委員長 | 細田いさむ君 |
副委員長 | 土屋 みわ君 |
副委員長 | 曽根はじめ君 |
竹平ちはる君 | |
斉藤 りえ君 | |
渋谷のぶゆき君 | |
清水やすこ君 | |
原田あきら君 | |
福島りえこ君 | |
山口 拓君 |
欠席委員 なし
出席説明員港湾局 | 局長 | 松川 桂子君 |
技監 | 片寄 光彦君 | |
総務部長 | 上林山 隆君 | |
企画担当部長DX推進担当部長兼務 | 石井 均君 | |
調整担当部長 | 千田 敏君 | |
港湾経営部長 | 野平雄一郎君 | |
港湾振興担当部長 | 三浦 知君 | |
臨海開発部長 | 松本 達也君 | |
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務 | 福永 太平君 | |
臨海副都心まちづくり推進担当部長 | 大野 克明君 | |
港湾整備部長 | 村田 拓也君 | |
計画調整担当部長 | 山本 康太君 | |
港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 | 水飼 和典君 | |
離島港湾部長 | 佐藤 賢治君 | |
島しょ・小笠原空港整備担当部長 | 渡邊 正也君 | |
環境局 | 局長 | 栗岡 祥一君 |
次長 | 宮澤 浩司君 | |
理事 | 高崎 秀之君 | |
総務部長 | 緑川 武博君 | |
環境政策担当部長生物多様性担当部長DX推進担当部長兼務 | 上田 貴之君 | |
企画担当部長 | 三浦亜希子君 | |
政策調整担当部長 | 長谷川徳慶君 | |
気候変動対策部長 | 荒田 有紀君 | |
再生可能エネルギー実装推進担当部長 | 小林 洋行君 | |
率先行動担当部長 | 中村 圭一君 | |
建築物担当部長 | 木村 真弘君 | |
制度調整担当部長 | 関 威君 | |
環境改善部長 | 戸井崎正巳君 | |
環境改善技術担当部長 | 宗野 喜志君 | |
自然環境部長生物多様性担当部長兼務 | 和田 慎一君 | |
資源循環推進部長 | 志村 公久君 | |
資源循環技術担当部長 | 横山 英範君 | |
資源循環計画担当部長 | 中島 隆行君 |
本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
環境局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
○細田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
これより港湾局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和四年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○上林山総務部長 去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと思います。
○細田委員長 すみません。ちょっとお待ちください。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
○細田委員長 速記を再開してください。
○上林山総務部長 改めまして、去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。表紙をおめくりいただきますと、目次に七件の資料の件名を記載してございます。
まず、一ページをご覧ください。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
岸壁の区分を、緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、それぞれの全体計画、整備状況を記載してございます。
次に、二ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
平成三十年度から令和四年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で記載してございます。
次に、三ページをご覧ください。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
続いて、四ページをご覧ください。使用料及び手数料の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
次に、五ページをご覧ください。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
平成三十年から令和四年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載してございます。
続いて、六ページをご覧ください。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
平成三十年度から令和四年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、〔1〕、総数及び〔2〕、登録自家用機の飛行目的別の離着陸回数を記載してございます。
次に、七ページをご覧ください。晴海ふ頭を除くクルーズ客船寄港回数の推移でございます。
平成三十年から令和四年までの五年間の東京国際クルーズふ頭及び大井水産物ふ頭へのクルーズ客船の寄港回数につきまして、実績を記載してございます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
東京港における物流の効率化の取組について伺います。
ただいま東京都の物流の港では、東京港では、交通混雑が発生しています。
一方で、いわゆる物流の二〇二四年問題が迫る中で、喫緊に対応していかなければならない課題があります。そこで、本日は、令和四年度から東京港において実施しているコンテナ搬出入予約制について確認してまいります。
まず初めに、コンテナ搬出入予約制とはどのようなものであるか、その概要を伺います。
○野平港湾経営部長 コンテナ貨物の搬出入予約制は、貨物の受渡しのためにコンテナターミナルへ来場する日時をトラック事業者があらかじめ選択することができる取組でございます。
具体的には、荷主などから貨物の引取りを依頼されたトラック事業者が、国が開発したCONPASと呼ばれるシステムを活用いたしまして、時間帯ごとに設定された予約枠の中で、貨物の引取日時を予約することで、コンテナターミナルへスムーズに入場することを可能とするものでございます。
予約制の導入により、特定の時間帯に集中してコンテナターミナルへ来場するトラックの数を時間的に分散させることができ、ふ頭周辺の交通混雑の緩和や、ドライバーの待機時間の減少などに資すると考えております。
○清水委員 ただいまの答弁にありましたように、コンテナ貨物の搬出入予約制を導入することで、交通混雑の緩和や待機時間の減少などが期待できると考えますが、その一方で、コンテナの輸送にはトラック事業者や港湾関係事業者など多くの事業者が関わっているため、予約制という新たな取組を導入し、これまで長年にわたって行われてきた貨物の受渡しのやりとりを変えていくことは、実際にはなかなか難しいことではないかと思います。
そこで、予約制の実施に当たっては関係者の理解と協力が必要であると考えますが、円滑に導入するために、昨年度、どのような取組を実施したのかお伺いいたします。
○野平港湾経営部長 コンテナターミナルにおける貨物の引渡しには、トラック事業者や、ターミナル運営事業者など、多くの事業者が関わっていることから、予約制を円滑に実施していくためには、これらの事業者の理解や協力を得ることが不可欠でございます。
昨年度、都は、大井ふ頭の二つのコンテナターミナルで予約制を実施いたしましたが、実施に先立ち、関係者を対象とした説明会を開催するなど、予約制の効果や具体的な実施方法などについて丁寧に説明を行いました。
また、実施に当たっては、実施期間を三期に分け、平日十日間を一つの事業期間とし、回を重ねるごとに一時間当たりの予約枠や、参加するトラック事業者数を段階的に拡大いたしました。
具体的には、八月から九月にかけて実施した第一期では、予約枠を一時間当たり最大十五台、参加するトラック事業者数を十八社として実施し、十一月に実施した第二期では、予約枠を三十台、トラック事業者数を四十七社に、二月に実施した第三期では、予約枠を五十台、トラック事業者数を五十六社に拡大し、実施いたしました。
さらに、各期間終了後は、効果検証や関係者のヒアリングなどを実施し、課題を洗い出した上で、事業者にとって利用しやすいものとなるよう、適宜見直しを行いました。
○清水委員 関係者の協力が得られやすいよう、小さい規模から始め、徐々に拡大して実施したとのことであり、その進め方は妥当なものと考えます。
一方で、重要になるのは、どのぐらいの実績があったのかということであります。そこで、昨年度、東京港において実施したコンテナ搬出入予約制は、どの程度の利用があり、どのような効果があったのか伺います。
○野平港湾経営部長 昨年度、大井ふ頭の二つのコンテナターミナルで実施したコンテナ搬出入予約制の利用実績は、第一期の予約台数が四百九十三台、第二期が千九百二台、第三期が三千九十五台と、回を重ねるごとに大きく増加するとともに、予約枠に対する申込数の割合についても、第一期と第三期を比較すると約一・七倍となりました。
また、予約制を利用したトラックのターミナル入場までに要する時間は平均十五分でございまして、利用せずに来場したトラックの平均待機時間約五十分と比較いたしまして約三十五分短縮されたという効果を確認できました。
予約制を利用したトラック事業者からは、待機時間が削減されトラックの回転率を高められた、ドライバーの労働環境改善が図られたなど、高い評価をいただいております。
○清水委員 ドライバーの労働環境改善が図られたというのはとても大きいことだと思います。三十五分も短くなったとのことであり、評価できる結果だと思います。
現在は、大井ふ頭の一部のターミナルでのみの実施となっていますが、東京港の港湾物流を効率化させるためには、予約制をより一層推進していく必要があると感じます。
そして、最後の質問になります。今後、東京港において、コンテナ搬出入予約制をさらに拡大していくべきと考えますが、見解を伺います。
○野平港湾経営部長 コンテナ搬出入予約制をさらに普及させていくためには、予約制を導入するコンテナターミナルを増やしていくとともに、より多くのトラック事業者に参加していただくことが必要でございます。
そこで、都は、今年度、実施ターミナルを大井ふ頭の二つのターミナルから三つのターミナルに増やすことといたしました。
また、参加するトラック事業者につきましては、昨年度は、都内の事業者に限定しておりましたが、今年度は関東近県のトラック事業者にまで裾野を広げ、五十六社から百五十社に拡大いたしました。
さらに、ドライバー等に対しては、待機時間の削減など、予約制を利用するメリットを積極的にPRするとともに、説明会の開催や、運用手引の配布、動画配信等を行うことで、システム操作や運用ルールへの理解促進にも取り組んでおります。
今後も予約制の着実な拡大に向け、引き続き関係者と緊密に連携しながら取組を進めてまいります。
○清水委員 今年度のコンテナ搬出入予約制では、関東近県のトラック事業者にまで対象が広がり、昨年度よりもより多くの事業者が参加するとのことであるので、その結果に期待したいと思います。
物流の二〇二四年問題が迫る中、予約制の拡大に着実に取り組むことが円滑な港湾物流の確保につながると考えます。ぜひ、関係事業者との調整を積極的かつ丁寧に行い、スピード感を持って取組を全力で進めていただくことを強く希望しまして、要望しまして、質問を終えます。ありがとうございました。
○渋谷委員 東京港の整備について伺います。
首都圏四千万人の生活と産業を支える東京港は、国内最多のコンテナ貨物を取り扱っており、その貨物量は全国の港で取り扱われているコンテナ貨物量の約四分の一であると聞いています。
まさに日本経済を牽引する国際貿易港としての重要な役割を担っているわけでありますが、先般の第三回定例会において、我が会派が代表質問でも指摘したとおり、東京港のコンテナ貨物取扱量は増加傾向にあり、現在も施設能力を大幅に超える貨物量を取り扱っています。
さらに、世界的にコンテナ船の大型化が進展しつつある中、東京港においても大型船の寄港が今後増えると予測されており、現在よりも、水深の深いふ頭の整備が必要な状況にあると聞いています。
東京港が今後も日本の重要な物流拠点としての役割を果たし続けていくためには、取扱貨物量の増加と船舶の大型化という二つの大きな課題に適切に対応しなければなりません。
このため、我が会派は、中央防波堤外側地区において大型船にも対応可能な新たなコンテナふ頭Y3を早期に整備すべきことをこれまで繰り返し強く主張してきたところであり、都は、令和三年度から整備を進めていると承知しています。
そこで、現在整備を進めているコンテナふ頭Y3の概要を改めて確認するとともに、昨年度の取組について伺います。
○村田港湾整備部長 東京港が日本経済を支える重要な物流拠点としての役割を果たし続けていくためには、貨物量の増加や船舶の大型化に的確に対応していく必要がございます。
これまでも、都は、中央防波堤外側地区におきまして、新たなコンテナふ頭であるY1及びY2の供用を開始するなど港湾機能の強化に積極的に取り組んでまいりましたが、現在の施設能力は年間約四百万TEUであり、昨年一年間の取扱量約五百万TEUに対し、大幅に不足している状況にあることから、国と連携してY3の整備を進めているところでございます。
Y3は東京港で一年間に取り扱っている外貿コンテナ貨物量の約一割に相当する年間約四十五万TEUの貨物処理能力を有するとともに、北米航路におきまして今後就航すると見込まれている一万四千TEU級のコンテナ船にも対応できる水深十六メートルの岸壁を備えたふ頭であり、将来的には隣接地に計画されている新海面処分場コンテナふ頭と合わせ、国内最大級の外貿コンテナふ頭としていく計画でございます。
昨年度は、令和三年度から行っている航路、泊地のしゅんせつ工事に引き続き実施するとともに、岸壁の整備に向けた地盤改良工事に着手したところでございます。
Y3は東京港の抜本的な機能強化に向けて不可欠な施設であることから、必要な予算の確保も含め、国と連携しながら着実に整備を推進してまいります。
○渋谷委員 改めていうまでもありませんが、Y3は東京港の競争力をさらに高めていくための鍵となる極めて重要なふ頭です。Y3を一日も早く完成させるべく、我が会派は、国に対して繰り返し整備の積極的な推進を要請してきたところであり、今後も精力的に行っていきたいと考えています。
ぜひ、都においても、整備を加速させるよう、国に対して粘り強く働きかけるなど、早期完成に向け、全力を挙げて取り組んでいくよう求めます。
続いて、ふ頭の整備と一体となって進められているふ頭背後の道路の整備について確認します。
大型船が寄港でき、大量の貨物を取り扱うことができるふ頭を整備しても、ふ頭周辺の道路が十分に整備されていなければ、コンテナ車両による大渋滞が発生し、物流のボトルネックとなってしまうおそれがあります。
物流拠点としての港の機能を発揮するためには、ふ頭そのものの整備に加えて、広域的な物流網につながる道路を整備し、背後圏への輸送を円滑に行えるようにすることが必要です。
コンテナふ頭Y3に関しても、ふ頭の整備と併せて背後の道路の整備が行われていると聞いていますが、令和四年度の取組について伺います。
○村田港湾整備部長 円滑な港湾物流を実現するためには、東京港内におけるふ頭背後の道路を整備し、広域的な道路ネットワークに接続させていくことが重要でございます。このため、都は、ふ頭の整備と併せ、各ふ頭から東京湾岸道路や首都高速道路などに接続する道路の整備につきましても計画的に進めてまいりました。
現在、中央防波堤外側コンテナふ頭Y3と東京湾岸道路を、東京ゲートブリッジや東京港海の森トンネル等を経由して結ぶ道路である中防外一号線、三号線、五号線の整備を進めております。
昨年度は、各路線の詳細設計を実施するとともに、中防外一号線におきましては、道路の本体工事に先立ち、雨水管の敷設工事に着手したところでございます。
○渋谷委員 東京港の背後には、首都圏各地、さらには東北地方などと結ばれた充実した道路ネットワークが形成されており、他港にはない強みとなっています。
東京港の主力ふ頭の一つとなるY3ふ頭とこの広域道路ネットワークがしっかりと結ばれることは、我が国の経済活動の発展にとって必要不可欠なことであり、この点から、Y3と広域道路ネットワークをつなぐふ頭背後の道路は重要であるといえます。今後も引き続きY3ふ頭背後の道路整備を着実に進めていくよう求めます。
次に、防災施設の観点から、東京港の整備について確認します。
冒頭でも述べたとおり、東京港は、我が国の経済を牽引する重要な物流拠点であることから、首都直下地震などの大規模地震により、万が一にも岸壁が大きく損傷し、船舶の着岸や貨物の積卸しができなくなる事態が発生すると、首都圏、ひいては東日本の生活と産業へ与える影響は計り知れないものになります。このため、都は、大規模地震時でも物流機能を確実に維持できるよう耐震強化岸壁の整備を進めていると承知しています。
そこでまず、東京港における耐震強化岸壁の整備の考え方とこれまでの整備状況について伺います。
○村田港湾整備部長 都は、マグニチュード七クラスの首都直下地震などの大規模地震が発生した場合においても、東京港の港湾機能を確実に維持できるよう耐震強化岸壁の整備に取り組んでおります。耐震強化岸壁は、緊急物資輸送用と幹線貨物輸送用の二種類に区分し、合わせて四十八バースを整備していくこととしております。
緊急物資輸送用は、被災直後における食料品や衣料品などの緊急物資の搬入や、避難者などの海上輸送を行うための岸壁であり、計画している二十六バース中十四バースが整備済みでございます。
幹線貨物輸送用は、被災後においても、外貿コンテナ貨物の輸送など、我が国の経済活動を支えるために必要な物流機能を維持するための岸壁であり、計画している二十二バース中五バースが整備済みでございます。
