令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和五年十月二十日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長松田 康将君
副委員長須山たかし君
副委員長小山くにひこ君
かまた悦子君
吉住はるお君
岩永やす代君
かつまたさとし君
森口つかさ君
田の上いくこ君
大山とも子君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長坂東 宏之君
会計企画担当部長DX推進担当部長兼務井村  琢君
議会局局長小山 明子君
管理部長鈴木 一幸君
議事部長古賀 元浩君
調査部長西坂 啓之君
子供政策連携室室長田中 慎一君
総合推進部長DX推進担当部長兼務土村 武史君
企画調整部長山本 公彦君
少子化対策担当部長小松 義昌君
プロジェクト推進担当部長小平 房代君
財務局局長山下  聡君
経理部長DX推進担当部長兼務五十嵐 律君
契約調整担当部長須藤  哲君
主計部長遠松 秀将君
調整担当部長佐伯  亮君
財産運用部長小泉 雅裕君
利活用調整担当部長運営・調整担当部長兼務吉浦 宏美君
建築保全部長金子 陽子君
施設整備担当部長小野寺弘樹君
技術管理担当部長小林 秀行君

本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
子供政策連携室関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和四年度東京都用地会計決算(質疑)
・令和四年度東京都公債費会計決算(質疑)

○松田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、議会局、子供政策連携室及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○かまた委員 それでは、私からは、新公会計制度についてお伺いをいたします。
 新公会計制度は、平成十八年の四月から、従来の官庁会計、いわゆる単式簿記・現金主義会計に複式簿記・発生主義会計の考え方を取り入れた新しい公会計制度であります。そして、この東京都が全国に先駆けて始めた制度であります。
 そこで、改めまして、新公会計制度の意義について確認をさせていただきます。

○井村会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 官庁会計に複式簿記・発生主義会計を導入した新公会計制度は、行政運営に経営の視点を一層取り入れていくための有効なツールであり、その導入の意義は、都民への説明責任、すなわちアカウンタビリティーの充実とともに、行政運営のマネジメントの強化に資することでございます。
 従来の官庁会計が現金の収入や支出を記録するのに対して、複式簿記・発生主義会計に基づいた新公会計制度では、資産、負債といった行政全体のストック情報や減価償却費などを含む正確なコスト情報の把握が可能となります。その結果、精度の高い財務諸表を作成することができます。
 これらの財務諸表により、行政サービスの実施に係る正確な総コストとその税負担等を対比し、行政運営の結果を財務面から明確に提示することが可能です。また、財務諸表の情報を基に、他自治体の行政運営の現状を多面的に比較することや各種指標の分析が可能となります。
 効率的かつ効果的な行政運営のツールとして、それを役立てております。

○かまた委員 今ご答弁にもありましたように、新公会計制度は、都民への説明責任と行政運営のマネジメントに資するものであるということで、都民の皆様から大事な税金をお預かりをして行政サービスを進める立場としては、非常に価値のある制度であるわけであります。
 また、それだけではなくて、他自治体の行政運営の現状を多面的に比較したり、また各種指標の分析をしたりということで、行政運営を深化、更新する上でも大きな役割を果たすことができることが分かります。
 しかしながら、どんな有効な制度であっても、その制度をどう活用していくのかが重要でありますので、この整備された財務諸表から得られる情報を活用につなげる取組が求められるわけであります。
 庁内での活用状況につきましては、後ほど財務局にお伺いをしますけれども、この制度を管轄する担当局としましても、庁内にとどまらず、本制度の先駆者としての役割を果たすために、本制度の活用促進に向けた他自治体との連携による情報発信、また活用発信にぜひ努めていただきたいと考えますが、取組状況についてお伺いをいたします。

○井村会計企画担当部長DX推進担当部長兼務 都は、複式簿記・発生主義会計による新公会計制度導入の先行自治体と共に、新公会計制度普及促進連絡会議を設置し、財務諸表の運用や活用等について情報交換を行うとともに、その普及促進に取り組んでおります。
 具体的には、自治体間比較部会と事業別分析部会の二つの検討部会において、新公会計制度のメリットを生かした比較手法と分析手法などを研究しております。その成果については、報告書としてまとめ、ホームページに掲載しているところでございます。
 また、財務諸表に関して先進的な取組を行っている自治体の取組を十五分程度にまとめた動画を作成しております。この作成した動画は、東京動画へ掲載するとともに、そのPR資料を道府県及び都内区市町村へ直接送付し、全国の市町村へも、その道府県を通じて配布しております。令和四年度は、大阪市の財務諸表の導入から活用に至る取組と、四日市市の施設別損益管理手法について取り上げております。
 都は、解析手法や他自治体の活用事例など、引き続き他自治体等への情報発信に努め、新公会計制度導入の先駆者として、その責任を果たしてまいります。

○かまた委員 成果の報告を広く周知し、他自治体との情報交流にもご尽力をしてくださっていることが分かりました。
 しかしながら、制度というものは、つくったらおしまいではなく、その制度の活用の成果を都民へのサービスに反映させ続けることが使命でありますので、制度の担当局としましても、引き続き、令和四年度決算についても新たな公会計制度を活用した分析を行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

○須山委員 では、よろしくお願いいたします。
 決算は、当該会計期間の行政活動の結果を示すものでありまして、行政監視の最も重要な資料であると考えます。単に収入と支出の計算ではなくて、予算と実績等を対比して、次年度以降の予算や事業執行の参考にしていくものと理解しております。
 議会が議決した予算の見積りに遺漏がなかったか、また議決に沿った執行が行われたか、会計管理局長が出納権限を持ち、決算の調製をされるという重責を担っております。
 令和四年度決算特別委員会の分科会の冒頭ということで、まず、今回の決算の調製に当たって特にご留意された点ありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

○有金管理部長 会計管理者は、会計年度ごとに、政令の定めるところによりまして決算を調製し、出納閉鎖後三か月以内に、証書類その他政令に定める書類と併せまして、知事に提出することとなっております。
 決算の調製に当たりましては、計数に誤りがないことが何よりも求められることから、各局が作成いたします決算資料に、当局が日々管理をしております収支が正しく反映されていることを確認し、正確な一般会計及び特別会計決算となるよう留意をしております。

○須山委員 期限のある中で、こうやって誤りのないように決算調製に当たっていただいたということで、本当にこの東京都の予算、決算の規模って、すごい膨大なものだなということを改めて感じておりまして、そうした中で皆さんのご尽力に本当に敬意を表したいと思います。
 私も地方議員をそれなりに長くやっておりましたので、先輩方から、予算も大事だけれども決算、さらに大事だよということを口酸っぱくいわれてきました。だからこそ、決算って改めて大事だということも、またここで発言させていただきたいと思います。
 さて、東京都議会立憲民主党では、かねてより都民に分かりやすい決算の説明書というものを求めてまいりました。主要施策の成果という冊子なんかは、分かりやすくていい資料だと思います。これをもうちょっと見せ方の工夫をしていけばいいなというふうなことも考えております。さきに申し上げたとおり、決算は最も重要な資料といっても過言ではないと考えております。
 そこで、都が行ってきた当該年度の予算の説明と見比べて、都民が東京都の決算を見ることができるように、いわゆるグリーンブックというような東京都予算案の概要に対応した資料などを、都がやろうとしていたこととか、都民に説明していたことはどうなったのか、分かりやすい資料をまたつくっていくということが必要だと考えておりますけれども、都の見解を伺いたいと思います。

○有金管理部長 会計管理者が調製する決算資料は、歳入歳出決算書及びその附属書類としての歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書、財産に関する調書であり、これらの法定書類は、地方自治法施行規則により、共通の様式が定められております。
 これら法定書類のほかに、都民に分かりやすく決算内容を伝えるため、予算科目別の決算概要説明や、会計別、節別の予算決算一覧等のほか、歳入歳出別の分析、関係参考表、グラフ等を掲載した東京都決算参考書を作成しております。

○須山委員 ありがとうございます。
 共通の様式が定められた中で工夫をしていただいて、決算参考書等も作成をしていただいているということは、そういった工夫をしていただいていることは、すごく評価をさせていただきたいと思います。
 その中で、やっぱり決算参考書もちょっと難しいかなとも思いますけれども、様々な、受け手もしっかりと勉強しなきゃいけないという部分もありますし、決算参考書を作成していただいていることは、改めて評価をさせていただきたいと思っております。
 また、局のホームページで決算に関係する書類等を公開されておりますけれども、PDFが主かなというふうに見てとれました。
 都民に見てもらいたいとか、説明責任を果たしたいというような意味で公開をされていると考えておりますけれども、ホームページで、もっと活用しやすいデータを積極的に公開するべきかなというふうにも考えますけれども、その点に関してのご見解をお聞きしたいと思います。

○有金管理部長 現在、会計管理局のホームページ上には、経年比較ができるように、平成十八年度決算から歳入歳出決算書及びその附属書類並びに東京都決算参考書を掲載しております。また、決算書等の掲載に当たりましては、都民が使いやすいよう文字検索が可能なPDFデータとしております。
 加えまして、東京都オープンデータカタログサイト上にも、同様に、歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び決算概要をエクセルデータで掲載をすることで、都民が活用できるようにしております。

○須山委員 ありがとうございます。
 例えば、オープンデータカタログサイト上でエクセルデータで公開をしていただいたりとかということで、オープンデータというもので公開をすることによって、個人、事業者問わず、様々な方が本当に東京都の決算というものをまた活用できるというような体制を取っていただいていることは非常に感謝したいと思いますし、そういった取組をしていただいていることは評価させていただきます。
 先ほどもいったとおり、とはいえ、やっぱりなかなか東京都の決算というと敷居が高いなというふうに思いますし、決算参考資料というものもちょっと分かりづらいというか、なかなか分かりやすいものでもないということも理解をした上で、あえていわせていただいておりますけれども、そうしたやはり私たち都民の支払った税金で東京都の予算、決算というものもつくられておりますし、またそれをしっかりと東京都の都民に還元をしていくというか、周知をしていく、そして理解をしていただくということも大事だと思いますので、そちらに関してもしっかりと周知、また、都民の理解を得られるような工夫をこれからも続けていっていただきたいと思いますので、ぜひそちらの方、よろしくお願いを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 まず、公金管理について伺います。
 公金管理について、金融分野の専門家等の経験と識見を活用して、金融政策の動向や金融市場の変化を踏まえた適正なリスク管理を行うなど、金融情勢等に応じた的確な判断、対応を行うために東京都公金管理アドバイザリー会議というものが設置されております。
 東京都公金管理アドバイザリー会議の委員は、平成二十八年の設置以来約七年間、同じ方が委員を務めているようですが、同じ方がアドバイスをしていると、アドバイスも形式的になりがちになるのではないでしょうか。
 定期的に委員を変更するべきだと考えますが、見解を伺います。また、あわせて、現在の就任委員数と在任期間についても伺います。

○有金管理部長 東京都では、公金管理において、金融情勢等を踏まえて的確に判断し対応していくため、金融分野の専門家等の経験と識見を活用することを目的に、東京都公金管理アドバイザリー会議を設置し、公金管理の基本的方針や金融機関等の選択、公金の適正なリスク管理などについて助言をいただいております。
 また、会議委員は現在四名の委員を任用しておりまして、任用期間につきましては、委員四名のうち、それぞれ二名が就任一年目、一名が五年目、残り一名が七年目というふうになっております。
 なお、委員の改選に当たりましては、都の附属機関等設置運営要綱の取扱いについての通知に基づきまして、これまで在任期間が八年を超えることがないよう改選を行っております。

○田の上委員 細かくご説明をいただきました。五年目の方や七年目の方がいらっしゃるということでございます。
 学識経験その他公金管理に関する専門的知識を有する者等で構成をしている会議ではございますが、四名しかいないので、お一人お一人のご意見が非常に影響が大きいのではないかと考えます。任期は二年で再任を妨げないとなっているものの、今ご答弁でいただきましたが、八年を超えることがないように改選を実施するとのことであります。
 東京都公金管理アドバイザリー会議は、金融機関等の事業運営上の課題や金融情勢への影響などを鑑み、委員の意見を聞いた上で非公開とすることができるとありますが、非公開にしている会議はどれくらいあるのか伺います。

○有金管理部長 アドバイザリー会議につきましては、例年、年間で三回実施をしておりまして、その全ての会議が非公開となっております。令和四年度につきましても、七月、一月、三月において合計三回実施をいたしましたが、同じように非公開という形になっております。
 会議を公開として実施をいたしますと、金融機関等の事業運営上の地位等の損失が著しく、その正常な経済活動が阻害されるおそれや、予期せぬ風評や影響等を誘発することによりまして金融情勢を乱し、都民生活に多大な影響を与えるおそれがあることから、委員の意見を聞いた上で非公開としているところでございます。
 なお、会議の議事要旨につきましては、後日、当局のホームページにおいて公開をしております。

○田の上委員 会議の性質上、与える影響の大きさなども考えて、全てが非公開ということでございました。
 後日、議事要旨は公開されているとのことですが、都民から見えにくい会議であるため、行政の形式的な会議にならないよう工夫が必要と考えます。せっかく会議が外部委員で構成されていますので、客観性が生きる会議となるよう、今後とも留意をしていただきたくお願いいたします。
 次に、指定金融機関等についてです。
 会計管理者は、公金取扱金融機関において事務処理が適法かつ正確に行われているかを確認し、直接指導をするため、指定金融機関及び収納代理金融機関に対し、公金の収納または支払いの事務及び公金の預金状況について検査も実施しております。
 そして、令和四年の総務省の通知では、公金収納等事務のデジタル化を推進していくことと併せて、現時点における公金収納等事務についての適正な経費負担となるような見直しを行い、公金収納等事務の効率化、合理化を通じて、国民生活の利便性の向上及び社会経済活動全般の効率化を図るよう求めています。
 東京都の指定金融機関はみずほ銀行ですが、総務省は、公金収納等事務の経費負担の見直しに当たって、適正な見直しのため、例えば地方公共団体、指定金融機関のそれぞれのコスト構造を互いに見える化するよう努めること等により、地方公共団体は住民に対する説明責任を果たすとともに、指定金融機関は地方公共団体の求めに応じて必要な情報を提供するよう努めることが望ましいとしていますが、都は、都民への説明責任についてどのような対応をしているのか伺います。

○有金管理部長 指定金融機関に対しまして実際に支払った公金収納等事務に係る経費につきましては、各年度の決算説明書におきまして、収納及び支払いのおのおのにつきまして、予算に対する支払い額や執行率、件数等を記載して、経費の内訳を示しているところでございます。

○田の上委員 決算説明書において必要事項を記載し、説明している、示しているというようなことだと思います。
 時代の変化に対応した支出事務のデジタル化や新たな公金収納方法の検討等、会計制度に関する企画、調査及び改善に向けた取組を行い、都民サービスの向上と会計事務の簡素効率化を実現するとともに、適正な事務の確保に努めているというふうに、会計管理局さんのところに書いてありました。これ、すごく大事なことだと思います。そしてまた一方で、指定金融機関は地方公共団体に対して責任を有するというものであります。
 そして、今回の通知でございますが、デジタル化による環境の変化ということが大きく捉えられています。これで本当に見える化ができているのか、時代の変化に応じて対応ができているのかということについては、私は懸念があります。
 ぜひとも見直しを含めて工夫をしていっていただきたい、そして、都民からこれならしっかりと安心して任せられるというような情報公開ができるような体制をつくっていただきたいと要望いたしまして、質問を終わりにします。

