令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第二号

令和四年十月十九日(水曜日)
第十二委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井あきら君
副委員長石島 秀起君
副委員長細田いさむ君
北口つよし君
鈴木  純君
龍円あいり君
斉藤まりこ君
菅原 直志君
風間ゆたか君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長西山 智之君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
技監感染症危機管理担当部長事務取扱成田 友代君
理事谷田  治君
理事木村 健治君
理事小林 忠雄君
総務部長高野 克己君
企画部長山本 謙治君
指導監査部長坂本 尚史君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務遠松 秀将君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務遠藤 善也君
生活福祉部長高橋 博則君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
感染症対策部長関口 尚志君
都立病院支援部長齋藤 善照君
企画担当部長大出  仁君
企画担当部長森田 能城君
医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務鈴木 和典君
地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務渋谷 恵美君
子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務西尾 寿一君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長
医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務
西塚  至君
新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務播磨あかね君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長藤井 達男君
東京感染症対策センター担当部長村本 一博君
新型コロナウイルスワクチン担当部長内藤 典子君
新型コロナウイルス検査事業推進担当部長抗体カクテル療法促進担当部長兼務及川 勝利君
酸素・医療提供ステーション担当部長小林 俊文君

本日の会議に付した事件
議席について
令和三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・令和三年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和三年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・令和三年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・令和三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに、傍聴人の数についてお諮りいたします。
 本委員会室の傍聴人の定員は、委員会傍聴規則第五条第二項の規定により、五名にいたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○藤井委員長 次に、本委員会室における本分科会の議席について申し上げます。
 議席は、先ほどの打合会で、ただいまご着席のとおりとすることを申し合わせましたので、ご了承願います。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い交代等のあった幹部職員について、局長から紹介があります。

○西山福祉保健局長 それでは、このたび人事異動のありました当局の幹部職員を紹介いたします。
 技監で教育庁技監併任及び感染症危機管理担当部長事務取扱の成田友代でございます。新型コロナウイルス感染症対策担当部長で医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務の西塚至でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○藤井委員長 紹介は終わりました。

○藤井委員長 決算の審査を行います。
 令和三年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、令和三年度東京都国民健康保険事業会計決算、令和三年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び令和三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高野総務部長 十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の令和三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。資料は、表紙をおめくりいただいた目次にありますように、全部で二十六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額、一般会計に占める割合などの推移を、(1)に旧病院経営本部分を除く福祉保健局所管分、(2)に旧病院経営本部所管分を、それぞれ平成二十九年度から令和三年度まで五か年間にかけまして記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、表側の予算区分ごとに、福祉保健局所管分の予算現額及び決算額の推移を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びその人口に占める発行実績数の割合の推移を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、令和三年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業別に、区市町村ごとの令和三年度の補助額の実績を右側の五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、(1)の区市町村地域生活支援事業及び(2)の区市町村地域生活支援促進事業につきまして、各事業ごとの令和三年度の実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、令和三年度中に東京都が認可した保育所における屋外遊戯場の設置状況つきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみの三つに区分し、それぞれの施設数を区市町村別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数並びに指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数、施設閉鎖の命令数等の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数並びに認可、認証の取消し数及び認可外保育施設に対する施設閉鎖の命令数を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、保育施設巡回指導員数の推移といたしまして、各年度三月三十一日現在の保育施設巡回指導員の人数の推移を平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、区分に記載した事業ごとに、(1)の当初予算額及び(2)の決算額を令和元年度から令和三年度にかけて記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移(当初予算及び決算)といたしまして、事業ごとに、補助対象とした事業所数、レベル認定者数及びアセッサー数を、(1)に当初予算の規模を、(2)に決算の規模を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 一三ページをご覧ください。12、都内の介護職員数の推移といたしまして、厚生労働省が推計した都内の介護職員数を平成三十年度から令和二年度まで記載してございます。
 一四ページをお開き願います。13、東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金並びに歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額といたしまして、(1)に令和二年度及び令和三年度における東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金額を、(2)に令和二年度における歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額をそれぞれ記載してございます。
 一五ページをご覧ください。14、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおけるコロナ専用病床の確保数の推移と利用実績といたしまして、(1)にICU、一般病床の区分ごとのコロナ専用病床確保数及びその合計について、令和三年四月一日から令和四年三月三十一日まで、その推移を記載してございます。また、(2)に、令和三年度の同じくICU、一般病床の区分別のコロナ専用病床の利用実績及びその合計の利用実績を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。15、宿舎借り上げ支援事業(介護、障害、保育、児童養護)の実績の推移といたしまして、(1)から右側一七ページの(4)にかけまして、介護、障害、保育、児童養護ごとの事業の実績をそれぞれ平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 一八ページをお開き願います。16、保育所等における置き去り等事故の報告件数といたしまして、令和二年度及び令和三年度の報告件数を記載してございます。
 一九ページをご覧ください。17、多床室を有する無料低額宿泊所の割合といたしまして、無料低額宿泊所の施設数、多床室のある施設数及びその割合を令和二年度から令和四年度まで記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。18、東京都ひきこもりサポートネットの相談件数の推移といたしまして、電話相談、メール相談における延べ相談件数及び訪問相談における新規受付件数を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 二一ページをご覧ください。19、ひきこもりに係る支援事業の予算・決算額の推移といたしまして、予算現額、決算額及びそのうちに占めるサポートネット運営費の金額を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 二二ページをお開き願います。20、ひきこもり支援に係る広報事業の実績といたしまして、区分に記載したひきこもり支援に係る令和三年度の広報事業の実績を記載してございます。
 二三ページをご覧ください。21、各公社病院の経営指標の推移といたしまして、旧公益財団法人東京都保健医療公社の各病院における経営指標の推移を入院、外来別に平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 二四ページをお開き願います。22、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移といたしまして、(1)から二八ページの(5)にかけまして、平成二十九年度から令和三年度までの各年度ごとに各病院における医師及び歯科医師を、二九ページの(6)に看護職員を、それぞれの定数及び現員の推移について記載してございます。
 三〇ページをお開き願います。23、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移といたしまして、旧公社病院における看護職員の各年度四月一日から三月三十日までの退職者数、三月三十一日の中途退職者数及びその合計の推移について、平成二十九年度から令和三年度まで記載してございます。
 三一ページをご覧ください。24、東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移といたしまして、各年度六月一日現在の障害者雇用率の推移を令和元年度から令和三年度まで記載してございます。
 三二ページをお開き願います。25、各公社病院の新型コロナウイルス感染患者専用病床の確保数及び新規患者受入数の推移といたしまして、三三ページにかけまして、各病院における令和三年度の新型コロナ専用病床の確保数及び新規患者受入れ数を月別に記載してございます。
 三四ページをお開き願います。26、東京都保健医療公社における時間外労働が月八十時間を超えた医師・看護職員の人数及び時間外労働の最大時間数といたしまして、昨年度の時間外労働が月八十時間を超えた医師、看護職員の人数及び月八十時間を超えた場合の時間外労働の最大時間数について月別に記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 都議会自由民主党の鈴木純でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 令和三年度も、令和二年度に引き続き新型コロナウイルス感染症との闘いの年でありました。一方、ワクチンの登場により徐々に日常生活を取り戻し始めた年でもあり、こうした流れは、今年度、令和四年度に入り、ますます進展しております。
 都議会自民党は、さきの第三回定例会代表質問でも、感染拡大防止と社会経済活動との両立を重視した感染症対策の強化について、知事に答弁を求めたところであります。今冬の新型コロナとインフルエンザの同時流行も見据えた対策はもとより、引き続きしっかりと感染症対策に取り組むことが重要であると同時に、一日も早く、コロナ禍以前の経済状況や社会活動を取り戻す必要があると考えます。
 このためにも、令和三年度の新型コロナ対策やコロナ禍における子育て支援等の取組について、改めて総括しつつ、今後の取組について質問させていただきます。
 まずは、新型コロナワクチンについて伺います。
 令和三年度からこれまでの間、新型コロナワクチンは、都民の安全・安心を守るという意味において重要な役割を果たしてきていると考えております。
 そこで、昨年度のワクチン接種の取組について伺わせていただきます。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 都はこれまで、区市町村とのワクチンチーム会議を、昨年十一月以降、原則週一回開催し、ワクチン供給計画など接種に関わる国の動向や都内の接種状況等を迅速に共有し、共通の課題について意見交換を実施するなど、接種推進に取り組んでまいりました。
 また、区市町村において高齢者接種が本格化する中、社会機能を維持するため、昨年六月、大規模接種会場を設置し、警察、消防関係者などのエッセンシャルワーカーへの接種を実施いたしました。
 その後、会場や対象を順次拡大し、昨年度末までに、一、二回目接種は延べ二十一会場で約百十五万回、三回目接種は延べ十四会場で約十五万回の接種を実施いたしました。
 さらに、重症化リスクが高く、移動が困難な高齢者施設の入所者等への接種を促進するため、今年二月からワクチンバスの運行を開始し、高齢者施設や障害者施設の入所者のほか、西多摩地域の山間部の高齢者、小児に対して、令和三年度は七十六か所で延べ二千三百七十二回の接種を実施いたしました。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 まずは取組について伺わせていただきましたが、これからもワクチン接種を進めていくためには、接種いただく方にワクチンの効果を認識していただくことが重要であると考えております。
 ワクチンの効果やその周知についても伺わせていただきます。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 新型コロナウイルスワクチンの重症化予防効果や発症予防効果について、都は、広報紙やホームページに加え、SNSや街頭ビジョン等も活用し、幅広い年代に情報が届くよう、区市町村とも連携して周知に取り組んでまいりました。
 また、都では専門家の知見も踏まえ、三回目接種率が高いほど感染率が低い傾向があることや、三回目接種により、オミクロン株に対しても感染防御に役立つ中和抗体が得られることなどの情報も独自に発信してまいりました。
 なお、九月二十日から接種が開始されたオミクロン株対応二価ワクチンは、オミクロン株に対して従来型ワクチンを上回る効果が期待され、従来株とオミクロン株の二種類の成分があることにより、より多様な新型コロナウイルスに反応すると考えられており、今後とも様々な手法で積極的に発信してまいります。

○鈴木委員 都としてのオミクロン株対応ワクチンの効果の認識も確認しましたが、今後、確実に来るといわれている第八波の到来を見据えますと、できる限り速やかにオミクロン株対応ワクチンの接種を促進し、感染拡大を未然に防ぐことが重要であります。
 今後のワクチン接種の取組についても伺わせていただきます。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 今後の冬の感染拡大を見据えると、二回以上の接種を終えた十二歳以上の全ての方を対象としたオミクロン株対応ワクチンをできる限り多くの方々に年内に接種いただくことが重要でございます。
 そのため、都は、行動範囲の広い若い方向けに大学や企業等を通じ接種を呼びかけるほか、利用しやすい場所で接種機会を提供するとともに、駅や電車など目に触れやすい場所で効果的な周知を行い、接種に結びつけてまいります。
 また、感染リスクの高い高齢者等に対しては、区市町村を通じて、高齢者施設等での接種計画の早期策定を強く促すとともに、ワクチンバスを重点的に派遣してまいります。
 さらに、都の大規模接種会場において、利便性の高い予約なし接種を実施するなど、オミクロン株対応ワクチンの接種を推進してまいります。
 引き続き、社会経済活動との両立に向け、都内のワクチン接種促進に精力的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 令和三年度では、秋から冬にかけて感染者数が激減したということは皆様記憶にあると思うんですけど、重症者の抑制が図られるなど、コロナ禍の長期化によってワクチン接種に対するモチベーションが低下している都民がいるということも事実であると認識しております。やはりワクチンは、新型コロナとの闘いにおいて強力な武器であると考えておりますので、引き続き区市町村をしっかりと支援し、希望する都民が接種しやすい環境整備に取り組んでいただくことを要望いたします。
 次に、新型コロナ治療薬について伺います。
 昨年度は、ワクチンに加え、新型コロナとの闘いの大きな武器となる複数の治療薬が特例承認され、医療機関の現場で使われてきました。
 治療薬は、新型コロナとの闘いの中で現状を大きく変えられると期待されていますが、承認された治療薬は在庫が限られることなどから一般流通はされず、国が一括管理することとなっておりました。
 この新型コロナの治療薬について、昨年度の都内における状況と普及に向けた取組を伺わせていただきます。

○及川新型コロナウイルス検査事業推進担当部長抗体カクテル療法促進担当部長兼務 昨年七月に、軽症者等の重症化を防止する中和抗体薬が特例承認されて以降、順次都内の医療機関に同薬の配備を進めますとともに、酸素・医療提供ステーションなど都の臨時の医療施設におきましても、点滴投与を実施いたしました。
 同年十月には、中和抗体薬治療コールセンターを設置いたしまして、投与希望者からの問合せや相談を受け付ける体制を整え、投与対象者に対する投与施設や搬送等の調整を行いました。
 これらの取組によりまして、昨年度におきましては約二万人の方々に中和抗体薬の投与を実施し、患者の重症化防止に寄与いたしました。
 また、同年十二月に自宅で服薬可能な経口治療薬が承認されて以降、都は、必要とする都民の方々に速やかに投与できるよう、東京都医師会、東京都薬剤師会等と連携いたしまして、経口治療薬を取り扱う医療機関及び薬局を確保してまいりました。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 治療薬の提供体制を整えてきたということでありますが、これまでの国が一括管理してきた体制の中では、登録医療機関の拡大に努めていただきながらも、やはり処方できる医療機関と薬局は限られていたとの声を聞いております。
 今後、新型コロナウイルス感染症が一般的な疾病として扱われていくためには、より一層の治療薬の普及が必要であると考えております。
 昨年度の取組を踏まえ、今後の対応を伺わせていただきます。

○及川新型コロナウイルス検査事業推進担当部長抗体カクテル療法促進担当部長兼務 今後の感染再拡大に備えて、安全かつ安心な自宅療養を支え、さらに、療養期間の短縮を可能とする治療薬の活用は重要でございます。
 国が一括管理してきた治療薬につきましては、登録した医療機関と薬局しか取扱いができず、また、薬局間での譲渡も認められていないなど、必ずしも自宅にいながら簡単に入手できる状態にはなっていなかったことから、流通の改善を国に要望してまいりました。
 先般、一般流通が開始された経口抗ウイルス薬、ラゲブリオにつきましては、都内全ての医療機関と薬局での取扱いが可能となりました。
 今後は、東京都薬剤師会等と連携いたしまして、必要とする都民がどこにいても迅速に入手できるよう、都内の流通体制を構築してまいります。
 さらに、治療薬全般の効能や処方可能な医療機関、薬局等の情報をコールセンターで丁寧にご案内をさせていただくとともに、ホームページ等を通じて情報発信していくことによりまして、都民の主体的な療養を支えてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 ここまで、今後の新型コロナ対策の鍵となりますワクチン、治療薬について伺わせていただきました。
 必要なワクチンの確保や治療薬の承認など、国が果たすべき役割も大きいと考えております。また、都民との接点となる区市町村、地域の医療機関や薬局等がしっかりと連携していくことも不可欠でありますので、引き続き、東京都は国に必要な働きかけを行うとともに、地域におけるワクチン接種や治療薬の処方等が円滑に行われるよう、積極的に調整に取り組んでいただくことを要望いたします。
 続いては、子育て支援について伺わせていただきます。
 コロナ禍にあって、少子化の加速が現在懸念されております。コロナ禍の今年五月に私も二人目の子供が誕生し、微力でありますが、今の時代に少しは貢献できているかもしれません。
 今まで都は、区市町村と連携し、様々な子育て支援の充実に取り組んできたことは評価しております。本年四月の待機児童数が三百人となるなど、取組の効果が現れていると感じております。ただ、待機児童をゼロにする必要はないと私は考えております。
 一方、コロナ禍にあって、いわゆる産み控えや産後鬱の拡大など、次世代に向けて看過できない課題も生じていると仄聞しております。都はコロナ禍以前にも増して子育て支援等の充実に取り組むべきであり、そうした観点から伺わせていただきます。
 最初に、産前産後寄り添い支援について伺わせていただきます。
 地域のつながりの希薄化等により、子育ての孤立化が問題となっている中、誰もが地域で安心して子育てができるよう、各家庭の支援ニーズに応じて、妊娠期から産後まできめ細やかな支援を行うことが重要であります。
 国は、母子保健法を改正し、令和三年四月に産後ケア事業を区市町村の努力義務として法定化しましたが、東京都においては、とうきょうママパパ応援事業により、妊婦の全数面接をはじめ、産後のケア、家事育児サポーターの派遣など、区市町村の取組を支援しております。
 令和三年度の実績をまず伺わせていただきます。

○奈良部少子社会対策部長 都は、とうきょうママパパ応援事業におきまして、保健師等による妊婦への全数面接や出産後の母子等に対する産後ケア、乳児期の子育て家庭への家事育児サポーターの派遣などを行う区市町村を支援しております。
 令和三年度は、妊婦への全数面接は五十八自治体、産後ケアが四十五自治体、家事育児サポーターの派遣が二十九自治体で実施されております。

○鈴木委員 妊婦さんの全数面接の取組が進んでおりますが、産後ケアや家事育児サポーターの派遣などの各種支援メニューについても、一層多くの区市町村で取組が進むよう働きかけていくべきと考えております。都のお考えを伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、産後ケアの取組をさらに促進するため、令和二年度から区市町村の負担分を全額補助しております。また、家事育児サポーター派遣の取組が進むよう、サポーターを担う人材を育成するための経費を支援しております。
 区市町村に対しましては、説明会等において各事業の案内や実施自治体での好事例を紹介するなど、活用を促しておりまして、今年度の実施自治体は、産後ケア事業が五十自治体、家事育児サポーターの派遣が三十五自治体に拡大する予定でございます。
 未実施自治体に対しましては、個別にヒアリングを行い、実施意向や課題等を確認しておりまして、引き続きより多くの自治体で取組が進むよう積極的に働きかけてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。
 続いて、ベビーシッター利用支援事業について伺わせていただきます。
 本事業は、令和元年度、保育所の待機児童対策として開始した事業であると伺っております。開始当初は様々な課題もあったと聞いておりまして、事業開始から今年度で四年目を迎え、この間、予算額の精査や支援メニューの拡充も図り、取組が進んでいると認識しております。
 私ごとでありますが、私もこの事業を利用させていただきまして、初めてシッターを自宅に呼び、幼い我が子を預ける際は、かなり緊張というよりも不安等、いろいろとあったんですが、利用後は本当にありがたいという、何でしょう、目からうろこが落ちるような思いでありました。こうした子育て支援を活用することは、うまく子育てをしていく上で重要であると改めて認識いたしました。
 一方、どこまで公費を負担すべきかについては議論のあるところであります。一定の行政による支援は必要だと感じているというような今認識を持っております。
 そこで、私も活用させていただいたこのベビーシッター利用支援事業の令和三年度の事業実績と今年度の拡充内容について伺わせていただきます。
 また、取組の推進に当たっては、区市町村への働きかけが重要であると考えておりますが、都の見解を伺わせていただきます。

○奈良部少子社会対策部長 令和三年度の活用実績でございますが、待機児童などを対象とするベビーシッター利用支援事業が十九区市、一時預かり利用支援は九区市で活用されております。
 ベビーシッター利用支援事業は、当初、ゼロ歳児から二歳児までを対象としておりましたが、今年度から対象児童を五歳児までに拡大したほか、夜間にも安心して保育サービスを利用できるよう、午後十時以降の保育にも対応しております。
 また、保育所に比べ開所時間が短い学童クラブが閉所した後にお子さんを預けられるよう、一時預かりの対象児童を小学三年生までに拡大しております。
 引き続き本事業の活用が進むよう、待機児童対策協議会などの様々な機会を通じまして、区市町村に働きかけてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 産後から未就学児、小学生まで、多様なニーズにも対応可能となるよう、充実を図っていただいたことを評価しております。引き続き多くの自治体での事業実施に向けて働きかけを進めてもらいたいと要望いたします。
 一方で、ベビーシッターによる犯罪などもあり、密室に二人となる特性に不安を抱く保護者も多く、本事業の推進に当たっては、児童の安全はもとより保護者の安心が前提となりますが、本事業を保護者が安心して利用できるようにするためには、保育の質の確保が重要と考えております。都の見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、ベビーシッター利用支援事業に参画する事業者を独自の基準で審査、認定するとともに、全てのベビーシッターに対しまして、都が実施する研修の受講を義務づけております。
 昨年度からは、事業者の管理責任者向けの研修を行うほか、事業者による保護者宅への巡回訪問やウェブカメラの活用への支援を実施するなど、ベビーシッターの質の向上を図っております。
 今後とも、保護者が安心してベビーシッターを利用できるよう、保育の質の確保に取り組んでまいります。

○鈴木委員 子供の安全、保護者の安心につながるよう、様々な取組を進めていただくということが分かりました。
 残念ながら、こうした取組について区市町村が必ずしも認識していない実情があるようにも感じます。事業内容の拡充に加えて、こうした安全・安心、保育の質の向上に資する取組についても周知を図り、実施自治体の増加につなげるよう要望し、次の質問に入ります。
 最後に、不妊治療に対する支援について伺わせていただきます。
 この不妊治療、私ごとですが、子供が二人いる中で、二人が二人とも不妊治療によってうちは生まれまして、もともと子供とか自分が描いていた将来図というのは、まさか、自然に子供を妊娠するのかなと思っていたらそうではなくて、結婚してみないと改めてこういう検査することっていうのはなかなかなかったものでして、今、結婚して一年間たてば、それでも子供ができない場合は不妊というふうな形でいわれてしまう中で、ただ、治療といっても決して病気ではなくて、うちの場合ですと、これは選挙のときも、その前、区議会の時代からも追っているテーマなんですけど、二人のことですよね、こういうことって。夫婦のことであり、うちの妻からも、外でもこういった、何かいろいろな改善になるのであれば話してもいいということもいわれておりますので、この治療の中で、以前は、保険適用前は東京都独自でやられていた。年収の基準があったりとか、そういうのにすごい非常に不満というか、そういったものを抱いておりました。私の身近な方でも、二千万円使って子供を授からなかったという方もいらっしゃったりとか、諦めてきた方も多々いると思います。
 そこで、特定不妊治療費助成事業について、まずちょっと伺わせていただきたいのが、令和三年の拡充内容と昨年度の利用実績について初めに伺わせていただきたい。そして、一昨年度の実績と比較してどれくらい増加したのかをまず伺わせていただきます。

○奈良部少子社会対策部長 都は、高額な不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、保険適用となっていなかった体外受精や顕微授精等の特定不妊治療に係る費用の一部を助成しておりまして、令和三年一月からは助成額を増額したほか、所得制限の撤廃など助成内容を拡充しております。
 令和三年度の助成実績でございますが、三万二千九百四十六件となっておりまして、令和二年度の二万六百六十七件と比較いたしまして、約一・六倍となっております。

○鈴木委員 本年四月から不妊治療の保険適用が始まりました。都は先進医療に対して新たな助成事業を実施するということで、改めてその内容について伺わせていただきます。

○奈良部少子社会対策部長 本年四月から不妊治療に医療保険が適用されることとなりましたが、保険診療と併用して実施されるタイムラプスや子宮内膜受容能検査−−ERAですけれども、などの先進医療の治療費につきましては、全額自己負担とされております。
 都は、治療を受ける方の経済的負担を軽減するため、先進医療に係る費用の一部を独自に助成することといたしました。令和四年四月以降に開始した治療を対象に、複数の先進医療を受けられるよう、治療に係る費用の七割、十五万円を上限に助成することとしております。助成申請の受付は令和五年一月に開始する予定でございまして、現在準備を進めております。

○鈴木委員 ありがとうございます。
 都が、不妊治療に取り組む方々のため先進医療に対する支援を決定したことを高く評価しております。
 また、この十五万円が、ほかの道府県等で、もう始まっているところもあるのかな、これから行うところもあると思うんですけど、金額十五万円というのは一番高いんですかね、この高額な費用負担を理由に治療を諦めていた方々が、こういった支援によって治療の選択の幅を広げることができ、子供を授かれるということを切に願っております。
 また、国の考え方は理解しておりますが、本来、こうした支援は国の責任において−−行政区分は関係ないですよね、これから生まれる子供たちのことですから、こういった全国一律の支援を行うべきものであり、都としても引き続き国に強く働きかけていくことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

