令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

令和三年十月二十九日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
副委員長酒井 大史君
関口健太郎君
清水とし子君
玉川ひでとし君
米川大二郎君
本橋たくみ君
関野たかなり君
とや英津子君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務越  秀幸君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務鈴木 誠司君
住宅政策担当部長武井 利行君
民間住宅施策推進担当部長飯塚 佳史君
経営改革担当部長都築 裕樹君
再編利活用推進担当部長栗谷川哲雄君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長小林 秀行君
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長特命担当部長兼務谷崎 馨一君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
市街地建築部長山崎 弘人君
基地対策部長三木 暁朗君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務土橋 秀規君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君
耐震化推進担当部長青木 成昭君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
住宅政策本部関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和二年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
都市整備局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和二年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○斉藤委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、住宅政策本部所管分、令和二年度東京都都営住宅等事業会計決算、令和二年度東京都都営住宅等保証金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十五日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当本部の令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
 表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。資料は全部で二十一件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数及び金額を、過去五年間、年度別に、財務局契約及び都市整備局契約または住宅政策本部契約別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数の状況でございます。
 都営住宅の管理戸数、そのうちの事業用空き住戸及び募集用空き住戸につきまして、戸数及び割合を過去五年間、年度別に記載してございます。あわせて、募集停止戸数につきまして、年度別に記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都営住宅、公社住宅のエレベーター設置状況でございます。
 (1)では、既設都営住宅へのエレベーター設置状況を、(2)では、都営住宅のエレベーター設置率を、それぞれ過去五年間、年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。(3)では、公社住宅のエレベーター設置状況を、(4)では、公社住宅のエレベーター設置率を、それぞれ過去五年間、年度別に記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、都営住宅、公社住宅の入居者の年齢別世帯数の状況及び単身入居者の年齢別世帯数の状況、都営住宅の平均居住年数、都営住宅の使用料の収入未済率でございます。
 (1)では、都営住宅の入居者、(2)では、都営住宅の単身入居者につきまして、名義人の年齢区分別に、世帯数及び割合を、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。(3)では、都営住宅の入居者の平均居住年数を、(4)では、都営住宅の使用料の収入未済率を、また、(5)では、公社住宅の入居者、七ページの(6)では、公社住宅の単身入居者につきまして、名義人の年齢区分別に、世帯数及び割合を、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。5、都営住宅使用承継事由発生件数、申請件数及び使用承継が認められた件数でございます。
 各件数を、過去五年間、使用承継事由発生期間別に記載してございます。
 九ページをご覧ください。6、公営住宅使用承継制度厳格化の実施状況でございます。
 都道府県及び政令市別に、令和三年三月三十一日現在の実施状況を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。7、都営住宅における収入階層別世帯数でございます。
 令和三年三月三十一日現在の収入階層ごとの世帯数について記載してございます。
 一一ページをご覧ください。8、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。
 減免件数を、過去十年間、年度別に記載してございます。
 一二ページをお開き願います。9、都営住宅建替えによる型別供給実績でございます。
 型別供給内訳戸数を、過去三年間、年度別に記載してございます。
 一三ページをご覧ください。10、都営住宅における期限付き入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率でございます。
 都営住宅における期限付入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率を、過去十年間、年度別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。11、都営住宅の使用料収入でございます。
 調定額、収入済額及び収入率を、過去十年間、年度別に記載してございます。
 一五ページをご覧ください。12、公社一般賃貸住宅及び都民住宅の空き住戸状況でございます。
 (1)では、公社一般賃貸住宅の管理戸数及び空き住戸数を、(2)では、都民住宅の管理戸数及び空き住戸数について、都施行型、公社施行型、公社借り上げ型及び法人管理型別に、それぞれ過去三年間、年度別に記載してございます。
 一六ページをお開き願います。13、区市町村居住支援協議会の一覧と各居住支援協議会の構成メンバーでございます。
 一六ページから一九ページにかけまして、令和三年三月三十一日までに設立された区市町村の居住支援協議会について、協議会名及び構成メンバーをそれぞれ記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。14、東京都の空き家数、空き家率の推移でございます。
 平成十年度以降の空き家数及び空き家率を、五年ごとに記載してございます。
 二一ページをご覧ください。15、区市町村別東京ささエール住宅の登録戸数及び専用住宅の内訳でございます。
 令和三年三月三十一日現在の東京ささエール住宅の登録戸数及びそのうちの専用住宅の戸数を区市町村別に記載してございます。
 二二ページをお開き願います。16、東京ささエール住宅及び専用住宅の登録戸数の推移でございます。
 各年度末現在の登録戸数を、過去三年間、年度別に記載してございます。
 二三ページをご覧ください。17、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
 各自治体の補助実績について、過去三年間、年度別に記載してございます。
 二四ページをお開き願います。18、居住支援法人の指定数の推移でございます。
 各年度に指定した居住支援法人について、過去三年間、法人の種別ごとに記載してございます。
 二五ページをご覧ください。19、サービス付き高齢者向け住宅等供給実績でございます。
 過去五年間の供給戸数及びこれまでの累計の戸数について、高齢者向け住宅別に記載してございます。
 二六ページをお開き願います。20、住宅政策本部所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況でございます。
 (1)では、委員報酬額を、(2)では、過去三年間の各附属機関の開催状況を記載してございます。
 二七ページをご覧ください。21、政策連携団体・事業協力団体の職員構成でございます。
 各団体の職員構成について、過去五年間、年度別に記載してございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 それでは、私から質問させていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の影響は長期にわたり、経済は大きなダメージを受けました。雇用環境も厳しく、非正規雇用の方々など、職を失い、将来が見通せずに不安を抱える方も多くいらっしゃいました。そのような方々の居住の安定確保は重要であり、生活困窮者自立支援制度などに加えて、住宅政策本部では、民間住宅において、低額所得者や高齢者など、住宅確保要配慮者の住まいの受皿となる東京ささエール住宅の登録を促進してきました。
 しかしながら、民間住宅であるささエール住宅の登録促進には、貸主の協力が必要であり、都は、さらなる登録促進に向け、様々な支援を実施していますけれども、先ほどいただいたこの資料を見させていただいている中にも、私の地元の足立区が二千七百二十五戸と登録戸数も一番多くて、協議会の方でも、行政ですとか業界団体の皆さんともいろいろ協力してやっているという形を見ていると、支援というのは一生懸命やっているんだなということを実感させていただいています。
 そういう中なんですけれども、東京ささエール住宅の登録促進に向けた貸主への支援の中で、昨年度、住宅設備導入費に係る貸主への補助事業について、概要と実績についてお伺いをさせていただきます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は昨年度、東京ささエール住宅の登録を促進するため、住宅設備導入費補助を実施いたしました。この事業は、ささエール住宅への新規登録を要件といたしまして、貸主がインターネット接続機器、ヒートショック対策設備や宅配ボックス等の住宅設備を設置する場合、都が一戸当たり十万円を上限に、当該費用の三分の二を補助するものでございます。昨年度の実績は合計で四百三戸でございます。

○ほっち委員 ただいまいただいた答弁から、制度の活用を図られているということが確認をできました。
 それでは、この四百三戸という実績について、都として、また、本部として、どのように受け止めているか、見解をお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 本事業は、住宅確保要配慮者の安全性や利便性の向上に資するとともに、東京ささエール住宅の魅力を高め、貸主の登録意欲の向上に寄与したと考えてございます。
 また、先日、住宅政策審議会で取りまとめられた中間のまとめでも、ささエール住宅につきまして、DXの推進に向けた設備の改善など、要配慮者の安全性や利便性の向上に取り組むべきとのご提言をいただきました。
 こうしたご提言を踏まえ、また、昨年度の取組で得られた知見も生かしながら、今後の施策展開を検討していくこととしてございます。

○ほっち委員 民間住宅を活用したセーフティーネットの構築には、貸主の理解と協力が不可欠であるというふうに考えます。不動産業界の団体からも、ささエール住宅について改修や改善が必要な場合があることから、登録促進が図られるようさらなる支援をしていただきたいというふうな要望も、我が会派にも先日もいただきました。
 また、先ほどの答弁にもあったように、審議会の提言も踏まえて今後の展開を検討されるということでありますけれども、登録に向けた貸主の意欲がさらに向上するよう、昨年度の事業の実績を踏まえて、さらなる仕組みづくりを図っていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、空き家対策についてお伺いをさせていただきます。
 東京都はこれまで、空家等対策特別措置法に基づいて、区市町村が主体的に空き家対策に取り組めるよう、財政支援や技術的な助言等を行ってまいりました。
 しかし、多岐にわたる空き家の課題を解決するためには、区市町村による取組だけでは限界があるというふうに考えます。民間の不動産事業者やIT企業などでは、それぞれの分野で事業を展開する中、行政にはないノウハウを持っており、その中には空き家対策に生かすこともできるようなものがあるというふうに考えます。
 そこで、都は、そのような民間の力や知見を活用するために、民間事業者等の空き家対策の取組を直接支援する民間空き家対策東京モデル支援事業を令和二年度から実施しておりますけれども、これは重要な取組であるというふうに考えます。
 そこで、民間空き家対策東京モデル支援事業の令和二年度の実績と、その効果についてお伺いをさせていただきます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年度に実施した民間空き家対策東京モデル支援事業では、5GやAI等の先端技術を駆使した空き家対策や、空き家の発生抑制に資する取組などを実施する民間事業者等を公募いたしまして、学識経験者等で構成する選定委員会の評価を踏まえ、三事業を採択いたしました。
 具体的には、先端技術を駆使した空き家対策では、人工衛星やドローンなどを活用して、空き家の現地調査に要する時間や費用を従来よりも削減する民間企業の取組に対しまして補助を行いました。
 また、空き家の発生抑制対策では、高齢者世帯などの住まいが将来空き家とならないよう、相続等に向けた検討を促しながら、有効活用に関する相談や情報提供を行う居住支援法人の取組などに対し補助を行いました。
 取組の成果については、都内の全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会などを通じて周知するとともに、ホームページなどにより広く情報発信を行っており、区市町村による空き家対策の取組の強化に加え、より多くの民間事業者の関心を高めることで、様々な主体による空き家対策の取組の拡大につなげていくこととしてございます。

○ほっち委員 空き家対策といって、すぐに結果が出るというか、やったからすぐこんな結果が出ましたというふうな評価もなかなかしにくいということも理解はできますけれども、できるだけ区市町村にも寄り添っていただいて、また、一緒に連携を取りながら、財政面も含めてですけれども、いろいろと協力しながらやっていっていただきたいなと思います。
 また、民間事業者のノウハウとか知見を引き出して新しいモデルを構築するということで、さらなる空き家対策の推進も求めていきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、マンション施策についてお伺いをいたします。
 東京都において、分譲マンションは、主要な居住形態として広く普及をしております。都市や地域社会を構成する重要な要素であります。
 一方、建物の老朽化と居住者の高齢化といった二つの老いが進行をして、マンションが管理不全に陥ってしまうと、周辺の環境にも深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
 そこで、東京都は、このようなマンションの課題に対応するように、平成三十一年三月にマンション管理条例を制定し、昨年四月から届出制度を開始されました。この届出制度の概要と、届出の状況についてお伺いをさせていただきます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 昨年四月から開始した管理状況届出制度は、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進すること等を目的に、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンション約一万二千棟を対象といたしまして、管理状況の届出を義務づけた制度でございまして、初回の届出は昨年九月末を期限といたしております。
 届出を求める内容は、管理組合や管理規約の有無、大規模修繕工事の実施状況等でございまして、都は、届出から得た情報を基に各マンションの管理不全の兆候を把握し、管理状況に応じた助言や専門家の派遣などを通じて、管理の適正化に向けた管理組合の取組を支援することといたしております。
 昨年三月に策定した東京マンション管理・再生促進計画では、令和七年度末までに対象マンションの八〇%から届出がなされることを目標としている中、今年三月末の届出数は約八千四百件で、対象マンションのうち、約七〇%から届出がございました。

○ほっち委員 ただいまの、今いただきました答弁で、制度がスタートをして一年で届出が済んでいるのが約七〇%ということで、今回、今、新型コロナの影響もある中で、順調な滑り出しではないのかなというふうに評価をいたします。さらに届出制度を適切に運用するためには、対象マンションから着実な届出がなされるよう、普及啓発や届出に関する相談体制の構築が必要であるというふうに考えます。
 そこで、届出を促すために、都はどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 届出制度開始に当たって、都は、対象となる全てのマンションに制度の案内や届出方法の手引などの資料を郵送するとともに、マンション管理業界団体に協力を依頼し、団体の会員各社から対象マンションの管理組合に制度の周知を行っていただき、届出を促しました。
 また、届出書をチェックボックスによる選択回答を中心とした回答しやすいものとするとともに、届出方法を、区市町村の窓口への持込みや郵送による提出に加え、オンラインによる届出も可能とするなど、管理組合が届出しやすい方法を複数用意し、管理組合の利便性の向上や負担軽減を図っております。
 さらに、届出制度の開始に合わせまして、問合せに対応できるよう、分譲マンション総合相談窓口の相談員を増員したほか、月一回、土曜日と日曜日の窓口の開設や、毎週水曜日の時間延長を行い、届出を行う管理組合をサポートする体制を強化して、届出を促進してまいりました。

○ほっち委員 届出がスムーズに進むよう、関係団体との連携やオンラインでの届出、また、今ご答弁ありましたチェックボックスによる回答をしやすいようにして、できるだけ多くの届出を出していただけるように相談体制の強化など工夫していると、いろいろ工夫されているということは分かりました。
 また、今年三月末においても、いい換えれば三割近くのマンションからまだ届出をいただいていないという状況です。
 そこで、これまでも含めて、届出がなされていないマンションに対して、どのように取り組んでいるのかお伺いをさせていただきます。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 届出期限を経過しても届出がされないマンションに対しましては、適正な管理が行われていないことが懸念されることから、行政が直接粘り強くアプローチすることが必要であるため、区市町と連携して、順次、届出を促す文書を郵送するなど督促を行っております。
 さらに、こうした督促にもかかわらず届出がなされない場合には、マンション管理士等を活用して個別訪問調査を実施し、管理組合の理事長や居住者等から管理状況を聞き取りながら届出を促しております。
 引き続き、こうした取組などを通じまして、対象となるマンションからの届出を促していくこととしております。

