。
 今後とも、犯罪被害者やご家族に寄り添った支援を行ってまいります。

○吉住委員 被害に遭った方やそのご家族は、計り知れない不安を抱えながら、日々、日常生活を過ごしておられます。
 今後とも、各関係機関との連携を強化し、少しでも早い被害者の自立と回復への支援の取組を要望して、質問を終わります。

○かまた委員 それでは、まず初めに、東日本大震災により都内に避難をしてきた方々への支援についてお伺いをいたします。
 今年の三月十一日で、東日本大震災発生から十二年となりましたが、今年の二月時点で、福島県から県外に避難をされている方々は二万人以上とのことで、東日本大震災が原因で故郷を離れて生活をされている方々がまだまだ多いのだと感じます。
 そこでまず、東日本大震災による都内への避難者について、令和四年度の状況をお伺いいたします。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は、被災地以外では最も多くの避難者を受け入れている自治体でございます。
 都内の避難者数は、平成二十四年四月に最多の九千五百五人でしたが、その後は、避難元への帰還や都への定住などにより徐々に減少し、令和五年二月現在で二千八百九十二人となっております。そのうち、福島県からの避難者が二千三百二十一人で約八割を占めており、その他、宮城県が三百八十一人、岩手県が百九人となっております。

○かまた委員 避難者数は確実に減ってきてはいますけれども、いまだ三千人弱の方が都内にいるということで、また、福島県からの避難者の方々が全体の約八割になるということで、特に福島にお住まいだった方々がご苦労していることが分かりますし、福島の復興支援策はこれからも重要な取組だというふうに認識をしております。
 また、都は、発災直後から避難者の方々への支援を進め、現在も取り組んでくださっていますが、都内の避難者に対する令和四年度の支援の取組状況についてお伺いをいたします。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は、関係各局の連携の下、被災県、区市町村、福祉関係機関等とも協力して、都内の避難者の生活全般にわたる支援を実施いたしました。
 例えば、被災県からの要請に基づき、都営住宅等を災害救助法に基づく応急仮設住宅として供与したほか、水道、下水道料金の減免、就職支援、孤立化防止などの支援などを行いました。
 また、避難者向けの相談窓口を運営するとともに、月に一度、支援に関する情報をまとめ、避難者世帯に送付いたしました。

○かまた委員 各局が連携をして、住まいの確保から心のケアまで支援をしてくださっているとのことですけれども、震災から十二年と避難生活が長期化していることで、避難されている方々の課題も多いのではないでしょうか。
 山形県では、県内へ避難されている方々へアンケートを実施したそうです。その結果が九月二十八日に公表されておりましたけれども、避難直後は心身の不調を訴える方が多くいらっしゃったとのことですが、現在は、半数近くの方が生活資金や健康に不安を抱いているということが分かったそうです。
 避難されている方々の抱える課題については、東京もきっと同じではないかなというふうに予想しますけれども、都では相談窓口を設置して、避難者の方々の声を直接伺っていると思いますので、今、都内の避難者の方々が抱えている課題についてどのように認識をしているのかについて、お伺いをいたします。

○若林復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 避難の長期化に伴い、避難者が抱える悩みや課題は、被災や避難に直接起因するものから、日常生活に伴うものが中心となってきております。
 具体的には、健康、福祉、経済状況、孤立、孤独、将来の不安など、多岐にわたっておりまして、中には、自分自身と家族に複数の問題を抱えた避難者もいらっしゃいます。
 都は、こうした避難者の状況に応じ、避難元県、避難先自治体、地区の社会福祉協議会等の関係機関と連携して支援を行ってまいります。

○かまた委員 避難をされている方々も、発災当時から十二歳年齢を積み重ねているわけですから、生活者としてのより個別具体的な課題が多くなっているわけであります。
 今ご答弁いただきましたように、福祉的なニーズが増えてくると、避難者がお住まいの区市町村との連携がより一層重要になってくると思いますので、今まで以上に関係機関との連携を密にしていただき、避難者お一人お一人に寄り添った支援を引き続き進めていただきたいことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、防災対策についてお伺いをいたします。
 都が昨年の五月、東京都防災会議において見直しを決めました被害想定の概要につきましては、他の委員の方からも質問がありましたので、重複をしますので一問目は省略をさせていただきますけれども、死者数や建物被害数など、より具体的な数値で被害を示すことで、行政側にとりましては、防災の取組を進める上で重要な情報となりますが、都民の視点に立ってみますと、それだけでは、発災時のリアルな状況をなかなかイメージしにくいという側面があります。
 そのため、安全・安心な東京を実現するためには、被害想定で見えてきたリスクを踏まえて、地域防災計画の修正や各種施策の展開により、実効性のある対策を進めていくことが重要であります。
 そこで、都は今年の一月に、東京都地域防災計画の修正素案を決定し、その後、パブリックコメント等を経て、五月に東京都地域防災計画の震災編を修正決定しましたけれども、被害想定を踏まえて、地域防災計画の修正にどのように反映をしたのか、改めて確認の意味でお願いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 都は、新たな被害想定で明らかになった震災リスクから都民の命と暮らしを守るため、地域防災計画において、二〇三〇年度までに首都直下地震等による人的、物的被害をおおむね半減させる減災目標を掲げました。
 その上で、各ライフラインと交通インフラの強化に加え、避難所での通信環境及び安全で質の高い生活環境の確保などのソフト面についても指標を設け、減災目標の達成に向け、各種取組を進めることとしてございます。

○かまた委員 安全で質の高い生活環境の確保など、ソフト面についても指標を設けたとのことで、新たな被害想定の概要と明らかになった内容、また、この被害想定を地域防災計画の修正にどのように反映したのかという基本的なことを確認いたしましたので、続いては、具体的な取組について改めて確認をさせていただきたいと思います。
 まず、トイレ対策についてです。
 発災時、都民の身の回りに様々なリスクが起こり得ることは、先ほどの答弁でも明らかになったところですけれども、中でも、排水管の故障により水洗トイレが使えないことによる衛生環境の悪化など、トイレ問題は極めて重要であると私は考えております。
 そこで、特にトイレの復旧が遅れるなど、災害時にトイレが使用できない状況に対しての都の見解についてお伺いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 新たな被害想定では、マンションなどの集合住宅では、排水管等の修理が終了していない場合、水道の供給が再開されていてもトイレが使用できない、また、仮設トイレの需要が増大いたしますが、早期の設営が困難となるなど、様々な場面におけるトイレの課題を明らかにいたしました。
 このため、地域防災計画の修正におきまして、二〇三〇年度までの目標として、災害時のトイレ空白エリアの解消を掲げ、区市町村等と連携し、簡易型、マンホール型、自己処理型など、様々な種類のトイレを組み合わせ、必要数の確保に取り組むこととしております。

○かまた委員 今年の第一回定例会の一般質問におきましても、私は災害時のトイレ問題について取り上げましたが、人が健康に過ごす上で、トイレの確保は必ず進めなければならない重要課題の一つであります。
 災害時に活躍するトイレ市場につきましては、現在いろいろな商品が開発をされていますので、先ほどの答弁にもありましたように、例えば自己処理型トイレなど、様々な利点を有するトイレを組み合わせていただきまして、必要数の確保に取り組んでいっていただきたいと思います。
 そして、次に私が考える課題の一つがマンション防災についてであります。
 都では、多くの都民がマンション等の集合住宅に居住をされております。この十年間で、都内の高層マンションは約二十万戸増加し、現在のマンションの合計戸数は約九十四万戸になっております。マンション防災につきましてはとても重要な課題となります。
 被害想定では、マンションなどにおいて、長期間エレベーターが停止したり、トイレが使えなくなったりすることが示されましたけれども、マンションで避難をする上で、こうした課題について、都の認識及び対応についてお伺いをいたします。

