委員長 | 佐野いくお君 |
副委員長 | 藤井あきら君 |
副委員長 | 中屋 文孝君 |
古城まさお君 | |
成清梨沙子君 | |
斉藤やすひろ君 | |
清水やすこ君 | |
奥澤 高広君 | |
鈴木あきまさ君 | |
里吉 ゆみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員東京消防庁 | 消防総監 | 安藤 俊雄君 |
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱 | 清水 洋文君 | |
企画調整部長 | 吉田 義実君 | |
人事部長 | 上田伸次郎君 | |
防災部長 | 森住 敏光君 | |
予防部長 | 青木 浩君 | |
企画調整部企画課長 | 市川 博三君 | |
企画調整部財務課長 | 岩崎 隆浩君 | |
人事委員会事務局 | 局長 | 武市 玲子君 |
任用公平部長 | 須藤 栄君 | |
審査担当部長 | 柴田 義之君 | |
試験部長 | 神山 智行君 | |
戦略政策情報推進本部 | 本部長 | 寺崎 久明君 |
次長理事兼務 | 児玉英一郎君 | |
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長 東京テックチーム事業推進担当部長兼務 | 有金 浩一君 | |
事業調整担当部長 | 高橋 葉夏君 | |
特区推進担当部長 | 米津 雅史君 | |
国際金融都市担当部長 | 三浦 知君 | |
ICT推進部長 | 樋口 隆之君 | |
デジタルシフト推進担当部長 | 芹沢 孝明君 | |
情報企画担当部長 | 荻原 聡君 | |
情報基盤担当部長 | 沼田 文彦君 | |
都民安全推進本部 | 本部長 | 國枝 治男君 |
総合推進部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 加藤 英典君 | |
治安対策担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
若年支援担当部長 | 小菅 秀記君 |
本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
東京消防庁関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
戦略政策情報推進本部関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
都民安全推進本部関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
○佐野委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、東京消防庁、人事委員会事務局、戦略政策情報推進本部及び都民安全推進本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより東京消防庁関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和元年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○中屋委員 私の方からは、消防団に関係する質問を二点、質問させていただきたいと思います。
安藤総監初め消防庁の皆様方には、このコロナ禍の中で大変ご苦労が多いと思いますけれども、都民の安全・安心をお守りいただいていることに心から敬意を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
現在、都内消防団は九十八の消防団、特別区が五十八団、多摩が三十団、島しょが十団、約二万六千名の団員と二千二百台の消防ポンプによって、まちの安全・安心を守っていただいております。
団員の中には、居住地でもちろん消防団員として活動される方々、また働いている先で消防団員として活躍される方々、さまざまおります。近年は、女性団員の方々もだんだんふえてきておりますが、そこで何点かお聞きをしてまいりたいと思います。
消防団の分団本部施設は、消防団の災害活動拠点として重要な役割を果たしております。令和元年東日本台風の際には、活動が夜間に及び長時間となったことから、分団によっては、参集したものの待機するスペースが足りないなどの課題が生じたと聞いております。
そこで、これまでの特別区消防団の分団本部施設の整備状況と、待機スペースが不足しているという課題への対応についてお伺いをいたします。
○森住防災部長 特別区の消防団には分団が四百三十九ございます。このうち、分団本部施設が整備されているのは、令和元年度末現在三百六十二であります。
令和元年東日本台風上陸の際には、約六千名の消防団員が参集し、水防活動に従事いたしましたが、ご指摘のとおり、参集後の待機スペースが不足しているなどの課題が明らかになりました。
このため、東京消防庁では、水災時において待機場所の柔軟な確保や、必要な消防団員を段階的に招集することができるよう、本年七月から試行をしているところであります。
今後、これらの試行結果を踏まえ、消防団に関する検討委員会において、効率的な消防団活動についての検討を行ってまいります。
○中屋委員 今お答えいただきましたけれども、私が質問の中で少し申し上げましたが、女性の団員がふえているということは、その方々にとっては、非常に手狭な中で、トイレも一つだと、更衣室もないというような中で従事していく、その難しさ、厳しさというものを、何とかクリアしていきたいと、こう思っております。
今までの、通称団小屋といっておりますけれども、この団小屋の考え方というのは、古いものを壊して新しいものを建てると。ですから、決まった規格だけという中で、この問題をクリアするというのは、非常に私は難しいというふうに思っておりまして、当然、提供してくれる場所、例えば二十三区であれば区だとか、市であれば市の方からだとか、そういうところの協力がなければいけないわけですけれども、そうした協力がいただけるのであれば、今の団の施設を増設するだとか、何かそういう考え方を少し柔軟に持っていかないと、今後も古いものは壊して新しいものを建てるということになると、全く規格が変わらないので、そこを何とか皆様方の知恵で、そうした皆さん方が働きやすい環境をつくっていただきたいと、こう思います。
水災等の参集時に待機スペースが不足している課題のほかにも、効果的な消防団活動のためには、タイムリーな災害情報の把握なども不可欠であります。
そこで、分団の核となる分団本部施設の機能強化をさまざまな面で図っていくべきと考えますが、見解を伺います。
○森住防災部長 水災等の大規模災害発生時に効果的な消防団活動を実施するためには、団本部と分団本部との確実な連絡体制の確保や、災害情報の収集及び共有ができる施設の整備が重要であります。
東京消防庁ではこれまで、消防団員に対し、受令機及び消防団専用MCA無線機等を整備するとともに、分団本部施設に災害情報収集用テレビ等を整備してまいりました。
また、令和元年東日本台風における消防団活動についてヒアリングを実施したところ、効果的な消防団活動を行うためには、分団ごとに情報収集、分析をすることが必要であるなどの結果が得られました。
今後、より一層の改善を図るため、情報収集体制を初め、分団本部施設の機能強化について、特別区消防団運営委員会等からの意見を踏まえ、検討を行ってまいります。
○中屋委員 ご答弁ありがとうございました。
この二点の質問の中には、非常に地域の皆さんの、消防団の声が詰まっているということを認識いただいて、ぜひ前進をできるようにお願いをしたいと思います。
私も、現在に至るまでの歩みを考えますと、昭和六十二年に、各大臣をいろいろとやった深谷隆司先生のもとで秘書をやりまして、阪神・淡路大震災、一九九五年一月十七日に発災した当時、さまざま指揮統制、運用面で問題があって、課題があった。それを何とか克服しようということで、同年の六月に緊急消防援助隊というものをつくりました。その当時も、私も携わった一人であります。
都民の安全・安心を守っていくためにも、この機動力がまさに一番重要な場面、大事なところになってきますから、ぜひ皆さんとともに、今後とも都民安全・安心のために力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○斉藤委員 私の方からも、消防団に関しまして質問を一点させていただきますが、日ごろ、地域の消防団におかれましては、その任務につかれる姿勢そのものが、区民の防災意識の喚起に大変に効果がございまして、大きな大規模災害だけでなく、地域行事などにも出動いただいておりまして、本当に感謝しかございません。本当にありがとうございます。
また、皆様におかれましても、オリンピック・パラリンピックは延期という形になりましたけれども、昨年はラグビーワールドカップ等、そうした国際的なイベント、さまざまな台風なども非常に激甚化しておりまして、本当に休みない状況であると思います。本当に皆様、お体も気をつけていただきたいと思います。ありがとうございます。
そうした観点から、きょうは女性の消防団員のお話、今、中屋副委員長からもございましたけれども、女性消防団員の健診について、昨年の決算に引き続き、一問だけさせていただきたいと思います。
そもそも消防団は、自営業や会社員、主婦や学生など、それぞれの職業につきながら、我がまちを我が手で守るという使命感のもと、防災リーダーとして、地域の防災力向上を図る重要なご存在となっております。
地元目黒消防団は、火災に関する出動や首都直下地震への備えはもちろんのことでございますが、近年は、雨が降れば水害、水災が発生しないか、典型的な都市型中小河川である目黒川が氾濫しないか、あふれないかなど、昼夜分かたず、愛する目黒のまちと区民の生命、財産を守ってくださっております。感謝しております。
この場をかりて心から感謝申し上げたいのですが、この消防団活動を持続可能なものとするためには、団員の募集は非常に重要な活動と認識しておりますし、また、新たな団員を獲得すると同時に、現役の団員の健康管理に十分に配慮していくことが重要であろうと思います。
人のための健康、命は真剣なんですけれども、ご自身の健康については意外と後回しにしていく傾向がございますので、私は、団員の健康については、日ごろから声をかけて注意をしているものでございます。
特別区の消防団においては、入団時健診のほか、三十五歳以上の消防団員には、昭和五十四年度から定期健康診断を実施されておりますし、また、平成二十四年度からは全消防団員に拡充をしている。そして、平成三十年からは婦人科検診を導入することで、消防団員の健康管理に万全を期していると認識しております。
女性の消防団員の健康増進と入団促進を目的に、無料で受診できる婦人科検診として、今、社会全体でも問題となっておりますが、子宮がんの検査及び乳がんのエックス線検査を取り入れたということを認識しております。
私は、昨年の平成三十年度各会計決算委員会におきまして、質疑におきまして、女性消防団員の婦人科検診の受診率の向上について質疑をしたわけであります。
現場からは、婦人科検診は大変にありがたい仕組みなんですけれども、なかなか受診しづらい面があって、もう少し受診しやすくしてほしいという声が寄せられております。実際、質疑でも明らかになりましたが、平成三十年度の婦人科検診の決算ベースの執行率は二一・五%ということでございました。
そこで、婦人科検診の受診率を上げるために、今後の取り組みについてそのとき伺ったところ、各消防団の分団会議や各種研修会におきまして、パンフレット等によって広く周知することに加えて、今後、さらに女性消防団員から広く意見を聞き、実施方法の見直しなど受診しやすい環境づくりに配慮し、受診率の向上に努めていくというご答弁をいただいております。
そこで、女性消防団員の婦人科検診のこれまでの受診状況等を踏まえまして、受診率をさらに高めるための取り組みについて、改めてお伺いしたいと思います。
○森住防災部長 特別区の女性消防団員の無料婦人科検診は、健康増進と入団促進を目的として、平成三十年度から開始いたしました。
昨年度までの受診率が低い状況にあることから、東京消防庁では、女性消防団員に対するアンケート調査を実施いたしました。この結果を踏まえ、今年度は、実施場所を昨年度の一カ所から三カ所にふやすとともに、平日のみであった受診日に土曜日も加え、受診しやすい環境を整備いたしました。
今後は、これまで以上に実施場所を確保するとともに、受診可能な日数をふやすなど、引き続き受診率の向上に努めてまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。
確かに受診率、決算ベースで見て二一%、じゃ、ほかの方は受けていないかというと、そうじゃなくて、地域の各基礎自治体の健康診断を受けられたり、もちろんみずから受けられたりしているということで、全てがカバーされていないということではないのですが、せっかくある制度でございますので、少しでも利用しやすいようにということで、今は曜日をふやし、そして箇所もふやしていくという、そういった方向性のお話をいただきました。平日休めないとか、家から遠い等、さまざまなアンケートのお声があるようでございます。
ことしは特にコロナ禍ということでもありまして、実施時期が九月から来年の一月までということで、若干遅めのスタートだというふうに認識しておりますけれども、五カ月間ございます。
地元区での区民向けの検診も利用されていると考えますので、各地域におきましても、各消防団の皆様に呼びかけを行っていただいて、女性の団員を見ましたら、ぜひ激励も含めましてお声かけをしていくのが大事かなと思っております。
ぜひとも、女性団員の力なくして地域の消防団の持続可能な運営もございませんので、そうしたことに配慮いただきまして、一層堅固な、士気旺盛な消防団活動をサポートしていきたいと思っております。
きょうは一問でございます。ありがとうございました。
○里吉委員 それでは、女性団員の話が続いたんですけれども、私からは、消防庁における女性消防官の就労について伺いたいと思います。
消火活動や救急救助という現場で働く消防官には、まだまだ女性が少ないのが現状だと思います。SDGsの目標にも掲げられているジェンダー平等を実現するためにも、消防官として女性も積極的に活躍できる環境を整備することが求められております。
そこでまず、東京消防庁で女性消防官が何名働いていらっしゃるのか、また、消防官の中で女性消防官をどれくらいふやそうとされているのか、どの程度の割合をふやしてきたのか伺いたいと思います。
全消防官に占める女性消防官の割合の数値目標と現在までの人数、割合の推移について伺います。
○上田人事部長 東京消防庁では、女性活躍推進法に基づき特定事業主行動計画を策定し、女性活躍の推進を図っており、令和八年度当初までに、女性消防吏員の割合を八%以上とすることを目標としております。
女性消防吏員の人数と割合の推移は、計画策定時の平成二十八年度は千百九十二名、六・四%であり、令和二年度では七十六名増の千二百六十八名、六・八%となっております。
○里吉委員 少しずつですけれども、女性消防吏員、消防官、ふえていることがわかりました。
今ご紹介がありました東京消防庁特定事業主行動計画を読ませていただきました。策定の経緯を読みますと、東京消防庁が女性消防吏員の採用を開始したのは大変古く一九七二年、もう五十年近く前から、女性消防吏員をきちんと採用されていたということ。そして、二〇〇六年には、劇毒物等に係る災害対応を主任務とする特殊な業務を除き、従事する職務の制限を撤廃するとともに、採用試験における男女枠も撤廃したということで、さまざまな努力をされているということがわかりました。
そして、今、千二百六十八名、六・八%までふえてきたということで、これを八%以上にしようということで取り組んでいるということです。
これは、どこの職場でも同じだと思いますが、育児や介護など家庭的責任を男性も女性もともに担える働き方改革が重要だと思います。そして、働く現場から、育児や介護は女性の仕事という性別役割分担の意識を変えていくことが求められていると思います。
そこで、東京消防庁で女性消防官についての目標達成に向けた取り組みについて伺います。あわせて、男性職員の育児休業の取得者数についても伺います。
○上田人事部長 当庁では、より多くの女性に女性消防吏員の職務内容やキャリア形成等を周知し、入庁希望者をふやすため、女性を対象とした冊子や動画、ホームページを作成するとともに、女性に限定した業務説明会等において情報発信をしております。
また、職員に対しては、出産、育児などのライフイベントを踏まえたキャリア形成の支援を行うとともに、育児参加休暇等の取得を促し、過去五年間で百三十九名の男性職員が育児休業を取得するなど、性別に関係なく育児等に参加できる環境づくりに努めております。
今後も、このような取り組みにより女性が活躍しやすい環境を整え、目標達成に努めてまいります。
○里吉委員 女性も働きやすい職場にすることとあわせて、そのことを広くPRすることなど、取り組んでいることがわかりました。
私もホームページを拝見させていただきましたが、女性の幹部職員の方がいろいろインタビューに答えたりですとか、イメージが湧きやすいものがたくさんありました。
そして、まだ緒についたばかりだとは思いますが、男性の育児休暇も五年間で百三十九名取得したということは、大変大事なことだと思います。今後、パートナーが出産するときには、育児休暇をとるのが当たり前というような職場になっていただきたいと思います。
昨年話題になりましたデイタイム救急隊も、メンバーは、育児や介護で夜勤勤務などに制限のある男女七名の方と伺っております。こうした工夫、女性消防官の働きやすさに着目した取り組みは、職場全体の働き方改革を前に進めることにもつながると思います。
都民の命と財産を守るために日夜働く消防官という仕事、消防庁が性別に関係なく、誰もが生き生きと働ける職場となっていただけるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。
○古城委員 コロナ禍の中で、消火、救急、予防など、都民の生命と財産を守る最前線で奮闘されておられる消防職員の皆様に、満腔の敬意を、まず冒頭、表させていただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、令和元年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分に関連して質問いたします。
二〇〇一年九月の四十四人が死亡した雑居ビル火災は、東洋屈指の繁華街である歌舞伎町に大きな課題を突きつけました。新宿区や歌舞伎町商店街振興組合などを中心に歌舞伎町ルネッサンス推進協議会を立ち上げ、歌舞伎町を誰もが安心して楽しめるまちに再生するために、地元が一丸となって活動されております。これからも歌舞伎町地域の防火安全対策は重要であると考えます。
昨年、新宿消防署に火災予防のための専門部隊が発隊いたしましたけれども、その目的とこれまでの実績についてお尋ねいたします。
○青木予防部長 歌舞伎町地域は、夜間のみ営業する店舗が多く、テナントの入れかえも頻繁で実態把握が困難であり、法令違反の件数も多いことから、立入検査などを通じた継続的な指導が必要な地域であると認識しております。
このため、夜間における立入検査及び指導の体制強化を目的に、平成三十一年四月、新宿消防署に二十四時間勤務の機動査察隊を整備いたしました。
昨年度は、不特定多数の者が利用する建物七百一棟全てに立入検査を実施し、違反の確認された建物二百四十七棟に対し、強力な是正指導を行いました。このうち、特に危険性の高い違反に対し七十五件の命令を発令し、全て是正させております。
引き続き、機動査察隊を効果的に運用するなど、歌舞伎町地域の防火安全性の一層の向上に努めてまいります。
○古城委員 安心・安全なエンターテインメントシティー歌舞伎町に向けまして、店舗の意識の底上げを図るさまざまな努力をされておられる地元の皆様の取り組みも、軌を一にしているところだと思います。
これからも、繁華街の特性に合わせた防火査察を強力に推進していただきたいと申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で東京消防庁関係を終わります。
○佐野委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和元年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○須藤任用公平部長 去る十月十二日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の要求資料の表紙をおめくりください。公平審査等の実績の一覧でございます。
勤務条件に関する措置の要求や不利益処分に関する審査請求、苦情相談について、過去五年分の件数と主な内容を掲載してございます。
以上、簡単ではございますが、資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○奥澤委員 まず、人事委員会のホームページを見させていただきますと、人事委員会は、議会や知事から独立した人事行政の専門機関として、民主的で能率的、効果的な行政運営を行うための人事制度を確立する役割を担っていますということが記載されていますが、その機関の特性上だとは思います、具体的にどのような取り組みを行っているのか、見えにくさもはらんでいるなというのが率直な印象です。
取り組みの中では、最も重要なのは、毎年行われる給与に関する勧告であろうとは思いますけれども、同時に付されている意見についても、都庁組織をよりよいものにするために大事な観点が示されていると思います。しかし、これが実際に都政にどう生かされているのかという点では、ますます見えにくいなと感じています。
そこで、人事委員会勧告に付されている報告、意見について、制度上の位置づけを改めて確認させてください。
○須藤任用公平部長 人事委員会は、専門的、中立的な第三者機関として、地方公務員法に基づき、公務員の給与について適正な水準を確保するため、職員の給与に関する勧告を行うとともに、人事制度及び勤務環境等に関する意見を議会及び知事に対して報告しております。
○奥澤委員 あくまでも意見ということですから、何らかの強制力を持ったものではないのだということは理解をいたしました。
一方で、知事だけではなくて、私たち議会に対しても報告されているものであるということで、その内容をいかに都庁の組織に取り入れていくのか、生かしていくのかという点においては、議会側も責任を持って受けとめる必要のあるものだということも理解をいたしました。
令和元年度の意見を見ますと、IT人材の確保や障害者など多様な人材が活躍できる環境整備、長時間労働の是正や男性育休の取得、ハラスメントの防止などのいずれも重要な職場環境整備への意見が付されています。これらの意見は、やはり道半ばである、引き続き取り組むべきとの意見があるからこそ、示されているものと思います。
中でも、令和元年度の報告では、LGBT等の性的マイノリティーの方々に関する記載がありますが、ここにはどのような意図があるのかお伺いしたいと思います。
○須藤任用公平部長 人事委員会は、都が一昨年の十月に、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例を制定したことなどの動きを踏まえ、多様な性についての理解の促進や、性自認及び性的指向を理由とするハラスメントの防止等について、初めて意見に盛り込んだものでございます。
○奥澤委員 五輪人権条例の制定などを踏まえて、初めて記載をされたということです。
昨年は、都の職員の方から、同性パートナーの方から、事実婚と同様に福利厚生制度の対象にしてほしいという訴えもあり、その議論も重ねられていたことと思います。ことしになって結論が出て、なかなか厳しいお答えだったなと思いますし、応援する立場で質疑を重ねてきた私からすると、大変残念、かつ憤りを覚えるような内容だったというのが率直なところです。
しかし、人事委員会勧告の意見にも付されていることに鑑みれば、都庁組織として是正すべきものであるという見解は、今後も残っていくものであると思いますし、この議論をしてきた過程においては、少しでも改善をしようという動きがあったのだろうということは推察をいたします。
きょう、今のお話にもあったとおり、我々議会に対しての意見でもあること、そして、初めて昨年、令和元年度の人事委員会勧告の意見から付されていたということについて、私と私の会派の無所属東京みらいとしては、これまで以上に重く受けとめて取り組んでいきたいというふうに思います。
恐らく、他の会派の方においても重く受けとめていらっしゃる方もいることと思います。議会側も、都庁の職場環境の整備に尽力していく、協力していく一員としての立場があることを強く認識して、今後も取り組んでいくことをお約束しまして、私からの質問を終わります。
○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○佐野委員長 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和元年度東京都一般会計決算中、戦略政策情報推進本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 去る十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の令和元年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は一件でございます。
官民連携ファンドの令和元年度の実績に係るものでございます。
官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンド、官民連携福祉貢献インフラファンドのそれぞれにつきまして、令和元年度の都の出資額及び都の資金回収額を記載してございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 戦略政策情報推進本部の決算質疑を行います。
戦略政策情報推進本部は、この決算の対象となります昨年度、二〇一九年度に新設をされた本部であります。
小池知事は、当時新聞のコラムで、最先端技術を活用した新事業の創出や都政のICT利活用など、東京版成長戦略を集中的に推進するため、新たに戦略政策情報推進本部を設置すると語っております。
東京の成長のため、デジタル化の司令塔が必要であると感じております私も、この動きを大変歓迎いたしましたし、今も、戦略政策情報推進本部の役割とその仕事に、とても大きな期待をしておるところであります。
先日発表されました構造改革では、DX、デジタルトランスフォーメーションをてこに、社会の構造改革と都政の構造改革を進めるとしています。これまで、特区での先端技術による新事業創出や、都政におけるデジタル技術の活用に携わってきました戦略本部の決算を振り返ることは、その点でも非常に重要であると考えております。
デジタルトランスフォーメーションを進めるためには、何よりも人が重要であります。宮坂副知事は、よくICTの専門職を千人を超える体制にしたいとおっしゃっておりますが、現在、都の戦略本部を中心にした専門職の方々は百人程度で、まだまだ全く足りていない状況であります。
現在、来年度に向けて、新卒、中途のICT専門職の採用を進めているところでありますが、最新のデジタル技術を使って都政を進めるためにも、外部人材の力を活用するということが非常に重要だと思います。
