令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

令和二年十月二十三日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長中山 信行君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長尾崎あや子君
やまだ加奈子君
伊藤こういち君
小宮あんり君
西沢けいた君
原 のり子君
岡本こうき君
福島りえこ君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長吉村 憲彦君
健康危機管理担当局長初宿 和夫君
次長理事兼務後藤 啓志君
次長総務部長事務取扱雲田 孝司君
技監医療改革推進担当部長事務取扱田中 敦子君
医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務矢沢 知子君
保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務成田 友代君
生活福祉部長坂本 尚史君
少子社会対策部長高野 克己君
障害者施策推進部長藤井麻里子君
健康安全部長高橋 博則君
感染症対策部長武田 康弘君
企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務齋藤 善照君
企画調整担当部長奈良部瑞枝君
医療政策担当部長鈴木 和典君
地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務池上 晶子君
子供・子育て施策推進担当部長西尾 寿一君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務杉下 由行君
感染症対策調整担当部長中川 一典君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長花本 由紀君
新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務遠藤 善也君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和元年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・令和元年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・令和元年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○中山委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 これより決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、令和元年度東京都国民健康保険事業会計決算、令和元年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び令和元年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○雲田次長 十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。資料は、目次にありますように、全部で十七項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額、それぞれの一般会計に占める割合などの推移を平成二十七年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち、福祉保健局所管分の予算現額及び決算額の推移を、表側にあります区分ごとに平成二十七年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 三ページをごらんください。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びその人口に占める発行実績数の割合の推移を平成二十七年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、令和元年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業別に、区市町村ごとの令和元年度の補助額の実績を五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、区市町村地域生活支援事業と区市町村地域生活支援促進事業につきまして、それぞれの事業ごとの令和元年度の実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをごらんください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、令和元年度に東京都が認可した保育所につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみの三つに区分し、それぞれの施設数を区市町別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数並びに指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を平成二十九年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 九ページをごらんください。8、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数、施設閉鎖の命令数等の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数並びに認可、認証の取り消し数及び認可外保育施設における施設閉鎖の命令数を平成二十七年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、保育施設巡回指導員の推移といたしまして、各年度三月三十一日現在の保育施設巡回指導員の人数を平成二十七年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、区分に記載した事業ごとに、当初予算額及び決算額を平成二十九年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移(当初予算及び決算)といたしまして、当初予算及び決算における事業ごとの対象となる事業所数、レベル認定者数及びアセッサー数を平成二十九年度から令和元年度にわたり記載してございます。
 一三ページをごらんください。12、都内の介護職員数の推移といたしまして、都内の介護職員につきまして、厚生労働省が推計した人数を平成二十四年度から二十七年度にわたり記載してございます。
 一四ページをお開き願います。13、東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金並びに歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額といたしまして、(1)に平成三十年度及び令和元年度における東京都国民健康保険事業会計決算の歳計剰余金額を、(2)に平成三十年度における歳計剰余金のうち過年度調整(納付金の過多)の総額及び一人当たりに換算した額をそれぞれ記載してございます。
 一五ページをごらんください。14、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターが取得した施設基準及び取得により得られた収入額等といたしまして、令和元年度に取得した施設基準ごとに取得時期、収入額及び基準取得のために要した経費等を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。15、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの診療報酬自主返還に係る項目等といたしまして、平成三十年度の診療報酬自主返還に係る項目ごとの指摘内容、対象期間及び引当金額を記載してございます。
 一七ページをごらんください。16、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターにおける平均在院日数及び病床利用率といたしまして、令和元年度における平均在院日数及び病床利用率を月ごとに記載してございます。
 一八ページをお開き願います。17、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの看護師の月平均夜勤時間といたしまして、令和元年度における月平均夜勤時間を月ごとに記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桐山委員 それでは、福祉保健局関係決算質疑をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、ゆりかご・とうきょう事業について伺っていきます。
 都は、妊娠から出産、子育てに至るまで切れ目のない支援が行えるよう平成二十七年度より、ゆりかご・とうきょう事業を実施されてきました。昨年は五年間のこの事業を終えまして、今年度は新たにとうきょうママパパ応援事業として、産後の家事、育児支援等を加え、区市町村が子育て世代をさらに応援できるよう本事業を継続しており、そもそもあったゆりかご・とうきょう事業をまず、しっかりと評価をすることが重要であると考えております。
 本事業の実施自治体の拡大が重要だと考えておりますが、この事業のこれまでの実施自治体の推移をお伺いしておきたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都は、本事業により、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し継続した支援を行えるよう、保健師等の配置や育児パッケージの配布等を支援しております。
 本事業の実施自治体数は、事業開始初年度である平成二十七年度は十三、二十八年度は三十二、二十九年度は四十一、三十年度は四十三、令和元年度は四十六となっております。

○桐山委員 ありがとうございます。初年度、二十七年度は十三区市で、令和元年度、もう現在ですけれども、四十六と年々増加していることを答弁で確認させていただきました。
 このゆりかご・とうきょう事業では、包括的支援拠点にて、妊娠期から子育て期にわたる総合的相談支援を提供することを基本事業として行うこととして、保健師による妊婦へのいわゆる全員面接、面談に育児パッケージの配布というものが必須の条件となっていたかと思います。
 未実施の自治体からは妊婦との面接を行うための専門職の確保や、妊娠届を保健センター以外の窓口で受け付けている場合の体制整備など、さまざま課題が上がっていたかと思います。また、周囲の支援を得にくい妊産婦の身体的回復を促し、産後の鬱など、予防にも資する産後ケア事業というものが重要かと思います。
 このゆりかご・とうきょう事業には、産後ケア事業が基本事業と別に任意事業として設けられております。そこで、ゆりかご・とうきょう事業開始以降、この産後ケア事業について、都は独自に市区町村を支援しておりますが、これまでの支援内容及び自治体数について伺います。

○高野少子社会対策部長 産後ケア事業は、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支える上で重要な取り組みでございます。産後ケア事業の負担割合は、国二分の一、区市町村二分の一であり、都は、平成二十七年度から二十九年度は、区市町村負担分を全額補助し、平成三十年度から令和元年度は、区市町村負担分の二分の一を補助してまいりました。
 今年度からは、とうきょうママパパ応援事業としまして、区市町村負担分を全額補助しておるところでございます。
 本事業の実施自治体数は、平成二十七年度は三、二十八年度は十、二十九年度は十六、三十年度は二十四、令和元年度は三十三となっております。

○桐山委員 今、ご答弁いただきましたとおり、これまで着実にこの産後ケア事業も、平成二十七年は三区市だったのが、令和元年度現在では三十三区市と伸びているということで、産後ケアがいかに重要かということの理解も進み、また、この負担割合のところなんですけれども、国が二分の一で、区市町村が二分の一で、二十七年度からは区市町村の負担分を全額補助されていました。
 しかしながら、三十年度は若干その補助率が変わったので、少し補助率が変わったから抵抗感があったのかなというふうに自治体の声も上がっていたことは承知はしているんですけれども、結果的に全面的に今は負担を全て見てもらっているということで、この事業が拡充をされているということで、非常に評価に値することだというふうに認識をさせていただいております。
 これまで着実に実施する自治体がふえてきていることは、今も申し上げましたとおり大変喜ばしいことですし、以前より産後ケア事業の重要性というものは、我が会派としても大変評価をさせていただいておりまして、ゆりかご・とうきょう事業そのものを継続要望もさせていただいてきたところです。
 ぜひ、今後もやっぱり全ての自治体に活用していただきたい事業なのかなというふうに思っております。
 そもそも、この事業の目的というのは育児不安や虐待の未然防止だったかと思います。妊婦の全員面接、面談も育児パッケージも、できるだけ多く専門職と接触をする機会を持つことで、ハイリスクな妊婦や支援を要する家庭について関係機関と情報を共有して連携をし、他の支援につなげることだったと思います。
 この五年間の評価として、区市町村がこの事業を使って、この母子保健の強化にしっかりとつながって、事業の目的が達成できているかということが非常に重要かと思いますし、また、それを把握することが大変重要だと思います。
 事業の目的が、まあ全ての家庭の状況を把握して継続した支援を行うことですけれども、本事業の実施により、妊婦の面接率は上昇をしているのか、また、区市町村からはどのような声が上がってきているのか、お伺いしておきたいと思います。

○高野少子社会対策部長 保健指導、専門職による妊婦との面接実施率は、本事業開始前であります平成二十六年度は都全体で一九・一%でございましたが、事業開始後に年々上昇いたしまして、最新の統計でございます平成三十年度は八三・五%となっております。
 本事業を実施します区市町村からは、面接実施の効果としまして、支援の必要な妊産婦を早期に把握できる、妊娠中から関係を築くため産後の支援が行いやすい、支援から孤立する家庭への予防的介入のきっかけとなったなどの声を多くいただいておるところでございます。

○桐山委員 専門職による妊婦との面接実施率の最新の統計ということで、ただいまご答弁にあったように八三・五%まで上がってきているということでございました。
 開始前よりも直接面接できる機会がふえていること、これは本当に、財政支援を東京都がしていただいているからこその効果なのかなというふうに思っております。区市町村からは支援につなぎやすくなったですとか、支援の必要な妊産婦を早期に把握しやすくなったり、また、孤立する家庭への介入のきっかけになったなど、この事業の評価として効果があることが、ただいまの答弁でも十分理解をさせていただきました。
 ゆりかご・とうきょう事業は昨年で五年間の事業が一旦終了ということで、終期を迎えますので、五年間では一回終了することになりましたけれども、冒頭に申し上げましたように、今年度は新たに事業名を変え、この事業をさらに拡充された内容で予算化をされております。
 これまで、ゆりかご・とうきょう事業に取り組んでいなかった自治体も、本事業を活用してもらえるように積極的に働きかけを行うべきだと考えております。今年度のとうきょうママパパ応援事業と産後ケア事業の見込みも含めて、都の取り組みについてお伺いをしておきます。

○高野少子社会対策部長 都は区市町村に対しまして、事業拡充の趣旨を丁寧に説明するとともに、既に実施している自治体の取り組み事例を紹介するなどの働きかけを行っており、今年度の事業実施自治体は、とうきょうママパパ応援事業は五十五、産後ケア事業は四十二に拡大する見込みでございます。
 未実施自治体に対しましては、個別のヒアリングを行い、今後の実施意向や実施に向けた課題などの確認を行っており、引き続き、より多くの自治体で取り組みが進むよう働きかけてまいります。

○桐山委員 ありがとうございました。今年度というので、とうきょうママパパ応援事業として、事業名を変えて新たに継続をされるということでございます。
 新たに産後の家事、育児支援も加えられました。そして、コロナの影響で育児パッケージの中で一万円かな、タクシー券なども、妊婦さんの対応ということで使用できるように拡充をされていたり、非常に使い勝手がいいといいますか、今まで未実施だったところも、これを契機に実施をされるというように私も聞いておりますし、さらに、これまでもゆりかご・とうきょう事業が、いわゆる、先ほども申し上げました財政支援をしていただくことで、保健師によります全件面談ですとか、あるいは産後ケアが充実をしていくということは、ハイリスクな妊婦さんの早期発見ですとか、いろんな支援につなげるということで非常に重要だと思いますので、引き続き、ぜひ後押しをしていただきたいというふうに要望をさせていただきまして、ゆりかご・とうきょう事業については終わりにしたいと思います。
 次、行きます。続きまして、ベビーシッター利用支援事業について伺っていきたいと思います。
 小池都政におきましては、待機児対策は最重要課題として先進的に実施をされてきたものでありまして、小池知事就任以来、待機児童の対策として緊急対策もされてこられました。その結果として、本年四月現在、都内の待機児童数は三十年ぶりに二千人台にまで減少されてきて効果が出ています。
 その緊急対策のうち、事業を少し拾っていきながら支援メニューの質疑を細かくさせていただきたいと思います。
 まず、ベビーシッター利用支援事業ですが、事業をスタートした平成三十年度はベビーシッター利用支援事業に五十億円の予算をつけました。執行率が〇・八%と非常に低い状況となり、さまざまな声があったかと思います。
 その平成三十年度初年度の執行率が低くなった理由の背景として、事業執行のタイミングに課題があったというふうにもいわれております。
 まだまだ、日本でベビーシッターの利用が広く普及していないことから、保育の質の問題や、また、安心してサービスを利用できるように、都がみずから主体となって事業スキームの構築を行い、また、丁寧に区市町村にご説明をしながら、いろんなご意見を聞きながら、活用が進むように準備をしてこられていたかと思います。
 その結果、本事業の告知をスタートしたのは四月に年度が始まってから八カ月後の十二月末だったということで、通年事業としては余りにも遅いスタートを切ることになりました。
 区市町村がこの事業執行できる期間が四カ月程度しかなかったということで、実質的に非常に短かったので、手を挙げることにちゅうちょされる自治体も多くあったかと思います。
 そこでまず、平成三十年度から現在までのベビーシッター利用支援事業に対する実績についてお伺いしておきます。

○高野少子社会対策部長 ベビーシッター利用支援事業は平成三十年度から開始し、初年度は五区一市、令和元年度は十区五市で活用されてまいりました。今年度は、新たに二区二市ふえ、九月末現在、十二区七市で活用されております。
 本事業の利用児童は平成三十年度二十九人、令和元年度三百十五人であり、今年度は九月末現在、百三十四人となっております。

○桐山委員 初年度は五十億の予算で執行率〇・八%の中で五区一市、昨年度は予算現額では二十二億円、半分に予算を減らされる中で執行率一一・四%で十区五市、少し活用していただいた区市がふえたということでよかったなと思います。
 そこで、冒頭に述べましたように、これまでさまざまなご意見があったように、それらの課題や評価を受けて、令和元年度の事業拡充の内容についてお伺いしておきます。

○高野少子社会対策部長 平成三十年度に実施しました区市町村向けの事業説明会等におきまして、利用時間の設定がフルタイム就労の保護者に対応していない、ベビーシッターの交通費を実費負担することが保護者には重荷になっているなどの意見が寄せられております。
 これらを踏まえまして、令和元年度は一日の利用時間の上限を八時間から十一時間に拡大するとともに、利用可能な時間につきまして、午前七時から午後八時までのところを、午前七時から午後十時までに拡大しました。
 また、早朝、夜間にサービスを提供する事業者への交付額を上乗せするとともに、交通費の負担軽減に取り組む区市町村に対しまして、児童一人当たり月額二万円を上限に、その二分の一を補助するなど事業内容の充実を図ったところでございます。

○桐山委員 私も当時、厚生委員会に所属させていただいたときに、交通費について質疑をさせていただいたことを記憶しています。この交通費は、利用料とは別に事業者から利用者に対し、実費として請求されることが一般的でありますので、そういったところでの負担があるんだと今もご答弁ありましたけれども、そういった負担があるんだという課題もあったかと思います。
 現在では、今ご答弁にいただいたように、区市町村が交通費の負担軽減に取り組む場合には、児童一人当たり月額二万円を上限に、二分の一の補助をされていると。そして、さらに事業の拡充というところでは、この利用の上限を一日十一時間に拡大をされて、利用可能時間も夜の午後十時まで、また、早朝、夜間サービスの提供事業者にも交付額を上乗せするなど、事業内容を着実に充実をされていかれているということがわかったわけでございます。
 それでも、なかなかこの区市町村がベビーシッター事業を行わない背景にはさまざまな理由があるかと思いますが、ベビーシッター利用支援事業について区市町村からどのような意見が上がっているのかお伺いしたいと思います。

○高野少子社会対策部長 本年七月に実施しました、待機児童対策協議会の実施に係る事前調査によりますと、区市町村からは、年度途中も含めて待機児童対策として有効という意見がある一方で、区市町村として居宅訪問型保育のニーズを把握していないため、実施していない、児童の安全を確保するための体制づくりが必要等の意見がございました。

○桐山委員 さまざまな意見が寄せられていることがわかったわけですが、この待機児童対策としては、それぞれの区市町村の保育事業によりまして、保育計画というものが定められています。この保育サービスをどのような形で進めていくのかについては、区市町村の考え方があるかと思います。
 うちは施設整備で待機児童を解消していきたいんだというところは、もう断固としてベビーシッター利用支援事業を使わないんだというところもありますけれども、この待機児童の解消を目指すことという意味においても、多様な保育という位置づけの中でも、やはり答弁にもあったとおり、年度途中も含めた待機児童対策として非常に有効だということで、やはり気軽につなぎで使ってもらいたい、いわゆる時限的な、まあ補助制度となるとやっぱり一回始めると切れないよねというのが、区市町村の結構声として上がってくること多いんですけれども、ある意味つなぎという形で、支援を必要とされる方って中にはいると思うので、ぜひそういったところの保育の選択の一つに、この事業について区市町村にぜひお使いいただきたいというふうに私は考えているところです。
 答弁にもありましたように、児童の安全を確保するための体制づくりというものが必要との意見もありますように、さきの第三回定例会の一般質問で、我が会派木下議員が取り上げましたマッチングサイトを通じた保育サービスの利用で、わいせつ逮捕事案の件でございますけれども、都のベビーシッターの利用支援事業はマッチングサイトを対象外としているものの、この事業者は東京都のベビーシッター利用支援事業の認定事業者でもあったことで、保護者の不安が高いものとなっているというような質問の趣旨として挙げられておりました。
 そもそもこの居宅訪問型、いわゆるベビーシッターへの抵抗感というものが、まだまだ日本人の感覚としてはある中で、より安全で安心な体制が必要かと思います。
 そこで、ベビーシッター利用支援事業について安心して利用できる仕組みについてお伺いしておきます。

○高野少子社会対策部長 都は、保育の質を確保し、保護者が安心してサービスを利用できるよう、参画する事業者について、保育の提供体制、保育の質、事業の安定的運営、利用者支援の四つの観点から独自の基準を定め、事業者を審査、認定するとともに、本事業に従事するベビーシッターには、保有する資格等に応じまして、認可型に準じた研修の受講を義務づけているところでございます。
 本年九月末までに参画事業者を十七者認定するとともに、ベビーシッターを千八十九人養成しております。

○桐山委員 都は、保育の質を確保するために、特にベビーシッター利用支援事業に参加する事業者は、都独自の基準でしっかりと審査、そして認定、お墨つきをしっかりつけて、全てのベビーシッターに対して、都が実施する研修の受講を義務づけられているということでした。
 また、今年度、木下議員への答弁にもありましたように、今回のこういった事件等を踏まえまして、認定事業者に対しては事故等の発生防止に向けて取り組むよう注意喚起をする、指導監督を強化するため、サービス提供約款を改正して立入調査から認定取り消しまでの指導等の手順を明記、また、今後、全ての認定事業者に対して立入調査を実施して、認定基準等の遵守の状況を確認することもされており、引き続き、こういったことをしっかりと一丸となって、保護者が安心してベビーシッターの利用ができる環境を整えてくださる一方で、保育の質の確保に取り組んでいただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 あともう一点が、課題として挙げられているのが、毎回、我が会派からも申し上げておりますが、このベビーシッター利用支援事業が都による助成を雑所得として課税する国の現在の税制ということで、残念ながらまだまだ改正されておりませんが、都からも国への要望をしていただいておりますように、引き続きの要望をぜひお願いしたいというふうに重ねてお願いしておきたいと思います。
 続きまして、夜間帯保育事業について伺っていきます。
 予算現額は六千三百五万九千円、執行率五・七%でございました。昨年度の新規事業でもありました夜間帯保育事業について、目的及び実績についてお伺いいたしたいと思います。

○高野少子社会対策部長 夜間帯保育事業は、多様化する保護者の働き方を踏まえ、午後十時以降の保育等に取り組む認証保育所等を支援することにより、保護者が夜間にも安心して利用できる保育サービスを整備することを目的として実施しております。
 令和元年度に本事業を活用した認証保育所は、一施設となっております。

○桐山委員 この夜間の時間帯に保育に取り組む認証保育所等を支援することで、夜、子供を預けて働いている保護者が安心して利用できるようにとのこういった事業でございますが、今年度は一カ所の事業者のみということでした。
 この事業は認証保育所の支援のためだとは思いますが、実際手を挙げて行える事業者がどれぐらいいるのか、また、実際夜間保育をしている事業者や人数がどの程度把握されているのか、ニーズそのものがあるのかなど、やはり疑問視する声も若干聞こえてくるところでございます。
 そうした中で、夜間保育といえばベビーホテルというものが有名ですけれども、ベビーホテルにおける夜間の利用状況についてお伺いしておきたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都は、児童福祉法に基づき、中核市である八王子市を除く都内認可外保育施設から、平成三十年十月一日時点における運営状況の報告を受けております。
 本報告によりますと、ベビーホテルの午後十時以降の利用状況は、二十施設において百二十五人の児童が利用していることとなっております。

○桐山委員 午後十時以降にベビーホテルを利用されている児童数ということで、二十施設において百二十五人の児童が利用されているということです。
 これは比較材料がないので、一概に多いのか少ないのかというふうには申し上げることができませんけれども、夜間保育におけますベビーホテルでの事故とか、死亡事案などが、報告は局間の中でもされてきたかと思います。
 そういった中で巡回指導とか、今回も資料に出ておりますけれども、ベビーホテルを見ても改善勧告数や改善勧告の公表数も非常に多いですよね。
 そういった事案もあるんだけれども、やっぱり一方で多様な就労や保育ニーズに対応するために、やはり安全に安心して預けられる環境整備をすることも重要だとは思います。
 また、さきにありましたベビーシッターも含めた夜間における保育の実態をしっかりと調査をするべきなんではないかなというふうにも思いますし、また、この夜間の公的保育のサービスの拡大というところで、今後どのように局として考えていかなければならないのかということを、しっかりとぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 まだまだニーズがわからない、私自身もちょっとどれを比較していいかわからない中なんですけれども、夜間保育という新規事業として立ち上げた以上は、より安心して預けられる環境の整備というものを、ぜひお願いしたいというふうに、検討も含めて要望しておきます。
 続きまして、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業についてお伺いしていきます。
 これは平成三十年厚生労働省の調査によりますと、約七千五百人の常勤保育士が都内の保育所等に就職をされています。また、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業を利用した採用一年目の職員数は、令和元年度は五千七百九十二人であり、現場からは保育人材が不足する中、本事業は職員の確保、定着に効果を発揮していると聞いております。
 そこで、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の目的と事業概要についてお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 平成二十五年度から国が開始した保育従事職員宿舎借り上げ支援事業は、保育人材の確保、定着及び離職防止を図ることを目的として実施しており、認可保育所等における採用後五年目までの保育士を対象に、一人当たり月額八万二千円を上限としまして支援するもので、国二分の一、区市町村四分の一、事業者四分の一の負担割合となっております。
 都は、平成二十六年度から区市町村及び事業者の負担割合を八分の一に軽減するとともに、国事業に加えて認証保育所や定期利用保育事業、保育士以外の職員も対象とするなど独自に充実を図っております。
 また、平成二十八年九月の緊急対策におきまして、国事業では採用後五年目までとされていた要件について、採用後六年目以降の職員も対象に加え、さらなる充実を図っております。

