委員長 | 細田いさむ君 |
副委員長 | 土屋 みわ君 |
副委員長 | 曽根はじめ君 |
竹平ちはる君 | |
斉藤 りえ君 | |
渋谷のぶゆき君 | |
清水やすこ君 | |
原田あきら君 | |
福島りえこ君 | |
山口 拓君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 早川 剛生君 |
次長 | 松田 健次君 | |
管理部長 | 前田 豊君 | |
事業部長 | 大谷 俊也君 | |
渉外調整担当部長DX推進担当部長兼務 | 若井 太郎君 | |
市場政策担当部長 | 石井 浩二君 | |
財政調整担当部長 | 萩原 功夫君 | |
環境改善担当部長 | 萩原 清志君 | |
産業労働局 | 局長 | 坂本 雅彦君 |
次長理事兼務 | 松本 明子君 | |
総務部長 | 早川 八十君 | |
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長 DX推進担当部長兼務 | 池野 大介君 | |
企画調整担当部長 | 山本麻里雄君 | |
企画調整担当部長 | 飯野 雄資君 | |
働く女性応援担当部長 | 田代 純子君 | |
商工部長 | 山崎 太朗君 | |
商工施策担当部長 | 江村 信彦君 | |
金融部長 | 福田 哲平君 | |
金融支援担当部長 | 原 郁君 | |
産業・エネルギー政策部長 | 阿部 泰之君 | |
産業政策連携促進担当部長 | 米澤 鉄平君 | |
新エネルギー推進担当部長 | 榎園 弘君 | |
観光部長 | 向井 一弘君 | |
観光振興担当部長 | 前田 千歳君 | |
農林水産部長 | 築田真由美君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 鈴木のり子君 | |
雇用就業部長 | 内田 知子君 | |
事業推進担当部長 | 新田 智哉君 |
本日の会議に付した事件
令和四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和四年度東京都と場会計決算(質疑)
産業労働局関係
・令和四年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○細田委員長 ただいまから令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、中央卸売市場長からご紹介があります。
○早川中央卸売市場長 去る十月十六日付の人事異動によりまして、当局の連絡員に異動がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
総務課長の鶴田勝でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○細田委員長 紹介は終わりました。
○細田委員長 これより決算の審査を行います。
令和四年度東京都と場会計決算を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○土屋委員 よろしくお願いいたします。
中央卸売市場が開設した十一市場のうち、食肉市場は国内最大級の食肉を取り扱うと畜場併設型の市場であり、都内唯一の食肉市場として多くの仲卸などの買受人が集まり、食肉が取引され、地方市場における建値の役割を担っているとも聞いております。
以前、私が食肉市場を視察した際、市場内の取引の様子を間近で体感するとともに、同時に芝浦と場において牛や豚の生体が産地から搬入され、枝肉になるまでの数多くの作業工程を見させていただきました。
一方で、開業から五十年以上経過している施設もあることから、安定したと場の運営には老朽化対策が不可欠であり、現在喫緊の課題となっている中、我が会派は、毎年の各会計決算特別委員会の機を捉え、安定したと場運営となるよう、老朽化対応に関する施設整備について質問を重ねてきております。
私としましても施設の老朽化対策を積極的に進めていくべきだと感じておりますが、そこで、まず令和四年度に実施した老朽化対応のための施設整備について、具体的な内容についてお伺いいたします。
○石井市場政策担当部長 令和四年度におきましては、牛を係留する場所の屋根が老朽化により雨漏りすることから改修工事を行い、床面につきましても、更新に合わせて、牛が歩行する際、滑りにくくなるよう改修工事を実施いたしました。また、と畜した豚を搬送するための高架軌条レールの更新や、操作性の向上を図るため、豚の皮剥ぎ機の改修工事を実施いたしました。
○土屋委員 都としても、と畜場の老朽化に対応しているということですが、しかしながら、と畜場を運営しながらの工事となりますと、市場関係者の業務にも影響が出ることが予想されるため、関係者から意見を聞きながら進めていくということが求められると思います。
そういった中、毎年、一般社団法人東京食肉市場協会から我が会派に対しまして要望書をいただいておりますが、その中には、施設整備の老朽化対応に加えて、衛生管理の高度化に対応したと場、市場の施設整備や輸出などの販路拡大に資する対策についても強い要望をいただいているところであります。
そこで、令和四年度における協会からの要望を踏まえ取り組んだ具体的な内容についてお伺いいたします。
○石井市場政策担当部長 協会からの要望を踏まえ、令和四年度に衛生管理の高度化に対応した取組として、三つある大動物の、と畜ラインの一つに、牛の背骨の脱骨を防止するダウンプーラーを整備いたしました。これにより、牛の皮を剥ぐ工程におきまして、脱骨によると畜の損傷を防ぐことが可能となり、品質向上につながったところでございます。
また、牛の枝肉に付着した汚れを確実に除去するために、スチームバキュームを増設いたしました。
輸出などの販路拡大に関する取組といたしましては、大動物のCラインにおいて枝肉がと室内の壁や作業機械に接触することを防止できますよう、品質衛生管理のさらなる高度化等を目的とした施設整備の実施設計を行いました。
今後とも市場業界の要望を踏まえ、施設の老朽化への対応や衛生管理の高度化に資する施設整備を着実に推進してまいります。
○土屋委員 ありがとうございます。今のご答弁から、協会からの強い要望に対し、都として積極的に取り組んでいるということであります。
外国人旅行者のインバウンド需要が増えるなど、牛肉や豚肉のニーズがますます高まる中、マーケットの動向に注視して取組を進めていくことは極めて重要と考えます。
今後も国内の食肉供給を牽引しつつ、都民への安定した食肉供給に努めていただくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○福島委員 先日行われました委員会の事前説明において、令和四年度の芝浦と場でと畜解体した頭数が、牛で八万頭を超え、豚については二十万頭を超えたという報告がありました。食肉市場には全国各地から神戸牛や松阪牛などのブランド牛が集まるだけでなく、と畜された枝肉も多く搬入されていると伺っております。
そこで、食肉市場に集荷されている牛や豚の取扱い頭数について伺います。
○石井市場政策担当部長 食肉市場で集荷されている牛や豚は、芝浦と場でと畜された生体枝肉と他のと畜場でと畜された搬入枝肉に分けられます。
令和四年度の牛の取扱い量につきましては、と畜解体頭数で八万七千三百八十七頭、搬入枝肉で四万九千七百二十六頭の合計で十三万七千百十三頭でございまして、豚に関しましては、と畜解体頭数で二十万七千八百三十三頭、搬入枝肉で八百四十六頭の合計二十万八千六百七十九頭でございました。
○福島委員 農林水産省による畜産物流通調査の令和四年の畜産物流通統計によれば、全国の成牛のと畜頭数は百八万二千頭、全国の豚のと畜頭数は千六百五十七万七千頭とのことでした。つまり、都の開設した食肉市場では全国でと畜された頭数のうち、牛では一三%、豚では一・三%を扱っていることになります。まさに食肉流通の中の中核地点でありまして、一千四百万人の都民の食肉需要を支えるとともに、安全で高品質の食肉供給に欠かせない役割を担っていることを改めて理解をいたしました。
安定した食肉供給には集荷力が求められます。ここで卸売業者の役割は大変重要だと考えます。食肉市場の卸売業者は東京食肉市場株式会社の一社のみであり、不断の努力で生産者との交渉を実施していることが予想されます。
そこで、都として安定した集荷を実現すべく支援を行っていることがうかがわれますが、都の対応について伺います。
○石井市場政策担当部長 安定した食肉供給を継続していくためには、産地から、より多くの生体を出荷していただけるよう、産地のニーズに沿った卸売業者による集荷対策が重要と考えております。
令和四年度につきましては、市場業界等が主催いたします枝肉の品評会に対し都が後援を行うことで、卸売業者が品質の優れた牛や豚を集荷できる取組を後押しいたしました。
また、暑さなどにより豚の集荷頭数が減少する夏季におきまして、生産者の出荷に要する費用に対する助成を行い、出荷を促進する取組を行ってきました。
○福島委員 都が集荷対策に対して積極的に支援をしていることが分かりました。
近年の夏場の猛暑日のことを考えますと、牛や豚を輸送する際には熱中症などにも十分注意する必要がございます。こうした取組を継続して実施していただくことを要望し、次の質問に移ります。
と場会計の内訳についてですが、施設整備費に係る執行率が七〇・一%と、昨年度に比べても低くなっていました。そこで、令和四年度に実施した施設整備の概要と執行率が低い理由について伺います。
○石井市場政策担当部長 令和四年度に実施した施設整備につきましては、内臓を運ぶコンベヤーの改修工事など各作業工程で老朽化の進む箇所を優先的に実施しながら、予算計上した全ての工事を発注いたしました。
執行率につきましてはご指摘のとおり約七〇%でございますが、これはコスト縮減を図るため、発注時に費用の積算や整備内容を詳細に見直したことが理由として挙げられます。
○福島委員 令和四年度における施設整備の執行率が低い理由について確認をさせていただきました。積算の再精査や計画の見直しなど、都が精力的にコスト縮減に取り組んだ結果であるということが分かりました。
一方、今年度、我が会派が東京食肉市場協会から伺った要望には、市場二階の高架軌条レールの維持保全と壁面の補修、センタービルの補修及び冷却設備の改修、そして空調設備の増強など、また、この施設設備に関するものが挙げられてきています。引き続き現場の声を聞き、施設整備と維持管理に取り組んでいただきたいと思います。
次に、食の品質安全性の向上のための衛生管理手法であるHACCPについて、令和三年度の食品衛生法改正により、原則として全ての食品関連事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されたことから、と場においても既に導入していると思いますけれども、このと場のと畜作業におけるHACCPに対応した品質衛生管理の取組について伺います。
○石井市場政策担当部長 と場では、平成三十年度から本格的にHACCPに基づく衛生管理を導入しております。具体的には、まず、と畜作業前においては手洗い消毒を行うとともに、と畜作業中におきましては使用したナイフを一頭ごとに八十三度C以上の熱湯で消毒をしております。
さらに、休憩後には、手洗いや作業着のシャワー消毒を実施するなど、それぞれの工程におきましてHACCPに基づく衛生管理を徹底しております。
これらのと畜作業につきましては、外部のと畜検査員により継続的にHACCPが適切に行われているか検証されておりまして、検証結果を生かして、さらなる衛生管理の向上に努めてまいります。
○福島委員 と畜作業において、義務化に先立ってこのHACCPに対応した品質衛生管理を導入し、継続して行っていることを確認させていただきました。
このHACCP管理の目的は食品の安全性の獲得ですけれども、農林水産省のアンケートによれば、従業員の意識の向上や、企業の信頼度やイメージ向上にもつながるとされています。多くの食肉を扱う観点から、引き続きの対応をお願いしまして、最後の質問に移らせていただきます。
農林水産省の農林水産統計によれば、食肉の需要は年末年始や年度末などのイベントが多い時期に高くなる傾向があります。こうした繁忙期に食肉を供給していくためには、と畜作業においても柔軟な対応が求められます。
そこで、令和四年の年末年始など、食肉需要が多い時期のと畜作業に関する取組について伺います。
○石井市場政策担当部長 新型コロナウイルス感染症の五類移行に伴い、都内で飲食の機会が徐々に増加していることなどを背景といたしまして、年末年始などの繁忙期においても安定した食肉の供給を行うことが求められております。
このため、業界からの要望を受け、繁忙期となります令和四年十一月から令和五年一月の期間に、牛と豚を臨時にと畜する機会をそれぞれ二回設けました。
○福島委員 繁忙期におけると畜作業の内容について理解をいたしました。年末年始の繁忙期にと畜日を設けることは、生産現場側からしても魅力となりまして、集荷量の増加につながると伺っております。
今後も業界の要望なども踏まえながら、安定したと畜場の運営に取り組んでいただくことを要望しまして、質疑を終わります。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
私からは、と場の暑さ対策と省エネ対策などについて伺ってまいります。
今年の夏も大変暑い日が多かったんですが、令和四年の東京都心の夏は三十五度を超える猛暑日が九日連続となり、観測史上最長であったと環境省が報告しております。
こうした中、過去に私も視察をさせていただきましたが、その際、と場における牛や豚を解体するためのと室が高温多湿で閉鎖されている空間であり、非常に大変な労働環境であると感じました。と畜作業に関わる職員は、こうした環境の中で安定した食肉供給のために懸命に作業に従事していることから、働く人の健康の維持を念頭に、少しでもと室内の環境改善を図ることが重要であると考えております。
そこで、令和四年度のと室内の暑さ対策について、ハード及びソフトの両面からどのような取組を行っているのか、具体的にお伺いいたします。
○石井市場政策担当部長 と場ではこれまでも、位置によっては冷気の行き渡りづらい作業箇所に大型扇風機を設置するほか、作業負荷の大きい箇所に、職員の水分補給用としての冷水器を設置するなど、様々な暑さ対策を行ってまいりました。
令和四年度は、まずハード面におきましては、大動物棟の三つある解体ラインのうちの一つと、小動物棟の二つある解体ラインの一つに新たに空調機の追加整備を行うことで、冷やした外気を取り入れるなど、と室内の環境改善を図ることができました。
次に、ソフト面でございますが、現場の働く職員からの提案を受け、熱中症対策として、塩分補給のためのタブレット錠や冷却剤を配布するなどの取組を実施いたしました。
○竹平委員 厳しい衛生基準に対応しながら、職員の労務環境改善に向け、ハード、ソフトの対策を実施していることを確認いたしました。
今後も気候変動により、夏場の気温はますます上昇することが懸念をされます。働いている方々の声も聞きながら、これからもと室内外の環境変化に応じた適切な対策を講じていただくよう要望いたします。
次に、省エネ対策について確認いたします。
と畜の工程では、多数の機械やお湯等を使用することはもとより、空調整備などの暑さ対策を講じることで、より一層多くのエネルギーを使用していると推察されます。現在、原油の値上げや円安の影響などにより電気代やガス代が高騰する中、と場運営においても、可能な限り省エネ対策を実施していく必要があると考えます。
そこで、令和四年度に実施した省エネを推進するための施設整備についてお伺いいたします。
○石井市場政策担当部長 令和四年度は、小動物のと室及び係留所の照明を使用電力の少ないLED照明に交換する工事を行いました。また、大動物の係留所では、改修時に断熱性の高い屋根材を使用することで、係留所内に暖気が滞留することを防止いたしました。
これによりまして、気化熱を活用したミスト付送風機を使用電力を抑えながら効率的に運転することができました。
○竹平委員 と場における様々な省エネ対策の取組をされていることが分かりました。多くのエネルギーを使用すると場においても、環境負荷軽減の観点から、引き続き省エネ対策について取り組んでいただくよう要望いたします。
最後に、と畜工程の排水処理に必要な水処理センターについて確認させていただきます。
水処理センターは、微生物自らの働きを活用した環境負荷の少ない処理工程で排水を浄化していると認識しております。
今回、水処理センターの中央監視設備改修工事が行われたとの報告が分科会でありました。そこで、この水処理センター中央監視設備改修工事の内容についてお伺いいたします。
○石井市場政策担当部長 水処理センターの中央監視設備は、と畜作業に応じて日々変動する排水量を確認しながら処理工程の調整を図る運転管理システムでございまして、水処理工程の安定的かつ効率的な運用において重要な役割を担ってございます。
令和四年度は、この監視設備が設置から二十年が経過し、老朽化したため、更新工事を実施いたしました。更新に合わせて、運転管理が円滑に行えるよう、管理画面を大きくし、見やすくする改良を図ったところでございます。
○竹平委員 水処理センターの中央監視設備改修の具体的な内容について確認をさせていただきました。
水処理センターは、と畜の工程で生じた排水を下水道に放流できる水準まで浄化する重要な施設であります。設備の更新を通じて、しっかり運用できるよう対応していただきたいと思います。
本日は、と場会計における、令和四年度に実施したと場における暑さ対策の取組や省エネの取組、水処理センターの施設整備についてお伺いいたしました。
東京の食肉を安定的に供給することは、都民生活における食肉需要を支えるのみならず、東京の食文化を支えることにもつながります。令和四年度の成果を踏まえ、今後もこうした考えの下、着実に設備の導入や改修を図るなど、安定したと場運営を実施していただくことを要望して、質問を終わります。
