令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和四年十月二十四日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井あきら君
副委員長石島 秀起君
副委員長細田いさむ君
北口つよし君
鈴木  純君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
菅原 直志君
風間ゆたか君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長浜 佳葉子君
次長福崎 宏志君
教育監藤井 大輔君
総務部長田中 愛子君
都立学校教育部長村西 紀章君
地域教育支援部長岩野 恵子君
指導部長小寺 康裕君
人事部長吉村美貴子君
福利厚生部長田中 宏治君
教育政策担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務秋田 一樹君
企画調整担当部長篠  祐次君
高校改革推進担当部長池上 晶子君
教育改革推進担当部長佐藤 聖一君
特別支援教育推進担当部長落合 真人君
指導推進担当部長瀧沢 佳宏君
人事企画担当部長稲葉  薫君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、教育長から紹介があります。

○浜教育長 過日の分科会を欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 指導推進担当部長の瀧沢佳宏でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○藤井委員長 紹介は終わりました。

○藤井委員長 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○田中総務部長 去る十月十二日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧願います。
 今回要求のございました資料は十六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算でございます。
 令和三年度の就学支援金の歳出予算につきまして受給対象者数と支給額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
 二ページをご覧ください。2、都立高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算でございます。
 令和三年度の奨学のための給付金の歳出予算につきまして給付対象者数と給付額を、決算につきまして給付者数と給付額を、給付区分別にそれぞれ記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都立学校等給付型奨学金の給付区分ごとの歳出予算及び決算でございます。
 令和三年度の給付型奨学金の歳出予算につきまして受給対象者数と予算額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
 また、主な対象事業につきまして記載してございます。
 四ページをご覧ください。4、都立高等学校等の授業料減免の実績(全日制・定時制)でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの間で、授業料を免除または減額した人数について、区分別、年度別、課程別にそれぞれ記載してございます。
 五ページをご覧ください。5、都内公立中学校夜間学級在籍者のうち、中学校を卒業している生徒の数でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの各年度における、夜間学級に在籍していて、既に中学校を卒業したことがある生徒の人数、その人数を含む全体の在籍者数をそれぞれ記載してございます。
 六ページをご覧ください。6、区市町村立小・中学校の情緒障害等通級指導学級及び特別支援教室設置校数・拠点校数・児童生徒数・教員数・専門員数でございます。
 六ページ及び七ページは区市町村立小学校でございまして、平成三十年度から令和四年度までの特別支援教室の設置校数、拠点校数、児童数、教員数、専門員数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
 また、八ページ及び九ページは区市町村立中学校でございまして、平成三十年度につきましては情緒障害等通級指導学級の、令和元年度及び令和二年度につきましては従来型の通級指導を含む特別支援教室の、令和三年度及び令和四年度につきましては特別支援教室の設置校数、生徒数、教員数、専門員数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
 なお、令和三年度及び令和四年度につきましては、設置校数の内数として拠点校数を記載してございます。
 一〇ページをご覧ください。7、区市町村立小・中学校の自閉症・情緒障害特別支援学級(固定)設置状況でございます。
 一〇ページに区市町村立小学校における平成三十年度から令和四年度までの設置校数及び学級数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
 また、一一ページには、区市町村立中学校につきまして、同内容を記載してございます。
 一二ページをご覧ください。8、都立学校「自立支援チーム」の実績とユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数でございます。
 (1)は、都立学校自立支援チームが平成二十九年度から令和三年度までにおいて支援を行った学校数、支援対応生徒数、支援累計回数について、区分ごとにそれぞれ記載してございます。その下、(2)は、ユースアドバイザー等の新規採用人数について、採用年月ごとに職種別にそれぞれ記載してございます。
 一三ページをご覧ください。9、都内教育支援センターの区市町村別設置数と不登校特例校一覧でございます。
 (1)は、令和三年五月一日現在における都内教育支援センターの設置数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。その下、(2)は、令和四年四月一日現在における都内不登校特例校の学校名、管理機関、開校年月について、それぞれ記載してございます。
 一四ページをご覧ください。10、改築、大規模改修等の工事中又は工事予定のある都立学校でございます。
 令和四年四月一日現在における高等学校等と特別支援学校の状況について、それぞれ記載してございます。
 一五ページをご覧ください。11、新型コロナウイルス感染症の影響による修学旅行等のキャンセル料に対する補助実績でございます。
 令和三年度における受給者数と支給額について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一六ページをご覧ください。12、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 特別教室及び体育館等の保有室数、冷房設置室数、設置率について、校種ごとにそれぞれ記載してございます。
 一八ページをご覧ください。13、公立学校におけるPCR検査の活用の予算と実績でございます。
 令和三年九月から令和四年三月までの期間に実施したPCR検査について、予算額及び決算額を、都立学校、区市町村立学校に分けて記載してございます。
 一九ページをご覧ください。14、公立学校の学級閉鎖・学年閉鎖の学校数でございます。
 令和三年度において、一部の学年、学級の臨時休業を行った学校数を調査時点別に記載してございます。
 二〇ページをご覧ください。15、東京都中学校英語スピーキングテスト事業について、令和三年度に区市町村教育委員会へ送付した全ての通知でございます。
 東京都中学校英語スピーキングテスト事業に関して、令和三年度に区市町村教育委員会へ送付した全ての通知について、通知日順にまとめたものでございます。
 恐れ入ります、四六九ページをご覧ください。四六九ページでございます。16、「東京都中学校英語スピーキングテスト事業 令和三年度 確認プレテスト〔2〕」におけるトラブルや機器不具合などの報告内容の全てでございます。
 東京都教育委員会との協定に基づき本事業を実施した株式会社ベネッセコーポレーションから、令和三年度中学校スピーキングテスト最終報告書として報告のあったトラブルや機器不具合等を記載したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 都議会自民党の鈴木純です。本日はよろしくお願いいたします。
 早速質問に入ります。
 まず、工業高校における教育の充実について伺わせていただきます。
 現在、デジタル社会の実現に向けた取組が進む中、特に産業界においてもDXの推進が急務となっており、産業界でものづくりを担う人材を育成する工業高校においても変革が必要となっており、その取組の一つが企業と連携したデジタル人材の育成であると考えられます。
 都教育委員会では、令和三年度に町田工業高校で、Tokyo P-TECHを実施していると伺っておりますが、その実施状況と成果について、まず伺わせていただきます。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、令和三年度から、デジタル人材を育成するTokyo P-TECH事業を町田工業高校において本格的に開始いたしました。
 本事業では、IT関連企業や専門学校と連携し、デジタル技術に関する講話や、社会人と高校生がキャリアに関する対話を行うメンタリング、エンジニアによるプログラミングなどの授業を実施しております。
 授業を受けた生徒からは、デジタル技術をもっと勉強して未来に生かしたい、IT関係の会社で働きたいからより深く仕事について知りたいなどの声が寄せられており、デジタル技術に関する知識の向上に加えまして、学習意欲の向上やキャリア観の醸成といった効果が見られます。
 今年度から実施校を二校追加しており、今後も成果を検証しながら、デジタル人材の育成に取り組んでまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 企業や専門学校との連携で実践的な教育が行われたことにより、生徒の皆さんにデジタルに関する知識や職業観を身につけるといった効果が出ていることが確認できましたので、今後も、デジタル人材の育成に向けた取組を推進していくとともに、こうした企業や専門学校と連携した取組をほかの分野にも広めていただきたいと思います。
 次に、工業高校の魅力の発信について伺わせていただきます。
 Tokyo P-TECHのような先進的で魅力的な取組は、工業高校で既に始まっていますが、都民には、そうした取組や工業高校の魅力を広く伝えることが重要であり、よい取組を行っていても、その魅力が子供たちや保護者に伝わらなければ、工業高校で学ぼうという子供たちも集まらないということも考えられると思います。
 工業高校の魅力について、今後積極的に広報していく必要がありますが、令和三年度はどのような取組を行ったのか。また、第三回定例会での条例改正による工業高校から工科高校への校名変更の周知についても、併せて伺わせていただきます。

○池上高校改革推進担当部長 都教育委員会では、昨年度は、専用ウェブページで生徒の作品展示を行うとともに、専門高校紹介リーフレットを公立の中学生に配布するなど、工業高校のPR活動を行ってまいりました。
 本年二月に策定した工業高校の充実のためのNext Kogyo START Projectでは、教育環境の充実や学校の教育力の向上等により、魅力を高めるとともに、その発信に力を入れていくこととしております。
 本プロジェクトに基づき、校名変更に際しては、現役工業高校生等が出演する動画を作成、活用し、東京都動画ポータルサイトへの掲載、電車内の広告、学校最寄り駅へのポスター掲示、公立中学校二、三年生全員へのリーフレット配布等により、魅力を発信し、周知を図ってまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 午前中に動画の方も私も見させていただいて、いい動画だなと率直に思いました。
 また、工業から工科、科学の科も使って、イメージという部分ではかなり変わってくるのかなと思いますので、私も、工科ということに変わるということは、非常にいいことだと思っております。
 今後、魅力の発信にも力を入れていくとのことですので、工業高校から工科高校へと校名が変わるタイミング、いろんな部分で、今かもしれませんが、それはこれからのどこかかもしれませんが、ぜひ積極的に魅力を伝えていただき、東京の産業の発展を支える人材の育成に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、都立学校における太陽光発電設備の設置について伺います。
 東京都は、二〇五〇年CO2排出実質ゼロの実現に向けて、二〇三〇年までに都内温室効果ガス排出量を半減するカーボンハーフを表明している中で、この実現に向けては、都の率先的な取組が重要であり、都内全域に多数の施設を有する都立学校において、太陽光発電設備の設置を進め、再生可能エネルギーの利用を一層推進することが求められると思います。
 そこで、令和三年度に都立学校の中で何校に太陽光発電設備を設置したのか、伺わせていただきます。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、都立学校の新築、改築工事等の際に太陽光発電設備の設置を行っております。
 令和三年度には、竹台高校、豊島高校、永山高校、立川学園及び光明学園の五校に、合計して三百キロワットの太陽光発電設備を新たに設置いたしました。
 令和三年度末現在で、都立学校二百四十八校中百六校に合計二千九百キロワットを超える太陽光発電設備を設置しております。
 二〇三〇年のカーボンハーフの実現に向けまして、今年度からは、都立学校の新築、改築工事等の際に設置することに加えまして、既存校舎につきましても、関係局と連携して設置を加速化していくこととしております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 都立学校におきまして、太陽光発電設備の設置加速化に向けた取組を進められているということは分かりました。二〇三〇年カーボンハーフに向けて、都立学校における取組は大変重要なものと認識しております。今後も設置を進めていただきたいと思います。
 教育庁さんだけではないんですけど、都立の建物というものは、やはりこれから、今までも太陽光パネルの話とかというのももちろん出てきましたが、やはり東京都の方でも率先して、学校だけに限らず、ほかの局との、今までもやり取りあったんですけど、進めていただければと思います。
 次に、学校教育での外部人材の活用について伺わせていただきます。
 教員不足といわれている中、先日発表されました東京都の教員採用選考の結果では、採用倍率が前年を下回り、依然として厳しい状況にあるとはいえ、教員の確保を進めるためには、教員の負担を軽減し、教員の職の魅力を高めることが必要であると考えられます。
 この取組の一つとしてスクールサポートスタッフの活用がありますが、都教育委員会では、区市町村教育委員会がスクールサポートスタッフを学校に配置する場合、その費用を支援する事業を行っており、スクールサポートスタッフの具体的な業務内容と令和三年度の配置状況について伺わせていただきます。

○稲葉人事企画担当部長 スクールサポートスタッフは、教員の代わりに行うプリント等の印刷や教材作成支援に加え、教室の消毒作業等の感染症対策業務などに従事しています。
 令和三年度は、五十四区市町村において千七百八十三名の配置を支援いたしました。

○鈴木委員 多くの学校でスクールサポートスタッフを活用されているということが分かりました。今答弁いただいたとおり、こういうのって教員がやる必要もなくて、こういった部分でサポートするというのは、やはり必要な制度だと思います。
 それで、スクールサポートスタッフを導入した成果と今後の活用の在り方についても伺わせていただきます。

○稲葉人事企画担当部長 令和三年度にスクールサポートスタッフを配置した学校において、配置前と比較し、教員一人当たりの一週間の在校等時間が三時間二十四分縮減いたしました。
 スクールサポートスタッフが効果的に活用されるよう、区市町村教育委員会や学校へ先進的な活用事例を事例集にまとめて周知していくとともに、区市町村教育委員会の意見も聞きながら取組を進めていきます。

○鈴木委員 スクールサポートスタッフを導入することで、確実に教員の超過勤務時間が減少していることが分かりましたので、今後、さらにスクールサポートスタッフの活用を進めていただくよう強く要望いたします。
 また、外部人材の活用に当たっては、英語など専門性の高い分野での活用も有効と考えられ、小学校において、専門性がある分野における外部人材の活用を行うため、社会の力活用事業を実施しておりますが、その実績についても伺います。

○稲葉人事企画担当部長 令和三年度は、都内公立小学校六十三校、二百七十学級において外部人材が活用され、外国語活動では、日常業務で英語を用いている客室乗務員や通訳などが講師として授業を行いました。
 学校からは、外部人材の社会経験を踏まえた教え方が参考になる、担任の負担軽減が図られているとの評価を得ております。

○鈴木委員 専門性のある外部人材が授業を行うことで、教員の負担軽減だけでなく、子供への教育の質の向上にもつながるものと考えられます。昨年度は六十三校での活用があったようですが、さらに多くの小学校で活用が図れるよう、取組を進めていただくよう要望させていただきます。
 また、TEPROについても伺わせていただきます。
 教育庁は、東京学校支援機構、いわゆるTEPROを設立し、Supporter Bank事業を通じて外部人材を紹介するなど、教員の負担軽減を図っていると伺っております。
 令和三年度の活動実績や状況についても伺わせていただきます。

○篠企画調整担当部長 東京学校支援機構、TEPROは令和元年七月に設立され、翌二年四月から都内公立学校に外部人材を紹介するTEPRO Supporter Bank事業などを開始しております。
 令和三年度は、都内公立学校、区市町村教育委員会から、ICTサポートなどを中心に九百十五件、二千九百十三人の求人がございました。これに対し、本バンク事業を通じて延べ五千四百三十六人のサポーターを紹介し、学校での面接などを経て、一千一人が採用されてございます。
 採用されたサポーターは、専門分野の講演などの単発での活動にとどまらず、九割以上が一週間以上活動するなど、教職員の負担軽減や教育活動の充実に貢献しております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 今まで外部人材関連の質問をさせていただきましたが、教員不足解消のためには幾つか各項目というか、あると思うんですけど、こういった教員不足解消のために、これからもよろしくお願いいたします。
 次に、都内公立学校のICT環境整備についても伺わせていただきます。
 区市町村立学校には、令和二年度からGIGAスクール端末が整備され始め、現在は一人一台端末整備が整っていると思いますが、これらの端末を十分に活用するためには、通信環境整備と支援員の配置を都として支援していくことが必要だと思いますが、令和三年度の実績を伺わせていただきます。

○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、区市町村立学校において子供たちが一人一台端末をストレスなく利用できるよう、区市町村教育委員会に対し、国の補助に上乗せした通信環境整備の補助を行ってまいりました。
 区市町村教育委員会では、国及び都の補助を活用するなどにより、令和三年十月までに全ての学校で校内通信環境の整備を完了いたしました。
 さらに、都教育委員会は、端末の効果的な活用が進むよう、国の支援と併せ、一校一名の支援員の配置を可能とする補助を行い、令和三年度は四十五自治体が補助金を活用し、支援員を配置いたしました。

○鈴木委員 都立学校についても伺わせていただきます。
 本年四月入学生から、一人一台端末を導入するため準備を進めてきたと思います。デジタルを活用した教育を促進するには、校内の通信環境の充実と支援員の配置が不可欠であると考えられます。
 都立学校における通信環境整備と支援員の配置について、令和三年度の都立学校についての実績を伺います。

○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、デジタルを活用した学びを促進するため、令和二年度からの二か年で全都立学校の校内無線LAN環境を整備いたしました。また、令和三年度から全都立学校にデジタルサポーターを常駐配置し、デジタル活用における技術的支援を行っております。
 引き続き、都立学校におけるデジタル活用を促し、生徒の学びの質を一層高めてまいります。

○鈴木委員 続いて、特別支援学校でも伺わせていただきますが、障害の状況に応じて端末を今整備しております。学習上または生活上の困難さを改善するため、デジタルの活用は重要であると考えられます。
 特別支援学校における環境整備の状況と、これらを活用した教育活動についても伺わせてください。よろしくお願いします。

○篠企画調整担当部長 都立特別支援学校においてデジタルを活用した学びを実現するため、令和二年度から、小学部、中学部の一人一台端末など、段階的にデジタル環境の整備を行ってまいりました。令和三年度も、教育環境を一層充実するため、視覚障害に対応した機器を整備してまいりました。
 各学校では、タブレット等の端末と点字ディスプレー、外部スイッチ、視線により入力が可能となる支援機器などを組み合わせて活用することにより、一人一人の実態に応じ、教科の指導などの充実を図っております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 教育庁の中でも様々なテーマ、いろいろと挙げると切りがないんですけど、令和五年度予算、そしてまたそれ以降につながるような形で、これからもご尽力、どうかよろしくお願いいたします。
 質問を終わります。

○菅原委員 それでは、質疑をさせていただきます。
 令和三年度は、子供たちの学びもコロナ禍での対応となりました。
 GIGAスクール構想を進めてきた政府ですが、コロナ感染の拡大を受けて前倒しで実施して、一人一台のタブレット端末の配備がされました。
 しかし、前倒しでのタブレット端末の配備は、学校としては様々な準備が間に合わないなどの問題が発生をいたしました。それも当然だと思います。その中で、現場の皆さんは、得手不得手を超えて全員で取り組まれたのだと思います。
 令和三年十月十八日、東京都教育委員会のホームページには、心のつながりプロジェクトオンライン、オンラインでも心のつながりを深める工夫を紹介として、小学校、中学校、高校、そして特別支援学校のそれぞれの取組を紹介するページをつくりました。各学校の参考になったのではないかと思います。
 まずは、コロナ感染拡大の中、都立高校での昨年度のオンライン授業の取組について伺います。

○篠企画調整担当部長 昨年度、コロナウイルスによる感染者数が増える中、都立高校等では、時差登校に加え、オンライン授業を併用した分散登校を実施することなどにより、生徒の学習機会の確保と学校における感染拡大の防止に努めてまいりました。
 感染が拡大していた昨年九月には、都立高校等におけるオンライン授業を全二百四十課程のうち二百十二課程で実施しており、実施率は八八%となっております。

○菅原委員 都立高校の学生たちが時差登校している姿は私も目にしました。大切な青春時代をコロナ禍の中で生き抜いている高校生を応援する気持ちでいっぱいになりました。
 自宅などからのオンライン授業の実施率は八八%ということで、多くの都立高校でオンラインの授業に取り組まれたということが報告をされました。
 その中で、自宅に通信環境のない生徒もいますし、濃厚接触者になり登校できない生徒などもいました。これらの生徒たちへの配慮が必要でした。都としてどのような対応を行ったのか、伺います。

○篠企画調整担当部長 通信環境が自宅にない生徒については、本人が希望すればモバイルルーターを借りられるよう、各学校にモバイルルーターを配布いたしました。
 また、濃厚接触者となった生徒に対しては、教室の授業をオンラインで配信することにより、自宅で授業を受ける機会を確保いたしました。
 今後も、こうしたオンライン授業などの取組を行っていくことにより、生徒が学びを継続できるよう努めてまいります。

