令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

令和四年十月二十一日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長加藤 雅之君
副委員長竹井ようこ君
副委員長田村 利光君
清水とし子君
かつまたさとし君
磯山  亮君
入江のぶこ君
平けいしょう君
尾崎あや子君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長矢岡 俊樹君
技監山岡 達也君
理事総務部長事務取扱相田 佳子君
企画担当部長石井  均君
調整担当部長堀内  弘君
港湾経営部長野平雄一郎君
港湾振興担当部長猪倉 雅生君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長島しょ空港技術担当部長兼務佐藤 賢治君
臨海副都心まちづくり推進担当部長大野 克明君
臨海副都心開発調整担当部長小原  昌君
港湾整備部長片寄 光彦君
計画調整担当部長山本 康太君
担当部長港湾計画担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長村田 拓也君
島しょ・小笠原空港整備担当部長川崎  卓君
産業労働局局長坂本 雅彦君
次長根本 浩志君
総務部長松本 明子君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務向井 一弘君
企画調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務勝見 恭子君
企画調整担当部長飯野 雄資君
商工部長緑川 武博君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務福田 哲平君
金融部長戸井崎正巳君
金融支援担当部長高野  豪君
産業・エネルギー政策部長阿部 泰之君
産業政策連携促進担当部長米澤 鉄平君
新エネルギー推進担当部長榎園  弘君
観光部長築田真由美君
観光振興担当部長天津 利男君
農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務山田 則人君
安全安心・地産地消推進担当部長
新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務
鈴木のり子君
雇用就業部長山崎 太朗君
事業推進担当部長内田 知子君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和三年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・令和三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・令和三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○加藤委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、港湾局長から幹部職員の紹介があります。

○矢岡港湾局長 去る十月十四日付の人事異動によりまして、兼務発令のございました幹部職員をご紹介させていただきます。
 開発調整担当部長で島しょ空港技術担当部長を兼務いたします佐藤賢治でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○加藤委員長 紹介は終わりました。

○加藤委員長 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○相田理事 去る十月十二日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に九件の資料の件名を記載してございます。
 それでは、一ページをご覧ください。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で記載してございます。
 三ページをご覧ください。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをご覧ください。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページをご覧ください。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 平成二十九年から令和三年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで、各島の貨客船と高速ジェット船それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをご覧ください。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、〔1〕、総数及び〔2〕、登録自家用機の飛行目的別の離着陸回数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。晴海ふ頭を除くクルーズ客船寄港回数の推移でございます。
 平成二十九年から令和三年までの五年間の大井水産物ふ頭及び東京国際クルーズふ頭へのクルーズ客船の寄港回数につきまして、実績を記載してございます。
 八ページをご覧ください。離島航路補助の実績でございます。
 離島航路補助の令和三年度決算額を航路別に、百万円単位で記載してございます。
 九ページをご覧ください。伊豆諸島海上貨物運賃補助のうちコロナ対策分の実績でございます。
 令和三年度貨物運賃補助のコロナ対策分につきまして、令和三年一月から令和四年三月までの決算額を、百万円単位で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 東京港のふ頭整備について伺います。
 東京港は、我が国有数の国際貿易港であり、首都圏四千万人の生活と産業を支える社会インフラとして、日本の成長に欠かせない重要な役割を担っています。東京港の外貿コンテナ貨物量は、全国のコンテナ貨物量の四分の一を占め、国内最多となっていますが、貨物量は今後もさらに増加し続ける見込みであると聞いております。
 近年、アジア貨物の急増や世界的なコンテナ船の大型化の進展など国際海上物流を取り巻く状況は大きく変化しつつありますが、東京港が日本の物流の一大拠点であり続けるためには、こうした変化を踏まえつつ、さらに増え続ける貨物量に適切に対応できるよう、港湾機能の強化を着実に進めていく必要があります。
 このため、我が党は、東京港の機能強化に向け、中央防波堤外側Y3の整備を積極的に進めるべきであることを繰り返し主張してきました。
 そこで、まず、中央防波堤外側Y3コンテナふ頭の整備について、令和三年度の取組状況を伺います。

○片寄港湾整備部長 東京港が国際貿易港としての役割を確実に果たし、日本経済を牽引していくためには、貨物処理能力の増強やコンテナ船の大型化に適切に対応していくことが重要でございます。
 このため、都は、中央防波堤外側埋立地に年間約四十五万TEUの貨物処理能力を有し、水深マイナス十六メーターの岸壁を備えたY3コンテナふ頭の整備を国と連携して進めております。
 令和三年度では、Y3の前面の航路や泊地のしゅんせつ工事を進めるとともに、既設護岸の地盤改良工事に向けた設計を行ったところであり、引き続き整備を着実に推進してまいります。

○磯山委員 Y3の貨物処理能力は四十五万TEUとの答弁がありましたが、これは東京港で取り扱う外貿コンテナ貨物量の約一割に相当すると伺っております。大型船も停泊できる水深の岸壁を備えたふ頭であり、東京港の機能強化を進めるに当たっては、極めて重要なふ頭であります。
 これまでも、我が党は、Y3の整備を早期に完成させるべく、国に対して繰り返し整備推進を要請してきたところでありますが、都は、国との連携をしっかりと図りつつ、整備を加速させるよう全力を挙げて取り組んでもらいたいと思います。
 一方で、これも我が党が繰り返し指摘してきたところでありますが、今後予想される貨物取扱量の増加に対応するには、Y3の整備だけでは不十分であります。外国の港湾では、新たな大型ふ頭を立て続けに整備しているところが多いようでありますが、都心に近接し、港湾エリアの拡張に限界がある東京港では、それは困難であります。
 このため、既に供用している既存のコンテナふ頭についても機能を強化させることで、東京港全体の貨物処理能力の向上を図っていく必要があり、都は、大井ふ頭や青海ふ頭、品川ふ頭の再編整備を進める方針を明らかにしています。
 近年、東京港の取扱貨物量の約四分の三は、アジアとの貿易貨物であると聞いており、本日は、アジア航路のコンテナ船が数多く寄港し、都心に最も近い品川ふ頭の整備について具体的に伺っていきたいと思います。
 まず、現在の品川コンテナふ頭における岸壁等の施設には、どのような課題があるのか確認いたします。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 品川コンテナふ頭は、主に中国や韓国などの近海アジア航路の貨物船が利用しているふ頭でございますが、現在、施設の処理能力を大幅に上回る貨物量を取り扱っている状況にあります。また、品川ふ頭の地下には鉄道トンネルがあることから、岸壁の一部区域には荷重制限のため、荷役作業を行うガントリークレーンを移動させることができず、船舶との荷役を行えない状況となっております。
 さらに、現在の岸壁の水深がマイナス十メートルと比較的浅いことから、近年の近海アジア航路における船舶の大型化への対応が難しくなっております。このため、品川コンテナふ頭の再整備を進めるに当たっては、これらの課題を解決していくことが必要であると認識しております。

○磯山委員 近海アジア航路の貨物船は、北米や欧州航路に比べると一般的に船の大きさが小さいと伺っておりますが、このような航路の船舶でも大型化が進んでおり、品川ふ頭は対応が難しくなりつつあるとのことであります。また、現在の岸壁では、ガントリークレーンを移動させることができないエリアが一部にあるとのことであります。
 先ほども述べたとおり、東京港で取り扱われるアジア貨物は増加傾向にあることから、品川コンテナふ頭を再整備し機能強化を図ることは、今後の東京港全体の貨物取扱能力の向上という点で考えると、極めて重要であると思います。
 そこで、品川コンテナふ頭が抱える課題に対し、都は、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 アジア貨物の増加と船舶の大型化に適切に対応するため、都は、令和二年一月に第八次改訂港湾計画の変更を行い、品川コンテナふ頭の機能強化を進めることといたしました。
 具体的には、既存の岸壁を四十メートル前出しすることで、狭隘なヤードの面積を約三ヘクタール拡張し、より多くの貨物を取り扱えるようにしてまいります。また、岸壁の前出しに合わせて、鉄道トンネルを防護する構造を採用することによりまして、岸壁の全区域において、ガントリークレーンによる荷役作業を実施できるようにしてまいります。
 さらに、岸壁の水深については、現在のマイナス十メートルからマイナス十一・五メートルへ深くすることで、大型化が進む近海アジア航路のコンテナ船の入港にも対応できるようにしてまいります。
 こうした取組を進めることで、品川コンテナふ頭の機能強化を図ってまいります。

○磯山委員 先ほど答弁のあった品川コンテナふ頭の課題に対して、的確に対応した再整備の計画であると思います。私としても、この取組に大いに期待しています。
 コンテナふ頭の再整備には相当の時間がかかることは承知していますが、着実に、かつスピード感を持って進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そこで伺いますが、品川コンテナふ頭の機能強化について、令和三年度の取組状況を確認いたします。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 品川コンテナふ頭の再整備につきましては、港湾計画の変更を行った翌年度の令和二年度より取組を開始しており、測量や地質調査を進めてまいりました。令和三年度につきましては、その調査結果などを踏まえ、岸壁を前出しするための基本設計に着手したところでございます。
 現在、設計と並行して、再整備の具体的な内容やスケジュール等に関するふ頭利用者や鉄道事業者との調整も進めているところであり、着実な整備の推進に向け、引き続き関係者とも緊密に連携しながら取組を進めてまいります。

○磯山委員 いよいよ本格的に始まる品川ふ頭の機能強化を、我が党もしっかりと後押しをしていきたいと考えています。ぜひ、関係事業者との調整を積極的かつ丁寧に行っていただき、スピード感を持って着実に取組を進めていただきたいと思います。
 今後とも東京港が世界から選ばれ続けられる港となるよう、都は引き続き、全力で取り組んでいただきたいということを強く要望して、次の質問に移ります。
 東京港の橋梁とトンネルの長寿命化について伺います。
 東京港は、首都圏の生活産業を支える国際物流拠点であり、その動脈となる臨港道路は、都民や都市の活動を支えているとともに、災害時には緊急物資の輸送を担う極めて重要なインフラであります。
 とりわけ臨港道路の一部である橋梁とトンネルは、埋立地の間をつなぐ重要な施設でありますが、昭和四十年代に建設された施設もあり、老朽化が課題となっています。このまま老朽化が進み、通行できなくなる状況が発生すれば、東京港の物流機能に多大な影響を及ぼすことになります。
 こうした中、港湾局では、昨年九月に東京港橋梁・トンネル長寿命化計画を策定し、老朽化が進んでいる施設の長寿命化を図ることとしたと伺っております。
 そこで、まず、長寿命化の目的と効果について改めて伺います。

○山本計画調整担当部長 これまで港湾局では、橋梁やトンネルなどの劣化調査を通じて把握した損傷や劣化の状況を踏まえ、計画的に維持補修を行ってまいりましたが、施設の性能が徐々に低下することは避けられず、いずれ施設を新たにつくり変える更新工事が必要となることが見込まれております。
 更新工事を実施した場合には、長期間にわたる通行止めや交通渋滞の発生による経済的損失に加え、膨大な事業費が発生することが予想されており、こうした影響をいかにして抑制するのかが課題となっております。
 そこで、長寿命化対策として計画的に大規模改修を行うことにより、橋梁やトンネルの機能を維持しつつ性能を回復、向上させ、かつ延命化も図る取組を新たに進めていくことといたしました。
 これにより、老朽化が進んでいる施設をさらに百年程度延命させるとともに、事業費の平準化を図ることが可能になると認識しているところでございます。

○磯山委員 東京港は、首都圏四千万人の生活と経済活動を支える重要なインフラであり、その動脈ともいえる橋梁とトンネルを新たに一からつくり変えるということになれば、その工事に伴う影響はかなり大きく、かつ長期的にわたるものになることが予想されます。
 長寿命化対策は、既存の橋梁やトンネルを継続して使用しながら大規模改修を行い、百年程度の延命を図るとのことであり、東京港の物流機能の維持と港湾施設の性能維持の双方を両立させる非常に期待が持てる取組であります。
 一方、長寿命化計画によると、港湾エリアにある全ての橋梁が対象ではないようでありますが、長寿命化対策はどのような施設を対象とするのか、具体的に伺います。

○山本計画調整担当部長 長寿命化対策の対象施設は、東京港の物流機能を維持していく観点から、港湾局の所管する橋梁及びトンネルのうち、緊急輸送道路に位置づけられているものまたは延長百メートル以上のものといたしました。
 具体的には、有明ふ頭橋などの十四の橋梁及び第二航路海底トンネルなどの四つのトンネル、合わせて十八の施設を対象としており、施設の状況を踏まえ、順次、長寿命化対策を実施してまいります。

○磯山委員 いつ、いかなるときでも利用できるようにしていなければならない緊急輸送道路は、工事による長期間通行止めをできるだけ避けなければならない道路であることから、機能を維持しながら施設の大規模改修を行うという長寿命化の対象としては、まさに妥当であると考えます。
 また、先ほどの答弁にありましたが、規模の大きい橋梁やトンネルは、一から新たに全てをつくり変えようとすると莫大な財政負担が伴います。
 この点からも、答弁のあった施設を対象とすることは、財政負担をなるべく平準化させるという観点から適切であると思います。ぜひ着実に取組を進めていっていただきたいと思います。
 さて、これらの施設では、これまで行ってきた事前の計画的な維持補修に加え、新たに長寿命化の取組も実施されることになると思いますが、どのような工事をすれば延命することができるのか、その点についても確認したいと思います。
 長寿命化対策では、具体的にどのような改修工事を実施し、施設の延命を図るのか伺います。

○山本計画調整担当部長 港湾局が所管する橋梁やトンネルは全て臨海部に設置されていることから、海水によるコンクリートの塩害対策や鋼材の腐食対策を入念に行うことが延命を図る上で重要です。
 このため、長寿命化対策の実施に当たっては、まず、施設の劣化調査などを行い、損傷や腐食の状況を踏まえ、必要となる対策を検討いたします。
 具体的には、橋梁については、道路を支える鉄筋コンクリート製の床版を取り替えることや劣化が著しい場合には、橋桁自体の架け替え等を行うことを想定しております。また、トンネルについては、耐久性が高い舗装へ変更することや作業員の立入りが困難な場所に設置されている鋼板などに、電気を流して腐食を抑える防食工事等を行うことなどを想定しております。

○磯山委員 臨海部の特性として、塩害対策を行っていくことは大変重要なことであると思います。また、トンネルは海底に敷設されているものであることから、メンテナンス作業を行うことが困難な箇所もあると思いますが、工夫を図りながら取組を進めるとのことであり、効果を期待したいと思います。
 こうした長寿命化対策を、今後、合計十八の橋梁とトンネルで実施していくわけでありますが、東京港の臨港道路を長期にわたって安定的に機能させるためには、工事を計画的に実施していくことが必要です。
 そこで、令和三年度の取組状況と今後の進め方について伺います。

○山本計画調整担当部長 長寿命化対策の実施に当たっては、建設から四十年以上が経過しているとともに、施設の健全度調査等により、対策の必要性が高いことが判明している有明ふ頭橋、城南大橋、大井中央陸橋の三つの橋梁及び第二航路海底トンネルの合わせて四施設を優先的に選定し、対策を進めることとしております。
 令和三年度は、この四施設について施工性、経済性、維持管理等を考慮した上で、改修内容を検討する基本設計を実施いたしました。今年度は、大井中央陸橋と第二航路海底トンネルの設計を引き続き行うとともに、有明ふ頭橋と城南大橋に関しては、工事に着手する予定でございます。さらに、この四施設に加えて、新たに大井北部陸橋の劣化調査を実施する予定であり、今後、都は、長寿命化対策を着実に推進してまいります。

○磯山委員 長寿命化対策が着実に進んでいることが確認できました。繰り返しになりますが、東京港の橋梁やトンネルは、東京港の道路ネットワーク機能を維持するために極めて重要な施設であります。建設された年度を考慮すると、長寿命化対策は待ったなしの状況であると思います。
 ぜひ整備を着実に推進することを強く要望させていただき、質問を終わります。

○入江委員 お願いします。新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まって三年近く経過しております。この間、多くの事業者が困難な事態に直面してきましたが、とりわけ観光産業や飲食業は客足が少し戻っては再び遠のくといったことが繰り返され、不安定な状況が続いてきました。
 本土と島を結ぶ定期船、航空便や東京港の水辺を楽しめる旅客船や屋形船も、利用客の多くが観光客であることから、その影響は甚大です。また、島しょ地域の重要な産業である農業、漁業についても、取引先である都内の飲食店の営業時間短縮などによって大きな打撃を受けてまいりました。
 こうした状況を受け、都民ファーストの会では、コロナ発生以降、都民生活や事業者を守るための対策の一つとして、離島の航路、航空路事業への補助や生産物の輸送費補助、また、屋形船の事業者などが支払っている港湾占用料などの支払猶予を行うように都に繰り返し要望してまいりました。
 まず、離島航路及び航空路補助について伺います。
 離島航路、航空路は、島の人々の生活や産業にとってなくてはならない交通手段であり、コロナ禍で利用者が大きく減少する中にあっても、確実に維持していかなければならないものです。
 我が会派は、令和二年のコロナ発生直後から、離島の航路、航空路を維持するために事業者への一層の支援を行うよう要望してきました。都は、運航事業者に対する追加の支援を決め、令和三年度、令和四年度も同様の支援を実施しています。
 そこで、まず、改めて航路、航空路の補助制度の概要を確認するとともに、新型コロナの影響による各路線の欠損額の増加に対して、都はどのように対応してきたのか伺います。

○村田離島港湾部長 島しょ地域と本土を結ぶ定期航路、航空路は、都民や観光客などの移動手段として、また、日用品や生産物の輸送手段として必要不可欠なものでございます。
 都はこれまでも、定期航路や航空路を維持するため、国と連携して運航事業者の欠損額に対し補助を行ってまいりました。新型コロナウイルス感染症の発生後は、利用客数の減少によって欠損額が大幅に増加したことから、令和二年度より、補正予算において必要な額を確保し、支援を実施してまいりました。
 加えて、従来は補助の対象外であった竹芝−神津島間の航路につきましても、欠損額の二分の一を補助する取組を都独自に実施してきたところでございます。

○入江委員 コロナ発生直後には、利用客の激減による運航事業者の経営悪化で路線の休止や撤退を心配する声もありましたが、都の支援が島民の大きな安心につながったと聞いています。
 しかし、その後も繰り返し緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置が出されたことから、観光などで島へ移動するのは控えるという状況が続いていました。
 そこで、昨年度の船舶や飛行機の利用客数はコロナ前と比較してどの程度減少したのか、また、都が行った航路、航空路補助の実績と成果はどのようなものであったのか伺います。

○村田離島港湾部長 令和三年度における船舶や航空機の利用客数は、令和二年度と比較すると回復傾向にあったものの、コロナ前と比較して約四割の減少となっております。
 このため、都は、当初予算の十二億円に加え、補正予算十四億円の計約二十六億円を確保し、運航事業者への支援を行っております。最終的な実績額は約二十四億円でございます。
 この結果、一部減便となっていた路線はございましたが、年間を通じて全ての離島航路、航空路が維持されており、運航事業者からは、都の補助は非常に大きな助けとなったとのご意見をいただいております。

○入江委員 昨年度の離島航路、航空路の利用客数は、コロナ前と比較して四割も減少していたとのことでありますが、運航事業者は、引き続き厳しい経営状況にあったことが分かります。
 都が補正予算の編成を通じ、積極的に予算を確保し、事業者への支援を行った結果、全ての航路と航空路が維持されたとのことで、都の対応は大変適切であったと思います。
 今年度は、社会経済活動が相当程度回復しつつありますが、利用客数がコロナ禍以前の水準に戻るかどうかについては、引き続き注視する必要があると考えます。島と本土を結ぶ路線を守るために、都は、今後も適切な対応をすることを要望いたします。
 続いて、海上貨物運賃補助について伺います。
 都が長年にわたって実施してきた生産品などの輸送費に対する補助は、島の生活と産業を支える上で欠かせないものとなっています。しかし、島の農業、漁業の生産品はほとんど本土向けに出荷されているため、コロナ発生以降は、外食産業の停滞などに伴う価格の下落によって生産者には厳しい状況が続いていると聞いています。
 このため、我が会派は生産品の輸送費補助の補助率の引上げを知事に要望し、都は補正予算を計上して対応してきました。
 そこで、まず、海上貨物運賃補助制度の概要と、コロナ禍において行ってきた補助の拡充措置の内容について伺います。

○村田離島港湾部長 海上貨物運賃補助は、島民生活の安定及び島内産業の振興を図るため、生活必需品や農漁業生産物の海上運送費に対して補助を行うものでございます。
 都は従来、島民の生活必需品であるプロパンガスなど四品目については一〇〇%、魚介類や生花、野菜などの十五品目については五〇%の運賃補助を実施してまいりました。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う外食需要の減退等により、本土向けに出荷している魚介類などの価格が低迷したことから、島内生産者の負担軽減を図るため、令和二年度より、島しょ地域から本土に移出される魚介類や野菜などについて、海上貨物運賃の補助率を通常の五〇%から一〇〇%に引き上げております。
 令和三年度につきましても、依然としてコロナ禍の影響が続いたことから、補正予算を計上し、同様の支援を継続して実施してきたところでございます。

○入江委員 島の生産者が苦しい状況に置かれている中、我が会派の要望を踏まえ、都が状況に応じて柔軟に予算を確保し、補助率を引き上げるという対応を行ってきたことを評価します。島の生産者にとって海上輸送費の負担は小さいものではなく、コロナ禍が長引く中、都の支援は大変心強いものだったと思います。
 そこで、海上貨物運賃補助に関わる令和三年度の実績はどのようなものであったか、また、この支援により、実際にどのような効果があったのか伺います。

○村田離島港湾部長 海上貨物運賃補助の令和三年度の実績は、約三億五千万円でございます。このうち、島しょ地域から本土への生産品出荷に係る補助率の引上げ分の実績額は約六千万円となっており、島しょ地域の生産者全体で見ると、一か月平均で約五百万円のさらなる負担軽減につながったと考えております。生産者からは、出荷に要するコストが大幅に削減されたことで、一定の収益の確保につながったとの感謝の声が寄せられております。
 都は、今後とも島しょ地域の生活や経済を守るため、海上貨物運賃補助を着実に実施してまいります。

○入江委員 都は、コロナ禍において島の人々の生活や産業を支えるために適切に対応してきたことが分かりました。私も直近は八丈島に伺ったりしたんですけれども、やはり東京都の支援がどんなに島の生活に大切かということを、町長をはじめ皆様から伺ってまいりました。
 令和四年度においても、既に補正予算を編成し、補助率引上げという特例措置を継続しています。今後も状況を注視しながら、必要なときはちゅうちょすることなく、しっかりと支援を行うことを要望いたします。
 さて、一方、本土側の東京港に目を向けると、日の出桟橋やお台場海浜公園の桟橋などを利用する水上バスや屋形船を運航する事業者などについても、同じくコロナ禍における経済活動停滞の影響で、厳しい経営を余儀なくされていました。私の下にも様々な要望が届きました。
 このような状況を受け、都は港湾占用料などの納付が困難な事業者などに対し、令和二年度に納付期限猶予の措置を行っていますが、その後も我が会派は、納付期限猶予措置の延長を小池知事に要望し、令和三年度及び四年度も同様の措置が続いて継続しています。
 そこで、まず、改めて桟橋などの港湾施設の占用料、使用料などに関する納付期限猶予措置の内容と令和三年度の猶予実績について伺います。

