令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

令和四年十月二十一日(金曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井あきら君
副委員長石島 秀起君
副委員長細田いさむ君
北口つよし君
鈴木  純君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
菅原 直志君
風間ゆたか君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化スポーツ局局長横山 英樹君
生活安全担当局長小西 康弘君
次長理事兼務渡邉 知秀君
理事古屋 留美君
理事川瀬 航司君
総務部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
都民安全推進部長小室 明子君
消費生活部長片岡 容子君
私学部長戸谷 泰之君
文化振興部長蜂谷 典子君
スポーツ総合推進部長中嶋 初史君
スポーツ施設部長小池 和孝君
企画担当部長吉原 宏幸君
都民活躍支援担当部長小野 由紀君
男女平等参画担当部長樋口  桂君
治安対策担当部長油谷 行泰君
若年支援担当部長米今 俊信君
文化戦略推進担当部長宮永 浩美君
文化施設改革担当部長石井 浩二君
スポーツ担当部長山根  勉君
パラスポーツ担当部長齊藤 陽睦君
事業推進担当部長工藤 慎市君
開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務柏原 弘幸君
施設整備担当部長小久保信一君
施設整備担当部長久野健一郎君
スポーツ施設担当部長永井 伸芳君

本日の会議に付した事件
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化スポーツ局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化スポーツ局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化スポーツ局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、生活文化スポーツ局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○久故総務部長 去る十月十二日の当分科会において要求のありました資料につきましてご説明いたします。
 お手元に配布の令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりください。目次に記載のとおり、要求のございました資料は十五件でございます。
 一ページをお開き願います。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの所得区分別の実績を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの学校種別の実績を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの貸付額と貸付人員を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(令和三年度)でございます。
 生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(令和三年度)でございます。
 予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の受給者数と実績額の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度における学校種別の児童生徒数、受給者数及び実績額を記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立学校デジタル教育環境整備費補助の実績及びICT機器等の整備状況でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの補助実績と整備状況を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立専修学校修学支援実証研究事業における支援実績の推移でございます。
 協力校数、協力者数及び支援金額の実績を記載しております。
 九ページをお開き願います。9、東京ウィメンズプラザの施設利用率、相談件数及び相談員数の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの実績を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、「アートにエールを!東京プロジェクト」の応募・支払状況でございます。
 個人型、ステージ型について、応募数、個人登録数及び企画採択数、支払い数を記載しております。
 一一ページをお開き願います。11、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの予算額と決算額を記載しております。
 一二ページをお開き願います。12、都立スポーツ施設の指定管理料の推移でございます。
 平成三十年度から令和四年度までの施設別の指定管理料を記載しております。
 一三ページをお開き願います。13、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内障がい者スポーツ指導員登録者数でございます。
 平成二十九年度から令和三年度までの委嘱数と登録者数を記載しております。
 一四ページをお開き願います。14、TOKYOスポーツ施設サポーターズ事業の利用実績(令和三年度)でございます。
 令和三年度の利用実績を記載しております。
 一五ページをお開き願います。15、都立特別支援学校活用促進事業での体育施設の貸出実績でございます。
 令和元年度から令和三年度までの学校別の貸出実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○石島委員 自由民主党の石島秀起です。
 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきますので、よろしくお願いをいたします。
 まず初めに、町会、自治会へのデジタル活用支援についてお伺いします。
 インターネットが生活のインフラとなりつつある中、デジタルに不慣れな方々は、様々な場面で不便を強いられる状況になっています。町会、自治会の運営においても、コロナ禍を通じて電子回覧板などのデジタルツールの活用が有効であると認識されてきましたが、多くの町会、自治会では、その対応が困難となっています。
 こうした中、東京都では、地域の底力発展事業助成に、昨年度、新たな事業区分としてデジタル活用支援を新設し、十分の十の助成率を適用して、活用の誘導を図ることにしました。
 そこでまず、このデジタル活用支援を導入した目的についてお伺いします。

○馬神都民生活部長 人と人とが直接会えない状況でも、デジタルを活用して住民同士の交流を図り、地域コミュニティのつながりを強めることで、町会、自治会の活性化を図ることを目的に導入いたしました。
 例えば、オンラインでの防犯講習会や未加入者へのホームページやSNSを活用した情報発信、高齢者へのスマホ教室などが事業の対象となります。

○石島委員 オンライン講習会、ホームページやSNSを活用した情報発信、スマホ教室など具体的な事例を挙げられましたが、そこで、昨年度の地域の底力発展事業助成において、デジタルを活用した事業のそれぞれの申請件数と、その内容についてお伺いします。

○馬神都民生活部長 昨年度は、底力発展事業助成全体で五百二十二件の申請があり、そのうちデジタルを活用した事業は三百四件と約六割を占めております。具体的には、都から講師を派遣するスマホ教室の開催が二百二十七件と最も多く、そのほか、オンライン会議を行うための講習会やLINEを使った安否確認訓練などの事業がございました。

○石島委員 スマホ教室の開催が二百二十七件とのことで、高齢者層への普及という観点からは一つのきっかけになったのではないかと思われます。ただ、スマートフォンにしても、一度教わっただけではなかなか扱えないという現実もあるので、継続して支援を行っていくことが大切です。
 また、今後は、町会活動にデジタルを取り入れる事業も増やしていく必要があります。
 私の地元中央区では、全世帯の約九割がマンションに居住しておりまして、約九百棟ある分譲マンション居住者の町会加入率も極めて低いのが現状であります。
 先ほどデジタル活用支援の導入目的として、未加入者にも町会、自治会の活動情報を届けていくとの答弁がありましたが、そのような取組も有効であると考えます。
 そこで、マンション住民など未加入者が町会、自治会の活動情報を得やすくするため、昨年度どのような取組があったのか、また、このような取組をさらに広げていく必要があると考えますが、今後の方策についてお伺いします。

○馬神都民生活部長 ホームページを作成し、QRコードなども活用して、未加入者世帯に周知する事業や、祭りの模様をオンラインで配信する事業等が行われました。こうした取組を通じて、町会が地域で様々な活動を行っていることを初めて知ったなどの声もございました。
 今後は、デジタルを取り入れた事例を分かりやすくまとめて広く普及することで、未加入者への情報発信などの取組をさらに促進し、町会、自治会活動の活性化につなげてまいります。

○石島委員 特に区部中心部では、町会、自治会の加入者の減少や高齢化が進んでおり、運営そのものが立ち行かなくなる懸念があります。デジタルの活用も含め、町会、自治会への支援に積極的に取り組まれることを要望させていただきます。
 次に、消費者生活相談について質問します。
 都民が悪質商法や複雑な契約トラブルなど消費者被害に遭ったときに、問題解決の支えとなっているのが都や区市町村の消費生活センターなどの相談窓口です。特に区市町村の消費生活センターは、身近な地域で相談することができるという点で重要であると考えます。
 そこでまず、消費生活相談において、東京都の消費生活総合センターと区市町村の消費生活センターとはどのような関係にあるのか、お伺いします。

○片岡消費生活部長 都の消費生活総合センターは、高度専門的、広域的な相談対応を行っており、都内全区市町村の地域からの相談に対応しております。また、専門性を生かして、センター・オブ・センターズとして、相談に関する情報やノウハウの提供等をすることなどにより、区市町村の相談業務への支援を行っております。
 一方、区市町村の消費生活センターは、住民に最も身近な相談窓口として相談に対応しておりまして、都と区市町村が密接に連携しながら、都民の消費者トラブルの解決を図っています。

○石島委員 都のセンターが消費生活相談において、センター・オブ・センターズとして区市町村への支援の役割を担っていることは理解しました。都民の相談を円滑に解決につなげるためには、相談員の知識やスキルの向上が必要ですが、それぞれの区市町村が個々に対応することは難しく、高度な専門性を持つ都のセンターが相談に関して知識やノウハウを共有することが必要です。
 そこで、都消費生活総合センターは、昨年度、相談業務において区市町村にどのような支援を行ったのか伺います。

○片岡消費生活部長 都消費生活総合センターでは、都と区市町村との相談情報の共有化を図るため、毎月定期的に情報連絡会を開催し、対応に高度専門的な知識を要する相談事例を共有するほか、都と区市町村との情報共有専用のサイトを通じまして、相談業務に必要な最新情報を百十件提供しております。
 また、相談員のスキルアップのための研修を十一回開催するとともに、解決が困難な案件に対しましては、弁護士等専門家の助言が得られる機会を提供するなどの支援を行っております。

○石島委員 消費者相談の内容は、高度化、複雑化しています。区市町村の消費者センターの状況は様々だと聞いていますが、どの地域に住んでいても、都民が消費生活相談を受け、迅速な解決につながるよう、今後も引き続きしっかりと支援をしていただくことを要望します。
 次に、成年年齢引下げに伴う取組について伺います。
 民法の改正により、本年の四月から成年年齢が二十歳から十八歳に引き下げられました。これにより、親権者の同意がなくても、自らの判断で高額な商品購入や金銭の借入れができるようになり、未成年者取消権が使えなくなるため、十八歳、十九歳の若者を狙った消費者被害が拡大するおそれがあります。
 こうした成年年齢引下げに伴う若者の消費者被害の未然防止を図るために、消費者教育の強化が必要と考えますが、都は、改正法施行が目前となった昨年度はどのような取組を行ったのか伺います。

○片岡消費生活部長 都では、成年年齢の引下げに伴う若者の消費者トラブルの防止を図るため、都内全ての高校二年生とその保護者に対して、啓発ノートやリーフレットを各十二万部作成し、配布いたしました。また、公立、私立の学校現場とも連携して、教員向けの消費者教育講座の実施や、消費者教育コーディネーターの提案により高等学校で出前講座を実施するなどの取組を行いました。
 さらに、若者参加型の啓発事業として、若者からラジオCM用コピーを公募し、約二千八百件の応募の中から優秀な三作品を映像化いたしました。ユーチューブ、ツイッター広告など様々な媒体で展開し、現在の再生回数は合計で十一万回を超えております。

○石島委員 昨年度は様々な取組を行ってきたことは理解しました。若者に確実に届くように伝えること、また自分事として考えてもらうようにすることが重要であり、都の取組は効果的なものであると考えます。
 四月以降、若者の消費者トラブルに関わる相談は急増していないとの報道もありましたが、成人になったばかりの若者は、社会的な経験、知識が十分でないことから、悪質事業者のターゲットにされやすく、引き続き被害防止の取組を行っていくことが必要です。
 そこで、若者の消費者被害の未然防止のために今後どのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○片岡消費生活部長 消費者被害の未然防止は、まず被害の実態について知ってもらうことが必要であることから、東京くらしWEBの特設ページやSNS等により、若者に向けて成年年齢引下げの周知と注意喚起を継続して行ってまいります。また、若者参加型の啓発事業を引き続き実施するとともに、消費者被害の低年齢化に対応するため、高等学校に加え、中学校等へも消費者教育の充実に向けて取組を拡大してまいります。
 今後も学校現場との連携の強化など、若者の消費者被害の未然防止の取組の充実を図ってまいります。

○石島委員 国民生活センターによりますと、成年年齢が十八歳に引き下げられて今月で半年になりますが、この間寄せられた相談件数は約四千二百件で、去年と同じ時期に比べて急増はしていないとしながらも、十八歳や十九歳からの脱毛エステに関する相談が去年の同じ時期に比べて七倍に急増しているとの調査結果が出ています。東京都としても、引き続き若者の消費者被害の未然防止のために取組を強化されることを要望いたします。
 次に、公衆浴場対策について質問します。
 公衆浴場は、都民への入浴機会の提供に加え、福祉サービスの提供や伝統文化の発信も行うなど、地域の交流拠点として大切な役割を担っています。こうした浴場に対して都が行っている様々な支援の中で、特に省エネ等を進めるクリーンエネルギー化等推進事業や利用者の安全・安心を確保するための耐震化促進支援事業は、浴場に期待される役割を維持する上でとても重要な事業であるといえます。
 そこで、公衆浴場クリーンエネルギー化等推進事業及び公衆浴場耐震化促進支援事業の過去三か年の実績について伺います。

○片岡消費生活部長 公衆浴場クリーンエネルギー化等推進事業の利用実績は、令和元年度三十九件、二年度三十件、三年度五十四件でございました。
 また、公衆浴場耐震化促進支援事業の利用実績は、令和元年度三十八件、二年度三十三件、三年度三十件でございました。

○石島委員 今の答弁では、コロナ禍にもかかわらず、クリーンエネルギー化等推進事業の実績が特に三年度においては大きく伸びていることが分かりました。また、耐震化促進事業については、件数はほぼ横ばいながらも、各浴場がしっかりとした意識を持ち、いつ発生するか分からない災害に備えていることがうかがえます。都としても引き続き支援を継続されるよう、要望いたします。
 ここで、クリーンエネルギー化等推進事業についてですが、実際、この実績が伸びている理由についてお伺いします。

○片岡消費生活部長 令和三年度から、省エネを促進するため、高効率空調機設置補助を補助対象に追加し、十七件の実績がございました。さらに、クリーンエネルギー化や既設ガス燃料設備更新等の実績も前年度より増えております。

○石島委員 利用者の減少や燃料費の高騰など、公衆浴場を取り巻く環境が厳しさを増す中、クリーンエネルギー化など、省エネへの取組を積極的に進めていることは、経営への強い意思を感じられ、とても心強い限りです。
 地域の交流拠点という大切な役割をも果たす公衆浴場を減らさないためにも、こうした事業を丁寧に周知したり、好事例を紹介するなど、きめ細かな対応を行うことを要望します。
 次に、私立幼稚園教育水準向上支援事業費補助について伺います。
 幼児期は、生活や遊びを通して様々な体験をすることで人間形成の基礎を培っていく重要な時期であり、幼児期における教育は子供たちの健やかな成長を促す上で極めて大切なものであります。
 中でも私立幼稚園は幼稚園児の九割が通っており、それぞれの園が創立者の教育理念の下に創意工夫あふれる教育を行っており、幼児教育の中核としての役割を果たしてきたと考えています。
 一方で、少子高齢、人口減少社会が進行する中で、共稼ぎ世帯の増加、就労環境の多様化等により幼稚園を取り巻く環境は大きく変化しており、この間、幼稚園は預かり保育を充実するなど、社会的なニーズに対応をしてきました。さらに、幼稚園では集団生活を通じて、家庭では体験し難い社会、自然、文化等に触れるなど、幼児期に育みたい資質、能力を育成する質の高い教育の実践を求める声も拡大しています。
 こうしたニーズに対して、都では令和三年度から、私立幼稚園教育水準向上支援事業費補助を開始しています。
 そこで、初めに、この事業の概要について伺います。

○戸谷私学部長 この事業は、私立幼稚園における教育水準のより一層の向上を促進するため、幼児教育の内容や方法の改善、幼児教育を担う人材の育成や専門性の向上など、各園が行う質の高い幼児教育の実現に向けた取組に対して補助を行うものでございます。
 一つの幼稚園当たり百万円を上限に、取組に係る経費の全額を補助しているところでございます。