○龍円委員 こんにちは。都民ファーストの会の龍円あいりと申します。
 私は、誰もが自分らしく輝きながらも社会の仲間の一員として参加していると実感することができるインクルーシブな社会の実現を目指して、質疑を続けております。
 二〇一七年から二〇一八年にかけて厚生委員会に所属しておりまして、福祉保健局に対する質疑は久しぶりとなりますが、当時からの課題意識を踏まえて本日の質疑をさせていただきたいと思います。
 同じ会派の皆さんはよく知ってくれていると思うんですが、私がそもそも都議会議員を目指したのは、アメリカのカリフォルニア州でダウン症のある子の出産と育児を経験した後に日本に帰国して、あまりに、スペシャルニーズ、障害のある子への支援や教育が、そしてそれを取り巻く環境が大きくギャップがあったため、衝撃を受けたことから、それが原体験としてあります。
 私が住んでいたのは、南カリフォルニアのオレンジカウンティというところで、アメリカでも治安がとってもよくて、そして経済的にも余裕がある地域でしたので、アメリカの中でも特にいい環境を経験させてもらったのだなと思っています。
 そのため、私の経験だけをもってして、アメリカはというふうに全米のこととして話すことはできないとは思っているんですが、少なくともそれらは、アメリカのIDEAという法律に基づいていることと、カリフォルニア州全体の政策として実施されていたものですので、参考になるのかなというふうに思っています。
 アメリカ、私が住んでいた地域のアメリカはということになりますけれども、日本と最も違っていると感じているのは、インクルーシブの考え方が根づいているか根づいていないかという点が最も大きいと感じています。
 アメリカでは、人は一人一人違うということが根本的な前提になっていて、その違う一人一人を全て含むためにはどうしたらいいのかという前提で、福祉とか教育とかの制度設計がされていることと、社会全体が一人一人違うということが共通認識になっていて回っているような感じがしました。
 この全員が違うということが前提になっていると、様々な制度が柔軟で、そして許容が広くて、そして普通というものの押しつけがありませんでした。そのため、日本人で英語を母語としていなくて、さらに事実婚でスペシャルニーズのある子を育てているという、違いをたくさん持っていた私なんですけれども、不便に感じたことがありませんでした。
 アメリカで私が経験したインクルーシブは、人は一人一人違うことが前提になっていて、それらの違う人がみんな生きやすいような工夫と配慮がある社会だったというふうな認識です。
 一方で、日本はというと、人は基本的に皆同じという考え方がもともとあって社会が回っているような気がします。普通という巨大なカテゴリーがあって、そこからはみ出している方が違うとされているような感じがします。したがって、違う人には例外的に特別な対応をするという感覚がある社会だなというふうに感じています。
 日本のインクルーシブは、大きい普通というカテゴリーに違うという人たちを入れてあげるよという考え方がされていると思います。これだと、入れてもらった人たちは、いつまでたっても本当の意味での仲間になりにくいですし、また、普通にカテゴリーされている人たちの中にも、本当は無数に違いがあって、その違いを魅力として発揮しにくいという面があるのではないかなと思います。
 したがって、私としては、東京都には、人は皆同じから、人は皆違うを前提に変えて、あらゆる違いに対応できる行政になっていただきたいなというふうに思っております。
 アメリカでは、スペシャルニーズ、障害のある子への施策ということでいうと、その子供のみならず、その子のいる家庭の環境やバックグラウンド、考え方、価値観が違うことから、それに対応するために、とても優れた体制だと思っているんですけれども、そういう体制が構築されていました。
 これが先ほどのIDEAという法律に定められていたもので、子供とその家族と行政サイドのケアマネジャー、教育、療育などの福祉、そして医療によるチームがそれぞれのお子さんに対して組まれていました。このチームがアセスメントを行い、目標設定をして、それを実行するためのプランとか支援体制を組んでいました。こういうチームですと、あらゆる違いに柔軟に対応しやすかったなというふうに今思うと感じます。
 日本では、縦割りという表現をされることもありますが、なかなかこの横連携が簡単ではないという認識があります。ただ、その中にあっても、縦割りの壁を超えて、横連携に前向きに支援を広げようとしてくれているのが福祉分野だというふうに感じています。
 スペシャルニーズのある子への支援として、私がその中で、東京都の福祉行政の中で期待を寄せているのが児童発達支援センターです。相談支援機能で子供の成長に寄り添って、地域の学校ですとか、ほかの療育とか福祉、そして医療とも連携することが可能な機関です。
 ただ、あまりセンターの数が多くなくて、二〇一七年十一月の質疑では二十三区市三十四か所にとどまっておりました。しかし、各区市町村に一か所の設置を目標に取り組んでいくとの答弁をいただいております。
 そこで、東京都における児童発達支援センターの設置状況についてお伺いいたします。
 児童発達支援センターについて、都は、東京都障害者・障害児施策推進計画において、令和五年度末までに各区市町村に一か所ずつの設置目標を掲げていますが、現在の設置区市町村の数及び事業数、そして、過去の計画の末期である平成二十九年度末、令和二年度末の設置数をそれぞれお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 児童発達支援センターの設置状況でございますが、第四期東京都障害福祉計画の終期に当たります平成二十九年度末では二十三区市三十四か所、第五期計画の終期である令和二年度末は三十四区市四十七か所、令和四年四月現在では三十六区市五十二か所でございます。

○龍円委員 二〇一七年度末は二十三自治体だったものが、今年四月には三十六に伸びていて、三十四か所が五十二か所まで施設も増えたとのことでした。
 以前の答弁では、整備費の事業者負担を軽減する特別助成ですとか、定期借地権の一時金への補助、それから借地料の補助を行うなどして設置促進をするとのことでしたが、その取組もありまして徐々に増えていることが分かりました。
 ただ、このペースだと、令和五年度末までに各区市町村一か所という目標には届かないのかなという感じもしております。
 ここまでお話ししましたように、児童発達支援センターは、個々の子供のニーズに柔軟に対応できるインクルーシブな社会を実現していく上では、将来的にとても重要な役割を担ってくださることを期待していますので、まずはインフラとして広くサービスされていくことがとても重要だというふうに考えています。
 そこで、設置がなかなか進まない背景にはどのようなことが課題だと考えているのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 児童発達支援センターは、地域の中核的施設として、障害児や家族からの様々な相談への対応や地域の障害児支援事業所、保育所等への専門的支援などの役割が求められております。
 その設置に当たりましては、医師、栄養士、児童発達支援管理責任者の配置のほか、支援内容に応じて機能訓練担当職員や介護職員の配置が必要となります。また、施設は訓練室、相談室のほか、医務室、調理室などの設置が必要でございます。
 未設置の区市町村などからは、設置に向けては、こうした人員、施設の基準を確保するための検討が必要であると伺っております。

○龍円委員 いろいろな要因があることが分かったんですが、この調理室というのは、給食を提供できるような施設になると思いますが、東京都、家賃がとても高いので、こういう場所でこの要件はハードルを上げているのかなというふうに思います。もちろん、国にも考えがあってのことだと思いますが、私が期待している教育と医療などのセクターを超えた横連携ですとか成長に寄り添う相談体制と、この給食は直接は特に関係がないので、そこが理由だというのがちょっと歯がゆい思いです。
 今後も、この件についてはどう進めていくべきなのか、質疑や議論を続けていきたいところではありますが、現状で、都は設置を促進する誘導策としてどのようなことに取り組んでいるのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 都は、児童発達支援センターの未設置地域に対しまして、施設整備費の補助額を上乗せするとともに、全ての区市町村を対象といたしまして、事業の立ち上げに必要となる研修や広報などの経費を包括補助で支援し、区市町村の取組を促しております。

○龍円委員 都としては整備の促進に取り組んでいるとのことでした。ただ、なかなか進まない現状を受けて、次に何をしていくべきなのかという議論を今後できればと考えております。
 さて私は、二〇二一年と二〇二二年の一般質問で取り上げさせていただいたことなんですが、スペシャルニーズ、障害のある子の親にとって、小学校の進学は、小一の壁どころか小一の断崖絶壁であることについて大きな課題意識を持っております。
 未就学期の間は、就労支援を担っている保育所では、スペシャルニーズのある子を受け入れる支援も充実していますし、待機児童も解消されつつあることから、親の就労継続はかなり可能となっています。ただ、小学校に上がると急に安定的な就労の継続が困難になります。
 スペシャルニーズのある子供は、療育ですとか医療など一般の家庭よりも多くの支出があることや、子供が成人した後も生活を支えていく可能性があることから、両親共に就労を継続できることは非常に重要です。しかしながら、そういう現実に反するように、スペシャルニーズのある子を育てている家庭の、特に母親は就労を継続できなかったり、またはパートタイムなどに働き方を変えるケースが多い現状があります。こういう状況を重く捉えて、東京都が昨年度から開始した障害児の放課後等支援事業は大変重要だと認識しています。
 そこで、令和三年度末の実施区市町村の数をお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 障害児の放課後等支援事業は、医療的ケア児や重症心身障害児が放課後などに安心して過ごせる場を確保するため、放課後等デイサービス事業所などでの受入れを促進する事業でございまして、区市町村の実情に応じた取組に対して補助を行っております。
 事業開始初年度である令和三年度は、七区で事業を開始いたしました。

○龍円委員 七区ということで、数は多くはないんですけれども、この事業実施の初年度から活用いただいているということについて、大変うれしく、評価いたします。
 この事業は、医療的ケア児や重症心身障害児が学校の後に安定的に過ごせる場所を確保する区市町村に対して支援を行うものですけれども、区市町村では実際にどのような事業内容に活用されているのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 放課後等デイサービス事業所に医療的ケア児を看護するスキルを持った看護師などの専門職を配置する取組や、介護タクシーによる送迎などの取組に活用されております。

○龍円委員 放課後支援を行う事業所に専門的人材を配置したり、その事業所が送迎などを行うために、介護タクシーを運行するために利用するなど、各区市町村が工夫ですとかニーズに合った方法で活用が可能だというのは、大変柔軟でよい取組だというふうに思います。
 今後、この障害児の放課後等支援事業を進め、医療的ケア児の支援をさらに充実させるために、都はどのような取組を行っていくのかお伺いいたします。

○中川障害者施策推進部長 放課後等支援事業は、令和三年度の事業開始後、令和三年第四回定例会での補正予算において事業拡充を図っておりまして、今後、区市町村に対して事業のさらなる周知や先行事例の紹介などを行い、その活用を促してまいります。
 また、現在、放課後等デイサービスなどで医療的ケア児等の支援に関わる職員に対して、支援の留意点などを学ぶ研修を実施しておりまして、今年度からは、事業所の管理者などを対象として、受入れ環境を整備するための研修も実施いたします。
 こうした取組により、地域における医療的ケア児の受入れ環境の整備を進めてまいります。

○龍円委員 障害児の放課後等支援事業は、区市町村への支援ではあるんですけれども、医療的ケア児や重症心身障害児を受け入れる放課後等デイサービスですとか、日中一時支援事業所などがサービスの拡充とか充実に利用できるものですので、制度の存在を知れば、活用したいよという業者がかなりあるのではないかなというふうに思いますので、ぜひこの取組事例を周知するなどして、利用の拡大を図っていただけますようお願いいたします。
 さて、小一の断崖絶壁は、医療的ケア児や重症心身障害児だけの問題ではありません。放課後等デイサービスは、都心部では特に数が足りていないということもありまして、安定的に週五日利用できる家庭、お子さんは少ないということがあります。仮に五日利用できたとしても、放課後等デイサービスは就労支援のための施設ではないことから、終了の時刻が早かったりとか、夏休み期間中の対応が不十分だという課題もありました。
 そんな中、都が令和三年度から事業を開始した学童クラブにおける医療的ケア児等受入支援事業は非常に重要だと考えております。学童クラブにおいても、ニーズが多いお子さんでも受け入れやすくするだけではなくて、都立特別支援学校に通っていて、教育では地域から分離されてしまっているんですけれども、放課後は地域に戻って過ごせるという、インクルーシブな環境を整備するためにも重要な事業だというふうに考えています。
 この事業の意義、そして事業の内容についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は令和三年度から、医療的ケア児や重症心身障害児等を育てる保護者の方々が子育てと仕事を両立し、安心して働き続けることができるよう、医療的ケア児等を受け入れる学童クラブへの支援を開始いたしました。
 具体的には、児童の受入れに当たりまして、看護師など専門職の増配置や送迎の実施、開所時間の延長など、地域の実情に応じて、国の障害児受入れ支援を上回る取組を行う区市町村を支援しております。

○龍円委員 現在、学童クラブにおける東京都独自の支援は非常に画期的で、ありがたいことだと思っております。これまでは、学童クラブで利用を断られてしまったお子さんたちも、放課後は地域の子たちと交じり合って過ごせることは大きな意義がありますし、保護者にとっても就労の継続ができることで、大変大変重要な施策だと思っております。
 現在、都の学童クラブでは、約四千人のスペシャルニーズのある子がいるとのことですが、令和三年度において、障害児の受入れに係る国庫補助及び都の医療的ケア児等受入支援事業の活用状況についてお伺いします。
 さらに、取組の推進に当たっては区市町村への働きかけが重要だと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 令和三年では、四十五の自治体が国の補助制度を活用し、専門的知識等を有する支援員の配置など、障害児の受入れに伴う体制整備を行っておりまして、このうち三自治体が都の補助制度を活用いたしまして、医療的ケア児等が放課後等に過ごせる場の確保に取り組んでおります。
 今後、区市町村の課長会におきまして、送迎等の工夫など、参考となる補助制度の活用事例を共有し、国の制度と都の制度を組み合わせた体制整備などを働きかけ、医療的ケア児等のさらなる受入れを促進してまいります。

○龍円委員 国の補助でスペシャルニーズのある子を受け入れている自治体は多いものの、そこでは対応し切れない場合は東京都の補助が活用されているという実態が分かりました。
 ただ、この事業なんですけれども、医療的ケア児等受入支援事業という名前がついていることから、医療的ケアがないお子さんも対象になっているということがぱっと見分からないのが少々課題なのかなというふうに感じております。
 実際に、医療的ケアのない車椅子を利用しているお子さんが、特別支援学校のお子さんなんですけれども、学童クラブを利用したい旨を伝えたときに、支援者を増やすためにこの事業を使えることが知られていなかったために、初めは断られてしまったというケースがありました。ぜひ、区市町村への周知の際には、ニーズが高いお子さんが利用するときに活用できるということも伝えていただけますようお願いいたします。
 また、特別支援学校のお子さんだと、通学のバス停から、そして学童までの移動がネックになってまいります。学童クラブの方でその移動支援をこの補助でできるはずなんですけれども、ちょっと敬遠されてしまいまして、保護者がそこの移動のためだけに、一時仕事を中断して届けたり、近所の人に手伝ってもらっているケースもあると伺っております。この補助では移動支援も可能ですので、その周知もぜひよろしくお願いいたします。
 小一の断崖絶壁がなくなるよう、障害児の放課後等支援事業とこの学童クラブでの障害児受入れはとても重要だと思います。前者の方は、放課後等デイサービスなども利用ができなかった医療的ケア児や重症心身障害児が、少しでも放課後の安定的な居場所を確保できるようになるものですし、後者の方は、放課後等デイサービスが足りていない現状で、インクルーシブな形でその解決策を打ち出しているものだと思います。
 とはいえ、どちらもまだ十分ではない状況が続いていますので、ぜひ、今年度から始めました都型放課後等デイサービスなどもしっかりと運用することで、放課後の居場所づくりと親の就労支援に今後も尽力いただけますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、社会的養護に関する質問です。
 私は、LGBTQ等の性的マイノリティーの方々が生きやすい社会になるようにと、これまで取り組んでまいりました。
 性的マイノリティーの方々が生きやすい社会になるために、課題となっていることは様々あるんですが、それは当然、社会的養護の中にもあります。社会的養護の下にいるお子さんの中にも、必ず一定数の性的マイノリティーの当事者がいるはずですし、社会的養護に至っている理由の一つに、そのお子さんが性的マイノリティーである、またはある可能性があることが関わっている場合もあります。特に関係ない場合もあるはずですが、そのことを慎重に見極めて適切に対応していくことがとても重要になってまいります。
 こういうお子さんは、ご自身の置かれている環境にただでさえ戸惑ったり困っている可能性が高いのに、その上、自身の性の在り方について否定されたり、無視されたり、または直すように促されるといった間違いがあっては、さらに心を閉ざして傷が深くなってしまう可能性があります。
 社会的養護全体に、性的マイノリティーの当事者のお子さんやご両親への適切な対応については、また別の機会に質疑させていただきたいと存じますが、今日は、戸籍上は同性のパートナーが里親になることについて質問いたします。
 二〇一八年の春に、厚生委員会に所属していた際、里親の認定基準を見直すよう求めさせていただきました。そして、その後、二〇一八年末には基準が改正されまして、単身者であっても、一定の条件を満たせば里親になることができるようになったことは、大変すばらしいことだと評価しております。
 今年度、さらに改正を行ったとのことなんですが、都における戸籍上同性のカップルに対する里親認定の考え方についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、平成三十年度に東京都里親認定基準を改正し、養育家庭について申込者に配偶者がいない場合の要件を緩和いたしました。
 具体的には、それまで単身で里親の認定登録をする場合には、児童の養育経験または看護師、保育士等の資格を有していることに加え、補助者として二十歳以上の子または父母等が同居していることが必要としておりましたが、改正後の要件では、ひとり親としての子育て経験があるなど、子供を適切に養育できると認められる場合には、登録できることといたしました。
 また、親族以外の同居者も補助者として認めることとし、これによりまして、LGBTカップルの方についても、一方を里親として認定し、もう一人は補助者として認定登録することが可能となりました。
 さらに、今年度からは、同居状態の安定性や継続性を考慮した上で、事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められるときには、双方を里親として認定できるよう基準を改正しております。

○龍円委員 以前は、性的マイノリティーの単身者を里親に認定して、パートナーが補助者としていたものの、今年度から双方を里親認定できるようになり、事実婚と同様の扱いになったということで、大変すばらしいことだと思います。
 十一月一日からは東京都パートナーシップ宣誓制度もスタートする中で、東京都として一致団結して、同じ方向を向いた政策を進めてくださっていることに感謝申し上げます。
 ただ、制度改正をしても、里親認定されても、委託されないということでは意味がありません。そこで、戸籍上同性の性的マイノリティーのカップルなどの里親認定の状況についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 平成三十年度の改正後、昨年度末までに新たな基準を適用した認定件数は十一件ございまして、委託状況といたしましては、養育家庭として児童を委託しているほか、一時保護で児童を受け入れていただいている家庭もございます。

○龍円委員 性的マイノリティーのカップルで里親に認定され、さらには委託をされている実績があるということが分かりました。子供の最善の利益を考えた場合でも、お子さんも性的マイノリティーの当事者である可能性がある場合ですとか、それが理由で実親と暮らせていない場合など、里親として迎えてくださる方が理解が深いということが重要になってくるケースもあると思います。
 今後も、お子さんたちのために、性的マイノリティーの当事者カップルの里親委託も積極的に進めていただけますようお願いいたします。
 さて、厚生委員会に所属していた頃から、日常的に児童相談所において、机を並べて共に働く常勤の弁護士がいてくださる必要があると訴えてまいりましたが、児童相談所における昨年度と今年度の弁護士の配置状況についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都では、児童相談所が日常的に弁護士と相談できる体制を確保するため、全ての児童相談所に非常勤弁護士を複数名配置するとともに、副担当となる協力弁護士を登録しております。
 配置状況といたしましては、令和三年度が非常勤弁護士二十二名、協力弁護士三十四名の計五十六名、令和四年度は非常勤弁護士二十三名、協力弁護士三十七名の計六十名となっております。

○龍円委員 常勤の弁護士の配置については、私たちの会派としても要望してきたところでありますが、現在は配置されていないとのことでした。
 児童相談所に配置されている非常勤弁護士と協力弁護士のそれぞれの役割についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 非常勤弁護士は、担当の児童相談所に月に四回勤務し、児童福祉司等から法律相談を受けるとともに、援助方針会議やチーム協議に参加し、ケースの方針や進行に対して助言を行っております。
 協力弁護士は、家庭裁判所からの緊急の案件、法的な措置や手続が必要となる困難ケースなど、特に対応が難しいケースにつきまして個別に助言を行っております。
 今後とも、非常勤弁護士と協力弁護士を活用し、児童虐待に迅速的確に対応してまいります。

○龍円委員 非常勤弁護士と協力弁護士を多数置くことで、常時相談できる体制を確保し、柔軟に対応できる体制を取っておられるとのことで、その体制にも意義があることは理解いたしました。
 ただ、釈迦に説法になるとは思いますが、社会的養護で課題だと感じるのは、子供の最善の利益よりも、時には親権者の利益の方が強くなってしまうケースがあるというふうに伺っています。
 また、児童相談所の児童福祉司の皆様については、誠心誠意働いてくださっていることとは思いますが、急激に増加する虐待に対応するため、人数を増やしていることもあり、経験年数が浅い職員が多数で、それでいて受け持っている件数が多いことから、時には粗っぽい、または思慮に欠けてしまうケースになってしまう可能性もあるということを伺っております。
 そこで、現在の体制に加えて、腰を据えて社会的養護の世界に関わってくださる常勤の弁護士がいれば、子供の権利を最優先に考えて、きめ細やかな対応が可能になるのではないかなというふうに考えています。
 この件については、子供の意見表明やアドボカシーとも関わってくると思いますので、また別の機会に質疑させていただきたいと思います。
 続いて、我が会派の藤井あきら都議が中心に進めている東京都のDXに絡んでの質問になります。
 まずは児童相談所についてです。
 対応件数が増えている中で、児童相談所のDXは非常に重要だと思います。
 児童相談所では、DXの取組について、昨年度と今年度、どのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、業務の効率化、省力化につながる取組といたしまして、児童相談所業務のデジタル化を進めております。
 具体的には、昨年度から、国の情報共有システムを活用し、移管ケース等について他自治体と情報を共有しているほか、オンライン面接による施設入所児童等の状況確認や会議資料の電子化によるペーパーレス化などに取り組んでおります。
 今年度は、AIを活用して電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入いたしまして、記録作成の負担軽減を図るとともに、指導役の職員がそのテキストを閲覧し、その場で助言するなど、人材育成にも活用してまいります。

○龍円委員 児相のデジタル化を進めているとともに、移管のケースは国のシステムを導入しているとのことでした。一人一人の保護者ですとか子供に丁寧に向き合えるように、AIやデジタル化で効率をアップしていくことを今後も進めてくださいますようお願いいたします。
 そして、令和三年度の予算特別委員会において、藤井都議が児童養護施設におけるネットワーク環境の実態把握などについて要望させていただきましたが、その後の取組状況についてお伺いいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は昨年度、都内の児童養護施設等に対しまして、タブレット端末やパソコンの配備状況、ネットワークの環境の整備状況などに関する実態調査を実施いたしました。
 調査結果によりますと、都内の全ての施設においてパソコン等が配備されているほか、ネットワーク環境につきましても整備されており、このうち約九割はWi-Fi環境が整っておりました。

○龍円委員 九割の児童養護施設において、ネットワーク、Wi-Fi環境が整備されているということが分かりました。藤井都議の指摘も受けて、これらの環境について調べてくださいましてありがとうございました。
 ただ、これらが実際に子供たちが利用できているかどうかというのが重要なのではないかなと思います。
 私は、児童養護施設出身の若者の友人が何人かいるんですが、社会に出て困ったこととして、インターネットで正しい情報の得方ですとか、安全なネット利用の方法が分からないということでした。また、施設にいるこのお子さんたちは、全くWi-Fiもパソコンも使えない状況だったので、本からしか知識を得られないということで、図書館に通っていたそうなんですが、大変だったということでした。
 現在は一人一台の端末が教育では普及していますので、この昨今、施設内でもネットにアクセスでき、必要な情報とスキルが学べるよう取組を進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、ユースの、若者の性についてです。
 私が生まれ育ったスウェーデンにあった子供、若者向けの性と健康の無料の医療的機関であるユースクリニックを東京都で実現したいということで提案してまいりました。福祉保健局で新たに、わかさぽという相談体制が立ち上がるということを大変うれしく思っております。
 ユースのことを私なりにいろいろ調べて、ヒアリングや視察を続けてまいりました。その中で、ユースの中でも性についての困り事というのは本当に様々であるということを知りました。それに対応していくには、対応する側は本当に高いスキルが求められることになると思いますので、福祉保健局ではしっかりと今後も取組を進めていただきたいと思います。
 その中でも、最も困っている若者は夜の繁華街にいらして、そこで性被害に遭ったりですとか、望まない妊娠、感染症などのトラブルなどに巻き込まれている実態を目の当たりにいたしました。
 都としては、若年被害女性等支援事業としてこれらの女性の支援をしていると思いますが、この事業内容についてお伺いします。また、併せて昨年度の実施団体数についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 若年被害女性等支援事業では、様々な困難を抱えた若年女性の自立を図るため、民間団体と密接に連携いたしまして、SNSを活用した相談や夜間見回り等のアウトリーチ支援、一時的な居場所の提供を実施しております。
 また、民間団体、区市、婦人保護施設など関係機関と連携を図るため、連携会議を設置し、具体的な支援の取組状況や事業実施上の課題等の意見交換などを行っております。
 昨年度からは、より多くの若年女性等を必要な支援につなげられるよう、実施団体を四つに増やして取り組んでおります。

○龍円委員 今、実施団体、四つに増やしたということなんですけれども、この団体のうち一つなんですけれども、私も現場に行きまして、その様子を視察させていただきました。
 そこで知ったのは、困っている若者女性というのは、自分が被害に遭っていることに気がついていなかったりですとか、誰かに助けを求めていいものだとさえ思っていなかったり、あとは行政に対する不信感を持っていることも分かりました。そのため、この子たちに支援を届けるためには、そこに出向いていって、ちょっとおせっかいな感じで支援につないでいくという形が必要なのかなと思います。
 そこで、本事業の実績、そして具体的な支援の事例についてお伺いいたします。