○渋谷委員 耐震強化岸壁は、被災後における緊急物資の受入れや経済活動を支える物流機能を確保する役割を担っているとのことです。いずれも重要な役割であり、首都直下地震等の大規模地震の発生が切迫感を持って懸念される中、耐震強化岸壁の整備を着実に進めていく必要があるが、令和四年度の取組を伺います。
○村田港湾整備部長 耐震強化岸壁の整備に関する令和四年度の取組でございますが、緊急物資輸送用につきましては、フェリーふ頭及び品川内貿ふ頭の各一バースにおいて岸壁背後の地盤改良工事などを実施するとともに、十号地その二内貿ふ頭において、深浅測量及び地質調査を実施し、基本設計に着手したところでございます。
また、幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁につきましては、現在整備を進めております中央防波堤外側コンテナふ頭Y3の岸壁を耐震強化岸壁とする予定であり、岸壁工事に向けた地盤改良工事を実施いたしました。
○渋谷委員 緊急物資輸送用及び幹線貨物輸送用の耐震強化岸壁について、それぞれ着実に取組が進められているとのことであり、このことは評価いたします。
しかし、昨年度取組が行われた耐震強化岸壁が今後完成した場合でも、整備済みの岸壁は計画している全四十八バースの約半分ということになり、いまだ道半ばという状況にあるといわざるを得ません。
現在使用されている岸壁を耐震化するには、一旦使用をストップして長期間をかけて工事を行う必要があると聞いていますが、貨物取扱量が非常に多い東京港の現状を考えると、容易ではないことは理解できます。
だが、東京港は我が国の経済を牽引する重要な物流拠点であることから、大規模地震にも耐えられる港として整備していかなければなりません。東京港を災害時にも機能する強靱な港とするため、耐震強化岸壁の整備を今後も積極的に進めるべきと考えます。都の見解を伺います。
○村田港湾整備部長 耐震強化岸壁の整備が計画化されているふ頭のうち、いまだに整備に着手できていないふ頭は、コンテナふ頭やユニットロードふ頭など、国内外からの貨物船が日々多く寄港し大量の貨物の積卸しがなされているふ頭でございます。
耐震強化岸壁を整備するに当たりましては、工事のために長期間岸壁の利用を停止する必要があるため、これらのふ頭を直ちに整備に着手することは困難でございますが、利用者と十分に調整した上で、再編整備の際に合わせて耐震強化岸壁の整備についても積極的に検討するなど、計画的に取組を進めてまいります。
また、耐震強化岸壁を多く確保するため、都は、今後新たに整備するふ頭のうち、コンテナふ頭などの岸壁は耐震強化岸壁として整備することとしており、今年度策定する東京港第九次改訂港湾計画においても、新海面処分場コンテナふ頭Z0及びZ2、中央防波堤内側内貿ユニットロードふ頭、X6及びX7の計四バースを耐震強化岸壁として位置づける予定でございます。
今後とも、都は、港湾計画に基づいて着実に耐震強化岸壁の整備を推進し、災害時の物流機能を確実に維持できる強靱な港を実現させてまいります。
○渋谷委員 耐震強化岸壁の整備には、利用者との調整など多くの困難を伴い、時間もかかると思いますが、ただいまの答弁にあったように、再編整備や新規整備の機会を捉えて、粘り強くしっかりと取り組んでいただくよう求めます。
本日は、重要な物流拠点である東京港の機能強化、そして災害時においてもその機能を維持していくための耐震強化岸壁の整備について伺いました。
我が国の経済活動を支える役割を平常時、災害時を問わず果たし続けていくため、新たなふ頭や耐震強化岸壁の整備を着実に推進していくことを強く求めて、東京港整備の質問は終わります。
次に、離島港湾DXの取組について伺います。島しょ地域の港湾におけるDXの取組について伺います。
伊豆・小笠原諸島は、多くの台風が襲来する地域であり、高波による被害がしばしば発生しています。
港においても、台風による巨大な高波によって防波堤が損壊するといった被災が起きていると聞いており、伊豆・小笠原諸島が我が国有数の厳しい気象条件下にあることが改めて認識させられています。さらに今後、地球温暖化の影響によって、台風の大型化が予測されていることから、高波による被害がさらに大きくなるのではないかと懸念されています。
また、津波によって大きな被害が発生するおそれがある地域でもあり、令和四年五月に公表された東京都防災会議の被害想定によれば、南海トラフ巨大地震が発生した場合、島民が生活している伊豆・小笠原諸島都全体で千二百棟以上の建物が津波により倒壊すると予測されています。
このように伊豆・小笠原諸島においては、自然災害への対応が重要な課題となっているが、特に港は島に暮らす人々の生活を支える重要な役割を担っていることから、仮に被災した場合にはできるだけ迅速に復旧させなければなりません。
このため、都は、昨年度からデジタル技術を活用し、被災時における施設の災害復旧を速やかに進めることのできる離島港湾DXの取組を推進しており、我が会派もスピード感を持って進めていくことを要望しております。
そこで、まず、離島港湾DXの目的と概要について改めて伺います。
○佐藤離島港湾部長 島しょ地域の港湾等は、本土やほかの島とを結ぶ人や物資を輸送する拠点として重要な役割を担っており、台風や地震、津波などで被災した際には、迅速に復旧させる必要がございます。しかし、台風による高波が発生した際には、波風が収まるまで職員が港に近づけないなど、被災状況の確認に時間を要するケースが多い状況にございます。
また、島しょ地域は本土から物理的に離れていることから、本庁と現場との間で正確な情報を共有することにも時間を要しており、復旧工事に向けた設計等を速やかに進める上での課題となってございます。
このため、都は、昨年度から最新のデジタル技術を活用して、被災状況の把握から災害復旧までの一連の業務プロセスを迅速化させることを目的に、離島港湾DXの取組を推進してございます。
具体的には、ライブカメラや人工衛星、ドローン等を活用して、短時間で被災状況を集約するとともに、その情報をあらかじめ三次元データ化させた港湾施設の情報とシステム上で突き合わせ、復旧工事が必要な範囲と工法等を迅速かつ効率的に判断できるようにするものでございます。
○渋谷委員 台風による被害がしばしば発生しており、かつ津波によって被災する懸念もある伊豆・小笠原諸島の港湾施設等について、被災した際に従来よりも迅速に災害復旧を進められるようにすることが、離島港湾DXの目的ということであり、島しょ地域の生活と経済を守る上で大変意義のある取組です。ぜひ積極的に進めていく必要がありますが、離島港湾DXでは、最新のデジタル技術を活用するとのことであり、その内容について具体的に確認いたします。
まず、ライブカメラや人工衛星、ドローンについてですが、災害状況を速やかに把握するに当たっては、それぞれの特徴から、有効な活用場面が異なると考えられます。
そこで、ライブカメラ、衛星、ドローンの具体的な活用方法と昨年度の取組について伺います。
○佐藤離島港湾部長 被災直後は、引き続き高波が発生していることなどから、職員が港の岸壁等に近づいて調査することが困難なため、まずは港に設置するライブカメラの映像により、被災の大まかな状況を確認いたします。その後、人工衛星を用いて、上空から港を広域的に撮影し、被災状況の全体を明らかにした上で、被災したと思われる港湾施設を、ドローンにより、様々な角度から撮影することによって、詳細な状況を把握することとしてございます。
ライブカメラにつきましては、定期貨客船が寄港する十七の港に設置することとしており、昨年度は、大島岡田港と利島港に設置し、ユーチューブによる映像公開を開始いたしました。なお、残る十五港につきましても、先月から映像公開を行っているところでございます。
人工衛星につきましては、民間事業者の衛星を選定し、被災状況を確認するために必要な解像度の検討を行うとともに、ドローンに関しては本土と伊豆諸島の間で飛行できる機種を選定いたしました。
○渋谷委員 私も先日、伊豆・小笠原諸島に津波注意報が発表された際にライブカメラ映像を見ましたが、リアルタイムに港の状況を知ることができ、非常に有効であると感じました。こうした情報は避難をする上でも重要であり、積極的にPRを図ってほしいと考えます。
また、まず人工衛星により、被災状況の全体を捉え、その後ドローンを使って詳細な状況を把握するという手法は、現地の被災状況を的確かつ速やかに把握できる有効な方法であり、引き続きしっかりと取組を求めます。
離島港湾DXでは、ドローン等の活用と併せて、港湾施設の三次元データも活用していくとのことですが、三次元データ化は災害時の復旧作業の迅速化だけでなく、平時における施設の管理業務の効率化にも資するものと考えます。
そこで、三次元データ化に関する昨年度の取組について確認するとともに、平時における施設の維持補修等にも積極的に活用していくべきでありますが、見解を伺います。
○佐藤離島港湾部長 港湾施設の構造を立体で把握できる三次元データ化を進めることは、これまで二次元の図面で行っていた設計作業を効率化、迅速化させるとともに、工事中の作業手順に関する関係者間の確認を容易にし、安全かつ円滑な施工につなげることが可能となります。
このため、災害時の迅速な復旧に加え、平時における施設の補修工事の効率化にも資すると認識しており、現在、都は、島しょ地域の港湾施設を三次元データ化する取組を進めているところでございます。
昨年度は、大島元町港と利島港に関して定期貨客船が着岸する岸壁の二次元の図面を三次元化するとともに、構造や補修履歴など施設の諸元も合わせてデータ化いたしました。
引き続き、港湾施設の三次元データ化を積極的に進め、災害復旧事業の迅速化及び平時における効率的な補修工事の実施につなげられるようにしてまいります。
○渋谷委員 都は、数多くの島しょ地域の港湾を管理していると聞いています。本土から離れたところにあるこれらの港湾施設のメンテナンスを日々適切に行うことは、非常に労力のかかることではないかと考えます。
施設の図面の三次元データ化を進め、ドローン等の活用を組み合わせることで、効率的な維持管理を実現させるべきであり、ぜひこれらの技術の活用を引き続き積極的に行ってほしい。一方で、デジタル技術は日進月歩で進化していることから、最先端の技術に常に注目し、有効と思われる技術を貪欲に取り入れていくことも重要です。
特に、伊豆・小笠原諸島は、一年を通して気象条件が厳しく、港湾施設等についても厳しい自然環境下にさらされているため、本土の施設と比較して、日常的に劣化が生じ、損傷も激しくなっているのではないかと考えられます。
島しょ地域の港湾施設の維持管理をさらに適切かつ効率的に進めるためには、先端技術を積極的に導入していくべきであると考えますが、見解を伺います。
○佐藤離島港湾部長 島しょ地域の港湾施設の維持管理をさらに効果的に行うために、先端技術の積極的な活用を図ることは重要でございます。
都は現在、老朽化した施設の維持管理を効率的に進めるための手法として、人工知能の活用に関する検討を進めております。
これまでは施設を点検する作業員の熟練度によって、点検に関わる時間や損傷の大きさ等の判定にばらつきなどが生じることがあり、作業を進める上での課題となっていましたが、人工知能を利用した画像解析技術などを活用することで、広い範囲を短時間で点検するとともに、正確に損傷具合を捉えることが可能となります。
今後は、人工知能を活用して、点検作業の効率化と高度化を進めるとともに、ほかの最先端技術の活用に関しても、最新の知見や現場のニーズ等を踏まえた検討を進め、効率的な港湾施設の整備や管理につなげてまいります。
○渋谷委員 AIの活用に向けた検討を進めているとのことであり、大いに期待いたします。
最先端技術の導入については、多くの検討が必要だと考えますが、有効な技術が確認できれば、自然環境の厳しい伊豆・小笠原諸島の港の整備や管理をさらに効果的に行うことが可能になっていきます。
引き続き、日々進化する最新の技術に注視し、最先端技術の導入に努めることで、離島港湾DXの取組のさらなる発展につなげていくことを求めて、質問を終わります。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
東京港における海岸保全施設の耐震対策等について伺ってまいります。
東京の区部、島部には、地盤が満潮時の海面より低い、いわゆるゼロメートル地帯が広がっています。かつては大規模な水害が度々発生していましたが、東京港の沿岸を第一線で守る防潮堤や水門などの海岸保全施設が整備されたことにより、今では高潮による浸水被害が発生することはなくなっています。
しかし、大地震によりこれらの海岸保全施設が損壊してしまうような事態が生じれば、高潮や津波による水害を防ぐことができなくなってしまいます。このため、海岸保全施設の耐震性を確保することは極めて重要であり、これまで、都議会公明党では、防潮堤や内部護岸と呼ばれる運河沿いの護岸、水門などの耐震対策を積極的に進めるよう繰り返し要望してまいりました。
本日は、これらの耐震対策の進捗について確認していきたいと思います。
まず初めに、防潮堤及び内部護岸の耐震対策について、令和四年度の取組と全体の進捗状況をお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 都は、防潮堤や内部護岸の耐震性を確保するため、地盤の改良を行うとともに、鋼管矢板などの高い強度を持った鋼材を設置する工事を進めております。
防潮堤につきましては、昨年度中央区の勝どき五丁目陸上防潮堤や江東区の東雲二丁目防潮堤などの耐震対策工事を実施いたしました。その結果、昨年度末時点で全延長約六十キロメートルのうち、約五十七キロメートルが耐震対策済みとなっております。
内部護岸につきましては、昨年度江東区の東雲運河や平久運河などにおいて、耐震対策工事を実施いたしました。これにより昨年度末時点で全延長約四十六キロメートルのうち、約三十二キロメートルが耐震対策済みとなっております。
○竹平委員 防潮堤の耐震対策については、残り僅かで完了するという状況にありますが、内部護岸の耐震化に関しては、全長約四十六キロメートル中対策が完了したのは約三十二キロメートルとのことであり、整備率としては約七割程度ということになります。これについては、昨年の本分科会で我が党のかつまた議員が指摘し、都からは、護岸前面の水域を利用している事業者が多くいるため、工事を行う際の調整に時間がかかることが整備率の低い理由であるとの答弁があったところであります。
そこで、水域を利用している事業者との調整を円滑に進めるため、どのような取組を行っているのかお伺いします。
○村田港湾整備部長 内部護岸は、運河などの水位が上昇した際に、市街地を浸水から守るための施設であり、積極的に耐震対策を進めていく必要があると認識しております。
工事を実施するに当たりましては、護岸前面の水域を占用して、船舶事業を営んでいる事業者などに一時的に立ち退いていただくなど、協力を得る必要があることから、事業者への影響を最小限とするよう様々な配慮を行っております。
具体的には、工事期間中も事業継続できるよう仮移転先を確保したり、施工方法を工夫して、できる限り工期を短縮したりするなど、事業者の状況に応じて柔軟に対応しております。
引き続き、事業者の立場に立った丁寧な対応を行うことで、工事に対するご理解とご協力をいただき、内部護岸の耐震化工事の円滑な推進を図ってまいります。
○竹平委員 耐震対策を進めるためには、水域利用者のご協力が必要不可欠であります。内部護岸は、都民の命や財産を守る上で重要な施設であり、引き続き精力的に調整を図りながら、耐震化率の向上に取り組んでいただくよう要望いたします。
続いて、水門と排水機場の耐震対策についても確認をさせていただきます。
水門は、高潮や津波が運河に入ってくることを防ぐ施設であり、排水機場は、水門を閉鎖した際に内側にある運河の水上昇を防ぐための施設であります。いずれも市街地を水害から防ぐ重要な施設であり、地震で損壊することがないようにしなければなりません。
そこで、水門、排水機場の耐震対策について、令和四年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 水門につきましては、昨年度、浜前水門の耐震対策工事を完了させております。これにより、全十五か所のうち十四か所の水門の耐震化が完了したこととなり、残る一か所の新砂水門につきましては、現在隣接する場所に耐震性を有する新たな水門の整備を進めているところでございます。
また、江東地区と芝浦地区の二か所に排水機場を設置しておりますが、江東地区の辰巳排水機場につきましては、令和三年度に耐震性を有する新たな施設の整備を完了させており、芝浦排水機場につきましても、昨年度耐震工事を開始し、本年七月に完成させたところでございます。
○竹平委員 水門については十五か所中十四か所の耐震化が完了し、排水機場については全ての施設の耐震対策が完了したとのことであります。着実に耐震対策を進めてきたことを評価するとともに、残る一か所の水門についても、引き続きしっかりと工事を進めていただくよう要望しておきます。
ここまでの質疑でハード面での地震への備えが着実に進んでいることを確認させていただきましたが、近年の災害の激甚化や頻発化を考えると、防災に関する情報をいかにして迅速に都民に伝えるかという取組も重要であります。
都は、高潮や津波が発生した際、万が一の事態に備えて、都民が速やかに避難できるよう、防災情報を積極的に発信するべきだと考えますが、昨年度どのような取組を行ったのかをお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 高潮や津波の発生時において、これらに関する情報を迅速に発信することは、いざというときに都民が的確に避難できるようにする上で極めて重要でございます。
このため、都は、令和三年度から、高潮防災総合情報システムを運用し、東京港の潮位などの気象情報や、水門の開閉状況、海面のライブ映像などをウェブ上にてリアルタイムで公開しております。昨年度はより多くの地点での海面の状況を確認できるよう新たに三か所にライブカメラを設置いたしました。これにより全七か所、二十個のカメラで東京港内の海面の状況をリアルタイムで把握することが可能となっております。