○菅原委員 どんな状況でも学びの機会を提供する姿勢を、学びの継続という言葉で表現していただきました。経験を力にという言葉もありますが、このコロナ禍でのオンライン授業の経験を、様々な状況になっても学びを止めない、継続するという視点で取り組んでいただきたいと思います。
 例えば、季節性インフルエンザで学級閉鎖や学校閉鎖になった場合でも、オンラインが活用できると思います。入院している子供や不登校の子供たち、家庭の事情で登校できない子供もいるでしょう。一時保護施設で生活せざるを得ない子供もいます。
 私は、六月の一般質問で、生理で登校できない児童生徒の学びの継続を訴えましたが、この事例でもオンラインの授業は使えます。
 また、大規模災害の場合にも、早い段階で授業再開ができるかもしれません。一時的に東京都外、県外に避難しなければならなくなった場合でも、オンライン授業は効果的だと思います。
 冒頭で、児童生徒へのタブレット端末の配布のことを取り上げました。先日、国の会計検査院の抽出調査によって、国が補助して家庭に貸し出している学習用ルーターが、二十一都道府県で十一万台が使われていないという報道がありました。コロナ禍で、子供たちの学習のためによかれと思って行った施策が十分に活用されていない例は時折見られ、これもその一つだと思います。
 令和二年度の施策ですし、主体が国ですので、この委員会では取り上げませんが、少し検討の必要はあるのではないでしょうか。
 会計検査院は文部科学省に対して、これらのルーターの活用策を検討するよう求めたようです。活用するのは大いに結構ですが、学校教育では使い道がないからこの問題となったわけです。
 既にルーターは各区市町村に渡っているそうです。この際、例えば社会教育全体への活用や、インクルーシブ社会の構築のための活用、さらには自治会などの地域活動など、教育の枠を外して広く解釈をすることが必要だと思います。都として文部科学省に逆提案をするなど、国民、都民に喜ばれる活用策の検討を進められるように要望をいたします。
 教員不足の件を議論したいと思います。
 教員不足が全国的な問題となっています。文部科学省の教師不足に関する実態調査によれば、令和三年始業日時点での小中学校の教員不足の人数は、全国で合計二千八十六人という報告がありました。東京都の教員不足はゼロということでした。
 一方で、今年度の当初、東京都で小学校教員が五十人程度不足しているということが報道をされています。文部科学省の調査と報道では若干の調査方法が違うようですが、教員不足が目の前の課題であるということは共通していると思います。
 まずは、教員不足の原因の一つである退職者について、現状の報告をいただきたいと思います。
 令和二年度及び令和三年度の都内公立小学校における定年退職以外の退職者数を伺います。

○吉村人事部長 都内公立小学校における定年退職以外の退職者数は、令和二年度で六百十二人、令和三年度で八百三人でした。

○菅原委員 ありがとうございます。
 公立の小学校だけでも、定年退職者以外、六百人から大体八百人ぐらいの人数で大体推移しているということも伺いました。
 教員不足の原因というのは様々あると思います。先ほど紹介した文部科学省の教師不足に関する実態調査の資料によりますと、まずは産休、育休取得者が見込みより増加した、または特別支援学級の数が見込みより増加した、また、病気で休む教員が見込みより増加したなどのことがあって、さらに臨時的任用教員の成り手が不足している、こういう関係の中で教員不足が現実的になってくるということです。
 また、教員のブラックな就労状況なども指摘をされ、それが直接的な原因とはいえないとはいえ、教員採用試験の受験生自体も減っております。
 本来、教員はすばらしい仕事です。その仕事の魅力や将来性が伝わる取組が必要ではないかと思います。
 東京都教育委員会では、教員の確保のために、令和三年度からICTを活用した広報を開始したということですが、具体的な取組内容と成果について伺います。

○吉村人事部長 教員確保に向けて、教員採用に関するポータルサイトを開設し、現役教員のメッセージ動画などを広く発信したほか、大学説明会のオンライン開催を実施し、四十四大学で約千七百名が参加いたしました。
 さらに、志望者ごとに登録するマイページを設置して、学校種別や教科などの関心に合わせた情報を積極的に発信し、登録者数は四千名を超えました。

○菅原委員 東京都は、教員の健康保持や誇りとやりがいのある職務環境の整備などが学校教育の質の向上につながるとして、教育委員会として平成三十年二月に学校における働き方改革推進プランを策定して、教員の長時間労働の改善に向けて様々な取組を推進してきました。
 教員の確保に向けては、PRなどの広報活動も大切ですが、働き方改革の推進も重要です。取組の状況と成果について伺います。

○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会は、学校における働き方改革推進プランに基づき、小中学校においてはスクールサポートスタッフ、中学、高校では部活動指導員の活用等を進め、現在、希望する全ての学校に配置を行っています。
 こうした取組により、教員の時間外労働の状況は、いずれの校種においても減少傾向となっております。

○菅原委員 少し角度を変えて質疑を続けます。
 いわゆる通信簿の問題です。通信簿を書くためには、教員は多くの時間と労力を注ぎ込むといわれております。例えば、三十五人の通信簿を書くのに百時間ぐらいはかかるんだということも伺いました。多くの教員は、子供たちのために手を抜かないので、一生懸命に子供と保護者に伝わるように、丁寧に通信簿を作成していると思います。
 日本のほとんどの学校で行われている通信簿を働き方改革の場面で取り上げるのは、少し慎重にならなければいけないと思いますが、確認の意味で伺います。
 いわゆる学校での通信簿は、法根拠などもないと考えますが、その点について学校の実態を伺います。

○小寺指導部長 いわゆる通信簿は、法令上の作成義務はございませんが、多くの都内公立小学校におきまして、校長の判断の下にこれを作成し、児童に配布しているところでございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 いわゆる通信簿ですね、法的根拠はないんだということが確認できました。
 それでは伺います。学校で通信簿を作成、配布する意義についての見解を伺います。

○小寺指導部長 いわゆる通信簿は、学校における学習の成果や課題、生活の状況などについて、児童が定期的に自らを振り返ることを通して、目標を持って次の学びに向かうことができるようになる、するなどの意義があると捉えております。
 また、保護者に児童の学校での状況を理解してもらい、連携して子供を育てることにもつながっております。

○菅原委員 ありがとうございます。
 通信簿の意義については、私も同感であります。
 今、小学校児童への評価の在り方について変化が起こっていると思うんです。相対評価から絶対評価に変わったのは、たしか十年ぐらい前でしょうか。最近はその評価の在り方がさらに変わってきているということです。
 先日、私は、神奈川県茅ヶ崎市の香川小学校に行ってまいりました。この小学校は二年前から、いわゆる通信簿をやめました。先ほどの答弁にあったように、学校長の判断によって通信簿をやめたということですが、実際は、教職員の会議などで議論を二年間行い、学校を代表する学校長が判断したということを伺ってまいりました。
 この学校の場合は、教員の労働問題よりも、児童の成長を評価する指標としてふさわしいのは何なのか、こういう視点で議論をしたそうです。結果、通信簿に代わり、三者面談の際に児童の成長を評価する、できるようになったこと、成長したこと、これを教員と保護者で認め合い、次の成長につなげるという取組をするようになったということなんです。
 先ほどは、いわゆる通信簿は法的根拠がないという答弁をいただきました。では、法的根拠のある評価はないのかと問われれば、指導要録があります。
 指導要録とは、学校教育法施行規則第二十四条に、校長は、その学校に在籍する児童等の指導要録を作成しなければならないとあり、こちらは義務です。指導要録には学籍に関する記録と指導に関する記録があり、どちらも保存年限が明示されているもので、進学の際には、その写しを進学先に送付する決まりです。
 つまり、多くの教員は、通信簿と指導要録という評価の書類を二つ作っているということになります。今日はこの点だけ確認をさせていただきたいと思います。
 視点を変えます。防災について。
 防災は情報戦の部分が大きいと思います。そして、教室の中で学ぶ部分も重要ですが、被災をした現地でしか感じられないこともあると思います。
 私の選挙区であります日野市では、東日本大震災以後、被災地に学ぶ生きる力プロジェクトという事業を立ち上げて、毎年、中学生を宮城県気仙沼市に派遣をし、被災地の現状を知り、地元の中学生との意見交換などを行っています。コロナ禍では、オンラインの交流を行ってつながりを保ってまいりました。
 都教育委員会は、令和元年度までの四年間、都立高校生が宮城県や岩手県などを直接訪問する合同防災キャンプを実践してまいりました。
 こうした取組の成果を踏まえて、現在は防災士の養成講座を行っていますが、その実績を伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、都立高校生を対象に、将来の防災リーダーを育成することを目的として、防災士の資格を取得するプログラム、防災士養成講座を実施してまいりました。
 昨年度までに、四百十六人の高校生が防災士の資格を取得しております。

○菅原委員 防災士とは、社会の様々な場で防災力を高めるために、十分な意識と一定の知識、技能を習得したことを日本防災士機構が認証した人ということです。
 九月末の時点で、国内では二十三万六千九百三十三人がこの認証を受けています。東京都には一万九千七百二十九人が認証を受けている。そのうち、東京の高校生四百十六人が防災士に認証されているという報告をいただいて、私はうれしく感じました。
 かねてより教育委員会が発行している防災ノートが活用されてきました。この防災ノートの活用の実績などをお示しいただきたいと思います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、防災ノートを都内に在学する全ての児童生徒に配布しており、各学校ではこれを活用し、避難訓練や防災学習の際に、地震発生時に安全に避難する際のポイントや、大雨や台風による風水害が発生したときの安全な行動などについて指導しているところでございます。

○菅原委員 この防災ノートですが、今年度から防災ポータルサイトの中で配信をしていますが、この特徴について伺います。
 加えて、ウェブでのデータ配信の場合は活用方法が広がってくると思うんです。その点についても見解を伺います。

○小寺指導部長 デジタル教材、防災ノートは、動画の視聴等を可能にするなど、学校でも家庭でも、一人一台端末を活用して主体的に学習できるよう工夫しております。
 児童生徒は、この教材を活用して、災害時における具体的な行動について、動画で学んだり、家族と共にリンクサイトを閲覧しながら、非常用持ち出し袋を確認したりしております。

○菅原委員 ウェブ版の防災ノートは、私も見させていただきました。広く、そして深い情報が詰まっているという印象です。
 高校生用の防災ノートには、避難所シミュレーションが特集されていました。災害が起こり、多くの人が避難所に集まってきた状況の中、泣いてばかりもいられない、動き出そうと、学校を一番知っている自分たちこそが避難所で運営に携わるべきだ、こういうせりふがありました。私も地元の地域の避難所運営組織のメンバーの一人です。地域の子供たちと一緒に避難所運営を進めることの重要性を感じています。
 さらに、荒川区では二〇一五年に、区立中学校の十校全てに防災部、クラブですね、防災部を創設しています。都立高校では、地域と連携した防災訓練と避難所設営、運営訓練が行われています。
 いつか来る関東直下型の大地震に備えることは大切です。海水温の上昇に伴って、関東にも発達した台風が上陸するリスクも高まっています。ハード面の強靱化は大事です。もう一つ、防災力のある人を育てることも大事です。
 これからの施策展開に期待をして、質疑を終わります。ありがとうございました。

○細田委員 私からは、まず、教員の処遇改善について伺います。
 決算説明書によれば、職員費やその他諸手当という項目は、毎月支払われています給料やいわゆるボーナスなどが含まれている教員の人件費だと聞いておりますので、この人件費に関連した質疑をさせていただきます。
 現在、全国で教員の確保が課題となっておりますが、その解決に向けての一つのポイントは、給与を含む教員の処遇の見直しが重要だということだと私は考えています。
 教員を含む地方公務員の給与につきましては、地方公務員法に基づいて、民間給与との均衡を図ることを基本としており、人事委員会が給与の公民比較を行って、適正な水準を確保するように知事と議会に対して勧告を行っています。この勧告を踏まえて、給与条例の改正について議会で審議を経た上で決定することになります。
 そこでまず、昨年度、人事委員会勧告を受けていかなる改正を行ったのか、質問をいたします。

○稲葉人事企画担当部長 令和三年は、人事委員会勧告を踏まえ、期末手当を〇・一月分引き下げる改正を行いました。

○細田委員 昨年は期末手当の引下げが行われたとのことでした。
 一方、本年の人事委員会勧告は、今月、十月十二日に出ました。その内容は、民間従業員の給与が職員の給与を上回っていることから、公民較差の解消を図りつつ、人材確保などの観点から、初任層に重点を置いて、若年層の例月給を引き上げるとともに、勤勉手当を〇・一月分引き上げるというものであります。
 具体的には、大卒教員の初任給について、十九万七千三百円から二十万一千九百円へとプラス四千六百円の改定が勧告されておりまして、年間で五万五千円を超える。この各種手当が加われば、さらに増額が見込まれることになります。
 このように、今回の勧告は、教員の確保のためには若手教員の処遇を見直していくべきという私の主張とも、方向性を一にするものでありますが、そしてこのことを評価したいと思っています。
 教員の給与については、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から、国が三分の一を負担しています。教員の給与には国の負担も含まれていることから、教員の処遇を改善していくためには、もちろん国への働きかけも重要であります。
 そこで、これまでにどのような働きかけを行ってきたのか、都の答弁を求めます。

○稲葉人事企画担当部長 都教育委員会は、公立学校教育を担う有為な人材を確保していく観点から、義務教育費国庫負担金の算定方法を見直し、若手を中心とした教員の給与制度の改善を図るために必要な措置を講ずることについて、国へ要望いたしております。

○細田委員 教員の処遇改善につきましては、第三回定例会都議会公明党の代表質問で取り上げましたように、教職調整額の問題があります。
 すなわち、教員には、いわゆる給特法に基づいて、給与月額の四%に相当する額が教職調整額として支給される代わりに、超過勤務手当が支給されていない。そもそもこの給特法が制定されたのが昭和四十六年、半世紀前ですね。この四%という水準が現在の教員の働き方に合わなくなっており、教員の確保にも大きく影響していると考えられます。
 このため、その見直しについて都教委に見解を求めたところであり、教育長からは、国への働きかけについても検討する旨の答弁があったところであります。ぜひ積極的に検討していただくことを求めまして、次の質問に移ります。
 特別支援教室の連携した支援の推進についてお尋ねします。
 発達障害のある児童生徒が通級による指導を受ける場合に、通学にかかる時間や安全確保などの負担がありました。こうした負担を改善するため、都教育委員会では、児童生徒が自校で特別な指導を受けられるように、教員が巡回により指導を行う特別支援教室の導入を平成二十八年度から推進して、昨年の令和三年四月には、全ての都内公立小中学校で設置を完了したと聞いております。
 特別支援教室の巡回指導教員が学校を直接巡回して、巡回された在籍学級の教員や支援員とが連携を図ることで、特別支援教室での指導成果を在籍学級でも実践しやすくなり、集団で学校生活を送る上で、子供が自信と安心を抱き、改善につながっている好循環が令和三年度から着実に進んでいると理解をしています。
 こうした取組は、学校全体が一体となって取り組むことで大きな成果となると考えますが、学校によっては、発達障害のある子供への関わり方に関して認識の差があることも仄聞いたします。
 ダイバーシティへの取組の温度差をなくすために、発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒は、どの学校、学年、学級にも必ず在籍しているという都教育委員会の考え方と、そして、特別支援教室で学んだことを在籍学級で取り込もうとする子供の姿勢を育てるとの方針など、各学校の管理職、教員などがよくよく理解をして取り組んでいく必要があると私は思いますが、これまでの都の取組について見解を求めます。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教室で指導を受ける児童生徒は、学校諸活動の多くの時間を在籍学級で過ごしているため、その指導支援は、特別支援教室の担当教員だけではなく、校長のリーダーシップの下、全ての教員が取り組む必要がございます。
 こうしたことにつきまして、都の特別支援教室巡回運営指導員が直接学校を巡回する際に、校長に対し学校の運営方針に反映させるよう助言したり、都教育委員会と小学校、中学校長会との意見交換の場を通じまして周知をしてございます。

○細田委員 発達障害への社会的な理解の促進などから、支援が必要となる児童生徒はさらに増えていくことも想定されます。
 巡回教員による指導に当たっては、指導内容や方法をより明確にするため、特別支援教室と通級学級の指導や支援の両方について、個別指導計画を作成する必要があります。個別指導計画には、重複する部分や連携して対応する部分などもあります。これらを一本化して、特別支援教室での指導と通級学級での指導をより一層連携させていくことで、効果を高めるよう取り組むべきと思いますが、都のこれまでの取組について見解を求めます。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和三年三月に特別支援教室の運営ガイドラインを作成し、巡回指導教員が在籍学級担任と互いに連携を図り、当該児童生徒の指導に当たれるよう、連携型の個別指導計画の様式やその具体的な活用方法などについて例示し、活用を促してございます。

○細田委員 今のご答弁は、既に行っておりますと、令和三年度に行ってきましたと、こういうご答弁でございました。今後の成果に期待をしております。
 支援が必要となる児童生徒が増えていくと予想される中で、事務に係る仕事についても、現場をサポートできる取組を検討なされるよう要望をしておきます。
 そして、昨年の第三回の都議会定例会、ちょうど一年前のことですが、代表質問におきまして、発達障害による学習上または生活上の困難の改善をさらに進めていくためには、区市町村に特別支援教室での原則指導期間を設定した趣旨とその運用について、より丁寧に説明を尽くすべきと質問をいたしました。
 そのときの教育長の答弁におきまして、子供たちが抱えているそれぞれの学習上の困難さに応じて目標を設定して指導を行い、学校生活の一年間のサイクルが終了する時点で必ず振り返りを行う趣旨で、指導期間を原則一年間と定めたこと、また、必要な場合は一年間指導を延長して、延長終了時には改めて支援策を検討し、特別支援教室での指導継続を含め、子供の状況に応じた適切な支援を行うとのことでした。必要があれば継続して支援を受けることができるということであります。
 事前に都教育委員会に確認をしたところ、指導期間について丁寧に説明した資料を作成し、区市町村教育委員会に配布をされたり、区市町村教育委員会や小中学校校長会とも意見交換の場などを通じて、繰り返し説明をされているとのことでありました。指導を受ける子供やその保護者が不安になることがないよう、引き続きましてこうした取組を推進していただくことをお願いしておきます。
 発達障害による状態は子供一人一人で異なります。特別支援教室への入室の判断は大変難しいと伺います。そのため、入室の判断に際して各校で差が出ている現状もあろうかと考えます。都の見解を求めます。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、令和三年三月に策定いたしました特別支援教室の運営ガイドラインにおきまして、国が定める法令等の趣旨を踏まえ、各学校での判断や、その判断を基にした各区市町村教育委員会による入室の適切な判断に資することができるよう、その取扱いを詳細に記載し、各区市町村教育委員会及び各校に周知してございます。

○細田委員 周知されているということでございますので、この周知された取組によって、全ての公立校に差が出ている現状がないような運用が図られていくことを期待しております。
 特別支援教室に通う子供の保護者は、どう対応したらよいのか分からず困っている方が多くいると聞いております。障害により表出している行動に対して、叱ったり、よくない影響を子供に与えてしまっている場合もあり、適切な関わり方を伝える場が必要であります。
 区市町村教育委員会が学校と連携して対応していることと考えますが、都教育委員会の取組についてはいかがなものなのか、見解を伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、教職員や保護者などに都の発達障害教育を理解していただくためのリーフレットを作成し、ホームページで公開するとともに、学校を通じて保護者へ配布してございます。
 また、在籍学級担任等が、指導を受けようとする児童生徒及び保護者に対して説明する際に、専門的な知見から様々な意見を伝えることができるよう、臨床発達心理士等を派遣してございます。

○細田委員 様々な取組を実施していただいているということで、引き続き取り組まれていくということを確認させていただきました。
 また、本年六月からは、発達障害を伝え、周知していく取組の一つとして動画が公開されていることも、前進している例だと理解をしております。発達障害のある児童生徒が、特別支援教室での指導や通常学級での支援を受けながら、将来、自立した人間として成長していけるよう、今後もこうした取組を都教委は着実に進めていただくことを要望して、お願いして、次の質問に移ります。
 関連して、青鳥特別支援学校八丈分教室についてです。
 令和三年度から三年間のモデル事業として設置されました青鳥特別支援学校八丈分教室についてです。モデル事業との位置づけと令和三年度の取組状況について、いかがでしょうか、答弁を求めます。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、令和三年四月、都立八丈高校内に青鳥特別支援学校八丈分教室を開設し、生徒三名が入学いたしました。
 令和四年三月に策定いたしました特別支援教育推進計画では、分教室において、高校の生徒との交流及び協働学習や、島内の団体、企業等と連携した進路指導などを通じ、分教室における特色ある教育内容等を検証することとしております。
 令和三年度は、高校との交流行事の実践をはじめ、島の特産物を取り入れた作業学習の実施や、島内の企業関係者などに向けた学校見学会など、様々な取組を行ったところでございます。

