令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

令和二年十月二十一日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小松 大祐君
副委員長大松あきら君
副委員長栗下 善行君
もり  愛君
原田あきら君
加藤 雅之君
保坂まさひろ君
森口つかさ君
とや英津子君
鈴木 章浩君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
都営住宅経営部長青柳 一彦君
住宅政策担当部長武井 利行君
民間住宅施策推進担当部長飯塚 佳史君
経営改革担当部長土屋 太郎君
再編利活用推進担当部長栗谷川哲雄君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長金子 陽子君
都市整備局局長技監兼務上野 雄一君
次長桜井 政人君
技監福田  至君
理事安部 文洋君
総務部長木村 健治君
都市づくり政策部長小野 幹雄君
都市基盤部長特命担当部長兼務谷崎 馨一君
市街地整備部長選手村担当部長兼務朝山  勉君
市街地建築部長山崎 弘人君
基地対策部長三木 暁朗君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務三宮  隆君
まちづくり推進担当部長吉野 敏郎君
築地まちづくり推進担当部長木村 宣代君
交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務三木  健君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務新谷 景一君
防災都市づくり担当部長鈴木  理君
耐震化推進担当部長青木 成昭君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
住宅政策本部関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和元年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・令和元年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
都市整備局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和元年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・令和元年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○小松委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、住宅政策本部所管分、令和元年度東京都都営住宅等事業会計決算、令和元年度東京都都営住宅等保証金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十二日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当本部の令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、11の居住支援法人の指定数の推移までの十一件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数及び金額を、年度別に、財務局契約及び都市整備局契約または住宅政策本部契約別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅の管理戸数、空き住戸数、募集停止戸数でございます。
 令和元年度末の各戸数について記載してございます。
 三ページをごらんください。3、既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設の都営住宅について、過去五年間のエレベーター設置状況を年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都営住宅の空き住戸数の割合、入居者の年齢別世帯数、平均居住年数、使用料の収入未済率でございます。
 (1)では、空き住戸数の割合、(2)では、入居者の年齢別世帯数、(3)では、入居者の平均居住年数、(4)では、使用料の収入未済率を過去三年分記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村居住支援協議会の一覧と各居住支援協議会の構成メンバーでございます。
 令和二年三月三十一日までに設立された区市町村の居住支援協議会について、協議会名と構成メンバーをそれぞれ記載してございます。
 九ページをお開き願います。6、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録戸数の推移でございます。
 各年度末の登録戸数を年度別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。7、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
 各年度の補助実績を実施自治体別に記載してございます。
 一一ページをごらんください。8、住宅政策本部所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況でございます。
 (1)では、委員報酬額を、(2)では、過去三年分の各附属機関の開催状況を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。9、政策連携団体・事業協力団体の職員構成でございます。
 政策連携団体及び事業協力団体の職員構成について、過去五年分の状況を年度別に記載してございます。
 一三ページをごらんください。10、都営住宅における期限付き入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率でございます。
 過去十年間の都営住宅における期限つき入居の募集戸数、申込者数及び平均倍率を年度別に記載してございます。
 一四ページをお開き願います。11、居住支援法人の指定数の推移でございます。
 居住支援法人の指定数を、法人の種類ごと、年度別に記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○もり委員 住宅確保要配慮者の支援について質問させていただきます。
 東京都では、都の住宅施策を一層加速し、機動的に展開していくために、昨年、幾つかに分かれていた部を統合して住宅政策本部を立ち上げ、住宅政策審議会による有識者、不動産事業者等の多様なステークホルダーの参加も得ながら、都民のさまざまな住宅の課題に積極的に取り組んでいただいております。私も日々多くの都民の皆様の相談を伺う中で、高齢者、障害者、子育て世帯等、住宅の確保はとても難しい現状があり、誰もが安心して暮らし続けることができる住宅の確保は喫緊の課題です。
 そこで、住宅確保要配慮者の支援について何点か質問させていただきます。
 東京都では、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅に東京ささエール住宅という愛称をつけて、住まい探しにお困りの低所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯等の方々の住宅確保を支援する制度として期待されます。近年ふえている空き家を活用して、要配慮者の支援につなげる意義のある制度であり、ぜひ活用が図られるべきだと考えます。
 東京都では、三万戸という登録目標を定め、さまざまな取り組みを進めており、この制度ができてから約三年が経過しました。まず、これまでの実績を確認するため、東京ささエール住宅の登録戸数の推移についてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 東京ささエール住宅は、平成二十九年十月から登録が開始されており、その登録戸数は、平成三十年度末時点で二百九十六戸、令和元年度末時点で二千二百四十戸となってございます。

○もり委員 昨年度だけで約二千戸もふえたことは評価できます。しかし、目標の三万戸までは道半ばです。登録に当たっては、さまざまな課題があることも承知しております。登録が進まない理由として、そもそも家を貸す大家さんに制度が知られていないという点、高齢者の入居に不安を感じているといった声も聞かれます。東京都は、こうした声にどのように対応し、取り組みを進めてきたのか。東京ささエール住宅の登録促進に向けた昨年度の取り組みについてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、東京ささエール住宅の登録促進に向けまして、昨年度は、主に貸し主の不安軽減や制度の認知度向上を図るための取り組みを実施してまいりました。
 具体的には、入居者の死亡に伴い貸し主に生じる損失を補償する少額短期保険の保険料への補助や、高齢者向けに見守りサービスを提供する居住支援法人に対する補助を開始いたしました。
 また、都独自に東京ささエール住宅という親しみやすい愛称を設定するなど、工夫を凝らした広報を展開したほか、福祉団体や居住支援法人等と連携し、住宅確保要配慮者に向けた情報発信の強化にも努めてまいりました。こうした取り組みの結果、東京ささエール住宅の戸数は着実に増加してきたものと受けとめております。

○もり委員 登録の促進には、制度の認知度の向上や大家さんの不安を減らすための取り組みも課題となっており、東京都が独自の愛称による周知の取り組みや、少額短期保険等の保険料、見守りサービスで大家さんの負担軽減に力を入れて取り組んでいることを確認させていただきました。
 都内には、約八十万戸の空き家があるといわれ、地元大田区にも空き家の数は六万戸とも試算され、その活用が望まれますが、改正セーフティネット法での住宅確保要配慮者の住宅に登録できるのは、消防法の基準をクリアしていなければならないので、実際には有効な物件が出てこないという声も地元から聞かれました。東京ささエール住宅がより広く活用され、都民の居住の安定が確保されるよう、都としてよりハードとソフト面での支援拡充により、これからもさらなる登録促進につながるようお願いをいたします。
 登録促進とともに、今後は、要配慮者とのマッチングが重要になってきます。マッチングにおいて、地域に根差した支援を行う区市町村の役割が重要です。東京都は、こうした区市町村をしっかりとバックアップする責務があると考えます。
 そこで、昨年度の区市町村居住支援協議会の設立促進や活動支援の取り組みについてお伺いをいたします。

○武井住宅政策担当部長 住宅確保要配慮者の居住の安定のためには、入居あっせん等の具体的な取り組みを行う区市町村の役割が重要でございます。このため、都は、居住支援協議会を設置し、区市町村に対し、居住支援協議会の設立事例等の情報提供や経費の補助を行っております。
 また、不動産団体や福祉団体等と連携しながら、居住支援の先進的な取り組み事例や、家賃債務保証制度の紹介を行うなど、区市町村居住支援協議会の設立促進と活動の支援に取り組んでおります。
 こうした取り組みにより、昨年度は新たに七区市で居住支援協議会が設立され、令和二年三月末現在、二十一の区市で設立されるに至っております。

○もり委員 区市町村の居住支援協議会が着実に設立されていることを確認いたしました。昨年度は新たに七区市とのことですが、都内全体で見れば、まだ二十一区市にとどまっている現状があります。また、身寄りのない方も困っているとの声が寄せられており、地元の居住支援協議会では、緊急連絡先サービスをNPOと連携して開発し、補助を出しているとのことで、ひとり暮らしの身寄りのない高齢者、またホームレスから脱却した三十代の男性など、既に六件の実績があると伺いました。
 しかし、NPOの提供する緊急連絡先を拒む保証会社もいまだに見受けられるとのことです。都内二十三区では都営住宅の倍率が大変高く、誰をも拒まない賃貸住宅の物件の確保は喫緊の課題です。八十歳以上の高齢者と精神障害者の住宅確保は特に厳しいとの声、老朽化などの要因で、長く住んでいた居住を転居せざるを得ない高齢者がふえている現状もあります。
 コロナ禍にあり、失業者の増加など、住宅要配慮者の支援は待ったなしの現状があります。引き続き、区市町村の協議会の設置が進むとともに、居住支援協議会の取り組みを支援していただき、その活動が活性化することで、要配慮者の方それぞれの状況に適した住宅が確保されるよう、都としても積極的に取り組まれるよう強く要望いたします。
 次に、都営住宅で実施している買い物弱者支援事業についてお伺いをいたします。
 都営住宅では、居住者の高齢化が進んでいる現状が顕著であり、日常の買い物が困難な買い物弱者への支援策として、移動販売サービスが期待をされております。令和元年度末時点での実施状況についてお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都は、日常の買い物が困難な方々に対する支援策として、都営住宅の敷地内で地元区市や民間事業者と協力して行う食品などの移動販売サービスを平成二十九年十二月から開始しております。事業開始以来、実施団地が毎年度拡大し、令和二年三月末日現在、港区、世田谷区、葛飾区、八王子市、町田市、多摩市の九団地十カ所で実施しております。

○もり委員 令和二年三月末時点で九団地十カ所での実施とのことですが、地元区市町との協定が必要であり、区市との連携が欠かせません。必要とする都民にサービスを届けるために、より多くの自治体への事業の実施を拡大する必要があります。東京都として、区市町へどのように働きかけを行っているのかお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都は、区市町が実施する買い物弱者支援事業と協力しまして、都営住宅の敷地内で移動販売サービスを提供しており、区市町が民間事業者を選定しております。そのサービスを拡大するには、ホームページやSNSなどを活用した都民や事業者などへの事業の周知に加え、地元自治体への実施に向けた働きかけが必要でございます。
 そこで、都では、区の住宅担当課長会や市町村の住宅連絡協議会の場を活用して、実施事例の紹介や働きかけを行うとともに、導入を検討する自治体からの相談などに応じております。

○もり委員 ありがとうございます。ぜひ、地元の方からも、持病を患い買い物がとても困難であるとの要望を受け、昨年度、私も住宅政策審議会の審議の中でも、地元からの切実な声として強く要望してきた取り組みでもあります。
 都営住宅居住者の生活を支えるとともに、コロナ禍で外出が制限される中、地域のコミュニティの活性化にも寄与し、自治体においては、近隣の事業者や商店街との連携により住民サービスが提供されれば、地域経済の活性化にも寄与する事業となると考えます。都営住宅内での移動販売サービスが、団地住民のみならず、近隣自治体、自治会などとのコミュニティや多世代共生を推進する事業として、ぜひ、より多くの区市町でこの事業が進むよう要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○鈴木委員 それでは、私から住宅政策についてお伺いします。
 住宅は、私たちの生活の基盤であり、欠かすことのできないものでありますが、その重要な基盤としてのこの住宅政策の中で、この少子高齢化や住宅ストックの老朽化の課題というのは、持続可能な社会を構築する上で、本当にもう避けて通ることのできない重大な課題でございます。東京がこれからも安心・安全で快適な都市であり続けるためにも、この住宅政策本部の果断な取り組みというのが求められるわけです。
 住宅政策本部は、東京都住宅マスタープランに定める住宅政策の基本方針、豊かな生活の実現と持続に基づき、これまで築き上げてきた都市づくり政策との連携を発展させながら、現場感覚と、そして新たな発想、そして時代に即した行政課題に対応して、本部が一体となって、これから総合的、計画的に事業に取り組むとして、昨年の四月に設立されたわけです。
 まだ住宅政策本部として立ち上がって日も浅いわけですけれども、これまでの住宅局時代からの情報や知見というものがたくさんあるわけでございますので、ぜひとも、これからの大きな課題に取り組んでいただきたいと期待するものであります。本日は、この住宅政策本部からの事業の中で、都営住宅の高齢化への課題について、まず、お伺いをさせていただきます。
 今、地元大田区の都営住宅の話が出ていましたけれども、今は六千三百七十九戸あるわけですけれども、年々その高齢化の居住者の方々がふえている実態があります。
 そこで、都営住宅の全世帯において、名義人が六十五歳以上、七十五歳以上である世帯が占める割合というのも大変多くなってきているわけですけれども、まず、その占める割合と、その中で単身者が占める割合についても、それぞれお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 令和二年三月末日現在、都営住宅には約二十一万五千世帯が居住しており、名義人が六十五歳以上である世帯は約十四万八千世帯で、約六九%を占めております。このうち単身者世帯は約七万八千世帯で、約五三%を占めております。
 名義人が七十五歳以上である世帯は約九万五千世帯で、約四四%を占めております。このうち単身者世帯は約五万一千世帯で、約五三%を占めております。

○鈴木委員 今ご答弁いただいたように、高齢化は、本当に深刻な状況になってきているということとあわせて、単身者の方々も大変ふえているということであります。都営住宅では、高齢者世帯が多い状況というのは今いわれたとおりですけれども、この状況を踏まえると、やはりしっかりと高齢者世帯へのサポートというのが重要な課題であるわけです。
 高齢者の中には、近隣や地域との結びつきが薄い方も大変多い。現在、都では、都営住宅における高齢者世帯へのサポートをされているわけですけれども、現実、今は実際にどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 高齢者世帯をサポートするため、東京都住宅供給公社では、巡回管理人制度を実施して、希望する六十五歳以上の世帯に対して定期的に訪問し、日常的な相談を受けるほか、各種申請書類の取り次ぎなどを行っています。令和元年度は約一万七千世帯を対象に、九十一人の巡回管理人が延べ約二十万回訪問いたしました。
 公社では、巡回管理人等に対する保健福祉に係る研修を行うとともに、本社に保健福祉等に関し豊富な知識や経験を有する職員を二名配置し、巡回管理人の業務支援を行っております。また、公社のお客さまセンターで、二十四時間、三百六十五日受け付け可能な連絡体制を整備し、居住者の緊急時の安否確認を実施しております。
 さらに、安否確認時に、より迅速な情報収集及び入室確認等を行うことを目的として、令和元年度末現在、三十七区市町との間で安否確認に関する協定を締結しております。この安否確認のうち、令和元年度は、公社が警察立ち会いのもとで入室して対応した事案が四百九十一件あり、そのうち百一件は、救急搬送につながりました。

○鈴木委員 安否確認も兼ねて、高齢者のサポート、これは巡回管理人が延べ年間で二十万回訪問するという大変ありがたい制度だというふうに思います。特に、高齢者の方々は、介護や医療だけでなく、金融だとか、さまざま私的な相談だけでなく多岐にわたっておりますので、この方々が研修もされて研さんされているということも、大変ありがたいなというふうに思います。
 さらに、二十四時間、三百六十五日連絡がとれる体制の整備もされているということなんですけれども、実際、私も調べてみたところ、やはり、独居老人の方々がお亡くなりになって、一カ月、二カ月も誰も知らなかった。要するに、孤独死をしている方々も本当に毎年何人かいるわけです。そうした不幸を防いでいくためにも、やはりさらなる取り組みを進めていくことが大事だというふうに思います。
 今、お話、ご答弁ありましたけれども、この巡回管理人によるサポート事業というのは、希望する方への支援なわけです。今、先ほどの一番最初の質問でもさせていただいたんですけれども、高齢化率がこれからもうどんどん上がっていく。さらに二十年後には、もう本当にこの数字の六割近くがこの状況でいけばなっていくということを考えますと、ある一定の年齢、例えば八十歳以上の独居、もしくはご夫婦だけの家庭には、全世帯でサポートするような対応も検討していくことが求められるんではないかなというふうにも思うわけですので、ぜひそのこともこれから検討していただきたいなというふうに思います。
 さらに、この安否確認の中で、東京都は、今年度から大学研究者による事業提案として、都営住宅における単身高齢者の見守りシステムの構築に今取り組んでいるというふうにも伺っています。この事業というのは、私たちも再三指摘をさせていただいて要望しているんですけれども、メーターボックスにスマートメーター化された電力計と、室内のエアコンに温度計を設置して、この電気量データとエアコンの利用の有無をAIで判断して、異常となるデータが検出された場合、巡回管理人などに通報するという見守りシステムを構築して、これからモデル実施していくということであります。
 まさに、これから東京都が進めていく本当に象徴的な事業になっていくんだというふうに思うんですけれども、今後、さらに高齢化が進展していくと思われる都営住宅において、こうしたICTを活用した見守りというのは、特に重要であると考えるんですけれども、ひとり暮らしの高齢者が住みなれた地域で暮らし続けられるよう、ぜひ迅速に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、高齢化した都営住宅においては、団地の活性化のために、今、若い世代に入居してもらうための取り組みも求められているというふうに思います。このことは都市整備委員会でもさまざま議論されてきているというふうに思いますけれども、我が党の要望を受けて、若年世帯向けに期限つき入居制度を導入して、募集戸数や対象世帯の拡大に今取り組んできております。
 昨年、制度を一部見直して、より一層の入居促進を図られたわけですけれども、制度改正の効果はどうなったのかお伺いをいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅の期限つき入居につきましては、子育て世帯にとってより使いやすくなるよう、昨年、入居期限を子供の高校修了期まで延長し、また、対象をひとり親世帯に拡大する内容の制度改正を行いました。昨年の五月と十一月の募集を比較いたしますと、それぞれ七百五十戸の募集戸数に対して、制度改正後に実施した十一月募集では、申込者数が五月募集の八百三十三人から一千三百五十一人にふえました。その結果、応募倍率も一・一倍から一・八倍に上昇いたしました。

○鈴木委員 こういった取り組みというのが本当にこれから求められるんですけれども、若年世帯向けの期限つき入居制度というのは、昨年拡大されて、今、延長も認められて、さらにひとり親も認められているという状況なんですけれども、実際に聞いてみますと、意外と通勤圏内、駅から徒歩圏内の利便性のいい住宅も提供されているということで、大変好評なんですけれども、しかしながら、まだまだこれ知らない人たちが大変多いんですね、こういうことをやられてるということが。
 ぜひ、間口も広げて、いい制度だというふうに思っておりますので、ぜひ多くの求められている方々に、この情報をしっかりと届けていただけるように取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、この若年世帯向けの制度を拡充したことはわかったんですけれども、もう一つの課題である若年の単身者への供給についてであります。
 都営住宅は、家族向けを前提としてきておりますので、単身者は高齢者や障害者などに対して例外的には認めておりますけれども、何でこのような状況になっているのか、理由をお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅は、原則として市場で適切な住宅を確保することが困難な同居親族のある世帯を入居対象としておりまして、単身者は、特に居住の安定を図る必要のある高齢者世帯や障害者世帯等に限り、入居の対象としてまいりました。
 都営住宅につきましては、既存のストックを活用しながら公平かつ的確に供給することを基本としておりまして、入居資格を拡大した場合、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えることから、同居親族要件を維持しております。

○鈴木委員 この件は、昨年五月の住宅政策審議会答申で、応募割れしている住戸のある地域などにおいて、建てかえの供給基準との整合性を図りながら、単身者向け住戸のあっせん基準を弾力的に運用するなどの確保に努めていくという提言があって、なされているのかなというふうに思うんですけれども、この提言自体、国の公営住宅法にのっとったもの、公営住宅法というのは憲法二十五条の生存権の保障なわけですけれども、この条例で柔軟な対応ができないわけでもないわけですので、ぜひ応募割れしているような住戸だけでなく、全体的な、若い人たちに高齢化した都営住宅に一緒に住んでいただいて、多様な世帯が生活するような、そういった都営住宅にしていただくためにも、バランスのよい取り組みを期待するわけです。
 都営住宅では、単身者は高齢者世帯や障害者世帯等に限り入居の対象としているという話もありましたけれども、高齢化が進むこの都営住宅のコミュニティを維持して、管理するためにも、私は若い人の力が必要だというふうに思います。東京は、世帯数の約半数が単身世帯なんですね。都営住宅のあり方自体も、あわせて見直しをしていく必要が今あるんではないかなというふうに思います。
 都では、先ほど話しましたけれども、昨年五月の住宅政策審議会答申を踏まえて、大学と連携した学生の入居も検討を進めているということですけれども、住宅に困窮する若者もふえている中で、若者に門戸を開いていって、高齢化した団地の活性化に私は先ほどいったように役立つものであるというふうに思います。実際に若者単身者の入居を進めるというふうなことに対する見解を改めてお伺いいたします。

○土屋経営改革担当部長 昨年五月の住宅政策審議会答申では、いわゆる就職氷河期世代の人々などにつきましては、住宅の確保が就労や将来的な家族形成につながるとの観点から、若年単身者の入居を可能とする仕組みについて提言がなされました。こうした若年単身者につきまして、既存の応募資格者の入居機会を減ずることのないよう配慮しつつ、入居の拡大を図る必要があるものと考えております。
 住宅政策本部では、現在、福祉保健局が実施している就労支援策であるTOKYOチャレンジネットと連携して、低収入で住宅に困窮する若年単身者に都営住宅を提供しており、昨年度、提供戸数をそれまでの二十戸から三十戸に拡大いたしました。住宅政策審議会答申の趣旨も踏まえまして、応募割れしている住戸を活用したシェア居住の導入を含め、新たな住まい方を多角的に検討するなど、適切に対応していくこととしております。

○鈴木委員 都営住宅の高齢化に伴って、この集会所の管理とか、清掃、草刈り、剪定、電灯の取りかえなども、今、自治会がやっているものを都が共益費を徴収して作業を行っているようなところもあるわけですけれども、そういった若い人たちも含めた多様な共生ができるような環境にしていけば、やはり、もっともっと環境も変わっていくというふうにも私は思っておりまして、制度的な制約というのは、もう今ご答弁ありましたけれども、あるというふうに思いますけれども、ぜひ、今大きな見直していくときだということを考えると、この法の見直しも含めまして、時代に即した制度にしていただきたいなというふうに思います。
 今や住宅に困窮する事情もさまざまあって、仕事を失って住まいを失った人もいれば、台風の影響のように災害で避難し、一時的に住まいに困窮している人もたくさんいるわけです。住宅施策と福祉施策の連携だけでなく、今後いろいろな政策と連携して、今ある二十六万戸の都営住宅のストックを有効に活用していただきたいなというふうに思います。
 住宅政策本部ができて、住宅政策専管組織としてフレキシブルかつスピーディーに対応できることを十分に生かしていただいて、都営住宅だけでなく、民間住宅もしっかりと活用し、あらゆる政策課題に対応していただきたいというふうに思います。
 その延長で、次に、都の住宅政策の重要な課題の一つであるマンションの耐震化についてお伺いをさせていただきます。
 都内のマンションの総戸数は、令和元年末時点で、今、百八十七万戸あるそうです。都民の約四世帯に一世帯が居住しているような主要な居住形態であるとともに、まちの活力、そして魅力、防災力の形成、地域のまちづくりやコミュニティの形成にとっても重要な存在であります。
 一方、この約百八十七万戸のマンションのうち、今現在着工から四十年以上が経過したマンションは、平成三十年には約二十四万六千戸、そして今後急増して、令和二十年には約八十六万九千戸に増加するというふうに今見込まれております。さらに、そのような着工から四十年以上が経過したマンションにおいて、世帯主の年齢が六十五歳以上の世帯の割合が五割をふえてきており、建物と居住者の高齢化という二つの老いが急速に進んでいるというふうにいわれております。
 こうした二つの老いが進行しつつあるマンションの耐震化というのは、管理組合や居住者等の自主的な取り組みだけではもうなかなか進まないというふうに思うわけですけれども、そこで、そのような旧耐震基準のマンションにおける耐震化を促進するために、都はこれまで、どのように支援をされてきたのか、改めてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 分譲マンションの耐震化に当たりましては、管理組合が耐震改修と建てかえなどの再生手法を比較検討し、それぞれの状況に応じた最適な手法を選択できる環境を整備することが重要でございます。
 都は、平成十四年度にマンション建替え・改修アドバイザー制度を設けまして、管理組合への専門家の派遣や勉強会の開催などの支援を行っており、平成二十四年度からは、都及び地元区市の職員などが個別にマンションを訪問するマンション啓発隊によりまして、きめ細かな助言などを実施しております。平成三十年度からは、この取り組みを踏まえまして、耐震化の実施に向けた合意形成をさらに支援するよう、建築士などの専門家を耐震化サポーターとして繰り返し派遣する取り組みを行っております。
 また、平成三十一年三月に制定した東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例に基づきまして、今年度から管理状況の届け出制度を開始しており、個々のマンションの実態に応じた施策が展開できるよう、耐震化の状況も含めて届け出を求めております。

