令和四年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和五年十月二十五日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長入江のぶこ君
副委員長星  大輔君
副委員長伊藤こういち君
清水とし子君
玉川ひでとし君
龍円あいり君
アオヤギ有希子君
浜中のりかた君
阿部祐美子君
菅原 直志君

欠席委員 なし

出席説明員
保健医療局局長雲田 孝司君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
総務部長船尾  誠君
企画部長DX推進担当部長兼務村本 一博君
保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務小竹 桃子君
医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務遠藤 善也君
都立病院支援部長齋藤 善照君
健康安全部長藤井麻里子君
感染症対策部長加藤 みほ君
政策推進担当部長宮澤 一穂君
健康危機管理統括調整担当部長感染症対策総合調整担当部長兼務高畠 信次君
地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務大出  仁君
医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務岩井 志奈君
感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長
健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
感染症対策調整担当部長内藤 典子君
感染症対策調整担当部長松谷いづみ君
感染症対策調整担当部長高橋 葉夏君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
保健医療局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和四年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算(質疑)

○入江委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、保健医療局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより保健医療局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 谷田次長は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、保健医療局所管分、令和四年度東京都国民健康保険事業会計決算及び令和四年度東京都地方独立行政法人東京都立病院機構貸付等事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○船尾総務部長 去る十月十一日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただき、裏面の目次をご覧ください。当分科会で要求がございました資料は、十七項目となってございます。
 それでは、一枚おめくりいただきまして、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移でございます。
 福祉保健費の予算現額、決算額、一般会計に占める割合などについて、(1)に、旧病院経営本部分を除く旧福祉保健局所管分といたしまして、平成三十年度から令和四年度までの推移を記載してございます。また、(2)に、旧病院経営本部所管分といたしまして、平成三十年度から令和三年度までの推移を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、旧福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)でございます。
 一般会計のうち、表側の予算区分ごとに、予算現額及び決算額の推移を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、令和四年度における医療保健政策区市町村包括補助事業の補助額でございます。
 区市町村ごとの令和四年度の補助額の実績を記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金並びに歳計剰余金のうち過年度調整(給付金の過多)の総額、一人当たりに換算した額及び財政安定化基金の取崩しの総額でございます。
 (1)に、令和三年度及び令和四年度における東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金額を、(2)に、令和三年度における歳計剰余金のうち過年度調整(給付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額を、(3)に、令和四年度における財政安定化基金の取崩しの総額と、そのうち特例事業の決算額をそれぞれ記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における経営指標の推移でございます。
 各病院における診療収益などの経営指標を、入院、外来別に平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 八ページをお開き願います。6、一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金の推移並びに、運営費交付金とその施設整備関連経費でございます。
 (1)に、一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金と、そのうち施設整備関連経費を令和元年度から令和四年度まで、(2)に、運営費交付金と、そのうち施設整備関連経費の令和四年度決算額をそれぞれ記載してございます。
 九ページをご覧ください。7、一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金の推移並びに、運営費交付金の決算額(施設整備関連経費以外)でございます。
 施設関連経費以外の経費につきまして、(1)に、一般会計繰入金、運営費補助金及び運営費負担金の令和元年度から令和四年度までの決算額を、一枚おめくりいただきまして、(2)に、運営費交付金の令和四年度決算額をそれぞれ記載してございます。
 一一ページをご覧ください。8、都立・公社病院及び都立病院機構における医師、看護要員、医療技術員等の定数及び現員の内訳の推移でございます。
 定数及び現員の推移を、フルタイム、フルタイム以外などの区分別に平成三十年度から令和四年度まで、それぞれ記載してございます。
 一四ページをお開き願います。9、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における医師(診療科別)及び看護要員(病院別)の定数及び現員の内訳の推移でございます。
 (1)、医師につきまして、一四ページから二一ページにかけて、令和二年度から令和四年度までの各病院における人数の推移を、(2)、看護要員につきまして、二二ページから二七ページにかけて、平成三十年度から令和四年度までの各病院における人数の推移をそれぞれ記載してございます。
 二八ページをお開き願います。10、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における看護要員の中途退職者数の推移でございます。
 看護要員の各年度四月一日から三月三十日までの中途退職者数、三月三十一日の中途退職者数及びその合計の推移につきまして、平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 二九ページをご覧ください。11、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における分娩件数の推移及び周産期医療受入件数の推移でございます。
 (1)に分娩件数を、(2)に周産期医療受入れ件数を、病院別に令和二年度から令和四年度まで、それぞれ記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。12、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における薬剤師の定数及び現員の推移(病院別)でございます。
 各病院における定数及び現員の推移を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 三一ページをご覧ください。13、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における個室使用料の収益の推移でございます。
 各病院における個室使用料の収益を平成三十年度から令和四年度まで記載してございます。
 三二ページをお開き願います。14、東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
 各年度六月一日現在の障害者雇用率の推移を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 三三ページをご覧ください。15、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における新型コロナウイルス感染患者専用病床の確保数と新規患者受入数の推移(月別)でございます。
 (1)に、各病院における令和四年度の新型コロナウイルス感染患者専用病床の確保数を、一枚おめくりいただきまして、(2)に、各病院における令和四年度の新規患者受入れ数を、それぞれ月別に記載してございます。
 三五ページをご覧ください。16、都立・公社病院及び都立病院機構の病院における新型コロナウイルス感染症対応のために購入した医療機器等及び施設整備の実績でございます。
 (1)に、令和四年度に購入した医療機器等の名称及び数量を、(2)に、令和四年度に実施した施設整備のための工事名を、それぞれ該当する病院別に記載してございます。
 三六ページをお開き願います。17、都立・公社病院及び都立病院機構における時間外労働が月八十時間を超えた医師・看護要員の人数及び時間外労働の最大時間数(月別)でございます。
 令和四年度の時間外労働が月八十時間を超えた医師、看護要員の人数及び月八十時間を超えた場合の時間外労働の最大時間数について、月別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、当分科会で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○入江委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、まず質問させていただきたいと思います。
 まず、新型コロナウイルス感染症について何点か聞いていきたいと思います。
 令和二年一月に都内初の感染者を確認し、未知のウイルスとの闘いが始まりました。緊急事態宣言による休業要請や小中学校等の休校、外出自粛など、社会経済の抑制が余儀なくされました。
 かなりこれはもう本当に、今まで近代の日本が経験したことのないぐらい大変な事態であったんですけれども、そうした中で、令和三年、感染拡大予防の重要な鍵を握るワクチン接種が始まりました。
 東京都では、接種体制の広域的な整備、円滑な接種実施に向けて、市区町村、東京都医師会等の関係団体によるワクチンチームを立ち上げ、緊密に情報共有、意見交換を行い、住民接種を推進するとともに、東京都自らも大規模接種会場を設置し、接種を推進してきたわけであります。
 そこで、改めて、都の大規模接種会場に関してお伺いをいたします。
 新型コロナウイルスのワクチンは、都民の安心・安全を守る観点で重要な役割を果たしてきたと考えますが、東京都は、新型コロナワクチンの接種を促進するために、接種が開始された初期から大規模接種会場を設置してきましたが、その意義についてお伺いをしたいと思います。

○高橋感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種は、感染拡大を防止するための有効な手段であり、パンデミック下においては、迅速かつ多くの方に接種いただくことが重要でございます。
 そのため、都では、令和三年六月に開設した築地ワクチン接種センターでのエッセンシャルワーカー向けの接種を皮切りに、都内大学や多摩地域に接種会場を設置するなど、接種対象者や会場を順次拡大し、ワクチン接種を促進してきました。
 また、重症化リスクが高く、移動が困難な高齢者施設等の利用者への接種を促進するため、ワクチンバスの派遣も実施し、高齢者施設や障害者施設の利用者に加えて、西多摩地域などの小児、乳幼児に対して接種機会を提供することで、より多くの方が接種できるように取り組んでまいりました。

○浜中委員 今、答弁にもあったとおり、パンデミック下における大規模接種会場の役割は非常に大きいというふうに認識をしております。また、重症化リスクの高い高齢者等にワクチンバスを派遣するなど、東京都独自の取組も重要であったなというふうに思います。
 次に、これまでの取組状況や都の大規模接種会場の設置実績についてお伺いをいたします。

○高橋感染症対策調整担当部長 都はこれまで、都内各所に延べ三十四か所の大規模接種会場を設置するとともに、区市町村や企業と連携し、駅近などの利便性の高い場所に十九か所の臨時接種会場を設けてきました。
 また、予約なし接種や、移動が困難な方向けに、車両に乗車したまま接種可能なドライブスルー接種も実施してきました。
 こうした様々な取組により、令和三年六月から本年九月末までに約百九十四万回、そのうち令和四年度は約五十九万回接種してきました。
 現在は、区市町村の接種体制を補完するため、区市町村での実施の少ないノババックスワクチンの接種や、初回接種、小児、乳幼児接種も含め、秋開始接種を都庁北展望室等で実施しております。
 引き続き、接種を希望する方が円滑に接種できるように取り組んでまいります。

○浜中委員 東京都では、大規模接種会場では、早期接種による感染拡大防止のほか、各市区町村で対応が難しい方に対しても接種機会を提供するなど、市区町村の接種体制を補完する役割を果たしてきたんだなというふうに思います。
 また、予約不要や駅に近い場所に接種会場を設けるなど、多くの都民が接種しやすいように創意工夫を重ね、ワクチン接種を推進してきたというわけであります。
 この三年余りの新型コロナウイルス感染症で培ったワクチン接種のノウハウを、次のパンデミックが、これはもう起こらないにこしたことはないんですけど、もし万々が一、次のパンデミックが発生した際に、確実に引き継いでいただくように要望いたします。
 続きまして、外来診療体制の確保についてであります。
 令和四年一月から始まりました新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大局面、いわゆる第六波では、それまでの感染の波に比べて感染者数が激増しました。
 これ以降、新型コロナが疑われる患者を診察する診療・検査医療機関を確保することがより重要になったと考えますが、令和四年度の診療・検査医療機関の登録状況と、登録を増やすための都の取組及びその実績について教えてください。

○松谷感染症対策調整担当部長 都内の診療・検査医療機関の登録数は、令和四年一月七日時点で四千七十か所でございましたが、この間も感染者が増加し続けていたことから、関係機関の協力の下、発熱患者等の診察を行う医療機関に対しまして登録の呼びかけを行ってまいりました。
 令和四年度は、さらに登録を増やすための取組といたしまして、診療所が発熱患者等の診察を行う際に必要となるパーティションや空気清浄機等の設備に対する補助事業を新たに開始し、五百六十五の診療所に対し、合計約四億四千三百万円の補助を行いました。
 また、診療所等の検査体制の充実を図るため、PCR検査機器等の整備補助事業の対象に診療所等を加え、八百五十一の医療機関に対し、合計約二十八億九千四百万円の補助を行いました。
 こうした取組の結果、令和四年度末の登録数は八百九十五か所増加し、四千九百六十五か所となってございます。

○浜中委員 診療・検査医療機関は、五類移行後、名称が外来対応医療機関と変更され、現在も新型コロナが疑われる患者を診察しております。
 東京都は、より多くの地域の医療機関で新型コロナに対応できるように、補助事業等を継続して、外来対応医療機関の登録数は、十月二十日現在で五千七百四十医療機関と聞いております。
 来年の四月からは、これが通常の医療提供体制への完全移行に向けて、幅広い医療機関で対応が行われ、発熱患者等が地域において安心して受診できるよう、引き続き、医師会等関係機関とも連携し、着実に平常化に向けて取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、コロナ禍での高齢者施設での療養体制の確保支援についてであります。
 新型コロナ対策では、重症化リスクの高い方への対策が重要であります。
 都は、高齢者、障害者の入所施設における感染対策を支援するために、令和四年度から、専用相談窓口を設置するとともに、感染者発生時には、施設へ駆けつけて助言を行う即応支援チームの派遣をスタートさせました。
 これらの取組については、令和四年度の実績を教えていただいて、あわせて、即応支援チームは現地でどのような助言を行ったのかということを教えてください。

○松谷感染症対策調整担当部長 都は、高齢者及び障害者の入所施設における感染対策を支援するため、令和四年四月から、専用の相談窓口を開設するとともに、感染者発生時には、依頼を受けてから二十四時間以内に現地を訪問し、感染拡大防止対策を助言する即応支援チームの派遣を開始いたしました。
 専用相談窓口では、感染者発生の有無にかかわらず、施設からの相談を幅広く受け付け、令和四年度は二千二百八件の相談に対応いたしました。そのうち高齢者施設からの相談は千九百三十三件でございました。
 また、即応支援チームにつきましては、延べ六百七十九施設に派遣し、そのうち高齢者施設への派遣は六百六施設でございました。
 派遣先の各施設におきましては、手洗いや手指消毒、個人防護具の取扱いなどの基本的な感染対策のほか、ゾーニングの徹底による感染拡大防止対策など、実践的な助言を行っております。

○浜中委員 三百六十五日の体制で幅広く相談に応じて、感染者発生時には二十四時間以内に支援チームを派遣したことで、高齢者をはじめとするハイリスク層がしっかり守られてきたものと考えます。
 今後は、いつ起きるか分からない感染症危機に備えて、平時から、高齢者施設等においても、感染対策のノウハウを取得し、実践しておくことが重要であります。
 こうしたことから、コロナ終息後においても、施設における感染対策を都が支援する仕組みを継続することを要望いたします。今、インフルエンザなんかもすごいはやっていますけれども、いろんなことに応用できると思いますので、感染症対策というのは、せっかくノウハウがあるので、ぜひ生かしていただきたいというふうに思います。
 また、次の感染危機が実際に発生した際には、施設に対して実地で支援する仕組みを速やかに立ち上げることも重要であります。今回の経験を踏まえて、現在策定している感染症予防計画に反映していくことを要望いたします。
 コロナ、最後に、後遺症についてであります。
 令和五年九月に、厚生労働省の研究班は、成人の新型コロナの感染症の一割から二割に後遺症があったとの研究報告を公表いたしました。
 後遺症は、原因や治療法が確立されていない状況であり、後遺症に悩まされている方も多いと考えられます。
 そこで、令和四年度には、後遺症に悩む方への取組としてどのようなことを行ったのかということをお伺いいたします。

○内藤感染症対策調整担当部長 新型コロナの後遺症は、年齢や基礎疾患の有無などにかかわらず、感染した全ての方に起こる可能性があることから、後遺症に悩む方への支援が重要でございます。
 都は令和四年九月に、都民の理解促進に向け、最新情報を追加して後遺症リーフレットの改定を行いまして、ホームページに掲載するなど広く周知を図りました。
 加えて、同じく九月に、都内の後遺症に対応する医療機関について、地域や症状で検索できるマップとリストの公表を開始し、令和四年度末の対応医療機関数は四百九十五機関でございました。
 また、都立病院では、令和三年三月以降、八病院でコロナ後遺症相談窓口を設置しまして、令和四年度は七千五百九十六件の相談に対応いたしました。

○浜中委員 この夏も新型コロナの感染者数は増加しており、後遺症に悩まれる方も一定数いられるのかと思います。今後も引き続き、都民の方への支援等、後遺症対策を充実していくことを要望いたします。
 今、何点かコロナの質問をさせていただきましたが、大切なことは、この経験をどうこれから生かすかということだと思います。
 実際に、百年前にスペイン風邪がはやったときの資料、東京都とかは分からないんですけど、市区町村単位というか、まだ区はありませんから、市とか村の単位だと、もう百年前の資料ってあまりないんですよね。ただ、今、いろいろ技術も発達していますし、ここまで大規模な対応とかというのは、ノウハウもありますから、しっかりそれを引き継いで、危機が、パンデミックが来ないことを祈りつつも、今までこの数年間で得た知見というのを将来にしっかり生かしていただきたいなと思いまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、在宅医療体制についてお尋ねいたします。
 在宅医療、介護の連携推進については、平成二十六年の介護保険法改正により地域支援事業に位置づけられ、市区町村が主体となって取り組むこととされ、平成三十年四月には全区市町村が実施しております。
 市区町村の取組は、国の地域支援事業交付金により実施されているところでありますが、都は、市区町村を後押しすべく、国の交付金の対象とならない取組を区市町村在宅療養推進事業により支援をしております。
 決算説明書によれば、当該事業の令和四年度の執行率は七三・七%でありました。
 そこで、在宅医療、介護の連携推進に向けて、区市町村在宅療養推進事業による都の支援内容について教えてください。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、区市町村在宅療養推進事業により、在宅医療と介護の提供体制の充実に向けた先駆的な取組や、主治医、副主治医制等の切れ目のない在宅医療提供体制の構築、デジタル技術を活用した医療、介護関係者等への情報共有などに取り組む区市町村を支援しております。
 令和四年度の補助実績は三十五区市町村となってございます。