○かつまた委員 私からは、公金管理について質問させていただきます。
 令和四年度の我が国の社会経済状況は、円安やエネルギー価格の高騰などの影響を受けつつ、金融環境においては、日本銀行による金融緩和の状態が続いておりました。
 一方で、昨年末の十二月、そして本年七月の金融政策決定会合において、日本銀行は、長期金利の変動幅の拡大や長短金利操作の運用の柔軟化を行うなど、金融環境に変化の兆しも見え始めております。
 こうした経済金融情勢の変化を的確に捉え、公金の運用においても効率性を追求し、収入率を向上させていくことは重要であるというふうに考えます。
 令和四年度の決算について確認するに当たり、まずは、財産運用収入における過去五年間の収入率についてお伺いをいたします。

○有金管理部長 財産運用収入におけます過去五年間の収入率についてでございますが、平成三十年度につきましては四四・五%、令和元年度につきましては五九・三%、令和二年度につきましては五六・五%、令和三年度につきましては八三・二%、そして令和四年度につきましては七六・一%となっております。

○かつまた委員 今ご答弁のありましたとおり、過去からの推移を見ますと、収入率は上昇傾向にあるように思われる一方で、直近の令和四年度においても、予算額との間にはいまだ乖離がございます。
 そこで、令和四年度の予算現額に対する収入率が七六・一%となっているが、その原因についてお伺いをいたします。

○有金管理部長 令和四年度の公金管理につきましては、安全性を最重要視しながら、最大限運用収益を高められるよう取り組んでまいりました。
 しかし、銀行が提示をいたします預金金利が想定していた水準を下回ったこと、また、各基金の積立て及び取崩しの計画を関係各局と精査をしたところ、運用期間を短縮化する場合もあったことなどに伴いまして、結果として、当初予算額に対する収入率が七六・一%となったものでございます。

○かつまた委員 金利状況や運用期間など、外的な要因によって運用益は左右されます。結果として、収入率が低くなるということがあるということが分かりました。
 足元の金融環境としては、本年四月に十年ぶりに日銀の総裁が交代をし、長短金利操作について、より柔軟に運用することを決定するなど、変化の兆しが見られております。
 そこで、今後、運用利回りを上昇させ、収入率を高めていくための取組について、見解をお伺いいたします。

○有金管理部長 公金管理に当たりましては、安全性を確保することが何よりも大切でございますが、その上で、最大限運用収益を高められるよう取り組んでいく必要がございます。
 都の公金管理を取り巻く金融環境につきましては、平成二十八年二月の日本銀行によりますマイナス金利政策導入以降、金融機関の預金獲得ニーズが低下をし、預金受入先が限定されるとともに、提示される金利も極めて低い水準にとどまっております。
 一方で、本年七月の金融政策決定会合におきまして、イールドカーブコントロールの運用の柔軟化が決定されるなど、金融環境に変化の兆しも顕在化しております。
 具体的には、マーケットにおけます一般的な指標でございます十年国債の利回りにつきまして、最も低かった平成二十八年七月にはマイナス〇・二九七%まで低下をいたしましたが、昨年末時点では〇・四五四%、本年九月末時点では〇・七七四%まで上昇しております。
 引き続き、国内外の金融政策や金利動向に特段の注意を払いつつ、金融環境の変化に的確に対応するとともに、関係各局と情報連絡を密に取り、運用可能資金の最大化や運用期間の長期化を図ることで、収入率の向上に取り組んでまいります。

○かつまた委員 今後の取組といたしまして、基金運用については、運用戦略などを策定いたしまして、金融情勢や金利の動向を見ながら、安全性を基本にしつつも可能な限り効率性に配慮した基金運用を要望し、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○松田委員長 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 議会局の皆さんには、本当にお世話になっております。民主的に議会運営をすることでも、こんな調査がしたいといえば直ちに具体化していただけるし、それから議員として活動するための管理など、私たちが議会活動をする上で本当に支えられ、欠かすことのできない存在です。本当にありがとうございます。
 議会がよりよく成長していく上で重要な議会局の決算について、質疑していきたいと思います。
 令和四年度の決算概要では、議会の開会状況で、本会議十八日、委員会開催回数が二百十五回、議案件数が三百二十五件、請願陳情付託件数は百五十七件となっています。これらの議会活動を支えるために、何倍、何十倍もの議会局職員の皆さんのお力があるわけです。
 そこで伺いますが、議会局職員の役割の重要性をどのように受け止めていますか。

○鈴木管理部長 地方議会は、二元代表制の下、地域の多様な民意を集約し、団体意思を決定する機能や政策を形成する機能、そして執行機関を監視する機能を担っており、民主主義における地方自治に欠かすことのできない、住民を代表する機関でございます。
 こうした議会の重要な権能を十分に発揮していただくため、議会局職員には、議会の様々な活動を的確に補佐していくことが求められております。

○大山委員 議会が持っている権能を十分に発揮できるように、議会の様々な活動を的確に補佐していただくという本当に重要な役割です。
 それだけに、議会局職員は高度な専門性と経験の蓄積が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○鈴木管理部長 議会事務局の補佐機能を的確に発揮していくためには、職員が、本会議や委員会などの安定的な運営や議会の調査活動などを補佐するための十分な専門性を有することに加え、ノウハウと経験を局内において適切に引き継いでいくことが重要と考えております。

○大山委員 専門性をより深めていくこと、それから議会としての役割をしっかり果たせるようにするためには欠かせません。同時に、ノウハウや経験を局内で共有し、引き継いでいくことも欠かせないということです。
 議会局職員としての研修なんですけれども、決算年度にどのような内容でどのように実施されたのでしょうか。

○鈴木管理部長 令和四年度におきましては、新たに議会局に勤務する職員を対象にした転入職員科研修、議会局特有の議事関係の内容に特化した議会運営事務科研修、会派受付業務を担う職員等を対象にした接遇科研修等を実施し、それぞれの担当業務に必要とされる知識の取得と能力の育成を図っております。
 さらに、これらに加えまして、全国都道府県議会議長会が主催する議事事務関係の研修などにも随時職員を派遣いたしまして、専門性の育成に努めております。

○大山委員 議会局独自にも実施しているし、全国都道府県議会議長会が行う研修にも派遣をして、専門性を育成しているということなんですよね。
 議会局職員の研修にどういう課題があると考えていますか。

○鈴木管理部長 当局におきましては、ベテラン職員から次代を担う若手職員への事務の継承に加えまして、昨今の社会情勢の変化も踏まえ、デジタル化などに対応するための人材育成が課題となっております。
 このため、令和四年三月に議会局人材育成方針を策定し、OJTの充実やオンライン研修の活用などの取組を進め、次代を担う人材育成に取り組んでいるところでございます。

○大山委員 議会局として、人材育成方針をもって進めているということです。
 仕事を通して、先輩が指導したり、ケース検討などもしていると伺いました。同時に、職員の定数を増やしていくことも重要だと思いますので、ぜひ積極的に人員要求もしていただきたいと思います。
 東京都内でも区市町村議会もありますが、お互いに交流すると意外な発見があったり、学ぶこともあったりするわけですけれども、都内の区市町村議会の事務局職員との交流はありますか。

○鈴木管理部長 都内区市町村の議会事務局との人材交流といたしましては、記録が残っている範囲で申し上げますと、これまで武蔵野市及び町田市の議会事務局の職員を計四名受け入れた実績がございます。
 なお、大都市を有する自治体の議会事務局で構成されます十三都道府県議会事務協議会等におきましても、それぞれの議会における取組に関する情報交換を行うなど、事務局職員同士の交流を行っているところでございます。

○大山委員 都内区市町村議会や他の自治体議会の職員との交流も行われているということは重要だと思います。私は、東京都の議会局の皆さんと都内区市町村議会事務局の職員の皆さんと共同の研修事業を実施することなども検討していただければと思っています。
 引き続き、議会局職員の皆さんと私たち議員も一緒に成長しながら、議会としての役割、責任を果たせるよう、引き続きよろしくお願いいたします。
 終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 議会局の皆様方には、常日頃より、私たち都議会議員の議会活動、政務活動をお支えいただき、感謝をしております。
 先ほどもおっしゃっておりましたが、二元代表制という制度の下、地方自治の本旨を貫き、そして民主主義ということをしっかりと確定させるために、我々都民から選ばれた代表が質問をする権利を行使するためにも、ご協力をいただいているものと認識をしております。本日は決算の審議ということですので、幾つか質問をさせていただきます。
 九千八百五十八万九千円と書かれておりますが、議事事務の不用額は千六百六十一万五千百九円ということで、執行率は八三・一%。また、八億一千六百十三万三千円の予算が計上され、一億二千十一万四千三百八十二円の不用額というふうに書かれておりますが、都議会の広報の執行率は八五・三%ですが、それぞれの不用額の原因について伺います。

○鈴木管理部長 議事事務につきましては、会議録等の印刷関連経費の落札差金と実績による執行残、都議会広報につきましては、都議会中継や都議会だよりなどの落札差金とこれらの実績による執行残が不用額の主な内容でございます。
 このうち、都議会中継につきましては、当初予算では様々な状況に対応できますよう、臨時会が複数回開催される可能性や会議が深夜にわたる可能性も想定し費用を見積もっておりましたが、これらの事象が発生しなかったため、不用額が生じたものでございます。
 こうした不用額は、特に会議が長時間にわたる可能性がございます第一回定例会が終了する年度末まで確定しないものでございます。

○田の上委員 予算審議はかなり長時間にわたる可能性があるので、年度末までこれが確定しないというようなご答弁でございました。また、様々、事象に対応できるように予算が設定されており、そして、特に広報費におきましては、臨時会など都議会の中継の費用を見積もっているということであります。
 ちなみに、令和四年度はコロナ禍でもあり、通常より多くの臨時会等の開催を想定し、その前の年などに倣って設定されていたということでありますでしょうか。

○鈴木管理部長 令和二年度でございますが、新型コロナの感染拡大に伴いまして、臨時会の開催や特別委員会の設置により、都議会中継の予算が不足するという事態が生じました。こうした状況も踏まえ、令和四年度予算では、新型コロナを含め臨時会など様々な状況に対応できますよう、必要な経費を計上したものでございます。

○田の上委員 令和二年度には予算が不足する事態が生じたということで、しっかりと対策するために令和四年度予算の経費計上があるというお答えでございました。
 次に、議事録についてでございます。
 議事事務のうち、本会議だけではなくて各委員会の議事録を速やかに公開することは、都民にとって、都議会で何が議論されたかを確認する上で極めて重要なことであり、強く求めるものであります。
 先ほど不用額についてご答弁をいただいたんですが、予算の問題であれば予算の問題として片づけていく、課題を解決していくべきであるというふうにも考えるのですが、本会議や委員会の議事録を速やかにもっと公開することができないものかと考えるのですが、見解を伺います。

○古賀議事部長 会議記録は、記録作成支援システムによる原稿作成及び職員による校閲を経て発行しております。令和五年第三回定例会からは、新たに本会議閉会日の速報版を発行しております。
 なお、常任委員会につきましては、一日に複数の委員会が行われることが多く、作成には一定の時間を要していることから、可能な限り職員間の応援体制をしくなど、会議記録の早期発行に努めてまいります。

○田の上委員 第三回定例会からは速報版も発行しているということであります。私が見ていても、本会議の議事録というのは非常に早く上がっているなという印象です。また、インターネット中継、録画映像等も見られますので、かなりよくなってきたなというふうにも思っているところでございます。
 しかし、また一方で、都民への情報公開というのは、正確性もそうなんですが、即時性というものも必要であります。あのときに何をいったかを確認したいといったときに、やはりあまりにも時間がかかるというのは問題かなというふうに思っているところでございます。
 特に委員会の議事録の公開というのは、先ほどおっしゃっておりましたけれども、一日に複数の委員会が行われることが多い、また、かなり作成に一定の時間を要しているというようなことがあるというふうにおっしゃっておりましたけれども、この原因が何なのかということをしっかりと分析していただきたいというふうに思っております。
 予算の問題でないならば、システムの問題なのか——例えば本会議では、我々の質疑の原稿の提出をしていますが、そういったことが必要なのかとか、そういった様々な分析をしていただいて、なるべく早く都民の目に触れられるようご努力をお願いして、質問を終わりにいたします。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○松田委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、子供政策連携室所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます令和四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次をご覧ください。資料は二点でございます。
 一ページ目をご覧ください。東京都こども基本条例の普及啓発の実績でございます。
 東京都こども基本条例ハンドブックの作成など、普及啓発の取組及びその内容を記載してございます。
 二ページをご覧ください。子供政策連携室で実施した子供の声・意見を聴いた取組の規模でございます。
 子供の居場所におけるヒアリングやSNSアンケートなど、子供の声、意見を聞いた取組とその規模を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○松田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 都において、令和四年四月に子供政策連携室が設置されました。決算の中身に入る前に、まず、子供政策連携室の役割を改めて伺います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 子供政策連携室は、都の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進していくため、子供に関する実態調査等を基に、企画立案機能を担っております。
 また、既存の枠組みでは対応が難しい課題に対しまして、当室が核となって各関係局から成る推進チームを組成し、先進的な取組に挑戦するとともに、多様な主体と連携し、社会全体で子供を応援する機運醸成の取組を展開することとしております。
 さらに、予想を超える速さで進展しております少子化の危機に対しまして、一刻の猶予もないとの認識の下、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、全庁的な視点に立ち、施策の企画立案や各局等が行う施策の総合調整を行っております。

○吉住委員 子供政策連携室の果たすべき役割は分かりました。
 決算内容の質問に移りたいと思います。
 決算書を見ると、こどもスマイルムーブメントやこども未来会議といった取組を行ったと説明を先日受けたところですが、組織が発足してから間もないということもあり、本格的な取組が見えてくるのは、まだこれからのように思います。
 成果が見えてくるのも、これからだとは思いますが、組織発足一年目の令和四年度の取組の成果について伺います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 令和四年度は、当事者である子供の声を聞き、子供目線に立った施策を練り上げるとともに、区市町村や民間企業等、多様な主体との連携や協働を通じて、社会全体で子供を応援する機運醸成の取組を展開してまいりました。
 令和五年一月には、当事者である子供や子育て世帯にも理解しやすいように、子供の声を中心に据えて取組を体系的にまとめたこども未来アクションを策定いたしました。
 また、少子化の現状と背景を踏まえ、東京都の取組の方向性と国や区市町村、民間企業等との役割分担の考え方を提示した上で、少子化対策の全体像を体系化しました東京都の少子化対策の現在を、同じく令和五年一月に策定をいたしたところでございます。

○吉住委員 令和四年度の子供目線に立った取組及び一月に策定したものについて確認をいたしました。
 先ほどのご答弁にもありましたが、知事は、少子化対策について一刻の猶予もないとこれまで発言されています。私も同様の思いを持っていますが、そのような意味においても、子供政策連携室の果たさなければならない責任は重大であると考えます。
 また、これまでも、福祉局、教育庁をはじめ各局、また区市町村などでは、それぞれの立場で子供に関連する施策を、現場の声を吸い上げながら行ってきたと思います。
 その上で、さらに子供政策連携室が子供の意見を直接聞き、子供目線に立った取組を実現していくということは、簡単ではない挑戦であるとも思います。子供政策連携室の今後の取組に期待するとともに、しっかりと成果を出していただくようお願いをして、次の質問に移ります。
 未来を担う子供たちが東京に魅力や愛着を持ち、自身が住む地域への興味や知的好奇心を促していくことは大切です。都では、子供と都政をつなぐ新たな情報プラットフォームとして、令和四年度に東京都こどもホームページを公開しました。
 このホームページは、イラストやアニメーションなど、子供たちがアクセスした瞬間にわくわくするような様々な仕掛けを講じ、相当の労力とコストをかけてつくり上げています。子供目線に立った分かりやすいホームページとなっているとは思いますが、ホームページは公開されたそのタイミングが最も旬であり、時間の経過とともにこれが陳腐化してしまうことが課題として考えられます。
 子供たちが常に新たな発見や気づきを得る魅力的なホームページとなるよう、継続的に改善を重ねていくことが重要です。より魅力的なホームページとなるよう、昨年度どのような創意工夫を行ったのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 東京都こどもホームページは、小学生を主なターゲットとして、子供が楽しみながら都政を学ぶことができるコンテンツを展開しております。作成段階から継続的に子供たちの意見やアイデアを取り入れ、七月の本格稼働後も、東京の知識をクイズ形式で学ぶことができるコンテンツ、東京なるほど白書のクイズテーマを七件追加しました。
 また、ふだん見ることのできない都の施設内部を見学できる、バーチャル社会科見学の施設を二件追加し、子供たちの新たな発見や気づきが得られるよう、内容の充実を図ったところでございます。
 さらに、季節に合わせてデザインを変更し、年間を通じて楽しめるようにするなど、子供たちが繰り返し訪れたくなる魅力的な仕掛けを施してまいりました。

