令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

令和三年十月二十五日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長早坂 義弘君
副委員長原 のり子君
副委員長森村 隆行君
北口つよし君
吉住はるお君
成清梨沙子君
古城まさお君
やまだ加奈子君
藤井あきら君
竹井ようこ君

欠席委員 なし

出席説明員
収用委員会事務局局長後藤 啓志君
議会局局長岡崎 義隆君
管理部長飯田 一哉君
議事部長広瀬 健二君
調査部長古賀 元浩君
主税局局長砥出 欣典君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務川上 秀一君
税制部長丹羽恵玲奈君
税制調査担当部長三浦  仁君
調整担当部長原島 幸男君
課税部長櫻井 幸枝君
資産税部長辻谷 久雄君
徴収部長菊澤 道生君
特別滞納整理担当部長蓮沼 正史君
デジタルサービス局局長寺崎 久明君
次長久我 英男君
総務部長有金 浩一君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務斎藤 圭司君
情報セキュリティ担当部長デジタル基盤整備担当部長兼務水落 祐二君
戦略部長深井  稔君
サービス開発担当部長荻原  聡君
デジタル改革担当部長巻嶋 國雄君
デジタルサービス推進部長土村 武史君
データ利活用担当部長高橋 葉夏君
ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務芹沢 孝明君
ネットワーク整備担当部長澤井 正明君
デジタル基盤整備部長新田見慎一君

本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
収用委員会事務局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和二年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)
デジタルサービス局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)

○早坂委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局、議会局、主税局及びデジタルサービス局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○早坂委員長 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 議会局への決算質疑を行わせていただきます。
 現在、都では、コロナ禍における感染リスク低減などの観点から、テレワークに積極的に取り組んでおります。議会局における取組状況について確認をさせていただきます。
 議会局におけるテレワークの実施状況についてお伺いをいたします。

○飯田管理部長 議会局では、新型コロナウイルス感染症への感染リスクの低減や、育児、介護と仕事の両立、通勤負担の軽減など、ライフ・ワーク・バランスの推進のためテレワークの実施に努めております。
 今年一月から三月までのテレワーク実施率は約七七%となってございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 ご答弁の中で、数値の分かる一月から三月は実施率が七七%とのことでして、都側と同様に、議会局としてもテレワークに積極的に取り組んでいるということが確認できました。
 一方で、この数字に関しましては、受付窓口の職員であったりとか、あと議会対応をしている職員等は含まれていないと聞いております。私も、都庁とのレク等においては、今、オンライン会議等を使わせていただいておりますので、まだ議会局とは、そういえばしたことがなかったなと思いましたので、今後、そういうところも使いながら、より一層テレワークが進むよう、私も取り組んでいきたいと思っておりますし、議会局としても取り組んでいただきたいと思います。
 さらにいうと、議会日程等細かいところも、我々毎回来ていただいてご説明いただいておりますが、正直簡単なチャットみたいなものでも、今やり取りできるかと思いますので、これは今後の検討課題として、働き方改革を進められればと思っております。
 テレワークを進めていくためには、より一層のテレワーク環境の充実が必要であります。議会局におけるテレワーク推進のための具体的な取組状況について伺います。

○飯田管理部長 議会局では、職員がテレワーク中においても業務が円滑に行われるよう、テレワーク環境の整備を図ってきております。
 昨年十月には、局内にプロジェクトチームを設置し、五つのレスの取組を進める中で、紙資料の電子データ化や事案決定手続の電子化を推進するとともに、局の情報共有ツールとして、局ポータル掲示板や共有フォルダの整理充実など、職員が自宅に居ながら資料の検索や作成などが行いやすい仕組みを構築してまいりました。
 また、局内の定例会議や打合せなど、ウェブカメラなどを活用したリモート方式も取り入れております。

○藤井委員 昨年の決算特別委員会で、こちらも質疑をさせていただきました五つのレスについて議会局内で取り組むこと、プロジェクトチームを立ち上げるなど主体的に取り組んでいただいて、その結果として、テレワークができる環境というものが整ってきたという答弁であると理解をいたしました。
 局内の会議でも、ウェブ会議等を積極的にご利用いただいているということでして、感染症対策としてだけではなくて、育児や介護等、仕事との両立の観点からも、引き続き積極的にテレワークを進めていただきたいと思います。
 続きまして、我々議員が使用しておりますこちらのアイパッド、そしてパソコンに関連してお伺いをさせていただきます。
 現在、私たち議員には、議員用のパソコンとこちらのアイパッド、こちらが配られているかと思います。計二台になりますが、議員用のパソコンについては、資料作成やメール、インターネット検索などを行うために、以前から、私が初めて都議会議員にならせていただきました四年前のときから配備されておりましたが、アイパッドに関しましては、ペーパーレス推進を目的として、本会議資料等を閲覧するために、令和元年から持ち運び可能なアイパッドが導入されて、配備をされております。
 そこで、議員用パソコン、そしてアイパッドについて、令和二年度におけるソフトウエアなどを含めた端末に係る経費についてお伺いをさせていただきます。また、令和三年度における見込額についても併せてお伺いいたします。

○古賀調査部長 令和二年度における経費の実績は、議員用パソコンにつきましては約一千二百九十三万円、タブレット端末につきましては約一千三十四万円でございます。
 また、令和三年度の経費の見込額でございますが、議員用パソコンにつきましては約一千二百七十六万円、タブレット端末につきましては約一千十万円でございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 今のご答弁で、アイパッドを導入することによって、毎年約一千万円の経費が新たにかかるようになったということが確認ができました。議員用のパソコンと合わせて約二千三百万円、年間でかかっているわけであります。
 続けてお伺いさせていただきますが、アイパッドについては、都議会のペーパーレス推進を目的として、令和元年第二回定例会から使用を開始したところですが、そこに至る導入の経緯と現在使用できる機能についてお伺いいたします。

○古賀調査部長 平成二十九年十二月七日の第四回議会改革検討委員会におきまして、本会議からペーパーレス化及びIT化を実施し、順次拡大するという方向性が示されました。その後、平成三十年六月五日の議会運営委員会理事会におきまして、ペーパーレス化の実施方法などが協議され、令和元年第二回定例会からタブレットによるペーパーレス化を実施していくことになってございます。
 会議におけるタブレット端末の取扱いにつきましては、平成三十一年二月十三日の議会運営委員会理事会における協議により決まったものでございます。使用できる機能は、本会議に関する資料の閲覧機能及び審議の内容等を一時的に記録するためのメモ機能でございます。
 なお、インターネットやメール等の機能は利用できないこととなってございます。

○藤井委員 議会改革検討委員会、さらには議会運営委員会理事会において十分議論をいただいて、必要性を判断して、スピード感を持って導入を進めてきたというふうに理解をいたしました。
 これによりまして、本会議のペーパーレス化が一気に進んだことや執行機関からの資料提供も一部ペーパーレスに移行するなど、都議会におけるペーパーレスの推進の成果というものが出てきております。
 一方で、こちらのこのアイパッドの導入から二年余りが経過する中であります。今、本会議等を見ても、必ずしも全員が持ってきているような状況ではないかなと思います。この決算においても、決算の資料等、意見書、監査委員からの意見などもこのアイパッドの方で確認できる状況で、私も愛用させていただいておりますが、一方で、使い勝手の面でかなり制約がある。先ほどのご答弁の中でも、インターネットやメール等の機能は利用できないであったりとか、閲覧機能に限られているといったところで制限があるものというふうに理解をしております。
 そして、前期の議員用に配られていたパソコンに比べて、今期、この七月に我々当選させていただいてから新しくなった議員用のパソコン、かなり軽いものになって、持ち歩きができるモバイル型のものになっております。
 前期のものは、正直、私、返還してしまっていたので、重くてちょっと使い回しよくないかなと思ったんですけど、今期かなりよくなっているので、アイパッドの代わりにもこれを使うことができるのではないかと私は考えております。
 今確認させていただきましたコスト面から見た効率性など、改めて検討すべき課題というものが見えてきているのではないかと思います。今後は、こうした課題について議論して、必要な見直しを積極的に行っていくことを、会派としてもしっかりと、都議会のあり方検討会とかですかね、様々な場所で提案をしていきたいと考えております。
 以上で議会局への質疑を終わらせていただきます。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○早坂委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び令和二年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○やまだ委員 よろしくお願いします。
 私からは、まず、都税収入について伺いたいと思います。
 令和二年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として要請をしました自粛等の影響により、個人消費を中心とした大幅な内需の減少と、より強制力のある感染症対策を実施した諸外国への輸出の大幅な減少により、これまでにない厳しい状況に陥ったと思います。
 このような経済情勢の下で、令和二年度の都税収入は五兆三千四百九十八億円と九年ぶりの減収となりました。都税収入が減収となったのは、平成二十年秋に発生しましたリーマンショック後の税収落ち込み以来であります。
 そこで、リーマンショック後の平成二十一年度と比較した場合の今回の減収の主な特徴とその要因について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 リーマンショック後の平成二十一年度の都税の減収は、前年度対比で総額約九千九百億円で、法人都民税及び法人事業税の減収一兆三百億円を要因としております。
 令和二年度の都税の減収は、前年度対比で総額約二千八百億円で、法人都民税及び法人事業税の減収約四千三百億円が主な要因となっております。
 一般的に、法人都民税及び法人事業税の税収は、企業収益の変動に左右されますが、国による法人企業統計調査によりますと、企業の経常利益の前年度比は、平成二十年度が三三・七%の減、平成二十一年度が九・四%の減、これに対し、令和元年度が一四・九%の減、令和二年度が一二・〇%の減となっております。
 こうしたことから、今回のコロナ禍においては、リーマンショック時と比較して、企業収益の悪化の程度は少なかったのではないかと認識しております。

○やまだ委員 リーマンショック時や今回のコロナ禍での減収は、そのほとんどが法人都民税及び法人事業税を要因としていることがよく分かりました。
 リーマンショック時には、金融不安から企業の経営が行き詰まるなど大幅な景気後退につながりましたが、今回のコロナ禍では、政府が金融緩和や機動的な財政出動を総動員して、新型コロナウイルス感染症から都民の暮らしを守り、都民生活、経済を支えているところであります。
 法人都民税及び法人事業税は、景気の変動に左右されやすいとはいえ、リーマンショック時と今回のコロナ禍の景気動向の様相は異なっています。令和二年度の法人都民税及び法人事業税の減収要因についても、リーマンショック時とは異なると考えられます。
 そこで、法人都民税及び法人事業税の減収要因について改めて伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 法人都民税及び法人事業税は、前年度比約四千三百億円の減収でありましたが、減収要因の内訳といたしましては、地方法人課税の見直しによる減収が約一千億円、徴収猶予の特例の適用による減収が約三百億円、企業収益の悪化等による減収が約千六百億円、元年度における例年にない高額納税による減収が約一千四百億円でございます。

○やまだ委員 内訳も伺いました。リーマンショック時は、減収が平成二十三年度まで続きましたが、今回のコロナ禍では、政府が雇用と事業継続に対する必要な支援も実施しておりますので、十月の月例経済報告でも、景気の先行きについて、感染対策を徹底しワクチン接種を促進する中で、各種施策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されるとされています。
 今後は、税収が上向くことを心から期待したいと思っております。ありがとうございます。
 次に、徴収率について伺っていきたいと思います。
 都税の徴収率については、リーマンショックの影響から回復した後、高い水準で推移をしてきました。しかし、決算資料によりますと、令和二年度は九八・三%であり、前年度の九九・一%に対して〇・八ポイントの低下となっています。
 徴収率が前年度よりも低下した要因について、どのように分析をされているのか伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい徴税環境となり、滞納繰越額は百五十七億円と前年度比で二十一億円の増加となりました。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた納税者に配慮し、一時的に納税を猶予する徴収猶予の適用を拡大するなどの対応を行ったことが徴収率の低下に影響しているものと分析しております。
 徴収猶予制度につきましては、年度内に納税されなかった場合に当該年度の収入となりませんことから、徴収率を低減させる要因となっております。

○やまだ委員 徴収率の低下の要因の一つに滞納の増加がある。二十一億円の増加ということで、大きな要因であったことを理解します。営業自粛のご協力いただいている中小飲食店を中心に厳しい経営状況が続いており、資金繰りがつかずに滞納に陥る方が増えているとも思います。
 一方、感染拡大防止のために、都税事務所の行動にも制約が多かったと思います。このような中、増加する滞納にどのように対応されてきたのかを伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 徴収部門では、全庁的な新型コロナウイルス感染症対策業務への応援業務との両立を図りつつ、捜索など一部の通常業務を縮小し、必要な滞納整理を進めてまいりました。
 納税者対応に当たりましては、感染防止策を講じながらも、納税者の置かれた状況をきめ細かく把握した上で、計画的な納税に向けた助言など必要な説明を丁寧に行い、滞納事案の累積を可能な限り抑制してきたところでございます。

○やまだ委員 これまでの滞納整理、滞納の徴収について、コロナ禍の感染防止と滞納整理の両立をしていく、そのご苦労が今のご答弁でも理解ができました。こういった感染防止を図りつつも、しっかりとした滞納整理の作業を引き続き進めていただき、納税者の状況をしっかりと見極めて、対応を求めたいと思います。
 また、こういった感染症の拡大、感染症を背景とした滞納整理、徴収の対応についても、今後、様々な対応策についての研修や研究が必要だと思っておりますので、そういった点もぜひご検討いただきたいと思います。
 次に、徴収猶予について伺いたいと思います。
 決算資料によりますと、収入未済額のうち、徴収猶予に係る額は約四百九十八億円となっています。前年度の同資料では約十七億円であり、大きく増加しています。この増加は、新型コロナウイルス感染症の影響によるものではないかと思います。
 国は、昨年四月、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい経営状況に置かれた方々を支援するため、緊急経済対策における税制上の措置として徴収猶予の特例制度を設け、都においても活用されてきたと聞いています。
 新型コロナウイルス感染症の影響による徴収猶予の適用件数について伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 都では、ただいま委員からお話のありました徴収猶予の特例制度と併せまして、従来からある地方税法第十五条第一項に基づく徴収猶予も柔軟に活用し、コロナ禍の下で適切な対応に努めてまいりました。
 両制度を合わせた令和二年度の新型コロナ感染症の影響による徴収猶予の適用件数は一万七千九百三十三件でございます。

○やまだ委員 両制度合わせた適用件数が一万七千九百三十三件、飲食業をはじめとした幅広い業種が急激に深刻な打撃を受けている中、徴収猶予は、当座の資金繰りの面で大きな助けになったと思います。
 我が党でも、感染症から都民の命と暮らしを守るための様々な策を講じているところであります。都民や事業者が滞納に陥る前に適切に制度を利用していただくためには、利用しやすい制度であるとともに、必要な方に的確に情報が届くことが重要だと思います。
 徴収猶予の特例制度と併せて、従来からある徴収猶予も柔軟に活用してきたことだと思いますが、この徴収猶予制度の具体的な内容と都民への周知の方法について伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 徴収猶予の特例制度は、令和二年二月一日から令和三年二月一日までに納期限を迎える都税を対象に、事業等に係る収入が前年同期に比べておおむね二〇%以上減少して納税が困難となった納税者につきまして、申請により一年間納税を猶予できる制度でございまして、その間の延滞金は全額免除、担保の提供は不要の取扱いとなっております。
 徴収猶予の特例制度は、本年二月で終了したところでございますが、都内の感染状況や経済情勢が依然厳しい状態であったことを踏まえまして、都では、地方税法第十五条第一項による徴収猶予を特例制度と同等の条件で引き続き適用するなど柔軟に活用し、納税者へのきめ細かい対応に努めております。
 制度の運用に当たりましては、必要とする方へ的確に情報が届くよう、納税通知書等の送付物にご案内を同封するとともに、ホームページやSNS、「広報東京都」等により周知を図り、広く活用を呼びかけております。

