令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和二年十月二十一日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長中山 信行君
副委員長桐山ひとみ君
副委員長尾崎あや子君
やまだ加奈子君
伊藤こういち君
小宮あんり君
西沢けいた君
原 のり子君
岡本こうき君
福島りえこ君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長谷田  治君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務藤本  誠君
計画調整担当部長船尾  誠君
生活文化局局長野間 達也君
次長土岐 勝広君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務根本 浩志君
広報広聴部長久故 雅幸君
都民生活部長馬神 祥子君
消費生活部長吉村 幸子君
私学部長濱田 良廣君
文化振興部長古屋 留美君
男女平等参画担当部長赤羽 朋子君
魅力発信プロジェクト担当部長川崎  卓君
文化総合調整担当部長片岡 容子君
文化施設改革担当部長工藤 穣治君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
生活文化局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)

○中山委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷田経営企画部長 去る十月九日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、合計六件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
 各公社病院における経営指標の推移を平成二十七年度からの五カ年にわたり、入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
 このページの(1)から六ページの(5)までは各公社病院の医師及び歯科医師に関して、七ページの(6)は看護職員に関して、過去五年間の定数と現員の推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
 過去五年間の公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数の推移について記載しております。
 九ページをごらんください。4、公益財団法人東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
 公社における各年度六月一日現在の障害者雇用率について、過去三年間の推移を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。5、各公社病院における平均在院日数及び病床利用率(月別)でございます。
 次の一一ページにかけまして、各公社病院における昨年度の平均在院日数及び病床利用率を月別に記載してございます。
 一二ページをごらんください。6、各公社病院の医業収支(月別)でございます。
 各公社病院の昨年度の医業収入、医業支出及び医業収支差額を月別に記載してございます。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○中山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○岡本委員 東京都保健医療公社が設置する公社病院の運営について質問いたします。
 まず、公社病院については、事業の概要として、急性期医療を担う地域の中核病院として、地域の医療機関との機能分担と連携を図りながら、住民に適切な医療を提供すること、また、都立病院と協力して、救急医療、精神科医療、感染症医療などの行政的医療を提供することとあります。
 この公社病院が地域医療について果たす役割について、改めてお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、二次保健医療圏を中心に、地域の医療機関との連携に基づく地域医療システム化を推進することを役割としておりまして、全ての公社病院が高い紹介率や逆紹介率を達成した施設として地域医療支援病院に指定されております。
 また、公社病院は、救急医療やがん医療、精神科医療等の行政的医療を含む地域に必要とされる医療について、各病院の重点医療や特色ある医療として提供しております。

○岡本委員 公社病院は地域医療支援病院ということから、地域の診療所や病院と緊密な連携を図ることが重要です。
 地域医療機関との連携に関する重要な指標として、紹介率、逆紹介率があるということで伺っております。
 そこで、他の医療機関からの患者の紹介と、公社病院から他の医療機関への逆紹介の実績について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度の公社病院全体での他の医療機関からの患者の紹介率は七六・一%で、前年度比〇・九ポイント増加しました。公社病院から他の医療機関への逆紹介率は八五・三%であり、前年度比一・八ポイント増加しております。
 このように令和元年度においても、公社病院では、地域医療連携の取り組みを着実に進めることができたと認識しております。

○岡本委員 過去の数字の経緯からしても、着実に向上しているということが確認できました。引き続き、紹介率を上げるための取り組みを実施していただきたいと考えております。
 続いて、地域医療連携の推進に向けてどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病診連携を強化するため、かかりつけ医等を対象に、連携医登録の推進や医療機関の個別訪問を実施することに加え、医師向けの症例検討会の開催などを通じた顔の見える関係の構築に取り組んできました。
 加えて、連携医との共同診療やCT、MRI等の高額医療機器の共同利用等による協力体制の強化に努めており、準備が整った病院から順次インターネットによる検査予約の受け付けを開始しております。
 引き続き、こうした取り組みを着実に実施することで、地域医療連携を強化し、地域住民が適切な医療を切れ目なく受けられるよう取り組んでいきます。

○岡本委員 ありがとうございます。地域医療を担うかかりつけ医の方々のニーズを的確に把握し、地域住民に適切な医療を切れ目なく提供していただきたいと思います。
 公社病院が継続的に地域に求められる医療を提供していく上で、経営の安定も欠かせません。
 そこで、公社病院六病院の令和元年度の全体収支、事業収入、事業支出について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度の公社病院六病院の事業収入は、国等からの補助金二億一千九百万円と、病院経営本部からの補助金五十八億一千二百万円、合わせて計六十億三千百万円を含め、五百二十三億八千三百万円でございます。また、事業費支出は、五百三十億八千四百万円でございます。この結果、事業収入から事業支出を差し引いた全体収支は、マイナス七億二百万円でございます。これにより自己収支比率は八七・七%となり、前年度比二・二ポイントの減少となっております。
 要因は、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れや、退職給付引当金の増加、消費税増税などの影響を受け、二月から三月にかけて、前年度比で五億円の収支悪化が生じたことなどが考えられます。

○岡本委員 今回の決算の前年度においては黒字であったというふうに伺っておりますが、このたびの決算における全体の収支は、七億二百万円の赤字になったということで今確認をさせていただきました。
 その要因としては、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れや、退職給付引当金の増加、そして、消費税増税などの影響が考えられるということでご答弁をいただきました。
 消費税増税に関しては、病院に与える影響も大きかったと思いますし、他の事業者においても影響が大きかったところだというふうに認識しております。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響については、民間病院においても経営に厳しい影響を与えているということで伺っております。受け入れた病院も、大きな赤字の影響を受けている。また、受け入れていない病院においても、受診控えなどの影響が出ていたということで、公社病院にも大きく影響があったんではないかというふうに考えます。
 そこで、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れによって、公社病院の経営にどのような影響があったのか、お伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新型コロナウイルス感染症やその疑い患者の受け入れに当たっては、院内感染の防止を目的としまして、大部屋を個室として運用することもあることなどから、病床利用率が低下する傾向にあります。
 また、各病院では、新型コロナウイルス感染症患者の治療体制を確保するため、不急の手術、検査を延期するなどの対応を行ったことで、入院患者数が増加しております。
 こうした影響もあり、令和二年二月から三月にかけて、感染症指定医療機関である荏原病院、豊島病院では、ともに前年度と比べ、一億一千万円、診療収入が減少しております。
   〔岡本委員「今、答弁にいい間違いが……」と呼ぶ〕

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大変失礼しました。各病院では、新型コロナウイルス感染症患者の治療体制を確保するため、不急の手術、検査を延期するなどの対応を行った上で、入院患者数が減少しております。先ほど増加と申し上げたのは、大変申しわけございませんでした。訂正させていただきます。

○岡本委員 公社病院も新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたということで、荏原病院と豊島病院は、ともに早い段階から、コロナ患者を受け入れてその影響が大きく出たということで伺いました。また、他の病院に関しても、この決算の後の時期ですけれど、コロナ患者の方を受け入れているということで伺っておりますし、また、受け入れなかった病院にも、先ほど述べたように、大きな経営上の影響が出ているということで認識をしております。
 この新型コロナウイルス感染症への対応は長期化が見込まれます。この感染症の対応、院内感染の防止ということも非常に重要であります。感染症の対応、そして、一般診療との両立、経営面での赤字をどうしていくのかというところも非常に大きな課題だというふうに考えております。
 こうした、まだまだウイルスとの闘いは続きますので、ぜひ、今後さまざまな対応策を検討いただきながら、しっかりと公社病院の運営、そして、地域医療の推進を果たしていただきたいというふうに思っております。
 私からの質問は以上で終わります。ありがとうございました。

○小宮委員 団塊の世代が七十五歳以上に達する二〇二五年には、高齢化が一層進みまして、都民の四人に一人は六十五歳以上の高齢者になるとされています。このような状況の中、医療や介護需要というものがさらに増加することが見込まれております。
 このため、国においては、二〇二五年を目途にいたしまして、年をとっても可能な限り住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるようにと、地域包括ケアシステムの構築を推進しているところです。
 そこで、東京都保健医療公社が運営する公社、この六病院というのは、地域における中核病院として、地域包括ケアシステムの構築に向けて貢献をするということが期待をされております。地域包括ケアシステムの構築が進む中での公社病院の役割について、まず、確認をいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、第四次中期経営計画に地域包括ケアシステムの構築を掲げておりまして、これまで培ってきた医療連携をさらに充実強化するとともに、医療の提供のみならず、退院後の患者の在宅支援や地域の医療機関、福祉介護施設を支援する取り組みを推進することとしております。
 具体的には、在宅療養後方支援機能の強化、入院前や早期からの退院を視野に入れた在宅移行の推進、訪問看護師との切れ目のない連携などに取り組み、公社病院としての特性を生かしながら、地域包括ケアシステムの構築に積極的に貢献していくことでございます。

○小宮委員 入院前や早期からの退院を考えて、そのための在宅移行に必要な支援というものを公社病院としても取り組んでこられたと。そういったことを図る中で、例えば、平均在院日数というものも、この五年間を振り返りますと、全ての公社六病院におきまして減少傾向にもあるということがあります。
 地域包括ケアシステムの構築に向けた昨年度の公社病院の取り組みとその評価について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、退院した患者さんが安心して在宅療養生活を送れるよう、患者さんの急性増悪時の受け入れ体制を強化するとともに、在宅医療機関や訪問看護ステーション等との患者情報の共有を進めております。
 具体的には、多摩南部地域病院では、令和元年七月一日に看護師が同乗する病院救急車を導入し、地域の医療機関からの依頼に応じ、急性増悪時等の患者さんを病院救急車で受け入れております。
 さらに、患者さんの退院後の適切な栄養管理を継続するため、公社病院が患者さんの食事に関する情報を記載した栄養情報提供書を作成し、在宅医療機関や介護施設等に情報提供をしております。令和元年度は、これらの施設に四百五十三件の情報提供を実施しております。
 このような取り組みにより、在宅生活する患者さんが安心して暮らせる体制の整備に向けた支援を適切に実施できたと考えております。

○小宮委員 医療と介護の連携というものを積極的に図ってきているだけでなく、やはり、在宅患者の皆さんの不安というものの中で大きいのが、急変時の対応を心配するという声が以前からありまして、今回、栄養面にも配慮するということとともに、公社病院として病院救急車を出すなど、そうした在宅の不安の大きな要素の一つにも対応をしてくださっているということを評価したいというふうに思います。
 患者さんやその家族が安心して在宅療養というものを続けるためには、やはりそうした取り組みを支える地域の医療、また、介護人材、こういった方々を育成することが必要と考えます。
 令和元年度、昨年度に公社が行った地域包括ケアシステムを支える人材育成の実績とその評価について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域包括ケアシステムを推進するためには、地域の在宅医療に携わる医療、介護人材の育成が重要でございます。
 このため、公社病院の認定看護師等が、近隣の医療機関や地域包括ケアシステムの中心的な役割を担う訪問看護ステーションなどを訪問し、口腔ケアや褥瘡ケア等をテーマとした出張研修や学習会を、令和元年度は六病院で百十八回開催いたしました。
 また、福祉保健局が実施する東京都訪問看護教育ステーション事業に協力し、公社病院で手技演習等の研修を実施しており、令和元年度は十七名の研修生の受け入れを行いました。
 このような取り組みにより、在宅医療機関や介護福祉施設と顔の見える関係を構築し、連携を深め、公社病院が有するノウハウを地域に還元することができたと考えております。

○小宮委員 必要な研修生を公社病院として受け入れているだけでなく、人材育成に関して必要な研修や学習というものについて、あえて公社病院からアウトリーチをする、出向く形で地域医療に貢献をしているという姿勢がうかがえます。公社病院がこれまで培ってきた医療連携のノウハウというものを活用して、より一層介護等の保健福祉への支援や連携を推進していただくことを期待いたします。
 公社病院は地域医療の中核病院として、全病院で二次救急を行うなど、地域に不足する医療を提供するとともに、それぞれの公社病院のやはり強みや特徴というものを生かして、行政的医療にも取り組んできております。
 公社病院の新型コロナウイルス感染症への対応について伺いたいと思います。
 第一種の感染症指定医療機関であります荏原病院では、昨年の十一月に感染症の患者の移送や受け入れ訓練を実施したと聞いておりますけれども、日ごろから、この第一種感染症指定医療機関として、危機管理に備えるということは重要です。
 そこで、荏原病院ではどのような訓練を実施したのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院では、例年、感染症に関する訓練を実施しておりまして、昨年十一月には東京都と保健所、それから遺体搬送事業者等と合同で、一類感染症患者さんが死亡したことを想定した遺体搬送訓練を実施いたしました。
 また、九月と十月に、感染症病棟に関係する職員に対し、患者動線の確保や防護服の着脱訓練なども実施するとともに、新型コロナウイルス感染症患者が増加した二月から三月にかけては、全職員と患者対応を行う委託職員に対して防護服着脱訓練を行いました。

○小宮委員 荏原病院は第一種の指定ということで、エボラ出血熱などを扱うと。また、感染症指定医療機関となっている豊島病院の方では、第二種に相当するSARSやMERSなどを扱っているということで、その第二種指定の豊島病院でも、例年二月の訓練が行われていたということですけれども、今年はコロナの対応でできなかったということでして、しかしながら、毎年、感染症患者の受け入れ訓練ですとか、防護具の着脱訓練も行ってきたというふうに確認をいたしております。こうした訓練を行ったことによって、新型コロナウイルス感染症の受け入れも円滑に対応できたんであろうというふうに考えます。
 また、感染拡大に伴いまして、公社病院では、感染症指定医療機関、この二つの公社病院以外の四病院でも準備が整った病院から患者の受け入れを開始しております。
 こうした第一種感染症指定医療機関である荏原病院の患者受け入れなどの知見や知識を、他の公社病院にどのように生かすことができたのか、確認します。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、三月以降の新型コロナウイルス感染症患者の発生数増加を受け、順次、患者さんの受け入れの対応の準備を進めた感染症指定医療機関以外の四病院に対して、荏原病院が知見を生かして、各病院への支援を行いました。
 具体的には、三月に東部地域病院において、荏原病院の感染症内科の医師が現地を確認し、患者動線や設備面について適切な対策がとれるよう助言を行うとともに、他の公社病院からの診察や感染対策の相談にも対応するなどの取り組みを行い、公社病院全体での陽性患者等の円滑な受け入れと感染防止に努めてきました。

○小宮委員 これまでにない新たな感染症の発生リスクというものが高まっておりまして、新興、再興の感染症の発生や流行への備えというものがこれからまた求められるようになると思います。
 都立病院や他の医療機関とも連携を強化していただきまして、こうした際の受け入れ体制の整備や、実効性のある訓練の継続等の実施によりまして、有事の際に迅速な対応をしていただくように要望いたしまして、質問を終わります。

○伊藤委員 私からも、先日、病院経営本部から決算について説明のありました公益財団法人東京都保健医療公社の運営について質問をいたしたいと思います。
 東京都保健医療公社が運営する公社病院は六病院であり、地域の医療機関との緊密な医療連携体制の構築を通じて、地域医療に重要な役割を果たしております。
 まず、令和元年度の公社病院六病院の医業収支について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度の公社六病院全体の補助金を除いた医業収入は四百五十一億八千五百万円で、前年度と比べ一千八百万円の増加となっております。医業支出は五百十八億円で、前年度比十二億六千六百万円の増加となっております。この結果、医業収支比率は八七・二%となり、前年度と比較して二・二ポイント減少しております。

○伊藤委員 公社病院には、地域の中核病院として地域の医療機関と連携を図って、適切な医療はもとより、行政的医療を提供すること等を目的として、運営費補助金が交付をされております。
 決算資料を見ると、この補助金が過去三年間で増加傾向になっておりまして、平成三十年から令和元年にかけて約七億円増となっておりますけれども、まず、その理由をお伺いしたい。
 そしてまた、毎年、運営費補助金の増減はあると思いますけれども、令和元年度の東京都保健医療公社に対する運営費補助金の交付の実績について、あわせて伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都から公社に対する運営費補助金は、公社六病院の地域医療確保事業、がん検診センターの健康増進推進事業、事務局運営費の三つの事業を対象としております。
 運営費補助金は、行政的医療などを含めたこの三つの事業の経費から、入院、外来収入などの関係費用を差し引く方法で算出されております。その結果、令和元年度の補助金額は総額九十六億九千六百万円でありまして、平成三十年度と比較して六億九千五百万円増加しております。
 運営費補助金額の増加の理由としましては、十連休となったゴールデンウイーク中も地域の医療体制を確保するため、全六病院で診療を行ったことによる給与費の増加のほか、高額医薬品等の使用量増加などによる材料費の増加によるものでございます。

○伊藤委員 令和元年度の公社病院の医業収支比率は前年度と比べて減少し、都からの運営費補助金の交付額は増加したということでございました。行政的医療も担っている公社病院といっても、収支改善の取り組みは重要であります。効率的な経営を行うことも必要と考えます。
 そこで、公社病院はどのような経営改善に取り組んだのか伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院でも収支の改善と経営体質の強化を図り、自律的経営を追求することが重要であります。
 公社病院は、収益の増加に向けて、連携医等に対するアンケート調査をもとに、医療機関を訪問し、連携を推進するなど、積極的に入院患者の受け入れを進めてきました。また、コスト縮減策として、スケールメリットを生かした共同購入による材料費の削減や医薬品ベンチマークシステムの導入などに取り組み、収支改善に努めました。
 収入確保とコスト縮減の取り組みを推進しましたが、一部の病院での医師の退職、新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響がありまして、結果として医業収支は悪化しております。公社としては可能な限り経営改善を進めてまいります。

○伊藤委員 さまざまに経営改善に向けた取り組みをしているということであります。
 新型コロナウイルスのこの先の行方がまだ全く見えない中でありますので、引き続き、この経営改善ということもしっかりと腹に据えて取り組んでいただきたいと、このように思います。
 次に、公社病院における新型コロナウイルス感染症への対応について伺いたいと思います。
 公社病院が担う行政的医療の一つに感染症医療があります。本年の一月二十四日、武漢からの日本政府のチャーター機の受け入れから、新型コロナウイルス感染症の発生とその後の拡大に対して、感染症医療にノウハウを有する公社病院は、最前線で対応してきたというふうに思っております。
 そこで、令和元年度の公社病院における新型コロナウイルス感染症患者の受け入れの実績について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、一月下旬から、感染症指定医療機関である荏原病院、豊島病院におきまして、チャーター機で帰国した武漢在留邦人の体調不良者を受け入れてきました。また、患者数が増加しました三月以降、感染症指定医療機関以外の四病院も含めまして、全ての病院におきまして、感染症への対応の準備ができ次第、順次患者を受け入れてきました。
 令和元年度におきましては、一月二十九日から三月三十一日までの間、陽性患者や疑い症例等で、公社病院全体で百六十九名の患者さんを受け入れました。

○伊藤委員 公社病院全体で新型コロナウイルス感染症の発生当初から患者受け入れに取り組んでいただいたということでございました。
 テレビにも荏原病院のところに入っていくところが映っておりましたけど、本当に当初から頑張っていただいたということです。
 今回の新型コロナウイルス感染症への対応は未曽有の事態であり、発生当初は、治療方法や、また、感染対策のノウハウ等の情報も不足しておる中でありました。このため、対応は手探りの面もあって、医師、看護師、医療スタッフの皆様は大変な緊張感と疲労感を伴いながら現場で奮闘されたということに、本当に心から敬意と感謝を表したいと思います。
 公社病院が新型コロナウイルス感染症患者の受け入れに当たって、公社病院として果たしてきた役割について伺いたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全ての公社病院で二月に帰国者、接触者外来を設置するとともに、地域の診療所から紹介されました新型コロナウイルスの感染が疑われる患者さんを受け入れるなど、かかりつけ医や他の病院からの診療依頼も積極的に対応しました。
 感染症指定医療機関を含む公社六病院全てで、新型コロナウイルス感染症の患者の入院に対応するとともに、関係医療機関と緊密に連携を図りながら、透析患者や妊婦さん、子供を初め、ほかの医療機関では対応困難な患者を受け入れており、都民や地域から求められる一定の役割を果たしてきたと認識しております。