○ほっち委員 昨年度は、コロナの影響もあって、個別訪問調査などの取組の実施というのは難しい状況もあったかというふうに思います。今後、先ほどの答弁にもありましたけれども、届出された情報に基づき、管理不全の兆候があるマンションには専門家などを派遣して、問題の解決に向けた管理組合や居住者の取組を支援して、適正な管理と再生につなげていただきたいというふうに期待をして、私の質問を終わります。

○関野委員 それでは、東京都都営住宅等事業会計について質問をさせていただきます。
 まず初めに、都営住宅の建て替え事業についてお伺いをします。
 老朽化した都営住宅の建て替えは、防災性の向上や土地の有効利用の面からも重要と考えております。建て替え対象としている団地は、昭和四十年代以前に建設された八万戸となっております。
 決算書を見ますと、令和二年度公営住宅建設事業の実績は、計画戸数三千八百戸に対して二千六戸と、また、過年度分も加えた執行率は五二・四%と低い水準になっておりますが、まずは、この理由についてお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 令和二年度の公営住宅建設事業の実績が伸び悩んだ理由は、主に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い全庁的な感染防止対策を講じたことなどによるものでございます。
 具体的には、都として感染症対策に集中的、重点的に取り組む体制を確保するため、未着手、未発注、一時停止が可能な事業は、原則延期または中止するとしたことを受けまして、新規工事の発注を一時見合わせたことなどに加え、受注者からの申出により、設計業務や工事を一時中止したことなども挙げられます。

○関野委員 ありがとうございます。コロナウイルス感染拡大の影響ということがよく分かりました。
 その上で、コロナ禍での都営住宅建て替え工事において、都は、事業の継続と感染防止対策、これをどのように取り組んでいたのかお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 都は、庁内でのコロナ対策業務への支援体制との両立を図りつつ、各団地の建て替え事業の進捗状況も勘案しながら、可能な限りの事業の継続を図ってまいりました。
 工事中の各現場では、感染拡大の防止を最優先に、受注者からの申入れがあれば、工事の一時中止や工期の延長について協議を行うとともに、国のガイドラインなどに基づく感染対策を着実に実施しながら慎重に工事を継続してまいりました。
 その結果、一部の現場で感染者の発生はあったものの、当該現場での感染拡大にはつながっていないことから、適切な感染対策がなされたものと認識しております。

○関野委員 コロナ禍でも様々な工夫をして事業に取り組んでいるということがよく分かりました。
 では、葛飾区の都営高砂四丁目アパートの建て替え事業についてですが、最後の第三の二期事業のみとなりましたが、令和二年度の取組についてお伺いをいたします。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 都営高砂四丁目アパートにつきましては、建て替え事業の具体化に応じて、葛飾区が地区計画を都市計画として定め、これに基づき、平成二十年度に第一期建て替え事業に着手し、第三の一期事業まで合計八棟、千十一戸の住宅が完成しております。
 令和二年度は、第三の二期事業の実施に当たりまして、都が整備、提供する区画道路、公園などの配置や規模に係る地区計画の変更が必要となり、都は、この計画の素案を作成するなど、区が行う都市計画変更に協力してまいりました。その後、令和三年一月の地元説明などを経て、八月に都市計画の変更手続が完了いたしました。
 引き続き、第三の二期事業の工事発注に必要な設計を進めていくこととしてございます。

○関野委員 ありがとうございます。この建て替え事業で創出した用地は、京成電鉄の車庫移転先として検討がされております。京成高砂駅から京成江戸川駅間の鉄道の連続立体化事業も取組が進みつつあるところでありますが、コロナ禍でありますが、着実に建て替え事業を進めていっていただくことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 令和元年度十一月の都市整備委員会においても、我が会派の伊藤ゆう都議から、防災力を高める観点からの質問で、都内においても起こり得る風水害により、一部停電する世帯も出たり、今後起こり得る首都直下型地震による大震災や大災害を想定して、長期的な停電に備えることが必要との質問に対して、今後、建て替えを行う都営住宅について、災害など停電時に太陽光発電設備の電源が活用できるように取り組むと答弁がありました。
 この取組の令和二年度末時点の進捗について、まずはお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 令和元年度以降に実施設計に着手しました住棟につきましては、太陽光パネルが発電した電力を取り出す出力装置について、これまで居住者が立ち入れない電気室内部に設置されていたものを、エントランスなどの共用部分に設置する仕様といたしました。
 あわせて、令和元年度時点で既に着工済みであった住棟についても、工事の進捗状況などを踏まえ、対応が可能な住棟については設計変更を行い、同様の仕様で整備することといたしました。
 令和二年度末で二十八棟がこの仕様で建設中でございまして、令和四年度以降に順次完成の予定でございます。

○関野委員 今答弁いただいたような新たな仕様で整備された住宅では、災害等停電時に居住者が太陽光発電設備により発電した電力を確実に利用できるようにするために、事前に使い方や注意点を十分に理解しておいていただくことが必要だというふうにも考えております。
 例えば、防災訓練などで実際に使用してみることも有効と考えますが、どのような形で取り組むのか、この点についてお伺いをいたします。

○妹尾建設推進担当部長 災害等停電時や防災訓練の際に、太陽光発電設備により発電した電力を確実に、かつ安全に利用できるようにするため、居住者の方々に正しい使用方法を理解しておいていただくことは重要でございます。
 出力装置は、安全を図るため、通常は手の届きにくい高い位置に設置した収納箱に収められ、施錠されております。そのため、出力装置の鍵の管理や操作方法などについて、入居開始時に自治会の代表者に対し現地において説明するとともに、居住者に周知することとしております。

○関野委員 ありがとうございました。説明の際には、口頭での説明だけではなく、利用方法など使い方、説明書など視覚的に分かりやすい形で説明していただくよう要望をしておきます。
 また、先ほどの答弁では、居住者にも周知というふうにありましたが、こういった緊急的なものについては、私は自治会の役員だったり、また、そこで立ち上がるかどうか分かりませんが、自主防災組織、こういったものがあれば、その方など限定的でもいいのかなというふうにも考えております。
 理由としては、以前、AED等の設置をしていたときにもいたずらの問題で悩んでいたと思いますが、一応それなりに高い場所に設置をするということは理解をしておりますが、やはりいたずらをする方はそれでもいたずらをいたしますので、なるべく限定的がいいのかなと。
 もちろん、その方々が動けないというような場合もありますので、居住者に対して停電時に利用できる電力があることや、担当者がいないときは、先ほど説明した使い方の説明書みたいなものがどこにあるのかというのは、各自治会、そういったところで周知をしていただければなというふうにも考えています。
 どのような対応がベストなのか、またベターなのか、局の中や各住宅の組織、また自治会などとお話をして決めていただければなというふうに要望をしておきます。
 次に、都営住宅の集会所活用についてお伺いをいたします。
 都営住宅の集会所は、使用者の共同の福祉のための施設として設置されているとのことで、自治会や居住者が主に使用している施設ですが、地域での有効活用を進めていくことも必要であると考えております。
 都営住宅の集会所を活用して、周辺地域の住民が幅広く交流できる機会を創出していくことは、高齢化や世帯の単身化が進む中で、新たな交流を生み出し、地域におけるコミュニティの活性化にもつながると考えます。
 都は、令和二年度に、都営住宅の集会所を活用して、東京みんなでサロンのモデル事業を実施しているということでしたが、令和二年度における執行状況、この点についてお伺いをいたします。

○都築経営改革担当部長 東京みんなでサロンは、未来の東京戦略ビジョンで掲げたみんなの居場所創出プロジェクトの一環として、既存の都営住宅の集会所等を活用し、居住者や近隣の方々が交流を深めることができる事業として実施することとしたものでございます。
 令和二年度は、モデル事業の実施を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、人々が集会所などに集まり交流する事業の実施には慎重な検討を要する状況となったため、実施を見合わせました。
 なお、今月十月から、感染症対策にも配慮した上で、三か所の都営住宅の集会所を活用してモデル事業を開始いたしました。

○関野委員 ありがとうございます。私は、これまでも都営住宅の集会所について、地域の町会等も含め、幅広い利用をすべきという観点からも質問を行ってきました。その際に、都からは、都営住宅の集会所の利用実態について、自治会に対してアンケートによる調査を検討していくという答弁がありました。
 この自治会に対するアンケートによる調査結果について、令和二年度に集計されたというふうに聞いておりますが、この自治会に対するアンケート調査の結果のうち、集会所の利用状況と、集会所の地域利用に関する自治会の意向についてお伺いをいたします。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の千八百七の全自治会に対して、集会所の利用状況に関するアンケートを実施し、千四百二十二の自治会から回答がありました。
 集会所の使用頻度に関しては、月に数回程度の使用をしているとの回答が最も多く、これらを含め、使用しているとの回答があった自治会が千三百二十四でありました。
 また、地元の区市町や町内会等の団体が地域の交流活動のために集会所を使用することについて、九百十一の自治会から協力するとの回答がありました。

○関野委員 ありがとうございます。都営住宅の自治会の多くが集会所の地域での有効活用に協力的な意向を持っているということが分かりました。都営住宅の集会所には、自治会と町会等が覚書を締結して地域開放する仕組みがありますが、このような集会所を地域でも有効活用していく取組は、地域のコミュニティ形成の観点からも積極的に進めていくべきだと考えております。
 そこで、この地域開放の集会所は令和二年度末で何か所になったのか、また、地域開放をはじめ、地域での有効活用を進めていくために、都はどのように取り組んでいるのか伺います。

○都築経営改革担当部長 都では、都営住宅の居住者と地域住民との間に良好なコミュニティを形成するため、自治会、町会等の協議が調った集会所については、地域に開放することに取り組んでおります。
 この地域開放の集会所は、令和二年度末時点では二百五十六か所であります。引き続き、居住者に配布している「住まいのしおり」や自治会代表者と公社の窓口センターとの意見交換の場などで、地域への開放についての周知を図っていくこととしております。
 また、集会所を活用して東京みんなでサロンのモデル事業を開始しており、居住者と地域住民との間に、よりよいコミュニティが形成されるよう努めていくこととしております。

○関野委員 ありがとうございます。都営住宅の集会所は、一義的には居住者のための施設ということではありますが、今後も地域開放の促進に取り組むことが必要であるのではないかと考えております。
 また、都営住宅の集会所がより一層地域で有効活用されるよう、取組の推進を求め、また要望をして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、共同住宅の管理に関する都の取組についてお伺いをいたします。
 まず最初に、分譲マンションの管理に関する都の取組についてお伺いします。
 マンションは、東京の主要な居住の形態となっており、都民の四世帯に一世帯はマンションに居住しているという状況であります。マンションが普及するにつれて、多様な居住者が入居するようになるとともに、建築から年数を経過するマンションも増加して、マンションの管理状況は、それぞれのマンションで、より複雑になり、様々な課題を抱えているようになっております。
 都は昨年から、マンション管理状況届出制度を開始して、マンションの管理状況の把握を進めるとともに、分譲マンション総合相談窓口などの取組を行って、マンションの管理の適正化に取り組んでおりますが、こうした取組を通じて、マンションの管理に関する問題について都はどのように把握をしているのかお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 管理状況届出制度は、マンションの管理不全を予防し、適正な管理を促進すること等を目的に、昭和五十八年以前に建築された戸数六戸以上のマンション約一万二千棟を対象として、管理状況について届出を義務づけた制度でございます。
 都は、届出から得られた情報を基に、各マンションの管理不全の兆候を把握しております。昨年度末までに、対象マンションの約七〇%に当たる約八千四百件から届出があり、このうち、約一五%で、修繕を計画的に実施していない、管理組合や管理規約がないなどの管理不全の兆候が見られました。
 また、分譲マンション総合相談窓口は、公益財団法人東京都防災・建築まちづくりセンターに設置しており、マンション管理士が管理や建て替え、改修についての相談を一元的に受け付けてございます。昨年度の相談件数は約千四百件で、このうち約七〇%は、管理組合の運営方法やマンション居住に伴う日常生活のトラブルなど、マンションの管理に関するものでございました。

○関野委員 ありがとうございます。マンションの管理の適正化は非常に重大な問題であり、管理組合任せにしていては解決しない問題もあります。例えば、そのようなマンションの管理について、建築から数年がたった物件は賃貸化が進み、居住者間のコミュニティが希薄になったり、分譲マンションを購入した外国人が、生活様式の違いから他の区分所有者との間でトラブルになったりしているという例も聞いております。
 こうした問題の中で、管理組合の力だけでは解決できないものも多いと考えておりますが、マンション管理の適正化について、都はどのように支援をしているのか、昨年度の取組についてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、管理組合による適正な管理に向けた取組を支援するため、東京都防災・建築まちづくりセンターを実施機関といたしまして、マンション管理士などの専門家を管理アドバイザーとして派遣する制度を実施してございます。
 この制度を活用いたしまして、管理状況の届出を行ったマンションについては、必要に応じて管理アドバイザーの派遣を一回無料で受けられるようにしてございます。
 このほか、マンションに居住する上で必要な使用上のルールやマナー、生活環境への配慮などを外国人居住者が理解できるよう、多言語文例集をマンション管理ガイドブックや都のポータルサイトで紹介しております。こうした取組等を通じまして、マンション管理の適正化の促進に努めております。

○関野委員 管理の問題は、一朝一夕に解決しない問題であると考えております。アドバイザーの派遣事業は、支援を行ったということだけではなく、解決できたというところまでフォローしていただくようお願いをいたします。
 次に、賃貸マンションをはじめとする賃貸住宅でも、同様に、外国人の入居に伴う管理のトラブルが発生していると聞いております。賃貸住宅においては、基本的に借主と貸主の賃貸契約上の問題であることは承知しておりますが、そのようなトラブルを未然に防止する観点から、都は、賃貸マンションをはじめとする賃貸住宅の管理についても課題の周知や啓発に取り組むべきと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。