○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○細田委員長 これより産業労働局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和四年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、令和四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、令和四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び令和四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○早川総務部長 去る十月十一日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の令和四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で十四項目でございます。
一ページをご覧ください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
四ページをおめくりください。商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
五ページをご覧ください。商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
六ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
七ページをご覧ください。東京都における新規就農者数及び新規女性就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
八ページをおめくりください。市街化区域内農地の貸借面積につきまして、平成三十年以降の推移をお示ししてございます。
九ページをご覧ください。多摩産材取扱量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。都の関連施設における国産材及び多摩産材の過去五年間の活用実績をお示ししてございます。
一一ページをご覧ください。クラウドファンディングを活用した資金調達支援につきまして、当初予算と決算額の推移をお示ししてございます。
一二ページをお開きください。アユの推定遡上量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
一三ページをご覧ください。アワビ、トコブシ、サザエの漁獲量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
一四ページをお開きください。令和四年度の地球環境エネルギー費における種別ごとの決算額と出捐金とその割合及び出捐金の内訳と事業期間と残高をお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○細田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○土屋委員 初めに、令和四年度の制度融資状況、金融支援についてお伺いいたします。
都の制度融資は、ゼロゼロ融資による利用者の増加などによりまして、都内の中小事業者の半数を超える、およそ二十三万社に利用されるなど、事業の継続や企業の成長に欠かせない基幹的な役割を果たしています。
令和四年度において都は、およそ二・一兆円の融資目標を設定し、長引くコロナの影響で業績が思うように回復しない、そういった中でゼロゼロ融資の返済や原材料価格の高騰などによって影響を受ける事業者が安定して事業活動が継続できるよう支援してきたところであります。
また、国においては、円滑な事業承継や創業などを後押しするため、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた取組が進んできました。
そこで、都の制度融資全体において、中小企業の経営基盤を支えるために必要な資金の確保に向けてどのような支援に取り組んできたのかお伺いいたします。
○福田金融部長 令和四年度における制度融資全体の実績は約八万件、融資金額は約一兆一千七百億円でございます。その内訳は、新型コロナ関連の対応メニューの実績が約二万一千件、約五千百億円となっております。
具体的には、都の実質無利子融資の新たな借換え制度を開始するとともに、ウクライナ情勢や円安などにより売上げが減少する中小企業の経営安定化を図る緊急融資などを実施しました。
一方で、こうしたメニュー以外の実績は約五万九千件、融資金額は約六千六百億円となっております。
具体的には、小規模企業向けの事業運営資金を支援する小規模事業融資のほか、創業期や事業承継時における円滑な資金調達のために、経営者保証を不要とする取組について支援の拡充を図りました。
こうした取組により、中小企業等の資金繰りを着実に支援いたしました。
○土屋委員 中小企業の資金繰りの要である制度融資において、資金需要の動向を踏まえながらも、危機的、緊急的な事態への手厚い支援にとどまらず、創業や事業承継、小規模企業向けの資金供給が円滑に行われたことが確認できました。
今後も中小企業の様々な資金ニーズに対応し、必要とする事業者が制度融資を活用できるよう、周知にも努めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、中小企業への支援策について伺います。
原材料価格の高騰や円安の長期化に加え、人材不足が深刻化するなど、中小企業の経営を取り巻く環境は大変厳しい状況にあるわけですが、こうした状況を乗り切るためには、デジタル化により様々な業務を効率的に処理し、経営の改善につなげていくことが効果的と考えます。
コロナ禍により様々な面でデジタル技術の活用が進んだ一方で、いまだ都内の中小企業の多くは目の前の経営課題の対応に追われ、デジタルを十分に活用できていないのが現状だと考えます。
こうした状況を踏まえ、都は昨年度から、中小企業においてもデジタルを活用した事務の効率化などに取り組むことができるよう支援を開始していますが、昨年度の実績と支援例を教えてください。
○山崎商工部長 都は、中小企業の業務運営の効率化を後押しするため、様々な事務手続をデジタル化するソフトウエアを新たに購入する経費について、助成率最大三分の二、百万円を上限に助成してまいりました。
昨年六月に募集を開始いたしまして、三百二社に対して約二億円の交付決定を行いました。また、最新のデジタル技術により、社内での業務にクラウドの仕組みを活用する事例などが増えている状況を踏まえ、昨年十月には助成規模を拡充して追加募集を行いまして、百六十九社に対して約一億一千万円の交付決定を行いました。
具体的には、研究用機器のメーカーが在庫と販売の情報を一体で管理するソフトウエアを購入し、社内での情報共有をリアルタイムで行い、受発注の誤りの防止を図る取組や、ホームページの制作会社が求職者の行動データを集約し、分析するシステムを導入して、よりターゲットを絞った効果的な採用活動につなげる取組等について支援をしております。
○土屋委員 本事業は、都内の中小企業にとってデジタル技術の活用に踏み出す第一歩となる重要な取組と考えます。引き続き着実に支援を行っていただくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
次に、中小企業の設備投資に対する支援について伺います。
厳しい経営環境の中においても、東京の中小企業が競争力を高め、成長を続けていくためには、生産性の飛躍的な向上や新たな事業展開のために必要となる最新設備の導入は欠かせない取組であります。
都はこうした取組が進むよう、設備投資に必要な経費の一部を助成していますが、令和四年度はエネルギーコストの高騰や、電力需給の逼迫を背景とした設備投資への支援の充実を図っています。
そこで、令和四年度における支援の充実の内容と実績についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 都は、中小企業が生産性の向上やDX推進などの取組に必要となる最新の機械設備の導入を支援する、躍進的な事業推進のための設備投資支援事業を実施しており、一億円を上限に経費の一部に助成をしております。
令和四年度は、競争力を強化しながら、CO2排出量の削減や省エネを図る設備投資に必要な経費に対して、助成率をこれまでの最大三分の二から四分の三に引き上げ、支援の充実を図りました。
本事業には四百四社の中小企業から申請があり、二百三十二社を採択いたしました。このうち省エネに資する採択案件としましては、印刷業者が最新の自動裁断機を導入し、様々なサイズの製本を効率的に行い、生産性を向上させるとともに、消費エネルギーの削減を図る事例がございます。
また、医療用の装置部品メーカーが微細加工に対応した加工機を導入し、高品質化とともに電気使用量の削減を図る事例など、競争力の強化とエネルギー使用量の削減を両立する多くの取組がございます。
○土屋委員 多くの中小企業が競争力強化とエネルギーコストの削減の両立を目指し、前向きに取り組んでいることが分かりました。今後も中小企業の設備投資をしっかりと支援することを要望いたします。
次に、中小企業の製品開発等への技術支援についてです。
気候変動や少子高齢化などを背景として、環境や福祉、健康などの社会課題に関する分野は、今後の高い成長が見込まれています。東京の中小企業が優れた技術力を生かして成長していくためには、こうした分野に関する最新の技術動向に関する知見を獲得し、新たな製品開発などにつなげていくことが重要でありますが、一方で、中小企業が自らの力だけで様々な技術的な課題を解決していくことは非常に困難であると考えます。
昨年十月に東京都立産業技術研究センターを視察いたしましたが、その際、環境などの分野の製品開発等を行う中小企業に対する大変きめ細やかな技術支援の状況などを伺いました。
そこで、環境や福祉など社会の課題解決に資する技術開発に取り組む中小企業に対し、令和四年度に実施した支援の実績についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 産業技術研究センターにおきましては、中小企業の持つ技術やアイデアを社会の様々な課題の解決に資する製品開発につなげるため、技術支援や共同研究等に取り組んでおります。
具体的には、令和四年度から、ZEVや小型モビリティーの部品の開発を行う中小企業に対しまして、製品を軽くするための試作等に対する技術支援や、電磁波がバッテリーに与える影響等を確認する評価試験を開始いたしました。
また、車椅子を使用する障害者の利便性向上を図るため、都産技研が東京二〇二〇大会で使用する競技用車椅子の開発で得た知見を生かしまして、マグネシウム合金を使った部材の強度や耐久性の評価を行い、軽量で振動が軽減できる車椅子の開発を後押しいたしました。
○土屋委員 都産技研が社会の課題解決に貢献する新技術や新製品の開発に取り組む中小企業を技術面からしっかりと支援していることが分かりました。東京都としても都産技研と連携をし、中小企業のさらなる成長や発展につなげていっていただきますよう、よろしくお願いいたします。
次に、商店街振興についてお伺いいたします。
私の地元世田谷区にも百二十八の商店街がありますが、商店街は住民の買物の場であるとともに、人と人との交流や子供の見守りなど多様な機能を有しており、地域にとってその役割は大変重要で、都民の日常生活に欠かせない存在であります。
しかしながら、経営者の高齢化が進行し、商店街活動を担う後継者が見つからず、存続が困難となっている商店街も多く見られる状況にあります。
こうした中、商店街が将来にわたり発展していくためには、女性や若者など新たな担い手を商店街の様々な活動に取り入れるなど、後継者の育成に向けた支援に力を入れていくことがやはり必要であると思いますが、都は商店街での開業を後押しすることで新たな担い手を増やす取組を実施していますが、この事業の取組内容と昨年度の実績についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 都は、独創的なアイデアを持ち、商店街の活性化への貢献が期待される若手や女性が商店街に出店する場合、改装経費や家賃などの開業経費の四分の三を、七百三十万円を上限に二年間にわたり助成をしております。
令和四年度は十七件の取組を採択いたしまして、天然の染料を使用した服飾品などの販売や、染色体験ができる工房が併設した店舗のほか、子供も安心して食べることのできる素材にこだわったドーナツを販売するショップなどの開業を支援いたしました。
こうした取組によりまして、商店街における新たな開業を後押しし、活性化につなげているところでございます。
○土屋委員 商店街での新たな担い手を育成していくため、都が二年間にわたり商店街での開業をしっかりと支援していることが分かりました。こうして開業した方々に地域に根づいてもらい、後継者としてご活躍いただけるよう、引き続き支援を充実していただきますよう、よろしくお願いいたします。
次にですが、省エネ支援について伺います。
二〇三〇年温室効果ガス半減を実現するためには、中小企業の省エネ対策を進めていくことが必要不可欠でありまして、また、電気料金が高騰する中にあっては、省エネ対策は事業者の経営の安定にも寄与します。
コロナ禍において換気の確保が求められ、空調に必要なエネルギー消費量の増加が見込まれる中、中小企業における換気の確保と省エネ対策の両立を図る取組は大変重要であります。
都は、令和三年度から換気、空調設備への補助を実施していますが、令和四年度実績をお伺いいたします。
○阿部産業・エネルギー政策部長 本事業は、コロナ禍において換気によって見込まれるエネルギー消費量の増加を抑制するために、中小企業が省エネ性能の高い換気設備や空調設備を導入する際の経費を一部助成する取組でございます。
令和四年度においては三百十四件の交付決定を行い、その金額は約十三億一千万円となっており、こうした取組により、換気の確保を図りながら着実に省エネ対策を進めてまいりました。
○土屋委員 コロナ禍を踏まえた取組として活用されてきたということですが、このコロナ自体は五類に移行したものの、足元では電力価格の高騰などもあり、中小企業を取り巻く環境は依然厳しい状況であります。
都は本事業のほかにも様々な省エネ対策等の支援を行っていますが、こうした取組が事業者へしっかりと届き、活用されるということが重要であると思います。
そこで、中小企業に分かりやすく支援策の情報を伝え、活用につなげていくためにどのような取組を行ってきたのかをお伺いいたします。
○阿部産業・エネルギー政策部長 中小企業の省エネ対策等を進めていくためには、個々の事業者の実情に応じた適切な支援策の活用を促していくことが重要でございます。そこで都は、本年一月からHTT実践推進ナビゲーター事業と省エネ・再エネ等に係るワンストップ相談窓口の運営を開始いたしました。
ナビゲーター事業では、省エネ対策等に関心はあるものの具体的な取組には至っていない事業者に対し、電話や訪問による案内やセミナーの開催により支援策の活用を促しており、令和四年度は事業開始からの二か月半で約二千百社に電話での案内を行い、そのうち百一社に訪問を実施いたしました。
また、ワンストップ相談窓口では、ナビゲーター事業などを通じ、事業者から寄せられた相談、問合せに対し、省エネや再エネのアドバイスや、それらを実践するに当たっての支援策を一元的、総合的に紹介しておりまして、令和四年度は事業開始からの三か月で三百二十八件に対応いたしました。
こうした取組により、設備導入助成事業や省エネルギー診断の活用につなぐなど、個々の事業者に対し、きめ細かなサポートを実施いたしました。
○土屋委員 電話や訪問などによる働きかけ、そして幅広い相談や問合せへの一元的な対応により、事業者個々に応じたきめ細かな案内を行っているということでありました。こうした取組が実際に支援策の活用へつながるよう、引き続き事業者を支援していただくことを要望し、中小企業等支援についての質問を終わります。
次に、観光事業者の収益力向上に向けた支援について伺います。
昨年度、観光需要の回復傾向を受けて、観光産業では、インバウンドをはじめとする旅行需要獲得への意欲が高まる一方で、長引くコロナ禍の影響による厳しい経営環境や資金不足などから思うように業績回復に向けた前向きな取組を進められない観光事業者も少なくなかったと思われます。
都は、こうした観光事業者の収益力向上を後押しするため、昨年度、アドバイザーを活用した支援に取り組みましたが、その内容と実績についてお伺いいたします。
○向井観光部長 都では昨年度、観光関連事業者が専門家のアドバイスを受けて実施する生産性向上や新商品、サービスの開発に必要な経費につきまして、二百万円を上限として助成を行いました。また、年度の途中には補助率を引き上げる時期を設けるなど、事業者の負担を減らしながら、収益力向上に向けた取組を後押しいたしました。
これにより、宿泊施設では、経営改善のため、自社のホームページから直接予約できるシステムの導入や、観光体験施設では、インバウンド集客に向け、動画を活用したPRのほか、飲食店では旅行者向けの新たな土産物の販売などの事例が出ており、前年度の六十件に対し百四十件増の二百件の申請がございました。
○土屋委員 現在、都内には数多くの外国人観光客が訪れていますが、今後ますます観光需要獲得に向けて事業者の取組が活発化していくものと考えられます。引き続き、都が事業者の取組を積極的に支援することで観光産業の活性化を強く後押しいただくことを要望し、次に観光振興について伺います。
昨年度は断続的に行われた行動制限も明け、水際対策の緩和によってインバウンドが徐々に増加するなど、復調の兆しを見せたものの、観光業を取り巻く経営環境は引き続き非常に厳しい状況にあり、都議会自民党は、苦境が続く中でも活路を見いだすべく、新たな事業展開を模索する事業者の経営をしっかりと支える仕組みが必要であると主張してきました。
こうした中、観光事業者が抱える様々な経営課題の解決を図るため、都はどのような支援を行ったのか、昨年度の取組と実績について伺います。
○向井観光部長 都は昨年度、観光関連事業者が抱える様々な経営課題につきまして、相談、情報提供から課題解決までを一元的に対応する東京観光産業ワンストップ支援センターを設置いたしました。このセンターでは、電話、オンライン及び対面により七百九十四件の相談に応じるとともに、事業者ごとの課題に応じた専門家を六十四社に派遣をして、解決等に結びつけました。
また、各種支援策の情報収集が容易にできるウェブサイトを開設するとともに、業界団体や地域でのニーズに応じた出張説明会を二十七回開催し、補助制度などの周知を図ることで迅速な支援に結びつけてまいりました。
