令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

令和三年十月二十七日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長斉藤やすひろ君
副委員長ほっち易隆君
副委員長酒井 大史君
関口健太郎君
清水とし子君
玉川ひでとし君
米川大二郎君
本橋たくみ君
関野たかなり君
とや英津子君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長古谷ひろみ君
技監山岡 達也君
総務部長相田 佳子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務石井  均君
調整担当部長若林  憲君
港湾経営部長戸井崎正巳君
港湾振興担当部長猪倉 雅生君
臨海開発部長松本 達也君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務佐藤 賢治君
臨海副都心開発調整担当部長小原  昌君
港湾整備部長片寄 光彦君
計画調整担当部長薮中 克一君
担当部長港湾計画担当部長兼務水飼 和典君
離島港湾部長村田 拓也君
島しょ・小笠原空港整備担当部長川崎  卓君
環境局局長栗岡 祥一君
次長笹沼 正一君
総務部長宮澤 浩司君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務上田 貴之君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長榎園  弘君
事業調整担当部長三浦 大助君
環境改善部長筧   直君
自然環境部長和田 慎一君
資源循環推進部長上林山 隆君
資源循環計画担当部長宗野 喜志君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
環境局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)

○斉藤委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○古谷港湾局長 公務のため、過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介させていただきます。
 港湾振興担当部長の猪倉雅生でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○斉藤委員長 紹介は終わりました。

○斉藤委員長 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○相田総務部長 去る十月十五日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をご覧いただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に八件の資料の件名を記載してございます。
 それでは、一ページをご覧ください。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをご覧ください。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で記載してございます。
 三ページをご覧ください。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額について、百万円単位で記載してございます。
 四ページをご覧ください。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページをご覧ください。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 平成二十八年から令和二年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで、各島の貨客船と高速ジェット船それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをご覧ください。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、飛行目的別に記載してございます。
 七ページをご覧ください。晴海ふ頭を除くクルーズ客船寄港回数の推移でございます。
 平成二十八年から令和二年までの五年間の大井水産物ふ頭及び東京国際クルーズふ頭へのクルーズ客船の寄港回数につきまして、実績を記載してございます。
 八ページをご覧ください。東京国際クルーズふ頭における開業後のクルーズ客船寄港回数でございます。
 令和二年九月開業後から令和三年三月までの東京国際クルーズふ頭へのクルーズ客船の寄港回数につきまして、月別の実績を記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○ほっち委員 それでは、私から臨港道路南北線の整備効果についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 東京港は、我が国の産業を支える重要なインフラであるとともに、生活に必要な物資の輸入港としても極めて重要な役割を担っております。東京港のコンテナ貨物量は今後も増加が見込まれており、この需要増に対応するためには、新たなコンテナふ頭の整備はもちろん、増大する交通量に対応した道路整備を推進していくことが重要であるというふうに考えます。
 我が党は、以前から、東京港における南北方向の物流の要となる臨港道路南北線の整備を積極的に進めるべきだというふうに主張してまいりました。臨港道路南北線は、東京港海の森トンネルや海の森大橋を含む大事業でありましたけれども、昨年六月に無事開通することができました。
 そこで、改めてお伺いいたしますけれども、臨港道路南北線の整備の意義についてお伺いをいたします。

○片寄港湾整備部長 臨港道路南北線は、中央防波堤地区の新たなコンテナふ頭の貨物需要に伴う交通量の増加に対応し、東京港全体の物流機能を強化していくために必要な路線でございます。また、本路線は、臨港道路青海縦貫線に加え、南北方向の二ルート目となる路線として、東京港の道路ネットワークの充実に寄与するものでございます。
 南北方向に二つの動線ができることで、交通の分散を図ることに加え、事故等で片方が通行不能となった際にも、代替ルートとして機能を確保することが可能となっております。

○ほっち委員 今いただきました答弁で分かりますけれども、臨港道路南北線が東京港の物流にとって重要な役割を担う道路であるということが分かりました。昨年の開通からこれまでの間には、東京二○二○大会も開催をされて、ボートやカヌー、また、馬術競技などの関係者の皆さんの輸送にも活用されたというふうに聞いております。南北線は大変な難工事だったようですけれども、今回のこの東京二○二○大会等々の大会までに完成が間に合ったということは何よりだなというふうに思うところでございます。
 また一方、中央防波堤外側地区に新たなコンテナふ頭として整備を進めてきましたY2ターミナルが昨年三月に供用を開始をし、多くの貨物を扱っているというふうに聞いております。このことにより、東京港を南北に移動するコンテナ車などの交通状況も変わってきているのではないかというふうに思います。
 そこで、臨港道路南北線の開通によって、どのような効果があったのかお伺いをさせていただきます。

○片寄港湾整備部長 臨港道路南北線の開通前は、臨海副都心と中央防波堤地区を結ぶ唯一の道路であった青海縦貫線にコンテナ車両等が集中し、交通混雑が発生しておりました。開通後は、南北方向の道路ネットワークが強化されたことにより、交通の分散が図られ、青海縦貫線の交通量が約二割減少しております。
 また、交通混雑の最も激しかった中防大橋北詰交差点においては、流入交通量が約四割減少し、交通混雑が解消しております。これらにより、中央防波堤地区周辺の円滑な輸送が確保され、安定的な物流に寄与しているところでございます。

○ほっち委員 開通後、今お答えいただいたとおり、交通量が約二割減少ですとか、また、流入の交通量が約四割減少したということで、交通混雑が解消したということで、一定の整備効果が表れてきたということは理解できました。また一方、中央防波堤地区の開発はまだ進められている途中であり、今後、新たなコンテナふ頭であるY3のターミナルの整備が行われ、貨物量が増加をしてくれば、さらに多くの交通量が発生することが見込まれてまいります。
 そこで、今後さらに中央防波堤地区のコンテナふ頭の開発が進んだ場合にも、増加する交通量に対応して円滑な物流を確保できるかどうか、こちらの方をお伺いしたいと思います。

○片寄港湾整備部長 臨港道路南北線の整備に当たりまして、港湾計画において設定した取扱貨物量や土地利用により発生する交通量を想定し、将来の道路ネットワークを基に計画交通量を予測しております。この予測に際しましては、新たに整備するY3コンテナふ頭に加え、背後の物流関連施設や海の森公園の利用者など、今後増加が見込まれる交通量を適切に算出しております。
 今後、開通した臨港道路南北線に加え、中央防波堤地区内のふ頭の開発に合わせて周辺道路を整備することで、港内の円滑な物流を確保してまいります。

○ほっち委員 臨港道路南北線は、将来的にも、東京港の機能強化には欠かせない新たな主動線となる道路であるということが分かりました。この道路が開通できたことは非常に意義があるというふうに考えます。さらに、開発に伴う交通量の増加にも対応して、安定した物流を確保するということで、今後とも、東京港が首都圏に暮らす人々の生活と産業をしっかりと支えていただくことを期待をして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、島しょ地域におけるコロナ対策についてお伺いをさせていただきます。
 新型コロナウイルスとの戦いは長期にわたり続いていますが、特に、島しょ地域においては、本土に比べて医療体制に限りがあることから、ウイルスを持ち込まないことを第一に、水際対策に重点が置かれてきました。
 昨年の感染拡大の初期においては、ウイルスについての知識も乏しく、感染防止対策についても手探りでありましたけれども、そのため、考え得る可能な対応を速やかに実施していくことが強く要請をされました。
 離島では本土と異なり、ウイルスが外から持ち込まれるルートというのは、船舶と航空機に限られます。このため、各ルートからの持込みを防止する対策が大変重要であるというふうに考えます。
 そこで、国内における感染拡大の確認以降、港湾局は、島しょ部の水際対策にどのように取り組んだのか、また、その結果、そして、どのような効果があったのかお伺いをいたします。

○村田離島港湾部長 島しょ地域では、高齢者の比率も高く、また、診療所や医療従事者などの医療体制も限られていることなどから、島での新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ取組が重要でございます。
 このため、港湾局といたしましては、直ちに対策を講じることとし、令和二年三月上旬から順次、調布飛行場、竹芝客船ターミナルなどで、船舶や航空機の乗客全員に対し検温などの水際対策を実施いたしました。また、船舶や航空機の同乗者に新型コロナウイルスの感染が確認された場合に、事前にQRコードで登録したメールアドレスに通知を行う感染リスクをお知らせするサービスも行いました。
 各町村による来島自粛のお願いや運航事業者による消毒の徹底などの努力もあり、島しょ部での感染者が抑えられ、水際対策に一定の効果があったものと認識しております。

○ほっち委員 当時は、消毒液や非接触型の体温計、サーモグラフィーなども不足をする状況にある中、東京都が強い危機感を持って、島しょ地域を守るために必要な対策を迅速に講じたということは大いに評価ができるというふうに思っております。
 また、その後、感染のステージは大きく変化しながら、現時点ではやや落ち着いてきた状況にありますけれども、いつまたこの状況が変わるかというのは予断を許しません。引き続き、気を緩めることなく、関係者と連携し、適切な対応に努めていただきたいと思います。
 続きまして、コロナ禍において、島しょ地域を支えるもう一つの重要な対策として、離島航路、航空路を維持するための支援についてお伺いをさせていただきます。
 島しょ地域の住民の足として、また、生活に必要な物資や生産物の輸送をする手段として、航路、また航空路はなくてはならないものであります。しかし、利用者の多くを占める観光客が激減する中、運航事業者の経営は大変厳しいという状況にあります。コロナ禍において、各路線を維持していくためには、運航事業者への一層の支援が必要であり、我が党としても、機会を捉えて、都に対して要望を行ってきたところであります。その結果、昨年、都は補正予算により、事業者への追加の支援を実施したというふうに承知しております。
 そこで伺います。まず、航路、航空路を維持するため、都は昨年度、どのような支援を行ったのかお伺いをさせていただきます。

○村田離島港湾部長 島しょ地域と本土を結ぶ定期航路、航空路は移動や輸送の手段として、島民の生活と産業を支える上で必要不可欠なものでございます。
 都はこれまでも、国と連携して定期航路や航空路を維持するため、運航事業者の欠損額に対し補助を行ってまいりました。昨年度は、船舶、航空機ともに利用客数が例年と比較して大きく落ち込むなど、欠損額の急激な増加が見込まれたことから、都は、当初予算の九億円に加えて、補正予算において約十五億円を確保いたしました。
 特に、補助の対象外であった竹芝−神津島間の航路につきましても、新型コロナウイルスの影響による収入減が運航事業者の経営に大きく響くおそれがあったことから、欠損額の補助を都として臨時に実施いたしました。

○ほっち委員 今お答えいただいたとおり、当初予算の九億円に加えて、十五億円補正予算で組んで、何としても頑張っていくんだという局の思いというか、しっかり守るんだという決意を感じると同時に、やはり、皆さんの頑張りが島の皆さんを支えているんだなということを改めて感謝を申し上げたいなというふうに思っております。
 そして、島しょ地域では、水際対策として来島自粛を強く呼びかけたことで、航路、航空路、いずれもその影響をダイレクトに受け、利用客の減少は年間平均で五割にも及んだというふうに聞いています。これほど大きな減少は、運航事業者の経営にも多大な影響を与え、都が実施した補助は大きな支えというふうになったというふうに思っています。
 しかし、せっかくの支援も、適切な時期に事業者に届かなければ、十分な効果を発揮することはできないというふうに考えます。そこで、都はどのような対応を行ったのかお伺いをいたします。

○村田離島港湾部長 昨年度は各運航事業者の収入が大きく減少し、資金繰りに苦慮する状況にあったことから、都は補助金の執行に当たって概算払いを活用して、速やかに支出いたしました。こうした取組につきまして、事業者からは大きな支援となったとのご意見をいただいております。
 その結果、昨年度におきましては、減便はあったものの、年間を通じて毎日全ての路線が維持され、島民の足としての役割をしっかり果たすことができたと考えております。

○ほっち委員 繰り返しになりますけれども、離島の航路、航空路は島の住民生活にとって生命線であります。また、この重要なインフラともいえる離島の路線を維持していくことが、今後、ポストコロナにおいて、再び観光客を呼び込み、ダメージを受けた地域経済を再生していく上でも大きな支えになるというふうに思っています。
 都は、航路、航空路の重要性をしっかりと認識をしていただき、新型コロナウイルスの感染状況や事業者の経営状況等を注視しつつ、引き続いて、適切な対応を図っていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○米川委員 私たちの生活にとって重要な役割を果たしている東京港について、ふ頭などの港湾施設の整備に関する取組について質問します。
 東京港は、都民の暮らしに欠かせない生活関連物資を中心に扱う港です。ふだんの生活においても、外国産の食品や海外製品に触れる機会は多いのですが、それらが東京港を通じて輸入されていると思うと、港が身近に感じられます。また、国内のほかの港では、近年取扱貨物量が減少しているところもありますが、そうした中で、東京港では堅調に貨物量が増加しています。
 そこでまず、東京港の特色や役割について伺います。

○水飼担当部長港湾計画担当部長兼務 東京港は、大消費地である首都圏を背後に抱えるとともに、首都圏や東北地方などの各地と結ばれた充実した道路ネットワークを有しており、アクセス性に優れているため、多くの荷主等から利用ニーズがございます。また、生産拠点の海外移転に伴い、近年、特に輸入貨物が増加しており、輸入港としての性格が強くなっております。
 こうしたことから、東京港の外貿コンテナ貨物量はおおむね増加傾向が続いており、令和二年の貨物量は約四百二十六万TEU、貿易額は約十六兆円で、ともに国内港では最大となっております。加えて、東京港は、北海道や九州、沖縄など、国内各地の港と結ぶ内航航路のネットワークも充実しており、国内海上輸送の一大拠点にもなっております。
 このように、東京港は首都圏における生活や産業を支える物流拠点として重要な役割を担っております。

○米川委員 東京港が都民をはじめとする多くの人々の生活や産業に欠かせない重要な役割を担っていることが分かりました。経済活動を支え、発展させていくためには、東京港は首都圏における貨物輸送の需要に確実に応えていく必要があります。
 しかし、東京港では、ふ頭周辺において、慢性的に交通混雑が発生していることが常々指摘されてきました。様々な原因があるとは思いますが、取扱貨物量の増加に対して、施設の整備が追いついていないことが主な要因ではないかと思います。このため、必要な施設整備については、できる限り迅速に進めていく必要があると考えます。
 そこで、令和二年度において、増加する貨物に対応するために取り組んだふ頭整備の状況について伺います。また、港湾整備費の国直轄事業の中防外側外貿コンテナふ頭整備について、その事業内容と執行率が一・一%となっていますが、その理由も伺います。

○片寄港湾整備部長 東京港では、増え続けるコンテナ貨物取扱量に適切に対応できるよう、貨物処理能力の増強が求められているとともに、世界的に進んでいる貨物船の大型化への対応も大きな課題となっております。
 このため、中央防波堤外側地区において、年間約百二十万TEUのコンテナ貨物を処理でき、大型船の受入れも可能な新たなコンテナターミナル、Y1、Y2、Y3の整備を進めており、昨年までにY1、Y2の供用を開始したところでございます。現在、残るY3ターミナルの整備を進めており、昨年度は、工事に必要な設計などを実施いたしました。
 なお、事業の執行率が一・一%となりましたのは、国直轄事業におきまして、国の予算措置の範囲内で事業を実施したためでございます。加えて、国内航路の貨物を取り扱う内貿ふ頭に関しましても、貨物船の大型化への対応や大規模地震への対応等を進めているところであり、昨年度は、品川ユニットロードふ頭やフェリーふ頭において、岸壁の耐震化工事を行い、機能の向上を図ったところでございます。

○米川委員 東京港でのふ頭の整備が積極的に取り組まれていることが確認できました。一方、東京港における取扱貨物量の増加に対応していくためには、新たに整備したふ頭につながる道路の整備も進めていくなど、物流の効率化策を進めていく必要があります。
 そこで、令和二年度における臨港道路の整備について伺います。また、港湾整備費の国直轄事業の臨港道路南北線整備について、その事業内容についても伺います。

○片寄港湾整備部長 新たにコンテナふ頭の整備を進めている中央防波堤地区における交通需要の増大に対応していくためには、ふ頭と背後の幹線道路をつなぐ臨港道路を着実に整備していくことが必要であり、昨年度は、臨港道路南北線とその接続道路である中防外一号線、三号線、五号線などの整備を行いました。
 臨港道路南北線は、有明地区と中央防波堤外側地区とを海底トンネルや橋梁などでつなぐ事業でございます。本事業は、国と都が分担して整備を行ったものであり、国は主に海底トンネル部を、都は主に東西水路を横断する橋梁部などの整備を行いました。