昨年度、どのように外部人材を確保してきたのか確認をさせていただきます。
私は、昨年十一月の事務事業質疑でも、外部からのデジタルトランスフォーメーションフェローや特定任期つきの職員について質疑をしてきましたが、まず改めて、DXフェローについて伺います。
昨年設置をいたしましたデジタルトランスフォーメーションフェロー、DXフェローについて、その設置目的と昨年度の具体的な成果について伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 デジタルトランスフォーメーションフェロー、いわゆるDXフェローでございますが、この方につきましては、成長戦略及びICT利活用の推進等に関しまして専門的な助言等を行うことを目的として、令和元年九月に設置をし、現在、十名の方を委嘱しております。
これまで、スマート東京実施戦略の策定や「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会の運営に際しまして、行政にはない視点から助言をいただくなど、DXフェローの持つ知見を都の施策に反映をしてまいりました。
また、そのほかにも、キャッシュレス推進モデル事業の実施に向けまして、利用者目線に立ったユーザビリティーの確保や、複数アカウント取得防止策などシステムセキュリティーに関する視点など、事業者を選定する際の審査の視点、注意点などについてアドバイスをいただくなど、さまざまな案件につきまして助言を受けてきたところでございます。
○藤井委員 行政にはない視点で、かなり具体的な点まで踏み込んでアドバイスをいただいているということがわかりました。今後も、最新の知見を活用できるように、分野ごとにフェローをふやすなど含めて、ご検討をいただきたいところであります。
今確認させていただいたDXフェローは、アドバイザーという立ち位置でありましたが、都では、小池知事就任後の二〇一七年度からだったと思うんですが、特定任期つきのICT職員を採用して、外部の先端デジタル技術の知見を積極的に生かそうとして取り組んできたところです。
その活躍には、私も大変に期待をしておりまして、おととしの平成三十年度の決算特別委員会全局質疑でも、その技術担当課長の局横断的な採用、活用について、質疑と要望をしたところであります。その後の進捗を確認いたします。
特定任期つき職員、ICT人材の皆様、現在はデジタルシフト推進担当課長と呼ばれておりますが、その昨年度までの実績と成果を伺います。特に、局横断的な連携、TOKYO Data Highwayなど、外部との連携でどのように成果を出しているのか伺います。
○有金戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長東京テックチーム事業推進担当部長兼務 東京都のデジタルトランスフォーメーションをスピード感を持って確実に進めていくためには、ICTに関する専門人材の確保は重要でございます。
昨年度は、新たに民間企業から部長級一名と、年度途中に課長級九名を採用いたしました。課長級は職員合わせて十五名という形になるなど、体制強化を図ってまいりました。
システム開発やネットワーク関連、データ分析など、これまでの民間企業での経験や知見を生かし、庁内各局がICTの活用を進める際の技術的な支援などを行っております。
新型コロナウイルス感染症対策サイトの開設の際には、民間での経験や知見を生かし、庁内のデータ形式をそろえ、公開するまでの仕組みを自動化するなど、その開設及び運営に技術面からのサポートを積極的に行うなど、活躍をしております。
また、スマート東京実施戦略やTOKYO Data Highway基本戦略などの取りまとめに際し、その知見を生かすとともに、戦略等の推進に向けた事業者等との協議の際には、ICT技術、知識に裏づけされた形での調整を実施しております。
○藤井委員 戦略の取りまとめから、またこれまでの知見を生かした、オープンデータの取り組みだと思うんですが、具体的に、新型コロナ対策サイトの技術的な支援まで、幅広くご活躍をされているということがわかりました。
今回は決算質疑なので、内容の確認はしませんが、ことしの第二回定例会において、我々都民ファーストの会が代表質問で強く求めた、宮坂副知事のもとにできたテックチーム、コロナ禍の諸課題を解決するためのテックチームでは、デジタルシフト推進担当課長を中心に、より局横断的な対応が進んで、成果が出ていると聞いておりますので、ますますの活躍を期待するところであります。
ICT職には部長職もあるということで、先日の我が会派の代表質問で表明のありました新たな東京都のICTのグランドデザインの策定など、大きな視点でも、その知見を生かしていただきたいと要望させていただきます。
加えて、このデジタルシフト推進担当課長職は、今後もその採用を拡大するということを強く要望いたします。
さらに、二〇一九年の私の事務事業質疑でも、さまざま要望しておりますが、企業に所属をしたまま、副業的にパートタイムで働く民間人材の採用も進めていただきたいと要望させていただきます。
私もIT業界におりましたので、声をかけられることが多いんですが、仕事を持ったままであれば公共のために働きたいという方は想像以上に多いです。国の政府CIO補佐官のように、本業を持ちながらであれば都のために働けるというICTの専門家というのは非常に多いと思います。
もう一点要望させていただきます。国がデジタル化に注力する中、行政におけるICTの外部人材の採用というのは、ほかの自治体においても急務であります。先行する都の取り組みは、どの自治体も知りたい、非常に貴重なノウハウだと思います。ぜひ、皆様がこれまで取り組んでこられたノウハウを積極的に、都内区市町村を初め他の自治体に開示、共有することをお願いいたします。
場合によりましては、現在、皆様が書いているnoteというブログサービスみたいなものがあると思うんですが、そういうものに公開していくというのも一つの方法かもしれません。日本全国の行政のデジタル化のさらなる推進のため、また、それをリードする気概で皆様には臨んでいただきたいと思います。
次に、昨年度実施をされていましたソサエティー五・〇関連の事業について確認をさせていただきます。
我が会派からの要望が反映されたこの事業は、社会のデジタルトランスフォーメーションを進めるための取り組みで、全体で二億円の予算、執行率は九五%でございました。キャッシュレスとMaaS、モビリティー・アズ・ア・サービス、移動のサービス化などといわれますが、そういったことの実証実験が行われましたので、その確認をさせていただきます。
大前提ですが、キャッシュレス、MaaSというのは、社会に実装される、社会で実際に使われるということが重要で、単に実証実験、実験を行うだけでは全く意味がありません。そして、その実装のためには何が阻害原因になっているのか、仮説を持ってきちんと検証していくということが重要です。
まず、キャッシュレスについて、昨年度、都内のキャッシュレスを推進する取り組みとして、SDGsに貢献する活動にポイントを付与する生活型とオフィス型の二つの実証実験を行ったところであります。
この実証実験の結果について、この事業はどういった点でキャッシュレスを推進するという仮説のもとに実施をされて、どういった結果であったのか伺います。SDGsの活動にポイントを付与することで、本当に都内のキャッシュレスは進むのかという点でご回答いただけると助かります。
○三浦国際金融都市担当部長 昨年度、都が実施したモデル事業におきましては、SDGsを切り口といたしまして、都内東急線沿線地域における生活型と大・丸・有地区におけるオフィス型の二類型のモデル事業を実施いたしました。
そして、モデル事業の実施に当たりましては、キャッシュレスの推進に向けて検証すべき仮説といたしまして、SDGs活動に対するポイントの付与が、実施エリアを問わず広く参加者のキャッシュレスに対する意識、行動の変容に効果があると考えまして、事業スキームを設計いたしました。
事業実施後の効果検証におきましては、生活型とオフィス型のいずれにおきましても、参加者にキャッシュレスに対する意識、行動の変容が見られ、特に生活型におきましては、自由が丘商店街において、事業協力者が発行するクレジットカードで決済した参加者に対してポイントを付与いたしました結果、事業実施期間における同商店街でのクレジット決済が、件数、金額とも前年より二割から三割程度増加しております。
○藤井委員 参加者のキャッシュレスに対する意識が向上するとともに、実際にそのキャッシュレスの比率が上がったというお話でありました。
それでは、これらの二つの実証実験で得た知見を、都内のキャッシュレス推進のために今後どのように生かしていくのか伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 昨年度のモデル事業におきましては、本事業のスキームによる参加者の意識、行動変容に対する効果は確認できたものの、実施エリアにおけるキャッシュレス決済比率の向上など、定量的な増進効果の把握につきましては、今年度に向けた課題と考えているところでございます。
そこで、今年度につきましては、参加者のキャッシュレスに対する意識、行動変容に加えて、実施エリア全体でのキャッシュレス決済比率の変化に着目する必要があると考えております。
具体的には、SDGs活動に対するポイント付与を通じまして、実施エリア全体でのキャッシュレス決済比率が定量的に増加するとの仮説を設定した上で、外部有識者の視点も反映した事業スキームを企画提案方式により公募いたします。その上で、公募により選定したモデル事業につきまして、検証結果を広く発信することで、早期の社会実装につなげてまいりたいと思います。
○藤井委員 現在、今年度の事業を選定中とのことであります。
仮説を検証するためには、実証実験をスタートする前に、データサイエンティストであったり経済学者であったりといった専門家の皆様が、どのようなデータをどうやって集めるのかというところも含めて設計をすることが重要です。
昨年はそれがなかったと私は認識をしておりますので、ぜひそういった点を重視して選定を行っていただきたいと思います。東京のキャッシュレスの推進に向けて、十分に仮説検証できる体制のある事業者の選定を心よりお願いいたします。
次に、MaaSにつきましてお伺いいたします。
MaaSは、モビリティー・アズ・ア・サービスの略でありまして、先ほども申し上げましたが、移動のサービス化を意味するところです。
デジタル技術を活用して、複数の交通サービスを組み合わせるなどして課題を解決していくMaaSというのは、国や多くの自治体でも既に事業化が進んでいるところであります。都でも、成長戦略の推進や地域課題の解決を目指して、昨年度実証実験を実施しました。
都は、MaaSの社会実装に向けてどのような課題があると想定し、実証実験を行ったのか、その必要性と昨年度の成果についてお伺いいたします。
○米津特区推進担当部長 都内におきましても、交通網が複雑でわかりにくい地域や、交通サービスが脆弱な地域などが存在いたしまして、MaaSの社会実装が期待されている一方、民間事業者へのヒアリングにおきましては、交通サービス事業者の少ない地方から検討すると、このような意見が多い状況にございます。
都民のQOL向上に向けまして、MaaSの社会実装、これを進めていくためには、中立的な立場である都が旗振り役となりまして、事業者間の連携を促していく、こういうことが必要かというふうに考えております。
令和元年度でございますが、立川駅周辺、竹芝、臨海副都心の三エリアにおきまして、鉄道とバスのリアルタイム運行データを用いました全国初の経路案内サービスでございますとか、地域特性を踏まえた船やデマンド型シャトルといった移動サービスなど、主に交通サービスの検証を行いまして、利用者ニーズを確認したところでございます。
○藤井委員 東京は、世界の諸都市と比べても、鉄道を初めとして、バスやタクシーなど交通事業者の数が非常に多いと聞いております。そのため、使う分には便利ではあるんですけれども、事業者間の連携がなかなか進まないという課題があって、さらにこの実証実験を通じて、MaaSに対する多様なニーズがあるということが浮き彫りになってきたということがわかります。
MaaSは、データとデータがつながって、AIを活用するなどのソサエティー五・〇の取り組みの代表的な事例でありまして、今回実証された鉄道とバスのリアルタイム運行データを用いたサービスなど、事業者を超えたデータ連携によるサービスの拡大が重要であると考えています。
この実証実験で得た知見を、今後、東京におけるMaaSの社会実装のためにどのように生かしていくのか伺います。
○米津特区推進担当部長 昨年度の実証実験の結果から、交通サービスの連携により生成されるさまざまなデータを活用いたしまして、都民のQOLを向上させるMaaSを社会実装させていく上では、モビリティーに限定せず、生活に根差したサービスを取り組んでいくことの重要性が明らかになりました。
今後、商業や観光などの周辺サービスを交通サービスに組み合わせまして、よりデータ連携等を推進し、公共性、広域性、事業性の三つを兼ね備えましたMaaSの社会実装を図ってまいりたいと考えております。
○藤井委員 コロナ禍で、商業や観光、移動の業界の皆様は非常に苦労されているところであると思いますので、そういった方々が、さらに未来に希望が持てるような事業というのを進めていただきたいと思います。
一点、ソサエティー五・〇の検討にかかわるこれらの実証実験を含めた事業について、一言申し上げさせていただきます。
今確認をさせていただきましたとおり、それぞれの実証実験は成果を出しているということは、そのこと自体は、一定、私も理解をいたしました。一方で、これらの実証実験というのは、本来、都としてソサエティー五・〇を目指すためのステップであるというふうに考えております。あくまでパーツであります。
しかし、残念ながら、今のところ、これらの実証実験を幾ら繰り返しても、東京にソサエティー五・〇社会が実現できるイメージというのが持てません。
東京としての都市OSの構築を目指していたはずです、昨年は。ですが、今この状況を見ていると、単に実証実験の数だけがふえていて、それぞれに小さな小さな都市OSが幾つも幾つもできていて、ばらばらになってしまうんじゃないかという心配をしております。構造改革や新たなICTのグランドデザインの中で、再度検討が必要ではないかと考えております。
本件につきましては、決算ですので今回質疑のやりとりはしませんが、私も強い危機感を覚えておりますので、今後また別の場で、議論をさせていただきたいと思います。
続いて、TOKYO Data Highwayの進捗について伺います。
特に、我が会派が提案をしてまいりました共用アンテナの進捗状況について伺います。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 昨年八月に発表しましたTOKYO Data Highway基本戦略の施策のうち、アンテナ基地局を設置するための東京都保有アセットの開放や利用手続の簡素化につきましては、土地建物等のアセット約一万五千件をデータベースとして公開するとともに、相談や申請の窓口を一本化したワンストップ窓口を設置しております。既に約百五十件の申し込みをいただいておりまして、通信事業者からは、手続のスピードアップが図られたなどの評価をいただいております。
現在、こうした取り組みを全国に展開するため、大阪府、大阪市、山梨県など七つの自治体と連携し、ノウハウを交換しております。
お話の共用アンテナにつきましては、電波の直進性が高い5Gの特性や、整備を進める各通信事業者の方針の違いなどから、それぞれのアンテナの向きがそろわないなど、共用化がしにくい側面がございます。
アンテナの共用化は、建物が稠密な都市部では、空間を高度に活用するために有効な手法でございまして、この間、事業者のヒアリングや共用化への働きかけを重ねてきております。
西新宿で先行試行設置しているスマートポールにつきましても、共用アンテナを前提としたタイプを一部準備しているところでございます。
○藤井委員 5Gのアンテナの共用化は、なかなか難しいこともわかってきたと、課題がわかってきたということであります。しかし一方、5Gの普及のためには今後も必要になりますので、着実に進めていただきたいと思います。
ご答弁の中にもありましたが、既に大阪府、大阪市や山梨県など七つの自治体とTOKYO Data Highwayのノウハウについて共有をしているということであります。先行する東京都が実施したさまざまな工夫、そしてここで得られた知見というのは、積極的に他の自治体に展開、共有をしていただくことを要望させていただきます。
次に、先端技術を持つ海外スタートアップの誘致について伺います。
東京は、ユニコーン企業といわれる巨大なスタートアップ企業が生息できない地であるといわれております。東京というか日本ですね。例えば、全世界で展開をしております世界最大級のユニコーン企業である民泊サービスのエアビーアンドビーや、配車サービスのウーバーなどは、かなり制限を受けた活動をしているというふうに認識をしております。
また一方で、つい先日、グーグルがアメリカの司法省に独禁法違反の関係で訴えられるという話もありましたが、それぐらい大きくなっているということで、アメリカのこれまでの経済成長というのも、グーグルを初めとしたGAFAと呼ばれる巨大なテック企業が担ってきたということは、皆様ご存じのとおりかと思います。そういった点を踏まえますと、スタートアップ企業が集まり育つ環境をつくるということは、非常に重要であります。
昨年度まで実施されていました外国スタートアップ支援のための東京都アクセラレータープログラム、ビジネスキャンプ東京の狙いと実績について伺います。また、その成果を都としてどう捉えているのか、確認をさせていただきます。
○米津特区推進担当部長 ご指摘の東京都アクセラレータープログラム、ビジネスキャンプ東京でございますが、東京におけるイノベーションの創出と都民生活の利便性向上、都内経済の活性化を促進するため、先進的な技術を有する外国スタートアップ企業の東京でのビジネス展開を促進することを目的として実施してまいりました。
昨年度は、いわゆる第四次産業革命関連分野で、三十二の国、地域、百六十社の応募から十三企業を選定し、フィンテック分野では、二十九の国、地域、百二十一社の応募から十二企業を選定したところでございます。
都内の大手企業、金融機関等と連携いたしまして、約二カ月間のプログラムを集中的に実施し、外国企業と都内企業との間で延べ二百五十二件の提携、交渉に向けた面談が行われました。
本プログラムを開始いたしました平成二十九年度以降、外国企業からの応募件数も年々増加しておりまして、新たなビジネスの展開先としての東京の認知度の向上に寄与したものと考えております。
○藤井委員 昨年度のイベントは、ことし開かれる予定だったんですが、コロナの影響もあって中止になったかと思っております。私は、その前の年のフィンテックのビジネスキャンプ東京のピッチイベントに、最後のイベントだったと思うんですが、出席をいたしました。
イベント自体は、もう少し改善の余地があるかなと思ったところではあるんですが、参加されている多くの海外のスタートアップ企業、その数がまず多いということに非常に驚いたのと、あと、その内容も非常に技術の質が高くて、そのままでもビジネスに使えるようなものが非常に多くて、驚いたことを覚えております。プログラムを通じて、日本に興味を持ってくれる海外スタートアップがふえたということは、とても重要であると思っております。
一方で、海外の有名アクセラレーターが日本、東京に進出してくるなど、この分野は民間でもかなり進んできているというところはあるかと思います。
今後、このアクセラレータープログラムの知見をどのように生かしていくのか伺います。
○米津特区推進担当部長 本プログラムにおきましても、参加する外国企業と都内企業とのマッチングやネットワークイベントを実施しておりますけれども、外国スタートアップの東京進出に当たりましては、都内での協業相手を見つけ、コラボレーションへつなげていくことが重要であると考えております。
このような知見も踏まえまして、都では、東京のエコシステム形成の促進を目指しまして、本年一月にスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムを設立いたしまして、その取り組みの一環として、本年十月にグローバル化推進ワーキンググループを立ち上げたところでございます。
こうしたプラットホームを活用いたしまして、大企業、ベンチャーキャピタル、外国企業支援機関などと外国企業誘致における連携を図るとともに、ビジネスコンシェルジュ東京などにおきましても、引き続き、外国企業の東京進出に向けた個別の支援を行ってまいりたいと考えております。
○藤井委員 アクセラレータープログラムで得た知見、大企業と海外のベンチャーをつなげる、スタートアップをつなげるといったようなところを生かしつつ、今後のスタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムやビジネスコンシェルジュ東京において、その知見を生かしていくということであります。
東京のスタートアップ・エコシステム形成のために、先進的な技術を持った外国スタートアップに魅力のある場所にこの東京を磨き上げるということが非常に重要でありまして、引き続き、この知見を生かしながら取り組みをお願いいたします。
続いて、国際金融都市構想について伺います。
小池知事の呼びかけのもと、今般、三年ぶりに新たな国際金融都市構想に向けて懇談会が立ち上げられたところであります。
この間、ブレグジット、香港の混乱、そして米中対立等、最近の地政学的な変化及び5G等、この三年間での急速なテクノロジーの変化、そして、今、目の前にあります新型コロナによる人と物の情報の流れの劇的な変化など、国際金融の姿というのは急速に変化をしているところであります。
現在は、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市になる、最後にして最大のチャンスであると認識をしております。そのためには、まずこれまでの成果をしっかりと検証する必要があります。
そこで、フィンシティー・トーキョーの取り組みと進捗について伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 日本初の官民連携金融プロモーション組織でございます一般社団法人東京国際金融機構、フィンシティー・トーキョーでございますけれども、これは国際金融都市東京構想に基づきまして昨年四月に設立され、現在、四十三社の会員を擁し、活動しているところでございます。
同機構に関する昨年度の支出の決算額は、設立準備に係る経費として約一千百万円、設立後の運営に係る経費として約五千八百万円、合計で約六千九百万円でございます。
同機構は、設立後、海外五都市で延べ七回にわたりましてプロモーション活動を行ったほか、国内向けの金融フォーラムでございますフィンシティーグローバルフォーラムをオンライン配信で開催するなど、国際金融都市東京の認知度向上のための活動を実施しております。
国際金融センターのランキングにおきまして、東京の順位が、構想策定前は世界第五位ないしは六位という状況でございましたが、同機構の設立や同機構による金融プロモーション活動など、構想に基づくさまざまな取り組みを進めた結果、本年三月には、そのランキングにおきまして、東京は世界第三位、アジア第一位となったところでございます。
○藤井委員 これまでの国際金融都市構想によって、フィンテック企業の誘致であったりとか、新興資産運用業の誘致に注力をした結果、今のお話で、東京の国際金融都市ランキングは、それまでの六位から三位まで引き上がることに成功するということで、一定の成果があったというふうに認識をしております。ですが、実はその後、また上海に抜かれて、世界四位、アジア一位の座を陥落してしまったという状況にあります。
今後は、このランキングも非常に重要でありますので、注力はしていただきたいんですが、東京の稼ぐ力の向上に寄与して、都民一人一人がその利益の実感を得られるということが重要であると考えています。
また一方で、一部報道等によると、国は、東京以外の都市も国際金融都市にしようとする動きがあるようであります。率直に申し上げまして、人、物、金が集積する東京でさえ、国際金融都市として苛烈な競争にさらされている中で、戦力の逐次投入にならないかということを心配しているところであります。
都としても、日本国内や世界に向けて、国際金融都市としての東京の優位性というのを積極的に発信していただきたいと要望させていただきます。都が直接ではなくても、専門家の方もそれは賛成するところであると思いますので、そういった方々の力をかりるであったりとか、さまざまな方法を用いて、広報、発信をしていっていただきたいと思います。
続きまして、話はがらりと変わりますが、災害対応であります。
昨年の台風十九号では、都内の多くの区市町村のホームページ、ウエブサイトが見られなくなるといったことが起きました。そして、その理由の一つとして、区市町村のホームページが東京都が管理運営をするセキュリティークラウド上にあり、それが原因ではないかという指摘をいただいていたところであります。
昨年十一月の私の事務事業質疑で、都としては、セキュリティークラウドの状況とともに、当時の区市町村のシステムの状況を確認するアンケートなどを実施して、発生した事象の概要を把握するということでしたが、その後の原因究明の状況について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 本事象の発生を受けまして、セキュリティークラウドの通信ログの収集を行うとともに、区市町村へのアンケートやヒアリングを行い、発生当時の状況の詳細把握を行った上で、原因分析を実施いたしました。
分析の結果、事象の発生時の状況は自治体ごとにさまざまであり、原因は一つに特定できるものではなく、利用者の端末から区市町村のホームページまでの間のさまざまな通信回線、サーバー等の複合的な要因が発生していました。
なお、区市町村のヒアリング等を通じて、コンテンツの配置方法ですとか、写真、PDFなどのホームページ上のコンテンツの容量が大きいなどの共通の課題が明らかになりました。
○藤井委員 セキュリティークラウドのログ、記録やアンケート結果から、原因は一つに特定できるものではないということがわかったとのことであります。昨年の事務事業質疑でも申し上げましたが、やはり原因は一つに特定できるものではないと私も思っておりまして、複数の要因が絡んでいるんだろうなと思うところであります。
そして、その理由は区市町村ごとにそれぞれさまざまであって、一概にセキュリティークラウドのせいではないということでありましたので、この点に関しましては、きちんと区市町村と丁寧なコミュニケーションをとっていただきたいと要望をいたします。
一方で、ご答弁の最後にありましたとおり、共通する課題の存在も明らかになってきたと、ホームページが重くなってしまうような理由が明らかになってきたとのことであります。
我が会派の伊藤ゆう都議の予算特別委員会での質疑に対して、災害時にアクセスが集中しても、各区市町村のウエブサイトが継続できるように、都では原因究明を踏まえて、アクセス集中に対応するためのガイドラインを作成し、都内の区市町村に配布するとの答弁がありましたが、その進捗を伺います。