○浜中委員 在宅療養の推進に向けて、地域の実情に応じた都独自の市区町村支援が行われているということでありますが、自治体間の差が生じることなく、必要な在宅療養体制が整備されていることが重要であると考えます。
 東京都は昨年度、市区町村向けの手順書を作成していると思いますが、改めてその内容についてお伺いをいたします。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は昨年度、区市町村が地域の実情を踏まえ、効率的かつ一体的に在宅医療と介護の連携推進に向けた取組を進められるよう、手順書を作成し、全区市町村に配布いたしました。
 手順書には、区市町村が主体となり、地域の医療、介護従事者との議論の場を設定し、現状の分析、課題の検討などを踏まえながら、地域の目指すべき姿を明確にし、実現するまでのプロセスを記載してございます。
 また、好事例といたしまして、在宅医療の主治医と、それを補完し、休日や夜間に往診を行う医師との連携体制を構築する取組や、在宅療養患者が身近な地域で療養生活を継続できるよう、病状変化時等に病院救急車を活用して地域の医療機関へ搬送する取組等を盛り込み、横展開をしております。

○浜中委員 地域ごとの取組に差が生じないように、都が市区町村向けの手順書を作成し、各自治体と先進事例の共有を図っているということが理解できました。
 今後の高齢化の進展に伴い、在宅医療の需要が一層増加すると見込まれる中で、地域の在宅医療の現場では、一人で、日中の外来や訪問診療に加えて、夜間も患者からの電話相談や往診を担っている診療所も多く、二十四時間の診療体制の構築が依然として大きな課題であるということを聞いております。
 そこで、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けていけるよう、地域における二十四時間診療体制の構築に向けたさらなる取組が必要と考えますが、東京都の取組をお伺いいたします。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は今年度、地域における二十四時間診療体制の構築を促進するため、在宅医療の担い手である地区医師会と連携し、在宅医療推進強化事業を開始したところでございます。
 具体的には、夜間救急時対応を行う往診医療機関の活用や、在宅医療に取り組む地域のかかりつけ医による連携、夜間帯に患者からの求めに応じ医師や訪問看護師等の多職種との連携調整を担う窓口の設置のほか、デジタル技術を活用した在宅療養患者の継続的な健康観察などに取り組む地区医師会を支援することとしております。
 こうした取組を促進し、地域における在宅医療体制のさらなる充実を図ってまいります。

○浜中委員 在宅医療の、頑張っている地域もあろうかと思いますので、ぜひ後押しをお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。続きまして、都立病院についてお伺いをいたします。
 さきの第三回定例会では、都立病院の業務実績評価の報告を受けて、決算状況を確認いたしました。私も厚生委員会でございますので、その中でるる質疑はさせていただいたところでございます。
 その中で、四年度決算では、黒字決算で利益が生じているということでございますが、まず、この利益の会計上の取扱いについてお伺いをいたします。

○齋藤都立病院支援部長 地方独立行政法人は、毎事業年度、損益計算上の利益が生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、積立金として整理することとされております。
 都立病院機構の令和四年度決算では約七十七億円の利益があったことから、施設整備、医療機器の購入、人材育成の充実など、医療の質の向上に充てるための積立金として全額を積み立てております。

○浜中委員 ただいまの答弁で、余剰金が医療の質の向上等のために積み立てられているということを確認できました。
 令和四年度の決算は、コロナに積極的に対応した結果、コロナ補助金等があり黒字になっておりますが、今後は補助金の受入れには期待ができず、積立金の存在は重要であります。
 一方、私も医療関係者からお話を聞いておりますが、コロナ禍によって患者の受療動向が変わって、今後の経営は、都立病院に限らず、どこも厳しいとのことであります。
 そのような状況下でも、都民の期待に応えていくためには、この積立金も活用して必要な投資を行っていくべきであると考えますが、取組を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院が行政的医療の提供などの役割を将来にわたって果たし続けるためには、医療機器や人材確保等の充実に向けた投資が必要でございます。
 例えば、今年度は、各病院等の医療機能や地域の医療ニーズ、医療課題等を総合的に勘案し、四病院に手術支援ロボットを導入いたしました。
 今後とも、積立金も活用しながら財源を確保いたしまして、計画的かつ効率的な投資を進め、質の高い医療の提供に努めてまいります。

○浜中委員 都立病院は東京都の医療政策の要であり、都民の生命と健康を守るために、必要な投資も行いながら、医療の質の向上をしっかりと図っていくように要望をいたします。
 いずれにいたしましても、独法化をしたことによるメリットというのがあるかと思います。行政的医療も含めて、もちろん利益を追求してやる話ではないですから、病院でございますから、それは必要なものは都民のためにしっかりやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、そういったメリットなんかも生かしながら、とはいえ持続可能な経営をしていかないと、なかなか厳しいと思いますので、ぜひ積極的な投資も含めてこれからを期待したいと思い、次の質問に移ります。
 次に、自殺対策についてであります。
 自殺対策は、今までいろいろ取り上げさせていただいたんですけれども、その中でも検索連動型広告というのがございまして、これは、自社の提供するサービスに関連するキーワードを検索したユーザーに広告を表示することで、ニーズを持つ層に効果的にアプローチをするもので、多くの企業などが活用しております。
 皆様も、何かキーワードで検索したら、タンブラーとか調べたら、タンブラーの広告とかが上がってきたりとかすると思うんですけど、東京都は自殺対策でそれを使いまして、要は、死にたいとか何か出すと、いわゆる大丈夫ですかみたいな広告が上がるような形になっているんだと思うんですけれども、都では、この検索連動型広告を活用して、自殺リスクにつながる悩みに関するキーワードを検索した方に支援情報を届ける取組を行っており、令和四年度の第二回定例会で可決した補正予算により、自殺対策に資する検索連動型広告の効果的な運用に関する調査研究を行ったと認識しております。
 その結果、どのような結果が得られたのかということをまず教えてください。

○小竹保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務 都が昨年度に実施した調査研究では、自殺の危険因子となり得る悩みを持つ人を早期に相談支援窓口につなげるための検索連動型広告の効果的な運用方法を検討いたしました。
 調査研究では、DV、鬱、虐待、性的マイノリティーや、妊娠、出産に関する悩みを抱える方に対しては、検索連動型広告が相談先等の支援情報を届けることに関して有効との結果が得られました。
 また、表示する広告文に悩みを抱えている方の気持ちに共感する言葉を用いることで、広告をクリックする方の割合が高まることなども明らかとなりました。
 調査研究の結果は、報告書と広告運用の手引として取りまとめております。

○浜中委員 では、検索連動型広告の運用に関する調査研究で得られた結果をどのように活用しているのかということをお伺いいたします。

○小竹保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務 都は、調査研究の結果を検索連動型広告の運用に取り入れるとともに、区市町村や関係団体に活用いただけるよう、報告書等をホームページに掲載しております。
 都の検索連動型広告では、これまで支援情報を届ける対象としていなかった性的マイノリティーや、妊娠、出産に関する悩みを抱える方を新たに対象といたしました。
 また、広告文は、DV、鬱など、それぞれの悩みに応じた見出しとし、つらい気持ちなどへの共感の言葉を添えるなど、改善を図りました。
 引き続き、検索連動型広告の効果的な運用を図り、悩みを抱える方を早期に適切な相談支援窓口につなげる取組を進めてまいります。

○浜中委員 自殺対策は喫緊の課題であるかと思います。例えば、こういう検索連動型広告のような形で、この新しい取組、検索したら、思いとどまってくださいとか、ここに相談しましょうとかというのが出てくるというのは、非常にいいことであると思います。
 今いろいろ、インターネットとかそういうのも、いろいろ時代が変わってきたりとかするのもあるんですけど、やはりゲートキーパーなんかも含めて、困っている人に大丈夫ですかとかって声をかけたりとか、基本的なこととかというのも大切だと思いますので、引き続き、こういったことも生かしながら、自殺対策を進めていっていただきたいと。困っている人がいなくなることを願って、私の質問を終わりたいと思います。

○菅原委員 それでは、質疑を続けたいと思います。
 今、浜中委員が自殺の対策のことを取り上げていただきました。私も自殺対策から入りたいと思います。
 自殺対策については、私、発言の機会があるたびに取り上げてまいりました。
 コロナ禍では、残念ながら自殺者が増えて、特に女性や若者の自殺が増えてきました。自殺対策は生きる支援といわれますけれども、その生きるための施策を超えるような社会状況の悪化があったのではないかと思っております。
 今回はゲートキーパーについて伺います。
 ゲートキーパーとは、自殺の危機を示すサインに気づき、適切な対応を図ることができる人のことです。
 適切な対応というのは何かと。それは、悩んでいる人に気づき、声をかけて話を聞いて、そして、必要な支援につなげて見守ることなどといわれます。ゲートキーパーとは、いわば命の門番とも位置づけられる人のことで、一人でも多くの方にゲートキーパーとしての意識を持っていただいて、専門性の有無、あるなしにかかわらず、それぞれの立場でできることから進んで行動を起こしていくことが自殺対策につながるといわれます。
 このゲートキーパーという言葉は、概念は、我が国だけではなくて、海外でも自殺対策の分野で広く使われている用語、概念でございまして、WHO、世界保健機構をはじめ多くの国々で使用されて、その養成プログラムが実施されています。
 このゲートキーパーの役割などについて、都はどのように考えて施策展開をしているのか、令和四年度のゲートキーパーに関わる施策について伺います。

○小竹保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務 自殺の背景には様々な要因が複雑に絡み合っていることから、困難を抱える方の周囲の人々がゲートキーパーとして悩みに気づき、声をかけ、必要な支援につながることが重要でございます。
 このため、都は、ゲートキーパーの役割について、ホームページやSNSを活用して周知するとともに、昨年度は、九月の自殺対策強化月間に合わせて、電車やタクシー、理美容店等での動画放映や、若年層が多く利用する音楽配信サービスを通じた普及啓発等を実施いたしました。
 また、自殺ハイリスク者と接する医師や薬剤師、看護師等の医療従事者を対象に、心配な患者等への具体的なフォロー方法等に関するゲートキーパー養成研修を新たに実施し、百三十七名が受講いたしました。

○菅原委員 国の自殺総合対策大綱、これは令和四年の十月十四日に閣議決定されたものがございます。この中では、十三の当面の重点施策の中でゲートキーパーの養成を掲げております。
 例えば、かかりつけの医師をはじめ、教職員や保健師、看護師、ケアマネジャー、民生委員、児童委員や各種相談窓口の担当者など、関連するあらゆる分野の人材にゲートキーパーとなっていただけるよう、研修などを行うことが規定されています。
 ゲートキーパーは、専門性のあるなしにかかわらず、多くの方々が研修を受けていただくこと、これが重要です。
 都として、生きることに関わる人材確保の取組についてどのように進めていくのか伺います。

○小竹保健政策部長感染症保健政策担当部長兼務 都は、東京都自殺総合対策計画に基づき、区市町村職員や医療従事者向けの自殺未遂者支援研修などにより、自殺対策に関わる専門的な人材の資質向上等を図っております。
 また、区市町村等ではゲートキーパー養成研修を行っており、都は、研修教材の提供や交付金等により支援しております。
 昨年度は、四十五の自治体が、交付金を活用してゲートキーパー養成研修を実施しております。
 引き続き、悩みを抱える方を社会全体で支えるため、区市町村等の関係機関と連携して、自殺対策に関わる人材の養成や資質の向上に取り組んでまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 三十年以上前の話になりますが、当時二十四歳だった私は、あしなが育英会が主催する高校生向けの合宿に参加をいたしました。
 そのときに、自殺で親を失った高校生の話をじっくり聞く、こういう役割も担いました。高校生の中には、実は親が自殺したことを知らず、病死だと家庭の中で話をされていると、そんなケースもありました。それも含めて、親の死を語る高校生の話を聞くという役割でした。
 とにかく隣にいること、そして話を聞く、そして、目の前にいる高校生が求める場合を除いて助言は要らないということ、また、話を終えるタイミングも高校生自身が決めることなど、これらが基本のルールだったように思います。
 私自身もとても緊張して話を聞いた記憶があります。私が経験したのは、いわゆる傾聴であったのだと思います。
 ゲートキーパーは、話を聞く、傾聴だけではなくて、心配していることを伝えることや、地域の相談窓口へのつなぎ役も担います。そして、ゲートキーパー自身の健康管理、メンタルの管理も重要な取組となります。
 今回の質疑の中で、令和四年度には四十五の自治体がゲートキーパー養成講座を開いている、開催していることが報告されました。行政は人の死と向き合う場面の多い仕事です。医療関係者だけではなくて、多くの職員が最低限のゲートキーパーの研修を受けることを期待いたします。
 がん対策に移ります。
 がん対策についても、私が市議会議員時代からのテーマですので、様々な切り口で都の施策を伺ってまいりました。今回は、予防できるがんを切り口にして質疑をいたします。
 令和四年度のがん対策について、取組を強化した内容や、がん対策推進計画の改定の準備のため行った取組を伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 都は昨年度、高度ながん医療の提供と地域のがん医療水準の向上を図る拠点として、国のがん診療連携拠点病院と同等の診療機能を有する東京都がん診療連携拠点病院を新たに二病院指定し、医療提供体制の充実強化を図ってまいりました。
 また、がん患者の治療と仕事の両立を支援するため、企業向けサポートブックや職場研修用の映像教材などを作成するとともに、実際に治療と仕事を両立している患者の経験談や、企業の具体的な取組事例などを紹介するセミナーをオンラインで開催いたしました。
 東京都がん対策推進計画の改定に向けては、都民に対する意識調査、がん患者やその家族に対する調査、医療施設等に対する調査を行いました。

○菅原委員 ありがとうございます。
 遺伝性の乳がん卵巣がん症候群というのがありまして、これについて伺います。
 遺伝性乳がん卵巣がん症候群、HBOCといわれますが、これは、がん抑制遺伝子に生まれつきがんになりやすいという特徴を持っていることが原因で発症する遺伝性の腫瘍のことで、この特徴を病的バリアントというそうです。
 日本の乳がん患者の約四・二%、そして卵巣がん患者の一一%から一五%が、遺伝性腫瘍が原因とされています。
 遺伝子によるがんリスクの高い方の中には、あらかじめ検査や摘出手術を希望する方もいます。
 アメリカの俳優、アンジェリーナ・ジョリーさんは、母親、祖母、母方の姉妹などの血縁者の多くが乳がんや卵巣がんと診断されていたということから、彼女自身ががんの診断はされておりませんでしたが、検査を受けて、遺伝的にがんになりやすいHBOCを診断されたこと、そのことから、乳房と卵巣の摘出手術を受けたということです。このことは広く報道されましたので、ご存じの方もいらっしゃると思います。
 近年、遺伝子検査や乳房の予防的手術や再建手術、または卵巣や卵管の予防的摘出手術などが保険適用で受けられるようになりました。都内でもHBOCへの関心も高まっていると伺っています。
 保険適用になった遺伝性乳がん卵巣がん症候群またはがんの予防的切除について、都立病院での保険適用による検査や、がんの予防的切除に関する取組について伺います。あわせて、検査で陽性と判断された件数も伺います。お願いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、遺伝性乳がん卵巣がん症候群、いわゆるHBOCを診断するための遺伝子検査を八病院で行っておりまして、令和二年度は、検査四百六十三件のうち陽性が六十三件、令和三年度は、検査四百十一件のうち陽性が三十六件、令和四年度は、検査五百二十五件のうち陽性五十一件でございました。
 また、HBOCと診断された方のがんのない臓器を切除いたします手術につきましては、令和四年度は、リスク低減乳房切除術を駒込病院で十件、リスク低減卵管卵巣摘出術を駒込病院と多摩総合医療センターで十九件実施いたしました。