○吉住委員 子供たちにとっては、ホームページに触れて単に楽しむだけでは十分でなく、そこから得られた新たな発見や気づきを生かしていくことも大切です。発見や気づきを基に、子供が自ら考え、自分の住む地域について調べ、話し合う体験によって、地域への思いや理解を深めることができると思います。
 より多くの子供たちにこのホームページを利用してもらい東京の魅力や愛着を感じてもらうために、今後どのように取り組んでいくのか、展望を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度におきましては、ワークショップに参加した十六名の子供たちが作成したこども新聞や地域の魅力マップをホームページのコンテンツとして追加しました。
 ホームページのバージョンアップに子供たちが継続的に参画する工夫を凝らし、子供たちとの対話を実践することで、日常的に利用したくなるような魅力的なホームページとなることを目指しております。
 また、家庭や学校に向けた広報を通じて、当事者である子供たちの認知度の向上にも取り組んでまいります。

○吉住委員 今後は、教育庁を通じて区市町村とも連携を図り、一人でも多くの子供たちにホームページを活用してもらえるよう取り組んでいただきたいと思います。
 東京都こどもホームページが広く子供たちの目に触れ、東京の歴史や文化を学び、郷土愛を育むことにつながっていくことを期待して、質問を終わります。

○森口委員 「未来の東京」戦略では、目指す二〇四〇年代の東京の姿として、社会の宝である子供の笑顔でいっぱいのまちが実現していることを掲げております。既に、高校生の医療費無償化や〇一八サポートなど、子供施策の先進的な取組が進められ、チルドレンファーストの理念は広がりつつあります。
 しかしながら、社会全体で子供を大切にするという機運の醸成はいまだ道半ばであり、例えば子育て家庭が公共交通機関を利用する際には、ほかの利用者から迷惑と思われるかもしれないといった心理的なブレーキがかかることも多く、子供の声を騒音とする地域トラブルの報道も散見がされるなど、こうした空気感は一朝一夕に変えられるものではありません。
 子供の笑顔があふれる東京を実現するためには、このような社会の空気感を変える必要があると実感をいたしております。行政だけではなく、民間企業なども含め多様なステークホルダーによる官民一体となった一つ一つの取組の積み重ねが、社会全体の空気感の変化につながると考えます。
 こどもスマイルムーブメントは、このような空気感の変化という難しい課題に取り組む子供政策の柱の一つと考えます。単なる一つの施策にとどまるのではなく、行政はもとより、企業、NPO、学校などの幅広い主体を巻き込んだムーブメントにしていかなければなりません。そのためには、企業などが積極的に参画したくなるような工夫や仕掛けが必要と考えます。
 まずは、企業、団体のニーズを踏まえた昨年度のこどもスマイルムーブメントの取組実績と成果について伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度の主な取組といたしましては、夏休み期間中、都や参画企業、団体が実施する子供向けイベントを集約した特設サイト、こどもスマイル大冒険を開設し、二百を超えるイベントを掲載し、発信してまいりました。
 また、他企業、団体の子供や子育て世代向けの取組内容やノウハウが知りたい、連携した取組を実現したいという参画企業、団体のニーズに応え、交流会を開催したところ、四十を超える団体から計六十名以上の方に出席いただきました。
 こうした取組により、令和三年十二月のスタート時には八百六十八であった参画企業、団体数は、現在、千五百団体を超えております。

○森口委員 これまでの都の取組によって、こどもスマイルムーブメントに新たな企業、団体が数多く加わっていることが分かりました。
 今後、さらにムーブメントが盛り上がっていくためには、企業、団体の参画が継続して増加をしていくとともに、それぞれの自発的な取組が活性化していかなければなりません。
 これまでの実績を踏まえ、こどもスマイルムーブメントの一層の盛り上がりに向けた展望について、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 今後、幅広い主体との連携の輪を広げ、さらなる機運醸成を推進するためには、参画企業、団体が、より参画のメリットを感じられるような取組が重要でございます。
 このため、子供の笑顔や子育て世代のニーズを捉えた企業、団体の先進的な取組につきまして都がメディアで広くPRを行うなど、新たな取組の創出につなげてまいります。
 こうした取組により、新たな企業、団体の参画を促進するとともに、参画した企業、団体の主体的な取組の活性化を図ってまいります。

○森口委員 子供や子育て家庭に関わる数多くの企業、NPO、学校などの好事例が波及をし、各ステークホルダーの自律的な取組につなげていくことが重要であります。こうした好循環を生み出していくことが、社会のマインドチェンジにつながると考えております。今後とも、都が企業、団体のニーズを踏まえ、メリットを感じられる取組を強力に推進していくことを求めます。
 次に、育業について伺います。
 私自身、子育てを通じて、これまでとは違った視点で物事を捉える発見があるなど、自らの成長につながるポジティブな影響があると感じております。
 こうした経験からも、男性にも積極的に子育てに関わってほしいと考えておりますが、総務省の二〇二一年の調査によると、六歳未満の子供がいる共働き世帯における一日当たりの家事関連時間は、妻が夫の三・四倍に上っており、依然として家事、育児の負担が女性に偏っているのが現状です。
 都が取り組む育業の推進は、男女共に育児に積極的に関わるきっかけづくりに大きな役割を担っており、育業の理念を広く普及させていくことで、男性も女性も共に子育てを担い、親子で大切な時間を過ごすことが当たり前の社会につながっていくと考えます。
 そこで、育業の普及啓発について、昨年度の具体的な取組を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 育業の普及啓発につきましては、男女問わず育業することの重要性を伝えるため、育業に関する無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャスバイアスの解消など、育児当事者や企業の管理者層など各ターゲットに訴求する取組を実施いたしました。
 具体的には、子育て世代等を対象に、国と連携して育業を分かりやすく解説したオンライン講座を開催するとともに、育業経験を持つ経営者による対談動画などを制作し、SNSなどを活用して広く発信いたしました。
 また、育業ロゴマーク決定を契機に、企業と連携した育業応援プロジェクトを実施し、育児情報誌との連携では、千件を超える育業体験談の応募の中から六本を漫画化しました。
 さらに、テレビ局による育業推進企業を紹介した十六本の企画番組の放送や、ベビー用品メーカーによる育業準備レッスンの実施など、多角的に取り組んでまいりました。

○森口委員 育児当事者や管理者層などの意識にアプローチする普及啓発に努めていることが分かりました。引き続き、効果的な取組を進めていただきたいと思います。
 国は昨年四月から、改正育児・介護休業法により、産後パパ育休制度の創設や育児休業の分割取得、育児休業取得状況の公表の義務化など順次施行しており、男性の育児休業取得を積極的に促進をしていますが、男性の育業の取得率の向上は、いまだ道半ばであると認識をしております。
 これまでの実績も踏まえ、施策強化の方向性を検証しながら、さらなる男性の育業の推進に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 男性が育業しにくい要因といたしましては、代替要員の確保などの課題のほか、男性自身の意識の問題や職場がそのような雰囲気ではないことなどが判明しております。
 こうした要因も踏まえまして、各ターゲットの意識改革に向けた取組の強化を図り、企業の経営者等に対し、トップマネジメントの重要性を伝える動画の配信や、育業の促進に参考となる先進事例を紹介するハンドブックの作成など、望む人誰もが育業できる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

○森口委員 男女問わず、望む人誰もが育業しやすくなるためには、こうした普及啓発の取組と併せて、企業の規模を問わず、働き方改革が実現するよう後押しするなど、企業への実効性ある取組が必要であり、子供政策連携室が中心となって、産業労働局や生活文化スポーツ局などとも連携をしながら取組を進めていただきたいと要望し、質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、初めに、子供の意見聴取について質問いたします。
 社会の宝である子供は、社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があります。これは、令和三年第一回定例会において、都議会公明党が原案を作成し、全会一致で可決、成立した東京都こども基本条例の前文に記載されている一文であります。
 都は、本年一月に発表したこども未来アクションにおいて、子供を客体ではなく主体として捉えていくことを子供政策の基本スタンスとするとしています。
 子供の声を聞くことの意義や、子供の声を中心に捉えて子供政策に取り組んでいくことの重要性をどのように認識をしているのか、改めてお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供を権利の主体として尊重するという東京都こども基本条例に込められた理念を実践していくためには、当事者である子供との対話を通じて、その声や思いを酌み取ることが重要でございます。
 本条例の第十条に定めるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されることによって、子供の最善の利益の実現につながるものと考えております。

○かつまた委員 子供の意見をしっかりと把握し、施策に反映させていくためには、昨年度どのように取り組んだのか、その実績と今後の展望についてお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度には、SNSを活用して中高生二千人へのアンケートを実施するとともに、子供食堂などの地域の居場所に足を運んで、未就学児から高校生まで百人を超える子供にヒアリングを行ったほか、小中高校生約五百人に対して出前授業を行うなど、多くの子供から意見を聞いてきました。
 子供たちからは、自由に遊べる場所をもっとつくってほしい、いつでも行ける居場所が欲しい、つらいことがあったとき誰に相談したらいいか分からないなど、様々な意見が寄せられました。
 こうした子供の声を踏まえまして、組織横断の推進チームによるリーディングプロジェクトなど都庁一丸となった子供政策を練り上げ、本年一月に、こども未来アクションを策定したところでございます。このこども未来アクションを活用しまして、今年度、子供の居場所におけるヒアリングや学校での出前授業を実施しております。
 このように様々な工夫を凝らし、より多くの子供から多様な意見を的確に把握するとともに、その意見を施策に適切に反映してまいります。

○かつまた委員 今後も、施策に適切に反映していただくことを要望します。
 次に、東京都こどもホームページについてお伺いをいたします。
 令和三年度各会計決算特別委員会及び令和四年総務委員会事務事業質疑において、我が党から、子供と東京の魅力や都政をつなげる新たなプラットフォームである東京都こどもホームページについてお伺いをいたしました。
 東京都こどもホームページは、作成過程に子供が参加し、その自由な発想やアイデアを取り入れるなど、子供の目線に立ち、子供との対話を通じた象徴的な取組であるというふうに思っております。この取組について高く評価をいたします。
 そこで、改めてホームページの作成過程や公開後において子供たちの意見をどのように反映してきたのかお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年四月に公開したベータ版のホームページの作成に当たりましては、小学校への出前授業やワークショップなどでの意見を踏まえ、イラストや写真を多用したカラフルなデザインといたしました。また、都内の魅力をすごろくで巡るというアイデアを活用したゲームコンテンツを盛り込みました。
 さらに、ベータ版公開から七月の本格稼働までの間のユーザーテストにおける子供たちの意見を踏まえまして、画面切替えの迅速化やクイズ形式の新規コンテンツの追加などの改善を行いました。
 本格稼働以降におきましても、ワークショップや子供向けアンケートを通じて、子供たちの意見やアイデアの聞き取りを丁寧に行い、クイズコンテンツにオンラインで対戦できる機能を追加するなど、子供目線で親しみやすい内容の充実を図ってまいりました。

○かつまた委員 この間の子供との対話を実践し、その子供の声を取り入れ、ホームページのバージョンアップに注力してきていただいたことには敬意を表したいと思います。ホームページを利用する子供たちのために常に鮮度を高く保っていけるよう、今後も継続的に子供との対話に取り組むことが最も重要であるというふうに考えます。
 子供との対話を通じてホームページをバージョンアップしていくことで、具体的にどのような成果があったのか、アクセス数の状況や、さらにそれを伸ばしていくための工夫についてお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度のアクセス数としましては、月平均で約三万ページビューとなっております。今後さらにアクセス数を伸ばしていくためには、まず、ホームページを知らない子供たちが初めてホームページに触れ、面白さを体験する契機を増やしていくことが重要でございます。
 このため、子供向けのイベントへの積極的なブース出展により、その場で実際にコンテンツを試してもらい、その魅力に気づく機会を提供してまいります。
 さらに、こうした取組を通じてホームページの魅力に気づいた子供たちが繰り返し訪れてくれるよう、今後も子供の意見を反映したコンテンツの充実を図ってまいります。

○かつまた委員 引き続き子供たちの意見を丁寧に聞き取り、東京都こどもホームページのさらなる充実、また改善に取り組んでいただきたいと思います。
 他の委員も触れておりましたが、時には教育庁を通じて区市町村立小学校などに、このホームページを広く広報することを要望いたします。
 次に、子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業についてお伺いをいたします。
 都は、チルドレンファーストの社会の実現に向けて子供政策を強化しているということでありますけれども、子供、子育ての施策の最前線にいるのは、やはり区市町村であるというふうに考えられます。
 私の地元大田区では、ボール遊びができる公園が少ないという相談がたくさん寄せられており、こうした地域課題の解決に向けた取組を都がしっかりと後押しすることが重要というふうに考えます。
 都は、令和三年度に子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業を創設したというふうに聞いております。この補助事業の目的と昨年度の実績についてお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 行政分野の枠組みを超えた区市町村の意欲的な取組を三か年にわたって支援することにより、子供の目線を取り入れた先駆的な取組事例を生み出すとともに、都内に広く波及させていくことを狙いとしまして、令和三年度に子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業を創設しました。
 昨年度は、子供区分において、十二区市、十四件の取組に対して補助を行いました。

○かつまた委員 子供の目線を取り入れた先駆的な取組事例を生み出すということでありますけれども、具体的にはどのような成果が得られたのかお伺いをいたします。

○小平プロジェクト推進担当部長 例えば、既存の公園にボール遊び広場を新設するに当たりまして、地域のイベント広場としても活用できるようにすることで地域住民との合意形成を進め、整備を実現した事例がございます。
 このほか、子育て支援施設に子育て広場と中高生の居場所を併設し、多世代交流を促進する事例や、小児科、産婦人科の二十四時間無料オンライン相談を開設する事例など、地域のニーズに応じた各自治体の取組を支援してまいりました。また、これらの取組を採択事例集としてまとめ、各区市町村に周知いたしました。
 こうした取組を通じて、都内における取組の広がりを後押ししてまいります。

○かつまた委員 この補助事業を通じて都と区市町村が連携することで、ボール遊びができる場所の確保など、子供や子育て家庭の声や地域課題を踏まえた取組に結実しているというふうに理解をいたしました。
 また、こうした好事例を都内に広く波及させることを狙いとしているため、引き続き区市町村の意欲的な取組をしっかりと支援をし、都内全域への展開を実現していただきたいことを最後に要望し、質問を終わります。

○大山委員 私からも質問させていただきます。
 二〇二一年四月一日にこども基本条例が施行され、子供政策連携室は、その翌年、決算年度の二〇二二年四月に新たに設置されました。
 事業概要の設置目的には、子供を主体として捉え、誰一人取り残すことなく、健やかな成長を社会全体で後押ししていく必要があるとして、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進する体制を構築するため設置されたと述べています。
 つまり子供政策連携室とは、子どもの権利条約と東京都こども基本条例を東京都政で実現するための部署だということでいいですね。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 子供政策連携室は、都政の政策全般を子供目線で捉え直し、子供政策を総合的に推進する体制を構築するため、令和四年四月に設置されたものでございます。
 子供政策の推進に当たりましては、東京都こども基本条例の基本理念等を踏まえ対応しているところでございます。
 なお、東京都こども基本条例第三条では基本理念を定めておりまして、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とすることで、全ての子供が、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備していかなければならないと規定してございます。