○沼田情報基盤担当部長 都では、都内の区市町村に対するヒアリングなどを経て、アクセス集中対応のためのガイドラインを作成し、本年二月、都内の区市町村に配布し、対応を依頼しております。さらに、台風時期の到来前の本年六月には、改めて区市町村に注意喚起や対応依頼を行うなど、各区市町村が取り組みを進めていく支援を行ってまいりました。
この結果、各区市町村においては、ガイドラインで示した手法に基づき、ホームページへのアクセスを分散させる仕組み、いわゆるCDNの導入や、コンテンツの軽量化などの対策に着実に取り組んできており、アクセス集中に対する都内の対策は進んでいるものと考えております。
○藤井委員 私も、ガイドラインそのものは見られていないんですが、その内容については確認をさせていただきまして、非常によくできているなと思いました。
今ご答弁にありましたとおり、各区市町村で一応対応したというようなお話でありました。ですが、こういったホームページが落ちてしまうとかが起きると、一番困るのは、やはり市民であり都民の皆様であります。
私の地元府中市でも、ホームページにつながりにくいという状況が起きましたので、そういった事象が起きないように、ぜひ注力をしていただきたいと思います。各区市町村に連絡をしてやったといっても、どうしても抜け漏れが起きてしまうと思いますので、災害はいつ起きるかわからないので、起きてからわかるという状況にならないように、備えよ常にの精神で、いつ何が起きても対応できるように、日ごろから区市町村と密な連携をとっていただきたいとお願いをいたします。
続きまして、島しょ部のインターネットについてお伺いいたします。
島しょ部にて整備をしております超高速ブロードバンドサービスについては、昨年度当初の状況として、対象の五村六島のうち、御蔵島、神津島、新島及び式根島については、既に海底ケーブルの整備が完了いたしまして、超高速ブロードバンドサービスを提供済みという状況でありました。一方、利島及び青ヶ島については、サービス提供を目指して整備をしている最中であったと認識をしております。
ところが、昨年の四月と十二月に海底ケーブルの故障によって、御蔵島、神津島、新島及び式根島において通信障害が発生して、島の皆様に長期にわたってご不便をかけてしまうということがございました。
このケーブル故障の発生の状況とその対応について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 昨年四月二十二日に発生したケーブル故障は、御蔵島と三宅島の間において発生いたしました。
その際、復旧までの島民への対応といたしまして、都では直ちに通信事業者や村と連携し、ADSLによる代替サービスへの切りかえを促すなど、緊急の対応を行うとともに、故障区間の復旧工事を早期に実施し、五月三日に通信障害を解消いたしました。
また、昨年十二月三十日に発生しましたケーブル故障は、御蔵島と神津島の間において発生したものですが、こちらにつきましても迅速に通信事業者等と連携し、代替サービスによる緊急措置に加え、フリーWi-Fiスポットの増設も行っております。
この復旧に当たっては、海気象の影響で故障箇所の復旧に時間を要することがわかりましたので、この箇所の早期復旧は見送り、別経路である新島-利島間のケーブル接続工事を実施し、本年二月六日に通信障害を解消しております。
○藤井委員 十二月に発生した御蔵島と神津島の間の障害に関しては、十二月末に発生して二月六日に解消したということで、一カ月、二カ月近くですかね、かかってしまったということで、非常に大変な状況であったというふうに認識をしております。
我々都民ファーストの会は、これらの通信障害によりインターネットなどが利用できない、空港などにおいても予約確認ができないなど、島民だけでなく、観光客の皆様にもさまざま影響を及ぼしているという声を受けまして、早期の復旧と将来的にも安定した通信環境を実現するように、小池知事宛てに要望を提出させていただいたところであります。
島しょ地域のインターネット回線を安定的に維持するということは、非常に重要であると考えますが、その後の対応状況について伺います。
○沼田情報基盤担当部長 昨年末に発生いたしました御蔵島と神津島の故障区間のケーブル接続工事を実施しましたことで、五村六島の海底ケーブルをループ状に接続することができております。これによりまして、一カ所でケーブルが故障しても別のルートで通信が可能となり、通信障害の発生が起こりにくくなるものと考えております。
五村六島のより一層安定した通信環境の確保に向けて、現在、利島の沖合でのバイパスルートの構築などのケーブル強靱化対策等にも取り組んでいるところでございます。
○藤井委員 故障箇所の修復等により、五村六島をつなぐループができた、ちゃんと円につながったということで、こっち側一方切れても反対側がつながるので、皆さんつながるという状況になったということと、あと利島の沖合、ここは多分、少し切れやすいところなのかなと思うんですけど、そこにバイパスルートをつなげるということで、その周りで一個が切れても、利島にもつながるような状況になっているというように理解をいたしました。さらなる強靱化対策を進めているということが確認できまして、少し安心をしたところであります。
島しょ部における高速ブロードバンドサービスは、スマート東京の実現にとっても非常に重要であります。島しょ振興にも極めて重要な役割を果たすものでありまして、引き続き安定した通信環境の実現に取り組むよう要望をいたします。
最後の質問になります。
昨年四月に戦略政策情報推進本部が立ち上がりまして、国際金融都市やTOKYO Data Highway基本戦略、スマート東京など、これから先の東京を築き上げる重要な事業を中心となって取り組んできたということを確認させていただきました。
この最初の一年間を通した戦略政策情報推進本部の事務事業の総括と、今後、本部事業をどのように展開していくのか、本部長の決意を伺います。
○寺崎戦略政策情報推進本部長 戦略政策情報推進本部では、東京の成長戦略として、先端技術の活用推進や国際金融都市東京の実現、ICT利活用などに向けたさまざまな取り組みを戦略的かつ集中的に推進していく役割を担い、これまでも積極的に取り組みを推進してまいりました。
特に、ICTに関する分野につきましては、昨年度、宮坂副知事のもとで、TOKYO Data Highway基本戦略を取りまとめ、アンテナ基地局の設置を促進するため、都が保有するアセットの積極的な開放を行うなど行ってまいりました。
また、スマート東京実施戦略の策定や、「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会において、データプラットフォーム構築の基本方針を取りまとめるなど、これまでにないスピード感で取り組みを加速化してきたところでございます。
さらに、この一年の間には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大という未曽有の事態も発生する中で、各局のICTを活用したコロナ対策を技術面から支援し、ウイズコロナ、アフターコロナといった状況下におきましても、着実に東京が成長していけるための施策を実施してきたところでございます。
現在、都では、都政のデジタル化を推進するため、構造改革に向けた取り組みを進めているところでございまして、そうした中において、全庁に横串を刺し、各局の取り組みを技術面からしっかりと支援する当本部の役割は大きいというふうに認識をしてございます。
今後も、改革の流れを減速させることなく、組織一丸となって、東京のデジタルトランスフォーメーションを強力に推進していくため、全力を尽くしてまいります。
○藤井委員 新型コロナウイルスの影響で、日本のみならず世界が一変したと考えております。コロナ禍で、日本のデジタルトランスフォーメーションのおくれが明らかになったところでありまして、これを解決しなければなりません。
都でも、DXをてことした社会と都政の構造改革を一気に進めようとしているところでありまして、戦略政策情報推進本部は、まさにDXをてことして、社会と都政の改革の中心となって、これまで進めてきたところでありますし、東京都のデジタルトランスフォーメーションの取り組みは全国をリードしているものであり、その中心にいるのが、まさに戦略政策情報推進本部の皆様であります。ここで得た経験、知見、ノウハウ、これは全国のデジタルトランスフォーメーションの推進の宝になるものであると考えております。積極的に他自治体へのノウハウ共有をお願いしたいと思います。
今後、さらにデジタルトランスフォーメーションをてこに、都庁内では局横断的、都庁外では民間も巻き込んで、さらには他の自治体も巻き込んで、そのための都の司令塔となる覚悟で構造改革に対峙していってほしいと期待を申し述べさせていただきまして、私の質疑を終えます。ありがとうございました。
○中屋委員 私の方からも、スマート東京に関連して、先端技術の社会実装について何点か質問したいと思います。
皆さんのおやりになっている推進本部は、専門家が一方で進めていく中で、税金を使って事業をやっていく以上、都民が主役ですから、そうした意味で社会実装というのは非常に重要になってきますので、ここをきちっと見せていかないと、やはり理解というのはなかなか得られていきませんから、ぜひそういう点で、ご苦労もあると思いますけれども、頑張っていただきたいというふうに思います。
AIやビッグデータ、5G、第四次産業革命の原動力となる新しい技術によって、社会、経済、産業に大きな変化がもたらされつつございます。世界的に開発競争が激化する中で、我が国においても官民一体となった取り組みが進められておりまして、都においては、社会実装に向けた実験などに取り組んできております。
幾つか昨年度の事業について確認していきたいと思いますが、まず、自動車の自動運転についてであります。
この分野は、自家用車については、自動ブレーキやレーンキープアシストといったドライバーの運転を支援する機能が実用化されつつあります。特に、社会的なインパクトとして実用化が切望されるのは、自動運転による移動サービスです。国のロードマップでは、二〇二五年を目途に限定地域での無人自動運転移動サービスの全国普及を目指すと明記されています。
そこで、今後の自動運転移動サービスの実用化を見据えて、都は昨年度どのような取り組みを行ったのか伺います。
○米津特区推進担当部長 副委員長ご指摘の自動運転移動サービスの実現に当たりましては、自動運転システムの性能の向上に加えまして、地域のニーズを踏まえたユースケースの構築など、サービスの検証が重要であると、このように考えてございます。
都では、自動運転車両を公道で走行させる、いわゆる技術実証の枠を超えまして、自動運転事業者や交通事業者などによる自動運転移動サービスの実証実験を支援してございます。
昨年度は、丸の内-箱崎間におきまして自動運転タクシーの実証と、八丈島におきまして初の自動運転バスの実証を行いまして、それぞれ四百四十七名、二百八十名の方が乗車されました。
昨年度までの四件の実証実験を通じまして、各エリアのニーズでございますとか、ユースケースなどの把握、ノウハウの蓄積などを行い、東京自動走行ワンストップセンターでの相談業務に活用するなど、成果の普及を図ったところでございます。
○中屋委員 私の地元文京区でも、自動運転システムの開発において重要な役割を果たしている大学やベンチャー企業が、サービスの実用化に向けた取り組みを行っています。世界各国で激しい開発競争が行われている中で、民間事業者などのチャレンジに対して、今後も積極的に支援をしていってほしいと、こう思います。
次に、ドローンについて伺います。
ドローンは、空撮やインフラ点検、物流など、さまざまな場面での活用が考えられます。昨年、台風の被害を受けた奥多摩町の日原地区では、民間企業のご協力によって、車両の通行ができなかった当地区にドローンで救援物資が提供されました。
国は、空の移動革命と称して制度整備などを進めておりますが、ロードマップでは、二〇二二年度以降に有人地帯での目視外の飛行を実現するとしています。これによりまして、都市部も含む地域での荷物配送の活用の道が開けてまいります。
そこで、ドローンの産業利用について、都は昨年度どのような取り組みを行ったのかお伺いをいたします。
○米津特区推進担当部長 近年、さまざまな産業分野におきまして、ドローンの利活用が検討されてございまして、新たな技術やサービス創出の潮流が生じてございます。
そこで、昨年度、都では、さらなる利活用が進むと予想される産業用ドローンにつきまして、都内における市場規模の推計を行いまして、今後の利活用の動向について調査を実施いたしました。
二〇三〇年時点の東京におけるドローン市場規模でございますけれども、約九百六十五億円、二〇一八年比で約九倍まで拡大すると予測されまして、特に、ご指摘の物流でございますとか、インフラ維持管理の分野で、市場の成長は顕著でございました。
本調査では、こうした推計結果のほか、貨物輸送、鉄道施設点検、商業空撮などの優良事例についてもまとめまして、業界関係者に広く周知したところでございます。
なお、今年度は、二〇二二年度以降の有人地帯での目視外飛行実現、これを見据えまして、市場規模の拡大が見込まれますドローン物流について、ビジネスモデルの検討を支援してございます。
○中屋委員 いいご答弁をいただきました。
ドローンを使う事業モデルの確立には、さまざまな分野の事業者が連携して知恵を絞っていくことが大切でありまして、都が率先して業界関係者に働きかけていく意義があることだと考えています。引き続き、国の制度構築を踏まえて支援を行っていってもらいたいと思います。
ここまでの質疑で、自動運転やドローンの実績について確認いたしました。いずれも交通、物流などに大きな変化をもたらす技術でありまして、人口が密集する東京ならではの安全面の課題や、継続的なサービスを提供するための収益面の課題など、今後、乗り越えていかなければならないハードルは決して低くないと考えます。
その問題の解決として重要なキーの一つとなるのが、現在都が推し進めているスマート東京の推進、デジタルテクノロジーの活用であります。
昨年度、都が策定いたしましたスマート東京実施戦略では、デジタルテクノロジーと先端技術を活用したサービスの都市実装を目指す方針が示されました。
そこで、このデジタルテクノロジーと先端技術を活用したサービスとは、具体的にどのようなものを想定しているのかお伺いをいたします。
○米津特区推進担当部長 副委員長ご指摘の点でございますけれども、例えば先ほどの答弁でも触れさせていただきました丸の内-箱崎間における自動運転タクシーの実証実験では、交通サービスのデータを連携させるMaaSを活用いたしました。
具体的には、空港リムジンバスや自動運転タクシー、また一人乗りの自動運転モビリティーといった複数の交通手段を連携させまして、空港から丸の内エリアの店舗まで、スマートフォンアプリ一つでシームレスに利用できる移動サービスについて検証いたしました。
自動運転車を使ったモビリティーサービスを提供するMaaSの実現でございますけれども、もうしばらく先にはなりますけれども、既存の交通サービスのデータ連携を広域的に行う事業と並行しまして、このような事業にも取り組んだところでございます。
○中屋委員 今のお話でありますと、将来の事業化を見据えて、デジタルテクノロジーを取り込んで事業を進めているとのことであります。このような取り組みをさらに広げて、社会的にインパクトある先端技術の社会実装を早期に目指していくべきと私は思います。
そこで、今後、先端技術の社会実装にデジタルテクノロジーをどう生かしていくのか、見解を伺います。
○米津特区推進担当部長 都は、今年度を東京のデジタルトランスフォーメーションに着手いたしますスマート東京元年と位置づけてございます。
副委員長ご指摘のとおり、デジタルテクノロジーの活用によりまして、これまで社会実装にハードルがあった課題の解決の糸口が見えるものが数多くあるというふうに考えてございます。
例えば自動運転移動サービスでございますけれども、一人の遠隔監視者が複数車両を監視、制御する場合でございますとか、自動運転の走行に必要な地図データをクラウドからリアルタイムで車両へ配信する場合などで、例えば5Gの活用などが想定されてございます。
また、現在、スマート東京先行実施エリアで進めておりますデータ連携によりまして、相乗りマッチングやエリアの回遊性向上など、交通サービスとしての効率化でございますとか、マネタイズの多様化などに生かせるものと考えてございます。
今後、エリアごとのユースケースに基づきまして、積極的にデジタルテクノロジーの活用を促しまして、早期にスマートサービスの実現、これを後押ししてまいりたいと考えております。
○中屋委員 これまで都が進めてきた社会実装が、デジタルテクノロジーの活用に、さらに早期に、そして高度に進められると考えております。
このように、今後の新たな展開に期待がかかる一方で、進む方向が正しくても進め方で失敗してはならないと、こう思います。あくまでも都民の目線で先端技術やデジタルテクノロジーを使っていくことが求められます。
そこで、都は、スマート東京の実現に当たって、どのようなプロセスで実現しようとしているのか、基本的な考えを伺います。
○米津特区推進担当部長 スマート東京の実現に当たりましては、データの収集管理や自動運転移動サービス、ドローン物流といった先端技術の活用につきまして、ご指摘のように、都民の理解を得ていくことは不可欠であるというふうに考えております。
スマート東京実施戦略では、デジタルシフトによりまして、地域の魅力向上と都民サービスの向上を実現させる方針でございますとか、先行実施エリアでのモデル構築から都内各地へ取り組みの拡大を図るというステップを定めております。
現在、先行実施エリアでは、住民に身近な区やエリアマネジメント団体などとともに、エリアの課題でございますとか、スマートサービスの都市実装などについて議論を重ねているところでございます。
私どもとしましては、地元の合意形成を丁寧に図りながら、地域の課題をスマート化で解決するモデルを特定エリアで早期に構築し、多くの都民にメリットを体感していただくことで、さらにその成果の横展開を図ってまいりたいと考えております。
○中屋委員 このスマート化には、民間の参画によって、継続的、発展的なサービスにしていかなければなりませんが、民間任せになってしまっては、またいろいろな問題が生じてまいります。
今ご答弁があったように、都がグリップしながらスマート東京を進めていってもらいたいと、こう思います。いつでもどこでも必要な移動、配送サービスが受けられる、健康、医療サービスが充実して、健康長寿の推進や社会的孤立の抑制が図られる、全ての子供が最先端の教育を受けられる、このような十年先、二十年先の将来像を、都、都民、民間が一体となって具体化していってもらいたいと思います。
これまでの質疑の中で、都が先端技術の社会実装に向けて、さまざまな取り組みを行っていることが確認できました。今年度をスマート東京元年と位置づけて、東京のスマート化を進めていくとのことであります。
非常に幅広い分野にわたった全庁的な取り組みを戦略政策情報推進本部は先導していくことになります。そのためには、それを支える執行体制をさらに強化していく必要があります。国もデジタル庁を新設いたしました。やはり東京でもデジタル局を新設するぐらいの勢いで頑張ってもらいたいと思います。
かつて石原都政時代、観光政策に力を入れた時代がありました。そのときは、まだ観光課でした。それを観光部にまで格上げをしたわけでありますけれども、そして私は、その先の観光局をつくるべきだと動いたわけでありますけれども、各局の縦割り行政と権利と利益を守る牙城を崩せなかった、実現できなかったという過去があります。
デジタル局においては、そうしたことに負けないで、我々も一生懸命応援をしていきますけれども、ぜひそうした、都民が安全で安心できる、そして、なお便利に生活ができる都民生活を目指して、皆さん方が先導して頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○斉藤委員 私の方からは、MaaSモデル事業、そしてESG投資について質問したいと思います。
昨年末に、都では未来の東京戦略ビジョンを公表いたしまして、その中で、二〇四〇年代の東京ビジョンや二〇三〇年に向けた戦略を公表しております。
東京都では、その中で都民が質の高い生活を送るスマート東京、東京版ソサエティー五・〇の実現に向けたさまざまな施策の展開をうたっております。本日は、その中から住民の移動の利便性向上に向けた事業であるMaaSについてお伺いしておきたいと思います。
都では、ICTを活用して、移動の利便性向上、新たなサービスの創出が期待されるMaaSの社会実験を昨年度複数実施しております。
都議会公明党といたしましては、ことしの二月に、コロナ禍でこのようになかなか難しくなる前、直前でございましたけれども、その中の一つである臨海副都心エリア、こちらの取り組みを視察いたしました。
臨海副都心エリアは、非常に人気があるんですけれども、陸の孤島というか、人工的に海を埋め立てたエリアでございますので、生活をする上では、公共交通機関が乏しく、移動が不便だという声が多い地域でございます。このエリアの施設間の移動をしやすくするような取り組みとなっておりました。
そこで、この臨海副都心エリアでの実証実験の成果を伺いたいと思います。
○米津特区推進担当部長 委員ご指摘の臨海副都心エリアの実証実験でございますが、デマンド型シャトルの運行を行うとともに、アプリを活用したさまざまなサービスを提供いたしました。
具体的には、既存の交通網に加えまして、先ほど述べましたデマンド型シャトルやシェアサイクルなども考慮に入れまして、現在地から目的地への最適ルート検索でございますとか、観光施設情報、クーポンの提供なども行いました。
今回の実証実験によりまして、アプリを通じて周辺施設を検索した数でございますが、一人当たり平均値一・〇五から二・二三と約二倍に増加しておりまして、臨海副都心エリアの回遊性向上に寄与したものと考えております。
○斉藤委員 臨海副都心エリアでの実証実験では、専用のアプリが提供されて、一カ月ほどの実証実験期間にもかかわらず--一カ月しかなかったんですけれども、非常に多くのダウンロードがされていると伺いました。一万二千くらいですかね。その数は、比較するのは難しいですけれども、とにかく多くの方がそれを利用しようと思ってアクセスをしたということでございます。
今伺った成果とあわせて考えますと、回遊性の向上というエリアの課題解決に、具体的にこのMaaSが有効であって、臨海副都心エリアに来た方々、住んでいる方々も含めてですけれども、そのニーズ、期待が高かったことが、この実証実験から見えたと思います。
私は、令和二年の、ことしの第一回定例会予算特別委員会におきまして、東京が持続可能な成長と成熟が両立した都市を実現していく上で、SDGsの推進が重要であることを指摘しております。
そのSDGsのターゲットの一つに、全ての人々に安全かつ安価で容易に利用できる持続可能な輸送システムへのアクセスというものもございます。未来の東京戦略ビジョンにおきましても、SDGsの目線での政策を推進していくとされている中で、公共交通に係る東京の多様な地域課題解決の解決方法として、MaaSの社会実装は有効であると考えるわけであります。
今後、都民がその効果を享受していくために、まさに都民にその利益の享受がなければなりませんが、享受していくためには、都の実証実験を通じまして、民間にMaaSを定着させていくこと、民間の方にそういったものをトライさせて、定着させていくことも重要であると考えます。
そこで、MaaSの社会実装に向けた課題と今後の都事業の方向性について伺いたいと思います。
○米津特区推進担当部長 令和元年度の実証実験を通じまして、交通サービス事業者による連携の枠組みは組成されたところでございますが、MaaSの社会実装に当たりましては、例えばデマンドシャトルなど新サービスの料金設定、コスト負担など、事業性の向上が大きな課題でございまして、観光や商業などの周辺サービスとの連携など、収益性を高め、自律的な運営がなされるよう検討していくことが必要であるというふうに考えております。
また、地域の特性や課題に沿いましたMaaS事業を進めていく上では、やはり住民に身近な地元の自治体やまちづくり団体など、地域との連携が大切でございまして、ステークホルダーが有機的に連携するモデルについても、あわせて検討してまいります。
こうした取り組みを通じまして、ご指摘のように、MaaSの社会実装を促進いたしまして、都民のQOL向上につなげてまいりたいと考えております。
○斉藤委員 私、過日、ちょっと横浜市の方も、団地の移動手段にさまざまなテクノロジーを使った様子も拝見してきたんですが、やはり地域特性、例えば団地があって、坂が多くて、なかなか高齢者の方が移動しにくいとか、そういったところに大規模な公共交通網を引くというのは、なかなか難しいわけでございまして、既存のものをつなげて生かしていくという意味で、非常に楽しみな取り組みが民間の方からも提案されておりますので、ぜひ東京都としても、一体となって進めていっていただきたいと思うわけであります。
交通網の発展した東京ではありますけれども、その中にありまして、先ほどいったお台場のような人気のある地域でも、陸の孤島的な、なかなか移動が難しい地域もございます。交通不便な地域も点在しておりまして、特に高齢者、そして障害のある方などの移動も大変でございます。こうした社会的弱者の方々の移動の利便性向上が求められていると思います。
そうした声に応えるために、MaaSの社会実装を進めていくことは、まさにSDGsのゴール十一、住み続けられるまちづくりの実現に資するものであると思うわけであります。こうした取り組みを自治体などとも連携して、着実に進めていってもらいたいと思います。
次の質問に移りたいと思います。
次の質問は、ESG投資についてですが、戦略政策情報推進本部では、国際金融都市東京構想を掲げまして、金融を通じた社会的課題解決に貢献する環境づくりに向けて、ESG投資の普及促進のための取り組みを積極的に展開しているものと認識しております。
ESG投資は、持続可能な開発目標として国連が掲げるSDGsと金融を結びつけているものといえ、ESG投資の普及を促進していくことは、次世代に環境を継承していく上でも不可欠であると思います。
都議会公明党はこれまでも、議会質問を通じまして、ESG投資の重要性を訴えてまいりました。私もことし三月の予算特別委員会で質疑をさせていただきました。本日も、ESG投資に関する都の取り組みについて、令和元年度決算の側面からしっかり確認をしていきたいと思います。
まず初めに、国際金融都市東京構想における代表的な取り組みであり、ESG投資の普及促進を図る取り組みでもあります東京金融賞につきまして、特にESG投資部門の面から実績を伺いたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 お話のありました東京金融賞は、金融という手段を用いて社会的課題の解決に貢献する、社会に変革を与えるような革新的な企業を表彰し、これを国内外に広く発信することで、ESG投資の普及促進等を図る表彰制度でございます。
平成三十年度に都が創設いたしまして、金融イノベーション部門とESG投資部門の二部門から構成されている賞でございます。
そのうち、ESG投資部門におきましては、平成三十年度に金融事業者四社を、令和元年度には金融事業者三社を表彰しておりまして、これまで計七社を表彰しております。
これらのうち、令和元年度にESG投資部門で表彰された三社でございますけれども、それぞれ国内マーケットにおけるESG債普及への貢献、子育て、介護支援ファンド組成を通じたインパクト投資の実践、温室効果ガス削減を目的とした指数の開発といった、ESG投資の普及活動を実践している点を表彰したものでございます。
