令和三年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

令和四年十月二十六日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長柴崎 幹男君
副委員長山田ひろし君
副委員長池川 友一君
竹平ちはる君
たかく則男君
平田みつよし君
斉藤 りえ君
浜中のりかた君
森口つかさ君
成清梨沙子君

欠席委員 なし

出席説明員
収用委員会事務局局長杉崎智恵子君
人事委員会事務局局長初宿 和夫君
任用公平部長新田見慎一君
審査担当部長田中 賢也君
試験部長谷 理恵子君
総務局局長野間 達也君
次長理事兼務小笠原雄一君
総務部長猪口 太一君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
訟務担当部長松下 博之君
都政情報担当部長内山 裕道君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
濱田 良廣君
人事部長石橋 浩一君
行政部長武田 康弘君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務小林 弘史君
総合防災部長保家  力君
防災計画担当部長芝崎 晴彦君
防災対策担当部長八嶋 吉人君
人権部長吉村 幸子君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
収用委員会事務局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和三年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・令和三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○柴崎委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局、人事委員会事務局及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。−−発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○新田見任用公平部長 十月十四日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の要求資料の表紙をおめくりください。公平審査等の実績の一覧でございます。
 勤務条件に関する措置の要求や不利益処分に関する審査請求、苦情相談について、過去五年分の件数と主な内容を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより総務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、令和三年度東京都特別区財政調整会計決算及び令和三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪口総務部長 十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます令和三年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料、表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は二点ございます。
 一ページをご覧ください。東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第十二条に基づく事案の取扱状況でございます。
 都民等の申出件数及び概要等公表件数につきまして、令和元年度から令和三年度までの実績を記載してございます。
 二ページをご覧ください。緊急事態宣言発出による開示請求等に係る開示決定等の期限についての事務連絡でございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響等を踏まえ、開示請求等に係る開示決定等の期限の取扱いを記載した事務連絡でございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○柴崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 初めに、帰宅困難者対策についてお伺いします。
 昨年十月七日に千葉北西部地震が発生しました。東京では、東日本大震災以来となる震度五強を記録し、象徴的な被害として、日暮里・舎人ライナーの車両が脱輪するなど、多くの公共交通機関が止まり、一部の駅では滞留者が発生しました。
 東日本大震災から、はや十年以上が経過しましたけれども、改めて帰宅困難者対策がクローズアップされたところであります。
 東日本大震災では約三百五十二万人もの帰宅困難者が発生しました。東京都の帰宅困難者対策は、東日本大震災を教訓に構築されていると聞いているところです。
 そこで、これまでの都の帰宅困難者対策の取組を伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都は、東日本大震災におきまして大量の帰宅困難者が発生した教訓を踏まえ、平成二十五年四月に、企業に従業員の一斉帰宅抑制とそのための三日間の備蓄などを義務づけた東京都帰宅困難者対策条例を施行いたしました。
 この条例に基づき、一斉帰宅の抑制、一時滞在施設の確保、安否確認や情報提供、帰宅支援の四つの対策を柱に都の施策をまとめた実施計画を策定し、大規模地震発生時等における帰宅困難者対策に着実に取り組んでまいりました。
 具体的には、経済団体等と連携した説明会による一斉帰宅抑制の周知、補助金を活用した民間一時滞在施設の確保、防災ツイッターによる情報提供の開始、コンビニ等を活用した帰宅支援ステーションの拡充など、様々な取組を推進してきたところでございます。

○平田委員 都は、東日本大震災での教訓を踏まえて、条例の制定など帰宅困難者対策に着実に取り組んできたとのことですが、先ほども申したとおり、東日本大震災から既に十年が経過しています。この間の社会情勢の変化を考えると、帰宅困難者対策を時代の変化に合わせて進化させていくべきであると考えます。
 そこで、都は昨年度、帰宅困難者対策検討会議を設置したと聞いていますが、その内容について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 東日本大震災から十年が経過し、デジタル技術の発達や耐震化の進展など、社会状況の変化を踏まえ、改めて帰宅困難者対策の方向性について検討するため、都は、学識経験者を中心に、国や区市町村、経済団体が参加する帰宅困難者対策に関する検討会議を昨年五月に設置いたしました。
 同会議において検討を重ね、昨年十二月、六つの取組の方向性を盛り込んだ報告書を公表いたしました。
 具体的には、デジタル技術の活用により、リアルタイムに災害情報の収集や提供を行えるよう進めること、また、滞留者が一斉に帰宅する状況をつくらないよう、事前に帰宅に関するルールを設けておくことなどの取組の方向性を示したものでございます。

○平田委員 検討会議での議論の結果、デジタル技術の活用や帰宅の際のルールなど、この十年間の社会経済状況の変化に合わせて、帰宅困難者対策をより充実させていく方向性であることを理解いたしました。
 一方で、この十年間取り組んできた施策の中でも、特に買物客や行楽客などの行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保が急務と考えております。
 そこで、昨年一年間の一時滞在施設の確保状況についてお伺いします。

○八嶋防災対策担当部長 大規模地震発生時に帰宅困難者による混乱を防止し、円滑な救出救助活動を実施するためには、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保が重要でございます。
 都はこれまで、帰宅困難者対策条例や実施計画に基づき、区市町村とも連携し、施設管理者に対し積極的に協力を呼びかけるなど、一時滞在施設の確保に努めてまいりました。
 その結果、令和三年の一年間では、二十三施設、九千五百七十五人分の一時滞在施設を新たに確保し、累計として令和四年一月現在で約四十四万三千人分を確保してございます。

○平田委員 昨年一年間で約一万人分の一時滞在施設が新たに確保でき、累計で約四十四万三千人分確保できているというお話でしたけれども、必要な収容人員は約六十六万人と聞いておりまして、いまだ不足しているとのことですので、引き続き着実に取り組んでいただきたいと思います。
 首都直下型地震の発生確率は、今後三十年以内に七〇%とされております。いつ起こるか分からない大規模災害に備えて、帰宅困難者対策全体について、さらに加速していく必要があると考えております。
 そこで、帰宅困難者対策についてどのような検討を行い、今後どのように進めていくのか、その方向性についてお伺いします。

○八嶋防災対策担当部長 都は、昨年度の検討会議の提言を踏まえ、開発中の帰宅困難者対策オペレーションシステムを活用し、リアルタイムの情報収集や提供に向け取組を進めていくことや、再開発の機会を捉えた事業者への協力要請等により、一時滞在施設をさらに確保していくことなど、実効性ある取組を検討してございます。
 本年五月に公表した新たな被害想定の見直し結果も踏まえ、現在、東京都帰宅困難者対策実施計画の改定作業に取り組んでおり、今年度中に取りまとめを行う予定でございます。
 こうした取組により、帰宅困難者対策を強化してまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、被災地復興支援について質問いたします。
 大消費地でもある東京は、食料やエネルギーなど多くを地方からの供給によって賄っています。東京の発展は、地方との共存、地方の活性化抜きには進まないというべきであると思います。
 昨年度は、東日本大震災から十年の節目でした。被災地では、目に見える形で復興が進む一方、いまだに課題が残っているとも認識しております。東京都は、東日本大震災の発生直後から多くの支援を行ってきました。
 そこで、初めに、昨年度の被災地の状況について、都の認識を改めてお伺いいたします。

○濱田復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 岩手県、宮城県を中心としました地震、津波被災地域は、道路や河川等のハード整備や住まいの再建がおおむね完了するなど、復興の総仕上げの段階にございます。しかしながら、地域によって復興の進捗状況に違いが見られるところでございます。
 原子力災害被災地域である福島県につきましては、帰還困難区域を除く全ての地域で避難指示が解除され、復興再生が本格的に始まった段階ですが、農林水産、観光等の風評払拭などの課題があるほか、人口減少、高齢化、産業の空洞化等が一層進行しております。

○平田委員 いろいろと目に見える形で復興が進んでいる一方で、やはりいまだに様々な課題が残り、復興は途上にあるということを改めて認識いたしました。
 震災からの復興を進めるためには、応急対策やインフラ、産業再生を担う現地の自治体の業務を円滑に進める体制を確保することが重要であります。
 東京都は、発生直後から現地事務所の開設や職員を派遣するなど、現地の自治体への支援に向け、積極的に取り組んできましたが、これまでどのような人的支援を行ってきたのか、昨年度の状況も含めてお伺いいたします。

○濱田復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 都は、発災直後に、岩手、宮城、福島の被災三県に現地事務所を開設し、被災地から情報収集を行うことにより、支援ニーズを的確に把握し、具体的な支援の実施につなげてまいりました。
 復興の状況に応じて支援体制を見直してきておりまして、現在でも福島県事務所を設置し、現地での支援を継続しております。
 また、発災直後からこれまでの間、延べ三万人を超える職員を東日本大震災の被災地に派遣するなど、総力を挙げて被災地の支援に取り組んでまいりました。
 令和三年度は、被災自治体の意向や支援ニーズを踏まえ、東日本大震災の復興支援のために、岩手県に五名、宮城県に九名、石巻市に二名、福島県に十四名の計三十名の技術系及び事務系の職員を派遣いたしました。これらの職員は、道路、河川、港湾、水道、下水道施設の復旧や区画整理事業のほか、産業の復興や雇用対策など、幅広い復興業務に従事いたしました。

○平田委員 発災直後からこれまで継続して被災地へ職員派遣を行うなど、被災地の復興を後押ししてきたことが確認できました。
 一方で、東日本大震災の発生から十年以上が経過して、記憶の風化が進むことが懸念されます。被災地の復興には、直接的な支援が必要であることはもちろんですが、多くの都民が記憶を風化させず、継続的に関心を持ち続けることが重要と考えます。
 震災から十年を迎えた昨年度は、東京二〇二〇大会が開催されましたが、東日本大震災からの復興がこの大会の重要なテーマの一つでした。
 都は、この節目の年に当たって、改めて都民に対し被災地の復興を呼びかけるためにどのような取組を行ったのかお伺いします。

○濱田復興支援対策部長復興支援調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 東京二〇二〇大会の開催に当たり、都庁でのオリンピック聖火リレー到着式におきまして、福島県産のヒマワリでステージを装飾いたしました。また、パラリンピック聖火リレー都内集火式では、岩手県の大漁旗と宮城県の七夕飾りでステージを装飾いたしました。これらの花や装飾は、それぞれの大会開催期間を通じて都庁舎入口に展示し、併せて被災地のメッセージを発信いたしました。
 令和四年一月から三月にかけましては、岩手県、宮城県、福島県及び青森県と共に、東日本大震災風化防止イベントをコロナ禍であることを踏まえ、オンラインとリアルのハイブリッドで開催し、震災記憶の風化防止や支援の継続を呼びかけました。
 具体的には、各県知事や東北ゆかりの著名人のメッセージ、被災地の今を感じられるコンテンツを載せたオンラインサイトを開設いたしました。また、三月上旬には、汐留シオサイトにおいて復興支援のパネル展示や映像の放映を行い、約七千人が来場いたしました。さらに、ホームページやツイッターなどを活用し、復興の現状や県産品の魅力発信などの取組を実施いたしました。

○平田委員 復興五輪としての東京二〇二〇大会を通じて、被災地が復興に向けて歩む姿を国内外に発信したことは大きな意義があったと考えております。いまだ被災地に影響を及ぼし続ける未曽有の大災害が起きたという事実は、長い年月が経過しようとも決して風化させてはならず、情報発信の取組は非常に重要であります。
 震災記憶の風化防止や被災地の復興の情報を発信することは、一過性の取組とするべきではなく、今後も引き続き被災地の声に耳を傾けながら、被災地の今の姿、災害に関わる正しい情報を発信する取組を進めていただきたいと思います。
 次に、犯罪被害者支援について伺います。
 都は、令和二年度に第四期東京都犯罪被害者等支援計画を策定し、犯罪被害者等に寄り添った支援策を一層充実させていくこと、さらに、都や区市町村、警察等の関係機関との連携を強化し、必要な支援を途切れることなく提供していくこととしています。
 苛酷な状況にある犯罪被害に遭われた方々に着実に支援を行うためには、被害後に速やかに相談につなげていくことが重要です。
 そこで、犯罪被害者等のための東京都総合相談窓口では、電話相談や裁判所等への付添いなどの支援を行っていますが、昨年度の実績と傾向についてお伺いします。