○細田委員 今まで、八丈町に特別支援学校を設置したいと望んでいた方々からは、夢のようなことです、とてもとても手厚く子供たちを見てくれていますという声が届いています。
 また、青鳥特別支援学校の八丈分教室ということで、メーテルリンクの青い鳥の言葉を、チルチル、ミチルの夢と希望の冒険、本当に夢のような分教室が開かれましたという、そういう声も八丈から届いているということです。
 また、以前と比べて保護者の負担も大きく減りましたと、こういう声もありました。そして、都が進めてきたダイバーシティの考え方も八丈島の中で広がりつつある、このような声も聞きました。
 学校を卒業してからの地元での雇用も考えていこうというような意見交換も、事業者や教育関係者、議会などでも起きているようです。
 どうぞ子供たちの未来のために、様々な課題を乗り越えて、今後とも、後押しを進めていただいて、この八丈モデル事業が着実に進展していくよう要望しておきます。
 続きまして、防災ノートについてお尋ねします。
 近年、地震や台風など様々な災害に対する備えがますます重要になってきておりますが、同じ東京都でありましてもその特性は異なっております。
 私の地元江東区は、まさに東部低地帯、ゼロメーターもしくはゼロメートル以下のところが多いという、荒川、隅田川に挟まれた地域でございまして、水害への備えが必要であり、都が作成している東京マイ・タイムラインを活用することは大変に有効であります。
 防災教育は命に直結するという点では、決して軽視することができず、様々な何々教育ってありますけれども、また、学校の現場も先生方も大変だと思いますが、防災教育、大変に重要な位置づけの教育であると、このように思っております。
 私は、平成三十年度の決算特別委員会、まさに第二分科会で、当時の防災ノートの活用状況や今後の活用について質問したところ、様々な災害を網羅した防災教育の総合的な教材集となっていて、学校における防災学習はもとより、地域の防災訓練でも活用できるものになっていますとご答弁をいただいたところでございます。
 令和三年度に作成したデジタル教材の防災ノートは、これまでの防災ノートのよさを継承して、より活用しやすいものになってきていると思います。GIGAスクール構想の下、全小学生、中学生、公立学校にタブレットがしっかりと行き渡り、そして、自治体間の間で、現状においては運用に差があるものの、子供たちが、児童生徒が予習、復習に使えるという、こんな状況が今訪れたわけです。
 どのような工夫をできているのか、答弁を求めます。

○小寺指導部長 これまでの冊子の防災ノートは、自分で記入することで学びを深められるようにしておりまして、デジタル教材、防災ノートは、この特徴を継承しつつ、解説動画を加えることなどで、端末等を活用いたしまして、より防災への理解や意識が進むように工夫しております。

○細田委員 分かりました。
 子供たちが興味を持って主体性が進んでいく、そういう教育であることが大変重要であると思っております。今のご答弁は、そういう方向で進めている、こういう答弁であったと確認をいたしました。
 そして、次に、もう一つ大事なことは、わくわくどきどきする、子供たちが協働的になってわくわくどきどきする、こういうことが重要だと私は考えています。
 実はつい今月も、教育庁がやることじゃないんですけれども、ある別の局が主催しているところに手を挙げた小学校の教育を見てきました。四十五分間があっという間に過ぎて、子供たちがもう終わっちゃったのという、わいわい騒ぎながら、指導教員も見事な教育を行ったという、こんな事例があったんですけど、子供たちにもう終わっちゃったのといわれるような、そういうような主体的にみんなが協働してできる、こんな教育は最高だというふうに、あれを見ていて本当に思ったんですけれども、すみません、まさにこれが、この防災教育でもできるんじゃないのかって私は思います。
 例えばDIG、災害時図上訓練って皆様もよく分かっていると思うんですけれども、ああいうものを自分たちの周りの地域、例えば小学校、中学校でも、エリアにどんな状況があるのかなということを見て回る、そしてそれを子供たちが話す、こういうときに、タブレットがある、防災ノートがある、ハグという、HUGと書きますけど、皆さんもよくご存じだと思いますけれども、そういうものもある。こういうものを協働で使っていける大チャンスが令和三年度に訪れたんだなって、私はこの進捗状況を見てそのように確信した次第であります。
 子供たちがこの防災ノートを意欲的に学べるようにするために、デジタル教材の防災ノートはどのような工夫がなされているのか、都の見解を求めます。

○小寺指導部長 子供が一人一台端末等を活用いたしまして、主体的、意欲的、また、友達と協働的に学べるよう、デジタル教材、防災ノートは、まず災害時の基本的な行動を理解し、次に自らの行動を考え、さらに地域の中で自分ができることを友達と話し合って端末に入力するなど、段階を追って学びが深められるよう構成を工夫しているところでございます。

○細田委員 私も、パソコンとスマートフォンで、実際にこのデジタル教材、防災ノートを拝見しました。まさにイラストや写真がきれいで、また、様々なリンクが配置されていまして、さらに小学校の低学年用、一年から三年、四年から六年、中学生版、高校生版と、それぞれ分けて作成されるなど、発達段階を意識された大変によい教材であると思いました。
 しかし、どんなすばらしい教材でも、子供たちに活用してもらわなければ、先ほど申し上げましたように意味はございません。
 そこで、デジタル教材、防災ノートについて、まず教員の方々が効果的な活用の在り方を知って運用を試みていくこと、このことが大切だと私は考えますが、都教育委員会の取組を伺います。

○小寺指導部長 都教育委員会は、デジタル教材、防災ノートを活用して行う授業の事例や家庭学習の事例などを紹介した教師用ガイドを防災教育サイトに掲載いたしまして、教員がこの教材について理解を深められるようにしております。

○細田委員 分かりました。
 もう一つ、私は昔、以前、中学校のPTAの会長をさせていただいておりまして、PTAだとか保護者の方がこれを知っていくということがとっても大事で、子供がタブレットを持って帰ったよねと、何だ、こんな夢中になっている、何だろうというようなことが学べていけるように、そういうチャンスをつくってもらって、保護者にも普及していくように、そうしたら保護者会だとかそういうので紹介していってもらうような、あまり学校現場に負担をかけないけれども、これってやっていったときにすごいことなんだねと、保護者の方々は、私の子供たちすごく一生懸命やっているね、これいいよねということを、親も、保護者も、学んでいけるというような、こんな地域挙げての取組にしていったら、学校においてもその力が増してくると思うので、そういう広がりをしていただけることを要望しておきます。
 次に、社会教育施設についてお尋ねいたします。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されました令和三年度、都立中央図書館では、大会終了後、聖火リレートーチや衣装、競技用具などの展示を行ったと聞いています。こうした大会のレガシーは、未来に向けて継承していく必要があります。ハード、ソフトの両面で事業に取り入れていく姿勢が重要になります。
 江東区にあります都立夢の島公園には、都教育委員会が所管します社会教育施設であるBumB東京スポーツ文化館が設置されています。東京二〇二〇オリ・パラ大会では、BumBに隣接する夢の島公園がアーチェリーの競技会場として活用され、東京スポーツ文化館、それ自体も大会運営に利用をされました。
 様々なスポーツ活動や文化活動を行うために、都民が集う東京スポーツ文化館におきまして、こうした経験は大変に貴重で得難いものであります。ゆえに、レガシーとして、その後の事業に反映していくことがとても大切になります。
 そこで、東京スポーツ文化館での東京二〇二〇オリ・パラ大会の経験を踏まえた令和三年度の都教委の取組について答弁を求めます。

○岩野地域教育支援部長 東京スポーツ文化館は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会において、隣接するアーチェリー場とともに競技の拠点として利用され、各国の選手が集う場となりました。
 大会終了後、エントランスには、各国の出場選手や大会関係者の寄せ書きがされたアーチェリーの的を展示し、スポーツ活動を通じた人と人とのつながりや交流のすばらしさを発信いたしました。
 また、青少年団体のスポーツ活動が促進されるよう、令和三年十月から、アーチェリー場の利用者に対し、東京スポーツ文化館の宿泊施設の優先予約や、同館のスポーツ施設等を併用する利用者と同等の宿泊料金を適用するなど、近隣のスポーツ施設との連携を強化し、活動しやすい環境を整えました。

○細田委員 レガシーにつなげていただけるということで、今、施設の貸切り利用と宿泊利用を併用する場合には、利用日の十二か月前の一日から予約ができるとなっていますが、アーチェリー場を利用して宿泊する場合も同様にされると、こういうことだと思います。
 また、学校行事の利用や併用で宿泊する場合には、二割以上割安にして宿泊できるような措置が今ございますが、アーチェリー場の利用をした場合にも同様に適用して、レガシーにさらにつなげていく、こういう取組をされているということを確認いたしました。
 最後に、都のオリンピック・パラリンピック教育についてです。
 都教育委員会は、オリンピック・パラリンピック教育の実施方針に基づいて、体験活動の重視、多様な団体とのネットワークづくりの推進、そして家庭や地域を巻き込んだ取組を掲げて、平成二十八年度、二〇一六年度から五年以上かけて、都内の全二千三百校でオリ・パラ教育を組織的、計画的に推進してきたと伺っております。
 平成三十年、二〇一八年には、オリ・パラ教育について、私もこの場で、まさに同じ分科会で質問をさせていただきました。
 東京二〇二〇オリ・パラ大会は、新型コロナ感染症という未曽有のパンデミックにより、様々な困難を強いられた中で、史上初の一年延期と、そして無観客開催という中で、令和三年の夏に、世界から称賛される歴史に残る大成功の大会が東京で無事に開催されたわけであります。
 昨年度、各学校では、アスリートを招聘して競技を体験したり、大会をテレビ観戦して選手と交流をするなどを行って、アスリートとの交流がレガシーとして児童生徒の心に刻まれているとの声が届いていると聞いています。そしてさらに、レガシーへとつながるオリンピアン、パラリンピアンとの交流の機会も生まれたと理解をしております。
 都は、今後、レガシーを生かして、共生社会の形成に向けて、長く教育活動として根づかせて、未来の東京の担い手になる人材を育成していくことを目標に掲げておりますが、これに向けて令和三年度に行った、都教育委員会が優れた取組を検証したレガシーアワード校の実践と、こうしたレガシー実践報告やレガシーボランティア活動などの実践をほかの学校に広げるための都教育委員会の取組について答弁を求めます。

○小寺指導部長 昨年度のレガシーアワード校の中には、地域での花の種まきや清掃等のボランティアを通じて、社会の一員であるという自覚や思いやりの気持ちが育ったという事例や、テレビで大会を観戦した際の感想を全学年で端末に入力して感動を共有し、スポーツへの関心が高まったという事例などがございます。
 都教育委員会は、こうしたアワード校の取組をホームページに掲載するとともに、レガシー報告会において優れた取組を発表し、他の学校に周知啓発を図ったところでございます。

○細田委員 オリ・パラ教育を通して身につけさせたいボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚の五つの質ですけれども、この五つの質育成に向けた実践が、大会後も継続、発展できるようにするための東京都教育委員会が行った取組についてはいかがでしょうか、答弁を求めます。

○小寺指導部長 都教育委員会は、大会後もオリ・パラ教育の成果を踏まえた取組を継続して実施することができますよう、オリンピアンやパラリンピアンが子供たちに夢を持たせることの大切さなどを教員に伝えるレガシー報告会での講演を撮影いたしました動画を都内の全公立学校に配信いたしました。
 また、各学校の取組の写真や動画など、オリ・パラ教育の成果をまとめたデジタル資料もホームページに公開いたしております。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 資料の提出、ありがとうございました。
 私からは、英語スピーキングテストについて質問いたします。
 公立中学校三年生全員の約八万人を対象に行われる英語スピーキングテストの都立高校の入試への活用をめぐって、中止を求める声が日を追うごとに広がっています。
 十月十四日には、英語教育やテストの専門の大学教授の方々、五人の方々が、英語スピーキングテストを都立高校の入学者選抜に使用しないように求めて、都庁で記者会見を行いました。
 この会見で、専門家の皆さんは、不公平な入学者選抜が行われる可能性が高いこと、そして円滑な試験運営ができない可能性が高いこと、これを指摘して、二〇二三年度の都立高校の入試に活用しないことを求める要望書を提出しています。
 我が党はこれまでも、公平、公正な試験になっていないこと、個人情報の扱い、一民間企業による利益相反の問題、都教委による不当な支配の問題など、明らかにしてきました。
 今日は、昨年度までの取組、特にプレテストでの結果から伺っていきたいと思います。
 昨年度は、当時の中学三年生を対象としたプレテスト、初めての全中学三年生を対象としたプレテストが秋に行われて、約六万四千人が受けたということです。
 ここで、どういう結果になっているのか、どのような状況だったのかを検証していくということが大事ですけれども、入試改革を考える会の方々が都教委と教育長に対して、今年の五月十七日に公開質問状で、プレテストにおいてミスやトラブルはなかったのかと聞いています。
 昨年度行われたプレテストでミスやトラブルがあったことは認めますか。

○瀧沢指導推進担当部長 昨年度実施しましたプレテストにおきましては、スタッフが受験票を確認する場所を誤り、生徒の入室が滞ったなどはございましたが、機器の不具合が原因で録音ができなかったなど、採点や評価に影響を及ぼす事象は発生しておりません。
 プレテストは適切に実施されており、解答音声は全て採点基準に基づき公平、公正に採点され、結果は生徒一人一人に返却をされております。

○斉藤委員 聞いたことにシンプルに答えていただきたいんですね。今のご答弁、機器の不具合が原因で録音できなかったケースは生じていません、私、そんなふうに限定して質問していません。
 ミスやトラブルがなかったのか、お答えいただけませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 昨年度、プレテストを中学校で実施したことに伴いまして、中学校の教員、生徒の状況等に応じて柔軟に対応したというものがございます。それに伴いまして、指示が不徹底であったことや、教員からの要望などに対応したなどの想定、マニュアルで予定をしていたものと異なる事象が生じたということは把握をしておりますが、先ほどと同じ回答になりますけれども、採点や評価に影響を及ぼす事象は発生していないというふうに捉えております。

○斉藤委員 今、ミスやトラブル、一例答弁していただきましたけれども、要するにミスやトラブルがあったということで、これは今日、資料要求にも出していただいています。資料要求の16ですけれども、このトラブルについての報告、この基となっているのが開示請求、これ、都民の方が行った開示請求で出てきているものです。
 中学校英語スピーキングテスト最終報告書、これ、都民の方の開示請求によって九月二十二日に開示されたということで、私もその資料を手にしていますけれども、まさにこの中で、このことはミス、トラブルとして報告されています。
 これは明らかなんですけれども、このプレテストの状況をまとめた最終報告書、都教委がベネッセから提出してもらったのはいつですか。

○瀧沢指導推進担当部長 令和四年三月に受領をしております。

○斉藤委員 昨年度末の三月に受領していたと。
 しかし、入試改革を考える会の方々が五月十七日、この受領していた後ですね、公開質問状で、二〇二一年度のプレテストにおける事故やミスのデータを出してくださいと求めたことに対して、都教委は、機器の不具合が原因で録音ができなかったケースは生じていませんと、まさにさっきの、今の答弁と同じ回答を行って、実際にミスやトラブルがあった事実について回答しませんでした。
 なぜ隠していたんですか。なぜ、プレテストのこの最終報告書の存在やトラブルの報告があった事実を明らかにしてこなかったんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 今、委員からお話があった報告書につきましては、事業者から都教委に向けて、その実施の状況について報告をされたものでございます。
 先ほどのお答えと重複いたしますけれども、事業者が事前に準備をしていた、その状況と併せたときに、それぞれの学校の状況等に応じて柔軟に対応した等々がございますので、それが異なるという意味で、そちらのミスやトラブルという欄に記載をしているというものでございます。
 結果といたしまして、事業主体であります私たちとしては、機械で録音できなかったというような、そういうケースはなく、採点や評価に影響を及ぼす事象は発生していないというふうに考えており、そのように報告をしているところでございます。

○斉藤委員 なぜ事実を答えずに隠してきたのかと、そういうふうに聞いているんです。今いろいろいわれましたけれども、これ、こういうのを私、詭弁というんじゃないかなって思うんです。
 同会の方々は、機器の不具合が原因で録音できなかったなど、試験結果に影響を与える事象はあったかというような、そんな限定的な質問をしていないんです。シンプルに、プレテストにおける事故やミスのデータを出してくださいと聞いているんです。それを勝手に都教委の解釈で答えない。どういうことかなと思うんですけれども、現にこの事業者であるベネッセコーポレーションも、ちゃんとミス、トラブルとして表記しているんです。
 実は、今日出していただいているこの要求資料には、ミス、トラブルというふうな表題になっていません。都教委の解釈で表記されていますけれども、こういう勝手にすり替えるような答えにして、このミスやトラブル、報告しなかった。本当にこれは私は、都民にうその回答をするようなことは、教育機関として本当にあり得ない、恥ずべき重大な行為だというふうに思います。
 教育長に伺います。公開質問状は教育長宛てにも出されています。都民に対してこうした事実を隠した回答を行ったことは、教育長も承知の上でのことですか。(瀧沢指導推進担当部長発言を求む)教育長に聞いています。教育長です。教育長に私は聞いています、委員長。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になります。今回資料要求ありましたのは、実施主体であります都教育委員会に対して聞かれたものということで、その旨を記載しております。
 ご指摘の書類につきましては、事業者が都教委に対してその事象を報告したものでありまして、スピーキングテストの実施主体である施策として実施した結果ということで、都教委にも報告をしております。

○斉藤委員 どんなに言い訳を並べても、都民の方々に対してまともに回答しなかったという事実は、これ、消しようもない事実です。
 今、私、教育長に聞きましたけれども、教育長承知の上の回答なのかどうか、これ明言がありませんでした。承知の上ならとんでもないことですし、知らなかったということもあり得ないことですけれども、本当に答えないというのは不誠実な姿勢そのものです。
 公開質問状を出した同会の方も、また開示請求を行った方も、トラブルはなかったかのような回答をしていた都教委が、実はトラブルが記載されている報告書を持っていたと知って、大変衝撃を受けています。教育委員会への信頼も失墜する事態です。どう受け止めますか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますが、先ほどの報告書を受けまして、あるいはそれより前に、それぞれの事象については、都教育委員会の方で個別の事象については、詳細に状況を把握しております。
 先ほど来お話をしておりますように、事前にマニュアル等々で対応を決めていたものとは違う対応が、学校の要望等々もありまして行ったということはございます。あるいは監督員の言動が不徹底だったということもございますけれども、それがこの事象について、この施策についてのミス、トラブルということと直結するというふうには考えておりません。よりまして、私たちがそのミス、トラブルを隠したという指摘は当たらないというふうに考えております。

○斉藤委員 今、驚きの答弁ですよ。状況を把握していて、報告が上がっているのを分かっていて都民にはいわなかった、そういうことですね。何重にもひどいと思います。
 そして、ここに今資料で出してもらいましたけれども、ベネッセ自身がミス、トラブルとして報告している二十三件、これはミス、トラブルとして都教委は考えていない、そういう答弁だと思いますけれども、あまりにひどい状況だと思います。これでこのテストを入試に使えるというのは、私、とんでもないと思うんですね。
 もう一つ伺います。このベネッセからのプレテストの最終報告書でトラブルがあったことについて、なぜ教育委員会にも報告しなかったのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 最終報告書は、実施協定に基づいて事業者から都教育委員会に対して報告されたものであります。
 また、プレテストの実施状況につきましては、令和四年二月十七日に教育委員会にて報告を行っております。

○斉藤委員 また聞かれていることをすり替えて答弁しているんですね。私は、トラブルがあったことをなぜ報告しなかったのかと聞きました。
 二月に報告しているのは受験生の解答結果の傾向についてですね。トラブルについては報告していません。本来は、こうした重大なことはきちんと報告して、少なくとも都民に分かるように改善をしていく、どう改善できるのか、こういうことを検討するということが必要なんじゃないでしょうか。
 そのミスやトラブルの事実さえ認めないという姿勢は、私、本当に重大だと思います。都合のいいことだけ、問題がないことだけ報告していくようなやり方は許されません。こうした都教委の姿勢が都民からの信頼を大きく損ねていることを厳しく指摘しておきます。
 このプレテストでのトラブルについて伺っていきます。
 トラブルについて、どのように対策を行ってきたのかということも、都民からの公開質問状で問われています。
 先ほど来ご答弁で、機器の不具合が原因で録音できなかったなど、試験結果に影響を与える事象は発生していないということを強調していますけれども、機器のトラブル自体は起きていて、この最終報告書でも報告されています。
 報告書の不具合の調査結果のところでは、不具合として報告されたタブレットは百九十三台となっています。また、別室対応の項では、タブレットの不具合で百三十六人、イヤホンの不具合で四十八人、イヤーマフの不具合で三人が別室対応になったと報告されています。これに間違いありませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 委員ご指摘のとおりでございます。

