令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

令和二年十月二十六日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小松 大祐君
副委員長大松あきら君
副委員長栗下 善行君
もり  愛君
原田あきら君
加藤 雅之君
保坂まさひろ君
森口つかさ君
とや英津子君
鈴木 章浩君

欠席委員 なし

出席説明員
労働委員会事務局局長松山 英幸君
産業労働局局長村松 明典君
次長総務部長事務取扱坂本 雅彦君
産業企画担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務築田真由美君
企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務勝見 恭子君
商工部長土村 武史君
商工施策担当部長新型コロナウイルス感染症対応事業推進担当部長兼務荒井 芳則君
金融部長篠原 敏幸君
金融支援担当部長井上  卓君
観光部長松本 明子君
観光振興担当部長小林あかね君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
雇用就業部長村西 紀章君
事業推進担当部長鈴木のり子君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和元年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・令和元年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・令和元年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○小松委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松山労働委員会事務局長 去る十月九日に当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は三件でございます。
 一ページをお開きください。1、職員の定数の推移、平成二十七年度から令和元年度でございます。
 この表は、管理職を除く職員の定数について、平成二十七年度から令和元年度までの推移を記載したものでございます。
 二ページをお開きください。2、職員の平均局在職年数の推移、平成二十七年度から令和元年度でございます。
 この表は、管理職を除く職員の平均局在職年数について、平成二十七年度から令和元年度までの推移を記載したものでございます。
 三ページをお開きください。3、東京都労働委員会機能別取扱件数、平成二十七年度から令和元年度でございます。
 この表は、東京都労働委員会における判定的機能、調整的機能、それぞれの区分ごとの取扱件数について、平成二十七年度から令和元年度までの実績を記載したものでございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○小松委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、令和元年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、令和元年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び令和元年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂本次長 去る十月九日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十二項目でございます。
 一ページをごらんください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業及び商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。東京都における新規就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 八ページをお開きください。多摩産材取扱量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 九ページをごらんください。ものづくり企業グループ高度化支援事業につきまして、過去五年間の当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。クラウドファンディングを活用した資金調達支援につきまして、当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。金融機関と連携した事業承継支援の当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 一二ページをお開きください。アユの推定遡上量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗下委員 まず最初に、江戸東京きらりプロジェクトについて質問します。
 江戸からの伝統のわざや食文化を伝える老舗や工房は、東京の大きな魅力の一つであります。東京の宝ともいえるこうした貴重な財産を次世代に引き継いでいくためには、世界の多くの人に買ってもらう、使ってもらう、すなわち稼ぐ仕組みをつくっていくことが必要であります。
 こうした観点から取り組んでいる江戸東京きらりプロジェクトには、我が会派としても、質疑等を通じて幾度となく提言を続けてまいりました。現在のコロナ禍にあっても、座して待つのではなく、すぐれた老舗の産品を世界の人々に伝え、届けるという、このプロジェクトの目的を果たすため、さまざまな工夫を凝らして前に進めるべきと考えます。
 新型コロナウイルス感染症により、都の事業に影響が出始めたのは、本年二月以降でありますが、江戸東京きらりプロジェクトの昨年度の取り組みの実績と感染症による影響について、見解を伺います。

○勝見企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度は、モデル事業者を新規に六社追加し、計十七事業者としまして、その魅力を伝えるプロモーションを実施いたしました。
 十一月には、江戸からの伝統料理を新たな食材で提供する食の発信イベントを開催し、一月には、欧州へのプロモーションで、パリの現地デザイナーとの共同開発等につなげました。
 新型コロナウイルス感染症による影響といたしましては、三月に、現代アートでモデル事業者の魅力を引き出し、発信する展覧会イベントを開催する予定でしたが、中止といたしました。
 コロナ禍も踏まえまして、新たな日常に対応したプロモーションとして、イベントのリモート化やECサイトの充実を行い、ターゲットを定めた戦略的な情報発信をしていくことが必要と考えております。

○栗下委員 ご答弁いただきましたとおり、今、コロナ禍で、イベントのリモート化というのが大きな脚光を浴びております。
 リアルのイベントに比べると、どうしても集客の課題も現在はまだあるというふうに聞いておりますが、一方で、リモートにも当然強みがありますので、ぜひとも、海外とつながりやすくするということについて、しっかりと生かしていく。体験型のイベントの代替と捉えずに、リモートのメリットを最大限生かした積極的な発信を続けることによって、これまでの取り組みを継続していっていただきたい、このようにお願いして、次の質問に移ります。
 eスポーツに係る産業振興について伺います。
 eスポーツは、世界的な流行の兆しを見せており、一昨年の平昌オリンピックや昨年の茨城国体といったスポーツイベントに合わせて、多くのeスポーツ大会が開催をされるようになりました。
 国がことし三月に発表したeスポーツに関する報告書によれば、大会開催などの直接的な効果だけでなく、周辺産業への裾野の広がりも期待されており、その経済効果は、五年後には約三千億円に及ぶとの試算も出ております。
 世界のeスポーツの競技人口は、既に約一億人に達しているといわれておりまして、これはテニスの競技人口に匹敵する規模であります。すなわち、既にそれだけの市場規模があるということでありまして、eスポーツへの関心をさらに高めて、競技人口やファンをふやし、さらなる市場の拡大につなげていくことには、大きな意義があります。中小企業にとっても、今までにはない新たなビジネスチャンスが生み出されることとなります。
 都は、eスポーツ関連産業の振興を図るために、ことし一月に東京eスポーツフェスタを初めて開催いたしましたけれども、その実績と成果についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都はことし一月、eスポーツの普及と関連産業の振興を目的として、東京eスポーツフェスタを開催いたしました。
 このイベントは、東京ビッグサイトで二日間の日程で開催し、親子連れを含む幅広い層の約八千人が来場し、eスポーツの観戦に加え、5GやVRなどの最新技術の体験などを楽しんでいただきました。
 中小企業向けの出展ブースには、ゲーム用のヘッドセットなどの周辺機器やVRゲームの開発企業など三十四社が出展いたしましたが、出展者向けのアンケートでは、今後の商談につながったと回答した企業が七割を超えるなど、取引先の開拓などのコネクションづくりに寄与したものと考えております。

○栗下委員 ご答弁をいただいた中で、第一回の開催でありましたけれども、多くの来場者があったということであり、eスポーツ人気が高まってきているというのがよくわかります。
 二回目となる今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によって、オンライン開催になると既に発表をされておりますが、このような時期だからこそ、eスポーツに対するニーズのさらなる高まりも期待をされております。さらに多くの人々の関心を引きつけ、eスポーツ関連産業の振興という所期の目的を達成できるよう、取り組みの強化を求めておきます。
 次に、オープンイノベーションの促進に向けた取り組みについて伺います。
 ただいま取り上げましたeスポーツ以外にも、新たな産業を生み出すためには、ベンチャー企業が持つ発想力や技術力を最大限生かしていくということが必要であります。
 ポテンシャルはあるものの経営資源に限りがあるベンチャー企業は、製品開発や販路開拓などのプロセスで直面する課題を、みずからの力だけで克服することが難しいという側面があります。そのため、資金や人材、ネットワークなど、あらゆる面で優位性を持つ大企業を巻き込んでいく、いわゆるオープンイノベーションの推進が重要であります。
 都は、ベンチャー企業による革新的な製品やサービスの創出を後押しするため、オープンイノベーションによる大規模プロジェクトの組成を支援しております。既に、空飛ぶ車の開発や次世代蓄電池の開発などのプロジェクトを採択していますけれども、新たなビジネスの種は次々に生み出されておりまして、これらを着実に見出して育て上げることが、東京全体の経済の底上げにもつながってくるものと考えます。
 そこで、令和元年度に都が実施をしましたオープンイノベーションによる大規模プロジェクト組成に対する支援の実績についてお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は平成三十年度より、ベンチャー企業の発想力や技術力を生かし、大企業等と連携したオープンイノベーションにより事業化を図っていく大規模プロジェクトへの支援を開始いたしました。
 二年目となります昨年度は、十二社から応募がございまして、農業分野と宇宙分野のプロジェクト二件を採択いたしました。
 農業分野のプロジェクトは、地球規模の気象変動に対して、農作物の収穫量や品質を安定させることを目的に、ドローンを活用した作物育成調査システムを開発するものでございます。
 宇宙分野のプロジェクトは、宇宙空間の安全な利用のため、使用されなくなった人工物、いわゆる宇宙ごみの除去技術や、その実証のための衛星の開発及び運用を行うものでございます。
 引き続き、本事業を着実に推進し、ベンチャー企業を中心とした新たなイノベーション創出を後押ししてまいります。

○栗下委員 波及効果のある革新的なビジネス、こちらを創出していくためには、時には目先の利益のみにとらわれない協力関係というのも必要になってまいります。都のイニシアチブによって採択したプロジェクトを成功に導き、東京の中小企業の稼ぐ力をさらに高めていくということを要望いたします。
 次に、事業承継に対する支援について伺います。
 現在の中小企業支援の最重要課題ともいえるのが、事業承継の問題であります。
 経営者の高齢化が進む一方で、後継者不足の中小企業が増加をしており、このままの状況が進めば、東京の経済の活力が失われる一方となります。人手の少ない中小企業では、日々の営業活動以外になかなか時間をとることができず、経営者の方々が承継の問題に向き合うことが難しい面があるというのも理解ができます。しかし、事業承継の問題は、将来に向けて計画的に準備を進めることが大切でありまして、これは粘り強く訴えていかなくてはなりません。
 都の中小企業振興公社では、事業承継に関するサポートを行っておりますけれども、昨年度、経営者の方々に向けてどのような取り組みを進めてきたのかお伺いをいたします。

○土村商工部長 都は昨年度、中小企業経営者の方々に事業承継の取り組みを促すため、中小企業振興公社による支援を強化いたしました。
 具体的には、事業承継セミナーについては、ほかの支援機関が実施しているさまざまな施策を紹介するなど、内容の充実を図り、前年度比で約二割増しの二百七十三社が参加いたしました。
 また、ビッグデータを活用して事業承継に早期に取り組む必要があると判断される中小企業を抽出し、巡回相談員が重点的に訪問しており、事業承継に向けての課題などを聞き取り、アドバイスを行う新規相談を八百九十五件行いました。
 また、承継に向けた経営改善などや意欲を持ち、ほかにはない技術力等を有する企業に対しましては、中長期の事業承継計画の策定など、最長で三年間の伴走型の支援を行っており、前年度比で二倍となります二十社の新規支援を行いました。
 引き続き、経営者の方々にきめ細かいサポートを提供し、都内中小企業の事業承継を着実に後押ししてまいります。

○栗下委員 昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、中小企業を取り巻く経営環境はますます厳しさを増しております。
 事業承継支援は、腰を据えて取り組むべきものでありますが、同時に、個々の中小企業にとっては、一刻の猶予も許されない経営上の最重要課題であります。今後も、経営者に第一歩を踏み出していただくための働きを強化するように要望をいたします。
 次に、テレワークについて伺います。
 コロナ禍において、テレワークは感染症の防止を図る事業継続対策として急速に普及し、都の実態調査では、従業員数三十人以上の都内企業の導入率は、昨年度の二五・一%から五七・八%まで上昇したとの結果も出ております。
 今後、テレワークのさらなる普及と定着を図っていくためには、実際にテレワークを実施した従業員の方々がテレワークをどのように評価しているのかを明らかにして、導入や運用上の課題を解決していくことが求められてきます。
 都は昨年度、テレワークに関する実態調査を実施していますけれども、テレワークを実施している従業員の評価は一体どのような評価だったのか、具体的に伺います。

