令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

令和三年十月二十九日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長早坂 義弘君
副委員長原 のり子君
副委員長森村 隆行君
北口つよし君
吉住はるお君
成清梨沙子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
藤井あきら君
竹井ようこ君

欠席委員 なし

出席説明員
東京消防庁消防総監清水 洋文君
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱柏木 修一君
企画調整部長岡本  透君
防災部長森住 敏光君
予防部長大竹 晃行君
企画調整部企画課長古賀 崇司君
企画調整部財務課長浅見 匡哉君
人事委員会事務局局長初宿 和夫君
任用公平部長堀越弥栄子君
審査担当部長宮本  均君
試験部長神山 智行君
総務局局長村松 明典君
次長理事兼務山口  真君
理事政策法務担当部長訟務担当部長コンプライアンス推進部長主席監察員事務取扱貫井 彩霧君
総務部長小平 基晴君
企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務
片山 和也君
グループ経営戦略担当部長小野  隆君
人事部長高崎 秀之君
労務担当部長石橋 浩一君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
木島 暢夫君
小笠原・国境離島担当部長若林 和彦君
総合防災部長猪口 太一君
防災計画担当部長芝崎 晴彦君
防災対策担当部長高島 慶太君
危機管理調整担当部長金久保豊和君
危機管理調整担当部長高田 照之君
人権部長吉村 幸子君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
東京消防庁関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和二年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・令和二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○早坂委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、東京消防庁、人事委員会事務局及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○古城委員 まず冒頭、コロナ禍の中で、消火、救急、予防など、都民の皆様の生命と財産を守る最前線でご奮闘いただいております消防職員の皆様に、満腔の敬意を表したいと思います。誠にありがとうございます。
 それでは、令和二年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分に関連し、機動査察隊について質問いたします。
 今年九月、二〇一九年度、令和元年度の消防立入検査の実施率が最低とする記事が配信をされておりましたが、その記事には、歌舞伎町のビルの立入検査に向かう新宿消防署の機動査察隊員の写真が掲載をされておりました。
 私は、それを目にしましたとき、全国的な傾向、この記事の基は総務省消防庁のまとめでありましたけれども、そうした傾向を、そもそも記事中では言及がない、歌舞伎町の現状に結びつける、さも歌舞伎町で立入検査が不十分なのではないかと想起させるようなものと感じました。
 昨年のこの第一分科会で、令和元年度に発隊した機動査察隊についての実績を確認させていただいておりましたことから、すぐさま委員会の速記録を確認いたしました。すなわち、歌舞伎町地域の不特定多数の者が利用する建物七百一棟全てに立入検査を実施し、違反の確認された建物二百四十七棟に対し強力な是正指導を行い、このうち、特に危険性の高い違反に対し七十五件の命令を発令し、全て是正させているということを確認いたしました。全てに立入検査が実施されている、実施率一〇〇%だということを強調したいと思います。
 その上で、歌舞伎町地域の防火安全性の向上を図るためには、立入検査などを通じた継続的な指導が必要であると考えますが、令和二年度における機動査察隊の実績につきましてお尋ねいたします。

○大竹予防部長 歌舞伎町地域では、建物のテナントが頻繁に入れ替わり、階段に避難障害となる物件を存置するなどの違反が繰り返される傾向にあることから、継続的に立入検査を実施し、関係者へのきめ細かい指導を行っております。
 機動査察隊の実績といたしまして、令和二年度は、前年度に違反があった建物二百四十七棟への指導に重点を置き、再度の立入検査を実施し、百七十三棟で違反を指摘しました。このうち、特に危険性が高い違反五十一件に対しましては、消防法に基づく命令を発令し、全て是正したことを確認いたしました。
 今後とも、機動査察隊の効果的な運用により、計画的な立入検査及び違反是正を推進し、歌舞伎町地域の防火安全性の向上に努めてまいります。

○古城委員 東洋一のエンターテインメントシティ歌舞伎町では、歌舞伎町商店街振興組合の皆様と新宿区などを中心に、誰もが安心して楽しめるまちを目指して、地元が一丸となって活動されております。
 これからも歌舞伎町地域の防火安全対策は重要であり、繁華街の特性に合わせた防火査察を強力に推進していただきたいと申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○竹井委員 お願いします。
 令和二年度は、ずっとコロナ禍ということでありました。コロナ禍によって、ふだん行っていただいている防災訓練や応急救護訓練を行いづらい状況にあったのではないかなというふうに思うのですけれども、東京消防庁におかれまして、地域の防災力を維持するために行ってこられた取組について伺います。

○森住防災部長 コロナ禍においては、多人数で対面による従来の防災訓練が困難であったことから、新たな手法での実施が必要となりました。
 このため、東京消防庁では、児童生徒への学習用タブレットを活用したリモート防災学習や、訓練参加機会の少ない子育て世代等へのSNS、ユーチューブ動画を活用したリモート防災訓練を推進しております。また、町会等が少人数で実動型訓練を行う場合には、感染防止対策を徹底した上で実施しております。
 今後とも、デジタルツールを活用した防災訓練、防災学習と実動型防災訓練とを融合させ、地域防災力のさらなる向上を図ってまいります。

○竹井委員 ありがとうございます。
 コロナ禍においても、様々工夫を凝らして訓練が行われていたということを確認いたしました。
 児童生徒などが学習用タブレットを活用したリモート防災学習ということでしたけれども、これは、防災についてのコンテンツを学校等で児童生徒が見て、それを学習したということだというふうに理解をしています。
 東京消防庁のホームページを拝見すると、おうちで防災を学ぼう!リモート防災学習として、消火器の使い方や一一九番通報の仕方、避難の仕方などのコンテンツがありました。
 また、別のページにはAEDの使い方の動画がありました。AEDは、実際に訓練を受けてやってみることがまずは重要だと思いますけれども、実地訓練に勝るものはないと思いますが、まずはこういった動画を見ているか見ていないかということでも、大分心構えが違うかなと思いますので、非常に有効な手段かなというふうに思ったところであります。
 これからは、今も視聴していらっしゃる方の人数は増えてはいるのかなということは思うのですけれども、ぜひさらにそういった機会を増やしていっていただきたいということをお願いしたいと思いますし、また、実動型訓練のときには感染防止対策を徹底して実施したとありますけれども、実際、今、災害、火災等が起こったときには、まさにコロナ禍でのということにもなりますので、そういった訓練も非常に有効だったかなというふうに思います。
 ご答弁にあったように、ハイブリッドで、デジタルツール、それから実動型と融合させていただいて、今後とも取組をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○早坂委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、人事委員会事務局長に初宿和夫さんが就任されました。
 初宿人事委員会事務局長から挨拶があります。
 初宿和夫さんを紹介いたします。

○初宿人事委員会事務局長 去る十月二十五日付の人事異動で人事委員会事務局長に就任いたしました初宿和夫です。
 早坂委員長はじめ委員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、事務事業の適正な執行に努めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○早坂委員長 挨拶は終わりました。
     
○早坂委員長 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○堀越任用公平部長 十月十八日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 資料は一点でございます。
 恐れ入りますが、お手元の要求資料の表紙をおめくりください。公平審査等の実績の一覧でございます。
 勤務条件に関する措置の要求や不利益処分に関する審査請求、苦情相談について、過去五年分の件数と主な内容を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○早坂委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 人事委員会事務局への決算質疑を行います。
 私からは、貸借対照表上に記載をされておりますソフトウエアの資産について、まずお伺いさせていただきたいと思います。
 この貸借対照表上のソフトウエア資産ですが、平成二十九年度以降に開発されたシステムが計上されております。人事委員会事務局の貸借対照表には、ソフトウエア資産、ソフトウエア仮勘定がゼロ円となっておりますが、人事委員会で扱っている主なシステムについて、どのようなものがあるかお伺いいたします。

○堀越任用公平部長 当局で運用している主なシステムは、東京都職員採用試験システムでございます。
 当局では、年間七種類の採用試験等を実施しており、令和二年度の申込者数は合計で約一万三千人となっております。当システムは、これらの試験の採点処理等を行うものでございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 年間七種類の採用試験に対応するシステムで、一万三千人、受験する方々の申込者数があるというシステムであるということが分かりました。
 その東京都職員採用試験システムなんですが、どのようなものか、いつから使っているのか、令和二年度の経費、契約形態、委託会社についてお伺いをいたします。

○神山試験部長 当システムは、各試験における受験者の採点処理及び合否処理などの電算処理を行うもので、受験者の個人情報や試験の成績などのデータを扱っております。
 運用開始は昭和四十六年からで、令和二年度の決算額は約二千八百万円でございます。
 当システムの電算処理委託の契約締結方法は、特命随意契約でございます。
 また、採用試験の実施に当たりましては、公正性の確保が極めて重要でございまして、外部への情報漏えいや外部からの関与が決して起こらないようにするため、委託している事業者名は公表しておりません。

○藤井委員 ご答弁の中で、昭和四十六年から運用をしていて、昨年度の決算額は二千八百万円、そして契約は特命随意契約で、事業者名は公表していない、機密性の高いデータを扱うということで、公表していないということでありました。
 これまで、この決算特別委員会では、私はベンダーロックインという問題を取り上げておりまして、競争入札においても一者応札となると、二者以上応札する場合と比べて費用が高くなる傾向があると国の会計検査院の報告で出てきております。
 ベンダーロックインの取組に関しましては、人事委員会事務局には今回お伺いはしませんが、公正性の確保、これは非常に重要なことであると思いますが、一方で、そのシステムが使いやすいものであるか、そしてシステム費用が適正、最適なものであるか、ベンダーロックインの問題が起きていないか等、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上で私からの質問を終えさせていただきます。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○早坂委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、総務局長に村松明典さんが就任されました。
 村松総務局長から挨拶があります。
 村松明典さんを紹介いたします。

○村松総務局長 去る十月二十五日付で総務局長に就任いたしました村松明典でございます。
 新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする危機管理あるいは地域振興など、総務局職員一同、全力を挙げて事務事業の適切かつ円滑な執行に取り組んでまいりますので、早坂委員長はじめ委員の皆様方には、ご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。

○早坂委員長 挨拶は終わりました。
     
○早坂委員長 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、令和二年度東京都特別区財政調整会計決算及び令和二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小平総務部長 十月十五日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料、表紙をおめくりいただきまして、目次をご覧ください。資料は二点でございます。
 まず、一ページをご覧ください。東京アラート実施の発表時期と発動時期、解除時期でございます。
 東京アラートにつきまして、発表時期、発動時期及び解除時期を記載してございます。
 続きまして、二ページをご覧ください。東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例第十二条に基づく事案の取扱状況でございます。
 都民等の申出件数及び概要等公表件数につきまして、令和元年度及び令和二年度の実績を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、説明は以上となります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○早坂委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私は、まず初めに、東京宝島事業について伺います。
 都では、平成三十年度から、島しょの魅力再発見とブランド化に向けた取組として、東京宝島事業に取り組んでいますが、令和二年度の取組状況について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都は、島しょの魅力を高めることにより、さらなる地域の活性化を図るため、民間の専門家の方々からいただいた提言に基づき、ブランド化に向けた取組を推進してまいりました。
 令和二年度は、各島の個性あふれる主体的な取組に対しまして、地域づくりに精通したアドバイザーが事業計画の提案や資金調達方法に関する助言を行うなど、側面的な支援を実施してまいりました。
 また、特産品に関しましては、これまでモデル事業としてブランド化に取り組んできました利島のツバキ油や青ヶ島焼酎の青酎に加え、各島で生産される焼酎などの島酒や御蔵島の特産品であるツゲと桑等につきましても、商業施設との連携などにより、情報発信や販売支援を行ってきたところでございます。
 こうした取組に加えまして、島しょ地域のさらなる認知拡大に向けて、雑誌、SNS、デジタルサイネージ等のメディアを活用した東京の島々の魅力の発信に取り組んでまいりました。
 そのほか、宿泊施設の誘致や整備を行う町村を支援する補助事業では、申請のありました二件に対しまして補助金を交付したところでございます。

○吉住委員 島ごとの取組に対する支援や特産品のブランド化、メディアによるPRなど、様々な取組が行われていることが確認できました。
 この事業の令和二年度予算は五億円であり、島しょの住民もこの事業に大きな期待を寄せていると思いますが、この事業の令和二年度の執行率とその理由について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 本事業の令和二年度の執行率は約六八%となっております。
 その理由といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、集客を目的とした事業につきまして、一部実施を見合わせたことなどによるものと考えております。
 また、二件の申請がありました宿泊施設の誘致、整備を行う町村に対する補助金につきましては、いずれも事業内容が誘致の可能性を検証する調査等にとどまりました。
 こうしたことから、予算と比較して執行率が低くなっております。

○吉住委員 コロナ禍という大変厳しい状況にあって、本事業の執行にも大きな影響があったことは理解いたしました。ただ、こうした中においても、都は、この事業に携わる島の方々の期待と熱意にできる限り応えていくことが必要です。
 各島では、現地の方々によって、島ごとの個性を生かした取組が進められているということですが、具体的な取組内容について伺います。

○木島多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 各島では、島それぞれの魅力や個性を表現するブランドコンセプトに基づきまして、特色ある様々な取組が進められております。
 例えば八丈島では、自分の色を取り戻す、七色の魅力に輝く島というコンセプトの下、島で活躍する人々を紹介する写真集を制作いたしまして、島内外に配布し、旅での出会いと交流の促進につなげております。
 父島では、おがログと呼ばれる旅行記録用のノートを制作いたしまして、リピーター客の獲得に役立てております。
 また、式根島では、関係人口の増加を見据えたワーケーションを推進しており、昨年度はモニターの受入れを実施いたしました。
 いずれの取組も着手したばかりであり、今後も検討を重ねつつ、持続的な取組へと発展するよう都として支援を行ってまいります。

○吉住委員 島ごとに事業化が着実に進んでおり、いずれも今後の島の活性化を見据えた取組ではあります。
 しかしながら、これらが一部の人たちの取組で終わるようなことがあってはならないと考えます。この事業が本当に島のためになっているのか、疑問を持っている人もいると聞いています。こうした懸念を払拭し、東京宝島事業を成功に導くためには、より多くの島の方々に関わっていただくことが何よりも重要だと考えます。
 昨年来のコロナ禍というこの難局において、各島でのブランド化が一層加速するよう、都としても引き続き尽力していただきたいと要望を申し上げて、この質問を終わります。
 次に、感染防止徹底宣言ステッカー、いわゆる虹のステッカーについて何点か伺いたいと思います。
 このステッカーは、昨年度、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、お店の店頭などに貼られるようになったわけですが、改めて、このステッカーの取組内容と現在の発行部数について伺います。

○金久保危機管理調整担当部長 感染拡大防止と経済社会活動の両立を図るためには、店舗や事業所等における感染防止対策を徹底させていく必要がございます。
 そのため、昨年六月に感染防止徹底宣言ステッカーを導入いたしました。このステッカーは、飲食店等に限らず、都内の事業者全てを対象としまして、業種別の感染拡大防止ガイドラインに基づく必要な対策が講じられていることを事業者自らが確認し、取得するものでございます。このステッカーを店頭などに掲示することで、安心して利用できるお店や施設であることを利用客に分かりやすくお知らせすることができるようになってございます。
 これまでステッカーを取得している店舗や事業所等は約二十八万件、ステッカーの掲示枚数は約三十六万八千枚となってございます。

○吉住委員 感染防止徹底宣言ステッカー事業の中身について答弁をいただきました。飲食店に限らず、多くの業種を対象にしている取組とのことでした。
 地元を歩いていると、数多くの施設や店舗で虹のステッカーが掲示されており、幅広い業種に普及していることが分かります。このように、虹のステッカーを普及させたことについては評価をしております。
 そこで、このステッカーを広めるために行ってきた都の取組について伺います。

○金久保危機管理調整担当部長 都は、二百八十を超える業界団体やチェーン展開を行う企業に対しまして、訪問や電話により、ステッカーの趣旨を説明するほか、個々の店舗に対しましても職員が直接訪問して説明するなど、積極的に働きかけを行ってまいりました。
 また、区市町村と連携した商店街でのリーフレットの配布や動画、CMなど、様々な媒体の活用などを通じまして普及に努めてまいりました。
 さらに、パソコンを持たない事業者にはステッカーを郵送するなど、デジタルデバイドにも配慮したきめ細かな対応を行ってまいりました。
 これらの取組を通じまして、ステッカーの普及拡大を積極的に図ってきたところでございます。

