委員長 | 内山 真吾君 |
副委員長 | 慶野 信一君 |
副委員長 | 清水 孝治君 |
かまた悦子君 | |
あかねがくぼかよ子君 | |
アオヤギ有希子君 | |
田村 利光君 | |
白戸 太朗君 | |
五十嵐えり君 | |
尾崎あや子君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 西山 智之君 |
経営企画部長 | 谷田 治君 | |
サービス推進部長 | 西川 泰永君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 藤本 誠君 | |
計画調整担当部長 | 船尾 誠君 | |
生活文化局 | 局長 | 野間 達也君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 | 古屋 留美君 | |
広報広聴部長 | 久故 雅幸君 | |
都民生活部長 | 馬神 祥子君 | |
消費生活部長 | 工藤 穣治君 | |
私学部長 | 戸谷 泰之君 | |
文化振興部長 | 蜂谷 典子君 | |
男女平等参画担当部長 | 赤羽 朋子君 | |
文化総合調整担当部長 | 片岡 容子君 | |
文化施設改革担当部長 | 石井 浩二君 |
本日の会議に付した事件
令和二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
生活文化局関係
・令和二年度東京都一般会計決算(質疑)
○内山委員長 ただいまから令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和二年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○谷田経営企画部長 去る十月十五日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をご覧ください。
資料は、目次にございますように、合計八件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
各公社病院における経営指標の推移を平成二十八年度からの五か年にわたり、入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
このページの(1)から六ページの(5)までは各公社病院の医師及び歯科医師に関して、七ページの(6)は看護職員に関して、過去五年間の定数と現員の推移を記載しております。
八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
過去五年間の公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数の推移について記載しております。
九ページをご覧ください。4、公益財団法人東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
公社における各年度六月一日現在の障害者雇用率について、過去三年間の推移を記載しております。
一〇ページをお開き願います。5、各公社病院における平均在院日数及び病床利用率(月別)でございます。
次の一一ページにかけまして、各公社病院における昨年度の平均在院日数及び病床利用率を月別に記載してございます。
一二ページをお開き願います。6、各公社病院の医業収支(月別)でございます。
各公社病院の昨年度の医業収入、医業支出及び医業収支差額を月別に記載してございます。
一三ページをご覧ください。7、各公社病院の新型コロナウイルス感染患者専用病床の確保数及び新規患者受入数の推移(月別)でございます。
次の一四ページにかけまして、各公社病院の昨年度のコロナ病床の確保数及び新規患者受入れ数を月別に記載してございます。
一五ページをご覧ください。8、時間外労働が月八十時間を超えた医師・看護職員の人数及び時間外労働の最大時間数について(月別)でございます。
公社病院における昨年度の時間外労働が月八十時間を超えた医師、看護職員の人数及び月八十時間を超えた場合の時間外労働の最大時間数について、月別に記載してございます。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○内山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田村委員 東京都保健医療公社について伺います。
保健医療公社は、地域における急性期医療の中核病院として、六つの病院を所管しています。その公社病院は、診療所と病院などと相互間で機能分化を進め、地域の医療機関と円滑な連携を図ることにより、都民が身近な地域で適切な医療が受けられる効率的な地域医療システムを構築することを目的としています。
まず、公社病院が地域医療で果たす役割について、具体的に伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 高齢化の急速な進展や生産年齢人口の減少などによる医療環境の変化に対応し、患者に質の高い医療を適切に提供していくためには、地域の医療機関が機能分担を図り連携を推進することなどにより、地域医療の充実を図ることが重要でございます。
公社病院は、二次保健医療圏を中心に、地域の医療機関との連携に基づく地域医療のシステム化を推進することを役割としており、全ての公社病院が、高い紹介率や逆紹介率を達成した際に指定される地域医療支援病院となっております。
また、公社病院は、地域における急性期医療の中核病院として、がん医療に加え感染症医療や救急医療、精神科医療等の一般医療機関では対応が困難な行政的医療等を、各病院の重点医療や特色ある医療として提供をしております。
○田村委員 今の答弁で確認しましたが、公社病院は、地域医療の中で極めて重要な役割を果たしています。この役割を果たし続けるためには、公社病院であっても、医療環境の変化に対応しつつ経営基盤の安定が絶対に必要です。
そこで、公社六病院の令和二年度の事業収入、事業支出、全体収支について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の公社六病院の事業収入は、国からの新型コロナウイルス感染症対応のための補助金など二百十四億四千六百万円と、都からの運営費補助金五十億七千百万円、合わせて計二百六十五億一千七百万円を含めまして、六百九十五億八千二百万円でございます。前年度と比較すると百七十一億九千九百万円増加をしております。また、事業支出は、五百四十一億二千五百万円で、前年度と比較して十億四千百万円の増加となっています。この結果、事業収入から事業支出を差し引いた全体収支は、百五十四億五千七百万円で、前年度と比較して百六十一億五千八百万円増加しております。
これは、コロナ対応で年間を通じて病床を確保したため、病床確保料などの国庫補助金二百五億四千九百万円が交付されたことなどが要因であると認識をしております。
○田村委員 今の答弁にありましたように、事業収支は改善していますが、補助金の影響が大きいことが分かります。とりわけ国庫補助金の影響が大きいとのことです。
今月十一日、財務省は、財政制度等審議会の分科会に、新型コロナウイルス患者の病床確保向け補助金を受け取った医療機関の収支データ分析等について公表しています。国庫補助金を受け取ってコロナ対応を行っているのであれば、当然、患者をしっかりと受け入れるべきです。
しかし、この夏の感染爆発時に適切な医療を受けられない人も出た際、補助金を得ているのに、コロナ患者を積極的に受け入れていない病院があるのではないかとの報道もありました。
公社病院は、二百五億円の国庫補助金を受け入れていますが、こうした指摘などがある中で公社の受入れはどのような状況だったのか伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、新型コロナウイルス感染症の発生当初から都立病院と連携し、他の医療機関では対応困難なコロナ患者などを積極的に受け入れてきました。
公社六病院は、コロナ病床を令和二年一月に三十一床確保しており、五月には三百六十八床、八月には五百六十五床、令和三年一月には五百七十床と順次拡大し、二月には八百八十床を確保しました。これにより、疑い含め六千九百六十七人の入院患者を受け入れました。
財務省の分科会と同様の考え方で受け入れた患者一人当たりの補助金の受給額を算出した場合、公社病院では五百十四万円となります。一方、財務省の資料によりますと、国立病院機構では、患者一人当たり九百四十四万円の受給額となっております。
○田村委員 公社病院が国立病院機構よりも少ない補助金で多くの患者を受け入れていることが分かりました。公社病院が、補助金を得ているのに受入れ患者が少ないなどと指摘されることがないよう、積極的な患者の受入れを強く要望します。
一方で、公社病院といっても継続的な経営改善に取り組む必要があります。令和二年度に経営改善にどのように取り組んだのか伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社には、以前から都の運営費補助金が交付されていることもありまして、民間病院よりも高い意識を持って常に経営改善に取り組むことが重要です。
公社では、公社事務局や各病院幹部をメンバーとする経営改善会議を設置し、経営改善に当たってまいりました。この会議等での検証を踏まえ、六病院とがん検診センターの合わせて七施設で一体的に契約を行うことで、医療機器や医薬品の共同購入を行うとともに、包括契約が可能な五病院の電気料金について一括して契約し、経費の削減を図るなど費用の縮減を進めました。
また、外部委託していた診療報酬算定業務を一部直営化することで収入確保につなげるため、豊島病院に加え、令和二年度は新たに東部地域病院で職員を配置することで収益力の向上にも取り組みました。
地域に必要とされる医療を継続して提供するためには、安定的な経営基盤の確立が重要でありまして、公社では引き続き経営改善を進めてまいります。
○田村委員 競争を通じて効率性の向上を図っている民間病院と同様に、公社病院においても改革を継続することが重要です。
今後、都立公社病院は、独立行政法人への移行に向けて必要な準備を進めていくとのことですが、独法化した際には、柔軟な病院運営を行えるメリットや都立病院と一体化した十五施設のスケールメリットを生かして、より一層効率的、効果的な経営に努め、財政基盤を強固にしていただくよう要望します。
続いて、今後ますます重要となる地域包括ケアシステムの構築の推進について伺います。
二〇二五年には高齢化が一層進展し、都民の四人に一人は六十五歳以上の高齢者になると予想され、医療、介護需要がさらに増加することが見込まれています。このため、国においては、二〇二五年をめどに高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを送ることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。
こうした中、地域における中核病院である公社病院は、地域包括ケアシステムの構築に向けた貢献も期待されています。
そこで、地域包括ケアシステムの構築に向けた公社病院の取組とその評価について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、第四次中期経営計画におきまして、地域包括ケアシステムへの貢献を掲げております。従前から培ってきた医療連携をさらに充実強化するとともに、医療の提供のみならず退院後の患者の在宅支援や、地域の医療機関、福祉、介護施設を支援する取組を推進しています。
具体的には、退院した患者が安心して在宅療養生活を送れるよう、令和二年度は荏原病院と豊島病院で新たに病院救急車を導入するなど、患者の急性増悪時の受入れ体制を強化するとともに、在宅医療機関や訪問看護ステーション等との患者情報の共有を進めています。
また、患者の退院後の適切な栄養管理を継続するため、公社病院が患者の食事に関する情報を記載した栄養情報提供書を作成し、在宅医療機関や介護施設等に情報提供をしています。令和二年度は、これらの施設に七百八十一件の情報提供を実施しました。
このような取組により、在宅で生活する患者さんが安心して暮らせる体制の整備に向けた支援を適切に実施していると認識をしております。
○田村委員 公社病院が主体的に在宅療養支援を行っていることは確認できましたが、より一層推進していくためには、地域の医療、介護人材の育成が重要です。
そこで、地域包括ケアシステムを支える人材の育成の取組とその評価について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域包括ケアシステムを推進するためには、地域の在宅医療に携わる医療、介護人材の育成も重要であると認識しています。
このため、公社病院の認定看護師等が近隣の医療機関や地域包括ケアの中心的な役割を担う訪問看護ステーション等を訪問し、口腔ケアや褥瘡ケア等をテーマとした出張研修や学習会を令和二年度は六病院で四十一回開催しました。
また、在宅医や介護施設のスタッフ等に対して、在宅での緩和ケアに関する症例検討会等を実施しました。例えば、講習や相談等については、コロナの感染状況を踏まえながらウェブ会議で開催するとともに、患者の摂食・嚥下障害の予防手法を指導するなどの技術支援については対面の研修とするなど、地域のニーズに応じながら計百一回実施しました。
このような取組により、在宅医療機関や介護福祉施設と顔の見える関係を構築し、連携を深め、公社病院が有するノウハウを地域に還元することができたと考えております。
○田村委員 今後、ますます重要となる地域包括ケアシステムの構築について、公社はこれまで培ってきた知見やノウハウを生かして貢献していることが分かります。
医療と介護の連携なくして地域包括ケアシステムの構築は進みません。独法化後は、地域の関係機関等との連携に、これまで以上に積極的に取り組み、住み慣れた地域で、病気になっても安心して暮らし続けられる環境をぜひ構築していただきたいと思います。
また、独法化後は、こうした公社病院と都立病院を一体として運営することとなります。公社のノウハウを都立でも活用することや、公社病院と都立病院間で活発な人材交流も可能となりますので、十五施設のスケールメリットを最大限に生かし、例えば、都立である多摩総合医療センター、公社である多摩北部医療センター、多摩南部地域病院の医師等の人材を共有し合うことで、多摩地域の医療全体の充実に貢献していく取組など、地域に必要な医療が一層充実できるよう検討を進めていただきたいと思います。
また、事前に説明いただいた資料によれば、新型コロナウイルス感染症対策において、感染症指定医療機関である荏原病院、豊島病院の二病院だけでなく、その他四病院においても多くの患者を受け入れています。こうした取組を継続することで、公的病院として求められる役割を果たし、都民の期待に応えていただくことを要望して、質問を終わります。
○あかねがくぼ委員 東京都保健医療公社の令和二年度決算の状況について伺います。
病院の診療に関わる収入及び支出の項目として、医業収入、医業支出があります。また、医業支出が医業収入によってどの程度賄われているのかを示す指標として、医業収支比率があります。この実績を確認するということは、病院の経営状況を判断するために重要でありますので、まず最初に確認をさせていただきます。
公社六病院の令和二年度の医業収入、医業支出、医業収支、医業収支比率について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の公社六病院全体の医業収入は四百二十億八千五百万円で、前年度と比べ三十一億円の減少となっております。医業支出は五百十四億一千三百万円で、前年度と比べ三億八千八百万円の減少となっております。
その結果、医業収支はマイナス九十三億二千八百万円で、前年度と比較して二十七億一千三百万円の減少となり、医業収支比率は八一・九%で、前年度と比較して五・三ポイント減少をしております。
○あかねがくぼ委員 令和二年度は、診療に対する収入である医業収入は大幅に減少をした。その結果、医業収支が悪化をしているということが分かりました。
医業収入が減少した要因について、どのように分析をしているのか伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医業収入は、入院、外来患者の主に診療に関する収入でございます。
公社病院では、令和二年一月下旬から、感染症指定医療機関である荏原病院、豊島病院におきまして、チャーター機で帰国した武漢在留邦人の体調不良者を受け入れました。患者数が増加した三月以降、感染症指定医療機関以外の四病院も含め、全六病院において患者を積極的に受け入れてきました。
行政的医療については各病院で実施しましたが、コロナ患者受入れにより、がん医療、外科医療、消化器医療等で手術の休止や延期を行うなど一般診療を制限したため、令和二年度の一般診療の入院患者数は、前年度と比較して約四割減少しております。
この結果、一般診療の患者数が大きく減少したことにより医業収入が減収しました。
○あかねがくぼ委員 コロナの影響で、一般診療の患者数、これが大きく減少したことで医業収入が減収になったということ、そして、公社病院はコロナ対応に率先をして取り組んできていただいたと。その結果として医業収入が減少したということが分かりました。
急増する新規感染者を受け入れていくために、いずれの病院でもコロナ対応最優先で取り組んできていただいたということを評価いたします。
公社病院は、どのようにコロナ対応を行ってきたのかを伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症医療は行政的医療の代表的なものであるため、公社病院は、積極的に患者を受け入れるなど、コロナ対応を最優先に取り組んでまいりました。
令和二年十二月以降の感染急拡大の際には、荏原病院、豊島病院をコロナ重点医療機関とするなど、全六病院で八百八十床のコロナ病床を確保しました。
また、妊婦、精神疾患等の合併症患者、透析患者など、他の医療機関では対応困難な感染患者などを積極的に受け入れ、令和二年度は、疑い患者も含め延べで五万六千二百八十九名の入院患者を受け入れてきました。
さらに、各病院で発熱外来を設置し、地域の診療所から紹介されたコロナ疑い患者を受け入れるなど、かかりつけ医や他の医療機関からの診療依頼にも対応いたしました。
○あかねがくぼ委員 公社病院が、コロナ患者の受入れに対して、本当に積極的に行っていただき、その結果、都民や地域からの期待、そして他の病院で受入れ困難だった患者様に対しても、しっかりと対応してきていただいたということがよく分かりました。
もともと公社病院には、感染症指定医療機関として、荏原病院、豊島病院、この二つの病院のみでありましたけれども、コロナ病床の多くは、感染症以外の一般病床を転用してきたわけであります。これだけ多くの患者を受け入れるには、院内での様々な工夫、必要だったと思います。
公社病院では、どのように職員の協力体制を構築してきたか、具体的に伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、医師、看護師をはじめ全職員が協力してコロナ患者の受入れに対応してきました。
医師につきましては、感染症科や内科の医師をリーダーとし、外科や皮膚科などの他の診療科の医師が複数名参加する診療チームをコロナ病棟ごとに編成し、全診療科が協力してコロナ患者の治療に当たる体制を構築しました。
看護師につきましても、他の病棟からコロナ病棟への応援体制を構築するため、職員向けに感染管理認定看護師による個人防護具着脱訓練や研修を行いました。また、感染管理認定看護師等で組織する感染管理チームが中心となって、病棟のゾーニングやスタッフの動線、防護具の着脱場所やコロナ病棟での物品の受渡し方法などを記載したマニュアルを作成し、適宜スタッフがコロナ病棟で確認できるようにしました。
さらに、コロナ病棟で働くスタッフ向けに、精神科医師によるメンタルヘルスの相談窓口を設置するなど働きやすい環境を整えることにより、多くの職員の協力を得ながら患者の受入れに当たってきました。
各病院とも、職員が使命感を持ち患者の治療等に当たっており、引き続き職員一丸となって患者の受入れに取り組んでまいります。
○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。
令和二年度といえば、本当に、コロナが始まり、社会が大混乱をしていた。そういった状況の中で、公社病院は様々な困難さを乗り越えて、職員の皆様で協力をしつつ、病院が一体となって対応してきていただいたということが分かりました。