○村西雇用就業部長 昨年七月に実施した従業員に対するテレワークの実態調査では、在宅でのテレワークのメリットにつきまして、通勤時間、移動時間の削減が八一・六%と最も多く、育児との両立四四・五%、業務への集中力の向上が四二・五%、家族と過ごす時間の増加が四〇・六%となっております。
 一方、在宅でのテレワークのデメリットにつきましては、社内のコミュニケーションに支障があるが三五・八%と最も多く、勤務時間とそれ以外の時間の管理が二六・七%、長時間労働になりやすいが二一・九%となっております。
 このように、従業員に対する実態調査の結果からは、在宅でのテレワークにつきまして、ライフワークバランスの実現や生産性の向上への評価が高い一方で、コミュニケーションの確保や労働時間の管理など、運用面の課題があると考えていることが明らかとなりました。

○栗下委員 従業員の方々への調査結果の内容を、今、具体的に明らかにしていただいたわけですが、在宅勤務のデメリットとしては、労働時間の管理や長時間労働への懸念といったものが挙がっております。
 確かに、これまで通常の仕事場所ではなかった自分の家、自宅では、労働時間とそれ以外の時間を明確に分けることが難しいというのは、容易に想像がつくことであります。また、自宅ではテレワークの通信環境が十分整っていない場合もあるほか、書斎がない、リビングでは夫婦でテレワークをやりにくいと、スペースの確保も在宅テレワークの問題点として、よく耳にするところであります。
 そもそも自宅でのテレワークが難しい従業員も多いことから、Wi-Fi環境などテレワークの実施環境が整い、職住近接を可能とするサテライトオフィスが、今、注目を浴びております。テレワークのさらなる普及定着に向けては、自宅以外の場所でテレワークができるサテライトオフィスの整備促進が必要であります。
 都は、民間事業者等が整備するサテライトオフィスに対する支援を実施していますが、その具体的な支援内容とこれまでの実績についてお伺いをいたします。

○村西雇用就業部長 都は、テレワークの実施環境を整備していくため、企業等が市町村部に新たにサテライトオフィスを設置運営する際に、その整備費と運営費を補助しております。
 具体的には、整備改修費につきましては補助率三分の二、限度額二千万円、運営費につきましては補助率二分の一、限度額六百万円を助成しております。
 これまでの補助実績は、平成三十年度に多摩市、三鷹市、八王子市に各一カ所、令和元年度には武蔵野市に二カ所、計五カ所につきまして、民間事業者によるサテライトオフィスの設置運営を支援いたしました。
 整備された施設の規模としては、十八席から九十六席まで多様であり、いずれの施設も駅から近く、通信設備や会議室などの執務環境も整備され、利用者の方々が職住近接で快適にテレワークを実施できるようになっております。

○栗下委員 これまでに、民間事業者による五カ所の設置運営を支援しているということで、都がコロナ禍以前から着実に取り組みを行ってきたことを評価しております。
 今年度については、現在、整備事業者の募集期間中ということでありますが、都内企業のテレワークの導入率が約六割に達したこともあり、都の補助事業の活用を希望する事業者の事前相談が増加をしているというふうに聞いております。
 サテライトオフィスは、今後のデジタル時代に不可欠なインフラになっていくことと思いますので、さらなる施策の充実に向けて、しっかりと取り組んでいただけるよう要望いたします。
 次に、女性の再就職支援について伺います。
 労働力人口が減少する中、社会の活力を高めていくためには、潜在的な女性労働者の力を掘り起こすということが重要になります。特に、出産や介護等を契機に離職した女性は、育児や介護等と仕事との両立や離職によるブランクなど、さまざまな不安を抱えておりまして、再就職に向けた一歩を踏み出す勇気が持てないといった方も多いというふうに聞いております。
 都は、こうした女性が自信を持って再就職できるようサポートするために、昨年度より、レディGOワクワク塾という取り組みを開始しておりますが、その具体的な内容と実績についてお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 レディGOワクワク塾は、出産等により離職し、再就職を希望する女性を対象とする事業でございます。
 同じ境遇の女性と交流を図りながら、家庭と仕事の両立方法を学ぶ講座や、女性が活躍している企業への短期インターンシップに参加していただくことによりまして、再就職を後押しいたします。
 昨年度は、効率的に家事を進める時短家事の方法や、キャリアデザインの描き方など、女性の再就職に向けた不安を払拭し、必要なノウハウを習得する三カ月間の講座を実施いたしまして、定員を上回る百三十九名の参加を得ております。
 また、女性の再就職に向けた自信を高めるため、両立支援に理解のある企業と協力し、延べ七十六名に対し、最大五日間のインターンシップを実施いたしました。

○栗下委員 こちらの事業は、私の周辺でも参加した者がおりますけれども、大変好評をいただいておりまして、全体的にも多くの方々から希望いただいて、令和二年度は予算規模を拡充して実施をしているというふうに聞いております。
 今後も、参加者のニーズを踏まえて、講座内容を見直すなど工夫を重ね、よりよい事業にしていっていただきたいというふうに思います。
 次に、中小企業における外国人材の活用について伺います。
 ことしは、新型コロナウイルス感染症の影響で採用を控える企業もあるようでありますが、一方で、今後の人口減少社会や新たな事業展開などを見据え、多様な人材の確保、とりわけ外国人材の採用を検討している中小企業も多いと聞いております。
 しかし、採用ルートがわからない、在留資格の手続が複雑、社内での受け入れ体制が整っていない、そういった理由から、外国人材に関心を持ちながら、なかなか踏み出せない企業も多いようであります。
 都は、中小企業が外国人材の採用を円滑に進め、定着につなげることができるよう、さまざまな支援を行ってきたわけでありますが、令和元年度の具体的な取り組み内容と実績についてお伺いをいたします。

○鈴木事業推進担当部長 都は、外国人材の採用、定着を図る中小企業を支援するため、外国人材の募集方法やコミュニケーション上の留意点などを学ぶセミナーを開催いたしますとともに、中小企業が外国人材と出会うきっかけとなる企業説明会などを実施しております。
 具体的には、昨年度、外国人材の採用を検討している中小企業と採用後の企業それぞれが抱える課題に対応したセミナーを合計六回開催いたしまして、三百九十七名の参加を得ております。
 また、合同企業説明会を四回開催し、五十五社の中小企業が、東京での就職を希望する留学生等六百六十三名に対して、自社の特徴や魅力をアピールいたしました。
 さらに、中小企業で働く外国人社員の職場定着を図るため、新たにビジネス日本語のeラーニング研修を実施し、百五十八名に対して支援を行いました。

○栗下委員 我が会派として、ことしの第一回定例会においても、外国人材の活用を検討している中小企業に対して、これまで以上に多様な施策を展開すべきと提案したところであります。
 都は、それらの意見を踏まえて、本年十二月、常設の相談窓口である東京外国人材採用ナビセンターを開設するとともに、中小企業における外国人材活用に関する検討会において、新たな支援策の検討も進めております。中小企業の不安や悩みに寄り添い、さらに支援を強化するよう求めておきます。
 二〇二〇大会に向けた観光促進の取り組みについて伺います。
 ことしに入り、新型コロナウイルス感染症の影響により、観光振興への取り組みについても大きな影響が出ておりますが、昨年を振り返ると、東京二〇二〇大会開催の一年前ということで、観光プロモーションの取り組みは、本来仕上げの一年ということで、着実に進められてきたと考えております。
 東京二〇二〇大会は、残念ながら一年延期となりましたけれども、東京の観光を世界にPRする絶好の機会であるということには変わりはありません。
 戦略的にプロモーションを行っていくことが重要となりますが、昨年度の観光プロモーションの取り組みについてお伺いをいたします。

○松本観光部長 昨年度は、年間を通じまして、東京二〇二〇大会開催地としての東京の多様な魅力を発信するため、海外テレビCMなどにより、世界約二百の国、地域に対してPRを展開してまいりました。
 その中でも、大会への関心が高い欧米地域のメダル有望国等を対象としまして、東京に注目が集まる大会一年前等の時期を中心に、重点的にCMを展開するとともに、これらの市場で代表的なメディアを通じまして、東京のスポーツ関連情報や観光の魅力を発信いたしました。
 さらに、二〇二〇年に入ってからは、銀座、渋谷エリア等でTokyo Tokyoアイコンを活用した集中的な都市装飾を行うとともに、飲食店等の事業者と連携したPRキャンペーン、Welcome!二〇二〇を実施いたしました。
 こうした東京観光の魅力の発信や、国内外の旅行者を歓迎する機運の醸成に引き続き取り組み、東京二〇二〇大会に向けた効果的なプロモーションに努めてまいります。

○栗下委員 コロナの影響で大会が一年延期になってしまったということは、本当に残念なことでありますが、大会への第一歩として、今月から東京発着の旅行もゴー・ツー・トラベルの対象に加わり、先週末からは、都民の都内観光を助成する都内観光促進事業、もっと楽しもう!Tokyo Tokyoも始まりました。感染防止対策の徹底を前提として、全国からの誘客に向けた情報発信も行いながら、観光需要を喚起していくことが必要となります。
 来年に控える東京二〇二〇大会に向けて、これまでの取り組みを強化しながら、戦略的にプロモーションを展開するとともに、東京観光の魅力や東京の安全・安心を全世界に向けて発信し、観光復活のアピールやインバウンド需要の回復につなげてほしいと思います。
 最後に、ナイトライフ観光の推進について伺います。
 新型コロナウイルス感染症が発生する以前は、主に欧米で、夜の時間の過ごし方に着目をしたナイトライフ観光が展開をされ、多くの旅行者が夜間に行われるイベントなどを楽しんでおりました。
 日本でも、観光庁が訪日外国人旅行者の消費拡大に向けて、夜間を活用する取り組みへの支援を始め、東京都においても昨年度、ナイトライフ観光の推進に向けて、夜間の時間帯を生かしたイベントへの支援をまさに開始したところであります。
 これまでの実績とコロナ禍においての課題についてお伺いをいたします。

○松本観光部長 都は昨年度、地域の新たなにぎわいや観光資源を創出するため、区市町村や民間事業者等が実施する夜間の集客イベント等への支援を開始いたしました。
 昨年度は、野外音楽イベントやオールナイトでの映画上映、ナイトマーケットなど、ことし九月末までに実施する取り組みとして合計八件を採択いたしました。そのうち三件は、昨年九月からことし二月まで計十四回のイベントを実施いたしました。
 一方で、二月末以降の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いまして、多くのイベントが延期され、イベント開催に当たっては感染防止対策の徹底が課題となっております。
 こうした中、ライブ配信も活用した野外劇場でのコンサートなど、一部のイベントは、感染防止対策を徹底した上で再開されていることから、都としましても、引き続き夜間の時間帯を生かした観光資源の開発、発信を後押ししてまいります。

○栗下委員 今、各事業者等もさまざまな工夫をしながら、イベントの実施に向けた努力をしていることと思います。イベントなどの人数制限も、段階的に緩和をされてきているなど、観光にとって少しずつ明るい材料もふえてきております。
 ナイトライフ観光の推進も、やはり感染防止対策を徹底した上でのイベント開催が前提となりますが、夜の時間帯を楽しめる機会の創出に向けては、いまだ再開できていないイベントについても、着実に支援を続けていただけるようお願いをいたしまして、私からの質問を終わります。

