令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

令和三年十月二十七日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長内山 真吾君
副委員長慶野 信一君
副委員長清水 孝治君
かまた悦子君
あかねがくぼかよ子君
アオヤギ有希子君
田村 利光君
白戸 太朗君
五十嵐えり君
尾崎あや子君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長中村 倫治君
健康危機管理担当局長佐藤 智秀君
次長理事兼務雲田 孝司君
技監田中 敦子君
理事医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長事務取扱矢沢 知子君
理事早川 剛生君
総務部長高野 克己君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務成田 友代君
高齢社会対策部長山口 真吾君
少子社会対策部長奈良部瑞枝君
障害者施策推進部長中川 一典君
感染症対策部長武田 康弘君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長
新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務
齋藤 善照君
医療改革推進担当部長小竹 桃子君
医療政策担当部長鈴木 和典君
地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務池上 晶子君
子供・子育て施策推進担当部長西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務杉下 由行君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長遠藤 善也君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務花本 由紀君
新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務河野 和久君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和二年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・令和二年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・令和二年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○内山委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、福祉保健局長及び幹部職員に交代がありましたので、福祉保健局長から挨拶並びに幹部職員の紹介があります。
 福祉保健局長に就任いたしました中村倫治君をご紹介いたします。

○中村福祉保健局長 十月二十五日付で福祉保健局長を拝命いたしました中村倫治でございます。
 都民が安心して生活できる社会の実現に向けまして、急速な高齢化への対応、子育て支援、新型コロナウイルス感染症対策、コロナによって様々な影響を受けている方に寄り添った支援など、福祉、保健、医療サービスの充実に取り組んでまいる所存でございます。
 内山委員長をはじめ委員の皆様方には、引き続きご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、人事異動のありました当局の幹部職員を紹介いたします。
 健康危機管理担当局長の佐藤智秀でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○内山委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。

○内山委員長 これより決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、令和二年度東京都国民健康保険事業会計決算、令和二年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び令和二年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高野総務部長 十月十八日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。資料は、目次にありますように全部で十五項目でございます。
 一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額、それぞれの一般会計に占める割合などの推移を平成二十八年度から令和二年度の五か年にかけて記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち、表側の予算の区分ごとに、福祉保健局所管分の予算現額及び決算額の推移を平成二十八年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 三ページをご覧ください。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上及びその人口に占める発行実績数の割合の推移を平成二十八年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、令和二年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業別に、区市町村ごとの令和二年度の補助額の実績を右側の五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、区市町村地域生活支援事業及び区市町村地域生活支援促進事業につきまして、それぞれの事業ごとの令和二年度の実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをご覧ください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、令和二年度に東京都が認可した保育所につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみの三つに区分し、それぞれの施設数を区市町村別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数並びに指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を平成三十年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 九ページをご覧ください。8、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数、施設閉鎖の命令数等の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数並びに認可、認証の取消し数及び認可外保育施設に対する施設閉鎖の命令数を平成二十八年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、保育施設巡回指導員の推移といたしまして、各年度三月三十一日現在の保育施設巡回指導員の人数を平成二十八年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 一一ページをご覧ください。10、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、区分に記載した事業ごとに、当初予算額及び決算額を平成三十年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移といたしまして、当初予算及び決算において、事業ごとに補助対象としました事業所数、レベル認定者数及びアセッサー数を平成三十年度から令和二年度にかけて記載してございます。
 一三ページをご覧ください。12、都内の介護職員数の推移といたしまして、厚生労働省が推計した人数を平成二十九年度から令和元年度にかけて記載してございます。
 一四ページをお開き願います。13、東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金並びに歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額といたしまして、(1)に令和元年度及び令和二年度における歳計剰余金額を、(2)に令和元年度における歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額をそれぞれ記載してございます。
 一五ページをご覧ください。14、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおけるコロナ専用病床の確保数の推移と利用実績といたしまして、(1)にICU、一般病床の区分別のコロナ専用病床確保数及びその合計について、令和二年六月三十日から令和三年三月三十一日まで記載してございます。(2)では、同じくICU、一般病床の区分別のコロナ専用病床の利用実績及びその合計の利用実績につきまして、令和二年度の数値を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。15、新型コロナウイルス感染症患者受入れのための病床確保に係る補助金の決算額及び補助金を交付した医療機関数といたしまして、病床確保支援事業における令和二年度決算額及び補助対象とした医療機関数を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○内山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田村委員 私からは、まず、待機児童対策についてお聞きします。
 都は、少子社会でも安心して子育てができる環境づくりのため様々な施策を行ってきましたが、平成二十八年の緊急対策以降、待機児童対策に重点的に取り組んできました。まず、その成果についてお聞きします。

○奈良部少子社会対策部長 都は、待機児童の解消に向けまして、平成二十八年の緊急対策以降、保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして、区市町村や事業者の整備費の負担軽減や都有地活用の推進、宿舎借り上げ支援の充実など、様々な取組を進めてまいりました。
 その結果、保育サービス利用児童数が、平成二十八年四月は二十六万一千七百五人であったところ、本年四月は三十二万三千七百三人となっております。
 また、待機児童数は、平成二十八年四月は八千四百六十六人であったところ、本年四月は九百六十九人となっております。

○田村委員 都の待機児童対策は着実に成果を上げていると思います。しかし、そのことが少子化対策につながることが重要です。都が全庁を挙げて少子化対策へさらに力を尽くすことを改めて求めます。
 待機児童が減少する一方で、急速に整備を進めてきた結果、空き定員が発生している保育所も出てきています。事業者からは、今後の経営が不安との声も聞いており、定員の適正化など現状を踏まえた取組が必要と考えますが、都としてどのように対応していくのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 一歳児が待機児童の半数以上を占めていることから、都は、認可保育所の空き定員や余裕スペースを有効に活用して緊急的に一歳児を受け入れる取組を行う区市町村を支援するため、平成三十年度から緊急一歳児受入事業を開始いたしました。
 平成三十年度は五区市二十施設、令和元年度は九区市三十九施設、令和二年度は九区市五十二施設で取り組まれております。
 こうした中におきましても、空き定員が生じている地域があることを踏まえまして、今後、区市町村や事業者の意見を伺いながら、実態に見合った施設運営が可能となる仕組みについて検討してまいります。

○田村委員 認可保育所についても柔軟な運用がされることを望みます。
 一方、都の認証保育所においては、既に利用者数に応じた職員配置がなされているとのことですが、利用者数も職員も減少すれば、先細りは免れません。都として、認証保育所の将来像についても早急に検討することを併せて要望いたします。
 次に、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業についてお聞きします。
 この支援事業には、平成二十六年度から令和二年度までの間に総額二百二十三億円の予算が投入されています。保育の現場からは、保育人材の確保に効果的な施策であるという声が上がっています。
 そこで、本事業の直近三か年の実績と効果について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、保育人材を安定的に確保するため、平成二十六年度から職員用の宿舎を借り上げる事業者への支援を開始しておりまして、平成二十八年九月の緊急対策におきまして、国事業では採用後五年目までとされていた要件につきまして、独自に年数制限を撤廃しております。
 直近三か年の実績ですが、平成三十年度は二十三区二十六市村、一万四千八百六十七戸、令和元年度は二十三区二十七市町村、一万九千五百一戸、令和二年度は二十三区二十八市町村で二万三千二百六十七戸となっており、年々増加しております。
 本事業は、保育人材の確保と定着に大きな役割を果たしているものと考えております。

○田村委員 東京都は、今後、過去にない高齢化と少子化を迎えます。高齢化対策とともに、少子化対策にも限りある財源を「適財適所」でバランスよく投入されることを要望いたします。
 次に、学童クラブについてお聞きします。
 共働き家庭は、子供が保育園から小学校に入学する際、いわゆる小一の壁と呼ばれる問題に直面します。子供が放課後に健やかに過ごし、保護者も安心して就労を継続できるよう、放課後の居場所を確保していくことが求められています。
 都の子供・子育て支援総合計画では、令和六年度までに登録児童数を一万六千人増やすことを目標に掲げており、スピード感を持って整備を進めていくことが重要であると考えます。
 そこで、学童クラブの整備促進に向けた都の取組と昨年度の登録児童数について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、昨年度から、待機児童解消を目的として、学校敷地内で午後七時以降まで開所する学童クラブを整備する場合、区市町村の負担分について全額補助を行い、整備の促進を図っております。
 また、民家やアパートなどの賃貸物件を活用する場合は、国庫補助の対象である開所前一か月分の賃借料に、都独自に三か月分を加えまして、開所前計四か月分の賃借料を補助しております。
 こうした取組によりまして、昨年度の登録児童数は十一万五千二百七十人となり、前年度と比べまして四千九百二十六人増加をいたしました。

○田村委員 受皿の量的な確保と併せて、子供たちが学童クラブにおいて安全に安心して過ごすためには、子供たちと日々接する職員の体制の強化や、研修等による資質の向上を図っていく必要があります。
 学童クラブにおける質の向上に向けた都の取組について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都では、常勤職員を含めた二名の職員配置などを要件といたしました都型学童クラブ事業を実施し、質の向上に取り組む区市町村を支援しております。
 また、学童クラブの職員が必要な知識を習得するための研修を実施しているほか、昨年度からは、この研修を修了した五年以上の勤務経験を有する方を対象に、発達障害のある子供への対応や、保護者、学校との連携協力などに関する内容を盛り込みました資質向上研修を新たに実施しております。
 さらに、今年度から、医療的ケア児の受入れを進めるため、看護師等の増配置や送迎支援などを行う場合に、国庫補助に上乗せして都独自に補助をするなど支援を充実しておりまして、今後とも、学童クラブの整備や、その質の向上に取り組む区市町村を支援してまいります。

○田村委員 ありがとうございました。様々な環境に適応した学童クラブの整備によって、小一の壁が東京都から払われることを切に願います。
 次に、子供の貧困対策支援事業について伺います。
 子供の貧困は、子供のみが単独で貧困に陥るのではなく、子育て世帯が貧困状態となり、子供が貧困の影響を受けると考えられます。その結果、学力低下など最終的には大きな社会損失を生みます。そして、今、コロナ禍で生活が苦しくなっている家庭も多いと聞いています。
 そこで、都は、子供の貧困対策支援事業を行っていますが、昨年度の区市町村の取組状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 平成二十六年に子どもの貧困対策推進法が施行されたこともございまして、福祉、教育、就労等の各分野におきまして、子育て家庭の支援の充実が図られておりますが、生活に困窮する家庭に十分には届いていない状況がございます。
 こうしたことを踏まえまして、都は、平成二十九年度に子供の貧困対策支援事業を開始いたしまして、生活に困窮する子育て家庭を必要な支援につなげる専任職員の配置や、関係機関の連携、情報共有を行う連携会議の設置等に取り組む区市町村を支援しております。令和二年度は九つの自治体が本事業を実施しております。

○田村委員 今の答弁で九自治体が実施しているとのことですが、子供の貧困は全ての自治体共通の課題である割には、本事業の実施自治体が少ないと思います。
 そこで、より多くの区市町村が補助を利用しながら子供の貧困対策を進めるための取組について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 令和元年に法が改正され、子供の貧困対策の計画策定が区市町村の努力義務となりまして、昨年度末までに四十三区市町村が計画を策定しております。また、二十九区市町村が関係機関の連携会議を設置いたしまして、子供の貧困対策の推進に必要な情報交換や検討等を行っております。
 区市町村からは、都事業を開始したいが、実施に必要な予算や人員確保に時間を要するというお話を伺っております。
 都といたしましては、より多くの区市町村にこの事業を活用していただけるよう、実施自治体の具体的な取組事例を紹介するなど、課長会等を通じまして引き続き働きかけてまいります。

○田村委員 子供の貧困克服には、生活の様々な局面での支援が必要です。そのためにも、現場により精通した自治体の活動を継続的に支援することを要望しておきます。
 次に、とうきょうママパパ応援事業についてお聞きします。
 核家族化などが要因で、出産後の母親が適切なアドバイスを受けられず、育児のトラブルや母親の産後鬱などが生じるケースが増えています。
 そこで、都は、既存の母子保健事業に加え、とうきょうママパパ応援事業を実施していますが、昨年度の区市町村の取組状況について伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、平成二十七年度から、全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握して継続した支援を行う区市町村を支援しておりまして、昨年度から支援メニューを大幅に拡充したとうきょうママパパ応援事業を開始いたしました。
 実施自治体数は、平成二十七年度は十三自治体であったものの、昨年度は五十五自治体までに増加しております。
 区市町村からは、支援の必要な妊婦を早期に把握できる、産後の支援を行いやすくなったなどの声を多数いただいております。

○田村委員 本事業は多くの自治体で取り組んでいますが、産後ケアや、多胎児家庭への家事育児を行うサポーターの派遣等、任意で取り組む事業のメニューも豊富です。この事業をさらに魅力的なものにするためにも、これらのメニューの充実を図ることが必要です。しかし、取組状況には、区市町村で差があると聞いています。
 そこで、区市町村が任意で行う取組も一層進むよう、都は区市町村に対しどのように働きかけているのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、産後ケアや多胎児家庭への支援などの任意事業の取組が進むよう、区市町村への事業説明会等におきまして、事業の趣旨を丁寧に説明するとともに、実施自治体での取組事例を紹介しております。
 また、未実施の自治体に対しましては、ヒアリングを行い、各自治体の状況を確認しながら個別に取組を促しております。
 引き続き、より多くの自治体が任意事業に取り組んでくださるよう、積極的に働きかけてまいります。

○田村委員 出産直後の育児は、その後の保育、教育の場にも大きく影響します。子育ての切れ目ない支援の要にもなるこの事業をしっかりと育てていくことを要望いたします。
 次に、介護人材の確保についてお聞きします。
 全国で約八百万人に及ぶ団塊の世代が七十五歳以上の後期高齢者になる二〇二五年問題は、介護人材の不足という難題を浮き彫りにしました。しかし、医療や福祉分野のみでなく、他業種でも全国的に人材不足であり、人材の確保は困難を極めています。また、コロナ禍により、介護現場からの感染拡大は命に直結する問題です。
 そういった意味でも、介護人材の確保は重要かつ喫緊の課題だと認識しておりますが、これまでの都の取組状況を伺います。

○山口高齢社会対策部長 都はこれまで、平成三十年度から令和二年度までを計画期間とする第七期東京都高齢者保健福祉計画において、介護人材対策の推進を重点分野の一つとして位置づけておりまして、職場体験や資格取得の支援のほか、介護職員の宿舎借り上げや奨学金返済相当額の手当支給に取り組む事業者への支援など、介護人材の確保、定着、育成に向けた様々な施策に取り組んでまいりました。
 令和二年度には、介護職員宿舎借り上げ支援事業の一事業所当たりの補助対象戸数をそれまでの四戸から事業所規模に応じて最大二十戸まで拡大するなど、施策の充実を図っております。

○田村委員 最近では、第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代が六十五歳から七十歳になる二〇四〇年問題が注目されています。
 今後さらに重要となる介護人材対策にどのように取り組むのか伺います。

○山口高齢社会対策部長 今後とも高齢化が進み、介護ニーズが一層増大する中、令和七年、西暦二〇二五年には、都内で約三万一千人の介護人材の不足が見込まれております。
 このため、本年三月に策定した第八期東京都高齢者保健福祉計画におきましても、引き続き介護人材対策の推進を重点分野の一つに位置づけ、介護現場の業務改革や働きやすい職場環境づくり、地域の実情に応じた支援の拡充など新たな視点も踏まえながら、総合的に施策を推進していくこととしております。
 今年度は、デジタル機器等の導入により、職員の負担軽減に取り組む事業者を支援するとともに、新たに利用者等からのハラスメントに関する介護職員向けの相談窓口を設置するほか、身近な地域での就職説明会の開催などに取り組む区市町村を支援しております。
 今後とも、介護人材対策に総合的に取り組んでまいります。