○野平港湾経営部長 都は、係留施設の使用料や水域占用料などにつきまして、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的に納付が困難な事情がある事業者等に対し、その申出に基づき、納付期限を最長一年間猶予する措置を令和二年度から実施しております。
 令和三年度の一般会計における東京港内の施設使用料等の納付期限猶予額の実績は三千八百万円で、令和二年度の猶予額と比較すると九千四百万円の減となっております。

○入江委員 ご答弁によると、令和二年度と比較して令和三年度は納付猶予の実績が減っているということです。一時期の危機的な状況からは改善していますが、それでもいまだに厳しい状況にある事業者がいることを改めて確認しました。
 現在は昨日から東京でも全国旅行支援、ただいま東京プラスが開始されるなど感染防止対策をしっかりと行いつつも、経済活動を推進していくウイズコロナ、ポストコロナの新しいステージに変わってきています。
 そこで、経済活動の活性化も視野に入れ、乗船客の増加につながるよう舟運の水上交通の魅力をPRすべきと考えますが、見解を伺います。

○野平港湾経営部長 舟運は水辺のにぎわいの創出をもたらし、ひいては東京の魅力向上につながるものでございまして、その利用者を増加させるためには、舟運の楽しみ方や利用方法を知ってもらうことが重要であると認識しております。
 このため、都は、船から見た東京の名所風景を紹介した動画、航路や運航情報、船着場へのアクセスなどにつきまして、ウエブサイトやSNS等を活用して発信しております。また、これまで舟運になじみのない人にも気軽に体験乗船していただくことを目的に、水辺で行われる都の関連イベント等に合わせた企画船の運航について検討を行っております。
 今後とも、舟運の活性化に向けて、新型コロナウイルスの感染状況に応じ、事業者に対し必要な対応を適切に行ってまいります。

○入江委員 ぜひ、水上交通に関わる事業者の支援を通じて、水辺のにぎわいを取り戻し、東京の魅力、活力の創出、そして観光客の増加に備えていただきたいと思います。
 島しょ地域では、定期便の運航や物資輸送が、まさに島民生活の生命線ともいえました。また、東京港では、水上交通が水辺の風景を楽しむといった非日常性を体感できる観光資源として重要な役割を果たしていると思います。
 また、今後大いに期待されているのが、通勤手段としての舟運の活用です。こちらにもお取り組みいただきたいと思います。
 現在、新型コロナウイルス感染症については、感染者数が減少傾向にあるとはいいましても、いまだコロナ発生前の水準までに経営状況が回復しているわけではありません。このような水運、そして水上交通、重要な役割を担っている事業者に対して、引き続き適切な対応、支援を行っていただくことを強く要望します。
 続いて、無電柱化について伺います。
 無電柱化は東京都の中心的な施策です。港湾局は、臨港道路で無電柱化を進めています。本年九月の台風十四号では、九州地方を中心に三百本以上の電柱が破損し、大規模な停電や通行止めを引き起こすなど、人々の生活や経済活動に大きな影響を及ぼしました。
 無電柱化を進めることは、地震や台風などの自然災害による電柱の倒壊や停電を防ぐ対策として、極めて重要であることを改めて認識したところです。
 東京港は、首都圏の生活と産業活動を支える極めて重要な役割を担っています。災害発生時に電柱の倒壊による大規模停電や道路の閉塞による緊急物資輸送、国際コンテナ物流などの停滞があってはならないと考えます。
 また、島しょ地域においても、港や空港は島の玄関口としての重要な役割を果たしており、災害時であっても、その機能を停止するわけにはまいりません。
 我が会派は、これまでに幾度にもわたって東京港や島しょ地域の無電柱化の取組を推進するように主張してまいりましたが、まず、東京港における無電柱化の目的と取組の考え方について改めて伺います。

○片寄港湾整備部長 東京港ではこれまでも、災害時における円滑な物流や緊急物資の輸送等の確保を目的として、緊急輸送道路に指定されている臨港道路等での無電柱化に積極的に取り組んでまいりました。
 昨年六月には、さらなる無電柱化の推進を図るため、東京港無電柱化整備計画を改定し、無電柱化の整備対象を東京港内の全ての臨港道路や、ふ頭敷地等へ拡大し、二〇四〇年度までに完了させることといたしました。
 このうち、防災上重要な緊急輸送道路につきましては、二〇三五年度の整備完了を目指すなど、整備のスピードアップを図ることとしたところでございます。
 現在、本計画に基づき、未整備となっている緊急輸送道路二十二路線、約二十三キロメートルを対象に、順次整備を進めているところでございます。

○入江委員 東京港における無電柱化の取組については、整備対象範囲の拡大やスピードアップを図っているということが分かりました。特に、いつ発生してもおかしくない首都直下型地震や激甚化する台風などへ備えるため、無電柱化の取組を加速させるとしたことは適切な判断であると評価いたします。
 これまでも都は、東京二〇二〇大会のレガシーとすべく、大会会場周辺での無電柱化に全庁を挙げて取り組んできたところです。今後、港湾局では、新たな整備計画に基づき、その取組をさらに拡大していくと聞いております。
 そこで、東京港の無電柱化について令和三年度までの取組の状況を伺います。

○片寄港湾整備部長 港湾局では、東京二〇二〇大会の開催に向けて無電柱化に取り組んできており、令和二年度末までに臨海副都心地区や会場周辺などの路線において整備を完了させたところでございます。
 昨年度は、未整備の緊急輸送道路二十二路線、約二十三キロメートルにも無電柱化の取組を拡大することとし、このうち八路線、約四キロメートルにおいて工事に着手いたしました。
 具体的には、大井コンテナふ頭背後の大井一号線や中央防波堤地区の中防内一号線などの路線において、地下空間に電線共同溝を設置する工事などを実施いたしました。また、品川ふ頭背後の道路における無電柱化工事の期間の短縮を図るため、電線管理者の所有する埋設管等を電線共同溝として活用することとし、その実施に向けた設計にも着手したところでございます。
 今後も、東京港のさらなる防災力強化に向けて、無電柱化を着実に推進してまいります。

○入江委員 東京二〇二〇大会の大きなレガシーとしても、東京港において無電柱化が着実に進んでいるということが分かりました。無電柱化については、建設局、そして港湾局でやっていただいておりますので、ぜひ最新の技術や、またいろいろな調整をご一緒にしていただければと願うところでございます。
 ふ頭の背後にある道路の無電柱化は、大地震などの発生時における物流ルートの確保という点で極めて重要です。ふ頭周辺の道路は、コンテナを載せた大型トラックの通行が多く、工事を進めることは大変だと思いますが、ぜひ着実に整備を進め、東京港の防災力の向上を図っていただきたいと思います。
 私も臨海副都心は大変よく参りますが、無電柱化が進んでいて、大変空が広く感じられ、臨海副都心の魅力向上に大きく貢献していると実感しております。観光資源としての臨海副都心の魅力を創出しております。
 都市景観の美化という点でも無電柱化は大変重要であり、引き続きしっかりと取組を進めていただくことを要望します。
 続いて、島しょ地域における無電柱化の取組について確認します。
 本土に比べ、さらに多くの台風が襲来する島しょ地域では、これまでも電柱倒壊や断線による停電など日常生活に甚大な影響を与える被害が発生してきました。中でも、島しょ地域の港や空港は、人や物資が行き交う拠点であり、島民の生活と産業を支える重要なインフラとなっています。
 台風や地震などの自然災害により、電柱が倒壊して長時間にわたる停電が発生した場合には、港や空港の機能がストップするといった事態も想定されます。航路、航空路を守るために、港や空港の無電柱化を進めていくことが極めて重要です。
 東京港と同様に、島しょ地域の港や空港においても計画的に無電柱化を進めていくべきだと考えますが、都の取組を伺います。

○村田離島港湾部長 台風などによる自然災害が多く発生する島しょ地域において、重要な社会インフラである港や空港の機能を維持し続けるためには、無電柱化を積極的に進め、停電や通信障害が発生しないようにしていくことが重要でございます。
 このため、都は昨年度、東京都島しょ地域無電柱化整備計画を策定し、地元自治体などとも連携しつつ、計画的に無電柱化を進めていくことといたしました。本計画では、定期船が発着する十八の港と、五つの空港の無電柱化を二〇三〇年代までに完了させることを目指しております。
 このうち、特に令和元年の台風十五号で被害が発生した大島や新島などにある四港二空港につきましては、二〇二五年度までに完了させることとしており、今年度、調査、設計などに着手したところでございます。
 都は、災害に強い島しょ地域の実現に向け、引き続き、港や空港の無電柱化を着実に推進してまいります。

○入江委員 島しょ地域の港や空港に関しても、昨年度策定した整備計画に基づき、無電柱化の取組を着実に進めていくということが分かりました。
 近年、気候変動の影響によって台風が年々強大化しつつあるといわれております。その影響を受けやすい島しょ地域の生活と産業をしっかり守っていくためには、電力や通信などの無電柱化をスピード感を持って進めていくことが重要です。ぜひ、全力を挙げて取り組んでください。
 東京港と島しょ地域の港では、それぞれ特性が異なっておりますが、いずれも生活、産業を支える社会的インフラとしての重要な役割を担っております。二十四時間三百六十五日、いついかなるときでも、この重要な機能を維持できるよう、引き続き、港や空港における無電柱化を着実かつスピーディーに進めることを改めて要望します。
 質問を終わります。

○かつまた委員 私からは、初めに海岸保全施設の耐震対策についてお伺いをいたします。
 近年、海水温の上昇に伴い台風が大型化しております。先月中旬から下旬にかけて、大型の台風が立て続けに日本を直撃いたしました。
 一つ目の台風十四号は、上陸した際の中心気圧が観測史上四番目に低い九百三十五ヘクトパスカルであり、九州を中心に全国で大きな爪痕を残しました。翌週には、台風十五号が上陸し、静岡県で土砂崩れや大規模な断水などの大きな被害が出たところであります。
 幸いにして東京での被害は軽微でありましたが、東京に大型台風が直撃した際に、まず心配されるのが高潮による被害であります。このため、都では、高潮への備えとして、防潮堤や水門などの海岸保全施設の整備を進めてきており、おおむね完成していると聞いています。
 一方、日本に台風十四号が襲来した日と同じ日に、台湾では震度六強の地震が続けて発生し、道路や橋などに大きな被害が発生をいたしました。
 首都圏では、マグニチュード七程度の首都直下型地震が三十年以内に七〇%程度の確率で発生すると予測されていますが、万が一、大地震により防潮堤が損壊し、その修復が完了する前に、このような大型の台風が東京を襲うようなことがあれば、高潮の被害は極めて甚大になることも予想されております。
 海岸保全施設の耐震対策をしっかりと進めていくことの重要性を改めて認識させられるところでありますが、港湾局の一般会計決算概要資料によると、海岸保全施設建設事業として防潮堤や水門の耐震対策等に取り組んでいるとのことでありますが、本日はその進捗状況を中心に確認していきたいと思います。
 まず、東京港における海岸保全施設の耐震対策等について、どのような考えで取り組んでいるのか、見解をお伺いいたします。

○片寄港湾整備部長 平成二十三年に発生した東日本大震災を踏まえ、地震・津波に伴う水害対策に関する都の基本方針が示されたことに伴い、港湾局では平成二十四年に東京港海岸保全施設整備計画を改定し、地震対策等の一層の強化に取り組むことといたしました。
 具体的には、想定される最大級の地震であるマグニチュード七・三の首都直下地震等にも耐えられるよう、防潮堤などの海岸保全施設の耐震対策に取り組むこととし、現在、整備を進めているところでございます。
 また、万が一、浸水被害が発生した場合に備え、水門、排水機場につきましては、受変電等の電気、機械設備を予測される最大の水位より高い位置に移設する耐水対策に取り組むなど、万全の対応を図ることとしております。

○かつまた委員 マグニチュード七・三の地震を想定した耐震対策を行うとともに、浸水に備え、水門の電気設備などを最大水位より高い位置に移設するというのが、海岸保全施設における地震対策の基本的な考えであるということでありますが、その方針に基づいて進められている取組が現在どのような進捗状況にあるか確認していきたいと思います。
 そこで、まず、防潮堤の耐震対策について、令和三年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いをいたします。

○片寄港湾整備部長 令和三年度では、江東区の東雲二丁目防潮堤及び大田区のガスミオ運河防潮堤等において耐震対策工事を実施いたしました。
 具体的には、護岸の前面に鋼管矢板を設置するとともに、地盤改良を行うことなどにより、防潮堤の耐震性を確保するものでございます。
 これらの工事が完了するまでには期間を要するため、工事区間内における複数箇所での同時施工や債務負担行為を活用し、工事を効率的に進めることにより、早期に完成できるように努めているところでございます。
 なお、令和三年度末時点での進捗状況でございますが、防潮堤の全延長約六十キロメートル中、約五十七キロメートルの耐震対策工事が完了しており、現在約二キロメートルについて工事を実施しているところでございます。

○かつまた委員 防潮堤の耐震対策については、全長約六十キロメートル中、約五十七キロメートルと、おおむね完了しており、残りの区間についても整備が着実に進められていることを確認いたしました。
 しかし、東京港の沿岸を第一線で守る海岸保全施設には、防潮堤以外にも高潮や津波が運河などに入ってくることを防ぐ水門や水門を閉鎖した際に、内側にある運河の水位上昇を防ぐための施設である排水機場があります。これらの耐震対策を進めていくことも重要であります。
 そこで、水門、排水機場の耐震、耐水対策について、令和三年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いをいたします。

○片寄港湾整備部長 水門につきましては、全十五か所のうち、十四か所で耐震対策が完了しております。残る一か所の新砂水門に関しまして、現在、隣接した箇所において耐震性を有する新たな水門の整備を進めているところでございます。
 排水機場につきましては、辰巳排水機場と芝浦排水機場の二か所について耐震対策を行う必要がございますが、辰巳排水機場につきましては、昨年度、耐震性を有する新たな排水機場の整備が完了いたしました。芝浦排水機場につきましては、現在、耐震化工事を実施しているところであり、来年の夏までに完了する見込みでございます。
 また、耐水対策につきましては、工事が必要となる水門、排水機場十四か所のうち、十三か所において既に完了しており、残る一か所である朝潮水門につきましても、本年度中の完了を見込んでおります。

○かつまた委員 水門、そして排水機場についても既に多くの箇所で耐震、耐水対策が完了しており、残りの施設においても工事が着実に進められていることを理解いたしました。
 先ほどご答弁いただいた防潮堤と併せ、東京港の沿岸を第一線で守っている海岸保全施設については、整備完了まで残り僅かであるといえると思いますが、地震はいつ来るか分からないことから、引き続きスピード感を持って工事を進めていただきたいというふうに思います。
 一方で、防潮堤や水門で守られた内側のエリアには、多くの運河が存在をしております。これらの水辺に面した陸地を浸水から守っている海岸保全施設に、内部護岸といわれる護岸があります。都民生活の安全・安心を確保する上では欠かすことができない施設であり、防潮堤や水門などと同様に耐震対策が必要であります。
 そこで、内部護岸の耐震対策について、令和三年度の取組と全体の進捗状況についてお伺いをいたします。

○片寄港湾整備部長 令和三年度では、江東区の汐浜運河や中央区の新月島運河等にある内部護岸の耐震対策工事を実施いたしました。令和三年度末時点では、内部護岸の全延長約四十六キロメートル中、約三十二キロメートルで耐震対策工事が完了しており、現在、約三キロメートルにおいて工事を実施しているところでございます。

○かつまた委員 内部護岸の耐震対策は、全延長約四十六キロメートル中、約三十二キロメートルで実施済みとのことであり、整備率は約七〇%ということになると思います。先ほど答弁いただいた防潮堤の耐震対策と比較すると、低い進捗状況であるといわざるを得ないと思います。
 そこで、内部護岸で耐震対策が遅れている理由と、今後の対応についてお伺いをいたします。

○片寄港湾整備部長 内部護岸につきましては、護岸の前面水域を占用し事業等を行っている水域利用者が多いことから、耐震対策工事の実施に伴う事業活動への影響を最小限に抑えるよう様々な調整を行う必要がございます。
 具体的には、工事期間中においても水域利用者が事業を継続できるよう、仮移転先を確保することや工事の影響で利用できなくなる水域を最小限とする施工手順を提案することなど水域利用者の立場に立った対応を行うことで、工事に対する協力を求め、早期に工事着手できるよう努めております。
 今後も、水域利用者など関係者との調整を丁寧に行い、内部護岸の耐震対策工事の速やかな完了を目指してまいります。

○かつまた委員 事業を営んでいる水域利用者にとっては、工事によって事業ができないという事態は重大な問題であります。
 一方で、都民生活の安全・安心を確保するためには、内部護岸の耐震対策はぜひとも行わなければならないものであります。大変難しい調整であると思いますが、ぜひ丁寧に対応し、水域利用者にしっかりと理解していただきながら、事業を着実に進めていただきたいと思います。
 海岸保全施設の耐震対策を着実に進めることで、東京の防災力をより一層強化し、安全で安心な都市東京を速やかに実現していくことを要望し、次の質問に移ります。
 島しょ地域における津波対策について伺います。
 政府の地震調査委員会によると、南海トラフ巨大地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%から八〇%とされており、この巨大地震が発生した際には、伊豆諸島の沿岸に大きな津波が短時間で到達することが予想されております。特に島の玄関口である港は、日頃より多くの島民や観光客が利用しており、津波の発生時には真っ先に被害を受けることから、いかにして人的な被害をゼロにするかが大きな課題となってまいります。
 このため、我が党は、港を利用する島民や観光客、また、荷役作業等に従事している方々などが安全に避難できる施設を早期に完成させるよう繰り返し要望してきたところであります。都は、津波避難施設の整備を着実に進めてきたと聞いておりますが、その整備状況について確認をしていきたいと思います。
 まず、津波避難施設を整備する港をどのように選定したのか、その基本的な考え方についてお伺いをいたします。

○村田離島港湾部長 都は、平成二十六年に策定した伊豆・小笠原諸島における港湾等防災対策基本方針に基づき、津波避難施設を整備すべき港を選定いたしました。
 具体的には、南海トラフ巨大地震と元禄型関東地震により発生する二つのケースの津波を想定し、予想される津波の到達時間と、安全な高台に避難するのに要する時間を調査、分析いたしました。
 この結果、利用者などが安全に避難することが困難な港は、大島、新島、神津島、三宅島にある計九か所であることが判明したため、これらの港に津波避難施設を整備することといたしました。

○かつまた委員 津波避難施設を整備すべき港の選定に当たっては、南海トラフ巨大地震に加え、元禄型関東地震で発生することが予想されている津波を検討していただいたと理解をいたしました。
 伊豆諸島を襲うこの二つの巨大地震は、発生域が異なっていることから、当然に各島に到達する津波の高さや到達時間も異なってまいります。各港において、それぞれの津波のケースを想定して検討しているといえ、適切であると評価をいたします。
 港における津波避難施設の完成は、島を船で訪れる観光客や港で働く方々に大きな安心感を与えると思います。
 そこで、この津波避難施設のこれまでの整備状況についてお伺いをいたします。

○村田離島港湾部長 都では、各港で想定される津波の高さや港周辺の地形などを踏まえ、平成二十七年度より、津波避難タワーや避難階段などの津波避難施設の整備を進めてまいりました。
 令和二年度までに整備が必要な九港のうち七港において、津波避難施設を完成させたところでございます。令和三年度は、新島若郷漁港において、背後の高台への避難階段を完成させるとともに、神津島港では、津波避難タワーの整備を進め本年八月に完成させております。これにより、整備の対象となる四島九港全ての津波避難施設の整備が完了いたしました。

○かつまた委員 一般的に、島しょでの工事は厳しい気象条件などから、実施できる時期が限定されるなど困難な面が多いと伺っておりますが、九港全てにおいて津波避難施設を完成させたことは高く評価をいたします。
 特に、この八月に避難タワーが完成したという神津島港は、大型定期船や高速船が発着し、多くの島民や観光客等が利用する港であり、完成が待たれていた施設であるというふうに聞いております。
 そこで、この神津島港に整備した津波避難タワーの概要についてお伺いをいたします。

○村田離島港湾部長 南海トラフ巨大地震が発生した際、神津島港は津波により約十二分で十七メートル浸水すると予想されております。また、高台までの避難が間に合わない避難対象者は、最大で六百名発生すると想定しております。
 このため、神津島港の津波避難タワーは、十七メートルに二メートルの余裕を加えた地上約十九メートルより上の位置に、最大六百名が避難できるスペースを有する建物としております。
 避難スペースには、避難者が二十四時間過ごすことができる水や食料、アルミブランケットなどの備蓄品を用意しており、津波が襲来した後も一定の時間、安心して滞在できるようにしております。

○かつまた委員 津波は繰り返し襲ってくる場合があり、津波が引いた後も、しばらくの間は避難スペースで滞在せざるを得ないことも予想されます。このような状況で安心して避難を続けるには、水や食料等が不可欠であり、適切に備蓄をしているとのことであり、安心をいたしました。
 しかし、幾らすばらしい施設を整備しても、津波の襲来時に適切に利用しなければ何の意味もありません。施設が有効に運用されるよう、ソフト面での取組も重要であります。
 津波襲来時において、港にいる人々の安全をしっかりと確保するためには、関係者による避難訓練を繰り返し行うことが必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○村田離島港湾部長 津波避難施設が防災上の効果を十分に発揮するためには、有事の際に施設が適切に利用されるよう取組を進めていくことが重要でございます。
 このため、都は昨年度、大島岡田港の津波避難タワーにおいて、南海トラフ巨大地震が発生したとの想定の下、定期船の運航事業者や大島町、警察と連携し、避難訓練を実施いたしました。訓練後、参加者からは避難を呼びかけるアナウンスはゆっくりと繰り返すべきとのご指摘や、備蓄品の使い方の説明書を添付すべきとのご意見をいただきました。
 こうしたご指摘、ご意見につきましては、他の港の避難施設の運用にも十分に生かしていきたいと考えております。
 今後も関係事業者や地元などと連携して訓練を重ね、津波発生時に港にいる人々が安全かつ円滑に避難できるよう万全を期してまいります。

○かつまた委員 実際に港を利用している人々と関係機関が連携して訓練を行ったということで、関係者間での避難のノウハウが共有され、非常によかったと思います。こうした訓練は繰り返し行うことで人々の意識も高まり、いざというときにも、この津波避難施設がしっかりと役割を果たすことが可能となります。
 都は、実践的な訓練を今後とも着実に実施していただきたいことを要望し、質問を終わります。

○清水委員 それでは、私からは調布飛行場の自家用機の分散移転について質問をいたします。
 二〇一五年七月二十六日、調布飛行場を離陸した小型飛行機が、その直後に飛行場すぐそばの住宅に墜落をし、住宅内にいた方一人と事故機の搭乗員二人の合計三人がお亡くなりになり、住民と搭乗員合わせて五人が重軽傷を負いました。
 事故の後、住民の皆さんからは、飛行機が飛ぶ音を聞くだけで事故のことを思い出して不安になるという声が寄せられていました。
 そして、先日お会いした住民の方は、事故から七年が経過をし、道路や家は復旧されたが、ほかは何も変わっていない、今でもあのような事故が起きる可能性はあると不安と怒りをあらわにされました。そして一日も早く、自家用機の移転を実現してほしいと強く要望されておりましたことをお伝えして、質問に入ります。
 最初に、調布飛行場の自家用機分散移転の計画と、昨年度の進捗状況について説明を求めます。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 事故後の平成三十年に、都と自家用機団体代表者との間で自家用機分散移転推進検討会を設置いたしまして、大島空港を有力な移転先として継続的に交渉を行ってまいりました。
 これまでの検討会におきまして、自家用機団体からは、大島空港における塩害対策の実施や給油できる環境の整備が必要との意見が出されたことから、昨年六月には塩害対策のための格納庫を完成させました。また、現在は給油施設の整備を進めております。