○越住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都は、賃貸住宅の管理に関するトラブルを回避するために作成いたしました賃貸住宅トラブル防止ガイドラインを賃貸管理業者や宅建業者の団体等に配布するとともに、ホームページ等に掲載し、広く周知するなど、啓発を行っております。
 外国人の方に向けましては、留意していただきたい適切な住まい方や、ごみ出しなどのマナーに加え、トラブル回避のポイント等を盛り込んだ同ガイドラインの英語版及び英語、中国語、韓国語の三か国語による概要版を令和元年に作成し、業界団体のほか、大使館などにも配布して周知に努めております。
 今後も賃貸住宅の管理におけるトラブル防止に向けて、こうした取組を行っていくこととしております。

○関野委員 マンションなどの共同住宅の管理は、きちんとルールを守る人、周囲とコミュニケーションを取って良好な関係を維持していこうとする人が損をしないような仕組みが必要であるというふうに考えております。共同住宅に居住する中で、質問の中でも申し上げましたが、日本の生活様式を理解されていないために発生しているトラブルも多いのではないかというふうに考えております。
 私が聞いているところ、例えば台所の排水口に油を長期的に流していることで、流れ切れない油が蓄積され配管が詰まるなど、こんなことが起これば、配管ですから場所によっては躯体の中にありますので、建物自体を改修しなければならなくなるということがあります。お金がなければ修理ができず、そのことで入居者も引っ越してしまい、負のスパイラルになれば、解体するお金もなく、そのまま放置され、空き家という可能性も考えられます。
 そうならないために、事前に対策をすることで、十年、二十年や、ひいては五十年、百年後のまちづくりに関係する対策ですので、ぜひ、今よりも対策を強化していただきたいというふうに考えております。
 その上で、管理規約など多言語化や、外国人居住者を視野に入れた管理の周知なども含め、管理の適正化を支援していただき、良好な居住環境を維持していただくよう要望して、次の質問に移ります。
 続いて、空き家問題についてです。
 地域の活性化に資する空き家の有効活用という観点で、昨年度の空き家対策の事業について質問をいたします。
 地域の活性化を図るためには、空き家の有効活用が必要であります。そのためには、まず、地域の空き家の状況を適切に把握することが必要であり、それを基に、地域の実情をよく知る区市町村が空き家対策に積極的に取り組むべきであると考えています。
 令和二年度、都は、空き家の状況を把握するために、どのような取組を支援してきたのかお伺いをいたします。

○斉藤委員長 できるだけ重複は避けるように、重複しないようにね。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 地域の実情に応じた空き家対策には、区市町村の取組は重要でございます。
 都は、区市町村が主体的に空き家対策に取り組むよう、空き家等対策計画の策定を促しており、計画の策定に向けまして、地域の空き家の実態調査に対し財政支援などを行っております。
 空き家実態調査は、昨年度は四区市が実施した調査について補助を行っており、昨年度末時点で五十三区市町村で実施済みとなってございます。
 空き家等対策計画は、昨年度は五市一村で新たに計画を策定しておりまして、昨年度末の時点で三十九区市町村が策定済みとなってございます。

○関野委員 地域の活性化を目指した空き家対策の促進のため、地域をよく知る区市町村の取組が活性化するよう、都が補助しているという実態が分かりました。冒頭申し上げたとおり、空き家を地域の資源として有効に活用することが必要でありますが、空き家所有者だけで有効活用を検討するのでは限界があります。
 把握した空き家の情報を踏まえた行政からの支援や民間企業のノウハウ活用など、様々な力を生かして所有者の取組を支援することが地域活性化になると、空き家の活用には必要であると考えております。
 そこで、令和二年、都は所有者の空き家活用に向けた取組をどのように支援してきたのか、この点についてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家の有効活用を進めるためには、住宅の売買等に携わる民間事業者や、相続等の問題を扱う法律等の専門家と連携し、空き家の所有者に働きかけることが有効でございます。
 都は、区市町村が空き家所有者などからの相談等に的確に対応できるよう、専門家を活用した相談体制の整備を促進しており、昨年度は、そのような相談体制の整備につきまして十五区市に対し補助を実施いたしました。
 また、民間事業者を活用して普及啓発の取組とワンストップ相談を一体的に実施する事業を実施しており、昨年度は、セミナー等を計四十三回実施し、常設窓口等で計七百七件の相談に対応いたしました。

○関野委員 都が、空き家を利活用するために手厚い体制づくりを支援しているということは分かりました。
 しかし、所有する空き家を利活用する意向がなく、適切な管理を怠っている所有者も中にはおります。地域にとって適切に管理されていない空き家が増えれば、防犯上の問題だけでなく、地域活力の低下やコミュニティの衰退にもつながる問題であります。
 適切な管理がなされていない空き家について、必要な働きかけを行い、利活用につなげる必要があると思いますが、令和二年度、都は、適切に管理されていない空き家に対する取組をどのように支援したのか、この点についてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 地域に悪影響を及ぼすことがないよう、空き家を適切に管理していくことは重要でございます。
 都は、区市町村が空き家等対策計画などに基づき適切に管理されていない空き家の除却等を行う場合に補助を行っており、昨年度は、七区市町に対して補助を実施いたしました。
 また、放置されて所有者が不明な空き家につきまして、区市町村が適切な管理と活用を求めて所有者の調査等を行う場合に補助を行っており、昨年度は六区市に対して補助を実施いたしました。
 こうした財政的支援に加えまして、全区市町村が参加する空き家対策連絡協議会を開催し、管理が適切に行われていない空き家の課題と対応のノウハウを広く共有するなど、区市町村が行う取組に対して技術的支援を行っているところでございます。

○関野委員 ありがとうございます。周辺に悪影響を与える空き家について、都は、様々な支援を行っていることは分かりましたが、しかし、現状、状態が悪くなってからではなく、もっと早い段階で空き家の所有者に利活用を働きかけるべきであるというふうにも考えます。そのためには、空き家のまま所有する場合は居住用財産として扱わないなど、税制面での働きかけが有効であるというふうに考えます。
 ぜひ、空き家のままにしておくと損をするような対策について研究を行うとともに、先ほどお話しした税制面での研究も実施していただくことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

○玉川委員 都営住宅の入居者募集について伺います。
 都は、都営住宅の入居者募集で毎月募集という方法を実施していますが、これは、我が会派が行った子育て世帯の応募機会を拡大すべきとの要望に対して、都がこれに応じて実現したものであります。令和二年度は、コロナ禍によって募集が延期された月もありましたが、年間十回の毎月募集が実施されており、評価いたします。
 そこでまず、この毎月募集を始めた趣旨と、令和二年度の募集戸数及び応募者数の実績について伺います。

○都築経営改革担当部長 毎月募集は、若年夫婦、子育て世帯の入居希望時期に応じた申込み機会の拡大を図るため、子育てに適した広さの住戸の中で、比較的低倍率のものを、期限付でない若年夫婦、子育て世帯向けとして、平成三十年一月から募集を開始したものでございます。
 令和二年度の毎月募集については、四月から十二月までに計四百五十戸を募集し、令和三年一月からは、コロナ禍を踏まえ、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大しており、令和二年度の募集戸数は六百六十戸であります。これに対して、応募者数は七百四十人でありました。

○玉川委員 都営住宅の入居を希望している都民にとって、とりわけ子育て世帯にとっては、年四回の定期募集だけでは、新入学や引っ越しシーズンなどの需要が高まる時期に都営住宅に入居できるとは限らないことから、子育て世帯の応募機会の拡大を図ることが必要であります。
 また、若年世代が都営住宅に入居することで、団地の活性化にもつながります。年四回の定期募集以外に、毎月行われるこの募集は、都民のニーズに応じた応募しやすい募集方法だと考えます。
 先ほどの答弁で、都は、令和三年一月から募集戸数を拡大したとのことでありますが、コロナ禍を踏まえ、令和二年度における毎月募集の拡充の内容につきまして、確認のため伺います。

○都築経営改革担当部長 都は、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえ、生活に困窮する都民への居住支援の充実を図るため、都営住宅の毎月募集の実施に当たりまして、令和三年一月から、対象世帯に一般世帯を加えるとともに、募集戸数を拡大いたしました。

○玉川委員 いうまでもありませんが、新型コロナウイルス感染症は、経済的にも都民の生活に大きな影響を及ぼしております。住宅に困窮する都民が安心して暮らせる住宅を確保できるよう、支援の取組の一層の充実が必要であります。
 また、先ほどの答弁の中で、毎月募集は比較的低倍率の住戸を活用して募集しているとのことですが、募集に当たっては、改めて多くの都民の方に効果的に広報していくことが必要だと考えます。
 そこで伺いますが、都は、毎月募集の広報や周知についてはどのように取り組んでいますでしょうかお聞かせください。

○都築経営改革担当部長 毎月募集に当たりましては、入居希望者に必要な情報が届くよう、広報用チラシを区市町の窓口等に備え付けることや、ホームページやSNSなどの媒体を使って情報発信をしております。
 SNSでは、居室内の写真や近隣の子育て施設、周辺環境などの情報も発信しております。また、区市町の福祉部門の窓口を通じて、子育て世帯や、コロナ禍で住宅に困窮する世帯への周知を行っております。
 今後とも、多くの世帯が安心して都営住宅に申し込めるよう、きめ細かな周知に取り組んでいくこととしております。

○玉川委員 今後も、入居を希望する多くの世帯に情報が的確に伝わるよう取り組んでいただきたいと思います。この毎月募集については、コロナ禍を踏まえ、当初よりも拡大して実施しているとのことですが、今後も引き続き、子育て世帯への支援にも配慮しながら、なるべく多くの戸数を確保し、継続していくことを強く求めまして、質問を終了します。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 まず、資料の提出、ありがとうございます。
 昨年来の新型コロナ感染症は、東京を中心に急拡大し、感染の爆発を引き起こしました。各地で医療逼迫が起きるとともに、雇用破壊も深刻で、非正規労働者、特に女性と若者に大きな犠牲を負わせています。
 コロナ以前に比べて、月平均九十二万人もの非正規労働者が減少しました。うち六十一万人は女性です。加えて、月平均百万人もの労働者が休業や営業時間短縮の影響を受けています。特に、シフト制労働者は休業支援が受けられず、困窮状態に突き落とされています。
 貧困とはあまり関係ないと見られてきた人が、住宅に困窮する事態が広がっています。賃金も下がって家賃が払えないなど、困難を抱えた人が多くいるんです。住宅確保給付金、昨年四月から六月に申請した都民は、一昨年の百倍になりました。
 住宅政策本部として、住宅に困窮する都民のために、昨年、どのような対応をされたのかお聞かせください。

○武井住宅政策担当部長 コロナ禍で住宅に困窮する都民への対応として、都営住宅においては、令和三年一月に、毎月募集の対象世帯に一般世帯を追加するとともに、募集戸数を月五十戸から七十戸に拡大し、随時募集についても新たな団地を加え、百四十五戸といたしました。
 さらに、住まいを失った方の一時利用住宅として、TOKYOチャレンジネット事業への都営住宅の提供戸数を令和二年四月に三十戸から六十戸に拡大いたしました。
 東京ささエール住宅においては、設備導入に対する助成や家賃低廉化補助の拡充などを実施いたしました。

○とや委員 例えば、毎月募集は、私どもも申入れや先日の代表質問などでも繰り返し求め、現在百二十戸まで拡充しているなど、ご努力をいただいていると思います。しかし、小池知事も災害というほどのコロナ禍の対応としては、まだまだ不十分です。大幅な拡充を求めています。
 公営住宅は、制度改悪によって、月収十五万八千円以下などの限られた低所得者しか入居できません。しかし、今その対象者も公営住宅に入居がかなわない状況があります。低所得者、被災者、高齢者、障害者、ひとり親家庭など、住宅確保要配慮者に入居希望を断らない賃貸住宅を供給するため、空き家の一部を活用した住宅登録制度が二〇一七年から始まって、都では、東京ささエール住宅として東京都も予算を組んできています。
 この制度が、セーフティーネット住宅としてふさわしく機能しているのか、まず、ここから伺っていきたいと思うんですが、昨年度から二つの補助制度が開始されています。専用住宅のみの登録協力補助では、当該家主及び事業者にそれぞれ一戸当たり五万円の報奨金を交付するというものです。また、見守り機器設置費補助は、専用住宅以外でも活用できるもので、購入費及び取付け費の二分の一を貸主に対して補助するものです。昨年度の実績をお答えください。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 昨年度の実績は、登録協力補助が四十三戸、見守り機器設置費等補助が二十五戸でございます。

○とや委員 登録協力補助四十三戸、それから機器の設置補助が二十五戸ということです。この補助は、当初予算でそれぞれ二百戸分を計上していると聞いていましたので、どちらも伸び悩んでいるのが実情だと思います。
 そこでお聞きしますが、コロナ禍の生活困窮者の住まいの確保については、東京ささエール住宅の登録戸数の資料を先ほどもご説明いただきました。二〇一八年度が二百九十六戸、専用住宅が百七十二戸、二〇一九年度は二千二百四十戸、専用が四百九十一戸、二〇年度は三万九千四百六十九戸、専用が五百九十八戸となっています。昨年度、かなり大幅に増えているわけですが、住宅登録事業者のうち、個人と法人の割合をそれぞれお示しください。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年度末時点で、東京ささエール住宅の登録事業者のうち、個人の割合は約三%、法人の割合は約九七%でございます。

○とや委員 法人が九七%だと、ほとんど法人だということです。これは制度の公的補助が非常に少なくて、個人の家主にとってはほとんどメリットがないからだということではないかなと思います。そのため、この間国は、不動産業界に協力を求めて、全国では一部の企業が占める割合が九四%にまで達しているといわれています。
 東京は九七%だということですが、登録している法人のうち、非常に多くの登録を行っている事業者がいると聞いています。一万戸以上の事業者、また、法人が登録する住宅のうち、住宅確保要配慮者のみを対象とする専用住宅は何戸あるのか。−−ごめんなさいね、ちょっともう一回いいますね。登録している法人のうち、非常に多くの登録を行っている事業者がいると聞いているわけですが、一万戸以上の登録を行う大口利用者の数、それから事業者が登録している住宅確保要配慮者のみを対象とする専用住宅は何戸あるのか。さらに、法人が登録する住宅のうち、専用住宅が何戸あるのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年度末時点で、一万戸以上の登録を行っている事業者は一事業者であり、その事業者が登録をしている専用住宅はございません。また、法人全体が登録をしている専用住宅の戸数は四百二十六戸でございます。