○田村委員 介護の職場は、安心して働くことができ、働きがいのある職種であることもぜひ周知して、人材確保に努めていただくことを要望いたします。
 次に、障害者の暮らしの環境づくりについてお聞きします。
 障害者が地域で安心して暮らしていくために、その居住の場であるグループホームが地域にしっかり存在することは大変重要です。地域における障害者の居住の場の整備については、昨年我が会派から質問し、平成三十年度からの三か年プランの進捗状況を伺うとともに、着実に整備を進めていくよう要望したところです。
 都では、この三か年プランに基づき、障害者グループホームの設計を計画的に進めてきたと聞いていますが、グループホーム設置促進について、プラン三年目を終了した現在、三年間の総括として、どのように取り組んできたのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、障害者の地域生活への移行を進めるとともに、障害者が地域で安心して暮らせるよう、三年ごとに策定する東京都障害者・障害児施策推進計画の中で、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを位置づけ、障害者グループホームなど地域生活基盤の整備を進めております。
 平成三十年度から令和二年度までのプランでは、障害者グループホームの定員を三年間で二千人分増やす目標を掲げ、整備に係る事業者負担を軽減する特別助成、都有地の減額貸付、定期借地権の一時金への補助などを行ってまいりました。
 また、整備に当たりましては、事業者への説明会や個別相談などの機会を通じまして、事業の目的や都の支援制度などを丁寧に説明しながら整備を促進してまいりました。
 その結果、三年間で計画値を約四割上回る二千七百九十九人分の整備を行いました。

○田村委員 グループホームの整備が着実に進んでいることが確認できました。そのことは評価できるものだと思います。しかし、昨今、障害者自身の高齢化と併せて家族の高齢化も進んでおり、私の地元西多摩においても地域における大きな課題となっております。
 そこで生まれるのが親亡き後の問題です。親亡き後も障害者が地域で安心して暮らしていくために、地域生活の基盤を整備していくことは大変重要です。
 障害者が希望する地域で安心して暮らしていけるよう、必要な地域で、生活の拠点となるグループホームをはじめ、地域生活基盤の整備を今後も進めていく必要があると考えますが、都としてどのように取り組んでいくのか伺います。

○中川障害者施策推進部長 都は、本年六月に、令和三年度から令和五年度までを計画期間とする新たな東京都障害者・障害児施策推進計画を策定し、地域生活支援三か年プランにつきましても継続して計画に位置づけております。
 今年度からの三か年プランでは、障害者グループホームを二千五百人分増やす目標としたほか、障害者やその家族の様々なニーズに対応するため、相談機能や地域の体制づくりなどの機能を備えた地域生活支援拠点、また、介護者の病気などの事情により短期間施設等で必要な支援を行うショートステイなどにつきましても、さらなる整備を図る目標を定めております。
 障害者本人の高齢化や、お話の親亡き後も見据え、障害者が希望する地域で安心して暮らせるよう、地域のニーズを適切に踏まえ、区市町村とも緊密に連携を図るとともに、引き続き事業者に対して丁寧に対応しながら、今後とも地域生活基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。

○田村委員 必要な地域にグループホームなど地域生活の基盤が存在することは、その地域で暮らす障害者にとって大変心強いものです。都では、空室の都営住宅などの利用事例もあると聞きます。都の資産も積極的に活用し、地元区市町村の意見をしっかり聞きながら、引き続き着実な整備をお願いいたします。
 次に、発達障害者支援について伺います。
 発達障害は、通常、低年齢で発現する脳機能の発達が関係する障害です。発達障害がある人はコミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手だといわれます。外見からの課題の分かりにくさから、自分勝手とか、変わった人、困った人と誤解され、敬遠されることも少なくありません。しかし、幼児期から適切な環境を整えられれば、成人になってからも充実した社会生活を営める可能性が高まります。
 そこで、発達障害の早期発見や早期支援につながることが重要と考えますが、都の取組を伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、発達障害児者に対する支援を総合的に行う地域の拠点として東京都発達障害者支援センターを設置し、発達障害の子供を持つ家族からの育て方や進路などの様々な相談に対し助言を行うとともに、福祉サービスや医療機関等について情報提供を行っております。
 また、身近な自治体である区市町村における発達障害児の早期発見、早期支援に対する取組を支援するため、専門相談や関係機関との連絡調整等を行う支援拠点を設置する区市町村に対して、包括補助事業で支援しており、令和二年度末時点で三十八区市町の実績となっております。
 さらに、区市町村に対する発達障害児者の支援体制の整備を推進するため、区市町村の相談支援員やサービス提供事業所の職員に対して、体系的な知識の習得を目的とした講義形式での研修やグループワークなどを中心とした実践的な研修を実施しております。

○田村委員 次に、成人期の発達障害者への支援について伺います。
 発達障害のある方の中には、大学生や大人になって様々な選択や高度な人間関係が求められる環境に置かれて、初めて問題に気づき、医療機関を受診する人もいます。私が経営していた会社でも、適切な診断がされず、二次障害の鬱病を発症し、残念ながら退社を余儀なくされたケースがありました。大変期待していた社員だっただけに、会社にとっても、本人にとっても大変残念な結果で、社会にとっても損失だったと思います。このように、適切な支援につなげるためには、正確な診断を受けることが重要です。
 都は、令和二年度から発達障害専門医療機関ネットワーク構築事業に取り組んでいますが、実施状況について伺います。

○石黒障害者医療担当部長 都は、成人期の発達障害を適切に診断できる体制を確保するため、高度な専門性を有する医療機関を中核的な拠点医療機関として選定し、成人期の発達障害の診療ネットワークの構築に向けた取組を令和二年度に開始いたしました。
 具体的には、拠点医療機関において、都内全域の医師等を対象に、少人数制の専門人材育成カリキュラムによる研修や診療への陪席等を実施するほか、都内において発達障害の診療等を行っている医療機関に関する情報を収集し、受診を希望する当事者やその家族に対して、診療可能な医療機関の情報提供などを行っております。
 また、区部及び多摩地域にそれぞれ指定した二か所の地域拠点医療機関において、各地域の医療機関を対象とした情報共有のための圏域連絡会を実施するとともに、症例検討会を通じて診療力や支援力の向上を図っており、これらの取組を通じて、都内全域で成人期の発達障害者が診療や支援を受けられるよう、体制の確保に取り組んでおります。

○田村委員 成人期の発達障害については、まず、適切な診断ができる社会環境を整えることが必要です。そして、次のステップは就労や就学等への支援を充実させることです。都としての支援を拡大していただくことをお願いいたします。
 次に、コロナ禍の病床確保について伺います。
 コロナウイルスが猛威を振るい、都は、病床確保に奔走し、幾つもの対策を打ち出しました。病床確保支援事業の総額は千三百六十二億円に上ります。これらはコロナ禍のような緊急事態では必要な措置でありました。しかし、確保した病床が十分に活用されないなどの反省点もあります。その上で、今後の長期化に備えて、施策としての精度を高めなければなりません。
 そこで、病床確保のためにこれまでどのような対策を行い、どの程度の病床確保につながったか、昨年度の実績と今年度の取組状況について伺います。あわせて、確保した病床を活用するために必要な医師や看護師などの人材確保の取組状況についても伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都はこれまで、感染拡大の状況に応じ、繰り返し医療機関向けに説明会を開催し、新型コロナ患者を受け入れる病床確保の働きかけを行ってまいりました。
 また、医師や看護師の配置を含めた病床確保料のほか、人工呼吸器やECMOの整備を補助するなど、受入れ体制確保のための支援を行っており、令和二年度末時点で三百三十二床の重症病床を含む五千四十八床を確保しております。
 令和三年度においても病床の確保を進め、災害レベルの感染状況となった八月には、感染症法に基づく協力要請も実施し、最大時には、五百三床の重症病床を含む六千六百五十一床を確保しております。
 現在は終息フェーズにあることから、通常医療との両立を図るため、段階的に病床確保のレベルを引き下げることとし、令和三年十月二十七日、本日現在の確保病床は、重症用病床三百七十二床を含む四千九百六十四床となっております。
 お話の人材確保につきましては、感染症法に基づく協力要請の中で、病床確保に加えて、医療人材の派遣についても要請しております。現在は、感染状況に応じて都が指定する施設に速やかに人材を派遣するための仕組みを検討しておりまして、第六波への備えを推進してまいります。

○田村委員 それでは、第三波と第五波におけるピーク時の入院患者の受入れ状況と、コロナ患者の受入れを促進するための取組について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 第三波における都内の新型コロナ患者の最大の入院患者数は、令和三年一月十二日の三千四百二十七人であり、その時点の確保病床数は四千床でございました。
 また、第五波における都内の新型コロナ患者の最大の入院患者数は、令和三年九月四日の四千三百五十一人であり、その時点の確保病床数は六千三百十九床となっております。
 都は、医療機関に対し、都からの入院受入れ要請があった場合は、正当な理由がなく断らないよう働きかけており、引き続き入院患者の受入れを要請してまいります。

○田村委員 今後に向けて、改めて、病床のさらなる確保と入院患者の受入れの促進に向け、引き続きの取組をお願いいたします。
 次に、宿泊施設活用事業についてお聞きします。
 この事業は、入院の必要がない軽症者や無症状者を宿泊療養施設で療養させることで家族内感染などを防ぐとともに、看護師等による健康観察を通じて、療養者の安全をより確保する有効な取組です。
 都は、昨年四月に全国に先駆け中央区内のホテルを借りて宿泊療養施設を迅速に開設しました。その後、第一波終息後、一旦閉鎖しましたが、感染再拡大を受け、順次宿泊療養施設を開設してきました。手探りの中、軽症者等の療養をサポートしてきたことは評価いたします。
 一方で、宿泊療養は、ホテルを一棟借りし、都職員をはじめ、看護師、ホテル職員、廃棄物事業者など多くの関係者により成り立つ大きな事業となっています。
 そこで、宿泊施設活用事業の令和二年度の予算額、決算額及びその執行率、不用額が発生した理由と宿泊療養施設の利用実績について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 宿泊施設活用事業の令和二年度の予算額は三百三十五億五千七百万円、決算額は百四十一億五千九百万円、予算の執行率は約四二%でございます。
 予算の執行率が約四二%となった主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、新規施設を順次開設しており、その結果として、補正予算で想定していた施設規模を下回ったためでございます。
 また、昨年度における宿泊療養施設の利用実績は延べ二万六千四百九十八人となっております。

○田村委員 感染状況に応じて施設を開設した結果、予算の執行率が低くなったとのことでした。そもそも、宿泊療養施設の運営に係る費用は国の補助金により賄われるものですが、当然、その執行に当たっては、感染状況を踏まえ、適正な規模を確保していくことが必要であることから、一概に執行率が低いことは非難されるべきものではないと考えます。
 一方で、さきの第五波においては、宿泊療養施設に入所することができず、自宅療養を余儀なくされた方がいたとも聞いています。そうした状況を踏まえると、今後、感染が再拡大し、第六波が到来するといわれていることから、その備えを行っていく必要があると考えます。
 そこで、都は、第六波に向けて宿泊療養施設の確保をどのように考えているのか伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 第五波では、感染者数の急増に対応し、七月初めに確保していた十三施設に加え、七月から八月に四施設を順次開設して計十七施設まで規模を拡大し、総部屋数五千四百六十九室から六千五百四十六室に増やしております。
 宿泊療養施設では、看護師が常駐して入所時に問診を行い、病状悪化のリスク要因を把握するとともに、定期的に入所者の健康観察を実施しているため、患者の受入れ数は看護師の配置状況に影響されます。
 宿泊療養施設で働く看護師の約九割は人材派遣の看護師で構成されており、ワクチン接種など看護師需要の急増に伴い、日々の看護師確保に影響が出ておりました。そのため、正看護師だけではなく、准看護師の派遣も可能となるよう資格要件を変更するとともに、処遇改善が図れるよう業務内容の記載を見直し契約締結した結果、看護師不足は改善しております。
 第六波に向けましては、個別消毒、清掃の一層の活用や入所時間の拡大など運用の見直しを行い、既存施設のさらなる稼働率向上を図るとともに、宿泊療養施設の確保を進めてまいります。

○田村委員 宿泊療養施設の運営に当たっては、効率的な運用を目指すとともに、第六波への備えをしっかりと行っていただくよう改めてお願いを申し上げます。
 次に、PCR検査について伺います。
 新型コロナウイルス感染症は、我が国においては昨年一月十五日に最初の感染者が確認された後、都においても感染拡大と終息を繰り返す中で、感染者が増加すると病床の逼迫を招くなど、医療提供体制に大きな影響を与えてきました。新型コロナウイルス感染症は、かかりつけ医や身近な医療機関において早期に受診、検査ができれば、その後の重症化リスクの低減や周囲への感染拡大防止などの面からも大きいメリットがあります。
 そこで、検査体制整備について、昨年度からの東京都の取組について確認をしたいと思います。まず、都は検査体制の整備をどのように行ってきたのか伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、昨年春から、新型コロナウイルス感染症疑い患者の診療、検査を行う新型コロナ外来やPCRセンターの設置促進に向け、設置主体である医療機関、地区医師会、区市町村に対して、設備整備費や運営経費を補助してまいりました。これにより、令和三年三月時点で、新型コロナ外来は約百十か所、PCRセンターは複数の自治体の共同設置を含め五十七か所設置されました。
 また、昨年十月には、季節性インフルエンザとの同時流行に備え、発熱等の症状のある患者がかかりつけ医などの身近な医療機関等で診療や検査を適切に受けられるよう、東京都医師会とも連携しながら、診療・検査医療機関等の拡充に取り組んできました。
 その結果、検査を行っている医療機関は、令和三年三月時点で約三千四百か所、同年九月時点では約四千二百か所まで拡充しております。
 一方、検査分析体制についても充実を図るため、民間検査機関や大学病院等に対するPCR検査機器等の導入補助事業を実施しておりまして、昨年度は百十か所の検査機関等に対して百八十三台の検査機器導入を支援しております。

○田村委員 都は、PCRセンター、診療・検査医療機関等の体制整備を行うとともに、民間検査機関等の機器整備への支援などにより、検査体制の整備に努めてきたことが分かりました。
 そこで、検査体制整備に取り組むことにより、具体的にどのような成果があったと考えているのか伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都では、昨年十月に策定した新型コロナウイルス感染症に関する検査体制整備計画に基づき、診療・検査医療機関等の確保や、民間検査機関、大学病院等への検査機器導入補助、さらに、抗原定性検査、つまり抗原簡易キットでございますが、これらの活用も促進することで一日当たり約六・八万件まで確保しております。
 また、過去に経験したことのない感染状況下でも十分な検査ができるよう、今年の四月に整備計画の見直しを行い、PCR検査や抗原定性検査等の検査方法の組合せにより、一日当たり約九・七万件まで拡充しております。
 現在、過去最大規模の新規感染者数の発生や、今後の季節性インフルエンザの同時流行を想定した検査需要にも対応できるよう、医療機関や検査機関等へのアンケート調査や東京都医師会などとの意見交換を行いながら、検査体制を点検し整備計画の見直しを進めております。

○田村委員 感染状況が落ち着きを取り戻している今こそ、新型コロナウイルス感染症の検査体制についてチェックし、次の感染拡大の波が来ても対応できるよう、持てる資源を最大限に活用できる体制を整えておく必要があります。
 年末年始においては、休みに入る医療機関も多く、検査が受けられる体制の確保が懸念されます。ぜひ、都が医師会とも連携を図りながら、年末年始の診療、検査体制の確保に向けて十分な準備を進めていくことを要望いたします。
 最後に、オンライン診療についてお聞きします。
 新型コロナ感染拡大により、通院による感染リスクを危惧して受診控えが広まりました。それにより、早期発見や適切な診断ができず、都民の健康が脅かされました。その対策として、都は、かかりつけ医によるオンライン医療相談、診療などを促進するため、医療機関が実施する環境整備を支援しました。
 まず、その実績について伺います。

○小竹医療改革推進担当部長 都は、かかりつけ医等がオンライン医療相談、診療等を行うための専用の情報通信機器等の整備を支援するため、令和二年四月にオンライン医療相談・診療等環境整備補助事業を創設し、令和二年度は都内五百三十の医療機関に対して支援を行っております。