○奈良部少子社会対策部長 令和三年度は、メールやSNSなどによる相談件数が約五万四百件、新宿、渋谷、秋葉原等での夜間見回りなどのアウトリーチ支援が四百六十六回、宿泊を伴う居場所の提供が百十八名となっております。
 相談などをきっかけに支援につなげた事例といたしましては、利用者が自立した生活を送れるよう、福祉事務所等関係機関に同行支援を行ったほか、心理的ケアが必要となる利用者を医療機関につなげて支援を行ったことなどが挙げられます。

○龍円委員 ありがとうございます。
 ぜひ今後は、新たに立ち上がるユースクリニックとの連携なども期待したいところです。
 また、我が会派の代表質問でも要望させていただいたんですが、若者たちにとって緊急避妊薬へのアクセスの悪さというのも課題になっていますので、若者向けの支援の創設、ぜひぜひよろしくお願いいたします。
 一人一人が違うことが前提となったインクルーシブ社会を、福祉保健局としても今後ぜひ取組を進めていただけますよう要望させていただきまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○細田委員 私からも何点か昨年度決算、伺わせていただきます。
 まず初めに、児童相談所の人材確保、育成についてでございます。
 児童虐待の相談件数は、今、右肩上がりに増加していまして、令和三年度における都内の児童虐待の件数は二万六千四十七件に上っております。
 昨年度、私の下にも関連した幾つものお声が届きました。それらを東京都に伝えさせていただき、対応を求めるとともに、私は、児童センターの視察を行い、現場職員の方々と様々に意見交換をさせていただきました。そこでは、困難な状況の中ですが、サテライトオフィスの推進などによって、各区市町村とも連携をしながら相談体制の充実強化を図っており、虐待防止や保護などに対応している実情を確認したところでございます。
 そして、増え続けている児童虐待に適切に対応していくためには、相談部門の要でございます児童福祉司、児童心理司の体制強化は必須のことであると考えています。
 そこでまず、令和二年度から令和四年度の過去三年間、この増員の状況、退職された方と新たに入った方の差引きをした実質の増員の状況、また、令和四年度の定数について質問をいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速的確に対応するため、児童福祉司、児童心理司を増員してまいりました。
 具体的には、令和二年度が児童福祉司三十五名、児童心理司二十三名、三年度は児童福祉司三十六名、児童心理司二十三名、四年度は児童福祉司三十六名、児童心理司二十一名を増員しておりまして、その結果、四年度の定数は、児童福祉司が計四百二十二名、児童心理司が計二百八名となっております。

○細田委員 今ご説明いただきましたように、児童相談所の職員の増員を図っているとのことでございますが、児童福祉司の国の基準が五百六十九名なのに対して定数は四百二十二名、児童心理司の基準は二百八十六名なのに対して定数が二百八名と、国の基準を満たしていないというのが現状であります。また、特別区の区児相の設置が進んでいる中で、児童福祉司や児童心理司の人材の確保はますます厳しくなっております。
 こうした状況下において、都は児童相談所の人材確保についてどのように進めてきたのか、この点について質問をいたします。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、児童相談所におきまして意欲ある人材を継続的に確保するため、昨年度から専任チームを設置いたしまして、大学等への訪問や専門サイトの開設、採用動画の作成など、採用活動を積極的に展開しております。
 また、若手職員が働きやすい環境を整備するため、職員住宅の借り上げを開始いたしました。
 さらに、今年度は、経験者の採用に当たりまして、児童福祉分野の職場を想定したロールプレーイング形式の試験を導入するなど、福祉職の専門性や特殊性に着目した選考方法の見直しを行っておりまして、こうした取組により、児童相談所における質の高い人材の確保を進めているところでございます。

○細田委員 人材の確保に向けて様々な取組を行ってきている、このことを評価いたします。
 多くの希望者が集うことを大いに期待しているんですけれども、大切なこと、採用後の人材育成はさらに重要になってくる、こういうことであります。
 昨今、困難で複雑なケースが増えていく中で、専門職としてその能力を十分に発揮できるように、人材育成の強化も併せて取組を強化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、職員の経験年数等に応じた幅広い内容の研修や、児童福祉司等の経験者による同行支援などを通じまして、実務能力の向上を図るほか、ケースの情報共有や援助方針に関する職員同士の意見交換等により、組織全体で児童福祉司のスキルアップに取り組んでおります。
 また、相談援助業務に豊富な経験を持つ専門課長を配置し、職員が現場で直面している困難ケース等に対し、随時、助言指導を行っております。
 さらに、今年度は、旧世田谷児童相談所を活用いたしまして、トレーニングセンターを設置し、新任職員向けにロールプレーイングによる面接技法の習得や、ゼミナール形式による集中的な事例検討など、実践的なプログラムによる研修を開始しております。

○細田委員 児童虐待の数が増えているということもある中で、ぜひ、様々工夫をしながら、そして画期的な研修も創造しながら取り組んでいるということでございますので、しっかりと前進していっていただきたい、このように申し上げさせていただきます。
 続きまして、高齢者用肺炎球菌ワクチンの定期接種、このことについて質問いたします。
 高齢者用肺炎球菌ワクチンについてですが、肺炎で亡くなる方の九五%以上は六十五歳以上の高齢者でございます。その原因の多くは肺炎球菌といわれています。今、もちろんコロナがはやっていますから、コロナのこともあるでしょうし、コロナとの複合のこともあると思いますが、多くは肺炎球菌である。
 私は、実は、自治体の区議会議員だったときも、この高齢者用肺炎球菌ワクチンを接種したいんですけど高くてなかなか接種できませんと、また、軽減していただきたいんですけれどもというような、こういうお声をこれまで幾つも幾つもいただいてまいりました。
 そして、二〇一八年に、都議になって初めての予算委員会で、接種率の向上、約三割ぐらいしか接種率がなくて、都内ですけどね、全国平均よりも低かったので、何とか都で支援していただけないか、こういうことを訴えさせていただきました。
 また、本年の予特でも訴えさせていただきまして、昨年は接種の助成、これを一般質問でまたさせていただきました。何度も何度も繰り返して、福保の方々には、あいつうるさいなというふうに思われているかもしれませんけど、また決意を持ってぜひ要望を重ねていきたいと思っております。
 まず、高齢者肺炎球菌ワクチンの定期接種の令和三年度の接種率と接種者数について、都の説明を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種の令和三年度における対象者の接種状況ですが、本年八月時点での速報値で、接種率は二四・七%、接種者数は十一万六千五百八人でございます。令和二年度と比較して、接種率、接種者数いずれも増加しております。

○細田委員 令和二年度はちなみに二一・六%でしたので、三%アップしているということです。先ほど私、三割といったのに対して二四・七だから、あれ少ないなと、もしかしたら聞かれている方は思うかもしれませんけど、これは第二クール目の、二巡目の高齢者肺炎球菌ワクチンの接種になっているので、前回、約三割打ったとするならば、これに二四・七足すと約五五%の、同じ学年次、年次の方々が接種をされて、百歳刻みまでの、本年においては半分を超えている方が一回は、国が推奨している一回はまずは接種ができたんだというふうに、このように総括します。
 であるならば、まさに肺炎球菌ワクチンの接種が、今回、皆様方の昨年やってくれた助成があったということと、まさに公的な機関から推奨されているということが都民に広がっているんだなと、このようにも捉えております。
 そして、高齢者用肺炎球菌ワクチンの定期接種の補助事業は、令和三年度は区市町村への助成の開始時期、これが年度途中の十月、ちょうど今から一年前になったんですね。このことで、四月の段階から全てを、都の助成一人当たり二千五百円を使わないで、自分たちだけでそれをやりますよと最初からやった自治体もありましたし、十月まで待ってやった自治体もあったし、それぞれ自治体によって統一感を欠いていた状況でありました。背景には、コロナ禍で大変な中、頑張っていたという背景が裏側にはあると思っています。
 助成の開始時期が十月となった理由と、区市町村における実施状況についてはどうだったのか、都はいかに総括をしているのか答弁を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 事業開始初年度となる令和三年度は、高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種が四月から開始される中、同時期に異なるワクチンを接種することによる効果の減弱や安全性に配慮して、十月からの事業を開始いたしました。
 令和三年度に本事業を実施した区市町村は五十九自治体でありますが、このうち四十九自治体が十月から自己負担額の軽減を開始し、十自治体が四月から九月の間も独自に軽減を実施いたしました。このため、事業の実施時期について混乱が生じないよう、都は区市町村に対し情報提供を丁寧に行い、区市町村から対象者に通知を送付するなど、きめ細かな周知を行ったところです。

○細田委員 今後も、自治体間に温度差があるようなところに関しては、丁寧な周知を引き続いて取り組んでいっていただきたいと要望しておきます。
 さて、肺炎球菌ワクチンの定期接種、これは生涯一回ですけれども、制度が複雑なので、五年に一遍で、なかなか自分がそれに当てはまっているのかということも分かりにくいということもありますから、併せてその周知もしてくださっていると理解しておりますが、よろしくお願いいたします。
 そして、今、国の推奨とは別として、医師の方々や学会の方々が二回目接種した方がいいですよと、こういうようなことをいわれて、そして二回目を接種する高齢者の方も増えております。五年置いてということであれば副反応もあまりないという、こういう前提の中で接種されていると思います。
 この二回目の接種について、都はいかに考えているんでしょうか。都の見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 国立感染症研究所の報告によれば、肺炎球菌ワクチンの二回目接種については、発症予防効果を立証できるに至っておらず、有効性を含め、今後の研究の動向をしっかりと注視してまいります。
 なお、肺炎球菌ワクチンには十三価と二十三価のワクチンがございまして、過去に任意で十三価ワクチンを接種した高齢者もいらっしゃいます。そういう方については、新たに二十三価のワクチンを定期接種として受けることが可能となっております。

○細田委員 今のご答弁の中で−−費用対効果が優れているというふうに厚労省が発表している二十三価のワクチン、また他方、小児用ワクチンとして使用されている十三価のワクチン、この交互接種の有効性を勧めていらっしゃる方々もおります。
 また、現在、一回目の高齢者用肺炎球菌ワクチンの初回の定期接種の二千五百円までの助成を認められているわけですけど、過去に任意で自己負担で接種した高齢者について、今、高齢者について、十三価の小児用を打った人は、初めてだから適用できるよというご答弁だったんですけど、二度目で接種を受ける人も助成対象に加えるべきだと私は申し上げておきますけれども、今後の研究の動向をしっかりと注視してくださると、今、部長のご答弁どおりぜひ注視していただいて、前向きに、接種率のさらなる向上に取り組んでいっていただきたいなと要望しておきます。
 さて、高齢者用肺炎球菌ワクチンの接種は、新型コロナとインフルエンザの同時流行、これが懸念されているこの冬こそ大きな意味があると考えております。
 都議会公明党は、今年度もインフルエンザワクチンの助成を緊急要望し、都は今月から一月末までの高齢者へのお一人二千五百円の支援を、この実施を決めました。そして、いまだコロナ禍で、コロナは終息はできていない状況ですが、肺炎球菌ワクチンは、新型コロナに感染した人が細菌性肺炎を併発して重症化するリスクを減らして−−WHOや日本感染症学会が接種を強く強く推奨しています重症化リスクの高い高齢者の方々には、積極的に接種をしていただくことが有効と考えます。
 接種率の向上に向けた今後の取組について、都の見解を求めます。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 高齢者肺炎球菌ワクチン定期接種の実施主体である区市町村では、対象者への個別通知やチラシ、ポスターの作成等を行い、接種率の向上を目指して取り組んでおります。都は、こうした普及啓発の取組を事例集として取りまとめ、区市町村と情報共有をすることで、より効果的な周知が行われるよう支援しております。
 今後は、区市町村に対し、ワクチン接種のメリットも併せて周知するよう働きかけるとともに、都のホームページにおいて、高齢者を対象としたインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの定期接種の呼びかけを一体的に実施するなど、接種率向上に向け、都としての役割を果たしてまいります。

○細田委員 続きまして、糖尿病の重症化予防についてお尋ねいたします。
 二〇二一年の第一回定例会でも一般質問して取り上げましたけれども、糖尿病は初期には自覚症状に乏しく、未治療者や治療中断者の方々も多く、治療中断期間が長くなると重症化のリスクも高まって、糖尿病性腎症による人工透析が必要になるなど、生活の質が低下するとともに医療、財政への負担も大変に大きい病気であります。
 区市町村国保では、健診結果などを基に、糖尿病の重症化リスクの高い方に、医療機関への受診の勧奨や、生活習慣の改善指導を行う糖尿病性腎症重症化予防の取組を実施していますが、健診を受診していない治療中断者には、レセプトデータも活用して受診勧奨を積極的に行っていくこと、これがとても重要でして、こうした取組が円滑に実施できるようにするためには、都の支援は大変に重要になってまいります。
 これまでの質疑で確認してきたところ、都は、平成二十九年度に策定した重症化予防のプログラムによって、区市町村と関係機関との連携による取組の推進を図ってきましたが、区市町村における糖尿病性腎症重症化予防推進に向けて、この令和三年度にはどのような取組を行ったのか、区市町村の実施状況と併せて質問をいたします。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、区市町村が健診データ等から糖尿病の重症化リスクが高い方を抽出し、関係機関と連携して、受診勧奨や保健指導といった糖尿病性腎症重症化予防の取組を実施する際の参考となるよう、保健事業担当者連絡会において好事例を提供しております。
 また、区市町村における取組のさらなる推進に資するよう、東京都糖尿病医療連携協議会における意見も踏まえ、関係機関等との連携強化や対象者の抽出基準の明確化などについて検討し、令和三年度末に東京都糖尿病性腎症重症化予防プログラムを改定いたしました。
 本プログラムに基づき、糖尿病重症化予防の取組を実施している自治体数は、令和二年度は受診勧奨が五十五自治体、保健指導が五十四自治体に対し、令和三年度は受診勧奨が五十六自治体、保健指導が五十八自治体に増加いたしました。さらに、レセプトデータから治療中断者を抽出して受診勧奨を実施している自治体数についても、令和二年度の二十一自治体から、令和三年度は二十七自治体に増加してございます。

○細田委員 区市町村の重症化リスクの高い方にアプローチできるよう、治療中断者のハイリスク者を抽出できる仕組みづくりが重要であるっていうことを訴えてまいりましたが、今、着実に、少しずつですけれども増えてきているということが確認はできるんですけれども、あと、それが実効性がある掘り起こしに、また、先ほど申し上げました中断者だとか、手が届いていない、本来受けなくちゃいけない方に届くような、こういう取組に自治体が取り組めるように踏み込んで、ぜひそれを注視しながら後押しをしてほしいなと、このように要望させていただきますが、これまでの取組を踏まえて、都は今年度は、いかなる取組を進めてきているのか答弁を求めます。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 都は、改定いたしましたプログラムに基づき、区市町村が円滑に糖尿病性腎症重症化予防の取組を実施できるよう、区市町村課長会等で改定の要点を説明するとともに、関係機関にも周知しております。
 また、地域における実践事例等を紹介する医療関係者向け研修会を動画配信方式により、明日十月二十日から十一月三十日まで開催する予定でございます。
 このほか、保健事業担当者との意見交換会等により、取組を実施する際の工夫や課題を把握するとともに、担当者連絡会において、レセプトデータを活用した、健診を実施していない治療中断者の抽出、把握等の好事例の提供を引き続き実施しております。
 今後とも、区市町村が地域の実情に応じて、糖尿病の重症化リスクが高い方を対象とした取組が推進できるよう支援してまいります。

○細田委員 いいですね。まさにあしたから配信してくれるということで、四十日の間、ちゃんと成果が生まれるように期待して、望んでおります。
 続きまして、透析患者の災害対策についてお尋ねいたします。
 透析患者の方々が災害に遭った場合の対策についてなんですが、私どもは、東京都の東腎協といいます東京腎臓病協議会、この方々より、災害時における透析医療マニュアルの改定内容を反映した透析医療ごとのマニュアルの改定とその内容を患者に周知していただきたいと、そのために透析医療機関を指導して徹底してほしいと、このような要望をこれまでも、また本年もいただいているところであります。
 この透析患者の方々が災害に遭った場合の対策、令和三年度の予算では透析患者への災害時医療確保対策が計上されていました。昨年度の都の取組についてはいかがでしたでしょうか。答弁を求めます。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 都は、災害発生時の透析医療の確保のため、災害時における透析医療活動マニュアルを策定しており、平成三十年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震、令和元年秋の台風など、相次ぐ大規模災害での経験等を踏まえ、昨年度、本マニュアルを改定いたしました。
 この改定では、二次保健医療圏内における透析医療機関と災害対応を担う区市町村との連携を強化するため、各二次保健医療圏の透析医療を統括、調整する医師に加え、新たに各区市町村単位で透析患者の受入れ調整等を行う医師を配置し、災害時透析医療ネットワークの強化を図りました。
 また、災害時において、新たな連携体制による迅速な対応が可能となるよう、二次保健医療圏ごとに研修会を実施いたしまして、この研修会には透析医療機関、区市町村、保健所職員等、計六百三十名が参加いたしました。

○細田委員 分かりました。前に進んでいるということが確認できました。
 そして、同じくNPO法人東京腎臓病協議会の方からの要望には、災害時における透析医療活動マニュアルの改訂版の内容を反映した透析医療マニュアル、これを区市町村や透析医療機関、先進的な取組を横に展開してほしいと、このような要望をいただいているところでございます。
 災害透析対策には地域により取組に差がある、このように理解しています。全都的に災害時の透析医療体制が強化されるように都が支援していくことが必要と考えますが、見解を求めます。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 昨年度実施いたしました二次保健医療圏ごとの研修会では、発災時の被害想定に基づく透析患者の受入れシミュレーションや、災害時における透析医療確保に関する連絡会を設置した区の取組など、地域ごとに特色ある事例が紹介されました。
 また、新型コロナウイルス感染症対応におきましても、災害時透析医療ネットワークを活用した透析患者の受入れ調整を行う地域の事例を全都的に紹介するなど、透析患者の医療体制の確保に取り組んでおります。
 令和四年度、都は、新型コロナウイルス感染症も含めた二次保健医療圏における好事例を収集して取りまとめ、災害時透析医療ネットワークを通じ、透析医療機関や区市町村等に横展開を行うことにより、地域における災害時の透析医療体制の強化を図ってまいります。

○細田委員 分かりました。引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、がん対策について質問します。
 令和二年、今から二年前ですけれども、東京都に伺ったことで、駒込病院においては、ゲノム医療や高精度の放射線治療など最先端のがん医療のみならず、行政として先導的な取組が必要なAYA世代のがん患者の方々の対応に幅広く取り組んでいる、そのことを確認させていただいて、また、私の地元の墨東病院でも、地域のシンボル的存在であって、都のがん診療拠点病院として様々ながんに対応しているこの墨東病院が、AYA世代のがん患者の方々の就労、就学や、妊孕性の温存に関する相談の取組を始めたことに対して、期待を表明してエールを送らせていただいた次第でございます。
 さて、昨年度、この東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業について、令和三年度の実績を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん患者生殖機能温存治療費助成事業は、思春期や若年成人のAYA世代のがん患者が、将来子供を持つことに希望を持ってがん治療に取り組めるよう、生殖機能温存治療に加え、凍結更新から妊娠まで一体的な治療を受けるための費用を都が独自に助成するものであり、令和三年度から開始いたしました。
 令和三年度の助成実績といたしましては、生殖機能温存治療が百六十九件、妊娠のための治療が三件ございました。

○細田委員 生殖機能温存治療につきましては、当初の見込みを上回る実績であると。事業を開始した効果があったものだと私は思います。また、今後も、AYA世代のがん患者が希望を持って病気と闘えます事業になるよう進めていっていただきたいと要望いたします。
 次に、がん医療、循環器系との連携をということで、これも実は私、二〇一九年の段階で、一般質問させていただいたんですけれども、がんとともに心臓など循環器系疾患を発症する高齢者患者の増加を踏まえて、がん専門病院と循環器の専門医のいる病院が綿密に連携を図れるよう、このように訴えさせていただきました。
 また、そのときに知事は、患者が希望する場所で治療や支援が受けられますように、お話のがん診療と循環器診療の連携など、病院間の得意分野を生かした連携を深めまして、がん医療の提供体制の一層の充実を図ってまいります、このように知事は答えてくださったわけであります。
 まさに高齢化が進み、専門病院でありますけれども、循環器の心臓のこと、また、循環器のこと、脳のこと、こういうようなことも起こってきたことが大きくなってくる中で、この循環器との連携を進めていかなくちゃいけないという時代に入っていると思うんですが、がんの専門病院と循環器系病院との連携推進のための、取組について都の見解を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がん患者が切れ目なく安心して治療を受けるためには、専門的ながん医療を提供するがん診療連携拠点病院を整備するとともに、拠点病院等と地域の医療機関が医療機能や専門性を生かした連携を推進していくことが重要でございます。
 このため、がん診療連携拠点病院におきまして、地域の医療機関の医師や院内の医療職を対象に、地域医療連携や併存疾患などに関する研修会を実施いたしまして、連携の必要性などについて理解促進を図っております。
 また、東京都がん診療連携協議会のクリティカルパス部会におきまして、診療科間や職種間での連携に係る好事例を紹介するなど、効果的な連携に向けた取組を進めております。

○細田委員 引き続き様々な取組の展開をお願いいたします。
 特に、専門病院でありますけれども、いったように具体的な物理的な連携も必要になってくること等もありますので、そのことができるのが、まさにがん診療拠点病院を、また協力病院を、ちゃんとあるこの東京都であるからこそ、そこを見ていくことができるので、ぜひ今後とも注視をしていっていただきたいと思います。
 次に、がんの早期発見のためには、地域の診療所の医師ががんの兆候を見つけて、がんの拠点病院等に紹介することが大変重要だと考えます。都の取組についてはいかがでしょうか。質問いたします。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 がんの早期発見、早期治療には、がん検診のほか、地域のかかりつけ医等ががんの兆候を見逃さず、がん診療連携拠点病院など専門的な病院につなげることも、ご指摘のとおり重要でございます。
 そのため、拠点病院では、地域の医療機関に対し、早期発見を含めたがんに関する知識や技術の一層の普及等を目的に研修を実施し、拠点病院を中心とした地域における医療連携体制の推進を図っているところでございます。

○細田委員 分かりました。そのとおりだと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
 早期発見、早期治療、また、かかりつけ医の方が兆候を見逃さないということ、その連携、そしてその質の向上のための研修の実施、このことをぜひ、また不断の努力をこれまでと同様、またさらにそれ以上に頑張っていただきたいなと思います。
 なぜならば、例えば検査のし過ぎは、問題はあるんですけれども、あるけれども、疑わしい場合はがん診療拠点病院に積極的につなげることが重要であるだろうと、このように私は思うからであります。
 例えば胃がん、大腸がん、肺がん、肝臓がん、乳がんなどの五大がんに限らず、発見しにくいがん、早期発見をしなくてはいけないがん、また、がんの相対生存率が低いがんの対策というものが必要であります。それがまさに膵臓がんです。五年生存率が一二%と、がん全体の部位の約七割に比較すると大幅に下回ります。早期発見が非常に重要な、どうやったらいち早く、本当にこの膵臓がんが発生しているのかということ、見つけること、これが最も求められるがんなんだと私は思っています。
 人間ドックの検査で、CA19-9というんですけど、こういうような検査もありまして、誰でも簡単に受けることができますけれども、この腫瘍マーカーなんですが、結構当てにならない、当てにならないといういい方は正しくないのかもしれませんけれども、人騒がせな腫瘍マーカーで、強い炎症でも高い数値を示してしまうということがあるがんのマーカーなので、これだけに頼っていて、また、この検査をしたから膵臓がんですよ、膵臓がんじゃないですよということが分かるがんではないと。
 この膵臓がんは、実は私も、この数年の間も何人もの方、何人ものご家族の方にご相談を受けてきました。また、何人もの方をお見送りしてきました。何とか総力を挙げて、膵臓がんの撲滅ってやらなくちゃいけないよねって、今でもいつも毎日思っています。
 その中で、広島県の尾道市で、皆様聞いたことあるかと思うんですが、尾道方式という、そういう取組をしているところがありまして、これが医療連携の画期的な取組を示しているんですね。
 膵がんの診療ガイドラインに定める危険因子を二つ以上持つ人に、かかりつけ医の方がエコーの検査を勧めると。そして、中核病院、東京都でいうならば地域がん診療拠点病院や、もしかしたら都道府県がん診療拠点病院と、こういうところに積極的に紹介していく。そして行政も後押ししていると。この尾道市では、四十歳以上を対象としたがん検診では、追加で腹部のエコー検査を受診できる体制を整えている。
 また、広島県では、県医師会だとか行政がワーキンググループを設置して、そして何とかならないかということの取組を前進させている。この中では、親や子、兄弟に膵臓がん患者が二人以上いるか、また糖尿病を発症しているか、もしくは悪化しているか、また、膵臓がんの腫瘍マーカーが上昇しているか、そして画像検査はどうなのか、このいずれかに当てはまる場合は中核病院に紹介をする、このような取組を進めているわけであります。
 まさに東京都には立派な、がんを発見できる病院があります。たくさんあります。いわゆる五大がんに限らず、膵臓がんも含めてこの完治が難しいといわれている治療の充実について都はどう思っているのか。私は、尾道方式のような医療連携で、しっかりとこの難治性のがんを退治していくことに向けていく司令塔に東京都になってほしい、このように強く要望いたしますが、東京都は膵臓がんの治療についてはどう思っているのか、都の見解を求めます。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 いわゆる五大がんに限らず、お話の膵臓がんも含めた全てのがん医療が充実し、患者が安心して治療を受けられるよう、体制を整備していくことが重要であると認識しているところでございます。
 都はこれまで、がん医療提供の中心的な役割を担うがん診療連携拠点病院や、がんの部位ごとに充実した診療機能を持つがん診療連携協力病院の整備を進めるとともに、地域の医療機関を含めた医療連携体制を構築してまいりました。
 なお、高齢化の進展により、今後とも増加するがん患者に対し、希望する場所で適切な治療や支援を受けられるよう、体制の強化に向けた検討を重ねまして、本年四月には東京都がん診療連携拠点病院を新たに二病院指定したところでございます。