○やまだ委員 コロナ禍に苦しむ都民や事業者に対し、新しい制度に加えて既存の制度を柔軟に活用して、きめ細かく対応していることについては評価したいと思います。また、この制度の広報については、ホームページやSNS、「広報東京都」等による周知を行われてきたと伺います。
 一方で、事業者の方々が、個別な対応、相談が−−十分にこの制度を理解し、活用いただけるような対応も、広報に加えて相談窓口等を設置するなど、きめ細かなさらなる対応が必要であったかなというふうに感じているところでもあります。
 都内の感染状況は、今のところ小康状態ではありますが、冬に向けての第六波の可能性も懸念されています。経済への影響は長期化しており、特に中小飲食店業を中心に深刻な打撃を受け、来年度はどのようになっていくのか不安を持っている方々も多いです。
 今後も、納税者へのきめ細かな対応を引き続きお願いを申し上げまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○成清委員 私からは、まず、税務行政のデジタル化について伺います。
 これまで我が会派は、税務行政のデジタル化の推進については、行政の視点だけでなく、利用者の利便性を第一に考えることを求めてきました。主税局では、納税者の視点に立ったサービス向上ときめ細かな対応として、これまでクレジットカード納税やウェブ口座振替申込みの導入、最近ではスマートフォン決済アプリ収納などのキャッシュレス納税の促進やAIチャットボットサービスなど、都庁のデジタルシフトに向けて先駆的に取り組んでおります。
 昨年四月に導入した二十四時間三百六十五日の税務相談を可能とするAIチャットボットサービスでは、質問に対して解決した回答を表示した割合が六割を超えていると聞いております。
 そこで、AIチャットボットサービスの昨年度の利用実績及び今年度の利用実績、そしてチャットボットでの質問傾向についてお伺いします。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の利用実績は三万七千件、令和三年度は九月末時点で二万二千件でございまして、前年同期と比較して、おおむね一〇%の増加となっております。
 質問の傾向といたしましては、五月は自動車税種別割、六月は固定資産税、都市計画税など、各税目で納期が到来するものが多く、年間を通じては、納税証明や固定資産の評価証明などの各種証明書取得に関するものが多くなってございます。

○成清委員 利用件数が導入以来順調に伸びていること、そして質問の傾向から、都民の税務への問合せツールとして機能していることを理解いたしました。
 今後は、利用者の視点として使いやすさがより重要であり、サービスの質の向上が求められます。チャットボットに寄せられる様々な相談について、的確な回答ができるかが重要であります。
 そこで、今後の回答精度向上に向けた取組についてお伺いします。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 AIチャットボットサービスは、ICTによる社会変革を進める機運が高まる中で、税務行政においてもこうした技術を活用し、より質の高い納税者サービスの実現を目指すものであり、本サービスの安定稼働と利便性を高めることは重要でございます。
 今後も、問合せデータを継続的に分析し、よくある質問と回答、いわゆるFAQの修正、追加などにより回答精度を高め、納税者の方々により使いやすいサービスとなるよう努めてまいります。

○成清委員 住民サービスの向上を目指したAIチャットボットサービスの活用において、利用者の視点に積極的に取り組んでいくということを確認いたしました。引き続き、最先端の技術を有効に活用し、都政のクオリティー・オブ・サービスの向上に努めていくことを求めておきます。
 次に、スマートフォン決済アプリ収納について伺います。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、行政のデジタル化の遅れを浮き彫りにし、税務行政においてもデジタル化を加速させる必要性に迫られました。
 そのような中で、都は、いち早くスマートフォン決済アプリ収納を導入し、金融機関等の窓口に出向くことなく非対面、非接触で安全に納税できる環境を整えました。
 また、スマートフォン決済アプリ収納は、いつでもどこでも手軽に納税できることから、納税者の利便性が向上するなど有益な納税手段となっております。
 都が令和二年度にスマートフォン決済アプリ収納を導入した意義は大きいと考えます。スマートフォン決済アプリ収納の令和二年度の利用実績をお伺いします。

○菊澤徴収部長 都は、納税者の利便性の向上を図るなどの目的から、令和二年六月にペイペイ及びLINEペイの二アプリを導入いたしました。令和二年度の利用実績は、金額で約七十一億円、件数で約二十二万件、全収納件数に占める割合は約一・二%となっております。
 スマートフォン決済アプリ収納は、非対面、非接触で納税できるメリットがあり、新型コロナウイルス感染症対策にもつながるほか、利用された納税者の方々からも、金融機関等の窓口に行く必要がなくなり、便利になったとの声が寄せられております。

○成清委員 納税者から便利になったとの声が寄せられているなど、スマートフォン決済アプリ収納の導入に効果があったことについて理解いたしました。
 しかし、令和二年度は約二十二万件の利用があったとのことですが、全収納件数に占める割合は約一・二%であり、さらなる利用拡大の余地があります。また、新型コロナウイルス感染症も完全に終息したわけではなく、窓口での納税に引き続き不安を覚える納税者もいると思われます。
 スマートフォン決済アプリ収納の利用の拡大に向け、決済手段の充実や周知など、今後の取組について伺います。

○菊澤徴収部長 スマートフォン決済アプリ収納は、納税者の利便性の向上はもとより、着実な税収の確保にもつながるものでございまして、その利用を拡大していくことは重要でございます。
 そのため、都は、今年五月にペイペイ及びLINEペイに加えまして、新たにauペイ、d払いなど五アプリを追加し、現在七アプリを追加できるようにしたところでございます。
 また、さらなる利用の拡大には、決済手段の充実とともに納税者への周知が重要でございまして、ユーチューブなどの様々な媒体を用いてその利便性をPRするなど、利用の拡大に向けた取組を積極的に行ってまいります。

○成清委員 広報をしていくとのことなので、ぜひお願いしたいと思います。
 こうした取組を通じて、キャッシュレス納税の推進をさらに加速させることは重要であり、納税者がより便利で安心して納税できる環境づくりにつながります。今後とも、納税者の利便性の向上に取り組んでいただくようお願いいたします。
 ここまでは、現在の主税局のデジタル化について伺ってきましたが、今後のさらなるデジタルトランスフォーメーションに向けた取組について伺います。
 都民ファーストの会では、都税実務の中核を担う次期税務基幹システムの構築について注視してきたところです。令和二年度決算においては、再構築に必要なシステム要件を定義するため、支援委託経費約十六億円を執行しております。
 都が扱うような大規模なシステムにおいては、一度開発に着手すると手戻りが難しく、要件定義とそれに基づく仕様書の出来のよしあしがそのまま再構築の成否につながるといっても過言ではないと考えております。また、要件次第で、一部のシステムベンダーに受注が限られてしまわないかという懸念もございます。
 そこで、次期税務基幹システムの構築に向けた要件定義の現在の取組状況について伺います。

○原島調整担当部長 税務基幹システムの再構築は、令和元年度に策定した主税局ビジョン二〇三〇が示す税務事務のデジタル化を令和八年度に実現することを目指し、システム化する性能や機能を定める要件定義の検討作業を行っているところでございます。
 要件定義の作成に当たりましては、開発中に手戻りを発生させず、今後の技術革新などに対応できるよう考慮し、大規模システム開発に関する最新情報を保有している支援事業者やITコンサルタント企業からのアドバイスやチェックを受けるなど、慎重かつ先を見据えた取組を進めているところでございます。
 また、併せてデジタルサービス局からのセカンドオピニオンを随時受けるなど、特定の事業者しか対応できない、いわゆるベンダーロックインが回避できるよう、適切なシステム開発に努めているところでございます。
 このような取組を令和二年度から三年度にかけて鋭意行っており、今後、年度末までに要件定義を基にした調達仕様書を完成させる予定でございます。

○成清委員 令和二年度から始めた要件定義を足かけ二年、慎重、丁寧につくり上げていることが分かりました。
 答弁にもございましたが、主税局ビジョン二〇三〇は、この夏に更新版が出され、主税局が目指すデジタルトランスフォーメーションの姿がより具体化されました。ビフォー、アフターで納税者の利便性をイラストで可視化するなど、工夫をしていただいております。
 その中でも、納税者へのQOS向上の取組の一つとしている他の行政機関とのバックオフィス連携については、今年七月に都が策定した東京デジタルファースト推進計画においても言及されております。ワンスオンリー、ワンストップを推進する上でも、極めて重要な取組です。
 一つの行政手続を行うために、複数の役所を回って紙の添付書類を用意しなければならないなど、不便なことがまだ多く見られております。今後、次期税務基幹システムを構築するに当たっては、都の内部組織だけではなく、国や他の地方公共団体とも行政データを相互にやり取りするバックオフィス連携を前提にしたシステムデザインにする必要があると考えます。
 そこで、次期税務基幹システム構築時において、ワンスオンリー、ワンストップを実現する外部との情報連携の在り方について見解を伺います。

○原島調整担当部長 現行の税務基幹システムは、外部からの情報を遮断したクローズドシステムとなっておりまして、セキュリティ面での優位性はあるものの、外部との情報連携という点では必ずしも十分とはいえない状況にございます。
 一方、国では、デジタル庁を中心に税を含む地方公共団体が保有するデータの標準化や団体間の情報連携について検討を進めており、都においても、この動きを踏まえて対応することが、ワンスオンリー、ワンストップの実現に資すると考えているところでございます。
 そこで、次期システムにおきましては、外部と情報連携ができる基盤を新たに構築することで、全国共通のデータ形式に柔軟に対応するとともに、オンライン回線での情報のやり取りも可能にする設計方針で検討を進めております。
 これにより、例えば、これまで行政手続などにおいて求められていた各種証明書などの添付書類の省略が可能になることで、都税事務所への来庁回数の削減が図られるなど、納税者の利便性向上が期待できるものと考えております。
 なお、セキュリティに関しましては、都のセキュリティ関連の規定のほか、国が昨年十二月に改定いたしました地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインに準拠した対応を取ることで、安全なシステムになるよう考慮しております。
 今後も、国の動向等を注視しながら、より便利で安全な情報連携が実現できるよう、適宜必要な対応を行ってまいります。

○成清委員 行政のデジタルトランスフォーメーションを推進し、デジタル社会を実現するためには、ICTの進展や国の動きなどに素早く対応できるよう広くアンテナを張り、しっかりとした備えをすることが重要です。こうしたことを念頭に置いて、これからのシステム開発に取り組むようお願いいたします。
 次に、コロナ禍における主税局の対応について伺います。
 新型コロナウイルスは、新規の感染者数は減少しているものの、依然として終息には至っておりません。この間、都においては、医療体制の整備、ワクチン接種などの施策を進める一方で、事業者に対しては、飲食店等の営業自粛、大規模イベントの開催自粛、テレワークの実施などを要請してまいりました。感染拡大を防ぐためには、テレワークは極めて有効な手段と考えられており、都職員自らもテレワークを積極的に実施すべきと考えます。
 そこで、コロナ禍において主税局では、都税事務所も含め、どのようにテレワークを推進してきたのか伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年四月以降、主税局では、全庁的な方針を受け、新型コロナウイルス感染症対策といたしまして、各職場の状況に応じたテレワークの推進に継続的に取り組んでおります。
 本庁職場におきましては、感染症対策に従事する職員などを除く全職員をテレワークの対象とし、原則として毎日実施するなど、感染状況を踏まえた総務局からの通知に基づいて行っております。
 一方、都税事務所におきましては、窓口業務など都民サービスに従事していること、また、業務に必要となる税務情報は庁舎外への持ち出しができないことなど、テレワークの実施には一定の制約があるため、総務部門など可能な範囲で実施することとしております。

○成清委員 今後重要なことは、導入が進んだテレワークを一過性のものとして終わらせることなく、新しい日常として定着させることであります。今後、納税者が来庁することなく手続ができるようになれば、都税事務所の職員もテレワークが可能になると考えられるので、ぜひそのような視点からも検討をお願いいたします。
 さて、主税局では、テレワークを推進する一方で、他の局が行っている様々なコロナ対策に対して多くの職員が応援に当たったと聞いております。感染拡大の防止は、都の最重要課題の一つとして、都庁全体で総力を挙げて取り組む必要がありますが、主税局は唯一の歳入所管局であり、コロナ対策をはじめとする財源を着実に確保する責任も果たさなければなりません。
 コロナウイルスの感染症対策に係る応援業務について、主税局ではどのような体制で取り組んだのか、また応援規模はどの程度だったのか伺います。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局では、都政の特別体制の下、これまでの一時宿泊療養施設の運営、営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金の支給事務など、様々な応援業務に対応しております。
 応援に当たりましては、業務の優先度を踏まえた主税局事業継続計画、BCPに基づきまして、各税目に係る調査事務、滞納整理事務などを休止業務、縮小業務に位置づけ、これらの業務に従事する職員が中心となって対応に当たってきたところでございます。
 なお、令和二年度における応援職員数は、ピーク時で一日当たり三百人程度となっております。

○成清委員 これまでの答弁で、主税局では、職員の皆さんが感染防止に努めながら、他局への業務応援を通じ感染症対策に取り組んでいることが分かりました。
 第六波の可能性も指摘される中、引き続き、主税局が税収確保と応援業務の両面から都政に貢献することを期待して、質問を終わります。

○北口委員 私からは、施設整備に関連して、都税事務所の改築についてお伺いをさせていただきます。
 都税事務所は、都民が行政サービスを受けることができる身近な施設であり、税に関する窓口として重要な機能を果たしております。令和二年度の都税事務所等整備費の決算額は総額約二十四億七千六百万円であり、主なものでは、中央都税事務所と渋谷都税事務所の改築工事に係る経費が計上されております。
 施設の改築は順次進んでいるものの、高度経済成長期に集中的に整備された施設が多く、老朽化への対応が課題となっており、都税事務所の維持更新を着実に進めていく必要があると考えております。
 そこでまず、都税事務所等の改築について基本的な考え方をお伺いいたします。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局が所管する都税事務所等の庁舎は、昭和三十年代後半から昭和四十年代に建築された建物が多く、施設設備の老朽化が進んでおります。
 主税局では、第二次主要施設十か年維持更新計画に基づき、おおむね築三十五年以上経過し、延べ床面積三千平方メートル以上の庁舎について順次改築を行っているところでございます。
 改築に当たりましては、都民サービスの維持向上を基本軸に据え、安全・安心の確保、環境負荷の低減、将来コストの縮減、利便性の確保、都有財産の効率的かつ効果的な活用といった観点に十分配慮しながら進めてまいります。

○北口委員 今後も、財務局をはじめとした庁内関係部署と連携を密に取り、都民の利便性向上に資する都税事務所の整備を進めていってほしいと思っております。
 建築年次の古い庁舎については、施設整備を計画的に進めることが質の高い都民サービスの提供につながっていくと考えております。私の地元である葛飾区では、都税事務所は区役所と共に総合庁舎内にあり、区民にとって利便性の高い施設となっております。
 しかし、一方で、総合庁舎は老朽化が進んでおり、現在、総合庁舎整備事業として、立石駅北口地区の市街地再開発事業が進められております。
 令和二年度も検討が進められていたと思いますが、葛飾区総合庁舎にある葛飾都税事務所の改築計画についてお伺いをいたします。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都税事務所がございます葛飾区総合庁舎につきましては、築五十九年を経過し、老朽化が進んでございます。事務所部分は都の第二次主要施設十か年維持更新計画の中で、維持更新が必要な施設とされております。
 お話の葛飾区役所については、京成押上線京成立石駅前に立石駅北口地区第一種市街地再開発事業により建築される再開発ビルへ移転する予定であり、葛飾区からも、都民の利便性の観点などから移転を打診されているところでございます。
 主税局といたしましても、京成立石駅からのアクセスのよさに加え、現状と同様に区役所と一体となったサービスの提供が可能となることなどから、候補地として検討しているところでございます。

○北口委員 葛飾区において、都税事務所と区役所が一体となってサービスを提供している現在の状況は、区民にとって分かりやすく、利便性の高いものであります。都税事務所が区の窓口をはじめ区民サービスに役立つ施設に一緒に入れば、地域住民の利便性はますます向上することから、期待をする区民も多いと。また、総合庁舎は、バリアフリーや防災機能を十分に備えていると聞いております。新たな総合庁舎への、都税事務所が同時移転することを大いに期待をしております。
 次に、耐震化を促進するための税制についてお伺いをいたします。
 災害に強いまちづくりを進めていくためには、都民サービスの拠点となる都税事務所の改築等の取組に加え、税制面から住宅の耐震化を後押ししていくことも主税局における重要な役割であると考えております。都では、住宅の耐震化促進のための独自の税制措置を創設し、これまで活用してきたと聞いております。
 そこで、耐震化促進税制について、制度の概要と令和二年度の実績についてお伺いをいたします。