○田村委員 オンライン診療の環境は整備されても、実際に診療を行う施設が増えなければ意味がありません。
 実際に、この事業には約一・四億円の経費が費やされていますが、本事業を実施したことによる効果について伺います。

○小竹医療改革推進担当部長 都は、国の事務連絡に基づき、電話や情報通信機器を用いて診療を実施する医療機関を把握し、厚生労働省に報告しております。その数は、令和二年四月時点の千五十九か所から、令和三年十月十五日現在の二千八十五か所と増加しております。

○田村委員 二千八十五か所とのことですけれども、これは都内医療機関の十数%にすぎません。
 今後のオンライン診療の普及に向けた都の課題認識と取組について伺います。

○小竹医療改革推進担当部長 オンライン診療は、アクセスが容易で待ち時間がない一方、十分なセキュリティ対策が必要であるほか、対面診療に比べ医師が得られる患者の情報は限定されている等、安全性や信頼性に課題があることが国のオンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会において指摘されております。
 そのため、都は、オンライン診療の普及に向けましては、オンライン診療を希望する患者や実施医療機関の安全性や信頼性を十分に確保し、安心して利用できる環境整備を図ることを国に対して提案要求しております。

○田村委員 国もオンライン診療の環境整備に着手するとのことですが、都としても、そのメリットを最大限生かし、都民が安心して受診できる環境を整備していくことを要望して、私の質問を終わります。

○あかねがくぼ委員 私の方からは、令和二年福祉保健局決算に関しまして、自殺対策、児童虐待防止、そしてひとり親支援について伺ってまいります。
 令和二年の自殺者数は、全国で二万一千八十一名となり、対前年比九百十二人、約四・五%の増加となっております。男女別に見ますと、男性の自殺者が女性の約二倍という傾向、これは以前から変わっていませんけれども、男性の場合は十一年連続の減少、女性は二年ぶりの増加となっております。東京都におきましても同様の傾向であると考えます。令和二年は元年と比較しまして二十代及び十代での自殺者が大きく増加した、そういった点が特徴となっております。
 また、令和二年の自殺者数の月ごとの推移を見てまいりますと、例年と明らかに異なった傾向がありました。六月までの数は減少をしており、七月以降に増加をしている。特に、女性の全ての年代の方及び十代、二十代の若者の増加、こちらが著しく、傾向としてございます。
 都としては、コロナ対策の一環でもありますが、自殺対策を取り組んできたところであります。
 そこで、令和二年度七月補正の自殺防止相談における支援体制強化につきまして、具体的な拡充内容と令和二年度における相談実績について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の影響による自殺リスクの高まりが懸念されておりましたことから、都は、令和二年七月に四千八百万円の補正予算を計上し、東京都自殺相談ダイヤル及びSNS自殺相談の相談体制を拡充いたしました。
 具体的には、令和二年度における東京都自殺相談ダイヤルの相談時間帯は午後二時から翌六時までであり、このうち午後二時から午後六時及び翌三時から六時までの回線数を拡充し、全ての相談時間帯を二回線といたしました。また、SNS自殺相談は、開始時間を二時間前倒しして午後三時から開始いたしますとともに、回線数を五回線から七回線に段階的に拡充いたしました。
 令和二年度におけます自殺相談ダイヤルの相談件数は二万二千百十四件、令和元年度に比較いたしまして九・四%増、SNS自殺相談の相談件数は一万一千二百九件、令和元年度に比較いたしまして四六・九%増となっております。

○あかねがくぼ委員 電話相談やSNS相談の体制を強化していただくなど、迅速に対策を取っていただいたという点を評価したいと思います。特に若い世代が利用しやすいSNSでの自殺の相談、これは前年比一・五倍の相談が来ているということを考えましても、大いに自殺の防止に役立ったものと思われます。
 過去の統計を見てみますと、日本の自殺者数は平成十年に一挙に増えまして、三万人を超えました。それ以降、高い数値が続いておりました。
 この急増の背景は、経済や生活問題による中高年男性を中心としたものでありまして、バブル崩壊の影響が推測をされております。現在でも、コロナ後の経済や生活の問題というのは、今後発生してくる課題であると考えます。
 そこで、相談体制の充実をはじめ自殺対策を強化していくべきと考えますが、今後、都はどのように取り組んでいくのかを伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 コロナ禍において、女性や若年層の自殺者数の増加が課題となったことを踏まえまして、都では対策の強化を図っております。
 本年七月から、女性や若年者の相談ニーズに合わせ、東京都自殺相談ダイヤル及びSNS自殺相談の相談時間の延長等を行っております。
 また、これまで小学五年生、中学一年生、高校一年生に配布してまいりました自殺予防に関するポケットメモを、本年度は小学五年生から高校三年生までの全学年に拡大し、夏休み前に配布いたしました。
 さらに、これまで九月と三月の自殺対策強化月間に実施しておりましたインターネットの検索連動広告を用いまして、悩みを抱える方を相談窓口等の情報に誘導する取組を、本年八月から通年で実施することといたしました。
 こうした取組により、引き続き、庁内各局、区市町村、関係団体と連携した自殺対策を推進してまいります。

○あかねがくぼ委員 女性や若い世代の方の自殺が急増していると、こういったことを受けたきめ細かな対策の強化を具体的に行っていただいているということが分かりました。
 女性は、特に産後の鬱など、なりやすいというところがございますので、相談窓口におけるリーフレット、区市町村で母子向けに確実に配布していくとか、そういった取組は大変よい取組であると思います。様々な方法で周知していただきたいと要望いたします。
 また、我が会派の要望を受けまして、SNSの相談時間、これも、最もアクセスが多い夜間の部分を延長していただきまして、二十三時まで相談を可能にしていただいたという点を感謝申し上げます。
 令和二年の前半に自殺者が減少していた、そういった背景には、政府小口資金、住宅確保給付金など、経済、生活問題を支える政策、これが自殺の増加を抑制しているというような分析も出ております。
 こういった点も含めて、国に対して政策の要望、そういったことも含めまして、総合的な自殺対策を引き続き取り組んでいただくことを要望いたしまして、次の質問に移ります。
 児童虐待防止について伺います。
 コロナ禍は、ステイホームが定着をし、自宅で家族と共に過ごす、こういった時間が増えました。
 警察庁によりますと、令和二年の一年間で、虐待の疑いがあるとして全国の警察が児童相談所に通告した子供が十万六千九百九十一人に上ったということでございます。これは、前年と比べて八千七百六十九人多く、統計を取り始めた二〇〇四年以降では過去最多の数でございます。
 検挙されたケースというのも二千百三十三件と、同じく過去最多となっており、虐待の状況が深刻になっているということがうかがえます。また、家の外に出る機会が減ったということで虐待が潜在化をしている可能性があります。
 しかし、子育てをする親を責めて断罪をしていくだけでは虐待は減らないということになりますので、妊娠したときから切れ目のない支援、この充実を図っていただくことこそが重要でございます。
 また、児童の健やかな成長が育まれる環境である家庭を支える機能として、児童相談所がその役割をしっかりと担っていけるようになるということも極めて重要でございます。
 令和二年度はコロナ禍でありましたので、従来のように対面での相談、ご家庭に伺っての支援、これが難しかったと思います。
 そこで、昨年度、新型コロナウイルス感染防止に配慮をした相談支援体制の構築、強化を図ることを目的に、児童相談所においてテレビ電話を利用した相談支援を導入したとのことですが、その取組の状況について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、昨年度、コロナ禍における児童相談所の相談業務を補完するため、二か所の児童相談所でテレビ電話を利用した相談支援を試行し、その後、年度内に都内十か所全てに導入をしております。
 利用の具体的な事例といたしましては、児童福祉司等との関係性が構築できている家庭の保護者及び児童との面接や、一時保護中の児童と保護者間の面会などに活用しておりまして、感染を懸念して家庭訪問を希望しない家庭や外出が難しい保護者への相談対応に役立っております。
 また、医療機関や子供家庭支援センターなどの関係機関等との会議や打合せ、自治体間の移管ケースの協議などにも利用しておりまして、児童相談に係る情報を迅速に共有しております。

○あかねがくぼ委員 コロナ禍においても児童相談所の役割を果たすために、テレビ電話が利用できるように対応していただいているということを評価いたします。
 児童相談所も非常に業務が多忙でありまして、また、保護者側も共働きが多く、なかなか時間もつくりにくいと考えます。その点、このようにリモートでの相談支援が受けられるということは大変有効でありますので、今後、感染症終息後も引き続き手段の一つとして残していってほしいと考えます。
 また、他の自治体からの移管、関係機関との情報連携を深めていく上でもまた有効な手段であると考えますので、より質の高い相談支援を続けていくため、ツールとしても定着をしていくようにしていただければと思います。
 次に、コロナ禍における相談内容の変化について伺います。
 コロナ禍では、外出の自粛や保護者の在宅勤務の増加などにより、家族が家庭内で過ごす時間が長くなり、ストレスも増えたと聞いています。この間、児童相談所に寄せられる相談内容にも変化があったのではないかと思いますが、具体的な内容等について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 児童相談所では、児童虐待をはじめ育児や子供の健康、障害など、子供と子育てに関する様々な相談を受け付けております。
 コロナ禍におきましては、お話のように外出自粛等によるストレスや在宅勤務等で一緒に過ごす時間が増えたことなどの影響による相談も増加しておりまして、具体的な内容といたしましては、兄弟げんかが多発している、ゲーム依存がひどくなった、つい子供をどなってしまう、仕事や子育て、家事の役割分担について配偶者ともめてしまい、子供の前でけんかになるなどの相談が寄せられております。

○あかねがくぼ委員 テレワークが普及をしまして、もちろんよい点は多いんですけれども、仕事のいらいらが家庭に持ち込まれてしまうということは子供にとってはマイナス要素であります。
 また、ずっと家族が家にいることで、家事の負担の増加、また、仕事との両立などのストレスが高まっていくなど、特に育児と家事を中心に担っていることが多い母親に対する負担が高まり、逃げ場がない状態につながりやすいのではないかと考えます。
 このような家庭内のストレス、この高まりが、令和二年の後半での、女性が全ての世代において自殺者が増加してしまっていたことなどと無関係ではないのではないかと考えます。
 また、母親が精神的に追い込まれてしまっている、そんな状態では、子供のメンタルにも悪影響であることは間違いありません。
 安心して心身を休息できる、こういった安全であるはずの家庭が危険な場所になってしまう、そういうリスクがあります。家庭内で相対的に弱い立場である子供に対しまして、そのストレスのはけ口にされてしまうことがあります。
 令和二年度においては、都内公立小中学校の不登校児童や生徒数は過去最高になっております。全国の児童生徒の自殺者数も四百九十九人に上るなど、大変憂慮すべき事態となっております。
 今後は、子供の命を守っていく、子供の死亡を防ぐための取組でありますCDR、チャイルドデスレビュー、この制度も東京都としても推進をしていくべきではないかと考えています。
 CDR、チャイルドデスレビューとは、他の道府県では既に取組が始まっておりますが、子供の死亡を予防することに有効性が示されている制度であります。
 一般的に子供を取り巻く環境は、家庭または学校が主なものであります。児童虐待が発生しない家庭環境を支援するため、あらゆる手段を講じて取り組んでいただきたいと要望をし、次の質問に移ります。
 最後の質問は、ひとり親支援についてでございます。
 コロナ禍で、非正規雇用やパート、アルバイトで仕事をされてきた人が失職をされたり減収となってしまっている、こういった実態があります。特にシングルマザー家庭には、以前から、貧困から抜け出せない状態が多いということが指摘をされております。
 そのような中で、多くの母子家庭が困っていることは、養育費の未払い問題があります。この課題については、我が会派でも明石市で既に実現をしていた養育費立替え事業について調査研究等を行っておりましたが、都民の提案事業として、ちょうど東京都としてもこの事業を採択されたというところでありました。
 東京都が昨年度開始しました養育費確保支援事業につきまして、昨年度の実績と今年度の取組を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、元配偶者からの養育費が不払いになった場合に備え、民間保証会社と連携し、養育費の立替え保証等を行う区市町村を支援しておりまして、昨年度は三区市が実施しております。
 今年度は、この事業を拡充いたしまして、養育費の取決めを行うに当たっての公正証書の作成や、裁判によらない紛争解決手続でございますADRの利用等につきましても支援の対象に追加しております。

○あかねがくぼ委員 この養育費確保支援事業ですが、利用するための前提となっている公正証書の作成、こういったところまで支援の対象としていただいている点は評価したいと思います。
 また、一方で、まだ始まったばかりの制度でありまして、このような制度があること自体を知らない人も多いということです。また、三区市が実施をしているということですけれども、まだまだ普及、十分ではありませんので、より多くの都内基礎自治体がこの制度を取り入れていけるようにしていくべきと考えます。
 また、離婚の前にしっかりと取り決めておくことが望ましいということで、ひとり親が養育費を確実に受け取れるようにするためには、養育費に関する都民への普及啓発、そして自治体に対する事業実施の働きかけが必要と考えますが、都の取組を伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭が養育費を継続的に受け取れるよう、ひとり親家庭支援センターにおきまして、家事事件に精通した弁護士等による相談対応を行っております。
 昨年度からは、離婚に際して必要な取決め等が行えるよう、離婚前から養育費の意義などについて学ぶ講習会も実施しております。また、昨年度に開設しましたひとり親家庭向けのポータルサイトにおきましても、養育費の取決めの重要性や方法等について啓発しております。
 区市に対しましては、ひとり親福祉施策の事業説明会や母子・父子自立支援員等を対象とする研修などの機会を通じまして、事業の活用を働きかけております。

○あかねがくぼ委員 ひとり親家庭向けのポータルサイト、こちらを活用していただいて、また、自治体との連携を通して、しっかりとこの事業の活用を促していただきたいと思います。
 東京都では、ひとり親家庭支援センターはあとで、ひとり親家庭、母子家庭や父子家庭ですね、こちらの生活相談や養育費相談、離婚前後の法律相談、面会交流支援、就労支援などを行ってきております。
 コロナ禍の影響でシングルマザーを取り巻く就労環境は非常に厳しくなっていると考えます。雇用の受皿が減っているという中で、より一層支援が必要でございます。
 ひとり親、特にシングルマザーの方は非正規雇用の割合が高いと聞いています。経済的自立が必要な方に対しては就労支援が非常に重要ですが、ひとり親家庭支援センターではどのように取り組んでいるのか、実績も併せて伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭支援センターにおきまして、就業相談のほか、パソコン講習会、適職診断、小論文添削や面接対策などの就業支援を実施しております。また、各種資格取得の支援制度や産業労働局の職業訓練等の紹介など、家庭の状況に合わせましてきめ細かな支援を実施しております。
 昨年度からは、子供の進学など、将来を見据えまして、必要となる収入の確保に向けた人生設計を学ぶセミナーの実施や、専門家によるマネープランの作成や資格取得の助言など、個々の状況に応じたキャリアアップ支援を開始しております。
 昨年度のセミナー参加者は三百七十一名、個別支援の延べ件数は四百五十五件となっております。