○伊藤委員 公社病院は、地域の医療機関等と連携しながら、対応困難な患者、今答弁にありました透析患者さん、あるいは妊婦、こうした方々からは、例えば東京腎臓病協会の方とか、透析をしている方は、罹患してしまった場合にちゃんと体制ができているんだろうかとか、本当に心配の声があちこちからありました。そうした方々も、対応困難な患者も受け入れてくれたということで、地域における新型コロナウイルス感染症患者の重要な受け皿として貢献をされたということでございました。
 ことしの冬は新型コロナウイルス感染症と、そしてまた、インフルエンザとの同時流行が大変に懸念されております。都では、十月一日に設置された東京感染症対策センターにおいて、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行へ備えるため、東京iCDC専門家ボードの中に四つのチームを設置して、具体的な検討を進めるということになっております。
 こうした状況を十分に踏まえながら、地域の医療機関と連携しつつ、同時流行で患者が急増した場合にしっかり備えていただくことを要望して、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○原委員 それでは伺いたいと思います。
 東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移を見ると、昨年度は二・一〇%になりました。五年前、二〇一五年の決算委員会で里吉都議が質問をしましたが、そのときは、二〇一二年に一・八二だったんですが、その後減り続けてしまい、ようやく一・六九%に回復したというときに、そのとき質問しています。そこから見ると、大変努力をされてきているというふうに思っています。
 なぜこのように回復をできてきているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、障害者雇用率の向上に向けまして、所管のハローワークと緊密に連携しつつ、採用前の施設見学や職場体験の実施など、障害者に対する職場の理解促進や定着率の向上につながる取り組みを進めており、こうした結果、障害者の雇用率が増加してきたと考えております。

○原委員 採用前の施設見学や職場体験の実施というのは、とても大事だと思います。同時に、法定雇用率二・二%なので、さらに努力が必要だというふうに思います。重要なのは障害者の働く場をふやしていくということだと思います。
 雇用されている方たちの障害種別や業務はどういうものか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、身体障害、精神障害、知的障害を有する方を雇用しております。
 主な業務内容は、事務を中心として、医療作業業務、看護補助などでございます。

○原委員 例えば、あんまマッサージ指圧師のように、資格を持っていても、視覚障害者が活躍できる職場が今減っています。以前は、都立病院や特別養護老人ホームなどでも働いていらっしゃいましたけれども、以前はそういう状況がある中で、雇用率を上げていくに当たっては、障害特性を踏まえて、特技や、今いったような資格を生かせるようにしていくという中身の充実が必要だと思っています。
 目標の雇用率を達成するために、都としてはどのような働きかけをするのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社は、都の政策連携団体といたしまして、障害者雇用にみずから率先して取り組み、雇用率を上げてきました。
 公社を所管する都としましては、公社の取り組みを一層促進できるよう支援してまいります。

○原委員 率先して取り組むという姿勢は非常に重要だというふうに思います。東京都では政策連携団体全体に対して、研修などもやって雇用率を引き上げる、こういうことも努力をしてきているわけですが、具体的に今後どうしていくかということが問われています。
 具体的には、障害特性に応じた雇用の推進がやはり必要だと思いますが、改めて認識を伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 障害者の雇用を推進し、職場定着を進めるには、障害特性に応じた雇用が重要であると考えます。
 そのため、公社病院では、採用選考の応募者に対して必要に応じて職場体験を実施するとともに、採用に当たって職場で配慮してほしいことや、障害の特性により苦手なことなどを、ハローワークや障害者就労支援センターなどの支援機関と連携しながら確認することで、職場環境の整備につなげる取り組みを行っております。
 引き続き、こうした取り組みを進めていきます。

○原委員 障害者雇用については、数字だけを追ってしまうというようなことがあると、以前国で起きたような水増し問題のような、あってはならないことが起きる危険があるというふうに思っています。ですので、障害者の働く権利を保障するという立場から、一層取り組みを強めていただくよう求めておきたいと思います。
 次に、公社病院に寄せられる苦情や相談への対応について伺います。
 苦情や相談への対応はどのように行っているか、昨年度の相談件数と相談の特徴について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、患者の声相談窓口を設置しまして、職員や設備に対する要望や提言などについて相談対応を行っております。
 令和元年度の窓口における相談件数は千百件でございます。
 窓口に寄せられた相談のうち、障害者の患者の方からの相談につきましては、多摩南部地域病院において、聴覚障害者の方から、口の形がわからないので、看護師さんのマスクを外して会話をしてほしいとのご相談がございました。

○原委員 障害者への医療を役割としている公社病院ですから、ほかにもさまざまな相談が寄せられていると思います。人権を尊重する立場で対応することが求められていると思います。
 相談にきちんと対応していく上で大事なのは職員研修です。以前、一般質問で、医療機関における障害者に対する差別的言動の問題を取り上げましたが、そうしたことからも人権研修は欠かせないと思っています。
 昨年度はどのような内容で研修が行われたか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社におきます人権研修につきましては、例年三月に実施しておりまして、女性、子供、高齢者、障害者などさまざまな人権問題につきまして、理解と認識を深めるために実施しております。
 令和元年度につきましては、新型コロナウイルス感染症の患者増加に伴い、各病院での新型コロナウイルス感染症対応を優先させたため、実施いたしませんでした。

○原委員 昨年度は予定していた三月に実施できなかったということで、これは、公社病院はコロナ対応でも最前線に立っていますので、やむを得ないというふうに思います。その分できるだけ早く、今年度実施できるよう努力をしていただきたいと思います。
 研修は、管理職まで含めて行っていると聞いていますが、研修のさらなる充実を求めておきたいと思います。
 次に、公社病院の障害者歯科の実績を伺います。
 障害者歯科を実施している病院、それぞれの障害者歯科の昨年度の状況と、対前年度との増減もあわせて伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院で障害者歯科を実施しております。
 令和元年度の各病院の延べ外来患者数は、それぞれ、多摩北部医療センターは対前年度三百二十六名減の三百三十八名、荏原病院は五百三名減の二千百六十五名、豊島病院は四十名減の九百十五名でございます。

○原委員 今伺いますと、多摩北部医療センターが最も患者さんの減少の比率が高いというふうに思います。おととしの障害者歯科の患者数に比べ、昨年度はほぼ半数ということになっています。
 なぜこのような状況になっているか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩北部医療センターの障害者歯科につきましては、地域の医療機関と連携しながら、紹介される全ての患者さんについて診療を行っており、令和元年度の患者数が減少した要因といたしましては、地域の医療機関からの紹介数が減少したためでございます。

○原委員 紹介数が減少したと。なぜ紹介数が減少したのかという分析が必要なのではないかというふうに思います。歯科医師の人数は、先ほど資料をいただきましたけれども、二人ということで変わっていません。ほかの医療機関で問題なく受診できているのならよいのですが、地域での歯科医療の必要性自体は減っていないはずなので、よく調査、分析していただくことを求めておきたいと思います。
 飯田橋の障害者の口腔センターに通院をしていた知的障害の方が、通い切れずに地域の歯科医院に行ったけれども、対応が難しく困っているという例もあったり、また、他の知的障害の方も地域の歯科医院でやはり対応が難しかったという、こういうお話を聞いています。
 そういうときに、私が住んでいる地域では、障害者に対応できる機関としては多摩北部医療センターが最も近いんですね、紹介される先になっていると思います。
 ですので、大きく減少したということは非常に心配をしています。中には、東大和療育センターに何カ月も先の予約で待っている方もいるんです。ぜひ、医療機関の連携について、改めての調査、対応を求めておきたいというふうに思います。
 次に、病床利用率について、資料を提出していただきましたが、その件について伺うんですが、有料個室について伺います。
 有料での使用は何%の割合か、障害などを理由に個室に誘導し、費用を負担してもらうということはやられていないか、確認をしたいと思います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度の公社病院全体の有料個室における有料での使用割合は五七・一%でございます。
 また、患者さんのご希望なく、障害などを理由に個室に誘導し、個室料を患者さんの方に負担していただくような対応はとっていないと確認をしております。

○原委員 有料個室は、公社病院全体で二百八十七床というふうに聞いています。今お話もありましたが、治療の都合上、個室を利用していただくという場合には、当然のことながら、患者さん個人の負担というふうにはならないわけです。
 しかし、あからさまに障害を理由にしなくても、例えば、こちらの方が落ちつくでしょうというような、暗に本人の希望のように促されたという事例も医療機関等では起きています。こういうことは公社病院で今後もないんだということをこの場で確認をさせていただきたいというふうに思います。
 最後の質問になります。医師の体制について伺います。
 多摩北部医療センターは、都立清瀬小児病院廃止後、小児総合医療センターや地域の医師会などと連携しながら、地域の医療を支えてきています。
 小児外科の医師や小児を診ることのできる整形外科医の配置など、かねてより地域では切望され、公社病院としても努力をされてきていると思います。
 昨年度までにどのように配置をされてきたか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩北部医療センターでは、小児外科や小児を診られる整形外科に対応できる医師は在籍しておりません。これは、限られた医療資源を最大限有効活用できるよう小児総合医療センターと蜜接に連携し、適切な医療提供につなげております。

○原委員 住民の声にも応えて、努力をされてきていると思うんですね。それで、小児外科の先生が一定期間いらしたということも伺っています。しかし、現在は在籍していないということで大変残念に思いますが、小児総合医療センターとも連携をしながら、ぜひ、必要な医師の配置は、引き続き、努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 多摩北部医療センターは、清瀬小児病院廃止後の大事な受け皿の一つということで位置づけられてきて、不採算な分野の医療を引き受けてきています。また、コロナの対策でも大きな役割を果たしてきている、かけがえのない病院になっています。
 こうした不採算な分野、必要な分野が後退することのないように、経済効率優先の独法化はすべきではないという意見も述べて、質問を終わります。

○西沢委員 私から、公社病院の未収金についてお伺いをいたしたいと思います。
 地域医療を担っていただいています公社病院ですけれども、経済的な理由でさまざまな要因で治療費が支払えないという方もいらっしゃるというように思います。
 先にちょっと結論と意見を申し上げておくと、未収金対策、しっかりと分析をする必要があるというようなことを今回の質疑を通して申し上げたいということをちょっと先に申し上げておきたいと思います。
 その中身、ちょっと聞いていくわけですけれども、まず最初に、公社病院の未収金の推移とその要因についてお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社六病院における過年度未収金残高の推移は、平成二十七年度は四千万円、平成二十八年度は三千七百万円、平成二十九年度は三千九百万円、平成三十年度は三千二百万円、令和元年度は二千九百万円となっております。
 未収金発生の理由は、救急を受診した際に持ち合わせがなく、その後、支払いに来ない場合や、外国人で帰国してしまい音信不通となった場合、交通事故被害者で相手方との示談交渉がまとまらず支払えない場合など、さまざまでございます。

○西沢委員 推移としては、平成二十九年にちょっとふえているわけでありますが、おおむねだんだんと減ってきているというようなことが読み取れるわけでありますね。
 要因についても、さまざまな要因があって、外国人で帰国してしまっているという方、いらっしゃいました。これまでの決算であったりとか、これまでの委員会でもたびたび議論されてきたわけでありますけれども、ひょっとしたら来年というか、本年、コロナにおいて、状況は変わってきているかもしれません。
 なので、その理由というものは、やはり最初にいいましたけれども、なぜそうなるのかということの分析ということは必要だというように思います。
 それをもとにして、さまざまな工夫をしていくというようなことでございますけれども、公社が行っている未収金対策について、どのようなことをしているのかお伺いいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、未収金対策につきまして、平成二十九年四月に未収金に関する要綱改正と未収金の手引の作成を行い、発生後の回収業務に加え、発生防止対策の取り組みを強化しました。
 例えば、経済的な問題を抱えている患者さんにつきましては、患者支援センターに配置されている医療ソーシャルワーカーが患者さんの相談に応じ、公的な医療費助成制度を紹介しております。
 また、支払い方法の拡充のため、現金、クレジットカード、デビットカードに加え、交通系ICカード等の電子マネーによる支払いを導入しており、令和元年度は新たに大久保病院でQRコード決済を導入しました。
 未収金が発生した場合には、速やかに電話や文書による催告を行っております。
 加えて、毎年十二月に、未収金対策強化月間とし、集中的な電話催告や訪問徴収を実施し、その上でもなお回収困難な場合には、弁護士への債権回収委託を実施しております。
 発生防止と回収業務の両面から対策を実施することで、未収金の縮減に努めております。

○西沢委員 さまざまな取り組みをして、縮減に努めているということはわかります。特に元年度決算ベースでいうと、いわゆるQRコード決済を導入したりとかいうようなことを初め、キャッシュレス決済を進めているということでありますね。
 ことしは特にこのコロナ禍において、いろいろとございましたけれども、ネット決済であったりとか、キャッシュレス決済も飛躍的に進んでいくことになるんだというように思います。こうした対策というものがどのようにその後効果があるのかということも大事なことだと思いますから、引き続き、この効果というものを見ていただきたいというようにも思います。
 私の発想の一つは、やはり景気が悪いときになると未収金がふえるというようなことも要因があるのではないかというように思います。
 過去の委員会であったりとかの答弁であったりとか見ますと、リーマンショックであったり、それから東日本大震災であったり、そういったときに比較すると今はかなり減っているわけでありますけれども、そのときふえていたり、多かったりするということも見られるわけでありますよね。
 そういったところから、来年度はかなり経済、厳しくなることを予想されているわけでありますが、ここで、東京都で、未収金とそれから景気の動向の関連、どのように認識をされているのか、お伺いをいたします。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過去十年間を見ますと、景気動向と未収金発生額に相関関係があるかは明確ではございません。

○西沢委員 ちょっと明確にはわからないということでありました。
 ただ、未収金対策の中で経済的な問題を抱えている患者に対しての対策をしているわけですから、やっぱり経済的な理由というのは絶対にあるはずだと思うんですね。確かに数字だけ見ると、読み取れないというところはあろうかと思います。これは確かに私も見るとそのとおりなんですけれども、要因としてあるのは間違いない。
 だから、やっぱり数字として読み取れないところということも分析する必要があるんじゃないかと思うんですね、単純に景気だけで見られない、さまざまな要因があるから。
 そんな中で外国人の話もありましたけれども、今、外国人、だんだんふえてきていますけれども、コロナ禍においては状況が変わってきていると思いますし、景気についても来年変わってきていますから、改めて、冒頭に申し上げました意見、しっかりとぜひ分析をしていただきたいと、その必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

○尾崎委員 私の活動地域である東村山市内には、公社病院多摩北部医療センターがあります。多摩北部の地域になくてはならない役割を発揮しています。
 二〇一三年から東村山市と連携して、多摩北部医療センターの敷地内に病児、病後児保育室もできて、子育て中の保護者の方たちからも助かっているとの声が私のところにも寄せられています。
 公社病院は、都内に六つの公社病院とがん検診センターがあります。どの地域でも都民の命を守っています。新型コロナの感染拡大の中でも、最初に患者さんを受け入れたのは都立病院、公社病院であり、ますます役割は大きくなると感じています。
 最初に、東京都保健医療公社に対する都の運営費補助の推移について伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社に対する、都の公社病院、がん検診センター事務局分を含む公社全体の運営費補助金の推移でございますが、平成二十七年度は九十一億九千百万円、平成二十八年度は八十八億四千百万円、平成二十九年度は八十七億四千八百万円、平成三十年度は九十億百万円、令和元年度は九十六億九千六百万円となっております。

○尾崎委員 五年間の運営費補助金の推移で、その年で変化はありますけれども、おおむね年間九十億円前後の運営費補助があることがわかりました。都民の命を守るために都の運営費補助があるということがよくわかりました。しかし、果たして都の運営費補助がこれで十分なのか、疑問のあるところです。
 そこで、都の運営費補助金はどのように積算しているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都から公社に対する運営費補助金は、地域医療連携推進経費や行政的医療などの病院運営費などから入院外来収入などの関係収入を差し引く方法で算出されております。

○尾崎委員 行政的医療等の必要な額を負担するという考えだということになると思います。
 私は以前、公益財団法人東京都保健医療公社評議員会の委員をしていたこともあり、評議員会では決算や予算案の議論もありました。そのときの印象として、公社病院は、自己収支比率をどう上げていくのかという問題意識を持って経営計画などをつくっていることを感じました。
 また、公社病院の自己収支比率の引き上げに努力していますが、都は、どのように考えているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、地域の中核病院としまして、安定的かつ継続的に患者や地域の医療ニーズに的確に対応するとともに、自律的経営を追求することが重要であると考えております。

○尾崎委員 自律的経営ということですけれども、採算が厳しい医療の提供が公社病院の役割ですから、当然限界があります。東京都が十分な財政的支えをしなければなりません。
 公社病院の経営が厳しいからだと思いますが、医療機器が古くなり、新しいものが欲しいとお医者さんから要望があっても、なかなかすぐには対応できないという声を聞いたことがありますが、機材の購入についてはどこが判断するのですか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、各病院が当該年度に更新の必要となる高額医療機器などを選定し、購入またはリースによる更新を行っております。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、公社病院の方で判断するということですけれども、購入するための財源がなければ、購入することはできないということになるわけです。
 公社病院は、地元医師会などとも連携し、地域の医療を支えています。医療機器は高額なものが多いと思いますので、都は、現在でも購入時には補助がありますけれども、都の財政支援の拡充も必要だと思います。ここで要望もしておきたいと思います。
 次に、多摩北部医療センターについてです。
 私は、二〇一九年第一回定例会の文書質問もしましたが、多摩北部医療センターの老朽化の問題や医師不足の問題などがあると思っています。
 二〇一九年度の医師、歯科医師の定数と現員の資料を出していただきましたが、多摩北部医療センターは精神科の定数が二となっていましたが、現員はゼロです。脳神経外科も定数は二ですが、現員はゼロ、同じように耳鼻咽喉科、検査科も定数は二ですが、現員はゼロです。
 現員がゼロとなっているところはどのように対応しているのか伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 欠員が生じております診療科につきましては、非常勤医師を採用し、対応しております。病院では、大学医局に働きかけるなど、常勤医師の確保に努めております。

○尾崎委員 欠員になっているところは非常勤医師を採用し、常勤医師の確保に努めているということですが、ぜひ、常勤医師を確保していただき、定着できるようお願いしておきます。
 次に、公社病院の第二次主要施設十か年維持更新計画に多摩北部医療センターの改修もありますが、進捗状況について伺います。
 また、多摩北部医療センターは当初改修ということでしたが、改築ということも聞きました。なぜ改修から改築に変わったのか、経過についても伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩北部医療センターは、施設の老朽化を踏まえコストや工期などを考慮しながら、昨年度、改修と改築の検討を行ったところ、改築に着手することとしました。

○尾崎委員 コストや工期について、どのように検討して、改築になったのか、ただいまのご答弁ではよくわかりません。改築するのであれば、単なる更新ではなく、地元の自治体、医師会、住民の要望もよく聞いて、内容を充実することを強く要望するものです。
 次に、多摩北部医療センターの敷地内に、地元市、東村山市からの委託事業で、病児、病後児保育室がありますが、二〇一九年度の実績はどうなっていますか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩北部医療センター内の病児、病後児保育室では、生後六カ月から小学校三年生までの病児、病後児を受け入れております。
 令和元年度は延べ三百五十七人を受け入れております。

○尾崎委員 多摩北部医療センターの敷地内にある病児、病後児保育室は、東村山市に事前に登録する仕組みになっていますが、対象が生後六カ月から小学校三年生までです。
 共働きの人たちやシングルマザー、シングルファーザーで頑張っている人たちへの支援にもなっていますので、定員の拡大なども検討を要望するものです。
 次に、高齢の患者さんからは、バス停から多摩北部医療センターの玄関まで長く歩いていくのが大変だとの声と、バス停の場所は多摩北部医療センターの玄関前のロータリーのところに移動してほしいとの要望も私たちに届いています。都は、この要望をどう受けとめますか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病院利用者からの要望を踏まえまして、令和元年十一月に多摩北部医療センターの最寄りである青葉町一丁目バス停から病院玄関口に続く病院敷地内の歩道について、路面のアスファルトの張りかえや視覚障害者用表示の設置を行ったところでございます。
 多摩北部医療センターには、東村山市が運営するコミュニティバスが病院玄関前まで乗り入れております。