○西山防災対策担当部長 マンション特有の課題から、在宅避難が長期間にわたる可能性があることから、生活必需品の十分な備蓄や、居住者同士や地域住民との連携による共助の取組の必要性について、繰り返し周知することが重要でございます。
 そのため、都はこれまで、防災アプリや東京備蓄ナビなどを活用し、マンションの防災対策について普及啓発してまいりました。

○かまた委員 マンションの防災対策については普及啓発していくとのことですけれども、ぜひ、この関東大震災から百年という機を捉えまして、都民一人一人の意識啓発に力を注いでいただきたいと思います。
 また、トイレの確保、充実もマンション防災の強化も、総務局だけではなく、関係各局との連携が重要となります。防災対策を進めるリーダー的存在である貴局が中心となりまして、各局との連携強化をより一層進めていただけるよう要望しまして、次の質問に移ります。
 最後に、障害者雇用についてお伺いをいたします。
 都は、障害者活躍推進計画で、障害者雇用率の目標を令和六年度に三%達成を掲げまして、採用の形態や採用後の仕事を進める場の設定を工夫しながら、令和二年には二・八一%、令和三年には二・八二%、令和四年には二・八五%という実績を積み上げております。この数値を〇・〇一%上げるためには、恐らく陰で、担当者の方々の創意工夫と働いている方々ご自身のご努力があったかと思います。
 障害者雇用を進める際に最も重要なことは、職場の職員同士が理解をすることであると私は考えておりますし、これまで、障害の有無にかかわらず、生きづらさを抱えている方々にとって一番つらいことは、その生きづらさがなかなか理解されなかったことだと伺っております。
 そこで、職場における障害者理解の促進のために、どのような取組を行っているのかについてお伺いをいたします。

○石橋人事部長 障害者の雇用に当たっては、職員が障害を有する職員一人一人に対し適切な支援を行えるよう、障害特性や必要な配慮について理解を深めることが重要であります。
 令和四年度は、全職員を対象に、障害者への理解促進を図るeラーニング研修を行うとともに、各職場の取組をまとめた合理的配慮の提供に関する事例集を改定し、庁内ポータルサイトを活用して周知しました。
 受入れ職場においては、障害を有する職員と一緒に働き、サポートを行う職員などを対象に研修を実施したほか、精神保健の専門家が各職場を訪問し、個別相談に応じるなど、職場環境の整備に努めました。
 こうした取組を丁寧に継続しながら、職場における理解を深め、障害を有する職員が安心して働き続けることができるよう、障害者雇用の促進に努めてまいります。

○かまた委員 障害を有する職員の皆様が安心して働き続けられるよう、様々な取組を行ってくださっているとのことですけれども、ぜひ今後は、さらに深い部分での理解を進めていただきたいと思っております。
 私が障害者雇用でいつも思い出すエピソードがあります。それは、スウェーデンのあるスーパーで知的障害のある従業員が売場マネジャーを務めておりまして、その方は、興味を持った分野についてとことん記憶をするという、そういう能力があり、店内に並ぶおびただしい数の飲料の名前や産地を全て覚えているとのことです。そして、苦手な対人スキルについては上司がサポートしつつ、マネジャーという職責を十分に果たしているそうであります。
 障害の有無にかかわらず、人は誰でも得意不得意がありますので、障害の理解という枠にとどまらず、その方の理解を進めるという視点を大切にして、ぜひ今後も取組を進めていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 質問は以上で終わります。

○大山委員 私は、三つのテーマで質問したいと思います。一つは小笠原諸島振興開発計画について、そして二つ目が育児休業について、そして三つ目が長時間労働の解消です。
 まず、小笠原諸島振興開発計画について伺います。
 小笠原諸島振興開発計画は、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づいて東京都が策定するものです。五か年計画で、現在進行中のものは令和元年度から五年度までの計画ですから、決算年度の令和四年度は、現在の計画の後半に入った時期といえます。
 計画の事項は十八項目挙げられていて、基本方針、土地利用、道路、港湾、農林水産業、商業、雇用、住宅、保健衛生、高齢者の福祉、医療をはじめ、行政が担うべきことを網羅しているということだと思います。
 この三年間、コロナだったもので、小笠原に行けなかったんですけれども、今年の夏、久しぶりに小笠原村に行くことができました。村の方々や村議さんからもお話を伺う機会がありました。
 若い方々が多いだけにアパートは単身用が多くて、結婚して子供が生まれると、家族で住める住宅が不足しているというのは、以前からの課題です。今回は、高齢者が島に住み続けられるようにすることが、切実な話題でした。
 そこで伺いますが、父島と母島それぞれの人口と六十五歳以上人口、高齢化率はどうなっていますか。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 令和四年一月一日現在の小笠原村の父島の人口でございますが、二千百十八人、六十五歳以上人口は三百四十五人でありまして、その割合、高齢化率は約一六%となってございます。
 また、母島の人口につきましては四百五十七人、六十五歳以上人口は九十六人で、高齢化率は約二一%でございます。

○大山委員 父島の高齢化率は一六%、母島は二一%ですから、母島では四、五人に一人は六十五歳以上となります。若い島、子供たちが大勢いる島というイメージでしたけれども、小笠原村が日本に復帰して五十五年ですから、高齢者が多くなるのは当然ということです。
 九十三歳の女性にお話伺いました。お元気で、デイサービスに通っています。デイサービスでは百歳、百一歳の方々と一緒で、楽しく過ごしている様子でした。百歳のお友達から、あなた、まだ若いんだから歩きなさいとか、塗り絵いいわよなんていわれているとのことでした。
 そのデイサービスで一緒のお友達と話題になるのは、暮らせる、つまり入所できる施設がもっと欲しいということなんです。ずっとこの島で暮らしたいからなんです。
 最後まで仲間と一緒に島で暮らすことができることを望んでいる高齢者が、安心して暮らせるようにすることが重要ですけれども、どう認識していますか。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 東京都高齢者保健福祉計画では、地域で支え合いながら、高齢者が生き生きと心豊かに住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができることを理念としており、小笠原村においても、都はこれまでも、地域の特性に応じた施策の展開を支援してきたと承知しております。

○大山委員 小笠原でも、父島でも母島でも、住み慣れた地域で暮らし続けることが基本だということです。
 父島には、太陽の郷という有料老人ホームがあります。しかし、十室で、一人用の部屋と二人用の部屋があるので、定員は十四人ですが、これではとても足りません。また、母島には入所できる施設はありません。
 この現状をどう受け止めていますか。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 小笠原村が策定しました小笠原村介護保険事業計画では、父島、母島を一つの日常生活圏域として位置づけてございます。
 小笠原村では、当該圏域を基本として、施設等様々な資源を一か所に集約化することで、安定した施設運営に努めていると聞いてございます。

○大山委員 村が策定した介護保険事業計画では、父島と母島を一つの生活圏域と位置づけているとのことなんですけれども、もちろん村と相談しなければなりませんけれども、これはちょっと無理があるんですね。
 父島と母島と似ているのは新島と式根島です。つまり、二つの島で一つの自治体。しかし、新島と式根島は船で十五分あれば行けますが、父島と母島は二時間かかります。一つの日常生活圏域というには離れ過ぎているのではないでしょうか。
 小笠原諸島振興開発計画には、介護サービス基盤については、今後の本格的な高齢社会を見据え、整備を進めていく必要があるとしています。この計画は今年度が最終年度ですが、令和四年度までは、この課題にはどう対応しているのでしょうか。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 小笠原村の特性に応じた介護サービス基盤の整備を促進できるよう、所管局におきまして、地域密着型サービスの整備について、島しょ地域の補助額を加算するなど、支援の仕組みを構築してございます。