○あかねがくぼ委員 令和二年からは生活の設計やキャリアアップ支援のセミナーなどを始めていただいていることで、自立に向けたプログラムを提供しているという点を評価したいと思います。
 しかし、セミナーを受講したり支援を受けるということは、スタート地点、きっかけになりますので、その後、確実に経済的に自立ができているのかというところまで徹底して支援を続けて、伴走して支援を続けてほしいと思います。
 今までの行政支援では、母親は就労していたとしても収入が低くて、児童扶養手当に依存した生活になっているということが多いと聞いています。当面は、そのように福祉の保護の下で生活をしていただくということは、何ら問題はないと思います。しかし、当面のことだけではなくて、これは一生続くということで、一生涯のことを考えていかなければいけないと思います。
 お子さんが十八歳となって児童扶養手当が終わり、もう手当が得られなくなってしまう。そのときに、それ以降、母親だけが急に貧困に陥ってしまう、そういったケースが高齢の女性の貧困問題、これにつながっていると思います。
 今までの世代の女性は、出産を機に退職をするという方が多かったです。我々の世代以上の方は約半分の方がそういう方になっています。貧困にならないためには、正規雇用での社会復帰というのが非常に重要です。しかしながら、高齢になればなるほど正規雇用での就職というものは極めて困難になってまいります。ですので、なるべく三十代など、早いうちに復職をして、スキルを磨いて、できるだけ正規雇用などで経済的に自立ができるようにしていくべきです。
 子供との生活、お子様が小さいうちは当然優先をしたくなる、優先すべきというときもありますが、あまりにもそれに偏ってしまうことで、もう社会復帰がその後できなくなってしまう、こういうリスクもあるということをしっかりと伝えていかなければ正しい支援にはならないと思います。
 ひとり親のシングルマザーの経済的自立支援で、確かな成果を出してきている民間団体があります。そちらによりますと、一度退職をした女性が再び正規雇用で社会復帰をするには、社会から求められるスキルと経験、また、マインドセットのところに大きな差があるということで、それを埋めていくような支援が必要不可欠だということです。
 例えば、一般の事務職を希望するという女性が非常に多いのですが、その場合、ほとんどが年収は二百万円以下となってしまい自立ができる水準には達しません。
 一方で、敬遠されがちな職種であります営業職、これに挑戦をするなど、また、専門のスキルを習得して磨いていくと。こういったことを支援していった、そういう結果、およそ倍の収入、約四百万円近くまで年収が上がっていく、こういった事例も非常に多く出ているということです。
 シングルマザーとして子供を養っていく責任のある立場、世帯主になっているということなので、以前までの主婦のままのマインドとなってしまっていては壁を越えられない、貧困から抜け出せなくなってしまいますので、スキルを取得するということとマインドを変えていくこと、こちらも含めてひとり親の支援を行っていただくように要望をいたします。
 先行した事例としましては、神奈川や千葉、福岡では、従来の行政の発想を超えたひとり親支援に取り組んでいった結果、児童扶養手当がなくても自立ができる、そういった職業を得られるようなシングルマザーの方が続出をしているということです。
 東京都におきましても、単に就職していればよい、当面の生活費が大丈夫であればそれでよしとするのではなくて、子供が自立した後も母親が貧困に陥ることがないよう、また、こういったことは、母親の貧困は子供世代に連鎖をしますので、貧困の連鎖がつながることがないように、しっかりとしたシングルマザー支援を実施していただきたいと思います。
 ひとり親、特に一度仕事を辞めてしまっているようなシングルマザーの方への支援、手当に頼らなくても将来は自立していけるだけの経済力が得られるような伴走型の支援を充実していただくように強く求めまして、私の質問を終わります。

○かまた委員 令和二年度は多くの補正予算を組んでいただきましたけれども、コロナ感染症対策にご尽力いただいたことに感謝をしつつ質問をさせていただきます。
 このコロナ感染症対策につきましては、次から次へと課題が発生する中、局には一つ一つにご対応いただきましたが、私からは、まず、新型コロナウイルス感染症の回復期以降も、引き続き入院が必要となる患者を受け入れる回復期支援病院の昨年度の取組内容と患者の受入れ実績について伺いたいと思います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、限られた医療資源を最大限に活用できるよう、新型コロナウイルス感染症からの回復後も、引き続き入院が必要な方の転院を受け入れる回復期支援病院を令和三年二月から募集し、患者の受入れに対する助成を行ってまいりました。
 これにより、昨年度、回復期支援病院を約二百病院、約千床確保するとともに、回復後も引き続き入院が必要な方を九百六十七人受け入れております。
 なお、令和三年度においても回復期支援病院の確保を進めており、説明会や個別の働きかけにより、新規参加の呼びかけ等を行っておりまして、令和三年十月二十七日現在、約二百八十病院、約一千八百床を確保しております。

○かまた委員 限られた医療資源を最大限に活用できるように、回復期支援病院につきましても、しっかりと確保に取り組んでいただいているということで安心をいたしました。
 また、今後再び感染が拡大しても都民に安心と安全が届けられるよう、これまでに見えてきた課題を踏まえて、引き続き、あらゆる状況の患者に対応できる病床確保にぜひ取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、医療従事者に対する特殊勤務手当の支援について、令和二年度の実績と決算額、また、今年度の取組状況について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、新型コロナ患者の診察や治療に携わる医療従事者等に対し、特殊勤務手当を支給する医療機関を支援しております。令和二年度においては二百十八の医療機関に対して支援しており、決算額は約五十二億円となっております。
 また、医療従事者の待遇を向上させるため、緊急事態宣言が発令された令和三年一月八日に遡り、一日一人当たり三千円の補助基準額を五千円に引き上げておりまして、引き続き、新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関を支援してまいります。

○かまた委員 ありがとうございます。
 医療従事者への待遇向上につきましては、都議会公明党の要望を受けて引き上げていただき、現場の医療従事者の皆様からも感謝の言葉をいただいております。ありがとうございます。
 今回の医療従事者の特殊勤務手当のように、福祉保健局の皆様には、今後も早急に対応していただかなければならないことが出てくることが予想されますけれども、本当に皆様には大変お世話になりますが、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、発熱相談センターについて伺います。
 発熱相談センターが令和二年十月三十日に開設されて約一年がたちました。まず、これまでの相談対応実績と回線数について伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 発熱相談センターでは、発熱等の症状のある方からの相談に二十四時間体制で土日祝日を含めて毎日対応し、医療機関の紹介などを行っております。
 昨年十月三十日の開設以降、今年の十月二十日までの相談件数は約五十一万五千件でございます。
 回線数については、開設時には平日三十回線、土日祝日十五回線で、その後、相談件数の増加に応じて最大で百回線で対応してまいりました。相談件数が減少した現在は、平日六十回線、土日祝日七十回線で対応しております。

○かまた委員 約五十一万五千件という膨大な件数に対応していただきました。また、回線数も相談状況に応じて増やしていただきました。しかし、新規の感染者が増えた際には、どうしても相談件数が増加する傾向があり、電話がつながらないという声も聞かれた時期がありました。
 そこで、発熱相談センターでは、できるだけ多くの相談に対応するためにどのような工夫をしたのか伺います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 発熱相談センターでは、相談件数の増加に合わせて回線数と相談員を増強するとともに、医療機関を迅速に案内できるよう地図を用いた検索システムを導入し、医療機関の開設時間等が一目で分かるようにするなど、対応機能を強化してまいりました。
 また、対応内容を記載する相談記録票の様式については、できる限りチェック式にして記録時間を短縮し、電話を切った後に迅速に次の相談が受けられるようにしております。
 さらに、相談員が休憩などで交代する際には、相談対応を行う人数が極力少なくなることがないよう、複数のグループに分け時間帯をずらして交代するようにしてございます。

○かまた委員 休憩の際のグループ分けとか、また、地図を用いた検索機能を強化するなど、本当に、多くの相談に対応するために工夫を凝らしてくださったことが分かりました。
 不安になっている都民の皆様は、電話で話ができることでかなりの安心を手に入れることができますので、ぜひ今後も、様々な非常事態が起きた際、都民に安心を届けられるよう、今回の対応方法を生かして体制構築をしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、女性のがん検診の受診率向上について伺います。
 このコロナ禍で健康診断等の受診率の低下が問題視をされていた時期がありましたけれども、令和二年度における子宮頸がんや乳がんの検診受診率向上に向けた取組について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、SNSやリーフレットを活用し、女性に対しましてがん検診の重要性や正しい知識の啓発を行ってまいりました。
 女性のヘルスリテラシーの向上に向けた検討会の提言も踏まえ、女性の健康な生活や女性特有の病気に関する情報を集約したポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部を今年二月に開設いたしました。
 この中では、子宮頸がんや乳がんに対する正しい知識や、がん検診のメリット、デメリット、定期的な検診受診の重要性などにつきまして、漫画やイラストを使って分かりやすく解説をしております。
 また、三月の女性の健康週間には、がん検診に理解があり、若い女性に影響力のあるインフルエンサーを起用し、SNSでサイトの周知を図っておりまして、開設から現在までの間に五十九万件を超えるアクセスがございました。

○かまた委員 ポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部の開設、また、SNSによる周知の結果ということで、五十九万件を超えるアクセス数があったということは、本当に様々な工夫をしていただいた成果だと思っております。この取組は高く評価をさせていただきます。
 今後ですけれども、子宮頸がんや乳がん以外のがんも含めた女性のがん検診受診率向上が重要だと考えますので、女性のがん検診受診率向上に向けた今後の取組についても伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、毎年十月の乳がん月間に加え、九月のがん征圧月間や三月の女性の健康習慣におきまして、乳がんや子宮頸がん検診をはじめとした、がん検診の受診促進のための啓発を集中的に展開しております。
 また、区市町村のがん検診事業担当者を集めた連絡会や、がん検診の従事者向け講習会などを活用いたしまして、区市町村や検診機関職員などに対し、都と連携した啓発の実施について協力を依頼しております。
 今年度は、TOKYO#女子けんこう部の子宮頸がんや乳がんの内容の充実を図るとともに、がんのうち、女性の死亡者数が最も多い大腸がんの情報を新たに盛り込むなど、サイトの充実を図り女性のがん検診の受診率向上に取り組んでまいります。

○かまた委員 ありがとうございます。
 TOKYO#女子けんこう部による情報発信、私も見せていただきましたけれども、若い世代の方々が興味を持つように工夫をされておりました。恐らく、作るまでには、あらゆるニーズや要望を受けて作っていただいたのではないかなというふうに思っております。
 ぜひ、今後ですけれども、区市町村をさらに巻き込みながら情報発信に努めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、介護事業者向け生産性向上セミナー事業について伺います。
 まず、本事業の目的と内容について伺います。

○山口高齢社会対策部長 令和二年度に実施した介護事業者向け生産性向上セミナー事業は、介護サービスを効率的かつ継続的に提供していくために、介護サービス事業者が介護現場の生産性向上に取り組めるよう支援することを目的として実施いたしました。
 セミナーでは、都内の介護サービスを運営する経営者や現場マネジャーを対象に、国の介護サービス事業における生産性向上に資するガイドラインを用いた業務改善の取組方法や先進的な好事例を紹介いたしました。

○かまた委員 介護サービスを効率的かつ継続的に提供していくための支援とのことで、今後の超高齢社会を迎える東京の課題を視野に入れた重要な事業であることが分かりました。
 しかしながら、令和二年度はコロナ禍の影響もあったかと思いますけれども、事業の実施状況について伺います。

○山口高齢社会対策部長 当初、集合形式でのセミナー開催を予定しておりましたが、コロナ禍の影響により開催が困難となったため、動画配信方式に変更して実施しました。
 動画では、国のガイドラインを分かりやすく解説するとともに、インカムによる職員間の情報共有などのICTの活用事例や、清掃や洗濯等の間接業務を切り分けてアウトソーシングするなどの業務改善事例を紹介しました。
 本年三月に動画を配信し、延べ視聴回数は二千百八十回でございました。

○かまた委員 動画配信方式に変更していただきまして、二千百八十回の視聴というのは本当にすばらしい結果だと思います。
 この先数十年間は、介護現場の生産性向上、非常に重要な課題でありますけれども、今後はどのように取り組んでいくのか、その見解について伺いたいと思います。

○山口高齢社会対策部長 令和三年度からは、介護事業所の生産性向上に資する既存事業の見直し、統合を図った、介護現場改革促進事業の中で生産性向上セミナーについても実施することとしております。
 これにより、組織人材マネジメントへの支援と、デジタル機器や次世代介護機器の導入支援とを一体的に実施し、生産性向上セミナー等の受講から補助金の活用へとつなげることで、介護現場の改革をより効果的に支援できるものと考えております。
 令和三年度の生産性向上セミナーでは、新たに、仕事と家庭の両立支援など働きやすい職場環境づくりをテーマに加え、動画配信方式により二回実施する予定でございます。

○かまた委員 セミナー等の受講から補助金への活用へつなげるなど、さらに支援事業を進めていただけることが分かりました。
 本事業は、今後の東京のみならず、日本の課題に対応する重要な施策だと考えております。
 そこで、本事業が、現場で働いている方々や利用者、そしてそのご家族まで、関わる全ての方々の利益向上につながるように、今後支援内容を検討する場合は施設の方々や利用者の方々のニーズをよく把握していただき、取り組んでいただきたいと思います。
 最後の質問に移ります。児童養護施設等体制強化事業について伺います。
 児童養護施設等体制強化事業につきましては、令和二年度より開始をされましたけれども、事業実施の背景について伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 児童養護施設等では、宿直や交代勤務が多く、不規則な勤務形態のため、人材の確保、定着が課題となっております。
 さらに、虐待の影響により、トラウマやPTSDが生じたり、発達障害を持つなど、ケアニーズが高く対応が難しい入所児童が増加しており、職員の負担が増えております。
 このため、都は、人手が少なくなる夜間を含め人員体制を強化できるよう、補助者の雇用経費を補助し、児童養護施設等における勤務環境の改善を支援しております。

○かまた委員 児童養護施設等で働く方々は、子供たちの様々な課題に対応してくださっておりまして、身体的にも精神的にも重労働であります。そこで、都が、この雇用経費の支援について、また、人材確保に向けた強化について着手をしてくださったことは高く評価をいたします。
 またさらに、現場の課題であります人員不足を解消するための手だてとして、本事業で雇い上げた方を将来的に正規職員として雇用することも目的としていると伺っておりますけれども、事業内容と併せて令和二年度の活用実績について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 児童養護施設等体制強化事業は、児童養護施設、乳児院等におきまして、児童の生活支援を現場でサポートする保護者の雇い上げを支援し、職員の負担を軽減することにより、職員の離職の防止を図るものでございます。
 また、補助者として雇い上げた者が施設において二年以上勤務することで児童指導員等の任用資格を得ることが可能となるなどのことから、将来的に児童指導員等となる人材を早期に確保できるという効果もございます。
 令和二年度の活用実績でございますが、児童養護施設は五十四施設中三十二施設、乳児院は十一施設全ての施設となっております。

○かまた委員 乳児院では十一施設全てで本事業を活用していただいているとのことで、本事業が施設の方々にとっても効果のある事業であるということが分かります。
 虐待等で助けの手が必要な子供たちを社会全体で守るためには、子供たちに直接関わってくださっている児童養護施設はもちろんのこと、児童相談所や子供家庭支援センターなど、現場で働く方々の職場環境、また、雇用状況を整えていくことが必須であります。
 これからの様々な施設の課題を解決するためには、どれもマンパワーによる解決が多くなることが予想されますけれども、働く方々の人材育成とともに、専門家等の人員配置を今後もさらに進めていただくことを要望しまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○内山委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時五分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○アオヤギ委員 昨年度のPCR検査についてお伺いします。
 一月に日本でも感染が確認されて以降、PCR検査を大幅に増やして感染拡大防止をしていくことを私どもでは繰り返し求めてきました。
 しかし、三十七・五度の熱が四日間たたないと検査ができなかったり、熱が続いても検査をしてもらえないなど、子供はかからないと小児科医にいわれたなど、今よりはるかに検査をするまでのハードルが高い状況にありました。さらに、昨年五月に厚労省は、検査数を広くやるべきではない、偽陽性、偽陰性が出るなどと内部文書を出して検査を抑制したことが発覚しました。
 一方、専門家からは、諸外国のように大規模な戦略的検査が必要であると繰り返し指摘されていました。
 その後、東京都は、九月からの第三回定例会の補正予算で、高齢者施設、障害者施設のPCR検査の費用を補助する制度をつくり、実施。七月補正予算での区市町村との共同事業で、地域密着型特養などを対象とする検査を実施しました。
 そのほか、高齢者施設、障害者施設で陽性者が出た場合、濃厚接触者よりも幅広く検査をした場合の補助で検査も実施されました。これは、新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業、いわゆる掛かり増し経費で、PCR検査費用も補助対象としていました。
 そこでお伺いします。昨年度に行われた、高齢者、障害者施設の職員や入所者に対するPCR検査での実績及び施設で感染が発生した場合の新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業についての実績をお示しください。

