令和三年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和四年十月十九日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長柴崎 幹男君
副委員長山田ひろし君
副委員長池川 友一君
竹平ちはる君
たかく則男君
平田みつよし君
斉藤 りえ君
浜中のりかた君
森口つかさ君
成清梨沙子君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長須藤  栄君
管理部長有金 浩一君
警察・消防出納部長磯貝  宏君
会計企画担当部長井村  琢君
議会局局長小山 明子君
管理部長鈴木 一幸君
議事部長古賀 元浩君
調査部長西坂 啓之君
子供政策連携室室長山下  聡君
子供政策連携推進部長土村 武史君
子供政策調整担当部長山本 公彦君
調整担当部長宮本  均君
事業調整担当部長小平 房代君
財務局局長吉村 憲彦君
理事主計部長事務取扱田中 慎一君
経理部長五十嵐 律君
契約調整担当部長前山 琢也君
財産運用部長小泉 雅裕君
建築保全部長渡辺 正信君
技術管理担当部長金子 陽子君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
子供政策連携室関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和三年度東京都用地会計決算(質疑)
・令和三年度東京都公債費会計決算(質疑)

○柴崎委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び指名について申し上げます。
 令和三年度各会計決算特別委員長から、去る十月十八日付で許可された田の上いくこ委員の令和三年度各会計決算特別委員会委員の辞任に伴い、新たに成清梨沙子委員を第一分科会委員に、また、平けいしょう委員を第三分科会委員に指名した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
 この際、新任の委員を紹介いたします。
 成清梨沙子委員です。

○成清委員 よろしくお願いいたします。

○柴崎委員長 紹介は終わりました。
 次に、議席について申し上げます。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○柴崎委員長 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、議会局、子供政策連携室及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 よろしくお願いいたします。
 公金管理に関しまして質問させていただきます。
 昨年度における我が国の社会経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が一定程度緩和され、景気の持ち直し傾向が見られたものの、その影響は年間を通じては消えることはありませんでした。
 公金管理に当たりましては、当然のことながら、社会経済動向や金融情勢が大きく関わってくることから、その実績等について確認をさせていただきたいと思います。
 そこで、まず初めに、令和三年度における公金管理の実績についてお伺いいたします。

○有金管理部長 公金の平均残高は、法人二税をはじめとした都税収入の増加や国庫支出金の収入などにより、歳計現金等が増加した一方、社会資本等整備基金等の基金の取崩しなどにより、全体では対前年度比で三百四十五億円減少し、五兆八千三百二十八億円となりました。
 次に、運用利回りにつきましては、定期性預金金利や市場金利の低下などにより、前年度より〇・〇〇三ポイント低下し、〇・〇三二%となりました。
 このように、運用利回りが低下をするとともに平均残高も低下をしたため、運用収入は、前年度より二億五百五十九万円減少し、十八億五千二百七十七万円となりました。

○平田委員 ただいまご答弁いただきましたとおり、昨年度における公金の平均残高は若干減少したとはいえ、全体で六兆円に迫る莫大な規模を有しています。
 申すまでもありませんけれども、都の公金は、税金など都民から預託を受けた資金であり、都民へのサービス提供の原資でもあり、大切なものであります。このため、公金の管理におきましては、安全性の確保が何より重要であり、いかなる事態に直面しても、元本を毀損することなどはあってはならないと思います。
 しかし、昨今、コロナ禍の影響に加えまして、予想だにしなかったロシアによるウクライナ侵攻が本年二月に始まったことで、資材価格の高騰などを通じて、我が国に限らず、全世界の経済の先行きに大変不透明感が増しております。
 そこで、公金の安全性を確保するために、都はどのようなリスク管理を行っているのか、お示しいただきたいと思います。

○有金管理部長 都では、公金の安全性を確保するため、預金につきましては、複数の格付機関が付与した格付や自己資本比率とを組み合わせた厳格な基準を設定し、一定の水準をクリアした金融機関のみを預入先の対象としております。
 また、債券につきましては、国債に準じた信用力を有する公共債等、極めて安全性の高い債券に限定した上、各発行体の格付確認や財務状況の精緻な分析などを行い、購入対象とするものを選定しております。
 その上で、経済金融環境の突発的な変動にも適切に対応できるよう、常に経済動向や金融情勢への感度を高めておくとともに、リスクの端緒を的確に捉えるべく、各種経済、経営指標等を情報収集し、分析をするなど、日常の監視も徹底をして行っております。

○平田委員 金融機関の選定ですとか債券の選択ということはもちろんですけれども、各種経済や経営指標の情報収集、分析など日常的な監視も行うなど、安全性の確保に万全を期しているというようなお話をいただき、また確認させていただきました。
 繰り返しになりますが、公金においては、まず第一は、安全性確保が絶対条件でありますけれども、同時に、債権者への支払いを、また円滑に行うということも大変重要であると考えております。特に昨年度は、新型コロナウイルスの感染症対策として、補正予算が何度も組まれたことなどから、従来に増して適切に支払いをするための残高、公金を確保することが大変難しかったのではないかなと考えております。
 そこで、都は、公金管理において、債権者への支払いを円滑に行うために、どのような取組を行っているのか伺います。

○有金管理部長 債権者への支払いを円滑に行っていくためには、資金の流動性、こちらを確保することが重要でございます。そのため、公金の管理に当たりましては、毎日の収入と支出の予定を正確に把握をすべく、各局から事業の収支予定表を毎月提出してもらうとともに、急な支払いにも対応すべく、各局の担当者との綿密な連携も図っております。
 その上で、収支時期のずれなどから、歳計現金に資金不足が見込まれる期間につきましては、基金等からの一時的な繰替え運用にて、支払い資金を手当てする体制も整えております。
 これらの取組を通じまして適切に残高管理を行うことで、流動性の確保を徹底しており、また同時に、必要以上の資金を利息がつかない当座預金口座に滞留させないようにすることで、効率性も確保しております。

○平田委員 お話しいただきまして、東京都が安全性、流動性、効率性という三つの要素のバランスを取って、最適化に向けて着実に取り組んでいただいているものと認識いたしました。
 この先も不透明な経済金融環境が当面続き、困難なかじ取りになると思われますが、引き続き、適切な公金管理の実施に努めていただくようお願いいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○山田委員 それでは、私からは、キャッシュレスについて伺わせていただきたいと思います。
 この間、都庁では、DXをてことした構造改革というのが進められてきました。その中で、一つの重要な取組はキャッシュレス化の推進です。
 私自身も、事前の設定、これをしっかりやっておく必要はありますけれども、身近な場面でいろんなお店で並んでいる中で、支払いがスマートフォンを通じて、キャッシュレス決済化というのが随分進んだと思っていますけれども、後ろに人が並んでいる中でも細かい現金を探して慌てるといった場面も少なくなってきていて、生活の利便性を私自身は感じているところがあります。
 もちろん、現金が完全になくなるということはないと思いますけれども、コロナで感染対策の観点からもキャッシュレス化が進み、都民の利便性も向上してきていると感じております。
 さて、会計管理局では、都民利用施設のキャッシュレス対応を進めてきたと理解しておりますけれども、都民利用施設におけるキャッシュレス決済の取組状況について伺います。

○井村会計企画担当部長 都民の利便性向上等のため、動物園、美術館など多くの方がレジャー等で訪れる七十八の施設をいわゆる都民利用施設と位置づけ、クレジットカードや電子マネー、QRコードなど、キャッシュレス決済について、各局の状況に合わせて丁寧にサポートすることにより、その導入を推進してまいりました。
 その結果、当初目標どおり、令和三年度までに全ての施設においてキャッシュレス決済の導入を完了しております。

○山田委員 ありがとうございます。
 今のご答弁で、当初の目標どおり七十八の都民利用施設で完了したということですので、重要な進展だと思っています。
 この七十八の都民利用施設でそれが完了した後は、各施設の中の店舗であったり、その他の施設にも順次キャッシュレスを進めていくものというふうに理解しています。
 その際には、実際事業を持って進めているほかの各局の取組をどのようにして会計管理局が後押ししていくのかというところが重要となってきますけれども、今後、会計管理局が各局のキャッシュレス決済の導入についてどのようにサポートし、後押ししていくのか伺います。