○細田委員 新たに二病院がまた増えるということで、大変、朗報を教えていただいて、ご答弁いただきありがとうございました。期待いたします。
 ちなみに、尾道方式は、ステージゼロ、一を見つけているんですよね、結構。いい形で見つけている。彼らの実績では三・三%見つけている。
 また、膵がんの対応は、私が先ほどから申し上げましたけど、疑わしい人を地域がん診療連携拠点病院等で連携していく、紹介をしていくっていう、この執念の作業が必要なんだと思うんですよね、執念を持って、いい病院がある。
 この人は疑わしいよねということに、疑わしくないのに必要以上の検査をすることはもちろんないんですけど、疑わしいと、また、疑わしいから自分は積極的に検査したいという人が、有償であってもちゃんと検査が受けられるように、そこに行ったら早期発見できますよという体制をつくっていくっていうことを都が主導して、そして自治体と連携してこのような取組を強力に推進する、このようなことを強く要望しておきます。
 さて、次にコロナ対策の医療提供体制について伺います。
 初めに、新型コロナ対策の医療提供体制です。
 令和三年度の夏は、デルタ株が流行して最も重症患者が増えた季節となりました。その間、二度の緊急事態が発出されるなど、都民生活は大きな制限を受けました。また、年が明けた二月にはオミクロン株が流行して、当時の一日の新規感染者数は二万人を更新しました。令和三年度は、この二種類の新型コロナ対策に対応する年度であったと思います。
 特に、第六波では、重症化リスクがある高齢者への対応が課題となっていました。昨年度の都の取組はどうだったのか、東京都の答弁を求めます。

○小林酸素・医療提供ステーション担当部長 オミクロン株が流行した第六波では、高齢者の入院先の確保が課題となっていたため、都は令和四年二月に、荒川区内の旧東京女子医大東医療センター跡地を活用し、高齢者等医療支援型施設を設置いたしました。当施設では、コロナの治療に加え、身体機能の維持を図るため、一人一人の状況に応じて、理学療法士によるリハビリテーションを実施しました。
 この施設が有効に機能したことから、現在では、民間の医療機関等と連携して、赤羽、世田谷玉川、渋谷の三か所に設置し、介護を必要とする高齢者の受入れを促進しております。
 今後、青山の酸素・医療提供ステーションを高齢者等医療支援型施設に機能転換するなど、高齢者が安心して療養できる体制を一層強化してまいります。

○細田委員 未曽有のパンデミックの混乱の中で、都はできる限りの対応を実行するために全力で取り組んでこられた、このように思っております。
 しかし、昨年度末からこの夏にかけて、地域の高齢者施設では、私の地元でもクラスターの発生や、また重症者が病院に入院できないという多くの事態が起こっていました。対応できる施設、病床を求める悲鳴の声が私の下にも幾つも幾つも届いたというのが、今年に入ってからの昨年度の後半から今のこの夏ぐらいまでの状況だと思っています。
 これまでのオミクロンの対応を経て、現在は、この冬の新型コロナ、インフルエンザの同時流行も視野に、都は高齢者対策の強化を検討してくれていると思います。引き続いて感染拡大防止に向けた取組の強化について局長のご決意を伺います。

○佐藤健康危機管理担当局長 昨年度、オミクロン株が国内で初めて流行いたしました冬の第六波では、これまでにない急激なスピードで感染が広がりました。
 オミクロン株とデルタ株を比べますと、新規陽性者に比べまして、重症者の重症化率というのは低い傾向にございましたけれども、その感染力の強さから、高齢者施設等ではクラスターがたくさん起きまして、コロナ自体は軽症でも併存する基礎疾患のある方が重症化するなど、高齢者対策の強化が喫緊の課題となったところでございます。
 そのため、都は、コロナ病床数の確保レベルを引き上げたほか、高齢者等医療支援型施設の設置、あるいは高齢者施設の嘱託医等による診療の促進、あるいは地区医師会のご協力をいただきまして、医療支援チームというのを組織いたしまして、高齢者施設への往診など、いわば保健医療分野の医療と福祉分野の介護の垣根を超えた取組を進めてまいりました。
 夏の第七波では、第六波の経験を踏まえまして、高齢者に対する取組をさらに促進していくため、高齢者施設等における感染拡大防止のための即応支援チームの派遣、あるいは先ほど申し上げた高齢者等医療支援型施設を増設いたしました。また、入院患者の受入先に係る高齢者加算の創設など、これまで築き上げてきた体制をさらに強化をしてまいりました。
 これから冬を迎える中、先ほどご質問にもございましたけれども、季節性インフルエンザとの同時流行の可能性も念頭に置きまして、十分な対応を講じていく必要があることから、先日、この冬の感染拡大に向けた課題と対応の方向性の骨子をまとめたところでございます。
 具体的に申し上げますと、青山の都民の城を活用いたしました新たな高齢者等医療支援型施設の開設、また、四回目との接種間隔の短縮につきまして、現在、国におきまして議論が進んでおりますけれども、高齢者施設等の入所者に対する五回目のワクチン接種の促進、高齢者等のインフルエンザ、先ほど先生のご質問にもございましたけれども、高齢者等のインフルエンザワクチン接種に係る自己負担分の支援などであり、高齢者対策についてさらに万全を期す必要がございます。
 現在、この骨子をたたき台として、臨床現場の医療関係者から成ります医療体制戦略ボードのメンバー、これに加えまして、地域の診療所の先生、保健所長、東京消防庁職員の方をメンバーに加えまして、現場の実態や知見などを踏まえました意見を伺っているところでございます。その意見も踏まえまして、高齢者の方が安心して療養できるよう、総合的に対策を講じてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○細田委員 分かりました。どうぞよろしくお願いします。
 以上で終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十九分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 日本共産党の斉藤まりこです。
 私からは、保育の質の問題に関わって、これまでの取組について伺っていきたいと思います。
 最近では、子供の命に関わる重大な事故や保育園の補助金の不正受給など、保育の質をめぐる問題が次々と明るみに出ています。様々に起きている事例から、これまでの取組が十分だったのか、指導検査の在り方についても検証が必要だと思っています。
 まず、送迎バスでの園児の置き去り事故についてです。
 九月五日に、静岡県牧之原市の認定こども園で、三歳の女の子が送迎バスの中に置き去りにされ、熱中症により亡くなるという痛ましい事故が起こりました。防げなかった仕方のない事故ではなく、送迎や保育に関わる大人が何重にも子供の所在や出欠の確認を怠っていた重大な事件だといわなければなりません。
 今、政府は、ヒューマンエラーを補うためのバスへの安全装置の設置の義務づけや、そのための財政支援を決定したところですが、検証すべきことはほかにも多くあると思っています。
 具体的に伺っていきたいと思いますが、送迎バスでの置き去りの事故は、昨年八月に福岡の認可保育園でも起きたばかりでした。
 昨年度までの保育園での置き去り事故に対する対策と、福岡での事故を受けての都の対応について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は区市町村に対しまして、国への報告のほかに、迷子、置き去り、連れ去り等が発生し、または発生しかけた場合に報告をするよう独自に依頼しております。
 令和三年七月に発生した福岡県の事案を受けまして、国は、送迎バスを運行する場合等の安全管理の徹底について通知を発出しております。都は、区市町村を通じて保育所等にこの通知を周知したほか、認可保育所等に対する講習会で、バス送迎時等の置き去り事故の防止について注意喚起をしております。

○斉藤委員 国の通知の周知や講習会での注意喚起、事故防止の対策を取るよう求めてきたということです。全国的にこうした対応が行われてきたところだと思いますが、静岡では同様の事故が繰り返されてしまったという現状です。
 この間、国が行った送迎バスについての緊急アンケートで、東京都での結果について資料をいただいていますけれども、都内でも送迎バスは百二十三の保育施設が導入しており、他人事ではない問題だというふうに思います。今後の取組の強化に当たって、このアンケートの検証も必要なものだと思います。
 これまでの取組として、指導検査の状況はどうだったのか、送迎バスでの園児の安全を守っていくためには、十分な同乗者、保育士等の配置、降車時の確認や出欠状況の共有が重要であり、きちんとこうした業務が行われているか指導検査していくことが重要だと思いますが、これまでの指導検査はどのように行われてきたのか伺います。

○坂本指導監査部長 都は、保育所等の指導検査に当たりまして、児童福祉施設設備運営基準等に定めます基準を踏まえまして策定いたしました指導検査基準等に基づきまして実施しております。送迎バスにつきましては、現在、国の基準等が定められていないことから、指導検査事項とはなっておりません。
 また、都は昨年度より、認可保育所等に対する講習会におきまして、バス送迎時の置き去りの事故防止について注意喚起をしているところでございます。

○斉藤委員 送迎バスについては、国の基準がないために指導事項とはなっていないと、したがって指導検査もないということで、これは改めて驚きましたけれども、この背景には、送迎バスは保育ではないという考えがあったということがあります。
 保育園の送迎事業を行っている千葉県流山市の我が党の市議団が国に対して、送迎バスの実施要件についてただしたところ、厚労省の担当者は、バスの中は保育ではないということ、また、児童何人につき何人以上の保育士をつけるという最低基準はないというふうに答えています。
 しかし、保護者の手から離れて園児がバスに乗るときからが保育のスタートではないでしょうか。園児を預かり、その日のその園児の状況確認や安全の確保など、送迎バスは保育の一部だと考えますが、認識を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 保育事業者が実施している場合でも、車両送迎は保育サービスではなく、私的契約に基づく有償サービスと位置づけられております。

○斉藤委員 今、この現状でも保育ではないという認識をいい切れるっていうのは、私は本当に驚きだというふうに思います。
 都は、保育園の登園時に保育士がどのような対応を行っているのかご存じないんでしょうか。子供を預かるということは、荷物を預かるというのとは違って、まだうまく言葉で表現できない小さな子供たちの命を預かる大切な使命があり、保護者からその子供の状況を聞いたり、子供の顔色や様子を確認する大切な仕事をしています。その大切な子供の引渡しの作業を園ではなく送迎バスで行うということになり、そこには大きな責任が伴うというふうに思います。そうしたこれまでの国や行政の認識の低さが、今回のこのような事故を起こしてしまった背景にもあるんじゃないかというふうに思います。
 今回のような取り返しのつかない重大な子供の死亡事故を受けて、今後は、送迎バスでの職員の配置と業務が適切に行われているか最低基準に定め、指導検査の対象にしていくことを国に求めていくことと、都として実施していくことが重要だと考えますが、いかがですか。

○奈良部少子社会対策部長 国のバス送迎に当たっての安全管理の徹底に関する緊急対策によりますと、バスの乗車、降車時に幼児等の所在の確認が確実に行われるようにするため、府省令等の改正により、幼児等の所在確認と安全装置の装備を義務づけるとされております。府省令等が改正された際には、都としても適切に対応してまいります。

○斉藤委員 ご答弁のとおりですけれども、国が義務づけるといっているのは所在確認と安全装置だけなんですね。職員の配置というものは基準がありません。
 送迎バスでお子さんを預かる時点で保育が始まっているという基本的な立場に、認識に立って、この最低基準に定めるということを国に求めていくこと、そしてそれに基づいて都として指導検査を行っていくこと、さらに都独自の基準についても検討するということを強く求めます。
 バスによる送迎は、置き去りの問題に加えて、先ほどお話しした保育士と保護者のやり取りをどうするか、運転中の安全についてなど考えるべき点が多くあります。そうしたことも含めて、バス送迎の在り方について検討することを求めておきます。
 保育園での置き去り事故は、送迎バスだけでなく、お散歩中や公園で遊んだ後などにも発生しています。都では、国への保育事故の報告に加えて、独自に置き去りや迷子などの所在不明になった件について報告を求めているということは重要だと思います。
 朝日新聞では、その報告件数について、二〇一七年度に十四件、二〇一八年度に十八件、二〇一九年度に三十四件、二〇年度は二十八件と増加傾向だということが報じられています。このことは事実で間違いないでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 当時把握していた件数につきまして、取材に対応したことは承知しております。

○斉藤委員 ちょっと今の答弁では意味が分からないんですよね。間違いがないのかどうかということ、お答えいただけますでしょうか。

○藤井委員長 お答えありますか。

○奈良部少子社会対策部長 先ほども申し上げましたが、当時把握した件数につきまして、取材に対応していたということは承知しております。

○斉藤委員 繰り返しの答弁で、結局、間違いがないのかどうかというのは分からないんですよね。
 資料要求では昨年度までの二年分の数字を回答していただいていますが、これも基となる書類が二年分しか残っていないということで、それ以前の数字は出されていません。要するに、それより前の数字は間違いがないかどうか分からないということだというふうに思います。
 しかし、今回の事故を通して置き去りの重大性について大きく認識されました。さらに、足立区でも置き去り事故は発生していますが、公園に置き去りになったり、迷子になっている園児が地域の人に保護されたりと、一歩間違えば命につながる事故になる重大な事案です。置き去り事故は、場所がどこであれ子供の命に直結する重大な問題です。
 今後は統計の裏づけとなる文書を継続して保管していくべきだと考えますが、いかがですか。

○奈良部少子社会対策部長 事故報告の保存期間は一年としておりますが、死亡事故等の重大事故につきましては、都及び区市町村におきまして、都度、重大事故の再発防止のための事後的な検証は行っております。
 文書の保存期間等につきましては、東京都文書管理規則に基づきまして、毎年度所要の見直しを行っております。

○斉藤委員 毎年見直しを行っているということなので、この置き去りの重大性に鑑みて、保存期間を延ばすということを強く求めるものです。
 要求資料によると、昨年度の発生件数は八十件と前年に比べて急増しています。急増している理由、また、ここ数年でも増加傾向にあるという理由について、どう分析しているのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育事業者に注意喚起をするために、区市町村に対しまして置き去り等に関する報告を独自に求めており、報告の必要性の認識が保育事業者に浸透しつつあるものと受け止めております。

○斉藤委員 事故報告の必要性の認識が浸透しつつあるということですけれども、確かに昨年度は、福岡県での送迎バスでの死亡事故があり、周知が強化されたということはあったというふうに思います。しかし、周知が浸透してきたということだけではない要因があるのではないかということも検証していかないといけないと思います。
 都は、置き去りの発生の報告について、発生した際の状況と検証、対策について報告をしてもらっているということですが、どのような状況での発生や検証結果が多いのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 置き去りは屋外活動中で多く発生しております。また、置き去りを防止するポイントといたしましては、職員間の役割分担の明確化や情報共有、場面の切り替わりでの人数確認などが挙げられます。

○斉藤委員 置き去りが発生する場面や事故防止のポイントについてお答えいただきましたが、なぜこれらのことが実施できなかったのかということに踏み込んで検証しなければ、つまり保育士に注意喚起を促すだけでは不十分ではないでしょうか。
 今、保育現場から多くの声が上がっているのが、子供たちの安全を守り、豊かな保育を保障するために、保育士の配置基準を引き上げて保育士を増やしてほしいという声です。
 ご存じのとおり、国の最低基準は、ゼロ歳児三人に対して保育士一人、一歳、二歳児は六人に対して保育士一人、三歳児は二十人に対して保育士一人、四歳、五歳児は三十人に対して保育士一人、これ大人一人で見られるのか、改めて聞いただけでも、とてもじゃないですけど一人で見られる人数ではありませんよね。集団的に見ているとはいえ、十分に目が行き届かなくなるのは明らかだというふうに思います。
 四歳児、五歳児クラスの保育士の配置基準は、戦後直後の七十四年前につくられてから全く改善されていません。愛知県の保育士や保護者が立ち上げた子供たちにもう一人保育士さんをと求める実行委員会が、保育施設への職員に対して行ったアンケートでは、国の保育士基準では子供の命と安全を守れないと思う場面として、災害時と回答した人が八四%に上り、散歩や水遊びも約六割に上っています。
 保育士の配置基準が保育の現場に見合ったものと考えているのか、都の認識を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 職員配置基準は国が省令等で定め、都や区市町村はそれらを踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て条例等で定めております。

○斉藤委員 私は都の認識について聞いたんですね。基準をどうやって定めているのかというのを聞いたんじゃないんです。ちゃんと聞いていることに答えていただきたいんですけれども、散歩や水遊びなど保育に欠かせない日常的な活動の中でも、約六割の方が国の基準では安全が守れないと答えているんです。
 現在の保育現場では、十一時間開所や延長保育、園庭のない保育園が増える中でのお散歩やアレルギー対応など、様々な対応が求められています。
 もう一度聞きますが、このアンケートの結果、こうした実態を聞いても、都は、保育士の今の最低基準は保育の現場に見合ったものだと認識しているんでしょうか。

○奈良部少子社会対策部長 繰り返しになりますが、職員配置基準は国が省令等で定め、都や区市町村はそれらを踏まえ、それぞれの議会等の審議を経て条例等で定めております。

○斉藤委員 認識について何も答えられないというのは、私は本当に情けないと思うんですけど、条例がどうやって、配置基準がどうやって定められているかという話じゃないんですね。
 こういうことをきちんと認識を持っていただきたいというふうに思うんですけれども、保育士が子供たちの安全を守り、豊かな保育を保障していくためにも、ずっと、そして今も、一番に現場から求められているこの保育士の配置基準、これの切実な現状、目を向けて引き上げていくということ、踏み出していただきたいと思います。
 国に保育士の配置基準と公定価格の引上げを求めるとともに、都として上乗せ基準をつくって財政支援していくことが求められますが、いかがですか。

○奈良部少子社会対策部長 保育サービスは、国が定める公定価格により運営されることが基本でございまして、公定価格には人件費、管理費及び事業費が含まれております。
 都はこれまで、国に対し、恒久的、安定的財源を十分に確保するとともに、公定価格の単価などについて、大都市の実情に応じたものとするよう繰り返し提案要求しております。
 また、保育の実施主体である区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて保育サービスの充実に取り組めるよう、保育サービス推進事業により支援しております。

○斉藤委員 都は国に対して、公定価格を都市の実情に応じたものにするように要求しているということですけれども、それにとどまらず、保育士の配置自体を抜本的に増やせる充実が必要です。同時に、都が独自にこの上乗せ基準をつくって財政支援を行うということも可能です。都として東京の子供たちの安全を守っていくためにも、保育士の配置を厚くできるよう踏み出すことを求めます。
 次に、グローバルキッズの問題です。
 多くの認可保育所や認証保育所を運営する株式会社グローバルキッズの不正が明らかになり、幅広く報道されました。まずはこの不正の概要について確認をしたいと思います。
 昨年度の二〇二一年一月に都が豊島区と一緒に行った特別指導検査の結果から、保育大手のグローバルキッズが多数の園で保育士を実際より多く報告し、施設運営費を不正に受給していたことが分かりました。この件の概要について伺います。

○坂本指導監査部長 昨年度、豊島区から、区内の認可保育所での保育士の在籍状況に疑義がある等の情報提供がございまして、本年一月から、当該保育所を運営する事業者の都内認可保育所等百四か所を対象といたしまして特別指導検査等を実施したところでございます。
 その結果、千代田区、新宿区、江東区、目黒区、大田区、豊島区、世田谷区及び中野区の八区にございます認可保育所十一か所、認証保育所五か所、計十六か所が、区に対して施設での勤務実態のない保育士を在籍していたかのように虚偽の報告を行っていた事実を私ども確認したため、都は事業者に対しまして速やかに是正するよう指導したところでございます。

○斉藤委員 勤務実態のない保育士を在籍していたかのように虚偽の報告を行っていたということで、これ自体が大きな問題です。
 同時に、これは報告よりも保育士が少なかったということですから、それで職員の配置基準を下回っていたのかが問題になります。認可保育園の最低基準は、保育の質を守るための文字どおり最低限の基準です。この基準に違反することは、保育の質に深刻な影響を与えることになります。ましてや認証保育所の基準を下回るということはあってはなりません。
 グローバルキッズが運営する園のうち、保育士の配置基準を満たしていなかった園は幾つあったのか、名簿の不正を行った全ての園で基準を満たしていなかったのか伺います。

○坂本指導監査部長 保育士の配置基準でございますが、各区市町村におきまして増配置等の措置を実施しておりますので、今回の職員配置偽装に係ります特別指導検査等の結果を受けまして、該当する保育園におきます配置基準を満たしているかどうかの確認につきましては、都の検査結果に基づき、各区市町村において実施しているところでございます。
 現在のところ、八区から、給付費等の職員配置基準を満たさず、所要の返還等の対応を行っているとの報告を受けているところでございます。

○斉藤委員 区市町村が確認をしていると。八区から、給付費等の職員配置基準を満たしていないということなんですけれども、これ、国の最低基準のことなのか、それとも加算している基準のことなのかということは、ちょっと答弁でははっきりしていないんですけれども、私たちが聞いているだけでも、少なくとも世田谷区と中野区で、認証保育所の基準さえも下回っていたという施設がありました。本当に深刻な問題だといわざるを得ません。
 こうした不正を行わせないための仕組みの一つとして指導検査がありますが、グローバルキッズが多数の施設で組織的に不正を行ってきたことは、これまで指摘されてきませんでした。
 特別指導検査に入るきっかけとなったのが、豊島区が二〇二一年七月に行った一般指導検査だったというふうに聞いています。勤務実態のない保育士の名前が名簿にあったということから都に連絡をしたと、豊島区の担当の方からも伺いました。
 以前の都の検査ではなぜ見つからなかったのか伺います。

○坂本指導監査部長 通常、都が実施しております一般指導検査でございますが、指導検査基準に基づきまして、検査時点におけます設備運営基準等の遵守状況を確認しているところでございます。
 また、今回、区市町村では、子ども・子育て支援法に基づきまして検査を実施しておりますが、毎月の給付費の請求内容などにつきまして検査しておりまして、こちらの方は、過去に遡って月ごとに職員配置状況などを確認しているところでございます。
 本事案につきましては、今お話ございましたが、豊島区からの当該保育所につきましての情報提供がございまして、職員配置を偽装し、給付費が請求されているという疑いがあるとの情報提供を私ども受けました。この結果、特別指導検査の内容の事項を絞り込みまして、都と区で合同で集中的に指導検査を行った結果、偽装の事実が判明したものでございます。

○斉藤委員 今のご答弁ですと、東京都の一般検査においては、設備運営基準等の遵守状況だけ見ていると。区市町村では毎月の給付の請求内容、これが正しいものかということを検査している、だから分かったというようなことなんだと思うんですけど、東京都としてもこういうことをきちんと見抜けるようにしていく必要があると思うんです。何しろこのグローバルキッズも、今、都内百二十以上の保育施設、広く展開しているという状況で、東京都が広範にわたって一番その情報を持っている、そういう立場になるというふうに思います。
 今後、別の法人も含めて同じような不正が行われる可能性もあるわけです。その際に、指導検査で発見できるようにするためには、今回の事例についてよく振り返ることで、よりよい検査のやり方を考えることが重要だと思います。よく検証し、必要な対応を取ることを求めておきます。
 そして、少なくとも明らかなことは、そもそも検査を行わないことには不正の指摘をしようがないということです。
 グローバルキッズが運営する園は、二〇一五年以降、全部で何園が都の指導検査の権限がある地域にあり、そのうち何園に都が指導検査に入ったのか、また、そのうち今回不正が明らかになったのは何園か伺います。

○坂本指導監査部長 グローバルキッズでございますが、都内で運営する認可保育所及び認証保育所のうち、都の指導検査等対象施設でございますが、平成二十七年度四十六か所でございましたが、令和三年度には百四か所となっております。
 また、都の指導検査につきましては、今回の特別指導検査等を除きまして、平成二十七年度から令和三年度にかけまして、実数といたしましては三十五か所、延べ実施数としては三十六か所の保育所等に対し検査を実施したところでございます。このうち、今回の特別指導検査等での偽装の事実が明らかになったのは八か所となっております。

○斉藤委員 つまり、今回の特別検査を除くと、不正が発覚した十六か所の施設のうちの半数の八か所は、二〇一五年度から昨年度まで指導検査に行っていなかったということになります。
 また、同じ時期に指導検査に入っていたのは、今回の特別検査を除くと、グローバルキッズ全体で実数三十五か所、延べ三十六か所で検査に入っていた場合も、この大半は七年に一回というふうなことだということです。これは明らかに改善すべき点だと思います。
 児童福祉法施行令は、検査は一年に一回以上行わなければならないと定めています。また、認証保育所やそれ以外の認可外保育施設については、それぞれの要綱で、原則として毎年度一回以上立入調査をするというふうにされています。
 コロナの前の二〇一九年度、全国の保育所の実地監査実施率は約六割、これも低過ぎるんですけれども、東京ではたったの約八%です。
 東京都の指導検査の実施率が新型コロナの感染拡大の前でも、認可保育園で一割、認証、認可外保育施設で二割程度と、児童福祉法施行令や都の要綱に違反し、全国的に見ても圧倒的に少ない状況について、どう認識しているのか伺います。