○斉藤委員 これ間違いないと。
 報告書では、百九十三台のうち十台は不具合が確認されたとして、音声再生、録音不良が八件、そして、画面のフリーズや画像乱れなどが一件、機器不良が一件となっています。百九十三件の不具合のうち、百三十六件は別室で行っているというわけですから、試験開始後に不具合になったのだと思います。
 ESAT-Jは、質問がタブレットに示されて、準備時間十秒、解答の録音時間十秒というものもあり、少しでも動作が悪ければ子供たちは解答できません。その心理的負担は相当なものだというふうに思います。
 先ほど来、機器のトラブルはなかった、録音に支障のあるようなことはなかったといっていますけれども、実際は音声再生、録音不良、こういった不具合が報告されているわけです。こういう事実にちゃんと向き合わない、そういう姿勢は本当にひどいと思います。これが実施できるのかという、本当に大きな疑問です。
 タブレットの不具合は、しばらくたてば自然に直るということもあって、申告後に大人が確認できた不具合が十件だったとしても、ほかは機器のトラブルではなかったとはいえないのではないでしょうか。
 このプレテストであったような機器トラブルを減らすために、どういう対策を行ったのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 今の委員のご発言、ご質問の中について確認をさせていただきたいと思いますが、生徒から不具合あるいは何かしらの要望があった場合には、機器をその場で確認するということはせず、全て機械を取り替えるということで対応をしています。ですから、スタートした後に機器の不具合があったという、そういう事例はない、だからこそ録音ができなかったことによる採点等々ができなかった事象はないということであります。
 ですので、実際に機器のトラブルではなく、生徒の何かしらの対応や認識の違いということにより生じたものについては、多数含まれた数字がそれであり、結果として機械を取り替えることで対応したというのが、そこに挙げられているものでございます。
 ですので、今年以降も同じような対応をすることによって、迅速かつ円滑に試験を実施することができるということを最優先して、同じようにやっていくということで対応してまいります。
 さらに、機械につきましては、不具合がないように、さらに改善していくということは当然ですが、機器の不具合が起きるということを想定もしつつ、さらに円滑に行うことができるよう、万全の体制を取っていきたいと思います。

○斉藤委員 万全の体制を取っていくっていいましたけど、でも事実が認識できていないんだったら、無理なんじゃないですか。
 今いろいろいわれましたけれども、報告書、ちゃんと書いてありますよ。どこを見ていっているのかなと、私、思います。
 この報告書九四ページですけれども、部長がご答弁されたように、問題があった場合はすぐに機器を取り替える、そういう対応を現場では行っているということですけれども、ただ、その回収した機器がどういう状態にあったのかというのはちゃんと調査されています。報告されています。その中に、さっきいったような音声再生や録音不良、こういうものが認められたものがあるわけなんです。
 最終的に取り替えて、録音できればいいという認識なのかもしれないんですけど、先ほどもいいましたけれども、生徒はとっても緊張した状況で試験に臨みます。慣れない機器を相手にテストをやらなきゃいけないわけですね。そういうときに、機器の不具合でうまく動かない、こういうことがあれば、別室の対応になってしまうこともあるし、生徒の心理的負担というのは本当に大きくなります。こうした生徒の負担を思えば、トラブルの原因究明、それから減らしていくということ、取り組まなければならないと思います。
 今ご答弁で、そういうことがないようにやっていくって最後はいいましたけれども、ちゃんとどういう状況にあるのかということをつかんでやってほしいと思うんですね。
 また、機器の様子が変だと思ったけれども、申告せずにそのままにしてしまったという生徒の声、保護者から聞いています。そうした状況もつかむ努力をしていく、こういうことが大事だというふうに思います。でも、これもできていないということは、私は本当に問題だということを指摘しておきます。
 都教委はさっきから、こうした録音できなかったなど試験結果に影響を与える事象は発生していないということを強調していますけれども、それ以外のトラブルは問題がないというような認識なんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 それ以外の事象というのがどのようなものを指しているのかについてですけれども、全ての生徒が安心して受験できるように、様々なことに配慮しながら万全の体制を取るということは、考えて取り組んでまいりたいと思います。

○斉藤委員 それ以外のトラブルにも万全に対応していきたい、それは当然だと思うんですね。そのためにもやっぱり、報告されているミスやトラブル、こういうもの、先ほどの最初の答弁で、なかったというようなことはとてもいえないことだと思いますよ。
 実際、今、資料要求で出していただいている、ベネッセがミス、トラブルとして報告してきているこの事項、この中を見ていきますと、機器の問題以外にも重大なトラブルが発生しています。
 目立っているのが試験監督に起因するトラブルです。最終報告書に記載されているこの二十三件のミス、トラブル、このうち大半の十七件、このトラブルが試験監督に起因する内容になっています。
 まず伺いますけれども、入試に関わる試験における試験監督の重要性について、都教委はどう認識していますか。

○瀧沢指導推進担当部長 当然のことながら、試験監督の職務は非常に重要であります。
 また、今回は通常の入学者選抜とは異なり、子供たちをサポートするために、多くのいわゆる補助員をつけています。そのことで、補助員も含めて、それぞれの教室、会場で、子供たちが安心して受験できるように、万全の体制を取っていくということで、これまでもプレテストを行ってきましたし、今年度も実施していきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 試験監督の職務は重要だというご答弁ですけれども、果たしてその重要という言葉にふさわしい対応になっているのかどうかというのが今問われていると思います。
 プレテストでは、試験監督のトラブルについて、上履きを忘れたり、無断で自家用車で会場に行って、挙げ句の果てに事故を起こしてしまうなど、こういう初歩的な問題のほかにも、受験票の確認を誤って会場窓口で行って、開始時間が十分以上遅れてしまったり、試験の前半終了時に誤って生徒を解散させてしまうなど、試験のオペレーションに関わるトラブルがあります。試験の情報漏えいにもつながりかねない問題です。
 試験監督や補助員が誤って試験の開始ボタンを押してしまうというケースも、幾つか見られます。この資料の十五番目に報告されているケースでは、補助員が誤って開始ボタンを押してテストを開始してしまった。自分がやったことではないのに別室に行くのは納得がいかずに生徒は泣いてしまい、試験が受けられなかったということです。機器のトラブルによって録音できなかったケースはなかったからいいという話ではないと思うんですね。
 こういう重大な試験監督による機器の操作ミスで受験に影響が出るようなことは許されないと思いますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 機器のトラブルあるいはそれ以外で受験ができないということを避けていくということは、当然重要であるというふうに考えます。
 今回、ここで報告されていますことにつきましては、一部が示されているというものですけれども、それぞれ本番とは異なる中学校で実施するというものが多数含まれておりまして、それぞれの学校あるいは教員、生徒等に、様々柔軟に対応する中で実施をしてきていると、そういう前提の下で記載されているということでございますが、いずれにしても今年につきましては、状況が異なりますけれども、万全の体制で全員が安心して受けられるように、体制を取っていきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 それ以外のトラブル、こうした試験監督に関わるようなトラブル、こういうことがあってはならないということが当然で、重要だということも今ご答弁ありましたけれども、そういう認識にふさわしいやり方に今なっているのかという点が非常に問題です。
 入試に関わるテストとなれば、昨年度のプレテスト以上に、生徒は本当に緊張を強いられて、心理的負担も大きくなります。昨年度のプレテストは中学校で行われたと、今ご答弁ありましたけど、まさに今度は高校を会場にして行われることがメインになってくると。そういう中で、慣れていない場所でどういうことが起こるかということも、生徒には大きな負担になるわけですね。
 また、この報告書には、人権感覚に欠く対応があったということも報告されています。この十六番目、今度は十六番目の報告ですけれども、特別措置が必要な生徒に対して、監督員から配慮を欠いた発言があったとあります。
 私たちのところにも情報が寄せられていますが、試験監督が会場で生徒のことを吃音の何々さんと呼んだり、緘黙の何々さんと呼んだということなんですね。あとは、この子は本当に耳が聞こえないのですかと、そういうことも、その場の試験監督から発言があったということがあります。あまりに人権意識に欠いた対応だというふうに思いますが、認識を伺います。
 あわせて、特別措置が必要な生徒に配慮する対応は、しっかりとした研修や経験がなければ身につけられないものだと思いますが、見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 生徒に対応する中で十分な配慮が必要だということは、当然のことだというふうに考えております。
 今年度の実施に当たりましては、特別措置を行う会場は別に会場を設定いたしまして、実施をする予定でございます。
 いずれにしても、全ての会場に、担当する者を含めて、あるいはそれぞれ特別な措置に関わる措置を担当する者は、さらにそれに加えて研修を徹底して、子供たちが安心して、円滑に受験できるように進めていきたいというふうに考えております。

○斉藤委員 全ての会場においてこうした配慮は必要で、ふさわしい人員配置が必要だという答弁ですけれども、この試験監督等について基本的なことを伺っていきたいと思います。
 実際に入試の監督にふさわしい人員が集められているのかどうか伺っていきたいと思いますが、まず、昨年度のプレテストでの試験監督等の基本的な状況について伺います。
 プレテストで動員された試験監督等は何人で、どういう雇用形態や経歴の方々だったのか、試験監督の未経験者もいたのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 試験監督など本テストに従事するスタッフにつきましては、基本協定及び実施協定に基づいて必要数が配置されたものでございます。
 なお、試験監督等の人数につきましては、テストの公正、公平な運営上の機密事項に当たるため、公表をしておりません。

○斉藤委員 試験監督等の採用に当たっては事業者が行うものというのは、私はこれ無責任だと思うんです。今ご答弁にあったように、試験監督の業務って入試に関わる試験ですから本当に重要な業務なんですね。それは認識を示していただいたとおりだと思います。だけど、それに対して東京都は、直接関与しないと。一体どういうふうになっているのかということが見えてこないわけです。
 ちょっと確認したいんですけれども、昨年度のプレテストでは、試験監督、延べ数が九千六十四人だったということは最終報告書に示されています。その数字には間違いありませんか。

○瀧沢指導推進担当部長 今回、資料要求あった中にはございませんけれども、報告書でそのような報告は受けているため、私たちとしては数については把握をしております。

○斉藤委員 この数字は確認しているということですね。
 続けて伺います。プレテストでの試験監督等の人員がそろったのはプレテストの何日前だったのか。また、プレテストの試験監督等には全員に研修が行われていたのか、都教委は確認していますか、併せて伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 試験監督などにつきましては、基本協定及び実施協定に基づいて実施されているというものでございます。
 詳細については、テストの公平、公正な運営上の機密事項に当たるため、公表はしておりません。

○斉藤委員 全ての試験監督等に研修を行っているかどうかというのは確認されていますか。

○瀧沢指導推進担当部長 実施協定及び基本協定に基づいて適正に実施されているということを把握しております。

○斉藤委員 実施協定に基づいてやっているものと認識、本当に把握しているのかなということが、私、疑われると思うんですけど、試験監督等がどのような経歴や経験がある方なのかは、入試試験に臨む生徒たちにとって本当に重要なものです。
 今、どのような採用を行っているかということは非公表だということでしたけれども、この重みをどこまで都教委が理解しているのかなということが本当に疑問です。
 実際には、都教委が非公表といっても、ネット上にはその在り方が問われる情報が広がっています。昨年のプレテストでもどのような試験監督が募集されていたか、ネット上にまだ情報が残っています。履歴書不要、経験不問、また隙間バイト、こういう言葉で、昨年度のプレテストの試験監督を募集しているサイトがあります。
 昨年の十月十一日の実施に対して、少なくとも三日前までこの募集が発信されています。実際にある派遣会社で働いている方からは、昨年はテストの直前まで人が集まらずに募集が行われ、研修は本来は三時間だけれども、マニュアルを読んでもらって、一時間履修してもらえばよいとなっていたということです。さらに、事前に解答を配ってテストに答えればよい、この研修のテストですね、そういうやり方、ずさんなやり方をしていたという情報が寄せられています。
 都教委は、こうしたプレテストでの試験監督等に起因するトラブル、少なくとも三月には報告をもらっていたということですから、どういうふうにこの改善策、具体的な改善につながるような対策を講じてきたのか、伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 今、委員からお話があった事象について、私たちは把握をしておりませんので、それに基づいたご答弁というのはできかねます。
 ただ、研修が重要であるというのは当然であります。今年度につきましても、昨年度の事例も踏まえた上で、万全の体制を取っているというところでございます。

○斉藤委員 研修が大事だと思っているんだったら、ぜひネットで検索して見てみてほしいと思うんです。誰でも見れます。現実には対策をきちんと行っていたとはいい難い状況が今広がっています。
 ネット上では、今回の十一月二十七日のテストに向けて、試験監督等の募集は幾つも出ていますけれども、経験やスキルは一切問いません、初めての方でも高時給、自宅でウェブ上で理解度チェック、こういう言葉で募集されています。当のベネッセ自身もサイトで、資格や経験は一切不問です、空いた時間を有効活用したい、こういうことを売りにして募集をかけています。
 都教委は、英語スピーキングテストの実施方針の中で、実施を請け負う団体に、実施責任者、副責任者、試験監督、補助員、誘導員等、テストを公平、公正に実施するために必要な人員を配置すること、また、受験者への説明やテストの進行管理、トラブル対応等のスキルを身につけた試験監督者を配置するということを求めていますが、こうした、今私が紹介したようなネット上に広がっているこのような募集の在り方や、実際のトラブルの実態から、都教委のこの実施方針が守られているというふうに認識していますか。

○瀧沢指導推進担当部長 人員の募集については、具体的に、今、委員がお話しした募集がESAT-Jに当たるものであるというふうに、明確に募集されたものであるかどうか、それについても確認のしようが今ありません。
 いずれにしましても、実施協定、基本協定に基づいて適正に実施できるようにということで、準備を進めてきたところでありますし、今後も進めていくということでございます。

○斉藤委員 私はこれ、都立高校の入試に向けての発信だということも確認した上で、ここでいっていますので、ぜひ見ていただきたいというふうに思います。
 この試験監督等の在り方をめぐっては、五人の専門家の方々、十四日に記者会見された大学教授の方々ですね。この要望書の中でも、中止を求める理由として厳しく指摘をしています。
 一部を紹介いたします。このように経験不問で試験のときだけ雇われるアルバイトや派遣労働者に大きく依存する形で、公正、公平かつ円滑なテスト運営ができるかは非常に疑問です。それどころか、試験実施を目前に控えた十月に入ってもこのような求人広告が出回っているということからは、この期に及んでも事業を確実に遂行できるめどさえ立っていないことが推測されますと、こういう厳しい指摘です。
 そもそも、都立学校の入試の学力検査では、都立高校の教員の方々が、受検に臨む生徒の気持ちに寄り添う対応を心がけてやっているというふうに思います。試験監督の業務がいかに大切なものか、部長の答弁でもありましたけれども、テストに関わってきた専門家からの訴えでもよく分かりました。都教委がそうしたことをちゃんと理解をしてまともな体制を取る、これが求められていますが、現状でもそうなっていない、このことに鑑みれば、この入試への活用は中止しかないということを改めて指摘をするものです。
 私たちに寄せられた事例について伺いたいと思います。
 一つは、イヤホンのサイズが合わず、うまくつけられなくて別室対応になったという方の事例です。
 本来、別室受験の場合は、一人一部屋というふうになっていますが、一つの部屋で二人の受験になったということです。試験監督の数が足りなくて、二人で同じ部屋で受けることになったのか、事情はちょっと定かではないんですが、とにかく同室のもう一人の生徒の声がよく聞こえてしまうということでした。
 このほかにも、ほかの人の声が聞こえてくるという声が多く寄せられています。このことは、最終報告書の教師へのアンケートでも、周りの生徒の解答が聞こえるということが報告されています。
 ほかの人の声が聞こえてくることがあることを、都教委も報告書などを通して認識していると思いますが、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 ご指摘のイヤーマフにつきましては、私ども、新たにこのESAT-Jを行うに当たり導入することに決めたものであります。
 これまでも、イヤーマフをつけることにより、周りの音が聞こえないということは実証で確認をしてきております。
 また、生徒からのアンケートでも、周りの音が聞こえずに答えやすかったという回答を多く得ているところで、周りの音が聞こえたという状況ではないというふうに考えております。

○斉藤委員 イヤーマフの改良を行ってきたということ。要するに人の声が聞こえてくるということがあるから、認識しているからやってきたということだと思うんですけど、これ、多くの方がこのことをいっていて、本当にそれが解消されているのか、大丈夫なのかということ、本当に心配な部分だと思います。
 こうした中で寄せられている声として驚きのケースもありました。人間の場合は、イヤーマフでほかの音をある程度遮断しているということができたとしても、タブレットはそうはいきません。私たちのところに寄せられたケースでは、ある生徒が、理由はちょっと定かではないんですけれども、何もしゃべらなかったそうです。話せなかったということかもしれません。
 しかし、驚いたことに、後日の結果の通知でCの評価をもらったというんです。何もしゃべっていないのに四十点から五十九点、入試への活用ということになると十二点ということになります。
 どういうことなのか。近くの人の声を拾ったのではないかと推測されています。何も話さなかった場合でも、周囲の人の声を拾って点数がついてしまうということは、そもそもこのテストの根本的な破綻を示しているのではないかと思いますが、いかがですか。

○瀧沢指導推進担当部長 その事象、事例についてどういうことなのか、確認のしようがありませんので回答しかねますけれども、これまで何万人も採点をしてきていますけれども、周りの声が録音されることによって、それで採点されるというようなことはあり得ないというふうに今考えております。
 そのCの評価というようなこと、あるいは何も答えなかったということがどういう状況なのか分かりませんので、そのお子さんの声をここで否定するということは避けたいと思いますけれども、いずれにしましても、全く何も答えていないのにCの評価がつくということは、あり得ないというふうに考えております。

○斉藤委員 あり得ないと断言されましたけれども、本当にそうか。
 都民の方がやったこの開示請求では、中学校の先生から、タブレットの画面上のマイクのインジケーターみたいなものですかね、こういうところの反応を見ていると、声の小さい当人よりも声の大きい隣の生徒の声に反応しているようだったと。つまり隣の生徒の声を録音しているのではないかと、こういう指摘もあったということが開示請求の中で出てきています。あり得ないという否定はちょっと考え直した方がいいと思います。
 私たちのところには、このように、報告書に記載されていない情報もありますし、また、開示請求に示されているようなこともあります。報告されていないケースがたくさんあると考えます。
 少なくとも、もっと丁寧に中学三年生に聞いていく必要がありますし、今この段階で、こうした根本的な問題も明らかにされていないような状況で、入試への活用を行うことは許されないと思いますが、どうですか。

○瀧沢指導推進担当部長 先ほどのご指摘の延長上でのお話だと思いますけれども、もう少し補足していいますと、学校で行われているいわゆるGTECの試験、これはイヤーマフなどを使わずに実施をしています。ですから、それをもって教員がその状況を見ているということは考えられるかと思います。
 そもそも今回のテストについては、実施会場に教員はいないはずですので、その状況を教員が見ていて、反応したということがどういう事象を指しているのか、ここで判断しかねますけれども、いずれにしましても、本人の声よりも周りの声の方が大きく録音され、そしてそれによって誤った評価がされるということは、起こり得ないというふうに考えております。

○斉藤委員 起こり得ないということは、今後これも検証しないということですか、どうですか。

○瀧沢指導推進担当部長 検証は、もちろん改善に向けたものは行っていきますけれども、現状でもそういうことが起こり得ないということを確認しているからこそ、昨年のプレテストあるいは今年以降の実施も行っていくということですので、繰り返しになりますけれども、イヤーマフを取り入れることにしたこのプレテストの実施以降、そのような事象は把握をしておりませんし、今年度についても起こり得ないというふうに考えております。

○斉藤委員 起こり得ないと断言できるだけの検証や結果、そういうのをちゃんと都民に報告しているのかといったら、やっていないわけですよ。そういう状況で、分からない状況のままで突き進むということは絶対あり得ないと思います。
 私は今、自分自身は小学校六年生の子供を持つ保護者としても、今の中学三年生とその保護者が置かれている状況について、そして当事者や専門家の声にさえ耳を貸さずに、不合理なテストとこの入試を強行していくという都教委のやり方に本当に怒りを感じています。
 都教委は、この間の質疑で、周知徹底を行ってきたと、こういうこともいってきましたが、現実はそうではありません。
 資料要求では、昨年度に都教委が区市町村教育委員会に送付した通知や依頼、出していただきましたけれども、全部で三十二件の通知ですが、改めて確認すると、昨年度はほとんどが当時の三年生が対象のプレテストに関する通知です。
 現在の中学三年生とその保護者に対して、テストの説明と都立学校への入試への導入、その方法、採点、配点などについての説明は、昨年度からどのように行われたのか、伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は昨年の九月、スピーキングテスト結果を令和五年度都立高校入学者選抜に活用することを公表して以降、区市町村教育委員会を通じまして中学校への周知を図るとともに、生徒や保護者に対しては、本年四月以降、全員にリーフレットを配布するなど、事業の趣旨や内容を周知しております。