○鈴木委員 初めに、コロナ禍において、中小企業融資、そしてまた協力金、給付金事業を初めとして、突然の需要喪失による景気後退の中、中小企業に寄り添い、さまざまな対応を行い、そしてともに感染拡大防止に取り組まれたことに、まず、皆様に心から敬意を表します。また、景気後退がおさまらない中でありますので、これからが観光政策も含めて正念場だというふうに思っておりますので、今後ともさらなるご尽力をお願い申し上げます。
 本日は、産業労働局が、中小企業振興を初め、農林水産業の振興や雇用調整政策など、幅広い施策を展開されている中で、事業承継や起業、創業といった中小企業支援策のほか、令和元年度の特徴的な施策についてのポイントを絞って、質疑を行わせていただきます。
 まず初めに、中小企業の事業承継支援についてでありますけれども、これはもう改めて申し上げるまでもないんですけれども、東京の経済を支えているのは、都内企業の九九%を占める中小企業であります。その中小企業の八割を占めるのが小規模零細企業で、大企業が決してまねすることができない技術やサービスを有しておりまして、これら一つ一つが東京の産業にとってのまさに財産であるわけです。
 すぐれた加工技術を持つ町工場や、地域密着のサービスを提供する商店など、魅力ある小零細企業が世代交代を着実に進めて事業を継続していくことが、地域の活力を維持して、向上させていく上で極めて重要な取り組みであるわけです。
 深刻な人手不足や後継者の不在など、さまざまな課題を抱える小零細企業にとって、駆け込み寺ともいえる存在が地域の商工団体なんですね。日々の事業活動に奔走している経営者に対し、適切なアドバイスを行うことで、事業承継を初めとする経営課題にいち早く対応していくわけです。
 大田区においても、町工場の集積地といわれて、特に質の高い生産財といわれる部品など、かつては大田区でつくれないものがないといわれていたほどなんですけれども、現在は、その集積といわれた町工場が、かつての三分の一ぐらいの数になってしまいまして、その半数近くが従業員三人以下の小規模企業であります。
 中小企業庁による小規模企業白書では、小規模企業の廃業が近年増加されていて、中小規模の企業が保有する人材、技術、ノウハウなどを着実に引き継いでいくことが重要であるというふうに記されているわけですけれども、そこでまず、商工団体と連携して実施している小規模企業に対する事業承継支援の内容についてお伺いいたします。

○土村商工部長 都は、小規模事業者が経営を見直し、世代交代や業態転換等を図りながら、地域で持続的な経営を続けられるよう支援するため、商工会議所等と連携しまして、都内七カ所に支援拠点を設置しております。
 支援拠点では、コーディネーターが事業者からの相談の入り口を担当し、事業承継計画書や事業計画書の作成相談に加えまして、進捗確認や実行支援まで継続的にサポートを行っております。
 また、コーディネーターがより深掘りした支援が必要と判断した場合には、経営課題に応じた支援プランを計画し、その分野に特化した専門家を直接事業者へ派遣することで、課題解決への実行支援を行っているところでございます。

○鈴木委員 小零細企業が抱える課題というのは、一律ではないというふうに思うんですけれども、そうした個々の実情に寄り添って、きめ細かな支援が必要なわけです。その意味においては、コーディネーターが課題に応じたサポート体制をオーダーメードで組み立て、継続的に支援しているということは、大変重要な取り組みだというふうに思います。
 また、事業承継は、承継後を見据えた計画づくりや後継者の育成など、息の長い支援が必要になるわけですけれども、その一方で、経営者の高齢化というのはどんどん進んで、支援を必要とする企業数も年々増加することが予想されるため、増加するニーズに地域の商工団体が的確に対応していくことが求められるというふうに思います。
 東京都は、事業承継の計画的な取り組みを促していくため、中小企業振興公社を支援拠点として取り組んでいるというふうに伺っておりますけれども、まず、この支援拠点における令和元年度の支援実績についてお伺いいたします。

○土村商工部長 支援拠点での窓口や巡回による相談件数は、昨年度は計画件数の七百二十五件に対しまして、支援実績は延べ千十一件でございました。
 また、具体的な課題解決に向けて、コーディネーターが作成した支援プランに基づきまして、中小企業診断士や税理士などの専門家派遣を行った企業数は八百四十六社でございます。
 平成二十七年度に支援拠点を設置して以降、一貫して派遣企業数が増加するなど、支援規模を拡大してきておりまして、地域の支援拠点を通じたサポートが着実に成果を上げているものと考えてございます。

○鈴木委員 今の答弁で、派遣企業数は着実に増加しているとのことでありますけれども、支援を必要としている事業者が決して取り残されることがないように、支援が確実に行き届くようにすることこそ重要であるというふうに思います。
 特に、事業承継に関する知識を持たない経営者は、近くに相談者やアドバイザーなどを見つけないと、計画を立てることさえ困難であり、専門家の力というのが予想以上に大きいといえます。
 現在では、国による事業承継の円滑化に向けた法整備や税制の抜本的な見直し、またサポート体制など、環境整備を強力に推し進めてまいって、こうした取り組みを一社一社の企業に向き合って、事業承継の促進につなげていっております。
 引き続き、ぜひ都内中小企業の実情をより把握しております東京都が中心となって、万全の支援体制を構築することを求めさせていただきます。
 小零細企業の経営者には、さまざまな支援策に関する情報が特に届きにくい実態もあり、また、人手不足から日々の事業活動が優先されるため、事業承継への対応が後手後手に回ることも懸念されるわけです。このため、事業承継に計画的かつ早期に取り組む必要性を、身近な商工団体を通じて事業者に発信していくべきだというふうに思いますけれども、令和元年度の取り組みについて、状況をお伺いいたします。

○土村商工部長 都は、小規模事業者の事業承継の取り組みを後押しするため、商工会議所や商工会による年間約十五万件にも及ぶ日常の経営相談などの機会を活用して、事業承継の取り組みを促し、支援拠点での具体的な支援につなげているところでございます。
 また、セミナーによる普及啓発に加えまして、令和元年度は、より多くの事業者に気づきの機会を提供できるよう、承継の意義をわかりやすく伝える動画を制作し、鉄道車内で放映いたしました。
 さらに、支援を受けた事業者の取り組みをインタビュー形式で紹介する動画等を掲載しまして、ホームページの充実を図るなど、諸施策のPRに積極的に取り組んでまいりました。

○鈴木委員 中小企業の経営者の高齢化による大事業承継時代が到来していることに加えて、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大によって、事業者の廃業リスク、より高まっている状況だというふうにいえます。
 東京の価値ある製品や技術、サービスが次の世代にしっかりと承継されるよう、引き続き小零細企業の実情に寄り添った手厚い支援を行っていただきたいというふうに思います。
 次に、中小企業が経営課題を解決する上で、地域の商工団体のほかに重要な存在となるのが金融機関であります。金融機関は、さまざまな事業展開に必要となる資金供給にとどまらず、最近では、付加価値のあるさまざまな経営サポートを提供しているケースも見受けられます。
 都は、中小企業に事業承継への取り組みを促すため、昨年度から地域金融機関と連携した支援を実施しております。信用金庫や信用組合などの地域金融機関は、地域密着型の営業によって、地元の企業の経営状態をつぶさに把握しているわけでありまして、中小企業のアドバイザー役としても身近な存在であるともいえます。
 事業承継は、経営者にとって非常にデリケートな問題もあるわけですので、日ごろからのつき合いのある地域金融機関によるアプローチは、経営者の行動を促す上で本当に効果的な取り組みだというふうに思います。
 そこで、昨年度開始した地域金融機関との連携による事業承継支援の具体的な取り組みと実績についてお伺いいたします。

○井上金融支援担当部長 地域金融機関による事業承継促進事業におきましては、信用金庫、信用組合などが取引先企業を訪問し、事業承継の必要性について啓発を行いますとともに、事業承継の準備状況をヒアリングいたします。ヒアリング後、経営者の求めに応じまして、専門家を無料で派遣し、承継計画の作成を支援するほか、計画の実行に必要な資金の融資相談にも応じております。
 昨年度は、二十一の金融機関が二千八百三十三社の企業を訪問し、延べ三百四十五社に対して専門家の派遣を実施しております。

○鈴木委員 事業承継を実行するまでのプロセスでは、事業計画のまず見直しや、既存債務の整理などの検討が必要なんですけれども、新たな資金需要が発生することも大変多いわけです。
 そのため、入り口の段階から、地域金融機関が一緒になって取り組んでいくというのが、承継の実現に向けて大きな推進力になるというふうにも思っておりますので、昨年度から取り組みが始まったばかりで、まだ実績は少ないわけですけれども、中小企業の経営者とコミュニケーションをとって、緊密な関係にある地域金融機関の活用というものを今後とも推し進めていただきたいなというふうに思います。
 事業承継というのは、単に事業を受け継いでいくだけでなく、将来を見据えた事業の見直しを図るなど、企業の価値を高めていく好機であるともいえるんですね。そのために都は、後継者が新たな事業展開を行うための設備投資の支援、また、事業を発展させていくための生産性の向上や人材確保、販路開拓など、経営改善に意欲のある中小企業を、経営状況の診断から計画づくり、実行支援までを一気通貫してサポートして、中小企業を後押ししているわけです。
 今後も、事業承継の問題を着実に前に進めていっていただいて、きめ細かく中小企業に寄り添った支援をお願いいたします。
 また、白書でも報告されているとおり、経営者の高齢化が刻一刻と進んでおりまして、コロナ禍による中小企業の経営状況も悪化しており、廃業する企業はますますふえていくとも考えられるわけですので、こうした状況を認識しながら、特にスピード感を持って事業承継支援に取り組むべきであるということを指摘しておきます。
 次に、東京の産業を支えていくために欠かせない取り組みとして、創業に対する支援であるというふうに思います。
 東京の経済が成長を続けていくためには、すぐれた製品や技術を受け継ぐ後継者の育成とあわせて、新しいビジネスに果敢に挑戦する創業者を生み出していく必要もあります。この新しいビジネスの創出による効果というのは、経済や雇用にとどまらず、そこに新たなコミュニティが生まれることにより、地域全体の活性化にも寄与するわけです。
 しかし、創業には可能性がある反面、大変リスクもあって、収入や生活の安定を求める場合に選択肢となりにくいのが現状であります。ただ、身の丈に合った創業の形もあるわけですので、創業希望者の不安を少しでも払拭して、一歩を踏み出していただく、そのための行政によるサポートが本当に私は重要だというふうに思います。
 都は、創業希望者が気軽に情報収集や相談にワンストップで対応する窓口、TOKYO創業ステーションを現在丸の内に設置しております。しかし、創業に関するワンストップ窓口というのは、東京都以外に区市町村なども実施しているケースもあって、都の窓口の特徴やメリットを利用者にわかりやすく伝えていく必要があるというふうに思うんですけれども、都が丸の内に設置しているTOKYO創業ステーションの特徴について、改めてお伺いいたします。

○土村商工部長 都は、起業に関心のある誰もが利用でき、情報提供から事業化支援までをワンストップで行うTOKYO創業ステーションを運営しております。
 起業に必要となる情報収集を希望する方やノウハウを学ぶ方をサポートするため、夜間や土日も開館し、起業の経験のあるコンシェルジュが初期段階のさまざまな相談にきめ細かく対応するほか、先輩起業家等との交流イベント等を開催しております。
 また、事業アイデアを具体化したい方やビジネスプランを策定したい方につきましては、計画づくりの支援窓口を設置しており、プランコンサルティングや法務、税務等の専門相談を実施しているところでございます。