○井村会計企画担当部長 キャッシュレスは、五つのレスとして、構造改革のコアプロジェクトの一つとなっており、都民の利便性向上や事務の効率化、安全性を実現するため推進していかなければならない取組でございます。
 今後についてですが、オンライン納付の新規導入などを検討する各局に対し、効果的なキャッシュレス決済の手段や都の直営、民間委託など、事業の運営形態等を踏まえた導入の方法の提案など、的確に支援を行ってまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 ぜひしっかり各局の業務、後押しをお願いしたいと思います。
 今のご答弁にもありましたけれども、今、都庁で進めている構造改革の一環としてのキャッシュレスですけれども、真の意味の構造改革につなげていくには、単純に現金をなくす、置き換えていくということだけではなくて、キャッシュレスの導入に伴って都庁の中の業務、これを見直して効率化を図っていく、BPRですね、それを進めていくこと、これが極めて重要だと思います。
 これまで都民利用施設でキャッシュレス決済、進めてきて、目標どおり完了したと。そういったところの経験だったり実績だったり、そういったところを踏まえていただきまして、ぜひ、都庁全体の業務の効率化につながるキャッシュレス化の推進、これを改めてお願いしておきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○柴崎委員長 これより子供政策連携室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、子供政策連携室所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○浜中委員 それでは、私から質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、私は、次世代を担う子供たちが夢と希望を持って、笑顔で生き生きと活躍できる社会をつくり上げることが重要であるかと考えます。こうした考えが都議会、都庁においても、こども条例であったりですとか、この子供政策連携室の誕生につながっていったと。また、国でも大きな流れとして、子供を大切にしていこうというこの流れが、十年前では考えられなかったような形で今進んでいるんだと思います。
 そうした中で、東京都は、社会のあらゆる主体と連携し、現在、未来の子供の笑顔につながるこどもスマイルムーブメントを幅広く展開しております。そこで決算書を見ますと、こどもスマイルムーブメントの事業経費として二億九千万円ほど支出をされております。
 そこでお尋ねしたいのが、これほどの経費をかけたこどもスマイルムーブメント事業の費用対効果をどのように考えるのかということを教えてください。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントは、社会のあらゆる主体と連携し、社会全体で子供を大切にする機運を醸成することを目指した取組でございまして、その実現に向け、有識者や経済団体、NPOなどによる官民推進チームを設置し、多様なノウハウや斬新なアイデアを生かした取組の具体化を図ってまいりました。
 令和三年十二月に開催したキックオフ・アクションでは、子供や参画企業、団体など三千五百名を超える方々に参加いただいたほか、アーカイブ視聴はおよそ一カ月で九千五百回を超え、多くの方々に共感をいただきました。
 また、こどもスマイルムーブメントのホームページを作成しまして、参画企業、団体の紹介や先進的な取組を行う企業、団体を都が取材して事例紹介を行うなど、官民を巻き込んだ事業効果がございました。

○浜中委員 こどもスマイルムーブメントは、東京都が直接単独で事業を実施する以上に、官民一体となって取り組むことで、子供政策への裾野が広がり、より幅広い効果が得られるということがただいまの答弁で分かりました。
 その一方で、子供を取り巻く環境が年々厳しくなっており、これまで以上に行政が呼びかけとなって、民間企業や様々な団体を巻き込んで、機運の醸成を図っていくことが大切であります。
 先般の第三回定例会で我が党が代表質問で指摘したとおり、あらゆる機会を通じて、子供の意見を受け止めながら、新たな子供政策を推進することが必要であると考えます。
 そこで、こどもスマイルムーブメントは、単なる一過性のイベントの実施にとどまらず、幅広い取組として展開していくべきであると考えますが、今年度の取組状況と来年度の展望について見解をお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントでは、参画企業、団体の行動指針としまして、こどもスマイルムーブメント宣言を掲げ、社会へ強く発信しており、令和四年九月一日現在、千二百三十五の企業、団体に賛同いただいております。
 今年度は、子供の成長を応援するリーディングモデルとなる取組としまして、子供たちが主体性を発揮し、取材、撮影する子供記者が、知的好奇心を高め成長していく様子をテレビ放映したところでございます。
 今後も、こうした取組を通じまして、社会全体に広く機運が醸成されるよう、官民推進チームの斬新なアイデアなども生かすとともに、参画企業、団体が主体となり、各主体の特性や強みを生かした取組も積極的に後押しし、子供の笑顔があふれる社会の実現に向け、ムーブメントを効果的、相乗的に展開してまいります。

○浜中委員 子供は、もう本当に未来の宝であります。今後とも、より多くの企業、団体の方々が手を携え社会全体で子供を大切にする、こういう機運が醸成されるよう、戦略的かつ着実に実施されることを期待するとともに、引き続き事業の執行に当たっては、経費の精査に留意することを申し添え、質問を終わります。

○山田委員 では、私から質問させていただきます。
 新しくできた子供政策連携室ですけれども、私が理解しているところで、期待されている役割のまず一つ目として、これまでの都庁のやってきている業務、政策、これを改めて子供の目線で検証して整理していく、そういうことだと思っています。
 改めていうまでもありませんけれども、子供は、決して親のものということではなくて、一人の独立した主体であります。ですので、その意見表明だったり、権利擁護の取組というものを積極的に進めていかなければなりません。
 子供の成長に家庭の役割が重要なのは間違いありませんけれども、虐待等の場面を想定すれば、それだけでは不適切であるということもまた事実だと思います。社会全体で子供の成長を後押しするというために、これまでの政策の方向性、これを改めて総点検していくということが必要だと思っておりますけれども、都も七月公表された論点整理などで、そのような取組を今検討しているところだというふうには理解しています。
 子供政策連携室として、まずは、社会全体での子供目線の徹底の機運醸成に向けて取組を開始したというふうに理解しておりますけれども、昨年度スタートしたこどもスマイルムーブメントの実施に当たっては、東京都だけではなく、幅広い主体との連携、これが重要と考えますけれども、昨年の取組の成果と課題について伺います。

○小平事業調整担当部長 こどもスマイルムーブメントの展開に当たりましては、幅広い主体との連携が重要でございますので、交通広告等の媒体を通じ、参画企業、団体の募集を行いました。
 令和三年十二月に開催しましたこどもスマイルムーブメントのキックオフ・アクション時点では、企業、学校など八百六十八の団体に参画いただきました。参画企業、団体からは、子供の目線に立った好事例の取組につきまして水平展開を求める声がございましたため、都が参画企業、団体を取材し、企業探訪と題した事例紹介を広く発信しております。
 今後は、参画いただいた企業、団体の特性や強みを生かしました子供の笑顔につながる様々な取組につなげていくことが課題であると考えております。

○山田委員 ありがとうございます。
 まず、八百六十八もの団体にご協力をいただいたと。これは重要な第一歩だと思っています。ただ、あらゆる取組に、まあできたこと、成果と、また今後につなげていくべき課題があると思いますけれども、そういった昨年度の成果と課題が、今年度どのような取組につながっているのか伺います。

○小平事業調整担当部長 今年度は、参画企業、団体と連携いたしまして、子供の笑顔につながる発信力の高い象徴的な取組を戦略的に打ち出し、事業展開を開始したところでございます。
 具体的には、夏休み期間を対象に、都及び参画企業、団体による二百を超えるイベントやオンラインコンテンツをこどもスマイル大冒険として展開しまして、その集大成として子供たちの体験発表の場を設けるなど、子供の成長を応援する取組につなげたところでございます。
 また、こうした取組を通じまして、参画企業、団体数は、令和四年九月一日現在で千二百三十五まで伸びており、引き続き、幅広い主体との連携の輪を広げ、官民一体となった子供の笑顔につながる取組を一層加速させてまいります。

○山田委員 ありがとうございます。
 今ご答弁いただきましたとおり、千二百三十五団体まで協力の輪が徐々に徐々に広がってきていると。これは一つ重要な成果じゃないかと思います。ぜひこういった取組で得られた知見であったり、ネットワーク、これを今後の施策展開に生かしていただければと思っています。
 先ほど子供政策連携室の役割の一つとして、子供目線での都庁の事業、政策の検証、整理ということを指摘させていただきましたけれども、もう一つ、子供政策連携室に期待される機能、役割としては、やっぱりこれまでの行政の縦割りを打破していくということが重要だと思っています。
 以前より会派として指摘もさせていただいていますけれども、例えば幼稚園は生活文化スポーツ局が所管である、保育園は福祉保健局が所管していると。保育園の中でも、例えば企業主導型保育は内閣府が所管しているので、またそこでもちょっと、いろんな補助制度、あると思いますけれども、そういった所管している局が違っているというふうなところで、そういった補助の受け手、事業者さんだったり保護者だったり、両方あると思いますけれども、同じ趣旨の補助制度が片方には適用されるけれども、もう片方にはなかなか適用されないなど、やっぱり不公平な実態、幾つかあるというふうに私自身認識しておりますし、お話もさせていただいていると思っています。
 こういったいろんなちょっと不合理になってしまっているところを洗い出して、それを合理的で公平なものにしていくと。ぜひその役割、子供施策連携室、一つ重要だと思っております。
 また、例えば子供の意見表明だったり、権利擁護というふうなもの、これは福祉保健局が主には担当するんだと思いますけれども、なかなかこれまで十分には進んでこなかったというのも一つあると思いますが、こういったものをこれまでとは違った形で進めていくということも、違ったアプローチでしていくというのも、子供政策連携室に期待される取組の一つだと思います。
 さらにいわせていただければ、子供たちが学校で異変があった、何かあったときに、それを最も気づくことできるのは、児童生徒が多くの時間を過ごす学校の先生だと思うんですけれども、そういった教育の学校の現場と福祉部門の連携というのも、やはりまだまだ課題はあるんだと思っています。
 学校に福祉人材を多く配置して、何か児童生徒の異変を感じた教員が気軽に福祉人材に相談できるようにするであるとか、そういった教育と福祉との連携というのも、これまで何度も語られてきまして、一定の進捗はあると思うんですけれども、これまで以上に加速化していくというのも、また子供政策連携室に期待される役割だと思っています。
 始まったばかりでありまして、ただ皆様の取組には非常に大きな期待がかかっていると、期待が込められておりますので、ぜひ、そういった皆さんの取組、しっかり議会の方としても、引き続き、指摘であったり後押しだったり様々させていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○竹平委員 私からも、子供政策連携室の施策について質問をさせていただきます。
 初めに、こどもスマイルムーブメントについて伺います。
 子供施策においては、チルドレンファーストの社会の実現に向け、東京都こども基本条例を踏まえた取組を着実に進めていくべきであります。
 社会の宝である子供は、また社会の一員でもあり、あらゆる場面において権利の主体として尊重される必要があります。そのため、都では官民一体となって、子供の笑顔あふれる社会を目指す取組として、このこどもスマイルムーブメントを戦略的に展開しているところでございますが、このこどもスマイルムーブメントを実施するに当たっては、有識者等を交えた官民推進チームの議論を生かしたと聞いております。
 そこで、官民推進チームの役割と昨年度の開催実績についてお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 官民推進チームは、社会のマインドチェンジを促す取組であるこどもスマイルムーブメントを推進するため、令和三年十月に、都を中心に、有識者、経済団体、子育て関連NPOなど、幅広い主体により組成しました。
 活動に当たっては、遊び、学びや情報発信など、三つの分野のワーキングを設置しまして、昨年度は全体会を三回、ワーキングを九回開催し、具体的な提案や取組を含む幅広い議論を行いました。
   〔委員長退席、山田副委員長着席〕