○清水委員 大島空港の格納庫は、最大何機分が整備をされましたでしょうか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 機体の大きさや駐機方法などにより異なるため、一概にお示しすることは難しいのでございますが、一般的な機材であれば、四機程度の駐機が可能でございます。

○清水委員 現在、大島空港に整備された格納庫は四機程度の受入れが可能ということですが、それでは、大島空港の四機の格納庫で受け入れられない自家用機の移転計画はどうなっていますか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 引き続き自家用機所有者と交渉を続け、移転の状況等を見極めつつ、必要となる施設の整備等を検討してまいります。

○清水委員 昨年度、大島空港には四機程度の格納庫の整備が行われたけれども、移転状況によっては必要な施設を整備するということでした。また、事前の聞き取りの中で、大島空港には必要なスペースそのものは確保することは可能であるとも伺いました。これはとても重要なことだというふうに思います。
 次に、そうはいっても大島、島への移転はできない、こういう方が残されるというふうに思います。他県への移転が必要となりますが、他県への移転について国交省への働きかけは行っていますか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 年に二回の国への提案要求の機会を通じまして、関東圏における自家用小型機専用の飛行場の整備に向けた調査検討を要求しております。

○清水委員 国に対して、関東圏における自家用小型機専用の飛行場の整備に向けた調査検討を提案要求しているということですが、その進捗状況はどのようになっていますでしょうか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 国に対しまして、検討状況を照会してございますが、飛行場整備についての具体的な回答はございません。

○清水委員 この調布飛行場の設置の経過からしても、国がきちんと責任を持って対応すべき問題であるというふうに思いますし、事故の後、日本共産党国会議員団と共に都議団や市議団、住民の皆さんが申入れを行った際には、国交省は他県への移転について、都から要望があれば、国交省としてもあっせんしていくと回答しています。
 改めて、他県への移設、この問題に絞って、小池都知事先頭に国に要請を行っていただくよう強く求めます。
 次に、昨年度、大島空港の給油施設等の整備に関わる工事が入札不調になった理由についてお伺いいたします。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 島しょでの大規模な空港施設及び設備工事となる特殊性から、技術者や作業員の確保が困難であったことなどが原因と考えております。

○清水委員 昨年度、入札が不調になった後で、直ちに再発注をしなかった理由について教えてください。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 再発注に際しましては、まず、不調要因を綿密に調査、分析することが必要でございます。その分析に基づき、一部、人力施工から機械施工へ変更するなどの見直しを行うとともに、再発注時期に合わせ、改めて見積りの徴取や単価の精査を行ったものでございます。

○清水委員 それで、この再発注に向けた準備に時間がかかって、今年度、改めて発注がされて、入札が行われた。ただ、残念ながら、昨日の入札ではこれが不調になったというふうなご報告を事前にいただきました。
 不調の原因を精査していただいて、速やかに再発注に向けて努力をしていただくこと、そして、周辺の住民の皆さんは、こうした二年続けて不調になっているということ、そういうことはやっぱり目には見えないわけですね。説明も特にはないということで、工事をするといっていたのにしないというふうに映ってしまっています。
 ですから、周辺住民の皆さんにも、こうした都の努力、そして結果、そういうものがどう進んでいるのか、移転の進捗状況について、丁寧にお知らせをしていただくことを求めます。
 調布飛行場の自家用機について、その機数、飛行可能な状態にあるかどうか、また、買換えなどの更新は行われているのか、こうした事故後から現在までの自家用機の状況についてお伺いいたします。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 事故当時の平成二十七年度における登録機は二十二機でございました。その後、売却した機体や登録申請を行わなかった機体などがあったため、現在の登録機は十七機となっております。このうち、耐空証明の未取得や失効により飛行できない機体を除きまして、現在飛行可能な機体は十四機でございます。なお、事故後、これまで機体の買換えを行った者はおりません。

○清水委員 次に、調布飛行場の各自家用機についてお伺いしたいと思うんですが、自家用機といっても、個人所有のものばかりではなくて、法人や個人同士が共有で持っているものもあるということなんですが、この調布の自家用機の所有者について、個人、法人、団体、共有、賃貸などの状況はどのようになっていますでしょうか、ご説明をお願いします。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 個人所有が三機、法人所有が十機、個人による共同所有が四機という内訳でございます。

○清水委員 もう一つお伺いします。調布飛行場の各自家用機について、操縦者の状況についてご説明をお願いします。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 令和四年度は、操縦者として合計百九十五名が登録されております。

○清水委員 今、調布飛行場の自家用機について、機数や状況、また、所有の状況、さらには操縦者の状況についてお伺いをいたしました。事故当時二十二機だった自家用機は、二〇一八年に十七機になって以降は、ずっとそのまま減っていません。十七機の所有のうち、所有の状況は、法人所有が十機、あとは個人ということになります。
 登録の操縦者の数というのは、二〇一九年に日本共産党の尾崎委員が質問をしているんですけれども、そのときの答弁では、二〇一九年十月一日現在で百三名というふうにお答えいただいています。それが今は百九十五名ということで、約二倍に増えております。
 そして、今日、分科会に提出いただいた資料にあるように、事故の後、減少していた飛行数がまた増え始めました。自家用機については、昨年度は前年比一・三倍に増えています。地元調布市との協定では、さらに削減に努める、こういうふうにあります。
 確かに、上限はもっとずっと上にあります。しかし、さらに削減に努めるというふうに約束をしておきながら、今また増え始めているということはやっぱり問題ではないかというふうに思うんです。
 公的なものは抜いて、やっぱり自家用機の飛行というものは増やさないでいただく、こういうことをお願いしていかなければならないのではないかというふうに思います。
 次に、移転について、所有者との協議についてお伺いします。
 移転についての検討会はこれまで何回開催され、どのような意見が出されているのでしょうか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 これまで自家用機分散移転推進検討会を十回開催してまいりました。検討会におきましては、自家用機団体から、大島空港への格納庫や給油施設の設置、大島空港までの移動手段などについて意見が出ているところでございます。

○清水委員 住民の方からは、調布飛行場の使用権、これは所有者が返さない限り、半永久的に続いていくのではないか、こういう声も聞かれました。そこで伺いますが、自家用機の登録、これはどのように行われているのでしょうか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機の登録につきましては、運営要綱に基づいて、年度末までに翌年度分の登録申請を行うこととなっております。調布飛行場は地元三市との協定に基づいて、現状を拡大させないこととしており、新規の登録は認めてございません。

○清水委員 自家用機分散移転推進検討会の中では、所有者の方々から、大島空港への格納庫、給油施設の設置、これはめどがついてきたというふうに思います。しかし、大島空港までの移動手段について、これ、なかなか島は地続きにはなりませんから、島という条件を出されたときに、なかなか難しい問題だというふうに思います。
 それから、登録についても、年度末までに翌年分を登録申請すればできてしまう、この状況はずっと続くのではないかという住民の皆さんの不安は、当たり前のことだというふうに思うんです。期限を切って、ここまでにというふうに迫ることができない、そういう状況にあると、住民の側からすれば、所有者の皆さんが移転に応じてくれなければ、この危険な状況はこれからもずっと続いていく、そういう不安、不信、これがあるのは当然のことだというふうに思います。
 最後にお伺いしますが、自家用機の分散移転に時間がかかっている、このことについて、都はどのような認識をお持ちですか。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 都はこれまで、大島空港を有力な移転先として、自家用機所有者と交渉を行ってまいりました。これからも自家用機の分散移転が進むよう、自家用機所有者の意向を探りつつ、これまでどおり粘り強く交渉を続けてまいります。

○清水委員 都は、この間ずっと自家用機所有者との交渉を粘り強く重ねていく、繰り返し答弁をされてきています。にもかかわらず、事故から七年たっても、申し訳ないけれども、まだ一機も分散移転は実現できていません。また、大島空港の整備も当初お答えいただいていたよりも遅れています。
 コロナやいろいろな状況があるということは承知ですけれども、やっぱり住民の皆さんの目から見れば、当初の計画が大幅に遅れているというふうに映るのは仕方がないのではないでしょうか。
 住民の皆さんからは、自家用機の分散移転、どう進んでいるのかも見えない、こういう厳しい声もいただきました。いら立ちや都への不信感も寄せられました。住民の皆さんに、都の取組、この状況を丁寧にお知らせしていただくように重ねて求めます。
 そして、小池都知事を先頭に、国に対して強く働きかけるとともに、所有者の方々との協議、一歩でも二歩でも前に進むように重ねて努力をしていただいて、一日も早い分散移転を実現していただくよう求めまして、私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、港湾局の令和三年度、二〇二一年度の決算について質問します。
 最初に、港湾物流について伺います。
 昨年十二月に都議会立憲民主党として、都の港湾施設の視察をさせていただき、中央防波堤外側コンテナふ頭Y2や東京国際クルーズターミナルを拝見いたしました。新型コロナのため、大型クルーズ船は残念ながら来ませんが、ふ頭は忙しく動いていました。
 港湾物流はコロナ禍であろうと止めるわけにはいきませんので、関係職員の皆様にはエッセンシャルワーカーとしてご尽力いただき、敬意を表します。とはいえ、コロナ禍により、世界中の人々が生活の変化を余儀なくされ、当然、物流にも影響が出たのではないかと推測されます。
 そこで、まず、昨年度はコロナ禍の影響もあり、世界的なコンテナ物流の混乱が発生しましたが、東京港にはどのような影響があったのか伺います。

○野平港湾経営部長 昨年は、新型コロナウイルス感染症が世界的に蔓延する中で、北米西岸の港湾の混雑や中国の一部コンテナターミナルの閉鎖などによりまして、国際海上物流の混乱が発生し、コンテナ船の運航スケジュールにも大幅な遅延が見られました。これに伴い、遅れたスケジュールを回復させるため、東京港におきましても、コンテナ船が通常どおり寄港しないケースもございました。
 こうした影響も受け、令和三年の東京港の外貿コンテナ船入港隻数は四千三百十二隻となり、前年比で八・二%減少いたしましたが、コンテナ貨物量には大きな影響はございませんでした。

○中村委員 コロナ禍でコンテナ船が寄港しないケースはあっても、貨物量としては大きな影響がなかったとのことでした。確かに生活スタイルがコロナで変わったりとか、また、急な緊急事態なので、一時的にマスクや薬が店頭からなくなることはあっても、総じて物が足りないということはなかったんだと思っています。
 改めて、昨年度の東京港におけるコンテナ取扱実績はどうであったのか伺います。

○野平港湾経営部長 令和三年の外貿コンテナ取扱個数は四百三十三万TEUでございまして、前年比で一・六%の増加となりました。その主な要因といたしましては、コロナ禍における巣籠もり需要の発生やテレワークの拡大を背景に、家具装備品、パソコンなどの電気機械の輸入が増加したことが挙げられます。

○中村委員 取扱量が減るかとは思ったんですが、コロナで新たな需要というのもあったということのようです。
 改めて、令和三年度の東京都予算案の概要には、港湾、物流機能の強化として二百七十四億円が計上されていますが、このうち東京港の機能強化に向けて、具体的にどのような取組を行ったのか伺います。

○野平港湾経営部長 都は、増加を続けるコンテナ貨物量に適切に対応するため、東京港の機能強化に向け、ハード、ソフトの両面から様々な取組を展開してまいりました。昨年度は、中央防波堤外側コンテナふ頭の新規整備や品川ふ頭など既存ふ頭の再整備に向けた取組を進めました。
 また、GPS端末を活用して、コンテナターミナル入場までの待機時間等をリアルタイムで公表することで、港へ来場するトラックの時間的な分散を促すなど、物流効率化に資する取組を実施いたしました。

○中村委員 東京港は、都のみならず、首都圏住民の全体の生活を支える重要な役割を果たしています。着実な取組を求めて、次の質問に移ります。
 次に、IR、統合型リゾートについて伺います。
 立憲民主党は、カジノの誘致には反対してきました。小池都知事は、態度をはっきりさせないため、議会での質問などを通じて誘致しないように求めてきました。
 そもそも誘致するかどうか決めていないので、当然場所も決まっていないはずですが、どういうわけか臨海部を所管する港湾局が毎年IRの調査費を計上してきました。私たちは予算を計上しないよう求めてきましたが、決算年度も計上されてしまいました。
 そこで、改めて決算年度の予算額と決算額を伺います。また、そもそもいつから予算が計上され、使われた金額は累計で幾らになるのか伺います。

○堀内調整担当部長 令和三年度予算におきまして、IRの検討調査に要する費用として約一千万円を計上してございましたが、昨年度、委託調査は実施してございません。また、当局が所管した平成二十六年度以降、委託調査等で約三千八百四十六万円を執行してございます。

○中村委員 昨年度は調査を実施していないとのことです。
 私たちは誘致する必要もないので、調査する必要もないとは思っております。とはいえ、これまで四千万円近くもかけて都が調査した内容はどのようなものだったのでしょうか。また、都民に公開すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○堀内調整担当部長 IRの検討のため、これまで合計七件の委託調査を行っておりまして、海外のIR施設の状況や国内外におけるギャンブル依存症対策などについて調査を行っております。
 委託調査の結果につきましては、港湾局のホームページにて公開してございます。

○中村委員 ホームページに掲載されていることは承知をしていたのですが、令和元年度が最後だったので、まだ、それ以降どうなったのかなと思ったんですが、これが調査した分の全部ということのようです。
 IR誘致を目指す都道府県等は、今年の四月二十八日までに政府に申請することになっていました。締切りは過ぎましたが、東京都は申請しませんでした。その事実についてはよしとするものです。
 ただ、これまで調査をした結果として必要ないと判断したなら妥当ですが、そもそも、都知事は誘致するのかしないのか表明しないまま、単純に締切日が過ぎたという結果だけが残りました。一体誰のどういう判断で申請をしなかったのか伺います。

○堀内調整担当部長 IRについて、都はこれまでも、メリット、デメリットの両面から総合的に検討を行ってきたところでありまして、今後も引き続き検討を行っていくことに変わりはございません。

○中村委員 これだけ世間が注目して、都政にとっても大きな事項ですから、また、ただ単に締切りが過ぎましたではないはずです。少なくとも、担当しているのであれば、小池知事に申請しないことの了解を得ているはずです。申請しなかった結果はよしとしますが、誘致しないと決めずに単に申請しなかっただけでは、将来機会があれば誘致するのではないかとの不安が残ります。
 しかし、私は今回申請をしなかったことで、東京都としてIR誘致をしないという判断をし、この件はその結論をもって終了したと考えたいと思います。
 そこで、IRの調査の予算を計上する必要はないと考えますが、見解を伺います。

○堀内調整担当部長 IRについて、都はこれまでも、メリット、デメリットの両面から総合的に検討を行ってきたところでありまして、今後も引き続き検討を行っていくことに変わりはございません。今後の予算につきましては、現在検討中でございます。

○中村委員 検討中ということで具体的な申請する機会があるわけではないので、不思議な答えだと思います。貴重な税金ですから、計上して使わないなら、他の用途があるはずです。改めて、今回の申請をしなかったことをもって、もうこの予算の計上をやめるよう求めたいと思います。
 次に、私からも調布飛行場について質問します。
 調布飛行場は、調布市、府中市、三鷹市の三市にまたがる都営空港です。住宅地の中にあることから、安全の問題等から、離島との交通等に限定した利用について、地域の理解を得ながら運営されています。現在では、大島、新島、神津島、三宅島の四島と定期航路で結ばれています。
 しかし、新型コロナにより離島との往来も減少し、運航事業者の経営にも影響が出たと推測されますが、都の対応を伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 令和三年度の調布と離島を結ぶ航空路線の利用客数は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前と比較して大幅に減少しており、運航事業者の経営は厳しい状況にございました。
 このため、都は、航空路補助事業として、運航事業者に対しまして、コロナの影響による欠損額を含め、三億四千万円の支援を行ったところでございます。

○中村委員 都が欠損額を支援したとのことでした。離島の方々にとっては重要な航空路線ですから、感染の大きな波というのはもう来てほしくはないんですが、もし来るようであれば、必要な支援を引き続きお願いいたします。
 さて、二〇一五年に発生した自家用機の墜落事故は大変残念であり、地域の不安が高まりました。これまで自家用機が調布飛行場に駐機し、発着していました。都は、地域の声を受けて、自家用機を大島空港など他の空港に移すとしていますが、現在の進捗状況について伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機の分散移転を推進するため、事故後の平成三十年に都と自家用機団体の代表者との間で、自家用機分散移転推進検討会を設置し、交渉を進めてまいりました。
 その中で、大島空港に移転する場合には、塩害対策や給油できる環境の整備が必要といった考えが示されております。このため、都は、昨年六月に塩害対策のための格納庫を整備するとともに、現在は給油施設の整備を進めております。

○中村委員 検討会が設置をされ、移転に必要な環境整備を進めているということのようですが、まだ整備の途中とのことです。
 いずれにせよ、実際にはまだ移転は進んでいません。分散移転の推進に向けた取組状況について伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機分散移転推進検討会の設置以来、これまで十回にわたり開催し、交渉を重ねてまいりました。
 検討会を交渉の場として活用するとともに、個別の自家用機所有者とも精力的に接触し、先ほど申し上げたとおり、格納庫や給油施設の整備といった移転に伴う条件等を引き出すなど、粘り強く交渉を行っているところでございます。

○中村委員 交渉しているとのことですが、現在までに移転した実績はないようです。地域の方々が安心できるよう、引き続きの取組をお願いします。
 さて、飛行経路の下に住む方から、予定された経路を外れて飛行しているのではないか、大きな騒音を伴って飛行する航空機があるとの苦情が寄せられたりもします。航空機の騒音対策をどのように行っているのか伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場は市街地の中にあることから、航空機の騒音対策を講じることは重要であると認識しております。
 このため、調布飛行場を使用する航空機につきましては、決められたルートを飛行するとともに、十分に安全を確保した上で、離陸時は早めに高度を上げることなどの騒音対策を実施しているところでございます。
 また、これらの騒音対策の実効性を確保するため、管制タワーに常駐する専門職員が適正な飛行が行われているかを常時確認しております。さらに、毎月実施している運航担当者会議などにおきまして、繰り返しこれらの騒音対策の遵守を強く要請しているところでございます。

○中村委員 離島航路などについて、地域の方々が一定理解をしていても、安全・安心というのが大事なのは当然のことだと思っています。できるだけ騒音が小さくなるような配慮は必要だと思っています。今後も安全・安心が図れるよう求めまして、今日の質問を終わります。

○尾崎委員 私の方からは、東京港で働く労働者の皆さんから寄せられている声を紹介しながら質問をしていきたいと思います。
 労働者の皆さんからは、道路の渋滞を解消してほしいという強い要望があって、日本共産党都議団は、この間の質疑でもこの問題を取り上げてきました。
 そこで、交通渋滞解消のための手だてはどのように行われたのか伺います。

○野平港湾経営部長 東京港では、標準的な貨物処理能力を大幅に超える量の外貿コンテナ貨物を取り扱っていることや、特定の時期や時間帯にトラックがゲート前に集中する傾向にあることなどが原因となって、コンテナターミナル周辺で待機車両による交通混雑が発生しております。
 そのため、都は、中央防波堤外側にコンテナふ頭の整備を進めるなど、東京港の施設容量の拡大を図っております。また、コンテナターミナルのゲートオープン時間を通常より一時間前倒しする早朝ゲートオープンの実施等により、ターミナルを往来するトラックの来場時間の平準化を図るなど、交通混雑解消に向け、様々な取組を行っております。

○尾崎委員 ただいま交通渋滞解消のために努力していただいているということが答弁されました。しかし、中央防波堤の外側にY1ができたとき、都は渋滞が解消できると労働者の皆さんに説明してきましたけれども、Y1ができても、渋滞解消にはなっていません。
 早朝のゲートオープンが実施され、今度は渋滞解消になると期待されていましたけれども、それでも、渋滞解消には至っていません。働く方々が安全に安心して働けるようにするためには、引き続き、渋滞を解消する手だてについて、東京港への貨物の一極集中も含めて見直しを行い、対策を講じるよう要望するものです。
 次に、第九次改訂港湾計画に向けた長期構想に関わって幾つか質問していきたいと思います。
 大型客船の受入れ体制について、東京国際クルーズターミナルを含め二バース必要としていますが、二バースが必要な根拠は何ですか。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 クルーズ客船の東京港への寄港ニーズを確実に取り込んでいくためには、繁忙期に二隻の大型客船が同時に寄港できるような二バース体制の確保が重要でございます。
 このため、平成二十九年五月に開催した東京都港湾審議会の議を経まして、一バース目に連続した二バース目を港湾計画に位置づけたところでございます。

○尾崎委員 二バースを位置づけたのは、平成二十九年、二〇一七年の五月、東京港湾審議会の議を経て、計画に位置づけたということですけれども、この間、長引くコロナ禍で、海外からの大型客船の東京港への寄港実績がありません。今後もコロナの感染状況がどうなるのか、終息の見通しもありません。そんな中で、二バースが本当に必要なのか、現状をきちんと分析し、計画の見直しが必要なのではないでしょうか。新客船ターミナルの二バース建設が先にありきでは駄目だと厳しく指摘をしておきたいと思います。
 東京国際クルーズターミナルの今後の寄港についてはどう試算していますか。

○猪倉港湾振興担当部長 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、日本国内における外航クルーズは停止しておりまして、運航再開時期も未定でございますが、そうした環境におきましても、東京国際クルーズターミナルにつきましては、外国籍船をはじめ、数多くのご予約をいただいているところでございます。
 東京港は都心に近く、観光地へのアクセスに優れ、国際空港に近いことから、海外の船会社からの寄港ニーズは高いものと認識しているところでございます。

○尾崎委員 コロナ感染症の前とは確実に今の現状は変わっているわけですから、改めて検討し直すことが必要だと要望しておきます。
 それでは、大型客船の誘致等の予算額の内訳と支出済額の内訳について伺います。

○猪倉港湾振興担当部長 客船誘致の令和三年度の予算額は約五億九千四百万円で、シャトルバス運行経費など委託料が約五億四千九百万円、外国客船等寄港促進補助など負担金補助及び交付金が約三千八百万円、その他役務費等が約六百万円となってございます。
 支出済額でございますが、委託料が約三百六十万円、負担金補助及び交付金が約十三万円、その他役務費等が約五万円となってございます。
 これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国クルーズ客船の運航が停止し、海外渡航も困難な状況であったためでございますが、一方で、昨年度もクルーズ船社等から、東京国際クルーズターミナルへの寄港に関して、数多くの問合せや相談を受けてございまして、その都度、クルーズ船社等と意見交換等を実施しているところでございます。