○大山委員 小笠原村のホームページに出ていたので、令和四年度の一般財源、見てみました。歳出合計で約五十億円程度です。この財政で、入所施設などの建設やそこで働く介護労働者を雇用することも、かなりの困難が伴うと思います。都として思い切った支援が必要です。
 世界自然遺産の島で、土地を確保するのは結構大変なんですけれども、うちの土地を提供してもいいよといってくれる方もいるんですよなんて話もあります。
 村と相談しながら、入所の施設の整備も進めることが必要ではないでしょうか。どうですか。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 小笠原村では、父島、母島を一つの日常生活圏域として、様々な資源を一か所に集約化することで、安定した施設運営に努めていくと聞いてございます。
 都としては、小笠原村の意向も踏まえまして、今後とも必要な支援を行ってまいります。

○大山委員 父島、母島を一つの日常生活圏域として、様々な資源を一か所に集約化するというのは、さっきいったとおり無理があるんです。小笠原村の意向を踏まえることはもう当然です。次期の小笠原諸島振興開発計画に向けて、村と一緒に現状を把握して検討することと必要な支援をしっかりやっていただくことを求めておきます。
 続きまして、育児休業を取得できる環境ということで質問します。
 子供政策総合推進本部会議が昨年の四月二十八日に行われています。その中で育児休業の取得促進が課題として挙げられ、都庁の率先した取組として、総務局、各局となっています。
 この会議を受けて、総務局としてどのような取組をしているでしょうか。

○田中労務担当部長 都は、令和四年度におきましても、全ての管理職がイクボス宣言を行いまして、所属長は、子が出生予定等の職員に対しまして面談を行うなどの取組を実施しました。
 また、休暇、休業の取得を前提とした働きかけを進めるとともに、合計一か月以上を目途とした取得を勧奨しております。
 こうした取組の結果、令和四年度の男性職員の育業取得率については五五・四%となりまして、令和七年度には五〇%とする目標を三年前倒しで達成いたしました。

○大山委員 目標を三年前倒しで達成したんだということなんですけれども、それにしても、この資料で出していただきました一ページ、取得期間の分布状況というのを見ますと、男性の取得期間は三か月以下の職員が六八%ですから、約七割は育児休業を三か月以下しか取っていないということなんです。
 育児休業を取得したくても取得できない理由というのは、様々あると思いますけれども、局として調査などはしていますか。

○田中労務担当部長 所属長は、職員との面談におきまして、育業の申請意向がない場合は、その理由を確認した上で取得を促すこととしておりまして、男性職員に対する面談については、その実施状況を総務局、各局で把握しております。

○大山委員 取得したくても業務上できないケースなどについては、どうしたら取得できるかということを職員と相談するなどして、その職場でも相談するなどして、条件を整えることなどは行われているんでしょうか。

○田中労務担当部長 男性職員の育業推進に係る取組を進める中で、業務都合を理由として育業を取得しない職員数は大幅に減少しております。
 所属長は、その場合においても、当該職員や所属職員との意見交換を踏まえまして、休業期間中の業務計画を策定することなどによりまして、確実に育業できるよう働きかけることとしております。

○大山委員 ぜひお願いします。
 それで、育児休業を取得する場合の代替職員はどう配置されていますか。

○田中労務担当部長 年度当初からの育業の取得については、それを踏まえた人員措置を行っておりまして、年度途中での育業の取得に対しては、臨時的任用職員等による充員を可能としております。

○大山委員 育児休業に入る人数というのは、これ、資料を見ましても、女性はほぼ一〇〇%といっていいと思うんですけれども、それから男性も、今後さらに増やしていくということを実践することだと思うんですけれども、さらに増加することを想定しているわけですから、見通しを持って、正規職員で代替できるように採用人数も見込んでほしいと思います。
 育児休業期間の給与、これはどうなっていますか。

○田中労務担当部長 地方公務員の育児休業等に関する法律におきまして、育児休業している期間については給与を支給しないと定められております。
 また、地方公務員等共済組合法等において、育児休業手当金の上限額や支給要件が定められております。

○大山委員 給与は支給しない。共済組合での支給は、百八十日までが六七%、百八十一日以降が五〇%の支給ということです。子供が生まれてますますお金が要るときに、これが大変なんですよね。育業というんだったら、さらに充実させるべきだと思います。
 育児休業を男女とも取得するのが当たり前という社会をつくるため、都庁の率先した取組を職員の声をしっかりと聞きながら、よりよい制度にしていくよう進めてください。
 長時間労働の解消です。
 超過勤務の状況が深刻です。人事委員会からも毎年勧告されている状態です。
 二〇二一年度の人事委員会勧告では、超過勤務時間数の連続増加について、恒常的な長時間労働が解消されない場合には、業務量に応じた人員が適切に確保されているか検証すべきと指摘されていますが、検証はしたのでしょうか。

○田中労務担当部長 知事部局等については、本庁に勤務する職員一人当たりの平均超過勤務時間は、令和四年度では一か月二十八・七時間となっており、令和三年度の二十九・三時間と比較し減少しております。
 人員配置については、毎年度、各局とも十分に調整しながら、事業動向や個々の職務内容と業務量等を踏まえまして、効率的な執行体制の構築を図っております。

○大山委員 そんなことおっしゃいますけれども、業務量に見合った職員が確保されているのかということなんです。
 資料で出していただいたこの最後のページ、四ページに長時間労働面接対象者数というのが、各局別に出していただきました。月の超過勤務時間が八十時間を超える月が二か月以上、一か月百時間を超える超過勤務は、つまり過労死ラインを超えるということです。
 福祉保健局が千三百二十三人そこに該当するというのは、コロナの対応かなと思いますけれども、それでもあってはならないことです。コロナとは直接関係しないであろう局も、例えば総務局六百四十四人、政策企画局四百八十五人など、多くなっています。
 長時間労働面接対象者も、こうやって依然として三千二百、それから三千百、五千八百、二千三百、そして四年度が五千百二人ですから、依然として増加傾向と。
 面接して、長時間労働せざるを得ない状況を聞き取っていると思いますけれども、局としてはどう分析しているのでしょうか。

○田中労務担当部長 長時間労働については、各職場が直面する諸課題にスピーディーな対応が求められている場合や、危機対応など事前に見込むことができない計画外の臨時、突発業務が影響しているものと認識しております。
 東京都職員「ライフ・ワーク・バランス」推進プラン等に基づき、超過勤務縮減に取り組むとともに、過重労働による健康障害を防止するため、長時間労働面接を通じて職員の健康状況等を把握し、指導助言を行っております。

○大山委員 各職場が直面する諸問題にスピーディーな対応が求められる場合や、危機対応など事前に見込むことができない計画外の臨時、突発業務。コロナは三年間も続いているんですよね。そして増えているということです。
 それで、指導助言、実施しているといいますけれども、実際に超過勤務をしなくて済む正規職員配置が必要なんだということなんじゃないでしょうか。
 職員定数と非常勤職員数、臨時職員数の資料が経年で、この間も資料で出ていますから、正規、非正規を合わせた全職員に占める非正規職員の割合を大まかに計算してみましたが、平成十八年度は全職員に占める非正規職員の割合は二一・四%でした。決算年度の令和四年度は三〇・九%になっています。
 今、非正規雇用が大きな問題になっているわけです。東京都でも、十六年間で全職員に占める非正規の、非常勤の職員数が一割近く増えているということなんですよね。必要な正規職員をきちんと確保しなければ、幾らライフ・ワーク・バランスだといっても、実現できるはずがありません。
 きちんと業務量に合った正規職員を確保する、それを実践していただきたいということを述べて、終わります。