○竹平委員 官民推進チームのワーキンググループの議論は、実際にどのような取組に結実したのか、また今後の展望も含めてお伺いしたいと思います。

○小平事業調整担当部長 多様な主体との連携や協働を通じまして、こどもスマイルムーブメントを効果的に展開するため、令和三年十二月にスタートアップイベントとして、キックオフ・アクションを開催し、知事や著名人、子供たちがチルドレンファーストの社会に向けたクロストークなどを行いました。
 また、情報発信の強化としまして、こどもスマイルムーブメントのホームページを作成し、参画企業、団体の先進的な取組の紹介などを行いました。
 今後とも、官民推進チームの多様なノウハウや斬新なアイデアを生かしまして、様々な遊び、学びの機会の創出など、子供目線に立った様々なアクションや効果的な情報発信を具体化してまいります。

○竹平委員 今ご説明をいただきまして、多様な主体と連携、そして協働し、こどもスマイルムーブメントが効果的に展開されていることが分かりました。今後も、社会全体にこの子供の笑顔が広がるよう、さらなる推進をお願いいたします。
 次に、東京都こどもホームページについてお伺いいたします。
 今お話がありました情報発信については、未来の東京を担う子供たちとの双方向のコミュニケーションや子供たちへの発信を強化していくことも大切であります。東京都こども基本条例にあるとおり、子供が権利の主体として尊重されるためには、子供が社会の一員として意見を表明し、その意見が施策に反映されることが重要であります。
 子供が意見を表明する上では、まず、情報を知ることから始まると思いますが、東京都こどもホームページは、私も拝見をさせていただきましたけれども、イラストなども多く使用し、子供にとっても親しみやすいデザインになっておりまして、都の魅力や都政を伝える仕組みとして効果的であると考えております。
 そこで、東京都こどもホームページの作成に当たって、子供の意見の反映状況も踏まえた公開までの取組についてお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 東京都こどもホームページは、子供と東京の魅力は都政をつなげる新たなプラットフォームとしまして、小学生を主なターゲットとして、楽しみながら興味、関心を高めてもらえるよう、子供たちとの意見交換を重ね、構築してまいりました。
 作成に当たりまして、都内の小学校に出前授業を行い、五百人以上の子供たちから意見やアイデアを募るとともに、ホームページ作成メンバーを募集し、ワークショップを開催して、コンテンツやデザインなどを検討してまいりました。また、幅広く子供たちの意見を募るため、アンケートも実施いたしました。それらを踏まえまして、イラストや写真などを多用したカラフルなデザインといたしました。
 コンテンツには、ふだん見ることのできない都庁内部や地下の調整池などをバーチャルで見学するものや、クイズ形式で都内の自然や文化をすごろくで巡るものなど、創意工夫を凝らしまして、本年四月二十二日にベータ版として公開いたしました。

○竹平委員 今のご説明をお聞きいたしまして、作成段階から子供が参加し、その意見やアイデアを反映して立ち上げたということで、子供にとっても親しみの持てるホームページとしてスタートしたことは評価したいと思います。
 一方で、ホームページを公開した後も子供たちに魅力的なホームページとして発展させていくためには、利用状況の把握とともに日々の子供たちの使い勝手や意見などを酌み取り、サイトの改善を重ねていくことが大切であります。
 そこで、この東京都こどもホームページをより魅力的なものとし、新たな多くの子供たちにも見てもらうことが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○小平事業調整担当部長 より多くの子供たちが繰り返し利用するホームページは、いつ見ても新鮮で楽しめるよう、継続的に内容の充実を図っていく必要がございます。
 そのため、公開から一か月半にわたり、デザインや使い勝手等の意見を募集したところ、デザインでは、かわいい、動きがあって楽しいなどの好意的な意見が多くありましたが、使い勝手の部分では、例えば画面遷移のスピードが速い方がよいなど、改善を必要とする意見をいただきました。
 その結果、画面を切り替える際のアニメーションを簡略化するなど、使い勝手の改善を行いますとともに、クイズ形式の新規コンテンツも追加しまして、七月にバージョンアップ版として公開しました。
 引き続き、子供の意見やアイデアを取り入れ、子供たちにとってより身近なホームページとなるよう、更新を重ねてまいります。

○竹平委員 ホームページの公開後も、子供たちの意見を取り入れながら改善を図っていることが分かりました。子供たちが東京に魅力や愛着を感じる上でも大事な取組であります。引き続き、子供の意見を丁寧に聞き、ホームページのさらなる充実に取り組みますよう要望いたします。
 次に、こども未来会議について質問をいたします。
 都議会公明党は、令和二年第一回定例会の予算特別委員会において、子供政策について、福祉や教育といった従来の行政の枠組みを超えた新たな会議体の下で、幅広く議論を進めていくことを提案してまいりました。
 これを契機に、令和二年九月にこども未来会議が創設され、この間、こども未来会議では子供の目線に立って、子供の笑顔をどのように育んでいくのか、幅広く様々な視点から忌憚のない自由闊達な議論が展開、発信されてきました。
 まず、こども未来会議の設置目的とテーマ選定の考え方について改めてお伺いいたします。

○山本子供政策調整担当部長 こども未来会議は、子供が笑顔で子育てが楽しいと思える社会の実現に向けて、海外等の先進事例も踏まえ、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点から議論を行うことを目的とし、設置したものでございます。
 各回の実施に当たりましては、子供の笑顔のために真に求められるものは何かという視点や、社会全体で子供の遊びや学びを支えるという観点など、福祉や教育等の行政分野を超えた幅広い視点に立って、テーマを設定しているところでございます。

○竹平委員 こども未来会議においては、行政の縦割りを超えて子供政策をリードしていく議論が展開されていることが重要であります。
 こうした観点から、昨年度こども未来会議においてどのような議論が行われたのかお伺いいたします
○山本子供政策調整担当部長 昨年度、こども未来会議は計二回開催し、それぞれ、子供一人一人の伸びる、育つを育む、子供を大切にする社会に向けた機運醸成をテーマに、専門的見地から議論を展開、発信してまいりました。
 議論を通じて、非認知能力を育む教育や子供子育てに寛容な社会の実現などについて、示唆に富んだ様々な意見や提案をいただいたところでございます。

○竹平委員 こども未来会議において、様々な意見、提案をいただいたとのことですが、会議での議論をどのように政策や具体的な施策に反映させていくかという視点が大切であります。
 先ほど質疑で取り上げた東京都こどもホームページは、こども未来会議の中で実際に委員から提案されたものであります。幅広い視点からの問題提起が子供を中心に置いた具体的な取組に反映されていることを評価するものですが、昨年度のこども未来会議における議論が政策や施策にどのように反映されたのかをお伺いいたします。
   〔山田副委員長退席、委員長着席〕

○山本子供政策調整担当部長 昨年度実施した第四回の子供一人一人の伸びる、育つを育むをテーマにした議論は、今年度新たに設置した乳幼児期の集団生活に関する組織横断の推進チームの取組に反映しております。
 また、第五回の子供を大切にする社会に向けた機運醸成をテーマにした議論は、こどもスマイルムーブメントの取組に生かしております。
 引き続き、こども未来会議の議論を通じまして浮き彫りとなった課題について、庁内各局と共有しながら、子供政策のバージョンアップにつなげてまいります。

○竹平委員 子供の最善の利益のために必要なものは何かという観点から、今後もチルドレンファーストの社会の実現に向けて、こども未来会議が子供政策において中核的な役割を担うことを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○池川委員 私からも質問をさせていただきます。
 まず、こども未来会議について伺います。
 こども未来会議は、第一回が二〇二〇年九月に行われ、昨年度は二回開催をしているところであります。同時に、昨年度は、東京都こども基本条例が全会一致で修正可決し、条例が施行された年度ともなりました。こども基本条例を全面的に実施していくこと、都政のあらゆる分野で子供の権利が保障され、意見が正当に重視されるようにしていくことが極めて重要だと考えます。
 こども未来会議の目的には、海外等の先進事例も踏まえ、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で議論を行うと掲げられていますが、昨年度の取組についてお伺いします。

○山本子供政策調整担当部長 こども未来会議は、昨年度、計二回開催いたしまして、それぞれ、子供一人一人の伸びる、育つを育む、子供を大切にする社会に向けた機運醸成をテーマに、専門的見地から議論を展開、発信してまいりました。