また、都民がより分かりやすく情報を把握できるようスマートフォンやパソコンなどの利用端末に応じて、自動で最適なレイアウトになる機能を新たに加えるとともに、水門の開閉状況が一目で分かるような画面のデザインに改良するなどの改善を行っております。
高潮防災総合情報システムでは、万が一高潮の水害が発生した際の浸水予測を住所別に検索できるサービスも提供しており、引き続き迅速かつ的確な防災情報の提供に努めてまいります。
○竹平委員 先ほどの質疑で確認したとおり、東京の臨海部においては防潮堤や水門等が整備され、その耐震化もほぼ完了しつつある状況にあります。このため、高潮による浸水被害が発生することはほぼないと思いますが、万が一浸水被害が発生した際への備えもしっかりと築いておかなければならないというふうに思います。
一方で、高潮や津波が発生した際、都民が速やかに避難できるよう防災情報を得ることは極めて重要であります。ただいま高潮防災総合情報システムについて説明がありましたけれども、私も東京防災アプリから、この同システムを拝見いたしました。観測値一覧から私の地元江戸川区ですけれども、江戸川区のところを開くと、今井水門の各ゲートの開閉状況や、また外水位、内水位の高さ、イラストで示されておりまして、一時間ないし十分ごとの潮位グラフもあり、大変分かりやすく表示されておりました。
また、高潮浸水想定区域図、高潮特別警戒水位表も示されていまして、自分が住んでいるところはもちろん、都内全てのところを見ることができますし、高潮防災の基礎知識や、また、高潮から命を守るための学習動画などもありまして、子供でも分かるように紹介をされておりました。これらを多くの方に知ってもらい、見てもらうことが必要であるというふうに思います。今後も、防災に関する情報を正確かつ迅速に、そして分かりやすく都民に伝えるよう、積極的な情報発信に取り組んでいただくよう要望したいと思います。
続いて、気候変動への対応についても確認させていただきます。
国連気候変動に関する政府間パネルであるIPCCや国の報告書では、気候変動の影響により、平均海面水位の上昇や、降雨量の増大が予測されております。海面水位そのものが上昇すれば、現在の防潮堤の高さでは不足が生じるおそれがあるとともに、降雨量が増大すると、水門閉鎖時における内側の運河や川の水位が現在よりも短時間で上昇するため、排水機場の排水能力も強化しなければなりません。
このため、都は、昨年度、東京港海岸保全施設整備計画を策定し、今後の気候変動を踏まえた防潮堤のかさ上げや排水機場の機能強化に取り組むこととしたと承知しております。
そこで、新たな計画について、その具体的な内容を改めて確認するとともに、本計画に基づき、今後どのように整備を進めていくのかをお伺いいたします。
○村田港湾整備部長 都は本年三月、東京港海岸保全施設整備計画を新たに策定し、気候変動による影響を踏まえた防潮堤のかさ上げや排水機場の機能強化を計画的に進めていくことといたしました。
防潮堤のかさ上げにつきましては、将来気温が二度上昇するというIPCCの予測に基づき、今後徐々に高くなっていく海面の水位と現在の防潮堤の高さ等を比較検討し、優先的に整備する必要がある地区から順次実施してまいります。具体的には、二〇二〇年代に品川区京浜運河沿い、二〇三〇年代に大田区の平和島運河沿いなどにある防潮堤のかさ上げを進める予定でございます。
また、排水機場につきましては、二〇四〇年代までに降雨量が一・一倍になると予測されており、現在の排水能力では不足することから、芝浦地区及び江東地区の排水機場のポンプを増設し、機能強化を図ってまいります。
今後も、計画に基づき着実に整備を進め、防災力の強化に万全を期してまいります。
○竹平委員 気候変動の影響を考慮した整備計画は全国初の取組と聞いており、都の迅速な対応は高く評価したいと思います。
一方で、気候変動による影響は今後大きく変わる可能性もあり、場合によっては、海面水位のさらなる上昇や、降雨量の増加もあり得ると思います。
今後、都は、状況の変化を的確に把握しつつ、必要に応じて、適宜計画を見直しながら、取組を進めることを要望しておきます。
次に、島しょ地域の港湾における防災対策についてお伺いいたします。
今月五日及び九日、鳥島近海で発生した地震により、伊豆・小笠原諸島に津波注意報が立て続けに発令されました。幸いにも人的被害はありませんでしたが、改めて地震、津波に対する備えの必要性を痛感したところであります。
特に、島の玄関口である港は、日頃より多くの島民や観光客が利用するとともに、島の生活、産業を支える物流の重要な拠点であることから、被害を最小限にするよう、しっかりとした対策を進める必要があり、その取組について確認をさせていただきます。
まず初めに、津波避難施設の整備についてお伺いいたします。
南海トラフ巨大地震の発生時には、津波が短時間で島しょ地域に到達することが予想されております。このため、我が党は、港を利用する方々が安全に避難できる津波避難施設の早期完成を要望してきたところでありますが、その整備状況についてお伺いをいたします。
○佐藤離島港湾部長 都は、平成二十六年に策定した伊豆・小笠原諸島における港湾等防災対策基本方針に基づき、予想される津波の到達時間と、港から安全な高台への避難に要する時間を調査、分析した結果、港の利用者などが安全に避難することが困難であることが判明した大島、新島、神津島、三宅島の四つの島にある計九つの港に、津波避難施設を整備することといたしました。
令和三年度までに、そのうち八つの港において、津波避難タワーや津波階段等の津波避難施設の整備を終えていましたが、昨年度、残る一つとなっていた神津島港において、最大六百名が避難できるスペースを有する津波避難タワーを整備したところであり、全ての津波避難施設の整備が完了したところでございます。
○竹平委員 津波が到達するまでの間に高台などの安全な場所に避難することが困難な全ての港において、昨年度までに津波避難施設を整備したとのことであります。南海トラフ巨大地震による津波被害の懸念が指摘される中、計画していた全ての津波避難施設を完成させたことは評価したいと思います。
今後は、津波避難施設への誘導が的確に行われるよう、地元町村や関係事業者等と緊密に連携して、防災訓練等を繰り返し実施し、人的被害をゼロにすることを目指していただくことを要望いたします。
一方、島しょの港は、災害発生後の応急復旧の際に人や物を迅速に搬送する拠点となることから、災害発生時においても十分に機能する岸壁を確保していくことも必要であります。これまでの整備状況と昨年度の取組についてお伺いをいたします。
○佐藤離島港湾部長 都は、島民が生活している伊豆・小笠原諸島の全ての島におきまして、災害発生後の復旧、復興に必要となる物資を輸送するための岸壁を、原則一つ選定し、緊急輸送用岸壁として位置づけてございます。
この緊急輸送用岸壁は全部で十二か所ございますが、このうち四か所につきましては、最大級の津波に耐えられる強度が不足していることや、スペースが狭いといった課題があることから、必要な整備を実施しているところでございます。
具体的には、三宅島の阿古漁港におきまして、輸送用の大型車両が岸壁上で転回できるスペースを確保するための拡幅工事を平成三十年度から行っており、昨年度はケーソンを二函据え付け、計画している百五十メートルの岸壁のうち、約八十メートルの整備を完了させたところでございます。
また、八丈島の八重根漁港におきましては、最大級の津波にも耐えられる岸壁の整備を平成二十八年度から進めており、昨年度も引き続き取組を実施してございます。
残る式根島野伏漁港と父島二見港につきましては、岸壁の構造や地盤条件などを踏まえた補強方法について調査設計を実施しているところでございまして、これらを踏まえ、今後も引き続き取組を進めてまいります。
○竹平委員 各島に原則一つずつ指定されている緊急輸送用岸壁は、災害後の応急復旧活動の拠点となる大変重要な施設であると認識しております。
昨年度は、阿古漁港における岸壁整備が進捗したとのことであり、着実に整備が進んでいることを評価したいと思います。残る港についても、早期完成に向けて、引き続き取組を進めることを強く要望しておきます。
次に、火山噴火対策についてお伺いいたします。
伊豆諸島は富士火山帯に属していますが、直近では、大島の三原山が昭和六十一年、三宅島の雄山が平成十二年に噴火しており、それぞれ全島避難を余儀なくされました。
いざ噴火が発生した際に、四方が海に囲まれている島しょ地域において迅速な避難を可能とするためには、集落からアクセスしやすい港に大型船舶等が接岸できる岸壁が確保されている必要がございます。この課題に対しては、昨年の事務事業質疑において、我が党のまつば議員からも、火山の噴火時に島外へ避難するために必要となる港湾施設の整備を引き続きしっかりと進めるべきことを指摘したところであります。
そこで、火山の噴火時に、島外避難のために使用する港について、昨年度の整備状況をお伺いいたします。
○佐藤離島港湾部長 都は、伊豆・小笠原諸島における港湾等防災対策基本方針に基づき、過去の噴火災害などを踏まえ、避難の際に使用する港の整備を進めてございます。
具体的には、島外へ避難するための港を大島と三宅島にそれぞれ三か所ずつ定めまして、噴火時に大型船舶等が接岸できる噴火避難用岸壁や、港の中の静穏度を確保するための防波堤などを整備することとしており、噴火避難用岸壁につきましては、六か所の港全てにおいて整備が既に完了してございます。
防波堤につきましては、四か所の港において引き続き整備を進めており、昨年度は、大島の波浮港及び三宅島の三池港において、防波堤の本体となるケーソンや基礎コンクリートブロックなどの製作を行っております。また、三宅島の伊ヶ谷漁港におきましては、避難時に使用する大型船に安全に乗り降りができるよう、岸壁上への波の流入を抑える消波ブロックの製作及び設置工事等を実施いたしました。
残る大島の元町港につきましては、詳細設計を実施しており、引き続き各港の整備を確実に進めてまいります。
○竹平委員 噴火避難用岸壁については既に整備済みであり、現在は四か所の港において、港内の静穏度を高めるための防波堤などの工事を進めているとのことであります。避難時に使用する船舶が安全に停泊するために必要な施設であり、昨年度も着実に整備が進められていることを確認できましたが、火山噴火はいつ起こってもおかしくない状況にあります。早期の整備完了を目指して、引き続きしっかりと取組を進めていただくよう要望いたします。
一方、噴火の際には、港においても噴石が降ってくることも考えられます。そこで、島民の方々が安全に避難できるよう、港での噴石に対する対策も考慮するべきと考えますが、都の取組についてお伺いいたします。
○佐藤離島港湾部長 都は、噴火発生時の避難用の港の一つである三池港におきまして、老朽化した船客待合所の建て替え工事を進めていますが、新たに整備する船客待合所は、屋根を噴石にも耐えられる構造とすることで、避難する島民の方々が安全に待機できるようにいたします。
昨年度は、代替えとなる仮設の船客待合所を完成させるとともに、既存の船客待合所の撤去及び新たな船客待合所の設計に向けた調査検討を実施してございます。新たな船客待合所は、令和七年度の完成を目指しており、引き続き着実に整備を推進してまいります。
○竹平委員 噴石対策についても適切に取組が進んでいるようであり、評価したいというふうに思います。三池港の新たな船客待合所の整備が着実に進むよう要望しておきます。
本日は島しょ地域の港湾等における防災対策について、昨年度の取組を中心に質疑を行いました。伊豆・小笠原諸島での工事は気象、海象条件が厳しいため、大変難しい困難な工事が多いというふうに聞いております。
そのような状況でありますけれども、島しょ地域の防災対策は大変重要な事業だと認識しており、早期に事業を進めることが必要と考えています。そのためにも、様々な知恵を絞り、島しょ町村と協力し、連携しながら、引き続き強力に事業を推進していただくことを要望して、終わります。
○曽根委員 私からは、初めに、統合リゾート、IR及びカジノを含むこの調査事業について、質問いたします。
東京都は、国のカジノを含むIRの推進構想を受けまして、二〇一四年度から毎年カジノについて調査予算を組み、国内外で調査を行ってまいりました。臨海部についても、例えば青海地区北側などが国の示したIRの三十ヘクタール規模に近く、好条件だと取り沙汰された経過もあります。二〇一六年度から一九年度までは、カジノのメリット、デメリットの調査を行うことを理由として、イギリスやアメリカなど海外に都の職員を調査に行かせておりました。
ところが、この報告書の内容について我が党が開示請求をしますと、公費である都の予算を使いながら、この公開文書はほぼ全文黒塗りで、調査内容や結果を都民にも、都議会にも、全く明らかにしておりません。これは、小池知事の都民への都政の情報公開をうたった公約にも、都民と共につくる都政というスローガンとも、全く矛盾する態度といわねばなりません。
しかし、その後、コロナ感染を理由に、二〇二〇年度、二〇二一年度には調査を行われなかったと、昨年の決算審議で明らかにされております。その後、新型コロナウイルスは日本でも五類相当の感染症とされ、海外ではパンデミック状態を脱したとみなされるようになりました。
そこでお聞きします。二〇二二年度決算年度のIR、カジノの調査予算は幾らで、これは執行されたのか。また、関連して、今年度も同じ予算を計上していますが、実施状況はどうかお聞きします。
○千田調整担当部長 令和四年度予算におきましては、IRの検討調査に要する費用として約一千万円を計上いたしましたが、委託調査は実施しておりません。また、今年度の委託調査につきましては、現時点で発注しておりません。
○曽根委員 どうして毎年調査予算を計上しながら未執行を続けているんですか。この理由についてお聞きします。
○千田調整担当部長 令和二年度から令和四年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の状況などから委託調査の実施を見送りました。
○曽根委員 今の理由は、コロナ感染の国際的な広がりを理由にした、昨年度までの調査の見送りということですが、今年度に入ってから、先ほど申し上げましたようにコロナウイルスは五類移行され、まだ、国内感染はもちろん終息していませんが、政府は景気対策優先で海外旅行客を大量に受け入れ始めています。コロナ感染対策がこれだけ緩和された中でも、調査予算が今年も未発注ということは、国内でカジノ、IR構想がますます行き詰まっていると。
国内唯一の候補地とされた大阪万博跡地の夢洲の構想も、呼び水となるはずの万博会場整備費が当初の一・九倍にも膨らんで、その後のIRもカジノも実現は遠のきつつあるという状況と、また、国民の暮らしに賃金の低迷や物価高騰が重くのしかかり、万博とか統合リゾートとか、ましてやカジノどころではないという世論の強まりがあるのが実情ではないでしょうか。
そして、我が党は、かねてより指摘しているように、ギャンブル用ゲーム機保有台数というのは、日本の場合、海外よりはるかに多く、四百万台を超えており、ギャンブル依存症が数百万人ともいわれている状況の中で、これ以上のギャンブルカジノはお断りという強い世論が広がっていることを東京都も認めるべきです。
最近、加えて、ラスベガスでもアジアでも、施設を建設するタイプのカジノは軒並み赤字になり、既にオンラインカジノという形に移行しつつあるという状況や、また観光面で見ても、海外から日本を訪ねる魅力は、自然の風景や食べ物や文化だという状況であり、観光としてもカジノは時代遅れということは明らかです。きっぱり断念すべきであることは申し上げておきます。
次に、今回、九年ぶりに改定となる第九次東京港湾計画について、一点だけ確認をさせてください。
九次の改訂港湾計画については、我が党のあぜ上議員より、港湾審議会も含めて、全面的に質問、意見を述べさせていただいているところですが、私からは、決算質疑なので、昨年中に出されたこの九次改訂に向けての東京港の長期構想との関係で、一点だけ確認しておきたいと思います。
昨年の第九次改訂港湾計画に向けた長期構想という文書には、取扱い貨物量の増加に対応するため、第二東京湾岸道路や、中略しますが、港内の道路整備等により、新たな道路ネットワークを構築し、東京港と背後圏とのアクセスをさらに拡充すべきであるという文章がありましたが、今回の第九次の改定案には明記されていないと思いますが、事実についてお答えいただきたいと思います。
○水飼港湾計画担当部長港湾DX推進担当部長兼務 第二東京湾岸道路は、三環状道路などと一体的な道路ネットワークを形成し、都県間の広域的な交流、連携を促進するとともに、交通混雑の緩和を目的とする構想路線でございます。
今回の第九次改訂港湾計画においては、現時点で国等から具体的な計画が示されていないため、記載しておりません。
○曽根委員 この第二東京湾岸道路については、九年前の第八次改訂の当時とは、私、大きく異なる条件が、その後生じていると思います。
第一には、昨年、私が所属する環境・建設委員会の事務事業質疑で、私、指摘をさせていただきましたが、野鳥の生態系保護に欠かせない干潟の保全に大きく貢献するラムサール条約に、五年前に都内で初めて、葛西海浜公園の東なぎさが指定されました。
私も昨日、五周年のイベントに、もう本当にぎりぎりだったんですけど訪ねてまいりましたが、ところが、それよりはるかに長い期間、ラムサール条約登録の努力と運動が多くの方たちに取り組まれてきた千葉県浦安沖の三番瀬干潟が、いまだに登録が実現されていないという状況があります。
少なくともこの三番瀬干潟を東西に真っ二つに分断する可能性が高い第二湾岸道路構想は、何としてもストップをかけたいという、自然保護を願う野鳥の会をはじめとした共通の世論として強まっているということ。第二湾岸が整備されれば、干潟周辺にまで流通機能の集積がつくられてしまう可能性があり、野鳥の楽園は失われ、ここを餌場としている葛西海浜公園東なぎさや東京都の野鳥公園、また、東側千葉県ではさらに東の谷津干潟などの野鳥全体に大きな影響を及ぼすということです。
第二に、前回、二〇一四年の八次改訂の当時、国の方から東京港、川崎港、横浜港の三港から成る京浜港を一体として総合的に港湾機能を強化していく計画が強調されておりました。