さらに、経営のレベルアップに取り組む事業者に対し、最新の観光市場の動向や業務改善に役立つ情報を提供するセミナーを四回開催することに加え、異業種とのネットワークづくりに向けた交流会を実施し、延べ四百六十六名が参加いたしました。
○土屋委員 厳しい状況にある観光事業者の皆様をサポートするため、必要な体制を組んで対応してきたということでありますが、まだまだ苦しい状況から抜け出せない観光事業者はたくさんあります。引き続き事業者に寄り添い、きめ細やかな支援を行っていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次は、東京産農産物の流通促進についてです。
東京の農業は都民に新鮮で安全な農産物を供給しており、近年、地産地消への関心が高まる中、都心の消費者の間でも、東京産の野菜や果物を購入したいという声を聞きます。
しかし、東京産農産物の多くは地元の直売所や小売店などで販売されており、都心部では日常的に入手することが難しく、多摩地域や世田谷区で収穫した新鮮な農産物を都心を含めた身近な地域で購入できるような仕組みが求められています。
都は、東京産農産物の流通促進に取り組んでいますが、昨年度の実績についてお伺いいたします。
○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長 都は、地産地消の推進に向けまして、多摩地域などで収穫された農産物の都内での流通促進に取り組んでおります。
昨年度は、都民がウェブサイト上から東京産の野菜を購入できるシステムを構築いたしまして、昨年十月から今年二月初旬までの四か月間、運用を行いました。
具体的には、利用者がスマートフォン等で農産物を注文し、注文を受けた事業者がJAの直売所十三か所の出荷拠点を毎週巡回いたしまして、農産物を積み込み、利用者が希望するコンビニエンスストア等の受け取り拠点まで配送いたしました。
期間中の販売実績は、キュウリやトマトなど七十七品目、一万三千三百六十七点でございます。
○土屋委員 流通の仕組みをつくることは東京産農産物の販路を広げ、東京の農業を守ることにもつながります。都はこうした取組を広げるために、今年度から民間事業者への補助事業も開始しました。ぜひとも効果的な支援を行っていただきますよう、よろしくお願いいたします。
次に、水産業振興について伺います。
伊豆諸島では、海水温の上昇などにより海藻類が消失する磯焼けが進み、トコブシやサザエなどの漁獲も大幅に減少するなど、漁業への影響は深刻です。
このため、本年第二回定例会一般質問におきまして、魚介類の生育や繁殖に重要な役割を果たす藻場の保全について質問をさせていただいた際、都からは技術開発等を進めるという答弁がございました。こうした取組に加え、海に魚や貝を放流し育てる栽培漁業をしっかりと実施していくことも重要であります。
漁業協同組合では、都が生産したサザエやトコブシなどの稚貝を購入し、放流を行っていますが、厳しい海洋環境の下、取組の継続が難しい地域もあると聞いております。漁協などをしっかりとサポートしていくことも大切であります。
そこで、都の栽培漁業の推進に向けた施策について、昨年度の取組状況をお伺いいたします。
○築田農林水産部長 東京の水産業は、新鮮で安全・安心な水産物の供給を通じて、豊かで健康な都民の食生活を支える重要な役割を担っております。また、SDGsの観点に立ち、持続可能な水産業や海洋環境の保全に役立つ取組も必要となっております。
このため都は、海洋環境が変化する中でも水産資源の維持、増殖を図るため、町村や漁業協同組合の栽培漁業の取組を支援しております。
昨年度は、大島にある栽培漁業センターでアワビ、サザエ、トコブシの稚貝を計七十七万個生産し、放流を行う漁協等に安価で提供いたしました。
また、稚貝が育つ環境を整備して放流効果を高めるため、大島町、利島村、神津島村に対し、漁協が行う海藻を増やす取組への助成を実施いたしました。さらに、特に藻場の減少が著しい町村に対しましては、種苗購入費の助成を行いました。
○土屋委員 海洋環境の変化は急速なスピードで進行しています。都は、本年七月に策定した東京都栽培漁業基本計画に基づき、新たな魚類や海藻類などの種苗生産に向けた試験研究を進めるなど、しっかりと栽培漁業の推進を図っていただきたいと思います。
さらに、海洋環境の変化は、貝類や海藻の減少に加え、回遊魚の漁獲にも大きな影響を与えています。
伊豆諸島では、都の主要魚種であるハマトビウオの漁獲が減少し、漁協女性部が行う都内学校給食への加工供給品や水産加工組合のくさやの生産にも影響が出ていると伺いました。
都は、島しょ地域の基幹産業でもある水産加工業を守るため、どのような取組を行っているのか、昨年度の取組内容とその実績についてお伺いいたします。
○築田農林水産部長 都は、水産加工品の安定供給に向けまして、原料となる魚の資源管理や水産加工品の製造販売等への支援を行っております。
昨年度は、水産加工品の主要な原料でありますハマトビウオとムロアジの資源量や回遊状況等を調査いたしまして、操業の目安となるよう、漁業者に情報提供を行いました。ハマトビウオにつきましては、資源管理のため、都独自に年間の漁獲可能量を設定いたしました。
また、町村等に対しまして、急速冷凍機、冷凍冷蔵ショーケース等の設備導入や販路拡大のためのECサイト整備に必要な経費への助成を行いました。
○土屋委員 東京都の海は全国四十七都道府県の中で一番広い一方、漁業者は海に面した都道府県の中で一番少ない。そういった中で彼らは日々の操業を行いながら、東京の海、日本の海を見守ってくれており、私たち都民に東京の海の幸を届けてくれています。
引き続き、そういった島しょ地域の漁業振興を図る取組をお願いいたします。
最後に、障害者雇用の促進について伺います。
来年四月から法定雇用率が二・三から二・五%に引き上げられ、企業にとっては障害者の採用はもとより、採用した障害者の定着を図っていくことが一層重要となってきます。都はこれまでも助成金の支給や現場のサポートを行うなど、障害者の職場定着について重要な課題として取り組んできたかと思います。
そうした観点から、都が実施している障害者の職場定着支援について、具体的な取組内容及び予算、決算の状況についてお伺いいたします。
○新田事業推進担当部長 都は、障害者の職場への適応や定着を支援するため、昨年度、障害者雇用に豊富なノウハウを持つ東京ジョブコーチの派遣や、職場の同僚等で支援の中心となる職場内サポーターの養成を行いました。また、障害者を継続的に雇用する企業に対して助成金の支給を行いました。
令和四年度の障害者の職場定着支援に関する事業の予算額は約十億二千六百万円であり、決算額は約八億六千九百万円でございました。これにより、障害者の確実な定着を後押しいたしました。
○土屋委員 来年四月の法定雇用率の引上げにより、障害者を雇用しなければならない対象企業の範囲が広がります。就労意欲のある障害者と企業をつないで就労機会を増やす、いわゆるマッチングに向けた積極的な取組が併せて重要になるわけですが、国が発表した令和四年度の都内の障害者の就職件数は六千五百八十一件となっています。前年度からは八・二%の上昇、二年連続の増加となっていますが、コロナ禍前の水準までには至っていないという状況であります。
こうした観点から、都は昨年度よりTOKYO障害者マッチング応援フェスタを開催し、障害者と企業のマッチング機会の拡大に取り組んでいますが、その内容と実績について伺います。
○新田事業推進担当部長 都は、就職を目指す障害者と企業とのマッチングに向け、ハローワークと連携し、昨年度、大規模な就職面接会を実施いたしました。
会場では、特別支援学校の生徒が職業教育で習得した技能を実践するほか、優れた職場環境づくりのモデル事例の紹介などを行いました。また、来場が難しい方に向けて、著名人や専門家による講演について、ライブ配信やアーカイブ動画での配信を実施いたしました。
就職面接会には、百九十二社の企業と就職を目指す障害者千七十四名が参加したほか、会場には、その家族や就労支援機関の支援員の方、学校や企業の関係者などを合わせ、全部で千九百八十五名の方にご来場いただきました。
令和四年度の決算額は約九千五百万円でございました。これらにより、障害者と企業のマッチングを後押しいたしました。
○土屋委員 本年度は就職面接会と併せて、多摩会場でも普及啓発イベントを開催すると伺っています。
就職を目指す障害者と企業のマッチング支援の充実を引き続き図っていただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○清水委員 私からは十三問、どうぞよろしくお願いいたします。
まずは、スタートアップに対する支援について伺います。
スタートアップは、優れた技術やアイデアを生かし、様々な分野でイノベーションを生み出すことにより、社会の変革と成長を牽引する存在であります。こうしたスタートアップの中には、優れた製品やサービスを有しながら、信用力が十分でないことや、自らの力のみで新たな販路を開拓することが難しいことなどが成長の足かせになる事業者も多いと聞きます。
このような課題に対し、行政がスタートアップの製品等を率先して導入し、協力して事業を進めることで実績をつくる公共調達は、信用力の向上や事業拡大に向け非常に有効な取組であり、都民ファーストの会もかねてから、その重要性を指摘してきたところです。
そこで都は、自らスタートアップの製品やサービスを導入し、都政課題の解決を図る取組を実施していますが、昨年度の取組実績を伺います。
○山崎商工部長 都は、東京が抱える様々な行政課題の解決に向け、最先端の技術や独創的なアイデアを持つスタートアップの力を活用するため、ピッチコンテストを実施しております。
昨年度は八回のピッチコンテストを行い、このうち三回については、電力需給逼迫等への対応を図るため、HTTに関する優れた製品やサービスを持つスタートアップを対象に、電力を減らす、つくる、ためるをテーマとして実施をいたしました。
ピッチコンテストで優勝した事業者の製品等を庁内や都の関連施設に紹介することで、複数の共同プロジェクトに結びついたケースもございまして、昨年度は十四の案件について、国の政令にのっとって優先して契約できる仕組み等を活用して、その導入を図り、行政課題の解決に向けた取組を進めました。
具体的には、都の文化施設において芸術文化の新しい楽しみ方として、古典落語の世界をVR等のデジタル技術により体感できる取組や、都の関連施設においてAIにより空調運転の最適化を図ることができるシステムを導入することで、エネルギー消費量の削減につなげる取組等について協力して事業を進めました。
スタートアップとの協働による取組事例につきましては、成果報告会やSNSで広く行政機関や民間企業にPRをしておりまして、これらを通じてスタートアップの成長を後押しいたしました。
○清水委員 ありがとうございます。スタートアップとの協働事業が着実に実を結んでいることが分かりました。
こうした公共調達の取組を進め、一つ一つの成果を積み上げることがスタートアップの成長につながっていきます。この取組を通じ、人々の生活や事業活動を取り巻く様々な課題を解決することにより、私の地元である西多摩の活性化にもつなげていただくことを要望いたします。
今後も東京から飛躍するスタートアップが次々と生まれるようサポートすることを要望しまして、次の質問に移ります。
金融支援について伺います。
昨年度は、新型コロナによる感染者の急激な増加によって人手が減少するなど、中小企業の事業活動にも影響が大きく及んでいました。また、ウクライナ情勢や円安による燃料や原材料の価格高騰などが重なり、厳しい経営環境が続いています。
コロナ禍で苦しむ中小企業を救うために緊急的に実施された実質無利子、無担保のゼロゼロ融資の返済や価格高騰などで新たな資金の確保に苦慮する事業者を支えていくため、都民ファーストの会では、一層の資金繰りの支援を繰り返し要望してまいりました。
また、テレワークや時差ビズをはじめとする新しい働き方の定着を進めるべく、中小企業におけるテレワークの活用の促進や、エネルギー価格の高騰などに伴い、脱炭素化の取組を後押しする施策の充実も求めてきました。
都では、制度融資において、こうした事業者を金融面からサポートするため、どのような取組を行ってきたのか伺います。
○福田金融部長 令和四年度における新型コロナ関連の対応メニューの実績は約二万一千件、融資金額は約五千百億円でございます。
具体的には、都の実質無利子融資の返済について、資金繰りを改善するため、新たな返済期間を設定できるコロナ借換えを実施するとともに、原材料価格の高騰や円安などの複合的な要因により売上げが減少する中小企業の経営安定化を図るウクライナ情勢・円安等対応緊急融資を開始しました。さらに、感染症の影響を受けた中小企業の経営を金融機関が計画の進捗に応じサポートする伴走全国などの拡充を行いました。
一方で、政策課題に対応した融資メニューでは、テレワークや脱炭素等に対する取組を融資対象に加え、信用保証料の三分の二を助成いたしました。
このうち、テレワーク関連の融資実績は約七百件、約二百億円、また脱炭素関連の融資実績は二件、約六千万円となっております。これらにより、中小企業の事業継続を資金面からサポートいたしました。
○清水委員 コロナ禍での痛手から、回復途上にありながら資金繰りに苦しむ事業者は、今もなおいらっしゃると思います。引き続きセーフティーネットとして、中小企業の資金繰りに対して切れ目のない支援に努めていただきたいと思います。
また、脱炭素、DX、女性活躍など、都の政策課題の対応につながる取組を実施している中小企業に対して、金銭面、金融面からしっかりと後押しするために、さらなる制度の充実を図っていただくよう要望します。
次に、再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。
事業者が太陽光発電システムなどの再エネ設備を設置して、自らの事業所等で必要な電力を賄う、いわゆる電力の地産地消の取組は、再エネの導入拡大に加え、災害時の事業継続の観点からも重要です。特に私の地元の西多摩地域では、農地の上空——上の部分ですね、空間を活用して、営農を継続しながら発電を行うことや、工場の屋根や空いているスペースへの設置など、より大規模な太陽光システムの導入ポテンシャルを有しており、私はその取組に注目しています。
そこで都は、事業者向けに地産地消型再エネ増強プロジェクトを展開し、再エネ発電設備等の導入支援を行っていますが、令和四年度の実績と西多摩地域における実績や導入事例についてお伺いいたします。
○阿部産業・エネルギー政策部長 電力需給逼迫対策や災害時のレジリエンス向上にも役立つ再生可能エネルギーの導入拡大を図ることは重要であり、都内や東京電力管内の都外において、事業者のエネルギーの地産地消の取組を促進してまいりました。令和四年度においては百七十件、約十七億三千万円の交付決定を実施し、家庭用太陽光パネルに換算して、およそ二千八百軒分に相当する約一万一千キロワットの太陽光発電による再エネ電力などの確保を図りました。
このうち、西多摩地域では十件で、合計約八百六十キロワットの交付決定を行いました。一件当たりの設備規模は、平均で区部と比較して約二倍となっておりまして、大型の商業施設や工場の屋根に大規模な太陽光発電設備を設置した事例などがございます。
○清水委員 本事業は今年度までと伺っておりますが、山間部を多く抱える西多摩地域では、災害発生時に倒木などにより停電が長期化するリスクがとても大きいんです。こうした観点からも、地産地消による再生可能エネルギーの利用を後押ししていくことは必要不可欠です。
来年度以降も、ぜひ事業者のこうした取組がさらに進むよう支援していただくとともに、その際にはウェブ上の動画配信などによる事業説明や具体的な導入事例、導入効果の発信など、事業者の設備導入のきっかけとなるような情報提供を充実させるといった工夫も凝らしていただくよう要望して、次の質問に移ります。
コロナ禍の影響により、これまでの都内の観光関連事業者は厳しい経営を強いられてきました。
しかし、昨年十月からは、段階的に海外から多くの旅行者が東京を訪れることが可能となり、現在では一部の地域でオーバーツーリズムが懸念されるほど、都内各地がにぎわいを取り戻しつつあります。
都民ファーストの会ではこれまで、旅行需要の回復を着実に進め、観光をきっかけとした地域経済の活性化につなげていくため、東京への誘客に向けた取組などの充実を強く求めてきました。
東京に海外から旅行者を呼び込むに当たっては、都内全域で旅行需要を享受できるよう、西多摩地域などにも足を伸ばしてもらい、各地への周遊を促すことが重要です。
そこで、インバウンド需要の早期回復に向けた観光PRについて、都の取組内容と実績を伺います。
○向井観光部長 都は、コロナ禍で落ち込んだ海外からの旅行需要の早期回復に当たりまして、旅行者のニーズ等を踏まえ、区部、多摩・島しょ、それぞれの魅力を訴求できるよう、旅行者が増え始める時期を捉えて、多様なメディアを活用した集中的なプロモーションを実施いたしました。
具体的には、国内外在住の十六名のインフルエンサーがSNSを通じて、江戸切り子の制作体験のほか、自然を感じられる奥多摩でのカヤック体験などの情報を約百四十回発信した結果、約四千万回の閲覧がございました。
また、令和五年二月から、海外のテレビ番組を活用したPRを行うとともに、春から夏にかけ、需要が見込まれる個人旅行者を対象とし、世界で有力な旅行事業者と連携して、訪都を促すキャンペーンを行いました。キャンペーンサイトでは、二か月間で約二万回の閲覧数となりました。
これらの取組により、外国人旅行者の都内各地への旅行意欲を喚起し、誘客を図ってまいりました。
○清水委員 ありがとうございます。実は昨日の早朝も私、小河内ダム、ここから百キロ離れているんですが、小河内ダムでちょっと仕事をしていたんですけれども、何と海外のウクライナのモデルさんですとかが自転車に乗って、小河内ダムの、行ったり来たり行ったり来たり、ドローンで撮影していたんです。東京都の何か補助金使っていますかっていったら、ちょっと分からないということだったので、私も一生懸命説明はしていきますが、これまで様々な手法を用いてプロモーションを行ったことは分かりました。
外国人旅行者が国内旅行で長期滞在する場合、その最終日を実は空港に近い都内で過ごすことが多いと伺っております。この一日を利用して、都内各地で誘客するための情報発信も効果的かなと思っております。引き続き、訪都外国人旅行者のさらなる獲得に向けて取組を進めていただきたいと思います。