○尾崎委員 病院利用者からの要望を受けとめていただき、路線バスのアスファルトの張りかえや視覚障害者用表示の設置を行っていただいたことは、大変重要であり、喜ばれていると思います。
 東村山市のコミュニティバスが病院玄関前まで乗り入れているということですが、バスの便数が多く、乗客も多いのは、コミュニティバスではなく、西武バスです。ぜひ、西武バスも病院玄関前まで乗り入れできるよう、西武バスに要望していただくようお願いします。
 清瀬市にあった都立清瀬小児病院が廃止されたとき、多摩北部医療センターが受け皿になると、都は説明しました。しかし、この地域にNICUはありません。また、全国的にもお産ができる産科が減っている状況です。
 多摩北部医療センターがある地元東村山市内には、お産ができる産科が全て廃業してしまいました。
 多摩北部医療センターにはNICUがありませんが、このことについてどのように考えていますか。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 限られた医療資源を最大限に有効活用するため、小児総合医療センターを整備し、NICU二十四床を設置しております。
 多摩北部医療センターは、地域の中核病院として、地域住民に適切な医療を提供するため小児科を設置しております。小児に対する医療サービスを向上するためには、医療機能の集約化とネットワークの充実強化が重要です。
 こうした役割分担のもと、多摩北部医療センターは、地域医療を担う病院として、小児総合医療センターと密接に連携しつつ、適切な医療を提供しております。

○尾崎委員 先ほどのご答弁にもありましたけれども、そもそも公社病院は、主に二次医療圏を対象として、地域における急性期医療の中核病院です。救急医療を初め、地域に不足する医療を重点として、病院の持つ専門性を生かし、地域のニーズに応えていくとしています。この地域の住民の要望は、NICUをつくってほしいということです。
 そして、東村山市だけでなく、お隣の清瀬市でもお産ができる産科がなくなってしまいました。私が住んでいる東大和市でも、たった一カ所しか産科はありません。
 それぞれの地域の実態を調査し、その地域に必要な診療科目については、公社病院で担えるようにすべきだと思います。検討していただくよう要望しておきます。
 次に、コロナ対応についてです。
 多摩北部医療センターでのコロナ患者の受け入れ状況、病床確保についてどう対応しているのか、伺います。

○藤本経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和二年一月二十九日から三月三十一日までに陽性患者や疑い症例で十二名の患者を受け入れました。
 受け入れに当たっては、一般病棟の病床をコロナ専用病床に転用して対応いたしました。

○尾崎委員 二十三区と比べれば、多摩地域の感染者数は少ない状況ではありますが、住民にとって、コロナに感染したらどうしようという不安はどこに住んでいても同じです。
 コロナ感染者をいち早く受け入れて、奮闘してきたのが都立病院、公社病院です。医師や看護師、職員の皆さんの献身的な奮闘に感謝しています。
 しかし、まだまだ終息の見通しはありません。政府のゴー・ツー・トラベルや東京都の都内観光促進事業などが始まり、人の行き来が活発になれば、コロナの感染拡大につながる可能性があります。
 コロナ禍で今後ますます都立病院、公社病院の役割の重要性は増しています。役割を果たせるよう、多摩北部医療センターへの最大限の支援を求めるものです。
 次に、独立行政法人化について、幾つか伺っていきたいと思います。
 小池知事は、二〇二〇年三月末に都立病院と公社病院の独立行政法人化を決めましたが、公社病院にはいつ、どのように説明したのですか。

○船尾計画調整担当部長 三月下旬に、独法化の方針として新たな病院運営改革ビジョンの内容が確定したことを公社の事務局の方に報告をしてございます。

○尾崎委員 ただいまのご答弁ですと、公社事務局に報告したとのことですけれども、各公社病院には公社事務局から説明したということでよろしいんでしょうか。
 独立行政法人化は、病院運営が大きく変わるものです。これまで都が財政支援してきた内容が変わるだけではありません。それなのに当事者となる公社病院に対して、独立行政法人の方針の素案の段階できちんと都が説明すべきだったのではないかと厳しく指摘をしておきます。
 地域の医師会、自治体などの関係者とともに、病院のあり方について議論する場である運営協議会がありますが、運営協議会にはいつ説明したのですか。

○船尾計画調整担当部長 先ほどの素案、ビジョンでございますが、公社事務局の方から公社病院へはしっかり説明はさせていただいております。
 今回のご質問でございますが、多摩北部医療センターでは、運営協議会の構成員であります地区医師会、地元自治体等に対しまして、新たな病院運営改革ビジョンの素案の公表以降、説明を行ったと聞いております。

○尾崎委員 聞いていない質問だったんですけれども、私は、繰り返しますけれども、公社事務局から各公社病院に説明するんじゃなくて、東京都の方針を変えるわけですから、東京都がきちんと各公社病院に説明すべきなんですよ。
 ただいまのご答弁でも、説明しているということですけれども、ビジョンの公表後に説明したということになるわけですね。運営協議会は、そうすると開催されていないということです。
 病院のあり方を議論する運営協議会を開催して、関係する方々の意見を聞くことなしに、準備は着々と進めるということはあってはならないと厳しく指摘しておきます。
 運営協議会には地元住民の方も入っているのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 多摩北部医療センターでは、運営協議会の委員とはしてございません。

○尾崎委員 運営協議会のメンバーは、公社病院の側で決めるということもお聞きをしていますけれども、運営協議会に地元住民が入っていない場合は、特別の手だてを尽くして、地元住民の皆さんの意見を聞く場をつくるべきだと私は思います。
 そもそも公社病院は、地域のニーズに応えていくこととしているわけですから、住民参加の仕組みは欠かせないと思います。
 次に、ことし二月、地方独立行政法人への移行に関する説明会の資料に、独法化の経緯、前提条件を検証した結果、条件㈪に対し、予算単年度主義にとらわれない予算執行などが可能と書かれてありますが、これは具体的にどういうことなのか説明をお願いいたします。

○船尾計画調整担当部長 公社が職員説明会で使用した資料に関してのお尋ねでございますが、ご質問の内容につきましては、新たな病院運営改革ビジョン素案を要約したものでございまして、都立病院の運営形態の検討に当たっての前提条件として、条件㈰、都立病院としての役割を安定的かつ継続的に果たすこと、条件㈪、効率的、効果的な運営を実現することを検証したものでございまして、この部分を記載しているというところでございます。
 この効率的、効果的な運営を実現することの検証結果として、地方独立行政法人は予算単年度主義にとらわれない予算執行が期待できる旨を述べておりまして、地方独立行政法人におきましては、単年度主義の制約のない会計制度を生かしまして、診療報酬改定や医療課題の変化に対して、機動的な人材確保など、中期計画の期間において、予算執行を弾力化していくことが可能となるものと考えております。

○尾崎委員 それでは、独立行政法人化になると変わるものの中で、独立行政法人になると公社病院の土地建物の所有について書かれてありますが、どうなるのか伺います。

○船尾計画調整担当部長 地方独立行政法人は、その業務を確実に実施するために必要な資本金その他の財産的基礎を有しなければならないとされておりまして、法人は、設立団体から土地建物等の財産を承継することが一般的でございます。

○尾崎委員 私は一般論を聞いたわけではないんですけれども、公社病院の場合、今の都の所有のものが法人のものになると考えられるわけです。公社病院は直営ではないのですが、土地建物は都の所有になっています。
 先ほどの多摩北部医療センターのように都の主要施設十か年維持更新計画にも載って、都自身が改修や改築を検討しています。しかし、独法化すれば、直接法人が維持することになり、都のかかわりは弱まることになります。
 次に、独立行政法人になって一層強化していくべきものの中に職員の経営感覚とコスト意識が挙げられていますけれども、これは具体的にはどういうことですか。

○船尾計画調整担当部長 公社病院には、地域医療連携推進経費や行政的医療等にかかわる病院運営費等に対して、運営費補助金、すなわち都民の税金が投入されておりまして、都民の理解と納得が得られるよう、不断の経営努力を行い、最少の経費で最大のサービスを提供していかなければならないことはいうまでもございません。
 経営形態のいかんにかかわらず、職員の経営改善に取り組む意識を高め、さまざまな工夫によって、賢い支出を図り、医療を一層充実していくことは当然のことでありまして、その旨を記載したものと聞いてございます。

○尾崎委員 職員の経営改善の意識を高め、賢い支出を図ることよりも、都民の命を守り、医療体制の強化を図るために何が必要なのかという意識が最も重要なことだと思います。
 そもそも公社病院は、採算をとりにくい医療の提供を役割にしています。効率優先の考え方は、公社病院の果たすべき役割とは相入れないと厳しく指摘しておきます。
 また、地方独立行政法人への移行に関する説明会の資料の中には、今後調整するものの中に都の財政負担の積算ルールと規模とありますが、これは具体的にはどういうことですか。

○船尾計画調整担当部長 公社病院には、地域医療連携推進経費や行政的医療等に係る病院運営費等に対して、都が運営費補助金を交付してございます。
 この運営費補助金にかわる適切な財源措置のあり方につきましては、都立病院と一体的に調整していく必要があり、その旨を記載したものと聞いております。

○中山委員長 この際、尾崎副委員長に申し上げます。質疑、発言につきましては、令和元年度決算の審査なので、事務事業ではないので、逸脱しないようにご注意してお願いいたします。

○尾崎委員 はい。でも、この説明は、二〇二〇年二月に行われた資料でございます。決算の時期のものでありますので、重要なことなので、ちょっと質問は続けたいと思っています。
 ただいまのご答弁ですと、公社病院の運営費補助ではなく、都立病院と一体的に今後調整していくということですが、具体的にはまだ決まっていないということです。
 都は、行政医療の必要な財政支出は変わらず行っていくと説明しましたが、財政支出の規模を調整するとはっきり書かれているわけです。独法化を決めた新たな病院運営改革ビジョンでも、都の財政負担の軽減と書かれています。
 公社病院は、先ほどご答弁があったように、都からの運営費補助が二〇一九年度で見ると九十六億九千六百万円あるわけです。これが今後減ることはあっても、ふえることはないということではないでしょうか。都民の命、地域医療を守るためには、独法化ではなく、都の直営にすることが必要だと思います。
 今後想定される準備業務の中に評議員会での意思決定とあります。評議員会の今後の日程はどうなっているのか、また、評議員会は非公開ですが、公開して、議事録も全て公開すべきですが、いかがですか。

○船尾計画調整担当部長 評議員会の今後の日程は未定と聞いております。公社の評議員会における議事内容につきましては、議事要旨をホームページで公開しているところでございます。

○尾崎委員 今後、評議員会での意思決定ということなので、評議員会の議論は大変重要なものになると思いますし、そのことは都民にとっても大事になります。都民にも日程や評議員会での議論は公開すべきだと要望しておきます。
 議事録についても、以前は非公開でしたが、私も評議員のときに公開すべきだと要望してきましたので、二〇一八年から議事要旨について公開していることは重要だと思います。議事要旨ではなく、議事録として公開することを要望しておきます。
 東京都は、公社病院を独立行政法人化して、メリットがあることを強調しています。独立行政法人への移行に関する説明会の資料の最後に、この先には夢と希望がありますと締めくくっていますが、そうでしょうか。
 都立病院から独立行政法人になった東京都健康長寿医療センターは、高額な個室をふやし、入院時には十万円の保証金が必要です。独法化すると、経営効率が優先されざるを得ないことのあらわれだと思います。
 新型コロナの感染拡大の中で、改めて、地域の中で中核病院として役割を果たしている公社病院の必要性を再確認した都民は大勢いると思います。民間病院では継続が困難な不採算の医療に、都が都民の税金を投入して運営しているのが都立病院、公社病院です。
 独立行政法人化の狙いは、都の運営費補助を少なくし、財政負担を減らすことにあります。経営の効率化を重視する経営形態である独立行政法人化については反対であり、都の直営で充実させることを求めて、質問を終わります。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○中山委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月九日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布の令和元年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は九件でございます。
 一ページをお開き願います。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
 この助成事業の実績について、平成二十七年度から令和元年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 この補助の実績について、平成二十七年度から令和元年度までの過去五年間の推移を学校の種類ごとに記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に貸付人員の推移をそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(令和元年度)でございます。
 令和元年度における授業料、入学料及び施設整備費の平均額について、都道府県別に記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(令和元年度)でございます。
 この事業の令和元年度の実績として、(1)に予算額と決算額を、(2)に所得区分ごとの受給者数と実績額をそれぞれ記載しております。
 なお、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の受給者数と実績額(令和元年度)でございます。
 表題の内容について、学校の種類ごとに記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立学校ICT教育環境整備費補助の実績及びICT機器等の整備状況でございます。
 表題の内容について、(1)に事業を開始した平成二十七年度から令和元年度までの実績を、(2)に私立学校におけるICT機器等の整備状況について、教育用端末一台当たりの児童生徒数、普通教室の無線LAN整備率を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立専修学校修学支援実証研究事業における支援実績の推移でございます。
 この事業の実績について、平成二十七年度から令和元年度までの協力校数、協力者数及び支援金額を記載しております。
 九ページをお開き願います。9、東京ウィメンズプラザの施設利用率、相談件数及び相談員数の推移でございます。
 表題の内容について、平成二十七年度から令和元年度までの施設利用率、相談件数、相談員数の実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○中山委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○福島委員 家庭の経済状況によって、希望の学校への進学を諦めることがないように、我が会派を初め都議会全会派が私立高等学校特別奨学金の補助の拡充を推進してきました。
 令和元年度においては、年収が約七百六十万円未満の世帯について、都内私立高校の平均授業料まで授業料負担を軽減しています。
 決算の説明書によれば、執行率九二・九%ということですが、受給者数等が予算の想定と異なるなどあったものの、確かに利用されていることを確認いたしました。
 同様の文脈から、類似幼稚園に関しても支援いただけたことも評価をいたします。
 今年度からは、さらに踏み込んで、私立高等学校特別奨学金補助の対象となる世帯年収の上限を九百十万円未満にまで拡大するとともに、我が会派の要望を受け、多子世帯に対し、年収にかかわらず、公立高等授業料の半額を補助する独自支援も設けていただきました。
 これらの前進を評価した上で、これも私立学校からの要望の高い私立学校ICT教育環境整備費補助についてお伺いをいたします。
 まずは、子供たちが使う当然の文具として、二つ目は、先生方の働き方改革、長時間労働解消の手段として、三つ目には、プログラミング教育など次世代教育の充実のため、そして四つ目には、個別最適化学習の実現のため、そして五番目には、教育政策のEBPM、しっかりとデータに基づいて教育政策をブラッシュアップしていく、こういった基盤として、学校現場へのICT導入の重要性を訴えてまいりましたが、これは私立学校でも同じです。
 都は、私学のICT環境整備に平成二十七年度から二分の一補助を実施してまいりました。
 そこで、現在の私立学校におけるICT教育環境の整備状況についてお伺いをいたします。

○濱田私学部長 本年六月に都内の私立小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を対象に、ICT教育環境の整備状況に関するアンケート調査を行いました。
 その調査結果によりますと、パソコンやタブレット等の教育用端末は、児童生徒の約五人に一台の割合で整備されております。
 また、普通教室における無線LAN整備率は七一・六%、三十メガビット・パー・セコンド以上のインターネット接続率は九五・六%、普通教室における大型掲示装置、これはプロジェクターとか電子黒板や何かになりますが、この整備率は七七・二%でございました。

○福島委員 五人に一台という環境は、公立学校でいわれているGIGAスクール構想、今年度実施されていますけれども、それの実施以前の公立学校レベルです。無線環境も、数十人の同時接続を考えると、百メガbps程度はあることが望ましいと考えております。整備状況が道半ばであることを確認いたしました。
 令和二年第三回定例会で都議会から提出された私学振興に関する意見書でも述べられているように、ソサエティー五・〇時代を生き抜く子供たちに情報活用能力を身につけさせるためにICT教育環境の整備に対する現場の要望は高くなっております。
 一人一台環境が整備されるまで継続支援するべきと考えますが、都の見解を伺います。

○濱田私学部長 都は、教育現場におけるICT環境の整備を進めることで、児童生徒の学習への意欲や関心を高め、学力を向上させるとともに、これからの時代に求められる情報活用能力を育成することを目的に、私立学校におけるICT環境整備を支援してきました。
 今後の国の動向やデジタル化の進展状況を踏まえるとともに、学校現場の意見を聞きながら、私立学校におけるICT教育環境の整備に取り組んでまいります。

○福島委員 引き続き、私立学校におけるICT環境整備に取り組むとのご答弁をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、私立学校の教員海外派遣研修事業補助についてお伺いいたします。
 令和元年度の執行率一二・九%、これについては本年都議会第一回定例会の文教委員会でも取り上げまして、今年度には派遣された教員の体験談や成果などをわかりやすく紹介するチラシを作成して、各学校への周知を図るなど、本事業の利用促進につなげるとの答弁を既にいただいております。
 まず、この本事業の概要及び過去三年間の実績についてお伺いいたします。

○濱田私学部長 私立学校教員海外派遣研修事業費補助は、私立中学校、高等学校において、自校の教員を一定の要件を満たした海外研修に派遣した場合に、学校に対して、その経費の一部を補助する事業でございます。
 平成二十九年度の本事業の実績は、予算二億四百万円に対し約千三百三十四万円であり、執行率は六・五%、平成三十年度の実績は、予算一億二百五十九万円に対し約一千三百三十三万円であり、執行率は約一三%、そして、令和元年度の実績は、予算約一億八百五万円に対し約千三百八十九万円であり、執行率は約一三%でございました。

○福島委員 令和元年度だけではなく、数年にわたって執行率が低いまま推移していることがわかります。
 本事業は、私立学校の要望に応えて設けているはずですけれども、必要とされながらも執行率が低い状況についてどのように受けとめているかを伺います。

○濱田私学部長 都はこれまでも、学校現場の声を踏まえ、対象教科の英語科から五教科への拡大や、昨年度も派遣研修期間の短縮や分割を認める弾力的な運用を行うなど、制度改善に努めてまいりました。
 また、各学校での利用が進むよう、実際に本事業を活用した教員の声を紹介したチラシの作成や、多くの私立中学校、高等学校の教員が集まる研修会等でこれら制度改善の周知等も行ってまいりました。
 本年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、新規募集が難しい状況にありますが、引き続き学校現場の意見を聞きながら、学校が使いやすい事業となるよう取り組んでまいります。

○福島委員 私立学校からの要望も踏まえて開始した事業の執行率が低いことに対して、都が議会で説明したり、執行率を高める努力をするというちょっとおかしな構図になっていると思います。
 私学の先生方が海外の先進的な取り組みを学びたいという姿勢は大切だと思いますので、海外派遣のための時間が捻出できないのであれば、せめてオンラインで現地と結んで学んでいただくなど、私学側の主体的な創意工夫も補助に含めるなどの工夫をして、執行率を上げていただくのがいいのではないでしょうか。そして、予算の見直しも含めて、検討いただければと思います。
 次に、安全対策促進事業費補助について伺います。
 補助事業の成果の指標である都内の私立学校の耐震化は、二〇二〇年に一〇〇%という目標があります。現時点の都内の私立学校の耐震化率についてお伺いをいたします。

○濱田私学部長 令和二年四月一日現在の私立学校の耐震化状況を学種別に見ますと、幼稚園が九四・六%、小学校が一〇〇%、中学校九九・六%、高等学校九六・三%、特別支援学校九〇・九%となっております。

○福島委員 小学校は既に達成されておりまして、中学校についても今年度中に達成見込みというふうに伺っている一方で、幼稚園、高等学校、特別支援学校は今年度中の達成が難しい、そのように伺っております。
 そのような中で、昨年度の不用額が生じた理由についてお伺いいたします。

○濱田私学部長 当初は、未耐震の建物等を有する学校の耐震化に対応するために必要な予算を確保しておりましたが、各学校において耐震化に向けた検討に時間を要していたことなどから、結果として、補助実績が少なく、不用額が生じたものでございます。

○福島委員 学校の種別にかかわらず、安全な環境で児童生徒が学ぶべきという考え方に基づいて都は、支援していると考えています。
 私立学校も児童生徒を預かるというのであれば、優先度を上げて取り組んでもらわなければならないというふうに考えます。
 補助金を交付するだけではなく、別の対策も必要と考えますが、都の見解を伺います。