○とや委員 一つの法人がかなり多く登録しているということですが、その大口事業者が登録している住宅は何戸あるでしょうかお答えください。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 約三万六千五百戸でございます。

○とや委員 三万六千五百戸と。今ちょっと驚いたんですけど、全体が四万戸ぐらいで、そのうち三万六千五百戸、しかも専用住宅はないということです。一者でこれだけの数を登録しているということを考えると、この制度は極めていびつなものではないかといわざるを得ません。
 そこで、もう一つ伺っていきたいんですが、登録住宅及び専用住宅について、家賃の最高額、最低額と平均額、またそれぞれの住宅に占める割合、また一般世帯の入居割合をお答えください。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年度末時点で、専用住宅を除いた登録住宅の月額家賃は、最高額が三十八万円、最低額が二万二千円、平均額が八万九千九百円でございます。専用住宅の月額家賃は、最高額が十六万三百円、最低額が二万九千円、平均額が八万六千五百円でございます。
 また、昨年度に実施した東京ささエール住宅の登録事業者に対するアンケートによりますと、入居中の東京ささエール住宅のうち、世帯主が住宅確保要配慮者以外の一般世帯の入居割合は約六五%でございます。

○とや委員 最高額が三十八万円だと、これもすごく、ちょっと驚いてあきれています。一般世帯は全体の六五%ということですが、このささエール住宅、セーフティーネット住宅は、住宅確保要配慮者の入居を拒まないということでつくられた制度ではありますけれども、今の数字を聞きますと、結局は要配慮者を排除しているといわざるを得ません。
 もう一つ伺います。専用住宅を除いた登録住宅及び専用住宅の家賃についてです。五万円ごとの戸数を教えてください。
 なお、十万円以上は十万円ごとの戸数を伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和二年度末時点での専用住宅を除いた登録住宅のそれぞれの登録戸数は、五万円までが二百八十一戸、五万円超から十万円までが二万九千二百四十一戸、十万円超から二十万円までが九千四十八戸、二十万円超から三十万円までが二百八十九戸、三十万円超から四十万円までが十二戸でございます。
 また、専用住宅の登録戸数は、五万円までが百五十三戸、五万円超から十万円までが二百四十四戸、十万円超から二十万円までが二百一戸でございます。

○とや委員 今数字をお答えいただいたんですが、二十万円を超える戸数が二百八十九戸と十二戸で、三百一戸あるわけです。これは、五万円までが二百八十一戸ですから、それより多い数が非常に家賃が高いということになるわけです。五万円を超える人たちだって二万九千とか、一万戸近いのが十万円超えていますから、どうなんだろうと思いますね。それから、専用住宅であったとしても、五万円までが百五十三戸しかないという状況です。とてもセーフティーネット住宅とはいえないんじゃないかと、びっくりする価格であります。
 東京都の住宅セーフティーネット制度のパンフレットを見ますと、住まいにお困りの低額所得者と被災者、高齢者、障害者、子育て世帯等の方々と、賃貸住宅の空き家、空き室をお持ちの大家さんをつなぐ制度だというふうに書いてあります。
 この制度のQ&Aにも書いてありますけど、低額所得者とか生活困窮者ってちゃんと書いてあるし、あるいは被災者や高齢者や障害者、子育て世帯の方々というのは、そんなにお金に豊かな人たちが多いのかといったら、一般的にはそうではないという状況なんじゃないかなと思います。
 私、ちょっと聞いておきたいんですけど、こういう家賃設定でも、セーフティーネット住宅といえるとお考えですか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京ささエール住宅は、国の住宅セーフティーネット制度に基づいて実施をしておりまして、国は、住宅セーフティーネット制度で、住宅の登録の条件といたしまして、家賃が近傍同種の住宅と均衡を失しないとしてございます。

○とや委員 国の制度がやっぱり根本にあるのかなとは思うんだけれども、東京都として、本当にセーフティーネット住宅としての役割を果たしているかどうかということをお聞きしたんですけれども、国の説明にとどまったということであります。
 住まいの確保に困難を抱える人への対策として、国と東京都肝煎りの事業が一体なぜこのような事業になっているのか、このようなことになっちゃっているのか。徹底的に調査をして、都民に分かりやすく説明をすること、早急に事態を改善することを求めておきます。
 東京ささエール住宅がセーフティーネットの役割を果たすためにも、家賃補助が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、家賃低廉化補助を実施する区市への財政支援を行うとともに、制度を設けていない区市町村について、個別訪問して意見交換等を行うなど、制度の導入を働きかけてございます。
 さらに、家賃低廉化補助の活用が図られるよう、都は、専用住宅の登録の増加に向けた貸主の不安軽減や登録意欲の向上のため、独自の取組として、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助や、登録等を条件とした報奨金の支払いなどを開始するなど、貸主を支援する取組を進めてございます。

○とや委員 私は、今、家賃補助について答弁を求めたんですが、お答えになったのは、家賃低廉化補助の説明でありました。答弁をされている住宅政策本部の皆さん自身が一番よく分かっていると思うんですけれども、家賃低廉化補助は、貸主、大家への補助ですが、大家さんの不安を解消し、制度への積極的な参加を促すことには成功していません。
 また、住まいの確保に困っている人が直接使える補助ではありません。その結果、補助実績もごく僅かです。
 資料をいただきましたが、この制度を実施している自治体は、墨田区、世田谷区、豊島区、練馬区、八王子市、これだけなんですけどね。しかも実績は、墨田区は三年間連続ゼロ、世田谷区は一八年度一戸、一九年度、二〇年度は三戸、豊島区は二〇年度のみで二戸、練馬区は二〇年度一戸、八王子が一八年度八戸、一九年度二十三戸、二〇年度は三十四戸というふうな実績となっています。これでは、何のためのセーフティーネットなのか、何のための家賃低廉化補助なのかといわなければならないんですよね。
 もう一つ、私、お聞きしておきたいんですが、この家賃低廉化補助がセーフティーネット住宅という名にふさわしく機能していると思っていらっしゃいますか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京ささエール住宅は、国の住宅セーフティーネット制度に基づき実施をしている制度でございまして、国は、家賃低廉化補助を実施する対象を専用住宅としておりまして、都もそれに倣って制度を運用しているところでございます。

○とや委員 都もそれに倣ってと今おっしゃったけど、東京都だってお金を出しているわけでしょう。ふさわしく機能しているかどうかって聞いたわけですよ。ちゃんと答えていただきたいんですよね。
 大体、専用住宅、少ないじゃないですか。三万六千戸以上も大手の事業者が独占しているような状況で、そういうのが本当にこの制度として機能しているかというのは本当疑わしいですね。私、今日、自分で話をしていて本当に驚きました、答弁聞いて。
 専用住宅の少なさ、高額な家賃設定、そして家賃低廉化の機能がしていない状況、こうした活用状況などを取っても、住宅確保要配慮者向けの住宅とは程遠い、住宅セーフティーネット制度自体がもう、もはや破綻しているといわざるを得ません。
 神戸大学の平山洋介教授は、住宅セーフティーネット政策は、住宅困窮に対応する上で、現在ではほとんど役に立っていないと厳しく指摘をしています。都として、国に制度設計の見直しを求めるとともに、今すぐに都ができる手だてとして、登録住宅の正常化と借主への家賃補助の実施を重ねて求めておきます。
 多くの先進国が低所得者向けの公的賃貸住宅と公的家賃補助の供給を両輪として実施しているのに対して、日本は公的住宅が極めて少なく、公的家賃補助の制度はいまだにありません。東京都は、都営住宅を二十年以上新規増設していないために倍率が高くて、十回申し込んでも当たらないとか、家賃が高くて生活費を圧迫しているなど、切実な声が常に常に私たちに寄せられています。
 住まいの貧困問題を都として解決することが求められている下で、都営住宅の新増設は極めて重要です。
 同時に、民間ストック活用というお話がありますが、民間住宅や公社、URなどの住宅の借り上げを行って、都営住宅として都民に提供をすべきですが、いかがでしょうか。

○武井住宅政策担当部長 都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や適正な管理に努めてまいりました。社会経済情勢が変化する中で、重要な役割を果たしている都営住宅について、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たすよう取り組んでいます。
 都営住宅の供給手法については、借り上げによらず、計画的な建て替えを進めていくこととしております。

○とや委員 応募倍率が一般募集で二十倍、単身者向けは五十倍ともいわれているのが都営住宅です。しかも、先ほども申し上げましたけど、所得が月十五万八千円以下など、ごく限られた低所得の人しか入居できないわけです。今できることとして、多様な供給方式の活用で、公営住宅の供給を大幅に増やすべきだと申し上げておきます。
 次に、公社住宅について伺います。
 公社住宅の家賃は、三年ごとに近隣の市場家賃を調査して、近傍同種とする見直しが行われています。このため、限りなく民間住宅家賃に近づく仕組みとなっています。公社住宅の自治会協議会が行った二〇二〇年十月の調査では、世帯主の年齢が七十歳以上が六〇・六%、世帯収入二百万円以下が四二・八%で、多くの世帯が都営住宅入居対象世帯でありました。
 昨年度、都が諮問して、住宅政策審議会がまとめた成長と成熟が両立した未来の東京に相応しい新たな住宅政策の展開についての中間まとめが示されていますが、この中で、主として中堅所得者向けとしての性格が強かった公社住宅について、今後は、住宅確保要配慮者向けとしての性格を重視するとともに、現在のストックを最大限に活用していくことで、重層的な住宅セーフティーネットの機能の一翼を担っていくべきであるという記述が入りました。
 高齢者が、公社住宅の家賃が高くて払えず、退去せざるを得ない例があります。やむを得ずに娘に厄介になっているとか、家賃を下げてほしいという声がありますが、こうした声に応えて、高齢者やひとり親等の低所得世帯に対する家賃減額あるいは補助を創設するよう求めますが、いかがでしょうか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 東京都住宅供給公社では、入居から三年ごとの継続家賃の改定に当たりまして、入居者の居住の安定に配慮する観点から、家賃が引上げとなる世帯のうち、所得要件や世帯要件等を満たす高齢者世帯やひとり親世帯、生活保護受給世帯等を対象に、改定後の家賃を減額する特別措置を既に講じております。

○とや委員 この公社住宅の家賃については、都民からも値下げを求める陳情が出されてきました。その際、継続家賃の引上げの際の特別減額措置については、具体的にご答弁されておりますので、私、読ませていただきましたが、また資料もいただいたわけですが、世帯収入が収入分位二五%以下という人たちが、まあ月収十五万八千円以下の世帯のうち六十五歳以上の高齢者世帯やひとり親世帯など、こうした方々については、現行の継続家賃を下回らない水準で、引上げ額を募集家賃と公営住宅並みの家賃の中間水準まで減額をするということでご説明をされていました。
 つまり、生活困窮をしていても減額対象ではなくて、家賃引上げ時の引上げ幅を少し緩和しましょうという措置であります。既存の入居者の中には、住宅確保要配慮者が多くいますが、家賃減免そのものは考えていないということです。都が新たに掲げる方針と早速矛盾しているといわなければなりません。こういった措置は、あまりにも冷たいのではないでしょうか。
 昨年度、公社は、当期純利益八十一億円でした。東京都の監理団体として、困窮世帯に対して家賃補助をするよう厳しく指導すべきです。それを求めておきます。
 また、住政審の中間まとめでは、先ほど申し上げましたが、現在のストックを最大限に活用と述べていますが、具体的な地域についてお答えください。
 また、高齢者、障害者、子育て家庭など、住宅確保要配慮者が入居するにふさわしく、バリアフリー化が図られている住宅を活用するのでしょうかお答えください。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 公社では、現在、都内の区市におきまして、約七万戸の住宅ストックを保有しております。こうしたストックにつきましては、公社一般賃貸住宅の再編整備計画に基づき、計画的に建て替えを進めるとともに、当面、建て替え予定のない住宅につきましても、手すりの設置や、浴室扉の改修などの住戸内の設備改善工事のほか、敷地内通路へのスロープの設置や段差解消などに取り組むことにより、高齢者や障害者、子育て世帯等の住宅確保要配慮者が安心して居住できる環境を整備しております。

○とや委員 今ご答弁いただきまして、注目すべき答弁だと思います。建て替えた住宅についても、住宅確保要配慮者が入居できる住戸を確保するという答弁で、極めて重要です。この間、建て替えで家賃が跳ね上がり、要配慮者にはとても住めないということが繰り返されてきました。これを都は転換する意思表明と受け取らせていただきます。ぜひ、答弁にふさわしく公社を指導していただきたいと思います。
 一方、建て替え予定のない住宅ですけど、今ご答弁いただいたら、エレベーターについて答弁がありませんでした。高齢者や障害者の皆さんにとってエレベーターは必須です。こちらの整備は行うということでよろしいでしょうか。

○鈴木総合調整担当部長連絡調整担当部長兼務 現在、エレベーターにつきましては、計画的な建て替えに応じて整備しているところでございます。
 なお、既存住宅におけるエレベーター設置につきましては、構造的な課題等があり、いろいろ検討課題があろうかと認識しております。