○菅原委員 ありがとうございます。
 日本では、乳がんと診断される患者は年々増えています。女性が罹患するがんの第一位となっているという報告があります。年間に四万人以上の女性が乳がんの診断を受けておりまして、そのうち五%が遺伝性だとすると二千人ぐらいと。卵巣がんの罹患者は毎年一万五千人くらいと聞いていますので、卵巣がんの場合、一〇%以上が遺伝性といわれますから、千五百人ぐらいが遺伝性と推定できると思います。
 HBOCの特徴は、がんと診断されていない方が予防的に医療行為をするということです。検査にかかる不安は大きいと思いますし、予防的な切除については人生の大きな判断となります。
 都立病院機構駒込病院では、HBOC外来を設けて、カウンセリングも含めた検査、そして手術などが受けられます。都民の関心や要望が高まってくると予想されますので、これらの体制の拡充の検討を要望いたします。また、現在構築しておりますがん対策推進計画、この第三次改定にも反映することを要望します。
 こうした遺伝性乳がん卵巣がん症候群のように、予防的な医療行為での対応が始まっている一方で、がんの予防や治療法について誤った情報が伝わらないこと、これも重要です。
 がんに関する正しい理解というのが必要なんですが、都の普及啓発の取組について伺います。

○岩井医療政策担当部長感染症医療政策担当部長兼務 患者及び家族並びに都民が正しいがんに対する情報を入手し、適切に医療機関の選択や療養上の悩みの解決ができるよう、がんに関する正しい知識の普及啓発が重要でございます。
 都は、東京都がんポータルサイトに、がんに関する様々な情報を集約し、一元的に発信するとともに、がん診療連携拠点病院等において、がんに関する公開講座などを実施しております。
 今後も引き続き、がんポータルサイトで、がんの予防や治療、療養に役立つ情報など、患者やその家族にとって必要とされる情報を分かりやすく提供するなど、がんに関する普及啓発の取組を進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 二人に一人はがんになる、そして三人に一人はがんで亡くなるという時代で、これは長くいわれていることです。がんと闘う、そしてがんに負けない社会、一緒につくりたいと思います。
 次は、コロナ禍での医療提供体制の確保について伺います。
 ちょっとあらかじめパネルも準備してまいりましたので、ご覧いただければと思います。——すみません、お待ちをいただきました。
 まずは、コロナ禍で注目された東京都独自の取組として、東京iCDCがあります。
 東京iCDCは、コロナ感染症を科学的または医学的な見地から分析をして、効果的な対策を練るための専門家集団と理解をしています。設立当初から期待が高かった組織ですが、運営する中で、よい意味で変化をし続けたと思っております。
 ちょっとパネルをご覧になっていただければと思います。(画像表示)例えば、東京都は、令和四年四月十四日には、基本的な感染防止対策の継続——ここですね——というパネルを示して都民への感染対策を呼びかけました。ウイルスの感染を一〇〇%防ぐのは不可能ということを明記しまして、それでも、ワクチン接種や基本的感染防止対策を継続することで感染リスクを下げることができるという呼びかけです。
 生活環境の中にはウイルスがたくさんあるけれども、三密の回避をする、またはマスクの着用をする、手洗いをする、または換気や環境衛生管理をする、このことで、私たちの生活のところにウイルスがだんだん減っていくということを明示したと、こういう分かりやすいパネルであったと思います。
 このパネルは、企業や団体または教育機関などでも活用できるというイメージを持っていたと思います。こういうパネルの作成にもiCDCの専門的な知見が生かされていました。重要な取組だったと思います。
 改めて、令和四年度のiCDCの取組と成果、今後の取組について伺います。

○内藤感染症対策調整担当部長 都は、令和二年十月一日に専門家のネットワークである東京iCDCを立ち上げ、感染症に関わる様々な領域において、調査分析や情報収集、発信などを行ってまいりました。
 令和四年度は、計三十二回開催したモニタリング会議等において、新たな変異株の発生や、夜間滞留人口と感染状況の推移などを報告し、都民に注意喚起をいたしました。
 また、新型コロナに対する都民意識アンケート調査を定期的に実施し、効果的な広報に向けて活用するとともに、換気の重要性やマスク着用の考え方などについて、都民へ分かりやすい周知を行いました。
 さらに、重症化リスクの高い方が集まる高齢者施設等を対象に、感染拡大防止に関するオンライン研修の実施や、換気のチェックリストを作成するなど、東京iCDCは、その時々の状況を踏まえ、専門家の視点から、政策の方向性や個別施策についての助言を行い、都の新型コロナウイルス対策全般の司令塔としての役割を果たしてまいりました。
 今後は、新型コロナに限らず、感染症全般を対象とし、平時からの対応力と有事への備えを強化してまいります。

○菅原委員 都民の命を守るのが医療の究極の役割と考えます。
 残念ながら失われた命もたくさんありますが、国内や世界のコロナ死者やコロナ関連死の状況を見ると、東京都は比較的死者が少ないという報告があります。
 このグラフをご覧ください。(画像表示)このグラフは、東京都の新型コロナウイルス感染症に係る東京都の取組として、令和五年六月二日の改訂版より抜粋をいたしました。
 人口百万人当たりの累計死亡者数、これがOECD三十八か国との比較で示されております。新型コロナというのは人が亡くなる病です。感染症の拡大を抑えて、たとえコロナに罹患しても、医療の力で命を救う取組が続けられました。それでも残念ながら救えない命もあるということです。
 このグラフからも分かるように、日本はかなり死亡者数を抑えました。このグラフの中の赤い部分、二番目ですね、ここが日本です。東京都がもっと少ないということでございます。東京都は、日本国内の平均よりもさらに人命を守ったということが分かります。
 一位のニュージーランドでは、感染者が一人見つかった時点で、もう、まち全体をロックダウンするということも行われましたし、教育、医療、介護分野の労働者などのほか、飲食店や美容院などの従業員へのワクチン接種、これは義務化いたしました。東京都は、ニュージーランドと比べても遜色のないレベルで都民の命を守り切ったといえるのではないかと思います。
 この要因としては、都民の理解や協力が得られたことが大きいと思います。緊急事態宣言を受けた休業要請またはテレワークの実践、ワクチン接種への理解、基本的感染症対策の実践など、全ての都民がそれぞれの立場で取組を実践していただいた、その成果だと思います。加えて、医療提供機関の皆様や行政職員の献身的な取組がありました。
 改めて伺います。コロナ禍では、専門家の分析や助言を踏まえて、都民の命を守るという観点から、コロナ禍における東京都の医療提供体制をどのように確保してきたのか伺います。

○加藤感染症対策部長 新型コロナへの対応に当たりましては、都は、都民の命と健康を守るため、東京iCDCや臨床現場の医療関係者等で構成する医療体制戦略ボードの協力を得ながら、保健、医療提供体制を東京モデルとして強化し、感染の波を乗り越えてまいりました。
 具体的には、流行する株の特性や感染状況、感染動向の見込みに関する専門家の意見を踏まえ、検査や自宅療養支援の体制、確保病床数などを先手先手で引き上げますとともに、患者の症状やリスク因子に応じた優先度に基づく入院調整を行いました。
 また、介護度が高い高齢者を受け入れる高齢者等医療支援型施設の設置や、地区医師会などと連携した高齢者施設への往診体制の整備など、重症化リスクが高い高齢者への対策を強化いたしました。
 さらに、新型コロナワクチンにつきましては、接種歴別の新規陽性者の発生割合や抗体保有調査の分析結果を踏まえ、都民に対しまして効果を分かりやすく発信いたしますことで、接種の促進を図ってまいりました。
 今後とも、専門家との強固な連携の下、科学的知見やエビデンスに基づき、感染症に強い都市東京を実現してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 人類の歴史というのは感染症との闘いの歴史といういい方もできます。グローバル化が進んで、地球規模での人の移動が加速化した現代社会では、感染症の広がりも速くて、パンデミックのリスクが高まっているのではないかと思います。
 今回の新型コロナも、まだ終息しているとはいえない状況ですし、十年周期といわれてきた新たな感染症の発生の周期も短くなる、その可能性があります。
 都は、感染症対策連携協議会を設置いたしました。新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえて、今後の新たな感染症の危機から都民の命、健康を守り、平時からの感染症の発生予防や蔓延防止のために組織された協議会と伺いました。
 今年度は、八月に協議会がスタートし、八月、九月、十月と予防計画協議部会が開催されています。この会議体の中で感染症予防計画の改定が議論されて、保健所体制の整備、人材育成、または総合調整などの話合いが進んでいるということです。
 保健医療局は感染症対策の最前線となります。新型コロナの経験を踏まえて、都民の命と健康を守る感染症対策を進めていただくことを要望して、質疑を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 新型コロナの感染法上の位置づけが行動制限のない五類に移行され、間もなく半年となりますけれども、改めて振り返ってみれば、二〇二〇年一月二十四日に都内で初めてコロナ感染者が発生して以来、都立病院も公社病院も、そして民間の病院も含めて、医療従事者の皆様が、三年余にわたり、コロナ患者の受入れ、そして治療、看護など、命がけで立ち向かい、子供から高齢者まで、都民、国民、外国人も含め、命を救うために懸命に取り組んでいただいたことに改めて感謝を申し上げたい、このように思います。また同時に、旧福祉保健局の皆様にも敬意と感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 私からは、まず、都立病院について伺ってまいりたいと思います。
 昨年の七月、まさにコロナ禍の中、都立病院が独法化をされました。独法化して一年が経過をし、さきの定例会では都立病院の業務実績評価の報告があり、令和四年度は、全体として年度計画を上回って実施しており、中期計画の達成に向け、優れた業務の進捗状況にあるということでありました。
 この結果は、それぞれの病院の努力、そしてまた、都としても、独法化直後の機構をしっかりと支援をしてきたからだというふうに思いますけれども、令和四年度に、都が都立病院機構に対してどのように支援をしてきたのか伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院の役割は、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療の提供などにより、都民の健康を守り、その増進に寄与することでございます。
 行政的医療は、採算の確保が困難であることから、将来にわたって都民に必要な医療を安定的、継続的に提供できるよう、都は、運営費負担金を確実に財源措置することとしております。
 令和四年度は、七月から五年三月までの九か月間を事業期間としておりまして、都は、運営費負担金三百六十四億六千三百万円を都立病院機構に交付し、支援をいたしました。

○伊藤委員 都立病院が行政的医療を提供する上で不可欠な運営費負担金が交付されたということを確認いたしました。
 独法化の際、都立病院は、独法化前と同様に行政的医療を提供していくと、私も厚生委員会で何度も確認をさせていただいてまいりましたけれども、令和四年度はどのように行政的医療の使命を果たしてきたのか伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、重症、中等症の患者など、新型コロナウイルス感染症患者を積極的に受け入れたほか、エムポックスや梅毒対応に貢献するなど、公衆衛生上の緊急事態におきまして、都の方針の下、求められる感染症医療を確実に提供いたしました。
 また、新型コロナウイルス感染症に対応しながらも、各病院が有する医療機能に応じて行政的医療を着実に提供しておりまして、例えば小児総合医療センターで、重症、重篤な患者を含め、令和三年度の約一・三倍に当たる救急車搬送患者四千四百八十九名を受け入れました。

○伊藤委員 今の答弁にも、小児総合医療センターは令和三年度に比べて一・三倍に当たる救急車搬送患者を約四千五百人受け入れてきたということでありました。
 この小児医療のほかにも、感染症医療、また精神科医療、こうした採算の確保が困難だけれども安定的に継続して提供しなければならない行政的医療の使命をしっかりと果たしてきたということを確認させていただきました。
 また、独法化の議論の際に、行政的医療の提供と併せて、地域医療への貢献も都立病院の重要な役割であると、これも厚生委員会の中で議論させていただいてまいりました。
 独法化によって、地域医療機関への技術支援などを通じて、地域との関わりが深まるとのことでありましたけれども、この取組状況について伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、地域における医療機関の推進を目的として、民間医療機関等に人材を派遣するほか、地域の医療従事者を受け入れ、実践的な研修を実施することとしてございます。
 令和四年度には、例えば大塚病院で、在宅療養支援診療所の依頼に基づきまして、看護師の継続的な派遣を開始し、医師の訪問診療への同行や外来業務等に従事をいたしました。
 また、多摩北部医療センターや豊島病院では、保健所や医療機関等の依頼により、新型コロナのクラスターが発生した施設等に対し、感染管理に関する指導助言を行うなど、地域における院内感染対策の向上に寄与いたしました。
 そのほか、地域の医療機関等を対象とした研修会や出前講座の開催による地域医療を支える人材の育成支援や、訪問介護、同行支援などによる技術支援を実施しておりまして、地域医療の充実に向けて取り組んでまいります。

○伊藤委員 都立病院が有する知見を生かした医療従事者への技術支援について、地域医療の貢献を行ってきたという答弁でございました。
 あわせて、地域医療に貢献する都立病院として、都民への疾病予防等の普及啓発も重要だと考えますけれども、令和四年度の取組について伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、都民、患者やその家族、地域の方々を対象として、健康増進やフレイル予防、疾病予防に向けた普及啓発を推進しておりまして、医療の現状や治療法、予防に関する情報をホームページや広報紙などを通じて発信するとともに、ウエブ会議ツールも活用しながら公開講座を開催いたしました。
 例えば、令和四年度、駒込病院では、小さな頃からがんに対する正しい知識を身につけ、予防に努めることが重要であることから、地域の教育委員会と連携いたしまして、小学生などを対象としたがん教育を十九回実施いたしました。
 また、松沢病院では、精神疾患への理解促進に向けまして、広報紙やホームページを通じて、精神疾患を有する方のがん治療や松沢病院での緩和ケアの取組などの情報を発信しております。

○伊藤委員 独法化となって地域医療への貢献ということで、医療従事者への貢献、そしてまた都民への貢献、こうしたことを果たしてきたということを確認することができました。
 独法化直後には、新型コロナの第七波がありまして、都立病院は、行政的医療の代表例である感染症医療として、独法化前と同様にコロナにしっかり対応してきたというふうに認識をしております。
 そこで、令和四年度にコロナ患者をどの程度受け入れたのか、令和二年度以降の比較も含めて伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院は、新型コロナウイルス感染症の発生当初から最優先で取り組み、コロナ患者を積極的に受け入れてまいりました。
 令和二年度は、延べ九万五千七十三人の入院患者を受け入れ、感染状況に合わせて病床を拡大いたしまして、民間医療機関では対応が困難な患者などに積極的に対応いたしました。
 また、令和三年度には、延べ十九万七百二十人の入院患者を受け入れ、第五波のデルタ株による感染拡大の際には、ECMOや人工呼吸器、ネーザルハイフロー等の高度な治療が必要となる重症患者を多く受け入れるなど、ウイルス株の特性を踏まえながら対応いたしました。
 令和四年度には、延べ十二万六千八百四十人の入院患者を受け入れ、オミクロン株による感染拡大の中で、救急医療など、通常医療との両立を図りながら、重症、中等症患者、コロナが軽症でも基礎疾患のある方、認知症など介護度の高い方など、看護、介護にマンパワーを要する患者に積極的に対応いたしました。

