委員長 | 加藤 雅之君 |
副委員長 | 田村 利光君 |
清水とし子君 | |
かつまたさとし君 | |
磯山 亮君 | |
入江のぶこ君 | |
平けいしょう君 | |
尾崎あや子君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 一名
出席説明員住宅政策本部 | 本部長 | 山口 真君 |
技監 | 久保田浩二君 | |
住宅企画部長 | 越 秀幸君 | |
民間住宅部長 | 鈴木 誠司君 | |
都営住宅経営部長 | 青柳 一彦君 | |
住宅政策担当部長 | 浦口 恭直君 | |
企画担当部長住宅市場担当部長兼務 | 土屋 太郎君 | |
民間住宅施策推進担当部長 | 越智 英明君 | |
経営改革担当部長 | 都築 裕樹君 | |
都営住宅企画担当部長 | 宮島 正次君 | |
建設推進担当部長 | 栗谷川哲雄君 | |
営繕担当部長 | 小林 秀行君 | |
環境局 | 局長 | 栗岡 祥一君 |
次長 | 笹沼 正一君 | |
総務部長節電行動連携担当部長兼務 | 小川 謙司君 | |
環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 | 上田 貴之君 | |
企画担当部長 | 三浦亜希子君 | |
政策調整担当部長 | 藤本 誠君 | |
気候変動対策部長 | 荒田 有紀君 | |
率先行動担当部長 | 中村 圭一君 | |
建築物担当部長 | 木村 真弘君 | |
制度調整担当部長 | 関 威君 | |
環境改善部長 | 鈴木 研二君 | |
環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 | 宗野 喜志君 | |
自然環境部長 | 和田 慎一君 | |
生物多様性担当部長制度調整担当部長兼務 | 小林 洋行君 | |
資源循環推進部長 | 志村 公久君 | |
資源循環計画担当部長 | 村上 章君 |
本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
住宅政策本部関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和三年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・令和三年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
環境局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
○加藤委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
これより住宅政策本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和三年度東京都一般会計決算中、住宅政策本部所管分、令和三年度東京都都営住宅等事業会計決算及び令和三年度東京都都営住宅等保証金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○越住宅企画部長 去る十月十二日の当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております当本部の令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。資料は、全部で二十一件でございます。
それでは、まず、一ページをお開きください。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
発注実績及びそのうちの中小企業への実績につきまして、件数及び金額を過去五年間、年度別に、財務局契約及び都市整備局契約または住宅政策本部契約別に記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数の状況でございます。
都営住宅の管理戸数、そのうちの事業用空き住戸及び募集用空き住戸につきまして、戸数及び割合を過去五年間、年度別に記載してございます。併せて、募集停止戸数につきまして、年度別に記載してございます。
三ページをご覧ください。3、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
(1)では、既設都営住宅へのエレベーター設置状況を、(2)では、都営住宅のエレベーター設置率を、それぞれ過去五年間、年度別に記載してございます。
四ページをお開き願います。(3)では、公社住宅のエレベーター設置状況を、(4)では、公社住宅のエレベーター設置率を、それぞれ過去五年間、年度別に記載してございます。
五ページをご覧ください。4、都営住宅、公社住宅の入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況、都営住宅の平均居住年数、都営住宅の使用料の収入未済率でございます。
(1)では、都営住宅の入居者、(2)では、都営住宅の単身入居者につきまして、名義人の年齢区分別に世帯数及び割合を、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
六ページをお開き願います。(3)では、都営住宅の入居者の平均居住年数を、(4)では、都営住宅の使用料の収入未済率を、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。(5)では、公社住宅の入居者、七ページの(6)では、公社住宅の単身入居者につきまして、名義人の年齢区分別に、世帯数及び割合をそれぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
八ページをお開き願います。5、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
各件数を過去五年間、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
九ページをご覧ください。6、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
都道府県及び政令市別に、令和四年三月三十一日現在の実施状況を記載してございます。
一〇ページをお開き願います。7、都営住宅における収入階層別世帯数でございます。
令和四年三月三十一日現在の各世帯数を記載してございます。
一一ページをご覧ください。8、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。
減免件数を過去十年間、年度別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。9、都営住宅建替えによる型別供給実績でございます。
型別供給の内訳を過去三年間、年度別に記載してございます。
一三ページをご覧ください。10、都営住宅における期限付き入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率でございます。
都営住宅における期限付入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率を過去十年間、年度別に記載してございます。
一四ページをお開き願います。11、都営住宅の使用料収入でございます。
調定額、収入済額、収入率を過去十年間、年度別に記載してございます。
一五ページをご覧ください。12、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
(1)では、公社一般賃貸住宅の管理戸数及び空き住戸数を、(2)では、都民住宅の管理戸数及び空き住戸数を、都施行型、公社施行型、公社借上げ型及び法人管理型別に、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
一六ページをお開き願います。13、区市町村居住支援協議会の一覧と各居住支援協議会の構成メンバーでございます。
一六ページから一九ページにかけまして、令和四年三月三十一日現在の協議会名及び構成メンバーをそれぞれ記載してございます。
二〇ページをお開き願います。14、東京都の空き家数・空き家率の推移でございます。
平成十年度以降の空き家数及び空き家率を五年ごとに記載してございます。
二一ページをご覧ください。15、区市町村別東京ささエール住宅の登録戸数及び専用住宅の内訳でございます。
令和四年三月三十一日現在の東京ささエール住宅の登録戸数及びそのうちの専用住宅の戸数を区市町村別に記載してございます。
二二ページをお開き願います。16、東京ささエール住宅及び専用住宅の登録戸数の推移でございます。
各年度末現在の登録戸数を、過去四年間、年度別に記載してございます。
二三ページをご覧ください。17、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
各自治体の補助実績を過去四年間、年度別に記載してございます。
二四ページをお開き願います。18、居住支援法人の指定数の推移と累計でございます。
法人の種別ごとの指定数を過去四年間、年度別に記載してございます。併せて、類型も記載してございます。
二五ページをご覧ください。19、サービス付き高齢者向け住宅等供給実績でございます。
過去五年間の供給戸数及び累計の戸数を、それぞれの高齢者向け住宅別に記載してございます。
二六ページをお開き願います。20、住宅政策本部所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況でございます。
(1)では、委員報酬額を、(2)では、過去三年分の各附属機関の開催状況をそれぞれ記載してございます。
二七ページをご覧ください。21、政策連携団体・事業協力団体の職員構成でございます。
過去五年分の職員構成を団体別に記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○加藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田村委員 まず、空き家対策について伺います。
空き家対策については、区市町村が主体的に取り組み、都道府県は財政支援や技術的支援を行うことが空家対策特別措置法に定められています。
そこで、まず、区市町村が取り組む空き家対策に対する都の財政支援について、令和三年度の実績を伺います。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家対策におきましては、地域の実情を把握している市区町村の役割が重要でございまして、都は、空家等対策の推進に関する特別措置法の趣旨を踏まえ、市区町村の取組を財政支援しております。
令和三年度は、三十九市区町村に対し、空き家の実態調査や計画作成、除却や改修などへの支援を行うとともに、移住、定住住宅への改修など、地域特性を踏まえ創意工夫して実施する事業についても支援を行いました。
また、先駆的空き家対策東京モデル支援事業によりまして、SNSを活用し空き家発生を抑制するなどの先駆的な取組を実施する三市に対して、支援を行いました。
さらに、エリアリノベーション推進支援事業によりまして、市区のまちづくりの方向性を踏まえ、特定のエリアで集中的、連鎖的に空き家等を様々な用途に活用、再生する取組を実施する五市区に対しまして、支援を行いました。
○田村委員 空き家については、市町村の取組により適正な管理を促していくだけでなく、民間事業者の活力を生かして空き家対策を進めていくことも重要と考えます。
都は、民間空き家対策東京モデル支援事業を実施していますが、この事業は、民間事業者の創意工夫を生かしながら、様々な主体による空き家対策の取組を推進するものと評価しています。空き家については、区市町村の取組により適正な管理を促していくだけでなく、民間事業者の活力を生かして空き家対策を進めていくことも重要と考えます。
そこで、民間空き家対策東京モデル支援事業の令和三年度の実績を伺います。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都におきましては、令和二年度から、民間事業者等の企画提案を受け、先端技術を活用した空き家対策や空き家の発生抑制に資する取組をはじめ、空き家を活用した東京ささエール住宅への改修などに対して財政支援を実施しております。
令和三年度は、先端技術を活用した空き家対策では、電力データを活用して空き家の可能性がある住宅を抽出する取組に対しまして補助を行いました。
また、空き家の発生抑制対策では、高齢者のご用聞きサービスを展開している事業者と連携いたしまして、将来の空き家化の可能性を把握しつつ、その活用に向けた啓発を行う取組などに対して補助を行いました。
さらに、空き家を東京ささエール住宅に改修する取組や障害児通所支援事業所に改修する取組などに対しましても補助を行いました。
○田村委員 都が区市町村への支援や民間事業者の後押しを行うことで、空き家対策を推進していることが分かりました。
一方で、空き家については、本来所有者が適正に管理すべきものであり、空き家所有者の理解と協力が必要です。
そこで、空き家の所有者に対する普及啓発に関する取組について伺います。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家の適正管理を進める上で、住宅の売買等に携わる民間事業者や相続などの問題を扱う法律等の専門家と連携して、空き家所有者自身に適切な空き家管理について理解していただくことが重要でございます。
そのため、都は、民間事業者を活用して普及啓発の取組とワンストップ相談を一体的に実施する事業を実施しておりまして、令和三年度は、セミナー等を計四十六回実施し、常設窓口等で計一千四百九件の相談に対応しております。
さらに、三年度に、アウトリーチ型の取組として、空き家所有者からの個別の要望に応じ相談員や法律等の専門家を派遣する事業を開始し、計二百八十九件を実施いたしました。
このほか、東京空き家ガイドブックを発行するなど、所有者自らによる空き家の適正管理を促進するよう普及啓発を進めております。
○田村委員 ここまで都の空き家対策の成果を聞いてきましたが、都は、これまでの取組についてどのように評価しているのか、認識を伺います。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 都はこれまで、市区町村等と連携を図りながら、適正管理、有効活用、発生抑制の三つの柱の下で空き家対策に取り組んでまいりました。
一方で、今後高齢化の一層の進展や人口、世帯数の減少が見込まれる中、都内において依然として八十万戸を超える空き家が存在しております。このため、都は、市区町村や関係団体との緊密な連携の下、民間事業者の創意工夫も生かし、空き家所有者の理解と協力を得ながら空き家対策をさらに強化してまいります。
○田村委員 都は、今年五月に東京都への移住、定住窓口を設置しました。
都内への移住希望者が増えても、受入先がなければ移住は実現しません。移住者の受入先としても、空き家は期待するところであります。この取組が成功するためにも、今後も効果的な空き家対策を打ち出していただくことをお願いして、私の質問を終わります。
○平委員 私からは、都営住宅における太陽光発電設備についてと、都営住宅における管理体制についてお伺いをいたします。
都は、二〇三〇年までの温室効果ガス削減目標を二〇〇〇年比五〇%削減と表明し、再生可能エネルギーの導入拡大など、目標に向けた様々な取組が全庁的に進められております。
都営住宅においては、これまで建て替えを中心に太陽光発電設備を設置しておりますが、これまでの取組状況の確認をしていきたいと思います。
初めに、令和三年度における太陽光発電設備の設置に要した費用をお伺いいたします。
○栗谷川建設推進担当部長 太陽光発電設備の設置工事は、建て替え住棟では、建築工事で設置する屋上の基礎を除き、電気設備工事の一部として発注しており、令和三年度の支出額はおおむね九千八百万円でございます。
また、既存住棟では、東京都住宅供給公社への業務委託の一部に含まれており、現場調査費を除き、令和三年度の支出額はおおむね一千六十万円でございます。
○平委員 建て替え住棟では、令和三年度支出が九千八百万円、既存住棟では千六十万円ということでございました。
次に、令和三年度の都営住宅における太陽光発電設備の設置実績をお伺いいたします。
○栗谷川建設推進担当部長 令和三年度において太陽光発電設備を設置した都営住宅は、建て替え住棟では二十五棟、発電能力は合計約百十キロワットであり、既存住棟では二棟、発電能力は合計十一キロワットでございます。
○平委員 建て替え住棟では二十五棟、既存住棟では二棟ということです。
令和三年度は、既存住棟への設置が少ない印象を持ちますが、都営住宅の屋上スペースは太陽光パネルの設置に適していると考え、我が会派は、本会議代表質問や常任委員会において、有効活用していくべきと要望をしてまいりました。
設置された太陽光発電設備の電力はどこに使用されているのかお伺いいたします。
○栗谷川建設推進担当部長 発電した電力は、共用部の廊下やエレベーター籠内の照明等に利用した上で、余剰電力は売電しております。
○平委員 共用部にのみ利用し、余剰電力は売電しているということです。
令和三年度の太陽光発電設備に関する予算は、単体では確保せず、都営住宅建て替え事業の予算に含まれていたと聞いております。その理由についてお伺いいたします。
○栗谷川建設推進担当部長 太陽光発電設備は、都営住宅の建て替え事業の標準仕様として原則全ての住棟の屋上に設置し、共用部の照明など屋内電気配線と一体的に施工することが効率的であることから、電気設備工事の一部として公営住宅建設事業に予算計上しております。
○平委員 建て替え工事については、施工面で効率的であるとの理由から、単体で予算計上されなかったということが分かりました。今後は、さらなる設置拡大を図るための対策が必要と考えます。
既存住棟についても伺います。
今年度は、既存住棟への太陽光発電設備の設置のための予算が、これまでと異なり、一般財源単体で計上されております。昨年度と違い、太陽光発電設備設置における予算が単体で計上されている理由についてお伺いいたします。
○小林営繕担当部長 既存住棟に設置する太陽光発電設備につきましては、令和三年度までは、共用部での消費電力量などを踏まえましてその発電能力を設定し、都営住宅等事業会計で設置工事を実施してきました。
今年度は、都庁の率先行動の取組の一つとして、全量売電を前提に、一般会計で既存住棟の約百棟に太陽光発電設備の発電能力を拡大して設置することとしております。
○平委員 答弁によって、これまでとは異なる手法で太陽光発電設備の設置拡大を図るといった積極的な取組姿勢がうかがえました。高く評価いたします。脱炭素社会に向けて、隗より始めよの思いで取り組んでいただくことを要望いたします。
令和三年度、都営住宅への太陽光発電設備の設置によって、脱炭素社会の実現にどの程度寄与しているのかお尋ねいたします。
○小林営繕担当部長 令和三年度末時点で約五百二十棟の都営住宅に太陽光発電設備を設置しておりまして、発電能力の合計は約二千六百キロワットとなっております。日射量などを考慮すると、年間の発電量は約二百六十万キロワットアワーと推計され、一般家庭約五百七十世帯の年間電力消費量に相当するエネルギーの削減に寄与しております。
今後も、脱炭素社会の実現に向けまして、都営住宅への太陽光発電設備の設置を積極的に進めてまいります。
○平委員 今後も都営住宅への太陽光発電設備の設置を積極的に進めていくということでございました。