次の質問です。地域の観光振興について伺います。
私の地元の西多摩地域は、都心に近い観光地でありながら、緑や水に恵まれた豊かな自然や独自に恵まれた文化や伝統、歴史ある寺社仏閣など、地域の人々が大切に守ってきたものが数多く存在します。
一方で、観光施設の老朽化や散策路等の荒廃、情報発信の少なさなどから、西多摩地域を訪れる旅行者が快適に観光を楽しむには課題もあります。地域の実情に精通する地元の自治体と連携して、旅行者の受入れ環境を整備していくことが急務です。
そこで、昨年度都が行った西多摩地域における観光施設の整備や情報発信などへの支援について、その実施状況をお伺いいたします。
○向井観光部長 都は、地域の観光振興を支援するため、地元の自治体が取り組む観光施設の整備や情報発信、観光イベント実施などについて、ハード、ソフトの両面から支援を行いました。これまでも西多摩地域におきましては、観光地の遊歩道整備や観光トイレの改修のほか、観光ガイドブックや山歩きマップの作成など、観光客の受入れに向けた地域の取組をサポートしてまいりました。
昨年度は、観光客に人気のある檜原エリアの温泉施設の設備改修や、秋川渓谷の四季の魅力を伝えるリーフレットの作成などの支援を合計で十七件行い、地元自治体からは、本事業が誘客促進につながったとの声もいただいております。
こうした取組により、地元にとって重要な観光資源の保全やPRにつなげてまいりました。
○清水委員 これまで西多摩地域でこうした支援を行い、旅行者の受入れ環境が整備されてきたことが分かりました。とはいえ、まだまだ伸び代、対応すべき政策などはあると思いますので、引き続き、地域のニーズを踏まえた支援の充実をお願いして、次の質問に移ります。
次は、東京農業の振興について伺います。
東京の農業は農地の面積が限られており、大型化や機械化等による効率化が図りにくいということが挙げられます。農産物の付加価値を高めるため、農業経営者の皆さんは日々努力を重ねています。
しかし、近年の原材料や原油等の価格高騰により農業関連資材が高騰し、農業を取り巻く環境は厳しさを増しています。このような変化にも対応し、農業者がしっかりと稼げる農業を実践できるよう支援することが必要です。
そのためには、農産物を高値で販売できるよう、差別化やブランド化を図ることが効果的であり、私はこれまでもこういった取組にチャレンジする農業者を支援することの重要性を取り上げてまいりました。
都は、収益性の高い農業を目指す農業者に対して、どのような支援を行ってきたのか、昨年度の取組状況について伺います。
○築田農林水産部長 都は、農業者が収益力の高い農業経営を実践できるよう、経営の専門家による助言や農産物の付加価値向上に向けた取組への助成など、ソフト、ハードの両面から支援を行っております。
昨年度は、経営改善に取り組む農業者に対しまして、農産物を加工するためのレシピ開発やブランド化に向けたパッケージデザインなど、百二十七件につきまして専門家によりアドバイスを実施いたしました。
また、農産物を包装するフィルムデザインや贈答用の箱の製作、PR用の看板やSNS広告の作成など、五十一件の取組に助成を行いました。
さらに、生産力の向上に向けまして、パイプハウスの設置や効率的な果樹栽培システムの導入など、二十九件の施設整備に対しまして助成を実施いたしました。
○清水委員 ただいまの答弁で、多くの農業者に対して収益力向上に向けた支援策が行われていることが分かりましたが、私の地元の農業者の中には、都の支援制度を実は知らない、自らの努力だけで農業経営を行っている方もちらほら見られます、パンフレットは一生懸命配っているんですけれども。都の事業の情報がいまだ十分に行き届いていないということをしっかりと理解していただき、積極的な情報発信を行っていただきたいと強く要望して、次の質問に移ります。
さて、都内の人工林面積は約三万ヘクタールあります。戦後に植えられた多摩地域の杉やヒノキの人工林は、利用に適した時期を迎えています。
しかし、昨年度末までに伐採を完了した面積は約七百五十ヘクタールであり、昨年度一年間では約六十ヘクタールの伐採を行ったと聞いています。今後はさらに計画的に伐採を行い、木材利用を進め、森林循環そのものを促進することが重要と考えています。
そこで、昨年度実施した約六十ヘクタールの伐採に伴って発生した多摩産材の出荷量について伺います。また、都では各局が多摩産材の積極的な活用を進めていますが、昨年度の利用実績についてお伺いいたします。
○築田農林水産部長 昨年度の多摩産材の出荷量は約二万二千七百立方メートルでございます。このうち、約一万三千八百立方メートルは建材用に、約八百立方メートルは合板用に、その他はチップとして出荷されております。
都の関連施設における多摩産材の利用実績は約一千七百立方メートルでございまして、主に建物の内装や机、椅子等の什器に使われております。
○清水委員 森づくり推進プランに掲げる二〇三〇年度の多摩産材年間供給量の目標は三万六千立方メートルですが、達成できていません。建材用として出荷された多摩産材は一万三千八百立方メートルとのことですが、木材住戸一戸当たりの木材使用量を仮に二十立方メートルと仮定すると、まだまだ約六百九十戸の住宅に使用されたことにとどまります。これは都内の住宅着工数と比較すると非常に低い数字であり、まだまだ伸び代があるのかなと、宣伝すれば活用の余地があるのかなと私は感じています。
多摩地域の森林現場は、林業事業者数の減少や急峻な地形による作業の難しさなど、多くの課題を抱えています。都は、継続的な人材の育成や先進林業機械の導入による効率化の推進を進めるなど、さらなる取組の強化を図るよう要望しておきます。よろしくお願いいたします。
一方、建築関係者や住宅メーカーでは、一昨年のウッドショックを契機に、外国産の木材から多摩産材をはじめとする国産木材への切替えの動きが見られます。国産木材への関心が高まっている機会を捉え、多摩産材の活用を一層進めることは、多摩地域の林業振興だけではなく、自然災害の防止や環境負荷の軽減という点からも大切です。
都は、多摩産材の活用を促進するために様々な施策を行っていますが、昨年度の取組内容についてお伺いいたします。
○築田農林水産部長 都は、多摩産材の消費拡大に向けまして、その魅力を発信するとともに、木材建築関係者の販路開拓に向けた取組を支援しております。
昨年度は、そのぬくもりや木目の美しさなどを効果的にPRするため、多くの人が集まる施設の壁や床、塀などに多摩産材を利用する取組に対しまして十三件の助成を行いました。
また、多摩産材を使った玩具やベンチなどの木材製品や取扱事業者を紹介する特設サイトを開設するとともに、製品のカタログを増刷し、都内の建築事務所や建設会社など約三百社に宣伝を行いました。
さらに、国産木材の展示商談会において多摩産材のPRコーナーを設け、テーブルや椅子等の展示を行うとともに、一般消費者に対しまして、まないたやお盆などの生活用品の販売を行いました。
○清水委員 各種事業により多摩産材の需要を喚起し、その利用を広げていくことは重要です。しかしながら、こうした取組について必ずしも十分な情報が届いているとはいえません。
多摩産材を使った家づくりへの支援など都が行っている事業について具体的に都民や事業者に伝え、制度を有効に利用していただけるよう、効果的な情報発信を行っていただきたいです。
例えば工務店向けなど、ターゲットに応じたパンフレットなどの作成や、ユーチューブによる動画配信なども考えられます。
実は昨日も、新宿の駅降りて都庁に向かうまで、静岡の何か木材の展示会をやっていたんです。すごくPRも上手だし、パンフレットもうまいし、そんなところも参考になるのではないかなとちょっと感じました。
今後の取組の成果についても、分かりやすく発信していただきたいと思います。よろしくお願いします。
次に、女性の再就職支援について伺います。
今年七月発表の国の調査によりますと、女性の有業率は五三・二%と過去最高となったものの、二十代後半を境に正規雇用比率が低下する、いわゆるL字カーブが課題となっています。再就職を目指す女性の中には、結局、育児や家事に追われて就職活動に十分な時間がかけられない方や、ブランクのために就労に不安を抱えている方も多くいます。
私自身も実際に仕事と家庭の両立ができた日がなくて、この気持ちはとてもよく分かります。
都民ファーストの会は、女性が抱えるこうした実情に寄り添い、就業相談等を身近な地域で受けられるよう都に求め、都は昨年度、女性しごと応援キャラバンを開始しました。
私の地元でも実施され、適切なサポートを受ける機会の乏しかった女性求職者が多く参加し、家庭状況の変化から働く必要が生じたが、就職活動の経験が乏しく、どう進めていいか分からないなど、切実な声が届いていると聞いています。
こうした都内各地で就労の悩みを抱える女性に必要な支援が行き届くよう実施すべきですが、女性しごと応援キャラバンについて取組内容と実績をお伺いいたします。
○新田事業推進担当部長 都は昨年度、育児中の女性等を対象としたアウトリーチ型の就労支援として、都内各地に出向き、セミナーと就業相談を行う女性しごと応援キャラバンを開始しました。
具体的には、就職活動のノウハウを提供するセミナーと個別に相談ができる就業相談会をセットにしたイベントを都内各地で年間五十回実施いたしました。これにより、予算額約二億円に対して約一億九千万円の決算となりました。
これらの実施に当たっては、SNSやウェブ広告、地域の求人情報誌など様々な媒体を組み合わせて事業の周知を行いました。また、会場には子育て中の女性も参加しやすいよう、託児コーナーを併設するなど工夫を行い、千四百九十名の参加を実現しました。
○清水委員 家庭の事情などで就職活動に踏み出せない女性にとって、身近な地域で就労支援が受けられる、こうした夢のような仕組みは女性の就労に向けて大きな後押しになります。また、都内各地で展開したことにより、多くの女性の支援に結びついたことが分かりました。これはとても大きいことで、感謝いたします。
その一方で、支援を必要としながらも情報が届いていない女性はまだまだ多くいると感じます。今後は、地域包括支援センターや保育園を抱え、そうした保育園などを前提に、そうした方々の身近な相談窓口になっている区市町村とまずは連携するなど、事業の周知を一層強化し、適切な支援につなげていただきたいと思います。頑張ってください。よろしくお願いいたします。
一方で、就職活動は一朝一夕で決まるものではありません。とりわけ、子育てしながら就職活動となると、家庭の事情から制約も多く、希望する仕事に巡り会うまで長い道のりになることが多いです。
私自身の子育ての経験からいっても、育児をしながらの就職活動は心身ともに大変な苦労が伴うであろうことが容易に想像できます。特にシングルマザーの方は就職活動の時間的な制約や育児と両立の課題があり、悩みは一層深刻です。
女性しごと応援キャラバンは、就職活動に不慣れな方や就職を思いとどまっていた方の背中を後押しするまたとない機会となり得ますが、一過性のイベントで終わらせず、就職まで女性に寄り添う伴走型の支援が必要と考えます。
そこで、女性しごと応援キャラバンに参加した女性求職者の就職に向けてどのように取り組んだのか伺います。
○新田事業推進担当部長 育児等を抱える女性の再就職支援に当たっては、女性しごと応援キャラバンの参加者が引き続き必要な支援を受けられるよう、きめ細かい対応を行いました。
具体的には、キャラバンの参加者に対し、セミナー等受講後も引き続きキャリアカウンセリングや各種セミナー、職業紹介などのサポートをしごとセンターにおいて行いました。
また、シングルマザーの方に向けては、しごとセンターに専門の窓口を設置し、三百二十八名にカウンセリングを実施したほか、育児中の方に向けて区市町村の保育情報の提供を行うとともに、企業内保育を整備するなど育児等との両立がしやすい環境づくりを進める企業との就職面接会を開催いたしました。
○清水委員 これまで家庭の事情などで就職活動の経験がない方や、シングルマザーの方などにとって、就職まできめ細かく対応してくれる伴走型の支援は大変な大きな励みになります。さきの定例会一般質問でも取り上げましたが、働く場としてのソーシャルファームと、就労に困難を抱える方とのマッチング促進も効果的だと思います。
今後も一人でも多くの女性の希望がかなうよう、きめ細かく丁寧な支援に取り組んでもらいたいと思います。
次に、育児休業について伺います。
都は令和四年度に、これまで仕事を休む期間という印象がありました育児休業のイメージを一新するため、新たな愛称を育業と決定し、社会のマインドチェンジに取り組んでいます。
令和四年度に実施した都の調査によれば、女性の育業取得率はおおむね九〇%台半ばで推移している一方、男性は平成二十五年の一・七%から令和四年度には二六・二%となり、一定の向上が見られるものの、その伸びは十分とはいえません。都の政策目標である二〇三〇年に男性の育業取得率九〇%台を実現するためには、男性育業に対する経営者等の理解を促進するとともに、育業を推進する企業に対する支援等を行い、男女ともに育児と仕事の両立ができる職場環境の整備を進める必要があります。
そこで都は、都内企業における育業を一層推進していくため、令和四年度にどのような取組を実施してきたのか伺います。
○新田事業推進担当部長 都は、男性育業への理解を広げるため、男性育業の取得率に応じた登録マークを企業に提供し、会社のイメージ向上や求人をスムーズに進められるよう後押しを行いました。また、そうした優れた取組を幅広く紹介し、男性育業を促進しました。
令和四年度に登録マークを付与した企業のうち、育業対象となる男性が全員育業した事例は十二社となったほか、半数以上が育業した事例は十二社となりました。
また、ライフ・ワーク・バランスを推進するイベントにおいて、男性育業の普及を図るフォーラムを開催し、講演会や先進事例の紹介等を行い、五百九十名が参加いたしました。
このほか、男性育業を促進するため、その休業中に代わりとなる社員を確保するなどの企業の取組を奨励金の支給により七百件支援をいたしました。
○清水委員 男性の育業取得率を引き上げ、家事、育児が女性に偏る現状の改善を図る施策は、男女を問わず、自己実現ができる社会の構築につながる大変重要な取組です。
一方で、育業取得率の計算は、男性の場合、育児休業取得者数を配偶者が出産した社員数で割ったものですけれども、一日でも育業を取れば取得者としてカウントされるなど、いわゆる取るだけ育休の問題がなお存在します。
そこで、令和四年度に実施した都の調査において、育業を行った従業員の取得期間は男女別にどのぐらいであったのか伺います。
○新田事業推進担当部長 都は、職場における男女平等の推進の実態と課題を把握するため、東京都男女雇用平等参画状況調査を実施しております。
令和四年度事業所への調査では、男性は一か月以上三か月未満が三八・三%と最も多く、次いで五日以上二週間未満が一五・八%となりました。また、女性では六か月以上一年未満が三一・五%と最も多く、次いで一年が二六・六%となりました。
○清水委員 全体的に男性の方が女性よりも育児休業の取得期間が短いことが分かりました。育児は、未来を担う子供を夫婦が両輪となって育てる大切で貴い仕事です。男性従業員の四人に三人は一日すら育業していないという現状を改善することと併せて、今後は都は育業の質にも着目し、そのさらなる向上に資する支援を図っていただきたいと強く思います。
最後に、雇用政策について伺います。
コロナ禍を経て、企業の現場では人手不足の課題が表面化しています。一方で、離職者の中には就職活動が長期化するなど雇用のミスマッチが生じており、こうした雇用の需給調整を図る対策が求められます。
都民ファーストの会の要望により実現した東京版ニューディールでは、企業とのマッチングや職業訓練などの施策を大幅に拡充するだけでなく、コロナ禍でも採用意欲の高い成長産業分野や介護等への人材シフトにも貢献できたのではないかと考えます。
こうした雇用のミスマッチを解消し、離職者に再活躍の場を提供していく取組が今後ますます重要となります。離職者の再就職支援に当たって、求職者がそれまでに経験をしたことがない仕事や業界での就職にチャレンジできるよう支援すべきと考えますが、都はどのように取り組んだのか伺います。
○内田雇用就業部長 都は昨年度、コロナ禍で離職された方などに対しまして、これまでに経験したことのない職種などでの派遣就労を通じて早期に再就職できるよう支援を実施いたしました。
具体的には、各職種に求められる実践的なスキルを身につける機会を確保できるよう、企業に最大二か月間派遣し、再就職を後押しいたしました。また、派遣先となる会社については、IT等の成長産業や介護等の人手不足の業種など、採用意欲の高い分野をはじめとして幅広く確保を図りました。
これにより四千四百六十五社、一万九百八十三名分の求人を開拓し、三千七百五十七名の求職者を千二百七十二社の求人企業へ派遣をいたしました。その結果、千三百四十三名の方が再就職を実現いたしました。
○清水委員 実際の企業現場で実務を学ぶ派遣就労はリスキリングにもつながり、離職者の再就職やその後の定着に向けて効果的な橋渡しとなります。
今後は、国の労働市場改革もあって、新たな分野にチャレンジする求職者が増加することも見込まれます。こうした状況も踏まえ、東京版ニューディールのような事業の成果を生かしながら、円滑なマッチング支援に取り組んでもらいたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○竹平委員 よろしくお願いいたします。
初めに、中小企業への支援策についてお伺いいたします。
まずは、中小企業制度融資について質問をいたします。
都議会公明党はこれまで、中小企業の経営の命綱ともいえる資金繰りを支えるため、一貫して制度の充実を提案してまいりました。新型コロナの発生当初の無利子、無保証料の感染症緊急融資の実現に始まり、原油価格の高騰やウクライナ情勢を受けた資金繰り支援の強化、さらには感染症融資の返済に苦しむ中小企業の方々の声を受けて、返済の猶予につながる借換え融資の創設を求め、その都度、時局に応じた支援が開始されてきました。
令和四年度においては、原油や原材料価格の高騰、円安などの影響を受けた中小企業の感染症融資の返済負担のさらなる軽減を図るため、保証料補助に加え、利子補給の実施を要望し、その実現が図られました。
そこで、令和四年度に実施したこれらの支援策の内容を改めて確認するとともに、利用実績をお伺いいたします。