○坂本指導監査部長 都はこれまで、認可保育所、認証保育所につきましては、新規開設施設や課題のある施設等を中心に指導検査を実施してきておりまして、区市町村も子ども・子育て支援法等に基づきまして指導検査を実施しているところでございます。
 また、認可外保育施設につきましては、都において巡回指導チームを設置いたしまして、毎年巡回指導を行っており、保護者等の関係者からの通報や巡回指導により、職員配置や保育の内容などに重大な課題が認められた施設に対しては、速やかに立入調査を実施しております。
 引き続き、区市町村や巡回指導チームとの連携などによりまして、都内保育施設の運営状況等の実態把握に努めますとともに、デジタル技術も活用いたしまして、効率的、効果的な指導検査の実施に努めてまいります。

○斉藤委員 効果的、効率的に実施といっても、その結果が先ほどお話ししたような実施率です。東京都は区市町村とは別に権限を持っているのですから、都自身で年間一回実施できるようにするべきです。
 そして、それを行おうとしたら職員数を増やす必要があるのは明らかです。本日の資料にもありますけれども、監査の実施のための人員体制は毎年二十人前後で推移しています。抜本的な人員の体制強化が必要だと思いますが、いかがですか。

○坂本指導監査部長 緊急対応が必要な事案等が発生した場合につきましては、指導監査部内の応援体制を組むなど、事業の実施体制の確保に努めておりまして、今年度につきましては一名の増員を図ったところでございます。
 引き続き、区市町村や巡回指導チームとの連携などによりまして、都内保育施設の運営状況等の実態把握に努め、効率的、効果的な指導検査を実施してまいります。

○斉藤委員 人員体制の強化については、私も前期の二〇一八年の十二月の一般質問でも取り上げましたけれども、年一回の指導検査を行うためには、今の五倍以上の人員の確保が必要です。昨年度は一名増えたということですけれども、圧倒的に低い実施率から見れば不十分なのは明らかです。よりペースを上げて抜本的な人員増を進めることを求めます。
 さらに、今回のグローバルキッズの件の調査についてですが、このグローバルキッズの発表文書によると、調査は東京都からの依頼に基づいて自分たちで行っているということです。これでは全て正直に報告しているのかどうか疑問が生じますが、いかがですか。

○坂本指導監査部長 今回不正を行いました事業者に対しましては、同社の責任者を都庁に呼びまして、検査結果とその事実に基づきまして厳しく是正を指導いたしますとともに、検査対象となりました関係区市町村にも検査結果につきまして情報提供いたしまして、同社に対し、給付費等の精査や返還など適切な対応を行うよう依頼したところでございます。
 引き続き、関係区市町村と連携し、対応してまいります。

○斉藤委員 いろいろお話しいただきましたけれども、疑問が生じるということ自体は否定されませんでした。少なくとも関連する資料を都の職員自身が直接見るということは必要だと思います。
 また、この間、一つの法人で多数の園を運営しているというケースが増えています。そのような法人への対応の仕方は、さらに研究をしていく必要があると思います。
 そして、グローバルキッズの運営する施設は、先ほどの答弁にもあったように、都の指導対象だけで、昨年度、約百か所以上に上っています。今回は本社に調査に行ったわけですが、もし一つ一つの園に調査に行く必要があったとしたら、今の職員数では非常に困難だと思います。繰り返しになりますけれども、職員の増員を強く求めておきます。
 次に、この補助金の返還についてですけれども、世田谷区が公表している文書によると、キャリアアップ補助金の返金に当たっては、都の対応方針に基づき、違約加算金は課されないものとされているとありますが、この対応方針はどのようなもので、どのような考えに基づくものなのか教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 保育士等キャリアアップ補助金につきましては、交付対象に勤務実態のない職員が含まれていた場合は、当該部分について交付額の返還を求めることとしております。
 また、交付対象であることを証明する証拠書類を相当な理由なく提示できない場合には、違約加算金を徴収することとしております。
 本事例につきましては、違約加算金を徴収すべきであったところ、交付額の返還のみでよいと説明していたため、現在、世田谷区に追加の対応を依頼しているところでございます。

○斉藤委員 今回のグローバルキッズの件は、事務上のミスなどではなくて、分かっていてやっていたということで非常に悪質であり、まさに違約加算金を徴収すべきケースだというふうに思います。世田谷区に追加で依頼しているということですので、しっかり対応していくよう求めておきます。
 指導検査の在り方についてですが、現在、国で懸念すべき規制緩和の動きがあります。検査を実地で行わなくてもよいとするものですけれども、今、現状でも保育園での不正や事故も後を絶たない中で、実地の検査の強化こそ求められています。逆に緩めていくようなことは許されません。
 保育園の指導検査について、実地検査を行わなくても、書面のみでもよいとする規制緩和を行わないように国に求めるべきですが、いかがですか。

○坂本指導監査部長 保育所の保育内容や建物設備の安全等の把握には実地検査が重要でございまして、都は区市町村とも連携し、指導検査の際、実際に施設に赴きまして、運営管理や保育内容、会計経理につきまして検査を実施しております。
 引き続き、現在、国において検討しております動向などを注視してまいります。

○斉藤委員 現地に行くからこそ分かる情報は様々にあります。今のご答弁で、実地検査が重要という認識は大事だというふうに思います。しかし、国に求めるというふうにならないということは残念です。国に規制緩和の中止を求めるとともに、都として体制の強化を進め、年一回の検査を行っていくよう改めて求めるものです。
 最後に、足立区で昨年度末に休園となった認可保育園の件から伺います。
 こちらも、突然の休園で園児たちが突然転園を余儀なくされ、継続した保育が中断された重大な事案です。
 私の地元の足立区のある認可保育園では、昨年度に保育士の一斉退職により四月から突然の休園になっています。なぜ保育士が一斉に退職することになったのか、都はその理由について把握しているのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 足立区議会の子ども・子育て支援対策調査特別委員会報告資料によりますと、職員ヒアリングにおいて、複数の職員が、業務の過多、園長との不和、主任の不在等を退職理由に挙げたとされております。

○斉藤委員 足立区の区議会での報告資料からお答えいただきましたけれども、足立区は都に対応についての相談を昨年度からずっとやってきています。どんなことがあったのか区とも共有してきたと思います。私も直接、保護者や保育士に相談いただき、区にも都にも伝えていきました。
 ちょっと答弁が人ごとのような感じで、無責任だなといわざるを得ませんが、昨年の八月に十一人の保育士が年度末で退職するということを園長に伝え、そのままでは新年度から保育が継続できないということが明らかになりました。
 区は、昨年度に保育士たちになぜ一斉に辞めることになったのか聞き取り調査を行いましたが、その中で、今、保育士が減ったり主任が不在になっても、園長がまともに対応しないことや、職員に対するパワハラの言動が行われていたことが伝えられています。
 保育園側から、八月に区に対して保育士の一斉退職の意向があることが報告され、十月には保護者に対して、保育が継続できないこと、三歳、四歳、五歳児クラスは転園しなければならないことが突然伝えられました。
 それまで一緒に成長してきて、これからの保育園生活もみんなで行事など楽しみにしながら卒園するはずだった子供たちが、急にばらばらにされて新しい園に行かなくてはならないこと、また、転園手続に突然振り回されることになった保護者にとっても大きな負担と怒りになりました。
 突然にこの転園を余儀なくされ、せっかくお友達関係をつくって、一緒に成長しながら卒園するはずだった園児たちがばらばらにされて、保育の継続が断絶されるというようなことが起きたことについて、認可を行っている都としてどう認識しているのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 在園児に不利益を生じさせないことが必要でございまして、都は区と連携し、保育サービスを利用できるよう対応しております。

○斉藤委員 在園児に不利益を生じさせないことが必要だとはいいましたけれども、都は区と連携している、必要なサービスが利用できるように対応しているという、これはつまり転園先などの確保のことをいっているということなんですかね。転園できればそれでいいということでは全くないんです。
 小さな子供たちの成長の場である保育には、安定性と継続性が大切なことは基本ではありませんか。子供たちは、毎日一緒に過ごす保育士たちやお友達関係の中で愛着関係を結んで、共に成長し合っていきます。転園できて保育サービスが利用できていればいいというものではありません。突然、お友達とも保育士さんたちともお別れになって、知らない保育園に途中から行かされることになった園児たちの立場に立って、行政は保育のことを考えていかなければいけないと思います。
 一斉退職による突然の休園など繰り返してはいけないことです。現在休園しているこの園では、保育を再開する意向が経営者である園長から示されていますが、少なくとも、保育士の一斉退職に至ってしまった原因究明と再発防止策を法人が示すことができなければ、同じことが繰り返される可能性があり、このまま何もないままで再開することは許されないということを私は繰り返し求めてきました。都はどう対応するのですか。

○奈良部少子社会対策部長 都は、当該保育所の休止承認申請を受けまして、休止を承認する条件として、保育所の再開に当たっては、休止に至った原因究明及び労働環境の改善等の再発防止策を講じることを示しております。

○斉藤委員 再開しようとしている法人に対して、原因究明と労働環境の改善等の再発防止とを講じることを求めているということで、当然の対応だというふうに思います。
 また、都は実際に保育所設置認可等事務取扱要綱、これを今年の六月に改定しています。何らかの問題で一度休園となった保育園が再開するに当たっての定めがなかったことから、改めて要綱の中に再開という項目をつくり、ケースによって、原因究明や再発防止策を講じたことを書類で提出させるということにしたと伺いました。
 今回のような問題で休園した保育園がまた再開を目指すということは、これまでに前例がなかったということも伺いましたが、私は、私が保育士や保護者の方々から切実な声を直接伺ってきた中で、改善策もなしに、ただそのまま再開されるということは許されないということを何度も都にも伝えてきましたが、そういう中でそうした対応がされたということは重要だったと思います。必要な対策が取れないまま再開されるということがないよう、改めて強く求めておきます。
 ただ、ここまで至ってしまった中では、これまでの対応が不十分だったのではないかといわなければなりません。
 この保育園では、保育士が一斉に辞めるということは今回が初めてではなくて、七人、八人と一斉に辞めるという大量退職が二〇一七年以降に繰り返されていました。そのことを当時から区は把握しています。保護者や保育士から区に対して、園長の対応に問題があることがずっと伝えられてきました。職員に対するパワハラの言動のほか、給与などの処遇を一方的に切り下げることが伝えられたり、保護者からも、真夏にクーラーが壊れて、子供たちが一つのフロアに集められて保育を余儀なくされるなど、通常の保育に支障を来していても、まともに説明もないことなども伝えられていました。
 このような状況があれば、ほかにも運営上の問題がある可能性もあり、都として監査に入るべきでしたが、この間ずっと入らないままでした。
 さらに、昨年度には、区は一斉退職に至った理由について保育士に聞き取り調査を行っており、その中で、経営者である園長からのパワハラの言動や、妊娠中の保育士に対するハラスメント、いわゆるマタハラの言動が行われていたことも区に伝えられています。
 都も、足立区と連携を取ってきた下で、こうした訴えが寄せられていることを把握していたのであれば、指導検査に入るべきだったんではないですか。

○坂本指導監査部長 特別指導検査の実施でございますが、区市町村などからの不適切な保育や先ほどの事例での不正請求など、情報提供に基づきまして、事案の緊急度、重大性、事実関係の蓋然性などを慎重に検討の上、実施しているところでございます。
 本事案につきましては、都は区からの情報提供により把握しておりまして、既に区において、当該保育所への指導等の対応をしていたことから、昨年度、特別検査を実施しておりませんが、引き続き区と連携して対応してまいります。

○斉藤委員 要するに優先順位があって、事案の緊急度や重大性がこの件は低いと判断されたということだと思いますが、結果として保育の断絶、突然の休園という重大な結果を招いてしまいました。
 区がこの保育園に指導していたといっても、口頭によるもので、検査に基づく改善指導などの行政措置は一度も行われていないんです。大量退職が繰り返され、保育士や保護者からの訴えが続いていた園に対して、一度も検査に入らないのであれば、何のための権限を行政は持っているのかというふうに思います。
 この保育園に検査に入るためのタイミングや根拠は幾つもあったはずです。大量退職があった時点で、労働環境に問題のある可能性があるということで検査に入ることができたはずです。また、さらに二〇二〇年度にはパワハラ防止法の施行もあり、都は、保育所の指導検査基準にパワハラやセクハラの防止策を講じることなどを盛り込んでいます。こうした対策を園が行っているのか、実態がどうなっているのか、指導検査基準に照らして検査を行うことは可能だったはずです。当事者からの訴えがあり、問題が繰り返されていても、検査に入らないのであれば、本当に何のための行政なのかといわざるを得ません。
 さらに、先ほども述べたように、少なくとも通常の検査は、何もなくても年に一回は入らなければならないんです。先ほどは指導検査のための人員体制が不十分だということも指摘をしました。
 先ほどご答弁の中でも、課題のある施設を中心に指導検査を実施するとご答弁されているんですね。しかし、課題があって訴えがずっと続いているような園に対しても入ることができない、そういう弱い体制なんだということじゃないですかね。こうした事態になっている園にさえ入れない、そういう状況を改善していかなければいけないと思います。深刻に受け止めて、人員体制の強化を行うことを重ねて求めます。
 さらに、ハラスメントの防止のための指導検査の位置づけを高めていくことも必要だと思います。高齢者福祉や障害者福祉の事業については、事業者がパワハラ、セクハラ防止のための措置を講ずることが国の基準に盛り込まれ、都条例の基準に反映されています。
 保育園で、ハラスメントについて児童福祉法に基づく最低基準による指導検査が行えるように、保育園の最低基準にパワハラ、セクハラを定めることを国に求めることが必要だと考えますが、見解を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 労働施策総合推進法等におきまして、事業主には、パワーハラスメント等の防止のため必要な措置を講じることは義務づけられております。
 都はこれらを踏まえ、指導検査基準にパワーハラスメント等に関する項目を設定し、対応しているところでございます。

○斉藤委員 都の指導検査基準に設定したということ自体は前進ですけれども、労働関係の法律が根拠のままでは、都として権限を持って対応するということには限界があります。児童福祉法に基づく最低基準として定めてこそ、この児童福祉法の権限に基づく強い対応ができるんではないでしょうか。
 実際、都の指導検査の基準を見ても、認可保育園やその他の多くの福祉施設で、福祉関係の法令や通達等に違反する場合は、原則としてより重い文書指導、福祉関係でない法令やその他の通達等に違反する場合は、より軽い口頭指導となります。高齢者福祉や障害者福祉の事業と同様に、児童福祉法に基づく最低基準にパワハラ等の防止のための措置を講ずることをきちんと定めるように国に求めるとともに、都として独自に条例で定めることも検討することを要望いたします。
 労働施策総合推進法などに基づき、指導検査基準を定めているからよいというのではなくて、都条例で基準として定めることの意義を正しく理解して行っていただきたいというふうに思います。
 これまで、現在起きている保育の質に関わる問題を取り上げながら、保育の質の維持向上に必要な条件整備、指導検査の現状について取り上げてきました。とりわけ子供たちの保育の安全性と豊かな保育を保障していくために、保育士の配置基準の引上げは待ったなしだということ、また、株式会社立などの民間保育施設が増えていく中で、東京都の保育施設に対する指導検査体制の強化が必須であるということを改めて求めて、質問を終わります。

○風間委員 立憲民主党の風間ゆたかです。
 決算委員会ということで、決算の書類を見ながら、少し気になるところを確認していければと思っておりますけれども、令和三年度は、コロナの影響もあって、予定していた事業がなかなか進まないというようなこともあったと認識しています。
 一方で、子供政策関連に関しては、子供はその日その日で成長していくということから、しっかりと行政がサポートをしていかなければならないことだと認識をしておりますので、一つ一つ気になることを確認していければと思いますが、まずは、一般質問でも取り上げました保育に関して、今、ほかの委員からもお話ありましたけれども、伺ってまいります。
 決算書の一四六ページには、認証保育所一歳児受入促進事業というものがあります。これは執行率が六割程度になってしまっているということで、既に待機児童が解消の方向に向かっているという中で、特に多い一歳の待機児童を解消するためのものだというふうに認識をしておりますけれども、この六割にとどまった理由というのについて教えてください。

○奈良部少子社会対策部長 認証保育所一歳児受入促進事業につきましては、区市町村に対して翌年度の所要額調査を実施いたしまして、その回答を基に予算要求を行っております。
 所要額調査では実施する見込みであった区市町村のうち実施しなかった区市町村があったほか、利用児童数が見込みを下回ったことなどから、執行率は約六割となっております。

○風間委員 この事業自体をやっている市区もそれほど多くないと認識をしています。そもそも待機児童が一歳児にまだいるという自治体しか応募してこないものかと思いますけれども、限りある財政状況で、保育待機児童の解消というところについては、ある一定のめどが立ってきたものと考えておりますので、より有効に、こういった保育のことに関しては、先ほどのお話もありましたように、支援をしていく体制を組んでいってもらえればなと思います。
 また、一般質問でも取り上げましたように、今後、認証保育所の活用ということに関しては、ほかにも様々手があろうかと思いますので、ぜひそちらの方の検討も進めていっていただけるように求めておきます。
 続いて、同じページにあります子供主体の保育普及促進事業について伺います。
 これ、執行率ゼロということになっておりますけれども、子供主体の保育ということについては、これからの時代に必要なものだということで新たに始まった事業だと認識をしているところでありますけれども、コロナの影響かなと思いつつ、これが執行されなかったという状況について説明をお願いします。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、保育所等へのアドバイザーの訪問等を予定しておりましたが、令和三年八月に発出されました新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた都政の特別体制の再徹底、強化に関する依命通達を踏まえまして、人と人との接触による感染リスクが高いことから、事業実施を見送ったものでございます。

○風間委員 準備段階で人と人が接触するような機会がある事業だったということで、執行されなかったということでありますけれども、子供が自然の中で育っていく環境をということで、これを自主保育としてやっているような団体も多くある状況ですから、こういったことに対して、都が取り組んでいく、支援をしていくということは、大変に重要なことだと私も認識をしております。
 今回、こういったことで止まってしまったということですが、本年度はまた予算も組んでいるということでありますから、こういったことも、ニーズある保育施設に対して支援をしていって、広げていくということについては、積極的に進めていくように求めておきます。
 次に、同じ保育の中でも病児保育の事業について伺います。
 このコロナがあって、発熱があると、かつてはインフルエンザなんかでも、隔離部屋を使って病児保育を利用することができたりもしましたけれども、コロナという疑いがあると、なかなかこの病児保育も使えないような状況があったりということで、病児保育を利用してきた保護者視点でいえば、かなりこのコロナの影響で困った状況にもあったなと。
 一方では、病児保育を担ってくださっている方々の視点でいえば、これまた経営が安定しないといいますか、利用者が発熱があると使わなくなってしまうということで、まだまだ病児保育、足りている状況ではないと思いますけれども、この病児保育も増えていかない状況だということで、利用する保護者としても、もっと増やしてほしいというニーズがあるものだというふうに感じているところであります。
 こういった病児保育のコロナ禍での状況について、事業者が安定して運営していけるような体制、また、さらに病児保育が利用しやすい環境にしていく、そんな支援を東京都はしていくべきだと思いますが、都の取組状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 国は令和三年度から、病児保育の提供体制を安定的に確保するため、運営費補助のうち、利用児童数の変動に左右されない基本単価分を引き上げております。
 また、都は今年度から、自宅で病児の保育をしながら就労等を行う家庭の負担を軽減するため、子供の疾患や症状に応じた予防ケア方法等の解説、病児に関する不安や悩みの傾聴、助言等を行う病児保育事業者の取組を新たに支援することといたしました。
 引き続き、子育て家庭が安心して病児を保育できるよう、区市町村の取組を支援してまいります。

○風間委員 市区の支援という形で共に病児保育がもう少し広がっていくように、引き続きよろしくお願いをいたします。
 コロナの影響という意味でいいますと、家庭で子供を育てている状況であったり、または子供を産んですぐの行政の支援ということもなかなかしにくかった状況が続いたものだと思います。
 一方で、乳児家庭全戸訪問事業など、子育てを一人で行って悩んでしまっている保護者の方々を支援していくという意味では、大変に重要な事業であると認識しておりますけれども、こういったアウトリーチ型の支援ということについても、このコロナ禍で、様々行政も苦慮しながら取り組んできたことだと思います。
 このコロナ禍において、新型コロナウイルス感染症の影響によって、訪問率というものがどんなような状況になってしまったのかということを伺います。
 また同時に、都としては、このような状況においても、区市町村が行うアウトリーチの支援の充実ということは、さらに進めていく必要があると思いますけれども、都の見解を問います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 乳児家庭全戸訪問事業の訪問率は、例年、九割前後で推移しておりますが、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、電話やオンラインの活用も可能としたものの、訪問率は八割でございました。
 都は、地域において要支援家庭を早期に把握するため、状況確認ができていない児童のいる家庭を訪問し、児童の状況や養育環境の把握を行う未就園児全戸訪問事業を実施する区市町村に対しまして、令和三年度より国庫補助の区市町村負担分の二分の一を軽減しております。
 また、この訪問事業により把握いたしました見守りが必要な子育て家庭に対しまして、専門職等が継続的に訪問を行いますサポートコンシェルジュ事業を都独自に開始しておりまして、区市町村の取組を支援しております。

○風間委員 このアウトリーチ型の支援ということに関しては、各自治体によって様々な工夫がなされていると認識をしております。このコロナ禍にあっても、オンラインを活用したり等、できることを行ってきたというふうに認識をしておりますけれども、今お話があったように、乳児家庭訪問に限らず、最近の虐待案件なんかだと、もう少し年のいった就学前の子供たちがリスクが高いような状況なんかもあったりしていると認識していますので、都としては様々な形で、こういったアウトリーチ型の支援の強化ということに引き続き取り組んでもらえればなと思います。
 また、コロナ禍で子育て世代を支援するということについては、働いている世帯については、就学した後も含めてサポートを受けたいと思っている人たちも多いわけですけれども、その中の一つの重要な取組としてファミサポといわれる事業、このことについては、コロナ前から担い手さんが少ないという課題があったものと認識をしています。
 個で、民民の契約でシッターさんを手配するということになりますと、相当な高額になってしまったりもしますから、こういった総合支援型といいますか、地域の人たちが支援をしていく体制をつくっていくということは、非常に重要であるとかねがね感じてきたわけでありますけれども、これもコロナによって、人の家庭に入っていくことの怖さであったりとか、逆に受け入れることの怖さなんかも含めて、少し停滞しているような状況ということも気になっているところであります。
 さて、このファミサポですけれども、地元の世田谷なんかですと、一時間当たり八百円、利用する側としては八百円でサポートしてもらえるというのは、大変にありがたい取組ではありますけれども、一方で、最低賃金を下回るような金額となるとなかなか、同じ仕事でも、もう少しお金が入ってくる方向でというふうに考えてしまう人も一定数いるという状況かと思います。
 こういった状況を、援助を提供する会員が増えないということの理由の一つとしても考えておりますので、今後、またこのコロナの状況が落ち着いて、ファミサポ事業をもっと発展、推進させていくために、都としてどのような考え方を持っているのかということを教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 ファミリー・サポート・センター事業は、現在、五十三区市町村で実施しておりますが、お話のように、依頼会員の数に対しまして提供会員が不足していることが課題となっております。
 平成三十年度より、都は、国のカリキュラムに都独自の内容を加えた研修を受講した提供会員に対し、報酬を独自に上乗せするファミサポマイスター制度を導入し、提供会員の質と量の確保に取り組む区市町村を支援しておりまして、令和三年度は交付決定ベースで三区市に財政支援を行っております。

○風間委員 非常に魅力的な取組だと思います。まだ三区市ということですので、より多くの区市がこういった事業、都の取組を活用していけるように、ぜひ工夫も含めて進めていっていただければなと思います。
 私自身もファミサポを使ったことがありますし、非常に助かった子育て期がありましたけれども、一方でなかなか手配できないという声も届いており、その状況が続いているものだと認識しておりますので、ぜひこのこと、力を入れていってもらえればなと思います。
 また、次に、コロナ禍においての子供の困難な状況というのは、いろんな面で出ていて、放課後の子供の居場所というところも、家庭に居場所がないお子さんの居場所をどういうふうに、どのようにして設けていくのかということは、各市区、また東京都としても苦慮してきたものだと思います。
 そこで、子供の居場所創設事業ということについて少し伺っていきたいと思います。
 都では、平成二十八年度からこの事業を実施しているというふうに聞いておりまして、私の地元世田谷でも令和三年度から事業を開始したというような状況であります。
 子供の居場所をこのように行政がサポートして創出していくということは、大変に重要なことだと認識しておりますけれども、この拡充について、東京都はこれまでどのように取り組んできたのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 子供の居場所創設事業は、学習支援や保護者への養育支援などを一体的に取り組む区市町村に必要な経費を補助し、地域全体で子供や家庭を支える環境整備を促進するという取組でございまして、令和三年度は交付決定ベースで三区八か所に財政支援を行っております。
 また、令和四年度からは、これまで学習支援と食事提供双方を必須としていた要件を、どちらか一つを実施すれば可とするなど、区市町村が取り組みやすいよう補助要件を緩和しております。