○とや委員 住宅確保要配慮者の定義は、先ほどセーフティーネット制度の中にあったように、高齢者や障害者の方、あるいは小さなお子さんのいる家庭であります。エレベーターがなければ入居できないという状況があるのは承知していらっしゃると思います。課題があるということでありますけれども、バリアフリー化を図るというのであれば、やっぱりきちんと一〇〇%バリアフリー化を図っていただく。エレベーターをきちんとつけていただくよう強く要望しておきます。
 結局、今お話を聞いていまして、既存住宅については、私たち、公社からもお話を聞きましたけど、高齢者や障害者や子供がいる世帯は、エレベーターもない高層階の空き家を紹介されても入居できないわけです。要配慮者対策は公社の使命だといいながら、結局中途半端な取組となっているわけです。
 世田谷区では、ひとり親世帯への居住支援として公社と世田谷区で連携協定を締結し、JKK住宅を世田谷区による家賃助成付の住宅として提供するそうです。世帯所得が区営住宅等の入居基準を満たすひとり親世帯に対して、世田谷区から月二万円の家賃助成を支給し、公社は定期借家住宅を提供しています。豪徳寺住宅は五戸、二万円の家賃助成を引いた後の月額家賃は二万六千五百円、二万八千二百円、同じく烏山北住宅五戸が三万一千三百円となっています。
 先ほど述べたとおり、公社には自ら家賃補助を実施する努力を求めたいところですが、自治体の家賃補助があれば、こうした取組が進むという証明でもあります。セーフティーネット住宅の制度とは、本来こうしたものを指すのではないでしょうか。都として、こうした制度をさらに拡大したり、あるいは区市町村を支援するなど、やれることはたくさんあるはずです。新型コロナ感染拡大で、家賃負担が重くなっていた低所得者層をさらに追い詰めるとともに、これまで貧困とはいえない層にまで影響を及ぼしている現状があるわけです。
 一九九六年に開催された国連人間居住会議では、負担可能な費用で、安全で健康的な住宅に住む国民の権利や、住環境改善への住民参加など、国民の適切な住まいに住む権利を定めたイスタンブール宣言を採択し、日本も参加しています。日本の首都である東京がこの宣言にふさわしい姿勢を示していただきたいと思います。
 ところが、この間、住まいの維持、確保を自己責任として、公的責任を後退させる住宅政策が行われてきたわけです。東京都として、国の住宅政策にくみすることなく、住宅政策を再転換し、再検討し、住まいは人権の立場に転換することを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○関口委員 よろしくお願いします。
 都市東京の責任として、社会や空間が開かれ、多くのライフチャンスを準備し、多数の人々を受け入れる点、これは大きな都市東京の責任であると私は考えています。
 人生の軌道を組み立てる上で、住まいの確保と安定は不可欠の役割を果たします。一方、都市部においては、住まいの課題は往々にして続いてまいりました。そうした観点で、私は、コロナ禍である今こそ、あるいはポストコロナ社会こそ、先ほども他の委員からもありましたが、住まいは人権であるということを重視しなくてはいけないと考えています。
 イスタンブールで一九九六年に第二回国連人間居住会議で採択されたイスタンブール宣言では、人間にふさわしい住まいは、命の安全、健康、福祉、教育や本当の豊かさ、人間としての尊厳を守る基礎であり、安心して生きる社会の基礎であるという前提の下、適切な居住への権利は基本的人権であることが宣言をされ、各国政府は、自国の住宅政策の最重要課題として進めていくことを確認しました。もちろん、日本政府も署名をし、住まいは人権であるということを認め、住宅施策を拡充していくことを国際的にも確約をいたしました。
 そこで、都に目を向ければ、都営住宅は都民の居住権を保障するものであり、いうまでもなく住まいは人権であるということを表す象徴的な取組であると考えています。しかしながら、東京都全体の総世帯数七百三十四万一千四百八十七世帯、この中に占める都営住宅の世帯数は二十一万二千五百四十八世帯でありまして、都営住宅は都内総世帯数の二・八%と僅かであり、都営住宅に入ることの倍率が高いということも度々指摘をされています。
 そこで、確認の意味も込めて伺いますが、令和二年度の都営住宅の定期募集の応募状況について、世帯向けと単身者向けの募集戸数と申込者数及び平均倍率を伺います。

○都築経営改革担当部長 令和二年度の定期募集の応募状況ですが、世帯向けのうち、五月は、二千三百四十七戸の募集に三万三千二百五十四人の申込みがあり、平均倍率は十四・二倍です。十一月は、二千三百五十六戸の募集に二万九千八百十六人の申込みがあり、平均倍率は十二・七倍です。
 次に、単身者向けのうち、八月は、二百四十五戸の募集に一万一千九百十三人の申込みがあり、平均倍率は四十八・六倍です。二月は、二百六十六戸の募集に九千七百十九人の申込みがあり、平均倍率は三十六・五倍となっております。

○関口委員 やはり倍率は高いなというのが率直な感想でもございます。また、今ご答弁いただいた倍率には反映はされていないものの、本来であれば公営住宅に入りたい、しかし倍率が高いし、大変そうだし、諦めようという方も多いと推測をしております。潜在的な需要である数字として表れているものは、今おっしゃっていただいたもの以上ではないかということを思っております。
 そこで、都営住宅の入居者募集が高倍率になっている状況について、都の認識を伺いたいと思います。

○都築経営改革担当部長 都営住宅の入居者募集における応募倍率については、地区により様々であり、公共交通による利便性や住宅の建設年度等を勘案して、申込者それぞれの方々が選択されたことによるものと認識しております。

○関口委員 それは地域地域によって様々だというのは、それはそうだという話だと思いますが、しかし、現状として倍率が高くて、入りたい人が入れないという状況があるんだということを指摘させていただきたいと思います。
 しかしながら、先ほどもこの資料でいただきましたが、空き家率が一〇%前後である今の状況下の中、そして、都市東京の中でも空き家問題が顕在する中、都の財政状況も考慮した中で、公営住宅を積極的に今後増設することが望ましいのかといったら、私は決してそうではないと思っております。
 むしろ、現在ある都営住宅を最大限生かしながらも、都営住宅ではカバーし切れない分をしっかり行政で、低額所得者であったりとか、あるいは住まいにお困りの方々に対して、良質な住宅を供給するための政策を実行しなければならないと考えています。いうまでもなく、住宅施策は多岐にわたっております。都としても様々な施策がございます。
 そこで、視点を変えて、住まい探しに困っている低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯などの方々と賃貸住宅の空き家、空き室をつなぐ住宅セーフティーネットについて質問してまいりたいと思います。
 まず、住宅セーフティーネット制度の概要を伺いたいと思います。登録制度、経済的支援、居住支援という三つの柱で事業が成り立っておりますが、その詳細について伺いたいと思います。

○武井住宅政策担当部長 平成二十九年の住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の改正を踏まえ、都では、民間賃貸住宅を活用した住宅セーフティーネットの構築に努めております。
 この制度の三つの柱として、一つ目に、賃貸住宅を住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅として登録する制度があります。登録住宅は、セーフティーネット住宅情報提供システムを通じて情報提供されております。都では、こうした住宅を東京ささエール住宅という愛称をつけ、登録を促進しております。
 二つ目に、登録住宅に対する経済的支援があります。都では、住宅確保要配慮者の専用の住宅として登録された住宅に対して、区市町村と連携して、住宅の改修費や家賃低廉化、家賃債務保証料の低廉化への補助を行っております。
 三つ目に、住宅確保要配慮者の円滑な入居と入居後の生活を支援する体制整備があります。都では、区市町村や不動産関係団体、居住支援団体等が連携して、住宅情報の提供等の支援を行う区市町村居住支援協議会の設立を促進するとともに、入居支援や生活支援などの居住支援活動を行うNPO法人等を居住支援法人として指定する取組を行っております。

○関口委員 今ご答弁をいただきました住宅セーフティーネット制度の二つ目の柱である登録住宅に対する経済的支援、その中でも、家賃低廉化の補助について伺ってまいりたいと思います。
 先ほど、他の委員からもかなり厳しいご指摘があったかと思いますが、私はこの家賃低廉化の補助自体をやっぱりしっかりやってほしいという立場で質問してまいります。先ほど申し上げましたが、都営住宅だけではカバーできないところを民間住宅につなげる、さらには家賃の低廉化を図ることは重要だと考えております。
 そこでまず、この家賃低廉化への補助、これについての概要と執行率、伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 住宅セーフティーネット制度に基づく家賃低廉化補助は、専用住宅に入居する低額所得者の負担を軽減するために、家賃を通常の市場家賃よりも減額した貸主に対して、区市町村が必要と認めた場合、その減額分を補助するものでございます。
 都は、国費を除いた額の二分の一を財政支援しております。昨年度の都の執行率は、当初予算に対して四・五%でございます。

○関口委員 今ご答弁いただきました昨年度の執行率は、当初予算に対して四・五%ということで、私はあまりにも低過ぎるというような印象を受けます。というか、ほとんど執行がされていないというところであります。
 さらにいえば、昨年の状況を考えれば、コロナで多くの方々が非常に苦しい思いをされたという状況下の中で、ある種そうした弱者を支えるための制度というものが執行率四・五%というのは、これは厳しく指摘をさせていただきたいと思います。
 先ほど、ご答弁の中にもありましたが、専用住宅に入居する低額所得者の負担軽減のためということで、この低額所得者の定義としては月収十五・八万円以下ということでありますが、この月収十五・八万円は、月収分位二五%であります。全国の二人以上世帯を収入の低い順に並べて、収入の低い方から四分の一番目に該当する収入であり、対象者は非常に多くいるのではないかということであります。そうした観点からも、私は、家賃低廉化の補助を実施することが極めて重要であると考えております。
 しかし、この実施ができるのは基礎自治体でありまして、その基礎自治体が手を挙げなければならないという現状があります。家賃低廉化の補助の実施自治体は、墨田、世田谷、豊島、練馬、八王子と五つでありまして、非常に少ないと考えますが、その理由を伺いたいと思います。
 さらには、この実施自治体が極めて少ないということに対して、その自治体を増やすための都の取組はあるのでしょうか。また、家賃低廉化の補助の実績、これについても少ない現状があります。墨田がゼロ、世田谷が三、豊島が二、練馬が一、八王子が三十四ということで、この資料もこちらにございますが、実績を増やすために都が取り組んでいることを伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助制度を設けている区市町村が少ない理由は、主に対象となる専用住宅の登録戸数が少ないことなどによるものと各自治体から聞いております。
 都は、専用住宅の登録の増加に向けて、貸主の不安軽減や登録意欲の向上を図る必要があることから、独自の取組といたしまして、一定の性能を有する見守り機器の設置費等への補助や、登録等を条件とした報奨金の支払いを開始するなど、貸主を支援する取組を進めてまいりました。
 あわせて、都は、制度を設けていない区市町村について、個別訪問して意見交換等を行うなど、制度の導入を働きかけてございます。さらに、制度を設けている区市とも、制度のさらなる活用に向けた意見交換を行い、課題共有などを行っております。

○関口委員 今ご答弁もいただきましたが、制度を設けていない区市町村に対しての個別訪問、意見交換など、制度の導入を、働きかけをされているということでありますが、それでも、やはりあまりにも少ないんじゃないかという印象も受けております。
 今、各自治体の実績、本日も資料としていただいておりますけれども、この実績が自治体ごとにかなり異なっております。例えば八王子市であれば、実績が令和二年度は三十四戸、令和元年であれば二十三戸ということで、かなりほかの自治体と比べて差別化されているように思えます。それはなぜなのか伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 八王子市は、家賃低廉化補助の対象住宅の募集に当たりまして、住宅事業者及び不動産事業者を対象とした説明会を開催し、他の補助制度等を含めたインセンティブを示して専用住宅への登録の勧奨を行っており、セーフティーネット住宅の登録制度と補助制度を一体として説明したことが実績につながったと捉えているとのことでございます。

○関口委員 八王子では、説明会を開催して、ほかの補助を含めたインセンティブを示していると。そういった意味では、極めていい取組をされているんじゃないかなということを思うわけであります。
 少し視点を変えますが、この家賃低廉化の補助を実施している自治体の補助限度額について伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助を実施している区市の令和二年度における補助限度額は、月額で、世田谷区、練馬区及び八王子市が四万円、豊島区が三万円、墨田区が二万円でございます。
 なお、昨年度、新型コロナウイルス感染症の影響により、国が国費限度額を拡充したことを受けまして、世田谷区は、一定の要件を満たした場合、補助限度額を月額で最大八万円までとすることとしております。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、この新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置の概要について伺いたいと思います。
 また、この特例措置の利用者は、全体のうち何世帯になるのか伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助は、国と併せ、都と区市町村が家賃を低廉化しようとする貸主に対して補助を行うものでございます。
 令和二年度に、国は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的に収入が減少している世帯を支援するため、補助の国費限度額を従来の月額二万円から四万円に引き上げ、地方負担分を含め、総額が月額で最大八万円となるよう拡充いたしました。
 都は、これを受けまして、補助限度額の引上げを行うとともに、区市町村に追加の財政負担が生じないよう、二年間、地方負担の拡充分全額を都が負担することとしております。昨年度、世田谷区がこの拡充措置を導入いたしましたが、適用実績はございませんでした。

○関口委員 世田谷がこのコロナの特例措置、拡充措置を導入したが適用実績がなかったということで、何といいますか、コロナの影響を受けた方々に対してつくった枠組みの実績がないというのは極めて悲しいといいますか、もっとこの制度自体をしっかり運用していただきたい。さっき、執行率も極めて少ないということで指摘をいたしましたが、しっかり運用していただきたいと思うんです。
 まずは、この制度の周知というものをしっかり徹底をすることが重要だと思っております。知ってもらわなければ始まらないということで、窓口となる基礎自治体では、都民に対してどのような案内をしているのか伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助を実施している区市では、補助を受けることが可能な住宅を自治体のホームページや広報紙等で情報発信しているほか、窓口でチラシを配布するなどにより案内しているとのことでございます。

○関口委員 家賃低廉化補助の要件として、原則入居者を公募し、抽せんその他公正な方法により入居者を選定するということでございますが、先ほどから取り上げております八王子市、例に取ると、昨年の応募実績と倍率はどうなっているのでしょうか。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 応募実績を公表している八王子市を例に取りますと、昨年度、八王子市が行った八月と二月の公募状況では、八月は、募集戸数六戸、応募者数十三世帯、応募倍率は二・二倍でございました。二月は、募集戸数五戸、応募者数十四世帯、応募倍率は二・八倍でございました。

○関口委員 倍率に関しては、そこまで高くはないのかなと思うところでありますが、実績の高い八王子市であったとしても、応募者数が少ない現状があるということを指摘したいと思います。
 少し視点を変えて、昨年度、家賃低廉化補助を利用した住宅確保要配慮者の方、具体的にはどのような方々が多いのか伺いたいと思います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助を行った区市へのヒアリングによりますと、昨年度、補助の対象住宅を利用した世帯は、主に子育て世帯とのことでございます。