現在は、感染状況は改善しているものの、今後、第六波の感染拡大については予断を許さないところでございます。引き続き、公社病院が職員一体となりまして、コロナの対策、取り組んでいただくようにご要望申し上げまして、私の質問を終わります。
○慶野委員 ただいまお二人の委員から、公社病院の使命、それから、昨年度のコロナ禍におけるしっかりとした取組、こうした質疑が行われましたけれども、私も、東京都保健医療公社について、幾つか事実を基に確認をさせていただきたいと思います。
医療資源の偏在是正、医療連携の推進を目的として、昭和六十三年に公社は設立されました。東部地域病院、多摩南部地域病院を開設して、その後、平成十三年に策定した都立病院改革マスタープラン等に基づいて、大久保病院と多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院について、地域の医療機関との連携を強化することが医療資源の有効活用につながることから公社に移管し、平成二十一年度から現在の六病院体制になって十二年が経過したというところでございます。
これらの四病院については、都立病院から公社病院へと移管されると患者が大きく減少するのではないかと、当時の都議会の中でも様々な議論があり、また、いつものように何にでも反対する会派もあったようですけれども、患者が大きく減少する、だから反対というような論調であったと議事録には残っております。
そこで、平成二十一年度以降の公社病院の実績について、幾つか事実を基に確認いたします。
公社病院は、地域の急性期医療を担う中核病院や地域医療支援病院として、地域の医療連携を推進する役割を果たしておりますので、まず初めに、救急医療について確認します。
公社病院の救急患者の受入れ実績について教えてください。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、断らない救急を徹底し、救急患者の受入れを積極的に進めております。
救急隊の受入れ要請に応じ、患者を受け入れた割合を示す応需率は、令和二年度六八・二%ですが、新型コロナの影響が少なかった令和元年度で見ますと八〇・二%となっておりまして、平成二十一年度の五五・一%から上昇しております。
また、救急車で公社病院に搬送された患者数につきましても、令和二年度は一万三千三百六十八人ですが、令和元年度は二万一千九十四人で、平成二十一年度の一万五千四百六十八人から上昇をしております。
○慶野委員 今のご答弁の数字、確認させていただきました。公社に移行すると医療提供サービスが低下する、だから反対だといっていた会派もありましたけれども、今の数字を確認しました。公社化、六病院体制にされた平成二十一年度と比較をすると、当時、救急応需率五五・一%だったものが、令和元年には八〇・二%に上がっている。これが事実の数字であります。
一旦、話を進めさせていただきます。
令和二年度の決算審議ですから、令和二年のお話と、それから、その過去とを交えながら、単純比較はできませんけれども、令和元年と平成二十一年、五五・一から八〇・二に増えたという事実でありました。都民の生命を守るセーフティーネットとして、患者を積極的に受け入れてきたという事実であります。
では、なぜこうして多くの患者を受け入れることが可能になったのか。そもそも、ハード面や受入れ体制が大きく変化したわけじゃないのに、五五から八〇に増えた理由、そのことについて、次は確認させていただきます。
公社病院は地域医療支援病院であり、地域の診療所や病院と緊密に連携を図っていることがとても重要になってまいります。地域医療との連携に関する指標として、どれだけ地域の各病院と公社病院が連携を取れているかという指標として、紹介率、また、その逆の逆紹介率が一つの指標になると考えます。
公社病院の紹介率について、昨年度の決算の状況、また、二十一年、全体が公社化されたときと比較させてください。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、地域の医療機関との連携を進めており、初診患者のうち地域の医療機関から紹介された患者の割合である紹介率は、令和二年度は七四・五%で、新型コロナの影響が少なかった令和元年度で見ますと七六・一%でございます。平成二十一年度の六九・五%から上昇しております。
○慶野委員 ありがとうございます。
それでは、引き続き逆紹介率についてお願いいたします。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院から紹介元の医療機関に返送した患者や、地域医療機関等に逆紹介した患者の割合である逆紹介率につきましては、令和二年度は八七・四%で、平成二十一年度の六〇・九%から上昇をしています。
○慶野委員 ありがとうございます。地域医療連携が極めて上昇したという、そういう結論、そういう事実の数字です。
紹介率については、平成二十一年度の時点で六九・五%が地域の病院から紹介があって、入ってきた。ところが、令和元年には七六・一%まで上昇している。逆紹介率、公社病院で治療をしっかり受けた、そして回復期に入った患者さんを地元の病院に返す、これは六〇・九%だったものが、連携がしっかり密に取れるようになって、令和二年には八七・四%まで上がっていると、こういうご報告でございました。
紹介も逆紹介も、公社で治療した患者を地域の医療機関に着実に引き取った上で、しっかり治療してお戻しする、この連携ができた結果、回転がしっかりと高まっていく。総合的にこの取組の結果が現れるものとして、公社病院の新入院患者の数を確認すれば明らかになります。
これがどれほどの成果が上がったのか、新入院患者数の実績をお願いいたします。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、救急患者や地域医療機関からの紹介患者を積極的に受け入れた結果、新規の入院患者数は、令和二年度三万九千百八十二人ですが、新型コロナの影響が少なかった令和元年度は五万一千六百三十人となっておりまして、平成二十一年度の三万八千百二人から上昇をしています。
○慶野委員 新入院患者数、公社化する前、約三万八千人だった。令和元年には五万一千人を超えるだけの新たな入院患者を受け入れられた。これがまさに、地域の医療連携を強化してきて、しっかりと難しい人を受け入れて治療してお戻しする、この回転が上がることで、どんどんどんどん新しい入院患者も受け入れられる、それから救急応需率も上がっていく。
救急応需率は、先ほどあったように、パーセントに直すと三六%上昇する。そして、紹介率も逆紹介率も大きく上昇して、入院患者数は何と三五%、この公社化してきたことで高めることができた。
都立であり、また、公社である、こうした病院が担っていく−−一元的にそこの働いている方たちをどう守っていくかということも、もちろん大事です。この公社化する、特に大久保病院が公社化されるときの議事録を確認させていただきました。
当時のある会派の方の厚生委員会での質疑の内容ですけれども、出所不明のある方のエピソードを紹介しながら、入院したときに、夜勤の看護師さんは走り回っていました、それを見て心配になりました、患者サービスが低下しているんですと。何をもって−−患者さんを一生懸命診ようと思って看護師さんが走り回っている、それを見て心配だ。そして、それを根拠に、患者への医療提供サービスが低下していくんだ。だから反対だ。こんな議論を厚生委員会で、二〇〇三年、平成十五年に行っておりました。
さらに、そこで働く方々を守る思いがおありだったんでしょう。常勤者を減らして非常勤者を増やす、それがサービス低下につながるということじゃないんですかと。まあ当時とは若干、時代背景が違いますから、一概にこの発言をどうこうするつもりはありませんけれども、柔軟な医療体制を行っていく、また、医療従事者の柔軟な異動、連携を図っていく上で、様々な働き方改革もあります。午前中だけしっかり働く方がいてもいい時代であります。それを、非常勤が増えることで医療提供サービスが低下すると。こんなことを当時は、公社化するに当たって、都議会というこの場所で、都民に対して不安をあおっていた議論をしている会派があったわけです。
ところが今、四点にわたって確認させていただいたように、全てのサービス提供は三六%上がった、患者受入れ数、増えた。全部その不安は全く当たらないという数字が、この間出てきました。これは、この場では、ひとえに病院経営本部さんのしっかりとしたサポート体制ありき、また、現場の皆さんのご努力のおかげだと、このように私は感謝を申し上げると同時に、今、この委員会では行いませんけれども、独法化するに当たって、ありもしないような不安をあおる、そして反対だ反対だという、その反対だという議論の中には、事もあろうに、公社病院をそのまま残せといっている、そんな議論もあります。
公社病院に反対だといっておいて、今は公社のまま残せと、こういう状況なんですね。代表質問のときにも、公社病院反対だと。こうしたときに当時の知事からは、木を見て森を見ずの全く変わりばえのしない話ですねという答弁があったり、当時の病院経営本部長が、大久保病院が大変な状況になっているという質問に対して、医師が辞めたから医療提供が滞って入院率が下がっているという質問に対しては、医師が六人当時辞めたと、四月の時点で年度替わりに辞めた、それをもって医療提供が下がった、入院率下がったという質問に対しては、当時の病院経営本部長は、移管に当たって、医師がどんどん流出しているかのようなお話がございましたが、病院というものは、毎年多くの医師が自主的に退職し、そして、私ども病院経営本部は医師をさらに採用するという繰り返し、医師の流動性の問題と公社化の問題とは全く関係がないと、このように断じております。
時間の関係で、ちょっと次に進めさせていただきますが、今、様々申し述べましたように、地域医療に強みを持つこの公社、都立病院と一体となって、独立行政法人化する準備を進めております。
先日の第三回定例会で、法人の定款を変更するのが議決されました。令和四年七月の設立を目指して準備を進めていくということであります。
独法化について、令和二年三月の新たな病院運営改革ビジョン公表以降、様々な準備を進めてきたと思いますが、令和二年度予算には、公社病院にも独法化移行の準備予算が計上されておりました。執行率があまり思わしくなかったようですけれども、まずは、その執行額についてお伺いします。
○船尾計画調整担当部長 令和二年度の一般会計予算におきましては、独法化の準備経費といたしまして約二億一千五百万円を計上いたしまして、約八千九百万円を執行いたしました。
その内容は、法人設立準備支援委託等でございまして、法人を設立していく上で必要となる手続ですとか各種制度の構築等に向けまして、承継する資産の整理や退職給付引当金の積算、既存システムからのデータ移行等につきまして、専門的助言などの支援を受けたものでございます。
○慶野委員 独法化移行、設立準備、様々な委託ということで、執行額が低いのは、コロナの影響で別の対応に当たっていたというふうに解釈をいたします。
設立支援の委託、準備を進めてきたということですけれども、具体的には、昨年度、この中身、執行したもので、どのような準備、検討を進めてきたのか、お伺いします。
○船尾計画調整担当部長 独法化のメリットを生かした医療ニーズの変化に機動的に対応できる病院運営を実現するため、法人の組織運営体制や独自の財務制度、柔軟な人材確保と働きやすい環境整備に資する人事制度などの構築に向けまして、支援業務委託も活用しながら、病院経営本部と共に準備、検討を進めてまいりました。
また、行政的医療をはじめとした医療の充実強化と地域医療の充実への貢献の、この二つの視点を中心に、独法化後の医療機能強化の方向性につきまして、公社事務局におきまして各病院とも意見交換しながら具体的な検討を進めてまいりました。
○慶野委員 ありがとうございます。
準備費用というのは、この局に限らず様々な事業で準備をすることがあります。局は違いますけれども、例えばIRに向けた検討準備費、毎年千五百万ほどかかっていますけれども、これもIR反対だからそもそも反対という意見もあるようですけれども、やるにしてもやらないにしても、どういう調査をしたから都としてはやるんです、やらないんですと、都民にその理由を示さなければいけません。
ですから、この公社化、公社病院を独法化移行するに当たって、するのかしないのかも含めて、移行するに当たっての課題、何をすべきなのか、どうして移行していくのか、その準備をしていくというのは、まさに私は妥当な予算であり、その予算を使って、しっかりと都民が納得する、その準備の成果を示さなければいけないと思います。
医療ニーズに機動的に対応できる病院運営に向けて、病院経営本部と公社事務局が一緒になって、一体になって様々な準備、検討を進めてまいりました。時代の流れ、人口の在り方、どこの何歳ぐらいが多いのかとか、医療の技術の進歩によって入院日数も減ったり、医師の数を調整したり、体制強化をしなければいけない。こうした検討の中で、検討しているからこそ見えてくる課題も様々あると思います。
こうして検討段階にあって、また、都議会での様々な議論の中で浮かび上がってきた問題もありますし、それを今の時点では、反対の立場からご意見している、そういう方々にも納得していただけるように、また、そういうミスリードが都民に伝わっていかないように、この準備で、設立までの間に必要な準備をしっかりとしていかなければなりません。スムーズに移行できる準備が重要です。
各病院の医療機能強化に向けた検討も進めたということでございました。団塊の世代が後期高齢者に全てなっていく二〇二五年問題、もう目前です。地域医療のシステム化など、地域医療に先導的な役割を果たしてきた公社病院と高度専門的医療を担ってきた都立病院が一体となることで、お互いのノウハウを活用しながら、それぞれの機能をさらに発展させ、都民の医療ニーズに対応していけるよう、独法化の準備を着実に進めていただきたい。
公社が設立されて三十年がたちました。この間、公社病院は地域の中核的病院として地域医療を支えてきたことを確認してきました。しかし、高齢化の進展によって地域完結型医療への転換や、地域包括ケアシステムの構築が求められるようになってまいりました。医療環境は大きく変わっております。
こうした中で、公社病院を独法化する意義について、改めて確認させていただきます。
○船尾計画調整担当部長 先ほどの副委員長のお話にありますとおり、超高齢社会の本格化に伴いまして、地域包括ケアシステムの構築に向けて、病院完結型医療から地域完結型医療への転換が図られている中、地域の医療提供体制が確実に整えられていくよう、民間医療機関等との連携の下、地域の医療水準を向上させるための取組ですとか不足する医療の提供など、先導的、補完的に取り組むことが公的病院として求められております。
このため、公社病院は、医療連携のさらなる推進をはじめ、地域医療を支えていくことがこれまで以上に必要でございまして、医療機能を一層高めていかなければなりません。
都民の約三割が六十五歳以上の高齢者となることが予測されております二〇四〇年代に向けまして、医療環境がますます厳しくなってまいります。都立病院と一体的に独法化することで、これまで公社病院で培ってきた地域医療のノウハウを共有し、それぞれの強みも生かし合いながら相乗効果を高めていくこと、また、人材交流の活性化により、高度専門的医療から地域医療まで多様な経験を有する人材を確保、育成することなど、医療人材や設備、情報といった医療資源を統一的な方針の下で効率的、効果的に活用することが可能となりますものでございます。地域医療への支援の一層の充実につながっていくものと考えてございます。
○慶野委員 ありがとうございます。
病院完結型医療から地域完結型医療へ。超高齢社会が本格的に迫っていると。そういう時代に対応するための、公社病院と都立病院が一体となって、それぞれのノウハウを共有して、人材の流動性、交流も深めながら、それに対応した体制をつくっていくというご報告、お話でありました。
さらに、最後におっしゃっておりました医療人材や設備、情報といった医療資源を統一的な方針の下、進めると。まさにおっしゃっていただいたような、単年度会計では導入できないような高額の超先進医療機器、私ども都議会公明党は、この都議会議員選挙におきましても、重粒子線のがん治療器を東京都の所管する病院で導入していくべきだと、都民にお約束をして訴えてまいりました。
百億とも百五十億円ともいわれるこの重粒子線の装置等を、やはり会計年度単年度で導入していく、これはなかなか難しいお話でありまして、大きなスケールメリットを生かしながら、これから独法化された後にも都民の命を守るために、安心・安全な医療をしっかり提供できる体制を構築するために、その機能が果たせるように、準備、検討を進めていただきたい、このことを要望しまして、質問を終わります。
○尾崎委員 私の方からは、私の地元にあります東村山市内にある公社病院多摩北部医療センターについて、地域で市民の命を守る大きな役割を果たしていただいていること、そして、新型コロナ感染拡大の中で、都立病院と公社病院の医師、看護師、職員の方々が必死になって取り組んでいただいていることに感謝するものです。
新型コロナの感染が広がった初期の頃には、発熱外来も含めて多摩北部医療センターがどのような対応をしているのか、地元の住民には明らかになっていなかったために不安もありました。
そこで伺いますが、コロナ患者の受入れについて、多摩北部医療センターの実績について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度の多摩北部医療センターにおきますコロナ患者の受入れ実績は、疑い患者を含めて千十人でございます。
○尾崎委員 これまで千十人のコロナの疑いの患者さんも含めて受入れをしてきたということが分かりました。
公社病院多摩北部医療センターは、もともと感染症医療には取り組んでいなかったと思いますが、感染症に対応するためには何が必要なのか。多摩北部医療センターには陰圧室はなかったと思いますが、どうでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 感染症に対応するに当たりましては、院内感染の防止や医療従事者を守るために、感染対策の徹底が必要でございます。
防護服やサージカルマスクなどの医療資器材を十分に確保するとともに、特に感染管理の必要な患者を受け入れる病床には、簡易陰圧装置を整備しています。
○尾崎委員 昨年三月に簡易陰圧装置の設備工事を行い、対応してきたということも伺っています。公社病院多摩北部医療センターは改築が決まり、基本構想検討委員会が設置をされています。
第二回目の基本構想検討委員会で、感染症医療について意見交換しています。その中で、感染症に対応できる建物の検討になると思いますと発言しながら、東村山市内で呼吸器科を標榜している開業医の医師が一人もいらっしゃらないので、当院に呼吸器科があるとありがたいという発言もありました。この発言をどう受け止めますか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新しい多摩北部医療センターにつきましての詳細は、基本構想検討委員会等での議論などを踏まえまして、今後検討していきます。
○尾崎委員 基本構想検討委員会では、ほかの方から、中等症患者が入院できる、地域で中核となるような医療機関が必要であり、人口当たりの感染症用の病床数をある程度確保していただきたいと思っていますという意見もありました。
今後も新型コロナ以外の感染症が発生する可能性もありますので、建て替えを機に、感染症医療や診療科目の拡大、そのための陰圧室や動線の確保など、ぜひ実現してほしいとお願いするものです。
次に、多摩北部医療センターは、竣工から三十五年が経過しています。都は当初、改修ということでしたが、改築するという方針を決めました。公社病院多摩北部医療センターのある東村山キャンパスには、今、ナーシングホームの跡地や更地がたくさんありますが、新しい多摩北部医療センターはどこに建築するのでしょうか、また、面積はどう考えているのか、現在の面積よりも大きくなるのか、伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新しい多摩北部医療センターについての改築場所や面積などの詳細は、基本構想検討委員会等での議論などを踏まえ、今後検討してまいります。
○尾崎委員 改修にするか改築にするかの検討をする際、どの場所がいいかも含めて調査したのではないかと思います。様々な角度から検討しなければ、改修から改築に変更することはないと考えるからです。