○桐山委員 この事業は平成二十五年から国の事業としてスタートをされて、平成二十六年から都は国の事業に加えて、認証保育や定期利用保育士以外にも支援の対象とされてこられておりました。
 そして、小池知事が就任後、緊急対策として年数制限を撤廃して、現在では全職員対象としたことで、市区町村、特に多摩地域において実績も増加傾向にあるかと思います。
 そこで、本事業の平成二十八年度以降の実績についてお伺いしておきます。

○高野少子社会対策部長 保育従事職員宿舎借り上げ支援事業の実績は、平成二十八年度は二十三区十一市、対象戸数四千二百八十四戸、二十九年度は二十三区二十市、九千四百十四戸、三十年度は二十三区二十六市村、一万四千八百六十七戸、令和元年度は二十三区二十七市町村、一万九千五百一戸となっております。

○桐山委員 ありがとうございます。細かい数字でお示しいただきましてありがとうございます。
 既に、二十三区は二十八年から全ての区が実施をされていることがわかっていたわけですけれども、多摩地域、市部においては、ようやく全て全地域で実施をされて活用に至っているということが、数字を聞かせていただいてわかりました。
 さて、この平成三十年度、令和元年の予算と決算額を見てみますと、予算現額に対して大幅に予算が不足をしたことにより、目款で流用して充当しているということが決算説明書にも書かれております。
 本事業の令和元年度予算額と決算額についてお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 令和元年度は、当初予算額約三十九億三千万円に対しまして、決算額は約六十九億六千万円でございました。実績がふえた理由は、本事業を活用する職員が当初見込みよりもふえたことによるものでございます。

○桐山委員 ありがとうございます。今回、いわゆる予算を目款の中で流用して充当されておりますけれども、その理由というのが、やはり当初の見込みよりも本事業を活用する職員が非常にふえたということで、そのような形で対応されたということでございます。
 今後もこのようなことがあるかと思いますので、ぜひ予算の段階から、引き続き増額をしていっていただけますようによろしくお願いいたします。
 区市町村や保育事業者からは、他県よりも家賃が高い都内において、保育人材を安定的に確保するために、この事業は大変有効な支援である声を多数いただいております。今後も引き続き、区市町村や保育事業者としっかり連携をとりながら、この保育人材の確保に向けた取り組みを全力で支援していただくことを要望し、この質問は終わりたいと思います。
 最後に、緊急一歳児受入事業についてお伺いします。
 この事業についての目的と事業開始以降の実績についてまずお伺いいたします。

○高野少子社会対策部長 緊急一歳児受入事業は、待機児童の半数以上を占める一歳児を、認可保育所の空き定員や余裕スペースを有効に活用して緊急的に受け入れ、一歳児に対する保育サービスの拡大を図る区市町村の取り組みを支援することを目的としまして、平成三十年度から実施しております。
 平成三十年度は五区市二十施設におきまして百六人、令和元年度は九区市三十九施設におきまして百二十九人の児童が利用しております。

○桐山委員 平成三十年度は執行率も余りよくはないんですけれども、五区市二十施設が利用されて、令和元年度も九区市三十九施設において実施をされているということで、区市がふえていることはよく理解をさせていただいております。
 しかし、この事業はあくまで緊急的な措置と捉えるために、継続支援とはならないのではないかという声や、市区もこのあたりは非常にちゅうちょされるのかなというふうな印象は、私自身も持っております。
 本事業が活用されるために、今後どのような対応、拡充をされていかれるのか、お伺いしたいと思います。

○高野少子社会対策部長 昨年七月、待機児童数が多い自治体を中心に、緊急一歳児受入事業の活用促進について意見交換を行ったところでございます。自治体からは、開設後三年以内の施設に対象が限定されているため、事業を活用しづらいといった意見や、一歳児のみの利用のため、保護者がその後の転園先等に不安を抱え、利用が進まないといった意見がございました。
 そのため、昨年九月から対象施設につきまして、開設後三年以内の要件を撤廃し、全ての認可保育所を対象とするとともに、二歳児につきましても本事業の利用が引き続き必要な場合は対象とする要件緩和を行ったところでございます。
 さらに、今年度からは運営費の補助基準額を増額するとともに、児童の利用日数に応じた加算を新たに設けており、今後とも、区市町村との協議会等を通じ、積極的な事業の活用を働きかけてまいります。

○桐山委員 ありがとうございました。緊急一歳児受入事業についても待機児童対策の一環ということで、特にゼロ、一、二歳というところで育児休暇がふえたので、一歳児が大変今入りづらいという待機の状況があるということは、いうまでもありませんけれども、やはり声が上がっていたのは、一歳のときだけ限定されて入れられちゃうと、その後、園から追い出されちゃうのみたいなことの声も出ていたところ、現在では、この二歳児についても本事業の利用が引き続き必要な場合は対象とするというふうに、かなり要件の緩和も行っていて、ぜひそういった保護者の声とか就労支援の後押しをしっかりとしていけたらいいなと思っておりますので、これもさらなる拡充といいますか、支援につなげていっていただきたいというふうに思います。
 最後に要望なんですけれども、福祉保健局の関係、予算が非常に大きいので、今回改めて決算を隅々まで見させていただく中で、やはり、局内での予算の流用だったり、足りなかったり多かったりという、まあいろいろあるかと思うんですけれども、やはりそういったところを、緻密にきちっきちっとやれとはいいませんけれども、本来の趣旨に立ちながら、ぜひ、また別の機会でも、このあたり質疑をさせていただきたいと思います。
 市区町村を抱える東京都でございますので、補助を出していくという立場ですので、柔軟に対応されているということということで私なりに解釈をさせていただいておりますので、ぜひ今後、大変予算組みが厳しくなってくるかと思いますので、そのあたり十分留意をしていただきながら、予算執行に努めていただけますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○小宮委員 ベビーシッターの利用支援事業について伺いたいと思います。
 この事業は一昨年、平成三十年度に新規事業として開始をしたものです。その当初、初年度は五十億円ということで、当初の局要求の六億円をはるかに上回る莫大な予算が計上されまして注目を集めましたけれども、結果としてその執行率がわずか〇・八%ということで、五十億円に対して執行額が約四千百万円だったということで、一%にも満たない結果となりました。
 なぜ五十億円になったのか、五十億円としたのかというこの点に関しましても、この予算の計上のあり方についてなど議会でこれまでもたびたび指摘がされてきたところです。
 五十億円を計上したおととしというのは、利用者数を千五百人と見込んでおりまして、この経費は十二カ月分の延べ一万八千人分を見込んだものと伺っておりますけれども、利用者数の見込み千五百人に対して、結果として利用したのは二十九人と想定と全く異なる実績となりました。
 先ほどの質疑でもお話ありましたけれども、実際の事業開始まで時間がかかって、実際に十二月からの四カ月分の利用であったということが指摘をされておりましたけれども、そういったことは当初から、局としてもさまざまな事業を実施する、立てる上では、予測の範囲内であったというふうにも考えられるところです。
 昨年度は二年目ということで、この事業に対して五十億からは減りましたけれども、二十二億円の予算が計上されました。まず、その執行状況を確認いたします。

○高野少子社会対策部長 ベビーシッター利用支援事業は、令和元年度に十区五市で活用され、利用者は三百十五人、決算額は約二億五千六百万円でございました。

○小宮委員 二十二億円の予算額に対して決算額は約二億五千万円ということで、執行率は一一・四%となりまして、おととしの〇・八%に比べれば執行率は随分上がったといえるんだと思いますが、なおやはり一割程度にとどまっているということがわかります。
 おととしの当初の際の制度設計に対して、どのような課題認識を持って昨年度の制度を構築したのか伺います。

○高野少子社会対策部長 平成三十年度に実施した区市町村向けの事業説明会等におきまして、利用時間の設定がフルタイム就労の保護者に対応していない、ベビーシッターの交通費を実費負担とすることが保護者には重荷になっているなどの意見が寄せられたところでございます。
 これらを踏まえまして、令和元年度は一日の利用時間の上限を八時間から十一時間に拡大するとともに、利用可能な時間について午前七時から午後八時までのところを、午前七時から午後十時までに拡大しております。
 また、早朝、夜間にサービスを提供する事業者への交付額を上乗せするとともに、交通費の負担軽減に取り組む区市町村に対しまして、児童一人当たり月額二万円を上限に、その二分の一を補助するなど事業内容の充実を図ったところでございます。

○小宮委員 おととしのときに、初年度の実施期間中に実施をした区市町村向けの事業説明会というものにおいて区市町村の意見を伺って、時間の延長であるとか交通費の負担といったものを制度の中に含むという形で事業内容を充実されたということでした。
 そもそもの執行状況の把握に、昨年に関して、先ほども申したとおり十二月から実際の利用が始まっているので、執行状況がどの程度かということがわからない中で、昨年度、予算の考え方、設計に関して検討せざるを得なかったけれども、区市町村からのヒアリングはされて、その内容は制度に盛り込んだということだと思います。
 そうした点でいうと、当初、おととしの五十億の制度、ベビーシッターの利用支援事業を構築する際には、区市町村へのヒアリングなどもすることができなかった、していなかったということでよろしいですかね。

○高野少子社会対策部長 実際に、平成三十年度にこの事業を実施するに当たりまして、事業説明を改めて区市町村にしたところ、先ほど申し上げたような意見が出されたというところでございまして、それを踏まえて昨年度の事業構築に生かしたというところでございます。

○小宮委員 おととしの執行が大変悪かったことに対する課題の認識を私は問いたかったんですけれども、そういうことよりも、区市町村に対してヒアリングができて、そういったことをおととしできて、昨年度の制度に反映できたというご答弁にとどまるんであろうというふうに思います。
 区市町村の要望によって、昨年度に関しては一日の利用時間の上限が八時間から十一時間にと。長時間の方も考えてほしいということで拡大をされて、一カ月の上限は百六十時間から二百二十時間に拡大したということでした。
 そこで、その百六十時間超、区市町村の要望を受けて新たに制度の中に含めた利用者数というのは、実際どの程度だったかということと、全体に占める割合に関して確認します。

○高野少子社会対策部長 令和元年度に一カ月当たり百六十時間を超えて利用した児童は延べ百四十人でございまして、全利用児童延べ千二百十七人の一二%となっております。

○小宮委員 区市町村の意向を踏まえましたけれども、結果としては執行率に関しては一割程度であったということ、この要因をどう捉えているか伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 本事業の令和元年度の予算額は、平成三十年四月のゼロ歳児から二歳児までの待機児童数五千百六十八人をもとにしまして、都内自治体における本事業の実施の意向等を踏まえまして積算しているところでございます。
 サービス利用者数が、保育所等に入所できず待機児童となった保護者三百七十人との見込みに対しまして、実績が三百十一人、育児休業を一年間取得した保護者百八十人との見込みに対しまして実績が四人であったこと、一カ月当たりの利用時間数が上限二百二十時間の見込みに対しまして、実績が平均約八十時間であったことが執行率が低かった主な要因でございます。

○小宮委員 自治体の事業実施の意向なども踏まえてもいただいたわけですけれども、執行率が一割程度であった要因というのは主に、今お話ありましたが、いわゆる育児休業が終わって四月の段階など、保育園に入れなかった待機児となったお子さんが保育園に入れるまでの間のつなぎとして、ベビーシッターを利用すると見込まれた方の数、この利用数が振るわなかったということと、それから、児童一人当たりの利用時間数が、区市町村の要望では長時間のものもあってほしいということでしたけれども、平均していうと、そこが八十時間程度ということで、長時間利用された方は一二%程度であったということがわかります。
 ベビーシッターを利用する方というのは平均して短時間の方が多い、そういう傾向があるということもわかりました。
 今、申し上げた育児休業を満了した方の実績が低いということがあって、平成三十年度当初、おととし五十億円計上したときには、東京都としてはそういったニーズの方、つなぎでベビーシッターを活用すると思った、その見込みが五百人であったことに対して利用はゼロでした。
 昨年度は百八十人ということで、利用の見込み数は五百人から随分減ったわけですけれども、やはり利用した方は四人ということで、育児休業満了者の数に関しては実態とかなり乖離があるなというふうに感じるところです。
 東京には、保育の受け皿が子供や家庭の事情に合わせて多様にあるということは否定するところではありませんし、そのようにあってほしいというふうにも思いますけれども、このベビーシッターの利用支援事業の役割と課題について、改めて確認したいと思います。

○高野少子社会対策部長 本事業は、待機児童対策を一層進めるとともに、多様な保育ニーズに対応するため、これまで支援の手が届きづらかった、短時間勤務などにより待機児童になっている保護者や育児休業を一年間取得した保護者が保育所等に入所するまでの間、認可外のベビーシッターを利用する場合に支援するものでございます。
 本事業の実施に当たりましては、日本ではベビーシッターの利用が広く普及していないことから、保育の質を確保し、安心してサービスを提供できるようにする必要がございます。
 そのため、都は、参画する事業者を都独自の基準で審査、認定するとともに、本事業に従事するベビーシッターには、保有する資格等に応じ、認可型に準じた研修の受講を義務づけております。
 また、本事業の助成金は、現在の所得税法では雑所得として課税対象となり、確定申告が必要とされております。一方、国の制度に基づく認可外の居宅訪問型保育事業の給付金は、ベビーシッターを活用する同様の形態であるにもかかわらず、課税対象外となっているところでございます。このため、国に対しまして、都事業についても税制上の必要な措置を講じるよう提案要求を行っているところでございます。
 本事業につきましては、引き続き多様な保育サービスの一つとして活用を促進してまいります。

○小宮委員 国に対して税制上の要求というのは、これからもしっかりと行っていただきたいと思いますし、年度途中など気軽に使ったらいいんじゃないかということは、こちらの都合であって、やはり実際にお子さんを預ける親や家庭の考え方というのはさまざまであるというふうに思います。
 先ほどもお話出ておりますけれども、ベビーシッターに対する信頼とか安全性、そういったものを高める努力というものは、引き続きお願いをしたいというふうに申し上げておきます。
 そこで、本年度に関しましてのこの事業は利用数の規模が二百二十人、これに対して予算額が八億円ということで、利用の想定の数も、それから予算額も随分圧縮をされた感がありますけれども、この要因について伺います。

○高野少子社会対策部長 令和二年度の予算額は、平成三十一年四月のゼロ歳児から二歳児までの待機児童数三千五百十三人をもとにしまして、都内自治体における本事業の実施の意向等を踏まえまして積算しているものでございます。
 サービス利用者数としましては、保育所等に入所できず待機児童となった保護者二百十人、育児休業を一年間取得した保護者十人、合計で二百二十人と見込んだ上で、必ずしも全員が利用時間の上限まで利用していない状況等を勘案し、経費を計上しております。
 二年度の予算額が前年度予算額から減少した主な要因は、利用者数の規模の減少によるものでございます。

○小宮委員 予算額の減少は、利用児童数の規模の減少が主な要因ということでご答弁をいただきました。初年度と昨年度というのは、利用を想定していた数に対して、それが満額で執行されるという見込みで予算を計上していたというふうに認識をしています。つまり、全員が利用時間の上限まで利用するという見込みのもとに、予算を出していたというふうに思います。
 今ご答弁あった中で、利用児童数の減少もそうなんですけれども、やはり必ずしも全員が利用していないというような利用状況を勘案していただいたこと、この変更点というのは、本年度の制度設計に生かされているんだというふうに感じました。
 予算額を膨らませるために、事業の制度設計があってはならないと思います。利用児童数だけでなく、利用状況というものを勘案するということで、実態に近づけた妥当な考え方であるというふうに認識したところです。
 この三年間で利用者数の見込みというのは、当初の千五百人から昨年度は五百五十人となり、今年度は二百二十人ということで大きく減少しました。予算額も五十億円から二十二億円となり、今年度は八億円ということで大幅に減少をしています。
 振り返れば、おととし、当初の福祉保健局の予算要求ベースでは、その必要量というものを、考え方は違いますけれども、三百人程度と見込んで六億円を計上していたということを考えますと、積算方法や今申し上げたように考え方は違うんだけれども、そもそもの局要求に近づいているんだなというふうに感じるところです。
 待機児対策として、多様な受け皿が必要であるということは繰り返し申し上げるとおり否定はしませんけれども、待機児になった児童や家庭が必ずしもベビーシッターを選ぶというものではありませんので、予算の額というものが先行をしたことによって、結果として実績が著しく伴わないような事業のあり方、これに関しては厳しく指摘をさせていただきまして、質問を終わります。

○伊藤委員 それでは、私からも、福祉保健局の令和元年度決算について質問をさせていただきます。
 令和元年度の東京都の予算は一般会計が七兆四千六百十億円となって、特別会計また公営企業会計と合わせると都全体の予算規模は約十五兆円ということで、スウェーデンなどの国家予算を超える予算規模となっております。
 その中でも、都議会公明党が特に都政に求めてきた福祉と保健の予算額は近年、一兆円を超えておりまして、令和元年度では都一般歳出のうち二二・五%を占め、分野別では最も高い割合となっております。
 そこでまず、令和元年度における福祉保健局の一般会計の決算額及び執行率、また、決算の特徴について伺いたいと思います。

○齋藤企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度におけます福祉保健費の決算額は一兆一千八百四十五億八千万余円、執行率は九六・七%でございました。都における福祉、保健、医療の充実に向けた施策の積極的な展開のほか、緊急的な取り組みが必要な課題への対応等の結果であると認識しております。
 具体的には、幼児教育、保育の無償化への対応や多子世帯におけます保育料の負担を軽減するための都独自の支援を実施するとともに、社会全体で子供を虐待から守るため、東京都子供への虐待の防止等に係る条例を施行し、新たな取り組みの推進を図ったほか、東京都受動喫煙防止条例の全面施行に向けた普及啓発を実施するなど、施策の充実を図りました。
 また、令和元年九月から十月に発生いたしました台風十五号及び第十九号により被害を受けた区市町村の災害復旧、復興に向けた支援や、令和二年一月に国内初の感染者が確認された新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策等、突発的な課題に対しまして補正予算を編成するなど迅速な対応を行いました。

○伊藤委員 ありがとうございます。自然災害による被災者支援のほか、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策等、突発的な課題に対して補正予算を編成するなど、迅速に対応してきたということでございます。
 都議会公明党は、新型コロナウイルスの問題が勃発してすぐに現場の声を聞き、都に対し、また、小池都知事に直接に緊急要望を重ねて行ってまいりました。そして、都は、その緊急要望の内容を踏まえ、年度末に補正予算を迅速に編成したことについては高く評価したいと思います。
 その補正の中に、都議会公明党が求めた相談体制の強化がありますけれども、新型コロナコールセンターの昨年度の相談件数と回線数、また、決算額について伺いたいと思います。

○遠藤新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長新型コロナウイルス感染症対策企画調整担当部長兼務 都は、都民に新型コロナウイルス感染症についての正確な情報を伝え、不安を解消していただくために、専用のコールセンターを一月二十九日に開設をいたしまして、土日祝日を含めて毎日運営をしてございます。
 具体的な予防法や心配な症状があらわれたときの対応など、さまざまな相談を受け付け、開設初日は二回線、翌日からは四回線で対応し、二月二十七日までの三十日間は都職員が約八千七百件の相談に対応をいたしました。
 二月二十八日からは、より多くの都民の皆様からの相談に対応できますよう、コールセンターの業務を民間委託し、回線数を六回線に増設するとともに、英語、中国語、韓国語による対応も開始をいたしまして、三月六日にはさらに十回線に増設をいたしました。
 委託化以降、三月三十一日までの三十三日間で約二万五百件の相談に対応をいたしまして、うち外国語による対応は約三百六十件、決算額は一千百五十八万四千円となってございます。
 これに加えまして、二月七日には現在の新型コロナ受診相談窓口でございます帰国者・接触者電話相談センターを設置いたしまして、それまでコールセンターで受け付けていた相談のうち、感染の可能性のある方からの相談に対応してございます。

○伊藤委員 ありがとうございます。このちょうど一月の下旬、二月、三月と進んでいく中で、多くの都民の方から都議会公明党には、電話がつながらないというお声がたくさん殺到いたしまして、順次それを拡充してきていただいたことだと思います。コールセンターについては今も続いていると。また、先日の第三回定例会では、さらにこの相談窓口、これを拡充してほしいと都議会公明党は求めたところでございます。
 また、都議会公明党は検査体制の強化も求めてまいりましたが、補正予算での取り組みについて伺うとともに、その後の進捗について現在の一日の検査処理能力を含めて伺いたいと思います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都は、新型コロナウイルス感染症発生当初、東京都健康安全研究センターの検査能力増強に向け、PCR検査に必要な試薬を購入するための補正予算を組み、決算額は二百七十三万八千円、執行率一〇〇%となっています。
 三月六日からはPCR検査の保険適用により、新型コロナ外来を設置する医療機関等でも、民間検査機関を利用して検査を行うことが可能となりました。都は、民間検査機関等への検査機器の導入支援を進めてきており、現時点で少なくとも一万二百件確保できる見込みです。
 今後、都は、国の指針を踏まえ、インフルエンザの流行に伴う発熱患者等による検査需要も考慮して、検査体制整備計画を十月中に策定する予定であり、必要な方が迅速に検査を受けられるよう、引き続き体制拡充に取り組んでまいります。