三港の連携を強化する交通体系のあるべき姿として、私も当時の資料を引っ張り出してきたら、京浜港の総合的な計画という、この簡易版の、京浜港連携協議会というところが発行した文書の中に、三港間の輸送網の充実を道路交通でもネットワークとして強化し、さらに背後の首都圏と様々な輸送手段でネットワークを結ぶという構想図が書かれており、その中に構想中の路線として、第二湾岸道路も明記されておりました。これが第八次改訂の二年前に出されているんですね。
以上の点から、京浜三港の一体化の構想は、ご存じのとおり、その後行き詰まっておりますので、それぞれの港湾機能を強化する方向で、今回の九次改訂も進められているのが現状だと私も理解しております。
以上の点から、第二湾岸道路は今のところ、改訂計画に明記されていませんけれども、これ以上、湾岸の自然環境を破壊する大型自動車道路計画などで、残された貴重な野鳥や干潟の生物の多様性の宝庫を消滅させることはきっぱりと断念するとともに、千葉県のラムサール条約加入の取組に、葛西海浜公園を実現させた都として、三番瀬干潟のラムサール条約登録に大いに連携協力するよう強く求めておきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○山口委員 私からも島しょ地域の航路、航空路をはじめとして幾つか伺わせていただきたいと思うわけでありますが、まずはこの東京島しょ地域の航路と航空路について、本土と各島を結ぶ定期船や航空機についてでありますが、人々の交通手段であるとともに、物流を支える大切な役割を担っていることから、島しょ地域の生活と産業にとって、これは極めて重要であることはいうまでもないわけであります。
このため、都が、これまで、気象条件が厳しい中にあっても、これらの交通手段が安定的に運航がなされるよう、港や空港等の整備と維持管理に取り組んできたことは重々承知をしているわけであります。
まず、そこで伺いたいんですが、昨年の定期船及び航空機の就航率の実績についてお伺いをしたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 定期船の就航率につきましては、一つの島に二つの港が整備され、風向きに応じて、静穏度のより高い方の港に寄港することができる大島や八丈島などでは九〇%を超えており、特に大島では、おおむね全ての便が就航をしております。
一方、定期船が寄港できる港が一つのみとなっている小離島におきましては、大島や八丈島などと比較して、就航率が低い傾向にありますが、風向きによって船が停泊する位置を変えられるよう、複数の突堤の整備を進めているところであり、整備が完了している利島の就航率は約八〇%、現在整備中の御蔵島と青ヶ島は約六〇%となっております。
航空路の就航率につきましては、調布飛行場と大島、新島、神津島、三宅島の各空港を結ぶ路線はいずれも九〇%を超えており、羽田空港と八丈島空港を結ぶ路線は九六%となっております。
○山口委員 大変丁寧に説明をいただきました。航空機や、大島、八丈島への定期船の就航率は大変高く、おおむね九〇%を超えているというお話でありました。
一方、利島や御蔵島、青ヶ島といった小さい島への定期船については、就航率が低い状況であるということでありました。島しょ地域の海は荒れやすいために、特に冬場は、港に船が寄港できないことも度々あると私たちも聞いているわけでありますが、答弁にもあったとおり、小さい島の港においては就航率の向上に向けて、突堤などの建設工事を進めているとのことでもありますが、引き続きしっかりと取組を進めていただきたいと、このように思うところであります。
さて、新型コロナ発生直後には、航路、また航空路の利用者が激減をしたわけでありますが、行動制限の緩和などが進むにつれて回復傾向にあるとも聞いています。そこで、昨年度の航路及び航空路の利用客数は、コロナ禍前と比較をするとどのように、どの程度まで回復をしたのか伺いたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 昨年度における定期船の利用客数は約四十九万人であり、コロナ禍前の令和元年度の実績の約八割となっております。また、航空機の利用客数は約二十八万人であり、同じくコロナ禍前の令和元年度と比較して九割を超える実績となっております。
○山口委員 島民の皆様にとっても、観光をお待ちいただいていた多くの皆様にとっても、本当によかったなと思うところであるわけでありますが、昨年度における航空機の利用客数は、今お話をいただいた約二十八万人ということで、コロナ禍の前の九割を超えてきたということでありましたが、定期船についてはまだ約八割にとどまっている。非常に運航事業者にとってみると、いまだ厳しい経営状況にあるんだなということは、この数字を見ても分かるところであります。
島民生活を支える重要なこの航路とか航空路を維持していくためには、従来よりも、都は事業者に対する補助をしっかりと実施してきているところでもあるわけでありますが、新型コロナの感染拡大によって、利用客数が大きく落ち込んだ令和二年度以降、運航事業者に対する追加の支援を継続して実施してきたというふうに認識、承知をしているところであります。
そこで伺いたいんですが、航路、航空路の事業者に対する補助制度の概要を改めて確認をするとともに、新型コロナの感染拡大以降、どのような追加支援を行ってきたのか、昨年度の実績も含めて伺いたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 都は、これまでも、定期航路や航空路を維持するため、国と連携して運航事業者の欠損額に対し補助を行ってきており、そのうちおおむね二分の一を負担してまいりました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大後は、補助の対象となる欠損額が大幅に増加したことから、令和二年度から四年度にかけては、補正予算において補助に必要な額を追加で確保し、支援を実施しております。
加えて、従来は補助の対象外としていた竹芝−神津島間の定期航路につきましても、欠損額の二分の一を補助する取組を都独自で実施しております。
昨年度の実績額は約十八億円であり、一部減便となった路線はあったものの、年間を通じて全ての離島路線や航空路が維持されております。
○山口委員 新型コロナの感染拡大直後というのは、運航事業者の経営悪化による路線の休止だとか、撤退を心配するところまで、そんな声もあったわけでありますが、もう本当に、事業者の方々にしても、悲痛な状況が続いたわけでもあります。
今お話をいただいたように、東京都の支援や、島民の皆様の安心、事業者の皆さんにとっての支えといいましょうか、もう本当につながっていったんだなというのを、私たちも実感として聞いていて、高く東京都を評価したいというふうに思っております。
離島の航路、航空路というのは、島しょ地域の住民とって、これはいわば、言葉換えますと、生命線にもなるわけでありますから、路線を維持するために、今後も事業者に対する支援をしっかりとさらに行っていただくべきと考えるわけでありますが、都の見解を伺いたいと思います。
○佐藤離島港湾部長 島しょ地域と本土を結ぶ定期航路や航空路は、島民や観光客などの交通手段として、また日用品や生産物の輸送手段として必要不可欠なものでございます。そのため、都はこれまで、航路や航空路が安定的に運航されるよう、事業者に対して補助を行ってきており、コロナ禍においては、補正予算で必要な額を確保してまいりました。
今後とも、島しょ地域の生活や経済を守るため、航路や航空路の事業者の支援を着実に実施してまいります。
○山口委員 東京の島しょの地域には、日本中の皆様に、また世界中の方々に知っていただきたいすばらしい自然景観や、海洋資源、特産品、歴史、文化、様々あるし、この魅力というものはもういうまでもなく、世界中の方々が、いつか行きたい場所としても知られるほどになっているわけであります。
こうした資源のさらなる活用も大事でありますし、この魅力の拡大を図っていくためには、本土と島しょ地域をつなぐこの航路や航空路が安定的に運航されていることが必要不可欠なのはいうまでもないわけであります。
インターネットだとかSNS、こういったものがどれだけ発達をしても、島しょ地域を支える交通手段というものがしっかりと確保されていることが極めて重要でありますので、引き続きこの取組を行うことを要望して、この質問については終わりたいと思います。
続いて、舟運の活性化についても伺わせていただきたいと思います。
東京都には、川や海、運河などすばらしい水辺空間がたくさんあるわけでありまして、国内外から訪れる方々にとって大きな魅力になっていることはいうまでもないわけであります。
新型コロナウイルス感染症の五類移行により、インバウンドや個人消費が回復をしつつある中で、これを後押しするためには、東京が持つ水辺空間の魅力をさらに高めていく取組というものが有効であると考えますが、その一つとして期待をされるのが舟運であるわけであります。
そこで、本日はこうした観点から、舟運の活性化について、昨年度の取組を中心にちょっと伺っていきたいなと思うわけでありますが、舟運の中でも、東京を訪れる多くの観光客が水辺の魅力を十分に楽しめる手段として挙げられるのが、屋形船であったり小型クルーズ船等の、いわゆる不定期航路の船舶であります。
こうした不定期航路船舶の運航を増やしていくためには、発着可能な船着場を増やしていくことが必要になるわけでありますが、都では、水上バス等の定期航路用の公共船着場を、不定期航路船にも開放していると聞いておりますが、現在都が管理をする公共船着場の不定期航路船への開放についての取組状況について、まずは伺いたいと思います。
○野平港湾経営部長 舟運を活性化し、水辺ににぎわいを創出するためには、船舶が発着するための船着場を増やすことが重要でございます。このため、都は、水上バスなどの定期航路用として整備してきた公共船着場を、屋形船などの不定期航路事業者に対しても開放することといたしました。
具体的には、平成二十六年に竹芝、平成二十七年に有明、平成二十九年にお台場、令和元年に日の出、令和二年に青海の船着場を開放してきておりまして、その結果、現在では、都が管理する東京港内の公共船着場の全てを不定期航路事業者が利用できるようになっております。
○山口委員 大変この運航管理も難しい、都が管理をする東京港内での公共船着場について、全ての舟運事業者に対して開放されているというお話でありました。これはもう、本当に高く評価されることであって、ほかの地域であってもなかなかこれはないわけであります。
ところで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大というものがあったわけでありますが、観光客は大きく減少いたしました。屋形船等の舟運事業者は、これはもう本当に、先ほどもお話をしましたが、大きな影響を受けたわけでありますが、公共船着場の開放を進めても、その利用がなされなければ、これは意味がないわけであります。
そこで伺いたいんですが、昨年度の公共船着場を利用、使用したというのかな、屋形船等の不定期航路船の乗降客数はどれぐらいであったんでしょうか。コロナ禍前と比較を含めて状況を伺いたいと思います。
○野平港湾経営部長 都が管理する港湾エリアの公共船着場における屋形船などの不定期航路船の乗降客数につきましては、船着場の開放とともに順調に増加してきておりまして、コロナ禍前の令和元年度は、竹芝、有明、日の出及びお台場の四か所の船着場で年間延べ三万六千人以上の利用がございました。
令和二年には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限等の影響によりまして、乗降客数は延べ約七千七百人まで減少したものの、行動制限の緩和や公共船着場の新たな開放等により、徐々に乗降客数は回復いたしまして、令和四年度は、コロナ禍前を超える過去最高の延べ約三万九千人となっております。
○山口委員 屋形船等の不定期航路船の乗降客数が順調に増加をしていると。コロナ禍による、一時的なというには長過ぎましたけれども、影響もありましたが、現在はコロナ禍前の水準以上になっているというお話でありました。
利用客数が短期間で回復したことを確認でき、少し安心をしたところもありますが、東京の水辺により一層のにぎわいをつくり出していくためには、舟運のさらなる活性化というものが重要であると考えています。そのためには、利用可能な船着場を増やすだけではなくて、舟運事業者にとって使いやすい船着場であることが必要であると考えます。
そこで伺いたいんですが、舟運事業者の利用促進を図っていくために、公共船着場の利便性を高めていくことが必要であると。まず、昨年度までの取組についてはいかがだったんでしょうか伺いたいと思います。
○野平港湾経営部長 舟運事業者による公共船着場の利用を促進するため、都はインターネットで簡単に船着場の利用予約が可能なシステムの導入を進めてまいりましたが、一方で、船着場の開閉や利用時間の確認のための人員を手配する必要があることから、利用予約の申込み締切りを前日夕方としていたため、舟運事業者からは改善を求められておりました。
そこで、都は昨年度、日の出船着場におきまして、インターネットでの予約受付時に発行するQRコードを活用し、舟運事業者が自身で解施錠をすることができるスマートロックと、利用時間の自動計測が可能な高性能カメラを組み合わせた無人管理システムを導入いたしました。これにより、人員を手配する必要がなくなったため、舟運事業者は利用直前でも公共船着場を予約することが可能となりました。
都は、引き続き、無人管理システムの導入拡大を図り、公共船着場の利便性を高めることで、舟運の活性化に向けた取組を進めてまいります。
○山口委員 船着場の開放に加えて、その利便性を高めていくために、都が継続をして取組を進めていただいているということがよく分かりました。
最初にも少しお話をさせていただきましたが、東京には海や川、運河などすばらしい水辺空間が広がっていて、国内外から訪れる方々にとって魅力ある場所であるわけであります。
この間、コロナ禍も考えてみると、オリンピックもあって期待をされていた、パラリンピックもあって非常に期待されていたこの舟運、特にこの水辺空間は、どのように東京として魅力の発信をして、整備をしていくかと、皆さんも本当に努力を重ねられたところだと思いますが、残念ながら多くの方にお越しをいただくこともかなわなかった。でも、その魅力は変わることは当然ないわけでありまして、その一方、うわさで本当に苦しい思いをされた事業者の方々も、それを見たいと思っていらっしゃるまだまだ来れていない方々にとっても、皆さんの取組というのは非常に重要な役割を担っていただいていると思います。
港湾局に確認をさせていただいたところ、無人管理システムは利用者である不定期航路事業者からも好評をいただいているというふうに伺っております。好評を博している、直近の乗降客数の増加については、コロナ禍からの回復に加えて、こうした都の取組だとか、すばらしいこれまでになかった取組というものが、成果といっても私はいいと思います。
引き続き、舟運事業者の利便性の向上に向けて、またこれから東京に魅力を感じてお越しをいただく多くの皆様のためにも、この無人管理システムの導入拡大を要望して、質問を終わりたいと思います。
○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○細田委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。
○栗岡環境局長 去る十月十三日の同委員会を欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
建築物担当部長の木村真弘でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○細田委員長 紹介は終わりました。
○細田委員長 これより決算の審査を行います。
令和四年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求のございました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○緑川総務部長 去る十月十三日の当分科会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、七項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、大規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移(過去十年分)でございます。
(1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十三年度から令和二年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
二ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量でございます。
(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十三年度から令和三年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。なお、令和三年度は速報値となっております。
三ページをお開き願います。2、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移(用途別)(過去十年分)でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途について、床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
四ページをお開き願います。3、中小規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移(過去十年分)でございます。
(1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十三年度から令和二年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
五ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十三年度から令和三年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。なお、令和三年度は速報値となっております。
六ページをお開き願います。4、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素につきまして、平成二十九年度から令和三年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
七ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載をしております。
八ページをお開き願います。(3)、微小粒子状物質につきまして、同様に記載をしております。
九ページをお開き願います。5、産業廃棄物として都内から排出されるアスベストの廃棄量(過去十年分)でございます。
平成二十三年度から令和二年度までの各年度における廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の排出量を記載しております。
一〇ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
平成三十年度から令和四年度までの各年度における要措置区域及び形質変更時要届出区域の指定件数を記載しております。
一一ページをお開き願います。7、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局の一年間の騒音発生回数及び一年間の最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数を記載しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 よろしくお願いします。
初めに、多摩地域の自然環境について伺います。
森林再生事業についてお伺いします。多摩地域には、地面に日が当たらないため下草が生えず、裸地化による土砂の流出や動植物の生息、生育環境の悪化が懸念される森林が多くありまして、東京都は、手入れの遅れた多摩の杉やヒノキの人工林を対象に、森林所有者との間で協定を締結し、荒れた森林の間伐を実施する森林再生事業を実施しています。そこで、令和四年度の森林再生事業の実績についてお伺いいたします。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 都では、土砂の流出防止や水源涵養等の公益的機能を回復させることを目的に、平成十四年度から、手入れの遅れている人工林を対象に間伐等を行う森林再生事業を実施しております。具体的には、地元自治体が森林所有者との調整を踏まえ、毎年度区域を設定の上、事業を実施しており、令和四年度の間伐事業の実績は約四百八十ヘクタールとなっております。
事業開始から令和四年度末までの二十一年間で、間伐事業実績の合計は約一万一千八百四十五ヘクタールでございます。また、森林再生事業の効果を検証するため、下草や低木の植生調査、土砂流出防止を確認する表土流出量調査を実施しております。
今後も、森林再生事業を推進していくため、地元自治体と連携、調整の上、森林所有者の方々の理解を得ながら事業を推進し、環境保全、土砂災害の防止に優れた森林環境を創出してまいります。
○清水委員 森林の間伐については、先日の分科会の質疑において、産業労働局における事業の実績を伺いました。産業労働局の方では、伐採した樹木の活用を行っているようですが、環境局の事業では、間伐した樹木や枝葉が地表を覆うことで表土の流出を防止することなどを目的に、伐採した樹木はそのまま残しているとのことです。
引き続き、それぞれの事業の特性を踏まえつつ、地元自治体とも連携しながら、森林再生事業をしっかりと進めてもらいたいと思います。
次に、ツキノワグマ対策について伺います。
近年は、全国的にツキノワグマの出没が増えています。西多摩地域でも数多くの目撃があり、私の地元西多摩の日の出町でも、地元の方々が不安に過ごしています。
熊出没の住民への周知について、令和四年度、どのように取り組んだのか伺います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 熊による人的被害を防ぐためには、熊遭遇による被害防止の留意点や、熊の目撃情報を住民の方々に正確かつ迅速に提供することが重要でございます。
東京都では、熊と出会わないための事前の留意点や、出会ってしまった場合の留意点について、環境局ホームページにおいて周知しております。また、市町村等から寄せられた熊の目撃情報を、目撃された地点が分かるマップや一覧にして掲載し、定期的に更新し発信しており、令和四年度は、延べ百九十四件の目撃等の情報を周知しております。
また、地元の自治体においては、人家近くで目撃情報が確認され次第、防災行政無線や緊急連絡メール等を活用して、地域の住民への注意喚起を行っております。
今後も、地元自治体とも連携し、熊の目撃情報等が住民の方々に効果的に届くよう、積極的に情報発信を進めてまいります。
○清水委員 情報発信を推進していくというご答弁がありましたが、現場では、通学路付近に熊が出没し、両親が遠くで働いているお子さんが不安な思いをされているケースもあります。
私が申し上げたいのは、熊は縄張ではなく、市町村を簡単に越えてしまうこと、ご答弁いただいた出没マップや一覧表の作成には時間がかかるなど、課題があるということです。
一義的には、防災無線や緊急メールなどによる周知が有効かと思いますが、例えば市町村を越えた、全体的な出没傾向を踏まえた情報提供や、数ある猟友会との情報共有など、地元の皆様の安全・安心につながる情報発信に向けたさらなる取組を強く要望して、次の質問に移ります。
次に、山のふるさと村について伺います。
都民から、山ふるの愛称で親しまれている山のふるさと村は、秩父多摩甲斐国立公園内にある東京都の自然公園施設です。都民が奥多摩の自然に親しみながら、自然体験プログラムに参加したり、キャンプやクラフトを楽しむことができる施設です。また、平成二年の開園から三十年が経過し、順次改修を加えている様子が見受けられます。
そこで、令和四年度に、山のふるさと村で村民に対しどのようなイベントを実施し、また、どのような施設整備を行ったのか伺います。
○和田自然環境部長生物多様性担当部長兼務 山のふるさと村は、奥多摩の豊かな自然を伝え、関心を深めるために、都民がこれらの自然を体験できるビジターセンターや宿泊施設のケビン、キャンプ場を設置している施設でございます。
令和四年度のイベントについては、奥多摩の地域資源を活用した取組として、地元の特産である治助芋の収穫と料理づくり体験、鹿の角ストラップづくりなど、地域の方々と共に様々な工夫を凝らしたイベントを開催いたしました。
また、宿泊者向けの取組として、星空ウオッチングやアニマルウオッチングなどのナイトプログラムを実施しております。さらに、奥多摩地域にある近隣施設の檜原都民の森、奥多摩都民の森との合同企画によるハイキングや登山イベントなども開催いたしました。
令和四年度は延べ約一万三千人の方々に参加して楽しんでいただきました。
施設整備として、ケビンについて、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインに沿った改修を令和三年度から計画的に実施しており、令和四年度はケビンデッキ二棟などの改修を行いました。また、施設の老朽化対策として、浄水場の滅菌処理施設の交換などの給排水施設の更新も行いました。
今後も、都民のニーズに応えた山のふるさと村独自のイベントを企画し、実施していくとともに、施設の現状の調査を継続的に実施し、改修工事を計画的に行うことで、多くの都民が楽しみ、快適に利用できる施設を目指してまいります。
○清水委員 山のふるさと村は、奥多摩の豊かな自然を体験できる貴重な場所です。さらに広報やPRに努めていただいて、より多くの都民の方に利用していただくことを期待して、次の質問に移ります。
大気環境の改善に向けた対策について伺います。
東京の大気環境は、都が事業者の協力の下で進めてきたディーゼル車規制などの取組により、大幅に改善していることを実感しています。
二酸化窒素や浮遊粒子状物質など様々な大気汚染物質が着実に改善してきた一方で、光化学スモッグの原因物質である光化学オキシダントについては、全ての測定局で環境基準が未達成な状況が継続しています。また、光化学スモッグ注意報もかなり減少してはいるものの毎年発令されており、残された課題の一つとなっています。
この光化学スモッグの主な原因は、揮発性有機化合物、VOCであると聞きました。私も車の給油をする際に、いつも独特のガソリンの臭いを感じていましたが、これもVOCの一種であり、都内のVOCの約二割を占めているということです。
そこで、都が大気環境のさらなる改善に向けて、令和四年度に実施した給油時のVOC対策の実績について伺います。
○宗野環境改善技術担当部長 ガソリン給油時に発生するVOCは、都内のVOC排出量の二割を占めておりまして、その排出削減に向けた取組は重要でございます。そのため、都は、給油時に発生するガソリン蒸気、ベーパーを回収し、再度ガソリンに戻す給油設備の導入について、中小事業者を対象に経費の補助を実施しております。
給油機には二種類ございまして、天井からつり下がった懸垂式につきましては、VOC排出削減対策として、令和二年度から支援を開始しております。また、固定式については、VOC排出削減に加えまして、エネルギーの有効利用の観点から、令和四年第三定例会の補正予算に計上し、支援を開始しております。令和四年度は五台の交付申請がございまして、約一千三百万円を支出いたしました。
都は今後も、関係団体等と連携して、支援制度の活用を呼びかけ、東京の大気環境のさらなる改善につなげてまいります。
○清水委員 大気環境のさらなる改善に向けて、給油時のVOC対策が進められていることが分かりました。ただ、実績が五台と、まだ少し少ない気がいたします。一定以上の自己負担が必要となることなど、加速に向けての課題はあると思いますが、支援制度の周知活動などしっかり取り組んでいただき、さらなる取組の促進につなげていただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、都内への太陽光発電設備の普及状況について伺います。
今年、東京都の真夏日及び猛暑日も過去最多になるなど、脱炭素社会への取組を一層加速していくことが必要です。また、円安やエネルギー危機に伴う電気料金等の高騰も継続しており、エネルギー安全保障の観点からも、電力の地産地消を推進していくことが重要です。
一方、東京は建物が集積する都市であり、その屋根は太陽光発電の設置に適していますが、設置率は四%程度にとどまっており、この大きなポテンシャルを活用していく必要があります。都は、この東京の特色に着目し、住宅の屋根への太陽光発電設備の導入促進に向けた支援制度を充実してきています。
そこで、昨年度の住宅向け太陽光発電導入支援の実績として、申請件数とCO2削減効果について、具体的かつ分かりやすく教えてください。
○荒田気候変動対策部長 太陽光発電設備の設置は、CO2排出量の削減に資するとともに、停電時にも電気の継続使用が可能となり、脱炭素でレジリエントな住宅を推進する上で重要な要素であります。
そのため、都は、新築住宅向けの東京ゼロエミ住宅導入促進事業に加え、令和四年度より、これまで断熱改修や蓄電池導入支援を行っていた既存住宅向けの事業においても、新たに太陽光発電設備の導入支援を開始するなど、より多くの住宅への太陽光発電の導入促進を図ることといたしました。
その結果、昨年度は新築住宅向けと既存住宅向け支援事業を合わせて一万一千九百九十四件の申請がございまして、発電出力の合計は約六万キロワットとなりました。これにより、年間約二万五千トンのCO2削減効果が見込まれ、これは杉の木約三百万本の吸収量に相当いたします。
○清水委員 分かりやすくということで、杉の木に例えていただいてありがとうございます。
CO2削減に寄与するだけでなく、自家消費することで、停電時の電源確保や電気料金の削減につながるなど、一挙三得の対策です。特にCO2削減効果は、杉の木三百万本に相当するとのことですが、これは多摩地区の杉林の面積から推計される約二千万本の一五%に相当します。
今後も、太陽光発電設備の導入が進むよう、都民はもとより、施工工事業者にも継続して活躍を呼びかけ、再エネ住宅の普及拡大に努めていただくことを要望いたします。
次に、都営住宅における太陽光発電設備設置事業についてお伺いします。
都自ら太陽光発電の利用を拡大していくことが重要であり、都有施設における設置を進めているところかと思いますが、都内には都営住宅が数多くあるため、この屋根を有効活用すべきだと私は考えます。
そこで、令和四年度、都営住宅の太陽光発電設備の設置に当たって、どのように課題を解決したのか、また、設置した容量とそのCO2削減効果を、具体的かつ分かりやすく教えてください。
○中村率先行動担当部長 二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、大量のエネルギーを消費する都自身が再生可能エネルギーの導入拡大を図っていくことが重要でございます。
そのため、知事部局等都有施設の設置加速化事業と併せて、令和四年度から都営住宅における太陽光発電設備設置事業を始めまして、既存住棟への太陽光発電設備の設置を積極的に進めております。
既存建物への設置に当たりましては、建物の構造上の安全性や、日影規制への適合性を確保することなどの課題がありまして、令和四年度は、当該設備の荷重や設置高さを抑える工法を採用しながら、百棟の既存住棟に合わせて約二千二百キロワットの太陽光発電設備を設置しました。このCO2削減効果は年間約九百八十トンと見込まれまして、杉の木約十一万本分の吸収量に相当します。
○清水委員 都自らが先頭に立って、課題を解決しながら、再生可能エネルギーの導入を進めていくことは非常に重要です。今後もしっかりと進めていくことをお願いいたします。
次に、集合住宅のEV充電設備について伺います。
集合住宅では、設置費用や導入後の管理運用面での負担が大きいことから、管理組合の合意形成が容易ではなく、簡単に導入が進められないと伺っております。
都は、こうした課題に対応するため、第三回定例会での補正予算において、マンション充電設備普及促進に向けた連携協議会の運営費用を計上しましたが、令和四年度の取組状況を伺います。
○荒田気候変動対策部長 昨今、充電設備の設置が進めにくい集合住宅向けに、設置から導入後の保守や課金処理までを一括で行うビジネスモデルが提供され始めております。
都は昨年九月に、こうしたサービスを提供する充電事業者十三社、自動車販売会社七社に加え、マンション関連業界団体などで構成する協議会を設立いたしました。
昨年度は協議会を二回開催し、集合住宅における設置の課題や解決策について意見交換を行ったほか、充電設備の導入を検討している管理組合を対象として、充電事業者とのマッチング会を実施いたしました。マッチング会には百十七の管理組合等が参加し、設置に向けたより詳細な説明の要望や、具体的な相談の声が寄せられたほか、参画者の六五%が次回も参加の希望があるなどの導入につながる成果がございました。
○清水委員 ありがとうございます。都が充電事業者や業界団体と連携した取組を進めたことで、多くの管理組合が充電事業者との個別相談の機会を持つことができ、また設置につながる効果が得られたことはとても有意義であったと思います。
実際の設置には、居住者の合意形成から資金的な問題まで時間がかかることも予想されますが、都には導入に至るまできめ細やかなサポートの継続を要望し、次の質問に移ります。
最後に、食品ロス対策について伺います。
持続可能な社会を目指すSDGsの目標にも食品ロスの削減が掲げられており、その削減は国際的にも重要な課題です。世界有数の大都市である東京は多くの資源を消費しており、二〇五〇年度食品ロス実質ゼロを目指す都は、率先して対策を進めることが必要です。
都や市区町村は、地震などの災害発生に加えて、大量の防災備蓄食品をストックしていますが、これらは賞味期限が近づくと、定期的に新品に更新されていきます。その際、期限の迫った防災備蓄食品を廃棄することなく、フードバンクや子供食堂などにより、支援を必要とする方に届けて有効活用する取組は、食品ロス削減の観点に加え、生活困窮者の支援の両面から重要な取組です。
都は令和二年度より、都や区市町村の防災備蓄食品とフードバンクをマッチングするシステムを運用していますが、寄贈される食品の量とともに、提供しやすい多様な品目が寄贈されることも大切です。そこで、昨年度の防災備蓄食品のマッチング実績と内容について伺います。
○中島資源循環計画担当部長 食品ロス削減に向けては、発生抑制に優先的に取り組み、それでもなお余る食品については、フードバンク等に寄贈することが有効でございます。
都は、令和二年度にマッチングシステムを構築し、フードバンクのニーズも把握しながら、都や都内自治体が保有する防災備蓄食品の寄贈を促進してまいりました。
令和四年度は、このシステムの活用により四十六件のマッチングが成立し、約五万七千六百食を寄贈いたしました。具体的には、白米や五目ご飯などの主食や、魚の缶詰やハンバーグなどのおかず、クラッカーやビスケットのおやつ等、幅広い種類の食品をフードバンク等に寄贈いたしました。
○清水委員 ありがとうございます。フードバンクなどに多種多様な食品を寄贈することによりロス削減に取り組んでいることは分かりました。
しかし、全ての防災備蓄食品が廃棄されずに有効活用されているのでしょうか。
私は地元で、フードバンク、フードパントリー、フードドライブの皆さんとLINEでつながっています。どこかで何かが余ると、みんなにどうですかと流して、ふだんから夜中でもやり取りしているんですが、それによりますと、業者さんが新しいのを納めるときに古いのを回収する、その分というのはなかなか把握されないで、古いのを回収するから新しいのを納める交換条件で、把握されていないなんていう余白もあると伺っています。