○関口委員 子育て世帯がメインだということでお答えもいただきました。こちらに関しては、私は子育て世帯に対しての住宅の確保であったり、良質な住宅をしっかり提供していくことには賛成の立場でありますので、ぜひ、そうした取組、幅広い皆さんの層に対してもアプローチをかけていただきますようお願いを申し上げます。
 そもそもでありますが、この家賃低廉化補助の対象となる住宅確保要配慮者のみが入居可能な住宅である専用住宅、先ほど資料もいただきまして、東京都全体で五百九十八戸ということであるようで、まだまだ少ないような印象を受けますが、登録状況がかなり自治体ごとにばらつきがあるようであります。それはなぜなのか伺います。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 区市町村ごとの専用住宅の戸数にばらつきがある理由は、各地域における住宅事情のほか、貸主や不動産事業者の意向など、様々な要因があると考えております。

○関口委員 もちろん、貸主や不動産事業者の意向というものもあるかと思いますが、しかし、その地域事情をしっかり埋めていくのが行政の仕事ではないかと思っておりますし、東京全体を俯瞰する東京都の仕事であると思っておりますので、ぜひそうしたところの地域のばらつきというものを少しずつ埋めていく作業をお願いしたいと思っております。
 家賃低廉化補助の対象となる専用住宅は、平成三十年度であれば百七十二戸、令和元年度であれば四百九十一戸、先ほど申し上げましたが、令和二年度であれば五百九十八戸と、増えてきてはいるものの、今後も拡大をすることで家賃低廉化補助の土台をつくることが重要だと考えております。
 そして、何よりもその上で、まずは基礎自治体に本事業の参加を促す働きをしていただきたいということ、そして、なぜ基礎自治体が参加に後ろ向きなのかについてもしっかり協議をしながら、本事業をしっかり推進し、先ほども冒頭に申し上げましたが、住まいは人権なんだということ、そして真に困っている方々に対して、都として手を差し伸べることを要望いたしまして、質問を終わります。

○清水委員 それでは、質問させていただきます。
 分譲マンションは、国民の一割、一千四百万人の人々が暮らす場であり、都市におけるコミュニティの場でもあります。
 一方、マンションは、地震により倒壊した場合、周辺に対する影響が大きくなることが考えられます。また、分譲マンションは、賃貸マンションと異なり区分所有者が複数存在するために、耐震化などに向けた合意形成を図るのが困難であるといった課題も持っています。
 マンションの耐震化をどう進めていくのか、東京都の取組について質問させていただきます。
 最初に、東京都耐震改修促進計画におけるマンション耐震化の目標と耐震化率の現状についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 目標は、令和七年度末までに、耐震性が不十分なマンションをおおむね解消することとしております。マンションの耐震化率は、令和二年三月末時点の戸数ベースで九四・四%でございます。

○清水委員 次に、旧耐震のマンションのうち、耐震性を満たしていない戸数についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 耐震性を満たしていないマンションは、約七万三千三百戸でございます。

○清水委員 ありがとうございました。都内の旧耐震のマンションは、昨年度末時点で、耐震性を満たしていないものが約七万三千三百戸、耐震化率は九四・四%、これをあと四年間で解消する、そういう計画ということになります。
 日野市では、分譲マンション耐震改修工事等助成制度をつくって、耐震アドバイザーによる相談、耐震診断、耐震改修工事の実施設計、耐震改修工事並びに耐震を目的とする建て替え及び除却工事に要する費用の一部を助成しています。二〇一五年から、分譲マンションに対する啓発、ダイレクトメールの送付、戸別訪問などの周知活動も行っています。それでも、二〇一六年から二〇二〇年までの五年間で、分譲マンションの耐震診断は四件、耐震設計は二件、耐震改修工事は一件、なかなか進んでいません。
 マンションにおいて、耐震診断を受けながら耐震工事に至れないものもありますが、その理由についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 マンションの耐震化が進まない理由といたしましては、耐震化には関心があっても、多数の区分所有者による合意形成が難しいことや、積立金等に余裕がなく、すぐには耐震改修等の実施には至らないマンションがあることなどが挙げられます。

○清水委員 日野市の耐震担当の方にもお話を伺ったんですけれども、分譲マンションの難しさというのは、ご答弁にあったように、一つは合意形成が難しいということ、分譲マンションは区分所有者の状況が経済的条件をはじめ様々あって、一部でも賛成できない、こういう方が出るとなかなか進まないということ、それから、意思決定の場が年一回の総会という点もあるということでした。
 また、もう一つの理由は、やはり経済的な問題で、大規模改修の積立てはしているんだけれども、耐震改修の積立てはしていなかったりする。こういうために難しいということでした。
 このようなことを踏まえると、マンションの耐震改修工事、耐震化を促進していくためには、合意形成や費用負担の軽減が必要と考えますが、東京都は、どのように取り組んでおられますでしょうかお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、耐震化の実施に向けた合意形成を支援するため、建築士などの専門家を耐震化サポーターとして管理組合に派遣するとともに、耐震改修の助成単価を令和元年度から引き上げるなど、助成制度を拡充して、マンションの耐震化促進に向けて取り組んでおります。

○清水委員 都は、合意形成を支援するため、建築士などの専門家を管理組合に派遣し、耐震改修の助成単価を令和元年度から引き上げるなど耐震化促進に向けて取組をされていること、これは評価をしたいというふうに思います。
 しかし、それでも申込みは抜本的には増えていないんです。目標達成のためには、やはり財政的な負担を軽減する制度の拡充が必要です。そのことを強く求めて、質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたします。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十五分開議
○斉藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、令和二年度東京都都市開発資金会計決算及び令和二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○木村総務部長 去る十月十八日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をご覧ください。
 資料は、1の木造住宅等に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)から、13の一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費補助金の実績(過去五年間)までの十三件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1、木造住宅等に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 東京都の区市町村に対する助成について、種別、当初予算額、耐震診断及び耐震改修、それぞれの執行件数及び執行額を年度別に記載してございます。なお、耐震改修のうち、括弧書きの記載は、除却、建て替えを除いた執行件数及び執行額でございます。
 二ページをお開き願います。2、基地対策に係る支出等(過去五年間)でございます。
 基地対策に係る支出の概要、予算現額及び支出済額について、年度ごとに記載してございます。
 三ページをご覧ください。3、都内米軍基地に関係する事件等の経過(過去五年間)でございます。
 (1)では、航空機の緊急着陸、部品落下等、四ページをお開きいただき、(2)では、米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 五ページをご覧ください。4、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数等でございます。
 (1)では、離着陸回数、六ページをお開きいただき、(2)では、飛来する可能性があると通告のあった回数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。5、CV−22オスプレイ配備に係る国との協議状況等でございます。
 CV22オスプレイ配備に係る国との協議状況等について、年月日、相手方、概要及び位置づけを記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。6、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請(過去三年間)でございます。
 東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請について、年月日、件名及び要請先を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。7、区市町、その他が施行する都市計画道路の優先整備路線整備(第四次事業化計画)の路線別進捗状況(事業認可の有無)、区市町が把握している住民団体の有無、東京都との文書協議、関係住民に対する説明会(過去二年分・年度別回数)でございます。
 事業認可年月、区市町が把握している住民団体の有無、区市町から東京都への文書協議の実績及び関係住民に対する説明会の開催実績について、いずれかに該当する路線ごとに記載してございます。
 一七ページをお開き願います。8、都市整備局所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況(過去三年分)でございます。
 (1)では、委員報酬額、(2)では、開催状況を記載してございます。
 一八ページをお開き願います。9、政策連携団体・事業協力団体の職員構成(都派遣職員、固有職員、都退職者別)(過去五年分)でございます。
 各政策連携団体及び事業協力団体の職員構成について、年度別に記載してございます。
 一九ページをご覧ください。10、都内における主な鉄軌道事業者別ホームドア整備駅数及び整備率でございます。
 令和二年度末における都内の主な鉄軌道事業者ごとの都内の駅数、整備駅数及び整備率を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。11、地下鉄への整備補助実績(過去五年間)でございます。
 東京都地下高速鉄道整備事業の補助実績額について、年度別、事業者別に記載してございます。
 二一ページをご覧ください。12、雨水流出抑制事業補助の実績(過去五年間)でございます。
 雨水流出抑制事業について、件数及び補助執行額を、年度別に記載してございます。
 最後になりますが、二二ページをお開き願います。13、一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費補助金の実績(過去五年間)でございます。
 一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費の補助実績額について、件数及び補助執行額を、年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について質問いたします。
 今月七日に、東日本大震災以来十年ぶりに都内で震度五強の地震が発生しました。改めて、都市部における地震の影響の大きさを再認識したところです。
 東京は、日本の首都として政治、経済、文化等の中枢を占め、極めて重要な役割を果たしていることから、大地震の発生時に救急救命活動の生命線となり、緊急支援物資の輸送、復旧及び復興の大動脈となる緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化を十分に進め、震災時における緊急輸送道路の機能を確保することは喫緊の課題です。
 そこで、特定緊急輸送道路における目標に向けた令和二年度の達成状況についてお伺いします。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路全体の通行機能を評価する指標であります総合到達率は、令和二年十二月時点で、九一・六%となっています。

○本橋委員 総合到達率は、特定緊急輸送道路の通行機能を的確に表せる指標として、令和二年三月の促進計画改定で採用されたものです。この目標達成にはさらなる耐震化の取組が必要になると考えますが、令和二年三月の改定に当たり、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてどのような課題があったかお伺いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 令和二年三月の耐震改修促進計画の改定に当たっての特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についての課題ですが、特に倒壊の危険性が高い建築物などにおいて、合意形成などの面から一回の工事で耐震改修を完了することが困難であり、工事に踏み切れないこと、またテナントビルなどにおいて占有者の協力を得られないことなどでした。

○本橋委員 このような課題に対しまして、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるため、令和二年度にどのような取組を行ったのか伺います。

○青木耐震化推進担当部長 先ほど答弁しました課題認識に基づき、令和二年度には、震災時における救急活動などの通行機能を確実に確保するため、特に倒壊の危険性が高い建築物の段階的な改修への補助について、二回目以降の工事が未定の場合も対象とする要件の緩和を行いました。また、テナントビルなどの耐震改修への補助について、占有者に関わる費用分を加算する拡充を行いました。

○本橋委員 緊急輸送道路沿道建築物の耐震化は、改めていいますが、喫緊の課題です。令和二年度は、各種制度拡充の初年度かつ新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、十分な成果が現れていないと思われますが、引き続き、制度の積極的活用を区市町村に促し、耐震化の取組をさらに強化していただきたい旨申し上げさせていただきまして、質問を終わります。

○玉川委員 重なりますが、私からも特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について質問いたします。
 去る十月七日に都内で震度五強の地震が発生しました。震度五強は東日本大震災以来十年ぶりということです。幸い大きな被害は見られませんでしたが、全国に目を向けると、熊本地震、北海道北部地震、北海道胆振東部地震など、毎年のように大地震が発生しています。
 東京都において、地震により、緊急輸送道路など防災上重要な道路の沿道建築物が倒壊し、道路閉塞を起こした場合、避難や救急、消火活動に大きな支障を来し、甚大な被害につながるおそれがあります。また、地震発生後の緊急支援物資等の輸送や復旧、復興活動をも困難にさせることが懸念されます。
 そこでまず、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、これまでの助成制度の変遷について伺います。

○青木耐震化推進担当部長 都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進するため、平成二十三年三月に条例を制定し、特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者等に耐震診断の実施と報告を義務づけるとともに、平成二十三年度から耐震診断費用の全額助成や区市町村と連携した耐震改修等への助成を開始しました。平成二十六年度には、特に倒壊の危険性が高い建築物について、助成単価の引上げを行いました。令和二年度には、占有者との合意形成が困難であるとする賃貸建築物等の所有者への補助の拡充などを実施しました。

○玉川委員 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物における令和二年度の耐震化に関する助成実績について、令和元年度と比較して伺います。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物に対する令和二年度の助成実績は、補強設計が四十二件、耐震改修等が七十六件です。
 令和元年度の実績と比較しますと、補強設計で約五割、耐震改修等で約七割の水準となっています。

○玉川委員 緊急輸送道路沿道に限らず、建築物の耐震化の促進は、一朝一夕で進むものではなく、粘り強く取り組むことが必要ですので、これまでのきめ細かな対応は評価したいと思います。
 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大が実績に影響した面もあったかと思いますが、終息の兆しも見られることから、引き続き、区市町村との連携を図りながら、このような制度を積極的に活用してもらえるよう、建物の所有者への普及啓発等に努めながら、耐震化の取組を強化していただきますよう要望いたします。
 続きまして、戸建て住宅等の耐震化について伺います。
 住宅についてですが、地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守るだけでなく、都市の防災力の向上につながることから大変重要であります。東京都耐震改修促進計画では、令和七年度末までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消することを目標に掲げています。
 そこでまず、戸建て住宅等の耐震化について、これまでの助成制度の変遷について伺います。

○青木耐震化推進担当部長 平成十八年度から、防災都市づくり推進計画に定める整備地域内の住宅を対象に、耐震診断、耐震改修等に助成を行う区を支援しています。
 また、平成三十年度からは、国が積極的な取組を行っている自治体を支援する制度を創設したことに合わせまして、所有者への積極的な働きかけを行うことを要件として、整備地域外の住宅も対象に助成を行う区市を支援しています。

○玉川委員 戸建て住宅等における令和二年度の耐震化に関する助成実績について、同じく令和元年度と比較して伺います。

○青木耐震化推進担当部長 戸建て住宅等に対する令和二年度の助成実績は、整備地域内外合わせて耐震診断が六百五十五件、耐震改修等が三百五十四件です。
 令和元年度の実績と比較しますと、所有者への積極的な働きかけに取り組む市が増加しましたことから、耐震診断、耐震改修等とも増加しております。