○伊藤委員 相談、そしてまた、検査体制の強化に続いて医療体制の確保について伺いたいと思います。
 国内でも感染が拡大をしていった二月、三月から、患者数が急激に増加をしていきました。私の地元品川区の病院関係者から伺った話によりますと、当時、この時期ですけれども、二十四時間三百六十五日救急を断らないというありがたい病院ですが、腰痛の患者さんが救急車で搬送されてきて、高齢者を診察する際に呼吸が乱れるなどの症状があったということで、念のためにPCR検査を行ったと。したらば、その方は陽性だったということでございました。
 救急で受け入れて、違うことで受け入れて、はかってみたら陽性だったと、こういう事態が都内各地で多分起きていたんだろうというふうに思います。
 当時は患者の症例も少ない中で、医療機関では、院内感染の防止のための対応など大きな負荷がかかる中にあって、陽性が疑われる患者さんの受け入れや、陽性判明後も症状に応じて医療機関同士で搬送も必要となるなど、医療体制の確保をすることが急務だったわけであります。
 都議会公明党は、医療体制の拡充を早急に進めるよう繰り返し知事に要望を行い、都は、補正予算を措置するなどの対応を進めてきたところでありますけれども、医療機関における新型コロナ感染の疑いのある患者の受け入れなどについて、昨年度の都の取り組みと補正予算の執行状況について伺いたいと思います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 感染症の疑いがある患者に対しましては、医療機関において外来診療を行い、検査結果が出るまでの間、症状により入院を含む経過観察など対応を行うとともに、陽性が確定した際には、適切な医療を提供できる入院医療機関に必要に応じて搬送する必要がございます。
 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、都は昨年度、感染症の疑い患者を一時的に受け入れるための病床を確保するため、受け入れ医療機関への謝金の対象を拡大いたしました。
 具体的には、従来対象としていた保健所からの要請等により患者を受け入れた場合に加え、患者みずからが医療機関を受診した場合も対象といたしました。これにより、昨年度、新型コロナウイルス感染症にかかわる疑い患者の受け入れ実績は六百二十四人となっております。
 また、保健所が陽性患者を医療機関に搬送する際に、民間の救急搬送事業者を手配できる専用電話を新たに設置するなど、保健所への支援も実施してまいりました。
 これらの事業にかかわる昨年度の予算額は約五千七百六十万円、決算額は約五千六十万円で執行率は約八八%でございます。本事業は、事業規模等を拡大し、今年度も継続して実施しております。

○伊藤委員 ありがとうございます。二月、三月にかけて急激に感染が拡大し、都民、国民は半ばパニックに陥りそうな空気が漂う中、まち中で起きた現象は、あらゆる店からマスクが消えたということでありました。一般都民には入手困難となったマスクでありますが、コロナと最前線で向き合う医療機関や福祉施設などには、一刻も早い調達が求められた時期でありました。
 そこで、都が調達し、医療機関等に配布したマスクについて、配布目的、配布実績、また、それを踏まえた今年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○齋藤企画担当部長事業推進担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、世界的に衛生資材が不足する中、都内の医療機関や社会福祉施設等から都に対して、マスクの供給に係る要望が寄せられておりました。
 医療機関や社会福祉施設の利用者や職員等が使用するマスクは、基本的には各施設において備蓄するものでございますが、そうした状況を踏まえまして、令和元年度予算で都がマスクを約六百万枚購入し、医療機関、高齢者施設、児童福祉施設、障害者施設等に配布いたしました。
 また、今年度も、感染拡大の状況、市場の流通状況、施設等の状況などを踏まえ、補正予算によりまして、時期を逸することなく必要量を調達いたしまして、各施設の感染防止、感染拡大防止対策を支援しております。

○伊藤委員 冒頭申し上げたように、都予算の中でも福祉保健局の予算というのは非常に膨大なものだということであります。
 今回、今質問してきたのは年度末に行った補正予算のみに絞っての実績等を聞いたわけで、例えば、PCRの検査対象の人数とか、あるいは予算だとか非常に少ない感じがしますけれども、私は、年度末に本当に、まだえたいの知れない新型コロナと闘うために補正予算を組んで、早急にこうした対策をやったということについては評価をしたいと、このように思っております。
 次いで、少子化対策、子育て支援について質問をいたします。
 公明党は、税と社会保障の一体改革の中で、教育の無償化、そして、幼児教育、保育の無償化を強力に推進してまいりました。
 また、都議会においては少子化対策として、多子世帯への負担軽減をあらゆる都の施策に求めてまいりました。
 そして、国の幼児教育、保育の無償化が令和元年十月に開始されることに合わせて、都独自の多子世帯負担軽減のための事業の実施を求めてまいりました。
 そこで改めて、保育所等利用多子世帯負担軽減事業のスキームについて伺うとともに、予算額と実績についても伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 保育所等利用多子世帯負担軽減事業は、子供を二人以上持ちたいと願う方が、希望どおり子供を産み育てられるよう支援することを目的として、令和元年十月から実施しております。
 国制度では、年収約三百六十万円未満相当の多子世帯は、全て保育料の負担軽減の対象とされておりますが、それ以外の年収約三百六十万円以上相当の多子世帯につきましては、小学校就学前の子供の人数により数えることとなっておりまして、そのため、小学生以上の子供がいる世帯については、保育所等を利用している実際の第二子が第一子の扱いとなり、負担軽減の対象とならないなど限定的となってございます。
 このため、都は、国制度の対象とならない世帯も含めて全ての多子世帯を支援するため、本事業におきまして世帯に係る要件を緩和し、世帯収入や子供の年齢にかかわらず、第二子の保育料は半額、第三子以降の保育料は無償としております。
 本事業の当初予算額は約十三億一千万円で、決算額は約三十四億二千万円、補助実績は第二子が八千二百九十二人、第三子以降が六千八百九十二人となっております。

○伊藤委員 この多子世帯への支援、今後もさらに拡充をしていくことを公明党としては求めてまいりたい、このように思っております。
 児童虐待が増加をし、深刻な社会問題となる中、国は、法改正等によって児童福祉司や児童心理司の配置基準を見直して、また、児童相談所における法的対応力の強化を示しました。
 また、都では重篤な虐待死事案を受け、平成三十年度に都内全ての児童相談所で児童の安全確認をより適切に行えるよう、安全確認の手法や立入調査を行う判断基準を定めた独自の指針を策定いたしました。
 そして、平成三十一年一月の千葉県野田市で発生した女児死亡事案を受けて、児童相談所が在宅指導している虐待ケースについて緊急安全確認を実施しました。また、都は昨年度、社会全体で子供を虐待から守るための新しい取り組みとして、東京都子供への虐待の防止等に関する条例が四月一日から施行されました。
 近年、増加を続ける悲惨な児童虐待に的確に対応するためには、条例にのっとって今後も児童相談体制の強化をしていくべきだと思いますけれども、令和元年度と、そしてまた大事なことなので、今年度の強化策についても伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都では、児童相談所の体制強化を図るため、令和元年度、児童福祉司を二十九名、児童心理司を十八名増員するとともに、二年度は、児童福祉司を三十五名、児童心理司を二十三名増員いたしました。
 また、元年度には、複雑困難化いたします虐待ケースへの法的対応力を強化するため、非常勤弁護士の勤務日数を拡大するとともに、二年度には、児童相談情報の迅速な共有を図るため、テレビ会議システムを全ての児童相談所に設置いたしました。
 深刻化する児童虐待に的確に対応するため、今後とも児童相談所の体制強化に取り組んでまいります。

○伊藤委員 着実に体制強化を図っていただいているということでございます。これは人員をしっかりと確保するということと同時に、これまでもいってまいりましたけど、しっかりと現場のことがよくわかるこうしたエキスパート、これを育成していく、人材育成が強化のかなめでありますので、このことをぜひ、また今後もお願いしたいと思います。
 続いて、在宅ケースの全件把握、そしてまた、区市町村との連携について伺いたいと思います。
 昨年度、私は厚生委員会に所属しておりましたので、児童虐待防止については、私自身の前職の児童センター指導員時代の経験からもさまざまに都に質問、そしてまた提案をさせていただいてまいりました。
 その中で、在宅子育て支援の重要性と、一義的には区市町村が乳幼児健康診査を通じて子供や家庭の状況把握に努めることや、未受診の子供がいた場合には電話や書面、家庭訪問等によって保護者に受診を勧奨するということはもとより、全ての子供に直接会う取り組みの重要性を訴えてまいりました。
 こうした未受診の子供に加えて、保育園等に通っていない子供、また、子育て広場にも参加しない、どこにも所属しない家庭の状況もしっかり把握することが重要であるというふうに申し上げてまいりました。
 そこで、区市町村における安全確認の取り組みについて伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 区市町村では、乳幼児健診未受診者や不就学児童等に加えまして、平成三十年度から、お話の未就園児につきましても家庭訪問等により安全確認を行っておりまして、その結果を地域の関係機関で構成いたします要保護児童対策地域協議会で情報共有するとともに、各関係機関が役割分担のもと、個々の家庭の状況に応じまして必要な支援を行っているところでございます。
 また、都は、令和二年度から未就園児等のいる家庭を訪問し、安否確認を行う区市町村に対しまして必要な経費を補助しておりまして、今後とも区市町村と連携し、児童虐待の早期発見、早期対応の取り組みを強化してまいります。

○伊藤委員 私は、児童虐待に至らないように、子育てについて役立つ情報を発信することの重要性も求めてまいりました。
 その中の一つに、自分が子育ての中でやってきたことの中に、体罰に当てはまるものがあるのかどうか、あるいはまた、体罰によらない子育てとはどういうものなのか、こうしたことを情報発信すべきだと求めてまいりましたけれども、このことについて、都の取り組みについて伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、東京都子供への虐待の防止等に関する条例に基づきまして、体罰等によらない子育ての推進に向けた啓発を進めております。
 令和元年度は、保護者向けに子供に接する際のポイントや具体例を盛り込んだ小冊子を作成し、区市町村や学校等へ約二十八万部配布するとともに、その内容を動画にいたしましたDVDを作成し、各区市町村に配布をいたしました。
 二年度は、保護者向けには、気軽に操作しながら、体罰等によらない子育てのポイントが理解できるコンテンツを作成するとともに、保育士や学校教員、子供家庭支援センター職員など、子育て支援に携わる職員向けに新たにハンドブックを十一万部作成し、区市町村や学校等に配布をいたしました。
 さらに、幅広い年齢層の都民に周知するため、SNS等さまざまな手法により広報を展開することとしておりまして、こうした取り組みにより体罰等によらない子育ての推進に向け、普及啓発を効果的に進めてまいります。

○伊藤委員 体罰によらない子育てというのは、私は非常に重要なことだと思います。いろんなものをつくっていただいているようなので、本当に、東京のあちこちでうわさになるような、話題になるような取り組みをさらにやっていただきたい、このように思います。
 次に、子供の食の確保緊急対応策について伺いたいと思います。
 子供食堂は地域の子供の居場所として、また、子供の食の確保対策として重要でありますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、都は、令和元年度はどのように支援を行ったのか、その実績を含めて伺いたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、令和元年度は、子供の食の確保緊急対応策を実施し、家に閉じこもりがちな子供やその保護者を対象に、調理した弁当や食材の宅配等を行う子供食堂等を区市町村を通じまして支援しておりまして、その実績は十九自治体五十カ所でございました。
 二年度においても、こうした緊急対応策を継続して実施しておりまして、今後とも区市町村と連携し、地域における子供食堂の活動を支援してまいります。

○伊藤委員 次いで、ひきこもり支援について伺いたいと思います。
 ひきこもりで悩む当事者やその家族への支援は、公明党が推進するSDGs、誰ひとり置き去りにしないという視点で推進すべき大事な社会課題の一つであると考えています。
 都はこれまで、ひきこもりの状態にある当事者や家族のための相談事業、東京都ひきこもりサポートネットといった事業を展開してまいりましたけれども、都議会公明党は、ひきこもり支援は福祉的な、そしてまた、包括的な支援が必要であると提案し、都は、令和元年度にひきこもりにかかわる支援施策の所管を、当時の青少年・治安対策本部から福祉保健局に移管をいたしました。
 ひきこもり支援について、本人や家族のニーズ、心情に寄り添った施策を展開していくことが重要と求めてまいりましたけれども、昨年度の取り組みを伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 ひきこもりの状態にある方への支援でございますが、当事者やご家族が多岐にわたる課題を抱えていますことから、まず、その実情の把握に努めますとともに、個々の方の状況に応じまして、保健、医療、福祉などさまざまな関係機関が適切に連携し、対応していくことが重要でございます。
 昨年四月に青少年・治安対策本部から私ども福祉保健局にひきこもりの状態にある方への支援事業が移管となりまして、昨年六月には、ひきこもりサポートネットの訪問相談対象を三十五歳以上に拡大し、福祉等の相談にも対応をすることができます専門職員を配置するなど、ひきこもりとなった状態の方が長期化した場合への支援の充実を図ったところでございます。
 さらに昨年九月には、ひきこもりの状態にある方への支援のあり方を専門的に検討するため、東京都ひきこもりに係る支援協議会を新たに設置いたしました。この協議会には、学識経験者、地域福祉や保健、医療等の関係機関、区市町村に加えまして、初めて家族会や当事者団体の代表の方にもご参加いただきまして、これまで四回開催した協議会では、当事者やご家族の視点から、さまざまな貴重なご意見をいただいたところでございます。
 現在、これまでの議論を踏まえまして、ひきこもりに係ります支援を取り巻く現状でございますとか、課題、支援の基本的な考え方について、中間取りまとめの策定作業を進めておりまして、今後も積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 当事者が抱える課題は多岐にわたっておりまして、一人一人状況が異なることから、支援を進めるためには、本人やご家族等の当事者から直接話を聞く機会を設け、幅広い当事者の声を施策に反映することが重要と考えます。
 引き続き、どうかしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 昨年の九月から十月にかけては、毎週末ごとに記録的な雨が降りました。とりわけ台風十五号と十九号による被害は甚大なものとなりました。
 都議会公明党は即座に現場へ行き、現地から都の支援策についてさまざまな要請を行い、また、知事に直接緊急要望も行ってまいりました。また、台風が過ぎ去って数日後には被害状況が明らかになっていく中、既存の法律や支援策が行き届いていない、つまり、支援の手からこぼれてしまっている都民が多くいることがわかりました。
 私のところには、地元品川の大工さんからこんな話がありました。
 台風十五号の風で屋根が一部なくなってしまったお宅、そこに今度は十九号で雨が家中に吹き込んでしまって、昔ながらの土塀のような壁が泥になってしまって、畳に流れて、その中で途方に暮れている高齢者がいる、余りにも気の毒でというお話がありました。
 早速、地元の区議会議員とともに現場に駆けつけ、そして、この区議会議員が品川区役所にかけ合ったわけでありますけれども、国の被災者生活再建支援法、これに適合しない自治体であるということと、また損壊率が四〇%を超えていないということで支援策はないという当時の状況でありました。
 そこで都議会公明党は、都知事に緊急要望で都独自の支援策を求め、都は、被災者生活再建支援法に基づく、国の制度の適用とならない自治体や国の制度では対象外としている損害割合が四〇%未満の世帯に対し、二〇%以上四〇%未満の半壊は福祉保健局が支援を行うこととなりました。さらに、一〇%から二〇%未満の一部損壊は住宅政策本部で支援を行うことになりました。
 私は、縦割り行政の弊害が問題視されている中で、都については、この二局が連携して都独自の支援策、これを行ったということに大変に感謝し、また評価をしております。
 改めて、福祉保健局の被災者支援事業のスキームと、令和元年度の実績について伺いたいと思います。

○坂本生活福祉部長 都は、昨年の台風十五号及び第十九号によります住宅への被害に対しまして、被災者生活再建支援法の適用とならない区市町村におけます全壊世帯及び大規模半壊世帯に対しまして、国と同じ水準の支援金を支給する区市町村に対し、独自の補助を行ったところでございます。
 さらに、同法の支援対象とならない住宅の損害割合が二〇%以上四〇%未満の半壊世帯に対しましても、最大二百万円の支援金を支給する区市町村に対しまして、独自の補助を行うことといたしました。
 昨年度の台風第十五号の災害に対するこれまでの補助実績でございますが、五区一町二村、計二十八世帯に対しまして、都の補助額が約一千五百七十二万円、また、同じく台風第十九号災害に対する実績でございますが、二区五市の計二百二世帯に対しまして、都の補助額は約一億二百三十八万円となっております。
 また、被災された方からの申請受け付け期間につきましては、被災された日から十三カ月としておりますので、今年度も引き続き申請を受け付けているところでございます。

○伊藤委員 先ほど品川区民の方のお話をしましたけれども、国制度に当てはまらなかったことのみならず、国の制度では、先に壊れたところを修理してしまうと、これは支援対象に入らなくなってしまうというスキームになっている。都は、先に修理した後に申請しても支援対象となるということでありまして、つまりさっき申し上げた大工さん、余りにも気の毒で先に直してあげたんですって。そうしたら、国の制度はやっぱりそれはだめで、都の方はちゃんと、先に直した後でも申請してくれればできるよということで本当に助かったというお話がありました。
 今後もこうした災害がますます激甚化が想定されるわけであります。台風なのか豪雨なのか巨大地震なのか、こうした甚大が想定される災害に備えて、被災者の生活再建を支援するためのこうした施策は、ぜひ続けていくべきというふうに私は考えますけれども、この件については局長から見解を伺いたいと思います。

○吉村福祉保健局長 被災者の生活支援についてご質問いただきました。
 間もなく、あと四月半ほどで東日本大震災から丸十年を迎えます。また、今お話にございましたとおり、昨年は相次ぐ台風の襲来で、区部の多摩川周辺地域や多摩地域などで大規模な浸水被害や土砂崩れが多く発生いたしました。地球温暖化が進行する状況下にございまして、これまで経験したことのないレベルの台風や豪雨が頻発する危険性が指摘されているところでございます。
 こうした地震や台風、豪雨などの自然災害により、住宅に著しい被害を受けた方々に対して生活再建を支援していくことは、行政の重要課題であると認識しているところでございます。
 都はこれまで、平成二十三年の東日本大震災、十五年の台風二十六号や昨年の十五号、十九号による住宅被害に際しまして、災害の都度、被災者生活再建支援法の適用とならない自治体の全壊世帯、大規模半壊世帯や、先ほどもお話にございました四〇%未満の半壊世帯を対象に、地元区市町村と連携し、独自の支援を実施してまいったところでございます。
 今後とも、こうした自然災害の発災時に際しましては、速やかに被災世帯の支援が実施できるよう、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。

○伊藤委員 福祉保健局は、都民福祉に直結する幅広い多種多様な事業を展開する局でございます。またそこに加えて、新型コロナウイルスへの最前線での対応を求められるということで本当に大変だと思います。
 数日前にNHKの報道でこんな報道がありました。ことしに入って妊婦さんの届け出、つまり母子手帳の交付、これが激減しているという状況だというニュースでありました。
 私は、こうしたこと一つ一つがアフターコロナに影響してくることだろうというふうに思います。ただでさえ少子高齢化といわれているところに、コロナの対応だけではなくて、例えば、妊婦さんの届けが少ないということは、これは一年後にどういう影響が出てくるのか、三年後、五年後、十年後にどんな影響が出てくるのか、こんなことも想定をしながら、福祉保健局のみならず、各局でしっかりとこれは横の連携をとりながら、アフターコロナに対して先手先手で施策を打っていく。この都政を前進させていく、こうしたことが重要であるというふうに思います。
 どうか吉村局長、そしてまた初宿局長を中心に、福祉保健局、一致団結して都政を前進させていただきたいことを望みまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後三時開議
○中山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○原委員 それでは、最初に保育行政について伺います。
 昨年度の保育園待機児数は三千六百九十人、旧定義、いわゆる隠れ待機児も含めれば二万二千八百八十四人でした。ちなみに今年度は二千三百四十三人の待機児、旧定義では二万五百五十六人です。
 待機児解消に向けては、認可保育所を柱にすべきであると考えて主張してまいりましたけれども、昨年度、待機児解消を進めてくる中での都の基本的な考え方を確認いたします。

○高野少子社会対策部長 保育サービスは、保育の実施主体でございます区市町村が、認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備を進めていくものでございます。

○原委員 今いわれたような考え方で進めてきた結果、昨年度までに保育所の数はどのように変化しているでしょうか。続けて、東京都内の認可保育所の施設数及び増加数、それから公設公営、公設民営、私立の内訳を伺います。

○高野少子社会対策部長 令和二年四月現在、都内の認可保育所は三千三百二十五カ所でございまして、前年度から二百五十九カ所増加しております。
 設置主体別の内訳は、公設公営が六百七十四カ所、公設民営が百六十四カ所、私立が二千四百八十七カ所となってございます。

○原委員 今、内訳を伺いますと三千三百二十五施設中、私立が二千四百八十七施設とのことです。そして、前年に比べて二百五十九施設、この一年で増加をしているということです。区市町村が認可保育所をふやして、待機児解消に取り組んでいるということがわかります。
 では、公立保育所についての状況はどうでしょうか。公立保育所のうち、昨年度の民営化や廃止の状況について伺います。

○高野少子社会対策部長 平成三十一年四月二日から令和二年四月一日までに廃止となった公立保育所は二十七カ所であり、その内訳は、民間移譲が十九カ所、公私連携型保育所への移行が一カ所、廃止が七カ所となっております。

○原委員 二十七施設廃止ということですが、多くは民間移譲ということです。全体としては、待機児童対策のために認可保育園を、先ほどご答弁あったようにふやしている中で、公立保育園が減らされているということはとても残念に思っています。同時に、廃止した後は同じ場所に私立の保育園を建てるという例が多いということを今確認しました。
 今、東久留米市では、公立保育園の民間化という名で、公立保育園の全廃が進められつつありますけれども、そういう例は極めてまれなのではないかと今伺っていて思いました。
 では、実際に公立保育園がないという自治体がどのぐらいあるのか、都内で公立保育所がない自治体数について伺います。

○高野少子社会対策部長 都内で公立保育所のない自治体は、令和二年四月現在、四市二町三村の九自治体でございます。

○原委員 九自治体ということですが、島なども含めて、この数字になっていて、二十三区では公立保育所がない自治体はないということが今の数字でわかりました。
 ただ、多くのところでは、公立と私立が共存して、地域の保育を支えているということもわかりました。
 では、障害児や医療的ケア児を受け入れた昨年度の実績について、公立と私立、それぞれについて伺います。

○高野少子社会対策部長 令和元年度において、障害児を受け入れている公立保育所は七百十九カ所、二千六百九十人、私立保育所は千四百十九カ所、三千六百三十五人の児童を受け入れております。
 また、令和二年三月三十一日時点で、医療的ケア児を受け入れている公立保育所は三十一カ所で三十七人、私立保育所は十六カ所で二十四人の児童を受け入れております。

○原委員 公立も私立も障害児、医療的ケア児など、ケアが必要な子供たちを受けとめているということだと思います。
 障害児保育について、先ほどのご答弁の数字で計算をしてみますと、公立保育園のうちの八五%、私立保育園については、私立保育園のうちの五七%が障害児を受け入れていると、そういうことになると思います。
 それから、医療的ケア児の受け入れについては、人数も保育園数も、公立保育園が特にケアが必要な子供たちの受け入れのかなめの役割を果たしているというふうに思います。
 しかし、その公立保育園が減ってきてしまっています。保育園の運営をどうしていくかは、各区市町村の判断ですが、それぞれの自治体の保育を考えたときに、公立保育園を維持しようと考えて、改築しようなどと考えたときに、国や東京都の支援はありますか。