○尾崎委員 大型客船の誘致等の予算額は、ただいまご答弁あったように、約五億九千四百万円、支出額は約三百七十八万円ということでした。
 特に、支出額の内訳では、コロナの影響で大型客船の寄港がなかったために、シャトルバス運行費など委託料は約五億四千五百四十万円がいわゆる不用額になったということです。負担金補助及び交付金は約三千七百八十七万円が不用額となり、その他役務費等は約五百九十五万円が不用額となったということです。
 コロナ禍を経験し、旅行について、改めて人間らしく生きるためにどれほど旅行が大きな役割があるのかということを実感した人が大勢いらっしゃると思います。そして、コロナの感染拡大が収まったら旅行したい、海外に行きたい、こういう要望も実際にあることは承知をしています。
 しかし、同時に、コロナ禍を体験し、大型客船で大勢が一つの船で長旅をすることへの感染リスクなどの不安も感じているのは当然だと思っています。
 私はこの間のコロナ禍の経験で、旅行への要望は増えたとしても、やはり大型客船への乗客が今後大きく伸びるとは到底思えません。
 大型客船が寄港できる二バースの建設は見直すべきだと厳しく指摘をしておきます。
 次に、東京港の取扱貨物量の増加に対応して、第二東京湾岸道路や補助第一四四号線などの広域的な道路、開発に合わせた港内の道路整備等により、新たな道路ネットワークを構築し、東京港と背後圏のアクセスをさらに拡充すると第九次改訂港湾計画に向けた長期構想に書いてありますが、車両数などの試算について伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 第二東京湾岸道路及び補助第一四四号線は、東京港と背後圏とを結ぶ広域的な道路ネットワークの充実強化を図るための路線でございます。長期構想では、関連計画等との整合を図るため、構想路線や都市計画道路である第二東京湾岸道路や補助第一四四号線などが記載されております。
 東京港のコンテナ貨物量は、生産拠点の海外移転や世界各国との経済連携協定の締結による自由貿易のさらなる進展などに伴い、今後も輸入貨物を中心に増加傾向が続くと予想されていることから、本構想では、現在約五百万TEUの貨物量が、二〇四〇年代には五百七十万TEUから六百七十万TEUになると試算しており、それに伴い、車両数についても増加することが見込まれております。

○尾崎委員 私が知りたかったのは、車両数の試算についてですが、ただいまの答弁では、貨物量が増えると試算しており、それに伴い、車両数についても増加することが見込まれるということでした。
 長引くコロナ禍の影響や気候危機への打開策などで暮らしや産業、経済の在り方が今後転換が求められると考えます。日本は、食料も木材や飼料などあらゆる分野で海外に依存しているという状況ですが、今後については、国内で製造できるようにすべきだという意見や、国内回帰すべきだという動きも強まっています。そうなれば、貨物量の試算そのものも再検討が求められると思います。必要に応じて、長期構想の見直しを行うことを求めるものです。
 それでは、第二東京湾岸道路の必要性について、都はどのような検討をしているのか伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 第二東京湾岸道路は、三環状道路などと一体的な道路ネットワークを形成し、都県間の広域的な交流、連携を促進するとともに、交通混雑の緩和を目的とする構想路線でございます。
 長期構想では、関連計画等との整合を図るため、構想路線である第二東京湾岸道路が記載されております。

○尾崎委員 私が一番知りたかったのは、東京都はどのような検討をしているのかと、ここについて答弁が欲しかったわけですが、それに正面からの答弁はなかったように思います。
 第二東京湾岸道路は国の計画ですが、国の計画だからという、それだけで第九次改訂港湾計画に向けた長期構想に入れるのではなく、都として、本当に必要な道路なのか、きちんと議論することが必要だと思います。
 ただいまのご答弁で、交通混雑の緩和を目的とする構想路線であるというのであれば、都民が納得するような説明を行うべきです。例えば、現在の交通混雑の具体的な状況、第二東京湾岸道路を造ることによってどのくらい緩和されるのか、きちんと示すことを求めるものです。
 特に、第二東京湾岸道路については、千葉県船橋市の三番瀬干潟を守る運動に取り組んでいる方々が心配の声を上げ、第二東京湾岸道路は造らないでほしいといっています。東京だけの問題ではありません。この声も正面から受け止めることを求めておきます。
 次に、第九次改訂港湾計画に向けた長期計画には、快適で働きやすい環境の実現が盛り込まれました。そして、福利厚生施設の充実のため、大型車両が駐車可能で食事や休憩できる、仮称ですけれども、みなとの駅の整備や託児所等の併設を検討すべきであると書かれており、重要です。
 仮称のみなとの駅はどの辺りに整備するのか伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 長期構想では、大型車両が駐車可能で食事や休憩ができる、仮称でございますが、みなとの駅を検討すべきとされております。
 今後、本構想を踏まえて検討を行うこととしており、具体的な整備箇所等については未定でございます。

○尾崎委員 東京港で働く方々が安心して働ける環境をつくること、食事や休憩だけでなく、託児所なども含まれる方向であり、私はとても重要だと思っています。具体的な整備箇所等については、ただいまご答弁あったように未定ということですが、ぜひ早く具体化をお願いするものです。
 そして、仮称みなとの駅については、トラックのドライバーや港湾で働いている方たちの意見、要望を聞きながら進めるべきですが、この間、意見交換はどのように行っていますか、また、今後の予定はどうなっているのか伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 これまで都は、港湾事業に関連する業界団体と共に、現場で働く方々のご意見も踏まえながら、港で働く人にとって快適で働きやすい環境を確保するよう努めてまいりました。
 仮称みなとの駅につきましても、今後、関係者のご意見を伺いながら、長期構想を踏まえた検討を行うこととしております。

○尾崎委員 ぜひ、現場で働く人たちの意見を反映していただいて、よりよいものにしていただくようお願いをいたします。
 最後に、私の方からもIR、カジノの調査について質問していきたいと思います。
 カジノの調査費用の予算額と決算額について伺います。

○堀内調整担当部長 令和三年度予算におきまして、IRの検討調査に要する費用として約一千万円を計上してございましたが、昨年度、委託調査は実施してございません。

○尾崎委員 二〇二一年度、委託調査は実施していないというご答弁でした。
 そうすると、二〇二〇年、二〇二一年とも、カジノについて委託調査を実施していないということになりますが、実施していないそれぞれの理由について伺います。

○堀内調整担当部長 令和二年度につきましては、国による基本方針の公表が遅れたことや、新型コロナウイルス感染症の状況等から委託調査の実施を見送ったものでございます。
 令和三年度におきましても、新型コロナウイルス感染症の状況等から委託調査の実施を見送ったものでございます。

○尾崎委員 二〇二〇年、二〇二一年と連続して、IR、カジノの委託調査の実施を見送ったことは重要です。
 東京都は、二〇一四年から毎年、カジノについて調査を行い、この間の調査費用は三千五百万円を超えています。先ほど、ほかの委員の方への答弁で、三千八百四十六万円になっているという答弁がありました。二〇一四年の調査で、青海地区北側でのIR施設が国内のどこの候補地よりも魅力的という結果をまとめました。
 その後も毎年調査を行い、二〇一六年度には、都の職員二人がイギリスに海外出張し、カジノの調査を行い、その後もカジノについて、メリット、デメリットについて調査すると。二〇一九年まで連続して調査をしていることになります。
 日本共産党都議団は、そもそも、人の不幸の上に成り立つカジノには反対をしてきました。カジノは人のお金を巻き上げて、ギャンブル依存症を増やし、治安を悪くし、犯罪を増やし、貧困と格差を広げることになります。この際、カジノはやめるべきです。
 日本のギャンブル依存症の方は、今でも全国で約三百二十万人といわれています。カジノは賭博であり、法律では禁止されていますが、国のIR整備法の下で例外とされました。
 もしカジノが設置されたら、ギャンブル依存症はますます増加するのははっきりしています。ギャンブル依存症は病気です。しかし、完治できない病気だといわれています。
 都民の税金を投入してカジノをつくり、ギャンブル依存症の患者を増やすことは、自治体としてやってはならないことです。しかも、カジノは世界的に見ると飽和状態だといわれ、新型コロナの影響でオンラインカジノなどが始まったりしていますが、世界最大級のカジノ事業者でさえ破綻しています。
 オーストラリアのゲーム機械協会によると、二〇一七年の調査ですが、世界の中でも特に、日本のギャンブル用ゲーム機保有台数は四百五十二万台で、ほかの国とは比較にならない状況で日本が突出していることが明らかになっています。二位はアメリカの八十八万台で、日本はアメリカの五倍なんです。この数字からも、カジノ以前に、既に日本では長年、世界でも類を見ないほどのギャンブル用ゲーム機の大国になっているんです。
 こうした事態の中で、もしカジノがプラスされればどうなるでしょうか。想像するだけでも恐ろしくなります。
 この際、IR、カジノについての調査もやめるよう厳しく指摘をして、質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○加藤委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、令和三年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、令和三年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び令和三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松本総務部長 去る十月十四日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和三年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十五項目ございます。
 一ページをご覧ください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開きください。新・元気を出せ!商店街事業及び商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 五ページをご覧ください。商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 七ページをご覧ください。東京都における新規就農者数及び新規女性就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 八ページをお開きください。市街化区域内農地の貸借面積につきまして、平成三十年以降の推移をお示ししてございます。
 九ページをご覧ください。多摩産材取扱量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。都の関連施設における国産材及び多摩産材の過去五年間の活用実績をお示ししてございます。
 一一ページをご覧ください。クラウドファンディングを活用した資金調達支援につきまして、当初予算と決算額の推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。アユの推定遡上量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一三ページをご覧ください。感染拡大防止協力金等につきまして、申請件数、支給決定件数を期ごとにお示ししてございます。
 一三ページが感染拡大防止協力金、一四ページが休業の協力依頼を行う中小企業等に対する支援金及び休業要請を行う大規模施設に対する協力金でございます。
 一五ページをご覧ください。中小企業等による感染症対策助成事業につきまして、令和三年度の実績を区分ごとにお示ししてございます。
 一六ページをお開きください。感染症対応に関する制度融資につきまして、過去三年間の融資目標と実績をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○加藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○磯山委員 令和三年度は、多くの中小零細の事業者にとって、コロナ禍が長引く中で、感染防止と経済活動を両立させ、何とか事業を続けようと奮闘するとともに、将来の成長に向けて、いかにして競争力を高めるかが課題であったと考えます。そうした中で、産業労働局がどのように支援策を展開していったのかを確認していきたいと思います。
 まず、中小企業が将来の成長を目指して行う設備投資への支援について伺います。
 東京の経済を支える中小企業は、長引く原油や原材料の高騰に加え、円安の進行の影響を受け、厳しい経営状況が続いています。このような中でも中小企業が成長していくためには、エネルギーコストの削減に向けた支援に加え、競争力や生産性の向上などにつながる設備投資について、後押ししていくことが重要であります。
 都は昨年度より、中小企業の設備投資を支援する躍進的な事業推進のための設備投資支援事業を実施しており、多くの申請があると伺っておりますが、この事業の取組内容と実績について伺います。

○緑川商工部長 都は、中小企業の競争力強化やDX推進などの取組に必要となる機械設備を新たに導入する場合、必要な経費につきまして最大三分の二、一億円を上限に支援しており、令和三年度は五百六十四件の申請があり、百六社を採択いたしました。
 具体的には、照明器具メーカーが複数の製品を同時に生産できるプレス設備を導入し、新たな需要の獲得につなげていく事例や、自動車部品メーカーが生産状況を監視できる部品製造機器を導入し、スマート工場化を図ることで生産性と品質の向上を目指す事例など、中小企業の競争力の強化やDXの推進につながる数多くの取組を支援しております。

○磯山委員 多くの中小企業が設備投資により新しい事業を展開する意欲があり、DX化を進めて生産性の向上に前向きに取り組んでいることが分かりました。今後も、中小企業の設備投資をしっかりと支援することを要望し、次の質問に移ります。
 経営資源が限られる中小企業が継続的な成長を遂げていくためには、事業の生産性を高めていくことが不可欠です。長らく続いたコロナ禍は、中小企業のこうした課題を浮き彫りにし、事業を効率化していくために、先ほども取り上げたデジタル技術を活用した経営の見直し、DX化が注目されています。
 都においては、昨年度より、デジタル技術を活用した設備の導入により、中小企業の生産性を向上させる支援を行っていますが、実績や具体的な支援事例について伺います。

○緑川商工部長 都は、生産性向上のためのデジタル技術活用推進事業によりまして、中小企業のデジタル化、DX化を支援してまいりました。
 具体的には、オンラインを活用した相談対応や企業巡回などによりまして、デジタル化に踏み切れない中小企業に対する普及啓発を行いました。
 また、デジタル化を検討している中小企業に対しては、専門家が現場に出向き、設備の導入計画の策定などについて、二年間にわたり最大二十回まで助言を行うとともに、デジタル設備の導入経費の二分の一を、三百万円を上限に助成をいたしました。
 こうした取組によりまして、令和三年度は百十二社からの相談対応や四百十社の事業者巡回などを通じまして、中小企業の掘り起こしを行うとともに、百三十一社に対しまして専門家を派遣し、助成金申請のあった十七社に約三千七百万円の交付決定を行い、中小企業のDX化を支援いたしました。
 具体的には、生産管理システムとタブレット端末を導入し連携させることで、手書きの書類をオンライン化し、管理業務を省力した印刷業の事例や、紙による見積りや受注依頼をAIを用いてデータ化するシステムを構築し、業務の効率化につなげた製造業の事例などについて支援をいたしました。
 こうした取組によりまして、中小企業のDX化をサポートし、生産性の向上を後押ししてまいりました。

○磯山委員 中小企業にとって、今が大きく変わるチャンスでもあることから、引き続ききめ細やかな支援を行っていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、観光におけるデジタル技術の活用について伺います。
 多摩地域には豊かな自然や歴史のある寺社仏閣、ユニークな美術館など、観光面での見どころが数多く点在しております。
 例えば、私の地元小平市は、ブルーベリー栽培の発祥の地であることから、市内には直売所のみならず、摘み取り農園やおいしい加工品が買えるお店がたくさんあります。
 また、本物の下水道管の中に入ることができる日本で唯一の施設、ふれあい下水道館を有し、世代を問わず多くの人々から人気を博しています。
 しかし、多摩地域は広範囲にわたることから、旅行者が公共交通機関を用い、限られた滞在時間の中でこうしたスポットを効率的に周遊するのは難しい状況であります。また、より快適にスポットを巡るには、移動や観光などに関する情報を一元的に入手できることが必要であり、デジタルの活用が重要になってきます。
 都は昨年度、観光型MaaSの導入に向けた取組を実施しましたが、その取組結果や利用者の反応について伺います。

○築田観光部長 都は昨年度、観光スポットを周遊する際の利便性の向上を目指しまして、青梅エリアで観光型MaaSの導入に向けた取組を実施いたしました。
 昨年十一月、約二十日間の実施では、特設サイト閲覧数が約五万七千回、地域の観光情報の検索や旅の行程作成、バス等の交通機関のチケット購入などに利用できるスマートフォンアプリのダウンロード数は約七百六十件でございました。
 また、実施後のアンケートによりますと、サービス全体について、約七割の利用者が満足との回答でした。一方、もっと広域で実施してほしいという意見も寄せられたところでございます。

○磯山委員 昨年度の実証実験は、新型コロナの影響等で実施期間が二十日間になるなど、難しい状況での実施でありました。今年度は、奥多摩にも対象エリアを広げていますが、交通事業者や地元自治体、観光協会が連携してさらなる利用エリアの拡大と旅行者の回遊性や利便性の向上に取り組むことは、今後の地域の活性化に大いにつながっていくと考えます。都には適切な支援をお願いしたいと思います。
 また、昨年度は、コロナ禍で、この事業に限らず観光業への支援は大きな制約を受けたわけでありますが、観光事業者の経営も厳しい状況が続いてきました。観光の再開が本格化していく中で、都には、これまで十分に行えなかった分の支援もこれから事業者に届けるくらいの気概を持って、今後、迅速かつ的確に取組を進めるよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、デジタル化を担う人材の育成について伺います。
 DXの推進には、デジタルスキルを身につけた人材の育成が鍵となります。国は昨年、企業や高等教育機関等におけるデジタル人材の育成に対する支援策等を通じて、二〇二二年度から五年間でデジタル人材を二百三十万人育成するという目標を掲げており、そのうちの一部は国から都道府県に委託して実施する民間を活用した職業訓練で育成することとしています。
 全国で実施される国の委託訓練の約一割を占める都の役割は大きく、都においても積極的にデジタル人材を育成していくべきと考えます。
 そこで、都が国から委託を受けて実施する職業訓練について、令和三年度にどれだけデジタル人材を育成したのか、その実績を伺います。

○山崎雇用就業部長 都は、国からの委託を受けて、民間教育訓練機関を活用し、求職中の方が就職に必要な知識、技能を習得するため、職業訓練を実施しておりまして、令和三年度は五千八百六十一人が受講をいたしました。このうち全体の約四割に当たる二千二百人がプログラミングやウェブサイト作成、ネットワーク管理等のデジタル分野に関する訓練を受講いたしました。
 こうした取組によりまして、これまでIT業界で勤務した経験のない方も、システムエンジニアやウェブデザイナー等として再就職するなど、デジタル人材としての新たなキャリアの形成を後押しいたしました。

○磯山委員 DXを支えるデジタル人材の育成に当たっては、全国的に見ても、東京都が担う役割は非常に大きいものがあり、重要であり、東京、そして日本の持続的な成長を支える意味でも、引き続き力を入れて実施してもらいたいと思います。
 次に、中小企業における女性が働きやすい職場環境の整備について伺います。
 中小企業における人手不足は深刻な状況にあり、女性を含む多様な人材の活用は喫緊の課題となっています。
 建設業など男性中心といわれる業種はもとより、比較的女性の就業が進んでいる業界においても、会社の職場環境に女性が働きづらさを感じることは間々あると伺っており、女性の活躍をさらに後押しするための環境整備は急務であります。
 とりわけ、男女別のトイレや更衣室の整備といった施設面の対応は、規模の小さな企業にとって大きな費用負担となり、女性が働きやすい職場環境を実現するためには、その負担軽減が欠かせません。
 都は、中小企業において女性の活躍を一層推進していくため、ハード面の職場環境整備についてどのような支援を実施してきたのか、実績を含めて伺います。

○内田事業推進担当部長 都は、中小企業における女性の採用や働く場の確保に向けまして、職場の施設面の環境整備をサポートする事業を実施してございまして、女性専用の設備を新たに設置する場合などに五百万円を上限として経費の三分の二を助成いたしました。
 令和三年度の支給実績は、前年度以前に申請があったものに対しまして、合計で一千六十三万円となりました。
 具体的には、女性社員を増やした会社におきまして、社屋の更衣室、休憩室の新設、女性専用トイレの設置や洋式便器への変更などに活用されました。
 また、昨年度は建設業や製造業、サービス業など様々な事業者から、新たに施設の整備計画について、十二件の申請を受け付けてございます。

○磯山委員 ハード面は職場環境づくりの根幹であり、女性活躍への第一歩を踏み出す企業にとっては大変重要な支援であります。
 今後、一層の活用が進むよう、広報の強化や、より使いやすい仕組みへの改善などを図っていただきたいと思います。
 ここまで、中小事業者の様々な前向きな取組に対する支援について確認してきましたが、企業にとって血液ともいえるのが資金であり、その円滑な調達のために、制度融資は極めて重要な制度であると思います。
 令和三年度は、コロナ禍の影響が長引き、厳しい経営環境にあった都内中小企業の資金繰りを支える新型コロナ感染症対応の融資やポストコロナを見据え、成長に向けた新たな取組を支援する制度を立ち上げたと伺っています。
 そこで、令和三年度の制度融資の状況について伺います。

○戸井崎金融部長 令和三年度は、コロナ禍における中小企業の資金繰りに万全を期すとともに、将来に向けた様々な取組を柔軟にサポートできるように、融資目標額を約二兆二千億円といたしまして、中小企業への支援を着実に行いました。
 具体的には、実質無利子融資が令和二年度で終了し、感染症の影響による資金繰りの確保に向けた新たなメニューである伴走全国などの借入れは想定の二割にとどまりました。また、ポストコロナを見据えた販路の開拓や起業などに係る融資は利用が伸びない状況がございました。
 一方で、経営の安定と改善につながるメニューの利用者は増加したほか、年末や年度末の運転資金に係る利用は例年並みの水準となりました。
 こうした取組によりまして、中小企業が資金を円滑に安心して調達できる環境づくりを行いました。

○磯山委員 制度融資において、中小企業の様々な資金需要に対応したことが分かりました。中小企業における資金の利用動向や今後の経済情勢などはもとより、令和三年度下半期からは借換え需要も増えていることも十分に踏まえていただき、引き続き中小企業の資金繰り対策にしっかりと取り組むことを求めて、次の質問に移ります。
 次に、東京の農業の振興について伺います。
 東京の農業は、都民に新鮮な農産物を供給しており、特に、多摩地域では、多くの野菜や果樹などが栽培され、直売所で販売されるとともに、地域の飲食店等に納品されています。
 しかし、近年のコロナ禍で、飲食店等が休業等を余儀なくされたことにより、販売先が縮小し、農家経営にも影響があったと伺っています。社会情勢の変化に柔軟に対応し、農業者がしっかりと稼ぐ農業を実践していくことが重要であります。
 一方で、地域のスーパーマーケットでは、他県産の野菜や果物が数多く並んでおり、東京で新鮮な農産物が生産されていることを知らない都民の方もいます。地域で収穫した新鮮な農産物のおいしさを都民の皆様にぜひ味わっていただきたいとの思いから、私はこれまでも継続して、地産地消の重要性について取り上げてきました。都内で地産地消を進めることは、都内農業者の収益力の向上にもつながります。
 都は、稼ぐ農業の実現に向けて、地産地消の視点も踏まえ、どのように取り組んできたのか、昨年度の取組状況について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、農業者が稼ぐ農業を実践できるよう、農業者の販路拡大に向けた取組を支援するとともに、地産地消を推進してございます。
 昨年度は、農家が新たな販路を開拓する取組などに対して助成を行い、ホームページの制作やEコマースへの出店など四十七件の取組を支援いたしました。
 加えまして、バイヤーなどの経験を持つナビゲーターが、農産物のセールスポイントを農家から聞き取った上で、百貨店やレストラン等とのマッチングを行い、その結果といたしまして、十七人の農業者が延べ二十六件の新たな取引を開始しております。また、稼ぐ農業の担い手が経営を確立するための支援を四十五人に対して行いました。
 さらに、これまで東京産食材を扱ったことのないレストランなどに対しまして、東京ウドやトウキョウXを提供するなど、新たなメニューの開発を支援するとともに、参加した百四十五店舗をグルメサイトの特設ページで広く紹介をいたしました。
 あわせまして、地産地消に取り組む四区市に対しまして助成を行い、地元野菜を販売するマルシェの開催や学校給食における地場産農産物の活用などを支援いたしました。