○米川委員 臨港道路の整備も着実に進んでいることが確認できました。引き続き、整備を推進し、東京港の物流機能のさらなる強化を図るよう求めます。
 次に、こうした整備の進め方について質問します。
 ふ頭や臨港道路を東京港で整備する場合、国土交通省が事業主体となる直轄事業と、東京都が事業主体となる補助事業とがあると認識しています。国が事業主体となった場合に、都の職員が持つ技術の継承について、今後どうなっていくのか心配する面があります。
 そこで、東京港でふ頭などの港湾施設を整備する場合、どのようなものが国土交通省の直轄事業となるのか伺います。

○片寄港湾整備部長 国土交通省が実施する直轄事業については、平成十一年に改正された港湾法により、その実施基準が明確化されました。例えば、外国貿易船を係留する岸壁などの施設で、水深十二メートル以上のものや、この施設にアクセスするための主要な道路などが直轄事業の対象となっております。
 なお、都が工事の実施主体となる補助事業の場合、国の費用負担は十分の五とされているのに対し、直轄事業で整備する場合は、国の負担が十分の七または三分の二となっていることから、都の負担を減らすことができるなどのメリットがございます。
 東京港では、これまで東京ゲートブリッジや中央防波堤外側Y2ターミナル、臨港道路南北線などが直轄事業として整備されておりますが、これらの一部は都が受託して整備を行っており、国と都が連携して取組を進めてきたところでございます。

○米川委員 十数年に一度整備されるふ頭、トンネル、橋梁工事での経験というものは、技術の継承や人材育成という視点から、何よりも得難いものと考えております。例えば、沈埋トンネルは、昭和の時代に第二航路海底トンネルの整備を行い、平成に入り、臨海トンネルを完成させた技術力と人材が、港湾局にはいたと思います。東京港海の森トンネルの整備は、港湾局技術職員にとって貴重な事業だったのではとも考えております。
 私自身、港湾整備部で起工担当として、第二航路海底トンネルの改修事業に従事した際、当時の港湾整備部長が自らその整備に従事していたことから、多角的かつ厳しくチェックされていたことを記憶しております。今後、国直轄で整備したものを港湾局が改修していくことになると思いますが、整備に携わらないでもスムーズに実施していくことができるのかを危惧しております。
 そこで、港湾局では、技術の継承や人材育成を実施していると思いますが、どのように実施しているのか、また、東京港内での重要な工事を港湾局が直接実施することがなくても問題がないのかを伺います。

○片寄港湾整備部長 港湾局が所管します多種多様な施設を着実に整備し、維持管理していくには、施設ごとの専門知識に加え、AI等の情報通信技術の発展や、頻発化、激甚化する豪雨災害など、社会情勢や自然環境の変化にも柔軟かつ的確に対応できる技術力の維持向上が重要でございます。
 このため、港湾局では、知識、経験が豊富なベテラン職員等が、実際の現場で技術を継承するなど、実態に即したOJTを継続的に行っております。加えて、技術研修として、港湾構造物の設計、施工管理など主要業務を中心とした講座を多数設けるとともに、現場見学会も開催し、直接見て学ぶ、実践的な研修も実施しております。
 また、国の直轄事業に関しましても、都が一部を受託することで技術的に困難な工事を分担するとともに、国が整備する部分につきましても、設計、施工段階における技術課題に国と連携して取り組むなどにより、技術力の向上を図っております。
 こうした取組を計画的、継続的に実施していくことにより、職員の技術力を育成し、その継承を図ってまいります。

○米川委員 港湾局では、職員の技術力の育成、継承にしっかり取り組んでいくことが確認できました。港湾局が所管する施設は多種多様であり、それぞれの施設ごとに専門知識が必要となると、かなりの時間をかけて職員の技術力の育成、継承に取り組んでいくことが必要になると思います。
 港湾局、東京港の施設は、都民の生活向上と産業の発展に必要不可欠な重要な施設です。これらの重要施設を着実に整備し、維持管理していくため、長期的な視点に立って、引き続き、職員の技術力の育成、継承に取り組むことを求めます。
 次に、島民生活や地域生活を支える重要なインフラである島しょ地域におけます空港や港の施設の整備状況について質問します。
 まず、三宅島空港についてですが、現在の旅客ターミナルは噴火による全島避難指示が平成十七年に解除された後、早期に航空路を再開させるため、火山ガスの影響の少ないエリアに仮設施設として整備したものと伺っています。
 その後、島内の火山ガスの噴出は徐々に収まり、平成二十七年に全ての居住地区の規制が解除されました。その後、令和になってからは、火山ガスの専門家会議も開かれていないなど、現在はかなり落ち着いた状況にあります。
 いうまでもなく空港は、島民の方々が本土と往来する際に利用する生活に身近な施設であるとともに、島への入り口として多くの観光客も利用する島の顔といえる施設になります。火山ガスの心配がほとんどなくなりつつある中、ポストコロナにおいて、多くの観光客を取り込んでいくためにも、新たなターミナルが整備されることが待ち望まれています。
 そこで都は、長期計画において、旅客ターミナルを建て替えるとしていますが、三宅島空港ターミナルの建て替えに関する令和二年度の取組について伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 島しょにおける空港は、空の玄関口として、島を訪れる人、そして島民の双方にとって大変重要な施設でございます。とりわけ、ターミナルは旅客が直接利用する施設でございまして、現在の仮設ターミナルを設置してから十五年が経過していることや、火山ガスが落ち着いている状況などを踏まえ、都は昨年度、村や観光協会、定期便運航事業者等から成る三宅島空港リニューアル検討会を設置いたしまして、検討を開始いたしました。
 検討会におきましては、ターミナルの設置場所に関する議論を行うとともに、空港利用者だけでなく、地域の方々にも利用していただける施設とする視点からも検討を進めているところでございます。
 今後も、村や地元の方と意見交換を図りながら、利用者の方々が快適に過ごすことができるよう、様々な角度から検討を進めてまいります。

○米川委員 新たなターミナルについての検討が始まっていると聞いて安心しました。利用者目線に立ち、島民の意見もよく聞きながら、空港利用者にも、島民にも便利なターミナルになるよう、しっかりと検討を進めていくことを求めます。
 次に、三宅島の伊ヶ谷漁港について質問します。
 島の北西部に位置する伊ヶ谷漁港は、噴火災害時には避難港として活用することも想定し、整備してきましたが、大型定期船も接岸し、乗船客が利用する港でもあります。
 令和元年の一般質問で、伊ヶ谷漁港について取り上げた際、古谷局長からは、伊ヶ谷漁港は地元漁船の拠点であるとともに、火山噴火時の住民避難や平常時の安定した就航にも寄与する重要な港との答弁もありました。
 三宅島においては、大型定期船は、南西部にある阿古漁港と東側にある三池港を利用することを基本としていますが、風や波の条件によっては、伊ヶ谷漁港を利用することで船の就航率を上げております。
 令和二年に三宅島に寄港した大型定期船のうち約二割が伊ヶ谷漁港に接岸しており、今では、島の人々にとって、伊ヶ谷漁港は、災害時だけではなく、日常生活においても欠かせない港となっているといえます。こうした利用実態を踏まえますと、さらなる安全性や利便性の向上など、施設の充実に向けた取組は大変重要です。
 都は、伊ヶ谷漁港の機能向上を継続的に進めていますが、令和二年度にはどのような施設整備を行ったのかを伺います。

○村田離島港湾部長 伊ヶ谷漁港は、噴火の影響が比較的低いと想定される位置にあり、波浪の影響を受けにくいことから、火山噴火時の住民避難や平常時の安定した就航にも寄与する重要な港でございます。そのため、都はこれまで、漁業施設に加え、避難時に利用できるよう、岸壁の整備を行うなど、避難港として必要な機能を確保してまいりました。
 令和二年度は、噴火時において、住民が島外避難する際に利用する多くのバスが同時に止められるよう、駐車場の拡張整備を進めました。また、大型定期船の乗降客を高波から守るコンクリートの壁を整備するとともに、乗降客へのサービス向上のため、日よけ雨よけ施設の供用を開始したところでございます。
 今後とも、三宅島の実情や特性を考慮しながら、伊ヶ谷漁港の整備に取り組んでまいります。

○米川委員 都が実施しています整備は、避難時や就航率の向上の助けになるものであり、地元の人にとって大変心強いのではないかと思います。建設局によります伊ヶ谷漁港への都道のダブルルート化のため、伊ヶ谷トンネルの事業も動き出しています。引き続き、伊ヶ谷漁港の担う様々な機能の向上に向け、着実な施設整備に取り組んでいくことを求めます。
 最後に、伊豆諸島最南端に位置し、死ぬまでに見るべき世界の絶景に選ばれたこともある青ヶ島の港湾整備について質問します。
 伊豆・小笠原諸島は、太平洋上に点在する島々から成り、豊かな自然に恵まれていますが、一方で、台風が頻発に襲来する地域でもあり、また、冬の強い季節風の影響を受けるなど、極めて厳しい気象、海象条件となっています。
 こうした中、船は島民の往来や生活物資の輸送を担う生命線となっており、定期船が安定して就航されるかどうかが島民生活に大きく影響しています。特に、気象、海象の影響を受けやすい小離島では、強い西風や冬場の荒波などの際は、船を接岸するのが非常に難しく、加えて、青ヶ島はほかの小離島と異なり、本土と結ぶ大型定期船が就航しておらず、八丈島との間を三時間で結ぶ「あおがしま丸」が唯一の定期航路となっています。この「あおがしま丸」は週に四便または五便の運航のため、一回の欠航の影響が大きく、数日間船が来ないと、商店から食料品などがなくなるという話も、昨年、島へ行った際に伺いました。
 港湾局に確認したところ、昨年の青ヶ島港の就航率は約六○%であり、まだまだ十分とはいえない状況にあります。そこで、青ヶ島港の就航率を高めるため、令和二年度においてどのように港湾の整備が進められたのかを伺います。

○村田離島港湾部長 小離島におきましては、その地形の特性などから複数の港を整備することが難しいため、一つの港の中に二つの岸壁を整備し、風の向きや波の大きさによって接岸する岸壁を使い分けることで、就航率の向上を図ることとしております。
 青ヶ島に関しましては、青ヶ島港で定期船の受入れを行っておりますが、定期船が着岸することができるのは、港内西側に位置する岸壁のみであることから、現在、東側に二つ目の岸壁を整備しております。
 令和二年度は、引き続き東側の岸壁の整備を進めるとともに、その岸壁を波浪から守るための防波施設の整備を行いました。今後とも、着実に施設整備を進め、定期船の就航率向上に取り組んでまいります。

○米川委員 繰り返しになりますが、青ヶ島の人々にとって、船は移動の足であるとともに、生活物資を輸送するライフラインであり、定期船の就航率向上は悲願であると考えます。
 伊豆諸島、中でも青ヶ島は、気象や海象の条件が大変厳しく、工事ができる時期も、海が穏やかな春から夏の時期に限られるなど、港湾整備には困難な面もあると思いますが、少しでも船の欠航を減らせるよう、引き続き取り組んでいくことを求めまして、質問を終わります。

○玉川委員 高潮対策について伺います。
 我が会派はこれまで、高潮氾濫の危険から都民の生命や財産、首都東京の中枢機能を守るため、ハード、ソフトの両面から高潮対策に取り組むよう強く求めてきました。
 現在では、高潮や津波から東京港を第一線で守る外郭防潮堤や水門等の海岸保全施設の整備が進み、ソフト面でも、高潮浸水想定区域図の作成、さらに高潮特別警戒水位の設定及び運用が開始されるなど、その取組は着実に進んでいるものと認識しています。
 これらの浸水想定等は既に整備されている防潮堤が決壊するといった最悪の事態を想定したものでありますが、自然災害への備えを考えるに当たっては、あらゆる事態を想定して対策を取ることが極めて重要であります。
 私の地元の大田区も、最悪のケースでは、多くの地域で高潮による浸水が想定されており、私が大田区議であったときには、区民の防災意識の向上に努めてまいりました。
 昨年の本委員会においては、都の取組状況を踏まえ、我が会派の加藤議員が、今後は、都民に情報を発信するための実効性のある仕組みが不可欠と発言をし、その対応を求めたところであります。そして、その結果が、昨年度末に一部運用を開始した高潮防災総合情報システムであると考えています。
 そこでまず、高潮防災総合情報システムの機能や具体的な情報発信の方法について、改めてお伺いいたします。

○片寄港湾整備部長 高潮防災総合情報システムは、高潮に関する正確な情報を都民に広く発信することを通じ、都民の防災意識の向上を図るとともに、万が一高潮等の災害が発生した場合には、都民が的確に避難を行えるようにすることを目的とした防災情報システムでございます。
 本年三月には、最大規模の高潮による浸水被害をピンポイントに検索できる高潮リスク検索サービスの運用を先行的に開始いたしました。さらに七月には、システムを本格稼働させ、潮位や水門の開閉情報、海面の映像などをリアルタイムでウェブに公開するとともに、高潮特別警戒水位に到達した場合には、関係する行政機関や報道機関へ一斉メールの配信を行い、ウェブ上でも情報発信することといたしました。

○玉川委員 高潮防災総合情報システムでは、高潮に対する都民の防災意識向上を図るとともに、万が一高潮等の災害が発生した場合には、都民が的確に避難を行えるようにするための一連の情報が提供されていることが分かりました。
 近年、東京港においては、台風による高潮被害は発生していませんが、自然災害が激甚化しつつあることを踏まえると、こうしたシステムが本格的な台風シーズンを迎える前の七月までに稼働したことは大変意義のあることだと思います。
 しかし、システムが稼働したとしても、実際にこれが都民に利用されなければ意味がありません。より多くの都民に利用してもらえるよう、周知を徹底していただきたいと思います。
 そこで伺いますが、このシステムは、これまでにどれくらいの利用者があったのか、また、利用者を増やしていくために、今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。

○片寄港湾整備部長 高潮防災総合情報システムは、稼働から約三か月が経過し、先月一か月間のアクセス数は約二万件であり、台風十六号が接近した十月一日には、約三千件のアクセスがありました。
 災害時に都民に的確な避難を行ってもらうためには、より多くの方に本システムを利用してもらうことが重要でございます。そのため、ホームページやSNSを活用した周知を行うとともに、東京都防災アプリ等との連携にも努めております。また、都民や事業者などから浸水想定等に関する問合せがあった際には、本システムを紹介し、活用していただけるよう周知に努めているところでございます。
 今後は、都が実施する総合防災訓練などの機会を通じて、関係者にシステムの機能を説明するとともに、区が作成するハザードマップに本システムのリンク先を掲載してもらうなど、関係機関と連携を図りながら、利用拡大につながる取組を展開してまいります。

○玉川委員 台風接近時に多くの方がアクセスしたことは、都民の高潮防災に対する関心の高さが示されたのではないかと考えます。今後も地元の区と連携を図りながら、様々な機会を通じて利用者を増やすよう努力していただきたいと思います。また、利用者を増やし、迅速な避難行動につなげるためには、システムの利便性の向上や、よりきめ細やかな情報の提供など、改良、改善を進めていくことも必要であります。
 そこで伺いますが、高潮防災総合情報システムをより利用しやすい効果的なシステムとしていくため、今後どのように取り組んでいくのか、見解をお聞かせください。

○片寄港湾整備部長 本システムは、稼働前に職員によるユーザーテストを実施し、問題点、改善点の発見に努めてまいりました。具体的な改善点といたしましては、都民が様々な防災情報を速やかに得られるよう、建設局とも連携し、河川の水門の開閉状況等についても併せて表示することといたしました。また、都が提供する他の防災情報システムと操作方法に統一性を持たせるなど、利用しやすさの向上も図っております。
 現在は、システムの多言語化についても取り組んでおり、中国語、韓国語でも最大規模の高潮による浸水被害を検索できるよう作業を進めているところでございます。さらに、潮位や波浪等の海面の状況をより多くの地点で都民が確認できるよう、ライブカメラの増設を行ってまいります。
 引き続き、災害時に都民が適切に対応できるよう、高潮防災総合情報システムの機能の向上に取り組んでまいります。