○石島委員 幼稚園が行う質の高い幼児教育の実現に向けた取組に対する補助という答弁がありました。質の高い幼児教育とは、具体的な例としてどのような取組があるかを伺います。

○戸谷私学部長 具体的な取組についてでございますが、例えば幼児教育の内容や方法の改善といたしましては、園内のスペースを活用して畑を整備し、農作物を育て、収穫して食べるまでの活動ですとか、本格的な楽器を整備して、本物の音に触れる音楽の教育を実施するなどの取組がございます。
 また、人材の育成や専門性の向上といたしましては、定期的に幼児教育に関する外部研修やクラス運営能力の向上を図るための研修などへ教職員を参加させるといった取組がございます。

○石島委員 食育や幼稚園の教職員の質を向上させるための研修等が具体例として挙げられており、ぜひとも多くの幼稚園から取組を申請していただくことを期待します。
 次に、初年度であった令和三年度の実績について伺います。

○戸谷私学部長 令和三年度の予算は二億円でございます。実績としては、八十一の幼稚園に対しまして約六千六百万円を補助しているところでございます。

○石島委員 初年度であるのでやむを得ない部分もあろうと思いますが、執行率は三割強にとどまっています。
 この執行率が低くなった理由について伺います。

○戸谷私学部長 どのような取組が補助対象となるのか分からないといった幼稚園からの声を受けて、具体的な取組例を示したところですが、それに対して実施が間に合わなかったという園がございました。
 また、保護者や地域の方々に学校の取組を評価してもらう学校関係者評価がこの補助の要件となってございますけれども、それを実施していない園があることから、結果として各園からの申請が少なかったというものでございます。

○石島委員 申請が少ない理由については、既にこの分析は済まされているようですが、こうした分析を踏まえ、どういった対策を実施していくのか伺います。

○戸谷私学部長 都のホームページにおきまして、実際に補助対象となった園の取組事例を写真などを掲載して分かりやすく紹介しているところでございます。
 また、学校関係者評価の実施方法をリーフレットで周知するほか、評価の実施に係る事務経費を経常費補助の特別補助で対応するようにしてございます。
 都は、こうした対策によりまして、幼稚園の教育水準の向上の取組を一層推進してまいります。

○石島委員 ホームページも拝見しました。各園でいろいろな取組がなされているのがよく分かる内容となっていました。ぜひこうした実例を多くの幼稚園に周知していただき、この補助の活用を促していただければと思います。
 私立幼稚園は、建学の精神に基づき、それぞれの園が特色ある教育を行っているところでありますが、幼稚園における教育水準がさらに高まるよう、都として引き続きしっかりと支援していただくことを要望します。
 次に、障害者スポーツについてお伺いします。
 障害のある人にとってのスポーツや運動は、健常者以上に重要です。健康維持やリハビリのほか、仲間づくり、社会参加等、様々な効果や効用があるといわれており、自主的に、そして気軽に取り組めるようにすることが肝要です。そのためには、身近な地域でスポーツに親しめることが不可欠です。
 例えば、地域の体育館に競技用車椅子やボッチャなど障害者スポーツ特有の用具を備えることは、スポーツ活動の充実につながります。また、体験会など、多くの機会を提供することで、障害者がスポーツや運動に取り組むハードルは低くなります。
 そこで、身近な地域における障害者スポーツの実施に向けて、都は、補助制度を設けて区市町村の取組を支援していますが、令和三年度の補助実績は令和二年度と比較してどのような状況であったか、伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害のある方が身近な地域で継続的にスポーツを楽しめる環境づくりを進めるために、区市町村が主体的に取り組む障害者スポーツ事業に対して補助事業を実施しております。
 令和三年度は、コロナ禍において事業が中止されることがございましたが、フライングディスクやダンスなどのスポーツ教室のほか、フットサルの大会等、三十九地区九十二件の事業に対し支援を行いました。
 令和二年度の実績は三十六地区七十一件でございまして、地区数、事業件数ともに増加をいたしました。
 また、本事業におきましては、競技用具等の購入費も補助対象としておりまして、昨年度は、障害者がチーム対抗で楽しむ交流会や大会等のため、ボッチャのセットや専用コートなどの購入の実績がございました。

○石島委員 令和二年度より事業件数が増加したことは、すなわち障害者のスポーツの機会が増えたということで、よい傾向と捉えますが、コロナ禍でスポーツ教室等が中止、縮小になる場合もあります。区市町村における取組を一層進めるためには、都の後押しが欠かせません。
 また、リハビリ施設にあるような、車椅子の方が使いやすいトレーニングマシンの設置なども障害者のスポーツ環境整備に効果があります。
 区市町村において都の制度が活用されるためには、どういう場合に用具の購入や機器の設置が制度の対象になるのか、補助制度の具体的な事例が普及し、区市町村の担当者が理解していることが大切です。
 そこで、障害者スポーツ実施や環境整備に関わる補助制度について、令和三年度、東京都は、区市町村に対しどのような周知に取り組んだのか伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害者スポーツに関する区市町村向けの補助制度につきまして、スポーツ主管課長会議や補助金担当者向けの説明会などの場において周知を図ったところでございます。
 具体的には、区市町村が主体的に取り組む障害者スポーツ事業に対する補助につきましては、競技用車椅子やプールへの入水等をしやすくするための移動式リフトなど、備品購入が補助対象となる事例について情報提供を行いました。
 また、高価な機器購入を含むハード面の補助につきましては、車椅子テニスが実施できるコートの新設、改修やスロープの設置、サウンドテーブルテニス専用台等の大型備品の購入など、具体的な事例をお示ししました。
 そのほか、区市町村との個別の打合せ等の様々な機会を捉え、補助制度の積極的な活用について働きかけを行いました。

○石島委員 様々な機会を捉えて補助制度の周知を図っているとのことでしたが、さらに制度の活用を進めていくためには、区市町村に対し具体的な事例を分かりやすく示して、周知を図っていただきたいと思います。
 例えば、先ほど申し上げた、車椅子の方が使いやすいトレーニングマシンが大型備品としての補助の対象になるのであれば、その事例もぜひ加えていただくようお願いいたします。
 これまで都議会自民党は繰り返し指摘してきましたが、身近な場所にスポーツや運動をする環境を整備し、機会をつくるためには、区市町村における取組が重要です。障害者がスポーツに親しみやすくなるためにも、区市町村に制度の積極的な活用を促し、きめ細かな後押しをすることを求めておきます。
 次に、文化振興費の関係から、アール・ブリュットの振興について伺います。
 アール・ブリュットは生の芸術と訳され、大学等における美術の専門教育を受けていない人たちが自身の内側からあふれる衝動を独自の発想と方法で表現した作品といわれており、日本では知的障害や精神障害のある方が主な作家として紹介されています。
 アール・ブリュットには人をたきつける不思議な魅力があり、作品を通じて人間の多様性を理解する大きなきっかけを与えてくれます。こうしたアール・ブリュットの振興は重要であり、そのためには、都民が作品に触れることによりアール・ブリュットを知り、理解を深める普及啓発が大事であると考えます。
 そこで、令和三年度に都が行ったアール・ブリュットの普及啓発について実績を伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 都は、東京都渋谷公園通りギャラリーなどにおきまして、共生社会の実現に寄与するため、アール・ブリュットをはじめとする様々な作品の展示や交流プログラムを実施しております。
 令和三年度は三つの企画展を行ったほか、中野区、福生市と連携し、巡回展を実施いたしました。企画展と巡回展を合わせ、約二万五千人が来場され、また、ワークショップなどのオンラインイベントは約十三万八千回視聴されるなど、都民が多様な創造性や新たな価値観に触れる機会を提供いたしました。

○石島委員 企画展、巡回展の開催やオンラインイベントを通して、多くの方々が展覧会やイベント等に足を運び、アール・ブリュットに触れる機会を提供したことは大変よい取組であったと評価します。
 そこで、来場された方々からは、実際に作品に触れ、具体的にどのような声が寄せられたのかを伺います。

○宮永文化戦略推進担当部長 企画展、巡回展を観覧された方からは、展覧会を通して作家の魂に触れ、とても刺激を受けた、どの作品もすばらしく、見るたびに新たな発見があったなどの声が寄せられており、アール・ブリュットへの関心が高まったと認識しております。
 また、これからも多くのアーティストの作品に触れてみたい、アール・ブリュットの作品を手元に置きたい、機会があれば作品を購入したいといったアーティストの活動の幅を広げることにつながる声もあり、普及啓発の取組をさらに進めることが求められていると考えております。

○石島委員 アール・ブリュットの普及については、展覧会やイベント等の実施により一定の認知度を高める役割を果たしていることが、参加者数や参加された方々の生の声からも有効であることが分かりました。
 このように、都民が様々な芸術文化と出会い、ダイバーシティの理解促進や包容力のある共生社会の実現に寄与する取組を今後も引き続き進めてもらいたいと思います。
 また、アール・ブリュットの普及啓発に取り組み、認知度が高まれば、作家、特に障害のある方の収入を安定させ、経済的自立支援にもつながることが期待をされます。既に民間企業では、障害者の自立支援を側面から応援するために、アール・ブリュット作家に作品の制作を依頼する取組を行っているとの報道もありました。
 このように、アーティストと企業とのマッチングが日々行われるような環境づくりに、都としても積極的な関わりを持っていただくことを期待いたします。
 それでは、最後の質疑になりますが、これまでの質疑では、令和三年度の決算に関して、町会、自治会への支援、消費者生活相談や公衆浴場対策、私立学校振興、芸術文化振興のほか、スポーツ振興に関する質問を行いました。生活文化スポーツ局は組織が再編されたことにより、都民生活に身近な幅広い施策を展開することになったということがよく理解できました。今後、都民の生活を支える多様な事業を一層効果的に推進していくことが必要と考えます。
 そこで、最後に、多様な事業を所管する局として、今後の事業展開に対する局長の見解を伺います。

○横山生活文化スポーツ局長 ただいま石島副委員長から、町会、自治会支援をはじめとする多岐にわたるお話をいただきました。まさに生活文化スポーツ局がこれまでにも増して日常生活と関わりの深い幅広い事業を実施しているということでございます。当局の果たすべき役割は、都民の皆様が安心して生き生きと日々の活動を行い、心身ともに豊かな生活を送ることができる、そのための基盤をつくることであると考えております。このことを達成するためには、社会情勢の様々な変化に柔軟に対応しながら、文化、スポーツなど当局の有するリソースを効果的に活用し、相乗効果を生み出して施策の拡充を図っていく必要がございます。
 今後は、誰もが自分らしく活躍できる社会の実現に向けた取組や未来を担う子供たちの可能性を広げる取組の推進に向け、局内一体的に取り組むことで施策の深化を図り、安全・安心で豊かな都民生活の実現に向け、進んでまいります。

○石島委員 局長の答弁のとおり、生活文化スポーツ局は、都民の日常生活に深く幅広く関わりを持つ事業を多数実施しており、大きな期待が寄せられていると思います。
 その反面、様々なご苦労もあると思いますが、都民ニーズを的確に捉え、事業執行されていくことを期待して、質問を終わります。ありがとうございました。

○菅原委員 委員長のご許可をいただきながら質疑をさせていただきたいと思います。
 決算審議というのは、執行した事業に対して確認をするのもあるんですけれど、もう一つあります。それは執行していないものが説明がつくかということも大事かと思います。まずは、執行されなかった事業、執行率の低い事業について説明されているかどうかということで、その観点から伺います。
 説明書を読ませていただきました。この説明書のうち、九四ページ。九四ページには、総合的な競技力向上施策の推進ということがございます。この執行率が六四・五%となっております。この執行率が低い理由について伺います。お願いします。

○山根スポーツ担当部長 都では、これまで東京のアスリート強化のために、選手の大会参加への支援やジュニア層の発掘、育成などの取組を行ってまいりました。昨年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けまして国民体育大会が中止となるなど、競技力向上に関する事業の一部が実施困難となりました。そのため、国民体育大会への選手派遣旅費など、年度の途中で不用が生じることが明らかになった予算につきましては減額補正を行ったところでございます。
 一方で、都内の団体が実施いたします地域のジュニアスポーツ大会等につきましては、感染症の状況を見極めながら、実施に向けて努力を重ねてまいりましたが、結果的に実施できない事業もございました。
 これらの結果といたしまして、執行率が六四・五%となったものでございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて国体が中止になった。この事業が執行できなかった部分は減額補正されたということで報告がありました。
 地域のジュニアスポーツ大会などの予算分は、これは執行できずに、これが執行率六四・五%ということの大きな理由だということもご説明をいただきました。
 この金額がそのまま不用額になっていますが、事務執行上で問題はないでしょうか、見解を伺います。

○山根スポーツ担当部長 不用額が生じた主な事業は、地域のスポーツ大会やスポーツ教室の開催を支援するジュニア育成地域推進事業などでございます。感染状況が変化する中で、事業の実施主体であります各区市町村の競技団体が日程の変更や規模の縮小等の工夫を行いまして、年度内の事業の実施を目指していましたことから、都としては必要な予算を維持してまいりました。
 こうした対応の結果、多くの事業は、感染症対策を行いながら実施することができましたが、その一方で中止せざるを得なかった事業もあり、それらが不用額となったものでございます。
 なお、今年度につきましては、感染症の状況を注視しつつ、対策を行いながら、適切に事業を実施しているところでございます。

○菅原委員 ジュニアスポーツ大会などの過去数年間の執行状況を伺いますと、コロナ前は順調な執行であるということを伺いました。そしてまた今年度も着実に執行されているとのことです。つまり、純粋にコロナの影響だったんだというご説明だと思います。
 この事業というのは、東京都から各区市町村にそれぞれちょっとずつ分配される形だというふうに伺いました。それぞれのスポーツ団体に予算が渡されている関係から、年度末の会計を締めないと執行状況が分かりにくいという、そういう性格の事業だという説明もいただきました。
 また、ジュニア育成という本来の目的のために、地域のスポーツ団体も、これはぎりぎりまで予算執行をしようという努力をされていた、その結果だということも想像ができます。
 未執行の割合が高くて不用額も多いため、確認をさせていただきました。説明も明快で、理解をいたしました。次に進ませていただきます。
 昨年度の生活文化スポーツ局の事業の大きなトピックは、東京オリンピック、そしてパラリンピックの開催です。
 まずは、開催に関係された皆様のご尽力に感謝を申し上げます。
 大会の直前まで、開催の是非、または無観客での開催など、様々な議論がありましたが、やはり開催してよかったのではないかと思います。多くのアスリートが活躍する姿はもちろんのこと、パラリンピックを通して多様性と調和という概念が広く浸透しました。さらに、多くのボランティアの活躍も日本国民のボランティアマインドを世界にアピールする機会となりました。さらに、コロナ禍での開催自体が世界から称賛されました。
 大会から一年がたち、幾つかの課題がありますので、今日はその点を確認します。
 まずは、大会に向けて整備された新規恒久施設の課題です。
 大会後、幾つかの施設は改修工事が行われましたが、工事の進捗状況を伺います。