○玉川委員 一戸建て住宅等の耐震化についても、制度拡充を図りつつ、着実に取組が進められていると思いますが、所有者のニーズに沿った制度拡充が行われ、令和七年度末のおおむね解消という目標の達成に向けて、住宅の耐震化を一層加速させていただきますよう要望しまして、次の質問に移ります。
 新空港線について伺います。
 東京が稼ぐ力をつけるためには、海外から人、物、金を呼び込むための国際競争力の向上が不可欠であり、その観点から、鉄道ネットワーク等の強化が必要であります。
 我が会派は、これまでも鉄道ネットワークの強化について求めてきたところでありますが、中でも新空港線は羽田空港へのアクセスの向上に資するプロジェクトであり、地元の大田区民からも、長年の夢であり、その早期整備を求める要望も強くあります。
 都は、令和二年度に、広域交通ネットワーク形成等に関する調査を行っていますが、その中で、新空港線についてどのような検討を行ったのか伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 平成二十八年の国の審議会答申においては、羽田空港アクセス線や新空港線など、空港アクセスの向上に資する四つのプロジェクトが示されてございます。
 この中で、新空港線、蒲蒲線につきましては、東急東横線などとの相互直通運転を通じて、国際競争力強化の拠点である新宿や東京都北西部等と羽田空港とのアクセス利便性が向上するとの効果が示されております。
 一方、関係地方公共団体、鉄道事業者等において費用負担の在り方などについて合意形成を進めるべきとの課題も示されているところでございます。
 令和二年度の調査におきましては、新空港線について、羽田空港アクセス線の工事着手に向け、JR東日本により手続が進んでいることを踏まえ、同路線の整備による需要や収支採算性への影響の検証を行うなど、事業化に向けた課題について検討を行っております。

○玉川委員 その早期整備に向けては、国の答申において課題とされた費用負担の在り方等について、関係者間で合意形成を図ることが必要であります。このような課題の解決に向けて、都と大田区は、昨年九月から新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場を開催し、都区負担等に関する協議を進めることとしていると承知しております。
 そこで伺いますが、都区負担について、早期に決着を図るべきと考えますが、協議の場のこれまでの進捗状況と今後の見通しについて伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 新空港線に関する協議の場は、まちづくりの要素なども加味して事業プランを検討し、その結果をベースに、都区負担等に関する協議を進めることとしております。
 これまでに協議の場を三回開催し、蒲田駅周辺のまちづくりとの整合性を図りながら、乗換え利便性の向上などについて検討を進め、乗換え動線の整理を行ったところでございます。
 引き続き、区と密接に連携して、こうした検討を深度化するとともに、その結果を踏まえ、需要予測や収支採算性などの精査を行い、都区負担の考え方の整理を行ってまいります。

○玉川委員 新空港線の整備は、大田区が約三十五年近くにわたって取り組んできた最重要課題であります。新型コロナウイルス感染症の終息に向けて力を注ぐ一方、中長期的な視点に立ち、まちづくりの基盤となるインフラ整備をしっかりと行っていくことも非常に大切であります。さらに、その先のアフターコロナを見据え、新しい生活様式に対応した都市づくりにも取り組む必要があり、その一翼を担うのが新空港線であります。大田区内の通勤通学や日常生活での移動を便利にさせることはもちろんのこと、東京圏北西部及び埼玉方面の交通利便性を著しく向上させるとともに、今後発生が予想される首都直下型地震の際の極めて重要な代替ルートとなります。
 そして、新空港線は単なる鉄道整備だけではなく、まちづくりと連携して行い、相乗効果を発揮する事業であることから、地域の活性化に大きく寄与するものであります。さらに、新空港線でつながる沿線各区からの期待も大きく、大田区はもちろん、東京全体にとっても必要不可欠な路線であることは間違いありません。
 都と区でしっかりと連携して取り組んでいただき、ぜひ早期に、第四回の協議の場では、第三セクターの設立に結びつくよう、また、今年度内には決着が図られますことを強く強く要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。

○清水委員 首都直下型地震は発生確率、切迫性が高いとされており、全壊家屋十七万五千棟、死者は最大一万一千人と想定されています。阪神・淡路大震災における死因の八八%が家屋や家具などの倒壊による圧死とされており、建物の耐震化を進めるために、東京都も耐震改修促進計画を作成し、建築物の区分ごとに耐震化目標を設定し、推進されています。
 それでは、住宅耐震の取組についてお伺いします。
 最初に、東京都耐震改修促進計画における住宅の耐震化の目標と耐震化率の現状についてお伺いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 目標ですが、令和七年度末までに耐震性が不十分な住宅をおおむね解消することとしています。
 住宅の耐震化率は、令和元年度末ですが、約九二%でございます。

○清水委員 旧耐震基準の住宅のうち、耐震化が完了していない住宅の総数と、戸建て、共同住宅などの種類ごとの数と耐震化率についてお伺いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 令和二年三月末時点の値ですが、耐震性を満たさない住宅は約五十五万戸です。
 戸建て住宅、共同住宅の別で申し上げますと、戸建て住宅の耐震性を満たさない住宅数は約二十四万戸、その耐震化率は八六・九%です。共同住宅の耐震性を満たさない住宅数は約三十一万戸、その耐震化率は九三・八%でございます。

○清水委員 戸建て住宅等において、耐震診断を受けながら、耐震改修工事に至らないものがありますが、その理由についてお伺いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 住宅の所有者においては、耐震改修の進め方が分からないことへの不安など、様々な事情を抱えていることなどがあるものと考えております。

○清水委員 日野市では、二〇一一年度に、対象となる木造戸建て住宅を、全て戸別訪問を行って、二〇一七年から、住宅所有者、自治会への周知活動もさらに行っています。また、市の補助事業による耐震診断を行った住宅所有者に対して、診断終了後に、耐震改修工事に向けた意向の確認、補助制度の説明、耐震改修業者の事業者のリストの提示も行っています。さらに、耐震診断後、一定期間経過しても耐震改修を行っていない住宅所有者に対しては、電話連絡を行い、意向を確認し、補助制度の説明など、改めて実施して、耐震化を促しています。
 しかし、それでも二〇一六年から二〇二〇年までに、耐震診断は六十六件、耐震改修工事が行われたのは六十三件なんです。耐震改修の進め方や不安を丁寧に説明しても踏み切れないのは何か、日野市の担当者にお伺いしましたところ、やはり費用負担が大きいということでした。高齢者世帯で、子供たちは既に別に住んでいる場合には、お金がかかるならもうこのままでいい、こういうふうにおっしゃる方もいるそうです。
 都内の八区一市では、高齢者や低所得者への割増し補助を行っています。耐震改修を促進していくためには、費用負担を軽減するための補助率、補助額の引上げを行うことや、住み替え、撤去費用補助、住宅リフォームなど、ほかの制度との併用など、より使いやすい補助制度への拡充が必要と考えますが、いかがでしょうか。とりわけ、高齢者世帯、低所得者世帯には手厚い支援制度が必要ではありませんか。答弁をお願いいたします。

○青木耐震化推進担当部長 住宅の耐震化を促進するためには、先ほどの答弁のとおり、進め方が分からないといった所有者の不安にきめ細かく対応していく必要があると考えておりまして、都は、アドバイザー派遣などによる所有者への働きかけを行う区市町村の取組を支援しております。また、耐震診断や改修等に対する助成については、都は既に所有者への積極的な働きかけを行う区市町村を対象に実施しております。
 引き続きこうした支援を行ってまいります。

○清水委員 丁寧に説明をすれば、耐震化が進むというお考えなんですけれども、実際の現場の声は、なかなかそうはいかないと。何度も丁寧に面談までして行っても、なかなか踏み切れない。それはやっぱり後を継ぐ人がいるかどうかとか、高齢者、年金暮らしの方にとっての負担が重い、こういうことだというふうに思います。
 東京都の制度が、今年度から拡充されている、そのことは評価をするものなんですが、現状を鑑みると、まだ不十分といわざるを得ません。
 昨年一月三十一日現在、都内では、高齢者等への補助を引き上げているのは、中央区では、一般の補助率二分の一を、高齢者世帯と障害者世帯は十分の十に引き上げています。文京、墨田、江東、板橋、練馬区でも、一般世帯よりも高齢者世帯等への補助率を引き上げています。しかし、多摩地域で高齢者等への補助率を引き上げている、これは三鷹市だけなんです。やっぱり財政力のある区部では、こうしたことができるけれども、財政力に乏しい市町村ではできない。こういう実態が浮き彫りになっています。
 都内どこに住んでいても高齢者世帯などが同じように負担軽減が図られるよう、底上げをする。これが、やっぱり東京都の役割だというふうに思います。
 近年、国内各地で大きな地震が続いています。つい最近も都内で大きな地震がありました。災害弱者でもある高齢者世帯や低所得者世帯が耐震化でも取り残されるようなことは絶対にあってはならないというふうに思います。東京都の支援をさらに引き上げることを求めて、この質問は終わります。
 続けて、横田基地騒音問題についてです。
 米軍横田基地は、住宅、学校、病院などに囲まれた危険な基地です。地域住民は長年騒音に苦しめられてきました。特にオスプレイが配備されて以降、これまでになかった基地周辺の住宅地上空での訓練飛行が行われるようになり、夜間無灯火での低空飛行や振動、低周波音といった、これまでにはなかった危険性や健康被害への懸念が問題となっています。
 安全保障は国の専管事項であったとしても、住民の命や健康を脅かす問題の解決は、東京都として絶対に譲れない問題として取り組まなければなりません。そうした視点から、昨年度の横田基地問題に関する東京都の取組について質問させていただきます。
 最初に、落下物などの事故の問題についてお伺いします。
 二〇二〇年度の都内米軍基地に関係する航空機の緊急着陸、落下物等の事故の状況についてお伺いいたします。

○三木基地対策部長 二〇二〇年度には、横田基地所属のCV22オスプレイの部品の遺失事故や、横田基地において人員降下訓練中における備品落下など、四件が発生しております。

○清水委員 昨年六月にはオスプレイの部品の遺失事故、七月の人員降下訓練では、七月二日にパラシュートの備品が落ち、七日には、長さ五十センチ、重さ約一キロの足ひれ、フィン、これを落とす事故を起こし、さらに十一月には、基地外の処分場へ搬出された土の中から未使用の銃弾が見つかる、こういう事故が起きています。
 人員降下訓練中の事故や、部品の落下、遺失事故は、住民の命に関わる重大な問題だと思いますが、東京都の認識をお伺いします。

○三木基地対策部長 人員降下訓練中の事故や部品の落下等は人命に関わる重大な事故につながりかねず、あってはならないことであります。
 都は、これまでも地元自治体とともに、国や米軍に対し安全対策の徹底を求めてきており、今後も必要な働きかけを行ってまいります。

○清水委員 人命に関わる重大な事故につながりかねず、あってはならない、こういう認識が示されました。国や米軍に安全対策を強く求めることを重ねて要望しておきます。
 次に、低周波音についてお伺いします。
 低周波音による苦情は、窓や戸がガタガタするといった物的苦痛、眠れない、いらいらするといった心理的苦痛、頭痛、耳鳴りなどの生理的苦痛などがあります。
 東京都を会長とする横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が昨年度提出した政府への要望書の中でも、オスプレイの低周波音に関する調査検討を求めています。これは、オスプレイが騒音だけでなく、振動や低周波音というこれまでの航空機とは違う影響を周辺に与えており、地域住民から懸念の声が寄せられていることを踏まえてのことと思います。
 東京都として、低周波音の健康への影響について、どのような認識をお持ちでしょうかお伺いいたします。

○三木基地対策部長 航空機の低周波音による健康影響については、現状では知見が少なく、都としては、国の動向などを踏まえ、情報を収集してまいります。

○清水委員 航空機の低周波音について、国の動向などを踏まえて、情報収集に努めるとの見解が都議会で初めて示されました。
 環境省は、低周波音防止対策事例集、低周波音問題対応の手引等も出されています。航空機の低周波音について、環境省とも協力して調査研究していただくよう求めます。
 次に、オスプレイをはじめとする米軍機の危険な飛行訓練についてお伺いします。
 昨年度、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会で、政府や在日米軍に対して要望書を提出していますが、要望書の内容とそれに対する回答についてお伺いいたします。

○三木基地対策部長 横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会では、横田基地対策に関する要望において、基地の整理、縮小、返還、騒音防止対策の推進、基地運用の安全対策の徹底及び航空機事故の防止などについて要望しております。
 横田基地周辺の騒音の軽減や航空機などの安全対策については、国からは、米軍に対し、安全面に最大限配慮し、地元の皆様への影響を最小限にとどめるよう求めていくなどの回答を得ております。

○清水委員 地元の皆様への影響を最小限にとどめるようにしていく等の回答を得ているということですが、実態はそうはなっていません。
 日野市の旭が丘在住の鈴木さんにお話を伺いました。鈴木さんのお宅は飛行コースの直下にあって、オスプレイをはじめとする米軍機の飛行実態を記録されています。鈴木さんによると、二〇二〇年十二月二十八日には、十六時三十六分、十七時十分、十七時二十六分と立て続けにオスプレイがヘリモードで飛来をしています。これは複数の機体が連なって飛ぶ編隊飛行です。十七時四十八分に同じくヘリモードで飛んできたオスプレイは、鈴木さん宅から南側にある日野市立滝合小学校の上空で、それまでつけていた明かりをわざわざ消して無灯火にして飛行していったそうです。続いて、十八時〇二分、十八時二十三分に飛来したオスプレイも同様にヘリモードで滝合小の上空で明かりを消していき、二十一時十五分に飛来したオスプレイはヘリモードで完全無灯火だった。このように述べられました。
 日本の航空法は、六十四条で夜間の灯火、八十二条で巡航高度、八十四条で編隊飛行の禁止、これをうたっています。オスプレイが行っている夜間無灯火、低空飛行、編隊飛行、どれも航空法違反の危険な飛行であると東京都は認識をされていますか。

○三木基地対策部長 都は、これまでも国への提案要求などにおいて、安全対策の徹底などを要請するほか、米軍機の飛行に対する航空法の適用などを求めております。

○清水委員 自衛隊機でさえ、航空法の夜間の灯火、巡航高度、編隊飛行の禁止、これは禁止をされているんです。それなのに、米軍機には適用されないのは、日米地位協定のせいです。日米地位協定の見直しを政府に強く求めていただきたい。
 さらに、オスプレイについて、日米合同委員会の合意で、その飛行や運航について定めています。進入路及び出発路はできる限り学校や病院を含む人口密集地上空を避けるよう設定する、米軍の施設及び区域内においてのみヘリモードで飛行し、転換モードでの飛行時間をできる限り限定する。低空飛行訓練は、地上から五百フィート、約百五十メーター以上の高度を飛行し、人口密集地域、学校、病院などの上空を避けて飛行する。米軍が約束したこの日米合同委員会の合意すら守られていません。
 都は、オスプレイに関する日米合同委員会の合意が遵守されていないとの認識はお持ちですか。