二〇一九年度の決算特別委員会で、私の質問に、多摩北部医療センターは、施設の老朽化を踏まえコストや工期などを考慮しながら、昨年度、改修と改築の検討を行ったところ、改築に着手することとしましたと答弁がありましたが、改修から改築に変更した理由がよく理解できませんでした。
そこで改めて伺いますが、改築することになった理由は何ですか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 改築になった理由ですが、施設の老朽化を踏まえコストや工期などを考慮しながら、令和元年度に改修と改築の検討を行ったところ、改築とすることとしたものでございます。
○尾崎委員 今回も同じ答弁でしたけれども、改築コストだけでなくランニングコストも含めて検討したということも聞いています。
当初の改修の計画だったときには、廃止された東京都東村山ナーシングホームも活用して改修するということになっていましたが、改築に変更し、現在の多摩北部医療センターの病棟は、このまま活用していくということも聞いています。
地元の住民からは、公社病院多摩北部医療センターの新しい建物はどこに建設されるのか、雑木林や、絶滅危惧種であるキンラン、ギンランは守られるのかなどの声も寄せられています。住民の要望を聞いていただくことと同時に、改築することに関わる情報も丁寧に説明していただきたいと要望しておきます。
改築に向けて、新施設開設までの今後のスケジュールについて伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後、基本構想検討委員会等での議論を踏まえ、基本構想を取りまとめる予定です。その後、基本計画、基本設計、実施設計などを経て、工事に着手することになります。
○尾崎委員 今後のスケジュールについては、まずは基本構想を取りまとめるということだと思います。公社病院多摩北部医療センターの改築に向けた新たな病院の医療機能の検討を行い、基本構想を策定するために、多摩北部医療センター基本構想検討委員会を設置しています。
第一回の基本構想検討委員会で、地元東村山市の医師会の代表から、市には分娩施設がない状況ですので、産科を設置いただければ市民から喜ばれることになると思うとの発言がありました。この意見をどう受け止めますか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病院を運営する上で、患者やご家族、近隣の皆様の声は重要であると認識をしております。
○尾崎委員 東村山市と清瀬市には、お産ができる産科がなくなってしまっています。東村山市長は、子育てするなら東村山と公約し、市政のスローガンにもなっていますけれども、子育ての入り口ともなる分娩施設がゼロであり、引っ越してきた若い人たちからは、がっかりしたの声も上がっています。
地元住民の要望は、安心してお産ができる産科が欲しい、公社病院多摩北部医療センターにつくってほしいということですので、ぜひ基本構想をまとめる上で重視していただきたいと要望するものです。
しかし、産科について、都立多摩北部医療センター副院長は、今後、産科に力を入れるのであれば、普通の料金体系だけでなく、よりアメニティー等を充実した高級路線の施設にされることも検討の余地があるのではないかと思うと発言もしています。
公社病院は、採算を取りにくい医療の提供を役割にしており、高級路線の施設は不向きだと思います。都民が安心してお産ができる施設を目指すべきだと思いますが、認識を伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご指摘の委員の発言は、第一回目の検討委員会での発言であり、様々な視点からご意見をいただいたことと考えております。
今後、基本構想検討委員会等での議論などを踏まえ、検討していきます。
○尾崎委員 地元の住民の要望は、誰もが安心してお産ができる施設が欲しいということであり、アメニティー等を充実した高級路線の施設を多摩北部医療センターに求めているのではありません。深刻なのは、東村山市と清瀬市に、そもそも分娩施設そのものがないということです。
産科について、第二回基本構想検討委員会に資料が出されています。医療施設(静態・動態)調査によると、医療圏比較で分娩取扱施設数は、北多摩北部医療圏が一番少なく、二つの病院と三つの診療所、合わせて五つの施設であることが分かります。また、人口十万人対分娩取扱施設数も一番少なく、その資料によると、〇・六七施設ということです。
この状況をどう考えますか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内の産科、産婦人科の医師数は伸び悩んでおりまして、産科を設置するに当たっては、人材確保は難しいと認識しています。
○尾崎委員 私が聞きたいのは、先ほど述べたように、都内の中でも格差があるということです。多摩地域の周産期医療は、二十三区と比べて不十分な状況です。
昨年の決算特別委員会での福祉保健局の質疑で、多摩地域の産科の状況について聞いたことに対し、医療資源に限りがあると答弁しています。産科を設置するに当たっては人材確保が難しいという認識ですが、それならなおさら東京都の役割が重要です。
二次医療圏で比較して、最も少ない北多摩北部医療圏の分娩施設を増やすことは、東京都の役割であり、二次医療圏内にある公社病院の役割だと考えます。
そこで伺います。北多摩北部医療圏で分娩施設を増やしたいと考えると、公社病院多摩北部医療センターの役割が大きいと思いますが、どうですか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者やご家族、近隣の皆様からの様々な声を参考にしつつ、基本構想検討委員会等での議論なども踏まえて検討してまいります。
○尾崎委員 公社病院多摩北部医療センターを地元住民の要望が実現できる病院にしたいと、今、住民運動が広がり、多摩北をよくする会が結成されています。多摩北をよくする会は、この間、公社病院多摩北部医療センターに産科とNICUをつくってほしい、都立病院、公社病院の独立行政法人化はやめてほしいなどの署名運動に取り組み、多くの署名を集めています。
また、東村山市議会では、今年九月議会で、公社病院多摩北部医療センターに産科設置を求める陳情が全会一致で採択されています。地元住民、医師会、市議会の要望である公社病院多摩北部医療センターへの産科の設置を強く要望するものです。
同時に、第一回検討委員会では、多摩北部医療センターに産科を設置されるのであれば、多摩総合医療センターのような頼りになる産科をつくっていただきたいと思いますという意見もありました。これを実現しようとすれば、NICUは不可欠だと思います。NICUの実現も併せて求めるものです。
多摩北部医療センターの基本構想検討委員会は、第一回目は二〇二〇年十月二十八日、第二回目が十二月二十三日に開催をされています。当初、基本構想は、二〇二一年夏頃までにまとめ案を出し、その後、パブコメを行うと聞いていましたが、第三回目の開催日程は明らかになっていません。
基本構想検討委員会の今後のスケジュールについて伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 第三回基本構想検討委員会の開催日は、現在調整している段階でございます。
○尾崎委員 当初の予定では、基本構想検討委員会は五回ぐらい開催していくということも聞いていましたが、三回目の開催もまだ決まっていないという状況が今のご答弁で分かりました。コロナの感染拡大の中で、基本構想検討委員会は開催できないということです。
それでは、公社病院の独立行政法人化に向けて、医師や看護職員への説明はどのように行ってきているのか伺います。
○船尾計画調整担当部長 多摩北部医療センターにおきましては、昨年度、職員に対しまして、移行に向けた検討状況や人事給与制度等について、イントラネットの掲示板等を活用して説明をし、周知を図っております。
引き続き、その時々の状況を踏まえた適切な方法で職員に説明してまいります。
○尾崎委員 住民の期待が大きい公社病院多摩北部医療センターの改築に向けた基本構想検討委員会は、コロナ禍で進まない状況ですが、公社病院の独立行政法人化に向けては、コロナの感染拡大の中でも着々と進めているということです。私は、これはおかしいと思います。都民からも、医師や看護職員からも、独法化への同意は得られていません。コロナの感染拡大の中で、公社病院の医師や看護職員は、都立病院と同様に必死に対応しています。独立行政法人化を進めるのは、やめるべきです。
公社病院多摩北部医療センターは、土地も建物も東京都のものです。もし、独法化した場合、改築は誰が検討し、誰が実際に行うのですか。
○船尾計画調整担当部長 多摩北部医療センターの改築につきましては、独法化後の法人がしっかりと検討し、実施することになります。
○尾崎委員 多摩北部医療センターは直営でなくなってしまいましたが、土地と建物は東京都が持っていて、今の改築も東京都自身が検討委員会を設置して検討しています。私は、この点は、住民の声を反映するためにも大事なことだと思うのです。
ところが、独法化されたら、法人が改築を検討し実施するということです。そうなれば、東京都としての構想ではなく、独法化された病院としての医療構想にしていくということになります。そうなれば、住民の声は届きにくくなりますし、患者負担が増える高級路線の医療の方向になるのではありませんか。地元の住民が望んでいるのは、安心してかかれる病院です。
独法化の真の目的は都の財政支援の削減であることは、この間の本会議、厚生委員会の質疑でも明らかです。長引くコロナの感染拡大の中で、都民の命を守るためコロナ患者を積極的に受け入れてきたのは、都立病院、公社病院です。
公社病院を独立行政法人化するのではなく、都の直営にすべきだと意見を述べて、質問を終わります。
○五十嵐委員 私からは、コロナ禍における公社病院の対応として、外国人患者の受入れ体制と一般医療の制約について、最後に、公社病院の災害対策について伺います。
都のホームページで公表している東京都の人口データによれば、都内の在日外国人の数は年々増えており、令和二年度は五十七万七千三百二十九人と、これまでで過去最大の人数となっています。
現在、感染者数が抑えられ、今後、改善状況、改善していく場合に、在日外国人のみならず訪日外国人についても増加していくことが見込まれます。そのため、公社病院においても外国人の受入れ体制の準備を図っていくことが必要です。
そこでまず、冒頭、外国人患者の受入れ体制に関する公社の取組について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、外国人患者に適切に医療サービスを提供するため、外国人人口が多い新宿区にある大久保病院をはじめとして、各病院で外国人患者の受入れ体制を整備しています。
具体的には、各病院で院内表示やホームページ、患者向け文書の多言語化を進めてきました。また、タブレット端末を利用して、リアルタイムで通訳オペレーターが患者対応を支援する映像通訳サービスや、多言語対応が可能な音声翻訳アプリを導入し、外国人患者の診療時や医療制度の案内などを行う際に活用しています。
さらに、患者や家族の様々な相談に、ワンストップで多職種により対応する患者支援センターにおいて、外国人患者受入れ担当者を全病院に配置し、人員体制を強化しています。
こうした結果、厚生労働省が推奨する認証制度である外国人患者受入れ医療機関認証制度、いわゆるJMIPでございますが、JMIPにつきまして認証取得済みの四病院に加え、令和二年度は、多摩南部地域病院と多摩北部医療センターが新たに認証され、現在、公社全病院で認証を取得しております。
○五十嵐委員 これまで公社病院が、外国人患者の受入れについて、厚労省の認証制度なども活用するなどして、体制の整備を進めてきたということでした。
令和二年度は、新型コロナの対応で、公社病院では外国人患者についても受入れを行ってきており、これまでとは異なる対応が求められたことがあったのではないかと思います。
そこで、公社病院の新型コロナに感染した外国人患者の受入れの対応について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、新型コロナ対応におきまして、他の医療機関では受入れ困難なコロナ患者を積極的に受け入れてきました。
新型コロナで入院した外国人患者につきましては、あらかじめ選抜された外国語対応可能な看護師がコロナ病棟で対応するとともに、その他の看護師につきましても、携帯型小型翻訳機等を活用して、適宜患者対応を行いました。
宗教上の理由で食事が制限される外国人患者を受け入れた場合には、食品の内容と患者のそれぞれの状況に応じて個別の献立を作成し、食事の提供を行いました。
また、コロナ患者はコロナ病棟から外出することができず、その場合、特に外国人患者については外部の情報を入手しにくい状況になるため、令和二年度は四病院で病棟や外来等に患者用Wi−Fiを設置するなど、患者が情報を入手しやすい環境の整備を進めました。
こうした取組を進め、新型コロナ対応においても外国人患者の受入れに対応してきました。
○五十嵐委員 公社病院では、新型コロナ対応においても外国人患者の受入れ体制を整備してきたということでした。
今後、コロナの感染が抑えられ訪日外国人等が増加し、公社病院を受診する外国人患者が増える状況になっても、的確に治療に結びつけ適切な医療サービスを提供できるよう、引き続き公社病院における外国人患者の受入れ体制の整備をお願いいたします。
次に、公社病院における一般医療の制約について伺います。
公社六病院のうち、感染症指定医療機関が二病院で、それ以外の四病院についても積極的にコロナ患者を受け入れています。一方で、その分、一般医療を受診する方々が制約を受けているのではないかと思います。
令和二年度の延べ入院患者の実績を見ますと、四十二万四百八十一人ですが、前年度と比較して約十三万人減少しています。また、延べ外来患者の実績は六十六万七百六十六人ですが、これも前年度と比較して約十五万人減少しています。
そこで、これまで公社病院に通院等をしていた方について、コロナ患者を受け入れるために、公社病院として、どのようにほかの病院に誘導したり案内するなどして対応してきたのか、東京都の見解を伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がんなどの一般医療で通院し、引き続き公社病院で治療が必要な患者や、心臓疾患等で緊急に治療が必要な患者などについては、各病院で治療を行いました。
一方、他の医療機関での治療が可能な場合には、一人一人の患者に丁寧に説明した上で、地域の医療機関や患者の希望する病院などに転院をお願いしました。
患者の個別の症状に合わせた丁寧な対応により、コロナ対応病床を確保し、多くのコロナ患者を受け入れてきました。
○五十嵐委員 コロナ病床の確保に当たって、公社病院が通院等の患者さんに対して対応してきた方法は理解しました。ただ、社会的には、やっぱり、病院に来るとコロナ感染するのが怖いということで、受診控えなども発生していると聞いています。受診控えが増えることによって、必要な適切な治療が遅れ、手遅れになる患者もいるものではないかと予想されます。
そこで、公社病院として受診を控える患者さんに対して、どのように対応してきたのか教えてください。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 各病院におきましては、一般患者とコロナ患者の出入口を分離し、一般患者の出入口では、検温や手指消毒等について職員による声かけ等を徹底するなど院内感染防止を推進するとともに、こうした取組をホームページに掲載し、院内感染に関する不安解消に努めてきました。
また、初診患者の約八割を紹介患者が占めているため、地域の医療機関に対して継続している医療を伝えるなど、患者の受入れ可能な診療科を周知しています。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
今後も受診控えなどにより、患者さんの症状の悪化等につながらないように、公社病院としても丁寧な対応を引き続き行っていただきたいと思います。
最後に、公社病院における災害対応について伺います。
今般の新型コロナウイルス感染症も災害の一つといえますけれども、地球温暖化を背景に日本でも大雨等が増加しており、水害対策も着実に進めることが重要です。
公社六病院は、いずれも災害拠点病院に指定されていることもあり、水害時にも被害を最小限にとどめて、病院機能を継続することが求められています。とりわけ、海抜ゼロメートル地帯が多い区東部地域は大規模な水害被害が想定されており、公社の東部地域病院は浸水対策の強化が求められています。
そこで、洪水による被害が想定される東部地域病院の令和二年度の浸水対策の取組について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東部地域病院は、水防法に基づく洪水浸水予想区域図によれば、荒川が氾濫した場合には、最大で三から五メートルの浸水被害が想定されています。このため、平成三十年度に水害対策手法の検討を行い、地下にある非常用電源設備を屋上にも配備することとしました。
令和二年十二月から屋上への非常用発電機及び受変電設備の増設工事に着手をしております。現在工事を進めておりまして、令和三年度末に竣工する予定でございます。
○五十嵐委員 令和二年度の東部地域病院における水害対策が着実に進められているということでした。
さて、近年は河川の氾濫のみならず、短時間の集中豪雨等により排水溝や水路から水があふれて浸水が起こる内水氾濫のリスクも顕在化しています。
そこで、内水氾濫における浸水被害が想定される公社病院の水害対策の進捗状況について伺います。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 河川だけでなく、下水道による浸水も表示する浸水予想区域図に基づきまして、令和元年度に浸水影響調査を行ったところ、公社病院では、豊島病院において、内水氾濫等による浸水被害が想定されています。
影響調査によれば、豊島病院では、国が定める想定最大規模降雨である一時間最大雨量百五十三ミリとなった場合、地下雨水槽の排水能力が追いつかず、あふれることが想定されています。
このため、地下への浸水を防止するため、スロープや建物開口部等に止水板を設置するとともに、排水処理能力の向上を図るため、雨水排水ポンプを更新することとしました。
令和二年度にはこうした工事の設計を行い、令和三年度に工事に着手し、令和四年三月に竣工する予定でございます。
○五十嵐委員 病院が立地する地域の被害想定や施設の現状を踏まえて、災害対策を進めているとのことでした。
新型コロナウイルス感染症の対応を継続しながら大規模な工事を行うことは、大変なところもあると思いますけれども、地域住民や患者さんの安全と安心の確保のために、工事の完了に向けて、引き続きご尽力いただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○アオヤギ委員 それでは、私からも質問させていただきます。
昨年に、日本でも新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降、公社病院の荏原病院は、「ダイヤモンド・プリンセス号」の患者など、いち早く感染者を受け入れてきました。その後も、都の要請に応じて多くの病床をコロナ病床に転換をして、新型コロナウイルス感染症の対応をしております。
そこでお伺いしますが、公社病院では、コロナのための医療従事者など、どのような手だてで人員、病床を確保してきたのでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 コロナ患者の受入れに当たりましては、医師、看護師をはじめ全職員が協力して対応しており、医師については、感染症科や内科の医師をリーダーとして、他の診療科の医師が参加する診療チームを編成しました。また、看護師につきましては、他の病棟からのコロナ病棟への応援体制を構築しております。
病床につきましては、行政的医療以外の診療を一部制限し、感染状況に応じてコロナ病床を拡大することで、令和三年二月には最大で八百八十床を確保しました。
○アオヤギ委員 多くの診療科でチームをつくって受け入れてきたということでありますが、昨年の四月頃は病床確保への補助金の額も低く、コロナ医療を行うほど人員がかかり赤字になるといわれていました。そうした中で、公社病院が積極的に病床確保を進められたのはなぜでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、地域における急性期医療の中核病院として、感染症医療、精神科医療等の一般医療機関では対応が困難な行政的医療を提供しています。