○玉川委員 都民の安全を第一に考え、正確な情報をより確実に伝達できるよう、システムの改良、改善に取り組んでいるとのことでありますが、引き続き、高潮等の災害の危険から都民の生命や財産を守るため、着実に取組を進めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 島しょ地域における津波対策について伺います。
 十月七日には、都内に十年ぶりとなる震度五強の地震が発生し、幸い大きな被害はなかったものの、都内の交通機関などが混乱するなど、都民の生活に大きな影響がありました。島しょ地域においても、改めて防災に対する認識が高まったところであると思います。
 首都圏において、大規模地震が高い確率で起こるといわれている中、伊豆諸島においても、南海トラフ巨大地震などの大規模地震が発生したときには大きな津波が短時間で到達することが予想されています。特に、多くの島民や観光客が集う港においては、突然の地震により津波が来たときに安全な高台まで速やかに逃げられるのかが心配であります。
 そこで、改めて、島しょ地域の港における津波避難施設整備の考え方について伺います。

○村田離島港湾部長 都は、平成二十六年に策定した伊豆・小笠原諸島における港湾等防災対策基本方針に基づき、津波避難施設を整備することとしております。本方針におきましては、元禄型関東地震と南海トラフ巨大地震により発生する二つのケースの津波を想定し、予想される津波の到達時間までに安全な高台への避難が困難な四島九港を整備対象といたしました。
 整備に当たりましては、到達時間や浸水高、港周辺の地形も考慮し、避難タワーや避難階段、避難通路のいずれかを設置することとしており、二つのケースの津波に対し、安全に避難できるようにしております。

○玉川委員 伊豆諸島における津波避難施設が、元禄型関東地震と南海トラフ巨大地震の両方に対応していることや、それぞれ港の地形に適した構造となるよう工夫されていることが確認できました。我が会派はこれまで、伊豆諸島における津波避難施設を早急に整備するよう要求してきました。平成三十年には当時整備中であった大島岡田港の津波避難施設を視察し、他港においても、早期の完成を目指し、整備を進めるよう重ねて要望してきたところであります。
 島の工事は厳しい気象条件などから、実施できる時期が限定されるなど困難な面もありますが、おおむね着実に整備は進んでいると聞いております。そこで改めて、これまでの整備状況と令和二年度における取組について伺います。

○村田離島港湾部長 都は、平成二十七年度から津波避難施設の整備を進めてきており、令和元年度までに四港の施設を完成させております。令和二年度におきましては、新島港の避難タワーを完成させたほか、大島波浮港、三宅島三池港において、背後の高台への避難通路の整備を完了させたところでございます。また、残る神津島港と新島若郷漁港の二港につきましても、それぞれ避難タワーと避難階段の工事に着手したところでございます。これらの工事を着実に進め、津波避難施設の整備の対象となる四島九港全てについて早期の完成を目指してまいります。

○玉川委員 島の玄関口である港を利用する観光客や港で働く方が安心して施設を利用できるよう、いざというときに命を守る津波避難施設については、少しでも早く完成するよう、しっかり整備を進めていただきたいと思います。
 続きまして、ソフト対策について質問いたします。
 実際に地震が発生した際には、津波で一人の犠牲者も出さないよう、スムーズに避難者を誘導しなければならず、また、津波の危険性がなくなるまでの間、避難所としての運営が適切に行われるよう準備していくことも重要であります。
 都は、有事において津波避難施設がその機能を十分に発揮できるよう、避難訓練などソフト対策を充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。

○村田離島港湾部長 津波避難施設が防災上の効果を十分に発揮するためには、実際に津波が襲来した場合を想定した準備など、ソフト面での対策を充実させていくことも重要でございます。
 このため、津波避難タワーにおきましては、船舶の年間最大乗降客と荷役作業従事者等が避難できるスペースを考慮し、避難した人が二十四時間過ごすことができる水や食料などの備蓄品も用意しており、いつ津波が襲来しても、人々が安心して避難できるようにしております。
 また今後は、新型コロナウイルスの感染状況を見ながら、事業者や地元町村と連携した避難訓練を実施するなど、港にいる全ての方々がスムーズに避難できる体制を構築してまいります。
 訓練の実施に当たりましては、町村の行政防災無線を受信できる放送設備を利用した訓練や、町村や船舶運航事業者等と連携した情報連絡訓練を行ってまいります。

○玉川委員 伊豆諸島の港は、いうまでもなく島の玄関口でもあり、多くの観光客や島の人々が利用する極めて重要な施設であります。島の安全があってこそ、東京全体の安全にもつながるものと思います。港の利用者や働く人々が安心して港に滞在し、楽しみ、仕事ができるよう、施設整備を着実かつ迅速に行っていただくとともに、ソフト対策を着実に推進していただくことを要望しまして、津波避難施設関連の質問を終わり、次の質問に移ります。
 東京港のヒアリ対策について伺います。
 特定外来生物に指定されているヒアリは一度すみつくと、根絶は極めて困難であるとされており、人や生態系に重大な被害を及ぼすことから、我が会派も関心を持って、これまで繰り返し都議会で取り上げてきました。
 この夏には、大阪港において、複数の女王アリを含む千匹を超える大規模なヒアリの集団が発見されているなど、ここ数年、ヒアリは全国各地の港湾施設などで相次いで確認され、住民や事業者の不安の声が高まっています。
 東京港においては、今年度は大井、青海地区だけではなく、私の地元である大田区令和島にある中央防波堤のコンテナふ頭において初めてヒアリが確認されており、中国などから輸入されたコンテナを介し、ふ頭内に侵入している実態がうかがえます。
 そこでまず、確認のため、東京港全体におけるこれまでのヒアリの発見状況について伺います。

○戸井崎港湾経営部長 東京港におきましては、平成二十九年七月、大井ふ頭で陸揚げされたコンテナから、都内で初となるヒアリが確認されております。令和元年度に入りまして、青海ふ頭で五例、品川ふ頭で一例、ヒアリが確認されておりまして、特に青海ふ頭では、三回にわたりまして、合計で五十個体以上の女王アリが確認されました。昨年度につきましては、大井ふ頭では二例、青海ふ頭では三例確認されております。
 今年度は、本日までに、大井ふ頭で二例、青海ふ頭で四例、中央防波堤外側ふ頭で二例確認されております。なお、これまで確認されたヒアリにつきましては、全ての地区で確認後、速やかに駆除が終了しておりまして、人への健康被害の報告はございません。

○玉川委員 東京港では、これまでにヒアリが二十例も確認されているということでありますが、発見後直ちに駆除しているということであり、幸いにして、健康被害は報告されていないということが確認でき、安心いたしました。
 ヒアリは毒性が強く、その名のとおり、刺されるとやけどをしたような激しい痛みが生じ、重大なアレルギー反応が起こり得ることから、不安を感じる住民の方も多くいらっしゃることと思います。そのため、ヒアリの発見場所やその状況を港湾関係者のみならず、周辺住民に対しても速やかに情報提供し、注意喚起していくことが重要であると考えます。
 そこで、都は、ヒアリ発見時に付近の住民や事業者に対しどのような情報提供を行っているのか伺います。

○戸井崎港湾経営部長 都は、ヒアリが確認された段階で、国や地元区、港湾事業者団体等から構成される東京港におけるヒアリ等対策連絡会を通じまして、迅速な情報提供を行っており、住民に対しては地元区から、事業者に対しては港湾事業者団体から周知を図っております。
 また、ヒアリ発見後は速やかに環境省と報道発表を行うほか、ホームページやツイッターなどにより、広く都民への情報提供を行うとともに、確認地点の近隣にある海上公園内にヒアリの発見状況等を掲示した看板を設置するなど、付近の住民などに対する注意喚起を図っております。
 引き続き、都は、国や地元区などと緊密に連携をし、迅速な情報提供や注意喚起に努めてまいります。

○玉川委員 住民等に対するヒアリの情報周知は迅速に行われているとのことでありますが、地元区等と連携し、住民の安全確保のため、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 一方、ヒアリは行動範囲が広いと聞いており、住民等の不安を払拭するためには、ヒアリの行動範囲に即した調査や点検などの取組を実施し、今後においても、住民等に健康被害が発生しないよう万全を期していくことが重要であります。
 そこで伺いますが、ヒアリの定着や拡散を阻止するため、都はどのような対策を行っているのでしょうかお聞かせください。

○戸井崎港湾経営部長 ヒアリの定着を水際で阻止するためには、庁内外の関係者と連携をして、早期発見と早期駆除に取り組んでいくことが重要であると認識しております。
 このため、都は、国や地元区と連携をしまして、ふ頭で働く方々などに対し、ヒアリを発見した際は速やかに通報するよう周知しているほか、ヒアリが侵入していないかを確認するため、全てのコンテナふ頭やふ頭周辺の港湾施設、海上公園などで年二回調査を行っております。
 また、ヒアリが確認された際には、ヒアリ駆除後も発見地点周辺で国と連携をいたしまして、継続的なモニタリング調査を実施するとともに、半径二キロメートル圏内につきましても、ヒアリが拡散していないかどうかの調査を行っております。
 今後とも、都は、ヒアリの調査、駆除を徹底して行い、都民の安全・安心の確保に向けて全力で取り組んでまいります。

○玉川委員 ありがとうございます。
 東京港は国内最多のコンテナ貨物を取り扱い、日々中国などから生活必需品などを積んだ輸入コンテナが数多く到着することから、完全にはヒアリの侵入を防ぐことが困難であることは理解できますが、定着を防止するための取組に全力を尽くしていただきたいと思います。
 今後も、東京港に関わる行政や事業者など全ての関係者が協力して、全力で対策を講じることで、ヒアリが拡散しないようにし、都民の不安の払拭に努めていただくことを改めて要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 初めに、島しょ地域の港湾整備について伺います。
 御蔵島の就航率が二○一八年より六割弱に落ちております。港湾整備は進んでいると聞いておりますが、就航率低下の理由についてまず伺います。

○村田離島港湾部長 御蔵島につきましては、一つの港の中に二つの岸壁を整備することで、港内の静穏度を確保する計画としております。二○一七年度から現在の岸壁の東側に位置する二つ目の岸壁の工事に着手いたしました。
 就航率につきましては、特に二○一八年以降、従来であれば、気候が安定していて、就航率の比較的高い五月から七月において、気象、海象が厳しかったことが影響し、低下していると、船舶運航事業者から聞いております。

○とや委員 御蔵島は、その地形から港湾整備が難しくて、気象などの影響を受けやすいと聞いております。また、空路がなくて、コミューターヘリはありますが、島外へ出るには航路が基本であると。そして、生活必需品の搬入や島の農産物の出荷、観光で訪れる際など重要な役割を果たしています。港湾整備を進めて就航率を上げていくことは、島民の生活を支えるために極めて重要です。
 御蔵島の島民の方からは、都の予算を増やして、早急に整備をしてほしいとの意向や意見が寄せられております。現在着工している御蔵島港の整備について、昨年度の進捗と完成までのめどを伺います。

○村田離島港湾部長 二○一七年度に着手した二つ目の岸壁につきましては、厳しい気象、海象条件の中、工事を推進するため、これまで様々な工夫を行ってまいりました。昨年度は、工事への波浪の影響を軽減させ、施工環境を向上させるための仮設消波堤を設置した上で、岸壁の取付け部の整備に取り組んでおります。引き続き、御蔵島港の就航率の向上に向けて、二つ目の岸壁の整備を着実に進めてまいります。

○とや委員 工事がとても難しいということから、なかなか完了時期を示すことが厳しいということはうかがえます。島民の皆さんからは、港湾を整備し就航率を上げることは島民の悲願であるというふうにも伺っております。ぜひ工事を迅速かつ着実に進めるとともに、具体的な進捗や工期のめどが立ったときには、いち早く島民の方々にお知らせをいただきたいということを求めておきます。
 次に、利島港の台風被害の復旧について伺います。
 二○一八年の台風二十四号によって、利島港の突堤が高波等によって大きく損傷しました。現在三年たっていますが、今なお工事が終了しておりません。昨年度の進捗と完成のめどについて伺います。

○村田離島港湾部長 二○一八年十月の台風により、西側の岸壁が大きく被災いたしました。被災の翌年度には、まず定期船の接岸が可能となるように、接岸に必要な区間の岸壁工事を完了させ、二○一九年十二月に供用を再開させました。また、昨年度は陸に近い岸壁の工事を完了させ、さらに、今年の六月には高波から岸壁を守るコンクリートの壁の復旧工事を完了させました。
 引き続き、残る先端部分の復旧工事を着実に進めてまいります。

○とや委員 今年の六月に高波から岸壁を守るコンクリートの壁の復旧工事が完了したということです。ぜひ残る工事も迅速に進めていただくよう求めておきます。
 利島は円錐形の島で、湾がなくて、港に静穏域をつくるのが難しいと聞いております。自然の地形で、波を受け止める場所がないことで、利島港の突堤は高波などの影響を受けやすくなります。
 そこで、利島島民の方からは、二○一八年のような台風が来ると、また被害が出るのではないかとの懸念が出されています。今の突堤の改修工事は従来のものを復旧するようですが、突堤の拡幅など強化するようなことを検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○村田離島港湾部長 今回の復旧工事では、定期船の接岸を早期に再開させるため、現状の岸壁の形状を踏まえた工事を実施いたしました。都は、今回の被害を踏まえ、最新の気象データ等に基づく波の大きさなどを想定し、これに耐えられる岸壁の強度の確保に向けた検討に既に着手しております。

○とや委員 岸壁の強度の確保に向けた検討を行っているということで、重要な答弁だと思います。利島港も御蔵島港と同じく、島で唯一の港であり、島民生活を支えている重要なインフラです。世界的な気候変動の影響もあって、近年、大型台風が頻発化しています。この間の経験を踏まえて、ぜひ迅速に、岸壁の強度確保を具体化していただくことを強く要望しておきます。
 続いて、調布飛行場の自家用機移転について伺います。
 資料によりますと、調布飛行場での自家用機の離着陸が、二○一九年度、二○二○年度と増えています。東京都はこれまでに、東京都調布飛行場の自家用機分散移転推進検討会を設置し、協議を進めていますが、十七機の自家用機の所有者等から、どのような意見が出ているのか伺います。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 東京都調布飛行場の自家用機分散移転推進検討会は、調布飛行場の自家用機分散移転を推進するため、二○一八年、都と自家用機所有者等により設置されたもので、以来、これまでに八回開催されております。この間の議論におきましては、有力な移転先候補である大島空港への格納庫設置やその使用ルール、給油施設の設置、大島空港への移動手段等について意見が出てございます。

○とや委員 もともとこの調布飛行場は、戦前に陸軍の飛行場として建設されたものです。戦後、地元調布市は移転を求めて、東京都もその立場を支持しましたが、移転先が見つからなくて、存続へと方向転換をされたということです。その際も、飛行場存続の条件として、二十七項目の協定と覚書を東京都と地元三市で交わしています。その中には、自家用機の移転の促進などが約束されています。しかし、自家用機の移転は進まなくて、禁止されている遊覧飛行などが繰り返されてきました。
 そうした中、二○一五年に自家用機の墜落死亡事故が起きて、自家用機の移転がやはり必要だと、多くの住民が願っていると、こういう経過があるわけです。二○一五年の事故当時二十二機だった自家用機は、現在、十七機となっています。大島空港への移転が進まない理由についてはどのようなものがあるか伺っておきます。

○川崎島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機所有者にはおのおのに事情があり、一概にその理由をお話しすることは難しいと考えますが、検討会におきましては、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、大島空港への格納庫設置やその使用ルール、給油施設の設置、大島空港への移動手段などについて意見が交わされているところでございます。

○とや委員 いろいろ事情が異なるということではありますが、その意見を丁寧に聞き取りながら、早期に移転できるように促していただきたいと思います。同時に、東京都が大島空港への移転を促進しているということは重要と考えます。自家用機所有者の方などは、それぞれに事情あるいは理由があることは当然です。
 しかし、二度と事故を起こしてはいけないということを考えると、いち早く全機の移転が求められます。所有者の方々の要望や意見に沿う形で丁寧に、そして着実に進めていただくことを求め、質問を終わります。ありがとうございました。