都営住宅は都内各所に建てられており、それら住棟の屋上に太陽光発電設備を設置すれば、多くの電力を生み出すことが可能です。脱炭素社会の実現に向け、予算を確保し、より一層都営住宅への太陽光発電設備を増設されていくことを強く要望し、次の質問に移ります。
続いて、都営住宅における居住者対応についてです。
都営住宅は、都における住宅セーフティーネットの中核として大きな役割を果たしております。管理戸数は約二十六万戸という大規模なものであり、都営住宅に住む多数の居住者が安全に安心して生活できるよう、都は、住宅を確実に維持管理するだけでなく、居住者からの各種申請の受付や、巡回管理人による高齢者世帯への訪問及び書類の取次ぎ、居住者間に生じたトラブルの調整など、居住者サービスに関する業務も適切に行い、居住者にしっかりと向き合っていく必要があると考えます。
都営住宅の居住者に関する管理業務は、指定管理者である住宅供給公社が担っておりますが、令和三年度の指定管理の経費と、そのうち居住者管理に係る経費はどの程度の割合を占めているのかお伺いいたします。
○宮島都営住宅企画担当部長 令和三年度における東京都住宅供給公社への指定管理に係る経費は約百億円であり、そのうち居住者管理に係る経費は約四十億円で、約四割を占めております。
○平委員 居住者に関する業務に多くの経費が使用されていることが分かりました。
管理業務は多岐にわたっており、日々多くの居住者からの様々な問合せがあると聞いておりますが、それらに対して丁寧に応対していくことは重要であります。
居住者からの問合せは主にどこで受け付けており、昨年度の問合せは何件程度あったのかお伺いをいたします。
○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の居住者からの問合せにつきましては、主に公社のお客さまセンターにおいて受け付けております。原則、平日の午前九時から午後六時まで受け付けていますが、緊急の修繕や入居者の安否確認要請など緊急の案件については、三百六十五日二十四時間対応しております。
令和三年度におきましては、約四十万件の問合せがございました。
○平委員 非常に多くの問合せがあり、緊急の案件は、休日、夜間にも受け付けるなどの受付体制だということが答弁から確認できました。
では、居住者から寄せられる問合せは多岐にわたると思いますが、どのようなものが多いのかお尋ねいたします。
○宮島都営住宅企画担当部長 お問合せの内容といたしましては、世帯員の変更など各種申請手続に関するご相談や、住宅の修繕に関する申込みが多く寄せられております。そのほか、居住者からのご意見やご要望、騒音や生活トラブルなどに関する様々な相談や苦情などもございます。
○平委員 居住者間で騒音や生活トラブルに関する問題は、都営住宅においても起きているということでございます。
昨年度、騒音や迷惑行為等の相談を公社が何件程度受け付けたのか、また、居住者間のトラブルに関する相談を公社が受けた場合、どのような取組が行われているのかお伺いをいたします。
○宮島都営住宅企画担当部長 昨年度、公社が受け付けた騒音や迷惑行為等の相談件数は約七千件でございます。公社に相談や通報があった場合には、都内に十六か所ある窓口センターの職員が現地を訪問して関係者の話を伺うなど事実確認を行い、必要に応じて改善に向けた注意や指導を行っております。
トラブルの原因が都営住宅の不適正使用によるもので、再三の指導でも改善されない場合には、公社の本社が対応に当たるとともに、都と連携して、トラブルの状況に応じて、きめ細かな是正指導を行っております。
○平委員 公社のお客さまセンターだけでなく、窓口センターや本社、都が連携して居住者対応を行っているということでございました。
都営住宅の居住者は年々高齢化が進み、様々な事情を抱えた方も多くいらっしゃいます。
指定管理に関わる費用のうち、少なくない部分が居住者管理に充てられておりますが、居住者に対し、きめ細やかな対応を行っていくことが、住宅セーフティーネットの役割をしっかり果たしていくために必要であり、この経費には意義があるものと考えます。
今後はさらに、都が公社と連携し、居住者の声を丁寧に聞きながら対応していくことを要望し、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○かつまた委員 私からは、まず、高齢者向け住宅の充実についてお伺いをいたします。
高齢単身化が急速に進む中、高齢者がより安心して暮らすことのできる住宅の供給は最重要課題の一つであります。
これまで我が会派は、高齢者向け住宅の充実を訴え、特に住宅政策と福祉政策の連携などを強く主張してまいりました。そうした連携により供給が図られている住宅として、サービス付高齢者向け住宅があると考えます。
まず、サービス付高齢者向け住宅はどのような住宅なのか、改めてお伺いをいたします。
○鈴木民間住宅部長 サービス付高齢者向け住宅は、高齢者の居住の安定を目的に、平成二十三年の高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正に伴い、創設されたものでございます。
この住宅は、バリアフリー構造を有し、生活相談サービス、安否確認サービスが提供されることとなっており、都におきましては、緊急時対応サービス等が要件として追加されております。また、入居できるのは、六十歳以上の者または要介護、要支援認定を受けている六十歳未満の者及びその同居者などとなっております。
なお、都道府県への登録制度が設けられており、都内では、中核市である八王子市を除いて、東京都の指定登録機関である公益財団法人東京都福祉保健財団が登録事務を行っております。
○かつまた委員 サービス付高齢者向け住宅の供給を促進するためにどのような取組を都が行っているのか、昨年度の都の取組をお伺いいたします。
○鈴木民間住宅部長 都は、国が行っております整備費補助に加えまして、地域密着型サービス事業所等との連携を行う事業者に対し、東京都サービス付き高齢者向け住宅整備事業により、上乗せ補助を行っております。
また、区市町村が供給計画を策定し、サービス付高齢者向け住宅を整備する事業者に対し補助を行う場合、都は国と共に家賃減額補助の支援を行っております。
さらに、事業者向け説明会の開催やパンフレットの配布など、福祉部門と連携して普及啓発を行うことにより、供給促進を図っております。
こうした取組などにより、昨年度の登録実績は都内全域で九百六十五戸、昨年度末時点の累計で一万七千二百三十戸となっております。
○かつまた委員 一方、サービス付高齢者向け住宅と同様、高齢者向けに特化した住宅として、さらに以前から高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高優賃という住宅があったかと思いますが、改めてどのような住宅なのかお伺いをいたします。
○鈴木民間住宅部長 高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢者が多様なニーズに応じた居住の場を選択できるようにするため、バリアフリー化され、緊急時対応や安否確認などのサービスの利用を可能とする民間賃貸住宅であり、平成十年度に、国におきまして補助制度が設けられたものでございます。
これを受け、都は、平成十一年度に事業者に直接補助を行うモデル事業を実施するとともに、区市町村に対する間接補助事業を開始いたしました。その後、平成十三年度には、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づく制度として位置づけられたところでございます。
東京都高齢者向け優良賃貸住宅の入居要件としましては、六十歳以上の者及びその同居者等であることや、収入基準などがございます。また、管理期間につきましては、国の補助制度では、家賃補助ができるのは原則として二十年間とされており、都内のほとんどの住宅では二十年間と定められているところでございます。
○かつまた委員 それでは、都は、東京都高齢者向け優良賃貸住宅に対し、昨年度はどのような支援を行ったのかお伺いをいたします。
○鈴木民間住宅部長 都はこれまで、供給促進に向け整備費の補助を行ってきましたが、平成二十九年度以降は新規の供給はございません。昨年度末時点で東京都高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、十四区市で千百七十五戸の住宅が供給されており、昨年度は、これらのうち補助要件に該当する住宅に対しまして、家賃減額に要する費用等の補助を実施いたしました。
○かつまた委員 これまでの答弁で、都内では、サービス付高齢者向け住宅の供給が着実に進んでいる一方で、高齢者向け優良賃貸住宅は既に新規の供給がなく、また、ほとんどの高優賃の管理期間が二十年であることが確認をできました。
こうした高優賃の現状に対し、現在、都はどのように対応しているのかお伺いをいたします。
○鈴木民間住宅部長 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、平成二十三年の法改正により、高齢者にとって分かりやすく使いやすい制度に改善等をするため、高齢者向け優良賃貸住宅の供給計画の認定制度が廃止され、サービス付き高齢者向け住宅整備事業の登録制度に一元化されました。
また、東京都高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、平成二十九年度以降新規供給がないことなどを踏まえまして、都は、令和四年度以降、新規供給を行わないことといたしました。
一方で、管理期間を満了する東京都高齢者向け優良賃貸住宅が順次発生してくることから、バリアフリー化された良質な住宅ストックとして、引き続き有効活用していくことが重要であると認識しております。そのため、住宅セーフティーネット制度に基づく東京ささエール住宅の専用住宅への移行を促し、併せて家賃低廉化補助制度を活用し、入居者の負担軽減を図る方向で、地元区市と協議を進めることといたしました。
こうした取組を進めるとともに、サービス付高齢者向け住宅の供給促進も一層進め、高齢者の居住の安定を確保してまいります。
○かつまた委員 高齢者向け優良賃貸住宅は、高齢者が住む住宅であることから、入居者の居住の安定が極めて重要であります。管理期間満了後も、引き続き高齢者の負担軽減を図るため、住宅セーフティーネット制度の家賃低廉化補助制度を活用されるのは望ましいことでありますが、そのためには、高優賃からの制度移行に向けた手続など、地元区市との緊密な連携が必須であるため、この制度の内容を会派内でも共有するとともに、今後の住宅セーフティーネット制度の一層の活用に向け、私も地元大田区議とも連携をしております。
住宅確保は、生活の三大要素の一つであり、大変重要であります。都においては様々な課題を解決し、施策を前に進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
続いて、マンション管理状況届出制度についてお伺いをいたします。
マンションは、都民の主要な居住形態として広く普及しており、都民にとって不可欠な生活基盤であると同時に、都市や地域社会を構成する重要な要素であります。
その一方で、現在、建物の老朽化や居住者の高齢化という二つの老いが進行し、今後、管理組合の機能低下等によって管理不全に陥る可能性が指摘をされております。
こうした状況で、都は平成三十一年三月に、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進するとともに、その社会的機能を向上させるため、都道府県では初のマンション管理条例を制定し、令和二年四月から管理状況届出制度を開始しております。
そこで、まず、管理状況届出制度の概要と届出の状況についてお伺いをいたします。
○越智民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度は、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進すること等を目的として、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンションに対して管理状況の届出を義務づけたもので、令和二年度から開始しております。
届出内容は、管理組合や管理規約の有無、総会の開催状況、管理費や修繕積立金の有無などでございます。本年三月末時点での届出対象一万一千七百四十三棟に対して、届出数は九千七百六十九件、届出の割合は八三%となっております。
○かつまた委員 約一万一千七百棟もの対象マンションがある中で、約八三%のマンションが届出されている状況は、ある程度、制度が認知されている結果といえるのではないでしょうか。
しかしながら、重要なのは届出の内容であり、届出制度の実効性を確保し、適切に運用するためには、届出内容を分析する必要があります。とりわけ、管理組合の機能低下等によって管理不全に陥る可能性があるマンションの情報は極めて重要であります。
届出情報から、こうした管理不全に陥る可能性があるマンションは、令和三年度末時点でどの程度あったのかお伺いをいたします。
○越智民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度では、管理組合の有無、管理者等の選任状況、管理規約の有無、総会の開催状況、管理費の有無、修繕積立金の有無、修繕の計画的な実施状況、以上七つの項目について、管理不全を予防するための必須事項としております。七つの項目のうち、いずれかがない、または、いないとなっている状況を、管理不全の兆候ありと定義しております。
届出内容を分析した結果、令和三年度末時点で届出がなされたマンションのうち、約一六%において管理不全の兆候が見られました。
○かつまた委員 届出のあった約九千七百件のうち、約一六%といえば約千六百件のマンションで管理不全の兆候が見られたということであります。この数字は、マンション管理の面から見ても、周辺地域へ及ぼす影響の面から見ても、決して看過できるものではありません。
都は、管理不全の兆候が見られたマンションに対してどのような支援を行ってきたのかお伺いをいたします。
○越智民間住宅施策推進担当部長 都は、管理状況の届出を行った管理組合のうち、管理不全の兆候がある場合には、最大五回まで、管理の適正化に向けマンション管理士等の専門家を無料で派遣しており、令和三年度の実績は十五棟三十一回でございました。
また、マンション管理ガイドブックを活用し、管理組合や関連事業者に向け、管理適正化に取り組むための具体的手順や手法等を紹介しているほか、分譲マンション総合相談窓口を設置いたしまして、広く区分所有者等からの相談対応を行っております。
○かつまた委員 届出制度によって把握したマンションの管理状況に関する情報を基に、今後、マンション施策をより効果的に推進し、管理の適正化が促進されることを期待して、質問を終わります。
○清水委員 それでは、私から、空き家について質問をさせていただきます。
空き家の種類別の空き家数のこの十年間の推移について、最初にお伺いいたします。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 総務省の住宅・土地統計調査によれば、平成二十年度の東京都の空き家数は約七十五万戸であり、内訳は、賃貸用の住宅四十九・二万戸、売却用の住宅五・三万戸、長期不在、取壊し予定などのその他住宅十八・九万戸などとなっております。
次に、最新の平成三十年度の同調査では、空き家数は約八十一万戸であり、内訳は、賃貸用の住宅五十七・九万戸、売却用の住宅四・二万戸、その他の住宅十八万戸などとなっております。
○清水委員 都内の空き家数は、平成二十年度から平成三十年度までの十年間で約六万戸増えているということですが、そのうち、売却用の住宅とその他の住宅は減っていて、増えているのは賃貸用の住宅、その数は八万七千戸ということでした。
では、賃貸用の空き家住宅のうち、共同住宅の割合はどのくらいですか。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 平成三十年度の調査によりますと、賃貸用の空き家のうち、共同住宅の割合は九七・二%です。
○清水委員 賃貸住宅の空き家のほとんどは共同住宅ということでした。
では、次に、新規に建設される方はどうなのか伺っていきます。
民間賃貸住宅の新規着工戸数のこの十年間の推移についてお伺いいたします。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 住宅着工統計等によりますと、民間の賃貸住宅の新規着工戸数は、平成二十四年度は約四・六万戸であり、平成二十九年度の約六・七万戸をピークに、令和三年度は約六・三万戸でございます。
○清水委員 都内の空き家は、この十年間で八万七千戸も増えている。そのほとんどは賃貸の共同住宅であると。その一方で、六万戸を超える新規の賃貸住宅が建設されているという状況にあります。
また、建築主別の民間賃貸住宅の着工戸数の推移を調べてみますと、建築統計年報によると、昔は個人が多かったのが、二〇一六年頃から事業者による建設の方が多くなっています。
私の地元日野市内の農家から、ここ数年、生産緑地を解除してアパートを建てませんかという不動産業者の訪問が何度も来ているというお話を伺いました。地域の世帯数などに見合って新規着工が増えていく分には健全といえますけれども、このように事業者の都合でどんどん増やしていく、そういうことが起きれば、それは空き家を増やす一因になっていくのではないでしょうか。
新規の賃貸集合住宅が次々と建つ一方で、既存の賃貸住宅の空き家が増えていく、こういう状況について、東京都はどのような認識をお持ちでしょうか。
○土屋企画担当部長住宅市場担当部長兼務 空き家の発生には、地域における人口構成、世帯数、住宅の需給動向や都市機能の整備状況、都市計画、建築規制、敷地条件など、多様で複合的な要因が存在するものと認識しております。
○清水委員 私が住んでいる地域でも、古い木造住宅には、やはり空き家が目立ちます。また、以前、学生向けに共同住宅を建てた大家さんが、借手がいなくて困っている、こういうお話も伺いました。
どのような賃貸住宅が空き家になっているのか、その要因はどのようなところにあるのかなど、都としてももう少し分析することが必要ではないかと思います。
民間賃貸住宅の空き家も、新規着工も、どれぐらいの居住面積のものが増えているのかというところまでは、都から提供されている資料からは分かりませんでした。
例えば、東京は学生も多いので、それも見込んだ狭小物件の建設が多いのではないでしょうか。単身者の最低居住面積水準は二十五平米とされています。学生や単身赴任など短期間の使用であれば、それ未満でもよいという扱いになっています。
では、民間の借家について二十五平米未満の住宅はどのくらいありますか。
○浦口住宅政策担当部長 平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、都内の民営借家約二百七十二万戸のうち、約三四%の約九十一万戸が延べ床面積二十五平方メートル未満となっております。
○清水委員 都内の民間借家に住む世帯のうち、約三分の一、三四%に当たる九十一万戸、これが二十五平米未満ということでした。都内の大学、短大、専修学校の学生数を合わせるとちょうど九十万人ぐらいなんです。
日本学生支援機構の調査では、今、学生は、大体三分の二は自宅から通学しているということですので、単身赴任の方を計算に入れても、それ以外に非正規雇用の方や年金暮らしの単身高齢者、こういった低所得者層が、こうした狭隘、狭小住宅に相当数住んでいる、こういう可能性が考えられると思います。このこと自体、狭小住宅の過剰供給の表れだと思います。結果として、低所得者の居住環境を劣悪な水準に引き下げることにつながっているわけで、問題だと思います。
それだけでなく、インターネット上では、若い女性向けにも、二十平米、十五平米といった本当に狭い部屋で、いかに生活するのか、こういった宣伝が普通に行われています。意図的に、市場を見込んで、最低居住面積水準を満たさないような狭小住宅を供給しているとしたら、いよいよ問題です。