○鈴木委員 これまでも、管理組合の自主的な取り組みを後押しするためのマンション管理ガイドラインやセミナーなど、情報提供による普及啓発やアドバイザー派遣などの支援がされているとのことでした。
 しかしながら、区分所有者が管理に無関心で、管理組合が機能していないようなマンションの実態もあるんですね。そうしたマンションにはこういった情報が届きにくいという状況の中で、有識者による検討会を設置するなど、管理組合のさらなる機能強化に取り組んでいるわけです。
 答弁にあった専門家をアドバイザーとして派遣する取り組みや、都と区の職員が協力して、直接旧耐震基準のマンションを訪問する取り組みは、個々の管理組合の事情に対応した丁寧で有効な支援策だというふうに思うんですけれども、都は、本年三月に策定した東京マンション管理・再生促進計画の中で、令和七年度末までに耐震診断の実施率をおおむね一〇〇%、耐震性を有していない旧耐震基準のマンションをおおむね解消するという、今、目標を示しておりますけれども、マンションは、地震による倒壊等があった場合、周辺地域に大変大きな影響が及ぶことから、耐震性を有していないマンションの耐震化は本当に重要な課題であるわけです。
 その達成に向けて、管理組合の取り組みを支援し、専門家等の派遣を着実に行っていくことが必要であるというふうに考えるわけですけれども、そこで、この令和元年度の耐震アドバイザーや耐震化サポーターの派遣の実績、旧耐震基準のマンションの耐震化の実績についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 令和元年度の耐震アドバイザーの派遣実績は、二十五の管理組合に対しまして計二十九件、耐震サポーターの派遣実績は六十二の管理組合に対しまして計百十六件でございます。また、都の助成制度を活用し、三千二百十七戸で耐震診断を、三千百三戸で耐震改修及び設計を実施いたしました。

○鈴木委員 令和元年度の耐震アドバイザーの派遣実績二十九件、耐震サポーターは六十二の管理組合に対して百十六件、これはまだまだ少ないなという状況ですね。都の助成制度を活用して耐震化が進められているとのことですけれども、この東京の旧耐震基準マンション、今、一万二千棟があることを踏まえますと、より一層の取り組みというのが必要なんですよ。
 もちろん、実際に居住されているマンションで大規模な耐震改修工事を施工することは、どのマンションにとっても簡単ではなくて、やはり工事に踏み切れない理由があって、本当にさまざまマンションに課題があるというふうにも思います。
 今後、耐震化を促進するために、都がそれらの多様な課題を適切にまず把握して、それに応じて、課題に対して一つ一つ的確な支援を展開することが求められるんですけれども、アドバイザーやサポーターの派遣等においての課題、そして、それに対する対応策、実際にどのようにされているのかお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 これまでのマンション啓発隊の活動を通じまして、耐震化には関心があっても、多数の区分所有者による合意形成が難しいことや、積立金等に余裕がなく、すぐには耐震改修等の実施には至らないマンションがあることなどが明らかとなってございます。
 このため、管理組合がそれぞれのマンションの状況に応じてきめ細かな助言を受けることができるよう、耐震アドバイザーの派遣につきまして、建築士に加え、マンション管理士などを対象とするとともに、耐震診断や耐震改修の助成単価を引き上げるなど、助成制度を拡充して、マンションの耐震化に向けた取り組みを促してございます。

○鈴木委員 このマンション啓発隊というのは、管理組合による耐震化への取り組みを促すため、これは平成二十四年度から四年間、都内に約一万二千棟ある旧耐震基準のマンションを対象に、都及び地元の区市の職員、建築士などの専門家によって、個別訪問を実施されてきたんですね。また、平成二十八年度から二年間、耐震化に関心のあった管理組合も対象に、この啓発隊が再度訪問して、個々のマンションの状況に応じてきめ細かく助言も行ってきた。
 本年四月から、この条例に基づく管理状況の届け出制度も始まって、この管理不全の兆候のあるマンション等へ個別訪問して、この啓発隊を通じて得られた管理組合ごとの情報を活用して、マンションの管理の適正化に向けて取り組まれているということです。今後、忍耐強い取り組みになるんだというふうに思うんですけれども、さらにきめ細かい対応を求められるわけです。
 また、昭和五十八年以前の区分所有法の改正前のマンション、先ほどいいましたけれども、管理組合の規定がなかったころにできたマンションというのは、いまだに管理組合すらなかったり、そしてまたあっても、実態が全くない。こうした点もあるわけですけれども、この届け出制度を活用して、そこの辺もしっかりと把握をして、次につなげていっていただきたいなというふうに思います。
 やはり一番大事なのは、的確に情報を提供して、やはりともにしっかりと対応していくということでありますので、ぜひ、これからも皆さんの期待は大きいというふうにも思っております。これまで、耐震化の取り組みの中で把握した課題に対応しつつ、取り組みを進めてきたということですけれども、しっかりとこの課題に対して、施策の見直しも含めて取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 老朽化したマンションの耐震化について伺ってまいりましたけれど、次に、これとあわせて、建てかえを促進していくことも重要な課題であります。
 そこで、マンション再生に向けた合意形成を促す施策として、国は、マンション建てかえ円滑化法を改正して、これまで敷地売却制度、敷地分割制度を創設したわけですけれども、このような建てかえを促進する制度等を活用して管理組合を支援するため、都ではこれまでどのような支援を行っていたのかお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、老朽化したマンションの建てかえを支援する取り組みといたしまして、平成十四年度に開始した建替え・改修アドバイザーの派遣により、管理組合に対して情報提供やアドバイスを行っております。
 また、平成二十九年度には、単独での建てかえが困難なマンションにつきまして、まちづくりと連携して建てかえを促進するよう、東京都マンション再生まちづくり制度を創設し、まちづくり計画を策定する区市と連携をいたしまして、管理組合の合意形成に向けた財政的、技術的支援を行っております。
 加えまして、マンションの再生を促進するためには、一人一人の区分所有者の再生に向けた意識の醸成が必要でございますため、平成二十九年度に、合意形成の際に留意すべき点などについて解説いたしますマンション再生ガイドブックを作成して、普及啓発等を図っております。

○鈴木委員 今の答弁のように、建てかえを支援する取り組み、これはやっぱり建てかえですから、やはり合意形成というのは大変困難をきわめるわけでありますので、そういった際、このガイドブックというのは有効に活用していただけるんではないかなというふうに思いますけれども、やはりこの区分所有者の再生に向けた意識の醸成、これがやはり今後ますます求められるわけでありますので、ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、マンション再生まちづくり制度の令和元年度末までの実績についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 マンション再生まちづくり制度につきましては、令和元年度末までに、品川区、目黒区、杉並区、江戸川区、日野市、多摩市の六つの区市が本制度を活用してまちづくり計画の策定に取り組むとともに、都は、品川区の大崎駅西口駅前地区と多摩市の諏訪、永山地区におきまして、建てかえに向けた合意形成などを支援するまちづくり推進地区の指定を行ってございます。

○鈴木委員 あらゆる制度を活用して、これからも進めていただきたいなというふうに思います。
 耐震化や建てかえ、本当に決断が要ることで、費用、そして合意形成の課題、そしてまた二つの老いが進みつつあるマンションの直面する課題があるわけですけれども、その困難さの度合いを、各マンションによってさまざまなわけです。マンションというのは、冒頭申し上げましたけれども、都民の主要な居住形態でありますけれども、市街地の構成要素として、まちの活力、魅力、防災力の形成とも密接に関連して、地域のまちづくりやコミュニティの形成にとっても重要な存在なわけです。
 そのためにも、マンションの管理状況をしっかりと把握しながら、地域の町会、自治会と連携して、防犯や防災、コミュニティ活動などの取り組みを進めていくことも重要であって、こうした視点も忘れないでいただきたいなというふうに思います。
 今後、東京のマンションストックは急激な老朽化が進むといわれておりますけれども、都は、マンションの耐震化や建てかえなどの再生が一層進むよう、これからもしっかりと取り組んでいくことを期待いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○大松委員 令和元年度の決算を見ますと、都営住宅の事業では、この住宅建設が多くの予算を支出しておりまして、住宅政策本部の主要な事業になっております。これは申し上げるまでもなく、各地の都営住宅の建てかえ事業でありまして、私の地元北区の各地でも、老朽化した都営住宅の建てかえが進められているところであります。そのうち、北区のJR赤羽駅西側に広大に広がる桐ケ丘の都営アパートは都内屈指のマンモス団地でありまして、この団地の建てかえ事業が非常に長期間にわたって行われているところであります。
 この桐ケ丘団地は敷地面積が都内でも最大級の広さを誇っておりまして、団地が新しくなるに従いまして、まちの風景も大きく変わっていくところでございます。
 また、五千世帯にも及ぶ多くの居住者の皆様方にとりましては、建物が新しくなってバリアフリー化が進む一方で、建てかえに伴う引っ越しや住環境が変わることなどが大きな負担になっているところであります。
 こうしたマンモス団地の建てかえは北区の住民の皆様方にとっては非常に大きな事業でありますし、非常に大切なまちづくり事業でございます。
 そこでまず、令和元年度における建てかえ事業の進捗状況について答弁を求めます。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 桐ケ丘団地は、道路、公園等を含めた区域面積は四十七ヘクタールを超え、建てかえ計画総戸数も五千二十戸の区内最大規模の都営住宅団地でございます。
 平成八年度に第一期の建てかえ事業に着手し、現在、第五期の事業を行っているところでございます。
 令和元年度までに工事中のものも含め三千五百二十四戸の建てかえを実施しており、今後、第六期の建てかえを計画しております。また、建てかえに当たりましては、建物を高層化、集約化し、用地を創出するなど、地域のまちづくりにも貢献できるよう取り組んでおります。

○大松委員 この建てかえに伴って、高層化などで生まれた創出用地を地域のまちづくりに貢献していくとの答弁がございました。
 桐ケ丘団地南側の桐ケ丘中央商店街のある街区や、その東側で現在解体工事が行われている街区は、今後都営住宅は建設されないで、創出用地になると伺っております。
 そこで、桐ケ丘中央商店街のある街区が創出用地になるとすれば、現在ある店舗の方には移転をお願いしていかなければならなくなってまいります。これは近隣住民にとっては身近に買い物ができる場所が失われることになりますし、営業を続けたい店舗の方には、営業が続けられるように支援をしていかなければなりませんし、また店舗の建物に居住されている方には、住まいの確保も支援をしていかなければならないということになるわけでございます。
 そこでまず、都営住宅の居住者にとっては、高齢化も進んでおりますので、歩いて行ける身近な場所に買い物ができる場所が必要でございます。そこで、創出用地には商業施設を誘致していくべきであると考えます。創出用地の活用について、現在の検討状況について答弁を求めます。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 お話の創出用地につきましては、第六期の建てかえ計画におきまして、商業、医療、福祉など生活利便機能を集積した生活の中心地の形成を図る地区と位置づけてございます。
 昨年度、今後の創出用地の活用について調査委託を行い、民活事業を視野に事業のコンセプトや手法等の検討を実施いたしました。その結果を踏まえまして、民間活力を生かして、日常生活を支える商業機能や、身近な地域で安心して暮らし続けられるような医療、福祉機能などの誘導のほか、多世代の交流や地域コミュニティの活性化、誰もが気軽に訪れ、集い、交わることのできる地域の居場所を創出することを考えております。
 また、事業実施は、先行して更地となる中央商店街の東側の敷地から段階的に行うことを想定してございます。

○大松委員 また、この桐ケ丘中央商店街の店舗の経営者の中には、営業を続けたい方が多数いらっしゃいます。そして、長年この地で商売をしてこられ、お客様の多くも近隣の顔なじみの方が多く、商店街は地域のコミュニティの場にもなっているわけであります。
 今の桐ケ丘中央商店街の店舗の方が希望すれば、新たに創出される街区で引き続き営業ができるように取り組むべきと考えます。都の答弁を求めます。

○栗谷川再編利活用推進担当部長 建てかえに伴う創出用地を活用し、民活事業を実施するには、商店街の皆様のご理解を得て移転していただくことが必要でございます。
 昨年度、店舗所有者の皆様にアンケートを実施し、店舗の使用状況や営業継続の意向などを把握いたしました。その結果も踏まえながら、民活事業者の公募に当たり、営業継続を希望する方には先行して事業実施予定の東側敷地において、民活事業者が整備する施設の一部を賃借することも可能となるよう、募集要項に盛り込むことを検討いたしました。

○大松委員 桐ケ丘中央商店街では、営業を続けることを希望されている方とともに、これを機に店を閉じようと考えている方もいらっしゃいます。また、この移転に伴う物件の買い取り補償額や移転先の店舗の家賃など、これがまだわからない現時点では、なかなか判断ができないという方もいらっしゃいます。またさらに、住居をどうするのか、都営住宅をあっせんされて入ったとしても、ひとり暮らしでは間取りが狭くなり過ぎてしまうとか、人によってさまざまな課題を抱えていらっしゃいます。
 東京都は、この商店街の皆様方には、営業のことでも、住居のことでも、非常に重大な変化に対応していただくようにお願いをしていくことになるわけであります。商店街の皆様方には丁寧に説明をして、きめ細かく相談に乗って、この話し合いを進めていただくように要望いたしまして質問を終わります。
 以上です。

○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
 私からも都営住宅について伺います。
 都営住宅は、この間、東京都が高層住宅の整備を進めてきました。都内の高層棟は何棟あるのか、また築年数もあわせてお答えいただきたいと思います。

○金子営繕担当部長 都営住宅の超高層建築物につきましては十一棟でございます。築年数は最大で二十四年となっております。

○とや委員 ありがとうございます。十一棟ということですけれども、聞くところによると、資料をいただいたんですが、高層棟で高いところでいえば三十六階建てだと、古いところでは二十四年という都営住宅もあります。老朽化も進み、大規模な改修あるいは修繕など、早々に、いずれ来ることは明らかです。
 こうした中、心配していたことが起こりました。昨年の六月、都営住宅であります南千住四丁目アパート三号棟で、配管清掃の最中に逆流が発生し、浴室、洗面台、洗濯槽、部屋までが黒いヘドロ状のもので汚れてしまうという事故です。逆流時、清掃を担当していた業者の報告書では、堅管--堅管というのは浴室や洗濯系統、ここが閉塞しており、さびやヘドロ状のものが堅管閉塞部に詰まり、逆流したと思われますとされております。
 東京都としての考え方をお聞きしたいんですが、高層棟であるがゆえに生まれた事故ではないのかと。あわせて、高層棟特有の課題はどのようなものがあると考えているか、お答えください。

○金子営繕担当部長 超高層の住棟は、一般の住棟に比べ、特に縦方向の排水管が長いため、定期的な清掃がより重要になるものと考えております。

○とや委員 排水管、配管の長さが一般住棟と比較して長いと。当然長ければ、特殊な清掃が必要になったり、あるいはそこで使う道具も、ただの清掃の道具では済まないということになります。
 今後、ここの住宅なんですけれども、計十四本ある堅管を清掃する場合、今回逆流事故が起きた清掃を担当していた業者の見積もりでは、千六百二十六万二千百円かかるというふうになっています。とても負担できる金額ではないと思いますが、この価格は適正なのかどうかお答えください。

○金子営繕担当部長 お話の見積額につきましては、定期的な清掃がなされていない十四本の縦方向の排水管の清掃が必要となるため、それが金額に反映されているものと考えられます。

○とや委員 それが金額に反映されているということですが、何を根拠におっしゃっているのかわかりませんけれども、それに排水管の清掃相場はどのくらいなのかということも今おっしゃいませんでした。
 都営住宅は、低所得者、比較的所得の低い人、あるいは年金暮らしの人たちもいるわけですよね。千六百万ものお金を払うということになれば、これは大変なことで、ここの住宅は三百七十五世帯あるわけですけれども、全部の人たちがここの住戸、埋まっているかどうかわかりませんけれども、千円や二千円の金額じゃ済まないというふうに思います。
 こういった金額について、住民の皆さんが負担できるというふうにお考えになっていますか、東京都は。

○金子営繕担当部長 排水管の清掃は居住者が行うものとしておりまして、その費用の算出に当たっては、居住者向け広報紙の「すまいのひろば」などで、複数の事業者から見積もりをとり、金額を含め比較検討することを推奨しております。
 なお、相談が必要な場合には、東京都住宅供給公社において対応しております。

○とや委員 都営住宅なわけで、今申し上げたように、長いところで二十四年もたっているような住宅で、ずっと住んでいればそれなりに高齢者の方もふえ、年金暮らしの人たちもいるわけですよ。ですから、そういう人たちに一律に高い金額の清掃代金を毎年払えということ自体、私は問題だと思います。払えるかどうかも含めてきちんと調査し、東京都としても負担のあり方について考えるべきだと思っています。
 特に、都内にはいろんな都営住宅があるわけですけれども、三階とか五階とか、そのくらいの住宅と高層棟とはわけが違います。高層と低層住宅の負担、費用について、修繕とか管理とか調べるべきだと。居住者の負担について調査をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○金子営繕担当部長 繰り返しになりますが、排水管の清掃は居住者が行うものとしておりまして、その費用の算出に当たっては、居住者向け広報紙の「すまいのひろば」で複数の事業者から見積もりをとり、金額を含め比較検討することなどを推奨しております。相談などが必要な場合には、東京都住宅供給公社において対応しております。

○とや委員 もう少し大きな声でお願いします。
 今、私は住民の皆さんが負担できるかどうかと聞いたら、調査すべきだというところでお答えになる。その答弁を二回繰り返しました。きちんといわれたことに、質問されたことに答えてください。
 今、複数の事業者から見積もりをとって、金額を含めて比較検討することを推奨しているというふうにおっしゃいました。この一千六百二十六万円の見積もりを出した業者は、それまで自治会が直接契約していた業者が撤退を表明したために、自治会としてJKKに相談し、JKKが紹介をした業者のうちの一つだと聞きました。どういう基準で業者を紹介しているんでしょうか、お答えください。

○金子営繕担当部長 自治会から都に相談がございましたので、都は、都営住宅の排水管清掃業務の実績があり、超高層住棟にも対応可能な事業者を東京都住宅供給公社に確認し、自治会に三社を紹介いたしました。

○とや委員 JKKが紹介したのかと思っていたら、実は東京都だったということです。東京都が紹介したというのであれば、なおさらこの価格が適正なのかどうか、きちんと調査をすべきです。これは強く要望しておきます。
 そもそも高層棟はどうしても普通の都営住宅に比べて共益費が高くなります。しかし、入居している皆さんは、高層を望んで入居したわけではないという人もいらっしゃいます。加えて、高層ゆえに起きた事故であれば、都に明確な責任が生じます。高層棟の皆さんが、住民の皆さんが安心して住める支援が必要だと考えますが、いかがでしょうか。

○金子営繕担当部長 超高層を含む十五階以上の住棟につきまして、一般の住棟とは異なった設備や制限があるため、入居時に配布する「住まいのしおり」でガスの設備の制限や給湯、暖房、乾燥設備の使用の方法などをお知らせしております。台所流し用排水管清掃につきましては居住者が行うものとしておりますが、自治会からの申し込みを受け、都が直接徴収した共益費により東京都住宅供給公社が実施することも「住まいのしおり」でお知らせしております。

○とや委員 何でも「住まいのしおり」でお知らせすればいいというわけではないと私は思います。全て住んでいる人の自己責任で済ませるという立場は、やはりこの際、改めた方がいいと思います。
 そもそも、やはり負担区分、高層棟そのものの負担のあり方、これもきちんとこの際、調査をして、都として支援をきちんとするということ、それから負担区分、大家としての東京都がどこまで負担をするのかということをあわせて考えなければ、高層棟にお住まいになっている人は、せっかく入った都営住宅も出ていかざるを得ない、あるいは家賃を滞納しなきゃならない、あるいは食べられなくなるかもしれないと、そういうことになってしまうわけです。
 住まいは人権の立場に立ってきちんと考えていただきたい。負担区分のあり方の見直しを求めますが、いかがでしょうか。

○金子営繕担当部長 都営住宅の修繕負担区分につきましては、公営住宅法第二十一条に事業主体である都の修繕負担義務が示されており、具体的には、給水施設、排水施設、電気施設などとなっております。民法改正を契機とした修繕負担区分の取り扱いにつきましては、国や他の自治体の動向を注視しております。
 なお、排水施設の清掃につきましては修繕に当たらず、東京都営住宅条例第十六条に基づき居住者が負担するものとなっております。

○とや委員 その条例とか法律にあるからだめなんだということではなく、現実をきちんと見ていただいて、負担区分の見直し、高層棟特有の問題を正面から捉えていただいて、高層棟にお住まいの人たちが快適に住めるような環境を保障していただきたいということを求めておきます。
 次に、都営住宅に関して、特に視覚に障害をお持ちの皆さんから寄せられている要望についてです。
 昨年度都営住宅で行った主なバリアフリー工事とその費用を教えてください。

○金子営繕担当部長 令和元年度におきまして、エレベーター設置工事のほか、手すりやレバーハンドルの設置等の高齢者及び身障者向けの住宅改善工事など、合計で約十五億四千万となっております。

○とや委員 十五億円の支出があったということですけれども、やはり特にバリアを感じている視覚障害者の皆さんからは、さらにきめの細かい対策をしていただきたいということで要望が寄せられております。
 都営住宅の和室の蛍光灯の問題、これも非常に重要です。今、ひも式スイッチになっているようですが、視覚障害者の皆さんにとっては大変わかりにくいということです。シーソー式のスイッチへのつけかえを支援すべきではないでしょうか。

○金子営繕担当部長 都営住宅における和室の照明器具につきましては、居住者が購入し、設置することとしております。点灯、消灯が別々のボタンとなったリモコンスイッチつき照明器具なども普及しており、それぞれの居住者に適した照明器具の選択が可能であると考えております。

○とや委員 障害があってもなくても快適に住めると、公営住宅に住むことができるということを都としてきちんと正面に据えて施策を考えていただきたいと思うわけですよ。
 この間、障害者の施策については、国でも、国際的にも、さまざまな場面で議論がされてきて、到達点もあるわけですけれども、都営住宅はそういう意味じゃすごくおくれていると私は思っています。シーソー式のスイッチぐらいの取りつけについては、支援をきちんとするべきです。
 もう一つあります。都営住宅の階段の手すりに階数を示す点字表記をつけることを求めています。対策はどうなっていますか。

○金子営繕担当部長 都営住宅の整備に当たりまして、階段の手すりへの階数の点字表示につきましては、福祉のまちづくり条例に基づく施設整備マニュアルには義務づけられておらず、このマニュアルに適合するよう実施しております。

○とや委員 マニュアルに適合するように実施しているからと、義務づけられていないというのであれば、東京都としてやってはいけないということではありませんよね、違いますか。やってはいけないという規定ですか、答えてください。

○金子営繕担当部長 繰り返しになりますが、階段の手すりへの階数の点字表示は、施設整備マニュアルに義務づけられておらず、このマニュアルに適合するように実施しております。