○小久保施設整備担当部長 東京二〇二〇大会で整備した新規恒久施設につきましては、都民向け利用のため、昨年度から大会後改修工事を実施しており、各施設の利用者の利便性や快適性を高めるため、例えば諸室の分割や駐車場の整備、植栽の工事等を実施しております。
 有明アリーナと大井ふ頭中央海浜公園ホッケー競技場の工事は完了しており、工事が必要なかった夢の島公園アーチェリー場を含めて、既に都民にご利用いただいております。
 また、海の森水上競技場とカヌー・スラロームセンターについても、都民に早期にご利用いただけるよう工事を実施しながら、一部再開業しております。
 さらに、施工上の制約が多く、現在も工事中の東京アクアティクスセンターも含め、これらの新規恒久施設が大会レガシーとして十分に活用されるよう、引き続き大会後改修工事を着実に進めてまいります。

○菅原委員 東京アクアティクスセンター、そして海の森水上競技場、有明アリーナなどについては、大会後、全ての施設を視察させていただいてまいりました。ありがとうございます。これらの施設を大会のレガシーとして使っていくために、幾つかの課題があります。例えば、利用者を増やすことだったり、または経常経費をかけないようにするということです。これらの施設の収支バランスを図り、都民にも納得感のある恒久施設の運営が望まれますが、都の見解を伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 新規恒久施設につきましては、都民利用やアマチュアスポーツ、障害者スポーツへの配慮など、公共施設としての役割を果たしながら、可能な限り運営コストを圧縮するとともに収益を確保し、都民負担を低減していくことが重要であります。
 都では、円滑な後利用に向けて各施設管理者と連携し、各種大会や体験会、イベントの開催誘致などに取り組んでまいりました。
 例えば、大井ホッケー競技場では、ホッケー、ラクロスなどの競技大会や都民体験会を実施し、海の森水上競技場では、音楽ライブイベント等での活用も進めてきました。
 また、運営コストの削減といたしましては、カヌー・スラロームセンターでは、給水設備の運用を見直し、使用水量の抑制にも努めております。
 今後とも、各施設の特性を生かした幅広い活用を推進いたしますとともに、効率的な運営に努めることで、都民に多様な価値を提供できるよう取り組んでまいります。

○菅原委員 例えば、葛西臨海公園のカヌー・スラロームセンターについては、競技関係者による団体利用は当然として、個人利用も行われております。さらに、体験会やスクールなども行われておりまして、今までマイナースポーツとされてきたカヌーなどへの関心が高まっていると思います。唯一の都心でのコースですので、その点も強みといえると思います。新たな体験が可能な水上スポーツ施設ですし、さらに宣伝をしていただきたいと思います。
 新規恒久施設の活用は、このカヌー・スラローム会場であっても、例えば音楽やエンタメ、いわゆるユニークベニューといわれるような活用方法が大切になってくると思います。その取組を伺います。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 新規恒久施設におけるユニークベニューとしての活用等を促進するため、昨年度のスポーツ振興審議会等においても様々な活用策を検討してまいりました。エンターテインメントなどにも活用できるユニークベニューとして、カヌー・スラロームセンターでも、人工の激流を背景にした映像撮影や流れのある水面を生かしたテレビ番組収録、アトラクション撮影など、ロケ地としての活用も行ってきました。
 引き続き、スポーツや文化など多様なニーズに応じて各施設の利活用を進めてまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 新規恒久施設のさらなる活用が広がることを要望をさせていただきます。
 ちょっと角度を変えて、次の質疑に入らせていただきます。
 災害ボランティアの活動拠点の話でございます。
 東京都は、首都直下型地震による被害想定を十年ぶりに見直しました。これは五月、六月のことです。これから地域防災計画の改定などが進み、東京の防災力のさらなる向上を図っています。区市町村でもこれは同じことになります。
 災害からの復旧、復興においては多くのボランティアの活躍が不可欠で、都は、東京都社会福祉協議会と協働で災害ボランティアセンターを設置して、ボランティアが円滑に活動できるように、区市町村のセンターなどを支援することになっています。
 災害発生時に、これらの支援が機能するためには、平時からの体制づくりが必要です。都は、平常時にどのような支援を行っておりますか。令和三年度の取組を伺います。

○馬神都民生活部長 令和三年度は、災害ボランティアコーディネーター養成講座を計六回実施し、合わせて二百六十四名が受講しました。また、東京都社会福祉協議会と連携し、区市町村や地域の社会福祉協議会、NPO、NGOなどとの幅広いネットワークの構築に努めております。

○菅原委員 ご報告のあった取組は、ぜひ今後も続けていただきたく思います。
 令和元年東日本台風、いわゆる台風十九号の被害のとき、その後、私は君津市へ災害ボランティアに駆けつけました。そのときのボランティアセンターの運営は、関東一円からの社会福祉協議会の方々が担っておりました。受付から始まって情報の収集、そして手配、マッチング、ボランティアの終了報告まで一貫した運営が必要なのですが、各地から集まった社会福祉協議会の皆さんの動きはすばらしいと感じました。
 今年も山形県や新潟県、また、静岡県などで台風の災害がありました。十月十九日時点でも、静岡県の幾つかのボランティアセンターでは災害復旧の活動が行われております。
 今年の場合、県外からの募集はせず、地域の災害ボランティアで対応していたのですが、これらの情報は全国社会福祉協議会のボランティアのホームページで毎日更新されています。
 阪神・淡路大震災が起こった一九九五年は、日本の災害ボランティア元年といわれています。私はそのときから多くの被災地に赴いてボランティアをさせていただいてきました。福井県の「ナホトカ号」の重油流出事故、または新潟の地震、東日本大震災、熊本地震、台風十九号など合わせて百日以上経験をしております。
 二十七年を経て、日本のボランティアというのは本当に成長してきたのだと思っています。
 転じて、東京で大規模災害が起こった場合のボランティアの受入れ体制を見ると、少し脆弱ではないかと感じています。
 例えば、災害時のボランティアの活動拠点の整備や宿泊を伴うボランティアキャンプの体制構築が必要ではないかと思うのです。都内の大学と提携を結ぶことや基礎自治体がボランティアの受入れ拠点を設置する場合の支援など、充実策を検討するべきと考えます。新たな被害想定も出た今、東京都災害ボランティアセンターの地域への支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

○馬神都民生活部長 災害時におけるボランティアの円滑な活動を実現するためには、支援団体との迅速な連携や支援活動の拠点確保などが重要と認識しております。
 このため、地域の社会福祉協議会をはじめとする支援団体と災害ボランティアセンターのより効果的な運営に向けた検討を進めております。
 今回、新たな被害想定や地域防災計画の改定を契機に、区市町村や支援団体等のニーズも踏まえ、さらに議論を深めてまいります。

○菅原委員 最後に、局長に伺いたいと思います。
 令和三年度は、東京二〇二〇大会が開催されました。改めて、関係された職員の皆さんのご尽力に感謝をいたします。
 私たちがこれから考えるべきことは、東京二〇二〇大会の経験を都政運営と都民生活の充実に反映をしていくことだと思います。生活文化スポーツ局が担う役割は、ますます重要になります。二〇二五年には世界陸上とデフリンピックが開催されますし、文化事業はコロナ禍で大打撃を受けましたが、新しい切り口、例えばオンラインという切り口も手に入れました。
 東京二〇二〇大会という大きな事業を経験した生活文化スポーツ局の局長として、経験を力にする決意を伺いたいと思います。お願いします。

○横山生活文化スポーツ局長 東京二〇二〇大会を通じましては、委員からお話のございました新規恒久施設などのハード面と、パラスポーツへの関心やボランティア機運の高まりをはじめ、様々なソフト面のレガシーも生み出されました。
 先日、施設を視察に訪れたIOC関係者からは、競技会などで施設が活用されるとともに、体験会などで都民をはじめ多くの方々に施設が利用されて喜ばれているということ、そして様々な場面でボランティアの皆様が活躍していることに触れて、評価をいただいたところでございます。
 生活文化スポーツ局といたしまして、こうしたハード、ソフト両面のレガシーをさらに発展させ、次代を担う子供たちが未来を創造する力を養う取組や、スポーツ、文化の力で世界を引きつける取組など、施策の強化を進めていくことが重要だと考えております。
 東京二〇二〇大会の経験を生かし、都民の皆様が安心して生き生きと日々の活動を行い、心身とも豊かな生活を送ることができるよう、職員一丸となって事業を推進してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 先日、東京二〇二〇大会シティキャストのこの報告書、いただきましたので読ませていただきました。
 この中に書かれているのは、やはりボランティアマインドがすごく高まってきたという、そういう一人一人の声でした。その一人一人のこの高まってきた声、または気持ち、それをつなげる、または形にするというのはやはり生活文化スポーツ局の仕事ではないかと思います。ぜひつなげる仕事、実践していただければと思います。
 以上で終わります。

○北口委員 私からは、まず初めに、私立高等学校の授業料の保護者負担軽減制度について確認をさせていただきます。
 都は、平成二十九年度から、都議会公明党の強い要請を受けて、私立高校授業料の実質無償化をスタートさせました。これは皆さんご存じだとは思いますが、国の就学支援金に都が独自に特別奨学金として補助を上乗せすることで、支援が必要な保護者に対して授業料の負担軽減を行う仕組みでございます。
 私ごとではございますが、子供が三人おりますので、この学費の問題は本当に切実でございます。この制度があったからこそ、子供たちを何とか私立高校に通わせることができました。大変感謝をしております。私のように、この制度で助かっている世帯は数多いと思います。
 これまで本制度は内容の充実が図られてまいりまして、令和二年度からは対象となる所得基準を約七百六十万円世帯から九百十万円世帯まで引き上げたほか、所得基準を超える多子世帯への助成も新たに実施をしております。
 そこで、まずは都が行っているこの特別奨学金の令和三年度の決算額及び受給者数についてお伺いをいたします。

○戸谷私学部長 私立高等学校等に通う生徒の授業料につきましては、都は、国の就学支援金と併せて、都の特別奨学金により都内私立高等学校の平均授業料まで支援をして、その負担軽減を図っているところでございます。
 令和三年度の特別奨学金補助の決算額は百二十三億六百七十一万四千円でございまして、受給者数は六万六千四百四十二人でございます。

○北口委員 都は、国の就学支援金に独自補助を上乗せすることで着実に授業料の実質無償化を進めてきておりまして、多くの都民にご利用いただいているということでございます。高く評価をしております。
 一方で、支給に当たりましては、所得要件等の審査を経るため、実際に補助金を受け取るのが十二月の年末近くになることから、もう少し早く支給してくれないかとの声もあります。都議会公明党は、こうした保護者からの声を踏まえまして、DX活用により補助金支給までの期間を短縮すべきであると、さきの定例会でも強く求めてきたところであります。
 そこで、改めて補助金の着実な支給早期化に向けて、現在の取組状況をお伺いいたします。

○戸谷私学部長 補助金の支給早期化に向けては、DXの活用により申請手続をオンライン化し、保護者や生徒がパソコンやスマートフォンによる申請情報の入力ですとか内容の確認ができるような仕組みを導入いたします。
 また、所得要件の審査に当たりまして、必要な税額情報をマイナンバーから自動取得する新たなシステムを構築しているところでございます。
 さらに、取り扱う個人情報を厳重に管理するための体制につきまして、現在、専門家の評価を受ける手続を進めているところでございます。
 引き続き令和五年度からの支給早期化に向けて、着実に取組を実施してまいります。

○北口委員 現在、支給の早期化に向けて詳細に検討を進めていただいているということであります。ありがとうございます。
 経済的理由により子供たちが進学を諦めることがないように、また少しでも早く支給していただけるように、都としての取組を着実に進めていただきたいと思います。今後も引き続き、保護者の気持ちに寄り添って支援を検討していただくことを期待しております。
 次に、私学のデジタル教育環境整備費補助についてお伺いをいたします。
 国のGIGAスクール構想により、学校教育のデジタル化は今後ますます重要な取組となってまいります。そのため、各学校ではここ数年、一人一台端末や学校のWi-Fi環境、デジタル環境下で活用される教材やソフトウエアの充実など、環境の整備にこれまで取り組んでこられました。
 令和三年度、私立学校のデジタル教育環境整備費補助費として支出した十一億三千三百万円余りは、執行率一〇〇%となったと聞いております。このことからも、デジタル環境の整備に各学校が積極的に取り組んでいる様子がうかがえます。
 そこで、この令和三年度の本予算の申請学校数と、ここ数年の推移についてお伺いをいたします。

○戸谷私学部長 令和三年度に私立学校デジタル教育環境整備費補助を申請した学校の数は、二百八十五校でございます。
 また、それ以前の三か年についてですが、平成三十年度の申請学校数は二百三校で補助金額は約六億二百万円、令和元年度は二百六校で約六億二千九百万円、令和二年度は二百四十四校、約八億三千万円でございます。

○北口委員 年度を追うごとに本事業を活用する学校が増えていっているということで、有効に活用されていることが分かりました。まだまだデジタル機器の整備やメンテナンスなど、維持管理には継続して支援が必要だというふうに考えております。今後もぜひ継続していただきたいと思います。
 ハードウエアの整備が整ってくれば、その後はソフトウエアの充実が必要でございます。デジタル教材や電子黒板と個人端末の連携など授業システムの構築や、またそこで教える教員のデジタルスキルの向上は、まだまだこれからの課題かというふうに思います。そのため、現場で教員を支えるデジタル支援員などの支援も大変重要かと考えております。
 既に公立学校では、その取組が進んでおります。ぜひ私学におきましても、このデジタル支援員についてのサポートを要望させていただきます。
 次に、省エネ設備導入についてお伺いをいたします。
 私学においても省エネ設備の充実は、二〇三〇年カーボンハーフを目指す東京都としては重要な取組でございます。本予算も執行率一〇〇%と、人気の高い支援となっております。
 本予算は主にLED照明、空調設備、太陽光パネルなどに使えるというふうに聞いておりますが、令和三年度の決算での主な使われ方の割合についてお伺いをいたします。

○戸谷私学部長 令和三年度の実績でございますが、空調設備の導入に対しましては八億八千百三十九万三千円、LED照明や節水型トイレなどの省エネ設備の導入に対しましては三億七千九百五十六万一千円を補助してございまして、その割合は約七対三となっているところでございます。