そして、こうした物件は、新しいものが次々供給されれば、容易にそちらから埋まっていくことになると思います。年々増えている賃貸住宅の空き家が、こうしたところで増えている可能性はないでしょうか。そうだとすれば、果たして健全なストックといえるでしょうか。
事実、都は、二〇一八年に開始した都のセーフティーネット住宅、ささエール住宅の事業で、登録住宅を単身の最低居住面積水準を下回る住宅まで対象を緩和した、そういう経過があります。それ自体どうなのかということもありますが、しかし結果は、思うように登録住宅は増えませんでした。
つまり、こうした狭小住宅のところに一定数の空き家があること、そしてそれは有効なストックとして機能しないことを都も既に認識しているということだと思います。民間賃貸住宅やその空き家は、管理されているから大丈夫ということではなくて、その中身についてもよく見ていく必要があるのではないでしょうか。
そこで、最後にお伺いします。
空き家問題の解決のためにも、新規の賃貸住宅の適切な供給量について、都として問題意識を持つ必要があると考えますが、いかがですか。
○浦口住宅政策担当部長 民間住宅は、市場を通じて都民のニーズに応じて供給されているものと考えておりまして、都は、東京都住宅マスタープランを踏まえ、住宅市場へ働きかけることで良質な住宅ストックや良好な住環境の形成等を促進しております。
なお、適切な管理が行われていない空き家については、まずは所有者等に適切な管理を促すことが重要であり、必要に応じ空き家を地域の資源として有効活用するなど、地域の実情に応じた対策を講じていくべきものと考えております。
○清水委員 これまでの質疑で明らかにしたように、民間賃貸住宅の空き家の増加は、健全な需要と供給にゆがみを生じているサインではないかという問題提起です。少なくとも単身者の最低居住面積水準を下回る住宅が、そこでの生活を許されるケース、学生や単身赴任、これをはるかに超えて供給され、低所得者の居住水準を押し下げていることは明らかだと思います。
そして、もしこの狭小住宅の供給のところで空き家が増えているとすれば、それは大きな目で見れば、管理されているとはいいがたいと思います。ましてや、地域資源として有効活用といったことも考えにくいことは、都のセーフティーネット住宅事業の一連を見ても明らかだと思います。
例えば特養ホームの場合、その整備は公的支出に直接関係するため、自治体が高齢者の数や申込み、待機者の状況などに応じて必要な規模、施設数を導き出して、それに基づいて整備をしています。そこまでとはいいませんけれども、民間の賃貸住宅についても、都が実態把握と丁寧な分析を行い、良好な住環境と良質なストックの形成を図るために、より積極的なイニシアチブを取るよう求めて、私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、住宅政策本部について質問いたします。
まず、都営住宅からです。
都営住宅では、地震などの災害対策として停電によるエレベーター内の閉じ込め防止やブロック塀の安全対策、また、省エネルギー対策として共用部のLED化の取組が進められています。これらの取組の全てで目標が定められています。
本日は、令和三年度末時点の状況の確認をしていきたいと思います。
まず、地震等の災害時における安全対策です。
都営住宅のエレベーターへの停電時の対策について、この対策の具体的な内容は、地震などによる停電時にエレベーターが停止し、乗っていた方がエレベーター内に長時間閉じ込められることがないよう、エレベーターに停電時自動着床装置を設置するものです。この装置を設置することにより、エレベーターは停電になった際に最寄りの階に停止し、扉が開くことにより中に人が閉じ込められず、安全に避難できます。
令和二年度末時点の設置率は約七四%でした。そこで、都では、令和六年度末までに都営住宅のエレベーターへの停電時自動着床装置の設置率八五%以上を目標としていますが、これまでの取組と進捗状況について伺います。
○小林営繕担当部長 平成二十年度の建て替え工事及び既存住棟への昇降機棟の増築工事から、停電時自動着床装置付エレベーターの整備を開始いたしました。また、平成二十一年度からは、既存エレベーターの改修に合わせまして本装置の設置を開始し、さらに平成二十三年度以降、東日本大震災で長時間の閉じ込めが発生した状況を踏まえまして、それ以外の既存エレベーターについても設置を進めてきました。
こうした取組により、令和三年度末時点での停電時自動着床装置の設置率は約七八%となっております。
○中村委員 令和二年度末時点より設置率が約四%上昇していることが確認できました。引き続き目標達成に向け計画的に設置を進めていただくことを求めます。
次に、都営住宅のブロック塀の安全対策についてです。
以前、大阪北部地震の際に、通学中の児童がブロック塀の下敷きになり、犠牲になる事故が発生したことを受けて、都は、都有施設のブロック塀などの緊急点検を行い、撤去などの安全対策をすることとしています。
令和三年九月三十日時点で、まだ約三割残っているとのことです。地震はいつ発生するか分からないので、早期に全ての撤去をすべきです。
そこで、都営住宅のブロック塀などのうち、通学路を含む不特定多数の方が通行する道路等に面する塀について、第一優先で撤去等の安全対策を実施することとしていますが、これまでの取組と進捗状況を伺います。
○小林営繕担当部長 平成三十年度に発生した大阪北部地震によるブロック塀等の倒壊事故を踏まえて、同年度に都営住宅のブロック塀等を対象に緊急点検を行った結果、通学路を含む不特定多数の方が通行する道路等に面している、現行法規に適合しないブロック塀等が六十二団地六十八か所で確認されました。
平成三十年度から撤去等に着手し、令和三年度は二十二団地二十五か所で撤去等を行い、安全対策が完了いたしました。
○中村委員 令和三年九月末から三月末までの半年間で約三割進め、全て撤去したことは評価できます。道路に面するブロック塀の安全対策完了し、安心をいたしました。
次に、省エネルギー対策について伺います。
都営住宅の省エネルギー対策の取組について、都は、省エネルギー対策として都営住宅の共用部のLED化を進めています。国のエネルギー基本計画では、LED照明については、二〇三〇年までにストックで一〇〇%の普及を目指すこととしており、都においても、二〇三〇年までにLED化一〇〇%を目標として取り組んでいます。
そこで、都営住宅における共用部のLED化について、これまでの取組と進捗状況を伺います。
○小林営繕担当部長 都営住宅の共用部のLED化については、平成二十七年度の建て替え工事から、既存住棟についても平成二十九年度の照明器具の改修工事から開始しており、計画的に進めております。
設置率については戸数ベースで算出しておりまして、令和三年度は約二万二千二百戸に設置し、令和三年度末時点の累計は約六万九千九百戸、設置率は約二七%となっております。
○中村委員 メーカーでは、既に蛍光灯の照明器具の製造を中止しているメーカーもあると聞いています。地元自治会からも、蛍光灯を探すのに苦労しているという声もいただいています。LED化は、省エネのみならず自治会の電気代の負担軽減にもつながるので、引き続き計画的に進めていただきたいと思います。
次に、都営住宅における高齢化について伺います。
大分、高齢化が都営住宅も進んでいまして、住宅政策本部としても、高齢化の課題には、鋭意取組を行っているものと思います。その一つに買物弱者支援事業もあり、現在、都内七十一の移動販売が実施されています。
また、高齢者の孤立化を防ぐためには、高齢者が団地内や地域の人々とつながりを保ちながら暮らしていくことも必要であり、地域の居場所づくりも求められています。
都は、令和三年度に、都営住宅の集会所を活用して、東京みんなでサロンの先行実施を行っていますが、その実績と具体的にどのような居場所づくりが行われたのか伺います。
○都築経営改革担当部長 都は、都営住宅の集会所等を活用し、様々な人々の交流の場として地域の居場所づくりを進めるため、令和三年度に市区等と連携して、東京みんなでサロンを一市四区の五か所で計五十五回実施いたしました。
具体的には、高齢者のフレイル予防のための十の筋トレという健康体操教室や、高齢者をはじめ地域の方が気軽に立ち寄れる、ほんわカフェというコミュニティカフェなどが定期的に開催され、多くの団地居住者や地域住民の方が参加し、交流の機会となりました。
○中村委員 ホームページを拝見しますと、現在十三か所で開催されており、四十八か所で運営事業者が募集されているとのことです。コロナ禍で、それまで運営されてきた地域の居場所が閉鎖されたり、一緒に食事を楽しむことができなくなったりして、定期的に顔を合わせていた方と会えなくなって、お互いに心配しているという声もこの間、聞いてまいりました。
この東京みんなでサロンは、都営住宅やその近隣住民のつながり、支えに寄与するものと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
次に、セーフティーネット住宅である東京ささエール住宅について伺います。
昨年度はどのような取組を進めてきたのか、また、年度末時点での専用住宅の戸数について伺います。
○鈴木民間住宅部長 都は、昨年度、住宅セーフティーネット制度に基づいて、改修費補助や家賃低廉化補助など国の補助制度を活用する市区へ財政支援を行ったほか、都独自の取組として、専用住宅の登録等を条件とした登録協力補助を実施するなど、貸主を直接支援する取組も行ったところでございます。
また、二か年のモデル事業として、貸主の不安軽減と住宅確保要配慮者の円滑な入居につながる居住支援法人の取組を支援する安心居住パッケージ事業を開始いたしました。こうした取組等により、昨年度末時点の専用住宅の戸数は六百四十二戸となっております。
○中村委員 専用住宅の戸数は、令和元年度末で四百九十一戸、二年度末で五百九十八戸とのことでしたので、増えていることは分かりました。
専用住宅の政策目標は、二〇三〇年度末で三千五百戸を目標にしているとのことです。この事業は、住宅困窮者にとってはもちろんですが、貸主側にとっても、空き家、空き室の有効活用とともに社会貢献の意味もある、意義のある制度だと思います。
目標達成のためには、あと八年ですから、かなり力を入れていく必要がありますが、それには市区町村の取組が欠かせません。住宅政策に力を入れている市区町村とそうでもない市区町村との温度差があるようにも思います。居住支援協議会の立ち上げもまだ進んでいない市区町村もありますので、引き続き、協議会を立ち上げて福祉部門と連携していくことの重要性を啓発していただくよう要望いたします。
次に、マンションの耐震化について伺います。
いつ来るか分からない地震への備えは重要であり、全ての建物が耐震化されることが、一昨日の都市整備局の決算の質疑では、緊急輸送道路の沿道建築物とそれ以外の住宅については取組を質問しました。住宅政策本部が設立されて、マンションの耐震化についてはこちらに担当が変わったので、本日質問します。
まず、マンションの耐震化の目標と耐震化率の現状について伺います。
○越智民間住宅施策推進担当部長 東京都耐震改修促進計画では、分譲マンションの令和元年度末の耐震化率は九四・四%であり、令和七年度末に耐震性が不十分なマンションをおおむね解消することを目標に掲げております。
○中村委員 都として、緊急輸送道路の沿道の建築物が倒壊すると道路を塞いでしまうとして、公共性が高いということで取組を優先しているわけですが、そうではないマンションだとしても、もちろん住んでいる方の命は大事ですし、万一マンションが倒壊するようであれば、周辺にも被害がないとは限りません。
目標として、最終的におおむね解消ということでしたが、困難であったとしても、一〇〇%達成を目指して取り組むことが重要だと思います。
耐震化を進めるためには、毎年着実に取り組むことも重要です。そこで、決算年度の令和三年度におけるマンションの耐震化についての補助の実績を伺います。
○越智民間住宅施策推進担当部長 都は、区分所有者の耐震化に要する費用負担の軽減を図るために、東京都マンション耐震化促進事業により、市区が行う耐震アドバイザー派遣や耐震診断、耐震改修を財政的に支援しております。
令和三年度の助成実績でございますが、耐震アドバイザー派遣制度については二十四件、耐震診断助成については四十六棟、千五百九十六戸、耐震改修助成については四十二棟、二千三百十三戸でございました。
○中村委員 市や区と連携して取り組んできたという実績については分かりました。
しかし、耐震化を進めるのは容易ではないということはあると思いますが、これは何とかやっていかなければなりません。改めて、マンションの耐震化を進める上での課題をどのように認識しているのか伺います。
○越智民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震化を進める上での課題として、耐震化には関心があっても、多数の区分所有者による合意形成が難しいことや、積立金等に余裕がなく、すぐには耐震改修等の実施には至らないマンションがあることなどが挙げられます。
○中村委員 このマンションの耐震化は、民間建築物ですから、最終的には所有者の合意ということになるんだと思います。大変なことだとは思いますが、マンションそのものの高齢化もあれば、住民の高齢化ということもあると思います。かなりこれは時間もかかり大変なことだと思いますので、早め早めに着手いただいて耐震化の方を進めていただくよう要望いたします。
今、民間のマンションの耐震化について伺いましたが、次に、都営住宅の耐震化についても伺います。
都は、都営住宅耐震化整備プログラムで、令和七年度末までに都営住宅の耐震化率を一〇〇%とする目標を掲げて取り組んでいます。耐震化に当たっては、当然耐震改修が必要なのですが、一階部分の分譲店舗が併設されている住棟については、店舗権利者との合意形成が必要であることから時間を要しており、進めるための取組を行っていると聞いています。
そこで、併存店舗付住棟の耐震改修に向けた取組状況や進捗状況について聞きたいと思います。
まず、令和三年度時点の都営住宅の耐震化率について伺います。このうち、併存店舗のない住棟と併存店舗付住棟のそれぞれの耐震化率を伺います。
○小林営繕担当部長 令和三年度末時点での都営住宅の耐震化率は、戸数ベースで九七・五%となっております。このうち、併存店舗のない住棟の耐震化率は九八・九%、併存店舗付住棟の耐震化率は五五・六%となっております。
○中村委員 都営住宅全体の耐震化率は、令和二年度末時点での耐震化率が九六・六%であったことから、着実に進んでいることは確認できました。
そのうち、併存店舗のない住棟はほぼ耐震化が完了し、併存店舗付住棟についても、令和二年度末時点での耐震化率が四八・七%であったことから、七%上昇しており、進捗していることが確認できました。
しかし、耐震化率を確実に上げるためには、課題となっている併存店舗付住棟の店舗権利者と合意形成を図り、耐震改修につなげていくことが重要です。
そこで、併存店舗付住棟の状況を確認したいと思います。
まず、耐震改修対象となっている併存店舗付住棟の棟数について伺います。
○小林営繕担当部長 令和三年度末時点で、耐震改修対象の併存店舗付住棟は四十三棟となっております。
○中村委員 対象となっているのが四十三棟とのことですが、この耐震改修対象となっている併存店舗付住棟の進捗状況について伺います。
○小林営繕担当部長 併存店舗付住棟の耐震改修を進めるには、改修工事の内容や費用負担などについて、区分所有している店舗権利者の合意を得る必要がございます。
都は、合意形成を加速させるため、平成三十年度から一部の店舗を買い取り、その内部を補強することで、買取り対象以外の、引き続き営業継続を希望する店舗権利者の費用負担や営業への影響を軽減する取組を進めています。
令和二年度末までに全四十三棟、三百七十三区画の権利者に対して改修内容などの説明を終え、令和三年度末時点で転出を検討するとの申出があった二百三十二区画の権利者のうち、九十八区画の方と買取り契約を締結することができました。
併存店舗付住棟の耐震改修の進捗については、令和三年度末時点で全四十三棟のうち、設計中が十一棟、工事着手予定が二棟、工事完了が六棟となっております。
○中村委員 都が取り組んでいる、分譲店舗を一部買い取る買取り制度の内容を確認できました。また、耐震改修対象の併存店舗付住棟四十三棟について、店舗の買取りの状況や店舗権利者との合意に向けた取組を着実に進めており、設計、工事に進んでいる住棟も確認できました。
店舗権利者に合意していただくことは、相手の状況がそれぞれ異なり、難しい場合もあると思いますが、引き続き丁寧な説明を行っていただき、合意形成を進め、目標達成に向け耐震化を進めていただきたいと思います。
次に、都営住宅の既存住棟へのエレベーター設置について伺います。
以前、私の地元でも、自治会がエレベーター設置を要望している団地があり、設置に当たっては様々な課題があったことから、このたび設置状況や設置に当たっての課題などについて聞きたいと思います。
まず、令和三年度に既存都営住宅でエレベーターを設置した住棟数とエレベーターが設置されている都営住宅の住棟の割合を伺います。
○小林営繕担当部長 令和三年度に既存都営住宅でエレベーターを設置した住棟数は三十一棟でございます。また、令和三年度末時点でエレベーターを設置している住棟の割合は、管理戸数に対するエレベーター設置住棟の住戸数の割合で算出しており、その割合は八〇・八%となっております。
○中村委員 昨年度の設置棟数と都営住宅での設置割合について確認をいたしました。
毎年度エレベーターの設置が進んでいるものの、設置されている住棟の割合が約八〇%であることは、設置に当たっての課題があるのではないかと思います。
そこで、既存都営住宅へのエレベーター設置について、どのような基準で進めているのか伺います。また、設置に当たっての課題についても伺います。
○小林営繕担当部長 既存都営住宅へのエレベーター設置については、既設中層住宅のエレベーター設置基準に基づきまして、廊下型住棟は原則として一棟当たり十戸以上の住棟を対象とし、階段室型住棟は原則として一階段当たり十戸以上の住棟を対象としてございます。これらの住棟のうち、自治会から要望があり、原則として居住者全員の賛成が得られた住棟にエレベーターを設置しております。
既存住棟へのエレベーター設置に当たっての課題としては、敷地に設置スペースがないといった物理的な課題のほか、日影規制を満たすことができないなど、法令上の制約がございます。
また、設置後に使用料や共益費が増えるなどの理由から、一部の居住者の同意が得られない場合がございます。
○中村委員 エレベーターの設置を望んでいる居住者の方々、特にご高齢の方が多くいらっしゃいます。
ぜひ、物理的に設置可能である団地については、居住者の方々に賛成していただけるよう、自治会はもとより、特に一階に住んでいる方に対してより丁寧な説明をして賛成をしていただき、エレベーターの設置を進めていただきたいと思っています。
次に、都営住宅の募集について伺います。
都営住宅は倍率が高くて、生活に困窮して入居を希望する多くの方々が待っている状況です。
都営住宅の募集用空き住戸の数は平成二十九年度から増加傾向にありましたが、令和二年度は二万一千四百九戸、令和三年度は二万一千四百二戸で横ばいになっています。
今年第二回定例会に文書質問を提出して指摘もしましたが、令和三年度末で公募用と事業用合わせて三万百五十三戸でもありました。
前の入居者が退去してから次の入居者が入居するのにかかる期間をできるだけ短縮して、空いている期間を短くすることが必要です。