○吉村人権部長 都は、公益社団法人被害者支援都民センターと協働して、平成二十年度から東京都総合相談窓口を設置し、犯罪被害者やその家族に対し、専門の相談員による電話相談や面接相談、警察、裁判所等への付添いのほか、臨床心理士や精神科医によるカウンセリング等の支援を実施しております。
 令和三年度は、相談窓口を開設して以来最多となる六千二百二十九件の支援を行いました。
 犯罪被害別の傾向としては、性的被害や暴行、傷害を受けた被害者からの相談が増加しており、相談員が被害者から心身の問題や日常生活上の問題などを丁寧に聞き取った上で、警察や区市町村、弁護士会等の関係機関と連携し、被害者の意向に沿った必要な支援を提供しております。

○平田委員 総合相談窓口では、日常生活における問題なども丁寧に聞き取っていただいているとのことですが、犯罪被害に遭い傷害を負った場合や介護が必要になった場合、通所サービスや医療支援等が必要になったり、また、精神的ダメージによって家事や子供の送迎などの生活支援が必要になることもあります。そうなりますと、こうした住民サービスを提供している身近な区市町村での支援が非常に重要になってきます。
 区市町村にも犯罪被害者のための総合相談窓口はあるものの、多くの自治体では支援の経験が少ないため、ノウハウが足りなかったり、役所内で被害者が必要とするサービスにうまくつなげなかったりする場合もあると聞いております。
 そこで、区市町村における体制の強化が必要と考えますが、都はどのように支援しているのか伺います。

○吉村人権部長 都は、区市町村において、犯罪被害者等への適切な支援ができるよう、これまで都や関係機関の支援策に関する情報提供、窓口対応マニュアルの整備、職員研修など、様々な支援を行ってまいりました。
 令和三年度からは、被害者等支援専門員を人権部に配置し、都の窓口に相談した被害者等が区市町村による日常生活上の支援を必要とする場合には、専門員がニーズを聞き取り、区市町村と連携して対応することとしました。
 専門員は、区市町村と協力して被害者の状況を踏まえた支援プランを作成するとともに、区市町村が支援を提供する際の実践的なアドバイスを行っております。
 このほか、専門員が区市町村を訪問し、意見交換のほか、区市町村の状況に応じた体制整備に関する助言を行うなど、きめ細かい支援に努めております。

○平田委員 被害者等支援専門員を配置して、区市町村における犯罪被害者支援に対して都がサポートされている体制が整備されていると改めて理解いたしました。
 都と市区町村が連携して支援することは重要ですが、区市町村にそのような経験を持つ職員がいたとしても、自治体ですと数年周期で異動があります。異動によって支援体系が継承されず、支援の質が低下することのないよう、継続的な人材育成の取組が重要であると考えます。
 そこで、都は、市区町村の人材育成の支援として、令和三年度どのような取組を行ったのか伺います。

○吉村人権部長 都は毎年度、区市町村職員を対象として、警視庁等の関係機関における支援策の情報提供のほか、犯罪被害者等の置かれている状況や支援の重要性、二次的被害を生じさせないような対応等に関する研修を実施し、職員の資質向上を図っております。
 令和三年度は、新たにグループワークを取り入れたプログラムを実施し、被害者等支援専門員が作成した想定事例について、区市町村の各部署や関係機関が連携して、どのような支援を提供できるかを考える実践的な研修を行いました。
 今後も、研修内容や実施方法に工夫を凝らし、研修の充実に努めてまいります。

○平田委員 ぜひよろしくお願いいたします。質問を終わります。

○森口委員 防災対策について伺います。
 都は、昨年十一月、東京都防災会議の下に、地震研究に関する専門家で構成する地震部会を設置し、首都直下地震等の被害想定の見直しを進め、今年五月には十年ぶりとなる新たな被害想定を公表しています。
 この被害想定によると、十年前と比較をして東京都の死者が約九千七百人から六千百人に、また、建物被害が約三十万棟から約十九万棟に減少するなど、三割から四割程度被害が軽減されると見込まれております。
 そこで、今回の被害想定では、人的、物的被害が大きく減少しているが、これまでの減災に向けた都の取組について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、阪神・淡路大震災や東日本大震災等を教訓に、耐震化や不燃化などのまちづくりを強力に推進してまいりました。
 また、「東京くらし防災」の作成、配布や地域の防災活動を担う町会、自治会を対象とした東京防災学習セミナーの開催など、自助、共助の意識向上につながる取組も進めてまいりました。
 こうした取組が人的、物的被害の減少に寄与しているものと認識しており、引き続き対策を推進してまいります。

○森口委員 都は、阪神・淡路大震災や東日本大震災等を教訓に、備えよ常にの精神の下、都民の生命と財産を守るセーフシティ東京の実現に向け、スピード感を持って都の防災力の強化に努め、今回の人的、物的被害の減少につながっていることを評価いたしております。
 一方、新たな被害想定においても、死者は約六千百人と想定がされており、引き続きさらなる減災に向けて、様々な視点で防災対策を進めていただきたいと思います。以下、都の防災力の向上に向けた令和三年度の個々の取組と実績について伺います。
 まずは、帰宅困難者対策について伺います。
 大規模な地震等が発生した場合、人命救助の期限といわれる七十二時間は、救命救助の妨げとなり、むやみに移動せず、安全な場所にとどまることが必要です。職場や学校にいる方々は、その施設に待機をすることになる一方で、買物客や観光客など行き場のない帰宅困難者は、一時滞在施設で待機をすることになります。
 ここ都庁近くの大型ターミナル駅である新宿駅においては、一日三百五十万人が利用するなど、大都市であるこの東京都において、帰宅困難者の安全確保が重要な課題として懸念がされております。
 そこでまず、発災時に帰宅困難者を受け入れる都内の一時滞在施設の令和三年度時点の確保数について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 令和四年一月現在の一時滞在施設の確保数は千百五十五施設、収容人数は約四十四万三千人となっております。

○森口委員 本年五月に公表された新たな被害想定による試算では、行き場のない帰宅困難者は約六十六万人と伺っております。
 ご答弁のように、令和三年度時点で、そのうち約四十四万三千人、三分の二に当たる一時滞在施設を確保しているということでありますが、残り二十万人分、さらなる施設の確保が必要となります。
 都や区市町村の施設だけではなく、民間施設の協力が不可欠である中、受け入れた帰宅困難者が滞在中に余震や落下物により事故に遭うリスクなど、二次被害における施設管理者の免責が認められていないことが、確保が進まない大きな要因でもあり、引き続き国に対し法改正の働きかけを進めるとともに、民間一時滞在施設の拡充に向けた都の取組を進めることも大変重要です。
 そこで、民間の一時滞在施設拡充に向けた都の支援策の実施状況について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 一時滞在施設を確保する上で、民間施設の協力は不可欠でございます。
 このため、都は、水や食料などの備蓄品の購入に対する補助やスマートフォン等の充電環境の整備に対する補助、ターミナル駅の周辺にあるなど比較的大規模な施設に対する設備等への補助、さらには、専門家をアドバイザーとして派遣するなどの支援を行ってまいりました。
 令和三年度の実績といたしましては、備蓄品の補助は八十七件で約四千二百万円、充電環境の整備に対する補助は十五件で約二千二百万円、設備等への補助は十二件で約一億四千万円となっております。また、アドバイザー派遣は二十一回でございます。

○森口委員 一時滞在施設の確保や整備に向け、様々な支援が行われていることが分かりました。民間の一時滞在施設のさらなる確保につながるよう、区市町村とも連携をし、都として積極的な働きかけを行い、帰宅困難者対策に努めていただきたいと要望いたします。
 次に、感染症と自然災害の複合災害について伺います。
 新型コロナが流行し二年半が過ぎました。この間にも、全国各地では地震や台風、豪雨による被害が発生をするなど、コロナ禍においても自然災害が頻発をしています。
 都においては、感染症と自然災害の複合災害の発生を見据えた新たな防災対策が急務であり、とりわけコロナ禍における避難所の感染症対策は重要と考えます。
 そこで、避難所における感染症対策の取組について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都は、区市町村に対して、マスクや消毒液など避難所における感染拡大防止のために必要な物資の購入経費に係る補助を実施しているところでございます。
 また、都自らも段ボールベッドや屋内テントを平時から備蓄するほか、民間事業者等と物資調達に関する協定を締結し、災害時に必要な感染症対策に係る物資を区市町村に提供する体制を整備しております。
 さらに、避難所が過密にならないよう、都立施設の活用やホテル、旅館団体との避難先提供に関する協定の締結など、区市町村がより多くの避難先を確保できるよう支援しております。

○森口委員 区市町村に対する支援や、都自ら備蓄や調達体制の確保など、避難所における感染症対策を進めていることが確認ができました。
 この冬に懸念されている新型コロナ第八波と季節性インフルエンザの同時流行にも備え、引き続き複合災害における防災対策に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、都民一人一人の防災意識の向上に向けた取組について伺います。
 いつ発生してもおかしくない自然災害に対し、都民一人一人が日頃から防災に関する知識を身につけ、事前の備えや発災時の適切な行動につなげることが大変重要であります。
 都の調査によると、防災対策の重要な取組である家具の転倒防止について、全ての家具で対策をしている方々は一割以下であり、全く対策をしていない方々も三割に上っています。
 減災には自助、共助の取組が必要不可欠であり、都民一人一人の防災意識の向上や防災に関する正しい知識を身につけられる機会が必要です。
 そこで、都民の防災意識の向上と防災に関する学習機会の提供のため、都はどのような取組を行ったのか伺います。

○八嶋防災対策担当部長 都は、都民の防災意識を向上させるとともに、防災に関する知識を身につけてもらうため、オンラインも活用し、個人や団体向けに各種防災セミナー等を開催しております。
 具体的には、令和三年度は、町会や自治会などの地域コミュニティ等を対象に、地域の実情に応じた対策を学ぶ東京防災学習セミナーを約百四十団体に対し実施し、約二千八百人が参加いたしました。
 また、広く都内の在勤、在住、在学の方向けに、日常備蓄や安否確認手段の準備等の様々な自助の取組などが学べる東京防災ホリデーセミナーを実施し、約一千名が参加をいたしました。
 このほかにも、子育て世代を対象としたセミナーを開催するなど、受講者の目的に応じた様々なコースを用意し、幅広く都民の参加を促しております。

○森口委員 ご答弁いただいたセミナーでは、東日本大震災や過去の豪雨災害から得られた教訓についてもご説明いただいていると聞いております。自助、共助の一層の強化に向け、地域、町会や自治会や子育て世帯、また都内で働く方々など、きめ細やかに普及啓発につながる取組を進めていただきたいと思います。
 ここまで帰宅困難者対策、避難所対策、防災意識の向上など、令和三年度における総務局の防災対策の取組を確認してきましたが、あらゆる対策において、災害弱者として取り残される要配慮者への視点も大変重要と考えます。
 要配慮者である障害者一人一人の状況に応じた個別避難計画を区市町村が策定する際の支援や、障害のある方を支援する方々を対象にした普及啓発事業の実施など、都庁全体で見ればやるべき課題は山積をしています。
 これまで都は、都民全世帯に広く防災意識の向上を図った「東京防災」、また女性の視点に立った「東京くらし防災」ブックの発行など、メッセージ性のある取組も行ってきました。
 昨年開催された東京五輪を契機とした東京の進むべき先は、持続可能な成熟都市として、安全・安心であり、多様性を尊重する共生社会の実現であります。東京の進むべき先を都民、国民、また世界に明確に示す上でも、障害者など要配慮者への支援といった視点に立った東京パラ防災ブックを発行するなど、東京防災アプリやDXも活用し、災害弱者に特化したきめ細やかな防災の取組を総務局も含め、オール都庁で進めていただくことを要望し、私の質問を終わります。