○とや委員 一体、点字表記に幾らかかるというんですか。当事者の人が聞いたら、本当にがっかりしますよ、一体東京都は何をやっているんだと。こういう答弁をすること自体、私は本当に恥ずかしいというふうに思います。
 今、都営住宅にお住まいの視覚障害者の方がいる、その棟からでも、ぜひ、やはり点字の表示ぐらいやってあげていただきたいと強く要望しておきます。
 まだありますよ。もう本当に私、これ、質問していて情けなくなっちゃうんですけれども、できることもマニュアルだからいいんだとか、そういうことじゃないでしょう。
 もう一つは、複数のエレベーターが設置されている住棟です。音声案内のないエレベーターがあります。ある団地では音声案内のあるエレベーターは利用者が多くて、待っている間に音声案内のない方のエレベーターが三回、四回と来ることもあると。しびれを切らして音声案内のない方に乗ってしまうと、視覚障害のある方は到着階が確認できないと。そして、不安な利用を余儀なくされているということでした。
 エレベーターが複数設置されている住棟では、全てのエレベーターに音声案内をつけるべきではないでしょうか。

○金子営繕担当部長 都営住宅では、昭和六十三年度からエレベーターを整備する場合、一基については音声案内装置を設置する設計となっております。また、平成二十年度から一つの住棟に複数のエレベーターを整備する場合、二基目以降にも音声案内装置を設置する設計となっております。音声案内装置が設置されていないエレベーターについては、リニューアルの際に設置することとしております。

○とや委員 昭和六十三年度からエレベーターを設置する場合は、一基は音声案内装置を設置するということで建てられてきたわけです。また、二十年度からは、一つの住棟に複数のエレベーターを整備する場合は、二基目以降も音声案内がつくと。さらに、今ついてないところはリニューアルの際につけるということです。
 この間、いろんな現実を見て一歩一歩進んできたのは、今の答弁を聞いてわかるんですけれども、ついていないところがあるわけですよ。だから何とかしてほしいという声があって、そういうところについてはやっぱり見に行っていただいて、一基どのぐらいかかるかわかりませんけれども、つけていただきたいと。今困っているから改善してほしいといっているわけです。社会全体のバリアフリーの普及におくれることなく、都営住宅でも対策を進めていくことを強く求めて、次の質問に移ります。
 都営住宅の使用承継についてです。昨年度都営住宅の名義人死亡などによって、配偶者などが使用承継したのは何件ありますか。

○土屋経営改革担当部長 令和元年度の使用承継の許可件数は三千三百十七件でございます。

○とや委員 ありがとうございます。昨年二月、都市整備委員会で、私どもの和泉なおみ幹事長が、足立区の都営住宅の七つの自治会の自治会長さんの皆さんが先頭に立って取りまとめた使用承継の条件拡大を求める陳情を紹介して、質疑をしています。
 その後も引き続き、使用承継の条件を拡大することを強く求める声が都政に寄せられています。先ほど終了した、先ほどというか、この間終了した第三回定例会で委員会付託となった陳情では、今度は八王子市の都営長房団地の自治会長さんが四名連名で陳情を提出されています。
 実は、昨年の六月、練馬区町会連合会、これは私の地元ですが、都営住宅の使用承継についての要望書が東京都に提出をされる予定でした。ちょっとした手違いで、実際には都には届いていなかったんですが、ここに持ってきたんですけれども、練馬区の町会連合会は、いうまでもなく練馬区内の町会、自治会の連合体であり、都営住宅の自治会はその一加盟団体にすぎないわけです。それでも要望書にはこう書かれています。
 都営住宅では居住者の高齢化が急速に進み、同時に自治会では役員の高齢化と担い手不足、その結果、自治会活動が停滞、自助、共助の動きが希薄化し、地域によっては自治会の休眠化が懸念される組織もささやかれる状況です、一人残された高齢者や障害者は自宅にひきこもり、地域で孤立化、最悪、認知症となったり、クレーマーとなって地域の嫌われ者となるケースも多々見受けられます、名義人の死亡や離婚等により、同居していた若い世代の住民が立ち退かされる現行使用承継制度の改正を強く要望しますという文書です。
 練馬区のある都営住宅の自治会の役員の方にお話を伺ったんですが、ある都営住宅の自治会長が町会連合会の会長と話し合いをする中で、この承継の問題については大事な問題だからと役員会で取り上げてくれて、それで、この要望書にまとまったということです。この都営住宅自治会の役員の人は、まさかそこまでしてもらえると思わなかったとおっしゃっています。
 察するに、介護の問題、自治会の担い手の問題など、単に都営住宅の問題ということではなく、我が事として正面から受けとめ、取り上げたということだと思います。都営住宅の問題は、都営住宅だけの問題じゃなく、その周りのまちの問題でもあるということであります。
 東京都は、今、私が紹介しました練馬区町会連合会の要望をどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 都営住宅への入居は公募が原則となっています。公募の例外である使用承継によって長年にわたり同一親族が居住し続けることを認めることは、入居者、非入居者間の公平性を著しく損なうこととなります。このため、真に住宅に困窮する低額所得者に対して的確に都営住宅が供給されるよう、使用承継を認める範囲を配偶者、高齢者、障害者及び病弱者に限ることとしております。
 なお、都営住宅の自治会におきまして、居住者の高齢化などにより、その担い手が減少している実態につきましては認識してございます。そのため、自治会役員の負担を軽減する仕組みとして、平成二十九年度から都による共益費の直接徴収を開始し、令和元年度末現在、二百三十七自治会がこの仕組みを利用しております。
 さらに、東京都住宅供給公社の巡回管理人を通じまして自治会が抱える多様な問題の相談に応じているほか、公社の各窓口センターにおきまして、自治会代表者との懇談会を開催しているところでございます。

○とや委員 今、私が紹介した文書は、都営住宅の直接の当事者ではない、町会連合会の方々です。わざわざ役員会に諮ってまでこの問題を取り上げた、この重みを東京都はしっかりと受けとめていただきたいと思っています。
 同じ練馬区町会連合会の要望書では、収入基準の見直しについても、現行の月額十五万八千円から二十万円に戻すよう求めております。収入基準を超えた収入超過者は、昨年度末現在何世帯あったでしょうか。

○土屋経営改革担当部長 令和元年度末現在におきまして、公営住宅法の収入超過者制度が適用される都営住宅の収入超過者数は一万二千七百五十八世帯でございます。

○とや委員 この間、公営住宅法が改正されておりまして、上限二十五万九千円の範囲で自治体が収入基準を引き上げることが可能になりました。ところが、東京都は変えていません。その理由を教えてください。

○土屋経営改革担当部長 現行の入居収入基準につきましては、平成二十四年の条例改正に当たりまして、都内の民間賃貸住宅の家賃水準や家賃負担の状況、都民の世帯構成、収入の水準などについて調査検討した結果、妥当な水準にあるとして定められたものでございます。
 都営住宅につきましては、既存のストックを活用しながら、公平かつ的確に供給することを基本としておりまして、入居収入基準を上げた場合、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えるものと認識しております。
 なお、特に居住の安定を図る必要のある高校修了期までの子供がいる世帯等につきましては、裁量階層として入居収入基準を東京都営住宅条例に基づき二十一万四千円としております。

○とや委員 妥当な水準だと。そして収入基準を上げると、真に住宅に困窮する都民の入居に大きな影響を与えるというふうにおっしゃいました。本当にそうなんでしょうかね。
 この間、私どもの質問で明らかにしてきたように、この都営住宅問題、何度も取り上げてきましたからね。そこで明らかになったことは、東京都は国と一緒になって、著しい困窮年収など、法が認めるよりもはるかに低い所得の水準で線引きをしています。都営住宅を必要とする人を実際よりはるかに少なく見積もって、新規建設をしない根拠にするということを続けてきているんですよ。そういう姿勢こそ改めて、都営住宅の大幅増設に踏み出すべきだということを改めて指摘して、質問を終わります。ありがとうございました。

○森口委員 私からは、都の空き家対策について伺います。
 平成三十年住宅・土地統計調査によりますと、都内の空き家数は約八十一万戸であり、平成二十五年の前回調査と比べて若干ながら減少しております。これは空家等対策特別措置法の施行後、都や区市町村が空き家所有者に対する相談体制の整備や管理不全となっている空き家の所有者に対する働きかけなど、空き家対策に懸命に取り組んできたことの成果であると評価をいたしております。
 一方で、いまだ都内の空き家数は全住宅ストックの一割を超えており、今後、団塊世代が後期高齢者となる二〇二五年には大量相続時代が本格化をし、非常に多くの住宅ストックが空き家となる可能性が懸念されております。
 そのため都は、地域の実情を把握している区市町村を支援し、空き家の適正管理、有効活用、発生抑制、普及啓発、相談体制の整備などの観点から空き家対策に取り組んでおります。
 そこでまず、令和元年度の空き家施策推進事業の取り組みと執行率についてお伺いをいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございまして、都は都内の全区市町村が参画する空き家対策連絡協議会を開催し、先進的な取り組み事例の情報共有や都の区市町村支援事業の活用促進を図るとともに、実態調査、計画作成、除却や改修などへの支援を行っております。
 令和元年度からは、新たに地域特性を踏まえた区市町村の創意工夫を生かす企画提案型の事業や、先駆的かつ高度なノウハウを要する課題の解決に取り組む区市町村を支援する先駆的空き家対策東京モデル支援事業などを実施しております。
 これらの事業など空き家施策推進事業の全体の執行状況といたしましては、予算現額は一億九千五百九十七万余円、支出済額は一億三千三百六十九万余円で、執行率は六八・二%となってございます。

○森口委員 お答えいただきましたとおり、都は空き家対策を進めるため、区市町村の取り組みに対する幅広い支援を行っておりますが、区市町村が地域の実情に応じて計画的に空き家対策を進めるためには、空家等対策特別措置法が定める空き家等対策計画の策定が必要不可欠であります。
 都は、東京都住宅マスタープランや二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、都の空き家対策の政策指標を空き家等対策計画を策定した区市町村の割合としておりまして、二〇二〇年度末五〇%以上、二〇二四年度末八〇%以上にすると目標を掲げております。
 そこで、令和元年度における区市町村による空き家等対策計画の策定状況、また計画の策定を促進していく上での課題についてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 区市町村による空き家等対策計画の策定状況につきましては、令和元年度に新たに二市で対策計画が策定され、令和元年度末までに都内六十二区市町村のうち、計画策定済みが三十三区市町村となり、全体の五三%という状況でございます。
 また、本年六月に実施した区市町村に対するアンケートなどによりますと、対策計画の策定予定がない理由といたしまして、空き家問題が顕在化しておらず緊急性が低い、対策計画を策定するための人員が不足しているなどが挙げられております。
 こうした区市町村の状況も踏まえながら、空き家対策連絡協議会におきまして、長期的な視点での空き家対策の必要性や、先進的な取り組み事例等について情報共有を図るとともに、都の支援事業の活用により、区市町村による対策計画の策定をさらに促していくことが必要であると考えてございます。

○森口委員 人員不足なので計画策定が進まない区市町村がある一方で、二〇二〇年度末五〇%以上という都の政策目標について、一年前倒しで達成したことはこれまでの取り組みの成果でありまして、二〇二四年度末八〇%の達成に向けましても、引き続き区市町村の取り組みを促していただきたいと思います。
 空き家には、特定空き家のように除却するべきものから、管理が十分ではなく周囲に迷惑を及ぼす可能性があるもの、また多少の改修等を行えば利活用が見込めるもの、資産価値があって市場に流通できるものなど、その実態はさまざまであります。区市町村が空き家対策を進めていくためには、まずはその地域ごとの現状の実態調査が必要不可欠であります。国は調査費の二分の一、都も上限一千万円で、区市町村の負担の二分の一を補助しておりまして、区市町村を支援いたしております。
 そこで、令和元年度における区市町村の実態調査の実施状況と、都として区市町村の取り組みをどのように支援してきたのかお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都内では、令和元年度末現在、六十二区市町村のうち五十一区市町村で空き家実態調査実施済みであり、全体の約八割という状況でございます。区市町村が空き家対策を効果的かつ効率的に実施するためには、まず各区市町村の区域内における空き家の所在やその状態などの実態を把握することが重要でございます。
 そのため都は、平成二十七年度から区市町村が行う空き家の実態調査に対しまして補助を実施するとともに、空き家対策連絡協議会などにおきまして必要な情報を提供するなど、技術的な支援を行っております。

○森口委員 ご答弁にありましたように、既に八割の区市町村で実態調査が行われておりますが、いまだ二割の区市町村においては、空き家対策の大前提ともいえるこの実態調査が行われておりません。
 都において空き家が増加を続け、防災、防犯、景観など生活環境に影響を及ぼす課題が顕在化することが懸念される中、いまだ空き家の実態調査ができていない区市町村があることは大きな課題と考えます。
 区市町村が責任を持って空き家対策を進められるよう、区市町村ごとの空き家率や実態調査の取り組み状況をわかりやすく見える化して示していくなど、都は調査の実施を強く働きかけていくようお願いをいたします。
 空き家問題は解決すべき問題が多岐にわたることから、空き家の実態調査に基づき、それぞれの区市町村が具体的な空き家対策を効果的に進めていくとともに、先駆的な取り組みについては、積極的にその成果を共有していくことが効果的と考えます。
 例えば、新宿区では、空き家対策を促進するため、これまで建てかえが困難であった無接道敷地について、新たな建てかえの許可基準を整備するなど先駆的な取り組みを実施していると聞いております。こうした空き家対策の先駆的な事例をほかの区市町村に横展開することが重要だと思います。
 先ほどのご答弁にもありましたが、都は令和元年度から新たに先駆的空き家対策東京モデル支援事業を実施しておりますが、区市町村ではどのような事業が実施をされたのか。また、都の空き家問題の解決にとって、どのような効果が期待されるのかお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 先駆的空き家対策東京モデル支援事業につきましては、事業を実施する区市町村を公募し、学識経験者等で構成する選定委員会の評価を踏まえ、日野市、調布市、町田市の三市四事業を採択いたしました。
 具体的には、日野市は、町内会の参加を得て、空き家を地域の資源として活用する人材の育成制度を構築いたしました。また、調布市は、住まいのライフサイクルに着目した空き家の発生を抑制する効果的な施策の構築、町田市は、課税情報等を活用して効率的に空き家を特定する手法を確立するための調査検討などを実施いたしました。
 効果といたしましては、本事業により支援した先駆的な取り組みを空き家対策連絡協議会などを通じて他の区市町村に波及させることで、空き家対策の取り組みが促進されることを見込んでございます。

○森口委員 ありがとうございます。ぜひこうした先駆的な空き家対策の取り組みを積極的にほかの区市町村に横展開をしていただきたいと思います。
 次に、住宅を空き家にしないための取り組みについて伺います。
 空き家の中には、資産価値があり、市場で流通できるものもあるわけですが、こうした住宅は空き家になる前に活用することが重要です。住宅の購入に当たり、新築にこだわらない消費者がふえている一方で、既存住宅については隠れた瑕疵が購入後に認められるなど、品質や性能に対する不安が大きいことも、また事実です。
 そうした不安を取り除くために、平成三十年度にはインスペクションの利用促進に向けた法整備がなされ、また国の制度に基づく安心R住宅のロゴマーク使用が開始をされております。
 そこで、都としても既存住宅の流通を促進すべきと考えますが、令和元年度の取り組みについてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の流通を促進することは、空き家の発生抑制に資するものであり、消費者が安心して既存住宅を売買できる市場環境を整備することが重要でございます。
 お話のような、国における取り組みと時期を同じくいたしまして、平成三十年度から東京都では、既存住宅流通促進事業者グループ登録制度を開始いたしました。これは、既存住宅の売買に関連するさまざまな事業者が連携をして、消費者への適切な情報提供や多様な相談にきめ細かに対応するグループを都が登録する制度で、令和元年度末では六グループが登録しており、都内三十四の窓口で相談に対応してございます。

○森口委員 ありがとうございます。この事業は、既存住宅の売買に関する消費者の疑問や不安を解消する上で大切な取り組みだと思いますので、引き続き事業者とも連携をし、既存住宅を安心して売買できる環境の整備につなげていただきたいと思います。
 最後に、空き家の利活用について伺います。
 都内の空き家総数約八十一万戸のうち、賃貸や売却など予定がない、いわゆるその他空き家が約十八万戸あるとされておりますが、そのうち耐震性や老朽、破損の観点から利用可能なものが約十四万戸あると推計がされております。こうした利用可能な空き家を解消して、福祉施設や地域の交流拠点など地域の資源として有効に活用していくことが重要です。
 都は昨年十二月に公表した未来の東京戦略ビジョンにおきまして、空き家を都市問題として顕在化させることなく、区市町村や民間と連携をし、東京の地域資源として活用していくとしております。
 そこで、令和元年度の空き家の活用に向けた都の取り組みについてお伺いいたします。

○飯塚民間住宅施策推進担当部長 都は、空き家の活用に向け、空き家を地域の活性化に資する施設に改修する区市町村の取り組みに対しまして、財政支援を行っております。
 令和元年度は、空き家をブックカフェやグループホーム等に改修する取り組みを支援しており、ブックカフェでは地域住民が参加できるイベントを定期的に開催する予定でございます。
 また、空き家対策連絡協議会では、空き家を活用してまちをよくする取り組みや、デイサービス、保育室等への改修事例の紹介など、空き家活用に係る情報共有等を行い、地域の特性を踏まえた区市町村の取り組みを促してまいりました。こうした取り組みにより、区市町村や民間事業者と連携をして、空き家の利活用を促進することとしております。

○森口委員 空き家の適正管理、発生抑制、有効活用など、令和元年度の取り組みについて伺ってまいりました。
 都として今後増加することが懸念されている空き家の対策について、引き続き着実な取り組みを進めていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございます。

○加藤委員 初めに、都営住宅の耐震化について伺います。
 都は、平成二十四年に都営住宅耐震改修プログラムを策定し、首都直下型地震等に備えて順次耐震化を進めてきたと承知をしております。
 そこでまず、昨年度末での耐震化の進捗状況について伺います。

○金子営繕担当部長 令和元年度末現在での都営住宅の耐震化率につきましては、九五・九%となっております。

○加藤委員 あとわずかで一〇〇%という状況であります。恐らく残っているのは、併存店舗つきの都営住宅だというふうに思います。
 そこで、都営住宅の耐震化の完了に向けては、併存店舗つき住棟の耐震化が課題であり、併存店舗の買い取りを進めていると聞いておりますが、その取り組み状況について伺います。

○金子営繕担当部長 都は、平成三十年度より併存店舗つき都営住宅の耐震改修事業におきまして、一部の店舗が移転することにより、店舗内部を利用した補強が可能となることから、移転にご協力いただける店舗の買い取りを実施しております。
 実施に当たりましては、まず店舗所有者の皆様にこの制度の説明を行い、移転を検討するとお申し出のあった区画につきまして店舗の調査及び買い取り額の算定を行っております。その金額を店舗所有者に提示し、合意していただいた区画について買い取りを実施しています。
 平成三十年度から令和元年度末までに調査、算定を行った十二団地の十四棟、九十八区画のうち、九十一区画の店舗権利者に対して金額を提示いたしました。そのうち二十二区画におきまして契約を締結し、順次移転を進めているところでございます。

○加藤委員 都条例を改正して耐震化に向けた店舗の協力を努力義務とするなど、さまざまな取り組みを行ってきたことは評価いたします。九十八区画のうち二年間で二十二区画を合意したということで、引き続き合意が進むように取り組んでいっていただきたいと思います。
 中にはなかなか進んでいない団地もあると伺っておりますので、居住者並びに周辺住民の安全・安心を最優先に取り組んでいただくことを要望して、次に移ります。
 都営住宅の建てかえについてであります。
 都は年間三千八百戸の建てかえを計画し、事業を推進してきておりますけれども、現在まだ建てかえの済んでいない昭和四十年代に建設された中層住宅が多く残っている状況であります。こうした住宅はエレベーターが未設置であることも多く、設備も老朽化が進んでおり、居住者は一刻も早い建てかえを要望しております。
 また、建てかえは年数がかかる事業であり、今は建てかえ対象となっていない住宅もいずれ将来は老朽化が進んでくることから、今のうちから長期的な視野で建てかえの対象を見定めておく必要があります。
 そこでまず、昭和四十年代に建設された住宅の建てかえに着手した以降、これまでの建てかえ実績について、また昭和四十年代以前に建設された住宅はどのくらい残っているのか伺います。

○妹尾建設推進担当部長 老朽化した都営住宅の建てかえは、都の住宅政策の重要な柱の一つでございます。
 平成二十年度からは、昭和四十年代に建設された住棟を新たに対象に加え建てかえを行っておりまして、令和元年度までの十二年間で約四万戸の建てかえを行ってまいりました。
 昭和四十年代以前の住宅は、スーパーリフォームや耐震改修を実施したもの、これから耐震改修を予定しているものも含め、昨年度末現在で約八万戸ございます。

○加藤委員 この残った八万戸を現在進めている建てかえ戸数、年三千八百戸で割ると、全部建てかえるまで二十一年ちょっとかかる計算でありまして、まだ先は長いと。既に築五十五年を経過していますので、都は公営住宅法上の耐用年数七十年を超えないよう、建てかえの対象を計画するものと思いますが、過去には契約不調などが原因で建てかえ戸数が落ち込んだ時期もあります。また、今後は昭和四十年代だけでなく、昭和五十年代に建設した住宅の経年による老朽化が進んできます。
 そこで、効率的に事業を進めるためには、建てかえ対象について、昭和四十年代のみにこだわらず、団地の実情に合わせ柔軟に考えることも必要と考えますが、見解を伺います。

○妹尾建設推進担当部長 都では、建てかえ事業を効果的に推進していくため、建てかえの対象とする住棟の選定についてさまざまな工夫をして取り組んでおります。
 具体的に申し上げますと、平成三十年度からは、昭和五十年代の住棟のうち、旧耐震基準によるものにつきましても、昭和四十年代以前の住棟と混在しており、一体的に整備することが効果的な場合は、建てかえの検討対象としております。
 また、現在の法規制では、従前の戸数の確保が困難な高層住棟につきましても、同一団地内の中層住棟や周辺団地と一括して計画することで戸数の確保が可能な場合は、建てかえの検討対象としております。
 このように住宅の老朽化の度合いに加えて、居住者の移転先の確保の状況なども勘案しながら、計画的に事業を進めていくこととしております。

○加藤委員 建設年度が異なる住棟が混在している団地もありまして、効率的に建てかえを進めてほしいと思います。古いものから優先的に建てかえていくのは当然でありますけれども、昭和四十年代の中層住宅の建てかえとともに、高層住宅についても、内部の配管は相当劣化している状態でありますので、老朽化の度合いに合わせて、耐用年数を待たずに適切に建てかえを進めていただくよう強く要望をしておきます。
 次に、独立型併用店舗の活用について伺います。
 私の地元にあります都営白鬚東アパートには、市街地再開発事業等により立ち退くことになった従前居住者の生活再建のために都が設置した併用店舗つき住宅があります。このうち店舗部分と住宅部分とが独立している、いわゆる独立型の併用店舗つき住宅の店舗部分の空き家の活用について伺います。
 昨年の決算特別委員会での質疑で、都営住宅における独立型併用店舗二百四十四区画のうち、店舗部分を用途廃止した数は平成三十年度末で六十二区画とのことでありました。そして、この六十二区画のうち、行政財産として二十区画を活用し、四十二区画が空き区画とのことでありました。
 まず、令和二年三月末時点でのこれらの数字について確認をいたします。

○土屋経営改革担当部長 独立型併用店舗のうち店舗部分を用途廃止した数は、令和元年度末現在で六十四区画でございます。その活用につきまして、都では、都営住宅の事業に要する備品等の倉庫として十七区画を使用しているほか、地元区や東京消防庁に対し防災倉庫として三区画の使用を許可し、活用を図っております。その他の四十四は、空き区画となっております。