○大山委員 東京都こども基本条例の基本理念等を踏まえ対応するということです。
 そのこども基本条例は、今答弁されたように、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とする、つまり子どもの権利条約の中身です。
 そして、子供政策を総合的に推進する体制を構築したわけですから、東京都こども基本条例と子どもの権利条約を実現するために設置されたということではないんでしょうか。これは本当にすばらしいことです。
 もう一回伺いますけれども、そのような理解でよろしいですね。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 先ほど申し上げましたとおり、子供政策の推進に当たりましては、東京都こども基本条例の基本理念等を踏まえて対応しているところでございます。
 その条例第三条では、基本理念といたしまして、子供は大いなる可能性を秘めたかけがえのない存在であるとの認識の下、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重し、子供の最善の利益を最優先とすることで、全ての子供が、今と将来への希望を持って伸び伸びと健やかに育っていけるよう、社会全体で子供を育む環境を整備していかなければならないと規定しているということでございます。

○大山委員 二回ね、重要なことを答弁していただきました。こども基本条例と子どもの権利条約を実現するために存在する、これは重要ですし、すばらしいことです。
 子供の声を聞き、政策に生かすという点ですけれども、子供の声を聞く、本当に重要なことです。こども基本条例制定で、私たち一番の弱点だと思っているのは、子供の声を聞けていないということなんです。
 東京都が直接子供の声を聞くことを実践していることは本当に重要です。出前授業は、職員の皆さんが行っているということですし、集まってきた意見を読んだりして、局としてはどのような受け止めをしていますか。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度には、学校への出前授業のほか、SNSを活用したアンケートや子供の居場所に足を運んだヒアリングを通じて、子供の意見を聞く取組を進めてまいりました。
 こうした子供の声を踏まえまして、本年一月にこども未来アクションを策定し、子供の目線に立った取組を進めているところでございます。

○大山委員 今答弁されましたこども未来アクション、これですね、この第1章には、様々な手法で聞いた子供の意見となっていて、決算年度で、子供の意見をどのようなところでどんなことを聞いたのか、それから、子供の居場所で聞き取りをするときには、どうしたら子供たちの声を引き出すことができるのか、有識者の意見も聞いて聞き取りに行っているわけですね。児童館やコミュニティセンターで、それから文化団体やスポーツ団体、子供食堂や地域の居場所でも、フリースクールや保育園など、様々なところで聞いています。そのほか、SNSでのアンケート、出前授業もしているということです。資料でも出していただきました。
 決算年度の四月に子供政策連携室として設置され、子供政策連携室内でも試行錯誤しながらヒアリングをされてきたんだと思います。子供の声を、そして意見を、思いを直接聞く、本当に重要な仕事をしていただいていると思っています。それを基に、こども未来アクションを策定したわけです。
 今後も引き続き、子供たちの声を聞くことは継続するということでよろしいんでしょうか。

○小平プロジェクト推進担当部長 引き続き、子供の意見を聞く取組を行っているところでございます。

○大山委員 現在も引き続き、子供の意見を聞いているということです。今後も、常に子供の意見を聞く重要な活動を継続していただきたいと思います。
 子供を権利の主体として認識し、東京都が子供の声を聞くという第一歩を踏み出したことは重要です。こども未来アクションに、子供の意見は大切にされます、大人は子供の意見にしっかり向き合いますと、こう書いています。
 今後、子供たちから寄せられた意見、声などにどう応え、施策に生かしていこうとしているんでしょうか。

○小平プロジェクト推進担当部長 多様な手法で子供の意見聴取を行っており、その意見を適切に施策に反映してまいります。

○大山委員 その意見を適切に施策に反映していく、これはもちろんなんですね。適切に反映するときの東京都の姿勢が重要なんではないでしょうか。こども未来アクションに書いている、子供の意見は大切にされます、大人は子供の意見にしっかり向き合いますというこの姿勢、ぜひ実践してください。
 こうやって決算年度に完成したこども未来アクションでは、子供の遊びを保障することを位置づけている、これは重要だと思っています。伺っておきたいのは、在宅の子供も一緒に過ごせる場づくりということが書かれています。子供にとっても、お友達がいること、それから親にとっても、子育ての悩みが相談できたり、子育ての仲間、これは重要です。子供も親も職員も成長できる重要なことだと思います。
 そのためには、十分な場所が確保されること、そして保育士をはじめとした専門職が十分に確保されることが不可欠ですが、どのような場を想定しているんでしょうか。

○山本企画調整部長 お話の事業は福祉局が所管でございまして、今年度から開始した事業でございます。
 なお、福祉局の多様な他者との関わりの機会の創出事業実施要綱では、実施場所として保育所、幼稚園、認定こども園、居宅訪問型を除く地域型保育事業、認証保育所、地域子育て支援拠点等と表記されているところでございます。

○大山委員 保育園だとか幼稚園だとか認定こども園だとか認証保育所だとか、そういうところをいっているわけですけれども、そういうところ、もともと日本の基準は、場所も一人当たりのスペースも非常に狭いわけですし、それから、そのための職員も十分に必要です。
 ですから、安易に、空いているからいいじゃないかということではなくて、戸外でも室内でもきちんと遊べる場所、それはもう親が働いている働いていないにかかわらず必要なことですから、十分な場所を確保することや、それから保育士などの専門職をそのためにきちんと配置をする、これはもう欠かすことができませんので、それはきちんとやっていただきたいと思っています。
 もう一つ伺いたいのは、幼稚園、保育園ともに共通のプログラムを活用し、子供の成長を応援しますということで、共通のプログラム、これどういうものなんでしょうか。

○山本企画調整部長 共通プログラムは、幼稚園や保育所といった施設類型の垣根を超えまして、多彩な体験、経験に触れ合うことができる探求活動の実践を通じまして、乳幼児期から子供の健やかな成長をサポートするものでございます。

○大山委員 探求活動の実践ということです。これはプログラムということですね。
 なぜ共通のプログラムをつくることになったんでしょうか。

○山本企画調整部長 本プログラムを通じまして、子供の最善の利益という観点から、幼稚園、保育所といった施設類型にかかわらず、子供の伸びる、育つを応援し、全ての子供の生涯発達における土台形成を支援してまいります。

○大山委員 子供の最善の利益の観点からということなんだということです。その観点で東京都ができることは、どの子にも豊かな成長、発達を保障できるようにするための条件整備なんです。
 子供政策連携室と協定を結んでいるCedep、東大の発達保育実践政策学センターですけれども、その研究支援を受けて書いた研究論文でも、OECDは子供の発達と学びを保障する保育の質に関して、子供が生活する施設の広さや人数比などの人的、物的構造を問う構造の質と、子供が日々経験していることを問うプロセスの質が重要であり、それらが子供の成長を中心にして双方向に関係し合うことが重要であることを示していると。
 子供政策連携室の認識も同様であるということでよろしいですか。

○山本企画調整部長 保育の質に関するご質問でございますが、保育政策に関することであり、所管は福祉局でございます。
 福祉局に確認したところ、保育の質を支える要素としては、施設設備、職員配置等の保育環境、保育士の資質、保育の内容が挙げられるとのことでございます。

○大山委員 つまり保育の質を支えるのは、構造の質である施設設備だとか、職員配置等の保育環境、そして子供が日々経験していることを問うプロセスの質を支える保育士の資質だとか、保育の内容ということです。
 子供政策連携室はCedepと協定を結んで、子供政策連携室が開いているこども未来会議でも、東大の発達保育実践政策学センター長がプレゼンテーションもしています。だから、子供政策連携室の認識を聞いたんです。
 福祉局と同じ認識ということでよろしいですか。

○山本企画調整部長 保育の質に関するご質問でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、保育政策に関することであり、所管は福祉局でございます。

○大山委員 総合的に子供の権利を保障するために存在しているわけですよね。だから、そこの子供政策連携室が中心になって進めているこども未来会議でも一緒に聞いているわけですよね。ですから、ちゃんと自分たちの子供政策連携室の認識を聞きたいわけです。
 保育の質を保障するために、構造の質とプロセスの質が重要だということは、今や常識です。構造の質を向上することは、東京都の重要な役割です。
 子供に対する保育士の配置基準を引き上げることや子供の集団の規模を縮小すること、また、せめて食事するところと遊ぶ場所を分けられるようにするとか、園庭を確保することなどを進めていく、それが東京都の役割だと思いますけれども、どうですか。

○山本企画調整部長 保育士の配置基準や保育所の屋外遊戯場等に関するご質問でございますが、保育政策に関することであり、所管は福祉局でございます。
 福祉局に確認したところ、まず、保育士の配置基準等につきましては、国が省令で定め、都や区市町村はそれらを踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て条例等で定めており、基準の見直しについては、まずは国において検討するものと考えているとのことでございます。
 また、保育所の屋外遊戯場の設置に関しましては、国基準は参酌すべき基準とされておりまして、都は条例で、保育所は屋外遊戯場として園庭または保育所の付近にある園庭に代わる場所を確保することを義務づけているとのことでございます。各保育所では、園庭のほか近隣の公園や広場などを活用し、創意工夫をしながら屋外活動を行っているとのことでございます。

○松田委員長 分野は所管内質問でお願いします。

○大山委員 そもそも保育士の配置基準は、都道府県が条例で定めることになっているんですね。そして、冒頭に答弁されたように、子供政策連携室の役割は、東京都こども基本条例と子どもの権利条約を実現する立場で、子供政策を総合的に推進することではないんですか。
 子供の最善の利益を優先するというんだったら、東京都がやろうと思えばできる、そして、東京都の役割が問われているのは配置基準の改善こそやるべきであることを、こども基本条例の立場で提案するべきなんじゃないんでしょうか。子供政策連携室として答えてください。

○山本企画調整部長 保育士の配置基準等に関するご質問につきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、保育政策に関することであり、所管は福祉局でございます。
 なお、都は、子供目線に立った子供政策を推進しているところであります。

○大山委員 子供政策連携室の役割をきちんと冒頭で確認したにもかかわらず、それぞれの局でやることだということでは、役割を果たせないんじゃないんでしょうか。
 先ほど、なぜ共通プログラムをつくったのかって伺いましたら、子供の最善の利益という観点から、幼稚園、保育所といった施設類型にかかわらず、子供の伸びる、育つを応援し、全ての子供の生涯発達における土台形成を支援していくと答弁されました。
 子供の最善の利益というなら、構造の質で基本となる子供の人数、集団の規模と、保育士や教員の配置こそ向上させることです。保育園の場合は、四歳児、五歳児、子供三十人に保育士一人です。これは七十五年間、改善していません。幼稚園の設置基準では、各学級に少なくとも教諭を一人で、一クラスの人数は三十五人以下です。二〇一八年のOECDの調査でも、日本は最低水準です。
 園庭の話でいえば、幼稚園は園庭は必ず設置しなければなりませんけれども、保育園は規制緩和してしまって、公園などでもよいということになってしまいました。どの子にも、豊かな成長、発達を保障するというのが子供政策連携室だったら、保育園にも園庭を設置することこそ求めるべきではありませんか。
 保育園の設置条例でも、幼稚園の設置基準でも、最低基準は常に向上させなければならないとなっているにもかかわらず、保育園でいえば、七十五年間もそのままになっていくこと自体、子供たちの最善の利益を損なっているとしかいえないではありませんか。
 子供の最善の利益を優先する立場で、子供政策連携室は子供政策を総合的に推進していただきたいと思います。
 最後に伺いたいのは、子供の表記についてです。
 東京都が、子供を漢字二文字、つまり子供の「子」と、お供の「供」で表記するようになったのは、いつからですか。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 公文書を所管いたします総務局に確認したところ、これまでも、常用漢字表によるという東京都公文規程に基づき表記を行っていると聞いております。
 これを踏まえまして、各局において、対象や広報等、所管事業の性格を総合的に勘案して表記を決定していると認識してございます。

○大山委員 都議会の議事録、ざっと見てみましたが、議事録の中は漢字二文字の、子供の「子」とお供の「供」の漢字二文字が多いんですけれども、面白いのは、鈴木俊一知事の所信表明などの議事録が、子供の「子」と平仮名の「ども」で記録されていました。一九八八年十二月二日の所信表明で、「夢の島に熱帯植物館がオープンし、子どもたちを初め多くの都民が動物や植物に一層親しめるようになりました」と、子供の「子」と平仮名の「ども」で記録されています。
 一九九三年九月二十一日の鈴木俊一知事の所信表明も、「子どもに優しい生活環境」と、漢字と平仮名で記録されていました。ほかの理事者の答弁のときも、漢字と平仮名がありました。
 あとは、一九九四年に福祉局長が、「児童部につきましても、子ども家庭部に名称を変更し」と、漢字と平仮名の子ども家庭部だと報告しています。
 その後、二〇〇七年から二〇〇九年あたりで、文教委員会や各会計決算などで同じ議員が何度も、漢字と平仮名の交ぜ書きはおかしい——例えば、「福祉保健局の組織図を見ると、子ども家庭支援課、「供」が平仮名になって、まぜ書きになっておりますし、福祉保健局が発行するさまざまな資料、山ほどつくられていますけれども、これも子供の「供」が平仮名のまぜ書き表記になっています」などと、執拗に質疑していました。
 漢字二文字で子供とした理由は何でしょうか。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 表記につきましては、各局において、対象や広報等、所管事業の性格を総合的に勘案して表記を決定しているものと認識してございます。

○大山委員 今、いろいろホームページなどを見てみますと、東京都の様々な事業名でも、子供の表記は平仮名三文字、それから漢字と平仮名、それから漢字二文字と、様々に表記されていました。子どもを受動喫煙から守る条例は漢字と平仮名、ふれあいこどもまつりも、こども芸能ひろばも平仮名三文字。
 表記については、今ご答弁されたように、各局が所管事業の性格を総合的に勘案して名称を決定しているということなわけです。子供政策連携室は、東京都こども基本条例の基本理念等を踏まえ対応すること、東京都こども基本条例の基本理念を挙げて、子どもの権利条約の精神にのっとり、子供を権利の主体として尊重する、先ほどしっかりと答弁されています。
 そうであるなら、漢字二文字の「供」は、お供の「供」です。せめて子供政策連携室の子供は、こども基本条例と同様の平仮名三文字、もしくは政府訳でも、子どもの権利条約の子供は漢字と平仮名で表記しています。それらと同様にするべきではないでしょうか。これら、ぜひ検討していただきたいということを述べて、質問を終わります。

○須山委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 子供政策連携室、令和四年の四月に発足しました。少子化や格差、子供や子育て世帯を取り巻く様々な課題のある中で、子供たちの育ちをしっかりと東京都として支えていくこと、そのために関係局の連携の調整を図るという役割で、中核となるものと期待をしております。
 さて、発足以来、チルドレンファーストの社会の実現を目指すとうたっておりますけれども、その目標に向けてどういう考えで取り組まれてきたのか伺いたいと思います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 子供政策連携室は、子供の声や思いにつぶさにを耳を傾け、子供の目線に立って政策のバージョンアップを不断に図っていくという子供政策の原点を踏まえまして、子供の声を中心に据えて、子供の最善の利益という観点から子供政策を推進しております。
 その推進に当たりましては、都庁の総力を挙げて子供目線に立った政策を練り上げ、子供一人一人に寄り添ったきめ細かな子供政策を展開していくこととしてございます。

○須山委員 ありがとうございます。
 子供の目線に立った政策ということで、子どもの権利条約の精神にのっとって、そして子供を権利の主体として尊重という理念の下で東京都こども基本条例を制定した東京都として、やはりこの子供政策連携室を発足したことは非常に評価ができます。
 また、都庁として総力を挙げて子供政策を推進するためにしたということで今ご答弁もいただいたので、非常に期待をさせていただいております。
 そこで、令和四年度では、その役割を果たすためにどのようなアプローチで取り組んできたのか、お聞かせいただきたいと思います。