○高野少子社会対策部長 公立保育所の整備費につきましては、平成十八年度に税源移譲されております。

○原委員 つまり補助としてはないのです。子供たちの、保育を継続して受け続ける権利からすれば、区市町村の判断で公立を残して、子供たちを支える場合にも、国や東京都の支援、補助があるべきだと思っています。
 特にケアが必要な子供たち、障害児だけでなく、児童虐待なども含めて、児童相談所などとも連携していく、そのかなめに公立保育園を位置づけている自治体も多くあります。
 港区では、公の責任で医療的ケアの必要な子供たちの集団保育を実現するために、公立保育園を設置しています。財政力の弱い自治体でも、そうした判断ができるように、都の支援を検討することを求めておきたいと思います。
 保育についての質問は終わります。
 続いて、学童保育行政について伺います。
 昨年度の学童クラブの数と都型学童クラブの数、そして平成三十年度の実績も含めて伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都内の学童クラブの数は、平成三十年五月一日時点で千八百二十一カ所、令和元年五月一日時点で千八百七十五カ所でございます。
 また、都型学童クラブの数は、平成三十年度が三百三十六カ所、令和元年度、これは交付決定ベースでございますが、三百六十二カ所でございます。

○原委員 学童クラブもふえているということがわかります。小学校六年生までが対象になって、待機児も多いという中で、さらに急がれているというふうに思います。
 それで、学童クラブのうち、公設公営、公設民営、民設民営のクラブ数について伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 令和元年五月一日時点における学童クラブ千八百七十五カ所の設置主体及び運営主体別の内訳は、公設公営が七百八十六カ所、公設民営が九百二十三カ所、民設民営が百六十六カ所でございます。

○原委員 状況はわかりました。
 都型学童クラブ事業は、国の補助に都が上乗せをしているものですけれども、この仕組みとして、民間事業者の運営による場合のみ支援をするという仕組みになっています。それはなぜなのかということを伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都型学童クラブ事業は、午後七時以降までの開所や常勤の放課後児童支援員の配置など、都が定めました要件を満たす学童クラブに対し、運営費を上乗せ補助するものでございまして、これにより民間事業者の参入を促し、学童クラブの質の向上を図っているものでございます。

○原委員 済みません、ちょっと一つ確認をしたいんですけれども、面積や職員の基準を満たしているところを支援して、質を確保するというのならわかるんですけれど、今の答弁の後半部分ですね、民間事業者の参入を促し、学童クラブの質の向上を推進するというところなんですけれども、民間事業者の参入がそのままイコール質の向上というように聞こえましたが、これはちょっとどういう意味なのか、ご説明いただきたいと思います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都型学童クラブ事業は、午後七時以降までの開所、これは開所時間を延長するということでございます。それから、常勤の放課後児童支援員の配置、こうした要件を満たす学童クラブに対して、上乗せ補助をするという意味でございます。
 こうした柔軟な、こうした要件を満たす民間事業者の参入を促すという、そういう趣旨でございます。

○原委員 要件を満たしたところをということです。そうした形で民間事業者の参入を促進して、学童保育所をふやしていくという考えなのだというふうに思いますが、一方で、区市町村が直営での学童保育を維持しようと考えている場合にも、私は必要な支援が考えられるべきだというふうに思っています。
 また、民間事業者の参入については、全国的に見ると、さまざまな問題が起きています。例えば、ある株式会社が指定管理者になるケースですけれども、引き継ぎ保育を行うということになったわけですが、引き継ぎ保育に、実際に保育に当たる支援員は来なくて、本部の社員が来ていたというようなことが起きている、そういう自治体もありました。
 それから、支援員に対しての研修がやられていないというケースや、また、支援員が定着しない、すぐに入れかわってしまって、保育が安定しない、こういうことが全国的には問題となって、指摘をされています。
 そもそも学童保育は、子供の成長を支える場です。障害児も受け入れていますし、また年齢も広がった中で、安定して継続的な保育が行われるということが非常に重要だというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけれども、そういう考えに基づきますと、学童保育には本来指定管理者制度はなじまないのではないかと考えますが、見解を伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 学童クラブの運営主体につきましては、事業の実施主体である区市町村が地域の実情に応じて判断するものと考えております。

○原委員 確かに今ご答弁にあるとおり、直接は区市町村の判断ということです。そうだとしても、東京都がどのような姿勢で支援するのかということが重要だと私は思っています。
 先ほどいったように、その自治体の判断だというふうにおっしゃるのであれば、自治体が直営で維持しようと、その中でサービス拡充しようと思ったときに、そこに対する補助、これを検討すべきではないかということを指摘しておきたいと思います。
 では、支援員から継続的に保育を受ける権利が子供にはあるというふうに考えますが、見解を伺っておきます。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 国が定めます放課後児童クラブ運営指針では、放課後児童クラブは、子供の発達段階に応じた主体的な遊びや生活が可能となるように、自主性、社会性及び創造性の向上、基本的な生活習慣の確立等により、子供の健全な育成を図ることを目的とするとされております。
 また、指針では、放課後児童クラブの運営主体に変更が生じる場合には、育成支援の継続性が保障され、子供への影響が最小限に抑えられるように努めるとされております。

○原委員 今引用された、国として定めています放課後児童クラブ運営指針ですけれども、ここには運営主体というところで、まず一番最初に書いてあるのが、放課後児童健全育成事業は市町村が行うこととし、放課後児童クラブの運営については、育成支援の継続性という観点からも、安定した経営基盤と運営体制を有し、子供の健全育成や地域の実情についての理解を十分に有する主体が、継続的、安定的に運営することが求められると書かれています。
 これが第一に掲げられていまして、その後に留意点が述べられていて、その一番最後に、今引用をされた部分が出てくるんですね。運営主体に変更が生じる場合には、継続性が保障され、子供への影響が最小限に抑えられるように努めるというのが最後に出てくるんですね。
 私は、基本は、今、私が読み上げた運営主体の一番最初に書いてあるところがやっぱり基本だと思うんです、継続性を維持するということで。ですから、本来は、変更が生じて子供に影響が出ることのないようにしていくというのがまず基本なのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。
 それで、先ほどもいったように、自治体がそういう中で継続性を担保しようと思ったら、うちの場合は直営を維持しようというふうに判断したときには、そこを支援する、補助をするということを、東京都としても検討してほしいということです。
 そして、大事なのは、学童保育に従事する放課後児童支援員の質を高めていく、これは非常に重要だと思っています。そのために、昨年度等も含めて、どういう支援を実施したのか伺います。

○西尾子供・子育て施策推進担当部長 都は、放課後児童支援員として学童クラブに従事しようとする者を対象に、支援員に求められる役割やクラブにおける安全・安心への対応などをテーマに、基本的な知識や技能の取得を目的といたしました放課後児童支援員認定資格研修を実施しております。
 また、令和二年度からは、学童クラブでの五年以上の勤務経験を有し、かつ認定資格研修を修了した者を対象に、地域との連携や発達障害児への対応などをテーマといたしました資質向上研修を開始したところでございます。

○原委員 研修について充実させていくということは重要だと思います。さらに進めていくことを求めておきたいと思います。
 次に、失語症の方への支援について伺います。
 東京都と言語聴覚士会によるパンフレットには、こういうふうに書かれています。
 失語症とは、脳卒中や事故が原因で言葉にかかわる脳の領域が損傷を受け、話す、聞く、読む、書くことが不自由になります、全国に失語症のある人は五十万人いるといわれています、言葉の困難さを自分で伝えることが難しいので、周囲の人の正しい理解と適切な対応が求められますと書かれています。
 私自身も実際に失語症の方と出会って、教えていただくまでは、全く正しく理解をしていなくて、言葉が出ないから紙に書いてもらえばいいんじゃないかという、そういう間違った認識を持っていました。
 失語症について正しい理解を広げるために、都として、昨年度取り組んだことは何か伺います。

○藤井障害者施策推進部長 失語症につきまして、都は、平成三十年度から失語症者向け意思疎通支援者養成事業を実施しております。
 また、失語症について正しい理解を広げるため、これまでリーフレットや動画の作成のほか、シンポジウムの開催などに取り組んでおります。

○原委員 当事者の生活や社会参加を進める上で重要なのが意思疎通支援ということだと思います。失語症の本人や家族の方々の働きかけが実って、意思疎通支援者の養成が始まったことは大変重要だと思います。
 失語症者向け意思疎通支援者養成研修における受講希望者及び修了者の推移を伺います。

○藤井障害者施策推進部長 養成事業を開始いたしました平成三十年度から今年度までの三カ年の受講希望者数は、平成三十年度が百七人、令和元年度が八十四人、今年度は百三人であり、修了者は平成三十年度が三十九人、令和元年度が三十六人となっております。
 なお、今年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえまして、研修を中止することといたしました。

○原委員 今年度中止というのは残念ですが、やむを得ない面ももちろんあると思います。
 ただ、受講の定員を大きく上回る方が希望されているということがわかりました。失語症の方は五十万人はいるのではないかというふうにいわれていますので、東京にもかなりの方がいらっしゃるというふうに思います。
 支援者をふやしていくということが必要です。受講者が多いことは本当に大切で、希望する人が受講できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○藤井障害者施策推進部長 養成事業の講習会のカリキュラムには、受講生が実際に失語症者と接する実習を設けているほか、専門職である言語聴覚士が講師を担うなど、さまざまな方の協力を得て、研修を実施しているところです。
 今後とも関係者のご意見を踏まえて実施してまいります。

○原委員 関係者の意見を踏まえて実施をしていくという点は非常に重要だというふうに思います。高次脳機能障害の方々からも、受講の人数や場所をふやしてほしいというご意見をいただいています。ぜひ積極的な対応をお願いしたいと思います。
 また、会話パートナーを養成している、育成している地域もあります。会話パートナーの方々は、既に力を発揮してくださっています。私も参加をさせていただいたサロンでも活躍されていました。ぜひ、あわせて支援をしていただくということを求めたいと思います。
 失語症のサロン、集まり、居場所は、失語症の方にとってかけがえのないものです。失語症の方々にとって大事な社会参加の場になっています。この中で、仲間の中で、言語聴覚士や会話パートナーの方の支援を受けながら、ゆっくりと言葉が出たり、自信をつけていくということができます。
 失語症でも、こうした集まりを知らずに過ごされている方もたくさんいらっしゃるのではないかというふうに思います。都内各地にこのサロン、居場所が設置をされるとよいと思いますが、都としてどのような取り組みをしているのか伺います。

○藤井障害者施策推進部長 都は、今年度から失語症の会話サロンを設置して、意思疎通支援者を派遣するモデル事業の実施により、区市町村が体制整備に取り組めるよう支援することを予定しておりました。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえまして、今年度の実施を見送ることといたしました。

○原委員 今、コロナの中で集まりを持つこと自体が、今非常に厳しくて、皆さん苦労されています。話す機会やコミュニケーションをとる機会がなくなると、せっかく獲得してきた力が後退してしまうということも心配されていまして、今、コロナに注意しながらも、何とか集まろうと工夫をされていらっしゃるというふうに聞いています。
 コロナに注意しながらも、サロンや居場所が実施をできるように、都としても支援をしていただきたいということを求めておきたいと思いますし、また、モデル事業の見送りは残念ですけれども、今後の着実な実施を求めておきます。
 次に、ひきこもりの方への支援について伺います。
 先ほどもご質問がありました。全体の状況もそこでわかったところです。その上で幾つか聞きたいと思います。
 ひきこもり支援が福祉保健局の所管になり、課題であった訪問相談の対象年齢の上限が撤廃をされました。訪問相談事業の昨年度の実績はどのようになっていますか。三十四歳までという制限をなくした結果の利用状況の変化について伺います。

○坂本生活福祉部長 昨年度のひきこもりサポートネットの訪問相談の実績でございます。新規受け付け件数が四十九件でございまして、また、六月からの訪問相談の対象を三十五歳以上に拡大いたしまして、三十五歳以上の方の実績でございますが、うち十二件となっております。

○原委員 三十五歳以上の方の利用が昨年度十二人ということで、やはりニーズはあるということです。今まで利用できなかった年齢の方が利用できるようになって、これは本当によかったというふうに思います。
 ただ、訪問相談事業は、一人おおむね五回までというふうになっています。しかし、内容によっては、五回で終了とはならないケースもあると思います。昨年度については、五回以上継続している例はありますか。

○坂本生活福祉部長 ひきこもりサポートネットの訪問相談でございますが、現在おおむね五回を目途に実施しておりまして、具体的な相談につきましては、個々の方の状況に応じまして、保健所、区市の相談窓口など関係機関につないでいるところでございまして、昨年度は五回程度となっております。

○原委員 昨年度は保健所や区市の相談窓口など、関係機関、適切なところにつないだということで、五回以内で終わっているということなんですけれども、大事なことなので、ちょっと確認したいんですけれども、この五回なんですが、どのぐらいの期間で五回なのか、一人一人によって違うと思うので、その辺の基準は何かありますか。

○坂本生活福祉部長 具体的な個々の方の相談状況につきましては、個々の方の背景となりますものが、障害でございますとか、精神疾患でございますとか、さまざま多岐にわたってございます。
 こうしたことから、おおむね五回の範疇につきましても、現場の裁量によりまして、具体的な状況を見つつ、五回の中で保健所、区市の相談窓口に適切につないでいるというところでございます。

○原委員 個々に、それぞれの人に応じて適切に対応しているということで、何ていうんでしょう、画一的にやっていないんだなということについては本当に重要だと思います。
 この五回の期間をどういうふうにするかというのは、本当に一人一人違っていると思いまして、一回訪問して、その次、二回目、いつ行くかというのも、それぞれ違うと思うんですよね。
 今ご答弁にあったように、一人一人に応じてということでやっていらっしゃるということは、本当に大事にしていただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 一人一人、今いったように進み方が違うので、例えば、一律に就労の方向につながるかどうかという物差しだけで判断したりとか、あとは、ごく短期間の中で集中して五回働きかけてという、そういうようなことがないように、今後ともしていただきたいというふうに思います。
 特に長くひきこもりをされている方は、かなり時間がかかるわけで、とにかく信頼関係を築けるように、本当に声をかけ続ける。会えなくても、ドアの外から、困ったらいつでもいってくださいねと、またいついつ来ますねというふうに声をかけるような、そういう時間をかけてできる、そういう都の訪問相談事業を進めていただきたいということを改めて要望しておきたいというふうに思います。
 また、ずっと誰にも相談できなかった家族の方が、実は、東京都が年齢を撤廃したということで、いろんな動きがありました。
 勇気を出して、ちょっと相談に行ってみようということで、役所に行ってみたという方もいらっしゃいました。そのときに区市町村の窓口が子育て支援の課だったので、なかなかちょっと声をかけづらかったという方もいらっしゃいました。
 また、ある方は、ひきこもりの相談を受けてくれる窓口がどこかわからなかったという方もいらっしゃいました。または、プライバシーを守られるような環境ではないと感じて、帰ってしまったなどの声も寄せられています。
 こうしたことは、改善を検討する必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○坂本生活福祉部長 区市町村におけます相談窓口でございますが、現時点では各自治体が状況に応じまして、保健所、生活困窮者の相談窓口、青少年関係の部署などが対応しているところでございます。
 昨年九月に設置いたしました東京都ひきこもりに係る支援協議会におきましても、相談しやすい体制づくりについて意見も出されておりまして、協議会との議論を行っているところでございます。

○原委員 議論を進めているということで、非常に大事だと思います。昨年度来、こうした取り組み、議論が進められているということがわかりました。ぜひ、さらに検討を進めていただきたいと思います。
 相談をするのに、とても勇気が要るのは、ひきこもりについての社会のまなざしがまだまだ冷たい、誤解があるということだというふうに思います。ひきこもりは、誰にも起こり得ることであって、悪いこととか、恥ずかしいことなどではないです。
 こうした認識を持って支援を進めていくということが重要だと思いますが、どのように認識をしているのか伺います。

○坂本生活福祉部長 昨年度に設置いたしました支援協議会の議論におきましては、ひきこもりは状態を指す概念とされておりまして、その要因は個々の方の事情によりまして異なってくるところでございます。
 ひきこもりの状態にある方への支援につきましては、まず、その方の現状を確認し、保健所、生活困窮者窓口、精神保健センターなど、個々の方の状況に応じた適切な関係機関と連携し、進めていくことが重要でございます。

○原委員 ひきこもりであるということを否定的に見ないということはとても重要なことだというふうに思って、今聞きました。
 ひきこもりに係る支援協議会、昨年度設置されて、ずっと本当に熱心に議論を重ねられているわけですが、このひきこもりに係る支援の充実に向けての中間の取りまとめ案は、当事者や家族の声が反映をされて、重要な中身になっていると思います。
 この線でホームページやリーフレットの改善をしていくということが必要だと思いますが、これらは昨年度来、検討はされていますか。

○坂本生活福祉部長 都ではこれまでも、必要に応じまして、ホームページやリーフレットの記載内容の随時見直しを行っておりまして、現在、東京都のひきこもりに係る支援協議会におきましても、情報発信、普及啓発についても議論を行っているというところでございます。

○原委員 協議会の方で昨年度来、議論をしていると、それを踏まえて検討していくということですので、ぜひお願いしたいのですが、既に必要に応じて見直しを行っているというふうにあるとおり、私もリーフレットについて、見出しが変わっているということをこの間気がついて、すごくいいことだなというふうに思いました。
 実は、ごらんになっていたひきこもりの関係者の方からも、このタイトルは変えてほしいという内容だったわけですね。そういうこともきちんと検討されて、その都度改善を図っているというのは非常に重要だと思いました。さらに進めていっていただきたいというふうに思います。
 それで、ひきこもり支援では、居場所がとても重要になってきます。多様な居場所があることが大事だと思います。また、ご家族にとっても居場所が必要です。
 昨年度、ひきこもり女子会等を主催されている方のお話を聞く機会がありましたけれども、家から少し離れたところなので、参加できたという声もあったり、逆に家から近かったので、試しに来てみたという方もいたり、さらには、単発で一回だけ集まりやりますよというお知らせだと、そのときに勇気が出ないと行けないけれども、何回かやりますというお知らせがあると、いつかは行けるんじゃないかと希望を持てる、こういうような声もあったと聞いています。
 本当に、さまざまな多様な居場所があるということが必要なんだなというふうに私は思いました。この多様な居場所の重要性について、都としてどのように考えているか伺います。

○坂本生活福祉部長 昨年度設置いたしました支援協議会におきましても、多様な居場所の重要性などについては意見が出されておりまして、現在、協議会での議論を行っているところでございます。

○原委員 今まさに議論を進めているということですので、それを見守っていきたいというふうに思います。
 この居場所の支援については、その議論でよりよい形にしていく、支援をどういうふうにするのかというのは決めていくということになると思うんですけれども、居場所支援については、できることはどんどんまたやっていっていただきたいと思っていますが、現在、東京都として、ひきこもり支援を昨年度から福祉保健局に移管して、その上で居場所支援としてはどのようなことをやっているのか、伺います。

○坂本生活福祉部長 昨年四月の福祉保健局への事業移管後につきましても、ひきこもりの相談窓口を紹介いたしますリーフレットを配布いたしまして、自宅以外の居場所の提供や、社会参加活動の実施をしておりますNPO法人等の連絡先を周知いたしますとともに、こうした法人が参加する合同相談会などを開催しているところでございます。

○原委員 さらに当事者や家族の声を聞きながら、検討を進めていただきたいというふうに思います。
 最後に要望したいと思うんですけれども、昨年度末からコロナ感染が広がっている中で、この居場所の活動も非常に難しくなっています。
 公共施設を借りるにも、人数を制限して、広い会場を借りなければならないので、いつも以上にお金もかかり、大変困っているという声も寄せられています。
 ひきこもりの当事者の方は、お金がかかる集まりというのは非常に出にくいんですね。百円や二百円の参加費でも、本当に厳しいというふうな声が寄せられるそうです。
 コロナ禍のもとで居場所を継続できるように、都の施設の会場費を減免するなど、そういう、コロナの期間、できないのかということを私は考えています。
 施設は他の局のものもありますから、連携した対応を求めて、ぜひ検討していただきたいということを強く要望しまして、ひきこもり支援についての質問を終わります。
 以上で私の質問を終わります。

○西沢委員 私から、まず最初に、救急医療対策についてお伺いをしたいというように思います。
 二〇〇九年に私は初当選をさせていただいたのですが、この二〇〇九年以来、救急搬送時間の短縮などにつきまして提言をしてまいりました。
 東京消防庁は、救急隊の計画的な増強などに取り組んできたわけでありますが、救急搬送患者を迅速に受け入れる救急医療体制の確保に向けた、これまでの東京都の取り組みについてお伺いをいたします。

○矢沢医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、三百六十五日二十四時間、救急入院が可能な病床を確保する休日・全夜間診療事業を実施しており、平成二十七年一月には、救急搬送の受け入れ実績や救急隊の要請に対する受け入れ率を評価する仕組みに再構築をし、救急患者の受け入れ体制の強化を図っております。
 また、救急医療の東京ルールを定め、地域の救急医療機関が相互に協力連携して、救急患者を受け入れることができますよう、地域救急医療センターを中心としたネットワークの構築を進めております。

○西沢委員 いわゆる救急車のたらい回しというようなものが問題になったのも、まだ私にとっては記憶が新しいところでありまして、こうしたことをなくそうということで、今答弁があったような取り組みがされてきたわけであります。
 この中で、救急入院が可能な病床を確保する休日・全夜間診療事業と、それから東京ルールです。
 これ、一つずつちょっとさらにお伺いをしていきたいと思いますけれども、まず、外来診療時間外である休日及び夜間における救急医療体制を確保するための休日・全夜間診療事業の仕組み、これを改めて確認するとともに、昨年度の実績についてお伺いいたします。

○矢沢医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、東京都医師会、東京消防庁と協議の上、毎年、休日・全夜間診療事業を担う東京都指定二次救急医療機関の選定を行っております。
 この指定二次救急医療機関の選定基準は、三百六十五日救急用の病床を確保すること、救急診療に必要な医師、看護師、放射線技師等を配置して救急患者の受け入れに備えることとしております。
 令和元年度は二百四十一医療機関を指定し、七百五十四床を確保しており、年間で約百三十五万件の救急患者を受け入れております。