○北口委員 本制度は平成二十一年からの制度と聞いております。時代の流れの中で事業の意義や活用のされ方も徐々に変化をしてきたと思いますが、現在におきましては、今年度の第二回定例会での補正予算においてもこの補助率が引き上げられておりまして、都における省エネ対策として充実が図られ、その重要性も増しております。
 現状では、ご答弁のとおり、空調設備の導入やLED照明、それから節水型トイレ等が主な使われ方のようでございます。ぜひ太陽光パネルや蓄電池など、省エネ設備の導入にもっと幅広くご活用いただけるように、引き続き周知に努めていただきたいと思います。今後も各学校がこの制度を活用して、私学におけるHTTの取組、一層推進されるよう期待しております。
 次に、パラスポーツの理解促進についてお伺いをさせていただきます。
 都議会公明党は、パラスポーツの振興に取り組むことは、大会の成功ばかりだけでなく、大会後のパラスポーツの発展につながるものであり、継続した取組が大切であるというふうに主張をしてまいりました。
 昨年開催された東京二〇二〇大会では、パラアスリートの活躍によりパラスポーツへの理解が進み、多くの都民の関心も高まりました。パラスポーツへの関心が高まることで、共生社会の実現につながるとも考えております。
 そこで、令和三年度、都民のパラスポーツへの理解を促進し、関心を高めるためにどのように取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○工藤事業推進担当部長 令和三年度は、ラジオやユーチューブにおきまして、パラアスリートをゲストに招いた番組を配信し、パラスポーツの魅力を発信いたしました。
 また、都民の観戦機会を確保するため、ケーブルテレビでの競技中継やチームビヨンドのオンライン観戦会を実施いたしました。自宅などから応援を届けられる仕組みや、分かりやすい解説を加えるなど、誰もが楽しめる工夫を行いました。
 東京二〇二〇大会後は、障害の有無にかかわらず誰もが参加できるボッチャ大会を開催いたしました。二十チーム募集のところ四十八チームの応募があり、小学生から高齢者まで多くの方に参加いただき、パラスポーツへの理解を高めることにつながりました。

○北口委員 ボッチャ大会のこの応募数からも分かるとおり、パラスポーツへの関心の高まりを感じております。私の家族も、地元区主催のボッチャ大会に参加をしたことがあります。障害者の皆さんと楽しみながら、この相互理解を進め、当時小学生であった子供にとっても障害者との心の壁を取り払う大変よい機会となりました。ぜひ今後も、このボッチャ大会のような、誰でもパラスポーツに参加できる機会を引き続き提供していただきたいというふうに思います。
 ハード面では、パラリンピックを契機に、東京のバリアフリー環境が改善をいたしました。
 例えば、都道では歩道の段差解消や誘導ブロックの設置が進みました。鉄道では多くの駅でホームドアの設置が完了をしております。宿泊施設では、客室のバリアフリー化が進みました。都内スポーツ施設においても同様にバリアフリー化の取組が進んでおり、障害の有無にかかわらず、多くの方にスポーツに親しんでいただくためには、そうした情報にアクセスしやすいことが重要だというふうにも考えます。
 そこで、都内スポーツ施設のバリアフリー情報をどのように提供してきたのか、お伺いをいたします。

○工藤事業推進担当部長 都は、障害者スポーツ専門ポータルサイト、TOKYO障スポ・ナビにおきまして、都内の公共スポーツ施設のバリアフリー情報等を提供してきました。このサイトでは、トイレ、更衣室、駐車場等のエリアごとに手すりや段差などのバリアフリー情報を簡単に検索することが可能となっております。
 また、バリアフリーに関する法令等の改正を踏まえ、令和三年度は障害当事者や有識者等にヒアリングを行い、バリアフリー項目を二十九項目から五十八項目に増やすなど、掲載内容の充実を図りました。
 具体的には、トレーニング室における車椅子動線の確保や異性介助可能なトイレの有無など、施設や設備のハード面の情報をより詳細に提供するとともに、施設利用時のサポートや貸出用具の有無など、ソフト面の対応の情報も追加し、サイトの利便性の向上を図りました。

○北口委員 都が都内公共スポーツ施設のバリアフリー情報提供の充実を図ってきたということがよく分かりました。ありがとうございます。
 さて、東京二〇二〇大会は終わりましたけれども、パラスポーツの盛り上がりを一過性のものとせず、大会後も都民の関心を維持向上させていくことが重要でございます。
 都は、今年度、八月から九月を東京パラスポーツ月間と位置づけ、パラスポーツムーブメントの拡大を図ってまいりました。パラスポーツを社会に根づかせ、真の共生社会の実現につなげていくため、こうした取組を今後も継続して実施していただくことを要望しておきます。
 最後に、文化芸術関係についてご質問させていただきます。
 令和三年度は、デルタ株やオミクロン株の流行によって二度の緊急事態宣言、三度の蔓延防止等重点措置が出されるなど、芸術文化活動に取り組むアーティストや芸術家等の皆様には、令和二年に続いて大変厳しい一年となりました。コロナ禍の中で生活がままならない方も多く、支援が急がれ、我が党も令和三年の第一回定例会の一般質疑で、文化芸術活動の支援についてお訴えをさせていただいたところでございます。
 そこで、まず初めに、令和三年度に都が行ったアートにエールを!東京プロジェクトをはじめとする芸術文化活動に対する支援の内容と決算額についてお伺いをいたします。

○蜂谷文化振興部長 令和三年度におきましては、コロナ禍でも文化の灯を絶やさないため、アートにエールを!東京プロジェクトの追加実施や大規模イベント等に対する支援、若手アーティスト等を支援するスタートアップ助成を開始するなど、芸術文化活動に対する様々な支援を実施いたしました。
 関連する経費を含め、決算額は十二億八千九百万余円となっております。

○北口委員 コロナ禍の中で都も様々な芸術文化活動に対して支援を行っていただいたことを確認させていただきました。ありがとうございます。
 さて、その中でも、令和三年度に開始をした、主に若手アーティストの支援となるスタートアップ助成の内容とその実績、応募倍率についてお伺いをいたします。

○蜂谷文化振興部長 スタートアップ助成は、活動歴が三年未満の若手アーティスト等がチャレンジする新たな芸術創造活動に対しまして支援を行うものでございます。令和三年度は三回募集を行いまして、合計で千百四十六の個人や団体から申請がございました。
 小劇場での演劇公演、ジャズやポップスの演奏会など、多様なジャンルの百三件の事業が採択され、全体での応募倍率は十倍を超えております。

○北口委員 本事業につきましては、今答弁があったように、若手アーティストを対象とした事業でありますが、大変好評な事業で、採択件数に対して応募件数が十倍を超えているとのことでございました。
 我が党は、本年の第一回定例会の代表質疑でもこの辺、この支援の拡充をお願いさせていただいたところです。今年度も令和三年度と同等水準で採択が進んでいるようですが、ぜひコロナ後の新しい社会を見据えて、若い新しい力が活躍できる社会になるように、今後も都の支援を求めまして、質問を終わります。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。それでは、質疑を始めさせていただきます。
 まず初めに、昨年度、コロナ禍での文化、スポーツへの支援について伺います。
 先ほどもお話がありましたアートにエールを!東京プロジェクトについて、まず伺います。
 二〇二一年度の予算額、決算額、そして応募状況と実績について、また昨年度はステージ型を二回募集したとのことですが、その目的と支援内容について伺います。

○蜂谷文化振興部長 アートにエールを!東京プロジェクトの令和三年度の予算額は、事務費なども含め八億九千七百万余円でございまして、決算額は七億八千七百万余円となっております。
 令和三年度は、緊急事態宣言等によりイベントの開催を制限されている芸術文化団体に対し、公演の制作等、創作活動を支援するステージ型を実施いたしました。一団体二百万円を支援しております。
 二回の募集に七百九十九件の応募がございまして、二百九十五団体を支援いたしました。

○里吉委員 コロナ禍でイベントの開催が制限される中で二百九十五の芸術文化団体に対して公演の制作等の支援を行ったとのことでした。この支援は大変歓迎もされました。しかし、まだまだ足りないという声も一方で多く寄せられています。さらに、今年に入って第七波のときには、緊急事態宣言等もない中で公演が中止になるなど、引き続き厳しい事態が続いています。
 日本芸能従事者協会が行ったアンケートでは、第七波での中止や延期は、回答者の中の実に四六・九%となっていました。例えば、都立施設を使っての公演などは、コロナで公演が中止になった場合、利用料の返還をするなど、都として努力されているというお話は伺いましたけれども、実際の多くの団体にとっては、文化芸術団体、支援してもらう対策がなかったために、第七波が一番打撃があったとの声も届いています。公演が中止にならなくても、客足が戻らない中で、若手が続けられなくなるのではという声も寄せられました。
 私、このコロナ禍で数少ない経験ですけれども、みんなで一緒に舞台を鑑賞する−−これが、なかなかみんなで騒ぎに行けない、飲みに行ったり、カラオケに行ったりできないということが長く続いてきた中で、孤立しがちな中で、この演劇鑑賞というのが人と人とをつなぎ、本当に元気にする力があるということを改めて感じました。ぜひここへの支援、今後とも、いろいろと検討していただきたいと思います。
 そして、演劇関係者の方々からは、コロナ禍でなくても実は日常的に稽古場や大道具などを保管する倉庫など、家賃が高くて、都内での活動が財政的に厳しいと、苦労があるんだという話も伺ってきました。こうした方々への支援として、東京都にはスタジオなどを貸し出す水天宮ピット、正式名称は東京舞台芸術活動支援センターというそうですけれども、こういうものがございます。
 この設置目的と、過去三年間の利用率について伺います。

○石井文化施設改革担当部長 東京舞台芸術活動支援センターは、舞台芸術の創造活動を支援するため、稽古場や交流スペースの提供を目的として設置してございます。
 利用率は、令和元年度が約九三%、令和二年度が約八五%、令和三年度が約九四%となってございます。

○里吉委員 コロナ前からずっと高い利用率であったことが分かりました。コロナ禍を乗り越え、東京で演劇や舞台芸術が継承され、発展できるよう、こうした稽古場の提供など、具体的な支援をさらに広げていただくことを要望します。
 都は、今年度から二〇三〇年度までの計画として、東京文化戦略二〇三〇を策定いたしました。その中で、アーティストや芸術文化団体等が継続的に活動できる仕組みをつくるという内容も読ませていただきました。ぜひそうした観点で支援を進めていただきますよう要望いたします。
 次に、スポーツ支援についてです。
 まず、障害者スポーツについてです。
 昨年度、特別支援学校の体育施設をパラスポーツの場として活用する都立特別支援学校活用促進事業が本格実施となりました。コロナ禍であっても、障害者が身近な場所でスポーツをできる機会の提供は大変重要です。
 そこでまず、都立特別支援学校活用促進事業の二〇二一年度と、その前年、二〇二〇年度の施設貸出しの実績について伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 都は、障害のある人や障害者スポーツ競技団体等が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校の体育施設の活用促進を図っております。
 施設の貸出可能な日数は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、貸出中止の期間がございましたため、令和二年度は九校で百六十九日であったのに対しまして、令和三年度は二十六校で二千二百三十三日でございました。
 実際に貸出しを行った日数は、令和二年度は百三十七日であったのに対しまして、令和三年度は一千四百四十一日でございました。

○里吉委員 昨年度は、おととしに比べて大分頑張って貸出しができたということがよく分かりました。
 施設の貸出しは、グループごとに登録をして、体育館やグラウンドを使うということですが、昨年度末の登録団体数を伺います。また、昨年度中に施設を利用した団体数は幾つか、具体的にどのような障害者スポーツ種目で行われたのか伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 本事業の令和三年度末における利用登録団体数は五百七十団体でございました。そのうち、実際に令和三年度中に利用した団体は二百五団体でございまして、ボッチャ、電動車椅子サッカー、車椅子バスケットボールなどでの利用がございました。

○里吉委員 以前は車椅子スポーツで使える施設が大変限られていましたけれども、この事業によっても確実に活動の場が増えてきたというふうに思います。
 コロナ感染、しかし今もまだ続く中です。障害者の皆さんがスポーツをするためにも感染予防の取組が一層重要となっておりますが、どのように取り組んだのか伺います。

○齊藤パラスポーツ担当部長 コロナ禍における都立特別支援学校活用促進事業の実施に当たっては、都立スポーツ施設等の再開館に向けた感染拡大防止ガイドライン等を踏まえ、学校の体育施設を活用する上で必要な感染防止対策を定めました。
 具体的には、学校ごとに、利用者等と児童生徒、教職員とが接触しない動線を設定するとともに、トイレ等の設備やバレーボールの支柱等の貸出備品の消毒を徹底しました。また、利用者全員に対しまして、施設利用開始時の健康状態の確認、ソーシャルディスタンスの確保や換気などを徹底いたしました。

○里吉委員 日中は障害のあるお子さんが通っている都立特別支援学校ですので、大変、一つ一つの学校について具体的に対策を取って取り組んでいるという話も伺いました。大事な障害者のスポーツの場ですので、今後とも、感染予防に取り組みながら、できる限りスポーツの場の確保、拡充に努めていただくよう要望いたします。
 また、体育施設としてプールを加えていただくことについては、これまで日本共産党都議団としては繰り返し求めてきたところです。安全対策、そのための人の確保などの課題があり、なかなか実現が難しいと伺っていますが、知的障害、身体障害、自閉症の保護者の皆さん、視覚障害の方々など本当に多くの障害者団体関係者の方からプール利用の要望が出されていますので、改めて実現に向けて検討していただくことも要望しておきます。
 そして、スポーツの問題の最後に、スポーツ環境整備費補助事業について伺います。
 都は、二〇二〇年度から、誰もが身近な場所で気楽にスポーツを楽しめる環境を整備し、スポーツを通じた共生社会の実現を目指すとして、スポーツ環境整備費補助事業を行っていますが、この二〇二〇年度、二〇二一年度の実績について伺います。

○山根スポーツ担当部長 都は、令和二年度からスポーツ環境の整備促進に向けて、区市町村が行う取組に対して支援を実施しております。令和二年度は六自治体から八件の申請があり、屋外運動場の観覧席への日よけの設置や視覚障害者向け音声案内誘導装置の設置等に補助を行いました。
 また、令和三年度は五自治体から六件の申請があり、体育施設への空調設備の新設や遮熱効果の高い人工芝への改修等に対して補助を行ったところでございます。

○里吉委員 まだ始まったばかりということもあり、年間数件にとどまっているということでした。
 実は東京都は、スポーツの環境の拡充、拡大を図るために、オリンピックの前ですね、二〇一四年から二〇一九年の六年間は、スポーツ施設整備費補助事業、区市町村に対して財政支援を行っていました。補助金額の上限も、補助率も今よりもよかったと記憶しております。
 実績見ますと、六年間で二百四十八件の支援を行っていました。東京都は、障害のある人もない人も誰もがいつでもスポーツを楽しめることを目指しているわけですから、今回のこの制度、抜本的に拡充することも求めて、この分野の質問を終わります。
 次に、私立高校の学費負担軽減について伺います。
 今年は、日本が高校、大学までの段階的な学費の無償化を定めた国際人権A規約十三条二項(b)、(c)の適用の留保撤回して十年目となる節目の年です。国の責任で高等教育の無償化に向けて取り組むことを国際社会に約束して十年ということです。早急に国としての対応が求められているわけですが、日本では、いまだに世界の中でも群を抜いて高額の学費負担が必要となっています。そのために、多くの大学生が奨学金という名の数百万の借金をしなければ大学に通えない、これが社会問題となっています。
 では、私立高校の学費はどうか。現在、保護者の年収目安約九百十万円以下の世帯では、国と東京都の補助制度を使うと基本的に授業料無償といわれています。
 そこでまず、昨年度のこれらの制度を活用して授業料無償化となっている生徒数と、全生徒の中の何%に当たるのか伺います。