○斉藤委員 生徒や保護者に対して初めて直接伝えられたのは、今年度に入ってから、四月にリーフレットを配られたということなんですけど、ただこのリーフレットも、英語スピーキングテストをやりますという、入試活用についてはほんの一言触れたのみのリーフレット内容でした。
 つい先日も、当事者である保護者の方とのやり取りでは、英スピ、知ってると聞くと、何それと保護者が答えて、お子さんも、期末テストが終わったらやるやつじゃないとか、何かかみ合わない、知らないという反応だったということ。そのほかにも、よく分からないままベネッセに個人情報をやむなく登録せざるを得なかったという声もたくさん届いています。
 十月十五日にある中学校で進路説明会があったという保護者からは、東京都から変更点含めて膨大な資料が送られてきましたが、説明し切れないので読んでおいてください、こういうふうに先生からいわれて、大量の資料を渡されたという声も寄せられました。
 本当に今年度に入っても、変更に変更を重ねる通知、たくさん出していますけれども、直前になって不受験者の扱いも決める。こういうことで本当に現場は振り回されていますし、保護者にもよく伝わらないという、そういう現状だと思います。
 そして一方で、知れば知るほど、これは駄目だ、こういう声が広がるという状況です。
 都立高校入試英語スピーキングテストに反対する保護者の会のネット署名には、多くの切実な声が寄せられています。
 一部を紹介します。入試として公平性、公正性に疑義のある制度を入れないでください、その一回のタブレット、話しかけの採点内容、不透明なこの二十点が、三年間の各教科の二十三点の九割の価値を持つのはおかしい、そういう声。そして、このテストのための勉強に時間を割いたら、東京都の子供たちの英語の学力が他県に比べて低下するのではないかと心配です、ベネッセがもうけるだけのテストなのではないかと思います、子供たちの個人情報がベネッセに渡るのも不安ですという声。また、説明会もない入試変更はおかしい、まず、早く分かるように説明してほしい、分からないうちに進めてしまおうとしていませんか、保護者もばかじゃありません、説明会やってください、こういう切実な声がたくさん寄せられています。
 これ、中学校の責任にはできませんよね。これらの保護者の声をどう受け止めますか。当事者の声を置き去りにして強行することは許されませんが、保護者の声についてどう認識しているかお答えください。

○村西都立学校教育部長 まず、中学生本人や保護者への周知についてでございますが、先ほど、リーフレットには少し触れる程度であったと委員のご指摘ありましたが、それは全く違っていまして、このリーフレットには、スピーキングの実施する意味、さらに入試について詳細なリーフレットを配っております。この内容は入試に関する全てのことが記載されているリーフレットになっております。
 もう一つ、中学生及びその保護者は八万人いて、それら全ての説明会をするのは実質はそれは難しいというところでございますので、区市町村教育委員会や校長会を通して、その現場において教員の方々に周知をお願いしているということでございます。

○斉藤委員 説明会をやるのが難しいんだったらやめたらいいんじゃないですか。説明会をやるのが難しいのに突き進んでいくというのはおかしいと思います。
 保護者や中学生だけでなく、教員の方々からも切実な声が届いています。指導主事等を対象として行われた説明会では、分からないことがたくさんあったのに、質疑応答もなく打ち切られてしまったという声が届けられています。こうした不誠実なやり方はひどいのではないでしょうか。
 都教委は、テストが目前に迫ってからも、不受験者の扱いや申請について、度重なるこの変更等の通知を出して、現場は本当に翻弄されています。理解が追いつかない、担任の先生に聞いても分からなくて英語の先生を呼んでくる、それでもその場で分からないことがあったり、そういうことをたくさん寄せられています。
 これまで、昨年度に行われてきたプレテストと今に至る現状を見ても、このテストの入試への活用は欠陥だらけだということは明らかだと思います。
 都教委は、現場の声、親の声、中学生の声、そして多くの専門家が批判の声を上げていることを直視して、英語スピーキングテスト、都立高校への入試の活用を中止するべきです。
 それで、最後に伺います。
 第三回定例議会の代表質問で、私の質問に対して教育長は、英語スピーキングテストについて、生徒たちの到達度を測るアチーブメントテストだと答弁しました。
 アチーブメントテストは、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十四条第二項に照らして、都は、区市町村教育委員会に対して強制できるものではなく、協力を求める、依頼をするという性質のものです。それを入試に活用することで事実上強制することは、教育基本法第十六条が禁じている不当な支配であるということを私はただしました。
 教育長は、アチーブメントテストを強制できる根拠にはならない答弁を行いました。これまで多くの専門家も指摘している、公正、公平な採点にならないこと、不受験者の扱いで受検生の合否が左右されてしまうこと、個人情報の取扱い、利益相反の問題など、まさに問題だらけの欠陥テストを、教育基本法が禁じている不当な支配まで行って進めようとしていることは、日本の教育の歴史に汚点を残すものだというふうに思います。
 当事者、専門家、都民の声をよく聞いて、ここで都立高校の入試への活用を中止する英断ができるのは、浜教育長だけです。お答えいただきたいと思います。
 今、多くの当事者、専門家、都民の方が教育長に直接聞きたいと思っています。直接止めてほしいという思いを伝えてほしい、そういう気持ちの人がたくさんいます。教育長は都民の立場に立って、中止する、中止の決断をするべきですけれども、教育長の答弁を求めます。(村西都立学校教育部長発言を求む)教育長ですよ。

○村西都立学校教育部長 委員たくさんおっしゃいましたので、一つ一つ、まず法令についてから申し上げますけれど、スピーキングにつきましては、授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善充実を図ることを目的に、都教育委員会が教育活動の一環として、教育基本法十六条三項に基づき、地域における教育の振興を図る観点から行う施策でございます。
 十六条三項には、地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施なければならないと書いてあります。
 また、入学者選抜を行う権限、これは選抜方法も、先ほど来、アチーブメントといっていらっしゃいますけど、そういった選抜方法も含むことにつきましては、今おっしゃった地教行法、学校教育法施行規則によりまして、教育委員会が生徒の入学に関することを管理執行するとされておりまして、このように都教育委員会はスピーキングテストの実施や入試への活用につきましては、法に基づいて適切に実施しているものと考えております。

○斉藤委員 教育長に聞いたことについて答えないで、何で違う方が違う答弁しているんですか。
 何かいろいろ今いいましたけど、教育基本法第十六条第三項が法的根拠にはなりません。皆さんも、地教行法、これに基づいて事務を行っている、そういう立場でしょう。
 聞かれた人が答えないで、しかも全然聞いていない答弁を別の人がするってどういうことですか。
 教育長にもう一回聞きます。教育長でなければ答弁要りませんから。
 先ほどと同じです。都民の立場に立って中止を検討する、こういう英断できるのは教育長だけなんです。どう受け止めますか。お答えください。(村西都立学校教育部長発言を求む)もういいです。要らないです。

○浜教育長 英語スピーキングテストに関しましては、十分な準備をして、公平、公正な実施ができるよう準備を進めております。今後も適切に準備を進め、着実に実施をしてまいります。

○斉藤委員 こんなに多くの声が上がっていても、都民の声に寄り添えない、そういう教育長、そして都教委の姿勢というのは本当に残念です。
 しかし、私たちはこれで諦めるようなことはしません。この声、広がり続けています。子供たちの公教育を守るため、そして不公正なテストで都立高校を目指す中学生たちを泣かせてしまわないように、都議会で一致する各会派の皆さん、そして都民の皆さんの声とともに、引き続き力を尽くしていくことを申し上げて、質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

   午後三時四十四分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○風間委員 立憲民主党の風間です。
 ほかの局同様に、決算の資料を見ながら、少し確認をしていきたいなと思うところから伺ってまいります。
 まず、六二ページにあります小学校職員教員免許取得支援事業ということで、私が一般質問で、小学校の教員の採用ということに関しては、かなり危機的な状況であるということを質問し、都教委としても様々な工夫を凝らしているというような答弁がありました。
 その中で、話を伺った際には、小学校の教員免許取得支援ということに関しては触れられていなかったわけですけれども、額自体はそんなに大きなものでもなく、九十万円台のものが執行四十万円台ですか、こういったところでありますが、できることは何でもやっていくという姿勢が重要なんだと思います。
 この執行率が低かった理由について教えてください。

○吉村人事部長 小学校職員教員免許取得支援事業は、教員以外の公立小学校職員が教員免許を取得し、東京都教員採用選考に合格して採用された場合、その費用を補助する事業でございます。
 令和三年度は、本事業に登録したものの合格に至らなかった者がいたものでございます。

○風間委員 教員免許を持っていない学校の中で働いている人たちに対して、小学校の教員になる支援をしている、すばらしい取組だと思いますね。実際に合格をして、お金を補助したという実績もあるということもすばらしい。ただ、残念ながら合格に至らなかった人には支給できないということですから、この取組をもっと広げていくことも重要なんだと思います。
 ただ、免許を持っていない、学校の中で働いている方が教員免許を取るというのは、相当チャレンジングなことだとも思いますので、こういったところで実際に教員として子供たちを支えていく立場になっていこうというような普及啓蒙も重要かと思いますので、引き続きこの事業に力を入れていくように求めておきます。
 また、学校の先生方の職場の状況というのは、大変に困難な状況であるということは、これまでも触れてきたところでありますけれども、心身ともに疲れ果ててしまって休職に至るような先生方も多い。実際、私の地元の小学校でもそういう先生がいましたし、ただ、そういう先生方にしっかりと復帰をしてもらう取組ということも重要だと思うんですね。
 この決算を見ていると、メンタルヘルス対策についても行われている中で、どんなことが行われているのか、また、復帰をするためのサポートを受けた教員というのは、この令和三年度どれぐらいいたのか、教えてください。

○田中福利厚生部長 都教育委員会では、メンタルヘルス対策として、啓発冊子の配布、学校等が開催するセミナーへの講師派遣、臨床心理士等による土日相談等を実施しました。
 また、新規採用教員や新任副校長等に対して臨床心理士等が学校を訪問する個別カウンセリング、教員の円滑な復帰及び再休職の防止を目的とした職場復帰訓練などを実施しました。
 令和三年度の職場復帰訓練には百五十八名が参加しました。

○風間委員 実際、様々な取組をしているという中で、この執行率が割と比較的低めになってしまった、その理由について伺います。

○田中福利厚生部長 相談やカウンセリング、職場復帰訓練などの事業は契約差金によるものであります。
 また、新任副校長を対象とした集合型の研修は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、資料配布に変更して実施したことから不用額が生じました。

○風間委員 新任副校長の研修が集合研修で、こういったものを中止したことによるものも影響があるという話を伺いました。
 実際に教員が心の不調を訴えて休職に至るということには、管理職によるパワーハラスメントがあるという話も耳にしたことがあります。特に副校長先生については、業務も集中していて大変な状況だということは重々承知しておりますけれども、場合によっては、副校長権限ということで必要以上に権力を振るってしまうようなケースというのも、学校現場ではあるということも想像しますから、この新任副校長の研修ということは大変重要かと思います。
 ですから、集合研修に限らず、今、オンラインも含めて様々な対応をされているかと思いますので、そういったことは引き続き注力していくように求めまして、このメンタル対策については終わります。
 もう一つ、執行率が低かった中で気になっていたのは、緑の学び舎づくり事業ですかね。
 私の地元の小学校も、校庭にきれいな緑の芝生が敷かれていまして、子供たちが伸び伸びと芝生の上で遊んでいる姿なんかを見ると、校庭の芝生化、特に人工芝ではなくて、天然芝を使っていくことというのは非常に重要だと思っています。
 一方で、その予算をきちっと確保していながら、この執行率が低いということは、少し残念だなと思うわけですけれども、この執行率が低かった理由を教えてください。

○岩野地域教育支援部長 令和三年度予算執行につきましては、契約差金の発生のほか、各区市町村において計画していた事業の取りやめにより、執行率が低くなっております。

○風間委員 天然芝の管理というのは本当に大変なことで、地元の小学校、私も保護者としてメンテナンスに関わったことありますけれども、大変であるということが分かっているからこそ、なかなかやりたいと思っても実現しないようなケースがあるということも承知をしております。
 せっかく確保した予算ですから、市区町村の教育委員会または該当の小中学校、またその地域の方々との調整というのは重要なことだと思いますけれども、何とかそれをうまく乗り越えて、導入していってもらえるように、都教委としてもサポートしていくように求めておきます。
 続いて、私の方からも英語スピーキングテストの昨年のプレテストの状況について、幾つか伺っていこうと思います。
 私自身の息子も、昨年、中学校三年生でプレテストを受けたという話は、これまで何度もしてきましたけれども、私自身は、我が家では母親よりも私の方が、子供の学校の状況に関しては報告を受けて対応するという担当をしてきたものですから、いろいろと中学校でどんなことが行われてきたのかということは把握していたつもりですけれども、息子が昨年度、プレテストを受けたということ自体は、事後に知ったことだったわけです。
 そこで、少し確認をしていきたいんですけれども、昨年の中三生及びその保護者に対して、ESAT-J受験の告知をしたというのはいつなんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会の責任におきまして、令和三年度、区市町村教育委員会、中学校長会及び中学校に説明を行い、ESAT-Jの受験について周知を行いました。

○風間委員 私はいつ行ったのかということを伺ったんですけれども、いつ行ったんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 令和二年度にスケジュールを変更したこと、それから、令和三年度の四月及び五月に実施について周知をしております。

○風間委員 令和二年度にスケジュールを変更したことということですが、どういうスケジュールだったものをどういうスケジュールに、いつ変更したのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 令和元年度及び二年度にプレテストを行い、令和三年度以降、本実施というものを予定しておりました。
 令和二年六月の時点で、新型コロナウイルス感染症に伴う臨時休業の影響及び教育活動再開後の学校運営に対する配慮という必要性から、令和二年度以降の計画を一年ずつ繰り下げるということにしたものでございます。

○風間委員 その変更に関してのお知らせを昨年の四月、五月とおっしゃいましたか。中三生及び保護者が知るような状況にならなければならなかったと思いますが、先ほどのお話だと、校長会や中学校に対してお知らせをしたということですけれども、実際にその保護者会もコロナで開かれていなかったところですし、私もそのことは知りませんでした。ということは、どのような手段で各家庭にその情報が届くように都教委としては進めたんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 学校を通じて保護者向けの実施の通知を配布して、学校から配布をしていただくという方法を取っております。

○風間委員 その各家庭に届くように配布する通知文を作ったのは都教委なんでしょうか。各中学校に委ねたんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会が実施の通知を四月に、保護者向けの通知、これを学校に五月に、申込マニュアルを六月に、都教委が区市町村を通して学校に依頼をしております。

○風間委員 その通知をしたのは、今、五月なのか六月なのか、配布した時期がちょっと分かりませんでしたけれども、それを見て、各中三生、昨年の中三生が申込みをする期限はいつだったんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 申込みの期限は六月であります。

○風間委員 六月に申込期限だったということですが、それはどのような手段で各中三生が申し込んだということなんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 ウェブを通じて申込みをしています。

○風間委員 そのウェブを通じての申込みというのは、学校で行ったことなんでしょうか。各家庭で行ったことなんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 申込みは個人でありますので、原則として家庭だと、こういうふうに思います。
 ただ、学校が保護者向けの通知を活用して周知をした上で、学校でそのサポートをしたという事例はあることは把握をしております。

○風間委員 息子に確認したところ、学校でやったということだったんですね。ただ、あの時期はタブレットが配布されたような時期であって、いろんなものをいろんな登録をするというのを、学校のサポートの中でやったという話を確認しましたけれども、その際には、誘導されるがままに登録をしたということです。
 これについては、保護者の確認というものは取っていない人たちがほとんどだったと、周りの友達を見ていても聞いてもということでしたけれども、これ、ベネッセのサイトを通じて申込みだったと認識していますが、保護者確認は必要なかったんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 保護者の確認は必要です。チェックボックスがありますので、そこをチェックしないと申込みは完了いたしません。
 ですので、繰り返しになりますけれども、各学校には保護者向けの内容についての文書を送付しており、それを活用もしていただきながら、保護者に理解をしていただいた上で手続をするということを取っております。
 ただ、そのやり方については、それぞれの学校で幾つかの方法があったというふうには確認をしておりますが、いずれにしても、保護者が全く知らずに申込みを進めたということはないようにということで対応してきております。

○風間委員 チェックボックスにチェックを入れるというのは、別に保護者じゃなくても本人ができちゃうことですから、学校で、保護者の確認を取ってこなかった子が、チェックボックスにチェックを入れるとかということは、確認できなくてもやれてしまいますよね。それは確認を取っていなかった子供の責任という認識でよろしいですか、都教委として。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、都教育委員会として文書を作成し、保護者向けの通知を学校を通じて依頼をしています。学校あるいは家庭においては、適切に行われているというふうに認識をしています。

○風間委員 行われなかった例を挙げて、都教委の責任について認識を問うているわけですけれども、行われているはずだということで、それ以外のケースに関してはその生徒が悪いということですかね。またはそれを指導した担任が悪いということなんですかね。都教委としてはちゃんとやるように指導していると。
 ただ、これ、民間事業者のサイトに生徒の個人情報を入れるという、すごく重要な問題だと思うんですね。それを都教委はちゃんとやれと指導している。やらなかったということに関しては、各中学校の責任ということでよろしいですか。それでいいよといった各担任の責任ということでよろしいんですか。都教委の見解を伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 責任ということではなく、都教委としてはこのようにしていただきたいということで、区市町村教育委員会、それから学校にお願いをしているところですので、それぞれ適切に実施されているものというふうに認識をしております。

○風間委員 この問題って、昨年のプレテストの段階でも分かっていたことのはずで、今年の申込みに関しても相当混乱があったという報告を、まさか都教委は耳にしていないということはないと思うんですけど、私たちの下にも相当なご意見が寄せられています。でも、そのやり方は変わらなかったわけですよね。
 そもそも、じゃあ何で、子供たちの個人情報、大変重要なものです、これを都教委で受付にしなかったんですか。何で民間事業者のサイトを通じて、そこのシステムに入れるというような判断をしたのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 昨年度に引き続き、今年度は都教育委員会名での保護者向けの通知の文書を作成し、保護者に説明をしてきたところでございます。
 また、個人情報につきましては、都教育委員会が取得をしまして、事業者と締結している基本協定及び実施協定に基づいて、都教育委員会の監督の下で厳重に管理しているという仕組みを取っているところでございます。

○風間委員 私が伺ったのは、昨年そういう問題が起こっている、保護者の確認を取るのが前提、だけど、チェックボックスだけだったら、生徒は自分でもできてしまう仕組みですよね。その仕組みの改善をせぬまま、保護者が知らない状態のまま、生徒の個人情報が一民間企業のシステムの中に入ったという事実があったわけです。それを改善しないまま今年度もやった。
 じゃ、そもそもそのやり方がおかしいんじゃないですかという観点から、なぜ、都教委が行政の責任において子供たちの個人情報を取得し、管理するという判断をせずに、そこまで民間事業者に丸投げをしたんですかという、その判断の根拠を聞いています。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しの答弁になりますけれども、昨年度と異なり、今年度は都教育委員会が直接文書を作成し、保護者向けに配布をしております。
 また、仕組みにつきましては、個人情報を民間が取得するということはあり得ることで、都教育委員会が取得するものであります、これは。事業者と締結している基本協定及び実施協定に基づいて、都教委の監督の下で現実に管理するという仕組みで行っているものでありますので、先ほどと同じ答弁になりますが、そのような仕組みとして実施をしております。

○風間委員 じゃ、昨年度、保護者の確認を取らないままチェックボックスに入れて、個人情報を民間業者に取得されたと感じる保護者もいるわけですね。今年、同じことを繰り返したわけですね。そのことに対して声が上がっているということも、これまでほかの会派含めて伝えてきたはずです。このやり方に関して問題ないという認識でよろしいですか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますけれども、保護者にも周知をしてきております。学校において、それから保護者に対しては、適切にそのように対応されているというふうに認識をしております。

○風間委員 私は保護者だったんで、知らなかったんです。じゃ、知らなかった人が悪いという立ち位置なんですね。都の教育委員会はその立ち位置で、このシステムに関しては、今後もし続けていくとしても、子供が自分で勝手にチェックボックス入れて、自分で入れるというような方法でいいという判断だということでよろしいですね。もう一度確認します。

○瀧沢指導推進担当部長 チェックボックスを入れることについて子供の責任という、そういう考え方には立ちません。昨年に引き続き、今年度についても改善をしながら、保護者に向けて周知をするということを行っております。
 学校で申込みを行った、サポートをしたというところもあると思いますが、その場合には通知で事前に周知をされているというふうに認識をしておりますし、個人でそれぞれ申込みをしているというケースもあると承知をしておりますので、それぞれ適正に実行されているというふうには考えております。