○関口委員 よろしくお願いします。
 初めに、東京港の新型コロナウイルス感染症対策について伺ってまいります。
 先ほども他の委員からも質問などございましたが、まさに東京港は生活物資の輸入の拠点であります。我が国の貿易の約九九・七%が港湾を通じて行われております。港湾の新型コロナ対策というものは、貿易を支える面でも、海外からの水際対策からという面でも、極めて重要であります。
 港湾事業は物流ネットワークを支える重要なインフラであります。新型コロナウイルス感染症が拡大する状況下においても、あるいは、今、こうした状況で少しずつ感染者が減っている状況下におきましても、国民生活と経済活動を支える上で、港湾事業の機能が維持されなければなりません。
 一方、海外からやってくる貨物船などについては、新型コロナウイルスの水際対策が徹底をされなければならず、現場の負担は計り知れないと考えます。
 そこで伺いますが、海外からやってくる貨物船について、水際対策としてどのような対応が図られたのか、また、水際対策は原則として国の管轄でありますが、国との連携はどのように図られたのか、また、東京都として、どのような水際対策の独自の取組というものをしたのか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 貨物船を運航する海運業における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国土交通省が策定したガイドラインに基づいて各事業者が実施することとなっております。
 このガイドラインには、乗組員や乗客等の感染予防策や健康管理に関する取組のほか、有症者等が発生した場合には、検疫所の指示に従い、必要な措置を講じることなど、船内での感染が疑われた場合の対応につきまして記載がされております。
 都の取組といたしましては、昨年一月に、検疫所、税関、出入国在留管理局などの関係行政機関や港湾関係団体等で構成する新型コロナウイルスに関連した感染症対策連絡会を開催いたしまして、緊急時の連絡体制を確認するとともに、国や都のコロナウイルス対策に関する情報を随時共有しております。

○関口委員 港湾事業者は、昨年、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針において、社会の安定の維持の観点から、緊急事態措置の期間中にも、企業の活動を維持するために不可欠なサービスを提供する事業者として、事業継続を要請されておりました。
 港湾事業者は、海外から船舶で大量に運ばれてくる貨物をさばき、陸上の輸送につなぐ役割を担う、まさにエッセンシャルワーカーであり、港湾エリアの中で、新型コロナウイルス感染症を拡大させないようにすることが重要であると考えますが、どのような対応が取られていたのか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 港で荷役を行う港湾運送事業における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、業界の団体である一般社団法人日本港運協会が専門家の監修を経て策定したガイドラインに基づいて各事業者が実施しております。このガイドラインには、職場における従業員の健康管理、通勤時の注意事項、また船内作業や窓口業務といった業務中の感染防止対策や陽性者等が発生した場合の対応等につきまして、記載がされております。
 都有の港湾施設におきましては、業界団体が策定いたしましたガイドラインに基づく取組の徹底を関係事業者に要請しております。

○関口委員 一方で、港湾施設や水域を利用している事業者の中には、コロナ禍でかなり厳しい経営状況に追い込まれた方もいると伺っております。施設利用者に対してどのような支援を行ってきたのか伺いたいと思います。

○戸井崎港湾経営部長 都は昨年度、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえまして、水域占用料や港湾施設の使用料を期限内にお支払いいただくことが困難となりました事業者に対しまして、都への支払いを猶予する措置を実施いたしました。
 今年度におきましても、納付期限から最長一年間、猶予の措置を継続して実施しております。

○関口委員 港湾施設を支える事業者への支援というものは極めて重要でございますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に移ります。IR、カジノについて伺ってまいります。
 まず初めに、私たちの会派は、IRは誘致すべきではないという立場であります。日本にIR、カジノができることによる懸念事項の中で特に問題視をされておりますのは、マネーロンダリング、治安の悪化、ギャンブル依存症の三点といわれております。
 カジノは、古くからマネーロンダリングの場として知られております。日本においても法整備の遅れなどがありますので、マネーロンダリングの温床となるのではないかという危惧もされております。
 また、カジノでは日々大金が動くことや外国人観光客をはじめ、多くの方が集まることなどにより、問題点が重なることで犯罪が誘致をされ、治安が悪化するのではないかという問題視をする声が多数あります。
 また、特に私が懸念をしておりますのがギャンブル依存症であります。国立病院機構久里浜医療センターの調査によると、過去一年間以内にギャンブル依存症が疑われる方の割合として、成人の○・八%と推測をしております。人口換算では、全国約七十万人に相当すると。生涯を通じたギャンブルの経験を評価した場合、成人の三・六%と推計され、人口換算では、約全国三百二十万人に相当するとのことです。
 また、他の調査でありますが、アルコールの有害使用に係る実態調査に付随した調査では、生涯を通じたギャンブル経験を評価した場合の割合は四・八%と推測をされ、人口換算で全国約五百三十六万人に相当するという調査もあるとのことであります。東京へのカジノの整備は、ギャンブル依存症に拍車をかけるということを強く懸念しております。
 そうした中、IRについて、この間、都は総合的に検討を進めるということでありました。その間、IRについては、毎年度委託調査、検討に対しての委託調査というものを行ってきております。これまでどのような委託調査を行ってきたのでしょうか。また、昨年度については委託調査を発注したのか伺いたいと思います。

○若林調整担当部長 IRの検討のため、これまでに七件の委託調査を行っており、海外のIR施設の状況や国内外におけるギャンブル依存症対策などについて調査を行ってきました。
 なお、昨年度は委託調査の発注は行っておりません。

○関口委員 今ご答弁にもいただきましたが、昨年度は委託の発注がなされていないということでありましたけれども、その理由を伺いたいと思います。

○若林調整担当部長 昨年度は、国による基本方針の公表が遅れたことや新型コロナウイルス感染症の状況等から、結果として発注を見送ったものでございます。

○関口委員 今ご答弁をいただきましたが、基本方針の公表が遅れたこと、コロナの状況から結果として発注を見送りということでありまして、この答弁では、今二つのことが示されておりますけれども、コロナによって事業の棚卸しをするということは重要だと思いますし、そういう意図ではないかもしれませんが、このことに関しては率直に評価をしております。
 私たちの会派は、さきの代表質問におきまして、都政における不要不急の最たる事業はIRの誘致であると指摘をさせていただきました。さらには、八月二十七日の定例会見で小池都知事は、IRの検討作業は依命通達に基づいて休止をしている状況と述べました。
 そうした中、既にIR整備計画の政府への申請が今月の十月一日から始まっておりまして、その期限はもう迫っております。私たちの会派は、この申請に関して断念すべきだと考えております。
 そこで伺いますが、昨年度はIRについての委託調査がされませんでした。さらには、IR整備計画の申請が来年の四月二十八日までとなっております。これまでの東京都の経過、取組、こういったものを見ると、IR整備計画の申請は断念する方向であるのかなというように思えますが、そうした理解でよろしいのでしょうか伺います。

○若林調整担当部長 IRについて、都はメリット、デメリットの両面から総合的に検討を行っているところであり、このスタンスに変わりはございません。

○関口委員 過去の議事録なども拝見をしておりますと、このような答弁がずっと続いておるわけでありまして、もう決断の時期は迫っているのではないかということを思っております。今問われるのは、まずこのコロナの終息、そして日常の生活を取り戻すこと、そしてポストコロナの社会の立て直しであり、先ほども申し上げましたが、マネーロンダリングや治安の悪化やギャンブル依存症など、様々な懸念のあるIRやカジノの誘致というものは、私たちの会派としては断念をすべきだと考えております。
 引き続き、私たちの会派の要望どおり、こうした動きを見せていただきますことを要望いたしまして、私の質問といたします。
 以上です。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○斉藤委員長 これより環境局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宮澤総務部長 去る十月十八日の当分科会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和二年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をご覧ください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、七項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、大規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移でございます。
 (1)のエネルギー消費量につきまして、平成二十二年度から三十年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
 二ページをお開き願います。(2)の二酸化炭素排出量につきまして、同様に記載しております。
 三ページをお開き願います。2、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移、用途別でございます。
 (1)の第一計画期間につきまして、平成二十二年度から二十六年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途の床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
 四ページをお開き願います。(2)の第二計画期間につきまして、同様に記載しております。
 五ページをお開き願います。3、中小規模事業所のエネルギー消費量及び二酸化炭素排出量の推移でございます。
 (1)のエネルギー消費量につきまして、平成二十二年度から三十年度までの各年度におけるエネルギー消費量を記載しております。
 六ページをお開き願います。(2)の二酸化炭素排出量につきまして、同様に記載しております。
 七ページをお開き願います。4、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素につきまして、平成二十七年度から令和元年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 八ページをお開き願います。(2)の浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 九ページをお開き願います。(3)の微小粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 一○ページをお開き願います。5、産業廃棄物として都内から排出されるアスベストの過去十年分廃棄量でございます。
 平成二十一年度から三十年度までの各年度における廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の排出量を記載しております。
 一一ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
 平成二十八年度から令和二年度までの各年度における要措置区域と形質変更時要届出区域の指定件数を記載しております。
 一二ページをお開き願います。7、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局の一年間の騒音発生回数及び一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数を記載しております。
 以上、簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○斉藤委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○本橋委員 令和二年度決算に当たり、気候変動対策についてお伺いいたします。
 都内CO2排出量の内訳を見ると、七割以上が建物由来であり、とりわけ排出量が全体の三割を占める家庭部門の対策が必要です。
 家庭部門のCO2削減を進めていくためにまず重要なことは、都民の意識や行動の変化を促していくことだと考えます。家電を買い換える際にも、より省エネ性能の高いものを選んでいくことが重要です。冷蔵庫では、省エネ性能の高い機器への買換えにより、年間約七千円の電気代がお得になり、約百三十キログラムのCO2排出量が削減されるとのデータもあります。
 都は令和元年度から、家庭のゼロエミッション行動推進事業を実施していますが、この事業により、都民の省エネ行動がどの程度促進されてきたのか、これまでの取組の実績と成果を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、CO2の削減が進みにくい家庭部門において、都民の省エネ行動を一層促進していくため、エアコンや冷蔵庫等の買換え時に、より省エネ性能の高い機器を選択した際に、商品券等と交換できる東京ゼロエミポイントを付与するものでございます。
 申請実績につきましては、令和二年度がエアコン、冷蔵庫、給湯器合わせて約十九万台、令和元年度からの累計で約二十四万台となっており、多くの都民の省エネ家電への買換えにつながっております。この買換え行動によるCO2排出削減量は、五万トン程度と試算しております。

○本橋委員 これまで多くの都民の省エネ行動が促されてきたということが理解できました。この事業は令和二年度で終了予定であったところ、在宅時間の増加等で、家庭における省エネルギー対策が重要となった背景から、申請期限が一年延長されたと聞いております。今後も着実に事業を推進し、家庭における省エネ家電の普及を促進していただきたいと考えます。
 一方で、省エネ性能の高いエアコンに買い換えたとしても、住宅そのものの断熱性能が十分でないと、その効果も十分に発揮されないという懸念があるところでもございます。
 都内住宅ストックは約七百万戸にも上り、そのうち集合住宅の割合は約七割となっております。熱の出入りは、六割から七割が窓からというデータもあるところですが、住宅の断熱化を進めていくことが重要であります。
 そこで、都は、既存住宅における省エネ改修をどのように促してきたのか、また、それによる効果をどのように認識をしているのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 既存住宅におけるエネルギー消費量を削減していくためには、熱の出入りが大きい窓やドアなどの開口部の断熱化が重要でございます。これまで都は、平成二十九年度から、高断熱な窓に改修する際の補助を実施してきており、新たに令和二年度から実施している熱の有効利用促進事業では、高断熱なドアに改修する際の補助も追加してございます。
 令和二年度は五千三百四十二戸の申請を受け付けており、このうち集合住宅からの申請が九割超となっております。一般的なマンションでは、一部屋に高断熱窓を導入した場合には、エネルギー消費量の約四%、全ての部屋を高断熱窓にした場合は、約八%削減できるという試算があり、既存住宅でのCO2削減が一定程度進んだものと考えております。

○本橋委員 住宅の断熱化は、ヒートショックの予防や起床時の血圧低下につながるとのデータもあるところです。様々な効果のある取組だと考えますので、引き続き支援をしっかりと行っていただきたいと考えます。
 住宅等の建物は、一度建てられたら数十年にわたり使用され続けることから、高断熱で省エネルギー性能の高い建物を建てることが重要でございます。
 そこで、改めてこうした新築住宅に補助を行う東京ゼロエミ住宅導入促進事業について、その概要と昨年度の実績についてお伺いをいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、国が定めるZEH、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスよりも省エネ水準が高い都独自の東京ゼロエミ住宅基準を定めております。
 東京ゼロエミ住宅導入促進事業は、この東京ゼロエミ住宅を新築する建築主に対しまして、基準を満たすために必要となる費用と通常の住宅建築費用との差額相当分を一定額助成するものとして、令和元年度から実施してまいりました。令和二年度は千八百二十四件の申請があり、令和元年度と合わせて二千四百八十八件、八・二億円の助成を行ったところでございます。
 東京ゼロエミ住宅の省エネ水準は、建築物省エネ法で定める基準よりも三割省エネとなることから、新築住宅のCO2削減につながっていると考えております。

○本橋委員 この補助事業により、都内に新たに二千五百棟もの、国の基準より省エネ性能の高い住宅が建てられているということが理解できました。家庭部門の将来のCO2排出削減に向けて大変重要な取組でありますので、引き続き、新築時に高いレベルの断熱や省エネ、再エネ設備の設置が促進されるよう、効果的な取組を進めていただくよう要望いたします。
 これまで質問させていただいたとおり、家庭部門には多様な対策が必要であることから、今後とも都の積極的な取組を期待して、次の質問に移ります。
 続いて、水素社会の実現に向けた取組について伺います。
 ゼロエミッション東京戦略では、再エネ由来のCO2フリー水素の本格活用を大きな柱として位置づけています。水素は、大量かつ長期間エネルギーを貯蔵でき、再エネ電力を大量導入する際、需給のギャップを調整する役割を担うなど、将来の脱炭素に欠かせない重要なキーテクノロジーでございます。
 こうした水素の本格的な活用につなげるには、まずは足元の水素需要の拡大が重要となりますが、身近な水素利用としては燃料電池自動車やバスが挙げられますが、そこでまず、昨年度の燃料電池自動車及びバスの都内補助実績、また導入拡大のために、都はどのように取り組んできたのかお伺いをいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 昨年度の燃料電池自動車の都内補助台数は、交付決定ベースで九十六台で、累計千七台となってございます。
 燃料電池バスは新たに四十二台が導入され、昨年度末の都内累計導入台数は八十五台となってございます。
 燃料電池自動車についてはこれまでの補助事業に加え、令和元年度からの二年間、燃料電池自動車などのZEVのレンタカーやカーシェアリングにおける利用料金を手頃な価格に設定する事業を実施し、都民が利用する機会を創出してまいりました。
 また、燃料電池バスについては、インフラ事業者への水素ステーション整備の働きかけと並行しまして、周辺のバス事業者に導入の働きかけを行うなど、積極的に調整を図ってまいりました。これにより民間バス事業者での導入が進み、昨年度は三事業者が初めて燃料電池バスを導入するなど、五つの民間事業者で新たに十台が導入されたところでございます。
 今後とも、こうしたインフラ事業者及びバス事業者双方への効果的な働きかけを行ってまいります。

○本橋委員 燃料電池バスについては、大きく台数が伸びていることが理解をできました。燃料電池自動車については、今年度補助額が増加されており、こうした支援策の拡充も生かし、導入拡大をしっかりと進めていただきたいと思います。
 また、今後さらに燃料電池車両を拡大していくためには、水素供給インフラである水素ステーションのさらなる整備が不可欠でございます。都内では臨海部をはじめとして、徐々に水素ステーションの整備が進んできたものの、特に多摩地域では、現在三か所にとどまるなど、その数は十分とはいえない状況です。
 都議会自民党はこれまでも、土地が限られる都内においては、既存のガソリンスタンドへの水素ステーションの整備が有効な手段になることを主張してきました。こうした既存ガソリンスタンドへの水素ステーションの併設には、過重な規制が足かせとなっており、早期解消に向けて、国に対しての働きかけも行ってきたところです。
 水素ステーションの設置拡大については、都はどう課題を認識し、取組を進めてきたのかお伺いをいたします。

○榎園次世代エネルギー推進担当部長 業界団体との意見交換では、新たな水素ステーションの設置に当たっては、水素充填設備の周囲との離隔距離や障壁の高さに関する規制の存在、長期間の保安検査の必要性等が事業参入のハードルとなってございます。
 また、燃料電池自動車の普及が十分に進んでおらず、収益面で不安があるなどの声がございました。
 こうした規制の緩和につきましては、都としても安全性の確保を前提として、ガソリンスタンド並みの規制に近づけるべく、国に対して提案要求を行ってきており、昨年の国の規制改革実施計画に障壁の高さの規制の緩和が位置づけられるなど、一定の前進が見られております。
 また、燃料電池バスは一台当たりの水素消費量が大きく、安定的な需要があることから、その普及により、ステーション整備の促進効果が期待できるものでございます。昨年度は、バスへの水素供給が可能なステーションが四か所増え、昨年度末までの都内全二十一か所の水素ステーションのうち、九か所がバスの受入れが可能なものとなってございます。
 引き続き、燃料電池バス導入を検討しているバス事業者の営業所がある区市とも連携しながら、さらなる水素ステーションの整備に向け取り組んでまいります。