○土村総合推進部長DX推進担当部長兼務 子供や子育て家庭が直面する複雑化、複合化した今日的課題につきまして、子供政策連携室が核となり、政策分野の垣根を超えて各局から成る推進チームを組成し、リーディングプロジェクトとして取り組んでいくことといたしました。
 令和四年度は、乳幼児期の子育ちや子供の笑顔につながる遊びの推進など、七つの課題について関係局で検討を進め、取組を展開いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 様々、本当に取組を進めていっていただきたいと思いますし、まだ昨年発足されたばかりですから、これからの活動も、さらに期待をさせていただきたいと思います。本当に都庁の総力を挙げて、子育ての支援、子供をしっかりと東京都として守っていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 先ほど来、様々各委員の皆さんからの質問にもありましたけれども、こどもホームページ、私もちょっと質問させていただきたいと思います。
 これ拝見させていただいたら、なかなか面白いなと、いいものをつくられたなと思います。ちょっと私もいじらせていただきましたけれども、ずっとやっていたくなるような、そんなようなホームページでもありますし、また、子供たちの声を聞きながらつくられたということで、非常に評価もさせていただいております。
 本当に様々なコンテンツありますけれども、まず、子供たちに広く利用してもらうための周知、これに関してはどのように行われたんでしょうか。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和四年度のこどもホームページの公開に当たりましては、教育庁、生活文化スポーツ局、区市町村を通じた公立及び私立小中学校等へのチラシの配布や、「広報東京都こども版」への掲載などにより、広く周知を図ってまいりました。

○須山委員 ありがとうございます。
 様々広く周知をしていただいたということなんですけれども、それでは、このこどもホームページのアクセス状況及び、また人気コンテンツ、これに関してもお聞かせいただきたいと思います。

○小平プロジェクト推進担当部長 ホームページ公開後の月平均のアクセス数としましては、約三万ページビューでございます。
 クイズ形式で都内の自然や文化をすごろくで巡るコンテンツや、ふだん見ることのできない都庁内部、地下の調整池などをバーチャルで見学するコンテンツが主な人気コンテンツとなっております。

○須山委員 ありがとうございます。本当に様々なコンテンツがあって、楽しんでいただいているのかなと思います。
 一方で、先ほどご答弁あったように三万PV、月で三万PVってそれなりに多いのかなとも思いますけれども、一方で、東京都内の子供たち、対象になるような子供たちの数からいうと、やはりもっとポテンシャルあるのかなというふうに正直思います。そうした意味で、さらに広報であったりとかというのはもちろんそうなんですけれども、紙のビラを受け取ったところで、それをアクセスするかというと、なかなか難しいなというふうにも思います。
 例えば、学校での課外活動であったりとか特別活動とか、様々授業以外のところでもあると思うんですけれども、そうしたところでこのホームページをうまく使えるように、活用できるようなしつらえをつくったりとか、また、あと学童のときに子供たちが使えるようなコンテンツをつくったりとか、様々コンテンツであったりそういったものをまたバージョンアップをしていっていただいて、さらに子供たちが、この東京都こどもホームページに親しみを持って、そしてうまく利用していただけるようになると、またさらにいいのかなと思いますので、ぜひそこら辺の工夫をお願いしたいというふうにお願いをさせていただいて、この件に関しては終わります。
 続きまして、育業について。
 こどもスマイルムーブメントの一環で、令和四年、昨年に育児休業の愛称として育業というものができました。まず、この目的についてお聞かせいただきたいと思います。

○小平プロジェクト推進担当部長 望む人誰もが育休を取得しやすい社会の実現に向けまして、育児休業を仕事を休む期間と捉えるのではなく、社会の宝である子供を育む期間と考える社会のマインドチェンジを図るため、令和四年六月、八千八百二十五件の応募の中から、愛称、育業を決定いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。
 当初、この愛称をつくるということで、私も子育てしている身でもありますし、また、同僚の子育てしている仲間の議員とも、愛称、非常に期待をしていました。こうやってさらに社会でしっかりと、男性も女性も関係なく育休を取れるような、そういった機運をつくっていく、そうしたマインドチェンジを、まさにおっしゃっていたようにマインドチェンジをしていくということは非常に重要だと考えておりますし、その旗印になるのかなというふうにも思いました。
 まあ、正直、ごめんなさい、この育業という名前に関しては、私とちょっとセンス合わないかなというふうには思いました。語感であったりとか、言葉自体がちょっと違うのかなというふうにも思いますけれども、それはちょっと今ここでは置いておいて、やはり……(発言する者あり)まあ対案だったら幾らでも考えるんですけど、それをここで議論する場ではないと思いますので、あえてここぐらいに、苦言だけはちょっといわせていただきましたけれども、ただ、やはりこのマインドチェンジをするための旗印、これはすごく大事なことですし、さらにこれを進めていくためにも、様々な施策というものが必要だなというふうに考えております。本当にその目的自体は非常に期待をしておりますので、それだけは改めていわせていただきます。
 この育業という新たなコンセプトを広げていくためには、やはり行政単独ではなく、企業等と連携をしながら取組を進めていくことというのも非常に有効であるなというふうに考えております。
 こうした観点から、昨年度、令和四年度ではどのような取組を行ってきたのか、また、どのような成果があったのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。

○小平プロジェクト推進担当部長 育業の理念を普及させるため、昨年度、企業と連携した育業応援プロジェクトを実施いたしました。特徴的な取組としましては、育業をテーマとした川柳コンクールを実施したところ、約千四百件の応募があり、テレビ、新聞などメディアでも大きく取り上げられました。
 また、育児情報誌との連携では、約千件の育業体験談の応募の中から六本を漫画化し、ウェブサイトで紹介いたしました。

○須山委員 ありがとうございます。本当に様々こういった施策をしていただいているということも分かりました。
 やはり育業とか子育てをしている人たちって、どうしても孤立しがちであったりとかという中で、今ご答弁いただいたような体験談の漫画化、こういったことで、あっ、自分一人じゃないんだなとか、同じような境遇にいる人もいるんだなということも改めて分かるとすごくいいと思いますし、そうしたことを広く広げていくことで、子育てをより東京都がしやすい、そうしたまちづくり、進めていただきたいと思っております。
 本当に言葉はあれですけれども、そうした理念、目的というのはすごく大事なことだと思いますので、ぜひこの目的達成のために皆さんのご尽力お願いしたいと思いますし、私もしっかりとバックアップさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 質問は以上です。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。質問させていただきます。
 二〇二一年三月末に東京都こども基本条例が制定され、四月に施行されました。その翌年の二〇二二年度は、こども基本条例を進めるために、また、子供の権利の理念を全庁的な取組として共有し、横串を刺して取り組んでいくために子供政策連携室ができた初年度でした。
 子供政策連携室は、都政全体を子供目線で捉え直して、子供政策を総合的に推進する司令塔として大変重要な役割を担っており、今後の取組に期待をしているところです。
 子供政策連携室が発足した二〇二二年度は、各部署に子供の権利の理念を共有し、連携できる体制づくりが行われました。都のあらゆる施策に、条例の理念となる子供の権利の視点を持つということはとても大切である一方で、難しさもあると思います。
 庁内全体で子供の権利の理念を共有し、子供目線、子供の声を聞きながら進めていくことが大変重要ですが、その点どのように取り組まれたのか伺います。また、取り組まれた中での成果と課題についても伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 子供の意見を聞く取組としましては、令和四年度は、SNSアンケートのほか、学校での出前授業や子供の居場所でのヒアリングなど、様々な工夫を凝らして子供の生の声を聞いてまいりました。こうした子供の意見を中心に据えたこども未来アクションを本年一月に策定し、都庁一丸となって子供目線に立った取組を進めているところでございます。
 今後とも、多様な手法を活用して、より多くの子供から意見を聴取し、その意見を施策に適切に反映してまいります。

○岩永委員 様々な取組を進めているということが分かりました。
 東京都のまちづくりや施策、特に子供に関わる施策については、子供の声を聞いていただきたいと思います。そして、子供政策連携室が中心となって、庁内各局に子供参加の取組の実践や手法を共有したり、また、子供は守られるだけの存在ではなく、権利の主体であるということ、まちづくりにおいても子供は大人のパートナーであり、子供の声を聞くことの大切さを繰り返し伝えていただくことを要望します。
 次に、東京都こども基本条例を、子供や子供を取り巻く大人も含めた社会全体で共有していくことが重要です。
 二〇二二年度は、こども基本条例の啓発ハンドブックの作成が行われました。ハンドブックの作成に当たり、子供参加の取組と、子供からどのような声が出されたのか、それらの声をどのように取り入れたのかを伺います。

○山本企画調整部長 小学生から高校生まで計三十一人の子供たちが、子供編集者としてワークショップに参加いたしまして、令和四年十月から令和五年一月末にかけて、企画段階からハンドブックの作成に携わったところでございます。
 ワークショップでは、子供たちの成長、発達段階に応じて自主的な活動をサポートするためファシリテーターを配置するなど、子供の参加という観点から工夫を凝らしながら事業を推進したところでございます。
 条例ハンドブックの作成に当たりましては、条例の理念を実践するため、子供たち自身が主体的に関わることをポイントとしておりまして、子供たちの体験に基づいた漫画のエピソード、子供たちの描いた絵を基にしたアバターデザインなど、子供たちの意見を内容、構成に反映したところでございます。

○岩永委員 年代別に四種類のハンドブックがつくられました。また、日本語版のほかに、英語版、韓国語版、中国語版と、多言語対応となっています。デジタル版もあります。まだこども基本条例について知らない人への周知、子供はもちろんですが、保護者をはじめ子供に関わる大人には、内容も含めてしっかりと伝わるように周知をしていただきたいです。
 また、子供編集委員として企画段階から参加をしたということはとても大切なことです。子供の参加や意見を上手に引き出す役割として、子供ファシリテーターが配置をされました。子供の思いや自発的な活動を引き出す役割として、この役割も大変重要です。今後も、子供の参加の場面でこのようなファシリテーターを配置することや、また、ファシリテーターを養成することについても要望をしておきます。
 次に、東京都こどもホームページについて伺います。
 昨年度、こどもホームページのリニューアルが行われました。どのような視点でリニューアルを行ったのか、子供の意見の反映はどのように行われたのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 より多くの子供たちに日常的に利用してもらうため、子供の意見を継続的に取り入れることにより、東京都こどもホームページのバージョンアップを図ってまいりました。
 具体的には、令和四年七月の本格稼働に当たり、ユーザーテストにおける子供たちの意見を踏まえまして、画面切替えの迅速化やクイズ形式の新規コンテンツの追加などの改善を行ってまいりました。

○岩永委員 多くの子供が活用できるような改善を継続的に行っていただきたいと思います。
 私もこどもホームページを見たのですが、子供の目線も取り入れた画期的な取組と感じます。そして、ホームページ上でも子供の意見を集められるようになっています。今後は、意見を聞くだけではなく、子供との相互コミュニケーションを図れるような工夫をするなど、子供の声をさらに生かせるような改善を重ねていただきたいと思います。
 また、こどもホームページの中に、こども基本条例のデジタル版のハンドブックのリンクがあるのですが、私はすぐに見つけることができませんでした。こどもホームページを見る人には、ぜひこの条例があることについても知っていただきたいと思いますので、もう少し目につきやすい場所にリンクを張るなど工夫を、そして改善をお願いいたします。
 二〇二〇年から始まったこども未来会議について伺います。
 このこども未来会議ですが、子供の権利を進めていく上で重要な役割を担っています。昨年度はどのような議論が行われたのかお聞きします。また、こども未来会議での議論が施策や方針などにどのように反映されたのか伺います。

○山本企画調整部長 昨年度、こども未来会議は計三回開催いたしまして、それぞれ東京都の子供政策の総合的推進について、政策分野の垣根を超えた発想での新しい子供政策、子供に優しい東京の実現に向けた取組と発信をテーマにしまして、専門的見地から議論を展開、発信してまいりました。
 東京都の子供政策の総合的推進についてをテーマにした議論等を踏まえまして、子供の笑顔につながる遊びの推進に関する組織横断推進チームを発足させたところでございます。また、政策分野の垣根を超えた発想での新しい子供政策をテーマにした議論は乳幼児期の子育ちに関する推進チームの取組に、子供に優しい東京の実現に向けた取組と発信をテーマにした議論は東京都こども基本条例の普及啓発に、それぞれ生かしております。
 引き続き、こども未来会議の議論を通じて浮き彫りとなった課題につきまして、庁内各局と共有しながら、子供政策のバージョンアップにつなげてまいります。

○岩永委員 昨年度は三回実施する中で、政策分野の垣根を超えた発想で議論が行われたということです。組織や制度から、子育ち、子育て支援を当てはめていく、また考えていくということではなく、子供の遊びや学びといった子供自身の暮らしの現場、またその実態から、何が必要なのかを考える柔軟な発想が大切だと思います。
 制度がなければ、新たにつくるという役割も子供政策連携室にはあるのだと思いますので、こども未来会議での議論や、また子供たちの声、子育て当事者の声を聞きながら取り組んでいただきたいと思います。
 また、子供政策、施策を進めるためには、福祉と教育の連携がとても重要です。子供の権利の啓発については、教職員による不適切な指導や、いじめや不登校の問題など、子供を取り巻く様々な課題も多くある教育現場での理解を進めることも大切です。司令塔である子供政策連携室がそのような視点も持っていただき、進めていただくことを要望いたします。
 子供の権利を広めていくためには、自治体の特性や状況に合わせて、自治体とも連携した取組が必要です。昨年度策定されたこども未来アクションにも様々な事例が紹介をされていますが、例えば子供の目線を取り入れた政策分野横断の取組として、二〇二二年度どのような取組を行ったのか伺います。

○小平プロジェクト推進担当部長 令和三年度に創設をしました子供・長寿・居場所区市町村包括補助事業により、子供の目線を取り入れた区市町村の意欲的な取組を支援しております。
 昨年度は、高架下を活用したインクルーシブ公園の整備や、乳幼児でも安心して外遊びができる芝生広場の整備、児童館、図書館、公園等の一体的な整備など、十二区市、十四件の取組に対して補助を行いました。

○岩永委員 今、様々ご紹介をいただきましたが、国分寺市では二〇二一年度に、先ほどご答弁もありました子供・長寿・居場所区市町村包括事業を活用したプレーパーク事業で、中学生、高校生を対象とした夕暮れカフェや、乳幼児、親子向けを対象とした土日カフェを開設しました。
 また、子供たちへのアンケートや、駄菓子屋こども会議を経てつくられただがしやプレイステーション、通称だがプレというんですが、そういった取組を行いまして、小学生から高校生が駄菓子屋の店員として仕事体験ができる取組なども行われています。
 このような子供の参加の場づくりや子供の声を聞く取組を、子供の身近な場所で積極的に進めていくことを要望いたします。
 そして、最後に、先ほど子供の表記の議論があったところですが、生活者ネットワークでも、これまでも、子供については平仮名表記を求めているところでありますので、ぜひご検討をいただくことを要望いたします。
 以上で質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十四分開議

○松田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和四年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、令和四年度東京都用地会計決算及び令和四年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 初めに、都発注工事における物価高騰対策について伺います。
 令和四年度は、また令和五年度、今年度も同様ですが、ウクライナ情勢に端を発した物価高騰への対応が都政における重要な課題の一つでした。
 建設業においても、長引く深刻な物価高騰の影響を大きく受けることとなりました。都は、公共工事の発注者として、最新の原材料費などを適切に反映した予定価格を設定し、発注することが大前提であることはいうまでもありません。
 しかし、昨年度のように短期間で急激な物価高騰が起こる状況下では、契約後に当初設定した請負代金では対応し切れない状況が生じることから、発注時の対応のみならず、契約締結後の状況変化に応じて適切に請負代金の変更を行えるようにすることも重要です。こうした状況に対応するための制度として、都発注工事の契約約款にはスライド条項があらかじめ整備されています。
 スライド条項の概要について、確認のため改めて伺います。