○風間委員 昨年度のプレテストに関しては、実際にそのような状況で進められた事例があるということは、今伝えたとおりですし、今年もそんなような形で進められた事例というのも、話を確認しているところです。
 今年の中三生に関しても、先ほどの答弁にも、ほかの会派の答弁もありましたけれども、昨年度から案内をしているというお話でしたよね。ただ、パンフレットを渡したのは今年になってからということですよね。
 スピーキングテストを入試に反映させるということを公表したのは、たしか昨年の九月だというようなお話ありましたけれども、この九月の段階でその情報を知った今の中三生、今年の夏、パンフレットをもらって慌てて知った中三生、そしてその保護者、一年近く差があるわけですけれども、それを知る知らない、一年も差があると、その対策もできる人できない人、差が一年も空いてしまうわけです。中学校三年間、逆に中学校二年半の間、一年間の情報格差、そこで準備する人しない人、これ、情報を知らなかった人の責任なんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 今、委員お話しのとおり、昨年度に入試に活用することについては、もう周知をしてきているところであります。また、リーフレットを配ったのは、実際に配布されたのは四月だというふうに認識をしています。
 夏の時点で九五%申込みが完了しているわけです。ですので、周知については、どの程度、何をということは、個々差があるかもしれませんが、入試に反映させることを知っているということについては、皆、周知されているというふうに認識をしています。
 また、何かこの試験のために特別な対策が必要なものではないということは、これまで文教委員会でも繰り返し答弁をしてきたものでありますので、ふだんの授業をしっかりやることで、十分に対応できる試験であるということも併せて申し添えます。

○風間委員 そもそも昨年の段階で、今の中三生に対して周知をしたということですけれども、これはいつの時期に、どのような手段を通じて、今の中三生、その当時の中二生及びその保護者に周知をしたのか、教えてください。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会は昨年の九月に、スピーキングテストの評価の点数化及び学力検査の得点と調査書の合計にスピーキングテストの結果の点数を加え、総合得点を算出することを決定し公表、これはプレスという形でしております。
 それにつきましては、例えば区市町村の教育長会や区市町村の指導室長会、さらに中学校の進路対策委員会、これは進路対策の代表者、校長ら代表者が集まる、そういった場でご説明をしております。

○風間委員 私の質問は、それが各生徒、当時の中二生、生徒とその保護者にどのように伝えたのでしょうかと、いつ、どのように伝えたのかという質問をしたつもりですけれども、お答えください。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会としましては、先ほど申し上げた区市町村教育委員会や中学校の校長会を通じまして、現場の教員から生徒一人一人に情報が伝わっているというふうに考えております。

○風間委員 ということは、口頭で各学校、校長、またはその校長から担任を通じて生徒に告知、生徒から口頭で保護者に伝える、そういうふうになっていたと認識しているということでいいですか。

○村西都立学校教育部長 口頭であったかどうかについては、こちらでは把握しておりません。各中学校それぞれのやり方に沿って情報として伝わっていると、情報提供されたというふうに考えております。

○風間委員 いや問題ですね。今年の中三生の保護者が知らなかった、知らなかったと、この夏になってかなり大きな反響になったのは、そこが一番の原因だったかもしれないですよね。
 都の教育委員会としては、教育長会だったりとか校長会だったりとかで口頭で伝えた。でも、その学校ごとに文書を作ったかどうかは、都教委は把握をしていないということなんですね。
 じゃあ、学校によってはそれはしっかりと、先ほど点数化という話もありましたから、点数についても、伝えていた学校もあれば伝えていない学校もあった可能性がある。情報の格差がこの東京都内の同じ公立中学生の中に、届いていた時期も届いていた内容もばらばらであった可能性がある。そういう状態だと、その可能性があるということでよろしいですか。

○村西都立学校教育部長 九月の時点で我々が発表した内容が、いわゆる紙ベースとか、きちんと情報が伝わることが、それはあるべき姿だというふうに思っております。
 そういうことを受けまして、本年四月には、生徒一人一人、保護者一人一人に、スピーキングテストの実施と入試の内容を詳細に記載したチラシを全員に配布するという手段を取っております。

○風間委員 今の答弁で、配布をしたのが四月、これは全生徒、今の中三生に配られたものであろうということから、九月の段階で公表して、その間、半年ちょっとあるわけですけれども、情報をきちんと取得した生徒、そうでない生徒、保護者がいるという状況になってしまった可能性があるということが、今の答弁でも明らかになったわけですね。
 こんな周知の仕方、私、文教委員会で、全然周知されていないよと、昨年度の文教委員会で周知徹底するようにということを求めましたけれども、結果としては四月になってからということなわけですね。
 こういった状況で進められている英語スピーキングテストを都立高校の入試に導入するということについて、当然、保護者としては納得いかないという声は上がってきますよね。この都教委の進め方そのものに瑕疵があったんじゃないですかという声が上がっても、これも仕方がないことだなと、今の話を伺っていても感じるところです。
 プレテストのところにちょっと話を戻しますけれども、プレテスト自体が二十三件ものトラブル報告があったということで、先ほどほかの会派からも指摘がたくさんありました。
 しかし、それに対しては、対処できた内容であるというようなお話のように、答弁のように、私が伺って感じていたわけですけれども、当日のトラブルは、これやっぱり重大だと思いますね。募集の仕方から、アルバイトの人たちの現場での振る舞い。
 私も息子に、どんな感じで行われたのかと、スピーキングテストの実際の様子を確認しましたけれども、中学校の中で行ったということもあり、イヤホン、そしてイヤーマフ、そして適度な間隔で同級生が受けているという状況、音はだだ漏れだったと。場合によっては英語が不得意な子は、少しタイミングずらして、隣のいっている子の音が聞こえるから、それをそのままいったなんていう子もいたよという話があったりしました。
 それだけ聞こえる環境だということで、先ほどイヤーマフの改良も、したとかするとか、そんな答弁あったかと思いますけれども、昨年使ったイヤーマフと今年度使う予定のイヤーマフ、改良されたものを使うんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 繰り返しになりますが、ESAT-Jを導入するに当たり、新たにイヤーマフを開発して使っているということであります。学校で行われているアセスメントのGTECとは異なるということで導入したもので、これまでプレテストで行っているものを今年度も使用いたします。

○風間委員 じゃ、去年と同じイヤーマフを使うんですね。生徒からも、報告書からもこれだけ、だだ漏れで聞こえているという報告が上がっているのに、同じイヤーマフを使ってやると。じゃ、聞こえないように、生徒が座る位置とかの工夫とかというのはなされるんですか。
 先ほど、同じ部屋でも聞こえるみたいな事例のお話もありましたけれども、通常、子供たちの入試当落に関わる問題ですよね。先ほど私が示したような事例というのは、不正受験に当たるかもしれないようなこと。通常、入試、都立高校の入試もかなり厳格にされていると思いますし、入試をする上ではこんな不正受験がなされないように、しっかりとした体制を組むものだと認識していますが、これだけ報告書にも上がっているような聞こえてしまうという状況、実際に聞こえるから、それを使ったというような話も出ているにもかかわらず、同じ体制で今年やるんですか。伺います。

○瀧沢指導推進担当部長 先生のお子様が受験をされたとき、ご自身がそういうことをしたということではないというふうに思います。周りで見ていて、報告書にあるように、そういうこともできてしまうのではないかという、そういう懸念の声はありますけれども、それで実際に不正を行ったということが報告されているものとは違うというふうに考えています。
 繰り返しになりますが、イヤーマフを実際つけていただければ分かりますが、周りの音というのは聞こえません。あるいは時間差で答えるということもできないと、基本的にできないというふうに考えております。
 ただ、その一方で、そのような疑義が行われないように間隔等を取るということについては、今年は中学校で行うということはありませんので、適切に行っていくということは、当然していくということでございます。

○風間委員 うちの息子はある程度しゃべれるので、聞かれたことに対して答えていったと。その周りに友達が座っていますから、できない子が、その声聞こえたよと、イヤーマフをしていて聞こえたよと。それを参考にしゃべったというやつがいたというような話を聞いた。
 伝聞ですから、それが本当かどうかも分からないということなのかもしれませんけれども、報告書でも、イヤーマフをしていても聞こえるということ、書かれていますよね。本当にイヤーマフをつけて聞こえないのかどうかって検証した方がいいと思いますよ。
 これ、だから不正受験の可能性がある、疑いがある、こういう話題になっているにもかかわらず、いや大丈夫だ、聞こえない、だからこのままやるんだってなったとしたときに、本当、じゃあ都立高校入試って何なんだと、そういう話になってきますから、こういった不正受験がなされないように、もう一度ちゃんと検証しなきゃ駄目だと思いますよ、まだ一か月以上、やるんだったらありますからね。その辺りはしっかり、子供たちの将来に関わることだと思いますので、やるのであれば、そういったことは対応していかなければならないとまず思います。
 プレテストのその後についてですけれども、この間もかなり取り上げてきたことですけれども、その評価をする人たちというのがどんな状況なのか、報告書でも黒塗りだったので、全く分かりません。実際に六万三千七百二十一人の生徒の音声データがフィリピンで評価をされたということですね。
 総勢何人の評価者で、どれくらいの期間で評価を行ったんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 評価につきましては、テストの実施後、四十五日以内で結果を返却することということになっており、公平、公正に採点を完了しております。
 また、先ほどの答弁と重なりますけれども、採点者の人数等々については公表をしておりません。

○風間委員 採点者のレベル合わせがきちんとできているのかどうかというのは、都教委として検証しているんでしょうか。業者任せなんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 これまでも答弁しておりますが、把握をしております。

○風間委員 把握しておりますって今いったんですかね。(瀧沢指導推進担当部長「把握、把握をしています」と呼ぶ)している。(瀧沢指導推進担当部長「はい」と呼ぶ)
 しているということであれば、かなりのデータ数があるわけですけれども、そのレベルがきちんと統一されているということを都教委はどのようにして検証したんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 採点の方法等につきましては、公平性、公正性を担保するという観点から秘匿事項であると考えております。
 繰り返しになりますが、都教委としては把握をしているところですが、その方法等については、お話しすることは差し控えたいというふうに思います。

○風間委員 ちょっと意味が分かりませんね。
 フィリピンの評価者が複数でやっていると、これまで答弁ありまして、ただ、何人もの体制でやるから、同じ二人の人が全部の六万何人分の評価をするわけではないから、評価者によってばらつきが出る可能性があるわけですよね。
 そのばらつきが人によってないかどうかの確認を、都教委はしているという答弁だと今認識していますけれども、そんな、フィリピンの方が評価したものにばらつきがあるかないかというのを本当に都教委がチェックできるんですか。どんな体制でやっているんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 委員、今、少しお話しされましたけれども、評価につきましては、評価基準に基づいて複数の専任者が採点、審査を行い、点検を経て確定をしています。都教委が採点結果を確認しているということを先ほども改めて申し上げたところでございます。
 採点のその確認の方法につきましては、繰り返しになりますけれども、公平性、公正性を担保する必要から、秘匿事項というふうに考えております。いずれにしても、都教委として責任を持って確認をしているということでございます。

○風間委員 フィリピンの採点者がつけたものが、レベルがちゃんと合っているのかどうかというのを都教委がちゃんと確認をしているなら、堂々と、こういう体制でやっていますよと、都教委の中に英語の専門家がいらっしゃるんでしょうから、こういう体制で、レベルが間違っていないなという体制を組んでいますというような公開性は、私は必要だと思いますけどね。
 それを秘匿というふうにいったら、何をもって信用しろというのか。都教委、そんなに信用できる今の状況じゃないですよね、この答弁の状況を伺っていると。それぐらいきちんと公開しないと、もう本当、都立高校の入試に関しての信憑性、信用性そのものが危ういと思いますよ。
 例えば、TOEICだったりTOEFLだったりとかのスピーキングテストの評価に関しては、もうご承知かと思いますけれども、七十年の歴史がある。全てそれをどういう体制で、何人ぐらいでやって、どういう研修をやって、どうやってレベル合わせをしているかということを公表していますよ。例えばこういったところに評価を委託していくとかというのであれば、公表もしていますし、歴史もあって積み重ねてきているし、研修体制もこんな感じでやっているんだということを保護者は確認できるわけです。であれば、ある程度の信憑性はあるだろうと。
 じゃ、ベネッセのこの人たちって、英語スピーキングの評価の経験、どれぐらいある人たちなんですか。これも秘匿事項ですというような答弁、続いていますよね。なぜそこは公表しないんですか。
 民間テストであるTOEICとかTOEFLは、そのことを評価している第三者の機関に委ねて、その詳細を公開しているわけですよ。民間事業者はそれをやっているのに、公共性の高いというか、公共がやっている試験のテストなのに、なぜ都教委は公表しないのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 今のご指摘はETSのお話だと思いますけれども、ETSがそのようなことを公表しているということについては、当然承知をしております。
 事業者を選定するに当たりましては、一番最初に、資格検定試験の実施の実績があるということを応募の資格要件として、現実に四社、四社がどこであるかということについては公表していませんけれども、四社から手が挙がり、それを基に外部委員も含めた事業技術審査委員会を開催して、そこで選定をしたということであります。
 ですから、ETSの事例は、お話のとおり、公正性、公平性、解消のために取り組んでいる、その一つの方法であるというふうには考えますが、それ以外の入試や、あるいはそれ以外の資格検定試験が、全て誰がどのように採点を行うということを公開しているということはないというふうに考えています。

○風間委員 少なくともこれまでの答弁を聞いている限りでは、このETSの公表状況に比べて、ベネッセの機密保持があるからといって、ほとんど何も公開されていない状況ですよね。それで保護者に信用しろ、生徒に信用しろといわれても、信用できないという声がこれだけ上がっているわけですから、どこまで公表するのか、少なくともこのETSレベルで公表していく必要があるんじゃないですかということをいっているわけです。
 しかも、今年度行うものは都立高校の入試に反映をさせるといっているわけですから、当落に関わってくる問題ですから、きちんと公正に行われているということの証明をする努力を都教委は負っているんじゃないんですかと思うわけです。
 その責任に関して、都教委は、秘匿事項だからということでこのまま逃げ切るつもりですかということを伺っています。

○瀧沢指導推進担当部長 今のご指摘については、改めてその事実を確認していきたいというふうに思いますが、まず採点者については、学位を持っていて、かつ英語指導の専門性を有する、そのことが資格で証明されているその専任者から、研修を実施した上で、それを合格した者のみが採点に関与すると、採点に当たるということ。それから、採点の基準についても、当然ながら既に公表をしています。それに基づいて複数の者が採点をし、そのぶれがないチェックを行うということで採点を行います。それを都教委が確認をしますということをお話ししてきているわけです。
 ETSとの差がどこにあるというふうに念頭に置いてお話をされているのか、私、承知しませんが、ほかに様々試験がある中で、ここまで採点の委員の属性や、あるいは方法について明確に説明をしてきている試験、それが全てではないというふうに思います。
 ぜひ皆さんに安心して受験をしていただきたいという思いから、ここまで様々状況についてご説明をしてきているところでありまして、これ以上に何かを発表しないと、何か隠しているかというような、そういうご指摘は当たらないというふうに考えます。

○風間委員 なるほど。都教委はそういう認識ということなんですね。よく分かりました。
 少なくともETSは三人体制って公開していますかね。都教委は複数といっているから、複数が二人なのか三人なのか四人なのか、これは分かりません。きちんと何人体制で、それを何回、何検しているのかということだったりとか、研修は何日間ぐらいやっているのかとか、そういったところもきちんと公開していく必要があると思いますよ。少なくともETSレベルに合わせていく必要があるんじゃないかということで、私は伺いました。
 ベネッセの報告書の三三ページを見ると、東京都教育委員会と検討委員会、議論を重ねながら、より一層問題の吟味、精査に力を入れていきたいというふうにまとめられていますけど、この検討委員会って何ですか。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校英語スピーキングテスト−−これはESAT-Jですけれども−−の問題等検討委員会のことを指しています。

○風間委員 問題等検討委員会がある。これはメンバーはどんな人なんですか。

○瀧沢指導推進担当部長 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)問題等検討委員会設置要項に基づいて、有識者等を委員として設置をしております。

○風間委員 じゃ、その有識者というのは公開情報なんですか。誰がやっているのか、教えてください。

○瀧沢指導推進担当部長 問題作成に関わるものですので、公開はしておりません。

○風間委員 おかしいですね。この前の条例の話になったときにも、問題作成者の公開についてはどうのこうのなんていう質問、私も受けましたけれども、どこの誰が作っているのか、司法試験に関しては、指摘していた委員は誤っていたようで、実際には誰が問題作成に関わっているかというのは、公表されているなんていう情報も入りましたけれども、どこの誰が作っているか分からない。ここも公開していないということですから、どんな体制で結局作られているのかということも分からない状態なわけですね。
 こういったところも、またさらに保護者たちの疑念、つながってくるんじゃないかなと思いますから、そこも検討していった方がいいと思いますね。
 この検討委員会は、昨年度は何回行われたんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 この検討会は、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)問題等検討委員会設置要項に基づいて設置をしているということで、これについては当然ながら公開をしています。
 ただ、委員については、直接問題作成に関わりますので、名前は公開をしていないということで、どのほかの試験でも、ゼロであることを証明することはできませんけれども、通常、検定試験や入試問題を誰が作成しているか、それに関わっているかということを公開するというケースは、ないというふうに認識をしております。
 その要項等々に基づきまして、年間のスケジュールにわたり継続的に実施をしております。

○風間委員 このプレテストに関して、報告書も見て、様々問題を指摘してきているわけですけれども、そもそもこのテストは、アチーブメントテストとして始まったわけですけれども、なぜ一回しか、アチーブメントテストなのに行えないんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 本スピーキングテストは、義務教育の終了段階において、授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善、充実を図ることを目的に都教育委員会が実施するものであります。
 都立高校入試では、英語四技能の習得状況をそれぞれ最適な方法で測る必要があるということで、話すことの技能においては、このスピーキングテストの結果を活用するということにしているものでございます。

○風間委員 海外の大学進学の際に必要なアチーブメントテストの類いは、何度か受けた中で、高い得点のものが参考にされたりとかということがある中で、一回のみで決められてしまう制度で本当にいいのか。
 一回のみということだと、実質、これが入試に反映されるとなると、入試そのものというような緊張感を持って、中三生たちは臨まなければならないわけですよね。入試そのものと同じような緊張感を持って臨まなければならないのに、現場はあのようなアルバイトの、単発バイトで募集されたような人たちが来る可能性があるということの問題が、先ほどほかの会派からも指摘あったわけですけれども、そのアチーブメントテストの在り方ということについても、今後考えていく必要があるんだろうなと思います。
 そもそも都立高校の入試自体は、これまでの過去の傾向から見れば、都内の公立中学生以外にも、都外の公立中学生も受けてきた、それが分かっていたわけですけれども、この人たちのことを全く考えずに入試に反映させるということを決めたんでしょうか。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストは、授業で学んだ内容の到達度を把握するとともに、英語指導の改善、充実を図ることを目的に、都教育委員会が教育活動の一環として、都内における教育の振興を図る観点から行う施策でございます。
 このため、スピーキングテストの実施日に都外に在住している生徒が都立高校入試を受検する場合には、不受験者に対する措置を制度設計としたものでございます。

○風間委員 これはこの前の請願のときにもお話ししましたけれども、他人の点数によって点数が決められる制度ということ、テスト理論の専門家である南風原先生が、この前の記者会見でも改めて問題だということを指摘していたわけですね。
 都の公立中学生の到達度を測るためのもの、それはそれでいいかもしれません。しかし、これを入試に反映させるとなると、都立高校を受ける全ての受検生、中三生に影響を及ぼすものでありますから、当然そのことも、その子の実力が測れるような形で公平に入試制度を設計する必要があるんだと思います。
 これだけ瑕疵のある制度だということを専門家が指摘しているにもかかわらず、今の不受験者の点数を平均値で取ることが正当なんだということは、どの専門家のアドバイスを受けて決めたことなのか、教えてください。

○村西都立学校教育部長 スピーキングテストの結果の都立高校入試の活用につきましては、教育に関し識見を有する専門家である教育委員に報告し、その意見を踏まえて適切に決定しております。

○風間委員 いや、それは適切じゃないと感じている人たちがいるわけですよ、たくさん。
 教育委員の中にテスト理論の専門家はいるんですか、教えてください。

○村西都立学校教育部長 テスト理論の専門家かどうかということは、そこはちょっとお答えしかねますが、教育に関し識見を有する専門家であるということはいえると思います。
 また、都教育委員会としては、要は都立高校入試、四万人受検するわけでございます。都外の受検生のことも視野に入れた上で、様々な事情、状況にある多様な生徒が受検する、そういう都立高校入試において、最善の方策となるよう制度設計を行っているというところでございます。

○風間委員 教育分野は様々な専門分野を皆さん持っていらっしゃいますから、英語教育の専門家も問題を指摘していますし、この前の記者会見では、不受験者の扱いに関しての在り方に大きな問題があるということを、テスト理論、入試制度の専門家、南風原先生が自分の名前も顔もさらして会見しているわけですよ。
 それに対して、それを上回る理論を持っている方がいるのであれば納得もされるでしょう。都の教育委員会にそういう方がいらっしゃるんですか。