○辻谷資産税部長 耐震化促進税制は、災害に強い東京の実現を税制面から支援するため、平成二十年度に都独自に創設したものでございます。
 その概要を申し上げますと、二十三区内において、昭和五十七年一月一日以前から所在する住宅の建て替えまたは耐震改修を行った場合に、固定資産税及び都市計画税について、建て替えは三年度分全額、耐震改修は原則として一年度分に限り、床面積百二十平方メートル相当分まで全額減免するものでございます。
 令和二年度の実績でございますが、住宅の建て替えが九千七百八十九件、約十三億八千万円の減免、住宅の耐震改修が千三百七十四件、約四千百万円の減免となっています。

○北口委員 都における住宅の耐震化率の推移を見ますと、平成十七年度末時点では七六・三%でありましたが、平成二十六年度末時点では八七・五%、令和元年度末時点では九二・〇%と着実に向上してきており、耐震化促進税制は、住宅の耐震化の促進に一定の役割を果たしてきたといえると。
 首都直下型地震がいつ発生してもおかしくない状況において、住宅の耐震化は喫緊の課題であると考えております。地震による住宅の倒壊を防ぐことは、都民の生命や財産を守るだけでなく、都市の防災力の向上にもつながるものであります。
 本年三月に改定された東京都耐震改修促進計画では、令和七年度末までに耐震性の不足する住宅をおおむね解消するという目標を掲げております。この目標の達成に向けては、耐震診断や耐震改修に対する助成などの支援に加え、引き続き耐震化促進税制による支援が必要と考えますが、本制度は適用期限が今年度末までと聞いております。
 そこで、耐震化促進税制について、令和四年度以降も延長すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○丹羽税制部長 耐震化促進税制は、早期の建て替えまたは耐震改修を促すため、令和三年度末までと期間を限って実施しております。
 政策税制の延長につきましては、適用実績や効果のほか、施策目標の達成状況、社会経済の動向などを勘案し、財政的な影響も鑑みた上で判断すべきものと認識しております。耐震化促進税制の来年度以降の取扱いにつきましては、国の税制改正の動向なども踏まえて検討してまいります。

○北口委員 政策税制については、様々な観点からの検討が必要であることは理解しておりますが、耐震化促進税制が果たす役割を踏まえ、来年度以降も継続されることを要望して、質問を終わります。以上でございます。ありがとうございます。

○原委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
 長引くコロナ禍の中で、都民の暮らしや営業は厳しさを増しています。本当に大変になってくるのはこれからだとも指摘をされています。そういう中で、徴収猶予の制度は非常に重要だというふうに思っています。
 コロナの影響により納税が困難になった方に対して、国の徴収猶予の特例制度もありましたが、二月までで終了し、その後、都として継続しているということは、大変必要で、また大事だと思っています。改めて、この内容については広く周知をしていただいて、必要な方が利用できるようにしていただきたいということを、まず最初に要望しておきたいと思うんです。
 これ、ずっと継続をされてきているんですけれども、意外と知られていないなということを感じたときもありまして、例えばその内容も、延滞金がかからないというのはもちろんなんですけれども、収入がおおむね二〇%以上減少した場合、あるいは災害により財産に相当な損失が生じた場合というのも−−この災害というのを、どういうことを指すかということが分からなかったという方もいらして、ホームページ等ではきちんと紹介をされていて、コロナの患者さんが発生した施設で消毒作業が行われたり、そういうときに備品などを廃棄した場合、対象になるんだということを紹介されていて、非常にこういうことも重要だと思いました。
 また、ご本人またはご家族が病気にかかって、大変な、入院等で費用を要した場合、こういう場合も対象になるということや、当然ですけど事業を廃止したり、または休止した場合と、こういう内容を今も周知していただいているんですが、さらに問合せ等があったときには、ぜひ対応していただきたい、広く知らせていただきたいということを、最初に要望しておきたいと思います。
 それで、そういう中で昨年度、徴収猶予の実績、コロナ関係での実績はどうなっているかということを伺う予定でしたけれども、先ほど、ほかの委員の質問の中でお答えがありましたので、重複は避けたいと思います。
 その中で、昨年度のコロナの影響による徴収猶予の適用件数は一万七千九百三十三件だというお話がありました。かなりの方が適用されているということが分かりました。
 そういう中で伺いたいのは、まず最初に伺いたいのは、このコロナの影響で納税困難になった納税者からの相談はどのぐらい寄せられているものなんでしょうか。お願いいたします。

○菊澤徴収部長 新型コロナウイルス感染症により納税が困難になった納税者からのご相談についてでございますが、各税目の納期限近くになりますと多くの納税相談が寄せられまして、それぞれ丁寧な対応に努めているところでございますが、特に相談件数の集計等は行っておりません。

○原委員 分かりました。それぞれ丁寧に対応しているけれども、相談件数は、集計は特にしていないということでした。
 私は、今後の問題としては、相談件数全体をぜひ把握をしていただきたいというふうに思っています。これは要望したいと思うんです。というのも、例えば多摩地域は、八王子都税事務所と立川都税事務所の二か所になります。八王子の方では九市三町一村が対象になっていて、立川で十七市ということで、二十三区のように一区に一つずつあるという条件とはやっぱり違うんですよね。
 だから、そういう中でどのぐらいの相談があって、また、地域ごとにも件数や状況も違うと思いますので、これはぜひ把握をしていただきたい、相談件数全体も把握をしていただきたいということをお願いしたいと思うんです。相談に直接行く場合にも、多摩地域はかなり遠い地域もありますので、そういうことを考えていく上でも、ぜひお願いをしたいと思います。
 そして、もう一点伺いたいのは、徴収猶予の制度適用になった方が一年間の期間が終了するときに、納税者一人一人への丁寧な対応が必要になってくるというふうに思います。現時点でどのように行っているのか伺います。

○菊澤徴収部長 徴収猶予期間の終了が近づいた納税者に対しての対応でございますが、その期間終了の近づいている旨を文書等でお知らせして、期日までの納税を促しております。
 また、納税者から相談があった場合には、個々の納税者の経済状況等に応じた適切な対応に努めているところでございます。

○原委員 分かりました。本当に今、生活困窮している方も大変増えている中で、例えば失業などで生活困窮に陥っているような、そういう方に対してはどのような対応をされていますか。

○菊澤徴収部長 まず、滞納処分をすることによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがある場合などには、地方税法等で定める換価の猶予や滞納処分の執行停止といった徴収緩和措置を適用するなど、納税者の実情に即したきめの細かい対応を行っているところでございます。
 また、納税相談の際に、滞納者が生活困窮者であると判断される場合は、区市町村に設置されている自立相談支援機関などの相談窓口を案内するなどの対応を取るように努めているところでございます。

○原委員 とても大事なご答弁だというふうに思います。一人一人の実情に応じてきめ細かく対応し、また、連携も取っていただいて対応していただくということで、今やっていらっしゃるということです。
 納税猶予を一年間してきて、これからじゃあそれを返していくという段階で、本当に、もっと苦しくなっている方もいらっしゃるので、ぜひきめ細かな対応をお願いしたいですし、執行停止も含めて対応していくということでは、引き続きお願いをしたいというふうに思います。
 以上で質問を終わります。

○竹井委員 お願いします。
 それでは、何点か質問させていただきます。まず、スマートフォン決済アプリ収納について伺います。
 令和二年度の利用実績と最近の利用状況についてお伺いをいたします。

○菊澤徴収部長 スマートフォン決済アプリの令和二年度の利用実績は、金額で約七十一億円、件数で約二十二万件となっております。
 令和三年五月に利用できるアプリを追加したことなどもございまして、最近の令和三年四月から九月までの利用実績は、金額で約百六十六億円、件数で五十二万件と好調に推移しているところでございます。
 納税者が自宅に居ながら二十四時間手軽に納税することが可能な本サービスは、納税者の利便性の向上や納期内納税の推進などにも寄与するものでございまして、今後も積極的なPR等に努めるなどして、利用拡大を推進してまいります。

○竹井委員 既に今年度、令和三年度について、半期で利用実績が二年度に比べて倍増しているということも分かりました。五月にアプリの方が追加されまして、自動車税が対応できたということも大きいということを伺っています。外出することなく納税できるという利点も大きいと思いますし、コロナ禍において、一般的に利用率が上がったと思われるアプリが使われている、なじみやすいということ、ポイント付与があるなどのメリットも相まって、有効な手段だというふうに考えております。
 納税方法の選択肢が広がることで、納期内の納税が進みましたらば、これはデータとしては取りづらいとは思うんですけれども、滞納抑制にもつながるのではないかなというふうに考えます。
 都としましては、自動車税種別割、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、個人事業税などに使えるようですけれども、各自治体の導入状況を見てみますと、納税できる税種が限られていたり、そもそも導入をしていなかったりなど、状況が様々のように思います。今後は、国などのリーダーシップで、都内各自治体で導入が進むことを期待したいというふうに思います。
 続きまして、令和二年度のコロナ関係での徴収猶予の実績について伺いたいと思います。先ほどから、ほかの委員からもご質問がありますけれども、重ならないところで質問したいと思います。

○菊澤徴収部長 都では、昨年四月に設けられた新型コロナウイルス感染症に係る徴収猶予特例制度と従来からある地方税法十五条一項に基づく徴収猶予について、柔軟に活用してきたところでございます。
 両制度を合わせた令和二年度新型コロナウイルス感染症の影響による適用件数は一万七千九百三十三件でございます。

○竹井委員 コロナの影響で適用件数が大幅に増えているということを理解いたしました。
 これは、従来から徴収猶予の制度もあるということでありましたので、単純に何%の増ということはいえないというふうには思うんですけれども、一万七千九百三十三件ということで、それまでに比べればもう格段に増えているということかと思います。
 徴収猶予の期間が終了する際になお納税が困難な納税者はたくさんおられるというふうに思うのですけれども、そういった納税者の方に対しましては、どういった対応をされるのかについて伺いたいと思います。

○菊澤徴収部長 徴収猶予の期間が終了する際には、納税者の資力の回復状況を確認させていただきました上で、引き続き納税困難と認められる場合には、徴収猶予の延長制度などについてご案内しております。
 一方、一時的な措置でございます徴収猶予により、後年度の納税者の負担が過大にならないよう猶予期間中の計画的な納税について助言するなど、丁寧な対応に努めているところでございます。

○竹井委員 ありがとうございます。
 猶予から一年たった方は、納税お願いのときに、払えない方について相談の窓口等を促していらっしゃるのかなと思います。先ほどのご答弁では、福祉の方にもつながっているようなこともお伺いしましたので、非常に重要な取組だというふうにも思います。ホームページでも徴収猶予の説明がありまして、今、チャットボットでも問合せすることができるのかなと理解しています。
 ただ、猶予の種類の説明については、非常にやっぱり税の説明そのものが、ちょっとじっくり読んでも分かりづらいものなので、徴収猶予のことを考えておられる方、念頭に置いておられる方については、結局、いつまで猶予してもらえるのかとか、その後どうやって支払うのかという部分が一番知りたいというところだと思いますので、ぜひ相談窓口を案内していただいて、そこで分かりやすく、また、不安を取り除くような情報発信をぜひお願いしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それから、続きましては、ふるさと納税について伺いたいと思います。
 東京都と都内区市町村におきまして、令和二年度分の個人都民税におけますふるさと納税の影響額について伺いたいと思います。

○丹羽税制部長 令和二年度分の個人都民税におけるふるさと納税の影響額は、総務省の調査によりますと、東京都が約三百四十四億円の減、都内区市町村は約五百十六億円の減、合わせて約八百五十九億円の減となっております。

○竹井委員 令和二年度におきましては、コロナ禍による外出自粛、ステイホームをされていたということで、新たにふるさと納税を始めた方も多かったのではないかなというふうに思います。この差異、受入額が四十六億円ということですので、これ、単純計算はできないかもしれませんけれども、八百十二億円の赤字になっているということです。
 私の地元小平市においても、五百七十万円の受入れがあったんですけれども、控除額においては四億四千万円でした。そして、令和三年度は、さらに全体的に減額が増える見込みだということで、小平市等も年間の予算額から捉えても深刻な影響があるというふうに考えます。
 ふるさと納税については、抜本的に見直すべきではないかなと考えるのですけれども、都の見解を伺います。

○丹羽税制部長 ふるさと納税は、個人がふるさとやお世話になった地方自治体を応援する仕組みとして創設された制度でございますが、より多くの寄附金を集めるための返礼品競争が続いており、寄附本来の趣旨を促す制度となっていないものと受け止めております。
 また、居住地ではない地方自治体への寄附により、自らが居住する地方自治体の住民税から控除を受ける仕組みとなっているため、受益と負担という地方税の原則に照らしても適当ではないと考えております。
 加えて、所得に応じて控除額の上限も高くなる仕組みとなっているため、返礼品と相まって、高所得者ほどふるさと納税を事実上の節税対策として活用することが可能であり、公平性の観点からも問題があると考えております。
 こうしたことから、都は、ふるさと納税について、寄附本来の趣旨等を踏まえた見直しを行うよう国に要求しているほか、令和元年六月に導入されたふるさと納税の対象となる自治体を指定する制度にも、当初から申出を行っておりません。
 今後も、引き続きふるさと納税制度の見直しにつきまして国に要求してまいります。

○竹井委員 まさにおっしゃるとおりかなというふうに思います。ぜひ住民サービスを受けた自治体に税金を払うという大原則に基づいた運用をお願いしたいと思いますし、また、コロナ禍においては、どこが独り勝ちとかではなくて、全国どの自治体もやはり被った打撃、影響は大きいというふうに思っておりますので、今後も引き続き国に対しての要望をお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○藤井委員 私からは、主に、主税局で利用しておりますシステムやソフトウエア資産、これについての確認と、ベンダーロックインという観点から質疑をさせていただきます。
 主税局が情報処理システムとして財務諸表に資産計上しているソフトウエアの内容、またそれ以外の計上されていないシステムについてお伺いいたします。

○川上総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都における財務諸表の取扱いは、東京都会計基準に定められておりますが、無形資産であるソフトウエアにつきましては、平成二十九年度の改正により、発生主義の考え方が適用されるとともに、開発総経費が一億円以上などの要件に該当するソフトウエアに係る費用は、利用する年度に計上するよう会計処理が変更されております。
 主税局におきましては、令和二年度の財務諸表にソフトウエアとして資産計上しているシステムは、固定資産GISのみとなっております。
 東京都会計基準改正以前に構築済みのシステムで、資産に計上されていない開発総経費が一億円以上などの要件に該当するソフトウエアといたしましては、主税局の基幹システムでございます税務総合支援システムがございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 財務諸表上、貸借対照表に資産として計上されているのが固定資産GISというもの、そしてそこには載っていないものとして、税務総合支援システム、いわゆるTACSSと呼ばれているものですが、それがあるということが確認ができました。
 まずは、資産計上されている固定資産GISについてお伺いをさせていただきます。
 この固定資産GIS、どのようなものか、その概要、初期の構築費用、ベンダーや運用先企業、入札の参加状況についてお伺いいたします。

○辻谷資産税部長 固定資産GISとは、固定資産課税台帳の情報にデジタル化された地図データを重ね合わせて表示し、土地の評価計算やその検証に利用する地理情報システムのことでございます。
 土地評価業務は、これまで紙図面に基づいて行ってきましたが、固定資産GISの導入により、土地に関する情報がシステム上で一元化され、評価計算も自動的に行われるようになるため、事務が効率化され、精緻な評価を行うことができるようになります。
 固定資産GISの構築は、平成二十九年度から令和三年度にかけて行っていくこととしておりまして、初期の構築費用は約十八億円でございます。
 開発を担当したベンダー及びシステム運用を行う運用先企業は、いずれも株式会社パスコであり、システム構築時の入札参加者数は四者でございました。