○松田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時九分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○須山委員 よろしくお願いします。
 まず、防災、水害対策から。
 東京の東部低地帯は、荒川や江戸川などの大河川が氾濫すると広範囲にわたり浸水被害が発生します。水害は事前にある程度予測が可能であるために、避難のための都民への情報発信が重要だと考えております。
 令和四年第一回定例会の総務委員会で、我が会派の西崎議員が行った質疑で、都は、令和四年度、国や区市町村等と連携し、水害リスクの効果的な伝え方や情報発信手段の充実強化の在り方について検討を行い、具体的な対策を取りまとめていくとの答弁がありましたけれども、その具体的な取組内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○八嶋防災計画担当部長 都は令和四年三月に、国と策定した広域避難計画策定支援ガイドラインを踏まえ、その具体化を図るために、同年六月、国と共同で、首都圏における広域的な避難対策の具体化に向けた検討会を設置いたしました。
 この検討会におきまして、令和四年度は、近隣県や広域避難の対象となる自治体、メディア事業者等から成るワーキンググループを立ち上げ、水害時に取るべき備えを住民に直接伝える方策等を整理し、首都圏における大規模風水害時の防災情報の発信・伝達のあり方についてを令和五年三月に公表いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。東京都が国や近隣県、また様々なアクターと一緒になってワーキンググループを立ち上げて、具体的に取り組んでいただいたことは分かりました。
 一方、災害時に都民の皆さん、実際に避難をちゃんとしていかなくてはいけないと思いますけれども、自分の住んでいるところはどうなっているのかとか、そういったことを、ちゃんと情報として知っていることが何よりも大切だと思います。
 そうした中で、広域避難を進めていく上で、都民への情報発信に関して、令和四年度で具体的に行ったことを教えていただきたいと思います。

○八嶋防災計画担当部長 令和四年度、都は江東五区の六町会等と連携し、水害リスク、必要な備え等を記載した我が家の水害リスク診断書を配布し、実際に受け取った際の印象や感想等のアンケート調査を行うモデル事業を実施いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 このモデル事業を踏まえて、今年度、この診断書を江東五区の四十八万世帯に配布しているということを伺いました。また同時に、住民からの問合せに対するチャットボットを用意したりとか、あとホームページで情報発信をしているとか、様々やられているということは、非常に評価をさせていただきたいと思います。
 また、東部地域はもちろんそうなんですけれども、今の台風であったりとか、線状降水帯であったりとか、様々、本当に水害に関して、非常に東京都全域でやはり課題が大きいなということを改めて感じておりますので、ぜひ東京都全体としても、情報発信であったりとか、様々進めていただきたいということをお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、パートナーシップ宣誓制度に関して、各委員からもありましたので、重複するところは省かせていただきますけれども、まず、令和四年十一月から東京都パートナーシップ宣誓制度がついにスタートいたしました。
 我が会派も要望してまいりましたし、私も、当選後に会派の多様性PTの座長ということを任されてきまして、この間、局の皆さんともやり取りをさせていただいてきたので、この制度がスタートしたことを本当にうれしく思っております。
 そこで、改めて、まずこの制度で令和四年度末及び現在の受理証明交付数をお聞かせいただきたいと思います。

○住野人権部長 令和四年度末で六百五十四組の方に受理証明書を交付してございます。また、令和五年十月十六日時点で九百五十一組の方に交付してございます。

○須山委員 ありがとうございます。
 昨年度だけでも六百五十四組で、十月十六日時点で九百五十一組ということで、すごくやっぱり必要としていた方がこれだけたくさんいらっしゃるんだなということを改めて感じました。ぜひ東京都として、もっと発信をしていただいて、本当に必要な方がしっかりとこの制度を受けられるようにしていっていただきたいということを改めて要望させていただきます。
 そして、この制度設計に関して、先ほど森口委員もおっしゃっていたので、質問はいたしませんけれども、この制度をつくるときに、各市区町村との連携をうまくいくように制度設計をしていただいたということで、それに関しても非常に評価をさせていただきたいと思います。そして、先ほどの答弁にもあったように、いろいろな連携をしているということも、改めて評価をさせていただきたいと思います。
 続きまして、質問を進めますけれども、制度の運用を始めて、様々な声、寄せられていると思いますけれども、制度利用者からどのような声が来ているかお聞かせいただきたいと思います。

○住野人権部長 受理証明書の提示によりまして、都営住宅に申込みをすることができ大変感謝している、あるいは、病院でパートナーの治療の説明を受けることができ、とても助かった、そのような声が届いてございます。

○須山委員 ありがとうございます。様々好評な声も届いているということで、本当にうれしく感じております。今後も、当事者とか、あと自治体の皆さんなんかの声を聞きながら、制度、これがうまく活用されていくように進めていっていただきたいと思います。
 また、三定で知事が、事実婚カップルに関しても、質疑で言及をされておりました。選択的夫婦別姓など様々な課題が今あります。自分の生まれながらの姓、名前を変えずに生きていくということは、人権問題だと私は考えております。
 今年の一定で、私も一般質問でちょっと触れたんですけれども、この件、担当部署が違うということもいわずに、しっかりと人権問題として考えていくことが大切であると考えますし、このパートナーシップ宣誓制度が、そもそも性的マイノリティーの皆さんのためのものとされておりますけれども、そうした垣根を取り払っていくこと、これが大事だなというふうに思っております。
 例えば、この制度を活用して事実婚の方への対応、これもできるなというふうに考えておりますし、現に都内外での自治体で、異性の事実婚のカップルにも対応したパートナーシップ制度というものが導入されております。
 性的指向の違いの課題を一つ今乗り越えました。そうしたら今度は、別な理由で結婚できない人たち、この人たちへの対応ということもしっかりと進めていくことが重要じゃないかなというふうに思っております。
 スタートラインが違っても、同じ課題を抱えている人たちがいる中、しっかりと解決に向けて進んでいっていただきたいと思います。ぜひ柔軟かつ迅速に、都民の人権を守るために知恵を使っていっていただきたいということを要望させていただきます。
 続きまして、最後、人権プラザに関して。
 昨年の人権プラザ、令和四年度の企画展附帯事業で、飯山由貴さんの映像作品が上映できなかったという事案がありましたけれども、改めててんまつをお聞かせいただきたいと思います。

○住野人権部長 都と指定管理者でございます人権啓発センターとの協定に基づきまして運営されている人権プラザでは、毎年度企画展を実施しており、お話の企画展は障害者と人権をテーマとして実施をいたしたものでございます。
 企画展の効果を高めるために実施している附帯事業については、令和四年五月にセンターから、飯山氏の映像作品の上映を含む三つの案を内容とする事業計画案が検討段階のものとして提出されました。
 このうち、当該映像作品については、今回の企画展の趣旨に合わないことから、同年八月にかけて、センターと飯山氏との間で附帯事業に関する協議を行い、インタビュー動画の制作、配信を実施内容とする業務委託契約を飯山氏の同意の下、締結いたしました。
 企画展は令和四年八月三十日から、附帯事業は十月二十一日から実施し、いずれも十一月三十日に終了してございます。翌十二月には飯山氏側から契約代金の請求を受けて、同月中に支払いを完了してございます。