○加藤委員 この空き区画が、用途廃止が二区画ふえて、同時に空き区画ということで、これが四十四区画になったということであります。
 私の地元のこの白鬚東アパートでは、使用されていない空き店舗について、居住者や近隣住民等から、なぜ使用できないのかといった相談を多く受けております。
 都には、活用策について、地元自治体との協議を引き続き行うよう求めておきたいと思います。その上で、こうした空き店舗について、新たに民間事業者等が使用できるようにすべきと考えますが、都の見解を伺います。

○土屋経営改革担当部長 お話の民間事業者等の使用につきましては、行政財産の目的外使用に当たることで、その方法といたしましては、公法上の使用許可と私法上の契約である貸し付けがありますが、いずれにおきましても財産の公共性及び公益性を確保する必要がございます。
 そこで、地域の居場所づくりやコミュニティの活性化、生活支援サービスなどを念頭に、活用目的や方法等の整理を行ってまいりました。こうした地域の課題解決に向けまして、地元自治体と意見交換を行い、有効活用策を検討していくこととしてございます。

○加藤委員 今はコロナで人が集まることができませんけれども、高齢者が多いことから、居場所づくりなどが必要です。ぜひ早急に活用策を検討してもらいたいと。
 そして、高齢化や採算性の面で事業継続が難しくなって、店舗部分が使われず、実質的に空き状態になっている店舗も多く見受けられます。病気などの理由で仕事が続けられず、物置状態となっているため店舗部分を返還したい、そして家賃を下げてもらえないか等の相談も受けております。
 小池知事は東京大改革二・〇で、希望ある未来を切り開くためには、これまでの発想にとどまることなく、さらなる改革を大胆に展開していかなければなりませんと、さきの定例会の所信表明で述べておりました。
 また、都政の構造改革実施プランでは、一つ目に、従来の発想を転換し、仕事の進め方や制度、仕組みなどを抜本的に見直すこと、二つ目に、都民が何を求めているのかを起点に、ユーザーの目線で政策、サービスをつくり上げるデザイン思考を徹底すること、三つ目に、環境やニーズの変化に大胆かつ弾力的に対応するアジャイル思考により、改革のスピードを飛躍的に加速させることとあります。
 数十年も空き店舗を放置している状態を変えていくために、従来の発想にとらわれず、積極的に取り組んでいただくことを強く要望しまして、質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければお諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時五十九分休憩

   午後三時十五分開議

○小松委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、令和元年度東京都都市開発資金会計決算及び令和元年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○木村総務部長 去る十月十二日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の木造住宅等に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)から、おめくりいただき、15の羽田新ルート実施後、都に寄せられた意見の件数とその内容(自治体別)までの十五件でございます。
 それでは、まず一ページをごらんください。1、木造住宅等に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績(過去五年間)でございます。
 東京都の区市町村に対する助成につきまして、種別、当初予算額、耐震診断及び耐震改修それぞれの執行件数及び執行額を年度別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、基地対策に係る支出等(過去五年間)でございます。
 基地対策に係る支出の概要、予算現額及び支出済額について、年度ごとに記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都内米軍基地に関係する事件等の経過(過去五年間)でございます。
 (1)では航空機の緊急着陸、部品落下等、四ページをお開きいただき、(2)では米軍構成員による事件、事故を記載してございます。
 五ページをごらんください。4、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数等でございます。
 (1)では離着陸回数、六ページをお開きいただき、(2)では飛来する可能性があると通告のあった回数を記載してございます。
 七ページをごらんください。5、CV22オスプレイ配備に係る国との協議状況等でございます。
 CV22オスプレイ配備に係る国との協議状況等について、年月日、相手方、概要及び位置づけを記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。6、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請(過去三年間)でございます。
 東京都と周辺市町連絡協議会が実施した要請について、年月日、件名及び要請先を記載してございます。
 一三ページをお開き願います。7、区市町、その他が施行する都市計画道路の優先整備路線整備(第四次事業化計画)の路線別進捗状況(事業認可の有無)、区市町が把握している住民団体の有無、東京都との文書協議、関係住民に対する説明会(過去二年分・年度別回数)でございます。
 事業認可年月、区市町が把握している住民団体の有無、区市町から東京都への文書協議の実績及び関係住民に対する説明会の開催実績について、いずれかに該当する路線ごとに記載してございます。
 一六ページをお開き願います。8、都市整備局所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況(過去三年分)でございます。
 (1)では委員報酬額、(2)では開催状況を記載しております。
 一七ページをごらんください。9、政策連携団体・事業協力団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)(過去五年分)でございます。
 各政策連携団体及び事業協力団体の職員構成について、年度別に記載してございます。
 一八ページをお開き願います。10、都内における主な鉄軌道事業者別ホームドア整備駅数及び整備率でございます。
 令和元年度末における都内の主な鉄軌道事業者ごとの都内の駅数、整備駅数及び整備率を記載してございます。
 一九ページをごらんください。11、地下鉄への整備補助実績(過去五年間)でございます。
 東京都地下高速鉄道整備事業の補助実績額につきまして、年度別、事業者別に記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。12、都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)に関わる契約と入札経過(令和元年度)でございます。
 (1)では、令和元年度都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷区役所仮庁舎跡地事業アドバイザリー業務委託につきまして、落札者氏名、落札金額及び入札経過を記載してございます。二一ページをごらんいただき、(2)では、令和元年度児童会館跡地用地管理委託(単価契約)について、採用者氏名、採用金額及び見積もり経過を記載してございます。
 二三ページをお開き願います。13、雨水流出抑制事業補助の実績(過去五年間)でございます。
 雨水流出抑制事業につきまして、件数及び補助執行額を年度別に記載してございます。
 二四ページをお開き願います。14、一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費補助金の実績(過去五年間)でございます。
 一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費の補助実績額について、件数及び補助執行額を年度別に記載してございます。
 二五ページをごらんください。15、羽田新ルート実施後、都に寄せられた意見の件数とその内容(自治体別)でございます。
 (1)では都に寄せられた意見の件数、(2)では内容を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 都市整備局の決算に当たりまして、令和元年度を振り返りますと、東京二〇二〇大会に向けた施設の整備やまちづくりの最終年度であるとともに、大会を起爆剤として、大会後の活力とゆとりある高度成熟都市の実現へと飛躍をしていく非常に重要な一年だったと考えております。
 令和元年度は、オリ・パラの成功に向け、大会関連施設の整備や大会時の交通混雑緩和など、さまざまなまちづくりの取り組みを進めるとともに、我が会派としても、オリ・パラ後に本格化する超高齢化、人口減少などを見据え、都市のバリアフリーの推進、ゼロエミッションなど環境への配慮、交通や輸送の円滑化、車から人中心のまちづくりの推進、都市のデジタルトランスフォーメーションなど、東京が将来にわたり世界から選ばれる都市であり続けるとともに、子供からお年寄り、男性も女性も、障害のある方も、外国人も、あらゆる立場の人々が活躍できるよう、多様性や包摂性あふれる持続可能な高度成熟都市の実現に向け、これまでさまざま局の皆様とも議論させていただき政策を前へと進めてきました。
 本日の決算質疑に当たっては、オリ・パラを契機とし、東京が新たな成熟都市のあり方を世界にしっかりと指し示し、将来にわたって世界から選ばれる都市として、人、物、資本を集め、ますます激化していく都市間競争に勝ち続けなければならない。そして、私たちの次の世代もまた、ニューヨークやロンドン、パリではなく、アジアの諸都市でもなく、東京で学び、そして東京で育ち、東京で仕事をしたい、そう思える魅力的なまちづくりをしっかりと進めていかなければならない、そういった危機感のもとで、令和元年度の都市整備局の取り組みにつきまして、高度成熟都市の実現、そして人流、物流など交通ネットワークの強化、そして都市のデジタル化、以上三つの視点で、これまで会派としても要望を重ねてきました政策を中心に、改めて確認をしていきたいと思います。
 令和元年度は、オリ・パラへ向けたまちづくりの最終年度でありました。大会の主役であるアスリートの活動拠点となる選手村は、オリ・パラを契機とした高度成熟社会のモデル都市として、大会後も整備が行われていきます。
 東京の将来のまちづくりに当たっては、多様性や包摂性にあふれ、緑豊かで環境に配慮した持続可能なまちづくりを進めていくべきであると、これまでも要望を続けてきましたが、大会後、高度成熟社会のモデル都市として整備を行っていく選手村について、どのようなまちにしていくと考え、令和元年度にどのような取り組みを行ったのかお伺いいたします。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 大会後の選手村につきましては、大会のレガシーとなるまちづくりに取り組むことにより、道路などの公共施設とオープンスペースを確保した質の高い中高層住宅の整備をいたしまして、多様な人々が交流し、都市生活を楽しむことができる、環境にも配慮した成熟したまちを創出していくこととしてございます。
 令和元年度は、道路の整備や街路照明の設置などの工事を実施いたしまして、昨年末までに、選手用の宿泊施設として一時使用する住宅棟も含め、大会時に必要となる部分の整備を完了いたしております。
 また、大会時に水素エネルギーの大きな可能性を伝えていくため、大会期間中に車両への水素供給や、宿泊棟の一部などに水素を用いて発電した電力の供給が行えるよう、仮設の水素ステーションや電源施設を整備いたしました。
 なお、仮設の水素ステーションにつきましては、今月十二日に営業を開始いたしてございます。

○森口委員 大会後の選手村は、多様な人が快適に暮らせるまちづくりを進めるとともに、街区の電力供給として、実用段階では日本で初めて水素を活用するなど、環境に配慮した整備が行われていきます。こうした取り組みを進め、高度成熟社会におけるモデル都市として、世界に先行するまちづくりを実現していただきたいと思います。
 次に、活力とゆとりある高度成熟都市においては、高齢者や子育て世帯、障害のある方など、誰もが快適に暮らせるバリアフリーの視点が大変重要であります。
 これまで会派として、多様性と包摂性に富んだ社会の実現に向け、さまざまな都条例の制定を推し進めるとともに、公共交通機関や道路、建築物など都市のバリアフリー化についても強く求めてまいりました。令和元年度におきましては、大会周辺駅の整備も重要な取り組みであったわけであります。
 そこで、令和元年度の鉄道駅総合バリアフリー推進事業全体の補助実績と、オリ・パラ関連費の補助実績及び取り組み状況をお伺いいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 鉄道駅総合バリアフリー推進事業に関します令和元年度の補助実績は、総額十三億二千六百万円でございます。ホームドア整備やエレベーター整備に対しまして、それぞれ十六駅で補助を実施するなどいたしました。
 このうち、オリンピック・パラリンピック関連駅に関する補助実績は七億七千四百万円であり、ホームドアの整備は五駅、エレベーター整備は八駅に補助の実施をするなどいたしました。
 令和元年の取り組みにつきましては、駅バリアフリー化のさらなる加速に向けまして、鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を公表いたしまして、鉄道事業者に整備計画の作成を依頼いたしまして、鉄道事業者において計画の策定を進めてまいりました。
 なお、都といたしましては、本年六月に各社の整備計画を取りまとめまして、都のホームページに掲載いたしております。
 引き続きまして、駅のバリアフリー化の取り組みが加速するように鉄道事業者に働きかけるとともに、国や区市町村と連携して、その取り組みを支援することといたしております。

○森口委員 大会の成功に向けた駅バリアフリー化の取り組みとともに、優先整備の考え方のもと、ホームドアの整備、エレベーターの複数ルートの推進など、引き続き取り組みを推進していただきたいと思います。
 鉄道駅や建物の個々のバリアフリー化とともに、多様な人々の移動の円滑化、移動の連続性という観点からは、まちの面的なバリアフリー化が必要不可欠であります。本格的な超高齢化や障害者のさらなる社会進出を踏まえ、これまで会派としても、区市町村と連携した都市の面的なバリアフリーの推進を求めてまいりました。
 そこで、まちの面的なバリアフリー化として、バリアフリー基本構想や移動等円滑化促進方針の区市町村における策定状況と、これまでの都の取り組みについてお伺いいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 バリアフリー基本構想は、区市町村が駅とその周辺地区において、重点的かつ一体的にバリアフリー化を進めるためのものでございます。移動等円滑化促進方針は、区市町村がより広い範囲において面的、一体的なバリアフリー化の方針を示すものでございます。
 都は、これまで区市町村が設置するバリアフリー基本構想と移動等円滑化促進方針に係る協議会に参画いたしまして、協議、調整が円滑に進むよう技術的支援を行っているほか、バリアフリー基本構想の策定にかかわる経費について、既に補助を実施いたしております。
 これまでバリアフリー基本構想につきましては、二十一区九市の八十八地区で策定済みでございます。また、移動等円滑化促進方針につきましては、一区の四地区で作成済みでございます。
 引き続き、多くの区市町村の面的なバリアフリー化計画の策定が進むよう支援することといたしております。

○森口委員 本年度、バリアフリー化の重点整備地間の移動の連続性の観点から、移動等円滑化促進地区における新たな補助もスタートしており、高度成熟都市の実現に向けて、引き続きまちの面的なバリアフリー化を促進していただきたいと思います。
 次に、成熟都市の実現へ向けた人流、物流のネットワークの強化、円滑化についてお伺いをいたします。
 令和元年度オリ・パラの成功に向けた重要な取り組みの一つが、スムーズビズでありました。会派としても、大会時の円滑な輸送と経済活動の両立をしっかりと実現するとともに、大会後も高度成熟都市の実現に向け、交通利便性の向上、交通混雑の緩和、テレワークの推進、新たな企業活動や働き方の定着に向け、さまざま要望を続けてまいりました。
 そこで、昨年度のスムーズビズの取り組み実績についてお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 スムーズビズの昨年度の取り組みについてでございますが、東京二〇二〇大会期間中の交通混雑緩和に向け、夏と冬の二回の推進期間を設け、企業に取り組み実施を呼びかけるとともに、秋にはすぐれた取り組みを行っている企業を表彰するなど、企業の参加促進や機運醸成を図ってまいりました。
 さらに、テレワークや時差出勤は、新型コロナウイルス感染症対策としても有効であることから、取り組み推進を呼びかけてきたところでございます。
 これらの取り組みの結果、TDMの参加企業数につきましては、平成三十年度末に約七百社でございましたが、昨年度末には約一万二千七百社へと増加し、時差Bizにつきましても、平成三十年度末に約一千社であった参加企業数が、昨年度末には約一千六百社へと増加してございます。
 また、テレワークにつきましては、従業員三十人以上の都内企業を対象とした調査で、平成三十年度の導入率は一九・二%であったのに対し、昨年度は二五・一%へ増加してございます。
 引き続き、大会時の円滑な交通の確保と新しい日常の働き方の定着に向けて、スムーズビズの取り組みを推進してまいります。

○森口委員 新型コロナ対策としても有効な施策であり、昨年末より参加企業が大幅に伸びるなど、取り組みが進んでおります。一過性のものにならないよう、引き続き他局とも連携の上、取り組みを推進いただければと思います。
 東京の人流、物流ネットワークの強化、円滑化としては、このスムーズビズの取り組みとともに道路など交通インフラの整備も重要です。
 都民の暮らしと東京の人流、物流の三分の一を支える重要な社会資本である首都高速道路は、前回、一九六四年の東京オリンピックに向けて整備が進められ、既に建設から五十年以上が経過をしており、大規模更新や老朽化対策は急務であります。
 現在、首都高の大規模更新に当たっては、日本橋区間のような、まちづくりとの連携も新たな取り組みとして進んでおります。
 そこで、首都高日本橋区間の地下化の取り組みの進捗状況についてお伺いをいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、老朽化が進む首都高の大規模更新の機会を捉え、機運が高まってきた日本橋周辺のまちづくりとの連携を図りながら、国や首都高速道路株式会社と共同で首都高の地下化に取り組んできております。
 この日本橋周辺の首都高の地下化は、品格ある都市景観の形成、水辺を生かした都市の顔づくりなど、東京の価値の向上につながるものでございます。
 都はこれまで、日本橋周辺のまちづくりを担う開発事業者などと調整を図り、地下化に関する都市計画手続を進め、令和元年十月に都市計画を高架方式から地下方式に変更し、本年四月に事業認可を行ったところでございます。

○森口委員 日本橋区間の大規模更新に当たっては、歴史あふれる美しい水の都を世界に示すべく、今後のまちづくりと連携した取り組みを進めていただきたいと思います。
 東京二〇二〇大会後の東京の新たな都市づくりにおいては、日本橋区間の地下化のように、地域のまちづくりと連携した老朽インフラの更新や利活用をほかのエリアにおいても進めていくべきであると、これまで会派としても求めてまいりました。
 そこで、首都高の大規模更新とまちづくりの連携のあり方について、都の所見をお伺いいたします。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 首都高の大規模更新とまちづくりの連携につきましては、昨年十二月に公表いたしました未来の東京戦略ビジョンでは、東京は成熟した都市として、日本橋周辺のまちづくりのように、大規模更新の機会を捉えた首都高の地下化など、円滑な交通と快適な環境の両立を目指していくと位置づけてございます。
 築地川区間につきましては、日本橋における取り組みも参考にしながら、地元が進めるまちづくりを支援するとともに、国や首都高速道路株式会社に対して、大規模更新とまちづくりとの連携を働きかけてまいります。

○森口委員 日本橋区間や築地川区間の取り組みのように、地元が進めるまちづくりを支援するとともに、国や首都高に対しても、大規模更新とまちづくりの連携が進むよう働きかけていただきたいと要望いたします。
 また、首都高日本橋地下化の整備に伴い、都心環状線ルートの再検討が行われておりまして、東京高速道路、KK線は、交通量が大幅に減少すると見込まれており、全線の有効活用策が昨年十月より検討がされております。
 そこで、令和元年度のKK線利活用の検討内容についてお伺いいたします。

○吉野まちづくり推進担当部長 平成三十年十二月より、都は国や首都高速道路株式会社とともに、日本橋周辺の首都高地下化に伴い必要となる大型車の環状方向の交通機能確保の検討を進め、この検討会において、KK線の既存施設のあり方については、その交通機能上の役割なども含め別途検討が必要とされました。
 これを受け、都は昨年十月、学識経験者等による検討会を設置し、第一回検討会では、現状や課題の整理を行い、高架である特徴や地域の広がりを見据えた広域的な観点を踏まえるべきといった意見が出され、検討を進めるに当たって、KK線の既存施設を評価する上での視点等の整理が必要とされました。
 一方、本年三月、交通機能確保に関する検討会において、別線を地下で整備する案を具体化することが確認され、それにより、KK線の自動車専用の道路としての役割が大きく低下し、KK線全線を対象に有効活用策の検討が可能となりました。これも踏まえて、都はKK線の既存施設のあり方検討会において検討を進めているところでございます。
 なお、先日、検討会より、提言書の素案として将来像などが示されたところでございます。

○森口委員 KK線は、銀座を取り囲み、八重洲、京橋、有楽町、新橋、汐留にも隣接するなど、都においても高度な都市機能が集積し、国際的なビジネス拠点や商業、観光エリアとして中核的な拠点に位置しており、KK線の利活用に当たっては、これらの拠点の回遊性を高め、地域の連続的なにぎわいを創出する東京の新たなまちづくりに資する取り組みにしていただきたいと要望いたします。
 次に、舟運についてお伺いいたします。
 東京は、河川、海、運河など多くの水辺空間が広がっており、東京の将来のまちづくりに当たっては、魅力的な水辺空間の活用や水辺を生かした舟運の活用が大変重要であります。これまで会派としても、観光や身近な交通手段として舟運の活性化を求めてまいりました。
 都は、舟運活性化の取り組みとして、観光や通勤を目的とした舟運の社会実験等を行ってきましたが、これまで実施してきた主な舟運活性化の取り組み実績についてお伺いいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 舟運活性化の取り組み実績でございますが、舟運が身近な観光、交通手段として定着することを目指しまして、平成二十八年度から新規航路の開拓、認知度の向上など、舟運活性化に向けた取り組みを展開してございます。
 例えば、新規航路の開拓につきましては、観光、交通手段を目的に、平成二十八年度から二年間で八航路の社会実験を実施いたしまして、お台場発着の周遊航路等で民間事業者による航路が既に開設されてございます。
 昨年度は、朝の通勤等の交通手段として、らくらく舟旅通勤を実施いたしまして、八日間で延べ二千八百名を超える方に参加いただき、船の通勤等への活用の可能性を検証いたしました。
 また、認知度の向上の取り組みといたしまして、平成二十八年度に東京舟旅のホームページを開設、三十年度にPR動画の配信を実施いたしまして、昨年度は、舟運利用の比較的利用の少ない年齢層をターゲットとしたパンフレットを作成いたしました。
 引き続き、舟運事業者など関係者と連携し、舟運活性化に向けた取り組みを進めていくことといたしております。

○森口委員 本年は新型コロナの影響により、舟運の利用が大幅に落ち込んでいるわけでありますが、将来の東京のまちづくりにおける重要な交通政策として、引き続き都が中心となって、舟運活性化に取り組んでいただきたいと要望いたします。
 最後に、都市のデジタルトランスフォーメーションについてお伺いいたします。
 今後、本格化する超高齢化や労働人口の減少を見据え、これまで人が担ってきた役割をデジタルテクノロジーの力で補い、生産性の向上や、さまざまな都市の課題解決に努めていかなければなりません。
 令和元年度は、TOKYO Data Highway基本戦略、スマート東京実施戦略など、AI、IoT、5Gなど最先端技術を活用した東京のデジタルトランスフォーメーション構想が大きく掲げられた年であります。
 会派としても、これまで、東京の将来のまちづくりに当たり、デジタル化を強力に推進し、都民生活のあらゆる質の向上を図り、世界のスマート化のモデル都市として、都が先行すべきであると強く求めてきました。都市整備局におきましても、これまで自動運転社会を見据えた都市づくりのあり方など検討を行ってきております。
 そこで、令和元年度までの検討状況を伺うとともに、都市のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けた都の見解についてお伺いいたします。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 デジタルトランスフォーメーションの推進に向けた局の見解でございますが、都市整備局では、ゆとりある空間の創出や人を中心とした都市づくりを見据え、平成二十九年度から自動運転に関する調査検討を行っております。令和元年度は、有識者や関係区市等から成る検討会を立ち上げまして、都心部や多摩部など地域特性ごと、また、通勤や買い物等の移動目的ごとに、自動運転技術の活用の方向性を整理いたしました。
 また、令和二年に策定されましたスマート東京実施戦略では、東京版Society五・〇の実現に向けて、自動運転の社会実装の推進とともに、3Dデジタルマップの活用や、西新宿、南大沢における先端技術を活用したまちづくりの検討等が盛り込まれまして、当局において対応してきております。
 これらの取り組みにより、デジタルトランスフォーメーションを着実に推進し、都民のQOLを向上させるとともに、まちづくりや交通に先端技術を浸透させ、東京を世界で最も便利で生活満足度の高い都市に進化させていくことといたしております。

○森口委員 本年のコロナ禍を受けて、日本や東京のデジタル化が世界の諸都市と比べおくれていることが、課題としては浮き彫りとなっているのだと思います。
 東京の将来の高度成熟都市の実現に当たっては、都市のデジタルトランスフォーメーションを推進し、全ての人と物をIoTでつなげ、医療、防災、交通、経済、環境、まちづくりなど、都民生活に広くデジタル技術を浸透させ、東京が世界で最も選ばれる都市へと進化をするべく、スピード感を持って取り組んでいただきたいと要望いたします。
 以上、本日は、オリ・パラを契機とした高度成熟都市の実現に向けた都市づくりにとって重要な令和元年度の取り組みについて、改めて確認をさせていただきました。
 本年はコロナ禍を受け、この東京におきましても、大会が一年延期になるとともに、今後は、感染拡大防止と経済社会活動の両立を図る、新たなまちづくりが必要であります。
 コロナ禍を契機として、東京が世界の諸都市に先駆け、この感染拡大防止と経済活動の両立をともに実現し、将来にわたり国際社会から選ばれる都市となるべく、引き続き積極的に都市づくりに努めていただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございます。