○池川委員 昨年度の議論について、私も議事録を読ませていただきました。例えば、子育て対策の中では、自己責任論に基づく子育てではなくて、チームや社会全体がサポートする子育てに資する必要があることや、子育て世帯の負担軽減を社会全体で支えるというメッセージ性を伴う施策が必要などの議論が行われています。
 さらに、育児はママが頑張りましょう、パパがお手伝いしましょうと書いてあるようなものについては、刷新をしていく必要があるのではないかという提案もされているところであります。
 私ごとになりますが、私は、今小学校五年生が一番上、下は四歳の四人の子育てをしているところでありますが、家族的責任をめぐっては、やはりもやもやすることが多々あります。
 例えば、朝ご飯とお弁当作り、食器洗いなどが私の主な担当なんですが、その話をすると、偉いねと声をかけられることが大変多いということです。男性はやらないもの、女性がやるものという固定観念がそうしたものを生み出しているのではないかと。一方で、パートナーが仕事も家事も行っておりますが、それはやって当たり前というふうに社会全体が見ているということが様々な場面で感じられるというのが実態です。
 さらに、知り合いの方から、土日も仕事をしなければならないパートナーがいる方は、仕事か家族的責任かで、自分自身の時間を確保することがとても難しく、自分のケアが最も後回しになっていると話をされていました。やはり社会全体で子育てをサポートするというのは、どういうことが必要なのかということが問われていると思います。
 子育てや介護など、このケアについて、きちんと価値を認識していくことなくして、この問題というのは解決できないというふうに思います。
 さらに、長時間労働を前提とした働き方を是正すること、労働時間の短縮を行うことがやはり必要だということが実感としてもあるところであり、この目的の中に海外等の先進事例をしっかりと参考にしていくというふうにありますので、ぜひ都政の中にも大きく反映をしていただきたいなと思いますし、海外の事例をきちんと見ていくことによって、日本の在り方がやっぱり変わらなきゃいけないのではないかという視点に大きく立てるというふうに思いますので、その点については、ぜひ、こども未来会議の議論とともに、その中で受けた議論も都政の中に反映をしていただきたいというふうに思います。
 同時に、子供の声をどうやって東京都として聞いていくかどうか。これは、あれこれの一つの問題ではなく、子供施策を進めていく根本問題だと考えています。こども基本条例の策定過程で、子供の意見を聞けていないということは、どう条例を修正しても補うことはできないということを日本共産党都議団としては指摘をしてまいりました。これから、逆にいえば、どれだけの子供の声を聞くことができるか、このことが問われていると思います。
 こども未来会議は、子供の問題を大人が議論する場となっていますが、子供たちの参加、意見表明というのは、具体的にどのように進められてきたのでしょうか。

○山本子供政策調整担当部長 昨年十二月、多くの子供たちが参加しましたこどもスマイルムーブメントのキックオフ・アクションに、こども未来会議の座長が参加し、子供との対話を行ったところでございます。
 コロナ禍における感染状況等も鑑み、今後も様々な工夫を凝らしながら、子供との対話を実践してまいります。

○池川委員 工夫を凝らしながら、子供との対話を実践していくという視点は、極めて大事だというふうに思います。それは、こども未来会議に限る話としてではなく、子供の視点で都政をチェックしていく上で、あらゆる部署で同じような水準で子供の意見を聞く機会をつくる、その旗振り役として、子供政策連携室には役割を果たしていただきたいということを求めたいと思います。
 次に、事業名の名称についてお伺いします。
 こども基本条例は、漢字ではなく平仮名でこどもと明記をしています。昨年度実施したこどもスマイルムーブメント、こども未来会議も、新しく開設をされたこどもホームページも、全て平仮名でこどもと表記をしています。なぜ平仮名でこどもと表記をしているのか伺います。

○土村子供政策連携推進部長 各事業につきましては、対象や広報等、その事業の性格を総合的に勘案して名称を決定したものでございます。

○池川委員 総合的に勘案をして決定したんだという今答弁でした。これは総合的に勘案して決定しているというのであれば、私は、これまで東京都が変えることがなかった両方とも漢字で子供と表記することを、やはり本気で見直すことが必要ではないかというふうに思います。
 子どもの権利条約やこども基本条例は、子供を権利の主体として捉えている、ここに肝があると思います。子供を権利の主体として捉え、その立場にふさわしい表記を考えるならば、本来は供えもののような印象を与える漢字ではなく、やはり平仮名を表記していくことが望ましいことは明らかだというふうに思います。
 そこで伺いたいと思うんですけど、これは総合的に勘案をして決めると。事前に組織の名前はどうかとやり取りしたときには、これは総務局の話だからなかなか難しいということだったんですけど、子供政策連携室として、漢字で子供と表記するようなことは、やはり改めていくという必要があると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○土村子供政策連携推進部長 各事業につきましては、それぞれその事業の内容に応じまして、対象や広報等、その事業の性格を総合的に勘案して表記、名称を決めるものというふうに認識をしてございます。

○池川委員 さっきと同じ答弁だったんですけど、やはりここは、今平仮名で基本的に子供政策連携室の事業がやられているということを考えても、きちんとこの問題、議論をして、改めていく時期なのではないかというふうに思います。過去に様々な議論の経過があったことは、私も承知をしております。
 東京都は、こども基本条例が制定をされたと。さらに、いろいろお話を伺う中で、やっぱり子供に分かりやすい表記にしていくことが必要だということも、この平仮名こどもを使っている理由としてお話をいただきました。
 一方で、子供政策連携室の名称をはじめ、行政内部ではいまだに漢字で子供の表記をしている。やはり名は体を表すというふうに思います。
 問われているのは、この認識をアップデートし、文字どおり子供を権利の主体として、東京都の中で位置づけられるかだというふうに考えます。そうした踏み切り、認識のアップデートをしていくことをぜひ子供政策連携室から始めていただきたい、そのことを強く求めて、質問を終わります。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で子供政策連携室関係を終わります。

○柴崎委員長 これより財務局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○吉村財務局長 去る十月十二日の当分科会を病気療養のため欠席させていただいておりました幹部職員をご紹介させていただきます。
 経理部長で子供政策連携室子供政策調整担当部長を兼務いたします五十嵐律でございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○柴崎委員長 紹介は終わりました。

○柴崎委員長 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、令和三年度東京都用地会計決算及び令和三年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○平田委員 建設業の働き方改革に関連しましてお伺いいたします。
 戦後、日本の発展は、真面目で勤勉な国民性によるものとしばしば指摘されるところですが、他方で、長時間労働や残業といった労働実態、また、建設業においては、かつては三Kと称されたような課題の多い労働環境などが指摘されてきました。
 そうした中、平成三十年には働き方改革関連法が改正され、長時間労働の是正に向けて残業時間の上限規制などが罰則つきで定められました。
 一方、建設業においては、担い手確保など実態に即した対応が必要ということで、五年間の猶予期間が設けられておりました。しかしながら、この猶予期間も残り一年余りとなり、規制の適用開始が目前に迫っております。
 こうした背景の下、令和元年には、働き方改革の柱の一つとして担い手三法が改正され、建設業の担い手の中長期的な育成や確保のための具体的な措置も規定されております。
 そのうち、公共工事の品質確保の促進に関する法律、いわゆる品確法では、施工時期の平準化推進が発注者の責務として位置づけられました。東京都においても、かねてから全庁を挙げて平準化に取り組んできたと認識しております。
 そこで、工事の平準化の取組状況とこれまでの実績についてお伺いします。

○前山契約調整担当部長 公共工事は、年度初めに工事量が少なくなる一方、年度の半ばから後半にかけて工事量が多くなる傾向があり、こうした年間を通じた工事量の偏りを解消することは、技術者や資機材の効率的な活用や繁忙期の解消に伴う長時間労働の是正等につながり、建設業の中長期的な担い手確保に寄与するものと認識しているところでございます。
 そのため、都は、現場の稼働状況に着目し、年度の平均稼働件数に対する閑散期に当たる四月から六月の平均稼働件数の割合である平準化率を指標とし、令和元年度から施工時期の平準化に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、工期十二か月未満の案件に対する債務負担行為の積極的な活用や繰越しの効果的な活用、さらには、技術者不足となりがちな年度末の契約において、専任の技術者配置を柔軟に行える制度の運用などを推進することで、年度の切れ目にとらわれない工事の発注を可能としているところでございます。
 こうした取組の結果、工事の平準化率は、取組開始時点での〇・七五に対し、令和三年度末の実績では〇・八二でありまして、〇・〇七ポイントの改善が図られているところでございます。

○平田委員 施工時期の平準化には、令和元年度から取り組んでいるとのご答弁をいただきました。現在四年目ということで、着実に平準化に取り組んでいるものと評価いたしたいと思います。
 一方で、いまだ第一・四半期に稼働している件数は、年間平均稼働件数の八割ほどとのことでございました。平準化の一層の推進が求められていると思います。
 そこで、平準化の今後の取組について見解をお示しいただきたいと思います。

○前山契約調整担当部長 平準化の取組に有効な債務負担行為や繰越しは、予算単年度主義の例外であることから、一層の活用を図るには各局と平準化の重要性を共有し、浸透を図ることが不可欠でございます。
 そのため、全庁での連絡会を活用し、平準化の意義や効果的な取組事例など、創意工夫を凝らしながら発信をいたしまして、各局における一層の理解と活用を促してまいります。
 また、平準化の推進には見える化も有効であると認識しており、都全体での平準化率の公表に加え、今年度からは、新たに局ごとの目標と実績も公表していくこととしております。
 来年度に向けては、各局の具体的な取組状況も見える化するなど、さらなる充実を図ってまいります。
 引き続き、平準化の推進に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。