○須山委員 ありがとうございます。経緯というか、それはよく分かりました。
 この問題もいろいろまだ続いているというか、まだ飯山さんの方もいろいろ思いがあるというふうにも聞いておりますけれども、やはりこの問題、正直難しい問題だと、私もはたから見ていて思いますし、ただ一方で、当事者の方々もある程度、まだ思いがあるというやに聞いている、そしてそういう動きをしている中で、その皆さんにもちゃんと寄り添って、丁寧に対応していただきたいなということをお願い申し上げさせていただきまして、質問を終わります。
 以上です。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 私からは、まず小笠原関係の決算について伺います。
 小笠原定期航路補助等については、七億三千五十一万二千円の予算、支出額五千八百五十八万六千二百七円、不用額六億七千百九十二万五千七百九十三円と、執行率が僅か八・〇%となっています。
 予算策定当初の考えと、執行率が僅か八・〇%にとどまった理由について伺います。また、コロナ禍の令和三年度の予算額と執行率も併せて伺います。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 令和四年度の予算は、コロナ禍の影響等を考慮して見積りを行ってございます。
 予算の執行率につきましては、旅客需要の回復などにより、事業者の収支改善が図られた結果であると考えてございます。
 なお、令和三年度につきましては、予算現額六億八千九百二万千円に対しまして、支出済額は四億一千百四十一万八千四百十五円、執行率は五九・七%でございます。

○田の上委員 小笠原の航路補助の事業というのは、事業者の収支に欠損、赤字が生じた場合に、これを補填するために補助金を交付しているものであります。つまり、需要の回復で事業者の収支改善が図られた結果、赤字額が縮小し、都からの補助金で補填する交付額が少なくなったということで認識をいたしました。
 また、令和三年度の決算額についてもご答弁をいただきましたが、コロナ禍で旅客需要を読むのが大変難しかった結果というふうに受け止めました。
 小笠原航空路調査については、四億六千三百六十四万三千円の予算、支出額二億五千七百二十二万六百九十二円、不用額二億六百四十二万二千三百八円と、執行率が五五・五%となっています。
 小笠原航空路の開設は、島民の緊急医療や緊急時への対応にとって大変重要な事項ですが、予算作成当初の考え方と、執行率が五五・五%にとどまった理由について伺います。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 令和四年度の小笠原航空路調査につきましては、飛行場の基本構造や工法の実現性の確認等、必要な各種調査を実施するために予算を計上いたしました。
 予算の執行率につきましては、候補となる航空機の開発状況の影響等を受けたものでございます。

○田の上委員 執行率は、航空機の開発が遅れているという状況によるものというご答弁だったかと思います。
 また、恒久的な小笠原航空路調査はもちろんなんですけれども、今、直ちに必要とされている島民の緊急医療のための航空路開設というものが、大変重要となってきます。
 島民の安心・安全のための航空路開設について、あらゆる方策を積極的に検討するべきと考えますが、ご見解を伺います。

○近藤小笠原・国境離島担当部長 小笠原航空路は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、住民の安心・安全を守るという観点で、実現可能な航空路案が取りまとめられるよう検討してございます。

○田の上委員 世界自然遺産登録をされている小笠原諸島においては、航空路について、これまでも何度も計画が頓挫し、課題が解決できないままであります。例えば航空路を短くする、また、垂直に離着陸できる航空機を活用するなどの調査をしているものというふうに思いますが、ぜひ安心・安全のために、航空路開設を引き続き進めていただきたいと要望いたします。
 また、これまで私が消防庁でも質問をしてきましたが、ティルトローター式の飛行機もそうなんですが、飛行距離の問題等で消防庁のヘリでは対応できず、総務局が海上自衛隊などに依頼をして、小笠原からの救急搬送をしているという現状があります。
 ヘリコプターの拠点を、例えば消防庁と共に検討し、都が責任を持って救える命を救う救急搬送システムを構築していただけるよう要望をしておきます。
 次に、コンプライアンスについてです。
 コンプライアンスの推進事務につきましては三千百九十一万一千円の予算、不用額八百六十九万二百六十円と、執行率が七二・八%となっていますが、この原因について伺います。

○貫井理事 今回の不用額は、契約差金や実績減等により生じたものでございます。

○田の上委員 契約差金や実績減等だということでございます。
 コンプライアンスの推進事務予算は三千百九十一万一千円と大変少ない印象です。コンプライアンスは民間でもかなり重要視されている中、充実したコンプライアンスの推進のために、十分な予算なのかと懸念をするものです。
 今回の不用額については、先ほどおっしゃったとおりではございますが、透明性を確保し、必要な経費を確保、執行していただきたいと要望いたします。
 そして、二〇二三年度には、都庁の幹部職員のセクハラが発覚し、懇親会の場でのセクハラだけについて懲戒処分が行われました。私たちミライ会議は、ほかにもセクハラ等の例がないかとさらなる調査を求めております。
 都庁のトップレベルの幹部に対するコンプライアンスの研修、服務監察はどうなっているのか伺います。

○貫井理事 法令遵守は公務員に当然求められるものでございまして、全職員を対象として毎年研修を実施してございます。
 また、東京都コンプライアンス推進委員会において、委員長である副知事から委員に対し、高い規範意識の下に行動するよう求めております。
 知事部局等の職員の服務監察につきましては、東京都服務監察規程に基づき適切に行ってございます。

○田の上委員 研修につきましては、幹部も含めて毎年開催をしている。つまり、一年に一回実施をされているということであります。
 しかしながら、研修を受けているはずの幹部のセクハラが発覚したわけですから、今後、その研修の内容や回数など、適正なのかどうか再点検する必要があるというふうに申し上げます。
 都庁のトップレベルの幹部によるハラスメントへの厳正な対処をすることができなければ、被害者に対する報復人事などの不利益を秘密裏に行う危惧を払拭できませんが、セクハラやパワハラの被害者を守るために、どのようなコンプライアンスの確保対策を講じているのか伺います。

○田中労務担当部長 ハラスメントの防止に関する要綱におきまして、局長等の責務として、相談者が職場において不利益を受けることがないよう配慮しなければならないことを定めております。
 また、対応マニュアルにおいて、加害者とされる職員に対して、相談者への報復の禁止を伝えることとしております。

○田の上委員 被害者が自ら申し出ることがなかなかできないのは、心身ともに傷ついているということや、不利益を被る懸念があるからです。担当部署が、加害者目線ではなく被害者目線でしっかりと対処していただくことを要望いたします。
 都庁のトップレベルの幹部によるハラスメントによる加害者の被害者への謝罪、被害者へのケアはどのように行われているのか。また、コンプライアンスの研修で、それらの対処についても明らかにしているのか伺います。

○田中労務担当部長 ハラスメントの防止対策としまして、全庁及び各局窓口などの相談体制を整備しております。
 対応マニュアルにおいて、当事者間の関係改善や当事者の心理面のケアの方法等を示しておりまして、当事者の立場に立った適切な対応に取り組んでおります。
 また、これまでも研修等におきまして、対応マニュアルを活用して意識啓発を行っております。

○田の上委員 対応マニュアルにおいて、当事者間の関係改善や心理面のケアの方法等を示し、当事者の立場に立った適切な対応を実施しているということであります。
 この場合、当事者とは、加害者、被害者双方という意味だと思いますが、立場を含め、圧倒的に被害者が不利であるということを認識して対処していくべきだと申し上げます。
 都庁やその他の自治体でも、職員の退職などが散見されます。先ほどの資料でもありましたが、病気休暇の方、精神的なことが原因で病気の方というのもたくさんいらっしゃいます。気づきと対応が重要であります。
 危機管理というのは総点検から始まります。ハラスメントの訴えがあった場合には、その案件のみならず、調査も含めて行うべきと改めて強く要望をいたします。
 次に、情報公開です。
 情報公開事務につきましては、一億三千六百十六万七千円の予算、支出額一億一千二百四十八万三千九百六十四円、不用額二千三百六十八万三千三十六円と、執行率が八二・六%となっています。
 令和四年度の東京都に対する情報公開請求の件数及び請求から回答までの期間について実績を伺います。あわせて、過去三年分の件数を伺います。また、不服審査請求件数、訴訟となった件数についても伺います。