○三木基地対策部長 国からは、米側は、オスプレイに関する日米合同委員会合意の内容を含め、既存の全ての日米間の合意を遵守する旨明言していると聞いております。

○清水委員 国からは、米側は、オスプレイに関する日米合同委員会の合意の内容を含め、既存の全ての日米合意を遵守する旨を明言していると聞いているとのご答弁でしたけれども、実態は全く守られていません。そのことによって、基地周辺のみならず、都内の多くの住民が命の危険にさらされていることは明らかです。
 オスプレイに関する日米合同委員会合意は遵守されているという立場に立つ米軍に是正を求めるには、遵守されていない事実を示すことが必要です。政府に調査を求めるとともに、住民の命と安全を守るためには、都として早急に調査を始めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○三木基地対策部長 安全保障に関することは国の専管事項であり、オスプレイを含む米軍機の安全確保は、国が責任を持って行うべきことであります。また、航空機の飛行実態など、米軍の運用に関する情報は国の責任において取得し、提供されるべきものであります。
 このため、都は、飛行状況の実態に関する情報の提供や、低周波に関する調査などについて、地元自治体とともに国へ申し入れております。

○清水委員 オスプレイをはじめとする米軍機の飛行実態は、日本の航空法に照らしても、日米合同委員会の合意に照らしても許されないものです。それは重大事故を起こしかねない危険な飛行であり、万一、人口密集地で事故が起きたら大惨事になり、多くの住民の命が危険にさらされるからです。
 住民の福祉の向上は、東京都の最優先課題です。住民の命を守るために必要な手だてを国が取るよう強く求める、これは当然ですけれども、国や米軍が動くまで手をこまねいている、こういうことは許されない課題です。
 そして、政府や米軍を動かす一番の力は事実を突きつけて是正を求めることではないでしょうか。気象情報が多くの市民から寄せられた情報を力にしているように、市民、区市町村の力を借りて、正確な情報を把握し、政府、米軍に強く働きかけて、危険な実態を解決していただくよう強く求めて、質問を終わります。

○関口委員 よろしくお願いします。
 木造住宅の密集地域対策について伺ってまいります。
 木造住宅密集地域は、基盤が未整備で、敷地が細分化されており、宅地の接道条件が悪く、土地建物の権利関係が複雑な地域が少なくありません。そのため、住宅の建て替え更新が進まず、建物は老朽化し、高齢化が進行し、周辺の商店街や町内自治会などのコミュニティ活動も停滞をしてしまう、そういった一面があります。地域全体の社会的、経済的ポテンシャルの低下を招くものであります。
 このように、木造密集地域の課題は連続的で、個人の努力と個別の課題対応では、なかなかこの悪循環の連鎖を断ち切れないものということを考えております。
 そういった観点では、都では、首都直下型地震の切迫性や東日本大震災の発災を踏まえて、木密地域の改善を加速するため、平成二十四年に実施方針を策定し、木密地域不燃化十年プロジェクトに取り組んでまいりました。
 そうした中、令和二年三月には、不燃化特区制度の活用や特定整備路線の取組を五年間延長することになりましたが、この延長された意義について伺いたいと思います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃化特区制度につきましては、その延長により、一歩踏み込んだ取組を新たに展開して、区の取組を後押しすることで、不燃化を加速させていくことができます。
 特定整備路線につきましては、その取組を延長することで、整備地域において延焼を遮断するなど、地域の防災性向上を図ることができます。

○関口委員 今ご答弁をいただいて、まさに私もそのように思っております。五年延長だけではなくて、ぜひ腰を据えてやっていただきたいという気持ちも持っているところであります。
 今、不燃化特区について伺ってまいりましたが、少し枠を広げて整備地域について伺いたいと思います。
 整備地域ごとに不燃領域率が示されております。不燃領域率は、市街地の燃えにくさを示す指標であり、七〇%を超えると市街地の延焼の危険性がほぼなくなるとされております。
 そこで、整備地域全体の不燃領域率の推移を伺いたいと思います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 整備地域全体の不燃領域率でございますが、木密地域不燃化十年プロジェクトを開始した平成二十三年度は五八・四%、令和元年度末の推定値では、六三・六%となり、五・二ポイント上昇しております。

○関口委員 整備地域の不燃領域率が上昇しているのは評価をしたいと思います。しかし、一方、低いところもありまして、例えば、一番低いところですと、整備地域の中では、羽田地域、五二・九%、そして私の地元であります杉並の阿佐谷、高円寺周辺地域、これまさに高円寺に私は住んでおるんですけれども、五四・五%ということで、まだまだ進んでいない地域があるのも事実であります。
 住んでいるからこそ分かるのが、これはなかなか一概にがらっと変えることは難しくて、本当に積み木を一つ一つ積み重ねていく、そういった作業だということもありますので、基礎自治体や周辺地域の皆さんや、あるいは本当に都の皆さんの様々な努力が積み重なって、何とかこうした結果が出ているかと思いますが、こういった低い地域についての対策というものもぜひお願いをしたいと思います。
 木密解消のために、この整備地域には重点整備地域を設け、先ほども少し伺いましたが、不燃化特区制度を活用しております。
 支援が三つありまして、専門家の派遣、老朽建築物除却費の助成、そして建築設計費等の助成ということで、この三つの支援がございます。不燃化特区制度の令和二年度の助成件数や執行額の実績、推移について伺いたいと思います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃化特区におけます建て替え及び除却の助成件数、執行額は、取組を開始した平成二十五年度から増加を続けており、令和二年度は、助成件数は千五百二十九件、執行額は約二十八億円となっております。

○関口委員 執行額が平成二十五年度から増加をしているということで、ぜひこうした形で引き続きお願いしたいと思います。
 そして、先ほどから地元のことにばかり触れておりまして恐縮でありますが、杉並区であれば、不燃化特区であれば、杉並第六小周辺や方南一丁目ということで、この地域も極めて木密の厳しい地域でもございます。こうした地域の取組もぜひより一層の支援をいただきたいと思っております。
 一方で、この不燃化特区制度の取組に当たっては、やはり基礎自治体である区との連携というものが極めて重要でございますが、どのような連携を図られているのか伺いたいと思います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 防災都市づくりの推進に当たりましては、都と区が果たすべき役割を適切に分担し、密接に連携しながら取り組んでいくことが重要でございます。
 都は、区との協議会などにおきまして、地元区と進捗状況や地域の実情を踏まえ調整を進めることで、不燃化特区の地区指定を行うとともに、区の事業計画について調整を行い、整備プログラムの取りまとめを行いました。加えて、除却後五年以内の不燃化建て替えを新たに補助対象とするなど、令和三年度以降の助成制度の拡充に反映させております。また、区と連携しまして、防災まちづくりの意識啓発を図る不燃化セミナーを開催いたしました。

○関口委員 不燃領域率の低い地域のさらなる改善に向けて、不燃化特区制度を延長するということは、先ほどもご答弁いただきましたが、効果的だと考えております。そして、五年といわず、ぜひ腰を据えて進めていただきたいという気持ちもございます。
 一方、この不燃化特区制度を活用するには、基礎自治体である区の関わりが必要不可欠でありまして、都が財政的後押しをしているとはいえ、区の財政負担があることは否めないということを思います。区との連携強化を一層図って、不燃化を促進していただきたいと思います。
 不燃化と並行して耐震化についても伺ってまいります。
 木造住宅密集地域などの整備地域においても、耐震化は極めて重要でございます。戸建て住宅等の耐震化のための助成制度、実施をしておりますけれども、この概要について伺いたいと思います。
 また、令和二年度の戸建て住宅等の耐震化のための助成制度の予算額、実績額及びその執行率について伺うとともに、実績額における整備地域が占める割合についても伺いたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 都は、平成十八年度から防災都市づくり推進計画に定める整備地域内の住宅を対象に、耐震診断、耐震改修等に助成を行う区を支援するとともに、平成三十年度から国が積極的な取組を行っている自治体を支援する制度を創設したことに合わせまして、所有者への積極的な働きかけを行うことを要件として、整備地域外の住宅も対象に助成を行う区市を支援しています。
 令和二年度は予算額約二億二百六十万円に対して、実績額は約一億一千三百七十万円、その執行率は五六・一%です。実績額における整備地域が占める割合は七五・九%でございます。

○関口委員 ご答弁もいただきましたが、整備地域外の住宅も対象に助成を行うということで、そのことは評価をしております。
 一方で、その中で占める割合が七五・九%ということのご答弁もいただきました。
 しかしながら、今、執行率に関しては五六・一%ということでご答弁をいただきました。本来であれば、より高い執行率というものが望ましいと考えておりますが、なぜ低い執行率であったのか伺いたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 都は、区市等の意欲的な取組を支援するため予算を計上しているところ、実際に耐震化に取り組んでいただく都民の方々は様々な事情を抱えておられまして、助成の申請件数が予算で想定した件数に至らないことなどがありました。
 なお、執行額、助成件数を令和元年度と比較しますと、耐震診断、耐震改修等、ともに増加しております。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、都民は様々な事情を抱えておりということで、なかなか一筋縄ではいかないという現状があるということも理解をしております。しかし、より多くの都民の方に利用いただけるよう周知徹底をいただきたいと思います。
 そのためには、先ほどの質問とかぶるようなところがありますが、やはり実際の窓口である基礎自治体との連携が不可欠だと考えますが、令和二年度に都が行った取組について伺いたいと思います。

○青木耐震化推進担当部長 都は、区市町村と連携しまして建築物の耐震診断及び耐震改修の円滑な推進を図るため、耐震改修促進行政連絡協議会を設置しています。
 この協議会において、区市町村と情報共有や意見交換を図り、実態を踏まえた補助基準額の引上げなどについて、令和三年度からの助成制度の拡充に反映させたところでございます。

○関口委員 それでは、話題を変えたいと思います。
 羽田の新ルートについてであります。
 羽田空港で昨年三月から運用されている新ルートは、ルート直下の住民に騒音被害や落下物への懸念などをもたらし、地元自治体、区議会からも固定化回避、ルート見直しを求める要望、意見書が多数提出をされています。
 こうした状況を踏まえ、国は新ルートの固定化回避検討会を設けていますが、現在検討中の方策では状況は改善しないのではないかという懸念も地元には根強くあるようであります。東京都の目指す安全で快適な都市づくりのためにも、羽田空港の都心ルートの見直し、これはしっかり国に強く求めるべきだと考えております。
 そこで、昨年度の動きも踏まえながら伺ってまいります。
 昨年度の新飛行経路の運航開始時点からの運航状況について、当初予定されていた発着回数や昨年度の便数の実績について伺いたいと思います。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 当初予定につきましては、新飛行経路の一時間当たりの発着回数は、南風時におけるA滑走路への着陸が十四便、C滑走路への着陸が三十便、B滑走路からの離陸が二十便となっており、北風時におけるC滑走路からの離陸は二十三便になっております。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、羽田空港における運航便が大幅に削減されており、昨年度一年間の運航便数の実績は、南風時におけるA滑走路への着陸が二千七百三便、C滑走路への着陸が六千二十四便、B滑走路からの離陸が四千百三十便、北風時におけるC滑走路からの離陸は二万百九十五便であったと聞いております。

○関口委員 コロナによって運航便が大幅に削減をされているということで、むしろこれから、コロナが終息をして、増便になったり、あるいは、今までの運航実績の中では、飛行機が小型化であったりとか、軽量化である機体が多かったということも聞いております。そういった観点からは、これからより影響が出てくるのではないかということを私は懸念しております。
 新飛行経路を通る周辺住民からは、どのような声が寄せられたのでしょうか。
 また、それらに対し、原則として国の事業ではありますが、東京都が取り組んだことなどはございますでしょうか。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 都民の皆様などから、騒音、安全対策の実施など、様々な意見が寄せられております。
 都は、情報共有や意見交換を行うために設置した羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会幹事会及び分科会の場などの機会を捉えまして、都に寄せられた意見を国に伝えるとともに、都民の理解がさらに深まるよう、国に対し、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めております。

○関口委員 今ご答弁もいただきましたが、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会幹事会及び分科会の昨年度の開催状況について伺いたいと思います。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 昨年度におきましては、羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会幹事会については二回、同分科会については五回開催いたしました。

○関口委員 関係区市との連絡会ということでありますが、私も幹事会、分科会についての報告については伺いましたが、様々、関係区市からの懸念であったり、あるいは疑問であったり、要望であったり、こうしたことが非常に蓄積をされているものでありました。ぜひこういった基礎自治体の声というものをしっかり受け止めて、国に対しての要望というものを引き続き行っていただきたいと思います。
 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会が昨年から開始をいたしました。昨年度、検討会ではどのような議論がされていたのか。
 また、東京都は、検討会での議論を受け止め、どのような取組がされたのか伺います。

○土橋航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 国は、地元区の意見等を踏まえ、昨年六月に羽田新経路の固定化回避に係る技術的な方策について、現在の滑走路の使い方を前提として、多角的に検討する会を設置いたしました。
 昨年度は合計三回検討会が開催されておりまして、年度末の検討会において、技術的選択肢として六通りの飛行方式に絞り込まれ、羽田空港で運用可能かどうかの観点を含め、メリット及びデメリットが整理されました。
 都としましては、騒音軽減や技術的な観点から、羽田新経路の固定化を回避するための方策について、適切に検討が進められるものと受け止めました。そして、国に対し、引き続き都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めました。

○関口委員 先ほども申し上げましたが、私たちの会派は、羽田空港の新ルートの見直し、これを東京都が国にしっかり強く求めることが重要だという考えを持っておりますが、それ以前に、やはり都民の安全対策や騒音対策、こうしたものを、国の仕事であるということはもちろん、管轄であるということはもちろんそうだとは思うんですが、もう少し都がさらなるイニシアチブというものを握った方がいいのではないかということを思っております。そのことの要望をして、質問を終わります。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後四時十九分散会

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