○斉藤委員 ちょうど私も、この東京金融賞創設のときに、総務委員会ですかね、所属しているときに、都民にとってどういう意味があるのかということがわからないと、税を投入することについての理解が得られないんじゃないかというふうに、その当時、質問にも加えたんですが、ESG投資というものは、今はもう新聞に載らない日はないんですけれども、今、私の周りでも企業価値を高めていく上で、長期的な視点で、いわゆる非財務部門といいますか、目先の株主の利益だけを考えるのではなくて、二〇三〇年からのバックキャスティングもそうですけれども、どういう日本、東京にしていくのかというところから、将来を見据えた投資というものは、非常に若い人たちにも響いているわけですね。
ですから、非常に私は、この東京金融賞というのはインパクトがあって、こういったものをぜひ目指すような具体的な企業を応援していきたいというふうに思っております。
ただいまのご答弁で、民間のさまざまな分野におけるESG投資の普及活動に関する取り組みを都が表彰して、国内外ですね、国外にも発信していることを確認させていただきました。
引き続き、都が民間におけるESG投資の取り組みを表彰して、その活動内容を国内外に発信していくことで、民間におけるESG投資に対する機運の醸成を進めていただきたいと思います。
一方で、ESG投資の重要性を世の中に対してアピールし、その普及促進を図っていくという点では、東京都みずからがESG投資に取り組んでいることも重要と思います。この点、これまで都は、グリーンボンドの発行、再生可能エネルギーに関するファンドへの出資を行い、みずからESGに関連する取り組みを進めてまいりました。
令和元年度においては、過去に東京都が取り組んできた官民連携ファンドのノウハウを生かしつつ、新たに再生可能エネルギー発電施設への投資を行うとともに、その管理報酬の一部を活用して、社会貢献性の高い事業等に支援する意欲的な取り組み、まさにESGの冠をつけた東京版ESGファンドを創設しております。
この点に関しましては、何度も申し上げますが、私も本年三月の予算特別委員会で質問を取り上げたところでございますが、そこで、東京版ESGファンドの現状について伺っておきたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 東京版ESGファンドでございますけれども、今、委員からもお話がございましたとおり、国内の再生可能エネルギー発電施設に分散投資を行うとともに、ファンドの管理報酬の一部を活用して、社会貢献性の高い事業などを支援するものでございます。
東京都は、令和元年十月に本ファンドの運営事業者を選定した後、本年二月に創設されたファンドに対して五億円を出資いたしました。ファンド創設後、本ファンドの運営事業者は、国内の再生可能エネルギー発電施設に関する投資案件の実現に向けまして、投資家の募集を進めつつ、さまざまな案件について検討しているところでございます。
今後とも、本ファンド事業によるESG投資の普及促進の取り組みを通じまして、SDGsの実現に寄与してまいりたいと考えております。
○斉藤委員 こちらのファンドの創設も、当初、東京都は、会計管理局に属しておりまして、本来、東京都が稼ぐというか、利益を上げることについて、非常に都民の税を慎重に見ていかなきゃいけないという観点からは、私もいろいろ、さまざま議論をさせていただいたんですが、結果的に戦略政策情報推進本部の方にこれが移管されまして、まさに稼ぐ東京というか、税だけによらずに、都市東京をこれから発展させていくということで、税以外のものについて、投資をしっかり受けていくにふさわしい社会実装であり、ソサエティー五・〇を実装した東京であることが、非常に重要であるというふうに考えております。
しかも、そこで得られた果実を社会貢献性の高い福祉とか、ひとり親家庭とか、そういった方々に、支援する方に振り向けていくという、私は非常に知恵のある投資であるというふうに思います。
東京みずからがファンドに出資するという形で、ESG投資に取り組んでいる現状を伺ったわけでございます。今後、ファンドを通じた再生可能エネルギー発電施設の整備や、社会貢献性の高い事業等の支援が実現をし、本ファンド事業がESG投資の普及に貢献していくことを期待するものであります。
きょう資料が出ておりますけれども、大分、その投資、回収というか、出資したものに対するバックの方も順調に上がってきているようでございます。
一方で、このファンド事業については、都が出資した後も、施設の着実な整備、運営や都民の税金を原資とする出資金の回収に向け、ファンドの運営状況を監視していくことが必要だと、これもずっといってまいりました。監視、意見をいうには限界がありますけれども、しっかりと都民の税が適切に使われているかどうかを投資側として見ていくということは重要でございます。
東京都では、ESGファンドの創設前から、エネルギーに関連した官民連携ファンド事業に取り組んでおりますけれども、今年度より会計管理局から移管されたことは先ほど申し上げたとおりでございます。
そこで、都が取り組んできたエネルギー系の官民連携ファンドにつきまして、運営状況を改めて確認する観点から、これまでの実績を出資金の回収率ということで、それを含めてお伺いしておきたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 都が所管するエネルギー関連の官民連携ファンドでございますけれども、平成二十四年度に組成いたしました官民連携インフラファンドと平成二十六年度に組成いたしました官民連携再生可能エネルギーファンドの二つの事業がございます。
官民連携インフラファンドは、東日本大震災後の喫緊の課題であった電力の安定供給などのために、これまでに十九件、出力約六十二万キロワットの発電所への投融資を実施したところでございます。
令和元年度には約一千百万円を回収いたしまして、これまでの累積回収額は約三十四億八千六百万円、出資額三十億円に対する回収率は約一一六%となっております。
一方、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進などのために、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象といたしまして、これまでに十三件、出力約十七万キロワットの発電所への投融資を実施しております。
令和元年度に約一億一千九百万円を回収し、これまでの累積回収額は約七億七千万円、出資額十二億円に対する回収率は約六四%となってございます。
○斉藤委員 コロナ禍の中で、税収減が確実だと思われる今の東京都の財政状況を考えますと、果実を生んでいるファンドを持っているということは、時のタイミングというものがありますけれども、例えば官民連携インフラファンドにつきましては、出資に対して一一六%の回収率ということで、これは非常に、確実に果実を生んでいるわけでございます。
各ファンド事業について、発電所への投融資を通じた再生可能エネルギーの普及拡大という形で、ESG投資の拡大に寄与してきたこととあわせて、資金回収が着実に進んでいることを確認させていただきました。
これまで、ファンド事業への取り組みを通じて蓄積してきたノウハウを生かしながら、東京都が出資者の立場から、ファンドの運営状況を適切に監視していく、行うことで、東京版ESGファンドについても適切に運営がなされ、政策目的が達成されていくことを期待しております。まだ六十数%というところもございますので、しっかりと監視を続けていきたいと思います。
これまでの質疑を通じまして、ESG投資の普及促進に向けた民間や東京都自身の取り組みとその成果を確認させていただきました。
一方で、世界のESG投資は、二〇一六年時点でも約二十三兆ドルだった投資残高が、二〇一八年には約三十一兆ドルと約三割も増加するなど、急速に拡大していると。これはもう見たことのない金額でありまして、三千四百兆円、それを上回るような金額だと思いますけど、このようにESG投資は世界的な潮流、メーンストリームとなっておりまして、東京都が今後、ESG投資の普及促進に向けた取り組みを進めることに当たりましては、このグローバルな流れを捉えていることが必須であります。
その点、都は、令和元年度において、国際連携の一環として、新たにESG投資を含めました包括的な概念であるサステーナブルファイナンスの普及に取り組む国際的な金融センターのネットワーク、東京単独ではなくて、各都市と連携をしていくことが重要ですが、このネットワークであるFC4Sに加盟をしています。
ただ、このFC4Sというネットワーク、都民にとってなじみが薄いものでございますので、そこで、FC4Sとはどのようなもので、東京都が加盟したことの意義と、どのような効果が期待できるかを都民向けにご説明いただきたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 お話のありましたFC4Sでございますけれども、インターナショナル・ネットワーク・オブ・ファイナンシャル・センターズ・フォー・サステーナビリティーというネットワークの略称でございます。国連環境計画が運営しているものでございまして、現在、東京を含む世界三十を超える金融センターが加盟しております。
FC4Sは、各金融センター間における情報交換、連携などを目的としておりまして、具体的には、各金融センターが実施しているサステーナブルファイナンスなどに関する取り組みを調査、公表し、年次総会においてその取り組みを紹介する場を提供することなどを行っております。
東京都はFC4Sへ加盟したことによりまして、都のサステーナブルファイナンスなどに関する取り組みを世界に向けて発信することができる機会を確保しておりまして、より戦略的な広報活動が可能となっております。
また、このネットワークに加盟すること自体が、東京都のサステーナブルファイナンスへのコミットメントを国内外に示すことにつながっていると認識しております。
ESG投資が、委員お話のとおり世界的に急速に広がっている中、このような取り組みを通じまして、東京都としましても、都がサステーナブルファイナンス先進都市を目指していることをアピールいたしまして、海外から資金を東京に呼び込む効果を期待しているところでございます。
○斉藤委員 ありがとうございました。
都のサステーナブルファイナンスの普及に向けた国際的な取り組みを確認いたしました。都には引き続き、ESG投資を初めとする取り組みを積極的に進めまして、国際金融都市、かつサステーナブルファイナンス先進都市としてのプレゼンスを、FC4Sなどを通じましてしっかりアピールして向上させ、アジアの牽引役としての立ち位置を揺るぎないものにしていっていただきたいと思います。
特に、現在は新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、社会経済は閉塞した状況に陥っております。このような状況下、都といたしましても感染防止などを図りながらも、都民が安心して社会経済活動を続けることができるような環境を整えまして、強靱で持続可能な社会に回復させること、いわゆるサステーナブルリカバリーを進めていくことが求められると思います。
金融は経済の血液ですから、これをしっかり流していくことが重要だと。東京都には今後、ESG投資、サステーナブルファイナンスといった金融の力をより一層活用することによりまして、東京のサステーナブルリカバリーに寄与するよう要望しておきたいと思います。
このように、戦略ビジョンですね、大変分厚い中に、さまざまなプロジェクトや夢のあることを書いてあるんですが、これを実際に実現するためには、やはり資金が必要でございますし、例えば私の同僚の議員では、玉川上水をしっかりと活用して、水の都東京をつくっていくことに一生懸命、もう何年にもわたって努力してきた先輩たちもおりますが、これは決して都民の税金だけでできることともちょっと思えないんですが、例えばグリーンボンドなど、海外の方にも買っていただいたり、そういった海外の投資などを呼び込むような仕組みが東京にも必要であるというふうに、大変強く思っているわけでございます。
そういった上では、きょうのESG投資に対する東京都の立ち位置をしっかり確認をさせていただきまして、都民の皆様にも、税だけによらず、さまざまなお金の流れを学びながら、それを呼び込んでいく努力をしていくこと、これを都民の皆様に呼びかけまして、きょうの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○奥澤委員 私からは、国際金融都市構想の実現と先端技術による社会課題の解決の二つのテーマについて質問をいたします。
まず、国際金融都市構想については、報道などを見ていますと、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響によって、ロンドンあるいはニューヨークといった都市における経済活動への不安、あるいは香港における政治情勢の不安などから、より安全で安定した投資先を求めて、海外の投資家の方から日本への関心が再び集まっているということです。
政府は、東京、大阪、福岡の三都市を競わせることで、投資を呼び込もうという考えを示していますが、これまで東京が先んじていた集積の強み、あるいは交通利便性といった価値もまた、新型コロナの影響で薄れつつあります。これまでの取り組みから、アフターコロナの金融をリードしていくために、本当に解決すべき課題をあぶり出した上で、取り組みを加速させていかなければならないと考えています。
最初の質問は、他会派と重なりましたので、これは割愛をさせていただいて、東京国際金融機構のお話をしていきたいと思います。
東京国際金融機構のホームページを見ますと、その使命として、官民連携で取り組む各種プロモーション活動を推進する組織であるとともに、利用者の声を関係機関に届け、利便性向上を目指すというふうにされています。
昨年は、機構の立ち上げとプロモーションに取り組んだようですけれども、今後は社会情勢の変化も踏まえて、声を届ける役目を強めていただきたいというふうに思っています。
なぜなら、これまでの取り組み、金融都市構想といいますか、過去にも取り組んだものが、なかなかうまくいかなかったということの一つの原因として、行政側の目線が強過ぎたのではないかということを思っています。
これだけ多様でスピードの速い社会にあっては、もはや行政あるいは私たち政治というものは、答えを持ち得ないというのが私の持論です。解決策は常に現場、つまり民間の中にあります。今の法律や制度、商慣習や生活環境を前提としてできることを考えていては、世界の最先端を走る人材や企業、お金を呼び込むことなどは不可能だというふうに考えています。
これまでの延長線上には答えがないという前提で取り組んでいただくよう求めるものですけれども、その意味から質問に入りたいと思います。
世界から投資を呼び込むために最も必要とされるのは、減税だというふうに私は考えます。アメリカでは、トランプ大統領によって、法人税が三五%から一気に二一%にまで大幅に引き下げられました。イギリスでは一九%から一七%へ、また、アジアではシンガポールが一七%、香港が一六・五%という状況であって、日本の法人税率二三・二%と比べると、世界の減税の潮流に乗っていけるかどうかは重要な判断になると思います。
そこで、国際金融都市構想の具体的施策の中で、税負担の軽減が記載されていますが、どのような取り組みを行っているのか伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 東京都が国際金融都市東京構想策定段階の平成二十九年度から、国内外金融系企業、とりわけ資産運用業及びフィンテック企業の資金参入促進のため、法人税の軽減や相続税の見直しなどを国に対して提案要求してまいりました。
そして、相続税に関しては、外国人の離日後の負担軽減については、平成三十年度の国の税制改正において実現したところでございます。
今後も、国際金融都市東京の実現に向けまして、引き続き国に対して、法人税の軽減など、税負担軽減に関する提案要求を実施してまいります。
○奥澤委員 提案をしていること、また、幾つかの税制改正が実現をしているということについてはわかりました。
私は、新型コロナを乗り越えていくためには、金融系企業のみならず、減税という選択肢を持つべきであるというふうに考えています。アフターコロナという言葉が出ますけれども、アフターコロナに東京の反転攻勢を仕掛けていこうとしたときに、企業が存在していないという状況になってしまったら、元も子もないというふうに考えているからです。
テレワークの普及など、ある意味では集積していることの意味が失われつつある中ですから、大企業が地方へと流出していく可能性も否定はできません。東京が活気あるまちであり続けるために必要な手は全て打つ、その発想も変えながら取り組んでいただく必要があるということを申し述べておきたいと思います。
さて、海外の投資家から指摘されることの一つに生活環境があります。そもそも英語が使えないといったことから、医療や教育等に加えて、多様性を認め合えない地域には行きたくはないということもいわれます。中でもLGBT等の性的マイノリティーの方々にとって、フレンドリーなまちであるかどうか、これは一つの試金石になっているとも聞くところであります。
戦略政策情報推進本部として、どのような取り組みをしているのかお伺いしたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 東京都は、高度金融人材の受け入れ促進及びLGBTの方々も活躍できるダイバーシティー実現の観点から、平成二十九年九月に開催されました国家戦略特別区域諮問会議におきまして、外国人同性パートナーの在留に係る特例の創設を提案しております。
具体的には、高度金融人材などの同性パートナーにつきまして、入国、在留審査上、同性婚の配偶者と同様に在留資格、特定活動による入国、在留を認める対応を求めているところでございます。
諮問会議での提案後、都は、国家戦略特区ワーキンググループにおきまして、提案内容の説明や諸外国の同性パートナーシップ制度に関する調査結果を報告するなど、国に対して実現に向けて継続的な働きかけを行っているところでございます。
○奥澤委員 これもまた国に対して働きかけをしているということで、これはしっかりと続けていただきたいと思うんですけれども、よく考えてみると、今、同性パートナーの方々も、海外における同性婚と同様に取り扱ってほしいということを国に求めていながら、東京都の中のことですけれども、都庁職員の福利厚生制度においてすら、同性パートナーを規定していないと。こういう状況で東京都が国に対して要望しているといわれても、国としても、それは本腰を入れてやるのかといったら、なかなか入れるものにもならないんじゃないかというのは、私は思います。
福利厚生制度、これは戦略政策情報推進本部の管轄ではもちろんないことは理解をしていますけれども、これを所管しているところにしっかりと強く働きかけをしていただいて、都庁全体が同じ方向を向いて取り組んでいただきたいということをここでは申し述べておきたいと思います。
さて、外国企業の誘致も重要な施策だと思います。これは実行プランのレビューなどを見ますと、目標に向けて着々と実績を伸ばしているということで認識をしていますが、それが稼ぐ力に直結をしているのかという観点から確認をさせていただきます。
改めて、外国企業の誘致に関してどれだけの費用をかけてきて、どれだけの成果を生み出していると認識をしているのかお伺いしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 都では、平成二十四年度から令和元年度までの八年間の事業を通じまして、計百四十五社の外国企業を誘致したところでございます。
直近の調査では、平成二十四年度から平成三十年度までの累計事業費約二十五億円に対しまして、誘致外国企業の人件費等を含む直接的な投資額でございますけれども、三百八十五億円余りと試算してございまして、約十五倍の投資効果となっております。
○奥澤委員 しっかりと投資効果が出ているということで、この観点は今後も持ち続けていくとともに、さらに伸ばしていけるように、努力をぜひとも重ねていただきたいと思います。
同じような観点からですけれども、誘致した外国企業、これが定着をしているのかということも大事なことだと思っています。よく地方なんかだといわれる話なんですけど、ベンチャーを育てて、育ったベンチャーが東京に出ていってしまうというようなことをこの東京で起こされてしまっては意味がないということですね。東京で育った外国企業が、東京でさらに定着をして、稼ぐ力の向上というか、富を生み出していく、そういったことになってほしいというふうに思っています。
これについては、昨年度の決算特別委員会において、同じ会派の森澤議員の方から質問をさせていただいて、定着のフォローアップをしているというところのお話までは伺っていますけれども、これまでに誘致した企業、この定着状況についても改めてお伺いしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 委員ご指摘の点でございますけれども、平成二十四年度から令和元年度までに、都の外国企業発掘・誘致事業において誘致した外国企業百四十五社のうち、約九割が東京での事業開始または事業開始に向けた準備を行っているものと承知してございます。
当該外国企業については、ビジネスコンシェルジュ東京が外国企業の情報でございますとかニーズ、都内企業とのビジネスマッチング状況などを引き継ぎまして、ご指摘の定着に向けました継続的なサポートを行っているところでございます。
○奥澤委員 こちらもしっかりと成果を残されている、九割が定着をしているということですから、フォローアップがしっかりといっているということだというふうに思います。
ここで大切にしていただきたいことは、定着した企業が何を求めて東京に来たのか、何に不便を感じているかということはもちろんですけれども、定着をしなかった一割の原因を知ることも重要だというふうに思います。不安とか不満といった負の解消をしていくということが、また新たなチャンスを生み出していくことにつながると思いますので、そのヒントを見逃すことのないようにしていっていただきたいというふうに思います。
続いて、予定しておりましたアクセラレータープログラムの質問につきましては、重複いたしましたので、質問自体は割愛をさせていただきますけれども、意見だけさせていただきたいと思います。
これも同じく昨年度の決算特別委員会で、こうしたアクセラレータープログラムについては、民間企業においても数多く実施されている中で、どこまで行政が主体的に取り組むべきなのかと、役割分担は非常に難しいんじゃないかという指摘をさせていただいておりました。
これについては、一定の成果を得た上で、発展的な見直しを図ったということですので、今後、財政が厳しくなるであろうということ--これは都財政全体です--がありますので、引き続き、行政がすべきことは何か、民間の強みを生かすべきことは何かという見きわめも、大事にしていっていただきたいと、この観点もぜひ皆さんで共有していただきたいというふうに思います。
そのような観点から、令和元年度、スタートアップエコシステムの形成を目指して取り組まれたと思いますが、これに対して、今もお話をしました行政である都が果たした役割についてお伺いをしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 ご指摘の点でございますけれども、都では昨年度、地域の自立的なエコシステム形成、これを促進する観点から、大・丸・有地区、渋谷地区、虎ノ門・赤坂・六本木地区など、イノベーション創出に資するような取り組みを行うエリアを認定してございまして、それぞれの地域特性を生かした都の社会課題解決に資する具体的なプロジェクトを支援いたしました。
また、イノベーションの創出の源泉であります大学、企業等の研究成果を社会実装につなげるスタートアップに着目いたしました広域でのエコシステムの形成を目指しまして、都が東京都心部を核といたしまして、産学官の多様なプレーヤーに働きかけをいたしまして、本年一月、スタートアップ・エコシステム東京コンソーシアムを設立したところでございます。
○奥澤委員 具体なプロジェクトの支援とともに、さまざまな主体をつないでいくような役割を果たしていただいたものというふうに思います。
なかなか企業同士でありますと、ライバル関係になったりだとか、少しでも自分の利益をというような、どうしてもその思いが先に立って、なかなか手をとれないということもあると思います。
先ほどお答えの中で、社会課題解決に資するプロジェクトを支援したということで、課題というものを東京都あるいは行政というものが提示をして、その解決策を持っている民間事業者に集まってもらうというやり方は、今後の、非常に価値のある取り組みになると思っています。
東京都の有する信頼性であったりとか公平性、こういったものが、同じ方向を目指す大小さまざまな主体をつなぐハブ機能を果たす上で高い価値を発揮するものと思いますので、また、その過程においても、かかわった職員の皆さん自身も、大変学びがあったものというふうに思っています。
こういった社会の変化を鋭敏に捉えたり、そこで得た知見というものを、しっかりと庁内各局に共有していただいて、都政へ還元していただきたいということも、あわせて申し述べておきたいと思います。
また、これは総務局が主管になる取り組みですけれども、国際競争力強化プロジェクトで、昨年はスタートアップエコシステムの視察に訪れているということの報告書を読ませていただきました。
その中には、国際的には東京におけるエコシステムの存在は認識されておらず、世界で唯一スタートアップエコシステムにフォーカスした都市ランキングであるザ・グローバル・スタートアップ・エコシステム・レポートにおいても、東京は現状調査対象外という記述がありました。
これは、現在では調査対象に変わって、十五位になっているということは、ご報告を受けておりますけれども、それだけ未開拓というか、チャンスが転がっているというふうにも考えられますので、国際的なPRのみならず、海外諸都市の調査研究、どういった観点からやっているのかということもしっかりと進めていただいて、都政へ還元していただきたいということを申し述べておきたいと思います。
ここからは、国内のスタートアップ等への支援、とりわけ社会課題解決型の企業を育成する取り組みについて質問したいと思います。
東京は、あらゆるものが集積する都市ですが、社会課題についても集積をしています。これをピンチと捉えるかチャンスと捉えるか、私はチャンスと捉えています。
社会課題の解決と経済活動の両立を図る企業のことを、ユニコーン企業との対比、アンチテーゼのような形でセブラ型企業というふうに呼びます。これは、世界のビジネスの潮流を形成しつつありますけれども、社会課題の集積する東京だからこそ、ゼブラ型企業の集積地にもなり得ますし、社会課題解決の先進都市になり得るというふうに思っています。その鍵となるのが官民協業であるというふうに思います。
そのような意味から、東京都が取り組む創薬系オープンイノベーション事業及び先端事業普及モデル創出事業に注目をしています。
日本は、諸外国と比べ、創薬や医療に対して投資の少ない国といわれており、研究を続ける環境が得られないというふうに研究者の方からお伺いしています。また、先端事業育成については、オンリーワンの技術やノウハウを有しながらも、その活躍の場を見出せずにいるようなベンチャーも数多く存在します。そのような意味で、こうした企業を行政が下支えすることの意義は非常に大きいというふうに考えています。