○山口高齢社会対策部長 令和二年度における高齢者施設及び障害者支援施設等を対象とする検査事業には、国の基本的対処方針に基づく集中的検査、都独自の新型コロナウイルス感染症対策強化事業及び施設で感染が発生した場合の新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業の三つの事業がございます。
 一つ目の施設職員に対する集中的検査の実績は、高齢者施設が四百九十五施設、四万六千五百六十五件、障害者支援施設等が百四施設、一万三百七十四件となっております。
 二つ目の新型コロナウイルス感染症対策強化事業の補助実績は、高齢者施設が七百六十二施設で、うち四百四施設で検査費用に活用し、障害者支援施設等が百二十七施設で、うち三十七施設で検査費用に活用しております。
 三つ目の新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業の補助実績は、高齢者施設が延べ九百七十六施設で、うち延べ二百八十九施設で検査費用に活用し、障害者支援施設等が百六十三施設で、うち二十二施設で検査費用に活用しております。

○アオヤギ委員 昨年度は、事業者の皆さんは、こうした掛かり増し経費への支援や共同事業を活用して、陽性者が施設で出た場合などに検査をされてきました。
 しかし、一部の事業所では、この補助を別の費用に充てたりしていたため、検査はされていないと訴える職員の方からのお話もありました。こうした、検査をしなかった事業者の、経営者の思いとしては、陽性者が出たら事業所を閉めなければならないという懸念から、検査を控える事業所もあったとお聞きしたことがあります。
 こうした懸念に応えて、世田谷区は、昨年いち早く、高齢者、障害者施設での定期的な検査に乗り出した際、陽性になった介護職員の支援体制をつくりながら検査をしていました。
 検査を広げる上で、こうした陽性者への支援や事業者への支援が重要ですが、東京都も同様の制度をつくっています。都は、高齢者施設で新型コロナウイルスの感染が発生した場合に、他の施設からの応援職員を派遣する協定を締結していますが、昨年度の実績を伺います。

○山口高齢社会対策部長 都は、高齢者施設で新型コロナウイルス感染症が発生し、法人内や区市町村内での対応が困難な場合に広域的に応援職員を派遣するため、東京都社会福祉協議会及び東京都老人保健施設協会と協定を締結しております。
 協定に基づく職員派遣登録施設数は、本年三月末日時点で百八十六施設ございまして、令和二年度の派遣実績は、特別養護老人ホームの一件でございます。

○アオヤギ委員 特養での一件とのことでした。実績は少ないですが、こうした応援体制は障害者施設以外でも重要だと思いますので、他の福祉施設でも構築していただきたいと思います。
 次に、昨年の第三回定例会で補正予算が組まれた、高齢者、障害者施設の通所施設などへのPCR検査などに補助を実施した区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業についてです。
 これは、施設が検査をする場合、二万円を上限とし、昨年は一回だけの検査ができるものでした。その執行率が二八・九%となっている理由は何でしょうか。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、令和二年度から、区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業を実施いたしまして、PCR検査等に要する経費や保健所の体制強化経費等を支援しております。
 令和二年度の本事業の執行率が二八・九%となった理由といたしましては、PCR検査等に要する経費につきまして、検査費用の実勢単価が下がったことや、国通知により、行政検査の対象が拡大されたこと、新たに高齢者施設等を対象に集中的検査が実施されたことなどによりまして、本事業を活用した各施設や区市町村のPCR検査の事業規模が減少したことなどが挙げられます。

○アオヤギ委員 検査単価が二万円から下がっていたということで、現在では二万円の範囲で複数回検査をしてよいとされています。これでは足りない、対象にならないという施設は、日本財団のPCR検査の補助制度を使っている事業者もあります。現場でも様々な制度を利用しながら、定期的なPCR検査を実施しています。
 次に、広範な無症状者への検査についてですが、高齢者施設、障害者施設でPCR検査を実施することになった目的と、実施したことについてはどのように評価しているか、お伺いします。

○山口高齢社会対策部長 高齢者施設等の入所者は重症化リスクが高い特性があり、集団感染が発生した場合に、入所者や施設運営への影響が大きく、また、医療提供体制への負荷の増大につながる懸念がございます。
 このため、都は、先ほどお答えしましたように、施設職員等に対する集中的検査を実施するとともに、各種の補助事業により、検査を実施する施設等を支援しております。
 施設での感染防止には、ウイルスを施設内に持ち込ませないことが重要であり、職員等に対して検査を実施することにより、陽性者を早期に発見し、感染拡大防止に寄与したものと認識しております。

○アオヤギ委員 陽性者を早期に発見し、施設での感染拡大防止を図ったとのことでした。こうした取組は重要だったと思います。
 昨年の感染拡大が始まった第一波のときは、基本的に三十七・五度の熱が四日間続いた人だけが検査をできる対応がされていたために、医療機関で、熱があっても風邪薬を出されて帰された方が、その後、症状が悪化し、まち中で倒れ、救急搬送。その後、重症化し亡くなるという事例を私もお聞きをしました。PCR検査を症状があってもしないということが繰り返されていました。こうした対応が本当に科学的根拠に基づいたものだったのか、どうだったのか、検証されるべきと考えます。
 また、感染拡大当初から、諸外国では、検査を無症状にまで広げ、トレーサーなども一気に増やし、陽性者の保護、隔離を進め、感染拡大を防いでいました。そうしたときに、日本の検査数は百四十位台と、先進国とはいえないような検査数の少なさとなって、無症状者同士の感染が起きました。
 このような検査を抑制する動きを、厚労省自身が発信していたことは反省すべきだったと思います。厚労省は昨年五月、PCR検査を広げると医療崩壊が起きるという内部文書を作り、検査を抑制していました。
 こうした動きに対して、日本医師会COVID-19有識者会議では、昨年八月、我が国特有の議論として、感染の可能性が低く、無症状の場合には、PCR検査の実施を制限すべきという意見が強いものの、感染制御や社会経済活動の維持などの観点からは、事前確率、感染の可能性の高さによらずとも、PCR検査を活用すべきと、緊急提言を出しています。キングス・カレッジ・ロンドン教授、公衆衛生学の渋谷健司さんは、元WHOの顧問ですが、次のように八月の段階で述べておられます。
 検査数が増えれば、見つかる感染者が増えますが、陽性率が上がっていますので、検査が感染者の増加に追いついていません、検査が頭打ちになる中で、これから数が伸びないといっても、本当に伸びていないのか、検査が頭打ちになって、感染者数も増えないのか、私は後者の方が心配です、感染拡大はできるだけ早く抑え込むのが原則で、重症者が増えてから対応するのでは、感染爆発が起きた二月、三月のイタリアや欧州のようになるのが一番怖い、数が下がってきたときにこそ、次に備えて、早期に再燃の芽を摘むための検査と保護のシステムをつくり、医療体制の整備を進めるべきでした、政府はこれを怠った、改めて確認したいのは、感染制御対策の鍵は、PCR検査の拡大による無症状感染者の発見と保護だということですと、昨年八月に述べられていました。
 検査が頭打ちになって、感染者が伸びていないのではないかという指摘や、高齢者施設でのクラスターの懸念を既にしていました。
 都内での一日の検査のキャパシティーが増えて、昨年十一月末には六万八千件、検査のキャパシティーが広がりました。しかし、一日の検査は、第三波のときでさえ六万件になったことはなく、昨年度は、最高でも二万件未満にとどまりました。
 都のモニタリング会議でも、感染を抑え込むための検査能力の有効活用の必要性が繰り返し指摘されていましたが、検査の実施数の乖離について、どのように分析していますか。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、昨年春から、新型コロナ外来やPCRセンターの設置を進めるとともに、身近な地域において診療や検査が適切に受けられるよう、診療・検査医療機関等の拡充に取り組み、検査体制を整備しております。
 昨年度の一日当たりの検査可能な件数は、最大で約六万八千件であり、必要な方が速やかに行政検査等を受けられるよう取り組んでおります。

○アオヤギ委員 必要な方が検査を受けたというお話ですけれども、この場合は、おっしゃっているのは、症状のある陽性者の周辺の行政検査等ですが、それは、昨年度は最高でも二万件未満にとどまっています。
 無症状の感染者の把握が重要だったと思いますが、無症状者の感染のリンクが起き、感染拡大に毎回つながっていると考えますが、無症状の感染者の把握についての認識をお伺いします。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 無症状者の中でも、濃厚接触者に加え、感染リスクや重症化リスクの高い方などを優先して検査を実施することが重要と考えております。

○アオヤギ委員 症状がなくても感染源となるリスクがあることをお認めになりましたが、昨年八月の日本医師会COVID-19有識者会議が、緊急提言で、事前の確率、感染の可能性の高さによらずとも、PCR検査を活用すべきとしていることも踏まえ、検査を行っていく必要があると思います。
 検査のキャパシティーがありますから、優先順位をつけるのは否定しませんが、第三波のときもキャパシティーに検査が大きく届いていませんでしたし、プール方式などを活用すれば、キャパシティーを増やすことも可能ですから、検査を広げる余地はかなり大きいです。
 もし、キャパシティーを活用しながら、高齢者施設、障害者施設のような定期的な検査をより早く、より広く実施していれば、これほどの感染者、死亡者が出なかったのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 都では、行政検査に加えまして、感染リスクや重症化リスクなどを踏まえまして、優先順位をつけながら、必要な検査を実施しております。

○アオヤギ委員 世田谷区や墨田区など、昨年の段階で幅広く定期的な検査に踏み出した自治体も数多くありました。検査のキャパシティーがあったのですから、様々な工夫で、都独自に検査を広げるべきでした。
 私どもも、専門家の指摘に基づいて、昨年は度重なる要望を都にも出し、提言を出してきたにもかかわらず、実現しなかったことは非常に残念です。早期に検査し、陽性者を保護、隔離すれば、第三波の高齢者、障害者施設でのクラスター、重症化や死亡者を減らすことはでき、最大限検査能力を活用して、感染防止をすべきだったと指摘しておきます。
 現在は、医療機関や高齢者施設で定期的な検査の実施がクラスターを防いでいると、多くの、現場で働いている医療従事者や介護従事者からも声が届いています。
 ワクチンを打てない子供がいる認可保育園など、ほかの福祉施設や学校、一般の職場などでの定期的な検査で感染を抑え込む必要がありますが、関係部署が連携をして、統一的に検査の方針を決め、実施していくべきではないでしょうか。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 都は、感染リスクや重症化リスクを踏まえまして、優先順位をつけながら、引き続き関連部署と連携して適切に対応してまいります。

○アオヤギ委員 第五波では、保育園のクラスターや学校でのクラスターも非常に多発していましたし、子供はワクチンの接種の対象外です。こうした定期的な検査は、今のような感染が収まった時期に実施すべきものです。
 しかし、今、都内の検査数も、高齢者施設、障害者施設以外は、陽性者が出たところに絞られていますから、検査数は数千件台にまで落ちています。今のうちに、検査をする統一的な考えで、都庁内をまとめていただいて、感染を抑え込むために、各施設で実施していく手だてを取っていくことを要望し、次に移ります。
 次に、医療機関の減収補填についてお伺いします。
 福祉医療機構によると、昨年、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた医療機関、医療関係施設へ、一万七千九百三十件、一兆一千二百二十二億円の融資を行いました。二〇二一年一月末までの累計です。
 昨年は、多くの医療機関が、新型コロナウイルスの蔓延でコロナ患者の受入れをした医療機関は逼迫し、受け入れていない通常の医療を続ける医療機関は多くの患者が受診控えをする中で減収になる。また、クラスターが発生し、減収になるということが起きました。
 しかし、新型コロナウイルスを乗り越える上では、コロナを受け入れる医療機関も、そうではない通常の医療を続ける医療機関もなくてはならないということを、多くの都民が痛感されたのではないでしょうか。
 まず、最初にお伺いしますが、コロナ以外の通常の医療を行ってきた医療機関の経営状況はどういう状況かお伺いします。

○鈴木医療政策担当部長 一般社団法人日本病院会、公益社団法人全日本病院協会及び一般社団法人日本医療法人協会が行いました新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査によりますと、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れていない病院の令和二年度の医業利益率は、前年度と比較いたしまして、平均マイナス一・四ポイント、慰労金を除いた支援金を加えると、平均マイナス〇・三ポイントとなってございます。

○アオヤギ委員 マイナスになっているというご答弁でした。全国の数字なので、東京はより深刻だということも考えられます。昨年四、五月の調査では、東京が深刻でした。
 そして、日本の医業収入は、二〇二〇年度、マイナス一・五兆円にも上っています。これまで診療報酬は大幅に削減され、この二十年間で一〇%、給付費では四兆円が減らされ、医療機関では診療報酬だけでは経営が成り立たず、差額ベッド代を徴収するなど、自費収入を得る、非正規労働者を増やす、ベッドの回転をよくするということで経営を保つということがずっと続いてきました。
 その中で新型コロナウイルスの直撃ですので、医療が逼迫し、受診控えの影響をもろに受け、昨年は借入れをする医療機関も大幅に増えた状況でした。今後、返済が始まります。
 こうした中、現場で必死に頑張っている医療従事者の給与カット、ボーナスカット、倒産など実際に起きています。こうしたことに対する何らかの支援は必要だと考えますが、一方、コロナ患者を受け入れた病院には、徐々に支援が手渡されていました。
 そこでお伺いしますが、空床確保支援など、都の支援の実績をお示しください。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 都は、新型コロナ患者等を受け入れる病床を確保するため、入院患者等を受け入れる医療機関を対象に、病床確保支援事業を実施しており、令和二年度の決算額は約千三百六十二億円でございます。
 また、新型コロナ患者等を受け入れる医療機関に対して受入れ謝金を支払っており、令和二年度の決算額は約百二十三億円でございます。
 さらに、重症患者の受入れ体制の確保のため、医療機関がICU等での医療従事者の確保に関わる経費を支援しており、令和二年度の決算額は約三十三億円でございます。

○アオヤギ委員 クラスターが発生した病院で、数名の患者を残し、ほとんど転院させた病院で、空床になったため一か月数千万の大幅減収になり、なかなか収入が戻らなかった事例をお聞きしましたが、クラスターになった病院への支援はどうなっていますか。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 院内感染によりクラスターが発生した医療機関に対しては、消毒経費等を補助するほか、病棟全体または一部区画を専用病棟として実質的に機能させて患者の入院治療を行うなど一定の要件を満たす場合には、病棟内の空床に対し、重点医療機関の空床確保料を適用して補助しております。

○アオヤギ委員 転院させた場合でも、コロナの患者が残っていれば、支援はあるとのことでした。
 しかし、全員が転院されれば支援はないまま一定期間閉鎖になります。その病院では、空床への支援はあったものの、その前後の時期の感染者については認めてもらえず、それでも数百万円の赤字になったとのことで、大きな打撃となり、こうした医療機関にも現場に合った支援は必要です。
 コロナ禍において、そこに医療機関が存在していたことが何よりも重要だったと思います。コロナの患者を受け入れている医療機関は、通常の医療を転換して受け入れているために、通常の医療を支える医療機関もなくてはならないものでした。
 そこでお伺いしますが、コロナ医療を行う医療機関も、一般の医療を実施している医療機関も、医療体制を支える重要な役割を果たしてきましたが、都はどのように評価していますか。

○鈴木医療政策担当部長 都内の各病院は、自院が担うべき役割や医療機能を踏まえ、二次保健医療圏ごとに設置しております地域医療構想調整会議におきまして、地域に必要な医療機能や役割分担等の議論を継続的に行っておりまして、全ての病院が地域の実情に応じた役割を果たしているものと認識してございます。