○村西都立学校教育部長 不受験者に対する措置を定めている趣旨としましては、スピーキングテストの実施日または予備日にも事故や病気などやむを得ない理由により受験することができなかった生徒などが、都立高校の入試を受検する際に著しく不利にならないよう、点数を付与する特例的な措置が必要との考え方によるものでございます。
 こうしたスピーキングテストの結果がやむなくない生徒に対して、点数を付与するに当たりまして、都立高校入試において最も参考になる数値である英語、外国語検査の得点が同じ者のスピーキングテストの結果の平均値を用いて、それに相当する点数を算出することとしたものでございます。これにつきましては、合理的な最善の方策であるというふうに判断しております。
 要は、都立高校の入試は多様な受検生が受検するわけで、みんな一律にできれば、それはそれでいいんですが、実際は様々な事情、状況に基づいて、適切な措置をそれぞれ講じていくということをこれまでもやってきましたし、こういった措置が必要と、その最善の方策がこうした方策であったということでございます。

○風間委員 随分と、都立高校を受検する様々な生徒の中で、スピーキングテストを受けることができない都外公立中学生を軽視した発言ですね。許せません。適切に判断をした、他者の平均値で決めるということが適切だと、誰が適切だと決めたんですか。部長が決めたんですか。その責任を負いますか、その方の人生を負えるんですか、答弁してください。

○村西都立学校教育部長 私が責任を負うかどうかというよりも、スピーキングテストの結果の都立高校入試への活用につきまして、教育委員に報告し、その意見を踏まえて決定していると。そういった組織的に手続を経て決定しているということでございます。

○風間委員 じゃあ、部長が負うわけでもないのに、部長は適切に判断をしたと。だから、誰がそれを、どの専門家が適切だと判断したんですかということ。組織的にどなたがその判断をしたんですかというと、じゃ教育委員会。教育委員会の責任者は今一人に限られましたから、教育長ということになります。教育長、それでよろしいんですか。
 都立高校を受検する都外の受検者、この方が自分の点数でない形で点数を決められちゃうんですよ。人生かかっているんですよ。その制度は適切だと教育委員会が決めて、その最終責任者は教育長であると。教育長はその方の人生を負うということですけれども、それでよろしいんですね、教えてください。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、入試選抜の方法については、教育委員会がきちんと議論した上で決定したものであるということを申し上げます。

○風間委員 部長は責任を取れませんといいながら、じゃあ最終責任者である教育長は責任を取るんですねと聞いたら知らんぷり。責任を負うのか負わないのかも分からない。
 浜教育長は、先般の文教委員会でも、私、質問したときに、一言も発しませんでしたよね。合格していた子供たちなのに、不合格にされてしまったという問題が発したときにも、教育長は一言も話をしませんでした。責任を負っている覚悟があるのかどうかということも分かりませんでしたし、今のこの不受験者の扱いということに関して、その子供たちの人生がかかっている、それが適切なんだといい張る教育委員会。
 でも、テスト理論の専門家の方は、それこそ自分の教育者としての人生をかけて、ああやって記者会見をされているように私は見受けられましたけれども、それと比べれば、どっちが覚悟が決まっているのかということは、これもう明らかですよね。
 本当にそんな状態でこれを都立高校の入試に反映させるということでよろしいんですか、教育長。

○村西都立学校教育部長 繰り返しになりますが、このスピーキングテストによって、英語の四技能をきちっと入試で測るということが重要であるというふうに考えております。その最善の方策をこれまで教育委員会で様々議論し、決定してきているというところでございます。

○風間委員 私、そんなこと聞いていませんよ。そんなの分かっていますからね。不受験者の扱い、それを専門家が誰かも分からない状態で、教育委員会で通ったからそれを通すんだと。それでいいんだということを最終責任者である教育長に聞いても、教育長は知らんぷりをし続ける、そんな教育委員会なんだということがこれで明らかになったんだと思います。このことに不信感を持っている保護者の皆さんは、ますます不信感が募るような状況になったんだと思います。
 どうしてそこまでして、このテストを入試に反映させたいのかということにますます疑問が募るという声もたくさん上がってきているわけですけれども、まず、ベネッセが英語スピーキングテストを請け負って導入してきたということで、ベネッセは様々な形で学校教育に入り込んでいるわけですけれども、ベネッセに対して、昨年度、令和三年度に教育庁予算で支払った決算総額は幾らでしょうか。

○田中総務部長 令和三年度に教育庁本庁においてベネッセコーポレーションに支払った総額は、約三・九億円でございます。
 内訳につきましては、スピーキングテストに関わる分担金のほか、寺子屋事業における学力調査に係る経費でございます。

○風間委員 ベネッセが学校現場に入り込んでいる。市区町村の教育予算でやっているものも結構あるとは思うんですけれども、高校にはかなり入り込んでいる印象ですが、スピーキングテストと寺子屋事業だけなのかなと。
 寺子屋事業って何ですか。

○小寺指導部長 高等学校におけます校内寺子屋事業は、義務教育段階の基礎学力の定着状況が必ずしも十分でない生徒等に対しまして、放課後等に学習の場を確保すると。外部人材を活用することによって個に応じた学習を支援するものでございまして、ベネッセコーポレーションを活用している学校は、通常、模擬試験を年に二回行うこととなっておりまして、複数の学校がこのベネッセコーポレーションの提供している模擬試験を活用しているということでございます。

○風間委員 今のお話だと、寺子屋事業の中での模擬試験で都教委からのお支払いをしているということでした。
 でも、都立高校の中では、いわゆる模試を、二回とかではなく結構やっている印象ですし、ベネッセのシステムを使っている学校もあろうかと思いますけれども、それは東京都教育委員会、教育庁から支払っているお金ではないということでしょうか。

○小寺指導部長 先ほど総務部長の方からお話しさせていただいた総額につきましては、教育庁本庁においてベネッセコーポレーションに支払った金額でございます。

○風間委員 でも、都民からしてみると、都の予算というか、都の教育庁が管轄している都立学校がお金を払って、都立高の生徒にサービス提供をしているものが、模試だったりシステムだったり、ほかにもあるよなと思っている人たちは多いわけですけれども、その予算はどれぐらいあるものなんでしょうか。

○小寺指導部長 各学校において活用している金額については、手元に資料ございません。また、今現在把握しておりません。

○風間委員 各学校から支払っているものがあるということなんですね。それだけ、学校の予算も取って、教育庁からの予算も取って、GTECのように市区町村教育委員会からも取ってということで、東京都の中の公立学校関係でかなりベネッセが請け負っているということが見えてくるわけですけれども、特にESAT-J、英語スピーキングテスト、これ、入試に値する当落を決めるものに関して、ベネッセが握るということに関しての危機感を私は覚えますね。
 そういった危機感を抱いている保護者も多数いらっしゃると思いますけれども、これが進んでいくと、入試の民間会社への委託なんかも進んじゃうんじゃないのというようなことまで懸念を抱く人たちも出てくるわけですけれども、これだけ多くの様々な事業でベネッセが入り込んでいるということに関して、大変な危機感を覚えるわけですけれども、東京都教育委員会としては、ベネッセに依存するような形になっているともいえるような状況を健全であるといい切れるんでしょうか。

○瀧沢指導推進担当部長 委員の危機感というのがどのようなことを指しているのか分かりかねるので、直接答弁するのは非常に難しいかというふうに思いますが、それぞれの事業については、それぞれの要綱等に基づき、定められた手順に従って、外部の有識者等も含めて適正に契約が行われているものであります。それを何か、ベネッセがどんどん入り込んでくるという表現の仕方も含めて、都教委としては適正なプロセスを経てやってきているというものですので、何ら瑕疵はないというふうに考えております。

○風間委員 そういう認識だということは分かりました。
 全てが行政でできないということも認識していますし、それを請け負っていく民間事業者の貢献があるということも承知しています。
 しかし、子供たちの人生がかかっている都立高校の入試に関して、その問題、評価、そういったものを、一民間事業者に対して、個人情報を取得するところも含めて一括で委託していくということに対して、都内の保護者から疑念の声が上がっているわけですから、このこと自体は重く受け止めていく必要があると思いますよ。
 最後に、先ほどほかの会派からも話ありましたように、そもそもアチーブメントテストを都内の公立中学校で実施をしていくというところについては、かつての学力テストの判例なんかも含めて考えれば、調査研究といったようなところから含めれば、都道府県教育委員会の権限で行えるものという認識は承知しております。
 ただ、これに強制性が伴うと。都立高校を受検する生徒に関しては、受けなければ零点になってしまうということなわけですから、強制性が伴うわけですね。このことに関しては、先ほどお話があったように、教育の不当な支配に当たるかもしれないと。これもう法の解釈の問題ですから、先ほどの部長答弁からいうと、そんなことはないんだ。でもこれ、部長の解釈の話ですからね。裁判になったら本当にどうなるか分かりませんよと私は思っています。
 そういったことも含めて、裁判になる可能性もあるかもしれない、今回のこのやり方に不服を持った都民の方がですね。それでも強行するということなんでしょうから、その覚悟も含めて、最後にもう一度、教育長は、そのことも含めて覚悟した上で取り組んでいく決意なのかということを確認したいと思います。

○村西都立学校教育部長 先ほどの繰り返しの答弁になりますが、まず、スピーキングテストについては、教育基本法十六条第三項に、その地域における教育の振興を図るため、地方公共団体は教育に関する施策を策定しなきゃならないと、この規定に基づいて実施しております。
 また、入学者選抜を行う権限につきましては、地教行法、学校教育法施行規則により、教育委員会の職務権限とされていまして、そのスピーキングテストというものを入試に活用していくということを決定していると。法令に基づき適切に実施しているものというふうに考えております。

○風間委員 それは部長がそう答弁していることであって、それが確定している法解釈ではありませんからね。
 教育長に問うたんですけれども、最後まで教育長は知らんぷりということでしたから、この姿勢も都民に知れることになるんだと思います。子供たちの人生がかかっている都立高校の入試、そんなに甘く見られては本当にたまったもんじゃないと思いますね。子供を育てる保護者の立場としてもそう思いますし、先ほどもお話ありましたけれども、本当に考え直した方がいいと思います。
 十一月の二十七日に行われる英語スピーキングのテストに関しては、このままだと行われてしまうんだろうと。当日、試験監督がちゃんと集まっているかどうかも分からない状況かと思いますけれども、そこでまた様々なトラブルがあったとして、それが本当に公平、公正な形でテストに反映されていくのかということも、まだまだ疑問が募るばかりだということが、今回のやり取りを通じて明らかになったことだと思います。
 大学入試の際にも、直前にそれを踏みとどまることがあったわけですから、そういったことが起こった場合には、もう本当に、後々、東京都の教育委員会の健全性が最後の最後で保たれたといえるように、この都立高校入試への反映というのは真剣に見直すように求めまして、私の質問を終わりにします。

○北口委員 私からは一テーマ、特別支援学校についてお尋ねをさせていただきます。
 まず初めに、医療的ケア児の専用通学車両についてお伺いをいたします。
 都議会公明党はこれまで、医療的ケア児、その保護者への支援に取り組んでまいりました。昨年の決算質疑、また、本年の委員会質疑などでも、折に触れて進捗を確認させていただきました。都教育委員会も、特別支援学校における専用通学車両の運行拡大、対象児童の拡大に取り組んでいただいていることを高く評価をしております。
 ここで改めて、医療的ケア児の専用通学車両の運行校数、そしてコース数、対象児童生徒数の令和三年度までの推移について、状況をお伺いいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 肢体不自由特別支援学校におきます医療的ケア児専用通学車両の運行実績でございますが、事業を開始した平成三十年九月の八校十四コースから、令和四年二月には十七校七十七コースに増加しております。
 これに伴いまして、乗車する児童生徒数は、平成三十年九月の二十四人から、令和四年二月には百五十人に増加しております。

○北口委員 ありがとうございます。
 確実に取組を拡大してくださっていることに感謝を申し上げます。
 さて、昨年の決算の質疑では、鼻マスクとかフェースマスクを装着する呼吸補助装置を使用する医療的ケア児については、モデル事業を実施中とのことでありましたが、一年が経過をいたしました。呼吸補助装置を使用するこの医療的ケア児の専用通学車両の利用に向けた取組の状況をお伺いをいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 呼吸補助装置の管理でございますが、従前は、専用通学車両運行のガイドラインで実施の対象外としていたことを受け、令和三年度に肢体不自由特別支援学校一校でモデル事業を実施しております。
 モデル事業では、主治医の指示の下、呼吸補助装置の車内での管理方法や緊急時の対応手順を事前に確認することで、安全に運行することができました。
 モデル事業の成果を踏まえまして、ガイドラインを改定し、車内で呼吸補助装置を使用できることといたしました。

○北口委員 ありがとうございます。
 専用通学車両の取組が、対象路線と対象児童ともに拡充していることを確認させていただきました。今後とも、医療的ケア児の家族の負担軽減のために、課題を一つ一つ乗り越え、取組を継続していただきたいというふうに思います。
 次に、都立盲学校のICT環境整備について伺います。
 特別支援学校では、常日頃からICT端末やデジタル技術等を活用し、学習、生活上の困難さを改善しております。特に、都立視覚障害特別支援学校においては、端末を整備するほかにも、子供たちの障害の程度に応じた専用機器の整備も必要と考えております。
 令和三年度の設備導入の実績をお伺いいたします。

○篠企画調整担当部長 都教育委員会は、都立特別支援学校において、児童生徒の障害の種類や程度に応じて、端末やその活用を補助する入出力支援装置を整備しております。
 令和三年度は、都立視覚障害特別支援学校四校に対して、国の補助金を活用し、音声読み上げソフトや点字ディスプレー等を追加配備することで、教育環境を充実させ、障害による学習上の困難の軽減を図っております。

○北口委員 令和三年度は、音声ソフトや点字ディスプレーなどの追加配備をしていただいたということでございます。ありがとうございます。
 次に、都立聴覚障害特別支援学校への環境整備についてお伺いします。
 都立聴覚障害特別支援学校においても同様に、障害の特性に合わせて様々なデジタル機器などが早くから活用されておりますが、令和三年度の都立聴覚障害特別支援学校への支援についてもお伺いをいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年度は、聴覚及び知的障害の併置校である都立立川学園の整備に合わせまして、同校に従来の集団補聴装置より高音質かつ高出力で、混信も起こらないデジタル式補聴援助システムを導入いたしました。

○北口委員 令和三年度は、都立の聴覚障害特別支援学校で、デジタル式の補聴の補助設備が導入されたということでございます。ありがとうございます。
 聴覚障害特別支援学校の設備につきましては、開学当初の古い設備を使っている学校もあると聞いておりましたので、安心をいたしました。
 今年度は、地元の葛飾区にある聴覚障害特別支援学校でも最新設備が導入される予定というふうに聞いております。こうした技術は日進月歩で進化いたしますので、今後もそれぞれの学校において、適時適切に最新の設備導入が進むことを期待しております。
 最後に、特別支援学校では、視覚と聴覚や知的と視覚など複数の障害があるお子様も珍しくないというふうに聞いております。私も本年初め、視覚と聴覚の両方の障害のあるお子さんを持つお母様から相談を受けたところでございます。
 そこで、令和三年度、都立の視覚障害特別支援学校、聴覚障害特別支援学校では、視覚と聴覚の両方に障害がある子供たちに対して、どのような工夫をして指導に当たっているのか、お伺いをいたします。

○落合特別支援教育推進担当部長 障害がある幼児、児童生徒の指導に当たりましては、障害の状況や発達段階に合わせて、個に応じた適切なコミュニケーション手段を選択し、活用することが重要でございます。
 例えば、弱視と難聴の障害があり、補聴器などを用いた聴覚活用が有効な児童等の場合には、口話によるコミュニケーションを中心に、視覚障害の状況に合わせて、学習教材をタブレット端末で拡大するなど工夫して指導を行ってございます。

○北口委員 各校に少数ではありますけれども一定数、視覚と聴覚の両方に障害がある児童生徒さんが在籍をしているというふうに聞いております。今ご答弁いただきましたとおり、各現場で児童生徒さんの状況に応じて、先生方が様々に工夫をしながら指導してくださっていることに感謝を申し上げます。
 地元の葛飾の聴覚障害特別支援学校を視察させていただいたときには、聴覚障害の特別支援学校でありながら、弱視のお子様に対しての配慮といたしまして、廊下の右側通行を徹底したり、また、拡大鏡を用意したりと、様々な工夫がなされておりました。
 ぜひ都としても、各学校のこうした取組を引き続き応援していただきますように要望いたしまして、質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。
 それでは、質問させていただきます。
 まず最初に、寄宿舎指導員について伺います。
 特別支援学校寄宿舎は、障害のある子供たちが親と離れ、指導員さんや仲間と生活することで、家や学校の教室とは違った刺激も受け、変化し、前向きに成長しているところ。私は、保護者の方や卒業生の皆さんからこれまで何度もお話を聞く中で、そのことを実感してまいりました。だからこそ、希望する子供たちが入舎できない、また、希望する泊数が泊まれない、そうした現状を何とか改善したいと、改善するべきだと、これまで質問を行ってまいりました。
 二〇二一年、昨年二月、都議会文教委員会で、寄宿舎指導員の新規採用試験を実施することなどを含めた陳情が趣旨採択され、昨年度、十二年ぶりに寄宿舎指導員の採用試験が行われました。
 改めて、寄宿舎指導員の募集を十二年ぶりに復活させた理由、目的について伺います。

○吉村人事部長 特別支援学校の寄宿舎指導員につきましては、寄宿舎全体で配置数が定数を上回る状況であったため、平成二十三年度以降、新規採用を行っておりませんでした。
 昨年度、都外施設である区立特別支援学校について、寄宿舎指導員の退職の状況等を見極めながら採用を再開いたしました。

○里吉委員 現在、板橋区、葛飾区、大田区の区立病弱特別支援学校が千葉県の房総半島にありますけれども、今回はこの三校の寄宿舎指導員の採用を行ったということだと思います。
 この寄宿舎指導員は、小学校教諭などの資格が必要とのことですが、昨年度の募集人数とその年代、採用された人数などについて伺います。

○吉村人事部長 令和三年度に実施した寄宿舎指導員の採用候補者選考における採用見込者数は十名で、対象は、令和四年四月一日時点で四十歳未満の者になっております。受験者数は十一名、採用者数は四名でございました。

○里吉委員 募集人数の半分以下しか採用できなかったと、結果としてね、そういうことだということが分かりました。
 昨年度、なぜ半分以下、四人しか採用できなかったのか。その反省、いろいろされているんじゃないかと思いますが、理由について伺いたいと思います。

○吉村人事部長 採用選考では、必要な資質、能力を満たす者を採用しているためでございます。

○里吉委員 今の、あまり答弁になっていなかったと思うんですが、先ほどご答弁いただいたように、そもそも集まったのが十一人、受けたのが十一人だったということで、結果的には採用できた方は四人しかいなかったと。
 必要な資質、能力を満たす者を採用というご答弁でしたけれども、それは当然のことで、理由にはなっていないと思うんですね。せっかく十二年ぶりに採用を行ったのに、採用見込数の半分以下しか採用者がいなかったことについては、都教委としては重く受け止めていただきたいと思います。
 年度途中で採用する必要も検討していただきたいと、我が党のとや委員は文教委員会で要望しておりましたけれども、多分、結局それも答弁ないということは行っていないんだと思うんですね。
 今年度、改めて募集をかけているとのことですけれども、多くの方に応募していただけるように、そして今年度は募集した人数、都教委がこれだけ必要だと思う人数をちゃんと採用できるように、責任を果たしていただきたいと思います。
 さらに、今回の募集については、都立特別支援学校の五か所の寄宿舎の指導員については募集していません。重度重複の児童生徒が増える中で今の指導員定数では不十分と、繰り返し保護者や関係者から声が出されています。
 先ほども、私も説明しましたし、ご答弁もありましたように、今回採用された四名の方は、全て千葉県にある区立病弱特別支援学校の寄宿舎に配属ということですが、今後、都立特別支援学校に併設されている都内の五か所の寄宿舎の指導員についても、二十代、三十代など次の世代に継承していく必要があると思いますけれども、見解を伺います。