そこで、創薬系オープンイノベーション事業及び先端事業普及モデル創出事業について、取り組み状況を教えていただきたいと思いますが、特に創薬系オープンイノベーション事業については、支援を受けた方々の感想等がありましたら、ぜひともお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○米津特区推進担当部長 まず、委員ご指摘のうち、創薬系オープンイノベーション事業でございますけれども、昨年度、セミナーの開催や専門家による指導助言等を行います創薬・医療系ベンチャー育成支援プログラム、ブロックバスタートーキョーと呼んでございますけれども、これを実施するとともに、ベンチャー等の研究開発環境に対する支援、これも重要でございますので、都内ウエットラボへの入居補助を開始するほか、東京医科歯科大学との連携によりまして、大学が保有する高度な研究機器等をベンチャー等が利用できるような協定を締結したところでございます。
また、ご質問にございますこれらの支援を受けた方々からは、例えば専門家によるメンタリングやウエットラボ入居補助等によりまして、創業前や創業直後でなかなか手元資金が少ない中でも研究開発を継続できるのはありがたいと、このような評価もいただいているところでございます。
また、次に、先端事業普及モデル創出事業、いわゆるキングサーモンプロジェクトと呼んでございますけれども、こちらにつきましては、二カ年を一サイクルとして取り組んでございまして、昨年度、ロボットを活用した介護や看護支援等三つのテーマを設定の上、福祉施設や都立病院等の都政現場において実証実験を行うスタートアップ企業のプロダクトなどの公募を行いまして、合計四社を選定いたしまして、現在、実証実験を実施しているところでございます。
○奥澤委員 正直、私からすると期待した感想をお伺いすることができて、この取り組みというのは、しっかりと続けなければいけないものだというふうに思います。成果が出るまでに少し時間がかかる取り組みだとは思います。だからこそ、大きな実がなることを期待していますし、取り組みを継続していただきたいというふうに思います。
同じく期待する取り組みとして自動運転があります。自動運転を初めとする先端技術は、実際に試乗させていただいたり、詳しく学んでいくと、利便性だけでなく、安全性あるいは費用面でも、今よりも優位な状況を生み出していくことがわかるわけで、つまり課題解決に資するものであるということは理解をできます。
ただ、なかなか社会全体に受け入れられていくには、抵抗感がどうしても存在すると。この抵抗感を抑えていくためには、その導入が、リスク、不安だったりだとか危険性みたいな部分よりも、ベネフィット、つまり社会的便益を生み出していくことの方が大きいのだということをわかりやすく伝えていくということが非常に重要だと思います。
令和元年度には、自動運転が都内経済社会に与える便益調査をしていると思いますけれども、その結果を伺いたいと思います。
○米津特区推進担当部長 ご指摘の令和元年度の調査におきましては、システムが全ての運転タスクを実施する運転者が不要な自動運転車両が普及すると考えられます二〇四〇年代の東京都を想定いたしまして、自動運転の社会実装が経済社会に与える効果を分析したところでございます。
その中で、乗りたい人に応じた運行の提供、オンデマンド交通によりまして、交通不便地域の解消が図られたり、高齢者や障害者等の外出機会が増加するなど、幅広い視点から具体的な効果を整理したところでございます。
○奥澤委員 幅広い視点での効果を整理できたということで、これはぜひとも多くの方々、特に抵抗感をお持ちの方々に知っていただく機会をとっていただきたいというふうに思います。あらゆる機会を通じて啓発に取り組んでいただく、それが先端技術を社会実装させていく、それを早めていくというふうに考えますので、今後の取り組みを期待して見ていきたいと思います。
同じく先端技術のPRという意味で、東京二〇二〇大会に向けた先端テクノロジーのショーケーシング事業があります。
これについては、国内外への発信という目的を持ち、新たなビジネスや課題解決へとつなげていくことのほかに、これは私が考えるところとなるかもしれませんけれども、実証実験を踏まえた規制緩和ニーズを知ることができるという副産物を得られるのではないかということも注目をしています。
実際に、その取り組みの中でどのようなニーズが見えてきたのか、あるいはその解決に向けてどのように取り組んできたのかをお伺いしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 昨年度の事業におきましては、大・丸・有地区のオフィスエリアにおける配送ロボットの自律、追従走行実証など、計五件の実証実験を実施いたしました。
ロボット事業者との意見交換におきましては、例えば自動配送ロボットにつきましては、多様な配送ニーズがあるものの、道路交通法上の位置づけが不明確であると、公道走行が困難という課題が明らかになりました。
このような課題の解決に向けまして、昨年九月に設置されたと聞いておりますけれども、国の自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会、こちらに都も参画し、議論を行ってまいりました。
その結果、本年四月には、近接監視・操作型での公道走行実験に係る手順が策定されるなど、いわゆる公道走行実証の枠組みが整備されたところでございまして、引き続き国と連携しながら、早期の社会実装に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
○奥澤委員 ここで得られた課題から新たな枠組みが整備されていったということで、大変意義深い取り組みになったんであろうというふうに思います。
新たな都政改革ビジョン、昨年示されたものには、縛る事前規制からサポート主眼の事後規制へと見直していくとともに、国の規制についても、日本全体の未来を見据えて提言をしていくという言葉がありました。まさにこれを体現した取り組みだったのではないかというふうに思うところです。
一方で、都政の構造改革においては、規制改革という言葉は出てくるものの、その意欲が低下してしまったのではないかというふうに思わざるを得ないような内容になっていました。また、規制緩和ということをお話をすると、総論では賛成だけれども各論では反対だと。
つまり、経済全体が活性化するのは大いに結構だけれども、みずからの業界が脅かされるとなった途端に業界を挙げての抵抗をしてくると、結局規制緩和が進まないというのが、これまでの日本の姿だったのではないかと思っています。
先ほども冒頭、アメリカの例を話しましたけれども、トランプ大統領は二対一ルールというものを導入しているそうです。これは、一つの規制をつくるのであれば、二つの規制を廃止せよというものですけれども、規制によって損なわれている経済価値が十分に理解されているからこそ、できる改革といえるかもしれません。
日本では余り聞いたことないですが、規制による経済損失をはかるような取り組み、これがアメリカでは浸透しているということです。本当の意味で東京の成長を願って、その意味で規制緩和に乗り出していくということであれば、規制による経済損失の見える化、こういったことも検討していくべきではないかということを申し述べておきたいと思います。
続いて、東京ユアコインを通じたモデル事業についてお話をしようと思ったんですけれども、これについては先ほど他の会派からも取り上げられておりました。
ただ、私は、この東京ユアコインの取り組みというのは、その事業を通じて生まれてくる都民の方々の価値観の転換、これが重要なことだというふうに思っています。
少し着眼点が違うかなとも思いますので、改めてお伺いしますけれども、東京ユアコインを活用したモデル事業について、取り組み内容、また課題や成果について改めてお伺いしたいと思います。
○三浦国際金融都市担当部長 お話の東京ユアコインを活用したモデル事業でございますけれども、東京都では昨年度、SDGsを切り口に、都内東急線沿線地域における生活型と大・丸・有地区におけるオフィス型の二類型のモデル事業を実施し、オフピーク通勤やプラスチックごみの削減などに貢献された方々にポイントを付与することで、参加者のキャッシュレスに対する意識、行動の変化を検証いたしました。
その結果、生活型では参加者の約四割、オフィス型では約九割に、キャッシュレスの利用に向けた意識の高まりが見られるとともに、オフピーク通勤へのシフトなどの行動変容も確認され、モデル事業を通じて、参加者のキャッシュレスやSDGsの活動に対する意識の変容に一定の効果があることが明らかになりました。
一方で、モデル事業全体では三十万人以上の方々に参加していただいたものの、全対象者に占める参加者の割合は、生活型で一二・二%、オフィス型で二・五%にとどまっております。
また、モデル事業の参加者からは、もっと周知、PRを強化してほしいとの声も多く寄せられておりまして、今後は、効果的なプロモーション手法を検討するなど、より多くの都民に参加を促す観点から、事業スキームの改善を図ってまいりたいと思います。
○奥澤委員 改善の余地はあるものの、意識のみならず行動変容を起こしたということは重要な成果だと思います。
これは、たしか報道の方では、この仕組みが余りよろしくないんじゃないかみたいな報道もあって、PRも難しかったのかなということは推察します。ただやっぱりそれが、焦点を当てるべきところがどこなのかということなんだと思うんです。これからの社会を見据えたときに、行動を変えていただきたいんだという部分に、今、SDGsのお話もありましたけれども、こういったところをきちんと伝えていくということが大事だったんじゃないかというふうに私は思います。
例えばですけれども、地域の防災活動への参加だったり、ボランティア活動への参加、こういったこともユアコインの対象としていくとか、こういったことをしていくことができれば、社会貢献意識を高めることにもつながっていくというふうに思います。
また、これは児童虐待の根絶に取り組む方から聞いたお話なんですけれども、子育ての講演などを開いても、興味のある、どっちかというと意識の高い方々しか参加してくれないと。本当に困り事を抱えているような方々、これはなかなか目に見えない、行政の皆さんからも、潜ってしまっているというか、こういった方々に講演を聞いてほしいと思ったらば、やっぱりインセンティブというか、プレゼントを渡していくようなことをやると、目に見える形に出てきてくれるんだというようなお話を聞いています。
これは他局との連携という話になるかもしれないんですけれども、こうした東京ユアコインを活用して、ほかの事業の意義もより高めていくという可能性を秘めている事業だと思っていますので、今後の取り組みにも期待をしていきたいというふうに思います。
先端技術が社会実装されたスマート東京というのは、きょうも皆さんからお話があって、ふだんから考えている人たちにとっては、必要なことだということは理解されていると思いますけれども、特に高齢者だったり認知症の方々だったり、あるいは障害者の方々など、困り事を抱える方々の暮らしが実は劇的に変化するということを、私は期待をしています。
一方で、先ほども申し上げたとおり、特に高齢者などは、先端技術を受け入れること、この心理的なハードルが非常に高い、これを取り除く必要があります。
これまで先端技術と触れる機会のなかった方々、その方々への啓発としては、どのようなことに取り組んできたのかをお伺いしたいと思います。
○高橋事業調整担当部長 昨年度開催しました「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会の中では、データ利活用促進の機運醸成を図ることの重要性について議論がございました。
そこで、都が推進するソサエティー五・〇の取り組み内容を広く都民に知っていただくため、ことし二月にスマート東京シンポジウムとダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式を開催しました。
このシンポジウムでは、誰もが快適な生活を送ることができるスマート東京実現に向けた宮坂副知事による講演を初め、先端技術の紹介として、状態の悪い道でも歩行可能な四足歩行ロボットのデモンストレーションを実施しました。
また、アプリアワードの方では、ダイバーシティー実現に向け、高齢者、障害者、外国人の利便性向上をテーマにして募集して、知事による表彰を行ったところでございます。
○奥澤委員 さまざまな取り組みで機運醸成、啓発を行ってきたということですけれども、済みません、私も不勉強で知らなかったんですけれども、今の答弁にあったアプリアワード、これはどのような内容で、成果はどうだったのかお伺いしたいと思います。
○高橋事業調整担当部長 高齢者、障害者等の利便性向上をテーマに、民間事業者や都民の斬新なアイデアやサービスを広く募集しましたダイバーシティTOKYOアプリアワードは、アイデア部門とアプリ部門の二部門で実施いたしました。
昨年十一月から年末までの二カ月間の募集に対し、スタートアップや個人の方など七十五件の応募がございました。その中で、知事による表彰を受けたサービスは、例えばスマホの操作が不得手な高齢者の方にも、テレビにケーブルでつなぐだけで、簡単に遠方のお孫さんの動画をテレビで見ることができるシステムや、周囲に助けを求めたい障害者の方、支援を必要とする人とサポートする人とをつなぎまして、助け合いを促進するアプリ等が受賞しました。
こうした取り組みを通じまして、さまざまなデータやデジタル技術の活用による社会的課題の解決を後押しするとともに、デジタルディバイド解消のための普及啓発に努めてきたところでございます。
○奥澤委員 さまざまな取り組みの一つであるけれども、ご高齢者の方々にも身近なテーマで、ご理解いただけたということだったんだろうと思います。
先般可決されましたデジタルファースト条例においても、デジタルディバイドの解消というものが一つのポイントになっていたと思います。
デジタルディバイドというのは、聞きなれない言葉ではありますけれども、情報通信技術を利用できる人と利用できない人との間に生じる格差のことでありますが、格差が出ないように配慮すべきという意味合いもあるにはあると思います。
しかし、むしろ格差を認識した上で、いかにして親しんでもらうのか、歩みを早めていただけるのかという視点で議論すべきというのが私の考え方です。進んだ先にはもっと便利な世界があるとわかっているのだけれども、進むのが怖いという人に合わせているよりも、手をとって一緒に進んであげたらいいじゃないかということです。
私の地元の町田市では、今年度末、MaaSの実証実験があるのですけれども、そんな横文字を並べられてもわからないよという意見が早速に出てきています。もちろん、こうした方々にわかるように伝えてあげることは大事なんですけれども、やっぱり百聞は一見にしかずだと思います。とにかく数多くの方に体験していただく、使っていただく、それがデジタルディバイドの解消の早道ではないかと私は考えています。皆さんのより一層の取り組みを期待しています。
最後の質問になります。
戦略政策情報推進本部が取り組む事業は、将来の投資となる特区や成長戦略の推進にかかわるものですけれども、目の前にある成果が見えにくいので、今後の財政が厳しくなっていくフェーズにおいては、その取り組みの意義について、広く都民の皆様の理解を得ることが必要であり、誰もがわかる客観的な数値で見せていくような取り組みも重視すべきだと考えています。
そのような点に、どのように取り組んでいるのかお伺いしたいと思います。
○米津特区推進担当部長 まず、国家戦略特区に関しましては、都市計画法等の特例を活用いたしました都市再生プロジェクトにおきましては、これまでに提案した四十プロジェクトが完成した暁には、約十七兆円の経済波及効果を見込んでおります。
また、エリアマネジメントに係る道路法の特例、これもございますけれども、道路を活用したイベントなどを展開することで、昨年度の経済波及効果は約百七十一億円と計算されてございまして、国が行う国家戦略特区の事業評価でも高く評価されているところでございます。
さらに、外国企業発掘・誘致事業におきましては、先ほども答弁をさせていただきましたけれども、平成二十四年度から平成三十年度までの間で約十五倍の投資効果を上げております。加えて、令和元年度でございますが、第四次産業革命関連分野十社、金融系分野十五社の外国企業を誘致しておりまして、ともに目標を達成している状況でございます。
これらは、都のホームページや施策を紹介するリーフレットのほか、講演の場など、さまざまな機会を捉えて説明してございまして、理解の促進に努めているところでございます。
○奥澤委員 取り組みが数値にあらわれているというところをしっかりとPRしていただいている、そういった事例をお話しいただきました。
事業に取り組む前段階で将来期待される効果、先ほど十七兆円のお話などもありました。この試算、あるいは投資対効果の、外国企業がもたらした十五倍といった効果に加えて--これは結果ですね、今の十五倍というのは結果として出てきたもの、こういったものに加えて、先ほども少しお話をしました規制によって経済損失、こんなことが出ているんだというような、実はネガティブな側面というのも見える化していくことで、理解を進めていくことにつながる可能性があると思っています。
小池都政の一丁目一番地である見える化、これは一義的には監視機能を高めていくという点で、都庁職員の皆さんにとっては大変厳しい側面であった部分があると思います。ただ、戦略政策情報推進本部の皆さんが取り組んでいることについては、その取り組みの効果を示していく証拠や、規制緩和の根拠になっていくという意味で、あるいは民間のアイデアやノウハウを呼び込んでいくという意味で、新しい領域を開拓していく推進力にもなるものだというふうに思います。
引き続き意欲的な取り組みを期待しまして、質問を終わりたいと思います。
○佐野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十三分休憩
午後三時四十九分開議
○佐野委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○清水委員 よろしくお願いいたします。
東京都は、平成二十九年十一月に東京の成長戦略の一環として、国際金融都市東京構想を策定し、構想に基づき、さまざまな取り組みを進めています。
構想は、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市となることを目指したものでありますが、構想への都民の理解を得るためには、都がなぜこうした地位を目指すのか、都民にわかりやすく示すことが重要であると考えます。
そこで、東京がアジアナンバーワンの国際金融都市となることの意義を伺います。あわせて、構想策定以来、これまで幾ら公費を投じてきたのかも伺います。
○三浦国際金融都市担当部長 経済の血液といわれる金融の活性化は、都市の魅力や競争力維持のために不可欠なものでございまして、今後、東京が世界的な都市間競争を勝ち抜き、成長していくために必須な要素でございます。
アジアは二〇一七年、平成二十九年時点で、世界のGDP約八十兆ドルの約三割を占める、経済的に、北米、ヨーロッパに比肩する重要な地域でございます。
東京をニューヨークやロンドンと並ぶアジアナンバーワンの国際金融都市とすることで、世界中から東京に資金、人材、情報などが集まり、都内企業の資金循環の活性化や都内産業の振興などを通じて、東京の稼ぐ力の向上、都民の豊かな暮らしの実現につながるものと考えております。
なお、国際金融都市東京の実現に向けた取り組みに関する支出額でございますけれども、事業を開始しました平成三十年度及び令和元年度の支出は、計八億五千四百万円、このほか、平成二十九年度より事業を開始いたしました金融系外国企業発掘・誘致事業の三年間における支出額は、計五億三千九百万円でございます。
○清水委員 ありがとうございます。
都がアジアナンバーワンの国際金融都市を目指す意義と金額規模がわかりました。
過去にこれだけの公費を、都民の皆様の税金を投じてきた以上は、構想が都民にどのようなメリットをもたらすかということを、基本的なことを検証していく必要があります。
先ほどの他党の質問で、経済規模が三百八十五億で約十五倍の経済効果となっているということを伺いました。ですので、その次の質問に移ります。
外国企業誘致の経済効果が、事業費の十五倍以上に及ぶことがわかりました。このような構想に基づく取り組みの経済効果を踏まえ、今後とも取り組みを積極的に推進し、国際金融都市東京の実現に向けて努力していただきたいと思います。
一方で、ただ東京は、香港や上海、シンガポールといった中国経済をバックとするアジアのほかの都市と比べて、ほかの国際金融センターとの連結性が薄いことが弱点であると伺います。
そこで、このような意見に関する見解と、どのような対策を考えているのかお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 委員ご指摘のとおり、香港や上海、シンガポールといった中国経済をバックとするアジアの他の都市と比べて、他の国際金融センターとの連結性が薄いということが東京の弱点であるという声があることは、私どもも承知しております。
一方で、東京にはこれらの都市のような相互関係を有する都市はないものの、東京は国内に一千九百兆円近い個人金融資産と多様な産業集積を有する日本経済の中心として、世界から資金、人材、情報などが集まる国際金融センターとなり得る経済的な背景を有すると我々は考えております。
東京都といたしましては、必要に応じて他の国際金融都市との連携を図りつつ、東京の強みを生かし、国際金融都市としての地位の一層の強化に向けて、構想に基づいた取り組みを積極果敢に進めてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。
東京には、日本国内にある一千九百兆円に近い個人金融資産を背景に、金融系外国企業、人材から見て、とても魅力的な市場であることは理解できました。
一方で、今後も都市間競争に引けをとらない、東京の国際金融センターとしての機能や魅力を高める取り組みは大変重要でありますが、昨今のコロナ禍のもとで厳しい状況に置かれる都財政においては、取り組みに優先順位をつけて実施していく必要があります。
そこで、東京都の考える国際金融都市関連施策の優先順位についてお伺いいたします。
○三浦国際金融都市担当部長 東京都といたしましては、東京の金融市場を活性化する大きな担い手と位置づけられる資産運用業及びフィンテック企業を誘致し、東京に企業や人材、資金、情報などを集めることが最も重要と考えております。
具体的には、平成二十九年度から四年間の企業の誘致目標を、それまでの四十社から五十社へ引き上げ、委託先企業との密接な連携のもと、誘致活動を加速化いたしまして、昨年度末時点において未上場で企業価値十億ドル以上のユニコーン企業や、世界有数の資産規模を有する資産運用会社など、計三十五社の誘致に成功しております。
今後は、都の取り組みを進めていくと同時に、国に対して税制や規制の見直しを働きかけ、都と国が車の両輪となって東京の稼ぐ力を高めることで、アジアナンバーワンの国際金融都市東京の実現に向けた取り組みを効率的に進めてまいりたいと思います。
○清水委員 東京都が金融系外国企業の誘致を最優先課題と捉え、これまで委託先企業と連携しながら、目標数を着実に達成してきたことがわかりました。
一方で、私は前職で、企業がペーパーカンパニーであったり、従業員の給与は補助金を限度額いっぱいいっぱいまで使って、それ以上の報酬は本国でたっぷり支払っている、また、法人黒字分をコンサル料などと称し、タックスヘイブン国に流している事案など、嫌というほど見てきました。つまり、これは皆様の税金を、納めていただいた税金を使って、日本の補助金を限度額まで使って、日本の義務である納税は免れているということを意味します。
今回の質問では、この点を私は強くお訴えをしようと思いましたが、でも考えてみると、これを今までしてきたから、今まで日本の国際金融が進まなかったという面も痛感しております。
いろいろ申し上げたいことはありますが、私は今までの答弁にあったように、経済の血液となるアジアナンバーワンの国際金融都市をまず目指していただきたい。
そして、二つ目は、約一千九百兆円の個人金融資産に取り組むなど、引き続き減速することなく進めてもらいたいとの思いを託し、今回は質問を終わります。どうぞよろしくお願いいたします。
○古城委員 新宿は、駅の東側に日本一の商業集積地や、歌舞伎町、新宿御苑等の観光拠点が立地し、西側にはここ都庁を初め、業務機能が高度に集積する東京の中核的な拠点でございます。
都内最大の事業数を誇るビジネスエリア、訪都外国人の約六割が訪問する観光地であり、新宿駅周辺地域は、国際的な中枢業務機能を担う拠点形成が期待されてきました。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は大きな影を落としたわけでございます。盛んに夜のまち、新宿エリアと喧伝をされ、感染震源地とまでやゆされた状況に、地元商店街の方々の客足が遠のく、閉店せざるを得ない、新宿、繁華街という言葉が悪い印象を受けているとの悲痛な声をお聞きしてまいりました。
新宿を初め、東京では、今、ウイズコロナの新しい生活様式を前提とした、さまざまな見えない敵に立ち向かうレジリエントな取り組みが進んでおります。
本日は、この観点から、令和元年度東京都一般会計決算中、戦略政策情報推進本部所管分に関連して質問をいたします。
初めに、国家戦略特区を活用した都市再生についてであります。
都は、世界を勝ち抜く国際的なビジネス拠点の形成に向けて、国家戦略特区の活用を推進しています。私はかねてより都民生活ににぎわいと活力をもたらし、また、都民生活の向上に資するよう、積極的な取り組みを求めてまいりました。国家戦略特区のさまざまな規制改革メニューの中で、都市再生に関連して都市計画法等の特例措置があります。
そこで、国家戦略特区を活用した都市再生プロジェクトについて、昨年度の状況をお尋ねします。
○米津特区推進担当部長 都はこれまでも、幅広い分野で国家戦略特区を活用いたしまして、規制緩和を推進してまいりました。
ご指摘の都市計画法等の特例を活用し、手続のスピードアップを図る国家戦略特区都市再生プロジェクトでございますけれども、昨年度は品川駅北周辺地区、八重洲一丁目北地区、日本橋室町一丁目地区の三カ所で認定を受けまして、これにより都内で認定を受けたプロジェクトは合計で三十件となりました。
引き続き、国家戦略特区を活用いたしまして、国際的なビジネス環境、生活環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○古城委員 都内で認定を受けた三十件のプロジェクトの中には、新宿区の案件も含まれており、都市計画の決定や許認可をワンストップで行う国家戦略特区制度により、都市再生のまちづくりが進んでおります。
平成三十年十一月の総務委員会でも答弁を得たところでありますが、一つは、平成二十八年に認定を受けた西新宿二丁目です。新宿都庁前のエリアマネジメントと連携した国際的ビジネス環境整備や観光都市としての魅力向上に資する広大なアトリウム空間を整備する新宿住友ビル改修計画の一環で、本年六月に完成し、全天候型の帰宅困難者受け入れスペースの確保など、都市防災力の強化にも貢献するものです。