感染症医療は、行政的医療の代表的なものであるため、公社病院の役割としてコロナ対応を行いました。
○アオヤギ委員 公社病院の役割だからというお答えで、受け入れたというのは重要だと思います。しかし、感染症の診療科があったのは、荏原病院と豊島病院だけでした。
どのような診療科がコロナ患者対応に当たったのか教えてください。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 コロナ患者の対応に当たりましては、感染症内科や内科をはじめ、外科や皮膚科など他の診療科も複数名参加した診療チームを編成し、全診療科が協力してコロナ患者の治療に当たる体制を構築しました。
○アオヤギ委員 全診療ということで、全体で受け入れてきたということでありますが、都立病院時代から荏原病院と豊島病院には感染症の専門医がいたということで、そのことは不幸中の幸いだったというふうに思います。
この医師らがほかの公社病院にもアドバイスしながら、コロナの患者の受入れを広げていったとのことでした。緊急的に、このような専門外の皮膚科医などが治療に当たったということです。
昨年十二月頃からの第三波では、公社病院も逼迫し、どの公社病院も百床以上、コロナの病床を確保する事態になりました。一方、コロナ以外の医療は、かなり縮小せざるを得ませんでした。
公社病院が今回のコロナの患者を多く受け入れることができたことに対する教訓は、どのように分析しているでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、複数の診療科が参加する診療チームの編成や、感染管理認定看護師等が中心となって実施した研修やマニュアル作成等により、病院全体で対応できる体制を整備することで、感染拡大時に多くの患者を受け入れることができたと考えています。
○アオヤギ委員 病院全体で体制をつくったということでありました。
専門性の高い病床を確保するには、そこに対する補助が不可欠であると考えます。例えばECMOをつけた患者さんのお話を聞いたことがあるんですけれども、ベッドの横に移すだけで一時間、十人の医療従事者を必要としたとお聞きしました。
公社病院では、透析患者の外国人の受入れや自宅で一人で過ごすのが困難な方がいる場合の家族ごとの受入れ、精神科でのクラスターの患者の受入れなど、民間にはなかなか対応できないというような患者さんを受け入れてきました。
一方で、一般の医療は大きく制限されました。また、感染が広がると、全ての病院が患者を受け入れなくてはならないということも分かりました。
新型コロナウイルスのパンデミックで都民が求めているのは、感染したときに医療を受けられるようにしてほしいということだと思います。また、一般の医療をできる限り継続することも必要です。
削られた公衆衛生、感染症の病床などを増やしていき、そこで従事する従事者を増やしていくなど、拡充していくことが求められていますけれども、いかがでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、感染症指定医療機関である荏原病院、豊島病院で合計四十床の感染症病床を整備しています。
令和二年度に、コロナに対応するに当たり一般病床をコロナ対応に転用し、簡易陰圧装置を整備するとともに、コロナ診療に当たる医療従事者を増員することなどにより、最大で八百八十床の病床を確保しました。
○アオヤギ委員 つまり、一般医療を縮小せざるを得なかったということです。ふだんから医療体制にゆとりがなければ、コロナのような危機のときに無理が生じるということが、コロナの対応で得られた教訓です。平時からの体制強化が必要不可欠だと指摘しておきます。
次に、公社病院で受け入れている低所得者の割合についてお伺いします。
公社病院を受診している生活保護受給者の人数をお示しください。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年十月に実施しましたワンデー調査によりますと、入院の生活保護受給者は八十八人で、外来の生活保護受給者は百三十九人です。
○アオヤギ委員 ワンデーの調査ということで、ある日の一日でありますけれども、一定数の生活保護利用者を受け入れていると。一方、コロナ禍で少なくなっているということです。
生活保護の利用者は、差額ベッド代を取る病床に入院するのは極めて困難になっているのが現状です。差額ベッドは、本人が個室を希望する場合などに費用が発生します。かつては国は認めていませんでしたが、変更され診療報酬が引き下げられる一方、ホテルコストと呼ばれる差額ベッド代など、希望した患者から取ってよいこととなっています。
今では、ほとんどの医療機関がこの差額ベッド料を徴収し、削られた診療報酬による減収を補っています。診療報酬が削られた今、自費分で収入を増やすか、労働強化をして人件費を減らすか、病院が存続するにはどちらかを選ばされています。一方、都立病院、公社病院は、行政的医療を都民に保障し提供するため、都が財政支出をしています。
まず、お伺いします。公社病院での差額ベッドや自費の文書料などで得られた収入は、どれくらいになりますか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年度におきます特別室料収入は四億三百四十九万円、文書料収入は八千百九十二万円でございます。
○アオヤギ委員 差額ベッド代を増額すれば、生活保護利用者は、実質的に入院できない病床が増え、受診できなくなるおそれがあります。
公社病院では、差額ベッド代をどのような計算をして決めているのでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公益財団法人東京都保健医療公社が開設する病院等の使用料及び手数料に関する規定におきまして、患者が使用を希望する場合に限り特別室使用料を徴収しています。
各病院の特別室の料金は、各病室の面積やトイレ、シャワーなどのアメニティー設備の整備状況に応じて設定しております。
○アオヤギ委員 次に、公社病院の認識についてお伺いしたいと思いますけれども、差額ベッドの割合を増やしたり値上げをするということになれば、低所得者などが受診できなくなるなど診療する内容が大きく変わっていくと思いますが、そういうご認識はありますでしょうか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社は、暮らしと医療、介護サービスを公社がつなぎ、誰もが住みやすい地域社会の構築に貢献していくことを公社の基本理念としています。
公社病院は、基本理念にありますように、誰にも開かれた病院であり、また、診療内容については、患者の症状に応じて医師が適切に診療を行っております。
○アオヤギ委員 今は、そこまで保険外で収入を増やすという路線ではないかもしれませんが、経営がさらに重視されていくと、病院の性格も変わっていくおそれがあります。
独法化された東大病院では、差額ベッド代二十万円も一人で支払うと。そして、一方で行政的医療にはたくさんの医療従事者を必要として、そして、低所得者などを受け入れているということが、採算性を求めれば、市場の原理では、一人で多く払っていただく方に流れていくというのが世の中の市場の原理だと思います。
長引くコロナ禍で、多くの方がホームレスになり、炊き出しに列をなす。また、体調を崩しているけど、保険証がなくて医療にかかれない。また、ホームレスの方がコロナになり自宅待機とされ、行く場所がなく、支援団体の事務所に待機したなど、深刻な事態が広がっています。
今こそ、経済的に困窮する方への医療の提供を公社病院の役割として明確に位置づけるべきではありませんか。
○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、経済的な問題の有無にかかわらず、患者に対して必要な医療を提供しています。
○アオヤギ委員 経済的な問題の有無にかかわらずといっても、自己負担を払えないと思っている方は、自ら病院には来ません。決めません。そのような方も来られるように、経済的に困難な方を受け入れることを明確にして、安心して医療にかかれるようにしていくべきです。そのためにも、公社病院で無料低額診療などを行うことを求めます。
また、先ほどは、公社病院の理念を示していただきました。これが変わることなく、これからも所得のあるかどうかにかかわらず、都民に提供できるのかが問われています。もし独法化されれば採算性が強く求められ、行政的医療は後退します。
パンデミックの下で明らかになったのは、あまりにも医療が削られ過ぎていたことです。医療を必要とする人全てに医療を提供するために、さらに病床を増やすことは急務です。
公社病院においても、提供されてきた行政的医療が、今よりもさらに拡充をすることは行政に課せられた責務であり、都が繰り出している百億円は、都民の命に対する都の責任であると認識していただき、独法化は断念することを強く求め、質疑を終わります。
○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十三分休憩
午後二時五十九分開議
○内山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
これより生活文化局関係に入ります。
初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、生活文化局長から紹介があります。
○野間生活文化局長 去る十月十五日の当分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
文化振興部長の蜂谷典子でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○内山委員長 紹介は終わりました。
○内山委員長 決算の審査を行います。
令和二年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○古屋総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長新型コロナウイルスワクチン接種連絡調整担当部長兼務 去る十月十五日の当分科会におきまして要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布の令和二年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの過去五年間の推移を記載しております。
三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの過去五年間について、(1)に貸付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に貸付人員の推移をそれぞれ記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(令和二年度)でございます。
令和二年度における授業料、入学料、施設整備費といった生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
五ページをお開き願います。5、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(令和二年度)でございます。
(1)に予算額と決算額を記載しております。(2)に所得区分ごとの受給者数と実績額を記載しております。
なお、国の制度改正に伴いまして、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
六ページをお開き願います。6、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の受給者数と実績額の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度における学校の種類ごとの受給者数と実績額を記載しております。
七ページをお開き願います。7、私立学校ICT教育環境整備費補助の実績及びICT機器等の整備状況でございます。
(1)に平成二十八年度から令和二年度までの実績を記載しております。(2)に私立学校におけるICT機器等の整備状況につきまして、教育用端末一台当たりの児童生徒数、普通教室の無線LAN整備率を記載しております。
八ページをお開き願います。8、私立専修学校修学支援実証研究事業における支援実績の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの同事業における協力校数、協力者数、支援金額の実績を記載しております。
九ページをお開き願います。9、東京ウィメンズプラザの施設利用率、相談件数及び相談員数の推移でございます。
平成二十八年度から令和二年度までの施設利用率、相談件数、相談員数の実績を記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、アートにエールを!東京プロジェクトの応募・支払状況(令和二年度)でございます。
個人型、ステージ型につきまして、応募数、個人登録数及び企画採択数、支払数を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○内山委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 それでは、私からは、まず初めに私立学校の振興につきましてお伺いしたいと思います。
東京の私立学校は、都内の高校生におきましては六割近くが通うなど、東京の公教育におきまして非常に大きな役割を果たしております。それぞれの学校が独自の建学の精神に基づく特色ある教育を展開しておりまして、都民からも、大きな期待を寄せておられます。
都議会自民党は、こうした私立学校の果たす役割をしっかりと受け止めまして、私立学校におけます教育のさらなる充実、公私間格差の是正、特に生徒一人当たりの公費負担金の違いなど、そういった是正を図るために、経常費補助をはじめといたします私学助成の拡充に努めてまいっております。
そうした観点から、私立学校振興に関する幾つかの事業について確認をさせていただきたいと思います。
まず初めに、世界で活躍できる人材の育成についてでございます。
都では、私立学校におけますグローバル人材の育成に向けた取組を支援しております。しかしながら、令和二年度、様々な要因があったかとは思います。
令和二年度におきまして、具体的にどのような支援を行うことができたのかお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 東京都は、令和二年度、私立学校におけるグローバル人材の育成に向けた取組を支援するため、高校生の海外留学への支援を行う私立高等学校海外留学推進補助、そして外国語指導助手の雇用経費等を補助する私立学校外国語指導助手活用事業費補助、それから教員の海外研修経費を補助する私立学校教員海外派遣研修事業費補助、それから生徒の総合的な英語能力を測定する外部検定試験料、これを補助いたします私立高等学校外部検定試験料補助を行ってございます。
○清水委員 ありがとうございます。
我々都議会議員にとってもおなじみの事業かと思うわけでございますが、これらの事業につきまして、令和二年度の決算の執行率、これを拝見いたしますと、全体では約七〇%と、ちょっと低い数字となっている次第でございます。
特に、生徒の海外留学を支援いたします私立高等学校海外留学推進補助の執行率が非常に低いようでございます。コロナ禍の影響により執行率が下がったものと、これは当然考えるわけでございますが、実際どのような状況下に置かれていたのかご説明をいただければと思います。
○戸谷私学部長 令和二年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響によりまして、海外への渡航や現地での留学を安全かつ円滑に実施することが困難な状況でございました。
そのため、私立高等学校海外留学推進補助につきましては、生徒の安全確保と感染症の拡大防止を最優先する観点から、既に留学先で学習を開始あるいは完了していた留学プログラムを除きまして、新規の募集は中止したところでございます。
その他の事業におきましても、当初予定していた外国語指導助手の招聘が見送りになるなど、コロナ禍の影響を受けたことによりまして、全体として執行率が低下することになっております。
○清水委員 ありがとうございました。昨年は大変な年だったと思うわけでございます。新型コロナウイルス感染症の影響で海外への渡航が制限されており、そうした中でのこの執行率は仕方がないのかなと私自身は思っている次第でございます。
しかしながらなんですが、次代を担う国際感覚豊かな人材を育成するためには、やはり海外への留学は非常に有意義な取組だと思っております。本年度も厳しい財政状況、あるいはコロナの影響が続いているわけでございますが、この状況が改善した場合にはしっかりと事業を継続できるよう、必要な予算額を確保していただきたいと思います。
特に私は思うんですが、決算でございますので、私たちは数字に着目して様々な質疑をさせていただきます。数字というのは非常に説得力があるものでございますが、使いようによっては、あるいは質問する側の使い勝手がいいように用いることができるのが数字であります。
したがいまして、今回のこのコロナの影響で執行率が下がったといっても、これはぜひとも、特に財政当局には、必要な取組なんだよということを力強く関係当局からはご説明をしていただいて、引き続きこのような有意義な施策は継続していただきますよう、まずは要望したいと思います。
また当然、コロナ禍だからこそ、やはりそういった現場を預かる学校関係者の方のご意見というのはしっかりと耳を傾け、また、心を寄せてご意見を聞いていただいた方がいいのかなと思います。
もう把握はしていらっしゃるかと思いますが、学校現場からは、もう少しこの海外研修の補助、使い勝手のいいものにしていただけませんかというふうな要望が届いているかと思います。どうしても、研修先のプログラムの関係で、八週間が原則の研修だというふうなことになっておりますが、八週間といいますと二か月近くということなんで、なかなかまとまった休みが取れないということを考えますと、学校側からは、一週間あるいは十日間ぐらいのサイクルで、これは夏休み、冬休みに分けてというふうな考え方もできるのかと思いますが、そのような検討もぜひとも引き続き行っていただきますよう、まずはご意見を申し上げたいと思います。
続きまして、私立学校ICT教育環境整備費補助についてお伺いしたいと思います。
具体的に申しますと、私立学校ICT教育環境整備費補助事業について伺いたいと思います。
令和二年度の執行率、これ一〇〇%でございます。学校現場のニーズが非常に高い事業であると思いますが、具体的な事業内容と令和二年度の補助の実績について、前年度との比較も含めてお伺いをしたいと思います。
○戸谷私学部長 私立学校ICT教育環境整備費補助ですが、私立学校におけるタブレット等の教育用端末や無線LAN、電子黒板等の整備経費の一部を補助する事業でございます。
令和二年度は、二百四十四校がこの補助金を活用しておりまして、補助額は約八億三千万円でございます。前年度と比べて、学校数で三十八校、補助額で約二億円増加しているところでございます。
○清水委員 ありがとうございます。
この事業につきましては、平成二十七年度から開始された事業だそうでございまして、昨年度も多くの学校に活用されたということだそうです。私立学校の取組も進んできたのかなと思いますが、一方で、昨年度は、公立学校ではGIGAスクール構想の中でICT教育環境の整備が一気に進んだということです。
この当初の計画は、二〇一九年度から五年間かけて順次ハードの整備をしていく予定だったということでございますが、ご案内のとおり、昨年はコロナでございましたので、リモート学習の要望が非常に高まったということで、スケジュールを公立学校では大幅に前倒ししたということでございます。したがって、またここでも公私間の差があるんじゃないかというふうな疑問が湧いてまいりました。
そこでお伺いしたいと思うんですが、私立学校におけますICT教育環境はどの程度整備が進んでいるのかお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 国と都がそれぞれ、本年五月から六月にかけまして、都内の私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を対象にしてICT教育環境の整備状況に関する調査を行ってございます。