○藤井委員 ありがとうございます。
 ご答弁いただきましたように、GISは、ジオグラフィック・インフォメーション・システムの略で、地理情報システムともいわれております。ご答弁ありましたとおり、地図上に様々な情報を落とし込むことで、可視化してパターンの傾向をつかむであったりとか、様々な分析ができるということで、あとほかの自治体でもかなり利用が進んでいるかと思いますので、こちら、ぜひご利用いただきたいと思います。まさに今開発中のものであるということが、ご答弁の中で確認ができたかと思います。
 続きまして、税務総合支援システム、TACSSについてお伺いをさせていただきます。
 我が会派、先ほど成清委員の質疑でもございましたが、二〇一七年十二月の予算要求の中でも、新しい技術の進展等を踏まえて、利便性を向上させ、都民へ提供する価値を最大化する次期システムを準備する予算措置を毎年要望させていただきまして、その後、調査が行われて、昨年度の、この決算の対象となっている再構築に関わる要件定義の予算計上がされているというわけであります。
 改めて、このTACSS、これがどういったものなのか、その概要と初期の構築費用とそのベンダー、運用企業についてお伺いをいたします。

○原島調整担当部長 税務総合支援システム、TACSSは、前身の税務情報総合オンラインシステムに代わり、平成十七年七月から全面稼働しております。
 TACSSでは、都として扱う全ての税目につきまして、課税から納税、滞納整理までの業務管理、さらには電子申告や電子納税などのデータ受入れ、納税通知書の印刷のためのデータ出力を行っております。
 主な特徴としましては、オンラインのリアルタイム処理を主体としたことで、旧システムではできなかった証明書の即時発行などが可能となっております。
 システム構成は、サーバー等が置かれている電算センタと都税事務所の各端末であり、専用の通信回線で結んでおります。
 TACSSの構築に要した費用でございますけれども、約百六十八億円であり、ベンダーは株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、株式会社日立ソフトエンジニアリング等でございます。
 また、TACSS運用に関する主な運用先企業といたしましては、システムの運用については株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、プログラムの維持管理につきましては株式会社日立製作所でございます。

○藤井委員 平成十七年七月から全面稼働していて、その初期の構築費用というのは百六十八億円かかっているということ、そして、そのシステムの運用についてはエヌ・ティ・ティ・データ、そして日立製作所が行っているということを確認させていただきました。
 このシステムに関しましては、初期費用に加えて年間の運用費用というものもかかります。税務総合支援システム、TACSSの令和二年度の運用費用、いわゆるランニングコストと、都庁側とベンダー企業側の運用体制についてお伺いいたします。

○原島調整担当部長 令和二年度決算の実績額で申し上げますと、運用関係経費やプログラムの維持管理経費等を合わせて約六十四億でございます。
 また、運用体制につきましては、主税局では、税制部システム管理課が税務総合支援システム、いわゆるTACSS全体の管理、運用、システムの改善等について総括をしているところでございます。
 また、システムの運用やシステム内のプログラムの維持管理などにつきましては、それぞれのシステム事業者に業務委託しておりまして、日々、委託先と連携しながら、税務事務を支える税務基幹システムの安定運用に努めているところでございます。

○藤井委員 毎年の税制改正等で改修が入ることもあると聞いておりまして、とはいえ年間六十四億円もの経費がかかっているということであります。初期の費用も結構大きい金額ですし、年間の運用費用というのもかなり大きいなと感じているところであります。
 昨年、二〇二〇年三月の予算特別委員会の私の質疑で、今まさに要件定義をしている次期のTACSSに関する質疑について、局長から、第三者的評価を実施する体制を構築して、必要な機能と経費の妥当性を見極めてまいりますというご答弁がございました。
 そして一方では、今年出ました国の会計検査院による平成三十年度の各省庁が行ったシステム改修の競争入札のうち、参加した業者が一つだけだった入札というのが九四%を超えているということで、非常に高い一者応札の状況、いわゆるベンダーロックインというものが懸念をされております。
 税務総合支援システム、TACSSの再構築などで、ベンダーロックインが起きないようにどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○原島調整担当部長 現行システムの再構築に伴う仕様の策定に当たりましては、専門的な知識を有する要件定義支援事業者に支援を受けることになりますが、当該事業者が特定の事業者以外は対応できない仕様書を作成することのないよう、様々な取組を行っているところでございます。
 具体的には、要件定義支援業者と都との定期打合せ会にITコンサルタント企業を参加させるなど、第三者の専門家から要件定義に関するアドバイスを受けております。
 また、要件定義支援事業者以外の複数の事業者から、業務委託、入札、調達などに必要な情報を収集し、仕様書の作成段階から適正化に向けたチェックを行っております。
 あわせて、デジタルサービス局からのセカンドオピニオンを随時受けるなど、複層的なチェック体制を講じることにより、特定の事業者以外は対応できない、いわゆるベンダーロックインを回避できるよう、適切なシステム開発を担保しているところでございます。

○藤井委員 ありがとうございます。
 これはちょっと、本当は質問をしておけばよかったんですが、確認した状況として一応述べさせていただきますと、昨年度と今年度実施をしている次期TACSSの要件定義の支援事業者、これも日立製作所であるということを確認しております。また入札、これは一者応札だったということも聞いております。
 今ご答弁いただいたような様々な方策を取って、ベンダーロックインが起きないような状況というのをつくっていただいていると確認はさせていただいておりますが、結果として一者応札になっている状況というのは、あまり適切ではないんじゃないかなと感じているところであります。
 同じ、先ほど申し上げました会計検査院の報告の中で、一者応札の場合ですと、二者以上が応札する場合と比べて落札率が上がってしまうということも報告をされております。
 引き続き、今、要件定義をしていて、これから構築をしていくということでございますので、次期のTACSSにおいて、ベンダーロックインによって余分な開発や運用のコストがかかって、都民に多くの負担がかからないように、しっかりと精査をお願いしたいと思います。
 以上で私からの質疑を終えさせていただきます。

○古城委員 この第一分科会に所属をさせていただくのも三回目となりまして、主税局の皆さんとのこうした質疑も三回目になります。
 これまでの二回は、どちらかといいますと、租税教育であるとか、また、東京都から理事級も派遣されている地方税に関わる団体の取組、そうしたことについて確認をさせていただいておりますけれども、今回につきましては、昨年度、令和二年度の都税収入、これはまさに都の歳入の根幹でありますけれども、九年ぶりに減収となった状況を踏まえまして、順次、令和二年度の東京都一般会計決算中、主税局所管分に関連をいたしまして、都税収入全般及び固定資産税に係る事務について質問をさせていただきます。
 冒頭、少し、私の見解といいますか、考えを申し上げたいというふうに思うんですが、新型コロナウイルス感染症が我が国の経済、都内経済及び国民、都民の皆様の暮らしに深刻な影響を及ぼしているということは論をまたないといえます。
 私は、世界的なコロナ禍という状況下であるからこそ、人間の安全保障に立脚をした、誰一人取り残さないとの理念を掲げる持続可能な開発目標、SDGsを進める大きな契機であるとの主張が各界から湧出していることを踏まえ、持続可能な二十一世紀型の都市には、失業や健康不安、生活苦などで孤立した人が社会に復帰できる社会的包摂や、災害に強く、災害から復興できる回復力のあるレジリエントなインフラなどが求められていることを訴えてまいりました。
 喫緊の都政の最重要課題であるコロナ禍への対応はもとより、豪雨や大規模地震等の災害への備え、人口減少や少子高齢化への対応、未来を担う全ての子供たちを社会全体で応援していく取組や、本格的な経済再生に向けて新たな成長の源泉となるデジタル化やグリーン化への投資を通じて、潜在成長力を高め、持続的成長を実現するための積極的な施策の展開など、今後の都の財政需要に対応する基盤となるのが都税収入であります。
 そこで、令和二年度における都税収入、主要税目の具体的な状況についてお尋ねをいたします。

○丹羽税制部長 令和二年度の都税収入は、前年度対比で総額約二千八百億円、五%の減収となりました。
 主要税目の増減とその要因についてでございますが、法人都民税及び法人事業税は、企業収益の悪化等から約四千三百億円の減、固定資産税、都市計画税は、新築家屋の増加や地価の上昇等から約二百億円の増、個人都民税は、雇用環境の改善や株式売買益による個人所得が増えたことから約三百億円の増、繰入地方消費税は、税率引上げや暦日要因により約一千二百億円の増となっております。

○古城委員 法人都民税及び法人事業税は減収であったわけですけれども、繰入地方消費税、個人都民税、固定資産税、都市計画税などによって、結果として都税の総額の減収額が抑えられたということであると理解をさせていただきました。
 特に、固定資産税、都市計画税は、景気変動に左右をされない、されにくい、こういうふうにいわれておるわけでありますけれども、安定的にこれまで一兆円を超える税収があり、令和二年度につきましては、固定資産税が一兆三千三十六億円、都市計画税が二千五百二十億円、計一兆五千五百五十六億円に上っており、都税収入全体の約二九・四%を占めております。
 このように、都税の基幹税として、固定資産税、都市計画税は大変に重要な税目であるといえるわけでありますけれども、そこで、特に固定資産税に係る事務について確認をさせていただきます。
 中小、小規模事業者向けの国や自治体の支援制度を知ってもらう、使ってもらう、こうしたことを目的に、昨年の四月にスタートした中小企業庁のポータルサイト、ミラサポplusにおきまして、特に閲覧数が多いのが、雇用調整助成金のコロナ禍の影響に伴う特例措置、それから中小企業の事業転換を促す事業再構築補助金であり、続けて閲覧数が多いといわれているのが、赤字でも納める必要がある固定資産税に関する救済策とのことであります。
 ここでは、新型コロナ対策の一環として、売上高が前年同期間に比べて減少した中小企業については、支払いの免除や減免などを受けることができることなどが紹介をされております。こうした例も含めまして、固定資産税への都民、事業者の皆様の関心は高く、土地も家屋も、その評価額は税額の基礎として重要な要素となっているわけでございます。
 さて、この評価額の見直しである評価替えは三年ごとに行うものであり、令和三年度がその年に該当しているとのことでありますけれども、土地については下がることもある、上がることもある、変動があるわけでございます。そのため、土地の評価額の適正な算出は、納税者にとって非常に重要な関心事項であります。
 そこで、令和二年度における土地の評価額の適正な算出のための取組についてお尋ねをいたします。

○辻谷資産税部長 令和三基準年度準備事務の最終年度に当たる令和二年度におきましては、街路に路線価を付設し、これに基づき個々の土地の評価額を算出することが主な業務でございました。
 この路線価の付設に当たっては、標準宅地の適正な時価の評定が不可欠ですが、その算出に際しては、不動産鑑定士による標準宅地の鑑定価格に加え、地価公示等の他の公的土地評価に関する情報などを活用してきたところでございます。
 また、個々の土地の評価額の算出に当たっては、国が定めた固定資産評価基準に基づき、不動産鑑定士の意見や助言を受けながら、職員が綿密な現地調査を実施して慎重に手続を進めてまいりました。

○古城委員 ただいま答弁をいただきましたけれども、主税局の職員の皆様の地道な調査に加えまして、公的土地評価の情報や専門家である不動産鑑定士の意見なども踏まえながら、適正な評価額の算出に努めておられるというふうに理解をいたしました。
 しかしながら、令和二年度は、新型コロナウイルス感染症が国内、都内においても急拡大をし、緊急事態宣言が発出されるに至っておりまして、これらが地価に対しても影響を与えたのではないかと考えられます。
 すなわち、令和三年度が三年に一度の評価替えの年に当たる固定資産税は、地価が上昇傾向にあった二〇二〇年一月一日の公示地価を基に評価額を算出するため、コロナ禍の影響でその後に下落した地価を十分に反映できない、さらには、そのまま課税した場合、コロナ禍で打撃を受けた事業者や家計にとって、税負担が過重になってしまうなどの懸念がございました。
 そこで、土地の評価額の算出に当たって、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は考慮されたのかお尋ねをいたします。

○辻谷資産税部長 固定資産評価基準によれば、令和三基準年度の価格基準日については令和二年一月一日とすることとされております。この時点では新型コロナウイルス感染症の拡大は見られなかったため、不動産鑑定士による標準宅地の鑑定評価においても、その影響は考慮されませんでした。
 一方、その後、令和二年七月一日までの間に標準宅地等の価額が下落したと認める場合には、評価額に修正を加えることができるともされていることから、新型コロナウイルス感染症の拡大による地価への影響を鑑み、令和二年七月一日を基準日とした不動産鑑定士による鑑定価格等を活用して、評価額の下落修正を行いました。

○古城委員 都税収入を、唯一の歳入所管局として確実に確保していく使命と責任を担っておられる主税局におかれまして、こうした都民の方々に、事業者の方々に寄り添った対応が徹底をされているということを評価させていただきたいと思います。
 そして、ただいま答弁いただきましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を考慮して、半年間における評価額の下落修正を行ったということでございますけれども、二十三区内における下落修正地点の規模と下落率の程度についてお尋ねいたします。

○辻谷資産税部長 二十三区内には標準宅地が約一万二千三百地点ありますが、このうち九割程度に当たる約一万九百地点について下落が見られ、下落率は平均一・四%程度でございました。

○古城委員 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響も加味して、約九割の地点で令和三年度の評価額の修正を行ったということでありますけれども、こうした行政側の対応の結果、二十三区における令和三年度の土地の評価額が新しく、新たに算出をされたと考えます。
 令和三年度の国の税制改正では、固定資産税につきまして、先ほども指摘をいたしました懸念を踏まえて、現行の下落修正措置を講じた上で、特例的な対応が行われることとなりました。
 これは、自民党、公明党両党による与党税制協議会での議論の場などを通じまして、商業地に限って負担軽減策を講じる方向での検討もありましたけれども、住宅地や農地など全ての土地を対象にすべきとの納税者の目線からの我が党公明党の強い主張が反映されたものであります。
 そこで、令和三基準年度準備事務を受けた令和三年度の土地の評価額や税額についてお尋ねをいたします。

○辻谷資産税部長 二十三区における令和三基準年度の土地の評価額は、三年前の平成三十基準年度と比較すると平均して一七%の上昇となりました。これは、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮しても、三年間のインバウンド需要の増大等による影響が非常に強かったことが要因と考えられます。
 一方、国において行われた令和三年度の税制改正におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を鑑み、評価額が上昇した土地については、令和三年度の課税標準及び税額を令和二年度の課税標準及び税額に据え置くこととされました。このため、評価額が上昇した土地には上昇分の評価額が税額に反映されませんでした。
 次に予定されている令和六基準年度の評価替えに向けても、適正な評価額の算出を行って、納税者の信頼確保に努めてまいります。

○古城委員 令和三年度の土地の評価額は、三年前の評価替えと比較をいたしまして大幅に上昇したわけでありますけれども、新型コロナウイルス感染症の拡大を考慮して、税額が増加する場合には特例的に令和二年度と同額に据え置き、減少する場合はそのまま引き下げられることとなったわけでございます。これにより、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、生活に不安を抱えている納税者の皆様の負担を軽減することができたものと考えます。
 令和六年度には、改めて評価替えが行われますが、評価額は税額の基礎となるものであることから、引き続き納税者の皆様にとって大変大きな関心事であります。
 冒頭にも申し上げました、SDGsの目標十七、パートナーシップで目標を達成しようでは、ターゲットの一つに課税及び徴税能力の向上に言及がなされております。
 今後も適正な評価額の算出に努めることはもとより、納税者の方々あっての都財政であり、都民のための都政でもあることから、納税者の皆様のご苦労、ご心情を丁寧に酌み取り、最大限に配慮していただきながら、信頼される税務行政に邁進されることを強く求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十七分休憩