○内山都政情報担当部長 情報公開における開示決定等の件数は、令和四年度は七千四百八十二件、令和三年度は八千八百七十九件、令和二年度は八千四百七十九件、令和元年度は一万五十六件でございます。
 また、開示決定等は、東京都情報公開条例第十二条第一項に基づき、開示請求があった日から十四日以内にすることとなっており、同条第二項以降で、やむを得ない理由がある場合や開示請求の公文書が著しく大量である場合などには、期間の延長を認めております。
 令和四年度における情報公開請求に係る審査請求の件数は八十二件、情報公開請求に係る訴訟の件数は三件でございます。

○田の上委員 令和元年度は一万五十六件であったものが年々減少し、令和四年度は七千四百八十二件とのことです。開示までの期間は、条例上十四日以内となっていますが、延長もあるということであります。
 請求の案件の複雑さや量によっても時間がかかるということは理解ができますが、条例で基本とされている期間からは程遠いケースも聞いております。情報公開は即時性も非常に重要ですので、改善を求めるものです。かかった期間については、各局の集計をすることも改善につながるものと考えますので、意見として申し上げます。
 知事の下で統一的な行政が行われることになっている地方自治体行政においては、情報公開の事務の基準や対応が各部局において異なることはないと考えますが、その統一性の維持を確保するための担保措置について伺います。

○内山都政情報担当部長 東京都情報公開条例に基づき実施する情報公開事務については、担当者会議や研修を通じて、ルール等を各局に周知徹底しております。
 また、開示請求に対して決定を行う際には、各局が情報公開課に協議を行うなど、統一的に処理しております。

○田の上委員 情報公開課と各局が協議を行うということなのですが、どのような場合に協議を行うのか伺います。

○内山都政情報担当部長 各局等が情報公開課へ協議を行うのは、開示請求に係る公文書の全部または一部を開示しない決定をする場合でございます。

○田の上委員 協議を行うのは、たとえ一部であっても開示しない場合ということであります。
 情報公開については、都民の知る権利のみならず、行財政が適正に執行されているかを確認するために最も重要なものです。
 各局の情報公開の状況は、私たちには残念ながら後退している印象ですが、都は情報公開が都政改革にとって重要だと認識されているのか伺います。

○内山都政情報担当部長 都はこれまで、公文書開示における原則開示の徹底や、公文書情報公開システムの開始、ホームページを通じた情報提供の大幅な拡大、開示手数料の見直しなどを実施してまいりました。
 引き続き、情報公開の取組を進めてまいります。

○田の上委員 情報公開というのは民主主義の基本であります。公開、すなわち開示が基本です。黒塗り、白塗りばかりといわれないように、引き続き速やかに、かつ原則開示を徹底して情報公開を進めていただくことを求めて、私の質問を終わります。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 まず最初に、個人情報保護について伺います。
 昨年十二月の第四回定例会で個人情報保護条例が改正されました。国は、二〇二一年制定した個人情報保護法に基づき、自治体に対して、全国一律ルールの法施行のための条例を制定するよう求めました。それを受けて都は、これまでの条例を廃止し、法の施行条例としたものです。
 二〇二二年度は、個人情報保護法施行に向けて準備が進んでいました。条例づくりをはじめ、各局への情報周知など、どのように準備をしてきたのか伺います。

○内山都政情報担当部長 個人情報の保護に関する法律施行条例案の作成に当たりましては、東京都情報公開・個人情報保護審議会に設置した専門部会においてご議論をいただいております。
 個人情報保護法及び法律施行条例に関する各局等への情報周知につきましては、事務処理のための職員向けガイド等を作成するとともに、法施行後の実務上の留意事項を情報提供するほか、各局等の担当者に対して説明会を開催するなど、新制度への移行が円滑に進むよう準備を進めてまいりました。

○岩永委員 都が保有する個人情報を新たに取り扱う場合には、これまでは審議会の議論を経た上で取り扱っていました。
 二二年度の実績について伺います。また、新条例施行の今年四月以降の取扱いに変更があるのか伺います。

○内山都政情報担当部長 保有個人情報取扱事務を開始する場合には、東京都情報公開・個人情報保護審議会へ報告をすることとしておりまして、令和四年度は百七件を報告しております。
 なお、本年四月以降につきましても、引き続き報告を行っております。

○岩永委員 個人情報保護の仕組みは、情報公開とともに、法整備をなかなか進めようとしなかった国に頼らず、自治体が住民の利益を最優先にしてつくり上げてきたものです。東京都は、一九九〇年に条例を制定し、その後、改正を重ねて、保護規定を強化、運用してきました。
 国が改正した個人情報保護法は、デジタル関連一括法の一部であり、デジタル化を進めて個人情報を官民で利活用しようとしています。オンライン手続がどんどん増え、個人情報がやり取りされるため、漏えいなどトラブルが心配されますが、国は、自治体が条例をつくる際に、独自部分を条例に盛り込まないよう事細かに規定を示しました。都はそれを受けて、法律の施行条例としたものです。
 先ほどの答弁では、条例変更によって実質的な違いはないということでした。しかし、最近も個人情報をめぐる事故や犯罪が報道されています。審議会での議論など、しっかりと保護に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、情報公開について質問をいたします。
 先ほどもありましたが、情報公開請求制度の運用状況は、毎年報告が出されておりまして、開示の決定数ですが、二〇一八年度から順に見てみますと、七千六百十一件、一九年度は六千四十六件、二〇年度四千四百九十一件、二一年度が四千九百六十九件で、昨年度、二〇二二年度は三千七百七十件となっております。
 二二年度の開示決定数が減っておりますけれども、その原因をどのように捉えているのか伺います。

○内山都政情報担当部長 ただいま委員からご紹介ありました数字は、開示決定のところの数字で、開示請求全体の件数ではないものをご紹介いただいたかと思います。
 いずれにいたしましても、公文書情報提供サービスや公文書情報公開システムといった開示請求によらない積極的な情報提供を進めておりまして、そのことが開示決定件数の減少の一因であると考えております。

○岩永委員 公文書情報提供サービスなどの開示請求によらない情報提供が原因ということです。
 開示をされた文書について、それでは伺います。市民からは、今でも黒塗りのノリ弁開示と指摘を受けています。一部開示をされたといっても、一ページ全て真っ黒で、内容が全く分からないものも多いのが現状です。
 なるべく多くを開示していただきたいと考えますが、実際の取組を伺います。

○内山都政情報担当部長 公文書開示における原則開示の徹底や公文書情報公開システムの活用、ホームページを通じた情報提供の拡大などの取組を行っております。

○岩永委員 情報公開の重要性は誰もが認めることで、いうまでもありませんが、納得できない黒塗りに怒る市民からの声を聞いております。
 原則開示の徹底という答弁で、なるべく開示情報を広げるよう努力はしているようですが、例えば道路など公共事業の計画に関する情報など、条例にも書かれている透明な都政の推進と都民による都政の参加のため、さらなる開示を広げるよう進めていただきたいと思います。
 次に、職場のハラスメント防止対策について伺います。
 二〇二〇年より、改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法により、大企業において、そして二〇二二年からは中小企業も含めて、事業主に対して、パワーハラスメントをはじめとするハラスメントの防止措置を講じることが位置づけられました。都も事業者として取組が義務づけられています。
 そこで、職場のハラスメントに対する相談体制について伺います。