○伊藤委員 都立病院でどのぐらいのコロナ患者を受け入れてきたのかということを伺いましたけれども、令和二年度は九万五千七十三人、令和三年度は十九万七百二十人、令和四年度は十二万六千八百四十人と、合計すると延べ四十一万二千六百三十三人と、大変な数の患者を受入れしてくださったんだなということを改めて感謝申し上げたいと思います。
 これまで、都立病院で非常に多くの患者を受け入れてきたということを確認いたしました。また、都立病院は、妊婦や透析患者、精神患者など、民間の医療機関では対応が困難なコロナ患者も積極的に受け入れていただいてまいりました。
 そこで、令和四年度は、そうした患者をどのように受け入れたのか、具体的に伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院は、各病院の有する機能や役割に応じて、妊婦、小児、透析患者、精神疾患のある患者など、特別な配慮を要するコロナ患者を積極的に受け入れてまいりました。
 具体的には、周産期医療を担う大塚、多摩総合、豊島、荏原病院等で、臨月の患者を受け入れ、感染対策を講じた上で緊急分娩等を実施するなど、妊婦のコロナ患者に対応いたしました。
 また、小児総合医療センターをはじめ、小児科のある病院で小児のコロナ患者を受け入れまして、感染管理を徹底しながら、家族との面会や保育士による遊びの提供を行うなど、子供の成長、発達を踏まえた療養環境の構築に取り組みました。
 さらに、腎医療を担う大久保病院では、コロナ患者用の透析ベッドを確保するだけでなく、症状が重い患者につきましては病室でも透析を実施し、多くの透析患者に対応したほか、広尾、墨東、駒込等の各病院でも透析患者を積極的に受け入れました。
 精神科医療を担う松沢病院では、民間精神科病院でクラスターが発生した際に、率先してそうした患者さんを受け入れることに対応するとともに、身体合併症のコロナ患者につきましても受け入れまして、病状を踏まえながら適切に治療を行いました。

○伊藤委員 ありがとうございます。
 今の答弁の中で、特に私は、小児総合病院において小児のコロナ患者を受け入れた際に、家族との面会や保育士によって遊びの提供をしたという答弁でありましたけれども、都立病院ならではというか、ハートのある、こうした対応をしていただいたということでございました。改めてこの部分にも感謝を申し上げたい、このように思います。
 各病院の有する機能や役割に応じて、民間医療機関では対応が困難な患者を受け入れていただいたということを確認いたしました。
 次に、島しょ地域におけるコロナ患者の受入れについて伺いたいと思います。
 島しょでは、感染症に対応できる病床数に限りがありまして、コロナ対応においても、島しょ医療を担う都立病院を非常に頼りにしておりました。
 そこで、都立病院が、令和四年度までに島しょ地域のコロナ患者の受入れにどのように対応してきたのか伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 島しょ地域においてコロナ患者が発生し、島しょの医療機関で対応できない場合には、都が受入れ病院を調整した上で、東京消防庁のヘリコプター等で救急搬送を行いました。
 令和四年度までに九十七人が救急搬送されておりまして、そのうち九十四人を広尾、駒込病院などの都立病院で受け入れました。
 受入れに当たりましては、一刻も早い治療を要する患者について、広尾病院の屋上ヘリポートで直接受け入れるとともに、知的障害者の患者につきましては、神経科と連携しながら必要な治療を行うなど、ニーズに合わせながら適切に対応し、島しょ医療を担う役割を着実に果たしました。

○伊藤委員 島しょ地域のコロナ患者についても、本当に的確に受入れをしていただいたということでありました。島の医療資源というのはもう本当に限られておりますので、この都立病院の存在がどれほど役に立ったか、このように私も思う次第でございます。
 都立病院が独法化した令和四年度も、しっかりコロナ対応に取り組んでいただいたということを確認することができました。
 一方、コロナの感染拡大期には、通常医療の患者の受入れを制限しなければならず、経営にも大きな影響があったというふうに思います。
 そこで、令和四年度に都立病院で受け入れた入院患者、外来患者の数について、コロナ前と比較して、独法化後の令和四年度決算の状況について伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院全体の入院患者数は、令和四年度は、延べ百五十五万二千六百十人で、令和元年度の百九十三万一千四百二十七人と比較いたしますと、約三十八万人の減となっております。
 また、外来患者数は、令和四年度は、延べ二百三十七万四千六百七十五人で、令和元年度の二百七十二万八千七百三十人と比較すると、約三十五万人の減となっております。
 患者数の減は、新型コロナの影響があったものと認識してございます。
 一方、都立病院機構の令和四年度決算は、令和四年七月から五年三月までの九か月間の実績で、収入は一千九百七十八億八千五百万円、支出は一千九百一億五千七百万円で、収入から支出を差し引いた純利益は七十七億二千九百万円の黒字となってございます。
 これは、新型コロナ対応に伴う患者数の減少で医業収益が影響を受けたものの、コロナ病床の確保によりまして、コロナ関係の補助金など二百三十六億一千八百万円が交付されたことが主な要因でございます。

○伊藤委員 入院患者数は減じたものの、決算は黒字であったということで、黒字決算ではあるものの、コロナ補助金によるものであって、今後は自律的な経営改善を進めることが重要であるというふうに考えます。
 そこで、令和四年度の収入確保や適切な支出の徹底に向けた具体的な取組を伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、令和四年度診療報酬改定を踏まえまして、感染対策向上加算や看護補助体制充実加算を取得するなど、収入の確保に努めてまいりました。
 また、確実な収納や患者の利便性向上の取組の一環といたしまして、当日の会計が不要で、後日に診療費の支払いが可能となる後払いサービスを一つの病院に導入をいたしました。
 さらに、適切な支出の徹底に向けまして、医薬品や検査試薬、事務用品について、スケールメリットを発揮できるよう、本部で一括して契約する共同購入を開始いたしました。
 さらに、国立大学病院及び地域医療機能推進機構の病院と連携をしまして、全百十一病院での診療材料の共同調達に取り組むことを令和五年三月に合意をいたしました。

○伊藤委員 ぜひとも今後も自律的な経営改善、これをしっかりと進めていただきたいというふうに思います。
 これまで、独法化への議論の中で、独法化をすれば、機材や医療人材などを、柔軟な契約や、あるいはまた迅速な調達ができるというふうに議論をしてきたと思います。
 この点について、具体的にどのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、多様な契約手法を柔軟に活用して費用節減に取り組んでおりまして、例えば、長期継続契約について医事業務などに拡大をしたほか、入札後に価格交渉を行う交渉権入札を実施いたしまして、計七十九件で一千七百万円を削減いたしました。
 また、令和四年冬に、新型コロナとインフルエンザの流行が懸念され、都立病院で発熱外来の体制を強化した際には、豊島病院で、契約手続開始から約一か月で、敷地内に約百七十八平方メートルのプレハブを設置したほか、多摩北部医療センターでは、契約手続開始から約一週間で三台のトレーラーハウスを導入いたしまして、診療に必要な施設を迅速に設置いたしました。
 さらに、各病院で迅速にこの発熱外来を立ち上げる際に、体制強化に必要な職員につきまして、外部の人材派遣会社を活用し雇用するなど、機動的な人材確保に取り組みました。

○伊藤委員 いずれにしても、機材、あるいはまた医療人材等々、柔軟に、また迅速に手を打つことができるという体制となったということでございました。
 独法化後、柔軟な契約や、あるいは迅速な調達の例を今確認させていただきましたけれども、外部人材だけではなくて、都立病院の職員自体の確保についても、独法化のメリット、これを活用できたのではないかというふうに思います。
 都立病院での令和四年度の独法化後の人材の確保の状況について伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院の令和四年七月から令和五年三月までの採用者数は、医師が百十六名、看護要員が百五名、コメディカルが四十七名、事務が十三名で、前年度同期の採用者数と比較いたしまして、医師四十五名、看護要員六十四名、コメディカル二十八名、事務一名が増加いたしました。
 また、令和五年四月一日付の採用者数は、医師が二百二十九名、看護要員が五百七十四名、コメディカルが九十九名、事務が三十九名で、令和四年四月一日の採用者数と比較いたしまして、医師四十五名、看護要員五十六名、コメディカルが四十九名、事務が十八名増加しておりまして、令和五年七月一日の現員数は、独法化した令和四年七月一日と比べ、医師、看護要員、コメディカル、事務等のいずれも上回ってございます。

○伊藤委員 今回の質疑では、都立病院での運営状況や行政的医療の提供、とりわけ新型コロナ対応を中心に確認をさせていただきました。
 この間、医療従事者が歯を食いしばって新型コロナに対応をしてくださいました。一方、当初、コロナ対応に従事した職員への危険手当は、特殊勤務手当とかといったと思いますけれども、この危険手当については低廉でありまして、都議会公明党が緊急申入れを知事に行う中で、増額や支給対象の拡大が行われた経緯があります。やはり頑張った人はきちんと評価をされ、適切な処遇を受けるべきだというふうに思います。
 独法化した都立病院では、そうした取組を自律的に実施できると思いますけれども、令和四年度の具体的な取組について伺いたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院機構では、職員が能力を最大限に発揮し、組織が活性化するような人事給与制度を構築しております。
 職員の専門的知識、能力や業績をきめ細かく評価に反映するため、例えば看護師は、患者、家族等の要望に合ったケアの適切な実践など、いわゆる看護の実践力を評価項目とするほか、現場での成果をより評価しやすい看護師長を一次評定者とするなど、医療現場に即した人事考課制度としております。
 また、看護要員やコメディカルについて、対象の資格を活用して、業務に従事する職員に対する資格手当の支給を開始したほか、看護師等が夜勤を行う際に支給する手当を回数に応じた支給に見直すなど、勤務実績等が処遇に反映される給与制度となってございます。

○伊藤委員 都立病院が独法化をされる中において、こうした人事についても、先ほど申し上げたとおり、頑張った人がきちんと評価をされる、処遇をされる、こうした病院にますます発展をしていっていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
 次に、コロナの後遺症について伺いたいと思います。
 二〇二〇年の一月から、コロナ患者が増加すると同時に、後遺症を訴える人が増えていきました。都議会公明党は、こうした方々から直接声を聞いてくる中で、当初は、倦怠感などの症状が続く、このつらさを、家族や、周囲の人や、会社の人や、学校の先生や、こうした方々に加えて病院の先生までも理解をしてもらえないと悩み苦しんでおられました。
 そこで、都議会公明党は、新型コロナの後遺症は、原因や治療方法が明確になっていないことから、後遺症の症状や特徴を医療関係者に周知していくべきと都の対応を求めまして、後遺症の症例の分析と周知、また、医療従事者や社会保険労務士などへの研修会の開催を求めてまいりましたけれども、令和四年度のこの研修会の実施状況について伺いたいと思います。

○内藤感染症対策調整担当部長 コロナの後遺症は、感染した全ての方に起こる可能性があり、診断や治療等の知見を集積し、的確に情報を発信していくことが重要でございます。
 令和四年度は、東京iCDCの専門家の協力を得て、都立病院の後遺症相談窓口の相談内容や、外来を受診した方のうちオミクロン株の症例データの分析を行いました。
 結果は、モニタリング会議やホームページで公表するとともに、都内の約一万か所以上の病院や診療所に情報提供を行いました。
 医療従事者に対する研修会については、七月と十一月に、後遺症の最新の知見や後遺症治療の実際等を内容としてオンラインで開催し、七月には九百七十六名、十一月には八百六十六名の医師、薬剤師、社会保険労務士、保健所関係者等が聴講されました。

○伊藤委員 コロナ後遺症の症状や特徴など、医療従事者等への情報提供について伺いましたけれども、後遺症に悩む都民が後遺症に対応している医療機関につながって受診できることも重要でありまして、都議会公明党は、後遺症に対応できる医療機関の拡充と周知を求めてまいりました。
 こうした都議会公明党の要請に応え、都は令和四年九月に、地域や症状で検索できるマップとリストの公表を開始いたしました。地域別に診療科がすぐ探せるマップとリストでありますけれども、これを活用された方は、これは助かったと、でも字が小さいという声もありましたけれども、本当に助かったということでありました。患者が適切に医療機関につながるように取り組んでいただきました。
 このことを含めて、都は、後遺症対応医療機関の増加に向けどのように取組を行ったのか、あわせて、現状についても伺いたいと思います。

○内藤感染症対策調整担当部長 後遺症に悩む都民が、症状に応じて身近な場所で医療機関を受診できるようにすることは重要でございます。
 都は令和四年九月に、都内の後遺症に対応する医療機関について、地域や症状で検索できるマップとリストの公表を開始し、開始当初の医療機関数は四百二機関でございました。
 後遺症対応医療機関の増加に向けましては、医療従事者等を対象としたオンライン研修会の際に、医療機関の登録について周知を行いまして、令和四年度末時点で四百九十五機関となり、令和五年九月末時点では五百五十九機関となっております。
 今後も、後遺症対応医療機関の増加に向けまして取組を継続してまいります。

○伊藤委員 ちょうど今朝のNHKの番組で、このコロナ後遺症のことが取り上げられておりました。後遺症の患者がいまだ増加しているというふうに聞いております。また、長期化している人もたくさんいらっしゃいます。引き続き、後遺症患者への支援をぜひ続けていただきたい、このように思います。
 次に、次なる感染症への備えについて伺ってまいりたいと思います。
 都は昨年度、希望に満ちた未来の東京を次世代に引き継ぐための「未来の東京」戦略と、百年先も安心の東京を目指してTOKYO強靱化プロジェクトを策定、公表いたしました。その中には、いつ襲ってくるか分からない次なる感染症への備えも重要な柱にしております。
 そこで、最後に伺いますけれども、都は、これまでの三年余にわたる新型コロナ対策の教訓を新たな感染症発生時の備えにどのように生かしていくのか伺いたいと思います。

○加藤感染症対策部長 新型コロナウイルス感染症への対応におきましては、平時から保健所設置区市などの関係機関との連携を密にいたしまして、広域的に対応していくことの必要性が明らかとなりました。
 そのため、都は、保健所、フォローアップセンター、うちさぽ東京による重症化リスクに応じた健康観察や、広域的な入院調整の実施、高齢者施設への医療支援チームによる往診など、関係機関と協力いたしまして、重層的な取組を展開してまいりました。
 都は、こうした取組の成果を踏まえまして、改正感染症法に基づき、医師会や保健所設置区市等の関係機関で構成されます連携協議会におきまして、新たな感染症への対応策を協議し、感染症予防計画を改定してまいります。

○伊藤委員 本日は、都立病院機構になってのコロナの取組等々、また後遺症について、また、次なる感染症への備えについて、様々に伺ってまいりました。
 いずれにしても、保健医療局は、旧福祉保健局から分かれて、保健と医療の分野を担当していただくということでありますけれども、この首都東京の都民の命、そして生活を守るために、様々な多岐にわたる事業を抱えていらっしゃいます。
 どうか雲田局長を中心に、保健医療局、ますます活躍、そして発展されますこと、心から祈念いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○清水委員 質問に入ります前に、要求した資料の提出、ありがとうございました。
 それでは質問に入ります。
 新型コロナは、保健所の体制の脆弱さ、これを白日の下にさらしました。とりわけ多摩地域では、都保健所の統廃合とそれに伴う人員体制の縮小の影響が大きく、初期の感染拡大期には保健所がパンクして、行政は、市民の命を救う上で欠かせない患者の情報すら手に入らず、手を打てない、こういう事態が起きました。
 小池都知事は、保健所のあり方検討会を設置して今後の都保健所の在り方を検討すると表明し、昨年度、そのための調査や、あり方検討会の議論が行われてきました。
 今回の質問では、検討会や都の今後の方針を決める上で重要となるコロナ禍で起きた事態についての認識はどうだったのか、こういう点を中心に質疑をさせていただきます。
 最初に、コロナ感染拡大期に起きた、保健所の電話がつながらない、こういう問題についてです。
 市民は、相談、支援を受けられない状況に置かれましたが、電話がつながらないことによって、市民、患者はどのような事態になっていたのか。直接、市民や患者の声は聞いておられますでしょうか。答弁を求めます。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 新型コロナの感染拡大に伴い、相談対応や自宅療養者の健康観察など、保健所の感染症対応業務が増大した中でも、都は、都民や患者に対し必要な支援を行うため、発熱相談センターや自宅療養者フォローアップセンター、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京の設置など、相談支援体制の強化を図ってまいりました。