もう一つは、平成三十年に認定を受けた歌舞伎町一丁目です。新宿東急ミラノなどの跡地にまちの核となる新たな都市観光拠点の創出に向けて、劇場やライブホールなどの複合エンターテインメント施設、ホテルなどが整備される二百二十五メートルの高層ビルが二〇二二年度に竣工予定です。東洋屈指のエンターテインメントシティー歌舞伎町が、より快適で魅力あふれるまちとなることに期待が高まっております。
これらとは別に、新宿駅直近地区では、新宿グランドターミナルとしての一体的な再編に向けて、特区の認定を目指す具体的なプロジェクトが動き出しています。
そこで、昨年度の状況についてお尋ねします。
○米津特区推進担当部長 令和元年五月の第二十六回東京圏国家戦略特別区域会議におきまして、都市計画法等の特例を活用しまして、手続のスピードアップを図る国家戦略特区都市再生プロジェクトに新宿駅西口を追加提案したところでございます。これは、新宿駅の再編整備に合わせた重層的な歩行者ネットワークの形成や立地特性を生かしましたビジネス創造発信施設の整備などを図るものでございます。
今後、東京圏国家戦略特別区域会議から国家戦略特別区域諮問会議への特区の認定申請が行われる見込みとなってございます。
○古城委員 次に、スマート東京、東京版ソサエティー五・〇についてであります。
先行実施エリアに上げられる西新宿は、昨年末に公表された未来の東京戦略ビジョンのスマート東京、TOKYO Data Highway戦略でも、また、ことし二月に策定されたスマート東京実施戦略でも、TDH重点整備エリアとされています。
都は、昨年度、スマート東京の実現を目指したあり方検討会を開催し、官民連携データプラットホーム構築に向けた都の調査検討例として、データを活用したモデル例が挙げられ、報告書がまとめられています。
そこで、西新宿エリアでの取り組みについてお尋ねします。
○高橋事業調整担当部長 都では、昨年さまざまな分野の有識者や経済団体の代表者から構成される「Society五・〇」社会実装モデルのあり方検討会を設置いたしました。
検討会では五回にわたりまして、官民連携データプラットホームの必要性等について議論し、ことし二月にデータプラットフォーム構築の基本方針を取りまとめました。
この検討過程におきまして、西新宿を実験のフィールドとして活用したモデル例として、昨年七月のオフピーク通勤の状況について、GPSデータを使い、新宿駅西口通行者を平常時と比較した調査結果を紹介しました。
このように、検討会運営の中でも、データを効率的に収集、分析し、その結果をわかりやすく可視化するなど、データ利活用促進に向け、取り組んだところでございます。
○古城委員 ソサエティー五・〇、スマート東京の使命は、これまでの情報社会が抱える課題、例えば障害の有無や年齢などによって得られるメリットに格差が生じる点など、これらを克服し、誰ひとり取り残さない東京を実現することだと考えます。
例えば、加えて申し上げると、デジタルディバイド、情報格差も課題の一つであります。そもそもデジタルテクノロジーが何をもたらしてくれるのかをイメージしにくい都民の方々も多いのではないでしょうか。
先行実施エリアとしてスマート東京の取り組みを実施するに当たって、単に先端技術のデモ体験が売りの知る人ぞ知る見本市とするのではなく、西新宿に住み、西新宿で働き、西新宿で憩う、このまちに暮らし、そして訪れる人々が利便性や豊かさとともに、それぞれのシーンで感じる課題の、特にコロナ禍も踏まえた解決策を体感できるようにデジタルテクノロジーを活用するべきと考えます。また、地元区やエリアマネジメント団体、町会、商店会など、地域の要望や意向にも十分配慮されるべきであります。
そこで、先行実施エリアである西新宿におけるスマート東京の取り組みを実施するに当たり、これまでどのように検討し、取り組みを進めているのかお尋ねします。
○芹沢デジタルシフト推進担当部長 スマート東京先行実施エリアの一つであります西新宿における取り組みを検討するため、昨年度はバルセロナ市や会津若松市のスマートシティー担当者へのヒアリングを行うなど、国内外の先進事例調査を進めてまいりました。
その結果、スマート東京の実現に向けては、地域に即した課題の解決に資するデジタルテクノロジーを導入すること、また、その導入には、地域の関係者との合意形成が不可欠であることを学びました。
そこで、本年五月に新宿副都心エリア環境改善委員会、新宿区役所、通信事業者などを構成員として、西新宿スマートシティ協議会を設立したところでございます。
このたびアンケート調査などにより明らかになりました西新宿エリアの課題に対しまして、今後デジタルテクノロジーを活用した解決策の実証を進めてまいります。
○古城委員 新宿において進行する都市再生プロジェクトや、スマート東京による新たな体験が、ここ新宿を訪れる人々にとって、東京二〇二〇大会時のよい印象にも彩られ、忘れられない思い出となることを期待しております。
新宿を初め、東京が持続可能で魅力的なまちになるよう、今後も国家戦略特区制度を積極的に活用することとともに、先行実施エリアの一つである西新宿で、地域特性を生かしたスマート東京のモデルを構築し、都内各地、全国へと取り組みを拡大していくことで、新型コロナに負けない新宿、そして東京を後押ししていただきたいと要望させていただきます。
次に、キャッシュレスの推進についてであります。
キャッシュレス経済は、社会のサステーナビリティーに寄与するものでもあります。
一つ、ご紹介したいんですけれども、高齢者を銀に例え、若者を青に例える、色で例えているわけですけれども、高齢者、銀は、若者、青からデジタル技術を、若者、青は、高齢者、銀から知恵や経験を学ぶ、青銀共創という試みが盛んな台湾で、デジタル担当の行政院政務委員を務めるオードリー・タン氏は、例えば、デジタルデバイスについて、高齢者が日ごろの習慣の延長線上で使えるような工夫の必要性を訴えています。高齢者がITに近づくのではなく、ITを高齢者に近づけることが求められています。
キャッシュレス化に当たっても、SDGsのスローガンである誰ひとり取り残さない視点が不可欠であり、都民の皆様にSDGsへの関心を高めていただいて、そして具体的な目標達成への貢献に結びつけていかなければなりません。
そこで、SDGsの切り口から見た令和元年度のキャッシュレス推進に関するモデル事業の成果についてお尋ねします。
○三浦国際金融都市担当部長 キャッシュレス推進に関するモデル事業でございますけれども、昨年度は、商店街などの生活地域を中心とする都内東急線沿線地域における生活型と、オフィスワーカーが集まる大・丸・有地区におけるオフィス型の二類型の事業を実施しております。
本事業は、ノーレジ袋など所定のSDGs活動に対してポイントを付与することで、参加者のSDGs活動への参加に対する意識、行動の変化や、キャッシュレスの推進に及ぼす影響について効果検証を行うものであり、三十万人以上の方々に参加いただきました。
その具体的な成果といたしましては、例えば、生活型の参加者の四割に、以前と比べてSDGs活動を行おうという意識の変化が見られ、特にオフピーク通勤に関しましては、実施前と比較して最大五・二ポイント上昇するなど、モデル事業を通じて、参加者のSDGs活動に対する理解と関心が深まったことを確認したところでございます。
○古城委員 このモデル事業を通じてSDGs活動に対する意識、行動に、プラスのポジティブな変化が見られたということは、とても重要であると考えます。
一方で、昨年度のモデル事業は、コロナ禍が国内に深刻な影響を及ぼす以前に実施されたものであるため、その検証に当たっては、ウイズコロナの現在における意義及び効果を考える必要があります。
愛知教育大学の西尾圭一郎准教授は、キャッシュレス決済は、ネット経由での商品、サービスの購入に使われやすく、新しい産業構造、新しい生活様式の定着に役立つと指摘しておられます。
そこで、昨年度実施したモデル事業がウイズコロナの社会にどのように合致しているのか見解を求めます。
○三浦国際金融都市担当部長 昨年度のモデル事業はSDGs活動に対してキャッシュレス決済に利用可能なポイントを付与するものでございまして、消費者の利便性向上や店舗運営の効率化につながるだけでなく、非対面、非接触による経済活動を促すウイズコロナにおける新しい日常の趣旨にもかなうと考えております。
都といたしましては、今年度も引き続きSDGsを切り口に、新しい日常の定着に向けた動きも反映したモデル事業を実施する予定でございまして、昨年度のモデル事業とあわせて、その成果を十分検証した上で、今後の社会実装につなげてまいりたいというふうに考えております。
○古城委員 SDGsへの貢献についても大いに期待をさせていただいているわけでございますけれども、都民のお一人お一人が、生活の中で利便性や豊かさとともに、安心・安全を実感できるように、キャッシュレス推進の取り組みを着実に社会実装していただきたいと、このように求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
○佐野委員長 これより都民安全推進本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
令和元年度東京都一般会計決算中、都民安全推進本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 私からは、防犯カメラについて、そして高齢者安全運転装置について伺ってまいります。よろしくお願いいたします。
防犯カメラの設置は、地域の犯罪抑止や安全・安心の確保において非常に効果的であり、都民から広く受け入れられ、今日では必要不可欠な公的インフラの一つになっています。
東京都では、地域の安全・安心を支える町会、自治会、商店街等の方々に対し、防犯カメラの整備費用について補助を行っています。こうした支援が地域の防犯力の向上につながり、都民の皆様や東京を訪れる方々が安全で安心して過ごせるまちの実現に寄与していると考えています。
そこで、町会、自治会、商店街等の地域団体を対象とした令和元年度における防犯カメラ設置補助の取り組みの概要や実績についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都においては、防犯カメラの設置を契機に、地域の見守り活動などが活発に展開されるとともに、犯罪発生の未然防止を目的として、町会、自治会、商店街等の地域団体が設置する防犯カメラの設置費用について補助を実施しております。
平成二十九年度から令和元年度まで、新規設置分について地域負担が従前の二分の一となるよう、都の補助率を上げ、設置促進を図ってきました。
最終年度である令和元年度の補助台数は、補助率の引き上げ前の平成二十八年度と比べ、約二倍となる三千五百四十六台となり、年度当たりの防犯設備整備補助制度の活用団体数も過去最大となる五百九十団体となりました。
○清水委員 ありがとうございます。
補助制度を活用する団体がふえ、一層防犯カメラの整備が進んだことは評価したいと思います。
一方で、市町村部は、区部の約二・五倍の面積を有しますが、私がこれまでの補助実績を確認したところ、区部は二十三区全体で一万七千台、それに対して、多摩地域を含む市町村部は約一千台となっております。区部では整備が進んでいるように思われますが、多摩地域を中心に補助実績のない自治体もあると聞いています。
そこで、そのような自治体がなぜ補助を活用しないか、その要因について分析していらっしゃるのか、都の見解を伺います。
○斎田治安対策担当部長 防犯カメラの設置促進につきましては、都はこれまでも、各市区町村の担当部署へ補助制度を周知するとともに、市区町村からの相談、意見等を丁寧に聞きながら取り組みを展開してきました。
補助事業を活用しない自治体があることについて、地域の状況によりさまざまな理由が考えられますが、その一つとして、設置後の防犯カメラの保守点検費や修繕費、電気料金等の経費が地域の負担となっておりまして、東京都町会連合会からも、その負担軽減についてご要望をいただいておりました。
こうしたことを受け、令和元年度から地域の負担の大きい保守点検や修繕費につきまして、令和二年度から経常的に負担が生じる電気料金等につきまして、新たな補助制度を創設いたしました。
○清水委員 ありがとうございます。
地域の負担軽減をさらに進められたことは、大変評価いたします。
多摩地域でも、町会、自治会等による見守り活動が積極的に行われていますが、それを補完する意味でも、防犯カメラによる地域の見守りが促進されれば、より地域の安全・安心が高まっていくことになります。
区部のみならず、都内のどこに住んでいても、地域の安全・安心が確実に確保されるよう、引き続き市区町村や自治会、町会、商店街等の意見や要望を聞き取り、課題を的確に把握していくべきと考えます。
また、都民の安全・安心は、各自治体の取り組み状況で差が出てはいけないことはもちろんですが、都民安全推進本部には、警視庁からの派遣の方もいて、警察署を通じて、ほかの部局以上に市区町村とも連携していると期待しております。
今後も都民の安全・安心のために、取り組みの粒度を上げていただくことを強く要望いたします。よろしくお願いいたします。
次に、安全運転支援装置設置補助事業について伺います。
昨年四月の十九日、豊島区で高齢者が運転する乗用車が交差点に進入する事故が発生いたしました。幼い命も犠牲になったこの事故は、報道でも大きく取り上げられ、高齢者の安全運転の確保が社会問題となりました。こうした悲惨な事故を二度と起こさないためには、一層の対策が必要と考えます。
我が党では、事故発生を受け、東京都知事宛てに、高齢運転者の交通事故防止対策に関する要望書を提出し、対策の強化を求めたところであります。
その後、東京都は、昨年六月の第二回定例会で、踏み間違い時に急発進を防止する装置の設置補助を実施する方針を表明し、同年七月には補助制度を開始いたしました。多くの都民の不安を払拭するため、必要な施策をスピーディーに開始したことを評価したいと思います。
まず、この制度の昨年度の執行状況についてお伺いいたします。
○斎田治安対策担当部長 都は、運転を続けられる高齢者ができるだけ早期に装置を設置できるよう、予備費を活用しまして、緊急対策として、後づけの安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を昨年七月に開始しました。
具体的には、七十歳以上の都民を対象に、装置の購入、設置費用の九割、一台当たり十万円までを取扱事業者を通じて補助するものです。
設置を支援した台数は、令和二年三月末までで約一万六千台でありまして、決算額は十億五千七百万円となっております。
○清水委員 都民にとって取りつけ費用の負担が軽減されることは、年齢を重ねても、高齢者お一人お一人が安全に運転できるよう、東京都がこうした制度を通じて支援することが、本人はもちろん、ご家族や周囲の方の安全・安心にもつながってまいります。お手持ちの車に安全運転支援機能がついていない高齢者には、ぜひこの制度を利用して装置を取りつけ、事故防止につなげていただきたいと思っております。
地元の事業者からは、店舗にて自動車メーカーの純正品装置を取り扱いたいという要望もいただいております。安全に運転を続けたい高齢者に、一人でも多くの方に制度を知っていただき、利用してもらうことが重要と考えます。
そこで、東京都では、高齢者が利用しやすい制度とするため、昨年度どのような取り組みを工夫して行ったのか伺います。
○斎田治安対策担当部長 本制度は、設置の相談から申請、支払いに至るまでが店舗で完結する仕組みとしておりまして、店舗では個人負担分の金額のみを支払うこととなっております。
また、ディーラーや整備工場など事業者によりさまざまな装置を取り扱っておりまして、高齢者が自分の車に適合した装置を扱う店舗で装置を取りつけることが可能です。
制度開始後は、取扱事業者を随時募集し、都民にご利用いただける店舗の登録を拡大してまいりました。
○清水委員 東京都は、昨年度から引き続き、本制度を今年度も実施しているとのことであります。都内の高齢運転者の方々の装置の取りつけが進むよう、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
さて、都内の自動車保有者数が約二百七十万台、そのうち七十歳以上の免許保有率が約一割弱であると考量しますと、対象となる高齢者の方の規模は約二十五万台と推計できます。
この中でも、免許を返納される方、この制度を利用して装置を取りつける方、制度を利用されない方が想定されます。都内での六十五歳以上の免許返納の件数を見ると、毎年、四万から六万の返納件数と見ることができます。
一方で、悲惨な事故を未然に防止するためには、この制度を多くの方に利用してもらうことが必要で、そのためにも対象となる高齢運転者が、各地域ごとにどの程度いるのかの具体的な情報の把握、警視庁との連携が重要だと私は考えます。
例えば、七十歳以上で免許更新をされる方全員が対象となる高齢者講習があります。地元では講習の予約が半年先などと声をいただいておりますが、この制度を利用して装置を取りつけた方には優先して講習の受け付けを行えるようにする、ディーラーなどの事業者店舗にて、お友達紹介--お友達に紹介の意味です、お友達紹介のパンフレットを配布するなど、利用していただくための工夫が考えられます。
最後の質問になりますが、装置を取りつけていない方々に制度を利用してもらうため、昨年度どのように取り組んだのかを伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、一人でも多くの高齢運転者に本制度を周知するため、ポスターやリーフレットを作成し、高齢者やその家族が足を運ぶ市区町村窓口や警察署、運転免許試験場や免許更新センター、取扱事業者の店舗などで配布いたしました。さらに対象となる高齢運転者に対し、制度の案内を店舗からも行っていただくなど、ディーラーなどの取扱事業者と連携しました。
今後も引き続き、対象となる都民の方の利用促進に取り組んでまいります。
○清水委員 ありがとうございます。
今後ともきめ細やかな対応をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございます。
○中屋委員 きょうは質問の事項に入っていませんけれども、今出ていましたが、防犯カメラについては、やはりまだまだ地域は設置増進ですから、地域の声も非常に高いわけでありまして、できる限り補助率の負担が地域に余りないように、前の比率に立ち戻っていただいて、しばらくの間は、設置増進型でやっていただきたいと、こう意見を申し上げます。
きょうは、子供の安全対策について質問したいと思います。
令和元年度決算審査に当たりまして、令和元年度を振り返ると、五月には神奈川県の川崎市で通学途中の児童生徒が被害に遭う痛ましい事件がありました。七月には京都で白昼のもと、大勢の犠牲者を出す凄惨な放火事件があった。やはり、こうした事件の前兆と思われる不審な事案が、地元の警察などの関係機関に速やかに通報されるような防犯意識が地域に根づいていることも大変大切なことであろうと思います。
そのいずれにとっても、地域の防犯ボランティアの方々の存在はかなめであると思います。しかしながら、私も長く地域の防犯ボランティアの方々にかかわっておりますが、高齢化や新たな担い手不足などさまざまな課題を抱えています。今後も継続的に活動を行うには、その効率化や活性化が必要だというふうに思っています。
都が今実施している防犯ボランティアの活動への支援について、まず伺います。
○斎田治安対策担当部長 都では、防犯ボランティア団体等の活動に資する情報の提供を目的に、地理情報システムを導入したポータルサイト、大東京防犯ネットワークを運用しております。
当サイトでは、各地域の犯罪や交通事故の発生状況等を防犯情報マップで確認できるほか、模範となる防犯団体の活動紹介や防犯イベント等を掲載するなど、防犯活動に有用な情報を発信しておりまして、昨年度の当サイトへのアクセス数は合計約十九万七千件と、多くの方々にご利用いただいております。
また、都では、防犯ボランティア同士の交流の場を設け、活動の活性化を図るため、防犯ボランティアを対象にした防犯ボランティアのつどいを開催しております。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、一回のみの開催ではございましたが、五十三名の方にご参加いただきました。防犯情報マップの活用講座のほか、ボランティア同士の意見交換の場を設けるなどして交流を深めていただいている次第でございます。
○中屋委員 インターネットなどのツールを活用するということは、時代に合った支援のあり方だと思いますけれども、既存の防犯ボランティアの方たちというのは、先ほども申し上げましたけれども、高齢の方も大変多くおられます。こうした方たちの支援がおろそかにならないように支援を継続していただきたいと、こう思います。
さて、既存の団体の効率化や活性化とともに、新たに活動の裾野を広げていくことも必要であろうと思います。
そこで、地域における防犯活動の裾野を広げていく防犯人材ソフトパワーの発掘事業、この令和元年度の実績について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、ランニングしながら子供たちや地域を見守る活動に協力してくださるランニング団体からの申請を受け、ランナーの方々に対して、LEDアームバンド及びリーフレットを配布して、地域の防犯にかかわる人材を発掘しています。昨年度は十八団体から申請を受け、約七百五十本のLEDアームバンド等を配布しました。
また、犬の飼い主を対象に、愛犬と散歩しながら見守り活動を行う、わんわんパトロールの普及に向けた取り組みを開始しました。昨年度は、わんわんパトロールに協力してくださる百八十四名の方に、パトロール時に携行するバッグとリーフレットを配布しました。
この方々へのアンケート調査を実施したところによりますと、回答者のうち約九割が、この取り組みにより、防犯活動への関心が高まったとの回答をいただいております。
○中屋委員 今はやりのランニングなどの趣味と防犯活動を結びつけて普及を図るということは、若い人たちにも受け入れやすい施策だと、こう思います。これによって、都民による防犯活動の裾野が広がっていくことを期待いたします。
また、地域で生活する都民とともに、地域で活動する事業者も地域を見守る主体として重要な存在であると考えています。
ながら見守り連携事業の令和元年度までの実績について伺います。
○斎田治安対策担当部長 都は、多くの方に地域を見守っていただき、防犯力を高めるため、地域に密着して活動する運送業などの事業者に、業務をしながら地域の安全を見守っていただく、ながら見守りの普及を図っております。
本事業は、趣旨に賛同した事業者の車両や店舗に、ながら見守りのステッカーを貼付して地域を見守っていただき、異常時の積極的な一一〇番通報や子供の安全確保等に協力していただくものです。
都はこれまで二十七事業者と連携しまして、車両用ステッカー、累計約五万五千枚を配布いたしました。
○中屋委員 今、お話ありましたように、やはり地域団体や地域の事業者、そういう方々と連携して進んでいるということをお聞きいたしまして、大変頼もしく思います。こうした長年防犯活動を続けていただいている方たちへの感謝の意を示して、顕彰していくということも重要であります。
私の提案によりまして、防犯ボランティアへの都民安全推進本部長表彰というのが平成二十八年度から始められました。令和元年度の実績と、改めてこの表彰に込められた思いをお聞きしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 令和元年度は、都民安全推進本部長から二十一団体及び三十三名の方に表彰状を、二十八団体に感謝状をそれぞれ贈呈いたしました。
防犯ボランティアへの都民安全推進本部長表彰の意義は、子供たちの登下校の見守りや青色防犯パトロールなど、日夜地域の安全・安心のために活動しておられる方々に対し、都として感謝の意を表するとともに、その活動にスポットを当て、都民の皆様の関心を高め、防犯活動の裾野を広げる大変重要な機会であると認識しております。
○中屋委員 今までいろいろと答弁いただいてありがとうございました。
やはり自分たちのまちは自分たちで守るという強い気概を持って、この防犯ボランティアは始まっているというふうに思っております。
ぜひ裾野が広がるように、また若い方々がこうした防犯ボランティアに参加を広げていただけるような、そういう施策に広がるように、我々も応援していきたいというふうに思いますし、ぜひ事業として、力を込めて頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○古城委員 私は、青少年・治安対策本部時代も含めまして、SDGsの橋頭堡的存在であると都民安全推進本部の事務事業について訴えてまいりまして、積極的に議論をさせていただいて、また具体的な施策提案を行ってまいりました。そこで、令和元年度東京都一般会計決算中、本部の所管分に関連して質問をさせていただきたいと思います。
まず、東京都若者総合相談センター、若ナビαについてであります。
情熱と力で次代を切り開く先頭に立ち、東京の新たな活力になっていくのは、青年、若者であります。しかしながら、学業や仕事、人間関係、結婚などのさまざまな悩みに直面し、将来に不安を抱く若者が少なくありません。こうした若者が夢や希望、また自分自身を見失うことなく社会発展の原動力となっていくためには、多様な不安や悩みを受けとめ、支えていく仕組みが必要です。
そこで、総合的な青年、若者相談窓口を設置するべきとの平成二十一年の予算特別委員会における都議会公明党の提案が、若ナビαの淵源であります。若ナビαの昨年度の相談受け付け状況についてお尋ねいたします。
○小菅若年支援担当部長 東京都若者総合相談センター、若ナビαでは、自分自身のことや仕事関係、対人関係など、若者のさまざまな悩みや不安を社会福祉士を初めとする専門家が丁寧に受けとめまして、若者の状況に応じて就労や保健、医療など、適切な支援機関につないでおります。
令和元年度は電話相談が七千百七十二件、メール相談が六百八十三件、来所相談が百八十四件でございまして、合計で八千三十九件の相談を受け付けております。
○古城委員 全国のSNS等を活用した相談体制の構築事業でも、SNSで相談を受けた後に電話や対面相談に移行、そして実際に支援機関につながったケースがふえていると仄聞いたします。若者にとって心理的なハードルが低いSNSの相談から適切な支援機関へとつなぐ役割をこれらの相談事業が担っているということがうかがえます。
そこで、若ナビαでも、より多くの若者に利用してもらうためには、SNSを用いた情報発信など、若者への効果的な広報と相談が必要であると繰り返し訴えてまいりました。
そこで、令和元年度に実施した取り組みについてお尋ねいたします。
○小菅若年支援担当部長 若ナビαにおきまして、より多くの若者の悩みを受けとめ支えていくためには、若者になじみのあるツールの活用等、さまざまな工夫により若ナビαを効果的に広報するなど、相談利用を促していく取り組みが重要でございます。
このため、区市町村の窓口や大学、専門学校の相談室などへのポスター、リーフレット等の配布に加え、スマートフォンでの検索に連動し、ワンタッチで若ナビαのホームページを閲覧できるウエブ広告を展開するとともに、当本部が開設しておりますツイッター等で若ナビαを紹介するメッセージを発信いたしました。
さらに、相談に当たっての心理的ハードルを下げ、若ナビαをより一層活用いただけるよう、SNSを活用いたしました相談について検討を進め、本年六月よりLINE相談を開始しております。