そこで、空き住戸を減らすため、これまでどのような取組を行ったのか伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 都におきましては、入居世帯数を増やすため、募集戸数を毎年度増やしており、平成二十九年度には一万戸程度であった募集戸数を、令和三年度には一万四千戸程度としております。
この間、年四回の定期募集に加え、平成三十年一月から毎月募集を、令和二年二月からは常時申込みが可能な随時募集を開始し、入居機会の拡充を図っております。
また、令和三年度から都民サービスの向上につながる募集のオンライン化を進めるとともに、審査書類の削減、簡素化などにより、募集から入居までの期間短縮に取り組んでおります。
このような取組により、募集用空き住戸の数の増加傾向を抑えることができたと考えております。
○中村委員 いろいろ取組の方はしていただいているとは思うんですけれども、貴重な空き室ですから見ている方々も空いているじゃないか、入りたいじゃないかという声もありますので、できるだけ期間が短縮できるように、なるべく早く多くの方が入れるように取り組んでいただければと思います。
また、募集の方法についてなんですが、令和三年度から都営住宅募集のオンライン化が毎月募集で始まりましたが、このオンラインの利用状況について伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅募集のオンライン申請による受付は令和四年二月の毎月募集から実施し、初回は申込み者のうち約八四%、その後、三月以降は平均で申込み者の約八九%がオンライン申請を利用しております。
○中村委員 かなり利用割合は高いのですが、昨年度の末から始まったので、決算年度の利用率という点では、多くの方が申請する定期募集はまだなかったので高かったんだとは思います。今年度の定期募集では、もう少し数字が低かったようにも聞いています。
時代の流れであり、オンライン化は必要ですが、当面、低所得の方やご高齢の方など、インターネットを使われない方もいますので、申し込む機会を失われないように、従来型の紙による申請というのはまだ今は残す必要性もあるんだろうと思ってはいます。
行政の効率化も必要ですが、都民に対するサービスとしても、時代によって変わるとは思うんですが、利便性そのものが確保されていかなきゃいけないところもあると思っていますので、都営住宅のこの申請についても、ぜひ、申し込む機会が便利になるのはいいんですけれども、失われる人がいなくなるように、申し込む機会が損なわれることのないように注意して進めていただければというふうに思います。
以上で質問を終わります。
○尾崎委員 それでは、私の方からも都営住宅について質問していきたいと思います。
エレベーターのない都営住宅に住んでいらっしゃる方からは、早くエレベーターを設置してほしいという要望が強く出されます。
資料要求でもまとめていただきましたが、既存の都営住宅に新たにエレベーターを設置したのは、二〇二一年度は十九団地ということが分かりました。
設置された団地の数だけでは状況がよく分からないので、二〇二一年度の既存都営住宅へのエレベーター設置について、何棟に何基設置したのか伺います。
○小林営繕担当部長 令和三年度における既存都営住宅へのエレベーターの設置については、三十一棟に三十一基設置いたしました。
○尾崎委員 二〇二一年度は、エレベーター設置の基数と設置された団地の棟数、同じということが分かりました。
団地は、二棟が廊下でつながっているものや二棟の間にエレベーターが設置されるものもありますけれども、今回はそういったものはなかったということが分かりました。
都営住宅のエレベーター設置率は、まとめていただいた資料で八〇・八%と、二〇二一年度で八割を超えてきました。しかし、まだまだエレベーター設置が実現できていないところが残されています。
エレベーターがない都営住宅では、一階に移りたいと切実な要求が出されますが、空きがなければ移ることもできません。
そこで、高齢化が進む中で、エレベーターがなく階段の上り下りができないことを理由に、一階の部屋に移りたいと希望する人も増えています。このように、心身の状況等から都営住宅のほかの住戸に転居をした件数はどうなっていますか。
○宮島都営住宅企画担当部長 令和三年度におけます住宅変更の許可件数は、二百五十一件であります。
○尾崎委員 最近は、階段の上り下りができないということだけでなく、騒音被害や近隣とのトラブルなども増えて、なかなか解決できないために、ほかの住戸に移りたいという相談が私のところにもあります。
安全で安心して暮らすためには問題が多く、住宅の変更の相談も複雑になっていると思いますが、迅速に対応していただくようお願いをするものです。
次に、都営住宅の省エネ、再エネについて伺います。
二〇二一年度における既存の都営住宅への太陽光パネルの設置実績について伺います。また、建て替えによる都営住宅への太陽光パネルの設置実績も伺います。
○栗谷川建設推進担当部長 令和三年度において、太陽光発電設備を設置した都営住宅は、既存住棟では二棟、発電能力は合計十一キロワットであり、建て替え住棟では二十五棟、発電能力は合計約百十キロワットでございます。
○尾崎委員 気候危機は待ったなしの課題です。
二〇二二年度については、既存の都営住宅への太陽光パネルの設置の予算が環境局の予算に盛り込まれていますが、住宅政策本部としてどう進めていくのか、二〇三〇年までの東京のカーボンハーフに向けて実現をするためにどのようにするのか、改めて検討を行い、再エネに積極的に取り組むことを求めるものです。
次に、都営住宅の建て替え時の断熱性能はどうなっていますか。二〇二一年度の着工実績について伺います。
○栗谷川建設推進担当部長 都営住宅の建て替え時における建物の断熱性能については、いわゆる住宅の品質確保法で定める断熱等性能等級の等級四の基準を満たす仕様を採用しており、令和三年度における着工実績は二十九棟でございます。
○尾崎委員 都営住宅の断熱性能は、ただいまご答弁あったように、品質確保法で定められる断熱等性能等級四の基準を満たす仕様を採用しているということです。
今年度は、まだいつから実施するかはっきりしていませんけれども、国の改正された基準にしていくという方向も示されています。
二〇二一年度の着工実績は、建て替え時に発注した二十九棟ということです。世界の省エネの取組と比べて日本の省エネが大きく遅れていると思います。
断熱の性能を上げるためには、ほかにも二重窓にするなど工夫すれば、既存の都営住宅にも対応できるものがたくさんあると思います。
ぜひ進んだ世界の建築技術にも学び、都営住宅でも採用できるよう検討をお願いするものです。
次に、家賃減免について質問していきたいと思います。
二〇二一年度の都営住宅の家賃減免の件数について伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 令和三年度における住宅使用料の減免件数は、九万三千八百七十四件であります。
○尾崎委員 都営住宅の管理戸数は約二十五万一千戸ですから、ただいまご答弁ありました九万三千八百七十四件ということになりますと、管理戸数の大体三七%を超える入居者の方たちが家賃の減免をしなければ家賃が支払えない状況だということが分かりました。
コロナ禍で収入が減少したり仕事を失ったりした人も増え、コロナの影響で都民の暮らしは大変になっています。年金も下げられており、都営住宅に入居している方々も暮らしが大変であり、家賃減免への要望はこれまでよりも強まっていると思います。そして、今後ますます家賃減免してほしいとの要望が大きく強まると考えます。
東京視覚障害者協会の皆さんから、通常の家賃には障害基礎年金は非課税であり、家賃算定の計算には入りません、しかし、家賃減免を行うときには収入に含めることになっており、おかしいではないかという意見が出されました。
障害のある皆さんからは、障害基礎年金が非課税になっているのは、障害があるために負担をできるだけ減らすためのものではないのかと意見も出されました。
私は、非課税になっている障害基礎年金などの収入を家賃算定に入れないのであれば、当然家賃減免の際の収入金額にも入れるべきではないと思います。
障害のある方たちからは、昔はそんなことはなかったはずだという声もありました。
そこで、都営住宅の家賃減免を行うとき、非課税年金である障害基礎年金を所得に含めるように改正されたのはいつですか。また、改正した理由について伺います。
○都築経営改革担当部長 都営住宅の家賃減免制度において、非課税年金を所得に算入することにつきましては、平成十二年三月に東京都営住宅条例施行規則を一部改正し、同年九月から実施しております。
これは、従来課税所得のみで収入認定しており、負担能力が正しく反映されていなかったことから、家賃負担能力を適切に把握するために見直したものでございます。
○尾崎委員 そもそも障害基礎年金は非課税です。なぜ非課税になっているものなのかはいうまでもないことですが、所得税法で課税できないと定めているからです。
私は、障害のある方が憲法で保障された生きる権利、人間らしく生きる権利を保障するという考えは東京都にはないのかと怒りが込み上げてきます。
平成十二年、二〇〇〇年の三月、ちょうど二十年前です。石原都知事の時代です。
東京都営住宅条例施行規則を一部改正し、同九月から実施したということですが、このとき、今までは課税所得のみで収入認定しており、負担能力が正しく反映されていなかったことから、家賃負担能力を適切に把握するために見直しをしたのだと先ほど答弁がありました。
私は当時の建設・住宅委員会の議事録を見ましたが、このとき家賃減免を定額減免から定率減免に変更し、家賃の減免、免除を原則しなくなる、こういうものでした。
本会議での代表質問の議事録も確認をしました。当時、都政で何が起こっていたのか、改めて議事録を読み、石原都政への怒りが込み上げてきました。
二〇〇〇年の第四回定例会で、石原知事が提案した福祉切捨ては、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成、マル福と福祉手当の廃止、さらにひとり親家庭医療費助成の自己負担、児童育成手当の所得制限強化、乳幼児医療費助成の入院給食代、その上に重度障害者手当、障害者福祉手当、医療費助成の軒並みの削減です。そして、都営住宅家賃減免制度については減免の免除制度の廃止などでした。
日本共産党都議団は、都民の願いとは反対のものになっている都政運営の基本方向を、開発が先にありきで環境や事業の採算も顧みない開発第一主義から脱却、都民の福祉、暮らしを守る仕事を最優先にという自治体として当たり前の立場に立ち返らせること、今求められているのは本物の都政改革の方向であると厳しく批判をしていました。
自治体の一番の役割は住民の福祉の向上なのに、石原都政が行ったのは生存権、生活権保障の切捨てです。自治体としては絶対やってはならないことを都民の声を無視して強行してしまいました。都民の暮らしなどお構いなしに、これまでの都の福祉施策をばっさり切り捨て、福祉施策の考え方を大きく変えてしまったからです。
このときの福祉切捨ての精神が、都営住宅の家賃減免のときに非課税である障害基礎年金を収入とみなし、家賃の負担能力を的確に判断すると変えてしまったのです。到底許されるものではありません。
それでは、家賃減免については都の判断で決められるのかどうか伺います。
○都築経営改革担当部長 家賃の減免については、公営住宅法第十六条第五項の規定におきまして、事業主体は、病気にかかっていることその他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、家賃を減免することができると定められております。
○尾崎委員 家賃減免については、事業主体である都が決めるということになるわけです。二〇〇〇年の改正前に戻すことを強く求めるものです。
コロナの影響や物価高騰の影響で都民の暮らしは大変厳しい状況です。
住宅政策本部は、この間、都民の要望に応え、都営住宅の毎月募集や大学との連携など、これまで以上に努力していただいていると実感をしています。今こそ石原都政の福祉切捨ての考えを転換し、自治体が本来やらなければならない福祉の向上、都民の暮らし優先に大本から転換することが求められています。
小池知事は、これまでの自民党都政を厳しく批判して誕生しました。ところが、石原都政の一番の問題点であった東京の福祉を壊し都民の負担を増やした施策をいまだ変えようともしていません。小池知事も福祉の心がないといわざるを得ません。今こそ都政に福祉の心が必要です。人間らしく生きるためには住まいの問題は欠かせません。期待も込めて住宅政策本部から都政の転換を求めるものです。
都営住宅の家賃減免の際、非課税になっている障害基礎年金など、収入とみなして判断することはやめることを強く求めるものです。
次に、コロナ給付金の扱いについて質問していきます。
長引くコロナ禍で、中小企業、小規模企業事業者は大変な影響を受けています。このような状況で、都のコロナ対策として、都の要請に協力してくれた事業者に協力金を支給したものです。
そこで伺いますが、都のコロナ対策協力金は継続的収入ではない、いわゆる一時的な収入だと思いますが、認識を伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 感染拡大防止協力金は、営業時間の短縮要請の実効性の確保を図るために支給されるもので、営業時間短縮等の要請に応じた事業者を対象に、売上高または売上高減少額に応じて支給されており、使用料算定に際し事業収入と見ることが適当であると認識しております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁で、営業時間短縮等の要請に応じた事業者を対象に、売上高または売上減少額に応じて支給されており、事業収入と見ることが適当であると認識しているということでしたが、この認識が間違っていると厳しく指摘をさせていただきます。
各会計決算特別委員会第三分科会の産業労働局関係の質疑が十月二十一日に行われ、私は協力金の目的はと質問しました。産業労働局は、都は営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象として協力金を支給したと答弁しています。
協力金は、事業者の売上高や売上減少額は一切関係のないものなんです。
私は、厚生労働省にも国保税や国保税の減免について聞き取りをしました。厚労省は、コロナ対策の協力金などは一時的な収入であり、コロナ対応として減免、徴収猶予ができる、国保の減免については、コロナ対策の協力金などは差し引いて行うといいました。
要するに、コロナ対策の協力金などは稼得能力とみなさないということです。つまり、所得を生み出す力ではないということです。だから、国保の減免のときは所得から協力金などを省くということです。この考え方については、実務についてのQ&Aも厚労省は出しています。大事なのは、コロナ対策の協力金等は一時的な収入と判断していることです。
改めていいますけれども、コロナ対策の協力金などが一時的なものかどうか、これが大変重要になってくるわけです。
それでは、国土交通省は、一九六一年三月の公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例についての通知で、継続的収入とすることが著しく不適当である場合の取扱いについて示しています。都は、このことをどう受け止めていますか。
○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅におきましては、毎年度、入居者が提出する住民税課税証明書等に基づき収入を認定しており、それが著しく不適当な場合は、お話の通知により検討を行うものと考えております。
○尾崎委員 私も国土交通省の住宅局から聞き取りも行いました。
私は最初、コロナ対策の協力金については都営住宅の家賃減免の対象にすべきだと考えていました。このことを聞くと、国交省の担当者は、協力金などは減免ではなく、そもそも継続的な収入とは見ないから家賃算定から除外できるんだと説明し、先ほど質問しました一九六一年三月の公営住宅法施行令第一条第三号の収入の認定の特例についての通知を示し説明をしました。
結論は、コロナ対策の協力金等については一時的な収入であるから、公営住宅の家賃算定から除外できること。しかしこれは、事業主体が判断できるということでした。つまり、都が判断すれば、都営住宅の家賃を決める収入には一時的な協力金、給付金などは含まれないということです。
国土交通省は、コロナ対策の協力金などは事業主体の判断で収入認定から除外できるといいます。東京都以外の自治体で、収入認定から除外しているところは幾つありますか。
○宮島都営住宅企画担当部長 使用料算定の際に収入から感染拡大防止協力金等を除外している全ての自治体数については、都では把握しておりません。
○尾崎委員 把握していないとのご答弁でしたが、私は首都圏がどうなっているのか各県の担当者に話を聞きました。
首都圏では、神奈川県が収入認定から除外していることが分かりました。また、北海道、愛知県、兵庫県でも収入認定から除外しています。
北海道や愛知県、兵庫県が判断して、公営住宅の家賃算定からコロナ対策の協力金などは除外していることは大変重要です。他県で判断しているわけですから、東京都も除外するという判断をすべきだと要望するものです。
それでは、コロナ対策協力金などを家賃算定の収入に含めるかどうかについて、どのような検討を行ったのか伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 感染拡大防止協力金等を収入に含めることについて、国会の質問主意書に対する答弁書や国からの通知等を参考に、法的な面について専門家等への確認を改めて行いました。
○尾崎委員 国会質問主意書は、日本共産党の山添拓参議院議員が私たち日本共産党都議団と一緒に国交省から聞き取りを行い、大事なことなので議事録を残すために質問主意書を出した、そういうふうに山添拓参議院議員からも聞いています。
先ほど紹介した兵庫県では、この日本共産党の山添拓参議院議員の質問主意書を基に県議会で質問があって、兵庫県としては、これまでも協力金などは家賃収入の算定から除外すると考えていたけれども、改めてこの質問主意書に基づいて検討し、除外することを決めたということが報告をされているわけです。
都営住宅に住んでいる中小事業者が、この間のコロナ対策で支給された協力金など、家賃算定の収入に含める根拠について伺います。
○宮島都営住宅企画担当部長 都営住宅の使用料は、公営住宅法等に基づき、入居者の収入及び都営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数等に応じて定められる応能応益家賃制度が適用されています。
その際、入居者の収入の算定方法についても法令等により定められており、住民税課税証明書等に記載されている過去一年間における所得金額によることとされております。
○尾崎委員 東京都の産労局は、二〇二〇年四月、国に対して感染拡大防止に向けたコロナの協力金を非課税所得とすること、こういう要望をしております。
都は、協力金を非課税所得にすべきだとする理由に、新型コロナ関連の補助金や助成金等については、事業効果を損なわぬよう税法上における特例的な取扱いをすべきだと要望していました。この二〇二〇年四月の東京都の産労局の認識は非常に大事なものだと思います。
厚労省も国土交通省も、コロナ対策の協力金は一時的な収入であり、本人の稼ぐ力ではない、稼得能力とはみなさないと発言していることも大変重要です。
都として、改めて、コロナ対策の協力金などについて、都営住宅の家賃算定の収入認定について検討を行うことを強く要望して、質問を終わります。
○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅政策本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩します。