○西沢委員 年間で百三十五万件、救急の受け入れというご答弁をいただいて、確認させていただきました。
 そして、もう一つは東京ルールでございますが、この東京ルールは、五医療機関または二十分以上経過しても搬送先が決定しない患者を受けとめるための取り組み、現在の取り組み状況と全都での運用開始直後の平成二十三年、これと比較して選定困難事案の発生件数がどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○矢沢医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 都は、搬送先選定が困難な場合には、患者の受け入れ調整を行うとともに、調整が困難な場合には、みずから患者を受け入れる地域救急医療センターを二次保健医療圏ごとに設置し、現在、八十九カ所の医療機関を指定しております。
 また、二次保健医療圏ごとに全ての二次救急医療機関、消防、警察、区市町村等が参加する地域救急会議を開催し、地域の特性を踏まえた救急医療の連携強化についての検討を重ね、情報の共有を図っております。
 休日・全夜間診療事業の再構築や、こうした取り組みなどによりまして、東京ルール事案に該当する救急患者の数は、平成二十三年は約一万四千人でございましたが、令和元年は約九千人になっております。

○西沢委員 東京ルール事案に該当する場合というのが比較できる平成二十三年は一万四千人だったのが、元年度では九千人に減っているということでございました。
 もちろん、東京ルールが発動しないということにこしたことはないわけであります。ただ、発動した場合、そのことによって時間短縮につながるかどうかというこの分析は必要ではないかというように思います。
 この搬送時間、救急活動時間短縮ですけれども、東京消防庁のデータによりますと、出場から医師引き継ぎまでの救急活動時間、平成二十三年が五十一分四十一秒でありましたが、元年は四十五分十七秒に短縮をしているということであります。
 東京消防庁は救急隊の計画的な増強などに取り組んできているということでありますが、救急活動時間の短縮に関する福祉保健局の認識をお伺いいたします。

○矢沢医療政策部長新型コロナウイルス感染症医療政策担当部長兼務 東京消防庁が救急隊の計画的な増強などの取り組みに加えまして、休日・全夜間診療事業により、医療機関における積極的な救急患者の受け入れが図られ、搬送先の選定が困難な東京ルール事案に該当する患者の数は減少しております。
 また、地域の救急医療機関相互の連携により、東京ルール事案に該当する患者の圏域内での受け入れが進んでおり、迅速適切な救急搬送患者の受け入れが推進されているものと認識してございます。

○西沢委員 東京ルール事案に該当する救急搬送患者の圏域内の受け入れが進んでいると、こうしたこととか、いろいろとやっている事業などから減ってきている、時間が短縮してきているんじゃないかという話でありました。
 東京消防庁と、それから福祉保健局さんでいろいろ取り組んでいただいていると思います。
 東京消防庁の救急活動の現況という資料を見ますと、時間について少し書いてありますが、平成二十九年、それから三十年、令和元年のデータを見てみますと、全体の数字は減ってきている、短縮してきているんですけれども、現場に到着してから搬送開始までの時間を見ますと、二十九年が二十分五十秒で、三十年が二十一分〇九秒で、それから元年は二十一分〇五秒というような形になって、この数字だけ見ると、必ずしもそこの部分は減っているわけではないというようなことがわかります。
 本当に、秒単位ですから、ある程度何が原因なのかというのはありますけれども、その現場到着から搬送開始までというのは、救急処置と搬送連絡でありますから、東京消防庁さんでやっていることと、それともう一つは、搬送先を見つける東京ルールなどの福祉保健局さんがやっているような、そういった取り組みになりますから、ぜひこうした分析もしていただいて、課題が全くないというわけではないというように思いますから、こうした数字なんかの分析もしつつ、引き続き、東京消防庁と連携し、課題を整理して、さらに救急活動時間の短縮に取り組むよう要望をいたします。
 続いて、自殺総合対策についてお伺いをしていきたいというように思います。
 自殺について、いろいろと最近は報道がなされていますけれども、コロナの影響なのかどうかということとか、小中高生の若者の自殺が二年連続で増加しているよとか、女性の自殺が増加傾向にあるよとか、もしくは人気俳優の自殺の報道やコロナ禍が影響なんじゃないか、いのち支える自殺対策推進センターが記者会見を開いて、こうしたこと、可能性があるんじゃないかということも指摘をされたところであります。
 そうしたことで、そもそもの東京都の対策、どのようにしているのかというのをちょっと確認していきたいと思いますが、そもそも自殺という、自殺対策を行政がやることの意義ですね、私はその意義は大変大きなものがあるというように思っておりますけれども、一部、本当にほんの一部だと思いますけれども、みずからの選択じゃないかというような方がいらっしゃいます。
 それは尊厳死だったり、安楽死だということをおいておいても、そうした議論があるので、改めて、私はここで確認しておきたいと思いますが、東京都が自殺対策を行う意義、これは何なのかお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺の背景には、健康問題や経済問題、就労や働き方の問題など、さまざまな要因が複雑に絡み合っておりまして、自殺対策は社会的取り組みとして実施することが必要でございます。
 このため、都は、平成十九年七月に、保健、医療、福祉、労働、教育等の関係団体や自殺防止活動を行う民間団体、有識者等から成る自殺総合対策東京会議を設け、多様な分野が幅広く連携して、さまざまな施策を推進しております。
 また、地域での実践的な取り組みを推進するため、平成二十九年四月に東京都地域自殺対策推進センターを設置し、対策を支える人材の育成などを支援しております。
 さらに、自殺対策基本法等の改正を受け、これまでの取り組みをより一層進めることを目的に、平成三十年六月に東京都自殺総合対策計画を策定いたしました。
 こうしたことから、都は、支援を必要とする方々の心と命をサポートするため、区市町村や関係団体、民間団体と連携し、自殺対策を推進することが重要と考えております。

○西沢委員 今、答弁がありましたとおりだと私も思いまして、自殺対策というのは社会的取り組みとして実施することが必要であるということであります。それを行政が音頭を取ってやるということも重要だというように思っております。
 そうではないと思います。もちろん−−そうではないというのは、法律が改正されたから、仕方なくやるという、そんなことではなく、当然東京都が、それぞれの自治体であったり、それから国とも連携してやるということが重要であるということを申し上げておきたいというように思います。
 そしてさらに、今、答弁がありました自殺総合対策東京会議、ここでさまざまな分野が幅広く連携して、施策を推進しているということでございましたが、この自殺総合対策東京会議での取り組み内容が何なのかお伺いをいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 自殺総合対策東京会議は、保健、医療、福祉、労働、教育等の関係団体や自殺防止活動を行う民間団体、有識者等のメンバーから構成されておりまして、多様な分野が幅広く連携して、さまざまな施策を推進しております。
 本会議では、部会として、重点施策部会と計画評価部会を設置し、平成元年度はそれぞれ一回開催いたしました。
 また、令和二年三月に開催いたしました自殺総合対策東京会議では、新型コロナウイルス感染症の影響による自殺未然防止策の強化につきましてご意見をいただきました。

○西沢委員 この自殺総合対策東京会議でさまざまな有識者の方から意見をいただいたという、それによって、いろいろ進めているという話でございました。
 自殺の人数について、警察庁とかも発表していますけれども、大体全国的には二万人以上の方がいまだにみずから命を絶たれておりますし、東京においても二千人以上の方が亡くなられているというようなことでございます。
 これだけ多くの方が亡くなられている、みずから命を絶っているということで、恐らくきょうここにいる方の中でも、そういった親しい方、近しい方でみずから命を絶つという選択をした方がいるという経験をされている方、いらっしゃるんじゃないかと思います。
 あえて私も議事録に残す意味で、自分の中でも何人かの方がみずから命を絶ちました。
 そんな中で、私、二十六歳のときに、高校、大学の同級生がみずから命を絶ちました。高校のときは、最初の席は前と後ろ、近くて、一緒に旅行にも行ったりした、まさに親友です。
 大学を出た後も、年に一、二回は飲みに行く、そんな関係でありましたが、絶対そういう選択をしないようなというようなことを私も強くいうような、そんな親友でありましたが、卒業した後の職場も近くてというか、彼が家を出て、駅に向かうときに、私はその駅に着いて、職場に向かうということで、すれ違う、そういった機会で、卒業して社会人になってからも、年に何回か飲みに行くんだけれども、そういったすれ違うことまであって、よお、とすれ違うときにいうような関係でしたが、最後によお、と道で挨拶した一週間後に亡くなったという連絡を聞きました。
 彼は出勤をして、そのまま会社を無断欠勤したと。一週間、みずから死に場所を求めて、そして一週間後に、ある公園の近くでみずから命を絶ったわけであります。
 その話を聞いたときに、一週間前に私は、スーツを着て、まさに出勤をしていると思われる彼に会っているわけですが、そこで何か声をかければよかったんじゃないかという思いが今でもあります。
 一週間、その後、彼は恐らく−−つまり、私にとってはひょっとして最後に彼に会ったのが自分なんじゃないかというような自責の念にとらわれることが今でもありまして、そのとき自分ができることがあったのかという話を思い返します。そうした当時二十六歳の若者です。
 聞きたいのは、そういった中で−−その前にまず、自殺総合対策東京会議のメンバーについてですが、私はその親友にとって、自死遺族でもなければ、私自身は専門家というわけでは当然ありません。
 だけれども、私は自死遺族以上に恐らく彼のことを知っている部分があるというようにも思っていまして、教育の専門家の視点でも、保健の専門家でもない視点で、恐らく議論に参加することができるような経験があるつもりです。
 ですので、このメンバーについて、例えば、都民公募という形で、こうした方々の意見を聞くであるとか、ご意見をいただく、メンバーに入ってもらうということも一つだと思いますし、メンバーとしてではなくても、これだけ多くの方が亡くなられていますから、そういった経験、もしくは自分の方がそういったことを知っているんじゃないかという方も、多くの一都民としての意見を聞く意義は私はあるんじゃないかなと思いますから、これは要望ですけれども、そうした声をぜひ拾っていただきたいということをお願いしたいというように思います。
 次のSNS相談ですね。特に若い方々の、残念ながら若い方の死因のトップは自殺というような形になります。そうした中で若い方に対して、SNSを使った相談対応というものは非常に効果的ではないかというように私も思います。
 そこで、本格実施を始めた令和元年度において、SNS相談の実績とその効果についてお伺いをいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、若年層の自殺防止対策を強化するため、平成二十九年度及び平成三十年度にLINEを活用した自殺相談をモデル実施し、令和元年度から本格実施をしております。
 令和元年度は一年間で延べ七千九百三十二件の相談に対応しておりまして、年代別の相談割合は、十歳代以下が三九%、二十歳代が一八%、三十歳代が二一%でございました。
 四十歳代から五十歳代の利用割合が高い電話相談と比較いたしますと、十歳代から三十歳代の割合が高くなっておりまして、多くの若年層からの相談に対応しているものと考えております。

○西沢委員 LINEは便利で、本当に若い方は多く使っていますから、そういった意味で、今も答弁あったように、若年層からの相談に対応している、これは効果を発揮しているものだというように思います。
 LINEとか、そういうのは日々情報が更新をされているわけでありますから、LINEも古くなるかもしれませんし、その使い勝手というものに関しては、相談員と、それから相談者とで開きがあってはいけないというようにも思います。
 そこで、SNS相談の質の向上に向けた取り組みというものをお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 平成二十九年度及び平成三十年度に実施いたしましたモデル事業を踏まえまして、SNS相談から電話相談や対面相談につなげるなど、具体的な対応方法をまとめましたマニュアルを整備いたしますとともに、実際の対応事例をもとに研修や事例検討を行うなど、相談の質の向上を図っております。
 また、本年六月から利用者の相談理由や心の変化などを相談直後に尋ねるアンケートシステムを導入しており、その回答を分析いたしました上で、相談員のスキルアップに活用する予定でございます。

○西沢委員 ぜひ、相談員のスキルアップ、進めてもらいたいというように思います。私も、こういったLINE相談であったりとか、その状況というのを見せていただきましたけれども、今、非常にきめ細かくなっているなというふうにも思います。
 こういった対策、どれだけ効果があるのか、効果はあるし、それは、やっていることというのは大変すばらしいものがあると思いますが、こういうのを始めましたとか、LINE相談でこういうふうにやりましたという、こういった報告だとか、情報提供をいただくたびに、私の親友はこれあったら死ななかったのかなって毎回思うんですね。毎回、これだったらどうだったのかな、あいつ死ななかったのかな、やっぱり考えちゃうんですね。
 なかなか効果の検証ってすごく難しいと思うんですけれども、あえて自殺対策について、どのように効果検証をしているのかお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都自殺総合対策計画では、自殺死亡率について、二〇一五年の一七・四から二〇二六年までに一二・二以下に、自殺者数については、二〇一五年の二千二百九十人から二〇二六年までに千六百人以下にすることを目標に設定しております。
 昨年度計画に掲げる目標の評価、検証等を行いますため、自殺総合対策東京会議に計画評価部会を設けまして、部会では二〇一八年の自殺死亡率と自殺者数を報告いたしますとともに、目標達成に向けた観点から、今後の取り組みについてご意見をいただきました。

○西沢委員 目標達成ということを一つの指標としているということでございますけれども、もちろん取り組みをさらに進めてもらいたいと思います。
 また、きょうは昨年度の決算ですから、今後について、これ以上は議論しませんけれども、コロナ禍において、予断を許さない状況にあると思いますから、ぜひ、担当部局の皆様におかれましては、引き続き取り組んでいただきますようお願いを申し上げまして、次の質問に行きたいと思います。
 コロナの話を今しましたけれども、今後さらに低所得者対策として支援を必要とする方がふえてくることになりそうな、そんな状況にございます。
 低所得者への対策については、国でも生活保護法や生活困窮者自立支援法などもありますし、区市町村もさまざまな形で担っておりますが、東京都として、低所得者対策としてどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 都では、低所得者対策といたしまして、生活保護法によります適切な保護の適用を図りますほか、生活困窮者自立支援法における総合的な支援体制の整備、低所得者の安定した生活の確保、路上生活者の自立支援を図る事業などを実施しているところでございます。
 また、低所得世帯の子供を支援するための学習塾代や高等学校受験料等の独自の貸し付け、住居を失いネットカフェなどで寝泊まりしながら不安定な就労に従事する方などに対する支援、多重債務で生活困難な状況にある方に対する支援などの取り組みを、区市町村や関係団体と連携し、取り組んでいるところでございます。

○西沢委員 さまざまな、東京都独自な施策もあるというようなことでございますが、今答弁のあった中で、住居を失ってネットカフェで寝泊まりしている人への支援、少しコロナ禍においては注目もされましたし、やはりこれまでの取り組みというのをもう少し深掘りして、確認したいと思います。
 TOKYOチャレンジネットのことですね。TOKYOチャレンジネット、昨年度の特徴や元年度の成果など、具体的なことを含め、実績をお伺いいたします。

○坂本生活福祉部長 ネットカフェ等で寝泊まりしながら不安定な就労に従事する方や離職者等に対しまして、平成二十年度にTOKYOチャレンジネットを設置いたしまして、生活相談、居住支援、就労支援を行っているところでございます。
 令和元年度におきます電話や来所、メールなどによります相談実績でございますが、四千四十三件でございまして、そのうち八百十一人の方がチャレンジネット事業の利用者としての登録を行っているところでございます。
 また、チャレンジネットでは、介護職場での就労を目指す離職者等に対しまして、介護職支援コースを設置いたしまして、資格取得支援、就労支援を行い、離職者の生活の安定を図っております。
 令和元年度におきます介護職支援コースの実績でございますが、七十六人の方が資格取得をいたしまして、うち七十一人が介護職場での就職につながっております。

○西沢委員 昨年の実績、八百十一人が事業登録を行っているというようなことでもございました。相談も四千四十三件とありましたが、既に報道もありますように、既に昨年度の実績を大幅に超える形で今年度は数字が伸びているという現状であります。引き続き、こうした実績をノウハウとして取り組んでいただきたいと思います。
 先日、日経新聞には成功例がちょっと出ていました。この介護職の介護職支援コースの実績で、昨年は七十六人が資格取得して、七十一人が介護職の就職につながったという答弁がございましたけれども、十月三日の日経新聞には、そのことで逆に四十八歳の男性の方がコロナにおいて、改めてネットカフェから介護職へなって、リスタートできたと、こんな記事がございました。
 こうした成功例も当然あるんですけれども、そうでない例も当然ありますから、ぜひ、こうした取り組み、多くの方がこうした、成功していく、うまく支援がつながるという形に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 続いて、コロナの話ばかりしておりますけれども、改めて、感染症の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 もちろん、喫緊の課題は新型コロナ対策というものでございますけれども、コロナに追われて、本来、コロナ以外の感染症対策というものが、当然ですけれども、おろそかになってはいけないというように思います。
 特段、オリンピック、リオのときは、ジカ熱が感染症としてあって、妊婦の方が感染すると小頭症というような形、大きく報道もされましたのも記憶に新しいところでございます。
 こうした中で、来年に延期したオリンピックなどもございますし、コロナ以外のものを、この元年度決算のタイミングで、東京都の感染症対策全体について、どのような取り組みを行っているのかをお伺いしたいと思います。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 感染症対策について、都は、法に基づく感染症発生動向調査を実施し、発生状況を分析し、広く都民に流行状況や予防策等の情報を発信しております。
 また、海外渡航者や訪日外国人に対し、感染症予防に関するわかりやすいパンフレットを作成し、注意喚起や発症した場合の対応等の周知も行っております。
 さらに、新型インフルエンザ、デング熱、ジカウイルス感染症、エボラ出血熱を初めとする新興、再興感染症等の発生、流行に備え、東京都感染症診療協力医療機関の指定等を通じて、医療体制を整備するとともに、東京感染症アラートなど、独自のサーベイランスや検査体制を強化することで、発生時に迅速な対応が可能な体制を整えております。

○西沢委員 今、答弁もありましたとおり、感染症といってもさまざまありまして、そういった対策をされているということがわかります。
 その中で決算書の方を確認いたしますと、感染症予防医療対策費が、予算現額で三十五億八千四百万円という中で、新型インフルエンザの対策はそのうちの三十億円、これは支出済額で見ても九割以上の金額は新型インフルエンザ対策に使われているというようなことがわかります。
 元年度決算の予算額を見ても、ほぼ今までの東京都の感染症予防医療対策という部分だけ見れば、新型インフルエンザ対策に焦点を当てていたということがわかります。
 そこで、この新型インフルエンザ対策について、具体的な昨年度の東京都の取り組みをお伺いいたします。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都は、東京都新型インフルエンザ等対策行動計画を踏まえ、新型インフルエンザの発生の際に都民の健康を守り、安全を確保できるよう必要な対策を実施してきました。
 昨年度は地域医療体制を強化するため、都内を十に区分したブロックごとに、保健所や区市町村、医療機関等の関係機関により、それぞれが担う具体的な役割と連携等についての協議会を開催いたしました。
 こうした医療体制を支えるため、国とも協力し、医薬品や医療用資器材等も計画的な備蓄を進めており、昨年度は抗インフルエンザウイルス薬を約百八万人分購入いたしました。
 また、医療現場での感染予防に必要となる個人防護具約八十万セットを購入し、合計約二百二十万セットを確保しております。
 さらに、ポスターを約二万枚、リーフレットを約十五万枚作成し、都内企業や医療機関等に配布したほか、羽田空港のデジタルサイネージを活用するなど、インフルエンザについての正しい知識や対応方法等を幅広く啓発いたしました。

○西沢委員 防護具であったり、備蓄であったり、確かにお金のかかるようなところがあると思います。こうしたことにたくさんのお金がかかりますけれども、これからはどうなっていくのかというところは本当に議論だと思いますし、そうならないのがベストだというようにも思います。
 当然ですけど、これからはコロナの話がいっぱいありますし、これまでは新型インフルエンザというようなことでございますけれども、もちろん、それ以外にもたくさんのことがありますが、ちょっと記憶に新しい、蚊を媒介とする感染症対策の取り組みを聞きたいと思います。
 都における蚊媒介感染症対策の取り組みについてお伺いいたします。

○高橋健康安全部長 平成二十六年夏に約七十年ぶりにデング熱の国内感染患者が発生し、都内を中心に百名を超す患者が報告されたことを踏まえ、都は平成二十七年六月に東京都蚊媒介感染症対策行動計画を策定いたしました。
 この行動計画に基づきまして、毎年、蚊が本格的に発生する前の六月を蚊の発生防止強化月間といたしまして、集中的な広報を行っております。
 昨年度は、都営バス四路線でラッピングバスを運行したほか、JR九路線でトレインチャンネルを放映し、さらに駅構内や公園等にポスターを掲示するなど、家庭や地域での取り組みを働きかけました。
 また、ウイルスを媒介する蚊を早期に探知するため、二十五カ所の公園等で蚊のウイルス保有調査を実施しておりまして、患者が発生した場合には、感染リスクの高い地点を地図情報としてホームページで情報提供することとしております。

○西沢委員 平成二十六年ですね、まだ記憶に新しいですけれども、当時、やっぱり水たまりをつくるなと、ボウフラが湧くのでやめろというような話をよくしていたのを覚えています。
 消防団の操法大会で水をまいても、水たまりをつくらないようにというような話をしていたぐらいですから、そういったことをちょっと忘れている方もいらっしゃいますが、当然これも大事な政策、施策になります。引き続きの取り組みをお願いしたいというように思います。
 もう一つ、東京都の感染症対策の取り組みの風疹対策についても、その取り組みの内容をお伺いいたします。

○杉下感染症危機管理担当部長医療連携推進担当部長兼務 都の風疹対策は、免疫を持たない妊婦が風疹に感染すると、胎児が先天性風疹症候群にかかるおそれがあることから、妊娠を予定または希望する女性やその同居者等を対象に、抗体検査と予防接種を一体的に行う区市町村を包括補助で支援しております。
 また、男女とも患者の多くを占める働く世代への予防策として、風疹の予防接種や蔓延防止の重要性について盛り込んだ研修教材を企業等に広く提供するとともに、本教材を活用した従業員研修などを行う企業を都のホームページで公表しています。
 さらに、広く都民に向けて予防を呼びかけるため、風疹に関する情報をホームページに掲載するとともに、風疹の抗体検査の受検を勧奨するポスターやリーフレットを作成し、周知を図っています。
 今後も流行状況を注意深く監視しながら、風疹の感染拡大防止を図るため、国や関係機関と連携しながら、風疹対策に積極的に取り組んでまいります。