○古城委員 コロナ禍の中で多様な相談が行政機関の窓口だけでなく、支援者、支援機関にも寄せられています。今後は、支援者支援にも注力しなければならないと考えます。他の支援機関から頼られる存在としての若ナビαに期待をいたしますし、そして、ぜひとも、ハブ機能といったらいいんでしょうか、こうした機能の強化についても要望させていただきたいと思います。
今、本年六月から若ナビαでもLINE相談を開始したという答弁をいただいたところでありますけれども、さまざまな工夫の中で、私は都民安全推進本部のキャラクターである、みまもりぃぬの積極的な活用をこれまでも提案をしてきたところでございます。きょうも都民安全推進本部を後押しさせていただく立場から、みまもりぃぬのバッジをつけさせていただいているところでございます。
これまで、例えばLINEのアカウントであるとか、またこれからご紹介する、こたエールのホームページにも、このみまもりぃぬ、登場をしておりますけれども、大変、私は親しみやすいキャラクターでありまして、着ぐるみもあると聞いておりますので、なかなか着ぐるみの機会は今の状況下では難しい点もあるやもしれませんけれども、大いに、みまもりぃぬ、使っていただきたいと思っておるところでございます。
その上で、次は、こたエールについてであります。
私は、インターネット上のさまざまなトラブルを未然に防止するため、青少年や保護者を含めた周囲の大人を対象に、相談しやすい環境づくりや普及啓発などの対策を積極的に推進し、ネットリテラシーの向上に取り組むことを訴えてまいりました。
さらに、ことしの予算特別委員会で若ナビαでも行う方針を示す答弁を得たLINE相談につきまして、平成三十年三月の一般質問で、都の相談窓口においても多くの若者が利用するSNSの活用を訴えるとともに、わかりやすく相談しやすい体制を提案いたしました。
これを受けて、同年に、こたエールでもLINE相談が施行され、平成三十一年四月からは、同様にスタートした三局おのおので運用してきたアカウントを統合して相談窓口を一本化し、本格実施されております。
そこで、こたエールの令和元年度の相談実績についてお尋ねいたします。
○斎田治安対策担当部長 みまもりぃぬの応援、ありがとうございます。
令和元年度のこたエールの相談件数は、電話相談が五百六十七件、メール相談が四百五十三件、LINE相談が七百二十六件であり、合計で一千七百四十六件の相談を受け付けております。令和元年度は平成三十年度に比べ、電話相談で百九十一件の減少、メール相談で百九十四件の減少、そしてこれらにかわり、LINE相談が三百七十四件の増加となっております。
○古城委員 こたエールのいわゆる試しの、試行の段階から、当時は中学生を対象にした事業であったかと思いますけれども、本格実施がなされて、今このような形で着実にLINEにおいても相談実績が積み重ねられているという状況、確認をさせていただきました。
折しも、コロナ禍の影響でオンライン授業の実施や宅配の進展など、ネット利用の機会がふえております。スマホなどの利用方法を家族の間で、家庭で一緒に考える契機と捉えるべきであります。子供たちを狙う悪質な犯罪に加えて、にせサイトによる給付金詐欺や宅配業者の不在通知を装うSMSなど、不法行為の手口も巧妙化しています。子供も大人もリテラシーの醸成を図るとともに、ちゅうちょなく相談できる体制整備が喫緊の課題です。
そこで、相談者がより利用しやすい相談環境づくりのための取り組みについてお尋ねします。
○斎田治安対策担当部長 委員ご指摘のとおり、コロナ禍による外出自粛や学校閉鎖の影響からインターネット利用が増加したことに伴いまして、青少年やその保護者等がトラブルに巻き込まれる状況が見受けられます。
本年二月、三月では、相談件数が前年に比べて三割以上急増する中で、LINE自体が青少年にとっては使いなれたツールであることや、短文でテンポよくやりとりができるという利便性から、コロナ禍においても相談手段の中心になっています。
また、被害の未然防止の観点から、過去の相談事例をカテゴリー別に仕分け、手軽に必要な情報を確認できるようにするなど、青少年やその保護者等にとってわかりやすい内容をホームページで公開しております。
○古城委員 コロナ禍の中にあって、さらにLINE相談の利用がふえているということで、この事業、大変今の都内の状況において貢献をしているということを確認させていただいたわけでございます。
今、非常に多くの方がスマートフォンを持ち始めまして、オンラインを通じて家族でのやりとりをする、こういったこともふえてきておるところでありますけれども、一方で、手軽にそういったことができるデジタル端末を持つことによって、先ほど来申し上げているような犯罪被害に直面するような事態も、私もさまざまお聞きをしております。
そうした中で、先ほども申し上げましたが、両親の世代、もしくは祖父母の世代から、こういうものが来たんだけど、どうしたらいいんだろうということが、お子さんであったり、お孫さんであったり、そうした家族間の会話の中で、例えば、じゃあ、こういうこたエールというインターネットのトラブルに関する窓口があるから、ちょっとLINEも使えるようになったことだし、聞いてみたらどう、こういったことが期待をできるのではないかなと私自身考えているところでございますので、これからもこのこたエールの事業についても、しっかり取り組んでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、最後のテーマとして、東京都高齢者安全運転支援装置設置促進事業についてであります。
都議会公明党は、昨年六月知事に対して、相次ぐ高齢ドライバー事故が社会問題となっていることを踏まえ、高齢者の自動車運転の安全を確保するための急発進防止装置の装着に関する緊急要望を行いました。
生活上、自動車が必須の移動手段となっている高齢者の方々が安心して運転ができるよう、車の急発進防止装置の装着に対する都の補助事業を迅速に実施すること、補助対象年齢をシルバーパスの受給年齢と同様に七十歳以上とすることなどを求めました。
これを受けて、都は、昨年七月に急発進抑制装置の購入、設置の費用を補助する事業を開始しましたが、この事業の概要と昨年度の実績についてお尋ねします。
○斎田治安対策担当部長 都は、運転を続けられる高齢者ができるだけ早期に装置を設置できるよう、予備費を活用し、緊急対策として、後づけの安全運転支援装置の購入、設置に対する補助制度を昨年七月に開始しました。
具体的には、七十歳以上の都民を対象に、装置の購入、設置費用の九割、一台当たり十万円までを取扱事業者を通じて補助するというものでございます。
手続面では、都民の利便性も考慮し、設置の相談から申請、支払いに至るまでが店舗で完結する仕組みとしています。
設置を支援した台数は、令和二年三月末までで約一万六千台であり、決算額は十億五千七百万円でございます。
○古城委員 昨年九月の総務委員会での取扱事業者は都民安全推進本部のホームページでわかる旨の議論を聞きまして、対象となる七十歳以上の高齢者の方が果たしてわかりやすいのかということについて、率直に疑問を抱いたところでございます。
当時、取扱事業者の住所や連絡先はPDF形式で表示されており、それは事業者グループごとに、当時は十のファイル、延べ二十一ページにわたっていたからであります。すぐさま直後の質問機会に、高齢者にとっては相当な負担となることを指摘し、よりわかりやすい事業者の周知方法の検討を訴えました。
担当部長からは、どういった工夫ができるのか検討する旨の答弁がありまして、その後、担当課長にエクセルでの一覧や、それをグーグルマップで活用する方法など、実際に示して改善を求めてきたところでございます。
そこで、具体的にどのような工夫を行ったのかお尋ねします。
○斎田治安対策担当部長 安全運転支援装置の設置に当たって、都民には取扱事業者に相談いただくようご案内しておりまして、都民安全推進本部のホームページ上で事業者の一覧を掲載しています。
制度開始時の七月時点では、計七事業者、全三百五十七店舗について、事業者別の一覧を表示しました。その後も事業者数及び店舗数が増加していることを踏まえ、事業者別の一覧に加え、区市町村別の一覧や地図から店舗が検索できる機能を追加いたしました。
今後も引き続き、対象となる都民の方が利用しやすい補助制度の運営に取り組んでまいります。
○古城委員 よりわかりやすい周知の方法ということで改善をしていただいて、また工夫を凝らしていただいたことについて、評価をさせていただきたいと思います。
先ほど答弁がございましたけれども、昨年度は約一万六千台であったところ、今年度に入りまして、感染拡大による外出自粛などの影響で申請が大幅に減少しておりました。また、島しょ部での事業の普及がおくれていたことから、都議会公明党は、第二回定例会の代表質問で、当初は八月三十一日までだったこの九割補助期間の延長を提案いたしました。これを受けて現在、今月三十一日までとなっております。
まずは、この期限までに、そしてこの事業を活用して、一人でも多くの高齢ドライバーの安全対策が進むよう、本部として積極的に取り組むことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○里吉委員 それでは、私からは、まず初めに、ハイパースムーズ東京について伺います。
平成二十年度から二十七年度まで実施したハイパースムーズ作戦は、既存の道路を生かして都内の渋滞の著しい箇所を集中的な対策を行うことで、慢性的な交通渋滞の解消を目指す取り組みとして実施され、三十路線区間を対象として信号制御の高度化など集中的な対策が実施されました。
報告書を私も読ませていただきましたが、この三十路線全体のピーク時旅行時間、三・八%減少、さらに日中の平均旅行速度、二三・六%上昇など効果が明らかになっております。この結果も踏まえて、平成二十八年度から五カ年の予定で、今ハイパースムーズ東京を実施されていると思います。
ここでは昨年度の実績を伺いたいんですが、事業実績二十六カ所というふうに書かれておりますが、どのような対策を行ったのか、まず伺います。
○斎田治安対策担当部長 ハイパースムーズ東京は、平成二十八年度から令和二年度までの五カ年で、多摩地域を含む都内全域の主要渋滞交差点から百カ所程度に対策を実施しております。
令和元年度は、交通量を予測し最適な信号制御を行う需要予測信号制御など信号制御の高度化を計五地点で実施いたしました。また、目的地までのルート別混雑状況や所要時間等を表示する交通情報板を計四地点で整備したほか、赤色カラー舗装などを実施いたしました。
これらの箇所について、直接対策を行った主要渋滞交差点、また、その対策が渋滞緩和に寄与すると見込まれる他の主要渋滞交差点、それぞれの数を合わせまして、令和元年度の実績として計二十六カ所を計上しております。
○里吉委員 ただいまご答弁いただきましたが、信号制御の高度化については五地点で、また交通情報板については四地点で、それぞれ取り組んだということでした。
具体的なその内容と場所、これらの取り組みの決算額をあわせて伺います。
○斎田治安対策担当部長 信号制御の高度化につきましては、需要予測信号制御を多摩市乞田新大橋交差点に加えまして、リアルタイム信号制御を府中市西原町一丁目交差点等二地点、右折感応制御を国立市の国立インター入り口交差点等二地点、合計五地点で実施いたしました。
交通情報板につきましては、世田谷区の南烏山のほか、大田区の羽田空港や京浜島、計四地点で整備いたしました。
信号制御の高度化及び交通情報板の整備の決算額は、計約一億二千八百万円でございました。
○里吉委員 今、教えていただきましたが、私の住んでいるすぐ近くにも交通情報板がついておりまして、こういうことで交通渋滞がどこで起きるかわかって、自分で選べるんだなということがわかりましたし、信号の高度化ということで、新しい迂回道路をつくるということよりは、時間的にも、それから金額的にも、ぐっと早く安くつくれるということで、これだけで解決できるということではないということはもちろんあるんですけれども、こういうことを取り組んでいくことで成果が出ているということを確認させていただいたと思います。
今、紹介していただいたところに多摩地域が幾つか入っておりました。最初のハイパースムーズ作戦では、多摩地域が入っていませんでしたけれども、今回は多摩地域にも広げて行っているということで、この経緯と多摩地域での具体的な取り組みの実績について伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 平成二十年度から平成二十七年度まで実施したハイパースムーズ作戦は、区部の三十路線を対象としていたのに対しまして、ハイパースムーズ東京では、対象を都内の主要渋滞交差点から選定することとしておりまして、多摩地域の主要渋滞交差点も対象として含まれます。
なお、ハイパースムーズ東京に関して、平成二十八年度から令和元年度までの多摩地域での取り組みといたしましては、信号制御の高度化が計二十八地点、交通情報板の整備が一地点、区画線の設置が一地点となっております。
○里吉委員 多摩地域でも一定の政策、対策がとられてきたことが確認できました。ハイパースムーズ東京は今年度までの計画とのことですが、今後も交通渋滞解消に向けて、引き続き効果的に取り組んでいただくよう要望し、この質問を終わります。
続きまして、若者支援施策について伺ってまいります。
まず初めに、昨年度の若年支援施策の決算額について、若ナビαなど若者総合相談支援事業、そして地域における若者自立等支援体制の整備について、それぞれ伺います。
○小菅若年支援担当部長 令和元年度の若ナビαの運営を含む若者総合相談支援事業の決算額は七千七百十万二千円でございます。
また、令和元年度の子供・若者自立等支援体制整備事業の決算額は四百万円となっております。
○里吉委員 住民に身近な地域、区市町村での若者の自立支援のための体制整備、これは大変重要だと思います。先ほど若ナビαについての質疑はありましたけれども、私、こちらの子供・若者自立等支援体制整備事業について伺っていきたいと思っております。
決算額、昨年度は四百万円ということでしたけれども、改めてこの事業の目的について伺います。
○小菅若年支援担当部長 本事業は、区市町村に対し、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供、若者を対象とした自立等支援体制整備への補助を行うことにより、支援体制整備や支援活動が推進されることを目的として実施しております。
○里吉委員 ご答弁いただきましたが、いろいろな困難を抱えた子供、若者の自立支援体制を整備すると。具体的にどんなことをするのかということですが、私の住む世田谷区でもさまざまな取り組みを行っていますが、この制度をうまく活用している品川区について私も学ばせていただきました。
品川区は、何回かこの制度を使いながら、子ども・若者計画を策定したり、子とも・若者応援事業を展開しております。その中で、現在、草の根で子供支援のいろんな活動をしているNPOや任意団体など八団体が集まってネットワークをつくって、子ども若者応援フリースペースというのを設置していると。さまざまな生きづらさを持つ子供、若者と、その家族を応援する取り組みを進めている。
今ご紹介いただきました東京都の補助事業、補助のお金も使って、こういう取り組みが各自治体で行われているということ、非常に重要だというふうに思います。
一点、私ここで申し上げておきたいんですけど、私、ひきこもりの事業だと思っていたんですね。しかし、よくよく話を聞きますと、子供・若者計画で基本方針に述べられている社会的自立に困難を有する子供、若者と、その家族への支援ということで、いわゆるひきこもりは違うところに所管が変わりましたけれども、やっぱりこの困難を抱えた若者への対策ということは、ここの担当だということで、この事業が残っているということがわかりました。
社会生活を円滑に営む上で困難を有する子供、若者、これはいろんなメニューがあって、いろいろな事業が行われているということなんですけれども、先ほど決算額は四百万円だけだったんですけれども、もう少しさかのぼって過去三年間、さまざまな補助メニューごとにどのような実績があったのか伺いたいと思います。
○小菅若年支援担当部長 平成二十九年度は子供、若者の支援事業に一件、子供・若者支援地域協議会の設置に三件、子供・若者計画の策定に三件の計七件を補助しております。平成三十年度は子供、若者の相談体制の整備に二件、支援事業に四件、計画策定に二件の計八件を補助しております。令和元年度は相談体制の整備に二件を補助しております。
過去三年間のメニューごとの合計は、相談体制の整備に四件、支援事業に五件、協議会の設置に三件、計画の策定に五件となっておりまして、全体で十七件となっております。
○里吉委員 昨年度の実績だけ見るとわかりませんでしたけれども、過去三年間で見ると、さまざまなメニューが活用されているということがわかりました。
このような事業は、都内全ての自治体で取り組んでいただきたいと思うんですけれども、どれだけの自治体で活用されたのかというのが大事だと思うんですね。
これは平成二十三年、二〇一一年から始まったと伺っておりますが、この間、地域における子供・若者自立等支援体制整備事業、補助を利用した自治体はどれぐらいになるのか伺います。
○小菅若年支援担当部長 令和元年度までに十三区九市二町の計二十四の自治体が補助事業を利用しております。
○里吉委員 制度スタートから十年ほどですけれども、二十三区では半分ちょっと使っていますが、市町村ではまだなかなか利用しているところが少ないということが気になります。先ほど紹介した品川区は、別々のメニューということで三回使っておりました。一方、こういった補助があってもなかなかそこまで手が届いていないという自治体も多いのが実態ではないかと思います。
そこで、こうした品川区の例を今紹介しましたけれども、すぐれた例や、さまざまな自治体の取り組みをほかのまだ使っていない自治体も含めて広げていくこと、全都に伝えていくことが重要だと思います。
地域における子供・若者自立等支援体制整備事業の実施要綱というのを見ましたら、事業の成果を他の区市町村にも還元するというふうにありました。これ毎年どのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。また、ここの対象は補助を使った自治体だけなのか、使っていない自治体も参加してもらって行っているのか、あわせて伺いたいと思います。
○小菅若年支援担当部長 都は、毎年区市町村の担当者が集まる情報交換会等を開催しておりまして、その中で事業の成果を他の区市町村に還元できるよう、補助事業を活用した自治体が当該事業の実施状況や課題の発表を行っております。
こうした機会の参加につきましては、補助活用の有無にかかわらず、全区市町村に呼びかけております。
○里吉委員 補助活用の有無にかかわらず、全区市町村に呼びかけているということで、まだ本格的に若者支援事業に取り組めていない自治体にも参加をしてもらって、いろんな成果を学んでもらえる、そういう場にぜひしていただきたいと思います。あわせて、やはり都からの補助がこれでは足りないのではないかなと私は率直に思います。
また、メニューごとに使えるとはいっても、これ、継続的に出る補助金ではありませんし、補助の上限も、金額もなかなか少ない。これ、大きな課題じゃないかと思っています。
全自治体で子供、若者支援の事業を進めていくために、さまざま工夫をしていっていただきたいと思いますが、これ、一自治体四百万円で二分の一補助なんですよね。この金額とか使い勝手については、昨年度、区市町村から都に対して意見や要望など寄せられていないのか伺いたいと思います。
○小菅若年支援担当部長 都は、子供、若者の施策について、各自治体と情報交換等を行っておりまして、自立等支援体制整備事業補助の活用の意向などについても調査を行っております。
昨年度は、相談体制の整備に関し、補助の増額を希望する旨の意見がございました。都では、補助事業の目的や、こうした意見を勘案しながら検討を進め、令和二年度から相談体制整備に係る補助の上限額を引き上げております。
○里吉委員 今年度から相談体制整備に係る補助については、上限額を引き上げたということがわかりました。昨年度は相談事業への補助、これを使ったのが二件のみでしたけれども、これで今年度活用が広がるか、ぜひ注目しておきたいと思います。そして、引き続き、各自治体からの要望をよく吸い上げて対応していただきたいと思います。
そして、最後の質問ですけれども、今お話しした施策以外に、私、要綱とかいろいろ見たんですけれども、子供・若者計画を所管しているところであるにもかかわらず、余りにも若者支援のメニューが、ちょっと少ないのではないかなというふうに考えます。
主権者として若者の社会参加を促す取り組みや、特にスポーツや音楽や文化などを含めた十代後半から二十代、三十代の自己実現ができる場の確保など、いろいろなメニューが求められていると思います。
若者支援の施策をもっと豊かに発展させていただきたいと思いますが、都の見解を伺います。
○小菅若年支援担当部長 子供、若者の育成支援に係る施策は、教育や福祉、雇用など幅広い分野に及ぶものでございまして、所管する関係各局等におきまして、それぞれの分野の事業が推進されております。
東京都子供・若者計画は、これらの中から施策を集めて一覧化することで取り組みの状況を示すとともに、施策を進めていく上での視点を示して、子供、若者育成支援を効果的に推進していくことを目指しております。
当本部といたしましては、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供、若者に対する支援を効果的かつ円滑に実施することを目的といたしました東京都子供・若者支援協議会などを通じまして、関係機関等と連携を図り、子供、若者施策の推進を図っております。
○里吉委員 この子供・若者計画、施策を集めて一覧化することで取り組みの状況を示すと、そして施策を進める上での視点を示しているというご答弁いただいたんですけれども、一覧にした上で、必要な--ここはちょっと足りないなとか、こういうふうに工夫した方がいいんじゃないかなというところは、主管局としてぜひ検討していただきたいなというのが率直な私の思いなんですね。
もうこれ、意見だけにしておきますけれども、子供・若者計画、ことし四月から第二期がスタートいたしました。計画施策の趣旨、読ませていただきましたが、全ての子供、若者が健やかに成長し、円滑に社会生活を営むことができる社会の形成を目指す云々とあります。生きづらさを抱えている子供だけの施策をやればいいということではないと思うんですね。
それから、これ私一番すばらしいなと思ったんですけれども、施策推進の視点1のところで、一人一人の子供、若者の最善の利益を尊重する視点とあって、支援に当たっては、子供、若者を大人とともに生きるパートナーとして捉え、その能動性を引き出すため、当事者である子供、若者の目線に立って意見を聞き、その年齢や発達の程度に応じて最大限尊重し、支援に反映させていく姿勢が重要だというふうにあるんです。
これは本当に大事な視点だと思うんですが、今、子供・若者計画に示されているメニューを行っているそれぞれの所管がこういう視点に立って、本当に一つ一つの施策を行っているかというと、そこはなかなか疑問ではないかなというふうに思うんです。ですから、ここの所管の果たす役割が大きいんじゃないかと思います。
私、以前の決算委員会でも述べたんですけれども、子供たちにとって学校や家庭以外の場での若者が活躍できる場所とか居場所とか、そういう場が本当に少ないんですね。東京都が主体的に子供が活躍できる場を用意していただきたいというふうに思います。
そういう点では、せっかくこういった計画をスタートさせているので、今、きょう質疑した自治体への補助を通じて、生きづらさを抱える子供への、若者への支援も重要ですけれども、国内で最も多くの子供、若者が住んで、学んで、働いている東京都として、もっと主体的に子供、若者が中心の施策を、ぜひ取り組んでいただきたいということを求めまして、私の質問を終わります。
○奥澤委員 都民安全推進本部の取り組み、交通安全、治安対策、若者支援と多岐にわたっておりますけれども、これは総務局が中心になって取りまとめている政策評価シートを読ませていただきまして、質問をつくっております。
全ての取り組みについて指標を設定して取り組んでいるという部分は、実はこれは他局以上にシビアな目線でみずからの取り組みを見ていこうと、そういう姿勢がうかがえるということが、まず感じ取ることができました。
また、これも総務局がやっていることですけれども、国際競争力強化プロジェクトにおいても、安全・安心をつくるための政策立案に真摯に取り組もうという姿がかいま見えまして、この数年で組織体制の再編もあった中で、自律的な改革を進めていかなければいけないということを皆さん自身が感じて、取り組んでおられるのだろうというふうに思います。
まずその中で、交通安全の取り組みについてお伺いしたいと思います。
政策評価シートを読みますと、高齢者の交通事故死者数は目標が未達成、子供の交通事故死者数は目標を達成という状況です。警視庁の資料を拝見しますと、高齢者の方が子供よりも自転車事故が増加していることがうかがえるようです。子供には、例えば学校などで一斉に安全な自転車利用に関する指導を行うことができる環境がありますが、高齢者にはそのような機会がとりにくいのではないかというふうに考えます。
そこで、高齢者の自転車利用の安全性を高めるための取り組みと実績についてお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 高齢者の自転車利用時における交通安全の確保は重要な課題であり、市区町村等と連携して、参加、体験型の交通安全教育の充実などに取り組んでおります。
具体的には、主に高齢者を対象とする取り組みとして、市区町村主催の交通安全イベント等において、自転車シミュレーターを用いた交通安全教室を開催しておりまして、令和元年度は三十五の市区町で延べ五十二回、四千三百六人が参加しました。
また、運転免許返納者を初めとした高齢者を対象に、自転車の交通ルールに関する講義や電動アシスト自転車体験などの実技を組み合わせた講習会を三回開催しまして、六十六人が参加しました。
さらに、高齢者向けの自転車安全利用リーフレットを作成し、ホームページに掲載するとともに、市区町村や警察署のほか、シルバー人材センターや老人クラブを通じて約十一万五千枚を配布いたしました。
こうした取り組みを通じて、高齢者の自転車利用時における交通安全を推進しております。
○奥澤委員 地域の皆さんのお話を伺いますと、運転免許を返納された方の中には、その後自転車の利用を中心にしようと考えていらっしゃる方も多くいらっしゃいます。
運転免許の返納と自転車の安全利用の講習、今、昨年は三回開催したというお話がありましたけれども、これを必ずセットで行うような工夫を講じていただくと、安全性、高まるのではないかと思いますので、ぜひご検討ください。
次に、治安対策についてお伺いします。
高齢者自身が犯罪を犯すことを防ぐための取り組みについてお伺いします。
平成三十年の犯罪白書の刑法犯検挙人員、年齢層別、高齢者率の推移を見ますと、平成十年には四・二%だった高齢者率が、平成二十九年には二一・五%となっています。刑法犯検挙人員が大きく減少する中で、高齢者の検挙人員は変わらずにいるのがその原因だと考えられます。