   午後二時五十四分開議
○早坂委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これよりデジタルサービス局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和二年度東京都一般会計決算中、デジタルサービス局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私は、まず初めに、デジタル人材の育成などについて伺います。
 デジタルを活用した都民サービスの向上に当たっては、都の様々な施策の推進を担う職員自らがデジタルテクノロジーを利活用することができるよう、育成を図っていくことが重要です。
 また、現在も続くコロナ禍においては、研修のために職員が集合することも難しいと考えられるところから、その実施に当たってもデジタルテクノロジーをうまく活用すべきと考えます。
 都においては、これまでもデジタルテクノロジーの進展に対応した人材育成の取組を実施しているとのことですが、その具体的な内容について伺うとともに、コロナ禍においてどういった工夫がなされているのか伺います。

○深井戦略部長 都はこれまでも、職員研修のカリキュラムに最新のデジタルテクノロジーに触れる機会を設けており、例えば先端技術に関する理解を深めるため、民間企業の視察などを行う研修を実施してまいりました。
 昨年度は、コロナ禍の影響から、現場に赴く実地研修は困難となったものの、都のDX推進に向けて職員のデジタルリテラシーの底上げが急務であることから、オンラインを活用したセミナーを新たに開始いたしました。
 具体的には、オープンデータの取組事例や海外都市における先進事例などをテーマといたしまして、外部有識者を招いたオンライン形式の講義を三回開催し、管理職から一般職員まで幅広い職層の職員が延べ五百三十八名聴講いたしました。
 引き続き、職員がDXに関する最新の知見を身につけられるよう、人材育成の取組を積極的に展開してまいります。

○吉住委員 行政サービスへのデジタル活用という観点からは、住民サービスの最前線となる区市町村についても、技術的なノウハウや人材の不足といった課題を抱えており、デジタル利活用に向けた人材育成の取組が重要です。そのため、都においても、ICT人材の育成支援として区市町村職員向けの勉強会を実施していると聞いています。
 コロナ禍における研修の実施の難しさについては都も区市町村も同様ですが、昨年度の区市町村職員向けの勉強会の実施状況について伺います。

○深井戦略部長 都では、区市町村のニーズを踏まえ、自治体内でICT利活用を進めていく人材の育成に向けて、令和元年十二月から、RPAやチャットボットなどの活用に関する全六回のコースでの教育プログラムを企画し、勉強会を開始いたしました。
 昨年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、対面での開催が困難となりましたが、受講者にタブレット端末を貸与するとともに、プログラムを非対面でも可能なものに変更し、リモート開催に切り替え、延べ百名を上回る職員に参加をいただきました。
 今後も、参加した区市町村の職員の声を踏まえて、教育プログラムの充実を図り、ICT人材の育成に向けた支援に取り組んでまいります。

○吉住委員 コロナ禍で対面での研修や勉強会が困難となり、オンラインで実施してきたとの答弁がございました。
 自治体職員の働き方についても同様だと思います。今般の新型コロナウイルス感染症の対応に際し、東京都内において外出自粛が要請されたことに伴い、登庁して仕事をすることが当たり前であった自治体職員においても、在宅勤務やウェブ会議の活用など、これまでとは異なる働き方が求められるようになりました。
 このようなデジタルの力を活用した業務の効率化に資する取組を各自治体が推し進めることで、自治体の人的、財政的なリソースが創出され、新たに生じてくる住民の多様なニーズにも対応することができます。
 こうした観点から、各区市町村においては、自治体業務の効率化に向けた取組を積極的に推進していくことが必要だと考えますが、自治体の中には、技術的なノウハウの不足などにより、時宜に応じた取組を行うことが難しい状況も見られます。
 そこで、区市町村における業務の効率化につながる取組として、昨年度都が実施した支援の内容について伺います。

○深井戦略部長 都では昨年度、新型コロナウイルス感染症対策の一環といたしまして、都とのウェブ会議環境を整備するため、タブレット端末、モバイルルーター、ウェブライセンス等を都が一括で購入し、五十八の区市町村に配布いたしました。
 これにより、令和二年六月には、全ての区市町村において外部とのウェブ会議環境が整うこととなり、都のみならず、他自治体や民間事業者などとの会議や打合せ等に積極的に活用していただくことで、コロナ禍における業務の円滑な遂行に寄与するとともに、ウェブ会議を利用する自治体職員の習熟も図られました。
 また、自治体業務の効率化をはじめ、区市町村がDXを進めるに当たっての個別課題に対しましては、昨年十一月から、民間経験を有するデジタルシフト推進担当課長がアウトリーチ型の技術相談を延べ十九団体に対して実施し、テレワーク環境の導入や庁内ネットワーク環境の整備、チャットツールの運用などに関する具体的なアドバイスなどを行ってまいりました。
 このような取組を継続的に実施し、区市町村がデジタル化を推進することにより、住民サービスの向上が図られるよう、各自治体のニーズを踏まえた支援を行ってまいります。

○吉住委員 本年九月にデジタル庁が発足し、自治体DX推進計画の対応など、区市町村のDXへの取組は今後ますます本格化してまいります。
 区市町村のDX推進に対する取組状況を踏まえながら、引き続き、都にはきめ細やかな支援を要望して、この質問を終わります。
 次に、少し類似しておりますが、業務の効率化について伺います。
 質の高い行政サービスを提供するには、都は、これまで以上に業務を効率化し、多岐にわたる都民ニーズに的確に対応していくことが求められています。機械に任せられる業務は機械に任せ、職員が本来やるべき業務に集中できる環境を整えることで、より価値のある行政サービスを生み出すことができると考えます。
 膨大な事務を抱える都では、これまでも創意工夫を重ねて業務を効率化してきたと思いますが、デジタル技術はこれまで以上に大きな効果をもたらす可能性があります。
 そこで、都では、業務の効率化を図るために積極的にデジタル技術を活用すべきだと考えますが、昨年度の取組について伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局では、デジタル技術を活用し、各局の業務効率化に向けた取組をサポートしております。
 具体的には、紙資料を自動でデジタル化する技術であるAI OCRや、パソコンへの入力業務等をプログラムによって自動化する技術のRPAにつきまして、ライセンス、使用権を一括して調達することで利用しやすくするとともに、導入に当たりましては、技術的なアドバイスをきめ細かく行っております。
 昨年度は、都民や事業者から提出される大量の帳票類を扱う六つの業務においてAI OCRが導入され、紙から電子データに移行する作業時間がおおむね七割から八割程度縮減されました。作業時間が二割から三割で済むようになったということです。
 また、福祉保健局で実施する薬事及び毒劇物に関する報告の集計など、これまで職員が手作業で行っていた二十九の業務でRPAが導入されました。入力ミスがなくなると同時に、処理時間が五〇%以上削減された業務が二十三業務あり、業務効率化と生産性向上に大きな効果を得られました。

○吉住委員 業務の効率化と生産性向上に向け、デジタル技術の活用の取組が進んでいることを確認いたしました。今後、ますます取組を加速化していただきたいと思います。
 次に、データの利活用について伺います。
 データの利活用は、イノベーションの創出による社会的課題の解決に非常に重要なものですが、利活用に当たっては、個人情報、プライバシー保護への十分な配慮も必要です。都民が安心してデータを利活用できるよう、安全性の確保に向けた取組が必要であると考えます。
 そこで、行政や民間の持つデータの流通基盤となる東京データプラットフォームの構築に向け、昨年度、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会を開催し、データプラットフォームの運営組織が扱うデータの収集や提供、利活用に係る基本的な考え方、ポリシーを策定されていますが、その取組内容について伺います。

○高橋データ利活用担当部長 東京データプラットフォームの構築に当たりましては、セキュリティの確保や個人情報の適切な保護を図りながら、データの利活用を進めることが重要でございまして、これらを相反する価値観と捉えるのではなく、都民の意向を反映した形でバランスよく取ることが大切でございます。
 こうした考え方から、昨年十一月に設置しました弁護士、学識経験者、消費者団体の代表で構成いたします官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会では、都民に安全・安心なデータの利活用を促進するため、全四回の委員会を公開のウェブ会議で開催するとともに、全ての資料及び議事録をホームページで公表し、様々な角度や視点からご意見をいただき、議論を深めてまいりました。
 前年度策定いたしましたポリシー案は、データ流通推進事業で取り扱うデータの範囲として、まずは個人情報を取り扱わず、個人情報を含まないパーソナルデータまでを対象としておりまして、個人情報を含むパーソナルデータを取り扱う際には、再度、有識者による専門家会議等の検討を経て、慎重に対応することといたしております。
 なお、個人情報を含まないパーソナルデータでありましても、各種法令にのっとりまして、適切に取り扱うこととしております。

○吉住委員 データ利活用が進まない理由として、都民が望まない形でデータが利用されることに対する漠然とした不安などが背景にあるとよく耳にします。今の答弁を聞いて、有識者による委員会でしっかりと議論し、ポリシー案が策定されていることを確認できました。
 こうしたデータの取扱いは、都民の関心が高いため、専門家だけの議論で終えるのではなく、都民の皆さんの声に耳を傾け、その意見を反映する取組が重要だと考えます。
 そこで、昨年度の官民連携データプラットフォームポリシー案の策定に向けた意見公募の取組について伺います。

○高橋データ利活用担当部長 このポリシー策定委員会で取りまとめましたポリシー素案につきましては、昨年十二月から一か月間、都庁ホームページ、SNS、デジタルサイネージなど、様々な媒体を活用し意見公募を行いました。
 こうした取組により、八名の個人の方、一つの団体から、例えば個人情報を利用する場合には、プライバシーマークまたはISMS認証取得者に限るべきだとの声や、その一方で、データ提供者へ過大な負担を強い過ぎないような配慮を求める声など、合計三十二件のご意見をいただきました。
 いただいたご意見に対しては、一つ一つ意見に対して都の回答を付し、全て公表するとともに、委員会で検討し、ポリシー案の中にしっかり反映するなど、丁寧に取り組んでまいりました。
 今後も、ポリシー案の改定を検討する際には、有識者と十分に議論するとともに、その過程の透明化を図るなど、都民からの信頼を得られるよう取組を推進してまいります。

○吉住委員 このポリシー案については、都民の声を十分に聞いて策定されたものと確認いたしました。引き続き、都民が安心してデータの利活用ができるよう、着実に取組を進めてもらいたいと思います。
 次に、スマートシティについて伺います。
 スマートシティの構築には、まちの様々な情報を統合し、利活用することが不可欠です。最近では、携帯電話の位置情報を活用した混雑情報の把握など、コロナ対策としてもデータの利活用が進んでいます。
 西新宿では、5Gアンテナのみならず、各種センサーなどを搭載したスマートポールの整備が進んでおり、様々なデータが取得されていると聞いています。
 そこで、昨年度整備したスマートポールを使い、どのようなデータを取得し、どのような分析を行ったのか伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 西新宿で整備を進めるスマートポールは、5Gアンテナ基地局、高速Wi−Fi、センサーなどの機能を有しており、令和二年度は、様々なタイプの5Gスマートポールを、事業者を公募して試行的に九基設置し、複数の実証を行いました。実証では、各種のセンサーを使って降雨や人流などのデータを収集しました。
 これらのデータを分析したところ、例えば時間帯別の混雑状況や降雨により朝晩で人流の経路が変わること、またマスクの着用率が九七%であることなど、まちの状況について数値による見える化を行うことができました。
 こうした様々なデータを今後も統合して分析し、スマートシティへの実現へつなげてまいります。

○吉住委員 スマートポールの設置を通じて、センサーを活用したデータ分析の取組が始まっていることが分かりました。今年度は、さらに二十基のスマートポールが設置されるとのことです。
 エリア全体でより詳細なデータを取得、分析して、まちを見える化することで、例えば防災の観点からも活用が可能ではないかと考えます。こうしたよい取組を都内各地にも展開していくため、昨年度からどのような取組を行ってきたのか伺います。

○土村デジタルサービス推進部長 スマート東京の実現に向けまして、データを活用したサービスの展開や先端技術を実装し都内に展開していくためのモデルを構築するため、西新宿や都心部をはじめとした五つのエリアを先行実施エリアとして取組を展開しております。
 各エリアの成果は、昨年度から開始いたしましたスマートシティ連絡会におきまして、取組の中での成果や課題などをエリアの事業者等が発表し、参加者と意見交換を行っております。昨年度は二回の連絡会を開催しまして、延べ四百二十八人の参加をいただき、都内自治体等への知見の共有や先行実施エリア間での連携につなげております。
 また、スマートシティ化に新たに取り組もうとしている地域に対しましては、都が個別に相談や意見交換などを行っており、その取組を後押ししております。

○吉住委員 スマートシティの取組が都内全域に広がっていくことを期待しています。そのためには、その前提となる5Gインフラの整備が欠かせません。都は、TOKYO Data Highway基本戦略を掲げ、5Gネットワークの早期構築を目指しています。
 最後に、5Gによる高速インターネット網の構築に向けた局長の決意を伺います。

○寺崎デジタルサービス局長 都ではこれまでも、TOKYO Data Highway基本戦略に基づき、高速モバイルインターネット網、いわゆる電波の道を二十一世紀の基幹インフラと位置づけ、取組を進めてまいりました。
 グローバル化とデジタル化が進む令和の時代におきまして、この電波の道の構築は、デジタル化による都民のQOL、クオリティー・オブ・ライフの向上を支えるものとして大きな役割を担ってございます。取組を着実かつスピード感を持って進めていくことが重要でございます。
 そこで、昨年度は、スマートポールを先行的に試行設置することによりまして、西新宿の都庁舎周辺において5G通信エリアを構築いたしますとともに、都が保有するアセットを積極的に通信事業者に開放し、5G基地局設置の加速化を促してまいりました。
 また、知事と通信事業者各社の代表が一堂に会するTOKYO Data Highwayサミットの開催を通じ意見交換を行うなど、様々な取組を着実に進めてまいりました。
 TOKYO Data Highwayの実現は、東京のDX推進を支える重要な基盤となるものでございます。今後、都におきましては、アセットのさらなる利用拡大に向けた申請業務の簡素化、効率化を一層進めますとともに、通信事業者各社や区市町村などともしっかり連携を図るなど、取組をさらに加速させていくことで、未来の東京戦略で掲げました、いつでも、誰でも、どこでもつながる東京の二〇三〇年の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

○吉住委員 今、局長から力強い決意表明をいただきました。東京の未来を切り開くためにも、全力で取り組んでいただくことを期待して、質問を終わります。

○森村委員 平成三十一年三月の予算特別委員会の場で、当時、デジタル化を所管していた総務局長に質疑を行いました。
 その際の答弁で、当該年度末までに百の行政手続をデジタル化する旨が示されましたが、これは、平成二十九年の私の都議就任時に強く感じた都政のデジタル化の遅れの解消について、小さいながらも確たる手応えを感じた瞬間でした。そしてそれは、都政にとって、都民にとって、未来につながる大切な一歩であったと感じております。
 あれから二年半の間に、都政のDX、デジタルトランスフォーメーションについて、加速度的に多くの取組が進捗いたしました。令和元年は、土台づくりの一年となり、そして令和二年度は、計画や構想が一つ一つ形になった都政において、スマート東京元年と位置づけることができる重要な年となりました。この令和二年度の取組についてお伺いしてまいります。
 初めに、デジタル人材の確保に向けた取組について伺います。
 令和二年第一回定例会予算特別委員会において、当時、就任して約半年の宮坂副知事に、私からこの点についての質疑を行いましたところ、ニューヨークやシンガポールのICT部隊の陣容を例に引きながら、都においてもデジタル人材の確保が最重要課題である旨の答弁がありました。まさにそのとおりでございまして、その際に私からは、国、他の自治体、民間企業が喉から手が出るほど欲しいような人材を確保するため、あらゆる手段を講じるように求めました。
 また、翌令和三年第一回定例会予算特別委員会において、我が会派の藤井委員からの質問に対しまして、新たに、週一回からでも働くことのできるデジタルシフト推進専門員について、本年一月より採用を開始したとの答弁がございました。デジタル化を積極的に推し進めるためには、高い技術や経験などを持った人材を積極的に活用していくべきであり、こうした取組は重要です。
 そこで、改めまして、その採用の目的を伺うとともに、採用されたデジタルシフト推進専門員がどのような取組を行ってきたのかについて伺います。