○鈴木委員 それでは、私からは、都民の要望の最も高い安心・安全なまちづくりについて、まず不燃化特区についてお伺いをさせていただきたいなというふうに思います。
 首都直下地震の切迫性が指摘されるようになりまして、本当にもう相当な時間がたつわけでありますけれども、災害時に、特に甚大な被害が想定される木造住宅の密集地域の防災性向上というのは、まさに喫緊の課題であります。
 東京都においては、平成二十四年一月に木密地域不燃化十年プロジェクトを策定し、この木密地域を、燃え広がらない、燃えないまちとするためのまず特定整備路線の整備、そして不燃化特区の取り組みを進めてきたわけです。
 この木密地域の改善を進めるためには、地域における防災まちづくりの機運を高めていく、そしてまた、老朽化した木造住宅の着実な建てかえを促していくことが重要だというふうにいわれているわけですけれども、これまでに取り組んできた成果、そしてまた、不燃化特区における令和元年度の助成件数や執行額の実績について、まずお伺いをいたします。

○鈴木防災都市づくり担当部長 不燃化特区は、木密地域の改善を一段と加速させるため、平成二十五年度から取り組みを開始しており、現在、五十三地区を区の提案に基づき指定しております。
 老朽建築物の建てかえ、除却への助成など、従来よりも踏み込んだ特別な支援によりまして、整備地域全体の不燃領域率は、平成三十年度末の推定値で六三%となり、平成二十三年度から四・六ポイント上昇するなど、着実に成果が上がっております。
 不燃化特区におけます建てかえ及び除却の助成件数、執行額は、取り組みを開始いたしました平成二十五年度から一貫して増加しており、平成三十年度から令和元年度にかけて、助成件数は一千四十一件から一千二百九十三件と約一・二倍に、執行額は約二十億円から約二十一億円に拡大いたしました。

○鈴木委員 不燃領域率の拡大、この部分においては、五十三地区を区の提案に基づいて指定をして取り組んできた中で、一定の成果があるなということはわかっておりますけれども、不燃化の取り組みというのは、やはりこれからが本当に大切な状況であるわけですので、まだまだ道半ばというふうに私は思っております。
 今後もしっかりと進めていただきたいわけですけれども、防災都市づくり推進計画の基本計画を改定したわけですね。この部分においては、基本方針では、木造住宅密集地域においては、敷地の細分化防止や建築物の不燃化を図っていくとともに、農地を有し、将来の宅地化も想定される地域について、必要に応じ防災性の維持向上を図り、安全で良好な住環境の形成をしていく。そしてまた、木造住宅密集地域の改善にあわせて、地域の特性に応じた創意工夫による魅力的なまち並みの住宅市街地への再生を促進するということも書かれているわけです。
 あわせて、整備地域の不燃化を強力に推進するために、その取り組みの期間を五年間延長するというふうにされているんですけれども、これまで蓄積された情報をもとにして、今出ている課題、この課題を踏まえて、新たな対策を今後講じていかなくてはならないわけですけれども、これまでの取り組みにおける課題認識、そして現在の取り組み状況について、お伺いをいたします。

○鈴木防災都市づくり担当部長 無接道敷地や複雑な権利関係等により改善がおくれている地域があるなど、各地域の進捗状況に差が出てきておりますのが実情でございます。
 本年三月に改定いたしました防災都市づくり推進計画の基本方針では、地域ごとの状況や課題を踏まえ、きめ細かな支援ができるよう、令和七年度までに整備地域の半数で、令和十二年度までに全地域で、不燃領域率を七〇%に到達させる新たな目標を設定いたしました。
 また、基本方針では、不燃化特区の指定の見直しや、不燃化が進まない街区の改善に向けた無接道敷地の解消などの加速策を進めていくこととしたところでございまして、現在、地元区と連携し、取り組み内容などの検討を行っております。

○鈴木委員 五年間延長されて、令和十二年度までに全地域で不燃領域率を七〇%に到達させる目標を設定されたということで、目標を設定していることはもう本当に、目安になるんでいいんですけれども、改善がおくれている地域、やはり地域性があるというふうに答弁されておりますけれども、事業実施主体の区に対する支援というのがまず大事だということで、その部分においても取り組まれているわけです。
 区においては、事業計画の策定とか個別訪問による普及啓発、建てかえ等の相談対応、また用地買収の折衝とか交渉、また住民からの助成金の申請受け付け、助成金の交付など、本当にこの事業を進めていくには多岐にわたる取り組みが必要であって、人手不足だという話もありました。
 それにおいて、住宅へのまちづくりの機運醸成のため、全戸訪問においては、UR都市機構や都市づくり公社を活用した支援もいろいろ行ってはいるんですけれども、やはりこの部分もしっかりと、区の今の状況にあわせて支援をしていくことが求められるというふうに思います。
 またあわせて、現場の建てかえに取り組めない地権者もたくさんいらっしゃる。例えば高齢者の方、借地人、借家人や権利関係の複雑な方々も大変いらっしゃる中で、資金面や権利の調整など、課題解決に適した専門家の派遣を行ってはおりますけれども、やはりこの部分も、専門家を派遣したからすぐさま解決するという話ではなく、忍耐強く、そしてきめ細やかな対応が求められているというふうに思います。
 近年、豪雨災害の激甚化が本当に危惧される中で、大規模風水害のリスク低減の重要性も増していますけれども、首都直下地震などいつ発生してもおかしくない大地震に対しても、被害を最小化する防災都市づくりが極めて重要なわけです。
 そうしたことを考えて、ぜひとも、また新たに推進計画の基本方針を改定されて、今取り組まれているわけですけれども、引き続き各区と課題を共有して、都区で連携して、木造住宅密集地域の改善に取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお伺いをいたします。
 首都圏では、今後三十年以内にマグニチュード七程度の大地震が発生する確率は七〇%といわれて、もう相当の年月がたっているんですけれども、幸い、これまでのところ東京はまだ大地震に見舞われていない。熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震など、全国に目を向けると、文字どおり毎年のように大地震が発生しています。
 東京は、日本の首都として政治、経済、文化などの中枢を占めて、極めて重要な役割を果たしていることから、大地震の発生時に救急救命活動の生命線となって、緊急支援物資の輸送、復旧及び復興の大動脈となるこの緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化というのは、十分に進めて、震災時における緊急輸送道路の機能を確保するということが喫緊の課題になっております。
 これまで、耐震改修などの助成、区市町村と連携した個別訪問などの普及啓発、関係団体の協力を得たアドバイザー派遣など、技術的な支援といったさまざまな取り組みを行ってまいりました。
 しかしながら、耐震化の促進というのは一朝一夕で進むものではなくて、やはりこれも粘り強く取り組んでいかなくてはならないわけですけれども、これまで緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の条例制定からどのような取り組みを行ってきたのかお伺いをいたします。

○青木耐震化推進担当部長 都は、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進するため、平成二十三年三月に条例を制定し、特定緊急輸送道路沿道建築物の所有者等に耐震診断の実施と報告を義務づけるとともに、区市町村と連携し、耐震改修への助成を行ってきました。
 平成二十七年三月の診断報告の期限を迎えた後、未報告者への督促などを行った上で、平成三十年三月に、耐震改修促進法に基づき特定緊急輸送道路沿道建築物等の耐震診断の結果を公表しました。
 また、緊急輸送道路沿道建築物の所有者から、賃借人などとの合意形成が困難という声が多く聞かれたことを踏まえまして、専門家の提言を受け、平成三十一年三月に条例を改正し、占有者の責務として所有者が行う耐震化の実現に向けて協力するよう努めることなどを定めました。
 特定緊急輸送道路につきましては、耐震化の目標年次を迎えたことから、達成状況を検証するとともに、令和二年三月に耐震改修促進計画の一部改定を行い、区間到達率などの新たな指標により目標を設定しました。

○鈴木委員 さまざまな取り組みをして、合意形成が図れるような取り組みが求められるわけですけれども、耐震診断の結果の公表、これはまさに、耐震診断を行って、その報告を義務づけたからこそ実現したものであって、国に先駆けて東京都が耐震診断を義務づけたということは、私は本当に高く評価しているわけですけれども、この特定緊急輸送道路沿道建築物等の耐震診断結果を公表した理由、そしてまた効果を改めてお伺いをいたします。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震診断結果の公表は、平成二十五年に改正された耐震改修促進法に基づき、建築物ごとの耐震性などを広く都民に周知し、所有者の自覚と取り組みを促すことで、耐震化につなげていくために行いました。
 東京都が所管する特定緊急輸送道路沿道建築物約四百五十件のうち、平成三十年三月の公表時点では、約二百件において耐震改修が必要でありましたけれども、公表により所有者の取り組みが促され、耐震改修工事が完了し耐震性能を満たしたものが九件、現在工事中のものが三件、改修工事や補強設計の予定が決まったものが一件、建てかえなどのため取り壊したものが十一件と、耐震改修工事等に結びついた例もあります。

○鈴木委員 特定緊急輸送道路の沿道の建築物約四百五十件のうち、平成三十年三月の公表時点では、二百件において耐震改修が必要だったと。それを通して、今、実績が報告されたんですけれども、やはりこれからが、この公表を生かして取り組んで成果を上げていく、私は大事な時期だというふうに思います。
 耐震診断の結果の公表というのは、特定沿道建築物だけでなく、いわゆる不特定多数の都民が利用する大規模な建築物、要するにマンションなども含めた大規模建築物もあわせたものだったこともあって、テレビや週刊誌も報じて大きな反響がありました。建築物の所有者の中には、反響の大きさに押されて耐震改修を決意したという方もいるというふうに私は思っております。
 マンションの建てかえもそうなんですけれども、住民の合意形成と予算の課題など、主要課題に対してテナントビルにおいては、テナント事業者のご理解もご協力も欠かせないというふうにいわれておりますけれども、その後の取り組み件数を聞くと、全ての所有者の心に響いたとはいいがたく、響いていたとしても、耐震改修に着手できない事情がさまざまあるんだというふうに思います。
 今いったテナントビルでは、条例改正の説明にもありましたけれども、ビルオーナーが耐震改修を決断しても、テナント側に合意していただかなければ工事はできないわけです。工事をするために、テナントが退去しなければならない場合や休業を余儀なくされる場合もあります。条例でテナントの責務を定めて、多少は責任を感じて協力しようという気になってもらえるかもしれませんけれども、退去や休業といった現実の課題に対するきめ細かな支援がなければ、やはり耐震改修は進まないんではないかなというふうに思うんですけれども、この賃貸建築物の耐震化に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

○青木耐震化推進担当部長 条例改正後、賃貸建築物の所有者に対して、個別訪問の機会などを通じて、条例の改正により占有者の協力を得やすい仕組みを整えたことなどを説明してきました。
 さらに、昨年度の耐震改修促進計画の一部改定に当たって、賃貸建築物については、占有者がいることにより追加的費用が生じることから、改修工事費等に対する所有者への補助を、賃貸住宅の契約件数やテナントの契約数、専有面積に応じて加算することとしまして、所有者がこの補助を活用できるよう、区市町村に対して制度の創設、拡充を促しました。
 なお、これまでのところ、既に制度を導入したのは三自治体ございまして、そのうち一の自治体では、今年度中に補助を執行する見込みと聞いております。

○鈴木委員 昨年度末に、テナントビルなどの所有者に対する補助の加算制度を都が策定して、区市町村の取り組みはこれからという段階なので、今後の展開になるんですけれども、ただし、これはあくまでもオーナーに対する補助でありまして、テナントに対するものではないんですね。
 先ほど答弁で、賃貸建築物の所有者に対しては、個別の機会などを通じて、条例の改正によって占有者の協力を得やすい仕組みを整えたとおっしゃっておりましたけれども、私はそんな簡単な話ではないなというふうにも思うんです。
 やはり今話をさせていただいたように、テナントに対するしっかりとした対応というものをしていかなければ、賃貸建築物の合意形成というのは、なかなか図れないんではないかなというふうに思います。
 テナントビルの耐震化に当たっては、このように例えばテナントが仮移転する必要があった場合、その工面ができないという話も実際にもう出ているんですね。今後は、オーナーに対する支援じゃなくて、移転補償金のようなテナントに対する支援についても、やはり検討していくことが必要なんではないかなというふうに思います。
 次に、昨年度の耐震改修促進計画の一部改定において、特定緊急輸送道路について、区間到達率などの新たな指標で目標を設定したというふうになっておりますけれども、この理由についてお伺いをいたします。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物については、条例に基づき耐震診断を義務づけたことにより、耐震診断の実施率が九七%を超えまして、路線ごとに沿道建築物の位置と耐震性能をほぼ把握することができた一方で、従来の耐震化率は、実質的な通行機能が確保できているかどうかを的確にあらわすことができませんでした。
 このため、通行機能の確保状況を見える化し、耐震化を重点的に進めていくことを目的として、区間到達率を導入しました。

○鈴木委員 区間到達率を公表するということによって、いざというときに防災拠点などに都民の方がたどり着くことができるかどうか、逆に、自分が今住んでいるまちに救援が来てくれるのかどうか、安全性の確認にすごく役立っているんですね。ある意味、これによって路線価も変わっていくとか、その建物の価値も上がっていくとか、そういったこともいわれているわけですけれども、この区間到達率は、耐震化を進める上での指標であると同時に、都民がみずからの命を守るための重要な情報になっていくというふうに思います。
 この区間は安全に通ることができますよなど、正確な情報を適切に都民に提供するように、情報の発信のあり方についても、ぜひ工夫していただきたいなというふうに思います。
 これまで、特定緊急輸送道路の機能確保に向けて、沿道建築物の耐震化の取り組みについて聞いてまいりましたけれども、通行機能を確保する必要があるのは、よく都市整備委員会でもいわれておりますけれども、一般緊急輸送道路も同じなんですよ。特定緊急輸送道路と異なって、ただ耐震診断を義務づけていないために、診断結果を公表することができない。特定緊急輸送道路よりも、耐震化を促すための手段は限られているわけですけれども、だからこそ私は、そこに東京都の皆さんが工夫して取り組んでいただきたいというふうに思うんですけれども、今現在、一般緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化に対しては、東京都はどのような取り組みをしているのか、改めてお伺いをいたします。

○青木耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化による震災時の通行機能確保にあわせ、一般緊急輸送道路の機能も確保することは、災害に強い都市を実現する上で有効です。
 一般緊急輸送道路沿道建築物については、耐震化状況の報告を義務づけていないことから、条例制定以降、アンケート調査やアドバイザーの派遣などによって得られた情報を蓄積することなどにより、耐震化の実施状況の把握に努めています。
 また、区市町村や関係団体と連携して、所有者に耐震化を働きかけるとともに、アドバイザーの派遣や耐震診断、補強設計、耐震改修等の費用助成などの支援により、所有者の取り組みを促しております。

○鈴木委員 一般緊急輸送道路は耐震診断が義務化されていないので、状況がわからないとのことであるんですけれども、都の防災まちづくり推進計画の検討委員会、これは特定緊急輸送道路のやや強い指導を広げて、耐震診断、建てかえ計画の開示を促すべきであり、条例改正の必要性も指摘されたわけです。人の命を守る取り組みにやっぱりちゅうちょしてはいけないわけで、果断に取り組んでいただくことが求められているというふうに思います。
 特定緊急輸送道路の耐震化によって、区間到達率の公表がされるようになりましたけれども、到達率を一〇〇%にしなければ緊急車両は通ることができないわけです。そのためにも耐震化はこれからが本当に正念場なんですけれども、地震災害は待ってくれないわけです。そのためにも、特定緊急輸送道路だけでなく、一般緊急輸送道路への対応を早急に力強く推進していただきたいということを要望しておきます。
 次に、羽田空港の機能強化についてお伺いいたします。
 国は、本年三月二十九日より羽田空港の新飛行経路の運用を開始して、国際線の発着枠を三・九万回拡大して、羽田空港の年間発着枠は四十八万六千回となったわけです。
 私は、インバウンドの増加などによって、我が国の国際競争力の強化というのは、首都圏空港のさらなる機能強化が求められているわけであって、成田空港とともに、この羽田空港の機能強化というのはぜひとも必要だというふうに考えているんですけれども、まず改めて、羽田空港の機能強化について東京都の見解をもう一度お伺いいたします。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 将来にわたりまして、東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには、国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
 新飛行経路の導入に当たりまして、これまで都は国に対しまして、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてきており、それを踏まえまして、国はさまざまな対策を実施して運用を開始いたしました。
 都といたしましては、引き続き国に対し、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めていくこととしております。

○鈴木委員 国は、昨年八月の新経路運用開始の決定に当たって、騒音軽減策として、飛行高度の引き上げ、これ、飛行高度の引き上げというのは、結局引き上げたことによって、降下角度が〇・五度上がって危険性が指摘されているんですね。あと、航空会社への落下物対策の義務、これも行いました。
 このほかに、新飛行ルートには、羽田カーブというふうに以前から呼ばれている北側から南側へおりる運用も含まれていて、そうした懸念もある中で、地元の皆さんには、騒音とか落下物とか安全性に対する懸念というのは今もあるんです。
 昨年の羽田空港機能強化の具体化協議会においても、品川区から、新飛行経路を固定化することがないように取り組んでもらいたいとの要望に対して、国は継続的に検討するとしていました。私たちも、固定化回避の協議会が急遽行われて、都市整備局の方から事前に説明がなかったんで、大変びっくりしたんですけれども、本当にそういうことがないようにしていただきたいなというふうに思うんですけれども、新飛行経路が運用開始されましたが、昨年七月に出された品川区からの固定化回避の要望に対する国の検討状況というのは、今、一体どうなっているのかお伺いいたします。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 昨年七月に品川区から、現飛行ルート案を固定化することがないよう取り組んでいただきたいとの意見が出され、国は、飛行ルートのあり方につきまして、騒音軽減等の観点から継続的に検討してまいりたいと回答してございます。
 固定化を避ける取り組みにつきましては、品川区議会が昨年九月に決議をするとともに、港区議会が昨年十月に意見書を提出してございます。国はこれらを踏まえまして、羽田新飛行経路の固定化回避に係る技術的な方策につきまして、多角的に検討する会を本年六月に開催いたしました。

○鈴木委員 こういった検討会議、固定化回避にかかわる検討会に対しての情報をしっかりと上げていただきたいなというふうに思っておりますし、この飛行ルートのあり方について、国は、滑走路の使い方とか、そしてまた航空管制や航空機器の技術革新など、さまざまな視点で検討するというふうにされておりますので、そういったこともしっかりと、具体的な報告案件がありましたら、速やかに上げていただきたいというふうに思います。
 一番大事なのは、そうすることによって少しでも危険を回避して、機能強化に結びつけて、地元の皆さん、都民の皆さんのご理解をいただくという取り組みだというふうに思っておりますので、ぜひ東京都におかれましては、国の政策ですけれども、都民を代表して、そういったことをしっかりと対応していただきたいなというふうに思います。
 国によれば、新飛行経路の運用では、南風のときのA滑走路への着陸というのは一時間当たり十四便、C滑走路への着陸は一時間当たり三十便、北風時の離陸、これが一時間当たり二十三便なんですね。
 私、地元大田区で羽田の人たちともよくこの話をしていたんですけれども、ことしの節分でしたか、この離陸の四十八便が試行的にされたんですけれども、やっぱり物すごい騒音なんですね。体感してみないとわからないんですけれども、物すごい騒音と圧迫感がありました。
 ことしになって、コロナの問題で、航空需要の減少によって運航本数が少なくなって、そういった話は聞かれませんけれども、実際は、これが今までどおり、予定どおり運用されるようになると、大変な話にもなっていくのかなというふうにも思っておりますけれども、新飛行経路の運航開始時点からの運航状況を改めてお伺いいたします。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 新飛行経路における運航につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして運航便の減便が生じております。運用を開始した本年三月二十九日時点では、国内線で約二割、国際線で約八割の減便でございました。
 なお、現在は、国内線で約三割から四割、国際線で約九割の減便でございます。

○鈴木委員 今の答弁で、航空会社は大変だなという感じがするんですけれども、この影響で、実際に運用は開始されているんですけれども、具体的に声が上がっている回数は減っているのかなというふうにも思うんです。しっかりと本当にこれから対応していただきたいなというふうに思います。
 特に、羽田空港は都心に隣接して立地しているから、世界でも有数な大空港でありますので、落下物に対する取り組みというのは本当に重要なんですけれども、特に今回、新飛行経路においては、川崎のコンビナートの上空も通るんですよね。
 落下物対策というものを徹底しなくてはならないわけですけれども、落下物対策に関する国の取り組みについてお伺いをいたします。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 平成二十六年に飛行経路の見直しの提案がなされて以来、都は国に対しまして、丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めておりまして、それを受け、国は、航空機のチェック体制の強化や落下物防止対策の基準を定め、各航空会社に対して義務づけるなどの対策を実施してきております。
 また、落下物の未然防止のため、各航空会社におきまして、点検項目や教育内容の強化を行うとともに、取り組みなどにつきまして、航空会社やメーカーなどとの間で情報共有を行ってきているところでございます。
 過去に発生いたしました部品欠落につきましては、国は、航空機メーカーなどと連携して原因究明を行い、その結果を踏まえ、航空会社への情報共有や指示、落下物防止対策基準への対策追加の実施など、再発防止に生かしてきております。
 都といたしましては、引き続き国に対し、安全対策の着実な実施を求めてまいります。

○鈴木委員 先ほど指摘しましたけれども、今回は本当に都心上空を飛ぶ、そしてまた川崎のコンビナートの上空も飛ぶということでは、安全管理というのは、もう今以上にしていかなくてはいけないというのは当たり前の話なんですけれども、意外と、国にきちっと求めてきているので安心だろうとか、そういった対応ではなくて、やはりこれからというものは、ある意味、性悪説に立ちながら、しっかりと各航空会社が、点検の項目とか教育内容を強化して、いろいろ取り組んでいるというふうにはいわれておりますけれども、きちっとされているのかというものを東京都の立場でしっかりと確認をしていくような、そういった姿勢も求められるんではないかなというふうに思います。
 大都市東京の上空を飛行経路とすることから、安全性をしっかりと進めていくことは当然であって、今後とも、国が責任を持って安全対策を取り組んでいくように、国が都としっかりと連携していけるような取り組みに、東京都の方も自覚を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 最後に、築地再開発について伺います。
 築地地区においては、現在、都市整備局が土壌汚染調査を実施しているんですね。今後、民間によるまちづくりを進めていくに当たり、土壌汚染の状況を把握していく必要があるわけです。
 そこでまず、昨年度の都市整備局が中央卸売市場の執行委任を受けてやってきた土壌汚染調査について、調査箇所及び調査結果についてお伺いをいたします。

○木村築地まちづくり推進担当部長 昨年度より、都市整備局におきまして、中央卸売市場から執行委任を受けまして土壌汚染調査を実施してございます。
 昨年度は、第ゼロ段階の船着き場周辺のエリアで土壌汚染調査を実施しており、概況調査を百四十六地点、詳細調査を二十二地点で行ってございます。調査箇所のうち、四十八地点におきまして、土壌汚染対策法などに基づく基準値を超過してございました。

○鈴木委員 今の答弁のように、築地地区の一部の調査、この船着き場周辺のエリアなんですけれども、今回、法令に基づく基準値を超過している地点が約三分の一あったという話ですね。
 船着き場周辺エリアというのは、比較的土壌汚染が低いだろうというふうにいわれているところでありまして、米軍がクリーニング工場として使用されている使用履歴というのがない中で、資料がない中で、今後、どれだけの汚染があるかということも全くわからない中で、今取り組んでいるわけですけれども、基準値を超過している箇所について、今後どのような土壌汚染対策を行っていくのか、改めてお伺いします。

○木村築地まちづくり推進担当部長 土壌汚染対策につきましては、土壌汚染対策法及び環境確保条例の関係法令に基づき、土地の改変者が必要な対策を行うなど適切に対応してまいります。

○鈴木委員 当たり前の答弁なんですけれども、この土壌汚染対策について、法令に基づき必要な対策をしっかりと実施するというのは当たり前なんですけれども、東京都が旧築地市場跡地の土地所有者ですよね。都として適切にこの調査を行うとともに、この調査結果をつまびらかに明らかにすべきだというふうに思いますけれども、この点についてお伺いをいたします。