○田中労務担当部長 都では、職場のハラスメントに関する全庁及び各局窓口を設置するとともに、外部弁護士による相談窓口や東京都人材支援事業団の相談室など、複数の窓口を設けておりまして、職員が万が一ハラスメントを受けた場合にも、安心して相談できる体制を整備しております。

○岩永委員 昨年、相談してもハラスメントと認められなかったという相談を複数受けました。相談内容の厳守と相談に伴う不利益はないとされていますが、実際にはそうではない事例などもお聞きしているところです。民間であれば大変な問題ですし、二次被害にもつながる深刻な問題です。
 そこで、昨年度の相談件数について伺います。

○田中労務担当部長 昨年度、全庁及び各局窓口、外部弁護士による相談窓口等におきまして、知事部局等、公営企業、教育庁、合計で三百七十二件の相談を受け付けました。

○岩永委員 昨年度一年間で三百七十二件ということです。実際には、相談まではできないとちゅうちょしているけれども、ハラスメントに苦しんでいるという人はもっと多くいると思います。また、この件数の中にはハラスメントと認められなかったものも含まれております。
 そこで、相談がハラスメントと認定されない場合の要件と、その場合にどのような対応がされるのか伺います。

○田中労務担当部長 相談者の相手方の言動がハラスメントに該当するか否かについては、ハラスメントの防止に関する要綱等に定める各種ハラスメントの定義を踏まえまして、各局において調査、事実認定を行い、状況に応じて弁護士等の第三者の意見を求めながら判断しております。
 事実認定が不可能な場合や、ハラスメントがなかったと認定した場合には、当事者の双方に丁寧に説明することとしております。

○岩永委員 勇気を出して相談したけれどハラスメントとは認定されない場合は、相談者をさらに苦しめてしまうなど二次被害にもつながりかねませんし、実際にそのような事例もお聞きをしております。
 相談後もフォローするなどの体制が必要ですが、相談後に相談者を守る取組は行われているのか伺います。

○田中労務担当部長 ハラスメントの防止に関する要綱等におきまして、局長等の責務として、当該職員が職場において不利益を受けることがないよう配慮しなければならないことや、相談員に対しては、職員のプライバシーに十分配慮し、知り得た秘密は厳守しなければならないこと等を定めております。

○岩永委員 秘密厳守は徹底いただきたいと思います。特に、非正規職員の場合は不利益を受けやすいことから、相談しづらい状況にもあると思いますし、部局内でしっかり対応いただきたいと思います。
 ハラスメント実態を庁内全体で共有し、把握すべきです。
 セクハラ、パワハラ、マタハラに加えて、SOGIハラも含めたハラスメントに関する庁内アンケートの実施が有効ですが、アンケートの実施状況と、その結果を踏まえた令和四年度のハラスメント防止策の取組を伺います。

○田中労務担当部長 都では、ハラスメントに関しまして全職員を対象としたアンケートを定期的に実施しております。直近では令和三年度に、職場におけるハラスメントの実態等について、セクハラ、パワハラ、マタハラ、SOGIハラ等に項目を分けて調査を行いました。
 アンケートの調査結果では、ハラスメントの啓発活動等について一定の評価がある一方、今後も継続的に取組を進めてもらいたいとの意見が寄せられたことを踏まえまして、令和四年度は、ハラスメントに関する職員向けリーフレットの作成、更新、理解度チェックリストによる自己点検を行うとともに、相談員向けのマニュアル改定や説明会等を実施しました。

○岩永委員 ハラスメント加害者は、自覚がなかったとか、そんなつもりはなかったというように、加害者の意識や、また認識がないことが多いということも、この問題の難しさであります。
 また、年代的には、特に中高年の年齢層がハラスメントに対して無頓着になりやすい傾向にあるなど、世代間の意識の差があることも指摘をされております。
 しかし、実際は認定が難しく、表に出にくく、苦しんでいる職員も多くいると感じています。改めて、自分には関係ない、自分は大丈夫ということではなく、全員が加害者になり得ると自覚する必要があります。
 また、定期的なアンケート調査は五年に一度ということでした。丁寧に職員の状況を確認するためにも、アンケートの頻度を多くしていただき、できれば毎年、少なくとも二年に一度は実施をすることを要望します。あわせて、日頃から風通しのよい職場づくり、人間関係づくりに努めていただくことを求めます。
 次に、性暴力被害者支援について伺います。
 犯罪被害者支援の取組として、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業についてです。
 コロナ禍のステイホームで、性暴力被害が増え、相談件数が急激に増えるなどの状況がありました。性暴力は身近な人から受けることが多く、加害者の七割から八割が顔見知りとの調査結果もあります。
 また、いい出せるまでに三十年、四十年など長い時間がかかったり、フラッシュバックなど心身ともに受けるダメージも大きく長期化するなど、その後の人生にも大きく関わる大変深刻な問題です。昨今、ジャニーズの性被害問題が明るみに出て大きな問題となっています。
 性犯罪、性暴力の低年齢化が大きな社会問題にもなっております。特に、子供の性被害は家庭内で起こっていることも多いために、見えづらく、表面化するのは氷山の一角ともいわれています。
 さらに、家族や親族、学校や塾の講師など、知っている大人からの被害であれば、子供が相談をちゅうちょすることは当然ですし、性被害を受けているという認識がなければ、相談をすることすら思いつかないこともあると思います。
 そこで、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの二〇二二年度の相談件数を伺います。また、被害状況についてもお聞きしたいと思います。

○住野人権部長 東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの令和四年度の電話と、それから面接を合わせました相談実績でございますけれども、五千六百四十三件となってございます。

○岩永委員 過去の実績も含めて推移を見てみますと、二〇一八年度三千八百二十件、一九年度が四千百二十三件、二〇年度五千五百八十一件、二一年度が五千四百三十七件ということで、今ご答弁いただいた昨年度五千六百四十三件と、ここ数年間、本当に右肩上がりに相談件数は増えている状況です。
 第四期東京都犯罪被害者等支援計画では、連携する産婦人科の協力医療機関を二〇一九年度の六十五か所から百三十か所に広げていくという目標が掲げられております。二〇二二年度の実績を伺います。

○住野人権部長 令和四年度末時点の産婦人科の協力医療機関数でございますけれども、百三十三か所となってございます。

○岩永委員 昨年度末で百三十三の産婦人科との連携ということです。
 いざというときに身近なところに駆け込めるという点で、地域の連携機関が広がることは大変重要なことだと思いますので、今後も連携をして進めていただきたいと思います。
 性暴力被害を受けた人が、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターに相談をした場合に、具体的にどのような支援の流れになるのか伺います。

○住野人権部長 東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターでは、二十四時間三百六十五日電話相談を受け付けてございます。電話で相談の内容を聞き取った後、被害者の方の状況に応じ、産婦人科等の医療機関や警察への付添いを行ってございます。
 精神的ケアが必要な被害者の方には、ワンストップ支援センターにおいて、医師による医療相談や臨床心理士等によるカウンセリングを行っております。

○岩永委員 ワンストップ支援センターに相談した後は、様々な支援につながっていきますが、被害を受けた際に、まず被害者がどこに相談したらよいか分からないと相談することもできないということも多いと思います。内閣府の調査によりますと、被害に遭っても半数以上は、どこにも、誰にも相談していないという状況もあります。
 二〇二二年度東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターの相談窓口の周知はどのように行っているのか伺います。