○竹平委員 よろしくお願いいたします。
 初めに、東京都生活応援事業について質問させていただきます。
 令和三年は、長引くコロナ禍にあり先の見えない状況で、事業者の収入は減り、働く方の給料が減り、経済的にも厳しさが増している中でございました。そういった中で生活を応援することは大変重要であります。
 本事業は、コロナ禍によって厳しい環境に置かれた生活者や事業者に対し、キャッシュレスポイント還元等を行う市区町村を支援するもので、事業の名前のとおり、根本の目的は生活を応援するための支援策と認識しております。
 改めて、本事業の目的や概要についてお伺いしたいと思います。

○小林都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 令和三年度に実施いたしました本事業は、新しい日常における生活応援を図りますとともに、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレス決済によるポイント還元などを行う区市町村の事業に対して補助を実施したものであります。
 デジタルのみで実施する場合、還元率、プレミアム率の上限は三〇%、補助率は四分の三。紙商品券との併用で実施する場合、デジタル実施分の還元率、プレミアム率の上限は三〇%で、補助率は三分の二、紙実施分のプレミアム率の上限は二五%で、補助率は二分の一としたところであります。

○竹平委員 都議会公明党は、この長引くコロナ禍にあって、都民の生活を応援するため、プレミアム付商品券事業の実施を繰り返し提案させていただきました。令和三年度に、この補正予算、本事業の百二十五億円が盛り込まれたことには、一定の評価をしているところであります。
 一方で、スマートフォンの利用に不慣れであったり、そもそもスマートフォンをお持ちではなく、キャッシュレス決済をご利用できない方もいらっしゃる中で、紙の商品券の発行にも柔軟に対応すべきと繰り返し求めてまいりました。都は、我が党の求めに応じて、紙の商品券も取り入れたことを評価いたします。
 その意味でこの事業は、デジタルのみでの実施と、デジタルと紙商品券との併用を選択することが可能であり、事業の目的を考えますと、一つでも多くの区市町村に事業を活用してもらうことが大切であります。
 そこで、昨年度の事業の実績と成果、また課題についてお伺いいたします。

○小林都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 昨年度事業におきましては、五十三の区市町村が本事業を活用し、デジタルと紙商品券を併用して実施したのが九団体、デジタルのみで実施したのが四十四団体となりました。本事業をきっかけに、三十八の区市町村がデジタル商品券やポイント還元などのデジタル技術を用いた事業に新たに取り組みました。
 都は、約七十五・六億円の補助を実施いたしており、区市町村がそれぞれ工夫を凝らしながら事業を実施し、生活者や事業者への支援に結びつけました。
 また、本事業に関する利用者や事業者に対するアンケートを実施し、本事業期間内において、ふだんより消費を増やした人は六〇・六%、また、売上げが増加した事業者は五一・三%との結果を得ております。
 一方で、実施店舗からは、キャッシュレス決済への従業員の対応の負担や手数料について懸念があるなどの声も聞いているところであります。

○竹平委員 区市町村がこの事業を活用するためには、デジタルでの実施が前提となりますが、ただいまの答弁で、三十八の区市町村が新たにデジタル技術を用いた事業に取り組んだとのことでありました。また、紙と併用で行ったところは九自治体あり、全体では五十三の区市町村に活用されたとのことで、多くの自治体で活用され、都民の生活に役立てられたものと認識いたしました。
 しかし、区市町村によって様々な状況があるため、都がこうした事業を展開する上では、それぞれの置かれた状況に応じて、区市町村を丁寧に支援していくべきと考えます。
 そこで、都として区市町村に対してどのような支援を行ったのかをお伺いいたします。

○小林都区制度担当部長区市町村調整担当部長兼務 都は、事業を実施、開始するに当たり、区市町村長に対しまして、生活者、事業者支援などの本事業の目的を直接説明いたしますとともに、キャッシュレス決済の活用等によるデジタル技術を活用した実施方法について、担当者向け説明会等を開催いたしました。
 これに加えて、区市町村との情報共有のためのコミュニティサイトを作成し、先行して本事業を活用した区市町村から寄せられた実施に当たっての注意点や利用者の声等をサイト上で広く展開するなど、きめ細かな支援を行いました。
 こうした取組を通じまして、区市町村に対して事業活用を促しますとともに、円滑な事業執行が図られるよう努めたところであります。

○竹平委員 私の地元の商店街で乾物屋さんを営んでいる店主にお話を伺いました。キャッシュレス決済は、お客さんには使い勝手、またお得感があるかもしれませんが、お店側は三%の手数料がかかる上、小さなお店は自分一人で営んでおり、売上げがすぐに現金に還元できないと事業が回らない、だからキャッシュレス決済はやるつもりはないんですとおっしゃいました。
 また、できればプレミアム付商品券だと、金融機関に商品券を持っていけば、すぐに換金してもらえて手数料はなくて済むから、うちの店にとってはこのプレミアム付商品券の方がいいんだよなと、そういったお声を伺ったところでございます。そういう意味でも、紙の商品券も重要な取組だと思います。
 今年度も昨年度に続き本事業を実施するに当たり、都議会公明党は、デジタルデバイドに課題のある高齢者や所得の低い方にも配慮し、紙の商品券とデジタルに格差が生じないよう要請をさせていただきました。
 都は、公明党の要請を受けまして、今年度は、プレミアム率はデジタルのみと紙と併用も同じ三〇%とし、実施する区市町村への補助率も、デジタルと紙と併用のときの紙実施分も二分の一から三分の二にしたことは評価をしているところです。
 今年度は、長引くコロナ禍にあって、新たにウクライナ危機に伴う物価高騰などにより、家計は大きく影響を受け続けることが予想されます。
 都の事業を活用しなかった自治体では、従来行ってきた事業との兼ね合いもあり、独自の財源を活用したところもあったようであります。なぜ利用できなかったのか、都の本事業のスキームがもし合わなかったら、どうしたら活用ができたのか、よく事情を聞き、どのように自治体を支援できるかを考え、各自治体が使い勝手のよいものとなるよう、今後も市区町村と連携し、都民の生活を応援する支援策を着実に進めていっていただきたいと要望いたします。
 次に、防災関係について質問をさせていただきます。
 初めに、東京都防災会議についてお伺いいたします。
 東京の防災対策に関わる計画である東京都地域防災計画は、この東京都防災会議において、その内容が決定されることとなっております。
 これまで、都議会公明党は、防災会議への女性委員の拡大について提案を重ね、都においてもそれを受け止め、段階的に拡充を図ってきました。本日は、改めてこれまでの経緯について確認をしていきたいと思います。
 まず、東京都防災会議は具体的にどういう組織なのかお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 東京都防災会議は、災害対策基本法第十四条に基づき設置する附属機関であり、国の地方行政機関や自衛隊、警察、消防、区市町村長、ライフラインや放送など、公共性の高い事業者や学識経験者等から構成されております。
 この防災会議では、東京都地域防災計画の作成や修正、計画実施の推進、都知事の諮問に応じた都の地域に係る防災に関する重要事項の審議などを行うこととしております。

○竹平委員 東京都地域防災計画は、都、区市町村、防災機関、事業者、地域の防災組織及び都民が総力を結集し、東京の防災力を高めていくことを目的に策定をされる、まさに都の防災対策の根幹となる計画であります。
 本計画の策定、修正の責務を担う東京都防災会議の役割は極めて大きく、その組織及び運営について定めている東京都防災会議条例については、東日本大震災以降、平成二十五年と平成三十一年の二度、条例改正を行いました。
 また、都は、首都直下地震等の被害想定を実施後の新たな地域防災計画の検討に当たり、昨年度末にも東京都防災会議条例の改定を行いました。
 そこで、昨年度行った条例改定の狙いと女性委員の参画の状況についてお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 東日本大震災など過去の大規模災害の教訓として、女性や高齢者などの多様な視点に立った防災対策や避難所運営等の必要性が明らかになっております。
 こうした多様な視点を十分に反映していく必要があることから、今回の地域防災計画の修正に当たりましては、昨年度末に東京都防災会議条例を改正し、知事が指名または任命する委員数の上限を大幅に増やしてございます。
 これにより、福祉やボランティアに係る団体の女性役員等を追加いたしまして、本年十月十六日現在、東京都防災会議の委員八十七名中、女性委員は二十五名となっております。

○竹平委員 今回の条例改正により、女性委員が二十五名となったとの答弁でありました。聞くところによると、充て職などを除く女性委員の任用率は四割を超えているとのことで、昨年度までと比べますと倍以上に増えており、飛躍的な進歩といえると思います。
 現在、地域防災計画の改定作業を進めているとのことですので、ぜひ防災会議委員のご意見もいただきながら、検討を進めていただきたいと思います。
 次に、水害対策について伺います。
 東京の東部低地帯は、荒川や江戸川などの大河川が氾濫すると、広範囲にわたり浸水被害が発生いたします。私の地元の江戸川区も、区の陸地の約七割がゼロメートル地帯であり、大半の地域が浸水する可能性があり、その深さは十メートル以上、二週間以上の期間に及ぶことが想定される地域でもあります。
 江戸川区を含むいわゆる江東五区では、平成二十八年に江東五区広域避難推進協議会を設置し、平成三十年には江東五区大規模水害広域避難計画を策定いたしましたが、広域避難先となる施設が確保できておらず、検討のさらなる具体化には至っておりませんでした。
 そうした状況の中、都は昨年九月に、オリンピックセンターを広域避難先として初めて確保し、その後も広域避難先施設の確保や施設の運営方法の具体化などを進めるなど、主体的な取組を加速化させております。区の関係者からも、これを評価する声も多く聞いているところでございます。
 そこで、広域避難先の確保や避難先の運営方法の具体化について、昨年度の取組状況をお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 広域避難先の確保について、都はこれまで、利用可能な都立施設は原則活用していくこととしておりまして、各施設管理者等と活用に係る調整を進めております。国や民間施設については、昨年九月の国立青少年教育振興機構をはじめとして、昨年度末時点で五団体と広域避難先としての活用に係る包括協定を締結いたしました。
 また、こうした広域避難先の運営を円滑に行うため、関係区や施設管理者との間で具体的な運営方法について調整を重ね、本年九月にオリンピックセンターを想定した開設運営マニュアルを取りまとめたところでございます。

○竹平委員 都が広域避難先の確保や避難先の運営方法の具体化に意欲的に取り組み、検討が着実に前進していることが分かりました。
 一方、避難先の確保や運営方法の具体化が進んでも、住民の皆さんがそこへ避難してくれなければ意味がありません。都が提供する東京マイ・タイムラインは、日頃から家族や地域で水害リスクを話し合い、災害時の適切な避難行動へと誘導する上で大変有効なツールであると考えます。
 そこで、東京マイ・タイムラインを活用した都の水害普及啓発の取組状況についてお伺いいたします。

○芝崎防災計画担当部長 都は令和元年五月に、東京マイ・タイムラインを公表して以降、都内の全ての小学校、中学校及び高等学校の児童生徒に配布しておりまして、昨年度までに累計二百三十七万部を配布しております。
 また、学校や町会を対象とした出前講座や、地域で作成指導に当たる人材の養成講座を実施するとともに、企業等で働く人を対象としたセミナーを東京商工会議所等と共同で開催してございます。
 さらに、若い世代を含めたより多くの方に東京マイ・タイムラインを手軽に活用していただけるよう、昨年度、アプリ版を制作し、今年四月に提供を開始いたしました。