○吉住委員 様々な工夫によってステッカーの普及を図ってきたことが分かりました。
 この虹色のステッカーについては、飲食店を含む幅広い業種が対象とのことですが、今年度からは、飲食店に限定した都の第三者認証制度である点検事業が開始されました。
 点検に合格した店舗には、青いステッカーである徹底点検済証が交付されています。都の公表資料によりますと、これまで十万を超える店舗が認証されているとのことです。このように、飲食店については、都自らが店舗の感染防止対策の実効性を担保する取組を進めていることが分かります。
 一方、飲食店以外について、店舗などの感染防止対策の実効性を確保するための取組はどのようになっているのか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 都は、飲食店以外の事業者に対しまして、ホームページや動画、ポスター等を活用しまして、業種別の感染拡大防止ガイドラインに沿った対策の実施を促すとともに、業界団体を通じて繰り返し感染防止対策の徹底を文書で要請してまいりました。
 また、今年度は、業界団体と連携いたしまして、百貨店やショッピングモールなど大規模商業施設を都の職員が直接訪問し、事業者との双方の意見交換等を通じて、入場制限や感染防止対策など、各施設の状況に応じた実効性の高い取組につなげてきております。
 今後も、それぞれの業種や施設の特色に応じた対策が進むよう、各業界団体とも連携し、取組を進めてまいります。

○吉住委員 店舗や業界団体と連携して感染防止対策を進めていることが分かりました。
 感染防止徹底宣言ステッカーや徹底点検済証が店舗に掲示してあることで、都民の安心感向上につながっていると感じています。ぜひ都民の安心を確保していくためにも、引き続き取組を進めていただきたいと思います。
 最後に、帰宅困難者対策について伺います。
 今月七日に、東日本大震災以来十年ぶりに都内で震度五強の地震が発生しました。JRをはじめ鉄道各社が運行を停止したため、一部の駅前でタクシー待ちの長い行列が発生し、こうした滞留者の安全確保のため、都内四か所で受入れ施設を開設したとのことで、改めて帰宅困難者対策の重要性を再認識いたしました。
 都は、十年前の東日本大震災を教訓に、東京都帰宅困難者対策条例を策定し、行き場のない帰宅困難者九十二万人を受け入れるための一時滞在施設の確保に取り組んでいます。
 そこで、令和二年度の一時滞在施設の確保に向けた取組と現在の確保状況について伺います。

○高島防災対策担当部長 都は、都立施設をはじめ、区市町村とも連携しながら、民間企業等の協力を得て、行き場のない帰宅困難者約九十二万人の安全確保のため、一時滞在施設の確保に取り組んでおります。
 令和二年度におきましても、民間の一時滞在施設に対する備蓄品購入費用補助事業や戦略アドバイザー支援事業を実施しており、令和三年七月現在の確保数は約四十四・五万人分で、九十二万人に対する割合は約四八%となっております。

○吉住委員 民間企業からの協力も得ながら、現在、四十四・五万人分を確保し、目標の約四八%ということです。都には、引き続き新たな施設確保に努力していただきたいと思います。
 また、一時滞在施設確保のため、民間企業への働きかけや協定の締結は各区市町村が実施しています。各区市町村が企業のさらなる協力を得ることができるよう、都には、より一層連携を期待しています。
 行き場のない帰宅困難者に対する施設の確保に加えて、多くの企業が集まる東京においては、発災時に従業員がむやみに帰宅しないよう、一斉帰宅の抑制に取り組むことも重要です。
 そこで、企業などにおける従業員の一斉帰宅抑制に対して、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

○高島防災対策担当部長 都はこれまで、企業等に対し、従業員等の一斉帰宅の抑制を積極的に働きかけてまいりました。
 具体的には、平成三十年度に創設した一斉帰宅抑制推進企業認定制度により、一斉帰宅の抑制に積極的に取り組む企業等を認定し、都のホームページで取組内容を公表するなど、一斉帰宅抑制の社会的機運を醸成するとともに、事業者の意識を高める取組を推進しております。
 また、令和二年度には、各事業所において、一斉帰宅抑制等の対策を進める上で必要な事項を解説したハンドブックをイラスト等を用いて分かりやすく改定し、区市町村や東京商工会議所等を通じまして企業等に配布いたしました。

○吉住委員 先日の地震は、幸いにも深刻な被害などはありませんでしたが、これに気を緩めず、今後起こり得る首都直下地震に備えて、一斉帰宅の抑制を推進していくことが重要です。引き続き、様々な手段により、都が率先して企業への呼びかけなど、普及啓発に取り組んでいただきたいと思います。
 一斉帰宅抑制を推進する一方、例えば子育てや介護などを抱える企業の従業員などは、すぐにでも自宅に帰りたいということもあると聞いています。実際のところ、都が呼びかけている三日間職場に待機し続けるということに理解を得るのは、なかなか難しい現実もあるのではないかと思います。あくまで一例に挙げたにすぎませんが、現場にはこうした課題があることもしっかりと理解しつつ、対策を検討していく必要があると考えます。
 新たに就任された村松局長は、帰宅困難者対策条例の制定に、当時、総合防災部長として関わったとも聞いています。今後、帰宅困難者対策にどのように取り組んでいくのか、総務局長の決意を伺います。

○村松総務局長 都は、東日本大震災の教訓を踏まえ、平成二十五年、東京都帰宅困難者対策条例を施行し、一斉帰宅の抑制や一時滞在施設の確保など、大規模地震発生時における帰宅困難者対策に着実に取り組んでまいりました。
 近年、全国各地で頻発いたします様々な地震の状況を見ますと、被害状況や帰宅困難者の置かれた状況も様々でございます。
 このため、都は今年度、学識経験者を中心に、国や区市町村が参加する帰宅困難者対策に関する検討会議を新たに設置し、きめ細かな帰宅困難者対策について検討していくことといたしました。
 この会議では、東日本大震災から十年が経過し、デジタル技術の発達や耐震化の進展など社会状況の変化を踏まえて、対策の方向性について検討しているところでございます。
 今後、本会議の検討結果の報告などを踏まえまして、帰宅困難者対策のバージョンアップなどを図ることによって、東京のさらなる防災力の向上に全力で取り組んでまいります。

○吉住委員 ご答弁ありがとうございました。
 東日本大震災から十年が経過し、次の十年、またその先を見据え、時代の変化を捉えた対策を検討していくことが必要です。引き続き、都の取組に大いに期待しています。
 以上で質問を終わります。

○藤井委員 総務局への決算質疑を行います。
 まず最初に、昨年度における総務局の新型コロナ対策についてお伺いをいたします。
 昨年六月に感染防止徹底宣言ステッカーの取組が開始をされました。この取組の開始以降、まち中では、虹のステッカーが急速に普及していったことを記憶しているところであります。先ほどの質疑でもございましたが、累計で約三十六万八千枚、事業者数では累計で約二十八万件、発行されたということでありまして、かなり普及しているものだというふうに認識をしております。
 一方で、虹のステッカーは、ガイドラインに沿った感染対策を実施していることを事業者自らがチェックをして宣言するものでありまして、一部の店舗では、感染対策が不十分にもかかわらずステッカーが掲示されているという例もあったように思います。
 我が会派からは、昨年七月の総務委員会の質疑等におきまして、このステッカーの実効性の確保ということを要望、質疑をさせていただいておりまして、当時、高島危機管理調整担当部長から、必要に応じて職員等が店舗に赴き、適切な感染防止策が取られているか確認することを検討しておりますとご答弁をいただいております。
 ステッカーの実効性を確保するため、都職員が直接店舗を訪問し、対策の確認を行ったということですが、その取組の内容についてお伺いいたします。

○金久保危機管理調整担当部長 感染防止徹底宣言ステッカーの実効性を確保していくためには、事業者が業種別ガイドラインに沿った感染防止の取組を確実に実施していくことが重要でございます。
 そのため、昨年度、都の職員等が約一万七千件に及ぶステッカー掲示店舗等を直接訪問いたしまして、必要な感染対策が実際に取られているか確認を行いました。
 ほとんどの店舗では適切な感染対策が取られておりましたけれども、一部対策が不十分であった店舗につきましては、アクリル板の設置や換気の有効性を説明した上で、都の助成制度などをリーフレット等により案内しまして、さらなる対策を事業者に促してまいりました。

○藤井委員 職員が日々現場を回るというのは、大変なご苦労があったと思います。また、全庁一丸となってこのステッカーの実効性確保に取り組んでいただきましたこと、心より感謝をいたします。
 一方で、今年度も様々チェック等していただいているとは思うんですが、やはりマンパワーだけで都内全域を回るというのは非常に非効率でありまして、例えばですけど、二酸化炭素、CO2のチェッカーなども、今簡単に手に入りますので、民間企業では、そういったセンサー的な情報をまとめて見ることができるようなサービスを提供しているところもございます。二酸化炭素の濃度が高いところを当たるであったりとか、効率的なやり方というのも考えられるのではないでしょうか。そういったこともご検討いただきたいと思います。
 我が会派からは、昨年七月の、また先ほどの、総務委員会の質疑等で、このステッカーの実効性の確保のために、職員の皆様のチェックに加えて、民間の力、ガイドラインをつくっている業界団体等と連携した点検の提案を行いまして、検討していくとの当時の総務局長の答弁がありました。
 ステッカーの実効性確保の取組の一つとして、都は、業界団体と連携した取組であります団体向け新型コロナウイルス感染防止対策自主点検等支援事業、これ昨年の十月から実施していますが、昨年度の実績についてお伺いいたします。

○高田危機管理調整担当部長 都は、業界団体が自主的に行う会員事業所等への感染防止対策の点検指導や、業界団体の取組を利用客に伝えるための普及啓発等に要する経費を補助し、ステッカーの実効性確保を図り、感染防止対策の徹底と都民の安心確保につなげております。
 昨年度は、十八の業界団体に対しまして補助金を交付いたしました。本事業により点検を実施した事業所等の件数は約一万二千件となります。

○藤井委員 十八の業界団体が参加をして、約一万二千件を回ってその実効性の確保を図っていただいたということであります。こちらも事業、ありがとうございます。
 一方で、都は、本事業を今年度も実施しておりますが、今年はそんなに多く参加していないということでありまして、業界団体の中には、自分たちでそういった参加事業者の感染防止対策を支援するため、自主的な取組を行う団体も出てきていると聞いております。これは、都の昨年度の事業が呼び水となって、こういった自主的な業界の動きを促しているものとも理解できますので、評価すべきところ、すばらしいところであると理解をしております。評価をさせていただきます。
 一方で、業界団体の方に少し話を聞くと、点検だけで認証店にならないのであれば意味がないという声であったりとか、事務作業が煩雑で、そして補助金も後払いのため対応がしづらいという声も届いているところであります。
 緊急事態宣言が解除されまして、特に飲食店においてはアルコール提供ができるなど、認証店の持つ意味づけというのも変わってきているかと思いますので、今後、そういった業界の声も丁寧に聞いていただきまして、ご検討いただきたいと要望させていただきます。
 次に、特措法に関連して、罰則規定についてお伺いをいたします。
 我が会派からも、昨年九月から議会の中で議論等をさせていただいておりましたが、本年二月に国の特措法改正による対応が行われました。
 この特措法の改正により、時短要請等に応じない飲食店等に対する命令や罰則の規定が設けられましたが、都はどのように手続を行ってきたのか、これまでの実績をお伺いさせていただきます。

○高田危機管理調整担当部長 都は、特措法に基づき、時短要請に応じていない飲食店等に対しまして、文書による個別要請、行政処分である命令を実施し、命令に応じない店舗に対しましては、行政罰である過料に向けた手続を実施してきております。
 昨年度末までに百二十九件の個別要請、三十二件の命令を行いまして、命令に応じない四件の店舗に対しまして、裁判所に過料事件通知を実施いたしました。
 また、今年度は、現時点で千九百三十八件の個別要請、百六十件の命令、六十六件の過料事件通知を実施しております。

○藤井委員 昨年度においては四件、そして直近でも六十六件を裁判所に通知して、過料の手続をしているというところでありまして、全体の数からすると、本当にごく一部なのかなというふうに印象を持っております。抑制的に実行されているのではないかと思います。全国に先駆けて、国の法改正に対応して過料を科すなど、対応してきたことを評価いたします。
 一方で、この命令、過料等がどの程度効果があったのかということは、しっかりと検証していく必要があると思っております。そして、様々な意見があるところだと認識をしております。このコロナ禍、少し今、感染状況が一服している中ですので、しっかりとこの中で検討を行う必要があるのではないかと思います。
 全国知事会などからは、ロックダウンに関する要望も出ておりますが、そういった点も踏まえながら、実効性のある対策が取れるように取り組んでいただきたいと思います。
 ここで、コロナ禍で一気に普及をしました都の職員におけるテレワークの取組についてお伺いをさせていただきます。
 四年前に、私、当選をしてから、最初の二〇一七年の第三回定例会の一般質問でも、このテレワークを取り上げさせていただいておりまして、その後も、質問や質疑を重ねて、この間、ちょっと数えてみたら、都議会で約十回ほどテレワークに関連して質疑をしておりました。
 私自身、民間企業で働いていた頃に、家族を看病しながらテレワークを活用して働いていた経験がございまして、子育てや介護をしながら働き続けられるという観点でも、このテレワークは非常に重要だと考えております。
 昨年度の決算特別委員会では、新型コロナが始まった二〇二〇年一月以降、急速に進みましたテレワークの利用実態、そしてその後の課題について、やり取りをさせていただきました。
 最初の緊急事態宣言では、都職員の出勤を二割に抑えるため、一日平均で八六%がテレワークを利用していたというご答弁もいただきました。
 新型コロナウイルス感染症対策に係る人流抑制のため、都職員のテレワーク等の取組を昨年度どのように行ってきたかお伺いいたします。都庁におけるテレワークの実施状況を公表していますが、この公表当初及び直近の実施率についてお伺いをいたします。

○石橋労務担当部長 昨年三月以降、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、感染症対策に従事する職員等を除き、原則テレワーク勤務とするとともに、やむを得ず出勤する必要がある場合には、午前八時以前または十時以降の始業とするオフピーク通勤を徹底するなど、人流抑制に寄与するための取組を実施しております。
 テレワークの推進に当たっては、昨年十一月、職員の不安や疑問を解消するためのガイドブックを作成、配布するとともに、同月にテレワーク月間を設定し、ウェブ会議やチャット機能を活用した情報共有を積極的に行うなどの取組を実施いたしました。
 さらに、本年三月にはガイドブックを改定し、ウェブ会議やコミュニケーションの工夫例をより充実させて周知するなど、定着を図る取組を進めています。
 テレワークの実施状況については、本年一月から、感染症対策に従事する職員等を除く本庁職員について、対象期間の一日平均の実施率を都ホームページで公表しており、公表当初である本年一月は七二・六%、直近九月は七二・一%となっています。