その調査結果によりますと、パソコンやタブレット等の教育用端末は、保護者が購入する方式で整備した分も含めると、児童生徒の約一・八人に一台の割合で整備されてございました。また、普通教室における無線LANの整備率は八一・二%、電子黒板等の大型掲示装置の整備率は八八・一%でございました。
○清水委員 基本的には一人一台パソコン、端末ということを目標にしているわけでございますので、一台当たり一・八人でいいんだよね−−というふうなことでございますので、私立学校におきましてはまだまだ支援がこれは必要なのかなというふうに思います。
学校現場におけるICT環境、教育環境の整備は、これからの時代に求められる多様な学びを提供する上で非常に重要な取組であると思います。公立学校、私立学校の区別なく進めていく必要があると思うんです。
都として私立学校の取組をしっかりと支援してもらいたいということを強く要望しておきますとともに、やはりこれ、GIGAスクール構想の上で、端末機の補助につきましては、国公立が一台当たり四万五千円の補助を全て行うというのに比べまして、私立の方は上限が一台四万五千円、金額の半分を公費で補助するというふうな、こういった仕組みの違いがあるということがこれ一番初めに押さえておかなくてはならないということなのかなと思います。
東京力−−東京は財政力豊かといわれているわけでございます。このこと全てを東京都が考えなければいけないということは私は申し上げることはありません。しかしながら、そういったことを考えることの是非ということぐらいは議論してもよろしいのかなと思いましたので、これも意見とさせていただきたいと思います。
続きまして、私立学校の耐震化についてお伺いしたいと思います。
具体的には、私立学校安全対策促進事業費補助についてお伺いしたいと思います。
令和二年度の執行率が六八・八%というふうなことになっております。これも数字的には若干低いのかなというふうな印象も持つわけでございますが、この数字の理由についてお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 本補助につきましては、子供たちの安全を確保するために、私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校等が行う校舎等の耐震診断、耐震補強工事、耐震改築工事等に要する経費の一部を補助するものでございます。
都は、本事業が活用され学校の耐震化が進むよう、理事長や学校長が参加する会議等の機会を通じまして各学校への働きかけを行うとともに、各学校からの専門的な相談に応じるために、公益財団法人東京都私学財団とも連携いたしまして、建築士を学校に派遣する事業なども行ってまいりました。
しかしながら、各学校において耐震化に向けた具体的な計画の策定などの検討に時間を要していることなどから、結果として予算規模に対しての事業実績が少なかったものでございます。
○清水委員 ありがとうございます。東京都として、私立学校の耐震化の促進に向けまして、いろいろと取り組んでいらっしゃるというふうなことだと思います。
現在の耐震化の進捗状況をお伺いしたいと思います。
○戸谷私学部長 令和三年四月一日時点での私立学校の耐震化率でございますが、幼稚園で九五・一%、小学校で一〇〇%、中学校で九九・六%、高等学校で九六・八%でございまして、これら全体で九六・三%となってございます。
○清水委員 ありがとうございました。東京都におけます私立学校の耐震化、これは大分進んできたというふうな数字が示されました。あといま一歩というところまでだと思います。
まだ完了していない学校もあるとのことでございますが、耐震化の促進に向けまして、東京都として、安全で安心な学校、一〇〇%学校の耐震化を目指して、より一層取り組むべきだと、これは私、考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
○戸谷私学部長 私立学校の耐震化は進んできてはおりますが、学校ごとの様々な事情によりまして耐震化が完了していない学校も残ってございます。
耐震化の一層の促進を図るために、今後、未耐震の校舎等を有する学校の設置者に対しては個別に各学校の状況を確認し、幼稚園については、所管庁である区市とも連携しながら耐震化に向けた相談に応じるなど、丁寧な働きかけを行ってまいります。
今後も引き続き、私立学校の耐震化に向けた取組を支援してまいります。
○清水委員 ありがとうございました。大分進んできたんですが、あと残りの数%の事例というのは、いわゆる困難ケースが残されてしまっているというふうなことだと思います。
私立学校の耐震化を進めていくということは、地震といういつ起こるか分からない、そんな災害から生徒や保護者、学校関係者の生命を守るため、極めて重要な取組であります。
そのためにも、東京都は補助金だけでなくて、各学校への丁寧な働きかけなどを行っていただきながら、私立学校の耐震化に向けた取組が促進されるよう、引き続き支援をしていっていただきたいと強く求めるものであります。
以上、これまで決算状況を踏まえまして学校教育に必要な内容について伺ってきましたが、改めて、東京の公教育を担い、大きな責任を持って教育に取り組んでいる私立学校の重要性に鑑みまして、私立学校の一層の振興について、東京都における引き続きの支援を要望したいと思います。
そのためには、繰り返しになりますが、いま一度、現場の声に耳を傾けていただければと思います。私どものところにも、このほかにも様々な要望が寄せられておりますので、この際ご披露させていただきたいと思うんですが、やはり私立学校に通う生徒さんというのは、何となく家庭が裕福なイメージがありますが、実際はそんなことはないというふうなお声が寄せられております。本当に家計が苦しいご家庭に援助をするというふうな策がまだまだ足りていないそうでございます。
学費だけではなくて、例えばほかにも、学費のほかに施設整備費ですとか、あるいは教育充実費というふうな名目で費用を納めなければならないというふうなことがあります。例えばそういったところにも光を当てていただいて、何らかの支援ができないのかなというふうなことでございます。
また、ハード面につきましては、オンライン等、先ほどのやり取りの中でも大分整備が進んでまいりましたが、足元の様々な設備が老朽化してまいっているそうでございますので、そういったところの更新の支援もよろしくお願いしたいと思います。
また昨今、学校を取り巻く、安全を確保しなければならないというふうなことに大分費用がかかっているそうでございます。例えば警備員の費用なんかも、東京都のこの置かれている現状を考えてみて、都の方で支援の対象になるのかどうなのかということもご検討いただければ幸いでございますので、これ、団体側の意見だけでなく、私どもの意見も含まれておりますので、よろしくご検討をお願いしたいと思います。
それでは、次の項目に移りたいと思います。
次は、東京二〇二〇大会における文化プログラムについてということで、生活文化局関係のことについてお尋ねをしたいと思います。
いうまでもなく、オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典だけでなく、文化の祭典でもございます。文化プログラムは、東京二〇二〇大会の主翼を担うものでございます。
振り返りますと、私たちの先輩でございます英国ロンドン大会では、文化プログラムに約二百億円もの予算を投じて実施をされ、大会を成功に導いたというふうな話を伺いました。その結果、ニューヨークを追い抜きまして、世界都市ナンバーワンになったというふうなことで、東京都もそれに倣おうというふうなことで、これまでの間、二〇二〇大会に向けて準備を進めてきたのかなと思います。
東京におきましては、Tokyo Tokyo FESTIVALと銘を打ちまして、様々な文化プログラムを実施してまいりました。しかしながら、令和二年度の決算でも、このTokyo Tokyo FESTIVALの推進という項目の執行率はやはり五七・八%と低くなっており、残念ながら昨年度は、コロナの影響を受け実施できなかった事業あるいは延期になった事業があったと聞いております。
そこで改めて、令和二年度の文化プログラムの実施状況について具体的にお伺いしたいと思います。
○片岡文化総合調整担当部長 令和二年度は、予定されていた文化プログラムのうち、コロナ禍の制約の中で、サラダ音楽祭やキッズ伝統芸能体験などは実施したものの、東京大茶会や伝承のたまてばこ−多摩伝統文化フェスティバル−などが感染症の影響により中止となりました。
また、Tokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13など、東京二〇二〇大会の延期に伴い、令和三年度に延期となった事業もございます。
○清水委員 ありがとうございました。大分懐かしい事業名も聞かせていただいたわけでございますが、多分ここにいる委員の方々も地元の方でこういった文化の取組をやっていただけないかというふうな要望をたくさん受けていたのかなと思います。
私の地元でも、私は立川なんですが、意外とおみこしが盛んでございまして、どうにか下町のおみこしと一緒に東西の共演ができないかということで、インバウンドの方に楽しんでいただけるように日比谷公園で−−大分本格的なところまで計画を練っていたわけなんですが、残念ながらコロナということで見送る羽目になってしまったわけでございます。
そんな事例がたくさんあるかと思うのでございますけど、中には実施ができたものもあるというふうに聞いております。
それでは、こういった非常に、まあ百年に一度といわれているこの危機、このコロナ禍で、実施ができた事業があるということでございますが、皆様どのような工夫をなさってこの事業を実施してきたのか、その苦労話といいますかね、その成功の秘訣をお聞かせいただければなと思います。
○片岡文化総合調整担当部長 コロナ禍において事業実施をするに当たり、しっかりとした感染症対策を講じた上で、事業の特性に応じた工夫を行いました。
例えば、キッズ伝統芸能体験では、医療関係者の監修の下、例年よりも定員を大幅に削減し、参加者同士が十分な距離を確保したほか、楽器を個人ごとに用意し共有しないなど、安全に伝統芸能の稽古に取り組めるような工夫を行いました。
また、六本木を舞台としたアートのイベント、六本木アートナイトは、オンライン企画に切り替え、約二十八万回視聴されるなど、多くの人に自宅で楽しんでいただきました。
○清水委員 ありがとうございました。やはり、感染症対策あるいはオンラインによる実施というふうなことで、昨年度、コロナ禍においても様々な工夫をして実施がされた事業もあったというふうなことでございます。大変私は重要なことだと思っております。
ちょっと私ごとで恐縮なんですが、もう都議会議員になりまして八年たつんですが、八年前、この都議会に入ったときに、先輩方あるいは局の皆様方から教えていただいたのは、東京二〇二〇大会の成功の秘訣は、スポーツの祭典だけではございませんと。当然、パラリンピックの成功も必要ですし、文化の祭典としての成功、これがそろって東京二〇二〇大会の成功でありますと。ぜひともこの東京二〇二〇大会を成功させて、世界で一番の都市東京にしていこうじゃありませんかというふうな非常にすばらしい目標を設定していただいて、この八年間、私は都議会をやらせていただいたわけでございます。
そういったことを踏まえまして、この文化プログラム、今年九月、パラリンピックの閉幕をもちまして終了したわけでございますが、都は、これまで実施してきた文化プログラムの課題や成果をどのように捉えられているのか、改めて、この際ですからお伺いをできればと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○片岡文化総合調整担当部長 都ではこれまで、子供や外国人観光客が伝統文化を気軽に体験できる事業から、最新鋭のテクノロジーを活用した現代アートまで、様々な文化プログラムを数多く展開し、多彩で奥深い東京の芸術文化の魅力を国内外に発信してきました。
コロナ禍により一部のプログラムは中止となり、芸術文化団体等の活躍の場や、都民が生の芸術文化に親しむ機会を十分には提供できませんでしたが、一方で、能の舞台をふだんは見られない角度から高画質で撮影して配信したり、出演者がオンラインで稽古を行い舞台をつくり上げるなどの取組の中で、創造や発信の新たな可能性も発見されました。
これらの取組によりまして、多くの方に文化プログラムにご参加いただき、都民に芸術文化をより身近に感じていただくことができたと考えてございます。
○清水委員 ありがとうございました。
都は、リオ大会以降、多くの文化プログラムを実施いたしまして、東京二〇二〇大会開催に向けた機運醸成に、私は寄与してきていただいたのかなと思います。残念ながら、当初の計画どおりは実施はできませんでした。しかしながら、様々な工夫をしていただいて実施をできたものもございました。
したがって、ぜひともそういった経験を生かしてもらって、この文化プログラムの課題ですとか、あるいは成果を踏まえまして、今後も文化芸術団体と共に、連携を密にして東京の文化芸術を一層盛り上げていっていただければなと思います。そんなことにこのTokyo Tokyo FESTIVALを活用していただければいいのかなと思いましたので、感想を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
それでは最後に、地域力向上に向けた取組についてお伺いをしたいと思います。
町会、自治会の支援についてでございますが、都は、企業で養った経験を生かしたボランティアによります支援、いわゆるプロボノ事業ですとか、あるいは町会、自治会が抱える悩みの解決に向けた専門家を派遣するアドバイザー派遣事業などを今行っております。
これは、困っている町会、自治会だけではなく、こういったコロナ禍だからこそ、次の新たな、町会、自治会の活動の展開を模索する団体にとっては、外部の力を利用するという非常にいい−−私は、なかなかこれ、東京都でなければ思いつかないような取組だと思っている次第でございます。
昨年度はコロナ禍でございますので、盆踊りですとか、子供祭りですとか、多くの行事がそれぞれの地域で中止になってしまったのかなと思います。その状況で、各事業の実施も難しかったのかなと思うわけでございますが、昨年度は、前年度と比べてこの各事業の実績はどのような状況だったのかお伺いをしたいと思います。
○馬神都民生活部長 地域の課題解決プロボノプロジェクトは、昨年度、十九団体がプロボノの支援を受けておりまして、コロナ禍前の令和元年度と比べますと二団体の減少となっています。
また、地域活動支援アドバイザー派遣につきましては、昨年度、十九団体への派遣を行いました。令和元年度と比べますと九団体の減少となっています。
○清水委員 ありがとうございました。
プロボノプロジェクトにつきましては、思ったよりも減少が少なかったのかなというふうなことでございます。多分、担当の方は様々な工夫やご努力をされているのかなと思います。その内容につきましてご披露いただければなと思います。
○馬神都民生活部長 地域の課題解決プロボノプロジェクトでは、従来は集合型で行っておりましたプロボノによるサポートをオンラインでも受けられるようにいたしました。そのため、まずは、オンラインになじみのない町会、自治会に対し、プロボノによるビデオ会議の基本的な使い方の勉強会を行いました。これにより、多くの町会、自治会に参加してもらうことができました。
地域活動支援アドバイザー派遣では、コロナ禍における新たなメニューといたしまして、イベントを行う際に留意すべき安全・安心対策についてアドバイスを受ける講座を追加するなど工夫を行いました。
○清水委員 ありがとうございました。お話を聞かせてもらうと、コロナ禍を逆手に取ったような、取り組む工夫がなされたのかなというふうに思いました。
私の地元でも、実は、今年度プロボノの支援を受けながらホームページの作成に取り組んでいる自治会もあるということは私も確認をさせていただきました。
プロボノ事業は、初めは取っつきにくい−−何といってもこのプロボノというのはあまり聞き慣れない横文字ですが、これは何語なんですか、これ。まあいいや、後で教えてください。やってみると、なかなかよい事業だなというふうな評判も伺っております。
このように、地域で頑張って活動している町会や自治会もありますので、今後も知恵と工夫を凝らして、町会、自治会の支援をぜひとも進めていってほしいなというふうに思います。
以上、私、今回の質問で、昨年コロナ禍、大変な年でありましたが、生活文化局の取組について伺ったわけでございます。
考えてみますと、生活文化局の皆様方のお仕事は、都民の日常生活と一番深い関わりのある事業、それをそれぞれのほかの各局と連携を図りながら推し進めていかなければならないというふうなことでございます。
したがって、昨年は、ふだんの日常生活が行えなかったという令和二年度でございましたので、生活文化局の皆様方にとっても試練の年だったのかなというふうに思っております。
私ごとばかり話して恐縮なんですが、私、毎日やっていることがありまして、それは何かといいますと、尊敬する松下幸之助先生の一日の言葉が書いてある日めくりカレンダー、日々のことばというのをいつも見ながら一日を迎えるわけなんですが、そこでこういう一節があるんですが、困っても困らないという一節なんですね。どうしても人間というと、困難や厳しい局面になりますと、慌てふためいたり、あるいは一番悪いのは心が萎縮しちゃって、様々な柔軟な発想ができなくなってしまうのが一番ピンチになってしまうというふうなことだそうなんですね。
ですから、日頃からこれは訓練だそうなんです。困ったときにはどうやって頭をリラックスして物事に対処できるかという訓練を日々積み重ねることによって、このようなコロナみたいなときに、いざというときに逆に新しい展開が生まれるような、そういった発想ができるんじゃないかという大変ありがたい教えでございます。
これ私がいっているわけじゃなくて、松下幸之助先生がおっしゃっているわけですので、ぜひとも参考にしていただいて、都民に一番近い局、生活文化局でございますので、これからもぜひともお仕事の方、頑張っていただきますよう、よろしく申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○あかねがくぼ委員 私の方からは、男女平等参画の観点から、令和二年度の決算特別委員会、生活文化局に対して質問させていただきます。
ようやく緊急事態宣言が解除となりまして、日常に戻っていくという段階になってきたわけでございますけれども、令和二年、三年と、コロナ禍がずっと人々の交流というところを阻んでしまってきた、交流しにくくなってきてしまっていた。その中から、ちょっとした不安や悩み、これを人にお話をする機会、聞いてもらう機会、これがかなり減ってきていたということだと思います。
特に女性は、性質上、家族や子供のこと、また、仕事との両立などの様々な大変さ、困難さ、これを一人で抱えてしまって、メンタルの不調にもつながりやすい傾向があると、そういった数字も出ております。
現代においては、ご近所付き合いですとか、親戚の付き合い、また、ママ友のお付き合いなどなど、人付き合いも昔とは異なりまして、ライトなものになってきていると思います。
一方で、家族や夫婦間、この問題、また、子供が不登校だったり、家庭内での悩みというのは深まっている、こういうところがありますので、そのプライバシーを守りつつも、様々な悩み、これを信頼できるような方に相談ができる場というのは大変望まれている、必要とされているわけでございます。
そこで、こういったニーズに対応しているTOKYOメンターカフェ事業、これについて伺ってまいります。
令和二年の予算は六千五百万円でございましたが、決算の金額としては四千万円になっています。この使われなかった費用についての理由をお伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 TOKYOメンターカフェは、仕事や子育て、介護などを経験してきた都民の方がメンターとなって、多様な悩みに寄り添い、アドバイスを行う相談サイトでございます。令和三年三月から運用を開始しております。
令和二年度の予算額と決算額との差額は、ウェブサイトの開発や運用等に係る業務委託に関する契約差金等によるものでございます。
○あかねがくぼ委員 ウェブサイト開発、また、そういった業務委託の部分で少なく済んだという結果生じた差額だということが分かりました。
次に、このTOKYOメンターカフェ事業の実績についても伺ってまいります。