○竹平委員 都議会公明党がこれまで提案してきた東京マイ・タイムラインを活用した水害普及啓発に、都が着実に取り組んでいることが分かりました。
 区においても、ハザードマップを全戸配布するなど、住民に対して水害リスクを周知するための取組を進めておりますが、水害への関心が低く、そもそもハザードマップを見ない方や、ハザードマップを見たとしても、水害のリスクが我が事として認識できていない方も少なくないと聞いております。
 こうした状況も踏まえて、都では今年九月から、関係区と連携し、都民がより一層水害リスクを我が事として認識できるよう、居住地ごとのリスクや推奨される避難行動等を住民に直接発信するモデル事業に着手したと聞いております。
 引き続き、関係区と緊密に連携をし、こうした取組を効果的に展開していくことで、大規模風水害時の広域避難対策を着実に前進していただきたいと思います。
 次に、東京都防災アプリ、防災模試について伺います。
 災害時に適切な防災行動を取るためには、日頃から防災への意識を高めておく必要があります。とりわけ、防災への関心が薄いとされる若者世代への普及啓発が重要だと思います。
 その点で、スマートフォンで簡単に操作ができる東京都防災アプリは、若者にはなじみやすく、とても効果が高いと感じております。アプリには、食料品など日用備蓄品をチェックリストに入力することで賞味期限が来るとお知らせする機能など、生活に身近なコンテンツも盛り込まれております。
 そこで、このアプリを一層使ってもらうためには、若者世代にとって魅力あるコンテンツが必要と考えますが、これまでの都の取組についてお伺いいたします。

○保家総合防災部長 都は、比較的防災に関心の薄い若者層を中心に、都民全体の防災意識のさらなる向上を図るため、平成三十年三月に東京都防災アプリの配信を開始いたしました。
 配信時から、「東京くらし防災」などの内容を簡単に検索できる機能や、暮らしの中でできる災害への備えをゲーム形式で学べるコンテンツを用意するとともに、令和元年度には、災害時の防災に関する知識を漫画形式のエッセイで紹介する防災漫画を追加するなど、内容の充実に取り組んでまいりました。
 また、都は一昨年度から、クイズ形式で学べる東京都防災模試を実施しており、昨年度、震災時の行動や耐震化の取組など、防災模試に出題される内容を事前に学習できる機能をアプリに盛り込み、さらなるコンテンツの拡充を図ったところでございます。

○竹平委員 若者世代が興味を持って防災を学んでもらえるよう、アプリには様々な機能を追加していることが分かりました。このアプリは、防災模試とも連携して取組を進めているということですが、昨年度は、今年の二月に行われていたと思います。
 そこで、防災模試は、昨年度どういった取組をして、さらに若者世代が積極的に参加してもらえるよう、どのように工夫をしたのかをお伺いいたします。

○保家総合防災部長 都は、防災知識の習得を通じて、都民一人一人の防災力を高め、自助の取組を促進するため、ウェブ上で誰もが気軽に参加できる東京都防災模試を実施しております。
 昨年度の模試では、初めに、自分が住んでいるエリアを特別区、多摩東部、多摩西部、島しょ地域の中から選択させることで、その地域の特性を踏まえた防災対策の問題が出題されるよう工夫を行いました。
 また、若年層への広報を強化するため、都内約五百の高校などに対し、防災模試のポスターを約二千五百枚、リーフレットを約三十五万枚配布し、PRを行いました。その結果、全体として約十万の都民等に参加をしていただきました。

○竹平委員 防災模試は、私も取り組んでみましたけれども、地震発生の瞬間から避難までをストーリー仕立てにした問題や、台風などの風水害、感染症に関する問題が出題されており、防災の大切さを改めて実感させられる内容でした。
 若者世代はもとより、一人でも多くの都民が防災知識を学んでいただけるよう、今後もこうした防災ツールの充実に取り組んでいただきますよう要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 情報公開の問題について質問します。質問に入る前に、情報公開請求に関わるこの間の東京都の対応について、抗議の意思を表明します。
 日本共産党都議団は、十月十八日に重大な情報公開条例違反の是正を求めて、小池知事宛ての申入れを黒沼副知事に行う予定としておりました。しかし、黒沼副知事と日程調整を行い、日時が決まっていた申入れについて、副知事側から条例違反という申入れは受けられないと一方的に受け取りを拒否する連絡がありました。こうした対応は前代未聞です。
 東京都からは、条例違反などしていないので、見解が違う、見解が違うものについては申入れを受け入れられないと話がありましたが、私たちの申入れ文書の内容を見ることもなく拒否するという態度は、到底許されるものではありません。
 さらに、見解の相違を理由に申入れを拒否することは、民主主義の否定につながるものであり、あってはならない対応であることを厳しく指摘をして、質問に入りたいと思います。
 東京都公文書等の管理に関する条例の第一条は、公文書等が都民による都政への参加を進めるために不可欠な都民共有の財産と規定をしています。こうした公文書の開示について規定しているのが情報公開条例になります。
 その前文では、東京都は、都民の知る権利が情報公開の制度化に大きな役割を果たしてきたことを十分に認識し、都民がその知ろうとする東京都の保有する情報を得られるよう、情報の公開を一層進めていかなければならないとしています。
 情報公開条例の目的について確認をします。情報公開条例第一条の目的には何と書かれていますか、お示しください。

○内山都政情報担当部長 公文書の開示を請求する都民の権利とは、都が保有する公文書の開示を求める都民の権利をいうものでございます。実施機関には、条例に定める要件を満たした開示請求に応じる条例上の義務がございます。

○池川委員 質問をしたことをよく聞いて答えていただきたいと思います。条例の第一条、この一条の条文を紹介してください。

○内山都政情報担当部長 条例第一条は、この条例は、日本国憲法の保障する地方自治の本旨に即し、公文書の開示を請求する都民の権利を明らかにするとともに情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定め、もって東京都が都政に関し都民に説明する責務を全うするようにし、都民の理解と批判の下に公正で透明な行政を推進し、都民による都政への参加を進めるのに資することを目的とするとされております。

○池川委員 都民共有の財産である公文書の開示について、この条例の目的どおりに情報公開制度を行うことが必要です。
 条例施行通達では、情報公開の総合的な推進の中で、情報公開を総合的に推進することを条例上明記し、開示請求を待つことなく各種の情報を積極的に公表、提供することにより、都政に関する正確で分かりやすい情報を都民が迅速かつ容易に得られるようにすることとしたと。本来は開示手続をしなくても情報が得られるように、総合的な推進を定めたというふうに説明されて、これ大変重要だと思います。
 東京都情報公開条例十二条第一項は、公文書の開示請求に対する開示決定等を行う期限を、開示請求があった日から十四日以内と定めています。同条二項は、やむを得ない理由がある場合には、開示請求があった日から六十日を限度としてその期間を延長することができるとしています。期限を区切って開示決定等を行うことは、都民の知る権利を保障する上でも条例の目的を実現する上でも、極めて重要です。
 一九九九年に条例を全部改正した際に、都議会本会議で、当時の政策報道室長は、請求を受けた場合、開示、非開示の決定をできるだけ迅速に行うべきであるということはご指摘のとおり。迅速な開示決定のための努力を重ねてまいりたいというふうに述べています。この見解というのは、今も変わらないということでよろしいでしょうか。

○内山都政情報担当部長 現行条例の趣旨は変わっていないというふうに考えております。

○池川委員 つまり、迅速な決定は大事だということです。新情報公開法の逐条解説第八版でも、可及的速やかに開示決定等をすべきであるのは当然とされていますが、これは今お答えあったとおり、東京都の情報公開条例の運用に当たっても、同様の考え方が取られるべきであり、迅速な開示決定をすることは必要だということです。
 ところが、日本共産党都議団が今年七月十三日に行った保健所についての調査委託に関する公文書開示請求に対し、決定権者である小池知事は、同月二十七日に、条例第十二条第二項を根拠として、九月九日まで、開示請求の日から五十八日間の期間延長を行い、その後、九月七日に、さらに十一月八日まで六十日間、開示請求の日から数えると百十八日の期間延長を決定し、私たちに通知しました。
 これは、条例第十二条第二項が定める開示請求があった日から六十日という限度を超えており、明らかな条例違反です。
 このことについて東京都は、「緊急事態宣言」発出による開示請求等に係る開示決定等の期限についてと題する二〇二一年四月二十六日付の担当課長名の庁内向け事務連絡で、新型コロナ感染症の緊急事態宣言を理由に、当面の間、六十日を限度とした期間延長を複数回行うことができるものとしますとし、東京都全体で同様の対応をしているということが明らかになりました。それが先ほど、冒頭ご説明があった一連の資料だということです。二〇二〇年四月以来、四回にわたって発出をされています。
 この事務連絡は、条例施行に当たり都が一九九九年に出した通達に、この期間の延長は、原則として、再度行うことはできないものとすると記述されていることを引用し、例外的には、六十日間の期間延長を複数回行うことができるかのように描いています。
 この通達の引用部分は、十二条第二項について説明した部分です。十二条第二項は、やむを得ない理由があったとしても、六十日を限度にしか延長することはできません。一九九九年通達は、期間延長は一回しかできないこと、もし例外的に二回延長するとしても、合計で六十日の範囲内でしかできないという意味で、例外としてなら六十日の延長を何回もできるという意味ではありません。
 条例十二条第二項を根拠に、六十日を超えて開示期間を再延長できるとしたこの課長名の事務連絡というのは、明らかな条例違反ではありませんか。

○内山都政情報担当部長 条例十二条三項では、開示請求を処理する部署において、開示決定等に関する事務を六十日以内に処理しようとすると、通常事務の遂行に著しい支障が生じるような場合には、相当の期間内に開示決定等をすることができるとされております。
 これに基づき、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うやむを得ない理由がある場合には、六十日を限度とする期間延長を複数回行うことができるとしたものでございます。

○池川委員 全く質問に答えていただいていないんです。条例十二条第二項を根拠に、六十日を超えて開示期間を再延長することは明らかなる条例違反じゃありませんか。十二条第二項について、これを根拠に延長した決定というのは明らかな条例違反ではありませんか。いかがですか。

○内山都政情報担当部長 再延長の考えは、条例第十二条第三項を根拠とするものでございます。同項は、六十日を超えて延長することができるという同条第二項の例外を定めたものでございまして、二項を根拠とするものではなく、規定には反しておりません。

○池川委員 今、全く聞いたことに答えていただいていないんです。条例第十二条二項、ここにも開示決定の通知がありますけど、ここに条例十二条二項というふうに書いて開示の延長決定がされているわけですね。十二条二項によって延長したのに、今の説明は、三項だから問題ないんだという話です。
 これ、十二条三項は、開示請求のあった日から十四日以内に理由を付して請求者に通知をすれば、期間延長はできると特例的に定めていますが、その場合であっても、六十日の期間延長を複数回行うということはできないわけです。このことについて、後で述べます。
 改めていいますが、先ほど紹介した我が党の開示の期間延長決定の根拠として記載されているのは条例の第十二条二項です。我が党の請求だけでなく、同じ理由で複数の開示請求が六十日を超えて延長されていると、私たちには請求した方から情報が寄せられています。
 そこで伺いたいと思うんです。二〇二〇年四月八日に、最初の課長通知を出して以降、この事務連絡に基づいて、条例第十二条二項によって、六十日を超えて開示決定等の期間延長を行ったのは一体何件あるんですか。

○内山都政情報担当部長 今回、各局に調査したところ、情報公開条例第十二条第二項の延長通知書の様式を用いて再延長を通知したとして報告を受けた件数は百二十八件でございます。なお、これらの再延長は条例第十二条第三項を根拠としております。

○池川委員 延長通知には、条例十二条二項に基づいて延長するというふうに書かれていると。いつから条例十二条二項は三項と読み替えるというふうになったんですか。これ、読み替えるという決定をしたんですか。

○内山都政情報担当部長 二〇二〇年四月八日付の通知等では、適用する条文を明示してはおりませんでしたが、六十日以内に開示決定等をすることにより、事務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合に、条例十二条第三項に基づき、再延長を行うこととなります。

○池川委員 全くお答えいただいていないんですよ。条例十二条二項に基づいて百二十八件も、百二十八件もですよ、開示決定の延長が行われたのに、それは三項なんだと、はっきりいって意味不明ですよ。これ聞いて分かる人、誰かいますか。だって、十二条二項での延長決定なのに、それは三項なんですという説明は、全く成り立たないというふうに思います。
 それでは伺いたいと思いますが、この課長通知の以前、十二条二項に基づいて、六十日を超えて期間延長した例はありますか。