どうかそこは、都は引き続き食品ロス、実際の実質ゼロに向けて、防災備蓄食品を無駄にすることなく、寄贈を拡大して、未利用食品の有効活用を一層促進していただくことを強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○渋谷委員 まず初めに、環境局の決算規模について伺います。
先日の分科会での説明によると、環境局の令和四年度の決算額は三千億円超とのことである。前年度の令和三年度の決算額は約五百六十七億円であり、単年度で五倍以上の伸びを示しているほか、令和四年度の当初予算と比較しても大幅な増額となっていますが、決算額の大幅な伸びについての背景や要因についてを伺います。
○緑川総務部長 令和四年度は、当初予算におきまして、二〇三〇年までに設置可能な全ての都有施設に太陽光発電設備を設置する取組を計上するなど、再生可能エネルギーの導入拡大に取り組みました。また、住宅の断熱改修へのサポートや、省エネ性能を有する住宅の建築支援の規模を大幅に拡充するなど、家庭部門への省エネルギー対策を強化いたしました。
加えまして、原油原材料価格の高騰への対策や、電力の安定的な確保に向けた対応を図るため、数次にわたり補正予算を計上し、脱炭素化とエネルギー安全保障の確保につながる取組を実施いたしました。
具体的には、第二回定例会におきまして、省エネ家電買換えの支援を拡充するほか、第三回定例会におきまして、冬の電力確保に向け、電気事業者の求めに応じ、電力のピークカット等を行う都民への支援の規模を拡充いたしました。
これらを合わせまして、令和四年度は約二千二百八十七億円の補正予算を計上し、適切に執行したことなどによりまして、歳出決算額は前年度比で約二千四百六十三億円増加いたしました。
○渋谷委員 環境局が当初予算の段階で十分な予算規模を確保した上で、電力需要の逼迫など、その時々の状況に応じながら取り組んできたことが確認できました。
次に、具体的な取組について伺います。
昨年度、環境局が補正予算等も活用しながら精力的に進めてきた省エネ、再エネ導入の促進については、気候変動対策において必要な取組であることはもちろん、エネルギーの安定供給など都民生活の基盤にも直結する取組でもあり、まさに喫緊の課題です。キャップ・アンド・トレード制度などにより、業務部門における省エネ、再エネの取組は進んでいるものの、家庭部門については近年も温室効果ガスの排出量の増加傾向が続いているなど、さらなる対策の強化が求められています。
住宅等の建物は、一度建てられると数十年にわたり使用されることから、今後新築される建物には、高い断熱、省エネルギー性能や再エネ設備等を備えることが重要です。
都は、こうした環境性能の高い住宅を普及させるため、東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。そこで、本事業の意義と実績についてを伺います。
○木村建築物担当部長 都は、断熱、省エネルギー性能の高い住宅を普及させるため、都が定める基準を満たす新築住宅に対して補助を行っており、太陽光発電設備等を設置する場合には、金額を上乗せしてございます。
令和四年度は四千四百四十件の助成金の交付申請がございまして、そのうち太陽光発電設備の申請は、全体の約七割の三千百五十五件となっております。また、工事が完了した住宅に対して、令和四年度は約二十四億円、事業開始の令和元年度からの合計で約五十一億円の助成を行っております。
また、令和四年度までに申請があった住宅におけるCO2削減効果は年間約一万九千トン、太陽光発電設備も含めると年間約三万二千トンと見積もっております。
○渋谷委員 都は昨年度、補正予算も編成するなどして、東京ゼロエミ住宅の支援を拡充してきましたが、本事業が多くの都民に活用されており、新築住宅の省エネ、再エネ導入加速に向け、実効性の高い取組を推進していることが確認できました。
次に、家庭部門の自動車対策について伺います。
都は、二〇三〇年の新車販売台数に占めるZEVの割合を五〇%まで高める目標を掲げ、ZEVの普及に取り組んでいます。電気自動車をはじめとしたZEVは、走行時にCO2を排出しないことに加えて、大容量バッテリーを搭載していることから、災害時などにも活用できるため、積極的に普及していくことが重要です。
近年、メーカーからは、EVやPHEVの新たなモデルが次々と発売されていますが、ガソリン車と比べて購入価格が高く、都民に積極的な購入を促すためには、都が充実した支援策を実施することが重要です。
そこで、令和四年度に都が実施した個人向けのEV等の購入支援について、取組内容と実績を伺います。
○荒田気候変動対策部長 令和四年度は、EV及びPHEVの車両購入補助として、ガソリン車との差額を考慮した四十五万円、さらに家庭で使用する電力を再生可能エネルギーで一〇〇%賄う電力契約を行っている場合に十五万円を上乗せして補助いたしました。加えて、年度当初に電力危機に直面したことを踏まえ、二定補正予算にて、太陽光発電導入済みの方がEVを購入する場合、さらに十五万円を補助するよう拡充し、EVを走る蓄電池として活用する取組を推進いたしました。
こうした取組を通じて、EV購入に係る補助を最大七十五万円に増額するなど、支援策の充実を図ったことにより、令和四年度の補助実績は、EVとPHEVの合計で七千二百三十九台と、令和三年度の三倍弱まで増加いたしました。
○渋谷委員 昨年度のEVやPHEVの実績が確認できました。引き続き、EV等の購入支援を積極的に展開し、都民がZEV車両を購入しやすい環境を確保するよう、都には要望いたします。
次に、集合住宅へのEV充電設備の普及について伺います。
EVの普及を推し進めるためには、車両購入に対する負担軽減はもとより、EVユーザーの利便性の観点から、自宅で充電できる環境の整備が不可欠であり、多くの都民が居住する集合住宅における充電インフラの整備を推進する必要があります。集合住宅にEV充電設備を導入する場合、電源の配線工事等に多額の費用を要するため、導入費用を軽減する支援は不可欠です。
都は、平成三十年度からEV充電設備の設置を支援する事業を実施していますが、これまでの本事業の実績を伺います。
○荒田気候変動対策部長 都は、集合住宅におけるEV充電設備の導入に要する設備の購入やその設備工事に対して補助を実施しており、国と都の補助を併用することで、一般的なケースでは、設置者に費用負担が生じない仕組みとしてございます。
平成三十年度から令和四年度までで合計千三十五基の申請を受け付けており、令和四年度は五百六十四基の申請と、前年度に比べ約三倍に増加いたしました。
○渋谷委員 充電設備の設置は増加傾向にあるようですが、いまだ未設置の集合住宅が多く、ZEV購入の動機づけにもつながる充電設備の一層の推進が必要ではないかと感じています。
このため、集合住宅に住む都民の関心を高め、充電設備の導入につなげることも重要であると考えるが、令和四年度における啓発事業の実施について伺います。
○荒田気候変動対策部長 集合住宅へのEV充電設備の導入の関心を高めるためには、意思決定を行う管理組合への働きかけが重要でございます。
そこで、都から直接、一万の集合住宅の管理組合向けに関心度を伺うアンケート調査を送付するとともに、国と都の助成を併用することで、設置者にほぼ費用負担が生じないことなどを紹介いたしました。加えて、関心を示した管理組合に対しては、居住者の合意形成や具体的な設置の進め方を助言するアドバイザーを、二十か所の集合住宅に派遣いたしました。さらに、充電設備に特化したポータルサイトを開設し、よくある疑問に答える動画や、実際に導入したマンションの導入プロセスや補助金の活用状況などを具体的に紹介したほか、パンフレットを一万部作成するなど、幅広く啓発事業を実施いたしました。
○渋谷委員 都が、集合住宅の居住者の関心を高めるために、様々なアプローチで具体的な検討に結びつけるきっかけづくりを幅広く行っていることが確認できました。
ZEVの普及に向けては、多くの都民が暮らす集合住宅への充電設備の設置が不可欠です。今後とも管理組合に対して、積極的な情報発信により関心を高めるとともに、導入に至るまで伴走型での支援を行うことで、充電設備設置促進につなげていただくよう求めて、次の質問に移ります。
プラスチックの削減について伺います。
都は、CO2実質ゼロの持続可能なプラスチック利用を目指して、プラスチック削減プログラムを策定しました。家庭から排出される使用済プラスチックについては、これまで多くが清掃工場で焼却処分されていましたが、リサイクルすることに力を入れています。
家庭等から排出される一般廃棄物は、市区町村が収集し処理をしています。この一般廃棄物について、都のホームページで確認すると、リサイクル率は、多摩地域では約三七%、区部では約二一%です。また、家庭から排出される使用済プラスチックの多くは容器包装プラスチックですが、そのリサイクルについては、多摩地域では多くの市町村で実施しているのに対し、区部では多摩地域ほど進んでいません。リサイクルを実施していない自治体を都が支援していくことが重要です。
令和四年四月には、プラスチック資源循環法が施行され、これまでの容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックの分別収集の実施も自治体に求められています。
都は、プラスチックの分別収集を新たにスタートする自治体と、既に実施し、分別実績のレベルアップを図る自治体を対象に、プラ製容器包装等・再資源化支援事業により、自治体のプラスチックリサイクルの促進を図っていますが、令和四年度におけるこの取組の成果について伺います。
○志村資源循環推進部長 二〇三〇年カーボンハーフ実現に向けては、プラスチックのリサイクルを推進していくことが重要な取組でございます。
そのため、都は、容器包装プラスチックに加え、製品プラスチックの市区町村による分別収集の取組に対し財政支援を行うとともに、直接訪問による働きかけも行っております。令和四年度には、スタートアップ支援で十自治体、レベルアップ支援で四自治体に対し、財政支援を行いました。
開始までの準備期間中に、先行事例の共有など、技術的支援も行った結果、令和四年度中には、区部では台東区、大田区、渋谷区、北区の四区が、本年四月には豊島区が、一部地域で分別収集を開始いたしました。また、多摩地域では、本年四月から狛江市、稲城市の二市が、容器包装プラスチックと製品プラスチックの両方の分別回収を開始したところでございます。
今後も引き続きプラスチックの分別収集の拡大に向け、市区町村に対し、財政的、技術的な支援を実施してまいります。
○渋谷委員 引き続きプラスチックのリサイクルが進むよう、都が着実に支援していくよう要望いたします。
プラスチックをリサイクルすることはもちろん重要ですが、さらにもう一歩、環境負荷の低減を進めるためには、リデュース、リユースの2Rを都民の暮らしに定着させていくことが重要です。
私たちの身の回りを見れば、コンビニの弁当容器やコーヒーショップのテークアウト用カップなど、一度使っただけで廃棄される、いわゆるワンウエープラスチックであふれています。これらを何回も使用可能なリユース容器に切り替えていけば、プラスチックの使用の大幅な削減にもつながると期待できます。
都は、革新的技術・ビジネス推進プロジェクトを実施し、リユースビジネス等の社会実装化を目指す事業者と共同で事業を行っています。昨年度、本事業においてどのような取組への支援を行ったのか伺います。
○志村資源循環推進部長 都は、二〇五〇年CO2排出実質ゼロのプラスチック利用に向け、リユースビジネスやバージン資源と同様の樹脂に戻す水平リサイクルの実装化を目指す事業者の取組を支援する革新的技術・ビジネス推進プロジェクトを実施しております。
令和四年度は、リユースの普及に向けた取組として、コーヒーチェーン等向けに、リユースカップのシェアリングサービスを提供する事業者や、飲食店でのテークアウトやデリバリー用にリユース容器を提供する事業者等を採択いたしました。
本事業では、容器の購入やシステムの構築など、対象経費の二分の一を補助することに加え、地元市区町村等関係機関との調整や、都のイベント等を活用した取組の情報発信、事業者間のマッチングなど、多面的な支援を実施しております。
今後も、様々な事業者の取組に合わせた支援を実施し、リユースビジネスの普及を図ってまいります。
○渋谷委員 私たちは使い捨ての便利さに慣れ切っており、リユースが定着するには、事業者の努力とともに、消費者の意識変革も必要です。
都には、引き続きリユースの普及に向けた事業者支援や都民に対する普及啓発を実施することを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
午後三時十八分休憩
午後三時三十五分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
初めに、エネルギー施策についてお伺いいたします。
昨年度当初のエネルギーを取り巻く環境を振り返ってみますと、ウクライナ情勢による原油や天然ガスの供給不安や、老朽化した火力発電所の停止などにより、東京電力管内は電力の危機的な状況に直面をいたしました。
こうした中、都は補正予算など編成しながら、様々なエネルギー施策を積極的に展開いたしました。最終的に電力危機を回避できたのは、都内エネルギー消費量の約三割を占める家庭部門での取組による効果が大きかったと思います。
その中で、都は、都民に分かりやすく、また実感を得やすい有効な施策として、省エネ性能の高い家電への買換えを支援する東京ゼロエミポイント事業や、契約している電気事業者からのお願いメールなどに基づき、節電に協力した場合にポイントがもらえる家庭の節電マネジメント、デマンドレスポンス事業を行っております。
東京ゼロエミポイント事業は、これまで我が党が事業の拡充を求めてきた事業であり、都は昨年、二定補正にて、新たにLED照明器具を追加するなど、大幅な拡充を行いました。そこで、昨年度の事業実績についてお伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 都は、令和元年より行ってきた東京ゼロエミポイント事業をより多くの都民が利用できるよう、令和四年七月以降、エアコンの対象製品を省エネラベルで二つ星以上に拡大したほか、リビング照明を蛍光灯から省エネ効果の高いLED照明器具へ交換した場合も新たに支援の対象といたしました。その結果、昨年の申請台数は、エアコンが約十万八千台、冷蔵庫が約十三万六千台、給湯器が約二万台、LED照明器具が約四万一千台、全体で約三十万五千台の申請となりまして、前年度に比べ約六割増と大幅に増加いたしました。
○竹平委員 先日、私も地元の電器屋さんでお話を伺いますと、東京ゼロエミポイントの商品を購入される方が多いとおっしゃっていました。ただいまのご説明でも、支援の拡充により申請台数が約六割も増加しているとのことで、幅広い都民に活用されていることが分かりました。
また、都は、LED照明器具を対象にした際は、器具の取扱い、取替えに不安を持つ高齢者などにも配慮し、取替え費用も支援対象とするなど、都民に寄り添った施策に取り組んでおります。
そこで、LED照明器具の取替え費用の利用実績についてお伺いをいたします。
○荒田気候変動対策部長 令和四年度のLED照明器具への交換に伴うゼロエミポイントの申請約四万一千台のうち、取替え作業費を伴う申請は約一万二千件でございました。また、そのうちの七割以上が六十歳以上の都民でございました。
○竹平委員 幅広い都民が省エネ性能の高い家電への買換えを進めていることが把握できました。今後も、買換え支援事業を継続するとともに、さらに利用しやすい制度となりますよう期待をしております。
また、都の支援などにより導入が進んだ省エネ性能の高い家電の効果を最大限発揮するためには、こうした機器を上手に使うことも重要であります。
昨年度は、その取組の一つとして、デマンドレスポンスという仕組みが新たに注目され、新聞等で紹介をされました。このデマンドレスポンスは、あらかじめ契約している電気事業者に登録をし、電力逼迫のおそれなどがあるときに、事業者からのお願いメールなどに基づき節電に協力する仕組みで、節電に協力した家庭は、電子マネー等に交換できる節電ポイントがもらえます。
都は、二定補正により、家庭のデマンドレスポンス事業を立ち上げ、都の支援により、電気事業者を通じて都民が節電ポイントを上乗せしてもらえる取組などをスタートさせました。そこで、昨年度のこのデマンドレスポンス事業の参加世帯数などの実績をお伺いいたします。
○荒田気候変動対策部長 家庭のデマンドレスポンス事業は、都があらかじめ設定した節電推進期間におけるデマンドレスポンスに係る支援策で、夏季は、事業を開始した七月十五日から十月三十一日までの間に、電気事業者六社、家庭約二十一万世帯が参加いたしました。参加世帯にピークシフトなどの様々な節電行動に取り組んでいただいた結果、約百二十五万キロワットアワーの効果がございました。
冬季は、節電上乗せポイントを五百円から千円に増額するなど、支援策の拡充を図っておりまして、十二月一日から三月三十一日までの間に、電気事業者十九社及び都内総世帯数の約一割に当たる約七十四万世帯が参加いたしました。節電効果は、夏季の約四倍に相当する約四百七十七万キロワットアワーまで増加いたしました。
○竹平委員 私も、我が家が契約している電気事業者もこの事業に参加しておりまして、直接、ウェブサイトから申込みをさせてもらいました。節電ポイントがつくほか、省エネについて様々な情報も提供しておりまして、とても参考になっております。
ただいまのご答弁では、家庭のデマンドレスポンス事業に多くの都民が参加していることが確認できました。特に冬季の参加世帯数が大幅に増加したことは高く評価いたします。
そこで、昨年この事業において幾ら支出したのかお伺いいたします。
○荒田気候変動対策部長 昨年度は、本事業の補助財源及び申請受付、審査などに係る経費として、約二百二十五億八千七百万円を、東京都環境公社に支出いたしました。本事業の補助財源は、令和六年度までの計三カ年分を確保しており、今後も、より制度参加を促す工夫を重ねながら、支援してまいります。