○本橋委員 水素エネルギーの普及のためには、モビリティーとインフラを両輪としていくことが大変重要です。我が党としても、国家戦略としての水素社会の実現を強力に後押ししていく考えでございます。
 改めて、都には水素利用の拡大にしっかりと取り組んでいただくことを求め、次の質問に移ります。
 プラスチック対策について伺います。
 人類共通の脅威である気候危機に立ち向かうため、都は、二○三○年カーボンハーフ、二○五○年ゼロエミッションという大きな目標を掲げました。この目標達成には、再生可能エネルギーやZEBの導入拡大などに加えて、焼却処分などがされる際に、CO2が発生するプラスチックの対策を進めることは重要であり、都が令和元年十二月にプラスチック削減プログラムを策定し、具体的な取組を開始したことは評価をしているところです。
 プラスチックをめぐっては、本年一月から有害廃棄物の国際的な貿易を規制するバーゼル条約が改正をされ、汚れた廃プラスチックが輸出規制の対象として加わりました。これにより、これまでのように海外で廃プラスチックを処理することが困難となったため、国内での有効利用が課題となっております。
 こうした中、都は条約の施行に先立って、令和元年から廃プラスチック国内有効利用に向けた緊急対策事業を実施し、事業系廃プラスチックの適正処理とリサイクルの推進を図っていますが、まず本事業の概要について伺います。

○上林山資源循環推進部長 近年のアジア諸国を中心とした輸入規制や改正バーゼル条約の影響により、廃プラスチックの輸出が困難になる中で、事業活動から生じる廃プラスチックを適正に処理するためには、輸出動向等を注視しながら、新たな資源循環ルートを確立するなどにより、国内での有効利用を進めることが重要でございます。
 都が令和元年から開始いたしました廃プラスチック国内有効利用に向けた緊急対策事業では、廃プラの輸出動向及び国内リサイクルの実態調査を行うとともに、排出事業者や産業廃棄物処理業者に向けたセミナー等による情報発信を行ってまいりました。
 また、令和二年五月から令和四年三月までの実証事業として、産業廃棄物処理の業界団体及びセメント工場等と連携し、都内産業廃棄物処理業者の廃プラスチックを集約した上で、船舶等により共同輸送し、セメント工場で石炭の代わりの燃料として有効活用しております。
 あわせて、令和二年度には廃プラスチック破砕設備等の補助制度を実施し、処理業者等に対して、国内でのリサイクル拡大を促進しております。

○本橋委員 都が本事業に着手した令和元年当時、廃プラスチックの処理が逼迫し、敷地内に処理し切れない廃プラスチックが山のようになっていた事業者もあったと聞いています。
 こうした中で、都が国内循環ルートの構築に向けた実証事業を実施し、早い段階から課題解決に取り組んだことは意義があると考えます。実証事業の開始から一年半が経過をしましたが、これまでの実績と事業を進める中で浮かび上がった課題について伺います。

○上林山資源循環推進部長 令和二年度は八社の参加を得て、大分県及び北海道のセメント工場へ合計二十回、約三百トンの廃プラスチックを輸送いたしました。
 都は、廃プラスチックを集約する施設における作業経費やセメント工場において、プラスチックの大きさ等の品質を確認するために実施する分析に要する経費を支援いたしました。
 セメントの製造工程で廃プラスチックを使用する際には、燃焼効率を高めるため、異物を含まないことや細かく破砕していることが求められております。事業開始当初は、受入れ基準を満たさない事例がございましたが、設備更新や運用の改善を促すことで、処理品質を向上してまいりました。
 今後、廃プラスチックの排出動向の変化等を踏まえまして、効果的な処理や広域的な輸送方法等に関する課題をさらに検証し、業界団体と情報共有を図ってまいります。
 また、先進的な技術の導入により、廃プラスチックの質の向上を目指す事業者の取組についても後押しをし、多様なプラスチック資源循環ルートの確保を図ってまいります。

○本橋委員 現在はコロナ禍により、事業活動から生じる廃プラスチックの量は減少していることから、処理が滞るような状況ではないと聞いております。しかしながら、今後の経済活動の回復により、行き場のない廃プラスチックがあふれ返ることもあり得るところでございます。都には引き続き、廃プラスチックの処理、リサイクル市場を注視するとともに、業界団体等ともしっかりと連携をし、適切に対処することを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○米川委員 ゼロエミッション東京を実現するには、再生可能エネルギーなどの脱炭素エネルギーへの転換が不可欠です。その一つとして、太陽光発電の導入拡大が重要となっています。しかし導入には、初期費用の負担が生じるという課題がありました。
 そんな中、都は、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業を実施しておりますが、この事業の目的及び令和二年度の実績と予算の執行状況について伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 この事業は、事業者が住宅所有者のニーズに合わせ、リース、電力販売など、住宅所有者の初期費用の負担なしに太陽光発電設備を設置できるサービスを提供することで、都から一キロワット当たり十万円の助成を受けるものでございます。
 また、都からの助成金は、事業者が提供するサービス利用料の低減等を通じまして、住宅所有者に全額還元することを要件としており、都民の負担を軽減することで、家庭における太陽光発電の普及を図ることを目的としております。
 令和二年度は、本事業のリーフレットを改善し、事業者が提供するサービスの特徴や助成金還元の流れをより丁寧に記載するなど、きめ細やかな広報を行ったところでございます。こうした取組による事業の認知度向上等もあり、申請受付実績は戸建てが三百二十件で、太陽光発電の出力は合計で約千五百三十キロワット、集合住宅につきましては百二十三件、合計約千百キロワットでございました。
 申請額は、戸建てと集合住宅合わせまして約二・六億円でございまして、令和二年度は令和元年度の申請受付の二百四十五件、申請金額約一・五億円を上回る実績となっております。

○米川委員 初期費用の負担がないという設置のハードルを下げたことは、必ず再生可能エネルギーの普及の後押しになると考えております。しかし、太陽光発電の普及を促進させるためには、新築住宅だけではなく、足場の設置など大がかりな施工が必要な既存住宅への導入も必要かと考えます。
 そこで、本事業での既存住宅への導入実績は把握されているのかを伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、本事業の活用状況等を把握するため、令和二年九月に、本事業でサービスを提供している事業者へのアンケート調査を実施いたしまして、計十一事業者から回答をいただきました。
 この結果によりますと、アンケート実施時点での申請実績、それから令和二年度末までの申請申込み、申請見込みを合わせまして、新築住宅が約二四・二%、既存住宅が約七五・八%となっており、本事業は既存住宅を中心にご活用いただいているものと認識してございます。

○米川委員 既存住宅への導入は、リフォームのタイミングなどを捉えまして、太陽光発電の設置を行うことが効果的であると考えております。こうした既存住宅への導入状況や課題が分かれば、さらなる普及の後押しになると考えていますので、本事業を通じてのデータの収集や分析をさらに進めることを求めます。
 初期費用ゼロ促進事業で設置した設備は、例えばリースの場合、十年後に無償譲渡されることになっています。設備は永久に使用できないため、太陽光発電の設置が進むことで、今後耐用年数が来て、役割を終えた設備の再利用などが大きな課題となってきます。
 そこで、都が行っている太陽光パネル高度循環利用に対する東京モデルについて、その事業の目的と令和二年度の取組状況について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 今後、大量廃棄が見込まれている太陽光パネルにつきましては、長期間の使用に耐えられるよう非常に堅固に造られていることや都内に設置されたパネルは、住宅用が多いという特徴を踏まえまして、リユース、リサイクルを推進していくことが重要でございます。
 そのため、都は、排出、収集運搬からリユース、リサイクルに至る各段階の取組レベルを高めていくことを目的といたしまして、二○一九年度から今年度の三か年にわたり、大学研究者による事業提案制度を活用いたしまして、太陽光パネルの高度循環利用に向けた実証事業を実施しております。
 令和二年度の主な取組でございますが、大学やリサイクル事業者などと連携いたしまして、実際に住宅の屋根に設置しているパネルの安全で適切な取り外しの方法のほか、都内各所の住宅から少量ずつ排出されますパネルの効率的な収集運搬のシミュレーション、使用済みパネルの発電性能に応じたリユースなどについて実証事業を行っており、決算額は一億三千八百六十万円でございます。
 今後は、昨年度の成果を踏まえた実証事業を継続するとともに、関係する業界団体、事業者等と連携の下、広く情報の共有を図りまして、大都市東京にふさわしいリサイクルルートの確立につなげてまいります。

○米川委員 循環利用に向けた東京モデルを確立し、太陽光発電の普及を支えることができるよう求めます。
 次に、蓄電池の導入支援について伺います。
 固定価格買取期間が満了したいわゆる卒FIT家庭が増加していることや令和元年度の台風十九号の影響もあり、都民の太陽光発電による電気の自家消費への関心は高まっているものと考えます。
 そこで都は、蓄電池の導入を支援していますが、この事業の目的について伺います。また、令和二年度の実績と予算の執行状況、併せて、太陽光発電設備が既に設置されている場合と同時設置の場合とが、どの程度なのかを伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は令和二年度から、家庭における太陽光発電による電気の自家消費の増大や非常時の防災力向上等を目的として、蓄電池システムを設置する住宅に機器費の二分の一を補助する自家消費プランを実施しております。令和二年度は五千二百七十件の申請を受け付けており、申請受付金額は二十八億六千八百六十八万円となっております。
 このうち、本年度七月末までに設置済みの報告がありました住宅においては、太陽光発電設備が既に設置されているものが五四%、太陽光発電設備と蓄電池システムを同時に設置したものが四六%でございます。

○米川委員 蓄電池の導入は、太陽光発電の夜間も含めた日常での利用に大きく貢献するのに加え、非常用電源の確保にも寄与します。しかし、非常時の使用では利用できる電気の量に制限がかかるため、何ができるのかを理解してもらう取組も必要です。
 そこで、停電時の利用についての普及啓発はどのように行っているのかを伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 太陽光発電設備でつくられた電気等を停電時に非常用電源として利用するためには、例えば太陽光発電設備では、平常時に電力会社とつながる連携運転モードを自立運転モードに切り替える必要が通常あり、日頃から停電時の利用についての普及啓発を行うことは重要でございます。
 こうした災害時等の利用については、国、関連団体、事業者等とも連携しながら、ホームページでお知らせをしているところでございます。また、蓄電池には様々な設定モードがあるため、自家消費プランに携わる事業者には、都民に対し、設置後のモード設定に関する説明をしていただくよう促しております。
 今後も引き続き、都民に分かりやすい情報提供を行ってまいります。

○米川委員 ゼロエミッション東京を実現するには、家庭での再生可能エネルギーへの転換も不可欠です。太陽光発電の導入がさらに進むよう取り組んでいかれることを求めまして、私の質問を終わります。

○玉川委員 資源循環分野におけるゼロエミッション東京の実現に向けた取組について伺います。
 二○一九年十二月に策定したゼロエミッション東京戦略におきまして、都は、二○五○年にCO2実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京の実現を目指すことを明らかにしました。
 この戦略の中では、資源循環分野においても、ゼロエミッションの実現に貢献することとし、リデュース、リユース、リサイクルといった3Rの推進、プラスチック対策、食品ロス対策を政策の柱として示しています。
 まずはこのうち、プラスチック対策と食品ロス対策について質問していきたいと思います。
 初めに、プラスチック対策について伺います。
 プラスチックは、焼却する際にCO2が発生することから、いわゆるワンウエープラスチックの使用を可能な限り減らしつつ、やむを得ず使用するものについては、しっかりとリサイクルしていくことが重要であります。
 そこで伺いますが、都は二○三○年に向けた目標として、家庭と大規模オフィスビルからの廃プラスチック焼却量を二○一七年度比で四○%削減するとしていますが、この目標達成に向けて、令和二年度はどのような取組を行ったのかお聞かせください。

○上林山資源循環推進部長 家庭とオフィスビルからの廃プラスチックの焼却量を削減するためには、量り売りやシェアリング、リユース容器の活用など、いわゆる2Rビジネスを主流化するとともに、使用が避けられないものについては、しっかりとリサイクルしていくことが重要でございます。
 都は令和二年度、プラスチックの3R推進に向けて、新たなビジネスモデルの構築を目指す事業者に対する支援や、区市町村による容器包装プラスチックの分別収集実施等に対する支援、区市町村との連携により、業務系ビルへアドバイザーを派遣し、ごみの分別、リサイクルを促す試行事業等を実施いたしました。また、使い捨てプラスチック削減の機運醸成を図るため、分かりやすい動画を作成するなどにより、都民や都内事業者に向けた普及啓発を実施いたしました。

○玉川委員 都が事業者や区市町村に対する支援を行うとともに、都民等への普及啓発にも取り組んでいることが分かりました。
 ただいまの答弁で、都は、プラスチックの3R推進に向けて、新たなビジネスモデルの構築を目指す事業者に対して支援を行ったとのことです。プラスチックの焼却量を大幅に削減するためには、これまでとは異なる流通、販売の新たなビジネスモデルを構築し、定着させるとともに、私たちがそのような製品等を購入していくことが必要であり、都がこのような事業者に対して支援を行うことは、非常に重要だと思います。
 そこで伺いますが、令和二年度は具体的には、どのような事業に対して支援を行ったのかお聞かせください。

○上林山資源循環推進部長 プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル事業におきまして、都は令和二年度、使い捨てプラスチックの削減に資する事業取組を広く公募の上、二事業を採択いたしました。
 一つは、江東区内の小中学校や公共施設で発生した使用済みのハンドソープの詰め替え用パウチを回収後、洗浄した上で細かく破砕し、ボトルとして再生する水平リサイクルの実現を目指す事業でございまして、使用済みパウチのリサイクルに要する経費等に対して、支援をいたしました。
 もう一つは、大手町や六本木地区等にあります大規模オフィスビル内の飲食店のテークアウト弁当にリユース容器を使用するなどにより、使い捨てプラスチックの削減を目指すビジネスモデルの検証を行う事業であり、容器の洗浄等に要する経費等に対し、支援をいたしました。
 これらの成果や課題が同様の事業に取り組む事業者の検討に資するよう、結果をまとめた上で、都のホームページにおいて広く公開してございます。

○玉川委員 新たな取組は、多くのコストやリスクを伴うものであり、チャレンジする事業者を都が支援することは、非常に重要であります。引き続き、このような事業者をしっかりと支援していくよう要望しておきまして、次の質問に移ります。
 食品ロス対策について伺います。
 持続可能な資源利用の達成に向けては、食品の分野においても、資源ロスのさらなる削減を推進していくことが重要であります。今般の長引くコロナ禍の影響などにより、生活困窮者が増加する中、食を通じた支え合い、助け合いは大変重要な課題であり、子供食堂等へ食材を提供するフードバンク活動への期待が高まっています。
 我が党、我が会派は、これまで食品ロス対策を重要なテーマとして取り上げてきており、中でも各自治体が災害時に備えて備蓄している大量の防災備蓄食品については、その有効活用を強く求めてきたところです。
 このような要望を踏まえ、都は、各自治体が保有する防災備蓄食品とフードバンクとをマッチングさせ、食を通じた支援と食品の有効活用の両立を図っていくシステムを昨年度構築したということですが、まずはその内容について伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 賞味期限の迫った防災備蓄食品につきましては、通常各地域の防災訓練などで配布されておりますが、備蓄量が多いことから活用し切れず、廃棄されることもございます。こうした防災備蓄食品については、無駄にせず、生活に困窮されている方や子供食堂等、食品を必要としている方々へ届けられるよう、フードバンクを通じて、有効活用を図ることが重要でございます。
 そのため、都は、実際にシステムを使用していただく市区町村とフードバンクにヒアリングを実施しながら、食品の登録から閲覧、選択、発注、受け取りに至るまで、双方のニーズを踏まえた使いやすいシステムを構築いたしました。
 具体的には、各自治体が登録した防災備蓄食品の種類、量、賞味期限等の情報につきまして、各フードバンクがウェブ上でいつでも簡単に確認できるだけでなく、新たに登録された食品の情報を見逃すことがないよう、その都度、配信してお知らせするシステムとしております。
 また、今回のシステムは全く新しいものであるため、運用開始に当たっては、事前に市区町村とフードバンクに対しましてそれぞれ二回、利用方法等の説明会を実施するほか、分かりやすい操作マニュアルを作成するなど、幅広く活用していただくよう、丁寧に働きかけを行ってまいりました。