○藤井委員 実施状況を今ご答弁いただきましたが、最初の頃の八〇%という数字よりは落ちているものの、七〇%を超える状況が続いているということで、皆さん、このテレワーク、かなり大分定着してきているんだなという印象を今数字から受けました。
 また、昨年の決算特別委員会でもやり取りをしましたガイドブックに関しましても、好事例等をさらに充実させて周知に努めているということ、こちらもちょっと提案をしましたが、ウェブ会議やチャット機能、これは、やっぱり使ってみないとそのよさは分からないと思っておりましたので、それを使うといったことも実際にしていただいているということ、確認が取れました。
 そして、実際使ってみている中で、テレワークのよい点、そして足りない点、そういったものも見えてきているのではないかと思います。これまでアンケート等も取っているというふうに聞いておりまして、例えば上司の理解、管理職に率先してテレワークを実施してほしいという声もありましたし、しっかりと引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、テレワークにはやはり苦手な面というのもございまして、それは例えばですけれども、新しい職場に異動してきた人だったりとか新卒の場合というのは、直接的な人間関係もできていなくて、テレワークだけでは厳しい面というのがございます。これは、日本であったりとか都庁だけで起きているわけではなくて、世界中で起きている問題でありまして、テレワークを当たり前に活用しているある外資系の金融企業でも、新人は基本的にオフィスに来てもらう等、最近はしているというふうに話を聞いております。感染状況が落ち着いてきているというのも、もちろんあるとは思うんですが、そういった取組もされているということであります。
 テレワークを都庁の当たり前として定着させるためにも、様々そういった民間企業の事例等も踏まえて、引き続き取組をお願いしたいと思います。
 続きまして、総務局のシステムについてお伺いをさせていただきます。
 これまでも、他局にもベンダーロックインとそれに関連した一者応札の問題とともに、システムの状況をお伺いしております。
 総務局の貸借対照表を見ますと、ソフトウエアの資産として約八億円、そしてソフトウエア仮勘定に約四億円が計上されております。これは総務局が運用している情報処理システムの一部だと思いますが、貸借対照表に計上されているものを含め、総務局ではどのようなシステムを開発、運用しているのか、主なものの概要とシステム運用の委託などの状況についてお伺いをいたします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 当局では、防災対策や職員の人事管理などの分野におきまして、情報の集約や計算等の処理の効率化を図ることを目的として、情報処理システムを導入しております。
 まず、防災関連の主なものといたしましては、被害状況など様々な情報を一元管理するための東京都災害情報システム、DISといいますが、こちらがございます。このシステムは、今年度から機能を大幅に刷新したものに切り替えて、新システムに切り替えたところでございまして、お話がありました貸借対照表上のソフトウエアという勘定科目には、この新しいシステムの開発経費が計上されてございます。
 また、システムの運用についてでございますが、一般に情報処理システムの稼働に当たりましては、サーバー等の機器を都が自ら調達した上で、システムの保守運用を委託により行っております。新しいDISに係る運用委託経費の予算額は、今年度、約九千万円となっております。
 次いで、人事関連でございますが、人事・給与等システムのほか、人事考課の業務を支援するe−人事システム、職員の服務関連等の手続を行うための庶務事務システムなどがございます。
 この庶務事務システムにつきましては、現在は新しいシステム、これをe庶務事務システムと呼んでおりますが、こちらを開発中でございまして、既存システムからの移行を段階的に進めているところでございます。お話のありましたソフトウエア仮勘定という科目には、このe庶務事務システムに係るこれまでの開発経費が計上されております。
 なお、e庶務事務システムにつきましては、既存システムとは別の事業者が開発を担当しているところでございます。
 この各システムの昨年度における運用委託経費でございますが、人事・給与等システムが約二億六千万円、e−人事システムが約九千万円、庶務事務システムについては既存と新システムと合わせまして約二億七千万円となっております。

○藤井委員 ありがとうございます。
 ただいまの答弁で、貸借対照表のソフトウエア資産として計上されているのは、東京都災害情報システム、DISであって、仮勘定の方が新たな庶務事務システムであるe庶務事務システムであるということを確認させていただきました。また、ご答弁の中にありましたとおり、サーバー等の機器に関しては、分けてその運用を行っているということも確認をすることができました。
 このe庶務事務システムですが、勤務時間や超過勤務時間の管理、年末調整の申請等の機能をこれまでのものに新たに追加して、利便性の向上を図っているものだというふうに聞いております。
 ベンダーロックインという観点からは、先ほど開発受託者に関するご説明ありましたが、今までのシステムとは異なる事業者が新システムの開発を受託しているということであります。
 ほかのシステムに関しても幾つか確認をさせていただいておりますが、事業者の競争性確保のための取組、総務局さん、しっかりと取り組んでいただいているように印象を持っております。
 続いてですが、ソフトウエア資産として計上されております東京都災害情報システム、これは、今年度から新たなシステム運用を開始しているということでありますが、システム開発において、一度受注した事業者が引き続き契約を受注する、まあベンダーロックインが生じやすいといわれておりますが、このDISの再構築に当たってどのように開発者を選定したのか、受託した事業者名も含めてお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 東京都災害情報システムの再構築に当たりましては、基本設計の委託を行う際に、価格と価格以外の要素を評価する総合評価方式により、複数の入札参加者から落札者を決定いたしました。
 また、システムの機器や基本ソフト等につきまして、特定の事業者や製品に依存しないオープンな技術仕様といたしまして、他社に引き継ぐことが可能なシステム構成を求めるなど、事業者の固定化を避けるよう要件を設定いたしました。
 なお、本基本設計の入札には二つの事業者が応札いたしまして、技術審査委員会での審査を経まして、再構築前のシステムを開発した事業者とは異なり、日本アイ・ビー・エム株式会社を受託者として決定いたしました。

○藤井委員 このDISの再構築に当たっては、ベンダーロックインが生じないように工夫して発注をされていて、入札の状況に関しても二者以上が応札しているということを確認させていただきました。システム開発に当たっては、引き続き、受注機会の公平性が保たれるようにお願いをさせていただきます。
 続きまして、このDIS、東京都災害情報システムについて、具体的に何点かお伺いをさせていただきます。
 東京都災害情報システムについては、平成三年度から運用が開始をされまして、平成二十二年度に一度目の再構築、そして今回が二度目の再構築となったと聞いております。
 二〇一九年六月の我が会派の代表質問では、このDISについて、ユーザーとなる区市町村からの声、具体的には、火災情報であったりとか避難者誘導に必要な情報の即時の共有などについての改善要望を基に、災害対策本部を持つ区市町村の視点に立って、機能等の見直しを図るべきと提案をして、質問をさせていただいております。
 新たな東京都災害情報システム、DISはどのようなシステムなのか、その内容と今回の再構築におけるポイントをお伺いいたします。

○猪口総合防災部長 東京都災害情報システムは、気象情報、地震情報等の防災に関する各種情報を区市町村や関係機関等と共有するとともに、区市町村における被害情報や避難情報の収集、区市町村から都に対する各種要請の迅速化を図ることなどを目的とするシステムでございます。
 新たなシステムでは、都が区市町村等から情報を収集することのみならず、各区市町村が自前の災害情報システムとしても利用することができるようになっております。具体的には、区市町村自らが近隣自治体の被害情報や避難所開設情報などを地図上で迅速に把握し、住民に対する適切な避難情報等の発令が可能となっております。
 また、特に情報が不足する発災初期における情報収集のため、SNS等から有益な被害情報等を収集する機能も盛り込んでおり、今月発生した千葉県北西部を震源とする地震におきましても活用したところでございます。

○藤井委員 今回の再構築によって、都の情報収集だけでなく、区市町村が活動するに当たって必要な情報など、効率的に共有できる機能も加わったというご答弁でありました。また、SNS等から有益な被害情報を収集する機能も盛り込んでいて、今月発生した千葉県での地震においても都では活用をされたということでありまして、こういった機能も、各自治体、区市町村が使うことができるようになったものというふうに理解をしております。
 災害時は、矢継ぎ早に起こる事象に適切かつ迅速に対応していくことが重要でありまして、そのためには、関係機関が迅速に情報を共有することが何よりも重要であります。
 東京都、区市町村を含め、様々な機関がこのシステムをさらに有効に活用して、災害対応力をより一層向上させていく必要があると考えますが、見解を伺います。

○猪口総合防災部長 災害対応力の向上に当たりましては、都をはじめとする関係機関のより緊密な連携が不可欠であり、東京都災害情報システムを最大限に活用することが重要であると認識してございます。
 そのため、まずは都の災害時の業務要員や区市町村の災害対応職員、関係機関の担当者等が本システムを円滑に操作、活用できるよう、実際に機器を操作しながら実施する図上訓練や定期通信訓練、区市町村が行う独自の訓練等を通じまして、本システムに対する習熟度を高めてまいります。
 また、本システムで収集した有益な情報をより多くの関係機関と迅速に共有するための取組につきまして、関係局とも連携しながら検討を進め、災害対応力のさらなる向上に努めてまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。
 今回再構築されましたシステムに収集された情報を多くの関係機関と共有する、そのための訓練等もされているということであります。共有をしていくということが災害対応力のさらなる向上につながるものと期待をしております。
 この新しいDISですが、一つ大きな特徴としては、こういったシステムを持っていない区市町村が使えるということ、持っているところも使えるんですが、持っていないところが多い中でそういったところも使えるという、大きなポイントであると思っています。
 一方で、区市町村の中には、既に自前でこういったシステムを持っているところもございまして、ここで懸念されるのが、DISに入力するデータと自前で入力するデータと、二つに対応しなきゃいけないことが起きてしまっているんじゃないかということを懸念します。
 これは、例えば自分のところには入れたけど、都のDISには入れていないというケースも出て、少なくとも遅れが出てしまうとか、そういったケースが考えられると思っておりまして、ここは改善していかなきゃいけないポイントかなと思っております。
 既に一部の自治体においては、自分たちが持っているシステムと都のシステムとで、一方に打ち込めば一方に反映されるようなデータの連携がされているということは聞いておりますが、まだまだ全部ではない。あと、システムの改修等も費用がかかるものですので、どう進めていくのかという、なかなかまだ難しいところであるとは聞いているんですが、引き続き、この点、解消できるように取り組んでいただきたいと要望させていただきます。
 ただいまの事例のように、防災分野におけるデジタル技術の活用は、様々な災害から都民の命、財産を守る上で、非常に重要なものと今なっております。
 最後にお伺いいたします。防災分野におけるデジタルトランスフォーメーションの推進について、総務局長の意気込みをお伺いいたします。

○村松総務局長 近年、全国各地で記録的な豪雨や暴風が毎年のように発生しております。また、今後三十年以内には、マグニチュード七クラスの大地震が約七〇%の確率で発生するといわれております。
 こうした災害にしっかりと備え、都民の生命、財産を守るためには、デジタル技術等の進展を踏まえ、より迅速な情報の収集、共有、分析や、オペレーションの一層の効率化を図るなど、従来の防災対策をアップデートしていくことが重要でございます。
 そのため、都は、東京都災害情報システムの再構築にとどまらず、今年度も関係局と連携いたしまして、帰宅困難者対策の実効性を向上させるオペレーションシステムの構築を進めるなど、防災対策におけるデジタルトランスフォーメーションを推進しているところでございます。
 今後も、最新のデジタル技術を活用した防災対策のさらなる進化を図ることで、安全・安心な東京の実現に全力で取り組んでまいります。

○藤井委員 今ご答弁にありましたとおり、全国各地での記録的な豪雨や暴風、気候変動の影響であったりとか、あと最近も非常に地震が多いかなと思います。先ほどのご質問でもありましたけれども、今朝も震度二か一ぐらいの地震があったかと思いまして、やはり備えていく必要があると思います。
 先日、小池知事からも、首都直下地震などが起きた場合の被害想定を見直して、二〇二二年度をめどに新しい想定を公表するということでありますが、こういったことにしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そして、こういった変化を、様々環境の状況が変化していく中で、新しいテクノロジー、デジタル技術を使って取り組んでいただくことは、非常に重要だと思っておりますので、引き続き、ぜひお願いいたします。
 総務局におかれましては、これまで確認をさせていただきましたとおり、昨年度は、やはり何よりもこのコロナの対応ということで、全力を尽くしていただいていたかと思います。まちへ出て、都民の皆様へ直接お声がけをするであったり、店舗の見回りなど、様々取り組んでいただいておりまして、大変な一年を乗り越えてきたところかと思います。
 コロナの感染拡大の状況が、現在、一旦落ち着いているところでありまして、そういった行っていただいた活動を見直していただいて、次の波、これをなるべく抑えるように、しっかりと取り組んでいく必要があると考えておりまして、そういう取組を引き続きしていただくことをお願いいたしまして、私からの質疑を終えさせていただきます。

○北口委員 コロナ禍という、いまだかつて誰も経験したことのない状況の中で、令和二年度当初は、コロナ対策、手探りの対応が続いたかと思います。三密の回避やマスクの着用、手指の消毒などの基本的対策に加え、外出自粛、テレワークなど、人流抑制や飲食店への各種要請など、様々な施策が展開をされました。
 私からは、その中の一つとして、飲食店などの各店舗への感染防止対策についてお伺いをさせていただきます。既に本委員会等でも議論が展開をされておりますが、一部重複しますが、改めて確認をさせていただきます。
 まず一つ目、昨年六月、感染防止徹底宣言ステッカーの取組が開始をされました。まち中では、様々なお店の店頭などで虹のステッカーが貼られているのを見かけるようになりました。多くの店舗で業種別ガイドラインに沿った感染防止対策を実施して、ステッカーが掲示されるのは望ましいことであります。しかし、中には、感染防止対策が不十分なままステッカーが掲示されている、こういった例も見受けられました。
 都議会公明党では、ステッカーの実効性を確保するために、店舗等がガイドラインに沿った感染対策を実施しているかチェックする体制を構築するように、都に対して要望を行ってまいりました。この点について、都の取組についてお伺いをさせていただきます。

○金久保危機管理調整担当部長 都民が安心して店舗等を利用するためには、事業者が業種別ガイドラインに沿った感染防止の取組を確実に実施していくことが重要でございます。
 そのため、昨年度、都の職員等から成る特別チームを編成の上、全区市の繁華街を中心に、約一万七千件に及ぶステッカー掲示店舗等を直接訪問いたしまして、必要な感染対策が取られているのか実際に確認いたしました。その結果、ほとんどの店舗でガイドラインに沿った適切な感染対策が取られていたことが確認できたところでございます。
 今後も、ガイドラインに沿った店舗等における感染対策の徹底につきまして、業界団体等とも連携しながら、事業者等に対しまして継続的に働きかけてまいります。

○北口委員 都議会公明党の要望に応え、ステッカー掲示店舗のチェック体制を構築してくださったこと、評価をしております。
 現在は、感染状況は落ち着いておりますが、今後も変わらず、店舗が継続的に感染対策を実施することで、都民が安心して店舗を利用できるように、都内の店舗に対して促していってほしいと思います。
 都が各店舗に対してガイドラインに沿った感染対策の徹底を促してきた効果もあり、各店舗では一定の感染対策が実施されてきたように思われます。一方で、飲食店側で感染対策を徹底していても、利用者が感染防止マナーを守らなければ、お店の努力が水の泡になってしまう。
 そこで、都は、飲食店等に対してコロナ対策リーダーの設置を求めたわけでありますが、コロナ対策リーダーを導入した趣旨とリーダーを支援する都の取組についてお伺いをいたします。

○金久保危機管理調整担当部長 感染リスクが高いとされている飲食の場での感染拡大を防止するためには、飲食店等を利用する方々の感染防止マナーへの協力が必要となります。
 そのため、都の独自の取組といたしまして、店舗における感染防止対策の徹底と利用者に感染防止マナーを呼びかける旗振り役となりますコロナ対策リーダーを各店舗で選任していただくこととしております。
 また、東京iCDC監修による研修動画におきまして、利用者への声かけのポイントなどを説明するとともに、研修を修了したリーダーが配置されている店舗であることを示す王冠マークの発行や、利用者に対する啓発用ポスターなどの配布を通じまして、コロナ対策リーダーの取組を支援してまいりました。
 今後も、動画による感染対策に役立つ情報の紹介や、質問や問合せに自動的に対応するチャットボットの導入など、第三回定例会で予算化されましたデジタルを活用した飲食店等への支援事業によりまして、コロナ対策リーダーに対し、継続的な支援を行ってまいります。