○福田金融部長 都では、感染症融資の返済開始や、ウクライナ情勢等の影響を受ける中小企業の資金繰りを支援する融資メニューにより、負担の軽減を図ってまいりました。
具体的には、令和四年四月から都の実質無利子融資の新たな借換え制度を開始し、借入金返済の据置期間を実質無利子融資と同様の最長五年間とするほか、全事業者に対し、信用保証料を融資金額八千万円までは全額補助いたしました。この融資の実績は約四千件、約一千五百億円となっております。
また、令和四年七月からは、ウクライナ情勢や円安、感染症などの複合的な要因により売上げが減少する中小企業の経営安定化を図る緊急融資を開始し、全事業者に対し信用保証料を融資金額八千万円までは全額補助いたしました。この融資の実績は約一万三千件、約二千六百億円となっております。さらに、これらの融資に対して、借入れ後一年間に生じる利子について二分の一を助成しました。
こうした取組により、中小企業の資金繰りを下支えいたしました。
○竹平委員 現在もエネルギー価格や物価高騰、円安などの影響によりまして、一層中小企業の経営を取り巻く環境は厳しさが増しております。
都は引き続き、中小企業の経営状況に寄り添った資金繰り支援を機動的に行っていただくよう要望いたします。
次に、原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業についてお伺いします。
令和四年二月に始まったロシアのウクライナ侵攻などの影響で原油価格が高騰し、コロナの影響も受けてきた中小企業の方々にとって大きな打撃でございました。
都は、翌月の三月から中小企業による固定費削減などの取組への支援を開始いたしましたが、その後も原油価格の高騰が長引いたことから、都議会公明党は緊急要望などで、燃料高騰の影響が多い運輸業やクリーニング事業者などに対し、より一層の支援を行うよう強く求め、都は令和四年第二回定例会の補正予算において、中小企業による省エネの取組を後押しする原油価格高騰等に伴う経営基盤安定化緊急対策事業を新たに開始いたしました。
そこで、本事業の取組内容を改めて伺うとともに、昨年度の実績と具体的な支援の事例についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 都は、原油価格高騰等の影響が続く状況を踏まえ、厳しい経営状況にある中小企業への緊急的なサポートを昨年六月より開始をいたしました。この事業では、経営の専門家を企業の現場に派遣し、エネルギーコストの削減に向けたアドバイスを行うとともに、その助言に基づき、省エネ効率の高い機器や設備などを導入する際に必要となる経費について、助成率五分の四、一千万円を上限に支援をいたしました。
令和四年度は百六十三社に専門家を派遣するとともに、助成金申請のあった八十一社に対して約五億二千万円の交付決定を行いました。
具体的には、運輸事業者が燃費よく走行のできるタイヤを導入することでコストの削減を図る取組や、クリーニング事業者が機械の中で洗剤を回収して再利用できる乾燥機を導入することで、洗剤の使用量を約二割まで減らす取組等を支援しております。
ご利用いただいた中小企業からは、設備の導入に加えて、社員全体で省エネ意識を高めるきっかけになったといった声や、削減が見込まれるコストを可視化することで、正しい数字に基づいて経営を行うことができるようになったなどといった声をいただきました。
○竹平委員 省エネ効率の高い機器や設備などの導入によりコスト削減につながる、この事業にスピード感を持って取り組み、経営に苦しむ中小企業をサポートしたことは評価したいと思います。今はウクライナ危機に加え、中東情勢の先行きが不透明であり、状況によってはさらに原油が急騰することも懸念をされます。
今後とも時期を逸することなく、事業者のニーズに即した支援策に取り組むよう要望いたします。
次に、ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業について質問をいたします。
東京都は、二〇五〇年にCO2排出実質ゼロを目標として、ゼロエミッション東京の実現に向けた取組を進めています。近年は環境負荷の低下に向け、様々な技術や製品の開発、普及が進み、自動車産業などでもEV車などによる構造の変化が見込まれております。
こうした状況をチャンスと捉え、自社の製品やサービスを脱炭素の分野に適合させていくことは重要であります。しかし、中小企業の多くは、技術力に優れていても資金力や販路に乏しく、既存の事業を転換することに二の足を踏んでいるのが現状だと思います。
都は、昨年度からゼロエミッションの推進に向けて、中小企業の事業転換をサポートする事業を開始しておりますが、この取組の内容と、またどのぐらいの応募があり、実際に採択をされたのか、実績についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 都は、環境分野で活用できる技術を持つ中小企業に対して、脱炭素分野への参入事例を紹介するセミナーや大企業とのマッチングを行うほか、新製品の開発等に必要となる原材料費や機械装置購入費、調査等の業務委託費、建物賃借料、人件費などの経費の最大三分の二、一千五百万円を上限に支援を行いました。
令和四年度は二十四件の申請があり、EV関連三件、再生可能エネルギー関連二件、リサイクル材料関連一件の合計六件を採択いたしました。採択した案件の中には、中小企業の持つメッキ処理の技術を活用し、電気の流れを向上させる皮膜加工を行ってEV用電池を効率的に活用できる取組を支援した事例などがございます。
さらに、省エネルギー化やCO2の削減につながる製品等をECサイトや国内外の展示会等に出展する経費について、助成率三分の二、百五十万円を上限に支援をしておりまして、昨年度は三十六件の申請の中から二十九件を採択いたしました。
具体的には、雨水を吸収して蒸発する水分により暑さを抑えることのできるコンクリート舗装材や、EVに搭載するために軽量な素材を用いた蓄電池の格納ケースなどの販路の拡大を支援しております。
○竹平委員 中小企業がゼロエミッション分野への参入を目指し、前向きに取り組んでいることが分かりました。今後も中小企業の業態転換をしっかりと支援することを要望いたします。
次に、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進に向けた取組について質問をいたします。
二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向け、東京都は二〇三〇年のZEVの新車販売割合を五〇%まで高める目標を掲げており、その普及を進めていくことは大変重要でございます。世界的にも自動車のEVシフトが急速に進み、メーカーからは、EVやPHEVの新たなモデルが次々と販売をされています。
こうした機運の盛り上がりを定着させ、都民や事業者が自動車を購入する際に、これらの車両を選択することができるよう、しっかりと支援することが必要であります。
そこで、令和四年度に都が実施したEVやPHEVの購入に対する支援について、取組とその実績をお伺いいたします。
○榎園新エネルギー推進担当部長 都はこれまで、個人や事業者を対象にEV等の購入費用の補助を行ってまいりました。令和四年度は一台当たり、個人に対しましてはEV、PHEVともに四十五万円、事業者に対しましてはEVは三十七万五千円、PHEVは三十万円の補助を行いました。さらに、EV、PHEVの購入と太陽光発電設備の設置を併せて行う場合に、補助額を最大で、個人に対しては三十万円、事業者に対しては二十五万円上乗せする仕組みを導入いたしました。
また、補助制度の活用促進のため、リーフレットを作成し、自動車販売店等の協力を得て来店者への周知に努めました。令和四年度はEVとPHEVの合計で、令和三年度の約三倍の一万七百四十九台、約四十九億九千万円の交付決定を行い、その普及を後押しすることができました。
○竹平委員 昨年度と比べてZEVの導入台数が大幅に増加していることが分かりました。引き続き、ZEVの導入に対する都民や事業者への様々な支援を強力に進めることを要望いたします。
次に、地球環境に優しいエネルギーであるバイオ燃料の導入促進に向けた取組について質問をいたします。
カーボンハーフやその先の二〇五〇年のゼロエミッション東京を実現するためには、環境負荷の少ないバイオ燃料の活用と、その普及を進めていくことも重要であります。
バイオ燃料は燃焼時にはCO2を排出するものの、原料となる植物などが成長過程で光合成によりCO2を吸収することから、カーボンニュートラルを実現できるエネルギーとして注目をされております。
昨年度、バイオ燃料を使用した屋形船の運航を行った際、都議会公明党も乗船し、視察いたしました。あれだけの大きな船に多くの人を乗せて船を動かしているのが使用済食用油やミドリムシから抽出した油などから作られたバイオ燃料とのことで、大変驚いたわけでございます。
また、航空分野においては、国際的に脱炭素化に向けた動きが加速しており、持続可能な航空燃料であるSAFの導入拡大が求められております。
一方で、こうしたバイオ燃料やSAFは供給量や価格の面で課題も存在することから、様々な場面で活用事例を増やし、普及に向けて支援することが必要だと思います。
そこで、令和四年度に都が実施したバイオ燃料導入促進事業の内容と取組について、状況をお伺いいたします。
○米澤産業政策連携促進担当部長 都は昨年度、環境に優しいバイオ燃料の活用促進と普及を目的として、バイオ燃料の開発と生産に取り組む有力なスタートアップ企業と協力し、自動車や航空機、船舶などの様々なモビリティーでの活用を進めてまいりました。
具体的には、バイオ燃料によりまして、東京の観光資源である屋形船を七隻運航したほか、都民に身近な都営バスを七路線五十八台運行いたしました。また、調布から東京の島を結ぶ定期旅客便四路線でSAFを活用した運航を実施するなど、陸海空のフィールドにおいて合わせて九つの取組を行ってまいりました。
これらの取組を都民や事業者等に効果的に発信するとともに、特にバスや航空等の運輸事業者に対しまして積極的に紹介することで、その普及を後押ししてまいりました。
○竹平委員 バイオ燃料やSAFはカーボンニュートラルに向けた決め手の一つでもあり、その普及拡大はとても重要であります。引き続きZEVの普及促進などの取組と併せて、バイオ燃料を活用した事業化に対する支援を行い、運輸部門からのCO2排出量削減を推進していかれますよう要望いたします。
次に、水素エネルギーの普及拡大についてお伺いいたします。
国は今年の六月に水素基本戦略を六年ぶりに改定をし、水素等の導入量など、大きな目標を設定いたしました。ゼロエミッション東京の実現には、再生可能エネルギーの主力化とともに、水素エネルギーの早期実装化が欠かせません。
都は、令和四年三月に東京水素ビジョンを作成し、普及に向けて着実に取り組んできたと理解をしていますが、令和四年度にはどのような取組を行ってきたのかお伺いいたします。
○榎園新エネルギー推進担当部長 東京でのゼロエミッションの実現に向けて再生可能エネルギーの利用を増やすとともに、水素をはじめとする新エネルギーの活用を進めていくことは不可欠でございます。
特に水素は様々な資源から生み出すことができ、太陽光発電などで作ったエネルギーを長期間にわたり大量に蓄え、電力需要に応じて速やかに活用できるなどのメリットを持ち、この普及に力を入れることは重要でございます。
そこで都は、グリーン水素の製造設備を工場等の敷地に導入する取組等を支援してまいりました。また、令和四年十月には、グリーン水素の製造等で実績のある山梨県と協定を結び、その生産や活用に向けた取組を進めてまいりました。
さらに、燃料電池自動車や燃料電池バスの導入を支援いたしまして、令和四年度までの助成の件数は、燃料電池自動車千五百二十一台、燃料電池バス百二台となってございます。
○竹平委員 運輸部門を中心に水素利用が広がり、また、グリーン水素の利用に向けた取組が始まっていることが分かりました。
さて、令和四年度の決算では、ZEV普及促進事業において約三百三十四億円、水素利活用促進事業において約七億円が支出されております。このうち助成事業は、都と東京都環境公社とで協力して取組を進めていると聞いておりますが、昨年度はどのように取組を進めたのか、その考えと大要をお伺いいたします。
○榎園新エネルギー推進担当部長 水素利活用の普及を進めていくためには、水素ステーションや水素製造利用設備を着実に導入していくことが必要でございます。こうした中、水素ステーションの整備におきましては、用地選定に始まり、設計、土木、建築工事、検査と、完成までに多くの期間が必要となります。
また、多くの設備は受注生産であるため、やはり一定の時間がかかる実情がございます。このため、事業者が複数年にわたって着実に取組を推進できるよう、都は令和三年度から七年度までの間におきまして、年度をまたいで柔軟に助成をできるよう、東京都環境公社に基金を設けて支援を行ってございます。
令和四年度は、水素ステーションの新設について、水素を高圧にする圧縮装置や貯蔵する装置のほか、車に水素を供給するディスペンサー、周囲を囲う障壁などを整備する経費に助成を行ってございます。そのほか、都内十五か所の水素ステーション運営に関わる助成も行ってございます。
○竹平委員 水素エネルギーは将来に向けて大変重要な取組でございます。ぜひスピード感を持って推進していただきますよう要望いたします。
次に、MICE誘致について伺います。
感染症の影響は、デジタル活用の進展など社会経済活動に大きな変化をもたらしました。MICEにおいてもオンラインの活用など、従来の開催の在り方に変化が生じたと聞いております。水際対策の緩和により国際的な人の往来が回復し、MICEの誘致競争も再び活発になってきています。
東京が海外都市との競争を勝ち抜き誘致を実現するためには、コロナ禍を経たMICEの開催形態の変化やDXへ対応することが必要であり、主催者も都の支援を期待していると考えます。
都は昨年度、次世代型MICEの推進に関する支援を実施いたしましたが、具体的な取組内容と実績、そして主催者からどのような声があったのかをお伺いいたします。
○向井観光部長 都では昨年度、コロナ禍によるMICE開催形態の変化などを踏まえ、様々なテクノロジーを活用した会議等の開催を後押しするため、次世代型MICEの推進に関する支援を開始いたしました。
具体的には、対面形式とオンライン形式を併用したハイブリッド型の会議等におけるオンライン化に要する費用につきまして、一件当たり六百万円を上限に十件の助成を行いました。
また、今後のMICEでの活用が期待できる先端テクノロジーを紹介する主催者向けガイドラインを策定いたしました。このガイドラインに基づいて、MICE開催時におけるテクノロジーを導入する費用に関し、一件当たり三千万円を上限に三件の助成を実施いたしました。
同時通訳システムを使って登壇者の音声をリアルタイムにAIが認識し、多言語化する取組や、ウェブを介して操作可能なロボット機器を用いて会議への遠隔参加を行う取組などに助成し、主催者からは、会議運営の効率化や参加者の満足度の向上につながったなどの声がございました。
○竹平委員 ハイブリッド型のMICEの開催や多言語化システムの活用など、先端テクノロジーの実装に関する支援を行い、会議運営の効率化が図られ、効果があったなどということが分かりました。
今後は他の企業や団体が参考になるよう、会議等でのテクノロジーの活用事例を都のホームページ等、また様々な媒体を通じて紹介するなど、さらなる東京のMICE誘致を進め、会議やイベントに参加する方を呼び込むため、新たな支援内容をバージョンアップさせていくことを要望します。
次に、宿泊施設のバリアフリー化支援について伺います。
二〇二五年に、ここ東京で世界陸上とデフリンピックが開催をされます。海外からもたくさんの来場者が見込まれ、東京の魅力を知っていただく、東京にとっても大きなチャンスであります。
東京二〇二〇大会を機に、全国で初めて一般客室の整備基準を条例に定めるなど、宿泊施設のバリアフリー化を積極的に進めてきましたが、二つの国際大会に向けて一層取組を進める必要があります。デフリンピックも控える中で、昨年度の宿泊施設のバリアフリー化の取組とその実績、また具体的な事例についてお伺いいたします。
○向井観光部長 都は、東京を訪れる高齢者や障害者などが宿泊施設を快適に利用できるよう、客室や共用部等のバリアフリー化に係る経費の一部を助成するとともに、宿泊事業者等に向けたセミナーの開催などを実施してまいりました。
補助事業の昨年度実績につきましては、施設の改修及び整備等が三十二件、約五億五千八百万円、備品の購入は六件、約五百万円でございました。
具体的には、段差解消に向けたスロープの設置や障害のある方が一人での入浴を可能とするシャワーチェアの導入など、利用者の安全性や利便性の向上を図る取組への支援を行いました。
セミナーにつきましては、アクセシブル・ツーリズムの可能性や、聴覚に障害のある方などが求めるホテルの対応等をテーマとして、障害のある方が感じる不便や不安に対して適切に対応するために必要な設備の導入事例の紹介などを行いました。
○竹平委員 必要な財源を措置した上で様々な障害のある方が安心して利用できる環境整備を進めてきたことは評価いたします。世界陸上とデフリンピックに向けて、引き続き宿泊施設のバリアフリー化にしっかりと取り組んでいただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
次に、中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業についてお伺いいたします。
本事業は、都議会公明党の提案により、人材不足の建設業やIT業、ものづくり企業に就職した学生などに、三年間にわたって最大百五十万円の奨学金の返済を都と中小企業で支援する事業であります。ただでさえ人材を確保するのが困難なこの時期に、中小企業が中核となる技術者を採用するのは非常に効果的であるとともに、将来有望な若者が抱える奨学金の返済負担を軽減することができる大事な事業だと思います。
この事業を利用した企業の方からは、人材を採用できたとの喜びの声が聞かれております。一方で、この事業がまだまだ企業や学生の方にあまり知られていない現状があります。企業や学生にこの事業を知ってもらい、活用を促していくべきと考えます。
そこで、本事業の周知方法を工夫した取組と事業の実績についてお伺いいたします。