○西沢委員 風疹対策についてお伺いしました。インフルエンザや、蚊を媒介とするものであったり、それから風疹、幾つか聞かせていただきましたけれども、感染症対策におけるかなめともいうのが保健所であります。
 そこで、保健所について話を少し進めたいと思いますが、保健所行政、保健所の役割、ご承知のように、二十三区や町田や八王子においてはそれぞれの自治体で、東京都内、それ以外は、複数の市町村を抱える東京都の保健所が持っているわけでありますが、改めて、感染症対策においての保健所、二十三区、八王子市、町田などの保健所の役割、また、複数の市町村を抱える都保健所の役割についてお伺いいたします。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 保健所は、地域における感染症対策の中核的機関として、感染症情報の収集、分析、関係機関等による感染症対策の支援、医療機関や医師会等関係団体との連絡調整など、感染症発生予防のための取り組みを実施しております。
 また、感染症発生時には、疫学調査による原因究明や防疫措置の実施等により、感染拡大防止を図るとともに、状況に応じた住民への情報提供、保健指導を行い、住民からの相談に幅広く応じるなど、地域における感染症危機管理の拠点として、総合的に対応しております。
 都保健所につきましては、地域保健に関する広域的、専門的かつ技術的拠点として、感染症対策担当を設置し、さまざまな感染症の発生に対応するとともに、地域の関係機関で構成する健康危機管理対策協議会を設置するなど、地域との連携強化を図っております。

○西沢委員 今、保健所の役割、いろいろと本当に多岐にわたるところもあると思いますが、地域における拠点であるというようなお話もありましたし、地域との連携強化を図っているというような話もございました。
 今、新型コロナウイルスが蔓延している中で、連携というものが一つのポイントなのかなというようにも思います。広域な連携というものが求められているのかなと思いますし、人的な支援というものも、そのように思います。
 そうした中で、東京都と、それから区市保健所の間で、人事交流の話です、感染症対策を担う保健所職員について、人事交流がどのように行われているのか、昨年度の実績をお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都の本庁及び保健所等と特別区、保健所設置市の保健所には、それぞれ公衆衛生医師及び歯科医師が配置されております。
 これらの公衆衛生医師等に関しては、都、特別区、八王子市及び町田市のそれぞれの間で職員人事交流基準が定められており、当該基準に基づいて、都区市相互間の人事交流が実施されております。
 平成三十一年四月一日付では、都から区市に五名、区市から都に六名が異動いたしました。また、毎年、都保健所の保健師を世田谷区と八王子市の保健所に研修派遣しておりまして、昨年度は二名を年間を通じて派遣いたしました。

○西沢委員 今、答弁いただいたのは専門家ですよね、ドクターであったり、保健師さんであったりということでありまして、今、地元の保健所の方にはちょっとお話も聞いたりとか、いろいろすると、やっぱり一般職員の派遣、今されていますけれども、すごく助かっているという話なんかも聞きます。
 ですので、そういった人事交流に加えて、これからの連携というのは、東京都と区市の保健所でいえば、一般職員も含めた人事交流とかがあって、いざというときにさっと応援に行けるとかという関係があってもいいのかなというように思います。
 東京都と区市町村の関係ですけれども、そうではなく、例えば区市ごとの関係というものも当然大事なんじゃないかなと思います。
 二十三区の自治体ごとの保健所同士のつながりみたいなものというものもどうなのかということで、研修なんかを区市を含んで開催しているということを聞きます。
 そこで、昨年度、都が主催した区市を含む保健所職員を対象とした研修の実施状況をお伺いいたします。

○雲田次長 都は、都の職員や区市町村職員の相互の研さんと技術の向上を図ることを目的に、福祉、保健衛生、医療に関する研究の成果を発表する場として、東京都福祉保健医療学会を毎年開催しております。
 元年度、医師、看護師、保健師など四百五十七名が参加いたしました。この学会では、研究成果の発表のほかにシンポジウムも開催しておりまして、元年度は東京二〇二〇大会を見据えた感染症対策をテーマに、感染症対策の現状と課題を共有いたしました。
 また、この学会のほかに、保健衛生や障害、少子、感染症等の分野ごとに区市町村職員や保健所職員も対象にした研修を実施しているところでございます。

○西沢委員 さまざま聞かせていただいてまいりました。この研修の内容、大変有意義なものであろうというようにも思います。こういった研修だとか、専門家の人事交流だけではなく、やっぱり東京都と区市、それから区市同士であったりとの連携というものが広域的に行われることが重要ではないかと思います。
 厚生労働省も六月十九日の今後を見据えた保健所の即応体制の整備ということについては、都道府県が中心となり、管内の保健所設置市、特別区や保健所と連絡会議等を定期的に開催するなど、相互に連携を図りながら、感染拡大の状況に応じて十分な対策を講じることができる保健所の即応体制を整備することが必要であるというようなものも出しています。
 先ほども答弁ありましたけれども、既にさまざまなことで連携することをやっているよというようなことはあろうかと思いますが、どうしても、区市、区ごと、区と区に関しても、広域的な連携というのが、まだまだ課題があるんじゃないかなというように思います。
 それは人的なものであったりもそうです。保健所がぱんぱんになったよという話が本当に連日報道されたわけでありますけれども、そうなる前に派遣できるような、応援できる、今回、異例の形で一般職員の方をですね−−先ほど答弁いただいた人事交流は、あくまでもドクターであったり、保健師さんだったりというようなことでありますけれども、一般職員の方が、こう、やりとりできるような形というものも、東京都と区と、それから市、やっぱりやるのは東京都が音頭を取って横串を刺すというようなことが重要になってくるのではないかなというようにも思います。
 私は、感染症というテーマできょうちょっとお伺いしたわけでありますけれども、答弁をいただいている部長さんも、いろんな方が答弁をいただくわけでありまして、もちろんそれぞれの役割があって、そうだと思うんですけれども、そういった部署部署とのつながりというものも、しっかりと連携をしているんだと思いますけれども、連携をしていくあたり、答弁が別々になると、ちゃんと連絡できているのかなというふうに心配になっている部分もあります。
 そういった不安も、ぜひ払拭できるような体制強化をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○福島委員 私からは、ひきこもり支援に関して二問だけさせていただきます。ちょっと重複しているところもあるんですけれども、文脈上そのままやらせていただきます。
 二〇一〇年代から、ひきこもりから立ち直れなかった人やひきこもりを抱える家族は全国的に高齢化し、外部に相談するケースが増加。二〇一八年初頭には、八十代の親が五十代のひきこもりの子を養育する状態を示す八〇五〇問題と命名されることで、社会問題として広く知られるに至りました。
 これを受けて、内閣府は二〇一八年末に調査を実施、二〇一九年三月、つまり平成三十一年三月に、四十歳から六十四歳で自宅に半年以上閉じこもっているひきこもり状態にある人が全国で推計六十一万三千人と、十五歳から三十九歳の推計五十四万一千人を上回っていることを明らかにした、これは有名な報道です。
 我が会派は、当事者や家族団体との意見交換会などを経て、まずは当事者や家族の声を聞くこと、そして、ひきこもりのきっかけが不登校や就労後、就労時のつまずきなど、多岐にわたることから、世代の広がりもあることから、局横断的な取り組みを求めてまいりました。
 これを受けて、都は、平成三十一年四月にひきこもり支援施策の所管を福祉保健局に移管するとともに、支援する対象を三十五歳以上に拡大した、そういうことになっております。
 この令和元年度の主な新規事業の実績についてお伺いをいたします。

○坂本生活福祉部長 昨年度の取り組みでございますが、ひきこもり状態にある方の高齢化などに対応するために、六月よりひきこもりサポートネットの訪問相談の対象を三十五歳以上に拡大したところでございます。
 昨年度の実績につきましては、訪問相談の新規受け付けが四十九件でございまして、このうち三十五歳以上の方は十二件で二四・五%となっております。
 また、同年九月には、学識経験者、それから家族会、当事者団体、地域福祉や保健、医療等の関係機関、区市町村などを委員といたしました東京都ひきこもりに係る支援協議会を設置し、議論を進めているところでございます。
 昨年度は二回、今年度は二回の協議会を開催いたしまして、現在ひきこもり状態にある方への支援のあり方について検討を進めており、これまで協議会での委員からのご意見といたしましては、相談しやすい体制整備や、複数の関係機関の有機的な連携などが必要等々、さまざまなご意見が出されているところでございます。

○福島委員 協議会の開催はまだ四回ということですけれども、家族や当事者も参加し、相談しやすい体制整備や、関係機関の有機的な連携が求められるなど、意義ある議論が行われているものと考えます。
 そして、訪問相談についても、三十五歳以上の方について十二件、二四・五%対応できたとのお話でした。対象とする年代を広げた初年度でありながら、取り組みが進んだことを評価いたします。
 しかしながら、青少年・治安対策本部が扱っていたころから、訪問相談の新規受け付けは五十件以下で推移をしているとはいえ、内閣府のひきこもり状態にある人数、この調査結果と比較すると、余りにも少ないということはあると思います。
 訪問に至るまでの関係性の構築に時間がかかることや、基礎自治体やNPOなどさまざまな窓口がある中での一つであることは理解をしています。
 しかしながら、ひきこもりの場合は、家族内で問題を抱え込みがちであり、その結果、相談もおくれがちになる一方、長期化することで、解決はより困難になるというふうにいわれています。
 一歩踏み出す場合に、一人でもわかってくれる人がいることが大切であり、無理のない範囲で多様な価値観とかかわれることが望ましいと考えます。
 令和元年度の相談状況は、まだ十分とはいえないのではないでしょうか。今後、より一層取り組みを強化していくべきと考えますが、所見を伺います。

○坂本生活福祉部長 ひきこもり状態にある方や、そのご家族への支援につきましては、いまだ相談につながっていない方も含めまして、より多くの方々に支援が届くよう取り組みを強化していくことが肝要でございます。
 都のひきこもりサポートネットでの現在行っております相談支援を含めまして、都、区市町村、保健、医療、福祉、就労などの各関係機関との連携の強化でございますとか、身近な地域での相談支援のネットワークの構築を図っていくことなど、ひきこもり状態にある方の支援体制の整備に向けまして、現在行っております協議会での議論も踏まえまして、検討を進めてまいります。

○福島委員 ありがとうございます。より多くの人に支援が届くようにするため、取り組みの強化が必要であるとのこと、そして、関係機関と連携して、そのための体制整備を進めるとのご答弁でした。
 令和元年六月一日に元農水事務次官が無職の長男を刺殺した事件がありましたが、親として当然のことをしたという反応が相当数あったことに私は驚くとともに悲しく思いました。
 私は、家族で抱え込まずに、外に助けを求めるべきだったと思いますし、外に助けを求めることが恥ずかしくない、家族以外の人が子育て初め、家族の問題解決にかかわってもよいということが、もっと社会で共有されるといいというふうに考えています。
 親とはいえども、幾ら能力があっても、一人の人ができることには限りがあります。諸説ありますけれども、私はやはり、人は社会的動物であり、他者とのかかわりの中で自分を理解したり、成長するものだと思います。
 多様な価値観、物差しがある中で、たった一つでいいので、自分の考えに合う人や考え方に出会えれば、人は案外元気にやっていけるのではないでしょうか。
 多様な生き方、多様な価値観があること自体に意味があり、大切にされる、そういった社会の実現に向けて今後も取り組むことを表明して、質疑を終えます。

○やまだ委員 私からは、まず、不妊治療助成について伺ってまいりたいと思います。
 まず、結婚をするかしないか、また、出産を望むかどうか、そういったことはそれぞれ個人の自由であり、どのような生き方を選んでも、それは尊重され、生き生きと誰もが人生を送れることができる社会を目指す、そのことがまず重要であり、大切であると考えています。
 その上で、妊娠、出産を望む全ての人が、安心して妊娠、出産ができるよう支援をしていくことが重要だと考えています。
 合計特殊出生率は一・三六と四年連続で低下し、特に東京都は一・一五と最も低い状況であります。その背景の中、都は、特定不妊治療費、国基準以上の上乗せや、助成対象者や所得制限の緩和など、都独自の対応や支援策がこれまで講じられてきました。
 治療費が高額になることから、治療を諦める方が多くあるといわれますが、特にこの特定不妊治療について、この助成について、都の助成実績を改めて伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都は、高額な不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、保険適用とならない体外受精や顕微授精等の特定不妊治療について、治療に係る費用の一部を助成しております。
 その実績は、平成三十年度が九千九百五十九組、延べ一万六千六百五十一件、令和元年度が一万八百六十二組、延べ一万七千五百三十件となっており、助成世帯数は九%増加しております。

○やまだ委員 三十年度と令和元年度の比較も伺いました。助成世帯としては九%増加している。助成制度の充実がこういった形で成果を出してきているものと評価するところであります。
 私も三十九歳で不妊治療を経て出産を経験した者として、この課題については区議会のときから取り扱ってまいりました。そして、社会情勢が変化し、さまざまな理解が深まる環境が整ってまいりました。
 その中でもやはり、不妊とは何か、妊娠とはどのような経過を経て行われるのかなど、我々女性でも実はわからないことが多くあり、妊娠をして初めて、もしくは不妊だとわかって初めて知ることが多々あります。
 特に若年層の方々には、到底想像ができないこの不妊とか、治療だと思います。不妊の原因は多種多様で、かつ原因不明であることも多いことから、その説明がなかなか難しく、理解が深まることも厳しいです。
 そんな中でも、女性の不妊原因の中で最も多い卵管因子−−卵管を通過するときの障害の場合ということなんですが、これは、性感染症の原因菌が卵管の周辺に感染することで詰まるなど原因となっていて、例えば、よく聞かれるのでは、クラミジア感染症など聞かれたことあるかと思いますが、そういった性感染症による感染をわからないまま治療せずに、子宮頸管、子宮腔、卵管へとその菌が広がり、卵管閉塞の原因となって、不妊の原因になるなど、原因が明確にわかっているものも中にはあります。
 このような知識を、我々女性、そして社会や男性も含めて、早いうちから知っていく、そういったことが不妊や妊娠に向けての対応につながるのだと思います。体の仕組みや妊娠成立プロセスを学ぶことは大切であります。
 特に妊娠、出産等について、若年層への普及啓発を行うことは最も重要であると思いますが、都としての取り組みについて伺いたいと思います。

○高野少子社会対策部長 都は、若いときから男女を問わず妊娠、出産に関して正しい知識を持てるよう、不妊の原因や妊娠、出産の適齢期などを紹介した小冊子を作成し、区市町村や都内の大学等で配布してまいりました。
 この小冊子をより多くの方に手にとってもらえるよう、配布先を専修学校にも拡大するなど、令和元年度は約六百二十カ所、合計六万五千部配布したところでございます。
 また、SNSや特設ウエブサイト、都内六カ所の大学に設置しているデジタルサイネージ等を活用しまして、若い世代に人気のタレントを起用したPR動画を放映するとともに、その内容をコンパクトにまとめたリーフレットを作成して、都内書店や調剤薬局、就活イベント等、約三百五十カ所、合計二万三千枚配布しております。
 今年度は新たに特設ウエブサイトに体験談を掲載するなど、内容の充実を図っており、引き続き若い世代に対する普及啓発に取り組んでまいります。

○やまだ委員 若い方向けへの工夫がされている小冊子、また、やはりウエブサイトでの発信、大学や専修学校などさまざまなところへの発信ということで工夫を感じますが、引き続きこういった工夫を社会情勢に合わせた形で行っていただきたいと思います。
 そして、受け取った側の方々から、どのような印象を受けたか、どんなことがわかったかなど、フィードバックをできるような、そんな仕組みも必要ではないかなと思っています。
 不妊や妊娠に対する社会的理解がまさに広がっている今だからこそ、十分な不妊治療費等が助成されるとともに、やはり仕組みについてしっかりと普及啓発されることを望んでおります。引き続きの積極的な取り組みを求めておきたいと思います。
 続きまして、措置入院者等退院後支援体制整備事業について伺いたいと思います。
 精神疾患の原因は、心的なもの、外因性のもの、内因性のもの、さまざまな要因があります。そして、これらの原因が相互に影響し合って起こることもあります。
 精神疾患は、単に遺伝や親の育て方、その人の性格などが原因ではありません。鬱病や統合失調症は、ストレスや生活環境の何らかの原因によって、脳内の神経の情報を伝達する物質のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられています。
 つまり脳の病気であり、誰もがなる可能性があるものであります。精神疾患が起こると、その症状からさまざまな生活のしづらさが生まれてきます。こうした困難は、病気だけが原因でなく、社会環境や個人の状態などかかわり合って引き起こされます。
 これらの精神疾患の方々を取り巻く環境の中で、私も実は地域でご相談として受けたことがあります。ごみ出しのルールを守ることができない方、精神疾患のある方でした。周辺住民の方から、注意をしてほしい、そのようなご相談を受けたことがありますが、確かに、表にあらわれているのはルールを守れないという現象です。
 視点を変えてみると、このごみ出しのルールを守ることができない障害を持つ方も生きづらさを感じているということが、かかわる中で感じられました。
 障害の有無にかかわらず、都民がお住まいの地域で、地域と協調しながら、その人らしく生活できる社会を実現していくために、住民に身近な区市町村はもちろん、都としても仕組みを構築していくべきだと考えています。
 都は、令和元年度から措置入院者等退院後支援体制整備事業を開始しておりますが、その事業の対象となる措置入院の令和元年度の件数をまず伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 措置入院は、精神保健福祉法に規定されている入院形態の一つでございまして、具体的には、精神疾患があり、自傷他害のおそれがある場合で、知事の診察命令による二人以上の精神保健指定医の診察の結果が一致して入院が必要と認められたとき、知事の決定によって行われるものでございます。
 令和元年度の都内の措置入院の件数は千二百十一件でございます。

○やまだ委員 令和元年度の措置入院件数は千二百十一件。一年間で千二百十一件、平均すると一日当たり約三・三件と、決して少なくはない件数だとわかります。
 これらの患者も精神科病院で適切な治療を受けた後は、地域での生活を再開することとなります。その際に患者は退院後の生活に対する不安や心配事を抱えていることが想像され、区市町村初めさまざまな関係者が支援に当たることが重要となってきます。
 そこで、本事業を開始した背景、そして措置入院者の退院後の支援の取り組みについて伺いたいと思います。

○石黒障害者医療担当部長 措置入院者が退院後に地域で安心して生活を送れるようにするには、本人のニーズに応じて、退院後に必要な医療、福祉、介護、就労支援等の支援を受けられる環境を整備することが重要でございまして、国は、平成三十年三月に地方自治体が行う入院者の退院後支援に関するガイドラインを取りまとめたところでございます。
 都においては、国のガイドラインを踏まえ、令和元年五月に保健所や医療機関、地域支援事業者等の代表が参加する検討会を設置し、支援対象者や支援計画作成及び計画に基づく支援の手順などを定めた東京都における措置入院者退院後支援ガイドラインを本年一月に作成いたしました。
 また、翌二月には、本ガイドラインに沿った退院後支援が各自治体で円滑に進められるよう、保健所職員向けに本ガイドラインの運用に伴う研修を実施しておりまして、今後とも、本ガイドラインに基づく退院後支援の実施状況を把握、検証し、退院後支援に係る体制の整備及び支援の充実を図ってまいります。

○やまだ委員 取り組みとして、検討会の設置、また、支援ガイドラインの作成、そして保健所職員に向けたガイドライン運用に伴う研修の実施という取り組みがなされたということです。
 これまで退院後の支援がなかった。国として具体的なガイドラインを示し、都や区市町村と連携をしながら取り組んでいく、このことは大きな第一歩であったと思います。
 ガイドラインでは、病院入院中に、居住する地域の保健所、保健師さんが医師や家族と計画を策定し、本人、そして家族と協議のもとで、退院後の計画がつくられる。
 本人も生きづらいし、ご家族もこれまで支援してくれる寄り添う方が少なかった中で、ともに医療や地域、福祉、計画を立てて、寄り添った形の支援が受けられることは大変うれしい、そして希望の光になるというお声も聞いています。
 課題としては、やはりサポートを行っていく保健所、保健師さんのマンパワー、この範囲だと考えています。担当する区市町村の保健所体制がさまざまな−−保健師さんの役割は大きいので、さまざまな取り組みの中で、新たにこのようなサポートの支援が加わる。ぜひとも東京都として、そんな区市町村の保健所機能への補助も検討いただきたいと思います。
 地域の理解が促進され、どのような障害をお持ちの方でも生きやすい社会がつくられるよう、保健師さん、地域住民、みんなの受け入れがかなうような連携に向けて、東京都としても協議会での議論、そして連携に期待したいと思います。よろしくお願いします。
 最後に、障害者通所施設整備費補助及び障害者グループホーム体制強化の支援事業について伺っていきたいと思います。
 障害者が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して、入所施設や精神科病院から地域生活の場、居住の場であるグループホームは大変大きな役割を今担っています。
 地域になじみ、グループホームと地域が連携していけること、このような環境をつくるためにも、都としての支援が重要になってきます。
 特に障害者通所施設の施設整備について、東京都では三カ年プランに基づいて計画的に整備を進めていることは理解をしています。
 このグループホーム設置促進に至る経緯、背景と現在の進捗状況について、まず伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 都は、障害者の地域生活への移行を進めるとともに、地域で安心して暮らせるよう、グループホームの整備を促進しております。
 この取り組みの中で障害者・障害児地域生活支援三か年プランを策定し、特別助成を実施するなどによって、グループホームの定員数を平成三十年度から令和二年度までの三年間で二千人分ふやす目標を掲げまして、整備を促進しているところです。
 平成三十年度から令和元年度までの二年間で千七百人分を整備し、令和元年度末時点で定員の合計は一万七百七十七人分となっております。

○やまだ委員 三カ年計画、三年間で二千名分をふやしていく目標の中で、千七百人分の整備が達成されたというご答弁でした。整備については、この数字を見ても、計画どおり進んでいるものと考えます。それについての評価をしたいと思います。
 障害があっても、地域で安心して暮らすことができるよう、グループホームにおける障害者の受け入れ体制を強化すること、このことは施設整備とともに、整備の数だけではなくて、さらに加えて、どのような二千名の方々にお入りいただくか、そのような内容についても注視していく必要があると考えています。
 特に現在、障害の中でも重症化の割合が多くなっているといわれています。このような、障害が重度化しているこれらについて都として対応している、重度の障害者を受け入れるグループホームの支援として、体制強化支援事業がこの元年度に整備されました。
 改めて、支援の内容と元年度の実績を伺いたいと思います。

○藤井障害者施策推進部長 都は、昨年度から、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度の障害者を受け入れるため、国で定める基準以上に職員を手厚く配置する事業者への支援として、障害者グループホーム体制強化支援事業を実施しております。
 具体的には、日常生活を送る単位であるユニットごとに、おおむね利用者三人に対して世話人一人を配置する場合には年間百十五万円、また、おおむね利用者二人に対して世話人一人を配置する場合には年間二百七十三万九千円を基準額として補助を行い、障害者グループホームの体制強化を支援しております。
 令和元年度は百三十八ユニットに対して支援を行っており、引き続き支援の充実に取り組んでまいります。