○北口委員 コロナ対策リーダーの取組は、一部の自治体でも導入されているようですが、都が独自の取組として先行して導入をし、普及させてきたものであります。店舗がコロナ対策リーダーを中心に自主的に感染対策に取り組んでいけるよう、継続的にリーダーの取組を都がサポートしていってほしいと思います。
 次に、飲食店への時短要請と要請に応じない店舗に対する対応についてお伺いをいたします。
 戦後、日本は二度と戦争は起こさないとの決意から、権力の集中、私権の制限については、慎重過ぎるぐらい慎重に取り組んでまいりました。国民も皆、高いモラルと見識で、大きく私権を制限することなく豊かな社会を構築してまいりました。
 この未知のウイルスのパンデミックという未曽有の国難にあってもなお、私権を制限する明確な法律はなく、総理大臣でさえお願いしかできないという状態は、危機管理の上では全く不十分かもしれませんが、平和を希求してきた結果であり、誇らしくも思います。
 このような状況の中で、昨年度、都は、国の緊急事態宣言の発出等に合わせて、感染のリスクが比較的高いとされている飲食店等に対して、営業時間の短縮を要請してまいりました。感染防止の効果を十分に発揮させるためには、飲食店等の皆様に要請に協力していただくことが必要不可欠であります。そのため、都は、時短の要請に応じた店舗に協力金を支払うなど工夫を重ねてまいりました。
 しかしながら、家賃や従業員の給料の支払いなど、経営上の問題等で営業を継続せざるを得ないといった理由で、なかなか要請に応じてもらえない店舗もあったと聞いております。二月に特措法が改正される以前は、要請に応じない事業者への命令や罰則の規定はありませんでした。
 そこでまず、今年一月に感染が急拡大したときに、要請に応じていない飲食店等に対し、どのように働きかけを行ったのか、また飲食店側の反応はどうだったのかお伺いをいたします。

○高田危機管理調整担当部長 都は、本年一月に緊急事態宣言が発出されて以降、都内全域の飲食店等に対する時短要請の遵守状況を把握するため、実地調査を行いました。
 要請に応じていない約千三百件の店舗に対しまして、順次、都の職員が個別に訪問をいたしまして、営業時間の短縮について協力を要請しております。
 店舗を訪問した際、飲食店等からは、近隣の店舗でも営業しているので自分も営業している、都からの要請があったので協力するなどの意見がございました。

○北口委員 当時、都は、多くの職員を動員して、人海戦術で飲食店等に個別に働きかけを行ったということですが、要請を受け入れてくれる店舗がある一方、周囲の店舗が営業している不公平感から要請に応じていない店舗もあったとのことであります。
 パンデミックの脅威が拡大していく中、都民の生命を守るため、また医療体制を守るために、都議会公明党としては、より実効性のある取組が必要だとお訴えをしてまいりましたが、都は、国に働きかけを行ったというふうに聞いておりますが、具体的に国とどのような調整を行ってきたのか伺います。

○高田危機管理調整担当部長 現場を担う都といたしましては、要請の実効性を確保するためには法的措置等が必要であると認識しておりました。そのため、罰則規定などを含む特措法の改正に向け、早い段階から国に対して粘り強く働きかけを行ってきておりました。
 結果といたしまして、要請に応じない事業者に対する命令や過料などの規定が、本年二月の特措法の改正に盛り込まれております。

○北口委員 特措法の改正により、一歩踏み込んだ取組を行うことが可能となったということでありますが、特措法の改正後、命令や罰則についてどのように手続を行ってきたのか、昨年度の実績をお伺いいたします。

○高田危機管理調整担当部長 都は、改正後の特措法に基づき、時短要請に応じていない飲食店等に対しまして、文書による個別要請、行政処分である命令を実施いたしまして、命令に応じない店舗に対しましては、行政罰である過料に向けた手続を実施してきております。
 昨年度末までに三十二件の命令を行った結果、多くの店舗は命令に応じていただきましたが、応じない四件の店舗に対しまして、裁判所に過料事件通知を実施いたしまして、それぞれ二十五万円の過料が決定されたところでございます。

○北口委員 都が特措法に基づき、時短の要請にご協力いただけない飲食店等への対応を行ってきたことは分かりました。要請に応じていない約千三百の店舗を訪問し、最終的には三十二件の命令を実施したとのことであります。今後も、私権の制限には最大限配慮をしながら、適切に対応されることを望みます。
 現在、感染状況は落ち着いておりますが、これまで幾度かの感染拡大期において、緊急事態措置等の実施、答弁にあったように飲食店等への取組、医療提供体制の拡充、事業者への協力金の支給など、各局がそれぞれの役割を果たし、都庁一丸となって取り組んでこられました。その中でも、危機管理を所管する総務局の役割は、非常に重要なものだったと理解をしております。
 新型コロナウイルスとの闘いはまだ終わったわけではありません。発生以来、幾つもの波を乗り越えてきた知見や経験を生かして、感染者数の増減に応じた柔軟な医療体制の確保や各種の感染防止策など、経済活動との両立に向けて備えを行っていく必要があります。そのためには、引き続き総務局が先頭に立って各局を取りまとめ、政策をリードしていく必要があると思います。
 そこで、これまで、コロナ対応全般についてどのように総務局がリーダーシップを発揮してきたのか、今後の決意を含めて局長にお伺いをいたします。

○村松総務局長 長きにわたるコロナとの闘いの中で、都民、事業者の皆様には、外出の自粛や営業時間の短縮などのご協力をいただき、改めて感謝を申し上げる次第でございます。
 都はこれまで、総力を挙げてコロナ対応に取り組んできておりまして、危機管理を担う総務局といたしましては、都としての方針の策定や各局との情報共有、国や他団体との折衝など、総合調整の役割を果たしてまいりました。
 具体的には、新型コロナウイルス感染症対策本部において、庁内の情報共有を図るとともに、感染防止対策や医療提供体制等に係る対応等を決定してきたところでございます。
 また、対策の実効性を確保するため、基本的対処方針の変更につきまして、国と調整するほか、近隣三県とも連携して、特措法の改正や財政措置などを国へ要望し、実現につなげてまいりました。
 現在、感染は抑えられているものの、今後も気を緩めることなく、万全の体制で臨むとともに、国や各自治体と連携を取りながら、感染対策と経済活動の両立に向け、全庁一丸となって取り組むよう、総務局としてしっかりと役割を果たしてまいります。

○北口委員 ご答弁ありがとうございました。
 引き続き、総務局の力強いリーダーシップに期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○原委員 それでは伺います。
 コロナ禍の下、先行きの見えない不安が広がっています。胸が痛むのは、子供や若者の自殺が二〇一九年に比べて二〇二〇年が多い。コロナ前より後の方が増えており、厚労省の統計開始以降、最多になっています。
 全体の自殺者、二万一千人を超えている中、小学生、中学生、高校生が四百九十八人となっています。十代から三十代の死亡原因の第一位は自殺です。そして、女性の自殺率も上昇しています。では高齢者が低いかといえばそうではなく、自殺死亡率、人口十万人当たりの自殺者数は、高齢者も高いという状況です。
 自殺は、誰にでも起こり得る社会的な問題だということをしっかり位置づけて、安心して頼れる場所をつくり、相談することはネガティブなことではないということを広げていくことが必要です。そうした中、相談事業は、これまで以上に重要性を増していると思います。
 そこで、最初に伺います。昨年度の人権相談の状況はいかがでしょうか。人権相談の決算と相談件数、また相談内容について、前年度と比較してどのようになっているのか伺います。

○吉村人権部長 都は、東京都人権プラザにおきまして人権相談を実施しており、令和二年度における決算額は約二千万円で、元年度とほぼ同額でございました。
 相談件数は千四百四十六件であり、元年度と比較して二百五十四件増加しました。
 相談内容については、元年度、二年度ともに、インターネットによる人権侵害、障害者、ハラスメントの分野が多くなっております。

○原委員 今、インターネットによる人権侵害、障害者、ハラスメントの分野が多かったというお話もありましたが、実際には、専門相談が別にある同和と、それから性自認及び性的指向、この専門相談それぞれありますので、それを除くと、全体として微増だという状況かなというふうに、今伺っていて思いました。
 それで伺いたいんですけれども、同和専門相談については、決算と相談件数、また相談内容について、前年度と比較してどのようになっていますか。

○吉村人権部長 令和二年度における同和問題に関する専門相談の決算額は約四百万円であり、元年度とほぼ同額でした。
 相談件数は三百六十四件であり、元年度と比較して百五十九件増加しました。
 相談内容については、医療、介護分野や就労、労働分野に加え、昨年度はコロナ対応に関連する内容が多く寄せられました。

○原委員 昨年度、件数が増えている要因は、コロナ関連ということでご答弁がありました。
 そう考えますと、今年度は、人権プラザでコロナに係る人権問題に関する専門相談も始まっていますし、また、人権プラザの一般相談でも生活全般も含めて相談を受けていますので、同和に特化した専門相談事業は、そちらの総合的な人権プラザの相談に集約をしていくということが可能ではないかなというふうに私は思います。
 改めて伺いますが、同和専門相談事業の委託先はどのように決めていますか。

○吉村人権部長 総合評価方式によりまして受託者を決定しております。

○原委員 総合評価方式により受託者を決定ということで、一者のみ手を挙げて、そしてその同じ一者が続けて受けているというふうに認識をしています。
 私はかねてから、同和専門相談については−−東京都は、人権については本当にどの人権も守っていくのが大事だという立場に立っていて、その相談を総合的に受けていくということになっていますから、ここに特化した専門相談事業は見直しをした方がいいということをこれまでも提起をしてきました。
 専門相談として独立をさせて設置し続けるのかどうか、昨年度の結果も見ますと、改めて検討すべきときに来ているのではないかと、この場では意見として述べておきたいと思います。また引き続き議論をしていきたいと思っています。
 次に、専門相談としてもう一つあります性自認及び性的指向に関する相談について伺います。
 決算、相談件数、相談内容、前年度との比較について、電話相談とLINE相談の別に教えてください。

○吉村人権部長 令和二年度における性自認及び性的指向に関する電話相談の決算額は約六百万円であり、前年度とほぼ同額でした。
 相談件数は三百四件であり、元年度と比較して百二十八件増加しました。
 相談内容については、元年度、二年度ともに、家族との関係に関することが多くなっております。
 令和二年度から開始したLINE相談の決算額につきましては、約一千百万円であり、相談件数は二百六十五件でした。
 相談内容については、カミングアウトに関することが多くなっております。

○原委員 相談内容について、カミングアウトに関することが多かったということが、非常に特徴的だというふうに思いました。このカミングアウトに関する相談を受けたときに、これにどう応えていくのかというのは、まさに専門性が問われる大事な課題だと思います。
 日本社会では、なかなかカミングアウトをしにくい、したことによって差別を受けたり、アウティングの被害に遭うという事例がたくさんあります。また、カミングアウトするかしないかは、本来は一人一人の判断であり、しないからよくないとか、そういうことでは全くありません。それに、本来であればセクシュアルマイノリティーの方たちが、このことで悩まなければならないということが、本当に理不尽な話だというふうに思います。
 こうしたことも踏まえながら、引き続き丁寧に、また、この分野で、本当に相談の受け方によっては逆に傷つけてしまうということがありますから、やはりこれは専門性のある方にきちんと相談に乗っていただく必要があるということを、昨年度の結果を今聞いて改めて思いました。ここは丁寧にやっていただくように強く求めておきたいというふうに思います。
 そういう中で、昨年度実施をされたLGBTかそうかもしれない若者の居場所について、その結果と評価を伺います。

○吉村人権部長 性的マイノリティーの方々が安心して集い、ほかにも同じ悩みを抱える人がいることを知り、今後の生き方を考えることができるよう、十代から二十代前半までの方を対象として交流の場を三回実施し、延べ約八十人が参加しました。
 参加者からは、同じ悩みを抱える同年代の話が聞けてよかったなどの声があり、一定の成果があったものと考えております。

○原委員 コロナの下でも工夫して実施をされて、本当によかったなというふうに思います。LGBTQの皆さんは、そうでなくてもつらい思いもたくさん抱えている方もいらして、さらにコロナの中で孤独を抱えているという方もたくさんいらっしゃいます。
 そういう中で、この居場所に参加できて本当によかったという声も届いています。私もとても大事なご意見だなというふうに思ったので、ちょっと紹介したいと思います。
 ルールによってプライバシーが守られており、セクシュアリティーをオープンにしていない当事者も安心して参加できた。また、スタッフさんが、あまり話せていない方に気を配って話しかけたり傾聴に回っていたので、話す人が偏ることもなく、誰もが参加しやすい話合いの場だったと思う。自分以外の当事者に初めて会うという人もあり、当事者同士のつながりをつくることのできる貴重で大切な場だと思った。過ごし方を自分で決められるなど、参加者の気持ちを尊重するような運営をされていてよかったなと思った。またさらに、今後、年代を制限しない居場所、当事者でなくても来られる居場所もあったらいいと思ったなど、感想を寄せてくださった方がいらっしゃいました。とても、この感想を聞いて、大事な企画をしてくださったというふうに思いました。
 特に、思春期や若い世代の人たちが、まだ自分の性の問題、性自認、性的指向について揺れている段階で、安心して参加できる場所というのは本当に少ないので、そういう場所として大変貴重だというふうに思いました。悩んでいる状態で参加していいんだということがとても救われたというふうにおっしゃっていました。
 ぜひ、今回の成果をベースに、引き続き実施をしていくということ、また、定期的な開設、常設も含めて検討してほしいというふうに改めて要望しておきたいと思います。
 それで、今回、都が実施をした居場所については、どのように周知をされましたでしょうか。教育庁などとの連携は取られましたか。

○吉村人権部長 実施に当たっては、ホームページへの掲載とともに、案内チラシを教育庁と連携して都立学校に配布したほか、都の事業所、区市町村、私立中学校、高等学校等にも配布し、幅広く周知を図りました。

○原委員 すごくそういう連携がとても大事だと思います。今後も連携をして、教育庁などとも連携をしながら進めていただきたいというふうに思います。
 地域で居場所の取組をしている方々もいらっしゃいます。今回、ウィメンズプラザが会場でしたけれども、そこまでは遠くても、地域で居場所をやっているならそこに行ってみたいという方々もいらっしゃいます。ぜひ都として、区市町村やNPOなどが行っている地域の居場所を把握していただいて、支援をしていただきたいというふうに思います。
 わざわざ遠くまで行かなくても、地域の居場所もたくさんあるということが分かる、何かあったらそこに行けるということが分かるだけでも、どれだけ心の支えになるかというふうに思います。例えば東京都のホームページでリンクして、紹介をしていただくなど、様々方法はあると思います。ぜひこれは検討していただきたいということを求めておきます。
 次に、性犯罪・性暴力ワンストップ支援センターについて伺います。
 昨年度の電話相談件数は、前年度と比べていかがでしょうか。また、相談の傾向について伺います。

○吉村人権部長 性犯罪等被害者ワンストップ支援センターが受けた電話相談の件数は、令和二年度は五千四百三十八件であり、元年度の三千九百九十七件から約一・四倍に増加しました。
 相談の傾向としては、これまでと同様に、強制性交等に関する内容が最も多くなっておりますが、二年度は過去に受けた性被害に関する相談が増加しております。

○原委員 前年度と比べて一・四倍に増加をして、一年間に五千四百三十八件の相談ということで、非常に多いというふうに思いました。コロナの中で性被害が広がっているということがこういうことでも分かります。
 電話を受けた上で、面接相談、また付添支援を実施した、その実績、件数はいかがでしょうか。コロナ禍の下で、そうしたことを実施できる体制は、対応は取れているのか伺います。

○吉村人権部長 ワンストップ支援センターでは、性被害に遭った方に対し、必要に応じて対面により被害の状況を確認し、今後必要な支援などについて説明をしております。
 令和二年度は、対面に加えてオンラインも活用するなどして実施し、百四十三件の面接相談を行いました。
 付添支援は、警察、産婦人科、弁護士等との対応が必要な場合に、被害者の精神面の不安を軽減するため、センターの支援員が同席し、被害者へのサポートをするものでございます。
 令和二年度においても、被害者の希望に応じて支援を実施し、実績は二百二十七件でございます。