○平田委員 工事の平準化は、担い手の確保や育成はもとより、中小の建設関連事業者の経営基盤の安定化や健全化にも直接関わるものであります。我が党も繰り返し事業者の皆様からご要望をいただき、また、都へも申し入れているところであります。
 事業者の経営基盤が安定化、健全化することは、公共工事の品質確保にもつながりますし、また、災害時には復旧作業などに当たっていただく担い手の確保にもつながる重要な取組であると考えております。
 今後も、建設業が将来的にわたって発展するために、平準化をはじめとする働き方改革の推進を進めていただきたいと改めて強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○森口委員 令和三年度決算に関連し、都民の声や大学研究者の知を予算に直接反映する提案制度について質問したいと思います。
 これまで我が会派は、都民提案や大学提案などの提案制度について、提案数や投票数の向上に向けた取組や事務手続の改善など、都民ファーストの視点で制度の深化を求めてまいりました。
 都民一人一人に都政を身近に感じてもらうとともに、行政にはない視点や発想を生かすことは、東京大改革に大きく寄与するものであります。
 そして、コロナとの闘いの最中に行われた令和三年度予算編成では、新型コロナに対応する特別体制の実施により、事業提案制度は中止したとのことでありますが、一方で、東京の未来をつくるアイデア募集を実施しております。様々な課題を抱える中にあっても、都民参加を促すため、実施方法を工夫しつつ、継続して実施することも重要な視点です。
 そこで、東京の未来をつくるアイデア募集について、その目的と成果を伺います。

○田中理事 令和三年度予算編成では、新型コロナウイルス感染症対策に注力するため、事業提案制度は募集を中止することといたしましたが、代わりに、新型コロナウイルスを克服し東京の未来をつくるためのアイデア募集を実施いたしました。
 アイデア募集では、コロナ禍で浮き彫りとなった社会的課題の解決をテーマに、様々な方からのご意見を速やかに都政に反映させることを目的に、都民や大学研究者、企業などから幅広いアイデアの募集を行いました。
 その結果、いただいた二百二十四件のアイデアを基に、感染症防止と経済社会活動の両立を図る取組など、五件の新規事業の構築と六件の既存事業の拡充につなげております。
 具体的には、自宅近くの空き部屋を利用してリモートワークの拠点をつくるというアイデアを基に、商店街等の空きスペースを活用した小規模なサテライトオフィスをモデル的に支援し、検証する事業を構築いたしております。
 事業を通じて得られました簡易な設備であれば導入しやすい、こういう事業者の声を踏まえまして、四年度予算ではテレワーク環境の整備の門戸を広げるため、既存のサテライトオフィスの設置補助事業に加え、小規模テレワークコーナーの設置補助を都内全域で展開しております。

○森口委員 都民の最大の関心事であったコロナ禍に焦点を当て、都民や大学研究者、企業などの声を都施策に生かす取組であったことを確認いたしました。
 アイデア募集は令和三年度のみの取組ですが、その成果が令和四年度以降の事業にも反映されていることは、とても重要だと思います。都民のきらりと光るアイデアを都政の課題解決につなげていくことは重要な取組であり、引き続き都民に寄り添った施策の構築を求めます。
 さて、提案制度としては、都民の声に加え、東京に集積する知を生かす大学研究者からの提案の事業化にも取り組んでいることと思います。
 八月の記者会見で、知事が道路の損傷や不具合を都民が道路管理者に伝達できる市民投稿アプリを発信されていたように、大学提案による事業が形になってきているタイミングではないでしょうか。実際、令和元年度予算編成から大学提案の仕組みを開始し、事業期間が最大で三年間のため、令和三年度をもって事業の計画期間が終了したものが多いと聞いております。
 そこで、令和三年度で計画期間を終えた大学提案の事業について、どのような成果があったのか伺います。

○田中理事 大学研究者による事業提案制度は、都内の大学研究者が有する知見やノウハウの積極的な活用を図る観点から、令和元年度予算編成から導入しており、三年度末までに八件の事業が計画期間を終了してございます。
 お話の市民投稿アプリは、東京大学と連携し、スマホで二十四時間道路の損傷状況を通報可能とすることで、運用開始から千七百五十一件の通報をいただき、道路の巡回だけでは発見しづらかった損傷箇所の補修につなげるなど、道路の安全性確保に大きく貢献しております。
 また、東京医科歯科大学との連携により事業化したけんこう子育て・とうきょう事業では、妊産婦のニーズに応じた具体的な子育てスキルの提供を行うコンテンツを開発いたしました。
 このコンテンツを導入した自治体では、実際に妊産婦の子育てに関する不安感や負担感の軽減につながっていることが確認できるなど、子供の健やかな成長と虐待の未然防止の推進に寄与してございます。

○森口委員 大学研究者の専門的な知見を生かして、都政の課題解決につなげる取組が生み出されていることが分かりました。
 この制度を発展させていくためには、こうした成果を大学研究者や都民の皆様が知り、また提案しよう、また投票に参加しようという意欲を喚起し、次のサイクルにつなげていくことが極めて重要です。
 そこで、大学提案事業の成果を大学研究者や都民の皆様に知ってもらうことでさらなる提案につなげるなど、制度の好循環を生み出すことが重要と考えますが、見解を伺います。

○田中理事 大学提案制度の継続的な実施に向け、さらなる提案を促すためには、着実な事業の実施を通じて成果を創出することはもとより、その成果を分かりやすく発信することなどにより、都民の関心や大学研究者の提案意欲を高める取組が重要でございます。
 都はこれまでも、提案募集や都民投票に際し、SNSによる情報発信、ポスターやデジタルサイネージの掲出など、提案制度の充実に向けた広報に取り組んでまいりました。
 今年度は、新たに大学提案事業の実績を成果集として取りまとめ、事業の目的やこれまでの取組状況、成果などをホームページ上に公表するとともに、ツイッターでも発信することで提案事業へ興味を持ってもらい、都民投票を促す取組を重ねてございます。
 引き続き、各局と連携して成果を創出するとともに、その成果をさらなる提案や投票につなげられるよう、創意工夫を凝らして積極的な情報発信に取り組んでまいります。

○森口委員 計画期間の終了を踏まえて、その成果を多くの方に発信している旨の答弁がありました。事業化にとどまらず、その成果を都民に還元し、こうした取組を知ってもらうことで、都民や大学研究者の皆様の提案意欲を刺激することが重要です。
 今後とも、都民ファーストの視点から、提案制度のさらなる発展を求め、質問を終わります。

○たかく委員 私の方からは、まず、契約制度での総合評価方式の活用について伺います。
 契約制度は、いわゆる価格競争が大原則でありますが、価格と価格以外の技術的な要素を総合的に評価し落札者を決定する仕組みとして総合評価方式があります。この方式の活用によって、品質の確保、向上、長期的なコストの削減などの効果が見込まれます。
 最初に、総合評価方式は、東京都の令和三年度の契約での実績、どのぐらいあるのかお聞かせください。

○前山契約調整担当部長 総合評価方式は、品質確保が必要な案件などに適用し、都の工事における過去の実績等から技術点を算出して、価格点と併せて総合的に評価する仕組みでございます。
 そのため、一定の規模を有するとともに、競争性のある業種における適用が効果的であると考えており、具体的には、予定価格が一千万円以上かつ建築、一般土木などの主要業種を基本的な対象としているところでございます。
 令和三年度において知事部局が発注した案件のうち、こうした要件に合致するものは千四百五十件、そのうち、総合評価で発注したものは四百四十一件、割合として三〇・四%となっているところでございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、昨年度は四百四十一件の総合評価方式の適用実績があったとのことでした。
 総合評価方式は、先ほど申し上げた品質確保はもとより、ダンピング受注の防止や不良不適格業者の排除、事業者の技術力の向上にも効果がある仕組みといわれております。
 比較的高額な財務局発注の工事のみならず、規模の小さい各局発注の工事を含めて総合評価方式をより有効に活用していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

○前山契約調整担当部長 総合評価方式でございますが、お話にもありましたように、地方自治法における入札の原則である競争入札の例外といたしまして、技術的課題を有し、確実な履行や品質の確保が必要な案件に導入しているところでございます。
 工事においては、技術提案型、技術力評価型、技術実績評価型、施工能力審査型の四類型を整備いたしまして、案件の規模や技術的課題に応じて活用を図っているところでございます。
 こうした制度を適切に運用いたしまして、工事における品質確保を今後とも図ってまいります。

○たかく委員 この総合評価は、災害協定や緊急工事への加点措置により、地域を支える中小企業の受注機会を確保し、育成を図る上からも重要な要素と考えます。その観点から、総合評価方式をより有効に活用していくことを求め、次の質問に移ります。
 次に、中小企業の受注機会の拡大に向けて、官公需適格組合制度の活用について伺います。
 東京都では、官公需における中小企業者の受注機会を確保することを契約事務執行上重要な施策と位置づけているとのことであります。
 官公需適格組合とは、中小企業庁が一定の条件に基づいて証明する組合であり、単体の中小企業では受注が難しい規模あるいは品質の発注案件について適正な履行体制が確保される面から、官公庁からの受注拡大を目的として制度化されたものであります。
 具体に、都内の官公需適格組合の団体数、そして、令和三年度の官公需適格組合の受注状況がどのようになっているのかお聞きいたします。

○前山契約調整担当部長 都内の官公需適格組合の認定を受けた組合数は、令和四年六月末現在で百十九組合ございまして、令和三年度の知事部局における官公需適格組合との契約実績につきましては、十七件、四億四千八百万円となっております。