午後二時五十一分休憩
午後三時八分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
これより環境局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
環境局の宮澤理事は、所用のため、本日の分科会に出席できない旨の申出がありました。ご了承願います。
決算の審査を行います。
令和三年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小川総務部長節電行動連携担当部長兼務 去る十月十四日の当分科会で要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、八項目ございます。
まず、一ページをお開き願います。1、大規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移でございます。
(1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十二年度から令和元年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
二ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十二年度から令和二年度(速報値)までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。
三ページをお開き願います。2、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移(用途別)でございます。
(1)、第一計画期間につきまして、平成二十二年度から二十六年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途の床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
四ページをお開き願います。(2)、第二計画期間の五年度分につきまして、同様に記載しております。
五ページをお開き願います。3、中小規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移でございます。
(1)、エネルギー消費量につきまして、平成二十二年度から令和元年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
六ページをお開き願います。(2)、二酸化炭素排出量につきまして、平成二十二年度から令和二年度(速報値)までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。
七ページをお開き願います。4、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
(1)、二酸化窒素につきまして、平成二十八年度から令和二年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
八ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
九ページをお開き願います。(3)、微小粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
一〇ページをお開き願います。5、産業廃棄物として都内から排出されるアスベストの過去十年分廃棄量でございます。
平成二十二年度から令和元年度までの各年度における廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の排出量を記載しております。
一一ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
平成二十九年度から令和三年度までの各年度における要措置区域と形質変更時要届出区域の指定件数を記載しております。
一二ページをお開き願います。7、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局の一年間の騒音発生回数及び一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数を記載しております。
一三ページをお開き願います。8、都内における大規模太陽光発電設備の導入状況でございます。
(1)、都有施設以外につきまして、一千キロワット以上の太陽光発電設備を導入している発電事業者名、発電出力及び発電設備所在地を記載しております。
(2)、都有施設につきまして、同様に記載しております。
以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○加藤委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田村委員 まず、森林再生事業について伺いたいと思います。
東京の多摩地域には、地面に日が当たらないため下草が生えず裸地化し、土砂の流出や動植物の生息、生育環境の悪化が懸念される森林が多くあります。
東京都は、三万ヘクタールある人工林のうち、森林経営が可能な森林と市町村等が所有する公有林を除き、手入れの遅れた森林約九千ヘクタールを対象に、森林所有者との間で二十五年間の協定を締結し、協定期間中に二回の間伐を実施する森林再生事業を実施しています。この事業は、さらに協定を更新することで、最長五十年間の長期にわたり間伐を実施していくものです。
そこでまず、森林再生事業のこれまでの実績について伺います。
○和田自然環境部長 都では、土砂の流出防止や水源涵養、動植物の生息、生育環境の保全等の公益的機能を回復させることを目的に、手入れの遅れている人工林を対象に多摩の森林再生を目指す事業を平成十四年度から実施しております。
事業開始から令和三年度までの二十年間で、間伐事業実績の合計は七千九百五十ヘクタールであります。
平成二十六年度からは二回目の間伐も実施しており、令和三年度末までの八年間で合計三千四百ヘクタール実施しております。
令和三年度の間伐事業の実績は四百七十六ヘクタールとなっております。
○田村委員 事業対象の九千ヘクタールに対し、約八千ヘクタールを実施するなど、着実に事業を実施していることがうかがえます。
次に、森林再生事業の効果について伺います。
二回の間伐で林内に光を入れることで生えてくる下草は雨水のクッションとなり、土砂流出を防止するとともに、雨水の浸透を助けることで水源涵養機能を向上させることができます。また、動植物の貴重な生息、生育環境にもなります。
こうした事業目的の効果を確認するため、下草の成長についてどのように調査しているのか伺います。
○和田自然環境部長 森林再生事業の効果を確認するため、間伐を実施した事業地を対象に、下草の種類や高さ、面積などの経年変化を毎年度調査しております。
その結果、下草の種類や長さ、面積が、事業開始時から二から三倍に増えている箇所が確認されております。このことから、間伐を実施し下草が生えることで、森林再生事業の目的である土砂流出防止等の公益的機能が発揮されていると考えております。
○田村委員 調査の結果、一定の効果が出ているとのことですが、長期間の事業実施の中では様々な課題も生じてくると思います。
例えば、森林所有者が高齢化して代替わりすることで協定対象地の所有形態が共有であるケースなどが増えており、従来より手続が複雑化しているという課題もあります。
今後も森林所有者の方々の理解、協力を得ながら森林再生事業を推進していくには、事業目的の効果をより明確にして森林所有者に伝えていく必要があると思います。
また、下草の調査以外にも、さらに調査を工夫して効果の検証を実施することが必要と考えますが、都の考えを伺います。
○和田自然環境部長 森林再生事業は、最長五十年間にわたり間伐などを実施する事業であります。そのため、長期間にわたる継続的なモニタリングの調査により事業効果を検証することが必要であります。
これまで行っている下草の調査に加え、令和三年度から土砂流出防止効果の検証をするための表土流出量調査なども実施しております。
引き続き、調査手法を検討の上継続的に調査を実施し、事業効果の検証を行ってまいります。また、パンフレット等を活用し、森林再生事業の効果を分かりやすく森林所有者等に伝えてまいります。
○田村委員 適切な調査を実施して事業効果を検証するとのことです。
森林再生事業は、森林再生に対する知見を深め、東京の森全体の公益的機能向上に生かせる重要な事業だと思います。
引き続き、東京の森を自然豊かで災害にも強い森林にするためにしっかりと取組を続けていただきたいと思います。
次に、気候変動対策について伺います。
都内CO2排出量は七割超が建物でのエネルギー使用に起因しており、とりわけ全体の三割を占める家庭部門の対策が急務です。
また、住宅等の建物は一度建てられると数十年にわたり使用されることから、今後新築される建物には、高い断熱、省エネルギー性能や再エネ設備等を備えることが重要です。
都は、こうした環境性能の高い住宅を普及させるため、東京ゼロエミ住宅導入促進事業を実施しています。
そこで、改めて本事業の意義と令和三年度の実績について伺います。
○関制度調整担当部長 都は、より断熱性に優れ、快適で健康にもよい住宅の標準化を目指し、断熱や省エネ性能を仕様により分かりやすく示した東京ゼロエミ住宅基準を定め、導入促進のため補助事業を実施しております。
令和三年度は二千八百三十一件の交付申請がございまして、制度を開始した令和元年度からの合計では五千三百十九件となっております。
また、工事が完了した住宅に対し、令和三年度は約十九億円、令和元年度からの合計で約二十七・一億円の助成を行っております。
こうした実績から、本事業は多くの都民の方に高い関心を持っていただいていると認識しております。
○田村委員 申請実績により、改めて本事業に対する都民の関心が高かったことが分かりますが、これまで各回の募集において予算枠を超過する申請があり、抽せんに外れて補助を受けることができない都民が多数いたと聞いています。
過去の我が党の質疑においても、申込みを行ったできるだけ多くの方がこの補助金を活用できるよう、強く要望を行ってきました。
そこで、都としてどのような対応を行ったのか、また、その成果について伺います。
○関制度調整担当部長 令和三年度は、当初予算額を令和二年度の約二十一億円から約二十四億円に増額するとともに、募集回数を増やしております。その結果、抽せん倍率が令和二年度の約二・一倍から約一・七倍に改善しております。
さらに、十二月には約十九億円の補正予算を組み、予算総額を約四十三億円に拡大いたしまして、全ての申請者が助成を受けることが可能となりました。
○田村委員 補正予算後ではありますが、全ての申請者が助成を受けることが可能となったことは評価したいと思います。
環境性能の高い住宅に関心を持ち、東京ゼロエミ住宅の検討を行っている多くの都民に応えられる制度構築を行うことを引き続き強く要望いたします。
ところで、現在、都では、住宅等への太陽光発電設備の設置を義務づける仮称建築物環境報告書制度の創設を進めるなど、太陽光発電設備の設置を促しています。東京ゼロエミ住宅についても、太陽光発電設備の設置拡大に大きな役割を担うと考えられます。
そこで、本事業における太陽光発電設備の補助実績と評価について伺います。
○関制度調整担当部長 本事業では、対象となる東京ゼロエミ住宅に太陽光発電システムを設置する場合は、一キロワット当たり十万円を上乗せして補助を行いました。
太陽光発電システムへの申請件数は年々増加しており、令和元年度は二百七十五件で東京ゼロエミ住宅の申請件数全体の約四一%、令和二年度は七百四十三件、四一%、令和三年度は千五百七十九件、五六%となっております。また、令和三年度の太陽光発電助成額は約四・四億円、令和元年度からの合計で約六・一億円となっております。
こうした結果は、高断熱や省エネに加えて再エネ設備の設置など、住宅の環境性能向上に対する都民の理解が着実に進んできているものと認識しております。
○田村委員 都民の太陽光発電に関する関心の高さが分かりました。
本制度では、今年度から新たに三段階の東京ゼロエミ住宅基準を定め、より環境性能の高い住宅の新築を促す助成を行っています。
また、都は、第四回定例都議会に環境確保条例の改正を提出する予定となっていますが、再エネ利用と省エネを促進し、二〇三〇年カーボンハーフを達成できるよう実効性のある施策を推進していただくことをお願いして、質問を終わります。
○平委員 まず、ゼロエミッション東京の実現に関する取組について伺います。
昨年の夏に行われた東京二〇二〇大会について、都は、キャップ・アンド・トレード制度で、事業者がCO2を削減した場合に発生するクレジットを活用した東京ゼロカーボンフォーデーズの取組を実施されました。また、大会組織委員会が実施する大会の開催に関わるカーボンオフセットの取組にも協力したことを公表しています。
大会のホストシティとして、大会開催などで発生するCO2の排出量を限りなくゼロにする取組を東京二〇二〇大会のレガシーとして世界にアピールすることは重要です。
改めて、東京ゼロカーボンフォーデーズの取組の狙いと成果を伺います。
○荒田気候変動対策部長 東京ゼロカーボンフォーデーズは、東京二〇二〇大会の開会式と閉会式の合計四日間、都内で排出されるCO2を事業者のCO2削減の取組で生まれたクレジットによりゼロにする取組であり、あわせて、都民や事業者の皆様の省エネ機運の醸成を図ることを目的として実施いたしました。
都は、大会のホストシティとして、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業者に、平成三十年七月から令和二年九月まで保有するCO2削減クレジットの提供を働きかけました。最終的に、百五十三事業者の皆様から、目標の三百六十五万トンを上回る約四百十八万トンのクレジットのご寄附をいただきました。
ご提供いただいたクレジットは、都が取り組む東京ゼロカーボンフォーデーズの分として七十二万トンを充て、これ以外の三百四十六万トンを東京二〇二〇組織委員会に引き渡しました。
○平委員 ご答弁いただきましたとおり、この取組は、東京二〇二〇大会に関連するCO2を、都のキャップ・アンド・トレード制度の対象事業者が、省エネ活動をして削減できたCO2で相殺するものです。当初の目的である省エネの機運醸成を図る取組として、大変いい事業であると評価いたします。
当初の、これは多くの事業者の努力でなし得た取組であり、ご協力いただいた事業者にはどのような対応を行ったのか伺います。
○荒田気候変動対策部長 都内の事業者の皆様の長年にわたる省エネ活動により生み出されたCO2削減クレジットをご提供いただいたことについて、大変ありがたいことと認識しております。
ご協力いただいた事業者の皆様には、お名前とクレジットの寄附量を都のウェブサイトで公表するとともに、都からのお礼状を交付いたしました。また、クレジットを一万トン以上ご提供いただいた事業者の方々には、知事名の感謝状をお渡しいたしました。
今回のように、大会開催都市の地元企業の省エネ活動により削減したCO2排出量を使って、大会に関連する排出量を直接オフセットした例はないと組織委員会から聞いており、東京二〇二〇大会のレガシーの一つとなったと考えております。
○平委員 世界初のこの取組が実現したのは、制度対象の大規模事業者の方々の努力のおかげです。こうした事業者の努力を様々な工夫により効果的にPRしていくことが省エネの取組につながり、ひいては、ゼロエミッション東京の実現に貢献すると考えます。
省エネに関する様々な取組をより多くの人に効果的に伝え、省エネに対する意識を都民に促していただくことを要望いたします。
次に、既存住宅の省エネ対策について伺います。
都内のエネルギー消費量の内訳を見ると、三割を家庭部門が占めています。部門別で見ても、二〇〇〇年比で増加しているのは家庭部門だけであり、その対策は喫緊の課題です。特に、都内の居住世帯のある住宅ストックは約七百万戸と膨大であり、既存住宅の断熱及び省エネルギー化は、CO2の削減につながる大事な取組です。
この膨大な既存住宅の高断熱化に向けて、都は昨年度、都の有効利用促進事業を実施していましたが、その事業の狙いと内容について確認をさせていただきます。
○荒田気候変動対策部長 住宅における冷暖房時の熱の出入りの約六割から七割は、窓などの開口部でありますが、複層ガラスなど高断熱化されている既存住宅は、都内居住世帯の住宅ストックの二割程度となっております。また、既存住宅は、改修できる範囲が限られていることから、効果の高い部分に的を絞って対策を講じることが効率的でございます。
都は、令和二年度から、既存住宅において高断熱な窓やドアの改修に係る経費の一部を支援する家庭における熱の有効利用促進事業を実施してまいりました。
昨年度は、第四回定例会の補正予算にて、原油価格高騰を踏まえ既存住宅の省エネ化を推進するため、補助率を六分の一から三分の一に引き上げたところでございます。
○平委員 省エネ効果の高い開口部に注目して対策を講じることは、合理的と考えます。また、原油価格高騰のタイミングに遅れることなく、事業内容を拡充し取組を促進することは重要です。
ただ、既存住宅のリフォームというと時間や費用がかなりかかり、ハードルが高いのではないかと感じる都民も多く、また、こういった充実した補助を知らない方も多いのではないかと存じます。
事業の周知をどのように図り、どれだけの事業効果があったのかお尋ねいたします。
○荒田気候変動対策部長 幅広く住宅所有者に断熱改修のメリットを伝え補助事業を利用いただくには、リフォームを手がける事業者等を通じて情報を提供していくことが重要でございます。
そこで、リフォーム関係団体等への説明会に加え、補助率引上げの補正予算が成立した昨年十二月下旬に、改めて関係団体や企業に対して直接事業を周知した結果、それまで月平均七百戸程度であった申請戸数が平均二千三百五十戸程度へと大幅に増加いたしました。
令和三年度は、一万二千四百三十五戸の申請があり、令和二年度からの事業期間二か年の通算で一万七千七百八十一戸、そのCO2削減効果は約三千六百トンと見積もっております。
今後も多くの方々に事業を活用いただけるよう、関係各局と連携し、都民はもとより改修工事を担う工務店等に対し様々な機会を用いて周知を図り、二〇三〇年カーボンハーフの実現を目指してまいります。
○平委員 月平均七百戸から平均二千三百五十戸へと大幅に増加したということでございました。住宅の断熱化は、健康にもいい効果があると聞いております。
都は、今年度、既存住宅の断熱改修事業の規模をさらに拡大するとともに、太陽光発電設備の導入も補助対象とするなど、CO2削減に向け対策を拡充しています。
現在、新築住宅の太陽光発電の設置や断熱、省エネ基準の適合義務化などを盛り込んだ新制度の検討を進めておられますが、既存住宅についても省エネ、再エネ化をさらに加速するための取組を強化していただくことを要望し、次の質問に移ります。
プラスチック対策について伺います。
私たちの暮らしの様々な場面で使用されているプラスチックは、大変便利な素材ですが、一方で、現状では多くのプラスチックが一度使っただけで焼却され、大量のCO2発生につながっており、脱炭素社会の実現に向けて、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを加速させていくことが不可欠です。
こうした中、本年四月、プラスチック資源循環法が施行され、国を挙げてプラスチック対策を推進していく方向性が示されました。
都においては、二〇一九年に策定したゼロエミッション東京戦略において、プラスチック対策をはじめとした資源循環分野を気候変動対策として本格的に位置づけ、取組を先導してきており、また、先月改定した環境基本計画でも、改めてプラスチック対策の重要性を取り上げております。