○鈴木委員 創業を考えている方々にとって、今までの仕事を継続しながら、夜間、土日も開館しているということは、大変喜ばれることであって、さらに計画づくりの支援をきめ細かく対応されているということは、大いに評価できるというふうに思います。
 都のTOKYO創業ステーションというのは、創業希望者の準備段階に応じて、幅広いサービスを提供しているということであります。創業は一朝一夕に実現できるものではありませんので、事業計画の策定から開業資金の調達、人材の確保など、多くのことを並行して進めていく必要がございます。創業希望者がこれらのノウハウを全て最初から身につけているということはなかなかない中で、個々のニーズに応じてきめ細かく対応することが求められるというふうに思います。
 最近は、国や自治体など、さまざまな主体によって創業に関する支援策が実施されておりますけれども、その一方で、支援策が具体的な創業に結びついたという話はなかなか多くないんですけれども、行政サービスを提供した以上、それを効果として発揮していくことが大事であって、難しい面はあるとしても、一定の把握が必要ではないかなというふうに思います。
 そこで、令和元年度における丸の内のTOKYO創業ステーションの支援実績についてお伺いいたします。

○土村商工部長 TOKYO創業ステーションでは、起業への関心、興味を喚起するためのセミナーや交流イベントを年間三百二十五回開催して、延べ一万二千八百四十四人の方が参加いたしました。
 また、起業に関する悩み、疑問に対応するコンシェルジュが延べ二千九百十六件の相談に対応するとともに、事業計画をまとめ上げるためのコンサルティングを延べ五千二百八十三件、その他専門相談等として、弁護士や税理士、金融機関等が延べ千七百十四件対応しており、いずれも前年度より増加をしております。
 さらに、前年度の二倍以上となる年間二百六十一人の方が、事業計画を完成する実績を上げるなど、創業の動きは活発化しているところでございます。

○鈴木委員 今の答弁の中で、創業ステーションの利用者、ますますふえているということで、これは本当に喜ばしい。創業希望者の事業計画が現実のビジネスと結実して、初めて施策効果が発揮されるわけでありますので、そのことをぜひ十分認識した上で、丁寧なサポートをよろしくお願いいたします。
 創業の手続に関する個別具体的なサポートに加えて重要なのが、創業希望者の裾野を広げていく取り組みであります。
 最近では、年齢や性別、キャリアにかかわらず、さまざまな層による創業の事例が出ているとはいえ、諸外国と比較した場合、日本の開業率は本当に情けないほど低い状況にあります。また、今後予想される人口減少社会の到来を踏まえれば、創業の担い手を一人でも多くふやしていくことが喫緊の課題であるともいえます。
 東京都は、創業支援をより一層ふやしていくために、令和元年度どのような取り組みを進めたのかお伺いいたします。

○土村商工部長 都は平成二十六年度より、十五歳以上四十歳未満の方を対象とした意欲ある起業家の卵を生み出すため、国内最大級のビジネスプランコンテストでありますTOKYO STARTUP GATEWAYを開催しております。
 昨年度は、過去最高の千八百三件のエントリーがございまして、最優秀賞を初めとして四名を表彰いたしました。最終選考に残りました十名に対しましては、コンテスト後も、ビジネスプランのブラッシュアップや資金調達等の具体的なフォローを行い、起業に結びつけてまいりました。
 また、昨年度より、新たに五十五歳以上のシニア世代の起業を後押しするため、シニア向け企業イベントを五回実施し、延べ三百五十四名が参加いたしました。その後開催しましたシニア向けコンテストである東京シニアビジネスグランプリでは、百八十九名の応募者の中から、社会人として長年培った経験を生かしたプランを持つファイナリスト十名を選出いたしました。
 こうした取り組みを通じまして、若者からシニア世代まで幅広い層への起業機運を高め、創業希望者の掘り起こしを実施しております。

○鈴木委員 創業に対するイメージというのは人それぞれでありますけれども、情報量が不足しているというのが多くの人の共通項としてあるものと考えられますので、創業の担い手は多種多様であるため、普及啓発、個別支援の実施など、それぞれのターゲットに応じた取り組みが効果的であります。
 また、創業後、速やかに事業を軌道に乗せることが重要であるわけですので、販路拡大や企業PRなど後押しすることも求められるというふうに思います。
 東京の経済の活性化に欠かせない要素である創業が、さらに活発に行われるよう取り組みの充実を求めて、次の質問に入ります。
 次に、中小企業融資について伺います。
 現在でも、新型コロナウイルス感染症による経済への深刻な影響が続いており、都内中小企業は、半年以上にわたって事業運営に苦慮している状況がございます。
 我が党は国に対し、つなぎ融資を初め、持続化給付金や雇用調整助成金などの支援策について、スピード感を持って講じるように要望してまいりました。
 また、都に対しても、中小零細企業の事業継続を支えるため、制度融資などの金融支援を初めとする経済対策を要望してまいりました。これに対して都は、本年三月に都独自の新型コロナ対応融資を立ち上げて、これまでの間、コロナ禍における中小企業の資金繰りを支えてまいりました。
 そこでまず、三月に立ち上げた都独自の新型コロナウイルス対応融資の内容と昨年度の実績をお伺いいたします。

○篠原金融部長 都が本年三月に新型コロナウイルス対応として立ち上げました三つの融資メニューのうち、新型コロナウイルス感染症対応緊急融資は、感染症の影響で売り上げが最近三カ月にわたって五%以上減少している企業を対象にしたものでございます。
 また、新型コロナウイルス感染症対応緊急借換は、既存の保証つき融資を借りかえることによりまして、返済期間を延長できるようにした融資メニューでございます。
 さらに、危機対応融資は、最近一カ月の売り上げが一五%以上減少している企業を対象として開始したものでございます。
 いずれのメニューも、年利一・五%から二・四%の低利に設定し、原則として信用保証料を全額補助する内容となっております。
 令和二年三月の実績につきましては、三つのメニュー合計で、融資件数が約七千件、金額は約二千九十八億円でございます。

○鈴木委員 本日は決算ですので、令和二年の三月の実績についてお伺いしたんですけれども、やっぱり、七千件で金額が二千九十八億円というのは大変多い金額だというふうに思いますので、これだけ都内中小企業の方々、今、塗炭の苦しみだということを認識の上、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
 制度融資に関連して、コロナ禍における信用保証制度についてお伺いするんですけれども、国は本年三月、新型コロナウイルス感染症による経営に影響を受けている中小企業への資金繰り支援として、信用保証制度の強化を図ったわけです。具体的には、セーフティーネット保証四号の発動や五号の対象拡大により、中小企業が融資を受けやすい環境を整備したわけです。
 そこで、中小企業に対する金融支援において、重要なセーフティーネット保証の内容と、令和元年度の新型コロナ対応融資におけるセーフティーネット保証を活用した融資の状況についてお伺いいたします。

○篠原金融部長 セーフティーネット保証四号は、自然災害等により経営に支障を生じている中小企業への資金供給のため、信用保証協会が通常の保証枠とは別に一〇〇%保証を行い、融資先に返済できない状況が発生しても金融機関に負担が生じない制度でございまして、本年三月に国から発動された後、三カ月ごとに指定期間の延長が講じられております。
 本年三月におきまして、セーフティーネット保証四号を利用した融資は約三千件でございます。
 セーフティーネット保証五号でございますが、全国的に業況が悪化している業種を国が指定し、信用保証協会が八〇%の保証を行う制度でございまして、本年三月以降、対象業種を順次拡大し、現在では全業種が対象となっております。本年三月におきまして、セーフティーネット保証五号を利用した融資は約二百件でございます。

○鈴木委員 本年度において、五月から一億円までの実質無利子で融資が受けられることになりまして、利用する中小企業が一層増加していると聞いております。
 今後とも、中小企業の資金繰りに対して、セーフティーネット保証のさらなる活用を図りながら、手厚い支援を継続するように要望して、次の質問に入ります。
 東京農業の担い手の育成についてお伺いいたします。
 東京に暮らす私たちにとりまして、農地は、新鮮な野菜や果物など食料生産の場としてだけでなく、災害時の避難場所、また延焼遮断帯としての防災機能、あるいはヒートアイランド現象の緩和といった環境保全機能と、地元の子供たちへの食育など教育機能など、日常生活においても多面的にその役割を果たしております。
 しかし、農業を支える担い手については、全国的に高齢化と後継者不足など減少傾向が進んでおりまして、都内においても、農業の半数以上が六十五歳を超えるなど、例外ではないわけです。
 今後、生産緑地の二〇二二年問題といわれる三十年間の営農義務が終了することによりまして、生産緑地指定の解除をする人がふえ、宅地化を防ぐため生産緑地法が改正され、また、平成三十年九月には都市農地貸借円滑化法が施行され、生産緑地の貸し借りが可能となり、都においては、昨年度から都市農地活用推進モデル事業が始まったり、農地の買い取りや貸借によりモデル事業に取り組んでいただいております。
 そこでまず、都市農業を守り続けるためには、現在、東京の農業を支えている担い手の育成が何よりも喫緊の課題であるわけですけれども、農業者を対象に、栽培技術や農業経営を学ぶための研修やセミナーなどを実施しているというふうにお聞きしておりますが、それらの目的や実績についてお伺いいたします。

○上林山農林水産部長 都は、東京農業の持続的な発展に向けて、農業者の技術力や経営力の向上のための研修やセミナーなどを実施しております。
 令和元年度は、就農初期の農業者等を対象として、野菜や果樹などの品目ごとの栽培方法に関する講習会等を六十四名に対し実施したほか、東京都農林総合研究センターの圃場を活用し、栽培実習を中心とした一年間の農業技術研修を三名に対し実施いたしました。
 さらに、レベルアップを目指す意欲的な農業者等の経営力向上に向けて、経営診断の手法や新たな販路の確保についての講義や、先進的な取り組みの視察などを六回開催いたしました。

○鈴木委員 都内で安定した農業経営を行っていくためには、確かな技術を習得することに加えて、経営能力を高めていくことが極めて重要なことでありますので、これからも引き続き、東京農業を担う担い手の育成に全力を傾けていただきたいというふうに思います。
 また、先ほど触れましたように、平成三十年九月には、土地農地貸借円滑化法が施行され、生産緑地の貸借が可能となりました。この制度を活用して、東京都は、都市農地活用推進モデル事業を始めているわけですけれども、農家以外の方が新規に就農する事例が都内でも出てきていることから、今後は、こうした新たな農業の担い手確保を促進していくことも重要と考えます。
 東京都は、新規に就農を希望する人を対象にした実践的な研修を実施するために、東京農業アカデミー八王子研修農場を令和元年度に整備しておりますけれども、その内容についてお伺いいたします。

○上林山農林水産部長 都は、農外からの就農を希望する方が農業技術等を体系的に習得できるよう、令和元年度に八王子市内の都有地を活用して研修農場を整備いたしました。
 この農場では、病害虫防除や肥料の管理などの営農に必要な技術を習得するための栽培実習や、農業経営に必要な法令や会計の知識等に関する講義などの二年間の研修プログラムを実施するほか、就農計画の策定や農地の確保に関する相談への対応を通じて、研修修了後に円滑に農業を始めることができるよう支援いたします。
 なお、令和元年度は第一期生の研修生として五名の受け入れを決定し、今年度から研修を開始しております。