○風間委員 これもコロナの影響もあって、なかなか思うように進んでいないところもあるかと思いますので、今後、各市区が取り組んでいけるように、東京都としてもサポートをしていってもらえればなと思います。
 同様に、子供の放課後ということについては、学童保育、学童クラブの状況というのも少し気になるところであります。保育の待機児童に関しては解消の方向に向かっているということでありますけれども、学童クラブの待機児童ということに関しては、令和三年の当初の段階でも、まだ三千人台というような状況にあったと認識をしています。
 学童クラブの待機状況というのも、解消に向けて当然取り組んできていることかと思いますけれども、各区市町村をどのように支援していき、学童クラブ待機児解消に向けて取り組んでいこうとしているのか教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都はこれまで、学童クラブの待機児童を解消するため、学校敷地内で午後七時以降まで開所するなど一定の要件を満たす場合に、国庫補助の区市町村負担分を全額補助するなど、学童クラブの整備促進を図ってまいりました。
 今年度からは、待機児童対策計画を策定し、これに基づいて対策に取り組む場合、学童クラブの新設、増設等に係る整備費の区市町村負担分を都が全額補助しております。
 また、整備費に加えまして、放課後子供教室終了後の居場所の提供や夏休みの預かりなど、区市町村の創意工夫による取組についても、一自治体当たり年間三千二百万円を上限に独自に補助を行っております。

○風間委員 学童クラブ、保育事業に関しては、各区市によっても取組方に相当な違いがあると認識しておりますけれども、その影響もあって、なかなか待機児童が解消しない、または入りたくても入れないような基準の人たちが出てきてしまうなど、様々課題はあろうかと思います。
 ただ、保育があれだけ力を入れて解消の方向に行ったということは、この学童クラブの待機児童ということも必ず解消の方向に向かうことだと思いますので、様々な支援の策ということを今後も検討していってもらえればなと思います。
 続きまして、児童相談所について伺います。
 先ほどほかの委員からもお話ありましたけれども、私もこの決算書を見ていて、一三〇ページ、少子社会対策費のところの職員数がかなり欠員状況になっている、五十九人という数字がやはりちょっと気になりました。
 こうやって定数よりも少ない人数でこういった取組がある。その多くは、もしかすると児童相談所なのではないかななどというような懸念も抱いたわけですけれども、右側の一三一ページを見ていると、超過勤務等の手当が不足しているというようなところから、かなりの超過勤務状態の職員さんもいらっしゃるんだろうなというふうに思いました。
 想像するには、定員が少ない、それを補うために超過勤務せざるを得ない職員さんたちもかなり多いのかなというように思いますと、先ほどの答弁で伺いましたけれども、特に児童相談所に関しては、なかなか人を手配することに困難な状況だということ、私もよくよく認識しております。地元世田谷が区独自でやる際にも、人員の確保ということに関しては相当な苦労があったと承知しておりますので、まさにこういった専門職の皆さんの育成やその採用に関しては、ある意味では競争状況にあるのかなというふうにも思います。
 こうした状況について、早急に解決するべきというふうに考えますけれども、都としては、こういった児童相談所の今の職員さんたちは、相当、超過勤務も含めて負担感が増している状況だと思いますけれども、この負担軽減策も含めて、どのように都が取り組んでいこうとしているのか教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都はこれまで、児童相談所の体制を強化するため、児童福祉司や児童心理司を増員してまいりました。
 また、児童福祉司や児童心理司の業務の負担を軽減するため、児童記録の策定補助や関係機関からの照会に係る事務など、補佐的な業務を行う事務員を配置しておりまして、今年度は昨年度より八名増員し、全体で計五十五名を各所に配置しております。
 あわせて、業務の効率化、省力化を図るため、児童相談所業務のデジタル化を実施しておりまして、今年度は、AIを活用して電話での相談内容をリアルタイムでテキスト化するシステムを導入してまいります。

○風間委員 実際に児童相談所で働いている方からのお話を伺ったこともありますけれども、年末年始だとか長期休暇前あたりになってくると、もう相当な大変な状況になっているということも耳にしています。
 採用することも育成していくことも、そうたやすいものではないと認識しておりますけれども、様々な工夫をして、何とかこの状況を解決してもらえればなと思いますので、よろしくお願いします。
 児童相談所に続きまして、保護した子供たちのその後、家庭的養育をどのように進めていけるのかということは、私も予算委員会でも取り上げましたように、大変な関心事であります。
 決算書を見てみますと、一四二ページにありますグループホーム、ファミリーホームというのは、里親がなかなか増えていかない状況の中で、一つの有効な解決策だなというふうに感じているわけですけれども、この執行状況が、設置促進事業の執行状況が五割強だというような状況になってしまっているということですので、この執行率が低い理由について、どういう状況か教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は平成二十八年度から、グループホーム等の設置を促進するため、児童養護施設の本園等に助言指導や後方支援を担う職員を配置するなど、グループホーム等への支援体制を強化する施設に対しまして、必要な経費を独自に補助しております。
 こうした中で、国は令和四年二月、グループホーム等をバックアップする職員の配置につきまして新たな加算を創設いたしました。このため、令和三年度から事業者が国の制度を活用したことによりまして、都の事業の執行率は、令和二年度は八一%であったところ、三年度は五五%となってございます。

○風間委員 答弁を伺いまして、そういう状況なのだということで少し安心をしました。このグループホーム、ファミリーホームも、家庭的養育を進めていく非常に重要な取組だと思いますので、様々な手を使って広がっていくように進めていただければなと思います。
 最も重要なのは、やはり里親さんを増やしていくことだと認識をしておりますし、予算委員会でも取り上げましたが、これに向けてフォスタリング機関の活用、今後これも広げていくというような話も伺っております。しかし、そのフォスタリング機関も、担い手、事業者によってはその能力も様々だなということは私も認識をしておりますので、実際に多摩地域で取り組んだフォスタリング機関、実績等はどういう状況なのか、特に里親リクルートということに関しての状況について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は令和二年度から、多摩児童相談所の担当地域においてフォスタリング機関事業を開始しておりまして、商店街、町内会と協力して、里親に関するリーフレットや啓発グッズを配布するなど、地域に根差した普及啓発を行っているほか、オンラインでの制度説明会を開催しております。
 また、里親希望者が認定前研修を受講しやすくなるよう、身近な地域における研修の開催や実習先の選定を行っております。
 こうした取組によりまして、令和三年度は、新規里親認定数が前年度の八件から二十一件に増加しております。

○風間委員 三倍弱の成果があったということで、これまた大変に今後も期待できる取組かなと思っています。
 今後、このフォスタリング機関の活用ということも広げていくというふうに伺っていますので、そのようにして、少しでも里親登録者数が増えていくということ、そして、実際に引き受けてくださる実績というものが上がっていくことによって、目標に掲げている家庭的養育の比率が上がっていくということをぜひ取り組んでいってもらえればなと思います。
 里親の開拓ということに関しては、リクルート活動ということに関しては、私の地元の世田谷区児相でも独自にフォスタリング機関等を使ってやっていることではありますけれども、そうなってくると、今度、都児相と各区児相ということで、うまく連携できないものかなと思うわけですね。奪い合いになってもしようがないことですし、東京都全体でそういった周知をしていって、担い手さんが増えていくという状況が望ましいと考えておりますけれども、東京都として、こういった区市との連携も含めた普及啓発についてはどのような状況なのか教えてください。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長酸素・医療提供ステーション運営担当部長兼務 都は、里親制度の周知や理解促進のため、毎年十月と十一月の里親月間を中心に、区市町村と協力しながら都内各地で養育家庭体験発表会を開催しているほか、「広報東京都」をはじめとした広報紙やホームページ等を活用して普及啓発に取り組んでおります。
 また、保育所等を通じましてリーフレットの配布を行うほか、電車内や区役所の庁舎、ケーブルテレビ等で里親の普及啓発に関する動画を放映しております。
 さらに、小中学校や高校等の教職員向けに里親制度に関する公開講座を実施するなど、児童に身近な関係機関に対する取組も進めております。

○風間委員 この件につきましては、先ほど申し上げましたように、様々な、区市と連携しながら、または外部機関の活用もしながら、広げていく、進めていくということを引き続き取り組んでいただけるようにお願いをします。
 ここまで子供政策に関しての質問をしてまいりましたけれども、最後に一点だけ、決算書の六四ページにありました新型コロナウイルスワクチン接種促進キャンペーン事業ですね、このことについて伺います。
 昨年、補正予算で、私たちの会派は、既に若者がワクチン接種をすることにちゅうちょしているという時期はもう過ぎていると、そこに十億円かけるということについては問題であるということから、反対をした覚えがあります。
 この決算書を見ると、実際には執行率が五一・三%ということでありますけれども、実際に何に使って、何を使わなかったのか、どうしてこういう執行率になったのかということを教えてください。

○山本企画部長 本事業の令和三年度予算額は十億円、契約額は約十億円でございましたが、契約の中で、普及啓発に係る経費は、ワクチンの接種状況等を考慮しながら実施規模を検討し、執行することとしておりました。その結果、支出済額は約五億一千三百万円、執行率は五一・三%となりました。
 具体的な内訳は、LINEを活用した接種記録アプリであるTOKYOワクションアプリの開発、運用等に係る経費が、契約額約三億六千万円に対し支出済額約三億五千二百万円、ワクチンに関する正しい知識やキャンペーンの普及啓発に係る経費が、契約額約六億四千万に対し支出済額約一億六千百万円でございました。
 執行に当たりましては、最少限の経費で事業効果が得られるよう、都の認証を受けた飲食店や大規模イベント主催への活用促進の呼びかけ、大学や企業従業員の登録の呼びかけ、区市町村や都の接種会場の周知などを都が直接実施したため、普及啓発に係る経費の一部は執行しませんでした。

○風間委員 私たちが当時求めました、既にある程度の普及啓発がなされているんではないかというようなこと、また、お金をかけなくてもできるというところで都独自でやったということに関しては、私たちが求めていた方向に向かっていったのかなというふうに考えておりますので、このような形で執行率が下がったということに関しては評価をしたいと思います。
 ところで、実際にはLINEアプリを活用してということで、キャンペーンなんかもやったということで、今お話しありましたけれども、これによってどのような効果があったのか、どれぐらい登録があって、どのような効果があったのか、また、この事業全体をどのように総括しているのかということを教えてください。

○山本企画部長 本事業は、ワクチンの接種促進や社会経済活動との両立を目的として実施したものでございます。
 接種記録の登録者数は、令和三年度末時点で約四十一万人となっており、民間事業者の協力を得ながら、飲食店や宿泊施設など、まち中での画面提示による特典、アプリを通じた抽せん特典を幅広く実施いたしました。
 また、接種をためらう方が前向きに考えられるよう、特設サイトを通じたワクチンに関する正しい知識の普及啓発を行いました。
 こうした取組によりまして、TOKYOワクションは、接種促進の機運醸成や社会経済活動との両立に活用されてきました。

○風間委員 実際に登録者数も増えたということで、若い人たちがそういった登録をして関心を示したというのは、一つの成果なんだと思います。
 一方で、当初、もう既に若者たちが予約を取らずに受けられるワクチン接種会場に行列をなしたなんていうのは、ニュースになったりしましたけれども、そういった状況で、さらに都独自でやっていくという判断をしたのは、先ほど申し上げたように、正しい取組だったんだと思います。
 今後も、コロナ対策に関しては、状況が瞬時に変わっていくということもあろうかと思いますので、適切に判断をして執行していくようにお願いを申し上げまして、私からの質問を終わります。

○菅原委員 都民ファーストの会東京都議団の菅原です。
 それでは、質疑をさせていただきます。
 令和三年度は、新型コロナウイルス感染症との闘いに明け暮れたと、そういう一年ではなかったかと思います。大きな波は三回ありました。その間にはコロナワクチンの接種が始まりました。また、ウイルスの変異によるデルタ株の流行というのもありました。さらに、東京二〇二〇大会の開催などの社会的な要因や、また、緊急事態宣言が出たり、蔓延防止措置など、新しい施策も展開された一年、目まぐるしい一年という表現がよろしいのではないかと思います。
 コロナウイルスの変異または感染状況の変化、またクラスター対策、社会経済との共存などの議論を経て、次々と変わっていくコロナ対策に柔軟にスピーディーに対応することが求められ、福祉保健局はその最前線で踏ん張ったんだというふうに理解をしております。
 今日は、昨年度のコロナ対策の実績や成果を確認して、その課題解決に向けた質疑を進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まずは、コロナ感染予防についてです。
 令和三年度のコロナ対策の中で、感染予防対策は最重要課題と認識しております。令和三年度の感染予防対策のポイント、答弁をお願いいたします。

○西塚新型コロナウイルス感染症対策担当部長医療連携推進担当部長健康安全研究センター健康情報解析担当部長兼務 令和三年度でございますが、委員ご指摘のとおり、四月からアルファ株による第四波、夏にはデルタ株による第五波、さらには年が明け一月からはオミクロン株による第六波という、三度にわたる感染拡大に見舞われました。
 こうした状況の中、都は様々な機会を捉え、都民の皆様へ正しいマスクの着用、小まめな手洗い、密の回避、十分な換気といった基本的な感染防止対策の徹底をお願いするとともに、発症や重症化を防ぐワクチン接種についても、大規模接種会場の設置やワクチンバスの派遣などを通じ、積極的に推進いたしました。
 また、重症化リスクが高い高齢者、障害者の施設や医療機関のほか、小学校、保育所等の職員を対象に集中的検査を実施することで、陽性者を早期に発見し、集団感染を未然に防ぐ対策を先手先手で進めるなど、感染予防対策に総力を挙げて取り組みました。

○菅原委員 ありがとうございます。
 分からない中、どんな効果があってどうやって広がっていくのかというのが分からない中で、一つ一つの政策を進めたんだろうというふうに想像しています。確かにうまくいったものもあるでしょうし、残念ながらいま一つうまくいかなかったものもあったかもしれません。でも、全体を見て、その結果どうだったのかという視点も大事だと思います。私は東京都はよくやったと感じています。
 ただ、やっぱりこれからのことも考えなければいけないし、そういう意味で少し、今どうなっているのかという部分も二つ三つ聞きたいと思います。
 新しい生活様式として、手洗い、そしてマスクをつける、密を避ける、こういうことが徹底をされました。その一方で、ウイルスの性質の変化、今ご説明もありました、その変化を受けて、マスクの着脱の議論が今起こっています。政府の見解も次々と変化してきたという経緯もありまして、私たちも柔軟に対応することが必要だなと感じています。
 注意しなければいけないのは、第七波はまだ決して終息をしていないということ、そして第八波というのも十分にあり得るということ、そしてまた、これからは季節性のインフルエンザとの同時流行の可能性もある、こういうタイミングだということだと思うんです。
 また、インバウンドの受入れ制限がなくなりました。今、このマスクの着脱について改めて整理をすることが必要と考えます。東京都の見解を伺います。特に、マスクの着脱については、エビデンスに基づいた周知が必要だと考えておりますが、見解を伺います。

○村本東京感染症対策センター担当部長 現在、国におきまして、今後のマスク着用を含めた感染対策の在り方について検討が進められており、マスクの着脱につきましては、科学的知見を踏まえることが重要で、丁寧な説明と情報発信により、都民の理解を得ることは大切でございます。
 東京iCDCの専門家からは、水際対策の緩和や、冬に予想されるインフルエンザとの同時流行などとともに、ワクチン接種の進捗や経口薬の普及状況等を見ながら、注意深く検討を進めていく必要があるとの見解をいただいております。
 都といたしましても、今後、国から発信される情報などを踏まえまして、引き続き東京iCDCの専門家のご意見を伺いながら、都民にしっかりと情報が届くよう、分かりやすく周知してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 マスクの着脱については、海外の動向は様々です。そして日本は、ちょっと世界の状況から見ると異質と見られるときもあります。日本の社会状況や、または文化にも融合する形での模索を続けながらやらなければいけないと。そしてまた、今もお話もありましたエビデンスに基づいた情報の周知がとても重要です。マスクの着脱の判断は、今のところは私は抑制的にならざるを得ないのではないかというふうに考えています。
 東京都は、iCDCという専門家の集団を持つ数少ない自治体です。自治体の情報を、地域の情報を素早くキャッチをして、そして分析して発信できるというのがiCDCの強みだと思いますので、その強みを生かしていただきたいと思います。
 今、ワクチンの話もありましたので、少しワクチンのことも触れたいと思います。
 ワクチン行政がこれだけ注目をされた年というのはなかったと思うんです。同時に、ワクチンについての正確な情報を提供する、その必要性も認識、議論されました。ワクチンというのは健康な体に打つものですから、精神的な部分も含めて拒否反応があるのは当然だと思います。できれば打ちたくないという声があるのも当然だと思います。
 特に、今回のコロナウイルスワクチンというのは急ピッチで開発され、製品化されたということへの心配、または供給体制への問題、または強い副反応への懸念などがありました。それでも、高齢者などを中心にワクチン接種への理解が進みました。
 東京都としては、ワクチン接種会場の確保、ワクチンバスの運行、または企業や大学の中でのワクチン接種などの様々な工夫をしながら取り組んできたことを評価します。
 これからは、インフルエンザワクチンとコロナワクチンを両方接種する可能性も議論されていますし、そのほかの様々なワクチン行政への関心も高まっています。
 ワクチンの接種で重要なのは、ワクチンがあるから、感染拡大や、または重症化を抑えられているという認識ではないかと思います。一方で、年代によってワクチンへの考え方が違っており、特に若者の接種率の低下は保健衛生上の懸念とされています。若者のワクチンへの理解を深めるための施策が必要と考えますが、見解を伺います。

○内藤新型コロナウイルスワクチン担当部長 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるためには、行動範囲が広く活動的な若者世代のワクチン接種を推進することが重要でございます。
 そのため、都では、ワクチンの安全性や効果につきまして、専門家の知見を踏まえた分かりやすい図表を用いて、渋谷スクランブル交差点などの街頭ビジョンで動画の放映を行ったほか、インフルエンサーやSNSを活用し、若い世代への周知に努めてまいりました。
 また、市区町村と連携をし、ターミナル駅周辺の予約不要の会場を一覧にしてホームページなどで周知するとともに、若者の利用が多い池袋駅や吉祥寺駅近くなどに臨時の接種会場を設置し、近隣の企業や大学などにも呼びかけを行い、若者が接種しやすい環境を提供してまいりました。
 今後も、市区町村等と連携しながら、様々な施策により、若者の接種推進に取り組んでまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 私も、自分自身が関わっている学生寮がございまして、その皆さんとこのコロナ禍を過ごしてきました。大体九十名ぐらいが住んでいる学生寮なんですね。
 学生寮というのは、クラスターのリスクが高くて、就職活動や、または試験、人生をかけるようなタイミングなどを控えている学生もおります。学生たちは非常に気をつけて過ごしておりました。私も何度かオンラインで、東京都の情報、またはワクチンの必要性を伝える機会をいただきました。
 この学生寮では、二回目のワクチン接種が九〇%を超えたんです。三回目以降も高い接種率となりました。学生たちというのは、状況を理解すれば自分で判断して行動を取るんだなと、そういうふうに感じました。
 東京都全体を見渡すと、若者に対する情報が届いていないなというふうに感じる場合も多いんですが、地道に丁寧に進めていただきたいと思いますし、多分、少しずつしっかりと伝わっているんだと思います。継続的に進めていただきたいと思います。
 角度を変えます。医療提供体制について伺います。
 医療提供体制の確保はコロナ対策の重要なキーポイントです。
 令和三年度のコロナ病床の確保についての概要を伺います。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都はこれまで、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病床を確保するため、都立、公社病院や独立行政法人の病院、大学や民間の病院などに対しまして、その機能や役割に応じて病床の確保を要請いたしまして、順次病床の確保を進めてまいりました。
 デルタ株の感染が拡大した第五波では、災害レベルの非常事態と捉えまして、令和三年八月に全国で初めて、国と連名で感染症法に基づく協力を医療機関等に要請いたしまして、同年九月には六千六百五十一床の病床を確保いたしました。
 同年十月には、第五波が終息に向かう中で、コロナ以外の通常の医療との両立を図りながら、次の感染拡大に機動的に対応できるよう、感染状況に応じた医療提供体制を取りまとめまして、三段階のレベルで病床を確保できるようにいたしたところでございます。
 第六波では、令和四年一月にオミクロン株の感染が急拡大する中、先手先手で病床の確保レベルを引き上げたほか、二月には、重症化リスクの高い高齢の方を受け入れる臨時の医療施設などを開設いたしまして、合わせて七千二百二十九床の病床を確保いたしました。
 今後とも、官民様々な医療機関の皆様のご協力をいただきまして、その総力によって医療提供体制を確保してまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 病床の確保とともに、重要なのはやはり医療スタッフの確保だと思います。特に感染拡大期には、医師と看護師などの待遇や勤務環境の向上を図る取組が行われました。
 令和三年度の取組、その概要を伺います。

○藤井新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 新型コロナウイルス感染症患者を確実に受け入れるためには、病床の確保とともに、医療従事者の皆様に対する支援も重要でございます。
 都は、新型コロナ患者の診察や治療に携わる医療従事者の方などの待遇の向上を図るため、特殊勤務手当を支給する医療機関を支援いたしまして、令和三年度には二百四十三の医療機関に対しまして約九十三億円を補助いたしました。
 また、医療従事者の方々の勤務環境の向上を図るため、深夜に勤務される方の仮眠用としてホテル等を借り上げる医療機関を支援しておりまして、さらには、令和四年一月からは、基礎疾患を有する家族の方と同居している医療従事者の方などのために、ホテル等を借り上げる医療機関も支援しておるところでございます。令和三年度には、この二つの取組に対しまして百九の医療機関に約一億四千万円を補助いたしたところでございます。
 今後とも、新型コロナ患者の診療等に携わる医療従事者の皆様を支援してまいります。

○菅原委員 今回の医療提供体制の確保というのは、多分、国も東京都の動きを見ていたし、また地方も東京都の動きを見ていたんだと思います。昨年の夏に国と連名して、医療機関に対してベッドを空けてくれというふうに訴えたことも、これも大きく報道されましたし、また、医療スタッフの確保のために、ホテルを借りる、ホテルに泊まる、その補助金を出したことも大きく報道されました。ぜひ、柔軟に対応したいい例だと思いますので、柔軟な姿勢を今後も進めていただきたいと思います。
 ただ、病床が増えているというわけではなくて、一たび感染拡大となれば、やっぱり病床は逼迫するということは変わらないと思います。変わらずに感染拡大対策に取り組むことが重要だということを共有したいと思います。
 コロナの感染のために医療逼迫が顕在化したということ、医療体制の逼迫は多くの医療に影響が出ましたが、特にがん検診の受診やがんの治療などへの影響が大きいといわれています。
 コロナ禍においても、医療提供体制の確保やライフステージに応じた支援の充実など、都はがん対策に取り組んできました。
 改めて令和三年度の取組を伺います。

○鈴木医療政策担当部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症流行下においても、がん患者や家族が受診控えをしないよう、医療機関やがんポータルサイトを通じて周知するとともに、引き続き都内のがん診療連携拠点病院等を中心とした医療提供体制を確保してまいりました。
 また、新たにAYA世代がん患者等の生殖機能温存治療等を支援する東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業を開始するとともに、医療従事者に対しまして本事業の理解促進に向けた研修会を開催いたしました。
 さらに、AYA世代がん相談情報センターを二か所設置し、AYA世代のがん患者の悩みや不安等の相談を受けるほか、患者サロン等の交流の場の確保にも取り組みました。

○菅原委員 がん対策の重要なポイントの一つというのは、やはりがん検診。早期発見、早期治療につなげるということだと思います。
 新型コロナウイルス感染症の影響によって、がん検診の受診者数はコロナ禍前と比べて減少したといわれておりますが、令和三年度におけるがん検診の受診促進に向けた都の取組について伺います。お願いします。

○播磨新型コロナウイルス感染症対策担当部長保健政策調整担当部長兼務 都が令和三年六月に行った調査では、令和二年度に区市町村が実施したがん検診の受診者数は、コロナ禍前の令和元年度と比較して九〇・五%でございました。
 このため、令和三年九月に特設サイト、コロナ禍におけるがん検診受診ガイドを開設し、都民に向けては定期的な検診受診の重要性を、検診を実施する区市町村や医療機関に対しては、検診実施時のコロナ感染対策等について周知いたしました。
 さらに、令和三年十二月に、検診受診に伴う感染への不安を払拭し、検診の受診を促進するための動画、「コロナ禍でも、受けよう!がん検診」を作成し、特設サイトへの掲載や、SNS、デジタルサイネージ等での放映を行うとともに、区市町村や医療保険者を通じて幅広く周知いたしました。
 令和三年度のがん検診受診者数は、令和元年度比九八・一%まで回復しており、今後ともがん検診の受診率向上に取り組んでまいります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 コロナの直後というのは、本当にがん検診の受診率が下がって、一割減という報告が今ありました。全国レベルではたしかもっと低かったと思うんですが、都の取組または様々な取組の中で、昨年度は少し回復してきたという話がありました。しかし、もともとがん検診の受診率というのは日本は低いわけですから、さらに取り組んでいただければと思います。
 コロナ禍でも、がんの罹患率というのは変わらないということです。コロナにより、がん検診や治療への影響ができるだけ出ないようにというのが関係者の心配でした。さらに、がんと就労の両立や、また、療養生活だけでなく、妊孕性の温存、先ほど答弁にもありました、またはAYA世代のがん対策など新しい施策が始まったところで、このコロナが来たということもいえると思います。
 そういう中でも、例えば昨年の十一月には、第九回市民公開講座をオンラインで開催しました。私も受講をさせていただきました。オンラインの活用というのは今後も社会生活のツールになると思います。がん対策、特にがんと共生の施策展開にも活用していただければと思います。
 少し角度を変えて伺いたいと思います。
 コロナ禍でエッセンシャルワーカーという言葉も使われるようになりまして、特に医療スタッフの重要性への課題認識が多くの都民の関心事となりました。
 そこで、公立病院に勤める看護師の就労環境の改善に係る質疑をさせていただきます。
 まずは、公社病院の看護師の残業時間数について、過去三年間の推移を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 公社六病院の看護師の年間一人当たりの超過勤務時間数は、令和元年度が四十六時間、令和二年度が三十六時間、令和三年度が三十三時間となっております。