このポータルサイトは、先ほどもありましたが、令和三年三月からの運用が始まっているということです。私も最近の状態を、サイトを実際拝見して、いろいろ投稿の内容なども拝見してみましたところ、お仕事、子育て、介護、様々な人間関係のお悩み、これについて本当に多くの方からの投稿が寄せられているというところが見受けられました。
令和二年度決算でございますので、このサイトがローンチして直後一か月というところの相談件数を見てみますと、一か月で七十件来ていました。それに対しまして、令和三年度、今年度になりますと、最初の六か月で百七十件程度ということでなっております。
相談件数がやや減っているように見えますけれども、広報についてはどのように行っているのかを伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 TOKYOメンターカフェの周知を図るため、本年三月の開設に合わせまして、検索サイトやSNS等への広告掲載、経済団体や医療、教育など幅広い分野の民間団体等を通じて広報を行っております。
令和三年度には、「広報東京都」に事業紹介の記事を掲載するとともに、駅構内のデジタルサイネージへの掲出などを実施いたしました。
相談を寄せる方に加えまして、投稿された相談内容やアドバイスを見に来る方も多く、今年三月から九月末までの累計で約十三万回のサイトへのアクセスがございました。
今後も、検索サイトやSNS等を活用した広告掲載を実施するなど、広報の強化に努めてまいります。
○あかねがくぼ委員 相談件数そのものは落ち着いてきているというところかもしれませんが、ほかの方が投稿した内容、それを、当然見えるようになっておりますので、そちらを閲覧している、そして自分のことと照らし合わせていろいろと理解をされている、そういった方が多いということが分かりました。
先日、私ども都民ファーストの会の女性議員、都議の中で、連合東京の女性の委員会の方との意見交換会を開催いたしまして、その中でも、コロナ禍で孤立が進んでいたり、ちょっとした相談や吐き出せる場がないということで、なかなかそういった場が本当に大事ですということをご要望いただいたところであります。当然このようなニーズに対しては、まさにTOKYOメンターカフェというものがうってつけであるわけでございます。
しかし、残念ながら、組合員の方々も、幹部の方はご存じだったんですけれども、やはり一人一人、組合の方々にまでは、なかなか浸透できていないというところが現状でございましたので、引き続き検索サイトやSNSを使った広報、また、各種団体の方を通じたPR、こういったものも引き続き徹底していただいて、より多くの、もう本当に誰もが対象になるものだと思いますので、周知を徹底していただきたいと思います。
次に、都民メンターの方がその投稿に返事をしていただくわけなんですけれども、このメンターの方の回答も拝見しましたら、相談者の方の本当に深い悩みもあります。そういう方の立場により寄り添ったとてもすばらしい内容のコメント、返答をされているなというふうに感じたところです。
一方で、相談された方が投稿してから、そして都民メンターの方から回答をつけていただくまでの期間が一か月程度かかっているものが、少数ではありますがございました。通常は、相談の投稿から回答まで、大体どれぐらいの日数がかかっているのでしょうか。
回答までの期間、これは極力短くしていただくべきかと考えておりますので、今後の利用者が増加する場合も含めまして、どのように対応していただけるのか伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 TOKYOメンターカフェでは、仕事や子育て等の経験のある方が都民メンターとなって、相談者に対しアドバイスをしていただいております。
アドバイスは、都民メンターが自主的に対応する相談を選択いたしまして、自らの経験を生かして行う仕組みとなっております。相談者の投稿からおおむね一週間以内にはアドバイスを掲出しておりまして、一週間以上対応されない相談につきましては、都民メンターに定期的にお知らせをし、アドバイスしていただけるよう促しております。
なお、より多くの相談に対応できるよう、今年度中に都民メンターの方を新たに募集いたしまして、体制の拡充を図る予定でございます。
○あかねがくぼ委員 おおむね一週間程度でのお返事をいただいているということで安心をいたしました。
投稿、相談の内容、私も拝見しましたけど、やはり非常に深い悩みという方もいらっしゃいます。少しでも早いお返事をいただけることで安心したり、前に向いていけると、そういうことを思いましたものですから、質問させていただきました。
今後、都民メンターの方も新たに募集をして、さらに体制拡充をしていただけるということでございます。今後もっとTOKYOメンターカフェということで知れ渡っていくかと思います。それがどんどん認知されればされるほど、利用者増えていかれると思いますので、その相談のための体制、しっかりとあらかじめ備えていただけるようにお願いしたいと思います。
また、都民メンターの方は、先ほども申し上げましたが、大変的確でよいアドバイス、寄り添ったアドバイスをしていただいております。このような方々を募集する際、応募いただいた方としっかりと面談などをして、そういう適性、こういったところを判断されて、選んでいただいているということでございます。しかも、ボランティアということで、報酬が特になくご協力をいただいているということで、本当にありがたいことだと思っています。
過度の負担にならないように、メンターの方からのご意見なども聞きながら、継続的に改善と工夫をしていただきたいと思っております。
さて、TOKYOメンターカフェというものは、もともと今、現時点でも、女性のための事業ということでありますので、一応ポータルサイトの方には女性限定といいますか、女性の悩み相談のためのというふうに書いてあります。一方で、私も日頃から活動していく中で、男性でも相談をできる場所が欲しいんだという声は大変届いてまいります。
今後、方向性としては、女性専用とせずに、全ての方へ門戸を開いていくということも提案していきたいと思います。ますます男女平等参画、これは進んでいくことと思いますので、男性であっても、家庭、人間関係、育児、仕事との両立など、いろいろ困難に直面をされることも多いと思います。そういった場合に気軽に匿名での相談ができる場があるということは重要であります。
今の事業の立てつけを少し発展をさせていくようなことで、男性だったり、あるいはLGBTの方も含めまして様々な相談ができるような事業になっていけるとよりよいのではないかなというふうに考えますので、意見をさせていただきます。
また、多様性の社会にふさわしく、ぜひTOKYOメンターカフェ、女性、男性と性を区別、区切らずに、誰にでも開かれた相談場所として都民の皆様に認知していただける、利用していただけるといいかなというふうに思います。
そして、次の質問に移ります。
次に、男性の家事、育児参画に向けた機運醸成について伺っていきます。
都内の女性の就労率というのはもう八割を超えてきておりますし、妊娠、出産期に女性が一時離職をするということで起こるいわゆるM字カーブ、こういったものはもう非常に解消してきているわけです。これは、男性の家事、育児参画がもう当然だという風潮にしていくことが、もうすぐに求められているという、そういう現象でもあると、このように受け止めております。
令和二年度の男性の家事、育児参画に向けた機運醸成、この主な取組と、その決算額についても伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 令和二年度の男性の家事、育児参画に向けた機運醸成の主な取組とその決算額でございますが、家事、育児の具体的なノウハウや体験談など、子育て中の男性や夫婦に役立つ情報をウェブサイト、パパズ・スタイルにより発信しておりまして、その決算額は約一千万円となっております。
さらに、マネジメント層や親世代など、当事者男性の周囲の方々の理解と協力も必要となることから、そうした方々に向けまして、新聞、雑誌、ウェブサイトへの記事広告を掲出しておりまして、その決算額は約七百万でございます。
○あかねがくぼ委員 若い男性や若い夫婦、この中では、男性が家事、育児に参画するということが半ば当然だという価値観がだんだんと根づいてきているように感じます。
一方で、残念ながら、昭和初期の男女の役割分担意識、これは根強くありますので、その意識がまだ現在でも続いている方、組織の中では管理職など責任のある方がまだその傾向があろうかと思います。男性の若手社員が、育児休業を取得したい、あるいはワーク・ライフ・バランスを取って、例えば残業を減らすなどの働き方をしようと、そうした際にその上司が難色を示してしまう、そんな風潮はやはりまだまだ根強く残っているということでございます。
そこで、今後、シニア世代の管理職、ここの意識改革というのは特に注力をしていただくべきであると考えますが、どのような取組を行っているか伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 親や上司の意識は、男性自身の家事、育児参画に対する意識にも大きな影響を与えますことから、令和二年度は、経営者、役員層に向けた雑誌や日本経済新聞に記事広告を掲出いたしまして、親、上司世代が持つ固定的な性別役割分担意識の払拭に取り組むとともに、男性の家事、育児参画に理解を求めるメッセージを発信いたしました。
○あかねがくぼ委員 日本経済新聞など、シニア世代、管理職世代が多く購読をされているような媒体に積極的に露出をして訴求をしていると、こういう点は大変評価ができます。
今後は、企業経営者や管理職に対するアンケートなどを通して、男性の家事、育児参画に対する機運醸成、意識改革、本当に進んでいるのかというところを図っていただく、それをKPIとして管理をしていっていただきたいなと思います。
子育ての当事者の世代でありましたり、若年男性に向けた普及啓発については、ウェブサイト、SNS、広告などを通して取り組んでいただいておりますけれども、それでも、一部の方に対しては届いていますが、多くの方にはなかなか届きにくいところもございます。都民全体に届けていくのは非常に大変なことであります。
一方で、例えば最近ですと、洗剤の民間企業の広告などで、若手の人気男性俳優がたくさん出ていらっしゃるCMなんかもありますけれども、一昔前では、洗濯のCMをああいう男性がやるというのはなかった発想なんですけれども、今では、本当にそういったものが一番新しいPRになっているということでありますので、時代は既に変化しているなと。若い世代の感性というものはもう価値観としては進化している、こういうことを感じているわけでございます。
東京都としても、より多くの都民を巻き込んでいただくためには、広報、普及啓発については、そういった民間企業などとの連携も含めて検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 都では、経済団体や医療、教育など幅広い分野の民間団体で構成されております女性も男性も輝くTOKYO会議におきまして、都の取組の周知や民間の好事例の共有を行うなど、男性の家事、育児参画に向け、民間とも情報連携を図ってまいりました。
今年度は、男性の家事、育児参画に向けたマインドチェンジキャンペーンを実施いたしまして、この中で、東京都女性活躍推進大賞受賞団体など、民間企業の優れた取組を好事例として紹介いたします。
また、インフルエンサーの発信力を活用するなど、多くの都民を巻き込むことで、社会全体の意識改革に向けたメッセージを発信してまいります。
○あかねがくぼ委員 経済団体、医療、教育など、幅広い分野の民間団体で構成された女性も男性も輝くTOKYO会議、こういったものを通して多くの主体と情報連携を図っているということでございました。
私がぜひ強調したい点としましては、都民全体を巻き込む普及啓発ということになりますので、行政としては、どうレバレッジをかけていくか、これを考えてぜひ取り組んでいただきたいなということです。行政だけで情報発信する、また、まして意識を変えてもらうということは非常にハードルが高いと思いますので、民間の力を上手に使って目標を達成していただきたいというふうに思います。
今年度はキャンペーンをしていくということでございますが、東京都が直接広報するだけではなくて、いかに影響力のあるプレーヤーに一緒に広報していただけるか、それが多くの都民を巻き込む、そういった鍵になってくると考えますので、その点を強調させていただきまして、私の質問を終わります。
○かまた委員 私からは、まず初めに、私立高等学校における授業料実質無償化について質問をさせていただきます。
本事業は、都議会公明党が強くその実施を求めたことから実現をしました。そして、経済的理由で進学先の選択肢が限られていたご家庭の子供たち、また、私立学校関係者の方々から、本当にありがたいという声をたくさんいただいております。
そこでまず、これまで支援を拡充していただきましたけれども、改めて、その拡充の経緯と、令和二年度に都の特別奨学金補助の受給者数がどのぐらい増えたのかについて教えてください。
○戸谷私学部長 都は、私立高等学校等に通う生徒の授業料につきまして、国の就学支援金と併せて、都の特別奨学金補助により負担軽減を図ってまいりました。
平成二十九年度には、年収約七百六十万円未満の世帯に対して、都内私立高校の平均授業料額まで支援を拡充しております。平成三十年度には、都が認可した通信制高校に通う生徒や、保護者が都内に在住し生徒が寮などの都外に在住している場合につきましても、新たに対象にしてございます。
令和二年度からは、補助の対象を年収約九百十万円未満まで拡大するとともに、年収約九百十万円を上回る世帯でも、扶養する二十三歳未満の子供が三人以上いる場合には、公立高校授業料の半額相当の授業料負担を軽減してございます。
なお、令和二年度の都の特別奨学金補助の受給者でございますが、六万一千三十四人となっておりまして、令和元年度と比較して約三千五百人増加しているところでございます。
○かまた委員 ありがとうございます。必要な部分の支援拡充を確実に進めていただいた結果、令和二年度の受給者数が増えたとのことで、本当にありがたい取組に高く評価をしたいと思います。本当にありがとうございます。
しかしながら、補助金が支給されるまでの間、一部を除いては、保護者が一旦納入する仕組みであるために、保護者の負担軽減のため、補助金支給の早期化が重要であります。
これまでも、代表質問や文教委員会でも質問させていただき、都は、DX推進の観点から、早期支給に向けた取組を進めていくと答弁をしてくださいましたけれども、その取組状況について伺いたいと思います。
○戸谷私学部長 令和三年度におきましては、就学支援金等の早期支給に向け、現行の業務フローやシステムの調査分析を行うとともに、審査期間の短縮を実現するための具体的な方策といたしまして、申請のオンライン化や、所得審査に必要な税額取得の自動化等につきまして検討を実施しているところでございます。
○かまた委員 検討を確実に進めていただきありがとうございます。ご答弁いただいたことが実現すれば、申請者の利便性の向上、また、学校や審査をする方々も助かると思いますので、ぜひ実現化に向けて進めていただきたいと思います。
また、都が令和二年度に全国の都認可外通信高校に対して行った調査によりますと、約一万四千五百人もの都民生徒が在籍していることが分かりました。また、これらの生徒、保護者の学費負担を軽減するため、令和三年度からは新たに都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金が創設されました。この仕組みや実施状況について伺いたいと思います。
○戸谷私学部長 都認可外通信制高校は、都認可の通信制高校とは異なりまして、都の指導監督権限が及ばず、助成金の支給に必要な生徒個別の授業料額等の情報を学校から直接入手することが困難であるために、生徒や保護者が証明書類を学校から個別に入手した上で都に直接申請する方式となってございます。
また、授業料額等の確定時期が当該年度の末頃になる学校もあることから、授業料額等の証明書類の提出前に所得審査に必要な書類を先行して提出させるなど、工夫して効率的な事務を行ってございます。
今年度につきましては、十月から申請を受け付けておりまして、必要な審査を実施後、年度内に支給を行う予定でございます。
○かまた委員 本助成金を新たに創設してくださったことは本当に高く評価いたします。また、仕組みの違いによる課題が大変多いことが分かりましたけれども、こちらの助成金につきましても、少しでも早期に支給ができるよう、ぜひ研究を続けていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
続きまして、私の方からも、アートにエールを!東京プロジェクトについてお伺いをいたします。
新型コロナウイルスの蔓延は、東京の芸術文化活動にも大きな影響を与えました。芸術文化活動に携わる多くの方々、特に収入の道を絶たれたフリーランスのアーティストの方々など、経済的なダメージは深刻でした。
昨年から、文化の灯を絶やさないための対策として、都はアートにエールを!東京プロジェクトを開始してくださいました。そして、活動を自粛せざるを得ない幅広い分野のアーティスト、また、技術スタッフ、多くの芸術文化団体や劇場、ホールなどの自立的な創作活動を支援してきてくださいました。これは本当に意義があるすばらしい取組であると考えております。
そこでまず、令和二年度のアートにエールを!東京プロジェクトの実績についてお伺いします。
○片岡文化総合調整担当部長 都は、昨年四月から全国に先駆けて、アートにエールを!東京プロジェクトによる支援を実施してまいりました。
アーティスト、技術スタッフなどを支援した個人型につきましては二万七千二百四十九人の応募があり、一万八千九百二十三人の方々を支援しました。また、芸術文化団体による公演等を支援したステージ型につきましては千四百七十件の応募がありまして、三百団体を支援いたしました。
○かまた委員 このプロジェクトにつきましては、作品を動画で配信することによって都民の皆様が自宅で芸術文化を身近に親しむことができる、本当に画期的な企画だと思います。ぜひ引き続き、幅広い分野のアーティストや、また、関係団体など、創作活動を支えていただき、都民の皆様を魅了する芸術文化を生み出す機会にしていただきたいと思います。
また、次に、Tokyo Tokyo FESTIVAL助成の概要と、令和二年度までの事業の実績についても教えてください。
○蜂谷文化振興部長 Tokyo Tokyo FESTIVAL助成は、芸術文化都市東京の魅力を一緒につくり上げる芸術文化団体等の様々なプロジェクトを支援するものでございます。
国内のアーティストや芸術文化団体による公演、作品発表だけでなく、一般の方々が日頃から取り組んでいる文化活動や、オーケストラとアンドロイドが行うオペラなどの最新技術を活用した試み、それから、交流や対話を通じて人々の心のつながりを深めることができる事業など、七百七十七件の申請のうち二百五十二件を採択し、令和二年度末時点で百四十七件を実施いたしました。
○かまた委員 アンドロイドとのオペラなど、本当にすばらしい企画があるんだなということが分かりました。
コロナの影響を受けて、令和二年度に実施できなかった事業の中には、令和三年度に延期されたもの、また、実施されたものが五十六件、また、最終的に中止を余儀なくされた事業も四十四件あったと伺っております。中止になった事業があったことは非常に残念ですけれども、たくさんの優れた企画が寄せられ、都民は芸術文化に親しむことができたと思います。ぜひ引き続き、様々な芸術文化の担い手を支援していただきたいと要望させていただきます。
続きまして、公衆浴場対策について質問をさせていただきます。
浴室保有率が高く、公衆浴場、いわゆる銭湯の利用者数が減少する中、銭湯の役割は大きく変化してきております。今や銭湯は、コミュニティや健康長寿の拠点であります。また、訪日外国人に向けては、日本文化発信拠点ともなっております。
また、この十月の乳がん月間に合わせたピンクリボンキャンペーンでは、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合加盟銭湯におきまして、ポスターを掲示していただいたり、リーフレットを配布していただいたりと、情報発信の拠点にもなっております。
このように銭湯の価値が多様化する中、都が支援に取り組むことの意義は大きいと考えますので、幾つか質問をさせていただきます。
都は、平成三十年度から、銭湯に専門家を派遣したり、経営者や後継者などを対象としたセミナーを開催するなど、東京都公衆浴場活性化支援実証事業を実施しておりますけれども、この実証事業を開始した背景となった状況について伺いたいと思います。