○たかく委員 いわゆる官公需法では、国が物品の買入れや工事の請負、役務の提供等の契約を締結するに当たっては、中小企業者の受注機会の増大を図るように努めなければならないこと、また、契約の相手方として組合を活用するように配慮しなければならないと官公需法でも規定されており、その意味からも官公需適格組合は、都内での災害時の対応を含めて、緊急性、機動性ある業務を担っていただいていると考えます。
 今後、さらなる官公需適格組合を含めた中小企業の受注機会の拡大の場を求めるところでありますが、見解を求めます。

○前山契約調整担当部長 災害時における応急復旧の担い手でございます地元中小企業者の育成及び発展を図るために、受注機会の確保を図ることは重要でございます。
 都では、分離分割発注の徹底に取り組むとともに、都内の事業者に対する地域性等を考慮した優先指名、事業協同組合の活用、総合評価における災害協定や緊急工事の実績への加点措置などにより、地域を支える中小企業者の受注機会の確保に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、こうした取組を通じ、災害対応を行う中小企業者の受注機会の拡大に努めてまいります。

○たかく委員 今お話がありましたように、災害時等における応急復旧の担い手には、機動性のある地域事業者が必要であります。そういった観点から、官公需適格組合を含めた中小事業者の受注機会の拡大に取り組んでいただきたいことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、最低制限価格制度について伺います。
 品確法の趣旨を踏まえた総合評価方式の適用拡大など、入札契約制度の活用とともに、公共工事だけではなく業務委託においても過度な競争を招かないようにする上で、低価格入札防止の観点から、最低制限価格制度を導入して的確に工事が進むようにすることは必要と考えます。
 私のところにも、業務委託契約において、ダンピングといえるような低価格での入札で受注がなされているとの切実な声も届いております。人件費比率が高い案件の中には、最低賃金も守れない価格での応札があるのではないかと考えます。委託契約についての改革は急務と考えます。
 二年前から東京都では、設計等委託については一部試行的に最低制限価格制度を導入したとのことを聞いております。令和三年度は、具体に何件の設計等委託での試行を行ったのか、まずお聞きいたします。

○前山契約調整担当部長 令和元年度の品確法改正において、調査、設計へのダンピング対策は発注者の責務であると位置づけられたことを踏まえ、都においては、過度な低価格での契約を防止し、品質の確保に取り組むため、設計等委託における最低制限価格制度の試行を令和二年度から財務局発注案件において開始したところでございます。
 令和三年度からは、試行の実施範囲を各局などが発注する案件に拡大し、四十七件で試行を実施したところでございます。

○たかく委員 低価格入札を防止し、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図っていくことは重要であります。
 こうした認識の下、印刷請負においては、最低制限価格制度を平成二十八年度から六年間にわたり試行を続けており、令和四年度から最低制限価格導入を本格的に導入させることになったとのことです。
 その本格的導入に至った経緯、そしてその目的、意義についてお聞きいたします。

○前山契約調整担当部長 印刷請負におきましては、低価格入札の防止を図り、品質の確保や担い手の中長期的な育成、確保を目的として、平成二十八年度から最低制限価格制度の試行を開始したところでございます。
 試行開始から六年にわたり計八十四件の案件において最低制限価格を適用する中で、積算手法の確立など庁内における統一的な運用に向けて創意工夫を重ねるとともに、事業者の意見を聞きながら適用範囲を検討し、本年度から本格実施に至っているところでございます。

○たかく委員 中小企業が多い印刷産業では、低価格入札が多く見受けられる中、印刷物の品質の低下、経営の圧迫や労働者へのしわ寄せが懸念されていることで、品質の確保や担い手の中長期的な育成、確保を目的として、最低制限価格制度の導入が始まったと理解しました。
 今後、最低制限価格制度を他業種への拡大を視野に、検討をさらに進めていくことが必要と考えますが、見解を伺います。

○前山契約調整担当部長 最低制限価格制度は、低価格入札を防止し、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図る観点から有効な制度であると認識しております。
 一方で、最低制限価格制度の導入には、業務内容に見合った適切な単価などによる積算が不可欠でございますが、業務委託はその種類や内容が多岐にわたるため、各案件の性質により様々な積算手法が存在しているところでございます。
 これらの積算の共通化を図るためには、業務範囲の設定や共通化による影響の分析などの課題があることから、他業種への最低制限価格制度の導入につきましては、引き続き検討が必要と認識しているところでございます。

○たかく委員 今の答弁ですと、業務委託においては、その種類や内容が多岐にわたるため、各案件の性質により様々な積算手法が存在するとのことで、課題があるとの答弁でありました。しっかり一つ一つの課題をクリアして進めていくことを求めて、次に移ります。
 次に、先ほど他会派からも質疑がありましたが、施工時期等の平準化について伺いたいと思います。
 施工時期等の平準化に係る取組は、技術者や資機材の効率的な活用を促進するとともに、繁忙期の解消による長時間労働の減少に伴って技術者の労働環境が改善されるなど、建設業の働き方改革や生産性向上、中長期的な公共工事の担い手確保に資する重要な施策であります。
 建設業では、一般的に繁忙期である年度末に工事が集中、この時期に従業員の休日出勤や残業が生じております。一方、閑散期では、人員や資機材に余剰が生じている。こういった状況を改善するために、改正品確法では、公共工事の発注者には施工時期の平準化を図ることが責務として規定されました。
 最初に、令和三年度の施工時期の平準化に向けての取組の実績についてお聞きいたします。

○前山契約調整担当部長 都が発注する工事において、施工時期の平準化により、年間を通じた工事量の繁閑の差をできるだけ小さくし繁忙期を解消することは、技能者等の長時間労働の是正や中小をはじめとした事業者の経営の安定化につながる効果があるものと考えております。
 そのため、工事においては、現場の稼働状況に着目し、閑散期に当たる四月から六月の平均稼働件数の割合と年度の平均稼働件数の割合の比率である平準化率を指標といたしまして、建築、土木は〇・九、設備は〇・八を目標値として定め、設定し、取組を進めているところでございます。
 令和三年度末時点での実績でございますが、建築は〇・七九、土木は〇・八九、設備は〇・七四となっているところでございます。

○たかく委員 ただいまの報告では、かなり平準化が進んできているというふうに理解いたしました。
 それでは、今後の庁内での平準化に向けた取組の検討についてお聞きいたします。

○前山契約調整担当部長 平準化の取組に有効な債務負担行為や繰越しの活用に向け、全庁での連絡会を活用し、平準化の意義や効果的な取組事例などを共有し、各局の理解と活用を促してまいります。
 また、都全体での平準化率の公表に加え、今年度からは、新たな局ごとの目標と実績を公表し、見える化を図りつつ取組を進めてまいります。
 引き続き、平準化の推進により、品確法に定められた発注者の責務を果たしてまいります。

○たかく委員 今年度から局ごとの目標と実績を公表し、見える化を図りつつ取組を進めていくことで、平準化の推進をしっかりと進めていくことをお願い申し上げ、最後に新公会計制度について伺います。
 都議会公明党が推進し、都が全国に先駆けて導入した複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度は、これまでの官庁会計では把握できなかった資産、負債などのストック情報や金利、減価償却費などを含む真のコスト情報を明らかにする画期的な制度であり、事業評価における分析ツールとしての活用や未収債権の大幅な削減につなげるなど、これまで大きな成果を上げてきました。
 令和三年度東京都年次財務報告書では、新公会計制度による決算についてマクロ的な視点から分析もされております。一方で、これから本格化する令和五年度予算編成に向け、この令和三年度決算における個々の事業について、新公会計制度を活用した分析を行っていくことも重要であります。
 そこでまず、決算における新たな公会計制度を活用した分析を踏まえた令和四年度予算編成における具体的な事業見直しの事例について伺います。

○田中理事 令和四年度予算編成では、例えば知的障害者等の受入れ施設であります福祉園につきまして、事業別財務諸表を活用し、貸借対照表による資産分析や行政コスト計算書による収支分析を行っております。
 具体的には、福祉園は、都の平均的な建物の老朽化率を上回るというストック情報を活用した分析や、民間で受入れが難しい知的障害者等を確実に受け入れるという施設の重要性などを踏まえ、個室化やユニット化による利用者本位の支援も推進しつつ、計画的に老朽化した施設を改築することといたしました。
 さらに、行政コスト計算書における行政収支比率の分析などを基に施設運営の効率化や質の向上にも取り組むこととし、令和四年度は、見守りカメラやシルエット型見守りセンサー等の導入による利用者の安全性向上、職員の負担軽減を図るほか、デジタル技術を活用した業務のさらなる効率化を図ることといたしております。

○たかく委員 我が党がこれまで進めてきた複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度は、健全な財政運営を支えるための分析ツールとして、事業評価の取組の中でも活用されているとの答弁でありました。
 このように、事業別に財務諸表を作成し、分析を行い、収支の改善や都民サービスの向上などへつなげていく一つ一つの事業の見直しの積み重ねこそが、東京都の健全な財政運営を支えているわけであります。
 平成十八年に新たな新公会計制度が導入されるとともに、財務局が事業評価を所管することになったわけでありますが、これまでの事業評価の取組の成果について、確認の意味を込めて改めて伺います。