○原委員 オンラインも活用して、面接相談も工夫して、コロナの中でも行ったということと、そして、コロナがどんなにひどい状況であっても、この付添支援をやらないというわけにはもう決していかないわけで、この付添支援もやってくださっていると。実績が二百二十七件というのはかなりの件数だというふうに思います。一年間にしてみれば一日置き以上に実施をしているわけですから、本当に大変な努力をしていただいているというふうに思います。
 しかも、付添い一件といっても、一回当たりに割く時間というのが非常に長い。短くはないわけですよね、まあケースによりますけれども。警察などに行っても、ここで待っていますよということでずっと待っているということもあるわけで、そうやって時間も割き、そして場所も、どこへでも付き添って支援をするということをやってくださっていますから、本当に大変な労力で、かけがえのない役割をやっていただいていると思います。
 同時に、専門性も非常に求められると思います。ただ一緒にいればいいということではありませんから、研修を受けられた支援員の皆さんがそうしたことをやってくださっているわけです。
 この支援員の皆さんの体制の強化については、私たちもずっと求めてきましたが、この間、強化もされて、今進められているというふうになっていて、これはとても大事だというふうに思っています。
 ただ、昨年度の状況を今伺いますと、やはりセンターが一か所では足りないのではないかというふうに改めて思いました。また、これまでも提案してきましたけれども、病院内に設置をされるセンター、これも必要になってきているのではないか、緊急の課題になっているのではないかというふうに思いました。
 昨年度の相談の傾向を聞いても、やっぱり緊急性の高いものが一番多いということと、でも同時に、過去の被害についてフラッシュバックなどもあって、そのことを相談される方も増えてきているということで、両方多いわけですから、それに合ったセンターの体制づくりが必要で、やはり箇所数を増やすというのは課題にしていくべきなんじゃないかなと、私は決算状況を聞いて改めて感じています。そのことも今後検討することをこの場では強く求めておきたいと思います。
 最後に、ヘイトスピーチについて伺います。
 人権尊重条例に基づき、ヘイトスピーチだと認定され、概要公表された件数は、先ほど資料も出していただきましたが、昨年度七件ということです。また、東京都に都民の方から、これはヘイトスピーチではないかという情報提供がされていますが、その申出件数が七十六件ということでした。前年度と比べて件数は増えているという状況になっています。
 それでは、この概要公表された地域とその件数、これはどのようになっているか伺います。

○吉村人権部長 都は、人権尊重条例第十二条に基づき、表現活動が不当な差別的言動に該当すると認めるときは、当該表現活動の概要等を公表するものとしております。
 令和二年度に概要等を公表した七件の差別的言動が行われた地域につきましては、新宿区、墨田区、渋谷区、台東区、港区が一件ずつ、千代田区、文京区、台東区にまたがるものが一件、中央区、港区にまたがるものが一件でございました。

○原委員 同じ団体が同じ場所で毎年繰り返し行っているような、そういう事例もあると認識しているんですが、そうした事例に対しての対応は、人権尊重条例に基づくとどのようなことになるか伺います。

○吉村人権部長 人権尊重条例第十二条の規定は、概要等の公表により、不当な差別的言動の実態を広く都民に伝え、不当な差別的言動は許されない旨、啓発していくことを目的としております。
 引き続き、人権尊重条例に基づき、概要等の公表のほか、各種の冊子やチラシの発行、動画の配信、啓発ポスターの掲示などを行い、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に取り組んでまいります。

○原委員 人権尊重条例に基づけば、今ご答弁いただいた、そういう対応だというふうに私も認識をしています。
 ただ、今回、ヘイトスピーチが行われた地域について答弁いただきましたけれども、毎年繰り返されている地域もあります。あるいは地域を移動しながらヘイトスピーチが行われている例もあることなどのことも、先ほどのご答弁で分かりました。
 ヘイトスピーチ根絶のために、さらなる対策をどうすべきかということを検討していくことは、改めて必要になっているということを提起し、質問を終わります。

○早坂委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十三分休憩

   午後二時五十八分開議
○早坂委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○竹井委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 初めに、職員のテレワークについて伺います。
 東京都では、感染症の拡大防止と経済活動の両立を図るために、人流の抑制に有効なテレワークを定着させるべく、企業支援なども行っているところですけれども、東京都自らも、職員のライフ・ワーク・バランス実現のため、テレワークの推進を進めていると思います。
 令和二年度で、職員のテレワーク環境はどのように整備をされて、実際に何割がテレワークで業務に当たっているのかについて伺います。

○石橋労務担当部長 都においては、平成二十九年四月のテレワーク試行開始から、段階的にテレワーク対応端末の配備を進めてきました。令和元年度末には知事部局等本庁に配備が完了し、令和二年度から出先機関への配備も順次進めています。
 実施状況については、本年一月から、感染症対策に従事する職員等を除く本庁職員について、対象期間の一日平均の実施率を都ホームページで公表しており、一月から三月の実施率平均は約七割となっています。

○竹井委員 平均して七割の方がテレワークで勤務をされているということです。
 コロナ禍の前から、平成二十九年度から端末の配備を始めたということで、今回、私はコロナ禍に着目をしてお聞きをしようと思っておりましたけれども、もう既に二十九年度からの取組だったということで、今回、テレワークもですね、コロナ禍においても導入がスムーズだったのではないかというふうに思っています。
 七割の方がということでありますけれども、その分母としては、感染症対策に従事する職員等は除くということでしたので、できる方の中でのということかなというふうに思っています。
 都民の大切な情報を扱う東京都といたしましては、テレワークの推進においてはセキュリティの担保が最も重要な観点の一つになるというふうに思いますが、都としてはどのように考えておられますでしょうか。

○石橋労務担当部長 テレワーク対応端末については、行政情報等データが端末に保存できないような仕様になっています。また、庁内業務環境にアクセスする際には複合的に認証を行うなど、強固なセキュリティ対策を施しており、これらの技術的対策で、情報漏えい等のセキュリティインシデントの発生防止に万全を期しております。
 利用面においても、東京都職員在宅勤務型テレワーク実施要綱等により、テレワークは、実施職員の自宅や都が設置したサテライトオフィス等あらかじめ指定した場所で実施すること、また、業務の内容が他者の目に触れないようにしなければならないこととしており、テレワーク時のセキュリティ確保を職員に徹底しております。

○竹井委員 今回、テレワークについて、先ほども申し上げましたけれども、コロナの以前からスタートしているということでありますので、アフターコロナという時期においても、都は、積極的にテレワークを推進していかれるのかなというふうには思っていますが、お考えをお聞かせ願えればと思います。

○石橋労務担当部長 都職員のテレワークは、ライフ・ワーク・バランスの推進に向け、生産性の向上を含めた柔軟で多様な働き方への見直しに取り組む観点から、平成二十九年度より開始しています。
 昨年三月以降は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、感染症対策に従事する職員等を除き、原則テレワーク勤務することを徹底するなど、人流抑制に寄与するための取組を実施しています。
 今後も、感染拡大防止の観点と、生産性向上と多様な働き方の観点から、テレワークの推進に取り組んでまいります。

○竹井委員 テレワークを含め在宅勤務は、業務の効率化につながるとか、離職率の低下に恐らくつながるというメリットがある一方で、コミュニケーション不足に陥るというような懸念もあるかと思います。また、電話応対の問題で、登庁している職員さんが常に電話応対をしていると、その方のタスクが止まってしまうという問題も生じかねないのではないかというふうに懸念をいたします。
 今は特にそういったものがないと思いますけれども、職員各自、内線電話代わりの携帯電話を所持するということは、そういった課題の解決につながるのではないかと思っています。今は様々な方法があると思いますので、コスト面も抑えられるものもあると考えます。今後、研究、検討していただければと思っております。
 続いて、総合防災部関係に移ります。
 防災会議について伺います。東京都防災会議の運営経費の執行率、これは資料を見ますと一八・四%でしたけれども、その背景と影響について伺います。

○芝崎防災計画担当部長 東京都防災会議は、地域防災計画の修正など、防災に関する重要事項を決定する際などにその都度開催しております。
 令和二年度におきましては、防災会議を二回開催し、地域防災計画の風水害編、大規模事故編、原子力災害編の修正などの重要事項について適切に審議しておりますが、いずれも新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ書面で開催したことなどから、執行率は一八・四%にとどまっております。

○竹井委員 防災会議は、重要事項を決定する際など、その都度開催をされているということで、地域防災計画の修正などの重要事項の決定の際ということでしたので、開催がない年もあるようですけれども、おおむね年に一、二度開催されているということで理解をいたしました。
 今回は、予算としては委員の報償費や交通費などを取っておられたんだけれども、書面開催のためその支払いがなかった経費もあったということで、執行率が一八・四%だったということで理解をしたところです。
 その書面開催した防災会議なんですけれども、そこで地域防災計画の修正が決定されたということであります。
 その修正においては、コロナ禍において災害が発生した場合の取組が、どのように反映されているのかについて伺います。

○芝崎防災計画担当部長 本年一月に修正した地域防災計画の風水害編では、感染拡大防止等の観点から、避難先としてホテル、旅館等を活用する区市町村への支援や、避難所における感染症対策に有効な段ボールベッド、パーティション等の備蓄などの取組を位置づけました。
 こうした取組によりまして、コロナ禍における災害対応力の強化を図っているところでございます。

○竹井委員 コロナ対策も意識した計画の修正となっていることが理解をできました。
 さて、防災計画を作成する際には、様々な災害の様々なステージにおいて、女性の視点が反映されることが大変重要だというふうにいわれています。
 避難所においては、例えば着替えや授乳の場所に困るとか、アレルギー対応食やおむつ、それから生理用品の備蓄が乏しいとか、洋式トイレや間仕切りの不足、女性がかかりやすい膀胱炎などの症状について、男性のリーダーには相談しにくいなどの悩み、実際に大災害の後には、男性のストレスによる家庭内暴力で女性の被害が増加したといった問題もあるところです。
 こういった状況があまり改善されない背景には、防災対策や災害復興に関わる担当者、特に意思決定者に女性が少ないということがあるのではないかというふうにいわれています。
 そこで、政府は、二〇二〇年までに、各都道府県が設置する地方防災会議の委員に占める女性委員の比率を三〇%に上げることを目標に掲げてきましたけれども、それは残念ながら二〇二五年に先延ばしをされたということです。
 地域防災計画を修正する上においても、女性の視点が反映されるということが重要であると考えます。
 東京都においては、審議会等における女性委員の任用率を二〇二二年度までに四〇%以上ということを目標にしていますけれども、この東京都防災会議においては、現在、女性比率は約八%です。
 この防災会議の割合には、災害対策基本法で役職を指定している、いわゆる充て職となる委員、例えば教育長とか警視総監などだと思いますが、そういった方が含まれていることは承知していますが、他県では、工夫によって女性比率を相当に上げているところもあります。
 東京都防災会議においては、委員七十三名のうち、十月一日現在で女性委員は六名にとどまっているということは、少ないといわざるを得ません。
 そこで、今後、防災会議における女性委員の比率を高めるために、都はどのように取り組んでいくのかについて伺います。

○芝崎防災計画担当部長 都はこれまで、東京都防災会議条例を改正し、自主防災組織構成員、学識経験者の枠を設け、女性委員四名を任用してまいりました。
 本年十月一日現在、行政関係者二名を含め、女性委員は六名となっております。
 今後は、防災会議全体に占める女性委員の割合を高めるため、人事異動など改選の機会を捉え、男女平等参画の観点も踏まえた人選が進みますよう、関係機関等と連携を図ってまいります。

○竹井委員 よろしくお願いします。
 委員のうち、災害対策基本法第十五条第五項第五号というところで、知事が指名する委員というのがありまして、それは、当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから指名する者となっています。
 例えば佐賀県では、県の職員については一律に部長級を登用するのはやめて、課長等の女性管理職を登用しています。また、性別も問わず現場で実際に業務に従事したことのある経験者の方とかも、ぜひ入れていただいたらいいのかなというふうにも思います。
 また、災害対策基本法第十五条第五項第八号というところによって、知事が任命する委員というのは、先ほどおっしゃっていただいた自主防災組織を構成する者または学識経験のある者とされていて、これは東京都は、先ほどおっしゃっていただいたように、女性委員を四名任用していただいているわけなんですけれども、先ほども申し上げた佐賀県においては、ここのところで十一名が任命されているわけなんですよね。ですから、東京都においても、まだまだ工夫の余地があると思っています。
 佐賀県では、こういった取組によって女性委員の割合は三〇%を超えたということです。そういった工夫の結果、女性が委員になられたことをきっかけに、所属組織で独自に防災訓練を行ったりだとか、将来的に女性を委員として推薦するための勉強会が行われたりするようになったといった、数字に見えない部分でも効果が認められているという報告もありました。ぜひ参考にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、海外都市との連携の取組について伺います。
 決算の説明書を見ますと、海外都市との防災連携強化といったところで、令和二年度の執行率がゼロということになっています。
 東京都においては、災害時における市区町村や関係機関との連携における災害対応力の向上を図るために、毎年度、都内自治体と合同で総合防災訓練を実施していると伺っています。この訓練に海外の都市を呼んでいると伺いました。
 今回、北区と合同で実施をされた令和二年度の東京都総合防災訓練では、新型コロナウイルス感染症の影響で、海外都市からの受入れができなかったということもお聞きしたところです。
 しかしながら、東京都は、首都直下地震、それから気候変動に伴う豪雨災害の頻発化、激甚化、また、そこにコロナに伴う複合災害など、様々な自然災害リスクに直面をしています。それらのリスクに対して適切な対応が求められているところですので、東京都の災害対応力のさらなる向上を図るためには、本来であれば課題を同じくする海外都市との協力体制は大変重要かと思っていますが、改めて伺います。
 総合防災訓練に際して、東京都は海外都市との連携をしていますが、どのような枠組みで行ってきたのかについて伺います。

○猪口総合防災部長 都は、自然災害をはじめ、大都市が直面する様々な課題への対応力を向上させるため、ロンドン、ソウル、バンコクなど、世界の十四都市で構成される危機管理ネットワークに参加しております。
 この多都市間の連携の枠組みを活用した事業の一つといたしまして、毎年度、東京都総合防災訓練におきまして、災害時に海外救助隊を受け入れる想定で合同訓練を実施し、相互の技術交流と災害対応力の向上を図っております。

○竹井委員 令和二年度においては、新型コロナの影響で海外都市からの受入れができなかったということですけれども、コロナ前は具体的にどういった実施状況だったのかについて伺います。

○猪口総合防災部長 令和元年度の総合防災訓練には、台北、新北、シンガポールの三都市から、計十六名の救助隊員等が参加いたしました。
 実際の訓練では、多摩地域を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生した想定の下、東京消防庁との協力体制により、具体的な救出救助活動を合同で実施いたしまして、言語や救助方法の違いなども十分に踏まえながら、救助技術の向上を図ったところでございます。

○竹井委員 コロナ禍ということでありますけれども、海外都市との連携は図っていくべきだというふうに考えますけれども、ご見解を伺います。

○猪口総合防災部長 危機管理ネットワークでは、各都市の実務担当者が毎年一堂に会して危機管理会議を開催し、防災対策などの実務的な課題に関する知見の共有と意見交換等を行っております。
 当会議は、昨年度は中止となりましたが、本年度はオンライン形式で、都市の災害へのレジリエンス強化などをテーマに、各都市からのプレゼンテーションや意見交換が行われ、総合防災部からも職員が出席し、海外都市との連携強化を図ったところでございます。
 今後も、東京の災害対応力の向上を図るため、新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえつつ、防災対策における海外都市との連携に取り組んでまいります。

○竹井委員 今回、危機管理ネットワークとして海外の十四都市との連携が取られていること、それから年に一度の危機管理会議が行われていること、海外からの救助隊を受け入れる想定の合同訓練が行われていることについて、理解をいたしました。
 ぜひこういったことを、都民、それから在東京の各国のコミュニティの皆さんにも周知をしていただいて、いざというときに、ぜひこの訓練で培った成果を発揮できるように、この取組の成果を生かしていただきたいということをお願いいたしまして、終わります。

○やまだ委員 お願いします。
 私から、大きく二点について伺っていきたいと思います。
 まず初めに、都庁内の人事の応援体制について伺ってまいりたいと思います。
 令和二年度は、まさにコロナの一年であり、特に総務局、人事に関しては本当に一年間大変な思いをされたと思います。都庁内においては、新型コロナウイルス感染症対策に係る様々な業務に対応するため、応援体制、人事異動が多く実施されたと思います。
 新型コロナウイルス感染症に係る対策は、事業者への要請や協力金の支給なども含めて多岐にわたりますが、応援を行っていた主な事業とその実績について、改めて伺いたいと思います。