○工藤消費生活部長 都は、実証事業開始以前から、公衆浴場の施設整備や利用促進についての補助を実施し、公衆浴場の支援を行ってまいりました。
しかしながら、公衆浴場は、自家風呂の普及による利用者の減少に加え、経営者の高齢化、後継者不足などの課題も抱えております。
公衆浴場の事業継続のためには、利用者を増やす取組や、後継者など新たな担い手を育成する取組が重要であることから、平成三十年度から三か年の事業として、公衆浴場活性化支援実証事業を行うことといたしました。
○かまた委員 現在、銭湯が抱えている課題に応じた支援実証事業だったということが分かりました。
ただ、資料によりますと、昨年度の執行率が三九・八%となっております。令和二年度の執行率が低かった理由について伺います。
○工藤消費生活部長 昨年度当初は、魅力的な店づくりを通じて一層の利用者増を図る専門家派遣や、担い手、働き手の発掘と育成を行う連続セミナーのほか、異業種の交流会や銭湯体験ツアーなどを計画しておりました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、このうち専門家派遣につきましては、二十軒の公衆浴場に対して、個々の浴場の施設等の状況に応じた感染防止対策を助言する内容に変更して実施いたしました。
一方で、一つの会場に多数の参加者を集めて実施する連続セミナーや異業種交流会及び銭湯体験ツアーは、感染防止の観点から中止したため、執行率が三九・八%となったものでございます。
○かまた委員 今のご答弁にありましたように、公衆浴場に限らず、昨年度は対面の交流や、また、様々な交流を伴う事業は多くが中止となっております。しかし、地域の中で様々な役割を担っている、その可能性が詰まっているこの公衆浴場を守るための工夫や努力はぜひしていただきたいと考えております。
東京都公衆浴場業生活衛生同業組合では、都の補助金を活用して、例年十月に銭湯サポーターフォーラムというファンとの交流イベントを実施していると聞いておりますけれども、このコロナ禍となった昨年度の銭湯サポーターフォーラムは、どのように実施をされたのか、また、参加者からどのような反応があったのか分かりましたら教えてください。
○工藤消費生活部長 昨年度の銭湯サポーターフォーラムは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためオンライン形式で開催され、約二百名の参加がございました。
当日は、銭湯経営を支える女性たちがパネリストとなり、日頃の苦労や、やりがいについて語ったほか、銭湯の魅力を幅広く発信する銭湯大使に外国人のファンを含む二名が新たに任命されました。
参加者に対して実施したアンケートでは、約七割の方がオンラインでも楽しめたと回答しており、女性経営者の一日を知るのは興味深かったなどの意見がございました。
○かまた委員 冒頭でも申し上げましたように、この公衆浴場というのは多岐にわたる役割を果たしております。ぜひ、こちらの活性化に向けては今後も取り組んでいただきたいと思います。
また、公衆浴場業生活衛生同業組合と災害協力協定を結んだ自治体につきましては、災害時における一時避難場所、また、井戸水などの提供、また、被災者への入浴支援を行うことが可能になっております。
このように、地域の中で様々な役割、また、様々な機能を果たしている公衆浴場へしっかりと支援をしていくことを望みまして、質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
○尾崎委員 新型コロナ感染拡大の中で人が豊かな生活を送るためには、文化芸術活動がどれほど重要な役割を果たしたのか、改めて考えさせられました。
私の方からは、文化振興に対する支援について質問をさせていただきます。
最初に、文化振興のこの間三年間の予算額と決算額の推移はどうなっているのか伺います。
○蜂谷文化振興部長 文化振興費につきましては、平成三十年度は予算額二百五十億五千百万余円、決算額二百二十九億五千七百万余円、令和元年度は予算額百六十五億三千五百万余円、決算額百五十一億三千八百万余円、令和二年度は予算額百九十四億一千六百万余円、決算額百六十五億六千三百万余円でございます。
○尾崎委員 今ご答弁いただいた文化振興費の中には施設の改修なども含まれるということなので、単純には比較をできないと思いますけれども、やはり、コロナを通じて文化振興費を拡充していくということが今後必要なんじゃないかなというふうに思っています。
コロナの感染拡大の中で自粛要請が行われ、劇場なども閉鎖し、学校演劇など中止になってしまいました。一つの舞台を支えているスタッフ、関連する事業者が多くいることも、コロナ禍の中で明らかになりました。
自粛要請に応じた飲食店などは協力金の支給がありましたが、文化芸術に携わる方たちには協力金はなく、暮らしを直撃しました。文化芸術に携わる方々への東京都の支援は唯一、アートにエールを!東京プロジェクトでした。
そこで、アートにエールを!東京プロジェクトの予算額と決算額、応募状況と実績について伺います。
○片岡文化総合調整担当部長 昨年四月から開始しましたアートにエールを!東京プロジェクトは、事務費なども含め、令和二年度の予算額は三十五億三千万余円、決算額は三十四億一千八百万余円でございます。
アーティスト、技術スタッフなどを支援しました個人型につきましては二万七千二百四十九人の応募がありまして、一万八千九百二十三人の方々を支援いたしました。また、芸術文化団体による公演等を支援しましたステージ型につきましては千四百七十件の応募がありまして、三百団体を支援いたしました。
○尾崎委員 アートにエールを!東京プロジェクト(個人型)については二万七千二百四十九人からの応募があり、登録した方々は二万人ということも聞いています。また、ステージ型は三百団体への支援という枠に対し千四百七十件の応募があったということですから、もっと枠を広げるなどの拡充が必要だと思います。
アートにエールを!東京プロジェクトについては、二〇二一年度も行っていることは重要です。当事者の方々からは、個人や団体が発表できる場の提供への支援が欲しいと強い要望があります。引き続き、芸術文化団体への支援を求めるものです。
文化芸術推進フォーラムは、新型コロナウイルス感染症拡大による文化芸術界への甚大な打撃、そして再生に向けてと題した調査報告と提言をまとめています。
この中で、新型コロナの影響について、芸術収入を端的に表すものとして、芸術活動による事業収入、芸術収入について注目すると、二〇二〇年通期の減少率は二〇一九年と比べ、ほぼ全てのジャンルでマイナス五〇%を超えている、これは、広くコロナ禍によって多大な影響を受けたと考えられる飲食店はマイナス二六・六%、宿泊業マイナス三七・二%を大きく上回るばかりか、航空業、ここはマイナスの五一・七%ですけれども、航空業と同等以上の減少規模となるとまとめています。
また、その中で、劇場、これは二〇一九年度と比べるとマイナス六九・九%になっている。ポピュラー音楽はマイナスの七八・七%の減少率で特に大きいということもまとめています。
これは、深刻な事態がこの調査報告と提言の中にまとめられていると思います。都の支援の拡充がなければ、東京の文化芸術の灯は守れない状況だということも示されています。
劇場や文化施設、イベントなどは、感染拡大防止対策として客席五〇%以下に制限され、芸術団体、劇場、ホール、ライブハウスや映画館などは営業、興行を行っても赤字が続いています。幾ら努力しても、客席が半分なら収入も当然半分になります。当事者の方たちからは、入場制限に伴い生じる赤字については国や都の支援をしてほしいの声が強くあります。都としても国に要望し、国がやらないのであれば、都としての支援を検討すべきだと考えます。
また、この間のコロナ対策の検証を行うべきだと考えます。劇場やイベントなどで客席五〇%以下に制限したことが感染拡大防止にどれだけ効果があったのかということです。マスクをして声を出さなければ、客席数を制限しなくても同じ効果があったのではないでしょうか。ぜひ科学的検証を行い、今後に役立てるべきだと要望しておきます。
新型コロナの感染拡大の中で、都立文化施設を休館にした日数は何日ですか。
○石井文化施設改革担当部長 令和二年度の主な都立文化施設におきましては、江戸東京博物館、写真美術館、現代美術館及び庭園美術館は約五十日間、東京文化会館及び東京芸術劇場は約六十日間、東京都美術館は約八十日間、そして江戸東京たてもの園は約百三十日間、緊急事態宣言等に伴い臨時休館いたしました。
○尾崎委員 新型コロナの緊急事態措置の下で都立文化施設を臨時休館したことについて、専門家などの検証を行って今後に役立てるべきだと要望しておきます。
新型コロナの感染拡大による自粛要請、緊急事態措置などにより、都立の会場が使えなくなった場合の利用料はどのような対応をしてきたのか伺います。
○石井文化施設改革担当部長 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言中などのキャンセルにつきましては、利用料金を還付するなどの対応を行ってまいりました。
○尾崎委員 それでは、演者などの関係者から新型コロナの陽性者が出て、都立の会場を使えなくなった場合の利用料はどのように対応してきたのか伺います。
○石井文化施設改革担当部長 ホールや展示室など公演や展示に関わる施設について、関係者から新型コロナウイルスの陽性者が発生したことによるキャンセルの場合は、利用料金を還付するなどの対応を行ってまいりました。
○尾崎委員 都立の会場は、ただいまご答弁がありましたが、緊急事態宣言などの期間中や、関係者からコロナの陽性者が出た場合のキャンセルは、利用料金の還付を行う対応をしてきたということです。重要だと思います。
芸術家や芸術団体が公演を行う場合、出演者と、関係するスタッフなどの関係者が定期的にPCR検査などを受けられる体制と検査キット購入への財政の支援を求めるものです。
次に、美術館などの観覧料について伺います。
国立美術館の場合、高校生及び十八歳未満は無料、大学生は一般の半額と、より若い世代に配慮した観覧料となっています。
他県の県立美術館も、高校生まで無料の美術館が少なくありません。フランスのルーブル美術館は、EU圏内の在住であれば二十六歳未満は無料となっています。また、都の政策連携団体である東京都交響楽団は、主催公演で二十六歳未満のチケットを半額にしています。
美術館等の観覧料を無料または低く抑えることは、若い世代の鑑賞機会の拡大に大きな効果があると考え、日本共産党都議団は、二〇一九年第四回定例会に、都立美術館、博物館の常設展の料金について、高校生は無料、二十六歳未満は半額とする条例の一部改正を提案しました。
二〇二〇年三月二十日から四月五日までをWelcome Youthとして、都立美術館、博物館で十八歳未満の観覧を無料にすることを決めました。この事業の目的について伺います。
○石井文化施設改革担当部長 Welcome Youthは十八歳以下の方を対象としており、若い世代が気軽に文化に親しんでいただく機会の拡大を目的としてございます。
○尾崎委員 ただいまご答弁がありましたけれども、東京都文化振興条例の第十条は、都は、青少年が豊かな人間性を形成し、創造的文化活動の担い手となることに資するため、青少年に対し広く文化に接するための機会及び場を提供する等、必要な措置を講ずるよう努めるものとするとしています。
Welcome Youthの事業は、若い世代が文化に触れることは感性を養う上でも重要な事業だと評価するものですが、コロナの感染拡大で実現できなかったことは大変残念でなりません。
Welcome Youthはコロナの感染拡大で実現できなかったのですが、芸術文化に直接触れることは大変重要な取組だと思います。その後はどうなっているのか伺います。
○石井文化施設改革担当部長 高校生を中心とした若年層を対象にオンラインで楽しんでもらえるコンテンツを集め、本年三月から四月にかけてWelcome Youthのウェブサイトを開設いたしました。
○尾崎委員 私たちの条例提案も、若い世代の方々の声から出発して提案したものですが、若い方々と話をする中で、ルーブル美術館は二十五歳まで無料とは知らなかった、都の美術館も無料になったら行きやすくなるとの声をたくさんいただいています。
そうした中で、東京美術館の特別展、イサム・ノグチ展や現在開催中のゴッホ展などは、高校生以下は無料に対応していただいています。共催者との協議の中で、都としては、若い世代、学生の料金を安くしてほしいという意向を伝えるというお話も伺いました。
コロナ禍だからこそ、若い世代が文化芸術に触れる意義は大きいと思います。若い世代が文化芸術のすばらしさに触れ、豊かな感性や創造力を育むことは大きな意義があります。文化芸術に触れる機会を増やす取組が求められており、恒常的に高校生は鑑賞料無料にして、二十六歳未満は半額にすることを要望するものです。
次に、女性の自殺について伺っていきたいと思います。
厚労省と警察庁は、三月十六日に、二〇二〇年の自殺者数が確定値で前年より四・五%、九百十二人増の二万一千八十一人と発表しました。中でも、女性の自殺者が急増していること、新型コロナの流行で生活困窮や家庭内などの悩みが深刻化したことが分析をしています。
全国の中でも東京での自殺者が増えていますが、どのように認識していますか。
○赤羽男女平等参画担当部長 厚生労働省と警察庁の発表によりますと、令和二年の東京都の女性の自殺者数は八百十七人で、前年と比較して九十六人増加しておりまして、自殺の多くは、多様かつ複合的な原因及び背景を有し、様々な要因が連鎖する中で起きているとされております。
○尾崎委員 二〇二〇年の東京都の女性の自殺者は八百十七人で、前年よりも九十六人も増加しているとのことでした。
コロナ禍の自殺者は今年になっても増えており、五月は全国で千七百四十五人となっています。二〇二〇年の同じ時期に比べて百五十四人増え、十一か月連続で増加していること、特に女性が大幅に増加し、深刻な状況が続いていると報道されています。
都道府県別で見ると、東京都がこの五月で二百一人と最も高く、次いで愛知県が百二人、神奈川県が九十九人、埼玉県が九十九人となっており、東京都が深刻であることが分かります。
厚生労働省は、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、依然として厳しい状況が続いている、特に女性は、コロナ禍で仕事や家庭、子育てなど様々な場面で悩みを抱え、追い詰められる可能性がある、一人で悩みを抱えず、こんなことを相談してもいいのかと迷うようなことでも、遠慮せずに支援機関や自治体などに相談してほしいと呼びかけています。
そこで伺います。
長引くコロナ禍で家庭内暴力や虐待などが増え、女性の悩みは深刻化しています。女性の自殺を防止するためには、女性の悩みに寄り添った相談体制の拡充強化が求められますが、いかがですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、配偶者や交際相手からの暴力、夫婦、親子の問題、生き方や職場の人間関係など、様々な悩みについて相談を受けておりまして、令和三年度からは相談員を増員しております。
○尾崎委員 東京ウィメンズプラザで様々な悩みについて相談を受けていると、相談員も増員しているということですが、私は、女性の生きづらさを解消すること、女性の悩みに寄り添った相談を行うこと、もっと体制強化することが必要だと思います。
東京ウィメンズプラザで相談者が来るのを待つのではなく、まちの中や職場などにも出張して対応するよう、福祉保健局や産業労働局など関係する部署との連携を強めて、女性の自殺を防止するための相談活動を強く求めておきます。
私は、女性が生きづらい環境であることを示すものの一つとして、ジェンダーギャップ指数があると思います。
世界経済フォーラムが三月三十一日に発表した男女の平等を示すジェンダーギャップ指数二〇二一で、日本は百五十六か国の中で百二十位となりました。ジェンダーギャップ指数は、経済では百十七位、政治は百四十七位、教育は九十二位、健康は六十五位と、それぞれの分野の順位は前年よりも後退しています。
男女の平等を示すジェンダーギャップ指数について、都は現状をどのように認識していますか。
○赤羽男女平等参画担当部長 近年、男女平等参画に関する社会の機運は高まりを見せておりますが、より一層対策を講じる必要があると認識しております。
○尾崎委員 より一層対策を講じる必要があるとの認識は重要だと思います。
ジェンダーギャップ指数で、日本は、健康では順位がほかの分野と比べ上位の方でした。前年は四十位です。ところが、今回は六十五位と大幅に後退しています。後退した要因をどのように考えますか。
○赤羽男女平等参画担当部長 ジェンダーギャップ指数の健康の分野では、出生時の男女比と平均寿命の男女差のデータに基づいて順位を算出しております。
出生時の男女比の順位につきましては、二〇二〇年、二〇二一年ともに一位となっております。平均寿命の男女差の順位につきましては、二〇二〇年は五十九位、二〇二一年は七十二位となっております。
○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、健康の順位については、男性の平均寿命よりも女性の平均寿命が延びており、男女の差が広がっているからだということです。そうであるなら、男性の健康問題、平均寿命を延ばすための対策が求められるのではないかなと思います。
日本は、G7やG20など主要先進国の会議には出席していても、ジェンダー平等に関してはまさに後進国です。東京でこそジェンダー平等を推進することが求められますが、どうですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 都は、条例及び関係法令に基づく東京都男女平等参画推進総合計画を策定いたしまして、庁内連携を図るための東京都男女平等参画推進会議を設置運営するなど、庁内各局と共に男女平等参画施策を着実に推進しております。
○尾崎委員 様々な施策に取り組んでいるということですが、日本のジェンダー平等は世界の中で遅れている状況が続いています。
女性の職場として多いのが、保育や福祉、住民サービスに密着したケア労働です。重要で専門的な仕事ですが、ほかの職種の平均賃金より月十万円ほど低くなっています。
長引くコロナ禍で男女格差は広がっています。賃金と労働時間短縮の実現を進めることが、ジェンダーギャップを解消する上で最優先すべき課題だと明らかにもなってきました。都として、ジェンダーギャップを解消するために、コロナ禍での女性の暮らしの実態調査を早急に行う必要があると思いますが、いかがですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 本年度、男性の家事・育児参画状況実態調査を実施しておりまして、その中で、コロナ禍における未就学児の子を持つ夫婦等の家事、育児分担に関する実態や、男性の家事、育児参画状況に関する意識等について調査を実施しております。
○尾崎委員 コロナ禍における未就学児の子を持つ夫婦等の家事、育児分担に関する実態など調査をしているということですが、賃金や労働時間などに関する調査は国や産業労働局でも調査していると思います。
私は、都庁各局が連携し、調査して分かったことを分析して、ジェンダーギャップを解消するために何が必要かということを男女平等参画推進総合計画に盛り込み、都の施策に取り入れることが近々の課題だと思います。
新型コロナの感染拡大が多くの女性たちを直撃しています。女性の自殺者が急増していることは、先ほども質問しましたけれども、大問題であり、コロナ禍で暮らしと命を守る対策は一刻の猶予もできません。
内閣府男女共同参画局にコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会が設置され、二〇二〇年十一月十九日には、支援や相談体制の強化などを政府に求める緊急提言を出しています。緊急提言では、新型コロナウイルス感染症の拡大は、特に女性への影響が深刻であり、女性不況の様相が確認される、国連では、二〇二〇年四月九日、グテーレス事務総長が、コロナ対策において、女性、女の子を中核にするよう声明を発した、こうした状況を踏まえ、本研究会として下記の事項を緊急に提言すると、八項目を提言したんです。
八項目の中には、DV、性暴力、自殺などの相談体制と対策を早急に強化するとともに、感染拡大期においても可能な限り必要な機能を果たすこと、いわゆるエッセンシャルワーカーの処遇改善等を十分考慮すること、ひとり親家庭への支援を強化することなど、そして最後に八番目として、行政の業務統計を含む統計情報の積極的活用を促し、迅速な実態把握とその分析を進めることと締めくくっているんです。