○住野人権部長 ホームページでの周知に加えまして、相談窓口を紹介するリーフレットやカードを学校、医療機関、区市町村の窓口等の関係機関へ配布したほか、SNS広告等により周知をいたしました。

○岩永委員 ワンストップ支援センターへの相談者の年齢について、被害時の年齢の約半数を十代以下が占めており、そのうち中学生以下が三割に上るというような内閣府の調査結果もあります。
 学校とも連携をして相談窓口の周知を行っているということですが、とても大事な取組ですし、また、性教育とともに進めることが必要です。相談や被害実態を教育委員会とも共有し、防止策についても連携して行っていただきたいと思います。
 また、昨年、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律、通称では困難女性支援法とか女性支援新法とも呼ばれておりますが、都も来年四月までに支援計画を策定することになっています。
 性犯罪、性暴力被害者支援についても、計画の中に位置づけて、連携体制の中で進めていくことが必要ですので、福祉局とも連携して取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。

○かつまた委員 初めに、私からは総合防災訓練についてお伺いをいたします。
 世界的に大規模な地震が頻発化しており、つい先日もアフガニスタンでマグニチュード六・三の地震が発生をしております。世界有数の大都市である東京でも、首都直下型地震はいつ起こってもおかしくなく、こうした地震に備えるためには、地域の防災意識を高め、減災対策の取組を着実に進めていくことが最も重要となります。
 その取組の一つとして、都は毎年度、区市町村と合同で総合防災訓練を実施しております。そこで、その訓練について何点かお伺いをいたします。
 まず、今年の東村山市、前回の品川区など、総合防災訓練は、区市町村とどのような形で開催、連携を決めているのかお伺いをいたします。

○保家総合防災部長 総合防災訓練は、区部と多摩地域で交互に実施しており、過去の実施状況や地域の実情などを勘案し、自治体と協議の上、選定しております。

○かつまた委員 区市町村とも協議しながら開催しているとのことでありますが、島しょ部を除く五十三区市町村にとっては、何十年に一度しか都との合同訓練の機会がないともいえます。
 合同実施の機会を捉え、区市町村の防災力向上につながるよう取り組むことが求められており、実災害時に区市町村が果たすべき役割を実行できる訓練としていくことが大変重要になるというふうに考えております。
 そこで、震災が発生した際の区市町村との役割分担はどのようになっているのかお伺いをいたします。

○保家総合防災部長 大規模災害等が発生した際には、区市町村は、第一次的防災機関として、被害情報の収集や避難指示及び誘導、避難所の開設、運営など、各自治体における災害応急対策の実施に努めます。
 また、都は、区市町村からの被害情報に基づき、関係機関と連携して救出救助活動を行うほか、自衛隊への災害派遣要請を行うなど、広域的な災害対策を実施いたします。
 総合防災訓練においても、これらの役割分担を踏まえた実践的な訓練を実施しております。

○かつまた委員 合同防災訓練は、実災害時のそれぞれの役割に応じて実施していることがよく分かりました。
 行政や防災機関との連携による訓練は、災害対応能力の向上を図る上で大変重要である一方、都民が防災を我が事として捉え、防災意識を高めていただく機会としていくことも、大変大きな目的であるというふうに考えます。
 そこで、総合防災訓練などの機会を含め、備蓄や家具転倒防止の重要性など、都民が防災を我が事として考えられるよう、令和四年度に都はどのように取り組んだのかお伺いをいたします。

○保家総合防災部長 令和四年度の総合防災訓練では、災害対策車両への試乗体験など、小さな子供を持つファミリー層に働きかけるとともに、VR動画を活用した災害模擬体験を実施するなど、多くの方々に防災を身近に感じていただける取組を行いました。
 あわせて、消防などの防災機関と連携した救出救助訓練や避難所運営訓練に地元の町会、自治会等に参加していただくなど、住民参加型の訓練を実施いたしました。
 また、防災ブックや防災アプリなど多様な媒体を活用し、日常備蓄等の備えや発災直後に取るべき行動、住民同士の助け合いの重要性など、都民一人一人に自助、共助の取組を浸透させてまいりました。

○かつまた委員 多くの方々に防災を身近に感じていただくということでご答弁いただきましたけど、先ほどもいいましたが、我が事として、都民の皆さんが防災を身近に感じていただくことが大変重要であるというふうに私は考えます。
 東京は、多くの都民が生活をし、一たび災害が発生すると甚大な被害をもたらすことになります。災害への備えは、やり過ぎということはありません。引き続き、公助はもとより、都民の自助、共助などの防災意識の醸成に向け、区市町村などとしっかりと連携した総合防災訓練を実施していくことで、東京都全体の防災力向上が図られるよう期待をさせていただきます。
 次に、先ほども他の委員からも質問がありましたけれども、帰宅困難者対策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災の際に、ある鉄道事業者がシャッターを閉めて駅構内から利用客を締め出したため、駅前に多くの帰宅困難者が滞留したということがありました。このときの鉄道事業者の対応は、当時、多くの人から非難されました。あれから十年以上経過をいたしましたが、またあのような大規模地震が発生し、鉄道事業者が同じ対応を取らないか危惧されるところでございます。
 そこで、鉄道事業者の利用者保護について、令和四年度の都の取組をお伺いいたします。

○西山防災対策担当部長 都は、東京都帰宅困難者対策条例において、鉄道事業者等に対し、大規模地震などの発生時には、施設内で発生した滞留者への施設内での待機の案内、安全な場所への誘導などの利用者保護に努めるよう求めております。
 また、都と国、鉄道事業者、経済団体などが連携し、利用者の誘導や備蓄の推進、訓練の実施などを盛り込んだガイドラインを作成するとともに、それに沿った対応を講じるよう啓発を行っております。
 令和四年度は、本年二月に王子駅前で北区と都の合同の訓練を実施し、鉄道事業者に加え、民間事業者などで構成する駅前滞留者対策協議会と連携し、駅の利用者を一時滞在施設に誘導するなど、発災時の滞留者への対応力の向上を図ってございます。

○かつまた委員 今後も、鉄道事業者の皆さんとしっかりと連携をお願いしたいと思います。
 次に、災害協定についてお伺いをいたします。
 帰宅困難者対策では、鉄道事業者等と連携をした取組を行っていると今伺いました。帰宅困難者対策に限らず、大規模災害時は、被災された都民に向け、応急復旧に関わる多岐にわたる業務が発生をいたします。行政だけでは対応するのが難しい面もあるというふうに考えます。
 そこで、災害時の対策において、様々なノウハウを有する民間事業者の協力を得ることが大変重要であるというふうに考えます。
 都はこれまで、民間との連携にどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○八嶋防災計画担当部長 大規模災害時において、道路上の障害物の除去、救援物資の調達や輸送、仮設住宅の建設などの応急復旧対応を迅速かつ的確に行うためには、各種団体等民間の専門性やノウハウを活用することが不可欠でございます。
 このため、都は、ライフラインの復旧、救出救助、医療福祉、物資調達、輸送などの様々な分野におきまして、各種団体や企業等と協力協定を締結し、平常時から情報交換や訓練を行ってございます。
 令和四年度末時点で四百九十七の協力協定を締結しており、今後とも、協定事業者と緊密に連携を図り、発災時の災害対応力を強化してまいります。

○かつまた委員 ぜひ、各種団体、また企業と災害防災協定とか結ばれていると思うんですけれども、平時からしっかりと連携を取る体制を行っていただきたいと思います。
 有事に備え、引き続き連携に取り組んでいただきたいことを要望し、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会といたします。
   午後四時七分散会

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