○須藤契約調整担当部長 スライド条項は、契約締結後に賃金水準または物価水準の変動により契約金額が不適当になった場合に、受注者が契約金額の変更を請求できる制度でございまして、現行の工事請負契約書におきましては、全体スライド、単品スライド、インフレスライドの三種類が定められております。
 単品スライドは、特定の資材価格の著しい変動に対応するもので、鋼材や燃料などの主要資材の価格増加分が契約金額総額の一%を超えたものを対象としております。
 全体スライド及びインフレスライドは、賃金水準及び物価水準の変動に対応するもので、残工事費が既存契約の一%を超えて変動したものを対象としております。全体スライドは、緩やかな価格水準の変動に対応するもので、工期が比較的長い工事を想定したものである一方、インフレスライドは、急激な価格水準の変動に対応するもので、工期の定めはございません。

○吉住委員 物価高騰に対応する制度として、目的や対象に応じた三種類のスライドの制度が存在することを確認しました。
 近年まれに見る急激な物価高騰の中にあって、我が会派には、建設業で働く事業者の方々から、スライド条項の柔軟な運用を求める声も多く寄せられています。整備された契約制度を安定的に運用することも重要ですが、既存の制度が現実の社会経済情勢に合わなくなってきているのであれば、果断に見直しを図ることも重要です。
 都は昨年度、スライド条項に係る制度変更を行ってきたと認識していますが、都発注工事において急激な物価高騰に対応するため、契約制度上、都はどのような対応を取ったのか、令和四年度のスライド条項の請求実績とともに伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和四年度は、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行に伴う物価高騰が深刻化していたことから、都は、単品スライドにつきまして、実情をより適切に反映できるよう、令和四年九月に国に準じて運用を見直し、実際の購入金額を用いてスライド額を算定できることといたしました。
 令和五年一月には、インフレスライドにつきまして、工期内に賃金水準の変更がなくとも、残工事費が既存契約から一%を超えて変動した場合には何度でも請求ができるよう運用を改善し、全体スライドにつきましては、インフレスライドの運用改善により対応できることから、当面の間、適用を見合わせることといたしました。
 令和四年度における各スライド条項の請求実績は、全体スライドが十四件、単品スライドが十七件、インフレスライドが百八十四件となっております。

○吉住委員 一年間の間に、二度の制度改正が行われたとのことです。単品スライド、インフレスライドのいずれも、現下の物価高騰に適切に対応できるよう、制度の見直しについて、時期を逸することなく迅速に進めたものとして評価します。
 一方、我が会派には、業界団体からスライド制度の手続の負担軽減を望む声も多く届いております。来年度からの時間外労働の上限規制の適用を前に、建設業の働き方改革を進めることも重要ですので、こうした制度の運用に係る事務負担軽減についても、事業者の声を丁寧に聞きながら真摯に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、設計等委託におけるダンピング対策について伺います。
 設計、測量、地質調査などの工事関係業務委託におけるダンピングは、受託者の経営圧迫や従事者へのしわ寄せにつながりやすく、将来の担い手確保、育成を困難にするおそれがあるのみならず、工事品質の低下にもつながりかねません。
 工事については、最低制限価格制度や低入札価格調査制度の運用により、ダンピング対策が実施されてきたところですが、設計等委託についても、公共工事の品質確保及び担い手確保の観点から、同様に適切に取り組むことが必要です。
 都は、令和二年度に設計などの工事関係業務委託において最低制限価格制度の試行を開始しました。設計など工事関係業務委託において最低制限価格制度を試行導入した背景と導入後の経過について、改めて伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和元年に、公共工事の品質確保の促進に関する法律が改正され、工事契約と同様に、設計等委託契約におけるダンピング対策が発注者の責務と位置づけられました。
 これを受け、都としても適切な履行の実現に向けまして、過度な低価格での受注を防止し、品質確保に取り組む必要があることから、令和二年十月に、財務局契約を対象として最低制限価格制度の試行を開始いたしました。令和三年十月からは各局契約に試行の対象を拡大し、都庁内外における制度の浸透を図った上で、本年十月から本格実施に移行しております。

○吉住委員 段階的に試行の対象を拡大しながら、制度の浸透を図ってきたとのことでした。
 我が会派は、令和三年第三回都議会定例会の代表質問において、最低制限価格制度の試行の実績を丁寧に検証した上で、本格実施に移行をするべきと主張してまいりました。ただいまの答弁にあったように、都は本年五月三十一日に、十月から全ての設計等委託における競争入札案件に最低制限価格制度を導入する本格実施に移行すると発表いたしました。
 都は、令和四年度までの試行の実施結果をどのように分析し、本格実施に至ったのか伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和二年十月から令和四年度末までに、十七局三十九部署におきまして二百六十五件の試行を実施いたしました。試行の結果、全ての入札者が最低制限価格を下回り不調になった件数は三件のみで、試行案件全体の一%程度にとどまるなど、制度の運用に大きな課題はなかったものと分析しております。
 また、令和四年度までに制度の活用が想定される多くの部署において試行が実施されたことから、本格実施に向けて円滑な制度移行が可能と判断し、本年十月一日より、全ての案件におきまして最低制限価格を導入することといたしました。

○吉住委員 しっかりと試行の実績を積み上げ、結果を分析して、制度の問題が生じていないことを確認した上で、本格実施に移行したことを確認しました。
 今回は、スライド制度や最低制限価格制度に焦点を当て、昨年度からの動きを確認してまいりました。契約制度は、一度見直しを図れば終了というわけではなく、経済、社会の動向に応じて不断の見直しを図っていくことが必要です。
 今後も、都民、事業者の声に丁寧に耳を傾け、適正な契約制度の構築、運営に努めてもらうことを要望して、質問を終わります。

○小山委員 令和四年度は、コロナ禍にあって三年目を迎える中で、ロシアのウクライナ侵攻の影響を大きく受けた年でありました。国難ともいえるこの事態にあって、東京都は、追加分や最終補正も含め七度の補正予算を編成し、対応をされてこられました。都民の安全と安心を守りながら、持続可能な財政基盤を構築されてきた令和四年度の予算対応であったと、まず、評価をさせていただきたいと思います。
 その上で、令和四年度の決算審議に当たり、東京都財政に極めて大きな影響を与えています偏在是正措置についてお伺いをいたします。
 私ども会派は、これまで代表質問や各委員会質疑を通じて、偏在是正措置の問題と撤廃に向け、都民益や、ひいては国益を守る視点からも、本件の対応を強く求めてまいりました。
 国において、税収の過半は既に首都圏から生み出されております。その首都圏の中心である東京の成長や発展を阻害する税制措置、この税制措置は、地方分権の趣旨はもとより、国益そのものを失う大きな誤りであると考えます。
 そこで、改めて偏在是正措置について、これまでの変遷を含めてお伺いをさせていただきます。

○遠松主計部長 いわゆる偏在是正措置は、都市と地方の財政力格差の是正を名目に、地方税を国税化し、交付税などで配り直す仕組みであり、国はこれまで、行政サービスの受益に応じて税を負担するという地方税の原則をゆがめる不合理な税制改正を繰り返してきました。
 平成二十年度には、法人事業税の一部を暫定的に国税化し、譲与税として地方に配分する法人事業税の暫定措置が導入されました。二十六年度には、法人住民税の一部を国税化し、交付税として地方に配分する法人住民税の交付税原資化が実施されました。そして令和元年度には、法人事業税の暫定措置は廃止されたものの、本来であれば地方税に復元される予定であった法人事業税の一部を恒久的に国税化し、譲与税として地方に配分する新たな措置が実施されました。
 こうした一連の措置により、都財政は大きな影響を受けている状況でございます。

○小山委員 まさに今ご答弁にありましたとおり、税の原則をゆがめる不合理な税制措置でありまして、本来であれば国と地方の歳出配分、これが四対六であることに対して、国税と地方税の配分が六対四と逆転をしている現状があります。この状況を変えていくことこそが、本来抜本的な改革でありまして、本来の税制のあるべき姿と考えております。
 一九九〇年代、国の税制改革論議、政治改革においては、そのような議論が政府においても行われてまいりました。その結果、三位一体の改革へと帰結をしておりまして、本来は国から地方への税源移譲がなされることによって、地方の財政問題を解消していくことこそが、真の税制改革であると改めて申し上げておきます。
 その後、三位一体改革の方向性とは全く異なる、国による不合理な見直しが繰り返されておりまして、先ほどご答弁にありましたとおり、都の財政運営に大きな影響を与えております。
 そこで、この令和四年度決算におきます偏在是正措置による影響額をお伺いするとともに、法人事業税の暫定措置が導入をされました平成二十年度以降の影響額の総額についてお伺いいたします。

○遠松主計部長 いわゆる偏在是正措置による都財政への影響額でございますが、令和四年度決算では一兆二千八百九十八億円の減収となっております。
 これまでの影響額についてでございますけれども、平成二十年度の法人事業税の暫定措置の導入以降、年間おおむね一千億円台で推移し、二十六年度の法人住民税の交付税原資化以降、年々増加しまして、三十年度には年間五千億円を超えました。その後、令和元年度税制改正により影響額はさらに拡大し、その影響が平年度化した令和三年度以降は、毎年約一・三兆円の減収となっております。
 一連の措置による影響額の累計は、平成二十年度から令和五年度までの十六年間で約七・九兆円となっております。

○小山委員 偏在是正措置によって、国に収奪される額は年々増えておりまして、令和四年度の決算においては一兆二千八百九十八億円にも上るとのことでありました。極めて影響が大きいことが改めて確認をされたわけであります。
 この令和四年度におけます偏在是正措置による影響額、都民一千四百万人の人口で割り返しますと、一人当たり九万円以上のマイナスという大変大きな規模になります。また、この一兆二千八百九十八億円という額は、令和五年度の東京都予算の投資的経費を超える規模ということもいえるわけであります。
 先ほども申し上げてまいりましたけれども、やはり成長や発展の原資となるべきそういった額が、都から国へ収奪されているという現状があるわけであります。
 しかしながら、この現状、私もいろんなところで都民の皆さんとこのお話をするわけでありますけど、ほとんどの方がご存じありません。これは、私は都民の皆さんが納税者であり主権者であるということを考えれば、このことへの対応は、やはり極めて重要なんではないか、つまり都民の皆さんがこのことをよく知っていただく、あるいはこういう状況にあるということを承知していただくことが、極めて重要だというふうに考えております。
 そこで、こうした中で、七月の全国知事会議では、偏在是正措置について議論があったと承知をいたしております。この全国知事会議には、財務局長も随行されていたと聞いております。
 そこで、全国知事会議に同行されました局長に、改めて偏在是正措置に対する都の見解及び対応についてお伺いをいたします。

○山下財務局長 お話の本年七月の全国知事会議でございますけれども、会場の場におきまして、一部の知事から、さらなる偏在是正を求める発言がございました。それに対しましては、東京都といたしまして、知事が具体的なエビデンスを示しながら強く反論を行ったところでございます。
 いわゆるこの偏在是正措置についてでございますけれども、今お話しいただいたように、具体的な数値も含めて、やはり都財政に大きな影響を及ぼしているものであるというふうに思います。これは、地方分権の理念に逆行する極めて不合理な措置でございます。
 我が国の財政を俯瞰してみますと、先ほど副委員長からもお話がありましたとおり、国と地方の歳出の配分は四対六である一方、国税と地方税の配分、収入の方は六対四と逆転をしているわけでございまして、さらに地方税の割合は低下の一途をたどっていると、こういう状況にございます。
 やはり、そもそも地方自治体が自らの権限と財源に基づいて主体的に行財政運営を行う、こういうことで初めて真の地方自治が実現できるものであるというふうに考えておりまして、地方が担うべき事務と権限に見合う地方税の確保と充実こそが重要であるというふうに考えてございます。
 こうした東京都の考え方につきましては、引き続き提案要求などを通じて国に訴えてまいりますとともに、偏在是正措置の影響、あるいはその不合理といった点も含めて多くの方々にご理解を得て、また共感いただけますよう、様々な機会を捉えて都民にとって分かりやすい情報発信に取り組んでまいります。

○小山委員 本来、都民の納めた税金は都民のために使われるべきものでありまして、こうした状況を都民の皆様が広く知ることが、先ほども申し上げましたが、納税者であり主権者である観点から、極めて重要だと考えます。ぜひ都民の皆様に、東京都の広報をはじめ、SNS等のデジタル媒体、あるいは徴税の際における広報等を通じて現状を伝えていただきまして、東京都の考えや取組に共感を持っていただくよう、対応されることを強く求めておきたいと思います。
 この間、幾度となく繰り返されてまいりました国による偏在是正措置は、まさに先ほどご答弁、局長からもありましたとおり、地方自治の本旨をゆがめるものでありまして、国から地方への権限と財源の移譲を推し進めるべきところ、地方対東京の対立にすり替えられてきたといえます。
 今回、令和四年度の影響額をお聞きしたわけでありますけれども、日本の国際競争力が低下の一途をたどる中で、まさに東京の国際競争力をそいで、地方に財源だけを配分するといったこうした措置では、そもそもの地方創生にも日本全体の成長にもつながらず、大きく国益を損なうことになるということを改めて申し上げておきたいと思います。
 本来のあるべき地方分権、地方自治、そういった姿の実現に向けて、税制制度も含めて、こうした不合理な措置について広く都民の皆様の共感を得るために、しっかりと東京都として普及啓発に取り組むとともに、国や他県に強く働きかけていくことを改めてお願いをいたしまして、質疑を終わります。
 ありがとうございました。

○かまた委員 それでは、初めに、新公会計制度と事業評価についてお伺いをします。
 都が全国に先駆けて導入をしました新公会計制度は、資産や負債といった東京都全体のストック情報の把握が可能となるなど、これまでの官庁会計とは異なる視点から財務分析が行える画期的な制度であります。
 令和四年度は、コロナ対策に加えまして長期化する物価高騰への対応など、都民の暮らしや東京の経済を守る取組が求められた年度でありましたが、こうした取組を進めた中で、都の財政状況はどうなっているのか、新公会計制度を用いてしっかりと確認をしておく必要があります。
 そこでまず、新公会計制度を用いて、令和四年度決算からどのようなことが読み取れるのか伺います。

○遠松主計部長 令和四年度普通会計決算を新公会計制度の視点から分析しますと、貸借対照表の資産の部については、コロナ対策等に財政調整基金を活用する一方で、東京都環境公社への出捐や新たな基金の創設、既存の基金への積立てなどを行ったことにより、資産全体では七千六百四十四億円の増となっております。
 また、負債の部では、歳出の精査による事業費の減少により都債の発行が減ったことなどから、負債全体では六百三十五億円の減となっております。
 これらの結果、資産と負債の差額である正味財産は八千二百八十億円の増となっており、将来世代が負担する額の割合を示す資産に対する負債の割合も一ポイント減の一八%と、過去と比較して低い水準となっております。
 こうしたストック情報から、長引くコロナ禍への対応や物価高騰への対策などを講じてもなお、都は一定の財政対応力を維持しているといえますが、景気動向が不透明な中、都政が抱える諸課題に的確に対応していくためには、引き続き、将来にわたり強固な財政基盤を堅持していくことが重要であると考えております。