○鈴木委員 持続可能な東京農業を実現するためには、新規就農者の役割というのは大変重要なことでありますので、八王子研修農場の開設は、新たな担い手の育成に向けて大きな役割を果たすと期待しております。引き続き、東京農業を支える担い手のレベルアップに向けた取り組みを力強く進めていただきたいというふうに思います。
 次に、最後にテレワークについてお伺いいたします。
 コロナ禍において、テレワークの導入というのは、事業継続対策として急速に拡大しました。しかし、そもそもテレワークは、緊急時の事業継続だけが目的ではなく、ICT技術を活用して、労働力人口が減少する中においても、人材を有効に活用して生産性の向上を図り、企業の持続的な成長へ向けて実施すべきものであります。
 また、テレワークの導入状況は、業種や職種などによって異なると聞いております。パソコンで主要な業務が可能な情報通信業などでは導入は容易ですけれども、現場作業や対人サービス業務を欠かせない建設業や製造業、医療、福祉の業界などは、導入しにくい状況にあります。また、緊急事態宣言発出後に導入した企業で、二割の企業で効果がないといわれている中で、労務管理や業務の洗い出しに課題があるとも指摘されております。
 そこで、テレワークの普及定着に向けて、業種や職種ごとの課題や現場の実情を踏まえ、支援が重要となるというふうに思っておりますけれども、都はこれまで、さまざまな業界におけるテレワークの導入促進を図るため、どのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 テレワークは、業種や職種によりまして、その活用方法を初め、導入時の課題なども異なっております。
 このため、都は、業種ごとのテレワークの導入、活用の事例や効果的な運用ノウハウなどを業界別のハンドブックとして取りまとめ、テレワークの普及促進を図っているところでございます。
 具体的には、平成三十年度に製造業、建設業、卸売・小売業、昨年度、令和元年度には金融・保険業、医療・福祉、サービス業の合計六業種のテレワーク導入、活用ハンドブックを作成し、業界団体等を通じて広く配布するとともに、ウエブサイトにも掲載し、周知を図っております。
 また、東京テレワーク推進センターにおきましては、このハンドブックを使用した業界別のテレワーク体験セミナーを各業種二回、計十二回開催しまして、八十九社が受講しております。

○鈴木委員 業界ごとの特性を踏まえて、テレワークの導入、活用事例について、幅広く周知啓発を行うことは、効果的であると考えますので、今後も取り組んでいただきますようお願いいたします。
 また、テレワークは、企業規模によっても導入状況が異なっており、都の調査結果でも、従業員規模が大きな企業ほど導入率が高い。で、小規模企業ほど導入率が低くなっております。テレワークのさらなる普及に向けては、規模の小さい都内中小企業においても、テレワークを円滑に導入できるよう、きめ細かな支援を行っていく必要があるというふうに思います。
 都は、こうした中小企業に対して、テレワーク導入時の課題解決などの支援をどのように行ってきたのか、具体的な内容と実績についてお伺いいたします。

○村西雇用就業部長 都が実施したテレワークに関する実態調査結果では、従業員三百人以上の企業の導入率は七六・八%だったのに対しまして、従業員規模が三十人以上百人未満の企業の導入率は四九・〇%にとどまっております。
 都は、テレワークの導入に取り組む中小企業に対して、テレワークで実施する業務の洗い出しや業務プロセスの見直しなどの業務改善とともに、ICTに精通した専門家を最大五回まで無料で派遣するワークスタイル変革コンサルティングを実施しております。
 昨年度、令和元年度のコンサルティングによる支援実績は八百八十四社でございまして、三十年度の二百九社から大幅に増加しております。

○鈴木委員 冒頭でも申し上げましたけれども、中小企業の中には、生産性の向上など、テレワークのメリットを十分に実感できないために導入が進んでいない場合もあるというふうに思います。
 専門家によるコンサルティングを通じて、テレワークを実施する目的をしっかりと持って中小企業が導入を進められるよう、今後とも各企業の実情を踏まえた丁寧な対応を行っていただき、定着に結びつけていくように要望しておきます。
 これまで、事業承継や制度融資など中小企業支援から、農業水産業、テレワークと産業労働局が所管する幅広い施策について、令和元年度の取り組み状況を伺ってまいりました。
 新型コロナウイルス感染症による影響が長期化し、地域経済が大変大きな打撃を受けている状況にあります。これまで産業労働局では、感染状況や経済社会状況に応じて、さまざまな緊急支援策を実施しておりますけれども、中小零細企業が安定して事業活動を行い、従業員の方々が安心して働き続けられるよう、日々現場で奮闘する人々にさらに寄り添った施策が求められます。
 我々は、状況が刻々と変化する中でも、一貫して現場の生の声にしっかりと耳を傾け、ニーズを的確に把握し、中小企業の実情に合わせたサポートを行っていくよう提言してまいりました。
 コロナ禍において、傷ついた東京の産業や雇用環境を回復させていくためには、十分な感染対策を講じた上で、経済活動を前に進めていくことが極めて重要です。その場その場の思いつきの施策や、理念や理想だけで組み立てた施策を打ち出しても、決して経済の実態を変えることはできません。
 都議会自民党は、今後とも、地に足のついた現場目線に立った施策を展開して、真に必要な支援や、中小企業やそこで働く方々に着実にその支援が届けられるよう、今後とも努力することをお誓いして、私の質問を終わります。

○加藤委員 初めに、被災地応援ツアーについて伺います。
 被災地応援ツアーは、東日本大震災の発災に伴い、消費喚起や観光振興など、現地が抱える課題解決に向けた支援として、我が党の要望を受け、スタートしたものであります。
 二〇二〇年度は事業開始から十年目となり、政府が策定した復興・創生期間の最終年度ともなります。節目の年であります。
 そこで、被災地応援ツアーの昨年度実績を伺うとともに、同ツアーがこれまでに果たしてきた役割について、見解を伺います。

○松本観光部長 都では、東日本大震災による被災地復興支援のための緊急対策の一環としまして、平成二十三年九月から被災地応援ツアーを実施しております。
 昨年度の実績は、宿泊一万五千九百七十八泊、日帰り二千二百八十三人分、教育旅行六十件につきまして、その費用の一部を助成いたしました。その結果、令和元年度末までに、累計で、宿泊では約二十一万四千泊、日帰りでは約六万七千人分、教育旅行百七十七件分について助成いたしました。
 本ツアーの実施により、多くの旅行者の福島県などへの旅行を後押しし、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興支援に一定の貢献をしてまいりました。

○加藤委員 元年度までの約八年半で、平均しますと、年間にして約二万五千泊、日帰りで約七千九百人の利用があり、被災地の復興の後押しになったと思います。
 現在はコロナ禍で、復興へのさらなる試練が重なっておりますけれども、政府のゴー・ツー・トラベルとの併用などにより、復興支援につながることを期待したいと思います。
 次に、無料公衆無線LANについて伺います。
 スマートフォンやタブレットなどを利用したインターネット経由での情報収集が増加する中、外国人旅行者にとって無料公衆無線LAN、いわゆる無料Wi-Fiは、非常に重要なサービスとなっています。
 こうしたことから、我が党では、都議会での質疑を通じ、都が整備を進めるまち中での無料Wi-Fiサービスの提供について、利用可能なスポットの増加や利便性の向上など、利用者目線に立った施策の展開をリードしてきました。
 そこで、Wi-Fi整備事業について、これまでの実績と整備において取り組んできた工夫について伺います。

○松本観光部長 都では、東京二〇二〇大会に向け、外国人旅行者が多く訪れる地域の屋外におきまして、無料Wi-Fi利用可能スポットを七百カ所確保することを目標に取り組んでまいりました。
 これまで、観光案内標識やデジタルサイネージ、電話ボックスの周辺での利用環境整備を進め、昨年度末までに利用可能なWi-Fiスポット数を約七百六十カ所までに拡大いたしました。
 また、都内の自治体や交通事業者などが提供するWi-Fiサービスと連携しまして、一度の登録で共通利用が可能な箇所を拡大させることで、昨年度末時点で都内約七千五百カ所でのサービス利用を可能とするなど、旅行者の利便性向上を図っております。
 今後とも、外国人旅行者がまち中で観光に必要な情報を速やかに入手できるよう、環境の整備に努めてまいります。

○加藤委員 目標を上回ったということで、評価をしております。
 かつては、外国人観光客にとって、Wi-Fi環境の少なさが改善項目の一番を占めておりましたけれども、今では多くの場所に設置されて、観光振興に大いに役立っております。外国人だけでなく、日本人にとっても便利な環境となっておりまして、今後も観光振興と利便性向上に努めてほしいと思います。
 次に、中小企業制度融資のうち、本年三月に開始した新型コロナ対応融資について伺います。
 中小企業にとって、年度末の三月は最も債務の返済に追われる時期でありますが、ことしはここに新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、都内の中小企業は例年以上に厳しい資金繰りを迫られました。
 こうした状況にいち早く対応するため、都が三月六日に都独自の新型コロナウイルス対応融資を立ち上げたことは高く評価いたしますが、一方で、中小企業の苦しい経営状況に十分配慮し、企業の負担を可能な限り軽減することが重要です。そうしたことから、我が党は当初から、既存の融資における返済の猶予などについて求めてまいりました。
 そこで、三月に開始した都独自の新型コロナ対応融資において、中小企業の負担軽減としてどのような対応が図られたのか伺います。

○篠原金融部長 本年三月に開始いたしました三つの融資メニューのうち、新型コロナウイルス感染症対応緊急借換では、既存の保証つき融資を借りかえる制度となっておりまして、これによって債務の返済期間を延長することができる上に、元本の返済を最長二年間据え置くことで、実質的な返済猶予が可能となるものでございます。
 また、ほかのメニュー、新型コロナウイルス感染症対応緊急融資及び危機対応融資でも返済の負担を考慮し、最長二年間、一部最長三年間の据置期間が設定できるようになっております。
 さらに、いずれのメニューでも融資利率を低く設定し、原則として信用保証料を全額補助とするなど、融資を受ける中小企業の負担軽減を図っております。

○加藤委員 ただいまの答弁で、借りかえのメニューによる実質的な返済の猶予など、中小企業の負担軽減にしっかりと対応していることを確認いたしました。これが三月の一カ月間で、約二千億円もの融資につながった要因の一つだと思います。その後も五月には、我が党のさらなる要望を受けまして、実質無利子の融資が開始されたことで、さらに多くの中小企業の資金繰りを支えています。
 今後も長期化する新型コロナウイルス感染症の影響で、一層厳しい経営状況にある中小企業に対し、強力な金融支援を続けていただくよう要望し、次の質問に移ります。
 テレワークについてであります。
 都は、本年三月に新型コロナウイルス感染症が拡大する中、中小企業に対してテレワーク機器等の導入を支援する事業継続緊急対策助成金を迅速に立ち上げ、感染の拡大防止と事業継続の両立を目指す多くの企業の期待に応えてきました。
 また、我が党の要望を踏まえ、当初は助成の対象ではなかったCADソフトなど、業務に不可欠な十万円以上のソフトウエア購入費についても補助対象とするなど、利用者の目線で要件の改善にも取り組んできたことを高く評価するものです。
 この緊急対策助成金は、非常に多くの中小企業等に利用されていますが、利用企業の特徴や助成金で整備されるテレワーク機器の具体的な中身について伺います。

○村西雇用就業部長 事業継続対策のテレワーク助成金は、令和元年度千九百九十二件の申請があり、助成金申請企業の従業員の規模としては、三十人未満の企業が約七二%、三十人以上百人未満の企業が約一八%となっておりまして、規模の小さい企業の利用割合が高くなっております。
 また、申請企業の業種につきましては、サービス業が約二六%、情報通信業が約二四%、卸売、小売業が約一一%、学術研究、専門技術サービス業が約九%、製造業が約七%となっております。
 また、整備されるテレワークの利用機器等につきましては、パソコンやタブレット、カメラ等のウエブ会議用機器のほか、財務会計やCAD等の業務ソフトウエア、コミュニケーションや勤怠管理等のソフトウエアなど、業種やテレワークの活用業務の特徴に応じまして、多岐にわたっております。