○濱田私学部長 都は、未耐震の校舎等を有する中学校、高等学校、特別支援学校に対しまして、耐震化計画の作成を求めております。今後は、その計画に基づき、早期の耐震化に向けて働きかけてまいります。
 また、私立幼稚園は、所轄庁が区市になりますが、区市に対して、未耐震の園舎等を有する幼稚園の耐震化に向けた指導計画の策定を依頼しておりまして、区市を通じて働きかけを実施してまいります。

○福島委員 計画を出してもらうというのはよい取り組みだと思います。もし大災害が起きたときに、被害を受けるのはやっぱり児童生徒です。
 耐震化を進められない事情があるのであれば、その事情も含めて、耐震化できていないという事実を、せめて、通学している、または進学を希望している、検討している児童生徒、保護者には告知することを促してもいいのではないかと思います。検討していただきたいと思います。
 次に、町会、自治会支援について伺います。
 町会、自治会加入率が減少するとともに、高齢化が進んでいます。防災や防犯など共助の基盤として、そしてリタイア後のクオリティー・オブ・ライフ向上のため、そして地域包括ケアのプラットホームとしても、町会、自治会の活性化、そして地域コミュニティの再生は大切です。
 地域の底力発展事業、そして、プロボノなどの取り組みは評価するものの、加入率減少、高齢化という課題により向かい合うべきこと、これを私は、継続して質問に取り上げてまいりました。
 地域の課題解決プロボノプロジェクト事業においては、町会、自治会の役員の高齢化や加入者減といった課題解決に向け、昨年度どのような取り組みがどの程度行われたかを伺います。

○馬神都民生活部長 昨年度の地域の課題解決プロボノプロジェクトでは、例えば、世田谷区の町会では、特に若い世代の住民に防災関連の行事へ参加し、町会に関心を持ってもらうことを目指しまして、町会の防災活動について、なぜ取り組むのか、何をするのかをわかりやすく伝えるパンフレットを制作しました。
 作成に当たっては、新しい住民の方や商店会の方、マンションの管理人等、さまざまな属性の方々からヒアリングを行い、地域の特徴や魅力も盛り込む内容といたしました。
 また、葛飾区の町会では、今まで一部の役員しかわからなかったイベントの進め方をマニュアル化するとともに、より多くの住民に会の運営にかかわってもらえるよう、会長業務の棚卸しを行い、業務の一覧表を作成いたしました。
 昨年度はパンフレットやホームページの作成などを行う伴走支援に十一団体、また、業務棚卸しやマニュアルの作成などを行う個別支援に十団体が参加をしてございます。

○福島委員 今ご説明いただきましたけれども、パンフレットには何をしたかが記載されており、課題が解決できたのか、すなわちアウトカムの報告がなされていません。
 例えば、世田谷の事例であれば、パンフレットを作成したことで、その目的とする若い世代の住民の防災関連の行事参加に本当につながったのか。
 葛飾の事例であれば、業務の一覧表をつくったことで、より多くの住民が会の運営にかかわれるようになったのか。
 今年度、プロボノ資料館として、これらの事業をホームページで公開したり、出前型事例勉強会を開催、振り返るなど、過去の事例の効果を伝える取り組みをするというふうに伺っておりましたけれども、課題が解決したのかというアウトカムについての記載が載って、初めてそのプロジェクトに興味を持っていただけるのではないでしょうか。
 今後、事例を紹介するに当たっては、アウトカムの視点が必要と考えますが、見解を伺います。

○馬神都民生活部長 プロボノプロジェクトの実行により、町会、自治会の目標がどの程度達成されたか、その結果を示していくことは、本事業の効果を伝える上でも重要でございます。
 これまで申し込み前に課題の整理を行う入門講座において、プロジェクトに参加した一部の町会、自治会が体験を語ることで、事業の効果を説明する機会を設けてきました。
 今後はこれに加え、他の参加団体からも効果についてヒアリングを行い、ホームページなどで広く周知してまいります。

○福島委員 効果のヒアリングに新しく取り組むという、この新しい取り組みの姿勢を高く評価します。
 都の事業で何をしたかではなく、町会、自治会の持続性向上にどう寄与したかというアウトカムの視点で整理し、持続性のある町会、自治会に必要な要件ですとか、そこに至るプロセスを明らかにできれば、より効果的な取り組みにつながると考えます。検討を望みます。
 次に、公衆浴場支援について伺います。
 都は、自家風呂保有率が一〇〇%近くになった現在でも、公衆浴場に対する支援を行っています。
 都は、公衆浴場の価値についてどのように評価をしているのか伺います。

○吉村消費生活部長 公衆浴場は、都民へ入浴機会を提供するだけでなく、地域住民の交流の場ともなっており、高齢者の見守り機能も果たしております。
 また、東京を訪れる外国人が日本の歴史、文化を体験する場ともなっており、重要な役割を果たしていると考えております。

○福島委員 地域住民の交流の場、そして、見守り機能、文化的価値など、入浴機会の提供だけではない価値に着目しているというご答弁でした。
 都は、今年度までの三カ年の時限事業として、公衆浴場活性化支援実証事業を実施してきましたが、改めてこの事業の狙いについてお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 都はこれまでも、さまざまな補助事業を通じて、多くの浴場を支援してきましたが、自家風呂の普及による利用者の減少や経営者の高齢化、後継者不足などの課題を解決するため、平成三十年度から、従来の補助事業に加え、公衆浴場活性化支援実証事業を行うことといたしました。

○福島委員 繰り返しになりますけれども、自家風呂の保有率が一〇〇%近くになった現代においては、料金を払ってでも銭湯に行きたいと思わせる付加価値を生み出さなければ、自立的、持続的な経営は難しいと考えます。
 令和元年度の公衆浴場活性化支援実証事業の内容と成果についてお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 昨年度は、二十件の浴場にコンサルタントなどの専門家を派遣したほか、浴場の後継者などを対象に魅力ある銭湯づくりをテーマにした全四回の連続セミナーを実施しました。
 また、浴場への支援に関心を持つ事業者と浴場経営者との交流会も開催したほか、昨年度の新たな取り組みとして、浴場での仕事に関心のある方などを対象に、実際に働き方を体験したり、バックヤードを見学し、その様子をSNS等で発信してもらう体験ツアーを三回開催しました。
 専門家の派遣を受けた浴場に対するアンケートでは、例えば、店先に季節感のある装飾を施し、その写真がSNSに投稿されたことにより、新規の利用者を呼び込んだ事例など、さまざまな取り組みにより、平均で七%利用者が増加したとの回答がありました。
 連続セミナー、交流会、体験ツアーには、合わせて百名を超える参加者があり、アンケート結果では、八割以上の方から浴場経営に対する理解や支援の意欲が高まったといった評価をいただきました。

○福島委員 ありがとうございます。私は、EBPMといって、つまりエビデンス、データに基づいた政策立案が重要だというふうに以前より主張してまいりました。
 ご説明いただいた内容は、どれも経営改善に資する内容だとは思いますけれども、例えばこれが十分かどうかということが私にはよくわかりません。
 その七%の利用者の増加というのは、浴場経営の改善につながるものなのか、都の見解を伺います。

○吉村消費生活部長 利用者の増加は、入浴料金収入の増加はもとより、タオルの貸出料や飲み物、オリジナルグッズなどの売り上げにもつながっていくことから、浴場の収入増に寄与するものでございます。
 今後も地域や設備の特性に合った経営努力を行うことにより、さらなる利用者増につなげていくことで、浴場の経営改善が図られるものと考えております。

○福島委員 ありがとうございます。本来は、持続的、自立的な経営のためには、何%の利用者増加が必要という目標値があって初めてこの七%という数値に意味があるのかどうかがわかるというふうに考えています。
 公衆浴場活性化支援実証事業は、今年度までの事業というふうに聞いておりますけれども、今後も継続して公衆浴場を行政的なお金でもって支援するのであれば、必ずこういった定量的な視点、大切にしていただきたいと思います。
 最後に、都響についてお伺いをいたします。
 会派としては、文化都市東京の実現を推進、コロナ禍においても文化、芸術の灯を絶やさない取り組みとして、業界関係者への支援を速やかに要請、アートにエールをプロジェクトの実現につなげてまいりました。
 今回は、前回大会のレガシーとして設立された東京都交響楽団について取り上げます。
 都には、さまざまな民間のオーケストラがありますが、都は、都響に対してのみ毎年十億円強の補助金を支出しております。これに対していろんな意見が寄せられています。
 都内のほかのオーケストラと比較してどのような特徴があるのかを伺います。

○古屋文化振興部長 東京都交響楽団は、定期演奏会等での質の高い音楽活動を展開する一方、都民のオーケストラとして、都民に身近な場所でも幅広く活動を実施しております。
 三十一年度には、子供向け音楽鑑賞教室を五十一回、福祉施設や病院、多摩・島しょ地域等での小規模な演奏会を九十四回、そのうち岩手県など被災地での演奏活動も十一回開催するなど、社会的意義のある活動を続けております。
 また、音楽の裾野を広げる取り組みとして、平成三十年度から始めましたサラダ音楽祭では、ゼロ歳の赤ちゃんから入場できるコンサートや、歌、ダンス、作曲のワークショップ、まち中でのミニコンサートなども開催いたしまして、令和元年度には延べ三万六千人を超える方々に楽しんでいただいたところでございます。
 来場者アンケートにおきましては、都響の演奏会に来たのが初めてという方が約五二%と過半数となっておりまして、固定層ではない新しいお客様を都響のファンとしてお迎えすることができたと考えております。

○福島委員 令和二年五月に発表された東京都政策連携団体経営改革プラン改訂版では、都響の経営課題の解決のために五つの戦略が示されています。
 その中で、新たなクラシックファン層の獲得と音楽芸術のさらなる普及向上、そして、東京を代表するオーケストラとしてのサービス向上が挙げられていまして、いただいたご答弁の中で、定期演奏会だけではなくて、社会貢献に資する演奏活動や、また、裾野拡大にも取り組んでいることを確認させていただきました。
 サラダ音楽祭では、数万人という方々に初めて都響の演奏に触れていただけたということで高く評価したいと思います。
 一方、親しんでいただくだけではなくて、演奏の質の高さも重要です。首都東京の名を冠するオーケストラとして、ベルリン・フィルやウィーン・フィルのように、その演奏を聞くために海外から観光客を呼び寄せたり、海外から公演に招かれたりするレベル、もしくはそれを目指していただきたいと思います。
 経営改革プラン改訂版の戦略の中にも、演奏水準の維持向上が挙げられておりまして、都響では一流の指揮者を迎えるだけではなく、計画的にオーディションによる優秀な楽員の確保にも取り組んでいるというふうに伺っております。
 そして、肝心の演奏に対する評価ですけれども、私が耳に聞いて判断するのはちょっとおぼつかなかったので、ネットでさまざま調べさせていただきましたところ、二〇一六年には最近一段とレベルアップしたですとか、二〇二〇年二月には都響はやっぱりハイレベルだという高評価がなされている一方で、想定外によかったなどと、その価値が伝わっていないという記載も散見をされました。
 サラダ音楽祭などでは、音楽への敷居を下げるために、都響のメンバーはTシャツを着て演奏するなどしています。
 多くの人々が都響の音楽に触れるのはいいことなんですけれども、初めて聞いた人が、この演奏をしている人たちが実は世界レベルの演奏ができる人たちなんだということをわかるのは、なかなか難しいのではないかとも思います。
 この裾野を広げると同時に、より多くの都民の皆様から都民の財産であると認識され、誇りに感じてもらう工夫が必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○古屋文化振興部長 都響の演奏は、国内外のクラシックファンからも高い評価を得ておりまして、その演奏技術は国内有数のレベルと認識しております。
 都響は、質の高さに定評がある定期演奏会だけでなく、二〇一五年にはウィーンやアムステルダム等で海外ツアーを行うなど、東京の音楽大使として、グローバルな活動も展開してまいりました。
 また、新型コロナ感染症の影響で、残念ながら音楽祭全体が中止になってしまいましたが、今年度はイギリス、エディンバラ音楽祭の公演に招待されるなど、活動の幅を広げておりまして、東京二〇二〇大会の機運醸成に合わせて、都響の存在を世界へアピールする絶好の機会だったと考えているところでございます。
 今後とも、サラダ音楽祭のような場の活用や、都響のハイレベルな演奏を映像で国内外に広く配信していく事業などを通じまして、多くの都民に都響の質の高い活動を紹介しまして、我がまちのオーケストラとして、都響を誇りに思っていただけるよう取り組んでまいります。

○福島委員 先ほどから何度か取り上げている経営改革プラン改訂版の戦略にも、発信力の強化による認知度の向上というものが示されています。
 都民の財産として認識してもらうためには、ユーザーの裾野開拓、これと同時にブランドを維持するというなかなか難しい戦略に取り組む必要がありますけれども、ぜひ、専門家のアドバイスを受けながら、検討を進めていただくことを要望して、質疑を終えさせていただきます。

○中山委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時二十五分開議
○中山委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○やまだ委員 私からは、まず、地域力向上に向けた取り組みについて、先ほども質疑ございましたが、違った視点で幾つか伺えればと思っております。
 町会、自治会の役割は、まちの安全や子供の見守り、豊かな暮らしにつながる人と人の触れ合いの場やイベント開催、また、中でも地震や大雨などの災害時には、近隣同士の、住民同士の助け合いが非常に重要であるなど、地域の活性化には自治会の活性化が不可欠であります。一方で、少子高齢化や社会情勢が変化し、自治会の活動や変化も求められています。
 加入率の低下や担い手不足など、町会、自治会が抱えている課題について、まず、都としての認識を伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 都が、町会、自治会について、区市町村に対して平成三十一年三月に行ったアンケートでは、住民の加入率が六〇%未満となっている区市町村が約八割を占めており、加入率の低下が深刻な状況にございます。また、高齢化による担い手不足や経済的な基盤の脆弱さなど、活動を行っていく上でも大きな課題を抱えています。
 さらに、昨今においては、地域のつながりの希薄化や在住外国人との生活上のトラブルなど、地域の課題も多様化していると認識しております。

○やまだ委員 この数年で加入率の低下が著しい、その原因として、さまざまな要因、社会の変化などもありますが、ご答弁であったとおり、高齢化による担い手不足、加入率の低下、そして、経済的基盤の脆弱さ、つながりが希薄になっている。さまざま多様化、多様性が求められていると思います。
 これらの課題解決のために、都として支援策が三つ用意されている。地域の底力発展事業助成、そして、地域活動支援アドバイザー派遣、地域の課題解決プロボノプロジェクト、この各事業について、その概要と昨年度の実績について伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 地域の底力発展事業助成は、平成十九年度より開始し、地域の課題解決に向けた交流イベントや防災訓練などさまざまな事業を対象として、都が、町会、自治会に直接助成を実施しております。昨年度の実績になりますが、五百七十六件の助成を行いました。
 地域活動支援アドバイザー派遣でございますが、平成二十七年度より開始し、企画力や広報の強化など、組織運営力の向上に必要な知識を町会、自治会に習得してもらうため、有識者をアドバイザーとして派遣し、講義等を実施しております。昨年度は二十八件の派遣を行いました。
 地域の課題解決プロボノプロジェクトは平成二十九年度より開始し、活動の担い手等の人材不足により地域の課題解決に踏み出せない町会、自治会に、専門的なスキルや経験を持つ企業の社員などを数カ月間ボランティアとして派遣しております。昨年度は、プロジェクトの申し込み前に課題の整理を行う入門講座に六十一団体が参加し、そのうち二十一団体が実際にプロボノの支援を受けております。

○やまだ委員 それぞれの実績についても伺いました。
 地域の底力は、やはり平成十九年度から歴史のある事業ということで、私の住む北区でもかなり利用率は高く、当初のころ、申し込みが非常に、書くことが難しいということで、今は地域振興室、区の職員がその記入などをアドバイスしながら、区とともに地域の方々がこの支援策について取り組んでいるという、進化しているなというのを感じています。
 そういった視点で考えますと、平成二十七年や二十九年から始まった新しいアドバイザー派遣やプロボノプロジェクトについては、まだまだこれから伸びていくだろう、それを期待したいと思っておりますが、その期待をしつつ、具体的にこのプロボノについて、ご答弁の中にありました入門講座については六十一団体、そして、実際に補助制度を活用した団体が二十一団体と。入門講座は六十一団体という、その前年度に比べると倍増しているにもかかわらず、実際に活用した団体が三分の一の二十一団体、このギャップというのがどういったところにあるのか、実際に二十一団体にとどまっている、参加につながっていないということに対する課題について認識を伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 入門講座から実際の申し込みにつながりにくいのは、町会、自治会にとってプロボノプロジェクトの具体的な効果が実感しづらいことも要因の一つと考えております。
 このため、今年度は、これまでのプロボノプロジェクトから生まれた実際の成果物をホームページで公開し、入門講座にお越しいただけなかった方々にもごらんいただけるようにするとともに、区市町村に赴いて、各地域の課題に即したきめ細かな説明を行う出前型の勉強会を予定しております。

○やまだ委員 効果がわかりづらいという認識を持たれているという答弁でした。
 先ほどの質疑でも、やはり効果をわかりやすく表示していくこと、私もホームページで拝見をいたしました。今回、さまざまな事業の実施状況が掲載されていますが、やはりその活動の結果、どのようなことが起きたのか、成果があったのか、むしろそれが先に出ていてもいいのかなと思いました。
 そういった視点も含めつつ、やはり事業の効果として上げていくためには、この事業のわかりやすさとともに、丁寧さ、出前でのアウトリーチ型の支援ということがご答弁でもありましたので、ぜひそういった積極的な活動を行っていただきたいとともに、やはり、町会、自治会に加入されていない方々の意見、町会で活動されている方はもちろん、そうでない方々のご意見もしっかりとニーズ調査をしていただきながら、どういったことが必要なのか、壁になっているのか、そういったこともぜひ町会、自治会の方々と共有していただきながら、さらに事業を発展させていただきたいと思っています。
 町会、自治会の加入率、目標を掲げて地域としても活動している私たち地域でありますけれども、ぜひ、東京都としても、そういった視点で取り組みを強化していただきたいと要望しておきたいと思います。(「頑張ろう」と呼ぶ者あり)頑張ります。
 続きまして、ライフワークバランスについて伺いたいと思います。
 男性も女性も、みずからの意欲と能力を持って、さまざまな働き方や生き方、それを選択できる社会を実現するためには、子育てや介護など、個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択できるライフワークバランスを推進していくことが重要だと考えています。
 まず初めに、都の考えるライフワークバランスはどのようなものか、また、それをどのような対象に向けてどのように発信をしているのか、伺いたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都は、目指すべき男女平等参画社会の実現に向けた重点課題の一つに、働き方の見直しや男性の家庭生活への参画促進等を通じたライフワークバランスの実現を掲げており、ライフワークバランスとは、誰もがおのおののライフステージでその状況や希望に応じた自律的選択により、仕事と仕事以外の生活との調和を図ることとしております。
 ライフワークバランスの推進に向けまして、ウエブサイト、TOKYOライフ・ワーク・バランスにおいて、区市町村や庁内各局のセミナー情報等を広く都民に向け発信しております。また、男性の家事、育児参画を応援するウエブサイト、パパズ・スタイルでは、当事者の男性だけではなく、妻や親族、職場の上司などを対象に、おのおのの世代に応じた情報を発信しております。
 さらに、夫婦やカップルがともに家事、育児について考えるシンポジウムを開催するなど、対象に合わせ、多様な手段を用いて効果的な情報発信、普及啓発に取り組んでおります。