○新田事業推進担当部長 都は、中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が学生を将来の技術面の中核人材として採用し、定着を図る上で、奨学金の返還の負担を減らす支援を実施いたしました。
具体的には、令和四年二月から本事業の対象となる中小企業の募集を開始し、四月からは、奨学金の貸与を受けている大学生等の募集を開始いたしました。企業の募集に当たりましては、都が行うサポートの内容を新聞やSNS等でPRを行うとともに、業界団体等を通じ、情報提供を実施いたしました。
また、学生に向けては、参加企業の魅力をホームページで伝えるとともに、大学のキャリアセンターやハローワークと連携し、周知活動を行いました。
これらにより令和四年度は、都内中小企業等は百三十社、大学生等は五十一名が参加し、三十二社で四十八名の採用につながりました。
○竹平委員 これまで多くの方々に利用されているということが分かり、大変うれしく思います。
また、今年の公明党の要望を受けて、八月からは大学等を卒業または修了後三年以内の者の登録要件を三十歳未満の者に緩和し、また職種も拡大しております。引き続き事業の周知をしっかりと行い、利用拡大に努めるとともに、企業や学生からの声も聞いていただきながら、より効果的な事業としていけるよう要望いたします。
最後に、女性のデジタル人材の育成について質問をいたします。
DXの進展により、今後さらなる人材不足が見込まれるデジタル分野の担い手を確保、育成するには、女性の能力開発による人材育成が欠かせません。
しかし、これまで小売業や飲食業などでパソコンなどをほとんど使う機会がなかった方や、出産や育児により退職して、これから再就職を目指す方にとっては、デジタル関連の技能の習得は技術的にも心理的にもハードルが高く、こうした女性が学ぶことができる機会を確保し、就職にしっかりと結びつけ、何よりもしっかりと収入を得ていけるようにしていくことが重要であります。
議会質問等で支援の必要性を公明党は重ねて求めてまいりました。そして、都は昨年度、デジタル分野の職務経験が少ない女性求職者を対象に、デジタル人材としての基礎的な知識、技能を習得していただく、女性向けデジタル・ビジネススキル習得訓練事業を始めました。
そこで、その支援の取組状況と実績についてお伺いいたします。
○内田雇用就業部長 都は昨年度、育児等で離職した女性を対象に、デジタル分野の業務経験が少ない方が事務処理ソフトの操作やローコードを使ったシステム開発を学ぶことができる機会を提供するとともに、就職支援を一体的に実施いたしました。
事業実施に当たりましては、丁寧な指導を受けることができるよう、少人数のクラスとするとともに、身近な地域で支援を受けられるよう、都内各地に託児サービスつきの会場を設けました。また、訓練修了後もオンラインによる就職支援を行うなど、きめ細かいサポートを行いました。
これらにより三百名の訓練定員に対しまして二百九十五名が受講し、訓練修了者の約四割の方の就職を実現いたしました。
○竹平委員 様々な事情を抱える女性のニーズを踏まえ、支援を受けやすいよう取り組んでいることが実績に結びついたものというふうに思っております。
今後とも、実際に受講された方々のお声を聞くのに、アンケートを取るなど、施策に反映させていただき、利用者に寄り添った支援を行っていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○細田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十五分開議
○細田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○原田委員 産業労働局の審議に当たり、私からは、まず水産業の振興について、特にくさやについて都の受け止めや、当該年度の取組について質問をさせていただきます。
私は東京都議会議員となってから島しょ住民の声を聞く機会が増えまして、個人的にも足を運ぶようになりました。南国の雰囲気や海の幸をより身近で、より安く味わうことができる、行くことができる伊豆諸島の魅力に魅せられております。この数年で、大島、新島、式根島、八丈島、三宅島と行ったんですけれども、最高ですね。ウミガメと一緒に泳いだりもしましたが、島の醍醐味の柱の一つは、やはり海の幸なのかなというふうに感じています。現地に行き、現地の魚をいただく喜びや開放感、たまらない幸福感を得ることができます。
つまり、島しょの漁業というのは単に漁獲量というだけでなく、地元の新鮮な水産物を味わえるという、島しょの観光にとっても重要な資源であると考えるんですけれども、東京都はどのような認識で取り組んできたのか伺います。
○築田農林水産部長 東京の水産業は、新鮮で安全・安心な水産物の供給を通じまして、都民の食生活を支えております。
○原田委員 今の答弁からは、都民の食生活を支えているという観点しか見えてきませんでした。今の答弁の味気なさは、ちょっと私不思議なんです。
産労局は、島じまん食材使用店というホームページを作っておりまして、これです。(資料を示す)そこには、このホームページでは、伊豆諸島、小笠原諸島の東京島じまん食材使用店を中心に、観光情報を併せて掲載しています、東京にある大自然の恵みを、食、観光、土産などでお楽しみくださいと書いてあるんです。食と観光というのをやっぱり一体として捉える、すばらしい冊子になっていまして、ホームページになっていまして、このホームページを作った職員さんからちょっと部長も局長も学ばなきゃいけないんじゃないのかななんて思ったりするんです。
ちなみに、この伊豆諸島に行くときは、私はこの冊子、絶対的な必需品として持ってまいります。とてもいいので、行かなくても見ていると行きたくなりますので紹介しておきたいと思います。
島しょ地域の水産資源の維持のために東京都がどのような支援を行ってきたのか伺います。
○築田農林水産部長 都は、SDGsの観点に立ちまして、持続可能な水産業や海洋環境の保全に役立つ取組を行ってまいりました。
○原田委員 その持続可能な水産業や海洋環境の保全を行う具体的な取組が語られませんでしたが、確かに具体的な取組を語るのがちょっと苦しくなるような実態が横たわっているのかもしれません。
島の水産業の一つであるアワビ、トコブシ、サザエの漁獲量の推移状況という資料、資料の13を用意していただきました。これを見ると一目瞭然です。アワビ、トコブシ、サザエの漁獲量の推移状況が大変な深刻さを増しているのが分かります。
漁獲量減少の背景として、都は、漁場環境の悪化や就労問題を挙げ、幾つかの対策を講じていますが、改めて漁獲量減少に対する都の認識をお聞きするとともに、昨年度どのような取組を行ったか伺います。
○築田農林水産部長 都は、海洋環境が変化する中でも水産資源の維持を図るために、栽培漁業の取組を支援しました。
○原田委員 そうですね、海洋環境の変化、現在深刻です。一部には温暖化の影響を指摘する人もいる黒潮大蛇行がこれまでで最長記録を更新し、何年も海洋環境をさま変わりさせてしまい、近海で取れていたアジやトビウオなどの魚が黒潮の蛇行とともに全く違う場所に行ってしまうなど、漁獲量で深刻な被害が出ています。
また、温暖化の影響で海水温が高くなり、あるいは黒潮の大蛇行で栄養素の高い海水の巻き上げが減少するなどしているという指摘もありますけれども、こうした様々な影響によって海洋生物にとって重要な藻場が失われる磯焼けという事態が進んでいます。
藻場の役割について先ほど質疑もありましたが、水産庁の磯焼け対策ガイドラインというのを私見てまいりました。こう書いてあります。
沿岸の一次産業の場であり、環境保全の場として生態学的に重要な機能を持ち、水産上有用な魚介類やその他の多様な生物にとっての生息場であるとし、この藻場の重要性を示しています。
都はこれまで、魚介類の、貝類等の違いや海洋生物の種などを海底や岩に貼り付ける種苗をする際の支援などを行ってきましたが、最新の研究、取組を受けての支援の拡充が必要であるということを指摘しておきます。
アワビやトコブシなどの栽培漁業は、これまで栽培漁業基本計画というものがつくられ、栽培漁業の目標や、それに向けた都としての取組が明記されてきました。しかし、この13の資料によると、漁獲量は年々減っていることが分かり、令和二年度は大変な落ち込みを示しているということが——サザエなんかすごいですよね、落ち込みを示していることが分かります。
栽培漁業基本計画も令和三年度で計画年度が終わり、令和四年度に計画は更新されませんでした。栽培漁業基本計画では現状維持とされてきましたが、率直にいって現状維持を実現できなかった事態を受け、都は昨年度どのような取組を行ったか伺います。
○築田農林水産部長 都は、稚貝が育つ環境を整備するため、海藻を増やすための取組への支援を行いました。
○原田委員 水産庁の磯焼けガイドラインでは、種苗の作業を、その海を大好きなダイバーが手伝ってくれたという事例を紹介したりしてまして、こうした種苗ボランティアの募集を都が率先して行ったりとか、一定の補助を出すなど、観光と掛け合わせた取組、こういうものも重要になってくるのかなというふうに、このガイドラインなんかを見ていて思いました。
島しょの栽培漁業にとって重要な藻場の再構築は、漁業全体にとって重要です。島任せにせず、都の積極的関与をお願いするものです。
さて、日本を代表する発酵食品の一つにくさやがあります。
くさやの産地は現在、大島、新島、八丈島など伊豆諸島です。くさや液という発酵液体に漬けて干すことにより完成しますが、くさや液は業者ごとに秘伝、一子相伝などといわれ、江戸時代から続く三百年のくさや液を使う業者もあります。強烈な発酵香、発酵臭の向こうに柔らかな塩味、うまみがあり、根強いファンがいます。とあるくさやの業者さんは週刊誌の取材を受けた際、七名分のくさやをプレゼントするとしたところ、二百通近いはがきが来たとのことなんです。中には、どうせ受からないから売ってくれませんかという手紙もあったそうです。
近年、くさやを食べる環境というのがなくなって需要が減っているように見えるんですけれども、実は根強いファンが全国にいらっしゃる。こうしたマッチングというものも本当に大事になってきているなというふうに感じています。
私もくさやを守るために大島に視察に行ってくるというふうに飲み屋のマスターに話しましたら、その店主や客から、絶対守ってくれ、頼むと応援してもらいました。根強い人気があります。
しかし、サザエやアワビなどと同じように、当該年度のくさやの生産販売量を産労局にお聞きすると、先ほどの13のようなデータは取っていないということが分かりました。
日本を代表する発酵食品の一つといって過言でない伊豆諸島のくさやについて、都は東京都が誇る特産品としての認識をお持ちか、お聞かせください。また、都は昨年度どのような取組を行ったのか伺います。
○築田農林水産部長 都は、水産加工品の安定供給に向け、町に対し、冷凍冷蔵ショーケースの設備導入の助成を行いました。
○原田委員 私は、東京都が誇る特産品としての認識をお持ちかという質問も行っていると。それに基づいて当該年度、どのような施策をしたのかということでお聞きしたんですけれども、部長からは当該年度の施策にだけ答弁がありました。改めてお聞きします。
東京都は、産労局は、くさやというものが特産品として——くさやというものを特産品としての認識、お持ちかどうかお答えください。
○築田農林水産部長 都は、水産加工品の安定供給に向けて、町に対し助成を行ったところでございます。
○原田委員 今の答弁は何を表しているかといいますと、要はくさやも、ほかの干物と一緒、水産加工品の一つだということで認識があると。私はそんな中、干物という発酵食品もすごく大事なんですけれども、中でもくさやというものが今、存亡の危機にあるということで、これは何とかこの文化、守っていかなきゃいけないなということで認識をお聞きしました。
答弁は、つまり、今のところ産労局には、くさや、非常に全国的に有名で特徴のある発酵食品なんですけれども、特産品という認識はないということが分かりました。それを責めるつもりはありません。これから持っていってもらいたいものだなというふうに感じているところなんです。
冷蔵庫、ショーケースの設備導入助成は重要です。この冷蔵庫が買い換えられなくて廃業に追い込まれた業者もいました。
また、乾燥機と呼ばれる冷房除湿乾燥機、これが今のくさや生産には欠かせません。虫がつきやすいなどの衛生面を考え、販売するものは天日干ししていないものが数多くあると。ほとんどこの乾燥機を通して乾燥させているということ、干しているということなんです。乾燥機や冷蔵庫が壊れると、修理に五万、十万と平気で飛んでいくといいます。古い型のものは、もう修理する部品もないそうです。そして、乾燥機、冷房除湿乾燥機、これ買換えに何と千五百万円から二千万円かかるといわれているそうです。こうした乾燥機購入に補助をする仕組み、ありますが、あるんです。けれども、補助対象がですね、伝統あるこのくさや産業さんといえども、十五人以上の組合を結成しなければならないんだというんです。
補助する仕組みはあるんだけれども、十五人以上の組合、これを今くさや業界に求めると。大島には三人しか業者がいません。大島の三人は、新島の組合に入っていますけれども、大島に乾燥機や冷蔵庫がつくことはかなっていません。東京が全国に、世界に誇る発酵食品を都が支える仕組みがどうしても必要です。それがないとなくなっちゃう。
特産品としての認識については、二度聞いても部長は答えられませんでしたが、例えば産労局は、伝統工芸品として江戸切り子を紹介し、技術や技法の紹介、江戸切り子が生まれた歴史的経緯や背景、江戸切子協同組合の紹介などをホームページで行っています。日本を代表する発酵食品である干物、中でも珍味中の珍味と全国にファンを持つくさやを東京都として応援しない手は、私はないと思うんです。
そこで、いろいろ調べていたんですけれども、今朝、ちょっと面白いものを見つけまして、今朝なんですよ。不思議なことが東京都庁内で起きていると。
産労局は特産品の認識を示しませんでしたが、総務局所管の東京宝島事業では、新島、八丈島の主な特産品の中にくさやが紹介されています。総務局は特産品の認識がくさやに対してあるのに、産労局にその認識がないのはちょっと変だなと。
都庁内で認識が一致していないということでしょうか、ちょっと教えてください。
○築田農林水産部長 農林水産部といたしまして、水産加工品の安定供給に向けて取り組んでいるという、繰り返しの答弁で恐縮でございます。
○原田委員 なぜかたくなに、そこでこだわるのかが不思議です。さっきの東京島じまん食材使用店とかも、くさやの販売とかを出したりとかしてアピールとかもしているんです。
なぜこういう議会の場で特産品ですという言葉がいえないのか。今まで全く認識がなかったのか、不思議なんですけれども。
私、大島町長にもお話をお聞きしてまいりました。大島には、牛乳煎餅、ツバキ油、大島ガラスなど名産品が幾つかあり、町長がどれかに絞って大きな支援というわけにはいかないし、島にはそういうお金も十分にあるわけではないと。やっぱり東京都の力を頼むことになってしまう、そういう状況を私理解できました。
しかし、くさやとは何か、町長に、大島町長に聞きました。すると、大島町長は、くさやは大島の伝統産業ですと胸を張っておっしゃられていました。
さて、このようなくさやが存亡の危機にあります。デリケートな発酵食品で、就労者も限られ、現在では島ごとに数業者しかいない状況です。三宅島では噴火による全島避難の際に、八丈島秘伝のくさや液が死滅。一時、消滅したということもありましたが、それでも新島村のくさや液を借りての営業。帰島した際に、三宅島での再生産を始めてくれました。くさやは、こうした熱意ある生産者による綱渡りの努力で受け継がれています。しかし、この三宅島唯一のくさや業者も二〇一八年、三宅及び伊豆諸島でくさやにできる魚が取れなくなったとの理由で閉店してしまったと書かれていました。
就労者の少なさ、漁獲量の減少などは深刻な事態です。私は、都の特産品、名産品として特段の支援が必要なときと考えますが、昨年度の取組内容について都の認識について伺いたいと思います。
○築田農林水産部長 都は、水産加工品の安定供給に向けまして、原料となる魚の資源管理や、その製造等への支援を行ってまいりました。
○原田委員 委員からも今ちょっと、うんっていう声が漏れましたけれども、私の質問になかなか答えることができないと。くさやの存亡の危機、ぜひ今日の質問を境に認識していただければなと思っています。
一番大きな新島でも、十数年前なら十八軒あったのが、今では十軒以下。大分少なくなっているということになっています。商圏がそれほど大きくない中で、大胆な投資がしにくくなっています。若い人が参入して頑張っている業者もありますが、高齢化も進み、創意工夫というのも限界があります。
先ほど紹介したように、くさや生産に必要な機器の老朽化が深刻です。とある業者は、何とか頑張るといっているようですが、地域住民が私に話してくれましたけれど、あと二、三年もつのかさえ不安だと私に訴えてくれました、地域の方々が。
くさや液は島ごと、業者ごとの秘伝、一子相伝とされ、くさやのたれの一滴は血の一滴ともいわれているそうです。どこかの島に残ればいいという話でもありません。今つくられている島の味をそのまま残さなければ、個性豊かに育った島ごとの発酵食品文化を失うのは本当にもったいないことです。
とある業者の店主は、自分の受け取る給料よりアルバイトの子の給料の方が多いという切実な実態を教えてくれました。そこまでしてその店のくさやを残そうとする思いを聞くと、くさやは島の誇り、私の人生です、そういい切りました。あのとき都として支えてあげれば、この文化は失われなかったと後悔する瞬間は遠くありません。
最後に、くさやの展望について紹介したいと思います。
ある日、大手化粧品メーカーの研究員がくさや液を分けてもらいたいといってきたんだそうです。その理由は、くさやの臭いの中の人々をそそる物質を取り出すためだそうです。
くさやは多く一般の人にとって臭いと感じる臭いですが、くさやが好きな人は、あの臭いからご飯を食べたくなる、お酒を飲みたくなるという感情が湧くといいます。その臭いを特定して商品につなげるんだといっていたそうです。くさやの何か大きな可能性を感じました。