○竹平委員 家庭においてこの節電行動を定着させるためには、家庭のデマンドレスポンス事業、継続していくことが重要だというふうに思います。また、その財源が十分に確保されていることを確認させていただきました。
国が公表している昨年三月二十二日の電力逼迫時の節電取組の効果分析によると、東京電力管内において、節電量が最も大きかったのは家庭で、事業者の節電量を上回りました。一世帯当たりの節電量は決して大きくはありませんが、これを束ねると大きな効果を生み出します。本事業は、今後も参加世帯数を増加させる工夫をしながら展開していただくよう、都に要望をいたします。
次に、食品ロス対策についてお伺いいたします。先ほど他の議員からも質問ございましたけれども、私の方からも質問をさせていただきたいと思います。
我が党はかねてより、この食品ロスは、資源の無駄だけではなく、CO2排出の面からも、喫緊に取り組むべき重要課題として取り上げ、食品ロス削減の推進を求めてまいりました。
都は、平成二十九年に東京都食品ロス削減パートナーシップ会議を設置し、製造、卸、小売、外食、消費者の関係団体等と連携した取組を進めてきました。
こうした状況の中で、食品ロスは、毎年度、着実に減少しているものの、令和二年度の推計においても、年間三十五・六万トンのロスが発生しております。都内では、食品製造、卸、小売、外食産業における食品ロス発生量が約六割を占めていることから、こうした様々な食品関係事業者等と連携した取組を推進することが重要であります。
都は、これまで、ICT、AI等を活用した需要予測や、食品を急速冷凍するロングライフ化など、先進技術を活用した対策に取り組んでまいりましたが、事業系の食品ロス削減に向けた昨年度の取組についてお伺いをいたします。
○中島資源循環計画担当部長 食品ロス削減に向けては、食に関わる事業者の取組をより一層促進していく必要がございます。
都は令和四年度、フードテックを活用し、食のアップサイクルに取り組む企業の支援を実施いたしました。
具体的には、余剰食材などをマッチングするシステムの構築を支援し、食品工場でこれまで廃棄されていた鳥のレバーなどを原料にして、六種類の缶詰に再商品化されました。
また、期限間近の乾パンなどの災害備蓄品や製麺所で廃棄される端材などを有効活用し、クラフトビールを醸造する取組を支援し、五ブランド九種類、約七千本のアップサイクルビールが製品化されました。この事業者では、今後の事業展開により、年間約二・八トンの食品ロス削減効果を見込んでおります。
外食産業の食品ロス削減に向けては、余剰食材を使ったアレンジメニューの開発や、期限間近な調理品の安価なセット販売など、飲食店で簡単に取り組むことができる好事例をまとめ、オンラインセミナーやホームページで公開したところでございます。
○竹平委員 事業者と連携した対策を実施していることが分かりました。引き続き、事業系の食品ロス削減に向けた効果的な取組を進めていただくことを要望いたします。
次に、都内の区市町村とフードバンクをつなぐ未利用食品マッチングシステムについて、先ほどもありましたけれども、私の方からも質問させていただきます。
都は、我が党の提案を受け、防災備蓄食品とフードバンクをマッチングするシステムを構築し、令和二年度から運用をしております。この取組は、定期的に交換が必要な防災備蓄食品をフードバンク等に寄贈することにより、必要としている人に届けられるため、これを拡大していくことは食品ロス削減につながるとともに、生活困窮者支援の観点からも重要でございます。
そこで、昨年度のマッチングの実績、先ほどもお話ありましたので、かぶるところは削除していただいて結構でございます。また、これまでの成果についてお伺いをしたいと思います。
○中島資源循環計画担当部長 区市町村や都において、防災備蓄食品を廃棄することなくフードバンク等に寄贈することは、未利用食品の有効活用による食品ロス対策に効果的でございます。
令和四年度は、区市町村に対してさらなる防災備蓄食品の寄贈を働きかけ、フードバンク等の十四団体に対して、約五万七千六百食の寄贈を行いました。これは、運用開始した令和二年度と比較して三倍の寄贈となっており、累計では十万食を超える支援につながっております。引き続きフードバンク等のニーズも把握しながら、寄贈の拡大を図ってまいります。
○竹平委員 今、令和二年度と比較して三倍の寄贈ということで、累計も十万食を超えるということのご答弁がありました。この防災備蓄食品の寄贈が増えたことにより、昨今の食料品価格の高騰の中において、より多くの人に支援を届けることができたという声も聞いてございます。
二〇三〇年までに食品ロス発生量を半減させ、二〇五〇年には実質ゼロを目指していく。
都は、引き続き区市町村、また東京サーキュラーエコノミー推進センター、そういったところともしっかりと連携をしていただきながら、都民、また事業者と共に、フードバンクへの寄贈、またフードドライブなどを通じて、未利用食品の有効活用を促進していくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○原田委員 私からは、当該年度提出されました環境影響評価調査計画書についてお聞きします。
昭島市にある代官山緑地という自然地と、それを取り囲むゴルフ場の緑地があります。敷地は六十五万平米で、東京ドーム十五個弱。ここにパネルを用意しました。これが大体三分の一以下ぐらいの風景ですかね。もう窓から全容を見渡せないぐらいの広大な緑地となっています。六十五万平米、もう一度いいますけど東京ドーム十五個弱と。史跡玉川上水に直結する緑地帯としては、井の頭公園と双対をなす大規模な森となります。
ゴルフ場は、昭和飛行機という工場のあった土地で、戦後人の手によって整備された森でありながら、オオタカやフクロウなど希少猛禽類、アナグマなど小動物が生息し、この地域の大規模な緑地帯として、昭島市の都市計画マスタープランでも、水と緑を守り育てるゾーンと位置づけられています。まちづくりの最上位計画で、水と緑を守り育てるゾーンだと市から位置づけられている、そういう森であります。
ここに今、巨大物流センターやデータセンターが建設される計画が持ち上がり、当該年度、環境影響評価調査計画書が都に提出されました。この計画が、今、昭島市内で保守、革新を問わず大きな問題となっています。説明会には、何と八百五十名が押し寄せました。この規模の参加者は、神宮外苑でもなかったものであり、市民の注目度がいかに高いかを物語っています。
こうした住民の声を受けて、議会でも、GLP昭島プロジェクトについて昭島市の上位計画と整合し法令にのっとった計画となるよう真摯な協議を求める陳情が全会一致で採択されています。
そこで、まずお聞きしますが、提出者である昭島特定目的会社、つまりはGLPとはどのような企業であるのか、都の把握している情報をお示しください。
○長谷川政策調整担当部長 事業者作成の調査計画書によりますと、昭島特定目的会社は、資産の流動化に関する法律に基づき、日本GLP株式会社が設立した法人とのことでございます。
○原田委員 私もいろいろ情報をいただきまして、ホームページなど調べてみましたが、物流不動産大手であり、中国に最大の資本があると。本社シンガポールに所在するとお聞きしました。その日本支社が進めるプロジェクトで、最近も流山市で巨大な物流倉庫を竣工させています。
しかし、都内西部地域で、これほど住宅と密接した地域での巨大物流倉庫建設は初めてなんじゃないでしょうか。
昭島市は、実は住みよさランキングというもので都内上位にありまして、三菱UFJ不動産販売の調査ですが、総合評価都内四位、快適度は都内一位となったこともあるまちであります。深層地下水のみを水道水源とする都内唯一の自治体であるとともに、駅からさほど離れていないところに、史跡玉川上水のグリーンベルトと一体となったこの昭和の森の広大な緑地があることは、昭島市の魅力につながっているんだと思います。都内にあって貴重な緑地帯をここまで育ててきた市民と地元企業の努力を大規模に破壊するその責任は、重大なものがあります。
環境影響評価手続は、現在どのような段階にあり、今後どのような手続が必要となるのかお示しください。
○長谷川政策調整担当部長 昨年十月に、事業者から調査計画書が提出され、同年十二月に、調査計画書に対する審査意見書を事業者に送付しております。今後、事業者から環境影響評価書案が提出される予定でございます。
○原田委員 環境アセス手続としてはまだ先がありますが、今後の徹底審議が求められます。
外苑の場合は、ここからの審議会委員の活躍、世論が大きく作用しました。外苑再開発のように、独立行政法人の土地が含まれていたり、都市計画を駆使しているわけでもない完全民有地の開発ですから、住民の声、議会の動きこそが鍵となり、最終的には企業の英断も必要となってまいります。
地元昭島市では、まさに全会一致でこの陳情が採択されて、何とかこの緑地帯を守れないものかという声が上がっておりますので、これ都議会でも注目していっていただきたいなと思うんです。
少しだけ詳しくアセス調査計画書について、気になることをお聞きします。
工事中、玉川上水の緑地に近接して建設機械を稼働するため、工事中の施設建設による史跡、文化財の周辺の環境の変化の程度を予測する事項に挙げているのに、工事完了後の建築物の存在が評価項目に入らないというのは、合理性を欠くのではないか。環境局の見解を求めます。
○長谷川政策調整担当部長 調査計画書に対する審査意見書におきまして、事業者に対し、史跡、文化財に対する意見として、工事の完了後の建築物の影響についても、調査の対象として予測評価を行うことなどを求めております。
○原田委員 環境局としても、建設された建物が工事完了後にどのような環境負荷をもたらすか、予測評価すべきと注文していることが分かりました。いわば、調査計画書に問題があるということを指摘しているということが確認されたといって過言でないと。これは重大であります。
私は、ちょっと不思議だと思うんですよね。だって、工事中の施設建設は環境に影響するとしているのに、工事完了後になると、その施設は環境に影響しないなどという調査計画書、納得できません。
本プロジェクトによると、工事完了後の施設は高さ三十五メートル、完全に史跡玉川上水の樹木の高さを超えています。交通量は、何と一日五千八百台のトラックが出入りするようになり、最大発生集中交通量は一万一千六百台。今でも渋滞が発生する昭島のこの地域で、無謀ともいえる計画です。
こうした巨大施設群を造っておきながら、工事完了後は環境に影響はしないというのでは、住民の理解は得られません。こうした調査計画書を出してくる姿勢こそがゆえに、むしろ徹底した環境影響評価審議会、あるいは都議会での審議が求められると思います。
昭和の森は、自然地である代官山緑地、この写真でいいますと、ここら辺が代官山緑地になりますかね。この周りに、あと奥にゴルフ場の緑地がわあっと広がるわけですね。こんな感じです、皆さんにもお見せしますと。ここら辺が代官山緑地で、この奥に何倍ものゴルフ場の緑地が広がるんですね。ゴルフ場の向こう側もほとんど森林と分かんないぐらい、すごく緑が生い茂っているすばらしい環境になっています。
この昭和の森は、もう一回いいますけれども、自然地である中心部の代官山緑地と元飛行機工場であるゴルフ場が一つとなって、豊かな生態系をつくっています。猛禽類の生息は、そうした鳥類が過ごせるほどの自然があるということを示しています。
例えば、ツミという、オオタカと比べると小さい鷹の仲間がいますが、このツミが成長するまで、大体三百五十羽の小鳥が必要といわれています、一つのひなが育つまでに。オオタカがいるっていうのはさらにですよね、そういうことを表していると。オオタカがいるっていうのは、そうした多くの多様な生物が生息していることを意味しているわけです。
この地域、こうした猛禽類が複数住んでいるのではないかといわれている地域でございます。その猛禽類を守るのみならず、その猛禽類が過ごせるような生物多様性に満ちた緑地帯を守るよう求めたのが、国が示した猛禽類保護の進め方という指針です。調査計画書では、この猛禽類保護の進め方に基づく調査を行うと記載されています。
そこでお聞きしますが、GLPにより猛禽類保護の進め方に基づく調査がしっかりとなされるかどうか、重要です。調査計画書の作成を委託された調査会社はどこかお示しください。また、調査には一般的にどれくらいの期間を要するのかお示しください。
○長谷川政策調整担当部長 調査計画書作成の受託者は、株式会社オオバでございます。
また、環境省が取りまとめた猛禽類保護の進め方では、調査期間は、二営巣期を含む一・五年以上とされています。
○原田委員 一般に猛禽類の生息が確認されたら、その生息域を定め、その域内の樹木の伐採は原則行わないというのが、猛禽類保護の進め方の指摘するところであります。猛禽類についてしっかりと生息を確認できるのか、その生息域をどのように定めるのか、重大な調査となります。
今回、調査計画書の作成を委託された会社名は分かりましたが、この猛禽類等の調査を実際にした会社は分かっていません。ここが重要になりますし、昨年十月提出の調査計画書ですから、昨年十月ですから、猛禽類の調査は始まっている可能性があります。それがいつまで続けられるのか、確認されなければなりません。
東京都にあって樹木の大量伐採においては、私は東の神宮外苑、西のGLP昭和の森再開発とも感じていまして、まずは都議会各会派の皆様におかれましては、また、ネット中継をご覧になっている皆様も、ぜひとも注目していただきたいということを申し上げまして、質疑を終わります。
○山口委員 私からも、様々質問させていただきたいと思います。
まずは、気候変動対策について伺わせていただければと思います。
二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、都内CO2の排出量の三割を占める家庭部門の対策が重要であります。今後建て替えられる新築住宅の環境性能が脱炭素社会の実現に大きく影響を与えることから、都は令和元年度から、東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施し、高い断熱、また省エネ性能を備えた住宅の導入を促進しているわけであります。
そこで、本事業の実績とCO2の削減効果について、まず伺いたいと思います。
○木村建築物担当部長 東京ゼロエミ住宅の令和四年度実績につきましては、助成金の交付申請が四千四百四十件ございまして、事業を開始した令和元年度からの合計では、九千七百五十九件となっております。令和四年度につきましては、都内の新築戸建住宅の一割強が東京ゼロエミ住宅となっております。
また、東京ゼロエミ住宅では、建築物省エネ法で定める省エネ基準に比べ、三割から四割の省エネとなるため、令和四年度までに申請があった住宅における断熱や省エネ設備の導入によるCO2削減効果は、年間約一万九千トンと見積もっております。
○山口委員 全体の割合からすると、一万九千トンって分かりづらいところかもしれないんですが、一割という数字もあって少ないようにも感じるんですが、日本人一人当たりの年間のCO2排出量というのは約二トンだそうでございまして、一日の人間の吐き出すCO2の量というのが一トン。自動販売機が一日に排出するCO2量というのもこれも一トンだそうでございまして、エアコンだと四時間とか、ドライヤーだと十時間分とか、いろいろこの一万九千トンというのがどれぐらいすごいかということがこういうところから見ても分かるんですが、これまでの実績によって、改めてこの本事業というものが実は多くの都民に活用されていて、また大きな実はCO2削減効果につながっているんだということが今の答弁からも確認が、私はできるといっていいと思うんです。
一方で、都内の居住世帯のある住宅ストックというのは約七百万戸と膨大であって、既存住宅の断熱、省エネルギー化は、CO2削減だけではなくて、より健康で快適な暮らしにつながる大事な取組であるといえます。
都は、この既存住宅の省エネ化に向けて、平成二十九年度から高断熱窓への改修を支援する事業を行い、年々この事業内容を充実させてきたと伺っているわけでありますが、これまでのこの事業効果について伺いたいと思います。
○荒田気候変動対策部長 住宅における冷暖房時の熱の出入りの約六割から七割は、窓などの開口部となってございます。
そのため、都は、平成二十九年度から断熱効果の高い窓への改修支援を開始し、その後、対象の拡充や補助率の引上げなど、支援の強化を図ってまいりました。
その結果、断熱窓等への改修支援は、平成二十九年度から令和三年度までで合計四万二千六百十四戸、年平均八千五百二十二戸の申請を受け付けており、令和四年度は、断熱窓改修については一万一千九百九十三戸、ドアは九千二百七十八戸の申請を受け付けました。
また、これまでの改修分も含めたCO2削減効果は、年間約一万一千トンと見積もってございます。
○山口委員 断熱、省エネ性能の高い新築及びまた既存住宅の推進に当たっては、補助事業の実施に加えて、その効果を広く伝えて、都民や事業者にアピールして伝えていくということが重要であると考えるわけでありますが、これまではどのような広報や周知を行ってこられたのかを伺いたいと思います。
○荒田気候変動対策部長 これまで、都は、都民に向けて、省エネ効果に加えて光熱費低減や快適性向上といったメリットをホームページやリーフレットの充実、SNSでの動画配信など、様々な媒体を活用して広く周知を行ってまいりました。
また、住宅関係団体等と連携した東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォームを令和四年度に新たに設立し、年四回の連絡協議会等の場を活用して、事業者への情報提供を重ねてまいりました。
今後も都民や事業者に対して、様々な機会を用いて効果的に周知を図り、住宅の環境性能の向上を推進してまいります。
○山口委員 人生の中で何度も活用する事業ではないとは思うものの、都民の皆さんでやはり知らない方もまだまだたくさんいらっしゃると思うんですよね。この本事業の取組を様々な工夫によって効果的に、しっかりとPRをしていくことがこれから住宅を建てていこう、建設をしていこうという都民の方々や、事業者の省エネ意識の向上にしっかりとつながっていくものであると思いますし、ひいてはこのゼロエミッション東京の実現につながっていくと考えているところでもあります。