○やまだ委員 さまざまな世代に、その世代に合った発信をしてこられている。ホームページのウエブサイトのTOKYOライフ・ワーク・バランスも拝見しております。歴史のあるページだなというのを感じたんですけれども、よく見ると、きちっと各区市町村の取り組みですとか支援策が載っている。また、パパズ・スタイルやその他のリンクもきちっと張ってある。内容的にはバランスのとれたページだと思っておりますが、もっともっと充実できるような見せ方もあるのかなというのは感じておりますので、ぜひそういった工夫もしていただきたいと思います。
 中でも、パパズ・スタイルについては、具体的な夫婦での日常スタイルの計画ができるシートがついているなど、とてもわかりやすいページになっています。
 まず、東京都の訴えるライフワークバランスの一番最初に出てくるこのホームページをさらにわかりやすく、育児も、そして介護も含めた生活スタイル全体の中での発信をしていただきたいなと思っております。
 その中で、特にこれから未来を担う若者について発信しているキャリアデザインですね、若者に向けたキャリアデザインのコンテンツを作成している。女性も男性もやっぱりライフワークバランスの意義や重要性をしっかりと認識し、長期的な視点でライフイベントを見据えたキャリアデザインを日常的に行っていく、このことはやっぱり若いうちから、学生のときから考えていくことが必要かなと思っています。
 こうした若者のキャリア形成を支援するため、都は、平成二十七年三月にキャリアデザインコンテンツを作成しています。このような取り組みをより実効性のあるものとするためには、積極的な発信と利用者の声を聞き、適切な改善を加えるなど、取り組みも必要だと思います。
 これまでの改善の状況と利用実績について伺いたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都は、キャリアデザインやライフワークバランスの意識を醸成するため、大学生を対象に、授業等で活用できる教材、キャリアデザインコンテンツを作成いたしまして、都のウエブサイトで公開するとともに、大学向けに活用促進を図ってまいりました。
 大学生以外の若い世代にも教材を活用できるようにしてほしいとの要望を受けまして、平成三十年度に従来の内容をコンパクトに再編集したバージョンを作成するなどのリニューアルを行ってまいりました。
 令和元年度は、リニューアルしたコンテンツにつきまして専門学校や企業向けに周知拡大を図ったことにより、ダウンロードページの年間アクセス数は約八千件となりました。
 今後も、若者のキャリア形成に向け事業を展開してまいります。

○やまだ委員 これまでの経過の中で、要望に応えてさまざま進化を遂げてきているということも確認できました。
 アクセス数も八千件ということで、この数字を都としてどのような受けとめをされているのか気になるところではありますが、これを活用して、授業などで活用された学校に、その後さらにどういったところがよかったか、もしくは改善点など、後追いができるような、そういう仕組みもぜひつくっていただきたいと思っています。ウエブサイトに掲示するだけではなく、こちらから各学校や関係機関に働きかけていくアウトリーチ型の発信もぜひ行っていただきたいと思います。
 続きまして、先ほど私学のICT環境整備支援について質疑がありましたので、内容については割愛をさせていただきまして、要望のところだけさせていただきたいと思います。
 コロナの影響によって、オンライン授業の実施の計画も早めるなど、各学校でICT環境整備も対応が急務になっていると現場からも伺っております。学校現場の意見や実施状況、利用状況調査を十分行いながら、補助率、また、限度額の引き上げなどの検討も含めて十分な支援体制をこれからも継続していただきたいと要望していきたいと思います。よろしくお願いします。
 あわせて、私学関係で、私立学校省エネ設備等導入事業費補助について伺いたいと思います。
 昨今の地球温暖化や電力需要の増大など、省エネへの取り組みは学校現場でも重要であると考えています。平成二十八年からこの本格実施された事業、下限額の撤廃や上限額の増額など制度の拡充も図られ、利用実績が伸びているというふうに聞いています。
 まず、この本事業の概要及び過去三年の実績について伺いたいと思います。

○濱田私学部長 本事業は、東京の脱炭素社会への転換促進のため、東京都地球温暖化防止活動推進センター等が行う省エネ診断の内容に沿って、省エネ型の照明器具や空調設備、太陽光発電設備などの導入によりCO2削減に取り組む私立学校に対し、その経費の一部を補助するものでございます。
 過去三年の実績は、平成二十九年度は百四十校に対し約六億八千万円、平成三十年度は百六十八校に対し約八億八千万円、令和元年度は百九十七校に対し約十一億六千万円を補助いたしました。

○やまだ委員 まず、この助成を受けるには、東京都地球温暖化防止活動推進センターの省エネ診断を受けるということになっております。この推進センターのホームページを拝見しますと、受け付けから診断報告書の交付まで通常より時間がかかる見込みですということがまず最初に出てきます。多分、これは学校関係だけでなく民間事業者も含めて、ここを通しての診断を受けているなど、ニーズは高まっているんだと思います。そういった中で、私立学校の方々が応募していくに当たって、年度をまたがないようなしっかりとした体制も整えていただきたいなと思います。
 また、この事業活用によって、CO2削減の効果や地球温暖化防止、省エネについて園児や児童生徒への環境教育にもつなげていただきたいと思います。
 最後に、低炭素社会の実現のために、学校の意見や状況を十分把握していただき、この事業についても大変需要が高い事業となっておりますので、ぜひ補助事業の継続をしっかりと取り組んでいただきたい、そのことを要望しておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 そして最後に、子供向け舞台芸術参加・体験プログラム等の事業について伺っていきたいと思います。
 IT化や新型コロナウイルス感染症の影響によって、オンラインで気楽に芸術文化を楽しむ新しいスタイルも浸透しつつあります。しかし、創造力や感受性が生まれる過程において、子供たちにとっては、生の芸術文化に直接触れる経験は何物にもかえがたい貴重なものだと思います。
 また、次世代を担う子供たちが日本古来の伝統文化や芸能に触れ、自国の文化を正しく理解することは、国際化が進む現代社会において異なる文化への理解を促進していくためにも、まず、日本の文化をよく知ること、この観点は大変重要だと思っています。
 都はこれまで、子供を対象とした伝統文化、芸能体験事業を徐々に拡大してきたと思いますが、その経過と概要について伺いたいと思います。

○古屋文化振興部長 都では、平成十六年度から、小学生が短時間で気軽に落語や日本舞踊などの伝統芸能を体験できる事業としましてこども芸能体験ひろばを実施しまして、子供たちが伝統芸能に関心を持つきっかけとしております。
 また、平成二十年度からは、小中高校生を対象としまして、本格的に能や長唄などを稽古し舞台で発表するキッズ伝統芸能体験事業を実施し、伝統芸能の世界が培ってきた礼儀作法などを子供たちが自然と身につけられるような学びの場を提供してございます。
 さらに、平成二十七年度からは、授業の中で子供たちが日本の文化の価値に対する正しい理解を深められるよう、若手の実演家などを講師として学校に派遣する子供のための伝統文化・芸能体験事業を実施しております。

○やまだ委員 平成十六年度、二十年度、二十七年度と、それぞれ新たな体験の事業を開始していただきまして、都が、短期間で気軽に体験できるものから本格的なお稽古を受けられるものまで、それぞれ学校教育と連携したものまで、幅広く子供を対象とした伝統文化、伝統芸能体験事業を実施していることがわかりました。
 そして、それらの事業が令和元年度の実績としてどのぐらいあったのか伺いたいと思います。それと、あわせて成果も伺えればと思います。

○古屋文化振興部長 三つの事業を合わせますと、令和元年度は約四千人の子供たちに本物の伝統文化、芸能を実際に体験する機会を提供いたしました。参加した子供たちからは、お稽古を通してより狂言が好きになった、日本舞踊に加え、挨拶の仕方や日本文化の大切さを学ぶことができて本当に楽しかったなどの声が上がっておりまして、子供たちに日本の伝統文化、芸能のすばらしさを再認識してもらい、伝統文化の裾野を広げるだけではなく、子供たち自身の成長にもつながっているものと認識しております。

○やまだ委員 子供たちの生の感想もご答弁いただきました。この子供たちの世代に受けた感覚というものが、やはりその後の将来を左右していく感性だと思っております。
 そして、私も子供を持つ親ですが、子供にこういった体験をさせるためには、そういった環境を探すのが非常に難しい。やはり、時間とお金が必要になってくる中で、都としてこのような事業が展開されているということはとても評価できることだと思います。
 このような事業を区市町村単位で実施することが、なかなか専門的な点も含めて、費用やノウハウの面からも難しいところもあります。広域行政の立場から、都が実施することは大変意義があることだと思いますので、ぜひ継続、また拡大をしていただきたいと思います。
 特に、応募率に関して少し調べさせていただきましたが、どれも、こども芸能体験については一・五倍以上、キッズ伝統芸能体験については三倍を超える応募率、このように年々応募する人数もふえていると聞いておりますので、これにとどまらず、開催日数や開催会場の拡大も含めて検討いただきたいと思います。
 最後に、この伝統芸能、そして文化を体験していただくに当たっては、現在のコロナ禍においての感染対策もしっかりと配慮をいただきたいと思います。今後もこの事業が拡大されることを要望しまして、質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 私からは、まず初めに、私立高校授業料の実質の無償化、私立高等学校等特別奨学金について質問をさせていただきます。
 本事業は、公明党が現場の声を聞き、子供にとって経済的理由から進学したい高校の選択肢が限られないように、また、保護者の経済的負担を軽減できるように、そして、私立学校関係者からも毎年、公私間格差の是正を求める、そうした声をいただく中で、こうしたことにも応える施策であり、小池都知事就任後、都議会公明党が強くその実施を求め、実現をした事業でございます。
 特別奨学金については、平成二十九年度に制度を大幅に拡充し、いわゆる私立高校授業料の実質無償化を実施し、平成三十年度には、東京都が認可した通信制高校に通う生徒や、保護者が都内に在住し生徒が寮など都外に在住している場合についても新たに対象としました。
 さらに今年度からは、国の補助制度の拡充に準じて、対象を年収約九百十万円未満世帯まで拡大するとともに、年収約九百十万円を上回る場合でも、扶養する二十三歳未満の子が三人以上いる多子世帯も新たに支援の対象とするなど、都議会公明党の要請を受けて制度を拡充してきたことを高く評価するものであります。
 そこでまず、私立高等学校等特別奨学金の令和元年度の決算実績と、執行率が一〇〇%に達しておらず不用額が発生している理由、また、受給者数と受給率について伺いたいと思います。

○濱田私学部長 令和元年度の予算額は約百四十九億八千四百万円、決算額は約百三十九億二千四百万円、執行率は九二・九%であり、実際に支払った授業料額が補助上限額に満たない生徒の数が想定よりも多かったこと等により不用額が発生いたしました。
 また、受給者数は五万七千四百七十一人であり、都内私立高校に通う都民の受給率は約四〇%でございます。

○伊藤委員 先ほど述べたとおり、令和二年度からは実質無償化の対象を年収約九百十万円未満の世帯に拡大し、さらに多子世帯への支援を新たに行うなど、本制度を大幅に拡充していることから、制度の周知が非常に重要であると考えます。
 特に、平成三十年度において対象となった都外寮生など、遠隔地に住む生徒や家族にも情報がしっかりと行き届くように周知が行われているかもあわせて伺いたいと思います。

○濱田私学部長 新たに拡充した支援内容につきましては、都の公式ホームページや「広報東京都」に掲載したほか、フェイスブックやツイッターなどのSNSも新たに活用し、広く都民に周知しております。
 また、都外の寮などに住む生徒等、都外私立高校に通う生徒に対しましては、他道府県を通じて重ねて周知を実施しております。
 さらに、進学を予定している都内の中学生とその保護者に対して、学校等を通じて制度を紹介するリーフレットを配布しております。

○伊藤委員 この奨学金については、都議会公明党も毎年のようにさまざまに要請をさせていただいて、そして毎年のように制度の拡充がされてきたわけであります。このことについては本当にありがたいし、評価をさせていただきたいと思います。一方で、知らなかったということがないようにこの周知徹底をしていただきたいと思います。
 次いで、幼児教育の無償化について伺いたいと思います。
 我が党の山口代表を先頭に国に働きかけてきたこの幼児教育の無償化、これについて国は昨年、令和元年の十月から幼児教育の負担軽減を図る少子化対策、そして、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性の観点などから、幼児教育の無償化を開始いたしました。
 これによって、満三歳から五歳までの子供たちの幼稚園利用料については、家計の所得にかかわらず無償化の対象となる一方で、支援額については一定の上限額が設定されております。
 このような状況を踏まえて、都は、国の無償化に上乗せをして支援をしておりますけれども、その概要について改めて伺うとともに、無償化が開始された令和元年十月以降の執行額、受給者数について伺いたいと思います。

○濱田私学部長 国の幼児教育無償化においては年額三十万八千四百円の上限が設定されておりますが、都内私立幼稚園の平均保育料はそれを上回っております。そのため、都は、令和元年十月から園児保護者負担軽減事業費補助を再編し、全ての世帯が都内平均保育料である年額三十三万円まで支援を受けられるようにいたしました。
 なお、幼児教育無償化が開始された令和元年十月から、ことしの三月までの半年間の執行額は約十六億二千百万円であり、その期間に支援を受けた園児の人数は約十二万九千五百人でございました。

○伊藤委員 ありがとうございます。ご答弁いただいたとおり、大変な数の子供たちがこの幼児教育の無償化を受けられているということでございました。
 次に、東京の芸術文化振興の取り組みについて質問したいと思います。
 まず、二〇二〇大会に向けた文化プログラムであるTokyo Tokyo FESTIVALについて、これまでどのように取り組んできたか伺いたいと思います。また、大会直前だった令和元年度の特徴的な取り組みが何だったのかも伺いたいと思います。

○川崎魅力発信プロジェクト担当部長 二〇一六年リオ大会以降に実施いたしました文化プログラムは、平成二十九年からTokyo Tokyo FESTIVAL、TTFと銘打って幅広く展開するとともに、プロモーションイベントなども通じて、オリンピック・パラリンピックがスポーツだけではなく文化の祭典でもあるということを都民に対して力強く訴えてまいりました。
 令和元年度におきましては、世界的なアーティストが演じるオペラを比較的手ごろな価格で鑑賞できますオペラ夏の祭典を実施いたしましたほか、かねてから好評を博しておりますサラダ音楽祭も拡充し、野外でのコンサートを実施するなど、芸術文化の魅力をより身近に感じられるような取り組みを積極的に行いました。
 さらに、昨年九月からは、TTFの中核プログラムでございますスペシャル13が本番を迎え、輸送トラックの荷台を舞台として使用した移動式のパフォーマンス公演、あるいはデジタル技術を活用した音と光の体験型アートプロジェクトを実施し、東京ならではの最先端の文化を多くの方に楽しんでいただき、東京二〇二〇大会に向けた機運盛り上げを図ったところでございます。

○伊藤委員 残念ながら二〇二〇大会は延期になってしまったわけでありますが、ぜひこれまで盛り上げてきたこの芸術文化振興の機運の盛り上げを、灯を小さくすることなく、しっかりとまた引き継いでいっていただきたいと思います。
 一方で、特別なアートイベントでなくても、ちょっとした日常の中で気軽に芸術文化を堪能できる取り組みとして、ヘブンアーティストの事業があります。ヘブンアーティストは東京都がつけた名前でありまして、広くは大道芸ともいわれております。
 私は、平成七年の阪神・淡路大震災のときも翌日現地に行きました。また、東日本大震災のときも、数日後でありましたけれども、都議会公明党のメンバーと一緒に現地に行きました。そこで見た光景は、本当に悲しみに包まれて、もう涙さえ出ないといわれる被災者たちが、避難所等においてこの大道芸の方々がパフォーマンスを見せてくれて、その方々がひととき笑顔を取り戻していた、こういう姿を私は現地で目の当たりとしました。
 また、二〇一二年のロンドン・パラリンピックにも参加させていただいたときに、まちの角々に当たり前のようにパフォーマーがおりまして、演技そのものが、まち全体が文化芸術であって、本当にまちの中にこうした文化芸術が溶け込んでいるということを感じたわけでございます。
 そして、東京では、このヘブンアーティストは都内各所でわくわくする大道芸に出会える事業として定着をしておりまして、東京の魅力の一つとして都民に認識されているというふうに思います。
 改めて、ヘブンアーティストの取り組みについて、現在の登録アーティスト数などについて実績を伺い、また、令和元年度の特徴的な取り組みがあれば伺いたいと思います。

○片岡文化総合調整担当部長 ヘブンアーティスト事業は、審査に合格しライセンスを交付されたアーティストに上野恩賜公園など都が指定する公共施設や民間施設を活動場所として開放し、都民が身近で良質な芸術文化に触れる機会を提供することを目的としてございます。平成十四年度に開始し、令和元年度時点で四百七十六組をヘブンアーティストとして認定しておりまして、音楽演奏やジャグリング、アクロバットなどのパフォーマンスを行っています。
 また、都が主催するヘブンアーティストTOKYOなど、まち中で集中的にパフォーマンスを披露するイベントでも活躍する場を設けてございます。
 令和元年度は、ラグビーワールドカップの開催に合わせまして、パブリックビューイング会場等での公演にもヘブンアーティストが出演し、来場者に楽しんでいただきました。

○伊藤委員 まさしくヘブンアーティストは地域密着型の文化事業であり、私の地元品川区のイベント等にも毎年ヘブンアーティストが出ていただいておりまして、そのレベルの高いパフォーマンスで大いに盛り上げてくれております。
 今後とも、都民の日常に潤いを与える存在として活躍をしていただきたいし、このコロナ禍において、劇場内とかどこか集まって行うということは非常に気を使う昨今でありますので、外でできる文化的な、芸術的なパフォーマンスということで、ぜひともこれ、ヘブンアーティストをまたきっかけに東京都が文化芸術、コロナに負けないという、こうした取り組みを進めていただければなと、このように思います。
 次に、同じく都民に親しまれている事業であるフレッシュ名曲コンサートについて確認をしたいと思います。
 東京には、先ほどもありましたが、東京都交響楽団のほかに多数のオーケストラがありまして、その歴史と実績、そして魅力、これは都民の宝であると私は思います。
 フレッシュ名曲コンサートは、都民に親しみのある名曲を身近なホールで楽しめるクラシックコンサートとして定着をしてきた事業でありますけれども、平成十七年度以降、出演料のうち消費税相当分が減額されたまま据え置かれておりまして、この民間のオーケストラ団体から都議会公明党に対しては、毎年毎年、長い間、増額、復活をしてほしいという要望が続きまして、都議会公明党は重ねてその改善を求めてまいりました。
 こうしたことを踏まえて、都では令和元年度からその対応を拡充したということでありますけれども、その変更内容について確認をしたいと思います。

○古屋文化振興部長 この事業は、東京都歴史文化財団が区市町村と連携し、都内各所の文化施設で低廉な価格で在京オーケストラの一流のクラシックコンサートを楽しんでいただく事業でございまして、平成元年度に始まりました都民名曲サロンをベースとしまして、平成十四年度から新進音楽家の起用を条件にフレッシュ名曲コンサートとして再構築して実施しているものでございます。
 出演料につきましては、平成十七年度から消費税相当分を減額しておりましたが、令和元年度から民間オーケストラ団体の要望なども踏まえまして、団体に加盟するオーケストラとも協議、調整の上で、都民サービスの向上に資する取り組みを新たに実施する場合には、これまでの減額分を増額して予算措置することといたしました。
 元年度は、全体で二十二回のコンサートのうち、本公演前のロビーコンサートやオーケストラのメンバーによるプレトークなどを実施したものが計十三回ございまして、こうした取り組みにつきましては増額の予算措置をしたところでございます。
 今後とも、各オーケストラの創意工夫によりまして、フレッシュ名曲コンサートがより一層都民に親しみのあるコンサートとなるよう取り組んでまいります。

○伊藤委員 フレッシュ名曲コンサートは、都民に身近なクラシックコンサートであると同時に、民間オーケストラの出演機会を確保する意義もあると思います。
 コロナ禍ではありますけれども、引き続き、都民とオーケストラが直接触れ合える機会をつくるなど、各オーケストラと連携して民間の創意工夫を引き出していただきたいというふうに要望しておきたいと思います。
 次に、地域の底力発展事業助成について伺いたいと思います。
 本事業は、地元品川区でも町会、自治会に大変喜ばれている事業でありまして、地域ごとにさまざまに工夫を凝らして有意義に活用されております。
 ある町会では、多世代で昔遊びで交流しようということで、けん玉、こま、また、ベーゴマとか、おはじきとか、高齢者から子供たちが昔遊びを教わって、ついつい高齢者も真剣勝負になってしまうという場面もありましたが、町会の方々は、こうしたこの事業について本当にありがたいと、お金もありがたいんだけど、そのきっかけをつくってくれたということがありがたいという感想を聞かれました。
 そこで、この事業の昨年度の執行状況について伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 令和元年度の地域の底力発展事業助成の実績は、助成件数が五百七十六件、助成金額が約二億三百五十五万円であり、助成件数、助成金額とも過去最高でございました。