○戸谷私学部長 東京都は、私立高等学校等に通う生徒の授業料につきましては、国の就学支援金と併せて、都の特別奨学金により都内私立高等学校の平均授業料まで支援して、その負担軽減を図っているところでございます。
 令和三年度の特別奨学金補助の受給者数でございますが、六万六千四百四十二人でございまして、そのうち都内在住で都内私立高校に通う生徒の受給率については四〇%強となってございます。

○里吉委員 都の特別奨学金の受給者数は六万六千四百四十二人、これは都外の私立高校に通っている都民の方も含まれているということです。そして、保護者の年収で約九百十万円以下の世帯が対象となっているわけですが、この対象となっているのが、今いっていただいた四割強、つまり、約六割はこの制度の枠の外だということが分かりました。
 保護者の年収が九百十万円を超えると、授業料の補助は特にありません。先ほどの答弁でそのことが、六割の人に補助がないということが分かりましたが、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上いる世帯では、年五万九千四百円の授業料軽減助成金があります。この制度の目的と昨年度の実績を伺います。

○戸谷私学部長 都は、特別奨学金補助におきまして、多子世帯の教育費負担の軽減を図るために、年収が九百十万円を上回る世帯であっても、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上いる場合には、公立高校の授業料の半額相当を支援しているところでございます。
 令和三年度の受給者数につきましては、五千九百四人でございます。

○里吉委員 かつて国として高校授業料が無償化とされていたときには、都立高校の授業料が当然無償で、私立高校でも都立高校と同額の授業料軽減がされていました。ここに所得制限が入ったことで、全く補助はなくなっているわけです。
 子供を二人、三人と育てていれば、年収九百十万円であっても余裕はそんなにないと思うんですね。子供が三人以上いれば、この授業料軽減助成金がありますけれども、私、先日、この助成金を受けている方からいわれたんです。今長女が私立高校に通っているんだけれども、その下の二人の子も私立に行きたいといわれたら、あなたは駄目というふうにはいえない。だけど、本当にそのときに学費が出せるか。今からそのことを考えると、とても不安だ。こういうふうにおっしゃっておりました。
 漸進的高等教育の無償化を目指すという国際公約に照らしても、この支援がない世帯への支援というのは国として検討するのが当然ですけれども、都としてもここについて検討すべきではないかと考えます。
 次に、私立高校では、独自に授業料減免制度を設けている学校がありますが、この目的、昨年度の実績、独自の授業料減免制度を持っているのは何校か。昨年実績についても伺います。

○戸谷私学部長 経常費補助金の特別補助である授業料減免制度につきましては、修学上の経済的負担を軽減するために設けられているものでございます。
 授業料等減免制度を整備している高校は百六十七校で、このうち実際に授業料を減免したのは九十三校でございます。

○里吉委員 年収九百十万円以下の世帯は基本的に授業料無償といわれてますけれども、全都の私立高校の授業料の平均額が上限なので、そこが必要な方もいるでしょう。また、授業料以外にも必要な経費があるため、学校独自の授業料減免制度があるわけです。
 授業料以外に特に大きな負担が毎年支払う施設整備費といわれるお金です。学校独自の授業料減免制度の対象には、この施設整備費も含まれていると伺いましたが、それはいつからでしょうか。現在の活用状況も分かれば、併せてお答えください。

○戸谷私学部長 経常費補助金の特別補助である授業料減免制度は、授業料以外の毎年度納付させる学校納付金を減免した場合についても、平成二十七年度から補助対象としてございます。当該補助を交付した中には、学校納付金の減免を行った高校も含まれてございます。

○里吉委員 授業料以外の毎年学校に納付させる学校納付金も補助対象になっているけれども、どれくらい活用されているかは分からないと、制度上分からないことになってるようですけれども、ということでした。
 これ通常は都の補助は三分の二で、残りの三分の一は学校が負担するわけですが、独自の奨学金制度を持っている学校であれば、授業料と同じように学校納付金も減免できるわけですね。
 私、年収五百九十万円以下の世帯まで学校独自の授業料減免の対象に、この学校納付金、施設整備費ですね、これを加えている学校の方にお話を伺いました。伺いますと、国と都の制度が拡充されて、ほぼ授業料負担がなくなった下で、残る毎年十数万円の施設整備費の負担が大きいということで、制度が変わって加えられるなら学校独自の奨学金に入れようということで加えているそうなんですね。実施してみたらどうかといいますと、ここの学校では実際に全校生徒の一四%から一五%の生徒がこれを使っているそうです。そのおかげで滞納も大幅に減って、事務の方も大変助かっていると、生徒の皆さんも助かっているということでした。
 授業料無償といっても、やはり毎年十数万円の負担というのは、都立高校に通っているご家庭と比べて大変大きな負担だと実感しているとおっしゃっていました。
 そこで伺いますが、なぜ東京都の授業料減免助成金の対象に施設整備費は含まれないのでしょうか。その理由について伺います。

○戸谷私学部長 東京都は、特別奨学金等により授業料の保護者負担軽減を図っているほかに、育英資金や奨学給付金によりまして授業料以外の負担を軽減しているところでございます。

○里吉委員 理由になっていないんですよね。実質授業料無償化というけれども、結構な金額が授業料の枠外にあって、それは全額負担しなければならないわけです。それが大変だから、学校独自の授業料減免制度の対象にしたんだと思うんですね。
 育英資金という話もありましたが、これ借りるお金です。用意していただいた資料を見ると、二〇二一年度も、私立高校、高専で千五百三十五人、専修学校の高等部で九十一人がこの貸付けを使っております。高校生のうちから学費を借金することを前提にするというのは、やっぱり間違っていると思います。授業料の無償化と併せて、多くの自治体では入学金の補助などもありますが、東京都はそれもありません。
 改めて伺いますが、二〇二一年度の東京都内の私立高校の入学金と施設整備費の平均額は幾らでしょうか、お答えください。

○戸谷私学部長 令和三年度における都内私立高校の入学金の平均額は約二十五万三千円、施設整備費の平均額は約二十一万四千円でございます。

○里吉委員 今日用意していただいた資料の四ページにもありますが、文部科学省調査によれば、都道府県別の授業料、入学金、施設整備費、それぞれ記載されています。ご答弁いただいたように、東京は入学金の平均額が約二十五万三千円、全国平均額は十六万三千円です。施設整備費の平均額も東京は二十一万四千円ですが、全国平均額は十四万八千円。本当に高いんですよね。
 都内で私立高校に通うために、授業料無償といわれている世帯でも、この平均二十一万四千円の負担、施設整備費ですね、これしなきゃいけない、三年間。ここへの支援も拡充することがやはり必要だと思うんです。
 特に深刻なのが、さらに低所得の世帯です。年収二百七十万以下の世帯や生活保護世帯などで授業料以外の負担軽減策があります。年五万二千六百円、十二万九千六百円、それから十五万、こういう額がそれぞれ設定されています。東京都の奨学給付金という制度ですが、昨年度の実績人数を伺います。

○戸谷私学部長 令和三年度の奨学給付金受給者数は一万百四十五人でございます。

○里吉委員 一万百四十五人の方がこの奨学給付金を受けている。低所得なので、こういう制度が独自につくられたというふうに理解しています。これは本当に大事な制度です。しかし、この対象は、教科書費とか教材費とか、いろいろかかりますよね、授業料以外にも。そこに充てるお金なんですね。ここに入学金や施設整備費まで含めることは、なかなかできないと。低所得者にとっては、入学金と施設整備費、本当に大きな負担です。
 少なくとも、東京都としてここへの支援、考えるべきではないでしょうか、改めて伺います。

○戸谷私学部長 東京都は、私立高校に対する経常費補助を通じて授業料等の学校納付金の抑制に努めるとともに、授業料については国の就学支援金と併せて、都の特別奨学金によりまして都内私立高校の平均授業料まで支援しているところでございます。
 また、授業料以外の負担を軽減する奨学給付金や育英資金、あるいは入学支度金貸付など、幅広い施策を総合的に活用いたしまして、保護者負担の軽減を図っているところでございます。

○里吉委員 東京都がいろいろな経常的な補助ですとか、国がやる前からいろんな授業料負担軽減やってきたこと、私もよく分かってます。だけれども、国が制度を始めたときに、そこに上乗せして東京都は頑張るべきだった。しかし、それをやらなかった。そこが、今ここに大きな問題として出ているんだと思うんですね。
 都は、繰り返しいろんなところで、家庭の経済状況に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けることができる環境を整備することが重要と述べているんですね。そうであれば、たとえ生活保護世帯であっても、低所得者世帯であっても、都立高校に行きたい方は都立高校に、そして私立高校に行きたい方は安心して私立高校に通える支援、必要ではないでしょうか。
 東京の高校生は、六割が私立高校に通っています。高等教育無償化へ、国と共に、都としてもさらに踏み込んだ支援を強く要望しておきます。
 この分野の最後に、私立高校の省エネ、再エネ対策についても一点確認します。
 気候危機対策は、あらゆる分野で取り組むべき問題です。都は、二〇三〇年までに温室効果ガスの半減を目指して様々な取組を進めておりまして、私立学校の施設についても積極的に省エネ、再エネに取り組むことが重要です。
 そこで、私立学校における省エネ、再エネ対策について現在どのような補助があるのか、その内容と過去三年間の実績について伺います。

○戸谷私学部長 東京都では、私立学校省エネ設備等導入事業費補助といたしまして、省エネ型の照明器具ですとか空調設備、太陽光発電設備などを導入する私立学校に対しまして、その経費の一部を補助しているところでございます。
 過去三か年の実績といたしましては、令和元年度は百九十七校で十一億五千六百十九万円、令和二年度は百七十校で十一億五千五百十六万円、三年度は百六十九校で十二億六千九十五万四千円という状況でございます。

○里吉委員 三年間でトータルすると五百三十六校がこの制度を使って省エネ、再エネ対策に取り組んだことが分かりました。
 一方、私学の方々からは、さらなる拡充を求める要望が出されています。私立学校省エネ設備等導入事業費補助、さらに拡充すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○戸谷私学部長 今年度につきましては、電力需給の逼迫及びCO2排出削減への対策として、補助率を二分の一から三分の二に引き上げて実施しているところでございます。

○里吉委員 ありがとうございます。
 既に補助率は引き上げているとのことでした。電力逼迫等への対策ということもありましたけれども、今後も基本的には続く支援制度だというふうに思います。
 私立学校の中では、LEDへの切替えも学校によって大きな開きがあるそうです。また、LEDは長もちするとはいえ、更新も必要だそうで、空調設備とともに、LEDも含めて、更新も含めた補助の拡充強化の要望が出されております。気候危機対策としても、児童生徒の学習環境の改善のためにも、さらなるこの分野での支援拡充も求めて、質問を終わります。

○風間委員 立憲民主党の風間ゆたかです。
 昨日はプロ野球のドラフト会議の様子が報じられていて、高校生もプロになるということで道が開けた様子を見ていて、非常に将来期待できる、またプロ野球選手が誕生するのかななんて思いながら見ていましたけれども、中高生が部活動を通して様々なスポーツに取り組んでいる。プロ野球のように、テレビでも放映されるような晴れやかな舞台がないスポーツでも、スポーツの強化選手になることを目指して頑張っているようなスポーツもあったりするわけです。
 令和三年度といえば、コロナ二年目ということで、緊急事態宣言もあって、まだまだスポーツの制約があったというような状況でオリンピック・パラリンピックは開催されたということでありますけれども、制約がある中でも子供たちのスポーツ環境というのが少しずつ開けてきた年だったのかななんていうふうに思っています。
 実際に東京都がスポーツの振興、推進をしていくということに関しては、特に子供を中心に、私などは、積極的に取り組んでいくべきだなと思いますので、そういった視点から、この決算書を少し見させていただきました。
 九四ページにはスポーツ推進費の項目があり、全体としては執行率も八六・二%と、割と執行できているのかなと思いつつ、今申し上げたような競技スポーツの振興などについては六七%、三分の二程度の執行率になってしまっているというのは、やはりこういった、まだまだ影響が出ていたんだなということが見えてくるわけです。
 このスポーツ推進費全体を見ていて、できたこと、またできなかったことということを少し確認していきたいと思いますので、事業全体としての執行状況について教えてください。

○中嶋スポーツ総合推進部長 スポーツ推進費について、令和三年度は、主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、事業の一部が実施困難となったことから、執行率がコロナ禍以前より低下している事業もございます。
 具体的には、全国研究会の開催や、海外からコーチを招聘する事業などにおいて中止となった例があります。
 一方、アスリートの強化練習、合宿においては感染症対策に留意し、規模を縮小して実施したほか、東京都スポーツ振興審議会や指導者向けの講習会においてオンラインも併用して開催するなど、工夫して実施いたしました。
 今年度も引き続き、感染症対策を講じつつ、コロナ禍の教訓も生かしながら、適切に事業を実施してまいります。

○風間委員 スポーツを推進する上では、特に子供たちのスポーツということになると、それに引率する方々や、大人による会議などもあろうかと思います。そして、スポーツというものは一つの場所に集まって行うということが多いかとも思います。コロナの状況においては、移動制限なんかもあったことかと思いますので、そういった制約がある中でオンライン会議などを通じて実現したということは、今後、やはりお金をかけずに行っていけることに関しては、そのようなやり方もあるんじゃないかということで、今後もそのようなオンラインの活用というのは重視していってもらえればなと思う一方で、子供たちの夢につながるようなスポーツ振興ということに関しては積極的に取り組んでいくように求めておきます。
 子供たちの応援という観点からいきますと、旧生活文化局の中でも五五ページにあるのが青少年健全育成事業、これが六〇%ということになっています。これもスポーツに限らず、青少年を支援していくということに関しては、私としては大歓迎なことでありますけれども、これが止まってしまっているというのも、応援するという意味においては、なかなか場で集まるということに制約がかかったのかなということは想定はしますものの、この青少年応援プロジェクトに関しての令和三年度の執行状況について教えてください。

○米今若年支援担当部長 青少年応援プロジェクトにおきましては、都は、区市町村と連携し、地域のニーズに応じて多文化への理解、障害者や高齢者への理解をテーマに講演や交流体験イベントを実施してきております。
 令和三年度は十五回実施予定でございましたが、コロナ禍の影響を受けて五回が中止となり、結果として十回実施しております。