新築及び既存住宅の断熱、省エネ化がさらに加速をされるよう、今後も普及啓発を強化していただくことを要望して、もう一点伺わせていただきたいと思います。
都民や事業者等の理解を得て取組を推進するためには、事業所等の施設を数多く所有する都自らも、積極的に行動することが強くこれは求められると思います。
知事部局等の都有施設では、令和三年度末には約九千二百キロワットまで、太陽光発電の設置が進んだと聞いているところでありますが、さらに取組を加速化させていくため、新築、改築のときの設置に加えて、これまで設置が進んでこなかった既存の都有施設に対しても、太陽光発電設備を設置していくことが重要であると考えます。
そこで、既存都有施設への太陽光発電設備設置について、令和四年度の取組状況を伺いたいと思います。
○中村率先行動担当部長 都は、二〇三〇年度までに設置可能な全ての都有施設への太陽光発電設備設置を目指し、昨年度より、既存都有施設への太陽光発電設備の設置推進を担う専任の組織体制を新設いたしました。
新体制の下、令和四年度は都有施設の詳細調査を七十施設で実施し、調査の結果、設置可能な五十施設への太陽光発電設備設置に向けた設計等に取り組みました。
さらに、太陽光発電設備設置を加速させるため、百五十施設の詳細調査を前倒しで行いました。
○山口委員 都民の皆様にも強く意識をしていただく、事業者の皆様も積極的に活用していく、そのためにも都有施設をはじめとする施設の整備というものは、極めて重要になってくると思いますので、引き続き推進をしていただきますようにお願いをしたいと思います。
続いて、都民の皆様、そして事業者の皆様も関心も高く、今日も質疑が重なっておりますが、食品ロスについても伺わせていただきたいと思います。
国の発表では、令和二年度における全国の食品ロス発生数は五百二十二万トンとされています。一方、都の推計では、都内で三十五・六万トンの食品ロスが発生をしており、大消費地である東京で多くの食品が廃棄されている状況となっています。
都は、令和三年三月に策定した東京都食品ロス削減推進計画において、発生抑制の一つの柱として、先進技術を活用した食品ロスの削減を掲げ、新たなビジネスモデルの構築の支援等を進めるとしているわけでありますが、そこでまず、先進技術を活用したこの食品ロス対策をどのように進めてきたんでしょうか。また、昨年度の実績と効果について伺いたいと思います。
○中島資源循環計画担当部長 都は、これまで、ICT、AI等を活用した需要予測や食品を急速冷凍するロングライフ化など、取組を実施してまいりました。
令和四年度は、食の先進技術を有する企業と連携し、期限間近な災害備蓄品の乾パンなどを有効利用してクラフトビールを醸造する取組を支援し、五ブランド九種類、計七千本のアップサイクルビールが製品化されました。
この事業者は、今後の事業展開により、年間約二・八トンの食品ロス削減効果を見込んでおります。
○山口委員 私も存じ上げませんでした。本当に面白い技術であり、面白い取組だなと思うところでありますが、こういった先進技術を活用した食品ロス対策を進められていると、このような企業の取組というものは、その場限りで終わるんではなくて、広く社会に普及をしていくこと、また、その取組が拡大をしていくことっていうのが私は極めて重要だと思っているところでもあります。
そこで、こうしたこの食の先進技術というものを活用した対策を普及させていくために、どのような努力や取組をされているのか、実施されたのか伺いたいと思います。
○中島資源循環計画担当部長 都は今年二月に、食品製造、卸、小売、外食の食品関係団体等で構成する食品ロス削減パートナーシップ会議において、この先進的な事例等を共有するとともに、都のホームページで掲載したところでございます。
また、都と区市町村との情報共有に加え、エコプロ等の環境イベントやCity-Tech.Tokyoでの展示や講演など、様々な機会を捉えて、こうした取組の普及を図ったところでございます。
○山口委員 家庭でそれぞれ、食品ロスというものに強い意識を持ってなくしていくということも取組として大事でありますし、製造、生産側もやはり強い意識を持って、これから食品ロスというものに取り組んでいく中において、繰り返しになりますが、この先進技術が社会に広く普及をしていくこと、また活用が拡大されていくということが、食品ロス削減を進めていく大きな要因になっていくことなんだろうというふうに思います。
都は引き続き、こうした先駆的な技術者の取組を支援をしっかりとしていくことも大事でありますし、食品ロス削減に向けた社会全体での機運醸成を図っていただくことを期待して、質問を終わりたいと思います。
○曽根委員 私からは、神宮外苑再開発の環境影響評価書における大きな問題点について、幾つか質問をしたいと思います。
東京の都心をはじめ、大都市の自然と緑の環境、樹林、歴史的、文化的な遺産をいかに守り、保全していけるかという課題が今日ますます重要となり、その代表的な問題として、神宮外苑の開発の在り方が、専門家のみならず様々な階層の人々が大きな関心を寄せる事態になっております。
これまでの開発の歴史の中では、多くの樹林や樹木や自然林、湧水地などが開発事業者のかなり一方的な計画で、次々消滅してしまった例もあると私は記憶しております。しかし、こういう事例はもはや許されないということで、外苑の開発事業者には今日非常に厳しい目が向けられております。
また、とりわけ明治神宮の森というのは、全国からの献木と多くの労働奉仕によって整備されたといういきさつもありまして、歴史文化遺産として各方面から評価もされております。
あわせて、神宮の内苑は造林後に一切手を加えず、落ち葉を森に返しながら、最初に植林した針葉樹中心の森が、年月とともに風土に合った常緑、落葉樹中心に自然淘汰で置き換わっていくのをじっと見守るという保全の仕方であるのに対し、外苑は、市民がより身近に森の自然に触れながら、スポーツに親しむ場としてつくられてきたというそれぞれの理念が守られてきたことも、周辺の住民、とりわけスポーツ愛好者や学校関係者から、そうした子供から大人まで、親しんできた森を守れという声が大きく広がっているのが神宮外苑の最大の特徴かと思います。
私は本日、環境局の決算審議に当たりまして、改めて昨年から今年にかけての神宮外苑開発の環境影響評価書をめぐる議論を振り返りながら、どこに外苑開発の環境との矛盾を批判される本質問題があったのか、ちょっと振り返って質問したいと思います。
第一に、神宮外苑で内苑とは大きく異なるいわゆる森と呼べるような樹林地が、実は建国記念文庫の森という場所に限られており、ここが本開発で最も厳しい伐採や移植の対象となり、多くの専門家によって森が壊滅するとまで指摘されている点で、基本的な点を質問しておきたいと思います。
神宮外苑の建国記念文庫の森で、木の高さ三メートル以上の樹木は今どれぐらいあって、伐採される樹木数及び移植される樹木数はそれぞれ何本なのかお答えください。
○長谷川政策調整担当部長 事業者によれば、建国記念文庫の樹林については、北側は保全した上で、中央広場周りなどに建国記念文庫等からの移植樹木や新植樹木を配置することによって復元する計画としており、樹高三メートル以上の樹木百四十九本のうち、伐採は四十三本、移植は四十八本となっております。
○曽根委員 全体でも百五十本足らずの森の樹木のうち合計九十一本、本数でいいますと約五分の三を伐採もしくは移植して、中央広場などに移転をするということです。
さらに、森として削られる面積は、正式には評価書には明記されていないそうなんですが、面積とすれば約三分の二が削られるじゃないかということは、日本イコモスが指摘をしております。
移植に当たっては新植樹木、新しく植える樹木も組み合わせて、現在の樹木の群落の復元に努力するということですが、環境も違い群落も違ってしまい、健全に維持できるかという問題は、先日の環境・建設委員会で私、指摘をさせていただきました。日本イコモスは、新たに人工的につくる群落は、混合林ではなく混乱林だということを指摘して、保全は困難だと厳しい指摘をしております。
私、ここでは、建国記念文庫の森で残される北側の樹林のことを質問しておきたいんです。事業者の回答によると、ここは残される樹林なので、特に大きな対策が打たれる予定はないんじゃないかということで、ここにちょっと注目をしてみたいんです。
小さいんですが、パネルを用意しました。もうこんなに、割と限られた地域なんですね。この中、南側を面積では大体三分の二ぐらいになると思いますが、本数では五分の三の樹木を伐採もしくは移植します。ほかの地域に持っていくわけですね。この北側が残るんですが、そのすぐ南側にラグビー場のドームができます。今度は全天候型ドームを造るようですが、その高さは四十九・五メーター、五十メーター近い壁がここにそそり立つことになると。南側ですね。そこの少し北側に、残り五分の二の樹木が残されて、これが樹林として維持できるのかっていうことが、今、私が聞きたい点なんです。
それで、移植する樹木には、例えばこの間委員会で聞いたんですけど、根回しなどの対策が施されている、かなり手当てをしているようなんですが、この残される樹林の、特に大木には対策はあるんでしょうか。
○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書におきまして、事業者は建国記念文庫の樹林地について、再生、復元する生態系に配慮した維持管理を行い、定期的なモニタリング状況に応じた順応的管理を継続し、将来にわたって緑地環境の保全を図るとしています。
○曽根委員 移植する樹木や伐採する樹木、これらは失敗すればすぐに移植したものは枯れ始めますから、相当手当てはするんだと思いますが、残された北側の樹林は今お話しのように順応的管理、つまり様子を見ていくと。何かあったら対症療法という姿勢にとどまっているんじゃないかと思われます。
しかし、日本イコモスは、残された北側樹林も厳しい環境で衰退、破壊されていくだろうと指摘をしている。この点は、建国記念文庫の森、残される樹林をめぐって、私は本質的に厳しい議論だと思います。
イコモスが指摘している最大の問題は、ここに建国記念文庫の小さな施設があるんですが、その南側にあるこの森全体の中心になっているケヤキなどの大木ですね、これは今、森の中心にあるんですよ。これが南側全部なくなりますので、森の南端に出てくるわけです。そして、すぐ南にはラグビー場の壁がそそり立つと。
そこでどういうことが起きるかっていうことなんですけど、日本イコモスの昨年十二月の評価書への批判論文では、建国記念文庫の森を、ここにありますように五つにグループに分類して、それぞれが樹林の分断でどういう環境になるかを分析していますが、樹林の南半分を削減する影響はまず、記念文庫のすぐ南側の一番って書いてありますが、この辺のところに影響出るだろうと。そこにはケヤキの大木があるということで、このケヤキはどうなるかといいますと、現在は樹形も美しく良好な状態だが、今後隣接する新ラグビー場の五十メーター近い壁の北側で日照が阻害され、また木が大きいですから、二十メートルに及ぶ枝の広がりは壁にぶつかってしまうので、強制的に剪定をされ、年月を経てこのケヤキは枯れていくだろうと指摘しています。私どもはそう思います。
さらに、一番のグループのすぐ西側に、ここの一つのグループは北側は樹林が残りますが、南側はほかに移されるか伐採されるということで、この後、残されたこの小さなエリアがどうなるかということなんですけど、これもイコモスの指摘は、南側の移されたり伐採される部分に、大正時代からのスダジイやシラカシ、トウカエデなどの大木が集中していて、残りは戦後植栽された八重桜など、十本に満たない樹木が残されるということになるだろう、そうすると、森とはいえない状態になり、これも衰退していくと見られると指摘しています。
そして、第三、第四グループは、まさにほかの場所に移されるグループですから、ここは一切樹木はなくなってしまうと。
そして、第五のグループ、ここが森としての形が辛うじて残る部分らしいんですけど、ここについては、もともと現在の建国記念文庫の森の中で、生育状態が相対的によくなかった上に、ラグビー場が五十メートルの壁が接近して建つため、今後の影響が非常に心配されるが、評価書ではほとんど対策が明記されていないというふうにいっています。
以上のように、建国記念文庫の森は、残された樹林も早晩衰滅を免れないという日本イコモスの指摘は大変厳しいものですが、的を射ていると私は考えます。
それで事業者は、今後新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、環境影響評価書で示した検討を行った結果としての樹木の保全に関する具体的な見直し案を示し、見直し案を含め環境影響評価審議会に変更届として報告いたします。これは今年のことなので指摘だけにしますが、先日の両局の局長の要請に回答を寄せております。この変更届について、審議会で徹底審議を尽くさなければなりません。その審議会の場に、私はイコモスを呼んで、直接意見を聴取することも含め、徹底した審議を行うことをこの際求めておきたいと思います。
この樹木や森のこれだけの影響は、本当に避けられないものなのかという開発の中身についていいますと、この全てのことは、ラグビー場と神宮球場を営業したままで、玉突き方式で新設していくという開発方式を取っていることが最大の原因であって、これを変更すれば、現状の各施設の耐震性などを精査して、現地で再整備する方針に切り替えれば、これほどの森の破壊は起きないことからも、私は計画の大幅な見直しが必要であるということを改めて指摘しておきたいと思います。
そして、これは最後に一言、この点では指摘しておきたいんですけれども、こうした森の破壊っていうのが東京都が整備した公園まちづくり制度によって引き起こされているという問題です。これは環境局の所管ではないかもしれませんが、この制度のために都心の森の破壊が、中心にこの制度ができたことが影響しているといわざるを得ません。
東京都公園まちづくり制度実施要綱の中には、都市計画公園を削除する条件として、その削除する区域におけるアとして、緑地等確保率は原則六〇%以上とするとしています。そして、さらにウとして、都市計画公園緑地を新規に整備する場合は、当該部分の面積を緑地等の面積及び緑地等確保対象区域面積に加えることとするという規定があります。
要するに、これによって神宮外苑再開発の場合には、先ほど指摘した新ラグビー場建設のために、建国記念文庫の森の三分の二を削って、残り僅かな整備される、残る緑地が——緑地等の面積に新たに加えられることになります。
このように、超高層ビル建設のために、都市計画公園を削除する条件として、公園まちづくり制度が整備を誘導する緑地等、これが現実には歴史ある森を破壊してつくられるものなんです。建国記念文庫の森は、直接的には新ラグビー場建設によって、そして本質的には、超高層ビル建設の犠牲になろうとしているといっても過言でありません。こんなことは断じて許されないということを指摘しておきたいと思います。
次に、もう一つ重要な問題として、外苑開発による樹木の計画で唯一、丸ごと守ると約束されている四列のイチョウ並木について質問させていただきます。
四列のイチョウ並木については、環境影響評価書で、健全度がAまたはBの高いランクがついたままなんですが、昨年もかなり立ち枯れに近い樹木が見られました。このギャップは、評価書の前提となった事業者による健全度調査が、かなり以前の調査結果だったということが影響しているんではないかと思いますがいかがですか。
○長谷川政策調整担当部長 事業者は、令和元年十一月から明治神宮の日常管理の中で、四列のイチョウ並木の一部について、他のイチョウに比べ落葉が早い樹木があり、当該樹木については、昨年及び今年の春先に新芽が出て、葉が生育している状況を確認しています。事業者は、適切に日常管理を行い、四列イチョウ並木を全て保存するといっております。
○曽根委員 日本イコモスも事業者も落葉が早いと認めたこのイチョウは、日本イコモスによると、昨年出された環境影響評価書の中では、Aランクに位置していたということで、実態と違うということを批判しています。明らかに評価書での評価と実態にギャップがあり、幾ら猛暑が続いているとはいえ、イチョウの状態が急速に悪くなっているという可能性は否定できないと。施肥や薬剤などの対症療法で解決できるのか、極めて疑問です。
事業者が現状のまま守ると約束しているイチョウ並木のそもそもの健全度が、現状と評価書とで大きく食い違っているままでは、直近に日照を塞いだり風害も避けられないほどのスタジアムの壁が隣にそそり立つわけですから、こういう現計画の前提がもう成り立たないんじゃないかと、現状でも厳しいんですから。こういう日本イコモスや多くの都民の疑問に、事業者はどう答えているんでしょうか。
○長谷川政策調整担当部長 環境影響評価書におきまして、事業者はイチョウの根系調査を行い、その結果等を踏まえ、イチョウ並木を保全するための施設計画等の検討を行うなどとしています。
また、事後調査計画書では、四列のイチョウ並木の活力度調査について、工事中の毎年及び工事の完了後において実施するとしています。
○曽根委員 イチョウの活力度調査を、これから予定では十三年間かかる工事期間、毎年行って、最後についに守れませんでしたという結論になるということになった場合は、何のためのアセスメントなんだということになります。事業者が約束に対して、最小限の誠意を示すというならば、活力度調査を日本イコモスなどと共同して正確に行って、その結果が悪ければ一旦事業を中断し、もしくは中止して、根本的な打開策に——打開策が出ないようであれば事業方法を根本から見直すことを約束しなければならない。この問題に注目する住民や都民世論はそうでなければ絶対納得しないと考えます。
先日も環境・建設委員会で私指摘しましたが、事業者が約束したようなイチョウ並木は守れないということで、みすみす森が破壊されてしまう実態を見逃すような開発への許可の下ろし方を改めて根本的に改善して、外苑開発のところから厳しく適用すべきだということを強調して、私の質問を終わります。
○細田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時三十八分散会
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