○伊藤委員 ありがとうございます。前年度は過去最高ということでありましたけど、今年度の決算が何か怖いなという感じがします。コロナでみんな中止、中止、中止になっていますので、いずれにしても前年度は過去最高だったということであります。
 実績も大分ふえておるわけでありますけれども、昨年度の事業の特徴的なものがあったら教えていただきたいと思います。

○馬神都民生活部長 昨年度の特徴としては、東京二〇二〇大会の一年前ということで、町会、自治会のさまざまな事業に加え、大会の機運醸成につながる活動が多く、その助成件数は三百九十三件で全体の約六八・二%に当たり、前年度から三十七件増加いたしました。

○伊藤委員 オリ・パラの機運醸成につながる活動は、制度が開始してから四年目ともなり、さまざまに工夫がなされたというふうに思いますけれども、どのような事例があったのか伺いたいと思います。

○馬神都民生活部長 例えば、品川区の町会では、百二十七名が参加した防災訓練会場において、地元で開催されるブラインドサッカーやホッケーなどの競技をイラストや写真によりわかりやすく紹介するパネル展示を行いました。
 また、昭島市の自治会では、夏祭りにおいて、地元の小学生たちがオリンピック・パラリンピックをテーマに描いた種々の絵をあんどんに飾り、みんなでオリンピック・パラリンピック音頭を踊るなど、機運醸成につながるさまざまな活動がなされました。

○伊藤委員 本事業については、スタート時点のときからこの申請手続が大変だという話を何度も多くの方から聞かされました。大分改善してきたようでありますけれども、改めて、特に共同実施によるところ、これから判こレスといわれておりますけど、判こを押すところがいっぱいあるんですけど、これについての改善策は今のうちにちょっと考えておいた方がいいかなと、このように思っております。
 次いで、以前に都議会公明党が本会議で取り上げましたエシカル消費について伺いたいと思います。
 持続可能な社会の実現に向けて、人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費の理念を広く都民に普及していくことは、大変に重要なことだというふうに考えております。
 エシカル消費の普及啓発は、我が党が推進しているSDGsの実現に貢献する取り組みでもあるわけであります。エシカル消費という言葉は、なかなかふだんの生活にはなじみがないワードでありますけれども、単にエコな商品を買おうということではなくて、倫理的消費という深い意味を持っているわけであります。
 例えば、エシカル消費の取り組みの一つであるフェアトレード。フェアトレード商品の購入とは、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することによって、発展途上国の生産者、労働者の生産力や経済状況の向上につなげていくという世界規模での有益な行為であります。
 例えば、児童労働一つとりましても、私たちが何げなく毎日のように飲むコーヒーでありますが、缶コーヒーも含めて、このカカオの豆は誰がとっているのかというと、私たちは意外と知らないんですが、世界では、児童労働、子供たちが学校に行けず、その豆の収穫に当たっている、こんなことも世界では現実に起きています。
 ILOの調査によりますと、五歳から十七歳の子供たちで、児童労働で働いている子供たちは何と一億五千二百万人と、日本の総人口より多いわけです。そのうちの約半数の七千三百万人は危険有害労働をさせられている。宝飾品、指輪の宝石とか、非常に細い狭いトンネルに潜っていかなきゃいけないとき、子供しか入っていけないということで、子供がそういうところで働かされているという現状もあるわけです。ですので、この宝石きれいねだけで済まないことというのはたくさんこの世の中にあるということであります。
 人々がこれまでの生活の中で余り気にしなかったことや考えが及ばなかったことへの気づきや理解を深めていく上でも、エシカル消費の普及啓発を着実に進めていくことは大変に重要であります。
 今申し上げたフェアトレード、これもフェアトレードというマークがちゃんとありますので、例えばどこかでチョコレート一つ買うにも、このフェアトレードマークついているかな、ちょっと高いなと思うかもしれないけれども、ぜひ皆さんには推進していただきたいなと、このように思います。
 都は、平成三十年度から消費生活基本計画の中で政策の柱の一つに位置づけて事業を開始して、動画の作成やホームページの作成など取り組みを行っていただいております。
 昨年度も都民への普及啓発事業を実施したということでありますが、具体的な取り組み内容と成果について伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都は、広く都民にエシカル消費の理念を普及啓発し、理解の促進を図っております。
 昨年度は、特に将来を担う若者を対象とした啓発活動を行い、その一つとして、都内大学百一カ所におきまして、キャンパス内の書店や売店などでエシカル消費の実践を呼びかけました。
 具体的には、国産ヒノキ間伐材を活用し被災地や福祉施設で袋詰め作業をしたスマホスタンドや、ブックカバーに利用できるFSC認証紙を用いたチラシを十万セット配布しました。あわせて、ポスターの掲出やPR動画の放映を実施しました。
 実施後のアンケート結果では、以前からエシカル消費を知っていたと答えた人は約一六%でしたが、グッズやチラシを受け取って初めて知った人が約六一%ありました。また、チラシに記載されたエシカル消費の具体例を見て、これならできそうだと回答した人も多く、例えば、お話のあったフェアトレード製品の選択については、約四六%の学生がこれならできそうだと回答するなど、エシカル消費の実践につなげる上で一定の効果があったと考えております。

○伊藤委員 生活文化局の方でその取り組みのときに使ったチラシというのをいただきましたけど、この中に「ちょっと待てよ?これはどこでだれがどのようにして作ったのかな?」、こうしたことをちょっと一瞬立ちどまって考えるだけでも大分社会が変わってくるんではないか、このように思います。
 エシカル消費といっても要は何をすればいいのか、都民、国民が気づき、実践することが大切であります。一人一人が日々の暮らしの中でできるところからエシカル消費を実践できるように、今後とも取り組みを充実させていただきたいと要望したいと思います。
 最後に、成年年齢引き下げに伴う取り組みについて伺いたいと思います。
 民法の改正によって、令和四年四月から成年年齢が二十から十八歳に引き下げられます。これによって、高校在学中に成人となり、親権者の同意がなくても、みずからの判断で高額な商品を買ったり、あるいはお金の借り入れができるようになったり、十八歳、十九歳の若者を狙った消費者被害が拡大するおそれがあります。
 こうした成年年齢引き下げの動きを踏まえて、消費生活総合センターでは、若者の消費者被害を防止するために、昨年度は新規に若者参加型の啓発事業を実施したということでありますけれども、その具体的な取り組み内容について伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 成年年齢引き下げを踏まえて、若者が自発的に消費生活問題について考える取り組みを進めていくことが効果的でございます。
 そのため、昨年度は、若者が契約や消費者トラブルに関する知識を身につけ理解を深めることで、消費生活問題を身近なこととして捉えてもらうきっかけとして、参加型の啓発事業を初めて実施しました。
 具体的には、消費者トラブルをテーマに二十九歳以下の若者からショートストーリーを公募して優秀作品を映像化し、ウエブで発信していく事業を実施しました。ショートストーリーは二百六十五件の応募があり、最優秀作品には、激安をうたいながら実際は高額な脱毛エステを契約させる内容の作品が選ばれました。この作品をプロの映像クリエーターがドラマ化しインターネットで公開するとともに、多くの若者に見ていただけるようユーチューブ広告も利用してプロモーションを展開した結果、令和二年二月十八日からこれまでに十二万回近くの再生がありました。

○伊藤委員 どうか、十八歳、十九歳の子、これまで高校生の子も含めてやっぱり守られてきたことになれている子供たちです。この守られているというところから一歩踏み出すというところ、これをぜひ生活文化局、そして、教育庁と連携をとりながら、教育現場、学校現場でもしっかりこのことを取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、高齢者をだますこの犯罪も多発しています。私のスマートフォンには、地元品川区で今何が起きているのかというのが入ってくるようになっていますけど、毎日約十件前後、こういう不審電話がありましたということが入ってきます。
 こうしたことが都内あちこちで起きているわけでありますので、どうかこの都民の消費生活、生活文化局にしっかり取り組んでいただいて都民を守っていただきたい、このことをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。

○尾崎委員 私は、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会の方々からお話を伺ったことがあります。都内の私立専修学校、各種学校は、全国各地、そして、世界各国から入学者を受け入れ、都内私立学校生の二九%、十七万三千人に達しているということでした。卒業生の七三・九%が都内に就職していて、東京の経済、文化、福祉などの活動を支える重要な人材を育てているということがわかりました。
 そこで伺いますが、都の職業実践補助は学生一人につき幾らぐらいでしょうか。

○濱田私学部長 令和元年度の私立専修学校職業実践専門課程推進補助の生徒一人当たりの単価は四千円となっております。

○尾崎委員 私立専修学校は大きな役割を果たしていますが、学校経営の維持が非常に厳しい状況にあります。神奈川県は運営費補助のみですけれども、学生一人当たり六万二千四百九十三円、埼玉県は二万四千七百円、千葉県は一万三千円です。ところが、東京都は、職業実践専門課程への推進補助でわずか四千円です。
 都の職業実践推進補助の金額の根拠について伺います。

○濱田私学部長 専修学校専門課程は、大学、短大と同じく高等教育機関として位置づけられておりまして、都は、国に対して、国の責任において大学、短大と同様の経常的経費に対する新たな補助制度を創設するべきであるということを継続的に提案要求をしております。
 一方で、実践的な職業教育や専門的な技術教育は、東京の産業を支える人材の育成に一定の役割を果たしていることから、企業と連携を行うなどより実践的な職業教育を行う職業実践専門課程については、都として一定の補助を行っております。
 なお、専修学校への補助に関しましては、支援の対象、範囲等、各自治体がそれぞれの考えに基づき行っており、他自治体と一概には比較はできません。

○尾崎委員 都は、運営費補助について国に要望しているということでした。二〇一八年度、平成三十年度から職業実践専門課程への補助が実現したことは重要です。ほかの自治体と一概に比較できないということですが、やはり、他県の支援状況も参考に、改善すべきところは検討する必要があると思います。
 実践課程校は、都内専門学校の三九%、百四十一校と聞いています。さらなる金額の拡充等、国がやらないのであれば、神奈川県などのように運営費補助支援メニューに東京都として加えることを強く要望しておきます。
 次に、私立専修学校教育振興費補助制度について、都の二〇一九年度の予算額と決算額はどうなっているのか、伺います。

○濱田私学部長 令和元年度の私立専修学校教育振興費補助、これは私立専修学校高等課程に対するものでございますが、予算額約二億九千九百万円に対しまして、決算額は約二億六千三百万円となっております。

○尾崎委員 それでは、都の教育振興費補助は学生一人当たり幾らになりますか。

○濱田私学部長 令和元年度の決算額を生徒数で割り返しますと、生徒一人当たり約十四万五千円というふうになっております。

○尾崎委員 生徒一人当たり約十四万五千円ということですが、私立高校相当分の支援額にふやすことを要望しておきたいと思います。
 次に、各種学校、日本語学校在籍留学者への支援について質問したいと思います。
 新型コロナ感染症の影響で留学生の入国制限があり、各種学校の日本語学校は経営の危機に陥っています。都として、各種学校に対して新たに教育振興費補助が必要だと思いますが、いかがですか。

○濱田私学部長 各種学校は、法律上、学校教育に類する教育を行うものと規定されているのみで、学校の目的、入学資格、教育課程等についての明確な定めがなく、教育水準や規模の面などにおいても学校間に大きな差があることから、各種学校に対する運営費補助は行ってはおりません。

○尾崎委員 各種学校については運営費補助は行っていないということですが、コロナ禍のもと、経営の危機に陥っている状況ですから、何らかの直接支援が必要だと思います。ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 公益社団法人東京都専修学校各種学校協会が行った学生生活の現状に関するアンケートでは、コロナ禍で学生の生活と学業に大きな影響が出ていることが明らかになりました。学生の九五%が影響を大いに感じる、少し感じると回答しており、コロナの影響は甚大です。同時に、将来への不安も寄せられています。
 アンケートでは、学生の多くがアルバイトができず生活が不安など、経済的な事情から学業を断念せざるを得ない事態が見えてきます。必要に感じる支援は何かとの問いに一番多かったのが学費の免除、そして次いで生活費の援助でした。
 このアンケートの結果から見えるように、各種学校である日本語学校に在籍する学生は、新型コロナ感染症の拡大の中、アルバイトができない状況や仕事場所がなくなり、暮らしが大変になっています。
 困窮している留学生に対し、学びを継続できるように都の直接支援が必要だと思いますが、いかがですか。

○濱田私学部長 アルバイト収入等を失った学生に対する学びの継続支援につきましては、文部科学省が学生支援緊急給付金制度を実施しており、各種学校である日本語学校の学生も対象としております。
 都は、各学校への通知や新型コロナ支援ナビ等を通じ、こうした制度等について周知に努めております。

○尾崎委員 都は、国の制度などについて周知に努めているということですが、国の支援だけでは不十分なんです。都としても支援の検討を要望するものです。
 次に、東京都として、専門学校の学生、日本語学校の留学生などの学びを継続させるための実態調査を行うことを求めますが、いかがですか。

○濱田私学部長 私学行政に必要な事項につきましては調査等を行っております。
 ご提案の調査につきましては、都として実施する予定はございません。

○尾崎委員 学びの継続を保障する立場から、学生の実態を調べることは大前提になると思います。実施する予定はないとのご答弁でしたけれども、留学生はコロナ禍でアルバイトができない状況が広がり、学びを継続できなくなっているのです。この苦しんでいる学生たちの実態こそ調査し、支援するメニューについて検討するのが都の役割ではないでしょうか。実態調査を実施するため、検討を始めることを強く求めるものです。
 次に、男女平等参画施策について質問していきたいと思います。
 男女平等参画施策の企画調整のうち、女性の活躍推進のための機運醸成について、過去三年間の予算額と決算額の推移を伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 女性の活躍推進のための機運醸成に係る予算額と決算額は、平成二十九年度は予算額四千七百五万余円、決算額三千九十一万余円、平成三十年度は予算額三千五百七十八万余円、決算額は二千六百六十四万余円、令和元年度は予算額三千五百二十九万余円、決算額二千五百六万余円でございます。

○尾崎委員 三年間の女性の活躍推進のための機運醸成についての予算額と決算額についてただいまご答弁いただきましたけれども、平成二十九年度、二〇一七年度と比べると毎年減少しています。女性の活躍を押し出していますが、まだまだ不十分なのではないでしょうか。
 二〇一九年度の目玉は、東京都女性活躍推進大賞を贈呈し、女性の活躍推進の機運醸成を図ってきたということだと思いますけれども、女性が活躍したくても、活躍できない障害になっていることについて調査し、その障害となっているものの解決にこそ都が力を入れるべきだと思います。
 都は、東京都男女平等参画基本条例に基づき、男女平等参画のための東京都行動計画を作成し、総合的、計画的に男女平等参画施策の推進に取り組んでいるということですけれども、世界経済フォーラム、ジェンダーギャップ指数二〇二〇、これは二〇一九年十二月に発表されたものですけれども、百五十三カ国の中で日本は百二十一位です。都は、このことをどのように受けとめていますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 昨年十二月に発表いたしました未来の東京戦略ビジョンでは、さまざまな分野における女性の活躍に向けた対策が進められ、女性の就業率を示すM字カーブは大幅に改善してきたものの、ジェンダーギャップ指数において日本は百五十三カ国中百二十一位であり、女性が活躍できる社会環境の整備は道半ばと示しております。

○尾崎委員 世界経済フォーラム、ジェンダーギャップ指数二〇二〇は、男女格差を示す指数です。ゼロは完全不平等、一が完全平等を示していますけれども、日本は全体で〇・六五二でした。分野別に見ると、経済は〇・五九八で世界の百十五位、政治は〇・〇四九で世界の百四十四位、教育は〇・九八三で世界の九十一位、健康は〇・九七九で世界の四十位です。特に経済と政治の分野は大変深刻な事態だと思います。日本の女性が働きにくい環境であり、給料や待遇の面で問題が山積していることもはっきりしています。
 日本は、一九八五年に、ちょっと古い話ですけれども、女性差別撤廃条約に批准しています。東京都の男女平等参画、女性差別の撤廃などの施策は、この批准を契機にどのように変わったかお聞きします。

○赤羽男女平等参画担当部長 都は、女性差別撤廃条約の批准前から男女平等施策を進めておりまして、国際社会や国内の動向と協調しつつ、東京ウィメンズプラザの開館や東京都男女平等参画基本条例を制定するなど施策に取り組んできております。

○尾崎委員 東京都は、ご答弁があったように、東京都男女平等参画基本条例があります。この条例の名称が男女共同参画ではなく、男女平等参画となっているところに私は重みを感じているところです。当時、私は審議会などを毎回傍聴し、意見や要望も上げてきました。東京ウィメンズプラザが開館したときは、画期的な会館だと期待して見学したことも覚えています。
 私は、都議になる前、中小業者の営業と暮らしを守る運動に携わってきました。中小零細業者は、家族の働き分が認められていないため下請単価が安く、女性の地位も認められない状況で、女性の地位向上の運動にも私も取り組んできました。定期的な中小業者の実態調査とあわせ、商売を支えている業者婦人の実態調査にも取り組んで、国や東京都にも支援と改善を求めてきました。
 二〇一六年に国連の女性差別撤廃委員会が女性の経済的自立を事実上妨げていると指摘し、日本政府に所得税法の見直しを勧告しました。東京都は、この勧告をどう受けとめていますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 政府は、所得税法第五十六条は性別を問わず適用されており、女性の経済的自立を損なうものではないとしております。また、国の第四次男女共同参画基本計画で、商工業等の自営業における家族従業者の実態を踏まえ、女性が家族従業者として果たしている役割が適切に評価されるよう、税制等の各種制度のあり方を検討するとしております。
 なお、国の第五次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)でございますが、にも同様の記載がございますので、都として、こうした国の動向を注視してまいります。

○尾崎委員 政府は、所得税法五十六条は性別を問わず適用されており、女性の経済的自立を損なうものではないということですけれども、事業主の配偶者や娘など、家族従業者のほとんどが女性であり、営業上の社会保障上、不利益を受けており、人間らしく生きる権利を阻害されているんです。
 国連の女性差別撤廃委員会は、日本政府に見直しを勧告した背景に、日本の女性団体が連帯し、国連に何度も働きかけ、中小零細業者が家族従業者、業者婦人の働き分を必要経費として認められていない日本の所得税法五十六条は、家族従業員の人権、人格、労働を正当に評価していないものであり、女性の活躍を阻害するものと働きかけてきました。
 その結果として、二〇一六年、国連の女性差別撤廃委員会が日本政府に女性の経済的自立を事実上妨げていると指摘し、しかも具体的に日本政府に所得税法の見直しを勧告した画期的なものなんです。本来であれば、国は、この勧告を正面から受けとめ、所得税法の見直しを検討すべきです。私は、日本政府だけの問題ではなく、全ての自治体にかかわる重要な問題だと思います。
 日本の憲法には、十三条で個人の尊厳、二十二条には職業選択の自由、二十九条には財産権の保障が明記されています。しかし、日本の税制は、憲法ができた後も、戦前の家制度に基づく内容のものになっています。家族が働いた分は商売の所得として家単位で見ていく、白色申告が確定申告の原則ですけれども、家族の働き分を給料として経費に計上することが認められていません。認められているのは年間八十六万円の専従者控除のみです。時間に換算すると一時間わずか三百五十円程度で、東京の最低賃金である千十三円の三四%にしかなりません。東京都は、中小業者の業者婦人の実態を把握する必要があると思います。
 それでは、生活文化局として、男女平等の立場からどのような実態調査を行っているのか伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 生活文化局といたしまして、昨年、男性の家事・育児参画状況実態調査を実施しておりまして、夫婦等の家事、育児分担に関する実態や、男性の家事、育児参画について都民の意識等の把握に努めております。