○風間委員 行政主導のイベントというものになかなか、それが開催されているという情報にリーチできない人たちというのも多いと思うんですね。私なども、かなりいろいろ見ているつもりですけれども、あっ、こんなこと行われていたんだと。中には、この青少年応援プロジェクトも各区市と連携しながらということですけれども、非常に貴重なイベントがなされているなんていうこともあると思いますが、参加者数を見ていると十数人というようなケースもあったりして、非常にもったいないなと思ったりします。せっかくいいことをやるんであれば、より多くの関心がある子供たちにリーチできるような、その広報の工夫なんかも市区と連携しながら今後やっていくように求めておきます。
 この同じ五五ページのところを見ていると、私も文教委員で申し上げてきました多文化の共生、東京に住む外国人をどのように支援していくのかということについても取り上げましたが、その執行状況も若干低めなものがあるなということで、多文化共生推進事業七六%程度と。これもコロナ禍で東京に住む外国人の数も一定数少なくなったと認識はしていますけれども、この執行状況についても、できたこと、できなかったこと、教えてもらえればと思います。

○小野都民活躍支援担当部長 令和三年度は、コロナ禍において地域福祉等の幅広い分野で外国人とのコミュニケーションツールとして、「やさしい日本語」の必要性が認識されたことから、区市町村職員等を対象にオンラインによる研修を実施いたしました。
 一方で、新型コロナの影響によって都内在住外国人数の減少に伴い、弁護士による専門相談件数や生活情報冊子などの配布数が減少、東京都在住外国人支援事業助成においては、当初予定していた事業を見直した団体が多かったなどにより、執行率が七六・六%となりました。

○風間委員 入国の制限なども少し緩和されて、外国人がまたこの東京で暮らしていくということも、そんな人も増えてくるんだと思いますので、こういったことについても、特にまだ慣れていないような人たち、情報にリーチできないような人たちにも支援の手が差し伸べられるような体制というものをこれからも取り組んでいくように求めておきます。
 同じように、その下にあります外国人に対する防災情報提供対策の強化ということも六一・五%ということですので、これはどのような執行状況だったのかも伺います。

○小野都民活躍支援担当部長 令和三年度は、外国人被災者の支援を行うための東京都防災語学ボランティアシステムを構築するとともに、オンラインによる東京都防災語学ボランティアへの研修を実施いたしました。
 一方、新型コロナの影響により外国人防災訓練を中止したため、執行率が六一・五%となりました。

○風間委員 災害の多いこの国の中でも、首都機能が麻痺するというような状況になってしまうであろう首都での災害、このときにどのように備えていくのかということについては、やはり相当な混乱状況ということが想定される中で、外国人の方々にあらかじめ情報提供しておくということ、防災訓練をしていくということは重要な取組だと認識していますので、今年度も取り組んでいることかと思いますので、しっかりと執行していくように求めておきます。
 同じように、このページの中には男女平等参画施策の企画調整というところの執行状況も少し気になります。これも文教委員会で伺ってきたことではありますけれども、こういった男女平等参画の取組がますます、この東京都でも進められているという状況の中ですから、できたこと、できなかったこと、それを確認させてください。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年度は、男性の家事、育児参画を進めるウェブサイトの構築や、著名人を活用したSNSによる普及啓発のほか、女性の悩み相談サイトの運営など、様々な事業を実施いたしました。
 一方で、民間シェルターの先進的な取組に対して助成するセーフティーネット交付金につきましては、新型コロナの影響により、予定していた事業を見直した団体が多く、実際の申請額が当初の見込額を下回ったことが不用額が発生した主な理由でございます。

○風間委員 私も男性の育児参加については文教委員会でも求めてきたことありますが、それが着々と行われているということを確認できましたので、これも引き続き取り組んでいくように求めていくところでありますけれども、やっぱりコロナの中で本当に困っている人たち、弱者といわれるような方々への支援ということが滞ることに関しては少し懸念があります。特にこういった民間シェルターの先進的な取組に関する助成は、支援する団体の方で、既存の支援で手いっぱいだったというようなことも伺っておりますので、こういった状況の中で都としてどのように支援していくのかということは工夫をして、今年度、また来年度と取り組んでいってもらえればなと思います。
 続きまして、これも文教委員会で、つい先日の文教委員会でもかなり議論されました消費生活の領域で、先般は消費生活基本計画について各会派から様々な意見があったわけですけれども、その中で、この項目を見ていると、安全対策というところが少し執行率が低いような状況です。六六・一%ですね。これはどのような執行状況だったのかということを確認させてください。

○片岡消費生活部長 安全対策事業では、子供のための安全な商品の啓発イベントをオンラインにより開催し、また、ペットボトルの安全性に関する調査やカップ麺による子供のやけどに関する調査などを実施いたしました。
 一方、新型コロナウイルス感染拡大のため、出展を予定していました外部の啓発イベントが中止されたことや、商品テストが実施できなかったことなどにより不用額が生じております。

○風間委員 オンライン等でも行われたということで、消費生活での安全対策というのは先般も議論されていましたけれども、大変重要な取組だと認識しています。また、こういった情報がしっかりと都民に届いているということも重要だと思いますので、引き続きこの安全対策、また、それを周知徹底していくということについても引き続き取り組んでいくよう求めます。
 安全対策という観点からいきますと、旧都民安全推進本部の領域ですね。こちらについても少し確認をしておきます。
 一〇ページのところを見ていますと、これまたやっぱり執行率が低めのものが治安対策の中の治安対策の推進というところが五〇%を切っているという状況です。この理由について伺います。

○油谷治安対策担当部長 都は、治安対策の推進として、区市町村が高齢者に配布する自動通話録音機設置に対する補助事業を行ってまいりました。本事業は令和二年度で事業を終了させる予定でありましたが、コロナ禍による取組の停滞を防ぎ、区市町村の主体的な取組の移行を円滑に行うため、令和三年度の一年間は補助率を三分の一に下げて事業延長いたしました。
 自動通話録音機についての認知度は向上し、多くの区市町村で設置事業が定着したことから、執行率は四七・七%となったものでございます。

○風間委員 多くの区市で取り入れられているということで、当初の事業目的は果たしたのかなということで、今の説明を伺って確認しました。特殊詐欺も含めて、あの手この手で手を替えてくるということ、自動録音通話機があるということで、さらなる、次なる、新たな手によって特殊詐欺等が行われているような状況ですから、この事業は目的を達したということで確認をいたしましたけれども、その次の一手ということを今後しっかりと検討して取り組んでいくよう求めておきます。
 次に、交通安全対策の総合企画調整等の執行率、これも五〇%程度というふうになっていますが、その理由についても伺います。

○小室都民安全推進部長 交通安全対策の総合企画調整等は、主として都主催の交通安全普及啓発事業と区市町村が事業主体となるイベント等への補助事業で構成されております。
 令和三年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、従前より対面型で実施しておりました啓発事業を安全に行うことが困難な状況であり、高齢ドライバー交通安全セミナー等のイベントは中止といたしました。加えて、区市町村主催の交通安全教室等への補助実績が伸びなかったことにより、全体としての執行率は五〇・一%となりました。

○風間委員 これまた、高齢者は特にコロナの中で移動、外出することを控えていたということもあったかと思います。
 一方で、この高齢ドライバーの事故の問題というのは、もう連日のように報じられているようなことでありますから、この都の取組、また市区の取組が東京都内の高齢者全般にきちんと行き届いているのかということは、少し懸念としてあります。
 こういった情報がより多くの高齢者にリーチして、また参加を今後は促していくことも含めて、しっかりと取り組んでいただくように求めておきます。
 最後に、同じページにあります執行率が低いものとして、集中的な渋滞対策の件についても伺います。これも六〇%程度ということですが、どのような状況だったのか教えてください。

○小室都民安全推進部長 集中的な渋滞対策として、令和三年度は、目的地までの混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板の整備などの対策を実施いたしました。
 また、今後の効果的な広報啓発に向けた運転行動意識調査なども実施いたしました。
 これらの事業につきましては、計画どおり完了したところではございますが、各種契約に係る差金等が生じたことから、執行率が六〇・一%となりました。

○風間委員 私も運転しますので、都内で渋滞箇所というのがどういったところにあるかということ、一定数、把握はしておりますけれども、やっぱり運転する人たちからは、いつも渋滞する箇所って、何とかならないのかという声は常にあったりします。
 令和三年度においても、計画していたところに関しては全て完了したということで安心はしましたけれども、同じ予算があるんであれば、よりこの渋滞解消に向けて取り組んでいくことも重要かと思います。同じ工事をですね、その意味では六割方で済ませたということに関しては、税金を有効に使えたものだと捉えておきますので、今後もこの渋滞対策に取り組んでいくよう求めまして、私の質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十三分休憩

   午後三時三十四分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○細田委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 私は、まず若ナビαについて伺いたいと思います。
 東京都若者総合相談センター、若ナビαについてです。都議会公明党は誰一人取り残さない、この社会をつくる観点から、悩みを抱えます多くの若者に若ナビαを利用していただけるよう、これまでも様々な提案、そして要望を行ってまいりました。
 東京都はこの要望に応えて、令和二年度には、若者になじみのあるLINEを活用した相談を開始され、そして、今では全体の四割をLINEの相談が占めるなど、多くの若者に広く受け入れられている状況にございます。
 さらに、DXやコロナ対策を進めるためオンラインの活用を提案し、令和三年度には、新たにオンラインによる面接相談も開始されました。
 そこで、令和三年度におけるオンラインの相談件数、それと利用された方々から届いたお声などについて質問をいたします。

○米今若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、若者からの相談に電話、LINE、メール、面接で対応し、必要に応じ適切な支援につなげることで、若者の自立を後押ししております。
 令和三年五月より新たに開始したオンライン相談では、対面相談での心理的、時間的ハードルを下げ、より気軽に利用してもらうとともに、相談の機会を増やし、より丁寧な支援を実現しております。
 令和三年度におけるオンライン相談は十七件でございまして、利用された方からは、移動時間がなく予定も合わせやすい、コロナの感染が心配なので、外出せずに相談ができてよかった等の声をいただきました。
 今後とも、利用者にオンライン相談を積極的に案内してまいります。

○細田委員 今の喜ぶね、好ましい声が届いているということにうれしく思ってます。ちなみに、圧倒的に電話とLINEの相談件数が多いと。両方合わせて六千七百件に上る。メールの件数が二百五十件、そのうちの面接の相談が二百五件に上っている中の十七件と聞くと、あれ、もしかしたら少ないのかなって思われる方もいるのかもしれませんが、昨年スタートして、そして基本的には使いやすいLINEの相談をというような流れの中で、このコロナ禍のオンラインを使ってという取組を開始された。そして、十七人の方々のご相談から令和三年度スタートできた、このことは大変よかったって、そう思っております。
 どうぞ引き続いて、寄り添って、しっかりとしたこの対応が発展していくことをお願い申し上げます。
 続きまして、若ナビαでは、非行や犯罪に走ってしまった若者からの相談にも対応されています。再犯の防止は被害者の支援とともに、非常に重要な取組であります。若者が、非行や犯罪から立ち直るのを支えて、そして都民の犯罪被害の防止につながる点からも、若ナビαは重要な役割を果たしていると思います。
 そこで、若ナビαでは令和三年度、何名の非行関連の相談に対応したのか、また、相談に対応した結果について答弁を求めます。

○米今若年支援担当部長 若ナビαでは、非行犯罪関連の問題を抱える若者等に対し、非行専門の相談員が保護観察官、更生保護施設等との連携の下、必要に応じ出張相談を行うなど、継続的に相談に対応し、立ち直りを支援しております。
 令和三年度における非行関連の相談対象者は三十七名でございまして、主な結果といたしましては、就労や大学、高校への復学等を果たした方が十名、引き続き支援を行う方が七名、更生保護施設への入所方針とした方が三名おられました。
 なお、家族等から相談が持ち込まれたものの、本人が支援を希望せずに終了した方も九名をおられました。

○細田委員 着実に成果を残しているというようなことが今のご答弁で分かります。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、治安対策関連についてです。
 都では、地域防災力向上のために、防犯カメラの設置を契機として、地域の見守り活動が活発に展開されるよう、町会、自治会や商店街などへの防犯カメラの設置補助、これを行っています。
 地域における見守り活動支援事業のうち、この町会、自治会、そして商店街に対する防犯カメラの設置補助について、改めてその目的、狙いと、令和三年度の補助台数及び補助金額について質問をいたします。

○油谷治安対策担当部長 地域における見守り活動支援事業の狙いは、防犯カメラの設置を契機に、地域の見守り活動が活発に展開されるよう支援することにより、ハード、ソフトの両面から防犯力向上を図るものでございます。
 都は、区市町村と連携して、防犯カメラの設置に対し、町会、自治会等に向けた地域における見守り活動支援事業と、商店街に向けた防犯設備の整備に対する区市町村補助事業を行っております。
 令和三年度の補助台数は、町会、自治会等では一千三百八台、補助額は約二億八千万円、商店街については二百七十一台、補助額は約三千四百万円でございました。

○細田委員 防犯カメラについては、区市町村や自治会、町会、商店街の安全・安心に関わる取組を支援していて、着実にこれも実績を積み重ねて広がってきている、このことが分かりました。
 この取組の効果もあり、治安の情勢も改善しているものと考えております。改めて、今後の都民安全施策の推進について、生活安全担当局長のご決意を伺います。

○小西生活安全担当局長 都内における刑法犯の認知件数につきましては、二十年前と比べて約四分の一となるなど、改善傾向にございますが、子供や高齢者の方の安全・安心をめぐる情勢については、依然として予断を許さない状況であります。
 都が都民の方々の安全・安心に資する施策を効果的に推進していくためには、警察機関はもとより、区市町村、民間企業等と連携し、一体となった取組が不可欠であります。地域における見守りや特殊詐欺対策などにおいても、都がこれらの主体をつなぐ結び目としての役割を十分に果たしていくことが重要と考えております。
 こうした認識の下、今後とも、安全で活気ある地域社会の実現に向けまして、治安対策、交通安全対策及び若年支援に関わる施策を着実に推進してまいります。

○細田委員 よろしくお願いいたします。
 続きまして、町会、自治会の見守り活動についてお尋ねします。
 単身世帯の増加や近隣関係の希薄化など、地域の支え合い機能の低下が懸念されておりますが、こういう中で、新型コロナウイルス感染症により、町会、自治会、ボランティア団体等の活動が停滞して、住民同士のつながりがより一層希薄なものとなってきました。
 地域において、これを直接的に支えていく都の事業の取組として、地域の底力発展事業助成、こういうものがあります。これは地域において、多様な団体が責任を持って、積極的に連携して地域の課題を解決していくという、とってもいい制度で、また支援も十分の十届いていくという、直接届いていくという、非常に着目できる制度であると私は思っています。
 令和二年度の申請件数が二百六十一件にとどまっておりましたが、コロナ前の五百八十五件から半分以上、町会、自治会の活動が大幅に落ち込んでいる現状にあります。
 こうした厳しい中で都は昨年度、この地域の底力発展事業助成において、高齢者サロンといった見守り活動の対象を高齢者だけでなく子供にも広げて、助成率も引き上げている、こういうような事業となっています。
 昨年度、町会、自治会から見守り活動の申請は何件あったのでしょうか。また、令和二年度と比べて増えたのか、そして、このコロナ禍においては、いかなる見守り活動が行われたのか、都の答弁を求めます。