○深井戦略部長 多様な手法によるデジタル人材の確保に向けた取組の一つといたしまして、常勤は難しいが、週一日、二日であれば都のDX推進に携わることができる人材を募集いたしました。その結果、本年一月、学生、社会人計四名をデジタルシフト推進専門員として採用いたしました。
 採用した職員は、これまで、プログラミングなどデジタルに関する技術力を生かし、都のコロナ関連のデータ整備やオープンデータ用の機械判読可能なデータへの変換、当局ウェブサイトの改修作業などに従事しております。

○森村委員 デジタルシフト推進専門員がそのスキルを生かし、活躍していることが確認できました。
 DXは様々な業界で進んでおります。繰り返しになりますが、民間企業はもとより、国や地方自治体においても、デジタル人材の獲得競争の動きは一層激化をしております。今後もあらゆる手段を講じてデジタル人材の確保に努めるよう求めます。
 令和元年八月に、小池都知事と当時参与であった宮坂副知事が発表したTOKYO Data Highwayは、次世代通信網5Gネットワークで東京全体をつないでいく構想であり、これまで、道路や橋梁などハードインフラとともに、電波の道を今後都として整備していくべき重要な社会資本として捉えた点で評価するとともに、多くの都民がこの新たな取組に期待を寄せてきました。
 そこでまず、決算の審査に当たり、5Gネットワークの構築について、現在の状況を具体的に示していただくよう求めます。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 5Gには、高速大容量、超低遅延、多数同時接続という特徴があり、新たな産業の創出や都市力の強化、都民のクオリティー・オブ・ライフを飛躍的に高めることが期待されております。
 国では、令和五年度末に二十八万局の5G基地局の全国設置を目標としておりまして、総務省の公表資料によれば、令和元年度末の5Gサービス開始時には七百局台であった基地局は、令和二年度末に約一万九千局へ増加しております。
 都では、TOKYO Data Highway基本戦略に基づき、5Gネットワークの構築を推進するため、一万五千件に及ぶ都の建物や工作物をアンテナ基地局の設置候補地として開放しているほか、ワンストップ窓口を開設して円滑かつ効率的な事務処理を行うなど、通信事業者のインフラ整備を後押ししております。
 令和二年度には、三百件を超える現地調査申込みを受け付けておりまして、これらの中から、今年度以降、順次5G基地局が開設されていく予定でございます。
 また、この取組を区市町村へ拡大し、都全体としての5Gネットワークの充実を図るため、今年二月に、公有アセットの5G基地局への開放を呼びかける都内区市町村への説明会を開催して、二十六の区市町村へ都のノウハウを提供したところでございます。

○森村委員 5Gネットワーク化の進捗状況が具体的に把握できました。
 公有アセットの開放に当たっては、基地局として適当な条件を備えた適地の供給が必要となります。そのため、ぜひとも都有地のみならず、ご答弁いただきました区市町村有地の積極的な開放につながる取組を進めるなどして、変化の激しい情報通信分野における取組のさらなる加速を求めます。
 都では、西新宿を5G重点整備エリアに指定していますが、同地区は、5G重点整備エリアであるだけではなく、スマート東京実施戦略においても、ほかの四つの地域とともにスマート東京先行実施エリアに指定されています。
 そこで、スマートシティ化の取組についても確認しておきたいと思いますが、まず、西新宿スマートシティ協議会の目的、枠組みについてお伺いします。

○澤井ネットワーク整備担当部長 都は昨年五月、スマート東京の実現に向け、先行実施エリアである西新宿において、デジタル技術などを活用し、地域に関わる方々の生活の質の向上を図ることを目的として、地元団体などと共に西新宿スマートシティ協議会を設立いたしました。
 本協議会には、地元のエリアマネジメント団体であり十九社で構成される新宿副都心エリア環境改善委員会、地元区、そして通信事業者などが参画しており、地域課題の抽出や解決策の推進に向け、プロジェクトチームなどを編成し、活動しております。

○森村委員 新宿エリアに深く関係する様々な主体と連携した協議会だと理解します。その中で、具体的に幾つかのプロジェクトが行われていますのでお伺いしたいと思います。
 協議会におけるプロジェクト実施の考え方と令和二年度の具体的な取組についてお伺いします。

○澤井ネットワーク整備担当部長 本協議会においては、現状の地域課題を把握した上で、理想とするまちの将来像を関係者間で共有し、実現に向けて、デジタル技術などを活用して課題の解決を図る取組を進めております。
 令和二年度には、地域課題の把握に向けて、西新宿の居住者、通勤者、来街者約三千人に対し、地域課題を抽出するためのアンケート調査を行っております。その結果を踏まえ、地域の魅力創出、移動環境の整備などの重点テーマを設定し、地元企業やスタートアップ企業などが主体となり、ARを活用したまち歩きアプリやオンデマンドの相乗りタクシーなど、五件のサービスの実証プロジェクトを実施しました。
 また、西新宿に関わる方々が協議会の取組に関心を高め、気軽に参画ができるよう、活動内容などをホームページで紹介するとともに、イベントをSNSで情報発信するなど、積極的な広報活動も実施しております。

○森村委員 具体的な取組を通じまして、協議会に参画している主体間のコミュニケーションが様々に生まれ、そうした中で新たな課題認識や価値の創造につながるような取組が醸成されていくものと期待しております。
 そこで、これまでの協議会の活動の成果をどう捉えているのか、また、他の地域にどのように生かしていくのかを伺います。

○澤井ネットワーク整備担当部長 令和二年度の実証プロジェクトの取組では、実証の体験者の約七割が継続を望み、満足度が高く、友人に勧めたい意向が示されるなど、高い評価を得ることができました。また、スタートアップや大企業まで様々な業種の企業から予定数の五倍以上の応募が寄せられるなど、西新宿の取組に高い関心を持つ企業が多数存在することも明らかになりました。
 これらの活動で得られた経験や成果につきましては、都内自治体や関係企業間で情報共有を目的として昨年度設立いたしましたスマートシティ連絡会において発信し、都内自治体などへの知見の共有や先行実施エリア間での連携につなげていきます。
 引き続き、5Gなどの先端技術をはじめとするデジタル技術を活用した新たなサービスの実証を行い、成果の横展開を図ってまいります。

○森村委員 ご答弁いただきましたような成果の横展開については、ぜひとも早期にノウハウや知見の共有ができるように期待いたします。
 なお、余談ではありますが、私の地元である西多摩地域においては、いまだに携帯電話の電波がつながらないエリアがありまして、地域住民はもちろん、地域を訪れる観光客などが不便を強いられている状況が続いています。5Gにかかわらず、できる限り早いタイミングで、電波がつながらないエリアがなくなるよう、都としても取組を進めていただくことを要望しつつ、TOKYO Data Highwayについても、今後、ぜひ実りある取組が進むよう期待しております。
 都が進めるDX戦略の中でも、大きな柱の一つが官民連携データプラットフォームの構築です。
 私はかねてより、IoTを活用し、エネルギー、上下水道、公共交通など、あらゆる都市インフラから収集されるデータを分野横断的に整理、提供する都市OS構築の必要性について訴えてきましたが、都市OSの心臓部となるのがデータプラットフォームであると理解をしております。
 都が現在進めているのが、様々なデータをオープンAPIで連携する官民連携データプラットフォームの構築、すなわちTDPFであり、私としても、令和二年度から始まったこの取組について注視してきました。
 そこでまず、現在進めているTDPFの取組について、データ利活用実証プロジェクトなど、令和二年度の進捗を伺います。

○高橋データ利活用担当部長 令和二年度に、行政や民間の持つデータの流通基盤となる東京データプラットフォームの運営に向けた準備会を設置いたしまして、有識者との議論の中で、データ流通推進及びデータ整備をTDPFの事業内容として定めたところでございます。
 また、データ整備、流通の段階での課題を検証するため、データ利活用実証プロジェクトに取り組みまして、三密回避、交通混雑、バリアフリー、防災の四つのテーマを通じて、共通となるデータ形式やIDが定まっていないなどの課題を明らかにし、都が関わるべきポイントを整理いたしました。
 さらに、セキュリティやプライバシーを守り、安心してデータ利活用が進むよう、官民連携データプラットフォームポリシー策定委員会を設置し、都民や有識者からの意見を踏まえ、データの収集や提供、利活用の基本的な考え方を示したポリシー案を策定いたしました。

○森村委員 データの流通推進とデータの整備を事業内容として定めつつ、安全なデータ利活用に向けたポリシーの策定を行うなど、攻守のバランスをよく進めていることが分かりました。
 そのような中、令和二年度に計画されたのが東京データプラットフォーム協議会です。その後、ワーキンググループを発足させ、検討を進めていると聞いていますが、具体的な取組を伺います。

○高橋データ利活用担当部長 実証プロジェクトの検証結果を踏まえまして、昨年度は三密回避、今年度はバリアフリー、防災のそれぞれの分野において、TDPF協議会ワーキンググループを立ち上げ、データ流通に係る課題や共通の運用ルールづくりなどの議論を深めております。
 例えばバリアフリー分野である施設系データ集約ワーキンググループでは、西新宿エリアをモデルケースに、多機能トイレやオストメイトなどの有無など、トイレ施設データを収集する具体的なフォーマットについて、近隣商業施設やホテルなどと共に検討を進めているところでございます。

○森村委員 多機能トイレやオストメイトの有無など、具体的なテーマを取り扱いながら進めていく中で、関係者が具体的なイメージを共有しながら取組を進めていることが分かりました。
 東京データプラットフォーム構築に向け、協議会やワーキンググループ運営を通じて明らかになった課題とそれへの対応状況を伺います。

○高橋データ利活用担当部長 昨年度の有識者会議での議論や実証プロジェクトなどの取組を通じまして、協議会メンバーの間での連携を深めるコミュニティの形成やデータの流通を促進するためのデータの品質確保の重要性を確認いたしました。そのため、協議会コミュニティを活性化するため、新たにビジネスチャットツールを活用するなど取り組んでまいります。
 また、ワーキンググループでは、データの品質確保や効率的な更新手法などの検討を進めているところでございます。

○森村委員 それでは、最後に、行政手続のデジタル化について伺っていきたいと思います。
 行政手続のデジタル化については、多くの都民からその必要性についての声を日々いただいておりまして、冒頭申し上げましたとおり、これまでも私は、都民の利便性向上のため、行政手続のデジタル化を積極的に進めることについて質問してきましたが、コロナ禍において、手続のデジタル化は喫緊の課題であることが浮き彫りになりました。
 こうした中、シン・トセイ戦略においては、ワンストップオンライン手続プロジェクトが掲げられていますが、こうした行政手続のデジタル化を進め、都民や事業者の方が都庁に来庁することなく、自宅などから申請できる環境を構築することは、都民のQOLの向上に極めて重要な取組です。
 そこで、行政手続のデジタル化について、令和二年度の進捗状況について伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 行政手続のデジタル化につきましては、都民への影響の大きい許認可等の手続のうち、利用件数の多い主要百六十九手続のデジタル化を推進していくことといたしまして、各局と連携して、本人確認の方法などデジタル化に向けた手法やデジタル化の時期の調整を行いました。
 このうち、都の権限でデジタル化できる百十九の手続につきましては、令和二年度までにデジタル化の方法とスケジュールを確定させるとともに、東京文化会館の施設の使用承認や都立高校の卒業証明書の交付など、五十六手続でデジタル化を実現いたしました。

○森村委員 行政手続のデジタル化の取組が着実に進展していることが分かりました。今後、取組のさらなる加速をお願いいたします。
 一方、この百六十九の手続の中には、国の法令などに基づいて都が担っている手続もあります。こうした都の権限だけではデジタル化できない手続のデジタル化、これをどのように進め、どのような成果があったのか伺います。

○巻嶋デジタル改革担当部長 百六十九の手続のうち、法定受託事務などデジタル化を実現するために国の法令改正などが必要になっている手続が三十一ございまして、こうした手続の全てについて、昨年度、国に対してデジタル化に向けた要望を実施いたしました。
 具体的には、宅地建物取引業免許や建設業許可などで国による速やかなデジタル化を求めますとともに、保育士の登録、危険物取扱者免状の交付などの申請の際の押印の廃止や添付書類の見直しに向けた法改正などを求めました。
 その結果、建設業許可や保育士登録などの五つの手続につきまして、国からデジタル化のスケジュールが示されたところでございます。残りの二十六手続につきましても、引き続き国に働きかけを行ってまいります。

○森村委員 国にしっかりと働きかけ、要望し、一部は実現への道筋が立ったということでした。今後も国と連携を図り、デジタル化を進めていってもらいたいと思います。
 他方、先ほどご答弁あった百十九の手続、都民への影響の大きい許認可等の手続のうち、利用件数の多い都の手続のデジタル化以外にも、バーチャル都庁を目指し、手続のデジタル化を進めていかなければなりません。都庁全体の行政手続のデジタル化を各局がばらばらで行うのではなく、デジタルサービス局が横串を通して取り組んでいくことが重要です。
 このため、デジタルサービス局では、区市町村と共に共同電子申請システムを構築し、手続のデジタル化に取り組んでいると聞いておりますが、デジタル化に当たって、どのような事象がボトルネック、課題になっているのか伺います。

○深井戦略部長 都では、行政手続のデジタル化の手段の一つとして、共同電子申請サービスシステムを区市町村と共同し、開発、運用を行っております。
 本システムにつきましては、これまで、ユーザー側の機能面におきまして、手数料支払いや図面など容量の大きい書類の添付が必要な手続に対応できていないという課題がございました。また、感染症拡大後の急増する手続の電子化作業に対しまして、従事する職員側のスキルの向上も課題となっております。

○森村委員 ご答弁にありました利用者向けサービスに機能が足りていないということに対して、都は、令和二年度にどのように取り組んだのか、具体的な取組について伺います。

○深井戦略部長 共同電子申請システムにつきましては、様々な手続でオンライン申請ができるよう、機能改善を継続的に行っているところでございます。
 具体的には、ATMやネットバンキングからでも手数料の支払いができるようにしたほか、図面や画像等のデータ量が大きい手続にも対応できるよう、添付ファイルの容量を三十メガバイトから百メガバイトに拡大するなどの改善を行い、令和二年度から運用を開始いたしました。
 今後とも、利用者目線に立ち、引き続きシステム改善を続け、利便性の向上に取り組んでまいります。

○森村委員 共同電子申請では、利用者のニーズを踏まえた改善が行われているとのことです。UI、UXの向上に留意しながら、引き続き、利用者にとって利用しやすいものとなるよう取組を進めていっていただきたいと思います。
 手続のデジタル化に取り組む職員側のスキルの充実も課題です。もう一つの課題として挙げていただいた共同電子申請サービスを使う職員側への対応はどのようになっているのかを伺います。

○深井戦略部長 デジタルサービス局では、共同電子申請サービスを利用して手続のデジタル化を行う各局職員向けに、年間二回、新たな電子申請のフォーム作成などの操作研修を実施しており、昨年度は六十二名の職員が受講しております。
 しかしながら、行政手続などの電子化を推進していくに当たって、研修ニーズは大幅に増加しており、本年度は、研修受入れ人数を約六倍に拡大して対応していくほか、オンライン研修など新たな手法も導入しております。
 これらの取組を通じまして、職員のスキルアップを図り、様々な手続のデジタル化に向けて、全庁挙げて取り組んでまいります。

○森村委員 昨年度、都がポストコロナを見据え、デジタルファースト条例を制定し、行政手続の原則デジタル化をうたったことは画期的でありました。また、従来のオンライン通則条例では対象としていなかった要綱等に基づく手続まで大幅に拡大したという点においても、大いに評価いたします。引き続き、都の行政手続の原則デジタル化にしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、このデジタルファースト条例は、都の行政手続のデジタル化のみならず、区市町村のデジタル化の支援についても明記しています。
 このため、条例改正が上程された昨年第三回定例会の我が会派の代表質問において、都は、行政手続のデジタル化に向け、区市町村としっかり連携するとともに、より住民に近い手続を所管する自治体のデジタル化の支援も積極的に行っていくべきと訴えましたが、小池知事から前向きな答弁をその際いただきました。
 区市町村によっては、デジタル専門人材の不足等の課題を抱えており、一つ一つの手続をどのようにデジタル化していくべきかなど、DX推進に当たり様々な悩みを抱えている状況が見られます。
 こうした各自治体のDX推進における課題解決を図るため、都では専門人材が技術相談に応じるアウトリーチ相談事業を実施していますが、昨年度は区市町村からどのような相談が寄せられたのか、また、そうした相談に対してどのように取り組んでいるのかを伺います。