○玉川委員 最近の防災備蓄食品は、昔のように硬い乾パンばかりではなく、食べやすく工夫されたものも増えてきております。防災備蓄食品といえどもせっかくの食べ物であり、何の利用もせず廃棄するのは、無駄以外の何物でもありません。
 今回、運用を開始したシステムは、多くの自治体の期限間近の防災備蓄食品を無駄にせず必要としている方々にフードバンクを通じて結びつけていくという点で、大変画期的なものであります。しかし、せっかく構築したシステムを各自治体やフードバンクなどに利用されなければ元も子もありません。
 そこで、構築したシステムについては本格稼働から半年余り経過しましたが、これまでの実績とさらなる活用に向けた取組について、都の見解を伺います。

○宗野資源循環計画担当部長 現在、本システムには二十三の自治体と十のフードバンク、二つの社会福祉協議会が参加しておりまして、これまでに様々な自治体とフードバンクとの間でマッチングが毎月成立しております。
 マッチングされた具体的な品目といたしましては、食べやすいビスケットやクラッカーをはじめ、ベビーフード、ひじきの缶詰、白がゆ、アルファ化米などでございまして、これまでに約二万八千食分が有効に活用されております。
 また、せっかく自治体が登録した食品がフードバンクで活用し切れず余ってしまうような場合には、できるだけこうした食品を無駄にしないよう、都内大学の生活困窮学生への食料配布イベントなどにおいて、白がゆやアルファ化米、水等の有効活用を図る試行的な取組も実施しております。
 なお、市区町村の中には、フードバンクへの寄附をしたいものの、万一の事故を考えるとちゅうちょをするところもございます。そうしたことから、寄附時の責任の所在等を明確にする合意書の取り交わし方を具体的に示すなど、安心して寄附のできる環境づくりについても進めているところでございます。
 今後は、本システムを未活用の市区町村やフードバンクに対しまして、実際に活用した際のメリットや優良なマッチング事例等の情報共有を図りまして、システムの活用の輪を着実に広げてまいります。

○玉川委員 既に多くの未利用の防災備蓄食品の食材が有効に活用されているということが分かりました。コロナ禍の影響により、食料の支援を求めている世帯は多くいらっしゃいます。より多くの市区町村やフードバンク等がこのシステムに参加するよう、引き続きしっかり取組を進め、食品ロス対策を促進するよう要望しまして、次の質問に移ります。
 家庭におけるゼロエミッション行動推進事業について伺います。
 本事業は、都民がより省エネ性能の高い家電等への買換えを行った際に、商品券等に交換できる東京ゼロエミポイントが付与されるというものです。家電の省エネ性能は向上しているため、省エネ性能の高い冷蔵庫に買い換えるだけで、消費電力量が半分になるケースもあります。都内CO2排出量の約三割を占める家庭部門において、削減を進めていくために、家電の買換え促進は意義のある取組であります。
 令和元年度は、年度の途中から事業がスタートしたこともあり、周知が十分に行き渡らなかった部分もあるかもしれませんが、令和二年度の実績は、元年度と比較してどのようだったかお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 令和元年度の機器別の申請実績は、エアコン約一万台、冷蔵庫三万台、給湯器約一万台の計五万台でございました。
 また、令和二年度におけます機器別の申請実績は、エアコン約四万台、冷蔵庫約十三万台、給湯器約二万台の計約十九万台でございました。

○玉川委員 令和二年度にとてもこの申請が伸びたということが分かりました。
 この事業では、都民の省エネ行動を促すため、家電店との連携や都民への周知等を図ってきたと思いますが、これまでの間、都はどのような取組を進めてきたのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業の実施に当たりましては、業界団体やメーカーを通じて、家電店等に情報提供を行うとともに、「広報東京都」への掲載、区市町村や家電店等とも連携した広報等によりまして、都民に周知をしてまいりました。
 昨年度はこうした家電店等の店舗内での周知のほか、都民の在宅期間の増加等も踏まえまして、新たに夏や冬の時期に省エネのお知らせと併せて、本事業のインターネット広告を実施いたしました。
 本年度もこれらの事業周知を引き続き行うとともに、SNSを活用したPRや企業と連携し、動画によるPRを行うなど、多方面から周知を行っているところでございます。

○玉川委員 この事業は、コロナ禍で在宅時間が増え、家庭におけるエネルギー対策が重要となった背景から、事業期間が本年度まで一年延長されました。様々なルートでのPRを行っているということですが、延長後もまだこの事業をご存じない方はいらっしゃるかと思います。都が掲げるゼロエミッション東京の実現に向けては、都民一人一人が身近なところから、取組の一歩を踏み出していくことが重要ではないかと思います。
 実はこの夏、我が家においても家庭内における取組で何かできないものかと、給湯器をエコキュートに交換いたしました。しかし、工事業者からの案内もなく、この東京ゼロエミポイント対象になるということは知らず、交換後しばらくたってからポイント付与の対象となることが分かり、早速申請させていただきました。また、二十年以上使っている冷蔵庫もこれを機に買い換えようかと、家族会議も行われることとなりました。
 この事業は、まさにこのような第一歩をさらに後押しするものだと思いますので、引き続き、多くの都民がこの事業に参画できるよう工夫をしながら、周知の取組を進めてもらうことを要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。

○斉藤委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十五分開議
○斉藤委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○清水委員 では、質問させていただきます。
 米軍横田基地は人口が密集した市街地にあって、住民は長年騒音に悩まされていて、オスプレイ配備後は低周波音や振動など、これまでになかった被害が起きています。これらの問題について、東京都の取組、お伺いしてまいります。
 最初に、二○二○年度、東京都が行った横田基地の騒音調査の結果について、騒音の数値や環境基準に適合しているのかどうかお伺いいたします。

○筧環境改善部長 都は、横田基地周辺の騒音発生状況を把握するため、毎年騒音調査を実施しております。二○二○年度の騒音調査については現在集計中であり、年内に公表予定でございます。
 直近の二○一九年度の騒音調査では、測定した十六か所のうち、滑走路延長線上の固定調査地点一地点と分布調査地点一地点の合計二地点で環境基準に適合しなかったため、本年一月に横田基地司令官をはじめ関係省庁に対し、航空機騒音防止対策の一層の推進を要請いたしました。

○清水委員 固定調査を行っている瑞穂農産物直売所については、環境基準の地域指定を行った一九七八年以来、環境基準に適合していないのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○筧環境改善部長 横田基地周辺での騒音調査は、都が環境基準を適用する地域を指定した一九七八年から実施しており、瑞穂町農畜産物直売所につきましては、現在の調査時点から東に約四百メートル離れた場所で測定しておりました。一九九七年以降は、滑走路延長線上にある現在の調査地点に移設して騒音調査を継続していますが、調査開始から二○一九年までの四十二年間、環境基準には適合しておりません。

○清水委員 ありがとうございました。固定調査を行っている瑞穂農産物直売所については、今まで一度も環境基準を守ったことがないということでございました。
 次に、低周波音についてお伺いしますが、低周波音については環境基準を設定して、測定方法や評価方法など、マニュアルを整備することが求められていると思いますが、東京都の認識と国への対応についてお伺いをいたします。

○筧環境改善部長 環境基準は、生活環境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持することが望ましい基準として環境基本法で規定されており、この環境基準の設定は、国が責任を持って行うものと認識しております。
 航空機騒音の環境基準は、時間帯補正等価騒音レベル、いわゆるLdenを評価指標としており、専ら住居の用に供される地域では五十七デシベル、それ以外の地域では六十二デシベルが環境省の告示で規定されております。
 都はこの基準を基に、空港周辺の騒音対策を実施しているところでございます。

○清水委員 つまり、まだ環境省の基準がないということですね。確かに、これまでの騒音と違ってオスプレイが飛ぶようになってから、オスプレイというのは、ヘリモードで飛んだときに下に風を大きく出しますので、その下にあるおうちはかなりの振動、それから低周波音を生じるということになります。新たな被害だというふうに思います。
 この低周波音については、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会は、昨年度の要望書にも、低周波音による健康影響などを懸念する声があると指摘をして、国に調査検討と対策を求めています。
 また、今年の東京都市長会建設部会の東京都予算編成に対する要望事項の中にも、低周波音や航空機に起因する振動も含めた騒音の測定体制の構築、環境基準の設定や測定方法、評価方法について、早急にマニュアルを作成するように、国に働きかけることを求めています。
 住民の健康への影響の懸念が無視できない重大なものであって、早急な対応が必要だということだというふうに思います。国を動かすためにも、まずは東京都が課題の提起や具体的な提案をするぐらいの準備を進めていただくよう、強く求めます。
 次に、東京都が毎年行っている調査は、期間や箇所数が限られています。調査地点や期間を抜本的に増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○筧環境改善部長 国は航空機騒音の測定方法として、測定地点や期間等の条件を告示やマニュアルで示しており、都はこうした条件を勘案して、航空機騒音調査を実施しております。
 また、過去五年間の横田基地周辺の騒音調査結果を見ますと、環境基準に適合しなかった地点は、先ほどご答弁いたしました瑞穂町農畜産物直売所など、滑走路延長線上の地点に集中しており、横田基地では滑走路の延長線上において、環境基準不適合の地点が現れる傾向を確認しております。
 このため、現在の調査方法で横田基地周辺の騒音状況を十分把握できていると判断しており、調査期間や調査地点の拡大等を検討する予定はございません。

○清水委員 今のところ環境基準をオーバーしている、そこは二地点だけなので、だんだんと収まってきているので、この調査の地点を増やすということは考えていないというふうなご答弁でした。
 しかしこれまで、以前は、昔は横田基地に向かう米軍機というのは、輸送機がほとんどだったんです。ですから、飛行コースから外れる、こういうことはほとんどありませんでした。しかし、住民の目撃情報を基にしたオスプレイの推定の飛行コースは、入間、青梅、八王子、日野、昭島にまで及んでいます。ここをぐるぐる旋回している、そういうふうに訓練を行っていることが想定されています。これまでは騒音被害がなかった地域で、騒音被害や低周波音のような新たな被害も発生しています。
 今日ご提出いただいた資料一二ページにあるように、福生、武蔵村山では、騒音の回数は減少していますが、昭島や瑞穂では回数、またその日一番高い数値ともに増大をしています。
 また、横田基地の航空機騒音を長年調査をされてきています福生平和委員会の奥富さんの調査によると、熊川千五百七十一番地、誘導灯先の飛行回数というのは、二○二○年度の年間の回数は一万五千三百七十五回で、五年前の一万七百八十九回の約一・五倍に増えています。
 さらに、昨年度の離発着回数は、最多だった月は四月で千七百五十六回、最低は十二月の八百八十八回と、二倍以上の差があるんです。やっぱり通年できちんと検査をしていく、調査をしていく、この必要性は明らかだというふうに思います。改めて、調査期間と調査地点の拡大を求めます。
 次に、調査の拡充のためには、市町村との連携も大切だと思うんです。全部が東京都ができないとしたら、やっぱり市町村にお願いをする、これが大事だというふうに思うんですけれども、費用負担や市町村ごとの航空機騒音の評価、測定において、測定方法や情報公開の方法にばらつきがある、こうした課題があります。東京都が測定に関わる助成制度を創設するとともに、研修などの技術的な支援を行うことが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○筧環境改善部長 都内では、航空機騒音を所管する都が横田基地を含む空港周辺で騒音調査を行う一方、一部の都内自治体では、自治体内の航空機騒音の発生状況を把握するため、独自に騒音調査を実施しております。こうした都内自治体の支援に向け、都は横田基地周辺の自治体とともに、国に対し、自治体が実施する騒音測定器の維持更新及び測定に要する費用の助成制度を設けるよう要望しております。
 また、都自らも区市町村職員向けの騒音実務研修において、騒音全般の専門知識やスキルの習得に加え、航空機騒音に関する情報提供も行っており、引き続き、区市町村職員の騒音分野におけるスキルアップを支援してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。市町村の航空機騒音の測定に関する技術的な支援はするんだけれども、財政的な支援、助成制度は国に求めている。東京都はやるというふうにいっていただけないんですけれども、この航空機騒音の測定に関する助成制度、これ実は、東京都の市長会からも要望が出されている問題でもあります。改めて強く要望をさせていただきます。
 また、今多くの住民の命が危険にさらされています、本当に危険な飛行をするので。この問題を出すと、安保の問題は国の専管事項だっていうふうに繰り返しおっしゃるんですけれども、地方自治体の役割というのは、住民の福祉の向上にあります。住民の命を守るっていうのはその大前提になる問題なので、地方自治体としては、やっぱり体を張ってでもやらなければいけない問題ではないかというふうに思っています。こうした決意で横田基地の騒音問題にも取り組んでいただきたい、このように強く要望して、次の別な質問に移らせていただきます。
 気候危機と呼ぶべき非常事態が起こっています。既に世界各地で異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。
 国連IPCC一・五度特別報告書は、二○三○年までに大気中への温室効果ガスの排出を二○一○年比で四五%削減し、二○五○年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して一・五度までに抑え込むことができない、このことを明らかにしました。
 大気中の温室効果ガスが一定濃度を超えてしまうと後戻りできなくなって、気候変動による影響が連鎖して悪化を止められない、こういう破局的な事態に陥ります。既に、世界の平均気温は一・一度から一・二度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くはありません。これから十年足らずの間に全世界のCO2排出を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。
 それでは、東京都のCO2排出削減の取組についてお伺いいたします。
 初めに、東京都自身の取組についてお伺いします。
 東京都は、二○三○年までに知事部局の都有施設について、使用電力を再エネ一○○%にするとの目標を掲げていますが、昨年度の取組と計画の進捗状況についてお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 令和二年度は、都内のご家庭の太陽光発電で発電された、いわゆる卒FIT電力を含む再エネ一○○%電力を、都有施設で活用するとちょう電力プランを実施いたしました。これにより、都内に五十七校ある特別支援学校の全てと環境局の埋立管理事務所等における電力使用量、年間約三千五百万キロワットアワーが再エネ一○○%となります。
 これらの施設を含め、令和二年度末における都有施設の再エネ一○○%電力の利用割合は約七%でございます。

○清水委員 二○三○年までの目標達成には、まずは隗より始めよで、東京都の率先した取組が必要です。それはもちろん環境局にとどまらず、全庁的な取組でなければなりません。
 全庁的な取組にするためには、環境局だけでなく、他局の取組の推進が必要になりますが、他局の取組を推進するために、どのような対策が取られましたでしょうかお伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都はこれまで、全庁横断的な推進体制をつくり、進捗状況を確認し、課題等を共有しながら対策を進めてまいりました。
 令和二年度は、ゼロエミッション東京の実現に向けた都庁の率先行動を加速させるために設置いたしましたゼロエミッション都庁推進会議におきまして、令和六年度までの計画、ゼロエミッション都庁行動計画を策定し、各局と連携して取組を推進しております。

○清水委員 ゼロエミッション都庁行動計画は、知事部局及び公営企業局の事務事業活動を対象にして、建物のゼロエミッション化に向けた省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用拡大などの取組を進めるものです。
 東京都の計画は、供給源を再生エネルギーに転換する、これが主になっていて、東京都が必要とする再生エネルギーは、その量は常に供給される、こういう前提で組み立てられています。
 現在、七%の再生エネルギーの利用率を、あと九年間で一○○%まで引き上げるとすると、再エネの供給量も飛躍的に伸ばさなければなりません。供給を増やすための取組はどのように行われましたでしょうかお伺いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、エネルギーの大消費地としまして、例えばキャップ・アンド・トレード制度において、対象事業所が再エネ割合の高い電力を調達した場合、CO2削減量に充てることができる仕組みを構築し、電力の需要側から再生可能エネルギー電力の供給拡大につなげております。
 また、電気事業者に対して、電気の環境性能等を報告、公表を義務づけましたエネルギー環境計画書制度によりまして、電気事業者ごとの再エネ利用割合等を公表することで、都内への再エネ供給量の拡大を促しております。

○清水委員 ありがとうございました。都は、エネルギーの大消費地として、例えばキャップ・アンド・トレード制度、こうしたものを推進するための様々な施策を講じておられるということでしたが、再生可能エネルギーへの転換を引き上げるためには、地域で生産される、特に小規模な再生可能エネルギー、この発電を優先的に購入していくこと、さらには、再生可能エネルギーの固定価格の買取り制度、今現在も少しやっておられますけれども、さらに、そこを充実させていくことや送電網などのインフラの整備、この支援に一層力を入れていくことが必要です。さらなる取組を要望して、次の質問に移ります。
 次は、区市町村への支援についてです。
 東京全体の省エネや再エネを進めていくためには、東京都だけでなく、区市町村や民間の事業者の取組を推進することが必要になります。とりわけ、住民に身近な区市町村が率先して取り組むことが求められています。
 昨年度、区市町村の太陽光発電施設の導入の状況、どのようになっていますでしょうかご説明をお願いします。