○高崎人事部長 令和二年度の新型コロナウイルス感染症対策の主な応援状況につきましては、宿泊療養施設の運営で最大約六百人、保健所支援で最大約百三十人、協力金等支給業務で最大約五百五十人、事業者への協力要請等で最大約六十人となっております。
 応援人員の合計の推移につきましては、最初の緊急事態宣言期間中である令和二年四月に、宿泊療養施設の開設や保健所支援により約五百五十人となっております。同年五月には、協力金等支給業務の本格化に伴い約千人以上となり、年度内は同規模の応援を継続しております。

○やまだ委員 令和二年度一年間を通じて、本来業務と両立を図りながら、千人以上の職員の方々がコロナ対策に従事されたことが分かりました。応援派遣や異動の調整は本当に大変だったと思います。そして、さらに加えて、都職員の対応だけでは限界もあり、仕事によっては委託や人材派遣も活用したと聞いています。
 新型コロナウイルス感染症対策においても、臨時職員や非常勤職員の任用を行ってきたと思いますが、その実績と主な従事業務についても伺いたいと思います。

○高崎人事部長 新型コロナウイルス感染症対策の業務を支援するため、令和二年度に会計年度任用職員を新たに約四百名採用しております。
 主な従事業務は、保健所における疫学調査、宿泊療養施設における健康観察や運営補助、協力金等支給業務における申請受付などでございます。
 このほか、緊急雇用対策で内定を取り消された方や離職された方等を対象に、六百名を超える方々を会計年度任用職員として採用し、協力金支給業務等を含む様々な事務補助業務に従事しております。

○やまだ委員 会計年度任用職員四百名を超える採用、また、離職された方々を対象にした六百名を超える職員の任用もされてきたというご答弁でした。これらの方々の、随時そのタイミングに合わせた募集、そして任用調整も本当に大変な業務だったと思います。特に、専門職においては、思うような数が集まらないなど仄聞しているところであります。
 こういった対応に関して、今般の新型コロナウイルス感染症対策については、都の新型インフルエンザ行動計画で規定されているBCPの想定を超える事態であったと思います。現状のBCPでは対応に困難があったと認識しておりますが、災害などの有事における人材の確保や人員の配置については、あらかじめ準備をしておくことが本当に重要だと思います。
 そこで、有事の際の人員体制や仕組みについて、コロナへの対応により浮かび上がった課題などについて伺いたいと思います。

○高崎人事部長 都では、効率的に事業を実施するため、毎年度、人員や組織を精査し、各事業の基本的な執行体制を整備しております。一方、災害時は、職員の応援や人事異動などにより、全庁的な体制を整えることとしております。
 感染症への対応は、新型インフルエンザ行動計画にBCPが規定されておりますが、今回の新型コロナウイルス感染症では、想定されなかった広範かつ膨大な業務が発生しました。
 また、感染状況の変化に応じた新たな対策が求められ、その都度、応援職員が必要となる場合があり、計画的な人員確保が困難な面がございました。
 さらには、対応期間が長期化することによって、事業の休止、縮小による人員確保が難しくなったことも課題でございます。
 こうした課題も踏まえて、柔軟かつ即応可能な応援体制を構築し、感染症対策を実施していく必要があると認識しております。

○やまだ委員 全庁的な体制を整えていく中で、災害時の対応、まさにこれまでの想定を超える範囲、広範な、かつ膨大な業務が発生した。また、今回は本当に長期的にもわたっておりますし、様々な課題が見えてきたご答弁ということで理解をいたしました。
 ぜひ、今回のコロナの対応に関して、災害の前提を、新型インフルエンザの中でのBCP活用だけではなく、その前提をさらに広く視野を持っていただきまして、このような災害級の感染症を含めた対応ができるような体制づくりを今後検討いただきたいと思います。要望させていただきたいと思います。
 次に、内部統制制度について伺いたいと思います。
 昨年度から東京都で実施されている内部統制について、これは、地方自治法の改正により全国の自治体に導入された制度であり、さきの第三回定例会に、東京都での実施状況に係る評価報告書が報告されました。
 まずそこで、この制度が導入されることとなった法改正の背景と法定された内容について伺いたいと思います。

○貫井理事 内部統制の導入に係る地方自治法の改正は、人口減少社会においても行政サービスを安定的、持続的、効率的かつ効果的に提供していくための地方行政体制を確立することが求められていることなどを背景として、監査制度の充実強化や地方公共団体の長等の損害賠償責任の見直し等の改正とともに、財務に関する事務の適正な管理執行を確保することを目的に行われたものでございます。
 内部統制の実施に当たりまして、都道府県知事は、基本方針を策定した上で、財務に関する事務の適正な管理及び執行に着実に取り組むとともに、規程等の整備状況及び運用状況について、毎年度、内部統制評価報告書を策定して議会に提出し、公表することとされております。

○やまだ委員 内部統制制度と、一般的にこの言葉を聞くと、ルールを守っていくということをイメージしがちですが、その狙いは、ご答弁にあったとおり、行政サービスを人口減少の中でも安定的にまた効率的に提供するために、財務に関する業務を確実に行うことにあるとのご答弁でした。東京都も、今後、人口の減少が見込まれる中、こうした視点に立った内部統制を機能させていくことの重要性は、ますます高まることとなります。
 都は、組織の規模が本当に大きく、また、財務に関する事務処理の件数も膨大であろうと思いますが、その特性を踏まえて、内部統制にどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○貫井理事 内部統制は、財務事務に関する規定を整備し、その規定にのっとって確実に事務を行い、規定整備や事務処理の状況を評価した上で、発生した誤りの原因を見極めて再発防止を図る取組でございます。
 このうち、評価におきましては、組織の規模が大きいことを踏まえ、知事部局の全ての課が自ら行った財務に関する事務を評価して報告するに当たり、全庁的に統一的な検討がなされるよう、発生した誤りの内容や原因を特定する共通のチェックリストを用いて提出してもらうなどの工夫をしてございます。
 また、把握した誤りにつきましては、財務局や会計管理局等の制度所管部門と連携し、組織としての原因分析及び再発防止策の策定を行っているほか、同種の誤りの発生を防ぐため、その概要と再発防止策について全庁に情報提供を行ってございます。

○やまだ委員 共通のチェックリストを用いられる工夫、また財務局や会計管理局等の制度所管部門との連携、様々、全庁的に情報も提供していくなど、工夫と体制整備がしっかりと整っていることを確認いたしました。
 内部統制を機能させ、事務処理の誤りをなくしていくためには、この制度の狙いをしっかりと職員の方々に浸透させ、理解してもらった上で、誤りを防ぐための仕組みを構築していくことが欠かせないと思います。
 そのためには、様々なやり方があると思いますが、ICT化が進んでいる現在においては、デジタルの力を活用することは有効な手法だと思います。デジタルの力でヒューマンエラーを防止することで、業務における職員の負担軽減にもなり、ひいては効率的な行政サービスの提供にもつながります。
 令和二年度は、内部統制の取組初年度でありましたが、ICTの活用も含め、どのように取り組んできたのか伺いたいと思います。

○貫井理事 財務に関する事務を効率的に行うためには、表計算ソフトや電子ファイル、情報通信システム等のICTの利活用は不可欠でございます。ICTへの対応は、内部統制においても基本的要素の一つと位置づけられているところでございます。
 都においても、業務にICTを体系的に組み込んで様々な形で利用しており、その中で発生した誤りについては、ICTを活用した上で再発防止に努めることが有効でございます。
 令和二年度の取組におきましては、支払いに当たって、債権者の口座を取り違えた案件につき、債権者情報と支払い先口座の電子データを一元的に管理するよう改めた事例がございまして、同種事案の再発防止のため、これを全庁と共有を図りました。
 このように、把握した誤りにつきましては、個人の不注意のみを原因とするのではなく、組織として発生を防ぐことができなかった原因を分析し、ICTの機能の活用も含めて再発防止策を検討し、策定することが重要でございます。
 今後とも、財務に関する事務の適正な管理執行の確保に向けて、ICTの適切な利用も図りながら、事務の誤りを低減するため、内部統制の取組を着実に推進してまいります。

○やまだ委員 ICTの活用をされているという、今回、令和二年度においても、実際に様々な事例もあったというご答弁でもありました。
 ぜひ、ICTの機能の活用を最大限、また都庁のデジタル化、DXも進められておりますので、こういったデジタル化とICT化、様々連携をしながら、しっかりと進めていただきたいと思っております。
 以上で私からの質問を終わります。

○古城委員 この各決第一分科会での質疑は恐らくこれで最後に、恐らくというか、私で最後であろうかと思います。
 私は、誰一人取り残さないという人間の安全保障の考えを反映したSDGsの理念こそ、コロナ禍を乗り越える都政の道しるべであるとの考えに立ちまして、第一分科会での各局との質疑に臨んでまいりました。
 総務局の皆様との質疑におきましても、私からの一方的な言及になるやもしれませんが、SDGs事業局ともいっても過言ではないかなと私は思っておりまして、そうしたことから、本日の質問のテーマにつきましても、SDGsのゴールとの関連性をまずお示しをしながら進めてまいりたいと思いますので、ご理解賜れればと思います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、総務局所管分に関連し、行政委員会事務局、障害者雇用、就職氷河期世代支援、小笠原・国境離島、東京都立大学、そして人権施策について質問してまいります。
 初めに、行政委員会事務局の体制についてであります。
 SDGsで申し上げると、ゴールの十七番目、パートナーシップで目標を達成しようというところに当たるかと思います。
 長期化するコロナ禍における都の執行体制について、これまで感染症対策部の設置や人事異動による増員に加えて、局組織を超えた応援職員による対応などにより、人員を確保し、全庁挙げて取り組んできたと聞いております。
 本日は、特に知事部局と行政委員会事務局との間で、職員の応援体制の構築などができているのか確認してまいります。
 まず、都の局長級職員が長である事務局長を務める収用委員会、労働委員会、人事委員会、選挙管理委員会、監査委員の五つの行政委員会事務局における令和二年度の職員の応援状況についてお尋ねいたします。

○高崎人事部長 今回のコロナ禍では、依命通達に基づく都政の特別体制により、局の垣根を超えた応援を行い、行政委員会事務局に所属する多くの職員が、部課長級職員を含めて感染症対策業務を行いました。具体的には、保健所への応援、感染拡大防止協力金の給付事務、事業者への協力要請などに従事しております。
 令和二年八月の第二波の際には、定数の二割を超える職員が応援業務に従事する事務局もございました。

○古城委員 知事部局や公営企業局に限らず、各行政委員会の事務局からも、新型コロナ対応の応援業務に携わっておられるわけでありますが、どの職場でありましても、今答弁がありましたように、二割の人員が他局へ派遣されるという状況は、日常の業務を円滑に進めていくという点においても、非常に、そして極めて厳しいといえます。また、応援業務に従事された職員の方々はもちろんのこと、派遣元のいずれの部署にあっても様々なご苦労があったかと思います。
 ただ、ただいまの答弁でも明らかなように、行政委員会事務局からの応援職員は部課長級までにとどまり、一方で局長級の応援はなかったわけであります。知事部局においては今も局長級の兼務が多数発令されており、新型コロナ対策に行政委員会事務局長を活用する余地があったのではないかと考えます。
 そこで、行政委員会事務局長の知事部局の事業への活用について見解を求めます。

○高崎人事部長 行政委員会を含めた地方公共団体の執行機関は、その権限と責任に基づいて所掌する事務を執行しております。一方、震災、風水害や感染症など有事においては、対策本部を設け、全庁一丸となって対応することとしております。
 行政委員会事務局長の知事部局や他の執行機関の職との兼務については、法制度上は可能でございますが、機構の長としての高度な判断を行うなど重要な職務を担うことから、慎重な判断が必要と認識しております。
 コロナ対策に関する全庁の応援体制につきましては、今後の状況を踏まえながら、機動的に対応してまいります。

○古城委員 行政委員会事務局長の機動的な人材活用が制度的に可能であることを確認させていただきました。
 都の人材資源の有効活用について、今後も常に適材適所の観点から対応していくことが重要であります。したがいまして、行政委員会事務局長に関しましても、有事、平時の両面で検討を深めていただきたいと求めさせていただきます。
 次に、都庁における障害者雇用についてであります。
 SDGsの目標で申し上げると、三つ目の全ての人に健康と福祉を、また、八つ目の働きがいも経済成長もというところにつながるかと思います。
 都議会公明党はかねてより、精神障害者、知的障害者にも東京都職員採用試験の門戸を開くことと併せて、障害特性や程度に応じたきめ細かな職場環境の整備などを訴えてまいりました。これらの強い要請を受けて、都は、二〇一七年度の障害者採用選考から対象を拡大しています。
 そこで、昨年度の障害者採用選考の結果など、都における障害者雇用の取組状況についてお尋ねいたします。

○高崎人事部長 昨年度の障害者採用選考の合格者は四十六名であり、その内訳は、精神障害者が三十二名、身体障害者が十四名でございます。
 平成二十九年度に、精神障害者、知的障害者に対象を拡大して以降、四年間で、精神障害者が百十六名、身体障害者が五十七名合格しております。
 障害者の雇用に当たりましては、障害特性や配慮すべき事項、各職場の取組をまとめた事例集の改定等を行うとともに、受入れ職場等を対象に、改めて職員研修を実施しております。
 令和元年度末には、令和二年度から五年間を計画期間とする障害者活躍推進計画を策定しており、障害を有する職員がその能力を有効に発揮できるよう、この計画に掲げた様々な取組を推進してまいります。

○古城委員 ただいまお答えをいただきました昨年度の採用選考結果は、前年の令和元年度からもそれぞれ数名ずつ増加をしておりまして、都の障害者雇用が前進をしておるわけですけれども、一方で、残念ながら四年間で知的障害者の常勤職員選考の合格者はゼロとなっております。
 都議会公明党は、令和二年予算特別委員会で、知的障害者の常勤採用に向けた具体的な取組を進めていくことを訴えました。これに対し知事は、知的障害者の方が非常勤職員から常勤職員にステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みの創設に向けて検討を進めていくと応じました。
 そして、同年の第三回定例会の我が党の代表質問において、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に、令和二年度中に常勤職員の採用選考を実施し、合格者については、令和三年度から常勤職員として事務等の補助の職務を担わせる方針が示されました。
 そこで、改めて都における知的障害者雇用の取組状況についてお尋ねいたします。

○高崎人事部長 平成三十年度から、知的障害者の障害特性に適した職務内容や勤務条件を検証していく取組として、総務局において、知的障害者を対象とした非常勤職員であるオフィスサポーターの雇用を開始し、現在、十一名が勤務しております。
 この取組では、専門的な知識、経験を有する支援員を活用し、各種庶務事務や軽作業を切り出すことにより、個々の能力や適性を踏まえた職務の創出を行っております。あわせて、オフィスサポーターの勤務時間を段階的に拡大するなど、着実に職場環境の整備を進めております。
 さらに、こうした取組状況を踏まえ、昨年度、非常勤職員から常勤職員へステップアップすることを可能とする新たな雇用の枠組みを創設し、一定の勤務実績のあるオフィスサポーターを対象に採用選考を実施しました。この結果、今年度より常勤職員を四名任用しており、事務等の補助の業務に従事しております。
 今後とも、都における知的障害者の雇用促進に努めてまいります。