○磯山委員 レストランをはじめ、地域のマルシェや学校給食など、様々な場面で東京産食材の活用を進めていることは確認できました。
 今後は、多摩の農産物を都心の皆様に味わっていただけるような取組も積極的に行っていただきたいと思います。
 また、稼ぐ農業に取り組むためには、基盤となる農地を守っていく必要があります。今日は時間の関係から質問はしませんが、高齢などの理由から、特定生産緑地への移行を決めかねている方もおり、そういった方に対しては、生産緑地の貸借制度の活用を促すことが重要であります。
 それでもやむを得ず市区町村へ買取りの申出をせざるを得ない場合も出てまいります。都は事前説明会や個別相談などを実施していると伺っていますが、引き続きしっかりと取り組むとともに、買取りの促進に向けた支援を強化し、必要な財源を確保しておくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、東京の林業について伺います。
 多摩地域の杉やヒノキの多くは、植林から五十年以上が経過し、木材としての利用期を迎えており、都民の貴重な財産である多摩産材の活用を積極的に進めていく必要があります。
 しかし、多摩産材の供給量を増やす上で最も大きな課題は、林業技術者の不足であります。東京の森林の特徴である急峻な地形において、木材を切り出し、搬出することのできる高度な技術を持つ方の数が限られていることから、市場に供給できる多摩産材の量にも限界があります。
 多摩産材を安定的に市場に供給していくためには、こうした技術者を増やすことが重要です。このため、都は、伐採、搬出に携わる高度な技術者を育成するための技術研修を実施していますが、昨年度の取組内容について伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、令和三年度に林業で重要となります伐採、搬出に関する高度な技術を身につけた技術者を育成します東京トレーニングフォレストを開講いたしました。
 昨年度は、都内で伐採等を行う林業事業体から五人の研修生を受け入れ、座学による講義と実技を組み合わせて、延べ百二十四日にわたる体系的な研修を実施いたしました。
 具体的には、安全管理等に関する講義に加えまして、都有林を活用した実習林におきまして、ワイヤーロープの張り方や、それを動かす機械の操作、伐採した木の運搬など、専門的な技術の指導を行いました。
 また、都内の急峻な伐採現場におきまして、高性能な林業機械の操作や作業道の開設、丸太のトラックへの積込みなど、実践的な実習を実施いたしました。

○磯山委員 研修を終えた技術者が一日も早く中核的な人材として活躍できるよう、研修で学んだ技術の定着とさらなる技術の向上など、引き続き、支援に取り組んでいただきたいと思います。
 また、多摩産材の利用促進には、生産現場である川上だけでなく、川中、川下まで一気通貫で後押ししていくことが重要です。
 森林所有者や林業事業体、製材所や木材流通事業者等など、サプライチェーン全体を意識していただき、支援を強化することを要望して、次の質問に移ります。
 ここからは、コロナ禍でのセーフティーネットの取組の状況について確認していきますが、まず、飲食店などへの協力金について伺います。
 昨年度は、コロナ禍が長期化する中、営業時間の短縮や休業要請が断続的に行われ、厳しい経営状態にある中でも、要請にご協力いただいた事業者の方々に対して、要請の都度、協力金を支給してきました。
 そこで、まず、昨年度末までの協力金の支給実績とその財源について伺います。また、協力金の事業効果についても併せて伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、一昨年四月以降、飲食店等に対しましては十九回、大規模施設に対しましては六回にわたり、要請にご協力いただいた事業者に協力金を支給してまいりました。
 飲食店等への支給実績につきましては、令和四年三月三十一日時点で、事業者から全体で約百三十五万四千件の申請を受け付け、延べ約百二十八万二千件の支給決定を行っておりまして、支給額の合計は約一兆七千七百二十六億円でございます。
 また、大規模施設への支給実績につきましては、事業者から全体で約三万五千件の申請を受け付け、約三万一千件の支給決定を行っておりまして、支給額の合計は約二百三十七億円でございます。
 協力金の財源につきましては、飲食店等向けは令和二年十一月二十八日から十二月十七日までの要請分以降、大規模施設向けは全ての回で、国の交付金を活用いたしました。
 また、協力金の事業効果につきましては、都が本年一月から三月にかけて実施した見回り調査で、都内飲食店の九六%が要請に応じていただいていることなどからも、協力金の支給が感染拡大の防止にも寄与したものと考えております。

○磯山委員 感染拡大防止のため、国の交付金も活用して、都政史上でも類を見ない大規模な給付事業が実施されました。その支給事務を繰り返す中で、オンライン申請の利便性をより高めていく改善などにより、行政のデジタル化が大きく進んだことについては高く評価いたします。
 その一方で、残念ながら、協力金を不正に受給する事案が発生していると伺っております。そこで、昨年度の協力金の不正受給の件数及び金額について、申請全体に占める割合と併せて伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、協力金の支給の決定を受けた申請者が偽り、その他不正な手段により協力金の支給を受けようとした事実が判明した場合、支給の決定取消しを行ってまいりました。
 昨年度に都が不正受給と判断して支給の決定を取り消した件数は百三十六件、金額は約一億三千万円でございまして、全体に占めるその割合はいずれも〇・〇一%以下となっております。

○磯山委員 適正な支出はもとより、厳しい経営状態にある中でも、都の要請にご協力いただいた事業者との公平性の観点からも、不正受給は許されるものではありません。
 不正受給を防止するため、どのように取り組んできたのか、また、支給後に問題が判明した場合の対応についても併せて伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 申請に当たりまして、都は、不正受給に対し厳正に対処する旨をポータルサイトや申請に係るリーフレットに記載して周知してまいりました。
 申請受付後に、申請内容につきまして不明な部分や疑問がある場合、職員による現地確認や電話でのヒアリング、文書による問合せなどにより、受給要件を満たしているか否かを確認し、適正な支給に努めました。
 また、区市の保健所などと連携し、全ての営業許可書につきまして、申請内容の照合を行うとともに、建物の内部や外部の写真などにより、営業の実態を適切に確認してまいりました。
 さらに、総務局が行う各店舗の見回り情報を活用し、不適切な営業の実態が判明した場合には、協力金の支給を停止するなどの対応を行いました。
 不正受給が明らかになった際には、警察などの関係機関に相談するとともに、申請時に提出のあった書面に基づきまして、当該事業者に協力金の返還と併せて違約金の請求を行うなど厳正に対処いたしました。

○磯山委員 膨大な件数を扱う中でも不正受給を防ぐために適切に対応していることが確認できました。引き続き、警察等の関係機関と連携し、不正受給者に対しては厳正に対処するよう要望いたします。
 次に、東京都中小企業者等月次支援給付金について伺います。
 緊急事態宣言等により、飲食店と取引のある事業者や外出自粛の影響を受けた事業者を下支えするため、都は国の制度である月次支援金と連携し、支援金に加算して都独自に支給を行うなど、厳しい状況にある様々な中小企業等を支援してきました。
 とりわけ我が党は、酒類の提供が取りやめになったことにより多大な影響を受けていた酒類販売事業者にも適切な支援を要請してきました。
 そこで、月次支援給付金について、どのような業種の事業者を支援してきたのか、実績を伺います。あわせて、酒類販売事業者への支給件数及び支給額について伺います。

○福田商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、飲食店の時短営業や外出自粛などの影響により売上げが減少した都内中小企業等を対象に、国の月次支援金に給付金を加算するとともに、国の支援金の対象外となる事業者に対しても、都独自に支援を行ってまいりました。
 具体的には、旅館や旅行代理店などの観光関連事業者や、医療品や食料品等の小売、卸売業のほか、理美容業や建設業など、外出自粛の影響を受けた様々な業種の事業者から申請いただき、支給件数は約四十三万四千件、支給金額は約二百七十六億六千万円となっております。
 このうち、飲食店の時短営業等の影響を受けた酒類販売事業者への支援実績は支給件数が約六千百件、支給金額は約十一億六千万円でございます。

○磯山委員 月次支援給付金などによって支援してきたことは分かりましたが、事業を継続していくためには、コロナ禍において、経営の改善につながるような支援も重要であります。
 都は、月次支援給付金などを受給している事業者を対象に、設備投資や販路開拓などの緊急的な支援を行ってきましたが、その実績について伺います。

○緑川商工部長 都は、月次支援給付金等受給者に対しまして、経営の専門家を派遣するほか、販路開拓や設備投資の取組に対しまして、一年を超えて支援を行ってまいりました。
 具体的には、コスト削減など経営の安定化に取り組む中小企業百三十三社に対し、専門家を派遣し、現場の実態に即したアドバイスを行いました。
 また、新たな事業の展開を図るため、機械設備等を導入する場合、助成率五分の四、三千万円を上限に助成する設備投資支援では、百三十三社から申請を受け付け、二十六件の交付決定を行いました。
 さらに、ECサイトや国内外の展示会等に出展する場合、助成率五分の四、百五十万円を上限に助成する販路開拓支援では、二千七百四十二社から申請を受け付け、昨年度末までには千四百八十二件の交付決定を行い、その後も速やかな交付決定を行っております。
 これらの取組を行うため、令和三年度の予算額は約四十六億四千二百万円、決算額は約四十三億七千四百万円でございます。

○磯山委員 月次支援給付金等を受給した中小企業の経営改善に向けて、しっかりと支援してきたことが分かりました。感染者数は減少してきたとはいえ、依然としてコロナ禍による影響を受けている事業者は多くいらっしゃいます。引き続き、様々な支援策によってきめ細やかなサポートを行うことを要望し、次の質問に移ります。
 最後に、コロナ禍での雇用対策について伺います。
 コロナ禍の影響で、飲食や宿泊、観光といった業種において、非正規雇用で働いていた方が数多く離職を余儀なくされ、我が会派にも再就職が難しいとの声が多くの方から寄せられました。
 こうした業種で長年働いていた方にとっては、同じ業種で再就職しようとしても、就職の募集自体が少ない、ほかの業種に再就職するだけのスキルを保有していないなど、再就職に大変お困りの様子でありました。
 そこで、都は、コロナ禍で離職を余儀なくされた方々に対し、どのような再就職支援を実施してきたのか伺います。

○山崎雇用就業部長 都は昨年度、コロナ禍で離職を余儀なくされた非正規雇用の方などに対しまして、未経験業種などでの派遣就労を通じて、早期再就職を目指す支援を実施いたしました。
 具体的には、幅広い産業分野の企業の求人を開拓いたしまして、最大二か月の派遣就労を通じて、コミュニケーション力など実践的な業務スキルを身につける機会を提供いたしまして、派遣先企業での再就職につながるようサポートをいたしました。
 これによりまして、正社員として就職可能な求人を一万五百二十四名分確保いたしまして、一千七百六十七名の求職者を求人企業へ派遣した結果、八百五十五名の方が再就職を実現しており、そのうち七割以上が正社員として採用されました。

○磯山委員 多くの求人を集め、就職率も非常に高い事業であることが分かりました。この事業は今年度も実施されていますが、引き続き、一人でも多くの方の支援につなげていただければと思います。
 ここまで、昨年度の産業労働局の様々な取組を確認してきました。
 コロナ禍の厳しい中で懸命に頑張る中小零細事業者と、そこで働く方々へ様々な支援を展開したことは評価をいたします。コロナの感染状況は落ち着きつつある一方で、原材料やエネルギーのコストの上昇、円安の進行と、予断を許さない状況が続いております。
 こうした中で、産業労働局には、現場の声に耳を傾け、中小零細の事業者に寄り添った支援を今後も切れ目なく展開することを期待して、私の質問を終わります。

○加藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十五分休憩

   午後三時五十九分開議
○加藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○入江委員 お願いします。まず、私からは、令和三年度の協力金について伺います。
 都は、感染拡大防止のために、令和二年度に全国に先駆けて協力金制度を創設し、営業時間短縮等の要請を行う都度、都の要請に協力していただいた事業者に対して協力金を支給してきました。
 令和三年度に行われた営業時間短縮などの要請は、飲食店に対しては日数にして二百六十七日、大規模施設へは百五十九日となり、一年のうち約四分の三にも要請期間が及ぶコロナ禍の影響が極めて大きい年でした。
 このように長引く営業時間の短縮や酒類提供の自粛によって売上げが激減し、資金繰りが悪化する飲食事業者にとって、十回を数える協力金は、まさしく命綱でした。厳しい経営状況に置かれた事業者から、迅速な交付を求める声が私たちの下にも大変多く寄せられました。我が会派はその都度、制度改善や迅速な支給を求めてまいりました。
 こうした声を受け、都はどのような改善を図ってきたのか伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 営業時間短縮等の要請の実効性を確保するために、協力金につきまして、事業者の経営状況を踏まえた制度の見直しを行うとともに、その迅速な支給を実施することが重要でございます。
 このため、都は昨年度、飲食店の各店舗に一律の金額を支給する方法から、店舗ごとの売上高や売上高の減少額を基準として支給する方法に切り替えたほか、協力金の一部を要請期間の終了を待たずに先渡しする取組を実施するなど、制度の改善を図ってまいりました。
 また、協力金を迅速に支給するため、民間の力を活用し、審査体制を昨年度当初の四百名規模から最大で二千三百名規模に拡充するとともに、申請システムの見直しにより、過去に支給を行ったことのある店舗について、その際の情報を活用し、提出書類を減らす仕組みを導入したほか、申請の受付開始時期の前倒しを図るため、システム構築の期間を短縮いたしました。
 これらにより、オンライン申請の場合、平均処理期間を十日程度に短縮するとともに、要請期間終了の翌日からの申請受付の開始を実現いたしました。
 加えて、審査が完了次第、登録したアドレスにメールが届く仕組みを導入するなど、事業者の皆様に寄り添う改善を行うことで、昨年度実施した協力金につきましては、申請のあったほぼ全ての処理を完了いたしました。

○入江委員 私の下にも大変多くの飲食事業者から様々なご要望やご意見がございまして、局の皆様ともいろいろお話しさせていただきました。その都度、大変丁寧に対応していただき、改善を積み重ねていただいて、評価したいと思います。
 そして、事業者が協力金に関する問合せを行う手段として、コールセンターの役割は大変重要でした。皆さんやっぱりすぐにちょっと電話して聞きたい、そういう思いに駆られてお電話をするんですけれども、なかなかつながらない。また、つながったとしても、対応する担当の方が十分に対応できないし、お話しされる内容が前回と違っているなどということもあったと聞いております。
 都は、こうしたコールセンターの改善のためにどのように取り組んできたのかを伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 協力金の相談窓口であるコールセンターにつきましては、事業者からの問合せに対応するため、昨年度当初の五十名体制から最大で約二百三十名体制に増強することで、応答率の向上を図ってまいりました。
 加えて、受託事業者において定期的に研修を実施し、協力金の制度変更に関する知識や情報をコールセンターの各担当者に徹底して伝えるほか、担当者の間で様々な問合せや相談への対応の事例を速やかに共有する仕組みをつくりまして、同一の高いレベルで対応できるような取組を行ってまいりました。
 特に困難な事例などにつきましては、都の担当者とコールセンターを担う受託事業者との間で定期的にミーティングを実施し、連携して対応いたしました。
 こうした取組により、事業者からの問合せに対しきめ細やかな対応を行ってまいりました。

○入江委員 様々なご要望に応え、コールセンターの拡大強化、質の向上に速やかに対応していただきました。
 この長期化のコロナ禍というのは、世界中にとって近年初めてのクライシスだったわけです。東京都の協力金制度もまさに初めての施策でした。約十万店舗に協力金を速やかにお渡しするために、産業労働局の皆さんは大変なご苦労があったと思います。お疲れさまでございました。
 困難を極めた飲食事業者などの皆様ですが、このことで東京都と新たな関係ができ、その後は、東京都の食文化振興施策を大変評価し、ご協力をいただいております。
 さらなる食文化振興のために、このネットワークを大切にしていただくことを要望します。
 そして、協力金のみならず、都はコロナ禍の影響により厳しい状況に置かれ続けてきた飲食事業者の経営を守るために、継続的な支援を行っています。支援の実施に当たっては以前ご提言したとおり、約十二万人を超えるコロナ対策リーダーとのネットワークなどを活用して、支援を求める飲食店に周知をしていただいています。多くの事業者の活用を目的とした積極的なPRを評価いたします。
 こうした中で昨年度から開始した飲食事業者向け経営基盤強化支援事業は、窮地にあった飲食店が営業を続けるために、コロナ対策リーダーなども活用した幅広いサポートを行い、多くの申請があったと聞いています。
 そこで、令和三年度の取組状況を伺うとともに、実績や支援事例について伺います。

○緑川商工部長 都は、中小飲食事業者の営業再開に向けた取組を後押しするため、専門家が現地に出向いてアドバイスを行い、それに基づき、設備などを導入する場合に必要となる経費への助成を令和三年十一月より開始をいたしました。この事業を飲食事業者に幅広くご活用いただくため、コロナ対策リーダーへの周知やSNSを活用したPRなど、積極的な広報を行ってまいりました。
 こうした取組によりまして、令和三年度は専門家を五百八十四店に派遣いたしました。また、設備等の導入経費助成につきましては、専門家の助言を受けた事業者三百四十四社から申請を受け付け、約五億円の交付決定を行いました。
 具体的には、マーケティング調査によって利用者層を明らかにし、それに応じたコンセプトや店舗デザインなどにより、売上げの増加につなげた取組やホームページとSNS等を連動させた情報の発信のほか、オンライン予約システムの導入など、DX化を図ることで、来店客の利便性の向上につなげた取組などについて支援をいたしました。

○入江委員 この支援策は現在も続けていただいておりますが、非常に飲食店の皆様から好評を得ておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 先日、小池都知事は、食の魅力は東京の魅力とおっしゃってGO TO Eatの再開を十月二十六日からすると発表されました。このことも、東京都の飲食事業者の皆様から喜びの声が届いております。
 こうした様々なコロナ禍の困難を乗り越えるために、新たなネットワークができた多くの飲食事業者の皆様と共に、東京の魅力向上、ブランド力向上につながる食文化振興をしっかりと行っていただくことを強く要望します。
 そして、食の魅力をさらに高め、回復が期待されるインバウンドをしっかりとつかみ、観光振興を強力に進めていただくことも要望いたします。
 次に、中小企業制度融資について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の影響が長期に及び、都内中小企業は厳しい経営を強いられてきました。
 こうした中、コロナ禍の影響を受ける中小企業の皆様からは、資金繰り面において、都が実施したコロナ対応融資には大変助けられたとの声を多く聞いております。中小企業の資金繰りを幅広く支えるために、低利で借りることができ、信用保証料の補助が手厚い都の制度融資の役割は大きかったと思います。
 令和三年度に開始した新型コロナ対応融資の内容と融資件数や金額、期間などの実績について伺います。

○戸井崎金融部長 コロナ禍の影響を受けた事業者の経営を下支えするため、制度融資により金融機関が融資を行った上で、その後の経営改善を一定期間にわたりサポートする支援を行いました。
 具体的には、国の補助を受けて実施する伴走全国の融資件数は約七千件、金額は約一千四百二十四億円、都の独自メニューである伴走対応の融資件数が約千二百件、金額は約三百八十三億円でございました。
 また、六月からは飲食店のテークアウト販売など、事業や業態の転換によりまして、コロナ禍を乗り越えようとする中小企業の積極的な取組を資金面から支援する事業転換、業態転換のメニューを開始いたしまして、融資件数が約四十件、金額は約十一億円でございました。
 なお、令和二年度に申請を受け、令和三年度に融資を実行した新型コロナ感染症対応の融資は、合わせて件数が約一万四千四百件、金額は約三千七百三十億円となっております。
 さらに、融資期間別の実績は、全体で一年以内が約六%、一年から三年以内は約四%、三年から五年以内は約一四%、五年を超える期間は約七六%となっております。

○入江委員 コロナ禍に立ち向かう中小企業の経営支援に制度融資が活用されていることが分かりました。今ご答弁のとおり、融資期間がまだ五年を超える方が約七六%ということなので、引き続き現状の経済状態が悪い中、多くの皆様が助けを求めていると思いますので、寄り添った支援をお願い申し上げます。
 厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを改善するためには、融資を希望する事業者に、借換えを含め柔軟に対応するよう、引き続きメガバンクもはじめとした金融機関に要望していただきたいと思います。
 また、制度を周知し、利用を促していくことも重要だと考えます。現在もコロナ禍に加え、原材料やエネルギーのコスト上昇により、事業活動に影響が生じている中小企業も多く、今後とも引き続き資金面からしっかりと支えていっていただくよう、強く要望します。
 続いて、我が会派の要望により実施することとなりました東京版ニューディールとデジタル人材の育成について伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、雇用市場にも大きな影響を及ぼしました。感染拡大の影響で解雇や雇い止めに遭った労働者は、令和三年度末時点で、見込みを含めて累計で十二万人以上近くに上り、都においても、約二万人の方が離職を余儀なくされております。
 私たちは、こうした社会情勢にあらかじめ備えるために、大胆な雇用対策を講じるように都に求め、都は令和三年度に、二万人の雇用支援を行う東京版ニューディールを実施しました。
 そこで、まず、東京版ニューディールを実施した意義とその実績について伺います。

○山崎雇用就業部長 都は昨年度、感染症の影響が長期化する中で、解雇や雇い止めにより職を失い、離職を余儀なくされた方に対しまして、早期に雇用を確保し、生活の安定を図ることを目的として、東京版ニューディールを実施いたしました。令和三年度の予算額は約百四十二億円、決算額は約百十七億円でございました。
 実施に当たりましては、ITなどの成長分野や介護など人手不足が続く分野への人材シフトを促進する視点から、マッチング支援や職業訓練などを感染症拡大防止の観点から、参加定員の縮小等、必要な対策を講じた上で着実に進め、約二万五千人の就職サポートを行いました。

○入江委員 コロナ禍の影響により、離職を余儀なくされた方に対する支援が都の取組だけで二万人を超えているということは、ニューディール全体の成果があったということで、大変評価いたします。
 一方で、コロナ禍で離職を余儀なくされた方には、早期に就職したい、安定的な職に就きたい、スキルを身につけて就職したいなど、様々なご要望があります。こうした方々のニーズを踏まえ、きちんと支援の手を差し伸べることが重要です。
 そこで、東京版ニューディールを進めるに当たって、どのような特色を出しながら取り組んだのかを伺います。

○山崎雇用就業部長 東京版ニューディールでは、求職者がその実情に応じた支援を受けられるよう、幅広い支援を展開いたしました。
 マッチング支援におきましては、コロナ禍においても採用意欲の高い企業の求人を開拓し、労働者派遣のスキームにより正社員就職を目指す事業や、就職相談から面接までを一日で集中的に行うプログラムなどを実施いたしました。
 また、職業訓練におきましては、ITパスポートの取得などを目指す短期間の訓練のほか、非正規雇用の方などが働きながらスキルアップを図れるeラーニングによる訓練などを実施いたしました。

○入江委員 就職を希望する方々の多様なニーズにしっかりと対応して様々な支援を行ってきていただいたので、二万人を超える支援の成果につながったと考えます。
 今後も東京版ニューディールの成果を生かし、引き続き先手先手で都民に寄り添った支援を行っていただくことを要望します。
 次に、デジタル人材の育成について伺います。
 中長期の東京、そして日本が成長していくためには、DXを強力に進めることが重要といわれております。そのために、デジタルなどの成長産業分野に人材がシフトするよう、デジタルスキルを身につけた人材の育成が求められています。
 このような状況下において、デジタルスキルがまだ乏しい若者などを職業訓練を通じて、例えばプログラマーやウェブデザイナーなどIT人材として育成し、情報分野への職種の転換、再就職を支援することは非常に重要であると考えます。
 都は昨年度、コロナ禍で解雇や離職を余儀なくされた方を対象に、デジタル人材育成支援事業を実施していますが、支援の状況について実績を含めて伺います。