○菅原委員 幾つかの報道によりますと、看護師の制服の色分けをするだけで残業代が減った病院の取組が紹介されました。なかなか興味深い記事でございました。
 公社病院での実例はありますでしょうか。この取組への認識を伺います。

○齋藤都立病院支援部長 令和二年十一月から、多摩北部医療センターでは、看護師の制服を日勤と夜勤とで色分けをしてございます。
 視覚的に時間外勤務者が一目瞭然となることで、例えば夕方に手術から戻った医師が病棟で看護師に指示を出す際に、日勤者には声をかけないようになることで、働き方への意識改革につながるものと認識してございます。

○菅原委員 ありがとうございます。
 ぜひ進めていただきたいと思いますけれども、そのほか、公社病院での就労環境を改善するための取組など行われているでしょうか。教えていただきたいと思います。

○齋藤都立病院支援部長 全ての公社病院で、看護補助者の活用や薬剤師の病棟配置によりまして、看護師が専門性を発揮できるよう勤務環境を整備してございます。
 また、東部地域病院では、新たに作成いたしました病棟ごとの業務量を可視化した繁忙度表を院内で共有いたしまして、病棟間の応援を柔軟に行うことで時間外勤務の縮減に取り組んでおります。

○菅原委員 ありがとうございます。
 少し看護師さんのことにスポットを当てました。昨年のコロナの中だったと思うんですが、府中の都立医療センターの中で、がんの患者のコロナ患者の専用病棟をつくりましたよね。そのときに、各病院から看護師みんな集まってミーティングしているところを、後ろから見せていただきました。本当にとにかく看護師さんが最前線で、しかもいろいろな制服を着ながら、とにかく集まってスタートしていたんだなというふうなのを見させていただいて、本当に感謝の言葉しかありませんでした。
 そこからちょっと、制服っていろいろあるんだなと思って調べていくと、こんな話になったんですけれども、例えば、今もお話がありました看護師の働き方改革の一環として、制服の色分けが注目されているんですが、熊本市の熊本地域医療センターでは、就業前の早出または残業が常態化していたということです。
 そこで日勤の制服を、赤というか、ピンク系の色でしょうか、夜勤の制服を緑にする改革をしました。勤務終了間際の看護師に仕事を依頼することが減って、看護師自身も残業していると自分だけ目立ちますから、自然に残業が減ったということです。看護師の過剰な勤務が減るということは、病院全体の空気を改革することに直結したという報道を見ました。
 既に北部医療センターでは実践されているということですから、ぜひそれぞれの医療機関で検討を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 令和三年度はコロナと闘う一年でした。福祉保健局はその最前線であり、職員の皆さんのご尽力には本当に感謝の言葉しかありません。加えて、東京都医師会、看護師会、薬剤師会をはじめとする医療スタッフの皆様にも感謝の気持ちです。第七波の終息の話もありますが、先ほどもお話をしました、まだまだ気を抜けない状況です。
 一方で、経済との両立を視野に入れて、インバウンドの制限撤廃、全国旅行支援などによる人流の活発化、これも私たちは受け入れるということなんです。今までは感染拡大防止の徹底が最優先課題でした。これからは最優先とはいえなくなります。経済再生とのバランスを視野に入れて、それでも都民の生命と健康を守る施策の推進が求められます。必要な施策と役割を終えた政策を仕分することや、コロナとの共生を視野に入れた施策の拡充など、議論が進むのではないかと思います。
 ここで昨年のコロナ施策を振り返って、今後の施策展開を展望した局長の決意を伺いたいと思います。

○佐藤健康危機管理担当局長 昨年度の振り返りというご質問でございます。
 私自身のことになりますけれども、昨年夏の第五波が始まったときというのは、私自身、先ほど冒頭、先生からもございましたように、オリンピック・パラリンピック準備局の次長として仕事をしておりました。オリンピック大会が閉会して、パラリンピックの一週間ぐらい前に福祉保健局の次長に転任をいたしまして、第五波の対応に当たったわけでございます。
 そのときのことというのは、思い出しますと、夏の第五波では、デルタ株が肺炎を起こすウイルスということで、働き盛りの世代の方が体調が急変してお亡くなりになるという非常に厳しい状況でございまして、まさしく全庁挙げた体制を構築いたしまして、災害ともいえる状況に福祉保健局として対応したわけでございます。
 その後、秋には感染が一旦落ち着きましたけれども、冬にはオミクロン株による第六波が発生をいたしまして、患者数が短期間に急激に増加する中、都は、うちさぽ東京の開設ですとか、保健所の業務を分担いたします自宅療養者フォローアップセンターを拡充いたしますなどの取組を進めたところでございます。
 この夏の第七波では、こうした経験を基に、検査体制や宿泊療養体制、高齢者対策、先ほどご答弁申し上げましたが、仕組みをフル稼働させるとともに、ハイリスクの方には入院や保健所による健康観察、中リスクの方には先ほど申し上げましたフォローアップセンターによる健康観察、比較的リスクの少ない方には、うちさぽによる相談体制の構築といった形で、患者のリスクに応じたフォロー体制というのを全国に先駆けて確立をいたしまして、コロナで亡くなる方がなるべく少なくなるよう取り組んでまいりました。
 その後、国は、こうしたリスク対策、リスクに応じた取組というのを全国の自治体に導入するよう指示しましたが、東京のモデルが拡大したのかなというふうに考えております。
 今後、冬に向けては、感染拡大に備えるとともに、インフルエンザとの同時流行を見据えた対策が重要でございまして、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、医療体制戦略ボードの専門家にご意見をいただきながら、検討を重ねておりまして、次の波に向けた対策を講じております。
 具体的には、診療・検査医療機関のさらなる拡大、陽性者登録センターの能力の引上げ、またインフルエンザ対策として、オンライン診療ですとか、抗インフル薬を迅速に利用できる仕組みなどを構築してまいります。
 ワクチンにつきましても、まさに若い世代を含めて、今、都庁舎でもオミクロン対応型ワクチンの接種を始めておりますけれども、しっかりとワクチンを進めていくことをやりながら、そのための普及啓発も図ってまいります。
 引き続き緊張感を持って、先手先手で実践的な対策を講じ、全ての方が安心して療養できる環境を全力で整えてまいります。よろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後五時二十六分休憩

   午後五時四十三分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○北口委員 まず初めに、私からは東京都出産応援事業についてお伺いをいたします。
 現在、東京都の出産に係る平均費用は、約六十万円前後ともいわれております。これは全国一位の高額な出産費用でございます。一方で出産育児一時金は現在四十二万円であり、東京都においては実際にかなりの自己負担が発生をしております。我が党はかねてよりこの出産育児一時金の増額を訴え、都としても何か支援ができないのかと訴えてまいりました。
 このような状況の中、コロナ禍の子育て世代を少しでも応援するために、都は令和三年度より、東京都出産応援事業として子供一人に対し十万円分の支援を行ったこと、高く評価をしております。
 また、我が党は併せて、令和三年一月十二日の緊急要望において、コロナ禍で苦しい思いをしている子育て世代の支援のために、本事業を令和三年一月一日から遡って実施することを要望し、都もこれに応え、実現していただきました。
 そこで、まずは、東京都出産応援事業−コロナに負けない!−における令和三年度の実績についてお伺いをさせていただきます。

○奈良部少子社会対策部長 都は令和三年度から、令和三年一月一日以降に子供が生まれた家庭を対象に、子供一人当たり十万円分の子育て支援サービスや育児用品等を提供する東京都出産応援事業を開始いたしました。
 この事業では、専用ウェブサイトにアクセス可能なIDカードを子供が生まれた都内在住の全家庭に配布しておりまして、令和四年三月末時点で約十一万三千世帯に配布し、約九万二千世帯が登録しております。
 昨年度は、ミルクやおむつなどの消耗品や空気清浄機やキッチン家電などの生活支援用品をはじめ、約六十七万点の育児用品や子育て支援サービスを対象家庭へ提供しております。

○北口委員 出産された全てのご家庭に本支援が届いていると伺い、大変うれしく思っております。私のところにも出産をした世帯の皆様から、家電から消耗品まで様々な支援が選べてうれしい、本当に助かる、こういった喜びの声が届いております。
 さて、事業の実施に当たりましては、利用者からの声を踏まえて、サービスを充実させるなど、さらなる利便性の向上を図ることが重要と考えております。本事業をどのように充実させてきたのかお伺いをいたします。

○奈良部少子社会対策部長 専用ウェブサイトにおきまして、利用者に対して商品アンケート等を実施しております。季節や申込み状況を踏まえて育児用品等の入替えも行うなど、対象家庭のニーズに合わせて充実を図っております。
 また、事前にサービス内容を知りたいというご意見を受けまして、都のホームページ内に電子カタログを掲載したほか、リーフレットや専用ウェブサイトの多言語化対応も開始しております。
 IDカードを配布してから長期間未登録となっているご家庭に対しましては、区市町村を通じて定期的に登録勧奨も行っております。
 引き続き、対象家庭のニーズにきめ細かく対応できるよう支援を充実してまいります。

○北口委員 今後とも適時、継続的に、ぜひコンテンツの充実を図っていただきたいというふうに思います。
 令和三年の予特において、我が党は、アンケートの活用について、具体的な子育てのニーズを把握して今後の政策に活用すべきとお訴えをさせていただきました。その際、都は、今後の政策展開につなげられるよう、妊娠期、出産前後、子育て期など、ステージに応じたニーズ等の把握に努めるとの答弁がありました。
 本事業の制度施行から一年が経過しましたが、このアンケートの活用状況についてお伺いをいたします。

○奈良部少子社会対策部長 本事業では、利用登録の際に、養育者や世帯の状況のほか、都の子供、子育て施策の認知度や利用状況、子育て支援に関する意見、要望などについてアンケートを実施しております。
 これまでに、都の子育て支援施策の認知度や利用状況が低調というアンケート結果を踏まえまして、専用ウェブサイトにおける子育て支援情報のコンテンツを充実させるなどの対応を行っております。
 令和四年度からは、幅広い政策分野で子育て家庭のニーズを把握するため、住まいや結婚支援に関することなど、関係各局からの質問もアンケートに反映しております。
 アンケートの結果は施策検討の際の参考としておりまして、今後も定期的に項目の見直しを行うなど、アンケートの活用を図ってまいります。

○北口委員 アンケートにつきましては、貴重な現場の声でございますので、子供政策連携室等とも連携をしながら、今後の子供政策に幅広く活用していただきたいと要望しておきます。
 ただいま確認をさせていただきました東京都出産応援事業ですが、令和四年度までの事業とのことでありますけれども、大変ご好評いただいている事業でありますので、ぜひ令和五年度以降も引き続き取り組んでいただけるよう併せてお願いを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、介護現場のデジタル化について質問をさせていただきます。
 高齢化が進展し、今後、一層の増加が見込まれます介護ニーズに対応していくためには、限られた人的資源で質の高いサービスを提供できるようにすることが重要であります。そのためには、介護現場において、デジタル機器や次世代介護機器などの導入により、生産性を向上し、効果的、効率的な働き方にしていくことが重要だと思います。
 都は、デジタル機器や次世代介護機器の導入促進を目的に、介護現場改革促進事業の中で、デジタル機器導入促進支援事業や次世代介護機器導入促進支援事業を行うとともに、介護保険施設等におけるデジタル環境整備促進事業を実施しておりますが、まずはこれらの令和三年度の取組状況や実績についてお伺いをさせていただきます。

○山口高齢社会対策部長 都は、介護従事者の負担軽減や業務の効率化、ケアの質の向上を図るため、介護施設、事業所を対象に、デジタル機器導入促進支援事業により、介護記録の作成に要するタブレット端末やソフトウエアなどの導入経費を補助するとともに、次世代介護機器導入促進支援事業により、パワーアシストスーツなどの移乗介護機器や見守り支援機器などの導入経費を補助しております。
 また、介護保険施設等におけるデジタル環境整備促進事業では、特別養護老人ホーム等の施設全体の業務改善に向けたデジタル化の推進を目的に、通信環境の整備と見守り支援機器やタブレット端末などの導入を一体的に行う場合の経費を補助しております。
 令和三年度の補助実績は、デジタル機器導入促進支援事業が五百五十四か所、次世代介護機器導入促進支援事業が百五十七か所、介護保険施設等におけるデジタル環境整備促進事業が八十か所、三つの事業の合計で七百九十一か所となっておりまして、令和二年度の合計三百八十一か所から倍増しております。

○北口委員 多様な補助制度が活用されて、各事業所において次世代介護機器等の導入が着実に進んでいることが分かりました。
 しかし一方で、導入した機器が継続して十分に活用され、現場の負担軽減等に確実に結びつくことが重要だというふうに思います。
 そこで、導入した機器等が効果的に活用されるために、都はどのように取組を行ってきたのか、また、こうした機器の導入により、どのような効果があったと認識しているのかお伺いをいたします。

○山口高齢社会対策部長 都は、次世代介護機器等の効果的な活用と定着を図るため、導入経費の補助に加え、専門的な助言の下に体験利用できる展示スペースを設置するほか、導入事例を紹介するセミナーや施設見学会等を開催しております。
 また、補助の実施に当たっては、機器等の導入目的や活用方法等について具体的にきめ細かく確認するなど、各事業所の実情に合った機器等の導入を促しております。
 現場におけるデジタル機器の活用の成果といたしましては、記録の電子化による書類作成の負担軽減や事業所内外の情報共有の円滑化など、業務の効率化が図られております。
 また、移乗介護機器の導入による腰痛予防など介護職員の負担軽減や、見守り支援機器の導入による利用者の転倒、転落の防止などケアの質の向上が図られており、機器の導入目的に沿って着実に効果が発揮されているものと認識しております。

○北口委員 現在、介護現場における最大の課題は人手不足であるというふうに思います。デジタルや次世代介護機器を導入して、生産性の向上により、負担軽減を図ることが大変重要な課題となっております。これからさらに進む少子高齢化の時代にいかに介護現場を守っていくのか、そこにデジタルやテクノロジーを活用していくことが求められております。
 今後も、希望する事業所がデジタル化による現場の負担軽減を推進できるよう、引き続き、ハード、ソフト両面のデジタル支援事業を充実させることを要望しまして、次の質問に移ります。
 次に、障害児の在宅支援についてお伺いをさせていただきます。
 医療的ケア児、重症心身障害児の居場所の確保が重要でございます。
 私の地元葛飾区にも重症心身障害児のための通所施設があります。当該家族の皆様からは、施設の拡充やもっと利用頻度を増やしたいとの切実な声を伺っております。しかし、実際にはコロナ禍の影響により、逆に利用機会が少なくなっているのが実情であります。
 都は、令和三年度から、障害児の放課後等の支援事業を開始しており、医療的ケア児や重症心身障害児の放課後の居場所づくりを支援されております。
 そこでまず、障害児の放課後等支援事業の対象となる医療的ケア児及び重症心身障害児を対象とする放課後等デイサービスの令和三年度末の設置区市町村数と事業所数、また、障害児の放課後等支援事業の令和三年度の実施状況、これを伺います。

○中川障害者施策推進部長 令和三年度末時点において、主に重症心身障害児を支援する放課後等デイサービスを設置している自治体は三十八区市町村、事業所は九十二か所となっております。
 また、障害児の放課後等支援事業は、事業を開始した昨年度、令和三年度は七区で実施しております。

○北口委員 重症心身障害児や医療的ケア児の家族にとって、放課後等の支援は重要であります。二十四時間三百六十五日、在宅生活を支える家族にとって、休養できることは大きな支えになっております。とりわけ区部の東部では、重症心身障害児及び医療的ケア児の在宅支援を支える社会資源が少ないという声も聞いております。
 こうした中で、都はどのように在宅支援に取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○中川障害者施策推進部長 重症心身障害児や医療的ケア児が身近な地域で安心して生活していくためには、本人の支援に加え、介護する家族に対する支援の充実が必要でございます。このため、家族の病気等により一時的に家庭での療育が困難になった場合に利用できる病床の確保、また、家族の休養と本人の健康保持等を目的として、看護師が自宅を訪問してケアを行う在宅レスパイト事業などを実施しております。
 今後とも、区市町村と連携しながら、こうした取組を進め、障害児とその家族が在宅で安心して暮らすための環境整備を図ってまいります。

○北口委員 医療的ケア児及び重症心身障害児の家庭以外の居場所の確保、そしてまた在宅でのご家族の支援など、本当に大事な問題でございますので、どうか今後とも区市町村と連携をしながら取組を継続し、また、さらに拡充することを期待して、次の質問に移らせていただきます。
 最後に、公社病院における病児保育についてお伺いをいたします。
 公社病院では、多摩北部医療センター及び東部地域病院において、地域の子育てを支援するために病児保育を実施しております。小児科医師等、病院が持つ資源を活用して、また、地域のニーズに貢献する取組として高く評価をしております。
 私も、昨年の一月、地元の東部地域病院の敷地内に造られた病児、病後児保育の施設を見学させていただきました。保育スペースは幾つかの部屋に区切られ、感染症にも配慮して、入り口の動線も複数あります。病院併設型ですので看護師は常駐していて、発熱しても安心して預けられる施設となっておりました。こうした施設は共働き世帯には大変助かる施設でございます。
 そこで、東部地域病院における病児保育の受入れ実績について、まずはお伺いをいたします。

○齋藤都立病院支援部長 東部地域病院の病児保育事業は、地元自治体のニーズを踏まえまして、事業の実施主体であり、病院所在地の葛飾区と隣接する足立区の病児を対象に実施しております。
 令和三年度の利用実績でございますが、延べ利用者数は三百七十二名で、令和二年度から二百四十九名の増となってございます。

○北口委員 公社病院は本年七月に独法化いたしましたが、都立病院機構の中期計画には、地域のニーズに応じた様々な地域貢献の取組が記載されております。病院が持つ様々な医療資源は、地域にとっても貴重な存在でございます。
 答弁にもありましたとおり、令和二年度と比較をして、令和三年度では利用者が三倍ほどになっております。これは、コロナ禍の影響もあって令和二年度が少なかったということもあろうかとは思いますが、地域の需要は必ずあります。引き続き地域としっかり連携をして、ニーズを踏まえた取組を積極的に進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 以上でございます。

○里吉委員 日本共産党の里吉ゆみです。
 それでは、質疑をさせていただきます。
 まず初めに、東京都国民健康保険事業会計について伺います。
 昨年度は、国民健康保険の医療給付費が見込みより大幅に増えたために、予算が足りなくなり、国保事業会計は初めて補正予算を組みました。その九十億円は財政安定化基金からの取崩しですけれども、最終的な取崩し額は幾らになったのか。また、取り崩した分は基金への償還計画を策定することとされておりますけれども、それはどのような計画なのか、併せて伺います。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 令和三年度東京都国民健康保険事業会計決算における財政安定化基金からの繰入額は約五十四億七千四百万円でございました。
 基金への償還計画を策定するに当たり、八月の連携会議において区市町村委員の意見聴取を行い、現在、策定に向け庁内の手続を進めております。

○里吉委員 最終的な繰入額は五十四億七千四百万円、この金額については償還計画の策定手続中とのことです。これは原則三年間で基金に積み戻すとされておりますから、来年度から三年間の区市町村の納付金に加算されることに変わりはないと思います。年度ごとだと約十八億円です。
 日本共産党都議団は、この補正予算について、国保財政安定化基金の取崩しを行うと、結局その後の納付金に上乗せして積み戻す、国民健康保険料、保険税の引上げにつながることから反対をいたしました。
 国民健康保険は所得の少ない方が多く加入しております。今でも高過ぎて保険料が払えない方が増えています。コロナ禍と物価高騰が続き、都民の生活が一層厳しくなっていくときに、さらなる保険料、保険税の引上げは許されません。
 都の法定外繰入れを禁止する法令上の規定はありません。国保料、国保税の引上げとならないような対応を強く求めておきます。
 次に、国民健康保険組合について伺います。
 建設国保組合など国民健康保険組合は、都民である被保険者三十八万一千人を擁し、国民皆保険制度が施行される以前に設立され、区市町村国民健康保険の補完的役割を果たしています。
 国保組合の収入は、組合員の保険料以外の財源は公的補助しかないため、都費補助金の現行水準の確保は切実な要求です。
 まず、建設国保など都内二十一国保組合に対する都費補助金の内容と過去三年間の実績について伺います。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険組合に対する都費補助金は、都内在住の被保険者の負担軽減のため、組合が支出する医療給付費等の一部と組合が行う特定健康診査、特定保健指導の費用の三分の一を補助対象としております。
 過去三年間の国民健康保険組合に対する都費補助金の実績は、医療分と特定健康診査等を合わせまして、令和元年度が約四十五億五千八百万円、令和二年度が約四十四億二千百万円、令和三年度が約四十四億七千万円でございます。

○里吉委員 この三年間の実績はおおむね同水準であったことが確認できました。補助の内容については、医療給付費等の一部と特定健診、特定保健指導の三分の一が補助対象との答弁でした。
 では次に、具体的に特定健診、特定保健指導に係る補助の内容と過去三年間の実績について伺います。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 平成二十年四月から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、国民健康保険組合においても、医療保険者として特定健康診査、特定保健指導の実施が義務づけられたことから、四十歳以上七十五歳未満の都内在住の被保険者に係る特定健康診査等の費用を補助対象としたものでございます。
 特定健康診査等に係る補助の過去三か年の実績は、令和元年度は約一億四百万円、令和二年度は約一億八百万円、令和三年度は約一億四十万円でございます。

○里吉委員 コロナ禍でも健診数も減らすことなく、同水準で取り組んできたということが分かりました。
 しかし、この水準は国保組合の努力なしには維持できなかったと思います。例えば建設国保です。建設業で働く組合員の多くは稼働日数に応じた賃金になるため、健診を受けて仕事ができなければその分減収となります。そのため、かつては受診率が伸びませんでしたけれども、組合役員の皆さんが組合員宅を訪問したり、電話で丁寧に呼びかけるなどの努力をする中で、二〇〇八年度の二九・三%から、二〇二〇年度は四五・五%まで受診率を伸ばしてきたと伺いました。
 一方で、特定健診、特定保健指導の実施に当たっては、各国保組合が厳しい保険料負担を伴っています。広域国保へは、国と東京都から特定健診費用の額の三分の一ずつの負担が行われることが法で定められていまして、国保組合にもこれに準じた補助が行われることになってはいますが、実際の国保都費補助単価は、費用額の三分の一には全く満たないという状況で、保険料による負担が大きいのが実情であると。これは毎年のように建設国保の方々から改善の要求が出されています。
 そこで、特定健診等への補助は実際三分の一の補助になっていないわけで、補助単価の見直しが必要ではないかと思いますが、東京都の見解を伺います。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 特定健康診査、特定保健指導について、都は国に対し、健診等実施機関への委託契約単価など、実情を踏まえた必要な額の財政支援を行うこと、国民健康保険組合については、国の補助を法律上明確に位置づけることを提案要求してございます。

○里吉委員 国に対して提案要求をしているという回答でした。
 現在、建設国保についていえば、就業者の方の高齢化、それから若年労働者の減少など厳しい状況が続いています。国への提案も重要ですけれども、単価が実情に合っていないという認識があるわけですから、都費補助の拡充を検討すべきときに来ているのではないでしょうか。特定健診、特定保健指導への都費補助の拡充をぜひ検討していただくよう要望しておきます。
 次に、建設国保のがん対策事業について伺います。
 都では、がん対策推進計画で、がん予防に関する取組と併せてがん検診の受診率五〇%を目指す方針が示されています。建設労働者は一般の方と比較してもがんのリスクが高いとされ、特にアスベストによる肺がんや悪性中皮腫などを発症する人が増加しているということで、ここへの検診の重要性がずっといわれてまいりました。
 建設国保が行うがん対策事業への財政支援はどのようなものになっているのか、まず伺います。

○渋谷地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険組合が独自に行う肺がん検診については、国の特別調整補助金により経費の一部が補助されているほか、加点項目となってございます。