そこで、まず初めに、都のプラスチック対策についての基本認識と、これまでの取組についてお伺いいたします。
○志村資源循環推進部長 プラスチックは、材料となる石油の調達から製造、流通、使用、廃棄に至るまでのあらゆる段階でCO2を排出しており、サプライチェーン全体を視野に入れ、これまでの大量消費型の資源利用の在り方を見直していくことが重要でございます。
都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、二〇三〇年までに家庭と大規模オフィスビルから排出される廃プラスチックの焼却量を、二〇一七年度比で四〇%削減する目標を掲げております。この達成に向けて、プラスチックの分別収集、リサイクルに取り組む区市町村に対する支援を行うとともに、量り売り、シェアリング、リユース容器などの2Rビジネスの主流化や、使用済みプラスチックを元の樹脂と同等の再生樹脂にする水平リサイクルの実装に向けた取組を進める事業者への支援等を実施しております。
また、今年度から持続可能な資源利用についての情報発信や事業者からの相談等をワンストップで受け付け、様々な取組をコーディネートする東京サーキュラーエコノミー推進センターを立ち上げるなど、取組の強化を図っております。
○平委員 プラスチック対策は、都や区市町村などの行政と民間事業者、都民、国民が一体となって取り組むべきテーマであり、都が区市町村や事業者への支援や都民に対する普及啓発など幅広い取組を進めていることは評価いたします。引き続き積極的な取組を期待いたします。
冒頭でも触れたとおり、プラスチック対策を進める上では3Rを進めることが重要ですが、中でもプラスチックそのものの利用を減らすリデュース、リユースに優先的に取り組むべきものと考えます。そのためには、商品やサービスを提供する民間事業者の役割が非常に重要であり、都には物のつくり方、売り方、使い方の変革に先導的に取り組む事業者を積極的に支援していく役割が求められていると考えます。
都は、革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクトを実施し、リデュース、リユースを基調とした2Rビジネスの実現を目指す事業者を支援していると伺っておりますが、令和三年度はどのような事業者へ支援を行ったのかお伺いいたします。
○志村資源循環推進部長 令和三年度につきましては、コーヒーショップにおいてリユース容器を活用する事業者や、リユース容器を使用した業務用商品販売ビジネスモデルの構築を目指す事業者との連携、支援を実施いたしました。
このうち、コーヒーショップにおけるリユース容器の活用は、千代田区丸の内地区のコーヒーショップにおいて、テークアウトの際にステンレス素材のリユースカップで商品を提供し、使用後のカップは同一店舗に限らず地区内の十店舗で回収した上で、専門の業者が洗浄し、再度使用するものでございます。令和三年十一月から令和四年三月までの間に延べ約六千回利用されるなど、好評でございました。
なお、本事業は、今年度は渋谷区での実証を進めており、今後、事業者と連携して都内全域や他県への展開を図るなど、社会実装化に向けて取り組んでまいります。
○平委員 ありがとうございます。千代田区で実施された優れたプロジェクトが、他地域にも広がっているということです。私も住まいがございますので、大変喜ばしく思います。
都には、リユース容器の定着に向けて、引き続き事業者への助言等を行っていただくようお願いを申し上げます。こうしたリデュース、リユースの取組を推進した上で、なお使用を避けられないものについては、確実にリサイクルすることが重要であり、その際は、元のプラスチックと同等の品質に戻す、いわゆる水平リサイクルを行っていくべきだと考えます。
しかしながら、水平リサイクルの技術はまだ発展途上であり、コストや再生樹脂の品質確保、回収方法など、まだまだ課題もあることから、都が民間事業者の取組を後押ししていくことが重要です。
先ほど、水平リサイクルに取り組む事業者への支援を行っているとのご答弁をいただきましたが、令和三年度はどのような取組への支援を行ったのかお伺いをいたします。
○志村資源循環推進部長 令和三年度につきましては、日用品の使用済みボトルなどを水平リサイクルする事業者や、商業施設から発生するプラスチックを効率的に回収、リサイクルする事業者との連携、支援を実施いたしました。
このうち、日用品のボトルをリサイクルする取組では、日用品メーカー大手四社が連携し、従来は集積所等で回収されているシャンプーや台所洗剤等のボトルや詰め替えパウチなどを東大和市等の自治体が公共施設等に設置した回収ボックスで回収いたしました。その後、リサイクル事業者の工場において、粉砕、洗浄した上で、粒子状にした素材を用いてボトル容器を試作するまでの工程を検証いたしました。
事業を開始した令和三年六月から令和四年三月までの間に、ボトルは約四千七百個、詰め替えパウチは約七千百個が回収されており、事業者からの報告では、今後、回収拠点を小売店等に拡大することで、新たな回収システムの定着も見込まれるとしております。
今年度も、引き続き事業者と連携を図りながら、他地域での回収の取組も踏まえ、回収からリサイクル製品の製造までの効果的な水平リサイクルの仕組みの社会実装を目指してまいります。
○平委員 ふだんは競争関係にある日用品メーカーの大手四社が連携して取り組んだことは画期的であると同時に、水平リサイクルの社会実装化に向けて大変心強く思います。今年度も事業者と連携を図り、水平リサイクルの仕組みの社会実装を目指してくださるということでございました。
都には引き続き、新たなビジネスや技術が早期に社会実装されるよう、意欲的な事業者を支援していくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○かつまた委員 初めに、ゼロエミッション都庁行動計画についてお伺いをいたします。
都は、都内温室効果ガス排出量を二〇三〇年までに二〇〇〇年比で五〇%削減するなど高い目標を表明しており、その実現に向けては、事業者としても多大なエネルギーを消費する都自らが率先して取組を進めていくことが重要であります。
都では、二〇二一年三月にゼロエミッション都庁行動計画を策定し、知事部局等都有施設における二〇二四年の温室効果ガス排出量を、二〇〇〇年度比で四〇%削減、エネルギー消費量を二〇〇〇年度比で三〇%削減するなど、高い目標を定めて取り組んでいるところでありますけれども、計画の進捗状況についてお伺いをいたします。
○中村率先行動担当部長 二〇三〇年カーボンハーフを実現するためには、多くのエネルギーを消費する都自身が隗より始めよの意識の下で、温室効果ガス削減などの取組を一層強化していくことが重要でございます。
ゼロエミッション都庁行動計画の計画期間の初年度に当たる二〇二〇年度について、知事部局等都有施設における温室効果ガス排出量は二〇〇〇年度比で約七・八%削減しておりまして、また、エネルギー消費量は二〇〇〇年度比で約二一・六%削減しております。
計画に掲げました目標の達成に向けて、省エネ、再エネ設備等の導入、再エネ電気の利用促進を積極的に進め、進捗状況を確認しつつ、各局と連携して着実に取組を推進してまいります。
○かつまた委員 ゼロエミッション都庁行動計画については、エネルギー消費量の削減は約二一・六%進んでいる一方で、温室効果ガスの削減は約七・八%にとどまっているとのことでした。これは、東日本大震災以降の電気の排出係数の悪化等が原因かと思いますが、これを引き下げていくには、再エネ電力の導入を一層加速化していくことが必要となります。
そこで、次に、都有施設への太陽光発電の設置についてお伺いをいたします。
都は、太陽光発電設備の設置等の義務づけを行う新制度の施行に向けて取り組んでいるところでありますが、まずは都自らが日当たりのよい施設に太陽光パネルを設置し、率先して再エネ電力を生み出していくことが重要となります。
都有施設における太陽光発電設備の設置状況と取組についてお伺いをいたします。
○中村率先行動担当部長 都は、都有施設における太陽光発電設備設置について、新築、改築時の原則設置など導入を行っておりまして、二〇二一年度末時点で、知事部局等の都有施設において、合計で約九千百キロワットまで設置を進めております。
さらに、昨年度は、既存施設への太陽光発電設備設置に向けて調査を行うほか、二〇二四年度までの設置目標を一万二千キロワットから二万キロワットへ大幅に引き上げ、設置を加速させております。
こうした都有施設への太陽光発電設備の率先的な設置により、都内での再エネ導入拡大を牽引してまいります。
○かつまた委員 都有施設における太陽光発電設備の設置について、目標の大幅な引上げなど、都自身も積極的に取り組んでいることが分かりました。
今年度は、既存施設への太陽光発電設備の設置にも力を入れ、推進を担う専任の組織体制も強化しており、また、太陽光で発電した電力に余剰が生じる都有施設に、同時に蓄電池を設置し、自家消費率を上げる取組も進めていくとも伺っております。
そういった取組を都自らが先頭に立って積極的に実施することで、都内の再エネ導入拡大を牽引し、脱炭素化を最大限進めていただきたいことを強く要望し、次の質問に移ります。
次に、緑化施策についてお伺いをいたします。
緑あふれる都市東京の実現に向け、都内の緑の保全や創出に取り組むことが重要であります。都市の緑は、良好な都市景観の創出や人に潤いや安らぎを与えるほか、生き物の生存基盤となるなど重要な役割を担っており、将来にわたって引き継がれていくことが重要となります。
そのため、都はこれまで、森林の保全、公園の整備など、緑の保全、創出に向けた取組を積極的に進めてまいりました。私の地元大田区では、区として緑のまちづくりに取り組むとともに、建物の建築を行う事業者に建物の緑化等の取組を求め、事業者も一緒になって取組を進めております。
都でも、都市の緑化を推進する緑化計画書制度を運用していると聞いております。そこでまず、都の緑化計画書制度の特色についてお伺いをいたします。
○和田自然環境部長 都は、市街地における緑化を推進するため、自然保護条例に基づき、一定規模以上の建築行為に対し、一定規模の樹木等の植栽を求める緑化計画書の届出を事業者等に義務づける制度を運用しております。
本制度における特色は、地上部のみならず建物の屋上や壁面も緑化の対象としていることであります。また、緑地を創出するだけでなく、整備後も引き続き事業者等に適切な維持に努めることを求めていることであります。
○かつまた委員 都市機能が集中、集積している東京において、限られたスペースを有効に活用して緑化を創出し、また、将来にわたって適切に維持管理することを事業者に求めていることが分かりました。
区内のマンションの屋上に上がると、以前は緑化されたスペースは少なかったのでありますけれども、今は樹木やきれいな植物がバランスよく植えられているのを見かけ、身近なところでも屋上緑化が進んでいることが実感できます。
そこで、屋上や壁面の緑化のこれまでの実績についてお伺いをいたします。
○和田自然環境部長 緑化計画書制度に基づく屋上や壁面の緑化の令和三年度実績は、届出件数二百十七件、面積九・八ヘクタールとなっております。
緑化計画書制度を開始した平成十三年度から令和三年度までの二十一年間の累計は、届出件数七千五百四十件、面積二百五十六・五ヘクタールとなり、日比谷公園の面積約十六個分の緑が新たに創出されました。
○かつまた委員 日比谷公園の十六個分の緑が新たに創出されているとのことで、緑化計画書制度は緑の創出について有効に機能していることを理解いたしました。
事業者の緑化の取組によって創出された緑は、生き物が生息、生育できる空間となり、生物多様性の保全にも寄与することになります。生物多様性保全の重要性は、我が会派の斉藤やすひろ議員がこれまで再三強く訴え続けてまいりました。
そうした中、先般公表された生物多様性地域戦略の中間のまとめでは、事業者等が生物多様性の意義や重要性を理解し、行動とともに保全に関わることが重要とされています。
このため、今後、事業者の主体的な取組が期待されており、生物多様性に配慮した事業者の取組を都が後押ししていくこともぜひ検討していただきたいことを要望し、質問を終わります。
○尾崎委員 私の方からは、有機フッ素化合物についてお尋ねをしたいと思います。
二〇二〇年十一月から十二月に福祉保健局が実施した多摩地域の五十七か所、二十八市町村の飲料井戸の水質調査で、発がん性や発育への影響が懸念される有機化学物質の値が、十か所で国の指針値を上回りました。小平市の井戸では、指針値の四倍、国立市では八倍強が検出され、住民から不安の声が出されました。
PFOA、PFOSは、一九五〇年代頃から消火剤やフライパンのフッ素樹脂加工に使用されてきました。都が調査を始めた二〇一八年には、横田基地周辺の立川市内の井戸で、現在の指針値の約二十七倍を検出、国立市や狛江市、武蔵村山市の井戸でも指針値を上回っていました。二〇一九年の調査では、東村山市の井戸で指針値の四倍超、調布市で七倍超が検出されていました。
また、水道水に関しては、都内全ての給水栓で指針値を下回っていますが、二〇一九年の調査で、府中市、国分寺市の浄水場で指針値を上回るPFOS、PFOAが検出され、水源の一部の井戸から取水を停止することなどの対策も行われました。
PFOS、PFOAに関しては、福祉保健局、水道局、環境局などに係る問題で、都民の健康、安全・安心にとって大変重要な問題です。
そこで、事実確認のために幾つか質問していきますが、都内のPFOS及びPFOA等の地下水中の濃度状況を把握するため、東京都環境公社が調査研究の一環として調査を行っていますが、いつからいつまで、何か所で、どのような調査を行っているのか伺います。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 東京都環境公社の東京都環境科学研究所は、PFOS、PFOA等の有機フッ素化合物について、平成二十二年度から二十五年度にかけて、島しょを除く都内全区市町村の二百三十七地点で、地下水中の濃度の調査を行っております。
○尾崎委員 国の指針値はどうなっているのか伺います。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 国は、令和二年五月、PFOSとPFOAについて合算して、一リットル当たり五十ナノグラムを地下水の暫定指針値として設定しております。
○尾崎委員 今ご答弁あったように、日本では、二〇二〇年五月にようやく暫定指針値を決めたということです。
それでは、二〇二一年度の調査はどのように実施されましたか。また、その結果について伺います。国の指針値を超えているのは何か所なのかも教えてください。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 都は、PFOS及びPFOAにつきまして、令和三年度から水質汚濁防止法に基づく地下水水質測定計画に位置づけ、概況調査と継続監視調査を実施しております。
概況調査では、都内の全体的な地下水質の状況を把握するとともに、未把握の地下水汚染を発見することを目的とするものでございまして、令和三年度は六十二地点を測定し、五地点が暫定の指針値を超過しておりました。
また、継続監視調査は、暫定指針値を超えた地点の経年的な推移の把握を目的としたものでございまして、令和三年度は、測定計画に位置づける以前から調査していた十九地点を測定し、全地点で暫定の指針値を超過しておりました。
○尾崎委員 今のご答弁で、暫定指針値を超えるところが幾つもあるということがよく分かりました。
アメリカでは、有機フッ素化合物の規制を強化する動きがあると報道もされていますが、日本ではどのような議論がされているのか伺います。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 米国の環境保護庁は、本年六月、飲用水に関しまして、PFOS、PFOAの健康勧告値を引き下げていくと発表しております。
国は、最新の科学的知見に従い、水道水の水質基準の見直しを行う水質基準逐次改正検討会におきまして、有機フッ素化合物について、今回の米国の動きを含め国内外の知見を収集し、今後検討していくとしております。
○尾崎委員 アメリカは、飲料水に関する健康勧告値を引き下げて規制を強めていくということです。日本でもアメリカのこの検討していることも含めて、今後参考にしながら検討していくということでしたけれども、都として、アメリカなど諸外国の規制強化を参考にして規制を強めて、都民の命、国民の命を守ることに全力を挙げるよう、国に強く要望することを求めるものです。
次に、防衛省では、二〇一九年に策定した防衛省におけるPFOS処理実行計画に基づき、全国の基地等におけるPFOS含有消火剤等の処理を進め、二〇二一年度に実施した全国の基地等における泡消火設備専用水槽の水質調査の分析結果を公表しました。
東京都内にある自衛隊駐屯地で指針値を超えたのはどこで、何か所あるのか伺います。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 本年七月、防衛省が公表した防衛施設における泡消火設備専用水槽水質調査結果によりますと、都内の自衛隊駐屯地で暫定指針値を超えたのは、陸上自衛隊立川駐屯地の専用水槽一か所でございます。
○尾崎委員 立川駐屯地の専用水槽一か所で暫定指針値を超えたということについて、立川市、昭島市、小平市、日野市、国分寺市、国立市、東大和市、武蔵村山市の八市でつくる立川飛行場周辺自治体連絡会構成市長から要望書が提出されています。
市街地に所在する立川駐屯地において、こうした状況は、周辺住民の不安を招くものであり早急に解消されなければならないとして、五点にわたる要望をしています。
その一つが、今回、水環境中の暫定指針値を超えてPFOS及びPFOAが混入していた泡消火設備専用水槽の水槽水は、適切な方法によって速やかに処分すること。二つ目が、上記処分までの間は、当該水槽水を使用しないこと。あわせて、水槽水が漏出することがないよう管理を徹底すること。三つ目が、原因究明を速やかに行うとともに、再発防止策を講じること。四つ目が、泡消火設備を設置及び使用する限りにおいて、継続して定期的に専用水槽の水質調査を行うこと。そして五つ目が、以上の泡消火設備専用水槽水の処分等に関する情報は、今後、周辺自治体に速やかに提供するとともに、周辺住民への周知を丁寧に行うことと要望しています。
立川駐屯地のように、暫定指針値を超えた原因が専用水槽であるという原因が明らかなとき、五点については、当然の要望だと思います。都としても、防衛省に対して対策を講じるよう要望していただけるよう強く求めるものです。
令和三年度の地下水におけるPFOS及びPFOAの継続監視調査結果で、一リットル中二百ナノグラムを超えているのは、立川市で六百四十ナノグラム、調布市は四百六十ナノグラム、府中市は四百五十ナノグラム、狛江市は二百四十ナノグラムと非常に高い地域があります。
何が原因で高いのか、分析などは行っているのでしょうか。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 PFOS等の有機フッ素化合物は、半導体の製造、撥水加工の原料、泡消火剤など様々な用途で使用されてきました。そのため、都内では、島しょを除く全ての区市町村におきまして、地下水からPFOSまたはPFOAが検出されており、原因の特定は困難と考えております。
○尾崎委員 原因の特定が困難だということですけれども、地下水を測定しているだけでは、住民の不安は募るばかりです。
住民の不安を解消するためには、原因の分析は待ったなしの状況であると思いますが、都はどのように対応していくのか、改めて伺います。
○宗野環境改善技術担当部長節電行動推進担当部長兼務 都は、PFOS、PFOAについて、法に基づく地下水水質測定計画に位置づけ、都内全区市町村の全体的な状況把握と、未把握の地下水汚染を発見するため概況調査を行うとともに、継続監視調査により、暫定指針値を超過した地点の経年的な推移を把握しております。