○かまた委員 ただいまの答弁にもありましたとおり、正味財産は令和三年度と比較をしまして約八千億円増加し、将来世代の負担割合も一ポイントの減、一八%になっているとのことであります。
 将来世代の負担割合は、新公会計制度が導入された平成十八年度が三一%、またコロナ禍前の令和元年度が一九%であったことを考えますと、都の財政は、一定程度健全な状態を保持しているということが評価できるかと思います。
 一方で、都は、景気変動の影響を受けやすい不安定な歳入構造であるとともに、都市の強靱化や超高齢化社会への対応など膨大な財政需要を抱えています。そのため、限られた財源の中で様々な課題に対して的確に対応していくためには、一つ一つの事業について無駄をなくし、施策の実効性を高めていかなければなりません。
 そして、施策の実効性を高める上で忘れてはならないことは、その事業を担ってくださっている全ての方々の状況まで思いをはせることだと私は考えております。
 なぜこのように考えているかと申しますと、ちょっと話は変わりますが、もう二十年ほど前から、学校に対して、社会のあらゆる課題について教育で進めるべきだということで、例えば防災教育とか、キャリア教育とか、がん教育とか、食育とか、何々教育というものが百以上あるとおっしゃっている教授もいるような、そんな状況になりまして、取り組むべき課題が膨大となりました。そして、現場では弊害が起こりました。私は、この渦中にいた一人として、社会のニーズが多様化、そして複雑化していくほど、シンプルを目指す努力をすることが重要だというふうに考えております。
 そこで、施策を進める上で業務の工程に無駄はないかとか、業務を担う方々に過度な負担はかかっていないか、また臨機応変に対応できる余力、また行政サービスを受ける都民の側に立って対応を進めていける余力はあるか、この点まで思いをはせることは、施策の実効性を高める上で必要なことであり、課題が山積する東京都だからこそ、よりスマートな行政サービスを構築する努力を続けることが必要だと思っております。
 そして、そのためには、終わらせるべき事業は終わらせ、見直すべき事業は見直し、必要な施策に財源を振り分ける、まさにスクラップ・アンド・ビルドの取組が非常に重要であります。
 都は、平成十九年度予算編成から、我が党が推進をしてきた新公会計制度も活用した事業評価の取組を行いまして、施策の見直しや再構築を進めております。平成二十九年度予算編成からは、全ての事業に終期を設定することで、事後検証のさらなる徹底を図っております。事業の見直しを着実に進める上で、この終期の設定というのは重要なポイントであると私は考えます。
 そこで、事業終期の考え方について、確認の意味も込めてお伺いをいたします。

○遠松主計部長 都は平成二十九年度予算編成から、全ての事業に原則五年以内の終期を設け、評価時期をルール化することで事後検証を徹底しております。終期が到来した事業については、各局と財務局が連携しながら一度立ち止まって評価を行い、事業を継続するのか、見直し、再構築を行うのか、拡充を図っていくのかを判断し、その結果を予算に反映させており、こうした取組を通じてPDCAサイクルの一層の強化を図っております。

○かまた委員 行政の施策というのは、新しく立ち上げるよりも、見直しや廃止を行うことの方が非常に難しいと考えております。私自身も、ある地域で教員の研修に関しましてスクラップしようと思ったんですけれども、実際にその施策が再構築できるまで三年がかかりました。また、行政施策というものは、一度立ち上げますと、見直すには大きな労力がかかるという、そういう側面もあるわけですから、初めから終期を設定することで、全ての事業について事後検証を着実に進めていく仕組みは、とても意義があると高く評価をしております。
 一方で、当然のことながら形式的に事業評価を行うだけでは意味がありません。こうした取組がしっかりとした成果に結びつくことが何よりも重要であります。
 そこで、事業評価の取組について、全ての事業に終期を設定しました平成二十九年度予算編成以降の成果と今回の決算を令和六年度予算編成にどのようにつなげていくのか、見解を伺います。

○遠松主計部長 都は、予算編成の過程で多面的な検証を行う仕組みとして事業評価を実施しており、終期が到来した事業などについて、事業の成果や決算状況などを分析、検証し、事業の再構築を行うなど、施策の新陳代謝を高め、無駄をなくす取組を徹底しております。
 こうした取組により、全ての事業に終期を設定した平成二十九年度予算編成以降、累計で約六千四百件の見直し、再構築を行い、約六千九百億円の財源確保へとつなげております。
 令和六年度予算編成に向けては、事業評価による取組などを通じ、各局と連携しながら令和四年度決算の状況などについて厳しく検証を行い、一層効率的で実効性の高い施策の構築につなげてまいります。

○かまた委員 平成二十九年度予算編成からの七年間で六千件以上の見直し、再構築を行い、七千億円に近い財源の確保を図ってきたとのことで、こうした努力の積み重ねが、今日の健全な都財政運営に大きく貢献をしているものと考えます。
 これから本格化する令和六年度予算編成に向けましては、令和四年度決算の分析もしっかりと行いながら、スクラップ・アンド・ビルドで施策の新陳代謝を高めていくことを強く求めまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、私からも契約制度についてお伺いをいたします。
 さきの第三回定例会の我が党の代表質問でも、公共事業の発注に際しましては、適正な工事価格の積算や物価スライドの適用などを進めるよう要望しまして、局長からも前向きな答弁をいただいたところであります。
 そして、令和四年度もコロナ感染による影響や物価高騰の影響などを受注者は受けていたことと思いますが、工事現場における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、都は発注者としてどのように取り組んできたのか、取組内容の事業者への周知方法と併せてお伺いをいたします。

○小林技術管理担当部長 都は令和二年四月に、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図る観点から、東京都における公共工事の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策ガイドラインを策定し、電子調達のホームページのトップ画面に目立つようバナーを設け、特設のページに関連通知とともに掲載をいたしました。
 加えまして、監督員から受注者にガイドラインを周知し、ガイドラインで示した感染拡大防止対策や防止措置に係る経費、工事の一時中止の協議などについて、受発注者間で確認してまいりました。
 また、同年七月には、ガイドラインに基づいて対策を行うことを工事の発注仕様書等に明示することといたしました。

○かまた委員 情報を電子調達のホームページのトップ画面に取り上げてくださったり、また、工事の一時中止の協議などは受発注者間で確認をしてくださったりと対応してくださったことですけれども、実際に受注者側の方々と話をしておりますと、都がしっかり対応してくれてよかったという実感があまりないなということを感じることがあります。
 そこで確認をしたいのですが、ガイドラインに基づいて受注者が感染症防止対策を実施するに当たって、都はどのように対応したのか、具体的な対応した例についてお伺いをいたします。

○小林技術管理担当部長 都は、受注者の意向を踏まえまして、工事の一時中止等を行っております。具体的には、作業員が濃厚接触者になり作業を中断した現場では、工事の一時中止をし、その上で必要な工期の延伸及び経費の契約変更を受注者と協議の上、行いました。
 また、受注者において自動検温カメラやアクリルパネル、消毒液などの設置といった感染拡大防止対策を実施した際には、それに係る費用を追加で計上し、契約変更を行いました。
 今後、同様な状況が発生した際にも、適切に対応してまいります。

○かまた委員 適切に対応を進めてくださったということは分かりましたけれども、発注者側の対応や努力がなかなか受注者側に響かないというジレンマを私は感じることがあります。
 例えば、資材高騰や燃料高騰の現状を踏まえまして、今年の一月から、都としても、工期内に賃金水準の変更がなくても、残工事費の既存契約から一%以上変動した場合は、何度でもインフレスライドの請求ができるように運用を改善してくださったというふうに伺っておりますけれども、そのことも現場の方が知らないという状況もありました。全員ではありませんけれども、一部の方がそういう状況でした。
 常々、この差は何が原因で引き起こるのかなと私も考えるんですけれども、まずは私自身が、都の皆さんが努力をしてくださった対応策の変更をきちんと把握をしまして、現場の受注者の皆さんに発信をしていくようにしたいと思っております。
 その上で、皆さんにも一つお願いがあるのですが、それは、受注者側は、私たちが認識している以上に、発注者側が上位に、上の方に、上からいっているというふうに捉えるところがあります。そこの点をもう一度再認識していただきまして、受注者の方々にとって有益な情報は、サービス精神を持ってぜひ周知をしていただきたいというふうに思います。
 困難な社会情勢であるからこそ、受注者側も、そして発注者側も、お互いによく声をかけ合って、互いの労力が報われるように、制度を適切に活用されることに価値を持ちながら、ぜひこれからも仕事を進めていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の質問は以上で終わります。

○大山委員 契約に関して、幾つか確認したいと思います。
 令和三年二月一日付で、財務局長名で各局などに出した通知、入札契約制度改革の本格実施により実施する具体策に係る基本的な取扱いについてによれば、入札経過調書の公表として、東京都が締結する全ての契約案件については、入札(見積)経過調書等を公表することとなっています。
 公表することが重要だからこそ明記していると考えますが、なぜ公表するのでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 公共調達は、透明性、公正性、経済性などを確保することが重要でございます。都におきましては、入札経過調書等を作成、公表することで、都民への説明責任を確保し、入札契約手続の透明性向上を図っております。

○大山委員 公共調達だからこそ、透明性や公正性、経済性を確保することが重要なんだということです。そのために入札経過調書を作成し、公表することによって、都民の皆さんに説明する責任を確保するし、入札契約手続を公表することで透明性を向上することができるということです。
 通知にあります全ての契約案件というのは、競争入札はもちろん、特命随意契約も、事業者が提案して、それを都が審査して決める契約も入るということですか。

○須藤契約調整担当部長 東京都契約事務規則に基づき、競争入札または随意契約の手法により締結する売買、貸借、請負その他の契約が対象となります。

○大山委員 つまり、競争入札でも随意契約でも契約される売買でもリースでも、工事の請負や委託など、全て入札(見積)経過調書等を公表するということです。
 経過を公表しない契約というのはありますか。あるとするなら、どのようなケースでしょうか。

○須藤契約調整担当部長 競り売りの手法により契約する案件や、百万円以下の随意契約で簡易な様式により処理することが認められる案件のほか、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令第七条第二項の趣旨を踏まえ、公共の安全と秩序の維持に密接に関連するなど都における行為を秘密にする必要があるものにつきましては、入札経過調書等の公表を行わないこととしております。

○大山委員 競り売りだとか、そして公共の安全と秩序の維持に密接に関連するというのは警視庁の一部だとか、都における行為を秘密にする必要があるというのは人事委員会の職員採用の試験の委託先とかということです。
 もう一つ確認したいのは、通常、東京都の契約は単年度で行われますが、複数年度にわたって契約をするのは、どのようなケースなら可能でしょうか。根拠も含めてお答えください。

○須藤契約調整担当部長 地方自治法第二百十四条の規定に基づき、予算で債務負担行為を設定した場合または同法第二百三十四条の三に定める長期継続契約に該当する場合におきまして、複数年度にわたる契約の締結が可能となっております。

○大山委員 債務負担行為と、それから地方自治法第二百三十四条の三というのは、普通地方公共団体は、第二百十四条の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガスもしくは水の供給もしくは電気通信役務の提供を受ける契約または不動産を借りる契約その他政令で定める契約を締結することができる、この場合においては、各年度におけるこれらの経費の予算の範囲内においてその給付を受けなければならないと書いてあります。電気やガス、水道、通信、不動産を借りるなどについては、複数年度にわたる契約の締結が可能ということです。これらは納得できることです。
 今まで確認してきましたけれども、分かったことは、公共調達は、透明性、公正性、経済性などを確保することが重要だということ、それを担保するために、競争入札でも随意契約でも、契約される売買、リース、工事の請負や委託など、全て入札(見積)経過調書等を公表するということです。そして、複数年で契約できるのは、債務負担行為をするか、電気、ガス、水道などに限るということです。
 そうなりますと、教育庁が行っている中学生英語スピーキングテストの契約についてですが、現在のベネッセは五年間の協定でした。今回のブリティッシュ・カウンシルも六年間で二百十億円という協定ですから、これでよいのかと疑問になります。同時に、入札(見積)経過調書等を公表することが求められるということです。
 引き続き、東京都の契約、都民の税金を使っての契約ですから、透明性、公正性、経済性を十分確保して進めていただくことを求めて、質問を終わります。

○須山委員 私からは、都債のESG債に関してお聞かせいただきたいと思います。
 世界の潮流というものは、やはりサステーナブルファイナンスに向かっていくと考えております。利益や成長ばかりを追求するのではなくて、環境や社会への影響にも配慮した企業を選んで投資を行う、また、そうした課題の解決につながる取組に積極的に資金を提供していこうという流れは、近年、国内においても急速に高まりつつあります。
 ESG債、こうした投資資金の受皿の一つでありますし、また、持続可能な社会の実現に取り組むための重要な資金調達手段として、最近では地方自治体においても注目が集まりつつあります。
 こうした中で、東京都ではいち早く平成二十九年度にグリーンボンド、そして令和三年度からはソーシャルボンドを発行しておりますけれども、まずは、東京都としてESG債を発行する目的をどう位置づけているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○遠松主計部長 都のESG債は、環境施策の推進や社会課題の解決に資する事業に使途を限定した債券でありまして、都民や企業の投資を通じた理解と賛同を得ながら施策を推進していくことを目的としております。
 同時に、市場の資金がこうした課題の解決に活用される流れを加速させ、サステーナブルファイナンス市場を活性化し、金融分野からSDGsの実現を後押しすることを目指しております。

○須山委員 ありがとうございます。
 こうしたESG債というのは、非常に、何というのかな、投資ってそもそもが——本来の投資というのは、まさにESG債であったように、この企業をこういうことをやるから応援しようとか、そういったものから始まっていった市場だと思うんですけれども、そうした中で、今こういった現状の中で、改めて使途を明確にして、そしてそこに投資をしてもらうというESG債というものは、非常に重要なものだなというふうに思っております。
 例えば、これちょっと別な話ですけれども、私も市議会の頃よくいっていたんですけど、ふるさと納税をやってもらうよりも、やっぱり行政がこういったことをやりたいから、ここにお金を、皆さんの、クラウドファンディングであったりとかということで、お金を集めさせてくれっていうような、使途を明確にして、そこにお金を、賛同してくれる人たちによって、やはり行政と市民であったり都民であったり企業であったりとが同じ方向を向いていけるような、そうした取組になるなということを思いますので、非常に重要なものだなというふうに改めて感じております。
 今、確認の意味も込めまして発行意義を伺いました。お話の中にあったように、一般的にESG債は、通常の債券と異なり、環境問題であったりとか社会貢献などの発行目的に応じた使途を限定していることだといわれております。
 では、東京都が発行するESG債の具体的な使い道はどうなっているのか、昨年度の発行実績について、内訳や金額も含めて伺いたいと思います。

○遠松主計部長 令和四年度は、合計一千一億円のESG債を発行いたしました。このうち、グリーンボンドは四百一億円を発行し、主な使途として、都有施設への太陽光発電設備の導入に百十八億円、地下調節池など中小河川の整備に百十七億円、海岸保全施設の整備に三十一億円などを充当しました。
 また、ソーシャルボンドは六百億円を発行し、主な使途として、無電柱化の推進に百三十二億円、特別養護老人ホームなど介護サービス基盤の整備に四十五億円、特別支援学校の整備に十一億円などを充当しました。

○須山委員 ありがとうございます。
 もう本当様々使途を明確にして、そして使われているなということで、繰り返しませんけれども、そうしたことに充当されているということでした。
 こうした課題解決のために、ESG債の発行を通じて民間の投資資金を呼び込んでいくことは、非常に大変重要なことでありますし、持続可能な社会の実現に向けては、こうした金融面や経済面からの後押しを社会全体がもっと受けられる流れをつくっていくことが重要なのはいうまでもありません。
 幸いなことに、投資家サイドの方も、責任ある投資を行うべく環境や社会貢献をキーワードとした投資行動がますます活発化しており、サステーナブル投資への旺盛な機運が続いております。
 一方で、発行サイドとなる自治体のESG債についていえば、東京都が六年前に最初にグリーンボンドを出しましたけれども、その後、他の自治体によるESG債の発行が相次いでおりまして、急速に広がっております。
 ESG債が自治体に普及すること自体、全体としては、もちろん歓迎するべきことではありますけれども、発行団体や発行金額が増える中で、東京都のESG債は投資家にはしっかり集まってきているのか、売行き、ここら辺が気がかりでありますけれども、昨年度の東京都のグリーンボンド、ソーシャルボンドの売行き、また応募状況がどうだったのか伺いたいと思います。