○アオヤギ委員 全ての医療機関が役割を果たしていると答弁がされました。それは全くそのとおりだと思います。
 医療資源は、この二十年間を比べても大幅に減らされ、中医協の資料で見ると、患者七人に対する一人の看護師体制の七対一の急性期病床の数は、二〇一三年の三十七・九万床から、一九年には三十四・五万床まで病床が減らされていました。
 こうしたことが、多くの民間医療機関でコロナ対応が不可能になっていたことが分かりますが、都は、コロナ禍で明らかになった医療資源の大幅な不足、医療従事者の不足を改善することが、第六波への備えにもなりますが、どのように改善するのでしょうか。

○鈴木医療政策担当部長 都は、医療法に基づき策定している東京都保健医療計画において、二次保健医療圏ごとに、療養病床及び一般病床の基準病床数を定めております。
 また、東京都保健医療計画及び東京都医師確保計画におきまして、医療人材の確保における課題と取組の方向性を示しております。
 これらの計画を着実に推進するため、学識経験者、医療関係団体、医療機関、区市町村等から成る協議会等におきまして議論を重ねながら、取組を進めているところでございます。

○アオヤギ委員 こうした医療資源を拡充するには財政支援が不可欠です。コロナ患者を受け入れていない医療機関は、先ほども述べたとおり、大幅減収になり、借入れをしています。
 開業医が加入する東京保険医協会でも、地域医療は、感染症医療のほか、急性期、回復期、慢性期や、一般診療所などを含めた医療連携で成り立っているとして、医療提供体制を担う全ての医療機関が存続できるよう、都としての緊急の財政支援を求めています。医療機関への減収補填を実施すべきではないでしょうか。

○鈴木医療政策担当部長 病院及び診療所は、保健医療サービスに対する対価といたしまして、保険者から診療報酬を受け取っております。
 厚生労働省の中央社会保険医療協議会によりますと、令和三年四月の病院及び診療所の診療報酬は、新型コロナウイルス感染症流行前の平成三十一年四月を上回っている状況にございます。
 なお、都は、新型コロナウイルス感染症及び通常医療の医療提供体制を確保するための財政支援につきまして、国に提案要求をしております。

○アオヤギ委員 先ほども述べたように、医療機関の診療報酬は減らされ続けています。それが少し改善していた月が出てきていたとしても、昨年度の減収は補えません。
 都も国に対して要望しているわけですから、国の支援が確立されるまで、医療機関への財政支援を行い、医療提供体制の確保をしていくべきだと指摘をして、質疑を終わります。

○五十嵐委員 私からは、私自身が民間団体で自殺対策に取り組んできた経験から、令和二年度の東京都による自殺対策に取り組む民間団体への支援についてという観点から質問をさせていただきます。
 新型コロナウイルス感染症の影響は、健康問題にとどまらず、失業や休業等による就労環境の変化や、人と接触する機会の減少により心身面に不調を来す方が増えており、自殺リスクは極めて高まりました。
 そこでまず、冒頭、令和二年度における東京都の自殺者数の動向について伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都の自殺者数は、平成二十三年の二千九百十九人をピークに平成二十九年までは減少傾向でございましたが、平成三十年は二千二十三人、令和元年は千九百二十人、令和二年は対前年比九十五人増の二千十五人となっております。令和元年と比較いたしますと、女性は八十五人増加し、三十九歳以下の若年層は六十人増加しております。

○五十嵐委員 令和二年度は増加しているとのことで、依然として全体の数としては男性の自殺者数の方が多い傾向にありますけれども、特にこの令和二年度というコロナ禍で、先ほどの委員の方からの質問で、女性や若者層の自殺者数が七月以降特に増加しているという話もありました。
 平成十八年十月には自殺対策基本法が施行されています。自殺者の数はピーク時よりも減ってはいるものの、年間二万人程度で推移しているところでございます。
 自殺対策の取組について、自殺対策基本法では、基本理念を二条において定めております。自殺対策基本法の二条の二項によれば、自殺対策は、自殺が個人的な問題としてのみ捉えられるべきものではなく、その背景に様々な社会的要因があることを踏まえ、社会的な取組として実施されなければならないと規定しております。
 世界保健機構においても、自殺はその多くが防ぐことのできる社会的な問題だと明言しております。社会の努力で避けることができるというのが世界共通の認識です。
 そこで、東京都では、自殺対策基本法や令和二年度のコロナ禍での自殺リスクの高まりを受けて、どのような対策を実施してこられたのか伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺の背景には、様々な要因が複雑に絡み合っておりますことから、都は、関係機関や区市町村等から成る自殺総合対策東京会議を設置しており、コロナ禍における自殺防止策について検討してまいりました。
 こうした検討も踏まえまして、電話相談やSNS自殺相談の相談体制を拡充いたしますとともに、民間団体の取組を支援いたします東京都地域自殺対策強化補助事業に要する経費として、令和二年七月に四千八百万円の補正予算を計上いたしました。また、十二月には、早期発見、未然防止、相談体制の強化充実、普及啓発、理解促進を柱に、心と命を守る緊急対策として、自殺相談ダイヤルの夜間帯における回線数の拡充や都民向けリーフレットの作成等を実施いたしました。

○五十嵐委員 自殺対策基本法の二十二条にも、民間の団体が行う自殺の防止等に関する支援を行うために、助言や財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものと規定しています。
 今ご答弁で、民間団体等への取組を支援する東京都地域自殺対策強化補助事業に要する経費として、令和二年七月に四千八百万円の補正予算を計上したとのご答弁がございました。具体的に、この民間団体への取組の支援について、東京都としてどのように取り組んでいるのかについて伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、東京都地域自殺対策強化補助事業によりまして、地域の特性に応じた効率的な対策を後押しし、地域における自殺対策のさらなる強化を図ることを目的といたしまして、都内において、民間団体が実施する若年層に特化した自殺対策や自殺未遂者の再発防止等に関する自殺対策など、特に必要性の高い自殺対策に関し、支援をしております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 私もこれまで、自殺対策、特に若年層の孤独対策として悩み相談などの活動を行ってまいりました。そういう活動をしていると、やはり相談事業を行っている団体さんというのは、小規模ですが、会を構成する皆さんの持ち出しで運用費用を賄っている状況があると感じます。実際に相談を受けていても、相談する方がとても多いのに、相談に応える相談員の数がとても少ないという現状を感じていました。
 現に、自殺対策に取り組んでいる民間団体は社会にたくさんあります。現実に行政の手が届かないところにも、民間団体による手を差し伸べようとするものであり、東京都がこうした取組を行う団体に対して、しっかりと金銭面などで支援を行うことは極めて重要だと考えています。
 東京都地域自殺対策強化補助事業は、平成二十七年度から取り組んでいます。そして、令和二年度からは、国の補助金に独自に都が上乗せして補助を行っていると伺いました。令和二年度において、特に上乗せした趣旨と上乗せ率を教えてください。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都地域自殺対策強化補助事業は、国の地域自殺対策強化交付金に基づきまして、民間団体が実施する電話相談やSNS相談等について、二分の一または三分の二の補助率により、事業実施に関わる経費を補助しております。
 令和二年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による相談ニーズの増加を受け、民間団体が実施いたします自殺防止に関する相談体制の拡充や、感染防止対策等を支援するため、国の補助率に都が独自に補助率を上乗せして、十分の十補助といたしました。

○五十嵐委員 先ほど相談者の数が前年比一・五倍という話もありましたけれども、令和二年度のコロナ禍で、相談者数が増えたことを捉えて、さらなる支援を拡充するために上乗せしていただいた取組はよかったと思います。
 令和二年度に実施した、民間団体に対する補助事業の交付団体数と交付額の内訳を教えてください。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 令和二年度におきましては、自殺対策を実施する民間団体に対する補助事業は三種類ございまして、団体によっては複数の補助事業を活用されております。
 申請団体数は十四団体で、全団体が補助対象となりました。このうち、東京都地域自殺対策強化補助事業は十三団体、約二千九百万円、東京都地域自殺対策強化補助事業(緊急)は六団体、約九百万円、令和二年度新型コロナウイルス感染症に対応した自殺防止対策事業補助金は四団体、約六百万円となっておりまして、電話相談事業や人材養成事業、自死遺族支援事業等が実施されました。

○五十嵐委員 十四の団体が申請されて全て採択されたとのことでした。ただ、全部で十四団体とのことです。ちょっと感覚としては、自殺対策に取り組んでいる民間団体はもう少しあると思いますが、十四団体というのはちょっと少ないかなと思います。
 例えば、東京都生活文化局のNPO法人ポータルサイトで自殺というキーワードを検索すると、NPO団体だけでも二十二団体がヒットいたします。社会には、NPOではない自殺対策に取り組んでいる団体もたくさんございます。実際に私の取り組んでいた活動もNPO団体ではなかったんですけれども、民間団体として自殺対策に取り組んでこられました。
 私がいた団体の方にこの事業を使ってみてはどうかということでちょっとお話ししたところ、この事業自体は知っていても、補助金の仕組みというのが年度末の実績報告に基づくもので、なかなかマンパワーがない中で、実績報告を作成するのが大変で手が回らないというところが問題だというふうにお聞きしました。また、公募期間も、毎年五月中旬から六月初旬までと一年のうちで二十日間ほどしかなく、ちょっと短いといったような話もありました。
 そこで、申請書類の簡素化や公募期間の拡大など、民間団体による申請に伴う負担感をさらに軽減することが必要と考えますが、見解を教えてください。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都地域自殺対策強化補助事業は、国の地域自殺対策強化交付金に基づき実施しているものでございまして、都は、国要綱が通知された後、速やかに、国が求めた報告項目を含め都の公募要項を作成の上、ホームページで公表し、申請を受け付けております。公募期間につきましては、申請書類の提出を受けた後、団体とのヒアリングや事務処理に必要な期間を考慮し設定しております。
 都はこれまで、本事業の概要や申請方法などについて説明会を開催してまいりましたが、令和二年度からは、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえまして、従来の説明会に代え、補助金の概要や申請方法を解説した動画を作成し、都ホームページに掲載して対応いたしました。
 今後、新規の民間団体が負担感なく本事業を活用できますよう、本補助事業の対象となった事業例など、参考になる情報を様々な機会を捉えて周知していくこととしております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 東京都としても、自殺対策、取り組んでこられていると思いますけれども、民間の団体ならではの利点もあるのかなというふうに思っています。
 例えば、私が活動していた団体では、ソーシャルワーカーや心理士など有資格者に限らず、同年代の女子大生に多く手伝ってもらうなどして、同年代の女の子同士でお話をしてもらって、さらに会話をして、女の子たちに勇気を持ってもらったり、希望を持ってもらったりするというようなことができているところもあります。
 民間団体と東京都との連携について、国からは通達で、東京都は事業の実施状況を把握して、事業がより効果的となるよう取り組むことを求められています。東京都として、どう把握して、どう効果的となるように取り組んでいるかについて伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 申請書類の提出後に実施する各団体とのヒアリングの場におきまして、より効果的な事業の実施方法や広報の在り方について助言を行っております。
 また、各団体の事業開始後、メールや電話等で事業の進捗状況を確認いたしますとともに、新規事業などにつきましては、団体の活動を職員が直接確認にいくなど、事業が着実に実施されますよう支援しております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。民間団体もしっかりと活用して、より効果的となるような、さらなる取組を進めてほしいと思います。
 今後、新規の民間団体にさらに利用してもらうために、周知の方法など含めて、東京都としてどのように取り組んでいくかについて教えてください。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都はこれまで、本補助事業に申請のあった団体に対しまして本事業の活用を促すとともに、令和二年度からは、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、従来の説明会に代えて、補助金の概要や申請方法を解説した動画を作成し、都ホームページに掲載して対応いたしました。
 また、今後、都内のNPO法人で定款に記載された目的に自殺を掲げる団体に対し事業案内を送付するとともに、東京動画やツイッター、区市町村連絡会を活用して本事業の周知を図ることとしております。

○五十嵐委員 ありがとうございます。
 自殺対策基本法の八条には、地方公共団体、自殺対策に係る活動を行う民間の団体は、自殺対策の総合的かつ効果的な推進のために相互に連携を図りながら協力するものとすると規定がされております。
 冒頭申し上げたように、自殺は個人の問題ではなく社会の問題であり、社会の損失だと思っております。コロナ禍における自殺対策、ますます重要となると思いますので、さらなる取組を進めていただきたいと思います。
 私の質問を終わります。

○慶野委員 初めに、中村局長をお迎えしての新体制での出発、おめでとうございます。
 私、印象に残っているのが、かつて福祉保健局長を務められた梶原前副知事、副知事が議場でお会いするたびに、いつも福祉保健局さんのそのオレンジのネックストラップを最後退任のその日までかけられていたことを印象深く私は議場から拝見しておりました。
 どこまで行っても心は福祉保健局にあり、都民の安全・安心のために務められてきたんだなと、そういう決意の表れだというふうに私は捉えておりますし、まさに、今回は決算ですので、二年度のお話になりますけれども、コロナ禍にあって、どれほど皆様が大変な思いをして、そして皆様も、そういう意味ではコロナの専門家ではなく、各方面から、専門家や有識者と名のる人たちが、テレビやマスコミ、また、有識者と名のるその人たちが、様々な方面から、そのとき何者かも分からない、こういうコロナに対して、いろんな提言をされたことで大変な思いをされたと思います。
 私たち議員も、地元に張りつきながら、多くのご要望を伺って、そして、私たちも解決策は持ち合わせておりません。その都度その都度、皆様とご相談をさせていただいて、何がよりベターなのか、本当の解決策なんて世界中誰も分からないのに、朝テレビをつければ、また、新聞を開けば、一日中、もっともそうな有識者が好き勝手いっている。
 国の分科会でも、東京都の災害対策本部でも、それなりのそれぞれの知見を持った方々が集まって、様々議論をしていても、意見なんか一つにまとまらないのに、特定のコメンテーターが一日中テレビにずっと出て、誤った発信をし続けているような、また、そのとき、誤りだということは分かっていない、分からないけれども、一日同じ人がどのチャンネル回してもずっと同じことをいっている。今もその傾向、変わりません。
 今日、朝、テレビつけても、やっぱり、どこぞの会派と同じように、いつでも、どこでも、誰でも、何回でも、PCR検査をしないから感染が終わらないんだというような、オリンピックにしてもそう、オリ・パラにしてもそう、緊急事態宣言の解除のタイミングもそう、エビデンスを示せ、科学的根拠を示せといいながら、実はこの一年間、昨年の二月、「ダイヤモンド・プリンセス号」のあのときから、全く何も分からない中で、何をすべきかという闘争を行ってきている。
 でも、もう一年半以上がたちました。いろんなことが分かってきました。いまだに当時と同じことをいっていては、これは解決にはつながりません。
 そうした意味で、先ほどのアオヤギ委員からも、エビデンスに基づかない、誤った発言がありました。私は、この議事録を、このままでは残してはいけないという思いから、様々なデータをお示ししながら、PCR検査についてお話を、質疑をさせていただきたいと思います。
 これまで、本当に暗中模索の中で、都議会公明党としては、集中的に、より効果が高いところで検査をしていくべきだと。例えば商店街の入り口出口で行ってはどうか、例えば妊産婦の不安解消のために行ってはどうか、こうしたことを提案してまいりました。
 高齢者施設や障害者支援施設等々、これまでに質疑にあったとおりでございますので詳細は省きますけれども、それこそ中村局長がオリ・パラ局長として最前線に立って、オリンピック成功のために、選手村で行う、選手やマスコミ関係者をどのように守っていくのかという、まさに戦略的な検査も行われてきたことと認識しております。
 その上で、多くの方が症状がある、医療機関にかかる、保健所にかかる、こうしたときに、いわゆる行政的な検査を受けるときは費用的な負担はありません。これが、民間の医療機関に回されたときには、初診料がかかってしまう、こういうことも課題としてありますけれども、これは決算ですので、課題点をあげつらうというよりは、建設的な、また確認をさせていただきたいと思います。
 令和二年度に福祉保健局が実施した新型コロナウイルスの検査に係る取組のうち、行政検査以外のもの、どのようなことを行ってきたのか、確認させてください。