○里吉委員 国により経費の一部が補助されているということなんですよね。二〇一六年度から国保組合が実施するがん検診への補助、特別調整補助金の補助要件に新たに盛り込まれたということでした。
 しかし、国の基準額を見ますと、これも金額が大変低く、これでは、がん検診の受診率を思い切って増やすこともなかなか厳しいのではないかと思います。ここに対しても、都としても補助をぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 東京都は、国民健康保険委員会の答申、国民健康保険事業の在り方についてで、現在の厳しい経済状況や就労状況を考えれば、国保組合が存続していくことは重要である、今後とも東京都は、国保組合を公営保険者を補完する役割と位置づけ、その育成に努めていくことが必要であると述べております。
 ぜひこの立場で、今後も国保組合をその役割にふさわしく育成していただくよう求めまして、この質問は終わります。
 次に、介護職員の確保について質問してまいります。
 介護労働安定センター東京支部による昨年度の介護労働実態調査、東京版によれば、介護人材の不足感がある事業所は六二・七%と依然として高い状況です。労働条件、仕事の悩みのトップは、人手が足りないが四八・四%で最多、次いで仕事内容の割に賃金が低いが三五・二%でした。私の地元世田谷区でも、特養老人ホームを整備しても職員が集まらないために、満床にするのに数年かかるという事態も繰り返されてきました。介護職員不足は深刻であり、都としての対策が重要です。
 そこでまず、都として取り組んでいる介護人材確保対策事業について、その内容と昨年度の実績について伺います。

○山口高齢社会対策部長 介護人材確保対策事業は、介護サービスを担う多様な人材の参入促進を目的として、職場体験事業、資格取得支援事業及び就業促進事業の三つの事業で構成されております。
 一つ目の職場体験事業では、施設等で最大三日間、職場体験ができる機会を提供しており、令和三年度の実績は九十人で、延べ百六十八日となっております。
 二つ目の資格取得支援事業では、職場体験事業の修了者等を対象に無料で介護職員初任者研修等を実施しており、令和三年度の受講実績は八百十一人となっております。
 三つ目の就業促進事業では、有期雇用契約の下で、働きながら介護職員初任者研修等を受講することを支援しており、令和三年度の実績は千二十八人となっております。

○里吉委員 今ご紹介いただいた三つの事業は、主に介護の仕事を知ってもらい、また資格を持って就労してもらうまでの支援です。
 先ほど紹介いたしました介護労働実態調査、この全国版を見ますと、介護職員になる前に別の仕事をしていた方が七五%、そのうち介護、福祉、医療以外の仕事をしていた方が六三%でしたから、今ご紹介していただいた事業も大変重要だというふうに認識しております。
 同時に、介護職はほかの産業に比べて賃金が低いということもあり、処遇改善が重要な課題です。
 介護系の労働組合である日本介護クラフトユニオンが行った就業意識実態調査によりますと、働く上で不安があるとの回答が月給制組合員の七四・八%で、理由のトップは、賃金や貯蓄など経済的不安でした。実態調査の報告会で、組合会長の染川氏は、最も有効な人材確保策は処遇改善だと述べています。
 そこで、東京都の取組についても伺っていきますが、東京都は介護職員キャリアパス導入促進事業を進めてきました。この目的と実績、また、昨年から始まった人材育成促進支援事業について伺います。

○山口高齢社会対策部長 介護職員キャリアパス導入促進事業は、介護職員の育成、定着に向け、国のキャリア段位制度を活用してキャリアパスの導入に取り組む事業者を支援するものであり、平成二十七年度から実施しております。
 令和三年度の補助実績は百七十六事業所で、キャリア段位のレベル認定者は四百一人となっております。
 一方、令和三年度から開始した人材育成促進支援事業は、事業者の生産性向上を目的とした介護現場改革促進事業の中で、キャリア段位制度に限定しない人材育成の仕組みづくりを支援するものであり、令和三年度の補助実績は二百二十九事業所でございます。

○里吉委員 介護職員キャリアパス導入促進事業を導入した当初、当時は舛添知事でしたけれども、介護職員一人当たり平均二万円の手当になる、こういうふうに宣伝をしていたんですね。実際には取り組む事業所がなかなか増えない。昨年も認定者は四百一人、都内十八万人以上いる介護職員の中のかなり限られた人数だというのが現状です。
 そして、今ご説明いただきましたけれども、昨年から新たな人材育成促進支援事業、始まったわけですけれども、新しい制度は特に職員の手当が増えるような仕組みはないというふうに思います。
 改めて確認しますけれども、キャリアパス導入促進事業では、具体的に介護職員の給与の引上げ効果はどれくらいあったのか伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 介護職員キャリアパス導入促進事業では、レベル認定者等に対する手当の支給やキャリアパス導入の体制整備に充てるため、レベル認定者一人当たり年額五十万円、一事業所当たり二百万円を上限として事業者に補助しております。
 なお、介護サービス事業は介護報酬等により運営されることが基本でございまして、国は、平成二十一年度から令和元年度にかけて、介護報酬の処遇改善加算等を段階的に充実し、月額七万五千円の賃金改善を行っており、さらに、令和四年二月からは月額九千円の引上げ措置が実施されております。

○里吉委員 今ご説明いただきましたけれども、結局、キャリアパス導入促進事業では、答弁いただいたのは事業者への補助額で、どれくらいの方の賃金とか手当が増えたのかというのは分かりませんでした。後半は、国の制度として賃金を引き上げるのは介護保険制度の中なんですというご説明で、その中で賃金が上がったという話を伺いました。
 しかし、例えば今年二月から月額九千円の賃金の引上げに対しては、一桁足りないという怒りの声が広がりました。
 現在、都内で全産業平均と比べて月十万円以上低い介護職員の賃金の改善は、取り組むことはどうしても必要だというふうに思います。それなしには、安定的に介護職員を増やしていくこと、定着させることは難しいと思うわけですが、東京都としても、介護職員の確保のために様々な取組、行っていただいていると思います。でもなかなかこの不足を解消できていないと思うんですね。
 この原因について、では都はどういうふうに認識しているのか伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 今後、高齢化が進展し、介護ニーズの増大が見込まれる中で、介護サービスを担う人材の確保、定着が重要でございまして、多様な人材の介護職場への参画の促進、介護の仕事や職場のイメージアップ、働きやすい職場環境づくりなどに総合的に取り組むことが求められております。
 このため、都はこれまでの介護人材確保対策事業等に加え、介護業務の未経験者を対象に、インターンシップからマッチング、就業定着までを一貫して支援する取組を令和四年度から開始しております。
 また、若年層向けにSNS広告等を活用して、福祉の仕事の魅力を発信し、福祉の仕事への興味、関心を高めるとともに、福祉業界全体のイメージアップを図っております。
 さらに、介護現場改革促進事業の中で、先ほどお尋ねのあった人材育成促進支援事業に加えまして、デジタル機器や次世代機器の導入促進など、働きやすい職場環境づくりを支援しておりまして、こうした取組を通じて介護人材の確保、定着に努めております。

○里吉委員 なかなか、介護職員が不足している、不足が解消できない要因をどのように認識していますかと伺ったんですけれども、様々な対策についてお答えがありました。つまり介護のイメージアップが必要だということは、介護の現場のイメージがあまりよくないとか、働きやすい職場環境づくりが必要だとおっしゃったということは、なかなか働くのが大変な職場だということだと思うんですけれども、それ一つ一つは私もそのとおりだと思います。
 今取り組んでいただいているデジタル機器の導入などは、地元の世田谷区の介護現場の方に聞きますと、若い介護職員の方には大変好評だというふうにいわれていますので、これ否定するつもりはありません。しかし、先ほどもいったように、全産業の労働者の賃金と比べて特段に低いわけですよね。介護保険制度の中で取り組まれているから何もできませんというわけにはいかないと思うんです。
 介護職のイメージアップや働きやすい職場環境の整備、どれも大事なことですけれども、やっぱり都として処遇改善に取り組む必要があると思います。
 そこで一点、これは重要だと思っているのが介護職員宿舎借り上げ支援事業です。これは介護職員を確保するためにも、現在も大きな役割を果たしていると思いますが、この事業の内容と昨年度の実績について伺います。

○山口高齢社会対策部長 介護職員宿舎借り上げ支援事業は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化を目的として、福祉避難所の指定を受けた介護施設等が宿舎を借り上げる場合に、一戸当たり月額八万二千円を上限にその八分の七を補助するものでございます。
 令和三年度の補助実績は、二百八十事業所で千三百八十八戸となっております。

○里吉委員 今日用意していただいた資料の一六ページにもありますように、これ、毎年利用される方、増えています。今年度からさらに制度改善もされていて、さらに多くの介護職員の方に活用されるのではないかと期待しております。
 さらに、一戸当たり四年間という助成対象期間の上限の緩和を撤廃していただくなど制度の改善に努めつつ、引き続きこの事業については取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
 また、都として介護職員の処遇改善となる補助制度などについても、改めて検討することを求めておきます。
 最後に、職員の確保とともに、施設整備について一点質問します。
 介護施設について、昨年度から認知症高齢者グループホームの加算地域の拡大がされました。昨年度の実績、どのようになったのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、認知症高齢者グループホームの整備を促進するため、国の基金を活用した補助に加え、独自の整備費補助を実施しており、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない区市町村を重点的緊急整備地域に指定し、補助額を一・五倍に引き上げております。
 令和三年度からは、この重点的緊急整備地域の基準となる整備率を、これまでの高齢者人口比〇・三八%未満から〇・四五%未満に引き上げ、これにより対象となる区市町村は、令和二年度の四十六から五十二に拡大しております。
 令和三年度の認知症高齢者グループホームの整備実績は十一施設、二百四十六人分であり、年度末現在で六百八十六施設、定員数は一万一千九百七十三人となっております。

○里吉委員 今、対象の区市町村が増えたということで、五十二と伺いました。五十二といいますと、大半の自治体が重点的緊急整備地域に指定されているということになるわけで、まだまだ都内全域で足りないということだと思います。
 東京都は、二〇三〇年度末までに二万人分という目標を持っています。今、一万二千人弱ですから、今のペースでの延長線上ではちょっと届かないと。身近な地域で、都内各地にぜひ必要な施設が整備できるよう、さらに制度の改善にも取り組んでいただくことを要望して、この質問は終わります。
 最後に、ひきこもり支援について伺ってまいります。
 ひきこもり支援については、二〇一九年四月から福祉保健局に事業移管されて、福祉保健施策と一体的に取り組まれるようになりました。二〇一九年九月には、学識経験者や当事者団体や家族会、相談支援に関わる関係機関や区市町村で構成する東京都ひきこもりに係る支援協議会が立ち上がり、昨年、二〇二一年八月には、ひきこもりに係る支援の充実に向けての提言が出されました。
 ここで示されている三つの視点、七つの取組の方向性、これは私も読ませていただきましたが、非常に重要だと認識しております。支援協議会に、長年にわたってこの問題に取り組んでこられた当事者団体の方や家族会の皆さんにも参加していただき、このような提言がまとめられたことは、ひきこもり支援について本当に大事な一歩だというふうに思います。
 そこで、この提言に沿って何点か質問してまいりたいと思いますが、まず、ひきこもりへの理解を広く都民に広げることについて伺います。
 ひきこもり支援を考えるときに、前提となるのが、ひきこもりという状態をどう捉えるかです。いまだに、ひきこもりについては本人の甘えなど誤った理解や偏見があり、そのことが本人や家族を孤立化させてしまう一因にもなっています。
 ひきこもりとは、そもそも誰にでも起こり得ることであるなど基本的なことも含めて、本人、そして家族、都民に広く理解を進めることが大切です。この基本的な考え方を、都民や関係者含めて普及啓発、効果的に情報発信していくことが求められていますが、昨年はどのような取組が行われたのか伺います。

○高橋生活福祉部長 都は昨年度、東京都ひきこもりに係る支援協議会の提言を受け、当事者やその家族を含む都民に対し、インターネット広告、新聞広告、テレビ番組の放送、交通広告及び郵便局におけるチラシの配布を実施いたしました。

○里吉委員 今日いただきました要求資料の二二ページにも、その中身、広報事業の実績、載せていただきましたけれども、様々な手法で普及啓発の取組が行われたことが分かりました。
 さらに、昨年度の四定では補正予算も組まれていますが、昨年度四定補正で新聞広告を実施されております。この理由について伺います。

○高橋生活福祉部長 当事者やその家族が安心して相談し、支援を求めることができるようにするためには、当事者、家族を含めた都民のひきこもりへの理解促進が必要であるため、当初予算に加え、補正予算により新聞広告を活用した普及啓発の取組を拡大して実施いたしました。

○里吉委員 今、答弁にもありましたけれども、当事者や家族が安心して相談したり支援を求めるためには、当事者や家族も含め、周りの方々に、ひきこもりについて誰にでも起こり得ることであるという理解が広がることが重要です。そのために、引き続き多様な手法での普及啓発を求めたいと思います。
 特に郵便局などにチラシを配布するのは、あまりネットなどを見ないと思われる方も利用するので、大変有効だというふうに考えます。昨年度実績五か所というふうにありましたから、ぜひ都内各地の郵便局に広く、チラシも、私、ネットで見せていただいたんですけれども、大変色も落ち着いてパステルカラーで、文章もすごく工夫されているものですので、ぜひ広く多くの郵便局に配布していただきたいということを要望しておきます。
 次に、相談窓口について伺います。
 身近なところでの相談窓口または身近なところでは相談したくない方のための相談窓口、たらい回しをしないことなど、相談窓口についても多くの課題が指摘されています。
 当事者や家族のためのひきこもりの相談窓口について、提言で示された方針と昨年度の取組実績について伺います。

○高橋生活福祉部長 提言では、当事者や家族が必要なときに必要な支援を受けられるよう、身近な地域における相談体制の確保や相談窓口における支援の内容の適切な見立てが必要とされております。このため、都は昨年十月、都と区市町村によるひきこもりに係る支援推進会議を設置し、区市町村の相談窓口の明確化等を推進しております。
 また、地元自治体に相談しづらい方に配慮した広域連携の視点も必要であるため、当事者等がお住まいの区市町村以外の相談支援の窓口も利用できるよう、区市町村に依頼をしております。

○里吉委員 身近な場所で、または自分の住む地域以外で相談ができるように工夫されて、取り組まれていることが分かりました。
 その一方で、かつて相談窓口に行ったけれども、心ない言葉をいわれたとか、たらい回しにされたなどの思いをした方から、相談窓口に行っても役に立たない、もう行きたくない、こういう声を聞くんですね。
 一度相談には行ったけれども、その後どこにもつながっていない当事者や家族がたくさんいらっしゃると思います。こういう方々が再び相談につながるための対策が必要と考えますが、都の対策、見解について伺います。

○高橋生活福祉部長 都は、過去に相談した経験がある方を含め、相談を求めることができずにいる当事者や家族に安心して相談していただけるよう、ひきこもりに対する正しい理解を促進するとともに、相談窓口等の情報を分かりやすく提供しております。
 また、相談に対する心理的なハードルを下げるため、同じ悩みを共有できる元当事者等が関わるピアオンライン相談を実施しております。

○里吉委員 安心して相談できるように、相談窓口の情報を分かりやすく提供することや、ピアオンライン相談などのご説明がありました。
 本当に、相談に行ってもいいんだというところから始まって、過去ではちゃんと受け止めてもらえなかったけれども、今だったら受け止めてもらえると思うような相談窓口の周知、ぜひしていただきたいと思います。何より、やっと相談に来られた当事者や家族が相談に来てよかったと思ってもらえることが大切です。
 当事者に寄り添う支援ができるように、そのための研修、スキルアップの取組が重要だと考えますが、東京都としてこの研修やスキルアップの取組、どのようにされているのか伺います。

○高橋生活福祉部長 都は、相談対応力の向上を図るため、区市町村の職員等を対象とした研修を実施するとともに、支援方法等を掲載したガイドブックを作成、配布しております。

○里吉委員 いろいろ努力されているということなんですが、私、昨年度の研修のチラシを見ましたら、長年、家族会の活動に取り組んでこられた方や若者向けの居場所支援をずっと行っている方など、本当にひきこもり当事者の方々のことをよく知っている現場の方が講師になっておりまして、これは本当にうれしく思いました。
 ひきこもりの状態を否定するのではなくて、ありのままを肯定して支援するということ、これは繰り返し研修を受けたり、当事者のお話を聞くことが有効だと思いますので、今後も回数を増やしたりしながら、ぜひ研修、そしてスキルアップの取組、していただきたいというふうに思います。
 本当に、一度嫌な思いをすると二度と行政の相談窓口に行きたくないということがよくいわれますので、これはひきこもりだけじゃなくていろんな場面でいわれますので、ぜひそういう意味では、相談窓口の皆さんには頑張っていただきたいというふうに思います。
 ひきこもり支援の難しいところといいますか、気をつけなければいけないことは、必ずしも就労や社会復帰がゴールではないということだと思うんですね。
 私自身も、一番最初にこのひきこもり支援について取り組み始めた頃は、最終的には就労につながることが目標だろうと単純に考えておりました。しかし、家族会の方が主催する学習会に参加させていただいたり、当事者の方の話を聞く中で、そうではないと、多様な生き方を肯定することが大切なんだということがだんだん分かってまいりました。当事者の方の意思が尊重された上で、当事者の方が望む形で社会とつながる機会を増やすことが重要だというふうに、今改めて思います。
 だからこそ、ひきこもり支援は時間がかかります。切れ目のない伴走型の支援が必要です。そういう意味で、居場所支援、伴走型の支援、本当に重要だと思いますが、こういった取組について、東京都としての昨年度の取組を伺います。

○高橋生活福祉部長 都は、ひきこもり相談窓口を紹介するリーフレット等において、居場所の提供などを行っているNPO法人等の連絡先や支援内容等を周知するとともに、こうした法人が参加する合同相談会を開催しております。
 また、当事者やその家族に寄り添い、信頼関係を構築し、見守り、伴走し続ける地域の理解者等を増やすため、ひきこもりは誰にでも起こり得る自分の身を守る反応の一つであることなどについて、インターネット広告や新聞広告等を活用して普及啓発を実施しております。

○里吉委員 ここでも普及啓発も本当に大事なことだということを改めて私も感じました。
 一人一人の状態や状況に応じたきめ細かな支援について、切れ目のない支援体制整備をするためには、相談体制とともに、地域の様々な専門家がネットワークをつくることが重要だと思います。
 地域でこれらの支援を進めるネットワークづくりを進めるための都の取組について伺います。

○高橋生活福祉部長 都は昨年、都と区市町村による支援推進会議を設置し、施策や好事例を共有することなどにより、相談体制の充実を図るとともに、東京都ひきこもりサポートネットにおいて、地域の実情に応じた連携づくりを支援しております。

○里吉委員 東京都として地域ごとに連携づくりを支援するということで、ぜひこれ、頑張っていただきたいと思うんですが、家族会の皆さんからは、都内の各自治体ごとに温度差があるということでしたので、ぜひ都内各地で同じように進めていただけること、それから、地域での連携構築には、そのメンバーとして、これまでも東京都で重要な役割を果たしている当事者会ですとか家族会の皆さんも、ぜひそれぞれの地域の協議会に参加して一緒に取り組めるように、東京都としても支援していただきたいというふうに思います。
 次に、これは福祉保健局に来る前から取組もあるんですけれども、ひきこもりサポートネットについて伺います。
 これも資料に実績、載せていただきましたけれども、サポートネットの相談と若者支援団体について伺います。
 福祉保健局移管前の二〇一八年までは、訪問相談の対象年齢は三十四歳までと制限されていました。現在は年齢制限はどのようになっているのか、撤廃されているのであれば三十五歳以上の相談件数はどれくらいなのか、併せて伺います。

○高橋生活福祉部長 都は令和元年度から、サポートネットで実施している訪問相談の年齢制限を撤廃し、三十五歳以上の方も対象としております。
 コロナ禍である昨年度の訪問相談の三十五歳以上の新規受付件数は六件でございました。

○里吉委員 ありがとうございました。六件ということで、件数はまだ少ないですけれども、きちんと三十五歳以上にも対応していただいているということが確認できました。
 次に、若年者のひきこもり支援として、ひきこもり等の若者支援プログラムがありますが、これについて昨年度の参加者数や活動実績について伺います。

○高橋生活福祉部長 都は、リーフレットやサポートネットのホームページにおいて、ひきこもり等の若者支援プログラムに沿って居場所の提供等を実施しているNPO法人等の連絡先等を周知しております。
 昨年度、ひきこもりサポートネットの相談を通じ、これらのNPO法人等に紹介した件数は延べ三百十一件でございます。
 また、こうした法人が参加する合同相談会も開催しており、延べ五十三名の当事者やご家族にご参加いただきました。

○里吉委員 ひきこもりの年代、幅広いので、年齢に応じて様々な支援を用意する必要はあると思いますが、この二十団体、ここは、若者の社会参加応援事業ということで取り組む民間支援団体の数は、今、引き籠もっている若者に対してもまだ足りないと思いますし、地域偏在もあるので、これも解消する必要があるのではないかと考えています。
 この若者支援団体を増やすこと、地域偏在を解消することについて、都の認識を伺いたいと思います。

○高橋生活福祉部長 都は、若者支援プログラムに沿って、訪問相談やフリースペースの提供、社会体験活動を実施するNPO法人など二十の民間支援団体を登録しております。中高年層を含めた全世代が安心して利用できる多様な社会参加の場の充実に向けた当該プログラムについて、既に検討を行っているところでございます。

○里吉委員 現在、若者だけでなく、中高年層も含めた全世代が安心して利用できる多様な社会参加の場の充実に向けて検討しているということで、私もこの間の協議会の資料を見せていただいたんですけれども、それはそれですごく大事なことだと思います。
 確かに今登録している二十団体の活動は、中高年層の方が利用するような内容ではないかもしれません。しかし、二十代、三十代のひきこもり支援としては、これまで大きな役割を果たしている支援団体ですから、私は、これはこれとしてちゃんと数を増やすべきだと思うんです。
 身近な場所に、あまりお金の心配せずに通える場所として、ぜひこれも、居場所だったり、それから社会参加のきっかけだったり、用意しているわけですから、整備していただきたいということは要望しておきます。
 最後に、家族会について伺います。
 ひきこもりの方を切れ目なく支援するためにも、家族会の役割が改めて重要だということ、私も認識しております。
 東京都は家族会の役割についてどのように認識しているのでしょうか、伺います。

○高橋生活福祉部長 当事者や家族が社会とつながる機会を増やし、孤立を防ぐためには、家族会の役割は重要であることから、都は合同相談会を実施し、相談員として家族会に協力していただいており、引き続き連携して支援を行ってまいります。

○里吉委員 このひきこもり支援が東京都で始まった当初は、家族会の方がなかなか入れてもらえなくて、本当に私たちも一緒にひきこもり支援をやりたいんだと繰り返し求めておりましたので、今、ひきこもり支援対策として、家族会の皆さんにちゃんと相談員として協力していただいて、連携して取り組むというご答弁、私は本当に感慨深いものがあるんですけれども、そういう思いでぜひ一緒に取り組んでいただきたいと思います。
 ひきこもり家族会、KHJ全国連合会がありますけれども、この皆さんは、今、都内各地に、身近なところでひきこもり支援できるように家族会を立ち上げようということで、大変精力的に動いております。
 しかし、会議を開くにも、会場を借りるにも、お金が必要ということで、家族会が活動を継続していけるための支援が必要ではないかと考えます。この点についての都の見解を伺います。

○高橋生活福祉部長 都は、多くの相談支援機関が参加する合同の相談会への参加団体として、また、ピアオンライン相談の相談員のほか、研修やセミナーの講師として家族会にご協力いただいておりまして、引き続き連携して支援を行ってまいります。

○里吉委員 引き続き連携して取り組んでいただきたいんですけれども、私はこれまで、事務所を持っている家族会、楽の会リーラに何回かお邪魔したり、それから、楽の会リーラが主催する学習会に参加をしてまいりました。
 その中で、家族会が、ひきこもりの家族にとって、また当事者にとっても、本当に大事な居場所になること、また、何でも相談できる駆け込み寺のような役割も持っているし、ちょっとした日々の情報交換の場としても大きな役割を果たしていると痛感してきました。
 お話をしたくないから髪を切りに行くのが怖いとか、歯医者さんどこがいいだろうとか、ひきこもりの皆さんにとって日常生活が厳しいことがいろいろあるわけですよね。同じ地域の家族会にいるとそういう情報が交換できる。これは子育てでも、難病の方でも、何でもそうなんですけれども、当事者同士が集まれる場所があるということが、本当にこのひきこもり支援でもすごく大事なんだなというのを、私、痛感してきました。
 それぞれの地域に家族会があれば、ひきこもりの当事者や家族がそこの地域の家族会とつながれば、伴走型の支援も可能ですし、必要なときには、その家族会が当事者の方や困っている家族の方と行政を結びつけてくれたり、病院と結びつけてくれたりという、そういう橋渡し役も、私、してくれるんじゃないかなというふうに思うんです。
 家族会や、まだ一部ですけれども当事者会なども、ほぼ手弁当で取り組まれております。先ほど、当事者や家族が社会とつながる機会を増やして、孤立を防ぐためには家族会の役割は重要と答弁いただきましたので、家族会や当事者の皆さんの会に対して、その役割にふさわしい支援を、運営費等の支援とか助成制度とか、何かそういうことを設けることをぜひ検討していただきたいということを最後にお願いいたしまして、要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時五十二分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る