○遠松主計部長 グリーンボンドについては、昨年度、個人投資家向けに百一億円、機関投資家向けに三百億円を発行しており、このうち個人投資家向けは、売出し期間の初日に完売いたしました。機関投資家向けは、五年債と三十年債をそれぞれ百五十億円ずつ発行し、金額ベースの応募倍率は、五年債では八・九倍、三十年債では二・二倍となっております。
 また、ソーシャルボンドについては、機関投資家向けに、五年債として上半期と下半期にそれぞれ三百億円ずつ発行し、応募倍率は、上半期分では四・四倍、下半期分では一・八倍となっております。

○須山委員 ありがとうございます。
 今のご答弁いただきまして、本当に売行きに心配はないのかなというふうに思いました。ESG債というのも、やはり債がついておりますけれども、東京都の都債ですね、都債に関しては、やはり全体の発行額に関していうと、将来の財政負担を考えて、財政の健全性を損なわないよう大量発行は控えるべきだとは考えますけれども、一方で、先ほどから申しておりますとおり、ESG債、使途が明確になっておりまして、そうしたものというのは、やはり広く都民、また企業の皆さんであったりとか、投資をしていただく方々に、東京都がこういうことをやろうということを共感していただく、また、東京都の課題というもの自体をすごく認識をしていただくことにも、すごく理解をしていただける重要なものでもあるなというふうにちょっと感じております。
 だからこそ、都債をばんばんばんばん発行しろとはいいませんけれども、こうした事業を行っていくことによって、やはり都民の皆さん、企業の皆さん、また、都内外の皆さんにも、一緒になって東京都政をつくっていっていただきたいなと思いますので、しっかりと進めていただきたいと思います。
 持続可能な社会の実現に向けて、サステーナブルファイナンス、これも東京都スタートアップの方で進めておりますけれども、そうしたところとも様々な動きをつくっていただいて、東京都政、しっかりとつくっていただきたいなということを改めて申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。

○田の上委員 ミライ会議の田の上いくこです。
 自然災害や急激な景気悪化など、不測の事態に柔軟に対応できるよう毎年計上する予備費でございますが、令和四年度の決算説明書では、五十億円の予備費の不用額が四十四億六千六百三万円、充当率一〇・七%とのことです。
 どのような見積りで五十億円の予備費を計上したのか、見積りが過大であったのではないか伺います。また、充当率が一〇・七%となった原因についても伺います。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 予備費は、予算外の支出または予算超過の支出に充てるため、地方自治法の規定に基づき、使途を特定せず予算措置するものでございまして、都においては五十億円を計上しております。
 予備費の性質上、充当率は毎年度異なることが見込まれますが、令和四年度につきましては、参議院議員選挙費などに充当した結果、一〇・七%となっております。
 なお、令和三年度におきましては、コロナ対策経費に充当した結果、八〇・二%というふうになっております。

○田の上委員 令和四年度は、参議院議員選挙の事務費等で一〇・七%ですが、その前年度はコロナ禍での対策等で八〇・二%とのことです。国でも、コロナ対応で予備費が極端に増えているという現状があり、納得できる部分ではあります。
 災害対策なども含めての予備費を、都においては毎年五十億円計上しているとのことです。毎年五十億円というのが適正かどうかについては、情報公開と説明責任によって果たされるものと考えますので、今後も都民に対して見える化を図っていただきたく、よろしくお願いいたします。
 次に、都民の城です。
 三億八千四百四万八千円の都民の城の予算の執行率は五六%となっております。どのような見積りでこの額を計上したのか、また、執行率が五六%となった原因について伺います。

○五十嵐経理部長DX推進担当部長兼務 令和四年度予算は、旧国立総合児童センターの建物維持管理等のために必要な経費を過去の実績等に基づきまして計上しております。
 予算の執行におきましては、契約差金が発生したほか、令和四年五月に公表いたしました都民の城(仮称)改修基本計画の実施見送り等の状況変化を踏まえまして、維持管理に最低限必要な修繕を行ったものでございます。

○田の上委員 建物維持管理等のために必要な費用が計上されている、また、都民の城は、昨年の五月に発表されたと思いますが、改修基本計画の実施を見送った経緯があり、昨年度は最低限の必要な修繕にとどまったということであります。
 都民の城は、コロナ禍の中で、酸素・医療提供ステーションとして活用してきており、そのことをもって計画が遅れたこともあり、改修をしても、再開発計画実施までの都民の城の利用期間が短期間となるとして、計画を取りやめるよう意見があったものと認識をしております。
 しかしながら、医療支援型施設としていつまでそのまま実施をするのか、地域の再開発が終わるまでそのままなのか、もっと情報公開が必要だと考えております。例えば、渋谷区を含めた活用方法についての話合いは進んでいるのかなどの懸念事項もあります。
 そしてまた、せっかく数年前にパブリックコメントも行っており、たくさんの意見をいただいていたかと思います。都民に有益な施設に向けて計画をしていただきたいと要望いたします。また、都民がこれまでのプロセスや今後の計画について見えるように進めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○岩永委員 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
 まず初めに、都有地の活用について伺います。
 都有地の有効活用がいわれ、これまでも福祉、インフラ整備事業などで地域の事情に応じて活用されてきました。それでも、使われなくなった都有施設、土地が散見されます。
 例えば国分寺市にある西東京警察病院跡地は、二〇一〇年に病院が閉じて十年以上たちますが、建物は解体されたものの、放置されたままのように見えます。この土地は、警視庁から財務局に引き継がれておらず、地元の国分寺市から活用に向けた要望が出されていますが、動きが見られないのが実情です。
 各局から財務局に普通財産として引き継がれた土地は何件あるのか、二〇二二年度の実績を伺います。

○小泉財産運用部長 令和四年度におきまして、庁内各局における行政利用を終え、財務局所管の普通財産として引き継がれた土地は二十件、約三万二千平方メートルでございます。

○岩永委員 施設使用を終えて、その局が使わなくなった土地を財務局が受け入れるまで及び引き継がれた後に活用に向けた手続はどのようになっているのか伺います。

○小泉財産運用部長 所管局における行政利用を終えた土地につきましては、原則といたしまして、当該局が財務局に用途廃止の協議を行い、境界確認や建物の解体工事、土壌汚染対策など必要な対策を実施した上で、引き継ぐこととなります。
 その後、引き継がれた土地につきましては、まず、都の行政施策における利活用を検討いたしまして、庁内各局に利用意向を照会いたします。照会の結果、庁内に具体的な利用計画がある場合には、当該利用局へ所管替えを行い、引き続き行政利用に供することとなりますが、庁内での利用見込みがない場合には、地元区市町村に情報提供を行いまして、公用、公共用途での活用意向を確認いたします。
 こうした取組を行いながら、土地の立地や形状等を踏まえ、効果的な都有地の利活用を推進しております。

○岩永委員 活用につながるものもあれば、次の使い道が決まるまで長い時間がかかるものもあると考えます。
 その間、地域の意向を受けて暫定利用できるようにすることが重要と考えますが、どのように取り組んでいるのか伺います。

○小泉財産運用部長 本格的な行政利用までの間も都有地を可能な限り活用して、財産価値の最大化を図ることは重要でございます。
 このため、財務局が所管する土地のうち、次の行政利用までに一定の期間がある土地などにつきましては、地域の公共工事の資材置場や臨時駐車場等の用途での民間事業者への一時貸付を行うなど、活用を図ってまいりました。
 今後とも、都民から負託を受けた貴重な財産である都有地の有効活用に取り組んでまいります。

○岩永委員 財務局に引き継がれた土地は、あまりに長い期間放っておくことはなく、その間でも資材置場などに活用をしているということでした。
 しかし、住民から見ますと所管替えをされたかどうかは分かりません。例えば西東京警察病院跡地のように十年以上利用されないままですと、今後どうなるのか心配になりますし、ドッグランとして暫定利用をしたいという地域の声も聞いております。また、数十年かかる道路予定地を子供たちの遊び場として使いたいなどの声も都内各地で聞かれるところです。今後の取組として、地元自治体の意向も酌み取っていただいて、暫定利用を広げることを要望いたします。
 次に、省エネ・再エネ東京仕様と都有施設のZEB化について伺います。
 東京都は、省エネ・再エネ東京仕様をつくり、都有施設の建築において、断熱化や省エネシステム、太陽光発電などの再エネ利用を進めています。二〇〇七年以来、東京仕様の改正を重ね、レベルアップを図っています。
 今年一月、都有建築物のゼロエミッション化を目標に、都有施設の改築時等においてZEB化を目指していくため、東京仕様を改正しました。その狙いと、それまでの仕様との違いについて伺います。

○小林技術管理担当部長 都有施設のZEB化に取り組むに当たっては、これまで以上の省エネルギー化と多様な再生可能エネルギーの活用を図ることが必要となります。
 東京仕様の主な改正内容は、省エネ技術項目例を見直し、ZEB化に有効なハイグレード高効率タイプの空調機やDCモーター換気扇等を原則導入することといたしました。

○岩永委員 今年二月には、ZEB化の手引き(学校編)が出ました。学校に特化して手引をつくった理由を伺います。

○小林技術管理担当部長 省エネ・再エネ東京仕様の改正に当たりましては、主に窓が大きく熱負荷が多いなどの特性を持つ学校において、ZEB化を目指し、試算して検討を行いました。
 その結果を踏まえ、学校の整備において省エネ・再エネ東京仕様を最大限活用して、ZEB化を推進するための設計時の検討フローや配慮事項をまとめ、手引を作成いたしました。本手引は、学校以外の用途の建物においても参考となる内容となっております。

○岩永委員 東京都初のZEB化施設である公文書館は、二〇二〇年四月に開館しました。国分寺市にある施設でもあり、昨年、見学に行きました。太陽光発電や断熱、空調などの設備に加え、運用によって消費エネルギー量が違ってくることの説明を聞きました。
 三年間の運用結果と、それを踏まえて今後のZEB化建築物の取組について伺います。

○小林技術管理担当部長 東京都公文書館では、省エネ、再エネ技術として、LED照明をはじめ、屋根や外壁等の二重化による高断熱化、照明の最適な制御、大容量の太陽光発電パネルなど、様々な技術を導入しております。
 運用時における効果を検証した結果、運用一年目の実績では、同規模の標準的な建物に比べ、省エネルギーと太陽光発電による再生可能エネルギーの活用を合わせて、実質約七割のエネルギー削減となりました。
 その後、空調システムのさらなる設定調整などにより、エネルギー消費の改善が図られ、実質約九割のエネルギー削減となり、ニアリーZEB相当を達成いたしました。
 こうした公文書館での知見を踏まえ、ZEB化の手引きを作成するとともに、令和四年度から基本設計に着手する改築等の案件について、原則ZEB化を目指して取り組んでおります。

○岩永委員 ZEB化や省エネ・再エネ東京仕様は、新たに建物を建築する際に適用しています。ゼロエミッションやカーボンハーフを実現するためには、既存施設の省エネ化も重要です。
 新築、改築だけでなく、改修時の技術的アドバイスなどを行っていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○小野寺施設整備担当部長 都有施設のカーボンハーフ実現のためには、基本構想などの計画初期の段階からの取組が重要でございます。
 財務局では今年度より、各局の基本構想などの策定支援に取り組んでございまして、計画の策定に当たりましては、各局の事業実施に必要な機能、仕様とするとともに、計画の初期段階から施設の省エネ化にも配慮するなど、技術面からの支援を行っております。
 今後とも、都有施設の整備におきまして適切な維持更新を図るとともに、カーボンハーフの実現に向けて取り組んでまいります。

○岩永委員 都有施設を新しく建てるとき、全てZEB化を目指すことは重要だと思います。ゼロエミッションのためには、建物の長寿命化とそれに伴う省エネ改修も重要です。カーボンハーフの目標としている二〇三〇年までは七年しかありません。使い続ける既存施設に目を向けて、省エネ、再エネの取組をさらに進めていただきたいと思います。
 次に、入札、契約について伺います。
 入札に総合評価方式が使われており、環境配慮や男女平等、障害者雇用が進むことを期待しています。
 工事関係と業務委託、二種類の総合評価方式があります。昨年度、工事及び設計等委託と業務委託において総合評価方式を適用した実績について伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和四年度の総合評価方式の適用実績は、工事及び設計等委託で七百三十三件、業務委託で四百九件でございます。

○岩永委員 昨年度、工事や設計等委託における総合評価方式が改正をされました。改正の狙いについて伺います。

○須藤契約調整担当部長 令和四年度におきまして、都は、工事や設計等委託における総合評価方式に係る評価項目につきまして、二点の改正を実施いたしました。
 一点目は、東京都男女平等参画推進総合計画の改定を受け、事業者における女性活躍の取組の促進に資するよう、女性活躍推進の実績につきまして加点の幅を広げるとともに、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画策定の実績を加点対象に加え、令和四年九月から適用を開始いたしました。
 二点目は、環境への配慮実績につきまして、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、企業の低炭素化に向けた取組を契約制度面からも後押しすることを目的に、SBT及びエコ・ファースト制度の認定を加点対象に加え、本年四月から適用を開始いたしました。

○岩永委員 物品や業務委託などについての総合評価方式についてです。
 工事以外は、それぞれの局が評価項目を決めるとのことなので、財務局から各局に、環境、男女平等、障害者雇用が促進されるよう働きかけていただきたいと考えますが、見解を伺います。

○須藤契約調整担当部長 業務委託契約における総合評価方式につきましては、業務委託等総合評価方式事務処理要綱におきまして、各局における事務処理の基本的事項を定めております。
 本要綱では、技術点の評価項目につきましては、委託業務等に関して有利な提案が期待でき、質の向上が望まれる基本的評価項目のほか、環境配慮など都の政策目的の実現を支援する事業者の取組につきまして、財務局が示す評価項目例に準じて、各局において政策的評価項目を設定することとしております。
 今後とも、総合評価方式の本来の趣旨である品質確保が損なわれることがないよう、価格点と技術点、また技術点における技術力と社会性等とのバランスに配慮しながら、都の政策の実現に寄与できるよう、制度を適切に運用してまいります。

○岩永委員 都は、障害者雇用が促進されるよう障害者就労促進モデル入札を行っていると聞いていますが、これまでの実績について伺います。

○須藤契約調整担当部長 障害者就労促進モデル入札につきましては、令和三年度から開始し、令和四年度までに、教育庁の特別支援学校等の清掃業務におきまして十件の契約実績がございます。

○岩永委員 障害者が働く場として障害者施設もあります。都は、役務や物品の優先調達にも取り組んでいますが、昨年度まで三年間の実績を伺います。

○須藤契約調整担当部長 直近三か年における障害者就労施設等からの優先調達の実績でございますが、令和二年度が八百五十八件、約五億三千百十一万円、令和三年度が八百五十二件、約五億三千九百九十万円、令和四年度が八百七十八件、約五億七千五百九十一万円となっております。

○岩永委員 入札や契約において、社会課題を解決するための仕組みを埋め込み、効果を上げるところを期待しているところです。障害者雇用をはじめ、働く場に関しては、具体的な問題は福祉局での障害者施設への補助や、産業労働局が所管をしているソーシャルファームなどもあります。
 東京都の事業は、どうしても規模も金額も大きな契約が多いですが、先ほどの学校の清掃業務や優先調達など、取り組みやすいものを広げていただくよう要望をして、質問を終わります。

○松田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○松田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会

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