○清水委員 私は、どういう対応をしたのかということではなくて、直接、市民や患者、電話がつながらないときに、その向こう側にいた市民や患者の方々は、どういうふうな事態になっているのか、こういうことは直接聞いてみないと分からないわけですよね。そういう調査というのはされているんですかということをお伺いしたんですが、もう一度答弁をお願いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 様々な声があることは承知しておりますが、その中でも、都民や患者に対し必要な支援を行うため、発熱相談センターや自宅療養者フォローアップセンター、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京の設置など、相談支援体制の強化を図ってきたところでございます。

○清水委員 大変申し訳ありません。調査をしたのかということで、様々な意見は聞いているというお答えはあったんですが、それは調査をして得た結果なんでしょうか。それとも、寄せられた声がいろんな部署に届いているという、そういうことなんでしょうか。もう一度お願いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 我々としましては、例えば都民の声、窓口といったところも含めて、様々な声があることを承知しているということでございます。

○清水委員 様々な部署に声は届いているけれども、そうした市民、電話がつながらなかった市民や患者さんがどういうことになっていたのかという調査、まとめ、そういうものはないということだというふうに思います。
 保健所に電話をかけてきた方々の中には、本人やご家族に感染の疑いがある方、体調が悪化した方など、保健所の判断を仰ぎたい、こういう方々がたくさんおられたことと思います。そうした方々が、電話がつながらない、保健所の判断が仰げなかったことで、不安になったり、眠れなくなったり、精神疾患の症状が悪化したり、こういうことがなかったのか。
 保健所には電話はつながらなかったけれども、先ほどおっしゃったような発熱相談センターや自宅療養者フォローアップセンターにはつながっていたのか、それとも、どこにもつながらずに、命を落としたり症状が悪化して重症化した、こういう事例はなかったのか。
 コロナ禍で市民がどれだけ大変であったのか、このことをよく聞いて、しっかりと受け止めて、市民に心を寄せる、これは、これからの保健所の在り方を考えていく上で出発点だというふうに思うんです。絶対に欠かせない検証だというふうに思います。
 まだ調査はされていないということですから、今からでも市民の声をしっかりと聞いて、検証していくことを改めて求めます。
 次に、新型コロナウイルス感染症への都保健所の対応等に関する市町村アンケート、ここでは、電話がつながらないという状況についてどのような意見が出されておりますでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 市町村アンケートにおきましては、感染ピーク時には電話がつながりにくく、コンタクトが取りにくい状況であったという意見などをいただいてございます。

○清水委員 感染ピーク時には電話がつながりにくく、コンタクトが取りにくい状況であった、こういう意見が寄せられたということでした。
 このアンケートを見ますと、今おっしゃったことの前には何と書いてあるかというと、保健所の指導を仰ごうとしてもというふうに書いてあるんです。保健所の指導を仰ごうとしたんだけれども、電話がつながりにくく、コンタクトが取りにくかった、こういうことなんですね。
 ほかにも、市から保健所に電話がつながらない状態が続き、速やかな問題解決が困難であったとか、電話連絡が困難な時期でも、メールなどへの返答などにより、当日中に連絡をしてほしかった、つまり、当日連絡が来なかったということなんですね。
 そういう意見や、電話がつながらず、市が探知した患者情報を迅速に提供できない懸念があった、つまり、急いで提供しなければいけない患者の情報が提供できなかった事態も、そういう提供できない懸念があった、こういうことが、電話がつながらないということで起きていた。市の相談対応にも困難な状況を引き起こしていたということだと思います。
 都は、この電話がつながらないという状況についてどういう認識をお持ちでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 先ほどもご答弁したところでございますが、新型コロナの感染拡大に伴いまして、相談対応や自宅療養者の健康観察など、保健所の感染症対応業務が増大した中でも、そういった方々、都民や患者に対して必要な支援が届きますように、発熱相談センターや自宅療養者フォローアップセンター、自宅療養サポートセンター、うちさぽ東京の設置など、相談支援体制の強化を図ってきたところでございます。
 また、都保健所におきましても、携帯電話等によりまして保健所の架電回数を確保するとともに、患者への連絡対応にショートメッセージサービスを活用するなど、体制を整備してきたところでございます。

○清水委員 今、どういう対応をされたのかということがるるご説明がありました。
 私がお聞きしたのは、電話がつながらないということは、市民や市の相談対応に支障を来す事態であって、そうした事態は引き起こしてはならないものである、こういう認識が必要だと思うんですが、そういう認識を東京都はお持ちなのか、このことをお聞きしたいんですが、再度答弁をお願いできますでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 市町村との連絡に関しましては、携帯電話等を活用しまして、緊急時の業務連絡用の回線を確保しておりました。

○清水委員 なかなか話がかみ合わないんですが、やっぱりこれ大事なことだというふうに思うんです。電話がつながらないという事態はやっぱり引き起こしてはいけない。東京都もそういう認識は持っていたから、回線を増やして電話がつながるようにする、こういうふうになったんだというふうに理解をしたいと思います。
 次に、昨年度、小池都知事と市長との意見交換会が行われていますが、その中で、都保健所についてどのような意見が出されておりますでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 昨年度の知事と市町村長との意見交換におきましては、保健所の機能や体制、市町村との役割分担等について検証の上、見直しの検討を求める意見ですとか、有事の際の体制整備を平時から想定した保健所の体制強化を求める意見などをいただいてございます。

○清水委員 市長との意見交換では、かなり具体的にいろんな意見が出されています。ご紹介したいと思います。
 例えば日野市長は、保健所が設置されている自治体と、私どものようにされていない自治体では取組に大きな差が生じております、医療提供体制を含めた取組は、いかに地域に応じた動きを工夫できるかにかかっており、そうしたことが市民の命を守ることに直結いたします、緊急時に市民の命を守るために、保健所の機能や体制、市町村との役割分担等について検証の上、保健所の新設や職員増員も含めた抜本的な見直しをぜひご検討いただきますようお願いいたします、このように述べています。
 稲城の市長は、単に保健所を一緒に統合して数を減らすだけでなく、実際には再統合された中で、それぞれの保健所の人員体制も含めて随分大きく減じられてきてしまった、こういう趣旨を述べた上で、新規の感染症がパンデミックになると、非常に体制としては脆弱だと述べて、さらに、ぜひ再編統合の前の原状体制に戻していただきたい、こういうふうに要望しています。
 武蔵野市の市長は、二〇二一年の意見交換のときに、特に多摩府中保健所が管轄する六市の人口は百四万人と、都内の保健所では一番多く、自治体や住民の問合せ等にも対応できる人員体制とはいい難いのではないかなと考えています、また、感染症の情報等を整理、分析できる、そういった体制に現状ではなっていなかったのではないかなと感じておりますと述べて、昨年度も重ねて、現在ある東京都多摩府中保健所武蔵野三鷹地域センターを、感染症対策の機能を有する支所として拡充するとともに、児童相談所の機能を併せ持つ複合施設として整備する支所として拡充していただきたい、こう具体的に場所まで示して要望しています。
 自治体の市長の意見、これは大変重要だというふうに思いますが、都の認識をお伺いします。また、こうした市長らの意見は、検討会の議論や報告にどのように反映されたのでしょうか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所の在り方を検討するに当たりまして、市長会や町村会からご推薦いただいた多摩地域の都保健所管内の市の代表五名と、西多摩郡及び島しょ部の町村代表の二名、計七名に検討会の委員としてご参画いただき、ご意見をいただいているところでございます。
 また、加えまして、全市町村に対するアンケート調査を行いまして、その結果についても検討会で議論した上で、意見を取りまとめてございます。

○清水委員 都知事自らが市長を呼んで話を聞いておきながら、その意見が重要である、こういう認識も答えることはできないというのは、都としていかがかというふうに思います。市長にも失礼ではないでしょうか。
 市町村の代表が参加しているということですけれども、保健所の新設、増設を求める声が複数の市長から上がっていることは、検討会の議論の俎上には上っていません。保健所について、市全体を俯瞰した市長の意見は重要です。今後つくられていく都の方針に確実に反映していただくよう求めます。
 次に、保健所で働く保健師や事務職など、現場職員の労働の実態についてどのようにつかんでいるのか。また、都は感染拡大時に現場職員にかかる労働負荷についてどのような認識を持っているのか伺います。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所では、e庶務事務システムなどを活用するとともに、適宜、管理職との面談などを実施し、現場職員の労働実態を把握してございます。
 また、都は、都保健所への応援職員の配置や会計年度任用職員等の活用、業務の委託化などに取り組み、感染拡大に適切に対応してまいりました。
 なお、令和四年十二月の都保健所における一般職の現員数は四百七十九名でございますが、そのうち同月の超過勤務時間数が四十五時間以上の者は十一名でございますが、八十時間以上の者はおりませんでした。

○清水委員 今、令和四年十二月の都保健所の一般職員の現員数四百七十九人のうち、超過勤務時間数が四十五時間以上の者は十一名、八十時間以上はない、こういうご答弁がありましたが、これはいわゆる第八波のときのもので、そもそもこの時期だけを切り取ったデータでコロナ禍の現場の大変な実態が分かるのか、これが問題ではないかというふうに思います。
 二〇二〇年四月二十一日の新型コロナウイルス感染症対策補正予算等審査特別委員会で、小池都知事自身も、各保健所では、夜遅くまで業務に奔走するなど、多忙を極めた状況にあると認識をいたしております、これらのことはメディアなどでも報じられているところでございます、こういうふうに認識を示しています。
 先ほどの答弁では、都保健所への応援職員などの配置によって適切に対応されている、こういうことでしたが、保健所職員の実態調査として、東京自治労連が昨年行った第五波期間の保健所職員の実態調査というものがあります。これは、都保健所と特別区九区の保健所、保健センターで働く職員を対象とした調査です。
 報告書によると、全職種で長時間勤務が増加し、保健師、事務、衛生監視、そのいずれも百時間を超える超過勤務があったことが報告されています。常勤の保健師は長時間労働が多く、仕事の量の増と心身の負担増を感じた、こういう結果が出ています。
 一方、二〇二〇年四月の都保健所で超過勤務の時間が四十五時間を超えた、こうされる職員は、都議会に提出された資料では四百四十四人中三十二人というふうになっているんです。三十二人でも決して少ないというふうには思わないんですが、都による超過勤務時間のデータを見ていても、保健所の逼迫した状況、これが十分に分からないと思います。重要なのは、現場の実態を丁寧に聞き取ることです。丁寧な実態調査、把握、これをぜひお願いしたいと思います。
 次に、都保健所のヒアリングでは、応援体制についての状況、課題についてどのような意見が寄せられているのか、都の認識についてもお伺いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、都保健所への応援職員の配置や会計年度任用職員等の活用、業務の委託化などに取り組み、感染拡大に適切に対応してまいりました。
 都保健所の在り方検討に先立ちまして実施した都保健所のヒアリングでは、専門人材の確保や、外部から多くの人材を受け入れるための執務環境の整備、研修の実施などについてのご意見がございました。

○清水委員 この都保健所のヒアリングの結果では、短期間で入れ替わることの多い応援職員や外部人材に対する業務引継ぎや育成で負荷が増え、時間を要したとあります。
 検討会に出された都保健所の新型コロナウイルス感染症対応の状況についてという資料にも、会計年度任用職員や人材派遣などの外部人材は、保健所での業務経験がなく、また、短期間で入れ替わることもあるため、その都度、業務説明や引継ぎ、育成を行う必要があり、負担が大きかったと述べられています。
 また、先ほど紹介した東京自治労連の調査報告書も、感染症対策には、保健師の中でもさらに専門性が必要であり、応援体制で感染症対応が十分機能したとはいえなかったこと、応援する側も迎える側もともに負担が増した、こういう報告がなされて、保健所の人員体制の改善を求める提言を行っています。
 応援体制で感染症対応が十分機能したとはいえない、こういう指摘は、今後、東京都が都保健所の在り方を考えていく上で、しっかりと受け止めていただくよう強く求めます。また、応援があればよいということではなく、基になる保健所の体制そのもの、この強化が不可欠だということも、併せて厳しく指摘しておきたいと思います。
 次に、アンケートでは、保健所の精神保健事業への影響についてどのような回答が寄せられていましたか。都はそれについてどのような認識を持っていますか。お伺いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 市町村アンケートでは、精神保健活動について、精神保健のケースを共有する機会が少なくなったという意見などがございました。
 なお、都保健所では、コロナ禍における精神保健福祉訪問につきまして、感染状況や対面での指導に対する相談者の意向を踏まえながら、心身の状況など、緊急性等を勘案して行ってきたところでございます。
 また、市町村が関わっている相談者には市町村と連携して対応するなど、必要な支援を行ってまいりました。

○清水委員 (資料を示す)これは、新型コロナウイルス感染症流行時の精神保健福祉活動について、こういう調査報告書です。
 これは、南多摩保健所が、管内地域関係機関に新型コロナウイルス感染症流行時の精神保健福祉活動におけるアンケートを行って、その考察をまとめたものです。コロナ感染症の流行の影響で、先ほどおっしゃったように、様々な工夫をして活動されてきたことが報告をされています。
 しかし、その中で、工夫した上で補えなかった課題、このことについて、利用者の特性により、オンラインが利用できる人とそうでない人がいた、オンラインだけでは利用者の実態が分かりにくい、感染症対策が前面に出ることで集団プログラムのよさが生かされなかったなどの回答が多く寄せられています。コロナ禍の中でも様々な苦労をしながら支援に努めてきたことがうかがわれる、そういう内容になっています。
 しかしながら、この報告書の最後、こう結んでいるんです。ここ数年のコロナ禍において保健所は、関係機関に対し十分な支援が行えていない状況があったかと思う、改めて、平時から顔の見える関係を大切にし、関係者の皆様と共に健康危機発生時に対応できる地域づくりを推進していきたい、こう述べて結ばれているんですね。
 保健所の方々自身が、コロナ禍において保健所は、関係機関に対して十分な支援が行えていない状況があった、アンケート調査とそれを考察してこういう結論を導いているんです。このことを都として真摯に受け止めていただきたいというふうに思います。
 最後の質問を行います。
 今後、都の保健所の在り方について都の方針が決められてまいります。その過程について、都民にどのように公開し、意見をもらいながら進めていくのか、見解を求めます。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都保健所の在り方につきましては、公衆衛生等の学識経験者や医療機関、医師会、住民に身近な市町村の代表等で構成する検討会におきまして様々な意見をいただいており、この会議ですとか議事録などは全て公開して開催してございます。
 検討会では、都保健所と市町村等との連携強化を図ることが重要などとの意見をいただいておりまして、都保健所の体制強化につきましては、こうした意見等を踏まえて検討してまいります。

○清水委員 今るるご説明がありましたが、検討会の報告書そのものは、都の方針になるというものではないというふうに思いますが、その点、一点確認させてください。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 あり方検討会の報告書につきましては、専門家会議の報告書でございますので、そこでいただいた意見等を踏まえて、我々としては保健所の体制強化について検討してまいります。

○清水委員 大事なところなので、きちんと正確に確認をしたいのですが、あり方検討会の報告書はあくまでも報告書であって、様々な方々の意見の報告であって、それがそのまま東京都の方針になる、そういうものではないということを確認したいのですが、もう一度答弁をお願いします。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 繰り返しになりますが、都保健所のあり方検討会につきましては、専門家会議でございますので、そこでいただいた意見などを踏まえて、保健所の体制強化については検討してまいります。

○清水委員 検討会の報告を踏まえて都としての検討をしていくということなので、東京都としての検討はこれから、あくまでも報告を踏まえて、これから都の方針を具体的に決めていくということだというふうに思います。
 多摩地域の市民にとって、この保健所がどうなるのか。先ほど日野市長もありましたが、命に関わる問題なので、どうなるのかというのはとても注視をしている問題でもあります。ですから、あり方検討会の資料や報告、こういうものもきちんとみんな読んでいるんですね。
 それで、本来だったら増設の方向に向かうのかと思ったら、そうではないと、役割分担をしていけばいいというふうな報告になってきているというところで、これからどうなるのかということを注目しているんです。
 その点については、これからこの報告書を踏まえてということであれば、東京都はどういう形で話を進めていくのか、その点についてはちゃんと公開をされるのか、この点についてはいかがですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 繰り返しになりますが、都保健所の在り方につきましては、公衆衛生等の学識経験者、医療機関、医師会、住民に身近な市町村、様々な方々で構成する検討会におきまして、いろいろな意見をいただいておりまして、その会議、議事録なども公開をして開催してございます。そこの検討会でいただきました意見等を踏まえて、保健所の体制強化については検討してまいります。