○古城委員 常勤職員へステップアップできる新たな雇用の枠組みは、職業訓練としてではなく、一般就労で都庁の戦力として雇用していくことに大きな意義があり、長期的、また安定的な雇用の確保につながることから、高く評価するとともに、私が日常的に要望をお伺いをしております地元の新宿区手をつなぐ親の会の皆様をはじめ、保護者の方々から期待の声が寄せられているということも付言したいと思います。
 関連しまして、政策連携団体の障害者雇用についてであります。
 都議会公明党は、監理団体の当時から、政策連携団体の障害者の法定雇用率の達成を訴えております。そして、全ての団体で障害者雇用が進むように、都庁が培ってきたノウハウを都庁グループ全体で共有するなど、達成に向けた具体的な提案を行ってまいりました。
 私は、昨年所属をしておりました公営企業委員会において、公営企業三局の本局における障害者雇用の状況を確認するとともに、各局所管の政策連携団体についても質疑で状況を明らかにいたしました。
 その中で、東京都下水道サービス株式会社につきましては、残念ながら法定雇用率に対して必要な雇用者数が確保されていない状況ではありまして、雇用率は着実に上昇しているものの、雇用率が達成できていなかったわけでありますけれども、総務局が実施をする政策連携団体職員の理解を深めるための研修会の受講を機に、社内横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、障害を有する方の特性を踏まえた業務の切り出しを行うなどの取組によって、令和元年度には三人の採用につながったそうであります。
 令和三年予算特別委員会でも、都議会公明党が政策連携団体における障害者雇用を確認しましたところ、令和二年六月一日現在、障害者雇用促進法に基づく雇用義務制度の適用対象である二十五団体のうち、未達成が五団体とのことでありました。本年三月からは法定雇用率も〇・一ポイント引き上げられております。
 そこで、法定雇用率の達成はもとより、障害者雇用の促進に向けた積極的な取組についてお尋ねいたします。

○小野グループ経営戦略担当部長 都はこれまでも、政策連携団体における障害者雇用促進に向け、団体に対しまして、ハローワークの講師による講義、都における取組や東京しごと財団の支援メニューの紹介などを行ってまいりました。
 また、昨年度は新たな取組といたしまして、政策連携団体のより一層の意識向上のため、受入れ職場となる団体の職員等を対象としまして、ウェブ上から視聴ができる動画による研修を行い、団体職員五十八名、所管局担当者十七名、計七十五名の参加がございました。
 引き続き、未達成団体に対する個別の進捗状況に応じた支援や団体全体での好事例の共有などを通して、政策連携団体における障害者雇用のさらなる推進を図ってまいります。

○古城委員 引き続き、政策連携団体におきましても一層の障害者雇用が進展するように、また、法定雇用率の達成に向けまして、都庁グループの総合力を生かして積極的に取り組んでいただきたい、このことを重ねて要望いたします。
 次に、就職氷河期世代の都職員採用についてです。
 SDGsで申し上げますと、五のジェンダー平等を実現しよう、八の働きがいも経済成長もというところに当たるかと思います。
 私は、令和元年第二回定例会の一般質問で、誰もが明るい未来に向けて活躍できるような施策の積極的な検討とともに、就職氷河期世代には数多くの人材が埋もれており、経済的、社会的損失は計り知れないことから、就労支援の強化を求めました。
 また、さらに令和二年予算特別委員会では、就職氷河期世代がこれまでの経験や能力を生かして活躍できるよう、社会を挙げて応援していくことを訴えました。
 また、この間、愛知県庁を視察し、既に導入されている就職氷河期世代を対象とする県職員採用試験の実情をつぶさに調査してきたことを踏まえて、都での職員採用の実施について総務局の皆様と意見交換してまいりました。
 その上で、就職氷河期世代を対象とする都職員採用においては、募集人員は十名を超える規模とし、高校卒業程度に加えて大学卒業程度の採用枠も設け、人材を幅広く求めること、併せて正規就労につなげていく支援策として、就職に必要な力を高めることができる形態の採用の実施を提案いたしました。
 そこで、都における就職氷河期世代の職員採用の取組状況についてお尋ねいたします。

○高崎人事部長 昨年度実施した就職氷河期世代を対象とした常勤職員の採用試験の合格者は二十三名であり、その内訳は、大学卒業程度の区分が十二名、高校卒業程度の区分が十一名でございました。今年度も、それぞれの試験区分で採用予定者数を十名として募集を行い、現在、選考手続を進めております。
 また、都庁において就労経験を積むとともに、資格取得などを通じて、民間企業等への正規雇用での就労を目指す取組として、非常勤職員の採用選考を実施しており、昨年度は十名が合格し、感染症対策をはじめ、各種業務に従事しております。なお、今年度は十一名が合格しております。
 常勤職員と非常勤職員との二つの採用を実施し、公務職場を活用することを通じて、就職氷河期世代の方の安定的な就労に取り組んでまいります。

○古城委員 着実に就職氷河期世代の採用が進んでいることが確認できました。
 都職員の年齢構成は、三十代から四十代が少ない特徴があるともいわれておりまして、持続可能な都庁の体制整備のためにも、就職氷河期世代を対象にした採用試験の継続的な実施を要望したいと思います。
 次に、小笠原・国境離島についてであります。
 SDGsで申し上げますと、十一の住み続けられるまちづくりを、十四の海の豊かさを守ろう、十五の陸の豊かさも守ろうに当たります。
 日本は、本土の五つの島、北海道、本州、四国、九州、沖縄本島以外に、約六千八百の離島を有しています。離島は、領海の範囲を決める基点となるほか、漁業や天然資源の採掘といった経済活動を行うための優先権が認められる排他的経済水域、いわゆるEEZを設定する際の根拠ともなります。
 数多くの離島を有する日本の領海とEEZを合わせた面積は、国土面積約三十八万平方キロメートルの約十二倍となる約四百四十七万平方キロメートルで、世界第六位の広さを誇ります。この広大な海域を支える離島を適切に管理し、保全していくための支援策の強化が重要であるとの認識が高まっております。
 そこで、海洋立国日本の実現を目指し、平成十九年に海洋基本法が制定され、海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、政府に総合海洋政策本部が設置されました。
 二〇一八年から二〇二二年度の海洋政策の指針となる第三期海洋基本計画では、海底資源開発など経済に軸足を置いた過去二回の計画の方針を転換し、領域警備や離島防衛など安全保障を前面に出しています。特に、国境付近の離島である国境離島は、領海やEEZの基点であり、領土や領海を守る拠点としての役割を果たしています。そのため、この計画では、重点項目として国境離島の保全と管理を掲げられております。
 さて、東京には、区部、多摩地域だけでなく、海洋とともに育まれてきた個性豊かな島々があります。私もこれまでに、大島、三宅島、八丈島、父島、南島、母島、さらには至近の海上から兄島を訪問してきました。
 美しい自然に恵まれた伊豆諸島、小笠原諸島は、島の皆様との温かい交流とともに、島酒、島酎、栄養満点の健康野菜アシタバが香るうどんやカレーなどの料理、そして島ずし、島レモン、牛乳煎餅など、個性豊かな島の味に加えて、独自の伝統が息づく工芸品も魅力的であります。
 中でも小笠原諸島は、東京から南に約一千キロメートルから一千八百キロメートルの太平洋上に散在する三十余りの島々から構成され、日本最南端の島、沖ノ鳥島と、日本最東端の島、南鳥島が属しており、日本のEEZの約三割という広大な海域を確保しています。国家の要衝であり、国境離島の維持保全や島民生活の安定は、国においても、都においても、重要な課題と考えます。
 都は昨年十月、総務局に小笠原・国境離島担当を新設していますが、まず、その目的についてお尋ねします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 小笠原諸島の沖ノ鳥島、南鳥島は、海洋国家としての我が国の地位を堅持し、国益を維持する上で重要な国境離島であり、両島の維持保全や利活用によりもたらされる豊かな海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせません。また、小笠原村では、村民の切なる願いである航空路をはじめとする交通アクセスの改善や住民の定住化を促進するための生活利便性の向上などの課題があります。
 こうした国境離島の維持保全や島民生活の安定という観点を含め、小笠原諸島の諸課題に対し、これまで以上に精力的に検討を進めていくため、昨年十月、新たに人員を配置し、執行体制を強化しました。

○古城委員 続きまして、この小笠原・国境離島担当を新設した後、国境離島という観点から取り組んだことについてお尋ねします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 国境離島に関する取組を進めていくためには、国の支援、協力が不可欠です。
 昨年十月、担当新設の機を捉え、知事自ら海洋政策を担う内閣府特命担当大臣や国土交通大臣らと直接会い、沖ノ鳥島、南鳥島について緊密な情報共有やネットワークの構築など、都と国との連携協力を要請するとともに、実務レベルでも関係省庁等との関係を強化しました。
 また、南鳥島近海におけるレアアース泥を含む海洋鉱物資源の調査、開発の推進や、我が国の排他的経済水域の根拠となる沖ノ鳥島や南鳥島をはじめとする国境離島の維持保全により、海洋国家としての我が国の地位を堅持するよう、国への提案要求も行っています。

○古城委員 沖ノ鳥島は約四十万平方キロメートル、南鳥島は約四十三万平方キロメートル、いずれも、先ほども申し上げました日本の国土全体の面積約三十八万平方キロメートルを上回る排他的経済水域、EEZを持つ極めて重要な島でありまして、これらを含む東京の海を守ることは、我が国の海洋権益を確保するとともに、国家的見地から重要な海域の主権を維持することにつながります。
 当然、領土、領海を守る仕事は一義的には国の役割、責任である一方で、広大なこうした海域を有する東京には、それを支える役割も求められるのではないでしょうか。
 都において、海洋や離島に関する施策の所管は、産業労働局、港湾局にもまたがりますが、それぞれを相互に連携調整しながら進めていくためにも、総務局こそが、国における総合海洋政策本部のような役割を担うべきであるということも申し上げておきたいと思います。
 関連しまして、国境離島に暮らす島民の生活の安定という観点から、小笠原航空路について質問します。
 私は、一昨年九月、小笠原村を初めて訪問し、小笠原諸島振興開発計画の策定に向けた課題を探るとともに、村民の皆様の声を丹念に伺ってきました。
 その中で、都心から約一千キロメートル離れ、本土とのアクセス方法が片道二十四時間、約六日に一便の「おがさわら丸」に限られた村民の方々にとって、小笠原諸島返還以来の長年の悲願である航空路開設に向けて、海上及び地上から、都が集中的に検討するとした洲崎地区をつぶさに調査しました。
 都では、令和元年度以降、それまでの予算の約四倍に当たる約四億九千万円の調査費を計上しています。
 そこで、小笠原航空路に係る令和二年度の調査の実施状況についてお尋ねします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 小笠原航空路の検討に当たっては、飛行場の基本構造や工法の実現性を確認するために各種調査を実施しています。
 昨年度は、令和四年度まで実施予定である洲崎地区における風向きや風速等の計測を継続するとともに、周辺海域の波の向きや高さ等、飛行場の配置案や施工方法の検討に活用するためのデータを収集しました。
 また、工事の際の安全性を確保する観点から、洲崎地区陸上部及び周辺の海上で磁気調査を行い、磁気量の高い地点を複数箇所確認したほか、都条例に基づく環境調査評価に向け、引き続き、現地における生物の生息状況の調査を行いました。
 加えて、航空機については、いずれも開発中でありますが、小笠原への運航可能性があるとされる二つの機材について調査を行っています。
 具体的には、座席数が最大四十八席で、一千メートル程度の滑走路で離着陸可能とされるATR42−600Sというプロペラ機と、座席数が最大九席で、滑走離着陸の場合でも、四百メートル程度の滑走路で離着陸可能とされるAW609というティルトローター機の開発状況や想定される性能等について、メーカーや運航事業者にヒアリング等を実施しました。

○古城委員 本年二〇二一年、令和三年は、小笠原諸島が世界自然遺産に登録されてから十年の節目です。小笠原の島々は、エクアドルのガラパゴス諸島と同様、かつて一度も大陸と地続きになったことのない海洋島であります。このため、島の生き物は独自に進化し、数多くの固有種が誕生しましたが、大陸ほど厳しい競争は経験しておらず、いざ外来種が入ると爆発的に増えやすいといわれています。
 私も、貴い生態系を乱す外来種対策、例えば兄島におけるグリーンアノール対策のほか、東京都版エコツーリズムによって上陸が一日最大百人に制限されている南島にガイド同行で渡り、定められたルートを利用して自然保護の取組などを視察しました。
 小笠原諸島における振興開発を考える上で、自然環境の保全は欠くことのできない重要な視点です。
 そこで、小笠原航空路の検討に当たり、自然環境の保全に向けた取組についてお尋ねします。

○若林小笠原・国境離島担当部長 都は平成三十年、航空路に関して、これまで検討してきた洲崎地区活用案、硫黄島活用案、水上航空機案の三案のうち、より実現性の高い洲崎地区活用案に絞り、集中的に調査検討を実施しています。
 具体的には、貴重な自然環境の保全との両立を図るために、専門家から助言を受け、現地において、小笠原固有のカタツムリなど陸産貝類やウミガメ、鳥類等の調査を行っています。
 また、令和二年度には、洲崎地区周辺や二見港の海域において、ヒトデ、ウニ等の棘皮動物やサンゴ等の調査を行っており、特に留意が必要な十六種を含む四百二十四種の生物を確認しました。
 さらに、昨年十二月には、小笠原諸島の自然環境の適正な保全管理に必要な助言を得るために設置された小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会に出席し、メンバーである専門家に対し、小笠原航空路についてご理解をいただくため、これまでの検討状況の説明を行いました。
 引き続き、専門家のご意見等を踏まえながら、貴重な自然環境と調和した実現可能な航空路案を取りまとめられるよう、調査検討を進めてまいります。

○古城委員 東洋のガラパゴスとも呼ばれる小笠原諸島の自然環境は、東京のみならず人類共通の貴重な財産といえます。
 都が小笠原航空路について集中的に調査検討を進めている洲崎地区は、国立公園や世界自然遺産区域には該当しませんが、自然環境の保全との両立を図ることとともに、住民生活の向上のためにも航空路の必要性は極めて高く、都として空港建設の促進に全力を挙げることを要望いたします。
 次に、東京都立大学についてです。
 SDGsで申し上げますと、四つ目のゴール、質の高い教育をみんなにを中心として、全てのゴールに関わるかと思います。
 私は、本会議一般質問、予算特別委員会、また総務委員会などで、東京都立大学がSDGsの推進拠点となることを訴え、約百四十か国、一千三百校以上の世界の大学などと連携した国連アカデミック・インパクト、UNAIへの参画を提案してきました。
 これに対し、令和二年予算特別委員会で、総務局長から、都が設立した高等教育機関として、大都市が抱える課題の解決と持続的発展に貢献するため、多彩な研究や人材育成に取り組む東京都立大学について、令和二年度の早い時期に国連アカデミック・インパクトに加盟し、広く都民や受験生に周知していくことで、プレゼンスの向上を図る方針が示されました。
 そこで、東京都立大学における令和二年度のSDGsに関する取組についてお尋ねします。

○片山企画担当部長都立大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 東京都立大学では、持続可能な社会の実現に資する研究活動や人材育成に取り組んでおります。
 昨年度におきましても、学内十七の研究拠点を中心といたしまして、異常気象に関する研究ですとか、子供の貧困に関する研究などをはじめ、国際連合が採択した持続可能な開発目標、SDGsに関連する研究を幅広く進めてまいりました。
 また、シニア層を対象としたプレミアム・カレッジにおいてプログラムの充実を図るなど、年齢を問わない学びの場の提供に努めますとともに、障害のある学生のサポートや教員に対する研究と家庭の両立支援など、ダイバーシティの取組にも力を入れております。
 お話の国連アカデミック・インパクトにつきましては、昨年八月二十四日、これに加盟いたしまして、SDGsの達成に向けた都立大の様々な取組をホームページを通じ発信しております。
 引き続き、海外の大学などとも連携を図りながら、東京の都市課題解決や持続的発展に貢献する教育研究を戦略的に展開してまいります。