八丈島でくさやを生産する若い店主は、洋風、和風を問わず様々な食材と合わせたりして、人気です。高齢者のお店でも、相当食べやすくなったくさやの提供に努めています。乾燥も昔ほどさせないで、そこまで乾燥させずに生っぽさを残して、焼いたものを真空パックにして売るため、移動時に臭うこともなく、開けたときにそのまま食べられるようになっていると。こういう創意工夫も、現地の高齢者でありながらいろいろやっているわけです。
もしかしたら、老朽化した機器の対応と販路の拡大の手伝いさえあれば、くさやは国内どころか世界に羽ばたく発酵食品かもしれません。都として、この可能性を失わないよう、くれぐれも強い支援を求め、次の質問に移ります。
次に、当該年度の水素事業についてお聞きしたいと思います。
当該年度、小池知事はエジプトで開催された第二十七回国連気候変動枠組条約締約国会議で、都内にパイプラインなどの供給網をつくる構想を明らかにするなど、水素エネルギーの活用拡大を進める考えを示しました。
社会が再生可能エネルギーにより大部分の電力が賄われ、余剰が生じたときにこそ、水素の需要が高まります。水素は再生可能エネルギーをためることができ、ボイラーなど大きなエネルギーを要する機械や船舶などに使うことができるからです。
一方で、電気自動車や電気バスが長距離走行、急速充電を可能としてきた現在、乗用車やバスなど大規模な動力を必要としない分野で、水素は必要性が既に失われています。
選手村では水素供給ステーションが造られ、各マンションに送られているわけでありますが、家庭内に届くわけでなく、共用部分の照明などに使われるのみです。石炭火力を使って発電している電気で水素をつくり、その水素で電気をつくっているわけですが、その過程で多くのエネルギーが失われるともいわれています。
つまり、現状は、発電した電気は水素にしないでそのまま使った方がいいんです。
現在、地球温暖化という表現は、地球沸騰化といわれるほどに警鐘が鳴らされ続けています。加速度的な温暖化現象が問題となっているわけです。先ほども島の漁業が不漁に陥っている事態の要因に、温暖化の影響が指摘されているということを紹介しました。これに対応するため、都は二〇三〇年までにCO2排出量を二〇〇〇年比五〇%削減することになっていたわけです。しかし、削減するどころか、ほんの数年前まで東京都は、二〇〇〇年比で数%排出量が増えていたというのが実態です。
国連では、この数年以内の大幅な削減がないと不可逆的な温暖化が進むとの警告もあり、知事もタイム・ツー・アクトと訴えては、国際社会の舞台に立って、盛んにその警告を発する側に立っているわけです。一体、この数年間のアクションが必要だといわれているときに、水素にどれだけの熱量を注いでいるのか。研究や開発は重要で、やるべきですが、今東京都がやろうとしているのは実装です。
現状、定着が極めて困難で、合理性自体が問われている水素への注力が正しいのかどうか、決算審議でのしっかりとした総括が必要です。
そこでお聞きしますが、事業者向けの水素関連事業が令和四年七月に、当該年度、環境局から産労局に移されましたが、気候変動対策としての水素事業、産労局はどのように考えているのか。二〇三〇年目標に比して、全く到達していない気候変動対策の現状を水素事業が大きく改善することができると考えているのかお答えください。
○榎園新エネルギー推進担当部長 水素は、太陽光などでつくったエネルギーを長期間にわたり蓄え、ニーズに応じ速やかに活用することができます。この普及により、多様な分野での脱炭素化に役立ててまいります。
○原田委員 今の太陽光でつくったエネルギーを長期間にわたり蓄えって答弁自体が、もう完全にずれているわけです。太陽光が余っているならいざ知らず、都内の消費電力のまだ二割しか再生可能エネルギーがない状況なんです。ためるも何もないわけです。水素にするなんて回りくどいことしていないで、そのまま使ってください。
東京都は現在、再生可能エネルギーで、都庁とこの議会棟の電力を一〇〇%再生可能エネルギーにしていますが、知事部局全体の施設の再エネ化は二六%にとどまっています。いつ一〇〇%にするのか聞いてみると、年間、知事部局、それから三局合わせて三、四十億キロワットアワーを消費する東京都がいきなり再生可能エネルギー、一〇〇%再エネ化するほど再生可能エネルギーはありませんと環境局ははっきりといいますよ。
そこで、当該年度の一般会計決算説明書を見ました。水素事業が含まれている地球環境エネルギー費の支出の部、執行率を見ますと、何と九九・六%と、ほかと比べると非常に高い執行率となっていました。
そこで提出いただいた資料、14を見ていただきたいんですけれども、令和四年度、環境エネルギー費の支出済額のうち出捐金として支出した額が九六%と、ほとんどであることが分かりました。執行率の正体は、ほぼ出捐金だと。
出捐というのは差し出すという意味ですけれども、出捐金は主に環境公社に出捐した額であり、実際に使われたかは分からないわけです。しかし、この資料、14を見ると、明らかに水素事業にしか使われないと分かる補助事業の残高だけで二百億円をはるかに超えることが分かりました。
水素事業は、実際の私たちが受け取った決算資料の中には、九九・六%と高い執行率になっていましたけれども、実際は支出額が低いという状態が長年続いていることを産労局としてどのように総括しているのか。
○榎園新エネルギー推進担当部長 水素利用の普及により、多様な分野での脱炭素化に役立てていくことは重要であると考えてございます。
○原田委員 ですから、多様な分野っていいますけれども、水素を広げるんだと、重要だと強弁されていますけど、莫大なお金を積んでも、かなりの規模で使われていないわけです。
今から三年ほど前の二〇二〇年三月、私は水素事業について質問し、二〇一五年度に積み立てられた水素推進基金四百億円が最終年度である二〇一九年を迎え、ほとんど使われていなかった実態を明らかにしました。そのときも、出捐金に隠れ、いかにも執行率が高いように見せていましたが、かなりの額が塩漬けになっていたわけです。当該年度もまた、水素事業があたかも執行率九九%かのように決算書に書かれているわけですが、資料を取り寄せて詳細を見てみると、実際には全く使われていない実態が浮かび上がるわけです。
ここで、なぜ水素事業が進まないのか、事業の一例をお示ししたいと思いますけれども、再エネ由来水素の本格活用を見据えた設備等導入促進事業というのがあります。この資料、14でいうと、出捐金の内訳の下から七個目の事業です。当該年度、約二億円の出捐金で、残高六億円を超える出捐となっていますが、当該年度だけでなく、この事業、二〇一五年から出捐し続けてきた老舗の水素事業です。
水素は、今の電気でつくると、発電に火力を使っていますので、非効率な上にクリーンともいえないんです。太陽光でつくるグリーン水素といわれるので、太陽光でつくるとグリーン水素っていってもらえるので、グリーン水素を使いたい企業は機器購入の助成をしますよという事業です。
水素をつくる機械の購入費助成は、五立方メートル、五ノルマル立方メートル以下のものが上限一億円、五立方メートル以上の水素をつくる機器だと、上限三億七千万円の助成がつきます。この水素を電気に換える燃料電池の購入も助成されるんですが、エネファームなど、一般家庭の燃料電池の出力が〇・七キロワットほどですが、大体その七倍ぐらいの出力となる五キロワット、それ以下の機器を購入する際に上限千三百万円出しますよと。この出力に見合う太陽光パネルを、業者は、それだけじゃなくて、設置をしなきゃいけなくて、せっかく太陽光パネルでつくった電気をそのまま使わず、わざわざ水素をつくり、そしてその水素を使ってまた燃料電池で発電すると。かなりの回りくどいことをしまして、かなりのエネルギーがこの過程で消えてしまいます。
一体、誰がこの機器を導入したのかなと思ったんですけれども、二〇一五年から八年間で調べてみましたら、たった二件しか実績がありませんでした。当該年度もゼロ件です。二〇一五年のときは、事業に年間十五億円をつけています。
当該年度、水素ステーションは二〇二〇年までに三十五か所造るはずだったのが、七年たった現在二十二か所。相当インセンティブを利かせてもなかなか進まないわけです。
ちなみに、ゼロエミ戦略の二〇三〇年目標は百五十か所ですから、現在の二十二か所の水素ステーション、かなりの差があると。
こうした実態を受けて、水素ステーションであるとか燃料電池車、燃料電池バス、水素バス、こういう施策の中断というのも検討してもおかしくないのに、それすら行われないと。ここまで来て、まともな総括も行えないものだから、現在でも今年三月までで産労局、環境局合わせて、この事業には百四十三億円の巨額が出捐されてしまい、そのほとんどが残っているわけです。
まだ二問ほど残っていたんですけれども、時間がやってまいりましたので、この辺にしますけれども、二〇二〇年の目標である燃料電池車六千台に対して、二〇二二年、二年遅れてもまだ千五百台と。これも膨大な税金が計上されているにもかかわらず、進んでいないわけです。
当時の部長は、二〇二〇年のとき水素事業について安定的なサプライチェーンの構築が必要であり、それには長期的かつ総合的な展望に立った継続的な取組が必要と答えていましたが、もはや七年たってもこのありさまなんです。
水素自動車は安くなってきたといっても七百万円台。水素バスは数年前の記事で一億円ですよ。中国製の電気バスが二千万円なんていう価格帯が出てきているときに、水素バス一億円。この事業にしがみつくというのは、都民の納得を得られるのかと。
今、タイム・ツー・アクトといわれているときですから、時間を浪費し、気候変動対策費を無駄に塩漬けしたりする水素事業については徹底的な総括が必要だということを指摘しますし、その総括をしないと、決算審議のこの委員会の意味がないんだということを産労局に厳しく指摘して、質疑を終わります。
○斉藤委員 立憲民主党の斉藤りえです。
初めに、障害者の雇用就業支援について伺います。
令和四年度予算の主要事業という冊子を見てみますと、障害者の雇用就業支援として、啓発普及、就業機会の確保をはじめ、職業訓練や就労に向けた支援、職場定着支援で合計二十一億四千九百万円が予算計上されていることが分かります。この二十一億四千九百万円については、福祉保健局や教育庁に計上されている事業を含むと注釈がついていますので、産業労働局の事業はこれらの一部だと理解はしますが、一方で、先日の委員会で配布された決算資料2、東京都一般会計決算説明書、産業労働局分を見てみましても、雇用就業支援については若年者や高齢者、あるいは女性について、それぞれの支出内訳が明示されていますが、障害者についてはソーシャルファームについての記載はあるものの、障害者分としての予算や決算が分かりません。
そこで、産業労働局が実施している障害者の職場定着支援についての事業、予算、決算について、改めて説明をお願いいたします。
○新田事業推進担当部長 都は、障害者の職場定着支援といたしまして、昨年度、東京ジョブコーチの派遣や職場内サポーターの養成、継続雇用に対する企業への助成金の支給等を行いました。令和四年度の障害者の職場定着支援に関する事業の予算額は約十億二千六百万円であり、決算額は約八億六千九百万円でございました。
○斉藤委員 ありがとうございます。令和四年度予算の主要事業では、障害者の雇用就業支援二十一億四千九百万円とは別項目として、新規事業としてTOKYO障害者マッチング応援フェスタ一億百万円が予算計上されています。
そこで、このTOKYO障害者マッチング応援フェスタの事業の概略と決算についてお伺いします。
○新田事業推進担当部長 都は昨年度、TOKYO障害者マッチング応援フェスタを開催し、就職を目指す障害者の方と企業との大規模な就職面接会や、優れた職場環境づくりのモデル事例の紹介などを行いました。
令和四年度の決算額は約九千五百万円でございました。これにより、障害者と企業のマッチングの後押しをいたしました。
○斉藤委員 この応援フェスタは今年一月三十一日に東京国際フォーラムで開催されましたが、一月下旬というのはコロナ感染が底を打ち始めてはいるものの、五類移行の前のことでもあって、障害者の中には外出をちゅうちょする人も少なくなかったと思います。
応援フェスタは、東京と多摩の二会場で二千人規模の参加を目指していたと思いますが、リモートでの対応や実際の参加者についてどうだったのでしょうかお伺いします。
○新田事業推進担当部長 TOKYO障害者マッチング応援フェスタでは、著名人等による講演についてライブ配信等を実施いたしました。会場には就職を目指す障害者のほか、そのご家族や就労支援機関の支援員の方などを合わせ、全部で千九百八十五名の方にご来場いただきました。
○斉藤委員 目標にしていた数とほぼ同じくらいの方にご来場をいただいたということですが、応援フェスタでは、著名人や専門家による講演やミニセミナーのほかに、合同就職面接会などのマッチング支援が行われたものと思われます。その成果についてお伺いします。
○新田事業推進担当部長 就職面接会につきましては、昨年度は百九十二社の企業と、就職を目指す障害者一千七十四名の方が参加いたしました。
○斉藤委員 ありがとうございます。応援フェスタは五年度予算でも計上されていますが、財務局の方針もあり、終期が設けられていると思います。しかし、私はこうしたイベントは一回開催したら終わりではなく、継続して実施していくことが重要だと思っていますので、引き続き様々な工夫を凝らしながら、障害者の雇用就業支援に取り組んでいただきたいと思います。
次に、女性の雇用就業支援について伺います。
女性の雇用就業支援では、四年度予算では新規事業として女性しごと応援キャラバン、二億百万円が計上されています。まず、事業の概略と決算についてご説明をお願いします。
○新田事業推進担当部長 都は昨年度、育児中の女性等を対象に、都内各地に出向き、セミナーと就業相談を行う女性しごと応援キャラバンを実施いたしました。令和四年度の決算額は約一億九千万円でございました。
○斉藤委員 都内の各区市町村でセミナーや就業相談を実施したということですが、これらはどのように周知をされたのでしょうか。また、子連れの方などに対して、どのような対応をされたのでしょうか。さらに、参加人数の実績、どのような相談が多く寄せられていたのかなど、併せてお伺いします。
○新田事業推進担当部長 実施に当たりましては、SNSやウェブ広告などの媒体を組み合わせて周知を行いました。また、会場には子育て中の女性も参加しやすいよう、託児コーナーを併設するなどの工夫を行いました。これらの取組により、千四百九十名の参加が実現いたしました。参加された方からは、就職活動の進め方に関する相談などが寄せられました。
○斉藤委員 ありがとうございます。キャラバンでは、ひとり親、シングルマザーなどの方へのカウンセリング等の就職支援サービスを実施したとのことであり、とても心強い取組だと考えますが、実際の実績はどうだったのかお伺いします。
○新田事業推進担当部長 シングルマザーの方に向けては、しごとセンターに専門の窓口を設け、三百二十八名にカウンセリングを実施いたしました。
○斉藤委員 シングルマザーの就職支援は、子供の預け場所など生活支援的な相談も多いように思われます。就職支援に伴い、保育園の紹介などの相談にも対応しているのでしょうか。せっかく就職先が見つかっても、子供を預けるところがない場合もあると思われます。
こうした場合の対策について、どのような支援をしているのかお伺いします。
○新田事業推進担当部長 都では、女性の活躍を支援するため、企業内保育を整備するなど育児等との両立がしやすい環境づくりを進める企業との就職面接会を開催しました。また、しごとセンターにおいて、育児中の方に向けて区市町村の保育情報の提供を行いました。
○斉藤委員 私もシングルマザーでありまして、実際、私の子供も保育園は待機で、どこにも入れず、幼稚園に行かせたという経験がございます。
シングルマザーが就職していくためには、社会全体が子育てをサポートしていける環境整備が不可欠だと考えており、子育て優先の社会の実現に向けて、産業労働局に対しましても積極的な取組を要望しておきます。
次に、宿泊施設のバリアフリー化支援事業について伺います。
宿泊施設のバリアフリー化支援事業は、四年度予算で七億七百万円が計上されていますが、まずは事業の概要についてご説明をお願いします。
○向井観光部長 これまで都は、障害のある方が宿泊施設を安全で快適に利用できるよう、客室等のバリアフリー化を支援してまいりました。
具体的には、施設の改修や備品の購入などについて補助を行うとともに、制度の活用に向けて宿泊事業者等を対象としたセミナーなどを実施いたしました。
○斉藤委員 今の答弁では、一つには、施設の改修や備品の購入等について補助を行ったということでしたが、これらの実績についてお伺いします。
また、聴覚に障害のある人に対応して、非常ベルの音やドアのノック音などを光で知らせる、いわゆる光るホテルのようなホテルへの改修、あるいは備品購入などの実績はあったのか、併せてお伺いします。
○向井観光部長 宿泊施設バリアフリー化支援補助金の昨年度の実績につきましては、施設の改修及び整備等が三十二件、約五億五千八百万円、備品の購入は六件、約五百万円でございました。
聴覚に障害のある方への対応につきましては、昨年度の利用実績はございませんでした。
○斉藤委員 昨年度の実績はなかったというのは残念です。
先ほどの答弁では、宿泊事業者等を対象としたセミナー等を実施したとのことでしたが、セミナーでは光るホテルなど、聴覚障害者に配慮したホテルの整備に向けた内容を含んでいるのかお伺いします。
○向井観光部長 昨年度のセミナーでは、聴覚に障害がある方の受入れなどをテーマとして、そうした方々への不便や不安について対応するために、必要な設備の導入事例の紹介などを行いました。
○斉藤委員 ありがとうございます。二〇二五年にはデフリンピック東京大会が開催され、多くの聴覚障害者が世界中から、この東京を目指してやってくると思われます。また、光るホテルは聴覚障害者だけでなく、耳が遠くなった高齢者、睡眠時や入浴時に補聴器を外している人などにも有用ではないかと思っています。
デフリンピックを見据え、ぜひとも、より多くのホテルでの対応が可能となるよう、積極的な取組をお願いいたします。
最後に、障害者の課題解決に役立つ製品開発について伺います。
私は、令和四年六月八日の本会議で、障害者の課題解決に役立つ製品開発についての質問をし、その際、東京都からは、産業技術研究センターにおいて技術開発の相談や商品の性能評価などの支援を行っており、こうした取組により、引き続き障害者のための製品や技術の開発に取り組む中小企業を後押ししていくとの答弁をいただきました。