○田中理事 事業評価は、財政再建期に集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建達成後も見直し努力を継続する仕組みとして平成十八年度に再構築したものでございます。
 この間、限られた財源の中で、都政の諸課題に的確に対応していくため、事業の効率性、実効性の向上、無駄をなくす取組の徹底へとつなげており、令和四年度予算編成では、DXによる業務効率化やQOSの向上の視点も踏まえ、終期が到来する事業の事後検証を徹底したところであります。
 こうした事業評価の取組を通じて、令和四年度予算では千百十六件の見直し、再構築を行い、千百十七億円の財源確保へとつなげておりまして、平成十九年度予算からの各年度の財源確保額の合計は約七千六百億円となっております。

○たかく委員 これまでの十六年間で、約七千六百億円もの財源確保につなげたとの答弁でありました。
 引き続き、この令和三年度決算についても新たな公会計制度を活用した分析などをしっかり行い、無駄の排除を徹底し、都民にとって真に必要な取組を充実させる、そのための一つ一つの事業見直しを一層強化していくことを求めて、私からの質問を終わります。

○池川委員 私からも質問をさせていただきます。
 まず、契約制度の中で業務委託における総合評価方式について伺います。
 私たちは、本来は直営で担う必要性があるものについては、業務委託にすべきではないというふうに思っております。同時に、業務委託を行う場合に、いかに都民の利益を守るのかという立場から、政策誘導を行ったり、良質な公共サービスを確保することは、地方自治体にとって重要な課題だと考えております。
 そこで、基本点から伺いたいと思います。
 業務委託等の総合評価に係る適用方針というのを出されていますが、これを出された目的というのはどのようなものでしょうか。

○前山契約調整担当部長 地方公共団体が行う契約は、価格競争により契約相手方を決定することを原則としているところでございますが、こうした価格競争による契約方法は、経済性という点では優れる一方で、履行能力が不十分な者が落札者となってしまった場合、結果として履行の質の低下を招くおそれがございます。
 このため、都では、工事請負や情報システム開発委託において導入していた総合評価方式を、平成二十一年度以降、建物管理等業務委託についても試行的に導入し、総合評価方式の手引の策定や改定を行いながら、総合評価方式に関して、職員の実務上の知識の習得や、その効果についての理解を進めてきたところでございます。
 このような中で、都民や施設利用者に対して、より一層質の高い行政サービスを実施していくため、それまでの試行の結果を踏まえ、総合評価方式の活用を全庁で推進していくことを目的として、平成二十八年度に本適用方針を定めたところでございます。

○池川委員 価格競争だけでは履行の質の低下を招くおそれがあるから、総合評価方式を導入して対応してきたということでありました。
 実際に業務委託を競争入札でやったことによって質の低下を招いている場合に、総合評価方式への移行というのは検討すべきである課題だというふうに考えます。
 実際に東京都における対応がどうなっているかについて伺いたいと思います。業務委託における総合評価方式の適用状況はどうなっているか、また、昨年度までの経年の状況についても併せてお尋ねいたします。

○前山契約調整担当部長 過去五年間の業務委託における総合評価方式の適用状況につきましては、平成二十九年度に財務局契約全体の契約件数に占める適用割合が約五%であったところ、令和三年度においては約二二%に増加しているところでございます。

○池川委員 財務局契約で五%から二二%に増加をしているということであります。
 適用方針では、原則として適用していくものとして、その事例として、一、過去五年間における業務委託履行成績評定の結果が不良、やや不良、またはD、Eであった、まあ評価が低かったということだと思います。二として、第二次主要施設十か年維持更新計画により、改築または改修した施設及びその他新設施設に係る業務。三、業務内容の専門性、個別性等が高く、高度な知識と経験とが求められる業務。四、その他、特に品質の確保、向上を図っていく必要がある業務というのが位置づけられ、これは、原則適用していくものの事例として挙げられています。
 さらに、積極的に適用を検討していくものとして、総合評価の手引において事例として掲げられている業務。これは、先ほどあったとおり、手引を出されたということなので、その中に書かれているものだというふうに思います。二つ目に、既に同種目の他の案件で総合評価方式の導入実績がある業務。三、企画提案方式を三年程度実施したことで、事業者から提案により内容を補完せずとも、都自らが仕様を確定することができるようになった業務などが挙げられています。
 各局の理解をきちんと促進し、良質な公共サービスを確保するという観点から、総合評価方式を導入していくことが必要だということだと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、適用方針を出してから昨年度までの取組状況について、どのように評価、分析をしているでしょうか。

○前山契約調整担当部長 適用方針策定以降、平成二十八年度及び平成三十年度に総合評価方式に係る手引の内容の充実を図りながら、業務委託等の品質の確保、向上のため、全庁に対して周知を図ってきたところでございます。
 先ほど答弁いたしましたように、これまでの業務委託における総合評価方式の適用実績は増加傾向にあり、各局における総合評価方式の趣旨やノウハウについては、着実に浸透してきているものと認識しているところでございます。

○池川委員 実績として増えてきているので、着実に浸透しているのではないかという認識だったと思います。
 一方で、各局の事業を見ていると、価格競争のみの事業をやった結果、大きく混乱したという事例もあり、総合評価方式による業務委託なのか、直営でやるのか、様々にやはり検討が必要だということも併せて感じています。
 適用方針の中では、総合評価と併せて複数年契約を活用することにより、品質の確保、向上が見込まれる業務委託等については、債務負担行為または長期継続契約の活用を積極的に検討することと書かれています。複数年度契約の場合、事業の安定性、継続性を保障していく視点からも導入をしていくことが必要だというふうに考えます。
 この総合評価と併せて複数年契約を導入することについても適用方針の中で掲げられていますが、どういう意図でこれを掲げているのか、また、適用状況はどうなっているのかについて伺います。

○前山契約調整担当部長 業務委託の品質を確保する目的で総合評価方式を導入した場合でも、その契約期間が単年度であると業務の履行で事業者が得たノウハウが蓄積、継承されないこと、事業者が従事者を安定的に雇用しづらく、従事者に対する中長期的な観点から教育、訓練が十分に行えないことなど、総合評価方式のメリットを生かし切れないことがございます。
 そこで、総合評価方式と併せて複数年度契約を組み合わせることで、当該事業の履行状況の質の確保や担い手の育成、確保の観点から一層の効果が期待できるとの視点から、本適用方針においても、該当する事業がある場合は複数年度契約を積極的に検討することとしているところでございます。
 なお、総合評価方式と複数年度契約を組み合わせた案件につきましては、令和三年度においては六十八件となっているところでございます。

○池川委員 質の確保、担い手の育成、確保の観点から効果が期待できるものとして、複数年契約を検討することは大事だというふうに考えます。
 先日私が伺った話の中で、東京都の委託事業を受けている労働者の方、ここは、いわゆる直接契約だったものが実は委託になって、それ以来ずうっと様々、業務についてきているという現場でしたけれども、ここは総合評価を適用されていないために、一年の単純な価格競争のみと。その結果、毎年どういう事業者になるのか大変不安な思いをされているということもお伺いしました。
 複数年契約というのは、やはり働く人にとっても雇用の継続性、安定性という側面がすごく大きい。しかも、ノウハウを蓄積できることによって、そのことが東京都の公共サービスの質の向上にも大きくつながっていくというふうに感じたところで、こうした視点をぜひ広げていただきたいなというふうに思います。
 財務局は予算の調製という大事な機能を担っています。この仕事を担うことを考えても、やはり単なる価格競争だけでなく、この総合評価方式、さらには複数年度契約について各局に対してぜひ働きかけを強めていただきたいですし、様々な好事例も紹介していただきたいなというふうに思っています。
 そこで、最後に伺いますが、業務委託における総合評価方式の導入をさらに拡大していくために、どのような方策があるのか伺います。

○前山契約調整担当部長 業務委託における総合評価方式の導入は、業務の品質の確保、向上を目的といたしまして、その効果が期待できる業務に対しては積極的な活用を推進しているところでございます。
 一方で、価格競争は地方自治法における入札の原則であり、多くの事業者に入札への参加機会を提供することができ、また、新規の事業者であっても参入しやすい側面もございます。
 総合評価方式の採用に当たっては、このような制度の特徴も踏まえつつ、個別の案件の事情も勘案しながら、発注局それぞれが総合評価方式を適用すべき案件を適切に選定し発注できるよう、今後とも、財務局として支援をしてまいります。

○池川委員 財務局としては支援をしていくという答弁でした。
 各局が自主的に導入を検討できるよう支援するとともに、やはり価格競争だけでなく、良質な公共サービスをどうやって保障していくのか、これをきちんとやっていくことが必要だというふうに思います。
 また、専門的な知見を有する方々が、その専門性にふさわしく仕事を担ってもらうためにも、業務委託契約における総合評価方式を進めていくことは有益だというふうに考えます。
 なお、やはり東京都が知見を確保する、全て直営で担うということは難しいかもしれませんが、必要な部署をやはり直営で持っていることによるメリットがすごく大きいと感じる場面もこの間多々あります。その点では、本来直営でやるべき業務については、委託すべきではないということも重ねて申し上げたいと思います。
 次に、基金の問題について伺います。
 昨年度の決算は、当初予算と比較をして大きく税収が伸びたことが特徴として挙げられます。都税収入が当初予算で五兆四百五十億円であったものが、最終補正予算時点で五兆六千六十八億円、さらに、決算では五兆八千四百七十九億円まで増加をしています。
 こうした中で、税収の伸びに対応して基金をどのように活用してきたのかについて確認をしていきたいと思います。
 財政調整基金の活用方針について伺います。あわせて、最終補正予算時点での財政調整基金の取崩し額、本決算における取崩し額、決算における残高についても伺います。