○古城委員 東京都立大学の国連アカデミック・インパクト、UNAIへの加盟を高く評価させていただきます。
 国連広報局のUNAI責任者は、学問は他者を利し、学生は何かを生み出す、SDGsに取り組んでいる大学ほど、この組合せが効果的で劇的に作用している場所はないと強調されています。時代変革の力強いエネルギーは学生たちから生まれます。UNAI加盟を契機に、東京都立大学こそ、SDGsの目標達成をはじめ、課題解決のための英知を育む揺籃となることを期待いたします。
 最後のテーマであります人権施策について順次質問をいたします。
 SDGsでは、三つ目のゴール、全ての人に健康と福祉を、十番目の人や国の不平等をなくそう、こうしたことに当たると思います。
 初めに、犯罪被害者支援についてです。
 私は、犯罪被害の当事者やご遺族の生の声をお聞きするとともに、一九七五年に初めて被害者の権利を提唱された諸澤英道先生など、支援に携わる関係者と共に活発に意見交換しております。
 そして、都の犯罪被害者等支援条例が先進的な条例となることを願い、既に条例を制定していた佐賀県、大分県、大分市、そして三重県を調査し、これらの先行自治体の取組も踏まえて、都条例に、被害者、家族、支援団体などの意見を取り入れるとともに、心ない差別や偏見から被害者と家族を守る自治体の責務などを盛り込むこと、被害者に加えて被害者支援相談員からも意見を聞く実態調査を行うことや、見舞金などによる経済的支援の充実など、具体的な提案を行いました。
 これらを受けて、知事は、令和二年第一回定例会において、都議会公明党からの要望を踏まえて、見舞金制度を新たに創設する旨を明らかにしました。
 昨年のこの第一分科会で、都議会公明党が視察した県の担当職員の方から頂戴した都の担当部局の皆様も大変ご努力されており、とても刺激を受けましたとのメッセージを紹介をしましたけれども、実は加えて、今般、東京都さんは、見舞金制度に加え、転居費用や無料法律相談も実施されており、今やトップランナーになられたのではないでしょうかともおっしゃっていただいておりました。
 今後は、都も先行自治体の一つとして、他道府県などからの問合せにも対応していかなければなりません。
 そこで、令和二年度から開始した見舞金の実績についてお尋ねするとともに、あわせて、まだ制度を導入していない他自治体への協力についてもお答えください。

○吉村人権部長 犯罪被害者等見舞金は、国による犯罪被害者等給付金の支給までの間、医療費、裁判費用等、当面必要となる経費に充てるため、重傷病を負った被害者本人に十万円、被害者が亡くなった場合にはご遺族に三十万円を支給するものでございます。
 令和二年十月から受付を開始し、同年度末までの支出実績は十五件となっております。内訳は、重傷病見舞金が十三件、遺族見舞金が二件でございます。
 対象となる被害者等に適切に支援を提供できるよう、ホームページへの掲載やリーフレットを関係機関に配布して、制度の周知を図るとともに、警視庁にも被害者への周知について協力を依頼しております。
 制度を開始して以来、見舞金の導入を検討している十三の他道府県から、見舞金の支給要件の判定方法、警視庁や関係機関との連携等について照会がございました。都の制度について具体的な情報提供を行い、現在までに五県が見舞金制度を導入しております。

○古城委員 犯罪被害に遭われた方は、日常生活において様々な困難、不安にも直面されます。見舞金を契機として、区市町村との連携強化により、少しでも早く、かつ十分な支援につなげていかなければなりません。
 大分県では、幾度も相談者の方が同じ話をしなくても済むように、犯罪に遭った被害者などの気持ちや状況、支援の対応などを整理、記録する支援ノート、絆を作成し、被害者に寄り添った支援を実施しています。このノートは、小さな県内市町村でも、いずれの機関でも、窓口となって相談者の話を聞き、県につないでいくこととともに、行政組織に横串を刺して被害者支援を行うことを目指しています。
 私はかねてより、都においても、この支援ノート、絆を参考にした取組を繰り返し要望してまいりましたけれども、昨年度の総務委員会において、都議会公明党の質問に対し、被害状況等の情報や支援の経過を一元的に記録できる被害者等支援ノートを新たに作成するとの答弁を得ました。
 そこで、被害者等支援ノートの取組状況についてお尋ねします。

○吉村人権部長 犯罪被害者等支援に当たりましては、被害状況等の説明を繰り返すことによる被害者等の心理的負担の軽減を図るとともに、支援の経過等について、関係機関と円滑に情報共有し、状況に応じた適切な支援を提供していくことが重要でございます。
 そこで、都は、必要な情報等を記録できる被害者等支援ノートを新たに作成し、希望に応じて交付する取組を昨年度策定した第四期東京都犯罪被害者等支援計画に盛り込みました。
 ノートの作成に当たっては、お話にもございました大分県の支援ノート、絆等、他の先行事例についてヒアリングし、実際にどのように活用されているかなどを把握した上で、本年七月に、被害者や民間団体、警察等で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、都が作成するノートについて、その内容や関係機関が使用する際のガイドライン等の検討を行っております。
 今後は、年度末の完成を目指し、学識経験者や区市町村等関係機関の意見を聴取する予定でございます。

○古城委員 改定された犯罪被害者等支援計画には、都議会公明党が提案してまいりました見舞金などの経済的支援や被害者等支援ノートをはじめ具体的な支援策が盛り込まれております。
 犯罪被害者の方々が一日も早く平穏な日常を取り戻せるよう、都は、計画を着実に実行し、特に初期段階の支援の中核を担う被害者が生活する区市町村とも連携して、早期かつ十分な支援を行うことができる体制の充実を要望いたします。
 二点目は、インターネット上の誹謗中傷についてです。
 インターネット上の誹謗中傷は犯罪であり、重大な人権侵害です。時代の変化に伴って生じる新たな課題にも対応しなければなりません。
 まず、事態が深刻化するインターネット上の誹謗中傷に対する都の令和二年度における取組をお尋ねします。

○吉村人権部長 都では、インターネット利用時のルールやマナーに関する普及啓発を行うとともに、東京都人権プラザで人権相談を実施しており、インターネット上で誹謗中傷を受けたなどの相談を令和二年度は九十二件受けております。
 相談者が法的なアドバイスを希望する場合は、弁護士による相談を実施しているほか、人権侵犯事件としての調査、救済を希望する場合には、国の人権擁護機関である東京法務局等の相談窓口を紹介しております。

○古城委員 公明党は、インターネット上の誹謗中傷の根絶に向け、適切かつ迅速な投稿削除やアカウント停止など、プラットフォーム事業者による取組の実効性を高めるとともに、侮辱罪の厳罰化を推進する政策を提示しています。
 また、公明党東京都本部青年局は、現在も展開をしております若者向け政策キャンペーン、#ツギコメにおいて、六つの政策テーマの一つにSNSの誹謗中傷を掲げています。
 法務大臣は九月、インターネット上の誹謗中傷行為に歯止めをかけるため、刑法の侮辱罪を厳罰化する法改正について法制審議会に諮問しました。公明党が今年六月、菅総理大臣に申し入れた青年政策の提言で、罰則の引上げを含む対策強化を求めていた内容が反映されたものであり、法制審での議論を注目したいと思います。
 さて、法務省の人権擁護機関がインターネット上の人権侵犯事件として対応した件数は、この十年で三倍超となり、事態は深刻であります。
 そうした中で、都の「じんけんのとびら」では、最近では、インターネット上で不当な差別的取扱いを助長、誘発する目的で特定の地域を同和地区であると指摘するなどの事案も発生していますと記されています。インターネット上の情報により、誤った認識が植え付けられ、就職や結婚の際の身元調査等に利用されるおそれもあるなど、重大な人権問題です。
 そこで都は、同和問題に関するインターネット上の誹謗中傷について削除要請は行っていないのかお尋ねします。

○吉村人権部長 都は、悪質な差別書き込みや動画等を把握した場合には、表現の自由にも十分配慮しながら、人権侵犯事件について被害救済等を行う国の人権擁護機関である東京法務局に対し、プロバイダーへ削除要請を行うよう依頼しております。
 また、複数の都道府県に関わる悪質な差別書き込み等が行われた場合においては、関係自治体と連携しながら、法務省に対し、プロバイダーへの削除要請を行うよう依頼しております。
 このほか、インターネット上の人権侵害については、表現の自由にも配慮した統一的な対応が必要と考えられることから、都は、所管である総務省及び法務省に法整備を含めた実効性のある対策を求める要望を行っております。

○古城委員 同和問題などに関するインターネット上の差別の拡散に対応するため、行政がインターネット上の書き込みを監視する、いわゆるモニタリング事業に取り組んでいる自治体があります。
 愛知県は六月、インターネット上の誹謗中傷をなくすため、差別を助長する書き込みに対するモニタリングを実施し、削除要請につなげる事業を開始しました。モニタリングの対象は、県内の新型コロナウイルス感染症、同和問題、外国人及び障害者に関連した差別的な書き込みで、削除することが適当と県が判断したものについて、法務局に削除要請を行うとのことです。
 都においても、モニタリングについては、幾つかの他県などで実施していることは把握していると聞いておりますので、例えばモニタリングを実施する民間団体との連携やその団体への支援も含めて、検討を行っていただきたいと要望いたします。
 三点目は、新型コロナウイルス感染症に係る人権問題です。
 医療従事者の皆様などに対する風評被害について、日本医師会が昨年十月から約三か月間にわたり行った調査の結果では、全国から六百九十八件に上る被害報告があり、この中には医療従事者の家族も含まれています。
 医療従事者は、例えば保育園などの利用を拒まれた、美容院の予約を受け付けてもらえなかったなどの不当な扱いを受け、家族は、例えば学校や職場で暴言を受けた、保育所や学校内で子供が隔離されたといった被害に遭っています。
 命を守る最前線でご奮闘を続けていただいております医療従事者の皆様に加えて、そのご家族もつらい思いをしている、そうした現状は看過できません。まさにゆゆしき事態であります。
 感染者への差別も後を絶たず、感染したことを理由とした解雇や回復したにもかかわらず職場復帰を認められないとの相談が、様々、相談機関などに、また行政機関にも寄せられています。
 コロナ禍の長期化による不安やストレス、感染症に関する誤解が差別や偏見の背景にあると指摘されていますが、だからといって誹謗中傷や不当な扱いは断じて許されるものではありません。
 昨年のこの第一分科会で、私は、公明党の熊野正士参議院議員に都内でコンビニエンスストアの店舗を営む経営者から寄せられた店の従業員が感染したことで嫌がらせを受けたことから差別解消へ対策を強化してほしいとの相談を紹介し、都によるポスターなどを作成し、広くストップコロナ差別という人権啓発を行うことを要望しました。
 そこで、新型コロナウイルス感染症に関する差別解消に向けた都の取組についてお尋ねします。

○吉村人権部長 都は、都民に向けた啓発として、令和二年六月に知事が直接都民に訴える動画の配信を開始するとともに、十月にはSTOP!コロナ差別の啓発チラシを作成するなど、各種広報媒体を活用し、人権に配慮した冷静な行動を取るよう促してまいりました。
 特に、啓発チラシにつきましては、都民の共感を得て訴求力が高くなるよう「戦うべき本当の相手は人ではなくウイルスです」とのコピーをメインに配置し、情報量をコンパクトにするなどデザインを工夫しました。
 また、多くの方にご活用いただけるよう、チラシのデータを人権部のホームページに掲載するとともに、一万五千部を作成し、区市町村、学校、企業等へ配布しました。
 また、東京都人権プラザにおきましては、令和二年度、新型コロナウイルスに関連した不当な差別等について、七十件の相談に対応するとともに、相談内容に応じて、東京法務局や総務省の違法・有害情報相談センターなどの適切な専門機関を紹介しております。
 引き続き、新型コロナウイルス感染症に関連する差別の解消に向け、効果的な啓発等を展開してまいります。

○古城委員 要請を受けて、迅速にSTOP!コロナ差別のチラシを作成していただいたことについて評価したいと思います。
 私の地元新宿区では、町会の皆様のご協力も得て、この都によるSTOP!コロナ差別のチラシを区内の行政掲示板に貼り出されました。先ほど紹介をいたしました、そもそものご相談をいただいた方である経営者は、都がホームページに掲載しているA4サイズのPDFデータをダウンロードし、わざわざポスターサイズに拡大したものを店舗に掲出されております。非常に喜んでおられましたし、また、コロナ差別、その被害を受けた従業員の方も、安心して今も働いていただいている、そのように伺っております。
 こうしたことから、行政機関の窓口にあるラックに他の広報物と含めて、併せてそこに置いていただくことも当然必要でありますけれども、今後は、チラシだけではなくて、ポスターとしても目立つように、ポスターとしても作成、配布をし、積極的に貼り出すことを要望したいと思います。
 質問の最後に、人権課題全般の啓発について意見を申し述べたいと思います。
 都議会公明党は、パラリンピックの成功なくしてオリンピックの成功はないと、東京二〇二〇大会の誘致から様々な主張をしてまいりました。
 特に、東京二〇二〇パラリンピック大会では、百六十二の国、地域及び難民選手団から、史上最高の四千四百五名のアスリートが参加し、自らの可能性に挑み、力と技を競い合いました。圧倒的な迫力と選手一人一人の障害に向き合う力強い姿、生きざまに、多くの感動、感激の声が寄せられています。こうして多くの人々に勇気と感動を与え、世論調査では、七〇%の方が大会を開催してよかったと答えていただいております。
 二〇一一年に招致に動き出してから十年、二〇一三年に開催都市に決定してから八年、パラリンピックマラソンが開催されました今年の九月五日、これは様々な方々、関係者の皆さんの思いが込められた七月二十三日から始まった東京二〇二〇オリ・パラ大会の掉尾を飾る日でありました。
 人権について考える契機は、人によって様々であると思いますけれども、私自身は、今申し上げました東京二〇二〇大会の掉尾を飾ったパラリンピックマラソンを通じて、この競技の三クラス、五レースの魅力を肌身で感じるとともに、社会のバリアフリー化など、そうした求められる視点について学んでまいりました。
 そうしたことを踏まえて、私は、都議会におきましても、このパラリンピックマラソンを東京が一丸となって全力で応援しようということを訴えてまいりました。マラソンコースの沿道をはじめ、都内の各自治体、町会、商店会、お住まいの住民の皆様、また企業の取組を後押しをしていく。そして、大会の象徴ともいうべき東京の魅力あふれるコースを駆け抜けるランナーに対して、沿道にあふれんばかりの観客やオリンピックスタジアムを埋め尽くした観衆から、満腔の喝采が贈られるようにということを訴えてきたわけであります。
 しかしながら、このパラリンピックマラソンについては自宅で全力応援をしようということでございまして、私もテレビ観戦をいたしました。しかしながら、テレビ観戦ではありましたけれども、アスリートがオリンピックスタジアムから画面を通じて割れんばかりの拍手で送り出されて、そして、選手の名前を呼びながら、頑張れ頑張れ、そういう熱い応援を受けて東京を駆け抜けていく、これは本当に最高のおもてなしが実現をできた、広く後世に語り継がれるのではないか、そのように確信をいたします。
 そして、このパラリンピックマラソンの結果、皆様ご承知であると思いますが、日本代表の十選手皆さんが完走されまして、三選手がメダルを獲得いたしました。私は、この最終日、九月の五日、ぜひとも日本の代表選手の方が金メダルを獲得して、そして、ぜひとも世界記録を更新してほしい、そのように願ってまいりましたけれども、女子のT12のクラスで道下美里選手が金メダルを獲得されました。
 また、世界記録という意味では、このT12のクラスで走りましたローザンヌ・コッツェー選手が、女子のT11のクラスの世界記録を達成、新記録を実は達成をされたわけでございます。本当に感動をいたしました。
 そして、パラリンピックの閉会式では、聖火台の炎が最後にオレンジ色から紫色に変わりました。これは、国際パラリンピック委員会、IPCが大会に合わせて行った世界の人口一五%に当たる障害をお持ちの方の人権を考えるキャンペーン、WeThe15によるものであります。十二億の障害者が差別されることなく、パラリンピックを契機に障害者全体への理解が広がり、多様性と調和の理念を定着させていくことが重要であります。
 スポーツは、実際にプレーするだけではなくて、競技観戦や、今も申し上げました応援などを通じて、これまでは、人ごと、他人事であったかもしれないけれども、我が事として、自分事としてしっかりと昇華をさせることができる、そういうものではないかと思います。
 ぜひとも、この東京二〇二〇大会を契機に、心やまちのバリアフリー、またユニバーサルデザインなどの取組が一層進展をすること、誰にでも優しいまちづくりが推進をされること、これも重要でありますけれども、この東京、ここにおきまして、二度目の夏季パラリンピック大会を開催した都市として、一層、人権を尊重する理念、そうしたことがさらにさらに一層進展していくことを期待する、そうした人権課題全般にわたる啓発につきましても、ぜひとも私のこの思いをお酌み取りいただきまして、総務局人権部を挙げて、積極的に推進をしていただきたいということを、強く強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後四時二十七分散会

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