○尾崎委員 男性の家事・育児参画状況実態調査も重要ですが、女性の活躍を阻害している分野がはっきりしているわけですから、男女平等参画の立場で女性の活躍を推進している生活文化局として、中小業者の配偶者である業者婦人の実態調査を行うよう強く要望しておきます。
 都として、国の動向を注視していくと先ほどご答弁ありました。都としても、もっともっと積極的に対応していく必要があると思います。また、国の第四次男女共同参画基本計画でも、実態を踏まえ、税制などの各種制度のあり方を検討するとしているわけですから、都としても、前に進めるための役割を果たしてほしいと強く要望するものです。中小零細業者の問題だということではなく、女性の人権が認められていない国の制度、税法があるわけですから、生活文化局として動くことが必要だと思います。
 所得税法第五十六条は、繰り返しになりますが、配偶者や子供など家族従業者がどんなに長時間働いても、その働き分が税法上経費と認められず、事業主の所得に合算されるんです。一人の人間として人格を認めない差別的な法規です。
 国は、コロナ感染症に限って国民健康保険に傷病手当をつくり、中小業者の家族従業者も対象になりました。これはすごい前進ですが、しかし、給料の額が傷病手当の計算のもとになります。先ほどいったように一時間三百五十円が対象となるんです。朝から晩まで必死に働いていてもです。こんなおかしいことは変えなければならないのではないでしょうか。
 全ての女性が生き生きと働ける、生き生きと暮らすために、生活文化局の役割を発揮していただき、国に女性の人権が認められていない所得税法五十六条は廃止するよう働きかけることを強く求めて、質問を終わります。

○西沢委員 まず最初に、都立の文化施設についてお伺いをしていきたいというように思います。
 都立の文化施設の管理運営について、収益と費用のバランスを適切に保つ安定的な財務運営というものが重要でございます。
 都立の文化施設、江戸東京博物館や写真美術館や現代美術館についてちょっと聞いていくわけでありますが、十月二日の文教委員会の要求資料をちょっと眺めてみますと、この施設の入場料の条例上限と実施の乖離があるということがわかります。それがちょっと気になったので確認していきたいというように思うわけであります。
 例えば、江戸東京博物館の入場料の条例の上限は千百八十円だけれども、実際には六百円で入場料が取られていて、写真美術館は千百二十円が上限ですが、実際は五百円から七百円、現代美術館は千百二十円ですけれども五百円と、二倍以上開いていたりするわけでありますね。
 この公の施設の収益の利用料金というのは、受益者負担の適正を図る観点からこれまでいろいろ議論されてきたわけでありますが、人件費とか、減価償却費であったりとか、維持管理費とか、そういったものをもとに定めるというようなことになっているわけであります。だから、いろいろと検討して財務局とかも調整して条例で値段を決めているんだけれども、こんなに開いていていいものなのかなと。
 実際の各館の入場料はその額と乖離があるが問題はないのかお伺いいたします。

○工藤文化施設改革担当部長 常設展等の実際の入場料は、条例で定める額の範囲内において、都立文化施設の指定管理者である東京都歴史文化財団が都の承認を経て決定しているものでございます。
 同財団では、都内の類似施設の入場料やこれまでの入場料の推移などを総合的に勘案しながら、適切な入場料を設定しております。

○西沢委員 入場料の推移とか、総合的に勘案しながら設定しているということですね。あと、類似施設の入場料とか、近隣相場というのは確かにあると思いますね。条例で定めるものというのは上限だけれども、実際には、やっぱりいきなりそのときに値上げをするということもなかなか理解を得られないというところもあるでしょうし、だからといっていきなり大幅に値下げをしたとしても、それによって都民の納得が得られるのか、公の施設としてそれでいいのかという議論はあろうかと思います。
 なので、そういった今のご答弁に一定の理解をさせていただくわけでありますが、理由はわかるんですけれども、ぜひ改めて、そのときそのときに、この相場、入場料についてきめ細かい説明があるといいのではないかと思います。
 収益目的とするような施設ではありませんから、悪い意味でいえば、東京都歴史文化財団が、都がちゃんと承認しているとはいっても、何かしらの課題を持ったり、運営についての状況に問題があって、その入場料の実施額が適正じゃない場合もあるかもしれません。そういったときに、やはり私たち議会であったりとか、都民が納得するような相場観というものが求められるわけですから、ぜひそういったことを要望しておきたいというように思います。
 そして、この文化施設の管理運営状況の評価というものについてお伺いをしていきたいと思いますが、九月の十八日に公表されました都立文化施設の令和元年度の管理運営状況評価結果というものがございますが、これを確認いたします。
 これを確認すると、美術館、博物館、管理運営にかかわるさまざまな点ですぐれた取り組みが認められたということで、Aの評価があるということでございます。
 この評価内容を見ていきますと、江戸東京博物館とかですと、常設展、特別展とも魅力あるテーマでやっているとか書いてありますし、現代美術館でいえば、魅力や話題性のある企画展や常設展を開催していると、こういった評価の高い理由というものが書かれているわけでありますが、これだけだとわかりづらいものですから、具体的にその評価内容についてどのようなものかお伺いをいたします。

○工藤文化施設改革担当部長 例えば、東京都現代美術館は、ミナペルホネン展においてエントランスロビーでファッションショーを実施するなど、魅力や話題性のある企画展、常設展を開催し、利用者増加の実績につなげたことが高く評価されております。
 また、同館では、施設を新車発表会の会場として貸し出すなど、施設の利活用の幅を広げるユニークベニューの取り組みを昨年度六回実施し、その収益が収支にも貢献している点も評価されております。
 また、東京都江戸東京博物館は、国際博物館会議京都大会での発表などによる海外の博物館との国際的な連携協力関係の構築や、江戸のスポーツと東京オリンピック展開催で東京二〇二〇大会への機運を盛り上げる企画の実施など、東京の魅力発信につながる多様な事業展開が高く評価されているところでございます。

○西沢委員 具体的な企画展などの名前であったり取り組みを今お伺いいたしました。この評価そのものは、外部の方々の意見なども聞いて評価を、結果を出して、自分たちだけではなくやっているということでありますし、その評価内容がよかったということは率直に私も評価を、いいというように思います。
 当然ですけれども、これに甘んじることなく、今後とも引き続き、適切な施設管理運営のもとに、高い展覧会や公演などの文化事業を実施しまして、都民にとって価値ある文化発信をする施設であることを期待したいというように思います。
 こういった文化施設の発信ももちろん大切なんですけれども、意見を受けていく、多くの都民の皆様から意見をいただくということも大変重要でございます。
 そこで、意見公募についてちょっと質疑をしたいというように思います。
 意見公募は、要するに一言でいうとパブコメを活性化させたいということですね。パブコメに限らず、意見募集についても、たくさんの方からやはりご意見をいただける機会をつくるべきなんじゃないかなというように思います。よく聞かれたり、パブコメであったりとかの実施件数少ないというふうなことで、いつやっていたのかわかんないよというようなことというのは結構あります。地域の方とかに意見公募を、そもそもホームページのところにたどり着いてやるということは余り聞いたことがないぐらい、その意見募集をやっているホームページにたどり着くことというのはすごく正直難しいですよ。すぐたどり着く人はいないと思います。
 そんなことを前もいろいろと私も要望しまして、情報公開ポータルというものが二年前にできたというようなことで、そこを見れば、意見募集、ここを見ればずらっと出ていますよというようなものがあったらいいということで、二年前にこれは始めた、実施しているということでございます。
 この情報公開ポータルも、ここにたどり着くのも結構難しいんですけどね、結構ここも難しいんですが、でも、私はもうかなり進んだ第一歩だというように思います。現在行っている意見公募というふうなところがありまして、ずらずらっといろんなパブリックコメントだったりとか意見募集というものがここにずらずらっとホームページにまとまっているということで、以前に比べれば大分わかりやすくなってきたのかなというようにも思いますが、全部載っていないわけですね。
 載っているものと載っていないものがあるということですけれども、そこでまず最初に、この情報公開ポータル上に計画等にかかわる意見募集を実施しているものが掲載されているわけでありますが、どういうことで載せているのかお伺いをいたします。

○久故広報広聴部長 東京都におきましては、計画等の策定に係る意見公募手続に関します要綱に基づき、重要な施策の策定に際し、広く都民の方から意見を求めることとしております。
 具体的には、東京都情報公開条例及び関係規則に基づきまして、中間段階の案を公表する重要な計画が対象となりますほか、これらの計画に準ずる重要な計画や都民生活に密接に関連する計画、方針などにつきましては、所管局長が意見公募の実施を判断いたしまして、情報公開ポータルに掲載してございます。

○西沢委員 要綱があって、そこに書かれているもので、重要な計画であったりとか方針など、計画や方針などを基本的には載せて、その各事業の所管局長が判断して載せているというようなことでございました。
 そういった中で見ていると、重要なものを局長が載せているわけでありますが、条例とかも結構載せているイメージがあります。実際見ると、新型コロナウイルスのときも、最近ですけれども、感染症対策条例の改正のときとかもこれは意見募集、意見公募をしているわけでありますけれども、この情報公開ポータルに載っていますし、記憶にも新しいですけれども、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の改正、このときの条例も意見公募をやっています。
 今の答弁だと、基本的には、都民生活に密接な計画や方針などの策定について、所管局長が載せるべきだと思ったものを載せているということでありますけれども、そうすると、条例は何で載っているのかということなんですが、条例制定や改正に関する意見募集、載っていますけど、これも全てここに掲載されているものなんでしょうか。お伺いいたします。

○久故広報広聴部長 条例の制定、改正につきましては本要綱の対象とはしてございません。しかしながら、所管する局長が意見募集を行うと判断した場合につきまして、この情報公開ポータルに掲載をしてございます。

○西沢委員 基本的に載せる必要は、要綱としては載せなくてもいいことになっているけれども、所管局長がこの条例の改正案は載せて広く知ってもらう方がいいと判断した場合は載せていますよという、そういう答弁だというように思います。
 そういった意味で、意見公募のこの情報公開ポータルサイトを見ると結構載っていますから、そういった意味では、そういう局長の皆さんはいい判断をされているんだろうというように思いますし、確かに、条例改正全部載せるというと、条ずれとか、名前だけ変わっているとか、給与条例とか、給与条例はちょっと微妙か−−ごめんなさい。何かいろいろそういう細かい文言の変わる条例とかいろいろありますよね。そういったものまで意見募集する必要があるのかというと、そうじゃないものもあると思いますから、そういった意味で運用がされているということは理解いたしました、条例については。
 その次にちょっと聞きたいのは、例えば、パンダの名前とか募集していましたよね。それから、ちょっとこの質疑の前でいろいろ見ていると、里親制度のPRでさとぺん・ファミリーとかという名前を募集して決めていたりとか、昨年やっていたりするわけであります。そういったものは載っていないようなんですね。パンダについては二〇一七年ですけれども、大変話題にもなりましたけれども、こういったことが載っていないのは、これはなぜなんでしょうか。お伺いいたします。

○久故広報広聴部長 要綱に基づきまして実施をしております意見募集は、都の重要な計画策定に当たり実施するものなどを想定してございます。委員お話しのような動物の名前の公募については掲載をしてございません。

○西沢委員 動物の名前の募集とかキャラクターの名前は重要じゃないという意味ではないと思うんですけれども、重要なものだけを載せているから、そういうのは載せていませんよということだと思うんですね。私は正直、載せるべきだと思うんですね。パブリックコメントと意見公募というのはなかなか集まらないですよ。
 今の意見公募の方でぱっと見ましたけれども、これはもう名前が出ていますし、見られるからあれですけど、例えば、東京都ソーシャルファームの認証及び支援に関する指針は、集まったご意見は七十二件です。東京都ひとり親家庭自立支援計画に関しては一件しか来ていません。そういった意味では余り来ない。
 その一方で、パンダの名前のときは三十二万件ぐらいの意見が集まって、ちょっとパンダの名前と計画を比較するのはかなり酷な話なんですけれども、ただ逆に、私はだから、載せるものはみんな載せると。パンダの名前とかマスコットの名前とかを、見にきてくれた人が、そのポータルサイトに来てくれた人が、ああほかに計画、方針、こういったものが−−だから、別の欄にしていいと思うんですよ、別の欄にしておいて、そこに来た人が、ああこういう計画もあるんだという、こういうふうな意見を募集しているんだ、私はこういう問題意識を持っているからちょっと応募してみようとか、結構そういう気になると思うんですよね。
 逆に誘導するといったらちょっとあれかもしれませんけれども、でもそれも一つの方針ですし、計画等だけでなくて、都が公募をするものというのは基本全てこのポータルサイトに掲載するべきじゃないかというように思います。ご見解をお伺いいたします。

○久故広報広聴部長 計画等の策定に係る意見公募手続は、重要な施策の決定に際しまして、都民による都政への参加を進め、都における公正で透明な行政の一層の推進を図るためのものでございます。こうした重要な計画等につきましては、各局ホームページに加えまして、情報公開ポータルで公表をすることといたしております。
 なお、さまざまな募集につきましては、所管局が広く都民の意見を募集するため、報道発表あるいは局のホームページ等に加えまして、ツイッターなどさまざまな媒体を利用して周知を図っているところでございます。

○西沢委員 載せないという答弁でございますけれども、決算の審議なんで、今後のことはこれ以上質疑することは避けますけれども、そもそもこういった意見公募ってわかりづらいものがあります。少しずつ進んできているということは率直に評価いたしますけれども、まだまだ改良の余地はあるんじゃないのかなというように思います。
 昔はホームページ、高齢者の方は見ないよなんていうふうなことをいっていた時期もありますけれども、最近は結構見ますから、こういうことをやっぱり発信することは大事だと思います。まだまだちょっと優しいつくりとはいえませんが、進んできているということでございますから、ぜひ改めて検討いただきますよう要望をしておきたいというように思います。
 高齢者の話をちょっとさせていただきましたけれども、生活文化局で高齢者が元気に活動する後押しをするという、そんなイベント、事業を行っていると。東京都シニア・コミュニティ交流大会についてお伺いをしていきたいというように思います。
 昨年度、六十歳以上の都民を対象に囲碁、将棋、健康マージャン、ダンススポーツ、カラオケ、五種目による東京都シニア・コミュニティ交流大会を東京都は開催をいたしました。大会は、シニア世代が元気に活動するためのきっかけとして意義があるものであるというように考えます。
 一方で、こういう、東京都がやるということに違和感というか、何で東京都がやるのかなと。つまり、囲碁、将棋とかの大会もしくは地域のコミュニティということであれば、区市町村がやるべきものだったりもしますし、実際に区市町村でやっているところもありますから、区市町村への活動を後押しするということが重要でもありますから、こういったことをやっているのかなというように思ったら、これは東京都で直接やっていると。
 東京都がやるからには、やっぱりそれなりの理由が当然あるものだというように思いますので、改めてここで、大会を東京都が開催する意義についてお伺いをいたします。

○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今後さらに増加するシニア世代が、身近なコミュニティ等で生き生きと活躍、活動できる環境を整えていくという観点から、都は、シニア世代が気軽に取り組める趣味を通じて活動をするきっかけとなるよう、誰もが参加できる東京都シニア・コミュニティ交流大会を開催いたしました。
 都が、都内全ての地域にお住まいの方を対象とした大会を開催することで、シニア世代の方々の参加意欲の向上を図るとともに、大会への参加をきっかけとして、地元の地域にとどまらない新たな交流を生み出すことにもつながると考えております。

○西沢委員 地元の地域にとどまらない新たな交流を生み出すことにもつながるということで、確かにそのとおりだなというように思います。東京都がやるということは、一つのスケールメリットというか、やっぱり区市町村でできないことにもつながるものじゃないのかなというようには思います。
 そういった中で、いろいろと報告といいますか、報告書といいますか、そのときの様子がレポートなんかもありますけれども、千人の参加をいただいたということでありますが、この成果、つまり、やるのはよかったと思いますけれども、今も答弁もお聞きして、なるほどと、東京都がやる意義もあるんだろうというように思いますが、じゃあ実際やって終わりじゃなく、やったときにどんなことが、成果があったのかというのをフィードバックすることが大事だと思います。
 東京都として、今回、大会の開催に当たりどのような成果があったのかお伺いをいたします。

○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今、委員ご指摘のとおり、大会には都内各地から約千人の参加をいただきました。大会後に実施した参加者アンケートでは、よい企画なのでぜひ続けてほしいといった声をいただくなど、約九割の方が大会に満足し、来年も参加したいというふうにご回答いただいております。
 また、約七割の方からは、大会を通じ他の参加者との交流が生まれたとの回答をいただいているところでございます。

○西沢委員 参加された方の九割が大会に満足しているということで、非常に好評だったということでございます。皆様わかっていますけれども、好きな人が集まっていますから、マージャンとか囲碁とか好きな人が集まって遊んで帰ってきたわけですから、基本的に満足する度合いというのは高いんだろうというようにも思います。ただ、それにしても九割の方が満足したというのは、やっぱりそれは東京都の事業がよかったんだというようなことになるかと思います。
 ですので、今後、大会を今後、やっていくというような−−ちょっとコロナがありますから、なかなか継続してやっていくということが難しいという話も聞いておりますけれども、七割の方が、要するに地域だけでやっていることではなくて、ほかの地域とのつながりが生まれるというのは非常に大きいことだと思うんですね。なので、こうしたことを多くの方に知っていただくということも大事ですし、逆にまずかったところを聞くということも、これはちょっとこの事業に限らずですけども、アンケートの満足度合いだけでなく、不満足アンケートというのもありますよね。不満足なところどこですかと聞いているところあると思いますけれども、ここに重点を絞って聞くであったりとか、そうした課題があるんじゃないかなとも思います。
 また、広がりが、交流の検証といいますか、広がっていくところの、つまり他の参加者との交流が生まれたということもあって、新たな競技仲間と出会いがあったとレポートにも書いていますけれども、例えばそれが、自治体を超えて新たなサークルをつくることになったとか、出かけていくきっかけになったというようなことがあると思うんですね。そうしたものをぜひちょっと追っていただいて、効果がどれくらい広がっているのか、こういうつくりにしたらもっと広がっていくよということがわかるようにするというようなことも大事なのではないかなと思います。
 それから、やる場所が駒沢体育館というところでやっているわけでありますけれども、私、多摩地域の人じゃないですけれども、多摩地域の人からすると、もうちょっと場所についても配慮してよという思いを−−うなずいている委員の方もいらっしゃいますけれども、いろいろと工夫をぜひしていただきたい。こうした取り組みは継続的に行うことで効果が生じると思います。
 本年度はコロナウイルスの影響で中止となりましたが、感染症対策にも配慮しながら、引き続き取り組みを進めてもらいたいというように思います。
 今、高齢者の話をずっと続けておりますが、この高齢者の消費者被害について話を進めたいというように思います。
 悪質商法を初めとする消費者被害というのは後を絶ちません。本年七月に発表されました元年度の消費生活相談概要によると、都内の消費生活センターに寄せられた相談件数は十三万九千件、平成三十年度から横ばいの状況であります。
 中でも、高齢者からの相談件数は五万二千件で相談全体の四割を占めている状況にある。高齢者は、お金、健康、孤独の三つの大きな不安を持っているといわれており、悪質業者は言葉巧みにこれらの不安をあおり、親切にして信用させ、年金や貯蓄などの大切な財産を狙っている。また、高齢者は自宅にいることが多いため、電話勧誘や家庭訪問による被害に遭いやすいというのも特徴であります。こうしたことからも、高齢者をターゲットにした啓発活動が重要であると考えます。
 高齢者への取り組みは大変ですけれども、最近は高齢者じゃなくてもひっかかるというか、かなり巧み、巧妙になっているというように思います。そうした中で、イタチごっこの中でも、やはり東京都がやる、行政が対策をする意義というものは大きいと思います。
 改めて、昨年度、都では、高齢者の消費者被害を防止するためどのような啓発を行ったのかお伺いをいたします。

○吉村消費生活部長 都では、高齢者の消費者被害を防止するため、敬老の日を含む九月を高齢者悪質商法被害防止キャンペーン月間とし、近隣県市と共同でさまざまな啓発事業を実施しております。
 昨年度は、都営地下鉄や都内を走るバスの車内、高齢者関連施設等でポスターを掲出したほか、高齢者本人や家族など周囲の方々に向けて、悪質商法の手口や対応のポイントを解説したリーフレットを配布しました。また、介護事業者や民生委員等を対象とする出前講座の実施や、宅配事業者等と連携した悪質商法注意喚起プロジェクトを展開しました。