○馬神都民生活部長 令和二年度の見守り活動の申請は二件のみでございましたが、昨年度は十八件となりました。コロナ禍で外出の機会が少なくなった子供たちに、子供食堂への参加を呼びかけるほか、デジタル機器に不慣れな高齢者へのワクチン接種のサポートを通じて、高齢者の見守りを行った町会もございました。

○細田委員 見守りは、人と人とが接することを前提にしていますので、コロナ禍において、この心理的障壁を乗り越えることは、とても困難なことだったと思います。いずれの今のご答弁のあった事例もウイズコロナ、アフターコロナにおけます町会、自治会の参考となるものだと思います。
 私の地元でも、これまで中止になっていました江東区の区民まつり、中央まつりというのがあるんですけれども、それがつい先日、都立の木場公園において行われまして、二日間で約二十万人が集いました。もちろん、ちょっと心配されるかもしれませんけど、入場のときも全部しっかりとチェックをしてやったという、コロナ対策もしっかり行ってやったということで、三年ぶりの再開で、このような流れもある中、町会、自治会も今動き出し始めております。
 ぜひ、この見守り活動、しっかりしていっていただきたいと願っておりますが、今後、このコロナ禍における知見を共有しながら、地域におけます見守り活動をしっかりと進めていくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○馬神都民生活部長 コロナ禍において工夫して活動を行った例として、子供食堂を開催する際に、メールや電話による事前予約制を取り、一回当たりの参加人数を制限しながらも開催回数を増やすなど、多くの人が参加できるようにした町会がございました。
 今後は、こうした事例を分かりやすくまとめて広く普及することで、町会、自治会における見守り活動につなげてまいります。

○細田委員 続きまして、都立スポーツ施設の活用ということについて質問いたします。
 オリンピックの施設ですけれども、私は二〇〇八年の五月に、そのときより十年前の一九九八年に開かれた長野オリンピック、この会場を、長野市を訪れて視察してまいりました。初めてこのオリンピック、コンパクトオリンピックと呼ばれるまさにそれの象徴のようなオリンピックをしたのがこの長野大会でありまして、このときも四十六億円の黒字で、大成功で幕を閉じた。そのレガシー、冬季の大会ですけれども、それはしっかりと残って今日に伝わっていると、このように思っております。
 一つ、ボブスレーの会場で、国際大会に使えるボブスレーの会場があったので、それの負担が大きいなということが当時の課題でございましたけれども、また今、東京二〇二〇大会においてはすばらしい施設がいっぱいあって、これをしっかりとレガシーを残していって、皆さんに、これから末永く都民に、そして日本の皆様と世界から訪れる方々に、アスリートを含めて地域の方々に使っていただかなくてはならないという、こういう施設である、このように思っております。
 そのために、まず、一つ一つお伺いしたいんですけれども、東京二〇二〇大会を契機に、臨海部にはアクアティクスセンターや海の森水上競技場、有明アリーナなど、新たなスポーツ施設が整備されました。
 また、有明テニスの森や東京辰巳国際水泳場など、既存の都立スポーツ施設につきましてもバリアフリー改修などがなされて、施設利用に当たっての利便性が格段に向上したと感じております。
 そこで、都が整備した大会施設について、特にアクセシビリティーの観点から、いかなる点で利便性が高い施設となったのでしょうか、質問をいたします。

○永井スポーツ施設担当部長 都が整備した東京二〇二〇大会競技施設につきましては、平成二十九年に組織委員会が策定したアクセシビリティ・ガイドラインの基準を踏まえるとともに、障害のある方や学識経験者等からも意見を聴取し、幅広い観点から、全ての人にとって利用しやすい施設となるよう工夫してまいりました。
 例えば、有明アリーナでは、車椅子利用者について一般の観客と同様に、様々な場所で観戦できるよう、各階に車椅子利用者席を複数箇所配置いたしました。また、既存施設の有明コロシアムや東京辰巳国際水泳場においても、車椅子利用者席や車椅子対応トイレの増設、二十四人乗り大型エレベーターの新規設置など、バリアフリー化の充実を進めてまいりました。
 さらに、昨年度から有明テニスの森公園周辺におきましては、歩道の拡幅整備を進め、通行者のアクセシビリティーを向上させるなど、各施設においても、利便性の向上に努めております。

○細田委員 しっかりとね、大変にすばらしいものが出来上がってきているという、そういう答弁でありました。
 先ほどのすみません、長野の話は二〇二〇じゃなくて二〇一六を目指して、頑張ってビラ配りをしたりして、そういう運動をしていたときのその以前のことだったんですが、それをちょっと長い時を経て、この二〇二〇大会では今のようなアクセシビリティーの、利便性の高い施設ができてきたと、こういうことのご説明いただいたと思います。
 私もこれらの施設、何度も何度も行かせていただいておりますが、この大会を契機に整備された施設、ヒアリングループなんかも本当に設置されていたり、障害がある人にもない人にも利用されて、スポーツを通じて社会の、共生の社会の実現につながっていくことを大いに期待しております。
 施設整備という点では、辰巳地区にはもともと水泳の聖地といわれる東京辰巳国際水泳場がありますが、東京二〇二〇大会を契機に、東京アクアティクスセンターが近くに建設されたことに伴い、辰巳国際水泳場はアイスアリーナに転用することになりました。水泳連盟の方、またスケート連盟の方々が手を挙げてくれて、真摯に検討されて、また地域の意見もよく聞きながら、このような運びになったというふうに私は理解をしております。
 そこで、この辰巳国際水泳場について、都は、昨年度からどのような施設を目指して取組を進めているのでしょうか、質問いたします。

○小池スポーツ施設部長 東京辰巳国際水泳場は、本年度末をもって閉館し、令和五年度当初からは、東京アクアティクスセンターを再開業することとしております。
 これに伴いまして、辰巳国際水泳場は、仮称東京辰巳アイスアリーナとして改修することとし、昨年度には施設運営計画の中間まとめを公表したところでございます。
 都立初の通年アイスリンクとして、都民が氷上スポーツを実施したり、間近に見て楽しめたりする機会を提供するよう、各種競技大会や体験教室の実施のほか、アイスショーなども開催できる環境を整えていくこととしております。
 水泳競技場としての機能を東京アクアティクスセンターに円滑に引き継ぎますとともに、辰巳国際水泳場のアイスアリーナへの転用に向けて検討を進めてまいります。

○細田委員 長らく水泳場として親しまれまして、夏季オリンピックの会場となった施設が東京二〇二〇大会のレガシーとして、新たに冬季スポーツの施設として、東京の中心部に、より至近で利便性があるところにレガシーとなる施設が生まれ変わってきます。辰巳アイスアリーナが今後、氷上スポーツの聖地として多くの都民に利用されて、冬のスポーツの振興につながる施設となることを期待いたします。
 海の森競技場は、東京二〇二〇大会におけるボートやカヌースプリント競技の会場として新規に整備されました。この競技場には消波装置が設置されましたが、この消波装置に貝のカキなどの水生生物が付着して消波効果が発揮できない、この問題に直面いたしました。検討を行われてきたと理解しています。これまで行われている検討状況と、大会後に向けていかなる対策を行っているのか、都の見解を求めます。

○久野施設整備担当部長 海の森水上競技場には、ボートやカヌーにより発生する波を消すための消波装置を設置しましたが、令和元年の夏に水生生物の付着による沈み込みを確認しました。
 このため、東京二〇二〇大会に向け消波装置の清掃を行い、競技を円滑に実施することができました。
 また、有識者を含む検討委員会を設置し、付着抑制効果やコストの面から、複数の対策案について検証を行った結果、消波装置全体にカバーを掛けることで、今後水生生物の付着を防止することとしました。
 この対策を採用するに当たっては、関係団体とも丁寧に協議してきました。引き続き、各種競技が円滑に行われるよう、環境整備に取り組んでまいります。

○細田委員 消波装置の対策、この検討が順調に進んでいることを確認できて安心いたしました。競技団体とも連携していただいて、多くのボートやカヌーの大会がこの海の森水上競技場で開催されていくことを期待いたします。
 こうした海の森水上競技場をはじめといたしました新規恒久施設の今後の活用についてですが、新規恒久施設は大会後、都民利用に向けた改修工事が実施され、順次再開業しています。それらの施設では数多くの競技大会が開催されるなど、大会のレガシーとして大いに活用されていくことが期待されています。
 これに加えて周辺地域とも連携するなど、地域住民はもちろんのこと、多くの都民がスポーツをはじめ、様々な目的で集う魅力あふれる施設にしていくことが重要だと思います。
 そこで、各施設では、具体的にいかなる事業が行われたのか。また、今後の方向性と併せて都の答弁を求めます。

○柏原開設準備担当部長戦略的活用担当部長兼務 新規恒久施設につきましては、本年一月にスポーツレガシービジョンを公表いたしまして、スポーツでのさらなる利用に加えまして、各施設の特性を最大限に生かした多様な活用や地域とも連携した様々な取組を推進してまいりました。
 夢の島公園アーチェリー場は、いち早く昨年十月に再開業いたしまして、広大な芝生広場を生かしたフィットネスイベントやファッションショーなどの利用を進めており、今後、公園内施設と連携したイベントなども開催してまいります。
 海の森水上競技場では、水上レジャーやアウトドア活動など、新たな体験の機会を提供してまいります。
 有明アリーナでは、運営権者と連携いたしまして、メインアリーナでの大規模スポーツ大会や各種イベント、コンサートなどを誘致するとともに、サブアリーナを地域のスポーツ大会や障害者スポーツの場などとして活用してまいります。
 今後とも、各施設が地域に愛され、東京二〇二〇大会のレガシーとして、多くの都民に末永く利用される施設となるよう取り組んでまいります。

○細田委員 期待の膨らむ答弁でございました。大会を契機として整備されました新規恒久施設などの整備や活用の状況につきまして、着実に進んでいることを確認いたしました。
 臨海部には、このほかにも国内唯一の人工のスラロームコースでありますカヌー・スラロームセンターがあります。アスリートの強化、育成や都民への様々な水上スポーツ、私も以前ラフティングに乗りましたが、防災対策などにも資していくような水上レジャーなどを提供していくということなので、併せて、大いに利用される施設となるよう取り組まれていくことをお願いいたします。
 さらに今後、大会で利用されましたスケートボード施設などを生かして、有明アーバンスポーツパークも整備されていきます。アーバンスポーツパークでは、東京二〇二〇大会で新規に採用されましたアーバンスポーツを普及させるとともに、地域のにぎわいも創出できるように期待をしています。
 大会のレガシーを生かして、これらの施設が身近なスポーツの場やエンターテインメントなど、様々な活動を実践できる場として大いに活用されるよう取り組まれますことを要望いたしまして、質問を終わります。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。資料のご提出ありがとうございました。
 私からはまず、私立小中学校への支援について伺います。
 コロナ禍の影響から、また現在の物価高騰の中で、都民の暮らしは厳しさを増しています。働く人の実質賃金は下がり続け、子育て世代からは学費の負担が重く、これから先のことが心配だという声が寄せられています。
 そもそも私立の小中学校に子供が通う世帯では、義務教育でありながら、私立高校のように授業料の減免などがない状況で、その負担軽減が強く求められてきました。
 国は二〇一七年から五年間、私立の小中学校に通う世帯収入が四百万円未満の世帯に対して、年間十万円の補助をする私立小中学校等就学支援実証事業を行いました。負担軽減策への第一歩として貴重な取組だったと思いますが、昨年度までのこの五年間の国の私立小中学校等就学支援実証事業の東京都での実績について伺います。

○戸谷私学部長 本事業におけます受給者数でございますが、受給者数の実績は、平成二十九年度が三千七百八十三人、三十年度が一千八十二人、令和元年度が八百十四人、二年度が七百九十三人、三年度は七百八人となってございます。
 あわせて、補助実績額でございますが、平成二十九年度は三億七千六百九十八万二千円、三十年度は一億五百六十九万八千円、令和元年度は八千八十八万円、二年度が七千九百二十六万円、三年度は六千九百九十三万円でございました。

○斉藤委員 初年度に全体で三千七百八十三名と、四千人近い児童生徒の世帯が補助を受けたということで、影響の大きい望まれた施策だったということではないでしょうか。
 初年度には、この小中を合わせて四千人近い児童生徒がこの制度を利用して、多くの世帯の支援につながったものと考えますが、二年目に利用者が大きく減っています。要因としてどんなことがあると考えられるか伺います。

○戸谷私学部長 本事業は国が実施したものでございますけれども、事業二年目の平成三十年度の募集時に、国の方で、真に支援が必要な世帯を支援するというこの実証事業の趣旨から、所得要件の見直しや資産要件の追加等を行っているところでございます。

○斉藤委員 ご答弁のとおり、二年目以降は資産保有額六百万円以下の世帯という、こういう条件も追加されて、真に必要なという言葉を使いながら、実質縮小するということで、補助を受けられる世帯が減少してしまったということです。
 世帯収入四百万円未満という条件も本当に厳しいものですが、それさえもさらに厳しくする要件で、効果も減少してしまうというのは当然のことだと思います。当事者の声を聞いていくということが大事ですが、国はこの補助と同時に、アンケート調査を実施していました。受給した世帯が私学を選択した理由や世帯の家計状況など、その調査結果について伺います。

○戸谷私学部長 令和二年度の国によるアンケート調査結果では、私学を選択した理由といたしまして、特色のある教育を行っている、学習、進学面のサポートが充実している、校風や伝統に魅力を感じているなどの様々な理由により、私立学校が選択されているということが挙げられておりました。
 また、入学後に家計が急変した世帯の割合が半数を超えているということも挙げられてございます。

○斉藤委員 入学後に家計が急変した世帯の割合が半数を超えると。正確には五五・一%に上ったというふうに伺っています。国から調査結果が都に通知されたのはこの二〇二〇年度の調査結果ということなので、コロナの影響によって家計が急変したという実態が数字として分かるものだと思います。
 私学を選択した理由としては、特色のある教育を行っているなど様々だということですけれども、まさにそれだけではない、本当に様々な理由があるものだと思います。特にこのアンケートでは、世帯年収が四百万円未満の世帯、つまり必ずしも家計にゆとりがあるわけではない世帯が私立学校を選んでいるという理由を聞いているというものなので、そこは丁寧に見ていく必要があると思います。
 国に対して、五年間を通した調査の結果を公表するように求めることを要望いたします。
 また、要件の厳しさはあるものの、この実証事業が終わってしまって残念、続けてほしかったという声がたくさん届けられています。国に対して、こうした支援の内容を拡充しながら、再開、継続をするよう求めることも強く要望いたします。
 一方、都でも家計急変に対して、私立小中学校が保護者の授業料の負担軽減を行った場合に、補助を行う取組を行ってきました。その過去五年間の実績について伺います。