○内山都政情報担当部長 条例十二条二項に基づいて、六十日を超えて期間を延長することはできず、こうした例は承知しておりません。

○池川委員 できないんですよ。できない決定を、皆さん、百二十八件やられているんですよ。できない決定をこうやって百二十八件やっている。本当、大問題だと思いますよ。これは六十日を超えて延長することはできないということを今はっきり認められたと思います。つまり、条例十二条二項を使って六十日を超えて延長したのは条例違反に当たるということです。条例に違反するものであるから一件もない、承知していないというのは当たり前の話だというふうに思います。
 そして、条例でできないものを、課長の各局向け担当者の通知でできるとすることは、当然できません。にもかかわらず、課長通知後は、条例十二条二項を根拠にして、開示延長を行ったものが百二十八件もあるということです。開示決定の延長、これは公文書の決定として知事名で印鑑が押されて出されるものです。公文書として知事名で出されたものが百二十八件、根拠もなく出されているということですよ。
 しかも、それが、今もなお謝罪も訂正もされていないと。一体どういうことなのかということになるんじゃありませんか。これは都民の権利を侵害するものにほかならないと思います。根拠にできないものを根拠にして開示決定の延長を行ったということは、効力を持たないということだといわざるを得ません。
 既に開示決定等がなされたものも含めて、事務連絡に基づいて六十日を超えて再延長した方々に対して訂正と謝罪をし、まだ開示していないものは、すぐに出す必要があると思いますが、どう対応されますか。

○内山都政情報担当部長 コロナ禍という未曽有の状況にあって、コロナ対応に伴う応援業務等による職員減やその他の業務量増などにより、事務の遂行に著しい支障が生じることもありまして、そのようなやむを得ない事情の中、開示請求に対応するために再延長が行われるものでありまして、再延長したこと自体には問題はございません。

○池川委員 先ほど、十二条二項を使って再延長はできない、六十日以内に出さなければいけないと答弁されました。しかし、今の答弁は問題ないと。明らかにおかしいと思います。
 延長の根拠とできない条文を使って延長決定がなされたものを問題ないといってしまったら、一体何のために条例があるのかと。条例は意味をなさないということになってしまうじゃありませんか。条例違反にもかかわらず、延長決定は問題ないということは、到底認められない話です。条例に違反して、開示の延長決定を通知しているのだから、都民に対して、請求者に対して、訂正、謝罪をするのは当然のことだと思います。
 コロナを理由にやむを得ないというふうにもいわれました。しかし、まず申し上げたいのは、我が党の開示請求への対応は、コロナがあまりにも大変で、誠実に努力してもなお開示決定することが難しかったとはとても思えない案件です。
 我が党が行った開示請求は、事業者に委託した調査分析の成果物であり、事業者との契約は既に終了している、いわば完成しているものであり、すぐに出すことができるものです。しかし、ほかの自治体への開示してよいかという意見照会に時間がかかるので、六十日の延長を行う旨のことが延長の通知書には記載をされています。
 しかし、ところが驚いたことに、その自治体に対しての意見照会を発出したのは、我が党が情報開示請求をしてから四十日もたってからです。本来十四日間で決定しなければならない、その期間にこうしたことは一切行われていないまま、まず、延長されているんですよね。
 しかも、四十日もたって発出したにもかかわらず、その意見照会を求めた相手方には、一週間で回答してほしいというふうにいっています。コロナで大変だというのであれば、それはどこの自治体も同じではないかと。にもかかわらず、東京都自身は文書の発出に四十日もかけて、相手には一週間で回答を求める。これ、全く整合性のない、コロナで致し方なかったといえるのでは到底ないと思います。
 こうした対応は、先ほど冒頭、迅速な開示決定は必要なんだとお認めになりましたが、こうした迅速な開示決定のために、誠実に努力をしているとは到底いえないんじゃありませんか。

○内山都政情報担当部長 今回発出した通知文の表現において、明瞭さにおいて不十分な点がございましたが、再延長の根拠は第三項でございます。各局の再延長は、この通知に基づいて決定されており、根拠は三項でございます。
 この通知文は、コロナ禍という未曽有の状況にございまして、都民の生命、身体を守るという業務と開示請求者の権利の尊重とをともに遂行するため、条例に基づく期間延長を行いながら、開示請求に応えていくため発出したものでございます。
 なお、先ほどご答弁申しました百二十八件のうち二件は、開示決定期間内に開示すべく所管で準備を進めておるところでございまして、残りは全て期間内に開示をされております。

○池川委員 質問にちゃんと答えていただきたいんですよね。先ほど、コロナを理由に延長する、それはやむを得ない事情なんだと説明されました。しかし、最初の十四日間の間に他の自治体に照会もかけず、四十日たって照会をかけて、ほかの自治体には一週間で回答を求めると。コロナを理由に、そういう対応でいいのかと。それはコロナを理由にした対応としては、全く不適切だというふうに思います。
 また、一般論として、新型コロナの感染拡大があるからといって、条例を踏み破っていいという理由にはなりません。新型コロナへの対応は短期間に変化する感染状況に応じて、適切な対応を取ることが必要であり、それを都民の参加の下に進めようと思えば、情報公開も迅速に行われることが重要です。
 また、新型コロナウイルスへの対策は、休業要請や営業時間の短縮、外出の自粛など、都民の権利を制限する行政の対応も行われています。一つ一つの権利制限の是非が慎重に検討されるべきだと思いますが、たとえ権利を制限する措置が必要だとしても、幅広い都民の理解の下に進められるべきであり、そのためにも、都民の理解の基盤となる情報公開が重要です。
 新型コロナウイルスへの対応で自治体業務が逼迫をし、職員にも感染者や濃厚接触者が発生する中で、公文書の開示請求への対応を平時と同じ期間で行うことが難しくなる面があるのは事実ですが、一方で、平時に増して迅速な情報公開が重要になっているということも踏まえる必要があると思います。
 さらに、コロナの緊急事態宣言だから、コロナ禍だから仕方がないと安易に法律や条例の解釈を変更してよいと考えるとしたら、それは大変非常に危険なことだと思います。緊急事態だから、法律や条例を守らなくていい、超法規的な手段を取っていいということを簡単に許せば、これは権力の濫用や人権の制限につながりかねない。これは多くの方々が警鐘を既に鳴らしています。
 コロナ禍だから、開示決定が条例を踏み越えて遅れてもよいとなれば−−実際に、課長の事務連絡では、六十日を複数回延長できるとしており、複数回の回数の上限は定められていません。延々と延長して開示しないことも可能ということになり、都民の知る権利や都政に参画する権利は大幅に制限をされることになります。そうしたこともよく考えていただきたいと思うんです。条例違反の通知そのものは、直ちに改めることを強く求めたいと思います。
 先ほどの答弁で、事務連絡で六十日を限度とした期間延長を複数回できるとした根拠は、条例十二条三項だといわれましたが、これも全く成り立たないということについて伺っていきたいと思います。
 条例十二条第三項の延長は、公文書が著しく大量である場合に適用できる条項であって、六十日を超えて延長が可能ではありますが、条例十二条三項により、十四日以内にいつまで延長すると請求者に通知をしなければならないとしています。しかも、三項を使う場合であっても、相当の部分を六十日以内に開示しなければなりません。
 しかも、三項を使う場合は、事務取扱要綱で、情報公開課長及び局の情報公開主管課長に協議をするとしています。最初に紹介した日本共産党都議団が行った保健所についての調査委託に関する開示請求も、十四日以内に十二条第三項に基づく決定は行われておらず、六十日までに相当の部分の開示も行われておりません。
 十二条三項によっても、六十日間延長した後に再度六十日延長することはできないんじゃありませんか。

○内山都政情報担当部長 条例十二条三項では、開示請求を処理する部署において、開示決定等に関する事務を六十日以内に処理しようとすると、通常事務の遂行に著しい支障が生じるような場合には、相当期間内に開示決定等をすることができるとされております。
 先ほど副委員長からも、都政の中で、コロナ対応の厳しい状況というのも、るるご説明ございました。これらに基づきまして、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うやむを得ない理由がある場合には、六十日を限度とする期間延長を複数回行うことができるとしたものでございます。

○池川委員 全く説明になっていないと思うんです。条例には、延長する場合は十四日以内に、いつまで延長するか通知しなければならないとしていますが、これはやられていません。ここまで明確に書かれているものを、趣旨を酌むとか、これを解釈するということで運用することはできないということは明らかだと思います。
 そんなに十二条三項が根拠だというなら、なぜそのことを通知に書かなかったんですか。

○内山都政情報担当部長 第三項後段の規定の趣旨は、決定期間内に開示請求者に対して延長の通知をすべきというものと考えておりまして、コロナ禍の特例を踏まえ、第二項の延長後に再延長する場合には、当初延長した決定期間内に再延長の通知をすることとなります。

○池川委員 ちゃんと質問に答えていただきたいと思うんですけど、何で通知に、そんなに三項が延長の根拠だというなら、書かなかったのか。何で書かなかったんですか。

○内山都政情報担当部長 通知文の表現は、明瞭さにおいて不十分でございましたが、再延長の根拠は三項でございます。

○池川委員 不明瞭で、あそこから三項だと読み取ることは一切できないと思います。各局には、三項に基づいて再延長ができるという説明は一度もされていません。二項に基づいて再度延長ができると当初は考えていたけれど、今回、それは条例違反だと指摘をされ、慌てて三項に根拠を求めたということではありませんか。
 だから、通知のどこにも三項を根拠にして延長できると書いておらず、条例違反の二項に基づいて、百二十八件もの開示決定の延長が行われているわけです。
 条例のどこに三項を使えば再延長ができるという規定があるんですか。三項を使えば六十日間の延長を複数回できると、これまで都議会に対して説明されたことはありますか。

○内山都政情報担当部長 そのような説明をしたことはございません。

○池川委員 条例のどこにも再延長ができるという規定もなければ、一度たりとも三項に基づいて再延長ができるとご説明されたこともない。その中で、百二十八件、二項に基づいて延長決定したものを三項と読み替えて対応するんだと。こんなことは絶対許されないと思いますよ。条例のどこにも、三項を使えば再延長ができるという規定はないわけです。
 コロナ禍でも、定例会はもちろん、コロナ対策のための臨時会も都議会何度も開いてきました。条例の事務のことに関わる問題ですから、説明すればよいというものではありませんが、少なくとも、コロナでどうしても条例上できない、条例どおりにできない、そういう説明すらされてこなかったと。事務方の勝手な解釈変更で、条例に書いていないことをやるというのは、暴走というほかありません。
 法律や条例に基づかないで行政事務を行うことは、法治主義の原則を逸脱するものであり、民主主義体制の下では絶対にやってはならないことだと思います。情報公開条例第十二条二項でも、三項でも、六十日間を超えて延長を複数回行うことはできないということは明らかであり、この期に及んで、課長事務連絡、これを正当化するような様々な言い訳はやめるべきだと思います。
 今回の発端となった一連の課長の通知、事務連絡は、条例に反する通知の内容であることは明らかだと思います。しかも、当面の間として、条例上できないことを最初に通知して以来、二年半にわたって訂正せず、運用され続けてきたことを直ちに改めることこそ、今、総務局がやるべき仕事ではありませんか。
 通知及び事務連絡を撤回すべきだと考えますが、いかがですか。

○内山都政情報担当部長 今回の通知では、当初から三項を想定しておりました。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、都民の生命を守ることは重要な責務でございまして、都において、こうした業務に重点的に人員を振り向け、全庁を挙げて対応する必要がございました。
 今回の通知は、コロナ禍という未曽有の状況にありまして、都民の生命、身体を守るという業務と開示請求者の権利の尊重とをともに遂行するため、条例に基づく期間延長を行いながら、開示請求に応えていくものでありまして、適法なものだというふうに考えております。