○やまだ委員 地域で暮らしていく障害者の方々のグループホーム、やはり当事者の方やご家族の方々からは、重度の対応が、なかなか受け入れてくれるグループホームが少ないというお声も団体の方からもいただいておりました。
 そんな中で今回の体制強化支援事業、ぜひとも事業者の方々にも十分、そして区市町村にもしっかりと周知をいただきながら、その体制整備が強化されることを望んでおります。
 引き続き、都においてもしっかりと支援していただくことをお願いして、私の質問を終わります。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時五十三分休憩

   午後五時十五分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○尾崎委員 私の方からは、最初、子供の医療費について幾つか伺っていきたいと思います。
 子供の医療費補助について、都の予算額と決算額について伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 義務教育就学児医療費助成制度に係る令和元年度予算額は三十七億四千九百三十二万一千円、決算額は三十五億四千七百三十五万二千円でございます。

○尾崎委員 多摩地域では、小中学生の医療費助成制度において、十三市と一町が所得制限を設けています。一部所得制限も含めれば、十八市一町となります。ところが、二十三区は所得制限がありません。また、ほとんどのところで病院に行くたびに一回二百円の自己負担がありますが、これも二十三区にはありません。
 同じ都民でありながら、住んでいるところによって負担のあり方が変わるという地域間格差をなくし、どこに住んでいても安心して子育てができるようにすべきだと思います。都が財政支援をふやすべきですが、いかがですか。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は、市町村が実施する義務教育就学児への医療費助成事業につきまして、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の所得制限自己負担を設け、補助を実施しております。
 この事業は、実施主体である区市町村が受診状況など地域の実情に応じて、それぞれの議会においてさまざまな審議を経て、条例を定めて実施しているものでございます。

○尾崎委員 一定の自己負担等を設けて、補助を実施しているとのことですが、地域の医師会の役員さんからも、子供医療費は無料にこしたことはないとの話も聞いています。
 また、市長会からも、子供の医療費への支援の要望が出ています。市長会は、所得制限を撤廃し、都内に住む全ての子供が平等に医療サービスを受けられる機会を確保することと求めています。
 都内のどこに住んでいても、子供の医療費は無料でなければならないと思います。財政的に脆弱な多摩地域は、子供たちの医療費の自己負担をなくしたいと思っても、実現に足を踏み出せない困難な現状があります。
 私の活動地域である武蔵村山市は、生活実態調査を実施し、子供たちの実態調査から見えた課題解決のために、武蔵村山市子どもの未来応援プランを作成しました。
 生活実態調査では、収入が少ない困窮層ほど、健康状態が、よい、まあよいを合わせた、よいの割合が低いことが明らかになりました。
 市内の歯科医の方から話を伺うと、学校の歯科検診も担当しているが、子供の貧困状況が虫歯にあらわれるということでした。そして、歯医者さんに行くように話しても、歯医者さんに行かれない子供がふえているといいます。
 歯の治療は結構長くかかります。医療費が無料になれば、安心して治療ができるはずですが、お金がなくて、歯医者さんに行かれないとなると、虫歯を原因として内臓などへの支障も出てきます。
 子供たちは、東京の未来をつくる宝です。住んでいるところで子育ての環境に格差が出ているのであれば、それは都の財政支援で埋めていくことが必要だと思いますので、検討をお願いいたします。
 次に、多摩地域の新生児集中治療室、NICUについてです。
 多摩地域の昨年の年間出生数は幾つになりますか。

○鈴木医療政策担当部長 昨年、令和元年の多摩地域の年間出生数は二万八千百九十二人でございます。

○尾崎委員 NICUは出生一万人に対して三十床を基本と考えるなら、多摩地域のNICUは最低でも八十五床必要になります。
 そこで伺いますが、都全体と多摩地域での新生児集中治療室、NICUは、この八年間どのように推移していますか。

○鈴木医療政策担当部長 この八年間、平成二十四年度から令和元年度までの推移といたしましては、都内全体のNICU病床は二百九十一床から三百四十四床、うち多摩地域は六十床から六十九床にそれぞれ増加しております。

○尾崎委員 東京都は、全都で三百四十四床、そのうち多摩地域は六十九床ということです。東京全体では、この八年間で五十三床ふえたことは大変重要です。しかし、多摩地域でなかなかふえていません。
 二〇一六年第四回定例会の一般質問で私が取り上げたときは、多摩地域で七十二床のNICUがありました。残念ながら、そのときよりも三床減少していることがわかりました。
 東京都は、NICUの整備目標は東京全体で目標を決めてふやしていくという方針です。しかし、子供の命を守るNICUは近くになくてはならないと思います。
 高齢出産もふえていて、リスクも高くなっています。また、妊娠しても、ぎりぎりまで働かざるを得ない状況もあり、ストレスも多く、低出生体重児もふえているといわれています。
 二〇一八年三月に改定された東京都周産期医療体制整備計画によると、東京都内の低出生体重児は二〇一六年にも一万二百九十三人であり、三十五歳以上の出産がふえていることが明らかになっています。
 安心して子供を産める環境をつくるため、多摩地域でのNICUをふやすことは緊急の課題と位置づけていただくことを強く要望するものです。
 次に、産科についてです。
 私の活動地域である東村山市内には、お産ができる産科がなくなってしまいました。厚労省の周産期医療体制のあり方に関する検討会、ここでの意見の取りまとめの中でも、分娩施設の減少に伴い、妊産婦の分娩施設へのアクセスの悪化が懸念されると現状について明らかにしています。
 都は、多摩地域の産科の状況についてどう分析していますか。

○鈴木医療政策担当部長 多摩地域では、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院がスーパー総合周産期センターとして妊婦を必ず受け入れるとともに、多摩全域を対象とした搬送の受け入れや調整を行っております。
 また、これらの病院が中核となって、多摩地域に所在する四つの地域周産期母子医療センター、都独自に指定している六つの周産期連携病院、その他主要な病院や診療所がネットワークを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁は、私が聞いている、多摩地域の産科の状況についてどう分析しているかと聞いたんですけれども、ご答弁はどう対応しているかというものだけでした。
 その前提として、多摩地域の産科が厳しい状況にあるという認識はあるんでしょうか。大事なことなので、もう一度伺いたいと思います。

○鈴木医療政策担当部長 医療資源には限りがあるところでございます。そして、医療資源につきましては、それを有効に活用することが重要なことだと考えてございます。
 先ほどもご答弁させていただいたとおり、多摩地域ではスーパー総合周産期センターが中核となって、その他主要な病院や診療所等がネットワークを構築し、リスクに応じた役割分担と連携を進めているところでございます。

○尾崎委員 多摩全体を対象とした搬送の受け入れや調整を実施している、役割分担と連携を推進とのことでしたけれども、連携先にある施設自体がない地域が生まれてしまっています。
 先ほどご答弁があったように、医療資源には限りがあるというお話でしたが、やはり多摩地域の医療資源が、そういう点では二十三区と比較をして少な過ぎるということだと私は思います。
 地域でお産ができるようにしてほしいというのが住民の願いであり、やはり安心してお産ができるようにするのが都の役割だと思いますので、地域の実態も把握していただき、産科の医師や助産師の育成などにも力を入れていただくよう要望しておきたいと思います。
 全都を八つのブロックで東京都周産期母子医療センター及び周産期連携病院の連携など進めていますけれども、多摩地域全体が一つのブロックになっています。
 全都で八ブロックになっている根拠は何でしょうか。

○鈴木医療政策担当部長 都では、二次保健医療圏を基本としながら、各圏域の医療資源の状況や疾病、事業ごとの特性を踏まえ、医療提供体制を整備しております。
 東京都保健医療計画では、多摩地域における周産期医療体制につきまして、五つの二次保健医療圏を合わせ、多摩地域全体を一つのブロックとして、母体搬送及び新生児搬送を実施しております。

○尾崎委員 周産期医療についての具体的な根拠は、今のご答弁ではよくわかりませんでした。区部と多摩で差があるのは、周産期医療の特性では説明がつかないと思います。やはり先ほどのNICUも含め、多摩地域に医療資源が少ないからであって、医療を受ける側の必要性が根拠となっているわけではないと思います。
 そこで伺いたいのですが、多摩地域で一つのブロックでは、余りにも広範囲だと思います。多摩地域を幾つかのブロックに分けて、検討を進めるべきだと思いますが、いかがですか。

○鈴木医療政策担当部長 多摩地域におきましては、都立多摩総合医療センター、小児総合医療センターと杏林大学医学部付属病院の二つの総合周産期母子医療センターが中核となり、一次から三次までの医療機関が参画して、周産期ネットワークグループを構築し、顔の見える連携を推進しております。
 さらに、地域の実情に応じたきめ細やかな連携を進めるため、六つのサブグループに分けまして、それぞれの地域で連携会議を定期的に開催し、各医療機関からの現状報告や症例報告、意見交換等を実施しております。

○尾崎委員 顔の見える連携の推進、六つのサブグループに分けて、連携会議を定期的に開催ということは重要だと思います。サブグループに分けているのは、やはり本来は地域ごとにブロックをつくれた方がよいからではないですか。
 やはり、広い多摩地域ですので、多摩地域を一つのブロックから、少なくとも複数、もしくは三つのブロック、さらには本来の二次医療圏ごとに必要ではないかと考えますので、医療資源の充実とあわせて、ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 次に、国民健康保険についてです。
 国民健康保険の加入者は、自営業者や農家、フリーランス、非正規雇用やパート、アルバイトをしている方たち、年金で暮らしている方たちや無職の方たちが入っています。
 そこで、東京都の国民健康保険加入者の職業構成はどうなっていますか。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 平成三十年度国民健康保険実態調査における世帯主の職業別世帯数の構成割合は、被用者が三六・九%、農林水産業に従事している自営業者が〇・一%、農林水産業以外の自営業者が一八・二%、年金生活者などの無職の方が三八・七%、その他が六・一%となっております。

○尾崎委員 東京の国保加入者の職業構成を見ると、やはり、年金生活者などの無職の方が三八・七%と非常に多いこと、次いで被用者、これは非正規雇用の方やパート、そして中小零細業者の家族従業者のことだと思いますが、この被用者の方が三六・九%であることがわかりました。無職の方と被用者を合わせると七五・六%にもなります。
 国保加入者の職業構成を見るだけでも、国民健康保険に加入している方たちの所得が少ないということがわかってきます。
 国民健康保険の制度改革により、都は区市町村とともに国民健康保険の保険者となりました。二〇一九年度は、制度改革後二年目に当たりますが、二〇一八年度から二〇一九年度までの東京都国民健康保険事業会計における予算額及び決算額の推移を伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 平成三十年度国民健康保険事業会計における予算額は歳入歳出ともに一兆一千二百八億一千四百万円、決算額は歳入が約一兆一千百五十億九千百万円、歳出が約一兆九百三十一億五千万円でございます。
 また、令和元年度国保事業会計における予算額は歳入歳出ともに一兆一千五十二億四千四百万円、決算額は歳入が約一兆一千百五十七億五千万円、歳出が約一兆九百五十一億二千四百万円でございます。

○尾崎委員 それでは、二〇一九年度国民健康保険事業会計における剰余金は幾らになりますか、また、その剰余金はどのように活用していくのか、伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 令和元年度国保事業会計において生じた歳計剰余金は約二百六億二千六百万円で、その全額を令和二年度の国保事業会計へ繰り越しております。
 その繰り越した剰余金を財源として、国庫支出金等の精算に伴う返還等を行い、これらの精算に伴う返還額を除いた額について、令和三年度に区市町村が都の国保事業会計に納付する納付金全体から減算することとしております。
 この対応方法は、国のガイドラインで示されたものでありまして、都におきましては、区市町村の代表等で構成される東京都国民健康保険連携会議において協議をし、全区市町村への意見照会を経て、決定いたしました。

○尾崎委員 二〇一九年度の国保会計の剰余金は二百六億二千六百万円で、その金額は二〇二〇年度の国保会計に繰り入れをされると。国などに返す分を除いて、二〇二一年度の区市町村からの納付金全体から減算するということです。
 私は、剰余金が出るということは、東京都に区市町村が納める納付金が多かったということになると思っています。
 都への納付金をもとに区市町村の国保料、国保税が決まるわけですから、できるだけ剰余金が出ないで済むようにすることが必要ではないかと思います。国保税や国保料の値上げを抑えることができるからだというふうに私は思っています。
 きょう出していただいた資料によりますと、多過ぎた納付金は一人当たり三千百八十三円に上ります。保険料、保険税の軽減もありますから、これが全て住民の負担になるわけではありませんけれども、千円単位で保険料、保険税が高かったことになります。
 東京都が区市町村から納めてもらう納付金の算出方法を検討する必要があるのではないかと思います。同時に、都独自の財政支援を行って、国保料、国保税の大幅な引き下げを進めるべきだと思います。
 都民の暮らしを守り、福祉の充実の立場から、払いたくても払えない今の高い国保料、国保税のあり方から、払える国民健康保険料、国民保険税に切りかえるための検討こそ必要だと指摘をしておきたいと思います。
 次に、子供の均等割減免、軽減の制度は、都内で何自治体が実施をしているか伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都内において、令和二年度に国民健康保険における子供に係る均等割保険料、保険税の減免、軽減を実施しているのは六自治体でございます。

○尾崎委員 私の住んでいる東大和市、活動地域でもある武蔵村山市、そして昭島市、清瀬市、あきる野市、武蔵野市の六市が子供の均等割減免、軽減の制度を実施しています。最初は昭島市だけでしたが、実施する自治体が広がってきています。
 厚労省の資料によると、一人当たり平均所得は、大企業の労働者とその家族が加入する組合健保は二百万円、中小企業の労働者とその家族が加入する協会けんぽは百三十七万円、そして国民健康保険は八十三万円となっています。国保の加入者の所得は、協会けんぽの六割、組合健保の四割程度にしかなっていないんです。
 一方、一人当たりの平均保険料、保険税は、組合健保は十万六千円、協会けんぽは十万五千円、国保は八万三千円、国保料、国保税は一・二倍も高くなっています。
 そして、家族の人数が多くなると、差はさらに大きくなります。給与年収四百万円の四人世帯の場合で、協会けんぽなら保険料は約二十万円ですが、国保の場合、地域によって差は出てきますけれども、四十万円を超えて、二倍以上になります。
 国保が高くて払えないの声の根拠が、国保の仕組みに、そして家族の人数に対して均等割があるからだということがはっきりします。
 国保の保険者として、全都で子供の均等割が減免、軽減できるよう、財政支援を東京都として行うよう要望するものです。
 次に、国保加入者が収入が大幅に減少した際、国保の保険料、保険税の減免制度がありますが、保険者である東京都は、区市町村にどのような対応をするのか伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 都は、財政運営の責任主体として、国保財政の入りと出を管理する役割を担っております。
 一方、区市町村は、住民との身近な関係の中、被保険者証の発行や保険給付、保険料率の決定、保険料の賦課徴収に加え、保険事業を初め地域におけるきめ細かい事業を担っております。
 国民健康保険法及び地方税法では、災害等で生活が困窮した場合など、特別の理由や事情がある場合に、区市町村の条例の定めるところにより、国民健康保険の保険料、保険税を減免することができるものとされております。

○尾崎委員 要するに国保加入者が減免制度を活用しても、都は、その減収分の支援はないということです。減免分は、区市町村の保険料、保険税が減収になるわけですが、保険者である都の支援が私は必要だと思います。ぜひ検討をお願いいたします。
 新型コロナの影響によって、国保の加入者の収入が激減した場合、国は国保料、国保税の緊急減免に踏み出し、国がその分を負担するとしていますが、その対象となるのはいつの保険料、保険税か伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 国の通知によれば、令和二年二月一日から令和三年三月三十一日までの間に納期限がある令和元年度及び令和二年度の保険料、保険税を国の示す基準により減免した場合は、その全額を国が財政支援することとしております。

○尾崎委員 新型コロナ感染症がいつ終息するのか、いまだに見通しが立ちません。しかも、新型コロナの影響で、中小業者の中には廃業を余儀なくされた事業者もいます。また、職を失った人も多数出ていると報道されています。今後ますます深刻になると予想されています。
 そうなると、無職の方がふえることになり、ますます払いたくても払えない人がふえてしまいます。先ほどのご答弁で、国保の緊急減免は三月までということですが、国に延長を求めるとともに、保険者である東京都が、緊急減免への財政支援を行うべきです。強く要望しておきたいと思います。
 次に、保健所についてです。
 新型コロナ感染症の拡大の中で、保健所の役割は重要であることが再確認されました。
 ところが、熱があって心配、保健所に二十回以上電話しても通じない、何とかならないかと私のところにも相談が来ました。
 そこで伺いますが、多摩地域の都の保健所は五カ所ありますが、保健所ごとの感染症医師の人数、保健師の人数の定数と現員を伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 多摩地域にあります五つの都の保健所における令和元年度の職員定数のうち、医師は十五人、保健師は百二十三人でありまして、令和元年十二月一日時点の現員は医師十五人、保健師百二十九名でございました。

○尾崎委員 医師は十五人ということですが、それぞれの保健所の状況を詳しく見ていくと、西多摩保健所、南多摩保健所では、定数三人に対し不足がそれぞれ一人です。しかも、二〇一七年度までは定数は二十人あったのに、十五人に減らされたのです。
 今の職員体制では新しい感染症に十分対応できないということが、新型コロナウイルスへの対応を通じて改めてはっきりしました。医師、保健師を初めとした職員の抜本的増員と体制の強化が必要です。
 そこで伺いますが、二〇〇九年の新型インフルエンザの経験から、都は、保健所についてどのような教訓を得て、どう生かしてきたのか、伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 平成二十一年の新型インフルエンザの経験から、都は、病原性や感染力等が高い新型インフルエンザが発生した場合に対応できる取り組みを基本としつつ、今後新たに発生するさまざまな、病原性、感染力の新型インフルエンザに弾力的に対応できるよう、対策の選択肢を示す東京都新型インフルエンザ等対策行動計画や、発生段階ごとの保健所等関係機関の役割を明確化した新型インフルエンザ等保健医療体制ガイドラインを作成いたしました。
 都の保健所は、こうした計画やガイドラインに基づき、地域の実情に応じた新型インフルエンザ等の発生時における地域医療体制を整備するため、感染症指定医療機関の所在地を基準として設定されたブロックごとに、市町村、医療機関、関係機関で構成する新型インフルエンザ等感染症地域医療体制ブロック協議会を設置しており、新型インフルエンザ対策の普及啓発や発生時対応の訓練等を実施してまいりました。

○尾崎委員 ブロックごとに新型インフルエンザ等感染症地域医療体制ブロック協議会を設置し、普及啓発や新型インフルエンザ等発生時対応訓練等も実施しているとのことです。
 ブロック協議会の開催や訓練などは年に一回程度ということもお聞きしましたが、今回の新型コロナ感染症は、日本でも世界でも、これまで経験したことがない感染症です。今回のコロナ感染症への対応がどうだったのか、今後の改善点なども検証する必要があると思います。
 そして、今のご答弁の中には、保健所の体制強化がありませんでした。
 厚生労働省が設置した新型インフルエンザ対策総括会議が十年前に出した報告書ですけれども、結びの部分で、新型インフルエンザ発生時の危機管理対策は、発生後に対応すればよいというものではなく、発生前の段階から準備、とりわけ、新型インフルエンザを含む感染症対策にかかわる人員体制や予算の充実なくして、抜本的な改善は実現不可能である、この点は、以前から重ね重ね指摘されている事項であり、今回こそ発生前の段階からの体制強化の実現を強く要望し、総括にかえたいと強調しています。
 この教訓がきちんと生かされていれば、保健所が今回ほど逼迫することはありませんでした。その上でも、多摩地域の保健所は、以前は十七カ所あったのに、二次医療圏に一カ所にするといって、統廃合が繰り返され、今は七カ所になっています。
 二次医療圏に一カ所の保健所の根拠について伺います。

○池上地域保健担当部長新型コロナウイルス感染症対策連絡調整担当部長兼務 地域保健法に基づく国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針におきまして、都道府県が設置する保健所の所管区域は、保健医療に係る施策と社会福祉に係る施策との有機的な連携を図るため、二次医療圏または介護保険法第百十八条第二項に規定する区域、いわゆる老人福祉圏域とおおむね一致した区域とすることを原則として定めることが必要であるとされております。
 都は、平成十六年四月に、多摩地域にある都の保健所につきまして、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として、原則として二次保健医療圏に一カ所、再編整備いたしました。

○尾崎委員 国の地域保健対策の推進に関する基本的な指針によるものだということですが、新型コロナ感染症の対策の中で、地域の公衆衛生が脆弱化していることが明らかになりました。国がいっているからではなく、地域に責任を持つ自治体として、必要な配置をすべきです。
 保健所の職員、保健師さん、お医者さんは休みも返上して取り組んでいただいていることに感謝しています。元保健師さんや職員の方も応援体制を組んだことは承知していますが、応援体制を組んでも対応できることは限られているということも伺いました。感染症のお医者さんが少ないこともお聞きしています。
 感染症医師の育成も含めて、保健所の体制強化と多摩地域の保健所をふやすことが必要だと思いますので、このことを要望して、質問を終わります。

○岡本委員 一般会計決算説明書の八九ページの受動喫煙防止対策等は、支出金額が約十三億六千八百万円で、執行率は約五六%でした。この事業の主な内訳の決算額と各執行率について概要を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 令和元年度の受動喫煙防止対策等の決算額は約十三億六千八百万円、執行率は約五六%でございます。
 この受動喫煙防止対策等の執行率の主な内訳は、受動喫煙防止対策の強化に伴う諸対応経費補助の決算額が約三億六千三百万円、執行率は約三七%、受動喫煙防止対策の強化に伴う喫煙環境の環境整備の決算額が約八億二千六百万円、執行率は約七一%、その他の受動喫煙対策の推進の決算額が約一億六千三百万円、執行率は約五八%などでございます。

○岡本委員 今ご答弁いただきました内訳について、具体的に検討させていただきたいと思います。
 市区町村による普及啓発等への補助事業であります東京都受動喫煙防止対策の強化に伴う諸対応経費の予算執行率は三七%と低いものとなっております。その理由についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、相談窓口の設置や事業者への啓発など、区市町村が地域の実情に応じて取り組む受動喫煙防止対策を推進しております。
 一方、健康増進法に基づく令和二年四月からの受動喫煙防止対策の具体的な内容は、政省令で定めることとされておりましたが、この政省令は平成三十一年二月に交付され、それまで新制度の具体的な内容が国から示されておりませんでした。
 さらに、違反事項に対する保健所での対応をまとめました国のガイドラインは、令和元年七月に国から示されまして、区市町村における本格的な取り組みがこれ以降に開始されたこともございまして、執行率が低くなったことと考えております。