○木村築地まちづくり推進担当部長 旧築地市場跡地につきましては、これまでも所管局におきまして土壌汚染調査を実施してきており、調査結果を公表してございます。
 引き続き、土壌汚染調査を順次実施いたしまして、その結果を適宜公表してまいります。

○鈴木委員 このたび、二〇二二年には一体開発の事業者募集という話が計画で出ていましたけれども、実際にこの築地の土壌汚染対策がどれだけかかるのかということもまだ定かでない中で、私はちょっと大丈夫なのかなという気もしているんですね。
 また、都民の方々も、豊洲市場の移転の問題のときに築地の問題も上がっていて、汚染の懸念がクローズアップされていたということもありますので、やはり今後のこと、これからの東京都が再開発するということで今進めておりますけれども、であるならばこそ、しっかりと都民に情報を提供して、公表していっていただきたいなというふうに思います。
 築地地区の土壌汚染の状況については、これから着実にやって対応するという話なんですけれども、先行整備と本格整備の事業者を一体的に募集するという話で、平成三十一年三月に公表されたまちづくり方針では、一体的な募集についても検討するとされておりました。
 築地地区内には、今、環状二号線が通って、私もこの間行ってまいりましたけれども、工事が佳境に入って二号線が通るんだなというふうに思うんですけれども、あそこの二号線で開発地域全体が分断されてしまうんじゃないかなという懸念も持ったんですけれども、民間事業者のよいアイデアを生かして、両側の敷地を一体的に開発していくべきというふうに、これは誰もが思うと思うんですけれども、今回、ゼロ段階から三段階の整備というのは、一つの事業者が行うというふうにいわれておりましたけれども、その認識でいいのかということをお伺いいたします。

○木村築地まちづくり推進担当部長 築地地区では、民間の力を最大限に活用しながら、東京の価値を高め、持続可能な成長へとつながるまちづくりを推進することとしてございます。
 築地地区内には環状二号線が横断しておりますが、一体的に募集することにより、敷地の一体的な利用も含め、民間事業者のさらなる創意工夫や積極的な提案を引き出し、より効果的にまちづくりを進めていくことが可能になると考えてございます。
 なお、先行整備と本格整備の事業者の一体的な募集によりまして、地区全体の事業は、提案審査を経て選定された民間事業者が実施することとなるものでございます。

○鈴木委員 この部分、これからの取り組みなわけですけれども、やはり先ほどお話をさせていただいたように、都民の不安を払拭するためにも、土壌汚染の状況のしっかりとした公表、そしてさらに、埋蔵文化財とか、さまざまこれから取り組んでいかなくてはならないわけですけれども、その進捗もしっかりと公表していただきたいと。
 そして、やる以上は、やはり都民の貴重なエリアであるわけですから、皆さんから理解されて、よしというような、そういった評価をいただけるような開発にしていただきたいなというふうにも思っております。
 そのためにも、この環状二号線をまたぐ、いろんな取り組みになるわけですけれども、事業者を一体的に募集するという中では、事業者の創意工夫が積極的な提案になって引き出せるような、そうした取り組みになりますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 初めに、鉄道ネットワークの整備促進について伺います。
 東京が稼ぐ力をつけるためには、海外から人、物、金を呼び込むための国際競争力の向上が不可欠であり、その観点から鉄道ネットワーク等の強化が必要であります。
 平成二十八年の国の交通政策審議会においては、整備を優先すべき六路線が示されました。平成三十年の東京と日本の成長を考える検討会報告書によれば、この総事業費は一兆円に上り、東京の経済波及効果は約一・六兆円、税収効果は約百八十億円、雇用創出は約十・四万人と試算されております。
 我が党は、これまでも鉄道ネットワーク等の強化について求めてきたところであります。
 都は、令和元年度に広域交通ネットワーク形成等に関する調査を行っておりますが、どのような検討を行ったのか伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 国の交通政策審議会答申では、国際競争力の強化や質の高い鉄道サービスの実現などに向けたプロジェクトが示され、このうち、地下鉄八号線の延伸や多摩都市モノレールの延伸など六つの路線が、事業化に向けて検討などを進めるべきとされております。
 都は、これらの路線につきまして、鉄道事業者や地元区市町など関係者と連携して検討を進めており、令和元年度の調査では、六路線を中心に、需要予測や事業性の検証などの事業化に向けた課題について検討を行っております。
 こうした状況などを踏まえ、未来の東京戦略ビジョンにおいては、各路線について取り組みの方向を示したところでございます。
 引き続き、課題の解決に向けた検討を進めるとともに、関係者との協議、調整を加速してまいります。

○加藤委員 調整の加速をお願いしたいというふうに思います。
 次に、整備を優先すべき六路線の中でも、東京メトロ有楽町線の豊洲-住吉間の延伸は、東京区部東部の南北交通の利便性を高め、臨海部とのアクセス向上が期待されております。実現すれば、スカイツリーがある私の地元墨田区押上と臨海部という二つの大きな観光拠点が結ばれ、地元活性化の観点からも高い効果が見込まれております。
 先ほど答弁のあった昨年十二月に都が策定した未来の東京戦略ビジョンにおいて、都は、事業化に向けた協議、調整を加速するとしており、私を初め墨田区民や江東区民などは、実現を大いに期待しているところであります。
 そこで、早期の実現に向け、関係者との調整を進めるべきと考えますが、地下鉄八号線の延伸について、令和元年度の都の取り組みについて伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 地下鉄八号線の延伸は、臨海部と区部東部の観光拠点とのアクセス利便性の向上や、東西線の混雑緩和に寄与する重要な路線でございます。
 本路線について、都は昨年三月、東京メトロによる整備、運行が合理的との考えを示し、これに基づき、関係者と事業主体や費用負担のあり方などの課題について調整を進めてきてございます。
 また、本年一月、国や東京メトロとともに技術的検討に関する勉強会を立ち上げ、東京メトロの地下鉄事業者としての専門的知見を活用しながら、建設計画等に関する検討を進めてございます。
 引き続き、関係者との協議、調整を加速し、本路線の実現に向けて取り組んでまいります。

○加藤委員 国の答申におきましては、この六路線のほかにも、都心部・臨海地域地下鉄構想が位置づけられておりまして、国際競争力の拠点である都心と臨海副都心とのアクセス利便性の向上が期待されております。
 ご存じのように、臨海地域は高層マンションが林立し、人口増加が激しいエリアであります。今後も建設が続いていきます。未来の東京戦略ビジョンにおいては、都心部・臨海地域地下鉄構想について、事業計画の検討を進め、構想を具体化との記載がなされております。沿線の中央区では都心・臨海地下鉄新線推進大会が開催されるなど、本路線に対する地元の期待が大きく高まっていることを実感しております。本路線の具体化に向けて取り組みを進めていただきたいと強く要望をしておきます。
 次に、BRTについて質問をします。
 新型コロナウイルスの影響で、五月二十四日の運行開始を延期していた東京BRTについては、十月一日からようやく虎ノ門から晴海区間でプレ運行が開始されました。地元区を初め沿道の方々は、この運行開始を心待ちにされておりました。
 東京BRTの運行により、都心に近い立地でありながら、鉄道等の公共交通が比較的不便な地域であった晴海や勝どき地域が、新橋、虎ノ門まで約二十分から三十分でつながり、沿線の方々を初め、臨海地域の交通の利便性がさらに高まることが期待をされます。
 一方で、本格運行に向け、現在の路線バス並みの速度を、Bus Rapid Transitの名のとおり、バス高速輸送システムとして速達性を高めていくことも必要ですし、豊洲、有明方面に運行ルートを拡大していく取り組みが急がれます。
 そこで、まず初めに、このプレ運行開始に向けた昨年度の都の取り組みについて伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 BRTプレ運行開始に向けた取り組みでございますが、昨年度は、東京BRTの東京二〇二〇大会前からの先行的な運行開始に向け、新橋停留施設や晴海二丁目暫定ターミナルの整備工事を実施するとともに、運行計画等について、運行事業者である京成バスも含め、関係機関と調整を進めてまいりました。
 また、東京BRTの魅力や運行情報を内外に幅広く発信するため、コンセプトやルート、運行ダイヤ、停留施設の位置情報等を紹介するパンフレットやホームページ等を運行事業者と協力して作成し、SNS等を活用し、積極的に発信してまいりました。

○加藤委員 今は暫定ということで、一部の停留施設は、新システムにしてはちょっと寂しい状況にありますけれども、今後は、洗練された魅力ある停留施設が整備されていくことを期待しております。
 次に、地元の方々にとっては、本格運行については大変関心があるところであります。特に今後運行ルートも拡大していく中で、速達性が課題となると思いますが、本格運行に向けた昨年度の取り組み状況について伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 BRTの本格運行に向けまして、昨年度より運行系統の段階的な拡大に備え、停留施設や車両基地等の整備に向けて、設計や関係機関の協議を進めております。
 また、BRTの本格運行時での速達性と定時性の確保を行うため、お話のとおり、交差点でのバス通過を優先させるシステム導入について、交通管理者と協議を進めております。

○加藤委員 新型コロナウイルスの感染拡大のニュースが毎日流れる中、久しぶりに、この東京に元気を取り戻す公共交通事業であると期待をしております。
 地元の方々は、検討路線である東京駅八重洲エリアのルートの実現を望んでおります。さらに、築地市場の跡地開発が今後進んでいくと思いますが、築地のまちづくり方針では、築地の東側のエリアが交通結節地点と記されており、先ほど述べました地下鉄新線の期待もあります。
 その上で、築地の西側は環状二号線が通り、浜離宮恩賜庭園が隣接するということも考えれば、将来、築地にもBRTの停留所があった方がいいとの声をいただいています。道路形状の関係で難しいという点もありますが、検討をお願いしたいというふうに思います。
 東京BRTが末永く地域の方々に愛され、ますます利用していただけるよう、引き続き事業を推進していただくことをお願いし、次に移ります。
 京成電鉄押上駅のホームドアについてであります。
 私は、平成三十年十一月の公営企業委員会の質疑で、交通局に対し、押上駅は都の駅ではないけれども、直通運転の接続駅であり、都の役割も大きいと申し上げました。交通局では、令和五年度までに浅草線の都が所管する全駅にホームドアを整備するとしております。
 この押上駅は、スカイツリー直結の駅であり二十万人以上の利用者がおります。一方、ホームが狭く、混雑時は転落の危険性と隣り合わせであり、京成電鉄が整備しないのであれば、都が乗り込んでいってやるべきだと、このように訴えをいたしました。
 そこで、京成電鉄押上駅のホームドア設置に対する都の取り組み状況について伺います。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 押上駅のホームドア設置に関するご質問でございますが、駅のホームドア設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。押上駅は利用者が多く、混雑する駅である一方、ホームは一部狭隘な箇所があり、利用者の通行への影響などの課題がございます。
 都は、令和元年度に優先整備の考え方を公表いたしまして、事業者に整備計画の作成を依頼いたしましたところ、京成電鉄は本年三月に、押上駅におけるホームドアの整備を計画に位置づけ、公表いたしておりまして、課題の解決に向けて関係者と協議等を進めることといたしております。
 引き続き、事業者に早期設置を働きかけるとともに、国や地元区と連携いたしまして、その取り組みを支援していくことといたします。

○加藤委員 本年三月に整備計画に位置づけ、公表ということで、少しは声が届いたかと思いますけれども、都も今年度より、補助対象駅の拡大や補助上限額の引き上げを行うなど、補助制度を拡充したと承知しておりますので、今まで以上に積極的に働きかけをお願いしたいと思います。
 最後に、都道一二〇号線鐘ヶ淵地区の整備について伺います。
 昨年も同様にお聞きしましたが、決算でありますので、確認させていただきます。
 補助一二〇号線鐘ヶ淵地区の一期区間では、ようやく残っていた建物も除却され、工事が進んでおります。特定整備路線である二期区間においても着実に用地取得が進んでおります。
 そこで、まず一二〇号線鐘ヶ淵地区の進捗状況について伺います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 平成十七年度に事業に着手いたしました一期区間につきましては、令和元年度に用地取得が完了し、下水道管の布設工事などを実施いたしました。
 二期区間でございますが、平成二十六年三月に事業に着手いたしまして、令和元年度末時点の境界立ち会い率は約八七%で、用地取得率は約五六%となっております。

○加藤委員 三十年度末の用地取得率が約四二%でしたから、一期区間に比べて、この用地取得のスピードは速いと感じておりまして、皆様の努力に感謝を申し上げます。
 地震などの災害に備えて、鐘ヶ淵地区の安全性を高める上でも、特定整備路線である補助第一二〇号線鐘ヶ淵地区の二期区間の整備を着実に進めていくことが必要であります。
 そこで、一二〇号線整備のさらなる加速に向け、道路の整備後のイメージがしやすい状況を見せていくことが重要と考えますが、取り組み状況について伺います。

○鈴木防災都市づくり担当部長 これまでも、一期区間におきましては、道路の本整備に先行して仮歩道の整備を進め地域の安全性を高めるなど、事業効果を早期に発現することで事業の促進につなげてまいりました。
 令和元年度には、二期区間におきましても、事業に対する住民の理解を深め用地取得を加速していくために、一期区間と同様に、鐘ヶ淵駅周辺の更地化された事業用地を活用し、整備後の道路のイメージをしやすいよう仮歩道の整備を行ったところでございます。

○加藤委員 この仮歩道を活用して、地元のボランティア団体がベンチを作製してくださり、ご年配の方などが利用されております。これからもご協力をお願いします。
 ところで、ことし五月に、残念ながら鐘ヶ淵駅の踏切で人身事故が発生し、とうとき命が失われました。早速、地元の山本区長と、都市整備局にも安全対策と鉄道立体化促進の申し入れを行いました。
 東武鉄道も、検知システム導入など、踏切の安全対策を行っているとのことでありますが、カーブがある踏切ですので限界があります。立体化の完成が一日も早く望まれるところでありますが、それまでの間は、道路整備を進めて歩道スペースを拡張して安全対策を行うしかないと思います。用地取得は順調でありますが、それが全て終わるまで待っていては、いつまた事故が起こるかわかりません。
 したがって、踏切付近の用地取得を急ぎ、暫定的にも歩道スペースの確保の整備を先行して行うべきであると要望して、質問を終わります。

○とや委員 共産党のとやです。よろしくお願いします。
 私からは、鉄道駅バリアフリーについて、また都市計画公園・緑地の整備方針、羽田新ルート、この三つの分野から質問させていただきます。
 まず、鉄道駅のバリアフリーについてです。
 駅のバリアフリー問題については、昨年も取り上げさせていただいたんですが、障害のあるなしにかかわらず、年代にかかわらず強い要求であります。移動の自由という当たり前の権利を行使する上で、早急に解決すべき問題です。
 昨年の質疑の上に立って、その後も都民から切実な要望が寄せられている駅について、きょうは伺いたいと思います。
 まず初めに、二〇一九年度の鉄道駅バリアフリー化について、昨年度、一九年度までの東京メトロの複数ルートのエレベーター設置整備駅数及び二〇一九年度のホームドア設置の補助実績と進捗、このうち完成した駅についてお答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 東京メトロは、エレベーター複数ルートにつきまして、令和元年度末時点で五十九駅で整備済みといたしております。
 また、ホームドア等整備促進事業に関する令和元年度の補助実績は、総額七億七千万円であり、十六駅に補助を実施いたしまして、このうち完成した駅は十駅となってございます。

○とや委員 ありがとうございます。
 補助制度があって、一定程度進んでいるようだと思いますが、東京都のホームページを拝見させていただきまして、都内の駅のホームドアの設置率は、本年三月末時点で全体で四五・七%、福祉のまちづくり条例に基づくエレベーターについて、ワンルート設置は九五%となっている一方で、ホームドアの整備と複数ルートのエレベーター設置はなかなか進んでいないと。非常に課題があるのかなと思っています。
 そこで伺っておきたいんですが、昨年九月に、優先整備の考え方に十万人未満の乗降客の駅についても補助対象とすることが盛り込まれていますが、活用する駅があるかどうか、事業者から問い合わせが来ているかどうかについてお答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 都は、令和元年九月に鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を公表いたしまして、その中において、利用者十万人未満の駅のホームドア設置への補助にも拡大を図っていくことを示しました。
 その後、鉄道事業者向けの説明会において公表内容を周知いたしまして、それに対して、事業者から個別に問い合わせをいただいているところでございます。

○とや委員 きょうお示しいただいた資料、ありがとうございます。これを拝見させていただきまして、都内における主な鉄軌道事業者別ホームドア整備駅数及び整備率を見ますと、一部の事業者では一〇〇%いっているんですけれども、そうでない事業者の駅がたくさんあります。
 特に、私の地元の練馬で事業をしております西武鉄道、都内の駅数については六十一駅、整備駅数が三駅、整備率四・九%という数字になっているわけです。その西武鉄道について伺っていきたいんですが、西武鉄道は西武池袋線と新宿線などがあるわけですけれども、ほかにも秩父とかあるんですけれども、十万人以上の駅は、上から池袋、高田馬場、西武新宿駅、また練馬など七駅で、あとは全部十万人未満の駅というふうになっています。
 この西武鉄道の駅ですけれども、事業者として、二〇一九年度は、ホームドアの設置だとか、内方線つきの点状ブロックの設置など安全性の向上を図るという方針をもって事業をやってきているんですが、二〇二一年度以降の整備を検討する駅は--ホームドアですね、石神井公園、中村橋、富士見台、練馬高野台、新桜台となっています。
 しかし、石神井公園に次いで乗降客の多い大泉学園駅は対象になっておらないわけです。ここは十万人未満の駅ではあるんですけれども、今、私が紹介した中村橋や富士見台、練馬高野台、新桜台は、いずれも大泉学園の駅よりも乗降客は少ない駅であります。
 ところが、それよりも多くて、私も利用することがあるのでわかるんですけれども、非常に危険度の高い駅であるここの駅が対象にならないと。その理由について把握をされていらっしゃいますでしょうか。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 鉄道駅のホームドアの設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 大泉学園駅につきましては、一部ホームの幅員が狭く、ホームドアの設置によってさらに幅員が狭くなるなどの課題があると伺っております。

○とや委員 ホームドアの設置によって、一部幅員が狭くなる場所はわかっているんですけれども、そういう駅はほかにもたくさんあると思っています。
 この大泉学園の駅について、東京都の優先整備の考え方を拝見させていただきました。その中で、優先整備の視点のある駅の構造では、まず島式ホームであること、ホームが狭いこと、混雑しているホームであること、こうした点が優先整備の考え方の基準になっていて、乗りかえ駅というのがもう一つあるんですが、この視点以外、全ての視点に当てはまるのが大泉学園の駅であります。
 鉄道運営の視点を見ますと、通過駅、準急はとまりますけど、快速とか特急とか急行とかの通過駅でもあるわけです。駅周辺の特性でいうと、ここには石神井学園、石神井特別支援学校の生徒たちが利用する、そういう駅でもあるわけです。
 こうした優先整備の視点を見ていくと、どこから見てもバリアフリー化の対象になるにもかかわらず、ホームドアは整備されていないと。事業者に早期の整備を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 先ほどもご答弁させていただきましたとおり、駅のホームドア設置を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠となってございます。
 都は、令和元年度に鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方を公表いたしました際、都内の全ての鉄道事業者に対しまして、鉄道駅のバリアフリー化のより一層の推進に向け、積極的に取り組むよう依頼はいたしております。

○とや委員 より一層の推進に向け、積極的に取り組むように依頼をしてくださっているということです。
 その依頼の中身をあらかじめ聞かせていただきましたが、文書で依頼したということですけれども、やはり事業者にとっていろんな事情も抱えているわけで、一歩一歩前進しているかもしれないですけれども、よく事情を聞いていただいて、どうしたら安全・安心な駅を構築できるのか、事業者とよく協議を重ねていただきたいと思うわけです。
 大泉学園の駅は島式ホームです。ホームの幅が狭くて、階段付近は、人がすれ違えば落ちてしまうような狭さがあるわけです。ここのことをいっているんですよ。九月にも人身事故があって、二〇一一年から約二十件ぐらいの人身事故があったわけです。非常に若い人たちが多くて、痛ましい事故で悲しくなってしまいます。こういう事態を起こさないために、ホームドアが一日も早く設置できるよう、鉄道事業者と協議し、支援していただきますようお願いしておきます。
 次に、JRについても伺います。
 JRも、ホームドアの整備率が低いということなんですけれども、この間の整備率、二〇一八年度末から二〇一九年度末でどのくらい整備率が伸びたか、お答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 JRにおけますホームドアの整備率は、平成三十年度末時点で二〇%、令和元年度末時点で二四%であり、この間、四ポイント伸びているところでございます。

○とや委員 なかなか進まないというのが現状ではないかなと思います。
 きょう私が特にお聞きしたいのが、JRの飯田橋駅であります。駅付近には文京盲学校がございます。私は常任委員会が文教委員会なので、文京盲学校の保護者の皆さんとはお話しする機会もよくあります。
 この駅は、以前は曲線半径が三百メートルのきついカーブがあったといわれています。停車すると、ホームの間に最大で三十三センチものすき間があって、段差は二十センチにも及ぶと。年間十件ほどの転落事故が発生していたともいわれております。文京盲学校の生徒さんは、一人で三回も落ちたという方もいらした。そうした中、ホームの位置が新宿寄りに二百メートルぐらい移設して、すき間は今回、大きくても十五センチぐらいですか、に縮まったというふうに聞いています。
 JRによれば、安全対策として、ホームを西側の直線区間に二百メートル移設して、大きなすき間を抜本的に解消しますとコマーシャルをされているんですけれども、やはり肝心のホームドアの設置がされていません。
 盲学校がありながら、ホームドアは何をおいても整備されなければいけないということで、保護者など関係者から強い要望が上がっていたのではないでしょうか。また、要望がある場合、それにどうお応えになっているのか、お答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 お話のとおり、保護者などの団体から都知事に対しまして、飯田橋駅についても要望がございます。それに対しまして、都は、引き続きホームドアの整備を進めるよう、事業者に対し働きかけていくなどの回答をいたしておるところでございます。

○とや委員 では、JRと、この駅の改修について、ホームドアの整備について話し合いはされたんでしょうか。した場合、どういう協議をしたのか、設置しない理由もお聞きになっているのかどうかなどをお答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 JRからは、飯田橋駅のホームドアの設置については、駅改良中の仮駅舎撤去後、設置する予定だと聞いているところでございます。

○とや委員 仮駅舎の撤去後に設置をする予定だということは、駅の責任者の方が、駅長さんかな、学校の方にも行かれて説明されたようですけれども、設置の時期は未定となっているというふうに聞いています。
 先日、文京盲学校の保護者の皆さんとともに、私、飯田橋の駅に行きました。ホームにも行ってみました。盲学校の生徒さんは、ホームからの転落の危険を避けるために、あそこは大江戸線も走っていますから、学校から遠い大江戸線をわざわざ利用しなければならないという子もいる。
 それから、同行支援事業があるんですが、これは通勤とか通学に子供たちが使うことはできません。だから、寄宿舎に入る生徒がいるんですけれども、寄宿舎にも課題があって、毎日泊まることはできないんです。だから、泊まらない日は、保護者やそれ以外の方が行き帰りの同行をしなきゃいけないという状況になっているわけです、危ないから。
 さらに、ホームは朝混雑しています、夕方もね。そうすると、子供たちは、弱視の子だとか白杖を持っている子供たちがいて、むしろ邪魔にされてしまうと。これでおっこちたらもう大変だと、命がけだというふうにお母さんたちはおっしゃっていました。
 盲学校の生徒が利用する駅に、改修の機会はもっと早くあったんじゃないかと思います。ところが、そのホームドアは設置していません。設置しないこと自体、私は大変問題だと考えます。都の認識をお聞きしておきたいと思います。
 さらに、昨年度の取り組みについてもあわせてお答えください。