○池川委員 当初から三項だったと。にもかかわらず、何で、じゃあ十二条二項で百二十八件も延長されているんですか。それを放置してきたんですか。私たちが指摘して、初めて調べて分かりましたと、そういうご説明だったわけですよ。
 根拠を示すことなく適法だというのは、権力の濫用だということです。今日の議論で、百二十八件、条例十二条二項に基づく、つまり期間延長は六十日を限度としてできないという条文に基づいて、百二十八件の期間延長が行われてきたと。しかも、この期間延長の決定が行われたものは三項なんだと。はっきりいって詭弁ですよ。だって、条例十二条二項、こうやって開示決定の通知書、これ小池知事、名前入り、公文書、公印が押されているわけです。
 そういうものを、それは三項だから問題はないんだと、そんなこと成り立つはずがないじゃありませんか。今日の議論で、条例に基づいて、六十日を超えてさらに六十日延長できる条例上の根拠についてはお示しがありませんでした。
 適法だといい張るのは、条例を軽視し、ないがしろにするものだというふうに思います。条例違反であるものを適法だといえば、条例違反が消えるものではありません。日本共産党都議団は、条例違反である一連の通知の撤回、廃止、これまで条例違反による対応についての訂正と謝罪を小池知事に対して強く求めたいと思います。
 同時に、情報公開条例というのは、都民にとって大事な問題です。都民にとって大事な問題について、知る権利を保障する情報公開制度となるよう、引き続き全力で取り組むことを申し上げて、質問を終わります。(猪口総務部長発言を求む)いや、質問していない。いいです、いいです、いいです。質問していません。

○猪口総務部長 総務局は、もとより情報公開制度を所管する局でございまして、情報公開制度の重要性は十分に認識しているところでございます。繰り返しになりますけれども、今回の措置は、これまでで最大の感染者数を記録した第七波のコロナ禍における事態において、都民の生命を何としてでも守り抜くという中で、整合性を図るために行ったものであるというふうに認識しております。
 なお、同項につきましては、六十日を超えて延長することができるという同条二項の例外を定めたものでございまして、二項を根拠とするものではなく、規定には反していないと考えてございます。

○池川委員 だから、条例十二条二項を根拠に開示決定の延長がなされているじゃないですか。二項を根拠にするものではありませんと幾らいったって、公文書で二項と出しているんだから。これを三項と読み替えるというふうにするというのは、こんなことあり得ないわけですよ。
 総務局が本当に情報公開条例について、責任を持ってこれが大事だと思っているんだったら、直ちに対応を改めることを重ねて申し上げて、質問を終わります。

○斉藤委員 初めに、災害対策についてお伺いします。
 日本は、いつ、どこでも災害が起こり得る災害大国であります。この首都東京も、常にその危機に直面しているといっても過言ではありません。いつ起きてもおかしくない災害では、被害を最小限に抑えるべく、私たちも知恵を出し合いながら、都民の生命と財産を守らなければと責任を感じております。
 災害では、高齢者や障害者などの要配慮者のケアはとても難しく、過去の災害でも度々問題となりました。特に、避難所における要配慮者対策や避難所への誘導は、生死を分ける重要な点であるにもかかわらず、スムーズにいかない現状があります。要配慮者は、不慣れな環境を避ける傾向があることもその問題の一つであり、ゆえに、自宅にとどまるケースも多いと伺っています。
 このような点も踏まえ、発災時にどのように取り組むこととしているのか、ご見解を伺わせてください。

○芝崎防災計画担当部長 東京都地域防災計画では、区市町村が高齢者や障害者等の要配慮者につきまして、自主防災組織等の協力を得ながら、安否確認や適切な避難誘導を行うとともに、福祉避難所を含む避難所の開設、運営や環境整備などを行うこととしております。
 また、都では災害時、福祉保健局が庁内に東京都災害福祉広域調整センターを設置しまして、被災していない区市町村や都外自治体からの応援職員の総合調整を行い、運営に支障を来している福祉避難所等へ職員を派遣するなど、区市町村の取組を支援することとしております。

○斉藤委員 災害時には、要配慮者でなくても、皆が厳しい環境に置かれることは理解しています。それでも、なるべく被害を最小限にしていくために、要配慮者へのケアとサポートは不可欠であると考えています。
 東日本大震災では、障害者の死亡率は全体と比べ約二倍というデータがあります。このうち、聴覚と視覚に障害のある人の死亡率はさらに高くなっており、障害者等の要配慮者対策のさらなる充実強化が望まれます。
 今年五月に、十年ぶりとなる首都直下地震等による東京の被害想定を公表し、これを踏まえ、現在、東京都地域防災計画の改定作業中と聞いています。都では、昨年度末に東京都防災会議条例を改正し、検討体制を改めたと聞いていますが、要配慮者対策も含め、地域防災計画の改定に向けて、どのような検討がなされているのでしょうか。

○芝崎防災計画担当部長 都は、東京都地域防災計画の改定に当たりまして、福祉やボランティアに関する団体などから、新たに東京都防災会議委員にご就任いただき、多様な視点を反映できる体制を構築いたしました。
 また、東京都防災会議の下に設置した部会やPT、プロジェクトチーム等におきまして、現在、災害時における女性や要配慮者の視点を踏まえ、備蓄や避難、情報発信等について検討を行っているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 私は、日常的に要配慮者を意識していくことが重要であると考えているため、ご答弁いただいたように、多様な防災会議委員の下に議論がなされていることを大いに評価したいと思います。
 次に、障害者雇用率についてお伺いします。
 都として、障害者雇用の目標としている三%を達成するために課題となっている点などはありますでしょうか。
   〔委員長退席、山田副委員長着席〕

○石橋人事部長 障害者の方々が能力や適性に応じて働き続けることができるよう取り組むことが重要であります。
 このため、都は、障害者採用選考における対象拡大や知的障害者を対象とする非常勤職員の採用などを通じて、障害者雇用の門戸を広げるとともに、各職場での合理的配慮に係る取組を推進するなど、障害に対する職場理解の促進を図ってまいりました。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 障害者雇用においては、目標達成がゴールになっているケースもあるように感じています。量的な目標の達成はとても重要ですが、質的にも、数値だけではない障害に対する職場理解を促していくことが不可欠だと考えています。
 ご答弁いただいたように、能力や適性に応じた雇用がとても重要であり、その姿勢は大いに評価をしています。ぜひ、引き続きのご尽力をお願いいたします。
 続いて、三障害における偏りはどのようになっているのかお伺いします。

○石橋人事部長 毎年、障害者である職員の雇用状況を東京労働局に報告しており、併せて都のホームページに掲載しております。
 昨年六月の知事部局の障害者雇用率算定における人数は、身体障害者が六百六十三人、知的障害者が十七人、精神障害者が百六人となっております。

○斉藤委員 障害者というくくりであっても、実際は、三障害での雇用の偏りは大きく出ています。これは、職種や業務内容によって適性があるので、この偏りが何かネガティブなこととは捉えるべきではないと理解しています。また、既に取り組まれているように、ホームページ等で公表していることも大切なことであると考えています。
 都が障害者雇用に積極的に向き合う姿勢は、多くの都民や民間企業などにも影響を及ぼすと思います。そうした中で、具体的にどの規模で雇用がされているか、三障害の中でどのような偏りがあるかに関心を寄せる方々もいると思っています。引き続き、情報公開をお願いいたします。
 続いて、都で実施している障害者を対象とした採用選考について、受験を希望する方などに選考の情報がきちんと伝わっているか、採用のPRに関する取組状況についてお伺いします。
   〔山田副委員長退席、委員長着席〕

○石橋人事部長 都では、身体、精神、知的障害者を対象とした採用選考を実施し、障害者雇用の促進に努めてまいりました。
 選考の実施に当たっては、募集開始時の報道発表、都の職員採用ホームページやSNSにおける広報、選考案内の福祉施設への配布など、選考の実施主体である人事委員会事務局とも連携して、幅広く周知を行っております。
 また、採用PR用の職場案内では、都における障害者雇用の取組を昨年度から追加し、内容を拡充するなど、一層の認知度向上に努めております。
 引き続き、幅広く認知いただけるよう、様々な形で情報発信を行ってまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 情報伝達のミスマッチやディスコミュニケーションは、多くのところで起こり得る課題でもあります。その情報を必要としている方々に本当に届いているかどうかはとても難しい課題ではありますが、都度、検証を行っていくことが重要だと考えています。
 私としては、障害を持っている若い方々に積極的に東京都での仕事に憧れを持って、都職員として働くことを目指して、日々のモチベーションを高めていただきたいと考えています。都職員への挑戦する方々の数が増えれば、より優秀な方が入都し、東京都の多様性を推し進める推進力になってくれると大いに期待しております。
 そのためにも、障害者雇用に関する情報全般を広く伝えていく、広く届けていく必要があります。私も積極的にこの点について応援し協力をしていきますので、皆様も引き続きのご尽力をお願いいたします。
 次に、複合差別についてお伺いします。
 人権には様々な課題があるが、複合的な要因により差別を受けている方々がいることを忘れてはいけません。差別というと、一つの部分に対して、その差異を指摘することを思い浮かべる方も多いと思いますが、人間はそう単純ではなく、多様な側面を有していることは誰もが理解できることかと思います。
 例えば、障害を持っている方がLGBTQの当事者でもあった場合、これは複合的な差別を受けるおそれがあります。もしかすると、私のような聴覚障害を持つ当事者であり、シングルペアレントとして子供を育てる当事者の場合も、複合的な差別や偏見の対象となる可能性もあります。
 そこでお伺いしますが、都は令和三年度において、こうした複合差別に関し、どのような考えで取組を行ってきたのかお聞かせください。

○吉村人権部長 都は、人権尊重条例に基づき、いかなる種類の差別も許されないという人権尊重の理念の実現に取り組んでおり、複合差別についても許されないものだと考えております。
 令和三年度においても、このような考えの下、普及啓発など差別解消に向けた取組を行ってまいりました。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 繰り返しになりますが、私自身が複合差別や偏見の可能性があると申しましたが、執行機関の皆様をはじめ同僚議員の皆様にも、大変ご理解をいただいていると感じております。こうした都の多様な価値観を認める姿勢が広く浸透していくことも大変重要であると思っております。
 次に、ヘイトスピーチやヘイトクライムについて取り上げます。
 私たちは、この東京が多様な価値観を受け入れ、認め合い、発信していく多様性あふれる都市になるように取り組んでいます。オリンピックやパラリンピック、さらにはそのレガシーも含め、その方向性は多くの都民と同じ未来を見ていると信じています。
 その一方で、ヘイトスピーチやヘイトクライムが度々起こることは残念で仕方ありません。それは、人権尊重条例の制定以降も同様で、先頃も都内で在日朝鮮人の方々へのヘイト落書きの事件が発生しました。そして、このヘイト落書きを発見したのが朝鮮学校の在校生であったことも、とても悲しく、申し訳なく感じています。
 多様な価値観を有し、地域づくりを行っていく次世代の若者たちが、そうしたヘイトに向き合ったとき、どのような感情になるかは容易に想像がつきます。同時に、そうしたヘイトによって恐怖を感じてしまう当事者の気持ちは計り知れないものもあります。こうした事件を起こしてはいけないと度々思いながら、私たちも日々の取組を行わなければと感じております。
 そこで、都として、ヘイトスピーチに対し、令和三年度にはどのような取組を行ってきたのかお伺いさせてください。