○吉村人事部長 都立特別支援学校の寄宿舎指導員については、現在、過員の状態が続いております。今後、退職等の状況を見極めて対応を考えてまいります。

○里吉委員 定員以上に指導員がいるから募集しないということなんですよね。
 しかし、既に都立特別支援学校の寄宿舎は、二十代の寄宿舎指導員はいらっしゃらないと。あと数年で三十代の指導員もいなくなってしまうと伺っています。そうすると、この指導員としての専門性を継続していくことが本当に難しくなってしまうと思います。
 昨年度から開始した指導員募集の勤務先は千葉県、房総半島ですよね。昔でいう健康学園ですから、そういうところで採用した指導員の方々が都立特別支援学校に異動してくださるというのは、なかなか現実的には難しいのではないかと私は思うんですね。
 ですから、やはり都立特別支援学校の寄宿舎指導員は、それはそれで、どうこの専門性を若い指導員さんに継承していくのか、考える必要があると思います。
 しかも、都教育委員会自身も、今の過員だといっている定数については、昨年度、国に対して改善要求を出していますよね。都教委が行った寄宿舎指導員の定数改善要求の内容について、どのようなものなのか、伺います。

○吉村人事部長 教職員の定数の改善につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任において行われるべきものと考えております。
 寄宿舎指導員につきましては、国において重度重複障害のある児童生徒に対応した基準がないことから、国に対して定数改善を、要求を提出しております。

○里吉委員 今ご答弁ありましたように、都教育委員会としても、重度重複障害のある生徒児童が寄宿舎に入ってきたときに、そこに対応した基準がないということについては問題だと、国に対して定数改善の要望を出しているわけです。そのことが確認できました。
 しかし、国に対して要望は出しながらも、都教育委員会としてはこの事態に何ら対応しないというのは、やはり問題ではないかと思うんです。
 そもそも、二〇〇四年に、当時十一舎あった寄宿舎を五舎まで減らしてきたわけです。そのときから退職者不補充で、今、定員以上の職員がいる状態が続いているというわけです。しかし、それで何とか今の重度重複の子供が増えても対応できるという状況を維持してきた、維持しているといっていいかどうか分からないですけど、でも、過員、国が決めている定数よりも多い人数が寄宿舎にいることで、重度重複のお子さんも受け入れてきたというのが今の現状じゃないかと思うんです。
 ところが、当たり前ですけれども、退職者が出たら、その分は指導員は減っていくというわけですから、ますます寄宿舎としての役割が果たせなくなっていく。子供や保護者の希望する利用泊数が確保できなくなってしまうのではないでしょうか。
 寄宿舎というのは、本当に大事な役割を果たしていると思うんですね。学校から下校してから翌日登校するまでの時間を複数の子供たちと寄宿舎指導員と過ごすわけです。寄宿舎では、親から離れ、仲間との生活を通じて社会性や自立する力を育むことができる、本当に大きな役割があります。
 障害のある子供たちの成長にとって寄宿舎が果たしている役割について、都教育委員会はどのように認識しているのか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 障害のある児童生徒の将来の自立や社会参加に向け、全ての特別支援学校において、日常生活の指導を計画的、継続的に実施しております。
 寄宿舎では、学校で指導する教員とも連携し、入舎している児童生徒の基本的生活習慣の確立など、将来の自立や社会参加に向けて取り組んでおります。

○里吉委員 将来の自立や社会参加に向けてというお言葉がありました。本当にそれができるのが寄宿舎だというふうに思っています。
 家庭から離れて泊まるわけですけれども、親御さんに話を聞いても、普通のお子さん以上に、障害のあるお子さんの場合、どうしても親が手をかけ過ぎてしまう。親離れ、子離れができないというのもよく課題としていわれるわけなんですけれども、子供からすると、今まで親に当たり前にやってきてもらったことを、寄宿舎では自分で挑戦しなければならないし、挑戦しようという、そういう気持ちが育まれる場所。入浴をすることや、夜就寝して朝起きる、学校生活だけでは獲得できない様々な生活力を身につけることができる貴重な場所だというふうに思います。
 寄宿舎の果たしている役割はそれだけではありません。これは北海道教育大学の小野川文子教授がまとめたものなんですけれども、東京都立視覚障害特別支援学校と寄宿舎に関わる保護者調査報告というのがございます。これは、寄宿舎併設の四校の特別支援学校に在籍する児童生徒の保護者に行ったものなんですけれども、この調査によれば、この子供たち、どんなふうに家庭での生活を送っているか。八割以上が母親と過ごしている、インターネットやゲームで過ごす子が六割を超える、こういう状況です。なかなか友達と外で遊ぶ経験も少ない、こういう障害児にとって、寄宿舎での生活は仲間と過ごす貴重な時間だというふうに思います。
 寄宿舎に行きますと、仲間と過ごす様々な企画が行われています。五つの寄宿舎それぞれだと思いますけれども、昨年度は、コロナ禍でも工夫していろんな行事が行われていたと思います。
 どんな行事が行われていたのか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 寄宿舎では、コロナ禍において、入舎式などを従来より広いスペースで行うことで、密を避けて実施したり、他校とのオンライン交流を行うなどの工夫が見られました。

○里吉委員 地域交流など、コロナで中止になったものもあったけれども、オンライン交流も含めていろいろ工夫して取り組んだというご答弁でした。
 私、この間、視察をさせていただいた葛飾盲学校の寄宿舎では、小さいものも大きいものもいろんな行事が行われていました。校長先生が案内しながらお話ししてくださったんですけれども、どんな企画もみんなで話し合って決めるようにしていると。それからまた、みんながずっと連泊しているわけじゃないので、どの子もその企画に参加できるように、曜日を変えたり、スケジュールも工夫して行っているというふうに伺いました。
 また、これは今年のことだと思うんですけれども、寄宿舎の職員室近くには、みんなが取り組みたい企画の一覧表が貼ってあって、実現した企画には紙で作ったお花がついていて、まだできていない、これはいつかみんなでやろうねって、多分話し合っているんだろうなというふうに思いました。
 また、多目的ルームには、つり下げ遊具、ハンモック、体を使って遊べる用具もあって、時間ですとか、そこで遊べる人数とかは、コロナで制限はされているのかもしれませんけれども、寄宿舎では、仲間との交流やこういう遊びがたくさんできる場所があるんだというふうに思いました。
 子供は子供の中で育つといわれますけれども、障害児、なかなかそれが難しい現実があります。でも、寄宿舎は障害児にそれを保障できる場所だというふうに痛感をしました。
 こうした寄宿舎ですが、毎年のように保護者の方から、希望する泊数を利用できない、もっと利用したいという要望が出されてきます。
 そこで、平均利用泊数について、毎週大体どれくらい利用されているのか、この数年で変化しているのかどうか、伺いたいと思います。

○落合特別支援教育推進担当部長 一人当たり一週間平均利用泊数は、令和元年度は二・二三泊、令和二年度は二・二八泊、令和三年度は二・一六泊でございます。

○里吉委員 平均二泊から三泊というふうに、これ、そのまま聞くと受け取れるんですが、島から通っている子ですとか病弱の子は週四泊、もしくは島の子は四泊以上している場合もありますから、それ以外の子供は一泊、二泊というところだというふうに思うんですね。
 私も以前ご相談に乗ったことがあるんですが、障害のあるお子さん以外の兄弟との関係、お母さんの仕事や健康状態などから、寄宿舎を利用して何とか毎日特別支援学校に通っていたということで、その状況が何も変わらないのに、翌年は泊数を減らすように学校側からいわれて困っているというご相談でした。
 そこで伺いますけれども、この寄宿舎への宿泊数を決めるのは何か基準があるのでしょうか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 寄宿舎の利用についてでございますが、各学校が、入舎を希望する児童生徒の障害の状態や特性、発達段階、家庭環境など、個別具体的な状況を総合的に判断し、決定しております。

○里吉委員 今ご答弁いただきましたけれども、基準があるというよりは、お一人お一人のお子さんの状況、家族の状況をよく聞いて、総合的に判断しているというご答弁でしたよね。
 ところが、さっき私が聞いた相談されていた方は、お子さんの状態も何も変わっていない、ご両親の状態も何も変わっていない、ご兄弟の状態も何も変わっていない、これでぎりぎり毎日何とか、この泊数で何とか毎日、子供を特別支援学校に通わせることができた、でも同じ状況なのに宿泊数が減らされる、こういうご相談だったわけです。これ、本当にひどいんじゃないかと思うんですよ。
 学校現場で頑張っていると思います。だけど多分、教員の数が、寄宿舎の方の数がもしかしたら定年退職して減ったのかもしれない。後から入ってきた方が重度重複の方が増えたのかもしれない。分からないですけれども、本人の状況は何も変わっていなくても泊数が減らされるということが実際には起きているということは、認識していただきたいと思います。
 先ほど紹介した北海道教育大学の小野川文子教授の調査報告によれば、目押しとかいろんな、保護者が気になる行動がある子供が約三割いる。それから、五割以上の子供は重複障害がある。目が離せない重複障害のある子供と毎日過ごす、そういう保護者の健康状態も心配になるんですが、この調査によれば、時々疲れを感じる、常に疲れを感じる、合わせて九割です。精神的疲労は約八割が感じている。特に深刻だと報告されているのは、常に身体的な疲れを感じる保護者が四割もいることです。
 保護者が病気になったら、この家族の生活はどうなるのかと考えますと、子供が毎日特別支援学校に通える環境を整えるためにも、寄宿舎の果たしている役割が本当に大きいのではないかというふうに思うんですね。
 この総合的な判断といいますけれども、希望しても泊数が確保できない、こういう保護者の方にどういうふうに説明するのか。総合的な判断の中身とか、もう少し詳しくお答えできますか。先ほどもお答えいただきましたけれども、実際には泊数を減らされているという実態があるのでお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

○落合特別支援教育推進担当部長 入舎を希望する児童生徒の状態や特性、発達段階、家庭環境など、個別具体的なものを総合的判断をさせていただくということでございますが、保護者の希望が寄宿舎の利用泊数と差異があった場合についてということでございますが、その際には、学校と保護者が十分に話を行った上で相互理解を図っているというふうに認識してございます。

○里吉委員 最後は話し合うしかないんですよね、限られた中でどうするか。
 だけれども、さっきもいいましたけれども、都教委としても重度重複の子供に対して十分な定数がないと思っている、そういう実態があって、そして、今は過員かもしれないですけれども、その定数以上に採っている中で何とかやってきた今の寄宿舎の状況が、退職者が出てきますからどんどん厳しくなってくる。こういう下で、本当に必要な泊数が宿泊できないふうになっているということについては、私は、国に対してきちんと定数改善を求めるとともに、都教育委員会としても、この寄宿舎の重要な役割を認識しているのであれば、きちんと定数を増やすための対策を取るべきだということは、改めて申し上げておきます。
 それから、次に入舎基準についてもちょっと申し上げたいんですけれども、入舎基準が通学時間片道九十分以上と大変厳しい基準になっているために、通学が大変でも寄宿舎に入る対象にすらならない子供たちがいて、私たち共産党都議団はこれを改善するように、これまで何度も求めてきました。幾つもの自治体で通学片道六十分以上で入舎を認めているんですけれども、都は認めない。これは本当に大変なことだと思います。
 ちょっと確認したいんですけれども、今、これ、肢体不自由の学校だと思いますが、スクールバスについて、六十分以内というのを目標にしています。これは多分、最初のお子さんが学校の近くのバス停からバスに乗って、そのバスが学校に到着するまで六十分以内とするという目標だと思うんですが、昨年度のスクールバスで乗車時間が六十分以上となっているのは何路線あったのか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、都立肢体不自由特別支援学校のスクールバスについて、最初のバス停から学校に到着するまでの運行時間の全校平均を六十分以内とすることを目標としております。
 令和三年度においては、都立肢体不自由特別支援学校のスクールバス二百八十一コース中、運行時間が六十分を超えるのは五十七コースでありましたが、平均運行時間は五十五分でございました。

○里吉委員 まだ二割のスクールバスのコースで六十分以上かかっているということが分かりました。
 しかし、都教育委員会が掲げた目標は全校平均六十分以内なので、今、五十五分なので、目標を達成しましたということなんですよね。当初立てた全校平均、当時は、第一期のときは平均七十二分かかっていたと。でも今、五十五分まで来たと。目標は全校平均六十分だ。そうすると目標を達成したわけですね、その目標は。
 だけど、実際には二割のスクールバスのコースは六十分以上かかっている。これはどうするんですか。目標を達成したからこれでよしとするんですか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 特別支援教育推進計画第二期実施計画におきまして、肢体不自由特別支援学校のスクールバスの平均乗車時間を六十分としてございます。私どもの目標とすれば、計画上六十分ということで、今、進めさせていただいているところでございます。六十分を目標としてございます。

○里吉委員 つまり、六十分が目標だから、これからまた、毎年通ってくる児童生徒によってコース変わりますから、コースを決めるのはすごく大変だというのは私も存じ上げています。毎回苦労して、ここにいる子供はここから乗って、こっちはここから乗ってとやるわけですよね。それで平均六十分以内にするというのが目標でやってきました。今年度も来年度も次の年も、それを何とか維持しますという目標だということですよね。
 そうすると、平均で六十分だから、やっぱり一部六十分以上かかる子が出てきてしまうわけですよね。最初に乗った子、その二割のスクールバスのコースでは最初に乗った子、その次に乗った子ぐらいまででしょうかね、六十分以上、学校に行くのにかかってしまう。
 障害のあるお子さんが片道一時間以上、毎日バスに乗らないと学校に行けない。これ、私たちが想像している以上に、多分、本当に酷なことだと思うんです。早急な改善を行うべきだと思います。
 だからこそ、同時に寄宿舎への入舎は、そのお子さんが六十分以上かけないとバスで通学できないというのであれば、入舎も認めるべきだということは、強く求めておきたいと思います。
 次に、寄宿舎の施設整備について伺います。
 各寄宿舎からは毎年のように、多目的ホールのつり下げ遊具を直してほしいとか、壁紙が剥がれており直してほしい、雨漏りがする、体の大きな子供を介助するためおトイレや風呂に介助器具を入れてほしい、本当に様々な要望が出されています。
 そこで、昨年度に行った寄宿舎の改修工事があれば、その内容と費用について教えてください。

○落合特別支援教育推進担当部長 令和三年度に実施した寄宿舎の改修工事は、都立久我山青光学園寄宿舎の照明改修工事や、都立葛飾盲学校寄宿舎の空調設備工事、都立八王子盲学校寄宿舎の給湯循環システム不具合の修繕など、様々な工事を実施しており、費用は総額約千六百万円でございます。

○里吉委員 毎年、様々な改修を行っていることが分かりました。今年も多くの改善要望が出されておりますので、しっかり取り組んでいただきたいということは申し上げておきます。
 同時に、一九八九年竣工で来年三十五年目を迎える葛飾盲学校では、老朽化が進み、給湯器ボイラーの不調やシロアリ被害、雨漏りなど、毎年のように問題が発生し、その都度、改修が行われてきましたけれども、これが本当に毎年毎年大変な状況なんですよね。
 昨年も雨漏り被害があったというふうに聞いていますが、二階じゃなくて一階の部分なんですけれども、染みができていました。私も確認してきました。
 原因が分からなくて、なかなか改修ができないというふうに伺っていますが、雨漏りへの対応は昨年行ったのかどうか、伺います。

○落合特別支援教育推進担当部長 昨年度、葛飾盲学校の寄宿舎で生じた雨漏りは、寄宿舎生活に大きな支障を来すような被害ではなかったため、修繕工事等は実施してございません。

○里吉委員 私も見てきましたけれども、一階の廊下の部分なので、そこで食事をするとか、勉強するとか、休む部屋だとか、そういう場所ではないので、確かにそれよりも先に直さなきゃいけない場所がたくさんありますので、そこまで手が回らなかったのかもしれないというふうにも思いますし、もう一方で、私自身も経験あるんですけれども、一階の雨漏りというのは、どこから漏れてきたのかなかなか見つけるのが大変難しいんですよね、その原因を見つけるのが。それは、保護者の方々も、寄宿舎の先生たちと、それから、多分、都教委の皆さんも協力して、直せるところは直そうという努力をしてくださっているんだけど、あそこは原因が分からなくて、なかなか手が出せないというふうにも伺いました。
 例えば、配管が不明で使用できない太陽光温水器がそのままになっているとか、そういうこともあったり、古いので、その中がどうなっているのか開けてみないと分からないという状況なんですよね。
 ですから、私は、保護者の方から毎年要望が出されている抜本的な大規模改修、必要なんじゃないかなというふうに思います。
 今、実は他県では、寄宿舎の老朽化を理由に突然の廃止計画が出されている、そんなところもあるんです。ですから、保護者の皆さんは、寄宿舎を廃止しようとされているのではないか、こんな不安の声まで出てきてしまうわけです。
 今年は、葛飾は、二つある浴槽のうち片方は全面改修しておりますし、いろいろ直していただいていることは理解しておりますが、やはり築三十五年ですから、寄宿舎全体の改修もしくは大規模修繕についてもぜひ検討していただきたいということは、最後にお願いをしておきたいと思います。
 最後に、学校施設の省エネ、再エネ対策について伺います。
 公共施設での省エネ、再エネ対策、二〇三〇年までのカーボンハーフに向けて大変重要です。
 そこで、昨年度の学校建設においてどのような省エネ、再エネ対策が行われたのか、まず伺います。

○村西都立学校教育部長 都教育委員会では、都立学校の改築等の際には、財務局が定める省エネ・再エネ東京仕様に基づきまして、外壁断熱や太陽光発電設備の設置など、省エネ技術や再エネ設備を導入しているところでございます。

○里吉委員 財務局作成の省エネ・再エネ東京仕様に基づいて取り組んでいると、大変あっさりとお答えいただいたんですけれども、都立学校施設についてなので、ぜひ、都教委の責任で建設しているわけですから、できたらもう少し詳しくお答えいただきたかったなというふうに思います。
 というのは、今、建物で使うエネルギーを徹底的に減らしていく、省エネを進める、そして使用するエネルギーについては、太陽光発電などをはじめとした再エネで賄うゼロエミッションビルディングという、そういうことが目標とされ、それに向かって取り組んでいるんだと思うんです。しかし、この省エネ・再エネ東京仕様でそれがどこまで達成できるのかというのは、なかなか分かりません。
 昨年建設された学校施設は、二〇五〇年まで残っているわけですから、ゼロカーボンの時代に残っている建物を今造っているわけですから、それにふさわしい建物を建てることが求められている。建物で使うエネルギーがどれくらい減らされるのか、ゼロカーボンとなるのかなど、新しい学校施設の環境性能についても、分かりやすく示していただきたいと思います。
 その上で、今後建てるものについても、できる限り環境性能を、最高水準の環境性能を目指して建設していただきたいと思います。
 最後に一点、太陽光発電の設備についてです。
 これは、一番最初に質疑もありましたけれども、現在、太陽光パネル、それぞれの学校に設置がされています。
 まずお伺いしたいのは一つなんですけれども、昨年度末の都立学校における太陽光発電設備の設置状況について伺いたいのと、それから、今、東京全体では、既存都有施設に対しても太陽光発電の設置を進めているところなんですね、都立学校では、具体的にはまだ分かりませんが、昨年度取り組んでいたのか、これから取り組むのか、そのことについて伺います。

○村西都立学校教育部長 都立学校では、令和三年度末現在、二百四十八校中百六校に、二千九百キロワットを超える太陽光発電設備を設置しております。設置工事に当たりましては、可能な限り学校活動に影響がないよう調整していく必要がございます。
 引き続き、新築、改築時の際の整備に加えまして、既存校舎につきましても、関係局と連携し、設置を進めているところでございます。

○里吉委員 既存学校施設の屋根にも、今後、太陽光発電の設置を進めていくということが確認できました。
 二百四十八校中百六校ですから、まだまだ少ないと思うんですね。ぜひこれは積極的に進めていただきたい。
 最後にこれ、一点要望なんですけれども、学校施設での省エネがどうなっているのかということを、随分、担当の方と議論させていただいたんですけれども、なかなか分からなかったんです。
 私、この省エネ・再エネ東京仕様の資料編というのを見ましたら、そこのコラム〔6〕というところに載っていたんです。ちょっと古いんですけれども、二〇一二年までの都立高校のエネルギー消費削減についてという報告の一端がコラムとして載っているんですね。
 そこには、二〇一一年度は東日本大震災を契機とした節電行動の実施でエネルギー消費量が減少した、しかし、翌二〇一二年度にはまた増えてしまった、そんなことが表とともに、コラム〔6〕、これ、三四ページに載っています。
 ここに書いてあるのは、そんな中で、二〇一〇年度比でエネルギー消費量が増えた学校が百四十二校あって、でも減少した学校も三十九校あって、その中には、運用改善だけで約三〇%削減している学校もあったと、かなり細かく分析されているんです。
 これは専門家の方が分析してくださったんだと思うんですが、こういうことができるわけですから、ぜひそれぞれの学校で省エネを徹底していくというときに、もちろんLED化を進めるとか、そういうことも大事なんですけれども、そこにもちゃんと予算つけてほしいと思うんですけれども、同時に、運用改善できちんと省エネできるということも、学校としてもぜひ取り組んでいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

○藤井委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後五時四十九分散会

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