○深井戦略部長 都では昨年十一月より、区市町村の個別課題に対し、民間経験を有するデジタルシフト推進担当課長が相談に応じるアウトリーチ相談事業を実施しておりまして、昨年度は延べ十九団体に参加をいただきました。
 具体的内容ですが、住民サービスの向上に向けた窓口手続のデジタル化やチャットボットの導入に関する取組、業務の効率化につながるデジタルツールに関する内容、さらにはテレワーク環境の導入や庁内ネットワーク環境の整備など、幅広い分野における相談が寄せられました。
 これらの相談を踏まえ、本年度は、行政手続のオンライン化やデジタルツールの活用に関しまして、保育所関連の手続や妊婦の相談受付などについて、業務プロセス全体の見直し、いわゆるBPRも含め取り組んでいくモデル事業を五つの区市と連携を図りながら実施しており、その結果を他の区市町村にも共有してまいります。

○森村委員 窓口手続のデジタル化に始まり、職員の働き方改革まで、区市町村が抱える多岐にわたる課題に対して、具体的な支援につなげていっていただいているということが分かりました。
 都民にとって身近なサービスを提供している区市町村のデジタル化なくして、地方自治のデジタルトランスフォーメーションはあり得ません。都民ファーストの視点においてもこの点は非常に重要なポイントであると考えております。引き続き、区市町村のニーズを的確に捉えながら、積極的に支援に取り組んでいくことを要望いたします。
 さて、そもそもの話になりますが、デジタル化の推進のためには、その効果などについて都民の理解を得ることが必要であります。都民の中には、デジタル化に対してまだまだ抵抗感がある方もいらっしゃいます。そうした方々に対しても、デジタル化によるメリットが感じられるよう、各種便益を高めていく取組を都として進めていくべきだと考えております。
 そこで、デジタルサービス局として、行政手続のデジタル化の推進に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の決意をお伺いいたします。

○寺崎デジタルサービス局長 行政手続のデジタル化は、窓口サービスにおける手続の非接触、非対面、スムーズ化を可能とするものでございまして、また、デジタル化する際に、申請情報の省略や添付資料の見直しなど、手続そのものの見直しを行うことで、都民の利便性のさらなる向上に資するものでございます。
 そこで、都では、行政サービスの根幹ともいうべき行政手続のデジタル化を強力に推し進めるため、デジタルファーストを旨として手続を行うことを定めました東京デジタルファースト条例を昨年度制定をいたしました。本条例は、行政手続のみならず、その先の行政全般のデジタル化を見据えたものでございます。
 そのため、都はもとより、都民に身近な行政サービスを担う区市町村のデジタル化に向けまして、自治体を積極的に支援していくとともに、年齢や障害の有無などによる情報格差、いわゆるデジタルデバイドの是正にも取り組んでいくこととしてございます。
 今後は、この条例の下、デジタルサービス局が中心となり、関係各局や区市町村と連携の上、行政全体のデジタル化を強力に推進し、誰一人取り残すことのないデジタル社会の形成に努めてまいる所存でございます。

○森村委員 ローマは一日にして成らずといいますが、都政の巨大な統治機構の中で、関係各局や政策連携団体、また区市町村等と連携しながら、都政のDXを進めていくことについては、決して簡単なものではないと思っております。
 しかし、一日も早くDXを進めなければ、国際都市東京の競争力を維持することはできません。そのためにも、私たちがこの間求めてきましたデジタルサービス局の発足には大きな意味があり、初代局長に就任した寺崎局長の手腕にご期待申し上げますとともに、DXに取り組む職員の皆様に対して、この場をお借りしてエールをお送りさせていただきまして、私の質問を終わります。

○北口委員 私からも、行政手続のデジタル化について一問だけ質問をさせていただきます。
 行政手続のデジタル化につきましては、都は、ワンストップオンライン手続プロジェクトとして、許認可等の手続において、都民、事業者からの申請件数が多い百六十九の手続から先行してデジタル化を進めているというふうに認識をしております。
 昨年の第三回定例会において、我が会派の質問に対し、知事からプロジェクトを強力に推進していくとの答弁があり、本委員会においても、先ほど来ご議論がありましたとおり、その進捗状況について確認をしてきたところであります。
 昨年度末までに、主要百六十九の手続のうち、都の権限でデジタル化できる百十九手続については、五十六の手続でデジタル化が実現するなど、着実に取組が進んでいるというふうに聞きました。
 これまでも要望してまいりましたが、デジタル化に当たりましては、単に紙からデジタルに置き換えるだけではなく、利用者の利便性向上のため、申請しやすいものへと見直しをしていくことが重要でございます。
 そこで、行政手続のデジタル化に当たって、利用者の利便性向上の観点で、令和二年度はどのような取組を進めてきたのかお伺いをいたします。

○巻嶋デジタル改革担当部長 行政手続のデジタル化に当たりましては、シン・トセイ戦略において、ユーザー目線に立ち使いやすいツールを利用すること、ユーザーの意見を聞きながら進め改善のプロセスを確立すること、この二つを基本方針として進めることといたしました。
 この方針に基づきまして、令和二年度末には十六の手続でスマートフォンでの申請を可能といたしましたほか、三月に、共同電子申請システムを利用している一部の手続で先行してユーザーレビューを実施いたしまして、利用者からサービスの五段階評価や意見をいただく取組を開始いたしました。
 こうした取組により、利用しやすいツールを積極的に活用するとともに、利用者の意見を基に申請フォームの改善を図るなど、使いやすいシステムへの継続的な改善を図っております。

○北口委員 デジタル化を着実に進めていくため、利用者目線に立ち、利用者意見に基づいてニーズに柔軟に対応するとともに、スマートフォンなど利用しやすいツールを積極的に活用してきたとのことであります。まずはデジタル化の最初のステップとして評価をしております。
 今後はさらに、都民、事業者向けの各種手続のデジタル化において、各局横断的なスキームを構築するなどして、事業者の皆様が何度も同じような手続を繰り返す必要がなく、申請から決定までのスピードも大幅に短縮されるようなデジタル化のメリットを最大限生かせるように期待をしております。
 今後も、デジタルサービス局が中心となり、各局と連携を図ることで、利用者にとって利便性の高いデジタル化を引き続き進めていっていただきたいというふうに思います。
 続いて、もう一つ、サーバー上の仮想空間に実際のまちを再現し、様々な課題をシミュレートするデジタルツインの取組について、令和二年度の進捗と現在の取組についてお聞かせをください。

○高橋データ利活用担当部長 都市のデジタルツイン実現に向け、令和二年度は、3Dビジュアライゼーション実証プロジェクト事業を実施し、西新宿エリアにおけるデモ用の3D都市モデルを作成いたしました。
 また、デジタルツインを分かりやすく説明するため、まちの混雑状況や地下インフラの整備状況など、五つの3Dイメージ動画を公開するなどの取組を進めてまいりました。
 現在、都民の理解を促進するため、3Dビューアーで実際に見て体感できるサイトを立ち上げるとともに、デジタルツイン実現に向け、有識者等による検討会を設置して、目指すべき姿など、ロードマップ策定に向けた議論を開始しております。
 こうした取組を通じまして、二〇三〇年を目途に、様々な都政課題を解決に導くデジタルツインの構築を目指してまいります。

○北口委員 デジタルツインにつきましては、その構築に向けて取組が開始されたばかりと理解をしております。
 二〇三〇年を目途にとのことですが、実際に運用が始まれば、様々な社会課題を仮想空間上でシミュレートできるようになり、都民生活の質の向上、社会課題の解決に大きく寄与すると期待をしております。また、災害時等の対応におきましても、有効に活用できるというふうに思われます。
 一方、そのように有効活用できるような状態になるまでには、財政的にも技術的にも解決しなければならない課題も多いというふうに認識をしております。ぜひ多くの専門家や技術者の知見をお借りし、そして何より都民の声を聞きながら、本取組を推進し、完成されることを期待しております。
 最後に一つ付け加えさせていただきます。社会のデジタル化の大きな流れの中で、デジタルデバイドについても、より一層の取組を要望しまして、終わらせていただきます。

○竹井委員 よろしくお願いします。
 私からは、初めにICT人材の育成について伺います。
 都では、本年度からICT職の採用を行っていくと伺っています。これは時代に即した取組だというふうに思いますけれども、ICT人材を採用してデジタル技術と行政の両方にたけた人材を育成していくということは、各市区町村においても、自治体のDX化を推進する上で今後非常に重要になってくるものと思います。
 そこで、東京都では、各市区町村のデジタル人材の育成、確保に関する支援について何を行っているか、昨年度の取組状況を伺います。

○深井戦略部長 都では、行政のデジタル化に取り組む区市町村への支援策といたしまして、ICT人材の育成やDXに関するノウハウの提供などを行ってございます。
 昨年度は、区市町村の職員を対象といたしまして、全六回をワンクールとする勉強会を開催し、延べ百名を上回る職員にご参加いただき、最新動向を踏まえた民間事業者による講義に加え、ワークショップやハンズオン実習などを行いました。
 また、昨年十一月から、各自治体の個別課題に対して、民間経験を有するデジタルシフト推進担当課長がアウトリーチ型の技術相談を実施しており、延べ十九団体にご参加いただき、国の自治体DX推進計画を踏まえた取組の進め方やデジタルツールを活用した業務の効率化など、幅広い分野への支援を行っております。
 本年度もこれらの取組を実施しており、引き続き区市町村のデジタル化の推進に向けた支援を行ってまいります。

○竹井委員 市区町村へのサポートということについては、例えば、今報道等でもよくあるんですけれども、保育施設の入所選考にAIを活用するといった港区の取組とか、LINEを使って保育指数の試算ができるようにしたという練馬区の取組など、DXでの好事例はあるんですけれども、なかなかそれが横展開されていかないという実情もあるかと思います。
 そこで、そういった横展開や共有を進めるに当たって、昨年度からこれまでの間、どのような取組を行ってこられたかについて伺います。

○深井戦略部長 都では、区市町村のDX推進による住民サービスや職員のノウハウの向上を図るため、行政手続などのデジタル化に関して、伴走型の支援を行うモデル事業を区市町村と連携の上、実施しております。
 昨年度は、事業スキームを構築するため、区市町村に対して、優先的にデジタル化を望む手続やデジタル化に向けた課題などのアンケートを行うとともに、行政手続などに関して、民間企業が提供している先進的なサービス内容の把握などの基礎調査を実施しました。
 本年度は、その結果を踏まえ、保育所関連の手続や妊婦の相談受付など、五つの区市における業務について、デジタルツールを活用した業務プロセス全体の見直しに取り組んでおりまして、今後、事業の実施により得られた成果やノウハウにつきましては、他の区市町村にも横展開してまいります。

○竹井委員 ぜひ積極的に展開をお願いしたいと思います。まさにそういったことが今進んでいるんだということがよく分かりました。
 また、業務効率化という観点から申し上げますと、RPAの導入も随時進めていく必要があるかというふうに思います。デジタルサービス局は、各局へのRPAの導入も促進をしておられるというふうに聞いていますけれども、昨年度の導入支援の取組と都庁における導入実績について伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 RPAは、パソコンへの入力業務や集計作業をプログラムによって自動的に処理する技術で、定型、反復的な業務の効率化に有効な技術でございます。
 デジタルサービス局では、各局へのRPA導入を促進するため、昨年度、RPAの使用権を一括して調達するとともに、活用ガイドラインを策定し、各局での利用環境を整えております。また、導入を検討する各局に対しては、操作説明に加え、自動化処理をプログラミングする際の作業工程の作成を支援するなど、各局のRPA導入をサポートしております。
 こうした取組により、昨年度は、福祉保健局における薬事及び毒劇物に関する報告の集計など二十九の業務でRPAが導入されており、各業務においては、処理時間の短縮など業務の大幅な効率化を実現しております。

○竹井委員 昨年度の取組を伺いましたけれども、本年度においては、またさらに進んで、合計四十四の業務でRPAが導入されたというふうにもお聞きをしております。RPAの導入で、担当者の個別のカスタマイズを防いで、効率化を促進することができるというふうに考えておりますので、今後も、RPA化できる業務から、順次お取組をお願いいたします。
 それから、次に、都民の利便性、そして生活の向上に資するデジタル技術という観点から、チャットボットと5Gについてお聞きをしたいと思います。
 まず、デジタルサービス局では、都におけるチャットボットの利活用を促進しているということですけれども、昨年度の取組内容について伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 デジタルサービス局では、都民からの多様なニーズに対応するため、対話型のやり取りを通じて問合せ対応や情報提供を行うことができるチャットボットの活用を促進しております。
 昨年度は、各局が迅速かつ効率的にチャットボットを構築できるよう、簡易にカスタマイズするだけですぐに運用が可能なチャットボット共通基盤を構築し、各局に提供しました。
 この共通基盤を活用して、本年三月までの間に、新型コロナチャットボットをはじめ、新たに三件のチャットボットサービスが開始され、約二十五万件のアクセスがあるなど、多くの都民の方々に利用されているところでございます。

○竹井委員 昨年、そういった共通基盤等もできて、各局に提供されておられるということで、また、本年はさらに新たなチャットボットサービスが開始されているというふうにも伺っています。
 現在、東京都のホームページのトップページのチャットボットは、コロナの問合せに関するものになっているんですけれども、今年度は、こちらも都政全般の総合的なチャットボットが開始されるというふうに伺っていますので、そういったところで都民の利便性がさらに向上するということを期待しております。
 次に、5Gについて伺います。
 西新宿において整備されたスマートポールの整備状況と成果について伺います。デジタル化の恩恵を都民が広く享受するためには、そのインフラである5Gネットワークを早期に構築することが必要ですけれども、重点整備エリアである西新宿では、スマートポールを活用したネットワークの構築を進めるとのことです。
 そこで、西新宿において整備されたスマートポールの整備状況とその成果を伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 5G重点整備エリアとした西新宿では、5Gアンテナや高速Wi−Fi、各種のセンサーが搭載できる次世代インフラの5Gスマートポールの整備を進めておりまして、昨年度は九基を試行的に設置したところでございます。
 このスマートポールにより、都庁周辺において5G通信エリアの構築を促進するとともに、搭載されたセンサーによる人流や気象データの測定、サイネージによる地域情報の掲出や人の顔の向きを検知できるカメラによる視聴率の把握など、複数の実証を行いました。
 こうした取組の結果を取りまとめ、ホームページで公表するとともに、各局に対し、行政施策での活用を働きかけているところでございます。

○竹井委員 スマートポール、多様な機能が搭載されているとともに、5Gの展開に非常に寄与しているということを理解しました。
 先ほどほかの委員へのご答弁にもありましたけれども、5Gは、高速大容量、超低遅延、多数同時接続という特徴があって、遠隔医療やARによる新たな観光体験など、これまでの不便の解消や新しい付加価値の創出につなげるということができますけれども、多摩地域においては、さらに農業での利用も期待できますし、災害にも、双方向性を利用した現地確認、それから支援などが期待できるのではないかというふうにも思っています。
 しかしながら、5Gというインフラの展開には、ネットワーク基盤、それから新しいサービス、そして活用する都民という三つの要素が必要なわけで、西新宿エリアにおきましては、都民がまずは触れてみる、使ってみる、そして自由な発想でアイデアを出していくという機会が増えるということを期待したいというふうに思います。
 次に、5Gやデジタル技術の普及に向けた取組について伺いたいと思います。
 TOKYO Data Highwayやスマート東京を都民に身近なものにするためには、デジタル技術によって人々の生活がどのように変わるかということを分かりやすく伝えていくということが重要だと思いますが、5Gやデジタル技術の有用性を都民に対してどのように伝えてきたのか、その取組内容と成果について伺います。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 5GやICT技術がもたらす有用性の理解をさらに深めていただくため、都では、ウェブサイトを活用した発信を行っているほか、昨年度は、ウイズコロナ時代における新しい生活様式を体験できるイベントを西新宿で開催しました。
 イベント会場では、シニアやファミリーなど四つの人物像を設定し、それぞれの生活シーンに合わせた技術を手に取り体験することで、参加者の理解の促進につなげております。
 例えば、シニア向けには人の気持ちに寄り添う人工知能を搭載した家族型のロボットや、ファミリー向けには家に居ながらバーチャル空間上で展示物に触れられる未来の博物館など、最先端の技術を体験いただきました。
 このイベントには、約千名の来場者とウェブサイトへの十七万件を超えるアクセスをいただくとともに、来場者アンケートでは、約九五%の方々からイベントに対し共感が持てるという評価を得ております。