○加藤委員 緊急対策助成金は、三月だけでも約二千件もの申請があり、特に規模の小さい企業の利用が多かったこと、また、業種や整備される利用機器も多岐にわたっていることなど、各企業の実情に応じた取り組みが促され、テレワークの普及に大きな役割を果たしたことがわかりました。
 この緊急対策助成金は、七月末で終了になりましたけれども、都は八月以降もテレワーク機器等の導入促進と定着に向けた定着促進助成金を実施しています。都内企業のテレワークの導入率は、約六割に達したとはいえ、利用機器に対する助成のニーズは、小規模な企業を中心に依然として強いものがありますので、今後も引き続き支援を実施していただくようお願いをしておきます。
 次に、介護と仕事の両立支援について伺います。
 団塊の世代が七十歳を超え、介護ニーズの一層の増加が見込まれる中、多くの方が介護や看護を理由に離職をしております。介護に従事する可能性の高い四十代、五十代の方々は、企業において中心的な役割を果たしていることが多く、こうした従業員の離職は、人材確保に苦労している中小企業にとって、経営上のリスクとなりかねません。
 こうした中、育児・介護休業法では、介護休業の分割取得や介護休暇の半日単位の取得などの拡充が図られてきており、来年一月からは、介護休暇の時間単位での取得も可能になると聞いております。
 都内中小企業においても法律に基づき、介護と仕事の両立が可能な職場環境づくりを進めてきていると思いますが、介護離職を防止するためには、より利用しやすいものとしていくことが重要となります。
 そこで、都内中小企業において両立がさらに進むよう、都としても積極的な支援が必要だと考えますが、都が昨年度実施した取り組みの具体的内容と実績について伺います。

○鈴木事業推進担当部長 都は、介護と仕事を両立できる職場環境整備を促進するため、中小企業に対して普及啓発を図りますとともに、介護休業や介護休暇制度の充実等に取り組む企業に奨励金を支給しております。
 具体的には、昨年度、企業の経営者や人事労務担当者を対象としたシンポジウムや五回の研修会を通じまして、合計三百六十二名の参加者に対し、介護と仕事の両立に取り組む企業の事例や都の支援制度などを紹介いたしました。
 また、法律上の定めを上回る百五十日の介護休業を導入した企業や積み立てた有給休暇を介護の際に利用できる休暇制度を創設した企業など、百三十三社に奨励金を支給し、その取り組みを支援いたしました。

○加藤委員 高齢化に伴い、介護の利用割合が増加しております。特に在宅介護の負担増は、介護離職の原因となっております。今後も中小企業の取り組みが着実に進むよう、支援の強化をお願いいたします。
 次に、東京の地場産業である皮革産業の振興について伺います。
 東京の皮革産業は、全国の事業者のうち約三分の一が立地し、出荷額でも約二〇%を占めております。その中でも、私の地元である墨田区には、伝統的な皮革産業が根づいており、なめし革の製造に関しては、都内事業所の約半数が集中するなど、まさに地場産業としての地位を確立しております。
 その一方で、この業界を取り巻く環境は、アジア諸国による安価な輸入品の急増やヨーロッパ諸国によるブランド品の占有など、一層厳しさを増しております。もともと中小零細の事業者が多い業界であり、豚コレラ、豚熱の発生やコロナ禍の影響も受けていることから、支援の重要性が一層高まっております。
 業界の都の支援機関として、墨田区には皮革技術センターがあります。このセンターでは、事業者へのさまざまな技術支援や相談対応を行っており、業界の発展に向けて重要な役割を担っています。東京の皮革産業の将来を語る上で欠かせない施設であることから、最近の支援状況について、何点か確認をしていきます。
 まず初めに、皮革技術センターの令和元年度における依頼試験などの利用実績について伺います。

○土村商工部長 皮革技術センターでは、試験分析器など設備を持たない中小企業を支援するため、中小企業からの依頼に対応して、皮革の原材料や製品等について各種の試験等を行っております。昨年度は、延べ八百二十社が利用し、千五百九十件の依頼試験を実施いたしました。
 また、中小企業が新技術や新製品の開発のために、センターの機器を利用してみずから試験や加工等を行う開放試験につきましては、延べ千三百五十八社、千六百九十八件の機器利用がございました。

○加藤委員 皮革産業にかかわる多くの事業者の方が利用している実態がわかりました。
 墨田区で主に生産されているのはピッグスキン、豚革であります。軽い、通気性がよい、摩擦に強いなどの特性があり、靴やバッグ、医療品など幅広く活用されています。しなやかな素材感から、ファッション業界からも注目を浴びており、輸入によらず、国内需要の全てを自給することができるのも大きなメリットであります。私も時々、展示会にお邪魔してそのすばらしさを実感しております。
 ピッグスキンは、原皮から製品革にするまで、実に二十以上の工程を経て仕上げていきます。多くの手間と時間をかけてつくられるため、この世界に誇るピッグスキンの品質に磨きをかけていくことが東京の皮革産業のさらなる発展につながるものと考えます。
 そこで、皮革技術センターで実施しているピッグスキンに関する技術開発研究の取り組み内容について伺います。

○土村商工部長 皮革技術センターでは、昨年度から色の濃い豚スエードの色落ちのしにくさの向上をテーマとした技術開発研究を開始いたしました。この研究は、色落ちを防ぐことが難しいといわれております豚スエードに、さまざまな染料等を適用しながら染色方法を検討し、色落ちしにくい条件を見出していくものでございます。
 この研究によりまして染色方法が確立された場合には、これまで色の濃い豚スエードでは敬遠されておりましたハンドバッグや幅広い衣料品などにも用いることができるようになり、販路の拡大が期待できるものと考えております。

○加藤委員 ただいまの答弁にありましたような研究成果が生かされ、ピッグスキンのさらなる利用拡大につながることを期待します。
 皮革技術センターは、三階建てでありますがエレベーターがなく、時には物品を運ぶのも大変だとお聞きしました。また、昭和五十八年に設置されており、当然のことながら建物や設備の老朽化が進んでいます。老朽化した機器の更新や最新の技術に対応した装置の導入等を計画的に行い、事業者の皆さんが安心して技術支援を受け続けられる環境をしっかりと整えることが重要です。
 そこで、令和元年度の皮革技術センターにおける設備の更新や導入等の取り組み状況について伺います。

○土村商工部長 皮革技術センターでは、昨年度、革づくり工程で使用しますステンレスドラムや革の耐熱性を分析する装置など、五種類の機器を更新いたしました。また、革の原料の品質管理に関するニーズに対応するため、DNA等を迅速かつ高精度に定量測定できる装置を新たに導入いたしました。
 引き続き、既存設備の更新や新規設備の導入などを適切に進めてまいります。

○加藤委員 皮革技術センターの機能をしっかり守り、さらに充実を図る取り組みが進められていることがわかりました。東京の皮革産業の発展のためには、皮革技術センターの機能強化が欠かせません。
 特に、工業用水の廃止が決定し、従来と同じ水量を使っていけば、コスト的に競争力は低下していきます。世界の環境基準も厳しくなっており、環境規制をクリアしていく技術開発も欠かせません。今後も事業者へのサポートの一層の充実を図り、品質の向上や新製品の開発を着実に後押しして、ブランドを築いていくことが大切です。
 聞くところによると、海外の有名なブランドに一部の材料、製品をひそかに納品しているといったことも伺いました。東京産が形を変えて海外のブランドになっているわけで、やはり新たにメード・イン東京のブランド化が大切です。そうした支援も強く要望します。
 また、地域での分業体制の集約化など、効率的な生産体制を構築していくことも課題となっています。こうした課題に対しても、局として全力を挙げて支援してもらいたいと強く要望しておきます。
 次に、関連して、東京ブランドの確立という観点から伺います。
 ものづくりのまち墨田区には、皮革のほかにも江戸の味を楽しめる料理店、染めや指物、ガラスの工房など、代々受け継がれた独自のわざやノウハウを現代に伝える魅力と個性あふれる事業者が数多く存在しています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、インバウンド客は激減、日本のお客さんも体験教室は閑古鳥状態で、打撃を受けておりました。
 こうした中、都は江戸東京きらりプロジェクトを実施し、伝統のわざや名品を持つ事業者を支援し、東京を代表するブランドとして紹介する取り組みを進めておりますが、その成果は、今後の多くの事業者の参考となるものと考えます。
 そこで、事業者のブランド力を向上させるため、江戸東京きらりプロジェクトではどのような取り組みを行ったのか、また、これまで三年余りの取り組みにより、どのような成果が出ているのか伺います。

○勝見企画調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 江戸東京きらりプロジェクトでは、東京を代表するすぐれた伝統技術や老舗の名品を持つ事業者を選定し、ブランディングの手法を用いて価値を高め、国内外に発信する取り組みを進めております。
 これまでに十七のモデル事業者を選定し、専門家チームにより、商品のブラッシュアップや海外展開など、販路拡大の取り組みのサポートを行ってまいりました。また、選ばれたモデル事業者を雑誌媒体でご紹介したほか、ウエブサイトや各種イベントを通してその魅力を発信いたしました。
 三カ年にわたり支援したモデル事業者は、海外ブランド等との共同開発や新しい領域の商品の売り上げの増加、来店外国人客の販売単価向上につながるなどの成果を得ております。

○加藤委員 新たな日常に直面し、将来に不安を感じている事業者は多いことと思いますが、こうしたときこそ、ブランド力の向上について考えるときとも思います。東京の事業者をリードするあすへの活路となるような取り組みを今後も期待いたしまして、質問を終わります。

○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。資料ありがとうございます。
 私からは、正規雇用転換安定化支援助成金、そして、都市農業について伺っていきたいと思います。
 初めに、正規雇用の転換安定化支援助成金についてです。
 一九八〇年代後半から非正規雇用比率は増大しています。待遇や所得において、正規雇用との大きな格差が存在し、生涯年収は、正規雇用労働者と非正規労働者との間では大きな開きが生じています。非正規ゆえの低所得を理由に、結婚を諦める若者の声も聞いています。
 一方、労働者が安定して長期にわたり同じ企業で働くことは、仕事のノウハウや商品知識などの豊富な労働者が多数存在することであって、企業にとっての無形の財産が蓄積されることになり、大きなメリットと考えます。国や都においても、非正規労働者を正規に転換する施策が行われてきました。しかし、それは十分に効果を上げてきたかどうかと思います。
 そこで、非正規労働者を正規に転換する企業向きの事業である正規雇用転換安定化支援助成金、これについて伺いたいと思います。
 この事業は、正規雇用転換後も労働者が安心して働き続けられるよう、計画的な育成や退職金制度の整備など、労働環境整備を行った事業主に対して助成金を支給するもので、国が、有期雇用労働者等の正規雇用労働者への転換、または派遣労働者の直接雇用化を行う事業主に対して助成をするキャリアアップ助成金の正社員コースの支給決定を受けた事業主が活用できる制度であります。
 そこで、二〇一九年度の正規雇用転換安定化支援事業の執行率、三七・六%と低い水準になっていますけれども、その理由をお答えください。

○鈴木事業推進担当部長 令和元年度の支給件数は一千四百四十七件、対象人数は二千四百六十二人でございまして、前年度比ではそれぞれ三百二十六件、七百三十九人の増となっております。
 今後とも、本事業のさらなる活用に向けまして、事業の周知に努めてまいります。

○とや委員 前年度よりは三百二十六件、七百三十九人増ということでありました。この事業は二年目ということですが、余り高い支給件数とは思えないんです。事業の周知も必要なんですけれども、ほかに企業のニーズと合わない何かがあるのではないかと。正規雇用転換安定化支援助成金の仕組みについて確認をさせてください。−−ごめんなさい、仕組みはいいです。
 対象労働者に対する指導育成計画です。三年間策定することが助成条件となっていると伺いました。実際に支援する期間は三カ月となっておりまして、この三カ月という期間は、どのような根拠で決められたのか教えてください。