○清水委員 大事なところなので、何度も確認して申し訳ないんですが、あり方検討会はちゃんと公開をされてきました。検討会で出された資料も公開してきたし、会議録も載っています。ですから、それを見れば、どういう議論が行われたのかというのは分かります。
 問題はこれからなんですよ。これから東京都が方針を決めていきます。そのことについては一言も触れられないんですが、そのことについてはきちんと議論が公開をされるのか。そして市民が意見を、例えば様々な方針が出されたときに、パブリックコメントのように市民が意見を出す、こういう仕組みがあります。
 議論の過程を公開すること、それから市民が意見を出すこと、この点についてはどのように保障されるんですか。

○大出地域保健担当部長特命担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 何度も繰り返しになって恐縮でございますが、都の保健所の在り方については、学識経験者を踏まえた様々な方々からご意見を公開の場でいただいてございます。そうしたご意見等を踏まえながら、保健所の体制強化については検討してまいります。

○清水委員 コロナ禍は、保健所の体制の脆弱さ、これを白日の下にさらしました。多摩地域の市民の多くが、保健所を増やしてほしい、体制をもっと充実してほしい、こういう切実な声を上げて、市長も要望し、都の保健所のあり方検討会が設置をされました。
 しかし、あり方検討会の報告は、市民が願った保健所の増設や体制の抜本的な拡充ではなくて、応援体制の整備、こういうところにとどまりかねない内容となっています。
 その報告はそのまま都の方針になるものではない、こういうことであるなら、今日の質疑で指摘してきたような問題点や課題、しっかりと都で議論をしていただき、その議論の過程もきちんと都民に明らかにする、そして、都民の声がしっかりと出せる、そういう仕組みもつくっていただいて、確実に方針をつくっていただきたい、そのことを強く求めたいと思います。
 かつて日野市にあった保健所は、精神障害や難病を抱える市民が地域で社会生活が送れるように、保健師の皆さんは地域に出て、住民と結びついた公衆衛生の取組を展開されていました。しかし、地域保健法に伴う統廃合でその結びつきは希薄になってしまいました。
 今後起こる新たな感染症への対応、さらには、精神疾患を持つ方や精神障害者の地域移行、こういう流れの中で、保健所の役割はますます重要になっています。都保健所体制の抜本的強化とともに、日野の保健所の復活、また、多摩地域の保健所増設へと踏み出していただくことを強く求めて、私の質問を終わります。

○入江委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十九分開議

○入江委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○阿部委員 都議会立憲民主党の阿部祐美子です。よろしくお願いいたします。
 初めに、コロナ禍においては、都民の生活、健康、そして、生命を守るために、とりわけ旧福祉保健局はじめ医療関係の皆様には、コロナ対策の中核としてご尽力をされたこと、心から敬意と感謝を表したいと思います。
 だからこそ、まさにそのコロナ禍の真っただ中に、コロナの最前線として闘ってきた都立病院、公社病院の独立行政法人化を強行したことは、今でも疑問が残っております。
 独法化前の議会では、行政的医療は後退させないと何度も答弁をされてきましたが、今はどうでしょうか。
 私の地元品川区のお隣にあります荏原病院、立地上、品川区民にも昔から頼りにされてきた病院です。感染症医療等、あるいはリハビリを得意とし、私の息子も幼児期に病院に緊急入院をさせていただいたことがあります。
 その荏原病院がコロナ専用病院となり、当時はえたいの知れなかった感染症と医療関係者との闘いが続きました。コロナ以外の入院や外来をストップし、バーンアウト状態に陥った方も少なくないと聞いております。
 独法化について、現場が議論したり考えたりする余裕のないまま、これが進行し、移行前には看護師さんの大量退職もあったと聞いております。
 東京都は、行政的医療を後退させないと繰り返してきましたが、都立病院の各病院で病棟閉鎖が続いています。荏原病院でも四年度時点で二病棟が閉鎖しています。
 病棟閉鎖の理由は、職員体制に対応したものということでよいのでしょうか。また、病棟復活を目指して人員増を図っているのか、このまま病棟閉鎖を続ける方針なのか伺います。

○齋藤都立病院支援部長 令和四年度末時点で、荏原病院では、職員体制に応じた病床運用等により二病棟を休止してございます。
 病棟の再開は、職員体制の状況や患者動向等を総合的に勘案いたしまして対応することとしております。

○阿部委員 本日示されました要求資料におきましても、十四病院のうち、荏原病院は、唯一、コロナ前から看護師の数が定員を下回っている。平成三十年には定員三百十七人に対し、年度初めに二百九十人という数字が載っております。そんな状況の中でコロナに突入をし、看護師が減り続け、令和四年度末には二百四十一人、これは定員も減少となっておりましたけれども、二百四十一人になっております。荏原病院では人員不足が突出しています。
 ご答弁では、職員体制や患者動向を勘案してとありましたが、現状に問題意識を持ち、人員を増やす方向があるのかどうか伺いました。それとも、現状を放置して、自然に増えれば再開もあり、でも、増えなければそのままということなのか、再度ご答弁をお願いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、病棟の再開につきましては、職員体制の状況、あるいは患者の動向等を総合的に勘案して対応することとしてございます。
 なお、職員の募集につきましては、通年、積極的に募集を続けているところでございます。

○阿部委員 通年、積極的に募集を続けている、そのことは受け止めたいと思います。
 ただ、他の病院に比べても、人員不足、定員に対する不足が大きいということで、そこには背景があるのではないかと思います。
 人員不足の影響は、病棟の閉鎖にとどまりません。外来には定数がありませんが、人員不足はやはり深刻です。救急でも他科からの応援が必要で、そのために、他科での業務が滞る実態があるとも伺っております。
 コロナ前並びに過去三年間の荏原病院の外来患者数を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 荏原病院の延べ外来患者数は、令和元年度十六万八千七百六十四名でございましたが、コロナの影響もございまして、令和二年度十一万六千九百四十五名、令和三年度九万八千八百八十九名、令和四年度十一万七千二百三十名でございました。
 なお、外来と救急外来は一体的に運用しておりまして、その時々の状況に応じて柔軟に対応してございます。

○阿部委員 今のご答弁、外来患者数は、四年度に少し回復したものの、コロナ前の元年度には及びません。コロナ専門病院として頑張ったことで新規患者を受け入れることができず、患者が減り、外来患者減、ひいては入院患者の減につながり、その動向に合わせて、また人員が減り、病棟が閉鎖され、さらに患者が減る、このマイナスのスパイラルに陥ってはいないでしょうか。医療関係者にとっては頑張り損、地域住民にとっては医療の後退です。
 日本は、少子化を背景に深刻な労働者不足が進み、特に医療従事者の不足は顕著です。一方で、高齢化によって医療ニーズは今後も増加が続きます。目先の黒字のために人を減らすのではなくて、地域の医療ニーズに今後もしっかりと応えられるよう、体制を再構築していただくようお願いをいたします。
 都立松沢病院についても伺います。
 松沢病院は、精神の急性期医療を担う主要な病院として貴重な存在です。コロナ期においては、他の精神病院に入院中でコロナに感染した患者も受け入れ、大きな役割を果たしました。関係者の皆様に敬意を表したいと思います。
 その松沢病院でさえ、人員不足で病床を開けられず、早期治療の機会を逃してしまっているとの声も聞いております。
 都はどのように把握しているのでしょうか。また、行政的医療の維持の観点から、都の見解をお伺いいたします。

○齋藤都立病院支援部長 都は、精神科医療について、入院から地域生活への移行を促進してございます。
 松沢病院でも、地域移行等に取り組みまして、長期入院患者が減少しております。
 社会復帰病棟六病棟のうち三病棟を休止してございます。

○阿部委員 松沢病院でも病棟を休止しているとのことです。
 滝山病院の例を見るまでもなく、東京を含め、日本の精神科医療には課題が大きいと認識しております。
 行政的医療の提供という言葉の中には、単に現状を維持するだけではなく、精神科医療の多様な課題に向き合い、改善を図っていくという責任も含まれていると考えますが、都の見解を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 松沢病院は、東京における精神科医療の先駆的な役割を担ってございます。
 松沢病院では、精神科急性期医療を中心に、精神科救急医療、精神科身体合併症医療、アルコール等の依存症の専門医療等に対応するとともに、他の医療機関や保健福祉施設等と密接に連携いたしまして、患者の社会復帰の促進に取り組み、平均在院日数は、平成二十三年度の百十五・一日から、令和四年度の六十七・四日と大幅に減少してございます。

○阿部委員 まさにそういう高い実績を持つ松沢病院だからこそ、幅広い分野で東京都の精神科医療を支えて引っ張っていただきたいと思っているんです。ぜひ、福祉局とも連携をしながら、より大きな課題に立ち向かうよう求めて、次の質問に移ります。
 次に、医療体制の充実について伺います。
 医療人材の確保についてです。
 都としての看護師の育成、確保策についてお伺いをしたいと思います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、養成、定着、再就業を柱に、総合的な看護職員確保対策を実施しております。
 養成対策といたしまして、都立看護専門学校七校を設置し、七校全体で一学年六百名を養成するほか、看護職員の確保と質の向上のため、都内で看護業務に従事しようとする学生に修学資金を貸与しております。
 また、就労環境の整備等による定着の促進や、東京都ナースプラザにおけます無料職業紹介、定年退職前後のキャリア継続等の再就業支援などを実施しております。

○阿部委員 東京都が、養成、定着、再就業を柱に様々な施策を展開されていることは、評価をしたいと思います。
 まず、養成の部分ですけれども、都立看護専門学校は、国や都による減免措置制度があるものの、三年間で計約百万円の学費がかかります。修学資金の貸与制度は、卒業後に都内の医療機関で五年間働けば返還免除になる仕組みです。
 一定の縛りをつけることで返還免除にすることは、都内での就職定着を促すという意味では意味があるといえ、これまで貸与を受けた方の約六割が返還が必要でした。
 四年度から制度が変わり、条件が緩和されたということで、その効果をまずは注視したいと思っておりますが、それでも免除が適用されない方が一定割合いるようであれば、やはり都立看護専門学校の学費についても検討する必要があるのではないかと考えます。
 次に、東京都ナースプラザの職業紹介について伺います。
 このナースプラザの無料職業紹介事業の実績を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、看護師等の就業相談や求人紹介を通じ就業の促進を図るため、東京都ナースプラザにおいて無料職業紹介事業を実施しております。
 病院や診療所、高齢施設など、様々な施設から求人がございまして、令和四年度における各月の求人数は、平均で六千三百三十三人でございました。
 東京都ナースプラザでは、就業に至った場合、施設または本人から任意で報告を求めており、令和四年度は二千二百九十五人から就業した旨の報告がございました。

○阿部委員 年間二千二百九十五人から就業の報告を受けたとのことで、一定の役割を果たしていると受け止めております。
 ただ、この数字は任意の報告のみで、この仕組みで実際に何人が就職したのかを正確に把握することは今のところできません。ナースプラザの運営には公費も投入されておりますので、就職の実数を把握できる仕組みも検討すべきではないかと併せて申し上げておきます。
 さて、高齢者施設の中には看護師を必置とするものも少なくありません。今、介護業界の中では、高騰する人材紹介、人材派遣会社への手数料が経営を圧迫しているとして、大きな問題になっております。
 令和四年度の東京都ナースプラザの無料職業紹介事業における高齢者施設の実績を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 東京都ナースプラザでは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、ケアハウス、グループホーム、有料老人ホーム、デイサービスを高齢者施設として区分し、実績を集計しております。
 令和四年度における高齢者施設の各月の求人数は、平均で九百六十三人でございまして、高齢者施設に就業した旨の報告があったのは百六十八人となってございます。

○阿部委員 こちらも報告ベースではありますけれども百六十八人。市場全体の数からいえば決して大きい数字ではないとは思いますけれども、しかしながら、医療関係の人材紹介手数料が高騰している現状の中、貴重な制度だと思います。ぜひ広報等に努め、求職、求人とも活用を広げていただきたいと思います。
 次に、島しょ部の人材確保について伺います。
 島しょ部の医療において、看護師が果たす役割は非常に大きいものと考えます。
 島しょ部での病院、診療所での人材確保に係る都の取組と実績を伺います。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、東京都へき地医療支援機構に無料職業紹介事業所を設置いたしまして、看護師などの医療従事者を島しょの医療機関へ紹介するとともに、島しょ看護職員定着促進事業によりまして、島しょで勤務する看護職員を対象とした出張研修や短期不在時の代替職員の確保等を支援しております。
 昨年度の実績は、無料職業紹介事業では、都に登録している十七名の求職者に対し、大島町二件、三宅村一件、御蔵島村一件、八丈町一件、小笠原村一件の紹介を行い、うち二名が島しょの医療機関に就職をいたしました。
 島しょ看護職員定着促進事業では、代替の看護職員を、島しょの五町村に対して、合計十二回、延べ百二十四日派遣をいたしました。

○阿部委員 都としても様々な努力をしていることが分かりました。
 ただ、各島から求人があるものの、実際に就職したのは二人のみということです。また、せっかく就職をしてもなかなか定着が難しいとも聞いております。
 離島の看護師は地域との距離が近く、特に人口の少ない島ほど休暇が取りづらい、あるいはみとりを含めた多様な業務を担い、責任重大であったりもいたします。
 他県においては、離島の看護師を大学病院や公立病院から派遣している例もあります。十分な医療設備を持ちにくい島しょ部こそ、看護師、そしてまた、保健師の採用と定着に、都としてさらに支援されることを要望いたします。よろしくお願いいたします。
 次に、性感染症について伺います。
 性感染症の一つ、梅毒は、梅毒トレポネーマといわれる細菌に感染することによって引き起こされる病気です。感染してもすぐに症状が現れるわけではなく、また、一旦病変が現れても数週間で自然に治るため、発症に気づかないことも少なくありません。長年放置すれば、脳や神経に感染が及ぶほか、妊娠中に梅毒に罹患していたり感染すると、子供が先天梅毒になる可能性もある怖い感染症です。この梅毒患者が近年急増し、小池知事も繰り返し検査を呼びかけています。
 まずは、都内の梅毒患者報告数の推移を伺います。また、都内の保健所等の検査体制、昨年度の受検者数、陽性者数を確認いたします。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 これまで年千七百件前後で推移した都内の梅毒患者報告数は、令和三年、大きく増加に転じ、令和四年も、前年比約一・五倍の三千六百七十七件でございまして、現行調査開始以来、二年連続で過去最多を更新しております。
 梅毒の早期発見に向け、都内の保健所及び都検査・相談室では、HIV検査と同時に、即日判定を含め、匿名、無料検査を行っております。これに加え、令和五年三月、緊急対策として、匿名、無料の即日検査を臨時で行いました。
 昨年度、都内保健所等での梅毒検査数は延べ二万四千五百六十七件、うち陽性四百七十一件となっております。
 なお、検査陽性者には、結果説明の際、医療機関への受診を促しております。