○山崎雇用就業部長 本事業におきましては、コロナ禍によって離職を余儀なくされた方や、非正規雇用が長い方等に対しまして、プログラミングなどのIT関連のスキルを付与する職業訓練、求人開拓等の再就職支援を一体的に実施いたしました。
 昨年度は四百名の訓練定員に対しまして、千七十名の応募があり、四百三名が受講し、訓練修了生の約七割が都内のIT企業等へ就職いたしました。
 また、応募したものの訓練を受けることができなかった方についても、民間教育訓練機関の実施するデジタル分野の職業訓練や、しごとセンターなどで実施する支援メニューにつなげまして、きめ細かいフォローアップ支援を行いました。

○入江委員 本事業は定員を大幅に上回る応募がありまして、まさに都民ニーズに合った事業であることが分かりました。
 令和四年度からは、三年度の応募状況を踏まえて、規模拡充を行っていただいています。今後とも取組の成果を生かした事業展開を図っていただくことを要望します。
 さて、続いて、行政課題解決型スタートアップ支援事業について伺います。
 長引く原油や原材料の高騰と円安が同時に進行し、経済の先行きは不透明な状況にあります。そうした状況を打破し、東京の成長を促していくためには、スタートアップをイノベーションの担い手としていくことが重要です。
 スタートアップは、優れた技術やアイデアを有する一方、信用力や資金力などの面で十分でない側面があります。近年、オープンイノベーションが活発に行われておりまして、こうした機会を捉えてサポートしていくべきと考えます。
 都は、スタートアップと協働して、都政課題を解決するための取組を令和二年度から行っていますが、こうした取組はスタートアップが成長していく上で非常に重要だと思います。
 そこで、昨年度の取組状況を伺います。

○緑川商工部長 行政課題解決型スタートアップ支援事業は、昨年度、都政の課題解決をテーマに九回のピッチコンテストを行いました。コンテストで優勝した事業者とは具体的な事業のスキームについて検討を始めておりまして、うち六件につきましては、協力してプロジェクトをつくり、現在も事業を進めております。
 具体的には、臨海副都心のまちの魅力発見をテーマに、スタートアップが持つAR技術によって、複数が同時にアニメキャラクターを仮想体験できるイベントを開催し集客に結びつけた取組や、高齢者によるスマートフォンの活用をテーマに、スタートアップが開発した運動や食事の状況などを簡単に把握できるアプリを高齢者に実際に使用してもらい、デジタル化を身近に感じる機会を提供した取組などにおきまして、協力して事業を進めております。
 こうした取組を通じまして、スタートアップの成長を後押しいたしました。

○入江委員 臨海エリアのまちの魅力向上、そして高齢者のスマホ利用をいかに身近なものにするのかなど、幅広いテーマに対してスタートアップが有する技術をうまく活用し、課題の解決に結びつけていただいています。都庁内でも産業労働局の取組が一番最初ではないかと思っております、スタートアップに対しては。
 こうしてスタートアップにとっても、東京都と協働し、自社のプロダクトを導入するということは、信用向上につながる大変意義のある取組だと思います。多くのスタートアップにさらなるチャンスをつくるために、引き続きこうした取組をしっかりと行っていただくことを要望します。
 続いて、労働相談情報センターにおける相談状況について伺います。
 労働相談は、都内で働く方や働く方を雇用する事業者の皆様から、雇い止めやハラスメントなど、労働問題全般について相談を受け付けたり、あっせんにより問題解決を手助けする、労使双方にとって貴重な存在です。
 私は先日、飯田橋の労働相談情報センターに視察に伺いましたが、様々な労働法関係の書籍が資料コーナーに並んでいたり、相談室は完全個室で、利用者も周りを気にせず相談を受けられる環境で、大変安心ができました。
 また、多摩地域では、今年十月から労働相談情報センター国分寺事務所と八王子事務所が移転、統合され、いよいよ労働相談情報センター多摩事務所としてスタートを切りました。今後、多摩地域の労働相談の拠点として重要な役割を担っていくことになります。
 労働相談情報センターにおける令和三年度の相談件数と主な相談内容を伺います。また、多摩地域における令和三年度の相談件数を伺います。

○山崎雇用就業部長 労働相談情報センターにおけます令和三年度の都内の労働相談件数は四万五千五百四件でございまして、相談内容はパワーハラスメントに関することや、リストラなどの退職に関する相談が上位となっておりました。
 また、令和三年度の労働相談情報センター国分寺事務所におけます労働相談件数は三千四百五十六件、八王子事務所の労働相談件数は四千二百八十一件でございまして、多摩地域の相談件数は合わせて七千七百三十七件でございました。

○入江委員 労働相談情報センターには多数の相談が寄せられ、都民の皆様にとってなくてはならない存在であることが分かりました。また、都内の相談の約二割を占める多摩地域でも、従来の来所相談や電話相談などに加えて、新たな取組である遠隔相談やオンライン相談なども進めているとのことです。引き続き、労働相談情報センターが都民にとって安心でき、頼れる存在であり続けるよう、丁寧で確実な運営を要望いたします。
 続いて、介護離職防止に向けた取組について伺います。
 誰もが無関心でいられないのが介護の問題です。親や親族の介護と仕事の両立は社会的な課題となっています。
 総務省の調査では、介護や看護を理由として離職した方は全国で約十万人、都内では約八千人に上ります。働き盛りや中核を担う立場の社員が介護に直面する例も多く、貴重な人材が介護で職場を離れていくことは、企業の経営にとっても大きなリスクになります。
 都でも、介護離職防止のために奨励金や普及啓発事業を展開していますが、令和三年度の実績について伺います。

○内田事業推進担当部長 都は、介護離職を防止し就業継続を後押しするため、従業員の介護休業取得を推進する企業や、介護と仕事の両立ができる職場環境を整備した企業に奨励金を支給するほか、普及啓発のためのシンポジウムを実施いたしました。
 令和三年度の奨励金の支給件数は、介護休業の取得を促す奨励金が二十五件、職場環境づくりや休暇制度整備に関する奨励金が二百四十九件となりました。
 また、オンライン開催といたしましたシンポジウムにおきまして、コロナ禍における介護の課題や企業の役割について情報発信をするほか、法を上回る制度や社内相談体制の整備など、企業の特色ある取組を紹介をいたしまして、経営者や人事労務担当者など百六十四名が参加をいたしました。

○入江委員 介護休暇というのは育児休業と比較しても導入が遅れているのが実情です。ぜひ、介護離職などにより企業が貴重な人材を失うことがないよう、また介護にぶち当たった皆様が仕事を続けられるように、引き続き介護と仕事の両立が可能となる職場環境に向けた取組を続けていただくことを要望します。
 それでは、次に、ソーシャルファームについて伺います。
 都は、我が会派の要望を受け、ソーシャルファームの創設に関する条例を制定し、ソーシャルファーム認証制度を開始しています。障害者やひとり親、ひきこもりを経験された方など、就労に困難を抱える方が企業的な形態の中で必要なサポートを受けながら生き生きと働き、活躍できるソーシャルファームは、社会的意義の高い取組です。
 昨年、初めて東京都認証ソーシャルファームが誕生してから、多くの就労に困難を抱える方が活躍していると聞いております。その取組成果を評価しています。今後、ソーシャルファームの認証をより一層進め、就労に困難を抱える方が活躍できる環境を広げていくべきと考えます。
 そこで、都は昨年度、ソーシャルファームに関してどのような取組を行ったのか、実績を含めて伺います。

○山崎雇用就業部長 ソーシャルファームにつきましては、昨年度末時点で、認証事業所が十九事業所、予備認証事業所が十六事業所となっております。令和三年度は、ソーシャルファームの創設をより一層促進するため、事業者や都民を対象とした普及啓発イベントを初めて開催しまして、認証ソーシャルファームの表彰を行うとともに、モデルとなる事例を紹介するプログラムを実施いたしました。
 また、制度周知や認証事業者の取組を紹介する動画を作成するとともに、専用ポータルサイトを開設いたしまして、認証ソーシャルファームの事業内容や雇用に関する情報を一元的に掲載するなど、広く情報発信を行いました。
 さらに、ソーシャルファーム支援センターにおきまして、事業者から経営や雇用など様々な相談に対しまして、ワンストップできめ細かに対応するとともに、都の関係機関や就労支援団体等と連携しまして、就労困難者の雇用に係る支援を実施いたしました。

○入江委員 都は、ソーシャルファームに関して、しっかりと取り組んでいただいていることが分かりました。
 何よりも情熱を持って参入してくれる経営者を探し、サポートすることが重要だと考えます。認証ソーシャルファームは現時点で二十七事業所に増えています。今後も取組を強化し、ソーシャルファームの認証をより一層進めていただくことを要望します。
 では、続いて、再生可能エネルギーの導入拡大について伺います。
 都のホームページを見ると、都内における再生可能エネルギー電力の割合は、令和二年度で一九・二%となっています。これが最新の数字ですので、再エネのさらなる導入拡大が必要だと思います。
 また、事業者が自ら工場などに太陽光発電システムなど再エネ設備を設置して、操業に必要な電力を自ら賄うことは、災害時の事業継続の観点からも重要であり、こうした取組を後押しする必要があります。
 都は、事業者向けに地産地消型再エネ増強プロジェクトを展開し、支援を行っていますが、令和三年度の実績とその成果について伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 電力需給逼迫対応や災害時のレジリエンス向上にも資する形で、再生可能エネルギーの導入拡大を図ることは重要でありますことから、都は、事業者のエネルギーの地産地消の取組を促してまいりました。
 令和三年度におきましては、七十六件の交付決定を行い、その金額は約六億五千万円となってございまして、全体で約四千キロワットの太陽光発電による再エネ電力などの確保を図りました。

○入江委員 電力需給逼迫の対応として、現在都が行うHTT、電力を減らす、つくる、ためる取組を促進する観点からも、地産地消による太陽光など再生可能エネルギー利用を後押ししていくことは必要不可欠です。引き続き、より多くの事業者の利用につながるよう取組を進めていただくことを要望します。
 最後に、水素エネルギーの普及拡大について伺います。
 都は昨年度、燃料電池ごみ収集車の運用事業を港区で行いました。私も運用初日に視察しましたが、走行時はCO2を排出せず、ゼロエミッションに貢献するとともに、排出ガスや大きな音も出ないことから、環境に優しい車両として期待できるものでした。
 そこで、昨年度の試験運用の成果と、その成果をどのように活用していくのか伺います。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都は昨年度、港区及び早稲田大学と連携し、一定のルートを定め、燃料電池ごみ収集車の試験的な走行を都内で初めて実施いたしました。この取組では、延べ六十八日間、二千七百キロメートルを走行いたしました。
 本事業では、ごみ収集車特有の発車と停車を繰り返す走行パターンにおいて、電気モーターを使用する燃料電池車の特性がより生かされ、エネルギー効率の面で導入効果が高いことが分かりました。
 こうした成果を自動車メーカー等とも共有しながら、燃料電池ごみ収集車の早期の実装化を後押ししてまいります。

○入江委員 ぜひ自動車メーカーも巻き込んでいただいて、外国企業でもいいと思うんですけれども、早期実装化を実現していただきたいと思います。
 また、こうした大型の燃料電池車両が停電時に外部給電が可能になると、地域の防災力向上にも貢献できます。ぜひ、実装化の際には、外部給電機能も備えるように、メーカーに開発を促していただくように要望いたします。
 質問はこれで終わりますが、産業労働局の皆さんは多岐にわたる東京の重要な施策を担っていらっしゃいまして、現状の世界、日本の景気は非常に悪いリセッションだともいわれております。まだまだコロナの影響、そして円安、そして物価高、原油高が続いておりますので、引き続きしっかりと様々な施策を実行していただき、東京の経済浮揚、そして多くの事業者、また都民の方を助けていただくようにお願い申し上げて、質問を終わります。ありがとうございます。

○かつまた委員 私からは、初めに中小企業制度融資についてお伺いをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて厳しい経営状況にある都内中小企業に対し、都は、実質無利子融資を創設するなど、事業継続に向けた資金面からの支援を行ってまいりました。令和三年度も国と連携するなどにより、感染症の影響を受けている中小企業の経営を金融機関が伴走支援する伴走メニューを実施したことは高く評価をいたします。
 厳しい経営環境にある中小企業の資金繰りを支えるには、資金調達に関わるコストを可能な限り低減することが重要であります。
 そこで、令和三年度に開始した新型コロナ対応融資である伴走メニューにおいて、中小企業の負担軽減としてどのような対応を図ったのかお伺いをいたします。

○戸井崎金融部長 令和三年度は、伴走全国及び伴走対応に係る信用保証料の助成を行うことによりまして、事業者の負担軽減を図りました。
 具体的には、制度を開始した四月から、融資金額四千万円までは事業者が負担する〇・二%以外を都が全て補助し、四千万円を超えて八千万円までは都が四分の三を補助、八千万円を超えた分につきましては、小規模企業者等に対して二分の一の補助を実施いたしました。さらに、同年六月からは支援の充実を図りまして、融資金額八千万円までは全額補助、八千万円を超えた分は四分の三の補助を行いました。
 また、こうした支援に加えまして、融資利率を一般の金融機関からの借入金利に比べて有利な一・五%から二・二%に設定するほか、借入金返済の据置期間につきましては、これまでよりも延ばして最長五年間といたしまして、これらにより借入れをする事業者の負担軽減を図りました。

○かつまた委員 コロナ禍の影響を受けた中小企業に対して、借入れに関わる負担の軽減を図ったことはよく分かりました。都の制度融資により資金繰りを改善した中小企業がある一方で、中には多くの債務を抱え、経営状況が厳しい企業もあると聞いております。
 こうした中、中小企業の中には優れた技術やサービスを持つ企業も数多く、事業の再生は技術の継承や雇用の確保、地域経済の発展などの観点から極めて重要であります。
 そこで、都は、中小企業の借入れに関わる返済負担の軽減など中小企業の事業の再生のため、どのような支援を行ったのか伺います。

○戸井崎金融部長 都は、コロナ禍により深刻な影響を受けている中小企業の経営改善を支援するため、相談窓口を設置しており、専門家を派遣するなど、様々な支援を行ってまいりました。
 また、多くの債務を抱えた中小企業の事業の再生のため、実現性の高い再生計画をつくり、それに基づいて債務を圧縮して財務内容を改善する後押しを行ってまいりました。
 具体的には、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例によりまして、迅速に中小企業の債権を都が放棄する手続を行い、中小企業活性化協議会をはじめとする公的な再生支援機関が策定した計画や私的整理に関するガイドライン等に基づき策定された再生計画等を根拠に債権放棄を行ってまいりました。
 これらにより、中小企業の事業再生を支援しております。

○かつまた委員 中小企業の事業の再生において、都が条例に基づき、迅速かつ的確に支援に取り組んでいることが分かりました。今後とも、将来性のある中小企業による事業再生をしっかりと支援することを要望し、次の質問に移ります。
 規模別協力金の効果について伺います。
 都議会公明党はかねてより、一律の支給ではなく、事業規模に応じた金額を支給すべきと繰り返し主張してまいりました。これに対し、都は、昨年四月から売上高を基準とした規模別協力金制度を導入し、支給額の改善が図られました。
 規模別協力金制度の導入の効果についてお伺いをいたします。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、事業規模に応じた協力金の制度構築に関して、一都三県で連携して国に要望を行い、昨年四月には国から売上高に応じて協力金を支給する仕組みが示されました。
 これを受け、都では、飲食店の各店舗に一律の金額を支給する方法から、店舗ごとの売上高や売上高の減少額を基準として支給する方法に切替えをいたしました。
 これにより、一律の金額で支給を受ける事業者のほかに、約十一万の事業者に対しては、売上高などに応じた金額を上乗せして支給を行いまして、それぞれの経営状態を踏まえた適切な支援に結びつけてまいりました。

○かつまた委員 協力金については、これまでに制度が度々変更されたことに加え、緊急事態宣言等の延長が繰り返されることで支給受付期間が重なるなど、非常に複雑な仕組みとなっていました。
 こうした中で、都は、事業者が円滑かつ確実に申請できるよう、どのような対応を行ってきたのかお伺いをいたします。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、事業者の申請に係る負担軽減を図るため、協力金専用のポータルサイトを開設し、よくある問合せや特に間違いやすい事例を順次更新するなど、内容を充実させることで丁寧な案内を行いました。
 また、協力金の相談窓口であるコールセンターにつきまして、昨年度当初の五十名体制から最大で約二百三十名体制に増強し、応答率の向上を図ることで、事業者からの問合せにきめ細かく対応いたしました。
 特に、協力金の申請時期につきましては、受付開始時期の前倒しなどにより、申請期間が重複するなど複雑になったことから、事業者が混乱しないよう、全体スケジュールや支給額の目安を取りまとめ、ホームページなどを通じて分かりやすい情報提供を行ってまいりました。
 加えて、期限内に確実に手続できるよう、各協力金の申請期限が近づいた際に、飲食店が登録しているコロナ対策リーダー約十二万人のほか、過去にオンラインによる申請実績があり、申請がなされていない約一万八千事業者を対象として、個別にメールでお知らせをいたしました。

○かつまた委員 次に、東京都中小企業者等月次支援給付金についてお伺いをいたします。
 都は昨年度、都独自の月次支援給付金を創設し、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や外出自粛などで影響を受けた中小企業等への支援を行ってまいりました。
 我が会派は、国の月次支援金で支給対象となっていない売上げの減少幅が五〇%未満の事業者にも、都の月次支援給付金を支給するとともに、事業の実施に当たっては、事業者が申請しやすい手続となるよう要請をしてまいりました。また、月次支援給付金が多くの事業者に利用されるよう、幅広い周知を行うことも求めてまいりました。
 そこで、都は、月次支援給付金の実施に当たり、具体的にどのような取組を行ってきたのか、都独自に国の要件を緩和した横出しの実績と併せて伺います。

○福田商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、月次支援給付金が効果的に活用されるよう、申請者の負担軽減のため、申請書類の簡素化を図るとともに、申請方法等を案内するコールセンターを設置するなど、円滑な手続が進むようにサポートを行ってまいりました。
 また、制度の内容を分かりやすく周知するため、申請の際のポイントや記入例等をまとめた簡易版のパンフレットを作成するほか、チラシ八万部を区市町村や地域の金融機関等へ配布するとともに、SNSやホームページなども活用し、広く案内を行いました。
 さらに、経済団体等の協力も得て、経営相談や企業巡回などの機会を捉え、本事業を紹介してまいりました。
 これらにより、都内の事業者から幅広く申請いただき、給付金の支給件数は約四十三万四千件、支給金額は約二百七十六億六千万円となっております。
 このうち、国の支援金の対象とならない売上げの減少が三〇%以上五〇%未満の事業者等に対して、都独自に支援した件数は約八万八千件、支給額は約七十八億六千万円でございます。

○かつまた委員 月次支援給付金を周知し多くの事業者に給付したことや、都独自に国の支援対象外の事業者まで広く支給したことは評価したいと思います。
 都が事業者への支援を行うに当たっては、今後も利用者に寄り添ったきめ細やかな対応を行うよう要望し、次の質問に移ります。
 次に、雇用関係について質問をいたします。
 我が会派は、都民の方の就業や雇用環境の整備について、これまで様々な要望を都に対して行ってまいりました。そこで、我が会派の要望により実現された事業の実施状況について伺っていきたいと思います。
 まず、テレワークを活用した女性の雇用拡大事業についてであります。
 コロナ禍は多くの人の働き方に変化をもたらしました。中でも象徴的なのは、在宅勤務やリモートワークが広く社会に浸透したことであります。
 企業においては、フルリモートワークを定着させる動きが広がる一方で、職場への出勤や対面のコミュニケーションを重視する動きも見られるなど、様々な選択肢が用意されつつありますが、私は働く側の希望と企業のニーズを着実につなげていくことが重要であるというふうに考えます。
 特に育児などの制約を抱える女性にとっては、テレワークは仕事の選択肢を大きく広げるものであり、企業にとっても人材確保の有効な手法となり得るものであります。
 そこで、都は、テレワークが可能な企業と就労を希望する女性の求職者とのマッチングについて、どのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○内田事業推進担当部長 都は昨年度、テレワークを積極的に活用し人材を確保したい企業と、テレワークによる働き方を希望する女性の求職者とのマッチングを支援するプログラムを新たに開始いたしました。
 具体的には、テレワークで働く基礎知識や就職活動に必要なスキルを習得する全五日間のセミナーを託児サービスつきで実施し、四十六名が参加をいたしました。
 プログラム期間中は、専任のキャリアカウンセラーが参加者個々の相談に応じまして、伴走型の就職活動支援を実施いたしました。また、セミナー終了後は、受講者等とテレワーク導入企業との就職面接会を開始し、参加した百三十七名の方の企業とのマッチングを支援いたしました。

○かつまた委員 次に、女性の就職支援についてもお伺いをいたします。
 都はこれまでも、我が党の要望に応える形で、飯田橋と立川に女性しごと応援テラスを開設するなど、就職を目指す女性の支援に力を入れてまいりました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、多くの女性が働いている飲食業や小売業などの対人サービス業を直撃するなど、女性の雇用環境に深刻な影響を及ぼしました。
 このため、昨年の予算特別委員会の代表質問において、我が党より女性の再就職支援の強化を求めたところ、都はオンラインの活用や多摩地域での支援強化などにより強化に取り組むとの答弁がありました。
 そこで、しごとセンターにおける女性の就労支援状況についてお伺いをいたします。

○内田事業推進担当部長 都は、しごとセンターの女性しごと応援テラスにおきまして、キャリアカウンセリングの実施や再就職支援セミナーの開催など、女性のニーズを踏まえた様々な支援を実施いたしました。
 昨年度は、コロナ禍の状況を踏まえ、オンラインによる支援の強化を図ってございまして、就職を希望する女性に対してウェブを活用した就職相談を四百八十三件実施をし、オンラインセミナーを九百七十五名に提供いたしました。
 また、多摩地域におきましては、女性の求職者と育児中の就業に理解のある企業との交流、職場見学イベントを新たに開始いたしまして、四市の会場で五十二名が参加いたしました。

○かつまた委員 コロナ禍において、厳しい状況に直面することとなった女性への支援について、ここまでお伺いをいたしました。
 一方で、様々な事情により就労に困難を抱える方々が、コロナ禍により離職を余儀なくされたり、再就職に苦労されている状況を看過してはなりません。
 都は、令和二年九月に東京しごとセンターに専門サポートコーナーを新たに開設し、こうした方に対する伴走型の支援に取り組んでまいりました。
 そこで、昨年度の専門サポートコーナーの支援状況についてお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 都は、専門サポートコーナーにおきまして、障害者やひとり親の方、生活困窮者の方など就労に困難を抱えている方々に対しまして、一人一人の実情に即した支援を提供してまいりました。
 具体的には、就職に関する専門知識を持つキャリアカウンセラーや臨床心理士などがチームを組みまして、就職活動から職場定着まで一貫した支援を行いました。
 昨年度は、百三十七名の方の新規利用登録がございまして、カウンセリングや企業への訪問に同行する等により、開設以来支援を継続してきた方を含め九十七名の方が就職を実現いたしました。
 また、就職後の定着を図るため、企業への訪問や電話などにより、延べ五百六十回の支援を実施いたしました。