○小川地球環境エネルギー部長 都が各区市町村に対しまして、令和二年度に実施しました調査によれば、区市町村の施設への太陽光発電設備の導入量は、令和元年度末時点におきまして約一万二千九百キロワットとなっております。

○清水委員 令和元年度末時点における導入量は、約一万二千九百キロワットということですけれども、目標達成にはさらなる拡充が必要ですし、東京都として、区市町村や事業所へ支援し、底上げをする、これが求められています。
 東京都は、区市町村に対してはどのような支援を行ったのか、東京都が行った区市町村への補助事業の利用実績、また金額についてお伺いします。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、東京の広域的な環境課題の解決に資する取組や地域特性、地域資源を活用した環境面の取組を行う区市町村に対して、地域環境力活性化事業により財政支援を実施してございます。
 公共施設に太陽光発電設備を導入する区市町村に対しましては、導入経費の二分の一を補助しておりまして、令和二年度は二つの自治体に合わせて約一千六百万円の財政支援を行っております。

○清水委員 ありがとうございました。昨年度の財政支援、東京都は区市町村に二分の一補助で二自治体が利用し、約一千六百万円の財政支援が行われたということですが、年間二件、決して多い数字では残念ながらないというふうに思います。導入がなぜ進んでいかないのか、この点が大変重要ではないでしょうか。
 例えば、私の住んでいる日野市の地球温暖化対策の実行計画では、公共施設への省エネ、再エネの導入は、施設の改修時に導入する、こういう計画になっています。
 しかし、今財政の厳しさも相まって、施設の更新というのは進んでいません。二○○九年から二○一九年までの十一年間で、公共施設への太陽光の導入は僅か十六件です。そのうち、学校など十キロワットを超える、そういうものは七件しかないんです。このペースでは、二○三○年までにCO2を半減させる、この目標に照らして遅過ぎるのではないでしょうか。
 太陽光発電導入の課題について、市の担当者は費用が高いことを挙げておられます。恐らく、どの区市町村でも同様な状況ではないでしょうか。区市町村の太陽光発電導入を抜本的に引き上げるためには、やはり費用負担を軽くするための支援、この拡充が必要です。
 例えば、CO2排出量の大きい公立の病院、日野市の場合には、公立病院が一番たくさん電力を使ってCO2を排出しているんです。それから、広い屋根を持つ学校など設置の効果が大きい公共施設については、補助割合を引き上げて導入を加速させる、こういった対策が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○上田環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都はこれまで、地域環境力活性化事業につきまして、事業説明会や区市町村の課長会等での説明、パンフレットの作成、個別の意見交換等を通じまして積極的な活用を促しております。
 また、本事業の補助メニューにつきましても、区市町村からのご要望やご意見もお聞きしながら、より一層活用しやすいものとなるよう、適宜見直しを行ってございます。
 今後もこうした取組を通じまして、区市町村の脱炭素化に向けた取組を支援してまいります。

○清水委員 東京都全体の二○五○年のCO2排出ゼロ、これを実現するためには、東京都の計画だけでなくて、全都の区市町村で二○三○年までの地球温暖化対策推進計画をまずは策定をして、自治体自らの目標と計画をつくること、それから、その自治体全体、地域内の全体の計画と目標を策定すること、これが必要だというふうに思います。
 また、その計画の実現のためには、地元の企業と独自の協定を結ぶことや先進技術などの情報提供、設備導入に対する費用負担の軽減などの支援策を総合的に進めていかなくてはなりません。
 特に、導入をためらわせている費用負担の軽減については、思い切った拡充が必要です。特に導入時だけではなく、それを継続的に維持、運用していく、そのときの費用負担というものも必要になってくるというふうに思います。
 地球温暖化防止の取組についてはまだ緒に就いたばかりですが、残された時間は本当に僅かです。東京都全体の底上げを図るためにも、全庁を挙げての取組、さらに支援の抜本的な強化をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○関口委員 よろしくお願いします。
 都内における再生可能エネルギーの推進に関する取組についてお伺いいたします。
 東京都は、脱炭素社会に向けて、二○五○年にゼロエミッション東京を実現することを表明しています。エネルギーの大消費地である東京都では、都内での再生可能エネルギーの利用割合を高め、基幹エネルギー化していくことが重要でありますが、二○一九年度の都内再生可能エネルギーの利用割合は一七・三%にとどまっております。
 そこで、再生可能エネルギーの利用拡大の観点から、幾つか質問をさせていただきます。
 まず、都は、都内においてできる限り太陽光発電を設置し、地産地消を拡大していくため、事業所向けには地産地消型再エネ増強プロジェクトを、家庭向けには住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業を展開しておりますけれども、各取組の概要と令和二年度の実績についてお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 地産地消型再エネ増強プロジェクトは、事業所向けに地産地消を目的とした太陽光発電等の設置に対して、経費の一部を補助するものでございまして、令和二年八月から申請受付を開始いたしました。令和二年度の申請受付実績は五十一件でございまして、申請額が予算額の三億円に達したことから、令和三年三月下旬で申請受付を終了いたしております。
 また、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業は、リースなど住宅所有者の初期費用の負担なしに太陽光発電設備を導入できる事業でございまして、都からの助成金は事業者を通じて、住宅所有者に全額還元されるものでございます。
 令和二年度の申請受付実績は四百四十三件、申請金額は約二・六億円でございます。

○関口委員 昨年夏から開始した事業者向けの事業については、年度内に予算額を達成しておりまして、多くの方々が多くの事業者が、都の補助事業を活用して再エネ設備を設置したのだなということを確認できました。
 事業者向けの事業については、かなり事業者に向けたメリットが大きく、こうした機会もしっかり活用しながら、さらなる予算拡充を要望したいと思います。
 一方、家庭向け事業については、令和二年度の予算七億円のところ、申請金額が二・六億円にとどまったようであります。先ほどご答弁もありましたが、申請受付実績は四百四十三件ということでありまして、東京都内ということを考えれば、まだまだ少ないのではないかという印象を受けます。
 コロナの感染拡大ということもあり、なかなか事業が進みにくかったということも考えられるとは思いますが、都は、住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進事業の認知度を高めるため、どのような周知を行ったのかお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業の実施に当たりましては、より多くの都民の方々に理解をしていただくため、都は、令和元年度からリーフレットを作成いたしまして、都内の区市町村や関係団体を通じて配布をしてまいりました。また、このリーフレットは、事業者が提供するサービス内容の特徴や助成金還元の流れを記載するなど、令和二年度に改善を図るとともに、区市町村等を通じて配布を進めてきたところでございます。
 こうした結果もありまして、令和二年度は令和元年度の申請受付、二百四十五件、申請金額の約一・五億円を上回る実績となったと考えております。

○関口委員 ぜひ、積極的な広報活動を実践していただきたいと思います。
 また、この事業は助成対象となる設置サービスとして三つありまして、リース型、電力販売型、屋根借り型など、サービスの事業を理解しづらい環境もあるのではないかと思っております。都民の皆さんに分かりやすく伝えることも、しっかり要望してまいりたいと思います。
 事業所や家庭への設置を推進し、再生可能エネルギーの地産地消を進めていくことは、CO2の削減のみならず、災害時のレジリエンス向上にもつながります。東京都には、今後も積極的に予算を確保し、事業所や家庭への周知を図りながら、再生可能エネルギーの設置を強力に推進していただきたいと思います。
 また、新築の建物に対して、太陽光パネルの設置を義務づける検討が東京都でも始まっております。詳細については、環境審議会を通じて精査がされていくということでありますが、今後もしっかり注視をしてまいりたいと思っております。
 一方、都内で消費される電力は膨大であります。再生可能エネルギー電力の利用割合を高める上では、電力会社を通じて供給される再エネ電力の購入を増やしていくことも不可欠であります。
 東京都は、家庭などにおける再エネ電力の購入を推進する事業として、令和元年度から、再生可能エネルギーグループ購入促進モデル事業、通称みい電を開始いたしました。令和二年度もこの事業を展開しましたが、この事業の概要と実績についてお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、太陽光や風力など自然の電気を利用したいと考える家庭や事業所を募り、多くの参加を得て購買力を高めることで、お得な電気代で再エネ電気が利用できる国内初の取組でございます。
 令和二年度は、再エネ三○%以上及び一○○%のメニューを用意いたしまして、近隣自治体との連携の輪を広げながら、計二回キャンペーンを展開いたしました。キャンペーンでは、連携した埼玉県、千葉県、神奈川県内の家庭等を含め、両メニューで約一万一千七百世帯に参加登録をいただき、そのうち約二千二百世帯が再エネ電気に切り替えてございます。
 電気代につきましては、直近のキャンペーンでは、国の調査に基づく四人世帯の平均的な電力使用量から算出した場合、再エネ三○%以上メニューで約九%、年間約一万円の削減、再エネ一○○%メニューで約六%、年間約七千円の削減となってございます。

○関口委員 今、ご答弁でもございましたが、この近隣自治体のご家庭も含めて一万一千七百世帯が参加登録をいただいて、そのうちの二千二百世帯が再エネ電気に切り替えたということでご答弁をいただきました。
 一万一千七百世帯がご登録をいただいたけれども、実際に切り替えていただいた世帯が二千二百ということで、もちろん料金的な意味で、あまりお得ではないなというふうに判断した世帯の方もいらっしゃるのかもしれませんが、いずれにしましても、せっかくご登録いただいた皆さんが、電気切替えのときにスムーズにいけるような取組ですとか働きかけ、こうしたものもしっかりしていただきたいと思っております。
 一方で、この本事業に関しては極めて意義のある事業だとも思っております。このような事業であれば、切替え希望者を通年募集する方法もあると思いますが、先ほどご答弁をいただきましたが、都はキャンペーン方式にしております。なぜキャンペーン方式を採用しているのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業は、参加者を広く募り、あらかじめ切替え希望者数を見通せるようにすることで、より安い価格で再エネ電力を販売する小売電気事業者を入札により決定する仕組みでございます。このため、本事業では、一定の期間を設定して参加者を募集いたしました上で、小売電気事業者が実際の切替え希望者等を見込んだ上で販売価格が決定できるようにしてございます。

○関口委員 今のご答弁で、キャンペーン方式で実施をしている意図というものを確認できたと思います。令和三年度のキャンペーンは、近隣自治体との連携が、また、九都県市とあるようでありまして、先日の十月二十二日から参加募集を開始したということで伺っております。
 みい電は既存の電力会社と消費者の関係性とは異なり、再生可能エネルギーを積極的に使用したい方々が集まり、電力を共同購入するという新しいスタイルであり、可能性を感じます。令和三年度の成果に期待するとともに、再生可能エネルギーの普及拡大を利用側面からも着実に推進をしていただきたいと思います。
 また、キャンペーン方式については、先ほどのご答弁で分かりましたけれども、なるべく年間のキャンペーンを増やしていくですとか、あるいは、もしキャンペーン方式ではなくて、通年方式で多くの皆さんにアプローチができるのであれば、こうした取組も有意義であると思いますので、ぜひお願いをしたいと思っております。
 次に、ゼロエミッションビークル、いわゆるZEVの普及促進について伺ってまいります。
 ゼロエミッション東京の実現に向けて、自動車から排出されるCO2を削減するためには、ZEVの普及を進めていくことが重要です。都は、平成三十年に都内で新車販売される乗用車に占めるZEVの割合を、二○三○年に五○%とする目標を発表し、令和元年度より、EV、PHV購入に対する補助の対象を、それ以前の中小企業から全企業及び個人に広げました。
 これは、ZEVの普及促進に大いに資するものと認識をしておりますけれども、令和二年度のEV、PHV購入に対する補助実績と、都内乗用車新車販売におけるZEVが占める割合について伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 令和二年度のEV、PHV購入に対する補助実績は、EV千百十六台、PHV千六台であり、平成三十年度のEV二百四十二台、PHV九十六台から大幅に増加しております。
 また、都内乗用車新車販売に占めるZEVの割合は、平成三十年度の一・六%から、令和二年度は二・三%に増加しております。

○関口委員 EV、PHV購入補助の対象を拡大したことで実績が伸び、その効果として、都内乗用車新車販売に占めるZEVの割合が増加をしているということが分かりました。
 しかし、二○三○年の目標にはまだ乖離があるため、今後一層、ZEVの普及を加速させる努力をお願いいたします。
 加えて、中古車市場においても、ZEVが選択されるようにしなければならないと私は考えております。補助金があるとはいえ、ZEVの新車購入費は負担が大きく、多くの都民にZEVに切り替えていただくためには、中古ZEV車の普及施策も必要であることについて言及をしておきたいと思います。
 また、ちょうど昨日の日経新聞の夕刊を見ておりましたら、中古EV電池の査定に基準ができたということで、そういった記事がございました。フォード・モーターやデンソーなどの世界百社超の企業、団体が、電気自動車の電池を再利用する際の価値算定基準を共通化するということであります。電池は、EVの原価の三割程度を占める最重要な部品でありまして、統一した取引基準ができれば、中古市場が活性化をし、EVの買換えに弾みがつくというような記事がございました。
 実際に中古車販売店などでは、電池がどの程度劣化をしているのか把握する手段がなくて、適切な価格がつけられないということも多く伺っております。そうした観点からも、今後、東京都におきましても、ZEVの中古車市場について施策を巡らすことを要望したいと思っております。
 一方、ZEVの普及には充電インフラの整備が不可欠です。特に、短時間で充電が完了する急速充電器の普及がEV、PHVの普及には欠かせません。
 都は令和元年度より、公共用急速充電器の導入費について、国補助と合わせて原則全額補助をしておりますけれども、急速充電器は導入費に加え、保守に係る経費負担が大きいと聞いています。
 急速充電器の普及には、こうした課題にも対応する取組が重要と考えますが、令和二年度の都の取組と、その実績について伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 急速充電器の保守費は、例えば出力五十キロワットタイプの場合、年間四十万円程度であり、導入のハードルとなっております。そこで、都は令和二年度より、公共用急速充電器の保守費について、導入後三年間、年間四十万円を上限として全額補助する事業を開始いたしました。
 令和二年度は、公共用急速充電器の導入費に対し、十八基分の補助交付を決定しており、その全てについて導入後、保守費を補助していく予定でございます。

○関口委員 今ご答弁にもありましたが、この公共用急速充電器の普及についての施策がされているということは評価をしたいと思いますが、しかし実績を見ますと、補助の実績が十八基と、まだまだ少ない。都内全域でありますので、極めて少ないのではないかということを指摘したいと思います。
 また、公共用急速充電器が都内にバランスよく設置されていることも重要であります。その観点から、私はガソリンスタンドに急速充電器が設置されれば、EV、PHVユーザーにとって大変便利になると思いますが、昨年度の補助実績、十八基のガソリンスタンドも含めた業種別内訳について伺いたいと思います。