調査結果につきましては、都のホームページで公表するとともに、井戸の所有者や区市町村、関係機関に的確に情報提供しております。
○尾崎委員 調査を継続して行うことは重要です。しかし、調査結果を公表するだけでは、都民の不安は解消されないんです。
水道水の汚染が指摘されている府中市と国分寺市の住民を対象にNPO法人が実施した血液検査を、二〇二〇年十月に公表されています。その結果で、発がん性や発育への影響が懸念される有害化学物質の血中濃度の平均値が、府中市で全国平均の二倍超、国分寺市で一・五倍だったことが明らかになりました。
多摩地域では、血液検査に協力してくださる方々を今募集もしています。血液検査を提供するので何が原因なのか明らかにしてほしい、こういう要望もたくさん出ています。
関係する福祉保健局、水道局、そして横田基地を所管する都市整備局との連携を強めて、都庁一丸となって有機フッ素化合物のPFOS、PFOAが暫定基準値をなぜ超えているのか、原因についても明らかにすることを強く求めて、質問を終わります。
○中村委員 それでは、環境局の令和三年度決算について質問いたします。
まずは、都内産ソーラー電力活用プロジェクトについて伺います。
住宅用太陽光発電の買取り制度における十年間の固定価格買取り期間が終了し、余剰電力として安価で売電される卒FIT電力が増加しております。CO2削減の観点と災害に伴う停電リスクの回避など、防災の観点からも都民が導入した太陽光発電を継続して利用していただくことが重要です。
このようなことから、都は、家庭の卒FITを含む再エネ電力を活用するとちょう電力プランと蓄電池導入を促進する自家消費プランによる都内産ソーラー電力活用プロジェクトを実施しております。
そこで改めて、それぞれの事業の内容と、令和三年度の実績と効果について伺います。
初めに、とちょう電力プランについてお伺いします。お願いいたします。
○中村率先行動担当部長 とちょう電力プランは、都有施設で再エネ一〇〇%電力への切替えを行う際に、卒FIT電力も有効利用することで、ご家庭の太陽光発電の継続を促していくものでございます。
本プランでは、都が契約した小売電気事業者は、再エネ一〇〇%電力を調達する際に、通常の買取り単価に一キロワットアワー当たり一・五円を上乗せしまして、卒FIT電力を買い取る仕組みとなっております。
令和三年度は、新たに東京消防庁本部庁舎や五十九校の都立高等学校等を加えまして、令和二年度からの導入分と合わせ、約五千五百万キロワットアワーの再エネ一〇〇%電力を都有施設で活用いたしました。これに伴い、卒FIT電力の上乗せ買取り分を含む再エネ活用に必要な電力増額分の費用としまして、約九千万円支出いたしました。
本プランにより、ご家庭の発電の継続を促しつつ、再生可能エネルギー一〇〇%電力を都有施設で有効活用しております。
○中村委員 太陽光発電を設置をした家庭が発電を継続し続けることに活用されていることが分かりました。
それでは次に、自家消費プラン事業についてお答え願います。
○荒田気候変動対策部長 都は、令和二年度から蓄電池システムを導入し、太陽光発電と一緒に運用する住宅に機器費の一部を補助する自家消費プランを実施いたしました。これにより、昼間に太陽光で発電し使い切れなかった電力を蓄電池に充電、それを夜間や停電時に活用することで脱炭素でレジリエントな住宅となります。さらに、最大限自家消費することで、系統負荷の軽減にもつながります。
令和三年度は、四千五百五十六件のご家庭に補助金を交付し、その金額は二十四億七千六百四十万円となっており、家庭における再エネの一層の有効活用を促進しております。
○中村委員 今は、太陽光パネルの設置のことについて義務化ということもあるので注目をされていますけれども、住宅においては、断熱構造化や蓄電池の方ももちろん重要だと思っています。特に蓄電池が鍵だともいわれておりますので、今後も普及啓発をお願いいたします。
次に、決算概要の分野別事業のうちの共感と協働について伺います。
気候変動対策をはじめとして環境問題は多様化、複雑化しており、一朝一夕に解決できる問題ではありません。東京都がゼロエミッションや二〇三〇年のカーボンハーフを実現するためには、国内外で課題解決に向けた取組を広げ、都民や事業者が主体的に参加するストリームをつくることが不可欠です。
そこで、この共感と協働を得るため、まず、都はどのような取組を行っているのか伺います。
○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、都民、企業、団体等の共感を得ながら協働することが重要でございます。
そのため、都は、まず隗より始めよの意識の下、ゼロエミッション都庁行動計画において、二〇二四年度までに再エネ電力利用割合を五〇%程度に高めることや、乗用車でございます庁有車を一〇〇%非ガソリン化することなどの率先的な目標を定めるとともに、本年三月には都有施設における太陽光発電設備の累計設置量目標を二万キロワットに引き上げるなど、都庁の率先行動を加速させているところでございます。
また、地域住民等とのネットワークを有する市区町村の取組を支援するとともに、約一千百の企業等が参加いたしますチームもったいないの活動を通じまして、参加企業の先進事例の共有を図るなど、都民、事業者の行動変容を促してございます。
今後も、多様な主体に広く共感、協働を呼びかけて力を合わせ、ゼロエミッション東京の実現につなげてまいります。
○中村委員 取組の方を伺いました。
環境問題について目標を達成していくには、やはりどうしても都庁だけではなくて都民の協力が必要になっていくかと思います。生活を変えたりとなかなか難しいところもありますので、いかに共感を呼んで共に取り組んでいただけるかということだと思いますので、ぜひそういった動きをつくっていただければと思っています。
また、気候危機は地球全体の問題であり、先進的な欧米諸都市との連携やアジア地域における東京のリーダーシップ発揮なども重要であると考えます。
決算説明書によると、環境における国際連携の推進に約六千万円の経費が使われていますが、具体的にどのような取組を行い、どんな成果を上げたのか伺います。
○藤本政策調整担当部長 気候危機が深刻さを増す中、世界人口の半数以上が居住する都市が連携強化していくことは重要でございます。
都は、C40やイクレイなど国際的な都市間ネットワークに積極的に参加するとともに、アジア諸都市等への政策構築支援や技術交流を実施しております。
昨年度は、コロナ禍においても約三十件のオンラインによる国際会議やワークショップ等に参加しました。昨年十月には、海外都市の首長や各界を代表する方々をお招きし、東京発の気候危機ムーブメント、タイム・ツー・アクト、国際会議をオンライン開催し、翌月のCOP26に向けて脱炭素化への実効性ある行動を加速させたところでございます。
引き続き海外への情報発信や働きかけを強化し、世界の脱炭素化に貢献するとともに、都の国際的プレゼンスの向上を図ってまいります。
○中村委員 コロナ禍においても工夫を重ねて、都が海外諸都市等と連携して取組を進めていることが分かりました。
今後、コロナ禍が終息すれば、よりリアルな国際的な交流が可能になってくると思います。都のさらなる取組の加速、強化を要望して、次の質問に移ります。
次は、環境基本計画に掲げる目標の進捗管理について伺います。
環境基本計画は、昨年五月に環境審議会に諮問され、一年以上の審議を重ね、先月六年ぶりに改定されました。新たな計画では、二〇五〇年のあるべき姿の実現に向けて、二〇三〇年目標として、エネルギー消費量や温室効果ガスを二〇〇〇年比で五〇%削減、再生可能エネルギーの電力利用割合を五〇%程度と設定するなど、各分野で前の計画を上回る意欲的な目標と施策の在り方が示されています。
一方、今年三月に公表された東京都環境白書二〇二一では、前の計画の各目標達成に向けた実績数値等がまとめられています。個別に見てみると、エネルギー消費量は比較的順調に削減されているのに対して、温室効果ガスの削減割合等が芳しくない。また、家庭部門の温室効果ガスが大きく増加するなど、事項により目標達成の難易度には差があるように思います。
都は、目標を掲げるだけではなく、目標の達成度合いを把握し施策の効果を検証すること、そして目標から乖離が見られる事項については取組を見直し、目標達成を確実なものにしていくことが必要と考えます。都の見解を伺います。
○上田環境政策担当部長節電行動連携担当部長兼務 環境政策を進めていく上で、個々の施策の進捗状況を把握し、目標達成に必要な取組強化を図っていくことは重要でございます。
都は、環境基本計画で掲げました目標に対する進捗状況を環境審議会に定期的に報告し、ご議論いただくとともに、ホームページや環境白書等を通じて、都民、事業者に分かりやすく公表してございます。
また、今般の基本計画改定に当たりましては、産業、業務や家庭など部門ごとの省エネや温室効果ガス削減の進捗状況、課題や対策の在り方等について審議会でご審議をいただいた上で、新たな二〇三〇年の部門別目標の設定等を行っているところでございます。
今後も、審議会での議論などを踏まえまして、各施策の成果や課題等を様々な角度から検証し、PDCAサイクルを適切に展開することで、目標達成に向けた施策の実効性を高めてまいります。
○中村委員 この環境の目標の立て方はバックキャストの考え方だと思うんですけれども、先に高い目標を掲げておくのはいいんですけれども、やはり一年一年の積み重ねだと思っています。
特にこういった数値はしっかり出して、一年達成できていなかったら軌道修正しようと思うと、だんだんだんだん離れていってしまいますから、きちんと検証して一歩ずつ進んでいかなきゃいけないと思っています。
そういった点では、この二〇三〇年はあっという間に来てしまいますから、一年一年を大事にして、常に施策の充実強化を図ることを要望して、次の質問に移ります。
次に、一般廃棄物の削減に向けた取組について伺います。
家庭などから排出される一般廃棄物は、市区町村が収集をし処理をしています。この一般廃棄物についてリサイクル率を見ると、多摩地域では約三八%なのに対し、区部ではおよそ二〇%にとどまっています。
また、容器包装プラスチックのリサイクルについては、多摩地域では二十六市のうち大半となる二十三市で実施しているのに対し、区部において実施しているのは二十三区中十四区にとどまっています。リサイクルをさらに進めていくためには、実施していない自治体を都がリードしていくことが重要です。
都は、令和二年度からプラスチックのリサイクルに取り組む自治体を支援する事業を開始しましたが、この事業の令和三年度の実績と現在の状況について伺います。
○志村資源循環推進部長 一般廃棄物のリサイクル率を向上させるため、現在焼却している廃プラスチックのリサイクルを進めていくことは、二〇三〇年カーボンハーフ実現にとって重要な取組でございます。
そのため、都は、令和二年度から市区町村によるプラスチックの分別収集の取組に対し、財政支援を行うとともに、直接自治体を訪問し、支援事業の活用と分別収集の実施を働きかけております。
令和三年度には、十自治体に対し財政支援を行い、本年七月には渋谷区で、十月には北区の一部地域で新たにプラスチックの分別収集が始まりました。
今後も引き続き、プラスチックの分別収集の拡大に向け、市区町村に対し、支援事業の活用を促してまいります。
○中村委員 この分科会の委員は、たまたまか分かりませんけれども、多摩地域の選出の議員が多いんですけれども、多摩地域に住んでいると、かなり細かく自宅で分別とかしているので都心に出てくると、こんなものでいいのかというぐらい驚くことがあります。
ある意味で、本当に都内で二十三区の方で進まないと、なかなか都全体では進まないところもありますから、ぜひ多摩地域のように、区部においてもプラスチックのリサイクルが進むよう、都が着実に先導していくよう要望しておきます。
しかし、リサイクルを進めていくだけでは不十分であり、そもそものプラスチックの使用や廃棄を減らしていくリデュース、リユースの取組が必要です。このためには、私たち一人一人が製品などを購入する際に、必要性を十分検討してから購入することはもちろんですが、物やサービスの売手である事業者が、使い捨てプラスチックの使用をやめたり、リユース容器を活用したりするなど、これまでの一方通行型の経済から循環型経済へと転換を図っていくことが求められています。
都は、革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクトを実施し、リデュース、リユースの2Rビジネスの主流化等を推進する事業者と連携した取組を進めていますが、本事業の概要と令和三年度の実績について伺います。
○志村資源循環推進部長 都は、使い捨てプラスチックの大幅なリデュース、リユース等を図るため、革新的技術・ビジネスモデル推進プロジェクトにおいて、量り売り、シェアリング、リユース容器などの2Rビジネスの主流化等に取り組む事業者に対する支援等を実施しております。
本事業では、公募の上選定した事業者に対して、調査分析事業では五百万円、実証事業では一千万円、実装化支援では三千万円をそれぞれ上限に事業費の二分の一を支援するとともに、廃棄物処理法に関する助言や市区町村との調整を行っております。
令和三年度は、コーヒーショップにおいて、テークアウト用にリユース容器を活用する事業者が行う調査分析事業及び実証事業と、リユース容器を使用した業務用商品販売のビジネスモデル構築を目指す事業者が行う調査分析事業に対して、合わせて約五百四十六万円を支援いたしました。
今後とも、先導的な事業者との連携、支援により、リデュース、リユースの普及を図ることで持続可能な資源利用を推進し、ゼロエミッション東京の実現につなげてまいります。
○中村委員 これまでと異なる仕組みへとビジネスを転換する事業者はリスクを背負っていることから、都などの行政がしっかりと支援していくことが必要です。重要です。
都には引き続き、適切に事業者をサポートすることを要望して、次の質問に移ります。
今、プラスチックごみが海に流出し、マイクロプラスチックとなることで生態系に大きな影響を与えることが問題になっています。このことの原因となる海ごみの発生を抑制するためには、都民に広く実態を知ってもらうことが必要です。
そこで、都の海ごみに対する普及啓発の実施状況と今後の取組について伺います。
○志村資源循環推進部長 都は、プラスチックごみの流出防止に向け、海ごみ問題を都民に広く啓発するとともに、使い捨てプラスチックの削減や清掃活動への参加を促すTOKYO海ごみゼロアクションを展開しております。
令和三年度には、東京都環境公社と連携して専用のウェブサイトを開設し、新たに作成した海ごみ問題を分かりやすく解説する動画や、環境学習資料、民間団体の海洋環境保全活動の取組等を掲載しております。
今後も、こうした取組を通じて都民の海ごみへの理解を深めることなどにより、プラスチックによる海洋汚染の防止を図ってまいります。
○中村委員 マイクロプラスチックの発生元となるプラスチックのリユース、リサイクルについて確認してきました。引き続き積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、食品ロス対策について伺います。
国が発表した食品ロスに関する推計値は令和元年度で五百七十万トンとなっており、また都内推計値も令和元年度で四十四・五万トンで、過去最低値とはいうものの、多くの食品が廃棄されている状況にあると思います。
一方で、現在、円安による輸入食料品の急激な値上がりなどによって生活困窮者に食料を支援しているフードバンクへの影響も大きくなっています。
都は、二〇三〇年に向けて食品ロス発生量を二〇〇〇年度比半減の目標を掲げています。
食品ロス対策として、フードバンクへの寄贈が未利用食品の有効活用の有意義な方策だと考えています。
そこでまず、環境局が進めている食品ロス対策について、その実績について伺います。
○村上資源循環計画担当部長 食品ロス削減対策は、資源の有効利用や環境負荷の低減を図る観点から重要であり、都は、令和三年三月に東京都食品ロス削減推進計画を定め、二〇三〇年度の目標値である二〇〇〇年度比食品ロス半減を達成するために、様々な主体と連携して取組を実施しております。
まず、発生抑制の観点からは、先進技術を活用した食品ロスの削減を行う民間事業者の取組を推進するため、令和三年度は二事業者に対し、冷凍自販機のリース代など約二千四百六十万円の支援を行いました。
また、小売店における食品ロス削減に向けた研修会にアドバイザーを延べ十二回派遣し、改善事例や効果を取りまとめ、ホームページや食品ロス削減パートナーシップ会議において周知を図りました。
有効利用の観点では、令和三年度は地域に密着したNPO法人等が行う食品ロス削減対策を支援する三市区に対して、食品の回収、運搬業務費用など、約百万円の補助金を交付するとともに、令和二年度に構築した防災備蓄食品について、フードバンク等と連携したマッチングシステムを運用しております。
○中村委員 様々な食品ロス対策をしていることは分かりました。
ただいま未利用食品の有効利用の観点から、防災備蓄食品のマッチングシステムを運用しているという答弁がありました。こうした取組は食品ロスの削減のみならず、生活困窮者支援の観点からも重要であり、フードバンクを通じて必要とされる人に必要な量が適切なタイミングで届けられることが重要と思います。
都は、こうしたニーズに応えるため、マッチングシステムを利用した食品寄贈量を増やすことが必要だと思います。
このシステムは令和二年度から開始しているとのことですが、昨年、令和三年度の実績と推移を伺います。
○村上資源循環計画担当部長 市区町村や都の防災備蓄食品を廃棄することなくフードバンク等に寄贈することは、未利用食品の有効活用策として効果的です。
このため、都は、令和二年度から市区町村や都が保有する防災備蓄食品を登録し、フードバンク等が閲覧、寄贈を申し込むことができる未利用食品のマッチングシステムを運用しております。
運用開始後も市区町村やフードバンク等にマッチングシステムの利用を働きかけ、防災備蓄品の提供元としては、都のほか二十四市区が、利用先としてはフードバンク等の十二団体が登録され、令和三年度の運用実績は約二万五千六百食で、令和二年度と比較して約三割増加の実績となっております。
○中村委員 フードバンクへの寄贈、支援が拡大することは、生活困窮者に届く食品が増えると同時に、その食品が有効利用されて食品ロス削減につながる大変意義のあることだと思います。
都には引き続き、様々な主体と連携した食品ロス削減に向けた取組を展開するとともに、未利用食品の有効利用に向けフードバンクへの寄贈を促進することを要望いたします。
次に、玉川上水などの清流復活事業について伺います。
玉川上水は、江戸のまちの発展に伴って増え続ける人口に、飲料水、生活用水を確保するため、承応二年、一六五三年に造られた水道の遺構です。
羽村の堰から四谷大木戸までの四十三キロメートルの大開削工事は、当時の土木技術の粋を集めて七か月の短期間で完成したといわれています。水の乏しかった武蔵野台地は、この上水の分水による水の恵みで新田開発が進み、多くの村が誕生しました。
玉川上水はずっと水道水として、用水として使われていて、特に戦後でも本当に、まだ地元の方々からすると人食い川といわれているぐらい水がごうごうと流れていて、太宰治がそこで入水をしたということも地元では有名な話になっています。今見ると、ここでというふうに思うんですが、当時は水量があったということです。
ただ、その後、一時は水が途絶えていましたが、現在は清流復活事業として清流が復活し、両岸は樹木が生い茂り、野草の宝庫になっています。
私の地元三鷹市においては、玉川上水沿いには一・五メートルの散歩道が、住宅街には三・五メートルの歩道が設けられ、風の散歩道という愛称を市民からの公募により得て、大変親しまれています。