○齋藤企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルス感染症検査推進担当部長兼務 令和二年度、行政検査以外で都が実施いたしましたPCR検査等に係る主な取組は次のとおりでございます。
 区市町村が地域の実情に応じて新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に向けて実施するPCR検査等の費用につきまして都が補助いたします区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業。新型コロナウイルス感染症に感染した妊産婦に寄り添い、支援を行うほか、希望する妊婦が行うPCR検査等の費用について都が助成いたします新型コロナウイルス感染症の流行下における妊産婦総合対策事業。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、高齢者施設や障害者支援施設等の職員や入所者を対象に実施するPCR検査等の費用について都が補助いたします新型コロナウイルス感染症対策強化事業。高齢者施設や障害者支援施設等で感染者が発生した場合等においてもサービス提供を継続するため、施設の職員や入所者に行うPCR検査等の費用について都が補助いたします新型コロナウイルス感染症に係るサービス継続支援事業。
 このほか、国が令和三年二月に改定した基本的対処方針を踏まえ、高齢者施設や障害者支援施設等の職員を対象に、都が検査キットを施設に送付して実施いたしました集中的検査などの取組がございます。

○慶野委員 私たちが提案してきた、要望してきた、知事とも何度にもわたって緊急要望を繰り返してきた、こうしたことを着実に進めていただきました。
 その上で、補助金をお出しするという形で検査を推進していく。これは、やったところにとってはお金が入ってくるんですが、当然様々な手続や立替えも生じますし、やはり現物がそこに来て、キットが送付されてきて−−今答弁していただきました都が検査キットを施設に送付した集中的検査の取組、こうしたものが、やはり施設で一生懸命忙しく働いている方々にとっては、物がどんと届いてくる、ソフトバンクに送ればいいといったような、民間の低価格な検査キットを使うという、こういう私どもの提案が取り入れられて検査率が上がっていったものと思います。
 様々な事業を紹介していただきましたけれども、集中的な検査、冒頭いったように、広く誰にでも行っていって、当初は二万円、三万円とかかったPCR検査、誰がかかっているか分からないから全部検査しろといったような暴論ではなくて、都民からお預かりしているこの公費で、税金でどういうふうに効果的にやっていくのかというのが、大切な検査になってもまいります。
 この集中的な検査について、高齢者施設、障害者施設等の職員に対して行ったものの、先ほど実績、一部ご紹介ありましたけれども、その支出額と効果を確認いたします。

○山口高齢社会対策部長 高齢者施設の職員に対する集中的検査の令和二年度の決算額でございますが、およそ二億七百十五万円でございます。また、障害者支援施設等の職員に対する集中的検査の令和二年度の決算額は、およそ三千八十一万円でございます。
 こうした検査の効果でございますが、高齢者施設や障害者支援施設等の入所者は重症化リスクが高い特性がございまして、集団感染、クラスターが発生した場合に、入所者や施設運営への影響が大きく、また、医療提供体制への負荷の増大につながる懸念がございます。
 施設での感染防止には、ウイルスを施設内に持ち込ませないことが重要であり、このため、外部からウイルスを持ち込むおそれのある職員等に対して集中的に検査を実施することにより、陽性者を早期に発見し、感染拡大防止に寄与したものと認識しております。

○慶野委員 ご答弁あったように、重症化しやすい方々、また、そういうところに持ち込ませない、集中的にスクリーニングを行っていくという、集中検査を行っていくという、極めて実効率、効果の高いもの、こういう検査が、今ご紹介いただいてきたような状況でございました。
 症状のない方へのスクリーニング、いつでも、何回でもというように、いまだに私のまちにはポスターが貼られておりますけれども、重症化リスクの高いところでぐっと抑え込むために行う効果の高い検査に対して、確かに、広く誰でも、何回でもやるということは、極めて少ない発生率、発症率、それを見つけ出すという意味では効果はゼロとはいえません。
 しかし、感染リスクや陽性率、確率が低い方々に何度も行っていく、そのメリットは、感染していることを自覚しなかった人を見つけるという効果であったり、また、お仕事や旅行に行く、陰性である証明が必要といった方々に積極的に受けていただくことは、これはある意味としては一つ行うことのメリットといえるかもしれません。
 しかし、無症状者に対して、のべつ幕なしに広くスクリーニング検査を行うことのデメリットは何なのか、広くスクリーニングを誰にでも行うことで感染拡大を制御できたという国際的なエビデンスがあるのかないのか、改めてここで答弁をいただきたいと思います。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 国の新型コロナウイルス感染症対策分科会では、検査の対象を、症状のある方、無症状でありますが感染リスクが高い方や検査しても陽性の確率が高いと考えられる方、感染リスクが低いあるいは陽性の確率が低い無症状者の三つに分類してございます。
 分科会の議論では、感染リスクや陽性の確率が低い方に対する検査のデメリットとして、感染者を発見する可能性は極めて低く、膨大な検査を実施しても陽性者は僅かであり、感染拡大防止の効果は低いとしており、国際的にも、無症状の人に対する広範な検査で感染制御に成功したエビデンスはないとされております。
 このため、分科会では、症状のある方に対する検査、無症状であるが感染リスクが高い方や検査でも陽性の確率が高いと考えられる方に対する検査を優先し、感染リスクが低いあるいは陽性の確率が低い無症状者に対する検査につきましては、広く一般的には推奨されるものではなく、個別の事情に応じて検査を受ける例として示されております。

○慶野委員 明快な答弁でございました。あえて復唱させていただきます。
 感染者を発見する可能性は極めて低く、膨大な検査を実施しても陽性者は僅かであり、感染拡大防止の効果も低い、国際的にも、無症状の人に対する広範な検査で感染制御に成功したエビデンスはない、このように国の分科会では記されております。
 何回でも受けさせろということを百歩譲って受け入れて試算をしてみたいと思います。
 当初二万円、三万円かかっていた自主的な検査、今では民間企業の努力によって三千円前後で受けられる、こうした民間の検査機関もございます。誰でもというんですから、特定の人を排除せずに一千四百万都民が、全員が、最低で大体三千円。三千円で一千四百万人がPCR検査を、全員一回だけ受けました。こうすると、試算をすれば当然、四百二十億円になります。
 ご存じのように、PCR検査というのは、その後の安全を保障するものじゃなくて、検査したその瞬間にかかっていたか、かかっていないか。しかもその精度は一〇〇%じゃない。まして何度も受けていくというのは、今から友人と会食がある、渡航の予定がある、お仕事でこういうプランがある。そのときに陽性だと、その瞬間を証明することに意味はあると思いますけれども、一千四百万都民が、全員が一律に一度やったら四百二十億円。仮に月に一回とはいわないまでも十回、年間十回受けました、四千二百億円。何回でもといっている。高齢者施設でやったように週に一回ずつやったら、五十週間受けました。四百二十億円で五十週間受けました。二兆円です。
 何回でも受けろといって、この二兆円のそもそもの予算。そして今フェーズは大きく変わって、国の方でも私たち公明党が強力に推進してきたワクチン接種。今ワクチンを各自治体で受けるといっても、場所はどこにするんだ、人材はどうやって確保するんだ、そして国民全員に行き渡るのにどれだけ時間がかかるんだと、大変な思いをして基礎的自治体やってきて、これまで一年近くかかってやっと今、八割が見えてきたという状況で、もちろんあれは医療行為ですから、単純に比較するものではありません。
 幾ら簡易的な検査とはいえ、一千四百万人が、五回、十回とどこに集まって誰が検査をして、その費用は誰が持つのか、こんなことも示さずに、あたかも検査数が少ないから、日本が、東京都が感染拡大を止められないんだといわんばかりの、東京都に対する、また国民、都民に対する誤ったメッセージを、今この場に及んでもいっているような一部会派がいるということを、私はもう懸念してなりません。
 そもそも、いうつもりありませんでしたけれども、何かさっき後ろでぶつぶついっていたので、少し数字を見せます。
 東京都、まあ日本、先進七か国G7の中で百四十位台の検査数です。だから東京都、日本は感染拡大が止まらないんだと、こういうふうにおっしゃっておりました。日本は事実、世界的に見ると、PCR検査の数、人口百万人当たりの検査数、日本は二十万七千八百回、全世界で百四十四位です。これは一人当たりに換算すると、一人〇・二一回、まあ五人に一人しか検査をしていないというこの検査数です。
 一方で、G7で一番検査数が多い国、それはイギリス、四百七十六万。百万人当たり四百七十六万回やっています。つまり一人当たり四・七六回、全国民が一人五回ずつやった計算になっている。同様に、アメリカでは百万人当たり二百七万回、つまり二回以上、二・〇八。イギリスは一人五回、アメリカは一人二回、日本は〇・二回。その上で検査数が多かった国、百万人当たりの感染者数はどうなっているか。日本は、ちなみに百万人当たりの感染者数は一万三千五百人です。検査数が〇・二回で一万三千五百人。
 イギリス、感染者数は八百八十一万人、百万人当たり、まさに桁違い、十三万人。最も検査数が多い、国民全員が五回以上受けた計算になっているところが、日本の一万三千五百人に対して、十三万人が感染している。アメリカは、これは感染者数も桁違い、四千五百五十万人、二回ずつ検査を受けたけれども、百万人当たり十三万八千人が新型コロナに感染しているという。
 こうしたデータに基づかずに、日本は世界で百四十四位の検査数だから、あたかも日本の感染が抑え切れなかったというような、何の国際的なエビデンスも基づかずに、イギリスの某大学の人がいっていましたというような、感染者を減らすために検査を増やせ、検査を増やせと一本やりで誤った情報を都民に流している。それを私は危惧するものであります。
 私がいいたいのは、検査をすることが効果がないという話ではありません。さっきいったように、都民全員が好きなときにやっていたら、四千億円、一兆円、二兆円とかかってしまう。そんな予算ないし、ほかに振り向けなければならないし、どうやって限られた予算、限られた人的資材の中で、どこに効果的な検査を行っていくか。そのために、人の流れを考えよう、どこが感染したときに重症化リスクが高いのか、そうしたことを何の検討もせずに、やみくもに検査検査とだけ、都民に−−何ですか、議事録に残すからいってください、復唱します。(「私の議事録見てください。そんなこといっていません」と呼ぶ者あり)まあ確認すれば明らかですけれども、こういうふうに、都民を不安にあおるようなこういう議論は、もうやめにしなければいけない。
 それこそ、今は検査であぶり出す、抑え込むというよりは、ワクチン接種がこれほど進んで、今、もう十人、二十人、三十人という状況、毎日の感染者数で、その感染者数、今この状況で、次の手は何か。国でいえば、今、経口薬をどんどん進めて、年内、年度内には認証して、さらに治療薬を進めていこうという段階に入っている。
 そして、三回目のワクチン接種も、我が党が国において三回目も無償化で進めていこうと、こういうふうに進めているところであります。今は東京都内に毎日十人とか二十人しかいない中で、千四百万都民がいつでも受けに来てくださいと。どこに行けばいいんだ、誰が金を出すんだと、こんな議論もせずに、もう好き勝手いって、議事録を確認してくださいということですので、後日改めて確認させていただきます。
 今申し上げたように、無症状者へのスクリーニング検査は全く無意味ではありません。いかに感染拡大防止の観点から、その費用や人的な確保、そして効果的な、より効果的な検査を進めていくか、これが求められているわけです。
 この効果的な検査体制について、福祉保健局の対応状況を確認させていただきます。

○河野新型コロナウイルス戦略的検査推進担当部長新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長兼務 都では、高齢者施設などの集中的、定期的な検査に加えまして、感染者がいた場合にクラスターとなりやすい集団や、人流のある場所など、リスクに応じた場所などにおけるモニタリング検査を戦略的に実施しております。
 モニタリング検査の実施に当たりましては、比較的感染割合の高い若年層のうち、行動範囲の広い大学生や、感染者がいた場合にクラスターが発生しやすい学生寮、交通結節点など、感染リスクに応じた様々な場所で定期的に検査を行い感染者を把握するとともに、感染状況を早期に探知しております。
 引き続き、優先順位をつけながら戦略的に検査を実施いたしまして、感染の早期発見、拡大防止につなげてまいります。

○慶野委員 優先順位というのは、人の優先順位ではなくて、より効果が高い、効果的な検査を行う場所、時、人、これを優先的に、限られた資源を傾けて感染拡大を防止していくためのPCR検査、スクリーニング検査であるということで私は理解をいたしました。
 今日はPCR検査の件だけで終わらせていただきたいと思いますけれども、今後の新型コロナ、出口に向けた戦略も含めまして、福祉保健局、多岐にわたる総合的な施策が、都民、望まれておりますので、どうか皆様、最後の最後までしっかりと取り組んでいただきたいと、このことを要望いたしまして、終わりにします。ありがとうございます。

○尾崎委員 質問に入る前に、各会派の考え方の違いは当然あるんです。それぞれの意見を尊重して異なる意見を交わすことこそ、都議会で最も重視すべきものだと思います。
 先ほどの慶野副委員長の発言で、日本共産党都議団アオヤギ委員の名前を名指しした部分については、不適切なものであり、議事録から削除することを求めるものです。
 それでは、質問に入っていきたいと思います。
 私の方からは、子供の死亡について質問をしていきます。
 子供への虐待が増えており、子を持つ親の一人として心を痛めています。また、保育園などでの事故や、通学中に車が突入するなどの事故もあります。
 新型コロナの感染拡大により、子供の育つ環境も変わってきています。未来を担う子供たちが健やかに育つために、大人がやるべきこと、政治の責任が大きいと痛感をしています。
 子供の死亡数の推移について伺います。子供の死亡数について、東京都は分析などは行っているのかどうかも伺います。

○奈良部少子社会対策部長 都内のゼロ歳から十九歳までの現在確認できます過去三年間の死亡数は、平成二十九年が四百二十二人、三十年が四百三十一人、令和元年が三百九十三人となっております。
 都は、死亡数そのものについては特段の分析は行っておりませんが、自殺や児童虐待による死亡の傾向等について分析しております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、都は、自殺や児童虐待による死亡の傾向等について分析はしていますが、子供の死亡数そのものについて特段の分析は行っていないということです。
 小児科の医師から私はお話を伺いました。日本の新生児死亡率は、先進国では最低であるが、一歳から四歳の死亡率は高い。また、都は、二〇一〇年から東京都を四つのブロックに分割して小児救急センターを指定しています。小児救急の事業を開始されてから、一歳から四歳児までの死亡は減少傾向を示していたということでした。しかし、二〇一三年以降は改善しておらず、その原因は不明だということも聞きました。
 子供の死亡数について分析することが大事であることを指摘し、分析を行うよう強く求めるものです。
 二〇一五年以降、十九歳以下の死亡数は改善しておらず、十代の自殺、自死が増えていると聞いています。厚労省によると、二〇二〇年の児童生徒の自殺者数は四百九十九人、前年に比べ百人も増えていること、特に女子高校生の自殺、自死は八十人から百四十人に増加が著しいということです。
 そこで、二〇一九年及び二〇二〇年における都内の学生、生徒等の自殺者数はどうなっていますか。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 令和元年におけます都内の学生、生徒等の自殺者数は百四十人となっております。その内訳は、小中学生十四人、高校生三十四人、大学生六十六人、専修学校生等が二十六人でございます。
 令和二年におけます都内の学生、生徒等の自殺者数は百五十五人となっております。その内訳は、小中学生二十人、高校生三十三人、大学生八十三人、専修学校生等が十九人でございます。