○竹井委員 令和二年度はもうずっとコロナ禍ということで、コロナ禍の中ではありましたけれども、多くの方がイベントに参加して体験していただいたと、そしてまた高い共感を得ていただいたということが分かりました。様々な工夫があったというふうに思います。
 また、5Gは、コロナ禍においても皆さんの不安を解消したりとか、それから新しい生活様式の中で、非常に期待が持てるものだというふうに思いますので、こうした取組を継続していくことが必要だと考えますので、取組を進めていただきたいことを要望して、終わります。

○古城委員 デジタルサービス局の皆様とは、戦略政策情報推進本部時代から様々に議論を重ねさせていただいております。特に昨年の一月、年頭からの新型コロナウイルス感染症の感染急拡大にありましては、私の地元である新宿区、もちろん東京都、そして全国民の皆様もそうであったかと思いますが、大変なご不安、そしてご心配、さらには命や暮らしに関わる、そして経済的な苦境、こうしたことが相次いで体験をされた、そういう厳しい、つらい状況が続いてまいりました。
 私も地元を回る中で、ご商売をしていらっしゃる方から店を閉じざるを得なくなった、また、メディア等でしきりに新宿の映像が流れることから本当につらい−−私自身も生まれ育った新宿であります、そして、今も仕事をさせていただいているのがここ新宿であります。その皆様の思いに、私自身できる限り寄り添わせていただいて、同苦をして、そうした中で何ができるのか、自分自身で考えながら、東京都の職員、各局の皆様とも意見交換をさせていただきました。今年の第一回定例会の一般質問では、風評被害の払拭に向けた取組も、強く強くお訴えをさせていただいたわけであります。
 そうした中で、マイナスからゼロに戻していく、これも大変重要でありますけれども、プラスへと転じていく、こうした側面が、いや増して重要になってくる、こういう観点を、デジタルサービス局の皆様はじめ都庁の各職員の方とも共有をさせていただいて、そうした中で、私は、新宿発で、新型コロナウイルスという見えない敵と闘う、敵に立ち向かうレジリエント、強靱な取組を強力に推進すべきである、こういう強い思いをお訴えさせていただいたわけであります。
 皆様とは、日常的な意見交換の場であり、また、昨年もこの第一分科会でも質疑をさせていただきました。先ほども申し上げました本年の第一回定例会での一般質問でも、お訴えをさせていただいたわけであります。
 三密を避けるなど感染防止策としての新しい生活様式が一層の徹底を求められている今、SDGsの目標達成をはじめ、社会的課題の解決と経済発展とを両立させるためには、東京版Society五・〇であるスマート東京を進展させなければなりません。
 一方で、デジタルテクノロジーが何をもたらしてくれるのか、これをイメージしにくい、そうした都民の方々も多いのではないかということを指摘もさせていただきまして、スマート東京の先行実施エリアである西新宿では、日常生活の不安や不便、働く人々の課題などを解決するサービスが体感できる事業を実施すべきと訴えてまいりました。
 これに応えていただきまして、寺崎局長には、本年二月の本会議において、スマートシティの西新宿モデルを早期に構築する、こうした大変大きな方針を表明していただいたわけでございます。
 そこで、本日は、この決算の場、お借りをいたしまして、令和二年度東京都一般会計決算中、デジタルサービス局所管分に関連し、スマートシティの西新宿モデル、すなわちデジタルサービス局における西新宿に係る各事業の令和二年度の実績について質問をさせていただきます。
 初めに、西新宿スマートシティ協議会についてであります。
 私は、西新宿において、先行実施エリアとしてスマート東京の取組を実施する上で、地元区新宿区やエリアマネジメント団体、町会、商店会など、地域の要望や意向にも十分に配慮されるべきであると申し上げてまいりました。
 そこで、都におきましても大変に汗をかかれたものと推察をいたしますが、地域に根差した協議会を設立、運営するに当たっての都の取組についてお尋ねをいたします。

○澤井ネットワーク整備担当部長 都は、地元のエリアマネジメント団体である新宿副都心エリア環境改善委員会と共同で、スマートシティの活動の主体となる協議会の設立に向け検討を行ってきました。検討に当たりましては、国内外の先進事例の取組をヒアリングの上、素案を作成し、エリマネ団体と運営体制や取組の方向性について共有いたしました。
 また、協議会の設立に当たりましては、地元で暮らす方々の理解と協力が不可欠でございます。都は、各商店会や町会の会合に個別に出向きまして、協議会の趣旨や取組の方向性について説明を重ねてまいりました。
 これらを通じて、デジタルの力でまちの課題解決を図るスマートシティの取組について、地元の方々の理解が高まり、令和二年五月に協議会を設立いたしました。協議会の設立後も、西新宿の居住者、通勤者、来街者にアンケート調査を実施し、地域課題の抽出を行うなど、地域の生の声を重視して協議会活動を進めてきました。
 令和二年度は、アンケートの結果を踏まえ、移動環境の整備、新たなワークスタイルの確立などの重点テーマを設定し、地域と連携しながら、オンデマンドの相乗りタクシーや屋外ワークスペースなど五件のサービスの実証プロジェクトを実施しております。

○古城委員 ただいまネットワーク整備担当部長からご答弁いただいた具体的な取組の内容、また、先ほど来の他の委員の方々からの質疑の中で、ネットワーク推進担当部長からも答弁がありました。
 様々なイベント、行われておるわけでありますけれども、私は、こうしたイベントであるとか実証プロジェクトにつきまして、単に先端テクノロジー、先端技術のデモ体験が売りとなる、知る人ぞ知る見本市とするのではなくて、西新宿に住み暮らし、西新宿で働き、西新宿に集う、西新宿で憩う人々が、利便性や豊かさとともにそれぞれのシーンで実感できる、また、こうした方がいいんじゃないか、こうなったらありがたいな、うれしいな、そういう課題解決への取組、そうしたことを体感できるように、デジタルテクノロジーを活用すべきだということを申し上げてきたわけであります。ぜひともこれらの点についても、改めて強く求めたいというふうに思います。
 次に、西新宿のスマートシティの象徴である5Gスマートポールについてであります。
 私は、今から三年前、二〇一八年の七月になりますけれども、デジタルテクノロジーによる都市の安全対策を探るため、人工知能、AIを活用した画像解析など最新技術を伝えるショールーム、NECイノベーションワールド品川を訪れまして、カメラに映った複数の人の顔を瞬時に分析、認証する動画顔認証、いわゆる人流解析カメラを体験するとともに、見分けが難しい物品を画像などで識別する機器や高度化するサイバー攻撃に対応する情報セキュリティ対策部門の取組も視察をさせていただきました。
 また、都議会公明党は、令和二年予算特別委員会で、今後のスマートポールの整備に当たっては、都民に財政的な負担がかからないよう、持続可能な官民連携の整備手法、具体的には商業広告の活用も提案をしたところであります。
 この総括質疑の際に、宮坂副知事からは、アメリカ・ニューヨーク市におけるリンクNYCというサービスへの言及があり、そこでのスマートポールの設置運営に当たっては、サイネージ広告からの収益を充当するビジネスモデルであることを踏まえて、こうした先進事例も参考にしながら、官民が連携して試行的に設置し、初めの一歩をしっかりと踏み出していきたいとの方針が示されました。
 そこで、都のスマートポールの設置による西新宿の5G通信エリアの整備の進捗状況についてお尋ねいたします。

○芹沢ネットワーク推進担当部長デジタルサービス推進担当部長兼務 ニューヨーク市では、スマートポールを使って、サイネージのほか、高速Wi−Fiや国内電話サービス等を提供しております。
 都では、西新宿で最先端の取組を進めるに当たり、5Gアンテナや各種のセンサーも搭載し、日本で最初となる5Gスマートポールの整備を官民が連携して進めることといたしました。
 昨年三月にスマートポールの設置を希望する事業者を公募し、昨年七月に運用を開始しております。昨年度は九基のスマートポールを設置しました。このポールに十三の5Gアンテナが搭載されるなど、民間事業者による5G整備が加速しました。また、スマートポールのサイネージを使った屋外広告の実証にも取り組んでおります。
 西新宿の5G通信については、約百か所の地点で職員が調査したところ、昨年度末時点で七〇%のエリアで5G通信が可能となっておりました。今年度、新たに二十基の5Gスマートポールの整備を進めており、5G通信エリアの拡大等に向け、取組を進めてまいります。

○古城委員 西新宿において、我が国初となる5Gスマートポールの整備につきましては、今年度も二十基が追加をされるということでありますけれども、令和二年度の検証結果、検証報告書におきましても、スマートポールの効果や課題について指摘があったわけであります。ここで明らかとなった効果や課題につきまして、しっかりと精査をしていただいた上で、引き続き、取組を前へ前へと進めていただきたいと付言をさせていただきます。
 さて、5Gは、これまで主流であった4Gから飛躍的な進化を遂げたわけであります。暮らしを豊かにするデジタル社会の実現に向けて、より多くの人々がデジタル化の恩恵を実感できる5Gが当たり前の社会の構築が重要であると考えます。
 5Gには、超高速大容量、超低遅延、多数同時接続の特徴があり、通信端末はもとより、あらゆる分野のデジタル化を牽引しており、技術革新にも貢献しています。5Gがつくり出す社会像の一つである車の自動運転技術について、昨年度、西新宿を舞台に実証実験が行われました。
 そこで、この実証実験の取組と成果についてお尋ねいたします。

○土村デジタルサービス推進部長 西新宿におきまして、タクシー車両を使用いたしました自動運転の実証実験を昨年十二月に十二日間実施いたしました。専用モバイルアプリからのオンデマンド配車を実施したほか、5Gの特徴を生かしまして、一人で複数台の遠隔監視を行う実証を実施しております。
 実証実験では、多くの一般モニターの方から肯定的な反応が寄せられた一方、交差点でのスムーズな右折、左折や路上駐車車両への対応の難しさなど、技術的な課題が確認されました。
 引き続き、これらの課題の解決に向けまして、安全性の確保に十分配慮しながら、早期の社会実装を目指し、実証実験を進めてまいります。

○古城委員 私も、この自動運転タクシーサービス実証実験におきまして、実験車両に乗車をさせていただきました。
 都庁の第二本庁舎から中央公園を目指して、指定区間を移動したわけでありますけれども、歩車分離がなされている道路環境での車線変更、これは当然、交通管理者からの様々な指導等があったかと思われますが、さらには交差点の右折、左折、さらに停止などを全てシステムが自動で操作されるということへの、私自身新鮮な驚きを感じました。
 一方で、当然、緊急時に備えるということももちろんあろうかと思うんですが、なかなかシステムが判別しにくい、そうした状況も、私自身が乗車した際にも、頻発とはいいませんけれども、幾度かあったわけであります。そうした場合には、運転席に着座をしているドライバーの方が介入をして、ハンドルを握って運転、コースの修正等が行われたわけでありますけれども、そうした人の力というのも、まだまだ不可欠であるということも実感をいたしました。
 将来的な完全な自動運転の実現も見据えて、今後の都によります実証実験においては、安全機能の格段の向上も図っていただきたい、そこを追求していっていただきたいということも要望したいと思います。
 ここまで、昨年度の西新宿におけるスマートシティの実現に向けた様々な事業について確認をしてまいりました。この話のスタートは、コロナ禍はもちろんそうでありましたけれども、当時、政策企画局、総務局時代から、担当の課長さん、戦略本部時代にも担当の課長さん、今日も後ろに何人もお座りいただいております。先ほど来ご答弁いただいている部長の皆様とも、幾度となく議論というか、私の思いをお聞きいただいたわけでございますけれども、このスマート東京、いわゆる東京版Society五・〇というところに立ち返りますと、Society五・〇というのは、いわゆる第五世代の社会、新しい社会をつくっていこうという中で、第四世代の社会である情報社会の課題を克服するというところに大きな注目が集まっていたわけであります。
 例えばデジタルデバイド、情報格差の克服をしていく、さらに大きく申し上げれば、デジタルの恩恵を知らず知らずのうちにでも享受することができる、そうしたところまで追求をしていくということが、私は大変大事だということをこれまでも申し上げてまいりました。
 そうした中で、先ほど来も申し上げておりますSDGsの目標年度も二〇三〇年であります。また、未来の東京戦略の実現も二〇三〇年を目指している。そうした中で、軌を一にするがごとく、スマート東京の具体的な実施エリアのさらなる拡充や実際の具現化、具体化についても、これは二〇三〇年、目指していかなければならないわけであります。
 したがって、今、デジタルサービス局の皆様を中心に進めていただいている、まさに西新宿モデルをしっかりと昇華をさせていく、ほかの東京のエリアについてもしっかりと横展開をしていく、ここ東京、新宿から未来の東京を展望する、そうした明るい戦略を全国、全世界へと訴えていくことが、私は求められていると思います。
 繰り返しになりますが、西新宿モデルともいうべきこれらの確認させていただいた事業を着実にレベルアップさせることにより、コロナ禍をデジタルの力で乗り越える東京、新宿の魅力を発信していくとともに、他のエリアへも展開していくことが重要であります。また、これらの取組につきましては、地元地域のご理解、ご協力があってこそ充実した結果を得られるものと考えます。
 そこで、最後に、西新宿におけるスマートシティ化の実現に向けた寺崎局長の決意をお尋ねいたします。

○寺崎デジタルサービス局長 都は、西新宿をスマート東京先行実施エリアと位置づけまして、スマートポールをはじめとする5Gネットワークインフラを先行的に整備いたしますとともに、先端技術等を活用した様々な実証を集中的に実施し、新たなサービスの創出や実装につなげることで、都市部におけるスマートシティ化の一つのモデルを構築していくこととしてございます。
 特には、この西新宿地区では、以前から地域の活性化の担い手として、エリアマネジメント団体を中心に活発な活動が行われておりまして、そうした取組との連携を強化することで、企業のアイデアやノウハウなどを積極的に取り入れながら、ハード、ソフトの両面から先進的かつ質の高いスマートシティの実現を目指していきたいというふうに考えております。
 また、スマート化を着実に推進するためには、このまちで暮らし、働き、訪れる方々の理解と共感を得ることも不可欠でございます。そのため、昨年度は、5GやXRなどの最先端のサービスやコンテンツを体感してもらうイベントを開催するなど、このまちが持つ可能性と魅力を分かりやすく発信することにも努めてまいりました。
 先行実施エリアでの取組では、それぞれの地域の特性を生かしたスマートシティとしての目指すべき姿を示すにとどまらず、そこに至る形成過程を含めて一つのモデルとして仕上げていくことが重要であると考えております。
 今後とも、デジタルの力によって、地域にも社会にも新しい付加価値を創造する西新宿モデル、これをしっかり推進し、その成果を他のエリアにも積極的に展開していくことで、東京全体のスマートシティ化の実現につなげてまいります。

○古城委員 西新宿、そして新宿、ひいては東京のブランド力、またプレゼンスを高めるとともに、デジタルの力でコロナ禍を乗り越える東京の、そして新宿の魅力をぜひとも発信をしていっていただきたい、このことを重ねてお訴えを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でデジタルサービス局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十五分散会

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