そこで、この玉川上水等の清流復活事業のまず趣旨を伺います。
○和田自然環境部長 清流復活事業は、東村山浄水場の稼働と淀橋浄水場の廃止に伴い、水の流れが途絶えた野火止用水、玉川上水、千川上水に水の流れを復活させるものであります。
具体的には、下水道局多摩川上流水再生センターの下水処理水の一部を、砂ろ過処理を施し、玉川上水の小平監視所まで導水して、昭和五十九年から、順次、野火止用水、玉川上水及び千川上水にそれぞれ放流しております。
平成三年からは、オゾン処理等を施し、都民が身近に親しめる水辺空間をよみがえらせています。
○中村委員 多摩川に放流する処理水を玉川上水等へそのまま放流するのではなく、多摩川に放流している水以上に処理をして放流しているとのことです。
オゾン処理を施しているとのことですが、どのような効果があるのか伺います。
○和田自然環境部長 清流復活事業の放流水は、多くの都民に親しまれる水辺空間を確保するため、快適なものである必要がございます。そのため、水再生センターにおいて処理された処理水にオゾン処理を施して放流しております。
オゾンは、放流水の臭気の低減や脱色の効果があり、オゾン処理を施すことで水辺空間の快適性を確保しております。
○中村委員 玉川上水などは、清流とともに水であふれ、地域住民の貴重な散歩道で憩いの場となっています。その清流を確保するためにオゾン処理が必要だということが分かりました。
そこで、清流復活事業で玉川上水等への送水に係る送水量や経費の実績を伺います。
○和田自然環境部長 玉川上水等の清流復活事業の維持管理経費は、多摩川上流水再生センターのオゾン処理のための経費のほか、センターから放流先の用水、上水まで導水するための経費などであります。
令和三年度の日平均送水量は二万五千立方メートルであり、維持管理経費として約一億四千万円を支出いたしました。
○中村委員 清流復活事業の開始は昭和五十九年で、施設は既に四十年近くが経過をしています。
地域住民にとって憩いの場となっている玉川上水等に安定的に下水、再生水を送水できるよう、施設の維持管理、計画的な設備更新などを今後も着実に実施していただくよう要望いたします。
地元でも玉川上水をかなり愛していただいておりまして、川そのものの所有というか、管理は水道局がやっていて、清流復活事業は環境局で、貴重な文化財という点では教育庁になっていて、沿道の緑という点で建設局だったり地元市だったりとか、非常に複雑に管轄が分かれていて、住民からいろんな問合せがある場合に、いろいろたらい回しされてしまうこともあるようです。
とにかく貴重な地域の方が愛している玉川上水等なので、ぜひ都庁が連携しながらこれを守っていただくようにお願いして、質問を終わります。
○清水委員 最初に、日野市三沢三丁目にあります斜面地で行われている特殊地下壕の調査についてお伺いします。
東京都の自然保護条例による開発の規制の目的、これを最初にお伺いします。
○和田自然環境部長 都は、自然保護条例に基づき、自然の保護と回復を図るため、自然地において行う一定規模以上の土地の形質変更行為に対し、あらかじめ開発許可を求める制度を運用しております。
○清水委員 次に、この許可の対象と行為について、どのようなものか答弁をお願いいたします。
○和田自然環境部長 本制度では、自然地を含む一定規模以上の土地において、建築物その他工作物の新築等により土地の形質を変更する行為を許可の対象としております。
○清水委員 自然保護条例では、丘陵地については特別の指導指針を出しています。それは、丘陵地における適正開発のための指導指針ですが、この対象地域、目的、対象行為、原則についてお伺いします。
○和田自然環境部長 丘陵地における適正開発のための指導指針は、多摩丘陵や狭山丘陵などの丘陵地における自然保護条例に基づく開発許可の対象となる開発行為について、必要な指導を行うことにより連担した緑と地形の維持を図ることを目的としております。
また、この指導指針では、適正開発のために三つの原則を示しております。
一つ目は、丘陵地の特質である斜面地及び尾根部分の保全に最大限の配慮をすること、二つ目は、やむを得ず改変する部分については自然環境が早期に回復できるような措置を講じること、三つ目は、自然環境の保全及び回復が困難な部分においては自然的形状の創出に努めることとしております。
○清水委員 多摩丘陵地の−−丘陵地の開発には特別な指針があって、それは多摩丘陵という一つの連なったそういう地形、緑、これを維持することが目的になっていて、原則が三つあって、その第一は、丘陵地の特質である斜面地及び尾根の部分の保全に最大限の配慮をする、このことを求めている。二つ目に、やむを得ず改変する場合についても自然環境が早期に回復できるような措置を講ずる。どうしても保全や回復が困難な部分においては、自然的形状の創出に努めること、こういうふうなことが定められています。
では、この日野市三沢三丁目の丘陵地は、この丘陵地における適正開発のための指導指針、この対象の地域に当たりますでしょうか。
○和田自然環境部長 当該地は、丘陵地における適正開発のための指導指針の対象地域となっております。
○清水委員 この土地は、その対象になるというふうなお答えでした。
この当該地域では、特殊地下壕がありまして、その特殊地下壕の調査が開発に先立って行われました。
このように、開発に着工する前、例えばボーリング調査など、こういうふうな調査が行われることがありますが、その調査などについてはどのようなことが求められておりますでしょうか。
○和田自然環境部長 自然保護条例に基づく開発許可申請の前に地質調査、文化財調査などを行うため、樹木の伐採等が必要となる場合には必要な限度にとどめるよう求めております。
○清水委員 今あったように、開発許可申請の前に行う例えば地質調査、文化財の調査、これを行うために樹木を伐採しなければならない場合があると。
しかし、この樹木の伐採、切土、盛土、水抜き、これは全部工事に着工したことになるので、たとえ調査といっても許可前に行ってはならないということになっていて、それが必要な場合には必要な限度にとどめること、つまり最小限にするということが決められています。
また、丘陵地における適正開発のための指導指針では、急斜面は残留緑地として可能な限り確保することというふうに定められています。これは、斜面地と尾根の部分、これが丘陵地の特質なので、一体のものとして残すように求めているものです。
また、当該地は、土砂災害警戒区域及び特別警戒区域にも指定されている急斜面がありますが、なぜこの調査の中で全ての樹木の伐採、抜根を許したのでしょうか。
○和田自然環境部長 当該地について、事業者から事前に相談があり、調査を行うに当たっては、樹木の伐採等を必要な限度にとどめるよう求めております。
○清水委員 今日、パネルを持ってきました。これが当該地の写真なんです。土砂災害警戒区域、特別警戒区域に指定をされている斜面、ほとんど全ての樹木が伐採をされて、切り株が残っている写真。この後、この切り株の抜根が行われて、今はむき出しの土になっています。土砂災害警戒区域と特別警戒区域でこういうことをやったらどうなるのか。本当に危険だと思います。
しかも、この下には住宅がすぐあるんです。道路とかを挟んでいないんです。すぐに隣り合って住宅がある、こういう地域なんです。こういうことをどうして許してしまったのか。
これまでの質疑で、この土地というのは多摩丘陵なので、丘陵地における適正開発のための指導指針に基づいて、丘陵地の特質である斜面地及び尾根の部分の保全に最大限の配慮をしなければいけない、こういう土地であること。さらに、土砂災害警戒区域及び特別警戒区域に指定されている急斜面なので、残留緑地として可能な限り確保すること、これが求められている。
さらに、開発前の調査では、伐採、抜根は必要な限度にとどめること、こういうふうにされていて、東京都は業者と事前に相談をして、調査を行うに当たっては、樹木の伐採などを必要な限度にとどめるよう求めたわけです。
ところが、実際にはこういうふうになっている。
写真のように、斜面地の樹木、土砂災害警戒区域の樹木がことごとく伐採、抜根をされました。
では、当該地の特殊地下壕調査、こういうことまでして行った調査というのは一体どういうものだったのでしょうか、ご説明をお願いいたします。
○和田自然環境部長 当該地について、事業者から事前に相談を受けている段階ではありますが、当該地での調査は、防空壕を確認するため、ボーリングや測量などを実施したと聞いております。
○清水委員 地元の日本共産党の市議会議員には、事業者から調査報告が、写しが提出をされました。それを見せていただきましたけれども、ボーリング調査は五か所で行われていたということでした。これだけの樹木を伐採し、抜根までしなければできない調査とはとてもいえないというふうに思います。
しかも、繰り返し述べていますように、この地域は土砂災害警戒区域、特別警戒区域に指定されている、そういうところなんですね。しかも湧き水が出ているところなんですよ。そういうところで木を切ったら一体どういうことになるのか。
しかも、この下には住宅地が続けてあるわけです。道も挟んでいないので、土砂はそのままそのおうちになだれ込む、こういう危険があるわけです。こういうところでこういうような調査を許して地表をむき出しにしてしまったら、土砂災害の危険性がある。このことは誰でも思いつく、明らかなことではないでしょうか。
当該地の樹木が全て伐採、抜根されたことによって、当該地直下の住民は土砂崩れのおそれがあると日々不安を感じています。日野市は、当該地のパトロールを週三日行う、こういう対応をしなければならなくなりました。
斜面地の樹木の保存をするよう、きちんと指導をすべきではなかったでしょうか。
○和田自然環境部長 当該地について事業者から事前に相談があり、調査を行うに当たっては、樹木の伐採等を必要な限度にとどめるよう求めております。
○清水委員 必要な限度にとどめるよう求めているというふうなご答弁でした。
本当にこれが必要な限度にとどめた調査だと、そういうふうに東京都は認識をされているんですか。答弁をお願いいたします。
○和田自然環境部長 当該地について事業者から事前に相談があり、調査を行うに当たっては、樹木の伐採等を必要な限度にとどめるよう求めていると認識しております。
○清水委員 もう一度お伺いします。
東京都が事業者と相談をして、事前にきちんとここのルール、調査のルール、お伝えした。そのことまでは何度も答弁がありました。
その、ルールにのっとれば、必要な限度に調査というのはとどめなければいけない。調査だからといって、こんなふうに全部切っちゃいけない。本当に必要な部分だけというふうになっていたはずなんです。
その結果、しかし事業者はこれを守らないで、全ての樹木を伐採し、抜根までしてしまいました。もう戻らないんです、この土地というのは。
ちょっと枝を切っただけだったら待っていれば元に戻りますけれども、こういうふうに根っこまで抜いてしまったら、この緑はもう戻りませんよね。自然回復に努める、そういうふうにもならないわけです。
こういうやり方が本当に東京都が求めた必要限度にとどめるというふうなことに適合している、そういうふうな認識をお持ちですか。改めてお聞きします。
○和田自然環境部長 当該地について事業者から事前に相談があり、調査を行うに当たっては、樹木の伐採等を必要な限度にとどめるよう求めていると認識しております。
○加藤委員長 この際、清水委員に申し上げますが、質疑、発言につきましては、令和三年度の決算の審査から逸脱しないようにお願いをしたいと思います。
○清水委員 最初にいえばよかったんですが、これは令和三年度に行われた調査で、東京都の指導も令和三年度に行われたものですから質疑をさせていただいております。
東京都からは、担当課からは、調査を行うに当たっては、樹木の伐採等を必要な限度にとどめるように求めたというふうには答弁はありましたけれども、これが適合している、そういう答弁はさすがにありませんでした。適合しているというふうな認識が示せなかったということは、とても大事なことだというふうに思います。
当該地は、多摩丘陵の一連の緑と地形を維持する場所であって、土砂災害警戒区域や特別警戒区域で、なおかつ特殊地下壕もある、こういう陥没の危険がある、そういう二重三重に規制がかけられた土地ですから、やっぱり宅地化はするべきではない、こういう地域だというふうに思います。
日野市では、この土地、三沢三丁目以外でも、宅地開発には向かない、もしくは宅地開発をしてはならない丘陵地の急斜面の宅地開発が度々起きています。過去には、ここから少し離れたところにある斜面地の住宅地の中にある特殊地下壕が陥没する、こういう事故がありました。また、急斜面の造成中に土砂崩れを起こして、下にあるアパートに土砂が入る、また、京王線の線路にも土砂が流れ込む、こういう事態を引き起こしました。
都は、自然保護条例を活用して、こうした危険な開発、自然を損なう開発を未然に防ぐことが求められています。また、東京都はそういう権限も持っています。
自然保護条例の開発の許可等に係る監視指導指針では、違反の事実を確認した場合には文書等により行政指導を行い、再三の行政指導にもかかわらず是正がなされない場合は中止命令等の行政処分を実施することや、人の生命、身体の安全等にも配慮する必要がある場合等で、必要と認めるときは処分内容を公表すること、罰則の対象となる違反行為は、事案の悪質性等を検討した上で刑事告発を実施することも規定をされています。
こうした都に付されたあらゆる権限を駆使して、このような危険な開発をさせないこと、そして近隣住民の安全を守る対策を直ちに講じることを、日野市と連携して行うよう強く求めて、この質問は終わります。
次に、横田基地の騒音問題についてお伺いします。
騒音の調査結果については、昨年のものはまだないということでしたので、直近の数字、二〇二〇年のもの、これについてお伺いします。
二〇二〇年度に東京都が行った横田基地の騒音調査の結果について、騒音の数値、環境基準への適合についてお伺いします。
○鈴木環境改善部長 都は、横田基地周辺の航空機騒音の発生状況を把握するため、毎年騒音調査を実施しております。
二〇二〇年度の騒音調査では、測定した十六か所のうち、滑走路延長線上の固定調査地点一地点と分布調査地点一地点の合計二地点で環境基準に適合しなかったため、本年二月に横田基地司令官をはじめ関係省庁に対し、航空機騒音防止対策の一層の推進を要請いたしました。
○清水委員 これは、今ご答弁をいただいた東京都の調査地点をパネルにしたものです。
基地の東西南北、これが固定地点で、その他のここの枠の範囲にあるのが分散調査というところで、年に二、三週間、測定調査が行われる地点ということだと思います。
この中で、環境基準を上回る地点について、これまでの推移についてお伺いいたします。
○鈴木環境改善部長 横田基地周辺の騒音調査は、都が環境基準を適用する地域を指定した一九七八年から実施しております。
二〇二〇年度の騒音調査で環境基準に適合しなかった滑走路延長線上の二地点のうち、固定調査地点である瑞穂町農畜産物直売所付近については一九七八年から、分布調査地点である建設局昭島観測井付近については一九八四年から、環境基準に適合していないことを確認しております。
○清水委員 昨年にも同じ質問をしたんですが、昨年も同じように、この南北の二つの地点については環境基準をクリアすることができなかったということだと思います。
そして、北側にある瑞穂の農畜産物直売所付近、この地点については、測定を始めてから四十二年間一度も環境基準をクリアしたことはなく、南側のもう一か所についても、三十六年間ずっと基準を上回っている、こういうことが続いているということです。
近年、横田基地では大規模な演習が行われるようになりました。戦闘機の旋回訓練が行われるようになる。
また、今年五月に行われた訓練の際には、私は日野に住んでおりますが、日野市の上空でも戦闘機が旋回訓練をしている、このことを私も目撃をいたしました。ちょうど多くの人が行き交うそういう場所で、そこの上空を飛んだものですから、通っている人誰もがみんな上を向いたんですよね、何事かと。
しかし、こうした訓練の実態というのは、この調査では把握をすることができないというふうに思います。
こうした訓練の実態をつかむためにも、通年調査、これを基地周辺のこの狭いところで、この四か所だけではなく、日野はこの辺にありますので、やっぱりこういう訓練が行われる地域で通年でやる、このことが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木環境改善部長 都が行っている横田基地周辺の騒音調査では、滑走路延長線上付近の南北二地点と滑走路の東西二地点の合計四地点で、年間を通じて連続して行う固定調査を実施しております。
加えまして、騒音の影響範囲の広がりを把握するために、二週間にわたって行います分布調査を十二地点で実施をしているところでございます。
○清水委員 もう一つお伺いしたいのは、都が行っている調査地点、この結構限られた場所に、この範囲内にあるわけですね。これをさらに広げる、こういうことが必要だというふうに思いますが、調査地点を増やすという点についてお伺いしたいと思います。
○鈴木環境改善部長 国は、航空機騒音の測定方法としまして、測定地点等の条件を告示やマニュアルで示しておりまして、都はこうした条件を勘案して航空機騒音調査を実施しております。
また、二〇二〇年度も含めまして、過去五年間の横田基地周辺の騒音調査結果を見ますと、環境基準に適合しなかった地点は、先ほど答弁した二地点など、滑走路延長線上の地点に集中しておりまして、これまでと同様に横田基地では滑走路の延長線上において環境基準不適合の地点が現れる傾向を確認しております。
このため、現在の調査方法で横田基地周辺の騒音状況を十分把握できていると判断しており、調査地点の拡大等を検討する予定はございません。
○清水委員 今のご答弁で、適合しなかった地点はさっきの二地点だけで、そのため横田基地の周辺の騒音状況は十分に把握できている、こういうご答弁でした。
これは、市民団体の皆さんが、オスプレイがどういうところを飛んでいるのか、そういうところを記録されたものです。
これで分かるように、オスプレイが飛んでいる場所というのは、さっきの飛行コース、赤い枠とは随分外れたところを飛ぶようになってきています。
例えば、ここでは青梅市の上で旋回をしていることが分かります。こちらはあきる野です。こちらは八王子、高尾の近くのところです。全然東京都が調査をしていない、そういうところの上で旋回訓練をやっているんです。
ですから、例えば青梅市の方が自分のうちの上をオスプレイが飛んだときに、家の中の家具とかがカタカタ音がしたと、そういうふうに感じるぐらいの騒音があっても、東京都の測定では全く引っかからない、こういう実態にあるわけです。
さらに、今年五月に横田基地で大規模な訓練が行われた際には、ほかの基地の戦闘機も参加して物すごい音を立てて、日野市の上空をはじめ、いろんなところで旋回訓練なども行いました。こういうことがあっても、また、こういう訓練はいつどこで行われるか、それは分からないんですよね。
こういう騒音の実態を正確に把握しようと思ったら、今やっている東京都の調査の地点、やり方、これではとても実態はつかむことができないというふうに思います。
飛行実態に合わせて騒音調査を行うために、測定地点の増設、そして通年で測定を行うこと、そしてそういう事実に基づいて、米軍や政府に米軍の航空機騒音の改善を要請していくことを強く求めまして、私の質問を終わります。
○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○加藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
午後五時四分散会
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