○鈴木事業推進担当部長 本助成金は、対象労働者に対して三年間の指導育成計画書の策定やメンターの専任指導、計画に基づく研修を行うことを要件としております。こうした支援を実施するために必要な期間として、三カ月の支援期間を設定しております。

○とや委員 指導育成計画の策定、メンターの専任指導、そして計画に基づく研修が要件ということでありました。企業が労働者を丁寧に指導育成をしていくことを求めるということだと思います。
 ただ、メンターに関しては、外部のしかるべきキャリアコンサルタントのような専門家がつく必要もあるのではないかと、私は問題意識を持っています。それはやはり客観的な視点が必要だと思うからです。
 助成金額は一人二十万円、二人で四十万円、三人以上だと六十万円となっていますが、この金額は、どのような根拠で決められたのか教えてください。

○鈴木事業推進担当部長 本事業では、企業が対象労働者に対し、指導育成計画書の策定やメンターの専任指導、研修の実施といった支援を行いますことから、その業務量に対する経費として算出しております。

○とや委員 業務量に対する経費だということでありました。考えてみますと、やはり人を育てるということは手間暇のかかるもので、このため通常の業務から人手が割かれることもあると思います。そういったことを初めとしたことに対する対価として適切なのか、さらに検討が必要なのではないかと思います。これは意見として申し上げます。
 都は、正規雇用転換安定化支援助成金の前に、正規雇用転換促進助成金という非正規雇用労働者を正規に転換した企業を支援する事業を行ってきました。これは既に終了してしまっているんですが、正規雇用転換安定化支援事業の助成金と同様に、国のキャリアアップ助成金に上乗せをして助成金を支給するものだったわけですが、正規雇用転換安定化支援助成金の以前に実施されていた、今紹介をさせていただいた正規雇用転換促進助成金の実績について、伺っておきたいと思います。

○鈴木事業推進担当部長 正規雇用転換促進助成金は、非正規で働く方々を社内で正規雇用に転換した企業に対し、助成金を支給する事業でございまして、平成二十七年度から二十九年度にかけて実施いたしました。
 三年間の支給件数は一万八千二十八件、三万二千三百九十八人の正規雇用化を実現し、事業の目標を達成したところでございます。

○とや委員 一万八千二十八件、三万二千三百九十八人の正規雇用化を実現されたと、これはこれで非常に努力をされた事業じゃないかなと思います。ただ、事業の目標を達成したかどうかということになると、それはちょっと認識が違うと私は思っています。
 正規雇用転換安定化支援助成金の一九年度の支給件数は千四百四十七件、対象人数は二千四百六十七人でありました。前年度、つまり一八年度との対比では三百二十六件、七百三十九人の増というご答弁が先ほどありました。二年間で二千五百六十八件、四千百九十五人ということになるわけですが、一方、就労した、今ご説明があった正規雇用転換の促進助成金は、三年間の支給件数が一万八千二十八件です。三万二千三百九十八人ということですので、これは非常に数字に格差が出ています。
 手持ちの資料でもいただいたんですけど、三年間やった正規雇用の転換促進助成事業、終了した三年間で、これは支出済額を見ますと、初年度が二十億六千七百万、次が五十億組んでいます。そして最終年度は八十億組んでいます。
 ところが、昨年から始められたこの今の事業、正規雇用転換安定化支援事業については十一億八千七百万、そして今回は五億五千六百万か、ということで、桁が全然違います。ですから、非常に大きな後退だといわざるを得ません。
 こうした事業もこの三年間では、高い執行率をやっぱり保ってきたわけです。最初に紹介させていただいたように、まだまだ非正規雇用の人たちもいるわけで、やっぱり正規雇用になって暮らしが安定していくということは、非常に大事なことだと思っています。
 正規に転換した労働者と労働環境の整備を行った事業主を支援することは、非常に重要です。一七年度まで行われていた正規雇用転換促進助成金、これは継続して行う−−終わっていますから復活っていうんですか、ぜひ行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○鈴木事業推進担当部長 ただいまご答弁させていただきましたとおり、正規雇用等転換促進事業は、既に事業の目標を達成しております。平成三十年度からは、さらに事業効果を高めるために、正規雇用への転換にとどまらず、転換後のスキルアップと定着に向けてメンターの専任指導など、人材育成を通じた労働環境整備に取り組む企業を支援する新たな事業を開始しているところでございます。

○とや委員 正規雇用転換促進事業は事業の目標を達成したと、また繰り返しおっしゃられたわけですけれども、決して達成しているとは思えないし、まだまだ需要があると思います。
 この事業は、支給額も有期雇用労働者から正規雇用労働者に転換した場合、中小企業だと五十万円助成があります。大企業で四十万です。メンターの選任など、企業にとって要件が今回のはふえたにもかかわらず、支給額は、先ほど紹介したように現在のは対象労働者一人につき二十万なんです。ですから、やっぱり別々って考えないで上乗せする継続するっていうやり方で、ぜひ実施していただきたいと思います。
 同時に、今の事業が利用する企業や労働者にとって、果たして使い勝手がよいものなのかどうか、検討が必要だと思います。この執行率を見て思いました。
 非正規労働者の割合は、若干ですけど、減少傾向にあるようには見えてくるんですけれども、まだまだ対策を講じる必要があると思います。コロナ禍のもとで解雇され、非正規での就業を余儀なくされる方がふえていくことも十分想定できるわけです。
 労働者を使い捨てにすることなく安定して雇用することは、企業にとっても大きなメリットがあります。正規雇用転換に一層の尽力を期待しまして、この項の質問を終わります。
 次は、農業政策です。初めに、昨年の台風被害について伺いたいと思います。
 二〇一九年度は、二つの大きな台風が東京を襲いました。非常に大きな被害が出ました。とりわけ農業での被害は深刻で、島しょ地域や西多摩地域で甚大な被害が出ました。そうした被害を受けて、都は補正予算も組んで復旧支援を行ってきたわけですが、そこで伺います。二回の補正予算、合計三十五億円を計上した農地及び農業用施設災害復旧について、実績、進捗を伺います。

○上林山農林水産部長 激甚災害であります台風十五号及び十九号等による被害に対応するため、昨年度約三十五億円を補正予算として計上いたしました。令和元年度は、用水路にたまった土砂の撤去に加え、被害を受けたパイプラインやビニールハウス等の復旧を行いました。なお、令和元年度内に執行が完了しなかった工事等につきましては、予算を今年度へ繰り越し、順次復旧を進めております。

○とや委員 奥多摩町、ワサビ田がほぼ全壊して、甚大な被害がありました。奥多摩のワサビは町の基幹産業のために、復旧が急がれます。復旧のスケジュールについて伺います。

○上林山農林水産部長 都は、令和元年度台風十九号による奥多摩町のワサビ田等の被災状況について調査を行い、復旧作業に着手いたしました。被害範囲は広範にわたるため、個々の被害箇所の具体的なスケジュールや実施方法等について、国や奥多摩町と協議しながら、早期の復旧を図ることといたしております。

○とや委員 昨年の台風被害ですので、早期に復旧をといいながらなかなか、もう一年たっているわけですから、ぜひ直ちにお願いしたいと思います。
 ワサビ田は山間地にあり、復旧の大変な作業があるわけですが、奥多摩町の基幹産業であります。また東京の名産品でもありますので、ぜひ一日も早い復旧に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 島しょ地域でも台風による農業の被害が起きました。大島町や新島村では、ビニールハウスが倒壊し、出荷前の農作物にも甚大な被害が出ました。そして、村の基幹産業であるツバキ林に甚大な被害を受けたのが利島村であります。台風十五号により、利島のツバキ林も被害を受けたわけですが、収穫前のツバキの実が大量に落ちて、倒木も多数に上りました。利島の被害状況と復旧の状況について伺います。

○上林山農林水産部長 台風十五号の強風により、利島村のツバキはおよそ千五百本の被害を受けました。被害を受けたツバキについては、都の島しょ観光資源・林産物生産振興事業を活用し、令和元年度からの二年間で、村が実施する被害木の処理に対し支援を行います。なお、令和元年度は六百本の処理を行いました。

○とや委員 台風は、ことしは比較的少ないですけれども、毎年、島しょ群とか決まった地域を襲ってきて、甚大な被害をもたらすことがあります。随分昔ですけど、私、東北地方を襲った台風だったかな、リンゴが全部落ちてしまって、農家の方が希望を失ってみずから命を絶ってしまったと、そういう事例も見て本当に胸が痛みます。ぜひ支援をお願いしたいと思っています。
 利島村の方からお話も伺いました。ことしはツバキは豊作だということであります。昨年以前は不作もあり、倒木がなければ収穫量が大きくふえていたということでした。ぜひとも迅速な復旧作業を要望いたします。
 私ども都議団は、昨年の台風被害を受けて、被害を受けた各地の方々からお話も聞いて、私も直接大島に行きまして、農家の方から要望を伺ってきました。被害は人的被害、家屋倒壊、農地や観光施設の被害など多岐にわたっていました。
 東京都がこれほどの広範囲で甚大な被害を受けた経験は、関東大震災以降ほとんど経験がなく、大きな教訓を残したのではないかと思います。今回台風の被害を受けて、復旧の補正予算を組んだことは非常に歓迎したいと思いますし、評価ができると思います。
 しかし一方で、被害を受けた直後から、迅速な補償と復旧措置も必要だという声も聞いています。近年、風水害は広範囲に及んで、また頻発化し激甚化しています。事前の対応で減災することも重要ですが、被災後に迅速に対応できるよう、補償や復旧に使える基金の設立、あるいは事前の予算措置など、検討していただくよう要望しておきます。
 続いて、生産緑地の保全について伺います。
 先ほどもお話ありました。税制優遇を受けるかわりに、最低三十年は農地、緑地として土地を維持するとした一九九二年の生産緑地法から、三十年を迎えるのが再来年である二〇二二年であります。農業の担い手が高齢化し、後継者もいないという従事者も多く、生産緑地を維持できない場合、宅地並み課税となることから、多くの生産緑地が手放される懸念もあります。
 これは資料をいただいて私も驚いたんですけれども、五年間の東京都における新規就農者数の推移という表をいただきました。二〇一五年度は、六十人の方が新規に就農していたんですけれども、昨年度は二十八人に減ってしまっているんです。だから、やっぱり希望を持って、もう一回就農してみたいなと思うような施策が必要なんじゃないかなと思っています。
 東京都や私の地元練馬区も、二十三区でも一番広いといわれる農地を持っています。そういった課題もたくさんあって、生産緑地を減らさないような取り組みが行われていると思います。
 また、農地の持つ多面的な役割、防災や教育、福祉など、活用して保全に努めていただきたいと思っているわけですが、都の農業振興プランでは、都心でも生産緑地は必要なものと位置づけがされています。東京都の生産緑地の確保に対する認識を伺っておきたいと思います。また、生産緑地減少の歯どめにとどまらず、さらにふやしていく取り組みはどのように行っていますか。

○上林山農林水産部長 東京の農業振興にとって、生産緑地の保全に取り組むことは重要でございます。都は令和元年度、市街化区域の農業者が所有する宅地等を農地に転換する際の農地整備などを支援する農地の創出・再生支援事業によりまして、二区二市で五件の農地を創出いたしました。

○とや委員 今のご答弁、生産緑地の保全に取り組むことの重要性が示されたことは、大変重要だと思います。二〇二二年に農地の約八割が三十年の期限が来るわけです。そのとき、農業を続けることができずに生産緑地を手放す場合、生産緑地を保全していくためには、やはり都や区市町村による生産緑地の買い取りや賃借による農地の保全が不可欠だと考えます。
 昨年度の取り組みですが、高齢者の活躍に向けたセミナー農園整備事業を行っています。当該年度は候補地の選定をしたとのことですが、実績について伺います。