都の生活文化局としてもこの緊急提言を正面から受け止めて、コロナ禍で都内の女性への影響がどう現れているのかの実態調査を行うよう強く求めまして、質問を終わります。
○五十嵐委員 私からは、広報という観点から、広告費の支出と、あとホームページの在り方について質問いたします。
まず、令和二年度の生活文化局広報広聴部の事業における特徴として、テレビ、ラジオ番組の制作や「広報東京都」の発行等の都政広報に令和二年度は約三十一億八千七百万円を支出されたことです。これは、令和元年度の支出である約二十一億五千九百万円よりも約十億円多い支出です。また、コロナ対策の補正予算として約十一億八千九百万円が計上されています。
まず、令和二年度に生活文化局で実施したテレビ、ラジオ等を活用したコロナ広報費の経費の内訳について伺います。
○久故広報広聴部長 知事や訴求力のあるタレントに出演していただき、外出自粛や基本的な感染防止対策などを都民に呼びかけるCMをテレビ、ラジオで展開いたしました。
その経費は、テレビ、ラジオCMの電波料として八億九千万円、動画等の四十三本の制作費として一千三百十万円でございます。
○五十嵐委員 広告等に用いる動画として四十三本もの動画を作成したとのことですが、その内容を教えてください。
○久故広報広聴部長 その内容は、外出自粛や買いだめの抑止、緊急事態宣言の発令等に関しまして知事から呼びかけるもの二十本、このほか、ユーチューバーやタレントが感染防止対策の呼びかけを行うものなど二十三本でございます。
○五十嵐委員 コロナ禍の当初でまず先行きが分からない中で、限られた東京都の予算の使い方はとても重要です。
地方自治法二条十四項には、地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を上げるようにしなければならないと規定しています。この約十億円のコロナ対策費として支出した広告費についても、最少の経費であり、最大の効果であることが必要です。
その上で、こうしたCMや動画を使ったコロナ対策広報として、どのような効果があったのかについて伺います。
○久故広報広聴部長 コロナ広報に関しまして、都民を対象に実施した調査では、都の広報に共感し行動した方の割合が、マスクの着用につきまして約八三%、手洗いの徹底につきまして約八二%、三密を避けることにつきましては約八一%という結果になってございます。
感染防止対策の徹底には情報発信が重要であり、テレビ、ラジオに加えましてSNSや「広報東京都」など、ターゲットに応じた媒体を用いて広報を展開してまいりました。その結果、多くの方の行動変容に結びついたものと考えてございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
都民を対象として実施した調査に基づいて今ご回答いただきましたけれども、その調査では、千五百四十九人からの回答があったのみで、そのうちの調査の質問の問いとしてはたった一問というものであり、約十億円を支出した広報費の効果の検証の方法としては、ちょっとあまりにも少ないのではないかと思います。
テレビCMは派手で分かりやすい一方で、費用対効果が確かに検証しづらい面があると思います。ただ、今後こういった点を十分に踏まえた上で、テレビCMをはじめとする広報の在り方や効果の検証に取り組んでいただきたいと思います。
一方、東京都では、緊急事態宣言中に最新情報をライブ動画で配信する際に、聴覚障害のある方への配慮として、全国に先駆けて字幕の同時配信を実施したと聞いております。この具体的な取組と今後の活用について伺います。
○久故広報広聴部長 令和二年四月から、知事が毎日、新型コロナウイルス感染症に関します情報を伝える動画のライブ配信を実施いたしました。その際、自動生成した字幕を逐次正確に修正し、映像に併せて同時に配信いたしました。
また、今月発生した地震に関します東京都危機管理対策会議のライブ配信におきましても同様の字幕配信を実施しておりまして、今後も活用してまいります。
○五十嵐委員 緊急時に、聴覚障害のある方に対しても即時に文字で情報を提供されたということで、よい取組だと思います。今後さらなる活用に向けて検討を進めていってほしいと思います。
次に、ホームページの解析について伺います。
都民への適切な情報の周知という観点からは、また、都民が誤った情報に惑わされないためにも、東京都が発信する第一次的な情報をしっかりと都民に提供することが重要です。特にこのコロナ禍では、時短要請協力金など、各局それぞれが行う様々な支援金が創設されています。
東京都のホームページは、都民にとって第一次情報であり、都民が求める情報に対して適切に提供できていることがホームページ上において必要です。
現在、東京都には、各局主要ホームページのほか、事業ごとの多数のサイトがあって、各種必要な情報を発信していると思われますが、都民からは分かりづらいという声もあるようです。
この点について、令和二年度には、ホームページの広報効果を検証して、効果的な見直しを図っていく目的でホームページのアクセス解析を導入したとのことですが、その導入の状況について伺います。
○久故広報広聴部長 令和二年度は、都庁総合ホームページをはじめといたします十九のサイトにアクセス解析ツールを導入し、アクセスした人の属性や流入経路などの利用状況の分析を行いました。
○五十嵐委員 アクセス解析の結果−−現時点で都庁総合ホームページをはじめとする十九サイトについては分析している最中だということが分かりました。その解析の結果、実際に東京都のサイトでどのような改善を図っていったのかについて伺います。
○久故広報広聴部長 アクセス数やサイト内での閲覧履歴などの解析データを基に、ページ内のバナーやボタンの配置などにつきまして、使いやすさや見やすさという観点から検証いたしました。
例えば、都庁総合ホームページにおきましては、利用数が少なかったサイト内検索につきまして、新たにタイルバナーを設置し、キーワードや分野から検索しやすい専用ページへの誘導性を高めるなどの改善を行ったところでございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
今ご答弁いただいた改善の事例について、今後、都庁内でどのように活用していくのかについて伺います。
○久故広報広聴部長 改善事例や分析ノウハウを全庁的に共有いたしまして、また、さらに担当者向けの実践的な研修も実施しているところでございます。
○五十嵐委員 ありがとうございます。
情報を知っている、ある支援を知っている、知らないといった情報格差によってコロナ対策の支援の有無が決まらないように、今後も都民が必要な情報を得られるような取組を求めて、私の質問を終わります。
○アオヤギ委員 それでは、まず最初に、私立高校生の学費負担軽減についてお伺いします。
全国私立学校教職員組合連合の調査では、昨年のコロナ禍で都内で学費を滞納した中学生は十二人、高校では七十四人に上り、私立学校を中途退学したのは中学で五人、高校で一人となり、非常に深刻な実態が広がっています。
都は、学校が授業料減免制度を持っている場合に経常費補助の特別補助を行っていますが、コロナ禍の下で、その家計急変の場合の補助率を十分の十に充実しました。昨年度の、制度を持っている学校数と補助を受けた生徒数の実績を伺います。一昨年度と比較してどうだったかも伺います。
○戸谷私学部長 私立学校が家計急変による授業料等減免制度を整備している場合及び実際に生徒の授業料等の減免を行った場合は、私立学校経常費補助の特別補助の対象となり、実施の翌年度に補助金の申請及び交付がなされることとなっております。
令和三年度の補助金交付については、減免制度を整備している高校は百六十二校、実際に高校が減免を行った生徒数は百八十九人となる予定でございます。前年度に比べ学校数で二十一校、生徒数で百三十七人の増加となってございます。
○アオヤギ委員 コロナ禍で大幅に利用者が増えたということであります。
この制度は、学校が授業料だけでなく施設費などを減免した場合も補助の対象となりますが、実際に授業料以外の学校納付金の減免を行った学校がどの程度あるかについては今は分からないということなので、今後把握していただきたいと思います。
国の高校就学支援金に都独自の授業料補助を上乗せし、授業料無償が年収九百十万円までに広がったことは前進でありますが、補助対象が授業料に限定されています。そのため、生活保護世帯であっても入学金や施設費など負担をしなければなりません。授業料以外の学納金は約二十一万円となり、重くのしかかっています。入学時には約四十六万円にも上ります。
都として、この部分の負担軽減を図ることが必要ですが、いかがですか。
○戸谷私学部長 都は、私立高校に対する経常費補助を通じて授業料等の抑制に努めるとともに、授業料については、国の就学支援金と合わせて、都の特別奨学金により都内私立高校の平均授業料まで支援しているところでございます。
また、授業料以外の負担を軽減する奨学給付金、育英資金、入学支度金貸付など、幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減を図っているところでございます。
○アオヤギ委員 奨学給付金についてですけれども、最大十五万円までということで、まだ負担が残ります。また、育英資金は、卒業後半年で返済が始まり、負担を先送りするものにすぎず、若者にとって大変な負担になると思います。低所得者への負担軽減は不可欠だと指摘しておきます。
また、国の高校就学支援や都の授業料補助制度があっても、一旦は各家庭で支払って後から戻ってくる仕組みであるため負担が重い、借金をして支払ったという声があります。前年度の所得が確定するのは六月で、手続がそれ以降になってしまうために起こってしまうことですが、公立小中学校の就学援助の入学準備金も同様の事情がありながら、各区市町村の工夫で入学準備金の前倒し支給などを実現してきました。
東京都でも方策を検討すべきですが、いかがですか。
○戸谷私学部長 就学支援金につきましては国の制度でございまして、当該年度の課税標準額等を基準に支給額を算定することが法令に定められております。よって、それ以外の方法により審査を行うことはできないものとなっております。
また、東京都の特別奨学金についても、国の就学支援金と一体で都内私立高校の平均授業料額まで支援しているということから、就学支援金と同様の取扱いとしているところでございます。
○アオヤギ委員 国の制度だということは理解しますが、いち早く手元に支援金が届くよう、収入の基準となる日を前年にするなど要望していただきたいと思います。
また、学校に対し前年の実績などに基づく概算払いを行い、対象となる生徒に負担がなくなるよう、工夫も検討していただきたいと思います。
次に、私立小中学校の授業料減免制度についてお伺いします。
私立小中学校の年額十万円の授業料補助制度が国の実証実験で行われています。昨年度までの四年間の実績の推移をお伺いします。
○戸谷私学部長 本事業における受給者数の実績につきましては、平成二十九年度が三千七百八十三名、平成三十年度は千八十二名、令和元年度は八百十四名、令和二年度は七百九十三名となっております。
補助の実績額につきましては、平成二十九年度が三億七千六百九十八万二千円、平成三十年度が一億五百六十九万八千円、令和元年度は八千八十八万円、令和二年度は七千九百二十六万円となってございます。
○アオヤギ委員 平成三十年度から、いわゆるたんす預金も含めた資産要件を加えたため、利用実績が大幅に少なくなっています。
国では、授業料補助の対象を今、家計急変に絞る動きがありますが、昨年度、家計急変によりこの制度を利用した家庭は、制度利用者のうち何%でしたか。
○戸谷私学部長 令和二年度に実証事業の補助を受けた保護者に対する国のアンケート調査結果によりますと、入学後に家計急変が発生したと回答しておりますのは、国全体で制度利用者の五五・一%でございます。
○アオヤギ委員 このアンケートでは、利用している児童生徒の五五%が家計急変で、四五%の方は家計急変ではなく、今度の国の制度では対象から外れてしまい、学校の皆さん、保護者の皆さんからも強い懸念の声が届いています。もともと収入が少ない家庭は利用できなくなるためです。
単純に計算すれば、最初に四千人近くいた利用者が昨年度は八百人となっており、さらにその五五%となりますと約四百人、本当にごく一部の人しか受けられない制度になってしまいます。しかも、家計急変に絞ると、例えば小学一年生で家計急変になった場合、何年生まで家計急変と認めてもらえるのかなど、様々な問題も生じてきます。
国にも、当然制度は変更せず、むしろ拡充することを求めますが、都としても、国のすることだからと済ませることはできないと思います。
私立小中学校に進学する理由はそれぞれで、必ずしも裕福だからというわけではありません。こども基本条例には、子供の学ぶ権利が明記されました。所得の低い家庭に対して、都として支援をしていくべきではないでしょうか。
○戸谷私学部長 私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業につきましては国の事業であることから、今後の制度の在り方につきましては、国の責任において検討すべきものと認識してございます。
なお、東京都は、保護者の家計状況または家計急変の理由によりまして、私立小中学校等が授業料等の減免をした場合には、私立学校経常費補助により、減免額の一部に対して補助を実施しているところでございます。
○アオヤギ委員 全国私立学校教職員組合連合のアンケートの回答には、自営業者、タクシー運転手や学校給食業者やひとり親の家庭で学費の滞納や退学の危機になったことが報告されています。持続化給付金で学費を支払うなど、事業のための資金を学費のための支出に充てる実態もあったということです。親の収入状況が悪化し、学校からの連絡がつきにくくなり、児童生徒の出席が悪化したケースもありました。
国や都の制度が一定、コロナ禍で歯止めをかけているということも指摘をしておりますけれども、今こそ私学に通う子供たちに学びを保障するための支援拡充を求め、次に移ります。
次に、私からは、女性への暴力についてお伺いします。
生活文化局では、東京ウィメンズプラザの配偶者の暴力などについて相談を実施しています。そのことについてお伺いをします。
ジェンダー平等を求める多くの都民の声が広がり、我が会派では、米倉議員が痴漢被害の実態調査を基に対策を求めてきました。
性暴力のない社会を目指すフラワーデモが全国各地で開催され、大きな運動となっています。私も地元の八王子で開催されたフラワーデモに参加した際には、多摩地域の各地からおいでになり、実態を告発する方もおられました。また、コロナ禍で家庭内の暴力も急増していることが指摘され、また、女性を狙った憎悪犯罪、フェミサイドも起きています。
女性や子供に対する暴力は最大の人権侵害であり、その人の尊厳を深く傷つけるものです。今、女性などに対する暴力は多岐にわたって、あらゆる場面での公的な支援が都民から求められていると思います。
まず最初に、都は、区市町村の配偶者暴力相談支援センターの設置目標を持っていますが、その目標と設置状況をお伺いします。また、目標達成が難しいと聞いていますが、その要因についてもお伺いします。
○赤羽男女平等参画担当部長 区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備につきまして、都は、令和三年度末までに二十の区市町村で整備されることを目標に働きかけを実施しており、現在十七の区に整備されております。
配偶者暴力相談支援センター機能の整備につきましては、区市町村がその責任において相談等それぞれの状況を踏まえ、機能整備の必要性を判断しております。
○アオヤギ委員 相談員が増えていくようであれば、相談も増えていくのは当然あり得ると思います。今、相談数が少ないから必要性が低いとは判断しないでいただきたいと思います。
特に多摩地域は、人口の多い自治体も含め、設置自治体が一つもありません。その理由をどう分析していますか。また、多摩地域の市町村に配偶者暴力相談支援センターを増やすための特別な対応が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力に関する相談につきましては、市区町村がそれぞれの実情に応じて窓口を設置するなどして対応しております。
配偶者暴力相談支援センター機能の整備につきましては、都はこれまでも、個別に区市町村を訪問いたしまして、整備する際のノウハウの提供を行うとともに、課題や懸念事項等、実情に応じた助言を行うなど支援を実施しております。
○アオヤギ委員 東京ウィメンズプラザは増員がこの間図られていると聞いていますが、多摩地域にも相談場所が必要です。市町村が必要とするかどうかというよりも、どうして設置できないのか、専門員が確保できないのか、場所がないのか、より分析をして支援していただきたいと思います。物理的な距離や開設時間の短さが理由で相談が遅れたり断念することのないよう、都が直接支援をしていただきたいと思います。
配偶者暴力相談支援センターでは、配偶者からだけではなく、パートナー、デートDVなど男女間の暴力が対象とされていますが、現状は、こうした知り合いの人からの暴力だけではなく、見知らぬ者からの被害も広がっています。痴漢やフェミサイドなど、知らない人物から被害を受ける事件も少なくありません。女性や子供などに対するあらゆる暴力に対して相談できる窓口はより一層求められています。
配偶者暴力にとどまらず、女性に対する差別は根深く、男性よりも賃金が低い、社会的地位が低いため、ハラスメントや暴力の対象になることがこれまで無数にあった歴史的な背景があります。今も苦しめられている女性も少なくありません。
東京都男女平等参画推進総合計画の改定が今行われておりますけれども、ここでも委員の間で議論された痴漢被害などが盛り込まれています。暴力に対する認識が広がっているというふうに思います。
こうした暴力は、安心して自らを表現し生きることを阻害する要因になっています。女性への暴力をなくす取組が一層重視されるべきだと思いますが、見解を伺います。
○赤羽男女平等参画担当部長 男女間の暴力は重大な人権侵害でありまして、男女平等参画社会の実現を阻害する要因でございます。そのため、庁内各局や区市町村などの関係機関と連携し、相談や普及啓発、被害者支援等に幅広く取り組んでおります。
○アオヤギ委員 重大な人権侵害という認識でした。より一層、相談体制についても、あらゆる女性への暴力への対応をする体制に充実が求められていますので、配偶者やパートナーだけにとどまらない支援を要望します。
さらに、女性への暴力やハラスメントの全体実態把握調査も必要です。私たちが行った痴漢被害の実態調査でも、七割の方が最初の被害は子供のときに受けていること、電車の中だけでなく、図書館などの公共の場で被害が発生していること、たかが痴漢ではなく、その後の人生への大きな打撃となっていることが調査をして初めて分かりました。たまたま個人が経験したことではなく、多くの女性が同じような被害を受け、苦しんでいるということが分かりました。
調査や研究は、問題を可視化し、取組を進めていく第一歩です。生活文化局としても、女性への暴力に関する実態調査や研究、啓発に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
○赤羽男女平等参画担当部長 生活文化局では、庁内各局や区市町村などの関係機関と連携いたしまして、相談や普及啓発、被害者支援等に幅広く取り組んでおります。
配偶者暴力につきましては、被害者や被害者支援を行う関係機関に対し、被害の実態や関係機関との連携等に関する調査を実施しております。
女性への暴力全般に関する調査や研究については、実施する予定はございません。
○アオヤギ委員 配偶者の相談の窓口では調査をしているということでありました。ぜひ全体像を把握していくべきだと考えます。
私たちもネット上で痴漢被害の調査を行った際には、多くの方が実態を寄せていただきました。ネットなども活用して幅広く実態を把握して、これまで暴力やハラスメントを受けて苦しんでいる方々に支援を届けていただきたいと思います。
また、加害を根絶するために、加害についても調査研究をしていくことが求められていることを指摘して、質疑を終わります。
○内山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○内山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時十三分散会
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