○戸谷私学部長 家計急変に係る授業料減免制度を整備している私立の小中学校は、平成二十九年度が百三十五校、三十年度が百三十九校、令和元年度は百三十五校、二年度も百三十五校、三年度は百五十六校でございました。
 また、そのうちこの制度を活用した実績につきましては、平成二十九年度は二十六校で三十四人、三十年度は二十八校で四十一人、令和元年度は二十三校で三十四人、二年度は十七校で十九人、三年度は四十六校で百十一人でございました。

○斉藤委員 家計急変に係る授業料減免制度を整備している学校は、トータルで少しずつ増えているということが分かります。
 実際に補助を実施した私立小中学校は、二〇二一年度で四十六校と、前年度からは二・七倍に増えています。都から学校への補助は、前年に学校から保護者へ補助されていたものに対して行われるということなので、二〇二一年度の都からの補助は二〇二〇年度、つまりコロナの緊急事態宣言や自粛が行われた年の保護者への補助の分だということになり、その影響の大きさが分かります。
 大切な取組だと思いますが、しかし現在は、さらに物価高騰も追い打ちをかけ、子育て世帯の家計を圧迫し、物価高騰が長期化することも予想されています。
 九月三十日に発表された東京都生計分析調査報告では、働く世帯の実収入は、前年同月比で一世帯当たり一八%も減少しているということが分かっています。子育て世代にとって学費の負担が重くのしかかり、私の周りの子育て世代の方からも、毎日何を節約したらいいのかと、学費が重くて大変だという声が届けられています。
 コロナ禍の影響や現在の物価高騰による子育て世代の影響を都は、どう認識しているか、改めて伺います。

○戸谷私学部長 東京都では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済状況の悪化等の社会情勢を勘案して、家計急変に係る授業料減免制度を拡充したところでございます。

○斉藤委員 家計急変に対する補助のお話ありましたけれども、これ二〇二〇年度から十分の十に引き上げ、さらに今年度からは、この補助率引上げを当分の間実施するということになったことは重要なことだと思います。
 一方で、家計急変ではなく家計状況による補助については、これは三分の二の補助のままになっています。家計状況によって支援を受けていた世帯は、もともと厳しい状況があった世帯だと考えられます。
 家計の急変ではなくても、もともと厳しい状況にあった世帯への支援が充実するように、家計状況による補助も学校の負担をなるべくなくしていくことが必要だと考えますが、いかがですか。

○戸谷私学部長 生徒の家計状況または家計急変に対応した減免制度を設けている学校に対して、東京都は、その取組を支援しているところでございます。

○斉藤委員 取組の支援をやっているというのはずっと分かっていることなんですけれども、もともと家計状況によって行う補助も、より多くの学校の負担での心配なく、多くの世帯に支援が届けられるように補助率の引上げなど、支援の拡充を求めるものです。
 次に、私立小中学校での一人一台の端末の整備について伺います。
 公立の小中学校では、コロナによる一斉休校を契機に、オンライン授業による学びの継続のために、一人一台のタブレット端末の整備が急速に進められました。
 一方で、私立学校ではなかなか大変だという声も聞いてきました。私立小中学校の児童生徒への一人一台の端末の整備状況について伺います。

○戸谷私学部長 令和四年四月に実施した調査では、小学校では一・五人に一台、中学校では一・三人に一台というふうになってございます。

○斉藤委員 配布していただきました要求資料にも、この私立学校におけるICT機器等の整備状況について示していただいていますが、まだ小学校でも中学校でも、一人一台までの整備にはなっていないということです。
 私立の学校については、オンライン授業をどのくらいやるのか、どのように活用するのかなどは、学校独自の取組が尊重されるものだというふうに思いますが、条件整備については、公立と同様に行政が役割を果たしていかなければならないと思います。
 私立高校への生徒の一人一台の端末については、生徒に対して、一台当たり六万円の補助が行われていますが、私立の小中学校の児童生徒への整備、こちらは学校に備えて、児童生徒に貸出しをするという形になりますけれども、都は、これにどのように関与しているのか伺います。

○戸谷私学部長 私立学校デジタル教育環境整備費補助におきまして、端末や大型掲示装置などの整備に関する補助を実施してございまして、補助率は二分の一、補助上限額は令和三年度から一校一千万円に引き上げているところでございます。

○斉藤委員 私立学校デジタル教育環境整備費補助、これを活用することが可能だと。そして、その補助上限額が七百五十万円だったのを昨年度から一千万円に引き上げたということです。
 しかし、活用可能な補助があるといっても、端末の購入を自治体が行う公立学校に比べて補助率が二分の一ということで、学校に残りの二分の一の負担が発生するため、なかなか手が出せないという状況があるということも聞いています。端末への国の補助は終了してしまいましたし、デジタル教育環境整備費補助、これは通信環境などの整備も含めてのものです。
 私立とはいえ、義務教育の児童生徒たちに教育環境の差が生じないように、都が役割を果たしていくことが求められていると思います。公立の小中学校との格差にならないように、端末の整備そのものに財政支援を行っていくことが必要だと思いますが、見解を伺います。

○戸谷私学部長 私立学校デジタル教育環境整備費補助におきまして、必要な補助を行っているところでございます。

○斉藤委員 今の補助で十分なんだと、そういう認識だということかと思いますけれども、学校現場や保護者の声をよく聞いて、補助率の引上げや上限額の拡大など、支援の拡充を検討していくように求めます。
 また、中高一貫校では、中学生のときから端末を個人で持てるような補助方式にしてほしいという要望も伺っています。検討課題としていただきたいと思います。
 このテーマの最後に伺います。
 ここまで私立小中学校への支援について質問してきましたが、支援の拡充への根本的な理念として忘れてならないのは、憲法第二十六条で義務教育の無償化が掲げられていることです。私立は自己負担があって当たり前という意識が日本ではもう植え付けられているという現状があると思いますが、義務教育のはずの私立小中学校には、授業料の減免という支援もありません。
 憲法第二十六条がうたっている義務教育の無償化は、私立の小中学校に通う児童生徒たちにも当然当てはまる教育の在り方だと考えますが、都の見解を伺います。

○戸谷私学部長 私立学校は、その建学の精神に基づきまして、個性的で特色ある教育を展開して、東京の公教育におきまして大変重要な役割を担っております。都としては、その重要性に鑑み、関係法令等にのっとりまして、私立学校の健全な発達に資する様々な支援を現在も行っているところでございます。

○斉藤委員 先ほど我が党の里吉都議からも、この高等教育の無償化について取り上げましたけれども、国際的なこの位置づけについての話もされました。日本では学費が本当に異常に高くて、義務教育さえ大きく立ち遅れているという状況です。憲法に掲げられた教育の無償化は、決して法外なものではなく、世界的な流れと合致するものです。
 先ほど、今のご答弁で、この私立学校は重要な役割を果たしている、東京の公教育における私立学校の重要性に鑑みるという重要な認識を示していただきました。その認識にふさわしく、私立学校や保護者への負担軽減の拡充を進めていくことを強く求めます。
 次に、ジェンダー平等と女性への支援について伺います。
 コロナ禍で女性を取り巻く環境が大きく変化しています。昨年四月に、国の男女共同参画局が発表したコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書では、女性の非正規雇用労働者の減少や自殺者数の増加など、女性への深刻な影響が明らかになったこと、また、女性への深刻な影響の根底には、平時においてジェンダー平等、男女共同参画が進んでいなかったことがあり、コロナ禍の影響により顕在化したことなどが示されました。
 女性への支援は喫緊の課題です。その中で、都の生活文化スポーツ局は、相談事業や女性が置かれた社会背景の課題の調査など、重要な役割を担っていると思います。
 そこでまず、東京ウィメンズプラザで実施している相談事業について、過去五年間の相談件数及び二〇二一年度のDV相談件数と、それ以外の相談件数について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザの相談件数でございますが、平成二十九年度が二万三千六百十八件、平成三十年度が二万三千八十六件、令和元年度が二万二千四百二十三件、令和二年度が二万四千百五十七件、令和三年度が二万八千三百二十二件となっております。
 また、令和三年度につきましては、配偶者等からの暴力に関する相談件数が五千百九十六件、それ以外が二万三千百二十六件となっております。

○斉藤委員 相談件数は、コロナ禍の二〇二〇年と二〇二一年で増えているということが分かります。特に昨年度は、前年に比べて四千人以上増えているということです。昨年度は、ウィメンズプラザで相談員を増やし、より多くの相談を受けられるようになったということが数字にも表れているというふうに思います。
 これらの相談は、相談員が受ける一般相談のほかにも、法律相談や男性相談などもありますが、ウィメンズプラザで実施している相談の種類と、それぞれの二〇二一年度の相談件数について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年度は、一般相談が二万六千二百七十四件、弁護士や精神科医による面接相談が百二件、男性のための悩み相談が七百五十三件、LINE相談が千百九十三件となっております。

○斉藤委員 それでは、昨年度にウィメンズプラザに寄せられた相談内容の特徴的なものはどういうものか伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年度の相談内容でございますが、心に関する相談が最も多く、次いで配偶者等からの暴力に関する相談、家族に関する相談となっております。

○斉藤委員 心に関する相談が最も多く、続いて配偶者等からの暴力、いわゆるDVに関する相談が多いということです。
 都は、昨年度からLINEでのDV相談、ささえるライン@東京を始めていますが、昨年度から本格実施となったLINEでの相談、ささえるライン@東京では、昨年度は、先ほどのご答弁で千百九十三件のDV相談を行っているということでした。この相談者の年代別の傾向について伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 令和三年度の相談者を年代別で見ますと、三十代が四割を超えており、二十代から四十歳代で全体の約七割を占めております。

○斉藤委員 三十代が四割以上で、二十代から四十代で全体の七割を占めているということです。
 都は、この事業について、前年の二〇二〇年に試行実施を行っていて、このときの結果について公表されていますが、それによると電話での相談に比べ、若年層の相談が増えたという結果だということです。コロナ禍で最も影響を受けているのが女性の若年層だといわれています。そういう点では、最も支援の手を届けなくてはいけない層に一番多くつながったということは、重要なことだと思います。
 しかし、ちょっと気になるのが相談件数が試行実施だった二〇二〇年度は、一か月で二百五十二件の相談があったということですが、昨年度は一年間で千百九十三件ですから、一か月で百件程度になっているということです。
 そこで伺いますが、ささえるライン@東京の相談事業の広報はどのように行っているのか、試行実施のときと昨年度で違いがあるのかどうか伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 LINE相談についてでございますが、令和二年度からホームページやSNSによる発信、LINE広告等による広報を行っております。
 令和三年度につきましては、これらの取組に加えまして、都内全ての大学、短大や区市町村向けにPRカードの配布を実施しております。

○斉藤委員 昨年度の本格実施から、今年度は都内の大学や短大、さらに区市町村の男女参画センターにもこのPRカードを置いているということを伺いました。今後も必要な人に届くように、より検証と工夫を行って進めていただきたいというふうに思います。
 このテーマの冒頭でもいいましたけれども、女性を取り巻く環境は大きく変化をしています。
 政府が先日、新たな自殺総合対策大綱、これを発表し、女性や若年層の自殺者の増加が明らかになっています。二〇一九年までのコロナ禍前の五年間の平均人数と、二一年を比べると、十九歳以下と二十代で増加し、特に女性の十九歳以下は六九・八%、約七割増え、そして二十代は四七・四%と五〇%近く顕著に増加をしているということが分かりました。コロナ禍で女性や小中高校生の自殺者が増えているという状況に、非常事態は続いていると大綱に明記されています。
 都は、この女性が置かれている社会背景をどのように認識しているか、改めて伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 令和四年十月に閣議決定されました自殺総合対策大綱によりますと、人との関わり合いや雇用形態をはじめとした様々な変化が生じ、その中で女性の自殺が増加し、また、自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念される、しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響について、確定的なことは分かっていないとされております。

○斉藤委員 今、政府の大綱からのご答弁でしたけれども、本来は都としての認識として、都としての言葉でちょっとお答えいただきたかったんですけれども、今こうした変化について、この新型コロナウイルス感染症の影響については、確定的なことは分かっていないということもいわれましたけれども、しかし実際には、変化が起きているということは明らかなことです。
 人との関わり合いや雇用形態をはじめとした様々な変化が生じ、その中で女性の自殺が増加し、また自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念されるという、まさにその認識に立って、支援や調査を強化していく必要があると思います。
 女性を取り巻く今日的な社会課題を積極的につかんで発信し、政策につなげていくための取組が様々な自治体で行われています。
 例えば、横浜市の男女共同参画推進協議会では、非正規雇用の女性や一人暮らしの単身女性に焦点を当て、仕事や住まいの問題など、聞き取り調査で課題を明らかにして発信したり、支援や施策につなげていること、また、豊島区では、若年女性が生活や健康、性や家族、職場の人間関係など、女性が抱える生きづらさについて、何でも相談できる居場所を兼ねた支援を行っていることなど、我が党はこの間の質疑でも取り上げてきました。
 かつて、都でも東京女性財団がウィメンズプラザを運営していたときは、財団としての独自の研究や普及啓発活動とともに、都民や団体の研究に対して経費の一部を助成するなど、調査活動に力を入れて、積極的に社会課題をつかんでいく取組をやっていました。
 ところが、石原都政でその取組がなくされ、男女平等に向けての積極的な調査活動は、それ以来、後退あるいは停滞を余儀なくされてきたというふうに思います。
 女性が様々な困難を抱え、生きにくさを抱えている今こそ、都として女性を取り巻く社会的背景の調査研究の充実を図り、関係局とも連携をして施策につなげる必要があると思いますが、見解を伺います。

○樋口男女平等参画担当部長 都では、男女平等参画の状況に関する調査などの年次報告に加えまして、配偶者暴力被害に関する実態調査や男性の家事、育児参画状況に関する実態調査などを行っており、関係局と連携し、様々な支援や施策に生かしております。

○斉藤委員 今答弁にありました配偶者暴力被害に関する実態調査など、これは大事な取組だというふうに思います。しかし、この調査も五年に一度の調査になっています。拡充していく必要がありますし、必要な調査はそれだけではありません。
 男女共同参画を所管する生活文化スポーツ局こそが東京都の男女平等の取組の先頭に立って、積極的に課題をつかむ調査活動やそれを発信し、ジェンダー平等を進める活動を充実させていくことを求めて、質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化スポーツ局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十二分散会

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