○上林山農林水産部長 令和元年度は、区市等への事業周知を行うとともに、セミナー農園を整備するための適地となる生産緑地の選定について調査等を行いました。

○とや委員 事業概要を見ますと、この場合、都が農地を賃借して、シニア世代層が技術指導を受けながら農作業に取り組むことができると。将来的には、新規就農や支え手として活躍してもらうことを視野に入れているとのことでありました。
 続いて、生産緑地の買い取りですが、インキュベーション農園整備事業について、当該年度は生産緑地の買い取りがされております。現状は多摩市の一カ所でありますが、このほかにも買い取りを行う予定はあったのでしょうか。

○上林山農林水産部長 都が開始しましたインキュベーション農園整備事業は、都市農地の効果的な活用を普及していくモデル事業のため、一カ所での実施といたしております。

○とや委員 一カ所だということでありました。都市農地の効果的な活用を普及するという意味では重要な視点だと思いますし、農業の発展という点でも、新しい技術の活用は不可欠だと思います。
 一方で、やはり都が生産緑地の買い取りや賃借による農地保全を一層進めていく必要があります。今年度から生産緑地の買い取り事業が始まりましたが、二〇二二年までに生産緑地、農地をしっかりと保全していくため、目標を持って取り組みを進めていただくよう、要望しておきます。
 東京都には、都立の農業系の高校が八つあります。ここでもまたお聞きしていきたいと思うんですが、農業系の学部がある大学もあります。こうした高校や大学等々が連携して、技術開発や新商品の開発、あるいは後継者の育成などを行うことが重要だと考えます。
 農業振興について、農業高校や農学部のある大学との連携で、東京ならではの取り組みを進めることも重要です。この間どのような取り組みをしてきたか、教えてください。

○上林山農林水産部長 東京都農林総合研究センターが都内の大学と連携して共同研究を実施するとともに、都立の農業系高校に対し、同センターの圃場の視察の受け入れや研究員が出向いての技術研修会などを行っております。
 さらに、東京二〇二〇大会関連施設に飾る夏に強い花壇苗の生産に向け、高校に対し、同センターの研究員による技術指導等を実施いたしました。

○とや委員 農業系の大学と連携して共同研究を行う、あるいは都立の農業系高校に対して、視察の受け入れや、二〇二〇大会関連施設の花壇苗の生産に向けて、研究員の技術指導も実施してきたということでありました。
 長野県の安曇野市では、南安曇農業高校と連携し、市の主要作物を使用した加工品等の商品開発に取り組んでいます。農業高校の三年生が行う卒業研究や課外活動の中で商品開発施策に取り組んで、その研究成果を市内事業者が活用することで、実際商品化されていると聞いています。そのことが市の産業振興につながって、農産物の魅力を高めているということでした。
 東京都は、都市農業、中山間地農業、畜産業、島しょのアシタバやツバキ油、フルーツなど、全国的にも多様な農業が展開されているわけですが、こうした魅力を発揮する一つの施策として、高校や大学との連携を強化して、東京の農産物の魅力を高めていくことを求めておきます。
 最後に、新型コロナウイルス感染症による一斉休校が年度末、三月にありました。給食用に納めていた農産物が行き場をなくしたところも少なくありません。その影響についての認識と対応について伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 昨年度末の臨時休校によりまして、学校給食に使用されなかった農産物があったことから、都はJA東京中央会と連携して、令和二年三月に供給できなかった学校給食用のコマツナをJA東京アグリパークで販売し、生産者を支援いたしました。

○とや委員 コマツナをアグリパークで販売して、生産者を支援したということでした。これ自体、非常に重要だと思うんですけれども、二月末の全国一斉休校は児童生徒だけでなく、こうした事業者にも寝耳に水の出来事で、多くの影響が出ました。こうした不測の事態にも引き続き対応していただいて生産者を支えていくよう求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

○保坂委員 私からは、初めに中小企業制度融資についてを伺います。
 中小企業のさまざまな活動を後押しする、このためには、中小企業にとっての血液ともいえる資金繰りを支援していくことが大変重要ではないかと考えております。
 都は、中小企業の資金繰り支援の根幹でもありますこの制度融資において、中小企業の資金ニーズに応えたさまざまな融資メニューを展開されております。特に、コロナ禍にあえぐ中小企業をサポートするため、都は令和二年の三月、年度末に新型コロナ対応融資として、三つのメニューを立ち上げました。
 そこで、中小企業の多様なニーズに対して、都の制度融資はどのように応えたのか、制度融資全体と新型コロナ対応融資、三メニューの令和元年度の実績について、まず伺います。

○篠原金融部長 令和元年度の中小企業制度融資全体の融資実績は、約九万三千件、約一兆三千四百九億円でございます。このうち、新型コロナウイルス感染症により売り上げ減少などの影響を受けている中小企業に対応する融資、三メニューを本年三月に創設したものでございまして、信用保証料を補助することなどにより、円滑な資金繰りを支援しております。令和二年三月の新型コロナウイルス対応融資実績は、約七千件、約二千九十八億円となっております。

○保坂委員 ただいまの答弁から、新型コロナ対応融資を除いても、その他のメニューの融資実績が一億円以上もあり、制度融資がいかに中小企業の資金繰りに役立っているのかがわかりました。
 現在は、緊急対応である新型コロナ対応融資が大変重要な位置づけとなっていますが、これからのウイズコロナ、ポストコロナ時代においては、制度融資のさまざまな一般メニューの役割がますます重要になってくると考えます。
 そこで、令和元年度におけます新型コロナ対応融資以外の制度融資の利用状況についてを伺います。

○篠原金融部長 制度融資のメニューごとの利用状況を見ますと、一般的な事業運営資金として活用される小規模企業向けの小口と呼ばれるメニューが約九百九億円、中小企業全体に向けた事業一般が約一千六百八十二億円となっております。
 特に小口では、前年度比で約一四%の増加になっている状況です。また、昨年度、政策課題に対応するための融資として新設しました働き方改革支援が約九十六億円、このほか、事業承継や事業再生支援のため充実を図った経営支援融資が約二百四十億円となっておりまして、このうち経営支援融資は、前年度比で約一二九%増となっております。

○保坂委員 ただいまの答弁で、制度融資が中小企業のさまざまなニーズに対応して、都内中小企業の円滑な資金調達を後押ししているということが明らかになりました。
 今後、コロナ禍からの経済回復局面、そして回復後におきましても、都内中小企業のニーズに応えた多様な融資メニューにより、引き続き資金面での強力な支援をいただくよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 続きまして、商店街支援についてを伺います。
 コロナ禍によります長期間にわたります不要不急の外出自粛などによって、人と人とのリアルなつながりの大切さが見直され、身近にアクセスがしやすい商店街の地域コミュニティの中核としての存在価値が高まっていると感じています。
 緊急事態宣言時にメディアでも大きく取り上げられましたが、地域の商店街に多くの人が訪れたあの光景を私は見ましたとき、三密リスクを恐れました一方で、商店街はやはり地域の方にとって、なくてはならない存在であることを再認識することができました。
 私は台東区の下町で育ち、商店街イベントが地域を明るくする力をこれまでも何度も見てきました。しかし、多くの集客を伴うイベントの実施は、安全の確保が最優先であることはいうまでもありません。
 昨年度は、百年に一度といわれる規模の大型台風第十九号が秋のイベントシーズンを直撃し、都民の安全が脅かされる危険性が高まる中で、小池知事みずから、都民企業の皆様へ不要不急の外出抑制の呼びかけを行いました。
 そこで都は、商店街チャレンジ戦略支援事業により、商店街が実施するイベントを支援しておりますが、昨年度、台風十九号の接近に際して、知事の呼びかけに応じて中止を余儀なくされました商店街イベントへの対応について伺います。

○土村商工部長 都は、区市町村と連携しまして、にぎわい創出を図る目的で、商店街が行う集客イベント等の取り組みを支援しております。昨年度の台風第十九号の際は、かつてない最大規模の台風が接近するとの予報があり、都においても災害対策本部を設置するとともに、安全確保を最優先として、都民や事業者に対して、不要不急の外出を控えていただくよう、メッセージを発出いたしました。
 このように事実上、イベントの中止や延期を都が要請したこと等を踏まえまして、イベントの中止等を行った商店街に対しましては、チラシ作成などの事前準備に要した経費のほかキャンセル料など、イベントの中止に伴い、新たに発生した経費につきましても、補助金の対象経費として扱うこととしまして、十七件の支援を行ったところでございます。

○保坂委員 今年度も、商店街チャレンジ戦略支援事業のイベントがコロナ禍の影響により、数々中止になりましたことで、もう一度、この年内で実施ができるよう追加交付の申請を求め、ことしの夏に追加の受け付けをしていただきました。地元台東区でも、既に複数の商店街が、今月より順次イベントが開始されておりまして、新しい日常のもとで、感染症対策を十分にして、多くの方が参加をいただいております。こうしてようやく経済も少しずつ動き始めてきたところであります。引き続きの支援をお願いいたします。
 さて、今、回答にもいただきました都がイベントの中止や延期を呼びかけるだけでなく、費用面の支援に踏み込んで、商店街の負担が軽減されたことで、また次のイベントを頑張っていこうと、こういう励みにもつながる支援であったと考えます。
 商店街の役員の皆様は、みずからの店舗の営業の傍ら、寸暇を割いてイベントを企画され、実施に向けて準備を進めております。しかし、多くの商店街では役員の高齢化が進んでおり、時代の流行を取り入れながら、幅広い年齢層に受け入れられるイベントを企画し続けていくことは、決して容易なことではありません。また、コロナ禍の中では、感染症拡大の観点から、三密対策などの工夫も必要であります。
 都は、こうした商店街の特徴あるイベントの企画や商店街の魅力の効果的な発信など、新たな取り組みにチャレンジしようとする商店街に対して専門家の派遣を行っており、我が会派も推進をしております。
 そこで、多様化する商店街へのニーズに対応するためには、幅広い分野の専門家を派遣できる体制を整えておくことが重要とも考えますが、昨年度の支援実績についてを伺います。

○土村商工部長 都は、商店街の連合組織や区市町村と連携しまして、商店街の抱える課題に応じた分野の専門家を派遣しておりまして、昨年度は、中小企業診断士やITコーディネーターなど、延べ五百六十三回の派遣を行いました。
 実例としましては、子供が楽しめる制作体験を新たに盛り込んだイベントの企画支援や商店街のホームページに個店ページを設け、店主みずから情報発信できるよう、操作説明会を開催した事例などがございます。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、オンラインを活用したイベントの企画やキャッシュレス決済機器の導入など、商店街に期待されるニーズも変化しておりまして、幅広い専門知識の提供ができるよう体制を整備し、商店街の主体的な取り組みを後押ししてまいります。

○保坂委員 商店街は、郊外での大型店の出店やインターネット販売の普及といった消費行動の変化に加えて、コロナの影響により、大変厳しい状況にあります。しかし私は、地域に身近で温かみのあるやりとりやこうしたイベントを通じたにぎわいの創出、そして、地域の伝統的な文化の継承など、商店街は今も変わらず重要な役割を果たしており、今後も地域コミュニティの中核として、発展してもらいたいと考えております。また、その社会的役割もますます重要になってくると考えます。
 しかし、時代や外部環境の変化にしなやかに対応していくためには、こうした新しい取り組みにもチャレンジしていかなければなりません。ただいまも答弁をいただきましたが、都には、今後も商店街の多様化するニーズに的確に応えられるように、幅広い専門知識の提供を行う体制を整備し、商店街の主体的な取り組みを積極的に後押ししていただくことを強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出をいたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後三時十七分散会

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