○三木交通政策担当部長先端技術調整担当部長兼務 高齢者、障害のある方々を初めとして、誰もが生き生きと活躍できる社会を実現するためには、安心して快適に移動できる環境整備は不可欠でございます。鉄道利用者の安全を確保する上で、ホームドアの整備は重要なところでございます。
 昨年度は、障害者団体にヒアリングを行いまして、優先整備の考え方を取りまとめ、都内の全ての鉄道事業者に対し、鉄道駅のバリアフリー化のより一層の推進に向け積極的に取り組むように依頼いたしました。

○とや委員 依頼していただいたことはいいんですけれども、特に必要なところについては、特別な対策をとっていただきたいと申し上げておきます。高齢者や障害のある方を初めとした誰もが生き生きとした社会を実現するためには、安心して快適に移動できる環境整備は不可欠だと今おっしゃいました。
 今、文京盲学校の生徒たちは、安心して快適に移動できる状態にはありません。バリアフリーというのであれば、イの一番に整備する駅なんです。この学校は既に創立百年もたっているんです。百年間も待たせるのかということです。
 この日、私は飯田橋の駅の調査をした後に、千駄ケ谷、代々木とおりてみました。この二つの駅は既にホームドアがついています。千駄ケ谷はオリンピックの会場がある駅です。本当にきれいに改修されて、ホームドアもついていて、駅の柱の周りには、あれは多摩産材だと思うんですけれども、きれいな、周りを囲んだ飾りもついていました。とってもおしゃれになっていました。
 ところが、百年も盲学校の子供たちを待たせていると。一方で、オリ・パラ会場周辺駅ならほんの数年で改修してしまう。オリ・パラ会場の隣の駅は、盲学校の子供たちが通うのにホームドアもついていないとなれば、それは国際的に見たって、世界からも恥ずかしいといわざるを得ないわけですよ。世界からお客様を呼ぼうといっていて、その会場がある駅だけきれいならいいってものじゃないんですよ。
 私は、今回、この駅幾つか調べてみて、やっぱり東京都の姿勢だと思っています。この姿勢一つで、できるかできないか、進むか進まないかが決まっていくと思っています。本当に命を大切にする、バリアフリーの社会を目指すというのであれば、早急にホームドアを初め駅のバリアフリーを全ての駅で実現するよう強く求めて、この問題を終わらせていただきます。
 次に、都市計画公園・緑地の整備方針について伺っていきます。
 ヒートアイランド現象とか大気汚染、都市型水害、騒音等々による都市の生活環境悪化の問題だとか、あるいは緊急災害のときの避難場所や、最低限の水だとか食料の確保、また自然や緑の欠如が今顕著になっています。そこに起因する住環境の快適性の悪化もあって、あるいはまた子供たちの情操教育の場の欠如の問題、都市にはいろんな多くの問題があるというふうに思っています。こうした状況を解決する一つの手段として、公園の整備とか緑の創出が求められてきたのだと思います。
 東京都は、こうした中で、二〇〇六年に都市計画公園・緑地の整備方針を策定して、優先整備区域も定めてきております。
 この方針ですけれども、ことし七月に方針改定がされているんですが、都市整備局として、前年度、二〇一九年度には、関係区市町と改定のための検討を重ねてきております。
 まず、この改定の目的について伺っておきたいと思います。

○小野都市づくり政策部長 都市計画公園・緑地の整備方針の改定の目的でございますが、都市計画公園、緑地の事業進捗などを踏まえまして、重点的に整備すべき公園、緑地を整備促進し、水と緑あふれる東京の実現と災害に強い都市を構築することでございます。

○とや委員 水と緑あふれる東京の実現と災害に強い都市を構築するということであります。
 先ほども申し上げたんですけど、緑の持つ機能は本当にたくさんあって、水分の蒸散作用だとか、それで気象が緩和されたりとか、二酸化炭素の吸収あるいは固定による地球の温暖化防止などの環境を改善する機能だとか、火災の輻射熱を防ぐ、安全な避難場所を形成するなど、防災上の役割を果たす機能も持っています。それから、人の心に潤いや安らぎを与えると、そういう機能やレクリエーションの場ともなっています。多くの生物の生育場所として、命を育む機能もあるというふうに私は思っています。
 やはり私の地元なんですけれども、練馬区では、遊園地でありましたとしまえんを含む二十六・七ヘクタールが、練馬城址公園として一九五七年に都市計画決定されています。
 このとしまえんですけれども、遊園地であるんですが、たくさんの樹木が生えていて、自然がいっぱいだったんです。美しい桜並木だとか、さまざまな種類のアジサイも咲いていて、多くの区民の心を癒やしてきてくれました。百五十四種の植物、甲虫や蜂、トンボ、バッタなど六十五種の昆虫も確認できています。石神井川が真ん中に通っているんですけれども、そこでは、東京都のレッドデータに挙げられているハグロトンボも見られているというくらい、本当に豊かな自然を擁したところです。
 こうした区域を、東京都は二〇一一年、重点化を図るべき公園・緑地の改定で、冊子を拝見させていただいたんですけれども、通常は、重点化を図るべき公園に選定をされる、その後に優先整備区域となっていく。
 ところが、練馬城址公園は、一気に重点化を図るべき公園に選定され、さらに優先整備区域に設定がされています。このときの選定、そして区域設定の経過と理由を伺います。

○小野都市づくり政策部長 都市計画公園・緑地の整備方針の二〇一一年、平成二十三年十二月の改定におきましては、未曽有の被害をもたらしました東日本大震災を踏まえまして、防災の視点を重視しております。
 この中では、今後重点化を図るべき公園、緑地につきまして、防災、環境保全、レクリエーション、景観や魅力、この四つの視点と、水と緑のネットワークを形成する上での重要な位置づけといった重点化の視点を定めておりました。
 練馬城址公園につきましては、避難場所の確保など、特に防災に資する公園であることから選定しております。その上で、重点化を図るべき公園、緑地の中から、事業者が、区域の重要性と整備効果の面からさらなる検討を加えまして、総合的に評価して、優先整備区域を設定しております。

○とや委員 今の説明を聞いて、ここの練馬城址公園は非常に重要な公園として、区域として設定され、選定されてきたんだということであって、その背景は東日本大震災だということがわかりました。
 これは本当に重要な答弁だと思っているんですけれども、都市計画公園・緑地の整備方針の冊子、機能と役割から見た重点化の視点で、防災の項を読ませていただきました。
 そのページを見ると、まず、震災時の避難場所、避難路の確保、延焼の防止などが機能として挙げられています。まさに練馬城址公園は防災公園として位置づけられていますが、一方、この区域は民有地でありまして、遊園地も当時は営業していまして、防災公園として事業化するためには、土地所有者との協議なくして着手は不可能です。
 そこで伺っておきたいんですけれども、二〇一一年の優先整備区域設定のとき、土地所有者の西武鉄道と協議はされたのでしょうか。

○小野都市づくり政策部長 優先整備区域の設定は建設局が行っておりまして、都市整備局は土地所有者との協議は行っておりません。

○とや委員 優先整備区域の設定は建設局が行うと。ですから、当時は建設局が事業者と協議を行った上で指定されて、今日に至っていると理解をいたします。
 では、もう一つお聞きします。区市町との協議についてですけれども、二〇一九年度中は、この整備方針の改定に向けて、各区市町との検討が行われてきたと思いますが、どうでしょうか。

○小野都市づくり政策部長 都市計画公園・緑地の整備方針は、都と区市町合同で検討を行い、改定を行ったものでございます。
 都は、平成三十年十二月から本年六月までの間、計八回にわたり区市町との会議を開催しております。このうち、二〇一九年、令和元年度中は五回開催しております。

○とや委員 八回の五回だということで、かなり綿密に協議を重ねられたということがわかりました。
 住民に一番身近な地元の自治体は、特に災害時に避難所だとか避難場所の運営、あるいは地元町会や自治会と合同で避難訓練などを行ってきているわけで、としまえんの閉園を惜しむ人は多いんですけれども、近くに防災機能を備えた公園が整備されれば、近隣住民の皆さんに、歓迎するという声も多いというのも私も実態として聞いています。
 そこでお聞きしたいんですけれども、この改定時に練馬区とはどういう協議を行ったのか、行った場合、その内容についてお答えください。

○小野都市づくり政策部長 都市計画公園・緑地の整備方針につきましては、練馬区も含めまして、都と区市町合同で検討を行い、改定を行ったものでございます。
 具体的には、今後十年間で優先的に整備する公園に関する考え方や、優先整備区域外の事業方針や建築制限の緩和などについて検討を行っております。

○とや委員 練馬区とも、優先整備区域以外の建築制限の緩和などについても行ったということです。
 誰も知っていることなんですけれども、今後、三十年以内に南関東でマグニチュード七クラスの地震が起こる確率が七〇%と。震災などで火災発生時に避難できる広い空間を確保するのは、都市においても非常に困難になっているもとで、練馬は比較的農地も多いんですけれども、まとまった土地というと、やはりなかなかない。そういう中で、二十六・七ヘクタールぐらいある、その土地の中で二十二ヘクタールが優先整備区域に設定されるというのは、非常に歓迎すべきことだと思うんですけれども、今後、これからも都市整備局として避難場所を拡大する方針はお持ちでしょうか。

○鈴木防災都市づくり担当部長 都は、震災対策条例に基づきまして、区部にて震災時火災におけます避難場所の指定を行っております。
 平成三十年に行いました最新の避難場所指定では、都立公園等の整備、公営住宅の建てかえ、市街地再開発事業などにより、指定箇所は二百十三カ所まで増加しております。
 昨年度改定いたしました防災都市づくり推進計画の基本方針では、今後とも、公共事業等により整備された大規模なオープンスペースのうち、新規に指定、拡大する避難場所としての要件を満たした場所を指定していくこととしております。

○とや委員 大規模なオープンスペースのうち、避難場所としての要件を満たした場所を指定していくということです。拡大していくというふうにお聞きしました。
 ところが、この拡大する方針がありながら、練馬城址公園の区域ですが、既にとしまえんは八月末で閉園しているわけですが、その後の活用として、約半分の面積九・三ヘクタールぐらいなんですが、民間事業者による事業で防災機能が長い間制限されることが懸念されます。
 今おっしゃったように、防災機能の強化や避難場所の面積を拡大する方針を持っていると、都として。優先整備区域が他の事業者によって制限される場合、東京都はどういうふうにお考えになりますか。

○小野都市づくり政策部長 都市計画公園区域内において行われます建築行為は、都市計画法第五十四条に基づき、将来の公園事業に支障とならない範囲で認められております。事業化までの間の避難場所の機能につきましては、別途、関係者において協議され、適切に対応されるものと認識しております。

○とや委員 適切に対応されるということですけれども、避難場所について、私もこの練馬城址公園の問題を調べていく中で避難場所について学んだんですが、地震火災から住民の生命を守るために、火災が鎮火するまで待つ場所として指定する場所だということです。三方向が市街地火災となった場合には、避難場所内での移動に制約が生じることもあるから、最低面積を五ヘクタール以上だと。指定される条件から見ると、どこでもよいというわけにはいかないということがわかりました。そういった意味で優先整備区域であり、防災機能の強化を方針とした練馬城址公園の整備が非常に重要です。
 ご答弁だと、都市計画法五十四条に基づき公園事業に支障とならない範囲だと、そして適切に対応されるということですが、実際、ここの区域は、民間事業者が三十年間は事業をしていって、さらに公園としての整備はできないと、その区域はですね。ですから、防災機能についても、ここの区域についてはどうなるかわからないというのが実態です。
 そこでお聞きしておきたいんですが、そもそも優先整備区域に設定されている練馬城址公園、避難場所になっているけれども、いつから避難場所だったのか。当初、避難場所に指定する際、どのような手順を踏んできたのか。また、今もう既に工事中になっているわけですが、支障はあるのかないのか、お答えください。

○鈴木防災都市づくり担当部長 震災時火災におけます避難場所は、おおむね五年ごとに指定の見直しを行っております。
 練馬城址公園は、としまえんという名前の避難場所でございますが、平成四年五月から避難場所に指定され、以降、毎回指定されている状況でございます。
 避難場所に指定した際の手順でございますが、都が地元区の意向を確認しながら、避難場所となり得る大規模なオープンスペースを調査し、学識経験者の助言をいただくなどしながら、その安全性を確認いたしました。その上で、地元区とともに土地所有者や施設管理者と協議し、避難場所として指定したものでございます。
 なお、現在、解体工事中でございますが、避難場所としての必要な機能は確保されると伺っております。

○とや委員 区の意向も確認して調査して、大規模なオープンスペースを調査すると。学識経験者の助言もあって、ようやく避難場所として指定をされるわけです。これは本当に大変な手順を踏んで、皆さんが調査しながら、避難場所を指定されたんだなということが、私もお話を聞く中でわかりました。
 さらに、事業者の協力もあって維持されて、今、練馬城址公園の二十二ヘクタールは、近隣住民六万三千六百六十九人の避難場所になっていて、一人当たり一・五三平米が確保されているわけです。
 都の避難場所選定の考え方では、先ほど、解体工事中だけれども、避難場所としての必要な機能は確保されていると聞いているということでした。
 でも、避難場所選定の考え方、これは都が発行している冊子ですけど、工事中の区域は原則として利用可能率ゼロ%だと。それはなぜかというと、塀などで囲まれて、段差や住居及び建築資材等があって、避難することが難しい状況があると考えられるからと解説がされているわけです。
 機能は維持されると聞いているといっていますけれども、誰から聞いたのか、そして何を根拠に確保されているといえるんでしょうか。

○鈴木防災都市づくり担当部長 先ほどの答弁のとおりでございますけれども、当地区につきましては、安全性を確認した上で、地元区とともに土地所有者や施設管理者と協議して指定したものでございます。
 現在、解体工事中でございますが、避難場所として必要な機能は確保されるものとお聞きしているところでございます。

○とや委員 としまえんはアトラクションがあって、今回整備される九・三ヘクタールの場所は、平たんで一番いい場所なんですよ。ですから、避難場所として指定される際に、一番大きくとる面積がその場所なんです。そこが今工事中になっていて、解説書ではゼロ%になっているにもかかわらず、必要な機能が確保されるというふうになっているわけです。
 今の部長の答弁ですと、これまで避難場所として確保された経過をお答えになったんだけれども、なぜ今回、工事中であったとしても避難場所としての機能が確保されるかということについては、お答えになっていただいていません。そして、誰から聞いたのかということもお答えいただいていません。もう一度明確にお答えいただけませんか。これはすごく大事なことで、皆さん心配しているのでお願いします。

○鈴木防災都市づくり担当部長 改めて先ほどの答弁を繰り返すことになりますが、当地区は、地元区とともに土地所有者や施設管理者と協議した上で、避難場所として指定したものでございます。
 なお、としまえんが閉園いたしまして、練馬城址公園の計画が具体的になったのは、今年度に入ってからでございますけれども、令和二年度に入って以降、それから今後の手続につきましても、関係者間で適切に対応していくものとお聞きしているところでございます。
   〔発言する者あり〕

○小松委員長 少し静かにしてもらっていいですか。

○とや委員 この話は今年度に入ってからじゃありませんよ。もっと前からですよ。それはまた金曜日にやりますけれどもね。過去こういうふうにやっていたから大丈夫なんだということでは済まされない問題であって、今もう重機が入っていて、アトラクションが解体作業に入っている。非常に危ないと。
 私、実は五日ぐらい前に西武本社に行ってきました。その際に、それは伐採計画がある中で、何とかその区域にある緑を守ってほしいという方と一緒に行ったんですけれども、伐採樹木を選定したり、あるいは守りたいから、ちょっとでも見たいということでも、だめなわけですよ、入れないんですよ。それが必要な機能が確保されているというのはおかしいじゃないかなと思うわけです。
 避難場所というのは、防災公園というのは、壁もなくてどこからでも入れるという、そういうところが避難場所であり、防災公園じゃないかと思うわけです。壁に囲まれていて、夜だとか火災があったときにすぐに対応できると思えないんですよね。
 ですから、そこについては、もう次に行きますけれども、必要な機能を確保されるというのであれば、きちんと根拠を示せるように関係部局とも話をしていただきたい。
 それはなぜかというと、避難場所を指定したのは都市整備局の部局だからです。解除するとしても、それは都市整備局がやらなきゃいけないわけですよね、地元区と協議しながら。ですから、非常に重要な問題だということを認識していただきたいと思っています。これはこれで終わります。ありがとうございました。
 次に、羽田の新ルート問題について伺いたいと思います。
 先ほども新ルートのお話がありました。羽田の空港の国際線をさらに拡大したいということで、これまで原則飛行しないとしていた都心上空の低空飛行を解禁して、学校や保育園、福祉施設、先ほどは、コンビナートだったか上空を通ると、そういう住宅などが密集する都心の真上を巨大旅客機が超低空で飛行する新ルートであります。これまで飛行していた三区に加えて、新宿区や渋谷区、港区、目黒区、品川区、そして練馬区など十区も加わっています。非常に心配をする声が寄せられています。
 固定化回避だということで、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を六月に設置しているわけですけれども、この検討会は、はっきりいって看板に偽りがあって、検討会名に羽田新経路の固定化回避と名づけられていますけれども、実は新ルートそのものを見直すことは対象とされていないということが、今回、第三回定例会の私どもの代表質問でも明らかになっています。その上で、どうしたら都民の命や暮らしや安全、健康を守れるかということが問われていると思います。
 練馬は、海に近い方から比べれば高度は高いんですけれども、ルートが三ルートあって、高度でいえば九百メートルから千三百五十メートル、騒音値でいえば、ルート直下で六十六デシベルから七十デシベル、通過機数でいえば、時間でいえば四十四便ぐらいなんです。それでも、住民の皆さんからいろんな苦情が寄せられています。
 そこでお聞きしておきたいんですけれども、昨年七月三十日に開催された羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会、これは第一回なんですが、配布された資料で、練馬区からは航空機騒音についてどのような要望が出されていたか、お答えください。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 昨年七月の都及び関係区市連絡会におきまして、練馬区は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、安全を確保した上での羽田空港の機能強化は、東京の国際競争力を高めるとともに、多くの観光客の誘致、都民の利便性を向上する上で必要なことであると考えているが、区民に対する丁寧な説明、落下物対策及び騒音対策の徹底、飛行開始後の対応の三点について要望しております。
 このうち、騒音対策といたしましては、国が低騒音機導入促進や到着経路の高度引き上げなどにより、騒音の軽減に努めるとしており、これら騒音対策を確実に実施すること、また、今後もさらなる対策の強化に努めることを要望しております。

○とや委員 当然のことなんですけれども、落下物とか騒音に対して懸念の声が寄せられていたわけですけれども、では都は、どのような対策をとってきたんでしょうか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 昨年八月に国が開催いたしました首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会におきまして、都は国に対し、情報提供や騒音、安全対策などに関する関係区市の意見を伝えるとともに、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や対策の着実な実施を要請するなど、対応を行っております。

○とや委員 この間、東京都に寄せられた声のうち、健康被害というのがあるんですが、これはどういうものをいうのでしょうか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 国が実機飛行確認を開始いたしました本年一月三十日から、新飛行経路の運用開始直前の三月二十八日までに都に寄せられた意見のうち、健康被害につきましては、航空機の音がうるさくて健康被害にもつながるなどの意見がございました。

○とや委員 さきの第三回定例会で、我が党の大山都議の代表質問でも取り上げましたが、私どもの品川区議団のアンケートにも、窓をあけていたらうるさ過ぎてテレビの音も聞こえない、ストレスがたまる、せっかく手に入れた閑静な住環境が損なわれている、十五時以降のジェット音を聞くたびにいらいらする、いらいらして心が痛む、家の中で窓を閉めていても響く、物すごい音に心臓がどきどきして心が休まらない、今でさえ騒音がひどい、ストレスになるといった、騒音によるストレスを訴える回答が繰り返し寄せられております。単にうるさいということでなく、健康を害する被害だということです。
 きょうは、騒音に焦点を当てて質疑をさせていただくんですが、アンケートからは、そのほかにも、目視で機体の細部まで見られるほどの低空で飛んでおり、圧迫感と心労が物すごいとか、かなり低空で飛ぶ会社もあり恐怖を感じる、高層ビルのすぐ横やすぐ真上を、そういうふうに見えるんですね、あの大きな物体が通過するときは危ないと恐怖心を持ってしまいますと。たとえ数時間であったとしても、あの大きな物体が毎日横切っているのは心理的にかなりの負担など、大きな航空機が低空で飛ぶこと自体に恐怖感や圧迫感を感じている人がたくさんいることが明らかになっています。そのことも一言つけ加えておきたいと思います。
 この騒音の健康被害の問題で、二〇一八年十月に公表された欧州WHO環境騒音ガイドラインでは、航空機騒音の健康影響とその対策について、結論として何と勧告をしているでしょうか。
 また、その具体的な中身として、新ルートの飛行時間帯に重なる夕方や夜の時間帯に重みをつけた時間帯補正等価騒音レベル、Ldenですね、Ldenの値で何デシベルを下回ることを強く要請していますか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 WHO環境騒音ガイドライン欧州の基準はございますが、日本では、環境省の環境基準が平成十九年に告示され、平成二十五年から適用開始されております。
 環境基準は、地域類型としてⅠとⅡに分かれておりまして、主に住居地域が該当する地域類型Ⅰが五十七デシベル以下、主に商業地域が該当する地域類型Ⅱが六十二デシベル以下でございまして、いずれも年平均のLdenの値でございます。

○とや委員 私が聞いたのは、WHOの環境騒音ガイドラインの基準であります。日本の環境基準を聞いたわけではありません。私、これきょう持ってきているんですから、渡して読んでもらいたい。事実を聞いているだけなのに全く答えないと。全く答えないで全く違うことを答えるというのは、本当に不誠実だといわなければなりません。
 欧州WHOガイドラインは、航空機騒音によって虚血性心疾患、狭心症や心筋梗塞などのリスクが上昇します。アノイアンス--騒音による不快感や迷惑感、悩ましさなどを総称する概念ですが、これを感じる人が一定数出現することを指摘しています。先ほど紹介したアンケートに寄せられた声が何よりの証左だといえます。
 その上で、健康影響や睡眠影響対策、いずれに関しても強い勧告を行っている。Ldenの値を四十五デシベルを下回ることを強く要請しているわけです。
 このガイドラインにおける強い勧告には、ちゃんと定義が与えられていて、大抵の場合、政策としてそのまま採用できると。さらに、この勧告を遵守することによる望ましい影響が望ましくない影響よりも重要であるという確実性に基づく、このように強調されています。
 そこでお聞きしておきたいんですが、都の測定値でLdenの値はどうなっていますか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 環境局は、実機飛行期間中に羽田空港の新飛行経路の飛行に伴う航空機騒音モニタリングを実施しております。
 なお、日本の環境基準は年平均のLdenの値でございます。

○とや委員 ここも、誰でも見ることができる事実を聞いているだけなのに、それすら答えないと。本当におかしいんじゃないかなと思います。
 環境局が行っている一月、二月の実機飛行と三月末からの新ルート運用開始後のモニタリング結果を見ますと、例えば品川の東京都中央卸売市場食肉市場の測定ポイントでは、測定日百二十日間のうち、Ldenの値が四十五デシベルを下回ったのは一日もありません。また、渋谷区立千駄谷小学校のポイントでも、百二十日間のうち下回ったのは四分の一、三十一日間だけです。品川区の八潮学園のポイントでも、これは六月までの六十五日間だけですが、やはり四分の一の十六日間だけなんですよ。これは本当に問題だと思うんですが、今、私がいった実態はご存じですか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 先ほどご答弁させていただきましたとおり、環境局は航空機騒音のモニタリングを実施しております。
 なお、日本の環境基準は年平均のLdenでございます。

○とや委員 今、私が説明した実態を知らないんでしょうか。知っているか知らないかでお答えください。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 環境局は航空機騒音のモニタリングを実施しております。