○かつまた委員 次に、都の新型コロナウイルス感染症対策の支援についてお伺いをいたします。感染症の都内経済への影響の長期化は、解雇や雇い止めの増加といった深刻な影響を及ぼしております。
 こうした動きに対応し、国は雇用調整助成金の上限額や助成率を拡充することで、コロナ禍で厳しい状況に置かれている中小企業の雇用維持や事業継続につなげております。
 我が会派は、感染症の影響で大きな打撃を受けた中小企業へきめ細やかな支援を行うため、国の雇用調整助成金の活用を後押しするよう都に要望し、都独自の支援の実現につなげてまいりました。
 都は、雇用調整助成金の支援を受けた中小企業が非常時の雇用環境整備に取り組む際に奨励金を支給しておりますが、本事業の昨年度の取組内容と実績についてお伺いをいたします。

○山崎雇用就業部長 都は昨年度、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業の緊急対策のため、国の雇用調整助成金の支援を受けた中小企業に対しまして奨励金を支給する事業を実施いたしました。
 具体的には、事業者が感染症などの非常時におきまして、休業手当に関する就業規則の整備のほか、テレワークやフレックスタイム、時差勤務制度の導入やワクチンを接種する際の特別休暇の創設など、それぞれの実情に応じて職場環境の整備に取り組んだ場合に十万円を支給いたしました。
 令和三年度は、三千九百十八件に奨励金を支給し、コロナ禍における中小企業の雇用環境の改善と事業継続をサポートいたしました。

○かつまた委員 今のご答弁で、厳しい経営環境に置かれている多くの中小企業を支援してきたことが分かりました。今後も、国の取組と歩調を合わせながら、都の支援が継続されることを要望しまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進に向けた都の取組についてお伺いをいたします。
 二〇五〇年のCO2排出実質ゼロに貢献する東京を目指すためには、走行時にCO2を排出しないZEVの普及を進めていくことが大変重要であります。深刻化する気候変動問題への対策として、世界的に自動車の脱炭素化の動き、いわゆるEVシフトが急速に進んでおります。
 こうした中、国内においても各自動車メーカーからEVやPHV、プラグインハイブリッド自動車の新たなモデルが市場に導入され、車種も徐々に増えてきております。
 一方で、車両価格がガソリン車等と比較して高価であり、その普及のためには補助事業による支援が不可欠となってまいります。
 こうした中、都は、国と共に補助事業を行っており、購入が現実的な選択肢となってまいりました。
 そこで、都が実施しているEVやPHVの購入経費に対する補助事業について、令和三年度の取組内容とその実績についてお伺いをいたします。

○榎園新エネルギー推進担当部長 都はこれまで、中小企業のほか、個人や大企業を含む全ての購入者に対してEVやPHVの購入に対する補助を行ってまいりました。
 令和三年度は補助額の充実を図り、個人に対してはEV、PHVともに四十五万円、事業者に対しましてはEVは三十七万五千円、PHVは三十万円の補助を行いました。また、ZEVの購入と再生可能エネルギーの利用を併せて行う場合には、補助額を増やす仕組みを導入しました。
 これにより、令和三年度の補助実績は、EVとPHVの合計で四千八台となり、前年度の約二倍に増加し、その普及を後押しすることができました。

○かつまた委員 都の補助事業を含めた取組により、EVとPHVの導入台数が大幅に増加していることが分かりました。
 こうした流れをしっかりと定着させ、車両買換えのタイミングなどに都民や事業者がZEVを選択することができるよう、引き続き導入に対する支援を行い、ゼロエミッション東京の実現に向けて、運輸部門からのCO2排出量削減を強力に推進することを要望いたしまして、質問を終わります。

○尾崎委員 二〇二一年度は東京の新型コロナの感染拡大があらゆる業種に影響があり、中小企業、小規模企業の経営は深刻な状態が続きました。
 中小企業、小規模企業白書に掲載されている新型コロナ感染症による企業活動への影響についての東京商工リサーチのアンケート調査によると、二〇二二年二月時点でも影響が継続しているが七三・八%という結果になっています。一方、影響はないと答えたのは僅か五・八%、影響が出たが既に収束したが六・七%でした。このアンケート調査でも、コロナ感染拡大の影響の深刻さが分かります。
 同じく、中小企業、小規模企業白書では、コロナ禍で積極的な融資が行われている状況がうかがえると述べています。しかし、同時に、宿泊業をはじめとする各業種において、借入金の返済能力が低下している可能性がうかがえると、このようにも述べており、これらのことから、今後も中小企業、小規模企業の経営は厳しいということが見えてきました。
 そこで、新型コロナ感染症対策の融資制度の実績について伺います。

○戸井崎金融部長 本件融資の実績でございますが、伴走全国が約七千件、約一千四百二十四億円、伴走対応が約千二百件、約三百八十三億円、事業転換、業態転換が約四十件、約十一億円でございます。

○尾崎委員 多くの中小企業、小規模企業の皆さんが、わらをもつかむ思いで制度融資を活用することで商売を継続させたいという必死の思いが、ただいまご答弁あったようなこの数字でうかがえると思います。都の役割の大きさも改めて実感しています。
 一方、事業転換、業態転換の難しさも、先ほどのご答弁からうかがえます。
 それでは、都のコロナ感染症対策融資の貸付期間について、実際はどうなっていますか。一年以内、一年から三年以内、三年から五年以内、五年を超える期間と、それぞれの実施について伺います。

○戸井崎金融部長 本件融資の期間別の実績でございますか、一年以内が約六%、一年から三年以内は約四%、三年から五年以内は約一四%、五年を超える期間は約七六%でございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁で五年を超える、これが七六%となっているというご答弁でしたけれども、今の物価高騰や円安などによって借入金の返済の見通しが厳しくなっていることも、今後大きく出てくるのではないかと心配をします。そして、ほとんどの中小業者の方たちの返済はこれからだということです。このことから、長期的に中小業者に東京都が寄り添って支援をしていくことがますます重要になっていると思います。
 新型コロナ感染症が地域の経済を支える中小業者にとって、経営者の努力だけでは何ともならない問題であり、新型コロナの影響は災害といってもいい過ぎではないと私は思います。
 都は、災害と捉えて新たな支援策を実施すべきですが、どうでしょうか。

○戸井崎金融部長 コロナ禍の影響を受けた事業者の経営を下支えするため、制度融資によりまして金融機関が融資を行った上で、経営改善を一定期間サポートすることといたしました。

○尾崎委員 引き続き、中小業者の皆さんは厳しい状況が続きます。コロナ禍の前の状況に回復するには、長くかかるのではないかと心配をしています。コロナの影響で廃業しないための支援策の拡充を求めるものです。
 次に、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナ感染症に適用する場合の特則について伺います。
 二〇二〇年十月三十日、一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関を事務局とする自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会において、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナ感染症に適用する場合の特則と、その運用に当たっての実務上の指針となるQ&Aが公表されました。
 これは、新型コロナ感染症の影響を受けたことによって、住宅ローン、住宅リフォームローンや事業性ローンなどの本特則における対象債務を弁済できなくなった個人事業者を含む個人の債務者であって、破産手続等の法的倒産手続の要件に該当することになった債務者が、法的倒産手続によらず、特定調停手続を活用した債務整理を円滑に進めるための準則として策定するものだと説明しています。
 一言でいうと、法的倒産手続ではなく、最終的には債務者が特定調停を申し立て、債権者との話で調停が成立すれば終了するというものです。いわゆるブラックリストには掲載されないので、事業を再建したいと考える人や、再チャレンジしたいと考える人を応援することができるというものです。
 このような内容で、金融庁は自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを新型コロナ感染症に適用する場合の特則を公表しました。
 都は、この特則についてどのように受け止めていますか。この特則によって、どのような効果があるのか伺います。

○戸井崎金融部長 個人事業主が融資を受けて、その債務を返済しながら経営を継続する取組を下支えすることは重要だというふうに考えております。

○尾崎委員 東京都内では、開始から約一年半で三百二十二件の申請がされたと弁護士の方から聞いています。
 金融庁の説明では、今年の六月末時点で、弁護士などの登録支援専門家に委嘱した件数は、コロナ案件で千九百七十一件、うち手続中が七百七十四件、そのうち特定調停の申立てに至ったのは五十六件ということでした。また、債務整理成立件数はコロナ案件で百八十八件ということです。
 私は、自然災害債務整理ガイドラインの新型コロナに適用する場合の特則は大変重要な取組だと思います。法的倒産手続以外の道があるということだけでも、どれほど中小業者に希望を与えるか。生きる権利、生きる希望につながると感じています。
 ガイドラインは、個人事業主の経済的再生、再チャレンジを後押しするための制度として運用されていますが、個人事業主の多くは地元の金融機関から保証協会つきの制度融資の借入れを行っているのが現状です。
 弁護士の方からは、個人事業主の方はコロナで大変な事態となっており、個人の住宅ローンなど話合いが整っても、保証協会の保証がついている制度融資を借りている場合、ガイドラインによる債務整理ができなくなり、破産に追い込まれてしまう、これはコロナの感染拡大の被災者といえる個人事業主の経済的再生、再チャレンジが著しく困難な状況になっている、改善が必要だという声が私たちのところにも寄せられました。そして、弁護士の方は、各都道府県が対応しないことになると破産を余儀なくされて、ガイドラインの趣旨はなくなってしまうということになるということまで話しています。
 実は、熊本県では、熊本地震が起こったときに、熊本県中小企業融資制度の損失補償に係る回収納付金を受け取る権利に関する条例を改正しています。
 債権放棄することができるように変更したことは知っていますか。

○戸井崎金融部長 熊本県の対応につきましては承知しております。

○尾崎委員 熊本県の対応は承知しているというご答弁でした。県が本気になればできるということです。
 弁護士の方からは、新型コロナ感染症の影響を受けたことによる個人事業者の債務整理について、整理の対象となる債務は金融機関からの借入れですが、個人事業主の場合の相当の割合で、債務の中に東京信用保証協会の制度融資を利用した借入れが存在しているところ、東京信用保証協会では、都の補助事業との関係で、元金を減免することに同意できないとの扱いがなされている。具体的には、都の条例、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例の解釈、運用等から免除できないとされている。そして、今のままでは、ガイドラインの適用においては全債権者の合意が必要であるため、東京信用保証協会が同意しないとガイドラインに基づく特定調停が成立できない。そうなれば、債務者である中小事業者は、全額の返済を行うか破産するかの選択しか残されないことになる。結局、破産を選ばざるを得ない状況に陥っているんだと話しています。
 そこで確認したいんですが、国は、二〇二二年一月十一日付で内閣府、金融庁、総務省、中小企業庁より各都道府県に対し、制度融資損失補償条例の改正、整備に関する協力依頼の通知が出されたと聞いていますが、東京都はこの通知を受け取り、どのような議論を行ったのですか。

○戸井崎金融部長 都では、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例を既に制定しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁では、既に条例があるということだけの答弁です。
 私は、東京都はこの通知を受け取ってどのような議論を行ったのかと聞いたんです。これだけの答弁では理解できないので、大事なことなので確認したいと思います。
 今ご答弁があった東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づいて、東京信用保証協会つきの融資であっても、条例の目的にある事業の再生の促進を図ることに資するなら、保証協会つきの融資の債権放棄もできるということでいいんですね。そういうことでいいのかどうかお答えください。また、これを活用して実績があるのかどうか伺います。

○戸井崎金融部長 都では、東京都が東京信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づきまして、中小企業者等の事業の再生を促進しております。

○尾崎委員 促進しておりますということは、この条例で東京信用保証協会の保証づきの融資が債権放棄できるということですね。イエスかノーかでお答えください。

○戸井崎金融部長 繰り返しのご答弁になってしまいますが、都では、東京都が信用保証協会に対し交付する補助金に係る回収納付金を受け取る権利の放棄に関する条例に基づき、中小企業者等の事業の再生を促進しております。

○尾崎委員 私が聞きたいことにきちんと答えていただきたいんですけれども、できるということでいいわけですね。−−いいんですね。実績はどうでしょうか。

○戸井崎金融部長 実績はございます。(尾崎委員「ございます」と呼ぶ)はい。

○尾崎委員 すみません、ちょっと語尾が最後まできちんと聞こえなかったものですから、失礼しました。
 実績があるということで、大変重要な答弁だと思います。この答弁を中小業者の皆さんや弁護士の皆さんが聞いたらどれほど喜ぶか。そして、どれほど明日への希望につながるか。中小業者の皆さんの安堵する姿が目に浮かびます。しかし、条例を何度読んでも、理解しにくい内容なんです。
 今回のガイドラインに基づいて、新型コロナ感染拡大の影響を受けて、借入金返済が困難になっている個人事業者にも、債権放棄ができると分かりやすい条例に改正すべきだと強く要望するものです。
 先ほど弁護士の方たちの発言も紹介しましたが、法律の専門家である弁護士も、都の条例で保証協会の債務放棄ができるとは理解できない状況であり、実際に特定調停の準備の中で、東京信用保証協会そのものが、都の条例、今回のガイドラインに基づく新型コロナ感染拡大の中での債務放棄について理解していないということが明らかです。
 制度融資は、都民の税金が原資に運用されているわけですから、中小業者が法的破産手続を行えば、都の回収額は少なくなるわけです。特定調停できちんと債務整理を行うことができれば、都の回収額は、破産よりも多く東京都で回収することができるんです。都としてもその方が有利になると思います。
 都としても、東京信用保証協会はもちろん、中小事業者に対しても理解できるように丁寧にお知らせすることが必要です。大事なことなので、周知に力を入れていただくよう強く求めておきます。
 次に、コロナ対策協力金について伺いたいと思います。
 二〇二一年度中のコロナ対策による営業時間短縮などに係る協力金について、支給対象日数について伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 昨年度実施した協力金の支給対象日数につきまして、飲食店等に対する協力金は二百六十七日、大規模施設に対する協力金は百五十九日でございます。

○尾崎委員 二〇二一年度は飲食店への協力金の支給対象日数は二百六十七日ということでした。年三百六十五日の中で二百六十七日ということは、七三%にもなるわけです。普通に本来の商売ができた日はほとんど僅かだったということです。新型コロナの感染拡大がいかに大変で深刻な状況であったか、特に飲食店の皆さんへの打撃が大きかったことが今のご答弁で分かります。
 では、コロナ対策協力金の支給実績について伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 飲食店等に対する協力金の支給実績につきましては、事業者から全体で約百三十五万四千件の申請を受け付け、延べ約百二十八万二千件の支給決定を行っておりまして、支給額の合計は約一兆七千七百二十六億円でございます。また、大規模施設に対する協力金の支給実績につきましては、事業者から全体で約三万五千件の申請を受け付け、約三万一千件の支給決定を行っておりまして、支給額の合計は約二百三十七億円でございます。

○尾崎委員 協力金については、書類の問題や申告から支給までの期間などについて様々な課題はありましたが、東京都が独自に協力金を支給したことは、多くの中小企業、小規模企業の皆さんに大きな励ましとなったと思っています。
 新型コロナ感染症による営業自粛要請に伴う協力金について、都はどのような位置づけで、関係する中小企業、小規模企業に支給したのか伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象といたしまして、協力金を支給してまいりました。

○尾崎委員 都の協力金は、営業時間の短縮要請の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象として協力金を支給したということですが、これは重要な位置づけだと思います。
 新型コロナの感染拡大の影響による経済的なダメージを和らげ、中小事業者の皆さんが経営を継続させるため、生きるための暮らしを保障するものであり、私は都独自のいわゆる見舞金のようなものだと思っています。
 都は、二〇二〇年四月、国に対し、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とすることを要望しています。都は、協力金を非課税所得にすべきとする理由に、新型コロナ関連の補助金や助成金等について、事業効果を損なわぬよう、税法上における特例的な取扱いにすべきだと要望していました。
 ところが、国は、コロナ対策の協力金等は課税対象として申告するよう判断したため、中小事業者の皆さんは重い税負担に商売を継続できなくなり、廃業に追い込まれる事態となっています。事業効果が損なわれている状況だと思いますが、都の認識を伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、国に対しまして、感染拡大防止に向けた協力金を非課税所得とするとともに、新型コロナウイルス関連の補助金や助成金などにつきましては、事業効果を損なわぬよう、税務上における特例的な取扱いを要望いたしました。
 こうした中、これら協力金や給付金などは、法令の規定により非課税とされるものに該当しないことから、原則どおり非課税とはならないとの見解となっております。

○尾崎委員 コロナ感染拡大は、これまで経験したことのないものです。コロナ禍でこの間の商売で積み上げてきた努力が一瞬にして失いかけている現状に寄り添う立場で考える必要があると思います。
 都として、二〇二〇年四月に、事業効果を損なわぬよう、税法上における特例的な取扱いにすべきだと国に要望したことは大変重要です。私は、税法上どうなっているのかなど調べましたが、重要なことは、税法上は今回のコロナ対策の協力金や給付金について、明確に定めていないということです。
 税理士の方は、明確に定められていないときは、現行法の枠内で解釈するのではなく、日本国憲法の立場から検討する必要があると話してくれました。つまり、憲法三十条に基づくということです。
 憲法三十条では、国民は、法律に定められるところにより納税の義務を負うとなっています。いい換えれば、国は法律の根拠なしに租税の賦課徴収はできないし、国民の立場からすれば、法律の根拠なしに租税を負担する義務は負わないということです。
 結論は、コロナ対策の給付金、協力金などは課税されるものではないということになります。
 私はこれらのことから考えても、協力金などは所得とみなすのではなく、一時的な収入であり、見舞金のようなものであると考えますが、都の協力金等は一時的なものだと思っています。都の認識を伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象といたしまして、協力金等を支給してまいりました。

○尾崎委員 東京都としては、もうそれ以上の答弁はできないんだというふうに思います。まあ、一時的なものだと明快にお答えできないということだと思いますが、私はこの間、厚労省に国保料、国保税のコロナ減免について聞き取りを行いました。
 厚労省は、コロナ対策の協力金などは一時的な収入であり、コロナ対応として減免、徴収猶予ができる、国保の減免については、コロナ対策の協力金などは差し引いて行うといいました。要するに、コロナ対策の協力金などは、稼得能力とみなさないということです。つまり、所得を生み出す力ではないということなんです。だから、国保の減免のときは、所得から協力金などは省くということになっているんです。
 この考え方については、実務についてのQ&Aも厚労省は出しています。大事なのは、コロナ対策の協力金等は一時的な収入と判断しているところです。
 国土交通省の住宅局からも聞き取りを行いました。コロナ対策の協力金等については、公営住宅の家賃について、継続的収入とすることが著しく不適切であれば、収入に当たるかどうかについては、各公共団体で判断できると答えました。
 つまり、都が判断すれば、都営住宅の家賃を決める収入には、一時的な収入である協力金、給付金などは含まれないということです。ここでも大事なのは、コロナ対策の協力金などは一時的なものかどうかということです。
 それでは、角度を変えてお聞きします。都が支援したコロナ対策の協力金等は、事業収入を補填する効果があると考えていますか。産労局の考えをお答えください。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 先ほども答弁いたしましたが、都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者を対象といたしまして、協力金等を支給してまいりました。

○尾崎委員 今ご答弁があったのは、要するに事業収入を補填する効果があるというふうには考えていないんだということなのではないかというふうに思います。
 それでは、国の支援に上乗せをした都の家賃支援金や月次支援金などは、事業収入を補填する効果があると考えていますか。

○福田商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都の家賃等支援給付金及び月次支援給付金は、緊急事態宣言等により売上げの減少の影響を受けた事業者の経営を支援したものでございます。

○尾崎委員 協力金とはまた違って、国の支援に上乗せした支給の家賃等支援給付金、月次支援給付金などは、売上げの減少の影響を受けた事業者の経営を支援するものというふうに考えてよろしいかと思います。しかし、いずれも中小事業者の事業や益金、事業の対価に該当するものではありません。
 新型コロナは終息したわけでもありません。今後どうなるか見通しもつきません。そんな中で中小事業者は、物価高騰の影響や円安の影響も重なり、明日が見えない状況です。
 今まで必死に頑張ってきた事業者は、ここに来て閉店、廃業したと報告してくる方もいらっしゃいます。これ以上、廃業、倒産を出さないための支援が東京都に求められていると思います。
 改めて、都として、コロナ対策の協力金などは、所得とみなし課税することはやめるよう国に繰り返し求めることを強く要望して、質問を終わります。

○竹井委員 私からも、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金について伺います。
 先ほど来ご答弁にありますように、支給総額として一兆七千億円を超えるという大変大きな事業であったと思いますが、この協力金の支給に当たって様々な工夫があったかと思います。
 一時期、私たちの下に事業者さんから、支給が遅いんだ、遅れているんだという声も届いていましたけれども、東京都としては、協力金の迅速な支給に向けてどのような改善を図ってきたのかについて伺います。また、あわせて、昨年度実施した協力金の処理状況について伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 協力金を迅速に支給するため、民間の力を活用し、審査体制を最大で二千三百名規模に拡充することで、審査のスピードアップを図りました。
 加えまして、申請システムの見直しにより、過去に支給を行ったことのある店舗につきまして、その際の情報を活用し、提出書類を減らす仕組みを導入したことで、平均処理期間を短縮したほか、要請期間終了の翌日からの申請受付の開始を実現いたしました。
 昨年度実施した協力金につきましては、申請のあったほぼ全ての処理を完了しております。

○竹井委員 大変大きな事業ですけれども、走りながらいろいろ見直しをしてきていただいたというふうに思っています。
 あわせまして、この協力金の事業効果についてはどのように考えているか伺います。

○向井産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、営業時間の短縮要請等の実効性を確保するため、要請にご協力いただいた事業者に協力金を支給してまいりました。
 都が本年一月から三月にかけて実施した見回り調査で、都内飲食店の九六%が要請に応じていただいていることなどからも、協力金の支給が感染拡大の防止にも寄与したものと考えております。

○竹井委員 今ご答弁にありましたように、一義的にやはり協力金の支給が感染拡大の防止に寄与したということで、目的が達せられているということだと思いますけれども、事業効果という意味では、経済的な効果もあったのではないかと私は思っております。そういった観点からの効果検証も必要かというふうに考えます。
 次に、ソーシャルファームについて伺います。
 ソーシャルファームは、就労に困難を抱える方々が、必要なサポートを受け、ほかの従業員の方々と共に働いている、自律的な経済活動を行いながら働いている社会的な企業というふうに位置づけられておりますけれども、私もこのソーシャルファームについては、先ほどもご質問ありましたけれども、非常に期待をしているものですが、昨年度の取組とその進捗について伺います。

○山崎雇用就業部長 ソーシャルファームにつきましては、昨年度末時点で、認証事業所が十九事業所、予備認証事業所が十六事業所となりました。
 令和三年度は、普及啓発イベントを開催したほか、専用ポータルサイトを開設するとともに、制度周知や認証事業所の取組を紹介する動画を作成いたしました。

○竹井委員 コロナ禍ではありましたけれども、事業者数は確実に増えているということだと理解をいたしました。今年度に入ってからは認証事業者数が二十七に増えたということも、ホームページ等で拝見をしたところであります。
 ソーシャルファームですけれども、新たな認証事業所を増やしていくのも非常に大切ですが、この事業を定着させていくためには、認定された後の支援を行っていくことも非常に大切だと思っております。
 認証事業者さんの声をどのように聞いて、どのような支援を行ってきたのかについて伺います。

○山崎雇用就業部長 認証された事業所に対しましては、ソーシャルファーム支援センターにおきまして経営などの様々な相談に対応し、取組を後押ししておりました。

○竹井委員 ソーシャルファーム支援センターで全て皆さんからのご相談を受けているということですね。
 そうしましたらば、様々な困難を抱える人々がいらっしゃるということであります。障害をお持ちであったり、ひとり親であったり、ひきこもりを経験した人などですので、私は福祉部門との連携が欠かせないというふうに思っているのですけれども、どのように行ってきたのか伺います。