○阿部委員 都内の報告数だけで年間三千六百七十七件とのことでした。ここ二年間で、これまでの二倍以上という大変な急増ぶりです。
 都内の保健所や検査所では、匿名、無料で検査を行っていること、特に新宿や立川で、夜間や土日も利用できる検査を行っている、このことを評価したいと思います。
 ただ、保健所等では検査数を件数で取っており、これでは、検査を受けた人数に対する陽性者数の割合を算出することはできません。感染状況の把握のためにも、取りまとめの方法についてご一考されてはと思います。
 次に、性感染症の一つである淋菌、クラミジアの患者報告数の推移を伺います。また、都内の保健所等の検査体制、昨年度の受検者数、陽性者数についてもお伺いをいたします。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 淋菌感染症、性器クラミジア感染症については、感染症法に基づき、都が指定した五十五か所の性感染症定点医療機関から報告を受けており、令和四年の報告数は、淋菌感染症が千四十一件、性器クラミジア感染症が二千二百六十一件でありまして、いずれも近年横ばいとなっております。
 淋菌感染症及び性器クラミジア感染症の早期発見に向け、都内一部の保健所では、匿名、無料検査を行っております。これに加え、令和四年度は、六月の東京都HIV検査・相談月間、十一月中旬から十二月中旬の東京都エイズ予防月間に合わせ、都の検査・相談室でも、匿名、無料の検査を行いました。
 昨年度の都内保健所等での検査数は、淋菌が二千九百九十八件、うち陽性十五件、性器クラミジアが四千五百四十六件、うち陽性二百五十五件となっています。
 なお、検査陽性者には、結果説明の際、医療機関受診を促しております。

○阿部委員 この淋菌、クラミジアは、近年は横ばいとのことですが、これはあくまでも定点での傾向ということで、実数が分かるわけではありません。地元の婦人科のドクターからは、臨床的にかなり増加をしていると。これは地域性もあるかもしれませんが、そのようなお話も伺っているところです。
 クラミジアは、最も患者数が多いとされている性感染症であり、感染しても無症状で、気づかないまま放置すると、男性、女性とも不妊の原因にもなります。不妊を防ぐためにも、クラミジア等の検査を定期的に受けられる環境づくりをする必要があると考えます。
 そこで、急増している梅毒をはじめとした性感染症の予防啓発について、昨年度の東京都の新たな取組を伺います。

○西塚感染症対策調整担当部長医療改革推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 性感染症の予防啓発の取組として、性感染症やHIVについて分かりやすくまとめた冊子「性感染症(STI)ってどんな病気?」の内容を更新したほか、ウェブサイト、東京都性感染症ナビにおいて、受診可能な都内医療機関の情報更新や啓発動画の掲載など、内容の充実を図りました。
 さらに、急増する梅毒については、若年層を中心に増加していることを踏まえ、若者向け予防啓発ポスター、リーフレットを作成したほか、令和五年三月、緊急対策として、感染経験者の体験等を伝える動画の配信、SNSや地下鉄での広告等の集中啓発を行いました。

○阿部委員 啓発にも一定の効果があったのではないかと評価をしております。
 ただ、感染者数は増え続けており、引き続き早期発見と早期治療が欠かせません。
 検査を受けるには、心理的なハードル、そして、物理的といったらいいんでしょうか、ハードルがあるというふうに考えます。性病イコール性体験が豊富といったようなイメージを持たれがちですが、実際には、パートナーが一人であっても、性病にかかるリスクは存在します。
 性病にスティグマを持つことは受診機会を低下させます。これを取り払うためには、やはり十代から正しい知識を学ぶこと、すなわち性教育が欠かせません。これについては、ぜひ教育委員会等とも連携して、正しい性病に対する、性感染症に対する知識を得て、そして、定期的な検査などを行うように、若い人たちの行動を変えていく必要があると考えております。
 また、物理的ハードルとして、例えば、多くの保健所は平日日中のみの対応、これがほとんどで、若い世代には利用しづらいものです。新宿等のような夜間や週末にも利用しやすい検査所を都内に増やして、かつ献血センターのように、若い世代も足を運びやすい様々な工夫をしていただきたいと思います。ぜひご検討いただければと思います。
 最後に、動物愛護センターについてお伺いをいたします。
 東京都は、動物愛護相談センターについて、平成二十九年に、センターに求められる役割や必要な機能、施設等の整備の在り方を明らかにするため、動物愛護相談センター整備基本構想を策定いたしました。
 この基本構想の中では、老朽化した本所の早期整備を強調する一方、城南島出張所、多摩支所の二か所については、諸状況を考慮し、今後検討すると書いてあります。
 出張所や支所も老朽化が進んでおりますが、現在の検討状況についてお伺いをいたします。

○藤井健康安全部長 動物愛護相談センター整備基本構想では、センター三施設の中で、特に老朽化が進み、狭隘な本所は、早期に整備を行うこととしております。
 昨年度は、センターを、都民により親しみやすく、身近な施設とするため、機能や施設等を検討する会議を設置いたしまして、専門家等から様々な意見をいただいたところです。
 現在、都内三か所の施設は、普及啓発や動物譲渡、事業者の監視指導など、様々な役割を担っておりますが、昨年度の整備検討会での意見も踏まえ、さらなる機能強化が必要でございます。
 今後、こうした視点も踏まえまして、センターの機能の在り方については、今年度策定する基本計画の中で示してまいります。

○阿部委員 まさに今年度、基本計画を策定されるということで、この内容に期待をしているところです。
 ただ、実際にその整備の計画ができ、整備を行い、整備が終わる、それまでには早くても数年間はかかるものと思います。
 例えば、お隣大田区にあります城南島出張所、ここは広い敷地は持っておりますけれども、建物の老朽化、それに地盤もかなり傷んでいる状態が続いております。二重投資にはならない範囲で、必要な補修と、それから、人や動物に快適な環境づくり、これにも取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、都内では、動物の虐待、特に、例えば地域猫、飼い主のいない猫ですとか、鳥ですとか、そうしたものに対する動物の虐待というのが、程度の大小を問わず頻発しております。私の地域の皆さんにも、やはり地域猫の面倒を見るグループがありますけれども、度々、様々な動物に対する嫌がらせがあり、大変心を痛めているところです。
 東京都としても、動物虐待防止に既に取り組んでいただいていることとは思いますけれども、どのような取組をしてきたのか確認をしたいと思います。
 また、あわせて、現在、国会でも、動物を単なる所有物とするのではなく、保護を可能にするよう法改正に向けた動きがありますけれども、東京都は、そうした動きに対してどのような働きかけをしてきたのか伺います。

○藤井健康安全部長 都は、飼い主等に対し、動物の遺棄、虐待の防止、終生飼養の責務及び動物の適正な取扱いにつきまして普及啓発を実施するとともに、動物の虐待等、動物愛護管理法違反が疑われる事例を探知した場合には、飼い主等への聞き取りや現地調査によって事実を確認した上で、区市町村や警察とも連携して対応しております。
 また、令和三年五月、都は、自治体が必要と認めた場合には、動物を緊急的に一時保護できるよう、早急に飼い主の所有権に係る課題について考え方を整理した上で、必要な法整備を行うことにつきまして、九都県市首脳会議を通じて国に要望しております。

○阿部委員 東京都の取組としては、そのような要望も出しているということですが、これは令和三年五月ということで、既に二年以上たっている計算かと思います。
 法改正に向けて、また様々な動きもありますので、引き続き、積極的かつ継続的な情報発信、行動をお願いします。
 以上で私の質問を終わります。

○玉川委員 今朝のテレビで、新型コロナ後遺症について特集がされていました。ロングコビットといって、軽症者でも長期間にわたって後遺症が続くといったものでありました。
 私自身、二度目のオミクロン株に感染した二か月後に、声がかれてまともな発声ができなくなりました。これは、新型コロナ後遺症の特徴である上咽頭の炎症によるものでありまして、Bスポット療法という治療を続けて、今、このような声に治るまで約十か月かかりました。その後も、原因不明の筋肉痛など、これももしかしたら後遺症なのかなと思うようなことが続いております。
 新型コロナ後遺症の発生のメカニズムは、まだまだ解明されていないようでありますけれども、私自身の実体験を基に、新型コロナ後遺症については今後のテーマとして取り上げていきたいと思います。
 それでは、今、他の委員からもありましたが、動物愛護について質問をいたします。
 都議会公明党はこれまで、平成二十七年に会派内で動物愛護のためのプロジェクトチームを立ち上げ、先進自治体への視察や動物愛護団体との意見交換を重ね、ペットとの共生社会実現を一貫して推進してまいりました。また、犬、猫の殺処分ゼロに向け、動物愛護のためのPRイベント開催の後押しなど、都議会定例会でも動物の保護に向けた対策について取り上げてまいりました。
 そこで、令和四年度の動物愛護への取組について質問をいたします。
 都は、動物愛護管理法の改正を背景として、令和三年三月に東京都動物愛護管理推進計画を改定いたしました。この計画では、人と動物との調和の取れた共生社会の実現を目指すための施策展開が示されております。
 平成三十年度に達成した動物の殺処分ゼロについても、継続することが計画の中で位置づけられておりますが、殺処分ゼロの継続に向けた都の取組について伺います。

○藤井健康安全部長 都は、動物の引取り、収容数を減少させるため、東京都動物情報サイト、ワンニャンとうきょう等におきまして、飼い主への普及啓発を実施するとともに、飼い主のいない猫対策や地域における動物の相談支援体制整備事業を推進する区市町村を支援しております。
 令和四年度において、飼い主のいない猫対策は四十九自治体が、地域における動物の相談支援体制整備事業は十三自治体がそれぞれ取り組んでいるところです。
 また、保護された動物の譲渡を進めるため、離乳前の子猫や負傷動物等の譲渡の際には、ミルクや保護用具等の物資を提供するとともに、都独自に動物譲渡促進月間を定めまして、広報を実施しております。
 令和四年度まで殺処分ゼロを継続しておりまして、今後も、こうした取組を総合的に実施することにより、引き続き取り組んでまいります。

○玉川委員 動物の引取りや収容数を減少させ、また、譲渡を進めていくための取組について答弁がありましたが、今後も殺処分ゼロを継続するためには、動物保護機能をしっかりと持つ動物愛護相談センターの整備を推進していくことが重要であります。
 令和三年第四回都議会定例会の代表質問において、都議会公明党は、センターの再整備について質問し、知事は、専門家等の意見を十分に伺いながら検討を進めていくと答弁いたしました。そして、令和四年度に都は整備検討会を開催いたしました。
 この整備検討会では、専門家などからどのような意見があったのか、また、意見を踏まえて、動物愛護センターの整備をどのように進めていくのか伺います。

○藤井健康安全部長 動物愛護相談センターは、人と動物の調和の取れた共生社会の実現に向け、都の動物愛護管理施策を進める上で中核を担う施設でございます。
 都は昨年度、センターを、利便性等も考慮して、都民に開かれ、より親しみやすく、身近な施設とするため、機能や施設等について検討する会議を設置いたしまして、専門家等から、保護した動物の飼養環境の向上や獣医系大学との連携、ボランティア等との協働、効果的な情報発信などのご意見をいただいたところです。
 今後、整備検討会での意見も踏まえまして、今年度策定する基本計画の中でセンターの機能の在り方を示してまいります。

○玉川委員 都議会公明党は、獣医師を育成する都内三大学の一つ、日本獣医生命科学大学を訪問し、センターに収容された動物に専門的な獣医学の知見を用いる動物保護医療、シェルターメディスンの専門家の方たちとの意見交換や、大学の動物医療センターの視察も行ってまいりました。
 このような都内の獣医系大学とも協働し、動物の命を守る環境整備、動物の保護施策を進めていただくことを願いまして、質問を終わります。

○アオヤギ委員 それでは、小児総合医療センターについてお伺いします。
 さきの厚生委員会で、我が会派の白石都議の質疑で、府中市にある小児総合医療センターの病棟が休止になっていることが明らかになりました。
 小児総合医療センターは、都立三病院、八王子、清瀬、梅ヶ丘が統廃合されてできた病院で、それぞれの機能が一か所に集約化されました。当時の理由は、機能強化をしていくんだということでした。
 廃止された病院の地域では、その機能を求めて引っ越しをした人もいますし、遠く離れたこの病院に今も通院している方も大勢います。機能強化といっていたのに後退することは許されない、そういう立場でお伺いします。
 まず、かつて都立梅ヶ丘が受け入れていた児童・思春期精神科の患者について伺います。
 小児総合医療センターで、昨年度、児童・思春期精神科の病棟が二病棟休止になりました。休止の理由は医師減少のためということですか。伺います。

○齋藤都立病院支援部長 医師の退職に伴い、児童・思春期精神科七病棟のうち、二病棟を休止しております。

○アオヤギ委員 医師の退職に伴いということです。
 退職した医師が主治医だったお子さんもいるかもしれませんが、確認しますが、こちらには、都立武蔵台特別支援学校病院内分教室があり、小児精神や児童・思春期精神科の子供たちが病室から通っています。
 医師が減少したことは、分教室の状況に影響はありますか。

○齋藤都立病院支援部長 教育庁からは、これまでと同様に運営をしていると聞いてございます。

○アオヤギ委員 これまでと同様に運営しているという答弁です。
 武蔵台分教室は、心の教室と体の教室があり、学校に入学するには主治医の転入判断が必要であり、子供たちの学びの空白をなくしていくには病院と学校の連携が欠かせません。くれぐれも影響のないようにしていただいて、子供たちの学ぶ権利を保障していただくことをお願いします。
 次に伺いますが、昨年独法化された七月以降、退職した医師は、小児総合でどれくらいかお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 令和四年七月から令和五年三月までに退職した小児総合医療センターの医師数は、任期満了を除き、大学医局による異動などの二十六名でございまして、おおむね例年どおりの規模でございました。

○アオヤギ委員 任期満了という方も、外部の病院などから来ている方、その数を除いて二十六人であるということです。
 それでは、その中に児童・思春期精神科の医師は含まれているのでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 児童・思春期精神科の医師は含まれております。

○アオヤギ委員 毎年一定の退職者はいることを聞いておりますが、児童・思春期精神科医師も独法化以降に退職をしているということです。
 児童・思春期精神科を必要とする子供たちは、今、ますます増えています。発達障害の子供たちは増加傾向であるということも、教育庁の特別支援計画でも指摘をされ、不登校やいじめなど深刻な事態が数多く報告されています。
 実際、いじめの問題に取り組む専門家のお話では、よりひどいいじめを受けた場合には、心理的ダメージは周りが思っているよりも深刻で、いじめが分かったら、まず、いじめの調査などを待たずに、できれば医師の診察を受けることが望ましいとお聞きをしました。いじめが起きて数か月たつだけでも相当深刻なダメージを受け、大人になってからもPTSDになるなど非常に影響が大きいということです。
 ですので、児童・思春期精神科の医師は、こうした実態からすると、ますます重要で、そうした事態が起きたときに、すぐに対応できる体制は、今日的な子供を取り巻く環境からも不可欠だと考えています。
 児童・思春期精神科の医師の確保の取組を強化すべきではありませんか。

○齋藤都立病院支援部長 病院ホームページで公募するほか、大学医局との連携などによりまして医師確保に努めております。

○アオヤギ委員 医師確保に努めているというお話なんですけれども、医師不足も深刻ですが、都立梅ヶ丘病院が持っていた機能であり、その規模を維持、発展させていくべきです。また、今の子供たちの深刻な実態を受け止められるように、さらに強化していくべきです。
 先ほどもいいましたように、発達障害のお子さんが増加傾向ですが、その子供が適切な教育を受けるためにも、治療が必要な子ができるだけ早く受診できる体制が必要です。
 そこで伺います。児童・思春期精神科の受診までの期間は、平均どれくらいかかりますか。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターのホームページでは、令和五年十月現在、児童・思春期精神科外来の初診までの待ち日数の目安は、早期入院を要するような緊急度、重症度の高い方で一か月程度、中程度の方で二か月程度、他の方と比べて相対的に緊急度の低い方で三か月程度とご案内をしております。
 なお、極めて緊急度の高いケースでは、おおむね一週間以内に診察をしているほか、かかりつけ医が、患者が、急性精神病や拒食、希死念慮といった緊急度の高い症状、状態と判断した場合は、即日から数日以内で入院受入れを行っております。