○岡本委員 今ご答弁いただきました、国の対応のおくれもあって、普及啓発事業の本格的な取り組みが時期的にやや遅くなったということでありました。
 その一方で、先日九月三十日の本会議の一般質問で取り上げましたように、ふたをあけてみると、都内飲食店事業者の受動喫煙防止条例の認知度は九九%と非常に高く、都内飲食店のうち屋内全面禁煙は六九%に上りまして、昨年度の調査の四三%から大幅に増加をいたしました。条例の周知、普及はおおむね好調といえるのではないかと思います。
 やはり罰則がある条例である。この罰則があるということによる周知、普及の効果は高いものということがいえると思います。改めて、条例の制定及び周知に尽力してこられた関係の皆々様に感謝を申し上げます。
 さて、この高い周知率ではありますが、課題がないわけではありません。一般質問で取り上げましたように、法令の要件を満たさないで喫煙目的施設を標榜している飲食店もあるように見受けられます。
 一般的な居酒屋であって、喫煙を主目的とするとはいえないにもかかわらず、喫煙目的施設を標榜している、あるいは、たばこ事業法の対面販売、出張販売の要件を満たさないのに喫煙目的施設を標榜している、そうした飲食店もあるように見受けられます。
 そのほか、都の条例の要件を満たさないで喫煙可能施設を標榜している飲食店、これは、具体的には従業員を雇っているのに喫煙可能施設を標榜している飲食店があるように見受けられます。
 引き続き、市区町村による普及啓発に都が補助していくことは必要だというふうに考えます。そして、市区町村が受動喫煙防止等の効果的な啓発をしていくように、引き続き働きかけをしていくべきと考えますが、どのように取り組むのか伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、相談窓口の設置や事業者への啓発など、区市町村が地域の実情に応じて実施する受動喫煙防止対策の取り組みへの補助を令和元年度から実施しております。
 区市町村がこうした補助事業を効果的に活用できますよう、課長会や担当者連絡会等の場を活用し、都民や事業者への啓発などについて、具体的な事例の共有や意見交換を実施しております。
 また、区市町村が都民や事業者に対して共通の啓発ができますよう、都民向けに解説動画や多言語版を含むポスターなど、事業者向けにハンドブックやリーフレットなどを作成いたしました。
 今年度も毎月の課長会や担当者連絡会等の場で、事業者への啓発、指導、公衆喫煙所における新型コロナウイルスの感染防止に向けた取り組み、屋外での受動喫煙防止対策など、具体的な事例の共有や意見交換を行っておりまして、引き続き、区市町村が効果的な啓発ができますよう働きかけてまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 今ご答弁にもいただきましたし、また、この補助事業には路上喫煙禁止条例などを踏まえた受動喫煙対策の取り組みなどの普及啓発もあわせて実施することは差し支えないという内容もありますので、路上喫煙の受動喫煙問題へも取り組みを進めていただきたいと考えております。ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、法律や条例の違反がある場合の通報の仕方について、参考となる例もありますので、述べておきたいと思います。
 千葉市は、都条例制定の三カ月後に、都条例に類似した、従業員を雇っている飲食店を規制対象とする条例を制定しております。その実効性を高める取り組みも積極的に行っているということがうかがえます。
 例えば、喫煙室撤去の経費助成、低コストでわかりやすい動画、飲食店への個別訪問による周知徹底など、これまで私が厚生委員会でたびたび参考とすべき例として取り上げてまいりました。
 本日参考として取り上げたいのは、LINEやウエブフォームによる受動喫煙SOS情報受付窓口というものであります。
 改正健康増進法と千葉市の条例による規制の実効性を高めるために、そうしたLINEやウエブフォームでの窓口で、法令違反による受動喫煙の被害に関する情報を受け付けるということであります。そして、必要に応じて指導を行い、是正を図るということがホームページに書いてあります。
 都内の保健所設置区市においては、法律、条例違反をどこの窓口に通報したらよいのかわかりにくかったり、電話での受け付けしか公表されていなかったりということで、都民からの通報や情報提供のアクセス方法に課題があるように思います。
 こうしたLINEやウエブフォームでの受け付けということを、都がフォーマットをつくるなどした上で、保健所設置区市にも共有して広げていただきたいということを要望いたします。
 次に、公衆喫煙所の整備補助については、先ほどのご答弁で七一%の執行率ということでありました。
 これについては、九月三十日の本会議一般質問でも述べましたが、私としては予算を削減すべき、そしてまた、十分の十の補助率も低下させていくべきではないかという考えを持っております。執行率が高くないのは、むしろ望ましいと考えております。この執行率について都の見解を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 東京都受動喫煙防止条例の制定前、区市町村からは、屋外の喫煙所整備が必要、喫煙所の整備に対して支援してほしいなどの具体的なご意見がありましたため、都は、屋内外の受動喫煙の防止に向け条例を制定した平成三十年度から、地域の実情に応じて、区市町村が行います公衆喫煙所の整備への補助を実施しておりまして、区市町村の取り組みを積極的に支援する観点から、補助率十分の十としております。
 昨年は予定を上回ります百七十八カ所の公衆喫煙所の整備に対して補助をいたしましたが、既存の喫煙所を改修するものも含まれておりましたため、一件当たりの補助額が予定を下回り、執行率が約七一%となりました。

○岡本委員 昨年十月二十九日の厚生委員会でも、また、先月九月三十日の一般質問でも取り上げましたように、例えば、板橋区の慎重さを欠いた喫煙所設置に近隣住民の反対運動が起きた例がありました。
 また、ことし四月に喫煙所での新型コロナウイルス感染事例が報道され、喫煙所の三密の該当性も指摘されています。また、今後、都税収入や都財政も厳しくなるということが想定されます。そこで、来年度は、この事業の予算枠を下げるマイナス予算や補助率のあり方についても検討すべきだということを一般質問で述べました。
 そうしたところ、十月十六日の都政新報で次のように報じられました。
 岡本こうき氏が行った一般質問も議論を呼んでいる、岡本氏が主張するように、コスト削減の視点は重要だが、現場−−これは区市町村のことだと思いますが、区市町村のニーズなどを踏まえると、この補助事業を見直す優先度は高いとはいえないと報じられました。
 先ほど板橋区の件については述べました。そのほかにも千代田区や杉並区の公衆喫煙所に関して、一部ですけれど、一部の住民の反対意見もあって、住民との調整に苦労があったということも聞いております。
 もし区側に、都が十分の十補助するという見込みで、とりあえず喫煙トレーラー一千万円をつくって、置き場所は後で考えるみたいな姿勢がもし仮にあるとすれば、それは問題だというふうに思います。
 厚生委員会でもご答弁いただきましたように、もちろん設置場所に問題があるような場合であれば、後で結局都からも補助を受けられないということになりかねないわけですけれど、区が安易な見込みで喫煙所をつくっているとすれば、問題なのではないかというふうに思います。
 もしかすると、そうした誘因に、十分の十の補助率がなっている可能性はないのかということを述べたいというふうに思います。これは断定はできませんけれど、そうとも考えられるのではないかという指摘です。これについて、区や市が一割でも、一部でも支出を出せば、必要性について、より慎重に検討するのではないかというふうに考えるところであります。
 また、営利事業者の喫煙所を市区町村が公衆喫煙所と認定するような場合には、そうした喫煙所まで都の全額補助になされる可能性があるということに関して、都民の反対の声も聞いております。
 都政新報は、コスト削減効果はスズメの涙などといっておりますけれど、もし制度に課題があるのであれば、見直しを検討すべきであるというふうに考えますし、そもそもこの件は、金額の多い少ないというのみならず、そもそも喫煙所への公金支出のあり方をどうすべきかという根源的な、べき論が根底にあります。
 もちろん屋外の受動喫煙やポイ捨てを防止するために必要であるというニーズについては、私も理解をしております。
 ただ、その一方で、そもそも喫煙を助長する施設に公金を支出すべきでないという考え方や、禁煙を促すべきだという考え方も他方であるところで、そうした考え方にも留意が必要だというふうに思います。という点を指摘して、次の質問に移ります。
 先ほど最初にご答弁いただきましたその他の受動喫煙対策の推進については、五八%という執行率であったということです。この執行率が低かった理由についてお伺いいたします。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 その他の受動喫煙対策の推進の決算額には、普及啓発、事業者説明会、相談窓口の運営、喫煙室の設置に係るアドバイザー派遣の経費が含まれております。
 これらの経費のうち最も予算額の高いアドバイザー派遣の執行率が伸びなかったことから、その他の受動喫煙対策の推進の執行率が約五八%となったものと考えられます。
 このアドバイザー派遣の実績につきましては、技術的基準の解説など、電話や来所対応で終了したものが九百八十五件、現地での喫煙室設置に向けた具体的な助言や計測を行ったものが四百二十一件でございまして、現場訪問せず、電話や来所で対応できる案件が多かったことが執行率に影響したものと考えております。

○岡本委員 今のご答弁で執行率の点、理解いたしました。
 次に、決算書の八九ページとは別の項目になりますが、区市町村包括補助における禁煙治療費の補助の決算状況について伺います。
 この補助、助成金については、さらに多くの区市町村が活用するように働きかけをしていくべきだというふうに考えております。ご見解を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、区市町村が禁煙を希望する住民に対して医療機関等での禁煙治療の費用を助成する場合に、包括補助で支援しております。
 令和元年度は、十五自治体の取り組みに対して補助しておりまして、交付決定額の合計は約六百三十一万五千円でございました。前年度実績の七自治体から件数が増加しておりまして、引き続き、課長会や区市町村連絡会の場を活用し、区市町村に本事業の活用を働きかけてまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。
 禁煙治療費の推進、そして禁煙希望者の支援ということについては、これまでたびたび厚生委員会で取り上げさせていただきました。二〇一七年十一月二日の事務事業質疑から始まりまして、その時点ではまだ包括補助の対象ではありませんでしたけれど、その後、包括補助の対象にしてくださいまして、二〇一八年十一月二十二日の事務事業質疑、二〇一九年十月二十九日の事務事業質疑と継続して取り上げさせていただいております。
 今ご答弁いただきましたように、十五の自治体に補助をしているということで、着実に取り組みが拡大してきたということについて、改めて感謝を述べたいというふうに思います。
 この禁煙治療費の助成事業については、各自治体への補助上限が百万円となっております。事業対象経費の上限が二百万円で、補助率が二分の一ということですので、交付決定額の上限は百万円ということになっております。これについて引き上げるべきだと考えますが、見解を伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 禁煙治療費助成事業につきましては、令和元年度は十五自治体の取り組みを補助いたしましたが、そのうち十四自治体の補助事業の対象経費は基準額である二百万円以内でございまして、区市町村の事業を踏まえ、対応できているものと考えております。

○岡本委員 十四自治体、基準額であったということですけれど、練馬区はこの基準額二百万円を上回っていたということで伺っております。
 先ほど述べました公衆喫煙所をつくるということの補助に関しては、一カ所一千万円、補助率十分の十、そして全体の決算額は八億二千六百万円ということでありました。
 他方、今述べた禁煙治療に関しては、一市区町村当たり上限が百万円で、補助率は二分の一で、交付決定の決算額は六百三十万円ということでありました。私としては、後者にもっと補助を投じていただきたいというふうに考えております。
 法律と条例が全面施行されたことによって、また、今月もありましたけれど、たばこの増税、値上げによって、禁煙することを希望する人がふえる可能性もあると思います。禁煙治療への補助の予算増額を改めて要望いたします。
 次に、喫煙率についてです。
 国は、がん対策推進基本計画において、二〇二二年度までに成人喫煙率を一二%にするという目標を掲げています。都は、東京都がん対策推進計画において、成人喫煙率の目標値を、二〇二三年度までの計画期間において、一二%としています。
 この点、現在の喫煙率について確認をしたところ、厚生労働省の発表している統計ですけれど、二〇一九年の喫煙率が東京都で一六・五%でした。男性が二五%、女性が八・四%でありました。
 この一六・五%から、約四年で二〇二三年度までに一二%に下げるということは、一六・五から一二%にするということは、現在喫煙している方の二七%の方にたばこをやめていただく必要があるということになります。
 この二七%下げるということは、なかなか容易なことではありません。これについて、この目標数値、一二%をどのように達成していくのか伺います。

○成田保健政策部長新型コロナウイルス感染症保健政策担当部長兼務 都は、禁煙を希望する方を支援するため、区市町村や医療保険者等を通じてリーフレットを配布いたしますとともに、禁煙治療に保険が適用される医療機関の情報をホームページに掲載しております。
 また、区市町村が禁煙を希望する住民に対して医療機関での禁煙治療の費用を助成する場合に、これを包括補助で支援しております。
 さらに、昨年度から禁煙教育の一環として、喫煙及び受動喫煙が及ぼす悪影響について、正しい知識を普及するため、授業でも活用できますよう、小中高校生向けの副教材を作成し、都内の学校に配布いたしました。
 今年度は、喫煙率の高い三十歳代から四十歳代の男性などに喫煙による健康影響の理解促進を図るため、新たに禁煙啓発資材を作成し、両親学級等で配布をする予定でございまして、引き続き、区市町村や関係団体と連携し、喫煙率の減少に向けた取り組みを推進してまいります。

○岡本委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
 そもそも、究極の受動喫煙防止策は禁煙であります。たばこを吸わない人も吸う人も、どちらも健康になる政策であります。喫煙者の依存症を継続するために予算を投じるのではなく、禁煙治療にこそ予算を投じていただきたいというのが、私のみならず医師会やたばこ対策に取り組んでいる人々の考え方であります。
 依存症の点に関しても、これまで厚生委員会で繰り返し取り上げさせていただきました。厚生労働省の平成二十八年国民健康・栄養調査によれば、現在喫煙者の二七・七%がやめたい、三〇・六%が喫煙を減らしたいと回答しています。
 喫煙の本質は、ニコチンの依存性にあります。やめたくてもやめられないという点を見逃してはなりません。実は喫煙者の相当な割合の方々が禁煙願望を持っているということであります。
 つい先日、十月九日の都政新報に次のような記事が載っておりました。
 都職員の路上喫煙散見という見出しの記事でありますけれど、その中には、禁煙に成功したケースもということで、都職員の次のようなコメントが載っています。
 家族から喜ばれた、たばこをやめることができたのは本当によかったと歓迎している、それから、ほかにも多くの職員が禁煙したということで、進め方は乱暴だったが、小池都政の最大の功績とたたえたとあります。
 この進め方は乱暴だったというのは余計ではないかと私は思いますが、例えば、大阪市の橋下市長、大阪府の橋下知事が二〇一二年、二〇一三年当時、職員には勤務中禁煙ということを命令して、さらにそれに違反した場合には懲戒処分をかけまくるといった、訴訟沙汰にもなっていましたけれど、そうした、それは乱暴だったのではないかというふうに私も思いますけれど、小池都政において進め方が乱暴だったというのは疑問に感じています。
 そして、禁煙したということが小池都政の最大の功績だったというコメントがありますけれど、あと私もですね、禁煙の活動をやっていると、喫煙者の方から反論や批判を受けることもあるんですけれど、時に私は全く面識のなかった方から声をかけられまして、あんたのおかげで禁煙したんだよ、よかったよ、感謝しているよといわれたことがあります。
 そのように、知らないところで批判もされているんですけど、知らないところで感謝もされているということで、喫煙者で禁煙した方々というのは、実は禁煙してよかったというふうに思っているし、感謝もされるということであるということを、ぜひこれも励みにしながら、喫煙対策をしていただきたいなというふうに思っております。
 喫煙率を下げるということは、先ほども述べましたように、受動喫煙を抜本的に解決するという策であります。
 改正健康増進法や都の条例によって、屋内は原則禁煙になりました。ただ、路上では、配慮義務という規定はありますけれど、罰則がありません。
 また、ずっとトラブルとして、非常に多くの、私も相談をたくさん受けている者として、近隣住宅、例えば、ベランダで喫煙をしている方がいて、そのベランダでの煙が他の部屋に入ってくるとか、戸建て住宅でも住宅が密集しているような地域では、庭先や換気扇の下で吸っているたばこの煙が他の住居に入ってくるという、近隣住宅の受動喫煙のトラブルがあります。
 近隣住宅受動喫煙被害者の会という会を立ち上げたところ、全国から二千人以上の登録がありまして、私はその会の代表代行も務めております。この件は、新型コロナで在宅ワークがふえたことによって、一層近隣住宅での受動喫煙のトラブルというのもふえているように見受けられます。
 こうした、先ほども述べました健康増進法での配慮義務はあるんですけれど、罰則がないという受動喫煙に関して、なかなか解決が非常に難しいというふうに感じております。であるからこそ、やはり禁煙をしていただきたい。そうすることが受動喫煙問題を根本的かつ抜本的に解決する策だというふうに考えております。
 ですので、ぜひ、たばこを吸わない人も、そして吸っている人も、ともに健康になる禁煙に力を入れていただきたいし、ぜひとも目標値の一二%を達成するように、引き続き取り組んでいただきたいというふうに考えております。ぜひよろしくお願いいたします。
 では、次のテーマの質問に入ります。
 決算説明書の一三一ページ、子供の貧困対策支援事業は、支出金額が二千八百四十六万円、執行率六〇・三%ということでありました。
 この子供の貧困対策支援事業の内容と実施状況について伺います。

○高野少子社会対策部長 子供の貧困対策支援事業は、生活に困窮する子育て家庭を必要な支援につなげるための調整等を行う専任職員を配置するとともに、関係機関の連携や情報共有を行う連携会議の設置等により、子供の貧困対策の推進に取り組む区市町村を支援する事業でございます。
 昨年度は、九区市が本事業を実施しているところでございます。

○岡本委員 では、次の質問です。この事業に限らず、子供の貧困対策にかかわる区市町村の取り組み状況について伺います。

○高野少子社会対策部長 昨年六月の子どもの貧困対策推進法の改正によりまして、子供の貧困対策の計画策定が努力義務となったことを契機といたしまして、昨年度末までに三十九区市町村が計画を策定しております。
 また、二十九区市町村が関係機関の連絡会議を設置して、子供の貧困対策を推進するために必要な情報交換や検討等を行っております。
 都としましては、より多くの区市町村で子供の貧困対策の取り組みが進むよう、引き続き働きかけてまいります。

○岡本委員 ご答弁ありがとうございました。一見執行率が低いかのように見えるんですが、この事業自体は専任職員の配置に関する補助であって、専任職員を配置せずに連絡会議を設置して取り組んでいる自治体も多いということが、今のご答弁でわかりました。
 貧困対策の具体策としましては、子供の居場所提供、子供の学習支援、食事提供や生活支援、また、生活困窮者自立支援事業、ひとり親家庭の支援事業、子供食堂の推進事業、生活保護など、多岐にわたります。それからきょう桐山副委員長からも質問がありましたゆりかご・とうきょう事業の流れを受け継ぐとうきょうママパパ応援事業、こうした事業もあります。
 各具体策の充実とそうした支援につなぐための調整等、ともに進めていただきたいと考えております。
 特に新型コロナの経済に与えた影響、コロナ以後のさまざまな経済的な影響により、経済的に厳しい家庭がふえているということで認識しております。また、もともと厳しい家計がさらに困窮しているということも報道されております。
 そうした影響も踏まえて、貧困対策はますます必要性が増しているというふうに考えておりますので、ぜひとも取り組みをよろしくお願いいたします。
 次の質問です。ことし一月から二月にかけて、都が備蓄している防護具を中国に提供した件について伺いたいと思います。
 この件を批判的に論じる方もいらっしゃるので、改めて事実関係を明らかにしていきたいというふうに考えております。
 新型コロナウイルス感染症対策として、診療やPCR検査を行う医療機関等に対し、都が備蓄している個人防護具を配布していると伺っておりますが、そもそも、都が行政備蓄を行っている意義や経緯を伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 都では、国の行動計画やガイドラインを踏まえて策定した東京都新型インフルエンザ等対策行動計画に基づき、発生時は需要が高まり、必要量を迅速に調達できないおそれのある医薬品や個人防護具等の医療物資を事前に確保しています。
 ガウンやN95マスク等の個人防護具は、感染症の封じ込め対策に従事する医療機関、保健所等の職員の感染を防止し、医療体制を維持するために必要なものであり、平成二十年度から備蓄しております。
 新型コロナウイルス感染症が拡大する以前の令和元年十二月末の在庫量は約二百二十万着となっております。

○岡本委員 国内の新型コロナウイルス感染症拡大も予想される中で、いち早く中国に個人防護具を無償譲渡した経緯について伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 令和二年一月から二月にかけては、中国の医療現場において、個人防護具が不足していたことから、中国における感染拡大を踏まえ、公益性や緊急性等を考慮し、都が保有する防護服を提供いたしました。

○岡本委員 当時の状況からすると、日本でどれほど拡大するかということはなかなかわからない中で、中国に防護服を提供することで、中国からの感染拡大を防止するといった、そうした観点もあったのではないかというふうに思います。
 中国を抑え込むことが、日本、ひいては東京への感染拡大を防止するといったことも考えられるというふうにいえると思います。
 次の質問ですが、中国に無償譲渡した時期や回数、数量について改めて伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 令和二年一月から二月にかけて、計五回、ガウン等を約三十三万六千着提供いたしました。

○岡本委員 その後、国内でも新型コロナウイルス感染症が拡大したわけでありますが、個人防護具の需給に影響がなかったかどうか伺います。

○花本新型コロナウイルス感染症対策調整担当部長 個人防護具の使用年限は五年間であり、今回中国に提供したものの大半は平成二十六年度購入分で、令和元年度末に廃棄予定であったものを有効活用しております。
 令和元年三月末の在庫量は約百九十万着あり、都内の感染症指定医療機関を初め、新型コロナ外来、新型コロナ外来と同様の機能を有する医療機関等に対し、令和二年二月から五月までの第一波で配布した防護服は約百二十万着となっており、病院等への提供に支障がない範囲で対応しております。
   〔「そんなの当たり前だよね」と呼ぶ者あり〕

○岡本委員 当たり前ですね。年度末ということですので、二カ月後には廃棄が予定されていたものを送ったということですので、私としては有効活用したものだというふうに考えます。
 これに関して、我々の、今現在、都民の意見募集をしております罰則つきの議員提案条例、こうした条例の意見募集においても、条例と直接関係ないんですけれど、こうした防護具に関して、例えば一部の都民の方から、都民の貴重な財産を中国に送って、国内に提供できなくなったんではないかというような意見をいただきました。
 こうした誤解について、私としても丁寧に誤解を解いていきたいというふうに考えております。
 以上です。本日の私の質疑はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時三十分散会

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