そこで、四年度決算において、障害を持つ方の課題の解決に結びつく製品の開発支援について、どのような実績があるのかお答えください。
○山崎商工部長 産業技術研究センターでは、令和四年度に車椅子を使用する障害者の利便性向上を図るために、軽量で振動が軽減できる車椅子の開発を後押しいたしました。
○斉藤委員 ありがとうございます。私が一般質問した際には、中小企業が大企業や大学等と連携した製品開発にも経費を助成するなどといった答弁もありましたが、こちらはなかなか実績が上がっていないようです。
昨今のテクノロジーの進化は目をみはるものがあり、こうしたテクノロジーを活用した製品開発は、私たち障害者と健常者とのバリアを解消し、より生活の利便性を高めるものだと大いに期待しています。
引き続き、障害者の課題解決に役立つ製品開発に向けて積極的な取組をお願いし、私の質問を終わります。
○福島委員 私からは、生産性向上と待遇改善についてお伺いいたします。
日本の産業競争力が低下した原因の一つとして、労働生産性の低さが指摘されてきました。私は、かねてより業況判断指数、DIの改善、そして働き方改革を本当の意味で成功させるためには、中小企業振興のための各種事業が生産性の向上につながったかどうか、これを検証することが重要であると述べてまいりました。
そして、令和三年三月の経済・港湾委員会の質疑において、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業において、中小企業が導入する機器やシステムの検討から導入後の具体的な活用に至るまで専門家が一貫してサポートし、生産性の向上に着実に結びつけること、そして躍進的な事業推進のための設備投資支援において、助成金の申請時に中小企業は生産性向上の数値目標などを設定し、助成後五年間にわたり状況を報告することなどにより、この進捗に応じ、適切にアドバイスを行って、目標達成につなげるということを確認しております。
一方で、申請の際に、事業効果の定量的な目標値を設定したり、設備の導入後に達成状況を報告することが企業にとって負担になって、申請がちゅうちょされるようなことがあっては元も子もありません。
そこで、中小企業の設備投資を支援する躍進的な事業推進のための設備投資支援事業において、この事業効果の把握のために導入している仕組みと、昨年度における申請状況についてお伺いいたします。
○山崎商工部長 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業では、DXを推進するために必要な設備投資等、二分の一を超える高い助成率の区分に申請する際などに、従業員一人当たりが生み出している利益などの伸び率を数値目標として設定し、計画を策定することを要件としております。
具体的には、設備投資の実施後三年から五年までの間に、そうした利益などの伸び率が年率三%以上となるよう、目標値を設けることといたしております。
令和四年度に本事業の申請を行った四百四社のうち、高い率による助成を希望する二百七十三社全てがこの目標値を設定いたしました。このうち百六十五社が採択を受け、助成事業完了後五年間にわたり状況の報告を求め、確実に行うことができるよう、進捗に応じて適切にアドバイスを行うことで、目標達成を着実に後押しをしております。
○福島委員 事業の申請時や、事業後に生産性向上に関わる報告義務などが課されている、助成率の高い区分に申請している中小企業は四百四社のうち二百七十三社、すなわち約三分の二を占めていることが分かりました。
助成完了後、都は五年間にわたり状況の報告を受けることになります。中小企業の計画実現に向け、丁寧なサポートを要望して、次の質問に移ります。
OECDが公表する年間平均賃金額のデータからは、日本の賃金水準が低迷し、米国の約半分、韓国にも抜かれて、OECDの中で最下位グループに入っていることが読み取れます。産業労働局が手がける中小企業振興策も、中小企業の持続的成長に加え、増収した収益を従業員の賃金引上げに結びつける観点が重要です。
令和二年十一月の経済・港湾委員会での質疑以降、私は、この生産性の向上を従業員の待遇改善につなげる方法として、厚生労働省の業務改善助成金事業というものを紹介してまいりました。この中身は、生産性向上のための設備投資などを行い、事業内最低賃金を一定額以上引き上げた場合には、その設備投資にかかった費用の一部を助成し、さらには生産性の伸び率が生産性要件を満たしている場合には、労働関係助成金を割増しするという内容になっています。
我が会派からの求めに応じて都は、令和四年第三回都議会定例会の補正予算において、中小企業がデジタル技術の導入により生産性の向上を図る取組を支援する生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業において、賃金の引上げに取り組む場合には、設備投資への助成金を割り増す仕組みを新たに構築しました。
そこで、令和四年度の本事業における助成金支援の実績と、そのうち賃金の引上げを行う企業への支援実績を併せて伺います。
○山崎商工部長 都は、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業により、中小企業に対する専門家派遣と、その助言に基づくDXの取組への後押しを複数年にわたり行っておりまして、デジタル化に向けた設備の導入に必要な経費について最大三分の二、三百万円を上限に助成をしてまいりました。
補正予算により、昨年の十月から、従業員の待遇改善に積極的に取り組む事業者を支援するため、デジタル技術を活用した設備導入の成果を計画的に従業員の収入の増加に結びつけ、企業の給与支給総額と事業所内最低賃金を一定額以上引き上げる場合には、助成率を四分の三とすることといたしました。
こうした取組を含め、本事業では、令和四年度に専門家を百四十一社に対して派遣し、四十三社に約八千七百万円の交付決定を行っておりまして、そのうち、従業員の賃上げに取り組む企業については十六社に約四千百万円の交付決定を行いました。
これらによりまして、中小企業の生産性向上と従業員の待遇改善を後押しいたしました。
○福島委員 賃上げに取り組む企業への支援を開始したのは昨年の十月からですけれども、この従業員の収入の増加に結びつける条件を付しても、助成率の高い枠組みを選択した企業は四十三社中十六社、すなわち約四割に上ることが分かりました。
生産性向上による収益の増加を従業員の待遇改善につなげ、さらなる成長を目指すという好循環を生み出すことは、中小企業の経営と働く人を支援する産業労働局の事業目的に合致すると思います。これらの、都としては先駆的かつ意欲的な事業について成果を分析し、中小企業振興のためのあらゆる事業において事業効果を高めるための制度設計に生かしていただくよう要望しまして、私の質疑を終えます。
○曽根委員 私で最後の質問者となります。ちょっと一か所か二か所、環境問題で質問する関係で前の方とダブるものもありますが、趣旨を生かすためにちょっと多少のダブりはご勘弁ください。
私からは、都内に六十数万といわれる中小企業が現在、現段階では、CO2などの温暖化効果ガスの業務部門の排出の六割を占めているという現状で、先日、環境確保条例の改正も行われて、いよいよ二五年度から本格的な、住宅をはじめとした省エネ、再エネの取組、始まりますけれども、ここに中小企業が大いに参入して、例えば報告書制度にも参加し、省エネ、再エネ事業に自ら負担もして取り組むということがなされないと、この業務部門の排出量、なかなか減らない。そのうちの六割を出している中小企業のところを置き去りにさせるわけには絶対にいかないという観点で、この間、常任委員会でも物をいってまいりました。
確かに大企業を中心に引っ張っていけば、二〇三〇年カーボンハーフは達成できるかもしれないんですけれども、その先のカーボンゼロ、脱炭素の本当のそういう社会をつくっていくためには、中小企業を置き去りにしてはならないと。そのためには相当東京都が、とりわけ産業労働局がここに本腰を入れて取り組むことを求める立場から何点かお聞きしたいと思います。
最初に、都が昨年度より開始したゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業というのがありますが、この中でゼロエミに資する製品開発、改良への助成事業の昨年度の実績について質問します。
昨年度における助成対象事業は、昨年の六月に申請エントリーを開始して、今年三月に助成対象事業者が決定されましたが、前にちょっと質問ありましたけど、何社エントリーがあって、何社選ばれたか、申請採択のテーマの特徴は何かについて、まずはお聞きします。
○山崎商工部長 ゼロエミッション推進に向けた事業転換支援事業におきましては、二十四件の申請がございまして、六件の新製品開発等の取組を採択いたしました。採択された案件には、EV関連、再生可能エネルギー関連、リサイクル材料関連がございました。
○曽根委員 初年度ですけれども、その中で二十四件のエントリーが、これは適切な規模なのかといえば、やはりものづくり分野に限っても東京都内の多くの中小企業の中では、まだほんの僅かの数であり、さらに採択されたのが六件にとどまっているというのは、さらなる制度の普及啓発がどうしても必要だと思います。しかも、日本のゼロエミの技術というのは、この十数年で非常に後れを取ってしまっている、技術開発ノウハウは大企業に集中しているという現状ですから、この中で中小企業には大きなハンデがあると思います。
そこで伺うんですけれども、中小企業が、大企業でさえ開発がまだ世界的に遅れている分野に新たに進出していくことは極めて重要ですけれども、開発の資源、それからスペース、技術診断や検査などハンデも多いと思われますので、その技術の評価や検査委託発注を行う費用、人件費、開発に必要なスペースなどを借りる場合の賃貸料など、こうしたものを助成金で賄うことは、この制度ではできるんでしょうか。
○山崎商工部長 新製品の開発等に必要となる委託費や人件費のほか、建物賃借料などの経費に支援を行っております。
○曽根委員 この中で、かなり幅広く費用を助成するという制度になっているということですが、助成限度額が千五百万円、助成率が三分の二というのは、ほかの助成金制度に比べて金額や助成率は高いというふうに聞いていますが、ただ、中小企業が対象ですから、また、日本ではアメリカのエンゼル資金などのような資金調達がなかなか困難ということもありますので、助成率を例えば三分の二から四分の三など、今までの一般的な助成制度よりもさらに拡充していくことなどを検討する必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○山崎商工部長 都は、ゼロエミッション分野への事業転換に取り組む中小企業に対しまして、適切に支援をしております。
○曽根委員 適切な支援のその枠を大きく、さらに大きくしていただきたいということを要望しておきます。
ゼロエミの分野というのは非常に広くて、また、世界の技術発展がすごいスピードで進んでおります。これに負けないてこ入れを図る必要を私は強調したいと思うんです。
私、具体的にいうと、一つの可能性のある場として、都の産技研の位置づけと役割の発揮について、ちょっと聞いておきたいんです。
先日、私も実際に久しぶりに産業技術研究センター、ここを訪ねて見学させていただきました。前は私の地元の北区の西が丘にあったんですけど、床面積は同じぐらいだということですが、さすがに、3Dプリンターをはじめとして、最新の機材や実験用具なども見せていただきました。
決算年度における産技研の技術支援の中でゼロエミッション関係でどのような成果があったのかお聞きします。
○山崎商工部長 ZEVの部品の開発を行う中小企業に対しまして、製品を軽くするための技術支援やバッテリーの性能を評価する試験などを開始いたしました。
○曽根委員 いずれも重要な研究や開発の支援がスタートしているということです。バッテリーの性能は恐らくこれから、今のリチウム電池などに代わる全固体電池がいよいよ実装の段階に入ろうとしていますので、蓄電量も飛躍的に伸びる可能性がありますので、そういう点では、その先端の技術を試験、検査ができるという体制をぜひ取っていっていただきたいなと。今、独法なので、なかなか直接東京都がというわけにはいかないんですけれども、充実を求めておきたいと思います。
ただ、私が現場で見せていただいたのは、非常に分かりやすかったんですが、水や油などを圧送するポンプです。これ一般的なものでしたが、そのポンプの中の渦巻形の羽根車があるんですが、その角度をこれまでは技術者の勘と経験に頼っていたそうなんです。それを流体力学の理論研究と3Dプリンターなどを使った実験を繰り返し、最善の角度を割り出して、二十五度という角度を割り出して改善することによってポンプの運転効率を一割前後引き上げたということをお聞きしました。送水ポンプという極めて一般的な工業技術でも、まだまだ省エネの余地があるんだなと知って、私も驚きました。
私も四十年ほど前になりますが、化学工場で研究員として働いていたことがありまして、そのときは本当に素朴な、化学染料の工場でしたが、その中でもとにかく化学技術というのは、現場でどれだけ生産効率も上げながら、しかも安全な技術を開発するかというのは、当時、非常に素朴でしたが、取り組んだ記憶がありますが、まだまだ省エネ、再エネという立場から改善の余地がある。そこに多くの若い方々が取り組める分野になってほしいということを、非常にこのときに思いました。
例えば、今産技研の共同研究だとか、実験室を貸したり、開発用の部屋も貸し出すということなどは取り組んでいて、既にここは大体埋まっているそうなんですけれども、今後ゼロエミ分野について本格的に後押しできる、こうした先ほどお話のあった賃借できる実験室やスペース、もしくは3Dプリンターなどの機材、検査機器などがどんどん使えるような、そういう場として中小企業に広く開放されていくということは、資金提供もさることながら、ここは非常に大事なところだなというふうに思いました。そういう点で、ぜひこの体制を充実させることに産労局としても取り組み、また産技研の交付金その他の援助を強めていただきたい。
この課題は二〇三〇年以降も長期にわたって都政の最優先課題の一つとなることは間違いありませんので、その取組を求めておきたいと思います。
次に、省エネ、再エネ関係の設備を導入する、これも先ほどちょっと質問ありましたが、この支援についてお聞きしたいんですが、決算年度の地産地消型再エネ増強プロジェクト、この助成事業、それから中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業、この昨年度の実績はどうか、件数と金額をお答えいただきたいです。
○阿部産業・エネルギー政策部長 地産地消型再エネ増強プロジェクトにつきましては、令和四年度には百七十件、約十七億三千万円の交付決定を行いました。また、中小規模事業所向け省エネ型換気・空調設備導入支援事業につきましては、令和四年度には三百十四件、約十三億一千万円の交付決定を行いました。
○曽根委員 これも最近始まった制度なので、まだまだこれから伸びていくように普及啓発に取り組むようお願いしておきたいと思います。
同時に、この事業も助成率が三分の二ということで、三分の一の負担とはいえ、資金に余裕のない中小企業にとっては、残る自己負担分が重いケースもあります。
例えば、換気、空調設備の導入、それは更新するというのは私たちも、私も割と一般的なお店や、それから飲食店などで空調がもう古くなって、換えれば大体三〇%か、それ以上の省エネになる、電気代も安くなるということは分かっているんだけれども、資金がなかなかと。数百万円の費用がかかるという場合に、やっぱりこれまででしたらば、そういう場合は制度融資を併せて利用するというケースが多かったように思うんです。
そこでお聞きしますが、この二つの助成を受けた事業者は、HTT、ゼロエミッション支援の制度融資も受けられるということになっているそうですが、この制度融資を受けた事業者数の実績はどうでしょうか。
○福田金融部長 政策課題に対応した融資メニューにおいて、脱炭素関連の融資実績は二件でございます。
○曽根委員 助成金の方は、それぞれ三百件とか百七十件とか適用されている一方で、制度融資の活用は明らかに少ないという印象です。中小企業におけるゼロエミの取組の実態は、まだまだ資金に余裕のある中小企業にとどまっているということではないかと、私、推測します。
助成金や制度融資を活用して積極的に地球温暖化対策報告書制度などに参加してくる中小規模事業所を増やしていくためには、もう少し融資条件の改善が必要ではないか。
コロナ対策では、ゼロゼロ融資というのがもう本当に喜ばれましたが、やはり一般的な制度融資の、何ていいましょうか、保証金の保証や、それから利子補給からもう一歩踏み込んだ融資条件の改善というのはできないものでしょうか。
○福田金融部長 政策課題に対応した融資メニューにおきまして、脱炭素等に係る資金繰りについて、金融面から適切に支援しております。
○曽根委員 まだ初年度ですので、これから制度の改善を、機会を見つけて申し上げていきたいと思うんですが、例えば飲食店などの場合、店のスペースを増やすわけじゃない。空調を改善するということでいうと、それで急にお客さんが増えて、利益が倍増したりするものではありません。
したがって、機器の改善に係る自己負担分を何年かで取り返していく、それで融資を受けても返さなきゃならないということになりますので、その資金、なかなか今余裕がなくてできない中小零細企業が圧倒的に多いと思います。
そこで、やはり本当に大変なときに援助をできる様々な手当てが東京都だからこそできるということで、まだこれから本格的に始めるものですので、このままの制度のままでは助成金の活用が頭打ちになっていくんじゃないかということを私は心配しています。
コロナ対策に勝るとも劣らぬ緊急性が高い事業だと考えて、さらに思い切った取組を金融機関も、制度融資ですから、金融機関もこの融資の役割についてよく理解させて、巻き込んで進めるよう、産業労働局の努力、取組を求めて、私の質問を終わります。
○細田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議はございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時四十五分散会
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