○アオヤギ委員 緊急度が極めて高い場合はおおむね一週間以内に診察、かかりつけ医が緊急度の高い症状、状態と判断した場合は即日から数日以内で入院ということで、迅速な対応をしているということだと思いますが、そこまででなくても、早期入院を必要とするような緊急度、重症度の高い方が一か月というのは、やはり十分とはいえないのではないかと思います。
 新来患者数も、昨年度は七月以降の目標七百二十人に対し、実働四百八十七人となっており、外来も体制が不十分ではないかと考えます。
 また、相対的に緊急度が低いというのも、小児総合医療センターのホームページにも、緊急度の判定は大変厳しい基準となっておりますと書かれています。だから相対的といっているのだと思いますが、受診の必要性が否定されるものではありません。
 また、発達障害の診断など三か月もかかれば、その診断を受けて入ることができる特別支援教室など、子供たちの教育にも影響が出ることになります。どの子も必要なときに受診できるように改善していただきたいと思います。
 次にお伺いしますが、ほかに休止している病棟はありますか。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターでは、夜間の二次救急患者を一時的に受け入れる病棟も休止しておりますが、休止後は、患者への影響がないよう、直接、一般病棟で受け入れております。

○アオヤギ委員 ほかに休止している病棟もあり、夜間の二次救急患者を一時的に受け入れる病棟、ER病棟も休止ということです。そのため、一般病棟で直接受け入れることになっているということです。必然と直接受け入れる病棟に負担がかかることになります。それだけでなく、医師が近くにいて、いつでも駆けつけられることが重要です。
 患者への影響がないようにといいますが、完全に影響をなくせるなら、何のために設置していたのかということになります。やはり再開することが重要です。
 閉鎖になっているのが児童・思春期精神科の二病棟、夜間二次救急の受入れ病棟ということで、これらを閉じたままにするというのは、集約化して機能強化をするといってきたのですから、あり得ません。
 そこでお伺いしますが、これらの休止病棟をどのように、いつ頃をめどに再開していくのでしょうか。再開できない課題があればお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 病棟の再開は、職員体制の状況や患者動向等を総合的に勘案いたしまして対応することとしてございます。

○アオヤギ委員 患者動向といいますけれども、児童・思春期精神科では男女を分ける必要があり、空いていても入れられないことや、大人の大部屋のように、複数の子供と一緒に入院するのが困難な子供たちもいるので、稼働率で見たら低く見えたとしても、余裕があるとは限りません。ですから、患者の数字だけで見ないでいただきたいと思います。
 また、救急患者の受入れのためのER病棟では、その役割からいって、病床利用率で判断するのではなく、二次救急を行う以上、開いていた方がよい病棟です。医療従事者をきちんと確保して、休止した病床を早急に再開していただきたいと思います。
 次に、コロナ病床について確認いたしたいと思います。
 小児総合では、コロナ禍で入院が必要なコロナに感染した子供たちを受け入れてきました。それだけ多摩地域にとっては、コロナ禍で最後のとりでの役割を果たしている。それは五類になっても変えるべきではないと思います。
 そこでお伺いします。コロナになり、入院が必要な子供たちを受け入れるための病床を確保してきたと聞いていますが、今もその病床は確保しているのでしょうか。

○齋藤都立病院支援部長 小児総合医療センターでは、令和四年度、コロナ病棟を確保いたしまして、小児の新型コロナ患者の受入れに積極的に対応いたしました。
 コロナの五類移行後も、通常医療との両立を図りながら、小児のコロナ患者を積極的に受け入れております。

○アオヤギ委員 引き続き、コロナはもちろん、それ以外の感染症も流行していますので、積極的に受け入れていただきたいと思います。
 また、六月、七月は、開院以来のER受診患者数を記録したとのことですが、最近、救急外来を受診した方からも、長時間待ったという声も聞いています。
 コロナの感染の再拡大も懸念され、インフルエンザも例年にない流行状況で、障害児の保護者の皆様も不安を抱えながら生活している中、小児総合医療センターが、最後のとりでとして、安全・安心を保障する役割を十二分に果たせるよう、体制の強化を進めていただくことを改めて要望します。
 次に、都立病院の差額ベッド代について伺います。
 私は、二年前の決算第二分科会で、公社病院の差額ベッド代について伺いました。独法化された大学病院で、差額ベッド代が二十万円にもはね上がったことを示し、質問をしました。
 差額ベッド代は、ホテルコストとも呼ばれ、削られた診療報酬を補うような形で導入され、今ではほとんどの医療機関で徴収されています。
 都立病院の昨年度の差額ベッド代収入は、要求資料によると、合計で九億七千万円です。
 この差額ベッドの病床が増やされれば、低所得の方、低年金のお年寄りや生活保護を利用している方などが、一日数万円のベッド代を支払うことは考えられず、入院が難しくなるため、都民に開かれた行政的医療を行うには、差額ベッドを取らない病床の確保が必要です。
 そこで伺います。都立病院の差額ベッドの状況を伺います。
 差額ベッド代を取らない病床数と取る病床数をお示しください。

○齋藤都立病院支援部長 本年十月一日時点で、医療法許可病床から有料個室の病床数六百九十八床を差し引いた病床数は六千四百十八床でございます。

○アオヤギ委員 有料が六百九十八床で、無料の部屋が六千四百十八床ということで、有料が一割以上に上ることが分かりました。
 しかし、もしもベッド代の設定額が引き上げられれば、患者の負担増となりますが、料金表の設定は独法化前と変わりがありますか。

○齋藤都立病院支援部長 独法化前後で変更はございません。

○アオヤギ委員 変更はないということを確認しました。
 中期計画では、二万八千円が上限で、幾つかの区分があり、旧公社病院と旧都立病院で設定額が決められています。
 旧都立病院でいうと、差額ベッド代を取る病床のうち、一番多く設定している設定額は、一万六千円の設定が一番そこに集中していると。上下に様々な設定額があります。上限は二万八千円となっていても、料金が高い設定のベッドを増やしてしまうと、それも低所得者などが入院しにくくなることにつながりかねません。
 そこで伺いますが、建て替えなどに伴い、料金の高い差額ベッドが増えることが懸念されますが、都は、差額ベッドについてどのようなことを都立病院機構に求めているのですか。

○齋藤都立病院支援部長 有料個室の使用料は、患者自らが個室の利用を希望した場合にのみ、お支払いをいただくものでございまして、都が認可した中期計画では、一日二万八千円以内で理事長が定める額としております。
 個室やアメニティーの充実を希望する患者のニーズを踏まえ、上限額の範囲で機構が有料個室を設定するものでございます。

○アオヤギ委員 今、答弁の中で、都が関わりがあるのは二万八千円という上限くらいで、上がっていかないという担保は弱いです。
 独法化前の決算で、経済的に困窮している方への医療の提供を公社病院の役割とすべきではないかと聞いたところ、公社病院では、経済的な問題の有無にかかわらず、患者に対して必要な医療を提供していますと答弁されました。その方針は変わりはないですか。

○齋藤都立病院支援部長 都立病院では、経済的な問題の有無にかかわらず、患者に対して必要な医療を提供しております。

○アオヤギ委員 経済的な問題の有無にかかわらずということです。
 病院が全ての都民に開かれた行政的医療を提供するため、差額ベッド代を取らない病床を維持し、拡大して、医療を提供していただきたいと思います。
 次に、NICUのことについてお伺いします。
 都立八王子小児病院がなくなってから、八王子市内にはNICUのベッドが一ベッドもなくなり、市内の病院で診察できないため、小児総合医療センターのNICUに搬送される赤ちゃんも少なくありません。
 そんな中、都は、第八次東京都保健医療計画(周産期医療)骨子案をまとめ、報告しています。
 その案では、一万人の出生対三十病床があるかどうか、令和三年の数字がありますが、令和四年度のNICUは、国の基準に基づき、出生一万対病床の目標にしてきたと。
 昨年度は、多摩地域と二十三区でそれぞれどのような状況だったか、多摩地域で少ないという認識はありますか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、出生一万人に対して三十床を基本として、都内全域を一つの医療圏としてNICU病床の整備を進めており、令和四年度末時点の出生一万人に対する病床数は四十一・一床でございます。
 NICU病床数は、区部三百二床、多摩地域七十二床でございまして、出生一万人に対する病床数は、区部四十五・七床、多摩地域二十九床となってございます。

○アオヤギ委員 多摩地域は、区部の四十五・七床と比べると二十九床と、三十床を満たしておらず少ないということが分かります。
 都内には、NICUを持つ周産期母子医療センターと周産期連携病院があります。都のホームページには、周産期母子医療センターは、母体胎児集中治療管理室、M-FICUを含む産科病棟及び新生児集中治療室、NICUを備えた医療機関です。常時、母体、新生児搬送受入れ体制を有し、母体の救命救急への対応、ハイリスク妊娠に対する医療、高度な新生児医療等を担っていると書かれています。
 周産期連携病院は、二十四時間体制で自院のかかりつけ以外のミドルリスク妊産婦の搬送受入れに対応するとともに、地域の診療所等からの紹介、搬送や、周産期母子医療センターからの逆紹介を受け、産科手術、帝王切開術、子宮外妊娠手術等、内科合併症のある妊産婦の母体管理等を行うということであります。
 周産期母子医療センターの病院が多くのNICUを持っていますが、NICUの状況について、二十三区と多摩地域でそれぞれ何床ありますか。二〇一六年十二月一日時点と二〇二三年三月末の状況をお示しください。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、二〇一〇年度に東京都周産期医療体制整備計画を策定いたしまして、都全域でNICU病床を三百二十床確保することを目標に整備を進めてまいりました。
 計画策定時の二〇一〇年十月時点のNICU病床数は、区部二百十床、多摩地域五十一床でございましたが、二〇一六年十二月一日時点は、区部二百五十七床、多摩地域七十二床、二〇二三年三月末時点は、区部三百二床、多摩地域七十二床となってございます。

○アオヤギ委員 二十三区は、計画策定時の二〇一〇年の二百十床から、今年度、三月末時点は三百二床と九十二床増えています。一方、多摩地域ですが、計画策定時五十一床で、二〇一六年では七十二床に増えましたが、現在も七十二床で、二〇一六年から一床も増えていません。こうして見ますと、都内全域では基準を満たしているように見えますが、二十三区と多摩地域を分けて考えないと課題は見えてきません。
 一昨年の一般質問で、八王子市にもNICUの設置を求めた際に、市内の大学病院では、本院のある新宿区ではNICUを増やせていますが、八王子ではなかなか増やせないのは、医師の確保の問題があると聞きました。
 補助金があればNICUが増える二十三区と、多摩地域は、別の課題があると考えています。NICUを設置するには、一定程度大きくつくらないとスケールメリットがないともいっていましたが、民間の病院ですと、おのずと採算を考えなければ設置できないという状況であると考えています。
 そこでお伺いします。どのようにしてNICUを増やしていくのですか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、NICUや生命維持装置等の施設設備の整備や周産期母子医療センターの運営等に要する経費の一部を補助しており、都内全域で、出生一万人に対し三十床を基本に整備を進め、令和四年度末時点で四十一・一床を確保しております。

○アオヤギ委員 都内全域での数字を述べられましたが、多摩地域のNICUの数が二〇一六年から増えておらず、多くのNICUを持つ周産期母子医療センターの病院数も増えていません。周産期連携病院では、NICUを持っているところとないところが指定されていますが、持っているところは増えていません。
 そこでお伺いします。今までのNICUの整備運営への支援を拡充しなければ、従前の補助では、NICUの病床数を増やすことが特に多摩地域では難しいのではないですか。都の考え方をお示しください。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 NICUの整備には、低出生体重児等の新生児に対しまして、呼吸管理等をはじめとした専門医療を提供する専用の施設や設備の整備のほか、新生児科医師の常駐、看護師の配置等が必要でございます。
 その整備に当たりましては、搬送体制を整備しながら、限られた医療資源の集約化を図り、高度な医療を集中的に提供する体制を構築することが効果的でありますことから、都内全域を一つの圏域としてNICU病床の整備を進めております。
 なお、令和四年度末時点におきまして、都内全域で、出生一万人に対し四十一・一床を確保しております。

○アオヤギ委員 常駐の医師、看護師についてはそのとおりだと思います。しかし、集約化といっても、今後、多摩地域でNICUを増やしていくことにはつながらないと考えています。
 都立八王子小児病院が統廃合され、NICUが府中に集約化されましたが、先ほどお話ししたように、多摩地域では二〇一六年度以降増えていません。
 私の地元八王子市のように、NICUが一つもなくなってしまうと、なかなか新たに設置というのは難しくなりますが、NICUがあれば増床を考えることもできます。多摩地域にNICUを抜本的に増やすために、都が課題を分析して、その課題を解決しながら設置を進めていただきたいと思います。
 次に、都が補助をしている医療的ケア児などのためのレスパイト病床についてお伺いします。
 都が補助をしているレスパイト病床はどういう状況かお示しください。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 都は、在宅等に移行したNICU等長期入院児や、気管切開をはじめ呼吸管理を必要とする小児在宅患者に対し、定期的医学管理や保護者の一時支援のため、在宅療養児一時受入れ支援事業を実施しております。
 令和四年度は、本事業により、周産期母子医療センターなど二十一施設が五十三床のレスパイト病床を運用しております。

○アオヤギ委員 病院で行われるレスパイトは、都内で二十一施設、五十三床しかないんですね。これとは別に、障害者福祉の分野で行われているレスパイトもあります。
 都のホームページには、都内の医ケア児は二千人いると推計され、その数は年々増加傾向とあります。
 医ケア児やその家族に対して、まだまだ支援が足りず、家族の献身的な支えによって成り立っている現状です。五十三床では足りないと感じています。
 医療的ケア児のお母さんからも声をいただいています。障害福祉で行うレスパイトの希望の日にも利用できない、病院の方のレスパイトはスムーズに利用できている子もいるらしいけれども、自分の子は気管切開があり、断られた、医師不在の時間があるからだといわれた、障害福祉の分野のレスパイトは断られないけれども、最初の受診まで一年待ちのところもあるとのことです。
 そこでお伺いしますが、レスパイト病床に入るのは困難な実態があります。このような実態をつかんでいますか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 令和四年度におけるレスパイト病床一床当たりの受入れ日数は、年間で平均百二十六日となってございます。

○アオヤギ委員 この百二十六日というのがどういう数字なのかということなんですけれども、先ほどのお子さんは、本来であれば、気管切開があるということでレスパイトの対象になるのですが、医師の不在を理由に断られているということです。
 まず、この受け入れた日数が平均百二十六日で、その他の日は空いているのかという問題があります。
 そこで、ちょっと確認させていただきたいと思いますけれども、この算出した平均百二十六日というのは、病院が都に報告した実績から平均値を出したということでよろしいでしょうか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 本事業において、各病院から実績報告を受けまして、その結果を集計した平均でございます。

○アオヤギ委員 そうしますと、この補助自体、空床補償ではなく実績払いなので、ほかの日が必ずしも空いているということではなくて、受け入れていない日もあるということも考えられます。また、先ほどお話ししたように、病院によっては、気管切開をしているお子さんは入れないということもあるそうです。
 このような実態はどのくらいあるのでしょうか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 本事業は、在宅療養児一時受入れ支援施設において、在宅等に移行したNICU等長期入院児や、気管切開をはじめ呼吸管理を必要とする小児在宅患者を対象として実施しております。

○アオヤギ委員 対象はそのはずなのに、現場では断られているケースもありますので、実施している医療機関の具体的な受入れ実態も把握して、改善策を講じていただきたいと思います。
 医療的ケア児が二千人ほどいるという推計があります。それに見合ったレスパイト病床がどうしても必要です。
 そこでお伺いします。医療的ケア児が増えている中、ベッド数を積極的に増やしていく必要があると考えますが、いかがですか。

○遠藤医療政策部長感染症医療政策担当部長兼務 令和四年度におけるレスパイト病床一床当たりの受入れ日数は、年間で平均百二十六日となっており、在宅療養児一時受入れ支援事業におけますレスパイト病床の利用状況に応じて、引き続き検討していくこととしております。

○アオヤギ委員 ぜひ、増やす際には病院の受入れ実態も把握して、数多くの病院にレスパイト病床を整備していくことを求め、質問を終わります。

○入江委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○入江委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で保健医療局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時四十分散会

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