○吉村人権部長 都は、人権尊重条例に基づき、都民等からの申出を受け、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、いわゆるヘイトスピーチと認められる表現活動の概要を公表するとともに、表現活動に係る動画等がインターネット上に掲載された場合には、表現の内容の拡散を防止するための措置として、法務省東京法務局に削除要請を行っております。
 令和三年度には四件の概要の公表を行い、そのうち、インターネット上への掲載が継続していた三件の動画等について削除要請を行いました。
 また、啓発冊子の作成、配布や地下鉄駅等でのポスター展示、動画配信などにより、広く都民への意識啓発の取組を行いました。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 ご答弁いただいたとおり、都としてもしっかりと取り組まれていることは大いに評価に値すると思います。
 他方で、こうした差別、偏見は簡単にはなくならないことは、私たちも歴史の中から学んでいます。だからこそ、地道ではありますが、学校教育や社会教育、子供たちに限らず、社会全体でヘイトや差別、偏見が断じて許されないということを訴えていかなければと思います。
 これから、再び多様な文化背景を持つ方々が世界各国から訪れるフェーズに入ってくると思います。そうした状況下で、しっかりと互いの文化を尊重し、共生社会を実現していける東京にしていかなければならないと感じています。とてもセンシティブで難しい分野ではありますが、引き続きのご尽力をお願いいたします。
 これで私の質問は終わります。ありがとうございます。

○山田委員 私から、人への投資に焦点を当てて、何点かご質問させていただきたいと思います。
 私はかねてより、終身雇用だったり、年功序列だったり、そういった形を前提とした働き方の成長モデルというのは終わりを迎えてきていると。やはり一人一人の力を発揮していく人的資本への投資こそが重要であるということを訴えてまいりました。
 この間、都でも取組が進んでおりますし、今、政府においても重要な課題として位置づけられているというふうに認識しております。
 そういった際に、最も重要な拠点の一つとなりますのが、都立大をはじめとする高等教育機関でございます。
 優れた人材を輩出している国際的に評価が高い大学では、高い研究力に裏打ちされた高度な教育が行われていると。そして、それがさらに優れた人材を呼び込んでいるというところでありまして、東京都の「未来の東京」戦略においても、都立大をこうした世界トップレベルの大学にするという極めて意欲的な目標が掲げられているところであります。
 その実現には、やはり大学として、世界水準の研究を進めていき、成果を着実に上げていく必要があると考えますけれども、都立大における研究力の向上に向けた昨年度の取組について伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学はこれまでも、世界をリードすることが期待される将来性の高い研究分野に予算を重点配分するとともに、海外の有力大学との研究プロジェクトの組成を進めるなど、研究力の強化を図るための様々な取組を戦略的に展開してまいりました。
 これらに加えまして、令和三年度は、新たに世界から高い評価を受けております有望な研究者の招聘に取り組みました。
 本年四月より、応用化学分野における世界トップクラスの研究者一名を採用しております。この研究者を中心に、最先端の研究を推進いたしまして、都立大からその成果を世界に発信するとともに、学内の研究者との共同研究や交流などを通じて、大学全体の研究力のレベルアップにもつなげていくこととしております。
 また、意欲、能力がある若手研究者を海外の大学などに送り出しまして、共同研究などの活動を通じて、人脈形成や研究能力の向上などを図る新しい派遣制度を開始いたしました。
 都立大では、こうした取組を着実に進めていくことにより、国際的なプレゼンスの向上につなげていくこととしております。

○山田委員 ありがとうございます。
 大変様々、具体的な取組が進展しているということが理解できました。
 ただ、今年発表された世界の競争力ランキングで、日本の研究開発力、バロメーター、一つですね、科学インフラのランキングが八位でありましたけれども、だんだんだんだん、五年前は二位だったということですけれども、やはり年々下降傾向が出てきてしまっていると。必ずしもこういったランキングは、絶対的なものではないとは思っておりますけれども、やはりしっかりとした危機感を持って進めていかなければなりません。
 都立大は、都立の高等教育機関として様々な取組、今答弁いただきましたけれども、しっかりと進めていただきたいと思っております。
 そして、世界トップレベルの大学、これを目指していくには、世界を舞台に活躍できる人材、これをしっかり輩出していくためのグローバル教育、これも極めて重要であります。
 国籍、文化の違いを超えて、グローバルな視点から物事を捉える力の涵養であったり、留学生の受入れ、英語での授業等によるキャンパスの国際化など、課題は様々あると思いますけれども、都立大の昨年度の取組について伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都立大では、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど、世界各地の大学との交換留学の実施ですとか、また、海外の大学での単位取得を目指す国際副専攻コースの設置などによりまして、グローバル感覚を身につけた人材の育成を図っております。
 令和三年度におきましては、政治、経済、環境などの各分野において、世界的に著名な学者などを講師に迎えたオンラインの特別講座を新たに開講いたしました。延べ参加者数は、教職員を含めて約一千五百名でございました。
 学生がグローバル社会に求められる広い視野を持てるよう、世界の動向や様々な社会問題をテーマといたしまして、第一人者ならではの巨視的な視点に立った講話を提供しております。
 また、入学時期を、海外の大学では一般的な秋の時期といたしまして、さらに授業を英語で行います、いわゆる秋入学の課程を令和六年度を目途に新設することといたしまして、カリキュラムや学生の支援策などについて検討を進めております。
 引き続きグローバル人材の輩出に向け着実に取組を進めてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 今、都立大では、世界的ベストセラー作家であるユヴァル・ノア・ハラリ氏による講義がされるなど、私も大変興味深くその動向を見守らせていただいております。
 また、秋入学というのも極めて重要な取組であるというふうに思っておりますので、ぜひ都立大の国際化、グローバルの力の育成、強化に向けて、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 さて、今、都立大について伺いましたけれども、東京の人的資本、人への投資ということを考えていくと、やはりリカレント教育、リスキリングだったり、いろんないい方があると思いますけれども、そういったものの充実が極めて重要であると考えております。
 私たち都民ファーストの会、これまでもリカレント教育、またリスキリング、いろんな観点で、全庁一丸となって進めていくべしということは、早い段階から訴えてきたというふうに自負しております。
 東京都は昨年度、リカレント教育に関する総合的な情報ポータルサイト、東京リカレントナビを開設しましたけれども、これは、全庁一丸となったリカレント教育の推進に向けた重要な第一歩であるというふうに、私も高く期待しておるところでございます。
 そこでまず、この東京リカレントナビの開設の狙いについて伺いたいと思います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 都におきましては、現役世代から高齢者までの幅広い層が、スキルや知識を常にアップデートできる新たな時代にふさわしいリカレント教育を目指しまして、局横断型のキャリアアップデートプロジェクトを推進しております。
 お話のありましたポータルサイトは、本プロジェクトの一環として開設いたしましたリカレント教育に関する都庁全体の情報サイトでございます。
 都におきましては、産業、環境、文化など、様々な行政分野において、講座やセミナーなど、都民のスキルアップに役立つ教育コンテンツを多数提供しておりますけれども、こうした情報は、それぞれの担当部局が個別に広報等を行っているところでございます。
 そこで、本サイトでは、利用者が各部局のホームページなどを一つ一つ確認しなくても、希望する講座等の情報を簡単に手に入れることができるように、これらの情報を全庁から集約して掲載し、学び直しを希望する都民の利便性の向上を図ることとしたものでございます。
 本年三月のサイト開設以来の掲載実績は、十四部局、計約千二百講座となっております。

○山田委員 ありがとうございます。
 まさしく今ご答弁いただいた中にもありましたように、例えば産業労働局がこういうことをやっているであるとか、生活文化スポーツ局がやっている、東京都、本当に巨大でありますから、いろんな取組されておりますけれども、やっぱりそれをしっかり一元的に見れるようにしていくというのは重要な取組だというふうに思っております。
 こういった学び直しであったり、リスキリングであったり、そういった取組、本当に東京都、いろんなもので取組をやっていますけれども、じゃあ、どうやったら所得を上げていけるのか、賃金上昇していけるのかといったときに、やっぱりお一人お一人の力を向上させていく視点、スキルアップであったり、リカレント教育だったりと、そういったものを後押ししていくというのは極めて重要でございます。このサイト、構築されてスタートしておりますけれども、ぜひ、引き続き多くの都民の方にご覧いただけるようにしてほしいというふうに思っております。
 ですので、これを真に都民の学び直しの後押しにつなげていくためには、このサイトをどのような機能や仕掛けを持たせていくのか、また、都民の方に本サイトをいかに知ってもらうか、そういった具体的な運用、これが極めて重要になってきます。
 この東京リカレントナビ、学び直しを考えている都民に実際に役立てていただくために、どのような工夫を行っているのか伺います。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京リカレントナビでは、都民へのサイトの周知を図るため、各局のホームページでのバナーリンクの掲載やSNSによる広報などのほか、他団体や民間の講座サイト等と連携したPRの取組に着手しております。
 具体的に申しますと、こうした外部の講座サイトに東京リカレントナビのコンテンツなどを転載することなどによりまして、学び直しに関心のある利用者をターゲットに据えて、本サイトへの呼び込みを行うものでございます。
 また、初学者向けの入門編となる短時間の動画コンテンツを制作いたしまして、専門家がそれぞれの分野の学びの要点ですとか、楽しさ、これを分かりやすく紹介することによりまして、講座への誘導を図っております。
 さらに、本サイトに掲載する講座情報は、例えば、最先端技術や医療、福祉といった分野別に収録をしておりまして、実施部局をまたいで横断的に検索できるようにしておりますほか、アクセス数の多い人気コンテンツをトップビューで確認できるなど、講座を探される都民の目線に立った機能を導入しております。

○山田委員 ありがとうございます。
 私も時間があるときに幾つか見させていただくこともあるんですけど、非常に各界の第一人者の方だったり、著名な方がお話しされていらっしゃるというのも見ることができまして、本当に私自身も大変貴重なものだなと思って見させていただいておるところであります。
 ぜひ、これを多くの都民の方にも伝わるような形で引き続きお願いしたいと思っておりますし、今、都立大であったり、またリカレント教育であったりと伺わせていただきましたけれども、ぜひ、そういった業務を所管される総務局、東京都民の皆さんの人的資本への投資だったり、人への投資の極めて重要な役割を担っていると思いますので、そういった取組の強化を引き続き要望させていただきまして、別のテーマに移らせていただきたいと思います。
 次に、国境離島の維持保全に向けた取組について伺っていきたいと思います。
 国境離島の維持等の取組強化に関して、令和三年度の決算説明書によれば、約四千七百万円計上されておりました。
 我が国、国土面積は狭いですけれども、周囲を海に広く囲まれておりまして、やはり世界有数の海洋国家であります。このうち約四割が東京の島々によって確保されているという実態がございまして、特に、東京の都心から南方になりますけれども、沖ノ鳥島、また南鳥島は、日本の国益を維持する上でも極めて重要な国境離島であるというふうに認識しております。
 ですので、初めに、国境離島である沖ノ鳥島、そして南鳥島の役割に関する基本的な認識と都の取組について伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 我が国の最南端、最東端の国境離島である小笠原諸島の沖ノ鳥島、南鳥島は、それぞれが日本の国土面積を上回る広大な排他的経済水域の根拠となっております。
 両島は、我が国の海洋権益を守り、国益を維持する上でも重要な役割を担っており、その維持保全や利活用によりもたらされる豊かな恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせないものでございます。
 このため、都は、令和二年十月から執行体制を強化するとともに、国や小笠原村、関係機関などと緊密に連携しながら、沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用に関する取組を推進しております。

○山田委員 ありがとうございます。
 国防だったり、安全保障、もちろん国の所管業務であることは間違いありませんけれども、自治体においても、都民の安全・安心、財産、命を守っていくという観点からも、やはり重要な取組であるというふうに感じております。
 そして、そういった取組、徐々に東京都政においても進みつつありますけれども、では、東京都は、令和三年度から国境離島の維持保全に向けた取組、本格的に開始されておりますけれども、具体的にどういった取組、事業を実施したのか伺います。