○山崎雇用就業部長 就労支援機関等と連携をいたしまして、就労困難者の雇用に係る支援を実施いたしました。

○竹井委員 外部機関等もそうなんですけれども、私はそのバックグラウンドの異なる人々もいらっしゃるということで、庁内福祉部門の連携、情報交換を行っていくことが非常に大切かなというふうに思っておりますので、行っていただいているとは思いますけれども、引き続きお願いをいたします。
 以上で終わります。

○清水委員 最初に、コロナ対策に関してお伺いします。
 一時支援金等受給者向け緊急支援事業について、専門家派遣、販路開拓サポート、設備投資支援について、予算額と決算額、申請件数と交付件数についてお伺いします。

○緑川商工部長 一時支援金等受給者向け緊急支援事業におきまして、専門家派遣は約百三十件実施しております。販路開拓支援では、申請が約二千七百件、交付決定が約一千五百件、設備投資支援では申請が約百三十件、交付決定が二十六件となっております。これらの令和三年度の予算額は約四十六億円、決算額は四十四億円でございます。

○清水委員 令和三年度の予算額は四十六億円、決算額は四十四億円ということで、執行率は九五%ということだと伺いました。
 設備投資支援の申請に対する交付の割合、申請が百三十件に対して交付件数は二十六件、つまり約二〇%ということだと思います。設備投資支援は、申請の二割にしか応えられなかった。予算の執行率は九五%なのに、設備投資に関しては二割に応えることしかできない。そういう枠しか確保されていなかったということになると思いますが、コロナ関連の設備投資の予算枠、申請件数に対して少ない、こう思いませんか。

○緑川商工部長 中小企業の支援に向けまして、適切な予算の執行を行いました。

○清水委員 申請の二割にしか応えられない、そういう予算の執行が適正と果たしていえるのでしょうか。これは一時支援金等受給者向け緊急支援事業だけではないんです。先ほども質疑がありましたけれども、躍進的事業の設備投資、これも五百六十四件の申請に対して交付は百六件というふうな答弁がありました。やっぱり二割弱なんですよね。
 この間、設備投資支援については、このような状況がずっと続いています。予算枠、なかなか広がっていかないんですね。やっぱり利用実態に合わせた予算の枠を確保するということが大事じゃないかというふうに思います。
 そして、申請状況を見て予算枠を増やしていく、補正を速やかに組んで対応するということも大事だというふうに思いますので、改めて求めておきたいと思います。
 次に、月次支援給付金についてお伺いいたします。
 月次支援給付金の交付件数と金額を教えてください。

○福田商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都の月次支援給付金の給付実績は約四十三万四千件、約二百七十六億六千万円でございます。

○清水委員 この月次支援給付金、決算を見ると、七八・二%の執行率でした。東京都が独自に制度の横出しをした、このことは評価をするものなんですが、執行率、約八割弱ということで、実は共産党の都議団には、月次支援金のことを知らなかった、または、自分が対象になるということは分からなかった、こういう声が寄せられました。
 私が伺った商工会の方からは、やはり説明書きが難し過ぎて、これを見て申請しようというふうになかなか思えない、気持ちがくじけてしまう、もっと簡単にできないものかというふうな要望を伺いました。
 商工会では、こうした申請を手伝うために、市の支援もあったので、相談員さんを二人雇って対応したということなんです。今年最後の月次支援金の申請の際には、一人体制でと思ったんだけれども、やっぱり応え切れなくて、二人体制に前倒しでやって対応したというふうなことだったんです。
 やっぱりとても大事な支援だというふうに思いますので、人の手を借りなければできないというふうなことではなくて、やっぱり簡単な手続でできるようにするということが必要ではないかというふうに思います。
 商工会では、月次支援にかかわらず、東京都の制度、補助制度というのは本当に分かりにくいと、手続が難しいというお声をいただきましたので、ぜひ改善をしていただくように求めます。
 次に、観光関連事業者への支援についてお伺いします。
 昨年度行われた、受入れ環境を整える中小観光関連事業者支援への取組と、その執行率についてお伺いします。

○築田観光部長 都は昨年度、旅行者の受入れ環境整備に向けまして、コロナ禍で厳しい経営状況にある観光関連事業者の様々な取組を支援してまいりました。これにより、受入れ環境の充実に係る予算の執行率は七六・二%となっております。

○清水委員 執行率七六・二%ということでした。昨年度、中小観光関連事業者の状況について、東京都はどのような認識をお持ちですか、お伺いします。

○築田観光部長 長引く新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、都内の観光関連事業者を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いていたものと認識しております。

○清水委員 大変厳しい状況が続いていたというふうな認識が示されました。
 では、中小観光関連事業者に関して、実態調査や影響調査というのは行われましたでしょうか。

○築田観光部長 都では、窓口や現場での事業者とのやり取りのほか、業界団体や観光分野の有識者との意見交換など、業務のあらゆる場面におきまして観光関連事業者の実態把握に努めてまいりました。

○清水委員 窓口や現場でのやり取り、業務上のやり取り、常にアンテナを張っているというふうにも聞こえるのですが、きちんとした指標で、きちんとしたデータを集めるというふうな、いわゆる調査とはいえないのではないかというふうに思います。
 業界団体との意見交換はされたということでしたけれども、現場の実態を正確につかむという点では、まだまだ不十分な点があったのではないかというふうに思うんです。
 例えば、旅行関連業者は、業態転換や販路拡大が難しい、そういう業種です。今までの質疑でも度々皆さんが指摘をされました。飲食店が夜の営業ができない部分を昼の営業で補う、こういうふうにはなかなかいかない、そういう業種だというふうに思います。
 また、コロナ禍で客足が途絶えた島しょの旅館では、従業員に休んでもらうだけではなくて、経営者の家族が働きに出なければならない、こういう事態にもなったと伺いました。旅行関連事業者は、業態転換や販路拡大で営業や雇用を支える、そういう収入を確保できないということだというふうに思います。
 こういう実態を踏まえたら、やはり直接的な支援が必要であったと思いますが、いかがですか。

○築田観光部長 都は、感染防止対策への助成のほか、事業者の皆様の業務改善や新たな事業展開などの取組を支援してまいりました。

○清水委員 そういう取組をされてきたわけなんですけれども、そういう支援が本当に観光関連事業者を支えるものになっているのかどうか、そういう効果があるのかどうか、ぜひ正確につかんでいただくように重ねてお願いを申し上げます。
 今回の、令和四年度の第三回の定例会の補正予算では、福祉施設や公衆浴場、運輸、農業、こういった物価高騰の影響を受けても価格に転嫁できない事業者に対して直接的な支援が計上されました。これはとても大事なことだというふうに思います。
 しかし、産労局に関しては農業ぐらいで、旅行関連事業者については今回もありませんでした。
 そして、これから専門家は、第七波を超える第八波が冬には来るのではないかというふうな報道もあります。
 第七波のように、行動制限がかからなくて何の補償もない状態で収入の道が断たれる、観光客が来なくて収入の道が断たれる、こういう状況は決して繰り返してはならないというふうに思います。
 キャンセル料はもとより、自粛という形で実質的な行動制限がかかった、こういう状態になった場合の補償とともに、直接的な支援を検討することを重ねて求めて、この観光関連についての質問は終わります。
 次に、農業振興についてお伺いします。
 最初に、地場産農産物消費拡大支援事業の取組の状況についてお伺いします。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 昨年度は四区市に対して助成を行いまして、地元野菜を販売するマルシェの開催や、学校給食における地場産農産物の活用などを支援いたしました。

○清水委員 事前の聞き取りの中で、この事業の中で、三鷹市では学校給食への地場野菜の供給が行われたと伺いました。地場産農産物の消費の大切な販路として、学校給食というのは大きな柱となるものだというふうに思います。
 では、都内産の農産物の学校給食への出荷量や金額、今どのくらいになっているのかお伺いします。

○鈴木安全安心・地産地消推進担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 平成三十年度の都の調査によりますと、農業者のうち、学校給食を主たる販売先としている方の割合は六・五%でございます。

○清水委員 都内農産物は、販売先の主要な柱である学校給食にどのくらい出荷されているのか、その量や金額、お答えはありませんでした。
 日野市や小平市のように、学校給食に占める地場野菜の利用目標をきちっと立てて、それを増やしていっている自治体がある一方で、地元にJAなどがない区部の自治体では地域の八百屋さんや卸売業者から野菜を仕入れているために、それが都内産であるかどうか、その量はどれぐらいになるのか、なかなか把握することは難しい、こういう状況がやはりあるからではないかというふうに思います。
 しかし一方で、国は、第四次食育推進基本計画で、学校給食における地場産物の目標設定値、金額ベースでもって割合を維持向上させていく、こういう方針を持っています。
 産労局としても、地産地消を推進していく上で重要な指標になる学校給食への都内産農産物の供給の状況について、ぜひこれから把握をしていく、こういうことを検討していただきたいと求めておきます。
 次に、農業次世代人材投資事業についてお伺いします。
 この制度は、次世代を担う農業者となることを志す人に対して、若い人たちに対して、就農前の研修を後押しする資金については二年以内、就農直後の経営確立を支援する資金については三年以内を限度にして、月額十二万五千円、年間百五十万円を交付する国の制度です。
 昨年度の農業次世代人材投資事業の実績についてお伺いします。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 農業次世代人材投資事業につきましては、昨年度、四十五人に補助金を交付いたしました。

○清水委員 この農業次世代人材投資事業は、原則として前年の世帯の所得が六百万円以下であるということが条件になっています。ですから、別の仕事に就いていて農業に転職しよう、こういう方は大抵所得制限に引っかかってしまいます。
 しかし、研修中は、例えば東京農業アカデミーなどは無収入なんですね。一年間無収入で暮らさなければいけないということになってしまいます。また、世帯の収入ですので、配偶者の方や親御さんと同居している場合にも、やはり所得制限にかかって受けられない方が多いというふうに伺いました。
 新規就農者というのは、研修中の生活費だけではなくて、これから農業を始めるときの初期費用も用意をしなければいけません。
 東京農業アカデミーでお伺いしたところ、新規就農時の初期費用は最低でも三百万円、大抵は四、五百万。ちょっとよい農機具をそろえておきたいというふうになったら八百万はかかるというふうに伺いました。二十代から三十代の若者に、この研修中の生活費、そして初期費用の負担というのは大き過ぎるのではないでしょうか。
 農業次世代人材投資事業について、前年度の所得が超過していても、研修期間中に収入がなければ交付をするなど、要件を緩和すべきと考えますが、いかがですか。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 本事業につきましては、国の制度に基づきまして実施しているものでございます。

○清水委員 国の制度が足りない部分があれば、月次支援のように、横出し、上乗せ、ぜひ考えていただきたいと思うんですね。
 分科会に提出していただいた資料にあるとおり、新規就農者の数は年々増えています。とうとう五十人超えて、昨年度は六十七人というふうに、かなり増えてきました。
 多くの農業者が高齢化と後継者不足に悩んでいる。そういう中で、若い新規就農者が増えていくための支援というのは、抜本的に拡充をしていかなければならないというふうに思います。そういう志を持つ人たちを、みんな農業を担っていただけるようにする、こういう制度をつくっていかなければならないというふうに思います。
 農業次世代人材投資事業について、国の制度の拡充を求めるとともに、家賃や生活費や初期費用の負担、こういうのもやっぱり東京は高いんです。そういう東京の実態に見合った上乗せ、横出しをすることを強く求めて、次の質問に移ります。
 最後に、新型コロナウイルス感染症緊急対策に係る雇用環境整備促進事業についてお伺いします。
 この事業は、雇用調整助成金などを受けた中小業者が、休業手当規定の整備をはじめ、テレワーク制度や特別休暇制度の導入など、新型コロナウイルス感染症の非常時における職場環境整備に取り組む場合に、一事業所につき一回限り十万円の奨励金を支給する制度です。
 この制度の実績についてお伺いします。

○山崎雇用就業部長 雇用環境整備促進事業の令和三年度の支給件数は、三千九百十八件でございました。

○清水委員 厚生労働省によると、昨年度の雇用調整助成金、緊急雇用安定助成金支給決定件数、全国で三百十二万六千五百四十七件ありました。大体この一割ぐらいが東京の支給件数になるかというふうに思うんですが、そうすると大体三十万件。先ほど答弁にあったように、この雇調金を受けた会社のうち、この制度を利用した会社、実績というのは僅か一%なんですね。本来だったらもっと受けられる条件を持っている会社があったのではないかというふうに思うんです。
 やっぱりこうした制度については丁寧に周知をするとともに、先ほども申し上げましたけれども、申請をしやすくするために丁寧な支援をすることを併せて求めまして、私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、産業労働局の決算について、最初に雇用対策について質問します。
 決算年度においては、こちらの緑色の予算書において、大々的に東京版ニューディールTVA作戦として二万人を超える雇用創出を打ち上げていました。
 コロナ禍において、雇用創出に取り組むことは大変重要でもあり、私も大きく期待をしました。しかし、知事は予算のときと違って、決算の段階においては、そのことに触れることがあまりありません。決算に当たり、その検証を行いたいと思います。
 とはいえ、もともと二万人雇用創出という単体の事業はなく、いろんな事業に分散して様々な予算と雇用の見通しを合わせて二万人と打ち出したようでした。
 そこで最初に、東京版ニューディールとした事業全体の予算と決算の金額、実際にどのぐらいの人が雇用されたのか伺います。

○山崎雇用就業部長 東京版ニューディールでは、ITや介護などの分野におきましてマッチング支援や職業訓練などを進めました。
 令和三年度の予算額は約百四十二億円、決算額は約百十七億円で、約二万五千人の就職サポートを行いました。

○中村委員 二万五千人の就職サポートを行ったということですので、あくまでサポートで、実際に二万五千人就職したということではないようです。
 都の事業による、何人が実際に就職できたのかという数字は把握はした方がいいとは思います。もちろん待遇とかもあるので、単に就職させればいいということではないと思っていますけれども、ある程度やった事業に対して把握をして、次にどのような施策に生かすかということが大事だと思っていますので、そのあたりは検証していただきたいと思います。
 また、さらにニューディールについて伺いますが、この事業の中には様々な事業もありますが、主な事業や予想よりよかった事業、うまくいかなかった事業の事例をお答えください。

○山崎雇用就業部長 コロナ禍で離職を余儀なくされた方などに対しまして、派遣就労を通じて早期再就職を目指す支援事業では、一千七百六十七名の求職者を求人企業へ派遣し、八百五十五名の方が再就職を実現いたしました。
 対面で行う事業におきましては、感染症拡大防止の観点から参加定員を縮小し、対策を講じた上で実施をいたしました。

○中村委員 事例として八百五十五名の方が就職できたというのはよかったんだと思ってはいます。
 雇用については、安定した職場環境や待遇がなければ就職してもすぐに退職するという場合もあるので、安定した雇用というのが大事だと思っています。物価高が急速に進み、一定の賃金が確保されないと生活できません。望む方には非正規雇用でなくて、正規雇用が確保される必要があると思っています。
 これら一連のいろんな事業を産業労働局の皆さんにやっていただいているわけですけれども、やはり、実際どのぐらいの就職の実態、雇用されたかという実態が分からなければ、次の施策もなかなか効果的に打てなくなります。
 これは、ある意味一つの打ち出し方としてこういう形で都がやるんだということを示すことは大事だと思うんですが、そうであれば継続していただきたいと思いますし、最初だけ打ち上げて、それできちんと検証しないということはないでしょうから、これは知事にいうべきことなのかもしれませんけれども、最初に大きな打ち出し方をしたのであれば、その結果がどうなったということも含めてきちんと検証して、都民への説明責任を果たしていただきたいということを求めたいと思っています。
 さて、次に労働相談について伺いたいと思います。
 先日、立川市に開設された多摩地域雇用就業支援拠点を視察させていただきました。
 一方で、これまでは拠点のあった国分寺、八王子はなくなってしまいます。そこで、改めて、この労働相談の八王子や国分寺での昨年度の実績を伺います。

○山崎雇用就業部長 令和三年度の労働相談情報センター国分寺事務所における労働相談件数は三千四百五十六件、八王子事務所の労働相談件数は四千二百八十一件でございました。

○中村委員 立川はまだできたばかりですし、いろいろ機能は集約されるので期待はしたいと思っているんですが、今後、例えばこの八王子と国分寺の数を足し込んだ数字より、もし少なくなるようだったら、やっぱり場所的なもので不便で行けなかったのかなということもあると思います。オンラインでできるというところもあるんだろうと思いますけれども、改めて相談しやすいような体制というのを取っていただきたいと思っています。
 また、地域にしてみれば、残されたこの国分寺、八王子の施設をどうするのかということも気になっていまして、そこそのものをいろいろと貸し会議室とか、いろんなことに使っていたということもあると思いますので、ぜひここも地域の皆さんの声を聞いていただいて、できるだけ何か活用できるような方法を取れればと思っていますので、そのことも要請したいと思っています。
 次に、介護離職についての対応について伺いたいと思います。
 お仕事をしている方で介護されながら仕事をするというのは大変だと思っていますし、とはいっても介護と仕事の両立ということができるようになっていかなければならないとは思っています。
 知事は公約で介護離職ゼロということを掲げていましたが、目立ってそういったことに向けての対応をしているというふうにはなかなか見えてこないわけですけれども、ともかく各部で、担当の方で介護離職への対応はしていただいていると思っています。
 そこで、決算年度におけるこの介護離職への対応についての取組と実績を伺います。

○内田事業推進担当部長 都は、介護離職防止のため、企業への奨励金の支給やシンポジウムを開催しておりまして、令和三年度の奨励金の支給件数は、介護休業の取得を促す奨励金が二十五件、職場環境づくりや休暇制度の整備に関する奨励金が二百四十九件となりました。
 また、オンラインで開催をいたしましたシンポジウムにおきまして、企業の取組事例などを紹介し、経営者や人事労務担当者など百六十四名が参加いたしました。

○中村委員 様々取り組んでいただいているんですけれども、実際介護離職ゼロにつながっているかどうかというのは、なかなか見えてはきません。
 そもそも国の方で統計を取っていて、全国で十万人近い方がいらっしゃると思いますが、そこから都の方も数字を持ってきていると思うんですが、都としても私は把握をした方がいいのではないかというふうに思っています。
 なかなか介護をしながら働いている人も大変な思いをしていらっしゃいますし、介護離職ゼロを知事が掲げたことに期待されていらっしゃる方もいると思いますので、ぜひ私としては、この介護離職ゼロということをもう少し、本当にその数字を目指して取り組んでいくぐらいが必要だと思いますので、そのことを求めておきたいと思っています。
 次に、中小企業の制度融資について伺いたいと思います。
 中小企業の制度融資の昨年度の実績は、対予算では九八・四%と高い執行率でした。
 都の予算は約二千億円で、ほぼ執行されましたが、融資実績は目標の二兆二千億円に対して半分の一兆円と、半分以下でした。その理由について伺いたいと思います。

○戸井崎金融部長 令和三年度は、コロナ禍における中小企業の資金繰りに万全を期すとともに、将来に向けた様々な取組を柔軟にサポートできるように、融資目標額を約二兆二千億円として中小企業への支援を着実に行いました。

○中村委員 なかなかちょっと分かりづらいお答えだったんですが、目標額を多めに計上したということでしょうか。
 過去の決算数値を改めて見返すと、例年融資実績は一兆円強で推移をしていたようですが、昨年度は相次ぐ補正予算で四兆円もの巨額になっていました。
 そんないろんな事情もあって今年は二兆円ということを設定したんだと思うんですけれども、そういった個々に見ればいろいろと足りる場合もあれば、まだ厳しい状況もあるかと思っています。中身の方の検証を行っていただいて、今後への対応に備えていただきたいと思っています。
 特に、コロナ禍で無利子、無担保での貸付けなども行われましたが、その結果、中小企業の経営がどうなっていったのかということが大変気になります。引き続き、コロナ禍における影響や今後返済時期が迫る中での対応が懸念されますが、都としての令和三年度の対策について伺います。

○戸井崎金融部長 コロナ禍の影響を受けた事業者の経営を下支えするため、制度融資により金融機関が融資を行った上で、その後の経営改善を一定期間サポートいたしました。
 また、資金繰りに関する相談対応を行ったほか、都内の金融機関に対し中小企業の実情を踏まえた対応を要請いたしました。

○中村委員 まだまだコロナ禍もあれば、円安、物価高等、本当に厳しい状況が続いていきますので、ぜひ丁寧な対応、サポートの方をお願いしたいと思います。
 次に、都市農業について伺いたいと思います。
 東京における農業はほぼ都市農業であり、狭小な農地の中で努力をされています。農地は農業だけではなく、環境、防災、教育、景観など、多面的な機能があります。
 頑張っている農家が営農を継続できるよう、販売先の確保に向けた支援をしっかりと行うことは重要だと考えますが、決算年度の取組と成果を伺います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、都市農業の持続的な発展に向けまして、農業者の販路拡大を支援しております。
 昨年度は、農家が新たな販路を開拓する取組などに対して助成を行い、ホームページの制作やEコマースへの出店など、四十七件の取組を支援いたしました。
 また、バイヤーなどの経験を持つナビゲーターが農業者と百貨店やレストラン等とのマッチングを行いまして、十七人が延べ二十六件の新たな取引を開始しております。

○中村委員 本当に頑張っている農家の方がいらっしゃいますので、ぜひとも支援の方を引き続きお願いしたいと思います。
 とはいえ、農地の方はどうしてもやはり減っていきます。特に相続の関係でどんどんと減っていってしまいます。どうしても、地域を見ていても、緑地といってもやっぱり農地が多くあって、よく地域の方からいわれるのが、だんだん、最近宅地化が進んで緑地が減ってきたので何とかしてほしいということをいわれるんですけれども、公共用地がなくなっているわけではなくて、そういう誰かが耕して営農している農地がなくなっていっているわけで、そういった点では、この農地をいかにするかということは大変なことかと思っています。
 そういった中で、都の方では市区の生産緑地買取・活用支援事業というのをやっているんですが、昨年度の成果を伺いたいと思います。

○山田農林水産部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務 都は、区市や農業団体への事業説明会を開催するとともに、個別の相談の要望があった場合には詳細な説明を実施いたしました。
 なお、年度末時点で区市からの申請はございません。

○中村委員 どうしても区市の方を補助するという制度なので、そちらから申請がないとできないということではあるんですけれども、本当に都市に残された貴重なこういった空地、緑地ですから、それを何とか残していけるようにやっていっていただきたいと思います。
 場合によっては、これはタイミングが合わないということもあるのかもしれませんし、ひょっとしたら補助率が高くなくて、半分だと高いと思うんですけれども、それをもっと高めるとか、工夫すれば変わるということもあるかもしれませんので、いろんな検討をしていただきたいと思っています。
 生産緑地、じゃあ買い取ってどうするのかということもあると思うんですが、都市において営農したいという方もいらっしゃって、そういった場所を借りるにもなかなか倍率が高くて当たらないという方も多かったりもしています。
 希望される方も多いと思いますので、公の方でこういった緑地、農地は確保していくというのも大事なことかと思いますし、ニーズもあると思っていますので、ぜひさらなる工夫等をしていただければと思います。
 以上で質問を終わります。

○加藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○加藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時十二分散会

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