○とや委員 いいたくないんですね、知っていても。
 学校はいうに及びませんけれども、食肉市場の測定ポイントのそばには、地上四十三階のタワーマンションもあるということです。この先、飛行機が飛ぶたびに、そこで生活する人が健康被害のリスクにさらされるということであります。
 東京都自身のLdenの測定結果、そして欧州WHO環境ガイドラインの強い勧告、そして何より、都民からの健康被害を訴える声を深刻に受けとめるべきではないでしょうか。お答えください。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 WHO環境騒音ガイドライン欧州の基準はございますが、日本では環境省の環境基準が適用されております。
 都といたしましては、都民の皆様などにさまざまなご意見があることは承知しておりまして、これまでも国に対し、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めてきているところでございます。

○とや委員 もしそう思うんであれば、WHOの基準をちゃんと採用して、国にも意見をいうべきだと私は思いますね。
 このWHO環境騒音ガイドラインの概要をまとめた北海道大学大学院工学研究院の松井利仁教授、それから田鎖順太助教授は、概要の中で何といっているかと。我が国の環境基準は、住民の健康保護の観点で極めて危険な値に設定されている、騒音によるさまざまな健康影響を示す科学的知見に基づくガイドラインが公表されたことを受け、我が国の騒音政策は、その大幅な修正が求められていると警告をしています。
 東京都は、国に先駆けてでも、こうした意見に耳を傾けるべきだと考えます。
 そして、新ルートを続ける限り、騒音を減らしてLdenの値を下げることは不可能です。新ルートをきっぱり中止するしかないということを申し上げておきます。
 さらに、もう一つお聞きしておきたいんですが、先日、我が党の宮本徹衆議院議員が、国土交通省、防衛省両省に回答を求めたところ、羽田空港の新ルートを自衛隊機が飛行していることが判明しました。これは、もともとは港区のある住民団体の会員が目視活動を続ける中で、七月十三日に確認して写真を撮影していたものです。
 そこで、都にもお聞きしておきたいんですが、羽田新ルートにおいて、自衛隊機や米軍機が飛行することは可能でしょうか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 国からは、飛行経路の運用につきまして適切に行われていると聞いております。

○とや委員 米軍機も含めて否定はされていないということです。
 では、さらにお聞きしたいんですが、今回、国が七月十三日に飛行を認めたのは、自衛隊の輸送機だったわけですが、戦闘機が羽田新ルートを飛行することも可能でしょうか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 安全保障にかかわることは、国の専管事項でございます。

○とや委員 ここについても否定するお答えがなかったと。
 ではさらに聞きます。新ルートを飛ぶ自衛隊機や米軍機の装備品などのチェックは、どのように行われていますか。

○新谷航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 安全保障にかかわることは、国の専管事項でございます。

○とや委員 全部国の専管事項で片づけてしまう。専管事項であったとしても、都心上空の低空飛行で、自衛隊機が飛んだり、戦闘機が新ルートを使うということになれば、東京都の責任も問われると思いますよ。そういう人ごとでは済まされない問題だと思います。
 国は、自衛隊機は、国が行っている部品欠陥の報告制度や、羽田空港での機体チェックの対象とされていないと答えているわけです。要するに旅客機はチェックはできるけれども、自衛隊機だとか戦闘機だとかのチェックはできないということになってしまって、都民の安全性の確認はここでもできないと。非常に危ないというふうにいわなければなりません。
 民間機だけでもこれだけ大きな問題を引き起こしている新ルートを、さらに自衛隊機や米軍機が飛ぶなどということは、到底容認できません。
 東京都も、今回我が党が明らかにしたことで、初めて新ルートを自衛隊機が飛ぶことがあるということを認識されたのではないかと思います、知らなかったからね。国は重要なことを東京都に伝えていなかったということになります。それへの抗議も含めて、ぜひ国に対して、自衛隊機とか米軍機による新ルート飛行の中止を求めるよう強く求めておきます。
 国際線の減便も続いています。先ほどご答弁ありました。国際線については九割、国内線が三割から四割減だということですが、JALでいうと、先日、十一月から来年一月にかけての国際線の減便率を発表しています。少し改善されたとはいえ、なお七八%の減便です。当面、新ルートを急ぐ必要はありません。
 また、長期的に見ても、例えばANAの片野坂社長は、日経新聞のインタビュー記事に、国際線の回復には数年単位の時間が必要だろうと答えております。
 こうした点から考えても、羽田新ルートは大もとから見直すべき、中止すべきだと申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○原田委員 まず、住宅耐震についてお聞きします。
 いつ起きてもおかしくない首都直下地震。阪神・淡路大震災においては、犠牲者のうちの約八割以上が住宅等の倒壊による圧死、住宅等の耐震化を推進することにより、犠牲者を大幅に減らすことが可能といっているのは内閣府です。
 住宅耐震の重要性についての都としての認識をまず伺います。

○青木耐震化推進担当部長 首都直下地震の発生が懸念される東京におきましては、建築物の耐震化は喫緊の課題です。
 住宅の耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し、備えることが不可欠であり、都は、所有者の主体的な取り組みを促すよう積極的な働きかけを行う区市町村の取り組みを後押ししています。
 地震による住宅の倒壊を防ぐことは、居住者の生命と財産を守ることだけでなく、都市の防災力の向上にもつながると認識しています。

○原田委員 建築物の耐震化は、住宅の耐震化は喫緊の課題との強い姿勢が答弁されましたので、改めて資料に基づいてお聞きします。
 令和元年度の住宅耐震化助成事業の予算額に対して、利用した件数と執行額を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 当初予算額約三億六千六百万円に対して、耐震診断、補強設計、耐震改修等を合わせて九百五十八件、約一億九百万円を執行しました。

○原田委員 当初予算で約三億円が当該年度の実績は一億円と、二億円は不用額と。都市整備局が喫緊の課題と認識しているにしては、まず三億円の予算が余りにも少ないと。しかも実績は一億円と予算の三分の一と。耐震診断、改修合わせて九百五十八件とありましたけど、耐震診断が六百十七件、耐震改修が三百四十一件、合わせて九百五十八件です。ですから、耐震補強が行われたのは三百四十一件なんですね。余りにも小規模といわざるを得ません。
 資料を見ますと、平成三十年に整備区域外の戸建て住宅などにも助成の範囲を拡大したところ、実績は上がっているようです。国交省に昨年お聞きしていたのですが、こういっているんですね。耐震補強の難しさは、やろうと思っている人は大体終わっているということ、今、未改修のまま残っている方は経済的に苦しい方や高齢者であり、かなりハードルがある、そう語っておられました。
 東京都が喫緊の課題としつつ、予算三億円、一件当たり二十五万円しか東京都としては助成していない現状を見てお聞きしますが、住宅耐震化助成事業の補助率などを上げれば、さらなる効果が期待できると思うんですけれども、都の見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 住宅の耐震化を促進するためには、所有者がみずからの問題として認識し、備えることが不可欠であり、費用負担の軽減に加え、所有者が主体的に取り組むよう働きかけることが重要です。
 都は、既に所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象に、耐震診断や改修等に対する助成などを実施しています。また、アドバイザーを派遣するなどにより、住宅の所有者への働きかけを行う区市町村の取り組みを支援しています。
 引き続き必要な支援を行ってまいります。

○原田委員 確かに長い目で見ると、助成の制度というのは発展してきたと、長い目で見るといえると思うんですけど、喫緊の課題ですからね、何といっても。
 みずからの問題といいますけど、国交省の方がおっしゃっていたように、耐震補強は貧しい人や高齢者には厳しい金額なんですよ。気持ちがあっても手が出ない。そういうときのために政治があるんですよね。迫りくる大震災に備えた住宅耐震の問題で、自己責任を強調する答弁は、他の自治体の動向からしても都の信頼に傷がつくんじゃないでしょうか。
 内閣府はこういっていまして、震災後、倒壊した住宅の瓦れき処理も大きな問題だとしまして、神戸市の例ですが、阪神・淡路大震災では一棟当たり約三百三十万円を投入したというんですね。どうしても耐震補強に手の届かない都民に対して、もう数十万円の助成をすることで都民の命を救い、三百万円を超える震災後の支出がなくなると考えると、私はこういうのをワイズスペンディングというんじゃないのかなというふうに思ったりもするわけです。
 個人だけではありません。自治体にだって、予算に余裕のあるところ、ないところがあるわけです。二十三区でも補助のあり方に差がありますが、中には助成制度がない自治体もあります。こうした自治体の規模についても、自己責任とすることが本当に正しいのでしょうか。
 お聞きしますが、都内の自治体ごとに制度のむらがある事態を都としてはどう総括していますか。
   〔「決算だろう。予算でやった方がいいよ」と呼ぶ者あり〕

○青木耐震化推進担当部長 都は、整備地域や所有者への積極的な働きかけなどを行う区市町村を対象として、耐震改修などへの助成を支援しています。助成の対象や額などは、まずは区市町村が地域の実情に応じて主体的に定めています。
 都としましては、各区市町村の助成制度の内容について一覧にまとめ、情報共有を図っています。

○原田委員 今回請求した資料に基づいて、極めて助成の実態が進んでいない、そのことに基づいて制度のあり方について問うていますので、決算審議にはなじむのかなというふうに思っています。
 積極的な区市町村を支援といいますけれども、制度がない自治体が本当にやる気のない自治体だといえるんでしょうか。都民の命にかかわる問題で、自治体ごとの自己責任などとしていては、広域自治体としての使命が問われると思います。
 高知は、まさに広域自治体としてのリーダーシップを発揮し、住宅耐震補強を進めてきました。東京の場合、かかった金額の八割までを補助する制度ですが、高知県は定額で九十二万五千円としているため、安価な工法を用いれば負担がなくなるという特徴があります。これは、同じく住宅耐震が進んでいる静岡県も同様です。高知の場合は、しかも県が率先して安価な耐震工法の開発を推奨し、それを住民に勧めています。これなら住宅耐震も進むはずなんですよね。
 住宅耐震化事業は、区市町と連携し、定額補助制度を検討すべきだと、私は今回の当該年度の資料を見ても思うんですけれども、都の認識を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 都内の戸建て住宅等の所有者ごとの実情により、あるいは改修の方法または規模の大小さまざまでありますことから、定額制では公平性を欠く可能性があると考えています。
 そのため、都は従来どおり、区市町村に対して定率制により補助を行っています。

○原田委員 住宅耐震を半ば公共事業として取り組む他の自治体と比べ、東京の場合は、個人の責任を強調し過ぎているんじゃないでしょうか。大震災が来て多くの家屋が倒壊すれば、都民の命が奪われ、都は活力を失い、より多くの経費を要することになるということをしっかりと考えなくてはいけません。
 さて、住宅耐震基本計画の改定も待たれていますが、計画を立てる上でも重要な耐震化率についてお聞きしたいと思います。
 まず、耐震化率のそもそも算出方法について伺います。

○青木耐震化推進担当部長 都における住宅の耐震化率については、五年ごとに実施されます住宅・土地統計調査を踏まえた国の推計に基づいて算出しています。

○原田委員 今の答弁、ここには二つの問題があると考えます。
 一つには、耐震化率の算出は、現在、実態調査ではなく統計調査を踏まえて国の推計に基づいて算出している、計算で出しているということなんですね。つまり、建物の入れかわりのデータを用いているため、放っておいても年に一%弱は耐震化率がふえていくんですね。
 もう一つの問題は、算出のデータでもある住宅・土地統計調査が五年に一回しかないので、このデータは五年に一回しか更新されないんです。これでは、私、まともな耐震化率が見えてこないじゃないかと思うんです。
 当該年度の都内の戸建住宅の数について伺います。

○青木耐震化推進担当部長 平成三十年度になりますけれども、住宅・土地統計調査において、東京都における一戸建ての住宅数につきましては約百八十二万戸とされています。

○原田委員 つまり、この耐震化率が年に一%弱ぐらい上がっていきますよと。そうすると、百八十二万戸の一%弱というと一万八千戸なんですよね。
 きょうもらった資料、当該年度を見ますと、三百四十一件の耐震補強ですから、はっきりいって住宅耐震助成をどんなに頑張っても、実はなかなか耐震化率というのに影響しないと。これは正直、現場もモチベーションが上がらないんじゃないかなと思うんですよね。
 ただ、実際に耐震化を、補強をやれば人の命は助かっていきます。これはどうやったらデータに反映されるのかなと、私、本当に思うんですよね。ちゃんと反映されないといけないなと、皆さんのお仕事が。
 当該年度、住宅の耐震化率はどのくらい伸びたのか伺います。

○青木耐震化推進担当部長 現在、東京都耐震改修促進計画の改定に向けまして、住宅の耐震化率などについて推計を行っているところでございます。

○原田委員 それはそうなんですよね。済みません。五年に一回の統計調査ですから、決算ごとの数字が出てこないわけですから、本当にこれでいいのかなと。本気の実態調査が必要ではないかと指摘するものです。
 住宅耐震の分野では、八一〇〇問題ということがいわれていました。八一〇〇問題。一九八一年から新耐震基準が設けられ、多くの自治体は、それ以前の旧耐震で建てられた建物に補助制度を設けているわけです。ところが、二〇〇〇年に、新耐震基準の建物でも金具を使わねばならない等の改定がありまして、一九八一年から二〇〇〇年の間に建てられた家は危険性があるんじゃないかといわれてきているわけです。これが八一〇〇問題です。
 私の地元杉並区では、新耐震基準の建物の診断と耐震補強に助成しています。このほどデータをもらってきたのですが、当該年度で見ますと六十六件の診断がありました。それに対して実に二十一件の耐震改修が行われたわけです。新耐震の建物ですよ。三分の一が耐震基準に満たなくて耐震改修に持ち込まれたと。しかも、お金がないからできなかったという人もいるでしょうから、かなりの数なんじゃないかなと。新耐震基準の八一〇〇建物で、実は耐震基準に満たっていないもの、かなりあるんじゃないかなと。八一〇〇住宅の中には、少なからず震災時倒壊危険性の高い建物が存在しているようです。
 お聞きしますが、新耐震基準の建物でも耐震基準に満たない建物があることがわかりました。こうした事態を都として認識していましたか。また、そうした問題点についての見解を伺います。

○青木耐震化推進担当部長 熊本地震では、新耐震基準の木造建築物の中でも、ご指摘のとおり平成十二年以前の建築物の一部で倒壊等の被害があったことから、国は、所有者みずからが構造上の弱点となる接合部の安全点検を行うことを推奨しています。
 これを踏まえ、都としましても、平成十二年以前に建築された新耐震基準の木造住宅では、所有者による安全点検を行うよう促していくことが必要であると認識しています。

○原田委員 問題は認識しているとのことでした。
 こうした事態に気づいて、積極的に住宅耐震に取り組んでいるのが杉並区なわけですが、新耐震基準建物の診断と耐震補強は区の自腹で行っているのが実態です。
 そこでお聞きしますが、新耐震基準の建築物の診断と耐震補強にも助成制度が必要と考えますが、いかがか。

○青木耐震化推進担当部長 都は、法に基づき国が定めた基本的な方針などに即して、旧耐震基準の木造住宅などを対象として補助を実施しています。

○原田委員 都民の命を直接守り、震災後の支出を大幅に減らす効果まで持つ住宅耐震に対して、多くの自治体が立ち上がっています。独自に補助金を引き上げるところや、新耐震建築物の耐震補強にも自腹を切る自治体もあります。
 そのような中、東京都がどんどんと予算も実績も減らし、平成三十年度九億円の予算が、当該年度の予算は約三億円に落ち込むと、三分の一に予算の段階で落ち込むと。実績は一億円と。喫緊の課題というふうにふさわしい規模への発展が、この制度の発展が求められています。
 一方で、当該年度に杉並で強引に進められている都市計画道路一三二号線は、たった一キロほどの歩道拡幅に防災とかいろんな言葉をつけて二百億円を、たった一キロですよ、二百億円をはるかに超える予算がつぎ込まれようとしていると。こうした都政のちぐはぐを見ますと、ワイズスペンディングとは一体何のことなのかなって、私は考えさせられちゃうんですよね。住宅耐震制度の改善を改めて強く訴えて、この項の質問を終わります。
 次に、渋谷ステップアップ・プロジェクトについてお聞きします。
 平成二十七年に解体が行われた渋谷区の東京都児童会館の跡地を、都市再生ステップアップ・プロジェクトの制度によって、渋谷区の区有地を合わせて一体的に整備する方向性が打ち出されています。当該年度、このプロジェクトの事業アドバイザリー業務委託が行われました。
 そこでお聞きします。令和元年度、都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷区役所仮庁舎跡地事業アドバイザリー業務委託について、入札者と入札金額、落札者と落札金額をお答えください。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 昨年度の都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)渋谷区役所仮庁舎跡地事業アドバイザリー業務委託の入札者と入札金額につきましては、株式会社タカハ都市科学研究所が四十五万円、株式会社日本総合研究所が四百五十二万円、八千代エンジニヤリング株式会社が二千七百八十三万円で入札し、一般財団法人日本不動産研究所は辞退をいたしました。
 落札者と落札金額は、株式会社タカハ都市科学研究所で税込み四十九万五千円でございます。

○原田委員 この委託の業務は、都有地と区有地を合わせた共同開発事業について、都区の方針及び協議内容を踏まえ、事業内容の検討、都区事業協定案、事業実施方針案と事業者募集要項案の作成、審査委員会の運営とそれらに必要な検討及び運営、法律、財務、不動産等の専門的見地から、検討、助言を行うことを目的としています。
 行政事務にも強くて、法律、不動産等の専門的知見が必要とされるアドバイザリー業務ですから、資料の二〇ページの入札経過を見ますと、二千七百万円と見積もった事業者があったと。それから比較すると、よほど頑張った価格といえるんでしょうか、四百五十万円で入札した業者もいたと。しかし、落札額は常識の枠を超えて四十五万円だと。金額からすれば専門家の人件費を賄うことは不可能です。
 そこでお聞きします。工事契約であれば、低入札価格調査制度や最低制限価格が設けられていますが、業務委託にはこのような制度がないことについて、率直にいってこれほどの低入札を前に不安を覚えますが、都の認識を伺います。

○木村総務部長 法令及び東京都の契約制度に基づき適正に契約事務を執行しておりまして、入札結果において問題はないものと考えております。

○原田委員 仕様書を見る限りは、今回の落札額ででき得る業務ではないと推察されますが、落札者への聞き取りは行ったのか伺います。
 また、低価格で業務を遂行できるとした理由はどのようなものとして了承したのかも伺います。

○朝山市街地整備部長選手村担当部長兼務 落札者には、契約に当たりましてヒアリングを行い、入札金額や仕様書内容等について錯誤がないことを確認いたしました。
 今ほど総務部長がお答えしたとおり、法令及び東京都の契約制度に基づき適正に契約事務を執行しており、入札結果において問題はないものと考えてございます。

○原田委員 当業務に当たる人件費は、事業者のほぼ自腹になると考えられますが、それでも落札した理由は聞いたということでいいですね。その理由は納得のいく問題のない理由だったと受け取っていいと受けとめました。
 渋谷区では、宮下公園が立体都市公園の制度が悪用され、区立公園がショッピングモールとホテルの中につくられ、これらの民間施設に都合よくぜいたくな空間整備に取り込まれてしまったと。そのため、渋谷駅前の喧騒を逃れる、ある意味で区民の疲れた心と体を癒やす隠れ家的な場所でありスポーツの場でもあった宮下公園は、その機能が失われました。
 住民の落胆は大きいものがあったわけですが、今回、渋谷ステップアップ・プロジェクトについては区立公園の敷地が含まれており、期待というよりも、開発行為に都合のいいように、その敷地や空間が搾取されてしまうのではないかと不安の声が上がっています。ですので、この計画は今後も注視をしてまいりたいと思います。
 最後に、総合治水対策についてお聞きします。
 雨水流出抑制について、我が党都議団は、この間、透水性舗装や浸透トレンチ管など、下水への雨水流出抑制に対する都の市区町村支援拡充を求めてまいりました。これらの施策は、集中豪雨の下水への集中を緩和する機能を持つと同時に、もともとはヒートアイランド現象の緩和策として実践されてきた施策です。現在では、都市の緑化の重要な資源としても注目を集め始めるなど、雨水浸透策への注目が集まっています。
 国交省は、当該年度七月にグリーンインフラの事例という資料の一に、都市化と気候変動に伴う河川水位の急激な上昇と題し、都市化に伴う森林、水田の減少や、宅地、道路の増加により、雨水貯留浸透能力が減少し、雨水が早く河川に流出するようになったとずばり指摘しています。
 その上で、総合治水対策とヒートアイランド対策の連携を推奨し、総合治水対策による雨水の保水、浸透を図るとともに、あらゆる都市空間を活用して植栽の成長を促し、蒸発散効果でヒートアイランド対策にも寄与するんだと。豪雨対策とともに、気候変動対策としても注目をしているわけです。
 このように、国交省も推奨する透水性舗装など雨水浸透施設の重要性について、認識を伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 水害に対する安全を確保するためには、河川や下水道の整備を推進することに加え、これらの施設への雨水の流出を抑制する流域対策をあわせて行うことが効果的であると認識してございます。
 流域対策としては、雨水浸透施設と一時貯留施設がございますが、雨水浸透ますや透水性舗装などの浸透施設の設置も、その効果が期待されているところでございます。

○原田委員 今答弁にあったような豪雨対策に加えて、今後は環境施策としても注目していただきたいと思います。
 こうした自治体による雨水流出抑制を支援する制度として、一時貯留施設等の設置に係る実施計画策定委託費及び工事費補助という制度があります。これまでこの制度は、大きな事業でないと補助が受けられませんでした。
 そこでお聞きします。この制度は、平成三十年度、規模要件が三百立方メートル以上から百立方メートル以上に緩和され、今年度からは規模要件がなくなりました。一歩前進といえますが、平成三十年度から平成三十一年度までの補助実績をどう評価しているか伺います。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都は、総合的な治水対策の一環として、雨水流出抑制のため、区市が学校や公園などの公共施設に雨水浸透施設や一時貯留施設を設置する場合の対策費用に対して補助を行っております。
 平成三十年度及び平成三十一年度の二カ年では、三区二市の工事九件に補助をしており、そのうち二件が百立方メートル以上三百立方メートル未満の工事でございます。こうした補助などにより、流域対策が促進されているものと考えてございます。

○原田委員 この制度は、この規模要件、三百立方とか百立方という規模要件があったために、何か施設の大規模な改修、改築に伴って貯水槽をつくるとかふやすとかでないと、なかなかこの三百立方メートル、水なら三百トンですね、これだけの対策量に届かないわけで、資料の二四ページを見ますと、全都で幾つかぐらいしかやられていないと。当該年度は五件ですけれども、それくらいしか申請がなかったわけです。
 制度の改善によって、三百トン以下の対策の申請もあったとのことですので、よかったんですけれども、今年度はさらに百トンの規模条件も取り払ってもらいました。
 そこで、雨水浸透施設や一時貯留施設の設置にかかわる補助金の制度をさらに使いやすくすべきと最後にお聞きしますが、いかがでしょうか。

○谷崎都市基盤部長特命担当部長兼務 都はこれまで、公共施設に設置する雨水浸透施設や一時貯留施設の工事費を補助するなど、地元自治体の取り組みを支援してきております。
 昨年度末には、区市等の意見や要望も踏まえた上で、補助対象施設の規模要件を撤廃する要綱の改定を行い、小規模な雨水浸透施設や一時貯留施設も、これら補助の対象としたところでございます。このように制度の充実に努めてきております。

○原田委員 今年度の規模条件の撤廃によって、小規模な雨水浸透施設や一時貯留施設も本補助の対象としたとのことで、これは本当に喜ばしいことで、ありがたいことだなと思っています。
 周知の仕方、細かいハードルを調整することで、雨水浸透策が大幅に進む可能性が出てまいりました。これまでは、貯水槽がこの補助対象の主役だったんですよね。ですけれども、地下土壌へのこれだと浸透がないわけですよ、貯水槽だと。
 今後は、浸透性のある透水性舗装や浸透ますなどが主役になり得るチャンスですので、制度を育てていただきたいなと申し上げまして、質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時二十一分散会

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