検挙された内容としては万引きなどの窃盗が大半を占めますが、その理由としては、経済的困窮だけでなく、孤独感や孤立感、あるいは認知症などの影響もあるというふうにいわれています。また、再犯につながってしまうケースも多く、これは実際に中にいらっしゃった方から聞いたお話ですけれども、刑務所の中にいた方が安全だというような趣旨のお話をしていて、あえて再犯をする方もいるということです。
一人一人の状況に応じた取り組みをしなければ、こういった再犯を防ぐことはできないということを強く考えなければいけません。そのような状況を踏まえると、都民安全推進本部では一昨年に高齢者万引き相談を開始して、昨年は高齢者よろず犯罪相談を行っています。
そこで、高齢者よろず犯罪相談における相談件数と相談内容についてお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、令和元年七月から十二月まで、万引きなどの犯罪をしてしまう高齢者やその家族等からの相談を受け付け、適切な支援機関等をご紹介する高齢者よろず犯罪相談窓口を設置しました。
相談件数は全部で百十三件であり、うち約四割が万引きを繰り返してしまうことへの悩みに関する本人や家族等からの相談でした。
事業の実施に当たっては、高齢者にもわかりやすいチラシやポスターを作成の上、市区町村窓口における配布や、駅やスーパーへの掲示などにより、広く窓口の利用を呼びかけたところです。
○奥澤委員 昨年の相談件数は百十三件ということで、数だけを見てしまうと多くはないのかなというふうな率直な印象があります。しかし、相談によって犯罪に手を染めずに、あるいは早い段階で踏みとどまることができたのだとすれば、これは重要な取り組みであるというふうに思います。
特に、なぜこの万引き相談というのを始めたかというのは、たしか振り返ると、万引きが入り口になると。その後の大きな犯罪につながる手前でとめるためには、そこでしっかりと見つけるんだといったことがたしかあったんだったと思います。
ことしは、その形が犯罪お悩みなんでも相談というふうに変えて、より広く相談をしやすい体制を整えているというふうに聞いていますが、これは来週いっぱいぐらいですかね、十月末日をもってこの事業は終了してしまうというふうに聞いています。
新型コロナウイルスの影響で経済的な困窮、あるいは孤独感、孤立感といったものは広がっている状況にあると思います。今こそ必要な事業になるのではないかと考えておりますので、予算の問題等々あると思いますけれども、事業が少しでも長く継続できるように求めたいと思います。
高齢者の再犯の話を今はしましたけれども、ここからは非行歴のある若者の立ち直り支援についてお伺いをします。
先ほどもお伝えした国際競争力強化プロジェクトでは、オランダの再犯防止の取り組み、あるいはスウェーデンの非行歴のある若者の立ち直り支援について調査をしているようですが、自治体や警察、福祉、心理、検察、矯正、更生保護等の多様な分野の専門職が連携して取り組んでいるセーフティーハウスというものの記載がありまして、これは大変興味深く読ませていただきました。
また、再犯防止に有効な取り組みとして、社会全体の理解を促進することや、就労や住居の必要性が述べられておりまして、これも重要です。とりわけ就労に関しては、経済面の自立だけではなくて、社会とのつながりを生むという点でも非常に重要でして、都としては保護観察対象少年の臨時職員雇用や協力雇用主制度の普及啓発に取り組んでいることは評価しています。一方で、刑務所在所中から就職後のアフターケアまで継続的な支援ができているのかという点では、まだまだ不足している視点ではないかというふうに思います。
これは民間の取り組みではありますが、ヒューマン・コメディという会社の代表の三宅晶子さんという方は、受刑者専用の求人情報誌のチャンスというものを創刊し、年四回、全国の刑務所、少年院、更生保護施設など約二百四十カ所で無料配布をしているそうです。
都としても、こうした取り組みと連携するなどして、非行歴のある少年の立ち直り支援、さらに積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えています。
ここでは決算審議ですので、今の民間と連携すべきという点についての見解はお伺いしませんけれども、非行歴のある少年の立ち直り支援について、これまでの取り組みと成果、そして課題についてお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、平成二十九年度より非行少年の立ち直り支援に携わる民間支援団体の支援力の向上等を目的とした研修会を実施してまいりました。こうした団体の中には、非行少年の支援に特化した活動を行っている団体というのは数少なく、また規模も小さな団体が多いため、単独での支援や知見の蓄積にも限界があるものと認識しております。
そうした課題を解消するため、平成三十年度からはグループディスカッションを導入し、団体相互の連携を促すとともに、情報共有が図られるようにしております。
また、令和元年度は七十三名の参加を得て、協力雇用主等の講演を実施し、雇用の現場における支援の現状を情報提供することを通じ、非行少年の立ち直り支援に取り組む団体を後押ししております。
○奥澤委員 ありがとうございます。
支援団体や協力雇用主への支援を行っているということで、これはより一層の取り組みをお願いしたいと思っています。
実は私も、その民間支援団体の一部になると思いますけど、保護司の申請をつい先日させていただきまして、これから審査にかかるものと思いますけれども、一人一人が社会の中でできることをやっていくということを醸成していく、そういった機運を醸成していくように、ぜひとも皆さんのお力を発揮していただきたいというふうに思います。
続いて、次は、若者を犯罪に巻き込まれてしまうケースから守るための取り組みについてお伺いしたいと思います。
本年三月の予算特別委員会の総括質疑で、宮坂副知事に私からお伺いをしました。その中で、やはり今後デジタル化を進めていこうとか、若年世代からスマホを使ったりだとか、そういった環境の中で、今後はプログラミング教育の実施に合わせて、犯罪の被害等から身を守るための情報リテラシー教育にも取り組んでいくと、あるいはSNSのデータ分析などを使った最新のテクノロジーなども利用して、犯罪防止に役立てていくというお話がありました。
スマート東京というと便利になっていくというものもありますけれども、危険もふえる可能性がある。ただ一方で、その危険を防ぐ手段としてもあるということが副知事のお言葉からあったんだというふうに理解をしています。
改めてお伺いしますけれども、青少年をインターネットに起因する各種犯罪から守るため、これまでの取り組みについて改めてお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、インターネットの適正利用や性被害等防止対策について学ぶ啓発講座、ファミリeルールを運営しておりまして、青少年を初め、保護者等に対しても、インターネット上のトラブルや危険性をより身近な問題として理解を深めていただくよう講座を実施しております。
令和元年度は五百九十二回開催し、約十一万一千人が受講いたしました。また、携帯端末等の推奨制度を行っており、青少年のインターネットの利用に伴う危険性の除去に資するものとして、青少年を健全に育成する上で有益であると認めるアプリ等について推奨しております。令和元年度は疑似体験型アプリ二つを推奨いたしました。
さらに、若者がSNS利用によるさまざまなトラブルや被害等に関する動画等をみずから制作することで、SNSの適正利用に対するみずからの意識啓発を図ること等を目的に、SNSトラブル防止動画コンテストを開催しておりまして、令和元年度は百九十五作品の動画、百七作品の静止画の応募があり、動画部門七作品、静止画部門三作品の表彰を実施いたしました。
○奥澤委員 ありがとうございます。
今、若者自身が動画を作成して、啓発を行っていくようなお話がありました。私も、なかなか若者と話をしていると、価値観が大分変わっているといいますか、彼らに届くメッセージがなかなかつくれないなと悩むことも多いんですけれども、やはり当事者につくってもらうことで、より一層高い効果を発揮するような取り組みになることを期待したいと思います。
昨年度の決算の特別委員会においては、我が会派の森澤委員の方から、成果をはかる指標についてもしっかりと今後組み込んでいくべきじゃないかという問題提起をさせていただいておりました。今のお答えでは、アウトプット指標、つまり何をやったか、何回やったか、何人が来たかというようなことの指標については、数字を示していただきました。
これ、二年前、三年前だったでしょうか、私が事務事業質疑等に取り組んでいたときには、総務委員会の方ではなかなか数字も出てこなかった時期もあったなということを考えると、大きく変わってきたということは認めるものの、さらにいうと、実際に参加した人、あるいは先ほどの動画を見た人がどういうふうに意識が変わったのか、行動が変わったのかというところまで、ぜひとも追いかけていただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。
さまざまな取り組みで啓発を行っていることはわかりましたけれども、犯罪自体も巧妙化しておりまして、どうしても防げないケース、巻き込まれてしまうケースも少なくありません。そのような際には、若者が罪の意識にさいなまれることなく、相談できる先を用意しておくことも大切です。
そこで、インターネットに起因するトラブルを抱えた青少年やその保護者に対する対応について、取り組み状況をお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、青少年が架空請求や各種SNSに関するトラブルに巻き込まれるケースがふえていることを踏まえまして、青少年やその保護者等が気軽に相談できる窓口、こたエールを運営しております。
令和元年度のこたエールの相談件数は、電話相談が五百六十七件、メール相談が四百五十三件、LINE相談が七百二十六件であり、合計で一千七百四十六件の相談を受け付けております。
○奥澤委員 多くの相談がやっぱり寄せられているということで、また、ホームページも見させていただきますと、統計表が出ていまして、LINE相談の年齢層や相談内容の推移、こうしたことも見てとることができました。
ここに寄せられている相談、これはもちろん今すぐに解決に向けて動かなければならないことであると同時に、先ほどの前段でお伺いしました啓発をしていく上でも、その内容を精査していく、ブラッシュアップしていく種になるものだというふうに思っていますので、この相談内容の精査をして、今後の施策に生かしていただきたいと思います。
この後、実は二点、見守り活動と若者支援体制の整備に向けた質問を二点する予定だったんですけれども、こちらは重複しましたので、質問自体は割愛をさせていただきたいと思います。意見だけさせていただきます。
まず、地域の見守り活動につきましては、昨年六月に実施された都民生活に関する調査においても、都民ニーズの高い分野の第二位が治安対策、その中でも最も高いニーズが子供等に対する犯罪が起こりにくい環境の整備でありました。この実現に向けては、先ほど中屋委員からもお話ありました、社会全体で子供を見守っていく、この姿勢をいかに醸成していくのかが非常に重要だと思います。
国際競争力強化プロジェクトで視察されたアメリカの取り組みにおいては、防犯カメラ等をただ置いているだけではなくて、抑止力を高めるために、スマイルマークだったですかね、ここに防犯カメラがあるんだということを示していく、そういったことも価値があるというようなこと、あるいは企業等と連携して見守り活動をしていくことの有効性というのが書かれておりました。これを視察で終わらせることなく、しっかりと都政に還元していただく、ここまでしっかりとやっていただきたいということを申し述べておきます。
そして、もう一つの子供・若者自立等支援体制整備事業につきましては、先ほど里吉委員からかなり深く質問がありまして、ブラッシュアップを図っていただきたいというお話がありました。こちらも区市町村の意見だけではなくて、社会情勢も大きく変化していっていると思います。
若者を取り巻く環境は、日に日に変わっています。こういったことを見きわめながら、取り組みの改善を重ねていただきたいということを私からもお願いをして、質問を終わりたいと思います。
○斉藤委員 私からは、登下校区域防犯カメラ設置補助事業と最近の防犯カメラの新しい制度について、そして自転車の保険加入に関して、中心に質問させていただきます。
コロナ禍におきまして、徐々にイベントや観光などさまざまな経済活動が再開し始めまして、まちに活気が少し戻ってきておりますけれども、三密にはしっかり気をつけていただきながらですが、逆に、今度いらいらしている人が大変ふえている、ストレスを非常に感じているのではないかということで、子供などが公園で遊んでいても、突然どなり声を上げて、何やっているんだということで、子供が深く傷つくようなことも出てきておりますので、そういった観点からも、コロナ禍における見守りというのは、また違った角度で進化させていかなきゃいけないかなと思っております。
そんな中で、東京都では、通学路等における見守り活動を補完するために、防犯カメラの設置費用について補助を実施しています。昨年度から、都議会公明党の要望を受け、登下校区域における防犯カメラへの補助事業が始まりました。
そこで、この登下校区域における防犯カメラ設置補助事業の意義と概要について伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 地域の安全・安心の確保につきましては、防犯ボランティアによる見守り活動の推進とあわせ、防犯カメラ等の防犯設備に対する補助を実施し、ソフト、ハードの両面からの対策を推進しております。
都は、通学路における子供の安全確保のため、平成二十六年度から三十年度まで、区市町村に対し、公立小学校の通学路に設置する防犯カメラの整備費用について補助を実施いたしました。
令和元年度には、学校から放課後児童クラブ等への経路も補助対象とするなど、通学路防犯設備整備補助事業を拡充し、子供の安全対策が必要であると区市町村が認める箇所への防犯カメラの設置経費について補助を開始いたしました。
○斉藤委員 大変にありがたい防犯カメラの設置事業でございまして、私は、目黒区に選挙区がございますけれども、自分の地域は比較的商店街とか町会、自治会活動が活発でありまして、なかなか人目につかないようなエリアが少ないんですけれども、多摩エリアになりますと、例えば川の横を通学路にしていたり、電灯も必ずしもきちんと明るい電灯がなかったりする中では、私はこの登下校区域の防犯カメラというのは、非常に多摩エリアでも有効であり、安心が広がっているというふうに考えております。設置はまだまだ足りないということがございますので、ぜひ積極的にやっていきたいと思います。
ただいまご答弁あったように、子供の下校、放課後の過ごし方が多様化してきておりまして、通学路にとどまらない、いろんな通い事があったり、さまざま子供たちの行動も多様化していますが、子供の安全対策が不可欠だと考えます。こうした観点から、都議会公明党といたしまして、この事業に大変期待しているところであります。
そこで、令和元年度でどの程度整備が進んだか伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 令和元年度は十九の自治体が活用し、二百九十九校に対し五百三十四台を補助しております。このほか、公園への防犯カメラの設置補助、地域のボランティアや民間事業者とのながら見守り連携事業等により、地域による子供の見守り活動を推進しております。
○斉藤委員 この登下校区域の防犯カメラの設置補助事業は、来年度までの事業と聞いておりますけれども、区市町村と連携して積極的に整備を進めていただきたいと思います。碑文谷公園でも大変刑事事件になるような事件もありまして、公園などそういったところも非常に防犯意識の注意が必要なところでございます。
次いで、防犯カメラの維持管理補助事業について伺いたいと思いますが、東京都は昨年度から新たに防犯カメラの保守点検、そして修繕を対象とした維持管理補助制度を創設しました。先ほどそういったことが懸念されるので、設置がなかなか進まないというお話がありました。これができてきております。
改めて、この補助事業の意義と概要、補助実績について伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、地域の防犯力維持向上に取り組む町会、自治会、商店街等を支援するため、防犯カメラの維持管理経費のうち、継続利用に資する保守点検費、修繕費について補助を行う防犯設備維持管理経費補助事業を新たに開始しました。
令和元年度は十二の自治体が活用し、保守点検、修繕を合わせ九百四台について補助を実施いたしました。
○斉藤委員 ありがとうございます。
せっかく設置した防犯カメラも、ふぐあいや故障が発生していれば、その機能を十分に果たし切ることができない、逆に安心してしまって、かえって防犯意識が落ちてしまうような悪循環になってしまいます。
定期的な保守点検や故障した防犯カメラの修理は、地域の安心・安全のために必要不可欠であり、いざというときのためにこうした制度を用意しておくことが重要だと思うわけでございます。
地域の安全は行政や民間事業者、地域の皆様が連携してその確保に努めなければならないと思います。子供たちを初め、都民の皆様が笑顔で日々過ごせるよう、都議会公明党としても地域の安全・安心を守るための防犯カメラ等への補助事業を確実に実施していくよう要望して、次のテーマ、自転車の話に移りたいと思います。
自転車の保険加入促進に係る普及啓発について伺いたいと思いますが、我が党はこれまで、東京都とともに自転車の安全利用を推進してきたと自負をしております。
私も平成二十一年に初当選でございますが、最初にこの自転車の政策、これ、ぜひやろうと思って当選した一人なんですけれども、平成十九年に東京都としては非常にすぐれた調査結果、実はもう出てきておりました。それを見たときに、誰が自転車の問題を解決するかと、責任の所在が明確じゃなかった。したがいまして、その後の私のこの十年間は、その責任の所在を明確にしていくことが非常に重要であるという課題意識を持っておりました。
そうした中で、東京都は自転車の安全利用条例の制定や自転車の安全利用推進計画などの策定において、都の責任、責務、それから都民の責務、事業者の責務など、そうした責任主体を明確にして、みんなで責任を全うしていこうじゃないかということで、自転車施策、この十年間の間に東京都は随分進んだのではないかと思っております。
自転車安全利用を積極的に進めていることは大変に頼もしいことでございます。その中でも、昨年九月に自転車安全利用条例を改正して、私はこれは画期的なことだと思うんですけれども、自転車保険等の義務化にかじを切ったことを高く評価するものでございます。
また、令和二年三月には、自転車の安全利用に関するアンケートを含めた自転車保険等の加入状況調査、これは保険に加入しても、その実施状況がわからないじゃないかということが、保険義務化に踏み切らない自治体の理由になっているんですけど、やっぱりこういう調査をしていくことによって、他の自治体の非常に大きな参考になると思います。
こうした調査も行っておりまして、今後の自転車の安全利用の施策展開について共通の議論の土台を築いている、それ自体を評価したいと思います。
このアンケートをもとに質疑を行っていきたいと思いますが、まず、このアンケートでは、自転車保険等に加入していない理由、その四割強が、どういう保険に入っていいかわからないという声がございます。どの保険に入るかを普及啓発していくかということをお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都は、昨年九月の自転車安全利用条例の改正以来、自転車保険等への加入促進のため改正内容を周知徹底いたしました。具体的には、まず「広報東京都」に、令和二年四月から自転車保険等への加入が義務化になることを掲載し、幅広く周知を行いました。
また、自転車保険等の加入状況がフローチャートでチェックできるリーフレットを約十三万部、義務化を周知するポスターを六千部作成し、区市町村、警察署、学校、交通安全教室等で配布、掲示いたしました。
さらには、自転車販売店を通じて自転車購入者に交付するルール・マナー確認書を民間企業の協力を得て百三十二万部作成するなど、保険会社や自転車商協同組合と連携した周知活動などにも取り組んでおります。
○斉藤委員 私、まちの自転車販売店、自転車屋さんへ行くと、必ずどうですか、どうですかといろいろ情報収集するんですけれども、本当に皆さん、こういったさまざまな広報、さまざまな啓発手段を得て、大分認識が広がっているんじゃないかなと思っております。
しかしながらということで、まだまだというところはございますが、多様な普及啓発に取り組んでいることがわかったわけでございますが、一方で、この保険の加入が義務づけられていることを知る方法は世代によって違うのがわかります。世代によって媒体に特徴があることがこのアンケートによってわかるわけですが、世代ごとの情報入手手段に配慮した普及啓発が必要だと思います。若い人、テレビ見ないですよね。大体六十代の方なんか、テレビ見ている方、結構おられたりする。
世代間の情報入手手段に応じた普及啓発、どのように実施してきたかをお伺いしたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 「広報東京都」やリーフレットなどの紙媒体のみならず、ホームページにおいて、条例改正内容や保険加入の必要性をわかりやすく説明するとともに、保険加入促進に関する啓発動画や、保険選びに苦慮される方々に向けて自転車保険等取扱事業者の情報を掲載いたしました。また、スーパー等のチラシ広告媒体への掲載、鉄道各線における車内広告や駅構内ビジョンにおける動画放映等、各年代に必要な情報が届くような工夫を行いました。
○斉藤委員 アンケートでは、二十代や三十代の加入率が低くなっておりますけれども、インターネット、SNSなどで情報を得ている世代でもあります。世代にターゲットを絞った広告など、さらに工夫して広報を実施していっていただきたいと思います。
やっぱりテレビはすごく圧倒的な影響力を持っているのはわかるんですけれども、若い世代は、比較的そういったものは効果的じゃないかというふうに私も認識を共有しております。
そもそも自転車保険だけでは都民の安全は確保できない、利用する自転車を適時適切に整備していくことも重要でございます。この整備をなかなかしない方々も多かったんですけど、そういった整備が必要でございます。アンケートを見ますと、五割近くが点検、整備をしていないという状況が見てとれるわけであります。
そこで、東京都は、この保険とは別に自転車点検整備等促進事業を平成三十年度から実施しておりますが、都の整備促進の取り組みを伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 自転車点検整備等促進事業は、都民が自転車点検整備を受ける際の経費と、区市町村が行う点検整備への普及啓発に係る経費を都が支援する事業でございます。
当該事業の拡大を図るため、区市町村の担当者を集めた説明会の場で当該事業の周知を行うとともに、区の自転車対策主管課長会の場でも、当該事業の目的、内容、効果を説明するなど、さまざまな機会を通じて周知に取り組んでまいりました。
こうした取り組みにより、本事業を実施する区市町村は、令和元年度において六自治体増の十七自治体となるなど、事業実施に向け動き出す区市町村は増加しつつあります。都民が点検整備を受けやすい環境を整えるため、今後とも事業を実施する区市町村の拡大を図ってまいります。
○斉藤委員 この区市町村との連携というのは非常に重要だと思います、特に自転車の場合はですね。昨年の決算委員会でも、東京都が、例えば補助事業をつくっても、それが区市町村に周知されなければ、なかなか利用されないということで、執行率が低いということで、大変、そういった執行率を高めるため区市町村とよく相談せよというような質問もあったと記憶しておりますけれども、今の事業は、そういった実施するに当たって区市町村に働きかけて、六自治体増、十七自治体、まだまだこれからということはあるかもしれませんが、これがふえているということでございました。
保険の加入促進のみならず、整備促進についても取り組んでいることがわかったわけでございます。
都民の安全を守るためには、自転車の交通ルール、マナーの確保も重要です。マナーからルールへ、そしてマナーへということで、千代田区なんかも、ポイ捨て条例とか、ああいうたばこなんかも、本来はマナーでやるべきことをルールにしなきゃいけない、でもそれは本当はルールじゃなくてマナーでしょうという、やっぱり日本の法文化というのは、罰則をかけて、取り締まりを強化すればいいというんじゃなくて、やはりみんなで知識を得て、マナーをしっかり確保していくということが基本である国柄ではないかと私は思っております。
アンケートでは、過去三年以内に歩道で自転車に接触や衝突された、もしくはされそうになった経験があったとの回答、三割を超えています。自分が自転車を運転していた場合、自分が歩行者であった場合、その両サイドからアンケートをとっておりますけれども、三割を超えています。
さらに、昨今の報道では、事業利用の一部が自転車の交通ルール、マナーを無視した形で行われているということが取り上げられております。これは、テークアウトなど業態転換で、あるいはアルバイトなどが非常に限られている中で、若い方々が必死になって働いているんですね。そういった方々の思いもわかるんですけれども、非常に危ない自転車の走行も見てとれます。
特定の事業者は、非常に新聞でも指摘されておりますけれども、私は余りこういうことが、平気で事業者もやっていると、やはり取り締まりを厳しくしろという声が強くなる要素になると思いますが、こうした事業利用につきまして、自転車の交通安全対策の取り組みを伺いたいと思います。
○斎田治安対策担当部長 都としては、事業において自転車を用いる場合に、従業員に対して自転車利用時の交通ルール、マナーの周知や安全教育、放置自転車の防止等にみずから取り組む自転車安全利用推進事業者への支援等を通じて、事業における自転車の安全利用を促進しております。
具体的には、事業で自転車を活用する事業者を対象とする自転車安全利用TOKYOセミナーを令和元年度には八回開催し、自転車事故の現状分析、安全教育研修の実施方法や自転車保険等の概要に関する講義のほか、研修ですぐに活用できる動画やリーフレット等の教材の紹介など、実践的かつ効果的な情報を提供することにより、事業者における自転車安全教育を支援しております。
今後も引き続き、事業者による自主的な自転車安全利用の取り組みを支援してまいります。
○斉藤委員 中屋副委員長、喜んでください。これが最後の質問でしたので。
それで、自転車につきましては、今年度は交通安全計画や自転車安全利用推進計画の五年に一度の改定が行われる重要な年になっております。策定に向けて、都議会公明党も活発な議論に参加して、提案してまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。
○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都民安全推進本部関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時五十一分散会
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