○若林小笠原・国境離島担当部長 沖ノ鳥島、南鳥島の維持保全や利活用に取り組むためには、現地の最新状況を把握するとともに、両島について、より多くの都民の関心、理解を得ていく必要があります。
 そこで、両島及び周辺海域の情報を収集し、整理、分析等を行うため、昨年十二月、沖ノ鳥島の周辺において、島の外観や周辺海域の水質、生物の生息状況など、基礎的な調査を実施いたしました。
 調査内容については、報告書として取りまとめてホームページで公表するとともに、今年の三月にオンライン配信によるシンポジウムを開催し、実際に沖ノ鳥島周辺で調査に携わった研究者による講演も実施いたしました。
 また、沖ノ鳥島、南鳥島が果たしている役割や概要をより多くの方に知っていただくため、新たにウェブサイトを開設し、両島の業務に携わる関係者のインタビュー記事や関係省庁による取組を紹介するとともに、お子様にも楽しんで学んでいただけるクイズやパズル等のコンテンツの掲載も行っております。
 なお、昨年十一月の開設から今年十月二十一日までのアクセス数は四十九万四千百七十九件でございました。

○山田委員 ありがとうございます。
 調査研究活動と情報の発信ということを進められているということであります。
 まだ始まったばかりの取組だと思いますけれども、ぜひこれを継続させていくということは重要だと思っております。
 ですので、この両島においても、引き続きこれまでの事業をしっかりと継続していただくとともに、今後も、国だったり自治体だったり、いろんなところと緊密に連携していただきながら、こういった国境離島、そして東京の島の魅力、その全体のですね、また発信、底上げにも引き続き取り組んでいただきたいと要望させていただきまして、私の質問は終わります。ありがとうございました。

○たかく委員 他会派からも質疑がありましたが、私の方からも、最初に、帰宅困難者対策について何件か伺います。
 東京都は、東日本大震災を教訓に、平成二十四年三月に帰宅困難者対策条例を制定しました。その条例を基に、企業等に対し、従業員の一斉帰宅の抑制や必要な備蓄を行うよう働きかけるとともに、行き場のない帰宅困難者を受け入れるために、これまで都立などの公共施設の指定のほか、民間事業者にも協力を呼びかけ、一時施設の確保を行ってまいりました。
 そこで、令和三年の一年間に増加した収容人数と令和三年までに確保した施設に収容可能な人数の総数についてお伺いいたします。

○八嶋防災対策担当部長 令和三年の一年間で、一時滞在施設の収容人数は九千五百七十五人増加しております。
 その結果、令和四年一月一日時点の収容人数の総数は、約四十四万三千人となっております。

○たかく委員 本年五月二十五日に東京都防災会議から提出された東京都の新たな被害想定では、都心南部直下地震は、都内で最大規模の被害を及ぼす地震で、建物被害は約十九万四千棟、死者は約六千一百人と推定されております。この十年間の耐震化、不燃化等の取組によって、建物被害、死者数は、それぞれ三割から四割程度減少してはおります。
 また、避難者数は約二百九十九万人、帰宅困難者数は約四百五十三万人となっております。一時滞在施設に受け入れるべき行き場のない帰宅困難者数も、新たな被害想定を基に試算したところでは、約六十六万人の収容人数分の一時滞在施設を確保する必要があると聞いております。
 東京都が確保した一時滞在施設の収容人数は、今の答弁では約四十四万三千人ということですので、残り約二十一万七千人分不足している状況となっております。
 いまだ不足する一時滞在施設について、その確保にどのように取り組んでいるのか伺います。

○八嶋防災対策担当部長 災害時に大量に発生する帰宅困難者による混乱を防止するため、企業や学校など、とどまるところのない、いわゆる行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設は重要でございます。
 そのため、都は、受入れ可能な都立施設を一時滞在施設に指定するとともに、備蓄品の購入費への補助などの支援を行い、民間施設に一時滞在施設の協力を求めているところでございます。
 引き続き、民間施設への支援などを通じ、一時滞在施設のさらなる確保に取り組んでまいります。

○たかく委員 災害はいつ起こるか分かりません。一時滞在施設の確保は極めて必須でありますので、しっかりと取り組んでいただきたいと申し上げます。
 災害時の混乱した状況下においては、帰宅困難者を一時滞在施設に安全に避難させるオペレーションというのも大変重要な対策の一つと考えます。東京都では、この解決のために、DXを活用した帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発を進めていると聞いております。
 そこで、昨年度の帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発の状況について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 帰宅困難者対策オペレーションシステムは、帰宅困難者の滞留状況、災害発生状況及び一時滞在施設の稼働状況について情報を収集し、地図上に表示することで、災害時の帰宅困難者対策を円滑に行うためのシステムでございます。
 昨年度は、各種情報の収集方法につきまして、システム開発のベースとなる技術実証等を行いました。
 具体的には、GPS情報等を活用しリアルタイムに駅周辺や道路上の帰宅困難者の滞留状況を地図上に表示するとともに、その後の状況を予測する技術実証、AIを活用してSNS等から有用な防災関連情報を自動的に抽出する技術実証、QRコードやLINEを活用し一時滞在施設の受入れ状況を迅速に把握するための技術実証を行いました。

○たかく委員 この帰宅困難者対策オペレーションシステムにおいて、昨年度は、開発に向け様々な実験を行ったというのは分かりました。その中では、想定どおりの結果を得られたもの、そうでなかったものも当然あったのではないかと考えます。
 帰宅困難者対策オペレーションシステムの開発に当たっての課題について伺います。

○八嶋防災対策担当部長 災害時のオペレーションでは、リアルタイムに情報を収集し、帰宅困難者に対し迅速に情報提供することが求められますが、現行の技術では、GPS情報を把握し、解析して地図上に表示するまで一定の時間がかかるため、時間の短縮と予測精度の向上が課題となっております。

○たかく委員 帰宅困難者対策としては、これまでにないシステムの開発であり、完成すれば、災害時に帰宅困難者の安全はより高まり、一時滞在施設も十分にその機能を発揮することなどが大いに期待されます。
 様々な課題があることは理解いたしましたが、いつ発生するとも分からない、こういった大規模災害に備えるために、一刻も早く開発を進める必要があると考えます。
 そこで、帰宅困難者対策オペレーションシステムの課題の解決に向け、どのように取り組んできたのかを伺います。

○八嶋防災対策担当部長 技術実証を踏まえ、学識経験者等から意見をいただきながら、システムの開発を着実に進めるとともに、明らかになった課題については、新たな技術の積極的な導入も含め、解決に向け幅広く検討してまいりました。
 引き続き、区市町村と連携した帰宅困難者対策訓練の中で、システムの実効性を検証するなど、アジャイルでシステムの開発に取り組み、精度の向上を図ってまいります。

○たかく委員 こういった帰宅困難者対策オペレーションシステムをしっかりと立ち上げ、引き続き帰宅困難者対策を進めていただくことを求め、次の質問に移らせていただきます。
 次に、人権施策について何点か質問いたします。
 令和三年には、一年延期となった東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました。無観客での開催となるなど、新型コロナ禍で様々な制約を受ける中でも、厳しい鍛錬を積んできたアスリートが躍動する姿は、多くの都民に感動を与えました。
 さて、二〇一四年のソチの冬季オリンピックにおいては、ロシアの性的マイノリティーに対する対応への反対を表明するアメリカやドイツ、フランスの首脳が開会式をボイコットすることがあり、その後に、性的指向に基づく差別の禁止が五輪憲章に加えられました。
 東京都は、二〇二〇大会の開催都市として、ソチ大会やロンドン大会を教訓として、性的マイノリティーなどの人権尊重の理解を深める取組を進めてきたとお聞きしております。
 今回の大会開催により、都民の意識が高まったものとして、性的マイノリティーに関することがあると考えます。東京大会は、オリンピック・パラリンピックのいずれも、性的マイノリティーであることを公言している選手の参加が過去最多となりました。こうした選手が活躍する姿に触れることなどにより、多くの都民が性の多様性というものに対する関心を深めたのではないかと思います。
 都は令和三年度、性自認及び性的指向に関する調査を実施しました。性の多様性に関する都民の理解はどのような状況か、また、そこからどのような課題を把握したのか伺います。

○吉村人権部長 昨年度、性的マイノリティー当事者を含む都民等を対象に行った性自認及び性的指向に関する調査におきまして、多様な性に関する言葉の認知度を聞いたところ、例えば、LGBTという言葉につきましては、内容まで理解している方が約七割、言葉のみ知っている方が約二割という結果でした。
 これらを合わせると約九割が言葉を認知しているという結果につきまして、有識者からは、多様な性に関する理解が広まっている一つの表れであるとの評価があった一方、内容の理解については、引き続き啓発が必要とのご意見をいただいております。
 この調査では、当事者に対し、これまでの困難な経験についても聞いており、回答結果を見ると、相談相手の不在や親の無理解など、周囲の理解不足によって引き起こされる問題が上位に挙がっていることなどから、内容の理解が十分でない層をはじめとして、多様な性に関する理解促進に一層取り組む必要があると考えております。

○たかく委員 都民の理解は進んできているものの、まだまだ改善の余地がある状況であると認識いたしました。そういった状況であれば、なおさら都民の関心が高まっているこのタイミングで、効果的な啓発を行っていくことは、多様な性に関する都民の理解をさらに大きく前進させるためにも非常に重要だったのではないかと思います。
 そこで、令和三年度における都民の理解促進に向けた取組状況についてお伺いいたします。

○吉村人権部長 都はこれまで、啓発冊子の作成、配布や民間事業者向けのオンライン研修、大規模啓発イベントであるヒューマンライツ・フェスタ東京のほか、人権プラザにおいてセミナーを開催するなど、多様な性に関する都民の理解促進に取り組んでまいりました。
 これらに加えて、令和三年度には、性的マイノリティーであることを公表している著名人の方のインタビュー動画を制作し、ユーチューブ等で、多様性を尊重することの大切さやインクルーシブシティ東京の実現に向けてのメッセージを発信いたしました。
 さらに、民間事業者向け研修を年一回から三回に拡充し、性的マイノリティーが働きやすい職場づくりなど、毎回異なるテーマで実施するとともに、新たに都民向けセミナーをオンライン形式で開催し、多様な性に関する基礎知識や当事者への配慮等について、理解の促進を図りました。
 今後とも、様々な媒体を効果的に活用し、性自認及び性的指向に関する普及啓発を進めてまいります。

○たかく委員 令和三年、様々な取組を進めている状況については理解しました。
 民間事業者に対する取組についてお聞きいたします。
 十一月から、我が党が長年にわたり導入を求めてきたパートナーシップ制度がいよいよ始まります。この制度が利用者の方の困り事の解消に役立つものとなるかどうかは、行政はもとより、民間事業者による活用がどれほど進むかが鍵と考えます。
 こうしたことからも、民間事業者の多様な性に関する理解を深め、性的マイノリティーに対する主体的な取組を促していくことは、さらに重要になってくるものと考えます。
 そこで、東京都が民間事業者に対し、性的マイノリティーの方々のための取組を促していく上で、昨年度の取組を通じて把握した課題認識と今後の取組について見解を伺います。

○吉村人権部長 性自認及び性的指向に関する調査では、性的マイノリティー当事者のこれまでの困難な経験として、相談相手の不在や親の無理解等に加え、職場でのハラスメントが回答の上位となったほか、就職活動や福利厚生など、職場における困難経験が挙げられました。
 当事者や有識者に対するヒアリングでも、性的マイノリティー当事者が就職や転職の際に嫌な思いをするケースがある、中小企業は自前での研修等が難しいなどの意見がありました。
 一方、民間事業者向け研修の受講者アンケートでは、意図せず性自認や性的指向を知られてしまうアウティングの問題について初めて知った、会社として取組を始めたばかりであり知識に乏しいとの意見が寄せられております。
 こうしたことから、民間事業者に対して、多様な性に関する理解を促進する取組を行うことが重要であり、今後、パートナーシップ宣誓制度の活用促進と併せて、採用や人事制度、福利厚生など、職場における困り事の軽減に関する民間事業者の主体的な取組がさらに進むよう、啓発等の充実について検討を進めてまいります。

○たかく委員 都は、今年度中に性自認及び性的指向に関する基本計画を改定する予定と聞いております。
 現在検討を進めている取組も、計画にしっかりと位置づけて、性の多様性に関する理解促進を着実に進めて、共生社会の実現を目指して取り組んでいただきたいことを申し上げ、質問を終わりとさせていただきます。

○柴崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後三時二十八分散会

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