○三浦事業調整担当部長 昨年度補助実績の業種別内訳につきましては、自動車ディーラー十六基、ガソリンスタンド一基、公共施設一基となっております。

○関口委員 十八基補助がされましたが、そのうち十六基が自動車ディーラーであって、ガソリンスタンドは一基で、公共施設が一基ということで、極めて私は十八基の内訳というものが少し偏っているのではないかなというような印象を受けるわけでもあります。
 先ほど私が指摘をしましたガソリンスタンドに関しては一基ということで、まだまだ産業界のいろんなものがあるかとは思いますが、なるべくEV、PHVユーザーにとって便利になるような環境をつくらなくてはいけない、そして、EV、PHVを購入しようというような意欲をかき立てるような環境をまず整備をしなくてはならないと思っております。
 また、急速充電器の数、これを行政側が正確な数を把握できていないということも指摘をしたいと思っております。
 現在、急速充電器の場所や数、こういったものは、地図の会社であるゼンリンなどの民間企業がドライバー向けのサービスとして公表しているものはあるものの、行政として正確な場所や数といったものが把握をできていない状況は、私はEVやPHVの利用促進、購入促進に関しては、大きな壁があると考えております。
 いずれにしましても、急速充電器の設置、これをしっかり充実した環境にすることを改めて要望いたしまして、私の質問を終わりといたします。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 私からは、キャップ・アンド・トレード制度について伺っていきたいと思います。
 世界気象機関は、今月二十五日、二○二○年の二酸化炭素CO2などの主要な温室効果ガスの世界平均濃度が前年から増加し、いずれも観測史上最高記録を更新したと発表しました。日本の気象庁は、この背景には人間の活動に伴う化石燃料の消費が増えていることなどが背景にあると見ていると報道がありました。地球の温暖化がかつてないスピードで進んでいます。
 一方、八月に公表された国連IPCCの報告書では、これからの十年間での温室効果ガス排出量の思い切った削減が、破局的な気候危機を回避するための鍵を握っていることを明らかにしています。ところが、政府が閣議決定した第六次エネルギー基本計画は、二○三○年度の電源構成の目標を二酸化炭素、CO2を大量排出する石炭火力発電を一九%にすると明記されており、世界の脱炭素の流れに真っ向から逆らう目標であります。
 東京都は、先ほど来出ていますが、二○三○年までに東京の温室効果ガス排出量を二○○○年比で三○%削減する数値目標を持っていましたが、これを一気に引き上げて五○%削減とし、五○年にはCO2排出実質ゼロとするゼロエミッション東京を実現することを宣言しています。こういった点からも、東京が果たす役割は非常に重要だと考えます。
 本日、質疑させていただきます都が取り組む気候変動対策の一つである排出総量削減義務と排出量取引制度、キャップ・アンド・トレードは、排出量が多い大規模事業所を対象に、一定期間での個々の事業所の削減義務量を定めることによる、総量削減を目的とした制度です。大規模な事業所が自らの温室効果ガスの排出量を把握し、削減することを義務づけることは、排出削減の管理体制を構築するという意味で極めて重要です。
 私ども、我が党を含む全会一致で制度が導入されてから十一年、検証する材料も少しそろってきたと思います。質疑を通じて、今日の時点での成果や課題を幾つかでも明らかにできればと思います。
 まず、事業所についてですが、大企業は中小企業や個人に比して、より大規模にCO2排出を削減する責務と能力を有していると考えますが、この点について本制度と東京都のCO2排出削減目標にどのように反映されているのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 都内のCO2排出量は、事業活動に起因する業務、産業部門の排出量が約五割を占めております。温室効果ガスの排出の大きい事業所には、大量排出者として率先して削減に取り組んでいただく責務があることから、都は、原油換算エネルギー使用量が年間千五百キロリットル以上の大規模事業所に対しまして、温室効果ガス排出総量削減を義務化しております。
 削減義務率の設定に当たりましては、都の温室効果ガス削減目標達成に向けた大規模事業所の目標排出量等を踏まえて算定しております。

○とや委員 業務、産業部門のCO2排出量は都内全体の約五割という量です。中でも一定のエネルギー使用量の大規模事業所には、率先して削減に取り組む責務があり、目標排出量があるということですが、この大規模事業所の目標排出量というのは公表されたものではないとお聞きしました。
 制度全体では、個々の企業の業務拡大の可能性も一定織り込みながら、全体としては排出総量を規制する制度設計になっているとお聞きしています。そういった工夫の部分も含め、大規模事業所の目標排出量については、都民に分かりやすい形で公表していただきたいということを求めておきます。
 では、制度の対象となる事業所について伺っていきたいと思います。
 対象事業所は全て参加しているのでしょうか。また、事業所数と都内事業所数に占める割合、CO2排出量の都内事業所の排出量全体に占める割合についてお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 本制度は、原油換算エネルギー使用量等の要件に該当する都内の全事業所を対象としてございます。二○一九年度末時点の対象事業所数は千二百四十一事業所で、都内事業所に占める割合は約○・二%でございます。また、二○一九年度の対象事業所のCO2排出量は千二百六万トンでございまして、都内の業務、産業部門に占める割合は約四割でございます。

○とや委員 都内全事業所六十三万と聞いています。これに対して千二百四十一事業所、○・二%で四割のCO2排出ということです。やはり、これらの事業所に排出削減の大きな責任があって、確実に排出量を削減し、総量を減らすことができれば、大きな効果が期待できます。
 排出削減量と率は、対象外事業所と比較してどのようになるのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 本制度における二○一九年度のCO2排出量は、事業所が選択いたしました二○○二年度から二○○七年度までの連続三か年度の平均により算定する基準排出量比で二七%を削減しております。
 一方、都内の業務、産業部門の二○一九年度のCO2排出量は、速報値で二千七百六十三万トンであり、本制度における固定係数に換算いたしまして算出した削減率は二○○五年度と比較して、二一%減少しております。

○とや委員 前提条件が違うので、あまり単純には比較できないんですが、事業所全体では二一%の削減に対し、制度の対象となっている事業所では二七%の削減ということで、全体に比べて一定程度高い削減率になっていることは確認できると思います。
 その上で、一点指摘しておきたいことがあるんですが、制度の対象事業所の中に品川と大井の二つの火力発電所が入っていないことです。キャップ・アンド・トレード制度の対象外となっている理由をお聞きします。

○小川地球環境エネルギー部長 東京は、エネルギーの大消費地であり、都内のCO2排出量を削減するためには、需要側でのエネルギー消費を低減させていくことが施策として効果的でございます。このため、キャップ・アンド・トレード制度では、オフィスや工場など業務、産業部門の大規模事業所に対し、CO2排出量の削減を義務づけております。
 また、都内に供給される電力の多くが都外の発電所からの供給でございまして、都内で消費される電気のCO2排出係数を改善していくためには、都内に電力供給を行う全ての電気事業者の取組が必要であることから、エネルギー環境計画書及び報告書の作成、提出を義務づけ、対策の促進を求めております。

○とや委員 エネルギー環境計画書及び報告書の作成、提出を義務づけているということを理由に対象から外したということであります。
 では、発電所のCO2排出削減目標の数値は、どの程度を義務づけているのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、都内に供給される電力の多くが都外の発電所からの供給でございまして、都内で消費される電気のCO2排出係数を改善していくためには、都内に電力供給を行う全ての電気事業者の取組が必要であることから、エネルギー環境計画書及び報告書の作成、提出を義務づけ、対策の促進を求めております。

○とや委員 結局、今のご答弁ですと、発電所には報告書の提出は義務づけていても、排出量については、削減義務は課していないということです。
 先行してキャップ・アンド・トレード制度を導入したEUでは、当初から火力発電所が規制対象の筆頭でした。それはいうまでもなく、火力発電所のCO2排出量が大きいからです。
 三十一日からCOP26が開幕します。日本は、議長国であるイギリスのジョンソン首相から、日本が国内の石炭火力を廃止する方針に打ち出すことを望むと述べられています。世界の流れは既に石炭火力に関するスタンスそのものが変わっています。
 しかし、日本は石炭火力一九%、原発二○から二二%と、世界から見ても恥ずかしい基本計画を閣議決定しているわけです。このままでは世界に恥をさらしにいくようなものだという声が上がっています。
 品川、大井は石炭火力ではありませんが、都内の使用電力の一○%強に相当する発電量ということで、いずれにしても相当量のCO2を排出していることは間違いありません。世界の水準に照らせば、規制の対象としないことは道理がありません。
 また都は、対象事業所に再エネ電力の利用に関するアンケートを取っています。その回答にも、石炭火力建設工事の新規受注停止と答えた企業があり、こうした姿勢と比べても出遅れています。
 国の周回遅れの姿勢に追従することなく、東京から方針を切り替えて、国の姿勢を転換させるくらいの取組を強く進めていっていただきたいということを求めておきます。二つの火力発電所についても制度の対象に加えていただきたいと思います。
 このキャップ・アンド・トレード制度ですが、昨年から第三計画期間が始まっています。二○二○年度から二四年度までの第三計画期間の削減義務率を、基準年度比二七%とした理由についてお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 第三計画期間の削減義務率は、現環境基本計画における都の温室効果ガス削減目標の達成に向けて、大規模事業所の目標排出量等を踏まえて算定しております。また、専門家から成る検討会におきまして、対象事業所から意見を伺うとともに、毎年度事業所からご提出いただいております点検表を基に、今後の省エネ余地を算定するなど丁寧に検討を行い、二七%といたしました。

○とや委員 この数字ですけど、東京都は二○三○年までにCO2の五○%削減という目標を持っているわけですが、これとの関係についてはどう考えればよいのか教えていただけますか。

○小川地球環境エネルギー部長 新たな目標を踏まえた既存制度の在り方につきましては、環境審議会における専門家等における審議を踏まえまして検討しております。

○とや委員 専門家の審議によって、今検討しているということです。
 先ほども述べたとおり、都の気候変動対策全体が、二○三○年、五○%削減目標を具体的に裏づけるものにバージョンアップされる必要があります。キャップ・アンド・トレード制度も例外ではありません。ふさわしく目標を設定していただきたいと思います。
 目標達成に向けて、省エネと再エネ、それぞれ対策の改善が求められると思います。先ほど来も、この問題については議論がありました。キャップ・アンド・トレード制度において、削減量に占める省エネ対策の割合はどれくらいなのか、また、主にどんな対策が取られているのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 二○一五年度から二○一九年度までの第二計画期間におきましては、CO2排出量の九九%以上が省エネ対策による削減となっております。LED照明の導入や高効率な空調、熱源機器の導入など事業所の状況に応じた対策が取られております。

○とや委員 では、これまでの対策を改善する余地があるのか、またどんなことが考えられるのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 対象事業所から提出いただいております計画書によりますと、第三計画期間におきましても新たな削減対策が計画されておりまして、今後も高効率機器への更新等により削減が進む見込みでございます。

○とや委員 排出削減対策は、これまでは事実上、省エネが中心だったということです。また、機器の更新で改善する余地のある事業所もあるとお聞きしています。
 千葉大のドクターの張氏が二○一九年の年末に対象事業所にアンケートを取っていて、その中では、事業所が提出する計画書によって他事業所の削減対策を把握できるようになったと評価する事業所があると報告されています。また、都の環境局の情報が都制度に関する主たる発信源となっていると報告しています。
 対策の改善に情報提供が求められており、また環境局の果たす役割が大きいことが分かります。ぜひ、この点を踏まえて対策を取っていただきたいと思います。
 次に、再エネについて伺います。
 CO2削減量に占める再エネ対策の割合はどれくらいでしょうか。

○小川地球環境エネルギー部長 第二計画期間におきましては、対象事業所の一割強に当たる百五十八事業所が、都の認定した低炭素電力供給事業者から電気を購入いたしまして、CO2削減量に占める再エネ利用の割合は小さいものの、CO2削減効果は約六万二千五百トンでございました。

○とや委員 省エネが九九%ということで、その裏返しですから、要するに一%、ここに大きな改善の余地があり、東京都も低炭素電力の導入など、旗を振ってきたのだと思います。
 この低炭素電力について一言述べておきたいと思いますが、この中に原発でつくられた電気も入っているという可能性は否定できません。今後、この改善のための対策を求めておきます。
 低炭素の電力や熱エネルギーを供給する事業者についても伺いたいと思うんですが、なぜ再エネゼロ%の事業者が低炭素電力、あるいは熱供給事業者に認定されているのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 本制度では、事業所の低炭素電力、熱の供給事業者選択行動を促すため、都が定める要件を満たすCO2排出係数の小さい供給事業者を認定し、当該事業者から電気、熱を調達した場合にCO2削減相当として認める仕組みを導入しております。
 第三計画期間では、需要側の電力選択の多様化への対応として、非化石証書等の再エネの環境価値を利用した電力につきましても、CO2排出係数の要件を満たせば、低炭素電力の対象としております。

○とや委員 非化石証書を利用しているということです。非化石電源には太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーと原子力発電がありますが、これらの非化石価値を購入している業者であれば、認定するという仕組みということは分かりましたが、ぜひ実態としての再生可能エネルギーを活用することを進めていただきたいと思います。
 先ほども触れましたが、都として一九年、二○年に、事業者に対し再エネ電力の利用者に利用に関するアンケートを行っています。それを読ませていただきました。対象事業者に再エネ導入についてアンケートを取った問題意識は何なのか、結果をどう評価しているのかお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 本アンケートは、二○一九年度と二○二○年度に対象事業所における再エネ等の低炭素電力の利用方針や利用状況等を把握し、制度運営に活用するために実施いたしました。
 二○二○年度の調査時点では、使用電力に占める再エネ率が二○%未満の事業所が大半を占めるなど利用率は高くありませんが、約四割の事業所が再エネ率に関する目標や方針を設定済みまたは検討中としておりまして、そのうちの約三割が再エネ率五○%から一○○%の目標を設定するなど、再エネを志向する動きが見てとれます。

○とや委員 再エネを志向する動きが見てとれるということです。回答からは、今後再エネを増やす手段としては、非化石証書の購入よりも再エネ電力そのものの導入を考えているという傾向も見てとれると思います。その点を含め、ぜひ十分な後押しをしていただきたいと思います。
 再エネの導入がまだ極めて少ない状況というのは、石炭火力や原発にしがみつく日本政府のエネルギー政策のゆがみ、遅れが反映しているという面もあります。これを切り替える流れを、ぜひ東京からつくり出すつもりでやっていただきたいと思います。
 キャップ・アンド・トレード制度は、総量削減義務履行の手段として自ら削減する手段と排出量取引があります。排出量取引の中の一つであるクレジットについても伺います。
 クレジットを使用している事業所の割合はどれくらいあるのか、第一期、第二期ごとにお答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 第一計画期間におきましては、約九割の事業所が自らの削減対策により義務を達成いたしまして、クレジットを利用して義務を達成したのは約一割でございました。第二計画期間におきましては、約八割の事業所が自ら削減対策により義務を達成する見込みとなってございます。

○とや委員 第一期で九割で、第二期については八割ということでありました。
 では、バンキングについても伺いたいんですが、第二期で第一期のバンキング分を利用した事業所はどのくらいあるのか、また、その結果をどのように分析しているのかお答えいただけますか。

○小川地球環境エネルギー部長 バンキングの仕組みは、早期の省エネ投資等の成果を繰り越し、翌計画期間に自らの削減義務の達成や、排出量取引に活用できることとしているものでございまして、各計画期間の削減義務率以上に削減を進める早期削減を促進する観点から導入してございます。
 なお、第二計画期間の削減義務履行の期限は、令和四年一月末としてございますため、現時点でのバンキングを利用した事業所の状況は、まだ不明でございます。

○とや委員 まだ現時点では、第二期の事業所は不明ということでありますが、自らの削減対策等で義務達成が困難である見込みの事業所が、第一期に実際に達成できなかった事業所よりも増えているという結果があります。ここについては、どのように評価しているのか、第三期も同様の傾向が続くと見ているのかお答えいただけますか。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、第一計画期間を大幅削減に向けた転換始動期と位置づけまして義務率を八%または六%と設定し、第二計画期間をより大幅な削減を定着、展開する期間と位置づけまして、義務率を一七%または一五%と設定いたしました。
 第二計画期間では、義務率の引上げにより、第一計画期間よりも自らの削減対策で義務履行が困難な事業所が増えたものと認識しております。
 第三計画期間では、再エネ電力の利用拡大に向けて、低炭素電力選択の仕組みを拡充するなど、省エネの継続と再エネの利用拡大の両輪で、さらなる削減を推進していくこととしております。

○とや委員 先ほどご紹介しました千葉大の研究者の方のアンケートでは、排出削減義務を超過達成した事業所は、バンキングする傾向があるということが指摘されています。安易に金銭的な価値を追求するより、早期削減のためのインセンティブとして、うまく機能している結果と捉えたいと思います。
 他方、クレジットの使用というのは、やはりペナルティーとして削減義務達成を促す役割という側面が重要だと思います。クレジットを使用することで、実際にCO2が削減するわけではありませんから、したがって、やむを得ず使用することはあるとしても、安易に広がることは好ましくないと思います。
 ぜひ傾向をよく見極めて、より実際のCO2の削減が進むような制度設計をお願いしたいと思います。
 今日は、キャップ・アンド・トレードについて質問させていただいたんですが、国連の気候変動枠組み条約の事務局は、各国が排出した温室効果ガスの排出削減目標を集計した報告書を公表しています。現段階の目標を達成したとしても、二○三○年の世界の温室効果ガスの排出量は、一○年比一六%増加すると指摘をしています。
 各国や地域がより強力な目標を設定しない限り、今世紀末までに世界の気温が二・七度上昇すると警告しています。エスピノサ事務局長は、パリ協定の目標気温を上回れば、温室効果ガスの排出量が最も少なかった人々が際限なく苦しむことになるとも警鐘を鳴らしています。
 日本は世界第五位の大規模排出国にもかかわらず、その責任に向き合っていません。これからCOP26が始まりますが、国際社会から批判を受けることは必至です。日本の首都である東京都が、国際社会から恥ずかしくない取組で気候危機打開に貢献することを求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○斉藤委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○斉藤委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時四十九分散会

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