○田中理事 財政調整基金は、税収が増加している際などに積み立て、税収の減少局面や突発的な財政需要の発生など、財源が不足する場合に取り崩しております。
 財政調整基金を適切に活用することにより、年度間の財源を調整し、長期的な視点から健全な財政運営を図っているところでございます。
 令和三年度最終補正予算時点では、都税収入の伸びに伴う義務積立てを計上する一方、取崩し額は三千七百五十一億円を見込んでおりましたが、決算においては、さらなる都税収入の伸びや歳出の精査などにより取崩しを全額抑制した結果、残高は七千二百七十二億円まで回復しております。

○池川委員 昨年度は、結果として財政調整基金の取崩しはゼロだったということです。残高が、その結果七千二百七十二億円だったということです。
 年度間の財源調整が財政調整基金の重要な役割であります。同時に、物価高騰や長期化するコロナ対策などに対して、やはり積極的に活用していくことも必要であると考えます。
 次に、財政調整基金の義務積立てについて伺います。
 財政調整基金条例には、税収が増加した際の義務積立てについての規定がありますが、この意義はどのようなものなのか、また、昨年度の決算における義務積立ての内容はどうなっているのか伺います。

○田中理事 都では、過去の景気変動や税収低迷に伴う基金残高の枯渇といった経験を踏まえまして、急激な財政環境の変化に弾力的に対応できる財務体質の確立に向け、独自の制度として、都税収入の伸びが見込まれる場合に、その一部を基金に積み立てることを自ら義務づけております。
 こうした制度を通じて財政調整基金の残高確保に努めるなど、継続的な施策展開を支える財政基盤の堅持につなげており、大変重要なものと認識しております。
 令和三年度におきましては、都税収入の伸びに伴い千九百四十四億円の義務積立てを行っております。

○池川委員 税収の伸びに対応して、最終補正予算では一千九百四十四億円の義務積立てを行ったということです。さらに、当初予算でも前年度からの税収の伸びに対応して四百四億円を義務積立てしているというふうに確認をしています。
 こうした制度は、ほかの自治体にはほとんどなく、まさに東京都ならではの制度だというふうに伺っていますが、私も意義ある制度だというふうに感じています。
 だからこそ、急激な物価高騰などに対応して命を守る、暮らしを守る、そういうときには、この財政調整基金を思い切って活用することも必要だということを併せて申し上げておきたいと思います。
 オリ・パラ基金の活用について伺います。
 五輪延期に伴う費用とコロナ対策で一千九百十六億円を追加し、積立て総額は約七千九百億円となったというふうに思います。
 五輪経費については、当初試算されていた経費よりも大きく膨らんだこと、本来は組織委員会が負担すべきところを東京都の負担になったことなど、その在り方については様々この間も議論をさせていただいたところであります。
 そこで、確認も含めて伺いたいと思いますが、オリ・パラ基金の活用方針はどのようなものか。あわせて、最終補正予算時点でのオリ・パラ基金の取崩し額、本決算における取崩し額、決算における残高について伺います。

○田中理事 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金について、都は、東京二〇二〇大会の開催に当たり、将来に負担を残さないという考え方に基づき、歳出の精査等で生み出された財源などを活用して積立てを行い、大会開催のための財源として適切に活用してまいりました。
 令和三年度最終補正予算時点の取崩し額は三千七百四十億円を見込んでおりましたが、令和三年度決算における取崩し額は二千五百十億円、残高は千七百八十億円となってございます。

○池川委員 結果としても、五輪終了後において現在一千七百八十億円の残高があるということです。実際には、この中に国費が含まれており、東京都の独自の財源としては一千四百億円程度だというふうに聞いています。
 若干、今年度もこの基金を支出することになっておりますが、今後どう活用していくのかが問われていると思います。特定目的基金として、いわゆるオリ・パラ基金の役割を終えることになると思います。都民の暮らし、スポーツ、文化活動などに積極的に充てていく必要性もあるのではないかと考えます。
 そこで伺いますが、オリ・パラ基金の今後の活用の見通しについてはどのようになっているでしょうか。

○田中理事 東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金の残高の取扱いにつきましては、今後対応を検討してまいります。

○池川委員 国のお金を抜くと一千四百億円程度の今基金が残っていると。この基金の取扱いについては、今後対応を検討していくということでありましたが、やはりここは、暮らし、そしてスポーツ、文化などに活用していくことが望ましいのではないかということを考えております。
 この基金の活用方針については、財政調整基金と特定目的基金の組合せ、今回の決算の場合は、さらに税収増という中で、基金の取崩しを最大限抑えて財政運営されたというふうに思います。
 こうしたときに、やはり今、物価高、長期化するコロナ、こうした問題に立ち向かっていかなければならない。そうした都民の暮らしにぜひ寄り添うような対応を求めて、質問を終わります。

○斉藤委員 まず、耳マークの普及についてお伺いします。
 東京都中途失聴・難聴者協会からの昨年度の予算要望として挙げられていた都庁受付への耳マークの設置について、財務局は、公共性、公平性の観点を踏まえ、今後も引き続き検討と回答しているが、その後どのような検討がなされているのか、都庁舎受付における聴覚障害の方々への対応も含めてお伺いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 耳マークの普及、掲示につきましては、聴覚障害者の方へのマークが複数あることもあり、取扱いにつきましては、関係局とも連携を図り、引き続き検討しているところでございます。
 都庁舎におけます聴覚障害者の方々への対応につきましては、第一本庁舎及び第二本庁舎の一階、二階に設置しております総合受付のうち、来庁者が多く訪れます第一本庁舎一階につきましては、常時手話対応が可能な案内員を配置しております。
 また、全ての受付には、聞こえに不自由な方へ筆談しますという案内表示を掲示するとともに、スマートフォンを用いた遠隔手話通訳サービスも利用できるようにしております。
 さらに、聞こえが不自由な方への対応といたしまして、声が聞き取りやすくなるスピーカーを全ての受付に設置するなど、今後とも、都庁舎を訪れる聴覚障害者の方々がお困りすることがないように努めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 当事者の方々が分かりやすく、不自由ない対応になることを引き続きお願いいたします。
 次に、都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインについてお伺いします。
 近年、加齢による難聴者の増加なども含め、難聴者並びに聴覚に障害を持つ人は障害グループの中で大きな割合を占めていることから、この状況下において、都立建築物における障害者対応、とりわけ聴覚障害を持つ人への対応を想定したサイン等の設置が求められるのが望ましいと考えています。
 都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインにおいて、聴覚障害者への配慮について伺います。

○金子技術管理担当部長 都は、全ての人が快適に利用可能な都有施設とするため、都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインを定め、施設整備を進めております。
 聴覚障害者の方に対する配慮として、見通しの確保、視覚情報による案内、誰にでも見やすいサイン、非常時の光警報装置などを設計時に検討することとしております。
 引き続き、ガイドラインに基づき、都有施設の新築、改築、大規模改修の際に、聴覚障害者の方に配慮した整備を推進してまいります。

○斉藤委員 他方で、令和三年五月の財政委員会では、多機能トイレの設置について、利用頻度を考えてバランスよく設置とした答弁が出ています。利用頻度が対応の基準になっているのでしょうか。
 都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインにおけるトイレの考え方について伺います。

○金子技術管理担当部長 都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインにおけるトイレの考え方につきましては、利用頻度を考えて、車椅子使用者用便房、男女共用便房、オストメイトや乳幼児連れ用設備等を備えた便房をバランスよく配置することとし、トイレの多機能化を図り、車椅子使用者便房に利用が集中しないよう機能の分散に配慮することとしております。
 都庁舎では、都庁舎改修プロジェクトに合わせて、各庁舎の一階や展望室など都民利用が多いフロアを中心に車椅子使用者便房やオストメイト設備等の整備を行うなど、来庁者の利便性の向上のための取組を実施しております。
 今後とも、ガイドラインに基づいた都有施設の整備を行い、多様な利用者の幅広いニーズに配慮したトイレの整備を推進してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 利用頻度も重要ではありますが、障害種別の実数なども踏まえ、当事者の方々にとってより利便性の高い都立建築が増えていくためにご尽力いただければ幸いです。
 最後に、入札における障害者雇用率についてお伺いします。
 入札における障害者雇用率について、総合評価方式は、価格点と技術点を総合評価するものであると理解していますが、技術点における項目として適切に評価をされているのかお伺いします。

○前山契約調整担当部長 総合評価方式における技術点については、技術者の資格や過去の工事成績評定の実績など、企業の技術力に加え、女性活躍推進や災害協定の締結の実績などの企業の社会性、信頼性を評価項目として設定しているところでございます。
 企業の社会性、信頼性の項目における加点については、総合評価方式の本来の趣旨である品質確保が損なわれることがないよう、価格点と技術点、また、技術点における技術力と社会性等のバランスに留意しながら設定することとしており、各評価項目については個別法令の要請があり、認定、認証など、都が客観的に技術内容を確認できる項目などを設定しているところでございます。
 ご指摘の障害者雇用率につきましては、こうした考え方の下、企業の社会性の一項目として設定しているものでございまして、法定雇用率を上回る雇用をする入札参加者を評価する仕組みとなっているところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 私は、障害者雇用が増えていくことには大いに賛成しますが、企業の入札条件などの何らかの対外的な評価のためだけを目的にした雇用については、複雑な思いを持っています。
 障害者雇用を通じて、障害者が働くことや社会進出について社会全体で考えていく契機として活用されることを願っています。
 以上で私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○柴崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○柴崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
    午後二時五十六分散会

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