○西沢委員 さまざまな取り組みを行っているというようなことがわかります。
 今の答弁の中で、宅配事業者等と連携した悪質商法注意喚起プロジェクトですけれども、その内容をちょっと見ますと、十六万部、このリーフレットを手渡しで届けるというようなことをやっているわけでありますね。悪質商法に気をつけてというものですけれども、リーフレットがありますけれども、十六万部をヤマト運輸さんであったり、コープさんであったり、配食事業者であったり、東京ガスさんなどのライフライン事業者さんであったりとか、地域の事業者、地域のことをよくわかっている事業者さんに協力して、これを手渡しで渡すということは私は非常に大きないいことだというように思います。
 私たち政治家は、手渡しで十六万部渡すというのは結構大変だということをよくわかっているつもりなんですが、やっぱり手渡しで渡して見ていただくということで、より目を通す、ポスティングとかでポストに入っているだけではないというようなことは大事です。
 なので、まず、この悪質商法注意喚起プロジェクト、さらにちょっと詳細な事業内容についてお伺いをしたいというように思います。

○吉村消費生活部長 この事業は、高齢者の消費者被害防止のために、宅配業務等を実施している民間事業者等と連携し、悪質商法の手口や身近な消費生活相談窓口につながる消費者ホットライン一八八などを紹介する啓発リーフレットを、配達員が高齢者世帯等に声かけをしながら直接手渡しするものでございます。
 昨年度は、お話のとおり、宅配事業者や生活協同組合、弁当などの配食事業者、飲料宅配事業者等と協定を締結しまして、約十六万部のリーフレットを配布しました。

○西沢委員 十六万部を、しかも手渡しと、声をかけながらということで、かなり大変な事業をされたのかなというように思います。
 実際、運輸業者の組合の方からも話を聞きますけれども、やっぱり地域とのつながりを持っている事業者、ヤマトの配送員の方々、よくわかっていますよね。そうした方々が協力者としてやっていただけるということは、やっぱり地域のつながりをかなり強化できることにつながっていると思いますし、このコロナ禍においては、さらに宅配事業者の方々大変だと思いますけれども、町会や商店街などで集まること自体ができない中においては、非常に大きなことになるんだというように思います。
 で、この取り組みの効果をちょっとお伺いしたいんですよね。すばらしい事業だということをいい続けたわけでありますけれども、じゃあこれだけのことをやったけれども、どれだけの方が例えば防げたのかということはなかなか見えないと、その事業がよかった、悪かったというのはなかなか評価できないと思います。
 こうした取り組みによってどのような効果が得られたと考えているのかお伺いをいたします。

○吉村消費生活部長 これまでの事業実施を通じて、リーフレットを受け取った方からは、怪しいはがきが来たが、リーフレットに記載されている消費生活センターに相談したおかげで被害に遭わずに済んだという声や、なじみの配達員が配達だけでなく、消費者トラブルなど身近な暮らしも心配してくれて助かるなどの声が寄せられております。
 さらに、配達員からも、地域の方と話すきっかけができてよかった、今後も継続して声かけしていこうと思ったといった声が寄せられております。

○西沢委員 そうですね。いい声が寄せられているということで、その効果があったというようなことを確認させていただきました。特に、答弁でもありましたが、配達員の方から地域の方と話すきっかけができてよかったというのは、こうした悪質商法の注意喚起にとどまらず、先ほどもいいましたけど、やはり地域力の向上につながるというような大変すばらしい取り組みだというようには思います。
 いい反応があったという、ちょっと一言だけいうとすれば、寄せられた声だけであればいいものが当然あるのかなと思います。役に立たなかったですよという声というのは多分なかなか届けにくいと思うんですよね、逆にいうと。ある程度は意識調査であったりだとか、アンケートであったりとか、そういった客観的に効果のわかるものをこの事業に関しては利用して、今後に役立ててもらえればというように思います。
 最後に、この全体の普及啓発事業、普及事業啓発を含めた全体の消費生活対策にかかわる評価、評価ってすごく難しいと思うんですけれども、これはどのようにしているのか見解を伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都では、東京都消費生活基本計画に基づき施策を推進しており、東京都消費生活対策審議会に毎年度事業実績を報告して評価や意見をいただいております。また、イベントや消費生活講座などの各事業においても、開催の都度、参加者にアンケート調査を実施しております。
 さらに、昨年度全庁的に行われた政策評価では、消費者被害の未然防止と拡大防止に関する施策が対象となり、ホームページのアクセス数や消費生活センターの認知度などについて具体的な数値目標を設定し、各分野の専門家で構成される都政改革アドバイザリー会議から意見や助言をいただきました。

○西沢委員 政策評価についてですけれども、今お話がございましたが、政策評価シート、総務局のホームページで見られることになっております。
 これを見てみますと、この評価、政策指標の目標達成状況というのはおおむね良好であるというようなことがわかりますが、例えば、ホームページのアクセス数は達成度が一一〇・七%になっていますよとか、七十歳以上の消費生活センターの認知度に関しての達成度は一〇一%という形になっていまして、達成していますよというようなことがあります。また、十八歳から二十九歳の消費生活センターの認知度に関しては九九・五%で、未達成とはなっておりますが、一〇〇%に近い数字を達成しているというようなことで、当然ですけれども、油断することなく今後につなげてもらいたいと思いますが、一個だけ、区市町村における高齢者の消費者被害防止のための見守りネットワークの構築の達成度が一二〇〇%になっているんですね。半端ない達成度で、一二〇〇%の達成度って何でなのかと思っていまして、政策評価シートの検証のページをちょっと見てみますと、きめ細かく支援したことが実績の大幅増につながったと考えられるというようなことがあります。これ自体は最近できた政策評価シートですから、この目標設定自体について質疑することはしませんけれども、目標達成のあり方ということを少し意識してもらえたらなと思います。
 明らかに、達成度一二〇〇%ということは、ある意味それだけもう達成し過ぎているというか、頑張ったということではすばらしいことなのかもしれませんけれども、それで本当にはかれるものなのかというふうにちょっといぶかしがってしまうところがございますので、こうしたところを意識した上で、今後ともこうした評価や意見、助言を踏まえ、施策の一層の充実を図っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○岡本委員 都民ファーストの会の岡本こうきです。よろしくお願いします。
 配布のあった一般会計決算説明書の四八ページによりますと、都政広報の支出額は約二十一億六千万円で、予算に対する執行率は九四%ということでした。この都政広報の支出のうちおおむね半分をテレビCMを活用した都政広報が占めているということで聞いております。
 そこで、この都提供テレビ番組のコマーシャル枠を活用した都政広報の実施状況について伺います。

○久故広報広聴部長 東京都が提供いたしますテレビ番組四番組のうち三番組につきまして三十秒のCM枠を設定し、都の事業や施策を紹介する十五秒のCMを二本あるいは三十秒のCM一本を放送しております。
 令和元年度は、二つの番組で各局が制作したCMを放送し、残る一番組でオリンピック・パラリンピックに向けた東京の芸術文化をテーマとするCMを放送いたしました。

○岡本委員 次に、もう少し具体的に、どのようなCMを放送したのか、また、どのような基準で放送するCMを選択しているのか、伺います。

○久故広報広聴部長 令和元年度におきましては、二〇二〇大会やスムーズビズ、受動喫煙防止条例の周知に関するもの、ヘルプマーク、ラグビーワールドカップ、使い捨てプラスチック削減、エシカル消費に関するものなど、十五テーマ、三十八種類のCMを放送いたしました。
 放送するCMにつきましては、都の主要施策の中から選定した重点広報テーマを中心に、各局の意向も踏まえ、放送時期や各提供テレビ番組の視聴者層などを勘案し、訴求力のあるものを放送しております。

○岡本委員 今おっしゃっていただいたテーマについて、そのうち受動喫煙防止条例に関する点については、二〇一九年の三月十八日の予算審議の厚生委員会において私も取り上げさせていただきました。生活文化局と福祉保健局と連携をしながら、東京都の提供テレビ番組で受動喫煙防止条例のCM放送をするということで、そのときに私も期待をしているということを申し上げたところでありました。令和元年度でそのCMを放送していただいて、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 また、ラグビーワールドカップ、それから、延期になりましたけれど二〇二〇大会、こうしたものは、その時点において時期を捉えたCMであったというふうに思います。
 そして、ヘルプマーク、使い捨てプラスチック削減、エシカル消費などについては、私も、また、我が会派においても非常に重要なテーマとして取り組んでいるテーマでありますので、こうしたものをテレビCMで放送していただいたということは非常によい取り組みだというふうに考えております。
 では次に、今後、テレビコマーシャルをどのように活用していくのか伺います。

○久故広報広聴部長 テレビは多くの視聴者に同時に情報を発信できる媒体であり、メッセージをダイレクトに伝えることのできるCMは効果的な広報手段でございます。
 今年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関する広報を集中的に行うため、提供テレビ番組に設定したCM枠のほか、スポットCMも活用してメッセージを発信しております。
 今後とも、各局と連携いたしまして、タイムリーで訴求力のあるCMを放送し、都の施策を広く周知してまいります。

○岡本委員 他県の事例も少しご紹介をしたいと思います。
 二〇一八年の七月に鳥取県が一カ月間、ゲゲゲの鬼太郎の番組スポンサーとなって、三十秒のCMで、妖怪たちに会えるまち鳥取県を全国にPRしたということです。地方自治体が全国ネットで放送されるアニメの番組のスポンサーになったのはこれが初めてだったということであります。そして、鳥取県によれば、予算は千三百万円ということで報道されています。
 私ごとですが、毎週日曜日にゲゲゲの鬼太郎を見ていたうちの子供は、当時三歳だったんですけれど、このテレビCMを見て非常に影響を受けて、ここに行きたい、ここに行きたいといって、やはりテレビCMの効果というのは、影響というのは絶大なものがあるなというふうに感じました。そしてその後、家族で鳥取県に家族旅行に行ったということになりました。
 また、別の、この令和元年度の決算後ですが、令和二年度におきましては、新型コロナの感染症対策として、小池知事が感染症対策やステイホームの呼びかけをテレビCMでされました。これについても非常に影響力が大きかったというふうに思います。
 テレビCMの活用の仕方については、さまざまな目的や方法があると思います。放送する時間帯や、また、番組によって視聴者の層もかなり異なってくるというふうに思います。そうしたことも踏まえつつ、今後も効果的な広報を検討し、実施をしていただきたいというふうに思います。
 以上、意見を述べまして、私の質疑を終わります。

○原委員 それでは、東京ウィメンズプラザについて質問します。
 ウィメンズプラザは、パンフレットにも記されているとおり、豊かで平和な男女平等参画社会の実現に向けて、都民と行政が協力して取り組む具体的、実践的な活動の拠点です。都民の自主的な活動を応援していくことはとても重要です。
 予算の執行率としては九七・九%ということですが、昨年度の施設利用率は六三%ということになっています。この六三%なんですが、これは主催事業も含めての利用率とのことですので、都民の自主的な活動がどのぐらい広がっているのかというのは少し見えにくいというふうに思います。
 そこで伺いますが、登録団体、グループなどは何団体利用しているでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、利用団体・グループ登録制度を設けておりまして、男女平等参画の推進、女性の地位向上等に関する活動を行っている非営利団体が事前に団体情報を登録することにより優先的に抽せんに参加できるなど、活動を支援しております。
 昨年度は、登録団体三百五十団体のうち約二百団体が施設を利用いたしました。

○原委員 三百五十団体登録していて、二百団体が利用しているということでした。団体、グループ初め都民がいかに利用しやすいかが重要で、それをこれからさらに促進をしていただきたいというふうに思っていますが、子育て中の都民の方が参加するイベントで、ウィメンズプラザの主催の場合は託児サービスが利用できます。ただ、都民の自主的な施設利用、自主的なイベントなどの場合は保育士等を主催者が手配をするということになっているので、保育がないために参加を断念したという声が寄せられています。
 昨年度も、都民主催で若い女性が多く参加する企画がありまして、それで託児サービス、保育がないということで諦めたという声がありました。東京都は、こうした声を把握しているでしょうか。また、託児サービスを常に利用できるように改善できないでしょうか。

○赤羽男女平等参画担当部長 東京ウィメンズプラザでは、ホールや会議室等を利用する際に付随して保育室を貸し出しておりまして、保育士等は利用者が手配することとしております。保育室の申し込みがあった際には、利用者に対しましてその旨のご案内を行っております。
 利用者から保育士等の手配についてご相談があった場合には、東京ウィメンズプラザで把握しております保育士等の情報提供を行っております。

○原委員 先日私も保育室を改めて視察させていただいて、その保育室もとてもきれいで、利用しやすいようになっていました。ただ、保育室は貸しますけれども、それぞれの団体で保育士は手配してくださいねと、もちろんその紹介はしますよということだったと今のご答弁では思います。
 それで、私は、団体によっては、そういう保育士さんを確保するのが難しかったり、また、それは全てお金がかかりますからなかなか大変だという実情もあったりします。都議会の託児サービスのやり方をウィメンズプラザに導入できないかというふうに思っています。都議会の託児サービスは、事業者と単価契約をして、傍聴者から事前に申し込みがあった場合に保育士を派遣してもらうというやり方になっています。これで小さいお子さんがいても傍聴できる、知る権利を保障しているわけです。これは、とてもやっぱりいい仕組みだというふうに思うんですね。
 ウィメンズプラザは、男女平等参画社会を進めていく実践的な活動の拠点です。子育て中の女性がいつでも参加しやすいようにしておくということは重要だと思いますので、都議会でやっているこの傍聴の仕組み、これを検討できないか、このことを、検討を強く求めておきたいと思います。
 同時に、こういう問題を都民参加で話し合える場が必要なんじゃないかなというふうに私は思っています。区市町村の男女平等推進センターなどでは、運営協議会などを設置して、もっとこういうところを改善しようということを話し合ったり、市民参加で企画を考えたり、そういうことをやっています。ウィメンズプラザでもそうした協議体などを設置することが必要ではないかというふうに思いますので、このこともあわせて提案をしておきたいと思います。ご検討をお願いいたします。
 続いて、ウィメンズプラザの相談事業について伺います。
 相談件数の推移は、資料を出していただきましたが、この五年間余り変わらないということですが、先日視察をした際にいただいた資料は、かなり、平成二十年から平成三十年までの推移がわかる資料をいただいたんですが、二〇一四年度、一万七千件台だった相談事業が、二〇一五年度に二万三千件台に大きくふえています。その後、昨年度まで二万三千件台で推移しています。この増加の理由を伺いたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力など被害者支援の強化を図るため、平成二十七年度から電話回線をふやすとともに、相談員を十二名から十六名に増員いたしまして、相談体制を拡充いたしました。

○原委員 増員をして相談の体制を強めたと。今年度からはさらに一人ふやして十七人にしたというふうに聞いています。大変重要だと思っています。
 先ほどの答弁で明らかなように、窓口を拡充すれば相談がふえるんだということだと思います。相談員の方々がシフトを組んで相談事業に当たっている、その様子も遠くからちょっと視察をさせていただきましたけれども、大変忙しそうでした。さらに人数をふやして、相談体制をさらに拡充しようとなると、相談室自体も手狭かもしれません。そういうことも含めて、そういうことも配慮しつつ、相談業務のさらなる充実に努めていただきたいというふうに思っています。
 それで、相談件数のうち、DV相談と男性相談の推移はどうなっていますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者からの暴力等に関する相談件数は、近年五千件前後で推移をしております。また、男性相談の件数は、近年五百件前後で推移しております。

○原委員 まず、今伺ったDV相談の方を聞きたいんですけれども、先ほど聞いたように、相談体制を拡充することによって相談全体が大きくふえたんですよね。ところが、DV相談については以前からと余り変わらないというふうになっているんです。このことについてはどう分析していますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 区において配偶者暴力相談支援センター機能が整備されるなど、被害者が身近なところで相談できる体制が整いつつあることも一因と考えております。

○原委員 確かに、東京都のホームページに出されている資料を見ても、この資料で、都内の各相談機関における配偶者暴力相談件数推移というのが載っていますけれども、平成三十年度が一番新しい資料で、相談件数総件数は五万八千六百七十件なんですけれども、そのうち一番多いのが区市町村で四万百九件というふうになっています。
 そういう点では、区市町村でのDV相談件数が大きく伸びているということは、 今、一因ではないかとおっしゃっていましたけれども、なるほどと、このグラフを見るとわかる部分だなと思いました。やっぱり、相談の窓口やツールがふえていく、いろんなところに相談窓口があるということが本当に重要で、悩んでいる方がどこかには相談に行けると、そういう状況をつくっておくことが本当に重要なんだなというふうに思います。
 都内区市町村の配偶者暴力相談支援センターの設置状況はどのようになっていますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能は、現在十七区で整備されており、昨年四月以降、新たに二区で整備されたところでございます。

○原委員 つまり、十七区ということですから、多摩地域では一カ所も設置されていないということでもあるんですよね。この多摩地域では一カ所もまだ設置をされていないことについて、どのように分析し、どのように取り組んでいるか、お聞かせください。

○赤羽男女平等参画担当部長 都は、各区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備に向けて、東京ウィメンズプラザの専門員が直接出向き、ノウハウの提供や区市町村の実情に応じたアドバイスを通じて働きかけを行っております。
 また、相談員の養成などの各種研修や配偶者暴力対策に関する最新情報の提供など、積極的な支援に取り組んでおります。

○原委員 働きかけは区市町村、多摩の地域も含めてされているということです。
 ある自治体では、なかなか設置したくても財政的に厳しいというお話などもありました。何がネックになっているのかということをぜひ把握して、対策をとっていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、男性相談について伺います。
 この男性相談は、いつからどういう理由で始めたのでしょうか。また、相談内容の特徴について教えてください。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力に関する相談を含め、男性が抱えるさまざまな悩みに対応するため、平成十三年度より開始いたしました。相談内容は、配偶者暴力に関する相談のほか、夫婦関係や人間関係に関する悩みなどが寄せられております。

○原委員 男性相談を早くから進めてきているということは非常に重要だというふうに思います。男性の方がウィメンズプラザに相談してくるというのはかなり勇気が要ることでもあると思いますが、それでも毎年五百件の方が相談をしているということで、それだけ切実なんだということだと思います。
 その相談をどのように次につないでいくかが重要だと思うんですが、相談した人がDV加害者だった場合の対応はどうしていますか。

○赤羽男女平等参画担当部長 相談を通じまして、加害者本人の行為が配偶者暴力であるという自覚を促すとともに、意向を尊重し適切な機関を紹介しております。

○原委員 意向を尊重してということで、それはもちろん大事なことだというふうに思います。ただ、恐らくその相談に乗りながら、ケースによっては、本人に委ねるだけではなくて、ウィメンズプラザから直接つなげていくということも求められる場合もあるのかなというふうに思っています。これについては、適切な対応を求めておきたいというふうに思います。
 最後に伺いますが、DV被害者を支援する取り組みを行っている団体、グループに対しての支援について伺います。具体的な支援はどういうことを実施したのか、昨年度の実績を伺います。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力被害者支援には、行政はもとより、きめ細かな支援を行う民間団体の活動が果たす役割が大きいと考えております。
 こうしたことから、同行支援やシェルターの安全対策など、民間団体の自主的な活動に対しまして経費の一部を助成する配偶者暴力防止等民間活動助成事業を実施しております。昨年度は、十九件の事業に対し、約一千三百三十八万円を助成いたしました。

○原委員 大事な事業だというふうに思っています。継続、また、拡充していっていただきたいと思いますが、こういういろいろな支援を続けている一方で、多摩地域の民間の支援団体やシェルターが長年活動を続けてきたけれども、残念ながら、昨年だったと思いますが、活動を終了するということも起きています。そういう活動をしていらっしゃる方々が、ぜひ公でしっかり担っていってほしいというふうに希望を述べられていました。
 やはり民間の方たちが少ない支援の中で継続するには本当に大変な内容なんだということを改めて私も感じたんですけれども、ウィメンズプラザや女性センター、また、区市町村のDV支援センターなどの役割は本当に重要ですし、東京都としてもさらに力を発揮していただくということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○中山委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○中山委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時四十一分散会

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