○尾崎委員 二〇一九年は百四十人、二〇二〇年は百五十五人と増えていることが分かりました。特に小中学生と大学生が増えているようです。
 自殺の原因は様々ですが、新型コロナの感染拡大の影響も表れていると思います。特に大学生のコロナ影響は深刻です。緊急事態宣言などにより、飲食店などのアルバイトができなくなり、親からの仕送りもなくなり、授業料が払えないという学生が増えています。退学を考える学生がこの間増えており、深刻な事態が広がっています。不安を抱え、先が見えない状況で心の病になる方も増えていると聞きます。適切な支援や相談体制がなければと不安になります。
 そこで、子供の自殺を防ぐために何が必要なのか、具体的な手だてについて伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 十八歳以下の若年層の自殺は学校の長期休業明けにかけて増加する傾向がございまして、これまで都は、毎年九月及び三月に普及啓発や相談事業等に重点的に取り組む自殺防止東京キャンペーンを実施してまいりました。
 また、コロナ禍において若年層の自殺者数が増加いたしましたことから、若年層が相談しやすい体制の整備を図ることとし、SNS自殺相談時間の延長、自殺相談ダイヤル回線の拡充などに取り組んでまいりました。
 令和三年度は、これまで小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象として配布してまいりました自殺予防に関するポケットサイズのメモを、小学五年生以上の全学年に拡大して、夏休み前に配布いたしました。
 自殺リスクを抱える方を支援するためには、福祉、医療、教育、経済等の多様な分野が幅広く連携することが重要でありますことから、今後とも、庁内各局、区市町村、関係団体と連携した自殺対策を推進してまいります。

○尾崎委員 都としてポケットメモを作成し配布しているということですが、私もポケットメモをいただきました。本当にポケットに入るサイズで、かわいい形とイラストで工夫されているのが大事だと思います。
 そして、もう一つ大事なのは、一人で誰にも相談できずに悩んでいる子供たちにどこまで届いているのかということだと思います。
 ポケットメモは、小学生に十四万二千百枚、中学生に十三万三千二百二十枚、高校生には十三万三百九十五枚、合わせると四十万五千八百五枚配布しているということも伺いました。図書館や地域の子供食堂など、子供たちが活用する場所にもポケットメモを置いてもらうなど、もっと広げていただきたいと要望するものです。
 厚労省の分析だと、自殺の原因、動機、背景などは、学業不振、進路に関する悩み、親子関係の不和が上位であること、女子の自殺の要因は、病気の悩み、影響が上位としています。
 悩みのある子供に寄り添うためには、学校や家庭など、関係するところとの連携はもちろんですが、子供の居場所をつくることが必要だと考えます。子供の命を守るには、子供の死亡について検証することだとも思います。
 二〇一八年に成育基本法が成立し、予防のための子供の死亡検証制度を地方公共団体が中心に実施するように記され、二〇二〇年度から厚労省のモデル事業として開始され、七府県で開始されています。しかし、東京都はまだ実施していません。
 予防のための子供の死亡検証制度の意義についての都の受止めについて伺います。

○奈良部少子社会対策部長 国の研究班資料によりますと、予防のための子供の死亡検証、いわゆるチャイルドデスレビューは、子供が死亡した後に、医療や警察、行政、福祉関係者等の多職種の機関や専門家が、子供の死に至る情報を収集し、予防可能な要因について検証し、効果的な予防対策を提言することで、将来の子供の死亡を減らすことを目的として行うものとされております。

○尾崎委員 私が伺いたかったのは、予防のための子供の死亡検証制度の意義について都の受止めはどうですかと伺ったんですが、今のご答弁ですと、予防のための子供の死亡検証制度の意義についての都の受止めとしては、将来の子供の死亡を減らすことを目的に行うものだと受け止めているというふうに解釈してよろしいでしょうか。
 将来の子供の死亡を減らすことを目的に行う予防のための子供の死亡検証制度について、都はどのように進めていくのか伺います。

○奈良部少子社会対策部長 国が昨年度開始した予防のための子どもの死亡検証体制整備モデル事業におきまして、自治体と関係機関との協力体制の構築や、情報の収集、管理、専門家を交えた死因の検証等について試行的に実施し、課題の抽出を今行っております。
 今年度は、このモデル事業を継続するとともに、昨年度収集した事例の集約や整理等を行い、今後のチャイルドデスレビューの制度化に向けた検討材料とすることとしておりまして、都は引き続き国の動向を注視してまいります。

○尾崎委員 滋賀県では、県内の主要病院の小児科医師、医師会の理事、県警の検察官室長、地検検事、子ども家庭相談センターの所長、県の健康医療福祉部の幹部などで検証委員会を設置し、二〇一八年一月から二〇二〇年十二月に亡くなった十八歳未満の子供、計百三十一人のケースを一つ一つ分析したとのことです。その結果、県内の死亡事例の三割は防げた可能性があると分析していることが今年の三月に報道されています。
 山梨県では、予防のための子供の死亡検証制度、CDRで自死に関する対策が協議されたと聞いています。教育や医療などがそれぞれ独自に実施している対策を相互に知らない状況があった、CDRの協議でそれらが同じ俎上にのることで連帯と包括的対策の構築の話が進んだということです。
 私が話を聞いた小児科の医師は、今までの縦割りを解消するのに画期的な効果を示した一事例であるといいました。そして、CDRには大きな可能性があることを認識して、小児救急体制の改善のために早急に事業化されるべきだと強調していました。
 ただいまの答弁ですと、都は国の動向を注視していくということですが、国の動向を注視している場合ではないと思います。都内の子供の自殺が増えている、コロナ禍の影響もあって子供たちの置かれている現状は深刻になっていることなどを正面から受け止めて、東京都でこそ早急に体制をつくり、子供の死亡について検証することが求められています。子供の命を守るためにも、都として決断することを求めるものです。
 予防のための子供の死亡検証制度を進める上で、多摩地域には監察医制度が必要だと思います。多摩地域に監察医制度がないのはなぜですか。多摩地域にも監察医制度が必要ですが、どうですか。

○小竹医療改革推進担当部長 昭和二十四年に施行された政令により、監察医を置くべき地域について、東京都では区の存する区域と定められております。
 都では、多摩地域においても適切に死因の究明ができるよう、東京都医師会や大学の協力を得ながら検案医を確保するなど、環境整備を進めております。また、国に対し、監察医制度が都内全域に適用されるよう政令の改正を繰り返し求めております。

○尾崎委員 ただいまご答弁あったように、昭和二十四年に施行された政令です。既に七十二年も経過しています。都も国に対し政令の改正を繰り返し求めているということですが、現状に合ったものに早急に改正をする必要があります。引き続き国に強く要望するようお願いするものです。
 次に、国民健康保険について伺っていきたいと思います。
 国民健康保険の制度改革により、都は区市町村と共に国民健康保険の保険者となりました。二〇二〇年度は制度改革後三年目に当たりますが、二〇一八年度から二〇二〇年度までの東京都国民健康保険事業会計における予算額及び決算額の推移を伺います。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 平成三十年度国民健康保険事業会計における予算額は、歳入歳出ともに一兆一千二百八億一千四百万円、決算額は歳入が約一兆一千百五十億九千百万円、歳出が約一兆九百三十一億五千万円でございました。
 令和元年度国保事業会計における予算額は、歳入歳出ともに一兆一千五十二億四千四百万円、決算額は歳入が約一兆一千百五十七億五千万円、歳出が約一兆九百五十一億二千四百万円でございました。
 令和二年度国保事業会計における予算額は、歳入歳出ともに一兆九百六十一億七千百万円、決算額は歳入が約一兆一千五十一億九千三百万円、歳出が約一兆六百九億七千万円でございます。

○尾崎委員 ただいまそれぞれご報告ありましたけれども、決算額の歳入から歳出を差し引いて残った金額が歳計剰余金となります。二〇一八年度、平成三十年度の歳計剰余金は二百十九億四千百万円、二〇一九年度の歳計剰余金は二百六億二千六百万円、二〇二〇年度の歳計剰余金は四百四十二億二千三百万円となると思います。
 昨年の決算特別委員会で、令和元年度国保事業会計において生じた歳計剰余金は、その金額を翌年の国保事業会計に繰り越し、その繰り越した剰余金を財源として、国庫支出金等の精算に伴う返還等を行い、これらの精算に伴う返還額を除いた額について、翌々年に区市町村が都の国保事業会計に納付する納付金全体から減算するとしていると答弁がありました。
 そこで伺います。二〇一八年度国保会計の剰余金を活用して、二〇二〇年度の区市町村からの納付金全体から減算された金額は幾らになるでしょうか。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 平成三十年度の剰余金を活用して、令和二年度の納付金全体から減算しました額は約九十八億円でございます。

○尾崎委員 二〇二〇年度の納付金全体から減算したのは、ただいまご答弁ありましたように約九十八億円ということです。逆のいい方をすれば、もともとの納付金は九十八億円少なくなってよかったということになると思います。同様に、今年度減算された額は約七十九億円でした。
 昨年も私は決算特別委員会の中で指摘をしましたけれども、剰余金はできるだけ出ないよう納付金の算定方法を検討すべきだと求めました。今回も、剰余金はできるだけ出ないように算定方法を検討することを求めるものです。
 東京都の国民健康保険加入者の職業構成はどうなっていますか。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 令和元年度国民健康保険実態調査における世帯主の職業別世帯数の構成割合で申し上げますと、被用者が三五・九%、農林水産業に従事している自営業主が〇・一%、農林水産業以外の自営業主が一九・一%、年金生活者などの無職の方が三九・六%、その他が五・二%となっております。

○尾崎委員 国保加入の世帯主の職業別世帯数の割合は、やはり年金生活者などの無職が一番多く三九・六%、次いで多いのがパートやアルバイト、派遣や中小企業で働く家族労働者、家族従業員など三五・九%だということです。
 新型コロナの感染拡大の中で、国は、新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者を傷病手当金の支給対象にしました。傷病手当金の支給対象になったことは重要です。この間の実績について伺います。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険法では、区市町村は条例の定めるところにより、傷病手当金の支給を行うことができるとされております。
 国は、令和二年三月、新型コロナウイルス感染症に感染した被用者等に対して区市町村が傷病手当金を支給する場合に、支給に要した費用について特例的な財政支援を行うこととし、令和三年三月末時点の都内の支給決定件数と支給額は累計で七百四十五件、六千五百五万円でございます。

○尾崎委員 傷病手当金の実績は七百四十五件、支給額が六千五百五万円ということです。一件当たり約八万七千三百円程度になると思いますが、重要な成果だと思います。
 東京都国民健康保険事業状況報告書によると、国保に加入している世帯は二百八万世帯、被保険者数は二百九十四万人ということです。職業別世帯数で見ると、被用者は三五・九%です。被保険者数も同じ比率とするとおおむね百六万人くらいになるので、傷病手当金の支給を受けた人は〇・〇七%ということになるのかと思います。
 鳥取県岩美町では、町独自に自営業者、個人事業主等への傷病給付金を実施しています。また、埼玉県朝霞市では、国保の傷病手当金とは別の制度ですけれども、一律二十万円の傷病見舞金を実施しています。
 新型コロナの感染拡大の中で、中小業者の営業は大変深刻になっています。東京商工リサーチの調査でも、コロナ禍で休業や廃業を検討したことがある中小業者が増えていることが明らかになっています。緊急事態宣言や自粛要請などによって今までどおりの普通の商売ができない中、もしコロナに感染したらどうしよう、休めないなどの不安も広がっています。
 被用者だけでなく、東京都として、自営業者、フリーランスの方たちも傷病手当金支給の対象にすべきだと考えますが、いかがですか。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 国民健康保険の被保険者は自営業者など様々であり、それぞれの就業状況や収入の把握が困難であるなどの課題があることから、国は、新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者を傷病手当金の支給対象としております。
 一方、自営業者やフリーランスを含め、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、収入が大きく減少した方につきましては、保険者の判断で保険料、保険税を減免またはその徴収を猶予することが可能となっております。
 都は、区市町村からの問合せに応じ、国に照会し情報提供するなど、保険者である区市町村が円滑に取り組めるように支援をしております。

○尾崎委員 国保に加入している自営業者やフリーランスの方たちは、新型コロナに感染し仕事を休んでも補償は何もありません。農林水産業も含めた自営業者、フリーランスは約一九・二%です。おおむね五十六万六千人です。単純ではないと思いますけれども、被用者の傷病手当金の実績から考えると約四百件程度の実績になるのではないかと思います。金額で約三千五百万円程度と考えます。都の財政で十分負担できる額です。自営業者、フリーランスの方々への傷病手当金は都の財政支援を行って実現するよう、検討していただくよう強く要望するものです。
 次に、保健所について幾つか質問していきます。
 新型コロナの感染拡大の中、保健所の方々は大変な苦労をして頑張っていただいていることに感謝するものです。
 しかし、多摩地域の都保健所は五か所で、地元自治体への詳細な報告がないために、都がホームページで公表しているコロナの新規陽性者の人数しか分からない、どうなっているのか不安だとの声、保健所の対応が遅いなどの住民の声がたくさん寄せられています。
 最近、ようやく市町村への陽性者の個人情報の提供が始まりました。二十三区や町田市、八王子など地元自治体が運営している保健所との違いも明らかにこの間なってきました。
 多摩地域の都保健所は五か所ですが、保健所ごとの公衆衛生医師及び感染症担当の保健師の定数を伺います。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 多摩地域の都保健所における令和二年度の公衆衛生医師の定数は、五所合計で十五名で、各所三名ずつでございました。
 また、令和二年度の感染症対策に従事する保健師の定数は五所合計で二十四名で、所別の内訳は、西多摩保健所四名、南多摩保健所三名、多摩立川保健所五名、多摩府中保健所七名、多摩小平保健所五名でございました。

○尾崎委員 公衆衛生医師は各所三人、感染症に従事する保健師の定数はただいまご答弁がありましたが、コロナの感染拡大の中で、当然、感染症対策に従事する保健師さんだけでは不十分で、元保健所の職員の方々や都庁の職員の方々も応援に入ったことは承知をしています。それでも足りずに休みを返上して取り組んでいただいていることも承知をしています。
 それでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、多摩地域の都保健所への人員の拡充はどのように行ったのでしょうか。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、積極的疫学調査、入院や宿泊療養などの療養調整、自宅療養者の健康観察など、保健所の感染症対応業務が増大いたしました。
 都は、こうした状況に対応するため、庁内からの応援職員の配置、会計年度任用職員や人材派遣職員の活用などによりまして多摩地域の都保健所の体制強化に取り組んでまいりました。
 令和三年三月一日時点の庁内からの応援職員や会計年度任用職員等を合わせた人数は、五所合わせて百五十人でございました。

○尾崎委員 新型コロナの感染状況に応じて体制強化も図ってきたと伺っています。月ごとの推移も伺いました。庁内からの応援職員の配置、会計年度任用職員等の人数は、九月には九十四人に増やし、十二月には百人に増やしてきたということもお聞きをしました。先ほどのご答弁で、合わせて百五十人とのことです。かなり努力していただいて、体制強化してきていると思います。しかし、コロナの感染拡大がそれを上回る状況でした。
 コロナ禍での保健所を踏まえ、多摩地域の都保健所の人員体制についてどのように対応したのか伺います。

○池上地域保健担当部長保健所デジタル化推進担当部長兼務 多摩地域の都保健所は、各二次保健医療圏における広域的、専門的、技術的拠点として、地域の感染症対策など健康危機管理等の重要な役割を担っております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の対応を踏まえ、感染症発生時の対応や予防の必要性を勘案し、感染症対応業務に従事する保健師の定数を令和三年度におきまして五所合計で十名増員することとし、圏域の大きさや感染症の発生届出数を考慮して各所に配置いたしました。

○尾崎委員 二〇二一年度において、多摩地域の都保健所五か所に合計で十名増員とのことでしたが、二〇二一年になると、デルタ株の感染拡大でこれまでよりも感染力が強くなったなどの状況が広がりました。
 多摩地域の保健所は、一九九七年に十七か所あった保健所が十二か所に統廃合され、石原都政の下でさらに統廃合され、現在は都立は五か所の保健所しかありません。住民からは保健所を増やしてほしいという署名運動が広がりました。武蔵野市長などからも保健所を増やしてほしいの要望も出ています。
 公衆衛生医師の育成も含めて、保健所の体制強化と多摩地域の保健所を増やすことが必要だと思いますので、このことを要望しまして、質問を終わります。

○内山委員長 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○内山委員長 それでは、速記を始めてください。
 この際、議事進行の都合により、暫時休憩いたします。
   午後四時四十六分休憩

   午後四時五十八分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 尾崎委員の発言につきましては、後日、委員長において速記録を調査の上、その扱いを打合会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○内山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時五十九分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る